衆議院

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第2号 平成14年11月13日(水曜日)

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平成十四年十一月十三日(水曜日)
    午後一時三十一分開議
 出席委員
   委員長 高橋 一郎君
   理事 竹下  亘君 理事 竹本 直一君
   理事 林  幹雄君 理事 町村 信孝君
   理事 中山 義活君 理事 堀込 征雄君
   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君
      逢沢 一郎君    小此木八郎君
      金田 英行君    亀井 久興君
      亀井 善之君    栗原 博久君
      小泉 龍司君    小西  理君
      下村 博文君    田村 憲久君
      高鳥  修君    福井  照君
      松岡 利勝君    松野 博一君
      水野 賢一君    吉田 幸弘君
      阿久津幸彦君    佐藤 観樹君
      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      山村  健君    山元  勉君
      福島  豊君    山名 靖英君
      高橋 嘉信君    大幡 基夫君
      藤木 洋子君    今川 正美君
      北川れん子君    松浪健四郎君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           高部 正男君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   衆議院調査局第二特別調査
   室長           大竹 邦実君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十三日
 辞任         補欠選任
  下村 博文君     小此木八郎君
  柳本 卓治君     吉田 幸弘君
  佐々木秀典君     楢崎 欣弥君
  山花 郁夫君     山村  健君
  吉井 英勝君     藤木 洋子君
  保坂 展人君     今川 正美君
  小池百合子君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     下村 博文君
  吉田 幸弘君     柳本 卓治君
  楢崎 欣弥君     佐々木秀典君
  山村  健君     山花 郁夫君
  藤木 洋子君     吉井 英勝君
  今川 正美君     保坂 展人君
  松浪健四郎君     小池百合子君
    ―――――――――――――
十一月七日
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第六〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――
高橋委員長 これより会議を開きます。
 この際、岩永総務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。岩永総務大臣政務官。
岩永大臣政務官 御紹介にあずかりました、総務大臣政務官を拝命いたしました岩永でございます。片山大臣のために精いっぱい頑張ってまいりたい、このように思っております。どうか、委員長初め委員の先生方の格段の御支援、御鞭撻を賜りますようよろしくお願いを申し上げて、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
高橋委員長 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の両案を議題といたします。
 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 公職選挙法の一部を改正する法律案及び地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、市町村の廃置分合に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権に関する住所要件について特例を定めるとともに、市の議会の議員並びに町村の議会の議員及び長の選挙において、その選挙の期日の告示の前に掲示された政党その他の政治活動を行う団体がその政治活動のために使用するポスターについて、他の選挙と同様の規制を行うとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権に関する三カ月の住所要件について、廃置分合により消滅した市町村に住所を有した期間を通算することといたしております。
 第二に、市の議会の議員並びに町村の議会の議員及び長の選挙について、当該選挙の期日の告示の前に政党その他の政治活動を行う団体がその政治活動のために使用するポスターを掲示した者は、他の選挙と同様、当該ポスターにその氏名等を記載された者が候補者となったときには、その日のうちに当該ポスターを撤去しなければならないものとすることといたしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとし、この法律による改正後の公職選挙法の規定に基づく政治活動用ポスターの規制については、施行日以後その期日を告示される選挙について適用することといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 次に、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、全国多数の地方公共団体の議会の議員または長の任期が平成十五年三月から五月までの間に満了することになりますので、これらの選挙の円滑な執行と経費の節減を図るため、選挙の期日を統一するとともに、これに伴う公職選挙法の特例を定めようとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、平成十五年三月から五月までの間に任期が満了する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙等について、いわゆる九十日特例の規定による場合等を除き、原則として、その選挙の期日を都道府県及び指定都市の選挙にあっては平成十五年四月十三日、指定都市以外の市、町村及び特別区の選挙にあっては、同月二十七日に統一することといたしております。
 第二に、都道府県または指定都市の選挙の候補者となった者は、関係地域において行われる市区町村の選挙または市区町村の選挙と同日に行われる衆議院議員の補欠選挙等の候補者となることができないものとするとともに、寄附等の禁止期間を選挙の期日の九十日前から当該選挙の期日までの期間とすること等、必要な特例を設けております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
高橋委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
高橋委員長 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長高部正男君及び法務省刑事局長樋渡利秋君の両名の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
高橋委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野博一君。
松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。
 提出両案に対し質問をさせていただきたいと思いますが、特に、地方議会の議員の選挙の期日を統一する特例法案を中心にお聞きをしたいと思います。
 特例法案によって選挙期日を統一する理由をお聞きしようと思ったのですが、趣旨説明の直後でありますから、まず、その対象範囲についてどうなっているかをお聞きしたいと思います。
高部政府参考人 お答え申し上げます。
 統一地方選挙において統一する選挙の範囲でございますが、平成十五年三月一日から五月三十一日までの間に任期が満了することが予定されている地方公共団体の議会の議員または長について、その任期満了による選挙を三月以降に行う場合、これが基本でございます。
 ちょっと細かいことを申しますと、このほかに、補欠選挙等で一定期日が来るものが統一選挙の対象になる、このようになっておるところでございます。
松野(博)委員 今回の統一する主たる目的の一つが、選挙事務の軽減と経費の削減というお話がございました。選挙事務の場合は、事前準備にかかわるもの、告示、広報にかかわるもの、開票作業そして開票後の事後処理があるわけでありますけれども、今回の期日を統一することによって、どのように選挙事務が軽減をされて、経費はどの程度削減をされるかについてお聞きをしたいと思います。
高部政府参考人 今お話がございましたように、選挙の日を統一するということによりまして、長の選挙と議会の選挙が同時に行われるわけでございます。そのことによりまして、投票とか開票でありますとか、選挙会の手続が原則として合一して一緒に行われるということになります。これによりまして、二つの選挙事務を共通した選挙手続として行うことができますので、例えば、投票所、開票所、会場は一つで済むといったようなもの、あるいは共通の事務なんかも一緒にこなせるということで、事務が軽減されるということになるわけでございます。
 また、これもお話がございましたように、この時期に多くの選挙が同時に行われますことから、選挙啓発の面でも非常に効率的に行うことができるというふうに考えております。
 経費的な面でどのくらい節減されるのかといったお尋ねもございました。これも、団体の規模でございますとかいろいろな条件で一概に言えないところがあるのですが、かつて選挙を同時にやった場合と個別にやった場合とを調べましたところ、選挙の経費については、先ほど申し上げましたような、例えば開票所の経費でありますとか投票所の経費といったような面で、全体として二割から三割ぐらいが軽減されるといったような調査結果もございました。これを大変アバウトに、統一選挙ということでいろいろな前提を置いて大ざっぱに推計いたしますと、一緒にやることによりまして、八十億程度の節減が図られるのではないかというふうに推計いたしているところでございます。
松野(博)委員 投票時間が二十時まで延長されまして、また、不在者投票の要件の緩和がされまして有権者が投票しやすい環境づくりが進んでおりますけれども、一方で、投票時間の延長や不在者投票の要件緩和によって開票作業等の負担が増大しております。
 その中で、電子投票制度というものがあるわけでありますけれども、この電子投票制度に関し、これまでの実施の状況と今後の導入の見込み、そして電子投票制度が導入をされました場合、事務の軽減等に関してはどのような効果があるのか、そのことに関してお伺いをしたいと思います。
高部政府参考人 電子投票についてのお尋ねでございました。電子投票につきましては、昨年法律を制定していただきまして、地方団体の選挙について実施が可能となったわけでございますが、本年六月二十三日に第一号として、岡山県新見市の選挙において導入されたところでございまして、この選挙はおおむね円滑に執行されたところでございます。
 今後の見込みといたしましては、現時点で、これは制度を導入するためには条例の制定が必要になるわけでございますが、この条例が制定されているのが二団体ございます。広島市、これは安芸区のみで実施されるわけでございますが、広島市、それから宮城県の白石市で九月の議会において条例を制定いたしまして、それぞれ来年の選挙に向けまして具体的な準備に取りかかっているといったような状況でございます。
 なお、ことしの九月三十日現在で、私ども、この電子投票への取り組みの意向といいますか、どのように取り組んでいくのかということで、地方公共団体の御意見といいますか、意向を尋ねているところでございますが、この結果によりますと、現在検討中というふうに答えていただいた団体が、市区町村でございますが、約四百五十団体ございまして、私どもの評価といたしまして、多くの団体で前向きな検討が行われているのではないかというふうに考えているところであります。
