衆議院

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第3号 平成26年10月28日(火曜日)

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平成二十六年十月二十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本  拓君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 良生君 理事 ふくだ峰之君

   理事 盛山 正仁君 理事 玉木雄一郎君

   理事 浦野 靖人君 理事 新原 秀人君

   理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    安藤  裕君

      井野 俊郎君    石川 昭政君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大串 正樹君    川田  隆君

      今野 智博君    白須賀貴樹君

      末吉 光徳君    田所 嘉徳君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      鳩山 邦夫君    藤井比早之君

      牧島かれん君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    務台 俊介君

      吉川  赳君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    寺島 義幸君

      井出 庸生君    國重  徹君

      坂元 大輔君    宮沢 隆仁君

      山内 康一君    佐々木憲昭君

      玉城デニー君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        二之湯 智君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君

   衆議院調査局第二特別調査室長           細谷 芳郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     牧島かれん君

  熊田 裕通君     青山 周平君

  助田 重義君     川田  隆君

  田所 嘉徳君     岩田 和親君

  鳩山 邦夫君     渡辺 孝一君

  宮内 秀樹君     末吉 光徳君

  篠原  孝君     寺島 義幸君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     熊田 裕通君

  岩田 和親君     田所 嘉徳君

  川田  隆君     助田 重義君

  末吉 光徳君     宮内 秀樹君

  牧島かれん君     石川 昭政君

  寺島 義幸君     篠原  孝君

同日

 理事浦野靖人君同日理事辞任につき、その補欠として新原秀人君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十月二十八日

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事浦野靖人君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に新原秀人君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山本委員長 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長稲山博司君及び法務省大臣官房審議官上冨敏伸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、ネット選挙運動について質問をさせていただきます。

 二〇一三年、昨年の七月の参議院選挙からネット選挙運動が解禁になりました。選挙前は非常に話題になったと記憶しております。ネット選挙が政治を変えるといったような主張をする方も大勢いらっしゃいました。選挙前はかなり盛り上がった話題だったと思うんですが、選挙が終わってみると、余り後追いの報道も多くないように思いますし、その後、国会でもほとんど議論された記憶がないということで、きょうは、昨年の参議院選挙から始まったネット選挙運動について質問をさせていただきたいと思います。特に、きょうは、ネット選挙を解禁してみてどういう成果があったのか、あるいは問題点があったのか、総務省の見解についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まず最初に、質問として、ネット選挙運動を解禁されたということで、実際の選挙の投票率あるいは投票行動にどういう変化があった、どういう影響があったというふうに総務省は分析されているのか、総務省の見解をお尋ねしたいと思います。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 昨年四月の公選法の改正によりまして解禁されましたインターネットを利用した選挙運動につきましては、一つには、選挙運動期間に候補者あるいは政党が発信できる情報が飛躍的にふえることが期待できること、また、政治と有権者の距離が一層近くなるといったようなことで、画期的なものでございました。昨年の参議院通常選挙から解禁されたことは大変有意義なことであったと考えているところでございます。

 一方で、お尋ねのございましたいろいろな影響でございますけれども、本年三月に総務省におきまして取りまとめました、インターネットモニター、二千人でございますけれども、これを対象とした調査をいたしております。

 解禁に伴って可能となりました、一つにはインターネットを活用した選挙運動情報への接触度という項目で見てみますと、昨年の参議院選挙あるいはその後の地方選挙で、累計で見ましても有権者の一割程度にとどまっているということがございました。

 しかしながら、一方で、他の項目でございますが、インターネット上の選挙情報を利用した方は、利用しなかった人と比べまして投票へ行った割合というものが一五ポイントほど高いといったような調査結果もその中から出ているところでございます。

 また、この調査では、インターネット運動がもたらす影響といたしまして、若年層の投票率が向上すると答えた有権者の割合が最も多いといったようなこともございました。

 投票率への影響につきましては、天候でございますとか、争点でございますとか、さまざまな事情が総合的に影響いたしますので、一概には申し上げられないところでございますけれども、このインターネット選挙運動の解禁によりまして、一定程度、有権者の投票行動や投票率に影響があったのではないかと考えているところでございます。

山内委員 一定程度影響があったということですが、いろいろな要素があるのでネット選挙だけではわからないというところも多いのかと思いますが、恐らく、前回の参議院選挙、昨年の参議院選挙は、解禁になってから準備期間が短かったので、候補者にしても、政党にしても、あるいはインターネットにかかわるいろいろな企業なんかも含めてですけれども、準備時間がなかったので限られた影響になったのかもしれないし、あるいは本当に、そもそもネットというのはそれほど選挙に影響しないのかもしれません。

 まあ、よくわかりませんが、恐らく今後の、次の国政選挙のときは、昨年の参議院選挙以上に、ネット選挙運動はより複雑化して、より利用する政党や候補者も多くなるんじゃないかなというふうに思います。そういった意味では、昨年の参議院選挙の問題点について検証していくということも重要ではないかと思います。

 次の質問ですが、昨年の参議院選挙の事前の段階では、国会での審議でも、成り済まし、あるいはデマ、誹謗中傷、そういったものがネットの世界では非常に多いんじゃないかという懸念がありました。国会の審議の中でも、そういう懸念をいろいろな方が表明されていたかと思います。

 では、実際に運用してみた結果、成り済まし、デマ、誹謗中傷、こういった問題は、参議院選挙、あるいはその参議院選挙から今までの間の地方選挙においてどの程度発生をしているのか、総務省が把握している範囲でお聞きしたいと思います。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 昨年七月の参議院通常選挙におけるインターネット選挙運動につきまして、問題になった事例というものを当省で全体像を把握しているわけではございませんけれども、新聞報道等によりますと、例えば選挙期日当日に選挙運動を行ったといったような事例、あるいは政党党首への成り済まし、あるいは同意を得ない選挙運動用電子メールを送信してしまった事例、あるいはネット上で政党党首を中傷するなどの誹謗中傷、こういったような事例があることは承知いたしているところでございます。

 全体でどうだったかという評価はなかなか難しいかと思いますけれども、いろいろなケースはあったわけでございますけれども、懸念されたほど深刻な問題ではなかったのではないかといったような論評もあると承知しているところでございます。

山内委員 具体的に、選挙違反で例えば逮捕されるとか摘発される、そういった例というのは実際あったんでしょうか。あるいは、そういうものを捜査する体制、総務省じゃなくて、もしかしたら警察かもしれませんが、そういった選挙違反に関する事件化したものがあったのか。それについてお尋ねしたいと思います。

稲山政府参考人 捜査の状況でございます。警察庁の調べによったものでございますけれども、昨年の参議院通常選挙におきまして、インターネットを利用した選挙違反者の逮捕の事実はないといったものは出ておるところでございます。

 また、その後の地方選挙における選挙違反の状況については把握をしていないところでございますけれども、その後、知事選挙等が行われた幾つかの団体に確認をいたしてみました。違反による逮捕の事実等はないということでございました。

山内委員 ありがとうございました。

 インターネット選挙運動解禁ということになりましたが、法律が通ってから選挙まで、そんなに時間がなかったこともありまして、十分周知徹底されていたかというと、ちょっと誤解している方も多かったと思います。インターネットで投票できるようになるんじゃないかというような誤解も、一般的には多かったようです。

 そういった意味で、どういう形で周知徹底を行っていたのか、あるいは、どの程度、有権者の方が、あるいは実際、候補者、当事者本人がこのインターネット選挙運動解禁について理解していたというふうにお考えでしょうか。

 それから、今後どういった形でこのインターネット選挙運動のあり方について広報していくか、周知を徹底していくか、そういったことについてお尋ねします。

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 インターネット選挙運動解禁に伴いまして、この周知徹底というのは大変重要なことと認識をしておりました。

 総務省におきましては、これは初めての試みでございますけれども、ネット選挙運動解禁啓発動画コンテストを開催いたしました。このほか、新聞広告、あるいはバナー広告、チラシ等を作成するなど、できる限りの周知啓発を行ったところでございます。

 内容といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、インターネット選挙運動の解禁によるメリットと申しますか、政治と有権者の距離が一層近くなるとかそういったような点、あるいは、よく誤解が生じやすい事項ではないかと思われました具体的な制度の説明といたしまして、有権者がウエブサイト等を利用した選挙運動ができるといったようなこと、あるいは、未成年者については選挙運動は引き続き禁止されているんだといったようなことを周知したところでございます。

 その結果、先ほど申し上げました、当省が実施いたしましたモニター調査によりますと、解禁の認知度ということは、そのインターネットモニターの方は大変高うございまして、八三・五%という形になっておったところでございます。

 一方で、これは大変残念なことなんですけれども、その調査の中でも、やはり誤解も多うございまして、候補者以外の方がフェイスブックやツイッターを利用して投票を呼びかけることができないと誤解している方が三四・四%であるとか、あるいは、インターネットを利用して投票することができるんじゃないかという、依然としてネット選挙運動の解禁とインターネット投票の解禁とをちょっと誤解しているような方も一八・八%といったような結果も出たところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、今後、総務省といたしましても、地方選挙もございますので、地方の選管等ともよく連携をとりまして、引き続き、制度改正の内容あるいは特に誤解しやすい事項等、工夫を凝らしながら周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

山内委員 実際に国政選挙を一度やってみて、その結果いろいろ問題点も出てきたと思うんですけれども、法律自体は議員立法の法律ですから、総務省が改正するものでもないかもしれませんが、その法律の運用に当たって、政令とか省令とかいろいろ、本当はここはこういうふうに変えた方がよかったとか、あるいはこういう項目を追加した方がよかったとか、参議院選挙を踏まえた反省というか教訓の上に、何らか総務省として対応を変えなきゃいけないと思われる部分があったら教えていただきたいと思います。

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 政省令レベルでの改正というお尋ねかと存じますけれども、昨年に成立いたしましたこのネット解禁にかかわる公職選挙法の改正でございますが、各党各会派での御議論を経て行われたところでございます。また、それに伴う省令改正も、この議論を踏まえて実施をさせていただいたところでございます。

 実際上、現行の規定の中で、これは選挙運動にかかわる項目でございますので、やはり法律事項ということで、政令なり省令を改正していくべき課題ということではなかなかちょっと想定はしにくいかなというふうに率直に思っておるところでございますけれども、いずれにしても、そのような場合でも、選挙運動のあり方にかかわる事柄でございますので、まずは各党各会派において十分御議論もいただき、その中で見直しが行われた場合には、当省といたしまして、必要な政省令の改正をしっかりやっていく、こういうことで対応してまいりたいというふうに考えております。

山内委員 ありがとうございました。

 確かに、選挙法ですから、役所というよりは、各政党、各議員で、議員立法でやらなきゃいけない問題でありますし、参議院選挙の前は、積み残しの課題が幾つかありました。例えばメールの全面解禁については、一回参議院選挙をやってみて、その後、各党でもう一回話し合いましょうということになっていたと思うんですが、その後、各党で話が進んでいるということもないので、恐らく、ここにいらっしゃる各党の議員の皆さんも含めて、今後話し合っていかなくてはいけない課題かなというふうに思います。

 次に、きょうは、せっかく大臣、副大臣、政務官がお見えであります。皆さんも自分で選挙を戦っていらっしゃるので、一議員としてあるいは一候補者として感想をお聞かせいただきたいと思います。

 選挙はがきとか選挙公報というのは公費で負担していただいています。総務省の予算で負担しているわけですけれども、これから、ネット選挙運動を解禁したということで、ネットをもっと有権者の皆さんに使ってもらおうとすれば、ある程度、公費でインターネット選挙を応援するというのもあってもいいのかな。

 何というか、選挙公報電子版じゃないですけれども、新聞をとっていない人とかも最近の若い人は多いですけれども、そういう人でも、結構、インターネットには毎日接続しているわけですから、公費でインターネット上の、立候補者の活動を紹介するようなサイト、選挙公報電子版程度でしょうかね、そういったものをつくるといいんじゃないかなと前から思っていたんです。選挙の公営費で負担した上で、候補者のサイトをある程度標準化してつくっていく、そういったことはいいんじゃないかなと思うんですが、お三方の御意見、御感想をお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 公職選挙法では、お金のかからない選挙を実現するということとともに、候補者間の選挙運動の機会均等を図る手段ということで選挙公営制度を採用いたしております。

 この公職の候補者のホームページというのは、インターネット選挙運動に関しては主要な手段でございます。しかしながら、その作成について、これを選挙公営制度の対象とするかどうかということについては、やはり、選挙運動にかかわることでもあり、各党各会派において十分に御議論いただく必要があると考えております。

二之湯副大臣 お答えいたします。

 もう今の大臣の答弁で尽きるわけでございますけれども、既に、新聞の広告費とか選挙用のはがき、あるいはポスター作成費等、公営でかなりの部分が選挙運動として賄われているわけでございます。

 もちろん、ホームページの作成というのは非常に重要な選挙のツールだとは思いますけれども、選挙運動にかかわることでございますから、各党会派の協議に委ねていきたい、このように思っております。

 以上でございます。

あかま大臣政務官 お答えします。

 基本的には、大臣、副大臣と同じ認識でございます。ホームページ作成費についてはという話でございます。

 ただ、今、山内委員が、おのおののホームページの作成ということを問うたのか、紙である選挙公報、新聞に折り込んでくる、あれのホームページ版を皆共通のという話でおっしゃったようにも聞こえたのでございますが、若い人たちがネットを通じて候補者を見るという部分では、ある一定の有効性はありながらも、その辺は各党会派でこのような電子媒体において広報するということをぜひぜひ御検討しながら、その有効性を見出す、またそのデメリットも見出すという方がよろしいのではないかな、そんなふうに思っております。

 以上です。

山内委員 今、あかま政務官がおっしゃった後者の方の印象でして、選挙期間中だけでもネット上で候補者の主張が一覧で比べられるようにする、そういったことであれば、機会均等にもなりますし、誰でも、ネットでつくるときに、ある程度、最低限の経費は負担してもらえるということで、そんなにコストもかからずに、より多くの有権者の目に政策を触れさせるという意義があるのかなと思って話をしました。一応、感想をお聞きしただけですので、それ以上は要求しません。

 ただ、今回、参議院選挙で思ったのは、インターネットを使ったら安く上がるという主張が非常に多かったと思います。インターネットというのは、ほぼ、つくるだけだったらただですから、選挙の費用を少なくして、より多くの人に主張を伝えるためには、安上がりだからいいという意見も多かったんですが、実際のところ、たくさん金をかけて業者に頼んだところが効果的にネット選挙をやっている、そういう実態もなくはないと思います。

 そういった意味では、ネット選挙について、余りがんじがらめの規制はいかがなものかと思いますが、お金のあるところが有利になって、そうじゃないところは不利になるというのはいかがなものかと思いますので、先ほどの選挙公報の電子版程度のものであれば公費で負担していくということも一つの手ではないかなというふうに考えました。それも、全国共通のテンプレートをつくれば、比較的安くできると思うんですね。そういったことも含めて、総務省でも御検討していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。おはようございます。

