衆議院

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第4号 平成19年3月16日(金曜日)

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平成十九年三月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今井  宏君

   理事 井上 喜一君 理事 鈴木 淳司君

   理事 棚橋 泰文君 理事 鳩山 邦夫君

   理事 林  幹雄君 理事 吉良 州司君

   理事 細川 律夫君 理事 井上 義久君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      遠藤 武彦君    小里 泰弘君

      大塚  拓君    金子善次郎君

      木原 誠二君    木原  稔君

      倉田 雅年君    谷畑  孝君

      中馬 弘毅君    中森ふくよ君

      西村 明宏君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 峰之君

      藤野真紀子君    松本 文明君

      矢野 隆司君    山口 俊一君

      大串 博志君    近藤 洋介君

      笹木 竜三君    中井  洽君

      野田 佳彦君    村井 宗明君

      渡辺  周君    高木 陽介君

      西  博義君    佐々木憲昭君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     矢野 隆司君

  野田 聖子君     金子善次郎君

  船田  元君     橋本  岳君

  佐藤 茂樹君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  金子善次郎君     野田 聖子君

  橋本  岳君     船田  元君

  矢野 隆司君     近江屋信広君

  西  博義君     佐藤 茂樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

今井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久元喜造君及び法務省大臣官房審議官三浦守君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 今回のこの法案は、国政選挙で使う国費の問題です。その国政選挙に使う国費の問題で、今国民が一番思っていることを代弁したいと思っております。

 これは、六百四十四億円と書かせていただきました。郵政民営化を問う選挙にかけた国費は六百四十四億円です。郵政民営化に反対した造反議員を自民党から落とすため、だからあの選挙には意味があったと最初は多くの国民は思っていました。ところが、郵政民営化に賛成した人も反対した人も当選すれば全部自民党ということで、結局、何のための選挙だったのか、何のためにこんな莫大な国費をかけたのかよくわからないではないかという声が国民から上がっています。

 そんな中で、大臣は、この六百四十四億円という国費をかけて郵政民営化を問う選挙をやったことについてどのように感じておられますでしょうか。お答えください。

菅国務大臣 さきの衆議院の総選挙というのは、まさに私ども総務省としては選挙の円滑に努めたところでありますし、復党問題については自民党で判断をされたことでありまして、総務大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

村井委員 私は、大臣がもし公明党だったらこの質問はしません。大臣は当然自民党の議員でございますので、再度お聞きしたいと思います。

 こうやって郵政民営化を問う選挙ということで国費をかけた中で、結局その後、賛成した人も反対した人も自民党に入党させたことについて、大臣は政治家として自民党の国会議員としてどのように感じられますでしょうか。

菅国務大臣 解散権というのは総理大臣の専権事項でありますから、やはりこれについても私どもはコメントをする立場じゃないというふうに思います。

村井委員 内閣でやっておられるということで、当然内閣全体で承認しておられること。その当時は大臣じゃなかったと言われたらそれまでかもしれませんが、当然、内閣としての説明責任があるんじゃないかと思います。

 郵政民営化を問う選挙に六百四十四億円をかけて、多くの国民は最初はちょっとだけ理解した、弁解の余地があったんです。弁解の余地は何かといえば、当選した人は結局郵政民営化に反対した人も入党させたけれども、落選した人もいるじゃないか、落選した人は結局自民党に入党させていない、だからあの選挙に国費を使った意味はちゃんとあったんだという説明を受けて、国民はなるほどそうかなと一時期は思っていました。ところが、郵政民営化に反対して落選した人も今入党させようとしています、もう入党しました。このことについて、大臣は、これだけ国費をかけたことも含めて、どのように感じられますでしょうか。

菅国務大臣 私どもは、粛々と決められた事務を行うことがやはり私どもの役割だというふうに考えています。

村井委員 当然、私は大臣であって自民党ではないという答弁が、一般の国民が聞いて、いや、そんなわけじゃないでしょうというふうに思うと思うんです。これ以上この問題は突っ込まずに、次の課題へ移りたいと思います。

