衆議院

メインへスキップ



第5号 平成18年6月1日(木曜日)

会議録本文へ
平成十八年六月一日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員 

   委員長 近藤 昭一君

   理事 岡下 信子君 理事 菅原 一秀君

   理事 谷川 弥一君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 小宮山洋子君 理事 田嶋  要君

   理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    上野賢一郎君

      大塚 高司君    北川 知克君

      土屋 正忠君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    福岡 資麿君

      松本 洋平君    山内 康一君

      泉  健太君    岡本 充功君

      郡  和子君    横山 北斗君

      福島  豊君    塩川 鉄也君

      阿部 知子君

    …………………………………

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  荻野  徹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幹雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中田  徹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          西阪  昇君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中谷比呂樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     岡本 充功君

  石井 郁子君     塩川 鉄也君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     泉  健太君

  塩川 鉄也君     石井 郁子君

  阿部 知子君     保坂 展人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官荻野徹君、内閣府政策統括官林幹雄君、文部科学省大臣官房審議官中田徹君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長北井久美子君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中谷比呂樹君及び国土交通省大臣官房審議官加藤利男君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩生田光一君。

萩生田委員 おはようございます。自由民主党の萩生田光一です。

 質問の機会をいただきましたので、順次、幾つかの視点からお尋ねをしてまいりたいというふうに思います。

 まず初めに、少子化、大変重要な問題でありますけれども、この対策に臨む政府の基本姿勢について私は改めてお尋ねをしたいというふうに思うんです。

 この数年、調査や分析を繰り返しておりまして、少子化の要因といいますか原因といいますか、幾つかのカテゴリーに分類をされてきたというふうに思います。

 例えば、子育てにはお金がかかるという現実の国民の声、こういったものにも当然真摯に耳を傾けなくてはいけないというふうに思いますし、あるいは女性の働き方の問題、これもいろいろな角度からさまざまな議論がなされております。

 また、子供を育てていく上での医療機関ですとかあるいは保育施設といった施設の充実を求める声、こういったものも若いお父さん、お母さん方からはさまざまな要望が出されているわけでございまして、一つ一つ少子化を解決していく上の対策として国が取り組まなくてはならないさまざまな問題だというふうに思います。

 私は、こういった問題に対して、きょうは猪口大臣残念ながらいらっしゃらないんですけれども、例えばバースフリーとか、財政的な措置によって何とかその少子化に歯どめをかけていこう、こういう政府の姿勢はわからなくもありませんし、また、そういう国を挙げての取り組みそのものは高く評価をしたいというふうに思います。何がいいか、これはまだ結論は出ておりませんけれども、できることからやっていこう、トライをしていこう、こういう姿勢も同時に大事なんだというふうに思います。

 ここから先がなかなか悩ましい議論でありまして、党内でもこういう発言をしますと時にバッシングに遭うんですけれども、問題は、例えば財政的な理由で第二子をなかなか産めないという環境を解決するために、養育費を含めた財政的な支援をしていこうということは確かに可能だというふうに思います。

 私は、今の日本の少子化を考えたときに、根本的に日本という国家が、子供を生み育てるということに対してどういう思いを国民の皆さんが持っていらっしゃるのか、言いかえれば、残念でありますけれども、笛や太鼓で子供を産んでくれ産んでくれと大騒ぎをしても、結婚したくないあるいは親になりたくない、こういう人たちが世の中に大勢いらっしゃるのもこれは否めない事実だというふうに思います。

 昭和から平成にかわって、日本という国家は多様な価値観というのを認める国として進んできました。私は、そのことはいいことだと思うんです。例えば、かつては、言うならば半強制的な社会秩序といいますか、一定の年齢になると、あなたまだお嫁に行かないのかというような会話がどこの家庭でもあったり、いつまでひとりでいるんだ、嫁さんぐらいもらわなきゃ一人前じゃないじゃないか、こういう言葉が世の中にありましたけれども、今そういうことを言うと、まして政治家の我々がそんなことを言うと、時代錯誤の議員だ、こういうレッテルを張られるおそれがあるので、みんな心の中ではそれぞれ、あるいは身内に対してはそういう会話はあるのかもしれませんけれども、公の場でそのことを口にすることはなかなかなくなってきました。言うならばタブー視をされてきたというふうに思うんです。

 残念ながら、その多様な価値観を認める中で、国家としての姿勢といいますか、将来どういう国になるんだという、あるいは子育てや子供を産むとかあるいは親になるというテーマについて、この国がどういう方向に進むのかという方向がぼやけてきてしまったというふうに思うんです。

 私は、ばりばり働く女性の皆さんを大いに尊敬しますし、その結果として、結婚なんてという判断をする方がいても大いに結構だと思います。あるいは、籍を入れずに、事実婚と言われる同棲の延長のような形で、夫婦のある意味疑似体験のような形で、お互いのライフスタイルを尊重しながら共同生活をしていく、そういうカップルがいてもそのこともいいと思います。あるいは、その結果として、子供は要らないんだという判断をした夫婦があってもそれもまたいいと思うんですね。すべていいと思うんですけれども、では政府として、このすべてのライフスタイルが全部スタンダードかといったら、ここは少し勇気を持って国の進むべき方向というのを示さなきゃならないんじゃないかと思います。

 言うならば、この少子化社会をとめていくためには、やはり結婚することが基本であって、子供を産むことが基本であって、しかも複数の子供を産んでもらいたいというその強烈なメッセージは何らかの形で出していかなきゃ、この日本のある意味家族に対する価値観というのを取り戻すことができないんじゃないかというふうに思っています。

 子供たちが、将来自分がどういう大人になりたいか、将来の夢として、いろいろな職業につきたい、いろいろなことを語るでしょう。しかし、例えば、昔はお嫁さんになりたいと言う女の子はいっぱいいたと思います。今そんなことを言うと笑われてしまうような、そういう世の中になりました。私はやはり、お嫁さんになりたいとか、早く結婚したいとか、そういう男の子も女の子もいていいんだと思うんです。

 そういう評価、そういう価値観というものをお持ちの子供たちが純粋に、自分の判断で語られる世の中をつくるためには、ここはちょっと政府として明確なメッセージを出す必要があると思うんです。

 誤解を恐れずに申し上げますけれども、多様な価値観の生き方を否定するわけじゃありません。だけれども、すべてがスタンダードだというような誤解を招くような今の政府の姿勢、ここに問題があるんじゃないかというふうに思いますので、本来、この少子化を含めたこれからの日本の進むべき道としてあるべき姿といいますか、最も望ましい基本像というものはおありになるのか、あるとすれば、どんな状況が日本のこれからの家族像あるいはライフスタイルとして最も基本的なものだとお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

山口副大臣 お答えいたします。

 萩生田委員の本当に思いがいろいろな御意見の中に述べられておりまして、大変私も共感する部分がございます。

 政府といたしましては、今の家族のあり方、スタンダード、基本像と思っているわけではないのでありますけれども、御存じのように、政府の少子化対策の指針であります少子化対策大綱では、「家庭は、子どもが親や家族との愛情によるきずなを形成し、人に対する基本的な信頼感や倫理観、自立心などを身に付けていく場」と位置づけているわけでございます。

 若い世代において未婚率が増加していることは事実でございますけれども、一方で、調査をしてみますと、結婚や子供を持つことについては肯定的な意見の人が多いわけでございます。

 未婚化や晩婚化の背景には、確かに、先ほど委員おっしゃいましたように、仕事と育児の両立が困難なことや子育て支援サービスが十分に行き渡っていないこと、若者の経済的自立が困難な社会経済情勢など、いろいろな多様な問題があると考えております。

 結婚や出産は個人の自由な決定や状況に基づくものであるため、国が直接的に関与するものではなく、結婚や出産をためらわせるこのようなさまざまな障害を極力取り除くことによって、結婚や子育てをしやすい環境整備を図ることが結果的に少子化対策になると考えているところでございます。

萩生田委員 副大臣、政府の一員ですから、優等生な答弁に終始せざるを得ないんだと思うんですけれども、たまたま、去年の暮れ、内閣府が所管をしております男女共同参画基本法の基本計画の見直しに当たって、私は、党内のジェンダーフリー教育あるいは行き過ぎた性教育の実態調査のプロジェクトチームの事務局長として、さまざまな全国の事例をいろいろ検証しながら、問題の深掘りをしてまいりました。

 例えば小学校低学年に出産シーンのビデオを見せる、こういう教育が実際現場で行われているわけですね。出産というのは神秘的なものであって、私も残念ながら見たことはありませんけれども、小学校低学年の子供にそういうシーンを見せて、子供たちの感想というのは、私は子供を産みたくない、こういう思いを抱くわけですよ。感想文にみんなそう書いてある。果たして、そういう教育が今の日本にとって重要な教育なのかといったら、私は考えるところがあると思いますね。

 この男女共同参画の基本法そのものは我が国家にとって極めて重要な指針なんですけれども、どちらかといえば間違ったジェンダー思想というものもその中に幾つかちりばめられていて、ここで五年目の見直しで一部是正をされたというふうに思います。果たして今回の基本計画の見直しによって、例えば子供たちの教育現場への間違ったジェンダーフリー教育、ジェンダーの暴走というものはとめることができることになった、こう認識されているのかどうか、お尋ねしたいと思います。

山口副大臣 委員が事務局長を務められます党の事務局長は、前の事務局長が山谷政務官でもありますし、政務官からも大変これについて私もいろいろお話を聞きまして、考えている思いは同じでございます。

 今回、十七年十二月の閣議決定、これは第二次男女共同参画基本計画でございますけれども、児童生徒の発達段階を踏まえない男女同室着がえですとか、男女同室宿泊、そして男女混合騎馬戦等の事例については極めて非常識でありまして、男女共同参画が目指すものとは異なることをはっきり明記させていただきました。また、基本計画においては、高等教育機関において、男女共同参画の正確な理解の浸透を図るために、男女共同参画社会の形成に資する調査研究の充実を促すことも記述をいたしました。これは、高等教育機関における女性学を含めた幅広い分野の調査研究のうち、男女共同参画社会の形成に資するものについてその充実を促していくこととしたものでございます。

 これら基本計画の趣旨については、男女共同参画担当大臣であります猪口内閣府特命担当大臣みずから全国各地を訪問させていただきまして、大臣による男女共同参画研修会を、全国で今まで十ブロックに分けまして、約三千人の方を対象に開催いたしました。そういった積極的な取り組みをし、周知を図ってきたところでございます。

 今後とも、男女共同参画の正しい理解について周知徹底に努めてまいりたいと思います。

萩生田委員 これまたよく誤解を招くところなんですけれども、私は、男女がお互いの性差の違いを尊重し合いながら、お互いの能力を大いに発揮する世の中をつくることは大賛成でありまして、ただ同時に、やはり男性と女性の性の違いというのは当然あるわけですから、その性差の違いを世の中がお互いに上手に補完し合うということが必要なんだというふうに思います。

 すなわち、世界一律の男女共同参画社会じゃなくて、日本には日本らしい男女共同参画というものがあっていいわけでありまして、例えば日本人が大事にしてきた男らしさとか女らしさ、こういったものをあえて否定をする世の中というのはいかがかなというふうに思っていましたので、今回の内閣府の英断によって少し是正されることを期待したいと思います。

 また、とりわけ教育現場では、例えばジェンダーフリー思想から派生をするさまざまな性の自己決定権ですとか、あるいは家族制度の否定につながるような教科書の記述ですとか、こういったものも、大げさじゃなくて、ある意味少子化の要因の一つになってきたんじゃないか、そういう教育を経て大人になっていく人たちがそういう価値観の違い、あるいは誤った価値観というものを身につけてきたんじゃないか、私はこう思っているところでございまして、この辺については政府の取り組みを期待したいというふうに思います。

 今、教育基本法の議論が同時進行で行われておりますけれども、私は、六十年ぶりに日本の教育の礎となる基本法を見直す大変重要な議論だと思います。同時に、今の子供たちのことを考えますと、各自治体が先行して行っている青少年の健全育成条例のようなもののある意味基本になる基本法、これの制定は急ぐべきだというふうに思います。

 二年前の国会で議員立法で参議院先議でスタートして、残念ながら継続審査のままになっておりますけれども、これは本来、議員立法というよりは、閣法として国がきちんとそのルールを示すべきだというふうに思っています。改めてこの青少年健全育成基本法の必要性についてお尋ねをしたいと思います。

 あわせて、時間がないのでお聞きしたいんですけれども、つい先日、仲間の質問の中で、その必要性については一定大臣も認めている発言があったと思います。ただ、そのときに気になったのは、子供の視点に立ったという答弁をされました。私は、子供の視点、これは確かに大事なことなのでありますけれども、今必要なのは、子供たちがどうあるべきか、こういう世の中のルールをつくるときに、子供の人権云々という角度からの切り口というのは基本法の中で必要なのかなというと、ちょっとそこは違うんじゃないかという思いがしますね。

 今、子どもの権利条約の五年に一度の政府レポートの取りまとめの時期に至っているというふうに思うんですけれども、この政府レポートを提出するに当たって、いろいろな団体からヒアリングをされているというふうに思います。この団体は一体どういう基準で選ばれて、その人たちの思いが政府のレポートとして国連に提出をされてきたのか、その経緯を確認したいと思います。

山口副大臣 お答えいたします。

 青少年の育成に関する基本法については、平成十六年の通常国会において与党より青少年健全育成基本法案が提出をされまして、閉会に伴い廃案になった経緯があり、今後とも立法府における検討の動向を見守ってまいりたいと考えております。

 なお、廃案となった同法案においては、基本的な事項といたしまして、青少年育成にかかわる本部の設置や大綱の策定等が盛り込まれているところでございますけれども、政府においては、青少年育成推進本部を中心とする推進体制を整備いたしまして、また同本部において青少年育成大綱を策定し、これに基づく施策の推進に努めてまいりたいところであります。

