衆議院

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第1号 平成23年11月30日(水曜日)

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平成二十三年十一月三十日(水曜日)

   午後三時開会

    ─────────────

 委員氏名

  衆議院

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 大島  敦君 理事 樋高  剛君

   理事 馬淵 澄夫君 理事 松本 剛明君

   理事 三日月大造君 理事 逢沢 一郎君

   理事 井上 信治君 理事 井上 義久君

      稲富 修二君    加藤 公一君

      城島 光力君    末松 義規君

      鈴木 克昌君    仙谷 由人君

      樽床 伸二君    津村 啓介君

      手塚 仁雄君    長島 昭久君

      平野 博文君    前原 誠司君

      三井 辨雄君    石原 伸晃君

      大島 理森君    塩谷  立君

      谷垣 禎一君    茂木 敏充君

      志位 和夫君    与謝野 馨君

  参議院

   委員長 鈴木 政二君

   理事 佐藤 公治君 理事 広野ただし君

   理事 世耕 弘成君 理事 江口 克彦君

      小川 敏夫君    北澤 俊美君

      郡司  彰君    輿石  東君

      羽田雄一郎君    藤原 正司君

      松井 孝治君    伊達 忠一君

      谷川 秀善君    中村 博彦君

      林  芳正君    吉田 博美君

      木庭健太郎君    山口那津男君

      亀井亜紀子君

    ─────────────

 出席委員

  衆議院

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 大島  敦君 理事 樋高  剛君

   理事 馬淵 澄夫君 理事 松本 剛明君

   理事 三日月大造君 理事 逢沢 一郎君

   理事 井上 信治君 理事 井上 義久君

      稲富 修二君    加藤 公一君

      城島 光力君    末松 義規君

      鈴木 克昌君    仙谷 由人君

      樽床 伸二君    津村 啓介君

      手塚 仁雄君    長島 昭久君

      平野 博文君    前原 誠司君

      三井 辨雄君    石原 伸晃君

      大島 理森君    塩谷  立君

      谷垣 禎一君    茂木 敏充君

      志位 和夫君

  参議院

   委員長 鈴木 政二君

   理事 佐藤 公治君 理事 広野ただし君

   理事 世耕 弘成君 理事 江口 克彦君

      小川 敏夫君    北澤 俊美君

      郡司  彰君    輿石  東君

      羽田雄一郎君    藤原 正司君

      松井 孝治君    伊達 忠一君

      谷川 秀善君    中村 博彦君

      林  芳正君    吉田 博美君

      木庭健太郎君    山口那津男君

      亀井亜紀子君

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   野田 佳彦君

       総務大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、地域主権推進))  川端 達夫君

       法務大臣     平岡 秀夫君

       外務大臣     玄葉光一郎君

       財務大臣     安住  淳君

       文部科学大臣   中川 正春君

       厚生労働大臣   小宮山洋子君

       農林水産大臣   鹿野 道彦君

       経済産業大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構))      枝野 幸男君

       国土交通大臣

       国務大臣     前田 武志君

       環境大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(原子力行政))     細野 豪志君

       防衛大臣     一川 保夫君

       国務大臣

       (内閣官房長官) 藤村  修君

       国務大臣

       (国家公安委員会委員長)

       (内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全))        山岡 賢次君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(金融))        自見庄三郎君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(経済財政政策、科学技術政策))    古川 元久君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(「新しい公共」、少子化対策、男女共同参画、行政刷新))      蓮   舫君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(防災))        平野 達男君

 委員外の出席者

  衆議院事務局

       国家基本政策委員会専門員    金子 穰治君

  参議院事務局

       常任委員会専門員        諸星 輝道君

    ─────────────

  本日の会議に付した案件

国家の基本政策に関する調査


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    ─────────────

   〔鈴木政二君会長席に着く〕

会長(鈴木政二君) ただいまから国家基本政策委員会合同審査会を開会をいたします。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 参議院国家基本政策委員長の鈴木政二でございます。

 衆議院の田中けいしゅう委員長とともに、衆参両院の皆様方の御協力を賜り、その職責を全うしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

 この際、合同審査会における発言に関して申し上げます。

 野党党首及び内閣総理大臣には、申合せの時間内で活発な討議が進められるために、御発言はそれぞれ簡潔にお願いを申し上げます。また、本日、時間表示装置を使用いたします。表示装置は発言者の持ち時間を示します。持ち時間が終了したときは赤色のランプが点灯しますので、御承知願いたいと存じます。

 なお、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げになるような言動は控えていただきますよう、御協力をお願いをいたしたいと存じます。

 それでは、国家の基本政策に関する調査を議題とし、討議を行います。自由民主党総裁谷垣禎一君。(拍手)

谷垣禎一君 野田総理、沖縄防衛局長の極めて遺憾な発言が飛び出しました。総理との最初の党首討論をこの問題から始めなければならないのはやりきれない思いでございますが、看過するわけにはいきません。なぜ取り上げるかと申しますと、この問題が、この発言が沖縄県民の心を傷つけた、大きく傷つけたものであることは言うまでもありません。しかし、単にそれにとどまらず、政権の沖縄問題に対処する姿勢、そこに大きな欠陥があるんじゃないか、緩みがあるんじゃないかと、こう思うからこの問題をお聞きするわけであります。

