衆議院

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第1号 平成13年2月14日(水曜日)

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平成十三年二月十四日(水曜日)

   午後三時一分開会

    ─────────────

 委員氏名

  衆議院

   委員長 堀之内久男君

   理事 甘利  明君 理事 蓮実  進君

   理事 松本 和那君 理事 村田 吉隆君

   理事 石井  一君 理事 小沢 鋭仁君

   理事 北側 一雄君 理事 東  祥三君

      岩倉 博文君    尾身 幸次君

      大島 理森君    亀井 静香君

      古賀  誠君    谷田 武彦君

      中山 太郎君    林田  彪君

      菱田 嘉明君    堀内 光雄君

      牧野 隆守君    大石 正光君

      桑原  豊君    鮫島 宗明君

      仙谷 由人君    田中  甲君

      手塚 仁雄君    冬柴 鐵三君

      志位 和夫君    土井たか子君

      海部 俊樹君

  参議院

   委員長 本岡 昭次君

   理事 河本 英典君 理事 矢野 哲朗君

   理事 藁科 滿治君 理事 木庭健太郎君

      金田 勝年君    亀井 郁夫君

      北岡 秀二君    佐藤 泰三君

      鈴木 政二君    西田 吉宏君

      三浦 一水君    勝木 健司君

      北澤 俊美君    直嶋 正行君

      森本 晃司君    筆坂 秀世君

      山下 芳生君   日下部禧代子君

      水野 誠一君

    ─────────────

 出席委員

  衆議院

   委員長 堀之内久男君

   理事 甘利  明君 理事 蓮実  進君

   理事 松本 和那君 理事 村田 吉隆君

   理事 石井  一君 理事 小沢 鋭仁君

   理事 北側 一雄君 理事 東  祥三君

      岩倉 博文君    尾身 幸次君

      大島 理森君    亀井 静香君

      古賀  誠君    谷田 武彦君

      中山 太郎君    林田  彪君

      菱田 嘉明君    堀内 光雄君

      牧野 隆守君    大石 正光君

      桑原  豊君    鮫島 宗明君

      仙谷 由人君    田中  甲君

      鳩山由紀夫君    冬柴 鐵三君

      小沢 一郎君    志位 和夫君

      土井たか子君    海部 俊樹君

  参議院

   委員長 本岡 昭次君

   理事 矢野 哲朗君 理事 藁科 滿治君

   理事 木庭健太郎君

      海老原義彦君    金田 勝年君

      亀井 郁夫君    鈴木 政二君

      西田 吉宏君    勝木 健司君

      北澤 俊美君    直嶋 正行君

      森本 晃司君    筆坂 秀世君

      山下 芳生君   日下部禧代子君

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   森  喜朗君

       総務大臣     片山虎之助君

       法務大臣     高村 正彦君

       外務大臣     河野 洋平君

       財務大臣     宮澤 喜一君

       文部科学大臣   町村 信孝君

       厚生労働大臣   坂口  力君

       農林水産大臣   谷津 義男君

       経済産業大臣   平沼 赳夫君

       国土交通大臣   扇  千景君

       環境大臣     川口 順子君

       国務大臣

       (内閣官房長官)

       (男女共同参画

       担当大臣)    福田 康夫君

       国務大臣

       (国家公安委員

       会委員長)

       (防災担当大臣) 伊吹 文明君

       国務大臣

       (防衛庁長官)  斉藤斗志二君

       国務大臣

       (沖縄及び北方

       対策担当大臣)  橋本龍太郎君

       国務大臣

       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君

       国務大臣

       (経済財政政策

       担当大臣)    麻生 太郎君

       国務大臣

       (科学技術政策

       担当大臣)    笹川  堯君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  安倍 晋三君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  津野  修君

 委員外の出席者

  衆議院事務局

       国家基本政策委

       員会専門員    鳥越 善弘君

  参議院事務局

       常任委員会専門

       員        宍戸  洋君

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  本日の会議に付した案件

国家の基本政策に関する件




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    ─────────────

   〔堀之内久男君会長席に着く〕

会長(堀之内久男君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開きます。

 本日は、私が会長を務めさせていただきます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 このたび、衆議院の国家基本政策委員長に就任いたしました堀之内久男でございます。

 参議院の本岡委員長を初め、衆参両院の皆様方の御指導、御協力を賜りまして、その職責を全ういたしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。

 これより討議を行います。

 討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び総理は、配分時間を厳守し、相互の発言時間を考慮しつつ、簡素に発言を行うようお願い申し上げます。

 また、委員各位におかれましても、議事の妨げになるような言動のないよう、御協力をお願いいたします。

 発言の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。(拍手)

鳩山由紀夫君 二十一世紀入りまして最初の党首討論でございます。その重さを感じながら、総理に質問を申し上げたいと思います。

 まず、今月十日、アメリカの原子力潜水艦、御承知のとおり、ハワイ沖でえひめ丸、宇和島の水産高校の方々が乗っておられる、その衝突事故というものが発生をいたしました。いまだに九名の方が行方不明でございます。私どもも祈るような気持ちでこの九名の方々の生還を祈っております。

 この危機管理の問題、総理はどのように感じておられるのか、大変深刻な事態であるということをどのように総理は認識しておられるのか、伺いたいと思います。

 このような事故が起こり、さまざまな事態が進展をしている間にも、総理はゴルフ場におられて、クラブを放されなかった、そのことに対して国民の怒り沸騰していますよ、総理。これは国民だけではなく、そして我々野党だけでなく、与党の皆さんの中からも責任論、交代論が今起きているじゃありませんか。

