衆議院

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第3号 平成18年4月21日(金曜日)

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平成十八年四月二十一日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 恒夫君

   理事 井上 喜一君 理事 鈴木 淳司君

   理事 棚橋 泰文君 理事 鳩山 邦夫君

   理事 笹木 竜三君 理事 寺田  学君

   理事 佐藤 茂樹君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      小里 泰弘君    大塚  拓君

      川条 志嘉君    木原  稔君

      倉田 雅年君    谷畑  孝君

      永岡 桂子君    西村 明宏君

      萩原 誠司君    福田 峰之君

      藤野真紀子君    船田  元君

      松本 文明君    水野 賢一君

      望月 義夫君    山内 康一君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 具能君    市村浩一郎君

      大串 博志君    近藤 洋介君

      田村 謙治君    高山 智司君

      西村智奈美君    伴野  豊君

      細川 律夫君    牧  義夫君

      三日月大造君    吉田  泉君

      井上 義久君    上田  勇君

      吉井 英勝君    菅野 哲雄君

      滝   実君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     川条 志嘉君

  古賀  誠君     山本 幸三君

  田中 和徳君     渡辺 具能君

  水野 賢一君     永岡 桂子君

  伴野  豊君     市村浩一郎君

  細川 律夫君     西村智奈美君

  牧  義夫君     吉田  泉君

  三日月大造君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  川条 志嘉君     近江屋信広君

  永岡 桂子君     水野 賢一君

  山本 幸三君     古賀  誠君

  渡辺 具能君     山内 康一君

  市村浩一郎君     伴野  豊君

  田村 謙治君     三日月大造君

  西村智奈美君     細川 律夫君

  吉田  泉君     牧  義夫君

同日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     田中 和徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官久元喜造君及び総務省自治行政局選挙部長久保信保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 自由民主党の松本文明でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 公職選挙法について何点か伺いたい、こう考えております。

 議会制民主主義制度を支えておりますのは、言うまでもなく選挙制度であります。行われる選挙の質が議会の質を決めている、こう言っても過言ではないわけでありますが、国民は、自分の考えに最も近い政党、候補者を選ぶ、こういう作業をまずしなければなりません。でき得る限り多くの情報提供が必要であります。そしてまた、その政党、候補者が当選をしなければ立法府に自分の意思が伝わらないわけでありますから、単に自分の一票を投じるということだけが選挙ではなくて、むしろ、みずから信じる政党、候補者を当選させるために積極的に活動をしなければならない、そう考えるわけであります。

 その活動こそが選挙であり、そのゆえに、選挙の自由は、幅広く、原則認められなければならない、こう考えておりますが、大臣のお考えを伺いたいのでありますが、大臣がかつて一民間人であられた時代に、どれほど積極的に選挙運動にかかわってこられた経験をお持ちか、具体例を交えて御教示いただきたいと存じます。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、私も選挙をやらせていただいて、国会議員の一員に加えさせていただきまして、改めてその選挙制度の重みというものを感じます。また、その選挙制度の中で国民の信任を得てきたことの重さというものを実感しております。

 今、委員の御指摘は、その重要性と、そして自分自身が選挙をする立場ではなかったときの経験も踏まえて、どのような思いがあるかというお尋ねでございますけれども、個人的なことも含めて答えろということでございます。

 私自身、地元は和歌山でございますけれども、やはりその地元を代表して国政に参加している政治家の先生方に、若いときからいろいろな御指導をいただく機会がございました。そのときを含めて、積極的にどこかの陣営に入って選挙運動の最先端に立ったということは、正直言って、社会人になってから、別にこれは仕事を持っていたということも当然ございまして、ございませんけれども、いろいろな形で、この先生にはやはり国政にぜひ引き続き行っていただきたいなというような思いで、若干のお手伝いをさせていただいたことはございました。

 やはり選挙をする、立候補する側から見ますと、自分の思いを不特定多数の有権者の方に理解いただくというのは本当に大変だ、改めてビラ一枚受け取っていただくことの大変さ、そういうものはどこにでもあるのだと思います。しかし同時に、そういうことを通してしかやはり民主主義の中で国民の代表は選ばれないわけでございますので、なかなか完璧な制度というのはどこにもないわけでございますけれども、少しでも、あと半歩、あと一歩この制度をよくしていこうというような思いを持ち続けることが大変重要であろうかと思います。

 そうしたことを踏まえまして、選挙運動というのは、選挙というのはまた政治資金というのはまさに政治活動の基本中の基本でございますので、各党各会派におかれてしっかりと御議論を不断に賜らなければならないというふうに思っております。

松本(文)委員 この「選挙法・政治資金法の手引」、この解説書は千六百ページを超えております。幾つも解説書が出ておりまして、法令の解釈がいろいろと異なっている。グレーゾーンが大変に多い。選挙管理委員会に尋ねても、それは取り締まる立場の御判断です、こう答えられることが大変に多い。

 そのために、結局、私の見る限り、日本の公職選挙法というのは、自由な選挙を保障するという立場よりも、制限を加えるという色合いの方が大変強い、こう個人的に感じるわけでありますが、欧米の選挙法と比べたときに、日本の公職選挙法というのはどういう評価を世界の中から受けているのか。また、久保選挙部長、世界の選挙法の中で日本の選挙法をどの程度とお考えになっていらっしゃるか、伺いたい。

久保政府参考人 選挙法、特に、委員御指摘になられておりますのは、恐らく選挙運動のあり方ということだろうと思いますけれども、選挙運動に対して、これはもう原則自由であるべきだろうと思いますけれども、やはり公正とか公平とか、そういった観点で、おのずとまた選挙運動のあり方にも制約が加えられていく、また、そのこと自体は、我が国の固有の背景とかいうことで今のような選挙運動のあり方になっておるんだろうと思いますし、また諸外国は諸外国で、それぞれの風土といいますか、いろいろな歴史的な背景で規制のあり方というのも決まっているんだろうと思います。

 よく言われますことは、日本のこの選挙運動、これはやはり比較的制限が多いんじゃないかといったような御指摘はよくお受けをいたします。明治二十二年に衆議院議員選挙法ができまして以来、大正十四年までは制限選挙が行われておりまして、その時代には比較的選挙運動のあり方というのは自由だったというふうに承知をしておりますけれども、大正十四年に二十五歳以上の成年男子すべてに選挙に参加をしていただくという普通選挙が実施されましたときに、例えば、候補者の側でいいますと供託金の制度ができたり、あるいは選挙運動につきましても、戸別訪問、これは買収の温床になるのではないのか。広く一般の国民に参加をしていただくという観点から、当時の内務省がいろいろと考えてそういう案をつくったんだろうと思いますけれども、戸別訪問というのは原則禁止にする。

 そしてまた、これを諸外国と比べて、日本の場合には規制が厳しいんじゃないかというふうに特に言われております文書図画、この類が、選挙運動は原則自由、これは我が国の選挙法でもそうなんでございますけれども、自由だけれども事前運動はだめであるとか、言論も自由なんだけれども演説会のときには立て札、看板が要りますよとか、そういった感じなんですが、文書図画に限っては、これは大正十四年に原則禁止にいたしました。

 これは、やはり文書図画というのは金がかかる、お金のある候補者の方が有利だとか、お金で投票行動が左右される可能性があるといったことで、文書図画というのは原則禁止にいたしました。掲示でありますとポスターとか立て札とかそういったものに限り、あるいはまた頒布をするものにつきましては当時は選挙運動用通常はがきのみ、ようやく国政選挙にビラが解禁になったのは昭和五十年になってからのことでございます。文書図画は極めて厳しい規制が大正十四年になされたということで、多くの点がその大正十四年改正といいますか、衆議院議員選挙法の改正なんでございますけれども、それが戦後の公職選挙法にも引き継がれている、こういった感じがしております。

 いずれにいたしましても、選挙運動のあり方というのはまさに選挙の土俵づくりの問題でございますので、各党各会派で十分に御議論をいただきたい、そう考えております。

松本(文)委員 選挙の自由ということは、声高に政治家は口にするわけであります。しかし、文書図画、ポスターと公報とビラ、この程度しか出せないわけでありまして、これほど情報がはんらんする時代に、それも公報に至っては、字数から大きさからすべて規格基準に合わせたまま、だれもがこれは魅力的な、どうしても見てみたい、こう思うほどの魅力は私はあれからは感じられないわけであります。その配布方法に至っても新聞折り込みで、選挙の公営ということではあるにしても、候補者はそれをコピーして配ることさえできない、文書図画による選挙公報。

 有権者の立場からいうと、情報をどこから得たらいいんだ、こういう観点から考えると、日本の選挙制度の中で政党並びに候補者の思いを伝える、それを選び出す、情報を集める有権者の側からいうとまことに不便きわまりない現状にある、こういう認識を持っているわけでありますが、選挙部長の忌憚のない御意見を、議員に遠慮をしないで、会派に遠慮をしないで、公平な民主主義をどう成立させるかという観点で御意見を伺いたい。

久保政府参考人 先ほども御答弁いたしたつもりでおりますけれども、やはり選挙運動のあり方というのは、選挙のまさに土俵づくりといいますか、選挙の最も中核的な部分でございますので、各党各会派で十分御議論賜りたい、そう思っております。

松本(文)委員 どうも部長は勇気がないなと思うわけでありますが、ポスター掲示、これが選挙前六カ月間はポスター掲示を個人ではできない、こういう法律になっております。そして、政党ポスターと称してポスターが張り出されるわけでありますが、三分の一でしょうか、何らかの制限の中で張り出されるわけであります。

 有権者の立場から見ますと、しっかり立候補予定者の顔が出ているわけですし、大きな字で書かれているわけですから、そんな小細工しなくても、ポスターを張らせるんだったら自由にポスターを掲示させたらいいじゃないか、こう考えるんですが、選挙部長の御見解を。

久保政府参考人 選挙運動という言葉、これは公職選挙法の中には随所に出てまいりますけれども、公職選挙法の中には選挙運動の定義を書いた規定はございません。このこと自身、選挙運動とは一体何なのかという議論にまずなりますけれども、選挙運動、これは戦前、大審院の判決以来実は定着をしておって、戦後の最高裁にも引き継がれている。その解釈でございますけれども、特定の選挙について、特定の公職の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために直接または間接に必要かつ有利な行為、これを指すというのが、これはもう戦前から判例上定着をしている。

 これは選挙運動でございまして、政治活動になりますと、一般的あるいは抽象的には、政治上の主義あるいは施策を推進し、支持し、またはこれに反対するとか、特定の公職の候補者を推薦し、支持し、またはこれに反対するとか、これは政治資金規正法上、そういったことを本来の目的とする団体が政治団体、こう書いてあるわけですけれども、政治活動というのはそういう定義になっておって、一般的には選挙運動もその中に含まれると思います。

 思いますが、公職選挙法の場合には、特にその中で選挙運動というのを抜き出して、これに規制を加えているということになっておりまして、ただいま松本委員御指摘のように、選挙運動には期間の制限というのがあります。百二十九条に、立候補の届け出をして、それから選挙の前日までということになっているのでございまして、届け出前にやりますとこれは事前運動だということになって、しかしそれが政治活動であると、選挙運動でないものですから、それは百二十九条の射程外だということに当然なります。

 なりますが、その政治活動が、公示の日が近づいてまいりますと、極めて選挙運動と紛らわしいような、そういった態様の例えば文書図画等が出回ることが多々あったということから、先ほど御指摘があったような、通常であればそれは政治活動用の文書図画じゃないのかといったようなものまで実は規制をかけているということがございます。また、似たような話で、これは選挙運動期間中も、先ほど私は文書図画が厳しいと言いましたけれども、これは選挙運動用文書図画なのでございますね。

 したがって、そうでないものであれば本来は自由であるんですけれども、公職選挙法は、百四十二条にこの選挙運動用文書図画の頒布の規制の規定を置いて、百四十三条に掲示の規制を置いておりますけれども、百四十六条に禁止を免れる行為としてシンボルマークとか氏名が出てきている文書図画、これは免れる行為だというので、裏からといいますか規制をしている。それが出ただけで、それは免れる行為じゃないのかといった形での規制をしている。

 そういうふうなことでございまして、恐らく委員の御指摘は政治活動と選挙運動の微妙な境のことだろうと思いますけれども、私どもは、判例等では概念は整然と分けられているというふうに考えております。

松本(文)委員 政治活動と選挙活動の線引きというのは大変難しい。選挙期日の前に選挙活動をやるのが事前運動、こういう話でありますが、そもそも一般有権者が見る限りにおいては政治活動も選挙活動も大差ないわけでありますから、有権者の目から見たときに、政治への関心を呼び込んでいく場合どうやったらいいのかということを、投票率を上げるためにただうちわを配ったりティッシュを配ったりするだけではなくて、やはりそういう受け入れられる選挙運動形態、政治活動形態というのを考え出していかなくてはいけないんじゃないか、こう思っております。

 今、千葉で選挙が行われておりまして、しっかり応援に行ってこい、こう言われるわけであります。まあ、長年選挙を経験している身としては、どういうことができるか自分なりに判断をして行くわけでありますが、一般の有権者が、国民が選挙運動に参加をしたい、こう考えたときに、だれにでもできる選挙運動を、具体的に選挙部長、五つでも六つでも十個でも、箇条書きでちょっと挙げてみてください。

久保政府参考人 私、どうしても公職選挙法が頭に浮かぶものですから、具体的にどういうものが、挙げてと言われても、選挙運動、これはその主体によっていろいろな選挙運動のやり方も違ってくるでしょうし、態様によって違ってくるということでしょうけれども、言論による選挙運動ですね。街頭演説をするとかあるいは個人演説会で演説をされるとか、あるいは、最近でありましたらやはり放送を使った選挙運動、これは政見放送ということになってまいりますけれども、そういうのがまず私なんかはイメージに浮かぶと思います。

松本(文)委員 時間がなくなったので、部長、ちょっと端的に、スピーディーに答えていただきたいのでありますが、戸別訪問はいけない、こう書かれております。戸別訪問はいけない。

 しかし、この間の報道を見ると、小沢代表が創価学会の会長にお会いして支援を依頼した。当然、頼みに行かれたんだと思うんですよね。我が党の幹事長も、いろいろな団体に推薦依頼、応援依頼に戸別訪問を一生懸命されている、こう思うわけであります。

 推薦依頼、応援依頼でありますから、当然候補者、限られた候補者一人しか出ていないわけですから、それを当選させる目的を持ってお願いに上がるわけなんですね。しかし、推薦依頼やあるいは応援依頼、応援弁士を務めてほしいというお願い、あるいは選挙はがきについてのお願い、こういったいろいろな実務に絡んで個別にお願いに上がることは選挙法には触れない、私はそう承知をしているわけであります。が、この解説書を見るといろいろ書いてありまして、畑の中であいさつしても戸別訪問で有罪判決を受けた事例もある、こう書いてあって、大変にグレーゾーンが多いわけであります。

 逆に、原則、選挙のお願いで戸別訪問に歩いていいですよということを正面に据えた上で、ただし、こういう戸別訪問はいけませんよという規定の方が正しいのではないか、こう思うんでありますが、部長、ちょっと見解を、簡単に。

久保政府参考人 戸別訪問は、公職選挙法の第百三十八条に規定がございまして、「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。」これは、先ほど申し上げましたように大正十四年に入った規定でございますけれども、この戸別の意味が、連続して複数の家といいますか、それを訪問する、それは選挙に関して行うということになっております。

 確かに、グレーゾーンというか個々いろいろなケースが現実には裁判でも争われているんだろうと思いますし、私ども、個別具体の事案についてはまさに個別具体の事案に即して判断がされるべきものであるというふうに思っておりますので回答は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この百三十八条の解釈というのは一応はこれも判例等で確立をしているというふうに考えております。

松本(文)委員 時間がなくなって、飛び飛びの質問になるわけでありますけれども、今、朝の駅頭あるいは夜の駅頭、昨今、駅立ちというのがはやっておりまして、そこにのぼりが立てられております。のぼりに候補者の名前が、しっかりと浮き彫りになっております。これは選挙法上、使っていいものか、正しいものであるのかどうか、伺います。

久保政府参考人 先ほどの話と似た話をまた繰り返して恐縮なんでございますけれども、街頭に立って演説をされる。選挙運動にわたるものがあれば選挙運動による街頭演説だということになっておりまして、これは公職選挙法の規定に従って、立て札、看板等も、今、詳細に覚えておりませんけれども、規制に服していただかなきゃいけないということになりますけれども、選挙運動じゃなくて……(松本(文)委員「いや、今、千葉で旗立っているよ」と呼ぶ)それはもう、街頭演説を候補者が選挙運動のためにされておられるというのであれば、街頭演説だろうというふうに思いますけれども。

松本(文)委員 いや、街頭演説にのぼりを掲示していいかという話になりますと、例えば、これを読む限りにおいては、個人演説会場に五枚の看板がある。そして、政党に二枚許されている。そうすると、個人演説会をやっていない場所においては七枚使える。それを街頭演説会場に使うことは許されるんだろう。ただし、その看板には選管に提出した証紙を張ってなくちゃいかぬというのがこれを読むと出てくるわけですね。ところが、朝も晩も、とにかく、何本も、すごい勢いで立っちゃっている。こういうのを取り締まるか取り締まらないかというのは、選挙管理委員会は関知しない。

 あるいはまた、マニフェストを配っていい場所というのがありまして、とにかく選挙事務所で配りなさいよ。街頭演説会の場所で配りなさいよ。では、配れる人はだれなんだいといったら、腕章を巻いている人だ。車上運動員に腕章四枚、そして十五枚の運動員用の腕章がある。この人たちしか配れない。配る範囲も決められている。一般の有権者は、マニフェスト配っているな、自分も配りたいなと思っても配れない制度になっている。

 やはり、マニフェストというのは、今、マニフェスト選挙と言われるぐらい関心が強いわけですから、幅広く有権者にそれが配布できるシステムがあってもいいんじゃないか。チラシは、新聞折り込みはいいんだけれども、ポストに入れることはできません。配る場所は、演説会場と選挙事務所に来た人に配ってください。配る人の制限もまた加えられている。こんな不自由きわまりない制度になっている。

 それを有権者が知っていればいいんですよ。ところが、そういうことはわからない。一生懸命街頭演説をしていると、松ちゃん、配るチラシがあるんだったら、おれ配ってやるよ、出せよ、マニフェスト出してこいよ、こう言われる。いやいや、あなたに配られたら選挙違反です。こんなこと、何だかおかしな選挙運動だ、くだらない規制だ、もっと自由に配れていいんじゃないか、こう思うんですよ。

 問題なのは、そういう選挙運動を警察官、取り締まる側の判断で、これはとっちめようか、これはまあ立件が難しいからほっておこうか、実態は自由なんですよ。

 かつて、電話作戦、これにも電話による選挙運動は自由ですと書いてある。そして、労務者は単純な選挙にかかわる労務に働いていい、こう書いてあるんですよ。電話かけというのは、テープを流してもできるし、昨今、コンピューターでやってもできる、実に単純な作業なんです。それが、労務者がやってはならない高等な選挙運動と、ある日突然、だれかが判断を下した。そうすると、アルバイト、これは選挙労務ではなくて選挙運動に参加をした。選挙運動に参加をしたんだから、これは労務賃ではなくて買収費だ、運動員買収、こういうことが起こっている。

 では、労務者のできる仕事というのは、旗を持ってただ立っているだけ。これは労務者はできますか。答えてください。

久保政府参考人 もう委員御指摘の中に出ておりますので、繰り返しになって恐縮になりますけれども、選挙運動ということは、先ほど言いましたように、解釈上定着しているということを前提にお話をいたしますけれども、選挙運動を行う人間、選挙運動に従事する者とか選挙運動員とか、公職選挙法では何カ所か違った表現もございますけれども、選挙運動に従事する人間。これは、御指摘のように、原則、報酬をもらってはいけない。ボランティア、自発的に参加して行うものだというのが原則に組み立てられておりまして、もし、財産上の利益の供与を受けて選挙運動を行えば、二百二十一条の買収罪、運動買収という類型に当てはまってくるというふうにされております。

 一方、単純労務者といいますか、ポスターをただ張るだけとか、立候補準備のお手伝いをするとかといった労務者。これは、選挙運動は先ほど言いましたように当選を得るために働きかけるということでございまして、一定の労務者の中でも、議員立法によって、ウグイス嬢とか、あるいは選挙の事務に関する人とか、あるいは手話通訳者、これは報酬を払っていいということになっておるんですけれども、今御指摘になった点、まさに個別の事案でございますので、のぼりを立てて、そのことがどうかというのは、私にわかにそれが当たるとか当たらないとか言いがたいんですけれども、やはり選挙運動というのは、電話の場合もそうなんですけれども、行っている方は単純な原稿を読んでいるということであっても、受けとめる側が働きかけられているということであれば、それは選挙運動になるということだと思います。

松本(文)委員 最後の質問というかお願いになるわけでありますが、選挙事務員、選挙労務者、こういう規定があって、選挙労務者には労賃を払っていいよ、選挙事務員にも払っていいよ、こうなっております。それで、選挙労務者には単純な作業ですよ、こう言われている。では、これは単純な作業ですかどうですかという質問に対して、選管は答えてくれない。そして、その判断は警察に任せられる。

 労務者がポスターを張っていいとこれに書いてある。ところが、労務者が政党のポスターを張りに行くときに、ピンポンとベルを押して、このポスターをお宅の塀に張らせていただけませんかという行為は、これはまさしく選挙運動だから労務者がやってはならない、労務者のポスター張りは、決められた掲示板の番号のところに口もきかないでただ黙って張れる行為だけですよ、こういうことになっている。ところが、そんな説明は一言半句、立候補者の選挙説明会では出てこない。結果的に、政党ポスターを張りに走り回った学生諸君は、そしてその学生に労賃を払った人は、運動員買収、これで摘発を受けて、一年六カ月の懲役刑ですよ、懲役刑。学生が汗水垂らして働いた労賃、学費の一部に充てられるのか、生活費の一部に充てられるのかわからない、これが警察によって没収をされている。そして、新聞に載るときには、運動員買収で逮捕者、いかにも悪いことをやったように。選挙にかかわる防犯という、説明ということが全くできていない。

 これについて、ぜひ大臣、考えていただいて、選挙違反をやろうとしてやる候補者はまず私は皆無だと思う。知らずしてミスで行って、結果的に大変な制裁を受ける、こういう社会は決してよくない。選挙の自由を確保する意味でも、こうした対策にしっかり取り組んでいただきたいと要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 大臣におかれましては、昨日の総務委員会に引き続きよろしくおつき合いください。

 総務委員会でも大臣に質疑をさせていただく関係にある以上、竹中大臣が書かれているものであるとか雑誌の中で竹中大臣について書かれていることは、でき得る限り読もうと思っております。非常に多岐にわたる話題を提供され、かつ、わかりやすい言葉で書かれていて、非常に読みごたえがあるんですが、時々ジョークの度が過ぎているような言葉があったりしてどきっともするんですが、ちょっとその点について一件だけ大臣の真意をお伺いしたいと思っています。

 日経マガジンというものが日経新聞の別冊としてたしか週一回ほど出るんですが、その三月号に「政治家竹中平蔵」として談話というかお話をされているインタビュー記事が載っているんですが、その一番最後に十七の質問みたいなコーナーがありまして、人生最大の後悔は身長百八十センチを超えられなかったことだとか、いろいろおもしろいことが書いてあるんですが、最後に、最近一番腹が立ったことは何かという問いに関して、「役人が勝手に閣議決定を変えようとしていること」ということが書かれていました。私も何げなく読んでいたんですが、事が事であれば非常に問題である行為が役所の中で行われているんではないかなと。一国会議員としてこれは看過できないなという思いがありますので、お伺いしたいと思っています。

 まず、この役人が勝手に変えようとしている閣議決定とは何の閣議決定についてなのか、御答弁いただけますか。

竹中国務大臣 日経マガジン、確かに十七ぐらいの質問で、エピソードをおもしろく答えてくださいということで、結構いろいろなことを申し上げたのを記憶しております。

 今御指摘の、役人が勝手に閣議決定を変えようとして私は腹が立ったというのは、これは事実でございます。

 具体的に申し上げますと、そのとき書いたのは、昨年の十二月に行政改革の重要方針について閣議決定をしております、それに基づいて先般から御議論をこの衆議院で賜ってきました行政改革推進法案がつくられたわけですけれども、まあ、閣議決定で行ったというのは基本的な方向で、それを今度は法律の案文に落とすという作業が一月ぐらいからずっと行われてきたわけです。