 また、御指摘の児童の権利条約は、児童の人権の尊重及び確保の観点から必要となる事項を規定したもので、これらの権利につきましては、児童の権利条約を待つまでもなく、我が国憲法等において保障しているところでございます。その旨は、青少年育成大綱において、「「児童の権利に関する条約」等に示されている青少年の人権の尊重及び擁護の促進の観点も踏まえ、」と明記しています。また、同大綱においては、その「重点課題」の中で、「自立、責任、連帯、寛容などの人間性を涵養し、人権尊重の精神や他者と共生していく上で何が求められ何が許されないかという規範意識を身に付けることは、社会的存在としての人間が備えるべき基本である。成長の過程でこの基本が自ずと備わるよう、青少年育成施策は配慮されなければならない。」と記述をしているところでございます。

 以上のように、政府としては、児童の人権の尊重の観点及び我が国の社会の変化や青少年の状況等を踏まえながら、青少年育成大綱を策定し、その推進に努めていたところでございます。

 あと、詳細について、事務的なことは政府参考人からちょっと答弁をさせていただきたいと思います。

林政府参考人 権利条約の団体からのヒアリングについてお尋ねがございました。その点についてお答えさせていただきます。

 我が国は、児童の権利に関する条約を平成六年から批准しておりまして、その規定の四十四条につきまして、条約の実施のためにとった措置について児童の権利条約委員会に対して報告する義務を負っている、こういうことで、これまで二回、平成八年と平成十三年に報告を行ってきておりまして、今第三回の提出を予定しておるところでございます。

 この政府報告は政府の責任において作成するものでございますが、その作成に当たり、市民、NGOからの意見も参考とするため、報告全体の取りまとめに当たる外務省が窓口となりまして、従来から、本条約に関心を有し、政府との意見交換を要望してきた複数の市民、NGOと関係省庁との意見交換会を行ってきているものと承知しております。

 現在作成しております第三回の政府報告につきましては、このような関心を有する団体との意見交換会を実施したことに加えまして、可能な限り多様な意見を聞くために、外務省のホームページ上で一般公募を行いまして、応募された方々との意見交換会も実施したところと承知してございます。

萩生田委員 基本法の必要性については、政府、ぜひそういう思いでお願いをしたいんですけれども、三回目の政府レポートを出すに当たりまして、今回初めて民間からの、言うならば公募という形で意見のヒアリングの場を設けました。言いかえれば、過去二回の政府レポートは、関心の高いNGO、過去のメンバーいろいろ見てみるんですけれども、例えば校長先生に土下座をしろと言った国立の団体の皆さん、あるいは、横田めぐみさんが拉致をされ、国家的な犯罪としてこの問題が解決をされていない、そういった国家に思いを寄せている団体の皆さん、こういう人たちの意見を聞いて、政府としての客観的な、本当に子供の人権に対する政府レポートというのは書けるんですかね。私、ちょっとこれは偏りがあり過ぎると思いますよ。

 そして、確かに国連という窓口に対して外務省が直接関与する、縦割りの行政の中でやむを得ない部分はあるかもしれませんけれども、やはり今、子供を取り巻く問題について国を挙げて頑張ろう、そしてその司令塔は内閣府が務めるんだということを国民にもきちんと意思表示をしているわけですから、これは、今回もし間に合わないんだとすれば、五年後に対しては、もう少し幅の広い、さまざまな意見を聞く、そういうスキームを、内閣府ももう少し踏み込んで、あるいは、必要があるんでしたら官邸にきちんと申し入れをして、外務省のマターの話じゃなく進めるべきじゃないかというふうに思いますけれども、この辺、ちょっと副大臣に確認しておきたいと思います。

山口副大臣 公平中立をモットーにしなくてはいけませんので、もしそのようなことがあるようであれば、慎重に調査しながら、前向きに進めていきたい、こう思っております。

萩生田委員 時間がないので、最後に、子供たちの安全、安心のことについてお尋ねしたいんですが、党の中でもプロジェクトチームをつくって、本当に目を覆いたくなるような子供たちの悲惨な事件、何とか守ってさしあげなきゃいけないというふうに思います。また、国も緊急提言を出し、さまざまな施策を提案しているところでありますけれども、例えば、こういった世の中になってきますと、子供たちの安全を確保するためにITを駆使したさまざまな策を講じていく必要性、これは党も政府も互いにうたっているところであります。確かに、見守り制度ですとかGPSによる位置の確認制度ですとか、既に導入をしている地域や学校もあります。

 私は、今の技術をもってすれば、確かにそのことは大事なことだと思うんですけれども、他方、小学生やあるいは中学生が当たり前に携帯電話を持つ世の中が本当に望ましい世の中なのかというと、ちょっと首をかしげるところがあります。今までの、例えば子供たちが巻き込まれたさまざまな犯罪、あるいは性の乱れ、こういったもののある意味入り口は、子供たちに渡された携帯電話から始まっていると言っても過言ではありません。

 きょうは時間がありませんから具体的なお話はしませんけれども、私は東京でありますから、警視庁という特別な警察組織の中でそのさまざまな事件の報告を聞いてきて、本当に、ああ、これは世の中間違った方向に行ってしまったなというふうに思わざるを得ない事件がたくさんありました。

 そのことを考えると、子供たちの安全のために持たせた携帯電話が、新たな犯罪に巻き込まれる、簡単にドラッグを買うことができる、さまざまな大人へのサイトにアクセスをして、そういう世界に飛び込むことができる、そういうことを野放しにしたまま、果たしてこのITを駆使することが子供たちにとっていいことなのかどうなのかということは、ここできちんと考えなきゃいけません。

 例えば、携帯を持ってくるなと言っていた学校もあるかもしれませんけれども、しかし、ここまで事件が頻繁に続発をし、そして政府もITを駆使するんだという旗を掲げれば、いよいよ、これはもう当たり前に子供たちがそういうものを持たなきゃならない世の中が来ると思います。そのときにどういう歯どめやセーフティーをつくるのか。これは、総務省を含めて、きちんとルールをつくっておかないと大変な事態になるんじゃないかというふうに思いますけれども、この辺の思いというものをお聞かせいただきたい。

山口副大臣 本当に、委員の御懸念と私も同感でございまして、私も、子供は今大学でありますけれども、その後輩とか何か見ていても、大変憂うべきだと、非常に同感でございます。

 昨年来、特に学校からの下校中などにお子さんが殺害をされる本当に痛ましい事件が相次いで起きたことを受けまして、子供の安全を守るためのICタグやGPS機能つきの携帯電話などのIT機器が注目をされているところでございます。また、その一方で、委員御指摘のように、児童のさまざまな性の問題の被害につながる恐れのある、いわゆる出会い系サイトのアクセス手段として、そのほとんどが携帯電話が使用されていることも事実でございます。

 平成十五年十二月に青少年育成推進本部において決定をされました青少年育成大綱には、情報化の進展や青少年を取り巻く有害環境への対応として、「メディアを活用する能力の向上」「各種メディア等を通じた有害情報対策」「インターネット上の違法・有害情報への対応」などの施策が盛り込まれているところでございます。

 政府といたしましては、これまでも、この大綱に基づき、関係省庁で連携しつつ所要の対策を講じており、メディア等の関係業界団体に対しても、青少年に配慮をし、インターネットサイト利用に当たっての注意事項等の情報提供、フィルタリングの普及促進や、新たな技術開発等の自主的な取り組みを一層推進するよう要請しているところでございます。

 また、昨年の十二月に局長級の関係省庁連絡会議において取りまとめた「犯罪から子どもを守るための対策」においても、携帯電話等のフィルタリング技術の研究開発や、出会い系サイトに係る児童の性犯罪被害等の防止に関する対策、これら取り組みの強化、事業者に対する指導を盛り込みまして、進めているところでございます。

 今後とも、子供を犯罪から守るための取り組みとともに、青少年を取り巻く環境の整備が一層図られるよう、政府と地方公共団体、関係業界団体が一体となった取り組みを推進してまいりたいと思っております。

萩生田委員 時間が来ましたので、最後に、今御答弁のあったことはぜひお願いしたいと思います。

 後ろを振り向かずに、前へ前へと進んできた我が国ですけれども、ここでちょっと立ちどまってみる必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 私は、昭和の時代、これはもちろん戦後のことですけれども、戦後の昭和の生き方には、今言った子供らしさですとか子供たちを守るさまざまな知恵、たくさんあったと思うんですね。来年の四月の二十九日から、今までのみどりの日が昭和の日と変わります。祭日を所管する内閣府として、この昭和の日の制定に合わせて、もう一度、昭和の先人の皆さんの知恵や生き方を学ぶ機会というものをもう少し国民に啓蒙することが、この一年間必要じゃないかと思いますけれども、そのことをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

山口副大臣 昭和の日は、国民こぞって、この激動の日々を経て復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす日として、昨年の五月に制定をされたところでございます。この制定の趣旨は、国民がそれぞれの立場、考え方から、我が国の歴史上未曾有の激動と変革、苦難と復興の時代だった昭和の時代を顧み、歴史的教訓を酌み取ることによって、平和国家日本のあり方に思いをいたし、未来への指針を学び取るというものでございます。

 政府としては、こうした趣旨を踏まえつつ、平成十九年一月の法施行に向け、昭和の日の新設及びその意義について幅広く周知してまいりたいと思っております。

萩生田委員 終わります。

近藤委員長 次に、やまぎわ大志郎君。

やまぎわ委員 自民党のやまぎわ大志郎です。

 本日は、先般五月九日に文部科学大臣さらに厚生労働大臣から発表されました放課後子どもプランというものにつきまして、少し質疑をさせていただきたいと思います。

 と申し上げますのも、もう去る二年前になりますが、私がこの政治の世界に足を踏み入れまして、現在の世の中で何が一番大きな問題だろうかという、少し大げさなというか大きな議論をする中で、やはり少子化問題、これが日本の国力を下げるであろうというような問題意識から、子供たちをはぐくんでいる、実際に子育て世代の若手の議員と組みまして、少子化対策研究会というものを立ち上げました。その後、数十回に及ぶ議論、さらにはヒアリング、現地からのさまざまな意見というものを伺う中で、少子化対策研究会としての緊急対策というものを提言という形で取りまとめて、これを自民党の政調に提出したのが一年以上前になります。

 実は、この働きというものの実りが少しずつ出るようになってまいりまして、私たちが緊急提言として掲げたものが、今回の内閣府の少子化対策のプランの中にほとんど盛り込まれている状況にございます。その流れの中で、私たちは、学童保育と呼ばれるものがもう少し拡充しないと、このサービスがもっと拡充しないと少子化対策にはならないということをうたってきたわけですけれども、五月九日の内容を見ますと、やっとですけれども、やっと文部科学省と厚生労働省が、内閣府という冠といいましょうか、まとめ役の手によって両省が手を組んで、子供たちが主体となった子供の居場所づくりというものに乗り出したという形をとっていると思うんですね。

 このことは本当に感慨深いんですけれども、まずは文部科学省に聞きたいんですが、この放課後子どもプランというものの概要がどういうものであるか、これを御説明いただきたいと思います。

馳副大臣 平成十五年度からですか、放課後の児童生徒の居場所ということを考えて地域子ども教室推進事業を展開してまいりました。平成十八年度においては全国で一万カ所展開する予定として頑張っております。加えて、長年、学童保育ということで、これは一九九七年に児童福祉法によって法制化されましたけれども、放課後児童健全育成事業ということで関係者の方が大変頑張ってこられました。

 こういった事業が現在併存してあるわけですけれども、今般、委員御指摘のように、猪口少子化担当大臣から、子育てという観点、また放課後児童の健全育成という観点から、何とか連携しながら両省の事業をやっていくことはできないだろうかという提案がございまして、そこで、小坂文部科学大臣と川崎厚生労働大臣で話し合いをして、放課後子どもプランという、まだ仮称ではありますけれども、この事業を今後推進していくべきではないかというふうに合意を得たところであります。

 しかし、平成十九年度の予算要望、また、どういうふうに推進体制をつくっていくべきか、内容をどういうふうにしていくべきかということについては、まだ概算要求に向けて両省で調整中ということでありますから、ぜひ、このことに御関心の深い、また提言も続けてこられたやまぎわ委員初め各党の先生方からも、こういったことに注意してほしい、こういったことをやってほしい、どんどん、むしろ提言もいただきたいというふうに思っております。

やまぎわ委員 今のお答えの中で、両省が連携をして子供たちの居場所をつくって確保していく、子育ての環境を、子供がはぐくまれる環境をつくっていく、私は本当に感謝申し上げたいと思います。しかし、内容につきましては、まだこれからしっかりと検討もしていかなきゃいけないし、当然、予算も伴いますから、非常にシビアなことも出てくるんだろうと思うんです。

 そこで、私は川崎市から選出されている議員でございまして、川崎市は、両省の試みに先立ちまして、いわゆる学童保育と呼ばれているものから、全児童を対象にした放課後の居場所づくりというものをわくわくプラザという形でもう既に始めております。

 これは四年間たちました。さまざま、いい面、悪い面というのが実は現場から声が上がっておりまして、その中に、例えばいい面としては、対象がふえたわけですから、子供たちとしても、非常に伸び伸びと安全に遊べる場所もありますし、学校を使うということもあっていいというようなお話もあります。ただ、本当に、毎日毎日親御さんが働いていらっしゃるような家庭からすると、どうしてもきめの細かいサービスというもの、きめの細かい、子供と親密にかかわり合うような、そういう大人がいてくれないと不安だ、こういう声もあるんです。

 そこについて、今度は厚生労働省に聞きたいんですけれども、今回、放課後子どもプランというものがどういう方向に進むかということをこれから検討する上で、現在の学童保育が廃止されるというようなことになりますと、やはりこれはこれでかなり大きな不便といいましょうか、子供たち、親たちにとっては不便を来すというところがあろうかと思うんです。この放課後児童クラブ、学童保育というものが、今回のプランを進めるに当たって一体どのような方向になるのかということ、方向性を少しお話をいただければと思います。

北井政府参考人 今回の放課後子どもプランを両省で合意に至りました経緯は今馳副大臣から御説明があったとおりでございますが、厚生労働省といたしましても、放課後児童対策というものをこれまで積極的に放課後児童クラブの形で進めてまいりましたが、さらなる設置の促進ということや学校との連携強化ということが各方面から指摘がされていたわけでございます。

 こうしたことから、この合意に基づくプランにおきましては、厚生労働省としては、できるだけ早くすべての小学校区において放課後児童対策が実施されるような、つまり放課後児童対策のスピードアップ、それから学校のより積極的なかかわりを通じた、そういう意味での事業内容の充実ということを目指して進めていきたいというふうに考えているわけでございます。

