衆議院

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第9号 平成28年4月27日(水曜日)

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平成二十八年四月二十七日(水曜日)

    午前八時三十四分開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 大塚  拓君 理事 奥野 信亮君

   理事 田中 良生君 理事 中川 俊直君

   理事 平沢 勝栄君 理事 落合 貴之君

   理事 黒岩 宇洋君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    井野 俊郎君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      うえの賢一郎君    小田原 潔君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      門山 宏哲君    神田 憲次君

      菅家 一郎君    坂本 哲志君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      長尾  敬君    長坂 康正君

      藤井比早之君    古川  康君

      簗  和生君    山下 貴司君

      山本  拓君    若狭  勝君

      大西 健介君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    玉木雄一郎君

      初鹿 明博君    馬淵 澄夫君

      本村賢太郎君    角田 秀穂君

      濱村  進君    穀田 恵二君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           岩屋  毅君

   議員           細田 博之君

   議員           今井 雅人君

   議員           逢坂 誠二君

   議員           落合 貴之君

   議員           北側 一雄君

   議員           中野 洋昌君

   議員           玉城デニー君

   議員           吉川  元君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     簗  和生君

  古川  康君     尾身 朝子君

  若狭  勝君     菅家 一郎君

  國重  徹君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     古川  康君

  菅家 一郎君     若狭  勝君

  簗  和生君     井野 俊郎君

  濱村  進君     國重  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案(細田博之君外四名提出、衆法第二六号)

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案(今井雅人君外二名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 細田博之君外四名提出、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案及び今井雅人君外二名提出、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井委員 自由民主党の藤井比早之です。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案、自民・公明案、民進案につきまして、特に自民・公明案と民進案の相違点を中心にお伺いさせていただきたいと存じます。

 この法律案は、大きく分けて、衆議院議員の定数十削減と、最高裁判決を受けて一票の格差是正を行うという、二つの改正を内容とするものと理解しております。

 まず、衆議院議員の定数削減についてお伺いさせていただきます。

 衆議院議員の定数を十、小選挙区六、比例代表四削減するその理由、そして、定数削減を行う時期と、両案に時期の違いがあるのか否かにつきまして、自民・公明案提出者、民進案提出者、双方にお伺いいたします。

細田(博)議員 今回の法律案は、もし今国会で成立いたしますと、直ちに公布の日から施行されるわけでございます。

 ただ、これらの定数削減と格差是正は区画審議会に審議をしてもらわなきゃなりません。区画審議会は常時開かれておりますので、自動的にいわば審議が始まるわけでございます。人口の確定値も決まり、法律上は一年以内にということでございますから、来年まで区画審は協議をいたしまして、答申を出す。

 そういう意味では、両案とも内容は同じであるとお考えいただきたいと思います。

今井議員 まず、定数を削減する理由ですけれども、これは各党とも公約で定数削減を掲げられているということだと思いますが、その背景は、やはりこれだけ日本の財政も大変厳しいという中で、国民に負担をお願いすることも今後あるだろう、また大幅な歳出削減もやっていかなきゃいけないということの中で、我々議員の数、我々の身分ということもやはり聖域ではないということで、政治改革も同時にやらなきゃいけない。そういう意味で、定数削減を行うということだと思います。

 その上で、私どもとしては、今回の削減幅は決して十分だとは考えておりませんが、調査会の答申を忠実に受けとめて、小選挙区六減、比例代表四減とし、都道府県への議席配分方式にアダムズ方式の導入という調査会答申をまずは迅速に実現すべきということで、法案化させていただいています。附則にお示ししたとおり、さらなる定数削減も今後検討は続けていくということだと思います。

 それから、時期についてですけれども、私どもの法案が成立すれば公布日から施行されることになりますので、区画審は直ちに新たな都道府県別定数配分に基づく区割り改定案の作業に入って、一年以内の勧告。それで、勧告を受けて、来年の通常国会に政府が具体的な小選挙区を定める公職選挙法の別表第一を改正する法案を提出し、速やかに可決することを想定しています。周知期間を一カ月とすると、遅くとも来年七月以降であれば抜本改革を行った上での選挙が可能ということだと思います。

 定数削減を行う時期については、民進党案と与党案では違いがないということを承知しております。

藤井委員 ありがとうございます。

 衆議院議員の定数を十削減するということ、調査会答申を尊重しているということ、また、定数削減を行う時期については、法律が通りましたら、公布即施行、区割り審が一年以内ということで、時期に関してはどちらも、両案ともに違いがないことを明らかにしていただきました。

 このたび定数を十削減いたしますと、衆議院の定数は四百六十五に減少いたします。

 衆議院選挙制度に関する調査会答申では、「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い。」と述べています。

 議員定数は、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど諸外国よりも少なく、大正十四年、一九二五年の男子普通選挙実施以降で最も少ない議員定数となります。大正十四年の日本国の人口は五千九百七十四万人、現在はこれより倍以上人口がありながら、議員定数は少なくなるということになります。

 一方で、国会議員の数は多過ぎる、みずから定数削減を率先すべきだ、まず隗より始めよという声があることは事実です。何よりも、国民の皆様との約束は重いものでございます。定数削減を先送りしない、国民の皆様との約束を早期に果たす、定数を十削減する、それも速やかに行うという法案が与野党双方より提出されていますことに、関係者の皆様の御尽力、御労苦に深く敬意と感謝を申し上げます。

 次に、一票の格差是正についてお伺いさせていただきます。

 一票の格差是正を行うに当たっては、いつの時点の国勢調査の結果に基づき定数配分を行うのかが問題となってまいります。

 まず、現行法の考え方についてお伺いさせていただきます。

 現行法、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第四条は、選挙区改定案の勧告を、十年に一度の大規模国勢調査によることとしておりますが、この理由につきまして、政府の見解をお伺いします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法の第四条におきまして、十年ごとの大規模国勢調査の結果によって勧告を行うことを原則としまして、その間においては、特別の事情がある場合に限って勧告を行うことができるという旨を規定しております。

 これは、選挙区の変更等に伴いまして、有権者の投票行動や、候補者、政党の政治活動等への影響を考慮し、選挙区あるいは選挙制度の安定性を確保しようという趣旨によるものと解されております。

 なお、選挙制度に関する調査会答申の理由におきましても、選挙区の安定性の見地から、本来十年ごとに見直しを実施される旨の記述があると承知しております。

藤井委員 ありがとうございます。

 選挙制度の安定性、選挙区の安定性、これは現行法も望むところであるというふうなお話をいただきました。

 国勢調査のたびに、選挙のたびに選挙区の区割り、選挙区がころころ変わるわけにはいかないということだと思います。制度的安定性を担保するために、十年に一度の大規模調査によることとしているということだと理解いたします。衆議院選挙制度に関する調査会答申でも、「都道府県への議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案し、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果による人口に基づき行う。」とされております。

 そこで、お伺いさせていただきます。

 いつの時点の国勢調査の結果に基づき都道府県別定数配分を行うのか、アダムズ方式導入時期と調査会答申の考え方との整理について、自民・公明案提出者、民進案提出者にお伺いいたします。

逢沢議員 藤井先生にお答えをいたします。

 いわゆる佐々木調査会、衆議院選挙制度に関する調査会答申におきまして、議席配分の見直しは、委員も御指摘のとおり、制度の安定性を勘案し、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行われるとされております。

 一方、調査会の答申では、どの大規模国勢調査から見直しを始めるべきか、その開始時点については明らかにされておりません。

 現時点では、次回の直近の大規模国勢調査は平成三十二年のものであります。成立した法律をあえて遡及適用することは例外的であることに鑑みますと、アダムズ方式を導入するのは平成三十二年の大規模国勢調査以降とするのがまさに自然であると我々は考えております。

 また、こうすることは、制度の安定性を勘案するよう求める、議長が三月二十三日に示されました大島議長の「思い」にも沿うものであると承知をいたしております。

今井議員 まず、いつの時点の国勢調査を使うかということですけれども、民進党案においては、調査会答申を受けて迅速に改革を実現するために、既に確定している直近の大規模国勢調査で、十年ごとの大規模国勢調査を使うべしという提言がございますので、その大規模国勢調査であるところの直近は平成二十二年でありますので、平成二十二年の国勢調査をもとに配分することとしております。

 確かに、調査会の答申にはどの時点での大規模国勢調査を使うべきかということは明記はされていないということは承知しておりますが、過去に三度違憲状態という判決を受け、最高裁からも五年前に一人別枠方式の撤廃というのを求められているということを真摯に受けとめれば、一人別枠方式を撤廃するためにアダムズ方式というのを採用するわけですから、やはり直ちにアダムズ方式を採用すべきという考え方のもとで、平成三十二年の国勢調査を待つのではなくて、平成二十二年の国勢調査を用いるということがごく自然ではないかなというふうに考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 両案とも、十年に一度の大規模国勢調査による。また、逢沢議員、今井議員双方とも御指摘のとおり、調査会答申においてはどの大規模国勢調査から見直しを始めるべきか、その開始時点は明らかにされていないということでございます。その上で、三十二年を使うか二十二年を使うかという違いなのだと理解をいたします。

 民進案では、直近の国勢調査の結果を使用せず、それ以前の古い国勢調査、平成二十二年の国勢調査の結果を使用しておられますけれども、こうした遡及適用は例外的、いわば前代未聞のものとなるということは御指摘させていただきたいというふうに考えております。

 その上で、民進案につきましては、今回の都道府県別定数配分と平成三十二年将来推計人口に基づく都道府県別定数配分とを比較いたしますと、滋賀県、沖縄県では一旦定数が三に減少した後、再び四に戻るということになります。

 資料二の方で配らせていただいておりますけれども、これは当方がつくらせていただいたものなんですけれども、ほかにも民進案においては結構いろいろと異動が起こるということでございます。このことについてどう考えておられるのか、民進案提出者にお伺いいたします。

今井議員 御指摘のとおり、平成三十二年の将来推計人口に基づきますと、滋賀県、沖縄県等でいわゆる出戻りと言われているものが起きる可能性があるということは承知をしております。

 ここは一つの考え方だと思いますが、私どもは、先ほどもお話ししたとおり、やはり三度違憲状態というふうに言われていることへの対応というのを、迅速性というのを非常に重視しているわけでありまして、そのためにアダムズ方式を採用するわけですが、仮にアダムズ方式を採用しない形で次の選挙を迎えたときに、またここで違憲訴訟が起きて、どういう判決が出るかはわかりませんけれども、再びそういう混乱が生じる可能性があるのではないだろうかというふうに考えております。

 そういう意味においては、法的な安定性という点はどうなのかという観点もあり、そうした問題と制度の安定性ということのトータルで考えた上で、やはり我々としては迅速に一人別枠方式の撤廃ということをする方を優先した方がいいんじゃないかということで、この法案にさせていただいているということでございます。

藤井委員 率直に言って、滋賀県と沖縄県で出し入れが起きることについてはどういう見解をお持ちですか。

今井議員 それぞれの案については、メリット、デメリットというか、いい部分、悪い部分はあると思います。

 ですから、確かに沖縄県、滋賀県のところでそういう可能性が起きるということに関しては一つの課題ではないかなというふうには考えておりますが、全体的な面を考えると、やはり法的な安定性の方の重視というのを我々としては優先したいということでございます。

藤井委員 実は、滋賀県も沖縄県も、いずれも平成十四年、二〇〇二年の公選法改正で定数が三から四に変わっております。民進案では、またこれが、一旦定数が三に減少した後、平成三十二年の将来推計人口に基づけば、恐らく国勢調査で再び四に戻る。

 平成三十二年といえば、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの年で、もうすぐなんですね。一回選挙ができるかどうかという形になると思います。

 資料の三の一、二で配らせていただいたんですけれども、これは平成十四年のときに三から四に変わりますよということで周知徹底を図るために配られたものなんですけれども、これは結構、三から四に変わったらほとんど県全体をいじるぐらいの変更がありまして、多くの方々が本当に影響を受ける。自分が住んでおるところは何区なんやろうと皆様にわかっていただくのは本当に時間がかかりますし、周知するのも大変です。

 一回するかしないかのタイミングで、昔三だったのが四になって、四が三になって、また三が四になる、これは大丈夫なんだろうかと率直に思いますが、そのことについて、本当に、滋賀県や沖縄県の皆様方にとってはどう考えるのか、課題ということでは済まされないことではないかなと思います。

 次に、自民・公明案と民進案との相違点として、自民・公明案は、各選挙区の人口を日本国民の人口で限っております。民進案は、これを限っておらず、外国人等が含まれる形になっておるんですけれども、自民・公明案提出者には、各選挙区の人口を日本国民の人口に限る理由、民進案提出者には、各選挙区の人口を日本国民の人口に限らない理由をお伺いいたします。

細田(博)議員 国勢調査の値に外国人、外国籍の人の人数が入っているという問題について早くから指摘しているのは、実は私でございます。

 そして、前回の平成二十二年国調でも、不明者と外国籍の者を合わせて二百七十万人もおられて、そして、外国人とはっきり記入された者が百六十五万人、国籍不明者でみずから申告していない者が百五万人でございます。そして、一番人口格差が大きいと言われている、今現状で格差の大きい東京一区においては、四万人ほどの人が当時、五年前でも外国人でございます。

 したがって、その後の五年間、そして今後のことを考えますと、どんどん外国人労働者がふえてまいります。国勢調査で各アパートとかあらゆる建物で調査しますから、皆さん答えられる。そうすると、これがこれだけの人数にとどまらず、今後もどんどんふえる可能性がある。

 しかし、日本国民でございませんから、国政に参加する権利は保障されない。ほかの権利はいろいろ、医療とか年金、雇用とかそういうものはきちっとやらなきゃいけませんが、この人口格差という問題について言えば、はっきりと日本国民の人数が格差に反映されなければおかしいということで、今回盛り込んだような次第でございます。

今井議員 前回も申し上げましたけれども、私たちの法案は、あくまでも調査会の答申に従って法案をつくらせていただいておりますので、調査会の答申は現行の人口という考え方でつくられているので、そのまま、現行のままというふうにしているところでございます。

 日本人人口を基準にするというのが与党案に入っているということは承知しておりますし、これは、今までの選挙の制度にはなかった新しい制度だというふうに考えております。その点におきましては、私どももこの議論は決して排除するものではありません。

 ただ、区割り画定の基準となる人口の問題は、参議院選挙における定数配分の基準やあるいはそのほかの選挙の制度に及ぼす影響等もあるかもしれませんので、単純な議論ではない可能性もあるんじゃないかというふうに考えておりまして、この基準を導入するのであれば、その点のところをどう考えるかということも含めて、国民や有権者にしっかり説明していく必要はあるのではないかなというふうに思います。

 いずれにしても、そういう考え方は一つの考え方ではないかというふうには考えます。

藤井委員 ありがとうございます。

 資料の四の一から三は私の方で試算をさせていただいたというものなんですけれども、外国人等を入れるか否か、日本国民の人口に限るか否かで、都道府県別小選挙区定数配分も、比例ブロック別定数配分も、当然区割りも変わるということを数字として示される形になります。

 資料四の一をごらんください。

 平成二十七年国勢調査速報値では外国人等の人口が明らかになっておりませんので、暫定的に平成二十二年国勢調査確定値を使って試算をさせていただいておりますけれども、自民・公明案では、減員対象県のうち、議員一人当たり人口が下位の六県を対象としておりまして、この六県は変わりがなく、問題はないことになるんですけれども、単純に平成二十七年の簡易国勢調査に基づいてアダムズ方式を当てはめますと、日本国民に限った場合は七増十三減、外国人等を入れた場合は九増十五減と違ってくる。日本国民以外、すなわち外国人等を算定根拠に入れたら、なぜか福島県と沖縄県が減員、減らなあかんという形になります。

 次に、資料四の二では、比例ブロック別定数配分も変わってしまう。自民・公明案では、現時点で減員対象ブロックのうち、議員一人当たり人口が下位の四ブロックに北陸信越が入って、減員対象ということになりますけれども、平成二十七年国勢調査の確定値が出て外国人等を除けば、北陸信越は減員対象にならない可能性が出てくる。

 資料四の三は平成二十二年の国調をもとにしたもので、これをもとに民進案は算定されますので、民進案では七増十三減です。これを、民進案と違って、算定根拠から外国人等を抜いて日本国民のみで算定すると、四増十減ということになります。

 算定根拠から外国人等を抜いて日本国民のみで議席配分を行ったら、新潟県と愛媛県と長崎県は一人減らさなくていいことになる。逆に言えば、民進案のように、外国人等の人口を、いわば選挙権のない皆さんを議席配分の算定根拠に加えてしまうと、なぜか新潟県、愛媛県、長崎県は一人減らさないといけない。これは大問題じゃないかというふうに考えます。

