衆議院

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第3号 平成17年7月8日(金曜日)

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平成十七年七月八日(金曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 武彦君

   理事 井上 喜一君 理事 石田 真敏君

   理事 後藤田正純君 理事 中馬 弘毅君

   理事 中村 哲治君 理事 永田 寿康君

   理事 堀込 征雄君 理事 山名 靖英君

      石崎  岳君    今村 雅弘君

      櫻田 義孝君    菅原 一秀君

      砂田 圭佑君    中川 秀直君

      永岡 洋治君    西野あきら君

      西村 明宏君    早川 忠孝君

      増田 敏男君    三ッ矢憲生君

      水野 賢一君    望月 義夫君

      森山  裕君    阿久津幸彦君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      田村 謙治君    高山 智司君

      手塚 仁雄君    寺田  学君

      中山 義活君    野田 佳彦君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      村越 祐民君    斉藤 鉄夫君

      長沢 広明君    吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           佐田玄一郎君

   議員           早川 忠孝君

   議員           宮腰 光寛君

   議員           山口 泰明君

   議員           渡辺 博道君

   議員           岩國 哲人君

   議員           辻   惠君

   議員           中井  洽君

   議員           堀込 征雄君

   議員           長沢 広明君

   議員           山名 靖英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   衆議院調査局第二特別調査室長           高部 正男君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月八日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     菅原 一秀君

  井上 義久君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     奥野 信亮君

  斉藤 鉄夫君     井上 義久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(佐田玄一郎君外九名提出、第百六十一回国会衆法第二号)

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(仙谷由人君外四名提出、第百六十一回国会衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 第百六十一回国会、佐田玄一郎君外九名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び第百六十一回国会、仙谷由人君外四名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案につきましては、前国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

遠藤委員長 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長岡田薫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。

石田(真)委員 おはようございます。自由民主党の石田真敏でございます。

 ただいま議題となりました法律案につきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私の愛読している書物は、安岡正篤さん、御存じの方も多いと思いますけれども、漢学者で大変な碩学でございますけれども、その方の書物なんですけれども、その方の書物の中に有名な論語の一節の解説がございます。それは「民はこれによらしむべし、これを知らしむべからず」という言葉についての解説なんですが、この言葉につきましては非常にいろいろな解釈があります。最近までは、人民というのは従わせておくべきで、一々内容を説明すべきものではない、そういうような解釈が一般的のような感じだったですけれども、だんだんと変わってきました。

 しかし、安岡先生は、昔から一貫して、孔子ともあろうものがそんなばかなことを言うはずはないんだという立場で、どういうような解釈をされておられたかといいますと、これは大まかな説明で申しわけございませんけれども、民衆には、よらしむ、つまり、頼って従うということです。ですから、信頼をしてもらうようにすべきなんだということですね。民衆にはやはり信頼されるようになるべきで、一人一人に理解をしてもらおうというのは、それはやはり難しいんだ、不可能なんだ、そういう解釈をされておられます。私は昔からそういう立場に立っておる人間でございまして、政治の根本というのは、やはり国民の信頼であるということだと私は思います。

 そういう意味でいいますと、現在、公の仕事を行っております我々政治家に対しましても、そして公務員に対しましても国民の信頼が著しく低下している、本当に嘆かわしい限りだと私も思うわけでございまして、一刻も早く国民の信頼を得られるように努めていかなければならないというふうに私は思います。

 その中で、特に政治資金をめぐる不祥事が後を絶たないことは本当に残念でございますし、我々国会議員一人一人が厳粛にこのことを受けとめていかなければならない。そういう意味で申し上げますと、政治と金にかかわる問題についての信頼を得るということは、私は喫緊の課題であるというふうに思うわけでございます。

 そういう中で、自由民主党といたしましては、既に昨年の十一月に、政治資金のより一層の透明化を図るために、所属国会議員の資金管理団体や支部の収支報告書要旨を党ホームページに掲載をいたしておりますし、残高証明書、監査意見書の党本部への提出を義務づけております。さらには、寄附を受領するときには原則銀行振り込みとすることなど、内規を策定いたしまして党改革を進めているところでございます。このことをぜひ御理解いただきたいと思います。

 さて、今回の改正案についてでございますけれども、与党案は昨年早い段階から提出をされておりました。けれども、残念ながら、民主党案の提出がおくれたためにさきの国会では審議に入れなかったということでございまして、まことに遺憾でございます。しかし、きょうこうしてようやく審議が開始をされましたので、ぜひ審議を進めていただいて、今国会で成立を図るようにお互いに努力をしていこうではありませんか。私は、そういう趣旨から質問をさせていただきたいと思います。

 以下、与党案の提出者にお伺いをいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず第一問ですけれども、提案をされました改正案の提案理由、目的についてお聞かせをいただきたいと思います。

佐田議員 今回の改正の目的につきましては、昨今の政治資金をめぐる問題を踏まえまして、政党及び政治資金団体以外の政治団体間における多額の寄附を抑制いたしまして、一方、政治資金団体にかかわる寄附についての透明度を向上させることにあるわけであります。

 まず、政治団体間の寄附につきましては、これまで量的制限がなかったわけでありまして、しかしながら、政党及び政治資金団体以外の政治団体間において巨額の政治資金の授受がなされることについては、国民の政治に対する信頼を確保するという観点から問題が多いことにかんがみまして、今回は、政党及び政治資金団体以外の政治団体のする政治活動に関する寄附は、政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対しては年間五千万円を超えてすることができないものとすることであります。

 また、次に、政治資金団体に対する寄附及び政治資金団体がする政治活動に関する寄附について、これまでその方法に関する制限がなかったわけでありまして、これら政治資金団体にかかわる寄附については、これまで我が党の政治資金団体においては適切に処理してきているところでありますけれども、今回、政治資金団体にかかわる寄附の方法を原則として銀行等への振り込みにするものとし、政治資金の授受の透明度を向上させることによりまして、いやしくも国民から疑惑の目を向けられることのないよう、万全の措置を講ずるとしているところであります。

 以上です。

石田(真)委員 ありがとうございました。

 それでは、続いて質問させていただきます。

 迂回献金ということが問題になったわけでございますけれども、与党案の中には迂回献金の制限が盛り込まれておりません。その理由についてお聞かせをいただきたいと思います。

 あわせて、民主党案では、そういう規定、政党または政治資金団体に対する条件つき寄附の禁止ということが規定されておるわけでございますけれども、与党として、このことについての見解もあわせてお聞かせをいただきたいと思います。

渡辺(博)議員 お答えを申し上げます。

 いわゆる迂回献金というものについて罰則を伴う禁止規定を立法することが可能であるか否か、このことにつきましては、関係者から随時意見を聴取したところであります。国民から信頼される政治を目指して与党内においては真剣に議論をしてきたところでありますが、まず第一点、議論の中で問題となりましたのは、迂回献金の定義であります。

 憲法上は罪刑法定主義というものが規定されておりまして、罰則をもってある行為を禁止するには、構成要件が明確であり、また、禁止される行為とされない行為の区別を明確にすることが求められております。したがいまして、迂回献金を定義するのは非常に困難であるという意見が大勢を占めたわけであります。

 また、罰則の実効性が議論の中で問題とされました。

 仮に条件つきの寄附を禁止したとしても、一体、条件つきというものをどのように立証するのか、また立証ができるのかという点について議論をしましたが、立証は極めて困難ではないかという意見が大勢を占めたところでございます。犯罪事実の証明が困難なため、事実上立件ができないような法律の規定をつくってみても、不必要に国民の権利、自由を制約するだけであって、適当でないという結論を得たわけであります。

 したがって、十分な議論の結果、本改正案においてはあえて規定を設けることをしなかったところであります。

 なお、日歯連からの寄附について、巷間、偽装領収書が発行されたなどとする報道があったことから、我が党は、武部幹事長のもとで、必要に応じて事実の調査、確認を行ってまいりました。その結果につきましては、これまでも小泉総裁が予算委員会で答弁されているとおり、法律に違反する事実はないと報告を受けております。

 しかし、かかる問題により国民の政治に対する信頼を損なわぬよう厳粛に受けとめ、いやしくも疑惑を招くことのないように、政治資金の一層の透明化を図るため、寄附を受領するときは銀行振り込みとするなど、党内において内規を策定し実施したところであります。

 以上です。

石田(真)委員 ありがとうございました。

 この迂回献金の問題というのは、国民の皆さんも関心があるところだと思いますけれども、与党案では、十分検討したけれども、法律上あるいは実効性の上で難しいという結論に達したということでございます、そのように理解をさせていただきたいと思います。

 それでは、続いての質問に入らせていただきます。

 政治団体間における寄附の制限についてでございますが、自民党案では、政党及び政治資金団体を除く政治団体のする政治活動に関する寄附は、同一の政治団体に対しては年間五千万円を超えてすることができないものとされているわけでございますけれども、この上限を年間五千万円とした根拠、理由についてぜひお聞かせをいただきたいと思います。

 私、ちょっと通告のミスで、民主党さんの案では上限三千万円ということで、その理由を聞きたかったんですが、ちょっと通告をしておりませんのでそれは結構でございます。

 あわせて、与党の方にお聞きしたいんですが、民主党案では上限を年間三千万円とされているんですが、実は、ことしの二月八日の衆議院の予算委員会で我が党の馳浩議員が、おられまして失礼ですが、民主党の永田寿康議員にかかわる政治資金の流れについて取り上げまして、種々疑問を提起したところなんですが、実は、その後公表されました永田寿康を支援する会の平成十五年度分収支報告書、これを拝見いたしますと、平成十五年六月十日に三百万円、平成十五年七月八日に七百万円、平成十五年九月十七日一千万円、平成十五年十月一日一千五百万円、馳議員が追及された前回の平成十四年度分収支報告書と同様に、合計三千五百万円をジャパン・クリエートという政治団体、この代表者は永田議員の元公設秘書と言われる方なんですが、そこに寄附をされているわけなんですね。そして、その後は、その平成十四年度分収支報告書と同様に、馳議員が追及されたような、政治資金の同じような流れがあるわけでございます。

 ここでこの問題はこれ以上申し上げるつもりはございませんが、申し上げたいのは、民主党案は上限を三千万円にすると言われているんです。ところが、永田議員の平成十五年度収支報告書を見せていただいたら、三千五百万円政治団体へ行っているわけですね。そうしたら、考えてみてください。永田議員よりも、選挙区事情、広い選挙区があって、たくさんのスタッフを抱えていられる議員さんたくさんおられると思いますね。あるいは、永田議員よりも当選回数も多くて、本当に幅広い政治活動をされていられる方もたくさんおられると思いますね。そういうことからいくと、その三千万円というのが本当に現実的かどうかということなんですよ。