 したがいまして、従来、放課後児童クラブにおいて、特に保護者が昼間御家庭におられない家庭の児童に対して行ってきました放課後児童クラブの役割、機能が損なわれるようなことにするつもりはないわけでございまして、こうした放課後児童クラブの機能、役割が損なわれたりしないように留意をしながら、今後、具体的な方策あるいは予算措置の両省の検討になっていくわけでございますが、そうしたことに留意して検討していきたいというふうに考えているところでございます。

馳副大臣 先ほど私、平成十五年度から文部科学省の地域子ども教室推進事業というふうに申し上げましたが、申しわけありません、平成十六年度から三カ年ということであります。

 ということは、文部科学省が三カ年たってようやく、やっと全国で一万カ所。しかしながら、学童保育は、今北井さんがおっしゃったように、長い長い歴史と関係者の御努力によって、もう全国二万カ所を超えていますよね。――失礼しました。一万五千カ所。二万カ所を超えることを目指してつくり事業もやってこられた。やはり、よって立つ事業の根本の土台が違うわけですよね。

 そういったことを、今後、放課後子どもプランでやっていきましょうと両省の大臣が合意しましたけれども、二つの事業については、根本的な土台がまだ違うわけですから、お互いの事業の目的や期待されるところ、子供さん方や保護者の方や地域の方にとって、期待されるところはまだちょっと差があると私も思っておりますので、今まで果たしてきた役割が損なわれることのないように、放課後子どもプランの制度設計に当たっては、よく厚生労働省とも協議しながら進めていくべきものであるというふうに考えております。

やまぎわ委員 今の御答弁を聞いておりまして安心をいたしました。

 ただ、川崎市ではどういうことが起きたかということだけ少し御説明申し上げますと、非常に不幸な話なんですが、学童保育と呼ばれるものが、ある一つの特定の政党とかなり関係が深いということもございまして、その政党の影響を受けたくないと考える行政側の思惑というものも働いて、わくわくプラザというものがつくられるときに、学童保育に関してはすべて廃止するという方向になってしまったわけなんですね。これは大人の方の理屈ですから、子供たちからすれば、当然、本来受けたかったはずのサービスが受けられなくなって、それでも、何とか細々とまだ自主運営をしている団体の皆さんというのもいらっしゃるわけなんです。

 ですから、今回、この予算も恐らく拡充する方向になるんだろうと思うんですね。そうなったときには、川崎市等々に対しましてきちっと、両者の位置づけというか、性格上違うのであるならば、学童保育は学童保育としてきちっとした助成は行われるべきじゃないか、放課後子どもプランは放課後子どもプランとしてまたそれは助成が行われるべきじゃないか、こんな指導もぜひこれからはしていっていただきたい、こんなふうに思います。

 さらに文部科学省にお聞きしたいと思いますけれども、放課後の子供の居場所づくりというのを行っていく上に当たりまして、学童保育もそうですけれども、小学校内にこれからそういったものができればいいなという方向性はあるんだろうと思うんです。でも、現実には、現在は小学校のほかに、児童館であったり公民館であったり子供文化センターであったり、そういうところに学童保育があったり、あるいは居場所という形で文部科学省の事業でもあるわけですね。これを、小学校に一本化するんだから、すべてそこを廃止して小学校にしちゃうよというような話になりますと、やはり地域の事情等々もありましょうから、消費者というか子供たちにとっては不便なところも出てくるんだろうなと思うんです。

 そこのところを、一元的にするのではなくて、少しフレキシビリティーを持たせるべきじゃないかと思うんですが、この点についてはいかがかということをお聞きしたいと思います。

馳副大臣 二点。最初に、私も、参議院議員で当選したのが一九九五年、当初からこの学童保育の支援についてかかわってまいりました。当時は、私地元で言われました、あんた、自民党の国会議員が、共産党が今まで進めてきた学童保育を何で応援するんだと言われるから、私はその行政担当者に怒ったんですよ。よりよいことをやってきているんだから、共産党であろうが自民党であろうが関係ないじゃないか、むしろ子供の立場に立って、人数によって補助が受けられる受けられないとか、共産党がやっているから応援しづらいとか、そういうことを言うもんじゃないと。

 やはり少子化対策ということは国民的な課題なのであるから、ましてや地域では、若いお父さん、お母さん方というのは、家を建ててその地域にやってきたという方もいらっしゃり、もともとその地域に住んでおられる方もいらっしゃると、親同士の交流というのもなかなか難しいんですよ。こういう学童保育のような事業を通じて親同士も仲よくなることが地域にとってもよりよいことであるということで、私は精魂込めて国会の場でも努力してきたつもりでありますから、そういう点も考えれば、学童保育に長年努力してこられた関係者の思いが、この放課後子どもプランの事業によって、はい、やめますよというふうな、そういうものではないという認識はぜひ皆さんにも持っていただきたいと思っております。

 ただし、これはまた自治体や地域の判断によって、こういうやり方がいいのではないかということで放課後子どもプランの事業ができるのであるならば、それを活用してよりよい子供たちの放課後の教育あるいは家庭的な支援をしていこうというのであるならば、それは応援していきましょう、こういうふうな御理解をいただきたいと思います。

 ですから、後段の話になりますけれども、これは基本的には、放課後子どもプランは教育委員会の部局で担当することになりますから、小学校において行われるということを原則といたしますが、いきなり、きのうのきょうで子供たちの行く場所が違ってしまうとか、その地域の実情というのは千差万別あるということを私もよく存じておりますので、今までのとおり公民館でやることもあるでしょう、児童館でやることもあるでしょう、また学校の近くに借り上げた一軒家でやることもあるでしょう、そういった実態を踏まえながら対応していくのが必要であるというふうに考えております。

やまぎわ委員 どうもありがとうございます。

 私も、先般私の地元でヒアリングをさせていただいたときに、この学童保育事業というのは、まさに今失われている地域社会の連携というものを新たに紡ぎ直す新しい地域コミュニティーのあり方なんだというような話が出ました。今の副大臣のお話を伺っていて、全く同感でございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 次に厚生労働省に聞きますが、今回のプランを受けまして、今後の拡充について、この整備目標というものをお示しいただきたいと思います。

北井政府参考人 この放課後子どもプランによりまして、学校の積極的なかかわりが促されて、特に余裕教室の活用が一層促進されるものだというふうに期待をしているところでございます。

 こうしたことを通じまして、可能な限り早急に、全国すべての小学校区において放課後児童対策、これは放課後児童クラブ的な役割、機能を持った、そういうものが少なくとも入った放課後児童対策、こういうものが実施されることを目指したいというふうに考えておるところでございます。

やまぎわ委員 ぜひ、早急にこれは拡充していただきたいと思うんですよ。

 それで、我々が少子化対策研究会でまとめ上げた緊急提言の中に、全小学校区でとにかくやってくれと。別に子供たちは東京に住んでいる子も沖縄に住んでいる子も差はないんですから、そこの地域によって受けられるサービスに差があるというのはやはりおかしいだろうということだと思うんですね。ですから、一刻も早く全小学校区に向けてこれは整備をしていただきたいと思うんです。

 この点、これは文部科学省、これでよろしいのでしょうか。

馳副大臣 そのとおりです。

やまぎわ委員 さらに、小坂文部科学大臣からの御発言で、格差なんという話が出ていますけれども、経済的に余裕が余りない子供たちが、学校で受けた授業以外に多少足りない部分があるときに、補習あるいは塾などというもの、塾に行く経済的な余裕がないという意味合いで小坂大臣はおっしゃったのかもしれませんが、こういう子供たちに対して放課後の空き教室のようなものを使って補習授業のようなものをやったらいいんじゃないか、こんな話があったと思うんですね。

 今回のこのプランにつきましては、この小坂大臣の発言とはどのようなかかわりを持っているのかということを御説明いただけますか。

馳副大臣 放課後子どもプラン、授業が終わって放課後、学校の校舎を活用して子供たちの居場所を確保してあげましょうというその事業の中で、宿題を見てあげましょうとか、また、授業の中において到達度、理解度はやはり子供一人一人違いますから、やりたい、あるいは保護者がぜひやってほしいなという子供さんたちの要望にこたえて、地域の退職教員とか教職を目指している学生さんとかそういった方々に参加をいただいて、そういう場も設けて学習の理解度を深める、ちょっとおくれているなというお子さんに対してはより一層きめ細かく教えてあげる、その場を提供しようという考えであります。

 ただ、そもそも、子供の格差ではなくてこれは親の所得の格差があらわれると思うんですけれども、親が塾へ行きなさい、私立の中学校、高校を目指しなさいということで、さあ、それに乗りおくれずにうちの子も何か学習塾へ行かさなきゃいけないという考え方は、私はいかがなものかなと思っております。基本的に、学習指導要領に従って学校の授業で学んだことをしっかり予習、復習すれば、それで私は事足れりなのではないかという考えを持っております。

 ただ、現実には、やはり塾に通う、あるいは通えないお子さんがいらっしゃるということを前提にするならば、放課後子どもプランの中においてそういう学習の場を設けることも必要ではないかという小坂大臣の考えであります。

やまぎわ委員 そうですね。私も、第一義的には親の責任だろうなと思いますし、また、子供たちの学習意欲というものをどうやって引き出していくかということを考えれば、これはすべての大人の責任という気もするんですね。ただ、今副大臣がおっしゃったように、現実にはさまざまな状況にある子供たちがいますから、ぜひともそこはきめの細かいというか、さまざまな選択肢を子供たちに対しても用意できるような、そういう制度を検討していただきたいと思います。

 そこで、お金の話になるので恐縮なんですけれども、文部科学省は、平成十六年、十七年、十八年と三年間、この子どもの居場所事業というものをやってきたわけですけれども、これはことしで切れちゃうわけですね。今回のこの子どもプラン、せっかく両大臣で立ち上げようという話をしたにもかかわらず、今の緊縮財政の中だと、このまま置いておくと、もう三カ年でおしまいですよ、こんな話になるんじゃないかと思うんですね。これは何としても、新しい形できちっと予算措置をしなくてはいけないと思うんですけれども、その点について、いかがでございましょうか。

馳副大臣 地域子ども教室推進事業、平成十八年度で六十六億円の予算を組んでおります。先ほどから申し上げている学童保育は百四十三億円です、今年度。ところが、文部科学省のこの事業は国庫補助ということで、全額国庫補助。ところが、厚生労働省の学童保育事業というのは、国三分の一、都道府県三分の一、市町村三分の一、その後、一カ所に与えられる予算の額もはるかに規模が違うわけですね。

 そういうふうなことも考えて、まず、地域子ども教室推進事業、三カ年で終わりますが、今後、放課後子どもプランという事業の中で、より一層充実した放課後の児童の居場所づくりについての検討を行っていくという考え方の中で予算を要望していきたい。これは、まさしく厚生労働省と連携をしながら、別に吸収するという意味ではないですよ、連携をしながら、放課後の子供の居場所というのはどうあるべきかということの制度づくりも踏まえて、気合いを入れて予算要望に入っていきたい。強い決意を持っております。

やまぎわ委員 馳副大臣が副大臣でいらっしゃる限り、気合いを入れて予算はとっていただけるものと信じております。ですから、九月以降もぜひその立場にいていただいて、予算をしっかりとっていただければなと個人的には今思いました。

 今までの議論をお聞きになったように、やっと文部科学省と厚生労働省が本気になってきたかなという気がいたします。しかし、それに水を向けたのは猪口大臣、内閣府でございますね。今の予算の話もあるとおりに、中身の制度そのものも違うものでありますが、しかし、これは何としてもまとめ上げて、予算というものはさらに拡充をしていく必要が絶対にあろうかと思います。そうでないと、川崎市のように、新しい事業を始めるから、前の事業の予算は、足りないのでそれカットよ、こんな話になってしまうわけですね。これは本当に文部科学省、厚生労働省だけの問題ではなくて、内閣府もしっかりとこれをサポートする体制をとっていただかないと、実のあるものにはならないと思うんですね。

 そこで、内閣府としてこれをきちっと御支援いただく、あるいはまとめ上げていくという、その決意を最後に副大臣にお願いいたします。

山口副大臣 政府といたしましては、六月に新たな少子化対策を取りまとめるための調整を進めているところでございます。放課後時間を有意義に過ごすことができるとともに、登下校時等、安全を確保するための対策であるこの放課後子どもプランについても盛り込んでいきたいと考えております。

 そして、この予算でございます。馳副大臣からも力強い、知的、体力的な発言もございましたけれども、この各事業予算はそれぞれの、厚生労働省そして文部科学省、両方が確保していくことになるわけでありますけれども、総合調整役として、内閣府としても、骨太方針や十九年度の予算編成作業にもしっかりと反映させて、三本の矢ではありませんけれども、やまぎわ委員の意に添うような形でしっかりと頑張っていきたいと思いますので、委員の御協力もよろしくお願いいたします。

やまぎわ委員 もちろん、全力を尽くして私も頑張っていくことをお誓い申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは久しぶりの青少年特ということで大変ありがたく思いますが、やはり、この通常国会、もっともっとこの青少年問題を我々は取り扱うべきというふうに考えておりまして、その意味では、この青少年特別委員会、この開催をさらに、これからまだ残りの期間ありますので、お願いをさせていただきたいということも、冒頭、お願いをしておきたいというふうに思います。

 まず、私は、ちょうど昨年の末、少年に対する犯罪が非常にふえたということを踏まえて、非常に残忍な犯罪も含めて大きく報道されたということも踏まえて、政府が出された緊急安全対策の六項目ということがあったかと思います。やはり、我々民主党は、当時、その六項目に対しては、項目を出すのはいい、しかし、そこに一銭の予算もつけずに、ただやれやれということで国民に対策を呼びかけても、なかなか実行できるものはないんじゃないのかということをそのときには主張させていただいておりました。

 そういう中で、残念ながら補正予算にこの子供の安全対策を盛り込んでいただくことができなかったということは、今でも心残りの部分があるんですが、政府がそういう方針でされたということは、これはもう与党の判断ですから仕方がないというふうに思います。