 防衛局長の上司に当たられる一川防衛大臣、当初、自分は素人であるということから仕事をスタートされたわけですが、この間ブータン国王がお見えになったときは晩さん会を欠席されて、政治資金パーティーの方が重要であると、こういうふうにおっしゃった。これは、公務、国務に対する責任感、忠誠心の欠如がここに表現されているんじゃないかと思うんです。ですから、その下でこの防衛局長のこういう発言が飛び出したんだと。

 総理は、この防衛の日本の最高責任者であります。この問題をいかに乗り越えようとされているのか、お答えください。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 初めての党首討論とさせていただきます。本当にいい議論をさせていただきたいと思います。

 まずは、ただいまお尋ねの沖縄防衛局長の発言でございます。

 昨日、防衛大臣が事情を説明をさせて聞いた上で、報道されるようなやっぱり発言があったと、イコールではありませんけれども、そういうことを御本人が認めました。ということは、極めて不適切な発言だったと思います。したがって、更迭をするということは当然の措置でございました。

 私どもは、普天間の問題については、一刻も早くその危険性を除去する、そして日米合意に基づいて対応していく、沖縄の負担を軽減をしていくという方針で、沖縄の皆様に「正心誠意」丁寧な説明をしてきたつもりでございました。加えて、先般は、米国の軍属の裁判権の問題について、日米のまさに地位協定の運用改善という形で一定の評価をいただいた後にこういう発言が出たことは、本当に誠に遺憾であり、私も心から沖縄の皆様におわびを申し上げたいというふうに思います。

 防衛大臣の宮中晩さん会等のお尋ねがございました。

 これについても、大臣から説明を官房長官が聞きました。元々公務が入る予定だったので欠席をする通知を出しておりましたけれども、途中でその公務がなくなったときに、いわゆる同僚議員のパーティーに出て御指摘のような発言をしました。これは宮中晩さん会を軽視しているかのように受け止められる発言でございますので、それは厳しく官房長官から注意をし、大臣も反省をしているところでございます。

谷垣禎一君 正心誠意というのは総理が大事にされている言葉だということは、私もよく承知しております。しかし、意を誠にし心を正す、言葉だけではこれは通用するものではありません。

 この防衛局長の発言は、今年年末に普天間移設問題に関して環境アセスメントを出す、それがどうなるかということをめぐって出た発言だと承知しております。

 この環境アセスメント、年内このままお出しになるんですか。ということは、これだけ沖縄の方々の気持ちを踏みにじって信頼関係を失ったときにできるんですかということを私は問いたいんです。

 総理、まだ総理になられてから一度も沖縄に行っておられない。正心誠意とおっしゃるならば、総理自ら沖縄に飛ばれて、そして沖縄の方々に正心誠意、謝罪されるところから再出発されなければ仕方がないんじゃないですか。そして、沖縄の方々の理解が得られたら、そのときにアセスを出すと、こういうことじゃないんでしょうか。

 どういう行動をお取りになるのか、伺いたい。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 今回の発言、大変、先ほど申し上げたとおり、遺憾でありますし、沖縄の皆様にはおわびしなければなりません。だからこそ、なおさら襟を正して、これまで以上に正心誠意、沖縄の皆様に御説明をしなければいけないというふうに思っています。

 環境影響評価書については、年内に提出をする準備をしているという状況でございます。

 今回の防衛局長の発言についての説明と謝罪については、今日、防衛事務次官が沖縄に飛びまして説明と謝罪をしているところでございますが、私自身の対応については、適切な時期を選んで対応させていただきたいというふうに思います。

谷垣禎一君 この問題ばかり議論しているわけにはいきませんが、やはり日本の外交の要である日米の安全保障条約、安全保障体制の根幹にかかわる問題であります。正心誠意ということをおっしゃるならば、一刻も早く沖縄に飛ばれて、そして正心誠意の行動をしていただかなければならないと思います。

 私はこの事件を見まして、民主党政権が発足以来、沖縄の人たちの気持ちを踏みにじる発言が随分出ました。今度のこの事件を、発言を見まして、普天間の移設問題は、これは民主党政権では解決がいよいよ不可能になったなという思いを深くしました。そのことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。

 それで、三月十一日、大震災が起こりました。それ以来、我が党も、この震災の復興復旧は焦眉の急であるということで、あらゆる力を傾けて政府にも御協力を申し上げ、また我々も知恵を絞ってまいりました。最初の一週間は国会も休戦にしようと、あるいは国会でこの問題を解決する委員会もつくろうじゃないかという提案もさせていただいたと。五百七十七項目、官邸に我々の提案もお持ちし、政府が使っていただいたのもあります。それから、必要な場合には議員立法もだと、こういうことでやりました。また、三次にわたる補正予算、いずれも出ますと賛成をし、そして関連法案も協力をしてまいったところであります。これからも、震災の復旧復興については適宜適切に対応をしていく、協力をしていく、必要だと思っております。

