衆議院

メインへスキップ



第10号 平成14年7月12日(金曜日)

会議録本文へ
平成十四年七月十二日(金曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 赤城 徳彦君
   理事 亀井 善之君 理事 細田 博之君
   理事 望月 義夫君 理事 茂木 敏充君
   理事 中山 義活君 理事 堀込 征雄君
   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君
      逢沢 一郎君    金田 英行君
      栗原 博久君    小西  理君
      小林 興起君    斉藤斗志二君
      坂井 隆憲君    野中 広務君
      林  幹雄君    平井 卓也君
      松野 博一君    柳本 卓治君
      阿久津幸彦君    佐々木秀典君
      佐藤 観樹君    手塚 仁雄君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      渡辺  周君    福島  豊君
      山名 靖英君    中井  洽君
      樋高  剛君    大幡 基夫君
      吉井 英勝君    北川れん子君
      保坂 展人君    西川太一郎君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           大竹 邦実君
   衆議院調査局第二特別調査
   室長           牧之内隆久君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十二日
 辞任         補欠選任
  高鳥  修君     斉藤斗志二君
  野中 広務君     吉川 貴盛君
  山花 郁夫君     渡辺  周君
  中井  洽君     樋高  剛君
同日
 辞任         補欠選任
  斉藤斗志二君     高鳥  修君
  渡辺  周君     山花 郁夫君
  樋高  剛君     中井  洽君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
赤城委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
赤城委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
斉藤(斗)委員 おはようございます。私は、自由民主党の斉藤斗志二でございます。
 本委員会の委員、高鳥修先生との差しかえで質問に立たせていただきました。事前に質問通告もさせてはいただいておりますが、限られた時間でございますので順序が相前後したり、また別のところへ飛ぶというようなこともあるかと思いますが、事前にお許しをいただきたいというふうに思います。
 昨年十二月この答申が出ました。それに対しまして、自由民主党静岡県連では直ちに申し入れ書を提出いたしておりますので、最初にそれを読み上げさせていただきたいと思います。
 平成十三年十二月二十五日、自由民主党静岡県支部連合会会長原田昇左右、幹事長天野一の両名の名前で申し入れ書が出されました。
  今回の衆議院選挙区画定審議会による「選挙区割り見直し」の勧告に対して、下記の理由から反対であり、その是正を求めるものである。
 一、今回の区画審の見直し案によれば、新たにつくられる第五区及び第六区は二つとも全国最小区の二倍以上の人口となる。これは二倍以上の格差をなくすとの見直しの趣旨に反する。
 二、静岡県の小選挙区を九から八に減ずることは、静岡県の人口が過去一貫して増勢にあり、今後も増加し続けると予測される状況に鑑み、到底県民の理解を得られない。
 三、有権者、生活者の立場から経済・文化・生活圏などの地域性を考慮した区割りにすべきであり、区画審案はそれらを無視している。
こういう申し入れ書を私どもはちょうだいし、また関係各位にお渡ししたところでございます。
 さらに、多くの方々からも同様の趣旨の申し入れをちょうだいし、何としてでもこの五増五減案というのは実態になじまない、また数合わせに終始したのではないかという危惧の中で、改善、改良を模索すべきではなかったかというふうに私どもは受けとめてきたところでございます。
 最初に、過去一貫して人口がふえてきている静岡県において小選挙区を一つ減らすということは、静岡県民にとって説明がつかないという立場に私はございます。人口が減じている場合は減らされても仕方がないだろう、そして人口がふえていても、選挙区の数がふえないまでも現状維持、横ばいならやむを得ないだろう、そういうのが普通の感覚なのではないかというふうに思いますが、なぜ、人口が一貫して伸びてきている、十年間そうであるし過去もそうだ、また五年ごとの刻みで見ても伸びてきている、それをあえて一気に減らすということについて私は納得がいかないので、県民に納得がいくように御説明いただきたいと思います。
大竹政府参考人 今回の区割り審の審議に当たりまして、その前提条件といたしまして、都道府県別の定数につきましては審議会設置法の中に規定がございます。その中で、各都道府県に対しましてまず定数一を配当し、三百のうち、その四十七を除いた二百五十三については各都道府県の人口に比例して配分するという法律の規定がございます。
 こういった法律に基づく算定方式で各都道府県別の定数を算定いたしますと、静岡県につきましては、現行の九から定数が一減じて八となるということになってございます。これは法律の規定でございます。
斉藤(斗)委員 随分簡略というか冷たいような説明の仕方で、今後、こういう事態になりますと、何でそうなのかな、法律自体に何か欠陥があるのではないか、そういう観点からの議論をしなければならないというふうに思います。今回はその時間がないのでいたしませんけれども、ぜひとも、この法律そのものが抱えるそのような欠点、不十分な点、十分議論をする必要があるのではないかと、強く申し上げていくところでございます。
 もう一点は、同様に、この六月でございますが、私の現在おります選挙区は富士市、富士宮市、芝川町というところでありますが、将来、市町村合併を視野に入れた研究を重ねているところでございます。そこの二つの市の市会議員並びに町議会の先生方から、定員はトータルで七十六あるわけでございますが、四十八名、パーセントでいいますと、六三%の先生方からの同じような修正を求める決議というのも、またちょうだいをいたしているところでございます。
 重複を避けますので、ポイントを一つだけ申し上げますと、
 現行の第五区は、富士市・富士宮市・芝川町から構成されているが、この二市一町は、旧富士郡として歴史的、経済的、行政上のつながりは極めて密接であり、市民、町民の生活圏も一体のものとなっている。
 しかしながら、新たな区割り法案では、分断されることになり、市民、町民の理解を得られるものではない。
いわゆる市町村合併を視野に入れて、そのようなことを模索しているさなかで水を差される、こういう結果を生ずるわけでございます。
 大臣におかれましては、現在、市町村合併推進キャンペーン中、そういう時期に当たっておりまして、私の聞く範囲、全国で二千二百二十六の市町村で合併を模索する、研究する、またはそういう協議会を設けているというお話を聞いておりますが、平成十七年まであるこの特例法との関連から見まして、この選挙区の区割りと合併促進のためのベクトルが逆方向に向かっているのではないか。これは同じ省庁として矛盾がある、整合性を欠いているというふうに指摘せざるを得ないのでありますが、その点、いかがでございましょうか。
片山国務大臣 今、斉藤委員お話しのように、我々は、行政改革大綱、これは平成十二年十二月に決まったものでございますが、それに基づいて今、全国的に市町村合併の推進を図っておりまして、合併特例法が切れます平成十七年三月までに、現在三千二百十八あります市町村を、与党三党が言われますように、できれば千を目指してやりたい。現在、二千二百二十六の市町村が合併の協議会や研究会をつくっておりまして、全国的に見まして相当盛り上がってきたな、こういうふうに考えております。
 そこで、選挙区と合併との関係ですが、基本的には関係はないんです。しかし、関係はあるんです。関係はないんだけれども、またこれは関係はあるんですね。
 そこで、十七年三月までにどういう市町村の再編になるか、まだ我々も定かにつかみ切っておりませんけれども、いずれにせよ、現在の五増五減は法律に基づいた選挙区画定審議会の御答申でございますので、これはこのまま我々としては国会に出させていただいたわけでありますが、平成十七年三月になって市町村の様子が大幅に変わると、人口等を含めてこのままではおかしいではないか、こういうことになるとすれば、これは、法律の規定によると審議会がみずから判断して、その状況に応じた区割り等のさらなる勧告ができる、こうなっております。
 先ほど言いましたように、どういう状況になるか定かでございませんので、審議会も現在の段階では判断はいたしておりませんけれども、もし勧告の必要があれば、さらに勧告があるのではなかろうか、こういうように思っておりまして、それまでは市町村がどう変わろうとも選挙区の区域は決められたものでやると、市町村がどう変わろうとも、こういうことが法律の趣旨でございます。
斉藤(斗)委員 市町村合併の促進、これは関係があるようなないようなというような御答弁でございますが、これは関係があるんですよ。それは生活している人の問題ですから、国からの、上から見る話ではなくて、現場からの話がここにあるわけでありますね。
 そこで、大臣がただいま、十七年で出た段階で見直しもあり得るということ、これは重大な発言だと思っています。三年後また区割りをいじることもあり得るんだということでございますので、私ども、今私の立場では変更を余儀なくされるということも十分視野に入れてはおるんでありますが、またあっちに行くのか、今度は向こうに行くのか、これは混乱に混乱を、拍車をかけるというふうに考えているわけでございます。
 私は今回の勧告案の中で、一つは、内容について余りよくない、不十分だという点で五増五減には反対でございますし、また、特に市町村合併との関係で、混乱が発生し極大化していくというときに、住民に政治に対する不信、選挙区制度に対する不信を増幅させる、そういう混乱は絶対避けるべきだという立場で反対をしてきているところでございます。
 法律という観点でお伺いをいたしたいと思います。審議会設置法によって、この法案が根拠になって五増五減が出てきたわけでございますが、五増五減、現在、私どもは三増三減の方がいいんじゃないかという観点で議論をいたしております。
 なぜそっちの方がいいかということを幾つか申し上げますと、五増五減では、対象となる小選挙区の数が六十八もある、これを調整し動かさなきゃならないというのが一つございます。三増三減の場合は五十三で済む、十五混乱を減少させることが可能になるということ。また、五増五減では格差二倍を超える選挙区が九つ、しかし、三増三減においては六つ、ですから、三つ減らすことができる。したがいまして、格差の面でも、また動かす選挙区の数においても、ずっと数を減らすことができる、混乱が極小化に向かうことができる、こういったことをしっかりと議論してほしかったというふうに私は思いますが、なぜこういったことが議論できなかったのか。これは、部長に聞くと、いや、法律がそうだからと、非常に冷たい、議論が深まっていないお答えしか出てこないのでここではその質問をいたしませんけれども、私は次のような観点から御質問をしたいというふうに思います。
 それは、審議会が五増五減を出した、国会の場で、例えば三増三減の方がマッチ・マッチ・マッチベターだからそうしようよと言ったときに、この審議会設置法の法案を改正する必要があるのかないのか。私はないのではないかというふうに見ておるのでありますが、その点を御答弁いただきたいと思います。
大竹政府参考人 審議会が今回区割りの見直しをするに当たりまして、審議会は法律の規定に基づいての判断しかできないわけでございまして、法律の規定によりますと、各都道府県定数配分が既に決まっておるということで、先ほど申し上げましたように、各都道府県別定数配分に基づいて区割りの見直しを行ったわけでございます。
 ただいま御指摘がございました三増三減案という形で審議会設置法と異なる定数配分をやることにつきましては、これはまさにお互い法律事項同士でございますので、法律の決定権を持っている国会の御判断によるところだと思っております。