 さて、国費を使う開票事務に要する時間を衆議院、参議院ともに五時間というふうにしています。ところが、ここにおられる皆さんは選挙をやっておられてわかると思うんですが、衆議院と参議院で開票時間が違います。特に参議院の比例区、非拘束名簿方式の方は、最後の当選者は朝五時ごろ決まるぐらいで大体夜遅くまでやるのが通例です。衆議院の方はどんなに遅くても二時ぐらいにはみんな決まる。そんな中で両方五時間ということにした妥当性についてお答えください。

久元政府参考人 開票所経費の積算基礎につきましては、開票事務に要する時間を使っております。この開票時間がどういう要因で決まってくるかということなんですが、参議院議員選挙におきましては非拘束名簿式をとっておりますので、候補者が多いということで開票時間がかかることは委員御指摘のとおりだと思います。一方、衆議院議員選挙におきましては最高裁判所裁判官の国民審査もあわせて行われるということが増要因であります。

 私ども、実態調査を今回させていただきましたけれども、開票開始から確定までの平均の時間が、衆議院議員選挙では三・四時間、参議院選挙では三・九時間であります。これに開票所の準備、撤去に要する時間の平均一・四時間を加えまして、若干の端数の差はありますけれども、両選挙とも五時間というふうに算定させていただいたところでございます。

村井委員 明確なデータを出しての答弁、ありがとうございます。よくわかりました。

 さて、続きまして、今、北川正恭さんがよく講演しておられるんですね。選挙の事務それから開票のスピードをいかに効率的にできるか、地方は挑戦すればできるというのを彼はよく講演しておられるんです。

 そういった形で選挙執行の事務それから開票時間の短縮化、こういったことに取り組んでおられる地方自治体は確かにあるわけです。そういった地方の事例をどのように国として支援していく考えがありますでしょうか。

菅国務大臣 国政選挙、地方選挙を問わず地方公共団体が投票事務をしておるところでありまして、それぞれの委員会は効率のために大変な努力をしているというふうに思っております。こうした選挙事務の効率化は、厳しい財政状況の中で地方公共団体の経費削減にも資するものであって、その実態を今回の改正案における基準額の改定にも反映させていただいています。

 総務省としては、そうした選挙の適正な管理と事務の円滑化という両方の観点から、選挙事務に成果を上げている地方公共団体の情報をほかの公共団体に提供するなど、公正かつ効率的な作業が進むように取り組んでいきたいというふうに思っています。

村井委員 さて次に、各地方自治体にお金を交付していくわけです。そして、それぞれ費目をつくっていたけれども、結局、交付された総額の範囲内では自由に融通していいというルールになっているわけです。それはそれで、融通性があるのはいいかもしれませんが、実際、事後チェックはどのようにしているんでしょうか。そして、お金が余った場合、返すこともあるんじゃないかと思うんですが、その辺はどのように考えられますでしょうか。

菅国務大臣 事務の円滑な執行を図るために、国が地方公共団体に交付する基準額を決めているわけでありますけれども、地方公共団体の委託費については、今委員から指摘をされましたように、交付された総額の範囲内で公共団体が実情に応じて執行する、このようになっております。

 この経費の執行に当たっては、地方公共団体は、事前に周到な計画を策定し、経費の適切かつ効率的な使用などに努めるとともに、経理補助簿を作成する等によって経理の明確化を図るように求めております。

 さらに、交付に当たっては、地方公共団体の支出時期を勘案し、実は、三回に分け、委託費の算定基礎となる投票所の数、あるいは選挙公営の状況をチェックするなど、交付額が所要額を超えることのないようにいたしているところであります。また、当然のことながら、交付後に当たっても会計検査院のチェックを受けて経費の事後チェックが行われている、このように考えています。

