衆議院

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第1号 平成17年10月19日(水曜日)

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平成十七年十月十九日(水曜日)

    午後三時開議

    ―――――――――――――

委員氏名

  衆議院

   委員長 丹羽 雄哉君

   理事 臼井日出男君 理事 小坂 憲次君

   理事 野田  毅君 理事 深谷 隆司君

   理事 宮路 和明君 理事 赤松 広隆君

   理事 細野 豪志君 理事 井上 義久君

      安倍 晋三君    大島 理森君

      久間 章生君    古賀  誠君

      武部  勤君    津島 雄二君

      中川 秀直君    中山 太郎君

      福田 康夫君    谷津 義男君

      保岡 興治君    柳澤 伯夫君

      与謝野 馨君    中井  洽君

      羽田  孜君    鳩山由紀夫君

      前原 誠司君    渡部 恒三君

      冬柴 鐵三君    志位 和夫君

      保利 耕輔君

  参議院

   委員長 今泉  昭君

   理事 鈴木 政二君 理事 藤野 公孝君

   理事 北澤 俊美君 理事 小林  元君

      有村 治子君    岡田 直樹君

      河合 常則君    国井 正幸君

      櫻井  新君    陣内 孝雄君

      真鍋 賢二君    山本 一太君

      江田 五月君    大江 康弘君

      西岡 武夫君    平田 健二君

      魚住裕一郎君    白浜 一良君

      井上 哲士君

    ―――――――――――――

 出席委員

  衆議院

   委員長 丹羽 雄哉君

   理事 臼井日出男君 理事 小坂 憲次君

   理事 野田  毅君 理事 深谷 隆司君

   理事 宮路 和明君 理事 赤松 広隆君

   理事 細野 豪志君 理事 井上 義久君

      大島 理森君    久間 章生君

      佐藤  勉君    竹本 直一君

      武部  勤君    谷  公一君

      津島 雄二君    中川 秀直君

      中山 太郎君    馳   浩君

      福田 康夫君    保岡 興治君

      柳澤 伯夫君    中井  洽君

      羽田  孜君    鳩山由紀夫君

      前原 誠司君    渡部 恒三君

      冬柴 鐵三君    志位 和夫君

      保利 耕輔君

  参議院

   委員長 今泉  昭君

   理事 鈴木 政二君 理事 北澤 俊美君

   理事 小林  元君

      岡田 直樹君    河合 常則君

      陣内 孝雄君    真鍋 賢二君

      山本 一太君    江田 五月君

      大江 康弘君    西岡 武夫君

      平田 健二君    魚住裕一郎君

      白浜 一良君    井上 哲士君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣

   国務大臣

   (青少年育成及び少子化対策担当)         南野知惠子君

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   農林水産大臣       岩永 峯一君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   環境大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       村田 吉隆君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (産業再生機構担当)   村上誠一郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)

   (食育担当)       棚橋 泰文君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   衆議院国家基本政策委員会専門員          杉山 博之君

   参議院常任委員会専門員  大場 敏彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国家の基本政策に関する件


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     ――――◇―――――

    〔丹羽雄哉君会長席に着く〕

会長(丹羽雄哉君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開きます。

 本日は、私が会長を務めさせていただきます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 衆議院の国家基本政策委員長に就任いたしました丹羽雄哉でございます。

 参議院の今泉委員長を初め、衆参両院の委員の皆様方の御指導、御協力を賜りまして、その職責を全うしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。

 これより討議を行います。

 討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び総理は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。

 また、委員各位におかれましても、議事の妨げとなるような言動のないよう、御協力をお願いいたします。

 発言の申し出がありますので、これを許します。前原誠司君。

前原誠司君 民主党の前原でございます。

 予算委員会とは雰囲気が違いますが、総理と、まさに国家の基本政策にかかわる問題について、忌憚のない意見交換をさせてもらいたいと思います。

 まず、日本外交の基本姿勢について、総理にお伺いしたいと思います。

 私は、日本外交の一つの柱は日米の同盟関係だというふうに思っておりますが、国民から見ますと、冷戦のときは日米同盟関係の意義というものがよくわかった、しかし、冷戦が終わった後に日米同盟関係というものを維持していく意義、これについて、私は、政治が余り説明できていないのではないか、そういう気がいたしますが、総理は冷戦後の日米同盟関係の意義についてどうお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 戦後、日本は、日本とアメリカとの同盟関係を重視してまいりましたが、いわば日本の平和と安全、独立を確保する上においてアメリカとの協力は欠かせないということから、日米安保条約を締結し、そして、今日も世界の中の日米同盟というお互いの協力関係の重要性を認識しながら世界の諸問題に当たっております。

 私は、冷戦が終結した現在においても、日米同盟関係は極めて重要だと認識しております。今後も、日米関係と日米同盟、それと国際協調、これが日本の平和と発展を図る上で極めて重要な外交の基本方針であります。