 なお、技術的な問題として申し上げますと、審議会設置法は、審議会が区割りの見直しを勧告するに当たりましてよるべき基準を書いている規定でございますので、直ちにこの規定と三増三減、要するに、結果としての区割りの別表の改正が必ずしも結びつくものではなかろうと考えております。したがいまして、別表の改正がもし審議会設置法の基準と異なる方法でやられましても、それは一つの御判断であろうと考えております。
斉藤(斗)委員 ですから、一つの御判断であろうということで、国会の場でその内容を変えても、これは法律違反には、抵触しないんだということなんですね。
 私は今回、国会の動き、また全体の動きを見まして、この五増五減については指一本さわるな、そういう環境のもとでなされたものではないか、結果多くの瑕疵があるのではないかということで残念に思っている一人でございます。この点については質問の後でまた触れたいというふうに思います。
 技術的な話をまたお伺いしたいと思いますが、私は、この六月に自分の選挙区の総会を開催してまいりました。そこで、平成十三年度決算報告、事業報告等々を御承認いただき、平成十四年度の予算等々御承認をその総会の場でいただいてまいりました。ほかの先生方も大体そういうことで小選挙区の支部を運営されているのではないかなというふうに思います。現在、政党助成法のもとで多くの税金を私ども、ちょうだいをしている、そういう背景の中で、会計報告等々をしなければならないわけでございます。
 政党の支部の会計責任者は、支部政党交付金に係る収支の状況を明らかにするために、政治資金規正法に規定する会計帳簿とは別に、支部政党交付金に係る会計帳簿を備え、政党の本部または他の支部から支給された支部政党交付金による支出等について記載をするものとするという内容がございます。
 また、政党の支部の会計責任者、こういう人が置かれているわけであります。十二月三十一日現在で、その年の三の支部報告書を、その日の翌日から起算して二カ月以内、ただ、ただし書きがございまして、この間に総選挙または通常選挙があった場合は三月以内というふうになっているんですが、要するに、支部政党交付金を支給した政党の本部または支部の会計責任者に提出するものとされているわけですね。そして、この支部報告書には、監査意見書、領収書等の写し等、他の支部から提出を受けた支部報告書及び監査意見書、他の支部から提出を受けた支部報告書の記載事項を集計した支部総括文書をあわせて提出するものとされているわけであります。
 ここで、支部では会計責任者また監査人を決めてあるわけでありますが、現在のその役割のある人が、選挙区が変わることによって構成人員が変わってくるわけですね。そうしますと、現在ある支部は解散総会をまずしなきゃならない、それからまた、新たな設立支部総会をしなきゃならない、そして、その中で会計責任者とか監査人とか役員を決めていかなければならない。それはマストの条件だと思うんですね。この点についていかがですか。
大竹政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、政党助成法におきましては、政党助成の原資が国民の税金であることにかんがみまして、その会計手続について厳密な規定を置いているところでございます。それからまた、あわせまして、政治資金規正法におきましても、政治資金の流れを明確にするという観点から、政治団体のあり方につきましてもさまざまな規制を設けているところでございます。
 したがいまして、政治資金規正法あるいは政党助成法に伴いますところの手続は、政治団体あるいは政党の支部である限り必ずとっていただかなければいけないわけでございますけれども、政党の支部のあり方と申しましょうか、政党支部をどのように設けるかということにつきましては、これは政党の御判断であるわけでございまして、政党の支部のあり方をどうするかは、それぞれまたいろいろと御検討いただければと思っております。
斉藤(斗)委員 そうすると、政党の支部の裁量に任されている部分だというお答えでありますが、例えば、会計責任者は十二月三十一日現在をもって対応しなければならない。今回の法案も、成立した場合、一カ月後に施行ということになっている。時間のずれがかなり生ずるわけなんですね。そういう点では、十二月三十一日とか、この法律にのっとった整合性のある内容に変えていただけないだろうか、さもなければ現場が大変混乱をするということなんですね。
 総会を開き直し、解散の手続をとり、新たな支部設立をして、新たな人を頼んでいく。私が予想されることは、新たなところ、これは仮の話でありますが、半分以上が全く新しいところなんですよ。そういうところへあいさつしながら、どなたか役員をやってください、とても一カ月じゃ済まないんですよ。こういう整合性もしっかりととっていただかなきゃ不親切きわまりない法案だということになると思いますが、部長、いかがですか。
大竹政府参考人 今回の法案の施行との関係で申し上げますと、今回、政府の提出いたしました法案につきましては、施行は一月の間猶予をいただいてございます。平成六年の、現在の区割り法でございますけれども、この改正法が公布の日から起算して一月を経過した日から施行するとされたところでございまして、今回も、これに倣いまして一月後の施行としているわけでございます。
 しかしながら、この法律が適用されますのは次の総選挙からでございますので、総選挙がいつあるかはわからないわけでございますけれども、一月の施行後、直ちにこの新しい区割りが適用されるものではないだろうと思っております。
 いずれにいたしましても、先ほどお話がございました、支部のあり方と支部の会計とあるいはこの法律の施行との関係をどう考えるかにつきましては、法律の施行に合わせまして、各政党の支部のあり方をどのようにするのか、その検討の一環の中でお願いしたいと思ってございます。
斉藤(斗)委員 いずれにしろ、まだまだブラッシュアップといいますか、よりよくしなきゃならない、そういう法案であるということを指摘しておきたいというふうに思います。
 次に、幾つかの選挙区について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 御案内のように、今回、北海道十二区というのが新たに設けられます。そこでは、北海道が一つ減るという背景の中で、再度調整の上で新たな選挙区が発生していくわけでありますが、何と、これは端から端まで六百四十キロにもなるんだというお話をお聞きいたしました。これは、通常では考えられない、大変常識を逸脱した選挙区になる。こういったことを国会の場で認めていくということについては、私は疑問があります。
 六百四十キロといいますと、東京から兵庫県の新神戸、西明石のあたりまでの長さになるわけであります。本州を右から左、東から西という見方をいたしますと、太平洋から日本海まで突き抜ける、そういう大きな大きな一つの選挙区になってしまう。これでは、選挙活動とは一体何だろうかという疑問を呈せざるを得ないわけでございます。
 私が調べてまいりましたら、その選挙区には、離島、礼文島、利尻島という島もある。そこには合わせて一万人余の人々が生活をいたしております。郵便局も、合わせて十ほど設置をされております。そういった方にも丁寧に自分の主義主張を訴え、そして国のあるべき姿を語っていく、六百四十キロの中で、わずかな選挙期間の中で、私は、とても無理だというふうに思うんですよね。こんな無理な選挙区をよしとして、これはいいから五増五減でやれというのは、納得がいかないんですよ。
 そこで、審議会でもそういった議論があったのではないかと思います。大竹部長にお伺いをいたしたいと思いますが、こんなとてつもない、とても常識では考えられないような大きな選挙区を本当につくっていいのか。大竹さん、私は、当然、あなたは窓口であり、その経過をお聞きになっていたんだというふうに思いますので、その点、私どもにわかりやすいようにお答えいただきたいと思います。
大竹政府参考人 現行七区の選挙区が、今回、北海道の定数一減に伴いまして見直し対象の選挙区となったことに伴いまして、現行七区の宗谷支庁と現行十二区の網走支庁を合わせまして新しい北海道十二区という形で、審議会の答申が出されたところでございます。
 この選挙区につきましては、全国で各選挙区の面積を比較いたしますと、面積最大の選挙区でございまして、今お話がございましたように、宗谷岬から知床半島までという形で広大な選挙区であることは間違いないことでございまして、審議会でも、それにつきましては十分御認識の上でのことでございます。
 しかしながら、北海道につきましては、人口との関係で、いずれも非常に面積の大きい選挙区がたくさんあるわけでございまして、全国の選挙区のうち、面積の大きい順に並べていきますと、上位六位までがすべて北海道の選挙区となっているところでございます。したがいまして、地理的状況との関係で、このような大きな選挙区ができることもやむを得ないという審議会の判断でございました。
 なお、新しい十二区でございますけれども、この面積は、現在の七区、今回、審議会の改定案では見直し対象となりました七区でございますけれども、この七区と比べますと、新しい十二区の方が面積はむしろ小さくなってございます。このことは申し上げたいと思います。
斉藤(斗)委員 この北海道の膨大な選挙区というのは、私は、国民に話しても笑われてしまうんじゃないかと思いますよ。
 なぜかといいますと、いよいよ選挙戦に突入をいたしました、立候補のごあいさつに参りました、立候補のごあいさつを十分やらないうちに選挙が終わっちゃうんですよ。これでは、まずいよね。そういう素朴な疑問の中で、ぜひとも今回のような答申というのは避けていただきたかったなというふうに思います。
 そういったことも避ける意味では、三増三減というのは、先ほども申し上げました、格差の二倍をもっと減らすことができるし、対象とする小選挙区の数を減らすことができる、混乱を少なくさせることができる、こういういい案があるのではないか。なぜ、私どもは、勇気を持って改正に向かわなかったのか、残念に思えてならないわけでございます。
 もう一つ、十年ごとに国勢調査が行われ、選挙区制度が変わる、区割りが変わっていくということでございます、今の法律の流れの中で。そうしますと、十年ごとに大騒ぎをするわけですね。これは、政治に対する信頼、選挙に対する信頼を著しく損ねると私は思っています。十年ごとに、いやこっちだ、こっちだということは、世間様に笑われちゃうと思いますよ。
 そこで、格差是正の調整を、比例部分での増減にゆだねるべきではないか。法改正のもとで、よりよい選挙制度をつくった方がいいと考えなきゃならないんだというふうに思っております。
 現在、小選挙区比例代表制の中にはブロック制というのが導入されておりまして、ブロック内における比例部分での増減による格差是正ということに大きく踏み出さなきゃ、毎回毎回十年ごとに右往左往の大騒ぎになってしまう。私は、そういったことをきちっと議論し、直していただきたいということを提案したいわけでありますが、では大臣、お願いします。
片山国務大臣 十年ごとというのは、法律に書かれているわけでありまして、国勢調査の本調査が行われるとき。人口が動きますからね、固定的じゃないから。やはり、人口に応じて、二倍以上にならない、こういうことで見直すことは必要ではなかろうかというのが、法律の趣旨でございます。
 そこで、それを一々小選挙区で調整せずに、比例で調整したらどうかと。そうしますと、人口が減ったところを減らさずに比例で調整しますと、軽く二倍を超えちゃうんです。それが認められるかどうか。それと、今の小選挙区の総体の定数と比例区の総体の定数は、法律で決めていますよね。これの関係がどうなるのか。
 こういうこともございますし、これは制度をどうやって仕組むかという議論でございまして、現在の制度では、今、斉藤委員が言われたようなことは、大変なかなか困難ではないかと考えております。
斉藤(斗)委員 もう時間も余りなくなりました。
 提案されている五増五減、再度申し上げますが、北海道の問題、秋田二区の状況、また東京の十八区、二十二区、これは単純に入れかえるという、将棋のこまのような、機械の部品のような入れかえをして数合わせをしている、こういうことはやはり避けるべきではないかなというふうに思いますし、人口が一貫してふえている静岡県を減らすということについては、本当に残念でなりません。
 それでは、時間が参りました。そういう点では、後世の史家からの評価にたえ得るような案にしていただきたいことをお願い申し上げまして、残りの時間を坂井先生にお譲りしたいと思います。ありがとうございました。
赤城委員長 次に、坂井隆憲君。