 まず、総理、今回のずっと一連の総理のとられた行動に対して、政治的責任をお感じになられますか。

内閣総理大臣(森喜朗君) 今回の愛媛県の遠洋実習船、そしてアメリカの海軍の原子力潜水艦の衝突事件につきましては、まずもって事故に遭われました皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、御家族、関係者の皆さんの御心痛はいかばかりかと拝察をいたしております。

 日本政府といたしましては、米国政府に最大限の措置をとってもらうよう強く要請を申し上げるとともに、我々としても可能な限りの措置をこれまでとってまいりました。特に、米国に対しましては、私、官房長官、さらに外務大臣、防衛庁長官を含めまして、米側のそれぞれカウンターパートに対しまして抗議の意思を伝え、そしてアメリカ側からも遺憾、謝罪の意思表示を表明を受けております。

 昨晩も、夜遅くでございましたが、ブッシュ大統領からも緊急に直接お電話がございましたので、私も遺憾の意、極めて残念なことだということも強く申し上げて、なお一層これらの人命救助に対して、捜索に対して第一義に考えてやっていただきたいということを申し上げてまいりました。

 今お尋ねをいただきましたけれども、政府の対応、そして体制でございますが、当時、私は御指摘どおり横浜におりました。官房長官も群馬県内でございましたし、危機管理担当大臣も京都府でございました。それぞれそういう事情がわかっておりましたので、前日からこの予定がわかっておりましたので、金曜日の段階で安倍官房副長官を官房長官とともに呼びまして、十日の日は東京に残って対応するようにということは指示しておきました。

 当該この事案につきましては、秘書官から最初に連絡がございましたのが十時五十分ごろ、携帯電話で第一報を受けました。そして、十一時ごろ第二報を受けました。で、秘書官を通じまして私はその際事情を伺いまして、各省庁そして関係者に対して、情報収集を万全にとるように、そして事はアメリカでありますから、米側に対しまして人命救助、情報収集に最大限の協力をしてもらうように外務大臣から要請をするようにというそれぞれ指示をいたしました。

 私は、その際、最初の連絡、後の連絡、今救助をいたしておるというところでございますから、それこそまさに全員何とかしてみんなが救助されればいいなと、そう思って願っておりました。ただ、事態が今進められているということでございますから、しばらくこの場にいた方がいい、そしてそれぞれみんなの体制が動き出すまでは、もう一遍連絡をとるまではいた方がいいだろうというのが私はリーダーシップとしての考えでございました。

 そこで、すぐ帰れるような手配だけはすぐとらなきゃならぬだろう、しかしそれぞればらばらでありましたから、連絡はきちっと私のところに来れるようにするためにはこの場所にいることが間違いがないだろうと、私はそのように判断をいたしました。

 そして、第三報といいましょうか、十二時二十分でしたか、連絡がございまして、人身に支障があるかもしれないという状況になりましたので、私は、その体制が全部とれていますねということでしたから、十二時には官邸の連絡体制がとれます、十二時には外務省の方も対策本部がスタートします、文部科学省も十二時半にはスタートできますということを聞きましたので、それでは、じゃここで私がこの場所を離れていいねということを確認いたしましたので、それから私はすぐ車に乗り込みました。

 当初は、指示によれば私邸で待機ということでございましたけれども、途中で車の中で外務大臣、安倍官房副長官あるいは安藤危機管理監、電話を受けましたので、これは私も官邸に行くことがいいのではないかという判断をいたしましたが、残念ながらノーネクタイでございましたので、自宅に寄って着がえをいたしましてから官邸に参ったわけであります。

 時間的なこと、いろいろ御批判もございますが、政府としては、いわゆる情報の収集とアメリカ側に対する人命救助、捜索については万全の遺漏のない措置を確実に私はとったと、そう思っております。したがって、そういう体制がとり得たという判断をしたものですから私はそこの現場を離れたということでありますので、ぜひそこのところを御理解いただきたいと、そう思う次第であります。

 少し長くなりましたけれども。

鳩山由紀夫君 今の話を伺って、総理の答弁が長ければ長いほど、私は国民の皆さん方があきれ返るという話だと思います。

 一つのことをまずしっかりと伺いたいんですが、危機管理ではなくてこれは事故だと、きのうどこかでそうお話をされた。私は、そのような認識だから、事故のことを知った後も平然として片手でパターを持って片手で携帯で連絡をとり合うようなことを行ったんじゃありませんか。本当はそんなことをやってはまずかったなと思っておられるんでしょう。

 これは危機管理でないんですか。事故だと、それだけの話だというふうに今でも思っておられるんですか。

内閣総理大臣(森喜朗君) 国家が管理するべき危機といいますのは、国の主権が侵される危機、あるいは国の秩序が揺らぐ危機、国民の生命、財産が大規模に危険にさらされる状況、こうしたことが危機管理だというふうに規定をされております。

 これは海難の事故でありまして、ただ相手がアメリカであるということ、また場所もアメリカであるということ。したがって、この事故のまず第一義は情報をとることと捜索を第一に考える、これは当然外務省が中心になってやることだということで、外務省がその対策本部を構えたということになるわけであります。

