衆議院

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第7号 平成25年4月5日(金曜日)

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平成二十五年四月五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 保岡 興治君

   理事 石原 宏高君 理事 奥野 信亮君

   理事 原田 義昭君 理事 平沢 勝栄君

   理事 ふくだ峰之君 理事 泉  健太君

   理事 佐藤 茂樹君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      石川 昭政君    大串 正樹君

      大塚  拓君    今野 智博君

      佐々木 紀君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    高橋ひなこ君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      鳩山 邦夫君    藤井比早之君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      務台 俊介君    簗  和生君

      吉川  赳君    小川 淳也君

      岡田 克也君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      山井 和則君    鷲尾英一郎君

      井上 英孝君    坂元 大輔君

      丸山 穂高君    村上 政俊君

      國重  徹君    濱村  進君

      井出 庸生君    佐々木憲昭君

      小宮山泰子君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           橋本  岳君

   議員           泉  健太君

   議員           奥野総一郎君

   議員           田嶋  要君

   議員           浦野 靖人君

   議員           佐藤 茂樹君

   議員           遠山 清彦君

   議員           井坂 信彦君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    高綱 直良君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     佐々木 紀君

  田所 嘉徳君     簗  和生君

  岡田 克也君     小川 淳也君

  後藤 祐一君     寺島 義幸君

  井上 義久君     濱村  進君

  玉城デニー君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     今野 智博君

  簗  和生君     田所 嘉徳君

  小川 淳也君     鷲尾英一郎君

  寺島 義幸君     後藤 祐一君

  濱村  進君     井上 義久君

  小宮山泰子君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     岡田 克也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出、衆法第三号)

 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

保岡委員長 これより会議を開きます。

 逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び田嶋要君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長高綱直良君及び総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。

中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之でございます。

 インターネット選挙を解禁する公職選挙法の一部を改正する法律案について、以下伺ってまいります。

 初めに、基本的な確認でありますけれども、本法案の成立により、どのような効果を期待しているのか、両案提出者に伺います。

橋本(岳)議員 おはようございます。お答えをいたします。

 かなり繰り返しの質問でございますので、少し簡潔に参りますが、本改正案によりまして、現行の公選法上、選挙期間に入ると候補者や政党がみずからのウエブサイトなどの更新を控えなければならないということがございました。また、電子メールによる選挙運動も全くできなかったというのがこれまででございます。そして、有権者の方々にとりましても、各政党等の基本的なビジョンや政策、あるいは各候補者の政見や人柄、そういうものを選挙期間中になって一番知りたいようになったときにインターネットの更新がとまっている。そういうような不都合を解消するということでございます。

 こうした問題点を解消して、選挙期間中もインターネットでいろいろな候補者や政党の情報をリアルタイムに見ることができる、そして、有権者の方もSNSなどで、あるいはブログなどでみずからの意見、選挙運動にわたるものについても発信できるようにするということで、民主主義をさらに発展させるということは期待できると思っております。

田嶋議員 暮らしの一部と完全になっており、インフラとなっているこのインターネットを活用することで、一般の有権者、候補者、政党、全ての主体が情報を発信すること、情報を受け取ること、そういったことがこれまでと比べて格段に高まるものと思います。

 それが、結果的には選挙のプロセス、誰を選ぶか、そのプロセスが非常に熟議の民主主義として高まっていくということを期待いたしますし、とりわけ、インターネットに一番なれ親しんでいる若い世代の投票率が低いと言われておりますけれども、この解禁によってそこが変わってくることを期待したいと思っております。

中村(裕)委員 有権者が必要な情報をリアルタイムに発信し、民主主義が高まる、そして、若い有権者の関心が高まって積極的な参加が得られるというようなことでございますが、例えば二十代の有権者の投票率については、現状どのような状況で、この法案の成立によってどの程度上がると期待できると考えていらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 まず、二十代の投票率でございますが、総務省の「目で見る投票率」という資料がございます。こちらによれば、衆議院選挙で約五〇%前後、参議院選挙で約三五%前後ということになっておりまして、これは全体の平均と比べて大体二〇ポイント程度低いという状況がございます。そういう意味で、やはり若い方の投票率は低いと言わざるを得ない状況でございます。

 一方で、インターネットの利用ということについて言えば、総務省の平成二十三年通信利用動向調査の結果の概要ですけれども、これによれば、二十代、二十歳から二十九歳で九七・七%の人がインターネットを使っている、あるいは、三十歳から三十九歳でも九五・八%の人がインターネットを使っている、こんなことになっておりまして、これはほかの年代と比較して高いということになっております。

 したがいまして、今回、どのぐらい上がるかということにつきましてはお答えが難しいところがございますけれども、やはり、有権者の方がしっかりと候補者のいろいろなものを見て、知って、それでじっくり考えて投票していただくというのが選挙にとって大事なことだと思っておりますので、特に若い方に対して、インターネット解禁というものがそれに対して有用なものであろうと考えております。

田嶋議員 どのぐらい上がるかというのは、これは同じようにわからないわけでございますが、絶対に下がることにはならないし、これはあくまで選挙運動に関するネットの解禁でございますので、投票行動とはまた別ではございますが、やはり関心を高めることが投票につながっていくというふうに期待をいたしたいと思います。

中村(裕)委員 投票率は別として、関心は確実に高まるだろうというふうに私も思います。

 両案を比べますと、電子メールの取り扱いが大きく違うわけでありまして、自、公、維新案は政党と候補者に限定しているのに対して、民主、みんな案では一般有権者にも電子メールの利用を解禁することとしております。

 インターネットはそもそも情報伝達ツールでありますから、使い手の目的や意図によって、善意の活用もあれば、悪意の活用も予想されます。

 特に、電子メールについて、遠隔操作メールによる誤認逮捕事件が発生したのを初め、迷惑メールの大量発信など、社会問題化している状況にあるわけでありまして、こうした環境を見ると、電子メールの活用は慎重な扱いが求められるというふうに考えております。

 ただ、一方、昨日の参考人の意見では、密室性が高いという点について、必ずそれはホームページなどのサイト上に転載をされていくので、多くの方々の目にさらされるものだという意見もありましたし、ツイッターやフェイスブックを解禁してメールだけ解禁しないというのは有権者にもわかりづらいという意見もありました。

 そうした参考人の意見も踏まえて、双方の提出者の所見を伺いたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 我々の案では、選挙運動用電子メールは候補者、政党等に限って送信できることにしております。

 この理由につきましては、密室性が高く、誹謗中傷、成り済ましが横行しやすい、あるいは、送信先の複雑な手順、規制を課しておりますので、一般の有権者の方が処罰されるようなことになりはしないかということがある、あるいは悪質なウイルスメールなどがあり、あるいはいっぱい届くとかいうことで、悪質じゃなくても、数が多いだけでも十分な負担になるということもあります。そういうことで、電子メールについては慎重に解禁をしていくべきというふうに考えているところでございます。

 夏野参考人が、昨日、メールも、わっと広がることは、密室性がそのことにあるというふうにおっしゃっておりました。いずれそれが転載されてオープンになるということもあるだろうから大丈夫というようなお話もありましたし、確かにそういう面もあろうとは思います。

 ただ、転載されてオープンになるということは、その前によっぽど広がっている、よっぽどショッキングな内容なんだと。だから転載するのでありまして、逆に言うと、その転載された人がもともとの原因をつくったわけじゃないですよね。だから、この人に、こんなのは削除してくださいと言ったところで、広がっているものはとまらないのだろうと思っております。

 残念ながら、私どもが選挙をしている中で、悪意の、怪文書のような、実際にもそういうものが見かけられるのは現状としてあるわけでございまして、そうした中で、やはりそうした懸念というのを慎重に考えなければいけないのではないかというふうに思っております。

田嶋議員 委員が御指摘のメールに関する懸念ということでございますが、これはおよそインターネット全般に関しての懸念でもあろうということであります。

 インターネットは、選挙運動を除いて全ての暮らしの局面にもう隅々まで広がっているわけでございまして、それには政治活動ということも含まれておるわけでございますので、そういった観点から捉まえる問題であって、ネットの解禁と直結する問題というふうには思っておりません。

 そういう中で、夏野さんからもいろいろな御指摘がございましたが、私どもは、法律的な対処、もちろん、これは罰則規定も含めた法律的な対処ということで、こういうことならば出してもいい、しかし、メールアドレスを書かずに黙って送ってはだめだとか、そういうふうに法律で規定をしているという点。

 それから技術的な進歩、フィルタリング等によって、選挙以外の局面ではあらゆるところで今かなり使われているわけでありますから、この技術進歩によっても、相当な、いろいろな排除は行われるようになってきている。

 そして三点目は、夏野さんもおっしゃった、実際にはそういう形でSNSの方に載っていくこともあるという話もございました。

 いろいろな観点から、やはりこれは、メールを出させないというふうに制限を加えることのデメリットの方がはるかに問題として大きいというふうに私どもは考えております。

中村(裕)委員 現時点では、参考人聴取の前とそれぞれ同じ見解ということで理解をいたします。

 自、公、維新案が成立しますと、インターネット選挙が解禁されたという印象を有権者が持つことから、一般有権者が選挙期間中に不用意に電子メールを送ってしまい、刑事罰を受ける危険性が高まることにつながります。不用意な法令違反を防止する対策が必要と考えますけれども、自、公、維新案の提出者に所見を伺います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 まず、一般有権者の方について、私どもの案では第三者という表現をしておりますが、同じことであると思っております。一般有権者の方については、電子メールについては現行の公職選挙法での規制がそのままであるということでございます。現行で、では電子メールで例えば送った人がいるか、それはわからないですが、もしかしたら、おられたかもしれません。ただ、それが検挙に至ったというような例は聞いておらないというところでございます。

 そして、委員御指摘のとおり、今回、インターネットを解禁しますということで報道も出ております。その中で許されるのかなということで、誤解を招くということもあるとも考えられますので、そのことにつきましては、今回の改正の内容を一般の方にもわかりやすく正確に周知させるということが大変重要であろうというふうに思っております。

中村(裕)委員 自、公、維新案を見ますと、候補者や政党が送信する電子メールの送付先についてですけれども、強い制限がかけられております。これを見ると、メールマガジンの定期購読者というような、定期的に配信している方々に限定しているように私には読み取れるわけですけれども、そういう解釈でよろしいのか、所見を伺います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 まず、送信先の制限について御説明をさせていただきます。

 私どもの本改正案では、選挙運動用電子メールの送信主体というのは、まず候補者、政党等に限ることとした上で、選挙運動用電子メールが無秩序に送信され、受信者の日常生活に支障を及ぼしたり、多額の通信費を負担させたりするということにつながることから、電子メールの受信をしたくない有権者もいるということも考えられますので、送信先について一定の制限を課すということにしております。

 具体的には、選挙運動用電子メールは、選挙運動用電子メール送信者に対して電子メールアドレスをみずから通知した者のうち、選挙運動用電子メールの送信の求め、同意をした方、あるいは、政治活動用電子メール、これはふだんから発行している、先生が御指摘のようなメールマガジンなどの継続的な受信者であって、選挙運動用電子メールの送信の通知に対し、送信しないように求める通知をしなかったものに対してのみ送信できることにしております。

 いずれの場合におきましても、受信者がみずから通知した電子メールアドレスに対してのみ送信ができること、このような制限を課しているところでございます。

 したがいまして、先生が御指摘されたような、ふだんから政治活動用電子メールを送っている相手の方に対しては、選挙運動用電子メールをこれから送りますね、拒否をされたい方はどうぞこちらに御連絡くださいというような形にすることで送信はできます。そして、そうではない方に対しましても、みずから電子メールのアドレスを教えてくださった方に対して、一度、選挙運動用の電子メールを送っていいですかと聞いて、それに同意をしてくださった方にお送りをすることができる、このような整理にしております。

中村(裕)委員 一方、民主、みんな案では、事前同意を要件としない規定となっているようでありますけれども、有権者の間には、なぜ候補者からのメールが送られてくるのかを疑問に感ずる方もいるのではないかというふうに感じております。民主、みんな案提案者の方に、その点についての所見を伺いたいと思います。

田嶋議員 本来であれば、何にも制約せずに、規制せずにやることが一番だと思います。およそ先進国で選挙運動でメールが規制されているなんという話は聞いたことがございません。したがって、私どもも、解禁をするのが大前提で、最小限の規制ということを意識しておるわけでございます。