 しかし、震災発災から既に八か月以上過ぎまして、その他の重要案件も山積をしている、解決が迫られているわけであります。したがいまして、そろそろそういった問題に対して野田政権が何をしようとしているのか、このことをしっかりただし、そして、その対応が不十分であるならば厳しく追及していくということを始めなければならないときであります。

 民主党が政権を取られまして二年以上たちました。その間、マニフェストで約束された子ども手当であるとか、あるいは高速道路料金、あるいは政治主導というのもありましたね、年金改革、いろんなことが結局のところ実行されない。しかし、やるとは言ってなかったTPPはおやりになる、そしてやらないことが前提であった消費税にも取り組まれる、こういうことでありますから、今日はこの二点を中心に聞きたいと思います。

 そこで、まずTPPですが、自民党政権の下でもWTO交渉あるいはFTA交渉、そのほか構造改革協議、いろんなことがございまして、日本はやはり自由貿易体制をしっかり守っていかなきゃいけない、そういうことで今日の地位を築いてきたわけであります。そして、外交交渉に当たっては、我が国の国益をこれは柔軟にしたたかに追求していかなきゃいけない、そして他国の情報も引き出していかなければならないというのが鍵だと思います。

 昨年、菅さんがTPP、これに関して平成の開国だということを言われた。外交交渉に当たって、我が国ここまで開いているんです、我が国は閉じているけれどもこれから開くんだというようなことで果たして日本の国益が守れるのかどうか。私は甚だ稚拙な外交姿勢だと思います。

 交渉権限を持っておられるのは政府です。そして、条約を締結する権限を持っておられるのも政府です。野党の責任は、その間、問題点を明らかにしながら、いよいよ国会で承認するとき、国益に合うものであればきちっと賛成する、しかし国益を毀損するものであれば反対をするというのが野党の責務でありますが、しかし、先ほど述べたような余りの稚拙な外交姿勢に見るに見かねて、先般、この時点でAPECで参加を表明されるのは反対である、時期尚早である、こういうことを申し上げたわけであります。

 そこでまず、政府にお願いしておきたい、野田総理にお願いしたいことは、私どももそう思っております、そして多くの国民も、余りにも情報の開示が足らないじゃないか、これでは物事を判断するのに十分ではないではないか。ですから、政府として情報の公開を十分に行っていただきたい。そして、情報の公開をしていくに当たっては、一番大事なことは、国会の場でその情報を出して、協議をしながら国民の前に物事を明らかにするということが一番大事だと思います。したがいまして、経済連携に関する特別委員会、これを国会の中に設けていただきたいということをまずお願いしておきます。

 その上で、TPPは例外なき関税の撤廃を特徴とすると、こういうふうに言われてまいりました。そして、この問題に対処するときに総理は国益の観点からということを今まで繰り返してこられました。総理のおっしゃる国益というのは一体何ですか。具体的に示していただかなきゃいけないと思うんですね。外交交渉の場合には取るべきものもあるでしょう、守るべきものもあるでしょう。取るべきもの、恐らく投資ルールであるとか、あるいは知的所有権の問題等あるんだと思います。それから、守るべきものといえば、農業、あるいは医療といった制度の問題もあると思います。そういったことを具体的に、国益、何だということを明らかにしていただきたい。

 もう少し細かく申し上げると、米は一体どうなさるんですか。守るんですか、守らないんですか。関税をゼロにするんですか。米だけではありません。小麦もあります。あるいは北海道の乳製品、沖縄のサトウキビ、こういったのを守るのか、守らないのか。その国益を総理がどう考えられるのか、明らかにしていただきたいと思います。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 日本が戦後、ガットの体制の中で自由貿易の恩恵を最大限に受けて経済発展を遂げてきて、そして世界第二位の経済大国になった。そのことは問題意識として共有できると思います。

 ガットの体制ではなくて、今、WTOの時代になりました。ドーハ・ラウンドを見ていると、やっぱり新興国と先進国の隔たりがあって、しかも百五十以上の国・地域が議論に参加をしていますので、なかなかルールづくりが進展をしていません。もちろん、絶望はしてはなりませんけれども、ドーハ・ラウンドの成功に向けて日本も汗をかいていかなければなりませんが、その間に、二国間であるとか多国間の経済連携を目指す動きが世界のあちこちで加速化をしている中で、日本が周回遅れという状況の中にあります。その中で、アジア太平洋地域において自由貿易圏をつくるというFTAAPを構築していくことについては、これも問題意識は共有できると思うんです。

 そのFTAAPの議論をする中で、TPPとかASEANプラス3とかASEANプラス6とか、様々な道筋がありますけれども、その中で今交渉が動いているのがTPPであり、それについての対応をどうするかということを、御指摘があったとおり、昨年の菅政権から検討を始めました。

 本来ならば、この大震災がなかったならば六月までに結論を出すはずでございましたけれども、途中で中断した分、その分議論が遅れたということは事実でありますが、この間、党内で経済連携のPTにおいて二十回、五十時間以上の議論を経て、最終的に私たちの結論としては、TPP交渉参加に、交渉に向けて関係国との協議に入るという結論を出したということであります。