坂井委員 一票の価値は、三倍を超えれば明らかに違憲と言えて、本来二倍未満であるべきということで、今回のいろいろな勧告も、全国の議員一人当たり人口四十二万三千六十四人、これをもとに、最大人口を五十六万四千八十五人、最小人口を二十八万二千四十三人ということで、この理論値のもとでいろいろな調整をされているわけであります。
 お手元に資料を配っておりますが、この最小人口二十八万二千四十三人、これより少ない選挙区というのがいろいろあります。その中には、先ほど斉藤議員からも御指摘がありましたけれども、各県に一人ずつ配分してその後人口比例にするという現行方式でありますので、福井県、徳島県、高知県みたいに、県の人口からして、定数で割ったら二十八万二千四十三人にいかない。
 例えば、福井県でいうと二十七万六千三百二十人になるし、徳島県は二十七万四千六百六十五人、高知県では二十七万一千三百二十六人というふうに、もう既にこの理論値を満たすことができない県があるということは、今の現行方式の限界である、これは斉藤委員の御指摘のとおりだと思っております。
 一方で、平均人口が二十八万二千四十三人を超える県、例えば山梨県、長崎県、こういうところもありますが、こういうところの選挙区でも、例えば山梨一区では二十八万三百三十一人ということで、この理論値を下回っている。あるいは、長崎県は三区が二十七万六千九十八人ということで、これも最小人口を下回っている。
 しかるに一方、秋田県を見ますと、秋田県は一人当たり人口三十九万六千四百五人ですが、この二区は二十七万九千七百七十六人で最小人口を下回っておりましたが、これを一挙に今回の勧告で三十八万二千九百五十九人までふやしている。これは秋田の二田議員から非常に不満が漏らされているところであります。地元の地域状況を勘案していないということで指摘されているところでございますが、どうして秋田を大幅に動かして、一方で山梨や長崎は動かしていないのか。この辺が私にとっては何となく解せないなという感じがします。
 それでは、二十七万の最低のところ、今回、高知県が、一区が二十七万七百四十三人の最低人口になりますが、例えば、今回の勧告はある程度やむを得ない、だから、理論値には余りこだわらないで、この二十七万七百四十三人というところを限界にして考えるということも一つの手だと思っております。
 例えば私の佐賀県なんかは、三区が二十六万七千一人しかいませんので、これをふやしていくというのはある意味でやむを得ないことだと思っておりますが、この理論値の二十八万二千四十三人を満たすようにということでやはり大幅にふやしていまして、二十九万九百五十人まで三区をふやしている。その結果、やはりこれも地域を非常に無視したような感じになって、私の出身地である神埼郡というところは六町村あるんですが、そのうち五町村が外れて一町だけ残る、一つの町だけが私の選挙区になるということであります。
 私の選挙区のことでいろいろ言うわけではありませんが、全体の物の考え方、これが何となく解せないなという感じがしますが、このあたりについて、各県の取り扱い、山梨県、長崎県の取り扱い、こういうことを含めて、ちょっと御説明をいただければと思います。
大竹政府参考人 今回、区画審議会が区割りの見直しを審議検討するに当たりましては、まず「区割りの改定案の作成方針」というものを取りまとめまして、この中で区割りの基準を定めまして、これにのっとりまして具体的な区割りの審議が行われているところでございます。
 この区割りの基準でございますけれども、先ほどから委員の御指摘がございましたように、各選挙区の人口を、原則として全国の議員一人当たり人口の、これは四十二万三千人でございますけれども、上下三分の一の幅におさめていく。すなわち、上限は、全国の議員一人当たり人口の三分の四、これは五十六万四千人。それから、最小が、全国の議員一人当たり人口の三分の二、これは二十八万人でございますけれども、この中の幅におさめていこうという考え方で作業が行われたところでございます。
 したがいまして、この考え方の中で、全国の議員一人当たり人口の三分の四を上回る選挙区は設けない。一方で、御指摘がございましたように、どうしても全国の三分の二を下回る選挙区が不可避的に生じるものでございますから、全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区はできるだけ設けないという基準を設けて作業をしたわけでございます。
 その中で、御指摘の秋田二区でございますけれども、これにつきましては、秋田二区の人口が二十七万九千人余でございまして、先ほど申し上げました全国の議員一人当たり人口の三分の二の二十八万二千人を下回っていることから、今回、区割り基準上、これは見直しの対象にせざるを得ないというところでございます。
 審議会ではいろいろと検討されたわけでございますけれども、この秋田二区につきましては、まず、秋田県の議員一人当たり人口が四十万人近くあるということで県内格差が非常に大きいということ、それからまた、秋田二区との関係につきましては郡市の単位で異動させることによって調整が可能であるということ、こういったことから、現行一区の男鹿市及び南秋田郡を二区の方にあわせるということの見直しが行われたところでございます。
 一方で、山梨一区、それから長崎三区、これにつきましては、同じように全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区につきまして見直しが行われていないわけでございます。
 まず、山梨一区につきましては、現行の山梨県の県内格差が一・〇九九倍ということで極めて県内三選挙区の人口バランスがとれているということ、もし山梨一区の人口を、下限人口を超えるようにしますためには、町村単位での入り繰りによって人口のかさ上げを図っていくということになるわけでございますけれども、これも必ずしも適当でないという判断から、山梨一区につきましては現行どおりとするという判断がなされたものでございます。
 それから、同じように長崎三区でございますけれども、長崎三区につきましては、郡を分割して町村単位で異動することによりまして下限人口を上回る選挙区を設けることは可能でございますけれども、その場合には山越えの登山道しかない町村を異動させるということで、これは必ずしも適当でないと考えられたこと、それから、もしそうでなくて別の方法をとるとすれば、県内を大幅に見直しせざるを得ないということ、こういう判断から、長崎三区についても見直しの対象にしないとされたところでございます。
坂井委員 いろいろ議論すると、ほかの県の議員にも影響しますので、これ以上の質問はしませんが、全体に何となく割り切れないものがあるなというのが一つ。
 それからもう一つは、いろいろな議論の中に、どうしても県内の格差という、本来、選挙制度というのは、人口の格差を考えるということになれば、やはり県内のことをどれくらい今後考えていくかということになっていくと思うんですね。そういう意味では、各議員が指摘されているように、一人配分というのはもう限界に来ているなと思います。今回、もう間に合わないかもしれませんが、今後はどうしても県に一人配分というこの配分方式をもうやめないといけないと思っております。
 ただ、これを入れた経緯は、どうしても過疎地だとか地域のことを考えてくれという要望があってやったわけでありますが、これからは市町村合併をし、あるいは道州制を含めての県の合併まで将来、議論になるかもしれないというときに、別に県内に配分しなくてもいいんじゃないかと。むしろ、そういう地域を配慮するとすればブロックで考えたらどうかなと思って、私は、一つの私案をここに配付しているわけであります。
 これは、全国の面積を、各ブロックごとに比率をとりました。その比率をとりまして、北海道のパーセント、東北の比率、そういう比率で、例えば比例区の百八十人、その中で一〇%分、十八人を基礎配分をする、その後、人口比例する。あるいは、二〇%相当の三十五人を基礎配分して、その後、人口比例をするという形にしますと、どうなるかということであります。
 北海道が、現行定数が八人でありますが、十八人を基礎配分すると十一人だ、三十五人を基礎配分すると十四人。私の出身である九州は理想的なところでありまして、いろいろなことをやっても変わらないという結果になっていますが、見ていますと、恐らく各県一人配分をやめれば、都市部の方はほとんど定数がふえます。
 それで、一緒に組み合わせた表も私はつくっていたんですが、わかりにくくなるものですから、この比例区のところだけ抜き書きして持ってきたんですが、北関東とか南関東、東京都は、そういうことをした場合には、当然、人口密集地ですから、比例区のブロックの定数は減ります。しかし、一方で、北海道、東北、北陸信越あるいは中国、こういうところはふえていく、四国も若干ふえるという形になりますから、やはりどういう表にして過疎地というものを考えていくか。私は、過疎地地域を考えるということも重要だと思っています。国家というのは、国土というものが基本をなすわけですから、重要でありますが、県ごとにやるというのはもうやはり限界に来ているなという感じがします。
 ぜひこの辺について、今の段階で前向きにとは言えないでしょうが、貴重な意見と判断して、勉強しますとかそういう御答弁を願えればなと思って、よろしくお願いします。
片山国務大臣 今、坂井委員の御提案は確かに一つのお考えではあると思いますが、投票価値というのはやはり有権者、人間というのじゃいけませんが、有権者でございまして、面積そのものがストレートに考慮の対象になっていない、こういうことでございまして、都道府県は明治以来の行政単位ですね。それはそれで国民感情からも定着しておりますから、地方なりといえども一つの発言権をまず与える、これは一つの考え方だと思いますね。
 ブロックというのは、なるほど比例では今採用しておりますけれども、これは行政単位でもなければ、まだ正式に制度に認知されているものでもなくて、将来、道州制なり広域圏、そういうものができれば、それは一つの対象にはなるのかな、こういう感じがいたしますが、いずれにせよ、幅広い検討の中の一事項にはさせていただきたい、こういうふうに思っております。
坂井委員 検討の一事項かもしれませんが、ユーロは統合して、これからアフリカだってNEPADができて、いろいろなことをしているときに、九州は一つという言葉を今まで言って、一つ一つなんだけれども、だんだん一つにせにゃいかぬ。ですから、いろいろなことを考えて、これから柔軟に考えていく時代だと思っております。
 それから、いろいろ質問事項はありますが、一つは今度の選挙制度に絡んでですが、都道府県の県会議員の選挙、これも非常にいびつになってきます。例えば、今度私の選挙区を離れる郡部でいいますと、六町村のある郡ですが、二人の県会議員がいまして、一人は私の選挙区に残る町の県議、あとの五町村の中の方に一人県議がいるんですね。
 そうすると、こういう選挙制度の改革の中で、県議レベルの選挙区とかいうことを考えないでずっと議論しているものですから、どうしてもいびつになってきます。やはり小選挙区を導入したときに、政党政治を目指すとかいろいろなことを言っている前に、そういうところの観点というものを考えて、国、地方をあわせた選挙制度というものを議論しないといけないなと思っています。
 ところが、大体、選挙制度、どこで議論しているのかなと。国の場合は選挙制度審議会設置法があって、国会議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める基準及び具体案の作成に関する事項をやる。地方自治法では定数が決まっている。公職選挙法でいろいろな議論もしていますが、選挙区の区割りは、衆議院は選挙区画定審議会設置法でやっている。
 だから、これが終わったら今度抜本的な議論をするという話になっている場合に、どうしても、都道府県の選挙のあり方等含めて議論してもらいたい。では、それはその場合にどういうような組織でやるのか、それについてもお聞かせ願いたいと思います。
片山国務大臣 なるほど都道府県議会あるいは市町村もそうかもしれませんが、それについては、国の審議機関の中からいえば地方制度調査会に私はなる、こう思うんですね。今、都道府県会議員の選挙区は郡市単位なんですよ。ただ、合区してもいいし、あるいは分区というようなことも考えておりますけれども、いずれにせよ、しかし、市町村の再編を行った後で、都道府県議会の議員さんの定数をどういうふうに考えるか、大きな課題だと思います。
 また、御承知のように、政令市がふえますので、政令市の議員さん、お仕事からいって数がどうかというのは前から議論があるわけでありまして、そういうことを含めて地方制度調査会を中心に議論させていただきたい、こういうふうに思っております。
坂井委員 どうもありがとうございました。
赤城委員長 次に、渡辺周君。
渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。(発言する者あり)ありがとうございます。
 静岡の第六区の選出でございまして、今回、いわゆる五増五減案では私も選挙区を直撃される一人でございます。国会に出てくる議員でございますので、当選選挙区がどういう事情でということは、きょうここにいらっしゃるすべての委員と同じでございまして、選挙区はどこであっても国政に専念をするということには変わりないわけでありますが、しかし、今回のこの法案につきましては、私は大変否定的な立場でお尋ねをするわけでございます。
 まず、今回、一票の格差を是正するということで、二倍以内におさめるということでそもそも法案ができたはずなのに、二倍を超えている選挙区は、静岡県の、先ほど質問されました斉藤委員の当該する静岡五区と私の六区というところは二倍を超えるわけですね。二倍を超えないことを目的にして格差是正のために見直しをしたのに、結果として二倍を超えるものができたということは、これははっきり言って欠陥じゃないかと私は思うわけですけれども、その点については、今回の法案を受けてどのようにお考えですか。
大竹政府参考人 今回の審議会の勧告に伴う改定案によりますと、二倍を超える選挙区が現行の九十五から九に減る、それから、最大格差につきましても現行の二・五七倍が二・〇六倍になるというふうになってございまして、確かに現行の選挙区の間の格差に比べますと、大幅に縮小されてはございますけれども、残念ながら二倍を超えた選挙区は残っている状況にございます。
 これにつきましては、審議会でも各種検討されたわけでございますけれども、先ほどからお話がございますように、審議会では、選挙区のつくり方といたしまして、いわゆる偏差方式をとるという形で、全国の議員一人当たり人口の平均を中心に両方の偏差の中におさめていく考えをとっているわけでございます。
 しかしながら、現在の審議会設置法の規定によりますところの定数配分によりますと、全国の一人当たり人口の三分の二を下回る選挙区がどうしても出てくるわけでございまして、その下回る選挙区が生ずることに伴って最大格差二倍を超える選挙区が出てきたというものでございます。
 これにつきましては、審議会でも、最小の選挙区を基準に二倍を超えるものについても個々に縮減を図れないか検討を行われたわけでございますけれども、そういたしますと、かなりの市区の分割等が生じたり、あるいは大幅な全面的な見直し等も必要であるということから、現在の勧告に伴うところの内容にとどまったということでございます。
渡辺(周)委員 今残念ながらというふうにおっしゃいましたけれども、残念ながらと言ったって、これは偶然の産物で結果としてこうなったというんじゃなくて、二倍を超えないためにつくった法律で、これは人がやることですね。人工的につくられたものなんですよ、人がこう集まって。
 今残念ながらとおっしゃったけれども、偶然の産物で結果として二倍を超えてしまったというんじゃなくて、結局、九十幾つある二倍を超えるところは幾つになったからいいじゃないかと。しかし、そもそも二倍におさめることが目的につくられたものが、人が知恵を絞って、どういう偉い方が集まってやったのか知りませんけれども、人工的にやった、人が集まって人為的にやったにもかかわらず二倍を超えたというのは、やはり欠陥としか私は言いようがないと思うんですよ、その目標、目的でつくったわけですから。
 ですから、今残念ながらとか偶然の産物で結果としてそうなったみたいなことをおっしゃいましたけれども、そうじゃなくて、これはやはりその過程の中に、なぜ二倍を超えるものができてきたか、それに対して、審議会に対して、それをやはり守れということは言えなかったんですか。もう一回ちょっとお尋ねします。
大竹政府参考人 区割りの改定案につきましては、審議会が行われるものでございまして、私ども総務省といたしましては、事務局としてさまざまな資料等の調製をやっているわけでございますけれども、審議会の御判断といたしまして現在の勧告が行われたということでございます。
 しかしながら、勧告に至りますまでの審議の中では、審議会といたしましても、二倍を超える選挙区が残ることについてもかなりの議論が行われているところでございます。二倍を超える選挙区をすべてなくすようにさらに切り込んでいくのか、あるいは選挙区の安定性という観点からある程度にとどめるのか、それの議論が行われました結果といたしまして現在の勧告になっているということでございます。
渡辺(周)委員 はっきり言って、今この後の質問にもちょっと関連しますけれども、一体どういう議論がされたかというのは全然わからないんですね。
 例えば、二倍を結局超えてしまったということもそうなんです。
 もう一つ、ここに「区割りの改定案の作成方針」、平成十三年九月に選挙区画定審議会の区割り基準の中で、例えば(五)というのがございまして、「地勢、交通、歴史的沿革、人口動向その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するものとする。」というふうな基準がありながら、正直言って、例えば交通あるいは歴史的沿革、こういう点については、一体どういう議論がされて、どういう地域の実情を本当に考慮するような手続をしてきたのか。例えば、本当にわかっている人がやったのかどうか、その内容については一体どういうことでやったのか、ちょっと詳しく教えてもらえませんか。
大竹政府参考人 審議会では、審議に当たりまして、まず、現行選挙区の状況につきまして、現行の選挙区の問題点等があるかないか等についていろいろ検討がなされてございます。その後、全国四十七都道府県の知事さんから、それぞれ、現行の区割りを行うに当たりましての基準についての御意見、あるいは現在の区割りについての御意見、さらには今後区割りの見直しを行うに当たりましての御意見、こういった御意見等も聴取をしてございます。さらに、さまざまな計数資料等、あるいは地勢、交通等に伴うところの資料等、こういったものに基づきまして議論が行われたところでございます。
 そういった中で、ただいまの法律の規定、御指摘があったわけでございますけれども、地勢、交通等についても当然ながら考慮されたわけでございます。一方で、投票価値の平等の確保という観点がございまして、これとの関連から、どうしてもある地域の郡を分割したりそういった作業が必要になったわけでございまして、確かに、地勢、交通等、そういった面から必ずしも地元の御意見等に沿う選挙区ばかりではないかとも思うわけでございますけれども、選挙権の平等の確保という観点からの修正等もやむを得なかったもの、かように考えてございます。
渡辺(周)委員 知事さんには聞いたということでございます。しかし、正直言って、例えば私の選挙区をちょっと例に挙げます。今度の五増五減案でいくと、例えば駿東郡というところは分割される、田方郡というところも分割されるわけですね。片っ方で、ここに書いてあるとおりいけば、歴史的沿革あるいは交通というようなことをとても考慮したとは思えないわけなんです。
 つまり、鉄道が途中で分断されたり、県道や国道が途中で分断されたりして、そもそも非常に密接な結びつきを持っている地域の実情を、何かだれだかわからない、地域の実情もろくに知らないような人たちが実はやったんじゃないか。これは私の意見じゃないですよ、そういう意見が、大変批判的な声が多いんですよ。
 本当にどこまで調べてやったんですか、知事の話を大体どれぐらい聞いたんですか。それから、本当にその当該する選挙区の歴史的な沿革だとか社会的な結びつきであるとか、そういうことはどこまで調べたんですか、どういう議論がされたんですか。その点、ちょっと詳しく教えていただけますか。
大竹政府参考人 審議会では、各都道府県の知事さんから意見をいただいているわけでございますけれども、これにつきましては、各都道府県さんの意見でございますので、知事さんの、県によりましては意見の濃淡等はございます。一方でまた、各種地勢、交通等につきましても、これはどういったという具体的なものはなかなか提示しにくいわけでございますけれども、これにつきましても審議会としては十分認識した上で審議が行われたところでございます。
渡辺(周)委員 例えば、その地域に来て、審議会の委員が当該する選挙区に来て、こことここの町は切っても切り離せないんだ、本当にそういうことまでしたのか。ただ、例えば知事さんを呼んで、話を一時間か二時間聞いて決めたのかということを言わざるを得ないわけですよ。なぜそういう議論の中身が全く伝わってこないのか、そういう議論の公開というのは、全然わからないわけですよ。
 例えば途中でだれかが、政治家が入ってきて、あるいは当該する利害ある人が出てきて、あちこち手を突っ込んでいじられたり、いわゆるゲリマンダー的なことにならないためには、公正公平であるために、非常に議論をされたということである。ところが、この法案がどういう形であれ、もし通るんだったら、やはり、議論はどういう中身であったかということが関係者にわかるように、あるいはその地方自治体にわかるように、私は議事録なりを公表するべきだと思うんですが、その点はどうお考えですか。
大竹政府参考人 審議会の区割りの審議の過程におきますところでは、審議の内容等につきまして公開いたしますと、やはりさまざまな御意見等があって自由公正な審議ができないということで、審議会そのものは秘密会で行われたわけでございますけれども、この審議会の審議の内容につきましては、審議会の勧告後、情報公開の対象といたしまして、議事録は公開してございます。
渡辺(周)委員 しかし、これはほとんどの方が皆戸惑っている、当該する方々は。確かに、国会議員を選ぶ選挙だから、市会議員さんや町会議員さん、あるいは都道府県の地方議員を選ぶというのと違って、選挙区はどこでもいいじゃないか、どこで選ばれたかよりも国へ行って何をするかということが、これは正論なんですよ、それをわかっていて物を言っているんですけれども、ただ、やはり地域の住民にしてみれば、一番身近なコミュニティーが分断されておいて、分割されて、一体これは何だと。これが本当に権威のある人間が、審議会の権威あるという方々がやったことだというふうに思われていないわけですね。全くその地域の実情を知らない人間が一体どういう手法でやったんだと。
 例えば、人口の増減だけ見て、ここは人口が五年間で、十年間で減っている、ここは十年間でふえている、足してちょうどプラマイ・ゼロだからいいや、こことここをくっつけて入れかわりにすればちょうどゼロ、とんとんになるだろうと、何か線を引いて、本当に勝手に人口的に線を引いたんじゃないかというふうなことなんですね。
 そういうふうに思われていること自体が、この審議会自体の権威はもう全く信用されないわけですよ。ですから、そこのところについてはちゃんと、その問題についてはやはり説明責任を果たしていただきたいというふうに私は思うわけであります。
 ちょっと時間があと五、六分になりましたけれども、先ほども斉藤委員からお話がございましたが、同じ所管官庁で、所管省庁で、合併の特例法で市町村の合併を促進すると。先ほどお話がございました、三千二百十八の自治体を千ぐらいにしたらいいんじゃないか。そして、今現在、二千二百二十六の市町村が協議会をつくって、あるいは研究会をつくって、そこに向けて機運を高めている。
 となりますと、これは、そもそもの区割りの画定をするということになれば、片っ方で市町村がどんどん大きくなっていけば、当然相反することが起きるわけですね。この点について、例えば平成十七年の三月までということを考えれば、その時点でどう判断するんですか。国勢調査は、確かに今度行われるのは平成二十二年でしょうか。ただ、こうした市町村の合併が進んだときにどのようにしてこの選挙区というものを今後判断するのか、その点については現状、どうお考えでしょうか。
片山国務大臣 この審議会の答申については、いろいろな御意見がありますね。審議会では、渡辺委員には釈迦に説法でしょうが、基本的な区割りの方針をつくりまして、それから基準もつくって、それは公表しているんですね。それに基づいてやる。そうしますと、やはり、それじゃ全部が百点、実情に全く沿っているかというと、これはどうしても方針や基準に基づいてやりますから、しゃくし定規なところが出てくるというのは、私はやむを得ない。
 しかし、その中では、私は審議会は最善の努力をしてもらったんだろうと思いますし、そういうことをお任せしますという制度をつくったんですよね、委員。当事者ではいろいろな議論があるから、権威のある第三者機関にお願いします、こういうことになったものですから、なかなか関係の方も我々もつらいところなんですけれども、これはそういう仕組みを国会で、皆さんの御同意の中でつくったということもぜひ御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。