 まさに、日本国憲法第十五条第一項、選挙権を規定した条文でございますけれども、これは、国民固有の権利と定めております。また、憲法四十三条一項は、両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを構成すると定めてあります。公職選挙法第九条第一項は、選挙権を有するのは日本国民であると明記しております。

 日本国の国政選挙の選挙権を有するのは日本国民、これは至極当たり前のことでございまして、その選挙区の区割りを決める際に外国人等を含めた人口でこれを決める、これはおかしなこと。自民・公明案のように、日本国民に限るとする改正は至極真っ当な改正であると評価できます。

 それでは最後に、選挙区割りが変更される可能性のある小選挙区の数について、自民・公明案提出者、民進案提出者にお伺いいたします。

岩屋議員 藤井先生には貴重な資料を提出いただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 お尋ねは、自公案で〇増六減をやったときに区割り変更がされる可能性のある選挙区はどのぐらいあるかということでございますが、おおよそ八十選挙区から九十選挙区程度ではないかと思っております。

 内訳は、人口の最も少ない都道府県、これは鳥取県でございますが、ここで二、六減の対象となる都道府県の区域内の選挙区で二十七、鳥取二区よりも議員一人当たりの人口の少ない選挙区及びその隣接選挙区で十、格差二倍未満基準に適合しない選挙区でおおよそ十七、その隣接選挙区で二十六、これを足しますと八十二になりますが、これはあくまでも試算でございますので、九十ぐらいまでふえる可能性があるのではないかと思っております。

今井議員 民進党案は、即座に抜本的な改革をするという案になっておりますので、当然、影響を受ける選挙区は多くなるというふうに承知をしております。

 それで、本法律案による七増十三減によって、もちろん区割りが変更される可能性がある選挙区につき、平成二十二年国勢調査の結果に基づき試算しますと、実際の区割り改定がどのようになされるかということにもよりますが、最大で百五十選挙区程度ではないかというふうに見込んでおります。

 区割りが変更される可能性のある選挙区の内訳を申し上げますと、推計ではありますが、まず十三減の対象となる都道府県の区域内の選挙区が六十二、それから七増の対象となる都道府県の区域内の選挙区が八十六、それから、七増十三減の対象となる都道府県以外の道府県において、格差二倍未満基準に適合しない選挙区が生じた場合には当該選挙区となりますが、それは若干ということで、合わせると百五十程度になるのではないかというふうに見込んでおります。

藤井委員 ありがとうございます。

 自民・公明案でも八十から九十の選挙区の区割りが変わる可能性がある、一票の格差是正に向けた大改正という形になります。民進案では、選挙区の百五十、半分もの区割りを変え、さらに平成三十二年、二〇二〇年の大規模国勢調査の結果を受けて、滋賀県、沖縄県の出し入れを含めてまた大幅に変わる可能性がある。

 調査会答申では、大規模国勢調査の間に行われる格差是正については、「本来の選挙区の区画の見直しが十年ごとに行われることを踏まえ、必要最小限のものとし、」とありまして、制度の安定性もまた調査会答申の要請するところであると考えます。民進案のように選挙区の区割りが短期間でころころと変わることは、制度の安定性に欠けるものと言わざるを得ないと考えます。

 衆議院議員は代議士でございます。国民から公選され、国民を代表して、国政を議する人になります。この町は、村は、集落は、この御家庭は、このお方は何に困っていて、何に苦しんでいて、それをどう解決したらいいのか。日本国で、日本国民としてひとしく幸せに生きていただくためには、こうした困っておられる方々、苦しんでおられる方々、悲しんでおられる方々、恵まれていない方々に光を当てて、寄り添って、手を差し伸べることこそが政治の役割であって、国の役割であると私は信じております。国民を代表して政治を議するためには、まさに選挙区内のお一人お一人、一木一草に至るまで直接向き合う必要があると私は信じております。

 それが、ころころと変わる。この方にわしは託したんや、我々のことをあの人はわかってくれる、あの人だけはわかってくれている、我々の苦しみも悲しみも一緒に乗り越えてくれる、その方が急に選挙区が変わっていなくなる。これは、やはり日本の民主主義にとっても非常に問題であると考えます。

 でき得ることならば、区割りにつきましては、これは区割り審が行われることでございますけれども、制度の安定性という法的要請や調査会答申の趣旨を踏まえまして、ぜひとも選挙区画の見直しは、二倍未満に人口格差を抑えるというのは非常に大切でございますけれども、必要最小限のものとしていただきたい。行政区画の分割は出てくるかもしれないですけれども、そのような制度の安定性を重視して、必要最小限のものとしていただきたい。そのようにこの場をかりましてお願いを申し上げたいと思っております。

 今国会の倫選特委は、大きな成果を上げてまいりました。

 十八歳選挙権導入に当たりまして、十八の春に就職、進学等で故郷を離れ、新しい住所地で三カ月に満たない新有権者の皆様が選挙権を行使できるよう改正が行われました。洋上投票の対象の拡大、選挙運動において要約筆記者の皆様に対する報酬支払いの解禁を行う改正が行われました。投票所に子供さんを同伴して入ることができる改正、選挙当日において、既存の投票所とは別に、駅構内や商業施設等利便性の高い場所に設置された共通投票所で投票できるようにする改正、期日前投票の投票時間を弾力的に設定できるようにする改正、さまざまな改正が行われました。

 今国会のこの倫選特が、衆議院選挙制度に関する調査会答申に基づきまして、衆議院選挙制度改革においてもよりよい制度を目指して成果を上げていただきますよう切にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質疑の機会を与えていただきましたことをまず感謝申し上げたいと思います。

 それでは、与党共同提出及び民進党提出の衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まずもって、今回の法案取りまとめに御尽力をされた各党の皆様に、心より敬意を表したいと思います。

 私の方からは、これまでの本会議また委員会での議論を踏まえた上で、自公案、民進党案両案について幾つか伺ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、定数配分見直しの実施時期についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 特に、小選挙区を念頭に置いた質問となりますが、自公案、民進案とも、平成三十二年の大規模国調の人口をもとにアダムズ方式によって都道府県の定数配分を見直す、この点では同じと理解をしております。

 今から四年後に必ず都道府県ごとの定数配分の見直しが行われる。違うところは、自公案は、それまでの間、定数の削減を、これは政治的決断として先行して行うとしているのに対し、民進案は、直ちにアダムズ方式による都道府県の定数配分の見直しと定数の削減を行うとしております。しかも、用いる人口のデータは六年前の平成二十二年の大規模国調の人口としている点であります。

 民進党案の、平成二十二年大規模国調の人口を用いて都道府県の定数を見直すということについて、既に平成二十七年国調の速報値が明らかになっているにもかかわらず、それよりも古い人口データを用いることは、見直した時点で既に比例性が崩れている。現在明らかになっている人口を正しく反映していない議席の配分をあえて行おうとすることは大きな問題があることは、この間の議論でも明らかとなっているところであります。

 例えば、質疑でも指摘をされているところですが、平成二十二年国調に基づけば一議席となる県が、国立社会保障・人口問題研究所による将来推計人口をもとにすれば四年後には再び一議席増となる可能性が高いなど、制度の安定性から見ても問題があると考えます。

 平成二十七年最高裁判決においても、「定数配分及び選挙区割りを決定するに際して、憲法上、議員一人当たりの選挙人数ないし人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすることが求められているというべきであるが、それ以外の要素も合理性を有する限り国会において考慮することが許容されているものと解される」として、「具体的な選挙区を定めるに当たっては、」「地域の面積、人口密度、住民構成、交通事情、地理的状況などの諸要素を考慮しつつ、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図ることが求められているところである。」と述べております。

 すなわち、投票価値の平等と並んで国政遂行のための民意の的確な反映が大事である、このように指摘をされております。

 選挙のたびに区割りが変わり、投票する候補が変わってしまうということは、民意の的確な反映という点からも問題があると考えます。

 県の定数が減って小選挙区の区割りの見直しが行われ、前回行われた選挙とは別の選挙区の候補を選ばなければならなくなる。さらに、次の選挙では、定数が今度は逆にふえて、再び選挙区割りの見直しが行われて、再びその前の選挙とは違う候補を選ばなければならなくなる。そのように振り回される有権者を生む制度変更について、定数配分を直ちに実施すべき重要性に鑑みれば短期間で定数の増減が生じることはやむを得ないなどということは、少なくとも有権者の立場に立って考えていないと言わざるを得ません。

 これまでの質疑に対する御答弁で、民進案は調査会答申に忠実に、真正面から受けとめた案とのお答えもありましたが、調査会答申では、時期については明示をしておりません。平成二十二年国調の人口を用いるべきとはどこにも書かれておりません。

 参考人質疑で、調査会の佐々木元座長も、十年に一度の大規模国調の結果を用いるのは制度の安定性を勘案してのことであり、十年間は見直さないで済むような区割りを行ってほしいという趣旨を述べられております。

 ですから、その中間年に行われる簡易国調では、格差二倍以上の選挙区が生じた場合に、例外的に、都道府県の議席配分は見直さず、必要最小限の区画の見直しにとどめるように求めているのだと思います。

 これらのことから考えれば、いつの人口データを用いるかは、将来的な制度の安定性という観点から検討、吟味することが調査会答申の趣旨を真正面から受けとめるということであり、安定性の重視とは、すなわち有権者の立場に立った改革、有権者に混乱をできる限り生じさせない制度改正を行うことが立法府の責務であると考えます。

 この点について、まず自公案提案者に伺いますが、有権者の立場に立った改革、将来に向けて安定した選挙制度ということについて、今回の改正案をまとめるに当たってどのように考えられたのかということについてお伺いをしたいと思います。

中野議員 角田委員にお答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおりであるというふうに考えておりまして、調査会の答申におきましては、議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案し、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行うこととされておりますけれども、他方で、どの大規模国勢調査から見直しを始めるべきか、これについては、開始時点は明らかにされていないところでございます。

 私どもは、次回の直近の大規模国勢調査が平成三十二年のものである、このように考えますと、やはりアダムズ方式を導入するのはこの三十二年の大規模国勢調査以降とするのが自然であり、また、こうすることが、制度の安定性を勘案するよう求める、議長が三月二十三日に示された「思い」にも沿うものである、このように考えております。

 仮に平成二十二年の大規模国勢調査を用いてアダムズ方式を導入するということになれば、まさに委員が先ほど御指摘になられたような、既に新しい結果が出ているのに古い数字を用いるのではないか。あるいは、今回平成二十二年の大規模国勢調査を用いてアダムズ方式を即時に導入したとしても、四年後にはすぐにまた大規模国勢調査が控えている、立て続けに大きな定数配分の見直しを行ってしまうことになってしまう。このように考えておりまして、やはり制度の安定性という観点からは、私ども与党案は、そういう意味でもしっかり考えて今回案をつくらせていただいた、こういうことでございます。

角田委員 ただいま自公案提案者の方から、やはりこれは平成三十二年の大規模国調の人口データを用いるのが自然というお考えが示されました。

 続いて、民進党案提案者にお伺いしたいと思います。

 平成二十二年国調の人口をもとに定数配分を見直さなければならない理由というものを、改めてお伺いしたいと思います。

 また、あわせまして、これまでの議論も踏まえて、平成二十二年の大規模国調ではなく、それ以外の国勢調査の人口を用いることも選択肢としてあり得るとお考えなのかどうか、お伺いをさせていただきたいと思います。

今井議員 まず初めに申し上げたいことは、最高裁で三度違憲状態の判決を受けているわけでありますが、一番最初の判決は平成二十三年の三月ですから、もう五年たっています。ですから、本来であれば、その違憲状態判決を受けてすぐさまこの改正をしなければいけなかったにもかかわらず、五年先延ばしにしてきてしまっているという事実を我々はやはり重く受けとめなきゃいけないと思っています。

 そこでは、一人別枠方式の撤廃ということも求められているわけでありますので、今回の改正ではやはりここの部分を抜本的に改正するということが当然求められているんだというふうに我々は考えています。

 したがいまして、平成三十二年の国調で行う場合はこの問題が即座に解決されないという問題点があると認識していまして、そういう理由から、平成二十二年の国勢調査を採用して、即座にアダムズ方式を採用するということが妥当であるというふうに考えています。

 なお、公明党の皆様が平成二十七年の簡易国調を使うべしというふうに最初に御主張しておられたのは承知しております。答申は、十年ごとの大規模国勢調査を使いなさいというふうに提言をしておりますので、基本的にその考え方に沿っているわけでありますが、一つの考え方としては、直近の平成二十七年の簡易国調を使って抜本的解決をすることは、一番の目的は、やはり一票の格差を抜本的に改正するためにアダムズ方式を採用するということが一番の要諦だと思っていますので、その要諦をしっかりと守っていくために、平成二十七年の簡易国調を使うということも、合意形成をする上にあって必要であれば検討する余地はあるというふうに考えています。

角田委員 両案とも、格差の是正、これを第一にまず考えているということは共通していると思います。その上で、やはり将来的な制度の安定性を考慮して都道府県の議席数配分をするとなれば、四年後に迫っている平成三十二年の大規模国調か、前回の大規模国調から既に六年が経過をしようとしている制度改革の時期、こうしたことも勘案して、最初だけ直近の人口データである平成二十七年簡易国調のデータを用いるか、私自身はこの二つの選択肢しかないのだろうというふうに考えています。

 ですから、公明党は当初、簡易調査ではあるけれども、直近の平成二十七年国調の結果が明らかになっているのであるから、その結果に基づいて答申に沿った法改正を行うことが最も現状に即すると考えておりました。しかしながら、最高裁判決の要請及び答申の求めるところに応えるように考えていくとの議長の「思い」も踏まえ、今国会で成案を得て、成立を確実なものにすることが最重要との考えから与党案をまとめ上げたものであります。

 こうしたことに対して、問題の先送りであるとか変節であるといった指摘もあります。

 公明党提案者にお伺いをいたします。

 選挙制度改革への思い、今回、自公案を取りまとめるに当たってどのようなお考えで臨んだのか、取りまとめに至るまでの思いというものをお伺いしたいと思います。

中野議員 委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、公明党は、一票の格差についての最高裁判決が選挙時における選挙区間格差を基準としているということから、平成二十七年に実施をされた直近の簡易国勢調査の結果に基づいて定数削減とアダムズ方式の導入を行うべきではないか、こういう考え方を示してまいりました。

 しかし、調査会の答申におきましては、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づいてアダムズ方式を導入する、こういう結論になっております。また、政党間の合意形成のために御尽力をされました大島議長も、「選挙制度改革についての思い」として、アダムズ方式の導入は十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づいて行う、こういう方針を改めて示されたわけでございます。

 我が党といたしましては、この議長の「思い」も踏まえまして検討を行ったところ、従来、現在の人口分布に最も近い平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づいてアダムズ方式を導入すべきと主張してきた立場からは、それよりも古い国勢調査であります平成二十二年の大規模国勢調査を起点にアダムズ方式を導入する、これについての合理性はやはり乏しいのではないか、このように考えたわけでございます。

 現に、平成二十二年、平成二十七年、この国勢調査をもとにアダムズ方式によって都道府県の定数配分を行った場合には、定数配分の結果に違いが生ずるわけでございます。にもかかわらず、あえて古い数値を用いて定数配分を行う、こういうことにやはり合理性はないのではないか、このように考えたわけでございます。

 加えて申し上げますと、この与党案といいますのは最高裁判決の要請に応えるものであるか、こういうことに関しましては、平成三十二年の国勢調査以降はアダムズ方式を導入する、これを法案の本則にしっかりと定めさせていただいたわけでございます。

 もう一つ、改革の先送りになるのではないか、このような御指摘もございますけれども、定数削減については、これは政治的な判断として、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づいて、透明なルール、すなわち客観的に理解できる、客観的なルール、しかも法案に明記をした形のルール、こういうもので先行して行う、このようにしておりまして、十分に最高裁判決、また調査会答申に応えた、また改革の先送りであるような御主張は全く当たらない、このような法案である、このように考えております。

角田委員 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 続きまして、区割りの基準となる人口についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 投票価値の平等、一票の格差をはかる基準の考え方ということについてですが、平成二十七年最高裁判決では、当日有権者数をもとに投票価値の格差を検討しております。したがって、最高裁判決に応えるためには、当日の有権者数の比較で二倍未満となるよう区割りをしなければならないということになりますが、選挙時登録は選挙の直前に行われるために、現実的にはこれをもとに区割りを行うことは当然ながら不可能であります。