 したがって、私どもとしては、この形はこれからもあり得ることでございますが、いろんな形を考えておかなきゃなりませんが、当然これは事故としてどう対策をとり得るか。ただ、大事なことは、相手が他国であるということ、今のケースでいえばアメリカであるということ、そのアメリカに対してどういう交渉をきちっととっていくかということが私は極めて大事だと思います。

 だからこそ、確かに、今御批判がありましたけれども、問題は、その対応、体制だけはきちっととったんです。そのことと、そのことについては何らおくれていないんです。問題は、私のいた場所のことだろうと思うんです。ですから、その場所と対応というものをやっぱり切り離していただきたいと思うんです。

 ただ、私のいた場所が確かに国民の御批判があることも十分承知をいたしておりますし、今、鳩山議員からもそういう御批判をいただきました。それについては私は、その場所に、そうした場所にいたということが悪いということであれば、これは私はその責任を甘受しなきゃならぬと思っております。

 しかし、あの場合は、あの場合は、いかなる場所であってもどの場所であっても、やはり情報がしっかり伝達できることと、その体制がきちっととり得ること、とったかということ、そのことをしっかり知り得ることの方が、私にとってはより大事なことだというふうに考えたわけです。したがって、その場所にいたことについては御批判があれば、これは私は甘んじて受けなければならぬと思っております。

鳩山由紀夫君 今の総理の答弁を伺って、まさにこのお話は総理の定義の中でも危機管理に属している話だというふうに思います。すなわち、自国の領土の外で起きた事故であり、まさに主権の問題がかかわってくるような話で、しかも、多くの方々の日本の国民の命がかかっている問題だという話であれば、当然それは危機管理の問題であるという認識を持たなければいけない。それを総理は、どうも単なる事故だ、遭難だから、それを何でも危機管理の問題だとするのは間違いだというふうに強弁されることは、私たちには全く納得ができない。しかも、何でゴルフ場にいて、しかも一報を聞いた後もさらに何ホールも回られたか、そのような神経が全く私どもにはわからない。

 少なくとも、国民の皆さん、特に、特に宇和島のあの高校の関係者の家族の皆さん方に対して、あなたは謝罪すべきですよ。

内閣総理大臣(森喜朗君) 私は、御承知の方がそうないとは思いますが、私は、自分の政治家として、政治の仕事の分野に入った最初のスタートが実は宇和島でございまして、宇和島のことに関しては大変実は関心も持っておりまして、したがって心がまさに痛む思いでした。秘書官の報告によりますと、今捜索をしておりますということで、二十何名救出ができております、さらに続けておりますということでございましたから、何とかしてみんなが救出できるようにあってほしいなと、まさに本当に神に祈るような思いでございました。

 しかし、その時点ではそうした情報しか入らなかったから、私は情報収集と外務省との連絡だけはしっかりとってほしいと、それからそれぞれ政府の部内における対策本部あるいは連絡室、そうしたものはしっかりスタートするように、そしてそれぞれ責任者が動くように、そう私は指示をいたしておりましたから、そこからの連絡がしっかり来ること、そして車の中にも電話もございますし、携帯もございますが、やはり連絡がふくそうしては一番いけない、そう思いました。

 事実、けさも、実は誤報でありましたけれども、ロシアから出て成田に向かっている飛行機がハイジャックに遭ったという連絡が入りました。それも先ほど公邸で私が協議をしておりましたときにその連絡が入りました。第一報もそうでした。第二報もそうでした。しかし、私は動きませんでした。そして、(「官邸だから」と呼ぶ者あり)いや、それは仮に私邸であっても同じだと思いますよ。したがって、それは官房副長官がすぐそこへ参りました。様子を見ながらやはりそこで情報をとるということが私は大事だと思っています。その後、これが誤報であったということがわかったわけでありまして、私は、全体の責任をとる者としては、やはり情報をしっかりとって的確に指示をするということであって、私自身が行動をするということでは私はないと思うんです。

 ただ、今回の場合は、先ほども申し上げましたように、場所が御批判をいただく場所であったということであれば、これは私はその批判は甘受しなきゃなりませんが、しかしいかなる場所にあっても私はやはりそこは冷静に指揮をする、そして情報をとる、そのことが私は大事だというふうに思っております。

鳩山由紀夫君 あなたは国民の生命と財産を守るその最高責任者なんですよ。その責任者としての自覚が全くないじゃありませんか。国民の皆さん方がそのような行動をすることを許すと本当にお思いですか。

 私は、あなたならば、すなわち日本国の総理ならばできることがたくさんあったはずなんです。それをなさらなかった。ようやくきのうの夜になってブッシュ大統領から電話が入った。本来ならばもっと早くブッシュ大統領にかけるべきじゃないですか。そして抗議して、しっかりとこの原因の究明をしてくれと、国民のためにそのようなことをなさるべきではなかったか。どうもあなたはブッシュ大統領から電話が来たからそれで事足れりと思っておられるかもしれないけれども、そうではない。むしろこれからが始まりなんです。国益を担っているあなたがいかに責任を果たすか、これからにかかっているということを十分に肝に銘じていただかなければ困る。

 特に、行方不明者の捜索、一日も早くこれを見出していただきたいということを、それから今申し上げたような責任の追及、原因の究明、当然、何かいろんなことを言われていますが、民間人が乗っていた、操舵室に入っていたなどというような話まで出ているありさまでありますから、もしそれが現実であったら大変な話だ。これから、今こそ総理としての立場をわきまえてリーダーシップを発揮しなければならないときに、電話をもらったからよかったということじゃいかぬじゃありませんか。むしろ、これからしっかりと毅然とした対応をとっていただけるかどうか見守っていきたいと思います。