 現実的かどうかということについて私はやはり疑問があるわけでありまして、私は、与党案の五千万円、民主党案の三千万円という中で、こういう問題もやはり十分検討しないといけない、考慮しないといけないと思うわけでありまして、与党提出者の御判断といいますか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。あるいは根拠について御説明いただきたいと思います。

早川議員 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、政治団体の活動内容というのはさまざまであります。一概には言えないところでありますけれども、政治団体が政治活動を行うために必要な人件費その他の経費を賄うために最低限必要な寄附についてまで制約することがないよう配慮する必要がある。その一方で、政治資金の授受に対する国民の信頼を確保するためには、余りにも高額な寄附については制限を設ける必要がある。そういうことで、年間五千万円という額については、これらの事情を踏まえて政治的に判断をしたものであります。

 民主党案では上限は年間三千万円とされていると承知しておりますけれども、御指摘のとおり、政治団体が政治活動を行うために必要な経費を賄うために最低限必要な寄附についてまで制約する結果となるのではないかという疑問があるところでございます。

 以上、お答え申し上げます。

石田(真)委員 ありがとうございます。

 五千万円、三千万円、難しいところでございますけれども、私は、やはり政治活動を行っていく上ではそれなりの費用が要るということ、これは国民の皆さんの御理解もいただいて、きちっと説明をする中でやはりやっていくべきだというふうに思っておるわけでございまして、先ほど例に申し上げましたけれども、通常の政治活動の中で三千万円というのは、少し窮屈なのではないかなというふうに思っておる次第でございます。

 次の質問に入らせていただきますけれども、次に、政治団体間の寄附にかかわる振り込み等の義務づけについてお伺いをさせていただくわけです。

 政治資金団体につきましては、与野党案ともに、千円超えについて振り込み等が義務づけられているところですけれども、その他の政治団体については、民主党案では百万円超えの寄附について振り込み等が義務づけられているのに対しまして、与党案では義務づけされておられないわけでございます。

 しかし、先ほど、私から自民党の改革について御紹介をさせていただきましたけれども、自民党も内規では義務づけをしているところでございまして、すべての政治団体に対して義務づけてもよいのではないかなというようなことを思うわけですけれども、そのあたりについて提出者のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

佐田議員 現行の政治資金規正法においても、すべての政治団体に対して収支報告書の提出を義務づけるとともに、その実効性を刑事罰により担保しておりまして、政治資金の透明性は十分に確保されているところであるわけであります。

 ただ、政治団体の中で政治資金団体は、政党のために資金上の援助をする目的を有する団体でありまして、政治活動の中心である政党を資金面で支える重要な役割を果たす存在であることから、政治資金団体にかかわる寄附についてはとりわけその透明性が確保されるべきものと考えるところでありまして、そこで、本改正案においては、政治資金団体にかかわる寄附についてのみ、銀行等への振り込みを義務づけることとしたところであります。

 しかしながら、民主党案のように、政治団体間の寄附に対する規制をさらに強化して、あらゆる政治団体にかかわる寄附について一律に銀行等への振り込みを義務づけることは、たとえそれが百万円超の寄附に限られるとしても、過度な規制であると言わざるを得ないというところであります。

 以上です。

石田(真)委員 政治団体も、我々政治家の直接の政治団体以外のたくさんの、恐らく何十万になるんでしょうか、そういう政治団体があるという中で今の与党提出者の御見解なんだろうというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 さて、ちょっと時間があれですけれども、最後の質問になりますけれども、民主党案では、政党本部または政治資金団体に外部監査報告書の添付を義務づけておるわけでございますが、このことについては与党案には触れられていないということなんですけれども、このことについて、与党側としては民主党案についてどのような御見解をお持ちであるか、お聞かせをいただきたいと思います。

渡辺(博)議員 政党及び政治資金団体に対して外部監査を義務づけるということは、ある面では、政党や政治資金団体の秘密や、または寄附を行った者等の個人のプライバシーが侵害されるおそれがあるのではないかという懸念がまずあります。また、政党や政治資金団体の政治活動に対する第三者の不当な介入を招くおそれがあるのではないかという懸念もあるわけでありまして、そういった意味で、我が党ではこの義務づけをしなかったわけであります。

 なお、政党助成法の中には、今回の民主党案と同様の外部監査を義務づけております。これは、公金である政党交付金の使途に対する監査であるがゆえに設けられていると理解されており、公金でない政治資金についての監査とは質的に異なるものと思われます。

 以上です。

石田(真)委員 ありがとうございます。

 以上で、通告をさせていただきました質問についてお答えをいただいたわけでございます。時間を残して終了させていただきたいと思いますけれども、私は、先ほど、冒頭でも申し上げましたように、やはり国民の理解を得る、それでなければ、政治、特に公にかかわる者、公務員もそうですけれども、すべて順調にはいかないわけでございまして、この国民の信頼を得るためにも、今回の改正案がスムーズに審議をされて可決されるように、強く強く望みたいというふうに思います。

 ただ、一方、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、やはり、政治活動をするということについてはそれ相応の費用がかかるということ、これも事実なんですね。ですから、そのことについて、与野党ともにやはりきちっと国民の理解をいただく、そういう努力を積み重ねていかないと、言葉に語弊があってはいけませんですけれども、そういうつもりで言うんではないんですが、余りあつものに懲りてなますを吹くようなことをしていたら、まともな政治活動がかえってできなくなるということも一方ではやはりあるんではないか。

 そのことについて本当に真摯な態度で国民の皆さんに理解を求めていくということも大事ですし、そのことによって、我々が、国会議員として、政治家として、国民の御期待に沿えるような政治活動を存分にできるようなそういう環境を整えていくということも私は非常に大事だというふうに思っておりまして、与野党の提出者の皆さん方を初め、我々みんなでそういう環境整備のためにも努力をしていかなければならないということを心から申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 先ほど、石田委員も御発言されておりましたけれども、信頼こそ政治の要諦でございます。この政治に対する国民の信頼なくしてあらゆる改革を進めることはできない、このように考えます。今回の政治資金規正法改正の論議は、昨年明らかになりました日本歯科医師連盟をめぐる不透明な献金事件、これを初め、後を絶たない政治資金をめぐる不祥事への対応として始まりました。

 一貫して清潔な政治の実現と政界浄化を目指して政治と金の問題に取り組んできた公明党といたしましては、このような、日歯連のような事件はまことに遺憾でございます。そして、その結果として、国民の政治に対する信頼を現実として大きく失墜させてしまったということは大変残念でございます。国民からも、怒りというよりも、もうあきれて物が言えない、こういうのが率直な声だったのではないか、このように思います。

 今こそ政治家が、そして一人一人が襟を正して、国民の政治への信頼を一刻も早く回復するためにも、公明党としても、延長された今国会の会期内で何としてもこの政治資金規正法の改正を成立させて、再発防止策に全力を挙げていかなければならない、このように考えているところでございますので、よろしくお願いをいたします。

 私たちは、昨年よりずっと、民主党さんがこの政治資金規正法の改正案の審議を行うことを御決断されることを待ち望んでおりました。今回ようやく審議に応じていただいた、その御決意を無にしてはならないとの思いで、短い時間ではございますが、御質問をさせていただきます。与党そして民主党、両案について質問をさせていただきます。

 まず、与党の改正案からお伺いいたします。

 今回、いわゆる迂回献金の制限も検討されたそうですが、あえて与党案に盛り込まなかった理由をお聞かせください。

佐田議員 いわゆる迂回献金というものについて、罰則を伴う禁止規定を立法することが可能か否かについて、関係者からも随時意見を聞きながら、国民から信頼される政治を目指して、与党内でもうこれは真剣に議論をさせていただきました。

 まず議論の中で問題とされたのは、迂回献金の定義でありまして、憲法は、罰則をもってある行為を禁止するには、構成要件が明確で、禁止される行為とされる行為の区別を明確にすることを求めているんですけれども、迂回献金を定義するのは非常に困難であるという意見が大勢を占めたところであります。

 また、次に、罰則の実効性が議論の中で問題とされたわけでありますけれども、仮に条件つきの寄附を禁止したとしても、一体、条件つきというものをどのように立証するか、または立証できるかという点について議論したのでありますけれども、立証は極めて困難ではないかという意見が大勢を占めたところであります。

 犯罪事実の証明が困難なために事実上立件ができないような法律の規定をつくってみても、不必要に国民の権利、自由を制約するだけであって、適当でないという結論を我々としては得たところでありまして、したがって、十分な議論の結果、本改正案においては、あえて規定を設けることはしなかったところであります。

 なお、日歯連からの寄附について、巷間、偽装領収書が発行されたなどとする報道があったことから、我が党は、武部幹事長のもとで、必要に応じて事実の調査、確認を行ってきたところでありまして、その結果、これまでも小泉総裁が予算委員会で答弁されているとおり、法律に違反する事実はないと報告を受けているところであります。

 しかしながら、かかる問題により国民の政治に対する信頼を損なわないように、厳粛に受けとめ、いやしくも疑惑を抱かれないように、政治資金の一層の透明化を図るために、寄附を受領するときには銀行振り込みとすることなど、党内において内規を策定し実施しているところでございます。

斉藤(鉄)委員 同じく迂回献金について、民主党案についてお伺いいたします。

 そもそも、昨年明らかになったこの日歯連をめぐる不透明な献金事件の本質は、迂回献金だから悪かったということではなくて、献金の裏側に贈収賄的な悪質な行為が潜んでいたというのか否かというところに問題の本質があったと思います。

 したがって、まずその点については、あっせん利得処罰法等の適切な運用、厳格な運用ということで対処するのが本筋だと考えますけれども、いかがでしょうか。

堀込議員 斉藤先生、長年政治改革に御苦労いただいてきまして、ここでも前向きな質問をいただいておるというふうに理解をさせていただきながら答弁をさせていただきます。

 今度の日歯連マネーによる事件は、贈収賄ももちろんありましたし、それから、業務上横領にかかわる、日歯連の会長選挙にこのマネーが還流した事件もありました。それからもう一つ大きなのは、やはり迂回献金まがいのことが今指摘をされているわけでありまして、これは、国民の政治不信を大きく招いている、あるいは疑惑の声が国民の間に起こっているというふうに理解をするわけであります。