 連日、公職選挙法あるいは政治資金規正法違反、あるいはその疑惑が取り沙汰される案件が続いております。大変残念なことでありますし、これは我々、与野党問わず、国会議員がしっかりと改めて身を律していかなければいけない、そういう局面だと思います。

 よくメディアの皆さんも、国会の場で余りこういうスキャンダルの議論あるいは政治資金の話ばかりするなというようなことを言って、そういう論調もありますけれども、ただ、当委員会は、唯一、政治倫理の確立、また公職選挙法ということが委員会のタイトルで入っている委員会でありますので、ここでは正面からこういった議論をしていかなければいけませんし、しっかりと、国民にわかりやすくその点についてお伝えしていくことがこの特別委員会の責務であると思っておりますので、そういう観点からきょうは質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、大臣にお伺いしたいんですけれども、お二人の大臣が既に辞任をされております。大臣と同じ女性大臣ということで、大変注目をされた大臣でありますけれども、就任から大変短い期間で辞任に至りました。いろいろなことが理由で辞任をされたと思いますけれども、まず、お二人の大臣が辞任されたことに対して、総務大臣としてどのような御所見をお持ちなのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

高市国務大臣 お二人の大臣も、これからそれぞれの省でおやりになりたい政策があったことと存じます。しかしながら、国政の遅滞は許されない、そういうお考えから、みずから出処進退をお決めになったことと思います。大変短い期間での辞任となり、本当に残念に思っております。

玉木委員 大臣、お二人それぞれの理由があったと思いますが、そもそも辞任する必要があったと思われますか。

高市国務大臣 そのお二人それぞれの国会で取り上げられた問題につきまして、総務省では個別的な案件についての調査権を有しませんので、実際に法との関係でどうであるのかということをお答えすることはできません。

 しかしながら、自分が辞任をするかしないかというのは、やはりそれぞれの政治家が判断をされることであると思います。

玉木委員 それぞれ、公職選挙法あるいは政治資金規正法の違反の疑いがあるということだと思います。

 改めて大臣にお聞きをしたいのは、選挙というものはやはり民主主義の根幹をなすものだと思います。選挙というプロセス、手続、全てにおいて国民から疑惑を持たれるようなことがあってはならないというふうに思います。選挙にかかわる法体系、政治資金規正法、公職選挙法、それが主なものであると思いますけれども、選挙の公正性に対して、総務大臣として、これはしっかりと守っていかなければいけないという大臣としての思い、決意といったものを改めてお聞かせいただけますか。

高市国務大臣 公職選挙法及び政治資金規正法、それぞれ第一条にその目的が書かれてございます。一つは選挙、もう一つは政治活動において、それぞれ、公明正大であるべき、そのために法の規制がございます。

 私どもの日々の活動の中で、それはそれぞれ、国会活動が忙しい中で、うっかり記載ミスが発生したというようなこともあろうかと思いますけれども、気づいた時点でやはり速やかに修正もすべきですし、細心の注意を払って、このような間違いが起きないように、一人一人が襟を正して、緊張感を持ちながらやっていく、それが国民の皆様の政治への信頼を得ることになる、そう考えております。

玉木委員 ミスというようなものではないのかなと私は思います。単なる手続的あるいは形式的なものではないものもあると思いますので、そこはこれから、捜査当局も今動いておられるやに聞きますけれども、我々国会の立場からも、しっかりと事実の解明、そして国民に対する説明といったようなことを責任を持って行っていかなければいけないと思っております。

 その上で、少し具体的な質問に入りたいと思います。

 うちわを配ったとかワインを配ったとか、いろいろ有権者に配るというような行為、これが寄附の禁止に当たるということで幾つか問題になっております。公職選挙法の百九十九条の二だと思いますけれども、「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。」というふうにあります。

 まず、確認したいのは、当該選挙区内にある者であります。いわゆる有権者ですね。

 我々、特に衆議院の議員は、小選挙区に立候補すると同時に、いわゆる比例ブロックの、比例選挙にも重複立候補するというのが大体常であろうかと思います。選挙に大変強い方は、それを放棄して小選挙区のみの方もいらっしゃると思いますが、比例にもあわせて立候補している場合が多いと思います。

 確認したいのは、当該選挙区内にある者という有権者の定義であります。特に、あえて例を出しますと、北関東ブロックの場合だとわかりやすいんですけれども、群馬、埼玉、茨城とありますね、あと栃木ですね。そういった場合に、例えば群馬県の選挙区の方だと、当該小選挙区の有権者に対して物を贈ることは当然アウトだと思いますけれども、我々もよくつき合いの中であるんですが、東京の各種団体があります。そういった団体の長とか役員の方に何かをもらったり、あるいは儀礼的に贈ったりするようなことが一部あろうかと思います。それは、選挙区外だから構わないということで、そういったことが一部容認されてきたようなこともあるんだと思うんです。

 私が聞きたいのは、例えば、選挙区外だと思って、ある東京の団体のある方に贈った際に、その人の住所が埼玉県川口市だった場合、その場合は同じブロック内のある種広義の有権者に当たると思うんですけれども、公職選挙法第百九十九条の二が禁じる有権者の定義、これは、当該小選挙区だけではなくて、比例ブロック全体の地域の有権者を含む概念だと理解してよろしいかどうか、この点についてお答えいただけますか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 御紹介のございました公職選挙法百九十九条の二、公職の候補者等の寄附禁止の規定でございますが、公職の候補者等は当該選挙区内にある者に対して寄附をしてはならないという規定がございます。

 この公職の候補者等というのは三種類ございまして、現に立候補されている方、公職の候補者となろうとする方、それから現職にある方ということでございます。

 したがいまして、現職にある方は、当該選挙区については、現に当選されました小選挙区か比例のブロック内にある方ということになります。

 二つ目の、公職の候補者となろうとする方というのがちょっとややこしいのでございますけれども、例えば、次の衆議院議員総選挙における比例代表選挙等に重複して立候補表明等をしておられる方で、比例の候補者となろうとする者に認められるに至ったような場合には、これは、当該選挙区にはその比例ブロックも含まれるということになるところでございます。

玉木委員 ちょっと言い方が曖昧だったので確認したいんですが、現職の場合をもう一回教えてください。小選挙区か比例ブロックということをおっしゃられたんですが、それはアンドなのかオアなのか、もう一回明確にお答えいただけますか。

稲山政府参考人 これは、オアということでございまして、現に小選挙区で当選された方でしたらその小選挙区内の方、重複で比例で当選された方については比例ブロックということになります。

玉木委員 それは本当にそうですか。なろうとする者であれば両方に対してその規制が及ぶのに、当選して現職になってしまえば禁止の対象が当該小選挙区だけに限定されるということで、本当に立法の趣旨は実現するんですか。だって、その人は現職だったら、当然次の選挙には出ますよね。もちろん、高齢で引退される方もいらっしゃると思いますが、現職の場合には、この有権者が、百九十九条の二の対象が急に当該選挙区、小選挙区だけに限定されるというのは、それは本当にそれでよろしいですか。立法趣旨に反しませんか。

稲山政府参考人 繰り返しになりますけれども、先ほどの、公職の候補者等は当該選挙区内にある者に対し寄附をしてはならない、この当該選挙区内にある者がどこのエリアなのかという御質問だと思います。

 公職の候補者で現職にある方につきましては、その方の選挙区ということでございますので、これは、現に当選されました選挙区内にある方ということになるところでございます。

玉木委員 それは、今現職である者が次の選挙にも出ようという意思を持った時点で、候補者になろうとする者に該当することになりませんか。

稲山政府参考人 それは、なろうとする者になるケースは、時期、態様によってはあるかと存じます。

 例えば、もう総選挙とかが近づきまして、私は比例からも重複して出ますといったようなことを立候補表明されまして、比例代表選挙の候補者になるんだ、そういうふうに認められるに至る場合というのもあろうかと思います。そういった場合におきましては、その寄附禁止の対象になる当該選挙区といたしましては、現に今おられる選挙区だけではなくて、その次の選挙でもう明らかにこうだと言われている方が公職の候補者になろうとする者というふうに認められるに至ったときには、それは両方なり得るということはあろうかと存じます。(発言する者あり)

玉木委員 今、やじが出ていますけれども、これは別に、我々は与党を責めている話ではなくて、選挙の公正性をしっかりと確保していくことが大事だと思うんですね。

 それで、今選挙部長がおっしゃったようなことが認められるのであれば、現職になった者は、隣の選挙区あるいは隣の県に、ブロック内の県に対して、そこに住む者に対して、幾らでも寄附は可能になるということでもありますね。そうすると、ブロックの比例票の積み増しのために自分の選挙区以外のところに互いに寄附し合うということを、今の選挙部長の答弁だと、容認する、法律はそれを可能にしているということを今答弁いただいたと思うんですけれども、本当にそれでよろしいんでしょうか。イエスかノーでお答えください。

稲山政府参考人 繰り返しになりますけれども、重複立候補者に係る当選された方の選挙区というのは、その当該選挙区ということでございますので、小選挙区で当選された方はその小選挙区というのが当該選挙区ということになりますし、比例で当選されたということになりましたら、比例というのがその選挙区になる。

 規定自体が当該選挙区内にある方に対して寄附してはならないというふうになっておりますので、そういうことになろうかと存じます。

玉木委員 部長、私はこれは問題だと思いますね。公職選挙法が、法が予定している投票行動の平等あるいは公正性を確保するために、今の答弁は私は非常に問題だと思います。問題だと思われませんか。

 なぜなら、やはり、お金で、財物で票を買うことが可能になるからです。もちろん小選挙区の票は買えませんけれども、比例ブロックの票は、ある種金銭によって買うことができるようになるということを今答弁されたんですよ。それは本当に立法趣旨に照らしていいのかどうか。私は甚だこれは問題だと思います。

 繰り返しになりますが、これは別に、今、我々は野党だから、与党を何か責めるために言っているのではなくて、与野党は時にかわります。そのときに、財力のある者が、比例ブロックであっても、何かお金によって、価値のあるものを配布することによって票を得ることを一部容認するということが法律上認められているということは、民主主義の根幹にかかわると思いますよ。今、こういったことに対して真剣な問題意識を持てないということは、私は問題だと思いますよ。

 ですから、今、私は正直、これは両方とも当然有権者に入るという答えが返ってくるのかと思いましたけれども、そうではないということであれば、我々立法府にある者が、もしそういうことが許容される条文の書きぶりになっているのであれば、このことについてはしっかりと立法的な対応をしていく必要があるかもしれません。

 今、選挙部長お答えになりましたが、これは過去の判例とか司法の確定した判例等に基づいてお答えになったのか、有権解釈権限は、選挙部長が今おっしゃったことに基づいて確定するのか、このことだけ、最後、お答えいただけますか。

稲山政府参考人 判例等があったかどうかはちょっと記憶にございませんけれども、私ども、公職選挙法を所管している者といたしまして、そういった解釈をお示ししているところでございます。

 もとより、いろいろ御意見はあろうかと存じますが、現行法では明確にそういうふうに書いてあるかなと私は存じておりますので、いろいろその点について御議論があるとするならば、それは各党各会派の中でいろいろ御議論いただければ幸いでございます。

玉木委員 私、今の答弁は、きょう、余りそういう答弁をいただくと予定していなかったので、かなり意外だったので、この点については、これからも、当委員会を初めとして、引き続き問題を提起していきたいと思っております。

 予想以上に時間がかかってしまったので、ちょっと質問を飛ばして、もう一つ、民主主義の根幹にかかわる選挙の公平性、公正性について質問したいと思います。

 昨年の参議院選挙の際に、香川県の高松市において、開票作業による不正行為が行われました。これはゆゆしき問題であります。入っていた票が全くカウントされず、ある全国比例の候補者がゼロ票ということが出たことによって、さすがにゼロ票はないだろうということで調べた結果、不正が明らかになり、そして今、起訴されて、司法の場でこのことが引き続き議論に上っているわけであります。

 大臣にお聞きしたいと思いますが、こうした開票作業における不正が行われた原因と、そして、それを踏まえた再発防止策について、どういう対応をとられているのか、お聞かせいただければと思います。

高市国務大臣 まず、高松市の開票作業、この開票事務をめぐる問題につきましては、有権者の選挙への信頼性を揺るがす、ゆゆしき事態であります。これは、選挙を管理執行する側として、きっちりと対処する必要があると思っております。

 それで、今後このような問題が起きないように、原因という今御質問でございましたけれども、やはりこれは、各地の選挙管理委員会が、特にこの場合は高松市の管理委員会が、しっかりと選挙の公正確保ということに努めていただけなかったということに等しいと思います。

 九月十八日なんですけれども、総務省の選挙部に指示をいたしまして、選挙の厳正な管理執行を要請する通知を、まず全国の選挙管理委員会に発出いたしました。

 特に、来年、多くの地方自治体におきまして、議員及び長の任期満了による選挙が行われますので、総務省としても、引き続き、あらゆる機会を捉えて、まず、先般の通知の趣旨を踏まえて、事務の再点検をしていただくこと、それから法令遵守の徹底に取り組んでいただくこと、これを各選挙管理委員会にしっかりと要請を続けてまいりたいと思います。

玉木委員 九月十八日に選挙部長名で各選挙管理委員長に出しているのは、私も見せていただきました。

 問題は、今大臣がおっしゃったように、再点検をしなさい、管理執行体制の確立を図りなさい、こういうことが地方自治法第二百四十五条の四第一項に基づく助言として出されておりますけれども、今大臣がお答えいただいたように、統一地方選挙が来年の四月にあります。ですから、この再点検あるいは管理体制の確立、お願いしますと言いっ放しになっていますけれども、実際にできているかどうかの確認を、統一地方選挙の前に総務省としてしっかりフォローアップをする、こういうことをぜひやっていただけませんでしょうか。やるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

稲山政府参考人 高松市の件でございます。これは大変重大な、ゆゆしい事態であると私どもも認識をいたしております。

 まずは通知等を発出させていただきましたが、この中で、やはりそれぞれの選管が我が事として、過誤が発生し得る余地や不正が混入する余地がないかどうか等チェックしていただきたい、確認してほしい、それから、やはりマンパワーにおけるいろいろなノウハウの蓄積とかそういったようなことも大変重要でございますので、効果的な研修等の実施によりまして、持続的にそういった過誤や不正を防止する体制の構築というものを図っていただきたい、こういったようなことをお願いいたしました。

 今回の高松の事案は極めて特異なケースでございます。これを重く受けとめてはおります。来年、統一地方選挙の年でもございますので、これからあらゆる機会を通じまして、全国の選管を集めた会議や研修会などいろいろございますので、そんな中で、厳正な管理執行の要請をしてまいりたいと思います。また、どのようなチェックがされておるかといったようなことも、悉皆的にというのは難しいかと思いますけれども、よく聞いてみたいと思います。

