衆議院

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第3号 平成13年2月22日(木曜日)

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平成十三年二月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    阪上 善秀君

      滝   実君    橘 康太郎君

      谷  洋一君    野中 広務君

      菱田 嘉明君    平井 卓也君

      宮路 和明君    山本 公一君

      伊藤 忠治君    大出  彰君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    松原  仁君

      山井 和則君    山村  健君

      渡辺  周君    高木 陽介君

      山名 靖英君    佐藤 公治君

      大森  猛君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      滝   実君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   総務大臣政務官      景山俊太郎君

   財務大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長

   )            金澤  薫君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   高原 耕三君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  松崎 公昭君     渡辺  周君

  春名 直章君     大森  猛君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  周君     松崎 公昭君

  大森  猛君     春名 直章君

    ―――――――――――――

二月二十二日

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成十三年度地方財政計画)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長香山充弘君、総務省総合通信基盤局長金澤薫君及び総務省政策統括官高原耕三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田並胤明君。

田並委員 おはようございます。民主党の田並胤明でございます。

 本年の一月六日に、省庁再編に伴いまして、新しく発足をした総務省の初代大臣に御就任をいただきました片山大臣にまずお祝いを申し上げる次第でございます。あわせて、副大臣及び政務官に就任された先生方にも心からお祝いを申し上げる次第でございます。

 三省庁が統合されて新しくできた総務省というのは、昨日の当委員会で片山大臣が所信で述べられましたように、地方行財政、情報通信、郵政事業など、国民生活の基盤に大きく、しかも広くかかわる行政を所管いたします。ややもすると、三省庁が一緒になったということで、あるいは縦割りの弊害というのが出るかもしれませんが、ぜひ一日も早く、三省庁統合による融和に努められまして、一体となっていただいて、国民の皆さんによりよい行政サービスが提供できるように、ひとつ大臣以下努力をされることを心から期待申し上げる次第でございます。

 三省庁統合の問題につきましては、後ほど同僚議員の方から質問させていただきますが、私の方は、以上申し上げて、以下何点かについて、大臣並びに関係副大臣の方に質問申し上げる次第でございます。

 まず、お祝いを申し上げた後にこういうことを言うのは大変失礼なのでございますが、森内閣の閣僚として、片山総務大臣がどういう政治責任を感じられているのか、このことについて第一点お聞きしたいと思います。

 御案内のとおり、国会では今、予算委員会を中心にして、KSDの汚職事件、外務省の幹部による内閣官房報償費の横領疑惑あるいはアメリカの原子力潜水艦による宇和島水産高校実習船えひめ丸の沈没事故、それに対する森総理の対応、ゴルフ場の会員権の便宜供与の問題、しかも、株価はきのうついに昨年来の最安値をつける、こういう問題が矢継ぎ早に発生をしておるわけであります。まさに、森内閣の政治責任が厳しく今問われている、こういう状況にあろうかと思います。

 しかし、森内閣には、国会の答弁やらもろもろの対応を見てみますと、その問題の解決の熱意も誠意も残念ながら感じられません。そのため、今国民の皆さんは、森内閣に対して大変な失望を感じ、また期待もしない、こういう状況になりつつあるのではないだろうかと思います。

 例えば、最近のあるマスコミの世論調査を見ても、これはもう大臣も御承知のとおり、ひどいところでは四・何%という内閣支持率、一けた台についに落ちてしまいました。これはもう国民の皆さんが、森内閣は一日も早く退陣をすることが日本のため、国民のためになるのだという意思表示ではないか、このように考えるわけであります。

 森内閣の主要閣僚の一人であります総務大臣として、森内閣を評価するというのは失礼な話なのですが、どのように考え、また森総理に対して、閣僚の一人として、辞任をしたらどうだと、このくらい言う勇気を持っていただければ、次に大きな展望が開けるのではないか、このようにも思いますので、失礼な質問かもしれませんが、お考えをお聞かせ願いたい、このように思います。

片山国務大臣 冒頭、田並委員から、総務省及び総務大臣に対する大変御丁寧なお言葉がありました。感謝申し上げたいと思います。

 御承知のように、十二月五日に内閣改造で入閣いたしましたが、当初は郵政大臣、自治大臣、総務庁長官を兼務させていただきまして、一月六日の中央省庁再編で総務大臣を拝命いたした次第でございます。大変大きな役所でございますから、三つの省庁の今までの殻を脱ぎ捨てて、融和、結束してほしい、新しい省としてしっかり仕事をしてほしい、こういうことを申し上げているわけであります。