 しかし、その緊急安全対策の六項目、十八年の三月までにやらなければならないというポイントも幾つかあったかというふうに私は認識をしております。例えば、それは防犯教室の全学校についての開催ということであったり、あるいは地域の通学路の緊急安全点検、これを全学区で行うんだということであったりしたわけです。

 そのほかにも、スクールバス、これは路線バスを活用したスクールバスの確保であったり、スクールガードを充実させるということであったりしたわけですけれども、この緊急安全対策の六項目、この三月までの期限を切って、まさに緊急対策というふうに銘を打たれて行われたわけですが、今、もう既に六月一日になりました。その進捗の状況、これをまずお伺いしたいというふうに思います。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の安全対策につきましては、政府全体で取り組むべき重要な課題でありますことから、先生御指摘のとおり、政府といたしましては、「犯罪から子どもを守るための対策」を昨年十二月に取りまとめました。その中で御指摘の緊急対策六項目を掲げておりまして、その取り組み状況でございますが、まず、学校に関係するものとして、通学路の安全点検でございますが、これは既に、直ちに教育委員会等に要請文書を発出しまして、また、タウンミーティングを開催する等をしてその周知を図っておりまして、特に、防犯教室を行うために、児童一人一人に対するリーフレットを配付する、これは合計で約三百七十万部ということになりまして、当時の小学校一、二年生、さらに、今度四月に入学される新一年生の全児童ということでございますが、そういったものを配付する。また、すべての小中高等学校等に対して、防犯教室の事例集等を配付して、そういった防犯教室の開催を支援しているということでございます。

 また、学校安全ボランティア等につきましても充実を図っておりますし、また、地域における警察、学校、それから地域の方々の情報共有ネットワークにつきましても、これも三月までに、管内に学校があるすべての警察署において措置をしているということでございます。

 また、スクールバスの関係で、路線バスを活用した通学路の安全確保も盛り込んでおりますが、これにつきましても、対策決定後、直ちに関係省庁でいろいろ枠組みについて協議をいたしまして、教育委員会等の関係機関や業界団体等にいろいろ要請をいたしまして、その結果、全国で三十五カ所以上の市町村において、いろいろな形でバス事業者の御協力をいただいて、子供の安全対策が実施されている、また、国民に対する協力の呼びかけにつきましても、政府広報を通じて取り組まれているというところでございます。

泉委員 今、少し聞こえにくい部分もあったわけですけれども、政府は、ことしの三月に期限を切ってそれを徹底する、徹底するというか、必ず実現をするというふうにお約束をされたものが幾つかあるというふうに私は認識をしております。

 先ほどの、例えば防犯教室、これは防犯教室の開催ということが、すべての学校、全児童生徒においてというような形でお約束をしていただいたというふうに思っているんですが、これは、今おっしゃられたようなリーフレットを、確かこれは、ただ四月に私は配付されたというふうに認識をしているんですけれども、時期も含めて、リーフレットを配付したということをもって、この防犯教室を開催したというような解釈をなされているのか、それとも、厳格にというと多少厳しいかもしれませんが、やはり一つの講義、講座、学校の授業の中での防犯教室というものをやったということをもってして、この防犯教室を開講したということになるのか、そこをお伺いしたいと思います。

西阪政府参考人 先生御指摘いただきましたように、リーフレットはすべての子供に配付できるように用意をいたしました。ただ、年度の終わりころになりましたのでぎりぎりになったかと思いますが、全部の子供に渡るように用意をして配付したところでございます。

 それから、防犯教室につきましては、私どもとしては、それぞれの学校の実情に応じて、授業の中でやるとかあるいは全校で取り組むとかということで、リーフレットを配付ということのみにとどまらず、より実践的な防犯教室を実施していただきたいということでお願いをいたしまして、それぞれの学校においては実情に応じて取り組んだという状況でございます。

泉委員 そうしますと、防犯教室も含めて、最後には、どれぐらいの学校の中でこれぐらいの学校が実施をできた、特にその十八年三月までにということについては、報告が出るというふうに考えていてよろしいですか。

西阪政府参考人 取り組み状況については私どもも把握に努めておりますので、状況についてはお知らせしたいと思います。

泉委員 文科省というか、六項目全体の報告もなるべく早急に私は出していただくべきだというふうに考えておりますが、これは内閣官房、大体いつぐらいを御予定されていますでしょうか。

荻野政府参考人 全体をまとめて一つの時期にというのは、なかなか難しいことかと思います。学校関係につきましては、それぞれ学校の実情に応じて文部科学省の方でいろいろ実態を調べていただくということかと思います。

 それから、情報共有体制の立ち上げにつきましては、これは、既に管内に学校があるすべての警察署において、千二百十カ所ということでありますけれども、警察と学校との間でネットワークを整備することが完了したというふうに聞いております。

 また、路線バスを活用した通学路の安全確保ということでございますが、これにつきましては、いろいろと検討すべき事項があるわけですが、その検討の枠組みにつきましては、関係省庁で連携して枠組みをつくりまして、それをお示しいたしました。

 あとは、地域の実情でありますとか、それから、そこの事業者の方が地域といろいろ御相談になってということでありますので、一律にということではございませんが、これは既に、早いものはことしの一月から実例が取り組まれておりまして、逐次そういったものがふえているということでございまして、現時点では、おおむね三十カ所以上の市町村でそういった具体的な取り組みがなされている、そういったものがどんどん広がっていくことを期待しているということでございます。

泉委員 この緊急安全対策というのは、国民が非常に注目をする中で出されたものだというふうに私は思っておりまして、その意味で、正直言うと、例えば、全部の学校で三月までに必ず防犯教室とか実施ができる、あるいは、すべての校区において三月までに必ず通学路の安全点検ができる、そういうことの約束というのは、これは実際の問題は大変厳しいことじゃないのかなというふうに多くの皆さんは思っておられると思うんです。心構えとしてそういうことを主張されるのはよくわかるんですが、政府の対策として、時期まで明示をしてしっかり書き込んで、そしてそれを国民に提示したのであれば、それはやはり、今もやっています、今もなおやっていますということではなくて、三月までにやらなければならないはずのことだというふうに私は思うわけです。

 その意味で、日々全力で努力をしていただいていることは大変敬意を表しますけれども、期日を定めた以上は、それを守るということは当然そこにくっついてくるわけでして、その意味では、もし期日までにできないのであれば、それはやはり現実の問題をちゃんと直視をして、そういった期日の定め方をするべきじゃないんじゃないのかなというふうに思います。そして、この六項目、ちゃんと期日を定めたものを一度提示をした以上は、いつ報告が上がってくるかわからない、それぞればらばらで、かつ、いつまでに取りまとめられるかわからないという話ではなくして、やはりある時期には、なるべく早期に、この六項目の効果、成果、進捗状況、こういったものをしっかりとお出しいただきたいとお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 ちょうど骨太の方針の中でも、このスクールバスのことが事業として予算化をされるという話も出ているようですけれども、そういったことも含めて、ぜひ、なるべく早急にこの六項目について評価をしていただきたいということをまずお願いさせていただきたいと思います。

 そして、時間も余りありませんので次の質問に移らせていただきますが、私は、きょうのこの委員会で、青少年の体力の低下ということについて、ぜひ、馳副大臣もおられますので、一緒に議論したいなというふうに思っております。

 馳副大臣も子供さんがおられると思いますけれども、現在の子供の体力低下ということについて、御自身はどう考えられているか、一言いただきたいと思います。

馳副大臣 きのう、うちの娘の運動会だったんですけれども、委員会の審議があって行けなくて大変残念だったんですが、妻の報告を聞いてびっくりしました。真っすぐ走れない。それから、午後になると、きのうは大変天気がよかったですね、子供たちが疲れて覇気がない。それから、一緒になって音楽に合わせてダンスを踊る、ばらばらだ。どうなったんだろう、この日本はと。副大臣、しっかりしなさいと女房に怒られて、何なんだろうなと思いました。

 当然、文部科学省としてずっと子供の体力調査というのをやっておりますから、見てみますと、昭和六十年ごろを境に低下傾向にあります。ところが、体格はいいんですね。身長も体重もよくなってきている。にもかかわらず、体力、五十メートル走とかソフトボール投げにおいて低下傾向にある。何なんだろう。昭和六十年というと今から大体二十年ぐらい前になりますけれども、恐らく生活様式の変化というものがここにあるんだろうな。私なりに思いますと、おトイレが和式から洋式にどんどん変わってきたというのも一つあると思います。

 私、プロのスポーツ選手として申し上げさせていただければ、体幹といいますけれども、基幹的な筋肉、腹筋と背筋のバランスがよいということが子供の成長にとって非常に重要なんですけれども、和式のトイレでしっかりと腰を踏ん張ってするのと洋式のトイレでやるのと、実は毎日のことですし、毎日何回も行くことでありますから、これは随分腹筋、背筋を使う使わない、臀部、お尻の部分ですね、ここに力が入るか入らないかによって、実は体力が鍛えられるか鍛えられないかというのは、日常生活においても全然違います。

 もう一つは、当時、ゲームセンターでスーパーマリオブラザーズとかいろいろありましたけれども、あれが携帯で使えるようになりましたね。これが出てきたころですよ。そうすると、遊び方も、外に出て公園やあるいは近所で遊ぶのと、やはり家庭の中において携帯用のゲームを使って、またテレビにつないでそれで遊ぶのと、私などはパチンコも大嫌いだし、ゲームセンターのあの音も大嫌いですが、子供は大好きなんですね。そういう傾向がございます。

 やはりそういった子供たちを取り巻く生活環境の変化が、徐々に徐々に体力の低下傾向に入ってきているのかなというふうな憂慮をいたしております。

泉委員 まさに、今副大臣がおっしゃっていただいたように、体格はよくなってきているけれども運動能力が下がってきているという現状は、先ほどおっしゃっていただいたような、例えば百メートル走のビデオを見てみたら、本当にレーンから外れていく子供の映像なんかを見ると、多くの国民が衝撃を受けられているんじゃないのかなというふうに思います。

 そういう中で、ただ一方で、何歳であれば必ずこの身長、体重、この体力がなければならないという言い方もなかなか難しいところがきっとあるというふうに思いますので、その意味で、なかなか理想の体力とはということも言いづらいところもあるかもしれませんが、やはり、先ほどおっしゃったように、昭和六十年ごろから体力、運動能力の低下がどうも傾向としては見られるということが言われているわけです。

 これに対して、文科省も中教審の方で例えば答申を出されたりですとか、いろいろなことをされているようですが、しかし、この低下の傾向に歯どめをかけることができるんだろうかというところについては、副大臣、実際のところ、いかがお考えになりますか。文科省のいろいろな対策、打ち始めていると思うんですが、今行っている対策でこの体力の低下というのは防げるというふうに考えておられますか。

馳副大臣 先ほど申し上げたように、数字的に体力の低下は著しいものがありますので、この低下傾向を何とかしなければいけないという認識は当然持っておりますし、幾つかの事業も展開しておりますが、それだけでは子供の体力低下に歯どめがかけられないんだろうなという認識も、これもまた持っております。

 ですから、やはりスポーツをする、運動をする場所の提供、安心してその場所で運動することが、外遊びをすることができる、この確保はまず必要でしょうし、それから、運動する、スポーツをするというのは、学校で、あるいは学校が終わってからも生涯を通じてやっていただきたいものですから、できる限り義務教育の場面において、また高等学校において、また大学教育においても、継続して運動する、そういう習慣を身につけるための授業も必要になってくると思っています。

 また、小学校の先生、児童心理学的にいっても、やはり女性の先生の方が望ましい部分があるわけですよね、家庭的な雰囲気の中で学ぶということを考えて。七割近くは女性の先生が多いと思います。ところが、小学校の先生の年代別で見ますと、やはり四十代から五十代も多うございますので、そうすると、担任の先生が体育の授業をするときに子供の動きについていけない、自身の体力がなかなか伴わないという場面もあるわけですよ。そうなると、より効果的な、体育の授業を通じて、楽しく、習慣づけて体を動かすということを理解してもらえるような教員の配置体制というものも今後考えていかなきゃいけないんだろうなと思っております。

 非常に地道な取り組みではありますけれども、そうやって子供たちの体力低下に歯どめをかけると同時に、また伸ばしていく努力もしなければいけないと思っています。

泉委員 きょうは、そういった御認識の中で少し提言をさせていただきたいというふうに思っております。

 といいますのは、今おっしゃられたように、文部科学省だけで二十四時間の子供を見張るというか、子供の体力を気遣うことはできないわけです。それは、学校の中での体力向上ということについては文科省も努力をできるかもしれません。しかし、子供には放課後もあり、親と一緒の時間もあり、休日もありという中で、それのトータルでやはり子供の体力というのはつくられているわけですね。

 その意味で、きょうは実は厚労省や国交省の方にも来ていただいているわけですけれども、ちょっと調べましたら、私もちょっと気になって地元の公園をよく見てみましたら、少子化の時代ですから子供一人当たりのスペースは多くなっているのかもしれないんですが、ほとんどの地域にある小さな公園には、子供の姿が見えないんですね。先ほどおっしゃったように、室内での遊びが大変ふえているというのも一つあるでしょう。また、地域の安全がどうも不安に感じるから子供を外で遊ばせられないという親の思いもあるでしょう。もう一方で、その公園というものが今の子供たちのニーズにこたえたものになっているんだろうか、あるいは、今の子供たちの体力向上という観点から見たときに、公園というものは、しっかりとそういった構造、つくられ方をしているんだろうかというところに疑問を持ったわけです。

 そして、お話をいろいろ聞いていきますと、どうやら、例えば文部科学省がこの体力の低下ということの提言というか調査結果を出されているわけですが、それは、法律で定めている厚生労働省の児童遊園というものであったり、私は公園に二種類あるということも初めて気づいたんですが、国交省の定める国営公園とか都市公園と別に厚生労働省の定める児童遊園というものがありまして、そういったものの中の、例えば、その敷地の中の遊具、こういった問題については、安全対策というところにまでは今随分と目が行き届くようになったわけですね。しかし、安全対策じゃない、では子供の体力づくり、特に今の子供たちがどんな遊具について関心を持つのか、あるいは、時代の進化に伴ってより子供たちが親しみやすい遊具とは何なのかというところについては、どうも文部科学省と連携がなされていないというような状況があるんじゃないのかなというふうに思いました。

