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第5号 平成28年3月30日(水曜日)

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平成二十八年三月三十日(水曜日)

    午後一時十五分開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 大塚  拓君

   理事 田中 良生君 理事 中川 俊直君

   理事 平沢 勝栄君 理事 落合 貴之君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      うえの賢一郎君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    大串 正樹君

      門山 宏哲君    今野 智博君

      坂本 哲志君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    冨樫 博之君

      長尾  敬君    藤井比早之君

      古川  康君    宮路 拓馬君

      山下 貴司君    山本  拓君

      若狭  勝君    大西 健介君

      逢坂 誠二君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    玉木雄一郎君

      初鹿 明博君    本村賢太郎君

      國重  徹君    角田 秀穂君

      穀田 恵二君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     池田 道孝君

  うえの賢一郎君    宮路 拓馬君

  奥野 信亮君     越智 隆雄君

  神田 憲次君     今野 智博君

  長坂 康正君     青山 周平君

  馬淵 澄夫君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     冨樫 博之君

  池田 道孝君     井野 俊郎君

  越智 隆雄君     奥野 信亮君

  今野 智博君     神田 憲次君

  宮路 拓馬君     うえの賢一郎君

  逢坂 誠二君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  冨樫 博之君     長坂 康正君

同日

 理事奥野信亮君同日委員辞任につき、その補欠として伊藤忠彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月三十日

 公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外三名提出、第百八十九回国会衆法第四一号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外三名提出、第百八十九回国会衆法第四一号)の撤回許可に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件

 地方議会議員の選挙における選挙運動用ビラの頒布解禁に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に伊藤忠彦君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山本委員長 この際、お諮りいたします。

 第百八十九回国会、黒岩宇洋君外三名提出、公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

山本委員長 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、平沢勝栄君外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案により、お手元に配付いたしております公職選挙法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。逢坂誠二君。

逢坂委員 提出者を代表いたしまして、本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 本案は、船員の投票の機会を拡充するため、洋上投票の対象を広げるとともに、選挙において候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため、要約筆記者に対する報酬支払いを解禁しようとするものであります。

 その主な内容は、第一は、洋上投票の対象の拡充であります。

 現行制度下で洋上投票をすることができるのは、一定の指定船舶に乗っている船員に限られております。また、洋上投票は、不在者投票管理者の管理する場所において行うものとされております。このため、指定船舶とされていない外国船舶等に乗っている船員や、その乗っている船舶に不在者投票管理者等となる他の二人以上の日本人船員がいない船員は、洋上投票を行うことができないものとなっております。

 本案は、現行の指定船舶に乗っている船員に加え、新たに指定船舶以外の船舶であって指定船舶に準ずるものとして総務省令で定めるものに乗っている船員について、現行の洋上投票の対象とするものとしております。また、これらの船舶において投票することができないものとして政令で定める船員について、その現在する場所において、洋上投票を行うことができるものとしております。

 第二は、要約筆記者に対する報酬支払いの解禁であります。

 平成二十五年の公職選挙法改正により、選挙運動においてウエブサイト等を利用する方法による文書図画の頒布及び屋内の演説会場における映写等の類いの掲示をすることができるものとされました。これらの選挙運動に当たり、いわゆる要約筆記が行われることがありますが、現行では、要約筆記者に対する報酬の支払いは禁止されております。

 本案は、これらの選挙運動において文書図画の頒布、掲示のために口述を要約して文書図画に表示することを要約筆記とし、専ら要約筆記のために使用する者について、一定の報酬を支給することができるものとしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとしておりますが、要約筆記者に対する報酬支払いの解禁については、公布の日から起算して一月を経過した日から施行するものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上でございます。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 公職選挙法の改正案につきまして、動議提出者に質問をいたします。

 洋上投票についてでありますが、洋上投票は、外洋、遠洋を航行する指定船舶に乗船する船員のための不在者投票制度として、一九九九年に創設をされ、二〇〇〇年の総選挙から利用されております。

 船員が乗船中における投票というのは、指定港における不在者投票と、船舶内での不在者投票と、洋上投票の三種類があります。

 指定港における不在者投票は、船員が指定港所在の選管に出向いて投票するものであり、船舶内での不在者投票は、船長が不在者投票管理者となって、船内で投票し、管理者が投票された票を選管に郵送するものであります。

 遠洋、外洋にいる船舶の船員の場合、これらの方法では投票された票を選管に郵送するのは困難であるため、ファクスを用いて送致をすることができるようにする、これが今改正案の中身と承知をしております。