玉木委員 要請するだけではなくて、しっかりフォローアップしてください。特に、統一地方選挙がありますから、二度と同じようなことが起こらないように、全国に対してもきめ細かく見ていただきたいと思います。

 なぜなら、日本国憲法の前文に、日本国民は正当に選挙された代表者を通じて行動しということが書かれております。やはり選挙は民主主義の根幹でありますので、その信頼が決して揺らがないように、しっかりとした体制を、総務省としても、そして大臣としてもとっていただきますことを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 おはようございます。次世代の党の坂元大輔でございます。

 連日、政治と金をめぐるスキャンダル、そして、公職選挙法違反、政治資金規正法違反の疑いがある事例がどんどんと出てきております。昨日の夜は、とうとう深夜二十四時の記者会見まで行われたわけでありますが、私も、この週末、地元選挙区の福山市に帰りまして、もういいかげんにしてほしいという有権者の方々の声をたくさん伺いました。恐らく皆様もそうであろうというふうに拝察をいたします。

 まさに、今、当委員会の名前どおり、政治倫理の確立というものが求められているわけでありますが、公平公正に資質ある議員を選ぶための公職選挙法を扱い、政治倫理を確立するために設置をされている当委員会に臨む姿勢を、改めて高市大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 選挙は民主政治の基盤をなすものであるということを考えましたら、この選挙制度や政治資金制度を所管する大臣として、非常にその責任の重さを痛感いたしております。

 特に、公職選挙法、政治資金規正法の目的、これは、選挙、政治活動が公明、公正、適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発展を期することにございますので、こうした法の目的を踏まえまして、今後とも委員の先生方の御指導もいただきながら、公正かつ明るい選挙の実現に向けて、職員ともども頑張ってまいります。

坂元委員 私、非常に難しいなと思うのが、我々は本当に特殊な立場でありまして、自分たちが選ばれる選挙の制度であるとか仕組みであるとかというものを、自分たち議員で、国会議員でつくっていかないといけないという部分が、非常にこれは難しい点であると思います。

 そういう中で、所管されている総務大臣として、そして与党の一議員としても、ぜひ高市大臣には、そういった、まさに政治倫理を持って、引っ張っていって、取り組んでいっていただきたいなというふうに思っております。

 我々次世代の党は、この一連の政治と金をめぐるいわゆるスキャンダルについて、当初より、こういった問題については、政治倫理審査会、政倫審で取り扱うべきであって、例えば、予算委員会であるとか経済産業委員会、法務委員会といったそれぞれの委員会は、それぞれが所管をする国政の重要課題がたくさんあるのであるから、国民が本当に関心を持っている、今であれば、消費税の引き上げの是非であるとか経済の問題であるとか、そういったさまざまなものをしっかりと議論していくべきであるということを当初から一貫して主張してまいりました。

 そういう中で、まさにこの倫選特委員会は、政治と金をめぐる問題であるとか政治倫理の確立というものを真正面から取り扱える委員会でありますので、本日は、この一連の問題について、一般論として問題の整理をさせていただこうというふうに思います。

 まず、公職選挙法では、有権者への利益供与というものを禁じております。利益供与というのは当然有価物の提供ということも含まれますが、有価物の定義を改めて確認いたします。お願いします。

稲山政府参考人 一般論で申し上げますと、公職選挙法百七十九条第二項におきまして、ただいま御質問ございました寄附禁止の「寄附」でございますが、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。」このように定義がされておるわけでございます。有価物ということで定義がされているわけではございません。

 このうち、「金銭、物品」と申しますのは、いわゆる財産上の利益の例示でございます。したがいまして、「その他の財産上の利益」の中には、こういった金銭、物品以外の、有体、無体を問わない財産上の利益も含まれると解されているところでございます。例えば、債務の免除でございますとか、労務の無償提供でございますとか、こういったものも財産上の利益に当たり得ると解されているところでございます。

 そういったことで、個々の事案が財産上の利益の供与に当たるかどうかということが問題になるわけでございまして、寄附に当たるか否かについては、個別の事案ごとに、個々具体の事実に即して判断がされるべきものと考えております。

坂元委員 では、ずばり伺います。

 うちわはその物品に当たるかどうか、そして、これは先ほど議論がありましたが、うちわを自分の選挙区内の有権者に無料でお配りをすることというのは寄附行為に当たるかどうか、この点について御答弁をお願いいたします。

稲山政府参考人 個別の事案につきましては、事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論ということでお答えを申し上げますと、うちわにつきましては、一般的な法解釈といたしまして、昭和五十年に大きな寄附禁止の公職選挙法の改正がございました。その際に、質疑集という形で、私どもの方から、公職の候補者等がうちわを選挙区内にある方に贈ることはできないとした例はございます。

 この解釈は、当時、五十年当時でございますので、一般的に普及したうちわを念頭に置いたものと思われます。これは、社会通念上、財産上の利益があるということを当然の前提に、一般論として示されたものと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、その後、うちわ、あるいはうちわ状のものというものは、時代とともにいろいろな態様のものがあらわれているところでございまして、個別の物品の頒布が寄附に当たるかどうかは、先ほど申し上げました、これが財産上の利益の供与に当たるかどうかで、個々具体に応じて判断されるということになろうかと存じます。

坂元委員 私が今回この問題を取り上げているのは、下手をすると、来年春の統一地方選挙で、全国でうちわが飛び交う選挙になりかねないというふうに思うわけで、これは本当に笑い事ではなくて、そういった曖昧な部分というのを残してしまうと、本当にそうなりかねないなというふうに思っております。

 ですので、あえて一般論としてお答えをいただければというふうに思いますが、先ほどの、一般的に言ううちわというものの定義、もっと言えば、うちわ風のチラシとうちわというものの差をどの点にあるというふうに、認めているというか、お考えでありますか、お答えいただきたいと思います。

稲山政府参考人 お尋ねのうちわ風のチラシというものがどういったものか、必ずしも定かではございませんけれども、例えば、候補者の方が、選挙運動用のビラという形で、必ずしも四角い形じゃないようなものを用意されて、ビラという形でお使いになっているという例も見受けられていることは、承知をいたしております。

 一般的に、ビラということになりますと、これは社会通念上、先ほど申し上げました財産上の利益というものには当たらないというふうに考えられております。例えば、名刺なんかもそうでございます。名刺のようなものとかビラというものは、一般的には、財産上の利益とは考えられていないところでございます。

 うちわとうちわ風のチラシがどうかというのはちょっとお答えしづらいわけでございますが、そういったような個々の事例に即しまして、具体の事実において判断されるべきものと考えております。

坂元委員 なかなか具体的な事例としてはお答えしづらいということでありましたが、これは、率直に申し上げて、地域ごとにもかなり差があったりするわけです。こういった点についても、総務省の方で、ガイドラインといいますか、ある程度の基準というものは示していかないと、地域ごとの差異もどんどん広がっていってしまうんじゃないかなというふうに思いますので、きょうはお答えはここまでということでありましょうが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続いての質問ですけれども、後援会が支援者向けに開いた会で、会費を実際にかかった費用より低くして差額を後援会が負担した場合、有権者への利益供与で公職選挙法違反という形になりますでしょうか。また、有権者にワイン等のお酒をお配りすることは、これも公職選挙法違反に当たりますでしょうか。お答えください。

稲山政府参考人 一般論で申し上げますと、後援団体に関する寄附禁止という規定がございます。

 後援団体につきましては、公職選挙法第百九十九条の五、一項におきまして、「当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。」というふうに規定されているところでございます。

 ただし、これには一定の例外もございます。

 選挙ごとの一定期間以外の期間におきまして、その後援団体が設立目的により行う行事や事業に関し寄附をする場合、これは後援団体の寄附禁止の例外といったようなことで、認められているケースもございます。

 一般論として申し上げますと、お尋ねのございましたような対価関係にあるものでも、その対価相当分を超えて財産上の利益の供与または交付がある場合には、その超える部分は寄附になるものと解されているところでございます。

 また、有権者にワインを贈るということでございますが、例えば、先ほど申し上げました、後援会が設立目的により行う行事、事業に関しまして行われたと認められるような、後援会員にそういった行事の中でお配りするという、こういう一定の例外に当たり得るような場合を除きますと、そのような事情がなく選挙区内の方に贈ったという場合は、これは公選法に定める寄附に一般的には当たるものと考えられます。

 いずれにいたしましても、何度も繰り返し申し上げておるように、個々の事案が寄附に当たるかどうかについては、それぞれの事実に即して判断されるべきものと考えております。

坂元委員 今の御答弁から私が考えるに、つまり、今回の小渕前経済産業大臣のケースというのは、ワインを贈った件でありますけれども、明らかに公職選挙法違反に当たるという解釈になろうかというふうに思います。

 何を申し上げたいかといいますと、先ほども少し言いましたが、きょうは法務省から大臣官房審議官もお越しをいただいておりますけれども、こういった一連のいわゆるスキャンダル、政治と金をめぐる問題をうやむやにして認めてしまっては、大臣の辞任という形だけでうやむやに幕引きをしてしまえば、今後、例えば、うちわが全国に飛び交ったり、ラベルつきのワインが飛び交ったりといった有権者への利益供与というものが行われてしまう、これを認める可能性があるというふうに思っておりますので、厳正に対処していただきたいというふうに思います。

 法務省として、この一連のケースに対して今後どう対応するつもりか、御答弁をよろしくお願いいたします。

上冨政府参考人 まず、個別の事案に対する捜査機関の活動に関しては、お答えを差し控えさせていただきます。

 また、仮定の御質問につきましても本来はお答えを差し控えるべきでございますが、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、常に法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、適切に対処しているものと承知しております。

坂元委員 法と証拠に基づいて、ぜひ厳正な対応をよろしくお願いいたします。

 続いてであります。私の選挙区は広島県福山市でありまして、実は、今は参議院でいらっしゃいますので広島県全体でありますが、宮沢新経済産業大臣のもともとの選挙区でもございます。

 今回、宮沢大臣についても幾つかメディア等で報じられておりますけれども、私がその中で本質的に意味が深いというふうに思っているのは、東電株を保有されている点であります。

 これは大臣規範にのっとって厳正に対処しているということでありましたが、現役の経済産業大臣が、時価二十四万円程度ではありますけれども、東電株を保有されているという点について、これは、私は、政治任用という点について、大臣も広く言えば政治任用でありますので、やはり利益相反がどうしても伴いやすい点が多いというふうに思います。それについてのしっかりとしたチェック、その仕組みづくりを行っていかないといけないというふうに、これは私は前々から考えておりました。

 きょう総務大臣にお伺いをしたいのは、今後は、地方自治体においても、例えば民間人を活用していくという点で、民間人を政治任用して地方自治体のしかるべきポジションについていただくといったことも多くなってくると思います。そういった中で、これはコンフリクトチェックというふうに専門用語ではいうらしいんですけれども、政治任用において利益相反についてのチェックをこれまで以上に制度としてしっかりと整備していく必要があるというふうに思います。

 例えば、そういった利益相反がないのかどうかというチェックを含む任用基準というものを明文化していくことであったり、事後的に利益相反が生じた場合の報告義務、退任基準、解任基準の明確化であったり、第三者による調査、監査などが挙げられると思いますが、こうした政治任用におけるコンフリクトチェックの制度整備についての大臣の御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 確かに、地方公共団体におきまして、幹部職員に民間人を採用されるケースというのはふえていくんだろうと思います。

 その場合に、幹部職員といいましても、例えば特別職であります副知事、副市長につきましては、選任するときに議会の同意を得るという手続がございます。

 それから、幹部職員であっても特別職以外の職員、一般職になりますけれども、その場合は、地方公務員法第十五条によって、職員の任用は受験成績や勤務成績その他の能力の実証に基づいて行わなければならないということで、能力主義による採用、これをとっております。この方々の場合は、いわゆる政治任用ではない扱いの幹部職員でございます。

 御指摘の利益相反の内容が必ずしも明らかではないんですけれども、先ほど説明しました後者の場合は、やはり能力主義の原則からいたしますと、採用というのは、あくまでもその職に必要な能力があるかどうか、ここで判断をされると思います。

 先ほど株式の話が出ましたけれども、例えば特定企業の株式を保有すること、それをもってその職務に必要な能力を欠くということにはならないと思います。

 ただ、地方公共団体の職員になりましたら、これは全体の奉仕者ということで厳格な服務規律が課されますので、例えば、私的な利害関係で職務遂行をゆがめた場合は、地方公務員法第三十三条違反ということで、信用失墜行為の禁止、これに抵触をいたします。だから、懲戒処分の対象になります。

 それからまた、適正な職務執行がされるようにということで、任命権者によりまして監督がされる。これは、当然、特別職も一緒でございます。

 あと、監査委員による監査があります。

 それから、議会による行政監視が行われる仕組みになっておりますので、私は、利益相反に伴う不適正な職務執行を抑止するための一定のルールというのは整っていると考えております。

坂元委員 もちろん、現行でも一定のルールというのはあるんですけれども、それが、かなり曖昧なというか、その地方自治体各自の判断に委ねられている部分が非常に多いというふうに思っておりますので、もう少し明確化が必要なのかなという意見を私は持っております。

 時間も迫ってまいりましたので、最後のトピックでありますが、私は今三十二歳でありまして、若い世代の代表だと思って、こうして国会に立たせていただいております。

 そういう中で私が危惧しておりますのが、特に若い世代の投票率が余りにも低いという点でありまして、この投票率の低さという点について、その原因であったり、もしくは投票率アップの手段について、大臣の御見解があれば、ぜひ伺いたいと思います。

高市国務大臣 ちょうど私の衆議院初当選の年齢でいらっしゃって、大変若くて、これから御活躍の期間も長いことと思います。

 その若い世代の選挙への参加ということでございますけれども、要因を一概にコメントするというのはなかなか難しいです。さっき部長がお答えしておりましたとおり、当日の天候ですとか選挙の争点ですとか、さまざまな要因があるんだと思うんです。

 ただ、明るい選挙推進協会が実施した有権者への意識調査、これは平成二十五年の九月から十月に実施されたものなんですが、投票に行かなかった主な理由として、政策や候補者の違いがよくわからない、選挙に関心がない、仕事や用事を優先するといった点が挙げられていて、特に二十代から三十代につきましては、選挙に関心がないの割合が最も高くなっております。

 ですから、総務省としては、一つは、期日前投票制度の創設などの制度改正、これは行われましたが、それから、商業施設などへの期日前投票所の設置、中山間地などでしたら、投票所への巡回バスの運行、こういった運用面の改善を各選挙管理委員会に要請しております。