 当然のことながら、御提起のあった情報提供については、これはしっかりと提供していきたいと思います。関係国は何を我々に求めるのか、情報提供をし、十分な議論を経て、最終的には国益を踏まえて結論を得たいというふうに思います。(発言する者あり)順番で御質問があるからお答えをしているんです。

 そこで、国益とは何かというお話がございました。

 国益というのは、まず、プラスで我々が何を取れるかということだと思います。一つには、今、知的財産のお話もございましたけれども、例えば模倣品であるとか海賊品とか、まさにはんらんをしているときに、被害総額だけで一千数百億と言われています。そういうものをなくしていくということ、これは一つのルールづくりであります。

 加えて、アメリカとかオーストラリアとニュージーランド、あるいはこれから入りたいと言っているカナダを含めて、個別に今、TPA、TPP、じゃなくて、FTA、EPA、結んでいません。これらの国に今関税を二千億ぐらい払っています。そういうものをだんだん低くしていくということも、これも国益だろうというふうに思います。

 一方で、守るべきものはあります。それは何かというと、農業であったり、この間も記者会見で申し上げましたけれども、日本の伝統文化、美しい農山漁村は守り抜かなければならない、日本の誇るべき医療制度を守らなければならない。守るべきものは守る、勝ち取るものは勝ち取る、これが私どもの基本的な協議に臨む姿勢であるということでございます。

 逆に私もお尋ねをさせていただきたいと思うんですけれども、私は、三年前、二〇〇八年の十一月二十八日に衆議院の外務委員会で、初めてTPPの質問をしています。そのときは、ブルネイとシンガポールと、そしてニュージーランド、チリ、P4に加えて、この年にアメリカとオーストラリアとペルーが加わると。APECというのは、二十一、国と地域、参加しています、エコノミーといいますが。そのうちの三分の一が参加するような動きになってきた。それを受けて、国会で多分私が初めて取り上げた質問だと思います。

 そのときに、当時の外務大臣は中曽根先生だったと思います。中曽根先生は、FTAAPの道筋は意義として認めて、二〇一〇年までにビジョンを作るというようなお話をされていました。補足の質問でTPPについて具体的に日本はどういうスタンスなんだとお尋ねをしたときに、当時の副大臣は、この動きに高い関心を持っている、これから真剣に検討を進めてまいりたいとおっしゃいました。

 あれから三年たちます。我々はこの一年間で検討を進めてまいりました。当時の自公政権の下で検討を真剣にすると言って、三年たちました。今、御党のTPPについての立ち位置はどういうことなんでしょうか。明確にお答えをいただきたいと思います。

谷垣禎一君 今、お問いかけだから一つ申し上げます。

 三年前とおっしゃいました。私ども、一年間はその間政権におったわけですね。二年間は民主党政権です。そして、その中で、果たして情報があったのか。

 一つ申し上げますと、ウルグアイ・ラウンドをやったときは、あのときは細川政権です。私どもは野党でございました。細川政権の交渉の中で、実は自民党にも、交渉の経過、どういうウルグアイ・ラウンドで交渉しているのかがほぼリアルタイムで私たちに情報を入れていただいておりました。

 今回、民主党政権になって二年間。そのような政府が持っている情報が私たちに伝わってきたでしょうか。ないんですよ。私は、そういうお問いかけをなさるのであれば、やはり政府の持っている情報を共有していこうというところからスタートしていただかなければいけないと思いますよ。

 それで、今申し上げた、抽象的には総理も国益をおっしゃいました。美しい農村を守りたい、抽象論としては分かります。しかし、これから私どもが問うていかなきゃならないのは、米はどうするのか、サトウキビはどうするのか、こういった個別の問題であります。

 それをやっていくときにもう一つ大事なことは、交渉はそれはしたたかでなければいけません。取るものも取らなきゃいけない。しかし、国内対策もしっかりやりながらやっていかなければならないのは当然のことだと思います。そういう方向性が出てこないと、これは国民も、一体何をやるんだろうか、不安でたまらない。今、そういうことに対しての確固たる方針が政府から示されたとは私は思いません。これからやはりそういう問題を問いただしていかなければいけないと私は思います。もっと、もっと具体的に政府は方針を説明していただきたいと思います。総理も、私の申し上げたことにもっと具体的な説明をこれからお願いしたい。

 それからもう一つ、この際に総理によくお願いしておきたいことが一つございます。

 やはりこういった状況の中で、TPP、今取り組まれている。しかし、それと同時に、円高対策あるいは空洞化対策、これらに対しても強力な打ち出しをお願いしたい。このことは総理にお願いしておきます。

 そして、次の問題、今度は消費税の問題に移らせていただきます。

 欧州を席巻する財政金融危機ですね、これは決して日本も対岸の火事だと、こういって済ましているわけにはいきません。我々も政権におりました時代、何度もいろいろな公約もし、それから平成二十一年度には税制改革法の中で、総理もよく御承知の附則百四条、抜本的な税制改革が必要である、平成二十三年度にはその法案も出さなければいけない、こういう法制度も、これは民主党反対されたわけでありますが、通しました。それから、昨年度の参議院選挙では、当面一〇%の消費税が必要である、こういうことを公約に掲げて選挙を戦ったわけであります。