 電子投票の導入に伴います事務の軽減についてもお尋ねがございましたが、ともかく電子投票の議論につきましては、私どもとして研究会をつくっていろいろ研究させていただいたところでございますが、この契機は、投票時間の延長に伴いまして開票事務が深夜に及ぶということから、現在の開票事務が大量の動員により人海戦術でやっているというような状況でございますので、なかなか人を集めるのも苦労するというようなことが契機となっているわけでございます。
 そういう意味で、事務負担の軽減というのは、記録媒体に記録が入りますと、これを読み込む作業だけになるわけでございますので、岡山の新見市の事例でも、担当職員が二名で、約二十五分で集計をしたといったような状況でございますので、このメリットが実証されたのではないかというふうに考えているところでございます。
 私ども総務省といたしましては、今後とも電子投票の導入を検討している地方公共団体に対しまして、新見市の事例なんかも参考にいたしまして、事務軽減のメリット等も含めたいろいろな情報提供に努めまして、今後、地方公共団体のこのような取り組みがさらに進められるように努力してまいりたい、かように考えているところでございます。
松野(博)委員 先ほど統一地方選挙の期日を統一することで啓発等がやりやすくなるというお話がございましたけれども、今、全般的に低投票率が続いております。その中で、統一地方選挙期日統一によって啓発以外に投票率を向上させる上でどのようなメリットがあるとお考えか、お聞きしたいと思います。
高部政府参考人 統一地方選挙の投票率の面でのメリットについてお尋ねがございました。
 全国で多数の地方公共団体の選挙の期日を統一して執行するということによりまして、選挙の期日が特定されますために、選挙民の方々が選挙の期日を認識しやすいといったメリットが一つあろうかと思います。
 また、一回投票所に行くことによりまして複数の選挙の投票が可能ということで、選挙民の利便にも資するのではないかというふうにも考えられます。
 また、三つ目といたしまして、国、都道府県、市町村が一斉に啓発活動を行いますとともに、一緒に行われることによりまして、報道機関による報道も集中して行われるといったようなことも期待できるということで、選挙民の方々の関心も高まっていただけるのではないかといったようなことが考えられるわけでございまして、単独で個別に地方選挙を実施する場合に比べまして投票率の向上が期待できるのではないか、かように考えているところでございます。
 具体的にどの程度投票率アップに寄与するのかというあたりはなかなか難しいところでございまして、いろいろな条件もあろうかと思いますので、単純に言うことは難しいとは思うんですが、一つの例としてお聞きいただければと思うんですが、前回の統一地方選挙において行われた都道府県選挙の投票率の平均値は六五・一六%でございました。これに対しまして、他の個別に行われた直近の知事選挙の投票率の平均、統一ではない選挙の一番近いところの知事選挙の平均をとってみますと、四九・七九%といったような状況になってございますので、この差が一五%ほどあるわけでございます。
 この一五%分が統一選挙による効果だと丸々言えるのかどうかというのはなかなか難しい面もあるのかもしれませんが、いずれにしても、統一することによりまして投票率のアップが期待できるのではないかというふうに考えているところでございます。
松野(博)委員 地方議会選挙の例ではありませんけれども、先般行われました衆参の統一補欠選挙におきましては、全国的な抵投票率でございました。特に、参議院の補欠選挙、千葉県選挙区におきましては全県下平均で二四%という投票率でありまして、私も千葉県選出の議員でありますから、反省をしなければいけないなと思うところがあるわけでありますが、この低投票率の理由として、政治、政党また政治家に対する不信が原因ではないかというふうなことも言われております。
 しかしながら、私は、一方で現状の日本においては投票に行かなくても、極端な話、日本が経済的にすぐ没落をしてしまうとか、安全保障上のゆゆしき事態が起こるとか、また発言や結社といった活動の自由が制限をされる、そういったことはないであろうという政治に対する過信もこの低投票率の原因になっているのではないか、そういうふうに思うところがございます。
 今日の各種選挙全般におきます低投票率、まさに民主主義の根幹にかかわる問題でありますけれども、このことに関してどういう御所見をお持ちか、大臣にお聞きをしたいと思います。
片山国務大臣 今、委員が言われましたように、近年の国政、地方選挙、ともに低投票率ですね。特に、今お話のございましたせんだっての補欠選挙は、特に千葉県、神奈川県、大都市圏で大変低うございました。
 いろいろな理由が考えられまして、補欠選挙だったからとか、秋の行楽シーズンで天気がよかったからとかいう理由もありますけれども、しかし、基本的には、今、松野委員が言われましたように、やはり若い人を中心に、政治離れというんでしょうか、政治無関心というんでしょうか、そういう雰囲気があることも、この低投票率の理由だと思います。
 今、委員言われましたね。切実さがもっと、例えば開発途上国等に比べて、やはり生活その他の切実さがないので、ある意味では政治を離れてもしっかりやっていけるところがあるんだという見方もありますけれども、しかし、やはり民主主義は、投票にみんな参加してもらう、選挙に参加してもらうということが必要だ、私はこう思っておりまして、このまま投票率が低くなっていくということは大変憂慮すべき事態ではないか、こう思っております。
 選挙を担当します総務省としましても、投票率が上がるように、選管や関係団体とともに今後とも頑張っていきたい。きょう、実は明るく正しい選挙運動の五十周年なんですね。午前中、日比谷公会堂で表彰してまいりましたけれども、そういう関係の団体の皆さんにも頑張っていただく。また、各政党や選挙に出られる候補者の皆さんも、選挙民の皆さんに関心を持っていただくような活発な選挙運動をやっていただく、あるいはその争点を明確にするような努力も一方では必要ではなかろうか、こう思っておるわけであります。
松野(博)委員 以上で質問を終わります。
高橋委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 今回の公職選挙法関連二法につきまして、私は、明年の統一選挙を控え、まさに選挙の基本である民主主義を一層進めるためにも極めて有意義な改正だ、こう思っております。
 きょうは、若干視点を変えまして、大臣並びに副大臣等にお聞きしたいと思います。
 その一つは、最近、総務省の大臣以下大変力を入れていただいているのが、いわゆるITの推進ということでありまして、政府としても、e―Japan戦略に基づいて、二〇〇五年までに世界に誇るIT国家をつくろう、こういうことで、いろいろな取り組みをしていただいております。今、特に、インターネットの普及率は五千六百万人、およそ四四%と聞いておりますが、これがあと三年もしますと、二〇〇五年には八千七百万を超える、こういう予想も一方でございます。
 当然、こういったITの推進、インターネットの普及というのは、いろいろな意味で国民の生活に影響を与え、社会国家のこれからのあり方に大きな波紋といいますか、新たな波紋を投げかけ、問いかけていくことは間違いのないことだと思います。ともかく、今後、IP化あるいはブロードバンド化、IPv6といいますか、こういったもの、ユビキタスとか、いろいろな言葉が飛び交っておりますが、一層の推進は図らなきゃならないし、世界におくれてはならない、基本認識をこのように持っております。そういった中で、このインターネット等が選挙に及ぼす影響といいますか、こういったものもやはり当然予測をしなければならない。
 先般、ことしの八月でしたか、IT時代の選挙運動に関する研究会、こういうところから報告書が出されまして、IT時代における選挙運動をどうするか、ITをどう組み入れるか、こういうことでの研究が進められたやに聞いております。まずその報告の概要、ポイントについてお伺いしたいと思います。
高部政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘がございましたように、ITの時代にありまして、インターネットと選挙運動のかかわりについて各方面からいろいろな御指摘がございました。そういうことがございまして、総務省といたしましては、研究会をつくりまして、会議を開催して研究を進めてまいったところでございますが、本年八月七日に報告書が取りまとめられたところでございます。
 インターネットによります選挙運動の効果を考えた場合、インターネットを選挙運動手段として追加することが適当である、ただ、選挙の公正を確保するために、インターネットの導入に伴い発生する問題をできるだけ小さくするための措置が必要であるといったような観点の提言がなされているところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず一点目といたしまして、インターネットによります選挙運動につきましては、ホームページとメールがございますが、迷惑メールの問題などが予想されますことから、ホームページによります選挙運動を認めたらどうかというのが一点目でございます。
 それから、有権者の政治参加を促進する意味で、候補者または政党以外の第三者がホームページを使って選挙運動を行うことができるようにすることというのが大きな二点目かと思います。
 三点目といたしまして、ホームページ上の成り済ましでございますとか誹謗中傷等の対策といたしまして、ホームページの開設者に電子メールアドレスの表示を義務づけるなどの措置を講ずることとすることといった、おおむね、以上三点でございますが、ほかにいろいろございますが、このような提言をいただいているところでございます。
山名委員 その提言の中の一つに、先ほどもお述べになりましたように、ホームページに限定をする、こういうことでございます。ホームページ、メールと伝達方式はあるわけでございますが、なぜメールを除外したのか。確かに、私もさきの法案の中で迷惑メールについてかなり携わってきた関係で、この迷惑メールについてはまさに大変な社会問題でもございました。しかし、実際は、メールの世界というのが、相互の交流、交信、情報伝達、いろいろな意味で非常に有効であるし、かなりの普及を見ておるわけであって、メールを今回の選挙運動から外した理由についてお聞かせいただきたいと思います。
高部政府参考人 研究会の議論の中で、インターネットのうちホームページとメールというものをどう考えていくのか、大変議論のあった点でございます。
 メールによります選挙運動を認めることとした場合には、ホームページによります選挙運動と異なりまして、一点目として、利用者にとりまして、一方的にメールが送られてきて当該通信費が課金されるといった迷惑メールの問題が発生するおそれがありますこと、それから、二点目といたしまして、成り済ましといったようなことの問題が発生した場合に、メールの場合にはなかなか追跡が難しいといったような点がございます。それから、メールアドレスを大量に購入して大量に情報を流すといったような使い方をされますと、お金のかかります選挙運動につながりやすいといったような問題が指摘されまして、先ほど申し上げましたように、ホームページによります選挙運動を認めたらどうかということになったわけでございます。
 研究会におきましては、インターネットを選挙運動に活用することとした場合に、付随する問題点を最小限に抑えつつ、インターネットの効用を最大限に引き出すことができるようにすべきであるという考え方に即しまして、ホームページについてのみ選挙運動手段として是認することといたしまして、メールにつきましては引き続き現行法の規制を適用することが適当であるといった結論に至ったところでございます。
山名委員 ところで、今回の報告の中のポイントのまた一つに、これは大変でかいテーマだと思いますが、いわゆるホームページによる選挙運動の解禁といいますか、それについては、従来は、候補者または政党以外の第三者による選挙運動というのは極めて厳しい規制がしかれておったわけですが、インターネットによる選挙運動については、第三者の運動をいわば解禁しようとか、拡大しよう、こういう仕組みになっておるわけですね。