 そうした中で、私どもの考え方としては、メールアドレスをみずから通知するということだけをもって認めていこうということでございます。突然メールが届くのはそのとおりでありますが、例えば名刺交換をして、名刺には今アドレスが載っております、そうすると、名刺交換した人は、渡した相手から将来電話がかかってくるということも、メールが飛んでくるということも想定内だというふうに私は認識をしております。

中村(裕)委員 では、電子メールについての最後の質問にしたいと思いますが、民主、みんな案であります。

 第三者の電子メールを解禁するということになりますと、チェーンメールのような、いわゆるメールを受け取った第三者が友人などの第三者にまた同じメールを繰り返し送るようなことも想定されると思いますが、法案の中身としては、これは許されることなのかどうかということを確認させてください。

田嶋議員 私どもは、事前に、あらかじめみずから通知した者に対して送れるということでございますので、それは候補者、政党等、そして一般有権者、全部共通のルールでございます。したがって、受け取った人が一般有権者であっても、自分のところに対してみずからアドレスを通知した人に対しては、それを送るということは全く問題ありません。

中村(裕)委員 では、チェーンメールもある程度可能になるという理解でよろしいかと思います。

 次に、バナー広告について伺いますけれども、まず初めに、政党等によるバナー広告についてであります。

 総務省に伺いますけれども、政党等には法定選挙費用というのは制限はあるのでしょうか。お伺いします。

米田政府参考人 現行法の解釈についてお答え申し上げます。

 衆議院の小選挙区選挙における候補者届け出政党、それから衆議院及び参議院比例代表選挙における名簿届け出政党等につきましては、選挙運動に係る費用制限は現行法上ございません。

中村(裕)委員 法定選挙費用の制限はないということでありますけれども、この政党等には県連や小選挙区支部も含まれると考えてよろしいのか、総務省にお伺いしたいと思います。

米田政府参考人 個別の政党等の県連それから小選挙区支部の位置づけにつきましては、具体の事実関係に即して判断されるべきことと思いますけれども、一般論として申し上げますと、県連や小選挙区の支部などの政党等の支部は、政党等の組織の一部に当たると解されますので、通常は公職選挙法上政党等に含まれると考えております。

中村(裕)委員 それであれば、金持ち有利な選挙制度と指摘せざるを得ないというふうに私は思います。特に、民主、みんな案では候補者にも認めるとしておりますので、お金のかからない選挙という国民の要請に逆行するというふうに思いますけれども、その点も含めて、それぞれの提出者の所見を伺いたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えいたします。

 私どもの改正案では、選挙運動用有料インターネット広告の禁止の例外として、政党などの選挙運動用ウエブサイト等に直接リンクする政党などの有料バナー広告については認めることとしております。

 これは、政党などについては、現在も、選挙期間中、政党などのウエブサイトにリンクを張った政治活動用の有料バナー広告というのは認められているところでございまして、選挙期間になって、そのリンクを張った先が選挙運動用のウエブサイトになるということが今回の改正であり得るということから、そうしたものについても含めるようにしようということで、可能にするという趣旨でございますので、改めてお金をかけるようにするというものではないというふうに私ども考えております。

田嶋議員 私どもの案も、まず選挙運動用の有料インターネット広告は禁止のままでございます。そして、自公維案と同じように、今御説明ございましたが、政党等がバナー広告を張って、そのリンクで直接選挙運動をしている政党のサイトに飛ばすことは認めるという点も自公維案と同じでございます。

 唯一違う点は、政党等に加えて、候補者に関しても、候補者のバナー広告から候補者の選挙運動用のサイトに直接飛ぶというようなバナー広告も候補者に認めていこうというものでございますが、候補者に関しましては、御案内のとおり、法定選挙費用という上限枠がございますので、その枠の中で何にお金をかけるかという判断でございますので、お金持ち有利の選挙ということは当たらないと思っております。

中村(裕)委員 次に、民主、みんなの提出者に伺いますけれども、選挙管理委員会のホームページからの情報提供についてという規定を設けているようであります。

 かつて、我が国では、投票所における電子投票を実施した際に、サーバーがダウンしたことから、選挙が無効になった事例がございます。この先例からすると、仮にこの選挙管理委員会からの情報提供という規定を設けた場合に、サイバー攻撃などのために、選挙期間中にサーバーがダウンした場合は選挙無効のおそれがありますけれども、提出者はその点をどう考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

田嶋議員 かつて起きた事例というのは、平成十五年七月二十日執行の岐阜県可児市の市議選挙のことというふうに承知をいたしてございます。

 今のお問い合わせに対しましてでございますけれども、委員御指摘のように、確かに、サーバーがダウンをして、選管のウエブサイト等による情報提供に関する規定に違反して情報提供ができなくなる事態が発生する可能性もあり得ますけれども、しかし、仮にそのような事態が発生したとしても、例えば、各候補者、政党等のウエブサイト等のアドレスを別の広報の手段により有権者に周知することは十分可能であり、そのような代替措置を十分講ずれば、必ずしも選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるということにはならないのではないかというふうに考えてございます。

 公職選挙法の二百五条によりますと、違反によって選挙の結果に異動を及ぼすおそれがある場合に、選挙無効の判断がなされることもあるものというふうに承知しております。

中村(裕)委員 時間が参りましたので、質問を以上とさせていただきますけれども、その点、司法の判断もございますでしょうし、それと、やはり、選挙費用の問題ですけれども、さまざま費用がかさむ可能性があるというふうに思いますので、本来であれば、従来の文書図画の部分も含めて、費用の削減についても検討いただくべきだということを御指摘申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

保岡委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党新人議員の濱村進でございます。

 私は、比例近畿ブロックでの選出でありまして、兵庫県を中心に活動しております。議員になる前は野村総合研究所に勤めておりまして、企業や官公庁に対して、ITをどのように利活用するかのお手伝いをさせていただいておりました。

 本日は、ネット選挙解禁ということで、党内でも土地カンのある者として質問をさせていただきたいと思います。私にとって初めての国会質問でございますが、二十分間、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 まず、自、公、維新案提出者に質問させていただきます。

 本法案では、電子メールを利用する方法によって選挙運動のために行う文書図画の頒布ができるようになりますけれども、その送信主体者としての候補者や政党等の中には、私のような比例単独で立候補した者は含まれているのか否か、確認させてください。

佐藤(茂)議員 濱村進委員の初質問にお答えをいたします。

 今、自、公、維新案提出の改正案におきましては、選挙運動用電子メールの送信主体として認められているのは、公職の候補者及び政党等に限るという形にしております。この公職の候補者及び政党等のうち、まず、公職の候補者とは、衆議院比例代表選出議員選挙以外の選挙における候補者のことを規定しております。次に、政党等というのは、衆議院選挙で申し上げますと、衆議院小選挙区選挙については候補者届け出政党、衆議院比例代表選挙については名簿届け出政党等としておりまして、この改正案においては、衆議院選挙において比例単独で立候補した衆議院名簿登載者については、選挙運動用電子メールを送信できる主体としては規定されていないというのが今の規定の内容となっております。

濱村委員 ありがとうございます。

 今現在含まれていないのであれば、明確に含まれるように、法案修正など必要な措置をとっていただきたいのですが、いかがでしょうか。

佐藤(茂)議員 衆議院の比例代表選挙における名簿登載者が選挙運動用電子メールの送信主体に含まれていないのは、現在の公職選挙法が、衆議院の比例代表選挙について、選挙運動の主体を名簿登載者ではなく名簿届け出政党等としているからでございまして、これに倣った規定となっているわけでございます。

 もちろん、送信主体として規定されていなくても、名簿届け出政党等の選挙区支部として、具体的に、例えば○○党の○○ブロック比例区第○総支部、こういう形での選挙運動用電子メールは送信できる、原案でも十分可能であるという状況でございますけれども、今、しかしながら、濱村委員が御指摘されたことを受けとめて改めて考えますと、この衆議院の比例選挙以外の候補者は選挙運動用電子メールを送信できるのに、衆議院の比例の候補者はその資格では送信できない。

 例えば、具体的に参議院と比べると、参議院は非拘束名簿方式になっていますので、参議院の比例区で出られている候補者は送信できるのに、衆議院の比例単独で出られている方々は候補者として送信できないというのは若干わかりにくい面があるのも事実かと思いますし、また、各政党においても比例単独候補者の方もおられますので、現在、提出者間で修正協議が進行中であると伺っておりますけれども、この部分についての法案修正も含めて検討させていただきたい、そのように考えております。

濱村委員 ありがとうございます。ぜひ、法案修正もよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 今回のネット選挙解禁におきまして、有権者の皆様に選挙期間中もリアルタイムに候補者の適切な情報を届けられるということは、大きな改善点の一つであると私も思っております。そしてまた、この点につきまして、さまざま多く議論が積み重なってきたかとは思います。

 しかしながら、その一方で、実際に情報発信を行ってネット選挙を推進する我々も、何ができて、何ができないのかを整理しておきたいというふうに思います。これから申し上げるような行為は買収に当たるかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目に、業者に選挙運動用ウエブサイトや選挙運動用電子メールに掲載する文案を主体的に企画作成させて報酬を支払う場合、こういう場合は買収に当たりますでしょうか、お答えください。これは自、公、維新案提出者でお願いします。

遠山議員 大変重要な御指摘だと思います。

 まず、今の御指摘は、選挙運動用のウエブサイトや電子メールに掲載する文案を業者が主体的に企画立案をして、そのことに対して報酬を払った場合ということでございます。

 基本的な考え方としては、当然、ネット選挙が解禁されますと、多くの国会議員事務所あるいは政党支部等が、IT企業とかITコンサル企業、ネット選挙運動請負業者と言ってもいいかもしれませんが、そういうところにいろいろな形で協力をお願いするケースがふえると思われますけれども、大事なポイントは、その業者が選挙運動の主体になるかならないかというところが考え方のポイントでございます。

 もし選挙運動の主体者になっていて、その方に報酬を払いますと、これは買収のおそれが高いと判断せざるを得ないわけでございまして、ですから、今の御質問に対するお答えは、あくまでも一般論としてでございますけれども、メールの内容や選挙運動用ウエブサイトの内容について、裁量権を持って主体的に業者が企画して立案して発信した場合に、そこに報酬を払いますと買収に当たるおそれが高いということでございます。

濱村委員 ありがとうございます。

 続きまして、またケースを申し上げたいんですけれども、少し通告とは順番が変わりますけれども、業者に、候補者に対する誹謗中傷の内容を単に否定するための反論の書き込みを行わせて報酬を支払う場合はどうなりますでしょうか。

遠山議員 今の御質問は、ある特定の候補者、政党に対して誹謗中傷を行っていることがネット上であった場合に、その誹謗中傷に対する反論の書き込みだけを業者が行った場合、そこに報酬を払う場合は、これは選挙運動に当たらないので、買収には当たらない可能性の方が高いという解釈になるわけでございます。

 ただ、難しいのは、先ほど私が最初に答弁を申し上げました仕事と今申し上げている仕事を同じ業者が、その職員が兼ねてやってしまった場合に、非常に判断が難しいケースはあり得るということでございますので、これも一般論としての答弁と御理解をいただきたいと思います。

濱村委員 ありがとうございます。

 非常に、ケースとしても司法の判断も分かれるのではないかなというようなところ、微妙なところではあるかと思います。

 今のお話、もう一度言いますと、例えば、濱村進は弱者切り捨てだのような書き込みがあったとします。それに対して誹謗中傷がありました。誹謗中傷に対して、そうではないという書き込みを行う場合は問題ない、つまり選挙運動ではないのではないかと判断されるというふうに思われるんですが、その上で、そうではない、濱村は弱者をしっかり救済していくんだのような書き込みを行ったら、それは選挙運動になりますよということかと思っておりますが、ちょっとかみ砕いて申し上げましたが、この認識で合っておりますでしょうか。

遠山議員 今の、弱者を切り捨てているか、あるいは弱者を守っているかという論争は、そもそも、何がしという政治家、候補者は弱者を切り捨てていると言うこと自体が誹謗中傷に当たるかどうかという判断がありまして、これはなかなか、今の例だと誹謗中傷と言えない可能性も私はあるのかなと思っております。

 それから、濱村進さんは弱者を守っているという言葉も、これは、そういう書き込みをどういう時期に誰に対してするかということにもよりますが、必ずしもそれが選挙運動とは言えないかもしれない表現だなと。

