衆議院

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第2号 平成19年12月7日(金曜日)

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平成十九年十二月七日(金曜日)

    午後一時六分開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井上 喜一君 理事 今井  宏君

   理事 倉田 雅年君 理事 谷畑  孝君

   理事 船田  元君 理事 篠原  孝君

   理事 福田 昭夫君 理事 井上 義久君

      稲田 朋美君    岩屋  毅君

      浮島 敏男君    小里 泰弘君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      木原 誠二君    木原  稔君

      篠田 陽介君    平  将明君

      竹下  亘君    中馬 弘毅君

      土井  亨君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      福田 峰之君    福田 良彦君

      藤井 勇治君    藤野真紀子君

      松本 文明君    安井潤一郎君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      大串 博志君    逢坂 誠二君

      神風 英男君    仙谷 由人君

      中井  洽君    横山 北斗君

      上田  勇君    高木 陽介君

      佐々木憲昭君    菅野 哲雄君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   議員           後藤田正純君

   議員           原田 義昭君

   議員           佐藤 茂樹君

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      二之湯 智君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     福田 良彦君

  近江屋信広君     安井潤一郎君

  木原 誠二君     平  将明君

  菅  義偉君     竹下  亘君

  中馬 弘毅君     岩屋  毅君

  萩原 誠司君     藤井 勇治君

  石関 貴史君     逢坂 誠二君

  前田 雄吉君     神風 英男君

  松本  龍君     仙谷 由人君

同日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     中馬 弘毅君

  平  将明君     木原 誠二君

  竹下  亘君     菅  義偉君

  福田 良彦君     越智 隆雄君

  藤井 勇治君     冨岡  勉君

  安井潤一郎君     近江屋信広君

  逢坂 誠二君     石関 貴史君

  神風 英男君     前田 雄吉君

  仙谷 由人君     松本  龍君

同日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     萩原 誠司君

同日

 理事菅義偉君及び松本龍君同日委員辞任につき、その補欠として船田元君及び福田昭夫君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案(原田義昭君外三名提出、第百六十六回国会衆法第四七号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件(第二十一回参議院議員通常選挙の結果概要)


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      船田  元君 及び 福田 昭夫君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

棚橋委員長 この際、増田総務大臣及び二之湯総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。総務大臣増田寛也君。

増田国務大臣 総務大臣を拝命いたしました増田寛也でございます。

 当委員会の皆様方には、かねてから格別の御高配にあずかっていることに対しまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。

 選挙が民主政治の基盤をなすものであることを考えますとき、選挙制度や政治資金制度を所管する総務省の大臣として、その責任の重大さを痛感いたしております。

 私といたしましては、今後とも、公正かつ明るい選挙の実現に向けて最大限の努力を重ねていく所存でありますので、何とぞ御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。

棚橋委員長 次に、総務大臣政務官二之湯智君。

二之湯大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました二之湯智でございます。

 谷口副大臣とともに増田総務大臣を補佐して全力を尽くしてまいりますので、棚橋委員長を初め理事、委員の皆様方の格段の御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

棚橋委員長 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長米田壯君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 去る七月に行われました第二十一回参議院議員通常選挙の結果の概要について、政府から説明を求めます。増田総務大臣。

増田国務大臣 この機会に、第二十一回参議院議員通常選挙の結果の概要について御報告申し上げます。

 御承知のとおり、今回の選挙は、平成十九年七月二十八日に任期が満了となった参議院議員の通常選挙でありまして、選挙すべき議員の数は、比例代表選挙が四十八人、選挙区選挙が七十三人、合計百二十一人でした。

 また、今回の選挙から、在外選挙について選挙区選挙も対象となっております。

 選挙当日の有権者数は約一億三百七十一万人で、前回の参議院選挙に比べ約百二十万人増加し、過去最高となっております。

 次に、投票の状況について申し上げます。

 七月二十九日の投票日は、一部の地域を除き、全国的に曇りまたは晴れの天気でした。投票率は選挙区選挙で五八・六四%で、これは前回に比べ二・〇七ポイント上昇しております。

 次に、立候補の状況について申し上げます。

 比例代表選挙については、参議院名簿を届け出た政党は十一政党で、前回に比べ三政党増加しており、また、その届け出名簿に登載された候補者数は百五十九人で、前回に比べ三十一人増加しております。競争率は三・三倍でした。

 選挙区選挙については、候補者数は二百十八人で、前回に比べ二十六人増加しており、競争率は三・〇倍でした。

 次に、当選人の状況について申し上げます。

 党派別に申し上げますと、民主党は比例代表選挙で二十人、選挙区選挙で四十人、合計六十人、自由民主党は比例代表選挙で十四人、選挙区選挙で二十三人、合計三十七人、公明党は比例代表選挙で七人、選挙区選挙で二人、合計九人、日本共産党は比例代表選挙で三人、社会民主党は比例代表選挙で二人、国民新党は比例代表選挙で一人、選挙区選挙で一人、合計二人、新党日本は比例代表選挙で一人でありまして、無所属は選挙区選挙で七人となっております。

 なお、女性の当選人は二十六人で、前回に比べ十一人増加し、過去最多となっております。

 次に、党派別の得票率の状況について申し上げます。

 比例代表選挙では、民主党三九・五%、自由民主党二八・一%、公明党一三・二%、日本共産党七・五%、社会民主党四・五%、国民新党二・二%、新党日本三・〇%、諸派二・二%となっています。

 また、選挙区選挙では、民主党四〇・五%、自由民主党三一・四%、公明党六・〇%、日本共産党八・七%、社会民主党二・三%、国民新党一・九%、諸派・無所属九・四%となっています。

 以上をもちまして、今回の参議院議員通常選挙の結果の報告を終わります。

棚橋委員長 次に、第二十一回参議院議員通常選挙違反検挙・警告状況について説明を求めます。警察庁米田刑事局長。

米田政府参考人 平成十九年七月二十九日に行われました第二十一回参議院議員通常選挙における違反行為の取り締まり状況について御報告をいたします。

 選挙期日後九十日の十月二十七日現在で集計しました数字は、お手元に資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。

 検挙状況は、総数で百五十六件、二百三十七人となっておりまして、前回の通常選挙における同時期の四百七件、三百九十九人と比べますと、件数で二百五十一件、人員で百六十二人減少をしております。

 罪種別に見ますと、買収六十七件、百三十六人、自由妨害四十九件、四十一人、戸別訪問一件、ゼロ人、文書違反十二件、二十一人、詐偽投票十六件、二十人、その他十一件、十九人となっておりまして、買収が検挙事件のうち件数で四二・九%、人員で五七・四%を占め、最も多くなっております。

 なお、戸別訪問について、件数一件とありながら人員がゼロ人となっておりますが、これは一人の人間が戸別訪問と同時に他の罪種についても検挙されたため、人員については他の罪種の方に計上したことによるものであります。

 次に、警告状況を申し上げますと、総数が二千百十二件でございまして、前回の三千百六十四件と比べ一千五十二件減少しております。

 なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九七・七%を占めております。

 以上、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

棚橋委員長 次に、第百六十六回国会、原田義昭君外三名提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。後藤田正純君。

    ―――――――――――――

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤田議員 ただいま議題となりました地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党並びに公明党を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 この法律案は、昨今の情報化社会の進展にかんがみ、選挙及び最高裁判所裁判官の国民審査の公正かつ適正な執行を確保しつつ開票事務等の効率化及び迅速化を図るため、衆議院議員及び参議院議員の選挙並びに最高裁判所裁判官の国民審査に係る電磁的記録式投票機(いわゆる電子投票機)を用いて行う投票方法等について、公職選挙法等の特例を定めるとともに、最高裁判所裁判官の国民審査の期日前投票期間を衆議院議員総選挙の期日前投票期間と同一にするものであります。

 その主な内容は、第一に、市町村の議会の議員または長の選挙の投票について電子投票機による投票を行う条例を制定している市町村のうち、当該市町村の選挙管理委員会の申し出に基づき総務大臣が指定した市町村の区域において、衆議院議員及び参議院議員の選挙並びに最高裁判所裁判官の国民審査の投票についても、電子投票機を用いた方法により行うものとすることといたしております。

 第二に、電子投票機についてでありますが、電子投票機において表示すべき事項及び表示の方法について定めるとともに、衆議院議員及び参議院議員の選挙並びに最高裁判所裁判官の国民審査において用いる電子投票機は、総務大臣が技術的基準に適合するものとして指定した電子投票機のうちから、市町村の選挙管理委員会が選定しなければならないことといたしております。

 第三に、最高裁判所裁判官の国民審査の期日前投票期間についてでありますが、原則として、衆議院議員総選挙の期日前投票期間と同一となるよう、審査の期日の告示の日の翌日から審査の期日の前日までの間とすることといたしております。

 最後に、施行期日等についてでありますが、この法律は、平成二十年一月一日から施行することとするとともに、その他所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、慎重に審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。

棚橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 二十分時間をいただきましたので、重要な点を幾つかお尋ねいたします。提出者を初め、総務大臣等におかれましては、ぜひ簡潔明瞭な答弁をお願いいたします。

 何かまだ審議をしないうちからマスコミではもう法律が通るような報道がなされておりますけれども、私は、どちらかといえば反対の立場、少なくとも慎重に進めるべきだ、そういう考え方から質問させていただきますので、簡潔明瞭に御答弁をお願いいたしたいと思います。

 初めに、電磁的記録式投票の実施状況についてであります。

 一点目は、国内の実施状況について二つお尋ねをいたします。

 一つ目は、電磁的記録式投票をやめた理由についてであります。

 電磁的記録式投票は、これまで、御案内のとおり、十の市町村で延べ十六回実施されておりますが、条例を廃止したり凍結した自治体が幾つかあります。その理由は何なのか、まず総務大臣にお伺いをいたします。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 この電磁的記録式投票法でございますが、平成十四年の六月に全国で初めて岡山県の新見市で導入されたわけでございますが、その後、八市町村で導入をされました。ただ、そのうち二市が条例を凍結、それからまた、条例を制定した後に廃止したのが二市二県。