 それで、迂回献金というのは、今も与党側の答弁にございましたが、いろいろ難しい点はあるんですけれども、しかし、今度の事件を見ますと、日歯連マネーが、一度自由民主党もしくは国民政治協会の領収書をくれとか、そういう話があったりいろいろなことがあったわけでありまして、いわば、政治献金の上限枠を隠すとかあるいは献金先を隠すとか、そういう意図で行われている事例の一つだというふうに指摘をされているわけでありまして、今度の日歯連マネーは、そういう意味で国民の不信を大きく招いた。ぜひともこれは、確かに、今の与党の答弁にございましたように、立証が難しいとかいろいろな問題があるんですけれども、しかし、こういうことが白昼公然と行われる、あるいは、場合によればお金自体は動いていない、お金自体は直接行っているんだけれども、領収書だけ政党もしくは政治資金団体の領収書を出すとか、そういうことも言われているわけでありますから、ここのところは法定で明確をしてやはりやるべきだろう。

 それから、刑法のあっせん利得の方の話なんですが、これは何度も法改正を重ねてまいりまして、贈収賄罪を初め、あっせん収賄罪とかいろいろな法律ができてあっせん利得罪もできたわけでありますが、先生御存じのとおり、あの法律は請託が条件になっている、あるいは「その権限に基づく影響力を行使して」とか、そういう法律ができながら、なおかつ今度の日歯連の事件が起こったわけでありまして、そういう意味では、私どもは、今度明らかになった迂回の献金というのは明確に法定化するということが大事だろうと、こういう思いで提案をさせていただいております。

斉藤(鉄)委員 今、与党案、民主党案それぞれ御答弁があったんですが、ポイントは、この迂回献金の認定の困難さということにポイントがあるのかな、今お二人の御答弁を聞いてそう感じました。

 それで、実際には明確な契約という形をとらずに、趣旨が必ずしも判然としないまま献金が行われるケースがあって、その認定というのは非常に難しい、このように思うんですが、今、堀込議員の御答弁に半分もう含まれていたわけですけれども、この点についてもう一度御答弁をいただきたいのと、事実上立件できずに絵にかいたもちになってしまうおそれが非常にあるということで、その辺の捜査の困難さという意味で、警察庁からこの点について答弁をいただきたいと思います。

堀込議員 先生の御指摘はよくわかります。ただし、寄附の授受の有無については、これは一般的に立証できるんだと思います。それが、果たして条件の有無は、先生御指摘のとおり、明確に規定をして判断するのは、寄附の授受はできるけれども、そこの条件の有無を実際に立証できるかというと、相当難しさがあるというふうに私どもも思っております。

 しかし、これはまだ公判中のものもありますけれども、政治資金の流れが今度の日歯連のように明確である限り、迂回献金はだめだよ、これは罰則をもって処置をされるよということは明確にやはり位置づけておくことが、先生がおっしゃいましたように、贈収賄を初めいろいろな法律がありながら、なおかつああいう事件が起こるわけでありますから、これはちゃんと規定しておく、もう政党や政治資金団体を経由してやってはいけないよということは、それは犯罪なんだ、あるいは、仮の領収書を政党、政治資金団体から出させるような偽装献金というのは違法なんだよということをちゃんと位置づけておく、ちゃんと規定しておくということが、今度の事件に起こったような日歯連マネーの迂回の疑惑を、国民の前に政治資金を透明化するという意味でも極めて大事だというふうに思っておりますので、御指摘の点はございますが、しかし、ちゃんと法定するという意味は大きいというふうに理解をしております。

佐田議員 今、答弁の中に、我が党の政治資金団体の偽装の話が出ておりましたけれども、一切そのようなことはありませんので、ここで一つ答弁をさせていただきます。

岡田政府参考人 特定の行為が特定の法令の規定に違反するか否かにつきましては、証拠に基づいて認定されます事実関係に即して判断されるものでございますので、あることが違反か否かの認定の困難さについて、私どもの立場で一概にこれは困難であるとかないとかお答えするのは大変難しいところを御理解いただきたいと存じます。

斉藤(鉄)委員 かなり難しそうだなというニュアンスは伝わってきましたけれども。

 それでは、次の質問に入ります。

 寄附の制限についてですが、民主党案では、政党、政治資金団体以外の政治団体のする同一の政党、政治資金団体に対する寄附は年間一億円を超えてはならないと規定されております。

 しかし、そもそも政党は政治活動の中心となるべき存在であることから、政治資金規正法は、政党本位の政治資金制度の確立を図ろうとしているところであります。したがって、例えば企業献金についても、資金管理団体にはだめだけれども、政党の資金団体にはいいよというふうになっているわけでございます。これに対して民主党案は、一般の政治団体からの政党または政治資金団体に対する寄附について年間一億円という上限を設けておりますが、これはこのような政治資金規正法の趣旨にそぐわないのではないか、このように思います。

 また、年間一億円という制限については、全く政治活動を本来の目的としていない企業が政党、政治資金団体に対して年間一億円までの寄附を行うことが可能であるということとのバランスがとれていないというふうにも見えるわけでございますけれども、この二つの点について民主党はいかがお考えか、質問いたします。

中井議員 斉藤先生にお答えをいたします。

 年間一億円の上限ということにつきましては、国民が、やはり政治団体のする寄附であっても、大変激しい批判が寄せられている現状、こういったことを十分考慮して定めたところでございます。

 また、企業の政党、政治資金団体への寄附の上限、これは先生御承知のとおりでありまして、総枠制限であります。しかし、今回私どもが定めておりますのは、同一の政党あるいは政治資金団体への寄附の上限というものは個別制限でありますので、一律に比較するということはできないだろう、また、十分政党の活動に制限を加えるものではないだろう、このようにも考えております。

 大変お時間をとって恐縮でありますが、先ほど斉藤先生が、冒頭、公明党さんの立場を言われました。私は、そういった意味で公明党さんを本当に尊敬して今日まで見てまいりました。ただ、この政治資金の問題については、従来、私どもいろいろな党で御一緒したときもあれば、野党同士で法案を提出したこともございます。公明党さんのお立場からすると、私は、こういう政治資金のことに関すれば、与党の枠を外れられて、私ども民主党と御一緒にこの法案を出された方が、今の政治資金に対する国民の不信というものを払拭する意味では思い切ったことができる、そう考えておりまして、ぜひ御英断をいただきますように、この機会に申し上げておきます。

斉藤(鉄)委員 質問者は答弁をする義務はないということになっておりますので、あえてお答えはいたしませんけれども、今回の政治資金規正法をぜひ成立させて、今回、一歩でも進めていきたいという思いであることを申し述べさせていただきたいと思います。

 同じ問題で与党案についてお伺いします。

 今回、政党、政治資金団体への寄附に上限を設けなかった理由、これを簡潔に答えていただきたいと思います。

山名議員 先ほど斉藤議員がおっしゃいましたように、現行の政治資金規正法というのは、政党を中心にしてその資金の流れを公明公正にしよう、本来こういう趣旨を持っているわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃいましたように、政党、政治資金団体につきましては、いろいろな意味でいわゆるその制約といいますか、そういったものを取り外し、企業・団体献金も認めるし、政治家個人に対する寄附も認めている、こういう一つの許容範囲を持っているわけでございます。

 そういう意味では、議会制民主主義、これをやはり健全に発展させよう、こういう意味合いを持ってこの政治資金規正法が今存在をしているわけでございます。そういう意味では、政党本位の政治資金、こういう制度をさらに精密化するということは、これは極めて大事なことであろうと。

 そういう意味で、かつて、平成十一年の十二月でしたか、政治家個人に対する企業・団体の献金を禁止した、そして、翌年の十二月にあっせん利得処罰法をつくり、平成十四年には私設秘書まで制限を設けたということで、一定の法改正をしながらその透明性を確保していく、そして政党本位の資金の流れというものを明らかにしてきた、こういう経過もあるわけでございます。

 そういう意味では、政党の政治活動が中心であるというこの存在感といいますか、こういったものをしっかり担保する、そして、政党の政治活動の自由、こういったものを妨げることがあってはならない、こういう観点からあえて上限は設けない、ただし、その資金の流れの透明度というものはしっかり高めていこうということで、郵便等の振り込み等のそういった資金の流れを明らかにしよう、こういうねらいを今回持って、あえて上限を設けなかったということでございます。

斉藤(鉄)委員 その透明性の確保、銀行振り込みの件でございますが、今回は、政治資金団体に対する寄附及び政治資金団体が行う寄附について、原則として銀行振り込みということになっておりますが、この政治資金団体にかかわる寄附に限定したのはなぜか。もうすべてそうすべきではないか、政党を含むすべての政治団体にかかわる寄附について銀行振り込み等にすべきではないかという指摘もございますが、この点を最後にお伺いいたします。

山名議員 先ほどもお話が出ておりましたけれども、今の政治資金規正法におきましても、政治団体に対しては明確にその収支報告書の提出を義務づけておりまして、その実効性といいますか、違法があればこれは刑事罰、こういうことでその実効性を担保している、これが現行法でございます。そういう意味では、現行の法律の中で政治団体のそういった透明度というのは今十分に確保されているんじゃないかというふうに考えております。したがって、さらにその上に規制を強化していくということはいかがなものか。あらゆる政治団体の寄附について一律に銀行等への振り込みをさせるという、これはまさに過度な規制、オーバーキルといいますか、こういうことにもつながってしまいますし、一方、政治活動の自由というものをそいでしまうんじゃないか。

 ただ、政治資金団体については、先ほど言いましたように、政党のための資金上のこういった援助をする、そういう目的を持って設立された団体でもありまして、政治活動の中心であるところの政党を資金面で支える、こういう役割を持っている以上、国民的にも極めてやはり関心の高い部分でもございますので、そういう意味では、政治資金団体、そういう重い責任というものを加味しながら、その透明度を一層増すために、今回、振り込み制といいますか、こういうことを義務づけたということでございます。

 政治団体等につきましては、先ほど自民党の方からもお話がございましたように、現に内規等で定めて、厳格な監査をしながら行っていらっしゃるようでございます。いやしくも、国民のそういった批判、疑惑が持たれないように努力をしていく、きちっとその辺は担保していくということは当然のことでありまして、これはもう、一層各党の努力が必要ではないかと思っております。

 以上です。

斉藤(鉄)委員 終わります。

遠藤委員長 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 私も、今までの議論に引き続きまして、政治資金規正法の一部を改正する法律案、与党案と、政治資金規正法等の一部を改正する法律案、民主党案について御質問をさせていただきます。

