衆議院

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第6号 平成14年6月5日(水曜日)

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平成十四年六月五日(水曜日)
    午後二時九分開議
 出席委員
   委員長 赤城 徳彦君
   理事 亀井 善之君 理事 細田 博之君
   理事 望月 義夫君 理事 茂木 敏充君
   理事 中山 義活君 理事 堀込 征雄君
   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君
      逢沢 一郎君    金田 英行君
      栗原 博久君    小西  理君
      小林 興起君    坂井 隆憲君
      高鳥  修君    竹下  亘君
      野中 広務君    林 省之介君
      林  幹雄君    平井 卓也君
      松野 博一君    渡辺 博道君
      阿久津幸彦君    佐々木秀典君
      佐藤 観樹君    手塚 仁雄君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      山名 靖英君    中井  洽君
      大幡 基夫君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    保坂 展人君
      西川太一郎君
    …………………………………
   議員           亀井 久興君
   議員           保利 耕輔君
   議員           町村 信孝君
   議員           中山 義活君
   議員           堀込 征雄君
   議員           山花 郁夫君
   議員           西  博義君
   議員           中井  洽君
   議員           穀田 恵二君
   議員           阿部 知子君
   議員           保坂 展人君
   議員           西川太一郎君
   衆議院調査局第二特別調査
   室長           牧之内隆久君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月五日
 辞任         補欠選任
  松岡 利勝君     渡辺 博道君
  柳本 卓治君     林 省之介君
  北川れん子君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     柳本 卓治君
  渡辺 博道君     松岡 利勝君
  阿部 知子君     北川れん子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(保利耕輔君外六名提出、衆法第一六号)
 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(岡田克也君外九名提出、衆法第一四号)


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     ――――◇―――――
赤城委員長 これより会議を開きます。
 保利耕輔君外六名提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案及び岡田克也君外九名提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。
佐々木(秀)委員 民主党の佐々木秀典ですけれども、私から、このあっせん利得処罰法、与党案と野党案がそれぞれ議員立法として提案されておりますので、それぞれの提案者に御質問を申し上げたいと思います。
 与党案についての提案理由ですけれども、これによりますと、平成十二年の十一月、政治に携わる公務員の政治活動の廉潔性、清廉潔白性を保持し、これによって国民の政治に対する信頼を高めることを目的にして、あっせん行為による利得の禁止と政治活動の自由とのバランスを十分に考慮しつつ、政治公務員の行為に一定の枠をはめ、これに反した場合には厳しいペナルティーを科し、その実効性を担保しようという観点から、あっせん利得処罰法を成立させたということを言われて、しかし、与党三党は、最近の国会議員の私設秘書等による一連の不祥事に端を発する政治不信を重大に受けとめ、政治に対する国民の信頼を回復するために、国会議員の私設秘書によるあっせん利得行為についても処罰の対象にする必要があるという結論に達した、こう言っておられるわけであります。
 そこで、平成十二年、第百五十国会でこの法律がつくられたときにも、それぞれ与党、野党の間で激しい議論、真剣な議論が闘わされました。その結果として現行の法律ができているわけですけれども、ここでは、議員のほかに、この議員の政治活動、いわゆる口ききなどにまつわる金品その他の利得の授受の問題、こうした政治と金にまつわるさまざまな不祥事を何とか正すことによって、政治に対する国民の信頼を回復しなければならない。また、政治家というのは、国民全体のために、あるいは自分を選出してくださった地域のため、地域の人々のために働くものであって、特定の個人や団体あるいは企業のためにというようなことであってはならないんだということも含まれているんだ、こう思うんですね。
 そういうことで現在の法律ができたわけですけれども、その当時も野党としては、どうも現行法では足りない、特に政治家と秘書ということを考えた場合に、これは切っても切れない関係にあるわけですが、どうしても政治家よりも表に立って、さまざまな方々との接触というのは秘書の方が多い。そして、その秘書を通じての金銭の授受なども行われることが多いということから、公設秘書だけではなくて、私設秘書も犯罪主体として含めるべきだという強い主張をした。しかし、それにもかかわらず、それが入れられずに、公設秘書だけに限った現行法ができた。
 しかし、この提案理由の説明にもございますように、特にことしに入ってから、具体的な名前を挙げて恐縮ですけれども、自民党の皆さんのお仲間であり、特に近い将来を嘱望されていた加藤紘一さんが秘書の問題で、それからまた、参議院議長の井上前議長までが秘書さんの問題で、いわゆる口ききと、かなりの大きな金額がこれによって動いたというようなこともあって、議員を辞職される。
 これは私たち同じ国会議員としてもまことに残念な思いであるわけですけれども、こうしたことから考えて、現行法では足りない、提案理由の目的を達するためにも、どうしてもこの犯罪主体なども拡大しなければならないとお考えになったんだろうと思うんですが、しかし、この主体を、あるいはこの法律の対象を、私設秘書を加えるということだけで、本当にこの目的が達成できるんだろうか。私どもの方は、どうもこれでは足りないんじゃないかというふうに思えてならないわけであります。
 そこで、与党の提案者にお尋ねをいたしますけれども、本法の改正の動機と趣旨ですけれども、今私が申し上げたようなことから考えて、本当にこれでいいとお考えなのかどうか、この点、もう一度お確かめをしたいと思います。
保利議員 お尋ねの件は二つあるかと思います。今回御提案をいたしております議員の秘書の、公設秘書から私設秘書へ、これは国会議員についてでありますが、そこへ延長してきているということと、もう一つは、国会議員以外の秘書についてやらなければいけないんではないかという、その二つのお話だったように伺いました。
 御承知のように、現行法ができますときは、与党といたしましては公設秘書に非常にこだわったわけでありますが、こだわった理由というのは、犯罪行為については、犯罪の構成要件が明確でなければいけない。何も疑う余地のない公設秘書、これは公務員でありますので、そこを犯罪の対象にすることによって明確性を保持しようとしたというふうに私はとらえておるわけでございます。
 その後、今、委員からも御指摘がございましたとおり、いろいろな問題が起こりました。それで、いわゆる私設秘書というのをどう考えるべきかということについては、与党におきましても、また我が党内におきましても、大変な議論をいたしたわけでございます。
 その中で、やはり公設秘書というのがあくまでも犯罪の中心ではあるが、それと並べて見たときに、私設秘書というものが区別がつけられるんだろうか、どうだろうかというところに考えが立ち至りまして、今回、私設秘書を含めさせていただくというところに到達したわけでございます。
 ただ、私設秘書というのは、性格上、非常に業務が多岐にわたっていると思います。例えば資金管理団体を管理するとか、いろいろなパーティーについてのセットをするとか、あるいは地方において地方での支援活動をするとか、いろいろな形に広がってまいりますので、そういう意味で、犯罪主体を明確にするということについては、私どもの与党の協議会では、十回以上協議をいたしました結果、今御提案を申し上げているような解釈のもとに私設秘書に広げようとしたわけであります。