 その理由でございますが、電子投票機の技術的信頼性が向上することを待つ必要があるということが理由の一つ。それからもう一つが、実質的経費が高額であること。それから、もともとこうしたものがモデル的に実施したものであること。こういったことが理由で、その後、条例の廃止あるいは凍結に至ったということでございます。

福田(昭)委員 委員長、答弁者に、聞かれたことだけ答えるようにひとつ御指導をお願いいたしたいと思います。

 二つ目は機器導入に必要な費用についてであります。

 改正法案を施行するに要する費用につきましては、現在条例を制定している八団体が、電子投票機をリース契約した場合の予想額として約二億七千万円。一投票所六台、年間リース料十四万円、二百五十一投票所で計算をしているようでございます。

 仮に、全国の投票所で行うことになるとどのくらい予算が必要なのか。レンタルの場合と機器を購入した場合の両方について、総務省は試算をされているようでありますが、幾らになるのか教えていただきたいと思います。

久元政府参考人 確かに、今は電子投票機が非常に普及がおくれておりますので今委員御指摘のような数字を見込んでおりますけれども、これを全国的に普及するという段階になりますと大きく単価は下がることになりますので、現時点におきましてこの数字を見込むということは困難であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 なかなか上手な答弁をしたようでありますが、私、試算をしたものを手に入れて、読んでみますと、全面導入で千四百億円、レンタルで三百五十億円、投票機の一台購入費は四十万円とあるようでございます。

 なお、一番最初に導入した新見市では、当初、一台百万円で百五十台分、合計一億四千六百万円で購入する予定だったと聞いております。

 これはいかがですか。

久元政府参考人 確かに、現時点での投票機の単価ということを見込みますと、今委員が御指摘になりましたような、近い数字が機械的には出てくるかと思いますけれども、やはりそれは、全体に普及したということを考えますと、その前提の単価とはかなりかけ離れた単価になるというふうに思われますので、現時点では、私どもは試算といたしましてこれを御答弁するような精度のものではないというふうに考えて、お答えを申し上げているところでございます。

福田(昭)委員 ちょっとおかしいじゃないの。現時点で幾らかかるかと聞いているんだから、将来のことは、それはもしかして普及すれば下がるのは当たり前の話であって、そういったことを踏まえて議論するのが議論じゃないんですか。

 ところで、現在の自書式による投票事務の総額は幾らかかっているのか、教えてください。

久元政府参考人 これまでの自書式の投票、これは電子投票との比較でありますので、電子投票を行った団体が直近の自書式投票が幾らぐらいかかったのかということを計算いたしますと、これは千七百万弱というふうになっております。

福田(昭)委員 全国で幾らかかったかというのに千七百万というのはないでしょう。事前に通告したはずだからちゃんと答えてください。

久元政府参考人 恐縮でございますが、直前に福田委員から通告いただきました数字は、既に電子投票を行った団体で、自書式の場合は幾らで、電子投票の場合には幾らかかったのかということの比較ということで急遽用意させていただきましたので、恐縮でございますが、今お答え申し上げましたような数字を用意させていただいたところでございます。

福田(昭)委員 では、私の秘書が間違って連絡したということですか。そんなことないはずであって、全体で幾らかかるかと言ったはずです。調べてすぐそこへ出すように言ってください。後でいいから、最後にちゃんと出すように。

 それでは、二点目に入ります。二点目は諸外国の状況についてお伺いをいたします。

 諸外国の実施状況について、成功しているケースと、実施したものの使用を中止、停止したケースについて、それぞれお伺いをしたいと思います。特に、どのような問題が出て、どのように対処しているのかを具体的に総務省にお伺いいたします。

久元政府参考人 主要な国についてお答え申し上げたいと思いますが、まずアメリカであります。

 アメリカは、大統領選挙など連邦レベルの選挙も州によって違う、州の中でも違うという前提がありまして、我が国とは相当違っております。

 アメリカの大統領選挙におきましては、二〇〇〇年の選挙は大混乱いたしました。その大きな理由がパンチカード式の投票用紙を使ったこと。そういう反省から電子投票が急速に普及いたしましたが、昨年の中間選挙では、メリーランド州で電子投票機が正常に作動しなかった、投票用紙による投票に切りかえたものの、一部の投票所では投票ができない状態が発生した、こういうようなことがありました。

 このトラブルの原因でありますけれども、電子投票機を起動させるには起動カードが要るわけですがこれの配付漏れがあった、それから、選挙従事者の多くが電子投票機の操作にふなれであった、こういったことが挙げられていると聞いております。

 次に、フランスでありますけれども、ことし、大統領選挙で初めて電子投票が導入されました。第一次投票では、約三万五千ありますコミューンのうち八十二が導入いたしましたが、トラブルの発生によりまして、二回目の投票では五つのコミューンが電子投票を断念するという結果になったと承知をしております。

 主な原因といたしましては、電子投票機の機能というよりも、有権者への説明などが遅延したということが原因であった、こういうふうに聞いているところであります。

 また、ほかの国の状況もありますけれども、代表的なケースとして御答弁をさせていただきます。

福田(昭)委員 諸外国でもうまくいっているところは全くないようでございますので、解決すべき課題がたくさんあるようでございます。

 次に、改正法案についてお伺いをいたします。

 一点目は、電磁的記録式投票機についてお伺いをいたします。

 電磁的記録式投票機については、現在、自治体で使用されている投票機の開発メーカーはどのようなものがあるか、教えていただきたいと思います。

久元政府参考人 近年におきます電子投票の実績のある事業者は、電子投票普及協業組合、EVSと略称しておりますが、このEVSと東芝ソリューションの二者であります。

 また、平成十九年度からは、アメリカに本社を置きますESSという会社が、条例を制定している団体に対しまして電子投票機の調達に参加をしていると聞いております。このESSにつきましては、導入した市町村はありません。

 過去におきましては、ムサシ、NTT東日本も電子投票の実績があります。

福田(昭)委員 現在、総務省が指定したメーカーといいますか機器はその三者だ、こういうことですか。はい。

 それでは、次に二点目ですが、電磁的記録式投票機に表示すべき事項について、改正案では衆参それぞれどのような表示になるのか、提出者にお伺いをいたします。簡潔で結構でございます。

佐藤(茂)議員 ただいまお尋ねの電子投票機に表示すべき事項及びその方法につきましては、国政選挙の種別ごとに規定しておりまして、大きく四種類に分かれます。

 一つは、衆議院小選挙区選出議員選挙における表示事項は、候補者の氏名及び当該候補者に係る候補者届け出政党の名称でございまして、電子投票機の映像面に、すべての候補者及び候補者届け出政党の名称を投票記載所における掲示の順序に従って同時に表示しなければならない、そのようにしております。

 続いて、衆議院の比例代表選出議員選挙における表示事項は、名簿届け出政党等の名称及び略称でございまして、電子投票機の映像面に、すべての名簿届け出政党等の名称及び略称を投票記載所における掲示の順序に従って同時に表示しなければならないというようにしております。

 三点目に、参議院の選挙区選出議員選挙でございますが、その表示事項は、公職の候補者の氏名及び党派別であり、電子投票機の映像面に、すべての候補者の氏名及び党派別を投票記載所における掲示の順序に従って同時に表示しなければならないこととしております。

 四点目に、参議院比例代表選出議員選挙における表示事項につきましては、候補者たる参議院名簿登載者の氏名並びに名簿届け出政党等の名称及び略称でございまして、電子投票機における表示の方法については、最初に名簿登載者に対する投票または名簿届け出政党等に対する投票のいずれかを選択することについて表示いたしまして、それ以降の画面表示の方法については、選挙の公平性が損なわれないように政令で定めるもの、そのようにしております。

福田(昭)委員 そうしますと、この法律の施行が来年の一月の一日ということでございますが、まずは衆議院総選挙が適用になるということですが、二年後には参議院選挙があります。さきの参議院選挙の名簿登載者は先ほど報告がありましたように百五十九名、これだけの候補者を具体的にどのように表示していくのか。政令で定めるということでございますが、どんなふうに定めるのかお伺いをいたします。

原田(義)議員 お答えをいたします。

 ただいま佐藤委員からも、選挙の投票種別に御説明がありました。ちょっとわかりやすくするために、もう一回整理をさせていただきたいと思います。

 国政選挙は、衆議院、参議院、それぞれ二つずつ選挙がございますので、都合四つの分野に分かれておるわけであります。衆議院は小選挙区と比例代表、そして参議院は……(福田(昭)委員「聞かれたことだけ」と呼ぶ)はい、ポイントだけ、理解を進めるためです。そういうことで、参議院は選挙区と比例代表。

 最初の三つは一画面に表示できる、まあ単純といえば単純であります、候補者の名前だけ、または政党の名前だけでありますけれども、四つ目の参議院の比例代表制は、届け出政党も十を超える、さらには候補者も百人を超えるということでございます。

 そういう意味で、この参議院の比例代表につきましては、まず第一画面に、政党を選ぶか個人名を選ぶかの表示だけが出されるわけでございます。その上で、その具体的な進め方については政令で定めるというような形になっております。

 例えば、個人名の部分を押しますと、例えば国会太郎という名前を押すときには、いきなり百数十名を選ぶのはなかなか難しゅうございますから、今のところ、例えば五十音表示式を次の画面に載せる、アからアイウエオ、カキクケコと。国会太郎の場合には、コのところを押した後にコの候補者が順繰りに出てくる、こういう形で政令の中に定めるのではないかと。