 有権者が投票しやすい環境を整備する、この実効性のある方策、さらに何かないだろうかということで、今総務省の中に研究会を設置いたしまして、年末ぐらいに一応中間報告を出す予定で、その後も続行はいたしますけれども、とにかくその環境整備というものを進めてまいります。

 それから、周知啓発、これも、若い方々向けに、インターネットを活用するといった形での情報発信を行っております。

 最も重要なことというのは、やはり、国や社会の問題を自分の問題として捉えていただいて、自分で考えて判断をして行動してくださる主権者、それを育てていくことだと考えますので、引き続き、文部科学省と連携をしながら、学校においての主権者教育、これをしっかりと進めてまいりたいと思っております。

坂元委員 政治への関心を高めるというのは非常に本質的な部分でありますが、今大臣がおっしゃった、投票の機会を広げていくという点も、非常に大事だというふうに思います。

 そういう中で、私がこれは切り札じゃないかなと思っているのが、インターネットによる投票であります。ネット投票ですね。

 なかなか技術的な課題、いろいろな課題はまだまだあるんですけれども、やはり、今、特に、若い世代は例えば本も、見つけたい本があればネットで買い、銀行の決済もネットで済ませるというような世代ですので、そういったネットに親しんでいる世代、これは、実は高齢者にとっても、投票所まで行かなくていいという部分も出てきますのでメリットはあるんですが、このインターネット投票というものに対しての大臣のスタンスを最後にお伺いして、私の質問を終わります。

高市国務大臣 確かに、インターネットを利用して投票できましたら、これは、シニア世代の方も、障害をお持ちの方も、また若い方々も含めて、みんなが大変利便性を高められる、そういうことになるんだろうと思います。

 インターネット投票につきましての幾つかの課題ということで委員からもお話ありましたけれども、一つは、投票内容が外部からのぞかれる可能性はないかとか変更を加えられる可能性はないかとか、それから、端末を操作して投票されたのが御本人であるのかどうかをどう確認するか、こういった課題があります。それから、第三者による立ち会いがない中で、選挙人が外部からの影響を受けずに自由意思によって投票できる環境、これをいかに確保するかという課題もあります。

 諸外国の例も見ながら、例えばエストニアなどではやっておりますので、今後、技術的な面、それから制度的な面で十分環境整備の状況を見きわめた上で、国民的なコンセンサスも得ながら検討されるべきものだと思います。

坂元委員 ぜひ前向きな議論をしていきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。以上です。

山本委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 維新の党の新原でございます。

 本日、理事に選任いただきました。頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 前任者の御質問を聞いていまして、現行の公職選挙法というのは曖昧なところがありまして、割と、恣意性といいますか、現場で判断するみたいな、いわゆる個別で判断するみたいな御答弁等が多くて。

 先ほどの総務大臣のお話では、公職選挙法の目的というのは公平性を担保することとされておりましたけれども、やはりそこが一番大事なことでありまして、お金を持っている人が通りやすいとか、二代目の人が通りやすいとかではなくて、本当に政治をやりたい、日本をよくしたい、地方をよくしたいという人が立候補して、正々堂々とやりながら、公平性を保って選挙をして通っていくという根本的な目的があると思うんですね。

 ただ、いろいろ質問と答弁をお聞きしていまして、個別によって違う、地域によって違うというようにも聞こえる御答弁も政府の方からありましたので、そういった意味で、大臣として、地域性を含めて、個別案件等について、本当に、この公職選挙法、公平性が保たれ、そして、逆に、今回、政争といいますか、いわゆる大臣がああいった形にもなっていますが、そういったことよりも、根本的には、もともと、皆様に開かれた選挙にするということがあったと思うんですけれども、その点について、大臣はどう思われますか。

高市国務大臣 まず、公職選挙法の目的については、この第一条において、「日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」とされております。

 また、公職選挙法の中に規定されております、公職の候補者の寄附等の禁止につきましても、お金のかかる選挙を是正し、選挙の浄化に資すること、これを目的といたしております。

 やはり、物すごく大事なのは、これまで何度にもわたって、公職選挙法、そしてまた政治資金規正法などの見直しが行われてまいりましたが、その都度何か問題が発覚して、これはどうなるんだろう、やはりよくないよねということで、長年にわたって行われてきたんですけれども、やはり一つは、国民の皆様、有権者の方々にも、例えば、もらっちゃいけないんだ、これはお金のかからない選挙のためにこういう改正がなされたんだということをもっともっと周知していかなきゃいけないということを痛感しております。

 議員同士で話しておりますと、過去の習慣などの中で、手ぶらで行ったら怒られるとかいうような話を聞くなり、やはりこれは法改正の趣旨が十分徹底されていない、こういうことを考えますので、これは、限られた政府予算の中ではありますけれども、来年地方選挙もございますし、何とかもう一度、わかりやすい形で広報を行いたいなと思っております。

 それから、では公職選挙法が、これは、地方によってというよりは、その一つ一つの個別の事例によっていろいろなパターンがあるので、それによって、捜査の中でそれが明らかにされ、最終的には司法が判断する。そこで、総務省には個別的な調査権がありませんので、どうしても一つ一つの事例について明確なお答えができないということであります。

 ですが、政治活動や選挙運動のあり方については、まさにこれは選挙制度の根幹にかかわる事柄でありますので、やはり、これまで累次にわたって改正をされてきた、しかも議員立法での改正が続いてまいりましたから、これもまた、各党各会派において御議論いただきまして、その結果を踏まえながら、総務省として必要な対応をしてまいるということになろうかと存じます。

新原委員 大臣、御丁寧な御答弁ありがとうございます。個別案件によって違うと。地域によって違うというのは、ちょっとその辺は、僕の言葉が下手でした。

 ただ、思いますけれども、例えば、たすき一つにしても、ある地域に行けば全員たすきに名前を書いているから、そこの候補者は、まあこれは事前運動の話ですが、つまり、言うてみたら、たすきに名前を書いているというのもオーケーな地域もあれば、たすきに名前を書いたら違反なので全員つけていないという地域もあったりして、僕は兵庫県に住んでいるんですけれども、兵庫県内だけでも、みんながやっているからいい、みんながやっていないからだめというような、いわゆる現場の認識のような例があるんですよね。そういったことは、公職選挙法という意味でいうと、本当にいいのかなと。

 やはり、もうちょっと、総務省が先頭に立って、これはだめですよというのを、絶対だめなことは、もちろん判例なり、いわゆる選挙管理委員会に伝達するのかわかりませんけれども、そういったことを、地域では割と公平にはなっているんですけれども、全国的に、ある程度、地方選挙も含めて、公平性を保っていくことが大事かなと思っているんですね。

 私も、市会議員、県会議員選挙を経て国会議員選挙になったんですが、国会議員、衆議院、参議院というと大きい票をとらないとだめなので、どちらかというとそういう小さな違反というのはないんですけれども、市会議員とか、特に町会議員とかになってくると、本当に小さなことが功を奏して、それによって当落が決まるということもありますので、そういったことを含めて、やはり、もっと総務省がそういった判例なりを提示していくべきだと僕は思っています。

 そういった中、これは恥ずかしいことなんですけれども、私が神戸市会議員に一回目に通ったときに、私の運動員が逮捕されて、結局、略式起訴になりました。それは、一回目の選挙ということで、本当にこういったことがわからないということで違反になった。僕は連座制には問われませんでしたけれども。

 公職選挙というのは、生徒会とかのレベルといいますか、簡単に、通りたいというだけでやって、後で結局違反になったとかということになりますと、有権者の方々、応援してくれた方々を、政治に対して、選挙に対して失望させることにもなりますので、そういったことは、やはり実例を挙げて、これはだめ、こういったことはいいということを、本当に、もっともっと、新人といいますか、初めて立つ候補者等には周知徹底してもらう。

 例えば、そのときに、我々の事件のときに、公職選挙法というのは、知っていれば違反ですけれども、知らなければ違反ではないと言われたんですね。警察等で取り調べを受ける、運動員全員が呼ばれますよね、そういったときに、結局、知っていてやったと言わないと違反にならないんですよ。これは公職選挙法にそういうふうに書いてあるんですよね。つまり、知らずにやった、知らないと言い切れば、違反じゃないんですね。

 言うてみたら、ある原因で現場で運動員が取り調べを受けたときに、知っていてやったのかということを延々聞かれるんですよね。それで、知っていてやったというふうに答えるまでずっと拘束される。これがほんまにいいんか。

 我々のときは、もちろん二十以上ですけれども、学生がそういった形でやられたんです。言ってみたら、男の子は、そういったことは後で就職に影響するよと言うたら、すぐ認めて書いたんですけれども、女の子らは、知らない、そんなことは全然知らないし、私らがそんなものを知っているわけないでしょうと言い切ったら、結局大丈夫だったんですよね。同じことをしてですよ。

 この公職選挙法、知っていては、だめで、知らなければ、ならない、こういったことがあるんですけれども、この点、総務省としてはどういう御見解なんですか。

稲山政府参考人 的確な答弁かどうかはちょっと自信がございませんが、私ども、公職選挙法を所管いたしておりまして、いろいろ問い合わせ等がございます。選挙管理委員会あるいは候補者の方とか、いろいろな方がいらっしゃいます。そんな中で、私ども、一般論として、現行法の解釈等をお伝えいたしております。

 そういった中で、いろいろばらばらじゃないかという御指摘もございましたが、一定の統一性の確保といった面でも、そういった解釈をお伝えするといったようなことがかかわっているかなというふうに認識をいたしているところでございます。

 お尋ねの件は、犯罪に、いわゆる故意であるとか過失が要件になるのかならないのかといったようなことだろうと思います。私が申し上げることではございませんけれども、犯罪の成立には故意といったようなものが一般的には必要だといったようなことにかかわる事柄かなと思います。

 そういう当てはめの問題、違反するかどうかということにつきましては、先ほど大臣より答弁がございましたように、検察当局等の捜査機関による具体的な事実関係の捜査が行われまして、最終的には司法により判断される、こういったようなことになっていると思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 そうなんです。故意でなかったら、つまり、知っていなければ故意でないので、そういった意味で違反にならないというふうに警察、検察等にお話を聞きました。

 例えば、運動員にお金を渡しますと、もちろんそれで違反なんです。だけれども、事務員というのは、何人かまではオーケーですと。お金を払っていましても、例えば事務員が、何とか新原をよろしくお願いしますという電話をかけますと、これは、事務員が一回でもやったら、ほんまは違反なんですよね。だけれども、休憩時間にやったと言うたらオーケーなんです。つまり、言うてみたら、事務をやっている時間以外に私はボランティアをやっていましたと、例えば警察に調べられたときに、そういうふうに返答すればオーケーなんですよと警察から言われましたからね。そんなことは、運動する前に、ちゃんとみんなに教えておかないととね。

 だから、教えていなかったというか、つまり、言うてみたら、運動員はお金をもらったらだめやというふうなことを全員に周知していなかったというミスが我々の方にもありましたけれども。

 また、ウグイスとかでも、ウグイスにはお金を払ってもいいですけれども、ウグイスさんは車からおりてチラシを配ったら、選挙運動ですからだめというところもあるんですよね。つまり、手を振っても運動ですよと。これは、その地域の警察それから検察の判断でどうにでもなるんですと、そういうことも言われたんですよね。そういうふうな、曖昧な公職選挙法。つまり、ウグイスさんは、選挙運動をしたらだめです。車の中で、いわゆるウグイスといいますか、お願いしますと言うだけなんですよね。

 そういったことも、現場で僕も何回か選挙をしてわかったことで、初めての人なんか絶対わからないです。だから、もちろん、悪気か、悪気がないかということで、故意、故意でないという言葉が入っていると思うんですけれども、そういった現場に、今度統一地方選挙がありますから、もっともっと、こういったことはだめと。

 今回、うちわの話がありましたけれども、うちわはだめだというふうに言っている選挙管理委員会もあれば、そういったことを言っていない選挙管理委員会もありますし、逆に、丸い紙に穴をあけたうちわみたいなものだったらオーケーみたいな選挙管理委員会もあります。

 だから、そういう意味で、さかのぼってはだめだと思いますが、さかのぼってこれはだめでしたというのはあかんけれども、例えば松島法務大臣のこんなことがありましたけれども、今後はこういうのはだめですというふうにもし決めるんだったら、早く決めて、周知していくべきだと僕は思うんです。過去にさかのぼって、だめでしたからだめですというのは、それがどうか判断するのは検察、警察の話ですけれども、今後はこれをやったら一発でだめですよと。

 何かポスターを張るにしても、ちょっと一回、二回注意されて、そうしたらもうそろそろやめようかみたいな、変な、現場の、言うてみたら、甘い考えといいますか、いわゆる注意が先に来るやろうみたいな感覚も、統一地方選挙、市会議員選挙、町会議員選挙等では、結局、現場は、みんながやっているからええやんかと。お金や物を配った、こんなのは一発でアウトですけれども、例えば運動については、そういったことで、本当にみんな、一生懸命、通ろうとして、それは、悪気があるのか別に悪気はないのかはともかくなんですけれども。

 もっと判例を出してもらって、判例といいますか、そういった実例、こういったことはだめですということをもっとアピールしていただきたいんですけれども、その辺、今後、今回の騒動を含めて、どのように総務省の方では考えられていますか。

稲山政府参考人 いろいろ、選挙運動の方法なりにつきまして、選挙管理委員会等における統一性確保の観点から、私どもの方で一定の解釈なりを示していくということの御指摘だと思いますけれども、先ほども御答弁させていただきましたように、一般論として、お問い合わせが多いものでございますので、解釈はお示しをしているところでございます。

 ただ、ちょっと申し上げますと、例えば選挙運動に当たるのかどうかといったようなものにつきましては、公職選挙法で実は定義があるわけでもございません。長年の判例等により積み重ねられた要件というものがございます。それはやはり、個々具体のケースで、時期とか態様により変わってくる、こういうものでございますので、今申し上げました選挙運動一つとってみましても、そういったような限界があるわけでございまして、選挙運動なり政治活動の実態等を踏まえますと、いろいろ、多様なケースが多いといった、限界があろうかと思います。

 一般的に、いろいろお問い合わせがあった中で、一定の解釈をお示しし、それを選挙管理委員会等に徹底していくといったようなことは重要だと思っておりますので、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 つまり、総務省としては、今まで、現場の判例とかで違反になれば、そういったことはだめだという形で言っていくという方向。それはわかるんです。

 そうしたら、お聞きしますけれども、例えば、うちわを配って違反になった判例はあるんですか。

稲山政府参考人 全体を把握しているわけではございませんが、私は承知いたしておりません。

新原委員 ありがとうございます。

 つまり、判例がないということは、今後、判例にしていかないとといいますか、言い方は悪いですけれども。だから、結局、そうなるんですよね。

 そうしたら、お酒。ほかの県でいいましたら、例えば、先日も、兵庫県の県会議員が地元でビールを配ったということで、があっとたたかれました。お祭りにですね、お祭りに持っていったと。しかし、これは、誰がお金を出したかわからないということで、結局、起訴猶予かそういった形になっております。