 第三者の人たちがインターネットを使って選挙運動に参加をする、これはある面では非常にすばらしい政治参加の場を提供することであり、有権者の皆さん同士がインターネットでそういった意見交換をする、あるいは政策チェックをする、候補者チェックをするということについては極めて意義深いことだと思うんですが、今回、そういうことで、第三者による選挙運動、インターネットによる、ホームページによる選挙運動ができる、こうした理由と、それからそのできる中身、どの辺までこれは許されるのか、この辺についての検討内容についてお伺いしたいと思います。
高部政府参考人 御指摘の第三者の選挙運動を認めるかどうかといった点につきましても、研究会で大変議論のあったところでございまして、やはり第三者が選挙運動を行った場合には影響力は予測不可能だから、政党のみに限定したらどうかといったような議論とか、いろいろな議論があったわけでございますけれども、結局、認めることとしたらどうかということにしたわけでございます。
 その理由といたしましては、第三者の選挙運動を規制することは、インターネットの選挙運動による有権者の政治参加の促進などの効用の大きな部分を損なうおそれがあること。政治参加を促進するという観点から、認めた方がいいのではないかというのが一点でございます。
 それから、多少技術的になるんですが、二点目といたしまして、ホームページの選挙運動につきましては、紙媒体と異なりまして量的な規制になじまないことから、量的な制限を設けない方がいいだろうというような提言もあわせてされているところでございます。また、費用の面につきましても、候補者以外の者については規制を設けないこととしたというふうなことで、選挙運動を行う主体に限定を加えなければならないといった必然性はないといったことも考えられたわけでございます。
 もう一度申し上げますと、量的な制限がなかなかインターネットのような世界でいかがなものだろうかということもございます。それからまた、リンクといったような技術的な問題もございます。こういったようなこともございまして、主体制限は設けない方がいいのではないかというのが二点目の理由でございます。
 三点目といたしまして、現行法におきましても、電話による選挙運動については、第三者の選挙運動が規制されていないということになってございます。費用の面でも、出納責任者の方と連絡をとったような支出以外につきましては、それぞれの支出として、選挙運動費用の報告に含まれないでもいいような扱いになっておるところでございまして、費用面についても同じような扱いを考えたらどうかといったような提言も出されているところでございます。
 このような考え方のもとに、第三者の選挙運動を認めることにしたらどうかという提言がなされているところでございます。
山名委員 インターネットを利用した選挙運動の解禁という今回の報告書、これからの取り組みといいますか、さらに検討を進めなきゃならないと思いますが、やはり確かに問題も多いと思います。メリットとして、先ほどおっしゃったような、かなりの有権者も候補者もお互い政治参加ができる、あるいは費用の面でかなり格安だとか、いろいろ効果の面もありますが、一方で、やはり負の部分、インターネットの世界はやはり光と影の部分がどうしても存在するわけでありまして、その影の部分が問題になろうかと思います。
 特に、一つは、いわゆるデジタルデバイドといいますか、普及率が上がったといえども、まだまだデジタルデバイドは厳然と存在をするわけであります。政治家の我々も、ホームページを持っている人、持っていない人、いろいろあるでしょうし、もう六十近くなると、そんなの邪魔くさいということで、政治家自身もデバイドに陥っている人も現実にいるわけであります。
 それから、あと、候補者に対する誹謗中傷、こういったものがホームページ上に載せられるといった問題、それから、先ほどもあったような成り済まし、こういうことも十分予想をされるわけであります。
 そういった意味で、このインターネットにおける選挙運動解禁の中で生ずる負の問題に対して、今後どのような対応をしていかれるのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
若松副大臣 今回の報告書におきましては、インターネットを選挙運動に導入するには、選挙の公正を確保する上で、成り済ましや誹謗中傷といったインターネットの悪用をできるだけ抑制する必要がある、こう述べております。
 具体的な対策として大きく四点ございまして、一点目は、インターネットの利用形態について、不正行為の追跡が難しい電子メールは除外する。そしてその結果、ホームページに限定することにしております。
 二点目としては、ホームページ開設者に連絡先としてのメールアドレスの表示を義務づけることで、成り済ましや誹謗中傷等の不正行為に対する抑止効果を働かせること。
 三点目として、ホームページ上での氏名等の虚偽表示に対して、罰則をもって禁止する措置を講じること。
 四点目として、候補者の本物のホームページを識別できるようにするために、選挙管理委員会が候補者のホームページアドレスを有権者に周知するなどの便宜を図ること等が提言されているところでございます。
山名委員 インターネットの選挙運動解禁については、私は、IT国家戦略の上からも、電子政府、電子自治体、こういった推進の上からも、当然これは大事な流れではないか、こう思っております。
 最後に、この報告書に基づいてのインターネット選挙運動、このテーマに対する総務大臣の御決意、今後の取り組みのお考え方をお聞きいたしまして、質問を終わらせていただきます。
片山国務大臣 私どもの方の総務省は、例のIT革命については、相当主要な部分を担当する役所でございますので、これだけインターネットも普及した時代に、全くインターネットが選挙運動で利用できないのもいかがかな、こういうことで研究会をつくりまして、八月に報告書をもらったわけですから、総務省としても、これをどう生かすか、みずからも検討しなければならないと思います。
 同時に、これは選挙運動の中では大変大きな比重を占めますので、各党各会派においても十分な御検討、御議論をいただければ大変ありがたい。そこで一致したら、どこまでどう制度化するか、研究会はホームページまで提言しておりますけれども。今後、それを中心に検討してまいりたいと考えております。
山名委員 どうもありがとうございました。
高橋委員長 次に、阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 ただいまより、公職選挙法の一部を改正する法律案並びに地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について、また、この両案にも関係しております国民の政治参加というテーマで質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、公職選挙法の一部を改正する法律案についてなんですけれども、この法案は市町村の廃置分合に伴う住所要件について特例を定めるということを決めたものでありまして、これについては本当に適切なものだと考えております。
 それから、市町村議会議員の政治活動のために使用するポスターについて、ほかの選挙と同様の規制を行うものとすることなんですけれども、これについても、あるいは意見が分かれるところがあるかもしれませんが、ほかの選挙と同様に、もうこれは行われていることでございますので、結構なことだというふうに考えております。
 それからもう一つ、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案についてなんですが、ここの、前文の目的のところを見ますと、「これらの選挙の円滑な執行と経費の節減を図るため、選挙の期日を統一するとともに、これに伴う公職選挙法の特例を定めようとするもの」というふうに書かれているんですが、前文の目的を見ますと、「選挙の円滑な執行」というのは普通に考えれば事務方の便宜というものだと思いますし、「経費の節減」も、最終的にはもちろん国民の利益につながるものなんですけれども、やや事務的なにおいがするのです。この両文のところで、国民にとっての便利というか国民の政治参加を促すような意味合いは、ここから酌み取ってよろしいんでしょうか。確認の質問をさせていただきたいと思います。
高部政府参考人 私どもの考え方といたしましては、選挙を一緒にやるということで、管理、執行上のいろいろなメリットもございます。
 また一方で、選挙を集中してやるということで、国民の方々にも認知していただける、国民の方々にとってもためになることではないかというふうに考えているところでございます。
阿久津委員 ありがとうございます。
 できれば、今後、ぜひ国民の参加ということを文章の中で明らかに書いていただければうれしいなというふうに感じております。
 それでは、国民参加というテーマの質問に移らせていただきたいと思います。
 先ほどの、自民党の松野議員の質問の中で、大変貴重な答弁がございました。そこと少しダブるんですが、大切なことですので伺わせていただきたいと思います。
 最近の低投票率の原因についてどのように考えるかなんですが、これは確かに、先日行われました補欠選挙を見ますと、驚くべき数字が出ております。各選挙区の選挙全部、史上最低を更新してしまった。特に、衆議院の神奈川八区の投票率は、今までの最低が九六年の五五・七九%だったのに対し、今度は三三・六六%、それから千葉県の方は、六七年の補選で二五・八九%という数字が出ているんですけれども、もう破られないだろうと言われた最低投票率を、千葉県の参議院の補選では二四・一四%。これは、千葉と神奈川については民主党が負けたから言うわけではないのですが、選挙やり直しをしてもおかしくないぐらいの本当にひどい投票率だと思います。
 そこで、先ほどの答弁の確認なんですが、先ほど片山大臣、非常にすばらしい答弁をしてくださったというふうに私は認識しております。まず冒頭で片山大臣は、低投票率の理由を問われて、若い人々の政治離れなんだとおっしゃいました。それからもう一つ、民主主義は政治に参加してもらうのが基本だというふうにおっしゃったんですが、このことは間違いないでしょうか。
片山国務大臣 間違いございません。
 やはり若い人が、年齢から見ますと、なかなか投票所に足を運んでいただけない。しかし、国民の皆さんの一番の政治参加は選挙ですから、選挙に行っていただくということがなければ、民意が反映しないわけですから、こういう状況が続くことは大変心配だと思っております。
阿久津委員 それでは、最終的には国民の政治参加を促すという、大臣がおっしゃる民主主義のまさに基本だと思うんですが、それをやっていく上で何が必要だというふうに、私なりに考えますと、まず一番は、もちろん投票率を上げることだと思うんです。そして二番目は、同じことでもあるんですけれども、例えば在外邦人に投票のチャンスを与えることというようなことも含めて、投票人口の増加ということも挙げられると思います。それからもう一つは、投票の便宜、投票しやすくするということだというふうに考えております。
 その中で、まず投票率を上げるということで、先ほど大臣もおっしゃった、若者の政治参加を促していくためには、政治離れを食いとめるためにはどのような方策があるというふうに、大臣はお考えでしょうか。
片山国務大臣 それは、若い方々に意識を直してもらうというのが一番先なんですけれども、意識を直すようないろいろな働きかけを我々もしていかなきゃいかぬと思います。総務省なり全国選管なり各都道府県、市町村の選挙管理委員会あるいはいろいろな団体がありますから、明るい選挙運動推進協議会なんてありますから、そういうところがいい知恵を出して、若い人に意識を直してもらって、投票に参加してもらうようなことを考えないといけないと思います。
 同時に、政治そのものを、わかりやすく、身近でおもしろいものにする努力も必要だと思うんですね。そのためには、政党や政治家がみんなで努力することも私は、もう一つ必要じゃなかろうか。そういう意味では、活発な選挙運動、活発な政治活動、あるいは争点を明らかにして各党が戦う、こういうようなことも必要だと思いますし、総合的な戦略が要るんじゃないでしょうか。そういうふうに思っております。
阿久津委員 今、総務省含めて積極的に若者に政治参加を働きかけるべきだというお話だったと思うんですけれども、私もそのとおりだと思っております。