 我々、一応それを党議決定をしたわけですが、政府も、野田総理もこの問題に取り組むとおっしゃってきた。しかし、政府部内のいろいろな動きを見ますと、果たして年内にきちっと取りまとめをされるのか。それに対する牽制球も、相当政府部内、与党部内で出ているように思います。

 そこで、総理に伺いたい。総理は、年内にきちっと、税率それから消費税の値上げの時期、こういうものを含んだ実施法案をまとめられ、そしてそれを閣議で決定されるのかどうか。そのことを伺いたいと思います。

内閣総理大臣(野田佳彦君) ちょっと先ほどのTPPについては、明確にその賛否についてのお答えがなかったように思います。

 私は、さっき言ったとおり、これは国の内外含めて明確に申し上げているのは、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る、これを国の内外で明確に申し上げております。それについて谷垣総裁は、十月十五日の民放のテレビにはそれに前向きな発言をされていて、協議に入らなくていいものかと御発言をされていました。その後、一週間後に、慎重派、いろんな方の意見があったんだろうと思います、慌ててバスに乗り遅れるなみたいな形で、そういうやり方というのはいわゆる日独伊の三国同盟に入るみたいな話だと極端にトーンダウンをしました。むしろ明確に、私は多分、今の私どもの姿勢については御賛成いただいていると思うんです。そこは是非、本音の話はお聞きをしたいなというふうに思っています。

 もちろん、情報が足りなかったこと、十分な議論ができなかったことはよく分かります。だからこそ、関係国と協議をする中で出てきた情報をしっかり提供して議論をしていくということであるということは、これはこれまで以上に取り組んでいきたいというふうに思います。

 その上で、今御指摘のあった社会保障を支えるための消費税の含む、これ抜本改革のお話でございますけれども、これについては六月にこれは政府・与党において成案をまとめました。その成案をまとめて、これから具体化の話をしてまいります。

 私はこの問題はどの政権であっても先送りのできないテーマだと思うんです。例えば社会保障、医療、年金、介護、将来の老後の不安を持っている方がたくさんいらっしゃる。加えて、それを支える人たちの人生の社会保障もしっかりしなければなりません。人生前半の社会保障もしっかりしなければなりません。そういうような改善をしていくということと、それから、やっぱり基礎年金の国庫負担、自公政権でも御苦労されたと思います。二十一年度は税外収入で対応されました。我々も二十二年度、二十三年度、これは苦しい予算編成を行いました。そのためのやっぱり恒久財源を確保しなければいけないということもあります。

 それから、今、一般歳出、教育や防衛や公共事業などの含めた一般歳出の半分以上を今社会保障関係費で、しかも自然増が一兆円ずつ増えていくという中で、ほかを切り詰めながら今支えるという状況です。そういう問題を乗り越えるためにも、社会保障の機能強化をしながらも、それを支える安定財源を確保するということはこれは避けて通れないし、これは自公政権時代に作った平成二十一年度の税制改正法の附則百四条にも書いてある。その法律を守るために法案を提出することは我々の義務だと思っています。したがって、御指摘のあった我々の考え方をまとめていくというのは、これは年内をめどに結論を出していきたいと考えております。

 もちろん、我々が素案を作った暁には、是非、自民党は協議に応じていただけるでしょうか。是非協議をしていただきたいと思うんです。なぜならば、二〇一〇年の自民党の参議院マニフェストには、当面消費税率一〇%上げるとしています。そして、それについてはまさに超党派の会議体をつくって協議をするということも書いていらっしゃいます。その後に出した財政健全化責任法においても、政府が素案をまとめたならば、これも超党派で会議体をつくると法律に書いていらっしゃいます。素案と書いてあります、あの法律には。間違いございません。

 ということは、我々の今言っていること、我々が素案をまとめたら、それは協議してくださいと言っていることと皆さんが言っていることは同じなんです。したがって、我々が案をまとめたならば、素案をまとめたならば、自民党総裁として、是非協議に入っていただく、そのことをこの場でお約束をいただきたいというふうに思います。

谷垣禎一君 協議、協議と総理はおっしゃいますが、その前に総理がどういう方向でやろうとしておられるのか、そのことは確認しておかなければいけません。

 まず、今伺ったのは、年内に税率、それから上げる時期、それを明確にしたものを閣議決定するのかと伺ったんです。この点、総理はお答えいただいていない。もう一回お答えいただきたいと思います。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 法案を提出する前には当然閣議決定しなければなりません。ただ、私どもは素案をまとめたら、これは財政健全化責任法にも書いてあるとおりです、素案を政府がまとめたならば、与野党協議を求めて会議をしていきます。その素案が更にバージョンアップするならば、それを大綱として、そして閣議決定をしていく、そういう段取りができるというふうに思います。