 その中で、内部で途中経過のようなものがいろいろと報告をされてまいります。これはどの法案もそうですけれども、ああでもない、こうでもないといういろいろな議論が行われる中に、私から見ましても、これは十二月の閣議決定の基本方針を踏み外しているのではないかというものが含まれていたので、とりわけ私はその点について諮問会議等々でも大変力を入れて発言した部分でありますので、これは違うぞと。これは、恐らくメモをつくった本人としては、法文に直すに当たって法制局等とも相談して、閣議決定の基本方針はあくまで基本方針ですから、それを具体的に法文化するに当たっていろいろな法律上の制約、法技術上の制約もありますと。そういう事情も多分あるんでありましょうけれども、私としては、やはりこれは閣議決定と同じ文言でなければ違う趣旨になりかねないぞということで厳しく意見を申し上げました。

 結果的には私が申し上げたとおりに直ったわけでありますので、その意味では、立法のプロセスでは意見を闘わせて最終的に内閣としての方針を決めるわけでありますから、最終的には私は大変満足する結果になったわけでありますけれども、そういうことはもっと基本方針に忠実にやってくれということを声高に申し上げたことがございました。そのことをそこにエピソードとして書かせていただきました。

寺田(学)委員 官僚の皆さんの激しい抵抗であるときもあるでしょうし、ささやかな下からの抵抗もあるでしょうし、そういう意味において、閣議決定というのは、事前に事務次官の方々の御了解を得てというか事務次官会議を経た上で閣議決定をされるという意味を考えますと、省庁内においてのガバナンスの問題でもあると思うんですけれども、そういうところに問題意識は感じられているでしょうか。

竹中国務大臣 御承知のように、よく言われる霞が関文学という非常に微妙な言い回しがございます。その中で、実は後から考えるとなかなかうまいこと書いているなというものが政策文書にはたくさんあるというのは、委員もよく御存じだと思います。そういうことの中で、問題の本質が損なわれないように、そこはしっかり、まさにガバナンスを発揮しなければいけないわけで、そういう観点からかんかんがくがくの議論を行って、よい法案ができたと思っております。

 繰り返しますが、その意味でガバナンスは発揮されているというふうに思っております。

寺田(学)委員 ありがとうございました。

 きょう、時間をいただいて、主に何を伺おうと思っているかといえば、昨年の九月の選挙、我が党としては惨敗したなということは否定できない事実でありまして、かつ、あの選挙というものが、私自身二回しか選挙を経験していませんが、前々回の選挙に比べると、かなり異様な選挙であったなという思いがあります。その異様さの要素というのは何かといったら、私は、報道というものが選挙結果において非常に重要な部分を占めていたというところが今回の異様さというものを感じる一つのきっかけになっていると思います。

 まあ、刺客騒動だ何だということがありました。そういう意味でいうと、かなりワイドショー的な部分がありつつも、郵政賛成か反対かと小泉総理が問われて、それがある種有権者に伝わった。その意味だけをとらえると、義理人情の選挙の部分から、ある種政策で判断するという、あるべき姿には一歩前進したかのようにも思えます。ですが、報道のあり方に関しても非常に疑問が残る点が多かったなと思っています。

 竹中大臣も、報道に関して、これもことしの一月の「論座」ですけれども、いろいろ書かれているのを拝見しました。民主主義についてということですが、国民が正しい政策情報を持ち、政策のよしあしを判断できるインフラがあって初めて民主主義は機能すると。そしてまた、今の民主主義に関して、申しわけないが、日々の新聞やテレビの番組を見ている限り、とても正しいことが伝えられているとは思えないと。そのしばらく後に、どの内閣になろうとも、今のようなニュース報道の中で民意を引っ張っていくというのは相当に難しいと。ここは、日本における最大の構造問題の一つであると。

 報道に関して非常に一言申されている部分を拝見しまして、前回の九月の選挙と選挙報道に関していろいろお聞きしたいなと思っています。

 九月の選挙と呼ばせていただきますけれども、九月の選挙とその選挙に係る報道のありように関して、まずはどのようにお感じになられたか、お答えいただけますか。

竹中国務大臣 私自身、報道というものが民主主義社会のインフラとして極めて重要であって、そうであるがゆえに、本当に頑張ってしっかりとやっていただきたいなという強い期待を持っております。そういうことは事あるごとに申し上げておりますが、個別の報道についてこういう国会の場で政府を代表してコメントするというのは、これは控えなければいけない問題であろうかと思います。

 ただ、もちろん個人としてはいろいろな思いがございます。その意味では、個別の問題というより、あえて一般的な動向として申し上げれば、今回の、昨年九月の総選挙というのは、今までの選挙とは非常に違う中で行われた選挙であった。それに対して、選挙というのはだれでも熱くなるわけでありますけれども、マスコミ自身が非常に大きな関心を払って今まで以上に非常に力の入った報道をされた、そういうことは申し上げてよいのではないかというふうに思います。

 中身そのものについては、報道も多様です、いろいろな報道がありましたから。それについてはむしろ国民の側が評価すべき問題であろうかと思いますが、報道の量といいますか、報道のエネルギーといいますか、そういうものに関しましては、従来の選挙以上に非常に大きなものを感じたというところでございます。

寺田(学)委員 個別の選挙に関してこのような場で発言するのはふさわしくないというお考えがあるようですけれども、一般論としてでも結構ですけれども、これからいろいろ選挙と報道についてお伺いしますので、お答えいただければと思います。

 今回の選挙は今までと違うとさまざまな理由を述べられましたけれども、どのような選挙であろうとも、選挙報道において報道が担うべき役割というものはある種いろいろ議論されて固まりつつあるのではないかな、また、大臣自身としても、一般論としてですけれども、お考えがあるんではないかなと思っています。そういう意味において、選挙において報道が担うべき本来の役割というものは何であると考えていらっしゃるでしょうか。

竹中国務大臣 先ほどから御議論がありましたけれども、選挙そのものについては、実は我々から発する情報等々、非常に制約があるわけでございます。選挙というものが公正なものでなければいけない、そういう中で幾つかの非常に厳しいルールのもとで情報の提供が行われるわけでありますけれども、いわばマスコミといいますか、メディアはそういったものの例外として国民に対して選挙に関する情報を提供するということが許されているし、むしろそれが使命にもなっているわけでございます。

 そういう中でマスコミが果たすべき役割ということになりますと、まあ、政策というのは、政治というのはますます専門化して大変難しくなっていると思います。これはある方の言葉の引用でございますけれども、政策というのは、かつては、もちろんかつても難しくて、一種の運転免許のようなものを取らないとわからない、そういう難しさがあった。しかし、今の政策というのは、これはもっともっと最先端のところに行っていて、いろいろ議論いただいている金融の問題とか情報の問題なんかはその典型だと思いますが、自動車免許ではなくて、ジェット機の操縦免許がないとわからないぐらいの難しさになってきているのではないだろうか。そうすると、ますます、今何が起こってどういうことが議論されているかということを普通の有権者の皆様にしっかりと報道する、それを伝える社会的インフラとしての報道の役割が重要になってきているということだと思います。その意味では、専門性をしっかりと身につけた上で、しっかりとわかりやすくそれを国民に伝えていただくという役割があると思います。

 それともう一つは、メディアにとって常に重要なのは、よく中立という言葉が言われるわけですけれども、私はより正確に言えば独立ということなのではないかと思います。いろいろな考え、いろいろな利害を持った人たちがいますけれども、そういう利害や考えから独立して、しっかりとした情報を伝えていただくということが重要なのではないかというふうに思います。

 今回の選挙に当たっては、非常に今までにはないシチュエーションの中での選挙でございました。そういう点でむしろマスコミ、メディアは大変御努力なさったということだとは思いますけれども、その中でいろいろな問題点があったということを指摘する専門家もいらっしゃると思います。今回の議論を通してマスコミもさらによくなっていく努力をされるでありましょうし、いろいろな議論が起こることは、これは社会全体としては好ましいことであると思います。

寺田(学)委員 メディア及び報道といいますと、代表するものはテレビである、そしてまた新聞である、大体その二つに集約されるものだと思うんですけれども、この二つに選挙報道においての役割の違いというのが生じるものだと思っていますかどうか、お答え願えますか。

竹中国務大臣 新聞に関しましては、よく社会の公器というような言い方がなされると思います。まさにそれは国民の日常生活に根差したメディアという位置づけで、本来の使命は、まさに報道であり、社会、経済、政治問題に対する評論、論評であると思います。

 一方で、テレビというのは、これはもう今特に日本社会においては国民の日常生活から切り離すことができない大きな存在感を持っていると思います。つまり、映像を伝える装置として、まさに映像情報が持っている力、それを即時的に使える即時性、そして映像が持っている具体性、そういう意味で今日の大衆文化を支える最も強大なコミュニケーションの媒体であるということなのではないかと思います。

 もちろん、双方とも不特定多数の受け手を対象に情報を発信するということで共通点はあるわけでございます。通信は一対一の情報のやりとりであるのに対して、テレビにしても新聞にしても一対n、一対多数の、情報の受け手が多数であるという意味では両者に相違点はないわけでございますけれども、国民から見た場合、今申し上げたような位置づけになっているのではないだろうかというふうに認識をしております。

寺田(学)委員 先ほどから述べられている部分を要約しますと、役割的なものに関して言うと、報道の役割ですけれども、政治が専門化している今の世の中においてどのような議論がされているのかということをわかりやすく伝えるのが報道の使命であろうと大臣がお考えになられている。

 そのような一つの前提のもとに考えますと、今回の選挙において、九月の選挙において、その役割というものは果たされたとお感じになられているかどうか。いかがでしょうか。

竹中国務大臣 その評価そのものを政府を代表して私がこの場でするというのは、これはなかなか難しいということは御理解を賜りたいと思います。ただ、あえて委員が一般論で、いろいろ、話せる範囲で話せということでございましょうから。

 その間、皆さん一生懸命新聞を読まれ、そしてテレビの番組でも多くの番組で政治関係の問題を取り上げられ、それに対してそれなりの視聴率が確保されたということは、国民が求める、需要する側に対してそれなりの情報を提供しておられたということだと思います。

 委員がむしろお尋ねになりたいのは、情報の質等々が先ほどから議論しているような形でどのように評価されるかということだと思いますが、これは繰り返しになりますけれども、やはり国民の皆さん御自身で評価をいただかなければいけない問題であろうかと思います。メディアはメディアとして大変努力をしておられると思います。メディアの側の方々の御意見を聞くと、いや、報道のやり方が本当に難しくなっている、自分たちも困っているという悩みをお持ちであるというふうにも認識をしております。

 互い、情報を出す方、情報を求める方の切磋琢磨の中で、方向としてよき方向に行っていただきたいと思っております。

寺田(学)委員 さまざま選挙報道に関してはマスコミの役割はこうあるべきだと。大臣のようなお考えもあるでしょうし、いろいろな専門家の話を読んでみますと、報道というものは選挙においてはアジェンダセッティングをするというのが一番の役割ではないかと。争点設定というものを、各党からの言い分だけではなくて、それらすべてを総合した上で今国民に問われているものはこういうものではないかということを、まさしく大臣が言われた独立性を持ってやるということが報道の役割ではないか、選挙報道においての役割ではないかと言われております。

 そういう意味において、報道の議題設定能力というものが、今回、ある種一方の意見というものに押し流されて、独立して報道自身がアジェンダセッティングをするということが弱体化した、余りできなかったんではないかということもささやかれています。そういう意味において、選挙報道の役割、選挙中における報道の役割というものはアジェンダセッティングだという一つの考えに対してどう思われるかということと、今回、そのアジェンダセッティングというものが報道においてなされたかどうか、そういうことについても総合的にお話しいただければと思います。

竹中国務大臣 委員の言葉で言うところのアジェンダセッティングというのは、これは本当に重要なことだと思います。

 実は、これはメディアにとって重要だというだけではなくて、例えば、選挙を戦う自民党にとって、公明党にとって、これもアジェンダセッティングを一生懸命行おうとして選挙戦略を練ったのだと思います。民主党におかれても、またその他の政党におかれても、そのアジェンダセッティングをこのようにしようということで大変な努力を払われたのだと思います。それがいわゆる政治的な訴えに直接つながっていくという性格のものだと思います。それに対して、今度はメディアがそういう状況を見ながらどのようにアジェンダセッティングをしていくだろうかということは、これは当然メディアとしてもお考えになったのだと思います。

 これは私が言っているんじゃなくて、あるメディアの方が何かのテレビ番組で言っておられたんですけれども、自分たちの番組が考えていたアジェンダセッティングと国民が求めていたアジェンダセッティングが、結果的に見ると違っていたのではないかという反省をしていると。これはあるテレビの番組の中でメディアの方が言っておられましたけれども、そういう面も確かにあるのかもしれません。同じような思いが、それぞれの政党、選挙を戦った政党、候補者のアジェンダセッティングの中にもあるのかもしれません。これはやはり、それを判定するのがまさに有権者であり視聴者であり国民であるということだと思います。

 国民のそういった思い、気持ちを離れて政治もメディアも存在し得ないわけでありますので、国民の目線でと、よくまくら言葉のように言われますけれども、まさにそういうことを言っているのであろうというふうに思います。

寺田(学)委員 アジェンダ、言いかえれば争点、議論点ということになるんでしょうが、今回、報道がどのようにその役割、アジェンダセッティングを担ったかということもさることながら、小泉総理は、明確に、解散後の記者会見において、有権者に郵政民営化賛成か反対か、それを問いたいという総理自身のアジェンダセッティングをされました。

 その後に、先ほど大臣が言われたとおり、報道側としては、さまざま多様な争点というものをもって国民に判断を仰ぐべきだという努力をされたのかもしれませんし、我が党、ほかの党にとってみても、違う争点もあるじゃないかということで努力したんですけれども、結果的には郵政の民営化賛成か反対かというものが争点になった。そしてまた、総理自身が口にしているんですが、郵政民営化反対か賛成かだけを問いたいんだと、いわばシングルイシューという形で一つを国民に問いました。

 先ほどから大臣は個別の選挙について政府を代表して言うことはできないと言われておるんですが、一般論としてでも結構ですけれども、そもそもこういう総選挙において、シングルイシュー、一つの争点だけに絞って判断を仰ぐということ自体は、一般論として選挙においてふさわしいかどうかということに関してはいかがお考えでしょうか。

竹中国務大臣 まさに一般論でお答えせざるを得ないわけでございますけれども、それは国民がその時点で何を最も重要な問題と考えているかということに、やはりその点に帰着していくのではないかと思います。

 もちろん、国政は幅広いものであります。常に内政、外交、幅広く問題を抱えており、そのことに対して国民の厳しい評価を仰いでいかなければいけないと思います。しかし、そうした中でも、その時々によってとりわけ何が重要なのか、何がシンボリックな意味を持っているのか、そこはまさにアジェンダのセッティングとしてはあるんだと思います。国民自身が、そういったそれなりの判断といいますか、評価を常になさっているわけであります。その意味では、一つの問題が相対的に大きなウエートを持つ場合もあれば、必ずしもそうではなくて、満遍なく政策全体の方向がまさにアジェンダになることもあるのだと思います。それは、それがよいか悪いかというのは、まさにその時々の状況において判断がなされていくべきものであろうかというふうに思います。

 私自身は、先回の選挙は、もちろん郵政民営化というのが大変大きなウエートを持ったということは間違いないというふうに思っておりますが、では、本当にそのシングルイシューだけだったかというと、それは多分言い過ぎであって、それが最大重要項目であったけれども、他の問題についてもそれなりのしっかりとした論争がなされて、選挙としての国民の判断があったというふうに思っております。

寺田(学)委員 国民がある意味何を求めているかというところに大きな判断要素があるというようなことを述べられましたけれども、ちょっと言い方を変えて、では、国民がシングルイシュー、もちろん一つだけと厳密には言えないでしょうけれども、シングルイシューを望むような形の選挙であるならば、シングルイシューの選挙というものも仕方がない、及び、それはそれでいい、結構だというふうにお考えになられているんでしょうか。

竹中国務大臣 それは、本当にその時々の状況によるということなのだと思います。

 ただ、申し上げましたように、前回の選挙においても、これは郵政民営化が最大のイシューだったわけですけれども、それがシングルイシューであったかというと、私は、決してそうではない、最も大きなアジェンダであったけれども、その他についてもいろいろな議論と判断があったのではないかというふうに思っております。

寺田(学)委員 国民がどう感じるかということもあるんですが、解散権を行使された総理自身が何を思っていたかということで言えば、まさしくあの会見では、郵政民営化に賛成か反対かしか演説では述べられなかった。本来であるなら、私の四年間の総理としての業績をも判断してほしいと言っても差し支えないところを、あの演説の中では、解散したその日の夜の演説においては、郵政の民営化賛成か反対かだけを問われておりました。

 そういう意味で言うと、受け手側がどのようにとるかということは、それは私どもがすべてを把握、管理できることではないんですが、政党側、そしてまた解散した側が何を設定するかということは自由に考えられるわけだと思うんです。そういう意味において、総理がああいうような会見においてシングルイシュー、あの会見においては完全なるシングルイシューだったんですけれども、郵政の民営化賛成か反対かを国民に問いたいと言ったことに関しては、いかが思われますか。

竹中国務大臣 あの八月八日の夜の会見は、ちょっと今全部の内容を掌握しておりませんので、総理が具体的にどういうことについておっしゃったかというのは、申しわけありません、今把握できません。

 ただ、委員おっしゃるように、郵政民営化の是非を私は国民に問いたいんだ、そして、国民の皆さんがノーとおっしゃるんだったら自分は退陣するんだ、そこが最も強力なというか、やはり強烈なメッセージであったということは事実であろうかと思います。ただ、私の記憶している限り、総理は別の機会等々で、小泉内閣の四年の成果をしっかりと評価してほしいというようなことは当然いろいろなところで発言をしておられたというふうに記憶をしております。

 したがいまして、シングルイシューという言い方の問題なのかもしれませんが、最大の、非常に大きなイシューであり、近年の選挙では、これだけ一つのイシューが大きなウエートを占めたことはほかに余りなかったというのは事実だと思いますが、かといって、そのことだけの賛成反対投票ではなかった、これは繰り返し申し上げているとおりでございます。

寺田(学)委員 私の記憶しないところで総理自身が四年間の実績を問われたのかもしれませんが、新聞に載る自民党さんの広告を見てみても、郵政民営化イエスかノーかということを書かれている大きな広告を見るにつけ、私自身は、シングルイシューで総理は問われたんだろうなと。そのことに関して是非というものは、どなたであろうともいろいろな意見があると思っています。そういう意味で言うと、私自身は、前回の選挙は、我が方が負けたからという負け惜しみという意味ではなくて、正直、政策重視の選挙に少なからず前進したということは認めつつも残念な選挙だったなと。選挙全体として客観的に見た意味で言うと、残念な選挙だったなというふうに感じざるを得ません。

 報道というものをもう少しだけ大臣にお伺いしたいんですが、公平性を保たなければいけないということを常々言われております。さすがに告示されてからは、どの候補者が出ているのか、及び、どのようなことを訴えているのかということは情報量としてもかなり公平に報道各社は扱うんですが、解散が決まってから告示日までの間は恐らくそこまで厳密には考えられていない。私どもから見た目線という言い方をした方がいいんでしょうけれども、どうも自民党さんの刺客騒動の部分及び総理の発言自身というものが、過剰に、バランス悪くかなり報道されていたなというふうに思っています。

 そういう意味において、告示以後ではなくて、解散してから告示日までの間、報道の公平性というものは保たれていたかどうか、どのようにお感じになられたか、お答えいただければと思います。

竹中国務大臣 非常に具体的な期間を区切っての評価でありますので、これは申しわけありませんが、政府を代表してその期間についての評価をするということはちょっと差し控えなければいけないのだというふうに思っております。

 その上ででございますけれども、そういうことに関して、私はメディアというのは社会の民主主義を支える一種の重要なインフラであるというふうに申し上げてまいりましたけれども、アメリカ、ヨーロッパについて見ると、インフラであるがゆえに、それに対するメディアウオッチのようなNPOがあったり、つまり、委員まさにおっしゃったように、メディアがそういうことをきちっとバランスよく報道していたかとか独立していたかということを、第三者のまさに市民の代表がNPO等々でメディアウオッチのような形で評価するというシステムがある。これまた民主主義社会の重要な社会インフラであろうかと思います。私の知る限り、残念ながら、そういうものが日本では十分にない。

 その意味では、メディアというのは、ある意味でメディアの権力と言うと、またメディアの方からはおしかりを受けるかもしれませんが、大変な影響力を持っていることは確かでございまして、影響力が極めて大きいがゆえにそのチェック・アンド・バランスのような、メディアウオッチのようなものがNPO、NGOとして出てくる中で、民主主義の社会インフラが整備されていくのであろうかなというふうに思っております。

 委員の御質問に対して直接お答えしておりませんで大変申しわけないんですが、そういう広い意味での民主主義の社会インフラをつくっていきたいなという思いは、個人的には私自身は以前から大変強く持っております。

寺田(学)委員 その公平性をどのように保つのかということはいろいろな観点から考えられると思うんですが、我が国の報道に関して言いますと、他国に見られるように我が新聞は何々党を支持しているんだ、我がテレビはここを支持しているんだということを明示的にも暗示的にも結構旗色を鮮明にしている報道者があって、そういうものを許している国というものも欧米の中にはあると認識しています。そういう意味で言うと、我が国の報道というものは、選挙報道においてはどちらを応援しているということを極力避けるのが公平であるというような認識を持って、明確に、暗にも、どちらを支持しているかということは言わないようにしているのが事実だと思います。

 そういう意味において、今、放送と通信の一つの融合であったり、多チャンネル化、インターネットでもテレビ局をやれたりと、さまざまそういうところのポテンシャルが上がってきて、メディアというものが限られてなく、かなり一般化して多様化していくであろうこれからの未来において、公平性を保つという理由で報道者がどの党を支持している、どの方向性を望むんだということを言わないような今の報道姿勢というものを変革する余地があるとお考えなのか、それとも、いや、このような公平性というものは非常に保つべきものなんだとお考えなのか、いかが思われているでしょうか。

竹中国務大臣 大変重要な、大きな問題のお尋ねであろうかと思います。

 新聞紙、雑誌、放送事業者が行う選挙に関する報道、論評につきましては、これはいわゆる表現の自由を濫用して選挙の公正を害しない限り自由であるというのが大原則であろうかと思いますが、例えば、一方で放送事業者については放送法の規定に従っていかなければいけません、特に政治的な公平性が求められているというのは重要なポイントであろうかと思います。

 新聞につきましては、報道、評論という範疇の中で旗幟を鮮明にすることも差し支えはないものというふうにもちろん解されているわけでございますけれども、やはり公平性は保てということが基本になってきたというふうに思います。新聞が政党色を帯びる、旗幟鮮明にするということについては、つまり政治的な旗幟を鮮明にするということについては、広く国民の支持や共感が得られるか、この点について、これは各マスコミが十分に考慮をなさることであるというふうに思っております。

 ただ、現実に、委員がおっしゃるのは、政治的な旗幟鮮明というよりは、一つの政策とか問題に対して自分たちはこう思うということの主張をはっきりとされる、そういうことでございますれば、これはまさに言論の自由の大前提でありますし、現実にいろいろな問題に関しても、既に日本の新聞の論説等々はかなりそういうような政策に対する主張は鮮明に述べておられるのではないか。これは二十年ぐらい前と比べると大分違っているのではないかというような印象を持っております。

寺田(学)委員 選挙じゃない平時においては、かなり政策において、もっと言うと政党の好き嫌いというものがはっきり見えるような書き方を新聞、テレビの方でもされるんですけれども、事国民が判断をしなきゃいけない一番重要な局面において、もちろん公平性を保つことは大事でしょうけれども、急にトーンダウンして物すごく平たい一般論しか言わなくなってくるというのは、ある種、冒頭読ませていただいた大臣の民主主義のインフラという意味ではやや欠ける部分があるのではないかなという思いもあります。

 放送法において政治的な公平性ということがうたわれている以上、情報量としての公平性を保ちながらも旗色としては結構鮮明に出してみるということも、これから放送と通信が融合化してメディアがかなり多様化する中では一つの考え得る余地ではないかなと。そういうときには、この放送法の規定ということに関してもやはり御一考いただきたい部分であるのではないかなと思っています。

 そして、最後にもう一点だけなんですけれども、選挙報道におけるアナウンス効果ということもいろいろ議論を呼んでおります。

 アナウンス効果と一言で言うと、告示日の途中で、どっちが勝ちそうだ、どっちが優勢だということをアナウンスする、報道が世論調査をとってそれを紙面か番組の中で発表して有権者に少なからず影響を与えるということが、いいことなのかどうなのかということが言われています。

 九九年の東京都知事選挙において、森喜朗前首相が、この当時幹事長なんですけれども、事前調査に関して、毎日新聞とやられたみたいですけれども、公選法の改正を検討せざるを得ないぞということを強く言うぐらい、この事前世論調査というものに対してお怒りになられた。公選法を変えるぞと時の与党の幹事長の方が言われているのは非常に強いインパクトがあるんですが、このアナウンス効果に関して非常に強い懸念というか疑問を持たれていた証拠だと思うんですけれども、この告示中の事前世論調査を公表することについて、大臣自身はどのようにお考えになられますか。