 しかしながら、司法が有権者数の比較で判断を下している以上、区割りに際しては、当日有権者数により近い人口を用いなければならないということになります。

 このために、自公案では、日本国民の人口を基準とすることとしている一方で、民進党案は、従来の総人口、すなわち外国人、無国籍者を含む人口を基準としております。

 有権者とは十八歳以上の日本国籍を有する者であり、区割りは向こう十年にわたって安定している、格差が二倍を超えないように定めることが求められておりますから、将来有権者になるであろう十八歳以下も含む日本人人口を基準とする自公案の方がより合理的ではないかというふうに考えます。

 さらに、在留外国人は、一九九五年末の百三十六万人から二〇一五年末の二百二十三万人へと二十年間で六割増加をしており、特に九〇年代末からの増加が顕著となっております。

 近年の在留外国人の増加傾向、さらには日本人人口が減少局面に入っていることから考えても、総人口を基準とし続けることは有権者数を基準とした場合との乖離が今後ますます大きくなっていく可能性が高く、主権者たる日本国民の人口を基準とすることは、制度の安定性という意味からも早急に見直す必要が高いと考えますが、この点、民進党案が総人口としていることについては、あくまでも答申に従ったため、すなわち答申で言及がなかったからとのことですが、一方で、日本人人口を基準にした方が投票価値の平等に資する旨の御発言もありました。

 改めて民進党案提案者にお伺いいたしますが、区割りの基準として用いる人口について、将来にわたり現行のままでよいとお考えなのかどうか、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

今井議員 ただいま委員から御指摘いただいたとおり、私どもの法案では、現行の考え方を用いて答申がされたということを受けとめまして、現行の制度の人口という考え方を使わせていただいているところでございます。

 与党案では日本人人口を基準にするという新しい基準が設けられているということでございますが、先ほども申し上げましたが、参議院選挙を含めてその他の選挙にどう影響があるか、そのあたりのところも十分検討をする必要があると思いますけれども、やはり一つの考え方だとは思いますので、そこの部分については十分傾聴に値すると思いますし、検討の余地はあるというふうに考えております。

角田委員 続きまして、附則の検討条項についてお伺いをしたいと思います。

 調査会答申で載せられている現行憲法下での衆参両議院選挙制度のあり方について、自公案では、「全国民を代表する国会議員を選出するための望ましい選挙制度の在り方については、民意の集約と反映を基本としその間の適正なバランスに配慮しつつ、公正かつ効果的な代表という目的が実現されるよう、不断の見直しが行われるものとする。」という見直し条項が置かれております。

 民進案では、この自公案の条文に加えまして、この途中に、「両院制の下で各議院が果たすべき役割を踏まえるとともに、」という文言が挿入をされていることと、さらに第二項として、「前項の見直しにおいては、特に人口が急激に減少している地域の民意を適切に反映させることに留意するとともに、更なる国会議員の定数削減を図るよう努めるものとする。」という条項を追加している点が異なっております。

 この違いの意味ということについて確認をさせていただきたいと思いますが、まず、民進案の、両院制のもとで各議院が果たすべき役割を踏まえつつという文言について、各議院の果たすべき役割とは何なのか、民進党案提案者に見解をお伺いしたいと思います。

今井議員 調査会の答申におきましても、両議院にはそれぞれの役割や機能を果たすことが期待されていることは異論のないところであり、それにふさわしい選挙制度を構築することが求められているという記述があるわけでございます。

 この衆議院と参議院のあり方というのは非常に重要なテーマでありますし、軽々にこうであるべしというのは申し上げることはできないと思うんですけれども、既に参議院の方では決算の重視というようなことを模索しているような動きもあるというふうに承知しておりますし、衆議院と参議院の役目が同じでいいのかどうかということも含めて、これは深い議論が必要だというふうに考えております。

 私は、私の個人的な意見はありますけれども、やはり国会議員全体にかかわる問題でありますので、広くみんなで今後このあり方については議論をして、結論を得ていく必要があるんじゃないかなというふうに考えております。

角田委員 あり方については今後の議論ということです。

 続きまして、この第二項について民進党提案者にお伺いしたいと思います。

 人口が急激に減少している地域の民意の反映と、さらなる定数削減を、具体的にどのように進めようとお考えになっているのか。また、この両者、民意の反映ということと定数削減を衆議院の選挙制度の中で実現しようとお考えになっているのかどうか。また、そうでないとするならば、両院で行うとするならばどのような場で議論を進めていくお考えなのか。お伺いをしたいと思います。

今井議員 今後の選挙制度のあり方については、まさに、今回の法案についても三十回近い議論をしてきたわけでありまして、今後、さらなる改革については十分な議論が必要だというふうに考えています。

 その中で、各党間でもいろいろな議論をされていると思いますけれども、一つは、選挙公約として定数の削減を大幅にしていくということを御主張されている政党も複数あるというふうに思いますので、このことは当然今後も議論していかなきゃいけないだろうなということです。

 それと、もう一つありますのは、私も地方の選挙区でありますけれども、人口減少が非常に激しい選挙区の民意をどう反映していくのかというのは、各党で議論をされているときでも、当然このテーマはどこでも出てくると思うんですね。

 ですから、これをどう両立させるかというのは非常に難しいテーマであるということは私も承知しておりますが、やはりこの二つのことは今後の選挙制度を考えるに当たってはとても重要な課題だと思っておりますので、そのことをあえて附則に書かせていただいたということです。

 それで、今後の改革においては、御指摘のとおり、やはり衆議院だけで考えられる問題ではないと思いますので、衆参のあり方を含めて全体で議論していくということだと思います。

 大島議長からお話しいただいたときも、議長も同じような意見をおっしゃっておられまして、今後やはり衆参の両院の中で議論していく場をつくらなきゃいけないな、そういう御発言もございましたので、議長を中心にして、各党も入っていただいて、両院のあり方というのを今後議論していく必要があるんじゃないかなというふうに考えております。

角田委員 ありがとうございます。

 これまでの議論も踏まえまして、少なくとも、調査会答申を尊重し、答申に沿った選挙制度改革を目指すという考え方は両案とも変わりはないというふうに受けとめております。

 本会議の質疑において、民進党は、議会制民主主義の土台となる選挙制度の改革は、少なくとも与党と主要野党が合意した上で実現させるべきであることは当然と述べられ、そのために、自民党と公明党は野党に歩み寄って、私ども民進党案を受け入れて成立させるべきと主張されました。

 確かに、議会制民主主義の根幹をなす選挙制度は、できるだけ広範な合意の上に進められるべきと考えます。これまでの議論を踏まえて、民進党案提案者からも、民進案は調査会答申を真面目に丁寧にストレートに受けとめた余りに、形式的になっていた嫌いがあるのではないかとのお話もございました。

 そうであるならば、今からでも民進党は、最高裁判決の要請及び答申の求めるところに応える内容となっている自公案に歩み寄って、今国会での成立を期していくべきであると思いますけれども、この点について民進党案提案者に御見解をお伺いしたいと思います。

今井議員 もちろん、国会の場で合意形成を図っていくということは重要なことだと思っております。

 その上で、私どもは、先ほどもお話しさせていただいたとおり、一人別枠制度の即時撤廃、アダムズ方式の即時導入、ここが一番の要諦だと思っておりますので、ここの部分が崩れないのであれば検討する余地はあるというふうに思います。

角田委員 ありがとうございました。

 昨日の参考人質疑において、佐々木調査会座長は、答申について、出口を示したもの、どうすればクリアできるかの回答であって、どのような経過でそこまでたどり着くかは政治が決める問題であると語っておられました。

 定数削減、投票価値の平等の実現という出口に向けてどのような経路をたどっていくかということについては、今まさに国会の場で議論をされているところであり、できるだけ多くの政党の合意のもとに、最高裁判決に応えた、さらに調査会答申に沿った制度改正案の早期成立に努めているところでありますけれども、それ以外にも、調査会答申が求めた、ある意味出口のない問題、不断の見直しということについても、公明党はしっかりと尽力していくことをお約束して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。

 まずは、自民党・公明党の提出者の皆様、そして民進党の提出者の皆様、長い質疑でお疲れだと思いますが、どうもお疲れさまです、きょうはよろしくお願いいたします。特に、逢沢先生、以前秘書をしておりましたので、このような機会をいただけて非常に光栄でございます。

 まず、質疑に入る前に一言申し添えておきたいんです。

 今回、調査会の答申が出ましたが、そもそもこの調査会に案を投げるようになった理由というのは、各会派が話し合いをしたけれども、結局、何度話し合ってもなかなか折り合いがつかなくて、まとまらなかったということで、調査会に諮問をして、案をつくってもらうように投げたわけであります。

 しかしながら、当初、アダムズ方式というものが示されたときに、与党の議員の中からはこれに対して批判的な発言が出たことは、私は非常に残念だったなというふうに思います。我々の側から案をつくってくれと申しておきながら、出てきた案にそれは違うというのは、やはり言うべきではなかったんじゃないかなということをまず冒頭指摘させていただきます。

 結果として、民進党案も自公案もアダムズ方式を採用することになったわけでありますので、それぞれの党が良識を持った判断をしたということは、私もそのとおりだと思いますが、やはりわざわざ言わないでいいことを言う必要はなかったのではないかなというふうに思います。

 では、本題に入っていきます。

 この間の議論を聞いていると、どうも、目先の一票の格差の是正と選挙制度の改革、目先のことだけを議論されているように思えてならないんですね。

 この答申を見ると、必ずしもそうではなくて、比例代表並立制が維持されている間、長きにわたって信頼をできる安定した制度にしていこう、そういう趣旨で書かれているように感じます。

 この答申、読ませていただきますが、衆議院の選挙制度のあり方、「現行の小選挙区比例代表並立制を維持する。 ただし、」とありまして、「制度の信頼性を確保するため、人口動態に合わせて、選挙区間の一票の較差、選挙区の区割りなどを定期的に見直す仕組みとする必要がある。その点からして、較差是正は喫緊の最重要課題である。」と。

 つまり、信頼性を確保するため、定期的に見直す仕組みとするということなんですね。

 ですから、目先の三十二年の国調で都道府県の配分を変えて終わりということではなくて、比例代表並立制が続くんだったら、その後の、五年後、三十七年の簡易調査で区割りの変更も行いますよ、四十二年には国調の調査が出たら都道府県の配分も見直しますよ、四十七年、また人口の格差が出ていたら選挙区の区割りを見直す、五十二年もまた国勢調査の結果に基づいて都道府県の配分を見直す、こういうふうに、決まってその時期にやりましょうということがこの答申では書かれているということだと思うんですね。

 そういう理解でそれぞれの案はつくられているということでよろしいのでしょうか。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

細田(博)議員 まさに本法律案は、基本的に、アダムズ方式を採用して、長期的に都道府県間の議席配分を決めるということを規定しております。つまり、小選挙区比例代表並立制の維持という前提で規定していることは事実であります。

 したがいまして、今後の見直しにおいて、基本的には、現行の小選挙区比例代表並立制が改められない限り、十年ごとの大規模国勢調査の結果に基づいて都道府県への議席配分の見直しを行い、中間年における簡易国勢調査については、各選挙区間の格差が二倍以上となったときに、境界の変更のみを行って、格差是正を行うことが繰り返されることになるわけでございます。

 ただし、先ほど御発言がありましたように、アダムズ方式というものが本当に長期に、日本国家にとっても、あるいは地方の問題にとっても最も適切なやり方であるかどうかというのは、常に検討しなきゃならない。

 このアダムズ方式は、非常に人口の小さいところは維持されますけれども、人口の中規模の県はどんどん定数が減少し、人口の多いところはどんどん定数が拡大して、その結果、大都市圏の、人口の大きな都道府県のシェアがどんどん高まる仕組みでございますので、そのことは民主主義にとってどうかという議論を我々党内ではしたわけで、あらゆる議論をした上でこういう案が出されたのであるから尊重しようと。

 しかし、問題点がないということでうのみにしているわけではございません。

落合議員 御指摘のとおりでございます。

 民進党案は、最高裁から三回連続して、二〇〇九年から衆議院総選挙が違憲状態との判決が突きつけられ、一人別枠方式の撤廃を求められているということを重く受けとめて、二〇一〇年の国勢調査からアダムズ方式を導入して、一人別枠方式を即撤廃して、速やかに格差是正を実現するというものでして、その後は、御指摘のとおり、国勢調査の実施に連動して、定数と選挙区割りの見直しが継続して行われるということでございます。

初鹿委員 今の細田先生の答弁を聞いていて感じるんですけれども、少なくとも憲法で我が国は全国民の代表が国会議員ということになっている以上、やはり、アダムズ方式でやってもほかの方式でやっても、人口の格差がどんどん広がっている状態だと、どう配分していっても、都道府県ごとの配分で、少ないところはより減っていって、多いところはよりふえていくということにならざるを得ないんだと思うんですよね、今の状態なら。

 むしろ我々政治家のやることは、こういう人口の格差を是正して、都市部に集中するようなこういう日本の状態を変えて、きちんと人口が少ない地域でも定着ができるような政策を打っていくということも我々が考えなければいけないことであると思いますので、そこで、このアダムズ方式に疑義があるということを言っていても、なかなか的確な選挙制度を小選挙区においてつくるということは私は難しいのではないかなというふうに指摘をさせていただきます。

 しばしば、制度の安定性をということを自民党・公明党の提出者の皆様方は繰り返しているんですけれども、制度が安定する、つまり、都道府県の選挙区の議席数がふえたり減ったりしないということを安定性だと多分おっしゃっていると思うんですが、安定であるということが選挙制度に信頼性があるということとは必ずしも一致しないと思うんですね。

 国勢調査の結果をやりました、減るところがこれだけあります、アダムズ方式でやったらこう出ました、それをそのときの多数派の政党の恣意的な判断によって、ここまで減らすのはよろしくないからここは変えましょうとか、減らすところの数を減らしましょうとか、ふやすところはなるべく多くしないようにしましょうとかいう判断が入ることの方が、私は、信頼性を損なうことになるのではないかというふうにまずは指摘をさせていただきます。

 その上で、今、現状のことを言いますけれども、先ほどから民進党の皆さんが答弁されているとおり、最高裁の違憲判決が三回出ていて、一人別枠方式が問題なんだという指摘をされているわけですよ。

 ですから、ここを解消しないで目先の改革というか改正をするだけで済ませてしまうと、これこそ、三十二年の国調までは抜本的な改革が自民党案ではされないわけですから、その前に必ず我々の任期が来て、最高裁の要請に基づく改革がされない状態で選挙が行われるわけですよ。そのときに、では、裁判所が違憲判決をもう一回出さないという保証は一つもないと思います。一つもないんですよ。こういう状態の方が安定性に欠けると思うんです。

 選挙をしました、三回違憲判決が出ている、それに従った状態の選挙制度にはなっていません、そういう形でもう一回選挙があったら、最高裁がどういう判断をするかは我々にはわからないところです。決めるのは向こう側ですから。そういう状態にとどめ置くことの方が、私は、安定性に欠けるということを感じます。まず、そのことをお伺いしたい。

 加えてもう一つ、しばしば、民進党の案の、二十二年の国勢調査の結果に基づいて見直しを行うと、過去二回の選挙の正当性や選挙された議員の地位に対して懸念を抱かせることになるのではないかという答弁もされておりますけれども、そもそも、今の時点で、我々、違憲状態で当選したという指摘を最高裁からされているわけでありますから、現状が我々の地位にもう懸念を抱かせているわけですよ。そういう状態に我々があるという認識を、それぞれの提出者の皆さん、お持ちなのか。

 この二つについてお答えいただきたいと思います。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

北側議員 それでは、最初の御質問にまずお答えをさせていただきたいと思います。

 委員の御指摘は、自民党・公明党のこの案だと最高裁判決からまた違憲状態だというふうに言われるんじゃないのか、こういうお話を前提としていらっしゃるわけでございますが、そのように考えておりません。自公案については、これまでの最高裁判決の内容に適合しているというふうに私どもは考えております。

 その理由でございますが、まず、アダムズ方式により都道府県への定数配分を行うことを、平成三十二年以降の大規模国勢調査に基づいて、人口比例配分であるアダムズ方式を適用することを法案に明記しております。そういう意味では、この三十二年以降は委員のおっしゃった一人別枠方式というのが完全に排除されるということを法案に明確に示しているということを、まず申し上げなきゃいけないと思っております。

 その上で、平成二十七年、昨年の国調の結果に基づいて選挙区間の格差是正については二倍以内にやるんだ、さらに、この二倍以内にやる作業については、これから五年先の平成三十二年までを見越して二倍以内にするように選挙区画定審議会の方でやっていただくんだ、そういうことについても法案に明記をしているわけでございます。選挙区間格差について、二倍以内にするということについて書いているわけですね。