 いずれにしましても、関係者の意見をしっかり聞いた上で、政令で決めてもらうということを考えておるところであります。

福田(昭)委員 政令で定めるということですけれども、百五十九名の名前を一つの画面で表示するということはほぼ不可能ですから、これは相当もめごとになりますわね。ですから、技術的に容易ではないんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。

 三点目は、電磁的記録式投票機の信頼性を確保するための措置についてであります。

 御案内のとおり、岐阜県可児市では、光磁気ディスクの関連装置が過熱をし、投票機が全投票所で一時停止したため、二重投票、開票されない票などがあり、選挙無効、再選挙となりました。こうしたトラブルへの対応はどのように考えているのか、お伺いをいたします。簡潔にお願いをいたします。

原田(義)議員 このようなトラブルは絶対あってはいけないわけでありますけれども、信頼性を確保するためにはあらゆる手を講じなければならないと思っています。

 今回の改正では、総務大臣が定める、二重投票の防止や投票の秘密の確保等、選挙が公正かつ適正に行われることを確保するために必要な技術的基準というものを法律の中にしっかりと定めているところでございます。この技術的基準は、具体的には、電子投票機の信頼性及び安全性を確保するために、機能、ハードウエア、ソフトウエア、セキュリティーの各方面について電子投票機が具備すべき基準を定めるものでございます。

 また、万が一トラブルが起こったときのために、自書式投票に切りかえるということも法律の中に明定をしておりまして、いかなる観点からも対応がとれるということを講じておるところであります。

福田(昭)委員 それでは、提出者は、この可児市の事件で岐阜県の選挙管理委員会が最高裁判所に提出した上告理由書をお読みになりましたか。

原田(義)議員 現物は正直言って読んではおりませんが、ただ状況はしっかり理解しておるところでございます。

 少なくとも、今の委員の質問に対して、技術的な問題も含めて、そのことも含めてしっかり技術的基準を定めておる、こういうふうにお答えしたいと思います。

福田(昭)委員 上告書の中身をちょっと紹介いたしますが、第三の「本件選挙の特殊性」というところで、電子投票機は壊れるのが前提だからということの上告書なんです。

 一部、ちょっとだけ紹介いたしますが、「電子投票の特性に基づく制約及び機械を使う以上、無謬主義を貫くことは不可能であるところ、自書式は機械を使用しないから、これから派生するトラブルは生じようがないという意味で、決して自書式投票と同程度の完全なものはあり得ないし、それを少しでも同程度に実効性あらしめるためには、人間の努力次第で実行が可能な範囲に留めざるを得ない。 そして、この努力は一朝一夕にできるものではない。」岐阜県の選挙管理委員会が最高裁判所に出した上告理由書の中にそう書いてあるんです。もとからできないと選挙管理委員会が言っているんですよ。そして、当然、最高裁判所には棄却されたわけでございますけれども。

 しかも、総務省がつくった先ほどの技術的な基準、これもちゃんと書いてあるんじゃないですか。ここに、トラブル発生を前提とした制度的担保が必要だ、こう書いてあるんですよね、機械は壊れることが前提だと。

 そんなものを信用して、我々の大事な、民主主義を実現するための大事な投票を、代表人を選ぶ投票を、そんな危なっかしいものに任せるということについて、私は全く信用を置けないんですよね。ですから、全く、そういった意味で、確かに、それは機械でやれば便利なことはたくさんあります。しかし、やはり昔の人が言っているように、過ぎたるは及ばざるがごとしなんです、基本的に。機械を使えば有効なものもある、使ってもだめなものもあるんです。そういったことをしっかりと考えて、私は、慎重に取り組むべきだ、こう考えているところでございます。

 時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、今回、非常に残念だったのは、今回の法律の一部改正が議員立法なんですね。実際、この法律をつくったときには閣法で、内閣から出ているんですよ。ですから、本来ならこの一部改正も総務省から出てしかるべきだと思っているんですが、今回は議員立法になっちゃっているんですね。総務省が出さなかった理由は何ですか。お伺いいたします。(原田(義)議員「委員長、一言」と呼ぶ)

棚橋委員長 それでは短く。提出者原田義昭君。

原田(義)議員 大事なことでありますから。

 先ほどの可児市の案件につきましては、従来クライアントサーバー方式というのを可児市は導入して、確かにここは欠陥があったというような意味では、この技術的な問題も含めてしっかり対応しておるところであります。

 確かに、技術基準、技術水準の発展に当たってはいろいろなリスクが伴いますけれども、私どもはそれを乗り越えて、この制度をしっかり理解していただかなきゃいけない、そういうふうに思っているところであります。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 投票方法については、その改正についてはこれまでも閣法の場合もありましたし、それから議員立法の場合もある。それぞれあったんですけれども、今回は国政選挙への電子投票の導入ということで、これは政党の皆さん方の方で議論がなされておりましたので、そういった経緯を踏まえて議員立法として提出をされたということでございます。

福田(昭)委員 なかなか、内閣から提出するには条件がそろっていないということだと思いますね。

 以上で終わります。

棚橋委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 福田委員に引き続きまして、私からも今回の法案について幾つかお伺いいたします。

 電子投票に関しては、皆様方御承知のとおり、随分メリットもあるというふうに言われております。例えば、開票作業が迅速化されるとか、開票作業に伴う人件費が削減されるとか、疑問票がほぼなくなるとか、あるいは人口が例えば六億とかいるような国なんかの場合だと投票用紙を使わないわけだから省資源であるとか、あるいは自書が困難な方に対しては、そういう方の投票が容易になるとか、あるいはまた、これも海外のことをちょっと頭に置きますと、他言語への対応なども容易になるというようなことで、電子投票にはいろいろとメリットも多いというふうに言われています。

 もう一つのメリットとして不正行為の排除が可能だというようなことがかつて随分言われていたようですが、最近は紙は紙なりの不正行為があるけれども電子投票には電子投票なりの不正行為があるというふうに言われていますので、これはどうも必ずしもメリットではないようであります。

 いずれにしても、今私が述べたようなメリットがこの電子投票にはあると言われているんですが、このメリットの一方で、これから幾つか列挙させていただきますが、デメリットも多いというふうに言われています。

 一つは、まず、機器の導入コストが極めて高いということですね。それから次に、機器を使っている時間、期間というのは極めて限られている、それ以外の期間は保管しておかなければならないということで、この保管の間に機器の劣化というものが心配されるわけですね。それからもう一つ、機器の進歩というかこの分野の技術の進歩が極めて速いわけですから、一度機器を買っても、年限を経てしまうと、あっという間にそれが旧式のものになる可能性もあるということですね。

 それからもう一つが、電子投票機をちゃんと機能するように保管しておく場所をどう確保するかというのも相当大きな問題だろう。例えば、現状の自治体の選挙用の道具の保管場所などをさまざま見てみますと、記載台だとか投票函なんというのは、いわゆる倉庫のようなところに入っているわけですね。ところが、この電子投票の機器になると、そういうところではきっとまずいのだろうというふうに思うわけです。特に私が住んでおります北海道などでは、倉庫なんかに入れておきますと、寒い時期、暑い時期、結露なんかがよく起きますので、これは電子機器にとっては最悪の状態になるわけですね。では、レンタルでやればいいだろうということになるわけですが、レンタルの事業者にしたって、保管という点では同じ問題を抱えるわけですね。

 それから、今度、電子投票機器のトラブルが結構多い。一つは物理的なトラブル。可児市の例のように過熱をするというようなトラブルが多い。あるいは、もう一つは、物理的なトラブルが発生したことによって、今度は操作する人間の方が焦ってしまうとか、うろたえてしまってトラブルにつながったというケースもあるというふうに聞いております。

 それからもう一つは、電子投票をやった結果、結果に対する信頼性をどう担保するんだ。有権者にしてみると、やはり電子投票というのはブラックボックスだということがあって、紙の投票のような信頼性というのは必ずしも置けないのではないかというようなことですね。

 それから、先ほど福田委員も指摘をしておりましたが、画面設計が極めて難しい。公平に画面設計をしていくためにはどうすればいいのだということについては、必ずしも十分な議論がされているわけではない。その代表例として、多人数を一画面に表示するのは困難であるというようなこと。先ほど五十音を選んでからという話がありましたが、それで本当に公平性が担保されるのかどうかは疑問だということですね。

 それからもう一つですが、投票機器にかかわる利権というものが発生しないかということも随分懸念をされております。

 それから、今回の当法案では、記憶媒体というもの、記録媒体というものを外して、開票作業のときにまたそれを持ち込むことになっているわけですが、この記憶媒体の原本性というものをどう担保するのか。仮にバックアップをとったとしたって、どれが原本なんだということが必ずしもわかりにくいわけですね。

 それから、電子投票では、電磁記録でありますから、紙に比べると、記憶媒体に対する物理的刺激などで投票結果が一瞬にして喪失するおそれがあるんですね。紙の場合は、ぬれても一部読めるとか、燃えても、ああ、九割方読めましたねなどということはあるわけですが、電子記録の場合はそうはいかないということですね。あと、簡単なことですが、停電をしたらどうするかというようなことですね。

 それから、最後に、トラブルがもし電子投票であったときに、紙の投票もできますよということに今回の法案はなっていますけれども、電子投票と紙の投票を両方用意するんだったら、かえってコストがかかるんじゃないかというような心配もあるわけです。

 今ざっと述べましたとおり、実は、電子投票というのは、非常によいように見えるのですけれども、どうもデメリットもあるんじゃないか。これらの克服がなければ、広範かつ安定的にこの電子投票というものが広がっていくことは難しいと思うわけでありまして、今私が述べました点について、法案の提出者はどう対処しようとしているのか、お伺いしたいと思います。