 私は、日本の安全を図る上において、日本一国だけではなかなか難しい点がある。でありますので、日米関係を強化することによって、いわゆる日本に侵略しようとする勢力というもの、これを未然に防ぐ抑止力として、過去も、現在も、将来も十分機能させるように、日本の自身の努力と米国との協力関係、これは極めて重要な問題だと認識しております。その上に立って、私は、世界各国と協力していく、もちろんアジア諸国、中国、韓国、近隣諸国、国際社会の中で日本の役割を果たしていかなきゃならないと思っております。

前原誠司君 私が冷戦中と冷戦後と申し上げたのは、冷戦中はソ連という共産主義国家があって、まさにドミノ理論という、他国を共産主義化するという可能性があった、それを防ぐために、まだ戦後、経済的には発展ができていない日本においては経済に力を入れて共産主義化を防ぐ、安全保障についてはアメリカに多くを依存するという形で同盟関係は成り立っていたんだろうと私は思います。

 私が伺いたかったのは、冷戦後というものはソ連の脅威がなくなった、共産主義の脅威がなくなった、それにもかかわらず、まさにこの日米同盟を堅持していくことの意義ということを私は伺いたかった。もちろん幾つかはそのお答えはありましたけれども、一九九六年の橋本・クリントン会談において、私はこの一言に尽きているんじゃないかと思うわけです。つまりは、アジア太平洋地域の安定のための公共財としてこれからは日米同盟関係というものを活用していこうじゃないかということで、ソ連の脅威がなくなっても同盟関係というものを維持していこうじゃないかという話し合いがなされて、そしてそれは今に至っていると私は思っております。

 その上で総理にもう一つ、今の私の考えに納得をされるかどうか、簡潔で結構でありますので簡潔にお答えいただくと同時に、中国をどう見るのか。これは、私は、実は、これから五十年先の日米同盟関係を見ていく上で、極めて重要なポイントなんだろうと思っています。

 二つのことを少し事実関係として総理にお伝えしたいわけでありますが、中国は私は両面作戦で来ていると思います、日米同盟関係に対しては。どういう意味かといいますと、日米両国の分断を図っている節がある。

 例えば、中国の駐米の総領事が胡錦濤国家主席の米中治台、要はアメリカと中国が台湾を治めるという字を書くんですが、米中治台、これについて講演して、その中でどう言っているか。中国の今後二十年の敵対国家は日本で、中略をいたしますが、米国と緊密関係を構築できれば自然に米日関係は分断できるということをある駐米の総領事がアメリカで言っている。

 両面と申し上げたのは、それに対して、例えば今回、後でちょっと詳しく質問をいたしますが、東アジア首脳会議がございますね、十二月に。これについては、日本がアメリカをオブザーバー参加させようとしたことをけって、結果的にはアメリカは入らなくなりましたね。つまりは、ある意味で両方に対して分断作戦をとっている節がある。

 もちろん、中国を敵対視しろとか、私は、冷戦時代のソ連のような仮想敵国ということでは全くないと思っておりますが、しかし、中国をどう見るかということは、実は、アジア太平洋地域の安定のための公共財で同盟関係があるならば、極めて重要なポイントだと私は思うのでありますが、総理はどう見ておられるか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 米中治台という考え方は中国の政府高官としての一つの考え方だと思いますが、中国も米国との関係を重視していると思います。その中で、日本との関係において日本を敵対国とみなすというのは、私はちょっと違うんじゃないかなと思っております。日本と中国の友好関係は重要ですし、私はことしの四月、ジャカルタでの中国胡錦濤国家主席との会談におきましても、日中関係は重要である、日中友好、この重要性をよくわきまえて、未来志向で今後の日中関係の発展を図っていこうということで合意しておりますが、私は、日本とアメリカとの関係、この日米関係を何とか離間しようという動きはあるのは承知しております。国外においても国内においてもそういう一部の動きがあると思いますが、私はそれは、日本国政府としてそういう態度はとっておりません。日本とアメリカとの関係がよければよいほど、中国に対しても、近隣諸国に対しても、世界に対しても、これはよりよい関係を維持できると思っております。

 アメリカと日本との関係を多少損なっても、その分は他国の良好な関係を維持することによって補おうという考えを私はとっておりません。それは全く逆だと思っております。日本とアメリカとの関係が多少悪くなって、ほかの関係諸国とよくなろうというのは逆じゃないかと。日本とアメリカとの関係が緊密であればあるほど、友好であればあるほど、日本は諸外国と友好的な関係を維持できると思っておりますし、今後ともそのような方針で日本の外交は進めていかなきゃならないと思っています。