 そして、さらに申し上げますと、これまでの最高裁判決は、選挙制度のあり方、選挙制度については立法府に広い裁量権があるんだとおっしゃっているわけです。漸次的な見直しをすることも立法裁量の範囲内であるというふうにも最高裁は言っているわけでございまして、こうしたことからいいますと、自民党・公明党の案が、これから行われる衆議院の選挙、いつになるかわかりませんが、その選挙が違憲状態である、そのように最高裁が言う可能性は私はないというふうに考えております。

岩屋議員 御質問に補足の答弁をさせていただきたいと思います。

 先ほど先生、滋賀県、沖縄県の出戻りのお話をされましたけれども、やはり選挙制度は民主主義の土台でございます。したがって、選挙に出る私どもよりも、主権者である有権者の皆さんにとって、制度ができるだけ安定しているということは大切なことではないかと私どもは考えております。

 私も定数減や区割り変更をたくさん経験してきましたが、先ほど藤井委員がおっしゃったように、本当に自分自身も身を切られるようにつらいことでありましたが、それ以上に、有権者の皆さん方に非常に申しわけないことをしたなという思いが非常に強うございました。

 したがって、沖縄、滋賀が、かつての五増五減のときにふえているわけですが、それがまた減って、さらにまたふえるというようなことになるということは、私どもはやはり避けるべきではないかと思っております。

 選挙制度に対する信頼、ひいては政治に対する信頼を確保するためにも、私どもの案は適切ではなかろうか、このように考えているところでございます。

落合議員 前段の質問についてですが、自公案の場合には、平成三十二年の国勢調査の結果をもとにした議席配分の見直し、その後の区画審による検討と、それを受けた政府による法案提出、国会審議、さらに、周知期間を要するため、現在を起点に考えると五、六年を要してしまいます。その間に何度の国政選挙が、総選挙が行われるかは誰にも予見できず、それに対する司法判断に楽観的な見通しを持つこともできません。したがって、制度の安定性という観点からも、不安定な状態が続くという御指摘は妥当であるというふうに考えます。

 質問後段の、既に平成二十四年、二十六年と二回の総選挙を経ているにもかかわらず、民進党案に沿って平成二十二年の国勢調査の結果に基づいて定数配分する場合には、この二回の総選挙の正当性や議員の地位に対して疑念を抱かせることになるのではないかとの御指摘につきましては、本会議でも申し上げましたとおり、この二回の総選挙に対しては、まさに今既に疑念が抱かれているどころか、平成二十一年の総選挙から三回連続で違憲状態とまで判決が司法によって突きつけられてしまっているという認識であります。

初鹿委員 自公案の方の提出者の皆さん、後段の方の、現在、議員の地位に対して懸念が抱かれているということについて、どういう認識なのかということにお答えしていただいていないので、お答えいただけないでしょうか。

北側議員 今、三度の違憲状態だという最高裁判決があった、そのときの衆議院選挙で私たちは議員の立場をいただいているわけでございますが、疑念を与えられているのではないのかという御質問ですか。

 最高裁判決は、違憲状態とは言っておりますが、選挙そのものを無効と言っているわけではありません。選挙はあくまで有効でございます。

細田(博)議員 この違憲状態の問題については、小選挙区ができたときに実は都道府県格差は二・一三倍でございました。つまり、そもそも都道府県格差は二倍を超えておりました。そして、その後の三度の総選挙では、最高裁は、違憲ではない、合憲であると言いました。それはなぜかというと、小選挙区の前は県別格差は二・八倍、その前に奄美群島区という選挙区があったときには三倍を超えていた。それを、三倍で合憲という判決も出ていました。

 ところが、判決が変わりまして、二・一三倍を、やはり二倍を超えているから違憲であるという指摘がありました。それは、原因は、人口の小さなところを、一割り振りによって高知県、徳島県等を調整したから、三のままにしたから二倍を超えたので、それを一減して、全体の選挙区としては格差二倍未満としました。

 しかし、この間の最高裁判決は、その後、宮城五区というところで大変な水害があり、六千人の方が亡くなって、二万人の人口減があったということで、人口格差が有権者ベースで二・一三倍になった、また違憲状態である、基本的に直せ、こういうことでございますから、過去の最高裁判決というのは、漸次的にまさにどんどん格差を下げろという指示が出ているのであって、それに対して国会はやはりある程度応えながら、二倍未満を達成した。

 これは、六十年ぶりに国勢調査ベースで二倍未満を達成したんですが、もうちょっとやれと。それが今回の法改正につながっているということを御理解いただきたいと思います。

初鹿委員 自民党さんたちの言っていることはちょっと苦しいんじゃないかと思うんですよ。

 やはり、こちらの立法府が最高裁の判決を決めるわけではないわけですから、このまま、最高裁が求めている、一人別枠方式を抜本的に改めない状態で選挙が必ず一回はやられる、行われますよ。そして、三十二年の国勢調査の結果を見て区割りも決めてとなると、選挙制度が固まるのは三十四年ぐらいになるわけですよね。それまでの間にさらにもう一回選挙のある可能性もあるわけで。

 抜本的に変わらない中で二回もしくはそれ以上の選挙が行われるということになれば、やはり、最高裁がどういう判決を下すかというのは、なかなかこちら側で判断できるものではないと思います。

 そういう面では、やはり今回の改正の今このときに、区割りも変わる時点で、きちんと一人別枠方式を完全に排除した形のアダムズ方式を取り入れないと、私は、それこそ、選挙制度の安定性という面で不安が残ると思います。それこそ、有権者の側からすれば、投票をして選挙の結果が出たのに、それが無効という判決が出た方がよっぽど不安定なわけだと思うんですよね。

 今まで三回は違憲状態だけれども無効とは言ってこなかったけれども、さすがに最高裁も四回目となったらどうなるか、我々にも判断がつかないですよ。そのことはぜひきちんと頭に入れていただきたいというふうに思います。

 先ほど岩屋先生からの答弁で、滋賀県と沖縄県の例を出されました。確かに、都道府県の議席配分がふえたり減ったりということは好ましいことではないと思います。しかし、今後、必ず十年ごとに国勢調査の結果に基づいて都道府県配分を見直すということが決まるわけですよね。これから定期的にやるということなんですよ、この比例代表並立制が続く限りは。そうなったら、ふえたり減ったりということが今後全く起こらないかというと、それはわからないですよね。わからないですよ、多分。

 今でも熊本で大きな災害が発生していますけれども、それこそ、東海、東南海や首都直下型の地震があるかもしれないということがずっと言われているわけですよね。十年先、二十年先、どうなっているかわかりませんよ。そのときに、人口の多い地域で地震が発生したということがあったら、一回ふやした議席を今度は減らすことになる可能性だってあるわけですから、必ずしも、この民進党の案で、一回ふえて減るということが安定性の面で問題だということには、将来的なことを見たら、言えないのではないかというふうに私は思うわけです。

 これで、例えば増減が大きくなったときに、そのときの多数派の意向によって、アダムズ方式で計算をしたんだけれどもそこに手を加えるようなことがある方が、私は選挙制度の信頼性を損なうことになると思うんですよ。安定性も大事だけれども、私は選挙制度の信頼性が大事だと思うんですね。やはり、特定の地域に優遇をするようなことをするのは、必ずしもこれは国民の信頼を得られるとは私は思えません。

 確かに、人口の少ない地域の民意を反映するために、そこの代表をどういうふうに確保していくかということは非常に大きな課題だと思いますけれども、それは、そもそも、憲法で規定をしている全国民の代表であるということ自体を見直すようなことまで大きな改革をしない限りは、私はなかなかその問題を解決することにはつながらないと思うんですね。

 改めてお伺いしますけれども、今後の信頼性のある制度としてこの選挙制度を改革していくということであるならば、やはり、人口の増減によってふやす減らすをそのときの政権与党、多数派が決めるということではなくて、ちゃんとアダムズ方式の計算式で出てきた数字を常に遵守して変えていくということが私は必要だと思いますが、その点について、自公、そして民進党の提出者の皆様、それぞれお答えいただきたいと思います。

北側議員 先ほども申し上げましたが、自公案も、平成三十二年の大規模国勢調査の結果に基づいてアダムズ方式により都道府県への定数配分をするということを法案に明記しているわけです。ですから、それ以降は一人別枠方式なんていうのは完全に排除されますし、ましてや、恣意的な裁量なんて全く働かないわけです。

 ただ、今回、定数削減、十削減をすることについては先行して行う。これは、我々、政治の判断として先行してやろうと決めた。

 では、その十削減をどうやってやるのかということについて、ここもやはり恣意的な判断が入ってはいけませんから、平成三十二年以降はアダムズ方式を適用することがはっきりしていますので、それと整合性のある形で、合理性を持ったやり方でやる必要があると私どもは考えて、昨年の国勢調査の結果に基づいて仮にアダムズ方式を適用した場合に、十五減になるわけですね。その十五減のうち、一票の価値の重い、議員一人当たりの人口が少ない、そういう選挙区を六つ、小選挙区で選ぶということを法案に明記いたしました。ここは恣意性はありません。

 平成三十二年以降のアダムズ方式適用との整合性をとった形で、合理的なルールを法案の中に明記させていただいたということでございます。

落合議員 お答えいたします。

 人口の将来推計の前提とされている国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計は信頼性の高いものとされていますが、国内における人口異動が思ったより激しいとの認識は、きのうの参考人質疑において佐々木参考人からも示されたところでございます。

 将来にわたって制度の安定性と信頼性を保つには、おっしゃるとおり、恣意性を排除した一定の明確なルールを確立しておくことが必要であり、その意味でも、不確定な将来の調査を新しい制度の起点とするのではなく、既に確定している直近の大規模調査である平成二十二年の国勢調査の結果に基づくべきであるというふうに考えております。

初鹿委員 もう時間ですのでやめますけれども、今の北側先生の答弁ですけれども、直近の国勢調査の結果に基づいてアダムズ方式をやったら十五減だった、それを一票の格差の重いところから六つ選んで六減している、これ自体がやはり恣意的なんですよ。恣意的なんですよ。

 だから、こういうことが起こらないようにすることが信頼性のある制度だということを指摘させていただいて、質問を終わります。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、細田さんに質問をします。

 まず、衆議院選挙制度関連二法案の審議は、きょうで三日目です。提案者は大体一様に、どの方も、選挙制度は民主主義の根幹にかかわる問題と発言したり、主権者という話を平気でします。国民の参政権にかかわる重要法案を、昨日、参考人質疑を行ったばかり、翌日には採決を行う、こんな無法があるかということをまず言いたい。

 しかも、何かというと、衆議院の選挙制度の問題について、各党協議会が二十九回行われたと、何か見出しの話みたいな話をしはるけれども、それで一致を見なかった、まとまらなかった、それで選挙制度へ丸投げしたということを合理化しようとする向きがある。それに対して、昨日の参考人質疑では、やり方も内容についても問いをもって問いに答えたことにしかならないとの批判の陳述が行われたことは極めて重大です。

 さて、二十九回に及ぶ各党協議会は、議事録もありません。衆議院選挙制度調査会の答申は提出されたが、十七回に上る審議の内容は、これまた議事録もありません。国民にとって、衆議院の選挙制度についての議論は、先ほどの岩屋さんの話でいうと主権者、主権者はこの三日間初めて聞いているんですよ。この五年半近くの初めてのことなんです、その議論というのは。その意味でも、国民に開かれた形での十分徹底した審議が求められているんだ、このことを改めて主張したい。

 私、きのう、理事会にも出ましたよ。そうしたら、急がなくちゃならぬ、参議院の審議もあると。参議院は、いずれにしても、この間の経過を見ていると、この問題はそんなに長時間やることはないですよ。

 きょうの時間だってそうですよ。これは何時間やったと思いますか、全部で。七時間でっせ。選挙制度をめぐる議論について、たった七時間でおしまいにするなどということが許されるのか。提出者に対して、まず細田さんにその点についての議論をしたい。

 私は、各党協議会で細田さんと一番議論をしてきた仲であります。今後こういう機会がいつ持たれるかわからないので、じっくり話を聞きたい。

細田(博)議員 一昨日も答弁の中で申し上げましたが、この小選挙区比例代表並立制ができたのは、平成六年の細川内閣のときでございます。そのときにも大議論があった。しかしながら、多勢に無勢といいますか、当時の政権七会派が強く主張して、三百、二百の小選挙区比例代表並立制ができて以来、特に御党においては、このような制度が適切な制度であるかどうかということは絶えず問題を投げかけられたことは承知しております。

 したがって、その後も、定数是正の観点から五増五減が行われたときもございます。そして、〇増五減も先般行われております。そして、そのときにも常に各党間において、この制度がいい制度なのかどうかという議論はずっと続いてきていると承知しておりますが、全体としては、この二十年間、世論の大勢といいますか、もちろん、一部の方々が、これはおかしいんじゃないか、我々の支持率に比べて、支持する政党の代表制、あるいは議員の選ばれる率が不当に小さいではないか、我々は一〇%の政党支持率があるのに、三%、四%しか議員が出せないではないかというお声があることは、私は事実だと思います。それが今、オール・ジャパン、日本全体で、この制度はおかしいからもとに戻せとか、また違う制度に変えろという世論まで至っていない。

 二十九回の各党協議会の議論もそのようなことでございましたし、その後の佐々木調査会もそうでございます。

 したがいまして、この議論は、全然やっていないわけではなくて、長年の懸案としては提起されておりますけれども、当面はこの選挙制度でいこうと。

 ただ、格差について、これは選挙区間格差でございますが、都道府県格差じゃございませんが、二倍を超える選挙区が出ている、そのことが今、違憲状態であるという判決が出ているわけで、それを、都道府県間のあり方に大きな問題があるのではないかという議論と、それから定数削減をせよという議論とが、両方交錯いたしまして今回の案が出てきておりますので、私は、決して議論がないがしろにされているとは思っておりません。

穀田委員 今の話を聞いてわかるように、それは細田さんと私は随分議論しましたよ、政党間の議論をしましたよ。しかし、国民的議論はなされたかという話をしているんですよ。していないですよ、全然。何かというと主権者とかなんとか言って、そういうときに、話をするときだけ主権者という話をするんですよ。

 主権者の議論を誰が組織しましたか。公聴会をやりましたか。やっていないですよ。私らは、せめて公聴会をやれと提起したんですよ。七時間といったら幾らだと思いますか、一日でっせ、予算委員会でいえば。たった一日の議論で決めるほど大したことない議論なのか。冗談じゃない。

 日本の政治の中で、こういう選挙制度をめぐって、これほど軽んじられたらあかんということを言っているんですよ。それはわかるでしょう、細田さん。

 細田さんと私は何回も議論してきましたよ。政党としても議論してきましたよ。しかし、国民の中で、これがいいか、これが悪いかという話をしたことはないんですよ。

 少なくとも、答申もそうではないですか。調査会を十七回やったというけれども、私はあのヒアリングに出たときも言いましたよ、公聴会をやるべきだ、国民の声を聞くべきだと。それも退けたんじゃありませんか。そういう経過を見て、この議員諸兄が決めることあたわずということを私は言っているんですよ。そこの重大性を見なきゃならぬ。

 では、北側さんに聞きましょう。

 北側さん、公明党とも私は長い間やってきましたよ、細田さんほどではないけれども。それでも、おたくのところを含めて、二〇一一年、連用制度だとか、二〇一二年、一部連用制だとか、二〇一三年、優遇枠案だとか、そういう問題、議論を通じて、並立制による民意のゆがみは緩和の方向にしなくてはならぬという話をしたわけですやんか。そういう議論を国民の中でして、そうやな、ないしは違うなということを実感するほど今議論したとお思いですか。

北側議員 もう穀田委員もよく承知の上でおっしゃっていると思うんですが、この選挙制度の問題については三つの問題があるんですね。一票の格差是正の問題、そして定数削減をすべきかどうかという問題、そしてさらには、今おっしゃった、選挙制度の抜本的なあり方をどうするんだ、この三つの問題がある。

 最高裁判決が三度違憲状態だと言ったのは、このまさしく一票の格差の問題なんですね。

 三度も違憲状態と判決されているわけで、国会として、立法府として、これはもう放置できないわけでございまして、これをまず最優先で最高裁への答えを我々は出していかないといけないということでございまして、そういう中で今回の論議があるんだ。まず、それがある。

 御承知のとおり、見直し条項も入っているわけでございまして、今穀田委員がおっしゃったまさしくその趣旨は、この見直し条項の規定にあるとおり、今後の選挙制度のあり方については不断の見直しが必要でございまして、しっかりこれは論議をさせていただきたいと思っております。

穀田委員 不断の議論をするというんだから、それはやりましょう。せやけれども、私が言っているのは、皆さん、それは国民の中でこの問題が議論されたと思うかと私は聞いているんですよ。