 そこで、合併は十七年の三月が一つの目安ですけれども、それじゃ合併が全部それで終わるか、それはわかりません。我々、できるだけ十七年の三月までに合併を進めたい、こう思っておりますが、それじゃ千になるか、これは私はなかなか現状は難しい、こう思いますが、できるだけそれを目指してやります。
 そこで、市町村の再編が終わった段階で、今の小選挙区の区割りから見てこれは大変問題がある、こういう御判断を我々じゃなくて審議会がした場合には、法律の規定で新たなる勧告ができる、こういうことでございまして、そうでなければ、十年ごとに国勢調査の結果で見直していく、こういうことでございますけれども、この制度も実は委員、国会でお決めいただいた制度でございまして、そこの点は、ひとつよろしく御理解を賜りたいと思います。
渡辺(周)委員 審議会を設置することについては同意したんだと思いますよ。しかし、内容については、だから本当に、どこまで丁寧にやったかということなんですよ。何か知らない人が、どこか東京で集まってこんなものだろうとつくったんじゃないかという疑いだって持たざるを得ないような、地域に住んでいる人間からは判断をせざるを得ないわけです。
 ですから、この審議会、確かに設置については同意をしましたけれども、審議会がどういう内容かということは全く同意できないと私は言わざるを得ないわけでございます。
 ただ、私は採決のときにいない、委員の差しかえでございますので、残念ながら党の方針とは違うことを私はしゃべっているかもしれませんが、ただ、本当のことを申して、例えば、やはり確かにゲリマンダーをつくっちゃいかぬ、しかし、区割り基準を見ると、この区割り基準というのも全然それが守られていないんじゃないかと言わざるを得ないような結果でございます。
 そこで、時間もありませんから最後に申し上げますけれども、やはり地域の声がまず取り入れられていない。知事さんに会ったと言うけれども、どれぐらい時間をとったか、さっきお答えになりませんでしたけれども、一体何回ぐらい聞いたんですか。百時間やそこら聞いたんですか。あるいは、そこの市町村課長なりが来て、こことここはこういう結びつきで、ここはこういう歴史的ないきさつがある、そういうことをやったんですか、本当に。どこまでやったんですか。そこだけ、ちょっともう一回答えてください。
大竹政府参考人 各都道府県の知事さんから御意見をお聞きしたわけでございますけれども、これにつきましては、原則として書面によって意見を聴取してございます。しかしながら、各都道府県のそれぞれ担当部門の方がいらっしゃいまして、知事さんの意見を踏まえて、いろいろと背景説明等いたしてございます。
 それからまた、各都道府県の知事さんの御意見の中には、それぞれ県内の市町村等の意見を踏まえて書かれていたところが多かったように考えております。
渡辺(周)委員 そう言いますけれども、例えば田方郡なんというところは真っ二つに分断されるんですね。例えば田方郡の伊豆長岡町というところがありまして、伊豆長岡駅という私鉄の駅がありますけれども、そこは田方郡韮山町というところの地先なんですよ。
 つまり、道路を挟んで向こう側で、線でばさっと切られた。ところが、ある意味では、全くその地域にしてみれば、何でこことそこが切られるんだ、結びついているようなところが切られて、例えば斉藤委員の富士市と伊豆長岡町なんというところがくっつくわけですよ。それで、こんなのはもうはっきり言ってむちゃくちゃなつくり方だとしか言いようがないわけですね。本当に数を合わせたとしか思えない。その点については、本当に地元の意向をやはりもっと聞いていただきたかったというのが本音でございます。
 もう時間がそろそろなくなりました。最後に申し上げたいのは、やはり二倍を超える選挙区をつくっちゃいかぬという大前提でやったことが二倍をもうもともと超えたということで、これはやはり問題だと私は思うんですね。どう考えても、やむを得ないじゃなくて、二倍を超えないためにつくったものが結果二倍を超えたけれども、前のよりましだからいいやということでは、あえて一票の格差に反するようなものをまた出してきていると言わざるを得ないわけであります。
 この点については、ぜひとも私の意見を申し上げまして終わらせていただきますけれども、今回の区割り案については、もっと丁寧にやるべきである、そしてもっと説明をすべきであった、そしてまた、二倍を超えるということがあってはならなかったということを最後に申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
赤城委員長 次に、井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 初めに、先ほどからも出ていますけれども、市町村合併との関係についてお伺いをしたいと思います。
 区画定審議会設置法三条一項は、区割り案作成の基準として、行政区画を考慮すべきことを定めているわけでございます。審議会はこれを受けて、昨年九月に策定した「区割りの改定案の作成方針」では、市区町村、指定都市にあっては行政区になりますけれども、区域は分割しないことを原則としていますけれども、勧告では十六市区が分割をされているというのが現状でございます。
 一方、先ほどから議論が出ていますけれども、現在、政府は、市町村合併特例法に基づいて、全国的に市町村合併を一生懸命推進しておりまして、十七年三月三十一日の期限切れまで、相当積極的な取り組みが今されております。
 そうなりますと、相当分割地区がふえるんじゃないかということが予想されるわけです。一方、区画定審議会設置法の四条第二項は、審議会は、いわゆる国勢調査、十年に一回の国勢調査のたびに新たな勧告を出さなきゃいけないということになっているわけですけれども、次が平成二十二年ということになります。この二十二年の国勢調査を待たなくても、特別な事情があると認めるときは、区割り改定案の勧告を行うことができるということになっているわけでございます。
 市町村合併を大幅にすると分割地区がふえるということになりますと、この特別な事情に該当するんじゃないか。当然、区画定審議会は新たな勧告を出すべきではないか、私はこう思うんですけれども、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 今一生懸命やっておりまして、先ほども言いましたが、全国的にかなりいい雰囲気、ムードになってきて、なかなかできてきたな、こう思っておりますが、ただ、十七年三月までどのくらいできるか、我々も今確たる見通しを持っているわけではありません。
 できるだけ千を目指してと、こういうことでございまして、できぐあいにもよると思いますけれども、今の審議会設置法第四条第二項に言います、各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは、勧告を行うことができる、こういう規定でございまして、この判断は審議会そのものが行うんですね、我々じゃございませんで。しかし、私は、できぐあいによってはこの条項に該当することもあり得るな、こういうふうに今考えております。
井上(義)委員 進みぐあいということなんですけれども、行政区画を考慮すべき、あわせて、審議会そのものが区割り方針として分割地区を原則としてつくらないという方針なわけですから、これが十六だけじゃなくて五十も百もということになると、当然これは新たな勧告の対象になる、こういうふうに私は理解しますし、これは総務省としても、当然新たな勧告を行うよう促すべき事項だ、このように思いますけれども、重ねてもう一回その点について。
片山国務大臣 これが、例えば今の政府の行政改革大綱に言いますように千に限りなく近くなるようなことになれば、やはりここで言う第二項の特別の事情に私は該当する可能性が大変強い。
 しかし、これは、先ほども言いましたが、審議会みずからの御判断でございまして、政府としては、市町村の区域を分割しない、こういうお考えをお持ちですから、そういうことについての資料は出させていただく、御説明はさせていただくことはあろうと思いますけれども、私どもの方から審議会にこうしてほしいということを言うような必ずしも立場でございませんので、その辺は節度を持ちながら、状況を見ながら対応してまいりたいと考えております。
井上(義)委員 状況によっては三年後に新たな見直しの可能性もあるというふうに私は理解します。
 それで、今お話があったように、千程度に何とかしたいということが一つの目標ですけれども、仮に千市町村ということになりますと、いわゆる議員一人当たりの人口の三分の四を超える市区については分割をする、これは区割り方針。そうすると、当然、論理的な帰結としては、千ぐらいになれば、これは三分の四を超える市区町村は相当数出てくるというふうに考えざるを得ないわけで、市区の分割が例外じゃなくなっちゃう。
 いわゆる国会議員ですから国政に携わるということなんですけれども、やはりこれは当然、地域の代表という意味もあるわけでございますし、しかも、新しくできた市というのは、その一体性をどうつくるかということに非常に苦労しているわけでございまして、これはやはり、国会の選挙が分割されているということは決して少なくない影響を与えると私は思いますし、しかも、市会議員よりも小さな選挙区から選ばれる人がいっぱい出てきちゃうということになると、私はこの制度の矛盾というのがいよいよ露呈してくるんじゃないか。
 そういう観点からいうと、いろいろな考え方があって、私どもは新しい中選挙区ということを提唱しているわけですけれども、例外的に、例えば複数選挙区も認めるということも合理的な考え方の一つだと思いますが、その点はどうでしょうか。
片山国務大臣 今の制度は、御承知のように、大変長い議論、紆余曲折を経て導入された制度でございまして、この並立制は。これについては、例えば複数区を大幅に認めるということは制度の性格を変更する、こういうことになり得ると思いますので、やはりこれは高度の政治イシューでございまして、私は、やはり議会において、国会において各党各会派で十分な御議論をいただくべきことではなかろうか、このように思っておりますが、大幅な市町村合併がその一つの契機になる可能性はあるいはあるのかもしれないな、こういうふうに思っております。
井上(義)委員 次に、制度の抜本改革に関連して、第九次の選挙制度審議会の設置についてお伺いしたいと思います。
 現行の小選挙区比例代表制は、一、得票率と議席の乖離が大きくて民意を反映しない、いわゆる死票が大量に生じる。それから、二つ目に、小選挙区が目指している二大政党制は今の日本のように価値観が多様化した社会にはなじまないのじゃないか。三つ目に、選挙区の区域が狭く、政策論争よりもサービス競争、利益誘導が激しくなっている。それから、四番目に、重複立候補による復活当選が有権者になかなか理解されない。その他、新人が当選しにくいとか、議席が固定化しやすいとか、さまざまな問題点が指摘をされているわけでございまして、私どもは、多様化した民意というものを反映する健全な多党制というものを担保する、しかも候補者の顔が見える、新しい中選挙区制を導入すべき、抜本改革すべき、このように考えておるわけでございます。
 与党三党にあっても、この衆議院制度の抜本改革について議論をしてまいりまして、本年の五月十五日に、衆議院選挙制度改革については、この中選挙区制案も含めて検討してやってきたというこれまでの経緯を確認した上で、第九次の選挙制度審議会を立ち上げるように政府に要請すべきじゃないか、こういうことで、小泉総理も総務大臣にその旨お話をされたというふうに伺っておるわけでございますけれども、この審議会の設置、それから答申までのスケジュール、この辺についていかがお考えか、それから、審議会の委員の人選とか諮問事項等についてどのようにお考えか、最後に確認しておきたいと思います。
片山国務大臣 今、井上委員お話しのように、五月だったと思いますが、与党三党の合意を受けまして、総理から、この区割りの関係の法案が成立した後において第九次選挙制度審議会の設置を検討してほしい、こういう御指示といいますか、御要請がございました。
 総務省としては、それを踏まえまして、まずこの法案を成立させるということが先決でございますけれども、その後に、第九次審議会の設置をどういうふうにやりたいか、メンバーをどうするか、諮問事項をどうするか、これは総理の御意向等も十分お聞きした上で考えたいと、今いろいろ具体的な検討に入っている段階でございます。ただ、今の段階でここで申し上げるような状況にはございませんので、御理解を賜りたいと思います。