 確認でお伺いしたいんですが、厚労省、国交省、それぞれ公園をつくる際に、文部科学省と例えば体力の増進ということについて意見交換なり情報共有というものをされて公園をつくられる、その法律を定めているでしょうか。

北井政府参考人 今お話しのように、厚生労働省の法律にのっとった公園、遊園としては児童遊園がございますし、また、室内で体力増進を指導する機能を備えたものとしては、児童館、児童センターがございます。特に児童遊園につきましては、これはかなり前に既に財政的には一般財源化をされておりまして、率直にお答えを申し上げまして、新たに国が補助をつけて遊園をつくるという形になっておりませんものですので、その意味では、この遊具の適切さ、あるいは遊具その他の設備が時代に合っているのか、子供の健康増進という観点から適切なのかということについては、少し思慮が足りないという状況になっておるところでございます。

加藤政府参考人 先生お尋ねのとおりでございまして、私ども都市公園を担当させていただいておりますが、子供の遊び場という面からいたしますと、これも先生御指摘いただいたとおりでございまして、私ども、技術的な指針といたしまして、平成十四年の三月に、都市公園における遊具の安全確保に関する指針ということで、安全に、安心して親御さんが子供を遊ばせることができるという環境を整備するために、いろいろ技術的な考え方を取りまとめて、ここで普及啓発を図っている、周知を図っているという状況でございます。また、あわせて、もともとそういう遊べる場所としての都市公園の整備というのも当然必要でありますから、それにも意を用いてきているところでございます。

 今後も、そうした安全な遊び場の提供と都市公園の整備という両方の面から整備を促進していきたいというふうに考えておりますが、個々に文科省さんと個別の公園の設置に当たっていろいろ御相談をしているということではございませんけれども、政府全体として連携をとって、公園の整備といいましょうか、私どもとしても子供さんの体力の増強というのは非常に必要だというふうに考えておりますので、全体としての考え方の中で連絡、連携をとって整備に努めているということでございます。

泉委員 最後に、ぜひ馳副大臣に聞いていただきたいのですけれども、先日、日本公園緑地協会が東京都内二十三区と政令指定都市で、公園でのキャッチボールについてアンケート調査をしましたら、全面禁止が五二%だった。これじゃ確かに子供の投げる力はなくなりますよねという実例でして、そういった意味でも、今やはり公園のニーズが随分と変わっているんじゃないのかな、より広い世代が使う公園になってきているという面もありますから、では、いかにして子供たちがボールを投げる場所を確保するのかということも、やはり国交省、厚労省に、私はこれから配慮をしていただかなきゃならないというふうに思います。そして、その情報を一番持っているのが文部科学省なわけですから、しっかりと情報共有をしていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、厚労省には、この児童遊園というものは、実は児童厚生員という資格を持った方が巡回なり配置をするということが原則になっているわけですね。ただ、実態、本当に児童遊園にそういう人たちがちゃんと回ってきているのかといえば、人員も足らないし予算も足らないという現状があるということを私は聞いております。その意味からも、しっかりと、この児童厚生員の立場が形骸化をしないようにどうか御配慮をいただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 副大臣、最後に一言お願いします。

馳副大臣 御指摘、非常に重要なポイントだと思いますので、厚生労働省にも国土交通省にも、公園づくりに当たって、我々、スポーツ・青少年局がありますし、生涯スポーツ課、競技スポーツ課、また企画課とございますので、連携をしながら進めるようにしたいと思います。

 同時に、私も、地元の町会で公園づくりのときに、町会長初め区と協議しながら、二年間かけて、子供の運動ができるように、同時にすべての世代が公園に集うことができるようにといって、激しいやりとりをしながら公園整備にかかわった経緯が最近ございます。当然、地域住民の要望も踏まえて、将来を担うお子さん方が安心して運動できるような公園づくりというものについて連携すべきであると考えています。

泉委員 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 まず、子供の安全のことについて一問だけ伺って、その後、放課後子どもプランについて伺っていきたいと思います。

 先ほど泉健太議員も伺いましたけれども、昨年末に、子供の安全について内閣官房で緊急対策を出されましたが、補正予算が組まれなかった。そして今年度予算でも、これは予算の分科会で私も伺いましたけれども、余り目立った増額をされているところがない。なかなか本気で取り組む姿勢が見えないというふうに思っておりました。

 そして、一つの例でちょっとどのように進んでいるか伺いたいんですが、栃木県での事件からきょうでちょうど半年たちますが、犯人がまだ捕まっておりません。先日のニュースで、栃木県のPTAの方がスクールバス導入の署名を始められたと。もう実際に署名を行っていらっしゃると思うんですが、そうやって親が一生懸命署名をしなければスクールバスの導入もできないのかというような思いがございます。私たち、子どもの安全合同会議というのを党内でつくって、補正予算で、スクールバスなどというのは予算をつければすぐ導入ができるので、先ほど政府参考人の御答弁でも三十五カ所で今導入しているということでしたが、路線バスの転換とか言っていてもなかなか進まない。全国で三十五カ所というのはどれほど少ないかという思いがいたします。

 そうしたことも含めて、ぜひやはり、子供の安全のことについてはしっかり予算をつけて取り組んでいただきたいと思うんですが、ここは副大臣がおいでになりますので、細かいデータを伺うのではありませんから、副大臣にお答えいただきたいと思います。

山口副大臣 委員御指摘の、昨年来から、学校からの下校中などに子供が殺害される本当に痛ましい事件が相次ぎ、子供の安全確保が重要な課題となっていることは、政府としても、昨年の十二月に「犯罪から子どもを守るための対策」を取りまとめ、取り組みを推進しているところでございます。

 細かい部分は省きますけれども、特に、先月の十一日に、関係六閣僚を構成員といたしまして、猪口内閣府特命担当大臣が主宰する青少年育成推進本部副本部長会議を開催し、関係省庁から、犯罪から子供を守るための対策の取り組み状況等が報告をされ、引き続き、連携して子供の安全確保の取り組みを遺漏なきよう推進することを確認したところであります。

 また、この副本部長会議においては、子供の犯罪被害やさらには少年非行の面でも依然として厳しい状況が見られることから、地域において、子供を非行や犯罪被害から守るための取り組みを加速化するため、関係省庁事務レベルのプロジェクトチームにおいて、この六月を目途に対策の取りまとめを行うことになりますので、現在検討を進めているところであります。

 政府といたしましても、今委員御指摘の予算等も、関係省庁、もう一回再度点検して、前向きに、保護者や子供が安心できるような万全な処置をとってまいりたいと思っております。

小宮山(洋)委員 もちろん、会議を開かれるのはいいんですけれども、子供は生身の一人の人間なのに、各省庁縦割りであるところを、そこを束ねられるのが内閣官房だと思いますので、ぜひやはり、まだ犯人が半年間も捕まっていない、不安な親御さんが何で署名までしなければスクールバス一台導入できないのかという思いがいたします。そういうふうにやはりめり張りをつけて、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。この件については、また機会を見て質問させていただきたいと思います。

 きょうは、主には放課後子どもプラン、先ほどやまぎわ議員の御質問に馳副大臣から非常に心強いお答えをいただいたので、ぜひその方針を皆さんにわかるようにしていただきたいと思っているんですね。

 子供の安全という面からも、放課後児童クラブ、学童保育を希望する子供というのが現状としてふえております。奈良県では、一昨年に事件が起きた後、希望者が四割ふえている。今、栃木県や広島県でもパンク状態になっている。そういう意味では、学童はますます充実する必要があると思うんです。

 この青少年問題特別委員会では、昨年の秋に学童の集中審議を初めて与野党で合意して行いまして、その中でも、今の学童が抱えている一番大きな問題が大規模化の問題だということで、基準かせめてガイドライン、これが必要だと申し上げたところ、北井局長から、これは昨年十月二十日ですが、ガイドラインについて研究をしてみたいというお答えがあって、現場では大変期待をしております。その後、検討がどう進められているのか、まず伺いたいと思います。

北井政府参考人 放課後児童クラブのガイドラインを定めることにつきましては、既にお答えしているところでございますけれども、各地域の多様で柔軟な事業の実施を尊重しながらも、国としてどのような対応が可能かということを検討する必要があるというふうに考えております。

 こうした観点から、昨年度、自治体におけるガイドライン等の実態を調査いたしました。そして現在、内容の確認をした後、分析に入っているところでございます。このほか、こども未来財団におきましても、放課後児童クラブの運営実態などにつきまして研究をやっていただいておりまして、こうした結果も参考にしながら、検討をしていきたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 その実態調査、分析されて検討されているということは大変心強いことだと思いますので、それをスピードアップしていただいて、こども未来財団からも三十五人ぐらいが限度だということも出ているわけですから、それこそ百人規模のところがあるような現状の中で、ガイドラインをぜひ早くつくっていただきたいということと、それができるまでも、なるべくそこのところは、未来財団の調査にもありますように、三十五人ぐらいの規模が適正なのだ、望ましいのだということをぜひ各地に伝えていただきたい、そういうふうに思います。

 それで、先ほどから議論の放課後子どもプランなんですけれども、先ほど馳副大臣から心強い答弁をいただいて、報道されていたことが事実ではないということがわかって私も安心したんですが、例えば五月九日の各紙を見ますと、地域子ども教室と放課後児童クラブの支援事業を一元化する、こういう記事になっておりますし、ほかのものを見ましても、各記事が、同様の事業を両省が別々に実施しており、これを一本化する、こういう割と乱暴なといいましょうか、どういう発表がなされてこういう記事になったのかわからないんですが、そうしますと、これはもう無理やり一緒にしてしまうのではないかということで現場が大変混乱をしていまして、指導員の方も保護者の方も、本当に私のところへ涙して訴えてこられる方もあるわけなんです。それで、一本化を強引にするのではないというお答えを改めていただきたいというふうに思います。

馳副大臣 マスコミの皆さんにも、もうちょっとよく調べて報道を書いていただかないと、現場で苦労しておられる方々が不安を感じるような、あおるような報道は慎んでいただきたいなとまず思います。

 委員御指摘のように、一本化をするために放課後子どもプランをするのではありません。これは明確に申し上げておきたいと思います。地域の実情に応じて、一体的にやった方がよいという、これは基本的に言えば、市町村長や議会の判断があって、一体化してやることもこの地域においては必要なのではないかという要請があれば、それに対して十分こたえることができるような連携体制を文部科学省と厚生労働省ではとらなければいけないと思っております。

 私も、自分では学童保育族議員だと思っておりますので、学童保育が抱えている課題、よく存じているつもりです。指導員の資格問題とか障害児の受け入れの問題とか、また百名を超える児童を抱えて、指導員の方、大変御苦労しておられるという問題とか、また保護者の過剰な要求があって学童保育の指導員の先生がなかなか対応できなくて、これは親にも、そこまで要求されるのかという現場におけるいろいろな苦労とか存じておるつもりでありますし、そういった課題も当然抱えながら、今北井局長おっしゃったように、何か一つ定型的な学童保育としてのあるべき姿を考えられないものなのかというガイドラインも厚生労働省でお考えのようでありますから、それはそれで私は進めてしかるべきものと思っております。

 今回、少子化対策のこういう考え方のもとで出てきた放課後子どもプランというものについては、まさしく今制度設計の最中ですから、報道による心配とか、何をしてくれるんだというお怒りとか、これはわかると思います、あの報道では。そういう点についてはどんどんこの際訴えいただきたい、その声にこたえてまた新たな制度づくりについても検討すべきものと考えています。

小宮山(洋)委員 多分、馳副大臣がプレス発表をしてくだされば、そういう誤解のない表現をしていただけたかと思います。

 私もメディア出身なんですけれども、メディアはそうそう気を使って書きません、残念ながら今のところ。それで、先日、関係者の方も一緒に文科省と厚労省から来ていただいてヒアリングをしたときに、役所の方が違いを理解していらっしゃらないということで私は机をたたいて怒ったんですけれども、学童の指導員と地域子ども教室の指導員と何が違うんですかと言われたんですよ。そういうような方がプレス発表をされるからおかしくなる、特定の方を言うわけではないですけれども。だから、そういう意味で、やはり発表の仕方も少し気を使っていただかないとこういう記事になる。このことによってどれだけ現場が混乱をしたかということがあります。

 族議員とおっしゃった馳副大臣はよく御存じだと思うんですけれども、空き教室を使って地域のボランティアの方などで全児童を対象に行う地域子ども教室、これも本当に必要だと思います。それから、保護者が働いているなどの子供が生活の場としている学童保育、これは再三お話があるように、全く内容が今のところ違うわけですね。特に小学校低学年の子供たちは、学童で年間千六百時間、学校にいるより長く過ごしている。そういうことと、地域子ども教室が、今、実態としては週一回しか開いていないところがまだ六五%もあるわけですよね。学童は倍にしている。予算も、今、地域子ども教室は、そういう時間帯のこともあるでしょうし数のこともあるでしょうから、百六十六億円ぐらい。学童の方は、一施設が一千万円ぐらい必要なので、国、自治体、それに保育料も加えて、国が出しているのは千五百億円ぐらいの予算だと聞いています。けたが違うわけですね。

 連携を強化して必要なところを力を合わせてやるということは、地域の力も使うし非常に必要だと思いますが、一本化というのはなかなかこれは乱暴な話で、今そうでないということはわかりましたが、念のためもう一度、学校の外にある学童を一概に拙速に学校施設内のこの事業に一本化するということではないということを、もう一度はっきりとおっしゃっていただきたいと思います。

馳副大臣 学童保育が地域の要請、保護者の要請に応じて、今日に至るまで、恐らく二十年から三十年ぐらいの、先ほど共産党の話がありましたが、その問題はおいておいて、大変涙ぐましい努力のもとで、いろいろな場所を使っていろいろな指導員の取り組み方の中で、現在ようやく法に基づいて、補助も受けながら、地域の実情に応じたやり方で運営されてきたという歴史的経緯をよく理解しないといけないとまず考えております。

 ですから、今回の放課後子どもプランという考え方については、これはこれで小宮山委員にも御理解いただけると思いますが、長い歴史のある学童保育を否定するものではないというのはまず冒頭に申し上げたとおりです。