 それは、政党間を二十九回やったかしらぬ、選挙制度調査会を十七回やったかしらぬ、四年半やってきましたよ。それだったら、その重みをたった七時間ちょいでやるほどのことなのか、それほど軽いものなのか。違う、国民の主権にかかわる問題だ、参政権にかかわる問題だ。主権者の問題だと言うんだったら、主権者にきちっと問うたらどうだ。そんな話をしているんですよ。

 しかも、北側さんも細田さんもおっしゃったように、ともかく最高裁の話だ、こう来るわけだ。最高裁が何を言っているか。それは一票の格差の是正であって、しかもそれは、御承知のとおり、一人別枠方式を正せと言っているわけでしょう。それが、いつの間にか定数削減、こう来ているわけですよ。それも一緒にやってしまおうと。残っているのは選挙制度の問題だというような話をして、何か適当な話をしているけれども。

 では、定数削減について聞きましょう。

 細田さんは、私の国会での質問に対して、我が国国会議員数は多いとは思わないと述べているんですね。他方、地方でも大幅に削減しているから政治決断したと述べているんですよね。政治決断したと言っているんですよ。定数のあり方をどう考えるのかについては大いに議論を深める必要がある、こう言っているわけですよね。これが大いに議論されたとは、よっぽどそんなことは私は思わぬけれども。

 一九二五年普選の、男子普通選挙のときの定数は四百六十六。そして、当時の若槻内務大臣は、各府県について人口十二万につき議員一人を配当する割合を定めましたと答弁しているんですよね。欧州諸国でも、人口何人当たりにつき議員何人ということを根拠としています。

 では、総定数のあり方の基準を細田さんはどのように考えているんですか。簡単にお願いします。

細田(博)議員 私は、小選挙区で選ばれる人々は、まさに代議士とも言われているように、全国をくまなく選挙区数に分けて、そこの代表として選ぶわけでございますから、できるだけ多い方がいいのではないかと思います。

 しかしながら、新聞、テレビ等の世論は、これを行政改革と同じように捉えまして、議員の数は多過ぎるんじゃないか、少ない方がいいということをおっしゃるところが多いわけでございます。

 そこで、前の党首討論でも定数削減、定数削減、公約でも定数削減ということですが、人口六千万人台の、九十年前の水準に国会議員数が減ってしまう、国民一人当たりの議員数は半分になってしまうんですが、それで世論が変わるのか変わらないのか。また、議員が多過ぎるからさらに減らせという世論が出るのかどうか。

 私は、民主主義という観点からいうと、今四十万人に一人の小選挙区、そしてそれに伴う比例区の人数は、民主主義の根幹的課題として問うていかなければ、議員が少ないほど民主主義が適当であるかどうかはわからない。少数政党の皆さんもおられますけれども、いろいろな委員会を兼務して、いろいろな委員会の理事にもなれないとか、発言の時間が遮られるとか、そういうふうになりますから、できるだけ多く国会議員が選ばれて、できるだけ多くの政党が当選して、そして多彩な議論が行われる方がいい面もあるわけです。

 だけれども、全体の流れは、今はまさに小選挙区比例代表並立制ブームがまだ終えんしていない。だから、幾ら私どもが別の、それを是正する案を出しても、それが世論に訴えるということはない。だから、各党協議会のときに私が提案したのも、三十の定数削減は全て最大政党がかぶる案なんですね、自公で合意して。それを、やはり一顧だにされることはなかった。

 したがって、それは、最大の世論の支持を得た政党が政権を圧倒的にとることをまだ国民の皆さんは望んでいるのではないかと、個人的には思っているわけでございます。

穀田委員 では、同様の意見を公明党にも聞きます。

 私は、今、細田さんからお話があったように、日本の議員は多いとは思わないと。その点では、答申も、現行の衆議院の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出しがたい、ここまで言っているんですよね。

 だから、現在の国会議員数は多いと思うのか、なぜ減らさなくちゃならぬのか、その点、どうお考えですか、北側さん。

北側議員 調査会の答申でおっしゃっている趣旨は大変重いものがあると私も考えております。

 ただ、しかしながら、今、我が国は人口減少時代に入っているわけですね。人口減少時代の中にあって、これは議会だけではなくて行政も含めて、これをどう効率化していくのかということは当然考えないといけない課題だと思います。そういう観点から、今回、議員の定数の削減ということについて、私どもも議論をし、その方向で今回このような法案を提出させていただいたところでございます。

 委員のおっしゃっていることはよく理解できます。答申のおっしゃっているとおりでして、改めてこの議員定数のあり方については今後しっかり論議をさせていただきたいと思います。

穀田委員 いずれの方々も、議員定数が多いとは言えないんですよ。これからも議論したい、ひとまず減らす、そんなあほな、そういうことが論理矛盾だと言っているんです。

 では、民進党に、逢坂さんに聞きますよ。

 定数削減は国民との公約と言うけれども、しょっちゅう公約というのは裏切っていることは各党あるわけだけれども、ここだけは何かそういうことを言うんだよね。まあ、そう言っちゃあかんけれども。もともと、民主党野田政権が、増税をお願いする以上、政治家は身を切る改革が必要と発言し、比例八十削減を打ち出したのがきっかけでした。

 国民に増税を押しつけるために国民の代表である議員定数を削減するのか、定数の削減の理由はそれなのかと改めて聞いておきたい。簡単にいこう。

逢坂議員 御答弁いたします。

 政治家も公務員もそうなんですけれども、最小の経費で最大の効果を上げるということが常に求められているわけであります。

 そして、政治家は国民のために仕事をしているわけですが、国民のために仕事をしているから、国民にとってよいこと、これをどんどんやっていくというのが政治家の一つの役割ではありますけれども、よいことだけをやっていたのでは社会はうまく回っていかない。国民にとってはどちらかというと不都合なこと、こういうことも場合によってはやらざるを得ない場面もあるわけであります。

 例えば、自治の世界では、NIMBYといって、ノット・イン・マイ・バックヤード、自分の家の裏庭にはつくってほしくないというような迷惑施設をやらなきゃならないこともある。あるいは、増税というのもそういうようなものの一つだろうというふうに思っています。このときに、国民にとって非常に都合の悪い、いや、これはやってほしくないなという政策でもやらざるを得ないようなものをやるときに、一般論として、それでは政治家はもっとコストを下げなきゃいけないんじゃないか、もっと安くやらなきゃいけないんじゃないか、こういう声が高まるというふうに思うわけです。

 今般議論になっております消費税の増税の問題でありますけれども、これはまさに国民にとって、もう全ての国民がその増税のマイナスをかぶるわけでありますから、嫌な政策なんだろうというふうに思います。そういうものが惹起されたときに、特に、本当に政治家はちゃんとやっているのかという議論が出るわけでありますね。

 片や、一方で、これまでもいろいろな経過の中で議員の定数削減ということが議論されていた。

 だから、増税をするから議員を削減するんだ、削減するために増税だと言っていることではなくて、さまざまな要素の中で、たまたま今、増税と議員削減というものがリンクしているかのように見えているということなんだろうと思います。その意味で、直接的な理由ではないということを申し上げておきたいと思います。

穀田委員 逢坂さんの意見はそうかもしれない。しかし、国会で野田さんはそう言われた。しかも、思い出してくださいよ、逢坂さん。あのとき、公約に消費税増税すると言ってへんよね、その前は。だから、それほどでたらめだということなんですよね、この問題の理論というのは。

 しかも、聞くけれども、まあ聞かぬでもいいけれども、二〇〇九年、一〇年、一二年、一三年、一四年と選挙がありましたよね。そのとき、最初の二〇〇九年は確かに八十削減と書いていたよ。その後、書いていないというのは知っているか。書いていないんですよ。二〇一三年、二〇一四年の公約にはそれすら、つゆすら見えなくなっている。自民党などの公約などは数字さえ書いていない。

 ですから、何か口を開けば国民に対する公約だとか言うけれども、公約自身が変わっている。日ごろ守らない公約を、このときだけそういうことを言うということも極めてひどいという話を一言言っておきます。

 次に、身を切る論について一言言っておきたいと思います。

 いわゆる身を切る論について、自民・公明、民進の提案者、簡単に答えてくださいね。こういう議論をするのにこれだけしか時間がないというようなことをやっているのは、あなた方なんだから。

 議員の定数を減らすことが身を切る論の目的なのか、それとも、一体、現在の議員定数でどんな弊害があるのか、多過ぎるのか、そういった根拠をきちんと述べてほしい。

 そしてもう一つ。では、あるいは経費的なものとして考えているのか。すなわち、金がかかり過ぎているからだということを言っているのか。

 身を切る論とあなた方が言っているのは一体何なんだということを、簡潔に頼むわ。

逢沢議員 いろいろ国会改革の議論の中で、身を切る、あるいは身を切る改革、よくそういう言葉が使われます。

 定数との関係でいいますと、確かに調査会も、絶対的基準があるわけではない、そうはっきり言っている、そのとおりだろうと思います。また事実関係として、大幅に定数を削減すると選挙区間の格差の縮小が難しくなる、そういう要請に向き合わざるを得ないということですよね。そしてもう一つ、事実関係として、諸外国との人口比においては我が国の国会議員は決して多くない、そのとおりだろうと思います。

 私も、身を切る改革イコール定数削減、そういう考え方にはくみするべきではない。国民の中には確かに、定数は少なければ少ないほどいいじゃないか、こういう向きがないことはないと受けとめておりますけれども、そのこと自体、私は大変問題だというふうに思っております。

 第一、国会の議席、定数というのは、我々国会議員、我々現職の国会議員のものではなくて、国民のものですよね。国民の声を代弁する貴重なその議席は国会議員のものじゃなくて国民のものだという大前提、大認識に立たなくてはならぬというふうに思っております。

 しかし、先ほど北側先生からも答弁がありました。人口は減ってくる、そして通信手段、交通手段、そういうものの利便性も高まってくる、国民との対話のツール、それは充実してきた。そして、経費の面からいいますと、我々国会議員の活動全て国民の税金で賄われております。効率をある意味で求める。政治の生産性という言葉が受け入れられるかどうか、ある意味では気をつけて使わなくてはいけない表現であろうかとも思いますけれども、しかし、限られた財源でパフォーマンスを上げていく、そういう努力は努力として求められているのではないかというふうに思います。

 その全体を考えて、我々は今回十削減ということを法案にもお願いした、そのように御理解をいただきたいと思います。

逢坂議員 身を切る改革ですけれども、政治家はみずからにとって不都合なことをやる、政治家にとって不利なことをやる、そのことによって国民の皆さんに難しい問題について対応してくださいよということを御理解いただく、そういうような意味合いで使われているんだろうと思います。

 今回、定数を削減するということになりますと、現行の議員が次の選挙で当選しづらくなる可能性は高くなるわけですね。その意味で、政治家にとって不都合だ、そういう意味で身を切るという言葉を使っているんだろうと私は思っています。

 ただ、私は、実は機会があれば穀田先生とこの議員定数の問題はじっくり議論をしたいと思っておりました。きょうはもう時間がありませんので、これ以上は長くはしゃべりませんけれども。

 通常国会、百五十日ございます。今回の国会は多分、五、六十本の法案、案件が上程されているわけですが、通常国会は多いとき百本ぐらいの案件が上程されるわけですね。そうなりますと、百五十日で百本の案件ですから、一・五日に一本ということになるわけです。それを、議員定数をどんどん減らしていけば減らしていくほど、国会議員がさまざまな法案に接するチャンス、機会というのが逆に減っていくような気が私はしていて、議員定数の問題というのは、本当に、今の国会にかかっている案件の数といいましょうか重さといいましょうか、そういうことと比較をして妥当なのかどうかといったようなあたりも、国会議員みずからが国民の皆様に説明をしていく。

 その上で、一方、片や、最小の経費で最大の効果を上げる、あるいは、国民の皆さんから見れば議員の数はいつも多い多いと指摘をされている、そういう声にどう応えていくかということが非常に大事なんだろうと思っています。

 したがって、これからも、この議論、穀田先生だけではなくて、いろいろな先生方とやっていきたいなというふうに思います。

 以上です。

穀田委員 はっきりしているのは、身を切るという理屈が余りないということだけははっきりしている。

 お話がありましたように、私は、国民のものだというのは正論だと思うんですよね。だから、そういう国民のものであって、我々のものじゃないんですね。身を切るというのは、みずからの身を切るというのは、我が身という発想なんですよね。そこが違うんですよ。国民のものだという発想がないからこういう話が出てくるんですよね。そこの哲学が非常に揺らいでいるわけですよ。そういうものを、ポピュリズムの中に断固として立ち向かっていく姿勢がなければ、政治なんてできやしないですよ。そういうものだということをあえて私は言っておきたいと思うんです。

 しかも、最後、議論を深めたいと。深めたらよろしいがな。だから、落ちついてやろうと言っているのに早々と打ち切るなどというのは、まさにあかんでと言っておきたいと思うんです。

 最後に一言だけ、細田さんに聞いておきたいんだけれども、簡単に。

 両案とも、アダムズ方式の採用にとどまらず、先ほど答弁していましたけれども、実際上は、この方式というのは、この法律は自動的に定数配分と区割りを行う仕組みを盛り込んでいるわけですから、結局、ずっとこれが小選挙区間の是正について自動装置を組み込んでいて、長く続けられる事実上のシステムになっているということは事実ですよね。簡単に。

細田(博)議員 御指摘のとおり、本法案は、長期的にアダムズ方式を採用して都道府県別の割り振りあるいは比例の割り振り等について規定している点は、御指摘のとおりであります。

穀田委員 だから、緊急だとか、何かいろいろ言わはりますよね、急いでとか。違うんです。今回をやることによって、長期にわたってこの制度について維持したいということのあらわれなんです。だから、そう簡単じゃないんだということを私は言っているわけですよ。それは、適当にそういうことを言っている人はいるけれども、違うんです。この法案の中心ポイントは、小選挙区制を長く温存するということを決めている内容なんですね。だから、見直し条項が幾らあろうとも、そういう話をしているということは言っておかなければならない。

 細田さんがいつも言うのは、世論が起こっていない、こう言うんだけれども、私はそんなことはないと思うんです。二つの点で間違っている。

 一つは、この問題の議論が起こったときの世論調査。選挙制度を抜本的に変える、二〇一一年ですが、このときは五割を超えているんですよ、毎日新聞で。FNNでいいますと、今の小選挙区比例代表並立制の抜本的見直しを行うべきだ、六九・七あったんですよ。だから、世論がないという話じゃないんですよ。世論を喚起する努力をしていないということが問題なんです。これが一つ。

 もう一つは、今や国民は、今の選挙制度でいいのか。朋輩と私、この間の本会議質問でやりましたけれども、今、国民の世論は、例えば国政の争点となっている問題でどう動いているか。安保法の問題についてもおかしいじゃないか、消費税の増税についてもおかしいじゃないかと言っている。辺野古の基地なんぞは冗談じゃない、TPPはおかしいと言っている。こういう議論が多数なのにもかかわらず、それと違う暴走が進んでいるということに対して、今、民意が届かないということが問題になっているわけじゃないですか。そこが今、我々に問われている問題なんですよ。

 ですから、今大事なのは、国民の世論を喚起する。今の制度がおかしいということは、大丈夫、それはやれるということと、今や、その問題の大きな問題は、民意と議席が乖離しているというところに焦点がある。そこを我々、政治に携わっている人間は真剣に向き合っていく必要がある。

 ですから、本当に、これで結局のところ、私は細田さんとやり合うのは最後になるかもしれませんけれども、いよいよこの小選挙区制を廃止することが必要なことは明らかになっている。そして、定数削減は論外であるということは、これはもはや自明の理であります。

 こういうやり方が将来禍根を残した、そのときに、我々が主張したことがいかに正しかったかということを歴史は証明するでありましょう。

 終わります。

山本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おはようございます。おおさか維新の会の浦野です。

 三日続けて法案の審議、両党の法案の審議をさせていただいております。

 確かに、こういう大きな、本当に時間をかけて議論をするべきことをこれだけの時間でと言う共産党さん、穀田委員の言も、私ももっともだというふうに思っております。きのうの理事会でもそのことを言わなかったことを穀田委員に叱咤されまして、何でこんな肝心なときにおまえは言わないんだというふうに怒られてしまいましたけれども。

 私は、今回、いろいろと御苦労されてきた大島衆議院議長の思いを最大限に酌んで、我々、野党である我が党としても、しっかりとその要請に応えなければならないんじゃないかという思いで、今回皆さんに御協力をさせていただいてきたというのが現状ですので、御理解をいただけたらと思っております。