 そして、この動きはいろいろなところであらわれているんですけれども、例えば国会議員のユースインターンシップというのがございまして、これは二〇〇二年の三月に、超党派の国会議員の先生方に御協力をいただいて、十九歳以下の若者というんでしょうか、男女に、一日秘書ということで体験をしてもらうんです。私のところには十三歳の青年と十九歳の女性が参加してくださいまして、一日秘書として、一緒に委員会も傍聴したり、部会等も見てもらったり、さらに一緒に食堂で食事をしたり、政策立案の中に加わることはできなかったので、政策立案をしている場面に立ち会ってもらったり、大変有意義な時間を過ごした記憶があります。
 これはお願いという形になるんですけれども、ぜひこういった機会もみんなでつくっていき、国会議員の先生方もお忙しいとは思うんですけれども、積極的に若者の政治参加を、ユースインターンシップみたいなものを受けていただきたいというふうに考えております。(発言する者あり)ありがとうございます。
 一方、例えばドイツなんかでは、もっと過激というよりは進歩的な傾向があらわれております。それは、ドイツの十代のグループでクレッツァーというグループがあるんですけれども、このグループは、簡単に言うと、ドイツの場合は、学校が終わった後、あるところに集まるんですね。それでみんなで一緒にその後過ごしているみたいな、学童保育というとちょっと意味合いが違うかもしれないんですけれども、そういうシステムになっているようで、その中のある一つのシステムの中の子供たちから生まれたグループなんです。このグループは、本来、選挙権というものは生まれながらにして存在するものなんだ、ある意味では、国民のというか人間の基本的な権利の最も象徴的なものなんだという意見を持っております。
 つまり、今、選挙権年齢の引き下げという問題がテーマになっていろいろな動きがございます。各党各会派でも研究されておりますけれども、そんな中で、十八歳とか十六歳という問題はもちろんあるけれども、そうじゃないんだ、国民の基本的な権利の一つなんだという御意見について、コメントがあればぜひお聞かせいただきたいんです。
片山国務大臣 今、委員からお話のあった一日秘書なんというのも、これは大変おもしろいアイデアではないかと思いますね。
 私は、せんだって早稲田祭で、学生の皆さんと共催のタウンミーティングをやったんですよ。何百人かの学生の皆さんと、私ともう一人閣僚が行きまして、いろいろ意見交換しました。しかし、出られた方は皆さん政治に大変な興味を持っているし、いろいろなことをよく知っておられるので、私もちょっとびっくりしたんですよ。最近の若い人はという、本当に見直したような気がいたしますので、何らかのうまいきっかけや働きかけが効果的に行われれば、私は思い切った政治参加が期待できるんじゃなかろうか、こう思っておりますので、総務省としましても、なおいろいろなことを研究してまいりたい、こういうふうに思っております。
 それから、選挙権の年齢をどうするか、昔から大変な議論なんですね。よその国は十八歳まで下げているじゃないか、こういう議論もあります。ただ、私は、我が国の場合ならば、民法や刑法との関係もありますし、やはり成人としての、成人というのは、人格がある程度できて、思慮分別があって、経済的なそこそこの能力があるなんというような、いろいろなことが含まれていると思いますけれども、まだ、今すぐ直ちに年齢引き下げまでがいいのかなという感じを持っておりまして、これは基本ですからね、選挙権の年齢というのは。これこそ各党で大いに議論していただく、そこで合意をとっていただくことが必要じゃなかろうか。おまえ個人の意見を言えと言われましたら、私は、まだ時期尚早じゃないかと考えております。
阿久津委員 きょうは、実は冒頭から片山大臣が、非常に私どもにとっては積極的というか前向きな答弁が多いので、これは午前中に、明るい選挙推進委員の五十周年ですか、それに参加された影響なのかなというふうに喜んでいたんですが、御自身の政治家としての御見解ということだったと思うんですけれども、もちろん、各党各会派に最終的な選挙権年齢の引き下げはゆだねられると思うんですが、ちょっと持論が出てしまったのかなと思うんです。
 その関連でもう一つお伺いしたいんですけれども、最近、いろいろな動きが各地方で起こっております。例えば長野県の平谷村では、今度、二〇〇三年に中学生にまで広げて住民投票をしようという動きがあると聞いております。この趣旨は、もちろん市町村合併の件なんですけれども、市町村合併においては、つまり、より多くの未来への責任を担うであろう若者たちの意見も反映させるべきだという趣旨だと思うんです。
 例を挙げたら切りがないんですが、そのほかにも、大分県の佐伯市というんでしょうか、これもやはり合併問題で、高校三年生を含めた十八歳以上にも投票を想定している。これは未来の話ですね。そのほかにもいっぱいありまして、もう既に行われたものでいえば、高浜市の住民投票条例の改正、これも十八歳への引き下げだったというふうに記憶しております。さらに秋田県岩城町の、高校生を含む十八歳以上の未成年者にも、これは直近ですね、九月の二十九日、住民投票が行われたということが出ています。
 こういう地方の動きに対してどのようにお考えになりますでしょうか。
片山国務大臣 住民投票というのは、住民の直接の御意向を聞くということで、私はそれなりに意味があると思います。しかし、今の我が国の制度は間接民主主義、議会制民主主義ですから、直接制の民主主義じゃないんで、あくまでも議会制民主主義の補完として、住民投票なり、住民の意向を直接に聞くことは機能すべきだ、私はこう思っております。
 選挙権を与えるのと住民投票は違うんですね。住民投票は広く住民の意向を聞くわけですから、若い人を含めて、例えば中学生や高校生の意向を聞くのは、私はそれはそれで、その地方団体の皆さんがそれがいいということになったら、一向に構わないと思いますけれども、選挙権を与えるということは、例えば国政でいうと、衆議院議員や参議院議員を選ぶということですよね。地方でいうと、知事や市町村長を選ぶ、議員さんを選ぶということなんで、直接、政治権力といいますか、そういうことに絡む法律の根拠を持っていることですから、私はそれは総合的に慎重に結論を出す必要がある。住民投票については、私は結構だと思いますよ。
 ただ、今、何でも住民投票で、住民投票で全部そっちに任せてしまうというんじゃ、議会制民主主義がおかしくなるのではないか、これは個人的に思っております。個人の見解であります。
阿久津委員 つまり、今のは、住民投票は住民投票である程度枠を広げることはいいと、しかし、国会議員の資格にかかわるような選挙権年齢の引き下げについては、もちろん国会で十分な議論を尽くして、それで、アンケートというんでしょうか、その意向を伺うというのも、参考にしながらということをおっしゃったんだと思うんです。
 それでは、総務省でぜひ、十八歳への選挙権年齢の引き下げについて、総合的な、全国的な調査を行っていただきたいというふうに思うんです。
 実は、これは以前、前回この選挙権年齢の引き下げの問題で私が質問に立たせていただいたときに、片山大臣が、わかりました、そこまでおっしゃるなら前向きに検討しましょうとおっしゃったんです。その後、しばらく時間を置いてから、質問主意書でどうなりましたかと聞いたら、前向きじゃなくて、「選挙権年齢の引下げに係る世論調査の実施の要否を検討したが、現時点においては必ずしも直ちに実施する必要はないと考えている」というふうにお答えになっているんですが、さらに今、その時点からも時間がたっています。今のお気持ちはいかがでしょうか。これだけ世論が変わってきているということの流れも受けた上でのお話でございます。
片山国務大臣 私は、その答弁を正確に覚えていないんですが、総務省が十八歳までの引き下げについて調査するということは、大変インパクトが大きいんですね。選挙制度を所管している国の役所、内閣の一つの省である総務省が、十八歳まで引き下げることについての是非を国民に聞くということになれば、それは政府として大体その方向だ、こういう誤解を国民に与えるおそれがあると私は思うんですね。どこかのマスメディアや調査機関がやるのなら別ですよ。
 だから、そういう意味で、調査、そういうことがあってもいいなとは私は個人的には思いましたけれども、役所が責任を持ってやる調査としてはいかがかな、こういうふうに今思っているわけでございます。
 各党が、全政党が合意されて、やってみろ、総務省、こういうのならまた私は話は別だと思います。
阿久津委員 今、各党が合意してということでならというふうにおっしゃったんで、実は、選挙権年齢の引き下げを求める国会議員懇談会、まだ議連までいっていないんですが、懇談会というものをつくらせていただいております。これは超党派で、自民党を含めて各党参加していただいておりまして議論をしておりますので、こんな中でも、今のテーマについてもう少し詰めていきたいというふうに考えています。
 それから、総務省以外でアンケートをする分にはいいだろうということで、アンケートを一つ直近のものを御紹介すると、これは日経ビジネスのアンケート調査の結果なんですけれども、選挙権を十八歳以上に認めることに賛成ですか、賛成七一・五%。それで反対が二一・一%。ちょっとここは済みません、字が消えかかっていてそこが見にくいんですが、わからないが六・八%。サンプル数が七百六十五、有効回答数七百六十五で、本年の十月の八日から十五日に行われた調査でございます。
 こういったものも参考にして、もちろん議連でも頑張りますけれども、総務大臣としても、この問題について積極的に加わって、前向きに結論を引き出していっていただけたらなということをお願いしておきます。
 それで、ここの部分、被選挙権についてなんですけれども、これは選挙権年齢そのものが今のような現段階での厳しい御回答なので、被選挙権年齢は難しいと思うんですが、私は、若者の政治参加を促していくという意味では、被選挙権年齢の引き下げも必要だというふうに思っているんです。もちろん、若ければいいというわけでは到底ありませんし、選挙権年齢が引き下げられた後、仮に若者が当選した場合には、その後は厳しい、ある意味では政治の中での荒海にもまれなければならないということもあると思うんです。
 例えば、今アメリカで、史上最年少だと思うんですけれども、ペンシルベニア州のマウントカーボン町長は十八歳で当選をされております。十八歳で当選されて、テーマが、常駐警察官の確保、他町村との合併計画の白紙撤回ということを公約に掲げて立候補されたそうなんですけれども、十八歳、史上最年少で当選して、現在十九歳ですけれども、今も続けられております。
 こういった例もあって、若者の政治参加がどんどん現実面として高まっている。みずから被選挙権を持つことは、仮に当選する当選しないの問題は別にしても、政治参加を促していく意味で非常に大切なことだというふうに私は考えております。
 それからもう一つ、先ほど冒頭で申し上げた国民の参加、政治参加を促していくためには、投票の便宜を図るというか、しやすくするということも必要だと思うんです。総務省としては、ここのところがどれだけできるかということにかかってくると思うんですが、その意味で、ちょっと幾つかお尋ねしたいと思うんです。
 けさ追加させていただいた質問で恐縮なんですけれども、心身障害者、特に重度の方々の投票を容易にするような対策はこれまで講じられてきたかどうか。政府参考人の方からで結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
高部政府参考人 投票にかかわります身体障害者の方々等への対策ということでございますが、現在、制度としてございますのが、身体障害者手帳の交付を受けておられます一定以上の障害のある選挙人の方々につきましては、郵便投票による不在者投票制度というのが認められておるところでございます。
 それから、身体の故障によりまして投票所においてみずから候補者の氏名を記載することのできない選挙人については、代理投票の制度がございます。
 そのほか、私どもが最近努力しておりますのは、投票所のバリアフリー対策ということで、投票所の設置は、従来から、車いすの方などの選挙人の便宜を考慮して、投票区の中で最も適切な施設を選定してくださいというようなことをお願いしておりますし、エレベーター等の昇降設備のない二階以上の場所に設けることは避けてくださいとか、あるいはスロープを設置するといったようなこともお願いしているところでございます。
 私どもの認識といたしまして、選挙権を有しながら投票することが難しい方々の投票機会の確保というのは大変重要な問題だと認識しているところでございまして、選挙の公正の確保との調整を図りながら検討を進めることが必要だというふうに思っているところでございます。