 今、全国に二万三千の小学校があります。学童保育について言えば今一万五千ですし、また地域子ども教室推進事業、これはようやく一万カ所。つまり、すべての小学校区にすらまだいずれもない地域もあるわけでありますから、今後、この子供の安全、安心ということからも、やはり放課後児童健全育成対策を考えたら、教育的な部分と保育的な部分と、また、自宅と行き帰りの通学の問題も含めてどう取り組んでいくかというときに、放課後子どもプランも制度設計がよりよくなされるべきであるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 厚生労働省に伺いたいんですけれども、いつも学童に来る子供、それから遊びたいときに来る子供、ここをやはりある程度区別をする必要があると思っています。子供たちの生活の場、それを安定して保障するためには、専用の部屋とか同じ専任指導員が毎日見ることとか、学童に不可欠な要素があると思うんですが、今回のこの放課後子どもプランの中でそのことをどのように確保していくかを伺いたいと思います。

北井政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、現状におきましても、保護者が昼間家庭におられないなどで放課後児童クラブに通っておられる児童の置かれている状況をよく踏まえまして、具体的には、例えば、必要な開設日数であるとか開設時間の確保、それから出欠の確認、それから日常的な保護者との連絡、情報交換の体制といったような一定の配慮を求めてきているところでございます。

 今後、各市町村におきましてこの放課後子どもプランに基づく事業を連携して実施していく場合にも、この放課後児童クラブの対象となるような児童に対しましては、こうした配慮がなされるように、そうした制度設計がなされるように厚生労働省としても十分留意をしていきたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 それと、これは馳副大臣と北井局長と両方伺いたいんですけれども、今回心配を呼んでいる一つが、学校を使うからといって教育委員会が主導していいのかということがあるわけなんですね。校長または教頭がメンバーとして参画するプランの事業運営組織を設けるというようなことが言われておりますが、やはり余り、先ほど連携をするので吸収ではないと図らずもおっしゃいまして、そのとおりだと私も思うんですけれども、安易に所管やその事業の監督を教育委員会にゆだねるということは避けるべきなんだというふうに思っております。やはり、生活の場として児童福祉法に根拠規定がある学童保育、ここはきちんと位置づけをした上で、学校の場も使いながら、全小学校区にあるようにどうやって広げるか、そこのちょっと何か、すみ分けと言っていいでしょうかね、役割分担みたいなことが、教育委員会が全部しますよというようなペーパーになっております、いただいているのが。そこのところはどういうふうにお考えでしょうか。

馳副大臣 私は、時代は随分変わったなと思っているんですよ。十年前私は参議院議員で、この学童保育の問題について激しく当時の文部省を攻撃したことがございます。つまり、学童をやっている関係者から、空き教室があるならば学校の空き教室も使わせていただけないかという要望が強くあった時代でした。ところが、補助金の適正化という問題から、それはなかなかまかりならぬという文部省の答弁で、私も激しい怒りを感じたことがありましたが、その後、児童福祉法における法制化を経て、空き教室も有効に活用できるようにとなって、今現在では四割近く学童も学校施設を使ってできるようになったというふうに思っております。

 そうすると、さらに次の時代を見据えて考えると、ここがやはり子供の安全、安心な居場所ということを考えたときに、学校施設を使って放課後の児童の健全な育成ということを考えると、家庭的な雰囲気も必要であるし、子供たちの居場所として、近所の公園とか野原で遊ばせてもいいんですけれども、ここで遊ばせることも、また学習をさせることもできますよという観点から、私は、文部科学省は昔の高いところから随分ちゃんと下におりてきた考えを持ってきたなと思って、むしろ喜ばしく思っているんですよ。

 こういうことについて、当然教育委員会が主導ということになりますけれども、福祉部局とか学童保育のことを市町村で担当しておられる方々と連携しないことには、暴走しかねませんから、そういうことのないように取り組んでいくことが必要だと思っております。

北井政府参考人 このプランの実施に当たりましては、今、馳副大臣からお話がありましたように、学校の空き教室を使って対策をスピードアップするという観点からも、それから学校現場のより具体的な協力を得るという観点からも、また子供の安全な居場所という観点からも、学校側の協力が不可欠であると考えておりまして、そのため、今回のプランの実施に当たっては、各市町村において、基本的には教育委員会が主導し、福祉部局と十分連携をして、実効性のある放課後児童対策の推進を目指すということにしたわけでございます。

 具体的な、各市町村でどういう対策をやっていくかについては各自治体の判断になるわけでございますが、やはり教育委員会と福祉部局がともに十分な連携をとって、この放課後子どもプランに基づく事業をやっていただくということが重要なことであるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 馳副大臣がおっしゃったような方向であれば、みんな何も文句を言うところはないと思うんです。ただ、出ているペーパーが、「教育委員会が主導することにより、」というようなことが書いてあり、各市町村では、今申し上げた校長などが「メンバーとして参画する同プランの事業運営組織を設ける。」とあって、五つ目の丸ぐらいのところにやっと「同プランは、福祉部局職員、教職を目指す大学生、退職教員、地域のボランティア等を活用する」となっていて、福祉部局とちゃんと連携をとってそこをやるという書き方に全くなっていないわけです。

 だから、このペーパーを見ると、やはりまた、よく勉強しない記者は、ああ、これは文部科学省、教育委員会がやるんだと思ってしまうので、そのあたりをもう少し説明の仕方をちゃんと、学校を使うんだから教育委員会が主導でもいいですが、今おっしゃったような福祉の部局と連携をとって、ちゃんと両方拡充しながら必要なところを連携するのだという御配慮をぜひいただきたいと思います。

馳副大臣 もちはもち屋ですからね。ですから、学校の施設を使うという意味では教育委員会が主導せざるを得ないと思いますが、実際にお子さん方を預かって、家庭的な雰囲気ということと、子供たちが本当に楽しく過ごしていただくということを指導してもらうということを考えれば、福祉部局と連携するのは当たり前の話ですから、また、そうやってプレス発表されているペーパーについても、そういう行間を読めば、どういうふうにとっていいかわからないところがあると思いますから、気をつけたいと思います。

小宮山(洋)委員 ぜひお願いいたします。

 それで、地域の実態、地域の実情に応じていろいろな形で進められるということがありましたが、先ほど川崎の例がやまぎわ議員からありましたけれども、もう既に一本化をしている、学童をやめてしまった自治体で、学童に通っていた子供や家庭からいろいろな意見が寄せられているんですね。

 例えば、品川区のすまいるスクールの保護者からは、学童からの移行時にギャップがあって行かなくなってしまったとか、発足時には同じ指導員が見て学童の機能を果たすという約束だったのに、そうではなくなって、あの楽しかった学童を戻してほしいとか、先ほどお話があった川崎のわくわくプラザからも、いじめられて行くのが嫌になって相談をしたら、来た子をみんな遊ばせるのが仕事なので、来ない子の面倒までは見られないと言われたとか、騒がし過ぎて頭が痛くなるのでもう行けなくなって、かぎっ子になってしまったとか、実際に困っている、学童を利用していた保護者の方やお子さんたちがいるわけです。

 ですから、私も連携は非常にいいと思うんですが、それぞれをやはり拡充しながら、必要なところを納得を得ながら連携を図っていく、そういう配慮をぜひいただきたいし、そういう方向で進めていくということを、改めてプレスも含めて現場の方たちに届けていただくというお約束を最後にいただきたいと思います。

 とにかく、毎日同じように開いている幼稚園と保育所を、これもいろいろ議論させていただきましたが、認定こども園で一緒にするということと、先ほどから申し上げた、小学校低学年の子供が学校より長く過ごす生活の場の学童保育と、かなりのところで週に一回、それも数時間しか開いていないようなものを一体化すると言われたら、現場はもうびっくりしてしまうのが当たり前のことなので、ぜひきょうおっしゃったようなことを、残念ながら、きょう記者さんはだれも、だれもでもないですがほとんど来ていないので、ここでこういう議論をしたことも外に伝わらないんですよ。ぜひ今馳副大臣がおっしゃったことを外に向けて、現場に向けて言っていただくことも含めて御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

馳副大臣 数字を見ますと、我が省がやっている地域子ども教室推進事業、週一回、二回、三回含めると九割近くなんですよ。年間二百日以上やっているところをこの間ちょっと表彰したんですけれども、八千カ所のうちにわずか五百カ所ほどですよ。基本的に、学童保育というのはほぼ二百日以上ですね、二百八十日以上のところが大多数だと思います。それをいきなり一体化といっても絶対無理なんですから。だけれども、地域の実情に応じて、一体化できるところはやっていきましょうと。

 品川にも私は二年前に行ってまいりました。若月教育長からも、いい点と悪い点と伺いました。また川崎の実情もございますから、先行してやっていただいているところの実績も伺いながら、制度設計に反映させていくべきものと考えておりますので、また小宮山委員、今後とも豊富な経験と人脈を通じ、いろいろな御指導もいただきたいと思っております。

小宮山(洋)委員 きょうの熱意ある御答弁をぜひプレスに向けて発表していただくことを心からお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 私も学童について伺おうかと思ったんですが、もう小宮山先生の質問で十分だと思います。

 実は、五月三十日、おとといの新聞を見ましてちょっとびっくりしました。朝、新聞各紙に、児童虐待の防止に関して文科省の方でいろいろ何年かにわたって調査をしてきて、その結果が何段かの記事に各紙載っていまして、例えば読売新聞などは、「虐待通告 幼稚園たった半分」という大きな見出しでありますし、日経新聞や朝日新聞では、児童虐待の通告義務、先生が三割以上知らなかったというような見出しになっていまして、一体これはどうなっているんだと。

 この委員会は、児童虐待防止法、二〇〇〇年に各党の賛同をいただきまして、私が提出者となって成立させていただきましたし、一昨年は、与野党一生懸命連携して改正法をつくりました。通告義務の拡大や予防、早期発見、そして親子の再統合まで含めて一体として児童虐待防止に取り組んでいくんだという委員会でございますので、特に文部科学省の方で学校教育現場にどのようにこの児童虐待防止法、また改正児童虐待防止法、そして児童福祉法もその関連で改正されました、そういったところが本当にこれまで徹底されてきたのかな、この新聞記事を見て非常に残念に思いました。

 文科省の方に、この記事のもとになった報告書をいただきたいというふうに申し上げましたら、その日に届かなくて、次の日にやっとこういうのをいただきました。学校等における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究会議がこの五月に発表したということで、かなり大部の報告書になっていますけれども、かなり重要な指摘がありますので、二十分の時間をいただいて、この点について文科省に特に御質問したいと思います。

 この報告書の中に、最初に「児童虐待の現状」ということで報告がされておりまして、平成十六年度の全国の児童相談所の児童虐待相談件数が三万三千四百八件だったというような指摘がありました。これは平成二年から数をとり始めたんですが、平成十二年にこの委員会で防止法をつくろうというときに、ほぼ十倍になっている、これは本当に現場で大変な問題だということで、特に、児童相談所の所長さんたちが自分たちでアンケートをとったり、そういったのを踏まえてやったんですが、そのときから比べて、平成二年から比べて約三十倍、児童虐待防止法施行前の十一年から比べてもまだ三倍になっているということで、本当に現場は大変なことになっているな。

 ただ、これだけふえてきたというのは、もともとあったものが顕在化してきたというようなものもあると思いますし、十六年の改正で虐待を受けたと思われる子供たちについても通告をするようにというふうにしたこととか、報道関係の努力もあったりして、こういうことをきちんと児童相談所の方に通告したり相談しなきゃいけないんだというような流れがある程度出てきたから、これだけふえたとも思われるんですね。

 そういった中で、特に、どこから児童相談所に相談が寄せられたかという経路についてもこの報告書の中で指摘がされていまして、家族から一五・九%、学校から一五・二%、近隣、知人から一四・五%というような形になっていまして、学校が約三割ふえている。

 そういった意味では、幼稚園を含めた学校の先生方がよく気づいて児童相談所の方に通告や相談をされているんだと思うんですが、先ほどの新聞記事にあるように、通告義務すら知らないというような先生方がまだまだ大勢いるということを考えると、文科省の方で、学校あるいは教職員の人たちが児童虐待の防止に関してどういったことが役割として求められているのかというふうに考えて、文科省として、どのように学校教育現場に児童虐待防止に向けて取り組みをされているのか。まず、概略的にちょっとお話しをいただきたいと思うんですが。

馳副大臣 私も報道に接して、本当に激しい怒りと、何をやっているんだというふうな疑問も感じました。そして、改正児童虐待防止法の際には、富田委員にも大変御努力いただいたことを改めて敬意を申し上げたいと思います。

 一番大きな改正だったのは、虐待を受けたと思われる児童を発見した者に対して通告義務規定をかけたことにあります。そして、改正児童虐待防止法の大きな流れとしては、早く発見し、早く通告をし、早く相談体制をとって、そして最終的には保護者に対する支援もしていこう、こういう流れでありましたので、この一連の流れについて、文部科学省としても、児童生徒課長を通じて全国の指導主事に徹底してきたつもりです。当然そういう会議も行ってまいりました。が、現場の教職員にそこまでの認識が十分伝わっていなかったということについては、我々は反省すべき点もあろうと思っております。

 六月五日の月曜日、来週の月曜日、全国の指導主事の会議がございますので、私も国会対応もございますが、もし出られたら、直接出席をして、改めて督励を申し上げておきたいと思います。

 何度も申し上げますが、虐待を受けたと思われる児童を発見した者は通報しなければならないという義務規定なわけでありますから、社会全体で保護されなければならない児童生徒の虐待案件については、今後とも、発見しやすい立場にある幼稚園や小学校、中学校の教職員が、十分な研修のもとに、やはり通告すべきは通告をする、保護者との対応もする、不登校児に対してはできる限り対面を求めて確認をする、その経過において困難なことがあれば警察にも援助を求める、当然児童相談所にも通報して連絡を求める、この一連の作業がスムーズにいきますように、改めて、全国の会議も通じて、都道府県の研修も通じて、現場に伝えていきたいと考えています。

富田委員 副大臣が現場の先生だったら何も質問する必要はないなと思われるぐらい、一緒に改正法をやらせていただきましたので、馳副大臣はおっしゃるとおりなんですが、今の副大臣の指摘された点がなかなか現場に行かない。