原田(義)議員 ただいま逢坂議員から、メリットもデメリットも、今回導入すべきかどうかの論点をほとんど尽くされたような感じがいたします。

 おっしゃるように、デメリットというか問題点がないというわけではございません。しかし、今私どもが目指しておるのは、さはさりながら、この電子投票のメリットは極めて大きいんだ。開票時間を短縮し、開票事務の迅速化を図るとか、疑問票、無効票がなくなる、自書が困難な選挙人であってもしっかりとできるんだ、それも含めて、国際的な情勢も含めて、ここでしっかり国政に電子投票制度を導入しようというのが私どもの考え方でございます。

 一方で、御指摘いただきましたように、機器の安全性、信頼性は大丈夫かと。今まで十カ地点、十六回の実績がございます。問題がなかったわけじゃありませんけれども、その一つ一つに技術的な改善を加えて、今回、この法律に基づいて技術的基準を法制化する、これも大事なことだと思っております。

 入札等の問題についても、これは、これに限らないわけでございますけれども、やはりこれもしっかり公開性を持って取り組む。ほぼ新しい分野でございますので、当然のことながらあらゆる可能性を検討しなければいけない、こう思っております。

 また、この保管等、これをリースにするのか持ち分にするのかということも含めまして、一つ一つが新しい体験であるのは事実でありますけれども、私どもは、その一つ一つにしっかりとした検討を加えて、また、それを総務省、自治体にも要請をしたい、こう思っているところでございます。

 どうぞ、その問題点を克服するのが私は社会の前進ということだと思っておりますので、具体的な問題点についてはしっかりとした検討を加えていきたい、こう思っているところであります。

逢坂委員 私が幾つか事前に通告をして、それらについてそれぞれ具体的に対処方法を提出者としてどう考えているか教えていただきたいというふうにお願いしていたのでありますが、今の答弁を聞くと、具体的なものは何もない、しっかりと対応したいということでありました。しっかりと対応したいということで答弁が許していただけるものなら、私にも総務大臣も総理大臣もできそうな気がいたします。果たしてそういうことでいいのでしょうか。

 きょうの段階では、これはこういう問題点があるんだということをよく皆様にも御理解をいただいて、私は、この電子投票というものは将来的には検討に値する重要なものだろうというふうには考えております。しかしながら、バラ色の話だけをしてこれを進めていくことには相当問題があるだろうと思っておりますので、今のような問題点、少なくとも現時点で私の頭で考えてもこれぐらいデメリットというものがある、問題があるということを指摘しておきたいというふうに思います。

 法案の提出者からは、先ほどの答弁を聞くと、多分これ以上具体的なものは出てこないというふうに思いますので、この問題点の指摘はとりあえずこの程度にとどめておきますが、次、もう少し深い話をさせていただきたいと思います。

 私、これは人に教えていただいたんですが、カーネギーメロン大学日本校という大学があるそうですが、そこの久光弘記さんという方と武田圭史さんという方が、電子投票に関する三つの脅威について極めてリスクの高い状態であるというふうに指摘をしているそうであります。

 三つの脅威とは、投票カード発行機のプログラムの改ざん・すりかえ、集計機のプログラムの改ざん・すりかえ、それから集計機のデータの改ざん・すりかえですね。これを極めて高いリスクがあるというふうに三つの脅威として指摘をしているそうであります。

 それから、投票所や電子投票機に関してのセキュリティー対策は進んでいるけれども、製造者の工場でのプログラムの改ざん、開票所での関係者による投票データの改ざん対策には甘さがあるというふうにも指摘をしているんですね。

 この中で久光氏は、電子投票による投票結果が、正しくデータを受け取って、すなわち、有権者が投票した投票データを正しく受け取って、そのデータを正しくプログラムで処理をして出てきた結果が正しいものであるということを証明する手段というものを用意すべきなんだという指摘もしているところなんですね。これは機械のことでありますから、完全にブラックボックスで、なかなかわからないという不安があるわけであります。

 そこで、ちょっと次の点をお伺いしたいんですが、電子投票機、集計機などの電子投票システムの、まず一つは設計の段階、それからもう一つは製造の段階、もう一つは納品の段階、そしてもう一つは実際使用の段階、この各段階において第三者機関などによる安全性や処理の正確性についての評価確認を受ける必要があるのではないかというふうに私は思うんですね。

 と申しますのは、どんなに電子投票にかかわる機械の満たすべき機械の水準、基準というものを定めたとしても、その後改ざんや修正が可能な機器であるならば、これは第三者のチェックの段階を幾つか経なければいけないというふうに思うんですね。例えば、総務省でどんなに技術基準を高いレベルで定めたとして、それに基づいて設計をやった、設計までは正しい、でも、製造をしたときにちゃんと設計どおりやらなければ、それはだめなわけですね。設計も製造もうまくやった、でも、出荷の段階でそれを改ざんしたら、それもまただめなわけですね。あるいは、投票機を受け取った自治体の側、選挙を執行する側が受け取った後にそれを改ざんできる可能性もあるわけでありますので、それぞれの段階でやっぱりチェックを、第三者機関におけるチェックなどを設ける必要があるということなんですね。

 ところが、これをやってしまうと、今度はコストがかさむし、手間が甚大であることも事実であります。だから、そんな第三者機関にやらせないで、選挙を執行する自治体の責任においてそれはちゃんと管理すべきだという議論もあるというふうには思います。しかし、法案提出者の皆さんに御理解いただきたいんですが、投票日の朝に、投票函のふたをあけて、さあ皆さん、投票札一枚も入っていませんね、空ですねというふうに確認するのとわけが違うわけですね。この電子機械が本当にちゃんと作動しているかどうかを投票函の中が空であるかと同じように、そういうレベルで執行側の自治体に管理監督の責任をちゃんとやってくださいよなどということでは、この電子機器の信頼というものは確保できないような気がするんですね。

 したがいまして、この点について、まず法案の提案者はどのように考えているかということをお伺いしたいことと、それから、政府参考人に、私が言ったようなそれぞれの段階でのチェックというものについて、それをやるとしたら具体的にどう考えられているか、見解をお伺いしたいと思います。

原田(義)議員 委員御指摘のように、電子投票を新しく国政に導入するに当たって、その信頼性を十分確保しなければいけないわけでございます。この信頼性というのが文字どおり一番重要なファクターであろう、こういうふうに思っております。そういう観点から、先ほどからも説明をしておりますけれども、本法案においては、国政選挙で使用する電子投票機の信頼性を確保する観点から、総務大臣が定める技術的基準に適合する機械を指定して、当該指定を行った電子投票機器でなければ国政選挙に使用することができない。まず機械を指定して、その中から具体的にそれぞれの自治体の選挙管理委員会がピックアップする、こういうところになっておるわけであります。

 しかし、御指摘のように選挙にはいろいろなプロセスがあります。企画から製造、出荷、そして実際投票所でどう管理して投票に結びつけるかと。ですから、それはおっしゃるように、あらゆるプロセス、段階でしっかりとした管理が行われなければならないわけであります。そういう観点から、おっしゃるように例えば第三者でも関与させてやるべきではないかという意見もあろうかと思いますけれども、そういうわけにもいかないわけであります。

 そういう意味では、私どもは、しっかりと管理者にこのあれを任せるということを教育も含めてやらなければならない、こういうふうに思っているところでございます。現在でも、市町村が電子投票機の納品を受けたり、実際の選挙においても、使用する前には仮の投票データを用いて投票、開票が正確になされていることの確認をするというような検査も行っているというふうにも承知しているところでございます。

 いずれにいたしましても、申し出をした選挙管理委員会が、総務省、国の指導を受けまして今のようなプロセスをしっかりと管理するということは言い過ぎということにもならない、こういうふうに思っておるところでございます。また、万が一その運営管理におかしいということがあれば、直ちに国においてその指定を取り消すというようなこともできることになっておりまして、相まってこの信頼性を維持する、こういうふうに私どもは考えておるところであります。

久元政府参考人 委員御指摘の、電子投票システムにおける設計段階、製造段階、納品段階、使用の各段階における安全性、処理の正確性ということを、客観的な評価、第三者機関の評価も入れながらどういうふうに担保していくのかというのは、非常に重要な課題であるというふうに思っております。

 まず、設計段階に対応する対応策といたしましては、電子投票機器の技術的条件をどう定めるのかということであります。

 現在は、これは法律上に基づかない、助言ということで私ども技術的条件を定めておりました。ただ、これはるる御指摘をいただきました可児市、そのほか海老名市などでもトラブルがありましたので、やはり、私どもといたしましては、この技術的条件というのは十分ではないということで、ITの専門家などから成ります検討委員会の御指導などをいただきながら、この技術的条件というものを見直しております。

 同時に、次に、この技術的条件が改良されたといたしましても、技術的条件どおりに設計され製造されているのかという次の段階でのチェックが重要になります。

 この点につきましては、私ども、この技術的条件にきちんと合うようにそれぞれの電子投票機器が製造されているのかどうかということを確認する検査でありますけれども、適合確認実施要綱というものを定めることにいたしました。これを昨年十二月に定めまして、さらに、この実施要綱どおりに検査を行った上で、その評価を発表する。これは三社につきまして、そういう申し出がありましたので、その評価を、これは全体としてマルかペケかということではありませんで、それぞれの技術基準に対応いたしました試験方法を定めた、その試験方法どおりに行った結果がどうなのかということについての非常に詳細な報告書でありますが、それを第三者機関に委託をいたしまして、その評価結果を公表いたしましたし、また、自治体にも通知をさせていただいたところであります。

 問題は、そういうふうに検査を受けた上で納品されたそれぞれの投票機器が、さらにその後においてプログラムの改ざんなどが行われないようにするという方策が重要であろうかと思います。

 この点につきましては、従来から、開票システムに正当な管理者以外の者がアクセスすることができないようにパスワードとデジタル署名等の手段を用いるというような助言を私ども行っているところであります。そういうような方法でこのプログラムの安全性をきちんと確認する。