阿久津委員 それでは、ほかにも、できるだけ選挙の投票率を上げたり、国民の政治参加を促すということで、幾つか方策を考えた上で質問したいと思うんですが、記号投票というものがあると思うんです。記号投票のメリット、デメリットについて、及び衆議院小選挙区の選挙に実施した場合のメリット、デメリットについて、また実施の可能性についてちょっと伺いたいと思うんです。
高部政府参考人 記号式投票につきましては、一般論として申し上げまして、投票の効力の判定が容易になること、それから疑問票とか無効票が減少する、選挙争訟が減少する、あるいは投票の秘密が確保しやすい、開票事務の迅速化、効率化に資するといった利点が指摘されているところでございます。
 一方、デメリットといいますか、問題点として指摘されておりますのは、立候補の届け出の締め切り前に投票用紙が作成できないといったような点、それから、候補者が多数の場合には投票しようとする候補者を見つけにくいといったような問題点が指摘されているところでございます。
 現在、地方の公共団体の選挙につきましては、記号式投票が導入できるシステムを用意されておりまして、五百余の団体で導入しているところでございますが、現実にやっておりますのは長の選挙で行われております。議会の選挙の場合には、補欠選挙といった限定された場合に採用されているといったような状況がございまして、今申し上げましたようなデメリットといいますか、問題点なんかがある程度意識されているのかなというような気もするところでございます。
 国政選挙についてどうかというお尋ねでございましたけれども、この投票方式の導入というのは非常に重大な問題だと考えておりまして、私どもといたしましては、先生よく御案内のとおり、衆議院の現行制度を導入するときに一たん記号式の制度が採用されて、その後、平成七年に自書式に戻ったという経緯も踏まえながら我々は考えなきゃいけないというふうに思っているところでございます。
阿久津委員 そうしますと、地方では実際にもうやっているということでございますし、私が実は質問通告した上でその説明を受けたときには、例えば直前に亡くなってしまった場合に、投票用紙が困っちゃうというような話もあったんですけれども、逆に言えば、地方でもう既に実行されているということを考えれば、特別に立候補者数が多いような選挙ではない例えば衆議院の小選挙区などでの実施は、実務上は可能というふうに考えてよろしいんでしょうか。
高部政府参考人 選挙の管理執行上、事務負担が増すことは事実でございます。ただ、私ども管理執行に携わる者といたしましては、国会の方で制度としてお決めになれば、それに従って最大限の努力をするというのが我々の立場だというふうに思っております。
阿久津委員 そのほかにも、電子投票とかe―Japan計画の中でのインターネットを通じての投票とか伺いたかったんですけれども、趣旨としては、国民参加を促していただきたい、私は今の政治は本当に危機状況にあるというふうに思っております。
 それは、国民が政治に対して参加する意欲が薄れつつあるという状況で、もちろん、各党あるいは各政治家に警鐘が鳴らされているとは思うんですけれども、もちろん、民主党にも鳴らされていると思うんですが、それを前提とした上で何ができるかということは、よほど国民の側に立って考えなければいけないなというふうに考えております。特に、記号投票とか電子投票、インターネット投票なども、実務上の困難がたとえ幾つかあったとしても、実務的な側、つまり、事務方の都合で選挙制度を考えるのではなくて、あくまで国民の側に立って選挙制度も考えてもらいたい。そして、その上でいけば、私は、選挙権年齢の引き下げということも選挙権の人口をふやすということで大変大きな意義があるものだと思っております。
 最後に、今の日本は老齢化が進んでおりますので、その危機的な数字だけお話しして終わりたいと思うんです。
 現在、ゼロから十四歳の国民は全体の一五・三%です。それで、生産年齢人口といって十五歳から六十四歳が六九%、老年人口が六十五歳以上ということで一五・七%なんですけれども、これが、ずうっと老齢人口がふえ続けて、西暦二〇三〇年には老年人口が約三〇%になります。つまり、普通にほっておくと、選挙権年齢を引き下げない限りは老年人口の意向ばかりが反映されてしまう政治になってしまう。何とかそれを食いとめるためにも、そろそろ選挙権年齢の引き下げを断行する時期に来ているのではないか、そのことを強く訴えまして、私、阿久津幸彦からの質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
高橋委員長 次に、高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 選挙権に関して、合併によって、その市町村に所在しながら選挙権を消滅したという件とか、政治活動用ポスターの撤去にかかわる事項、市町村議会議員は法の及ぶ範囲ではなかったということについての対策、これはまさに私は遅きに失したという感を禁じ得ないところであります。
 では、質問に入らせていただきますが、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案についてまずお伺いいたします。
 重複立候補の禁止の部分ですが、四月十三日執行、都道府県選挙の候補者となった者が、当該選挙区を含む選挙区で行われる四月二十七日執行の衆議院議員補欠選挙の候補者となることができないこととすること、この点についてであります。
 従来どおりの市町村選挙の候補者となれないということであれば、理由は理解できます。なぜなら、これは明らかに地方政治という同一の舞台でありますし、選挙区のスケールが小さくなる。このため売名行為としての利用が考えられるというのは至当であろうと思います。しかしながら、衆議院議員の場合は、スケールもまた選ぶ側の基準も異なる、僕はそう思っておりますが、この重複禁止理由の売名行為に終始する候補者が功を奏するとも思えないのでありますけれども、市町村への場合と横並びに禁止するというのは余りに安易な立候補の制限の強化と考えられますが、その点の大臣の御見解をお伺いしたいのであります。
片山国務大臣 我々としましては、そういう方は国政一本でやってもらったらいいと思うんですよ。まず都道府県の選挙に出ておいて、落ちたからといってまた国政、こうやりますと、それは御本人の意思やいかんにかかわらず、売名で都道府県の選挙を手段に使ったという誤解を招きますよね、しかも、わずか二週間ですから。私は、大変有権者の皆さんにも混乱を来すので、やはり都道府県の選挙に出た人は市町村の選挙はもう出られないし、同じ日に補欠選挙があるんですから、補欠選挙もそれは御遠慮いただこう、こういうのがこの法律の趣旨です。
高橋(嘉)委員 売名行為の話になるといろいろ議論はあるかもしれませんが、告示日以外の事態という問題とかいろいろあると思うんですが、時間がないのでほかの問題に入っていきます。
 次にお伺いしたいのは、比例代表選出の現職議員の小選挙区補欠選挙への出馬問題についてお伺いします。
 当事者が補選の原因者でない場合、これは法的に問題はない。現下の比例制度のもとでは、欠員は順番に補充されていくわけですから、政党に問題も生じません。しかしながら、現に議員である者が、議員をやめて出馬し、議員になろうとする。一般にはなかなか理解しにくい問題が生まれております。無論、各党の候補者の擁立の方針とか、選挙区事情とか、複雑な要因が絡んでいる。これが大きな要因であろうと思いますけれども、有権者の理解は得にくい問題であろうと思っております。
 この問題について、各党の議論という前提でお話しになられるかもしれませんが、私としては、議員である者が、議員を辞して議員を目指すということは、いささか疑問があろうと思っているんですが、大臣の御見解はいかがでございますか。
片山国務大臣 高橋委員の言われるとおり、衆議院議員である人が、衆議院議員をやめて衆議院議員の選挙に出るんですよ。比例区か小選挙区かというところはありますけれども、これは国民の目から見たらわかりにくいと思いますよ。参議院議員をやめて衆議院議員に出る、もう自分は衆議院議員の方がいいんだ、衆議院議員をやめて参議院議員に出る、自分は参議院議員の方が向いているんだ、これは国民はわかりますよ。しかし、現に衆議院議員の身分を持った方が、やめて同じ衆議院議員になるというのは、なかなか私、わかりにくいと思いますが、現行の法制では禁止していないんですよ。法律上出られるんです。
 だから、この辺、どう考えるかは、これこそ国会の中で各党で御議論いただいて、御結論いただくべき問題ではないかと私は思っております。
高橋(嘉)委員 わかりました。各党の議論はわかりますが、制度上の矛盾、法律上の不備をお考えになられての今の御発言と思います。それであれば、制度上の是正を求めての、政府側としても、各党の議論を促すようなお考えはございますか。
片山国務大臣 正直言いまして、恐らくこの制度をつくったときは、こういう事態は想定していなかったと思うんですよ。だから、そのことをもって不備と言うか言わないか。常識的につくっているんですよ、世の中の制度というのは。しかし、こういうことが仮に起こって、おかしいではないかという意見なら、私は法的に整備する必要があると思います。
高橋(嘉)委員 わかりました。
 では次に、政治資金規正法の第二十二条の六の匿名の寄附の禁止について、この事項についてお伺いをいたします。
 細かいことで本当に大臣には申しわけないんですが、前に通告しておりましたので、お答えいただければと思っております。第二十二条の六には、「何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない。」とあります。
 そこで、例えば全国的組織を有する某政治連盟、これは政治団体届け出は当然していますが、特定政党の候補者を支援するために、他人の名義を無断で使用し入党費の立てかえをした場合、法に抵触しますか。どのような御判断でしょうか。
片山国務大臣 こういうものは個別の事案ごとに、具体の事実に即しての判断が必要とされるものですから、あくまでも答弁としては一般論になる、こういうふうに思いますけれども、党員でない者は党費を払う必要はないんですよ。だから、それを党員だと称して払うというのはいけませんですね。そういう意味では、二十二条の六にありますように、そういうことは、寄附をしてはならないし、寄附を受けてはならないと法律に書いているのは、そのとおり解釈すべきだと考えております。
高橋(嘉)委員 それでは、立てかえによって行われた党費、これを受け取った側は、今、法的にどういう解釈になりますか、受け取った側は。
片山国務大臣 お断りしますけれども、一般論ですよ。(高橋(嘉)委員「一般論です」と呼ぶ)固有名詞が入ったり、具体のあれということになりますと、いろいろな事情がありますし、いろいろな関係がありますから、あくまでも一般論としてお受け取りいただきたいんですが、寄附を受けてはならないと法律が禁じているんですから、受けちゃいけません。
高橋(嘉)委員 一般論とはいえ、大臣の御見解を承って本当にありがたく思っております。まさに、やってもいけないし、受けてもいけないんですね。
 特定の名前を出されると困ると言われるかもしれませんが、これから後のは、見解をはっきりとお答えいただきたくない場合はそれで結構でございます。
 ここに、我が党が入手した資料がありまして、自民党の新規党員の募集要領というものでありまして、ここに、募集目標数、東政連における自民党東京宅建支部の新規党員獲得目標数は云々とあります。さらに、募集の期間とかいろいろ書いていまして、募集促進費、募集活動に係る経費として、次のとおり各地区部あて振り込む、新規入党申込数掛ける一人当たり五百円というものなんです。そしてその他として、党費欄は記入不要と。なお、党費(一般四千円、家族二千円)の本人負担は不要です、こういう通達なんですね。
 こういった問題、先ほど大臣は、本当にこういう事実であったかどうかという視点に立たれることは当然のことだと思いますが、この本人負担は不要ですという文言、これは、先ほど言われた法に触れる、もしくはそれを誘発する行為と考えられますか。御見解はいかがですか。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、個別の事案につきましては、具体の事実に即して検証されて、判断されなければならない、こういうことでございまして、私どもの方は、そういう意味では調査権がないんですね。受け取るだけでございまして、そういうことでございますので、その辺は御理解を賜りたいと思います。