 先ほどから、与党側からも、そして民主党の議員からも基本的に共通しているのは、まさに国民の政治に対する信頼を取り戻す、とにかく、今、国民が政治家の資金の流れについて大いなる疑惑を持っているという事実認識については、そして、その疑惑を払拭して信頼を回復するという表面的な部分について共通しているということは、この五十分ぐらいでの議論でも明らかになったと思います。

 その中で、例えば今国民の疑惑というのは一番何なんだろう、そこがまさに日歯連から橋本派への一億円という話だったんだというふうに、我々民主党は強くまさに国民の意思を代弁して思っているわけでございます。

 ですので、今回のこの政治資金法の改正よりも、先にそちらの問題についてしっかりと国会で事実を解明したい、その思いで我々は今に至るまで主張してきた、それが今回の審議が今に至った理由でございまして、我々は、こういったまさに資金の透明性、国民の信頼を取り戻すためにこの資金法を改正する、我々も強く思っているところでございますので、決して、今まで決意ができなかったとか、我々が審議を先延ばししたというようないわれなき御批判はぜひとも撤回をしていただきたいと最初に申し上げさせていただきます。

 それでは、各党のそれぞれの法案について、今までの議論も踏まえて御質問をさせていただきます。

 まず、政党と政治資金団体を除く政治団体から同一の政治団体への寄附の制限、与党案は五千万円まで、そして民主党案は三千万円までという話がございました。まさに与党側の方もおっしゃっておられたように、巨額の寄附については国民の理解を得られない、そういう中でどこで線を引くかということになるわけですけれども、先ほど、質問者の方でありましたけれども石田先生は、最低限与党案ぐらいは必要だというようなお話もされていらっしゃったというふうに思いますが、この与党案の五千万にしても民主党案の三千万にしても、別に一年間の活動費すべてのまさに総額規制では全くありませんので、その点、非常に何か混同したような議論をしているなという印象がございましたけれども、民主党の方で三千万というふうに区切った根拠についてまず最初にお伺いします。

堀込議員 先ほども議論になりまして、多分永田議員に対する質問もございましたが、彼は質問時間があるので、自分のことはまたその時間に立証されるんだろうというふうに思います。

 五千万なのか三千万なのかという話があるんですけれども、私どもの感覚からすると、三千万というのは、やはり、一政治団体からかなり突出した、そう例のない献金だと思います。やはり、この辺でちゃんと線を引いて政治活動に対する実害というのはないんだろうし、これ以上だと、やはりその背後に何か政策的意図とか政治的意図とかそういうものがあるんではないかというようなことも想定されないわけではない、こういうふうに思いますので、三千万円という数字は、私ども民主党の常識としては極めて突出した額であって、多分永田さんも、三千五百万という話があったから後の質問時間でおっしゃるんでしょうが、仮にそうであれば、三千万円で打ち切ってもらう、こういうことになるわけであります。

 今、質問冒頭にございまして、私も答弁を忘れましたが、政治資金規正法の討議を私どもが引き延ばしたんじゃなくて、実は、この法案の前にも、私ども、例えば企業・団体献金を政党に集中したのに政党支部が七千幾つもできているとか、いろいろな問題について指摘をし、既に法案も出してあるんですが、これらをつるしていたのは与党である、むしろ政治資金規正法の審議を先延ばししたのはそういうことだということを、先ほど答弁を忘れましたので、指摘をさせていただきます。

田村(謙)委員 今の民主党案の三千万という説明に対して、与党案は五千万というふうな線を引いていらっしゃるわけですけれども、その五千万という数字の根拠について御説明ください。

佐田議員 今も答弁にありましたように、今回の法案、我々としては襟を正して出してきたわけでありまして、その中で速やかに法案を出していただきたかった。先般、提案理由説明をやり、今回の委員会に至ったということは、私は非常によかったなとこういうふうに思っておりますので、速やかに結論を得ていきたい、かように思っておるわけであります。

 今御指摘にありました、制限を五千万にしたということでありますけれども、民主党さんの方が三千万と。その他の政治団体からその他の政治団体に対する寄附ということでありますけれども、政治団体の基本というのは、やはり、健全なる政治、民主主義を発展させるための負担としての存在があるわけでありまして、例えば、企業そしてまた労働組合の方々から、これはもう全然政治が目的じゃないんですけれども、党または政治資金団体に対する寄附は資本金に応じてこれは一億までできる、こういうことを考えたときに、我が党としては、やはりその他の政治団体間の要するに枠は五千万ぐらいが適当なんじゃないか、こういうふうに判断をさせていただいた次第です。

田村(謙)委員 先ほどの一億円との比較というのはどうもぴんとこないところがございますけれども、ちょっと時間の制限がありますので、話を若干先に進めますと、民主党の方では、その他の政治団体からまさに政党、政治資金団体への寄附についても一億円という制限を設けております。それに対して、今まで与党側の方では、まさに政党本位の政治だ、その政党への寄附についての制限をつけるのはおかしい、そぐわない。おかしいとはおっしゃっていませんでした、そぐわないというようなお話もあったかと理解をしています。

 そしてまた、先ほどからいろいろなところで、健全なる民主主義の発展、政党本位の議会政治の発展、その点は確かにそのとおりだということはもうあらゆる議員が認識をしているところですけれども、何が健全かというのは、我々議員よりもむしろ国民が判断をする話でございまして、この程度が健全なんだというふうに国民が理解をした場合に、初めて国民の政治への信頼というものが取り戻せるんだろうというふうに思います。

 そういった中で、政党について、もちろん政党本位の政治というのは、それはそうでございますけれども、例えば民主党については、一つの団体から政党へというのは年間一億円、あらゆる団体のを合わせて総額一億円ということは決して言っていないわけなんですけれども、やはり一億円以上というのは、非常に先ほどの議論との延長で突出をしているという印象を感じるわけですが――間違ったかな。トータルでしたっけ、総額でしたっけ。済みません、大変失礼しました。今の発言は撤回しますが、とにかく、総額一億円を超えるというのはさすがにまさに過度なんじゃないかという認識のもとに民主党案ができているわけですけれども、その点については与党側はいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。

佐田議員 今、田村先生の方から御指摘があった一億円というのは、基本的に、企業、団体、いわゆる労働組合も含めまして、これが政党及び政党の保有する政治資金団体に対してそういう資本金に応じてやるということでありますけれども、そういう中におきまして、やはり政治資金団体に対する寄附につきましては、これは先ほど申し上げましたように、議会制民主主義の健全な発展を図るために政党本位の政治資金制度の確立を図ろう、こういうことでありまして、その辺の御理解をいただきたいと思います。

田村(謙)委員 では、同じ件につきまして民主党側からも御答弁をお願いします。

中井議員 今回、私どもがこの改正案を提案いたしましたのは、御承知のように、昨年、日歯連から自民党の旧橋本派に対するやみ献金事件に代表される、政治と金をめぐる一連の事件があったからであります。現在、司法の手で争われているところでもありますが、しかし、この事件で一億円というお金が収支報告書に記載されなかった、国民の常識から見ても本当に考えられないような事件でございます。

 私どもも、これに関していろいろな政治資金の流れというものをチェックをいたしましたけれども、一年間に一億円以上の寄附を政党等にしている政治団体というのは数えるほどしかありません。その中の一つが今回の日歯連でございます。

 そういった意味で、政党の活動や資金集めに制限を加えるつもりはありませんけれども、しかし、この事件で襟を正すということであるならば、当然、こういった形での制限を考えるべきだ、私どもはこのように考えて本提案を提出させていただいた次第であります。

 お時間をいただいて大変恐縮でありますが、先ほど、自民党の石田議員さんから我が党の永田議員のことについてお触れがありました。また、ことしの予算委員会においても、この日歯連事件に関連して馳議員から、突如、永田議員の問題について御発言がございました。いずれも民主党の答弁をする人もいない、予算委員会なんかはそういう時期であります。今回も、私どもお尋ねがあるのかなと思ったんでありますが、お尋ねなしでございます。田村さんの後に永田さんがおやりになりますが、自分のことはお言いにくいと思いますので、あえてこの時間をいただいて私から申し上げますが、これは大変不愉快なやり方だ。永田君のような有望な若手政治家に対して何のいわれもない非難中傷を与える。永田君の政治団体の資金の動きが、どこか違法があるというのならおやりになればいい。しかし何もない。そういう動きがあるということだけでさも疑惑があるような言動というのはお慎みいただきたいものだ、こんなことをあえて申し上げて、答弁とさせていただきます。

田村(謙)委員 私が申し上げたいことも大体民主党側から話がありましたので、次のテーマについて質問させていただきます。

 寄附の銀行振り込みですけれども、先ほどから議論はありますが、まず、民主党の方では、政治資金団体以外への政治団体への寄附についても銀行振り込みを義務づけるという法案になっていて、それについては与党案では規制がないということについて、先ほどからお話を伺っていますと、収支報告書で実効性は担保されている、あるいは民主党の案が過度な規制である、義務づけるのは過度な規制である、あるいは政治活動の自由を阻害するといったようなことをおっしゃっておられますけれども、例えばどのように過度なのか、そしてどのように政治活動の自由というのが制限されるのかというのを、より具体的に御説明ください。

佐田議員 今回の法案につきましてはいろいろと反省がありまして、今もお話がありましたように、田村議員の方から、一億円というのは大きい数字じゃないかとか、私は誤解しておりましたけれども、その一億円ということをどういう意味で言っておられるのかわかりませんけれども、我々は政治資金団体間を五千万に制約する。これは、はっきり申し上げまして、要するに、健全なる政治活動を担保する意味において、その他の政治資金団体からその他の政治資金団体というのは今まで規制されておりませんでしたけれども、それも企業とは別にこれは規制をしていこう、こういうことでありますから、私は、これは健全なやり方ではないか、こういうふうに思っている。また、反省に基づいてやっておるのではないか、こういうふうに思っております。

田村(謙)委員 済みません、私は、先ほどの話はもう区切りまして銀行振り込みの話を御質問したので、今のは全く答えになっていません。

佐田議員 それは、政治資金収支報告書、これを間違ったり、新たにこれは記載漏れがあったであるとか、これに対しては刑事罰で対応しておりますから、過度の規制になるのではないかと、こういうことであります。

田村(謙)委員 私がお伺いをしているのは、銀行振り込みを義務づけるとどのように過度なんですかとお聞きしているんです。あるいは、どのように政治活動の自由を阻害するのかとお聞きしているんです。

佐田議員 ですから、それはやってもいいですけれども、要するに、もうほかのところで罰則が科されておるわけでありますから、そういう担保があるということを申し上げているんです。