竹中国務大臣 委員の御指摘は、メディアの予測報道とか情勢がどうなっているという情勢報道によって選挙人の投票行動が影響を受ける、そういうのをアナウンス効果というふうに呼んでおられるわけだと思いますけれども、そういう御指摘、一般に、確かによく耳にするところでございますし、今の具体的な御指摘もあったわけでございますけれども、公職選挙法において認められた報道及び論評として公正になされたものである限り、その是非について我々としては言及する立場にはないというふうに思っております。

 なお、公選法の百三十八条の三において、人気投票の結果の公表の禁止でありますけれども、新聞社等の行う世論調査については、これは名目が世論調査であっても、その調査方式が投票方式によるものであれば、その過程または結果を公表することはこの百三十八条の三の違反になるものというふうに解されているということでございます。一方で、調査員が被調査者に面接して調査した場合は、この人気投票には当たらないものと理解されているというふうに承知をしております。

寺田(学)委員 さまざま法律で規制されている部分、されていない部分の中で、そしてまた報道の自由という中においても、どのような報道がなされるべきかということは、大臣自身が、ことしの一月、「論座」に書かれた中における、民主主義においてインフラというものは大事なんだということをかんがみれば、一般論しか申し上げられない部分、いろいろあると思うんですが、その点においても、選挙という一番民意が直接的に反映される場でしょうから、環境整備というものに関しても御自身の考えのとおりに事を運んでいただきたいなということを強く求めたいと思います。

 選挙報道に関しては以上にしまして、以前、予算の分科会でもお尋ねしましたことに関して、政見放送に関してですけれども、数点お伺いしたいと思います。委員長にも、そして井上筆頭理事にもいろいろ聞いていただいて、改正のためにお力をかしてほしいんですけれども。

 政見放送に関していろいろなところからお願いが来ております。耳が聞こえない方々であったり、さまざまなところから来るんですが、手話、字幕をつけてくれと。政見放送しか、耳の聞こえない自分たちにとってみると、どちらに投票すべきかということを判断する機会というものがないと。けれども、そこには、今、手話、字幕というものを両方つけられているのは非常に少ないんだということでお困りになられている方々がいらっしゃいます。

 それは、手話通訳士が足りないとか、さまざまな要因があるんですが、政見放送の撮り方自体が、創意工夫あふれる、そしてバリアフリーな政見放送の作成に関して障害になっていることも事実だと思います。その政見放送を今どのようにして撮影するかに関して言うと、調べてみると、衆議院の小選挙区に関してだけ言うと、自分たちでつくったものを持ち込める。それ以外に関しては、知事選であるとか、参議院の、来年ありますけれども、参議院選挙においても、局撮りという形で、放送局に行ってほぼ一発撮りに近い形で撮らなきゃいけない。そういう撮り方に指定されていますと、手話通訳士の方々が同席する、及び、決まった原稿をそのまま読まれる方が少ないという以上、手話通訳される方も非常に戸惑う。結果、バリアフリーな政見放送というのはできなくなってしまうという障害があると思うんです。

 政見放送に必ず手話通訳をつけなさいということを今から申し出る気はないんですが、政見放送の撮り方をちょっと変えるだけでも、本当に創意工夫あふれる政見放送、有権者にとって、先ほど言ったとおり情報を与えるいいインフラの一助になると思うので、ぜひともこの政見放送の撮影の仕方、すごい小さなことではありますが、大きな成果を生むものだと思いますので、御尽力いただきたいと思うんです。

 ちょっと技術的なことを聞くんですが、国政の無所属候補には政見放送は今機会を与えられていない。しかし、知事選では無所属の候補であろうとも政見放送の機会が与えられている。ここら辺にやや整合性がないように思えるんですが、どのような解釈のもと、このような制度になっているのか、選挙部長で結構ですのでお答えください。

久保政府参考人 これは、委員もおっしゃいましたように、予算委員会の分科会でも御議論をいただきましたが、衆議院の小選挙区選挙におきます政見放送、これは平成六年の法改正で、候補者を届け出ている政党に限って政見放送ができるんだ、そして持ち込み方式によってやっていくというふうにされたわけでございます。

 そのときの考え方でございますけれども、それは、政党本位、政策本位の選挙を実現するためには、政党がその政見を広く有権者に伝達することができるような手段を十分に保障することが必要不可欠であって、広域メディアである政見放送は政党が行うにふさわしい選挙運動手段であると考えられる。そして、この政党に加え、候補者個人に改正前の制度と同様の形で政見放送を行わせるということになりますと、これは小選挙区の選挙でございますから、選挙区数の増加に伴う候補者の増を考えると、必要な収録時間、放送時間を確保することが難しい、こういった議論もあったやに承知しております。そして、候補者届け出政党、これは所属国会議員が五人以上であるとか、全国レベルで二%の得票数を得ている、そういった政党であるということが背景でこういうふうになったと思っております。

 このことにつきましては、実は、法のもとの平等に反するのじゃないかとかといった観点で訴訟も起きておりまして、最高裁判所はこの改正規定は合憲であるという判断を下しております。

寺田(学)委員 かなりの部分に関して総合的にお答えになられたんですけれども、裁判所の方で合憲という判断が出たということですけれども、無所属候補には認められなくて、政党の届け出のある、政党の所属の者であれば政見放送の機会が与えられる。しかし、知事選の方においては無所属でも認められるということは、一見しますと非常にアンバランスではないかという疑問を持たれるのも事実だと思います。

 どういう方が政見放送のチャンスを得られる要件を持つのかということもさることながら、先ほどから申し上げているとおり、その撮り方というものが、局撮りという、いわば放送局に行って自分自身でその場でしゃべって、一回修整はできるんですが、それは一本目のデータに上塗りする形じゃないとできない、だからほぼ一発撮りに近いような形でしかやれないのは、いろいろなところから聞いた情報によると、小泉さん自身もこんな不便な制度はないなということもおっしゃられているそうです。そういうことでかんがみますと、自分たちでつくったものを持っていくということを許す、または、いや、局撮りでもいいんだという方は局撮りにしてもらうという、ある種選択制を……。政見放送のチャンスが与えられている現状の方でも結構ですので、局撮りの形をやめて持ち込み式にした方が私はいいインフラにはなると思うんです。

 ですが、まだ局撮りの部分にこだわられている、局撮りをまだ強制しているような形になっているのは、何かしらのメリットが局撮りにはあるとお感じになられているからだと思うのですが、どのようなメリットがあるとお感じになられているのでしょうか。

久保政府参考人 局撮りの話になる前に、やはり持ち込みビデオの性格でございまして、これは繰り返しになりますけれども、この衆議院の小選挙区は政党本位の選挙制度であるということで、平成六年に候補者届け出政党に限って政見放送ができるということにしたのと同時に、やはり政党の創意工夫を生かせるためには局撮りよりはむしろ持ち込みビデオということで、いろいろな創意工夫をしていただこうということで始まったものだと理解をしております。

 一方、この局撮り方式のメリットというのはあるんだろうかということに限ってお答えをいたしますと、政見放送の録画につきましては、スタジオを確保するとか機材とか要員等の配置についても相当の準備を要するということだろうというふうに思いまして、局撮り方式におきましては、そういった意味での不安といいますか、そういったものがないということがメリットであろうと思います。

寺田(学)委員 確かにそれはメリットであると思うんですが、選択制にしてしまえば、そのような、スタジオをとることが非常に困難だと思われる方は局撮りを選択されるでしょうし、いや、そういうことに関しては準備があるんだという方は持ち込み方式を採用して、手話をつけるのか字幕をつけるのか、さまざまな創意工夫を凝らして有権者にわかりやすい情報を与えるという一つの選択もとれると思うんです。

 ここは何も政府の怠慢であるとか何とかということを厳しく責めるわけではなくて、公選法というものが議員立法と閣法によってその都度その都度瞬間的に改正されていっていることが、こういういわばでこぼこを生んでいるとは思うんです。議員立法でできるのであれば議員立法でしたいですが、恥ずかしながらというか、自分たちは少数、野党でもありまして、このことを改正したいと本当に願うのであれば、政府の方が、前回衆院の小選挙区に持ち込みを認めたときは閣法でやりましたし、政府・与党の方々の御賛同もいただいて議員立法でやるということも必要だと思うんです、そういう意味で非常にここには御理解をいただきたいと強く願っているところです。

 先ほど部長の方が、衆院の小選挙区だけに持ち込みを認めている理由は政党本位だからというお言葉を使われていますが、そういうことに関して言えば、参議院選挙だって政党本位な選挙であることは事実ですし、そこに関して何ら決定的な違いはないことを考えますと、私は、どの党に有利になるというような改正ではないので、持ち込み方式というものを広く認めていただきたい。

 そしてまた、どのような方が政見放送を放送する権利を持つのかということは、裁判でも争われたりいろいろな考えはあるでしょうけれども、現状の政見放送を放送できる権利者においては、持ち込み及び局撮りのどちらも選択できるようにするというのがまさしくインフラを整える一つのきっかけであり、それが大きな結果を生むと思うんですが、大臣自身、どのようにお考えになられますか。

竹中国務大臣 この問題に対する寺田委員の熱意は前回も聞かせていただきまして、今回も非常に私自身には強く伝わってまいります。

 現状、どういう経緯でこのような形になっているかということにつきましては、既に部長から御説明させていただいたとおりでありますし、前回の指摘のときも御説明をさせていただいたとおりでございます。

 これは、議員の御指摘は大変納得できる点もあるわけでございますけれども、何せこの政見放送、選挙の問題というのは政治活動の最も中心的な問題でございます。そうした意味から、きょうの委員のお話は、私たち総務省に対してであると同時に、この倫選特の各先生方に対するお話でもあろうかと思います。各党各会派で、ぜひそうした点を踏まえて御議論を賜れればありがたいというふうに思っております。

 我々でできることについてはもちろんやらなければいけないわけでございますが、何せ政治の中核にかかわる、政治活動の中核にかかわる話でございますので、各党各会派において十分な議論が行われて、それを踏まえてなされなければならないというふうに思っております。

鈴木委員長 寺田委員に申し上げますが、今の大臣の答弁と関連いたしまして、先ほど委員長並びに井上理事の名前を挙げられて質問をされました政見放送のあり方に関して、委員長としてもしっかり整理をいたしまして、場合によれば、理事の間で御協議をしていただくことも考えたいと思っております。

寺田(学)委員 本当に委員長から温かいお言葉をいただいて非常に心強いんですが、本当に、戸別訪問を認めるとかインターネットどうこうというのはまさしく各党各会派でやらなければいけない問題ではあると思うんですが、こういう持ち込み方式を認めるどうこうということに関しては、前回においては閣法、いわば各党各会派の協議ではないところでもやれる事務的なものだというお考えのもとでなされた閣法であるとも思うんです。

 そういう意味においても、本当に、今委員長から温かいお言葉をいただいて、来年の統一選挙が近い、そしてまた参議院選挙という、ある種かなり重要な局面を迎えるであろうその選挙を迎えるに当たって、私は、その選挙の前に早急にこの問題、持ち込み方式を参院選挙及び知事選にも認めるということを何とかなし遂げていただきたいなと。そのためであれば、自分自身としても、民主党内含めて、一生懸命いろいろなことでの啓蒙、及び、頑張っていきたいという思いがあります。

 そういう意味において、今委員長からそういう温かいお言葉をいただいたので、これ以上大臣に対してごねごね突っ込むのもやぼだと思いますので、委員長のお言葉を信じて、そしてまた、委員長がそのままそのお立場にずっといて、この問題に取り組まれることを強く願いまして、時間が少し余っていますけれども、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、民主主義社会をつくっていく上で参政権を権利として認めるということは、憲法でも規定され、当然のことですが、実質的にもどのようにそれを保障していくかということは大事な問題だと思います。

 それで、きょうは最初に郵便投票について伺っておきたいと思いますが、郵便投票ができる対象者は今どれぐらいいらっしゃるのか。それから、そのうちで代理投票のできる対象者はどれぐらいいらっしゃるか。参考人の方にまず伺います。

久保政府参考人 この前の総選挙におきまして、郵便等投票証明書の発行件数、これは五万八千八百九十三件でございまして、その前の衆議院議員総選挙に比べまして六千六百三十三件増加をしております。うち三万五千百九十四名の方が投票を行っておりまして、前回に比べまして投票を行われた方は二千八百二十二名増加をしているということになっております。また、このうち代理記載に該当するものとして郵便等投票証明書、これを発行いたしましたのは二千二百五十八件でございまして、うち千七百八十四人の方が投票を行ったということになっております。

吉井委員 何か、答えてもらうのに、新大阪から東京まで来られる大体の距離がありますけれども。

 私がまず最初に伺いましたのは、郵便投票の対象者の数なんですね。こちらは約百十二万人。それから、代理投票の対象者は約十三万人、これぐらいいらっしゃると思うんですが、まずこの点を確認しておきます。

久保政府参考人 正確な数字というのはなかなか把握いたしておりません。極めて大ざっぱで申しわけございませんが、身体障害者の方で対象者になり得るというふうに、私ども、いつぞやの時点で調べましたときには、約百四十六万人という数字を把握しております。

吉井委員 ですから、対象となる方は百十二万人ぐらいというふうに私は最初に伺っておりましたが、百四十六万人ですから、さらにたくさんの対象になる方がいらっしゃるわけですね。対象有権者で見ると、郵便投票というのは、私が最初に伺っておりました百十二万人からすると五・八%なんですが、さらに率が低くなってくるんです。代理投票ということになりますと、これは一%少しというところなんですね。

 ですから、代理投票できる代理記載の要件はやはり非常に厳しいものがあって、寝たきりの人、自筆が困難な人たちの実情というのをやはりきちんとよくつかんで、政治に関心は持っていらっしゃる、投票する意思もあるんだけれども、しかし、投票所に足を運ぶことがなかなか大変で、今まばたき等でパソコンを使って自分の意思を表明することのできる人とかいろいろいらっしゃいますけれども、その自分の意思を投票行動につないでいくには、やはりそこには郵便投票とともに代筆の制度がさらに拡充されていくこととか、あるいは、外国などにあるような巡回投票と代筆投票を組み合わせるとか、要するに、参政権というのは権利としてあるだけじゃなしにそれを実質的にもきちんと保障するということが、私は民主主義社会としては非常に大事なことだと思うわけです。

 そういう点で、大臣に伺っておきますが、そこの思いは大臣も私と多分一緒だと思うんですよね、民主主義の基礎をなすものですから。ですから、そういういろいろな、障害を持った方で、自分の投票権を行使できないからこういう面での改善をしてほしいとか、そういう御要望とか思いが、これは役所の方には随分届けられていると思うんですが、大臣もお聞きになっていらっしゃるのか、ちゃんと耳に届いているのかどうか、そこのところを大臣に伺っておきたいと思うんです。

竹中国務大臣 まず、吉井委員おっしゃいましたように、参政権を実質的に担保しないとこれは意味がないわけでございます。その意味で、障害を負った方、ハンディキャップを負った方々、そういう方々こそ政治の助け、力を必要とする場合が多いわけでありますから、しっかりとそういう制度を担保することがまさに民主主義のインフラの中でも最も重要な部分であるというふうに認識をしております。後で議論されると思いますけれども、その際に、公正性をどのように担保していくかということをしっかりと配慮して少しでもよい知恵を絞っていかなければいけないと思っております。

 それからもう一点、障害者団体からの要望等々、これはたくさんいただいております。そうしたことはしっかりと把握しておりますので、できることに常に知恵を絞っていきたいと思っております。

吉井委員 それで、最近のことで見ましても、二〇〇二年十一月二十八日に東京地裁が、筋萎縮性側索硬化症、ALSの患者の三人の方が代筆による郵便投票を認めないのは選挙権の侵害と訴えたのに対して、判決文の中では、損害賠償の方は認めていないんですが、以上によれば公職選挙法に原告らが選挙権を行使できるような投票制度が設けられていなかったことについては、憲法十五条一項、同三項、十四条一項及び四十四条ただし書きに違反する状態であったと言わざるを得ないと指摘しているわけです。

 この指摘があって既に三年半経過しているわけですが、もちろん、その後、二〇〇四年でしたか、郵便投票についての部分的な前進があるということは、私も国会の方ですから、立法府ですからそこは知っているんですが、それにしても、一%少ししか実際には代理投票の方が参加できていないのが実情です。では、実質的にこの権利を保障していくにはどういうことをやっていくことが大事なのか、ここが私は今問われているときだと思うんです。

 そこで、これは地裁の判決文の中でも紹介されておりますが、各国でも巡回投票と代筆の制度を取り入れているとか、もちろん郵便投票と代筆なんだけれども、かなり今の日本の場合絞っていますから、それにどういうふうに取り組んでいるかとかいろいろな例も研究していらっしゃると思うんですが、少しそこのところもお聞かせいただきたいと思います。

久保政府参考人 ただいま御指摘にございました巡回投票でございますね。これは、確かに障害者の方々の御要望の中でも極めて強い御要望だと承知をしておりますけれども、巡回による在宅投票、これを実施してほしいということがございます。

 ただ、一方で、これはもう先生御承知のとおりのことになってまいりますけれども、巡回投票というのをやってまいりますと、選挙管理委員会の職員、この体制をどうやって、巡回をしていくときに確保ができるのか。巡回をしていきますと、選挙期間というのは限りがございますので、対象者を漏れなくといいますか、果たして巡回がまたできるんだろうかとか、そういった意味で公平性を欠くような結果になりやしないかとかいったようなことで、私ども、諸外国にそういった制度があるというのは承知をしておりますし、また、国内でそういったことができないかということを考えてもまいりましたけれども、どうしても、職員の体制だとか選挙の公平性とか、そういったことがやはり障害になって踏み切れないでいるというのが正直言って実情でございます。

吉井委員 私は、これはまず、どこに在宅で代筆投票をしなければならない方がいらっしゃるかとか、実情をつかむことが大事なんですが、通常、地方自治体の場合、よくつかんでもらっているんですね。そして、地方自治体の場合、選挙管理部なり課の人だけが選挙の仕事をやっているわけじゃないんですよね。投票日は税務の人も国民健康保険の人もみんなちゃんと参加するわけですから、余り行革だといって削ってしまうとそういう人もいなくなりますけれども、その人たちの体制をきちんと実態に合わせて組んでいったら、それは私は可能になってくると思うんです。

 問題は、これは判決文の中にもありますが、投票所投票主義及び自書主義を原則とする選挙制度を定め、これを維持するのであれば、投票行為の性質に伴う必然的な制約や、投票の秘密や選挙の公正の要請から身体的条件によって選挙権行使の機会を奪う結果となってもやむを得ないと判断されるのであれば、それは格別だ、言ってみれば論外なんですよね。そうでない限り、投票所に行くことも自書することも不可能な選挙人が存在すれば、それらの選挙人に選挙権行使の機会を保障するための制度を設けることが憲法上要請されていると。つまり、私は、国民の参政権というものを、憲法上の要請なんですから、これを実質的に保障するということは、これはコストの問題じゃないと思うんですね。大体、民主主義のコストだといって三百二十億円の政党助成金を出しているじゃないですか。それからすれば本当に安いものなんですよ。だから、民主主義のコストを口にするんだったら、何よりもこういう人々の選挙する投票権を実質的に保障する。

 それは、巡回投票という方法もあれば、今決めているこの制度により、郵便投票による不在者投票における代理記載制度で、まだかなり制約はあるんです。その制約を、もちろん、選挙の公正ということは、これは私は当然の話だと思っていますから、その選挙の公正をゆがめてよろしいなんて、そんなことを言っているんじゃないですよ。そういうことを含めてやはり、この場合、上肢または視覚の障害の程度が一級である者というふうになっているんですけれども、実際にはこれに当てはまらないので自書できないという方もいらっしゃるわけですね。

 ですから、私はこの点では、ここは大臣、例えば視覚障害者の人でも点字ができない人、これは点字のできる人が比較的少なくて、多くの方ができなくて棄権ということもあるわけです。公選法の改正によって郵便投票に代理記載制度が導入されて、二回の国政選挙が行われたんですけれども、それでも対象となる人の郵便投票は五・八%、代理投票は一%ちょっとと、やはり厳しいという声が、大臣のところにも寄せられていると思うんですが、あるわけですから、これはそのことを、この巡回投票や郵便投票にしても、代筆の制度を充実させて、この問題をどう改善するのか、どのようにこれを考えて、どう対応していくか、ここのところは大臣としてやはりきちんとしたお考えを持って臨んでもらいたいと思うんですが、これを伺いたいと思います。

竹中国務大臣 改めてですけれども、参政権の重さ、そして、そういうことを踏まえた意味で、それを実質的に保障しなければいけないという委員の御指摘は大変重いというふうに受けとめております。

 我々も大変知恵を絞って、選挙部においてもいろいろ努力はしているわけですが、先ほど選挙部長も申し上げましたように、公正性をどのように、本当に担保できるのか、それに関連した体制が一体組めるのかどうか、そういう問題で我々も悩んでいるわけでございます。しかし、今改めて御指摘いただいて、そうした選挙の公正といった問題に十分に留意をしながら、ぜひ何ができるか、今後とも我々としてもしっかり検討してまいりたいというふうに思います。

吉井委員 これは民主主義の基礎ですからね。これは行革だコストだという話じゃないんですよ。この点だけはすべての国民に、憲法に保障されたこの権利の行使、実質的な保障がなければ地裁判決の指摘することにはこたえることにならない、このことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄でございます。

 まず初めに、政治と金をめぐる問題について少し議論していきたいと思っております。

 総務大臣にお伺いいたしますけれども、日歯連から一億円のやみ献金受領事件をめぐる裁判で、収支報告書への記載を見送るよう指示したとの疑いで起訴されていた村岡兼造元官房長官に対し、東京地裁が無罪判決を言い渡しました。この問題、旧橋本派の元会計責任者、村岡元官房長官、それから橋本元首相らの証言、発言が食い違い、一体だれがやみ献金の処理を指示したのか全く不明のままになってしまっております。

 司直の手によって解明を求めることは当然として、やみに包まれたままでは国民の政治不信は拡大されるだけだ。事件発覚から長い時間が経過し、橋本元首相が政治倫理審査会で弁明を行ってから約一年半、いまだに真相が明らかになっていないことに対して、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘の問題に関して私の所感はどうなのかということでございますけれども、これは、御質問の個別の事例に関しましては、訴訟がまだ係属中ということでございます。そうした意味で、お答えは控えさせていただくということに御理解をぜひ賜りたいと存じます。

 しかし、一般的な観点から申し上げれば、やはり国民に信頼される政治を行う、これは私も政治家の端くれとして、本当に信頼を得たいものだと思います。そのためにも、政治家一人一人が襟を正すということは大原則であって、そして政治資金については政治資金規正法にのっとって適切に処理なされなければならないと思います。

 今後とも、この政治資金の適正な処理と透明性を確保していく、そして政治に対する国民の信頼を得られるように努めていく必要があるというふうに思っております。

菅野委員 現状は、自民党内の派閥で起きた事件を自民党が全容解明すらできない中、一方では、企業・団体献金の隠れみのとなっているパーティー券の購入、あるいはふえ続けている政党支部の問題など、企業・団体献金の規制は私は不可欠と考えるんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 菅野委員の御指摘は、端的に言うと、企業・団体献金に対するやはり何らかの規制の強化が必要ではないのかという御指摘でございます。

 御承知のように、この政治資金規正法につきましては、これまでの政治改革の中で、まず政党本位、そして政策本位の政治を目指すということで、数次にわたって法の改正が行われてきております。そして、平成十一年の改正によりまして、資金管理団体に対する企業・団体献金が禁止されたところでございます。その一方で、企業・団体献金については、最高裁の判決におきましても、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つということは認められているというふうに承知をしています。

 そうした点も踏まえまして、いずれにしても、政治活動に関する寄附の規制については、これはもう政治活動の根幹中の根幹でございます。政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関連しておりますので、各党各会派においてしっかりと御議論をいただかなければならないというふうに思っております。

菅野委員 いずれにしても、政治と金をめぐる問題というのは、本当に透明性をしっかりと確保していかなきゃならない大きな課題だというふうに思っています。これからもしっかり取り組んでいただきたいし、私どもも、そういう意味では大きな議論を行っていかなきゃならない課題だというふうに思っております。

 次に、各種報道によりますと、企業・団体献金の規制緩和を求める意見が政財界双方で強まっているように見受けられるんですが、具体的には、政治資金規正法に基づき、外資比率五〇%を超える企業の献金が規制されております。この条件を緩和したいという動きだと私は思っているんです。