 つまり、ワインを配ってどうのこうのというのもありますけれども、結局、現場現場でそうなっていますので、やはりここは、統一見解として、こういうのはだめ、ちょっとでもだめと。金額によるものじゃないと思うんですよね。やはり、そうした方が、政治家というか、政治をやっている者や選挙を目指している者も楽だと思うんです。それは違反だから無理なんですと。持ってこいと言うところ、いっぱいありますからね、祭りとか。ほんま、そうなんですよ。逆に言うたら、僕らの方も、そういうふうに決めてもろうた方が絶対楽なんですよ。

 だから、そういう意味で、例えば香典にしても、何ぼ包むねんという話だったら、本人が行っても、親族以外は三千円以上はだめとか、そういう感じに、金額等も含めて、何かきっちりしていった方が僕は政治にお金はかからないような気がいたしますので、そういった面では、今後検討していただきたいということです。

 最後に、つまり、公職選挙法というのは、当初は自由だったんですけれども、どんどんどんどんいわゆる規制がかけられて、変わってきているということなんですね。そういった中で、ほんまに、議員自身が考えて、議員立法で変えていく。公職、僕らが選ばれる選挙法という中において、定数だけではなくて、選挙法ということ自体も、やはり外部の有識者を入れて、意見を聞いて、その人らの御意見によってある程度議員立法もしていく。もちろん、そういうふうなことをもうやっているんでしょうけれども、そういったことを、やはり、通常、常任的に置いてどんどんやっていくべきだと私は思うんです。

 そういった意味で、今後、結局、公職選挙法自体ももう百年近くたっているので、つまり、その時代に、例えばちょうちんを使うとか、ちょうちんなんて使いますかみたいな話もありますし、まあ、使うところは使っているんでしょうけれども、だから、そういった意味も含めて、実際の現場に即した公職選挙法を一遍検討してはどうかなと思っているんですけれども、その点、副大臣としてはどう思われますか。

二之湯副大臣 今ずっと委員の意見を聞いておりまして、私も、この世界、四十五年たつわけでございますけれども、かつては、本当に、この公職選挙法が各地方、各地域でまちまちだなと、それぐらい選挙風土が違ったわけですね。昔は、どの地域でも選挙のときに炊き出しをしておった、お昼も夜もそういうことをやったけれども、今日は、ほとんどない。あるいは、会費以上のものを求められる、そういう懇親会もなくなってきて、だんだんだんだん飲食に伴う費用は非常に下がってまいりました。しかし、地域崩壊がだんだん進むことによって、有権者の目がなかなかわからなくなってきて、宣伝広報費に非常にお金がかかるようになってきた。こういう経過があるわけですね。

 ただ、金がかからない選挙、優秀な若い人が出やすいという環境をつくっていかなければならないのは当然でございますけれども、第三者の委員会を立ち上げて公平に公職選挙法の問題点を論議していただくのはいいんですが、その先生方も現実の選挙というものはよくわからないので、ここは、政治家自身が、襟を正して、自粛して、また、各政党で一つの新しい倫理を確立する、こういうことが私は大事なことではないかと思います。

新原委員 副大臣、御経験に基づいた御答弁をありがとうございました。今後も頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

山本委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。きょうは、よろしくお願いをいたします。

 私は、法務委員会の方にも所属をしておりまして、さきの委員の先生方も御指摘されたうちわの問題を少し伺いたいのです。

 うちわというものは、さっき選挙部長がおっしゃられた選挙関係実例判例集、また各都道府県の選管のホームページ等を見ても、うちわはいけませんよという記載のものがあるので、私は、うちわはだめだ、そういうふうに思っているんです。

 選挙部長にまず伺いたいのです。

 先ほどおっしゃられた昭和五十年の選挙関係実例判例集、「候補者等が、その名入りのうちわやカレンダーを選挙区内にある者に対して贈ることはできないか。」これが問いなんですけれども、それに対して、「お見込みのとおり。」と。

 お見込みのとおりという言い方が、私は昭和五十年当時のものなのかなと思っているんですが、まず、この選挙関係実例判例集というものは今も有効であるということを確認しておきたいんですが、いかがでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御答弁申し上げましたが、御指摘のございました質疑集でございます。これは、昭和五十年の公職選挙法改正に際しまして、一般的な法解釈を示すものという形で出したものと承知をいたしております。大変大きな寄附禁止の改正があったときに、あわせてお示ししたものでございます。これは、五十年当時、一般的に普及していたうちわを念頭に置きまして、先ほど来御議論ございました財産上の利益のあるということを前提に、一般論として示されたものと考えております。

 もちろん、その質疑集の見解というものは、今なお有効ではございます。ただ一方、いずれにいたしましても、うちわ、あるいはうちわのようなものというのは、時代とともにさまざまな態様のものがあらわれているところでございまして、個別の物品の頒布が具体的に寄附に当たるかどうかといったことにつきましては、それが財産上の利益の供与に当たるかどうかということで、個々に判断する必要があるというふうに考えております。

井出委員 さきの委員の先生とのやりとりの中で、うちわの関係の判例は承知をしていないと。私も、判例は、調べた限りではわからなかったです。この実例判例集にうちわが入っているというのは、今おっしゃったように、昭和五十年当時、一般的に普及していたうちわを念頭にと。ですから、私は、やはり実例があってこういうQアンドAができたと思っているんですね。今回、もう一件そうした実例が出てきたとも言えるようなことだったのではないかと思っているんです。

 先ほど私は、これは今有効だとおっしゃっていただいた。ただ、時代に応じて、うちわやうちわ状のものがいろいろ出てきたと。選挙部長にそういうことは言っていただきたくないんです。もっとびしっと、有効だと言っていただきたいんです。

 では、選挙部長に伺いますが、一般的に普及していた昭和五十年のうちわと今我々が一般的に考えているうちわというものは違ってきているとお考えなんですか。

稲山政府参考人 いろいろな形により、うちわだ、うちわじゃないというお話がございまして、公職選挙法に、うちわはこういうものだと書いてあるわけではもちろんございません。

 したがいまして、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、かつてのうちわというのは、恐らく竹でつくられて、一般的には、もうそれは議論するまでもなく、一定の財産上の価値というものが社会通念上認識されていたようなことではなかったかなと思います。そういった前提で、このような質疑集を出させていただいたということでございます。

 ビラ状のものであるとか、そのものがうちわなのか、うちわじゃないのかといったようなことがいろいろ御議論されているわけでございますので、それは、やはり根本に立ち返って、財産上の利益に当たるのかどうかという観点で個々に決するしかないというふうに考えておるところでございます。

井出委員 済みません、答弁が後退したように感じられて、大変残念なんですが、一般的に普及しているうちわはだめだということは、これからも堅持していただけますね。

稲山政府参考人 先ほど申し上げたとおり、質疑集につきましては、今なお有効であると考えております。

井出委員 大臣に一言伺いたいのです。

 先ほどの委員の先生方も、公職選挙法について、だめなものはだめ、そういうところをきっちりしていくべきじゃないかという御意見が多数ありました。私も、そうした観点、全くそのとおりだと思っております。やはり、今回うちわの問題がありまして、うちわを含めて法令を遵守することは当然であって、一般的にうちわと解されるものはだめであるということを大臣からもコメントとしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 うちわについてお答えを申し上げたらよろしいのでございましょうか、一般的に。

 実例集、先ほど先生がお読み上げになったもの、現在も存在しております。財産上の利益と解される場合は、これは違反行為になるかと存じます。

井出委員 ありがとうございます。

 法務委員会で質問をしたときも、きょうお伺いしたように、だめなものはだめ、そういうところに趣旨を置いてこれは議論してきたんですが、そこのところを共有させていただけたと思います。

 次に、話題がかわりまして、投票時間の繰り上げについて伺いたいのです。

 先日の福島県知事選のときに、ニュースで速報を見た方、通常ですと八時、九時とかそういった時間に速報が出るものが、七時に出て、ちょっと早いんじゃないかなと思った方もいらっしゃったかと思います。

 その背景をちょっと見ますと、実は、全ての市町村で投票時間の繰り上げがあった、本来、投票時間というものは投票日午後八時までが原則で、特別な事情がない限りは八時だ、福島の場合は、震災があって、震災の直後の混乱、そうした中で投票の繰り上げが行われて、きょう持ってきた資料の記事の下の方にそのことが簡単に書いてあるんですが、その震災以降の対応がそのまま定着をしていると。

 私は、震災後の対応というものに関しては、そういった特別な事情があったのかなとも推察するのですが、果たしてそれが、三年半たって、震災直後のままでいいのかという検証がきちんとあったのか、また、多くの自治体が、原則は午後八時までという決まりがある中でそういう状態が続いていくことは、若干の疑問を感じているんです。

 まず、この福島の件について選挙部長に伺いたいのですが、こういった理由、ちゃんと検討した上でのことと総務省として把握しているのかどうかを伺いたいと思います。

稲山政府参考人 投票所の繰り上げの件でございます。

 先日の福島県知事選挙におきましては、投票所総数千二百五十六のうち、全ての投票所で繰り上げがなされております。

 理由を若干確認いたしました。

 一つには、夜間の投票が少ない一方で、投票管理者や立会人の確保が非常に難しいといったようなこと、それから、山間部が多く、夜間、公共交通機関や街灯がなくなる中で選挙人の安全を確保する必要がある、こういったような理由で、それぞれ、震災以来の経緯等もあろうかとは存じますけれども、周知徹底等を図りながら繰り上げを行ったと聞いているところでございます。

井出委員 震災の直後に、そういった特別の事情を考えて投票時間を短縮、繰り上げる市町村が相次いだと。その後、やはりその状態を三年半たっても継続しているのがふさわしいかどうか、福島県の選管なり各市町村できちっと議論した上で今回の全市町村投票時間繰り上げということに至ったという、その辺は総務省としてはどのように理解されていますか。

稲山政府参考人 今回の福島県知事選挙の全投票所における繰り上げの理由につきましては、つまびらかにはお聞きいたしておりませんので、やはり、これはどういった事情によるものか、あるいは住民の方等にどういった周知を図ったか等につきましては、今後ちょっとお聞きをしてみたいと思います。

井出委員 もう一つ、資料の上段の記事を例に伺いたいのです。

 これは、二〇一二年の衆議院選挙のときの群馬県内の状況を書いている記事でして、その衆院選の直前の記事なんですが、県内全市町村が投票時間を繰り上げることが県選管のまとめでわかった、背景には、一刻も早く選挙結果を知りたいという有権者ニーズへの配慮があると見られると。

 この記事の三段落目の真ん中の部分です。今回の衆院選は、直近の国政選挙だった平成二十二年参院選から見て原則を守っていた高崎市が繰り上げ組に変更、高崎市選管は、市民からほかの自治体に比べ開票が遅いなどの苦情が寄せられたため、繰り上げを判断したと説明すると。

 投票時間を繰り上げる、繰り上げない。特別な事情があれば、それを認める。先ほど選挙部長がおっしゃったように、夜間、人の行き来が少ない、そういうところで認められてしかるべきだと思うんですが、結果を早く知りたいからといって投票時間を短縮するというのは、私は、本末転倒、理由にはならないのではないかと思いますが、このことに対する見解を求めます。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 繰り上げにつきましては、市町村の選挙管理委員会の判断で行うことができるものでございますが、御指摘ございましたように、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り繰り上げることができるというのが公職選挙法の規定でございます。

 もとより、いろいろな事情があろうかとは存じますけれども、こういった要件に当たるのかどうかということは、それぞれの選挙管理委員会によって十分吟味し、かつ選挙人によく周知徹底を図っていただく必要があると考えております。

井出委員 もともと、平成九年、平成十年に、投票率の向上のために、投票環境をよりよくしなければいけないと、投票時間が原則午後八時までとなった。この高崎市のコメントを聞くと、投票をしっかりやってもらうことよりも、結果をいち早くお知らせすることに重きを置いているんじゃないかなと感じてしまうんです。

 先ほど、市町村の判断でこの時間は決まる、そういうお話なんですけれども、市町村の判断が果たして適正になされているのかとか、それはちょっと理由にならないんじゃないのかとか、そういうことを国が何か指導なり、そういうことをしていただくようなことはできないものでしょうか。

稲山政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、投票時間の繰り上げは市町村の選挙管理委員会の判断で行うことができるわけでございますけれども、御指摘がありました群馬県の全市町村における繰り上げの事例とかがございましたものですから、私どもにおきましても、県選挙管理委員会等を通じ、いかなる事情に基づくのか等についてお話を聞かせていただいたりした経緯もございます。

 そういった中で、いろいろ指導助言と申しますか、法的な要件等にちゃんと合っているのかどうか、あるいは、先ほど申し上げましたように、選挙人の方々等にどういったような形で、ちゃんと周知徹底も図られただろうか、こういったようなことは、いろいろな機会を通じましてお示しをしたり、お話をしたりした例はございます。悉皆的にやるということはなかなか難しいわけでございますが、そんな中で一定の取り組みをしているところでございます。

井出委員 今、一定の取り組みをというお話がありましたが、現状、全国的に見て、投票時間を繰り上げている市町村の数といいますか、割合といいますか、そういった実態はどの程度把握されているか、伺いたいと思います。

稲山政府参考人 最近の国政選挙で申し上げますと、直近の二十五年の参議院選挙でございますが、全国投票所総数が四万八千七百七十七カ所ございます。閉鎖時刻の繰り上げを行った投票所の数は一万六千九百五十七カ所でございまして、その割合につきましては三四・八%といったような実情になっております。

 ほぼ十年前の十六年参議院選挙におきましては、投票所総数は約五万三千ございました。そのうち、閉鎖時刻を繰り上げた投票所数は一万一千余りでございますので、約二割といったような現状でございました。

 市町村合併が進むなり、また、過疎、高齢化が進み、人口も減っているという中で、繰り上げを行う投票所の割合というのはふえてきているという実情にございます。

井出委員 最後に、大臣に伺いたいのです。

 私も、今選挙部長がおっしゃったように、投票時間の繰り上げをする投票所はふえてきているのではないかという実感を持っておりました。

 夜間の人が少ないですとか、よく言われるのは、期日前投票が浸透してきているからというような理由もよく言われますが、私は、自分が選挙、政治活動をやっていますと、御年配の方中心に多いんですが、やはり選挙というものは投票日にしっかり投票するものだ、そういう投票行為というものに非常に重きを持って選挙に臨んでくださる有権者の方もいらっしゃいます。また、国政選挙、県知事選挙、そういう長期の選挙戦であれば、選挙戦の中で新たな争点ですとか、選挙をちゃんと見きわめた上で投票していただくことというのは私は非常に大事だと思っております。