村井委員 少々細かいので政府参考人の方にお答えいただきたいんですが、今まで費用が余って返した事例はあるんでしょうか。

久元政府参考人 まず、大前提といたしまして、委託費につきましては、予算に計上された額を全額交付しているわけではありません。大臣から先ほどお答えがありましたように、三回に分けて交付しております。

 一回目は、過去の国政選挙の実施状況を踏まえまして、その額を目安にして一定割合、大体八割から九割ぐらいをまず最初に交付しております。それから、選挙が終わった後に選挙公営の部分が確定をいたしますので、請負業者からの請求がある程度出された時期、おおむね二、三カ月後ということになりますが、二回目の交付をしております。さらに、その約二カ月後に最終的な経費が確定をすることになりますので、その上で不足が生じている場合にはさらに追加を交付して、そして過大に交付されている場合には返還を求めるということになっております。

 そして、最後の時点で返還を求めた例でありますが、平成十七年の衆議院議員総選挙におきましては七件ございました。

 以上でございます。

村井委員 お金が余って返還してもらう、これはすごくいいことだと思うんですね。その上で、では経費削減をしようという努力を市町村それから地方自治体にしてもらうべきだと思うんですが、そういったことをやることによって地方自治体に何らかのメリットがあるのか、それから、総務省なりでできるだけ経費を節減、削減するようにという指導などはしておられるんでしょうか。政府参考人にお聞きします。

久元政府参考人 国政選挙に要する費用でありますので、今回お願いしております改正案で基準を決めさせていただきまして、そしてこれを交付するということになりますが、やはり、一定の理論と実態に応じてこの額を算定するということになります。したがいまして、率直に申し上げまして、現行制度におきましては、地方公共団体が努力をした結果、それが何らかの形で反映されるという仕組みにはなっておりません。

 そういうことが実態でありますけれども、いずれにいたしましても公費でありますので、私どもといたしましては、地方公共団体に、とにかく投開票事務を正確に行っていただくということを大前提にいたしまして、事務の効率化を図っていただくということを折に触れてお願いをさせていただいているというところでございます。

村井委員 さて、次の質問に移ります。

 今回のこの法案の説明の文書の中に、投票管理者、開票管理者、投票立会人、開票立会人などの費用弁償額が書いてあったんです。大体、八千八百円から一万二千六百円というふうになっています。これはこのぐらいでいいと思うんです。今、日給はそんなものかなという感じがするんですが、そのときに、当然、各地方自治体の公務員の方も開票事務に当たられる。当然、夜遅くにまでなれば残業手当それから超過勤務手当などがついていって、場合によっては三万円ぐらいもらう方もおられると聞くんです。

 公務員の方は夜遅くまでやって三万円ぐらいで、ところが一般の町内会長さんとかが開票立会人になった場合は多くても一万二千六百円。そこに格差があるのではないかと思うですが、大臣はどのように考えられますでしょうか。

菅国務大臣 開票作業に従事した公務員の方については、それぞれの地方公共団体での給与条例に基づいて支給をする、こういうことになっています。その時間当たりの単価というのは、平成十九年の地財計画における一般職員の給与をもとに算定をしたものでありまして、選挙に従事する時間に応じて支給する所要額というものを決定しております。

 また一方、今お話のありました投票立会人だとか開票立会人の費用弁償については、市町村の選挙管理委員会が選任する非常勤職員として報酬が支給をされる、こういうことになっておりまして、今回、公務員給与の改定状況を踏まえて改正したところでありますけれども、今後、他の非常勤職員の報酬の動向、こうしたものを勘案しながら検討していく必要があると思っています。

村井委員 では、公務員の方がそのまま朝の五時まで開票立ち合いをした場合の給料と、その公務員の方がここで指名されて開票立会人として、開票管理者としてやった場合とで、当然、給料に格差があるということはまずお認めになりますか。どうでしょうか。