 もう一つの地方の議員の秘書についてはどうかということでありますが、地方の議員の秘書あるいは首長さんが私的に使っておられる方々ということになりますと、通常、首長の秘書さんは御承知のように官吏でございますから、私設とはなかなか言いがたいわけでございますけれども、特に議員の私設秘書については、国会議員の場合と比べまして公的性格があるのかどうか。
 国会議員の場合は公設秘書というのがございまして、その延長線上で国会議員の私設秘書というのを考える。もう一つは、地方議員の場合は今公設秘書というのがございませんので、あくまでも私設秘書だというようなことから、私どもとしては今回外させていただいたということでございます。
 少々長くなりましたが、御答弁申し上げます。
佐々木(秀)委員 御丁寧な御答弁をいただいて、具体的に聞いていないことについてもお答えをいただいたように思って恐縮しております。
 いずれにしても、与党の皆さんとしても、政治の廉潔性、あるいは政治家と人との関係、それから政治家の行動とそれにまつわって金が動く、それが忌まわしいものであってはならない、そういう思いでいらっしゃることは、私は違いがないと思うんですね、野党の議員とも。
 だとすれば、本当に皆さんの持っていらっしゃるお気持ちを実現させ、効果あらしめるためには、せっかくのこの法改正なんですから、そう簡単にできるものでない法改正なんですから、やはり効果のあるものでなければならないし、それが今いろいろと取りざたをされているような行動に一定のチェックを与えるようなものにならなければ、私は余り意味がないと思うんですね。
 さきにつくったこの現行法も、ある意味では、ざる法という言葉は余り好ましくないかもしれないけれども、しかし、結局は役に立つということについてやはり問題があった、だから今改正をする、こういうことになるわけですけれども、しかし、与党のこの本当に部分的な改正だけでは、お考えになっているような効果が上がるんだろうか。またしてもざる法になるおそれがないんだろうか。
 確かに、それに対比して、野党の出している法案はかなり厳しいです。主体についても、私設秘書だけではなしに親族まで含めるということですし、それからまた、現行法では、構成要件についても処分行為その他、あるいはあっせん行為についてもいろいろな枠がかかっている。例えば請託の問題だとかを初めとして、こういうものがあれば結局はその目的がなかなか達成できないんじゃないかということから、野党案ではそうした制約を外そうとしているわけですね。
 恐らく、与党の皆さんも、これを出されるについては相当な論議をしてきたろうと思う。特に、自民党だけではなしに、公明党さん、そして保守党さんも入って、与党三党としてお考えになってこの法案を出されてきた。この議論の過程の中では、私が今指摘したような野党案で言っているようなことについても、私は議論になって当然だと思うんです、まとまったものは今の形で凝縮されているけれども。
 その過程の中での議論として、そういうような構成要件の見直しあるいは主体についての拡大などについては全く議論にならなかったんですか。もうこれで、私設秘書を加えるということだけでいい、もうとんとんとんといったんでしょうか。簡単にその辺の経過、お話しください。
保利議員 それは議論はございました。いろいろ御意見も出ましたが、特に、私どもの方の党の中の問題といたしましては、国会議員の私設秘書に拡大をするということについての議論が非常に多かった。そこの中に問題点がありはしないかということを懸念する声が非常にございまして、それをカバーするというか、乗り越えることに苦労した思いがございます。
 そのほかの件につきましては、現行法の中で十分じゃないかというようなことで結論になって、そのような形で御提案を申し上げたということでございます。
佐々木(秀)委員 そこで、やや具体的な問題になって恐縮なんですが、これは六月の四日ですから、きのうの私の地元の北海道新聞なんですね。この北海道新聞の朝刊なんですけれども、資料として差し上げてございますので、ごらんいただいているかと思います。
 北海道の帯広に本社がある木材会社で、やまりんという木材会社がございます。これが、鈴木宗男衆議院議員との関係なんですけれども、実はこの会社は一九九八年の八月に林野庁から行政処分を受けているんですね。というのは、国有林の木材を盗伐した、それを売っていたというようなこともあって、これはかなり大きな会社なんですけれども、どうしてそういうことをやったのか、とにもかくにもそういうことをやって行政処分を受けたわけです。これは一回だけじゃないんです。
 この会社について、林野庁に対して鈴木宗男議員が口ききをした。つまり、この処分の期間が過ぎた後、処分の以前のように、国有林の木材についてこれを買い受けることができるように、これは、処分を受けると、そういう点が非常に制約されますから、ペナルティーを科せられますから、何とか便宜を図ってくれというふうに働きかけたと言われているんですね。
 そして、それと関連していると思われるんですけれども、鈴木議員の資金管理団体である二十一世紀政策研究会の収支報告に出ているわけですけれども、そういう働きかけがあった後に、そのやまりんという会社のグループから約四百万円が鈴木宗男氏の政治資金管理団体に献金されている。これは問題じゃないかという新聞の書き方なんですね。
 これなどは、鈴木議員が、本人が動いているか、あるいは、秘書さんはもちろん動いていると思うんですけれども、こういうような報道がもしも事実とすれば、これは本法の構成要件に該当することになりはせぬかと私どもも思うんです。この会社については、同じ北海道の議員さんですから町村先生も御承知じゃないかと思うので、よろしかったら町村先生からお話しいただければと思ったりします。
町村議員 北海道ということで御指名を賜りました。
 やまりん、私は、新聞ではしばしば登場する会社ですから名前を知ったわけですが、会社そのものは、私は北海道に住んでおりながら、実は全く知らない会社でございまして、先生のお話でかなりの規模の会社だということをむしろ教えていただいた、こう思っております。
 事案の中身が、これは新聞報道が事実かどうかもまた正確にはわかりませんし、この詳細もわかりませんので、この案件があっせん利得処罰法の構成要件に該当するかどうかということは、直ちにこれはお答えすることは難しいのかな、こう思っております。
 ただ、一般論として、政治献金というものが本法で言う財産上の利益の収受ということとどういうふうに考えたらいいかということでございますけれども、本法で処罰されるのは、言うまでもございませんが、あっせん行為の報酬として利益を収受した場合ということであって、いわゆる一般的な政治献金については、社会通念上、常識の範囲内の政治献金であれば、これはあっせん行為の報酬と認めるということは難しいんだろうな、こう思っております。
 そこの相関関係がどのくらいあるのかということでありますが、他方、政治献金の、名前は政治献金だけれども、実際にはこれはあっせん行為の報酬である、したがって、財産上の利益を実質的に収受したと認められる場合も、それはあるかもしれません。その場合には、本法の罪が成立するということも一般論としては否定できないんだろうな、こう思っております。
 いずれにいたしましても、要するに、他の構成要件がどういうことになっているのかということをしっかり見ないと、本法で処罰されるかどうかということをにわかに即断することは難しいのかな、こう考えております。
保利議員 ただいまの答弁に補足をさせていただきますが、けさの農林水産委員会でもこの問題が取り上げられまして、林野庁の中に調査チームをつくるということでございます。
 その調査チームによりまして事実関係が明確になってからの判断になろうかと思いますが、いろいろな要素がほかにも考えられますので、にわかに、これを適用する、しないということが断定できるという状況にはないというふうに申し上げておきたいと思います。
佐々木(秀)委員 今、鈴木氏の秘書さんが逮捕されているわけですけれども、この事案がその被疑事実の中に入っているかどうかはまだはっきりしないわけですね。
 あるいは、そういうことがない方がいいのかもしれないけれども、あるいは司直の手が鈴木議員本人にも私は伸びる可能性も十分にあると思うのです。その場合に、これも問題になるとすれば、いずれにしても、今農林水産省の方でも問題にしているということですけれども、林野庁に対する鈴木議員の働きかけがあったかどうか、そしてそれと接触をして、いずれにしても、そのグループから供与されているお金が対価性を持つものかどうかということが、因果関係の問題が問題になってくるわけですね。
 仮にこれが、検察などがそういう判断に至って因果関係があるとすれば、起訴の対象にもなるでしょうし、その場合には、裁判所が判断をするということにもなるだろうと思うけれども、やはり、非常に疑惑の大きい事案だと私は思うのですね。こういうふうなことに対してはっきりとさせる、あるいはこういうことをさせないようにするためにも、私は、法律でできるだけ幅広くやっちゃいけないことをやはり規定しておくべきじゃないかと思うんですね。
 そこで、時間がだんだんなくなりましたから、野党案の提案者にお尋ねをいたします。