谷垣禎一君 まあ素案というんではなくて、きちっと成案を私は閣議決定していただきたいと思います。

 そして、幾つかその点に関連して伺いたいことがございます。

 まず第一に、税だけではなく社会保障との一体改革、こういうふうにおっしゃっているわけですね。そうしますと、その社会保障の中で何をやっていくのか。特にマニフェストではですよ、年金の一元化もお約束なさったはず、それから最低保障年金七万円を配るということもおっしゃった。それで、成案を作るときに、成案を作るときに、こういったことをやればどれだけ掛かるかということも検討されたはずです。一体どういうふうになっているのか、これは結局消費税の制度設計に大きく関連してきます。是非その点を、どういう検討結果だったのか、お教えいただきたいと思います。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 六月にまとめた一体改革の成案の中で、最低保障年金と所得比例年金を組み合わせた新しい年金制度についての方向性については記述をさせていただいております。それを踏まえてこれから具体的な検討をしていくわけでありますけれども、マニフェストに書いてありますとおり、これは二〇一三年度までに法案を提出をするという中でこれから具体的な検討をしていくということであります。

 ということは、ということは、例えば、抜本的な改革になりますので、根底となる例えば番号制度であるとか、あるいは、我々は歳入庁と言っていますけれども、保険料と税金を一緒に徴収する仕組みであるとか、そういうものとセットで制度設計をしていかなければなりません。そういう意味で、今回の成案の中では方向性を書いておりますと。

 一方で、じゃ、そのことがないからといって二〇一〇年代半ばまでにこの改革を行わないということとは、これは違うんです。今の現行の制度の改善の部分、最低保障機能の強化等々、やるべきことはあります。そのためを支える財源としても、これは税の改革をやっていかなければなりません。

 ちなみに、新しい年金制度を制度設計をして決めたとしても、それは相当な移行期間があります。先進国いろいろ見ましても、長いところで四十年であるとか、短いところでは十七年とか、いろいろありました。そういう移行期間があるので、二〇一〇年代の半ばまでに大幅にその財政需要が出るということは、これは別の話であることであります。

谷垣禎一君 今の総理のお話を伺っても、私も成案も読ましていただきました。しかし、今の総理のお話を伺っても、この最低保障年金をどうするのかとか一元化の問題は先送りをしているんだというふうにしか聞こえないんです。

 なぜこのことを申し上げるかといいますと、結局、最低保障年金も、児童手当と同じように、上位の所得の、上位一割はこれは所得制限を掛けるとしたって、最低保障年金をやればそれだけで消費税四%、恐らく四%だったと思いますが、四%上げなきゃいけないわけです。つまり、この問題は、消費税のどういうふうにしていくかという制度設計に深くかかわっているわけです。だから、今のお話にもかかわらず、先送りだけで果たして行くのかという問いを私はしているわけであります。

 それから、この消費税の議論のときにしばしばありますのは、やはりほかからも財源を見付けてくる努力をせよという議論があります。私は、こればっかり言っているのは問題の先送りだといって、全てこれに協調するつもりはありません。しかしながら、復興財源確保の観点からも、公的セクターが身を削るべきだという強い世論があることは総理も感じておられるだろうと思います。国家公務員給与削減を、これは当然地方公務員にも波及させるべきだというふうに私どもは考えまして、公明党と一緒になって法案を作成しました。

 この考えに総理も異存はないんではないかというふうに私は思っております。我々の考え方をそのまま受け入れてくだされば大きな改革になる。組合の論理にこだわらない総理の決断を伺いたい。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 先ほどの一体改革の関連でもありますけれども、やっぱり行政改革は不断の努力をしていかなければなりません。その上で、やっぱり公的セクターが、特にこのような復興にも様々な需要があって、その財源を確保するという上でも、公的セクターが頑張ってそれを支えるということがあってしかるべきだろうというふうに思います。

 したがって、私は今回、国家公務員の給与マイナス七・八%、削減をする法案を提出をさせていただいておりますので、是非その成立に向けて御協力をいただきたいというふうに思います。地方については、これはもう御案内のとおり地方公務員法があって、その法律に基づいてそれぞれの地方に対応をしていただくということがこれは基本だというふうに思います。

 というお尋ねで、今お答えをさせていただきました。私は、もっとまた総裁にお聞きしたいんです。さっきの消費税の話については、私の説明、私なりにしたつもりなんです。要は、御党はマニフェストで、参議院のマニフェストで一〇%引き上げると言って、そしてその後、財政健全化責任法を出すと言った。私は、もう手順の問題とかそういうことじゃなくて、本質論として、本質論としてこの問題を先送りをしないで一緒に議論をして、この国のためにこれ以上先送りをしないということで、そこで議論していかれるかどうか、そこの確認をもう一回させていただきたいというふうに思います。

谷垣禎一君 我々は、既に党議決定もし、方向も出しております。したがって、早く私どものところに付いてきていただきたいと、このように思っております。

 しかし、その上で申し上げたいことは、これはマニフェストに違反をしているのではないかと。消費税を上げるという決定は皆さんの二年前のマニフェストに違反しているのではないかということを私は問いたださなければいけないと思っております。