井上(義)委員 以上で終わります。
赤城委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 きょうも質疑の時間をいただきましてありがとうございました。
 けさの新聞によりますと、厚生労働省宮路副大臣、帝京大学への口ききによって辞任をなさるというふうに報道がされております。大臣、このことについてどう考えるか。また、大臣、まさか帝京大学へ口ききをなさったりとか、そんなことはありませんですか。いかがですか。
片山国務大臣 私は一切かかわり合いはありません。
 それから、今の副大臣のお話でございますが、事実を十分承知しておりませんから、いずれにせよ、事実が何らかの形で明らかにされるだろう、こういうふうに思っております。
樋高委員 何か随分自信なさげな御答弁でありましたけれども。
 本題に入りたいと思いますが、いずれにしろ、今回、いわゆる選挙区画定審議会の答申によって区割りを変えるということでありますけれども、答申が出ましたのは、一昨年の国勢調査に基づいて昨年の暮れに出てから、そもそも半年間ほったらかしにしてあるということ自体が私はおかしいというふうに思います。党利党略、私利私欲、個利個略の中で二増三減案が出てきたり、全く本質的な議論、国会とはどうあるべきか、そしていかなる選挙制度がいいのかということ、いわゆる土台の議論がそもそも先送りされているということも問題であります。
 今回の改正案によっても、根本的な問題がまだまだ多く残されていると思います。都道府県に対するいわゆる基礎配分の問題、また、最大人口格差が二倍以内になっていないという部分でありますけれども、この点につきまして、大臣の御所見を伺います。
片山国務大臣 一人均等配分方式についてはもうかねがね議論があるところでございまして、私は、それが是とする意見と非とする意見は十分どちらも成り立ち得ると思いますが、最終的にはこの国会で一人均等配分でいこう、こういうことをお決めいただいて、法律の中にも書いているわけでございまして、これをどうするかはまた御議論を賜りたい、こういうふうに思っております。国会議員の定数配分につきましては議会制度の本当に根幹でございまして、そういう意味では、各党各会派において十分な御議論を賜ろうと。
 それから、二倍未満、二倍を超えないということは基本なんですね、この法律でも。ただ、それじゃ、基本にしてということは、一切、少しでも超えたらだめか、こういうことではないと、憲法上許容されるというのが今までの審議会のお考えでございまして、二・〇六幾ら、こういうことで、二倍を超えているものが九つある。現状では九十五あるわけでありますから、そういう意味では、審議会としても相当な努力をされて、二倍を基本とすることに近づけていただいた、基本としてということの解釈では許容される、こういうお考えであったのではないかと思います。
樋高委員 その区割りの問題もありますけれども、本質的な議論をなぜしなかったのかというふうに申し上げているわけであります。
 私が今主に活動しております神奈川七区、全国で一番一票の価値が軽いという地域であります。いわゆる国勢調査の人口では六十万七千五百二十人という人口であります。一番人口の少ない島根三区が人口二十三万六千百三人ということでありますので、実に二・五七三倍の格差があるわけでありまして、やはり明らかに公平でないこの状態が放置されるということ、そもそも半年も放置されてきたこと自体が私はおかしいというふうに思うのであります。
 今回の改正案によって、大きないわゆる市とか区が現行の選挙区から分断されてしまう。先ほども北海道の話、余りにも広大な選挙区ができたり、また、私の方の選挙区では緑区という区が有権者が十三万人もいるんでありますけれども、丸々外れてしまう。いわゆる有権者の側からも困惑の声が上がっているわけであります。私の選挙区でも有権者も怒っています、政府は何やっているんだと。
 そもそも本質的な議論もしようとせず、そしてまた、今回、三百の小選挙区のうち七十近い選挙区で線引きが変わるわけであります。そのことについて、大臣、いかがお考えになりますか。
片山国務大臣 半年間放置したではないかという御指摘が今ございましたが、勧告をいただきまして、政府としては、議院内閣制でございまして与党との調整が必要でございますので、与党の方で十分な検討、御議論をされるということでございましたから、それの状況を見ながらと、こういうことでございましたが、この国会、御承知のように延長いたしましても今月末で終わるわけでありまして、そういうことで国会に提出を先月させていただいた、こういう次第でございます。
 それで、何度もその区割りのあり方については申し上げておりますが、審議会が区割りの基本的な考え方を方針でまとめ、具体的な適用は基準でまとめて、それを当てはめてやったことでございまして、私も、すべて正しい、全く百点だとは考えておりません。
 こういうものを区割りしていくということについては、いろいろな考え方がございますので、そういう中では、二倍を超えないことを基本とはいたしましたけれども、やむなくわずか二倍を超えるところが九つできた、こういうことでございます。これは、先ほど言いましたように、許容されるというふうに審議会の委員の皆さんがお考えだと思いますし、私も聞いていまして、具体的にはそれぞれ大変な議論があるな、こういうふうに思っておりますけれども、審議会という仕組みをつくって、そこでお任せする、こういうことにいたしておりますので、我々としては、出た勧告は尊重して、国会にそのまま法案で出させていただいた、あとは国権の最高機関である国会で御判断いただく、こういうことではないかと考えております。
樋高委員 さまざまな矛盾が起こる、やはりこの原因、発端は、そもそも衆議院議員の定数の抜本的な削減が行われていないということに一因があるというふうに私は考えます。衆議院議員の定数の抜本的な削減を行わないで、小手先だけで、選挙区の改定を行うだけでは、先ほど申しましたとおり、いたずらに有権者に戸惑いを与えるだけであります。
 やはり衆議院議員の定数を減らすということが必要であると思いますけれども、どのようにお考えになりますか。
片山国務大臣 国会議員の定数削減問題につきましては、これもいろいろな考え方があろうと思いますが、国家公務員の削減、地方公務員ももちろん削減をされておりますし、地方議員の法定数を下回る削減、あるいは民間のリストラによる定数減、職員の減等を踏まえまして、また国民世論の意見を十分勘案して国会も考えるべきだ、こういうことは前から言われておりまして、平成十二年に、衆議院の比例区で二十名、参議院で比例区と都道府県選挙区合わせて十名の定数がそれぞれ議員立法で削減されたところであります。
 定数のあり方については、人口だけでなくて、選挙制度とか歴史的ないろいろな経緯、国民世論の動向、いろいろなことがあると思いますが、今世界の下院につきまして状況を見ますと、一人当たりの人口が日本より大きいのはロシアとアメリカだけですね。あとは皆日本より少ないということは、人口に比べて日本よりは定数が多い。こういう状況でございますけれども、国会の各会派でいろいろな御検討をいただいて、御結論を得て、定数をどうするかということの方向を出していただくというのが一番正しいのではなかろうか、私はこういうふうに思っております。
樋高委員 大臣、今の答弁、国会で議論すればいいんじゃないかということでありますけれども、そうはいっても、いわゆる選挙の制度をそもそも所管する大臣でありますから、やはり何らかの方向性を出すべきだ。そもそも政治家ですから、責任を持ってリーダーシップを発揮して、こうした方がいいんじゃないかというふうにはっきり言うべきじゃないかと私は思います。
 今、民間では大変なリストラ、また国家公務員、地方公務員も計画的に削減をしております。また、地方議会も本当に極めて機械的に削減をどんどん行っているわけですね。その中にあって、国会が削減をしない。まずは隗より始めよでありますから、やはり国会議員の数を減らすということがまずなくてはいけないし、今やるべきであるというふうに申し上げたいと私は思います。
 そもそも議員の削減に際しましては、自自公連立内閣のときに、ここにコピーがありますけれども、当時自民党総裁の小渕総理、小沢自由党党首、そして神崎公明党代表の約束をいたしました。公党間の約束というのは、国民との公約なわけです。
 その中でどのように書いてあるか。当時、衆議院の定数は五百でありましたけれども、いわゆる比例の部分は二十人減らすと。それは実行されました。それで、小選挙区の部分は三十減らそうと。つまり、合計五十人減らしましょうということは、一回合意を見ているわけですね。その三十人減らそうということが今先送りをされて、また今回区割りだけを変えて、本質的な議論をしないで、そもそも議員の削減をしようということをどこかに置いておいてしまおうということ自体、私は遺憾であるというふうに申し上げたいと思います。
 自由党では、対案をもう一年以上前に提出いたしました。昨年の六月二十八日に提出をしましたけれども、与党などの反対によりまして、現在においても継続審議扱いのままで、審議すらされていない。審議入りして議論を行うべきであるというふうに思いますけれども、いかがお考えになりますか。
片山国務大臣 かつて連立内閣を組んだ三党で合意をされたということは私も承知いたしております。これは三党の公党としての御協議、御討議でございまして、内閣としては関知しないというのはちょっと語弊がございますけれども、党の関係におけるそういう決定であるというふうに理解いたしております。
 また、自由党から、平成十三年六月に、衆議院小選挙区定数を十五県において一名ずつ削減する法案が提出されて、現在も継続審査になっているということも承知いたしております。
 先ほども申し上げましたが、二十人の定数削減は衆議院の方でも行われたわけでございますし、参議院でも十名行われましたが、今後どうするかにつきましては、やはり先ほど言いましたいろいろな要件、要素を考えながら、各党において、議会制度の根幹にかかわる問題でございますから、十分御議論いただきたい。同じ答弁で恐縮でございますけれども、そういうふうに思っております。
樋高委員 そんな、大臣がすぐ、それは国会で議論すればいいということばかり言っているようでは、これは議論にならないんですよ。大臣が、みずから見識を持ってビジョンを示してどんどん議論すべきである。そもそも、今回も区割りだけを変えて、ある意味でごまかしですよ。
 自由党の案は、十五人削減いたします。それは、いわゆる小選挙区、現行三百でありますけれども、それを十五人減らしますから二百八十五人になるということでありますけれども、いわゆる現定数に平成十二年の国勢調査速報値における新人口を当てはめて議員一人当たりの人口を算出して、議員一人当たりの人口の少ない県から順次定数を一ずつ十五削減するということであります。これによって、国会議員を衆議院は十五人減らすことができると同時に、一票の格差も、これは試算なんでありますけれども、一・六五一倍になる。実態は、行政区という部分もありますから、必ずしもそういうことにはならないでしょうけれども、当然、二倍未満にもおさめることができるのであります。
 こういった案を提出しているわけでありますから、やはりこれをしっかりと議論していただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
赤城委員長 次に、大幡基夫君。
大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。
 前回、この委員会で、私は、一票の価値の平等は憲法にかかわる要請であり、選挙制度の仕組みにおいて最も重要な基本的な基準であること、また、格差が二倍を超えるときは、実質的に一人が二票あるいはそれ以上の投票権を行使することと同じであり、これは投票の価値の平等が侵害されている状況である、そして、この状況を違憲だとする見解が広くあることを紹介しました。
 片山大臣は、これに対して、審議会の委員の皆さんは、まさにその点で、格差が二倍以上にならないとの基本方針を明確にして努力をしたというふうに答弁されました。
 しかし、結果は、六十八もの選挙区を動かしながら、九つも二倍以上の選挙区が残された。しかも、その区割りの内容には、きょうもさまざまな議論がありましたように、徳島県議会での全会一致の意見書を初め、生活圏や交通圏、歴史や文化を無視した区割りが少なくない、数合わせとの批判が起こっている。