 野党案、いろいろな意味で確かに厳しいわけです。特に、親族を入れているなどということに対して与党の方からも厳しい批判があるようです。しかし、これも、残念ですけれども、つい先日、お隣の韓国で金大中大統領の息子さんが、これもまた口ききだろうと思うけれども、見返りに相当多額のお金を受け取っていたということで逮捕されているんですね、金大中大統領も本当にお気の毒だと思うんですけれども。
 そういうようなことなどを考えると、確かに、実際には、親族が公設であれ私設であれ、秘書だということであれば今の与党案でそれをくくっていけるわけだけれども、実は、秘書としての名刺も持たず、それから事務所にもおらず、ふだんは秘書としての活動はやっていないけれども、しかし、その議員の親族が口ききを頼まれ、そしてそれを受けて、口ききの仕事をして、それで対価を受け取るということはあり得ることだと思うんですね。
 恐らく、野党提案者はそういうことをお考えになった上で、万全を期してのことだろうと思うんですけれども、しかし片方で、与党の方から、厳し過ぎるじゃないか、そうすると、政治家のいわゆる真っ当なことでも自由な活動に制約が加わって、政治家が伸び伸びと仕事をすることができなくなるじゃないかなどという批判があるようですけれども、これに対してはどうお答えになりましょうか。
堀込議員 お答えをいたします。
 親族等につきましては、それ自身政治家と密接な関係がございまして、存在そのものがそういう関係でございますから、このたび法案に入れさせていただいた、今韓国の例を出されましたが、まさにそういう事例があるわけでありまして、そういうことでございます。
 この議論を通じまして、佐々木先生がおっしゃられましたように、我が野党案に対して、政治活動の自由を著しく侵害するおそれがある、こういう質疑が、特に与党側から出されたわけでありまして、この点は、私ども野党は大変遺憾に思っておりますし、我が法案に対する大変うがった見方だろう、こういうふうに思っております。
 そもそもこの法案は、政治家と被あっせん公務員、それからその政治家と利害関係を共有している受益者、この三角関係の中であっせん行為があって、そしてわいろがあって、これを罰する法律でありまして、決して物事の陳情を頼むとか、頼まれた請願について何かやった政治活動を規制しようとしているわけではありません。特定の者が特定の者の利益のためにあっせんをし、口ききをして、その対価としてわいろを受け取る、これを処罰しているわけでありまして、どうもこの間、政治活動の自由を著しく阻害するんではないか、こういう懸念が出されていますが、私どもは決してそういうふうには思っておりません。
 現在頻発する政治と金の問題に対して、この程度のことをやらなければ国民の理解を得られないと思いますし、逆に、与党の答弁を聞いていますと、何か政治活動の自由じゃなくて、政治献金が幅広く集まらなくなるからどうもやっているんではないか、こういうような印象を受けるわけでございます。そういう意味では、我が野党案は決して政治活動の自由を阻害するものではない、こういうことを申し上げさせていただきたいと思います。
佐々木(秀)委員 大分時間がなくなりましたものですから、野党提案者にもいろいろ質問したかったんですけれども、狭まってまいりました。
 そこで、いずれにしても、とにかく政治家の清廉性に対する国民の信頼を確保するために、疑われるようなことがあってはならない、やっちゃいけない、こういう思いは皆同じだとすれば、どうも私は、この与党提案だけでは、改正提案だけでは、残念ながらその全部に対する対策にならないんじゃないかというように思えてならないところからすると、仮に、この野党案はこれまた厳し過ぎるんだとすれば、その間、もう少し何らかの妥協を図り、改善をするために与党としてもこの修正を考えるということはできないものだろうかと思うんですけれども、修正についてのお考えは全くないんでしょうか。それとも、その余地はあるんでしょうか、この辺、率直にお尋ねしたいと思います。
保利議員 率直なお尋ねでございますので、率直にお答えを申し上げたいと思います。
 我々も随分議論に議論を重ねましてここへ結論が至っておりますので、現在提出しておりますものが私どもとしては自分たちの今考える一番いい法律だというふうに信じておりますので、大変恐縮でございますが、また、丁寧に修正案については検討させていただきましたが、現在、修正をお受けするという気持ちはございません。
佐々木(秀)委員 たしか現行法をつくるときにも議論の中で、与党はこれが最善の法律だといってこれを通されたんだと私は了解をしております。ところが、これが施行されてからまだ一年ですね。一年ちょっとしかたっていないわけでしょう。その間に次から次と問題が起こってきたわけですね。どちらかというと、与党の中でも最大の政党である自民党さんの中で、皆さんの同僚の議員さんがやめたり、あるいは司直の糾弾を受けるというようなところまで来ているわけでしょう。
 こういうことを考えると、今、保利先生、せっかくおっしゃるけれども、これがベストだということを本当に言い切れるんでしょうか。仮に、これが、皆さん与党が多数ですから、多数の力で通ったとしましょうか。成立をして、もしも不都合がまた起こったら、そのときにはもう一回改正に踏み切られるんですか。本当だったら、私はそうならないようにするためにも、何とかここで修正協議をやっていただきたい。心から本当にそう願わざるを得ないんですけれども、最悪の場合、私の方からすると最悪ですけれども、この与党案が通った場合に、その後に何か問題が起こった場合には改正するにはやぶさかでない、こういうことなんでしょうか。重ねての質問で恐縮です。
保利議員 法律をつくって人間の生活についての一つの規範とするということについては、私はいろいろ問題があると思っております。抜け穴というのを探すということをやって、その抜け穴によって利益を得ようとする、そういう心情、心理を根絶することが私はまず政治家に課せられた一番大事な点だろうと思います。
 したがいまして、どんなに立派な法律をつくりましても、悪いことをしてやろうという気持ちがある以上は、何か抜け穴のようなものを探してやろうというようなことを考えますから、これが最善だという、あるいはベストだというような言い方は、私はできないと思います。
 しかし、罰則を伴った規定でありますから、きちんとした考え方のもとに整備をしていくということが私は必要だと思いまして、この案を提出しているところでございますので、何とぞ御理解を賜りますようにお願いを申し上げます。
佐々木(秀)委員 時間が参りましたので、同僚議員に後はお譲りをしたいと思いますけれども、まだ時間があります、願わくば、この法案の審議がこの委員会で始まってからまだ六時間、七時間足らずだと思いますので、もう少しじっくり議論をしていただいて、その上で、与党案提案者、野党案提案者ともに、何とかよりよいものにするための協議を続けていただいて、修正させていただくということを、私は心から望んでおります。
 どうかそのための御努力を放棄なさらないようにということを特に最後にお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。
赤城委員長 次に、中山義活君。
中山(義)委員 今、率直に修正をするかと言ったら、修正はしないとまた率直にお答えになりました。
 つまり、我々は、この法律に実効性があるか否か、こういうことを聞いているわけであります。きょうも実は経済産業委員会で、車のリサイクルについて、車を買う方に二万円の負担をお願いしたんです。約二万円でございます。これから、国保やなんかのことでも国民に負担をお願いするんです。そのためには、まず政治というものが信頼を得て、政治にすべてかけようじゃないか、こういう気持ちを国民が持つことが大事なわけでございまして、そういう面でも、実効性のある法律をつくることがどれだけ国民に信頼感を与えるか。
 そしてまた、我々も、国民に痛みをお願いしながら、今の財政というものを何とか立て直しながら、日本の景気回復や日本の政治をしっかりしたものにしていく、これがメーンテーマなんですね。ですから、我々は、こういう法律を通じて国民に、政治家が一生懸命やっている、まじめにやっている、本当に国のために私財をなげうってもやっているんだという姿勢を見せたいわけでございます。
 政治の世界の中でお金は幾ら集めてもいいんだというような発言をされた鈴木宗男さんなんかの趣旨というのは、むしろ使い方がおかしいんであって、お金を集めることは負のイメージがあるけれどもおかしくない、こう言っているんですが、私たちが言っているのは、要するに、税金でやる公共事業を、口をきいて、その税金から還流したものを自分の懐に入れているんじゃないか、こういう国民の不安を、それから不信をできる限り取り除こう、これが私たちの一番大きな理念です。
 そういう面では、信頼の回復こそ、やはり景気回復だ、このようにも思っていますので、その意味で、余り率直に、修正の気持ちはありませんと言いますが、前向きな姿勢でこの法律に取り組んでもらいたい、そう思うわけでございます。
 特に昨今、地方の時代と言われてから、地方の議員さんでも大変力をお持ちの方はたくさんいます。