 そこで、お伺いしたいのは、仮に外資比率が五〇%を超えても日本に本社があって上場している企業の献金もオーケーとなった場合、これまで献金ができなかった大手企業が新たに献金可能となります。政治と金に対する規制、透明で清潔な政治を国民が望んでいる中で、企業・団体献金の規制強化ではなく、外資比率が高い企業にまで献金条件を緩和するような動きについて、竹中大臣はいかにお考えか、お聞きいたします。

竹中国務大臣 献金に関する規制を強化するのではなくて、むしろ緩和するという議論があるけれども、それはどうなのかというお尋ねでございます。

 政治と金をめぐる問題に関しては、これは一昨年の第百六十一回の臨時国会におきまして、与党、野党それぞれから政治資金規正法の改正法案が提出をされました。そして、昨年の通常国会においてさまざまな御議論がなされたところでありまして、昨年の百六十三回特別国会におきまして、政治団体間の寄附を制限することなどを内容とする改正法案が成立したわけでございます。

 一方で、今国会においては、今委員御指摘になりましたように、主たる構成員が外国人または外国法人である日本法人のうち、上場会社であるものからの寄附の受領に係る現行の規制の撤廃などを内容といたします改正案が再び自由民主党から国会に提出をされているというふうに承知をしております。これは、かねてからいろいろな議論があるところだと承知をしております。

 そうした提案も受けまして、これは各党各会派において御議論をいただくべき重要な問題であるというふうに考えております。

菅野委員 総務大臣としての答弁は限度があるというふうに思いますけれども、なぜ外資比率が五〇%を超える企業を献金禁止としてきたのか、この精神というものは厳然としてあるというふうに私は思うんです。その精神を曲げてしまうということは、私は、主権国家としてのあり方にかかわる重大な問題だと思いながら今質問しているわけでございますけれども、その点に立って、今後とも総務省としてもしっかりとした取り組みというものを行っていただきたいということを私は強く申し上げて、これ以上は質問いたしません。

 それで、次に、市町村合併と市町村議会議員の定数について少し議論したいんですが、いわゆる平成大合併によって、一九九九年三月に三千二百を超えていた自治体が、ことしの四月には、千八百二十一と覚えているんですけれども、まで減少しました。これに伴って市町村議会議員の定数も削減したものと承知しているんですが、平成大合併以前と比べて現行の市町村議会議員の定数はどの程度減少しているのか、お示し願いたいと思います。

久元政府参考人 市町村議会議員の数についてお答えを申し上げます。

 いわゆる平成の大合併が始まる直前の平成十年末の数は、五万九千三百十四人ということでありました。これを直近の数字で申し上げますと、昨年末、平成十七年の末ということになりますが、四万四千九百五十人という数字になっております。

 また、私ども、別途、それぞれの判断で適用されております在任特例などの措置が終了した場合にどれぐらいになるのかという数字を見込んでおりますが、これによりますと、三万八千九百四十二人というふうに見込んでおります。

菅野委員 今、五万九千三百十四人から、最終的には、これからも減っていくだろうというふうに思うんですけれども、三万八千九百四十二人という数字を挙げていただきました。これは本当に、三分の一以上も減少しているという状況だというふうに思っています。

 住民に最も身近な市町村議会議員が大幅に削減されるということは、大臣、間接民主主義というものの機能、役割を損ねかねないというふうに強く私は懸念しているんです。このように合併によって議員数が減るのは当然ととらえるのか、間接民主主義という機能と役割をやはり尊重していかなければならないというふうにとらえるのか、ここで大きく分かれるというふうに私は思うんです。

 それで、大幅にどんどん減少している今日の実情を総務大臣としてどう考えておられるのか、所見をお聞きしたいというふうに思います。

竹中国務大臣 今起こっていることをどのように見ているかという御指摘でございます。

 私は、委員御指摘のように、やはり、それぞれの身近な自治体の議会の議員さんというのは大変重要な役割を果たしてこられたと思います。また一方で、しかし、財政が大変厳しい状況の中で、市町村合併を進めて財務基盤を強化したい、そしてそれに求められる必要なスリム化を行ってほしいという住民の声があるということも事実なんだろうと思います。そういう中で、市町村議会の定員につきましては、これは地方自治法上、人口区分ごとに上限が定められているわけでございますけれども、その上限の範囲内で、合併協議の過程で、それぞれの合併市町村の置かれた状況に応じ議論をして、市町村に必要とされる適正な規模の定員を定めているというふうに承知をしております。

 いろいろな御議論があるというのはよくわかります。しかし、その中で、今申し上げましたように、上限を定めて、その上で適正な規模を図っていただく、そういう中でいろいろな方が納得していただけるような結果が出てくることを期待しております。

菅野委員 いわゆる平成の大合併というのが、なぜ全国で合併が進んでいったのかというのは、私は、一つの要因として、地方財政の厳しい状況というものをどう克服していくのかということで、住民みずからがいろいろな検討を加えて合併に進んでいったというふうに思っています。行政改革の流れというのが一方では後押ししたんだというふうに思っていますけれども、私は、このことによって基本的な間接民主主義の機能、役割というのが損なわれてはならない。そうであるならば、それを補完する意味の一つの制度というものをつくり上げていかなければならないという状況にまであるんじゃないのかなというふうに私は思っております。

 政府としても、今日の地方自治体の現状を考えて、真剣になって今後のあり方というものを検討しなければならないというふうに私は思っております。一つの方法として、住民投票制度の導入というものも課題ごとに考えていく必要はあるというふうに思っておりますし、そのことも地方と連携を図って促進していく必要があるのではないかというふうに思うんですが、大臣の御見解をお聞きいたします。

竹中国務大臣 委員の御心配、御懸念は、議員の数が減って今まで我々のシステムを支えてきた間接民主主義がうまく民意を反映できるのか、そういう、民意を反映する手段として住民投票等のような制度があってもよいのではないかという御指摘だと思います。そういう御指摘は大変意味のある重要な御指摘だというふうには思います。ただし、我々は、言うまでもありませんが、間接民主主義のもとでの今の一つの完成されたシステムを持っております。その中で今必要なスリム化が行われているというふうに思っております。

 より長期的に、どのような仕組みが必要かということは、これは幅広く国民を巻き込んだ議論の上に立って決定されていくべきことであるというふうに思っております。

菅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、滝実君。

滝委員 国民新党・日本・無所属の会の滝実でございます。

 公務員の選挙運動の禁止に関連いたしまして、確認の上、お尋ねをしたいと思うのでございます。

 選挙運動の問題は、当委員会でもずっと昔からいろいろな議論がされてきたと思うのでございますけれども、その蒸し返しになるかもしれませんけれども、改めて問題にしたいと思います。

 一般的に、公務員は地位利用の上の運動というのを禁止されているわけでございますけれども、地位利用に当たらなくても、公選法の百三十六条の一号に言うところの特定公務員ですが、選挙管理関係の仕事をする職員、あるいは、えらい古くさい話でございますけれども収税官吏とか、要するに税金を集めてくる公務員、こういうものについては普通の公務員じゃなくて特定公務員として地位利用に至らなくても禁止される、こういうような立て方になっているわけでございます。

 そこで、具体的にお聞きしてまいりたいと思うんですけれども、三点ほど事例を申し上げますので、これは選挙部長の方からお答えをいただきたいと思うんです。

 まず第一点は、そういう特定公務員が選挙の期間中に駅前でチラシをもらいました、もちろん選挙ですから当然証紙は張ってあるわけでございますけれども、そういうチラシをもらいました、その場で捨てるわけにもいかぬので持って歩いておったら知り合いに出会った、そして、そのチラシを渡しました、要するにこれは選挙運動に当たるかどうか。

 二点目は、特定公務員といえども地元へ帰ったら自治会長をやる場合もございます、そういうような立場の者が、ある日突然選挙関係者から、ポスターを持ってきました、ポスターを五、六枚持ってきて、何とかこれを張ってくれと言われたのですが、自分が張るのはまずいといって自治会の別の役員のところへ持っていって頼んだというのが二点目です。

 三点目は、しかしその際に自分が何も張らないのも格好悪いというので、一枚だけ自分の責任で張りました。これはどうなのか。

 その都合三点、これは選挙部長の立場から、これがいいとか悪いとか言えないと思いますけれども、これに関連する判例がどうなっているかということだけでもおっしゃっていただきたいと思うんです。

久保政府参考人 私はまさに滝委員御承知のとおりの立場でございまして、個別の事案が公選法に違反するかどうかということにつきましては、これはまさに具体の事実に即して判断がされるべきものでございまして、私ども、この具体の事実関係を承知する立場にないということでございますので、その点についてのお答えというのは差し控えさせていただきたいと思います。

 そこで、三点例を挙げてお尋ねがございましたけれども、まさに公職選挙法は、百三十五条、百三十六条というのが特定の公務員とかあるいは選挙関係の事務に従事する者についての選挙運動を禁止している。したがって、御指摘がございましたが、一般の公務員は地位利用だということに比較いたしますと、百三十五条では、投票管理者とか開票管理者あるいは選挙長とかそういったものになっている人たちは在職中その関係区域内で選挙運動をしてはいけない、こういうふうになっております。また、百三十六条、これは御指摘のあった選挙管理委員会の委員とか収税官吏とか、これは関係区域いかんを問わず在職中選挙運動をしてはいけない、こういうことになっております。

 委員が御指摘になられました三つの事例、これがまさに選挙運動に当たるのかどうなのかといったその一点に尽きるということでございまして、これは冒頭の松本委員の御質問にもございましたけれども、戦前から定着した判例等の解釈によりますと、特定の選挙について特定の公職の候補者の当選を得る目的で投票を得または得しめようとする直接または間接に必要かつ有利な行為の一切を言うということになっておりまして、投票依頼が典型的なものでございますけれども、それ以外でも、総合的に勘案してこれに当たるのかどうなのかといった、まさに事実認定がされていくということになってまいります。

滝委員 今の選挙部長の御答弁は、まさしくそのとおりだと思うんです。

 ただ、問題は、先ほども当委員会で議論がございましたけれども、この公職選挙法は選挙運動とは何かという定義がまるっきりないですね。不思議な法律なんです。それから、公務員の地位利用とは何かということも全くない。おっしゃるように判例で固まってきたものもあるかもしれません。そう言うだけなんです。

 なぜそうなっているか。これは、結局、日本の公選法の歴史の問題だと思うんですね。今のように選挙運動並びに選挙費用の問題が日本の選挙法の中に登場しましたのは、大正十四年の普通選挙法の施行に伴う改正でございます。その際に、イギリスの一八八三年の腐敗及び違法行為防止法という、イギリスでもって十九世紀の中ごろから大変腐敗選挙が行われた、それに関連して腐敗行為防止法ができて、その修正案の法律が一八八三年にできたわけでございますけれども、それをそっくりそのまま日本に導入したんですね。

 そこで問題が起きるのが、イギリスの場合にはコモンロー、要するに判例の積み重ねの主義をとる国でございますから、条文はほどほど、あとは判例の積み重ねで決める。こういう制度をにわかに継ぎ足したものですから、人の人権に関する問題、要するに刑罰法規ですね、刑罰法規の問題でありながら何も構成要件を伝えていない。これは今で言いますと憲法違反なんです、構成要件がないですから。ただ、判例と今までの選挙部の通達によって固まってきたとは言っていますけれども、法律の構成要件は何もないんです。私は、こういう問題をいつまでもほっておいていいのかなということで、きょうは取り上げさせていただいたわけでございます。

 そしてなお、そのときに、大正十四年に、問題になっております戸別訪問を入れました。これも世界に類例がないんです。要するに、選挙運動の規制はイギリスの腐敗及び違法行為防止法に倣ったんですけれども、イギリスにもない戸別訪問禁止規定を大正十四年に入れたんです。これは全く日本の独創性なんです。それで、その結果が戦前までずっと選挙干渉を招くということになってきたんですよね。戦前の選挙干渉を招いた。

 そこで、昭和二十年の選挙法の改正では、やはりそういうことをしていると選挙干渉ということになってまずい、自由選挙を保障しなきゃいかぬというので、昭和二十年の改正で選挙を自由化しました。自由化したら、まあ、とにかくやはり買収もあるし供応もあります。当然、当時は食糧難ですから大した供応はできないと思いますけれども。そして、その結果、だんだんいろいろなことが出てきた。

 そういうようなことでしょうけれども、これはだれが見てもよくわからないんです。警告もないんですよね。選挙期間中に選挙部に尋ねると、全部やめた方がいいという話なんです。選挙部の言うことを聞いて、選挙部も個人的な意見ですけれどもとおっしゃるんですよね、やると選挙ができないんです。先ほど出ましたけれども、選挙部の言うとおりにやったら選挙はできませんよ。それから、解説書を読んでやったら、選挙ができないんです。

 そういうふうな、大正十四年によその国の考え方を持ってきて、日本のきちんとしたことができない。選挙部長に今お尋ねしても答えられない。それは答えられないんです、自分でつくった法律じゃないですから。全部判例が固める、要するに判例、裁判官に丸投げしているんですよね。ですから、大正十四年にこの法律ができたときに、要するにどういうことが起きたかといったら、片っ端から当時の最高裁の前身の大審院に行きましたから、昭和三年、昭和四年がこの種の選挙運動のリーディングケースになっていると思うんです。ですから、私は、それをいつまでも、もうそろそろ百年近くなるというこの時期にそれでいいのかどうかと。

 やはり法律というのは、予測可能性がなければいけない、予測可能性ですよね。今、選挙部長も答えられないほど、立場上答えられないということはわかっていますよ、だけれども、そのぐらい、だれが見たってわからないものでもって、たまたまポスターを張ってしまったといったら、ある日突然お召し捕りだと。これでは法治国家と言えるのかということだと思うんですよね。

 今、日本の法律はがんじがらめにいろいろな細かいことを規定している、そういう法体系の中でこれだけ大事なことがぽかっと穴があいているんです。ですから、この一、二年間問題になりました法務省提出の人権擁護法案もそうです、いや、構成要件がラフだとか、こんなので引っ張られたら困るとか、法律を出せないんです。ところが、選挙法は堂々と昔の法律がそのまま通用しているという不思議な世界ではないだろうかな。

 私は、これは総務省にやれと言ったってなかなか難しいと思うんです。これは一番の政治的なイシュー、大きな争点ですから、総務省も、イギリスの例、ドイツの例、そういう資料を整えていただいて、国会の中で議論すべき問題でございますから、いつまでもほっておくのはどうだろうかなと。

 とにかく、インターネットの時代でございますから、いろいろなものがこれから大変転していく時代に、選挙運動だけがこのままではいかないというふうに思いますので、その辺のところを、大臣、時間が過ぎていますけれども、一言だけ感想をお述べいただきたいと思います。

竹中国務大臣 大変勉強させていただきました。

 実は、総務大臣を拝命してから、総務省が抱える法律はたくさんあるわけですけれども、この法律はどうも感じが違うという印象を非常に強く持ってまいりました。

 まさに、普通でしたら、日本は成文法に基づいていますから、そこでしっかりと定義をして、それを補うように役所が通達も含めていろいろなガイドラインとかをつくって全体をやっていく。だから、判例は余り出ない。ところが、確かにこの法律に関しては判例に非常に依存しているところがあって、逆に役所のガイドライン等々は立場上なかなか出せるものではないわけですので、なかなか全体が見えない。そういう思いを持っていたわけでございますけれども、大正の経緯等々を改めて我々ももう一度しっかりと踏まえなければいけないと思っております。

 今委員の御指摘、最後は私たちの決まり文句になって大変恐縮なんですが、各党各会派においてしっかりと御議論を賜りたいというふうに思っております。

滝委員 ありがとうございました。終わります。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長縄田修君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、法務省刑事局長大林宏君及び外務省領事局長谷崎泰明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。

大塚(拓)委員 自由民主党の大塚拓でございます。

 きょうは、在外選挙について質問させていただきたいと思います。

 私も、海外に二年ほど、アメリカでございますが、大臣もいらっしゃったハーバード大学というところに二年おったことがあるわけですけれども、やはり海外で生活するとなると、文化も言語も制度も違うということで、大変苦労を伴うわけでございます。その中で、在外選挙で投票するということは結構負荷が高い、これは実感としてあるわけでございます。そういう私の経験も踏まえて、きょうは、海外在留邦人の立場を代弁して質問させていただきたいなと思っております。

 まず、外務省統計によると、在外邦人は今九十六万人だ、そのうち在外有権者数は七十二万人であるということでございますけれども、この数字について、どうやって推計しておられるのか、またどれぐらいの捕捉率であると考えていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 海外におきます在留邦人でございますけれども、私ども、短期滞在の方々は除きまして、三カ月以上長期におられる滞在者及び永住者を対象といたしまして、毎年十月一日現在のその総数を全在外公館を通じまして調査をしております。基本的には、この数をもとに在外の邦人の総数を出しております。

 他方、これだけでは捕捉できないところもございますので、在留届を基礎としつつも、さらに、未提出の邦人もいるために、日系進出企業、さらには日本人会、留学生が在籍する大学等にも協力を呼びかけまして、実態に近い数字を出そうということで捕捉率の向上に努めております。

 今御質問にありました在外有権者でございますけれども、このようにして把握しました邦人総数に、さらに推定有権者率ということで七五%を乗じて算出しているというのがその数値でございます。

大塚(拓)委員 在外公館に出される在留届をベースにしながら、現地の日本人組織なんかと連携して少しずつ補正しているということだと思いますけれども、私の経験からいきますと、周囲の人間で在留届を出している人の方がむしろ圧倒的に少数、わざわざ出向いて出しに行くメリットもほとんど感じていないし、やらないからどうということもないわけで、やっていない人がほとんどだという感覚を持っております。

 一方で、日本人団体も、私も現地の日本人団体の代表等々をやっておったんですけれども、特にコンタクトはなかったこともありますし、恐らく捕捉されている率というのは、多分途上国で、危険な地域なんかだとみんな大使館に登録したいというようなモチベーションもあると思いますけれども、そうでない場合は、少なくとも先進国なんかですと、これは半分いっていればいいぐらいなのかなというような、実感としては思っているところがございます。

 恐らくここは議論しても水かけ論になるんだと思うんですけれども、有権者の数の推計にぶれが大きいというのはやはり問題なんじゃないかな、こういうふうに思っているわけです。この捕捉率というのを上げていく必要があるとお考えかどうか、また、どういうふうな方策があり得るとお考えか、ちょっとお伺いしたいと思います。

谷崎政府参考人 ただいま御指摘のありました捕捉率を高めるというのは、おっしゃるとおりでございます。その捕捉率を高める上で基本になりますのは在留届でございますので、在留届につきまして、できる限りしていただく。これは公職選挙法の選挙の対象となるばかりでなく、在外における在留邦人の保護の観点からも非常に必要なものでございますので、在留届の捕捉率を高めるということをやっております。

 具体的には、本邦、日本を出る前に、総務省とも協力した上で、在外に行った場合にはできる限り大使館で在留届を出していただくということをお願いしているということもございますし、さらには在留届の、登録しやすくするために、例えばインターネットを通じた形での登録もできるというふうなことを、その利便性を図ってきております。

 さらに、遠隔地におられる方、これは大使館、総領事館になかなか来るチャンスがないという方は在留届をする機会がそれだけ減るわけでございますので、そこにつきましては、領事サービスの一環としまして領事出張サービスというのをやっておりまして、領事官が定期的に地方に行く、そのときに登録もしていただくという手続をやっております。

 このような形で、できる限り在留届の捕捉率を高めるということは引き続きやっていきたいというふうに思っております。

大塚(拓)委員 いろいろ在外公館で御努力をされていることは私も存じ上げておりますが、一方で、やはりなかなか捕捉できていないところもあると思うものですから、今後も何か抜本的な方法を講じることも含めて、努力をしていっていただきたいなと思っております。

 次いで、在外選挙人登録をされている方の数というのは、これは実数だと思いますけれども八万二千人ですね。そのうち、実際に前回総選挙で投票した方の数というのは二万一千人であるということでございますが、これは公式統計ベースの九十六万人というのをベースにしても大変少ない。有権者七十二万人に対しての投票率というと、これは三%を切っているということでございます。これはやはり、何か投票環境に大きな障害があるんじゃないのかなと思うわけでございます。

 やはり実際、その投票手続というのが、在外投票の場合は非常に複雑である、非常にやりにくいということは障害であったと思います。これについては今回の法改正で一定の手当てがされておりますから、これは評価させていただきたい。しかし一方で、やはり在外公館というのは、日本国内の市役所、区役所と違って、そんな最寄りにあるというわけではないわけですね。場合によると車で何時間もかけて隣の州から行く、こういうような環境にあるわけでございます。

 さらに、今回の法改正でも、投票の締め切りが六日前ということになりました。これは、六日前にすべての公館が締め切るということではなくて、郵便事情などを考慮して、それより以前に締め切る公館もあるということでございます。

 そういう、投票できる期間に非常に制約がある、さらに、公館に対するアクセスも非常によくないということを考えたときに、選挙期間中、窓口は九時半から五時でございますか、あけていると思いますが、それでも、普通本業を抱えながら海外に滞在しているわけですから、仕事をして終わった後投票に行こうと思っても、もう五時で閉まってしまっている。

 さらに、これは七日前までに締め切られる在外公館であれば、週末が少なくとも一日はかぶってくると思いますけれども、八日前に締め切る、あるいは九日前、十日前に締め切る在外公館においては、週末が一日もかぶらないわけですね。だから、普通に仕事をしている方が投票に行くチャンスがそもそもない、こういうことになっているんだろうと思います。

 ちなみに、平日のみしか投票できない在外公館というのが六十七公館ございます。土日両方できるのが三十四公館、土曜のみが九十五公館。これはやはり少し改善をしないと、投票率も上がりようもないというところがあるのかなと思います。例えば、選挙期間中だけは窓口を八時まであけるとか、選挙人名簿に登録する際、これは週末も受け付けるとか、在外公館に対するアクセシビリティーというか、アクセスを改善していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 在外公館での投票をできる限りやりやすくするというのは、御指摘のとおりだろうと思います。若干繰り返しになりますけれども、先ほど登録率を高めるという中で、今回の法律の中でも、三カ月要件というのは、今までは三カ月たってから登録申請できたのを、三カ月要件を満たさなくても申請はできることにしたということに伴いまして、相当飛躍的に申請率がよくなるんだろうという感じを持っております。

 他方、そういう形で申請した人が現実に投票するということの利便性を図るというのは、御指摘のとおりでございます。私ども、先ほど申し上げました領事出張サービスという形で、担当官が企業関係者のところに回りまして、企業等訪問サービスということを行って登録率を高めるということを考えているということでございます。

 具体的に御指摘のありました、在外公館の九時半から五時までの時間を延長しろということでございますけれども、ここにつきましては、国によりまして、非常に、安全面というようなセキュリティーの面も考える必要があるというふうに考えております。したがいまして、基本的には、在外におられる選挙民の方々等の意見をさらに聞いた上で、その辺は基本的にはよく考えて判断していきたいというふうに思っております。

大塚(拓)委員 恐らく、在外邦人の意見を聞いたときに、窓口をもっとあけてほしいという意見が大宗であると私は思いますけれども、やはりアメリカにいても、例えばちょっとしたサイン証明をとりたいと思って在外公館に行こうと思っても、なかなか時間が合わなくて、一カ月、二カ月とりに行けない、こういう状況が普通に起きるわけですから、これは私、在外邦人の声を代弁しておりますので、ぜひ私の声をその声だと思って、すぐにでも改善に取り組んでいただきたいなと思います。

 それから、在外投票について、郵便投票というのが認められております。ただ、郵便投票をするためには、投票先の選挙区の所在する選管、市町村の選管にあらかじめ請求をしておかなければいけない、こういうこともありまして、なかなか使いづらい制度なんだろうなと思っておりますけれども、例えばこれももうちょっと運用改善するという意味で、選挙人名簿に登録をする際に、郵便投票を選択しますか、それとも公館で投票しますかというのをあらかじめ選択できるようにして、選挙になったら選択した人には自動的に郵便でお送りするということにしてはいいのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 委員まさにいろいろ御経験されたように、海外で住まわっているときに、在外公館というのはなかなか実は近くて遠い存在である、これはいろいろな意味で近くて遠い存在だという実感を私も実は持っております。

 そうした中で、いろいろ簡便な方法がないかということで御提案をいただいているわけでございますが、まず、郵便投票については、この制度が創設された当初は、在外公館投票の例外という扱いであったわけでありますけれども、平成十五年の公選法の改正で、在外邦人の要望等も踏まえまして、いわば公館投票との選択制という位置づけになって、改善は図られていると思います。