久元政府参考人 そのとおりでございます。差があるということは事実でございます。

村井委員 そうなんです。ここで指名されることによって給料が下がるというのは、私は非常におかしいなと。どっちが高くてどっちが安いという問題じゃなくて、その格差自身を何とか是正していくように取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 さて、また次の話へ移るんですが、別の観点から見たら、選挙自身はお金がいろいろかかっているわけです。今選挙に従事する人は、運転手もある、車上運動員もある、事務員もいる。こういった方々の報酬は変わらずして、開票立会人やその他非常勤公務員の部分だけが変わっていく。選挙に従事する人の報酬に関しての見直しも随時行われるべきだと思うんですが、大臣はどのように考えられますでしょうか。

菅国務大臣 選挙運動に従事する運動員、この額については公職選挙法の中で基準が決められている。最近における賃金の状況は落ちついた動きを示しているので、現段階においては基準額を引き上げるということは考えておりません。今後とも賃金等の動向に十分留意をしてまいりたいと思います。

 また、報酬の基準額のあり方については、お金のかからない選挙を推進しよう、そういう選挙の実現という観点からも検討されることだろうというふうに考えています。これについては、私は、それぞれ各党会派で方向性を決めていただければありがたいと思います。

村井委員 さて、同時に、市町村合併がどんどんと進んでいっています。今回の基準改定はその動向を踏まえているのかどうか。そして、こうやって市町村合併が進んでいくことによって選挙の執行経費にどのような影響を与えると考えておられますでしょうか。政府参考人にお聞きします。

久元政府参考人 国政選挙の委託費につきましては、市町村合併が行われた場合についても、その合併の効果を勘案しながら、適正に国政選挙が行われるように、必要な額を確保して交付する必要があるというふうに考えております。

 そういう前提で、具体的にどういう影響があるのかということでありますが、まず相当な部分を占めます投票所経費、あるいはポスター掲示場費といった事柄につきましては、これは選挙人の数や候補者等の段階に応じて決まることになりますので、基本的には市町村合併の影響を受けることはないし、また影響させるべきではないというふうに考えられます。

 他方、市町村の選挙管理委員会の事務費につきましては、これは市町村の数が減るわけですから、その減少に伴って削減できるであろう、また開票所経費につきましても開票所を統合させることによって削減できるであろうというふうに考えております。この結果、参議院での例でありますけれども、市町村合併によって現行基準額に比べまして十五億円程度の削減が見込まれるであろうというふうに存じます。

 今後、市町村合併が進捗していくに応じまして、こういうような考え方、実態に応じて経費の節減が見込まれるというふうに存じます。

村井委員 先ほど、この委員会の場内から電子投票にしたらいいんじゃないかという話がちょっと上がりました。もし電子投票にした場合、経費はどのぐらい変わるものなのか、そういった想定などはされていますでしょうか。政府参考人にお聞きします。

久元政府参考人 電子投票につきましては、地方選挙につきまして、特例法が制定されまして、既に実施をされております。

 率直に申し上げまして、まだ電子投票につきましてはそんなには普及しておりませんので、今の状況におきましては経費は通常の選挙よりも高くついているというふうに存じます。ただ同時に、電子投票による効果というのは、何といっても疑問票が減るということで有権者に対してメリットを与える面も大きいわけであります。

 今後、国政選挙にこれが導入される、そしてこれが地方選挙も含めて大きく普及していくということになりますと、経費も全体的に平均単価が下がるということで節減されて、電子投票の効果ということが経費面でも中長期的には出てくるのではないかというふうに考えております。

村井委員 岐阜県の可児市では、残念ながら、電子投票をやってみて結果的に失敗して、投票やり直しということになってしまいました。そういう試行錯誤はあるのかなというふうには思うんです。

 その上で、ではぜひ一度、電子投票を導入する場合、機械のインフラも含めて、大体何回の選挙で元が取れるのか、そしてどのぐらいの初期費用がかかるのか、そのようなものを一度総務省の方で算定するべきだと思うんですが、どうでしょうか。