 都会議員をやっておりましたので、西川先生にお尋ねしたいんですが、例えば、都議会三期、四期やっていますと、今、青島さん一期で石原さん一期、もう都議会の中では、または都庁の中では大変な顔ききなわけですよ。部長、局長よりも、うっかりすれば課長まで全部知っている、そのくらい顔ききになるわけでございまして、我々も身を律して、しっかり政治をやらなきゃいけないという立場だと思うんです。そういう面で、我々は、西川先生を初め立派な都議会議員ばかりでしたから、犯罪にかかわる者はほとんど本質的にはいなかったと思います。
 しかしながら、我々も身を律して、我々ぐらい大きな力を持ったら、もし何かあれば、指摘を受けても絶対そういうことのないようにしようという意味で、いいですよ、秘書が悪いことをしたら当然、私どもも悪いことをした、そのように受けますという立場が私は必要だと思います。
 前回のときに申し上げました。東京都の予算は十二兆円です。これを百二十数人の都会議員で割りますと、一千億円。国会議員は衆参合わせて約八百人程度いるかいないか、これは約でございますがね、よく私も人数、ちょっと、今計算してみないとはっきり出ませんが、もし八十兆円の予算を割ったとすると、大体同じくらいですね、一千億円ですよ。そのくらい都議会議員というのは大きな仕事をしているんですね。
 しかも、過去に、平成四年度、それから平成七年度にも、公設秘書をぜひつくってもらいたいというので、その当時の塩川自治大臣やなんかに申請をしているんです。
 都議会議員の仕事がでかい仕事だよとみずから自分たちでわかっているし、今の小選挙区になりますと、うっかりすると衆議院の選挙区より大きいんですよ。そういう面では、私たちの都会議員のころは、衆議院よりも地域では私どもの方が影響力がある、そのくらいの自負を持って都会議員をやっておりました。
 そういう面で、やはり公職にある者の秘書という範疇に当然都議会議員の秘書は入るべきだと思いますが、まず首都東京として、西川先生、大変お疲れのところでございますが、都議会議員をやったというよしみで、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
西川(太)議員 地方議員の方々がすべからく秘書をお持ちであるかということを、私ども与党としても、これは十数回の議論の中で、調査は正式にはできませんが、それぞれの経験に基づいて、そういうことについても議論をしたことはあります。
 ただいま、先生も私もかつて身を置いておりました議会での体験をもとにすれば、運転の業務を兼ねてくれるような者でありますとか、代理で選挙区のいろいろな行事に出てくれる者でありますとか、また、私どもが依頼を受けますのはいろいろ生活に密着した問題が多いわけで、四六時中公共事業にかかわるような、それも何か道に外れるようなことを依頼されているわけではございません。
 また、いわゆる報道機関も、地方の中でも特に国会に準じて人員を配置して、しかも国会におけるチェック機能と同じようにそれらは働いておりますし、吏員もそういう面ではきちっとやっていますし、監査の体制もきちんと整っています。
 そういう意味では、私は、十六年間、先生と同じようにそこに身を置きましたけれども、一度も、私設とはいえ自分が使っておりました者に対して、そのようなことを命じたことはございません。
 そういう経験に基づいて、このたびの、国会法にもございます公設秘書がこの問題の中心でございますので、国民の皆さんから税をいただいて、その税が給与になっている公設秘書が、あくまでこのあっせん利得の犯罪主体に、議員と同じようになり得ると。しかし、昨今の情勢、それは数としては大した数ではないかもしれない。しかし、影響の大きさにかんがみて、私設秘書を加えていくということは、野党の皆さんに言わしむるならば、百五十国会で我々が言ったことをその時点で認めておけばよかったではないか、こういう仰せでございますけれども、時代も変わり、政治もいろいろな意味で生き物であります。
 そういう観点の中で、私たちは、今回、私設秘書も国民の側から見てなかなか公設と区別はつかないだろう、そういう実態論から、バランスをとって、衆参両院の国会議員の使用する、そして補佐をする、こういう者を加えよう、こうなったわけであります。
 私は、お答えに十分なっていないかもしれませんが、地方議員がすべからくそういうような国会議員と同じような私設秘書を持ち、同じように使っているとは考えておりませんので、加えなかった、こういうふうにお答えをしたいと思います。
中山(義)委員 今言った公設秘書のことは、なかなか地方自治法を変えなきゃいかぬということで難しい部分がありまして、だったら調査費をふやそうということで、調査費の中で、人件費という項目で秘書を雇い入れて、一生懸命調査をさせる。つまり、そのくらい広い見識と調査がないとなかなか委員会で質問ができないほど、東京の問題は大きいわけですね。そういう意味で、私どもも都議会議員に対してやはり秘書があって当然だと。
 これは各党、自民党さんから、あの当時の社会党さん、公明党さん、民社党さん、全部の幹事長の名前で、地方公務員法第三条第三項第四号の改正をお願いするために、意見書を出したり、または要請書を出しているんですね。この後、平成七年度にも同じように、要望書を出して、意見書を出しているんです。そういう面で、都会議員の仕事というのは国と大差ないよ、いわゆる首都東京の中では大変大きな問題がうんとあって、それが国にも大変大きな影響を与えているというようなことが書いてあって、何とか公務員法を変えてもらって秘書を雇ってもらいたい、みずからこのように言っているわけでございます。ほかにも政令指定都市や何かで、このくらいの気持ち、誇りを持っている市会議員さんが当然いるわけでございまして、また、現実に秘書がそれだけの仕事をしているんです。ですから、私どもは、公職にある者の秘書というのは、やはり地方議員の秘書も入れるべきではないか、こう思ったわけでございます。
 もう一つの論点は、我々が考えている法律は、秘書を持つことができる、つまり、一律に都道府県に全部秘書をつけるというんじゃなくて、持つことができるよ、持つことができるという法でいいと。ですから、政令指定都市を初め相当大きな調査を必要とするそういう議員さんには秘書をつけよう、こういう話だったんです。私は、このくらいの大きな調査権を持ったり、また調査をしなきゃならないという人たちは、当然、いわゆる議員さんの名をかりてとは言いませんが、議員さんの力で何かすることができそうな気がするわけですね。ですから、予防として、ここまで網を張った方がいいですよということを言って修正をお願いして、理事会でも地方議員の秘書の問題が一番出たと思うんですね。私たちはそういう心配をしているんです。
 先ほど佐々木先生からお話があったように、また法律を変える、これはやはり先見性がなかったと言われる、私はそれが国会議員としての見識に欠けた、もしそう思われたら残念だと思って、もう一度修正のお気持ちはありませんかと率直に聞きたいと思います。どうですか。
西川(太)議員 お答えいたします。
 ただいまの先生の御議論の前段につきましては、私も全く、公設秘書をぜひ東京都議会のようなところにはつけてあげてほしいというふうに率直に思います。
 お名前を出して御迷惑になったら議事録を訂正してもいいんですが、外務委員長をなさっております吉田公一議員などは、この問題の先頭に立たれて、長く御努力をされておりました。私も当時、都議会、自由民主党の政調会長をやりましたりして、このことについては、新潟県に視察に行ったり、いろいろな、新しい庁舎をお建てになる場合に、地方議員も個室のような事務所が持てないんだろうかというようなこともあれしましたけれども、自治省がだめだと、こういうことで残念な思いをしたことが、先生と同じ体験を持っております。
 ただ、後段について申し上げますと、予防、こうおっしゃいますけれども、私もかつて議員秘書を九年間務めたことがあります。私は九年間とも私設秘書でございました。しかし、もし自分が私設秘書であったら、今のようにすっぽり網をかけられる、このことに不愉快な思いを持っておられるまじめな私設秘書の皆さんも圧倒的に多いと思うんですね。そういう方々のことを思うと、安易に網を広げてやってしまうというのは、刑法の謙抑主義に反すると私は思って反対をしておりますので、この点については、先ほど保利代表からお話がございましたように、修正の余地はないと思っております。申しわけないと思いますが、そう思っております。
中山(義)委員 私、この法律の趣旨は、やはり議員が自分の身をみずから律するということが大事で、李下に冠を正さず、そういう面でも網は広くかけていかなければいけないと同時に、やはり都議会の私設秘書の諸君からすれば、我々はそういう対象になっている、世の中がそれだけ自分を注目しているというような誇りを持ちながら、むしろ都会議員の秘書もやってもらいたい、このように思って、その誇りとは、やはり絶対悪いことをしない、こういうことでございますから、悪いことをしなければ法律があっても安心だ、また逆の面からいえば、悪いことをしないんだからそんな法律は必要ないじゃないか、こう思うかもしれませんが、私どもはそういう面で、公職にある者の秘書、この範囲はもっと広げたらどうか、このように思って御質問させていただいているわけでございますが、修正の気持ちがないという率直な御意見でございますので、それはそれとして承りました。