 断じて日米離間策には乗ってはいけない。これは、私は民主党の党首の前原さんにもしっかりとわきまえていただきたいと思うのであります。

前原誠司君 まあ、言われなくてもわきまえておりますが。

 では、その意味で総理に伺いますが、日米関係は重要だと。確かに、アジアの国々といろいろ話を聞いても、私はあえて申し上げると、中国は敵対国家だと思っていません、私も。うまくつき合っていかなくてはいけない、後でこのことはじっくりお話をしたいと思いますが。しかし、日米同盟関係がうまくいく、そしてそれがアジア太平洋地域の安定に役立っていることが、むしろアジアの国々にとってもハッピーなんですね。つまりは、一国だけが影響力及ぶこの地域を望んでいない、彼らは。そういう意味では、日米関係というのがしっかりしていることが非常に他のアジアの国々にとってもハッピーなことであり、重要なことであるというのは、私はそのとおりだと思う。

 その上で、では、日米関係について、総理はアメリカとの関係は一番重要なんだとおっしゃったけれども、心して日米同盟関係というものを戦略的にうまくマネジメントしてこられたかどうかというと、私はそうではないと思う。いろいろな問題があります。

 私はこういう党首討論に初めて出させていただいて、二大政党制の党首討論で、私は昔のような五五年体制のイデオロギー論争をするつもりは全くありません。自衛隊も必要だし、日米同盟関係も重要だ。しかし、その中において、今からお話しするように、今の政治において欠けているのは、外交において欠けているのは何か。それは、私は戦略性と主体性だと思うんですよ。

 例えば、幾つか具体的に質問いたしますが、トランスフォーメーションの問題、米軍再編の問題、これは二年ぐらいおくれていますね、結論を得るのが。アメリカが非常にフラストレーションを感じていますよ。そして、何よりも基地の問題というのは、トランスフォーメーションにかかわる問題ではなくて、実は九年前のSACO合意がいまだに履行されていないということに端を発しているわけですよ、普天間の問題というのは。

 九年前に普天間の問題というのは実は解決するはずだったのが、それがいまだにできていなくて、トランスフォーメーションに合わせて、実は今紛れて、あたかも基地再編のように言われているけれども、そうじゃない。総理がこの職につかれて四年半ですよね。ということは、この九年間の半分は実は総理に責任があるわけで、では、主体的に取り組んでこられましたか、この問題に。

 私も沖縄のいろいろな首長さんに話を聞きましたけれども、出てくる自民党の政治家の名前というのはいまだに梶山先生なんですよ。梶山官房長官のときはよく沖縄に来て、そして我々のことを親身に考えてくれたけれども、しかし、今本当に沖縄のことを考えてくれているのか。沖縄の負担の軽減というのは口先だけで、結果的には泥をかぶろうという政治家がいないじゃないか。それはアメリカも同じ意見だと。そういうことについて、では、総理はリーダーシップを発揮して来られたのか。

 一つずつ伺いましょうか。どうぞ。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) これまでも努力してまいりましたけれども、確かにSACOの問題、沖縄の基地の問題、これはおくれているのは事実であります。進んでいる面とおくれている面、一番おくれている面は普天間飛行場の問題だと思います。この問題について、やはり政府としては、沖縄の負担軽減と同時に日米同盟による抑止力を維持する、この両面を考えながら、両立させる方法はないものかということで今まで努力してまいりました。まさに日本としては、世界の中の日米同盟という観点から、日本が主体的に日米同盟関係をどのように強化していくかという問題であって、そういう中で今折衝をしているわけであります。

 確かに、この問題につきましては、日本が主体的にアメリカに提案し、そして双方が合意を得るような努力をしていかなきゃならないと思っています。こういう点については、今折衝の最中でありますので、アメリカ政府におきましては、確かにこの普天間飛行場の返還はおくれているじゃないかという気持ちを持っておられるのも事実だと思います。だからこそ、できるだけ早くこの問題、沖縄の県民の皆様方、自治体の関係者の皆さんとよく協議を進めて、この問題、一日も早く日米間で合意をし、そして沖縄の皆さんの協力を得ながら進めていくべき大事な課題だと思っております。

前原誠司君 総論は私はいいと思っているんです。つまりは、私が求めているのは、政治的な決着というものを総理がリーダーシップをとってやられますかということを伺っているわけです。

 十一月にブッシュ大統領が来られますね。その前に中間報告を取りまとめますね。そのときに具体的に地名も入れて、そして今まさに総理が答弁されたような地元との折衝も含め、責任をとるかどうか、その一言だけ私はいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 責任はすべて私にあります。

前原誠司君 それは、具体的な解決策も含めて、そして沖縄への説得も含めて、自分が責任をとるということをおっしゃったという解釈でよろしいですね。――はい、わかりました。

 戦略性の問題について、幾つか申し上げたいことはほかにもたくさんあります。

 例えば、国連安保理常任理事国入りの問題についてでありますが、これは私も常任理事国に入るべきだという考え方でありましたので、殊さら批判だけをするつもりはありません、ありませんが、私は、外務省、あるいは今回特にアメリカとの交渉においては稚拙きわまりなかった、これは紛れもない事実だと思います。