 総理はどこかで、マニフェストには消費税をやらないとも書いていないと、こういうことをおっしゃったと記憶しております。しかし、マニフェストの十六・八兆円でいろいろやっていこうという歳出の中には、いろいろなメニューが書いてございます。しかし、それを支える財源はどうするかということに関しては、無駄の削減によってその財源は確保できると。消費税については全く触れていない。つまり、そういったメニューを実現するのに消費税はやらないとマニフェストには書いてあったと同じことですよ。

 そうして、今の野田政権の閣僚の中で、二年前の選挙のときに消費税増税あるべしとおっしゃった方は一人もいらっしゃいません。野田総理も、それからこの問題の所管大臣である安住財務大臣も、二年前の新聞のアンケートには、この選挙の任期中、消費税を上げることには反対である、このようにアンケートにお答えになっているわけです。

 私は、こういうことを考えますと、マニフェスト違反は明白である。皆さんは、このマニフェストは国民との契約であるとおっしゃったはずであります。そして、総理がおっしゃるように、この消費税をやっていくことは国家の大事であります。沖縄の問題であろうと、消費税であろうと、国民との信頼関係なくして国家の大事を成し遂げられるはずがない。

 だから、私は、もう一度、野田総理は信を問うて足腰を鍛え直して出てこなければいけない、そうでなければ、うそのマニフェスト、民主主義の破壊に手を貸すことになる、そのことははっきり申し上げて、私、終わらせていただきます。(拍手)

会長(鈴木政二君) 時間が参りました。

 最後に、野田総理からの答弁を。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 簡潔にお話をします。

 いろいろ経緯があったと思います。だけど、先送りのできない課題だと強く思っています。だとするならば、同じ思いがあるんだったら、是非大いに議論をして、国民のために成案を得るようにお互いに努力しようじゃありませんか。お願いします。(拍手)

会長(鈴木政二君) 以上で谷垣禎一君の発言は終了いたしました。

 次に、公明党代表山口那津男君。(拍手)

山口那津男君 公明党代表の山口那津男です。

 野田総理とは初めての討論となります。正心誠意お答えいただきたいと思います。

 信なくば立たず、これが政治の基本であります。先ほど来議論がありましたけれども、昨日、沖縄防衛局長が不適切な発言で更迭されました。沖縄の人たちの気持ちをどれだけ踏みにじれば気が済むのか、とんでもない話だと思います。

 県外、国外と沖縄の人たちをその気にさせておいて、結局は辺野古で、沖縄、頭越しに決めてしまったのは民主党政権じゃありませんか。そして、そこまでしながらまたしても、この沖縄の人たちを侮辱するような言動は到底許されるものではありません。

 野田総理、沖縄の皆さんにあなたはどう説明をされますか。テレビを見ていらっしゃる沖縄の方々に、この場でもう一度、野田さんの気持ちをお伝えください。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 普天間の移設問題については、政権交代以降、当初は県外移設も含めての検証をさせていただきました。最終的には日米合意に基づいての対応をするということになりましたけれども、この間、紆余曲折があった中で、県民の皆様に、沖縄の皆様に御迷惑をお掛けしたことをまずおわびしなければいけないというふうに思います。

 その上で、その上で、日米合意に基づいて、そして沖縄の負担軽減を図りながら、一刻も早く普天間の危険を除去しようという取組をしているさなかにおいて今回の御指摘のような沖縄防衛局長の発言が出たということは、弁解の余地がございません。

 私は、正心誠意、皆様に御説明をするように徹底をしてきたつもりでございましたが、残念ながらそういうことではなかったということは、まさに沖縄の皆様に心からおわびを申し上げたいと思います。

山口那津男君 沖縄に自ら赴いて、県民の皆さんに直接総理のお言葉を伝えていただきたいと思います。

 さて、東日本大震災で避難生活を余儀なくされている方々はいまだに三十三万人に上ります。改めて、被災者の方々に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 もう被災地では雪が降り始めています。本来であれば、雪の降る前に避難生活に希望の明かりをともしてあげたかった、それがみんなの気持ちだったはずです。ここまで遅れてしまったこと、これに対する、財務大臣をやり、総理にある、その任に当たってこられた野田総理大臣の責任はあります。そして、我々公明党は、その復興のために全面的に協力するという立場で具体的な提案を七百二十二項目にわたってやってまいりました。これからも基本的に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 そして、野田総理が就任されてから第三次補正予算が成立したのは、既に三か月を経過してしまいました。政府の東日本復興構想会議の五百旗頭議長の言葉を借りれば、秋の深まるころには被災地で復興のつち音が高く響くことを期待していたと、いかにも遅いと、こういうお言葉でありました。それをかみしめていただきたい。その上で、その上で、被災地の中でも特に福島は、福島の再生なくして日本の再生はないと総理は述べてこられたわけでありますから、来年の正月は福島から復興の陣頭指揮に立つ、これを行っていくと、それぐらいのことをやっていただきたい。スピード感を持って予算の執行と復興の推進に当たっていただきたい。