高橋(嘉)委員 いや、今この問題は大きく報道されております。一昨年のKSD問題の際に、自民党は内部調査をし、事実を認めました。しかしながら、党員二万あるいは後援会員百万人以上という候補者要件は温存されたままであります。このときの問題を教訓に公選法は改正され、二〇〇一年七月の参議院選から候補者の得票順に当選順位を決めるという、いわゆる非拘束名簿式が導入されたのではありませんか。このようなことでは、政治倫理の確立を唱えたところで意味のないことと言えます。
 確かに、調査権がないというお話のようでありますけれども、真の政治改革を望む国民の声に今こそ真摯に耳を傾けるときであろうと僕は考えております。政治倫理の確立に向けての議論の必要性についてはどうお考えですか。大臣の御見解をお伺いします。
片山国務大臣 政治倫理の確立は、これはもうだれも異論のない話で、現にこの特別委員会も倫理ということをちゃんとうたっているわけでありまして、もう絶えざる、そういう意味では政治倫理の確立に、すべての政治家といいますか、議員はもとより、政治家あるいは政党が私は努力していかなければならない、こういうふうに思っております。
高橋(嘉)委員 また、全国宅地建物取引業保証協会は公益法人なんであります。公益法人ですから、一般の、営利を追求するものではない。この政治連盟、すなわち、全国不動産政治連盟という政治団体の役員構成も、宅建の保証協会と、それがつくる不動産政治連盟も同一の役員であるという指摘もなされているわけであります。
 このような中で、この全宅保証が会員各社あるいは社員、傘下の業種に雇用される人々に党員募集を働きかけたということは当然想定されるわけであります。ないとは思いますが、いずれ政治資金規正法第二十二条の七の寄附のあっせん行為に関しての問題点がなかったかどうかというところまで、ある意味では考えなければいけないような、そういう党員目標数を立てて、しかも、党費は不要だというようなことでやっているわけですね。何回も同じようなことをやっていますね。KSDの問題のときもそのとおりであります。そういう仕組みを温存しているということ、また、公益法人でありながらこういうことをしている。私は、非常に問題があろうかと思っております。
 それでは、公益法人の代表者がこのような政治活動をすることについての大臣の御見解を伺います。
片山国務大臣 公益法人は公益目的で何をやるかというのは、ちゃんと定款なり寄附行為で決まっているわけでありますから、それに従って適正にやる、ちゃんとやっているかやっていないかは、それぞれ所管の官庁、監督官庁がチェックする、こういう仕組みですね。
 そこで、公益法人の範囲を出るようなことについては政治連盟をつくってやる、こういうパターンは確かにありますね。今、委員のお話は、役員が一緒だとか、こういうお話でございますが、個々の事案については事実関係をしっかり調べて検証しているのかどうか。
 一般論としては、公益法人は私が今言ったとおりです。公益目的で設立された法人で、何をやるかは寄附行為なり定款で決まっているわけですから、それでやっていただく、それはそれぞれの所管官庁が監督している、今こういう仕組みになっております。
高橋(嘉)委員 ですから、例えば公益法人の代表者が政治連盟の代表者と同一人物であって、監督官庁が所管している公益法人、そういった人が同じ政治連盟の代表者にもなって、このような疑われるような通達を下す、指示をし、実際にそういう募集をかける。一般論、大臣個人の見解でも結構です、いかがお考えでしょうか。
片山国務大臣 公益法人の方の役員と政治連盟の方、たまたま一緒になったかもしれませんが、ただ、たまたまといっても、やはり委員が言われるように、疑いをかけられる可能性がありますから、それは避けた方がいいと思います。
高橋(嘉)委員 この問題について、野党四党はプロジェクトチームを立ち上げて全容の解明に向け調査を進めようとしている段階であります。当委員会も、政治倫理の確立が第一義ということであれば、この問題の実態把握、調査権はないとおっしゃいますから、この委員会で実態把握を含め、公職選挙法上あるいは制度上不備がなかったかどうか、これを検証する必要があると思うんです。
 その際に、大臣がこの一つの事案に関しては言えないというお話でありますが、今このような動きがされていると、この委員会に求める御自身の考え方のみで結構ですけれども、このままの状態で政治倫理確立を幾ら唱えたところでこの委員会の役割が果たせるのかどうか、もっと積極的に、ましてその体制を、問題ある体制を温存している問題、まさにそういう状態であるとか、そのときに、公職選挙法上の不備がなかったのかどうか、この辺を再度検証してみなきゃいけないなと、この検証ということになれば、法的な検証ということになれば、各党の話し合いもさることながら、総務省での検証も必要ではないかと僕は思うんですが、その点はいかがでしょうか。
片山国務大臣 委員会としてどういう委員会活動をされるかは、委員長のもとに理事さんもおられますし、皆さんでよく御相談されてやられるべきではないか、こう思っております。
高橋(嘉)委員 こういった問題、後を絶たないわけでありますから、委員長に御提案申し上げますけれども、小委員会をつくるか何か、方法論は理事会にゆだねますが、いずれ御検討をいただきたいと考えております。
高橋委員長 後刻理事会に諮って御回答申し上げます。
高橋(嘉)委員 私の時間が差し迫ってまいりまして、政党の政治活動用ポスター等々についてお話をお聞きしたかったんですが、意見を申し上げるだけで終わりたいと思います。
 この政党の政治活動用ポスター、政党活動を保障する、最大限伸ばしていくという趣旨は全く賛同いたします。しかしながら、限りなく個人の政治活動用に近いという部分が見受けられてなりません。各党に指導しているというお話であります。その点のところ、もう一度総務省に、前提として政党の政治活動を大いに狭めるものであってはいけないわけでありますけれども、それに名をかりての部分があるのではないかということだけを御指摘申し上げ、私の質問を終わります。
高橋委員長 次に、大幡基夫君。
大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。
 私は、まず今回の公職選挙法の一部を改正する法律案の中にあるいわゆる連名ポスターの規制について質問したいと思います。
 いわゆる弁士連名ポスターは、自治省の見解で、選挙期間中の政党の政治活動として認められてきたものでした。私なりに自治省の見解をまとめますと、政治活動は自由なのだから、自己の政治的主張を広く国民に知らせたり、政治活動のための演説会を持ち、それを告知するためのポスターは正当な政治活動であり、その中に予定候補者の写真と名前が入っていてもそれは政治活動用のものとしてであり、したがって、強制撤去の対象にはしない、こういう見解だったと思います。これが、平成十一年、一九九九年の第百四十五回国会において、国会議員や都道府県議員、また知事、市長の選挙において撤去の義務づけが新たに行われたわけです。今回はこれを市議会議員選挙及び町村の議員選挙にまで拡大をするというものだと理解しています。
 そこで、まず国際的な状況についてお聞きしたいんですが、例えばイギリスやアメリカ、ドイツなど、こういう国では選挙期間中の政治活動、特にポスターの取り扱いについてどのような規制があるのか、お答えいただきたいと思います。
高部政府参考人 お答え申し上げます。
 イギリス、アメリカ、ドイツにおきまして、選挙運動用ポスターの掲示を規制する規定があるというふうには承知しておりません。
大幡委員 この三つの国にはポスターの規制が全くないわけです。政治活動の自由を保障する、有権者の知る権利をきちんと保障する、こういう見地なんですね。
 今、総務省のもとに、インターネット時代における選挙活動の研究会が置かれています。この研究会が八月に出した報告書、これですが、この報告書の中で、アメリカ合衆国の規制について紹介されています。十四ページですが、最初にどのように書かれているでしょうか、これもお答え願いたいと思います。
高部政府参考人 御指摘いただきました報告書におきましては、アメリカの選挙運動規制につきまして、連邦選挙運動法におきましては、日本と異なり、選挙運動の手段について、その方法や量について一切の規制を設けていない、インターネットを用いた選挙運動自体は規制されていないが、選挙運動に関する支出や収入については一定の規制が置かれている、連邦選挙管理委員会は、これまで、インターネットによる選挙運動に関する支出のうち、どのようなものが連邦選挙運動法の規制を受け、どのようなものが規制を受けない……(大幡委員「インターネットは聞いていないから」と呼ぶ)いいですか。このような規定になっております。
大幡委員 インターネットの問題はまた後日やるとして、つまり、この報告では、日本と異なりというふうにわざわざ明記して、アメリカの連邦選挙運動では選挙運動の手段について、その方法や量について一切の規制を設けないというふうに書いているわけです。そして、諸外国の選挙運動規制についてという資料も出ているんですが、この中でも、日本ほど異常な規制が行われている国はないということが資料として紹介されています。
 我が国においても、政党の政治活動の自由は憲法が保障する大原則です。したがって、本来、議会制民主主義の根幹をなす国民の代表を選ぶ選挙のときにこそ、政党や候補者等の言論、政策による選挙や政治活動の自由は最大限保障されるべきだというふうに考えます。我が国の現行公選法に対して、あれはやってはいけない、これもいけないといういわゆるべからず主義に偏重しているという批判もあります。私、少し調べてみたんですが、しかし、我が国の公選法の議論も、もともとはべからず一辺倒ではなかったと思うんです。
 例えば、昭和三十七年、一九六二年三月二十三日の衆議院の特別委員会、当時は公選法特別委員会ですが、ここで当時の警察庁刑事局長、後に警察庁長官になられた新井裕さんが答弁をしているんです。私はこれを読んで驚いたんですが、紹介しますと、こう言っているんです。公職選挙法という法律は、
 われわれが見ても非常識だと思わざるを得ないような解釈をしなければならないような、そういう機構、仕組みになっておりまして、私がもし個人的な意見を許されるならば、公職選挙法というものは、こんな長たらしい法律である必要はないと思います。ことに、言論、文書をもって戦うのは当然ということでありながら、ポスターの枚数を制限したり、演説会の回数を制限しておるということは、私どもは取り締まりをするたびごとに非常に苦痛を感じておるのであります。
 片山大臣にお聞きしたいんですが、片山大臣が自治庁に入られたのは昭和三十三年、一九五八年ですから、この答弁はそれから四年後。ですから、御存じかもしれませんが、当時警察庁の刑事局長が国会で、選挙は言論、文書をもって戦うのは当然だ、ポスターの枚数を制限したり、演説会の回数を制限しておることに苦痛を感じる、政治活動をもっと自由にすべきだというふうに公然と発言をしているんですね。私は、ここには今日にも生きる内容があってなかなかのものというふうに思ったんですが、この新井さんの答弁について、大臣、今どういう感想をお持ちでしょうか。
片山国務大臣 個人的な見解を言えばといって断っていますね。だから、やはり取り締まりをやる方の煩わしさなんかも恐らくあったんじゃないかと思いますけれども、個人の意見としてはそういうことを言われた、これは認めざるを得ない、こう思います。
 そこで、委員、選挙運動や政治活動というのは、基本的には自由でいいんですよ。余り無制限な自由を認めますと、選挙の公正が害される、特にお金がある人や権力がある人や、別の物理的なパワーを持っているような人が選挙の公正を害するから、必要最小限度のルールをつくって規制をかけよう、こういうことでございます。
 しかも、選挙制度というのは運用を含めて今まで政治主導で決まってきているんですよ、役所というよりも。それは、各党あるいは各会派が十分御議論されて、選挙制度の中身は決めてこられているわけですから、基本的には自由であるべきだと私は思いますけれども、自由による弊害をどうやって抑えようかということの苦労が、この選挙制度の改正でずっと来ているわけでございまして、ぜひその辺は、過去の経緯を含めて御理解を賜りたいと思います。