 しかし、それでも本当にこのプログラムの改ざんはないのか、不正な投票機器の作動ということが行われないようにするということにつきましては、ただ単にそういうことが実質的に確保されるということと同時に、有権者の理解を得るためにも、非常に限られた時間内にはなるかもしれませんけれども、例えばダミー投票などを行って、実際に行った投票と実際に得られた結果というものが本当に間違いがないのかといったようなことを確認するというような方法もあり得るというふうに私ども従来から助言をしているところでございます。

 また、実際に投票の記録というものを記録媒体に格納する、同時に、投票操作の記録というものは電子投票機の中にログの記録として確認するわけでありますけれども、これをきちんと保存しておいて、こういうような両方の記録というものが、仮に選挙に疑義が出てきたときには、争訟手続においてきちんと明らかになるような方法をとっておくということを事後的に担保するということもまた事前における投票機器の信頼性、安全性ということにもつながるのではないかというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、地方選挙の段階でこういうような方策をこれまでとってきているところでありますけれども、なおこのセキュリティーのレベルを上げるためにはどういうふうにしたらいいのかということについて不断の努力をさせていただきたいというふうに考えております。

逢坂委員 久元部長、一点だけ確認ですけれども、設計基準があった、製造した、製造してちゃんとできているかどうかもちゃんとチェックするというふうにおっしゃいましたけれども、それを一台一台全部やるんですか。

久元政府参考人 これは一台一台すべて確認することは不可能ですので、型式についての、つまり一つのモデルの投票機器についての検査ということになります。

逢坂委員 選挙においては、その機械そのものがちゃんとうまく機能しているかどうかということが大事なわけであって、型式認定ではだめなんですね。だから、その意味で、このカーネギーメロン大学の論文なんかの指摘も、リスクが高いというふうに言っているんだと思うんです。しかも、この機器が広範に出回れば出回るほどそのリスクは高まっていくわけですので、ぜひこの点は相当慎重にやらねばならないということを御理解いただきたいと思います。

 そこで、次にちょっとお伺いしたいんですけれども、こうした新しい分野については、よく巷間言われることでありますけれども、利権がつきものだというふうに言われます。特定の組織や団体あるいは個人がこういうことを利用して不当に利益を得たがるとか、あるいは、人に先駆けて利益や利権を確保したいために、ほかの人よりも一歩でも先んじて何かこれの利権をとりたいというふうに思う余り、実はその後にもしかしたらトラブルが起こるかもしれないななんということを自分でわかっていながら、無理を承知で導入をどんどんどんどん促進するなんという側面があることもいろいろな新しい分野ではあるんではないか。

 しかし、こうしたことはあってはならないことでありまして、しかも、事選挙におけることでありますから、そういうようなことでこの機器を導入してもし大きなトラブルがあったら、結果的には損をするのは国民や日本国全体ということになるわけです。

 そこで、法案の提出者にお伺いしたいんですが、こうしたことを避けるために機器の開発だとか導入、その透明性の確保、あるいは、今私が言ったような、そういうことでやっているんではないんだということを国民の皆さんにしっかりと理解をしてもらうためにはどんな方策をお考えになっているでしょうか。

原田(義)議員 電子投票の普及に当たっては、電子投票機の開発や導入についてどうやって透明性を確保するかということは極めて重要なことだと考えております。

 電子投票機については、投票に関する事務を処理する市町村において調達をするということになります。本法案によりますと、総務大臣が定める技術的基準に適合するものとして指定した電子投票機の中から選定することとされております。したがって、市町村は、各投票機の性能、各社のサポート体制、契約金額等を考慮して、総務大臣が指定した電子投票機を対象として、入札手続等により必要な性能を有する電子投票機を選定することと考えております。

 この調達が適正な手続により行われる限り透明性は確保できるものと考えておりますが、法案の成立する際には、総務省からも市町村に対して調達手続について適切な助言が行われなければならないというふうに考えているところでございます。

逢坂委員 この点は、新しい分野のものというのは、やはりどうしても急ぎたい気持ちというのは私もわかるんです。新しいものにチャレンジしていくというのは大事なことですからね。しかし、急ぐことの裏に利益の拡大になるとかそういうような気持ちがあったのでは、これは結果がよろしくないことになる可能性はあるわけでありますので、ぜひこの点についてはしっかりとした対応がされなければいけないということを申し添えておきたいと思います。

 もう一回、機器の方に話をちょっと戻したいと思うんですが、先ほど、機器それぞれについていろいろ改ざん、不正のおそれがあるということを言ったんですが、この点について三つお伺いしたいんです。

 一つは、電子投票の機械です。電子機器ですから私も余り詳しいことはわからないんですけれども、電子機器の大概のものには必ず入出力のポート、口がついているわけです。例えばパソコンなんかでいうと、USBだとかLANだとか、そういう口がついているわけです、入出力を外とするために。ただ、この電子投票の機械については、カードを挿入するところの口以外のポートというものを封印してアクセスできないようにするということも重要なのではないかなというふうに思うんですが、これについてはいかがかというのが一つ。

 もう一つはプログラムですけれども、プログラムが改ざんされたら、改ざんされたということがわかるように何らかのかぎをかけておく必要がある、こういうことも重要なことではないかなというふうに、機器について二点追加してお伺いをしたいと思います。

 それから、もう一つですが、万が一この電子投票による投票結果について、おかしい、どうも変だぞというようなことがあったと。例えば、先ほど久元部長の方から、投票する前にデモ的に投票をやってみて、ちゃんと五十人が、五十人とは言いませんでしたが、何人かがやった結果がちゃんと出ているよというようなことをやるというような話もありましたけれども……。実は、あの点に関して言いますと、これも部長はおわかりのことと思いますけれども、百や二百ぐらいのデータを入れたらそのとおり出るようにしておいて、データが一万を超えたら別な結果が出るようにするプログラムだって簡単なことでございますので、投票前のこのチェックというのは実はなかなか難しいんですね、本当を言いますと。これはちょっと別の話ですが。

 いずれにしても、投票結果に疑義が生じた場合に備えて、選挙が終わった後に選挙結果を検証できる、トレースできるような何らかの手だてというものを考える必要があるのではないかと思うんです。例えば、諸外国の例を幾つか見てみますと、電子投票に加えて、それを紙に別に印字をしているなんという国もあるようにも私は聞いたんですが。ただ、そこまでやっちゃうと、紙の投票とどう違うのかなということにもなってしまいますので。でも、いずれにしても、電子投票についても後でトレース、検証ができる仕組みというものが要るのではないかと思うんです。

 この三点について法案提出者に話を伺いたいと思います。

原田(義)議員 現在の電子投票においても、電子投票の機能、備えるべき条件として、二重投票の防止ができるとしなければなりません。投票の秘密が侵されないものであると。さらには、権限を有しない者が電子投票機の管理に関する操作をすることは防止するというようなことも当然のことながら定められておるわけでありまして、本法案は国政選挙への導入でありますけれども、当然同様な取り扱いをするもの、こういうふうに考えております。

 本法案では、これらの条件を具体化するため、先ほどから申し上げておりますけれども、技術的条件を技術的基準という形で格上げをいたしまして、総務大臣が指定する電子投票機を国政選挙に使用させるというようなことを考えているところでございます。

 御指摘の入出力ポートの封印、電子署名等の仕様については、現在総務省が作成しております技術的条件にも盛り込まれていると私ども聞いておりまして、今後、法律に基づく技術的基準の中でしっかりそのことも信頼性を確保するというふうに考えております。

 なお、記録データにつきましても、これは電子投票機の動作に関する運用記録、いわゆるログを読み出すことができることについても当然盛り込んでおりまして、万が一、選挙の終わった後でも事後的な検証ができるようになっておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、機器の信頼性の確保というのは何よりも増して努力をしなければならない、こういうふうに思っております。

逢坂委員 きょう、私、答弁を聞いておりまして、少し、何か考えを変えなきゃいけないかなと思っているというか、具体的な話が何にも出てこない。ちょっと考えただけでも、今私が言ったようなデメリットが浮かんでくる。そして、それに対して事前にお話をさせていただいた。にもかかわらず、それへの対応、対策というのは必ずしも具体的、つまびらかではない。しっかりととか、きちんととか、そういうような話だけしか出てこない。果たしてそれでいいのかなという気がするんですね。

 私は、冒頭にも申し上げましたとおり、この電子投票というのは、検討すべき重要な分野であろうというふうには思っております。しかしながら、今私がしゃべった程度のことに対してですら答えられない状況というのは、私、法案提出者としていかがなものかなという気がするわけでありますけれども、法案提出者の方、いかがでしょうか。

原田(義)議員 今、御意見でございますけれども、私どもは、新しい技術分野、さらには新しい選挙という大事な分野での適用でございますから、地方自治体での選挙の経験、そしてまたそのときの事故も含めまして十分な反省を加え、かつ、技術的な検討を加えた上で、十分に対処できるというふうに考えておるところでございまして、御指摘のリスクは踏まえた上でこれからもしっかり対応しなければいけない、こういうふうに思っておるところであります。どうぞよろしく御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 今回の法案は、全国の自治体、選挙を執行する機関に対して、電子投票でやらねばならないという法案ではありませんので、希望したところがやることができるという内容でございますから、それはそれぞれの、その判断主体のある種責任においてやるべきものだというふうにも思いますし、あるいはまた、そういう具体的な実践の積み重ねがなければこうした分野は検証もできないし発展もできないということなわけだと私は思っているんですね。しかしながら、私は電子とかこういうことに関しては全く素人でありますけれども、私が考えただけでも今ぐらいのリスクはあるんですよというようなことをやはり踏まえた上で、全国の選挙を執行する皆さんがこれをやるかやらないかを判断せねばならないんだと思っているんですね。

 ですから、今回の、現時点での選挙の適用範囲の拡大というのは、私自身は、仮に法案が通ったとしても相当に慎重であらねばならないというふうに思っています。ただ、その一方で、チャレンジしなければ何も発展しないことも事実でありますから、そのリスクをどう判断するかというようなことが重要なわけです。