 最初に、総務省に確認をいたします。

 このような洋上投票は、幾つもの手続を踏みながら、複雑な流れで行われております。これはやはり不正防止のために厳格な手続をしていると思いますが、どのような流れでどのような不正防止を行っているのかについて説明いただきたい。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 現行の洋上投票ということでございますが、不正防止につきましては、まず、投票送信用紙等の請求のときにおきましては、不在者投票管理者となる船長が投票送信用紙等を請求するというふうになっております。その際に、選挙人の持つ選挙人名簿登録証明書、これは船員の方が持っておりますが、それに交付した旨を記載することにより二重交付などを防止しております。

 また、請求時に船舶のファクシミリ番号を登録してもらいまして、発信元以外からの送信を受け付けないようにするなどの措置が講じられております。

 次に、投票に際してでございますが、船員は、不在者投票管理者である船長の管理する場所で、立会人の立ち会いのもと投票を行うこととされております。

 また、船長が船員に投票送信用紙等を交付する際には、船長及び立会人の署名をいただいております。

 また、選挙人についても、署名あるいは船員手帳の番号等、本人を確認すべき事項を記載していただいております。

 また、実際の問題ですが、投票手続に入る前には、船長等が選挙管理委員会と連絡をとりまして、必要な打ち合わせあるいはファクスのリハーサルなどを行った上で投票手続に入っているものと承知しております。

 また、投票が終了しました後には、船長は、船員から投票送信用紙の提出を受けまして、それを指定市町村の選挙管理委員会に、帰港後、未使用の投票送信用紙とともに送致することとされて、散逸を防いでいるというような措置も講じられております。

塩川委員 今答弁ありましたように、幾つもの手続を踏みながら、不正が起こらないような、選挙の公正性を確保する取り組みになっているわけであります。

 今回の法案は、現行の洋上投票では投票できない船員にも対象を広げようというものです。現行対象となっている一定の日本船舶に準ずる外国籍の船舶へと拡充し、さらに、現行は三名以上の日本人船員が乗船していなければ対象とならなかったものを、日本人船員が一人でも二人でも洋上投票が利用できるようにするというものであります。

 そこで、提出者にお尋ねをいたします。

 今回の対象拡大によって、今答弁もありました現行の不正防止策というのは変わるんでしょうか。

逢坂委員 お答えいたします。

 今回の制度の拡充によりましては、まず、投票の公正性や投票の秘密、これが十分に確保されるといった観点から適切に対処する必要があると認識をしております。その上で、今回の法案によって投票の拡充がなされた場合には、現行の施行令、これをベースにして新たな政令が定められるというふうに認識をしております。その際は、二重投票の防止を初めとした投票の公正の確保という観点を特に重視する必要があるのではないかと考えております。

 また、改正案におきましては、洋上投票というのは二十四時間いつでもできるというものではなくて、政令で定める時間内に行うこととしておりまして、選挙管理委員会が適正な投票の確認をしやすくするように対処したい、そのように考えております。

 以上でございます。

塩川委員 投票の公正性、投票の秘密の確保という観点で、現行の施行令をベースに新たな施行令をつくる、その中においては、二重投票の防止などをしっかりと盛り込んでいくという話であります。

 ただ、日本人船員が二名以下の場合におきましては、洋上投票で必置とされております投票管理者及び立会人が置けず、不正防止が十分にできるのかという懸念もあります。今お話があったような二重投票などの不正もありますし、事務ミスも起こり得るということも想定されます。

 こういった点で、提出者に重ねてお聞きしますが、日本人船員が二名以下の場合、こういった現行の手続のほかにも新たな不正防止策というのを設けるのかどうか、その点についてもう少しお答えいただけますか。

逢坂委員 現行のもの以外に新たな不正防止策ということでございますけれども、先ほど答弁いたしましたとおり、投票時間を限定するでありますとか、二重投票をどうやって防ぐかといったようなことを、法成立後、政省令の中で検討してまいりたい、そのように思っております。

塩川委員 これまで総務省は、対象を拡大することについては、選挙の公正確保の観点から、なかなか困難かなという答弁なども行ってきたところです。

 外洋航行中という特殊な環境下で船員の投票権を保障するのにはこの方法しかない、例外中の例外として洋上投票の対象者を拡大するということか、その点についてお尋ねいたします。

逢坂委員 まさに、今委員御指摘のとおり、これはある種例外中の例外という観点から、何とか実現できないかということで検討させていただきました。

 これを検討するに当たって、現行公選法の中でも、お一人で投票しているものが幾つかございます。その一つは、海外から郵便投票する際に、在外公館を使わずに、御自身がお一人で郵便投票するという制度がございます。それから、国内においても、障害をお持ちの方々などが在宅から郵便投票する、このようなケースの場合も、お一人で投票するというようなケースがございます。