 つまり、選挙期間中におきましても、一般的な政治活動用メールあるいは政治活動としての発信は自由に行える、これは現行の公職選挙法下でもそうでございますので、ですから、もう少し踏み込んだ、過激な誹謗中傷やそれに対する反論、あるいは選挙運動用のメールとか表現というのは、私を当選させてくださいとか、誰々さんに一票入れましょう、○○党に一票入れましょう、ここまで踏み込んだ場合に該当することが一般的だと思われます。

 いずれにしても、個別具体的な表現や、あるいは業者にやらせる仕事の態様等については、個別具体的な事象に即して判断せざるを得ない、こう思っております。

濱村委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、どのような行為が買収に当たって、どのような行為が買収に当たらないか、これは周知徹底をしておかないと、選挙違反がさまざま出てくるかと思うわけでございます。法改正に伴って、どのような対策を考えているのか、両案提出者にお伺いさせてください。

遠山議員 濱村委員御指摘のとおりでございまして、今回のネット選挙解禁の改正案については、選挙という議会民主制の基本ルールにかかわる改正になりますし、私ども、民主党、みんなの党さんの案とは違いはありますけれども、基本的な方向性は一緒でございまして、その文脈の中で考えますと、やはり私ども当事者である政治家、あるいは政党、その職員等であっても、必ずしも公職選挙法のさまざまな規制、制限のあり方について、現行法の中身についても正しく理解していないケースがございます。

 その上で申し上げると、これがネット選挙で解禁をされた場合に、悪意なくやった行為によって取り締まりの対象になり得るわけでございますので、そういった意味では、これは改正案が成立した後の話となると思いますけれども、与野党しっかりと協議をして、国民にあらゆる方策を使って周知徹底を図らなければならない、このように思っております。

井坂議員 私も兵庫一区でございますので、同じ地元で、よろしくお願いいたします。

 今回、やはり今後の政治や選挙のあり方を大きく変えるきっかけになるというふうに考えておりますので、委員の御指摘のとおり、あるいは先ほどの議論にもありましたとおり、その中身、本当にすれすれのところですとか、どちらに当たるのかわかりにくいところが、今後、具体的なケースがさまざま出てくるというふうに考えております。一般国民の皆様には、そういった中身までよく理解していただけるよう、十分な周知啓発を図るべきだと考えております。

 具体的にどのような行為が今回解禁をされるのか、その要件は何か、あるいはどのようなケースが実際に買収などに当たってしまうのかなどの点については、各党各会派で認識を共有しながら、例えばガイドラインのようなものを整備するといったことも重要だというふうに考えております。

 以上です。

濱村委員 ありがとうございます。

 ガイドライン、あるいはあらゆる方策を講じて、ぜひ対策をお願いしたいと思うわけでございます。

 残り時間が少なくなってまいりましたので、最後の質問に参ります。

 自、公、維新案と民主、みんなの党案での違いの一つであります選挙運動用電子メール送信者の記録の保存義務についてお伺いいたします。

 まず、自、公、維新案提出者にお伺いします。選挙運動用電子メール送信者は、具体的にどのような記録を保存する義務を負っているのでしょうか。

遠山議員 私どもの案におきましては、どういう記録を保存すべきかという御質問ですけれども、まず、この選挙運動用電子メールの送信の求めをして同意をした者に対して送信をする場合につきましては、その受信者が、メールを受信する人が、送信者に対してみずから通知をしたことを示す記録、それから選挙運動用電子メールの送信の求めまたは送信への同意があったことの記録の保存を義務づけております。

 それから、もう一つの類型は、継続的な政治活動用電子メールの受信者、つまり、一般的にいわゆるメルマガの受信者に対する選挙運動用電子メールの送信の通知に対しては、これはメルマガは日常的に受け取っていただいている方々でございます。その方々に、選挙期間中に選挙運動用メールをあなたに送っていいですかと。つまり、メルマガとは違うわけですね、メルマガは日常的な政治活動用メールでございますので。それに対して明示的に、私は選挙運動用メールは受け取りたくありませんと言った方には送ってはいけないという制限がかけられておりますので、よって、保存しなければいけない記録というものは、拒否をした場合の記録でございます。

 基本的には、以上でございます。

濱村委員 次は、民主、みんなの党案提出者にお伺いしたいんですけれども、自、公、維新案にあるような記録の保存義務については、義務がないというふうに思っておりますが、私の認識は合っていますでしょうか。

井坂議員 おっしゃるとおり、民主、みんなの党案では、選挙運動用電子メールの送信に関する記録の保存義務は課さないこととしております。

 その理由としては、我々の案では、一般有権者も含めた全ての方に選挙運動用電子メールの送信を解禁しておりますが、ここに過度に複雑な規制を課すことは、有権者の自由な選挙運動に対する萎縮の効果をもたらし、本改正案の趣旨である一般有権者同士の熟議などを通じた政治参加の促進が妨げられるおそれがあると考えたためであります。

 以上です。

濱村委員 ありがとうございます。

 今、井坂先生おっしゃったとおりであるかとは思うんですけれども、民主、みんなの党案におきましても、電子メールの送信先は限定していらっしゃいます。その上で、その送信先電子メールアドレスをみずから通知した者に対して送信できるということで規定されていらっしゃいますが、この送信先の限定については罰則を設けていらっしゃるというふうに思います。

 しかしながら、記録の保存義務もない状態で、どうやって通知したのかということを証明するのにはどのようにやるのか。これでは罰則が適用できないのではないかというふうに思っておるんですけれども、どのようにお考えか、お答えください。

井坂議員 提案者としましては、もちろん、この法律の規定に従って選挙運動用電子メールの送信を行うことは当然であると考えております。このことは、記録の保存の義務があろうがなかろうが同じだというふうに考えております。

 仮に、違法な電子メールの送信により問題が発生した場合というのは、最終的には、やはり司法の場で決着をすることになるというふうに考えております。

 以上です。

濱村委員 持ち時間もなくなりましたが、記録がない場合、司法で、根拠がないということで判決等々、さまざまできないような状況にあるのではないかというふうに思いますが、いずれにしましても、私自身は、ネット選挙解禁で、より多くの有権者に政治に関心を持っていただいて、投票率が上がることを願ってやみません。当法案が速やかに可決されることを願い、質問を終わります。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 私もいわゆる民みん案の提出者でありますので、自分たちの案には基本的には質問できないということでありますので、いわゆる自公維案について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 これまで議論を続けてきて、民みん案と自公維案というのは、ある意味、論点は明確になってきているのかなというふうに思います。

 まず一つは、電子メールを第三者に解禁できるかどうかということであると思います。もう一つは、ネット有料広告をどこまで認めていくのかということになろうかと思います。

 まず、電子メールの解禁ですね。参考人質疑もきのうございました。そういう中で、両方から意見は出されたわけですが、私は、参考人の皆様のお話を伺っても、やはり多くの国民も感じている疑問の一つが、フェイスブックやツイッター、こういったところでは、情報発信も、また情報のやりとりも、どうぞやってくださいよ、全く規制はございませんよと。フェイスブックにもメッセージ機能というのがあって、メールをそれぞれに送ることもできる。メールというか、メッセージを送ることもできるわけですが、では、なぜ、いわゆるそうではない一般のメールについては、これは送ってはいけないということになってしまうのか。ここがよくわからないところですね。

 ですから、今回は、確かに私信としてのメールはいいということでありますが、いわゆるメールを使った第三者による選挙運動が規制をされる。これが、やはりどうも合理性を感じられないわけであります。SNSはよくてメールはだめ、そのことをもう一度、自公維案提出者の皆さん、説明をしてください。

橋本(岳)議員 同じ四十九年生まれの泉議員にお答えをいたします。

 まず、御指摘のとおり、SNSでの選挙運動というのは解禁になっておりますし、その中でメッセージ機能を使うということもあわせて含まれるということで、これは、これまでるる御説明をさせていただいたとおりでございますし、また、電子メールにつきましては、候補者、政党などに限るなどなどの制限を課しているということで、それも議員御指摘のとおりでございます。

 それがなぜかということでございます。電子メールをなぜ私たちが規制しているかということについては、もうるる御説明をしておりますので、本当に、できるだけ選挙運動は公衆のみんなの前で公明正大にやろうよと。むしろ電子メールは、密室性が高く、誹謗中傷ですとかそういうものにつながりやすいということをよく申し上げております。

 では、SNSのメッセージ機能でも同じだろうという御指摘であろうと思います。これにつきましても、御懸念は私も理解をするところではございますけれども、まずプラットホームの業者が、例えば、具体的に言えば、フェイスブックならフェイスブック、ツイッターならツイッター、そうした会社が、そういう悪質な、誹謗中傷を含むようなもの、あるいは物すごく数多く発信するような人、あるいは、ウイルスみたいなものがあるのかどうかわかりませんけれども、そうしたものが仮にあるとすれば、そうしたものについてきちんと対処されるであろうというふうに思っております。

 ただ、電子メールの場合、例えば携帯電話のショートメッセージについては、きのう夏野参考人が、いろいろな対策をキャリアもしているんだというお話をされておられました。また、一般の電子メール、SMTPの電子メールでも、ISPさんの方ではいろいろな対策もされているということも承知はしております。しかしながら、現在飛び交っているメールの七割がスパムという現状がなおございます。

 また、一つ御指摘をさせていただきたいと思っておりますのは、例えばフェイスブック、ツイッターでそういう要らないメールがいっぱい来て、ちょっと嫌になったなと思えばやめることができるわけですね。ただ、電子メールというのは、もう既に、それこそ多くの方がおっしゃっているように、インターネットがインフラとしてというようなときに、電子メールというものも含まれると思います。インターネットを使っているといいながら、電子メールを使わないで生活するというのはなかなか、やめるということは困難なのではなかろうか。

 そして、そういう状況があるからこそ、迷惑メール防止法というのがあるのだというふうに理解をしておりますので、これに準じて規制をするということについて、私どもとしては合理性があるというふうに思っております。

 以上でございます。

泉委員 きのう参考人の方からもお話があったように、迷惑メールについてはかなり対策が進んでいる。確かに七割はスパムかもしれませんけれども、では、一般有権者がそれを全部開いて読んで、それの影響を受けているんだろうかということを考えれば、もはやインターネット利用者はそんな段階ではないわけですね。ですから、インターネット利用者を果たして自公維案は、恐縮ですが、信頼されているのかどうなのかというところに実は尽きるのではないのかなと思います。

 やはりこれだけインターネットが普及をする中で、多くの方々のリテラシーがしっかりとでき上がっていて、余計なメールについては、基本は無視と削除だということになるわけで、逆に言うと、両提出者に注意をしていただかなければいけないのは、いわゆる政治メール、本当の候補者が出すメールも迷惑メール扱いされかねないということを、政治の世界にいる者はよくよく心しておかなければいけないわけで、それは、多くの方々に関係ある、真なる情報だと思って我々は出していますが、実は、我々のメールも営業メールの一環だと思われかねないわけであります。

 そういったことからも、多くの有権者からすれば、実は、営業メールも、政治家から届くメールも、また政治家に成り済ましたメールも、いろいろな数あるメールのうちの一つでしかないわけであります。

 そうなると、なぜここだけを一般有権者の方々に規制するのかというのは、やはり必然性はないというふうに言わざるを得ないんだと思うんですね。そこは、我々と考え方が現段階では違うんだろうなと思うわけですし、我々の方が恐らく今のインターネットの世界の実態に合った提案をさせていただいているんだろうなというふうには思っているところであります。

 ただ、やはり懸念というか心配は、これから両案が議論をされていく中で、なかなかこの国会の構成上、民主、みんな案というのは、そのまま成立はしにくい状況にあるんだと思います。そういった中で、修正協議も進んでいて、次回の選挙では一般の方々のメールの解禁はならずとも、何とか次々回の選挙からは、一般の方々のメール解禁もぜひ検討してもらいたいというのも我々の本音であります。

 その点について、自民、公明、維新の提案者の方、御答弁をお願いします。

遠山議員 泉委員のるる御指摘、真摯に受けとめたいと思っております。

 ちなみに、迷惑メールのフィルタリング機能がかなり進歩しているという話は、きのう参考人質疑でありました。私もきのう質疑に立ちまして御指摘申し上げましたように、総務省の調べでは、今、日本で一日当たり流通しているメールの数は二十億通、そのうち約七割の十四億通が迷惑メールであると。そして、きのう夏野参考人も、フィルタリング機能がデフォルトでオンになっているので、余り知識のない方々でも、使っている携帯電話のメール機能等は自動的に迷惑メールを排除するシステムになっていますよという貴重な御指摘がございました。ただ、その上でも、たしか参考人は、一〇〇%防ぐことはできないとおっしゃっていたかと思います。