 しかし、その一方で、私は、今回のこの法案を審議するに当たって、もっと世界の実践例、実践例も、よかったよかったという実践例ではなくてトラブルの実践例ですね、そうして、それをどう克服したかということの積み重ね、それをもっと勉強するなどのことが必要であるし、それから、この分野は本当に日進月歩でありますから、専門家の意見も聞くというような作業も、私は、この法案についてはもっと必要だったのではないかなという気がするわけです。この点について法案の提出者にお伺いしたい。

 最後に総務大臣に、今までの議論を聞いていて、増田大臣も聞かれていたかと思うんですが、お疲れのところ大変恐縮でございます、私は大分リスクの面をお話しさせていただいたんですが、これほどリスクがありますよと。だけれども、法案提出者の皆さんからは、私の感覚では具体的にそれに対する対応策が出たというふうには思っていないんですけれども。そういう中で、今回、選挙の範囲の拡大というものをしていくことについて、これまでの議論も踏まえて増田大臣はどうお考えになっているかということをお伺いしておきたいと思います。

 まず、法案提出者の方からお伺いしたいと思います。

後藤田議員 委員御指摘のように、慎重かつ継続的にフォローアップしていくということは、この電子投票というのは当然のことだと我々も思っております。

 そして、委員がお話しされましたとおり、いろいろな技術的な問題点というものは、今回、我々は技術的基準ということで厳格に総務省に運用させて、その後の自治体の運用もしっかりチェックしていく、そういった点での万全を期したいと思いますが、一方、委員も御指摘されたメリットの部分と、もう一つは、自治体が条例を制定して、もう数分で投票結果が出てしまうような成功例も多々ございまして、こういった自治体の自由といいますか、そういうものも我々は尊重しなくてはいけない立場だと思います。

 同時に、委員も御承知かと思いますが、平成十三年に成立しました電子投票法、その後、平成十四年以降、地方選挙に限って実施可能となりました。その後も、すぐに国政選挙にも拡大してほしいという要望がありましたが、御承知のとおり、超党派で大変な議論をその間も行われてきたようでございます。議員連盟で電子式投開票システム研究会、これは中馬会長、副会長江田五月議長さんも含めてそういった議論を、今までもいろいろな有識者を呼んで研究をしてきたと聞いておりますので、その点については超党派での議論を踏まえてやっておるということは御理解をいただきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 総務省でも、これまで海外の事例も含めて、もちろん国内の有識者、技術的な面そのほか、大勢の有識者の皆様方にお集まりいただきましてこの問題を検討してまいりました。御承知のとおり、技術的な面についても、日々いろいろな技術が進歩しておりますので、そうしたことも踏まえて、こうしたものは常々検討を進めていく必要があるだろうというふうにも思うわけでございます。

 今御答弁がございましたとおり、立法府の方におかれましても、この間、いろいろなお立場から御検討されてきているというふうにも伺っておりますし、それから、その際には、総務省が今まで蓄積してまいりました成果などについてもお尋ねをいただいて御答弁を申し上げてきたところでもございます。

 したがいまして、今回、いろいろ、こういう法律がございまして、また立法府の方で御判断されることになると思いますけれども、総務省としても、この問題、今後も常に研究者を集めて、専門家を集めて検討、研究を積み重ねていかなければならないというふうに思っておりますし、それから、その法律について、私ども、万全の執行体制を整えていかなければならない。そうした過程の中で、私どもも、さまざまな事例、それから技術的な問題も含めて常に今後も検討してまいりたい、このように考えております。

逢坂委員 私は、繰り返しますが、この電子投票というものを否定しているわけではございません。検討に値する、メリットの多いものであることも事実だ、だから、それにチャレンジをしたいという方に道を開いておくことは、それはそれで一つ意味のあることだろうというふうに考えております。

 しかしながら、よもや、バラ色のことだけを言って電子投票を推進するんだとか国が旗を振って電子投票をやれやれというようなことまでは、このデメリットを考えると、実は言っていないのではないかというふうに私は思うんですね。だから、こういうメリットもあります、でも、今はこういうリスクも負わなければいけません、その中で新しい分野についてチャレンジをするかしないかというような公平な姿勢というものを貫かなければいけない、この法案が通ったからといって電子投票はバラ色だということではだめだということを強く申し添えておきたいと思います。

 最後に、先ほどの福田委員からの質問で一点答弁が漏れていたところがあるというふうに聞いておりますので、現行の自書式による投票に係る費用総額は幾らかということを政府参考人にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

久元政府参考人 答弁が漏れておりまして、大変申しわけありませんでした。

 ことしの参議院選挙での予算ベースの話ですけれども、地方公共団体に対する委託費は五百二十六億二千九百万円余となっておりますが、直接電子投票に関連いたします投票所経費は百九十六億七千万円余、開票所経費につきましては五十八億一千六百万円余というふうになっております。

逢坂委員 以上で終わります。ありがとうございます。

棚橋委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 初めに事実を確認しておきたいと思います。

 先ほどの答弁では、電子投票の条例を制定している自治体は八市町村ということでありました。そのうち、首長と補選のみで実施している自治体はどこでしょうか。

久元政府参考人 現在、電子投票を実施している市町村は、青森県六戸町、宮城県白石市、福島県大玉村、神奈川県海老名市、京都市、三重県四日市市、岡山県新見市の八団体であります。

 このうち、四日市市にありましては、市長選挙及び市長選挙と同時に行われる市議会議員の再選挙または補欠選挙において電子投票を実施することとしております。また、京都市は、東山区に限ってでありますが、市長選挙においてのみ電子投票を実施しているところでございます。

佐々木(憲)委員 四日市と京都市の二つの自治体では、首長、補選では電子投票をやっている。ところが、議員選挙ではやっていないわけですね。その議員選挙でやっていないという理由を聞かせてください。

久元政府参考人 どの選挙において電子投票を実施するかにつきましては、それぞれの自治体において、有権者の意識、議会における議論、団体の規模、選挙管理委員会の職員体制等を踏まえて決められたものと承知しておりますが、より具体的に聞き取ってみますと、市長選挙のみを実施している京都市にありましては、議会における議論等を踏まえまして環境整備を図りながら電子投票を拡大していきたい、また、四日市市にありましては、これは議会の議論でありますけれども、市議会議員の定数が三十六名ということで、画面構成を検討したところ、なかなかこの合意形成に至らなかった、そこで、国政選挙で実施されることとなった場合の画面構成などを参考にしながら市議会議員選挙への導入を検討したい、こういう御意向であると聞いているところでございます。

佐々木(憲)委員 議員選挙でやっていない理由として、三十六名という定数、これは数が多いので一度に画面表示ができない、不公平が生ずる、こういう理由というふうに聞いているところであります。

 もう一つ聞きたいんですが、五万人以上の自治体で電子投票を実施したことがあるのはどれだけあるか、そのうち現在も電子投票を行っているのはどこか、これを知らせていただきたい。

久元政府参考人 五万人以上のこの単位を指定都市の場合には区でとらえてお答え申し上げますと、五万人以上の自治体で電子投票を実施したことがありますのは、広島市、これは安芸区のみでありますが、それから福井県鯖江市、岐阜県可児市、神奈川県海老名市、三重県四日市市の五団体であります。

 そのうち、現在電子投票条例を制定しております団体は、岐阜県可児市、神奈川県海老名市、三重県四日市市の三団体であります。

 なお、条例を制定している三団体のうち、岐阜県可児市につきましては当面条例を凍結しておりまして、海老名市につきましては平成十九年執行の市議会議員の選挙及び市長の選挙には適用しないというふうにしております。

佐々木(憲)委員 有権者が多い自治体では候補者が多いわけであります。今お聞きをすると、そういうところの議員選挙でこれが使われた経験がほとんどない、そういう状況ですね。

 提案者にお聞きしますけれども、国政選挙で電子投票を行った場合、特定の市町村でトラブルが発生した、そういう場合、その自治体にとどまらず、これは全国的な集計に影響しますね。そういう影響が出るということは事実ですね。

原田(義)議員 まず、そういうトラブルが起こらないように全力を尽くさなきゃいけないわけでありますけれども、トラブルは起こり得るわけであります。その際に、起こった瞬間に、例えば予備機でもって対応する。どうしてもそれが間に合わないときには、自書式の用紙を別途準備しております。そういうことのないように、カバーをするような体制ができておるわけでございます。

 その上で、このようなケースにおいて選挙無効訴訟が提起されて、最終的にその選挙がおかしいではないかということになったときに、理屈の上ではその選挙区の再選挙というようなことはあり得ると思いますが、しかし、それは今度の国政選挙における自治体での選挙におきましては全体のうちの一部だというようなことに結果的にはなるわけでございますので、私どもからすれば、ここは全体の結果には影響しないであろう、こういうような前提で考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 全体に影響しないということはないでしょう、一自治体でそれだけのことが起きて。例えばデータが消えてしまった、データが消えてしまったら集計はできないじゃないですか。選挙が終わったことにならないでしょう。全国的にそういうことになると、例えば参議院の比例代表選挙、そういう影響が出るでしょうと聞いているんですよ。

原田(義)議員 事故というのは当然起こり得るわけでございますので、そういう意味では、それを極小化するというのと、そのような仮のケースにおきましては、その投票区を含む開票区のみであるということから、選挙が全部無効ということは通常想定できないというふうに私どもは考えておるところであります。

佐々木(憲)委員 そんな答弁は成り立ちませんよ。全国の集計が終わらないじゃないですか、それができない限りは。比例代表の場合、そうでしょう。

 では、具体的に聞きましょう。

 三重県四日市市の選挙管理委員会がつくった、電子投票に関する報告書というのが手元にありますが、投票所に行って、電子投票で投票せずに帰ってしまったという人がいると書かれております。総務省にお聞きしますが、投票しなかった人、途中でやめてしまった人、これはどのぐらいありますか。