 そこで、現在は原則八時ということになっておりまして、ぜひそこのところを尊重してこの問題に取り組んでいただきたいと思うんですが、最後に大臣のこの問題に対する見解を伺います。

高市国務大臣 まず、できるだけ多くの方に投票の機会を持っていただく、投票に行っていただく、権利を行使していただくということが何より大事だと思います。

 先ほど来、各選挙管理委員会の判断で、さまざまな地域の事情に応じて、交通の面ですとか立会人の確保が難しいとか、そういったことで繰り上げをした例はございます。

 ただ、去年の五月に、総務省からも通知を発出いたしております。これは、各都道府県の選挙管理委員長宛てに出しておりまして、繰り上げとか繰り下げについては、選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情のある場合、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限られているということ、それから、もしも投票所を早く閉めるとかいうことでしたら、開閉時間については、混乱が生じないよう、投票所入場券や各種広報媒体の活用により、あらかじめ十分な周知を行うということ、これを発出いたしております。

 これも、今回先生が事例に挙げられたところでも、入場券には記載をされていたと確認をいたしております。

井出委員 ありがとうございました。

 終わります。どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 お疲れさまです。民主党の津村啓介と申します。

 政治と金の問題が大変注目をされている今国会におきまして、早い時期にこうして倫理選挙特別委員会で貴重な質疑の機会をいただきまして、感謝申し上げます。

 大臣、本日は、政治家の総支部、政党総支部、それから後援会、そして政治家個人の間の資金の出入りについて、るる問題になっている事案、そうでない事案もあるわけですけれども、大臣の御経験に照らしていただきながら、そのルールの確認をさせていただければというふうに思っております。

 高市大臣は、御自身の後援会あるいは政党総支部、そういったところに御自身から寄附をされること、あるいは総支部や後援会から寄附を受けること、そういったことはなされていますか。

高市国務大臣 まず、政党支部、私でしたら奈良県第二選挙区支部になりますけれども、こちらは、お金がなくなりましたら私の方から寄附をいたしております。そこから私個人に対しての寄附というのは、ちょっと今急に聞かれましたが、記憶にはありません。

津村委員 ルールの確認をさせていただきたいと思いますけれども、政治家の後援会から当該政治家に対して金銭等による寄附というものが禁止をされていると思うんですが、その立法趣旨というのはどのようなものでしょうか。

高市国務大臣 政治資金規正法におきまして、公職の候補者の政治活動に対して、政党以外の政治団体から公職の候補者に金銭等により寄附をするということは、選挙運動に関するものを除いて禁止されています。

 これは、公職の候補者個人の政治資金に関して公私混同の問題が指摘された中で、平成六年の政治資金規正法の改正により、公職の候補者の公私の峻別の徹底を制度的に担保するために、企業などの団体がする寄附を初めとして、公職の候補者の政治活動に関する寄附で金銭等によるものについては、規制を強化するとされたものでございます。

津村委員 金銭等によらないもの、例えばさまざまな事務所経費等の利益供与があり得ると思うんですが、そういうもののルールはどうなっていますか。

山本委員長 選挙部長、まず答えてください。(津村委員「いやいや、大臣に聞いています」と呼ぶ)

 大臣。

高市国務大臣 金銭等によらない寄附でございますが、これは、金銭または有価証券以外の寄附です。例えば、債務の免除、物品の無償貸与、労務の無償提供などがこれに該当するところであります。

津村委員 事前に通告していることについては大臣にお答えいただきたいと思っております。そうでないケースは、登録させていただいた選挙部長、お答えいただいて結構です。

 通告をさせていただいている今の問いへの更問いですが、債務の免除というのはほとんどお金を上げているようなものだと思うんですけれども、それ以外も含めて、どうしてこういう金銭等によらない政治活動の寄附は公私混同ではないと言えるのですか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 金銭等によらない寄附の内容は、ただいま大臣より御答弁申し上げたとおりでございますが、これにつきまして、政治資金規正法上、総枠、個別の量的制限の適用がございます。また、企業のする寄附につきましては、金銭等によるもの、よらないものの区別なく、政党及び政治資金団体以外の者はこれを受けることができないというふうになっておるところでございます。

津村委員 先ほどの債務の免除というのは、これは法律に書かれているわけじゃないと思うんですけれども、大臣の答弁によって明らかになった法律解釈ということでよろしいですか。

稲山政府参考人 これは、政治資金規正法の寄附というものにつきまして定義等がございまして、解説等におきまして従来より明確にお示ししている内容でございます。

津村委員 質問を進めてまいります。

 選挙運動に関しては、若干ルールが緩和といいますか、別のルールになっておりまして、後援会から政治家に対して、選挙運動の場合には金銭等による寄附が認められるということになっているようですけれども、大臣、その理由は何ですか。

高市国務大臣 これは、公職選挙法上、公職の候補者が行う選挙運動については、選挙運動に関する費用の調達も公職の候補者本人が行うものとされており、あわせて、選挙運動に関する収支の報告及び収支の公開制度があるということによるものでございます。

津村委員 これは、今の大臣の御答弁を私なりに言葉をかえて皆さんに御説明しますと、通常の政治資金の管理以外に、選挙のときには特別に選挙の収支があるから、透明性が高いので公私混同のおそれが薄いということで、先ほど、収支の報告及び収支の公開制度があるためとおっしゃいました。

 そういう趣旨でこれは例外になっているわけですけれども、この保存期間が、私の理解が正しければ三年間だと思います。

 ただ、選挙は、任期四年のものが三年しかその透明性が担保されていないというのは、期間にタイムラグが生じていると思うんですけれども、大臣、これはどういう理由ですか。

山本委員長 選挙部長。

津村委員 大臣に伺っています。事前に通告しています。選挙部長は答えないでください。

山本委員長 まず答えてから、後で答えますから。

 指名しましたので、答えてください。(津村委員「だめです、そういう約束では登録していませんので。委員長、約束が違います」と呼ぶ)指名したから、答えてください。

稲山政府参考人 通告等にそういう問いはちょっとなかったものですから、申しわけございません。

 公職選挙法におきましては、選挙運動の収支報告書につきまして、報告をとしてあったと思いますけれども、保存期間でございますが、任期との関係についてはちょっとすぐにはわかりかねますけれども、法的には三年という形で明定されているところでございます。

津村委員 大臣、御答弁ください。

高市国務大臣 私も通告を受けておりません。

 法的に三年間という期限が妥当かどうかという問題意識でいらっしゃるかと思いますけれども、これまで累次にわたって、主に議員立法によって法改正がなされてまいりました。現在のところ、その程度の期間が妥当であるというのが多くの皆様の判断なんだろうと思います。もしもそれで不十分だということであれば、またこれも各党各会派で御議論をいただきまして、その上で総務省としても必要な措置を講じてまいらなければなりません。

 よろしゅうございますか。

津村委員 質問通告の手続の話は、この場では不毛ですのでしませんが、事務的にきっちり確認させていただきます。

 今まで後援会の話をさせていただきましたが、政党の総支部が政治家に対して金銭等による寄附をすることができるとされておりますけれども、この違いはなぜですか。

高市国務大臣 公職の候補者の政治活動に関して政党から公職の候補者に寄附をするということは、特段禁止をされておりません。おっしゃったとおりでございます。

 これは、政党の公職の候補者に対する支出は政党の政治活動そのものでありまして、そのことによる政党と公職の候補者との癒着などの弊害も特段考えられない、また私的流用も基本的には考えられないといったことで、対象外としたものと考えられます。

津村委員 大臣は、平成二十四年に、先ほどおっしゃられた自由民主党奈良県第二選挙区支部に、本名山本早苗さん、委員長の奥さんでいらっしゃいますけれども、一千万円の寄附をされていらっしゃいます。先ほど、お金が足りないときには寄附をすることもあるというお話がありました。私もしたことがありますので、そういうことはあろうかと思います。

 これは、寄附金控除を受けていらっしゃいますか。

高市国務大臣 税の確定申告のときに受けていると存じます。ちょっと通告がないので、今書類を手元に持っているわけではありませんが、確かに、足りなくなったら政党支部に寄附をいたしております。

津村委員 今のは、控除を受けているということでよろしいんですね。かなり大きな額が動きますので、記憶にないという額ではないと思います。

高市国務大臣 全然通告がなかったので、その年の確定申告書を持っているわけではありません。しかしながら、政党支部から寄附控除用の書類が送付されましたら、それをつけて税理士に出している、その場合には控除を受けていると考えます。

津村委員 明快な御答弁だと思います。それは合法的なことですし、何も問題ないと思うんですが、先ほどの質問とここが絡むところであります。

 政党支部に対して、私たち政治家は寄附をできるんです、おっしゃるとおり。二千万円までできると思います。これは、二千万円やりますと、場合によっては、財務省の方も来ていただいているので確認していただけたらと思うんですが、国会議員の歳費というのは、大臣が一千万円の寄附をされた年、一千五百八十万円の歳費を皆さん受け取っていらっしゃるはずです。この一千五百八十万円を全額寄附した場合、どの程度の寄附金控除、減税効果があるんでしょうか。政務官、お答えください。

大家大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のように、寄附はできるようになっています。政治献金はできるようになっていまして、今の一千万円のことかと思いますけれども……(津村委員「一千五百八十万円」と呼ぶ)その中から一千万円を寄附した場合の……(津村委員「全額寄附した場合。一千万円でも、両方でもいいですけれども」と呼ぶ)

 これは、税額控除と所得控除、どちらかをまず選択できるようになっています。

 仕組みとしましては、個別にわたるのはあれですけれども、一般論として申し上げれば、その寄附金の額が総所得金額の四〇%を超えない場合には、その寄附金の額から二千円を控除した残額の三〇%相当額を税額控除することができる。ただし、税額控除額がその年分の所得税額の二五%を超える場合には、所得税額の二五%相当額が限度額となります。

 したがって、御質問の、個人が政党に対して一千五百万円を超える寄附を行った場合については、その寄附金の額が総所得金額の四〇%を超えず、税額控除額がその年分の所得税額の二五%を超えないときには、計算としては、千五百万から二千円を引いて、それに三〇%を掛けるということになるんでしょうか。まあ、四百万円以上になるんだというふうに思いますが、ちょっと計算が定かではありません。

津村委員 大臣、仮に、ある方が自分のいただいた歳費を全て当該総支部に寄附をして、その同じ額を当該総支部から自分に寄附を受けた場合、今の四百万円何がしのお金は税金として納めなくてよくなるわけですけれども、それは合法的な行為ですか。

山本委員長 選挙部長。(津村委員「大臣に聞いています。大臣、お願いします」と呼ぶ)一般論、まず答えて。

稲山政府参考人 先ほどございましたように、政治資金規正法におきまして、候補者から政党、それから政党支部から候補者へ寄附することは、特段禁止はされていないところでございます。

津村委員 大臣、お答えください。

高市国務大臣 済みません。ちょっと御質問の趣旨をさっき理解するのが遅かったので、申しわけございません。

 まず、政治家が政党の支部に対して寄附をすることとともに、その支部が政治家に対して寄附をすること、政治資金規正法では特段禁止をされておりません。

津村委員 四百万円、所得税を逃れることができる形になりますけれども、これは、道義的あるいは政治的、法的に問題はないということでよろしいですか。

高市国務大臣 現行法において、合法でございます。

 また、政党支部の活動というのは、支部長を務める自分のためだけにしているものばかりではございません。例えば、私どもの奈良県第二選挙区支部でも、各市町村支部に係る活動についてもさまざまな支援を行っておりますし、また非常に幅広く政党としての活動を行っております。

 法的には合法であり、問題はないと考えております。

津村委員 幅広く活動している話はよくわかっていますし、先ほども申し上げたように、私も含めて寄附をする方はいらっしゃると思うんですが、それと同じ額あるいはそれ以上の額を総支部から逆にキックバックというか寄附をされたら、しかも、その日にちが非常に近接している場合は、それは、寄附金控除を受けているのであれば、所得税逃れと思われても仕方がないと思うんです。

 大臣のことを申し上げているんじゃないですよ、大臣は寄附を一方的にされているだけですから。そうじゃなくて、一般論として、例えば、同じ日だったり次の日に一千万円寄附して一千万円寄附を返してもらって、寄附金控除を受けていたら、それは所得税逃れじゃないんですか。

大家大臣政務官 政治活動に関する寄附を含めて政治資金のあり方については公党間で御議論されるものと考えておりまして、税制上の措置についても、政治資金のあり方の議論の中で取り扱われるものと考えております。

津村委員 この法律を所管されている大臣に伺います。

 私は、これはるる経緯があったことですので、この政治資金規正法というのは、まだまだ不備の多いといいますか、時代の変遷によってさらにブラッシュアップしていけばいい法律の一つだと思うんですけれども、こういった事案があり得るというのは、国民の皆さんから見て、非常に政治不信につながりかねない。

 何しろ、一千五百八十万円全額寄附して、一週間後に全部また自分に返してもらって、全然政治活動に使っていないんですよ、同じ額を返してもらっているんですから。そして、寄附金控除を受けて、四百万円、所得税が軽減される。こんなことができるのは政治家だけですよね。

 それは、国民の皆さんから見て、非常に理解していただきにくい法律だと思うんですけれども、これから改善をしていくというお考えはありませんか。

高市国務大臣 今、仮定の話をされました。当然、私自身のことでもないと思います。寄附はしておりますけれども、寄附は受けておりませんから。

 今、極端な例をおっしゃったと思います。それが本当に国民の皆様の目から見て非常に問題がある、国会議員の、ここにいらっしゃる委員の先生方から見ても、やはりこれは問題があるよねということになれば、これは各党各会派で御議論いただいて、これまでもたびたび、問題があれば議員立法により改正を重ねてきたわけでございますから、またそういう御議論をいただければと思っております。

 現行法に従って、みんなそれにたがわないように一生懸命政治活動をしておりますし、また政党についても、それは、自分から寄附をしなくても政党に十分なお金が潤沢にある、政党支部にお金があるということだったら、どなたも厳しい中から寄附をされないと思います。それぞれの政党支部にそれぞれの事情があって、足りないときには寄附をするということは、何らとがめられるものでもないと思います。

 税法上の問題は、これはまた総務相の私の一存で税法上の是非については答えられる問題ではございません。政治資金規正法もしくは公職選挙法について改正の必要があるとお思いであれば、また各党間で御議論いただきたいと思っております。

津村委員 今、高市大臣は、仮定の議論だ、極端な例だということをおっしゃいました。

 これは倫選特で、私はきょうは一般論に終始するつもりだったんですけれども、残念ながら申し上げざるを得ないと思うんですが、平成二十四年十一月二十一日に、江渡防衛大臣は御自身の総支部に四百万円の寄附をされているんです。その直後、十二月三日に五百万円の寄附を総支部から受けられているんです。わずか二週間の間に四百万円のお金が行ったり来たりしているわけです。これは極端な例ですか。