大幡委員 もう一つ紹介しますと、この第四十回国会のやりとりですが、先ほど紹介した新井さんの答弁もある、こういう中で、当時の自治大臣の安井謙さんもこう言っているんです。政治活動というものはでき得る限り自由に言論、文書によってできることが好ましい、選挙運動自体も、できる限り窮屈な感じではなく明朗にやられるように、選挙法も考えなければなりません、政党の選挙活動というものにつきましては、相当制限の枠を広げまして、かなり自由にやり得るというふうにいろいろ法の改正も考えておるつもりですと。つまり、公選法を改正する際に、政党の政治活動の自由を広げるというか、そういう観点での対応は当然大事なんだということは、当時の自治大臣もおっしゃっているわけです。
 私、それを読んで改めて、政党の政治活動の自由というのは憲法が保障する大原則だ。したがって、選挙のときにこそ政党や候補者等の言論、政策による選挙や政治活動の自由は最大限保障されるべきものだ、そして、そのことが公選法のあり方を考える上でも重要な点になる。これに対しては同じ意見だと思うんですが、大臣のこの点での見解を再度お聞きしたいと思います。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、選挙の公正が確保される限り自由にすべきです。しかし、公正が確保されないということになりますと、そこにはやはりルールを設けるということがどうしても必要になるので、それこそ国民の理解を得ながら、国会において各党がよく御議論いただいて合意形成をしていただくことではないかと思っております。
    〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
大幡委員 先ほども、政治不信、政党不信に対する政党、政治家の責任という問題も議論になっていましたが、私は、主権者である国民が選挙に対して伸び伸びと自由に活動できるようにしなければ真の民主主義は育たないというふうに考えます。そういう点で、今必要なことは、政治活動の自由を広げるという観点での公選法の全面的検討ではないかというふうに思います。
 次に、先ほど議論になりました十八歳選挙権の問題について質問したいと思います。
 御承知のように、今、世界で下院議員選挙実施の百七十カ国の中で、十八歳以下の選挙権付与は百四十八カ国、世界の八七%の国になっています。サミット参加国では、日本以外すべて十八歳になっています。先ほど大臣、日本の場合は時期尚早というふうなニュアンスの発言がありましたが、実は、歴史的に調べてみますと、我が国は一九四五年に二十歳選挙権をとりました。当時の世界の大勢というのは二十一歳です。つまり、世界の多くの国が二十一歳選挙権のときに我が国は四五年に二十歳選挙権を採用した。そこで、ヨーロッパやアメリカが十八歳選挙権を実施したのは何年からかということをお答えいただきたいと思います。
高部政府参考人 国立国会図書館政治議会課の調査でお答えさせていただきますが、イギリスは一九六九年、旧西ドイツは一九七〇年、アメリカが一九七〇年、フランス一九七四年、イタリア一九七五年に、いずれの国におきましても二十一歳から十八歳に選挙権年齢を引き下げたというふうに承知しております。
大幡委員 つまり、ヨーロッパやアメリカが十八歳選挙権を実施していったのは一九六〇年代末から七〇年代前半なんですね。当時、若者の運動が激しかった時期なんです。長い目で見ると、そういう若者の運動に政治の世界が反応して政府が敏感に対応していった、こういうふうに言えると思うんです。
 当時、選挙部の選挙管理課長をしておられた柳沢長治さんという方が、「ヨーロッパにおける選挙年齢引下げの動向」というのを書かれておるんですが、この中で、西ドイツがなぜ十八歳選挙権を採用したのかということで、こう言っているんです。第一の理由に、「学生青年層の政治的関心の並々ならぬものを認め、十八歳の青年層に選挙権を与えることによって、彼等に政治的社会的責任を負わせることが最も適当であると判断した」というふうに言っています。
 また同じく、我が国の議論の中で、民法その他との整合性を問う意見もあるんですが、この中で、イギリスを指して、イギリスにおいては、選挙年齢の十八歳引き下げと同時に、民法その他の法体系においても成人年齢要件はすべて十八歳に引き下げたということを紹介されています。
 私は、この問題は二十世紀における、つまり五十年間に起こった変化で、そういう点では、日本の政府の対応がいわば保守的であった、そのように思います。
 しかも、今日、日本社会では、環境問題や社会保障の改悪あるいは就職難と高失業、財政破綻など、若者の未来にかかわる重要な問題が山積しています。この若者の政治参加を図ることはとりわけ重要で、そういう点では、今こそ十八歳選挙に踏み切ることが大きな意義を持つというふうに考えますが、改めて大臣の見解をお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 先ほどもお答えさせていただきましたが、私は、選挙権年齢だけが突出するんじゃなくて、例えば民法上の成人年齢や刑事法上での取り扱いなど、法体系全般の中でどう考えるか、その関連づけをしながら検討していくべき問題だ、こういうふうに思っておりまして、大変重要な問題でございますが、いずれにしても、選挙の基本的な部分ですよね、ここは。
 だから、そういう意味では、私は先ほど申し上げましたが、国会の中で大いに議論を重ねていただいて、議論を深めて合意を形成していただくべき問題ではないかと重ねて申し上げたいと思います。
大幡委員 もう一つ、思慮分別問題という答弁を大臣が一度されているので、それも少し御紹介したいんですが、先ほど、地方においても新しい流れがあるということが紹介をされました。
 秋田県岩城町が、合併問題での住民の意思を問う住民投票に、永住外国人を含む十八歳以上の町民に投票資格を認めて、この投票を行いました。この岩城町の住民投票の結果について、毎日新聞がこう書いているんです。十八歳、十九歳の投票率が六八・四%に上った、住民票を残したまま町を離れた大学生らが約三割おり、結果としては町内在住者のほぼ全員に当たる百二人が投票した、十八歳、十九歳のほぼ全員が投票したというふうに書いています。ここには、若者の社会参加と自立を大きく促進するだろうということが示されているというふうに思います。
 愛知県の高浜市が、同じように常設の住民投票条例を十八歳以上に与えるように改正しましたが、この高浜市がどういう理由から投票権を付与したか、承知していれば答えていただきたいと思います。
    〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
高部政府参考人 三つ理由を挙げているというふうに承知しておりまして、若者の社会参加を促進して、大人としての権利と責任の自覚がなされると考えられること。それから、十八歳は経済的自立が可能な年齢であり、現に、結婚や深夜労働、有害危険業務への従事、普通免許の取得、働いている場合は納税者であることなど、社会生活の重要な部分で成人としての扱いを受けていること。三点目に、諸外国の選挙制度を見ると、アメリカ等主要な先進国の年齢要件は十八歳以上とされている。
 このような三つの理由を挙げているものと承知しております。
大幡委員 私は、この三つの理由というのは非常に説得力がある、そういう点では、今この十八歳選挙をめぐる議論の中で、いわば重要な回答になり得るものであり、しかも、それが岩城町の住民投票によって実証されているというふうにも思うわけです。
 私は、二十一世紀を迎えた今、この十八歳選挙権の付与に踏み切ることは、新しい日本の国づくりというか、国家の戦略、いわば哲学にかかわる大きな意義を持つもので、この点で大臣が積極的に行動すべきだというふうに思うんですが、再度御決意、お考えをお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 私個人の意見は先ほど申し上げまして、まだそれだけの成熟度といいますか、十八歳引き下げについては熟していないと私は思っておりますが、これから大いに議論をしていただいて、何度も申し上げますけれども、そういうことでのコンセンサスを得ていただく必要があるんではなかろうかと思っております。
大幡委員 九月十六日の毎日新聞が社説を出しました。こう書いているんです。各党の政策は、自民、保守両党を除きすべて十八歳選挙権を掲げている、引き下げに消極的なのは自民党だというふうに書いているんです。
 ぜひ、二十一世紀を築いていく主役である若い世代の間に新しい流れを起こす力にするという観点でも、与野党が一致協力して十八歳選挙権を実現することを訴えて、質問を終わります。どうもありがとうございました。
高橋委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 きょうは保坂議員のかわりに参りましたが、私は、二年前に初めて国会議員になりまして、そのときに政治倫理などを審議するこの特別委員会に所属をいたしました。今、非常に印象深いのは、ちょうど私が議員になったときに、その直前に、いわゆる当時の建設大臣のゼネコン汚職事件がありまして、そういった問題をこの委員会で質疑をいたしました。
 そうしたら、後日、この委員会の理事会におきまして、当時、当委員会の与党筆頭理事でありました鈴木宗男筆頭理事から、私が発言した内容につきまして、次の一行を削除しろということを強く言われまして、それは何かというと、━━━━━━━━━━━━━━━とは何事だと、えらく怒られまして、野党各党から、それは国会の場で発言をそういう形で封じてはならないといういろいろ異議申し立てがあったにもかかわらず、最終的にはその一行は削除をされました。
 そして、当時、私はまだ、鈴木議員があれほどの政治力を持った方ということは存じ上げませんでした。二年後の今日、さきの通常国会のあの中で、一躍話題の人となって、今は法廷の場で裁かれる身になっておりますけれども、彼が政治倫理を真剣に審議するこの委員会の与党の筆頭理事であったという、これほど皮肉なことがあろうか、そういう印象を持ったのであります。
 そこで、総務大臣、このような政治活動、さまざまな政治活動を法によって規制していくということは、本来あるべき姿じゃないと私は思うんです。
 単刀直入に申しますと、自民党のすべてを私は言っているわけじゃありません、次から次に出てくる不祥事、口きき政治、これは、やはり長年、常に政権の中枢にある自民党の、しかも有力な、政治力を持った政治家もしくは秘書にかかわってこういう不祥事が出てきているんですね。ですから、本来、自民党という政党の自浄能力が問われるべき問題であって、結局、自民党は常にああだということで、国民がそう思い、だから、やむを得ず国が、政治の側がさまざまな法的な規制をしていかざるを得ない、それが現実ではないかと私は思うんです。
 そこで、お伺いしたいんですが、さきの通常国会で議論されておりました公共事業受注企業からの献金禁止、規制に関してであります。
 実は、ことしの三月二十七日の小泉総理の記者会見で、こうした企業献金の規制強化のための法改正案を意向表明されました。翌日の与党三党との懇談の席で、小泉総理は次のようにおっしゃっています。最近の一連の不祥事は公共事業を請け負っている会社からの献金や寄附に関連している、そういうところからの献金や寄附のあり方について検討してほしいということをはっきりおっしゃっています。
 これに関して、いわゆる公職選挙法では、国や地方公共団体と請負契約関係にある企業などは選挙に関する寄附はできないとなっていますね。これを選挙期間中以外にも適用できるかどうか検討されるとなっていたはずであります。
 しかしながら、ことし七月の自民党のいわゆる政治資金に関する有識者懇談会の提言の中身を見てみますと、新聞各紙が報道のとおり、例えば、公共工事受注が一定割合を超えた企業は寄附を制限。例えば、売り上げに占める割合が五〇%を超える場合は寄附限度額を五〇%減というふうに、これをマスコミ各紙は、これでは骨抜きじゃないかというふうに報道されました。
 私が今申し上げた件に関して、片山総務大臣はどのようにお考えであるのか、御見解を伺いたいと思います。
片山国務大臣 この問題も古くて新しい問題でございますが、政治家個人への企業・団体献金は、御承知のように十二年の一月から禁止されておりますね。それはそうなっておるわけでありまして、政党に対する企業・団体献金については、何度も当委員会でも答弁させていただいたような気がいたしますが、企業も、憲法上の政治活動の自由を持っているので、当然、政治資金の寄附の自由も持つ、こういうことでございまして、最高裁の判決でそういうことになっている。