 これに対して、片山大臣も、いろいろな問題点があることは事実だとか、どうかなというような例がないわけではない、こういう認識を示されました。つまり、二つの問題。二倍以上の格差の選挙区が九つも残された。数合わせという批判に示される住民の生活圏や交通圏、歴史や文化を無視した区割りが横行している、このことは問題である。
 問題であるという認識をお持ちであるというふうに判断していいのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
片山国務大臣 前回の委員会でも大幡委員の御質問がありまして、お答え申し上げましたが、私は、結論的には最善の努力を審議会はしていただいた、投票価値の平等と、できるだけ選挙区の安定ということを考えながら、そのはざまで最善の努力をしていただいた、こう思いますけれども、しかし、選挙区によっては、この委員会でも今までもいろいろ御指摘いただきましたが、いろいろな御意見が出てきている、そういうことは事実だ、こう思っております。
 しかし、そうでございましても、大局的にはできるだけ地域の実情に即そう、地域の意向を尊重しよう、こういうことで努力をしていただいたものだと考えております。我々としてはそういうことを尊重する意味で勧告どおりの法案を出させていただいた、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。
大幡委員 私は、区割り審議会の苦労の度合いの評価の問題と、結果の評価とはやはり違う。そういう点では、前回も言いましたが、そもそもこの小選挙区制という制度のもとで、一票の格差の是正、つまり、ここに苦労の根本があったし、また結果の根本も生まれているというふうに思います。
 これは私は大変な問題だというふうに思うんですが、例えば、自民党内で三増三減や二増三減などの議論もされているというふうに聞いていますが、ホームページで二増三減だとか三増三減を議論している自民党内の討論のまとめとかあるいは解説という文書を見せてもらったんです。その中には、最大選挙区の郡、市区町村を分割するべきでないという議論は既に多数の例外によって破られている、格差を二倍以内にするために市を分割すべきではないなどとこだわる必要はない、こういう意見が紹介されております。
 私は、この小選挙区のもとで格差二倍の解消を追求すればするほど、生活圏や交通圏や歴史や文化を無視した区割りになっていく、つまり、そうした事態が浮き彫りになっているというふうに思うんです。
 改めて大臣に、一票の価値の平等、格差の是正問題で、小選挙区制という制度の問題が今露呈している、そのように考えませんでしょうか。
片山国務大臣 私は、今、委員が言われたように、それをもって小選挙区制度がどうだというふうには考えておりません。できるだけ投票価値を平等にする、格差をなくしていくという努力をしながら、小選挙区制というものはそれなりのいいメリットもありますので、これは維持していくべきではないか、そういう御判断で今の小選挙区比例代表並立制が採用になったのではないか、こういうふうに考えております。
大幡委員 私は、選挙制度全体の問題じゃなくて、一票の価値の平等、格差の是正という問題で、改めて小選挙区制という制度の問題が表面に出てきている、このことについては否定できないと思うんですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 これは結局、区割りの問題になりまして、今の市町村の行政区や生活圏、経済圏の問題と絡んでくると思います。それは、そういう意味での投票価値の平等という意味では、比例代表制の方が小選挙区制よりはやりやすい、こういう面は確かにある、こういうふうに思います。
大幡委員 私は、偶然ではなくて、小選挙区制度の一番の問題であるそもそも民意を反映しないという根本問題と、根は一つではないかというふうに思うわけです。つまり、格差是正というのは二つの方法があると思うんです。有権者の数の調整という問題と、議席配分の調整です。
 小選挙区制というのは、確かに都道府県段階での議席配分というのはありますが、選挙区の定数は一なんです。したがって、小選挙区制。したがって、選挙区の格差の是正というのは、有権者の数の調整以外に道がないわけです。そして、ここを追求すると、市町村、つまり、生活圏や交通圏や歴史や文化を無視せざるを得ない。つまり、定数一の制度、この小選挙区制の根本から出ている問題だというふうに思います。
 改めてこの点で、小選挙区制を導入するときに、この制度は広く民意を反映しない制度だということが指摘されていました。つまり、民意を大政党本位にゆがめ、第一党に実力以上の議席を与え、虚構の多数をつくり出すという指摘なんですが、私は、このことが一票の価値の平等の侵害という問題をも招いているというふうに見るべきだと思うんです。
 そこで、この小選挙区制を導入して二回の総選挙がありました。この二回の選挙で、小選挙区における自民党の得票率と議席占有率について紹介してください。
大竹政府参考人 平成八年及び平成十二年の衆議院総選挙におきますところの小選挙区選挙での自由民主党の得票率、それから議席占有率についてのお尋ねでございます。
 平成八年の総選挙におきましては、自由民主党の得票率は三八・六%、議席占有率は五六・三%でございます。平成十二年の総選挙におきましては、得票率が四一・〇%、議席占有率が五九・〇%でございます。
大幡委員 いずれも得票率の約一・五倍の議席を得ている。まさに虚構の多数だというふうに思うんです。その一方で、議席に結びつかないいわゆる死に票は、九六年の選挙では、小選挙区部分では、有効投票五千六百五十二万のうち三千九十万、実に五四・七%に達しています。
 この総選挙の直後にNHKの世論調査で、今回の選挙制度はこれまでより有権者の意思を反映しているか、こういう問いに対して、そう思うというのはわずか一三%、そう思わないというのが七四%という結果でした。
 小選挙区制は第一党に実力以上の議席を与え、民意を損なう制度である、このことがいわばこの二回の選挙ではっきりした、こういうふうに思うんですが、大臣はそのように思われませんでしょうか。
片山国務大臣 これは小選挙区制導入のときに大変な議論をされたわけでありまして、小選挙区は、政権の選択をやる、ということは政権の交代がある制度だと、二大政党制を志向する制度ではないか、こういう議論がされたわけであります。比例代表の方は、民意を鏡のように反映するけれども、これはいろいろな党の分立を招いて連立になる、こういうわけでございます。
 そういう議論の中で、小選挙区制と比例代表を組み合わせた今の並立制ができたわけでありまして、私は、そういう意味では、小選挙区制が持つ、例えば少数意見の尊重にもう一つではないかということが、比例代表制をあわせて入れたことによって相当補われている、こういうふうに思っているわけでございまして、この辺は、場合によっては大幡委員とは見解の相違があるのかもしれません。
大幡委員 それでは、逆にお聞きしたいんですけれども、言われたように、小選挙区制導入の際には、いわば優位性というか利点として、二大政党制の促進と政権交代という問題が一つあった。あるいは、金がかからない制度だということも言われたと思うんです。さらに、政党、政策本位の選挙になるという、大体この三つ。これに加えて、一票の格差の是正もしやすいというふうな意見があったと思うんです。
 それでは、大臣、この二回の選挙で、二大政党制の促進だとか政権交代というのは促進されたというふうにお考えでしょうか。
片山国務大臣 これはいろいろな見方があると思いますけれども、可能性としてはそういうことがあるなということを国民の皆さんは理解をされたのではないでしょうか。
大幡委員 私は、結果的には、自民党が三割台の得票で政権を維持するという、いわば正反対の事態が続いているというふうに思うんです。
 それでは、金がかからない制度という意見は正しかったというふうにお考えでしょうか。
片山国務大臣 三割少しで過半数の議席がとれるということは、同じ可能性が自民党以外のほかの党にもあるわけでありまして、そういう意味では、政権獲得が昔の制度よりはかなり考えられ得るのではないか、こういうふうに思います。
 金のかからないということは、基本的には政党本位ということでございますので、同じ政党間の争いがなくなりましたので、私は、個人にしてみれば、かつての制度よりは金がかからないことになったのではなかろうか。政党中心になったという意味では、トータルでは安上がりというのでしょうか、そういうふうに考えております。
大幡委員 金がかかる、かからないというのは、制度の問題ということじゃなくて、政党の問題に本質があると思います。しかし、結果として、自民党は小選挙区単位に企業献金を受け取る政党支部をつくり、それが新たな腐敗政治を生み出すという事件を続発させてきている。また、口きき政治の横行という問題もこの間の特徴です。
 政策、政党本位の選挙になったのかという問題でも、これは二〇〇〇年の総選挙直後の読売新聞の世論調査なんですが、こう言っているんですね。小選挙区比例代表並立制に変わってから二回目の選挙、その制度の導入によって政策本位や政党本位の政治に変わってきたと思うか、この問いに対して、そう思うはわずか一七・八%、そう思わないというのが実に六六・九%に及んでいます。私は、小選挙区制を導入した際のいわば口実にされた意見というのは、ことごとく破綻したというのがこの間の検証ではないかというふうに思うのですが、この点、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 新聞等のアンケートがすべて正しいかどうかということはありますし、それぞれの方がどういうお考えで回答されたかということはありますが、私は、制度としては前進したと。結局、問題は、その制度の中でどういうふうにやるかということもありますので、それは個々の立候補者を含む皆さんの意識の問題、あるいは行動の問題もあるのではないか。
 制度として、私は、現在の制度は、皆さん、平成六年のときに大変な議論の中で現在の制度を採用いたしたわけでありますから、今後ともその利害得失を十分踏まえながら、あるべき選挙制度を目指して各党各会派で御議論賜るべきことではなかろうか。選挙制度には、何度も言いますけれども、満点はないわけでありまして、常に見直し、常にそういう意味ではよりよいものを目指すということが必要ではないかと考えております。
大幡委員 選挙制度は、国民主権、議会制民主主義の根本にかかわる問題です。同時に、やはり政党政治家は過去の誤りに対しても明確にすべきで、なし崩し的な居直りというのはだめで、そういう意味では、こういう問題についてもしっかりした議論を行って、より正しい方向での前進をかち取るために努力したいと思います。
 以上で質問を終わります。
赤城委員長 次に、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。
 私は、政治改革の議論が今、選挙制度の議論へとつながっているんだろうと思うのですが、殊に一番大事なのは、政治に関心を持てない皆さん、それは投票率にあらわれていると思うのですね。そういう方がなぜ持てないかというと、だれがなっても同じやないか、だれがなっても腐敗は露呈してくる、だれがなっても何らかのダーティーな面を抱え込んでしまう。そういったことを、幾ばくかの制度を改革するということで、選挙と投票ということで、ダイナミズムを感じる一番の根幹の選挙制度ということが今回も議論されていると思うのです。
 時代は、片山大臣もホームページで御自身のいろいろな政治信条や御家族のことや趣味まで書かれて、有権者とつながるのは、もう御自身の選挙の方々だけではなくて、多くの日本の方に訴える方法というのをとってきています。そしてもう一つは、有権者側というか市民側からすれば、昨今は落選運動なども出てきています。私なども、一番いい人を一人入れるという制度でずっと来ているわけですが、どちらかというと、一番嫌なやつ、自分が与えられたこの選挙の中で、仕組みの中で、この人は絶対通ってもらいたくない、こういう政党の考え方と自分は一番乖離している、何らかの強固な意思を発揮できるという意味では、どちらかというと、おもねるということが少ないという意味でも、立候補者にとってもとても楽ということでは、落選させたい人を入れていく制度にした方がいいんじゃないかというふうに思うのですけれども、これも時代がもう少しすると解決してくれるかなというふうに思っています。
 それで、きょうも一番議論になりました静岡の場合ということで、私どもの党としましても地元からも大きな疑問と批判が出ているわけですが、殊に静岡県内では二倍以上の格差ができるところが二カ所もできるということ、また、静岡市と清水市の合併の予定などが、先ほどからも議論になっていた伝統的な文化的な面、それから交通の形態のありよう等々で、地域を逆に二分してしまうという問題をはらんでいるんじゃないかということが出ました。