 メールを使って不特定多数の人を攻撃する技術も進歩している、防御する技術も進歩している。しかし、ともに一〇〇%ではないという認識を持った上で、今回は、ネット選挙、初めて解禁の段階でございますので、私ども候補者、政治家、政党は、いわば公職を得ようとする、運動する主体者でありますから、それなりの責任感と覚悟を持ってネット選挙にも臨むわけでございますが、一般有権者の皆様全てにその責任感、覚悟というものを期待するということは、若干無理があるかなというのが私どもの認識、考え方でございました。

 そしてもう一点、迷惑メールの問題だけで規制をかけているわけではありません。有権者の皆様方は、今、泉委員がおっしゃったように、政治家からのメールを迷惑メールと思う方も恐らくいらっしゃる。そういう方々は、受け取りたくないわけですね。ですから、受け取らない自由、受け取らない権利というものにも配慮をしていかなければならないという意味で申し上げれば、好き勝手にやはり送りつけられては困る。

 そして、困った場合に、ではどうやって送ってきた人たちにそれをとめてくださいと言うのかというところにつきましても、私どもは、記録の保存義務を課しているわけでございますし、SNSの場合は自動的にやりとりの記録がメッセージ機能でも残りますが、メールのやりとりの場合は必ずしもそうではございません。警察がサーバーを調べれば残っていますけれども、そこまで一々やらないと思います。

 そういったことがあって、今回は慎重にしているわけでございますが、将来的な検討ということについては、全く私どもやぶさかではない、このように思っているわけでございます。

泉委員 これは両案とも、拒否する方は拒否できるようになっておりますし、拒否しているにもかかわらず、仮にメールだから記録が残っていないとしても、そこに何回も送りつければ、それは迷惑以外の何物でもないわけですから、候補者陣営はそんなことをするわけがないわけですね。ですから、基本、例えば電話作戦もそうですね、嫌がられているところに何回電話したって、それはいい成果が出るわけではありませんので。そういった意味では、そこは民主、みんな案でも十分ちゃんと機能するんだろうなというふうに私は思います。

 やはり今、後段のところで重要なところは、今後やぶさかではないというところですね。ですから、次回選挙の状況を見て、さらなる検討を加えていくということになると思うんです。

 しかし、これは、SNS、今利用されているわけです。今回のインターネット選挙解禁という大きな流れの中で、一般の国民の方々は、いろいろなものが解禁されると思って、いろいろなメールのやりとりですとか配信をする可能性もあります。これはSNSに限らず、一般メールでもそうです。どうか、提出者の皆さんにおかれては、それをただ単なる混乱だという捉え方をしていただきたくないと思うんですね。

 これは、現在の選挙でも、既に数多くのメールがやりとりされております。それを我々は、ただ、余りカバーもしていないし、取り締まりもやっていないというだけの話であって、実は、かなり一般の社会ではメールはやりとりされているわけで、それを混乱しているということで捉えるべきではないと思います。

 次回の選挙においても、混乱したから、逆に、SNSを規制しようだとか、あるいはメールは諦めようだとか、こういう考え方にはやはり立っていただきたくないというふうに思いますが、提出者、いかがでしょうか。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 もちろん、私どもも、決して規制をかけていくことそのものを目的にしているわけではございません。インターネットを解禁するということで、多くの方々が選挙に関心を持っていただき、また、選挙についてのいろいろなディスカッションが一般の方々の間で、それはブログでありますとかSNSの上でありますとか、されるということを、もちろん我々も歓迎するものでございます、それがフェイスブックのメッセージ機能であろうと。

 一応、私どもは電子メールについては規制をさせていただくという立場ではございますが、そんなことも起こらないこともなかろうという懸念というのは私も理解をするのでございますし、ただ、それを全部厳しく取り締まっていくのだということでやりたいというのではなくて、あくまでも、一般の方の日常生活の妨げにならないという問題を私たちは心配しているところでございます。そのようなことがなく、有意義なディスカッションであった、ちょっと勇み足がということが見られるかどうか、それはちょっとわかりませんけれども、選挙に対して大変有用であったという評価であれば、それはそのように受けとめられるべきであろうと私たちも思っております。

泉委員 今の御答弁からいけば、いわゆる提出者の懸念、成り済まし、誹謗中傷であったり、密室性等々、こういった問題が解消されれば、当然、解禁は今後可能になってくるということをおっしゃっているのかなというふうに思います。

 改めてですけれども、フェイスブックやツイッターではどんな表現をしても構わないということでありますから、一般の国民の皆さんはどんどんフェイスブック、ツイッター等では発信をしても構わないということが今後の選挙になってくるということは確認をしたいと思います。

 やはり、取り締まりのことを、警察にきょう来ていただいておりますが、一点確認したいと思うわけですね。

 自民、公明、維新案のところでは、一般の方々の電子メールの解禁ということはしないということでありますが、一般の方々が仮にメールを使って選挙運動を行った場合、取り締まるわけですか。相当な体制を組んで公平に取り締まりをしなければいけない。この公平に取り締まりをしなければいけないというのは相当難しいことでありまして、今、一般社会でのメールの取り締まりもなかなか手が届きにくい中で、警察はどのように取り締まりの体制を構築しようと考えていられるのか、御答弁ください。

高綱政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙違反の取り締まりを通じまして選挙の公正の確保に寄与することは、警察の責務でございます。

 したがいまして、警察といたしましては、法改正がなされますれば、その改正の趣旨にのっとり、選挙違反の取り締まり担当部門、サイバー犯罪対策部門、そして情報通信部門との連携を強化するなどして、必要かつ適切な取り締まり体制を構築してその責務を果たしてまいる所存でございます。

泉委員 我々、そういった意味での取り締まりがどんどん肥大化していくということは、費用の面からも、国民を萎縮させるという面からも、余り望ましいことだとは考えておりません。やはり、できる限り自由ということの中でネット選挙というものは考えていくべきだ、そんなふうにも思っているところであります。

 次に、ネット有料広告でありますけれども、確認的な質問になりますけれども、今回、政党支部も有料広告を出せるということになりました。これは、バナーに書ける内容、バナーに記述できる内容も限定されていると思いますけれども、それがどこまでなのかということがまず一つ。

 そして、やはり、この相場というか、ページの広告料というのはそれなりに大きいものですから、いわゆる小選挙区の候補者あるいはエリアが限定された候補者は、そのエリアだけに広告を掲載するということになるのが普通ではないかなと思いますが、そうすると、その広告から政党支部のホームページに直接リンクができる、そういう理解でよろしいでしょうか。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 今回、選挙運動用の有料インターネット広告を禁止しておりますが、その中で、政党については、その政党の選挙運動用ホームページにリンクを張った有料のバナー広告は認めるということにしております。このことにつきましては、先ほど田嶋議員からもお答えがありましたけれども、政党などについては両案とも共通のところでございます。

 その上で、支部について、有料バナー広告を出すということは、支部としての判断のもとでされる限り、それはあり得べきことでございますし、ただ、選挙運動用の広告は禁止をされるということでございますから、○○党に投票をみたいなことが書いてあると選挙運動になりますので、そういうものにならなければ、政党名でありますとかキャッチコピーでありますとか、そうしたものを記載したものというのは認められるということになります。

 そして、政党支部のホームページに直接リンクを張ることについてはどうかという御質問がありました。

 こちらにつきましても、選挙運動用ウエブサイトということになっても、それが政治活動のウエブサイトのままであっても、いずれにしても認められるということでございます。

泉委員 そこからさらに言うと、政党支部のホームページで、トップページに候補者がぼんと出ている、それも構わないという考え方なのかということが一つ。

 もう一つは、現在、我々政治家はホームページを持っているわけですが、これが政党支部のホームページかどうかといえば、判然としないというところがあるわけです。現在のホームページに、政党の名称を例えばトップページにつければ政党支部ホームページになるのか、何をもって政党ホームページとするのかという要件、これをお示しいただきたいと思います。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 政党支部のホームページで顔がぼんと出ている場合、ぼんと出ても、ちょこんと出てもでございますが、それは、要するに選挙運動になるとみなされるものであっても、今回のあれでは認められるようになるというものでございます。そして、それはもちろん政治活動のままでもそうですし、そうでない記述であれば全く問題ないという話でございます。

 そして、政党の支部のホームページと候補者のホームページの区分、区別ということでございまして、確かに判別しにくいというような、ぱっと見てわかりにくいというものはあろうかと思いますし、一般論として言えば、個別のウエブサイトが誰のウエブサイトなのかというのは、具体的に、個々に見て、事実に即して判断をするしかなかろうというふうに思っております。

 その場合、判断基準になるものについては、例えば当該ウエブサイトの維持管理費用を負担したのは誰なのかということ、あるいは当該ウエブサイトに記載された事項が中身がどんなものなのであるのか等、それは個別具体の事情を総合的に考慮して判断されるべきものであろうと思っております。

泉委員 もう質問時間が終わりました。

 まだまだ聞きたいことはたくさんございます。また来週も審議があるということでありますので、これで終わらせていただきますが、一点だけ言うと、よく、若者の関心を高めるために今回このネット選挙の解禁をしなければいけないんだなんという話がありますが、これは、してあげるという話ではなくて当然のことであるのだ、逆に言うと、ネット選挙の解禁をしないことは罪であるのだ、若者の関心を落としかねない罪であるのだということ、この意識を我々はよく持つべきだということをお伝えして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 おはようございます。日本維新の会の坂元大輔でございます。

 私は、昨年の末の衆議院選挙において初当選をさせていただきました。それまでも、さまざまな方の選挙のお手伝いはさせていただいておりました。実は、そちらの席に座っておられる井坂信彦議員が三年前の参議院選挙に出られた際にもお手伝いをさせていただいた経験もありまして、そういった選挙のお手伝いをさせていただいた中で、公示になると、何で突然全てのインターネットを使った活動を停止しなければいけないのかと非常にいつも疑問に思っておりました。それを今回、解禁というか、先ほど当たり前だというお話がありましたけれども、その当たり前に戻すための第一歩を進めていただいた両提案者にまず敬意を表しまして、質問を始めさせていただきたいと思います。

 私は、現在三十歳でございまして、若い世代が政治や社会に対して関心を持ってもらいたいということが自分にとって大きな政治のテーマでありますし、具体的には、やはり投票率の向上、若い世代の投票率の向上というのが、自分にとって政治をやっている大きな意味でもあります。

 そこで、まず最初の両提案者への御質問でございますが、今回の法改正によって、インターネットを使用した選挙活動が解禁されるわけですけれども、特に、投票率の低い二十代や三十代の若い世代に対するどのような効果を期待しておられるかというのを最初に御質問したいと思います。お願いします。

浦野議員 お答えをいたします。

 先ほど泉委員のお話の中にもありましたし、坂元委員のお話の中にもありました。要は、このインターネットの世界で、我々が今ふだん選挙で行っていることをできるように、今できていることをネットの世界だけは今できないという状況で、それをしてあげるのではなくて、当然していくというのが、我々も全く同じ意見であります。そのために、今回この改正案を出させていただいているということであります。

 そして、インターネットを利用した選挙を解禁することによって、有権者との重要な交流手段としてインターネットを活用できるということになります。さらに、有権者にとっても、そういったことによって、政治活動に参加をするというきっかけにもなると思われます。

 選挙に関する情報の発信、収集が活性化すれば、有権者、特に、総務省の平成二十三年通信利用動向調査の結果によりますと、インターネットを利用している方々、二十から二十九歳では九七・七%、三十から三十九歳ですと九五・八%ということで、非常に高い数字になっております。こういった方々がインターネットを介して選挙の情報に多く触れる、そうすることによって、選挙への関心が高まって、そうした動きが結果として投票率につながることも期待をしております。

奥野(総)議員 二十代、三十代の方々というのは、やはり日常的に、iPad、携帯端末を持ったり、スマートフォンを持ったり、パソコンを扱っておられる方々だと思うんですね。そういう方々に、例えば電車の中でも車の中でも、車を運転しながらはまずいんでしょうけれども、情報に触れていただく。我々の方も、例えば動画でみずからの主張をアップすることができる、あるいはマニフェスト、公約をアップすることができる。そうした選挙の情報に、あるいは候補者の情報に直接、見たいときに触れていただけるという効果がまずあります。そして、選挙に関心を持っていただく。