 きのうの参考人質疑でも、私の方から、定数削減の考え方等についてもいろいろと参考になるお話を聞かせていただきました。

 減らす、ふやす、このままという選択肢の中で、我々、やはり国民、有権者の皆さんの声を聞いて政治に反映していかなければいけないと思っていますけれども、提出者の皆さんに、今、皆さんの後援会の支持者の方々の中から、議員定数をふやすべきだという声を聞いたことがあるかどうかということをまずお聞かせいただきたいと思います。

細田(博)議員 私どもは大変な地方でございますから、しかも、平成十五年には定数三が二に減りました。これは、一割り振っても島根県が一番一票が重くなってしまったということで、泣く泣く一減をしたわけですが、そのときも大変な批判がありました。なぜ我が県を代表する国会議員三名が二人になってしまうのかということがございました。

 これから定数削減が行われる県においてもそういう議論が当然あると思いますし、また、定数が非常に多いところにおきましても、ふやせばまた区割りが変わっておりますから、中には、党内の議論では、大都市圏の人も、これから定数を例えば四増すると、全ての選挙区が区割り変更になります、そういうことはやりたくないなという声もあるし、有権者の皆さん方がまた変わるのかということを御指摘になっているという声もございました。

逢坂議員 お答えいたします。

 先ほど言いましたとおり、一つの国会で、通常国会、百五十日で数十件から百本近い案件を議論するんだといったような話を私の地元の皆さんに説明したり、あるいはまた、国会議員の政策スタッフの数がどの程度かといったような話をしたりしますと、有権者の皆さんの中から、それは逢坂さん大変だね、そんなにやっているんだと。それから、しかも、外交から内政、内政も幅広に、教育から産業振興から防災から、ありとあらゆるものがある。そういうことをやっているのであるならば、国会議員の数というのは今が本当に妥当なのか、場合によってはちょっとふやしてもいいんじゃないかなといったような声や、あるいは政策スタッフについてももう少し拡充をする、そういったことがあってもよいのではないかといったようなことを、国会の状況をつぶさに説明すると、そんな声を聞く場面もございます。

 ただ、片や一方で、非常に強く、国会議員の数は削減すべきだとか、どうせ役に立っていないんだからあなたたちの仕事はやめた方がいいみたいなことを言われる場面もございます。

浦野委員 せっかくですので、北側先生も逢沢先生も今井先生も、もしよければ、ふやすべきだという声とかがもしあったのならここで言っていただけたらと思うんですけれども、有権者の声はどうですか。

北側議員 有権者の声かどうかわかりませんが、例えば大手メディアの中には、定数削減することはおかしいという論調を張っている大手メディアもあることは御承知のとおりでございますし、また、調査会の答申については、先ほど来話がございましたが、理論的な根拠に乏しい、こういう御意見であったということも承知をしております。

 ただ、一方で、先ほど来申し上げていますとおり、我が国全体が今人口減少が進む中で、行政、また私ども議会も含めて、役割を十分果たしながらどう効率化していくのかということもやはり考えないといけないという時期に来ていることも確かであるというふうに思っております。

逢沢議員 国民の中にも、また我々自由民主党の国会議員の中にも、定数の削減についていかがなものかという声があるのは事実であろうかと思います。

 格差を二倍以内にとどめなくてはなりません。最高裁から指摘もされている、それはもう絶対に守っていかなきゃならない。そして、定数を削減すれば、おのずと地方の方は定数が少なくなるんですね。

 中選挙区時代というのはかなり昔の話になりましたけれども、中選挙区時代、最大の定数は、私の記憶では五百十二が最大であったと思います。例えば四国選出の議員が、委員長もそうでございますけれども、中選挙区時代、最大五百十二のときの四国選出の衆議院議員の数と、今の四国選出の衆議院議員の数はこんなに違う、そんな議論も当然あるわけでございます。

 先ほど穀田先生の御質問の中で、議席というのは我々国会議員のものではなくて国民のものである、そういう認識をまず我々も持たなきゃいけないし、また国民も同時に持っていただくということが大事だし、マスコミにも、ミスリードしないような、そういうある種要請もしていかなきゃいけないでしょう。そういう中で、定数を削減すること自体が目的化するのはやはり問題であるというふうに思います。

 よい国会をつくっていく、充実した審議をしていく、日本が間違いのない正しい進路を選択していく、そのことに資する国会をつくっていく、あるべき定数の姿。附則条項もつけておりますし、あるいは議会制度協議会、議長の諮問機関ですか、そういう機関もあるわけでありますから、そういうものをしっかり活用するということをぜひ工夫してまいりたいと思います。

今井議員 過去に大幅に議員をふやすべきだというふうに言われた有権者は一人です。多くは、減らすべきだという意見が多いです。

 ただ、私の選挙区は過疎化が進んでいるところがたくさんありますので、そういうところの皆様は、地方、田舎の声がちゃんと届くような選挙制度にしてほしいという声があるのも事実です。

浦野委員 今のお話だけを聞いていると、何か定数増の方向性が大きいような感じの言葉もたくさん聞かれました。

 この三日間の議論の中でも、一つだけの事柄について議論をされているわけではなくて、やはりさまざまなものが絡み合って、定数削減するかしないかという議論がされているんだと思います。

 きのうの質問でも言わせていただきましたけれども、我々は、地方分権、道州制を導入することによって国会でやる仕事が減っていく、その中で議員の定数を減らすべきだという主張をさせていただいております。

 今現在行われている国会のこの形が明治以来百五十年ほどほぼそのまま、もちろん歴史的ないろいろな積み重ねで今現在の形があるわけですけれども、今現在の国会のあり方がどうなのか、どう思っているのかという基本的な考え方を少しお聞かせいただきたいと思います。

逢沢議員 委員の御質問、御指摘というのは、非常に重要な、また大きな命題といいますかテーマに基づく御発言、御質問であったと思います。

 戦後、我が国の議会制民主主義、代議員制が誕生して半世紀以上経ております。日本の議会制度をさまざまな角度から見詰め直していく、その態度を持つということが基本的に非常に重要だと思います。

 私、議運におります期間が長かったということもありまして、よく憲政記念館に参ります。憲政記念館は展示がございますね。また、毎年特別展等も開催をされております。先生もお出かけをいただいたことがあろうかと思います。そういうものを見ておりますと、戦後、日本の民主主義あるいは民主政治の発展のために我々の先人が随分努力をしてきた、そのことを学ぶことができるように感じます。

 もちろん、政治のことでありますから、その時代時代の厳しい論争もあったし、政争と言えるような状況も数多く経験をしてきた。

 その中で、やはり一番大きな出来事を挙げるとすれば、まさに今この場所で選挙制度のことについて議論をしているわけでありますけれども、いわゆる中選挙区制度から小選挙区比例代表並立制という新しい制度に移行した。今から考えますと、本当にあのときの議論の激しさ、深さ、自由民主党の中は率直に申し上げてもう党内抗争、そういう中から特殊なエネルギーが出てきて、それが改革に結びついた、そう表現することは決して間違いでないというふうに思います。

 中選挙区だと、どうしても、過半数をとろうとすれば同じ選挙区で三人、四人公認候補を出さざるを得ない。同じ政党の者が同じ選挙区で争う、政策は一緒なのにどこで差異をつけるか。結局派閥につながるし、お金の問題も当時随分ございました。

 政策本位、政党中心、そして民意を集約してやはり強い政府をつくらなきゃいけないけれども、同時に民意を反映する仕組みも持つべきだ、そこで、小選挙区と比例代表の併記といいますか並立、そんな議論を随分させていただいて、今日の制度につながっているわけであります。

 今回、今議論している法改正で、あれ以来の、もちろん小選挙区比例代表並立制という制度そのものは続くわけでありますけれども、アダムズ方式の導入、そして、かつて経験しなかった少ない定数、四百六十五というのは、あのとき以来の大改革であろうかというふうに思います。

 しかし、国会のあるべき姿、人口が減ってくる、また首都圏に集中をする、働き手が少なくなる、そういう構造的な変化、また激動の国際社会にどう日本が向き合っていくか、そういう状況の中で国会がどう機能を維持発展させていくか。いろいろな角度から国会のあり方、特に選挙制度のあり方、定数を含めてしっかり議論をするということは本当に大事であろうかと感じております。

逢坂議員 現状の国会のあり方をどう思うかという御質問でありますけれども、浦野先生が分権ということを冒頭におっしゃられましたので、分権に絡めてお話をさせていただきますと、私、二十二年間自治体の現場で仕事をしていました。

 それで、国会へ来て、初登院してから十一年が経過したわけですが、この経験の中でいつも私が思っているのは、国政の場から繰り出される政策を自治体の目線で見ると、どうもいつも現場の実態に合っていないなとか、どこかこれは地方のことがよくわかっていないんじゃないかなとか、国民生活とちょっとずれているなとか、あるいは、自治の現場での物の決め方のルールに沿わないようなタイミングで国政から法案が決まったと言われたり、あるいは補助金なんかも、たった一週間しか時間がないのに、大至急重要な案件について地方で決めて補助金申請しろとか言われたり、随分と現場の感覚とずれているなという印象は、分権といいましょうか、自治の観点から思っておりました。

 そうしたときに、諸外国の国会と日本の国会を比べてみてどこに違いがあるのかなというと、やはり地方や自治とのかかわりが日本の国会というのは諸外国に比べれば少し希薄なのではないか。

 例えば、フランスの元老院、日本の上院に当たるところですけれども、これは地方自治体の議員の方もかかわれる。ドイツの連邦参議院も、地方自治の現場で議員をやりながら国会議員も兼ねているというケースもあるように聞いているんですね。

 したがいまして、今、国会にはいろいろな課題、問題があります、いいところもありますけれども、自治あるいは分権という観点から言わせていただくと、もっと地方や自治とのかかわりを強くしていくということが一つ国会をこれから考える上でのポイントになるのかななんという思いを持っております。

浦野委員 私も地方議会出身の人間なので、今逢坂議員がおっしゃったようなことというのは多々ありました。我々、あほみたいに身を切る改革だ、定数削減だとただただ叫んでいるわけではなくて、やはり今言っているような、分権したらいいんじゃないかとか、もっとお金がかからないようにしたらいいんじゃないかということで言わせていただいている。

 例えば、昔は、大阪府なんかは、大阪市の市会議員と大阪府の府会議員が兼務をしていた時代も、かなり昔ですけれどもありました。そういったことも今現在考え得るんじゃないかなと私は思うんですね。

 やはり今それが受け入れられない、なかなか前に進まなかったので、我々は定数削減もばさっとやってしまいましたけれども、確かに、定数を削減することについて、いろいろな意見というのはこういう議論をしっかりやることによってたくさん出てきたというふうに私も思っています。

 ですから、私は、今両党の提出者の皆さんもおっしゃったように、やはり現状で完璧なんだという認識ではなくて、これからもそういった議論をしっかりとしていかなければいけないというふうに思われているんだ、それは私どもと同じ意見なんだなというふうに思います。だからこそ、恒常的にそういった議論をしっかりできる場というのをこれからしっかりとつくっていただきたいなと思います。

 これは確認になるんですけれども、自民党・公明党案の中には、十減以外のこの先の定数削減については今回何も触れられておりませんけれども、方向性として、将来にわたって定数を削減していく方向を一応向かれているのかどうかという確認をしておきたいと思います。穀田委員が指摘されたように、マニフェストからはもう既に消えてしまっているんですね、きのうも指摘をしましたけれども。そこら辺はいかがですか。

細田(博)議員 定数削減については、長く議論されておりますし、かつ、野田政権のときの党首討論等でも議論をされ、その後、断固定数削減をすべきだ、なぜ安倍政権はそれを実現しないんだ、そのことがまた大きな政治的課題になり続けてきたわけです。

 それらの懸案を、とりあえずは佐々木調査会の答申の中で、定数自体をそれ以上少なくする必要は余り感じないけれども十削減はしなさいと言うので、ちょうどいい御提案をいただいたので、それでは政治的に十削減いたしましょうということでございますが、その結果、どういうふうにこれからなるのか、比例を削減したことによって影響をする政党が出るのか出ないのか、それから、各個別の県では六減されるわけですし、その後、九増九減されるわけですが、そういった効果を見ながら、どういう声が国民の間から起こってくるのかということを十分見きわめたいと思います。

 さらにさらに国会議員は無駄であるから減らせという世論になるのかならないのか、それはよく見ていかなければならないと思っております。

逢坂議員 議員定数の問題というのは、これはなかなか、深遠なといいましょうか、深い議論が必要なんだろうと私は思っています。

 ただ、現実として、答申も示しているとおり、日本の国会議員の数は必ずしも多い方ではないといったような話、片や一方で、二〇一二年十一月十四日の党首討論で、国民の前で定数削減を公党の代表が約束しているといったような現実、こういったこともある。そしてまた、世論の中にも定数を削減せよという声もある。

 そういったもろもろのことを念頭に置きながら、我が党としては、今回の法律の附則の中にも明示をさせていただいておりますけれども、定数削減の方向を展望しながら、さまざまな観点、要素を取り入れながら不断の見直しをしていくということを考えております。

浦野委員 最後に一つ、これも今質問させていただいたことと全く逆なんですけれども、定数増をする、しないがもし議論になると、これは私がちょっと理解不足なのかもしれませんけれども、なぜ定数増を提言している共産党さんが定数増の法案を出さなかったのかな。たしか出せたはずなんですけれども、出していただけていたらそれも議論できたのになというふうに私は思っているわけですけれども。

 定数増ということについて、各党の今現時点の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

細田(博)議員 このたびは定数を十減するわけですから、しかも、ただの十減じゃなくて、地方を十五も減少するという案が出ているところでございます、今のままいけばでございますけれども。したがいまして、我々は、その動向をよく見守って、効果を見守っていきたいと思います。

 定数増の考え方というのは、政党支持率が低く、国会議員数が少ないところがもっともっと強く主張されるようなものではないかなともともと私は推察しておりますが、そういった声が余りありません。どの政党も減らせということが現状でございますので、我々も定数増をしろということをあえて申すつもりは今のところありません。

逢坂議員 ちょっと違った観点からお話をさせていただきますと、直接民主制というのは、国民の意思、意見がストレートに政治の結果に反映される、ある種、先鋭的に反映されるのが直接民主制であります。

 今の定数の話は間接民主制の話であって、間接民主制というのは、国民の意思や思いというのはある程度弱められるというんでしょうか、モデレートになる、やわらかになる、そうして政治の場に反映されるわけであります。

 それには一長一短あって、どっちもよさ、悪さがあるんだと思っていますが、国民の声が間接民主制の場合はストレートに反映されないがゆえに、どうしても国民の間からは、間接民主制について、何だ、俺たちの思いが届いていないじゃないかという疑念の声が出てくるというのは、これは間接民主制の持つある種の宿命なのではないかというふうに私は個人的に思っているんですね。

 そういう中で、議員定数削減という声がどうしても出ざるを得ないというものが、どうしても制度としてあるような気がして私はしようがないんです。

 それと一方で、今、人口減少社会、先ほど北側先生もおっしゃっておられましたけれども、そのこと、それから財政の問題、そういったことをもろもろ考えてみると、私は、本来、議員定数をふやしてもよいのではないかという側面はあるんだろうとは思いつつも、現状を考えると、議員定数をふやすというようなことについては国民の理解はなかなか得がたいかなというふうに思っております。

浦野委員 きのうも言わせていただきましたけれども、やはり要は政治家自身がしっかりと自分の身を律して、仕事をしっかりとやっていれば、数を減らせなんという議論には恐らく本当はなっていないんじゃないかなと私自身は思っています。

 大阪でも、私の支持者の方々でも、仕事さえちゃんとしてくれてるんやったら誰も何も文句言わへんというふうによく我々も言われていました。ただ、ちゃんと仕事をしているというのをどういうふうに伝えるかというのも結構苦労するわけですけれども。

 私たちは、だからこそやはりしっかりと自分たちの身を律して、身を切るという言い方もありますけれども、自分たちを律するということにも多分なると思うんですね。それをやはり心がけて、これからもこういった議論をちゃんと続けていけるような仕組みを国会で持っていかなければいけないと思っています。

 まだ生まれたての、できて数年しかたっていない政党に所属している人間ですので、諸先輩方のいろいろな意見を聞かせていただいて、これからも勉強していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。

山本委員長 この際、議員玉城デニー君及び吉川元君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 吉川元君。

吉川(元)議員 社会民主党の吉川元です。

 先日の本会議に引き続き、少数会派我が党、委員外質疑の機会を与えていただきました。委員長、そして理事、さらには委員各位にお礼を申し上げたいと思います。

 まず冒頭、二〇一三年六月二十五日の確認事項の認識について、与党、野党それぞれお聞きをしようと思ったんですが、時間が余りありませんので、私の認識をまず述べさせていただいて、法案の中身についてその後質問に入っていきたいというふうに思います。