 この報告書の中でも、次のような課題があるというふうに指摘されていました。教師向けの指導資料とか啓発資料の作成状況を見ると、都道府県段階ではきちんとできているんだけれども、市町村レベルになると全然進んでいないというような指摘があったり、せっかくつくられた啓発資料を読んでいないとか、そんなもの知らないという先生が五割もいる。

 これでは、今副大臣が言われたように、法律の内容もきちんと理解した上で、仮に来週の会議で指導していただいても、現場の方たちが、そんなものができたって知らないし、読んでもいない、読もうともしない、ここは何とかやはり変えていかなきゃいけないんじゃないかな。実際の現場の先生方に対する研修というところでやっていただかないと、やはり無理だと思うんですね。

 この報告書の中で、課題の一つとして、教員研修は都道府県で四割、市町村で一割しか実施されていない。全国の関係者、指導主事たちを集めての会合で徹底されたとしても、その方たちはよく理解するけれども、本当に現場の教師の皆さんが、今回の改正された児童虐待防止法の趣旨、通告義務の意味というものを理解するにやはり至らないんじゃないかな。そこの部分を今後どうやってやっていくかというのが大事になると思うんですが、そのあたりはどんなふうに考えているんでしょうか。

馳副大臣 私が答えた後にまた事務方から答弁させますけれども、私は二点やはり必要だなと考えている。

 一点は、これは通達行政の一番弱点だろうなと思います。また上から言ってきたよ、まあ聞いておくか、こういう現場の、寄らば大樹の陰的な、上から言ってきたことをまあまあこなしておけばいいやというふうな認識を改めさせるために、改めて研修の充実を市町村段階においてしっかりやりなさいというのが一点。

 もう一つ、私は政治家という立場から言わせていただければ、市町村には議会があるわけで、その議会において、これは各党において、うちの町は、村は、市は、児童虐待について十分な対応ができているんですかと。教職員の皆さん方は、これはなかなか帰属意識は難しいんですけれども、彼らは自分は県から任命されたと思っているけれども、市町村長からすれば、あんたたちは市町村が設置している小中学校の先生じゃないかと。そういう意味では、帰属意識を市町村の方に持っていただきたいと思っていると私は思うんですよ。

 とすれば、やはり議会を通じて課題を挙げて、十分な研修が行われていない、認識をしていないというのであるならば、議会活動を通じて、それぞれの市会議員さんというのは、これは党派抜きで、地域代表の方々ですから、地域の小学校、中学校における虐待への対応の仕方、児童相談所の連携のあり方、また、児童福祉法も改正されて、昨年からは中核市においても児童相談所を設置できるようになった、保護者への支援もできるようになった、こういうことをやはり周知していくことが必要ではないかな、こういうふうに考えております。

布村政府参考人 少し実態について御説明をさせていただきます。なお、この調査結果につきましてのお届けがおくれましたことをおわび申し上げたいと思います。

 この調査結果によりますと、まず、教師向けの指導資料、啓発資料ということで、児童虐待防止法の新たな改正の趣旨をきちっと一人一人の教員にお伝えすべきところでございますが、都道府県レベルで教師向け指導資料を作成している都道府県が、平成十七年で六七・二%、平成十四年には六〇%でしたので、現段階では、三十九の都道府県、政令市において作成をいただいている。まだまだ十分な状況ではございません。

 それから、教員の研修の実施状況でございますが、都道府県段階では五六・九%、三十三県市に当たります。これは、平成十四年に実施した状況が四一%でしたので、少しふえております。一方、先生御指摘のとおり、市町村では一一・四%という状況で、まだまだ低いというのが実態でございます。

 特に、都道府県を中心として児童虐待防止に関する教員研修が適切に実施され、教員研修と教師用指導資料の周知活動というものが連動して実施されていることを、より実のあるものにしていきたいというふうに考えております。

 このため、文部科学省におきましても、本年度中に児童虐待防止に関する教員研修モデルプログラムというものを作成いたしまして、各都道府県の段階あるいは学校において教員の研修の実効が上がるように、より指導の充実に努めてまいりたいと考えております。

富田委員 ぜひ具体的な研修をしていただきたいと思います。

 研修に当たって、先ほど馳副大臣は、法律の改正経過を全部御存じですので、はっきり言われていましたが、やはり、通告義務があることを知らない、通告義務が拡大されたことも知らないという先生が本当に多い、新聞報道で三割となっていましたが。この人たちをどうするのかというのは、今の具体的な研修できちんと教えていただくという必要があると思うんですが、通告義務があることを知っていても、現場で、自分のところの園児さんや児童生徒の様子を見て、もしかして虐待されているんじゃないかなと思っても、通告しない、なかなか通告に踏み切れないというような先生方が大勢いる。これをどうしていくかというのがもう一つの課題になると思うんですね。

 親御さんが家庭で虐待する、それを一番発見しやすい幼稚園、小学校、中学校の先生たちが、もしかしたら虐待されているんじゃないかなと思っても、確証が持てないと通告しないという調査結果になっています。確証が持てるまで見ていたらその子にとってとんでもない事態になるというのは、これまでのいろいろな事件の経過を見ていると、もうはっきりしていると思うんですよね。

 学校というのは、数も多いですし、先生方も大勢いらっしゃいますから、警察や児童相談所の規模とか人数から見たら一番発見しやすい場所であるとともに、また、一日の大半を子供さんたちと一緒にいるわけですから、発見する機会も物すごく多い。その発見する機会の多い先生方が確証が持てるまでというふうに待ってしまうと、その子の命にまでかかわる問題になってしまう。

 そうじゃなくて、やはり変だなと思ったときに、学校というのはいろいろな職責の方がいらっしゃるわけですから、チームを持って、その中できちんと相談する体制をつくっていくとか、あるいは、園長先生や校長先生が、ちょっとそんなのやめてくれよ、自分たちに責任が来ちゃうんじゃないかというようなことがあっても、先生が自分の判断できちんと児童相談所に通告なり相談ができるような態勢を具体的にとっていくことが大事だと思うんですよね。こういう場合にはちゃんと通告しなさい、あるいは、通告までいかなくても、こういう場合には相談をしなさい、児童相談所ときちんと相談していくんだというところをどう現場の先生方に感覚的に持ってもらうかということが大事だと思うんですね。

 この報告書を読んでいましたら、児童相談所と連携した先生ほど、ちょっとやりきれないなと。相談した、通告したはいいけれども、きちんとやってくれない。児童相談所の方も、本当に職員の皆さん、数が足りなくて、今予算を一生懸命つけてふやしていますけれども、それでもなかなか対応できない。また、相談所側から見たら、学校の先生の方でちゃんと後々のケアをしないじゃないかということで、どうもお互いに連携がうまくいかない。そのあたりも、やはりふだんから、学校の方からある意味では積極的に児童相談所と連携をとっていくという必要があると思うんですね。

 教師から見たら、児童相談所というのはどちらかというと何か悪いことをした子が連れていかれちゃうところだというような認識があるんだと思うんですけれども、そうじゃなくて、虐待の被害者の子にとっては、本当に虐待を受けているかどうかの判断は児童相談所とか警察とかそういう専門機関じゃなきゃわからないんだ、教師が最後確証を抱くところまではできないんだということを現場の先生方にきちんと理解していただいて、関係機関ときちんと連携できるような、そういった体制をつくっていくんだというところを文科省の方できちんと現場まで落としてもらいたいと思うんですが、その点、今後どのように取り組まれますか。

馳副大臣 これは二年前の改正案づくりのときにも大きな議論になったところですけれども、ネットワークづくりをとって連携協力態勢をとらなければならない、当然、ネットワークに組み込まれた機関は守秘義務が課されるということになりました。私は、ここの徹底が現場の方でなされておらず、市町村の取り組みの温度差が出てきているんだろうなというふうに思っております。

 ですから、私は、なまじっかな対応をしていてはこんな悲惨な事態になる、その象徴的な事件が岸和田における事件でありました。

 何でこんなことになるのかと裏打ちをしたら、いや、担任の先生は家に電話をしていたと。お母さん、お父さんは、ああ大丈夫ですよ、外へ出ていますよというふうな対応で、ああそうかといって、校長にその程度の報告しかしていなかった。警察の方に問い合わせてみたら、言ってくだされば十分児童相談所と連携をとって家庭訪問をして対応しましたのに、何で言ってくれないんですかというふうな不満もあった。児童相談所にしても、電話だけの対応で、また一度か二度の訪問で、本人を確認しないままに放置してあった。その結果がああいう悲惨な事態に至ったという、あの事件の経過を踏まえて改正案づくりに取り組んだわけであります。

 これは改正案が施行されてもう二年目に入っておりますので、まさしく連携協力態勢をとっていただく現場の皆さんに、こういう対応をしていただかないと、この点が不備であればこんな悲惨な事故になるんですよということを実例、実態も申し上げながら、早目に警察との連携もとっていただきたいと思いますし、病院やまた福祉機関との連携もとっていただくように、ケーススタディーのような形で取り組んでいただくように取り組みを迫ることが必要ではないかなと思っておりますし、まさしく、先ほど申し上げたように、通達行政のすき間にならないように、やはりより具体的な、モデル的な指導資料も作成しながら取り組んでいきたい、こういうふうに考えています。

富田委員 時間が参りましたので終わりますが、馳副大臣の熱意が現場に浸透しますように、また、せっかく副大臣をやられていますので、予算要求でもしっかり児童虐待防止にかかわる予算をとられるように、私たちも全力でバックアップいたしますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、同僚委員の方からも御質疑ございました学童保育につきましてお尋ねしたいと思っております。特に、放課後子どもプランとの関係でまず最初にお聞きしようと思うんです。

 厚生労働省にお尋ねしますが、五月の九日に、文科省と厚生労働省の放課後対策事業の連携について、放課後子どもプランの創設を発表されました。この放課後子どもプランの趣旨と概要の説明をお願いしたいと思います。その際に、プレス発表の資料には「一体的」という言葉が使われているんですが、この「一体的」というのは何を意味するのか、この点についても御説明いただけますでしょうか。

北井政府参考人 今回、両省が合意した放課後子どもプランでございますが、これは、文部科学省と厚生労働省が協力連携をして放課後児童対策をより一層充実強化を図るという趣旨で創設することとしたわけでございます。

 この放課後子どもプランの実施に当たりましては、放課後対策のスピードアップという観点からも、そしてまた学校現場の具体的協力を得るという観点からも、あるいは子供の安全という観点からも、学校の協力が不可欠でありますことから、各市町村におきまして、原則的には教育委員会が主導して、福祉部局と十分な連携のもとに放課後児童対策に関する一本の計画をつくりまして、そして、できる限り小学校の中において、放課後児童クラブや地域子ども教室を一体的あるいは連携して実施するというものでございます。

 このプランの実施に当たりまして、この両事業、どのように一体的あるいは連携して実施するかということにつきましては、あくまでも地域の実情に応じて各自治体が御判断をいただき、やっていただくべきものであると考えております。

 厚生労働省といたしましては、これまで放課後児童クラブの果たしてまいりました機能や役割が損なわれるようなことのないような方法で、一体的あるいは連携して実施していただくということを想定しているところでございます。

塩川委員 厚生労働省の放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育と、文科省のこれまで行ってきた地域子ども教室推進事業というのは、それぞれ異なる事業の役割があるわけで、それぞれがそれぞれの役割を果たしていくことが求められているわけです。

 ですから、それがどうも、きょうの質疑の中でもありましたけれども、二つの事業、事業そのものの一体化ということが行われるんじゃないか、事実上の学童保育の廃止につながりかねないという懸念の声も出されているわけで、改めて確認しますけれども、事業そのものの一体化を目指すものではないんだ、学童保育そのものを質的、量的に拡充する立場に変わりがないという点について、答弁をお願いいたします。

北井政府参考人 厚生労働省といたしましては、放課後児童クラブの果たしてきた役割というものは高く考えているわけでございまして、こうした放課後児童クラブの果たしてきた機能、役割が損なわれないような方法で、より一層放課後児童対策を充実強化する。その際には、教育委員会と福祉部局が十分連携をとって、一番地域の実情に合ったいい方法で児童対策をやっていくということで考えているものでございます。

 したがいまして、放課後児童クラブの果たしてきた機能、役割が損なわれないような方向で進めていくということを厚生労働省としても留意していきたいというふうに考えております。

塩川委員 文科省と厚生労働省が、二月の十日に局長通知ということで「「地域子ども教室推進事業」と「放課後児童健全育成事業」の連携及び両事業の推進に当たっての学校との連携について」という文書を出されておるわけです。いわば、その趣旨にのっとって、それぞれの事業の拡充と連携というのを基本にすべきだ、そういうものだと思います。

 そこで、山口副大臣にお伺いいたします。

 猪口大臣は、学童保育の役割の重要性について、放課後児童クラブのニーズは高い、安全対策からも重要な施策で、早急に整備を図らなければならない等と答弁をされておられます。

 内閣府としても、学童保育を量的、質的にも拡充する、こういう立場に変わりがないか、この点をお聞かせください。

山口副大臣 お答えいたします。

 私も、学童保育、民間にいるときに支援をしてまいりまして、非常に思い入れがあります。

 現状では、今全部の小学校の三分の二程度のところに放課後児童クラブが設置されているわけでありますけれども、子ども・子育て応援プランでは、平成二十一年度までに全国の小学校区の四分の三で実施できるように増設することとしております。一方、さきに取りまとめました少子化社会対策推進専門委員会の報告では、放課後児童クラブについて、ニーズがあるすべての小学校での設置や、定員の拡大、小学校内への設置促進を提言しております。

 文科省では、地域子ども教室推進事業を実施してきたところでありますけれども、今回文科省と厚生労働省との間で合意をされた放課後子どもプランでは、学校の積極的なかかわりを通じて放課後児童クラブの事業の内容をさらに充実させることと認識をしております。

 このプランでは、できる限り小学校内で実施することとしているほか、福祉部局職員、教職を目指す大学生、退職教員、地域のボランティア等を活用し、これらの者と学校の教職員間での情報交換等十分に連携に配慮するものとしているので、補習など、放課後時間の有効活用が図られる取り組みがされることを期待したいと思っております。