 その次に、今度は議論に参加してもらう。フェイスブックやツイッターといったSNS、こういったところで、あの候補おもしろいぞ、では、これはどうなっているんだと情報発信をしてもらう。我々の場合はメールもできますから、仲間に、あの候補おもしろいから、ひとつ応援してやろうぜと議論をしてもらう、あるいは自分の意見を発信してもらうということで、選挙に参加してもらう。熟議の政治と我々は呼んでいますけれども、こういう参加型の、選挙に参加意識を持ってもらう、その第一歩だと思っております。

 こうした、関心を持ってもらう、参加ということを通じて政治を身近なものに感じてもらって、投票率の向上に資するということだと思います。

坂元委員 ありがとうございました。

 私も、今お答えいただいたお二人と同じく、非常に期待をしているところでございます。

 それでは、続いて、今回の法案について具体的な質問に入らせていただきます。政府参考人に御質問をいたします。

 今回の法改正によって、選挙公報や法定候補者ビラを候補者のウエブサイトにアップすることは可能になりますでしょうか。また、それを第三者がその他のサイトにアップすることも可能になりますでしょうか。

 そして最後になりますが、政見放送に関して、県選管のサイトにアップしてはどうかというふうに私は思うんですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。

米田政府参考人 お答えいたします。

 前段の選挙公報、法定ビラをアップすることにつきましては、改正法の内容になりますので、私からはお答えできかねます。これは両提案者にお聞きいただきたいと存じます。

 最後の、政見放送について、県選管サイトにアップしてはどうかという御質問でございます。

 政見放送につきましては、御承知のとおり、これは公営の制度でございますので、候補者、政党間の平等取り扱いということが非常に重要になってございます。通常、この政見放送につきましては、放送回数や放送時間の数量的な制限が放送でございますのでありますので、この通常複数回ある放送ごとに放送の順序をどう定めるかといったことは、くじで決定をするといったような取り扱いを法律で定めているわけでございます。

 したがいまして、現行法におきまして、政見放送を放送ではなくて選挙管理委員会のホームページに掲載するということにつきましては、現行の公職選挙法第六条に規定しております選挙管理委員会の啓発、周知活動の範囲を超えるものであるということ、さらに、候補者や政党間の平等、公正な取り扱いを担保するということが困難であるということでございまして、現行法上はできないというふうに考えております。

 さらに、今後、政見放送を選挙管理委員会のホームページに掲載するといったことを考えますと、いろいろ課題があるというふうに思います。

 例えば一つには、選管のホームページに対しましてアクセスが集中したり、動画の情報量が過大となってサーバーダウン等技術的なトラブルが生じて閲覧不能になりますと、選挙管理委員会の管理執行の瑕疵ということで、選挙無効事由になるというおそれがあるということが一つ。

 さらに、政見放送は動画データとなりますので、ホームページの画面上に、先ほど申しましたように、候補者間それから政党間の平等取り扱いを確保してどのように掲載したらよいのかといった非常に大きな問題があるというふうに考えているところでございます。

 以上です。

坂元委員 政見放送に関してなんですが、さまざまなそういう課題はあるとは思うんですけれども、特にやはり私の同じ世代、働いている世代の声を聞いていますと、なかなか決まった時間に見れないよという声が多いわけですね。ですので、今後の検討課題だとは思うんですけれども、前向きにぜひ検討をしていければというふうに考えております。

 そして、済みません、質問者を間違えてしまいましたが、改めて両提案者にお伺いさせていただきます。

 選挙公報や法定候補者ビラを、今回の法改正によって候補者のウエブサイトにアップすることは可能になりますでしょうか。また、それを第三者がその他のサイトにアップすることも可能となりますでしょうか。お願いいたします。

浦野議員 選挙公報や運動ビラは、今回の改正案でインターネットによる選挙運動が解禁されることによりまして、公職選挙法上は制限なくできることになると考えております。第三者についても同様に、公職選挙法上は制限されなくなるものと考えています。

 さらに政見放送も、自分でつくってホームページ上にアップすれば制限なくできるようになると考えております。

奥野(総)議員 まず、選挙公報や選挙運動ビラについてでありますけれども、これについては、第三者も、政党、候補者本人も当然のことながらウエブサイトにアップできると。加えて、我が方は、第三者も、一般有権者もメールに添付して送信することができます。

 それから、政見放送についてでありますけれども、政見放送そのものを録画してアップすることは著作隣接権の問題があってできないのでありますけれども、みずからつくったビデオ、皆さんがどうやっておられるかはわかりませんが、私の場合は、自分でビデオを作成して、それを放送局に持ち込んでおりますから、みずからつくったものについて、それをみずからのサイトにアップすることは可能であります。ですから、実質的に政見放送と同じものを見ていただくことはできるようになると思います。

 以上です。

坂元委員 ありがとうございました。

 恐らく今回の参議院選挙から具体的にそういったものを使っていくことになると思いますので、一応確認で御質問をさせていただきました。

 続いて、配付しております参考資料をごらんいただきたいと思います。これは、三年前の「第二十二回参議院議員通常選挙の実態」ということで、財団法人明るい選挙推進協会が全国調査をした結果でございます。抜粋ですので、ちょっとページ数が飛んでいるんですけれども。

 まず、五十三ページをごらんいただきたいと思います。これは、投票に行かなかった、投票を棄権した方の棄権を決めた時期というものを出したデータでございますが、これをごらんいただくと、やはりというか、投票日当日に棄権を決めた方が多いわけでございます。

 そして、続いて五十四ページをごらんいただければと思います。その棄権の理由でございますが、棄権の理由として、複数回答可なんですけれども、多かったのが、仕事があったから、そして仕事を除く重要な用事があったからというのが一位、二位になっております。そして、先日の質問でもありましたけれども、いわゆる投票所が遠かったからとか天候が悪かったから投票所に行けなかったんだという、時間的なものではなくて環境面での理由というのが意外と少ないというふうなデータが出ているわけでございます。

 そして、もう一ページめくっていただいて五十六ページになりますが、棄権を決めた時期と棄権理由というものになっております。先ほど申し上げたように、当日棄権を決めた方が一番多いわけですけれども、投票日当日に棄権を決めた方たちの、その中での一番多い理由というのが、仕事を除く重要な用事というのがあったからという結果になっております。この上の文章の最終行に書いてあるんですけれども、「直前になって重要な用事が入り、本来は投票に行く意欲があったにもかかわらず、当日に棄権を決めた人が一定数いた」という結果になっているわけです。

 そして、最後に五十七ページをめくっていただいて、最近非常に広まってきております期日前投票に関しても、期日前投票に行かなかった方の理由として最も多いのが、期日前投票をする時間もなかったからという結果となっております。

 何が言いたいかといいますと、時間的に投票所に行く時間がないというのがやはり投票に行かない理由として最も多いということをお伝えしたかったわけでございまして、今回、インターネットを使った選挙活動というのは解禁されましたけれども、やはり先日我が党の木下委員からも指摘があったように、最終的にはインターネットを使った投票というものを見据えれば、時間がないから行けないという問題は抜本的に解決をされて、かなり投票率が上がるのではないかというふうに私は考えております。

 このインターネットを使った投票を最終的に目指していくべきかどうかということと、それに対しての課題を両提案者にお伺いしたいと思います。

遠山議員 お答えいたします。

 インターネットを使った投票ということでございますが、これは、イメージとしては、自宅の自分のPCでインターネットに接続をして、そこからクリックするなりなんなりして候補者に投票するというのが一つのイメージかと思いますが、私どもとしましては、電子投票の普及というものはこれまで政府も取り組んできたわけでございますので、これを推進することはいいかと思っておりますが、インターネットを利用した投票行為そのものを実現するという上では、多くの課題があると思っております。

 時間もありませんので、二つだけ申し上げますと、一つは、やはりコンピューターを使ってネットに接続して投票している人が実際に投票権を持っている本人なのか、有権者なのかということを確認することが非常に難しいということがあると思います。本人確認の困難性でございます。

 二つ目は、そこに第三者が立ち会いをしていない状況で投票できると仮定をいたしますと、本人が本当に自由な意思によって投票しているのかどうかが保障できないという問題もございます。もしかしたら、コンピューターの前に座っているその人の後ろに威圧的な方々が取り囲んで、この人に入れろと言っているかどうかということが確認できないわけですね。よって、選挙というものは公正性が確保されなければならないというのが公職選挙法の大きな柱、精神になっておりますので、そういった観点から、ほかにもいろいろあるかと思いますので、現段階では極めて難しいと言わざるを得ない、こう思っております。

奥野(総)議員 御指摘の点、ごもっともでありまして、自宅で投票できれば投票率も飛躍的にアップすると思います。また、ITの利活用という面からも、これに取り組んでいかなければならないと思いますが、その上で、我が方の民みん案の改正案では、附則の五条二項において、インターネットを利用した投票を導入するとした場合に必要となる技術上、制度上の措置について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする旨を規定して、取り組んでいくという意思を示しております。

 しかし、今御指摘ありましたように、非常にハードルが高いのは間違いありません。本人確認の問題、それから本人が本当に自由意思で投票しているのか。さらに、ボタンを押して投票したのに受け取られていないか、ちゃんと受け取られているか、正確性の問題、セキュリティーの問題もございます。

 こうした技術的課題を一歩一歩解決しながら、最終的には目指していくべきだと思います。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

坂元委員 ありがとうございます。私も、何も今すぐにという話ではないんですけれども、課題が多いことも重々認識はしております。ただ、最終的にやはり技術の進歩等々も踏まえて、そこを目指していくべきなのではないかなというふうには考えております。

 提出者の皆様には釈迦に説法なんですけれども、世界で唯一、エストニアという国がインターネットを使った投票を実施しておりまして、本人認証に関してはあの国はかなり進んでいるということと、自由意思による投票というのを確保するために、投票締め切りの日まで何回も投票を変更できるというシステムをとっております。それが、要は圧力がかからない環境で投票ができることを確保するということなんですけれども、これといって今大きなトラブルは起こっていないというふうに聞いておりますので、そういった方法もあるということを提起させていただきたいというふうに思います。

 そして、先ほどありました電子投票をやはりまずは推進していくべきだというふうに思うんですが、国政選挙でもやはり導入をしていかなければならないと私は考えておりますが、そのための課題というのを、済みません、ちょっと質問時間が来てしまいましたので、電子投票をどんどん進めていくべきだというふうに考えております。

 そして、まずもってやはり政治家自身が、私たち国会議員自身がインターネットをもっと積極的に推進していくべきだというふうに私は考えておりまして、先日、そちらに今回提案者として座っておられる浦野議員が予算委員会でも挙げましたように、実はこの国会内、まだISDNでございまして、それを光ファイバーにまず変えていくことでありましたり、WiFiを国会内でも飛ばすとか。あと、衆院の投票システムを電子投票に変えるとか、そういった、私たち自身がやはり範を示すというか、積極的にインターネットを活用していくべきだというふうに私の意見を述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平沢委員長代理 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。

 実は私、地元が、左にいらっしゃいます寺島先生と同じところでありまして、きょうは民みんということで、非常に心強く思っております。よろしくお願いをいたします。

 早速ですが、昨日、そしてまた四月二日の議論を踏まえまして、論点を整理しながら、きょうは各提案者に伺っていきたいと思います。

 大きな争点は、今さら申し上げるまでもありませんが、第三者の選挙運動用メールを解禁するかしないか。そこの論点として、私は、今、四つほど論点があるんじゃないかと考えております。

 まず最初の、一つ目の論点なんですが、両案、いずれにしても、成り済ましや迷惑メールのリスクがある。これは、きのう、参考人にも伺って、そのとおりだと。きのう、質問者として立たれた遠山議員もそういう発言をされていました。

 ですから、きょう、まず民主、みんなの方にお伺いをしたいんですが、自案も含め、両案でもそうしたリスクがあるということでよろしいでしょうか。

井坂議員 ありがとうございます。

 民主、みんな案ばかりが成り済ましや誹謗中傷あるいは迷惑メール、ウイルスメールなどのリスクが高いようなイメージを持たれている方もいらっしゃるのかもしれませんが、両案の違いというのは、結局、選挙運動用メール、すなわち一票を下さいと書いてあるメールを一般有権者が送れるのか送れないのかというところに尽きるわけであります。