 そうしたことと現行の洋上投票のファクシミリによる投票、これを組み合わせることによって、何とか現在対象になっていない三人に満たない外国船籍の乗組員の皆さんも投票できないかということで検討してきたのが今回の法案の内容でございます。

 その意味におきまして、極めて例外的なものであるというふうに私は認識をいたしております。

塩川委員 投票所に赴くことができない、本来はそういう形での、選挙の公正性の確保にふさわしい対応こそ求められているところ、特段の事情のある方についての例外中の例外という対応ということでお聞きをいたしました。

 その上でも、やはり選挙の基本原則を踏まえることが必要だと考えております。

 我が国の選挙制度は、最も基本的な原則として、普通選挙、平等選挙、秘密投票、直接選挙が憲法に定められており、これを受けて、公職選挙法により、自由選挙の原則、投票の原則、ここには一人一票主義や投票日当日投票所投票主義、投票用紙公給主義などが規定をされております。

 提出者にお尋ねしますが、選挙というのは民主主義の根幹であり、不正があれば選挙の正当性そのものが失われることになります。本人確認や本人の意思で投票しているかといった、秘密投票、一人一票主義など選挙、投票の基本原則が揺らぐことがあってはならないと考えますが、いかがでしょうか。

逢坂委員 御指摘のとおり、選挙は民主主義の根幹でありまして、その正当性を保つことは大変重要なことだと認識をいたしております。そして、秘密投票や一人一票主義といった基本原則は当然に維持されるべきものと考えております。

 今回拡大をする洋上投票におきましても、施行まで一年をかけまして、委員御指摘のような基本原則を満たすことができるように、政省令の整備、周知、広報など十分な準備をした後に施行してまいりたい、そのように提出者としては考えております。

塩川委員 その点で重ねてお尋ねしたいんですけれども、郵便投票の話もございました。在外の郵便投票もありますし、重度の障害者の方の郵便投票の話もあります。そういう例外中の例外の話と重ねて今回の洋上投票の話があったわけです。

 ただ、不在者投票の話もそうなんですが、選挙の公正性と投票者の利便性のバランスという言い方をよくされる方もあるわけですよね。つまり、投票機会をしっかりと保障しましょうといった点では利便性を確保することが必要だよね、でも、その際には公正性もなくちゃいけない。何か上げ下げするような、そんなニュアンスとしてお聞きすることもあるんですけれども、そうじゃないだろう。

 だから、そういう意味では、投票の保障をしっかり行うということと選挙の公正性は何かアンバランスな関係ではなくて、ある意味、利便性、便宜といって選挙の公正性を弱めるようなことでは、結果として選挙そのものの有効性が損なわれることになるんだという見地から、やはり選挙権行使の保障と選挙の公正性の確保というのは同時に追求されなければいけない問題だと考えますが、この点についての提出者のお考えをお聞きしたい。

逢坂委員 全く私も御指摘のとおりだと思います。

 国民の皆様に少しでも投票の機会を均等に享受いただくということのために、選挙権の機会を拡充していくことというのは非常に大事なことでありますけれども、そのことによって公正性が失われるということがあってはならないというふうに思いますので、両方をしっかり満たしていくということが基本原則なんだろうというふうに私も思っております。

塩川委員 憲法十五条は、国民の固有の権利として選挙権を保障しております。これは、国民が主権者として政治に参加する機会を保障するものであり、国民主権、議会制民主主義の根幹をなすものです。この憲法上の権利行使には、投票機会の保障が不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。また、投票や開票などに不正があっては選挙無効になりかねないので、選挙の公正が確保されることが必要であります。

 今回は、船員の方々で、選挙権を持っているにもかかわらず特殊な環境にあるということで投票することができない方の投票機会を保障しようというものであります。

 同時に、ほかにも、選挙権を持っているけれども投票することができないという方がいらっしゃいます。

 この間議論もしてきましたけれども、今国会の冒頭では、十八歳選挙権に関連をして、選挙人名簿に記載されない有権者のうち、旧住所で三カ月以上居住している人は投票できるようになりました。そのときにも指摘しましたが、三カ月以上の居住要件があることで、国政選挙の選挙権を有しているにもかかわらず投票できない方もいる。一カ月単位で引っ越しをする、国政選挙の選挙権を有しているにもかかわらず選挙できない、こういうことこそ本来解消すべき問題だと私はこの間も指摘をしてきたところであります。