 例えば、二月の2プラス2共同宣言の世界の共通の戦略目標の中にこう書かれているんですよ。現在の機運を最大限に活用して日本の常任理事国入りへの希望を実現することにより、国連安保理事会の実効性を向上するための努力を連携させると。これはまさに、2プラス2のお互いの共通の戦略目標として確認したことが、まさにアメリカの反対によってできていないというていたらくなんですよね。

 こういう状況において、まさに日米関係は大事だというお題目を言っていても、アメリカは信用するでしょうか。あるいはほかの多くの国々がそれについての納得をするでしょうか。私はしないと思う。

 幾つか挙げたい問題もありますが、もう一つ挙げるとすれば、先ほど少し触れた東アジア共同体の話であります。

 これはアメリカは非常に懸念していますね、総理。昔EAEC、そしてその後EAEGというものができて、マレーシアなんかが一生懸命にそれを推進しようとして、アメリカ外しじゃないかということで、非常にアメリカは抵抗してきた。今までそれはできなかったわけですね。その中にあって、今回、十二月にクアラルンプールで東アジア首脳会議が行われます。

 私が伺いたいのは、オブザーバー参加でアメリカの参加を模索したけれども、それができなかった。なぜ堂々と正式なメンバーとしてアメリカを、そこまでアメリカが懸念をしている東アジア共同体への第一歩の、東アジア共同体への議論をする東アジア首脳会議、サミットにおいて、何かオブザーバー参加というのは、私は、先ほどの総理の決意とは全く違うものだと思うし、アメリカと日本のまさに同盟関係がしっかりなっていることが、アジアのほかの国々の安心感につながるとすれば、この日本の戦略はおかしかったし、おかしな戦略さえも認められなかったことについて、どう説明されますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私はおかしな戦略だとは思っておりません。

 東アジア首脳会議、いわゆる東アジア・サミット、これはASEANプラス日中韓、同じメンバーでやろうという協議でありました。しかし、できるだけ、このASEANプラス日中韓の関係と、そして同じ国で、同じ国の参加によって東アジア・サミットをやる場合、その関係はどうなるのかという議論を重ねてまいりました。いわゆる参加国が同じで、同じ会合を毎年どのようにやるのか、あるいはこの関係をどうしていくかということでありますが、私は、もしも東アジア・サミットをやるんだったらば、できるだけオープンにした方がいい、閉鎖的に東アジアだけまとまってやるというよりも、できるだけ関係諸国も参加する形でオープンにやるべきだということで、ASEANプラス日中韓、いわゆるそういう国々だけの東アジア・サミットでなくて、インドも加えたらどうか、オーストラリアも加えたらどうか、ニュージーランドも加えたらどうか、アメリカもできたらオブザーバー的な参加でいいのではないかと。

 しかし、関係諸国のいろいろな意見を聞きながら、第一回の会議であるならば、ASEANプラス日中韓、それにインド、オーストラリア、ニュージーランドを含めてやろうと。今回アメリカは入っておりませんが、それは日米関係の重要性、また日米関係の緊密性から考えれば、アメリカが、自分たちが除外されているという不安を持つ必要はない、それだけ日本とアメリカとの関係は強い、アメリカもそのような信頼感を日本に持っていると思いますし、日本も、アメリカが除外されるであろうというような不安をもしアメリカ政府が持つならば、そのような不安は持つ必要はない、日本としては、この東アジア・サミットにおけるアメリカの重要性もよくわきまえながら、できるだけ世界に開かれた東アジア・サミットの会議にしていきたいという意向は、その東アジアの首脳も理解しているわけでありますので、そういう点につきましては、私はそのような懸念はないと思っております。

会長(丹羽雄哉君) 前原誠司君。指名してから討論に立ってください。

前原誠司君 アメリカは、私はそんな甘い考えを持っていないと思いますよ。日本が入っているから大丈夫なんということだったら、今まで十数年間も何で反対してきたんですか、この考え方に。しかも、先ほどおっしゃったように、アジア太平洋地域のまさに経済活動というものを、密接にあるいは緊密に、お互い一体的に担っていこうと思えば、アメリカのマーケットというのは一番大きいんですよ、アメリカの経済というのが。それを除外するというのは、まさに政治的にゆがんだ形にむしろなるんじゃないですか。

 しかも、日米同盟関係というものがアジア太平洋地域の安定のための公共財としてバックボーンにあるのであれば、当然ながら、その経済の大きな受け皿を持っているアメリカが入るということを主張すべきだし、日本が入っているからアメリカは納得しているなんて、そんな答えは、私、聞いたことない。もしアメリカのブッシュ大統領との間でそんな話をされたら、ブッシュさんは、それは、総理のことを何とおっしゃっているか知りませんが、ロン・ヤスじゃなくて、何と言われているのかわかりませんが、僕はそんな甘い話じゃないと思いますよ。