久元政府参考人 まず、大前提といたしまして、確かに可児市で委員御指摘のようなことが起こりました。私どもといたしましては、何といいましても電子投票機器の安全性を高めるということが重要であると考えておりますので、専門家から成る委員会をつくりまして技術基準をつくる。また、昨年にはこの技術基準に従って確認基準もつくって、これを地方公共団体に周知させていただいているというところでございます。

 まずは、そういうしっかりとした技術面での安全性を確保していくということが必要であると考えますが、同時に、経費面でどういうふうになるのかということにつきましても、これからいろいろな研究、調査なりをさせていただきたいというふうに考えております。

村井委員 では、最後に大臣にもう一度だけお聞きしたいと思うんです。一番今国民が関心を持っている課題です。郵政民営化を問う選挙にかけた国費六百四十四億円、この話は最初に言ってもらいました。大臣、自民党の議員であるにしても、なかなか答えづらくて答えられない、これはわかるんです。

 何で国民がこの間の選挙にかけた国費が無駄だと最後に思ったのか。結局、郵政民営化に反対して落選された議員の中で、多くは復党できないのに、なぜかお友達だけ入党が認められて公認された。このことについて多くの国民がこの国費六百四十四億円はおかしい、そんなふうに思っています。

 大臣から、そのことについてどのように考えられるか、自民党の政治家としてのお答えをお願いします。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、解散をするということは総理の専権事項でありまして、解散を行った後のそうした選挙というものを滞りなく行うのが私どもの役割でありまして、復党等の問題についてはやはり自民党で政党として決められたことだというふうに思っています。

村井委員 どうもありがとうございました。

今井委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 提案された法案によりますと、投票所の経費、人員配置などの基準を実態に合わせて削減したということでありますが、実態に合わせるということ自体、私ども、あえて反対するものではありません。

 しかし、総務省の案によりますと、実態調査と比べて、市の基準人員はおおむね増減でとんとんですけれども、町村になりますと削減の数がより大きくなっておりまして、実態調査よりも少ない基準となっているわけです。なぜこの町村にしわ寄せをするのか、お答えをいただきたい。

菅国務大臣 今回の見直しにつきましては、各地方公共団体の実態調査の結果を踏まえた上で、選挙人数の多少に応じた事務量、都市化の度合いに応じた事務量を考慮し、経費の基準として適正なものとなるように見直しを行っているところであります。

 具体的には、選挙人数に応じて職員配置をふやしたり、あるいは、都市部では人口移動が多く、選挙人名簿の対照事務量が増すことなどから、町村よりも若干多目に配置する等の措置を講じておるところであります。

 一方、町村からの要望にも踏まえまして、事務補助に従事する者の手当の単価だとか、あるいは開票所における人員の配置数について、市区と同じようになるように引き上げを行ったところであります。

 今後も、引き続きましてそれぞれの地方公共団体の選挙執行の実態を把握しながら適正な配置基準をつくっていきたい、こう考えております。

佐々木(憲)委員 もし町村の経費が基準を大幅に超えるという場合、国としては補てんをするということなんでしょうか。

菅国務大臣 その場合は、そう考えています。

佐々木(憲)委員 次に、政治資金収支報告書の訂正問題についてお聞きをしたいと思うんです。

 最近では、安倍総理の政治団体が記載漏れで訂正をしたとか、久間防衛大臣が秘書給与を企業に肩がわりさせていたことで訂正をした、あるいは野党の中にもそういう話がある。

 総務大臣にお聞きしますけれども、政治資金規正法二十五条の虚偽記載、または二十七条の重大な過失、これは訂正をすれば法違反は免れるということなんでしょうか。

菅国務大臣 一般論として申し上げれば、法律違反については、行為時の行為が法的に評価されるべきものであって、収支報告書の訂正をしたからといって過去の事実関係は変わらないものと考えております。