田村(謙)委員 だったら、別にやってもいいんじゃないですか。

 というのは、結局、大体一般常識として、まさに国民の信頼を得るための一般常識というのは、非常に金額が多い場合には振り込みを使うというのがもう常識になっているわけですよね。それを、振り込みを使わずに、よくテレビとか出てくるように現ナマを運ぶというのは、怪しい裏の世界じゃないのというのがまさに国民の不信につながっているわけじゃないですか。銀行振り込みの何が問題なんですか。

佐田議員 ですから、私どもが申し上げているとおり、銀行振り込みによって、これが明確にするところは、政治資金団体について迂回献金等いろいろ疑惑を持たれた部分がありましたから、政治資金団体につきましては、出し入れについて銀行振り込みをしていく、こういうことにさせていただいたわけでありまして、その他の政治団体からその他の政治団体に渡すときには、銀行振り込みにするというそこまでやる必要はないという我々の見解であります。

田村(謙)委員 今の必要がないじゃなくて、何が問題なんですかと私はお聞きしているので、何か主張があるんですかとお聞きしているんです。

佐田議員 ですから、要するに、政治資金収支報告書の誤りについては刑事罰がついておるから、それ以上のことをする必要はないだろうと、こういうことを申し上げているんです。

田村(謙)委員 もう結局平行線ですのでこれ以上お伺いしませんけれども、要するに、基本的に、ある程度の金額以上のものをだれかに渡す際に振り込みというのはもう日本で当たり前のことですから、それは必要がない、そういうふうに規制をかけて過度だというのは、それを過度というのはまさに国民の理解は得られないというふうに私は思います。

 時間ももうありませんので、では、それについて民主党側から最後にお願いします。

堀込議員 原則的に銀行振り込みにすることによって、寄附者の氏名、年月日それから金額について記録が残るわけでございまして、これは、国民の公開に対する要求にこたえることになるだろうと思っています。やはり、料亭で小切手が一億円渡るというようなのはちょっと国民常識から見て考えられないので、やはりこれはちゃんと銀行振り込みにして記録を残す、こういうスタイルにすることが、国民の政治資金の公開に対する要望にこたえる我々政治家の責務だろうというふうに思っています。

 つけ加えて言えば、百万円というふうにしたわけでありますが、やはり日本は、そうはいっても善意ののし袋の献金みたいな世界もあるわけでありまして、そういう意味では、百万円ぐらいのところを限度にしながら、あとは銀行振り込み、こういうふうに私どもは考えて提案をさせていただいている、こういうことでございます。

田村(謙)委員 もうこれで終わりにいたします。まさに銀行振り込み、先ほどから与党側もおっしゃっているように、とにかく透明性を高める、それが国民の信頼につながるわけでして、そういった一つの手段として銀行振り込みにするというのは非常に重要であるという今御答弁をいただきましたし、私もその点を強く思うところであります。

 まさに与党側のお人のように、そういったものは必要ないというような感覚というものが今の国民の感覚とずれているということを強く申し上げて、与党側の方がおっしゃっておられるような、とにかく透明性とか国民の信頼を取り戻すというのがもう本当に表面的だということを強く御指摘を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

遠藤委員長 次に、永田寿康君。

永田委員 民主党の永田寿康でございます。

 冒頭、既に質問に立たれました与党の石田委員とそれから斉藤委員の質問について、その内容について一言申し上げたいと思います。

 民主党の政治資金規正法改正案の提出がおくれたから審議ができなかったというような趣旨の発言がされましたが、果たして、与党が審議をしてほしいというお願いがあったときに、民主党が正当な理由もなく、民主党案ができていないというそれだけの理由で断ったことがあるのかどうか、一度お調べになって、きちんとした証拠を持って理事会に報告をしていただきたいと思います。これができない場合には、発言を撤回し、謝罪し、そして、みずから議事録の削除を申し出るということが当然必要になると思いますから、これを要求しておきますので、そう遅くないうちに、まずは、根拠をもってそのような事実があったというふうに説明をしていただきたいと思います。

 そして、冒頭、質問をする前に、ここにおられる全国会議員、ここにおられない方も含めて、私から申し上げたいと思います。

 国会は立法府であります。立法府というのは法律をつくるところであります。政治資金規正法や公職選挙法に至っては、この私たちがつくった法律は、私たち自身の政治活動、選挙活動を規制することになるわけであります。ですから、自分たちに対する規制を自分たちでつくるという構造から考えれば、ひょっとしたら、自分たちがやりやすいように、お手盛りで、甘い規制で済ませようとする、そのような誘惑が自分の心の中にみじんもないのかどうか、常に反省と検証をしていかなければならないと思います。

 しかし、残念ながら国民は、たび重なる政治資金規正法の改正を見ても、いまだに、これで政治家のお金の使い方が健全になったというふうに感じているわけではありません。やはりあいつらはお手盛りで自分たちに甘いルールをつくっている、こんなんじゃ政治改革はいつまでたっても実現できないというあきらめの声が上がっているわけであります。ですから我々は、自分の誘惑に負けずにできるだけ厳しい規制をつくって、そして国民から、もうおまえらいいかげんにしろ、そこまで厳しい規制をつくったら政治活動に支障を来すじゃないか、少しは緩めた方がいいんじゃないか、こういう声が上がってくるぐらい厳しい規制をもって国民にその信頼回復の努力を示すことが求められているのだと思います。

 しかし、残念ながら、与党が出してきた案は、例えば政治団体間の寄附の制限、この上限にしても、どうも三千万じゃ窮屈だというお話がある。私の三千五百万という話がありました。三千万でもできます。それはやり方次第なんですよ。ですから、窮屈だという、自分たちのお手盛りになってしまうんじゃないかというそういう誘惑に負けずに、厳しい規制をしていただきたいなと思います。

 加えて、余り厳しい規制をすると政治活動が不自由になるというお話がありましたけれども、しかし、こういう言葉があります。愚かな民には辛き政府あり。これは、民が愚かだから、厳しい規制をつくって民を律していかなければならない、そういう規制をつくる側の悲しい気持ちを語った言葉であります。それは私だって、きつい規制の中で政治活動をやっていくのは嫌だと思います。できるだけ自由にやりたい、信頼してほしい、そういうふうに国民に言いたいのはやまやまです。しかし、愚かな民に辛き政府あり、厳しい規制というのは、それは規制をする側が悪いんじゃなくて、自由にしておくと悪いことを考えたりやったりする人がいる、そういう事実があるからやむを得ないんだということなんですよ。

 ですから、厳しい規制だから困るという悲鳴を上げる前に、まずはやってみる、そして、厳しい規制の中でどこまでできるかやってみる、そういう姿勢が求められるのだと思います。

 ところで、質問に移りますが、自民党、公明党、民主党の提出者、それぞれお座りになっているので、それぞれを代表して一名ずつ質問を申し上げたいと思います。

 今回の改正案の提出は、橋本派と自民党、そして日本歯科医師連盟、そのほか若干名の方々、個人も含んでいますが、こうした今申し上げた団体がかかわる、去年から始まった一連の疑惑の反省に立って、そういうことがもう起こってはいけない、再発防止策という意味で提出されたものだというふうに認識していますが、私の認識が正しいかどうかお伺いをします。正しければ正しいとおっしゃってください。間違っていたら、いや、そうじゃない、こういうことも実は考慮に入れて、こういう部分も改正案の内容に入っているんだという事実があったら、それはその場で追加してください。一人ずつお願いします。

佐田議員 具体的なことにつきましてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、基本的に、今委員が言われたこと、確かに厳しくしていかなくてはいけない。ただ私は、国民は賢である、こういうふうに思っております。

 したがって、監視の目はしっかりとやっていただいている、かように思っておりますし、また、今回の例えば我が党で出している法律でありますけれども、いわゆる迂回献金という言葉は今までなかったんでありますけれども、迂回献金ということでいろいろなうわさをされておりまして、全くどういうことなのか我々としてもよく判然としないわけでありますけれども、これがなされた、領収書の問題等いろいろありましたけれども、これは、あくまでも政党に一つずつある政治資金団体がかかわっている。したがって、政治資金団体の出し入れをきちっと透明化する、そして、もちろん収支報告書等もきちっと出して、刑事罰も含める、こういうことによってかなり厳しくなってきておる。

 また、先ほどの繰り返しになりますけれども、その他の政治団体からその他の政治団体に対する寄附というのは今まで制限がなかったわけでありますけれども、別に我々は三千万できついとかそういうことを言っているんではなくて、いろいろな条件を見て、やはりその中で五千万が適当なのではないか、私は、そういう意味におきましてはしっかりとした規制である、こういうふうに思っております。

渡辺(博)議員 永田委員の質問にお答えさせていただきます。

 今回の日歯連との関係の事件、やはり厳しく受けとめております。その中で、金額の多寡というのが大変重要でありますし、その部分についてはやはり抑制していく必要があるということで、我が党で出したのは、五千万という数字を出したわけであります。この数字はまさに政治的判断ということでありまして、これが妥当かどうかというのは、やはりそれぞれの考え方があろうというふうに思います。

 さらに、国民にとって大事なことはその透明性を高めることでありまして、そのためには、銀行振り込み等を利用して痕跡をしっかりと残していかなければならない、そういった認識で今回の政治資金の改正を提案しているわけであります。

山名議員 議員おっしゃるように、今回の法改正の発端はやはり日歯連問題であります。少なくとも、国民の信頼をかち取るための資金の流れは、やはり、国民が納得するような形で透明性を確保し、その流れをある意味できちっとしたものにしていかなきゃいけない。国民感情から考えても、余りにも巨額なそういったものが現実の中で授受されたと。その後の事実関係について、あるいはいわゆる刑事罰的なことについては、再審という形でさらに今行われているようでありますから、その内容的なものについては触れることはできませんけれども、少なくとも、もう少し国民の前で資金の流れを透明化するとともに、ガラス張りにして、余りにも多額なものについては一定の規制を設けようじゃないか、そして、政治というものが国民の信頼をかち取るだけのこういったものにしなければならない。

 今まで政治資金規正法というのは、規正というのは、制する規制じゃなくて正しくするというのが本来の趣旨ですから、公正公明、こういった法の趣旨にのっとって、法体系にのっとって今回の改正案に至ったということであります。

遠藤委員長 委員部外者の方はちょっと席を外してください。(永田委員「秘書です、済みません」と呼ぶ)