 一つ私が提言申し上げたいのは、東アジア共同体は、私は進めたらいいと思う。しかし、実際問題に、アメリカというものを経済の面でもコミットメントさせる、そのためには、私は、例えば日米のFTA、それを一つのかけ橋として、市場の広がりというものを持たせて、そして言葉だけではない、アメリカのコミットメントもしっかり持たせるということも一つの考え方だと思いますが、日米FTAについては、総理はどう思われますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) FTAは各国と進めておりますが、日本とアメリカの今FTAの交渉といいますか、それはまだ時期尚早だと思っております。

 日本におきましては、各国とのFTAまたWTO、この交渉は重要だと思っておりますし、現に、メキシコ、シンガポールのFTA、さらに、フィリピンとかマレーシアとかタイとのFTAは既に大筋合意を見ております。オーストラリアもFTAに積極的でありますが、今の時点におきましては、まだアメリカと直接FTA交渉するという段階にはないと見ておりますが、世界全体の中で、WTOにしても経済関係においても、日本とアメリカというのは最大の経済的に大きな規模を持った国でありますので、協力関係を維持していく、それだけに摩擦もありますけれども、摩擦を乗り越えて、意見の個別的な対立はありますけれども、そういうのを乗り越えて協力していこうという大筋の方針は持っておりますので、そういう中で解決していくべき問題だと思っております。

前原誠司君 私は、FTAそのものが日本は戦略的に立ちおくれたと思っているんです。これは他の国とのFTAもすべて後手後手ですよ。TACというものに対して入るのも、これは先ほど申し上げたアジアの国々が、中国が一生懸命アジアの国々を取り込もうとして、中国だけの影響力では困るんだということの中で、日本に対しての呼びかけがあった。僕は、外務省のある人から説明を聞いて、唖然としましたよ。アジアの国々から請われて、そして我々はTACに入りますと。戦略性のないことをみずからさらけ出しているような説明で、私は唖然としました。

 韓国がアメリカと結ぼうとしているし、また、中国も積極的にFTAをやろうとしている。その中にあって、まさに、先ほど申し上げた日米離間とかあるいは米中接近というものが、これは国際社会の中においてこれからあるわけですよ、現実の問題として。どうやってFTAというものを戦略的に考えるかということがなされていないということを、これは答弁は結構ですので、私は総理には申し上げておきたいと思います。

 とにかく日本の経済というものを、今後人口も減少してくる、また財政赤字も大きい中で、どうやって今の日本の技術力なり競争力というものを最大限に生かしていくかということになれば、ある部分での阻害要因でFTAにとどまるのではなくて、まさに日本のプラスの部分をどんどん売り込めるような形をつくることが私はむしろ日本にとっては大きなプラスだし、そして、それが逆に言えば阻害要因である農業なんかの改革にむしろつながっていくということを、それだけは申し上げておきたいと思います。

 戦略性のなさと同時に、私は、今の日本の外交の大きな問題点というのは主体性のなさだと思っています。

 例えば、戦後六十年たちましたね、総理。私は、いまだに米軍が日本のいわゆる敷地内を管理していて、そして日本がそれをタッチできないというのは信じられない。貸すのはいいですよ、米軍に。日本が管理してアメリカに貸すというのが本来の主権国家のあり方じゃありませんか。しかも、横田とか首都圏の真横ですよ。横田、岩国、嘉手納、空域が全部米軍によってコントロールされている。戦後六十年たっているんですよ。私は、これが主権国家と言えるかどうかということを申し上げたいわけです。

 こういう主体性のなさというものをまさにほっておいた。私は、日米同盟関係が大切というのであれば、国民に対して毅然とした態度を見せるためにも、こういったことはむしろ日本が率先して改善していくのが当たり前のことじゃありませんか。

 事前協議だってそうですよ。町村さんにこの間質問したら、日本から部隊として飛び立つのには、事前協議というもので岸・ハーター交換公文で書いてあるけれども、移動したら世界どこでも行けるんだということをしゃあしゃあと外務大臣が答弁される。まさに事前協議というものを日本みずからが骨抜きにしているようなことを外務大臣みずからが答弁して平気でいる。

 それと同時に、この間の沖縄のヘリの墜落もそうですよ。なぜ、日本の国内に落ちて、そして日本の警察が一義的に逮捕して捜査できないんですか。地位協定の運用改善、改善といって、まさに他の国の植民地のような存在があるということが、何が主体的な問題ですか。そういうものを改善せずして、日米同盟関係は日本にとっても大切だということを国民の皆さん方に説明したって、それはわからないですよ。そういうものをどうやって解決するかというのがまさに日本の主体性ではありませんか。

 私はもう一つ総理に申し上げたいのは、私は自分で自分の国を守るということはやはり基本だと思っているんですが、それは別に軍事力を増強するという意味ではありません。情報というものは、私は、これからの例えばテロを防止するとか紛争を未然防止するためには一番重要なところ。しかし、情報というものは極めて他国、特にアメリカに依存していますね。これは私はひどい状況だと言わざるを得ないと思うんです。