 今お尋ねがありましたが、私、今度入閣してみまして、この内閣は、大変見識のある有能な閣僚が本当に多いと思います。当面、いろいろなことがありますが、当面する諸課題を各閣僚が持ち場持ち場でしっかりとこなしていくことによって、支持率のお話がございましたが、私は、国民の御理解や評価が上がっていくのではなかろうか、そのために閣僚が一致して努力しなければいかぬ。森総理には、その先頭に立って頑張っていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。

田並委員 閣僚としては、それ以上のことは言えないのでしょうけれども、しかし、各閣僚が有能であればあるほど、リーダーシップを握っている総理が、さらにその有能な閣僚の才能を引き出すような努力をするべきだと思うのです。

 いずれにしても、国民の意識というのは先ほど申し上げたところにある、こういうことをひとつ肝に銘じていただきまして、これからの対応を期待するところでございます。

 次に、郵政事業の民営化論について大臣の所見を伺いたいと思います。

 ここのところ、日経新聞でも「郵政事業を再考する」ということで、きのうきょうと、きのうが民営化論、きょうが郵政三事業はいわゆる公社にして効率化をすべきだというのが出ておりましたが、以前に元郵政大臣をやられた、それこそ自民党の中では大幹部でございますが、森総理を支えている方と、これは政治評論家というのでしょうか、経済評論家というのでしょうか、マスコミの関係の仕事をやられた方との対談が文芸春秋に出ていました。

 これを見て、日本は民主主義の国ですから言論は自由ですし、表現は自由ですし、何を言ってもいいのかもしれませんが、ただ、その言っている中身が、少々私の認識と違う郵政事業論を展開されている、郵政三事業についての、どちらかというと、あれを読んだ国民の皆さんが誤解を受けられるような、そういう内容になっていますから、大臣にぜひ事実をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。私もそう思うのですが、聞かせていただきたいと思うのです。

 一つは、こういうことが書いてありました。郵政三事業は既に税金の金食い虫になっている、赤字の郵政事業は即民営化すべきだ、こういう発言、記事が載っておったのです。

 その中で、例えば、簡保福祉事業団の経理が公開をされたら不良債権が噴出をする、相当な赤字のはずだ、簡保の逆ざや損は九九年度で一兆四千億円とも一兆円とも推測されている、郵政省はその運用実績を上げているというように主張しているけれども、ふたをあけてみたら真っ赤という可能性も十分ある、こういう記述ですね。

 それから、もう一つは、郵便事業も大赤字で、郵便事業は確かに赤字ですよ、総務省の発表のとおり。九九年度は、郵便貯金と簡保の特別会計から二兆一千億円を郵政事業特別会計に繰り入れて助けている、こういうことも書かれているわけであります。

 そして、最後に結びとして、国営事業だから、赤字になれば税金で補てんするしかない、郵政三事業は既に税金の金食い虫になっている、税金を浪費している郵政三事業は、税金も払っていないし、あるいは日本銀行準備預金や預金保険等の保証積み立てをする必要もない、これが民営化すれば、税金を納めてもらえるので、かなり財政も助かるし、よろしいんではないか、赤字の国営事業は直ちに民営化をしろ、こういう主張なんですね。

 郵政事業というのは、税金を投入しているはずがないのです、特別会計ですから。しかも郵政大臣を経験した方が、中身を知っていながらこういう発言をするということ自体、非常に奇怪ですし、国民の皆さんに郵政事業のうその内容を知らせている、こういう気がするのです。したがって、この点について、簡単で結構ですから、ぜひ答弁をいただきたいと思います。

片山国務大臣 今御指摘の対談を私も読ませていただきまして、中には誤解あり、事実誤認ありだな、こういうふうに思いました。

 今田並委員が御指摘のように、郵便事業につきましては、平成十二年度、十三年度赤字でございますけれども、累積ではなお十三年度末で六百七十二億円の黒字を維持できる。これは、平成六年一月から値上げしておりませんから、そういうことも私は関係があるのではなかろうか、こう思います。

 為替貯金事業につきましては、十三年度四千六百三十三億円の黒字、簡易保険事業につきましては、十三年度千六百十九億円の剰余金を見込んでおりまして、郵政三事業とも御指摘のように独立採算で、しかも健全経営の維持に努めておりますから、税金の金食い虫というのは私は全く当たっていない、当を得ていない、こういうふうに思っております。

 今後とも健全経営に努力いたしたい、こう思っておりますし、簡易保険事業につきましては、今御議論いただいておりますが、利回りが大変低下しておりますから、場合によってはその辺の対応をしっかりしたい、こういうふうに思っております。