 それで、例えば選択制にして、選択したものについては、在外選挙人証を市町村の選管で預かって、そして自動的に送付するというようなやり方、これも一つ考えられるような方法なのだとは思いますけれども、多分、実際に制度を詰めていきますと、在外選挙人が住所を移転した場合に一体どこへ送ったらいいのかとか、日本のように住民票管理ができているわけではございませんので。また、選挙の際に、在外公館の近くに滞在していたとしても、選挙人証が手元にないということから、投票ができないこととなるような場合があるわけですけれども、その場合どうするか。そうした問題もあるのだというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、常にこういう問題は改善を図らなきゃいけないというふうに思いますので、どのような工夫があるか、その可能性も含めて、よく外務省とも協議をしながら、検討してまいりたいというふうに思います。

大塚(拓)委員 大臣も在外経験がおありになりますから、いろいろ不便は身にしみて感じられるということでございますので。

 いろいろテクニカルな問題があるというのは、私も承知しているところでございます。ただ、やはりこれは、どうやって規制していくか、いかに投票を厳格に運用していくかという思想ではなくて、いかに在外邦人が投票しやすい環境をつくっていくかというふうに思想を百八十度転換してやっていっていただきたいなと。

 ほかにも、やはり現地におられる方というのは日本の情報から隔絶されているところがございますから、選挙があってもなかなか気づかなかったりするわけでございますね。普通、日本にいれば、その辺にポスターが張られ始めたり演説が始まったりとかするので気づくわけですけれども、そういうこともない。こういうことも、例えばEメールを使って告知していくとか、郵送でも告知するとか、いろいろやりようはあるんだと思うんですね。ぜひ、これは積極的にその環境をつくっていくというスタンスで一生懸命努力していただければなというふうに思います。

 時間の関係で、次に、投票選挙区についての質問に移ります。

 現在、在外投票は、日本国内での最終住所地での投票ということになっておりますけれども、これに対して、海外選挙区を設ける、こういう考え方もあるんだと思います。

 在留邦人が、今の統計で考えたとしても約百万人いるということでございますから、衆議院の小選挙区だと二つから三つぐらい、比例区で一つか二つ、参議院だと二つ、議席を割り当てることができる、十分な数の有権者が海外におられるわけでございます。また、最終住所地で投票するということになると、今起きている問題ではございますけれども、各市町村選管で非常に事務的に煩雑なことをしなければいけない。選挙運動の方式も、候補者にとっても、国内でやるのと同じことを海外に対してやるわけにはいかないので、大変に負荷がかかるというか、負荷がかかるがゆえに完全に切り捨てている。さらには、同じ選挙区に所属していても、国内に在住している方と海外に住んでいる方ではやはり利害が一致しないところがあるわけでございます。

 これは、薄く広く利害関係者がいろいろな選挙区にばらまかれていると、やはり有権者の権利を守るという意味でもちょっと問題があるのではないかなと私は思っているわけでございますが、諸外国を見ますと、海外選挙区をやっている国はあるわけですね。イタリアとかフランスとかオランダなんかでも実施しているというふうに聞いております。割と成熟した民主主義国で導入実績があるということなので、これは工夫次第で可能な制度であるということが言えると思うわけですけれども、これについて今後検討していくべきではないのかなということについて、大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、イタリア、フランス、オランダ、もちろんこれはいろいろな歴史、いろいろな社会背景の相違によるものではございますけれども、そういう制度があるということは承知をしております。

 これはいろいろなことを今後考えていかなければいけませんので、技術的にこれがあるから難しい、あれがあるから難しいなどということばかり余り言いたくはないのでございますけれども、先ほども御説明申し上げたような意味で、やはり幾つかの技術的な、しっかりと詰めなければいけない問題があるというのも事実であろうかと思います。さまざまな国情の多数の国にわたる広大な選挙区になりますから、その中で例えばそういうことをやる場合には、公正、適正な選挙を一体行うことができるのか。総定数との割合をどのように考えていったらいいのか。また、在外公館で管理、執行を適正に行うことができるのか。

 繰り返しますが、だからできないできないという議論はしちゃいけないと思いますが、そういうことをしっかりと詰めなければいけない。そういう意味で、国民的コンセンサスを得られるかどうかということも含めて、これはやはり高度に政治的な問題でございますので、各党各会派で御議論をいただきたい。我々もできる限り知恵は出したいと思います。

大塚(拓)委員 ぜひ、こういう問題があるからできないではなくて、こういう問題があるからいかに解決すればいいかという発想で取り組んでいただきたいなと。また最高裁から立法府は怠慢であると言われることのないように、立法府も取り組んでいきたいと思いますので、政府におかれても、ぜひ最善を尽くしていただきたいというふうに思っているものでございます。

 最後に、国民投票法制についてちょっとお伺いしたいんですが、憲法、改憲の話に伴って、国民投票法制というのが今議論されておるところでございます。

 これについても、むしろどこの選挙区に属するということではなくて、日本国民、国籍を有する者ということでございますから、より一層はっきり在外邦人が投票する環境というものが担保されるべき問題であるのかなというふうに感じております。これは、一義的にはもちろん立法府で法制を考えていくべき問題だと思いますが、その上で、政府として、国民投票法制に対する取り組み、今後の方針というものをお伺いできればと思います。

竹中国務大臣 憲法改正国民投票法案については、現在国会で、まさしく委員御指摘のように、各党各会派間で御議論をされているところでございます。

 成案が得られた場合には、その法律の枠組みの中で、国民投票、これは公正、公平の観点をしっかり踏まえなければいけません。その上で、在外邦人の方にもできる限り投票しやすいような方策について、これは我々、外務省とも協議、調整をしながら、また、管理、執行を担う市町村の選管の意見等もお聞きしながら、よく検討してまいるつもりでございます。

大塚(拓)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、やはり合理的に考えて克服できる障害というものであれば、それは何とか克服して、海外在留邦人の投票権を制限することのないように、海外にいるということは、大変在外公館にアクセスしにくいとか情報が得にくいとか、いろいろあるということを踏まえて、ぜひ今後積極的に努力をしていっていただきたいと思います。

 終わります。

鈴木委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。どうぞよろしくお願いします。

 国民主権下における選挙権の行使は、国民固有の極めて大事な権利の一つでございます。先ほどから話にありましたように、約七十二万人とも言われる海外在住の有権者、その意思をしっかりと国政に反映させていく、その上で、このたびの法改正は評価をするところでございます。

 一方で、在外であるがゆえに克服をするべき多くの課題があると思います。実効ある、利用しやすい制度とするために、そのような観点から、質疑を行いたいと思います。

 まず最初に、昨年九月の最高裁判決をどのように受けとめておられるか、そして、このたびの改正の意義をどのようにとらえておられるか、大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 小里委員御指摘の、昨年九月十四日の最高裁の判決を我々は大変厳粛に受けとめているところでございます。

 御承知のように、在外選挙制度の対象となる選挙を当分の間比例代表選出議員選挙に限定するという規定は、遅くとも次回の衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙の時点においては憲法に違反すると判断をされたわけでございます。また、平成十年の在外選挙制度創設までの立法不作為が違法であるとされて、国家賠償請求が認められたということでございますから、これは二重の意味で大変厳粛に受けとめているところでございます。

 我々としては、この判決を受けまして、外務省を初め関係方面とも協議を重ねて、そして、在外選挙の対象となる選挙を、衆議院小選挙区選出議員及び参議院選挙区選出議員の選挙とすること等を内容とする今回の改正案を提出させていただいているところでございます。

小里委員 ありがとうございました。

 選挙における公正で適切な判断に資する観点から、候補者の人格や識見、政策といった情報をいかに有権者に届けるか、大事な課題であると思います。在外選挙人にとりましては、日ごろから候補者に対してなじみがないケースがほとんどであります。顔すらわからないというケースがほとんどであろうと思います。制約の多い条件下において、政党情報、候補者情報というものをどのように周知していくのか、総務省にお伺いいたします。

久保政府参考人 在外選挙は、国内から遠距離の国外で実施をされるものでございますし、また、我が国の主権の及ばない、国情の違う地域で行われるといったことから、我が国の国内でやっておりますような選挙行為、こうした形で国内と同様の周知を図るということはやはり極めて困難であると考えております。

 テレビの国際放送等に加えまして、最近ではインターネットが発達をしておりまして、新聞社等のホームページでも立候補の状況等は知ることができるということでございますし、まずは、やはり在外選挙人の方々がみずからこうした情報収集に努めていただきたいなと思っております。

 私ども、現在、比例代表に限って在外選挙を行っておりますけれども、現在は事実上の便宜供与といった形で、名簿届け出政党等の名称、そして、参議院の比例代表につきましては非拘束でございますので、名簿届け出政党等の名称と名簿登載者の氏名の一覧を在外公館に備え置きいたしておりますし、また、そうした状況は、総務省、外務省のホームページで掲載をしております。

 また、改正案にございます選挙区の選挙、衆議院の小選挙区、そして参議院の選挙区選挙につきましても、ただいまお話しいたしました比例代表選挙と同様の事実上の便宜供与といった形で、各選挙区ごとの候補者名、届け出政党の名称の一覧を各在外公館に備え置くとともに、各都道府県の選挙管理委員会のホームページにもこうした情報を掲載して、私どものホームページを通じてアクセスできるようにしたいと考えております。

小里委員 候補者情報が候補者名と届け出政党名のみというのは、いささか心もとない気がいたします。ただ、制度の草創期であります。しかも、制約の多い条件下であります。やむを得ないと思う次第でございますが、一方でインターネットの活用が言われております。現在は、公職選挙法上の文書図画に当たるということで、選挙期間中のホームページの更新ができないということでございますが、この機会にインターネットによる選挙活動を容認する、そういったお考えはないか、大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 インターネットに対する期待、そして懸念、いろいろな幅広い御議論があるというふうに思います。

 インターネットによる選挙運動を認めることとした場合に、例えば、今御議論を賜っております、国外の選挙人が候補者に関する情報を取得できる新たな選挙運動手段になる、そうした観点から見ると、大変有力な手段になり得るわけでございます。また、さきの総選挙でも、政党や候補者の政見等を伝えるためにインターネットは大変有効な手段であって、インターネットによる選挙運動を解禁すべきだ、そういった意見が多数聞かれたということも承知をしております。

 総務省としましては、IT時代の選挙運動に関する研究会というのを設置いたしまして、平成十四年の八月に同研究会から、ホームページを活用した選挙運動を認めること等を内容とする提言を既にいただいているところでございます。

 その上で、インターネットを選挙運動手段として認めるかどうか、これはもうまさに選挙運動のやり方という、選挙の土俵づくりそのものの問題でございます。そのため、この重要問題については、ぜひとも、まず各党各会派において十分に御議論をいただきたいというふうに思います。こうした各方面の意見も踏まえまして、各党各会派において積極的な御議論がなされることを私としても期待申し上げております。

小里委員 ありがとうございます。

 ある人は候補者をよく知って投票する、また、ある人はほとんど知らないで投票する、そこにおのずから一票の質の問題が生じてくるんだろうと思います。候補者をよく知って投票する、公正で適切な判断の材料を提供する、これが大事である、これが選挙の要諦であると認識をするところでございますが、今後、特に在外投票におきましては、場合によっては周知期間を弾力的にとらえるとか、あるいは文書図画の頒布を緩和するとか、いろいろな角度から制度の充実を図っていただきたい、そのように念願をいたします。

 続きまして、海外に派遣された自衛隊員や緊急援助隊員など、国内に住所を有しながら一時的に海外に滞在をする、いわゆる一時滞在者の問題であります。

 今回の改正によりましても、現地において投票はできない、その状況は変わらないわけであります。国策としての大変重要な使命を負って海外に派遣されて、過酷な条件下、環境下において必死で使命の遂行に当たっておられる、そういった方々が国民固有の権利としてのこの重要な権利を行使できない、このことは不合理であると言わざるを得ません。一方で、ビジネスにおける一時滞在者、そういった方々とのバランスをどうとっていくか、非常に悩ましい問題でもございます。

 大臣の見解をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 今、小里委員もう既に御指摘してくださいましたように、長期出張というのはビジネスの世界でも結構あるわけでございます。そういう中で、具体的にやはり、今御指摘になられたイラクに派遣されている自衛隊、国際緊急援助隊、まさにこれは国の大変重要な役割を担って行ってくださっているわけでございますので、どのように対応すべきかというのは大変重要な問題であるというふうに私も認識をしております。

 現行の公職選挙法では、一時的に国外に滞在する選挙人が選挙の投票を国外で行うことができるか。この方法としましては、実は、船員である選挙人が船舶内で行う不在者投票というのがあるわけでございますが、これだけが例外として認められているという形になっております。

 今回、国外に派遣された自衛隊員等の投票機会の確保をどのようにするのか、選挙人間の公平や選挙の公平の確保に留意をしながら、これはやはり検討しなければいけない、そういう必要があるというふうに思っております。

 現在、各党各会派において御議論をいただいているところであるというふうに承知をしております。我々としては、その議論を見守りながら、我々として必要な検討を行ってまいりたいというふうに思います。

小里委員 先ほど登録の問題、指摘がございました。

 海外在住の有権者七十二万人、その中で登録者数八万二、三千人、直近の投票率二六%であるということから、実際に投票する人は有権者の三%にすぎないという話でございました。登録の問題は、先ほど詳しく御指摘があったところでございます。また、窓口の問題も話があったところでございます。

 そこで、周知、啓蒙活動を含めた全体としての総合的な投票率の向上に向けての施策、国内と同様の投票率アップが図られるべきであると思いますが、総合的に、まず総務省にお伺いしたいと思います。

久保政府参考人 多少長くなって恐縮でございますが、経緯からちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 在外選挙制度、これは御承知のように、平成十年に創設をされまして、最初に平成十二年の衆議院議員総選挙から適用されておりますけれども、この衆議院議員総選挙のときの投票率は二九・〇七%でございました。翌平成十三年の参議院議員通常選挙、このときは二九・九四%ということで、二回とも三〇%を若干下回るぐらいの投票率でございましたけれども、その次の、平成十五年の衆議院議員総選挙では一五・九三%というふうに、これは十数%落ちてしまったということがございまして、これも委員御承知のように、平成十五年に公職選挙法を改正いたしまして、在外選挙の投票方法につきまして、在外公館投票と郵便投票、先ほど大臣から御答弁ございましたが、これが選択できるといったことにいたしましたり、在外公館投票が実施できる公館数は当初は限定されておりましたけれども、これを大幅に拡大するといったようなことを行って投票環境の向上を図ったということでございまして、その次の、平成十六年の参議院議員通常選挙では二五・五二%と、また二割台に戻って、そして今回、前回の衆議院議員総選挙が二五・八二%となっております。

 ただ、いずれにしても、二十数%という段階でございまして、国内でこの在外投票分を含んだ比例代表選挙の全体の投票率は前回の総選挙では六七・四六%でございましたから、そのことを考えますと、やはり今後とも、選挙区選挙も今度は在外投票の対象とするような公選法の改正、これはまさに今御審議をいただいておりますし、そういうことも踏まえまして、この制度を周知する、そういった活動、これは今までもやっておりますけれども、リーフレットを作成して市区町村、関係機関に備えつける、こういったことをさらに徹底するとか、引き続き外務省と連携を図って、選挙時の投票参加の呼びかけ、また日ごろからの常時の啓発、これに引き続き努めてまいりたいと考えております。

小里委員 同様に外務省、お願いします。

谷崎政府参考人 ただいま総務省の方から答弁したとおりでございます。

 他方、外務省の方としまして、今回の改正の中で登録率を高めるという点で最も重視しておりますのは、登録申請できるのを、今まで三カ月たってから受け付けるということをやっておりましたけれども、今回の法改正が認められた場合には、三カ月以前から申請を受け付けることができるということになります。これは、在外の邦人の方々にいろいろなアンケート調査をやりますと、登録率の上で一番問題なのはこの点で、二度大使館に行かなきゃいかぬということが前々から指摘されていたわけでございます。この点を改正することによりまして相当な登録率の改善につながるというふうに考えております。

 そのほか、広報とか、その点につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりのことを在外としてもしっかりやっていきたいというふうに思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 従来、衆参の比例代表選挙におきましては在外投票が行われてきたわけであります。その場合でありましても、在外公館の限られたスペースあるいは限られた人員の中で、相当困難があったと聞いております。これに今度から選挙区選挙が加わります。当然、投票者もふえてくるでありましょう。治安の悪い地域における投票者の身の安全をどう図っていくか、そういった問題も出てくるであろうと思います。

 円滑かつ安全な選挙の実施に向けて、現地における選挙管理体制の強化が必要になると思いますが、外務省の見解をお伺いいたします。

谷崎政府参考人 ただいま御指摘ありましたように、今後の在外選挙において小選挙区も実施の対象になるということでございますので、投票者の増加、さらには投票者一人当たりの投票所要時間というのも相当ふえるというふうに考えております。

 従来、在外公館で投票をやるために、それぞれの公館のスペース、このための投票所は二十五平米の会議室を用意するようにという指導を行ってきたわけでございますが、新しくできる、あるいは改築している在外公館におきましては、そこにおける在外選挙人の規模等を勘案した上でスペースを確保するということを実施してきております。

 また、安全の確保というのが、これは非常に大事な点でございます。この点につきましては、大使館、総領事館員がそこに立ち会うとともに、いろいろな形での警備員のリクルートをして、安全をできる限り確保しようというふうにしております。また、国によりまして、相手国の治安当局に安全の確保ということを依頼しまして、これを快く引き受けてくれているという国もございますので、この点につきましては、安全の度合いを見ながら万全を期していきたいというふうに考えております。

小里委員 最後に、選挙人名簿の閲覧制度についてお伺いをいたします。

 近年、加速化をする情報化社会であります。だれもが安心して平穏に情報化社会を享受できる、そのための環境整備を図っていく、これは大事な課題であります。そのような観点において、このたびの法改正は時宜を得たものと思料いたします。

 そこで、今回の改正におきましては、本人等が登録の有無を確認する以外に、選挙運動や政治活動、世論調査などを行うための閲覧も認めております。民主政治の基盤として政治活動や世論調査の果たすその役割を考えるときに、また実際の閲覧状況を考えますときに、妥当と考えるところでございますが、本人等以外に閲覧を認める、その理由を総務省にお伺いいたします。

久保政府参考人 現在、選挙人名簿抄本の閲覧、これは明文の規定はございませんけれども、ただいま御指摘にございましたように、選挙人が自己または特定の選挙人の登録の有無を確認する場合、これをやっておりますけれども、このほかにも、現在でも、政治活動や選挙運動、あるいは政治や選挙に関する世論調査等にも閲覧を認めるといった取り扱いといいますか運用を行っておりまして、実際にそうした場合の閲覧件数が極めて多いというのが実情でございます。

 それで、政治活動や選挙運動につきましては、これは民主政治の健全な発達の基礎になる、そのための閲覧であると考えておりますし、また、政治や選挙に関する世論調査、これらにつきましても、政策形成の一助となる、そういうふうに考えておりまして、民意を顕在化し、民主政治の質的な充実を図るといった上で、そうした分野での閲覧も欠くことのできない公益性があるんじゃないか、このように考えております。

 そこで、私ども、今回の改正では、従来から運用といいますか、多くの市町村で取り扱いとして行われていた三つのケース、これを明文で規定する、そしてそれ以外の閲覧は禁ずるといったことにしようと思っております。

小里委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、公職選挙法改正につきまして、何点か御質問させていただきます。

 初めに、これはちょっと通告の順番と違いますけれども、選挙人名簿閲覧制度についてお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほど小里委員からもお話があったとおり、個人情報の保護に非常に関心が集まっている中で、今回このような改正、閲覧に制限を加えるというような改正が加えられたことは、私は妥当なことであろうというふうに思っております。

 今回の改正で閲覧を認めるものとして、法案二十八条の二の表、あるいは二十八条の三では、「政党その他の政治団体」、また「統計調査、世論調査、学術研究その他の調査研究で公益性が高いと認められるもの」、このようなものを対象としたということ自体は、先ほど御答弁があったとおりで理解できるところであります。

 ただ、この定義ですね、政党もしくは政治団体。政党はともかくとして、政治団体というのはある意味で届け出すればすぐ政治団体になるわけでありまして、現実に、政治団体として届け出されている団体の中にもさまざまな形態のものもございますし、政治活動の目的、内容も実に多様だというふうに思います。また、学術研究といっても、ではどうやって公益性が高いのかということを判断するのかとなると、これらを全部申請どおりに認めているとすると、個人情報を保護するという今回の改正の目的が事実上達成されないのではないかという危険性があるのではないかというふうに考えられます。

 そうなると、これらはどういうものが閲覧をできるのか、やはりそれを判断する基準を設定する必要があるのではないのか。また、選挙管理委員会によってその対応がまちまちになるということになると、これもまた混乱しますので、その基準というのはわかりやすい明確なものでなければならないと思いますけれども、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

久保政府参考人 まず、政党その他の政治団体の行う政治活動、選挙運動でございますけれども、この場合の政党と申しますのは政治団体の例示であると考えておりまして、尽きるところ、政治団体とは何かということになりますけれども、私ども、これは委員の御指摘にもございましたけれども、政治資金規正法の六条によって政治団体の届け出をしている団体をまず想定しようと思っております。その上で、どういう利用目的なのか、あるいは得られた情報をどう管理するのかといったような、従来は規定がなかった手続面での規定を整備するということによって、いろいろな御懸念の問題点がスクリーニングできるんじゃないかなと思っております。

 それからまた、もう一つの、報道機関とか学術研究機関が行います政治や選挙に関する統計調査、世論調査、こういったものの公益性が高いと考えられるといった場合の公益性でございますけれども、これは、私どもその判断基準として現在考えておりますのは、調査結果が広く公表されて、その成果が社会に還元されているかどうか、こういったことが基準になるんじゃないかな、こう思っております。

 ちょっと長くなりますけれども、具体的に申し上げますと、放送機関とか新聞社、通信社等の報道機関が専ら報道の用に供する目的で行う世論調査であって、その調査結果が公表される場合、あるいは、大学その他の学術研究を目的とする機関もしくは団体またはそれらに属するものが学術研究の用に供する目的で行う調査であって、その調査結果またはそれに基づく研究が公表され、そして学会等を通じて社会に還元されているものであるかどうか、あるいは、統計的手法を用いて行う調査であって、その調査結果が公表され、国や地方公共団体の施策の検討や学術研究にも利用されているようなもの、こういったものが公益性が高いといいますか、閲覧を認める対象となると考えております。

 いずれにいたしましても、市町村相互間で取り扱いが大きく異なることがないというようにしたいと思っておりまして、以上申し上げましたような具体的な基準等について、市町村の選挙管理管理委員会に十分周知をしていきたいと考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 もう御存じのとおり、政治団体といいますと、届け出られている数字でも膨大な数の団体があります。その中には、政治活動が非常にしっかりとしているところもあれば、いろいろな問題も抱えているところもあるというのは御存じのとおりでありまして、今回、個人情報は守らなきゃいけない、そういう観点からの改正をするのであれば、そこの判断基準というのはやはり明確にし、それが、わざわざこういう制限を設けたにもかかわらず、結局届け出をすればすぐ同じ目的が達成されるということでは意味がありませんので、ぜひその辺の運用については厳格にしていただくように、これからも詳細検討していただきたいというふうに思います。

 次に、在外選挙制度の改正につきまして、何点かお伺いをいたします。

 今回の改正は、昨年九月の最高裁の違憲判断に基づきまして、現行、衆参の比例代表のみの投票が認められている制度を改めまして、それぞれ選挙区選挙についても投票できるように改正する。これは、より広く選挙権を保障するということでありますので、評価するものでございます。先ほどの委員の質問の中でも、ただ、実際に実施することになると、なかなかいろいろと難しい問題、厄介な問題があるということはそのとおりでございますが、今回、そうした中で、在外公館における投票期間を現行よりも一日短縮して、公示の翌日から投票日の六日前までの間と変更されます。

 しかし、今回、投票機会がふえるわけですね。投票する対象がふえるにもかかわらず、選挙期間を短縮する。選挙区選挙が加わって、十分な情報に基づいてよく考え、判断した上で投票するということと、短縮をするということが逆行するようにもとれるんですけれども、今回、投票期間をこういうふうに短縮した理由につきまして御説明をいただきたいというふうに思います。

久保政府参考人 現行の制度におきまして、在外公館の投票期間は公示の翌日から原則として選挙期日前五日までとなっておりまして、さらに投票の送致に日数を要する、この本則といいますか、法律どおりにいかない、そういったことが考えられる在外公館といったようなケースでは、あらかじめ総務大臣が外務大臣と協議をして指定する日までとなっておりまして、実際は、選挙期日前五日まで、さらに短いケース、六日、七日、八日と、そういった形で個々の在外公館ごとに指定をしているということになっております。