 もし片山大臣の岡山だったらどうなるというふうに思われるということも含めまして、片山大臣はこのことをどう受けとめられているのか、お伺いしたいと思います。
片山国務大臣 静岡と清水の合併は、私も呼ばれまして現地に行きまして、皆さんにいろいろ御説明したわけでございまして、合併がほぼ決まったことは大変結構なことではないか、こう思っております。
 今回の区割りの見直しに当たりましては、できるだけ地域の実情を配慮していく、こういうことでございますが、結果としては、本日の委員会でも御議論賜りましたいろいろな観点から、実情に沿わないのではないかという御指摘を受けてもやむを得ないような点も出てきております。こういう勧告は、百点というのはなかなかないんですね、どこかで線を引くということは必ず、すべてが結構だということにはなかなかならない、こういう気はいたしております。
 私は、先ほども申し上げましたが、審議会の委員の皆様は大変な努力をしていただいた、できるだけ二倍を超えないことを基本に投票価値の平等を守っていく、それから同時に、選挙区もできるだけ大きな影響を与えないようにする、こういうことで努力をいただいたと私は考えておりますし、今の制度が審議会にお任せするということになっております。いただいたものは尊重するのが筋でございますので、今回の法案は審議会の勧告どおりの案にさせていただいたわけでございまして、北川委員の御意見、いろいろあると思いますけれども、ぜひ御理解を賜りたいと考えております。
北川委員 実地に静岡まで行かれたということなんですが、私、いつも審議会のありようの中で一番疑問に思っているのは、その事務局がすべてのおぜん立てをしていくというふうになっていきますので、審議会の先生方が、委員の皆さんがどんなに努力したり汗をかくというのが、八割方おぜん立てされて、あとの二割で汗をかいたり努力したりということになっていないのかという検証がもっと必要ではないかというふうに思うんです。その区割り審議会は、またこの委員会で問題となっている、例えば先生方は静岡に行って実地調査をされたのでしょうかとか、また有権者の皆さんと出会う場面というのがおありになったのでしょうか、そういうような経過をどういうふうに踏まれてきたのかということを御紹介していただきたいと思います。
大竹政府参考人 今回の区割りの見直しに当たりまして、審議会では、一昨年の十二月から昨年の十二月まで三十回の審議を重ねまして今回の勧告に至ったわけでございます。
 審議に当たりましては、先ほどから申し上げていますとおり、各都道府県知事さんから、それぞれの区割りの基準、現行の区割りあるいは区割りの見直しについていろいろと御意見を伺うこととしてございます。これにつきましては、書面で御意見を提出願いまして、細かい内容につきましては、各担当の部長さんからそれぞれ御意見等聴取してございます。
 それから、この都道府県知事さんの御意見の中では、多くの都道府県におきまして、市町村の意見の聴取を踏まえた上で知事意見としてまとめられたということもございまして、そういったことから、各市町村の状況についても、ある程度の情報は知事意見によって得られたものと考えてございます。
北川委員 地元には行かなかったけれども、紙のペーパーの応酬はあったという御紹介だろうと思うんですが、片山大臣は、でも、やはり総務大臣として、静岡へ行ったということは、静岡はもめるなとか何か思われたから行ったんだろうとは思うんですが、どうして実地調査や公聴会、といいますのは、いつも、首長さんの意見を聞きましたと。首長さんは多くの市民から選ばれているからいいんじゃないかというような結論を今御紹介されたんですが、市議会議員が県会議員を支え、県会議員それぞれが知事を支えたり、国政の国会議員を支えたり、逆に言えば、そういう支え合う関係の中では、案外公平な意見ではないかもわからないという気がするんです。
 もう今の世の中、実地調査や公聴会というのが必要な時代に来たと思うんですが、そういうことをやろうというような発想を事務局がおぜん立てする八割の中になぜ入れ込めなかったのか、なぜペーパーだけでいいと思われたのか、これ以降も議論になると思うので、その点をもう少し明確に御紹介いただきたいと思います。
大竹政府参考人 経過を申し上げますと、現在の審議会の委員さん方は、前回、平成六年の区割りの審議を重ねられた方でございます。前回、平成六年の区割りの審議におきまして審議会勧告を出されたわけでございますけれども、その後、平成八年までの間に審議会委員は各都道府県、すべての都道府県ではございませんけれども、幾つかの都道府県に参りまして、区割りの実情等につきましての現地調査を行ってございます。
 今回はそれを踏まえまして二回目の区割りの見直しでございます。その区割りの審議に当たりましては、今回は実地調査は行われてございませんけれども、そういった過去の経験等も踏まえまして、各地の実情については十分把握しておられるものと考えております。
北川委員 部長の方は、あえて行かなくても踏まえられる、見識を持っている人なので、実地調査や公聴会を開くということは毛頭、頭にもなかったし、必要はないんだということを念押しされたと思うんですが、私は違うと思うんですね。それぞれ、選挙制度を本当に真摯な形で考えている、そういう場面があるということを無関心にならざるを得ない有権者の層に訴えるという意味でも、このことはとても大きな意味を持つと思いますので、ぜひ今後の検討の中の課題に入れていただきたい。
 そして、きのう、憲法調査会をお伺いしていますと、北川知事も、道州制の導入等々も将来考える中では、どちらかというと、県というものの存在が必要がないという時代が来ればそれは引き受けざるを得ないというか、自分の考えの中にもそういう一面はあるというふうにおっしゃっていました。ダイナミックに有権者と政治というものが結びつく一番いい制度というものを編み出すためにも、もう少し具体的に普通の人々にコミットできるということをぜひ取り上げていただきたいと思います。
 それから、大臣の方にお伺いしたいんですけれども、先ほども総務大臣としての主体性をもっと発揮するべきではないかという御意見が出ていたんですが、審議会の調査の仕方とか、審議会に対して意見を言う、そういう意見を言っている場面を公開する、ホームページで公開するとかテレビを通して公開する、そういうようなあり方というものは、大臣、いかがですか。御自身のホームページを出していらっしゃる大臣としては、新たな時代をつくっていただきたいと思いますが、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
片山国務大臣 今、北川委員、ホームページはほとんどの議員が皆さんおつくりですから、私だけじゃありません。
 それから、静岡、清水に参りましたのは、合併の講演会でお招きを受けて説明に行ったわけでございまして、区割りの調査や視察じゃございませんので、そこは御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
 審議会が非公開にしておりますのは、選挙部長が言いましたように、大変な利害その他に絡むようなこともございますので、自由濶達な、公正な意見が場合によっては言えなくなるおそれもあるというようなことの懸念から非公開にしておりますが、将来、今のようなすべて非公開ということがいいのかどうか、私は検討の余地があると思いますけれども、直ちに公開するというようなことは審議会としては当面、お考えになっていないのではないか、こういうふうに思います。
北川委員 その非公開性が、逆に言えば、だれかの手が回ったりしているんじゃないかという憶測が憶測を呼ぶということもありますので、ぜひ大臣が堂々と渡り合っているところとかを場面で見る機会が、普通の人々、それは十代にとってもそうなんですが、あるということが必要ではないかと思います。
 それから、ホームページの面では、なぜ取り上げたかというと、大臣のはパートナーを紹介されていたので、いつもこういう場面では見えない点をあえて皆さんに知っていただきたい、そういう御意向を割と持っていらっしゃる大臣だというふうに思ったので、御紹介した次第であります。
 それと、きょうの先ほどの大臣の議論の中で、市町村合併と小選挙区制というか選挙制度のありようは、関係があるけれども関係がないと。何か、ちょっと先ほどの御指摘にもありましたけれども、意味がわからなかったんですよ。
 そこで、関係がないというのはどういうことで、あるというのはどういうことなのか。これとこれは矛盾していないのか、矛盾しているのか。その辺は大臣、どうお考えでしょうか。
片山国務大臣 選挙区の区割りは、市町村の区域にかかわらず、現在、制度で区割りが決まりますとそれでやっていく、こういうことですね。そこで、そういう意味では直接の関係がないと。しかし、選挙区を画定する上では、市町村の区域をできるだけ分断しないように尊重していく、そういう意味では関係がある、こういうことでございます。
 合併を我々は平成十七年三月までにできるだけ進めたい、こう思っておりまして、その市町村の再編ができたときに、市町村の行政区画を分断せずに尊重していくとすれば、今回の選挙区の区割りとはかなり相違してくるおそれがある、その場合にどういうふうに審議会が御判断になるかだ、こういうふうに思っております。
 現在の選挙区そのものは区画にとらわれませんけれども、しかし、将来、区画を決める際には、市町村の行政区画を尊重する、分断しない、こういうことでございますから、今は直ちに関係がありませんけれども、将来の区画を考える場合には関係が出る。そこで、関係がないようで、あるようで、こういうふうに申し上げたわけであります。
北川委員 私が理解があれなのかもわかりませんが、余りよくわからなかったんですけれども、私、それともう一つあるのは、国勢調査の中に外国人籍の方の人口というのも入っていて、有権者台帳の中には入っていない、こういう矛盾が、二〇〇〇年の国会で、一部、定住外国人という言葉から永住外国人に変わりましたけれども、議論になりました。一人が票に見えるということでの、地盤、看板、かばんですか、という問題の払拭ということも含めて、昨今は意識的に取り組んでいる人たちもいますが、できるだけ出やすい、立候補しやすいという形をとるためにも、公職選挙法の改正なども大きくかかわってくると思うんです。
 この地域の代表という色彩とかは暫定的なものだというふうに思うんですが、区割りによって常に動いていくものというふうに考えていいのでしょうか。人口の増減による区割りの変更が小選挙区の宿命だというふうに、関係あるような、ないようなという言葉の中にも集約されているのかもわかりませんが、この区割りによって常に動いていくものというふうに考えてよろしいんでしょうか、大臣。
片山国務大臣 ちょっと委員の言われるのがどこにポイントがあるのか、もう一つ私、理解ができていないんですが、投票価値の平等ということは選挙制度の基本でございます、一票の価値が同じだということは。そこで、どうしても、小選挙区は定数一でございますから、人口の動態推移を見て区割りを修正していくということは、もうこれはやむを得ない、宿命みたいなものですね。
 それで、今回の制度は、御承知のように、都道府県の定数というものをまず一与えて、それから人口にスライドして配分いたしておりまして、そこがなかなか二倍を超えないということの難しさがある、こういうふうに思いますけれども、与えられた中で、今回の案は審議会の委員の皆さんが最善を尽くしていただいた、こういうふうに思っております。
赤城委員長 北川れん子君。質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。
北川委員 済みません。聞いた方も何かちょっとあれなんですけれども、ごめんなさい。抜本的な選挙制度の改革の議論というのが、抜本的なですよ、必要だというふうに思うんですが、最後にその辺の決意をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 何度も申し上げますように、選挙制度は百点のものはありません。常に絶えざる見直しが必要でございまして、いずれにせよ、第九次の審議会の立ち上げを今検討いたしておりますので、委員の御意見も承って、十分な議論を中でさせていただきたいと思います。
北川委員 どうもありがとうございました。
赤城委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    正午散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.