 それに対して、こういう悪いメール、悪意あるメールの送信者、発信者は、別に、何もわざわざ選挙運動メールの形をとらずとも成り済ましメール、中傷メールあるいは迷惑メール、ウイルスメールを送れるわけでありまして、その送りやすさというのは実はほとんど変わらないのではないかというふうに考えております。

 今回の改正案においては、メールアドレスの表示義務ですとかあるいは氏名の虚偽表示罪の対象に、ネット等を利用する方法などを追加するなどといったことで、現行法の虚偽事項公表罪や名誉毀損罪の適用なども考えているということで、こうした措置によって、誹謗中傷や成り済ましというのは、両案ともにリスクはあって、そして両案ともに相当程度防ぐことができるというふうに考えております。

 以上です。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

井出委員 わかりました。

 ですから、まず、両案の問題意識、スタートラインは同じだと私も思っております。

 そしてもう一つ、二つ目の論点なんですが、恐らく、目指すべき方向性もやはり同じだろう。きょうのやりとりの中でも、有権者の政治参加を進めていくんだ、そういうお話もありました。また、民みん案の方で、第三者の選挙運動メールを解禁する、それも今後検討をすることもなきにしもあらず、あり得るというような話も、これまでの議論、自、公、維新の提案者の方から出ております。

 その最終的なゴールが一緒だということを確認したいのですが、これは、自、公、維新の提案者にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 私どもも、この法案提出に当たりまして、各党、皆様にお集まりをいただいて協議会を開催して議論をして、それで両案が出てきたということになっております。

 その中で、やはり私ども、二案出てしまっておりますが、目指すべきところは共通していることが大変大きいのではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

井出委員 確認になりますが、民主、みんなの党提案者の方も、目指すゴールは一緒ということで特に異論はないでしょうか。

井坂議員 おっしゃるとおり、一緒だというふうに考えております。

井出委員 そうしましたら、私の考えております三つ目の論点、ここが一番両案で見解の相違があるところだと思いますが、第三者の選挙運動用メールを今回は禁止する、禁止して様子を見る、そうではなくて、第三者の選挙運動用メールも解禁して自由にやっていく。そこのところ、言いかえれば、例えば、思わぬ、思いも寄らない刑事告訴を生むですとか、また日常生活に混乱を生むといった懸念から、そこの点で見解の相違があるかと思います。

 四月二日にも少し触れさせていただいたんですが、選挙運動と政治活動の違い、選挙運動用メールと政治活動もしくはそのほかのメールの違いについて伺いたいと思います。

 第三者の選挙運動用メールを禁止したときに、有権者が、自分がメールを出したい、その内容が政治活動になるのか選挙運動になってしまうのかということを有権者本人に委ねることになる。それが逆に、思いも寄らない刑事告訴であったり、また政治活動のメールもやめておこう、自粛しておこう、そういったことになりかねないのではないかということを私は危惧しております。

 現に、私、我々からしても、今、選挙の前、政治活動のときにチラシをつくる、そのとき文言に物すごく注意を払います。選挙という言葉を使ってはやはりまずいだろう、立候補という言葉はあり得ないだろう、そういった注意を再三再四払って、場合によってはできたチラシが首をかしげたくなるような内容になることもあります。

 そういった難しい判断を有権者に委ねることになってしまうと思うんですが、そのあたり、自、公、維新の提案者の方はどのようにお考えか、お願いいたします。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 確かに、選挙運動になるか、政治活動になるかということは我々もふだんから日々悩むところでございまして、というのはありますし、この法案提出者になるに当たって、私も公職選挙法の逐条解説の本を買って勉強しました。こんなに分厚いんです。これは下巻で、もう一個、上巻があります。

 その分厚い本をもってしても、というか、そもそも公職選挙法上に選挙運動とはこうであるという定義が実はありません。その中で、いろいろな判例の積み重ねによって言われておりますのが、特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得さしめるために直接または間接に必要かつ有利な行為、こういうことになっております。

 ですから、次の来るべき参議院選挙においてとか次の市長選挙においてとかいうこと、そしてそれが、○○候補を当選させようとか○○候補に一票をとかいうような、投票の呼びかけとかそれに有利になるようなことを言うという、主に三つの要件があるというのがおおむね判例から言われる選挙運動の定義であろうというふうになっているわけでございます。

 ですから、選挙運動用電子メールというものは何なのかということをいえば、今のような内容が書いてある、あるいはそういう内容の文書が添付してある電子メールというものになるというふうに思っております。

 先ほどちょっと言い改められたところがございますが、私ども、別に第三者のメールを今回禁止したというわけではなく、これは現行の公職選挙法上も選挙期間中に電子メールで選挙運動をすることはできなかったのでありまして、今回、段階的に、候補者、政党などに限ってまずは認めてみることにしようということが今回の私どもの提案の趣旨でございます。

 そしてまた、目指すところについては、先ほど申し上げましたとおり、恐らく共通するものが大きいと思っております。

 以上でございます。

井坂議員 一般有権者の選挙運動メールを禁止しますと、御懸念のように、一般有権者がメールを書くたびに、この表現の中身、この文章が選挙運動に当たるのかどうなのかといった、中身の大変微妙な難しい判断が必要になると思います。図らずも違法となってしまうメール、違法となってしまう一般有権者が出るおそれがあるというふうに考えております。

 民主、みんな案では、この一般有権者の選挙運動メールを解禁して、送信先と氏名、アドレス表示というシンプルで外形的な規制のみ設けておりますので、一般有権者がメールの中身の難しい判断をする必要はない仕組みとなっております。

 そのため、御指摘のような、中身による思いも寄らぬ立件や、あるいは、それを恐れて政治活動メールまで自重するといった、そういう懸念は我々の案についてはないものと考えております。

 以上です。

井出委員 ありがとうございます。

 私も、有権者の政治参加を進めていくという点においては、有権者に難しい判断を迫るというよりは、できるだけシンプルであってほしいと思っております。

 第三者の選挙運動用のメールを解禁すれば、もっとその中身についてシンプルに、それが名誉毀損に当たるのかとか成り済ましとか、そういった、もっと有権者が判断しやすいところの議論になってくるのではないかと私は考えております。

 そして、四つ目の論点としてお伺いをしたいのは、きょうも出た話なんですが、投票率の向上、有権者の政治参加、そのためには、私は、よりインターネットの実態、現実に即した制度設計が望ましいと思っております。

 きのう、夏野参考人が、インターネット選挙が解禁されてうまくいけば選挙が百倍おもしろくなると。これが有権者にとって理解のしがたい法案になってしまえば、夏野参考人がおっしゃっていたように、さきの衆院選では、選挙が始まった途端、急に冷めてしまった、そういったことがまた起こりかねないのではないかと思っております。

 そういう観点から、今この法案が、メールとそれ以外のウエブサイト、そこにSNSも入っておりますが、両者をまず分けることに意味があるのか。そして、その扱いに差をつけていくことに意味があるのか。扱いに差をつけるというのは、ウエブはいいけれどもメールはだめという、今までさんざんあった議論であります。そこのところを、まず、自、公、維新の提案者の方にお伺いします。

橋本(岳)議員 メールとSNSとを分けることにどういう意味があるのかということで、なぜ分けたのかということについては、もう再三の答弁をさせていただいておりますので、割愛をさせていただきます。

 これも既に答えたことではございますけれども、確かに、インターネットの現状とか機能ということについて言えば、そんなに違いないよねという議論というのはあり得べきことであろうと思っております。

 ただ、同時に、現行の法体系でありますとか、やはり一般の方の日常生活にさわるかどうか、そして、選挙の公正性はどうなのかというようないろいろな観点がございまして、その中で、私たちとしては、特定電子メール法というのがあるという現状があるわけでございますから、これに準ずる形で一つの規制を設けてはどうかという御提案を差し上げているということでございます。

 もちろん、インターネットの現状という、そして、きのう夏野参考人が、SNSはよくてメールはだめという、こんな区別は難しいじゃないですかとよくおっしゃっていましたけれども、いや、あなたが一言で説明しているぐらいわかりやすいじゃないですかと思いながら私は聞いていたんですね。

 それで、例えば先ほどの、これが選挙運動用の電子メールとしてどうなのかという判断をというお話もございました。私は、主に三つの要件がということでお答えをさせていただきましたけれども、例えば、この言葉が名誉毀損になるかどうかという判断の方が、基準というのが実は難しい、よほど判断が難しいんじゃないかな、これは個人の感想として思っております。

 そういう意味で、やはり一般有権者の方にとって、いろいろな視点があろうと思います、いろいろな議論があろうと思いますが、そのような総合的な観点で、今回、私どものような案を提出させていただいたと御理解をいただきたいと思っております。

井出委員 重ねてお伺いしたいんですが、今回はストップをかける第三者の選挙運動用メールは、もちろんこれから、ゴールが同じというのであれば、一つ大きな検討材料にはなるということでよろしいんですか。

橋本(岳)議員 私どもの案でも、附則といたしまして、今後、候補者、政党等以外の電子メール利用につきましても検討するということにしております。

井出委員 確認の意味合いも込めまして、民主、みんなの提案者にも伺いたいのですが、メールとウエブサイトを分けることに意味があるのか、そして、今回出された両案で、よりインターネットの現実、実態に即したのはどちらだとお考えですか。

井坂議員 この法律案では、電子メールというのを、特定電子メール法の定義を用いて、SMTP方式または電話番号方式を使用した電気通信というふうにしております。これには、Eメール、SMSそれからウエブメールなどが含まれるということになっておりますが、実は、このSMTP方式または電話番号方式というのは、これは政省令で後から追加をされたものであるというふうにも承知をしております。逆に言えば、今、SNSに含まれている、いわゆる電子メールには含まれていないとされるツイッターやフェイスブックのメッセージも、場合によっては、今後、特定電子メール法の中で電子メールという範疇に含まれてしまう可能性もあるのかなというふうに思っております。

 この特定電子メール法に含まれるのか否かというのは、これは技術の進歩を後追いした法律上の違いという側面があるというふうに思います。いわゆる技術的な、本当の意味での技術的な違いですとか実用上あるいは生活上の違いというのは、それほど大きくはないのではないかというふうに考えております。

 その中で、SNSは解禁、逆にメールは罰則つき禁止という両極端な対応にするのは、これはネット上の原則に即しているとは必ずしも言えないのではないかなというふうに考えております。

 以上です。

井出委員 ありがとうございます。

 先ほど橋本議員おっしゃられたように、きょう、いろいろ質問させていただいても、やはり目指すべき方向性、今回の法案は解禁の法案なんだ、そこは本当に私もすごく理解をするんですが、であれば、よりインターネットの実態に即した、そしてまた有権者、特にインターネットを使っている有権者にわかりやすい方向に持っていっていただくことが、この法案の成立に最も意味のあることだと思います。

 こういう言い方がふさわしいかどうかはわかりませんが、今回、第三者の選挙運動用メールというものがずっと、そこが争点になっております。うがった見方、例えば、批判的な新聞の見出しをつけるとすれば、選挙メール規制法、そんな見出しをつけられないように、そういうことのないように今後の議論を進めていきたいと思うんですが、もう一度ちょっとそのあたりの所感をお願いいたします。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 現行の法律が、公職選挙法が、要は、インターネットについて言えばインターネット規制法案であるというふうに捉えざるを得ない状況であるという認識でございます。したがいまして、段階的にというところに井出議員は疑問を持っておられるんだと思いますけれども、私どもとしては、現行法からすればインターネットを解禁する法案なのだと言って間違いはないものと思っております。

 もちろん、将来的に、技術の進歩などに合わせて、あるいはどうなるかわかりませんけれども、解禁の法案が成立した暁には、そのような形で選挙が何回か行われるであろうと思います。その中で、いいこともあるでしょうし、アクシデントのようなことも、思いも寄らぬこともあるかもしれません。あるいは、技術の進歩も御指摘のとおりあろうと思います。そうしたことを含めて、やはり見直しというものはしていかなければならないというふうに思っております。

 以上でございます。

田嶋議員 現行法をベースにすれば確かに解禁という言葉になるんですが、前回も申し上げましたけれども、世界の中でこういう状況に置かれている国は日本だけであります。ようやく、今回、ここまで来まして、与党の皆さんにも御理解をいただいて、何とかみんなで当たり前に使えるものを選挙の中でも当たり前に使おうよ、ここまで来ている状況でございます。