 余りにも時間がかかり過ぎておりますから、次のまた人任せの問題に入りたいと思いますが、機密費、この機密費の私的流用問題に関してお伺いをしたい。

 総理、機密費って、その機密って何でしょうか、何を機密というんでしょうか。

内閣総理大臣(森喜朗君) 鳩山さん、大変恐縮ですが、前段の話があなたの言いっ放しでありますから。

 私は、何もブッシュ大統領から電話をいただいたのでそれでよしと思っておりません。それから、冒頭にもちょっと申し上げましたけれども、官房長官がすぐ公使を当日お呼びになっております。それから、その日の夜はパウエル国務長官から外務大臣のところにお電話がございました。私はその都度指示をいたしております。最初から、公使がお見えになったときから、捜索をまずやってほしい、その当時はまだ沈没しているという結論はアメリカは出しておりませんが、常識的には十分そのことは想定できるわけですから、沈没したのではないかという船のすぐ引き揚げを命じてほしい、私はそのことはきちっと申し上げてきましたし、翌日のフォーリー大使がお見えになったときにも私は強く申し上げました。フォーリー大使とは、鳩山さんもそうですが、長い長いおつき合い、政治家の時代からのおつき合いですが、あなたに最後にこういうことを言わなきゃならぬというのはつらい、つらいが、このことだけはしっかりやってもらいたいと、こう申し上げてきました。

 深海の探査をやろうというのを、このことの提案も私がいたしました。あるいは、桜田政務官がアメリカ、ホノルルに参るというときも、このことだけはしっかり厳しく言ってほしいということを申し上げました。だからこそ、アメリカの方も海軍と国家安全基本委員会と両方の調査団ができて、今御指摘があったようなことが、詳しく調査の事項が出てきたんじゃないでしょうか。

 そして、そのことをしっかりとこれから我々は捕捉していくということが大事だと思いますから、決して私たちは、連絡をしたから、大統領から電話をもらったから喜んでいる、そんなものじゃないと思います。むしろ、大統領はあの日は週末のためにどこかの山荘においでになったわけでしょう。

 私は、そういう意味では、一生懸命日本政府それぞれの部署を督励して、そして情報収集と、そして人命の救助ということに最大限の努力をしてくれ、こう伝えたことでありまして、決してそんなことで我々は甘んじて、パイプをとっているということではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 機密費につきまして、どう定義づけるかということは、これは政府でいえば報償費であるということを申し上げることができると思います。

鳩山由紀夫君 その機密費が何なのかということを伺っているわけであります。

 例えば、ホテル代、そのホテルの差額、そういったものもすべて機密費なのか。あるいは、きょういろいろと出ておりましたけれども、外務省の局長、これ毎年六百万飲食費用に使っている。これは全部機密費だという話です。何のチェックもなくそれだけ使っていいんだろうか。あるいは、次官、外務大臣は無制限に使っていい、こんな野方図な機密費では国民が泣くじゃありませんか。これ国民の全部税金ですよ。国民の税金であるならば使い道がしっかりしていなければならない。余りにもずさんだということをまず申し上げたい。

 そういったものも一つ一つ本当に機密費だと総理はお考えなんですか。

内閣総理大臣(森喜朗君) 予算委員会のときにも申し上げましたが、こういう事態が起きたということは私も非常に残念でありますし、実は驚きました。特に総理大臣の海外出張ということに関してということでありますから、いわば、総理大臣という今は私は当事者ということになるわけでありますから、そうしたことが起きていたのかと思って、はっきり申し上げて怒りも覚えました。

 しかし、いろいろ事情も伺いました。確かにいろんな意味で不足の、足りないところを補っていくとかいろんなことがあるんだろうと思いますし、私自身も今この立場になって、外交交渉をやってみまして、確かにいろんな諸経費が必要なんだなということも少しずつその時点では理解ができました。

 しかし、やっぱりあってはならないことだと思います。ですから、この辺につきましては、外務省にこれらのあり方について、また官房長官にもこれを直ちに改めるように指示もいたしましたし、そしてまた十分に調査もするようにいたしました。

 要は、人がこれに当たっているわけでありますから、この人がそれぞれしっかりとこうしたことに対して御批判がないようにしていく、そういうシステムをやはりきちっとつくり上げていくということが私は大事だと、こう思っておりますし、これからもそういう厳しさをきちっと官房長官が中心になって進めていかれるということであろうというふうに思っております。

鳩山由紀夫君 この機密費流用事件の核心は、外務省の組織ぐるみの事件であるという疑いが極めて強くなったということなんです。総理、おわかりですか。まさに、私どもも自分たちの調査をしておりますが、松尾元室長の金が外務省の幹部に渡っているんです。そういうことが平然と行われている可能性が高い。そのところを明かす核心の部分は、松尾元室長が持っている九つの銀行の口座、このうちまだ二つしか解明されていない。残りの七つ、まだ知られていないこの部分を解明する。どういう入金があったのか、出金があったのか、銀行に照会すればわかる話でしょう。総理のリーダーシップでやろうと思えば簡単にできる話ですから、どうしてそれをおやりにならないんですか。国民の皆さんはそのところに極めて不明があるというふうに思っておりますから、まずぜひ総理のリーダーシップをそこに発揮していただきたい。