 そこで、このたび、その本則自体を一日短くするといいますか、そういうふうにしております理由でございますけれども、比例代表のみでございましたが、これまでの在外選挙の実施例におきましても、台風等とかの自然災害、あるいは航空便の機体トラブル等でフライトが予定どおりに運航されないということで、かなりタイトなことも起きております。

 そしてまた、このたびの改正で、衆参の選挙区選挙を新たに対象とするということになりますと、投票所閉鎖時刻までの未到達、仮に未到達ができたときに選挙の結果に異動を及ぼす、そういった可能性も高くなるといったようなことも踏まえまして、当然、在外選挙人の投票機会の確保といったことに配慮をしながらも、投票用紙のより安全かつ確実な送致を確保するために本則を一日短縮させていただきたい、こう考えております。

 なお、先ほど申し上げましたように、今でも、五日前でも届かないといったところは、さらに短いという扱いをしておりますけれども、そういったケースで極めて短いというか、衆議院の総選挙でありますと二日間あるいは三日間しか実際投票を認めていないといったような遠隔にある在外公館とか、あるいはフライトスケジュールなどの見直しによって短縮する必要がないとか、いろいろなケースがありますけれども、いずれにしても、こういった極めて短いところは、そのまま投票期間を維持しなきゃいけないというふうに考えております。

上田委員 実際の運用面でやむを得ない面があるというのはよくわかるんですけれども、せっかくこのような形で投票の機会をふやすわけでありますので、せっかく制度としてはふやしたのに、結局、実質上はそれが制限されるということでは法改正の意味がないんだろうというふうに思いますので、今後、なるべく今回の法改正で定められた期間は目いっぱい、できる限りとれるような形での運用をしていただくようにお願いしたいというふうに思います。

 先ほどの小里委員の質問でも、やはり選挙を行うときには、十分な情報を持って適切に判断をしていただかなければいけないわけでありますが、比例代表の選挙であれば、政党に関するいろいろな情報というのは、選挙期間だけではなくてずっと報道もされます。報道で扱われることも多いわけでありまして、ある程度の情報に基づいてそういう選択ができるんだろうというふうに思いますが、選挙区になりますと、例えば衆議院だけでも三百の選挙区があって、それぞれの候補者については報道されるという機会もほとんどないわけであります。

 そうすると、では、どういう基準をもって判断するのかとなると非常に難しい。先ほどいろいろと、これからこういうふうにやりますというような情報提供についてのお話がありましたけれども、これではちょっと、果たして本当に判断できるのかなというふうに思ったのが正直なところであります。先ほど答弁がありましたので重複はいたしませんけれども、ぜひ、そういうような情報を的確に提供できるような体制も、またいろいろな工夫も考えていただきたいというふうにお願いをいたします。

 もう一点、選挙運動の問題ですね。公職選挙法の第十三章の中には選挙運動に関する規定がいっぱい書いてあるんですけれども、これらは、当然のことでありますけれども、在外選挙人を対象とするような運動は想定はされておりません。実際に、普通私たちがやるような選挙運動のほとんどは、海外にいる有権者に対してできるかというと、これはもう事実上不可能なものが多いわけでありますので当然のことなんですが、しかし、考えられることも運動形態としてはあるんじゃないのかなというふうに思います。

 例えば、ビラや政党のパンフレット、マニフェストと言われるものなどを郵送するなり、今はもうファクスも発達しておりますので、ファクスによって送信する。あるいは、電話やメール等による依頼、こういったことも手段としては不可能ではないんだろうというふうに思います。

 在外選挙人を対象とした選挙運動についてはどのようなルールが適用されるのか明確にしていく必要があるというふうに思いますけれども、その辺の見解をお伺いいたしたいと思います。

久保政府参考人 委員の御指摘にございましたように、国内でやっておりますような選挙運動についてのかなり厳しい規制といったようなことは、国外でございますから、ないということを前提に今、制度を組み立てております。

 それは、やはり選挙公営ということが、先ほど来お話がありましたように実施し得ないということがございますので、仮に選挙運動を規制していくといったことになりますと、選挙人から政党等の選択に必要な情報を得る機会を奪うということ、そしてまた、何よりも現実的に国外でございますので規制の実効を期しがたいといったようなことで、国外では原則として選挙運動を規制しない。そしてまた、罰則としても、買収とか重いもののみを国外犯として指定しているというのが現状でございます。

 ただ、国によりましては、外国人による政治活動を禁止している、そういった国もあるようでございますし、国外における選挙運動、それはやはり、それぞれの国の、そこの国外の法令等で許される範囲内で行うといったようなことになってまいるだろうと思います。

 外国の主権のもとでもございますので、外国との摩擦を生じないように行うことが求められるといったような一定の制約というのが当然あるわけでございますけれども、いずれにしても、国外で行う選挙運動につきましても、これは選挙の土俵づくりの問題でございますので、各党各会派でも十分御議論をいただきたい課題であると考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 もちろん、在外の選挙人に対して、よく行われるような街宣車が回るとか、あるいは街頭演説を行うとか、そういったことは初めから想定はされないんです。これは実際に行われるかどうか、それもまた疑問ではありますが、ただ、そういう文書等の送付とか、そういったことは可能性としてはあり得るので、やはりその辺のルールについては検討していただかなければいけないというふうに思いますし、これは私どもとしてもできるだけ、今回、選挙権が拡大されたわけでありますので、その辺について検討していきたいというふうに思っております。

 次に、先ほどの御質問の中で、イラク等に派遣されている自衛隊員、国際緊急援助隊員など、国際貢献のために長期間海外で活動している方々、現行ではこれは投票の機会がないということでありまして、現行制度の上においてはやむを得ないわけでありますが、ただ、公選法にも不在者投票制度というのがあるわけであります。先ほど竹中大臣の御答弁でも、船舶の中ではできるわけでありますので、これは例えばイラクに派遣されている自衛隊の宿営地の中でできないということは、理屈からいって合わないんではないかなというふうに思いますので、現行は先ほど御答弁があったのでお聞きをいたしませんけれども、この辺はぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 この国際貢献以外でも、現在多くの日本人が海外で活動されておりまして、数週間程度以上にわたるようなそういう長期の出張もありますし、また滞在型の休暇というのもふえておりますので、そうなりますと、選挙期間中、期日前の投票期間も含めて、ずっと海外に滞在しているというようなケースというのは結構あるんじゃないのかなという気がいたします。海外に在住している方にも投票機会を認めるということであれば、一時期、その選挙の時期だけにたまたま国内にいないという方の権利というのは、むしろもっと保障されなければいけないのではないのかなという感じがいたします。

 そうしますと、こうした、一時的とはいえ一定期間にわたって海外に在住している方の投票の権利はどうやって保障していくのかという問題があります。これも、例えば、今の期日前投票制度などはほかの地域でも投票できるというような制度にもなっておりますし、また、不在者投票制度というのも先ほど申し上げたようにあるわけでありますので、選挙人の本人確認であるとか、そういう手続面での課題はあるんだというふうには理解をいたしますけれども、在外公館等においてそうした不在者投票などが実施できるようなことも検討していただければというふうに思いますが、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。

久保政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、国外に派遣された自衛隊員等、一時的に国外に滞在する選挙人の投票機会の確保の問題につきましては、選挙人間の公平でありますとか、選挙の公正の確保、こういったことに留意をしていただきつつ、現在、各党各会派において御議論いただいていると承知をしております。

 そこで、民間企業の従業員の方も含めて、長期出張者といいますか海外出張者、こういった方に対しても、例えば在外公館において不在者投票を実施できるようにすべきではないかといった御指摘と理解をいたしておりますが、業務のための長期出張であるといったことをどのようにして認定するのかとか、二重投票のおそれをどのようにして防いでいくのかとか。また、投票方法でございますね。郵便投票だと、これはもう国内では限定的に、午前中に御議論がありましたけれども、身体障害者の方とか限定されているものを、一時的に行かれた方に対してそのまま応用できるのか。あるいは、在外公館でということになった場合に、またこれは在外公館、外務省の負担がどの程度のものになっていくのかといったような課題も相当多くあるというふうに考えておりますので、検討するにしても、慎重に検討していかなきゃいけないと思っております。

上田委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、先ほど鳩山先生からも、ぜひこれは積極的に検討していきたいということでございまして、これは本当に、今回こういう形で在外の方々の投票権が随分拡大をされるという中で、であれば、いろいろと、その整合性の問題であるとかが提起されるのではないかというふうに思いますので、ぜひこれは、我々としてもさまざまな角度から、できるだけそういう投票の権利が確保される、まず保障される、そういう方向で検討していきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 笹木竜三です。

 質問を始めさせていただきます。

 今回のこの法案、外国に住む在外の邦人、日本人の方に対する選挙区選挙での投票も行えるようにしよう。言ってみれば、我々国会の者ももっと早くこれに取り組むべきだったのかもしれません。そういう意味で若干怠慢だったのじゃないかと、外からそういった意見も聞かれます。そういった反省も込めて、これは速やかに可決すべきだと思いますが、しかし、きょう、いろいろ実務面でやりとりをして、さらに投票率が上がるように、あるいは登録者自体も上がるように、そんなこともお聞きしたいと思っています。

 その前に、同じように国会の怠慢として、三月三十日に、日歯連の一億やみ献金、村岡被告無罪判決というのが出ました。もちろん、司法の判断に対して大臣が意見を言う立場じゃない、そういうお答えが常に返ってくるわけですが、無罪の判決が出た、このことについてどういうような御感想を持っておられるか、一言お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 訴訟が係属中の事案でございます。個別のお答えは差し控えさせていただくということを御理解賜りたいと思うんですが、先ほども少し申し上げましたですけれども、やはり国民に信頼される政治を行う、これはもう本当に必要なことだと思います。私も国会議員の一員としてそのように思います。そして、政治家一人一人が襟を正す、政治資金については政治資金規正法にのっとって適切に処理する、これはもう、これに尽きると思っております。

 今後とも、この政治資金の適正な処理と透明性を確保して、本当の意味で政治に対する国民の信頼が得られるように努めていく、一人一人が努力をしなければいけない問題であると認識しております。

笹木委員 私も、実は何度か裁判を傍聴に行ったわけですが、最終的な判決で、簡単に言ってしまえば、村岡さんは無罪だと。これは、だれも問題がない、そういう判決じゃありません。当然御承知だと思いますが、簡単に言ってしまえば、これは裁判官自身が言っている発言ですが、橋本元首相など現役国会議員、あるいは平成研への打撃を最小限に食いとめるとともに、元宿さん、自民党事務局長に捜査が及んで、自民党全体などに事件が波及する、それを恐れた。そのために虚偽の供述を滝川さん等はやったんだ、だから、この供述は信用ができない。簡単に言ってしまえば、村岡さんお一人をスケープゴートにするのはおかしい、そういう判決だと思いました。傍聴もしていて、そういう実感を強く持ちました。

 実際、検察もいろいろな資料を集めていまして、裁判の中でも何度もそういった話が出ましたが、日歯連の会計帳簿では、献金先と見られる二十人の自民党議員の名前が記されている。総額五億三千万に上る、これは三年間でですが、裏献金あるいは迂回献金といっていいんだろうと。こういう問題があって、その中での一人だけをスケープゴートにしてはいけないという、より深刻なところに党に対する被害が及ぶのを恐れて虚偽の供述をしたから、それは信用ができない、そういう判決です。

 ですから、こういった、これだけかなり怪しい、言ってみればもっと組織的な犯罪の可能性があるという判決なわけですが、そういった事実が一方にあって、いまだに裏献金といいますか迂回献金、こういったことに対する処置が全く国会ではされていない、このことについて大臣に再度御意見を伺いたいと思います。

 今言った、何らかの政治資金上での正しい処置をするべきだ、そういったお答えがありましたが、そういった視点から見て、より今後検討を進めていくべきだ、そういうふうに思われるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 政治に対する目、そして政治資金に対する国民の目、そういうものは依然として大変厳しいものがあると思っております。しかし、一方で、これは総理もよくおっしゃいますけれども、政治活動にはいろいろな意味でコストがかかるということは、これはもう否定しがたい事実でございます。それをどのようなルールのもとに処していくべきか、これは政治活動の根幹でございます。

 まさにこれは、各党各会派でオープンに堂々と議論をして、国民にやはりよい結果を示さなければいけない、常にそのような心がけが必要であるというふうに思っております。

笹木委員 あわせて聞きますが、例えば、この日歯連の事件が話題になっていたその真っ最中ですが、平成研究会の収支報告で、十五年分の繰越額は約十八億五千万円であった。それが、十六年分収入欄の繰越額は三億円。十五億円もの差がある。これは今までに何度も話題にもなっております。こういった報告書がそのまま受け入れられて、虚偽じゃないという判断、それは正しいのかどうか。これは担当の方に、政府委員の方にお聞きをしたいと思います。

久保政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、平成研究会の平成十六年分の収支報告書、これは去年の話になりますが、これには前年からの繰越額が二億九千七百万円と記載をされておりまして、その前の年に報告されている翌年への繰越額十八億五千三百万円と大きく乖離をいたしておりました。この点につきまして、私ども形式審査を重ねる中で説明をたびたび求めてまいりまして、平成研究会から、関係書類が押収されていることに加え、前会計責任者による引き継ぎが不十分であるため乖離が生じている旨の、宣誓書の別紙という形での報告はなされたものですから、私ども、その収支報告書を閲覧に供し、わかっている限りで公表するということも収支公開の目的だろうというふうに感じておりますから、要旨を官報告示したというのが去年でございました。

 私どもといたしまして、これは委員御承知のとおり、収支報告書の審査につきましては、政治資金規正法三十一条というものが私どもの権限を規定した条文でございまして、形式上の不備があるかあるいは記載すべき事項の記載が不十分であるといったときに限って、説明を求め、訂正を命ずることができるという形式審査を尽くして、尽くした限りでわかった情報を公開するというのが私どもの任務と心得ております。

笹木委員 十五億円ものずれがある、乖離がある、それでも虚偽の記入あるいは記載上のミス、そういうふうにはみなさないということですね。

久保政府参考人 おっしゃっておられますことは、まさに実質審査という権限があって、書類を押収したりあるいは会計帳簿を検査するとか事務所に立ち入るとか、そういったような権限のもとに、私どもが真実を徹底して把握して、追及していけるということになっておればまた別だろうと思いますけれども、私ども、先ほど言いましたように形式審査ということでございますので、形式審査を尽くして、そして判明したものはそれを公表する、それもまた政治資金の収支公開の原則にのっとっているというふうに考えております。

笹木委員 きょうは法務省の方も来られているわけですが、これだけのずれがあっても形式的に問題がない、虚偽の記入にはならない、そういうふうに法務省の方も判断をされますでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねは、先ほど委員も御指摘になりました、現在控訴審係属中の事件にかかわる事柄でもございますし、あるいは捜査機関の具体的活動内容にかかわる事柄でもございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、検察当局においては法と証拠に基づき必要な捜査処理というものは行うものと思っております。

笹木委員 先ほど総務省の方からお答えもありましたが、官報欄の冒頭にわざわざ記入もされている、関係書類が押収されていることに加え、前会計責任者による引き継ぎが不十分であるため云々というふうにありますが、会計責任者の引き継ぎについても政治資金規正法の第十五条に規定されている、違反した場合についてもはっきりと罰則も決められているわけですね。

 総務省の担当者の方に、そして大臣にもう一度最後に、そんなに長い時間とりませんが、お伺いをしたいわけですが、例えば、すべての政治団体に外部監査をしっかり義務づけること、こういった提案も幾つかの会派がやっております。あるいは、繰越額について残高の証明を最低限義務づける、通帳とかそういった裏づけですね。こういったことも含めて、もう少ししっかりと内容を詰めていかないと、先ほど大臣が、資金規正法上に適正に処置するのがこれは責任だ、そういった内容のことを発言されましたが、そういった視点からも、国会としてこういった問題にこれから取り組んでいく、それを検討する必要があるのではないか。お答えをいただきたいと思います。総務省の方。

久保政府参考人 笹木委員が御指摘になられましたこと、昨年の国会でも民主党提案の政治資金規正法改正案に盛り込まれておりまして、この場でも御議論をいただいた案件だと承知をしております。

 私どもといたしましては、憲法に保障されております政治活動の自由とまさに密接に関連をしていく事柄であると考えておりますので、各党各会派で十分御議論をいただきたいと思っております。

竹中国務大臣 今既に選挙部長が答えたとおりでございますが、幾つかの提案があると思います。今、笹木委員おっしゃったこともそうでございますし、外部の有識者等々でもいろいろな議論があるというふうに承知をしております。御指摘のあった監査の話、残高の話、いろいろな視点があるということは十分に承知をしております。と同時に、やはり自由な政治活動をできるだけしっかりとやってくれというのも、これも国民の声であろうかと思います。

 そうした点を踏まえて総合的に、まさに政治の中核でございますので、各党各会派での御議論をしていただきたいというふうに思います。

笹木委員 政治活動の自由はよくわかりますが、私も政治活動をしている身ですからよくわかるんですが、決してそれは迂回献金あるいはマネーロンダリングをする自由を保障するものでもないし、一般国民との意識のずれ、これがやはり問題になっている。そして、今回の裁判所の判決があったのだと思います。国会の怠慢と言われないように、いいかげんそういったことについて党派を超えて取り組んでいくべきだと思っていますので、またこの問題は今後も取り上げていきたいと思っています。よろしくお願いします。

 では、この法案についてお聞きをしますが、先ほどから行政の方もそして大臣も、何人かの方からの質疑、そして答弁もされていました。

 要は、在外に住んでおられる日本人の方に選挙区選挙でも参加をしていただこうということですが、今までの比例区での投票においても、有権者の三%ですか。有権者は、推定ではありますが七十二万人以上いるんだろう、登録しているのが八万二千人ほど、実際に投票されているのが二万一千人ちょっとということですね。実際に有権者であるはずの方の、資格を持つはずの方のうちの三%程度だと。この少なさは、一つじゃないと思いますが、先ほどからいろいろやりとりをされていて、どういったことが原因になってこれだけ低投票になっているのか、率直な感想を聞かせていただければと思います。

竹中国務大臣 私も、海外に在住したことの経験も踏まえて言いますと、やはり原因は決して一つではないというふうに思います。

 海外に住んでおりますときというのは、どうしてもやはり情報というものが、情報ないしは問題意識と言ってもよいかもしれません、そういうものがやはり国内に住まっているときとはどうしても違ったものになります。それともう一つは、やはりいろいろな意味での手続、国内に住んでいますと、ある種、ある意味で自動的にはがきがやってきて、ああ、この日選挙だったんだ、家族を連れてみんなで行こう、近くの小学校に歩いて行けるということで、いろいろな意味で投票しやすいわけでありますけれども、海外にいるとなかなかそういうわけにはいかない。場所的にも、密度がやはり違います。

 そういう意味では、今回の法律で少しでもそういった利便性といいますか、在外に住まっている方々の利便を考えた改正についての審議をお願いしているわけでございます。とりわけ、在留届を出して、しかもその後また三カ月たたないと登録できないというような制度を今回改める、これはやはりかなり実効があるのではないかというふうに私は期待をしております。

 いずれにしても、実態を見きわめながら常に改善すべきところを改善していく必要があると思っております。

笹木委員 今手続の問題というお話もありました。今回、在留届をしてから三カ月たたなくても、入国直後でも手続の申請ができるようになったと。これは確かに改善点だと思います。

 それで、総務省の方にお聞きをしたいわけですが、これは手続について事実を確認したいだけですが、それで楽になったということですが、入国して直後なら旅券を提示するだけで在留の登録手続もするということで、そのときに旅券の提示だけで申請ができると。入国直後じゃなくて、例えば三カ月たってからとは違うと。ここらを整理してもう一度お答えいただきたいと思います。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの制度のもとにおきましては、在外公館において在留届を出すとき、これは、具体的にはその国に着いた直後、大使館、総領事館に来られて旅券を提示すればすぐできるわけでございます。ところが、この登録申請の方でございますけれども、これはその在留届を出した後三カ月後から受け付けるという制度になっておるわけでございます。

 今回の法案はそれを改めまして、在留届を受けるときに登録申請も直ちにできるという制度にする。他方、登録申請した後三カ月間は在外公館においてその申請を保留する、保持しておく。それで、三カ月後に本人が引き続きその国にいるかどうかというのを確認した上で登録の申請の具体的手続を開始するということでございます。

笹木委員 お聞きしたいのは、今言った入国直後に手続をする方は、旅券を提示してそこで申請をして、三カ月ぐらいしてから在外公館から確認をするわけですね、その後三カ月実際に住まわれているかどうかということで。往復はがきで本人の署名をもらうとか、電話で確認をするとか、それでその後三カ月住まわれているのを確認して、それで発効の決定をするということですね。

 入国して直後じゃなくて、例えば三カ月たったときには、この場合には、今までの居住を証明するもの、公共料金の領収書であったりそういったもの、どれか一つでいいんですかね、それを持ってきていただければいい、一緒に持ってきてくれ、そういうことですね。

谷崎政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

 具体的に三カ月間そこに住んだかどうかということの確認は非常に公共性の高い、できる限り公共性の高い書類をもって審査するということでございます。したがいまして、電気、ガス等の領収書、さらには賃貸借契約、さらにその賃貸借契約に基づいてその間支払いをしているというようなことをもちまして、三カ月間の要件を満たしているということの確認を行っております。

笹木委員 ということで改善だと思いますが、先ほどほかの委員からもそういった意見がありましたが、私もこの委員会の調査団の一員として昨年フランス、私個人的にドイツも、そしてチェコ、ブルガリア、そういったところに行って、在外に住む日本人の方々のいろいろな御意見も聞く機会がありました。

 それで、結局、在留届をされていない方が非常に多いんですよ。在留届そのものをされていない方が非常に多い。それともう一つは、公館に来て、入国直後ならそこで申請がすぐできるということですが、やはり全体の中では公館に来られる方も非常に少ないという面もあるということだと思います。

 例えば、先ほど在留届の出張サービスという話がありましたが、こういうことは今もやっているんでしょうが、今回、この改正を機会に、選挙人名簿への申請、この申請についても出張サービスをやっていかれるつもりはあるのかどうかを外務省の方にお聞きしたいと思います。

谷崎政府参考人 ただいま御質問の点でございますけれども、領事出張サービスのときにもこの登録申請を実施するようにしたいと考えております。

 ちなみに、出張領事サービスでございますけれども、平成十六年度、これは全世界でございますけれども、領事館の人間がした回数が全世界で五百回ございます。平成十七年、昨年でございますけれども、昨年は特に総選挙等もあった関係もありますけれども、これをかなりふやしまして、年間六百五十回やっているということでございますので、今後もこの傾向は続けたいというふうに思っております。

笹木委員 さらにお聞きしたいんですが、先ほど在留届自体もなかなかされない方が多いというお話をしましたが、日本を出国のときに申請するということも検討していいんじゃないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

久保政府参考人 仮に出国時に在外選挙人名簿登録申請を認めるということにした場合にありましても、この名簿登録の要件というのは、登録のためには、実際に国外に住所を有して、そして、申請者本人が領事館の管轄区域内に引き続き三カ月以上居住しているということを確認する必要というのが出てくると思います。したがって、本人確認のためにも、結局は在外公館に出頭していただくといったことがどこかの時点で必要になってくるものと考えております。

笹木委員 いや、お話ししているのは、要は、出国時点でも長期で相手国での住居も決まっている方がおられるわけですから、そういった方々については出国時点で確認をする。もうチケットも持っているわけですし、渡航もすると。その後の確認について、どうしてわざわざ在外公館じゃないといけないのかということをお聞きしているわけです。

 先ほどお話ししたように、外国での登録においては、その後、本人の確認というのを電話でやったり、往復はがきの署名であったり、そういったものでするわけですから、出国時に国内でパスポートで本人の確認をして、そして住居も決まっている、長期に滞在する、そういう方については出国のときに申請をしていただく。特に問題はないと思うわけですが、いかがでしょうか。

久保政府参考人 在外選挙制度というのは、国外に住所を有している、国内に住所を有していない人を対象にするということでございますので、住所を有していただくということを先行させて制度設計をしているということでございます。

笹木委員 大臣にお聞きしたいんですが、もちろん担当の方がいろいろなことを言われるのはわかります。実務的にいろいろな不安を感じるのもわかりますが、今回の改正は、基本的に、より多くの方に参加をしていただく、投票もしていただく。さっきお話ししましたように、在留届でさえもしていない方が非常に多いという現実の中で、より関心を持っていただくために、出国のときの登録、申請ですよ、その後の確認は先ほどの同様の方法でやれるわけですから。そのことについてどういうふうにお考えになるか、御意見をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 私も、海外で在留届を出すのが正直言って大変面倒に思えまして、こういうことを言うとなんですが、在外公館というのは行っても結構サービスは冷たいわけですね。これは、大臣になってから在外公館に行く場合とそれ以前と、こんなに違うものかというふうに私自身思ったことがあるわけでございますけれども、これは現場は現場で一生懸命やっておられるんだとは思いますが、そういう声はよく聞くわけでございます。