堀込議員 私ども民主党は、実はこの事件が起きる前に、既に、政治資金を透明化しよう、あるいは、企業・団体献金が政治家個人に禁止されているのに政党支部がその財布がわりになっているから、企業・団体献金を受ける政党支部を制限しようとか、あるいはインターネットにおける収支報告の公開をやろうとか、そういう、公開性を高めたり政治資金の疑惑をなくすための法律を用意していました。

 しかし、それに加えて、実は日歯マネーをめぐる事件が起きた。この法律ではやはりこれらを取り締まれない、あるいはこの法の裏をかいてまだこういう事件が起きているという現実にかんがみ、このたび、迂回献金の禁止、あるいは収支報告書不記載罪だとか政治団体間の寄附の上限を設けるとか、そういうことを追加したということでございまして、日歯連事件を踏まえて、改めて国民の信頼を得るための追加措置を講じた、こういう立場でございます。

永田委員 どれぐらい具体的な事実に言及したか、温度差はあれども、だれ一人として、昨年以来報道もされ立件もされた、あの日本歯科医師連盟、橋本派、自民党をめぐる一連のスキャンダル以外のことを念頭に置いて法案をつくったと言う人はいなかったわけであります。

 そこで考えてみますと、今回の自民党の法案の提出者、ここにおられない方もいらっしゃいますが、敬称略で名前を申し上げますと、佐田玄一郎さん、宮腰光寛さん、山口泰明さん、渡辺博道さん、小泉龍司さん、松宮勲さん、早川忠孝さん、それから太田昭宏さん、山名靖英さん、長沢広明さん、自民党七名、公明党三名、民主党は名前略で五人挙がっているわけですが、自民党の七名の提出者のうち過半数になる四名が橋本派出身なんですね。一体この法案は何なんだという感じがするんですよ。だって、一連の事件の最大の責任を負っている自民党の最大派閥、現在、会長が不在で機能不全に陥っている、こういうところから出してきた法案を我々は審議しろと言われている。大変悲しい、大変つらい。

 辻議員は、答弁席に座っておられますが、まずは、弁護士でもおられるのでちょっと一言感想をおっしゃっていただきたいんですが、法律に違反しているのではないかと疑われている人がこの法律をこういうふうに改正してくれというふうに言ってくるというのは、やはり法制度としてどうなんですかね。

 あるいは、そのことと、もう一つ辻議員にお伺いをしたいのは、先ほど来、佐田議員は二度にわたって、自民党は政治資金の処理について適正だ、調査をした結果適正であると言っているわけですよ。しかし、疑惑を持たれている当事者が、何の根拠も示さずに、何の証明もせずに、おれには疑惑はないんだ、調査した結果何もなかったんだというふうに主張したら、犯罪というのはなくなるんでしょうか。

 その二点、弁護士の立場でぜひお願いします。

辻議員 お答えをいたします。

 まず、その前に、法案については立法目的と立法事実ということが検討されなければならない。立法事実として、永田委員が御指摘のように、橋本派に対する一億円のやみ献金問題、これをどう今後防止するのか、これがまさに投げかけられている立法事実であります。

 それに対して、それをどのように改善していくのかということで立法目的が立てられるべきだと思うんでありますが、与党の提案については提案理由の中でほとんど触れられておりません。「昨今の政治資金をめぐる問題を踏まえ、」という冒頭で一言が述べられているだけであって、あと、具体的にそういう立法事実についてこの法案がどういう関係に立つのかということが全く触れられていない。その結果、きょうの与党自民党の質問者の方の質問、そしてそれの答弁というのは、専ら民主党の法案に対する弁明に終始している。つまり、やみ献金問題について、本当に何が問題であって、どういう具体的な改善を法案としてしていかなければいけないのか、今の政治資金規正法がどこが不十分なのかということについて具体的な改善策が全く提言されていないということが言えると思います。

 迂回献金の問題についてもそうですし、振り込みの義務づけの問題についてもそうでありますし、そして外部監査の問題についてもそうでありますし、全くその点について改善策を提案していない。それが、永田委員の今御指摘になった、七名の提案者のうちの四名が橋本派であるということとくしくも一致しているのではないか。つまり、橋本派に対するやみ献金問題を改善するという、提案者の中にまずそういう視点なり目的、姿勢がないということが端的にあらわれている。そういう意味で、まさにお手盛りの提案であって、妥当ではないだろうというふうに思います。

 それから、御質問の二点目について、調査をしたけれども事実ではないということでありますが、具体的なその調査の経過について、これは予算委員会の中でも、しっかりと報告書を出すなり具体的に説明をしてほしいということが議論になっていたわけでありますから、それについて全く今日に至るまでも、調査をしたという言葉と、そして事実がなかったということだけであって、全くこれは責任ある政党の発言とは思えないというふうに思います。

 以上です。

永田委員 そうなんですよ。

 先ほど別の方が発言席でおっしゃられたように、公明党というのは、僕は非常に尊敬すべき部分が多い政党だと思います、そうじゃない部分ももちろんありますけれども。僕は公明党で一番買っているのは、何といっても、政治家のスキャンダルを許さないという姿勢であったと思います。あったという過去形で申し上げたのをお忘れなきように。

 そこで、公明党の提案者に代表してお答えをいただきたいんですけれども、このような形で提出された法案、すなわち、疑惑がないと主張している方々、当事者がなぜその疑惑がないと主張できるのかというそういう根拠を全く示さない、そして、疑惑について最大の説明責任を負っている方がみずから過半数を占めるようなそういう法案の提出形態、そして実際の法案の中身、これらを見たときに、公明党あるいはその支持者に対して果たしてこの法案はいい法案と言えるのかどうか、これで疑惑は払拭される、あるいは自民党の主張は信じるべきだ、信じないやつは信じない方が言いがかりをつけているだけで、そっちの方が悪いんだというぐらいの気持ちで言えるのかどうか、公明党を代表して、ぜひその見解をおっしゃっていただきたい。

 まとめますと、果たして自民党の疑惑はないという主張は信じるに足るのかどうか、そして、橋本派が過半数を占めるような提案者、こういう法案というのは実効性が期待できるのか、そして、やはり今後このようなことが起こらないと胸を張って言えるのか、この三点、ぜひ、自分の支持者に対しておっしゃるような気持ちでおっしゃっていただきたいと思います。

山名議員 公明党に対する御質問でございますが、私どもは、結党以来、政治の浄化といいますか、少なくとも、腐敗の温床たるこういう政治と金の問題については極めてシビアに取り組んでまいりました。

 先ほど申しましたように、与党の中に入ってからこの問題については直ちに取り組みを行い、政治家個人に対する企業・団体の献金を禁止させ、また、あっせん利得処罰法というそういった法律をつくり、それを私設秘書まで拡大し、かつ、いわゆる官製談合防止法、あるいは官と民のあり方指針といいますか、こういったところまでいろいろと取り組んでまいりましたし、そういった意味では、国民の皆さんの政治に対する信頼を何としてもかち取ろう、こういうことで努力してきたわけでございます。

 今回の改正について、先ほど御指摘のように、橋本派が七名のうち四名いらっしゃるとか、こういう中での今回の法改正、これが橋本派の意向をもってやられたとか、そういうふうに私どもは受けとめてはおりませんし、事前に、いろいろな形で、そういったものを乗り越えた形でいろいろと議論してまいりました。

 確かに、何といいますか、いろいろな意味でやらなきゃならぬことはたくさんあると思います、この問題については。そういう意味も込めて、では、すべてが一〇〇%フォローできたかというと、これはそういうことではありませんし、民主党から提案された問題についても、やはり、私も極めて重要なテーマがいっぱいあるというふうに認識しています。ただ、こういう背景の中でやるについて、やはり、一定のまとまった部分からこれを提案し改正することが必要ではないか。これで終わりじゃありません、これからも引き続きこういった問題については真剣に取り組んでいく、その一歩、第一歩として今回私どもは取り組んでいきたいというスタンスで今日までやってまいりました。

 迂回献金の問題にしても、先ほどから話が出ていますけれども、それですべてを終わりにする気持ちは我々さらさらありませんし、定義が難しいなら、あるいは条件つき寄附のどこに問題があるのか、これも引き続き協議しながら、しっかりした規正法といいますか、法体系もさらに確立していきたいな、こういう決意でおります。

永田委員 三つの質問に対して二つの答えがありました。

 橋本派の意向を受けてつくられたものではないから、別に橋本派が提案者の半分を占めていても構わないという話。それから、今後もいろいろ改正していかなきゃいけないから、これで十分だとは言えないという話。しかし、自民党が調査をして疑惑はないという結論に至ったという説明が信じるに足るものかどうかという質問に対しては、お答えはありませんでした。多分信じるんだろうと、信じるからこそそこの答弁席に座っておられるんだと思いますが。

 ところで、自民党の、特に橋本派からお越しになっている二人の提案者に申し上げたいんですが、お二方とも先ほど答弁の中で、政治資金の透明性を確保することが大変重要であるというふうにおっしゃられました。しかし、実はすごく不透明なのは、橋本派のお金の使い方なんですね。繰越金が十数億あったと言われながら、それが突如としてほとんどゼロになってしまう。これが使途不明金という形で処理をされた。これが不透明と言わずしてどうなんでしょうか。透明性を確保する必要があるというふうに考えるに至ったということは、まさに、みずからが所属する派閥のお金の使い方について不透明感が強かったからだ、不透明感を感じたからだと私は推察をするわけであります。

 果たして、このお金、透明性を確保するという主張をなさるのであれば、その使途を正確に根拠を持って説明する必要があると思いますが、その説明の御意思はありますか。

佐田議員 永田委員の御質問でありますけれども、あくまでも、それは今、個別の案件につきましては、公判中でもありますので、内容につきましても私は存じ上げておりません。

 しかしながら、少しでもクリーンに、そしてまた透明度を高めるという努力をしていこうということでこの委員会があるわけでありますから、そういう意味におきましては、発展性のある御議論を賜りますようにお願いすると同時に、今回の件につきましては、反省に基づいてやっているのではない。反省に基づくというよりも、よりクリーンで、よりその透明度を増してやっていくという観点から、我々は、例えばその他の政治資金団体、相当な数があるわけでありますけれども、その辺もしっかりと上限を設けてやっていく。また、迂回献金、例えばこの間問題になりました、山梨県の日教組が政治団体をつくって寄附をする、これも一つの迂回献金ではないかということも議論になったわけでありまして、こういうことも含めて、定義も含めて考えていかなくちゃいけないんじゃないかと、こういうふうに思っています。