 一票の格差是正を含めた選挙制度改革、民主党政権の時代から含めて、実務者協議等の回数が二十九回に及びました。民主主義の土台となる国会議員の選出のあり方は、やはり各党による協議と合意、これを最大限に尊重することが基本だと考えます。

 二十九回の実務者協議を経てもなお合意に至らなかったというふうに言われますけれども、二〇一三年六月二十五日の実務者協議において、私も参加をしておりましたが、与野党の実務者協議の中で、現行選挙制度の功罪の検証、定数削減問題、それから一票の投票価値などを含めた抜本的な見直しについて、二〇一三年夏の参議院選挙後に速やかに各党間協議を再開する、これに合意をしたわけであります。もちろん、その時点で具体案については合意は得られませんでしたけれども、その後の協議のあり方、何を議題にしていくのかについては合意をされたわけです。

 ところが、その後、各党間協議は参議院選挙が終わってもなかなか開かれず、年末の十二月にようやく開催をされましたが、その時点ではこの三点を含む議論ではなくて、与党からいきなり法案といいますか改正の中身そのものが出されて、その後、結局、議長に預けるという形になりました。

 つまり、六月二十五日のあの合意に基づいた協議というのは実質的には一度もされていなかったというのが我が党の認識であります。

 このことをまず指摘させていただきまして、法案の中身について尋ねたいと思います。

 まず、与党案についてお聞きしたいと思います。

 今回提出されております両案、都道府県の議席配分を行う際のアダムズ方式の導入時期が異なっているのが大きな違いだというふうに考えております。

 そこで、与党にお聞きいたしますけれども、都道府県への議席配分でのアダムズ方式の採用は二〇二〇年の国調から、小選挙区の六議席については二〇一五年の簡易国調でアダムズ方式を利用し、減員対象となる都道府県から議員一人当たりの人口が少ない順に六県を選ぶということになっております。

 この六減についてですけれども、なぜ利用する国調の時期が異なっているのか、その理由について簡単に説明してください。

中野議員 吉川議員にお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、アダムズ方式を利用した都道府県間配分は二〇二〇年の国調を利用するということにしております。

 これは、調査会の答申におきまして、議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案して、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果に基づき行う、これが調査会の答申の求めるところでございます。

 ですので、アダムズ方式を導入する、大規模国勢調査の結果に基づいて議席配分を行うということでございますけれども、他方で、どの大規模国勢調査から見直しを始めるべきかということは、必ずしも開始時期は明らかにされておりません。

 私どもは、次回の直近の大規模国勢調査が平成三十二年であるということから、平成三十二年の大規模国勢調査以降にアダムズ方式を導入するということが自然である、このように考えました。

 また、平成二十二年の国勢調査を用いた場合には、また幾つか課題がある。例えば、平成二十七年の新しい数字が出ているのにあえて古い数字を用いるのかですとか、あるいは、平成二十二年の大規模国調を用いてアダムズ方式で議席配分を行ったとしても、四年後にまた大規模国調、平成三十二年があるわけでございますので、すぐ見直しがある。いろいろな課題もあるということを考えておりまして、平成三十二年の大規模国勢調査以降アダムズ方式を導入するという案でございます。

 ただ、他方で、では定数の十削減をどうするのか、改革を先送りするのか、こういうお話もございます。

 私どもは、そうではない、改革は先送りはしない、政治的な決断として衆議院定数の十削減を行う、このように決めたわけでございまして、これにつきましては、ではどの時点の数字を用いてこれを行うのかといえば、やはり一番新しい数字というのは平成二十七年の国勢調査でございますので、直近の国勢調査に基づきまして定数の十削減というものを先行して行うことを決めた、こういうわけでございます。

吉川(元)議員 私が聞いておりますと、どうしてもやはり都合のいいところを選んでいるというふうに感じてしまいます。

 二〇二〇年の国調、恐らくこれは、見ますと、与党案の場合、速報値ではなくて確定値が出てからということになろうかと思います。そうなりますと、確定値が出るのは翌年、一年後ぐらいに確定値が出てきます。そこからさらに区割りをして、さらに法的手続をとって実際に選挙を実施するとなると、恐らくこれは、早くても二〇二三年にならないと二〇二〇年の国調に基づいてのアダムズ方式の総選挙というふうにはならないと思います。

 今から考えると、七年先ということになります。どんなに早めようとしてもこれは早められないわけですから、七年間も実際上放置をして、これは私は、どう考えても、先送りだと言わざるを得ません。

 一方で、今回の六減については二〇一五年のものを使うというふうになりますと、これも何で二〇一〇年ではないのか。非常に恣意的な基準を選んでいるようにも思えてなりません。

 次に、民進党の法案提出者にお聞きしたいと思います。

 社民党は、定数のあり方について議論をするなと言うつもりはありません。むしろ、国民の意見もしっかり聞きながら検討すべきだというふうに考えております。

 ただし、やはり定数削減ありきではなくて、国民の政治参加の機会、民主主義の土俵の大きさ、それから特に行政監視機能のあり方などからも適正な数というものを考えていくべきなんだろう。この点で、調査会の答申が、人口比で日本の議員数が先進国中最低水準であることを例に、定数削減に理論的な根拠は見出しがたいというふうにしているのは、私自身ももっともなことだろうと思います。

 そこで、民進党案、附則第四条で選挙制度の不断の見直しについて規定を設けて、その二項において、特に人口が急減している地域の民意を適切に反映させることに留意するとともに、さらなる国会議員の定数削減を図るように努めるというふうにされております。

 しかし、私は、一人別枠方式を廃止し、人口動態に比較的忠実と言われるアダムズ方式を導入していけば、少なくとも現行の小選挙区比例代表並立制のもとで、人口減少地域の議席数の保障と定数削減はやはり両立をしないのではないか、逆に、逆行することになるのではないかというふうにも考えます。

 私も、この点については、本会議を聞いておりますと、聞いている限り、どうも衆参の選挙制度双方で見直しを行ってバランスをとるというようにも聞こえました。

 いずれにしても、人口減少地域の代表を議席として保障し、なおかつ格差を一定範囲内におさめるということになりますと、現行制度のもとにおいては定数の削減ということはやはりできないことなのではないか。先ほど少し定数をふやすというお話もありましたけれども、それ以外に解決の方法はないと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

落合議員 本会議でもお答えをさせていただきましたが、両院の役割、あり方の議論を進める中で導き出される各院の特性にかなった議員の必要数と選出方法、また民意の反映と集約それぞれに適した選出方法、これらをどう組み合わせるのかを議論していきたいと考えています。

 民進党は、今後の議論すべき論点を提示して議論を促進するということを狙いとして、附則に記したところでございます。

 いずれにしても、難しい命題、高度な方程式を解くことが求められますが、少子高齢化と人口減少が進む我が国の現状と将来を見据えて、衆参の垣根を越えた議論の場をつくることが政治に求められていると考えています。

吉川(元)議員 今、難しい方程式を解くと言いましたけれども、この方程式には私は解がないと思います。解のない方程式、つまり、定数を削減しながら人口減少地域に配慮して、なおかつ一票の格差を一定範囲の中におさめるというのは、どう考えても解がないものだというふうに思います。

 参議院と衆議院というお話がありましたけれども、衆議院の中においてはこれはできないというふうな認識なんですか。あくまで参議院の方でそれは見るけれども、衆議院は、いわゆる人口減少地域の議員の数についてはもう無理なんだというお考えなんでしょうか。

落合議員 したがって、一方的に議論を進めるのではなくて、丁寧な議論の場をつくって進めていくということでございます。

吉川(元)議員 そうしましたら、もう時間がありません、最後に、与党案、野党案それぞれ、特に与党案については公明党提出者にお聞きをしたいというふうに思います。

 両案ともに附則で、民意の集約と民意の反映のバランスに配慮し、制度の不断の見直しという規定が設けられております。

 昨年の調査会の意見聴取でも紹介をしたんですけれども、我が党そして社会党の委員長も務めた土井たか子元衆議院議長のお別れの会を一昨年催しました。

 その際に、河野洋平元衆議院議長が、小選挙区の導入の際に、当時の細川総理とともに土井議長に呼ばれ、小選挙区の導入には慎重を期すようにと土井議長から求められたと述懐されております。そのお別れの会の際に、河野元議長からは、あなたに大変申しわけないことをした、謝らなければならない間違いを私は犯したと述べておられます。そして、小選挙区制度を導入したことを悔やんでおられました。

 二〇一四年の総選挙、第一党にありました自民党は、得票率四八%で、小選挙区の議席は七五%、有権者全体で見た絶対得票率はわずか二四・五%であります。つまり、有権者の四分の一の支持で四分の三の議席を獲得したことになります。これは、過度の民意の集中としか言いようがありません。

 この小選挙区制度がもたらす過度の民意の集中を踏まえ、どのような選挙制度がふさわしいと考えているのか、両案の提出者に伺いたいと思います。

 与党の提出者で、小選挙区比例代表連用制、併用制、あるいは中選挙区制度への改革も視野に入れ、比較的、実務者協議の場では非常に近い考え方だなと思われた公明党の提出者から、与党側は公明党の提出者からぜひ答弁をお願いしたいと思います。

北側議員 選挙制度のあり方については、政党間で協議を積み重ねました。

 先ほど来申し上げていますとおり、選挙制度のあり方の論議とともに、一方で、最優先課題だった一票の格差是正、そして定数削減、この三つを一緒に議論していたわけですね。選挙制度のあり方を論議し始めると、なかなか各党間の合意を得られなかった、そのために一票の格差是正という最優先課題もおくれてしまった、こういう経過であったと私は思います。

 ここは一旦切り離して、一票の格差是正の問題、定数削減の問題について結論を出す。そして、今後の選挙制度のあり方については、ぜひこれから政党間で論議をさせていただきたい。そういう意味で、見直し条項も入れておるところでございます。

 委員のおっしゃっているとおり、今は民意の集約機能の方が強く出ているのではないかという認識は、私も同じような認識を持っております。そういう観点から、どういう選挙制度がいいのか、ぜひ今後とも議論させていただきたいと考えております。

落合議員 現行の小選挙区比例代表並立制は、基本的には、政権交代可能な政治の実現、政策本位の政党政治の実現を目指して導入された制度であると承知しています。振り返れば、一定の機能を果たしていると認識をしています。

 同時に、先ほどの民進党案の附則第四条に、特に人口が急激に減少している地域の民意を適切に反映させることに留意した上で、全国民を代表する国会議員を選出するための望ましい選挙制度のあり方について、両院制のもとで各院が果たすべき役割を踏まえるとともに、民意の集約と反映の適正なバランスに配慮しつつ、公正かつ効果的な代表を実現するために不断の見直しを行うことを明記しました。

 大都市集中や地方の過疎化が進む我が国の現状を捉え、地域の声を埋没させずに国政にきちんと届けられる制度を検討していきたいと思います。

 党の垣根を越えて、衆参両院のおのおのが果たすべき役割を議論しつつ、民意を適切に国政に届ける制度、有権者の視点から納得を得られる抜本的な制度改革の議論に取り組んでまいりたいと思います。

吉川(元)議員 時間が来ました。ありがとうございました。

山本委員長 次に、玉城デニー君。

玉城議員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 冒頭、せんだっての本会議での登壇での発言、質問、そしてきょうはこのように委員外議員であります私に質問の機会を与えていただきましたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 きょうは、提出者両方と、それから社会情勢と選挙制度の変遷について、私は特に、第二次大戦前は廃藩置県によって琉球王国から沖縄県になり、沖縄県が戦争によって米軍の為政権下にあり、その中で選挙を獲得してきたという経緯は後ほど申し上げながら、基本的なことではありますけれども、その思いを含めていろいろ質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、まず、法案の提出者にお伺いいたします。

 自民・公明提出案、それから民進提出案、両方に伺いますが、まずは、自民・公明案提出者へ質問させていただきます。

 今回、この間、一票の格差を是正するために、双方の案の中から、いろいろとその内容を精査させていただいていることというふうに思料いたします。

 まず、この自民・公明案に、衆議院議員選挙区画定審議会設置法改正関係の中で、各選挙区の人口について、日本国民の人口に限ることというふうに明記されております。この日本国民の人口に限ることとした理由について、お聞かせください。

細田(博)議員 国会議員の選挙でございますから、やはり国籍のある方を基準にすべきだと思います。投票権もそういう方にしかないわけでございます。

 そして、五年前の国勢調査のときに詳細に調べたところ、どんどん国勢調査の人口には外国人がふえてきておることが判明いたしました。そして、外国人であると答えた人が百六十五万人、国籍不明で記入のなかった人が百五万人、二百七十万人。しかも、東京一区のように、今人口格差二倍を超えてしまって問題になっているところが四万人も外国人がおられます。

 したがって、今回の国調においては、総務省統計局に依頼しまして、必ず確定値においては外国人を除外するようにと。外国人の数をきちっと書いてもらって、数を確定して、人口格差についてはそれを算定の中に入れぬようにということを要請しておりまして、ただし、これは速報値は外国人が入っておりまして、十月の末に確定値が出ます。したがって、法律が通れば区割り審はずっと作業に入りますけれども、最終的には東京一区が何人、東京五区が何人というふうに、格差が大きなところの外国人数を勘案した上で格差二倍未満、しかも余裕を持った二倍未満を確定していく。そういう、格差において非常に重要な要素になっているわけでございます。

玉城議員 ありがとうございます。

 私が調査室から配付された資料にも、平成二十二年国勢調査人口における日本人人口の数ということで、「総人口」「日本人人口」「日本人人口以外」「外国人人口」「日本人・外国人の別「不詳」」という欄がありまして、それぞれ数字が書かれております。

 では、続けて自民・公明案提出者にお尋ねいたしますが、この日本国民の人口を定義する根拠というものをお示しいただけますでしょうか。

細田(博)議員 これは統計でございますので、国勢調査にきちっと書いていただくことになっておりますので。

 今までは、先ほどの数字のように、三分の二ほどの方は国籍を書いておりません。いろいろな事情があるかもしれません。書きたくない方もおられるでしょう。

 したがって、明確に書いた方の数字はやはり国調人口から除外して、これは格差の計算のための便宜でございますので。そうしないと、例えば東京一区で五万人も外国人の方がおられるのに、その五万人が上乗せされていますから、六十何万人という数字が出ていますけれども実は五十八万人であるという場合には格差是正に大きな影響がありますので、そういう意味で今、指示をしているところでございますし、法律が通ればそのように作業が行われるということでございます。

 ほかの福祉とかその他雇用とか、そういうものはもちろんちゃんと国政、行政が対応するべきでございますが、これは国会議員の投票に限ってそのような扱いをすることが、一票の格差という意味では妥当な措置だと考えております。

玉城議員 ありがとうございます。

 もう一点、自民・公明案提出者へお伺いいたします。

 今回の調査会からのまとめの報告書にも、選挙制度のあり方は、代表民主制の根幹にかかわるものであって、国政の運用に重大な影響を及ぼす、多岐にわたり慎重な検討を要する多くの事項をはらんでいるということで、そのような不断の選挙制度の見直しという大きな課題の一部にすぎないということで、今回の見直しについての結論を書かれておられます。

 全国民を代表する国会議員を選出するための望ましいやり方について、やはり問題になるのは、人口が減少する地域の民意をどのように反映するかということになると思います。そのことについて自民・公明案提出者に伺いますが、人口が減少するであろう地域の民意を反映するための方法についてはどのようなことが考えられますでしょうか。

岩屋議員 人口がどんどん減少していくという中で、どうやってその民意を反映させることのできる選挙制度をつくるか、非常に重要な問題だと我々も思っております。

 今回は、現行の制度を前提にして、喫緊の課題であります一票の格差是正と定数削減を実現するための案を出させていただいたわけですが、附則に見直し条項を入れておりますように、将来の選挙制度のあり方については、やはり不断の検討、見直しを行っていかなくちゃいけないと思っております。

 自民党の中にも統一見解があるわけでもありませんし、まだ自公の間で統一見解を持っているわけではありません。いろいろな意見があります。私は現行制度にはかなり肯定的なんですけれども、中選挙区に戻せという意見もありますし、大選挙区にしろということを言う人もいます。それから、さっき民進党の提出者からもお話がありましたが、両院ありますので、衆議院の選出方法と参議院の選出方法は本来は別であっていいのではないかという考え方もありますし、これを発展させると憲法問題にまで行くかもしれませんが、そのように幅広にこれからしっかりと各党間の協議を続けていく必要がある、そういうふうに思っております。