内閣総理大臣(森喜朗君) 河野外務大臣はこの事態を大変深刻に受けとめられて、そして調査をされた。外務省はやっぱり捜査権がございませんから、それでもう私はあの口座を一生懸命やはり外務省として調査をされたんだと思う。すべて、全部やれればそれはいいことでしょうけれども、そこまで私は外務省に権限はないと思うんです。

 ですから、最初の口座だけきちっと締めて、ここに不正なお金があったということがわかったから告発する、告発すればそれが捜査できる警察ないし検察で進めていけばいいことでありますから、そういう意味でその一つのきっかけを外務大臣が努力してつくられたということじゃないでしょうか。

鳩山由紀夫君 これは別に告発したからあとは任せるという話ではないわけです。もう総裁、総理のリーダーシップでできる話なんです。現実に外務大臣も予算委員会の答弁ではっきりおっしゃっていましたが、松尾元室長とは携帯電話で連絡をとり合っているというようなこともありました。ですから、どんなやり方でもこの七つの残りの口座判明するじゃありませんか。どうしてそれを人任せにしてしまうんですか。

 もう一度しっかりとお答え願いたい。

内閣総理大臣(森喜朗君) 捜査をする権限をやっぱり持っておるのは警察だろうと思います。ですから、そこにまず捜査をさせるということの方がより確実性があるんじゃないでしょうか。

 外務省は、先ほども申し上げたように、外務省の中でもしあってはならないことがあるとするならば、これは解明しなきゃならぬ。

 そこで、たしか荒木副大臣を中心にしていわゆる副大臣、政務官でこの調査をしていこう、先ほどちょっと御指摘がございましたように、そういうふうに内部で批判を受けるような処置があったということであれば、このことはしっかり問いただし、調べていこうということで、そういう指示を私も外務大臣にいたしておりますし、外務大臣もそのことを省内にきちっと指示、徹底をしておるということになると思うんです。

 ですから、この問題は、私も、この事態が起きて初めて私も知ったわけですが、驚きました。しかし、鳩山さん、あなただってやっぱり官邸の官房副長官をしておられた。恐らく当時は、そんなことはみんながお互いに信頼されてやっているものだろうと思って、そんなところは見ていなかったと思うんですね。

 ですから、それはやはり、たまたま今のこの事態ではっきり明確になってきたことですから、直ちに私どもとしてはまさにリーダーシップを発揮して捜査をし、そして告発すべきことは告発する、そういうふうにつかさつかさでそれぞれ責任を果たしていくように、そういう指導をしているわけです。

会長(堀之内久男君) 持ち時間があと一分でございます。

鳩山由紀夫君 はい、わかりました。

 確かに、私も官房副長官時代、官邸におりました。そのことも事実であります。だからこそ今総理の、森総理の時代にこのことが判明してきた以上、今の総理の責任においてこれは解明をしていただかなきゃならない話だと申し上げているわけであります。これ今総理がどうものらりくらりと逃げておられますから、これは当然外務省ぐるみの組織的な事件だけに、外務省に任してもやれるわけないですから、だから総理がと言ったんですが、総理がなさらないですから、ぜひこれは国会法百四条、堀之内委員長、国政調査権を発動していただいて、この残りの七つの口座の解明に対して努力をするようにぜひこれ委員長に取り扱いを私から要請をしたいと思います。(拍手)

会長(堀之内久男君) ただいまの要求につきましては、両院合同幹事会において協議いたします。

 時間が参りました。

鳩山由紀夫君 一言だけ申し上げます。

 今まで総理のお話を伺って、逃げに逃げに逃げておられる態度に終始しておられる。事実というものを解明する努力をなしておられない。事実を隠ぺいして、総理、あなた自身の命がもし長らえるとすることができても……(発言する者多し)

会長(堀之内久男君) 時間が来ておりますので簡潔にお願いします。

鳩山由紀夫君 民主主義が殺されたらどうするんですか。民主主義を生かすか、あなた自身の命を殺すか、その二者択一のときにどうしてあなたは自分の命を大事にして日本の国民の民主主義を大事にしないのか、そのところが今問われている、総理の資質が問われているということだけを申し上げて、私の党首討論を終わります。(拍手)

会長(堀之内久男君) 簡潔にお願いいたします。

内閣総理大臣(森喜朗君) 時間が来ているようですが、私は、民主主義を最も大事にいたしております。だからこそ、だからこそ、この歴代細川内閣から続いてきた不祥事といいましょうか、もしそれが不祥事であるとするならばですよ、だから今の私の代でしっかりとそのことを解明したい、そう思っているわけです。

会長(堀之内久男君) これにて鳩山君の発言は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。(拍手)

志位和夫君 アメリカの原潜が、実習船えひめ丸に衝突し沈没させた問題について質問いたします。

 私は、まず、被害に遭われた方々に心からお見舞いを述べるとともに、行方不明の方々の捜索、救援に全力を挙げることを強く要求します。無法な米軍の行動にも強く抗議をいたします。

 その上で、森総理の姿勢に絞って二つの点を伺います。

 一つは、総理が事故の第一報を受けた後、二時間近くもゴルフを続けたという問題です。

 宇和島水産高校のホームページを見ますと、こういう声が寄せられています。「こんな悲しいニュースを聞いて、首相はゴルフを楽しんでいられるのか。非常に腹立たしく思います」、「情けなくて涙がとまりません」、「こんなことではあなたに首相はまかせられません」、これは国民みんなの声ですよ。