 しかし、一つ申し上げたいんですが、小泉総理が、いわゆる公共事業を受注した者から政治献金はもらうべきでない、こういう法律は出したい、このように言ったはずなんですが、これは与党内では一回でも論議されたことがあるんでしょうか。この問題について、私は、もしないとすると、大変な問題だと思うんですよ。トップの人が新聞の一面に、公共事業を受注した者から政治献金をもらうべきじゃない、はっきり言ったわけですから、これを法律の形で考えて、議運に上っているとかそういうことがない限り、私はちょっと政府が信用できない、このように思うわけですが、その辺は御答弁、願えますでしょうか。
町村議員 小泉総理のというか、むしろ総裁としての御指示でしょうか。三党党首間でその話し合いが行われました。また、三党幹事長間でもその話し合いが行われました。今自民党の中では、山崎幹事長のもとで関係する方々、また政党の事務局の人も含めて何度か会議をやり、議論をしているところでございますが、今すぐお答えを出せる状態には率直に言ってないという現状だけを申し上げます。
中山(義)委員 今言った政治資金規正法の改正案、ぜひ早く出していただきたい、その意思を示していただきたい、こう思います。それと、我々が要求している修正、これはあしたまだ一日委員会があるそうですから、最後の最後まで修正を徹底してお願いすることを宣言して、私の質問を終わります。
赤城委員長 次に、東祥三君。
東(祥)委員 自由党の東でございます。
 先ほど保利先生のお話を聞いていて、やはり保利先生みたいな方々が国会議員であるとするならば、今議論されているようなこういう法律というのも必要でないのかもしれない、そういう率直な印象を持ちました。
 ただ、一般論として申し上げれば、前回の委員会においても申し上げたとおり、与党側に、本当に今、国民から政治に対しての不信が出てきているその本源をとらえていないんじゃないのか、そういう印象もぬぐい去れないのであります。保利先生のお言葉の中に、今回の法案改正に当たって与党内においても徹底的な議論をした、こういうお言葉がありました。それについて、改めて私は御質問させていただきたい。
 まず、現行法の不備について与党においてどういう議論をされたのか、どこに不備があるというふうに思われたのか。その後、野党の提案者に同じ質問をさせていただいて御答弁をいただきたい、そのように思います。
亀井(久)議員 先ほど来他の委員の方々に対しまして、基本的な考え方についてはるるお話をいたしたところでございますけれども、私どもといたしまして、さまざまな議論を十分にいたしたところでございます。
 提案者の保利先生の方から先般来、お話がございますように、やはり犯罪の構成要件というものを明確にしなければいけないということ、あくまでも私どもの、現在の法律の国会議員の秘書ということについての犯罪主体は、法律上明記されております公設秘書である、そういう考え方を基本にして議論をいたしたところでございます。
 御承知のとおり、今、政治に対する国民の信頼が著しく損なわれつつある、そういう状況のもとで、公設秘書が、確かに法律上は明記された、国から給与を受けておる存在でございますけれども、一般の国民から見れば、だれが公設秘書でだれが私設秘書か、そういう明確な区分はできないということもございますし、また、秘書としての実態というものから考えましても区別がしにくい、そうしたことを十分に議論をいたした結果として、やはり国民の、著しく今失われつつある信頼を回復していく、そのことのためには、私設秘書を加えることが適当ではないかということで、私ども、そういう判断をいたしたところでございます。
東(祥)委員 そうすると、現行法における問題というのは、百五十回国会におきまして議論されていて、与党側が反対していたところの、いわゆる私設秘書を含めるということだけが問題点だというふうに議論されていたんですか。それ以外は別に問題点はないんですか。
亀井(久)議員 そのほかに全く問題点がないのかと言われれば、その点についての十分な議論はもちろんいたしたわけでございますけれども、やはり一つの法律をつくる、あるいは改正をする、そしてまた処罰を厳しく罰していく、そうしたことを考えました場合には、やはり犯罪の構成要件というものを明確にするということが何よりも大切だろうということは、申し上げるまでもないと思っております。
 それに、先ほど来、再三御答弁がございましたけれども、私どもといたしましては、何と申しましても、政治活動が自由濶達に行われるということが基本であろうと思っております。やはり、委員を含めまして多くの国会議員は、まじめに、誠実に仕事をしておると私は信じております。ただ、極端な人が時々出てくるということもそのとおりだと思っております。
 しかし、そういう人たちが出てくるがゆえに、できるだけ網を大きくかけて、広げて、そして、そういう者をあらかじめ処罰できるような、そういう構成要件を整えておくという考え方が果たしていかがなものだろうか、そういう議論も十分にいたしたところでございまして、やはり、そのことによって、結果として政治活動の自由というものを害することになりはしないか、また正当な政治活動を阻害するということも起きはしないか、そのことを十分に私どもは議論をしたことでございます。
 その上で、現在ぎりぎりのところで、やはり私設秘書を加えるということは、現在の政治不信にこたえるためにもやるべきではないか、かような判断をいたしたところでございます。
町村議員 与党三党で政治倫理確立に関する協議会というのを設けまして、十何回かそれを行いました。主たる議論は、このあっせん利得処罰法にかかわることでございましたが、それ以外のことも随分、実は幅広く議論をしたわけでございます。
 例えば、官と業界との関係において問題がないだろうかということで、これはかねてより与党三党でいろいろ議論をしてまいりました。官製談合を防止するということで、その検討が別途進んでおりましたので、そうしたことについても議論をし、これについては、多分そう遠くないうちに国会に与党三党から法案をお出しすることになるだろうと思います。
 あるいは、まだ十分議論が煮詰まったわけではございませんけれども、両院で決めました政治倫理綱領あるいは行為規範というものが今のままでいいんだろうかということも議論をいたしました。そういったことなどを含めて、実は幅広く議論をした結論の一つがこれでございます。
 なおまた、実は自治労問題というのもございました。さまざまな問題があって、自治労、ああいった労働組合のような顔をした任意団体、しかも強大な権限、力、かつお金もある団体がああした、いわば放任状態にあっていいんだろうかといったような問題、そうしたことも含めて、幅広く実は議論をさせていただいた結果の一つでございます。
東(祥)委員 野党側、今回の現行法の問題点について、どういう議論をして、どういう結論に達したのかということ、お願いします。
堀込議員 現行法がせっかくありながら大変不備な点が多いという点で、野党は一致をいたしました。
 一つは犯罪の対象でございまして、今度与党もやっと私設秘書を入れたわけでありますが、それにしても、地方公共団体の関係する秘書も入れるべきだ、あるいは親族も入れるべきだ、こういう点で不十分だというふうに思っています。
 それから、何よりも違いは犯罪の構成要件でございまして、現行法は、請託、それからその権限に基づく影響力を行使した。それから三点目に、あっせん行為の対象、これを契約と処分に限定している。それから四点目に、第三者供与、これを外している。それから未遂形態の要求や約束、これも外れている。それから対価としての利益を財産上の利益に限っている。こういう点で、特にこの構成要件六点にわたってさらに縛りをかけない限り、有効な法律にならぬだろう。
 現にその証拠に、この法律が施行されてから和歌山で一件適用があっただけでありまして、これはまさにその権限、質問するぞということを新聞報道で見る限りわざわざ言っているようでございまして、めったにない事例が辛うじて一つ事例としてあっただけだという事実を見ても、現行法だけでは、今日問題になっている政治と金の実態に対して極めて有効な効力を発揮できないんではないか、このように認識をしております。
東(祥)委員 堀込委員はこの委員会においても長く、メンバーとして、これまでのいろいろな経緯も深く存じ上げている方だと私は認識いたしております。
 先ほど、保利先生の方から、与党内においても徹底的な議論をした、別に揚げ足をとるわけじゃありませんが、そしてその議論の結果として、今回、与党から提出されてきた法案を見て、堀込委員として、徹底的な議論をしたというその言葉を信じることができるのかどうなのか。極めて個人的な御見解を問いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
堀込議員 多分、東先生と同じで、後ろにおられる保利先生初め、まじめな議論をされたんだろうと思います。