 したがって、一番その党の中にある政治資金団体、一つずつあるわけで、民主党さんにもあると思います、公明党さんにもあると思いますけれども、そういう中の出し入れをしっかりと透明度を増して、我が党におきましては、ほかについても、内規によってすべて寄附は振り込みでやっていくということをしておるわけであります。

永田委員 これは驚きました。法案の提案理由の中に一連の事件にかんがみというふうにおっしゃっておきながら、これは反省に立ったものではありませんとおっしゃる。反省なきところに進歩なしですよ、これは。一体何が進歩するんですか、これで。やはり、事件をつぶさに解明して事実関係を理解し、法律上どこにどのような問題があるのか、そういう反省をしなければならないんですよ。それをお調べになりましたか。橋本派に所属しておられるならば、多分帳簿を見ることができるでしょう、関係者の話を聞くこともできるでしょう、あるいは橋本元総理御自身にお話を聞くこともできるかもしれない。

 そういう意味で、今回の事件についてどの程度提案者として調査をなさったのか、そしてその結果はどうだったのか、お答えいただきたいと思います。

佐田議員 したがって、反省というか、私は一般論として反省をしているわけでありまして、いろいろな問題が出てまいりました。それに対応するべく、我々はいろいろな形で迂回献金の問題やら上限の枠の問題やらを議論しておるわけでありまして、今すべてを、私は会計責任者でも何でもありませんから、自分のところのを調べることは不可能であります。そういうことを申し述べたいと思います。

永田委員 一般論としての反省というのはないんですよ。何か具体的な事実があって、あ、まずかったなと思うから反省するんであって、一般論としての反省という言葉はあり得ないんですよ。そこはよくおわかりになった方がいいと思いますよ。

 それから、透明性の確保は、民主党案でも非常に法律の根幹をなしている部分であると思います。しかし、透明性を確保しても、でたらめな収支報告書が提出されて、つまり、繰越金があたかも積まれているかのような報告書を提出して、そして後で、いやいや、なくなってしまいました、使途は不明ですとまさにでたらめな収支報告書を、不記載あるいは虚偽記載の報告書を提出していたわけですね。こういうことが堂々とまかり通るならば、公開することの意義は全く失われてしまうと思います。

 という認識に立った上で、民主党の透明性確保にかける意気込みと、そして、今まで起こってきた事件の中で透明性が足りなかったという部分に起因することについて何かおっしゃりたいことがあったら、必要ならばおっしゃってください。とにかく第一に必要なのは、民主党が透明性確保にかける意気込み、そして、それはどういうふうに法案に反映されているか。お願いします。

辻議員 資金の提供者と最終的な受領者の間にいろいろな政治団体や政党資金管理団体を迂回して、その中でお金の流れがあいまいになったり、その趣旨が非常にあいまい化されるということが今回の根本原因であろうと思います。その点についてどう改善していくのかということがこの法案の中にあらわれていなければいけない。

 ところが、与党の提案においては迂回献金については全くこれを触れておりませんし、政党資金管理団体についての総枠の規制についても全くこれを語ろうとしていない。全く、今回の橋本派に対する一億円のやみ献金問題についての改善する意思もない、責任をとろうとする意向もない。極めて問題である。

 民主党の提案は、その点について、本当に国民の皆さんからの不信感を払拭して、政治に対する信頼を回復する、政党としてのしっかりとした責任を貫くという立場で提案をしております。このことをこたえなければ今の政治の改革ということはなし得ないというふうに考えております。

 その上で、民主党としましては、透明性の確保だけではやはり足りない。特に、うっかりこれは書き忘れたんだ、計上し忘れたんだというようなことで、今の法二十七条二項で、重大な過失がない限り過失による不記載が処罰されないということを逆手にとって、何かがあれば訂正すれば済む、それで免責されるというようなことが横行している。やはりこれを防止しなければいけない。それで、重過失ということが立証が困難であるということで今見過ごされてきているわけでありますが、民主党としては、百五十万を限度として、それ以上のうっかりミスについては、これは重過失を認定する、挙証責任を転換してこれは処罰をするんだということを明らかにしております。

 そういう意味におきまして、民主党提案こそが、国民の御期待にこたえて政治を浄化していく唯一の方策であろうと、このように強く感じております。

 以上でございます。

永田委員 持ち時間が短くなってきましたので、最後に、やはり参考人招致の重要性をぜひ主張し、また、公明党さんにひとつ御答弁をお願いしたいと思います。

 というのは、公明党さんに対して、最近、非常にやはりがっかりだな、期待外れだなという声が上がってきているんですよ。

 最近の話で言えば、郵政民営化法案は、これは賛成であると。法案の中身について公明党が強く主導したという形跡は余り見られませんけれども、しかし、賛成は賛成である、成立させなければならないと。では、その採決の時期はいつかといったら、いやいや、都議選があるから、都議選の後にしてくれと。そこについては、非常に強い、連立の離脱までちらつかせるような非常に強い執念を見せたわけですよ。

 今度は、法案が通るときに、もちろん、自民党の造反議員がいたら、これはもう選挙で応援してあげないという圧力を行使しながら衆議院を通過させたわけですが、終わってみると今度は、これは公明党さんが発言しているわけではありませんが、もしも衆議院が解散するとしたら、その日付は十月の三日以降であろうと。なぜならば、公明党の支持団体の方々の住民票が東京都に移されている疑念があって、これをそれぞれの選挙区に戻すには三カ月かかるから、だから十月三日以降じゃないと投票日が設定できないというようなそういうような話を言う人もいるんですよ。僕は真実だと思っていませんよ。僕はそれは真実だと思っていないけれども、そういうことを言う人もいるんですよ。

 そこで、公明党さんは、ここまで来ると、どうも、政局というか、選挙とか政局とかそういうものにばかり熱心で、いつかの、クリーンな政治を求めるという心がだんだん鈍ってきたんじゃないか、そういうような感じになってしまうわけですね。

 そこで、その疑念をぜひ晴らしていただきたいというお願いで、参考人招致に賛成をしてほしいんですよ。もちろん、参考人招致に公明党が賛成をしていただければ、その中で、反対をする自民党の議員たちに、そんなことを言ったら選挙を応援してやらないぞというような圧力をかけることだって、僕は理論的には可能だと思うんですよ。そこまでやらないということは、どうも公明党は本当はやる気がないんじゃないかという感じがしてくるわけですね。

 それで、なぜそこまで参考人招致が必要なのかというと、それは、先ほど自民党の議員からも、提案者からもお話があったとおり、この法案は、自民党案については、与党案については、少なくとも具体的な事件の反省に立ったものではないということになっているわけですね。それで、あの一連の、去年から起こった一連の事件は、自民党が調査をしたわけでもなければ、我々に報告をしたわけでもないんです。事件の実態が何だったかということは、いまだに国会は報告を受けていないんですよ。私たちは一応調べました。自分たちの知り得る範囲で調べました。その認識に立って、現行法の欠陥がどこにあるかということを考えて、そして、その法の穴を埋めるために提出をしました。しかし、橋本派出身の提案者ですら、自分たちはそれを調べる立場にない、反省に立っているわけではない、このようなことをおっしゃるわけですね。これは大問題なんですよ。

 実は、二年ほど前には、やはり自民党の某議員、もう逮捕されて立件されていますから言いませんけれども、もう逮捕直前だというニュースになって、衆議院で議員辞職勧告決議案を出そうと思ったら、公明党の議運の委員が反対をしたがために、その一票のためにこの議員辞職勧告決議案は否決されたんですよ。議員辞職勧告決議案が公明党のただ一票のために。

 そのことをぜひわかった上で、私からのお願いです。公明党を代表しておっしゃっているんでしょうから、ぜひ、参考人招致を実現するべく、与党の中で十分なリーダーシップを発揮して、場合によっては圧力と呼ばれるものも発揮していただきたい、そのようなお願いについてお答えはいかがでしょうか。

遠藤委員長 次に、吉井英勝君。(永田委員「答弁なしですか、一言答弁をお願いします、軽くで、一分でお願いします、お願いします」と呼ぶ)理事会の取り決めどおりにしてください。(永田委員「はい」と呼ぶ)

 吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、法案の趣旨説明において双方どのように語られたかを改めて見ましたが、民主党は、日歯連による不正献金問題に対する国民の声に真っ正面からこたえて出してきたんだということであります。日歯連問題については、与党への質問の後、また民主党の方に伺いたいと思います。

 そこで、趣旨説明で佐田議員は、昨今の政治資金をめぐる問題を踏まえて法案を提出したとお話をされました。昨今の政治資金をめぐる問題とはどういう問題なのかを最初に伺います。

佐田議員 それはいろいろな問題があります。より政治資金のあり方を透明度を増して、そしてクリアにやっていくということは当然のことでありますけれども、今までの一般的に言ったということは、確かに、新聞等でも報道されました一億円の問題もありますし、日歯連の迂回献金の問題もあります。そして、山梨県の日教組、山教組の問題もこれはあります。また、この間の予算委員会でいろいろ議論がありました問題もあるわけであります。いろいろと総合的な問題ですね。

吉井委員 昨今の政治資金をめぐる問題といえば、これは法案提出時も今も、日歯連事件というのは重大な問題です。日歯連事件では、一つは橋本総理と橋本派への一億円のやみ献金問題、二つ目には迂回献金疑惑、三つ目には公益法人の脱法的政治献金、政治連盟をつくって与党への巨額献金という問題ですが、こうした三つの深刻な問題が問われてきました。

 与党案では、この日歯連事件で問われたこうしたことを検討してお出しになったのかどうか、ここのところを次に伺いたいと思います。

佐田議員 ですから、もちろん日歯連の問題もそうでありますし、一億円の問題もそうでありますし、例えば、日教組の中に労働組合をつくった山教組問題もそうであります。その他の労働組合の政治団体、これからの迂回献金という問題も含めて、全体的にやはり透明度を増して、しっかりと国民の負託にこたえられるような法律をお互いに議論をしてつくっていきたい、こういうふうに思っております。

吉井委員 日歯連事件では、御承知のように、五月三十一日に東京地裁で、日歯連前会長に、贈賄、業務上横領、政治資金規正法違反で有罪判決が下されました。

 判決文を見ると、政治団体などにより、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに公明かつ公正に行われるように、政治資金の流れを公開させることにより、その政治活動の透明性を確保しようとしているところ、本件は、政治資金規正法の立法趣旨に違反する悪質な犯行と言わなければならないというふうに言っております。

 それから、与党所属の国会議員多数が加入する政治団体への寄附に関して行われたことで、その政治資金の流れについて国民に多大の疑惑を抱かせ、政治活動の透明性確保のための諸制度に対する国民の信頼を著しく損なった、社会的影響も看過できない、非常に厳しい判決であります。