 恐らく、転出、転入の制度等々がそれこそ電子政府的なもので非常にしっかりとしてきたような段階では、そういうことはあり得るのだと思います。

 委員の御指摘は、例えば国内でも同じ問題があるわけですね。転出届と転入届というのはやはり別々に我々は今やるわけでございます。これだって、転出の段階で転入先が決まっているんだったらそれでいいじゃないかという思いは、一個人としてはないわけではございませんけれども、そこはやはり事実行為をしっかりと確認していくというプロセスは現段階では必要であるということなのではないかと思います。その点が、要するに、住所を持つということを先方で、現地で確認するという先ほどの部長の答弁であろうかと思います。

笹木委員 繰り返しになるんですが、住所の確認はできるわけですね、先ほどお話ししたように。電話ですとか本人の署名の往復はがきでするということはできるわけですし、ですから、ぜひこのことを御検討いただきたいと思います。

 それとあわせて、少し楽にはなったといっても、圧倒的多くの方はこれでも面倒だと思います。ですから、例えばインターネットでの申請そして認証、これはやはり早速取り組んでいく前提で準備を始める、いろいろな検討会、準備も始めていくべきだと思います。総務省の方はどういうふうにお考えでしょうか。

久保政府参考人 外務省の方の在留届はインターネットでの申請が可能だというふうに、先ほどあそこでお聞きをいたしましたけれども、実際、この選挙人名簿への登録とか、それから発展段階で、実際インターネットで投票するとか、そういったお話というのも、恐らくこれは将来的にはいろいろな御議論が出てくる、出てき得るといいますか。

 今、これまたちょっと話は変わりますけれども、電子投票でございますね。これは、国内でも平成十四年から、希望する地方公共団体は条例で電子投票というのが導入できるという特例法ができております。それは、よく言うのは、第一段階だ、やがて開票所と専用回線で結ぶ、これは第二段階だ、そしてインターネットで投票できるようになる、これは第三段階だ、こういって物の本には書いておりますけれども、インターネットでそういった行為を行うというときには、改ざんとか、本人確認、成り済ましをどうやって防いでいくか、これがネットセキュリティーで最も重要な、特に投票に結びつく登録、申請にしても、極めてそういった安全性というのが要求される分野だろうと思っております。

 国内では今、住基ネットと関連づけて、公的個人認証制度がスタートをしまして、各種の申請、届け出手続を電子の世界でやっていこうと、ようやくそういう機運が高まってまいりましたけれども、国外におられると、これまた住基ネットの対象ではない、住所がありませんので。そういった場合の本人確認のシステムをどう構築するかとか、将来の検討課題だろうと考えております。

笹木委員 税についての電子申告はもう既にされているわけですし、年金等についても電子でのいろいろな相談もできますし、そういった認証もしているわけですね。ですから、インターネット投票のことまで一足飛びに言っているわけじゃないし、投票自体はかなり難しい面があるかもしれません。しかし、本人が申請をして本人確認をする、暗証番号とかそういったこともあるわけですから、これはそんなに問題はあるはずがないと思うんです。

 この点について、少しでも多くの方に参加していただくためにいろいろな検討を始めるべきだと思いますが、大臣の御意見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 実は、昨日も衆議院の総務委員会で、そのための電子署名に関する法律について御審議をいただきました。実は、きょうの委員の先生方の何名かはその委員会でも御審議をいただいたわけでございますけれども、方向としては、我々、電子政府、電子自治体、その中で、二〇一〇年という目標を決めていろいろな手続、登録等々の手続、申請等の手続の五〇%を実際にいわゆるインターネットで行えるような、そういうことを目指して今やっているわけでございます。

 その意味では、委員おっしゃるような方向に全体としては間違いなく今進んでおります。どういう項目を優先してやるかということについても、これは行動計画をもう既に立てておりまして、その中で一歩一歩進めていかなければいけないと思っております。

 今回の法案を考えるに当たって、改めて実感することがあるんですが、これは私自身も海外に住んでみて初めて改めてわかったんですが、日本の住民票の、住民登録の制度というのは物すごく完成度が高いといいますか、すごく厳密なわけです。私は若いころ、本当に子供から学生のころ、これは世界じゅうどこでもそうだと思っていたんですが、改めて、こんな制度を持っているのは、ちょっと極端ですけれども我が国だけなわけですね。これだけ、つまり一つは戸籍と結びついていて、それで、どこに住んでも戸籍の付票で、私は何年から何年までどこに住んだというのが全部記録されている、こういう国というのは私は幾つかの先進国では知りません。

 そういうのが国内にあって、唯一例外が、この国内の住民票から飛び出したときなんです。それが海外に在住したときで、その海外での在住のシステムというのは日本のようなシステムになっておりませんから、御承知のようにアメリカには住民票、住民登録の制度はありません。それで、要するに在外公館への在留届で代替するわけですけれども、このシステムは戸籍と結びついてそんな厳重なシステムにはなっておりませんから、そこはやはり現実的な何かチェックの仕組みとかというのが必要なんだと思います。

 全体としては、できるだけその電子政府的な方向にということで、方向としては向かっていると私は思います。そのための電子署名の議論等々もいただいたわけでございますので、具体的に、委員の御指摘はわかりますので、何ができるかということは我々も常に考えていきたいと思います。

笹木委員 非常に完成度の高いシステムだからというお話がありました。それは事実そうなんでしょう。しかし、海外に行かれた日本人については、大臣御自身もお話しになられたように、在留届さえもしていない方が非常に多くて、届け出そのものに参加していない方が多い現状があるわけです。これを少しでも届け出、まず参加していただくためにも、先ほどお話ししました出国時での申請ですとかあるいはインターネットとか、それについてのまた確認作業はしていくことができるわけですが、外国の日本人の方についてはもともと入り口に入ってこられていない方が多いわけですから、ここをいかに高めるかという発想でぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 それと、次は、郵便による投票のことをお伺いしたいんですが、これまででは、今まで比例区だけだったわけですが、例えば参議院選挙の前、あるいは衆議院総選挙の前、大体名簿の最終確認を何日ぐらいまでにやっているか。郵便で投票する方は、今現在は、今度の改正によっても、毎回の選挙ごとに投票用紙を郵便でまた申請をするわけですが、これは郵送による申請を何日前から認めることになるのか。その二つについてお伺いしたいと思います。

久保政府参考人 郵便投票を行うという申請、これはいつでもできるということにしております。

 ただ、市町村選管の方から実際票を送る、これは、通常選挙の場合、参議院の場合は任期満了前六十日、そして衆議院の場合は解散の日から送るということにしております。

笹木委員 それで、これも先ほどのほかの委員の質問の中にも話が出ていましたが、毎回毎回選挙のたびに、やはり投票用紙を申請しないといけないのか。これは非常に面倒だと思うわけです。

 あわせて、具体的な実務、投票用紙を選挙のたびに申請する個人にとってどういう作業をすることになるのか。封筒も郵送料も自分持ち、そういった形でやっているんだと思いますが、その実務面をお伺いしたいと思います。

久保政府参考人 現在やっております手続を申し上げますと、市町村の選挙管理委員会におきましては、在外選挙人から郵便等投票の請求を受けて在外選挙人名簿の抄本を対照するという作業を行いますけれども、適宜、請求書の署名と市町村の選挙管理委員会に保管してある登録申請書原本の署名とを照合するということをいたしまして、当該請求が本人によって適正に行われているものであるかどうかを確認して、さらには当該請求者が公民権を停止されていないか、こういった確認を行った上で当該請求者に投票用紙等を発送しているというのが今の手続でございます。

笹木委員 それで、先ほども議論がありましたが、もう郵便で投票するという意思を表示している方については、申請はいつでもできるということであれば、毎回毎回選挙のたびに自前で、封筒をつくって、そしてそれを結果的に一往復半ですか、投票も含めてやることになるわけですから、投票用紙を自動的に送ってくる、そういうふうにしてはいけないのか。居住の確認というのは、もし転出された場合には当然その方は対象者じゃなくなるわけですし、そういった検討はされているのかどうか。

久保政府参考人 結局、これは投票用紙をだれかに渡すという行為でございます。ということは、選挙実務上、公正の面で、二重投票とかそういったことに最も気を使う場面でございまして、やはりその都度、適正な申請者、選挙人名簿の原本に載っているその確認を行って、そして発送する。住所も違っているかもしれませんし、一括して前もってというのはなかなか、私ども実務をやる者から見たらちょっと難しいかな、こう思っております。

笹木委員 それを確認してなんですが、市町村での選挙人名簿と、日本国民全員じゃなくて、海外に出た在外の日本人の選挙人名簿ですね。これまで、例えばあるAという国において、その在外公館の対象範囲とする方についての日本人の登録が、これだけの方がいる、在外公館もある程度は把握されているんだと思います。この在外公館での選挙人名簿の把握と日本国内での市町村でのその名簿、その共有化はしっかりされているのかどうか。それがされていれば、言ってみれば、郵便を選んだ方には自動的に送っていくというシステムがあっても、そう不都合は起こらないんじゃないかと思うわけですが、外務省の方、いかがでしょうか。

久保政府参考人 在留届ということと私どもの在外選挙人名簿への市町村選管での登録、これはやはり管轄領事館というのを経由してやるとかいうことにもともと手続上なっていますので、中身的にはタイムラグが若干あるかもしれませんが、共有はしているということでございます。

 ただ、選挙の実務、これは市町村選挙管理委員会がやるという原則に乗った上での制度設計をしておりますから、今のように、市町村選挙管理委員会の管理する在外選挙人名簿に、これも擬制といいますか、立法政策で、最後の住所地であった、国内で住民票が最後にあった、そこの市町村選管の名簿に載っける、こういう制度設計をしている。そして、これは在外におられる方、ちょっと蛇足になるかもしれませんが、最後の住所地がない方もおられます。例えば日系人の二世の方で、ブラジルでお生まれになって二十になった、こういう方は最後の住所地がございませんから、そういう方は、本籍地の市町村選挙管理委員会がその方の選挙人名簿を管理するという制度にしております。

笹木委員 もう一回まとめますと、郵便の投票の申請から非常に手続が面倒で、想像してみても、実際それは海外に行って、在外の日本人の方から御意見聞いても知らない方も多いですが、知っていても、自分でその申請を郵送で送って、そして市町村に行って、それがまた戻ってきて、投票用紙をまた送る、これは非常にやはり負担が大きいと思います。

 ですから、ぜひこれをもう少し簡略化する、あるいはコストの面も、あるいは最低限、郵送物の書式は公館で用意をしておくとか、そういったことはぜひ必要だと思いますが、やはり面倒ですから人気がないんですよね。どんどん郵送での投票は比率が減っています。減っていますが、在外公館ですべてをやるか、在外公館までは非常に遠い地域が多い、あるいは国によっては在外公館のない国もあるわけですから、郵便投票、やはりこれは非常に重要なので、もっと楽にするように、ぜひ検討を続けていただきたいわけですが、これについても大臣に御意見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 具体的な制度設計に当たりましては、もちろん総務省、そしてこれはもう外務省の協力がなければできませんので、いろいろ実務的に詰めて、その上で制度設計はしているというふうに聞いております。

 しかし、今いろいろな御指摘もいただいておりますので、何ができるかということはよく勉強していきたいと思います。

笹木委員 次に、投票が非常に少ない理由として、先ほど大臣も、情報というお話もありました。実際これも、いろいろ聞き取りしまして、なかなか日本の政党も日本の政治家も身近じゃない、国内にいる人に比べて、新聞を読む機会もテレビを見る機会もそう多くはないわけです。ですから、圧倒的に情報がない。判断する情報がない。これも非常に投票率が低い、登録者が低い大きい原因だと思います。

 仮に小選挙区の投票もできるようにしたとしても、これは比例の投票よりも、今、現状では、情報がさらに少なくて、なかなか投票へのモチベーションが高まるとは思えません。ですから、先ほど候補者の氏名と候補者の所属政党という話がありましたが、そういうようなものの一覧表だけがあっても、まず判断の材料がないと思うんですね。

 ですから、これは絶対必要だと思いますが、総務省が今から在外の投票に備えて、ホームページで情報を提供する、ぜひ氏名と所属政党だけじゃなくて、選挙の公報あるいは政見放送、こういったものは、当たり前の判断材料としてそのホームページを通して見れるようにする。技術的には何の問題もないと思います。これについてはどういうふうにお考えなのか、総務省の方にお答えいただきたいと思います。

久保政府参考人 先ほど申し上げましたように、現在の比例代表を行っております場合には政党名と、参議院の場合には所属候補の一覧、今度の小選挙区の場合は候補者と所属政党を小選挙区ごとにホームページ等でやろう、こう思っております。

 その場合に、委員が御指摘になられましたように、国内でやっておりますような選挙公報、これをホームページでとなりますと、またこれは、今、原文のまま載せるとか、まさによほどのことがない限りといいますか、そのまま載せるということになっております。それを、どういう形でホームページでそういうことが可能なのか、技術的にも。なかなかまた難しい問題がございまして、私ども、検討はいろいろしてみましたけれども、ちょっと結論を出すにはまだ自信がないといいますか、とりあえず氏名、所属党派、こういうことで便宜供与として改正後もやっていきたいというのが今の私どもの考えでございます。

笹木委員 いや、そんなに難しくないですよね。事前にちょっとやりとりなんかしましたら、いや、選挙公報だとしたらその順番の問題があるとか、あるいは同じ大きさの形で載せたい、そうするとスペース的にどうかとか、そんな御意見までありましたが、それは候補者の名前を一覧にして、そこをクリックすれば見れるようにすれば何の問題もないと思いますし、せっかく今から、使いやすい在外投票ということで修正をするわけですから、改正をするわけですから、総務大臣に、判断の材料がなくて、いや、それは私だって、海外で日本の情報に接することが少なくなっていて、候補者の氏名と所属政党名だけでどうやって投票する、これは非常にしんどい話でして、ぜひ最低限、選挙公報と政見放送、これを見れるようにすることを検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

竹中国務大臣 選挙部の方でも非常に高い問題意識を持って、何ができるかということはこれまでもずっと検討してまいりました。残念ながら、今の時点で、こういうふうにやれば皆さんに納得していただけるというようなところに至っていないという状況であろうかと思います。

 いろいろ考えてみて、なかなか国内と同じ状況をつくり出すというのは、これは難しい。しかし、それであるならば、セカンドベスト、サードベストが何であるかという考え方に立って工夫をしていかなければいけないと思います。

 同時に、この話というのは、やはり一つの重要な手段としてはインターネットなのだと思うんです。そういう意味では、インターネットと選挙についてどのようにするかということ、これは非常に大きな土俵の議論になります。この点はやはり各党各会派で御議論いただかなければいけない、今そういう状況になりつつあると思いますので、その一つ大きな土俵の中でも、これを使って海外どうするかということはぜひ御議論を賜りたい。現状の中で、我々として何か知恵を絞れるかということは、引き続きしっかりと検討させます。

笹木委員 ぜひ、来年の参議院選挙、この選挙で、選挙区選挙でも在外の方が投票するようになるわけですが、候補者の氏名と所属政党だけでの投票にならないように工夫をいただきたいと思います。

 それと、これは実は、きょうは質疑されていない他の委員からも、ぜひそのことは確認しろよと先ほど言われたんですが、私も一部お聞きしたいと思っていたんですが、これからどんどん参加をしていただこうというときにこういう問題を出すのはちょっと気が引ける面もあるんですが、選挙違反の取り締まりはどうするんだという話がやはりあると思います。

 いや、その話をすると気が重くなるんですが、海外で投票をしていく場合に、組織的な違反とも当たるような投票行動がないとも言えませんし、あるいは、これも私はどんどん促進すべきだと思いますが、インターネットを使った、ホームページを使った、あるいはメールを使ったいろんな中傷とかそういったものも含めて、今、現実での国内での選挙運動、政治活動についても、インターネット、ホームページやメールについての取り締まりといいますか、これは非常にお粗末な状態ですが、海外日本人による投票についての違反取り締まりという発想は今あるのかどうか。そういった準備は少しは検討されているのかどうか、お話しいただきたいと思います。

久保政府参考人 これも笹木委員御承知のところでございますけれども、公職選挙法、選挙運動の規制ということにつきましては、現在、一定の重い買収とかそういったものは国外犯として取り締まりの対象といいますか、そういう形でやっておりますけれども、選挙運動も含めまして、それ以外は、やはり現実の問題として、我が国ではございませんので、規制はいたしていないというのが現状でございます。

 ただ、行為の一部が、犯罪行為といいますか、選挙運動自体の発生するのは国内であってとか、一部国内であったときには、それは国外犯ではないということかもしれませんけれども、原則的には、選挙運動規制というのは、国外では今のところ法制度的に組み込んでいないということでございまして、これは、先ほど申し上げましたように、選挙行為自体もありませんので、選挙運動の規制もないということにしております。

 ただ、それでいいのかどうか。それにつきましては、まさに選挙運動、選挙の土俵づくりの問題でございますので、各党各会派で御議論を賜りたいと思っております。

笹木委員 あわせて、法務省と警察庁の方にもお伺いをしたいわけです。そういった検討は、今後、当然されていこうとしているのかどうかということを確認したいと思います。

 それとあわせて、これは国内の選挙運動についてで結構ですが、先ほどお話ししましたインターネット、ホームページであったりメールであったり、こういったものについての取り締まりというか、違反に対する対応のスタッフですとかノウハウですとか、体制がどのぐらいできているのか。この間の総選挙で、どのぐらいの違反件数が出ていて、どのぐらいの人数の方々でそういうことに取り組んでおられるのか。私は選管とやりとりして、かなりお粗末な状況じゃないかなという感想を持っていますが、お答えいただきたいと思います。

縄田政府参考人 海外における選挙違反等の取り締まり、これは、国外犯として処罰できるという形になっておるものにつきましては、いろいろな情報等があればICPOルートを通じてのいろいろな捜査情報の交換等も可能でございますし、できる限りの対応をしていくものである、こういうふうに思っています。

 それから、インターネットにおける取り締まりの状況でございますけれども、前回の衆議院総選挙違反取り締まりに関して都道府県から報告を受けた限りにおきまして、インターネットを使用した選挙違反に係る公職選挙法違反については、パソコンを使って選挙人十数名の携帯電話に対しまして投票依頼する文言を記載した電子メールを送信して表示させた、こういうことで、選挙運動文書を頒布して、同法百四十二条違反ということで検挙した事案がございます。

 それからまた、ホームページ上で候補者に対して支持を集める文言を表示するなどして、百四十二条、選挙運動用の文書を頒布したとして、八件の事案につきまして警告を実施いたしております。警告によりまして、いずれもホームページ上からは当該部分が削除された、こういう結果でございます。

大林政府参考人 公職選挙法違反事件につきましては、現実には、第一次捜査機関である警察が主体となっておられる事例が多いわけですけれども、私どもの検察といたしましても、警察等とよく相談しながら、公選法違反については基本的には厳正に対処していきたい、このように考えております。

笹木委員 体制としてはまだできていないのが現状だと思います。国内においても、私なんか、選管とも警察とも何度かやりとりしましたが、公示日以降のホームページの更新、こういったもの、前々回の選挙でも余りしっかりしたチェックがされていないですし、メールなんかなおさらだと思います。しかし、どこまでやり切れるかという問題が一方でありますが、いずれにしても、人員の体制は非常にお粗末だという印象を持っていますので、これから取り組んでいただきたいと思います。

 それと、選挙人名簿のことについてお聞きをしたいんですが、ほかの委員からももう質疑がありましたので、一点だけ。

 要は、今、現状では、市町村でいいますと四分の一ぐらいですか、西日本で、コピーが許されているところが四分の一ぐらいの市町村であるということですが、今後、便宜供与の規定は削除するということですが、そうしますと、コピーは原則だめなのか。一切だめになるのか。あるいは、今後も市町村の選管の判断によるのか。総務省の方、お答えいただきたいと思います。

久保政府参考人 今回の改正におきまして、大量の有権者情報を容易に入手できるコピー、これは不当な目的による選挙人名簿抄本の閲覧あるいは流通等を高めるおそれがあるといった、私ども内部につくりました検討会での御議論もいただきまして、閲覧の中にはコピーというのは定義上、言葉の意味の中に入っていない。便宜供与しなければいけないという規定で、今現在、コピーを四分の一ぐらいの市町村が今なお認めているという状況でございますから、先ほど言いましたような目的で、コピーを認める根拠になっているこの便宜供与規定、これをこのたびの改正案では削除をするということにいたしております。

 そして、削除した趣旨、それは、ただいま申し上げましたような趣旨でございますので、コピーを禁止するといった明文の規定は設けておりませんけれども、仮に市町村の選挙管理委員会が独自の判断で選挙人名簿をコピーするといったことをいたしたときには、私どもといたしましては、違法の可能性が強いと考えております。

笹木委員 違法の可能性が強いというような指導をされる、そういうことですね。

 例えば、収支報告書、これも閲覧ということになっていますが、情報公開法によって、請求者によってはコピーを許しているわけです。こういった可能性はありますか。

久保政府参考人 このたびの改正で、先ほど申し上げましたように、立法趣旨として、明文の規定で禁止という規定は置いておりませんけれども、全体としての改正趣旨からいいまして、コピーを認める、認めるという言い方はちょっとあれですけれども、コピーをするということはなくなる、そういうことを目指した改正でございまして、引き続きコピーをする市町村選管があれば、私どもとしては、それは違法の可能性が強い、こう考えているということでございます。

 そこで、仮に、情報公開条例に基づいてそういうことをやるのかという話になってまいりますけれども、国の情報公開法は、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものは不開示、こういう不開示情報だというふうに情報公開法第五条の第一号は規定をいたしております。恐らく、各市町村におきましても情報公開条例を設けておるところがほとんどになってきておると思いますけれども、情報公開法と同じような規定を設けていると思います。

 そうなりますと、選挙人名簿に載っておる情報というのは、まさに特定の個人を識別する情報になってまいりますので、恐らく、やはり情報公開条例に基づいても開示はできないということになるんじゃないかと思います。

笹木委員 政治資金法による収支報告書の中でも、候補者本人じゃなくて、個人を識別できるような情報はたくさんあるわけですが、要は、政治団体でもいろいろな政治団体がある、そういうところが名簿をとり放題とっていくのはまずいだろう、あるいは、全国の中でもコピーができるところとできないところがあるのはやはりおかしい、これは間違いがないと思います。ただ、今のお話を伺っても、やはり、では厳密に政党としての活動についてはどうするか、これは今後も若干検討が必要かな、議論が必要なのかな、そんな印象は持ちました。

 もう時間のようですから、最後に一言だけ。

 ほかの委員からも発言がありましたが、投票率が在外の日本人にとって高くならない、その理由の中の、これも大きい理由だと思うんですが、最終の日本での居住地、あるいは最終居住地がない場合に本籍地というんですが、転勤なんかをよくされている方とかも含めて、そこが自分の選挙区というふうになかなか実感が持てないという方も非常にたくさんおられました。これは、海外で実際にヒアリングして、そういう実感を持ちました。海外選挙区、フランス、イタリア、東ヨーロッパでも幾つかの国でありますが、海外居住者による選挙区、二つか三つになるかはわかりませんが、こういったこともこの委員会で今後検討すべき課題かな、そういうふうに思っております。

 質問を終わります。ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、在外邦人、選挙区の方の投票実現ということで、その場合に一つ大事な問題は、実際には、海外のことですから、投票用紙を国内に送ってこなきゃいけませんから、早く終わる、つまり選挙期間が実質的に短くなるわけですね。しかも、選挙公報などを見ようと思っても、市町村選管から仮に送ったとしても時間がかかるわけですから、そういう点ではインターネットの活用というものが大事になってくるだろうと思うんです。

 例えば、選挙区の市町村選管のホームページを開いたら、そこでその候補者と政党所属の一覧も出てくるし、候補者やその政党のホームページが見られるようにアドレスが載っておれば、そこからさらに接続していくことによって見ていくことはできる。つまり、そういうふうにして、海外にいらっしゃる方も、有権者がホームページなどを通じて政策や候補者がよくわかるようにする、それが非常に大事な課題になってくると思うんです。

 やはり、読んで判断する、あるいは読む機会をふやす、判断材料をふやすということが非常に大事なことで、そういう点では、けさほど来いろいろ議論もありましたけれども、インターネットと選挙ということでは、今は、パソコンのディスプレーに表示される文字等は、公選法に規定する文書または図画に該当すると解されているため、選挙運動に使用できない。これでいくと、海外にいる人はなかなか、候補者のさまざまな情報、本人が何を訴えているかを見ることもできない、政党が何を主張しているかもわからない。