 ただ、先生も御存じのとおり、修正の議論をした過程で、私ども野党の、今私が申し上げましたような犯罪構成要件の問題だとか犯罪の主体だとか、皆さん、みんな理解は一応されるという事情があるわけでございます。しかしながら、党内のさまざまな機関を通すには、それは難しいんだという回答でございまして、そういう意味では、問題の所在はよくおわかりになっていらっしゃる。
 しかし、何か党内的な事情といいますか、党内の議論の過程といいますか、仕組みといいますか、そういう壁の中で、どうも、多分心の中では野党案の中の三つや四つは受け入れてもいいというふうに思っていらっしゃるんではないかというふうに思うんですが、どうもその辺がネックになられているんではないか、こういう印象を、私は自分の経験からして、今、修正交渉をして感じているところでございます。
東(祥)委員 よくわかりやすいお話であると思います。
 最後になりますが、具体的な質問を与野党にさせていただきますけれども、今回、元自民党の鈴木宗男議員やあるいはまた加藤紘一元自民党幹事長、そしてまた、これは想像を絶することでありますが、三権の長でありました井上元参議院議長の疑惑については、今回提出されている与野党双方の案では、秘書及び本人について処罰する対象になった可能性があるのかどうなのか、この点について与野党双方の提出者から見解を問いたいというふうに思います。
亀井(久)議員 一般論といたしましては、犯罪構成要件に該当すれば処罰の対象になるということだと存じます。
 ただ、今、委員がお述べになりました、御指摘になりました個々の案件につきましては、事実関係を私ども、十分に承知しておりませんので、それぞれについてどうかということについては、御答弁を控えさせていただきたいと思います。
堀込議員 どういう事案が野党案でこの対象になるかということは、当該事件の事実関係や証拠関係、詳細に検討しなければなりませんから、直接的なお答えは控えさせていただきますが、あえて言いますれば、私は、新聞報道で見る限り、なかなか検察も苦労されているなという印象を持っております。例えば、政治資金規正法の虚偽記載だとか、そういうことで逮捕をされたり、所得税法違反ですか、そういうもので逮捕をされたりしながら、大変苦労されているのではないか。
 私どもは、新聞報道で見る限り、あの事案はやはりあっせん利得、明確なあっせん利得でありまして、この法律がもしあれば、かなり有力な手段になったのではないかという認識を私自身としては持っておりますということを申し上げさせていただきます。
東(祥)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、与党の提案者に申し上げたいと思うんですが、この問題については、過去の経緯もある、いろいろな議論もしてきた、そういうこともよくわかっておりますけれども、今の、現下の状況を考えたときに、与党案、野党案、問題の論点といいますか、それが明確に提出されているわけでありますけれども、その論点に対しての議論の深みがほとんどなされていないんじゃないのか。ある意味で、与党の方々におかれましては、今回、いろいろな議論の経過を踏まえた上で、現行法にプラスアルファ、私設秘書を加えたんだからこれでよし、これでとどまってしまっているんじゃないのか、そのような印象を持たざるを得ないのであります。
 したがって、そこで、現行法に対しての新たな修正案を出したのだから、とにかくもうこれで通過させるべきだと。通過させるべきありきが初めにあって、委員会に参加されているんじゃないでしょうか。委員会の本来の趣旨というのは、自分たちが議論し尽くした、また、議論してその問題については明確になっているということであるならば話は別でありますけれども、どうも平行線で議論が推移してしまっているんじゃないのか、そういう印象を免れないのであります。
 同じ政治家として、政治活動を本当に一生懸命誠実にやっている仲間たちで議論しているわけであります。その上で、改めてもう一度、虚心坦懐に、政治家に対して国民から非常に疑惑の目で見られている、その上でどうしたらいいのかという視点で、改めて野党の修正案、野党の議論に対して耳を傾けていただいて、議論を深めていただきたい。
 ともすれば、初めに、議論をする、委員会が始まった段階でもう出口を決めちゃうという非常に形骸化した委員会運営になってしまっているんじゃないのか、そういう率直な私の印象を申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
赤城委員長 次に、大幡基夫君。
大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。
 きょうのこの審議の中で、野党委員から、実効性のある法改正をやろうじゃないか、そのために、じっくりした、しっかりした議論をやろうということが繰り返し指摘されています。
 与党案の提案者は、趣旨説明の際にこのように言いました。「我々三党は、最近の国会議員の私設秘書等による一連の不祥事に端を発する政治不信を重大に受けとめ、」云々、この一連の不祥事の中には、鈴木宗男議員にかかわる問題、加藤紘一自民党元幹事長の問題、井上裕参議院議長の問題等も当然入っているはずだと思います。
 それらは、一言で言えば、国民の税金でやっている公共事業や対外援助に介入をして、それを食い物にする醜悪な利権政治。文字どおり税金の私物化、税金の還流という構造に抜本的なメスを入れる。公共事業の口ききをして、その見返りに金品をもらう、わいろをもらう、この構造と仕組みを断ち切ることだというふうに思います。
 野党四党は、こういう立場から、現行の与党案には重大な抜け道が残されているということを明らかにして、八項目の修正要求を提出しました。ところが、与党三党は、先ほどもありましたように、そのすべての項目を結果として全く無視するという態度をとっています。
 私からも、なぜ野党四党の修正要求を無視できるのか、与党案には全く問題がないというふうに言い切れるのかどうか、改めて与党提案者にお聞きしたいと思います。
町村議員 実は、前回、前々回の議論、また、きょうもほとんど同じことを何度も何度も議論を、御質問もいただき、また我々もお答えをしているような気がしております。
 八項目の一つ一つの修正のポイントにつきましても、既にそれぞれの方々から、表現は多少違ったかもしれませんが、御議論があり、それぞれについて私どもは誠実に私どもの考えを答えてまいりました。現実に、先ほど申し上げました三党の協議会の場で、十数回にわたって現行法あるいは現実に起きてきた事件等の問題点はどの辺にあるんだろうかということを吟味した上で、結論としては私どもの提案ができ上がっているところでございます。
 やはり犯罪の構成要件というものはきっちりしていなければいけないということは、刑法の一つの大原則だろう、こう思います。やはり、何でもかんでも投網をかけるようにして、とにかくどこかにひっかかるだろうということではならないんだろうな、こう思っておりまして、私どもは、そういう意味で、今回の改正が必要な内容を盛り込んだものである、こう考えた上で、この修正の御提案には応じられませんという御返事を申し上げたところでございます。
大幡委員 私、改めてある事例を紹介したいんですが、ある大物国会議員に業者が公共事業を頼みに行った。この仕事が欲しいというふうにお願いをしたら、その場で受話器をとって、この業者を入れろというふうに言ってくれた。それで受注ができた。後日、お礼にお金を持っていった。このときは秘書が対応して、今は要らない、後で政党支部への献金やパーティー券をお願いするというふうに言った。そこで、政党支部に献金をした。
 こういう場合は、与党案で罪に問えますか。
町村議員 今おっしゃったことだけで犯罪に当たるか当たらないかというのは、その犯罪の構成要件というものがもう少しきちんと正確にならないと、今、委員が言われたことだけで、イエスですか、ノーですかというお尋ねについては、お答えをするのは不可能であります。
大幡委員 これは、ある、鈴木宗男議員にかかわる問題で起こったことを一般的にしたものなんですが、なぜこの事例だけでは罪に問えないかというと、事前に金品のやりとりがあったかどうか、つまり、請託の立件が難しい。また、電話をするだけでは、国会議員としてのいわば権限に基づく影響力の行使というふうに該当しない。政党支部への金だから、第三者供与ということでもって該当しない。要するに、現行法が持っている抜け道という問題に幾つも該当するから、この事例だけでは罪に問えるというふうに言い切れないわけですよ。そういう案で、そういう法改正でいいんでしょうか。
 与党が、この間起こった一連の政治腐敗に、深く反省しているというふうには言っていませんが、本当にそれに胸を痛めて、国民の信頼性を回復するというんだったら、こういう問題にきっぱりと適用できる法改正が必要で、野党の八項目の修正要求というのはそういう立場から提起しているものです。いわばこういう問題に、しっかり罪に問えるというふうに言えない法案でいいのかどうか、もう一度答弁をお願いします。
町村議員 現在の法案で、今、委員がおっしゃった請託が証明でき、かつその人の権限に基づく影響力を行使して電話をした、そして、ある公共事業、契約ですね、行政庁の処分、これにも該当するでしょうし、政党支部がその本人の、言うならば実質的な支配下にある、コントロール、影響力のもとにある、こういうことが言えるならば、今の法律で十分それは対処できるわけであります。