 そこで、外出が困難な有権者の投票についてですけれども、障害を持つ方、高齢の方が投票所に行きにくいという問題もあります。

 その要因としては、投票所が遠いとかバリアフリー化されていないなどという問題も当然挙げられるわけです。投票所自体のバリアフリーの取り組みも重要であるのと、投票所が一階でなく二階になっているようなところであれば、車椅子の方を含めて対応が困難ということもあります。入り口に段差があって入れないということもあります。

 こういう取り組みで提出者にお尋ねしますが、このようなバリアフリーの現状があるがゆえに障害者の方の投票行動を制約させてはならないと思いますが、その点についてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

黒岩委員 塩川委員の御指摘、ごもっともなことだと思っております。

 法改正事項になるのか運用になるのかは、またいろいろと議論があると思いますけれども、やはり投票が困難な方、また、特に、今、塩川委員のおっしゃられた障害を持つがゆえになかなか投票権が行使しづらい環境、これをしっかり環境整備を、これはまた各党会派でしっかりと知恵を絞って前進していくよう、また各会派の皆様にもお願いいたしたいと思いますし、私どもも全力で当たっていく所存であります。

塩川委員 環境整備ということでのお答えがありました。

 こういった外出が困難な有権者の方の投票について、この間国会でも議論があるのが、巡回投票のことであります。

 最初に総務省にお尋ねしますが、二〇一〇年十一月二十六日の本委員会、倫理選挙特別委員会におきまして、当時の片山総務大臣が、

 今私が事務当局に少し勉強してみようと言っていますのは、外国では巡回投票制度なんというのがあるんですね。選挙管理委員会が車で巡回をして、例えば高齢者とか障害者の皆さんの施設をめぐって、選管のスタッフがそこで投票をしてもらう、そういうこともやっているところがあるんですね。これも、もちろんそういう人員とかスタッフとかが確保できるかどうかなんという問題があるんですけれども、ひとつ勉強してみようじゃないかというようなことも今やっている

と述べています。

 この片山大臣の答弁を踏まえて、その後、どんな検討をされておられますか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの平成二十二年当時の状況について、詳しくは検証はできておりませんが、当時の関係者等に確認をしましたら、内部的に検討を行っていたということを伺っております。

 その中で、先ほど国会答弁の中にありました施設を巡回して投票するということについては、既に病院等の施設における不在者投票という制度があるので、各施設に出向いていくというよりは、期日前投票所を各地区において設置しやすくするなど、そういうような投票の便宜を図るというような方向性を議論していたと伺っております。

 また、平成二十六年五月に省内に設置しました投票環境の向上方策等に関する研究会におきましては、そういったそれまでの検討内容も踏まえて議論をしまして、平成二十七年三月に取りまとめた中間報告におきましては、投票に行きにくい方々のための方策として、巡回バスにより最寄りの投票所まで送迎する、あるいは一時的な期日前投票所を地区ごとに設置するなど、投票機会を確保する方策を盛り込んでいるところでございます。

 いずれにしましても、現行制度では投票することが困難な方々の投票機会をどのように確保していくかということは、非常に重要な問題であると考えておりますので、選挙の公正の確保との調和を図りながら、今後とも検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 片山大臣のときのやりとりというのは、施設等の不在者投票に係る問いに対しての答えですから施設という言い方をしておるんですけれども、基本はやはり一軒一軒回るような形というのが、巡回投票のあり方として欧米などで行われています。ドイツやデンマークなどでも、個人のお宅を回る、そういう巡回投票というのが制度として行われてきているわけなんです。

 そういったことについて、本来、研究会をせっかく立ち上げたんですから、一つ課題として議論するということがあってよかったんですけれども、そういう方向に行かずになっているというのは極めて残念であります。

 そこで、提出者にこの点でもお尋ねいたしますけれども、外出が困難な方の投票権行使を確保するのには、このような外国でも行われている巡回投票の導入というのも大いに考えられるのではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

黒岩委員 現行制度では、今、政府の方からも説明がありましたけれども、期日前投票については、いわゆる巡回投票についても、これは制度上可能であるというふうに私どもは考えております。

 塩川先生のおっしゃる一軒一軒に直接訪問して投票してもらう、こういうような形については、これは今後の検討課題であると思っておりますし、先般通過いたしました公職選挙法改正案については、修正案の中で、期日前投票についてですけれども、これは各市町村選管に投票所の増設や、また効果的に投票所がより整備できるような、こういった訓示規定も設けておりますが、こういった内容をさらに各会派の皆様とも議論しながら推し進めてまいりたい、そのように思っております。