高市国務大臣 申しわけございませんが、私はきょう、江渡大臣の報告書を持っているわけでもございません。事前にそのお話があるとも存じ上げませんでした。そしてまた、総務省には個別具体的な事例についての実質的な調査権はございませんので、具体的なものについてお答えをする立場にはございません。

津村委員 ここで江渡大臣の話をこれ以上するつもりはありませんが、この政治資金規正法には、こういうケースを許してしまう、あるいは、こういう非常に政治不信を招く事例が実際に起きているということについて、問題意識を共有させていただきたいというふうに思います。

 もう一点、最後に質問させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

 政治資金規正法は、いろいろと課題の多い法律であります。

 任意の団体から政党の支部に対して、政治活動に関する寄附を行うことができます。また、個人から政党の支部に対して、政治活動に関する寄附を行うこともできます。それぞれ量的な制限もありますし、場合によっては、その方が寄附控除その他を受けて、税法上の優遇措置を受けることもできるはずであります。

 その場合の任意の団体、この任意の団体に活動の実態がない場合、単に名前をつけて、実際には何の活動もしていない団体であった場合、ダミー団体というふうに報道されることもありますけれども、お金の出どころが一緒であれば、自分でも寄附をする、そして、実態のない任意の団体を通してお金を寄附する、そうすると、総枠制限を超えた寄附ができてしまう、税法上のメリットも得ることができてしまう。これは脱法的な行為だと思いますが、大臣はいかがお考えですか。

高市国務大臣 まず、政治資金規正法においては、会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党やその支部に対して、当該会社の資本、当該労働組合の組合員数、当該団体の前年における年間の経費等に応じ、年間七百五十万円から一億円の総枠の範囲内で政治活動に関する寄附ができるものとされております。

 また、個人のする政治活動に関する寄附については、政党やその支部に対しては、各年中において総額二千万円の総枠制限の範囲内で寄附をすることができるとされております。

 このように、政治団体に対して寄附をした者が個人であれば、個人からの寄附であり、会社、労働組合、職員団体その他の団体であれば、企業、団体からの寄附であります。

 団体としての実態の判断ということですが、個別の事案がいずれに該当するのか否かについては具体の事実に即して判断されるべきものと承知いたしております。繰り返しになりますが、総務省として、実質的な調査権を有しておりません。

 いずれにしても、政治資金規制のあり方については、政党の政治活動の自由とも密接に関連する事柄でございますので、各党各会派で必要な改革をすべきだというお考えの声が大きくなれば、御議論をいただくべきだと思っております。

津村委員 更問いですので、選挙部長に聞かせていただきますが、任意の団体というものは、何ら活動の実態がなくても認められるものですか。それは、どういう形で国民はチェックすることができますか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、政治資金規正法におきましては、いわゆる任意団体など、これは会社、労働組合以外の団体でございます、支部に対しまして総枠の範囲内で寄附ができるということでございまして、その任意団体の実態がどうかこうかということにつきまして、政治資金規正法において規定等があるわけではございません。

津村委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、高市総務大臣に、選挙についての基本認識をお聞きしたいと思います。

 日本国憲法前文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」から始まって、国民主権をうたい、国民の権利及び義務として、第十五条において、「公務員を選定し、」「これを罷免することは、国民固有の権利である。」と国民の参政権を明記しているわけですね。

 選挙というのは、国民の意思、民意を政治に反映させる大事な機会であって、それをゆがめることがあってはならないと思いますけれども、まず大臣の認識をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 憲法に基づいて公正な、そして公明な選挙がなされるように、これはもう民主主義の基本、根本でございますので、そのために公職選挙法もあり、また政治資金規正法もあるものだと存じております。

佐々木(憲)委員 総務省のホームページには、選挙についてこう書いております。「日本は国民が主権を持つ民主主義国家です。 選挙は、私たち国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映させることのできる最も重要かつ基本的な機会です。」「「人民の、人民による、人民のための政治」。民主主義の基本であるこの言葉は、私たちと政治との関係を象徴する言葉です。 国民が正当に選挙を通して自分たちの代表者を選び、その代表者によって政治が行われます。」これが総務省のホームページに書いてあるわけですね。

 したがって、買収であるとか利益供与、供応接待などで選挙をゆがめるということになれば、国民の権利を侵害することになる、そういう認識はありますか。

高市国務大臣 買収罪というのは、選挙犯罪の中でも、最も代表的かつ悪質なものであると言われることが多いと思います。やはりその理由は、買収行為というのは、今、佐々木先生がおっしゃいました、選挙人の自由な意思の表明により行われるべき選挙を不法、不正な利益の授受によって歪曲しよう、そういうものであるからであると考えます。

佐々木(憲)委員 選挙犯罪の中でも、最も悪質なものが買収罪であります。これに違反すれば、罰金、禁錮刑に加えて、当選無効、五年間の公民権停止、累犯者には十年間の公民権停止、さらに連座制も適用される、大変厳しい罰則がついているわけです。

 政治家が国民に疑惑を持たれるということは、議会制民主主義を根底から覆すものとなるわけですね。ですから、政治資金規正法の目的のところに、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治資金の収支を公開するということにしているわけです。政治資金収支報告書というのはそのためにあるわけであります。

 そこで、具体的にお伺いしたいと思うんですが、小渕優子後援会の政治資金収支報告書に書かれている数字を確認したいと思います。

 選挙部長にお答えいただきたいんですが、まず、収入についてです。党費、会費、個人献金、企業・団体献金、政治団体献金、政治資金パーティー収入、事業収入、それぞれについて、二〇一〇年、二〇一一年、一二年、この三年間の合計金額を述べていただきたいと思います。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 小渕優子後援会の平成二十二年分から平成二十四年分の三年間の収支につきまして、群馬県選挙管理委員会が公表いたしました収支報告書を確認したところ、三年間合計でございますが、収入につきましては、党費、会費、個人からの献金、法人等からの寄附はいずれもゼロ円でございます。政治団体からの寄附として合計二千五百二万円、事業収入として計五千六百六十九万六千五百円の記載があることを確認いたしております。

佐々木(憲)委員 政治資金パーティーは幾らになっていますか。

稲山政府参考人 申しわけありません。ちょっと確認できておりませんで、申しわけございません。

佐々木(憲)委員 今、合計金額五千六百六十九万円と言いましたけれども、その中で政治資金パーティーの収入が四千八百十八万円ですね。圧倒的に政治資金パーティーが多いんです。

 政治資金パーティー以外の事業収入の内訳、これを確認したいと思います。三年間の合計金額の内訳を言ってください。

稲山政府参考人 事業収入五千六百六十九万六千五百円のうち、観劇会収入といたしまして七百四十二万一千円、野球観戦収入といたしまして十八万八千五百円が記載されているところでございます。

佐々木(憲)委員 そのほかに国会見学があるんじゃありませんか。九十一万円。これが抜けていますよね。

稲山政府参考人 大変申しわけありません。手元に資料がございませんので、確認できておりません。申しわけありません。

佐々木(憲)委員 大体、政治資金収支報告書に基づいてこの数字を言ってくれと言ったんですけれども。いいかげんな答弁だな。

 その次に、大きいのは政治団体からの献金ですね。政治団体からの献金の内訳、これは一体どうなっていますか。

稲山政府参考人 大変申しわけありません。主要な項目を足し合わせてまいりまして、資料が手元にございませんので、御答弁は申し上げられません。失礼させていただきます。

佐々木(憲)委員 主要な項目といっても、政治団体というのははっきりしているわけでありまして、未来産業研究会から一千五百万円、自民党群馬県第五選挙区支部五百万円、自民党群馬県ふるさと振興支部五百万円、こうなっているんじゃありませんか。

稲山政府参考人 大変申しわけありません。政治団体からの寄附金につきましては、先ほど申し上げました、合計で二千五百二万円ということで足し合わせてまいりましたが、内訳については資料を持ち合わせておりませんので、大変申しわけありません。

佐々木(憲)委員 合計は合っていますからね。足したんだから、その内訳は当然あるわけであります。三つの団体から二千五百万円入っているわけですね。

 次に、では支出について聞きましょう。

 小渕優子後援会の組織活動費のうち、大会費と行事費について、二〇一〇年から一二年の三年間の合計額は幾らでしょうか。

 また、その内訳で、明治座への支払い、東京ドームへの支払いはどうなっていますか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 先ほどと同じように、二十二年分から二十四年分の収支報告書の記載を確認いたしましたところ、支出でございますが、大会費といたしまして二千四百三十八万九千九百十五円、行事費といたしまして一千百二万六千八百六十三円でございます。

 これらのうち、株式会社明治座に対しまして一千六百九十三万二千百五十九円、これはたしか大会費だったと思います。それから、行事費の中で、株式会社東京ドームに対しまして計百十万七千五百円の記載があるところでございます。

佐々木(憲)委員 そのほか、自民党群馬県ふるさと振興支部から明治座に支払われているわけです。その金額は三年間で幾らになっていますか。

稲山政府参考人 自由民主党群馬県ふるさと振興支部の二十二年分から二十四年分の収支でございます。群馬県選挙管理委員会が公表いたしました収支報告書を確認いたしましたところ、合計でございますが、株式会社明治座に対しまして合計で千六百九十一万五千百八十八円の記載があるところでございます。

佐々木(憲)委員 今、数字を確認してまいりましたが、この間、話題となっております観劇会について言いますと、小渕優子後援会と自民党群馬県ふるさと振興支部、ここから明治座に合計三千三百八十五万円支払ったことになっているわけです。しかし、観劇会としての収入は七百四十二万円であります。二千六百四十三万円の差額があるわけです。これは極めて大きいわけですね。

 小渕優子後援会は、観劇会、野球観戦、国会見学以外にも、大会費、行事費の費目で、食事代、バス代が多数支出されていると記載されております。

 一体、この差額をどこから穴埋めしているのか。収支報告書に記載された資金の流れから見て、これはどうなっていますか。

稲山政府参考人 収支差の穴埋めをいかにしているかということにつきましては、収支報告書等の記載を見ましたけれども、総務省といたしまして、個々の事案についてその実情を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

佐々木(憲)委員 資金の流れを見れば明確なんですけれども。

 小渕優子後援会は、小渕氏の国会議員関係団体として届け出がなされているわけであります。先ほど答弁があったように、収支報告書によりますと、差額を補填している原資になっているのが、政治資金パーティー収入と小渕氏の関連する政治団体からの寄附であります。小渕氏の側がそれを認めた収支報告書を出しているわけですね。

 総務大臣にお聞きしますけれども、観劇会その他の差額分について、その原資、先ほど数字をずっとお聞きになったと思いますけれども、その中心は政治資金パーティーあるいは政治団体献金、これなんですよ。結局、そういうことを事実上みずから認めた中身の収支報告書を出している、こういうことになるんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 やはり具体的に、事実に即して個別の事案については判断されるべきものであると思います。

 大臣としてということですから、総務省としましては、やはり、実質的な調査権を有しておりませんから、その個別具体の事実関係、本当の事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

佐々木(憲)委員 小渕氏は記者会見で、参加者から実費は徴収している、こう言っているわけですね。現在参加者から確認中だ、こう述べているわけです。しかし、仮に観劇会について実費負担が証明されたとしましても、観劇会以外の後援会行事、全ての参加者負担が確認できるのかどうか、これが問題になるわけです。集めた金は一体どこに行ったのか、何に使ったのか、裏金に回ったのではないかという疑念も生ずるわけですね。これは、収支報告書への記載ミスなんという問題では済まされないので。毎年やっているんですから。これは重大な問題であります。

 後援会の収入についてもう一点お聞きしますけれども、後援会というのは企業・団体献金を受けられないことになっているのではないでしょうか。総務大臣。

高市国務大臣 御指摘いただきましたとおり、政治資金規正法におきましては、会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附はしてはならないとされております。

佐々木(憲)委員 後援会が催した政治資金パーティーのパーティー券、それを企業、団体が購入すれば、これは事実上、企業・団体献金と同じことになってしまうんですけれども。政党支部は企業・団体献金を受け取ることができるという仕組みですね。そうすると、企業・団体献金を受けた政党支部から、後援会が献金を受け取る。この仕組みを利用して、支部を経由して、後援会が間接的に企業・団体献金を受け取ることもできるわけです。結局、この仕組みがあっても、これは抜け穴になっている、こういうことになるんじゃありませんか、大臣。

稲山政府参考人 先ほど大臣より御答弁いたしましたように、会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び資金団体以外の者に対して、政治活動に関する寄附はしてはならないとされているところでございます。

 一方で、政党等が一定の寄附等を行うことについての制約等もないところでございますが、それぞれその実情に即したものでございますので、個々の政治資金規正法の現在におきます規制内容は、今申し上げたような体系になっておるということでございます。

高市国務大臣 法的には可能でございます。

佐々木(憲)委員 つまり、抜け穴になっているということは、法的にそれが規制されていないということなんですよね。

 要するに、企業・団体献金を政党支部が受け取る、そのお金を後援会に渡す。そうしますと、後援会が企業・団体献金を受け取るのを禁止されていても、間接的に受け取ることが可能ではありませんか。そういうことを言っているわけです。だから、法的に可能だということは、この法がいかにずさんであるか、不備があるかということを証明しているわけです。

 政治資金パーティー収入からの寄附が使われているという場合も、政治資金パーティーの原資が、企業に買ってもらえばそれは事実上の企業献金になるわけでありまして、それが原資となってこの穴埋めに使われるということになれば、当然、企業・団体献金によって後援会に観劇や飲食を提供したということになるわけでありまして、とんでもない話なんですよ。

 政党支部について次に確認しますが、政治家が代表を務める政党支部がワイン、うちわ、カレンダー、線香セットなどを配った場合についてであります。これは有価物であるということを前提にお聞きしますけれども、有価物を不特定の有権者に無償で配った場合、これはどうなるんでしょうか。買収に当たるのかどうか。総務大臣、お答えいただきたい。

高市国務大臣 一般論でございますけれども、一般の政党支部は後援団体に当たらないものと解されますので、後援団体の寄附禁止を規定した公職選挙法第百九十九条の五には該当いたしません。

 しかしながら、公職の候補者等が役職員または構成員である団体に該当いたしますので、公職選挙法百九十九条の三において、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、これらの者の氏名を表示しまたは氏名が類推されるような方法で寄附をしてはならないとされております。ここに当たります。

佐々木(憲)委員 これは、してはならないということになっていますから、これをやったら、当然違法であり、買収に当たるわけであります。

 政党支部の場合は、政党助成金を受け取っているという場合があるんですね、当然。そういうことについて、それを原資にして利益供与を仮にしていれば、これは言語道断であります。

 一つだけ確認ですけれども、政党助成金を原資として買収を行ったケースは過去にあるかどうか、紹介していただきたい。選挙部長。

稲山政府参考人 過去の違反事案につきまして、私どもの方で全体像を把握しているわけではございませんが、平成十五年当時にお尋ねのような事例に関する新聞報道があったということは、私どもといたしましても承知をいたしているところでございます。