 したがって、今、委員がおっしゃっているような問題は、逆に、では野党の提案を入れたからといって全部問題が解決するかというと、必ずしもそうではないと私は思います。
大幡委員 少なくとも、請託が要件になっているという問題、それから国会議員の権限に基づく影響力の行使という問題について、これもやはり構成要件に入れていない。そういう意味では、電話による影響力の行使という問題でも該当するわけですよ。したがって、野党案の場合だったらこういう問題について十分法に問える、いわば要件という問題は極めて近くなる、これはもう明らかだというふうに思います。
 それで、改めて、先ほども町村さんは国民の要求を吸い上げる活動まで対象になって政治活動を萎縮させる、これは前回も野党案についてこういうふうに言われました。しかし、野党案で、国民の要求を取り上げるという問題はいささかも否定をしていません。問題は、公共事業に介入をして、あっせんの見返りに金品をもらう、わいろをもらう、これさえやらなければ政治活動に何の支障もないというのが野党案であります。それを殊さら政治活動を制限するかのように毛嫌いされるのは、結局、金品を受け取る仕組みを温存させたいという意図があるというふうに私は考えざるを得ないんです。
 議員本人に直接に見返りとして金品が渡らないと適用対象にならないという第三者供与の問題でも、私は、与党提案者も、刑法にあっせん収賄罪が盛り込まれたときから問題になっていたということは、よく御存じだというふうに思います。一年半前の百五十回国会でも議論になりました。つまり、刑法にあっせん収賄罪が導入されたのは昭和三十三年です。当時、あっせん収賄罪の創設を答申した法制審議会は、将来においては第三者供与を導入すべきだという決議をつけています。また、それを受けて、あっせん収賄罪の創設を審議、可決した衆参両院の法務委員会でも同じ附帯決議を当時つけ加えています。
 そういう経過があり、その上に、今、政党支部や政治資金管理団体への抜け道が大問題になっているわけです。いわば、こういう経過も踏まえて、今、第三者供与の明文化に踏み切らないで、政治の信頼回復が果たせるのかというふうに思います。この点もお聞きしたいと思います。
町村議員 提案者側、与党の政治活動がすべて何か金品の授受がなければ我々政治活動をしないかのごとき御発言がありましたが、それはとんでもないことでありまして、私どもは、何もそれを温存したいとか、そんな思いで言っているわけじゃございません。
 私どもは、常に住民の声、国民の声に耳を傾けながら政治をやっているわけでありまして、何か常にお金が背後になければ、我々政治家は一センチたりとも足を運ばないかのごとき御発言は、少しくお控えをいただきたいと思います。
 その上に立って、第三者供与のお話がございました。これは、前回、委員にも申し上げたとおりでございまして、現行法におきましても、実質的に公職にある者等、本人があっせん行為の報酬たる財産上の利益を収受した場合のみの処罰をすれば十分であろうというふうに考えております。外形的に本人以外の者があっせん行為との間で対価性があると認められる財産上の利益を受け取ったとされる場合でも、当該財産上の利益に対して、本人が事実上の支配力、または実質的な処分権を有するものと認定できる場合、先ほどから例が挙がっておりますが、例えば政党支部について、これは本当に自分が関与できる支部もあるかもしれません。しかし、まるで本人がそういう処分権を有さない支部もございます。それは実態、さまざまでございます。
 例えば、私どもの北海道自民党第五支部というのがございますが、これは私の好き勝手で献金を受けたり、あるいはそれの資金の使い道について、勝手に私がこれに使え、あれに使えという仕組みにはそもそもなっていないわけでございまして、きちんとした役員会とか広報委員会、あるいは何々委員会というものの議を経てすべて使い道が決まるという意味で、入りも出もすべて、私がその支部長ではあるけれども、私が全部完全にコントロールできるようになっておりません。
 それは、それぞれの支部の実態というものをよく見なければならないわけでありまして、したがって、支部に入ったからこれは全部迂回献金だと決めつけることは、やはり実態というものを委員にはもう少しお考えをいただかなければならない。
 そういう意味で、私は、先ほど来から申し上げている事実上の支配力、実質的な処分権というものの判断は、最終的には裁判なりという場で決着をつけなければならないんだろうな、こう思うわけであります。
大幡委員 問題は、公共事業の見返りに、金を直接受け取らないで政党支部に入れてくれ、こういうふうにしたら罪にならないという仕組みなんです。実態の問題じゃないんです。
 それで、もう一つ、今回の与党の対応問題で、修正案を全く拒否するというのは本当に不誠実だというふうに私は思うんですが、あわせて、野党案の政治資金規正法の改正案をつるしたままで委員会付託さえしていない、これも非常に重大だというふうに思うんです。なぜ委員会に付託してあっせん利得処罰法案の改正とともに審議しないのか、その理由をお聞かせ願いたい。
町村議員 これは、議運がお決めになる仕組みになっていることは、委員御承知のとおりであります。
大幡委員 議運の理事会でこのことを我が党は大問題にしました。議運の与党理事は、与党三党の検討チームに伝える、こういうふうに言ったそうです。つまり、責任のなすり合いをして、委員会付託を妨害している、政治資金規正法の野党の改正案を提案させないというふうな意図的な動きというふうに判断せざるを得ないというふうに思うんです。
 そこで、私、改めてお聞きしたいんですが、前回の委員会で、この政治資金規正法改正案の中の公共事業受注企業からの企業・団体献金の禁止について、小泉首相が検討を指示しているんですが、町村提案者は極めて否定的な態度を前回述べられました。
 こういう場でないと聞けませんので、公共事業受注企業に対する企業・団体献金の禁止について、必要と思うかどうか。これは自民党、公明党、保守党、端的に三党の提案者からお聞きしたいというふうに、それなら自民党と公明党で結構です。
町村議員 私どもは、共産党さんのように、政治献金イコール悪と、あるいは公共事業受注企業からの献金、悪というような決めつけはいたしておりません。企業は重要な社会的存在であるし、その企業が、憲法上、政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を持つことが最高裁判決でも認められているのは、委員御承知のとおりでございます。したがって、こうした企業献金は悪であるという論理を私どもはとっておりません。
 また、私は、これからの日本の社会というものを考えたときに、やはり、寄附によって成り立つ市民社会というようなことも頭の中に置いておいていただきたいのであります。したがって、寄附というものは悪であるといったようなとらえ方でいきますと、これからの市民社会というのはいろいろな意味で成り立たなくなってくる。私は、フィランソロピーにしろ何にしろ、そうした寄附というものを正当に位置づける社会こそがむしろ必要なんだろう、こう思っております。
西議員 お答え申し上げます。
 企業献金が即悪という考え方は、私どももとっておりません。
 具体的な、先ほど……(大幡委員「公共事業受注企業からの」と呼ぶ)公共事業受注企業からの献金について、これをどういうふうに判断するかということは、今後の重大な課題として私どももまじめに取り組んでいくこれからの課題だというふうに思っております。
大幡委員 時間が来ました。
 これは、公明新聞の五月六日付です。「公共事業受注企業 献金禁止すべき」ということで書かれています。そういう意味では、この国民の声を実現するために誠実な対応を改めて呼びかけて、私の質問を終わります。
赤城委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日の討論も私で最後ではございますが、今、私どもがこの国会で論じております政治への信頼ということが、どの程度国民にメッセージされているかということにおいて、私は、本日の論議も含めて、極めて不安に思うものです。
 もちろん、マスメディアが取り上げておらぬというのもありまして、ワールドサッカー中であるというのもございますが、しかしながら、より大きな本質的な問題は、何が論点であるかということがわかりやすく伝わっていない。私は、その点が、逆に今一番政治への信頼を回復しなきゃいけないことを論じているこの場がメッセージできないことを、やはり非常に歯がゆくも思いますし、残念にも思っております。
 そこで、まず、与野党の提案者の方々にお伺いいたします。
 本日、いろいろな議論がございましたが、野党が出しております修正案は、地方の議員の秘書、私設秘書も含めて、あっせん利得罪の適用対象にすべきではないかということが一項目めでございました。
 これに対してるる御意見はございましたが、逆に、なぜ地方の議員の秘書を対象に入れないのか。入れない理由を、もう一度与党側、明確にわかりやすく、国民にもああそうかと思える形でまず御提示をお願いいたします。