 一方、当初収支報告書に記載すべき事項を記載せず提出した場合において、この時点で故意または重大な過失がなければ、後で修正した場合などがあっても罰則の対象にはならないと考えております。

佐々木(憲)委員 佐田前行革大臣の場合は、不適切な会計処理があったということで大臣を辞任いたしました。つまり、大臣をやめるほど深刻な虚偽記載あるいは重大な過失があったということだと思うんです。

 そこでお聞きしますが、佐田氏が大臣をやめてから今日までの間、政治資金収支報告書を訂正する届け出があったかどうか。佐田玄一郎政治研究会、佐田氏の資金管理団体、佐田氏が代表の政党支部について、それぞれお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 ただいまお話のありました佐田玄一郎政治研究会、佐田玄一郎議員の資金管理団体であります赤城倶楽部及び佐田玄一郎議員が代表者であります自由民主党群馬県衆議院比例区第二支部について、総務省及び群馬県選挙管理委員会において確認をしましたところ、平成十八年十二月二十八日以降、収支報告書の訂正は行われていないところであります。

佐々木(憲)委員 もともと、事実を記載するということで国民の監視のもとに置くというのが政治資金規正法第一条、第二条の精神であります。この事実をきちんと記載しないということになりますと、これは重大な問題になるわけでありまして、総務大臣はそのようにお考えになりませんか。

菅国務大臣 政治資金規正法においては、故意または重大な過失により収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者、または虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処する旨の定めがあるところであります。

 さらに、会計責任者が不記載ないし虚偽記入により処罰をされた場合、政治団体の代表者がその選任及び監督について相当の注意を怠ったときは五十万円以下の罰金に処する旨の定めがあります。

佐々木(憲)委員 その定めはわかっているんですけれども。事実をきちっと記載する、そのことによって国民の監視のもとに置くというのがこの法の精神ですね。

 佐田氏は、非常に重大な間違いがあったということで大臣をやめたわけですから。やめるほどの重大なことなんですから。ところが、全く訂正されていないということは、本来の法の精神からいうとおかしいんじゃないかと私は思うんです。大臣、どうですか。

菅国務大臣 委員に御理解をいただきたいんですけれども、私ども総務省というのは、実質的な調査権がありませんので、事実関係を確認することはできません。

 その上で申し上げるならば、今言われましたけれども、政治資金の収支については、その報告書の公開を通じて国民の監視のもとに置かれておりまして、その是非については収支報告書の内容に対する判断というよりは国民の判断にゆだねられる、このようになっております。

佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたことに全然答えていないんですよ。法律の仕組みは先ほどの説明があったし、今の説明も答えていないですよね。

 法の精神は、正確な記載を行うというのが精神であって、それが正確ではないと。佐田氏はその理由で自分でやめたわけですから、極めて重大な過失あるいは虚偽記載の疑いがあるわけですね。ところが、本人は、重大な間違いがあったということを認めながら訂正もしない。これは本当に不誠実な対応だと私は思うんですね。

 大臣は、そうしますと、間違ったことを幾ら書いても、それは公表されるんだから後は国民の判断だと。そういうことになると、これは何のための公表なのか、何のための届け出なのかということになるわけで、そういうことが大臣自身が姿勢を問われるということなんですよ。どうですか。

菅国務大臣 ただ、私ども、実質的調査権というのが法の中に全くありませんので、その事実関係を私どもから確認することも立場的にできませんので、その点については、これは各党会派全く同様でありますので、そのことにつきましてはぜひ御理解をいただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 この法律を所管する大臣としては、非常に姿勢に問題があると私は思いますよ。これは訂正したら済むというものじゃない、これは罰金とか禁錮刑までついている厳しいものであります。