久元政府参考人 平成十六年十一月二十八日に執行されました四日市市長選挙におきまして、まずは、電子投票機の操作をせずに退出した者の数は十人でありまして、電子投票機の操作を途中で終了した者の数は八百五十五人でありました。

 この日は同日に市議会議員補欠選挙が執行されておりますが、この補欠選挙におきましては、電子投票機の操作をせずに退出した者の数は十人であり、電子投票機の操作を途中で終了した者の数は一万三千九十二人でございました。

佐々木(憲)委員 この一万三千人を超えているというのは、極めて数が多いんですよ。これは白票を投じたという人も中にはいるかもしれませんけれども、電子投票だったから投票できなかったということではないかもしれませんけれども、しかし、市議補選の場合は投票所に行っても投票せずに帰ってしまったのが一万三千人というのは、これは驚くべき数字で、投票者数のうち一四%を占めているんです。ゆゆしき問題だというふうに私は思います。

 国政選挙の比例代表選挙の場合は、候補者数がこれまで電子投票が行われた地方選挙とは比べ物にならない数です。

 先ほど、四日市の場合は、三十六人でも、これはもう無理だということでやめたわけですけれども、特に参議院の比例代表の場合、非拘束名簿式の候補者名投票と政党名の投票、これは認められているわけですが、投票そのものというのが非常に複雑なわけですね。候補者名の投票を選んだ場合、先ほど、百五十人以上、そういう候補者数がいるわけですが、どのようにこれを表示するかというのが問題になるわけです。

 候補者数が多い場合、当然、表示される文字が小さ過ぎて見えない、したがって複数のページにまたがらざるを得ない。そうすると、最初に出てくる名前の方が有利になって、後に出てくる名前は不利になる、得票に差が出る。候補者数が多い場合どう表示するのか、これが非常に重要な問題になるわけですが、提案者はどう考えているんですか。

原田(義)議員 この件は、先ほどから議論されておる、参議院の比例代表についてはいろいろ技術的に検討を進めなければいけないところであります。法律上は、政党名と個人名を書くかどうか、これを第一面に表示する、そこから先は政令で検討するということになっておるところであります。

 いろいろな御意見をいただきながら、最終的にはこの政令に落とすわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、一案として、例えば、個人名があるときには、五十音表示式の画面をつくって、国会太郎であれば、コという字を押した後にコの字が出てくるというようなこともありますし、また、政党を支持したときには、政党の方々の名前が出てくるということもあると思います。

 さまざま議論されますけれども、しかし、人数が多いために大変小さな字になるという意味では、今の参議院選挙、比例制でも同じような問題もございまして、この多くの数をどう処理するかというのはいろいろとこれから工夫が必要である、こういうふうに思っております。

 いずれにしましても、選挙の要諦というのは、公平公正、そして正確な運営管理ができるということを旨として管理をしなければならない、こう思っております。

佐々木(憲)委員 今の答弁ですと、候補者名の投票であっても、五十音順だ。そういう方法もあると。名前を覚えていない人はどうするんですか。

 政党を選び、その政党の中から選ぶという方法もあるとおっしゃいましたが、それだと、まず政党を選ぶことから始めるわけでしょう。今の投票方法と違うことになるわけですね。

 ですから、国政選挙で電子投票を導入した自治体というのは、自書式でなくなるだけではなくて、投票方法というものに差が出てくる、違いが出てくるわけです。同一選挙というのが原則ですけれども、同一選挙にならないのではないか。私は、これは非常に大きな問題点を含んでいるというふうに思います。

 我々は、電子投票の制度は、科学技術の進歩ということがありますから、近い将来、投票方法の一形態として否定すべきではないと考えております。しかし、四日市の例でいいますと、例えば、投票機の画面に指紋が残っているというんですよ。たくさん押された人は、その名前が、あ、この人はたくさん押されているなというのがわかる、あるいは、腕の動き方でだれに投票しているのかがわかるとか。あるいは可児市の場合は、投票機の四隅をタッチして暗証番号を七、七、七、七、七と押すと投票データを操作できる画面が表示される、こういうことがあるというんですよ。投票の秘密がこれで果たして守られるのかという疑惑が残っております。

 先ほどからもいろいろな技術的な質問もありました。技術者にしか投票機の中はわからない状況であって、ありとあらゆる事態を想定しての技術基準の内容策定、事前確認が可能であるのかどうか、あるいは、起動などの動作確認のみの技術的基準では実質的な安全性の確認はされないことになるんじゃないかとか、一人一票主義、秘密投票主義、こういう選挙の基本原則というのは、これはゆがめてはならない、確保しなければならない。

 そういうことを考えますと、現在の時点で、今質問をさせていただいたことだけを考えましても、技術的な問題というのは非常にある、信頼性に問題がある、あるいはコストが高い。こういうことを考えると、デメリットの方が非常に多いんじゃないか。先ほども民主党の方々が御質問されていましたけれども、あれだけ疑問が多いわけですから、これをこのまま通すというのは私は問題だというふうに思いますよ。

 しかも、電子投票普及協業組合の理事長がメーカーと結びついていて推進しているとか、あるいは電子投票の請負業者は特定の四社しかない、そういうようなことをいろいろ考えてみますと、その裏にはさまざまな利権がある、こういうことも言われているわけです。

 私は、もう時間がありませんのでこれ以上述べませんけれども、投票というものは民主主義の根幹ですので、この公正公平が確実に担保されなければ、やはり正当性が問われると思うんです。現時点での国政選挙への導入というのは、やはり時期尚早と言わざるを得ない。こういう意味で、今国会で拙速に成立させることには我々は反対であります。このことを最後に申し上げまして、終わります。

棚橋委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄です。

 いわゆる電子投票制度、それ自体に反対するわけではありません。しかし、今拙速に国政選挙や最高裁判所裁判官の国民審査にまで拡大する必要があるのか、大きな疑問を持っています。

 そういう中で、以下、何点か質問させていただきます。

 まず初めに、二〇〇二年に、電磁記録投票法、いわゆる電子投票法が施行されて以来、現在、電子投票制度を条例化している自治体数は八つです。電子投票で実施された選挙数も、ことしの統一自治体選挙を含めてわずか十六回です。これは当初見込みどおりなのですか、お答え願いたい。千八百自治体のうち導入しているのはわずか八自治体、これはどう考えても少ないわけであります。それで、その原因はどこにあるのか。この二点について、総務省の見解をお聞きいたします。

久元政府参考人 この電子投票法、これは閣法で提出させていただいたわけでありますが、その時点におきまして、私ども政府において、条例を制定する団体が幾らぐらいになるのかということは予測したことはありませんけれども、現在の条例制定団体数、また実施回数は必ずしも多いとは言えないというふうに考えております。

 この点については私どもも各自治体に対して原因について調査をしておりますけれども、市町村が挙げてきております理由といたしましては、一つは導入経費が高額であること、二番目に機器の技術的信頼性が低いこと、三番目に国政導入されていないこと、主としてこの三点が挙げられているところでございます。

菅野委員 先ほどから議論になっていますけれども、まだまだ理由はいっぱいあるというふうに思っています。そういう中で、よく言われるのが、国政選挙に導入されていないということであります。

 そういう意味では、提案者にお聞きしますが、今回の改正によって電子投票制度を導入する自治体の数はふえると考えているんですか。ふえるとすれば、その理由と見込みについて、今考えている点をお聞きしておきたいと思います。

後藤田議員 お答えいたします。

 先ほど来議論が出ておりますけれども、今回の法律改正によりまして、今までは技術的条件というものだったのを技術的基準と法律で明確にすることによって総務省がしっかりと厳格に管理する、運営もチェックしていくということになりますと、やはり、今まで条例で地方選挙のみ定めていた町村が、改めてこの法律に基づいて国政選挙も含めて一貫してやれることになりますと、やはり技術的な担保もより向上するという意味で、今後電子投票導入に向けた市町村の意欲は高まっていくものと考えております。

菅野委員 一つの見方だというふうに思うんですが、私どもは、電子投票の信頼性、あるいは個人情報の保護、コンピューターの導入管理費用、デジタルデバイドの問題等があり、現状では多くの自治体が電子投票制度の導入に二の足を踏んでいるのではないかと推測しています。

 そこで、電子投票に伴うトラブルについてです。ことしの統一自治体選を含め十六回の電子投票が行われていますが、そのうち九回でトラブルが発生しているものと承知しています。とりわけ、先ほども議論になっていますが、二〇〇三年七月の岐阜県の可児市の市議選は最高裁で選挙無効とされました。神奈川県海老名市や宮城県白石市の選挙でも、裁判で選挙は有効とされましたが、サーバーなどの故障で選挙に来ても投票できずに帰った方々が少なからずいらっしゃった。国民の投票権、投票の機会を選挙のシステムが奪ってしまったわけですから、重大な事態です。

 このようなことがありながら、今回、国政選挙にまで電子投票を拡大するのは拙速なのではないかという意見を耳にしますし、今議論されているというふうに思います。トラブルの原因はすべて解消されたのでしょうか。今後一切問題は起きないと言い切れますか。このことについて、答弁をお願いします。

久元政府参考人 御指摘がありました幾つかの機器のトラブルにつきましては、既にそれぞれの製造事業者において対応策が図られていると承知をしております。同時に、総務省といたしましても、これまでのトラブル事例を踏まえまして、平成十四年二月に作成いたしました技術的条件を見直すことといたしました。

 例えば、御指摘の可児市議選の選挙におきましてのトラブルは、これはクライアントサーバー型の電子投票機器を使用したわけでありますけれども、サーバー内部の放熱が不十分であったために、記録媒体であります光磁気ディスクのユニットの温度が規格値を超えて上昇した、こういうことが原因でありました。