佐々木(憲)委員 これは、買収を行ったわけですよ。その結果で有罪になったわけですね。そういう事例があるわけであります。

 宣伝事業費として、小渕優子氏が代表を務める政党支部でカレンダーの印刷があったんです。政党支部がカレンダーを有権者に無償で配布した、こういう報道があります。こうなると、政党助成金を使った利益供与に当たるのではないか、こういう疑問も当然出てくるわけですね。

 ですから、この点について、総務大臣、政党助成金を使った利益供与の可能性があるということじゃないかと思いますが、いかがですか。

高市国務大臣 小渕前大臣のことについて、ちょっと、個別的な事案について実質的な調査権を有しておりませんから、そういうケースになるのかということについてはお答えをできません。

 あくまでも一般論でございますが、政党支部が有価物を無償で配った場合、一般の政党支部は後援団体に当たらないものと解されますから、後援団体の寄附禁止を規定した公職選挙法第百九十九条の五には該当しない。しかし、公職の候補者等が役職員または構成員である団体に該当するので、公職選挙法第百九十九条の三において、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、これらの者の氏名を表示しまたは氏名が類推されるような方法で寄附をしてはならないと規定をされております。公選法上の規定です。

 政党助成法、政党交付金の使途についてですが、この使途に制限を設けることは、本来自由であるべき政党活動に公権力が介入することになるおそれがあるため、政党助成法においては、政党交付金の使途の報告を公表することによって、国民の監視と批判をまつということにして、使途制限を行わないとされていることでございます。

 個別の事案ごとに、具体の事実に即して判断されるべきものだと考えます。

佐々木(憲)委員 もう時間ですので終わりますけれども、この小渕優子氏の問題というのは、企業・団体献金を事実上利用して、選挙民に対して、有権者に対して利益供与を行った、こういう非常に悪質な問題につながっていくわけですよ。

 それから、国民の税金である政党助成金を使って有価物を有権者に配った、こういうことになりますと、これ自体、極めて重大な問題であります。

 本人がきちっと説明できなければ、議員の資格そのものが問われるという事態になるわけであります。その点を指摘して、質問を終わりたいと思います。

山本委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、二つの件について質問をさせていただきたいと思いますので、御答弁をよろしくお願いいたします。

 まず最初は、選挙における投票年齢十八歳への引き下げについてお尋ねいたします。

 本年六月十三日に成立した改正国民投票法によって、憲法改正の投票年齢が十八歳に引き下げられることが決まりました。法の施行から四年後には、十八歳の投票が行われるということになるわけでございます。

 これまで二十の有権者という姿が、十八歳がその国民投票に参加することができるということは、日本の行政といいますか、選挙を伴うさまざまな国民意思の表出について、非常に大きな流れになるというふうに私は思うわけでございます。

 そこで、これからいろいろ考えられることについて、きょうはその見解を伺いたいと思います。

 まず、憲法改正の是非を問う投票権年齢を引き下げたことについてお伺いいたします。

 この年齢を引き下げたことに関して、教育現場における教育方針及び今後の指導内容はどういう方向になっていくのか、お聞かせください。

赤池大臣政務官 お答えいたします。

 学校においては、国民の政治参加の重要性については、教育において大変重要であるというふうに認識しているところでございます。

 このため、学習指導要領、小学校でいいますと六年生の社会、中学でいいますと社会科の公民的分野、それから高等学校におきましては公民の中の現代社会や政治・経済などの中に、我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義や、民主政治の推進と国民の政治参加との関連、政治参加の重要性などにつきまして、発達段階に応じて指導を行っているところでございます。

 また、文部科学省におきましては、さきの国会で日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律が成立したことに伴いまして、全国の教育委員会等に通知を発出しております。学校教育における憲法に関する教育等の充実を求めているところでございます。

 今後とも、各学校において、学習指導要領に基づきまして、憲法や政治に関する教育が適切に行われるようしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

玉城委員 憲法改正については、私は、日本国憲法の内容をやはり小学校のころからしっかり学んでもらうためには、非常に大きな、しかも国民にとって必要ないい流れになるのではないかというふうに思料しております。

 総務大臣に伺います。

 現在、衆議院の憲法審査会では選挙投票年齢の引き下げについて審議が行われておりますが、G8サミット参加国で十八歳年齢でないのは、実は日本のみなんですね。世界の趨勢は、十八歳から国民としてさまざまな選挙権を付与するというふうな流れになっているわけですが、この投票年齢の引き下げについて、総務大臣の所見、見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 憲法改正国民投票法の改正によりまして、その国民投票の投票権年齢については、改正法施行四年後に十八歳以上に引き下げることとされたところであります。

 それで、この改正に伴いまして、選挙権年齢については、与野党八党の合意によりまして、改正法施行後二年以内に十八歳以上に引き下げるということを目指して、各党間のプロジェクトチームにおいて議論が進められていると承知いたしております。

 ですから、総務省といたしましては、その議論を見守るとともに、結論が得られた場合には、それに基づいて対応すべきことがございますので、適切に対応してまいります。

玉城委員 この投票年齢の十八歳引き下げということは、今後、国政選挙においてもやはりその投票権が付与されるという流れになっていきます。そうしますと、またさまざまな政治参画に関する若い皆さんの感性というものに対しては、学校現場での教育あるいは啓蒙啓発についても、しっかりと取り組むべき大きな課題があるのではないかと思います。

 この年齢の引き下げについて最後にお伺いいたしますが、投票年齢十八歳引き下げの際、これまでの教育課程、内容で啓蒙啓発は十分とするのでしょうか。それとも、新たな教育方針を策定して、それによって行われていくのかについてお伺いいたします。

赤池大臣政務官 先ほど委員の御質問がございましたとおり、現行におきましても、学習指導要領に小中高と位置づけまして、それぞれ教科書に掲載をされ、各教育委員会ごと、また各学校ごと、取り組んでいるところでございます。

 今後、選挙年齢の引き下げというのは国会で決められることでありますけれども、文部科学省といたしましても、ちょうど学習指導要領の見直しの時期に入っておりまして、この秋にも中央教育審議会に大臣から諮問を予定しているところであります。

 その中に関しましては、例えば高等学校に、政治参加、それから消費生活、または職業選択など、人が責任ある社会の一員として主体的に生活を営み、自立して生きるのに必要な内容について取り扱います新しい科目、必修科目として、公共というようなものが必要ではないかという御意見もありまして、その辺を、設置することなどを含めまして、ぜひ、新たなる学習指導要領の中で、先生御指摘のように、政治参加に関する教育というものをしっかり充実強化していくべく検討をしてまいりたいと考えている所存です。

玉城委員 御答弁ありがとうございました。

 まさに、政治の品格もそうですが、倫理そのものについても、我々も襟を正していくという姿勢を示すべきだなというふうに思う次第であります。

 では、これからは、実際に私の地元の沖縄で行われました選挙の件について、選挙部長、及び総務大臣には最後に見解などもお伺いしたいと思います。

 ことしの一月、沖縄県名護市で市長選挙が行われました。その市長選挙、一月十九日が投票日だったんですが、その選挙期間中に、自民党の当時幹事長でいらっしゃった石破茂衆議院議員が自民党推薦候補の選挙応援のために名護市に入りまして、その応援演説の中で、五百億円の振興基金構想を打ち上げました。この基金構想には多くの皆さんがびっくりしたわけです。この石破氏の基金構想に対し、菅官房長官は十六日の記者会見で、沖縄への現在の一括交付金の中で調整する、新たな財源措置ではないとの考えを示しておりますが、しかし、この発言によって、現地では急遽この基金のチラシが用意され、我々が負けたら基金はほごにされるという、まさに選挙運動のためにこの発言が利用されたという一面があることは事実でございます。

 この件に関して、選挙部長、公職選挙法ではどのような解釈で、このことについての結論といいますか、考え方に至っておりますでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、個々個別の事案につきまして実質的な調査権を有しておりません。具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、一般論として申し上げますと、公職選挙法第二百二十一条第一項に規定いたしております利害誘導罪でございます。これには三つの要件がございます。すなわち、一つには、特定候補者の当選を得もしくは得しめ、または得しめない目的を持って誘導行為がなされること。二つ目には、誘導行為が選挙人または選挙運動者に対してなされること。三番目に、誘導行為が選挙人または選挙運動者自身の特殊の直接利害関係を利用して、あるいは選挙人または選挙運動者と関係のある団体の特殊の直接利害関係を利用してなされるものであること。こういった要件が定められているところでございます。

 個々の事案につきまして、ただいま申し上げましたような利害誘導罪の要件に当たるかどうかということにつきましては、その時期、態様により判断されるものと承知をいたしております。

 当選を得もしくは得しめる目的をもってするものでなければ、公職選挙法の規定に抵触するものではございませんが、いずれにいたしましても、個々の事案が公職選挙法に抵触するか否か、犯罪となるかどうかといったことにつきましては、検察当局等の捜査機関により具体的な事実関係の調査が行われ、最終的には司法により判断が行われるべきものと考えております。

玉城委員 選挙部長が読み上げました公職選挙法第十六章「罰則」、第二百二十一条「買収及び利害誘導罪」は、今三つの事例を挙げましたが、それに掲げる行為をした者は、三年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円以下の罰金に処するという大変厳しい罰則がついています。

 つまり、五百億円の振興基金を選挙で勝ったら立ち上げますよと言ったことは、選挙期間中で公党の幹事長が発した言葉ですから、紛れもなくグレーなんですね。それを、個別事案をどうするかということではなくて、では、公職選挙法に当ててみるとどういう判断になるのかということをしっかり問い詰めなければなりません。

 そのことについて、もう一点お伺いいたします。

 沖縄県知事選挙は、十月三十日告示、十一月十六日投票が行われます。その選挙の五日前、二十六日に、現職の県知事選挙予定候補者応援のために沖縄県に来県した西川公也農林水産大臣は、沖縄の漁業振興を図るための新たな基金を創設する考えを、この候補者を支援する水産業関係者らの大会での挨拶で表明したという記事が載っております。十月二十七日月曜日の琉球新報に載っております。私はこの場面にいませんでしたので、記者に電話をして確認し、この発言は間違いありませんということも確認をしております。

 西川氏は、漁民の所得増大に向け新たな基金を積んで、いつでも取り崩しができるお金を約束したい、自由に使っていただき、沖縄の漁業がよくなってほしいと述べております。そして、大会後、基金について、報道陣に対し、財政当局と折衝中である、沖縄の現在の漁業振興基金は三十億円あるが、その脇に別途立ち上げて沖縄の漁業を強くしたい、金額については決定していないので申し上げられないと述べているんですね。

 選挙の五日前に、公職の農林水産大臣が、その対象となる漁業関係者の選挙の相手候補、相手候補といいますか、自民党推薦候補者の応援のための集会でこういう発言をした。先ほどの石破大臣の選挙期間中の五百億円基金創設の話よりも、現職の大臣が発言したという重みは揺るぎのないものになっています。事実です。

 このことについて、選挙部長、見解をお聞かせください。

稲山政府参考人 繰り返しになりますけれども、総務省といたしましては、個々具体の事案につきましてのお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 一般論として申し上げますと、先ほど申し上げました利害誘導罪、三つの要件がございます。

 個々の事例については、それぞれ、時期、態様により判断されるべきものと承知をしているところでございます。

玉城委員 公職の大臣が、所管するその業界の方々に対して、私が今のこの振興基金とは別の基金を立ち上げますと発言なさっているわけですね。その事実がどのようなものであるかということは、政府がしっかり確認をするべきことではないかというふうに思います。

 ちなみに、公益財団法人沖縄県漁業振興基金、昭和二十七年の日米講和条約発効から昭和四十七年の復帰までの間、米軍による立入禁止や操業制限によって沖縄県漁民がこうむった被害に対し、日本政府から特別支出金として拠出された三十億円を基本財源として、今種々の漁業振興事業を営むために設立されている真っ当な財団があるわけです。その財団は、現在、国が三十億円、沖縄県から九千万円、県漁連、信漁連から三百万円が支出されております。これは、平成二十一年度末現在で三十三億円余りということで、その剰余金で運用しているわけですね。

 つまり、今現在、この振興基金がしっかりと対応しているという漁業の皆さんへの働きに対して、それでは弱いから、では、もっと予算が上がるように我々も努力しますよと言うのであれば、これは政治活動の中で、例えば、明確な使途やあるいは目的ではなくて、予算が獲得できるように頑張りますと言うのであれば、それはわからないではありません。

 しかし、今回は、農林水産大臣が、今行われているこの基金の事業とは別に立ち上げるということをはっきり言っています。この基金について、県漁業協同組合連合会の国吉会長は、初めて聞いたと述べ、今後の対応を見守る姿勢を示したと。そのとおりです。寝耳に水の発言がこの選挙のための応援の集会で行われ、当事者の間にも、やはり激震が走っているわけですね。

 もしこれで、大臣が発言したことをきっかけにして、石破さんの発言のときのように、またチラシがつくられる、それがばらまかれるということになると、明らかに選挙誘導のための便宜供与に当たるのではないかという色がますます濃くなっていくわけです。

 大臣、こういうことを現職の農水大臣が発言するということについて非常に問題があると私は認識するわけですが、総務大臣として、所管するこの件に関して、ぜひ、選挙における大臣の発言あるいは公党の重職にある方々の発言についての見解をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 今、玉城委員が御指摘になったこと、西川大臣の御発言の詳細やこういう事情でということ、いろいろお話しになりましたけれども、その事実関係について私は承知をいたしておりません。西川大臣が実際にどうおっしゃったのか、現場でどういう方々がお集まりになっていたのかも含めて承知をいたしておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。

玉城委員 この委員会は、政治の倫理と公職選挙法に関する問題を扱う特別委員会です。ですから、政治の倫理そのものが、選挙のたびにこうやってお金で選挙誘導されるという発言があることについては、非常に胸を痛めるわけですね。

 選挙年齢がこれから二十から十八歳に引き下げられるという先ほどの政務官の答弁などもあって、これからはしっかりと、公共という感覚で教育現場でも政治に関心を持っていただきたい。そして、あるべき政治の姿を私たちも立法府でしっかりと全うしていきたい。それは、揺るぎのない私たちのお互いの信頼関係につながると思います。

 この一月の石破幹事長の発言を聞いたある方は、ウチナーンチュの心を金で買われるような気がして非常に複雑だというコメントを朝日新聞の取材で述べていらっしゃいます。ですから、選挙イコール金、政治イコール金、こういう状況を払拭するためには、私たちはしっかりと、一般論ではなくて、私たちがここでしっかり議論をする中において一つ一つ明らかにしていくことも必要ではないかと思います。

 ぜひ、政治の正しくあるべき姿をこの委員会でもまた引き続き議論させていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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