 次に、昨年一年間に、現職国会議員の資金管理団体の政治資金収支報告書を訂正したいと届け出があった件数、これは何件ありますか。

菅国務大臣 総務大臣届け出団体について、現職の国会議員の資金管理団体で平成十八年中に訂正願が提出された件数は、延べ百十一件であります。

佐々木(憲)委員 法務省に聞きますが、平成十六年、十七年に政治資金規正法違反で起訴されたのは何件ありますか。また、現職国会議員の資金管理団体については何件ありますか。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年、十七年に政治資金規正法違反によりまして起訴をされた人員につきましては、平成十六年が十三人、平成十七年二十四人となっております。そのうち犯行時に現職の国会議員が起訴された人員につきましては、平成十六年は一人、平成十七年はゼロとなっております。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、きょうはこれで終わります。

 ありがとうございました。

今井委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 提案されている国政選挙の執行経費についてですが、適正に見直していくことに異論はありません。しかしながら、今回の改正案、衆参双方の選挙につき、現行と比較して大幅な経費削減となっています。

 公務員給与の改定、物価水準、過去の選挙の執行状況を勘案した結果と言われていますが、投票時間は延長され、開票時間にかかる時間は短縮傾向にある中、投開票に携わる方々の御苦労、御負担はむしろふえているのではないかと思います。

 ところが、少ない人数で頑張って投開票活動に携わり、開票時間の短縮を図れば図るほど、次回はそれが基準となって、ますます人員や経費が減らされていく。これはさすがに問題ではないかというふうに思っています。どこかで歯どめをかけるような措置、基準も必要ではないかと思うんですが、大臣の考え方をお聞きしておきたいと思います。

菅国務大臣 選挙事務の厳正かつ公正な管理、執行を確保するとともに、選挙結果というものを速やかに周知する中で予算の執行を図る観点から、その事務の効率化だとかということは極めて大事だというふうに思っています。

 今回の改正案においては、このような見地から、各地方公共団体において行われてきた選挙事務の効率化に関する取り組みの実態を反映させることとして基準額というものを改正させていただいています。

 今、委員から御指摘がありました、確かに、地方公共団体で効率化に努力をして、そうしたものに対して、その努力を交付額に反映させるということも必要だというふうに私は思っておりますので、何らかいい方法がないかなということで、そのことについては検討させていただきたい、こう思います。

菅野委員 先ほどの選挙部長の答弁では、その部分は一切ないという答弁ですので、おかしいなというふうに思いながらもおります。ぜひその努力して経費削減に努めた部分は、自治体の評価という部分で加味していく制度というのをつくるべきだというふうに私は思っていますので、今の大臣の答弁を今後見守りたいというふうに思っています。

 次ですが、松岡農水大臣が、光熱水費のかからない議員会館で五百万円を超える経費を計上しているのは尋常ではありません。虚偽記載は一切ないとおっしゃるものの、一切の説明を拒んでいるわけですから、国民の不信は増大する一方だと思います。

 一方、松岡大臣は、各党で基準が決まればしっかりこたえたいとも答弁しています。安倍総理も、事務所経費の計上のあり方について、政治資金規正法の改正も視野に入れて自民党に対応を促していると再三答弁しております。ところが、自民党からは、政治資金規正法改正案はおろか、一切の対策案が出されておりません。これでは党ぐるみで疑惑隠しに協力していると見られても仕方がないと私は思います。一体、自民党内の議論はどうなっているんでしょうか。

 所管省庁の大臣として、自民党に取りまとめを急がせる考えはありませんか。大臣の見解をお聞きしておきます。

菅国務大臣 政治資金というのは、国権の最高機関であります国会を構成するそれぞれの政党だとか政党の構成員の自由な政治活動に直接かかわるものでありますから、私は、それぞれ各党会派でやはり方向性は決めるべきものであるというふうに思います。

 ただ、今までこの規正法というのは、入りについてはかなり議論はされてきました。しかし、出については余り今日まで議論されてこなかったのでありますから、出についても透明性向上というものについて各党会派で議論していただきたい、そのことについて私どもは見守らせていただきたいというんですか、出についてやはり透明性というのが重要だということは申し述べさせていただきたいと思います。