 先ほど総理、るる答弁されておりましたけれども、しかし、結局は何が悪いという答弁だったと思います。私は、米軍の原潜に日本の高校生が乗っている船が沈められた。乗組員三十五名のうち二十五名しか安否が確認されていない。命がかかっている状況がある。そうであるなら、総理がまず最高責任者として救援と対策にみずから乗り出して全力を挙げる、それは当然だと思います。ゴルフを続けるという態度は、私は総理にあるまじき態度だと考えますが、一片の反省もないんですか。

内閣総理大臣(森喜朗君) 先ほども鳩山議員のときも申し上げましたけれども、最初に報告を受けたときは、まだこれが海に投げ出された状況であって、捜索をしておりますということで、救出をしておりますというときでございました。もう少し様子を見て、その連絡が来るまで、もう少し私どもとしてもそこで情報をとるまで少し待っていてほしいと、こういうことでございました。

 私は、したがって、アメリカ軍に、政府に対して、きちっと情報をとるようにということと、人命救助に全精力をかけてほしいということを申し上げました。

 私は、そこできちっとした指示をすること、そして、そこできちっと情報をとること、そのことの体制をとるということが私は一番大事だと、こう考えた。

 したがって、責任があるのかと、こうおっしゃいますから、私は、先ほど責任も感じていると申し上げた。それは、体制をとったこと、措置をしたこと、このことはきちっとしました。ただ、私のその場所がよくなかったということであれば、そこは反省しなければなりませんし、そこについては自分なりに責任を感じていますが、しかし、現実問題として、いかなる場所にいたとしても、やっぱり私はその場所にとどまって指示をしたと、私はそう思います。

志位和夫君 ゴルフの片手間にやるような仕事ではないということを、私ははっきり申し上げておきたいと思います。

 もう一点聞きます。

 アメリカの原潜が衝突後に救援活動を行わなかったということが問題になりました。これは、これに対する日本側の政府の対応も問題であります。

 えひめ丸の大西船長は会見で、潜水艦に救助された乗組員はいない、ただ監視されているような感じだったと原潜側の対応を厳しく批判しました。

 私ども日本共産党として今現地ハワイに緒方国際局長を団長とする調査団を出しております。

 けさ、緒方さんから私の方に報告がありました。現地でもこの潜水艦の対応が大問題になっております。ファクスで送られてきましたが、これはホノルル・アドバタイザーというホノルルでの一番の大きな新聞です。(資料を示す)潜水艦の対応への批判高まる、大見出しですよ、一面で。そして、大特集が組まれていて、潜水艦の問題について対応はこれでよかったのかということについての批判が、専門家の批判がずっと載っていますよ。

 例えば、原潜の元艦長のジム・ブッシュ氏、生存者を収容しなかったのは全く弁解の余地のないことだ、ダイバーが海に飛び込んで助けに行くことは可能だった、こう述べています。海事法弁護士のジョン・ギブソン氏、潜水艦のクルーがしたことは全く不当だ、彼らは生存者を捜そうともしなかった、こう述べているんですね。

 この問題については、アメリカの政府もパウエル国務長官が、まだこの問題については調査中なので結論は待ちたい、こう述べております。

 ところが、私、問題にしたいのは、あなたが現地に送った桜田外務政務官は現地でブレア太平洋軍司令官と会見して、潜水艦の救助活動は適切だった、落ち度はなかった、もう認めちゃっているんですよ。調査活動をやらないでどうして落ち度がなかったと言えるんですか。こういう態度でどうしてきちんとした真相の究明、責任の追及できますか。答えてください。

会長(堀之内久男君) 持ち時間終了一分前です。

内閣総理大臣(森喜朗君) 原子力潜水艦グリーンビルの衝突後の動きにつきましては、ファーゴ米太平洋艦隊司令官よりハワイに今出張いたしております御指摘の桜田外務大臣政務官に対しては種々説明がございました。

 グリーンビルは事故発生直後から捜索救助活動に当たっております。グリーンビルは事故発生後直ちに沿岸警備隊に通報いたしております。そして、えひめ丸の救命いかだを見ております。そして、沿岸警備隊と連携しながら捜索活動に従事した、このような報告を受けております。

 専門的には潜水艦の形だとかいわゆる湾曲構造とかそういう面では難しい技術的なものがあるのではないかというふうに我々も日本側の専門家からも聞いております。

 しかし、今御指摘あった新聞のことは、アメリカ側が言っていることですね。アメリカで言っている。我々も同じこと、それを私どもは同じようなことを言っているわけじゃありません。私どもとしてはなぜやれなかったのか、当然そのことについて説明も求めていますし、なぜ少なくともハッチをあけてそこに入れることできなかったということなども当然我々としてもそのことについては問いただしているわけであります。まだそういう面では最終的な調査結果が解明されてないわけでありますから、私どもは解明された事故のそういう原因等も全部つまびらかにこれから承知をしたいと、こう思っております。

会長(堀之内久男君) 総理、時間が来ております、簡単に。

志位和夫君 最終的な調査結果が解明されてない段階で……(発言する者多し)

会長(堀之内久男君) 志位和夫君、時間が経過しておりますので、簡潔にお願いをいたします。

志位和夫君 米軍の言うことを結構結構と認めてしまっている。あなたが今答弁したことは、太平洋軍が言った説明をそのままオウム返しに言ったものですよ。あなたにはおよそ一国の総理として国民の命を預かる資格はない、このことをはっきり申し上げて、質問を終わります。(拍手)