玉城議員 ありがとうございました。

 では、続いて、民進案提出者に質問させていただきます。

 一問お聞かせいただきたいんですが、二〇一二年、党首討論における定数削減の問題、その討論において、社会保障制度改革を進めていくために必要な税負担等を国民にお願いすることを前提としていることについて、これはいわゆる税と社会保障の一体改革で、三党合意案、そしてさらには、その税と社会保障を国民にお願いする以上、我々も身を切る改革をしなければいけないということでの定数削減、そういうふうな流れにあるやに私は思っておりますが、提出案の法案中の見直しにおいて「更なる国会議員の定数削減を図るよう努める」とする方針との、今後の整合性を一点お聞かせいただきたいと思います。

 それは何かというと、つまり、税負担と議員定数削減のカルマといいますかカオスといいますか、それが、国民が何か負担をするのであれば、その都度国会議員の定数削減の風潮になりはしないかということと、それはそれ、これはこれということの、我々が身を正す、襟を正す改革と、しっかり国民に説明をし、国民のためにあるべき国政の姿、国会の姿というものをしっかりお示ししていくことも重要だというふうに思います。

 なので、この点について、これから先ぐるぐる回っていくことにならないように、そのことを一点確認しておきたいなというふうに思います。

落合議員 二〇一二年の党首討論におきまして、当時の野田総理が、国民の皆様に消費税を引き上げるという御負担をお願いしている以上、定数削減をする道筋をつくらなければならないという趣旨の発言をしているのは承知しております。政治家みずからも身を切る覚悟を示したものだと思います。

 一方で、本法律案において今後のさらなる定数削減を含めた見直しについて言及しているのは、さまざまな視点を織り込みながら不断の改革を進めていく中において、さらなる議論をしながら定数削減も検討していくという方向性を示したもので、いずれにせよ、時代状況に合わせて、また、新たな知見を用いて検討を図るに当たっては、特定の税制、特定の政策とリンクすることを前提とはしておらず、また排除もしていません。

玉城議員 ありがとうございました。

 一票の投票の価値の平等性、これこそ一票の格差是正の根幹であり、そのためにこれからもさまざま公選法を初め法律の改正はあるかと思いますが、そのことがやはり、国民の望む姿、求める姿により近い私たちの置き方というものを、これからも各党で議論する機会を持ちたいものだというふうに思います。

 では、残りの時間は、今度は私の私見といいますか考えも交えまして、政府参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 憲法の前文には、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」というふうに書いてあります。

 実は、一九七二年、先ほども冒頭で話をさせていただきましたが、沖縄県が、施政権が日本国に返還をされる際に沖縄県民が求めていたものは、実はこの憲法の理念のもとに戻れるということなんですね。基本的人権の尊重、国民主権、そして平和主義。このことは選挙を通じて得られる大きな価値観であるということが、沖縄県民には長くその考えが正直言ってしみついています。

 なぜなら、琉球王国から沖縄県になったときに、県令心得を初め、まず県令として国の指名によって沖縄県令が置かれ、その後、今度は県知事が置かれることになるんですが、その県知事もいわゆる官製知事で、選挙による知事ではなかったんですね。

 しかし、長年、県知事を自分たちの選挙で選びたい、求めたいという思いは、実は一九四五年に第二次大戦、太平洋戦争が終結した後、沖縄諮詢会という行政局が立ち上がってから、群島政府が置かれている間は実は民間から選ばれた群島知事がいたんですが、しかし、その群島知事が、当時の米国軍民政府、後の米国民政府に名前を変えますが、その統治をしていた機構の考え方や方向性と違うということで、再び米国民政府が指名をする、いわゆるそのときは知事ではなく主席、行政主席が置かれていたんですね。そして、最初の行政主席選挙は一九六八年十一月の立法院議員選挙と同じ日に行われ、そのときに初めて、米国の政権下にあって住民代表の主席が誕生した。その後、一九七二年に祖国に復帰した、日本に施政権が返還されたときには、沖縄県知事として、以降は当然ですが、県民による投票によって県知事が選ばれています。

 一方、私たちは国会議員ですので、国会議員のことを一言申し上げますと、一九七〇年、沖縄住民の国政参加特別措置法に基づき、衆議院、参議院ともに、衆議院の定数は五、参議院の定数は二ということで、初めて七〇年に特措法によって衆議院の議席を得、そして、七二年の復帰によって当然今の選挙の形になっていったわけです。

 一点、政府参考人に最後に質問をさせてください。もう時間が来ております。

 この選挙制度の改正によって、当然ですけれども、国民の投票する権利が失われてしまうことはあり得ないと思いますが、選挙制度の大幅な改正等によって国民が混乱することを避けるために取り組むこととは、どういうことを示すでしょうか。その点について、一点お聞かせください。

山本委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 過去の大規模な選挙制度の改革がありました平成六年などにつきましては、テレビやラジオ、あるいは全国紙、地方紙などの新聞広告のほか、当時は小選挙区制への移行、あるいはブロック制度の導入ということで、新聞折り込みなどによって全戸配布などの啓発を行ってきております。

 最近は、さらにインターネット等も活用しまして、法改正あるいは制度改正が行われた場合には、各種媒体を活用して有権者にきめ細かな広報活動を行っていき、制度の周知徹底、それをまた生かしていくということに努めてまいりたいと考えております。

玉城議員 質問を終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

山本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥野信亮君。

奥野(信)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました与党提出の衆議院選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論を行うものであります。

 まず、与党案の全体構成と司法の要請との関係につきまして申し上げます。

 与党案は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の本則において、いわゆるアダムズ方式を明記し、将来のあるべき衆議院の選挙制度の姿として、この人口比例的な方法によって都道府県別定数配分を行おうとするものであります。

 このアダムズ方式による都道府県別定数配分は、次回の直近の大規模国勢調査である平成三十二年国勢調査から実施することとしていますが、これは、衆議院議長の諮問機関である衆議院選挙制度に関する調査会が求める選挙制度の安定性の要請を勘案したものであります。

 その上で、今回、政治決断として、平成二十七年の簡易国勢調査に基づいて、衆議院議員の定数を、小選挙区六減、比例代表四減の十減を行おうとするものであり、その際、激変緩和のために、定数削減による影響を受ける都道府県を限定するべく、〇増六減にとどめることとしています。しかも、この六減となる対象県を選ぶ基本的な考え方は、アダムズ方式の考え方と軌を一にするものであり、これと整合性のある方式によっているものであります。

 以上を総合的に考えたとき、与党案は、国会の裁量権の範囲における合理的な立法措置であり、最高裁判所の要請にも十分応えられるものとなっていると考えます。

 次に、与党案の特徴的な点につきまして申し上げます。

 その一つは、国民主権の観点から、各選挙区の人口を日本国民の人口に限定したことであります。我が国憲法が国民主権主義を採用していることからも、まことに妥当な考え方であります。

 二点目は、小選挙区六減の措置については、次の区割り改定までの五年間を通じて、将来見込み人口をも踏まえ、各選挙区間の格差を二倍未満におさめるように措置されており、行き届いたものであると考えます。

 三点目は、検討条項が置かれたことであります。二院制のあり方や衆議院の権限、運用の問題を初め、議員の選出方法など選挙制度全般について、引き続き議論を深めていく必要があることから、妥当なものであると考えます。

 このように、与党案は、その全体構成において、司法の要請との関係、激変緩和の経過的な措置、国民主権との関係、検討条項について十分吟味されているものであり、私は高く評価をいたすものであります。

 以上、与党提出の法律案について賛意をあらわすものであり、したがって、民進党提出の法律案には反対であることを表明し、私の討論といたします。(拍手)

山本委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 私は、民進党・無所属クラブを代表して、自民党・公明党提出の衆議院選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法改正案に対して、反対の立場から討論いたします。

 民進党案と与党案の決定的な違いは、アダムズ方式の導入による一人別枠方式の撤廃が一体いつから行われるのかということであります。

 民進党案では二〇一〇年の国勢調査に基づき速やかに実現することになりますが、与党案では、二〇二〇年の国勢調査まで先送りされるために、事実上、二〇二二年以降にならなければ一人別枠方式の撤廃は行われません。

 与党案提出者は、この先送りの言いわけとして、制度の安定性を挙げます。

 確かに、民進党案に基づいて、二〇一〇年の国勢調査に基づきアダムズ方式による都道府県別定数配分を実施すると、二〇二〇年の国勢調査に基づく都道府県別定数配分までの期間はおおむね五年ほどになり、一部の都道府県では比較的短期間に定数が変更されることになります。しかしながら、調査会答申を正面から受けとめ、人口分布をより的確に反映した定数配分を速やかに実現する重要性は揺るぎないものであります。

 そして、最高裁は、二〇〇九年から三度にわたる衆議院選を違憲状態と断じています。そして、一人別枠方式が定数の人口比例配分をゆがめており、できるだけ速やかにこれを廃止する必要があるとの判断が最高裁大法廷で示された二〇一一年三月から、既に五年の歳月が流れております。

 この極めて脆弱な法的安定性を肝に銘じるべきであります。違憲状態で今の国会が成り立っている不安定な現実を脱するべく、迅速な制度改革、アダムズ方式の導入による一人別枠方式を撤廃する法改正を行わなければ、立法府の重大な不作為が問われるものと危惧しています。

 以上が、自民党・公明党提出の衆議院選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法改正案に反対する理由であり、与党議員各位には、法案を撤回し、速やかにアダムズ方式の導入による一人別枠方式を撤廃する法改正を行うべきことを申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

山本委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました与党共同提出及び民進党提出の衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、与党案に賛成、民進党案に反対の立場から討論いたします。

 平成二十三年、最高裁による一票の格差についての違憲状態判決が示されて以降、今日までの衆議院選挙制度改革をめぐる経過を踏まえると、一票の格差是正、定数削減について、立法府として一定の結論を出すことが最重要であると考えます。

 その上で、与党案においては、衆議院選挙制度に関する調査会答申の核心であるアダムズ方式の導入について、答申に沿って、十年ごとに行われる大規模国勢調査の結果、すなわち、次回平成三十二年の大規模国勢調査に基づき導入することとしており、定数削減についても、政治的決断として、十削減を、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づき、客観的なルールのもとで先行して行うことを法案に明記しています。

 よって、与党案は、調査会答申に沿った法案であるとともに、最高裁が選挙制度の整備については漸次的な見直しを許容している旨述べている点に鑑みても、国会の裁量の範囲内での適切な立法措置であり、最高裁の判決に十分に応えられるものであると考えます。

 一方、民進党案は、定数を十削減した上で、平成二十二年の大規模国勢調査の結果に基づきアダムズ方式を用いて定数配分を行うこととしております。

 民進党案について、特に、平成二十二年の大規模国勢調査にさかのぼってアダムズ方式を導入したとしても、四年後の平成三十二年には次の大規模国勢調査が控えていることから、立て続けに定数配分を見直すこととなり、選挙制度の安定性に欠けるのではないかとの指摘をさせていただきました。しかし、民進党案は答申を忠実に反映した法案であるとの主張を繰り返されるのみで、明確なお答えはいただけませんでした。

 主権者たる国民がその代表を選ぶ選挙制度を考えるに当たっては、有権者と議員、候補とのつながり、関係性を安定させることも重要な論点であると考えます。その意味で、民進党案は、答申を忠実に反映することにこだわる余り、有権者の混乱に対する配慮を欠いた法案であると言わざるを得ません。

 また、簡易国勢調査とはいえ、我が国人口を正確に把握した直近の平成二十七年簡易国勢調査の結果が出ているにもかかわらず、民進党案があえて古い国勢調査の数値を用いることとしている点については、直近の人口を反映しているとは言えず、合理性はありません。

 以上の点から、与党案こそ、最高裁判決と調査会答申を踏まえた上で、選挙制度の安定性に十分に配慮をした法案であることは明らかであります。

 最後に、調査会答申が示したとおり、全国民を代表する議員を選出するための望ましい選挙制度のあり方については、与党案に明記したとおり、不断の見直しが必要です。

 立法府に身を置く者として、その責務を果たすべく尽力することをお誓い申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

山本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、議題となった両法案について反対の討論を行います。

 第一に、両案が、前代未聞の異様な進め方であるという点です。

 選挙制度は、民主主義の土台であります。主権者国民の代表の選び方、国民の参政権のあり方を決めるものであり、十分な議論が必要です。このことは、自公案提出者も民進案提出者も認めているところです。

 しかし、本案は、成り立ちから、十分な議論とはほど遠い進め方です。政党としての責任を放棄した一部の政党が丸投げした第三者機関の答申をもとに、全党での議論を全く行わず、答申尊重の名のもとに、行司役の議長が各党に法案提出を促す、前代未聞の異様な進め方です。

 自民党理事は緊急避難の法案だからと短時間の審議を合理化しようとしましたが、両案とも暫定的なものではなく、二〇二〇年以降にも対応した体制維持できる法案だと両案提出者が認めています。

 国民の参政権にかかわる重大法案を、一度きりの参考人質疑で、国民的な議論もないまま、わずか三日間の委員会審議、七時間余りの質疑で採決しようとしていることは言語道断であります。

 第二に、両案の柱である、議員定数十削減に根拠がないことがますます明らかとなりました。

 両案提出者は答申を尊重したと言いますが、昨日の参考人質疑で元衆院選挙制度調査会座長の佐々木毅氏は、有権者の権利の問題、国会の政府監視機能の問題にも触れ、定数削減の客観的根拠を挙げるのは難しいというのが結論だったと述べました。

 主権者国民が国会に意見を反映させるための代表者である議員の定数を削減することは、国民の声を切り捨てるものにほかならず、国会の政府監視機能が低下することは明らかです。

 ましてや、身を切る改革と称して、消費税増税を押しつけるために定数削減を行うことは、全くのすりかえであり、何の道理もありません。

 第三に、民意の反映を著しくゆがめる現行の小選挙区制を維持し続けようとしている点です。

 そもそも、選挙制度の根本は、国民の多様な民意を正確に議席に反映することです。ところが、現行制度は、民意と議席に著しい乖離を生み出しています。

 国民多数の声に逆行する安倍政治の暴走は、現行の小選挙区制のもとに成り立っており、虚構の多数による強権政治の害悪が明白となっています。

 両案提出の各党も、現行制度が民意を過度に集約することを認めながら、この根本的な問題に手をつけていません。しかも、両案とも、アダムズ方式の採用にとどまらず、自動的に定数配分と区割りを行う仕組みを盛り込み、将来にわたって小選挙区制を温存するものです。

 国民が求める、国民の声が届く選挙制度へという願いを先送りし、現行小選挙区制を維持し続けることは認められません。

 今こそ小選挙区制を廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改革することを主張し、反対討論を終わります。(拍手)

山本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野靖人です。

 ただいま議題となりました衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案の、自公案に賛成し、民進案に反対する趣旨で討論をいたします。

 我が党としては、自公案、民進案の両案とも、身を切る改革からほど遠い内容と言わざるを得ません。一方で、これら法案は、衆議院選挙制度調査会の答申に基づいています。調査会答申の十議席減という結論に納得できなくとも、衆議院みずからが設置した調査会の答申は尊重し、まずは一歩でも改革を進めるべきと考えます。

 我が党は、以下の二点について特に主張してまいりました。

 第一に、立法府のあり方を検討する第三者機関を設置することです。この機関において、自民党と旧民主党が党首討論で国民に約束を果たすため、我が党の主張である定数の大幅削減が引き続き議論をされるべきです。

 第二に、日々の国会運営を改革するための常設の委員会を設置することです。これについては、既に議院運営委員会の中に国会法改正等及び国会改革に関する小委員会が設置はされていますので、その定期的な開催を行うべきです。時間のかかる定数の大幅削減が達成されない間にも、国会運営のあり方を定期的に見直し、議員自身が常に身を律する場を設けるべきです。

 この二点の修正を提出者に対して求めてきたところ、国会改革とさらなる定数削減に向けた附帯決議が付されることとなりました。これをもって、改革を少しでも現実のものにするため、さらなる定数削減に向けて真摯に対応することをいま一度強く求めた上で、自公案に賛成することといたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 まず、今井雅人君外二名提出、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、細田博之君外四名提出、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案は可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 ただいま議決いたしました細田博之君外四名提出、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、落合貴之君外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党及びおおさか維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。落合貴之君。

落合委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  今日、我が国の社会は、人口動態を含め様々な要因により大きな変動期に入っている。このような中で、国会には、国権の最高機関として、その求められる役割は一層重要となり、国会を構成する国会議員の選挙制度の在り方を検討するに当たっては、時代の要請に対応できるよう、国会の改革を含め検討することが望ましい。

  そこで、本改正案附則第五条に規定する選挙制度の見直しに際しては、一票の較差の是正、定数等の在り方の検討という課題への対応のみにとどまらず、国会の果たすべき役割といった立法府の在り方についても議論を深め、全国民を代表する国会議員を選出するためのより望ましい制度の検討を行うものとする。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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