 二年前の二月を思い出していただきたいんですが、当時のパウエル国務長官、国連の安保理に出てきて、そして、イラクの大量破壊兵器に対してのこれだけの証拠がある、だからイラクへの攻撃というものは正当なんだという地ならしをした。

 そのとき、あれは三時間か四時間後ぐらいでしたけれども、当時の川口外務大臣がこういう談話を発表しているんですね。「隠蔽工作や査察の妨害を行っていることを示す情報であり、イラクの大量破壊兵器に関する疑惑は更に深まった」と。確認もせずにアメリカの言っていることをうのみにして、そして、アメリカ自身は大量破壊兵器はなかったんだということを釈明していて、日本は川口外務大臣がそれを言ったことについては恥をかいているわけですよ。自分自身で情報収集ができずに、他の国、同盟国だといってうのみにしている、そんな国が本当にまともな主権国家と言えるんでしょうか。

 主体性というものをどう確立していくかということについて、先ほどの基地それから管制の問題、今の情報の問題について総理のお考えを聞かせていただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本は、日本の平和と安全を確保するために、一国だけでそれをすべてやろうということは難しいと思います。

 そういう面において、軍事情報にしてもその他の情報にしても、日本独自で世界の情報をアメリカに劣らず持つべきだという考えは、考え方としてわかりますが、それは現時点におきましてほぼ難しい、もう不可能に近い。これだけの世界各国が情報合戦をしている中で、日本が偵察衛星にしてもアメリカと同等の情報能力を持てといっても、それは現実的に私は困難な面が多いと思います。

 そういう中で、軍事的にも、日本一国だけで、これだけの経済大国であるから主体性を持つべきだということで、アメリカとの安保条約を締結せずに独自で主体的な軍事力を確保すべきだという意見があるのも承知しておりますが、それにはやはり負担という面もあります。国民の負担という面もあります。

 そういう観点から、軍事的にも情報的にも、私は、日本独自で持てというのは現実的に無理だと。だからこそ、私はアメリカとの関係が重要であるということを言っているのであって、そういう面において、日米安保条約の中で日本の立場、アメリカの立場があります、その中でいかに主体性を発揮していくかという点において現実的に努力していくのであって、すべてアメリカと同じような体制をとれ、情報を持てというのについては、私はそれが無理があると思っております。

前原誠司君 随分答弁に飛躍があると思いますよ。別にアメリカほどの軍事力や情報力を持てなど言っていません。しかし、総理、ちょっと聞いていただきたいんですが、仕方がないで済む話ですか。それがまさに主体性と戦略性が欠如している日本外交の現状をあらわしているんですよ。みずからが情報を持たずしてどうやって、アメリカというのは日本のいろいろな情報もとっているんです、基地から。当たり前のことじゃないですか、そんなことは。そして、情報屋の世界では、情報というのはギブ・アンド・テークというのは当たり前なんですよ。ヒューミント、人間による情報収集能力だって持つべきですよ、それはしっかりと。

 そういう問題も全く仕方がないと言って、すぐできるかという話……(発言する者あり)外務大臣が今スパイ防止法と言われたけれども、情報については、外務大臣、今一生懸命やられているけれども、外務省だけでできる話じゃないですよ。警察、入管、海上保安庁、あるいはさまざまな情報コミュニティー、公安調査庁、今でも情報コミュニティーと会って情報を持っているんですよ。縦割り省庁の弊害の中でみんな隠して、そしてお互い共有せずに、しかも、その外交政策を立案するのに分析もしていない、評価もしていない、そういう仕組みをつくっていないから、今のようなあきらめのような話が出てくるんじゃないですか。それを変えることが主体的な外交であり、戦略的な外交を展開できることじゃありませんか。それができていないということを私は申し上げているんですよ。

 それを仕方がないと言うことは、ある時期に、それがまさに国民に対して日米同盟関係がうまくいかないきっかけになるんですよ。

 例えば、アメリカはブッシュ・ドクトリンというのを持っている、先制攻撃戦略。今までは、自衛権かあるいは国連決議があったときしかだめだと言っていたけれども、大量破壊兵器を持っているかもしれないという情報の中で、先制攻撃も可なりということをブッシュ・ドクトリンでは言っているんです。

 しかし、今回のイラクでは、それがまさに、情報というものを示したと言いながらも、攻撃することありきで、そして攻撃をしたら、後で大量破壊兵器はなかったということで、それを追認した川口さんの談話が恥をかいたということじゃありませんか。それだったら、自分の情報収集能力や分析能力、評価能力を持つということが、日本の主体的な外交、あるいは、むしろアメリカとの同盟関係をうまくやっていくためには当たり前のことじゃありませんか。それをやらずして、私は、総理というものが務まるかということを申し上げたい。