西議員 お答え申し上げます。
 もうこの問題については、再三再四質問もあり、また、それに対する答弁もございました。少し角度を変えてお話を申し上げたいと思います。
 委員も御存じのように、あっせん利得処罰法というのは、つまり、処罰される人の身分に着目して成立している法律でございます。いわゆる国民一般に対しての法律ではないという意味では身分犯というふうに申し上げますが、ここで、犯罪の成立に犯人が特定の身分を持つということがまず大きな要素となっている犯罪ということでございます。
 このあっせん利得の世界に公務員としての身分のない私設秘書をどういう形で入れていくか、これは大変私どもも悩んだことでございます。本来、私人でございますから、そういう形のものをどういう原則でどこまで入れていくか、それは多からず、また逸脱することのないようにというのが、この刑法における基本的な構成の要件としては大事なことだというふうに考えました。
 本当にさまざまな検討を先ほど来ありましたように加えまして、私設秘書に対応する秘書の範囲といたしましては、御存じのように、今は、対象としては衆参の公設秘書ということが犯罪の構成要件になっておりますので、この公設秘書に対応する私設秘書の範囲として国会議員の私設秘書に限定せざるを得なかったというのが、今回のいきさつの大きなポイントである、こういうふうに私は理解をしております。
保坂議員 お答えいたします。
 今回、犯罪主体の範囲を、与党が国会議員の公設秘書に加えて私設秘書ということに限定しているのに対して、そもそも我々野党案どおりに、公職にある者のいわゆる政治活動を補佐するものというふうに、そこはしっかり地方議員や自治体の首長も含めようと。
 実は、前百五十国会の与野党の議論は、私設秘書をいかに加えることができないのかという与党の主張と、それではざる法になるという我々野党の主張が、繰り返し平行線で闘わされたと思います。結果どうだったのかというと、やはり我々が懸念したとおりの事態が生起してきて、与党からも、国会議員の私設秘書についてはさんざんその論拠も示されましたが、そこは事実上撤回をして、私設秘書は加えるんだということになっていると承知をしております。
 しかし、それではなぜ地方議員の秘書を加えられないのかという論拠については大変乏しくて、国会議員の場合には公設があるけれども、地方議員の場合には公設という身分の秘書がいないのでなかなか難しいという、かなりこれは苦しい答弁だと思います。与党の側が、国会議員の私設秘書を入れるに当たっては、国民から見た場合に公設と私設は分け隔てができない、議員、政治家と不可分一体で動いている、こうある以上はここを加えるということですから、地方議員についても、これは公職であるということは変わらないわけですね、公職にある者を補佐しているわけですから。
 ここを加えないということをこれだけ議論してわかりながら、我々は、修正協議の一点目で、相当の時間もかけ議論もしようという姿勢でいましたけれども、議論の入り口でふさがれてしまうというのは、本当にこれは大きな論点を素通りしていくというような、残念な結果になっていると言えると思います。
阿部委員 私も、そのように印象を受けるわけです。結局、国会の審議というものは、お互い論点をかみ合わせてよりよいものに向かっていくものでなければ、最初からさも修正は受け入れる余地がございませんというふうな態度であれば、そもそも審議など必要がないわけでございます。その点から申しましても、御説明の中に、私はやはり、地方議員の秘書を入れない理由というのが、今お聞きいたしましても一向に判明してまいりません。
 既に百五十回国会でも、二〇〇〇年十一月に、ちょうど、たまたま東京都の中小企業向け制度金融に絡んで、都議会の山崎都議の秘書の方が、これは出資法違反という形で、あっせん手数料のことをめぐりまして逮捕されております。この一例をとりましても、現実に議員の政治活動にかかわる秘書が都議会の方にもおられて、その方をめぐっての公務員への口ききが問題になっているわけでございますから、起きた出来事に着目するだけだって、もっといい論議ができると思います。私は、今、一番信頼を得なきゃいけないこの場が、本当に内容が煮詰まらない論議に終始するということを残念に思います。
 そして二点目、同じことが、今回、野党案、私も提案者の一人でございますから、その中に親族を含めよということを私どもは要求いたしました。
 これについても事例がございまして、若干御紹介させていただきますが、半田前市長汚職の問題でございます。愛知県の半田市の市長だった方の奥様と御長男が水道工事会社をやっておられまして、そこへの受注、口ききの件に関してでございます。
 やはり親族というものが、例えば、議員の奥様が何かの会社をお持ちとか御子息がお持ちとかいうこともたくさんございまして、そのことが即悪ではなくて、そのことがあっせん利得の一つの受注窓口といいますか、になってしまうことも含めて、野党案では、妻や子、親族を入れるように要求いたしました。この点についてもあえて拒否される理由を与党側にお伺いいたします。
西議員 親族の問題を御指摘になりました。
 委員も御指摘のように、刑法の基本的な役割としては二つあるというふうに言われております。
 一つは、刑法、法律を制定することによって犯罪を予防し、そして法益を保護することによって社会秩序を維持する、こういう大きな役割がございます。
 第二の目的としては、法益の保護、そのことによって社会的な秩序を維持する、そういうことだけではなくて、市民の権利、自由、これがやたらに侵害されないように、きちっと犯罪と刑罰の適切な内容があらかじめ明らかにされて、そして国家による刑罰権が恣意的に発動されたり、こんなことがないというような、二つの側面を持っているというふうに、これは刑法の基本的な役割として言われているところでございます。
 そんな中で、今回、親族を入れるという議論がなされているわけですが、親族を入れることによって、これは限界が、一つは、どこまでが親族なのか、どこまでが対象なのかということが、議論をしていっても、正当な一つの範囲というのは多分見つからないであろうというふうな気がいたします。
 さらに、それよりも問題なのは、先ほどの原則にかんがみますと、国会議員の公職にある者の政治活動に全く関与をしていない親族もたくさんいるわけです。公職にある者の持つ、本人の持つ影響力を借用して、そして行使し得ない親族まで処罰の対象に加えていく。あらかじめ処罰の対象としてといいますか、処罰対象として加えていくということに私は大きな問題があり、また、さらに言うと、法のもとの平等という、生まれた後の立場とかそういうものにまで踏み込んでいくおそれがある問題ではないかというふうな認識を逆に持っております。
 そんな意味で、今回の親族ということについては、非常に難しい問題であり、私どもも確かに議論はいたしました。しかし、そんな中で、今回のいわゆる私設秘書の拡大によって、親族の中でももっと広い範囲の親族の中にも、実質的な私設秘書の対象者であれば当然のこととして本法の適用範囲に入るということで、私どもはそういう理解をして今回の法律を制定させてきた、こういう経緯でございます。
阿部委員 その点に関しましても、野党案の趣旨を十分御理解ではないなと思います。親族の規定も野党案もきちんと出してございます。ただし、そのことは次回の論議に譲らせていただきます。
 私はきょう一日この論議に加わりまして、約一昨年の論議のときと、本当に何が変わり、何が変わっていないのか、与党が後ろ向きであることが変わっていないという一点だと思います。例えば、一年半前の論議では、定義困難な私設秘書、刑法のあっせん収賄罪は私設秘書を対象としていないのに、より軽い罪のあっせん利得罪に私設秘書を含めるのはおかしいとか、これは当時の反対理由を私が読んでおりますのですが、あるいはまた、私設秘書が国会議員の命令を受け、議員のかわりにあっせん行為をやったら、議員本人が処罰の対象となるんだから私設秘書は要らないとか、一つ一つおっしゃったことを、当時の議事録を振り返って、そしてきょう、保利先生は大変誠実な方ですから、御答弁がございましたが、いろいろ言うけれども、この間のこともあったんだし、まあ私設秘書は入れたんだよと流すようにおっしゃいました。当時の御答弁を一つ一つ着実に振り返ってみて、なぜあのときは入れないと言い、今回は入れると言ったのか、よくよく与党サイドは検討していただきたいと思うのです。
 そして、私はきょう委員長にお願いがございますが、やはりこのことに一番深く関心を持っているはずの国民にメッセージが届くよう、国会の外からの参考人聴取ということも理事会で御検討いただきますようにお願い申し上げて、より論議が深まることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。
赤城委員長 次回は、明六日木曜日理事会、委員会を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十六分散会


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