 私は、選挙ということを考えたときに、選挙というのは、政党、候補者を選択する上で有権者が十分な情報を持って、この人はいいことを言っているなと思っても、言っておったとしても、どっちにしても、最終的に判断するのはやはり有権者なんですよね。ですから、有権者がそれをきちっと判断するということの前提になるものを、あらゆる機会を保障するという点では、特に在外邦人の投票権を拡大しようとなると、本当に、候補者、政党のインターネットの活用、ホームページで選挙中も次々と新しい政策や情報を訴えること、これが当然のこととして必要になってくると思うんです。

 この点について、最初に伺いたいと思います。

久保政府参考人 インターネットといいますか、ホームページなどでディスプレーに表示をされる文字とか、これはまさに吉井委員御指摘のとおり、従来から文書図画まさにそのものであるということで、私ども、文書図画の規制によるものであるという見解を出してきております。

 ただ、先ほども大臣の答弁にもございましたように、私どもの総務省の中に研究会を設けまして、インターネット時代の選挙運動のあり方という議論をしてまいりまして、平成十四年の八月に報告書をいただいて、ホームページによるものは解禁すべきではないのかといった報告書をいただきました。

 それをもとにして各党にも御説明をしたりといったようなことをやってまいりましたけれども、やはり選挙運動のあり方そのものにかかわることでございますので、各党各会派で御議論をいただきたいというのが私どもの立場でございます。

吉井委員 そこで、各国の状況も調べていらっしゃると思うんですね。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、こういった各国で、インターネットについては規制しているのか自由なのか、それからビラ等文書の配布、これを規制しているのか自由なのか、それから戸別訪問、個々にお訪ねして政策を訴えることを規制しているのか自由なのか、この点について、それぞれどんな状況ですか。

久保政府参考人 各国の状況を詳細に承知しているわけではございませんけれども、まずインターネットによる選挙運動、これがどうなっているのかということにつきまして、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、この四カ国につきまして知り得る限りで申し上げますと、インターネットによる選挙運動につきまして、フランスでは一定の規制というのがどうもある。ただ、そのもとでは認められているということのようでございますけれども、それ以外のアメリカ、イギリス、ドイツでは基本的に規制なくインターネットの選挙運動が認められていると承知しております。

 それから、文書図画でございます。これもアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの四カ国について調べてみますと、文書図画の頒布、これにつきまして、フランスでは頒布できる文書の種類、規格等、一定の規制が設けられているようでございますが、アメリカ、イギリス、ドイツでは基本的に自由とされているものと承知しております。

 それから、戸別訪問でございます。これも、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの四カ国を調べてみましたら、戸別訪問を禁止している国は、この四カ国では、ないというふうに承知しております。

吉井委員 ですから、世界の常識といいますか、これは選挙の自由を最大限に保障し拡大していくという方向なんですね。もともと、戸別にお訪ねして、一軒一軒回って政策を訴えるのも自由だし、インターネットを通じても自由だし、ビラも自由だしと。

 なぜ日本で戸別訪問などを規制するということになっているのかといったら、結局、この戸別訪問をして金品を渡したりして選挙買収に及ぶことが許されちゃならないから防止する、これが決定的な理由であって、この点では、本来民主主義の基礎となる選挙の自由、投票者が自由に判断して投票するのも自由ならば、訴える側もあらゆるやり方でもって、選挙買収等不正は論外として、あらゆる形で政策を訴えるのも自由、これは私は当然のことだと思うんですが、戸別訪問とかインターネットとか、そういう制限する理由というのは何かあるんですか。

久保政府参考人 これも午前中、私の知り得る限りで申し上げましたけれども、大正十四年に普選が、普通選挙が実施されましたときに、戸別訪問というのが禁止をされ、そして文書図画の選挙運動、これも原則的にだめなんだということになって、そのときの状況というのは、全体として、文書図画の場合は金のかかる媒体だから金を持っている人が有利だとか、そういったことが文書図画規制の場合には随分言われたようでございます。それから戸別訪問の場合は、これも吉井委員が御指摘あった、買収の温床になるんではないかとか、あるいは戸別訪問される人が迷惑になるとか、そういったようなことが議論をされて指摘をされていたというふうに思っております。

吉井委員 それで、一九二五年の普選のときの、普通選挙権といっても、このときは男性だけですから必ずしも完全な普選じゃありませんが、買収の温床になるんだという、かなり国民を愚民視するといいますか、そういう発想というのはやはりあったように思うんですが、これは自治六法の二〇〇六年度版でも、戸別訪問というのは、要するに、訪問して行われる投票依頼行為の中には、買収等選挙の自由公正を害する犯罪を伴いやすいと。やはり、自由に訴えるという、そこに買収が入るからという発想が非常にきついんですね。だから、べからず集になってしまう。

 「逐条解説公職選挙法」では、これはなかなかいいことも書いているんですよ。総務省から送ってもらったら妙なところだけ送ってきましたけれども、冒頭には、戸別訪問は、行為の性質自体としては格別違法性を持つものではなく、かえって、選挙運動の方法としては最も自然なものと言えるのであって、公職選挙法の制定に際しては、当初、この禁止を全面的に解除すべしとの意見も強く主張されたと。私は、ここが非常に大事なところだと思っているんです。

 それで、出発が、この戸別訪問の禁止に始まって、ビラも禁止、インターネットも禁止、規制する。だから、本当に、そもそも日本の民主主義の発展というのは、政党候補者が自由に政策を訴え、有権者は、たくさんの情報を得てそれをみずからの自由な判断で投票行動につながっている、これは当たり前であるのに、その当たり前のことがべからず集でがんじがらめになってしまっているというところが、私は、これは決定的に問題になるところ、これはもう大きな問題だと思うんですね。

 ですから、今やはりなすべきことというのは、買収に及ぶことについては、これは厳罰に処することで抑制効果を働かせる、しかし、それ以外については、政策を訴える活動というのは徹底的に自由にする。これをやらないと、インターネットなどを含めて、なぜそれが大事かといいますと、今テレビ時代でしょう。金に飽かせてテレビコマーシャルを打つというふうにすると、これは、金のある政党はそれで、テレビコマーシャルでいいかもしれないけれども、お金がなかったらテレビコマーシャルを打つこともできない。よく考えてみたら、一番もうけているのは宣伝屋さん、広告屋さんがもうけるだけ、そういうゆがみが現に出てきておりますし、それから、やはりテレビでおもしろおかしく描くと、つまり、どれだけ露出するかによって効果が出てくるという時代になると、おもしろおかしく演出しない政党の場合、まともに政策を訴えようとしても、そもそもテレビに出ないということになると、これは本当に有権者の皆さんが政策でもって判断するということになりませんから、ここは最後に大臣に伺っておきたいと思うんですが、そもそもこのインターネット、戸別訪問から始まるこのべからず集のこの規制ですね、それは原則的に、原則的といいますか、やはり自由な政策宣伝を基本にして、ただし、そこに買収等に及ぶ不正が潜り込む余地があれば、それは厳罰によって処することによって抑制効果を働かさせる、そういう方向へとこの法律を変えていくべきだと思うんです。

竹中国務大臣 吉井委員の御指摘は、確かに一つの御見識であるというふうに私も思います。よく、その意味では、整合的な一つのお考え方であると思います。

 ただ、経済で自由、自由というふうに言うと市場原理主義者だという批判を受けるわけでございますけれども、私、諸外国の例も踏まえて、やはり近代の民主主義政治というのは、まず個の確立、確立された個があって、その個ができるだけ自由な活動をするんだ、そして、いろいろな活動を自由にする中で、その確立された個は嫌なものは拒めばよいし、リジェクトすればよい。ただ、日本の場合は、恐らくそこは、アメリカ、ヨーロッパとは違った地縁、血縁の非常に濃い関係社会の中で、そういうことをいきなり導入することが、まさにいろいろな金品のやりとりとかの温床になるのではないかというような議論を経て、大正年間の立法につながっていったのだと思います。そして、それがいつまでもそのままでよいかというのは、これは一つの大きな議論であろうかというふうに私も思います。その意味で、委員のお考えは一つの、確かに御見識であるというふうに申し上げたわけでございます。

 そういう意味での原則論と、しかし、現実的に混乱を招くようなことはできないわけでございますので、その意味で、非常に大きな社会の仕組み、政治の中核でございます。まさに各党各会派で、今のような御議論も踏まえまして、ここは存分にぜひ検討を深めていただきたいというふうに思っております。

吉井委員 新自由主義批判をやっておりますけれども、もともとマルクスから人間の自由な発達というのが基本にあるものですから、旧ソ連なんというようなものは官僚独裁の国であって、あれは社会主義とは全然私たちは見ていないわけですから、自由というものは、いかにそれが大事なものであるかというのは出発点ですから、そういう点で、今回の法律についても、これは本当に生きていくためには、戸別訪問からインターネットに至るこういう規制というものは外していくべきである、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

鈴木委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 今回の措置は、昨年の最高裁判所の判決を受けてのものと認識しており、その立場から、在外選挙制度の充実をさらに求める立場から質問していきたいと思っております。

 今回、衆参の比例代表選挙から選挙区選挙まで対象選挙を拡大するが、一方、総選挙、通常選挙の投票期間が現行制度よりも一日短縮となった。技術的な問題があることはわかっておりますけれども、投票期間は現行どおりとすべきではないのかなと思うんですが、この見解をお聞きしておきたいと思います。

 同時に、再選挙や補欠選挙は投票期間が原則一日とされていることも、拡大の条件はないのかなという思いなんですが、これについても答弁をお願いしたい思います。

久保政府参考人 先ほども御答弁を申し上げましたが、本則で、現行の公選法では、公示の翌日から選挙期日前五日、こうなっておりますのを、期日前六日ということで一日短くする改正を盛り込んでおります。

 これは、これまで実施をしておりました中で、事例として、台風等の自然災害あるいは航空機の機体トラブルなどによりましてフライトが予定どおり運航されないというようなこともあったり、あるいはまた、このたび衆議院、参議院の選挙区選挙を新たに対象にするということによりまして、投票所閉鎖時刻までの未到達、これが選挙結果に影響を及ぼす可能性というのが高くなる、そういったことも踏まえまして、投票用紙のより安全かつ確実な送致を確保するため、在外公館投票の期間を本則で一日短縮するということにいたしております。

 また、御指摘のございました再選挙、補欠選挙でございますけれども、これは、対象選挙区によっては対象となります在外の選挙人の数、有権者が極めて少なくなる、そういったことも予想されますし、また、在外公館によっては有権者がいないというところも出てくる。そういったことも考えますと、総選挙あるいは通常選挙と同一の投票体制をとるということは、在外公館の事務負担あるいは効率的な選挙の管理、執行等の面から必ずしも適当ではない、そういうふうに考えまして、再選挙、補欠選挙の在外公館投票の期間につきましては、「あらかじめ総務大臣が外務大臣と協議して指定する日」というふうに法律上いたしまして、原則として指定は一日ということを考えているということでございます。

 こうした体制をとったといたしましても、再選挙、補欠選挙の対象となる在外選挙人にとっては郵便等投票もできますし、あるいは、先ほど言いましたように指定をするということで、今のところ原則一日、こう考えているわけでございまして、場合によっては複数日を指定するような事態、つまり有権者が相当多かったとか、そういったことにはまた弾力的に対応していきたいと考えております。

菅野委員 私もちょっと失念していたんですが、本則五日ということですけれども、公館の存在地によっては弾力性を持たせているんだという理解でよろしいんですか。再度答弁をお願いします。

久保政府参考人 通常選挙それから総選挙の場合でございますけれども、本則五日、これを六日にするということは、現実にそれでも送致に時間が足りないというところは、具体の指定によってさらに投票できる期間が短くなっているというのが今のシステムでございまして、衆議院の総選挙でいいましたら、一番短いところは二日間しか投票できないというところもございます。これは、それだけ日本に票を持ってくるのにいろいろな経路をとったりして、極めて時間がかかるといった公館が存在をしております。その場合には、現実には十日前までということになっている。そういった、実際、投票期間が二日ないし三日しかないといったところ、これにつきまして、このたびさらにそれを短くするといったようなことはすべきでないと考えております。

菅野委員 物理的なあるいは自然災害に備えて配慮するというところもわからないわけじゃないですけれども、ここは今後とも大きな議論の余地のあるところだというふうに私どもはとらえております。できるだけ多くの人が時間をかけて判断するような体制というものはとっていくべきだというふうに思っております。

 それから、在外選挙の対象選挙を拡大するに当たって、選挙人に提供すべき情報量も拡大が必要と考えております。このことも前にこの場で多く議論されたというふうに思うんですけれども、それでは、現行制度のもとで当該在外公館は選挙人に対してどのような情報提供を行い、今回の改正に伴い新しくどのような情報提供を追加するというふうに考えているのか、現状とこれからの方向性について答弁を願いたいと思います。

谷崎政府参考人 まず、現在の制度でございますけれども、比例代表選挙でございますが、これについては、総務省の方で作成していただいた衆議院比例代表選挙の名簿届け出政党等の名称、それから参議院比例代表選挙の名簿届け出政党の名称及び名簿登録者名の氏名の一覧を外務省の方で入手いたします。その上で、外務省から在外公館に送信し、投票記載場所に据え置くということをやっております。さらに外務省のホームページでもこれを掲載しております。

 これは現在の制度でございますが、今後、実施の対象が衆議院小選挙区選挙、参議院の選挙区選挙になります。これに伴いまして、情報ですけれども、各選挙区ごとの候補者名及び届け出政党の名称の一覧を各在外公館に据え置くことを予定しております。

 他方、地方公共団体の協力を得て、各選管のホームページに掲載される候補者情報をできる限り早い段階で在外でも参照可能になるような体制というのを整備すべく、今、総務省とも協力してシステムの構築を検討しているところでございます。

菅野委員 拡大に当たって、どういう情報を本当に的確に提供していくのかということが問われている大きな課題だというふうに私は思っているんです。これまでの部分では政党の情報だけでよかったわけですけれども、これから個人情報もしっかりと提供していくということを考えたときに、これは早急な体制をとる必要があるというふうに思っております。

 現行の公職選挙法のもとでは、マニフェスト一つとっても、配布が選挙事務所や候補者の街頭演説に限られています。これらの条件をまず緩和して、例えば在外公館でマニフェストの閲覧、コピーを可能にする、あるいは選挙公報の閲覧、コピーを可能にする。先ほどからも議論になっていましたけれども、インターネットをどう活用していくのか。この制度、仕組みをつくることが必要だと思っております。

 大臣、各政党、各会派で議論すべき課題だというふうに答弁なさっていますけれども、これはもう具体的に検討に着手して、総務省としても一つの方向性をつくるべきときに来ているんじゃないか。先ほどからの答弁を聞いておりましても、何か各政党、会派にゆだねているような答弁でしかなかったわけですけれども、総務省としてもしっかりとした議論というのを行って、仕組みをつくるべきだと思うんですけれども、答弁をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 選挙運動用のパンフレット、いわゆるマニフェストでございますけれども、これは、御承知のように、公職選挙法の第百四十四条の二において、頒布方法が限定されているわけでございます。在外選挙人に対して、国内から直接郵送するなど、そういう頒布行為が国内で行われるということになりますと、これは当該規定に違反するということになってしまいます。

 一方、公職選挙法は国内法でありますから、運動規制は、国外犯として規定されているものを除いては、海外には、外国には当然及ばないわけでございます。日本国内での法律でございます。

 したがって、国内の政党等の本部から国外支部にまとめて送付をしまして、国外支部が送付されたパンフレットを配布する場合であって、そして、国内から国外への送付が選挙運動の準備行為にとどまって、その頒布が国外のみに行われる場合は、これは規制には反しない。先ほどからちょっと議論になっていますが、これは国内法でありますから、日本国において適用される法律、そういう仕分けになるわけでございます。

 私が申し上げておりますのは、これは選挙運動の中身そのものにつながるところでございますので、そこはやはり各党各会派において十分御議論をいただく必要があるのではないかということを申し上げているわけでございます。

 とりわけ、インターネットのお話、これは何度もきょうは出ておりますけれども、インターネットをどう使うのか、インターネットは国境を超えてどこでも飛んでいく情報なわけでございますので、やはり大きな土俵の中でひとつここは御議論をいただく必要がどうしてもあるのではないかな、その意味では各党各会派で御議論をお願いしたいというふうに考えているところでございます。

菅野委員 これから大きな議論の余地があるというふうに思っておりますし、このことに私どもも真剣に取り組んでいきたいというふうに思っています。

 次に移るんですが、選挙名簿抄本の閲覧制度の改正についてお尋ねしたいというふうに思っています。

 選挙活動の自由と個人情報の保護をどのように勘案していくのか、非常に厳しい、極めて難しい問題でもあります。しかし、制度を悪用して商業目的に利用するような事実が続く中、今回の措置は基本的に適切なものというふうに思うんですが、先ほども議論がありましたけれども、便宜供与規定の削除によって、今まで選挙人名簿のコピーが可能とされてきておりましたけれども、これが完全に禁止になるのかどうか、この点だと思うんです。市町村によって対応がばらばらというのは好ましくないことだというふうに私は思っております。そのための今回の改正であるならば、コピーは今後一切禁止になりますよというくらいのメッセージというものをしっかり発するべきだというふうに思うんですが、この点について答弁願いたいと思います。

久保政府参考人 先ほども御答弁をいたしましたけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、今回の改正におきまして、大量の有権者情報を容易に入手できるコピー、これは不当な目的による選挙人名簿抄本の閲覧、流通等を高めるおそれがあるといったことで、コピー許容の根拠となっている便宜供与規定を削除するということにしております。

 こうした趣旨から、コピーを禁止する明文の規定はございませんが、仮に市町村の選挙管理委員会が独自の判断で選挙人名簿をコピーさせることを認めたといったような場合には、私どもといたしましては、違法の可能性が強いものと考えております。

菅野委員 そこがあいまいな点だということを指摘しなければならないというふうに思うんです。だから、一方でコピーを認められていて、一方ではコピーはだめだという状況が存在するということ自体が、私は政党人としても、選挙活動、政党の活動に対しては閲覧は認められているんですから、そこの差があってはならないんだということをしっかり肝に銘じて、各都道府県、市町村の選挙管理委員会にしっかりとした対応をとるように、単に違法性が強いものと考えておりますだけで解消するというふうには私は思えないわけですから、このことを強く申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、滝実君。

滝委員 滝実でございます。

 今回の改正の中で、選挙人名簿の便宜供与の廃止、それから在外居住者の選挙の拡大、いずれも私は適切なものと考えております。ただ、選挙人名簿の問題については、多少残念なことがあるんですね。日本では戸別訪問を認めていませんから、選挙人名簿の便宜供与、コピーというのは余り機能していないとは思うのでございますけれども、次のステップとして戸別訪問を仮に認める方向、もう少し緩やかにするということになった場合に、これがかなり足かせになってくるだろうと思うんです。

 そういう意味で、イギリスの場合には、基本的に個人訪問が選挙の主体でございます。したがって、イギリスの場合には、選挙になるということになりますと市役所が選挙人名簿をコピーして待っているわけですよね。それを各陣営が、私は買いに行くと思っているんですけれども、もらう。そういうようなことになっていると思うのでございますけれども、その辺の選挙人名簿の扱い、参考までに、イギリスの場合はどういうことになっているのか、わかったら教えていただきたいと思うんです。

久保政府参考人 私どもで承知している限りで申し上げます。

 イギリスにおきます選挙人名簿につきましては、基礎的自治体から任命をされております選挙登録官によりまして二種類の選挙人名簿というのがあるということで、一つはすべての選挙人が掲載されている完全名簿、これと、申し出のあった選挙人の氏名及び住所は消去した限定名簿、この二種類の名簿が作成されております。

 完全名簿につきましては、選挙委員会等の公的関係機関や当該区域を選挙区とする下院議員などに無料で提供しなければならないこととされておりますほか、犯罪防止や信用調査等の限定された目的に使用する場合であれば有料で提供することができる、こうなっております。一方、限定名簿につきましては、だれに対しても有料で提供することができる、こうされております。また、閲覧につきましては、だれであっても完全名簿、限定名簿ともに自由に閲覧することができるともされております。

滝委員 日本の選挙運動では、厳密に解釈すると、四、五軒歩いただけでも逮捕というのが、戦前というか、戦前以来の日本の判例にあるんですよね、現実問題として。したがって、警察当局の方向によっては、昔は幾らでも逮捕できた。それが戸別訪問の禁止の一つの根拠になってきたわけでございます。したがって、選挙を自由にやろうと思ったら、まずそういうところを緩和しなきゃいかぬわけですよね。

 先ほど来出ていますように、戸別訪問をなぜイギリスでは自由に認めて、各国も認めているかといえば、これがやはり選挙の本体。ただし、買収のおそれがありますから、例えばイギリスなんかの場合は、戸別訪問するときにはプラカードを持っていくんですよね。プラカードを掲げて、それに自分の名前を、候補者の名前を掲げていく。私は戸別訪問していますよということを周辺に知らせるわけですよね。したがって、そこでもって金のやりとりとか物のやりとりをすれば、みんなが見ている。やはり、そういう知恵がヨーロッパの選挙の中に培われてきていると思うんですね。

 日本は、戸別訪問をただ単に認めたらどこまで入り込んでくるかわからないわけですから、これは密室でもってよろしくやるというようなおそれなしとしない。やはり、さすが、そういうような経験というものを含んでおると、少しは緩和した方がいいんじゃないだろうかなと。いろいろな推薦をお願いする、そういうときも警察の風の向きによっては逮捕というんではたまったものじゃありませんし、選挙が終わったら軒並み御用の筋で呼び出しがかかるというような日本の選挙体制というのは、甚だよろしくないんじゃないだろうかな。

 ただし、そういう国で、今御報告いただきましたけれども、選挙人名簿の扱いの問題というのは、私は、もう少し実態を調べて、最近の日本における不詳事件の原因にならないような配慮をどうしていくかというのは、これからの問題だろうと思います。私は、今回の改正というのはとりあえずの適切な措置というふうには考えておりますけれども、これからの情報収集をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それからもう一つ、海外の問題ですね。海外の居住者の拡大の問題でございます。ここの場所でもたびたび御披露がございましたけれども、私の場合には海外からこの間の選挙でもって票をいただいたのかどうかはっきりしませんけれども、基本的に当選者はみんなそういう自覚がないんですよね。恐らく、ほとんどの方が海外からの何がしかの、少なくとも数票ぐらいはもらっていると思うのでございますけれども、そういう海外の人たちが期待をして票を入れているという自覚は基本的に当選者に余りないんだろうと思うんです。それではやはりまずいんですよね。しかし、それを今度は小選挙区まで広げるとなると、ますますその辺のところが何となくぼけてくる。ここのところがやはり思案のしどころかなという感じがするんです。

 先ほどここにも議論がございましたように、例えばフランスなんかの場合は、昨年の年末に行かせてもらいましたら、大変巧みなんですよね。これは、フランスの場合は憲法上の問題でございますから、第五共和国の憲法第二十四条の三項に、海外居住者は元老院が代表する、こう書いてあるんです、憲法に。したがって、下院の選挙には一切関係ない、上院の選挙にこの海外居住者が投票権を持つ。しかも、その場合には、要するに海外選挙区を設けて、上院の場合には、アメリカの大統領選挙みたいに代理人選挙なんですよね。

 ですから、各ブロックごと、世界じゅうをブロックに分けて、ブロックが代理人を選出する。その選出された代理人が、今度は候補者を選ぶ。候補者も、海外選挙区の候補者が十二人おって、それを各ブロックごとに選挙する、こういうことですから。そうすると、海外における本国に要望したいこと、それがいわば海外選挙区の議員を通じて国政に反映される、そういう仕組みになっているんですね。

 したがって、日本の場合には、たまたまそんなことができませんから比例区でやっているわけでございますけれども、その海外からの国民の、住んでいる方々の思いがどこまで国会に反映されるのかというのは、甚だ心もとない。ただ単に選挙権はちゃんと行使できるようになっていますよということであって、海外居住者の利害がどれだけ反映されるかということが本当は一番必要なんだろうというふうに思うんですね。国内の人間と海外の人間とそれぞれ歯ぎしりをしながら、海外から日本の国政に注文をつけたいという人たちの意思がなかなか反映できにくい仕掛けがあるんじゃないだろうかな、こういう感じがございます。

 したがって、これはある意味では憲法上の問題にもなりますけれども、今の現行憲法内で議論するとすれば、やはりこれもこれからの問題として取り上げていっていかないと、せっかくの、苦労して、総務省と外務省とそれから全国の選管を通じて同仕掛けの選挙準備をしながら、なかなか本当の意思が反映できないおそれがあるんじゃないだろうかなというふうに思いますので、これからの検討課題として、引き続きよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。

 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十二分散会


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