 提案者はこの判決をどのように受けとめていらっしゃるか、これを次に伺いたいと思うんです。

早川議員 お答え申し上げます。

 ただいまの判決そのものについては特にコメントをするところはないところでありますが、基本的には、今回与党が提案をするに至ったこの法案については、政治団体の活動についてこれを規律あるものにしていかなければならない、国民の信頼にこたえる、そういった政治活動を実現できるような形で、しかも、余りすべてのものを犯罪化することについては果たしてどうであるか、諸般の検討をした上で今回の提案に至った次第であります。そういうことからいたしまして、私どもは、今回の改正案そのものについては十分自信を持って提案をさせていただいている次第であります。

 個別のその他政治団体間の資金の流れ等については、これを上限を付する、あるいは政治資金団体に対しての寄附の方法について、これを銀行振り込み等の方法によって透明化を図るということで、十分国民の信頼にこたえる、現時点での政治資金規正法の改正として納得をいただけるのではないかというふうに思っている次第であります。

吉井委員 私は、この判決というのは、コメントする、しないとかそういう話じゃなくて、この中で、政治資金の流れについて国民に多大の疑惑を抱かせ、政治活動の透明性確保の諸制度に対する国民の信頼を著しく損なったんだ、社会的影響も看過できない、この厳しい判決をやはりきちっと受けとめて、それがやはり、こうした法案というものを今後考えていく上での出発点になる、基礎になる問題だというふうに思っているわけです。

 この判決の中で、当事者の人たちが、寄附を受けた政治団体、これは平成研ですが、寄附を受けた政治団体にその領収書の発行を拒まれたため、やむなくその寄附を収支報告書に記載しなかったと明らかにしていますね。政治資金規正法違反の犯罪が、自民党最大派閥の平成研究会が一億円の領収書を発行せず裏金にしようとしたことを判決では認定しているわけです。

 提案者はこの事実はまず認識していらっしゃると思うんですが、この事実は認識しておられますね。

早川議員 まず、自民党での検討の過程の中では、今御指摘のあった平成研に対しての資金の流れの詳細についてまで、これは、幹事長が一応調査をされた結果は、特に問題はないという報告があるだけでありまして、それ以上の個別のことについてまでは知り得る立場にはないわけであります。

 以上、御答弁申し上げます。

吉井委員 やはりこの立法を考えるときに、この問題がどういう動機で、なぜ平成研究会が一億円献金をやみ献金にしようとしたのか、このことについてはまだ実は解明されていないんですね。

 自民党としては、この立法をされる上でも、まずこういうことについてきちんと解明をしてこられたのかどうか、これを伺います。

早川議員 御指摘の、どういう意図を持っていわゆる日歯連から献金がなされたのかというその内容については、言ってみれば、まさに刑事裁判になっている案件でありますし、その内容について私どもが承知できる材料を持っているわけではございません。

 また、今回の政治資金規正法の改正案を提案させていただく段階においては、あくまでも、個別のその他の政治団体の会計責任者の行為に係っては、これは現行法によって処罰の対象となってまさに捜査をされていたところでありますが、それ以外に、一般的に、政治資金団体に対しての透明性の確保という観点から、寄附の方法について銀行振り込み等の方法によってより一層の透明化を図るということと、いわゆるその他の政治団体間の寄附について上限を設ける、この二つの改正を施すことによって、政治活動あるいは政治団体の活動、政治全般に対しての国民の信頼を確保する、そういう方策を打ち出した次第であります。

 以上です。

吉井委員 やみ献金というのは、言葉からして透明性がないんですよね。

 それで、もともと日歯連事件では、この橋本元総理と橋本派への一億円やみ献金問題、それから迂回献金疑惑、公益法人の脱法的政治献金の問題、この三つの問題というのは、これはなかなか日本の政治の中で深刻な問題なんですよ。だから、それだけに、やはり一番今必要なことは、裁判でどうなるかという話とは別に、政治的にそこをどのように解明していくかということが非常に大事なんですね。そのことがその後の立法云々にもつながってくるわけなんです。

 そこで、やはり今一番必要なことは、まず、橋本元総理ら関係者を参考人としてあるいは証人喚問という形で出席を求めて、なぜ日歯連の一億円の領収書を書かないでやみ献金にしたのかなど、今問題になっていること、疑惑の全容を解明する、このことがやはり私は問題の出発点になってくると思うんですが、改めて与党の提案者に伺います。

早川議員 御案内のとおり、現在、現行法では、政治献金を受けること自体が特に犯罪化されているわけでは決してないわけであります。むしろ、政治団体による政治活動を民主政治に合わせて健全な方向で進めてもらう、これは当然の要請だろうと私は思っております。

 政治資金規正法で刑罰の対象としておりますのは、政治資金の収支報告書について不実記載をした、あるいは報告をしなかった、この点でありますので、結果的には会計責任者がその責めを問われるわけであります。そういう点から考えますと、やはり、会計責任者の収支報告書への記載漏れについて刑事責任が問われた事案であるということでありまして、党においては、それ以上の、いかなる意図でもってその他の政治団体に対しての献金がその他の政治団体からなされたかというところまでは承知をしていないところであります。

 なお、迂回献金の事実ありやなしやということについては、これはないという報告になっております。

吉井委員 これは、本来の政治資金規正法の言ってみれば範囲外といいますか想定外といいますか、そもそも、やみ献金だとか迂回献金というのは、あるいは公益法人の脱法的政治献金問題、私は、そういうところはやはり国会全体がきちんと解明をするということが出発点になるというふうに思うんです。

 そこで、民主党提案者にもこの点について伺いますが、参考人として、あるいは、本当は私は証人喚問だと思うんですが、いずれにしても、橋本元総理ら関係者の出席を求めて、日歯連事件の疑惑の解明が基礎的な前提になると思うんですが、民主党の提案者に伺います。

堀込議員 私どももそう考えておりまして、今度の法案、特に与党案は、政治団体間の五千万と政治資金団体の振り込みだけの法案でございまして、これは私どもとしては、あの日歯連事件、一連の事件の反省としては極めて不十分で、さらにつけ加えなきゃならないというふうに思っております。

 そのためにも、今度の法案の契機となった、少なくとも橋本元総理、あるいは今度の事件の主役といいますか、日歯連マネー全体を取り仕切ったと言われる臼田前会長、そして自民党の、公判でも問題になった元宿さんなどを、参考人としてぜひおいでをいただいて真相を語っていただきたいというふうに思いまして、理事会でもそのとおり今要求をしているところでございます。

吉井委員 ぜひこれは、委員長におかれましても諮っていただきたいというふうに思います。

 判決では、日歯連事件の関係者に有罪判決を下した中で、公判では迂回献金の証言がありました。この事件の捜査の過程で、日歯連から国民政治協会を経由して特定の国会議員への迂回献金問題が浮上したわけですが、自民党への献金は一部で、年数億円は、議員名を指定した献金、自民党の事務局長から会計上の迂回献金の処理方法を指摘されたという報道もあったんですが、それは公判の中でも明らかにされました。

 これは、二月七日の衆院予算委員会理事会に、先ほど言われた、出されてきたものですね。「いわゆる日本歯科医師連盟事案に関する党の調査報告について」という、昨年十一月九日に自民党の方でまとめられたものですが、昨年、これは小泉総理が調査すると答弁して、武部幹事長が指示を受けて調査した結論ということなんですが、「いわゆる「迂回献金」を行った事実はないことが明らかになりました。」としているわけですね。しかし、判決や公判での証言と自民党調査の結論とはここが明白に違うんですね。

 ですから、どういう調査をしてこの結論になったのかを伺いたいと思います。

佐田議員 先生、調査ということでありますけれども、どのような調査をしたかという具体的なことについては私は承知しておりませんけれども、迂回献金というそういう事実はなかったということは聞いております。

吉井委員 迂回献金がなかったというお話ですが、そうすると、本来はその根拠をやはり示さなきゃいけないと思うんですね。

 村岡公判では、旧橋本派への一億円以外にも橋本元総理への一千万円の提供があったことが日歯連側の証言で明らかになってきています。六月二日の村岡公判では、橋本元総理秘書は、国民政治協会と領収書で調整した記憶はある、領収書が国政協から行くと自分が電話したと証言しているんですね。それで、日歯連側も、後で国政協から領収書が行くよと橋本事務所から連絡が来たと証言をしております。つまりこれは、金を出した側も受け取った側も両方の証言が一致しているんですね。迂回献金があったことの証明になってくるわけです。

 また、日歯連側は、迂回献金について、議員に献金した後で国政協から領収書が来たことがある、名前を指定した人は三、四人ぐらいで、五百万か一千万ぐらいを希望と伝えてきたとも証言しております。迂回献金、法律違反が行われてきたと証言していること自体が重大だと思うんですが、提案していらっしゃる法律では規制できないなら、立法の意味がなくなってくると思うんですね。

 そこで、私、武部報告書の三と四というところを見てみまして、これでは迂回献金がないということの、さっきはないというお話ですが、証明にならないなと思うんです。三の方では、国政協が入金を確認して領収書を発行したというところの部分は、これは当然の話で、確認したら領収書を出すものですが、そもそも偽装の領収書などと書いてあるところは問題になっていないんです。

 問題の核心は、国政協を迂回してどこに資金が流れたのかということなんですが、この武部報告の四では、国政協から献金を受けた党は、内規、慣行等に照らし、活動費を支出していますと書いているんですね。つまり、指名献金の慣行があったということになるのではないかと思われるんですが、そういったことはきちっと調査をされているんでしょうか。

佐田議員 あくまでも、先生の言われる迂回献金、この迂回献金自体が非常に定義が難しいんでありますけれども、そういう中で、先生の言われた個別の事実については私の知るところではありませんけれども、迂回献金はなかったという事実を聞いておるところであります。

 したがって、そういうことも含めまして、今回の、政治資金団体につきましての入金、出金につきましての透明度を銀行振り込みによって明確にしていく、こういうことになったわけであります。

吉井委員 もう時間が参りましたので私終わりにいたしますけれども、今回、先ほどの議論を聞いておっても、迂回献金規制についての条項というのは要するにないわけですね、自民党案に。そうすると、結局、調査も十分されていない、公判の中では迂回献金ありとなってくる、法律上の条項はない、これでは核心の問題の解決はできないということを言わざるを得ないということだけ申し上げまして、あとのことは次回以降の委員会で質問したいと思います。

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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