会長(堀之内久男君) これにて志位君の発言は終わりました。

 次に、土井たか子君。(拍手)

土井たか子君 KSDの汚職問題、外交機密費の流用事件、そしてただいまのアメリカ原子力潜水艦の衝突によるえひめ丸の沈没、九人の方々が行方不明であるという大変な一つ一つの問題に対して、総理がどうこれに対応されているかということになりますと、私にはただいま四分しかお尋ねしたり討議をしたりする時間ありません。したがって、一つ一つの問題に対して言うゆとりがありませんから、総理御自身のリーダーシップという問題に対して、前回は十一月一日がこの場所でございました。それからずっと開かれておりませんので、その間の問題も含めてお尋ねを進めます。

 一月二十三日、額賀経済財政担当前大臣が辞任されましたが、森内閣になってからは、久世金融再生委員長、中川官房長官に続く三人目であることは言うまでもありません。この日午前十時、額賀前大臣は官邸に入られて五分後に出てこられて、総理に辞表を出しましたと記者団の皆さんに述べられているんですが、それは、辞表の内容はどのようなものだったのかということをまずお聞きしたいんです。

内閣総理大臣(森喜朗君) 額賀大臣から、私みずからのことで内閣また国政に御迷惑をかけてはいけないと思います、そういう意味で、一身上の理由で私はこの際辞表を出させていただきたい、こういうことでございました。

土井たか子君 辞任なんですか、総理による罷免なんですか、更迭なんですか、免職なんですか、依願免職なんですか、どうでございますか。

内閣総理大臣(森喜朗君) 辞任とおっしゃっておられました。辞表を出したいということでありました。

土井たか子君 憲法の六十八条を御存じだと思いますが、この条文によりますと、国務大臣の任命と罷免権というのは内閣総理大臣の専権です。「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。」ということと同時に、「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。」となっていまして、国務大臣が任意に辞任できるとは書いていないんです。よろしゅうございますか。

 したがって、この中身からすれば、内閣総理大臣は任意に国務大臣を罷免することができるという中身は、これは恣意的であっちゃいけない、任意という中身も、内閣総理大臣がどうその問題に対して認識されているかということが非常に大事だと思うんですよ。これは客観的に言えば、御本人が依願免職のような形をとられようがどうあろうが、これは罷免以外の何物でもない。したがって、客観的に見るこの罷免状況ということに対して内閣総理大臣の認識はいかがであるかということをはっきり承りたいなと私は思いますよ。いかがですか。

内閣総理大臣(森喜朗君) 御本人から辞任をしたい、やめたいというそういうお申し出がございましたので、私はそれをお受けしたわけです。

会長(堀之内久男君) 土井たか子君、持ち時間一分でありますので、簡潔にお願いします。

土井たか子君 なぜやめたいと言ったんですか。なぜというところが問題なんですね。

 これは、額賀さんは、資金をお預かりしたことはあったけれども、これは返金いたしましたと、森総理御自身には報告していないが派閥の幹部には報告しましたということが新聞の記事、報道に対してきちっと述べられているわけですよ。これでは、額賀さんは自民党の派閥によって大臣になられ、自民党の派閥の幹部に資金の報告をし、自民党の派閥に責任を感じてやめられたとしか考えようがないんです、これ。

 総理大臣のこの問題に対しての御認識というのはどういうことなんですか。これ、はっきりしてください。全然これはっきりしていないですよ、今まで。

内閣総理大臣(森喜朗君) 額賀さんは友人の皆さんにどのようにおっしゃったか知りませんが、私には、言われるようなことは私ございませんと。ただし、このままでやれば国政上大変御迷惑をおかけすることになるので、この際辞表を出させていただきたい、こういうことでございますからこれをお受けしたわけです。

会長(堀之内久男君) 土井たか子君、時間が参りましたので簡潔にお願いいたします。

土井たか子君 任命されたのは総理大臣なんですよ。内閣を統括なさるという責任も内閣総理大臣にあるんですよ、閣僚の任命権というのは内閣総理大臣の専権ですからね。私にはやましいところがないと言われる大臣にやめなさいと言う必要はないじゃないですか。まことにその辺は、今おっしゃることを聞いていたら腑に落ちない。どうもリーダーシップという点からするとパブリックということに対しての認識というのが非常に薄いんじゃないでしょうか。(発言する者多し)

会長(堀之内久男君) 土井たか子君、時間が参りましたので簡潔にお願いいたします。

土井たか子君 今回のあのアメリカの戦艦の急浮上、体当たりの、日本の練習船が沈没するという状況に対して……(発言する者多し)

会長(堀之内久男君) 土井たか子君、時間が経過しておりますので簡潔にお願いします。

土井たか子君 私は、つい先日、本会議の代表質問で早く総理をおやめになることだということを申し上げましたが、今ここで再び先日の代表質問で一刻も早く辞任なさるべきだということを繰り返し強く申し上げて、終えます。(拍手)

会長(堀之内久男君) これで、土井たか子君の発言は終了いたしました。

 次に、小沢一郎君。(拍手)

小沢一郎君 日米関係、日米同盟は日本の外交の基軸であるというふうに私も認識していますし、これは総理、皆さんと同じだと思います。ただ、今度の事故はまたそれとは全く次元の違う問題でありますので、ぜひ主張すべきは主張し、責任の所在もきちっと明らかにしながら、不明者の捜索初め、今後の対応に万全を期していただきたいとまず要望いたします。