菅野委員 今も佐々木委員との議論が行われました。政治資金規正法を所管する大臣として、入りの部分、出の部分をどうしていくのか、しっかりと指揮を発動してほしいと私は思うんです。それは各党各会派にゆだねているという今の答弁ですけれども、そうではなくて、総務大臣としてやはり各党各会派に働きかけていくというのが私は大臣としての責務だというふうに思うんですね。再度答弁をお願いしたいと思います。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、この改正というのは、まさに国権の最高機関の先生方の政治活動に非常に関係するものでありますから、今までも各党会派の議論の中で決定をされてきた、そういう経緯があります。

 ただ、私は、所管する大臣として言わせていただくならば、入りについては今までかなり議論があったけれども出についてはそのことが余り検討されていなかった、透明性を確保するということは極めて重要であるというふうに思っております。自民党内で、安倍総理も自民党総裁として、党の改革実行本部で検討するように、そういうことを指示されておるところでありますし、それぞれ各党会派でそうした方向について議論を深めていただきたいと考えています。

菅野委員 わかりました。

 次に移ります。衆議院小選挙区の区割りについて伺いたいと思います。

 平成の大合併で市町村数が激減したのは周知のとおりです。衆議院の小選挙区の区割りは最近では二〇〇二年に見直しがなされたわけですが、当時、選挙区が複数に分割された市区町村が十六だったにもかかわらず、いわゆる平成の大合併を経て、現在ではその数が七十五市区町村にまで広がっています。一市六町が合併して誕生した宮城県の大崎市、ここは私の選挙区も含まれているわけですが、三つの小選挙区が混在する状況です。この状況は、区割りに当たっては市区町村の区域は分割しないという区割り画定の作成方針と合致していると考えているんでしょうか。

 二〇〇五年の簡易国勢調査の結果を受けて昨年二月に開かれた選挙区画定審議会では、選挙区が分割された市区町村数の増加を認めつつ、著しい不均衡は見られないとして区割り変更の勧告を見送りました。

 しかし、同じ自治体の中が複数の選挙区に分かれていることは、さまざまな政治活動を大変に複雑にしています。二〇〇二年の区割り変更の際、当委員会では、市町村合併の進展で区割りが地域の実情にそぐわなくなった場合、国勢調査の結果を待つことなく区割り改定の勧告を行うよう考慮すべしとした附帯決議を採択しております。この附帯決議を尊重して、次回二〇一〇年の国勢調査を待つことなく区割りの見直しに早急に着手し、次回の総選挙に臨むべきと考えますが、総務大臣の御認識はいかがでしょうか、お伺いいたします。

菅国務大臣 基礎自治体や市町村の区域は同一の選挙区にすることが当然望ましいことですけれども、市町村合併等によってさまざまな、今委員指摘のような実態があることも事実であります。

 ただ、区割りについては、選挙区間の最大格差が二以上にならないようにすることを基本として、行政区画は考慮要素の一つであります。それで、審議会におきましてその勧告が十年ごとということになっております。そういう中で、小選挙区に関する区割り作成というのはこの審議会にゆだねられておりますので、そうした決定というものを私どもは尊重していかなきゃならない立場だというふうに考えています。

菅野委員 大臣、スタートするときの十六というのは、人口の関係で十六というのは私は認めざるを得ないと思うんですが、合併によって七十五市区町村にも拡大している実態というのは私は放置すべきじゃないというふうに思うんです。一自治体一選挙区という原則は、私は堅持すべきだというふうに思っています。今合併によってそういう地域が七十五にもふえたということを勘案すれば、総務大臣として審議会に区割り見直しという部分を検討するように私は勧告すべきだというふうに思うんですね。ぜひその実態を踏まえて早急な対処をお願いして、私は質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十八分散会


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