 なお、同プランの具体的な連携方法、予算措置、推進体制等については平成十九年度予算へ向けてさらに検討することとしておりますけれども、内閣府といたしましても、文部科学省、厚生労働省と連携して、本プランの円滑な実施に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 私の上の二人の娘も、低学年のときには学童保育で何年かお世話になりまして、あと、下に三歳の娘もおりますから、この後またお世話になるかもしれません。

 働く親を持つ子供たちにとってみて、学童保育というのは本当に生活の場としてその充実が求められていると思うんです。そういう点では、そういう生活の場が確保される、そのための子供たちのための施設設備というのはしっかり置かれなくちゃいけない。そういう子供たちに対して、日常的に保育を担う指導員の方々が必要だ。そういう学童保育の役割の拡充ということが量的、質的にも求められているときだと思っておりますし、そういう点では、地域子ども教室推進事業ですとか放課後子どもプランがこの学童保育に取ってかわるものではないということも明らかだと思うんです。

 その上で、厚生労働省に伺いますが、この学童保育につきましての設置・運営基準の問題につきまして、昨年の十一月に、自治体に対し設置、運営に係る基準についての調査依頼を行っていると聞いております。自治体の学童クラブに対する運営・設置基準の有無についての実態調査ということですけれども、その中身につきまして、例えば設置基準、運営基準、安全管理マニュアルがあるかどうか、そういう中身についても、ある、なしをお聞きしているということなんですが、例えば、都道府県あるいは市区町村ごとにどのぐらいそういう基準を持っているのか、数字とかわかれば教えていただけますか。

北井政府参考人 今御指摘がございましたとおり、昨年度、地方自治体に対しまして、地方自治体が持っておられるガイドラインなどの実態を調査いたしたところでございます。

 実施要綱あるいは設置、運営に関する基準、安全管理マニュアルというものをお持ちかどうかということなども含めた調査でございまして、七百ほどの市町村から回答をいただいたところでございます。そして、内容の確認を大体終えて、現在その分析に入っているというところでございます。

塩川委員 昨年の十一月の末で集計をしたということですから、もう半年ぐらいたっているわけで、そういう中で、例えば設置・運営基準について、持っていますよという自治体はこの七百のうち幾つぐらいという、そういう数字とかというのはないんですか。

北井政府参考人 この調査の締め切りは十一月末ということでやらせていただいたのでございますが、かなり督促をするとか内容の確認をするとかいうことで時間がかかっておりまして、まだその基準の状況等についてお答えできる段階になっていないところでございます。

塩川委員 ぜひ、その内容についての分析も進めていただきたいと思っています。

 私の住んでおります埼玉県が、埼玉県放課後児童クラブ運営基準という、こういう八十ページ近い設置・運営基準をつくっているということは、紹介をされているところであります。この中では、常時複数の指導員の配置ですとか、あるいは定員などについても、四十人を超えないようにと。これ自身ももうちょっと低い方がいいかと思うんですけれども、そういう点では、具体的な指針を出しているわけです。

 そういう点で、施策のおくれているような市町村の学童クラブの施設や運営の改善につながっている。例えば、指導員の配置を、この県の運営基準に沿って二人から三人に増員をするようなところですとか、施設を改築する際に児童一人当たりの広さを、この県の基準では一人一畳以上にしましょうというのがあるので、それに合わせて広げるですとか、そういう取り組みなんかを行っているということであります。

 ぜひ、こういう基準というのが積極的にこの学童保育の拡充につながっていくものだというのは明らかだと思いますので、改めて国として、この放課後児童クラブの設置、運営に係る基準を設けるべきじゃないかということを、重ねて、この委員会でも要望してまいりましたけれども、この点についてのお考えをお聞かせください。

北井政府参考人 放課後児童クラブのガイドラインを定めることにつきましては、各地域の多様で柔軟な事業の実施を可能としながら、国としてどのような対応が可能かという点から検討を続けているところでございます。

 こうした観点から、今御説明を申し上げましたように、自治体におけるガイドライン等の実態調査をいたしておりますところでございますし、また、こども未来財団におきましても、放課後児童クラブの運営実態についての研究もやっていただいているところでございます。こうしたことを十分分析して、それらの結果を参考にしながら検討していきたいというふうに考えております。

塩川委員 ぜひその点での、つくるという方向での取り組みをお願いしたいと思っています。

 最後に、学童クラブの運営の一番の苦労というのがやはりお金の問題で、委託料、補助金が少ないことにあります。数そのものを大きくふやしていくということも当然重要なことですけれども、やはり、学童保育の運営で何よりもかなめとなっているのは人の問題、指導員の方、その方の人件費すら出ないような事態であるわけで、常勤指導員の配置で積算をするような補助金の増額が今本当に求められている、このことを、強い要望でもありますので、その点についての取り組みを求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。

北井政府参考人 放課後児童クラブの国庫補助単価につきましては、総事業費の大体半額を利用者に御負担いただくということを想定して、利用児童の数や、子供を預かる時間帯を考慮して設定しているところでございます。

 また、こうしたことに加えまして、長時間開所される場合や、障害児の受け入れを行われる場合に加算をしているところでございます。平成十八年度予算におきましても、障害児受け入れ加算における人数要件の撤廃など、補助内容の改善を図ってきているところでございます。

塩川委員 パートや嘱託ということではなくて、常勤の指導員の配置ということが基準として求められているんだということを申し述べまして、質問を終わります。

近藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本委員会では初めてお時間をちょうだいいたしまして、質問をさせていただきます。

 私は、実は小児科の医師でもありまして、特に思春期の子供たちを診療いたします思春期外来というのをこの二十五年間ほど、自分自身もかかわってやってまいっております。

 その中で、せんだって、四月のたしか十八日だと思いますが、名古屋で、NPO法人で引きこもりの若者を宿泊させて矯正させるという施設の中で、二十六歳の青年が手錠等をはめられ、あるいは体に暴行を受けた傷があって亡くなるという事案が報道されております。

 山口副大臣にあっては、まずこの事件、どのようにお受けとめであるか、冒頭お願いいたします。

山口副大臣 私も同年代の息子を持つ者として大変遺憾に思うわけでありますけれども、引きこもりの若者支援というのは、青少年の育成上、大変重要な課題であります。政府においても対策を進めているところでございますけれども、NPO法人を含め、今、さまざまな民間団体においても、このような若者のいい意味の支援を行っていることは委員も承知だと思います。

 しかし、今回の事件については、報道でもなされておりますが、入寮者を不当に拘束、監禁した結果死亡に至ったと聞いておりまして、本当に大変痛ましい遺憾な事件であり、もう親の気持ちを思うと、何ともやりきれないという気持ちが率直な気持ちでございます。

阿部(知)委員 この亡くなっていかれた二十六歳の青年も、今副大臣がおっしゃったように、親御さんのお気持ちも本当にはかり知れないものがあると思いますが、一方で、この引きこもりと総称される問題の深刻さについて、これまで、我が国の政策的な対応の中でどこまで支援の手が差し伸べられてきたか。親も孤立し、また当事者、引きこもっている青年たちは、自分の最後の居場所である家に引きこもっているわけですが、今度はそこにも場が与えられず、無理やり連れていかれて結果的に亡くなってしまった。幾重にも問題が深いかと思います。

 実は、さかのぼって一九八〇年から八二年に運営されておりました戸塚ヨットスクールというところでも、預かっておられる少年の死がございましたし、その後、一九九一年、風の子学園という同じような宿泊型の施設で預かっておる子供さんが亡くなられたという青少年の事案がございました。

 副大臣もおっしゃったように、NPO法人という形で、これは市民活動を非常に活性化させるための手段ではありますが、逆に宿泊型の、すべて外から見えないところで全生活を預かるようなものも、もちろんNPO法人として運営されているという事実が一方でございます。

 副大臣は残念だとおっしゃいましたが、今後、とりわけこういう宿泊型の青少年を預かる、特にこれは十八歳以上だとどこにも実は今窓口が、どういう問題が起きても窓口がないのですね。最終的に警察が介入して、暴行事件、殺人事件として裁くという、でも、それはもうそういう事件が起きた後しか、事後処理しかなされませんのですが、こういう事態に対して、全体をリードされる内閣府として、今後何らかのお取り組みのお考えがおありかどうか、お願いいたします。

山口副大臣 今、民間の宿泊者のある意味では人権というふうに考えるわけでありますけれども、引きこもりの若者支援は、青少年育成上の大変重要な課題でありまして、政府におきましても、青少年の社会的自立の支援を青少年育成施策大綱の重点課題の第一に掲げ、また引きこもりへの対策を盛り込むなど、取り組みを進めているところでございます。

 そして、この問題に対しましては、例えば、厚生労働省において各都道府県の保健所や精神保健福祉センターにおける相談事業や、思春期精神保健の専門家の養成のための研修会を実施するなど、関係省庁において取り組みを進めているところでございます。

 また、引きこもりの若者の支援につきましては、これまでも、若者の自立を支援する団体が活動を行い、子供の引きこもり、悩み苦しむ親御さんの駆け込み寺的な存在として機能してきたと承知をしております。

 こういった施設においては、各種法令に照らしまして適切な対応が行われなければならないことは当然のことだ。そして、引きこもり等への対策は大変難しい課題でありますけれども、これらの若者一人一人に応じた適切なケアが行われるよう、引き続き施策の充実を図り、関係省庁で全力で取り組んでまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 二つの御答弁があったと思います。

 厚生労働省にかかわります部分は別途、後ほど聞かせていただきますが、その後段の、例えば人権侵害が起こらないように、あるいは、場合によっては殺人等々にならないようにという意味での適切な行政的な管理監督というものが果たしてどういう形で行われ得るのか。

 実は、こういう宿泊型、子供さんを預かって日々の生活をやっているような施設が全国で一体幾つあるのか、その実態がどうであるのかということもつまびらかではないわけです。私は、昨日、この問題を質疑するに当たって、内閣府や厚労省にも担当、来ていただきまして、しかし、こうやって宿泊型で特に外から見えづらいような実情について、どのように対応、対処していくべきかということのお答えを求めたのですが、はっきり言えば、うちでもない、そっちでもない、こっちでもないということで、たらい回し状態でありました。

 私は、先ほどこれまでの事案も含めて述べましたけれども、今副大臣の御決意のほども伺いましたので、これはぜひ内閣府として音頭をとって、例えば児童虐待の場合であれば、先ほど馳文科の副大臣がおっしゃいましたが、警察の介入、文部省、大体こういう引きこもり施設に、宿泊型に行く以前の子供たちは不登校ですから、文科省もかかわってまいります。それから、保健所行政の厚労省もかかわってまいります。総体を挙げた省庁横断的な取り組みを、特に宿泊施設の人権というところにフォーカスを当ててお願いしたい、そのリーダーシップをとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山口副大臣 委員のおっしゃるとおりです。私も、本当に近所で、私の町内会でもそういうのを現実に見ておりますので、関係省庁、本当に連携をとりながら前向きにしっかりやっていきたいと思っております。猪口大臣にもきちっと伝えます。

阿部(知)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。そして、二度とこうした若者の未来を奪うことがないような行政をお願いしたいと思います。

 引き続いて厚生労働省にお願い申し上げます。

 厚生労働省の方でも、この引きこもりということについては全く問題意識がなかったというよりも、実は、こんな分厚い、引きこもりのための地域精神保健活動のガイドラインなるものも手元にいただきまして、これが、二〇〇一年に多分最初のものが出されて、地域保健センター等あるいは保健所の窓口等々への親御さんの相談、あるいは引きこもっている本人のメンタルヘルスケアも含めての相談を業務としてやってこられたと思います。

 これまでのお取り組み、そして今後の課題についてどのようにお考えか、お願い申し上げます。

中谷政府参考人 今までの取り組み、それから今後の状況でございますけれども、今までこのようなガイドライン、これは研究班がつくりまして、やはり行政を中心としましてまず御理解をいただこうということでお配りをしているところでございます。

 また、あわせまして、特に相談窓口の充実、これは大切でございますので、全国にございます精神保健福祉センター、保健所などで相談窓口をつくってございます。

 その実数でありますけれども、平成十六年のデータで言いますと、精神保健福祉センターでは二万二千二百七十六件、これの思春期の相談を受けておるところでございますけれども、今まで引きこもりの相談というので別枠にしていないわけでございますので、平成十七年度からは統計も別枠といいますか、しっかりとりまして、今後とも対策の充実に努めてまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 ちょうだいいたしました資料は平成十四年度の統計が出ておりまして、そこには、今おっしゃった精神保健福祉センター以外、保健所も窓口になって一応は出ておるのですが、各保険所、年間で一、二件なんですね。正直申しまして、精神保健福祉センターまではやはりハードルが高いのです。御家族にとって、精神保健福祉センターに行ってみようというふうになかなか思えないんですね。身近な保健所というところでとりあえずワンクッションでも窓口があれば、実は多くの親御さんが孤立し、そして私のような医療機関には来られますが、果たしてその後の地域支援にどうつなげるかというところで、もう一歩も二歩も保健所の活動に私は期待いたしますので、また今後集計も出てくると思いますし、厚生労働行政の中でぜひ保健所の役割それから人材の育成ということをよろしくお願い申し上げたいというのが一点。

 あと、先ほど山口副大臣にもお願いしましたが、実は児童虐待、これは例えば児童養護施設でも起こるわけですね。あるいは老人虐待、これは御老人を預かるような施設でも高齢者虐待として起こってまいります。他の分野で起こる虐待問題については、これまで厚労省としてもいろいろな、例えば児童虐待が児童養護施設で起こった場合の取り組みというのはございますけれども、何度も繰り返すようですが、こうやって宿泊型、収容型で引きこもっているお子さんを預かっている施設の実態、ここでまた精神的な虐待、物理的な虐待が起こっている状況について、いま少しやはり意識とそして役割を認識していただいて、活動、行政をやっていただきたいということをお願い申し上げたいんですが、最後、いかがでしょうか。

中谷政府参考人 今、障害者自立支援法によりまして、関係の施設におきましてはサービス管理者をつけ、しっかりした体制で臨んでいこうというふうに思っております。その中で、引きこもりの方を含めました精神障害者などの社会復帰、地域生活支援、こういうことも充実してまいりますので、十分対応してまいりたいと思っておりますし、先ほど御答弁ございました内閣府との連携、これも極めて重要でございますので、関係省庁、地方自治体とも協力してまいります。

阿部(知)委員 よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.