 そういう意味で、やはり一般有権者、主権者たる一般有権者のメールだけ使えないというのは、これは私はほぼ禁止と同じに考えて仕方がないというふうに思います。

 それと、先ほど、ゴールは一緒かという質問ですが、ゴールに向かった方向性は一緒です。しかし、ゴールに永久にたどり着かない可能性もあるわけでございまして、私どもは最初からちゃんと全部実現しようと言っているんです。

 それに対して、ゴールの目の前まで来たけれども、今度の参議院選挙でいろいろ起きた、それは起きるでしょう、インターネットというのは不確実な世界です。いろいろなことが起きるでしょう。不確実な世界がインターネットの世界であります。しかし、そうしたことによって、やはりだめだ、やはりだめだというと、未来永久にメールが解禁されないことを起こしては絶対いけないのであって、原則全部解禁、だけれども、運用面でいろいろ工夫をして、悪いことが起きにくくしていくというのが正しいアプローチなのではないかというふうに考えている次第でございます。

井出委員 ありがとうございます。

 時間になりましたので、残してしまった質問はまた来週お願いしたいと思います。今の方向性とゴールにたどり着くかというところも、橋本議員とも、今いろいろお気持ちはあると思いますので、来週また議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 前回の質疑で、私は、企業の選挙運動に関して提案者にお聞きをいたしました。その際、企業、団体の選挙運動を禁止すれば八幡製鉄事件の判例に反するという答弁が自民党の側からありました。しかし、私はそれは違うと思っております。

 この判決は、会社の政治的行為の一環としての寄附についてのものでありまして、企業の選挙運動についての判決ではありません。これが第一点。

 しかも、答弁で引用された判決文のすぐ後ろにこう書いてあるんです。国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすかどうか、これが基準である。

 この判決で企業献金を容認したことは、我々とは見解を異にしておりますが、大事な点は、判決が、企業というのは本来国民の選挙権、参政権の行使に直接影響を及ぼしてはならない、こういう立場に立っているという点でございます。これが二点目です。

 その点でいいますと、企業の選挙運動というのは、国民の選挙権、参政権の行使に直接影響を及ぼす行為でありますから、むしろやってはならない部類に入るわけであります。

 したがって、この判決文を引用して企業の選挙運動を容認する論拠とするのは、私は筋違いであるというふうに思っております。判決をよく読んで理解して答弁をしていただきたい。初めにこの点を指摘しておきます。

 では、民主、みんなの党の提案者にお聞きしますが、具体的な内容になりますが、顧客名簿に基づく企業メールについてでございます。

 前回、企業が顧客名簿をもとに選挙運動用のメールを送ることについて、断られたところに何度も送ることはできないが、それ以外であれば送れます、こういう答弁でございました。

 もう少し具体的にお聞きしますけれども、顧客が商品案内をもらいたいということでメールを送って、その会社にアドレスを登録する、その後、商品案内も来る、その際、その名簿を使って、いきなり選挙運動用のメールが送られてくる。こうなりますと、それは目的外使用ということになってまいります。それは、前回、他の議員への答弁で確認をされました。

 では、会社が、顧客名簿に基づいて商品案内をメールで送る、その際に、そのメールの最後の部分に、誰々さんを当選させよう、こういう一文が書かれている。こういう場合は認められるのか、認められないのか、お答えをいただきたいと思います。

田嶋議員 個別具体の事案に即して判断というふうに言うべきなんだと思いますけれども、恐らくそういうケースは選挙運動メールを出しているということになると思いますので、主なところに営業用の言葉が書いてあっても、やはりそこに選挙運動メールを入れれば、それは選挙運動メールということになろうかと思います。

 そういう個別事例を、今後、実際の参議院選挙に向かって混乱のないように、これから私どもみんなでガイドラインというものをしっかりつくっていきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 次に、民主、みんなの提案者にお聞きしますけれども、有料ネット広告についてです。

 私たちは、有料ネット広告で選挙運動を行うということを認めることには反対でございます。

 当初、私も参加している各党協議で、民主、みんなの側からは、選挙運動用の有料ネット広告を候補者、政党に解禁してもよろしい、こういうふうにおっしゃっていたと思うんですが、法案では、選挙運動用については禁止、政治活動用の広告は政党と候補者に認める、こういうふうにされているようであります。

 選挙運動用について禁止をした理由について、お答えいただきたいと思います。

田嶋議員 もともと、有料のインターネット広告全般についても、候補者についても解禁するというような考え方も確かにありました。しかし、それは与野党協議の中で、やはり限定的に考えていった方がいいのではないか。それは、やはり際限なくということも考えられますので。

 現時点での私どもの案の唯一の違いというのは、自、公、維新案が、政党等に関して選挙運動をやっているサイトへ直接リンクを張られたバナー広告だけ認めるということに対して、それに加えて、私どもは、候補者に関しても同じことを認めていこうということでございます。

佐々木(憲)委員 ネットの上で政治活動用の政策広告を行うというのは、現在でも政党が行っているわけでありまして、我々は、政治活動の自由という観点から、これは基本的に保障されるべきものだと、政治活動はですね、思っております。

 民主、みんなの案は、政党だけではなく、候補者にも政治活動用の有料ネット広告を認める、こういう答弁でした。

 昨日の参考人質疑で三浦参考人が指摘しておられたように、今は候補者個人の政策広告は制限されている。参考人が言うには、法定制限以内であれば幾らでも有料広告ができるようになる、二〇一〇年参議院比例選挙で百八十七人の立候補者の平均支出額は約一千十万円、法定選挙費用が五千二百万円であるため、それに到達するまでには四千万のお金を投入できるわけであります。

 政治活動用であっても候補者に有料広告を認めるということは、金のかからない選挙ということからいうと、これに反するというふうになると思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。

田嶋議員 みんな平等に上限があるという点では、金のかかる選挙というか、お金持ちが有利になるということはないというふうに考えておる次第でございます。

 きのう、三浦先生のその発言を私も聞いておりましたけれども、それは、そもそも枠自体が大き過ぎるんじゃないかなという、そっちの方の議論もあるのかなというふうに聞いておりまして、やはりみんな平等のルールだという点に関しては変わらないものというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 枠が大きいかどうかという議論はあると思いますけれども、現状の枠を変えるという話ではありませんね、現在、提案者の場合は。したがって、現状の選挙費用と間が相当あいているわけですから、これを使ってネット選挙の広告も可能になるということはあるわけでありまして、参考人の御意見というのはなかなかリアルな話だなと私は受けとめております。

 さて、次に、現実に今テレビのCMとかラジオとか新聞一面広告などを出したりして、資金力で政治活動用の政策広告に差があらわれるということは現実にあるわけです。

 例えば、この広告に政党助成金を使う。政党助成金というのはもともと国民の税金であります。政党助成金を使って巨額の広告ができる。これは一体どういうふうに提案者はお考えなのか。両案の提案者それぞれにお答えいただきたいと思います。

逢沢議員 どういう意図で佐々木先生が御質問されておられるのかということをいろいろ考えながら今御質問を伺っていたわけでありますが、御承知のように、政党助成法に基づいて政党助成金が、日本にはきちんとした政党法がございません、政党助成法によれば、国会議員現職の五名以上を抱える政党が政党、その対象になる、そういう規定に基づいて支給をされているわけでございます。

 中選挙区から小選挙区に移行する大議論がございました。それに基づいて、やはり政党中心、政党の政策中心、そして選挙もあるいは政治資金も政党本位、政党中心でこれからの議会政治をしっかりとつくっていこう、そういう一つの理念に基づいてこの政党助成法も成立をしたというふうに理解をいたしております。

 政党助成金が現実問題、各政党、共産党を除くそれぞれの政党の相当部分の財政を支えているという現実はそのとおりでございますが、それぞれの政党の、まさに政党の判断、政治判断でどうそれを有効に活用していくか。その中のうちの一つとして、平素の政治活動、その政治活動の中でバナー広告を打つというのも判断の一つに入ってきているということは事実でございます。

 しかし、政治活動というのはあらゆる活動で構成をされているわけでございまして、その全体の政治活動をある意味で財政的に支える、それが政党助成金だ、そのように国民にも理解をいただいているものというふうに我々は承知をいたしております。

田嶋議員 佐々木先生の問題意識は、インターネット選挙運動の解禁とは直接関係はなかろうと思いますが、考え方としては、今、逢沢先生から発言があった内容と全く同じでございます。

佐々木(憲)委員 我々は全く違う考えがありまして、政党助成金というのは国民の税金でありまして、それは、個人個人の有権者が、自分が支持する政党に献金をする、これは国民の権利であり、自由な活動であります。ただ、それを国の制度で政治献金、大枠でいいますとね、そういうものを強制的に集める、そしてそれが支持しない政党にも使われていく、こういう形は果たしていかがなものか、思想、信条の自由からいってどうなのか、そういう疑問を我々は持っております。

 しかも、それを、政党が国民の税金を山分けして懐に入れながら、さあ、今度は消費税の増税だ、こんな話になってきますと、政治不信がかなり広がっていく、そういう要因にもなるというふうにも思いますので、私たちは、この政党助成金は廃止すべきである、こういうふうに考えております。

 次に、今度はネット選挙の運動の自由化に踏み出すわけですけれども、それ以外の現実の選挙運動、リアルの世界といいますけれども、これはなかなか、さまざまな規制が残ってしまうわけですね。音や紙では細かい規制が残って、例えば、選挙期間中に選挙政策をディスプレー上で表示することは自由でも、印刷して配る、あるいは見せる、張り出す、印刷して張り出す、こんなことはできないわけですね。これは何かおかしいんじゃないか、ちょっと考えますと。

 それから、この前の協議でも、当然そういう、選挙の現在の規制については今後改めていく必要があるのではないか、検討すべきだと。昨日の参考人質疑でも、日本の常識は世界の非常識である、こういう発言もありまして、これは非常に重要な課題だと思うんですが、それぞれ、今後どのように改善していくか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。

逢沢議員 将来を展望する中で、非常に大事な点を佐々木先生から御指摘をいただいたものというふうに思います。

 インターネットを選挙告示後、公示後に実際に使えるようになる、そのこと自体は我々は画期的なことというふうに思っておりますが、確かに、御指摘のように、その他の選挙運動として、我々が今まで行ってきたさまざまな活動あるいは広報物とのバランス、これはよく考える必要性が恐らく出てくるんだろうというふうに思います。

 例えば、法定ビラは個人演説会場とそれから街頭演説をやっているその声が聞こえる範囲でしか配れないでありますとか、選挙事務所に置いておいてそれを持って帰るのはいい、例えばそういう制約と、ネットを使えるような選挙とのバランス。ではどうなんだろうかな、恐らく国民の皆さんからもそういった指摘が出てこようかというふうに思います。広報物の量でありますとか、質でありますとか、あるいは種類でありますとか。もっとふやせというのかあるいはもっとコンパクトでいいではないか。あるいは法定はがきというのはどうなんでしょうかね。こんな議論も出てくるかもしれません。

 非常に大事な御指摘というふうに私どもも承るところでありまして、全体としてバランスのとれた、国民の、また有権者の皆さんから、よりよい選挙に参加ができる、そう評価できる方向をより一層お互いの努力で目指してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

田嶋議員 委員御指摘のとおり、おかしなことがたくさんあるかと思いますが、おかしなことを是正していくための大きな部分の第一歩が今回のネット選挙の解禁だろうというふうに思っております。

 そうはいいながらも、今、逢沢先生からあったとおり、まだまだやり残しもたくさんありますので、そこは私どもも検討条項ということで、附則の五条の二項ということで、各党協議をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 一つ、例を挙げますと、インターネットの解禁の中で、私たちは選挙後の御礼、挨拶、それは解禁をしていくということにいたしておりますが、それはいわゆるリアルの世界では解禁はされていない、禁止条項というふうになっております。

 それから、もう一つ言うならば、ファクスを送る選挙運動、これは今できないことになっておるんですが、おかしいという声もたくさんいただいてございまして、やはりそこも今後考えていかなきゃいけないというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

保岡委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 そもそもといえば、古い話ですけれども、総務省のIT時代の選挙運動に関する研究会というのがございまして、これでは、ホームページについてのみ選挙運動手段として是認することとし、電子メールについては引き続き現行法の規制を適用することが適当であると言っております。