 時間もありませんので、中国の問題について私は申し上げたいと思います。

 まず……(発言する者あり)書生論って、あなた。まあ、いいや。あなた方にもう政治や外交は任せたくない、もうそれだけはっきり申し上げておきますよ。

 東シナ海の天然ガスの問題について総理に伺いたいのでありますが、日中中間線のあたり五カ所ぐらい、まさに中間線をまたいで、地下構造が日本につながっているようなところで中国が天然ガスの開発をして、そして、もうどんどんどんどんそれを吸い上げるような状況になっているし、あと、春暁というところはあと二十日もすればパイプラインが通じて、まさにその春暁からの、日本にもまたがっている地下鉱脈の天然ガスが吸い上げられるでしょう。

 これは見て見ぬふりをしているんですか。それとも、中川経済産業大臣が試掘権を設定して、そして、帝国石油というものにその試掘権設定を与えた、付与した。だったら、試掘をするのが本筋で、そういう状況でなければ、国連海洋法条約という国際法ではまさに既成事実を積み上げていった方が勝ちなんですよ。ということは、まさに日本は、中国の顔色を見ているだけではなくて、これについてはしっかりと試掘をして日本の権利だということを主張するべきではありませんか。それについてのお考えを聞かせてください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現在、ガス田の問題につきましては、お互い意見が違っております。その中で、中間線のガス田に関する開発につきましては、意見の立場を乗り越えてやはり協調していくことが重要だ、そういう大局的な方針のもとに話し合いをしていこう、話し合いで解決していこうということで経産大臣等に指示をしているところでございます。

前原誠司君 話し合いは続いていて、どんどんどんどんパイプラインをつくって、一日一キロ延びるんですよ、パイプラインが。それで、あと二十日もしたら、春暁にも延びる。どんどんどんどんとられたら、先ほど申し上げたように、既成事実がしっかりと国際法上はつながる話になる。

 我々民主党は、帝国石油が安全に操業するために、その開発をするために、安全確保のための法律を出します、この国会で。それを前提に、その試掘権を行使して試掘すべきではありませんか。その法律の必要性は認められますか。我々が出したらそれについては与党は真剣に考えられますか。そのことを御答弁ください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 法案を出せば、真剣に議論をしたいと思います。

前原誠司君 経済産業省は非常にそのことについては積極的でありますけれども、私は、他の役所がそれについて非常に否定的であるということで、これも、先ほど申し上げたように、政治のリーダーシップで物事を解決していかなくてはなりません。

 私は、この中国の問題というのは、実は、この東シナ海の天然ガスの問題は、枝葉の議論、枝葉末節の議論になり得ると思っているんです。

 一九九八年の包括的な共同声明を最後に、日中間で、まさにお互いの国益というものを重視した、さまざまな、いわゆる包括的取り決めというのはできていないんですね。私はこの十年で日本と中国を取り巻く環境というのは相当大きく変わってきたと思う。

 例えば、総理も御承知のとおり、年率の経済成長率というのが七%、八%、一〇%と今なっている。非常にエネルギー消費率が高くなっていて、一番低く見積もっても、エネルギー効率は日本の六分の一、ひどい見方をする人だったら十二分の一ぐらいという人がいます。ということは、例えば十分の一としましょうか、日本並みのエネルギーを消費するということになれば、エネルギー効率が十分の一ですから、人口が十倍ですから、百倍のエネルギーが要るということになるわけですね。ということになれば、これはもう世界じゅうの天然ガスや油、石炭、これをまさに、インドもあるし、取り尽くしても、これはもうしようがないようなことになってしまう。

 それと同時に、公害の問題もすごいですよ、まさに大気汚染の問題。大気汚染の問題は、中国だけだったらまだいいけれども、偏西風に乗って日本にやってきて、そして雨が降って、酸性雨が降る、まさに日本にも大きくかかわる問題。そして二酸化炭素の問題は、まさに地球温暖化の問題にかかわる問題。

 これは、まさに、中国のことだからほっておいていいやということではなくて、日本の省エネ技術や新エネルギー開発あるいは安全な原発の問題、そういったものについて、積極的に日本が技術協力を申し入れて、そして、それは中国だけの問題じゃない、日本や世界の地球環境の問題にもそれは資するんだということのトータルパッケージを示す中で、東シナ海の問題を議論すれば、まさに枝葉末節の話になるじゃないですか。

 そういう状況にありながら靖国参拝を強行された。それについては、私は、総理なりのお考え方はあったと思うけれども、一体、このことによって日中間での戦略的な包括的な対話の道筋が閉ざされたということについて、どうお考えなのか。

 それともう一つは、意地悪かもしれませんが、私、これはぜひ聞いてみたいなと思いましたのは、所信表明演説でこうおっしゃっている、今回の特別国会で。「中国や韓国を初めとする近隣諸国とは、幅広い分野における協力を強化し、相互理解と信頼に基づいた未来志向の友好関係を構築してまいります。」と。