 これに関連いたしまして、今もいろいろありましたけれども、森さんの今度のことについて、行動、姿勢についてのいろんな批判がなされております。これはきょう、私、総理に質問しようと思っていたことと基本的に共通する問題ですので、それに関連して申し上げたいと思います。

 森総理の施政方針、所信表明、この間で四回目ですか、聞かせていただきました。そのトータルの結論は、我が国社会、構造改革を断行しなくてはいけないと、そのために国民の皆さんと力を合わせて、自分もリーダーシップを発揮して断固やり抜くんだと、そういう結論だったと思います。

 昨年、私、最初の所信表明をもとにあなたの演説の言葉を引用して、その認識は私も同じだと。それで、今、戦後のシステム、戦後の制度が機能しなくなっている、時代に合わなくなっていると、それはあなたの考えでは具体的にどういうことだという話をしました。

 憲法と教育ということを挙げられました。じゃ、どういう憲法の理念が、あるいは憲法のどういう条文が時代にそぐわない、改革しなきゃいけないのかという質問をしましたところ、引き続いて予算委員会でもやったんですが、総理のお答えは、総理大臣の職責は重いと、だから軽々に発言すべきでない。それからまた、総理大臣が自分の主張を展開することは議論の方向性を示唆することになるのでよろしくない、だから言わないと、こういうことでありました。

 私は、総理大臣の職責として、これは到底理解できないんです。今度の事故でも、報道されるところによりますと、総理、発言を検証したわけじゃないですけれども、おれがいなくたってちゃんと何も支障なくやっているじゃないかと、こういう話をされたというんです。(発言する者あり)私は、いや、そのことを言っているんじゃないんです。そういうような意識ね。じゃ総理大臣は何のためにあるのかと。総理大臣いなくてもみんなちゃんといくんだったらば、お役所とお役人だけでいいわけでして、だから、そういう意味で、総理は一軍艦の艦長でもないし、一練習船の船長さんでもなくて、日本丸の船長さんなんですから、船長さんが、どんなあらしであろうが何だろうが、どんな場合でもきちんとみずからの責任で決断して行く先を示さなきゃ、だれが示すんですか。

 私は、そういう意味において総理のあり方というものはそうあるべきだと思っているんです。ただ、総理大臣の答弁が、(発言する者あり)今聞いていておわかりいただけないんですかね。総理大臣だから話さない、しゃべらない、しゃべるべきでないというお答えだった。そして、本会議の論戦も、皆まずは各党、各会派で国会でやってくださいという答弁でありました。

 ですから、そういう意味で総理大臣の職責というのはどうあるべきなのか、総理大臣は何をするのが総理大臣の仕事であるのか、それを森さんからお伺いしたいと思います。

会長(堀之内久男君) 森総理大臣、時間が来ておりますので簡潔にお願いいたします。

内閣総理大臣(森喜朗君) 時間が来ておりますが、小沢さんから今御指摘がありました最初のところ、日米関係について私は一番今心を痛めているところでありまして、その都度、先ほどから申し上げておりますように、それぞれの外務大臣同士、あるいは私も大統領にもあるいはフォーリー大使にも、日米関係にとって極めて大事なことですよと、このことの処理、あるいはこれにアメリカ政府のとるべき姿勢、態度、極めて大事であるということを、日米関係が大事だからこそ、ぜひそのことをよく謙虚に受けとめていただきたいということは常に申し上げてまいりました。

 今、小沢議員からもそういう御指摘いただきましたことも大変私はありがたく受けとめて、激励として受けとめさせていただきたいと思います。

 最初に小沢議員とのこの討論のときにも、予算委員会でございましたか、例えばということで私は教育と憲法を申し上げて、その憲法についてどうするんだということをお尋ねがあったから今おっしゃったようなことを私は申し上げた。小沢議員はそこを引っ張っていくことが総理大臣ではないかということで、その後、全国随所に小沢議員が講演をされているとき必ずこのくだりを取り上げられて、そして総理大臣としてどこにどう船を持っていこうとしているのか見えないじゃないかという御批判があることも、全部私は伺っています。

 私は、あのとき申し上げたのは、憲法の問題であるから申し上げたわけでありまして、内閣としては現憲法を遵守していかなければならない、しかし、幸い両院に憲法調査会ができたことなので思い切って憲法の議論をしていただきたいと、こういうふうに私は申し上げた。それは小沢議員の意には沿わなかったのかもしれませんが、私としては、個人の気持ちというよりも現内閣の責任ある内閣総理大臣の立場でそう申し上げたのが、私にとりまして間違った私は発言ではないというふうに考えております。

 その他種々申し上げて、新しくこの今の時代にそぐわなかったことが、経済問題もありますし、行政改革もございますし、また先ほど言いました教育もございますし、そうしたことを一つ一つきちんと改革をしていきたい、そう思って、この国会にもそれらに関連したことをお願い申し上げているところでございます。

会長(堀之内久男君) 総理、時間が経過しておりますので簡潔にお願いします。

 小沢一郎君も時間が経過しておりますので簡潔にお願いします。

小沢一郎君 はい、わかりました。はい、一言。

 今のお話は、国民が総理大臣のあるべき姿としては私は到底理解できないと思います。

 また次の機会にやります。どうも委員長失礼しました。

 ありがとうございました。(拍手)

会長(堀之内久男君) 以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。

 次回は、衆議院、参議院、それぞれの公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。

   午後三時五十三分散会




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