 今の質疑を聞いておりましても、さまざま、現実との違い等はまだいろいろ乗り越えられていないのかなという気もいたしますし、その中において、今回の両案の主な違いが、やはり電子メールの解禁範囲、全面なのか一部なのかというところにありますので、今までの質疑も、その点に関して随分と質問があったと思います。

 インターネットの解禁ということにおきましては、ホームページで表示されるコンテンツ、文書、写真、動画については、ビラ、ポスター、選挙はがきといった枚数と使用方法に制限がある法定文書以外で頒布が許される文書として認められることに関した質問など、また、善意の第三者が選挙違反に問われないようにしたいとは思いますけれども、その可能性の有無に関しまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず伺わせていただきたいのは、メール送信に同意する旨の通知時期、時間というのは、どういったことなんでしょうか。選挙期間中に送信に同意してもらえるかなどを尋ねるメールを送信することは、違反となるのか。選挙期間前に送信に同意してもらえるか等を尋ねるメールを送信することは、事前運動に当たるのか。伺いたいと思います。お願いいたします。

橋本(岳)議員 お答えをいたします。

 まず、送信に同意をする旨の通知時期、時間などにつきましてでございますけれども、答えだけ端的に申しますが、私どもの法案では、それは、あらかじめというふうな表現になっております。したがいまして、例えば何日前までにとかそういうようなことがあるわけではなく、選挙運動用のメールを送る前にあらかじめという以上の規定はないものということにしております。事前に聞いてくださいということですね。

 それと、それが選挙運動に当たるかどうかということにつきましては、個別具体的な事案に即してということになろうかと思いますが、誰それの選挙運動用のメールを送信してもよいか、同意してもらえるかどうかというような確認の通知それ自体が直ちに公職選挙法の規定に抵触するものではないと考えております。

 ただし、その中身で選挙運動になるようなものが含まれているものでありますとか、そうしたものについては当然ながらそうなることも考えられるし、それが例えば選挙の直前でということになれば、事前運動になる可能性というのもあろうかというふうに思っております。

 以上でございます。

奥野(総)議員 我が方の法案では、電子メールアドレスをみずから通知した者に対して送信することができる、候補者、政党、それから一般有権者も含めて送信することができるということでありますから、事前に名刺交換をする等の行為があれば、いつでも送れるということであります。

小宮山委員 民みの方はそうだと思います。わかりやすいと思います。

 ちょっと、自公維さんの方ですけれども、衆議院選挙におきましては、突然の解散となりますので、あらかじめとおっしゃられました場合、あらかじめがいつになるのかなというのは非常に心配なところでございますので、その点、厳密にお願いいたします。

遠山議員 先ほど橋本議員がお答えになったことに実は尽きるんですが、ちょっと補足で言わせていただきますと、おっしゃるとおり、衆議院選挙の場合、突然の解散がございます。そうすると、あらかじめというのは、実際に解散になったところから起算して何カ月前ならあらかじめなのかとか、そういう問題というのは、実務上懸念を持たれる方がいるのは事実でございます。

 一方で、我々の案では、日常的にメールマガジンをとっていただいている方に、選挙期間中にあなたに選挙運動用メールを送っていいですかという問い合わせをして、明示的な拒否がなければ、その方々のアドレスに送らせていただくということも考えております。

 それから、みずから通知をした者といった場合に、名刺交換だけではなくて、例えばですけれども、私のホームページ上に一定のフォームをつくりまして、ここに、個人情報でございますので、あなたのメールアドレスを登録してください、そこのただし書きに、ここに登録をされた方々については、選挙期間中に私の選挙運動用メールが送られてくることを了承していただく方のみ登録をお願いしますというただし書きをつけておけば、実は、このあらかじめという時間概念はほとんどないに等しいわけでございます。

 私どもの改正案では、そういう形で集めさせていただいた電子メールのアドレスに対して、選挙期間中同意があったものと記録を保存した上で送ることはできるわけでございますので、そういったことがきちんと実務上確立をしていけば大きな混乱はないと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 それでは、紹介名簿を書き込めるファイルをホームページ上に用意して、またメールに添付して送信した場合、記入後のものをメールで返信をいただくことというのはいかがでしょうか。これは合法になるのか。現在の、記載されている内容によっては、先ほども触れられておりましたけれども、ファクスでの送受信というのは場合によっては違法ととられる場合がございますので、この点も明確に、法案で合法かどうかをお聞かせください。

遠山議員 小宮山委員の御質問は大変実務的に重要な御指摘が多くて、大変感謝しております。

 今の御質問でございますが、まず、候補者、政党、確認団体等が選挙期間中に紹介名簿のフォーマットをウエブサイト上にアップロードしたり、あるいはそのフォーマットを電子メールに添付して、有権者、支援者の方々にこのフォーマットに書き込みをしてくださいと送るということは、これは選挙運動用の文書図画の頒布には当たりませんので、これは合法になるわけでございます。

 さらに、私どもの提案している法案が成立した後には、そういった、メールにフォーマットを添付して支援者に送るという行為の、例えば文章の中とかに投票依頼に当たるような表現、つまり選挙運動に当たるようなものがあったとしても、その送信主体が候補者、政党は認めているわけでございますので、その観点からも合法と考えられますので、先生が今おっしゃったことについての違法性はないと考えます。

奥野(総)議員 ここは同じでございまして、そういうものをアップすること、仮にそこへアップしたときに投票依頼のような文言があっても、それはオーケー、そしてそれに記入して送り返すことも、これは文書図画の頒布には当たらないということでオーケーということになります。

遠山議員 小宮山委員、済みません、ちょっと答弁漏れがありました。

 支援者の方が政党や候補者から送られてきたフォーマットに書き込んでメールで送り返す行為は、これは書き込んだ時点で文書図画になってしまうわけですが、しかし、不特定多数の人に送り返しているわけではありませんので、これも法律上クリアされます。

 ただし、一点だけ問題になるのは、候補者や政党以外の者が、第三者が名簿フォーマットが添付された電子メールを転送いたしますと、我々の法案のもとでは、態様によっては送信制限違反にかかる可能性があるという点を補足でさせていただきます。ちょっと先ほど申し上げずに失礼しました。

奥野(総)議員 済みません。遠山委員の補足に、さらに我が方の案についても補足をさせていただきますが、文書図画の頒布には当たらないと申し上げたのは、先ほど遠山委員がおっしゃったとおり、不特定多数の者に送り返したわけじゃなくて、候補者、政党に送り返した、特定の者に送り返したということをもって文書図画の頒布には当たらない、記入したものについてですね。

 それから、一般有権者がこれを転送した場合については、場合によっては選挙運動に当たる。その場合は、さっき申し上げた、電子メールをみずから通知した者に限って送ることができる、こういう構成になります。

 以上であります。

小宮山委員 時間の関係もありますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

 では、ホームページ上に公選はがきのレイアウトを、PDFやイメージ図を載せ、用意して、それをプリントアウトしたものに知人の住所などを記入してもらい、選挙事務所に持参とかしてもらう。また、選対としてはそれらを取りまとめて公選はがきの取扱郵便局へ持ち込むというやり方は合法なのか、可能なのか、ぜひ簡潔にお聞かせください。

遠山議員 簡潔にお答えをいたします。

 公選はがきの取り扱いについて、インターネットを使って住所等を記入していただくという、その過程の中にインターネットを利用した方法をプロセスとして組み込んだ場合、これは合法かどうかという質問だと思いますけれども、可能でございますし、合法でございます。

奥野(総)議員 同じく、合法であり、可能であります。

小宮山委員 それでは、次ですけれども、ホームページ上のコンテンツを表示させた機器を第三者に見える状態に置くことはどうなんでしょうか。

 四日の参考人質疑では、候補者が動画をネット配信されて大型ビジョンに映し出される場合についての質疑がございまして、三浦参考人からは、候補者の動画を表示することは現行法でも禁止されているので違反という回答がございました。

 ここでは、みずから用意したディスプレーや、支援者、第三者が持参した端末に表示される場合について考えたいと思うんですが、現行法下では、例えば衆議院選では、政党用のポスターというものの総数が証紙で定まるなど、また、同一場所への表示枚数が制限があったりいたします。

 選挙事務所前や窓ガラス越しに大画面のインターネット接続表示機器を配置したり、あるいは、現行法下では違法であると認識しているけれども、街頭活動の現場でiPadに代表されるようなタブレット型の端末など表示機器でコンテンツが表示される状況というのは現行法では違法であると認識しておりますけれども、この法案では、あくまで選挙用のホームページのコンテンツを表示させているだけと解釈され、合法になるのか、ならないのか、お聞かせいただきたいと思います。

 また、不特定多数の方に対して表示機器を見える状態に置くことが利益供与とか寄附行為に当たり買収となるといった判断にもなり得るのか、このあたりもお聞かせいただければと思います。

橋本(岳)議員 簡潔にお答えをいたします。

 今回の私どもの法改正におきましては、文書図画の頒布について、インターネット上のものについてはこれを認めようということでございまして、議員が今問題提起されたのは、掲示についての問題でございます。

 私どもの改正案でも、この掲示につきましては一点を除いてさわっておりませんので、一般論としては、議員がおっしゃったような場合におきましては違法というものになります。ただし、その一点というのは、屋内の演説会場での映写につきましては解禁をしておりますので、それは今回、掲示につきましての規定を変えるものでございますが、それ以外の、屋外でこうやって見せびらかすとか、そういうものも掲示に当たると解されますので、規制されたままでございます。

 以上です。

奥野(総)議員 同じでございまして、今回の改正は文書図画の頒布について解禁するものであって、掲示については今回は解禁しない。掲示については公職選挙法の百四十三条で限定列挙ということで決められておりまして、一般的に言って、こうしたパソコンとかiPadのようなものに掲示する行為は、今回は認められないということであろうと思います。

小宮山委員 インターネットの配信、アップロードする行為はよいけれども、そのコンテンツを人に見せてあげる、見える状態に置くということが違反になるのかどうか。また、本当にインターネットの取り組みの様子を見るために、手元の一台のタブレット端末で示すぐらいだったら許容されるのか、複数台とか数が多くなれば違反になるのか、画面のサイズが大きいと違反なのか、小さいとそうでもないのか。

 最近、映画のプロモーションとかで、渋谷の交差点とかを多数の同じ服装をした人たちが歩いたりというようなこともあります。それと同じように、多くの人が自主的に集まるのかわかりませんけれども、支援者なのか第三者なのかわかりませんが、そういった活動で、見えるように持ち歩く、一人一人が集まってくるというような状況、さまざまなことも考えられます。このような判断については、場合によっては、個別具体の事案については合法、違法の判断というのはまだわかりづらい法案かとも思います。

 そうなってまいりますと、何が実際、第三者、善意の方がやってよいのか悪いのか、やはり悩むこともありますし、わからずに、結果としては残念ながら違法行為を犯してしまうということもあり得るのではないかと思いますし、それぞれの選管やそれぞれの警察、他陣営からの指摘などによって判断がぶれることもあり得るのではないか。

 わからない点がまだこの法案には大分残っている気もいたしますので、なお一層この点は具体的にしていくことが本当の意味でインターネットを解禁する大きな意味につながるんだと思いますので、この点はさらに答弁もいただければと思います。

 時間になりましたので、もし何かあれば、一言ずつお聞かせいただければと思います。

橋本(岳)議員 先ほどの質問にまず一個お答え漏れがございましたので、補足をさせていただきます。

 利益供与になるかという話でございますが、当然ながら、それを見ることが価値があるものにつきましては、利益供与だとかそういうものになり得るということはあるだろうと思います。そして、見せることが、個別の判断、具体的なとしか確かに申し上げようがない面というのはございます。

 それはもう公職選挙法そのものがかなり持っている問題であるということもありますので、引き続きましてそれはもう我々もできる限り明らかにしていきたいと思っておりますし、ぜひ議論していきたいと思っております。

 以上です。

奥野(総)議員 再三申し上げていますが、インターネットを使って皆さんに政治に参加していただく、熟議の政治に持っていくということが今回の目的でありますから、それを妨げるような適用の仕方、運用の仕方にならないように、ガイドライン等をつくっていきたいと思っております。

小宮山委員 ぜひ公正公平な、そういった制度をこの国会でつくり上げられたらと思っております。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

保岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件、特に衆議院議員選挙区画定審議会の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告」について調査のため、来る十一日木曜日、参考人として衆議院議員選挙区画定審議会会長村松岐夫君及び衆議院議員選挙区画定審議会会長代理吉田弘正君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十一日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十四分散会


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