塩川委員 現行でできる期日前投票の巡回投票所というのは、投票所ですよね。ですから、東日本大震災の被災地でたくさんある仮設住宅の集会所に時間決めで設置をしていく、巡回をしていくという形ですから、やはり本当の意味で家から投票所に赴くことができない方に対しての投票機会を保障するという意味でも、巡回投票という制度を新たにつくるということこそ今大いに具体化を図るべき点だということを重ねて申し上げておきます。

 次に、今回、法案として出されませんでした地方議員選挙のビラ頒布解禁の問題です。

 現行では、都道府県議選、市議選、町村議選ではビラ、マニフェストの頒布が認められていません。これでは有権者が十分に政策を比較できるとは言いがたいわけで、なぜ今回盛り込まなかったのか、その点についてお聞かせいただけませんか。

黒岩委員 これも塩川委員の御指摘のとおりでございまして、各地方議会の選挙におきましてもビラ頒布についての解禁というものを大変望む声が多く、私どものところにも届いているところであります。

 今後、この点については与野党を問わず意見は一致しているところだと思っておりますので、さらにこの議論は活発に、なおかつ速やかに実現するよう私どもも努力してまいる所存であるということを申し添えさせていただきます。

塩川委員 この後予定しております委員会の決議案の案文の中にも、地方議員選挙の選挙運動用ビラの解禁は、「今後各方面の意見を聞くなど速やかに検討を進め、必要な措置を講ずるもの」となっております。ぜひ速やかに検討し、措置すべきことを求めておきたいと思います。

 最後に、選挙制度改正の進め方についてですけれども、このことは、インターネット選挙運動が解禁をされた際に、各党協議に参加をしている全党が、今後も選挙運動規制のあり方について協議を続けていくことで合意をしておりました。ネットを利用した選挙運動は自由化をしましたが、その他の選挙運動、音や紙では細かい規制が残ったままで、選挙期間中、選挙政策をディスプレー上で表示することは自由でも、それを印刷して配ったり張り出したりすることはできません。

 私が昨年六月二日の倫選特で選挙運動規制の見直しについて各党に質問をした際には、自民党の提出者は、公選法そのもののあり方も見直しが必要だと述べ、民主党の提出者は、各党間協議で深めていく必要があると述べ、公明党の提出者は、選挙運動の規制緩和、見直しが必要などと答弁しています。

 今は民進党でありますが、このような見直しが求められている、そういう認識については変わりはありませんか。

黒岩委員 結論から申し上げて、その認識については変わるものではございません。

 インターネットの選挙の際も、各党会派が議論をした中でまだまだ積み残しの点もあるということも承知しておりますし、今後、やはり選挙制度というのは民主主義のまさに土台でございますので、多くの会派の合意形成を図りながら進めていくということにまた不断の努力を続けてまいりたいと思っております。

塩川委員 今お答えのところにもありましたけれども、一言、今回の件について申し上げれば、選挙制度の議論というのは、本案の取りまとめのように、自民党、公明党の与党と、民主党さんなど、一部の党だけで協議するということではなくて、やはり各党が意見を持ち寄って、全党が参加をして協議をすべきものであり、民主主義の土台である選挙制度の議論というのは、あらゆる政党会派で議論することが基本だと考えますが、改めてお聞きして、終わりたいと思います。

黒岩委員 御指摘のとおりだと思っております。その基本を踏まえながら、これからも各党会派の御理解を得られる形、そして手続を踏んでいく、これはもう全力を尽くしてまいりますので、御理解いただきたいと思います。

塩川委員 終わります。

山本委員長 これにて発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、平沢勝栄君外四名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党及びおおさか維新の会の四派共同提案による地方議会議員の選挙における選挙運動用ビラの頒布解禁に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。平沢勝栄君。

平沢委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。

    地方議会議員の選挙における選挙運動用ビラの頒布解禁に関する件(案)

  本委員会は、公職選挙法の一部を改正する法律案を提出することに決した。

  本案は、投票の機会の拡充として洋上投票の対象を拡充するとともに、選挙において候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため、選挙運動に従事する者のうち専ら要約筆記のために使用する者に対して報酬を支給することができることとするものである。

  投票の機会を拡充するとともに、有権者が候補者の政策等をより知る機会があることは、選挙において有権者が適正な判断を行い、投票行動に活かすことができるなど、参政権の行使にとって重要であることに鑑み、地方公共団体の議会の議員の選挙においても、選挙運動のために使用するビラを頒布することができるものとすることについて、今後各方面の意見を聞くなど速やかに検討を進め、必要な措置を講ずるものとする。

  右、決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

山本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 なお、本決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十九分散会


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