 総理の決意を改めて伺います。

内閣総理大臣(野田佳彦君) 山口代表を中心に公明党の皆さんからは様々なこの復旧復興に向けては御提起をいただき、また予算編成やあるいは様々な法案において御協力をいただいていること、まずは心から感謝を申し上げたいというふうに思います。(発言する者あり)自民党もそうです。失礼いたしました。御協力をいただいていること、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、私どもも復旧に万全を期すために第一次補正予算、第二次補正予算をつくり、そして成立をさせていただき、執行させていただいておりますけれども、その後の復興予算については、先ほどお名前が出てきた五百旗頭議長の下で復興構想会議をつくらさせていただき、そこで青写真をつくっていただきまして、そして復興の基本方針を七月の末にまとめさせていただきました。それを踏まえて今回成立をさせていただいた三次補正予算をつくったわけでございますけれども、御指摘のように、遅い、あるいはまだ支援が行き届いていないという御批判を受けていることは事実であります。

 真摯に受け止めて、まさに今これから寒さが本番となってまいりますので、一日も早く復興の事業が加速できるように全力を尽くしていく決意であるということでございますし、これからも引き続きそういう面での御指導をいただければというふうに思っております。

山口那津男君 福島の方々を始め被災地の方々は総理の積極的な取組を求めています。しっかり期待にこたえていただきたいと思います。

 さて、民主党は二年前の総選挙で、歳出の見直しなどをやれば十六・八兆円の財源を生み出すことができる、消費税は四年間上げないと、こうやって国民と約束をしてきたことはもう明らかであります。しかし、この度のG20の首脳会議の際には、二〇一一年度内に消費税率を上げる法案を提出する、さらに、この法案の成立を図った上で、実施をする前に国民に信を問えばよいと、こういう発言をされました。しかし、これは明らかに国民との約束を破る発言であります。

 そして、社会保障と税の一体改革と言いながら、増税だ、負担増だ、そういう話ばかりが先行して、肝心な社会保障の在り方をどうするか、ここに議論が及んでおりません。

 特に年金については、民主党は全ての年金を一元化して最低保障年金を含む年金の抜本改革をやると。そして、総理自身がこのほどの本会議で、二〇一三年にこのための法律を出すと、こうおっしゃっておられます。ならば、二〇一三年に出すと先送りするんじゃなくて、小出しにするんじゃなくて、今ここでその中身を明らかにして、そして社会保障の在り方、年金の在り方、さらには消費税がどうなるか、その全体像を国民に明らかになるようにここで示すことが重要だと思います。年内に民主党で考え方はまとめて、年度内にこの民主党の最低保障年金にかかわる新しい年金制度についても法案を提出していただきたい。そうでなければ、国民は一体何を議論していいのか分からないじゃありませんか。

 その点を明確に御答弁いただきたいと思います。

内閣総理大臣(野田佳彦君) まず、ちょっと誤解のないようにお願いしたいんですが、カンヌでいきなり私はこの話を申し上げたわけではありません。成案を六月に閣議決定してから、これまで、総理になるまでに、国会の答弁でも同じことを十回言ってまいりました。そして、総理になってからカンヌに行くまでにも十二回国会審議の中で御答弁をしていますので、これ、唐突にカンヌで言い出したことではないということは是非御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、まず社会保障の在り方を決めるところからがスタートではないか、これはまさにそのとおりだというふうに思います。社会保障と税の一体改革の議論をしていく際には、今、党の中では細川律夫さんを調査会長として、あるいは政府の中でも厚労省の下で審議会を中心で議論をしていますけれども、まずは個別の社会保障の在り方をまとめていく、こっちが順番だと思います。

 それを支えるための安定財源をどうするかという議論の中で、消費税を含む税制の抜本改革の議論をするということでございますので、ようやく予算が成立をし、関連法案も皆様の御支援のおかげで成立をしてまいりましたので、この議論を本格化していきたいと思いますが、あくまで社会保障を支えるためのまさに安定財源としての消費税という位置付けで議論をしていくということであります。

 その上で、最低保障年金含めての新しい年金制度の議論は、これは成案にも書いてありますとおり、また本会議でも御答弁をさせていただいたとおり、二〇一三年に法案を出す準備を加速をしていきたいというふうに思います。

 でも、それがないからといって、例えば最低保障機能の強化の問題であるとか、年金でも手当てをしなければいけないものがあります。あるいは、さっき申し上げたとおり、基礎年金の国庫負担二分の一を実現するとか、自然増を実現するとか、そういうものを含めても社会保障を支えるための税財源の確保は必要だという認識ですので、是非話合いの場に応じていただければというふうに思います。(拍手)

会長(鈴木政二君) 時間が参りましたので、最後に山口公明党代表、お願いします。

山口那津男君 はい。最後に申し上げます。

 国民は、苦い薬を飲めば健康になると思ったのに、その後に痛い注射を打たれたんじゃ困るんですよ。その意味で、一遍に健康になる手だてを国民に示してください。

 それを申し上げて、終わります。(拍手)

会長(鈴木政二君) 以上で山口那津男君の発言は終了いたしました。

 本日の合同審査会はこれにて散会をいたします。

   午後三時四十九分散会


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