 相互理解と信頼はあるんですか、中国や韓国と。町村さん、外務大臣が行くと言って断られている、あるいは盧武鉉さんも来ないと言っている、あるいは外交通商大臣も来ないと言っている。それでいて、先ほど話をされたような、しっかりとした関係構築、未来志向というものができるんですか。あるいは、私の申し上げたような包括的な日中間の取り決めというものを戦略的に考えることはできるんですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私はできると思っております。

 靖国参拝だけじゃありません、中国、韓国との問題は。今まで、中国との関係、韓国との関係も、いまだかつてないほど、さまざまな分野で相互依存関係が深まっております。これからも日本は未来志向で、中国の首脳とも、韓国の首脳とも、日中友好、日韓友好、未来志向でお互いの協力関係を進めていこうということで合意を見ております。ただ靖国参拝をやめればいいのかという議論には私はくみしておりません。

 私は、靖国神社を参拝するのは、さきの大戦の反省を踏まえて、六十年間の歩みを見てほしい。日本の基本方針として、二度と戦争をしない、経済的に発展しても、経済大国になっても軍事大国にならないんだというのを六十年間の実質的な歩みの中で示しているんです。そういうことから、私は靖国神社に対して、過去の戦争の反省を踏まえて、あの大戦で心ならずも命を失った方々に対する哀悼の誠をささげる上において参拝している。これをやはり中国にしても韓国にしても理解していただくように努力していかなきゃならぬ。私は……(前原誠司君「もう短くしておいてください」と呼ぶ)党首討論ですから、聞かれたことを私は答えているんです。

会長(丹羽雄哉君) 前原君、座ってください。指名しますから。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 質問だけじゃないんです。お互いの……(前原誠司君「いや、日中……」と呼ぶ)日中関係も言っているんです。これは……

会長(丹羽雄哉君) 前原君に申し上げます。

 座ってください。指名しますから。(前原誠司君「委員長がちゃんと指名しなきゃだめじゃないですか」と呼ぶ)

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 質問じゃない、討論の場合は、この後時間を調べてもらいますので、どれだけ時間を前原さんに与えていますか。(前原誠司君「あなたに与えてもらったんじゃないだろう」と呼ぶ)だから、私にも与えてくださいよ。(発言する者あり)

会長(丹羽雄哉君) 御静粛に願います。御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日中関係というのは、靖国だけですべて規定するものじゃないと言っているんです。

 靖国の参拝というのは憲法に保障されている。「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」というのは日本国憲法第十九条に規定されているじゃないですか。

 これは、私の率直な、総理大臣である小泉純一郎が一国民として参拝する。しかも、平和を祈念する、二度と戦争をしない、心ならずも戦場で倒れた人に対して敬意と感謝の誠をささげる、そして現在の平和と繁栄を維持していく、この平和と繁栄というのは、現在生きている人だけで成り立っているものではない、過去の戦場で倒れた方々のとうとい犠牲の上にあるということを片時も忘れてはならないということで参拝しているので、それをどうしていけないのかというのは私は理解できないんです。前原さん、何でいけないんですか。聞きたいですね。

会長(丹羽雄哉君) 前原誠司君。手短にお願いします。

前原誠司君 だれがいけないと言いました。私は、自分自身の考え方としては、A級戦犯が合祀されている間は行かない。しかし、亡くなられた方々に対しての哀悼の気持ちはみんな持っていますよ。総理だけじゃない、それは。

 しかし、靖国神社というものがまさに一九四五年までは国家神道の姿として存在していて、追悼と――この間、私、もうテレビ放映は終わったのでしゃべらせてもらいますけれども、総理、これはないですよ、これは。これはお墓参りだ。神社に行くときは頭を、こうべを垂れるものだ、これは。しかも、ポケットからさい銭出してチャリン、こんな不謹慎な話はない。私は逆に、あの姿を見て驚きましたよ。本当に、それは私人としての参り方というものを演出されたかったのかもしれないけれども、私はむしろ、あれは亡くなった方に対しては失礼だと思った、僕は。

 しかも、実際問題に、一九四五年の今の憲法以降であれば、憲法には思想、信条の自由だけじゃなくて政教分離というのが書いてあるんだ。そして、大阪高裁では憲法判決も出ているんだ。

会長(丹羽雄哉君) 持ち時間が終了しておりますので、まとめてください。

前原誠司君 そういうこととか、あるいは、神社に対して祭られたくない人もいるのに、なぜ靖国神社、神社本庁は分祀や遷座ができないのか。そのことにしてもおかしいじゃないですか。そんなことを言い出したら、私も言いたいことはいっぱいある。

 先ほど申し上げたのは、中国の多くの問題というものをトータルに考えずして、まさにこの四年半は外交不在の小泉政権であったということを私は言いたかったんだ。まさに失われた四年半なんだ、外交の問題については。そのことを私は言いたかったんだ。そのことを言って私の質問を終わります。

会長(丹羽雄哉君) これにて前原君の発言は終了いたしました。

 以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。

 次回は、衆議院、参議院、それぞれの公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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