 こういうことでございますが、今、今川委員、経緯を含めていろいろお話がありましたが、私は、やはり政治資金というのは民主主義のコストではありますけれども、そのあり方については、極めて高度な政治的な問題として、各党で十分な御協議をいただく、各会派でコンセンサスを得ていただく、こういう問題ではないかと考えております。
今川委員 政治家個人に対する献金は今おっしゃったとおりでありますが、やはりそれぞれの所属する政党支部を通してまだそれが許されているというところをもっと是正しないと、やはりいつまでたってもこういう不祥事は後を絶たないんだろうと私は思うんですね。
 次に、この臨時国会の冒頭にでも、またまたと言うべきですか、大島農水大臣秘書の口きき問題が表面化をいたしました。常に、政治家並びに秘書が公共事業に口ききを行って金銭を受領する等の不祥事が後を絶たない。これは各議員、私も含めまして、地元に帰りますと、やはり多くの有権者、国民が、もういいかげんにしてくれと。なおかつ、それで政治に関心を持っていただけるならまだ助かるんです。政治から目を離す、背を向ける。そして、今、全国あちこちの首長選挙などでも、いわゆる政治離れ、政党離れ、いわゆる無党派層というのがどんどん広がっている。非常に深刻な事態だと私は思います。
 また、鈴木宗男議員も、国務大臣として公共事業への予算配分に大きな発言力を持っていて、関係業者から多額の政治献金を受けていたことが今、法廷で争われています。
 もう結論ははっきりしていると思うんですね。口ききの対価を政治献金として処理する。政治資金規正法上の収支報告書に載せたところで、収賄罪やあっせん利得罪などの違法性を阻却されるわけではないと私はもちろん思うんですが、そこのところの御見解を承りたいと思います。
樋渡政府参考人 お答えいたします。
 個別の事案におきます犯罪の成否につきましては、証拠によって認定された事実関係に基づいて判断されるべき事柄ではございますが、あくまでも一般論として申し上げますると、政治資金規正法に定める収支報告書等に掲載された金銭等でありましても、収賄罪におけるわいろやあっせん利得処罰法における財産上の利益に当たることはあり得るものというふうに考えております。
今川委員 当然なんですね。
 そこで、お伺いしますが、ことしの五月に、私たち社民党を初め野党四党は、公共事業と口ききに対して政治資金と称して関係企業から政治家が金銭を受け取ることを一年間禁止した、さきの通常国会での野党四党の政治資金規正法等の改正案に関して総務大臣の御見解を伺いたいと思うんです。
 これは、一つには、寄附を受領できる政党支部の制限と、二つ目に、公共事業受注者、利子補給対象の融資を受けている法人の献金禁止、三点目に、後援会等の機関紙誌等への広告規制、それから四点目に、収支報告書等の保存期間を五年に延長、かつ、インターネットで収支報告書等の公開、これが四つの大きなポイントなんです。
 そういう野党四党の共同提案に関しまして、総務大臣の御見解を改めてお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 野党四党がさきの国会に提出されました、今、委員が言われました案について、私も承知いたしております。
 これにつきましては、何度も同じ答弁をさせていただきますけれども、まず国会の中で大いに議論していただいて、何度も申し上げますけれども、その上でのコンセンサスをぜひ得ていただきたい、こういうふうに思っております。
今川委員 先ほど、例えば選挙権を十八歳にする、しないという質問に対して、片山総務大臣は、個人的見解ではあるがということで非常に具体的にお話もされておりましたので、今申し上げましたこの野党四党が提案したことに関して、もちろん、国会でも十分各党各会派、議論しなければなりませんが、片山総務大臣の個人的見解でも結構ですから、より政治をきれいにするためにどのようにお考えですかということをお聞きしたいんです。
片山国務大臣 私は、倫理というものは法律とはまた別の世界のものだ、倫理の世界を法律で律するというのは、国家公務員を含めまして、地方公務員を含めて、大変残念な事態だな、こういうふうに個人的には思っておりますが、この政治資金の問題は、私、先ほど言いましたように、民主主義のコストの問題なんですよ、基本的な問題ですよ。だから、まず当事者である各党各会派での御議論を大いにお願いいたしたい、これが私の公の見解であり、個人的な見解でもございます。
今川委員 だから、私は、冒頭に申し上げましたように、議員個々人であれ、所属をする政党であれ、本来は、自分たちで国民の信頼を得るようにみずからを律していく、これが基本ですよね。しかし、政権の側に立っていない党なり議員には、大体企業は来ませんよ、当てにしないから。そうでしょう。政治力を持っている政治家、それで政権の側にある政治家だからこそ、もろもろの企業は頼りにして、ある種の期待を抱いて献金をし、いろいろなことを発言してもらう、あっせんしてもらう、このような関係にあるはずなんですね。そこがもう何十年も同じことを繰り返してならないものだから、やむを得ず政治の側から法的規制をしていかざるを得ないというふうになっているんじゃないですか。
 さて、もう一点お伺いしたいと思うんですが、さきの補欠選挙で、民主党の古賀一成議員が議員辞職をしようとして、結果的には議長が受理しなかったから失職ということになりましたが、補欠選挙に立候補されたことに対して、当時、与党の内部から、臨時国会冒頭で法的規制をすべきだという声がたびたび出てきました。しかしながら、この補欠選挙終わってみたら、与党の中の、法的規制をすべきだという声はどこかに消えうせてしまっている。あれは補欠選挙がある間の単なる政治的なパフォーマンスだったのかとすら私は思うんですけれども、総務大臣がごらんになっていて、与党内部でそういうふうに、法的にやはり規制をすべきだ、こういう声があったにもかかわらず、どうなったんだろう。片山大臣、どのように思っておられますか。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、衆議院議員が衆議院議員をやめて、衆議院議員の選挙に出る、これは国民の目から見て大変わかりにくい。制度としてもそういうことは想定していなかったんですよ。ただ、しかし、法律上禁止していませんから、それじゃ出られないかというと、出られるわけですね。
 だから、それは、法律上の不備というのかどうか知りませんが、そういうものを不備と仮にするのなら、法的な手当てが必要でないかという議論は私はあっても当然だと思うし、しかし、それは常識の範囲でそれぞれが判断すればいいということなら法的な手当てをしなくてもいいし、そこのところは、まさに各党各会派で、同じことになりますけれども、よく御議論いただくべき問題だ、こういうふうに思っております。
今川委員 今回提出されております地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案でありますが、本案においては、平成十五年六月一日から十日までの間に任期が満了する場合も統一地方選挙として行うことができるとしています。この趣旨をいま一度説明をお願いします。
高部政府参考人 お答え申し上げます。
 平成七年の統一地方選挙として予定されておりました兵庫県議会議員選挙等につきまして、阪神・淡路大震災に伴う特別立法によりまして、平成七年の統一地方選挙の約二カ月後の六月十一日に選挙が実施されたところでございます。その際に任期が六月十日まで延長されたことに伴いまして、これらの選挙は、従来どおりの特例法によった場合には統一地方選挙として行われないということになったわけでございます。
 しかしながら、この対象になった団体から、統一地方選挙への復帰について強い要望がございましたことを踏まえまして、平成十一年の統一地方選挙におきましては、これらの選挙が統一地方選挙として実施することができるように、御指摘のような特例を定めたところでございます。
 今回の特例法案におきましても、このような経緯を踏まえ、これらの選挙が統一地方選挙として執行できるように、これを踏襲させていただいたものでございます。
今川委員 今おっしゃいましたように、この趣旨が、阪神・淡路大震災の特例として前回から引き続き存続させるためにあるとして、統一地方選挙を選択した場合に、選挙は四月に行われ当選が決定するのに、その実際の任期というものが六月十一日からということになるわけですね。ある種、不合理です。この点について、何らかの具体的措置を講ずることは考えられないんでしょうか。
高部政府参考人 委員の御指摘のような御意見があることは私どもも承知しておりますが、二点御理解をいただけたらと思います。
 従前の統一地方選挙におきましても、五月の末が任期満了になっている団体につきましては、四月に行われても新たな任期はそれからということでございますので、六月の十日間分について、これとは全く質的に違うと考えるかどうかという点が一つあろうかと思います。
 それからもう一つは、今回の案におきましても、前回もそうでございますが、六月一日から十日までの分につきましては選択制でございますので、統一地方選挙を選択することも可能ですし、統一地方選挙によらず、任期満了前三十日という一般原則に従って行うことも可能となっている。これを勘案してやっていただければ足りるということになっておりますので、そういうことで御理解いただけたらというふうに思っております。
今川委員 もうほとんど時間がありませんが、杉並区が、いわゆる首長の多選制限条例を検討しているということを聞いています。これについて、かつて総務省でも研究会を行っていたというふうに聞いておるんですが、首長の多選に関しての制限について御見解を伺いたいと思います。
若松副大臣 首長の多選につきまして、大きく二つの意見がございます。一つは、政治の独裁化や人事等行政の偏向化を招く等の理由によりまして、これを禁止すべきという意見がありました。一方、立候補の自由や職業選択の自由の制限となる等の理由によりまして、禁止に反対するという意見もあったと理解しております。また、多選禁止の法案は、過去にも議員立法として三本提出された経緯もあるようです。
 いずれにいたしましても、この問題につきましては、地方自治の観点を初めさまざまな論点もあり、幅広い観点から検討すべき項目ではないかと考えておりまして、各党各会派においてしっかりと御議論いただきたい項目と考えております。
今川委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。
高橋委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
高橋委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大幡基夫君。
大幡委員 私は、日本共産党を代表して、公職選挙法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 今回の改正は、第百四十五国会の法改正で設けられた国会議員や都道府県会議員、知事または市長選挙時において政治活動用のいわゆる連名ポスター規制を、市議会議員、町村議会議員、町村長の選挙時まで拡大しようというもので、選挙期間中の政党などの政治活動にあれこれの規制をする、べからず選挙法を強化するもので、反対であります。
 本来、政党の政治活動の自由は憲法が保障する原則であり、議会制民主主義の根幹をなす選挙のときにこそ、政党や候補者の言論、政策による選挙や政治活動の自由は最大限に保障されるべきものであります。
 今回の規制の拡大は、憲法の要請に逆行するものであり、容認することはできません。
 なお、三カ月住所要件に関する改正には賛成でありますが、ポスター規制という重大な問題が含まれているので、本案に反対するものであります。
 以上、反対の態度を表明して、討論を終わります。
高橋委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
高橋委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
高橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
高橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十一分散会


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