 これにつきましては、技術的条件といたしましては、過熱が発生しやすい媒体を使用しない、電子投票機器が正常に動作する温度の条件を引き上げるなどの技術的条件の見直しを行ったところであります。また、この条件に適合しているかどうかを確認するための電子投票システムの技術的条件に係る適合確認実施要綱を定めまして、民間検査機関を活用して適合確認を実施したところであります。

 電子投票機器のことでありますので、絶対にトラブルが今後起こり得ないということはないと思いますが、これらの措置によりまして、セキュリティーのレベルというものはかなり向上したと思っておりますし、私どもも、今後ともそういう努力を不断に続けていきたいと思っております。

原田(義)議員 参考まででございますけれども、ことしの統一地方選挙、四月において、三カ地点でこの電子投票が行われたところであります。宮城県の白石市、福島県の大玉村、青森県の六戸町の三カ地点でございますけれども、これはいずれも数分で完璧な結果が出たということでございます。

 いずれにしましても、確かに、いろいろな問題は私ども乗り越えていかなきゃいけませんけれども、技術水準も含めて間違いなく進歩しているのではないかということを申し上げておきたいと思います。

菅野委員 先ほどから言っているのは、提案者、十六回の実例のうち九回トラブっているんです。そこを乗り越えて多くの事例が積み重なっていって、技術的な基準がクリアできたんだ、あるいは問題は起こることはないんだという確認が本当にとれているのかどうかということが今議論になっている最大の争点だというふうに私は思っているんです。

 それで、地方選挙でトラブルがあったときに、国政選挙に今度導入するわけですから、この国政選挙で一回でもトラブルがあったならば、地方選挙とは比較にできないほどの重大なトラブルに発展する要素を持っているんです。だからここで議論している状況だというふうに思うんです。

 このことが完全にクリアされた、技術的な、あるいは事前検討でクリアされたということが担保される、このことが必要なんだということを主張しているわけであって、ぜひ、このことは、今後とも引き続き重要な検討課題と位置づけて検討していただきたいと強く申し上げておきます。

 それと同時に、今議論になっているのが、技術的な基準じゃなくて、どうやっていくのか、これが見えないということが問題なんです。議論になっているんだと思います。というのは、参議院の比例代表選挙です。政党名でも候補者名でも投票できるようになった。こういうシステムにおいて、どういうふうにシステムづくりをやっていくのかというのが見えないんです。

 総務省、この電子投票を導入するに当たって、もとの政党名だけの選挙制度に変えるというんだったら話はわかるんですけれども、個人名で投票するというのはずっと継続するんです。そうしたときに、この電子投票の仕組み、私は見えないです。

 一方では、記載台に全部の候補者名を書いて、そしてその人が候補者名からでも政党名からでも自由に選択できるというシステムで投票が行われる。一方では、政党名か個人名から入っていかざるを得ないという仕組みしか制度設計ができない。ここは不公平じゃないですか。これをどう制度設計していくのか。個々に政令で定めるじゃなくて、ここの不平等はこういうふうに解消しますということが例示されるんだったらばわかるということなんです。このことをどう考えているんですか。お答え願いたいと思います。提案者です。

原田(義)議員 特に参議院の比例代表制については、既に御指摘いただいているように考慮しなければならない点が多々ございます。そういう意味で、法律上は、政党名と個人名を選択させる、その部分だけが載っておりまして、あとの部分については、いろいろ、国会の議論も踏まえながら、政令の中にしっかり落としていくというふうに私どもは考えております。

 あくまでも、もちろん紙との整合性も図りながら、また、選挙の目的と整合性を図りながら、同時に、この電子投票制度に沿うようなものをしっかり考えていきたい、こう思っているところであります。

 あくまでも、選挙というのは公正公平、そしてまた正確に民意が実現される、そういうことだろうと思っております。

菅野委員 やはり、答弁は担保になっていないんです。今言ったように、整合性をとりますという答弁ですが、そこが私どもに、ああ、これだったら整合性がとれるなということであればここで議論しません。私は、考えられないから、整合性とれないんじゃないですかと言っているんです。だから、ここは本当に大きな問題です。

 それから、お年寄りや障害者が画面をタッチするというのは、非常になれた人じゃないとできないんです。画面の前に行って立ち往生するという姿、これは目にすることなんです。ここをどうクリアしていくのかということも大きな問題点だと思うんです。そのときに、やはり、先ほど来言っているように、まだ十六回しかやっていないんです、選挙は。それも国政選挙はやっていないんですから、そういう人たち、高齢者や障害者の方々の意見をどう聞いていくのかということもまた私は重要な問題だと指摘しておかなければならないというふうに思うんです。このことをどう考えているんですか。今後に向けて答弁を。今まで制度設計を組むに当たってどう考えてきたのか、総務省にお聞きします。

久元政府参考人 参議院の比例代表選出議員の表示事項につきましては、法律上は、最初に名簿登載者に対する投票か名簿届け出政党等に対する投票のいずれかを選択して、それ以降の画面表示の方法については政令で定めるというふうにされております。

 政令ですからこれは内閣が定めるわけでありますけれども、やはり、事柄の性格上、政党間の御論議の結果も十分踏まえる必要があるというふうに考えておりますが、実務的な観点から、これまでの制度の整合性から申しますと、まさに菅野委員が御指摘になりましたように、現在、投票所において記載台にあります政党、氏名のいわゆる氏名等掲示の規定などを踏まえながら、私どもも、実務的な観点から御意見を申し上げながら、政党間で御論議をいただいて、その結果を踏まえて政令を制定させていただくということになろうかと存じます。

菅野委員 障害者や高齢者がタッチパネルの前で立ちどまってしまう、そういうときに、やはりそういう人たちの声もしっかりと聞いていただきたいというふうに思っています。

 時間ですから、最後に、先ほども言いましたけれども、国政選挙で電子投票システムにトラブルが生じた場合は、地方選挙とは比較にならないくらいの大問題になることは間違いないんです。そうである以上は、トラブルは絶対に生じない、生じさせないという技術的な裏づけが私は必要だというふうに思っています。このことが完全になされるという措置をしっかりと構築していただきたい、このことを強く求めて、質問を終わります。

棚橋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。増田総務大臣。

増田国務大臣 衆議院議員原田義昭君外三名提出の地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案につきましては、政府としては異議はございません。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、いわゆる電子投票法案に反対の討論を行います。

 現在、電子投票制度を実施している自治体は八市町村にすぎず、トラブルが続出しております。そのため、再選挙が行われたり、首長選挙のみに限定したり、条例を廃止する市町村さえ出ています。

 本法案で国政選挙に電子投票を広げた場合、仮に導入した一部の市町村でトラブルが発生すれば、全国的規模で影響が出ることになり、選挙そのものの有効性が問われかねません。

 参院比例選挙のように候補者数が多い場合、電子投票機にどのように表示するかは選挙の公平公正にかかわる問題です。ところが、この表示方法は政令にゆだねられており、問題は解消されておりません。また、全国選挙でありながら自治体によって投票方法が異なることとなり、これで同一選挙と言えるのかという疑問も残されました。現状では電子投票機の信頼性は乏しく、投票の秘密が守られるのかという問題もあります。

 電子投票制度にメリットがあることは認めますけれども、現時点では、技術的な問題点、電子投票機の信頼性、コスト高などデメリットの方が大きく、選挙の公正性、信頼性を損なう危険性が高いと言わざるを得ません。

 なお、電子投票制度は導入に高額な費用がかかるものであり、ごく一部のメーカーの新たな利権問題も浮上しています。防衛省疑惑が取りざたされる今日、新たな利権を生み出すことについても懸念を表明しなければなりません。

 電子機器の技術進歩は急速であり、投票方法の技術的進歩を否定するものではありませんが、現時点でさまざまな問題点を抱えている制度をこの国会で拙速に成立させることは避けるべきであります。

 秘密投票主義、一人一票主義など、選挙、投票の基本原則は決して揺らぐことがあってはなりません。国政選挙への電子投票の導入は、現時点では時期尚早であります。

 最後に、きょうの質疑で、私だけでなく、各党の質疑者からさまざまな疑問が提起されました。問題点は何も解消していないのに、なぜ採決を急ぐのでしょうか。附帯決議案には根本的な懸念が列挙されています。こういう状態で採決することは無責任のそしりを免れない、このことを指摘し、反対討論を終わります。

棚橋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 これより採決に入ります。

 第百六十六回国会、原田義昭君外三名提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

棚橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、井上喜一君外四名から、自由民主党・無所属会、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及び国民新党・そうぞう・無所属の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。篠原孝君。

篠原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  現行制度は、平成十三年に、地方公共団体が条例で定めるところにより、当該地方公共団体の選挙を電子投票で実施できるように特例を認めるものとして導入され、これまでに条例を制定し電子投票を実施した地方公共団体はパイロット的な役割を果たしてきた。しかし、条例を制定した当該地方公共団体の選挙は電子投票で実施することができるが、国政選挙や条例を定めていない都道府県の選挙は従来の自書式投票で実施せざるを得ず、選挙ごとに投票方法が異なることとなるため、本案は、条例を制定している地方公共団体については国政を含むすべての選挙を電子投票で実施できるようにするものである。

  条例制定団体においては、相当程度開票作業の迅速化が図られたが、他方、機器の不具合によるトラブルも発生するなどの問題点が明らかになってきている。本案により電子投票が国政選挙に拡大されることによって、選挙結果に及ぼす影響も格段に大きくなる懸念がある。

  本案の施行に当たっては、これらの実施状況を踏まえつつ、電子投票システムの技術的な信頼性向上に向け、問題点の解決に全力で取り組み、また、画面表示については特に非拘束名簿式比例代表制に考慮するなど、今後の普及に向けて国民の理解を得られるよう十分に検討を進めるべきである。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

棚橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

棚橋委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

棚橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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