田並委員 そのとおりだと思うのですね。

 次に、こういうことも言っているわけですよ。郵貯と民間銀行との提携が今オンラインで進んでいます。これが進むことによって国民が大変利便を受けているのですが、これができることによって、民間の銀行の資金が郵貯の方へどんどん流れていると。どうも郵政省がこういうことをやったのは、民間の金融機関の資金を郵貯の方に流し込むための手段として民間銀行とそういう提携をしたのではないか、こういう記事があるのですが、最近の郵政省の発表、郵政省じゃなくてほかの発表によると、新聞などを見ますと、逆に、郵貯の資金が民間の金融機関の方に流れている方が多い、こういう発表があったわけですね。そうすると、その事実と反するものですから、今どういう状況になっているのか、最近の状況について大臣の見解をひとつ伺いたいと思います。

片山国務大臣 今これもお話のございました、民間金融機関と郵便貯金とのネットワークの問題でございますけれども、国民の皆さん、大変便利になったと喜んでいただいておりまして、現在、二千百四十一社との間で提携を実施しております。

 今お話しのように、むしろ、郵便局から民間金融機関の方に資金移動が生じているわけでありまして、ATM提携サービスにおける一カ月当たりの資金移動額を見ますと、郵便局から民間の方には千五十八億円、民間から郵便局の方には八百九十三億円でございまして、差し引き郵便局から民間金融機関へ百六十四億円、資金移動が行われております。

田並委員 さらにもう一点聞きたいのは、郵貯資金と簡保資金、約四百兆あるけれども、そのうち、最大値で既に八割は不良債権化をしている、だから、郵貯や簡保に預けているお金は実際にはもう消えてしまっていて、通帳に記入されている金額というのは既に使われて、なくなっているのと同じなんだ、こう述べているのです。

 これは、もし民間の金融機関がこんなことを書かれたら、取りつけですよ。恐らくそんなことはないだろうというので、国民の皆さんは安心して預けているから取りつけ騒ぎは起きないですけれども、もしも不良債権化して、預金通帳には金額は載っているけれども、実際にはもうそれはないのだ、存在していないのだ、こんな話になればすぐにでも取りつけになりますよ。こういう、どちらかというと信じられないようなことがこの文芸春秋に載っているということ自体、大問題だと思うのですが、その辺、いかがなんですか。

片山国務大臣 今のお話しの点も私は対談で読みましたが、今まで郵貯の方は、法律によって資金運用部に預託することが義務づけられておりまして、これは資金運用部の特別会計から、期間が来たら郵貯の特別会計の方にきっちり返還していただく、こういうことになっておりますから、法律上これは担保されておりますから、全く問題ありません。簡保資金の方も財投機関等へ貸し付けておりますけれども、これは一定の手続を経て承認されて、今まで返済が滞ったという例はございませんので、全くこの点も心配はない。

 そういう意味では、あの発言は当を得ていないと私は思っております。

田並委員 この文芸春秋に関係してもう一つだけ聞いておきたいと思うのですが、ペイオフが間もなく始まります、一年延びましたけれども。これが行われることによって民間の銀行が不利になって、郵貯はさらに有利な状況になる、こういう記事が載っておったんですね。これをよく見ると、民間の銀行は一千万までは保証されるけれども、郵便貯金の場合は、特に、振替を利用すると何十億でも預けられると。

 振替というのは決済手段でございまして、預貯金のたぐいになるんですか、どうですかね。振替貯金とは言わないで郵便振替と言っているのですから、貯金という名前はついていない。たまたま郵貯が取り扱っているというだけです。したがって、これが果たして貯金としての機能というものを持っているのかどうか。振替口座は無利子ですから、利子は一銭もつきませんから、しかも、自分の口座から他人の口座に振り込むときには振出料がかかります、払い出し料がかかりますし、いろいろな手数料がかかるわけですね。自分から自分の場合は別ですが。ですから、これはちょっと、こういうのが当たるのかどうかというと、非常に間違っているのじゃないかというふうに思います。

 さらに、地方公共団体が預金をした場合には、郵便貯金の場合は利子に税金がつかないと。ところが、これは、民間の金融機関だって地方公共団体が預けたものには利子に税金はつかないんですよ。何かこの記述だと、郵便貯金だけが、地方公共団体が預けたものに対する利子に対して税金がかからない、こういう言い方でだけ言っているような気がするのです。これは間違いなく民間の金融機関も、地方公共団体が預けた預金の金利には税金はかからないはずだ、このように思うのですが、いかがですか。

片山国務大臣 今田並委員からお話しのように、ペイオフというのは一千万まで保証ですね。今郵貯の方も御承知のように一千万までですから、その点は民間と一つも変わらない、遜色はない、こう思っておりますし、それから振替口座の話は、これは預貯金としては扱われません。利子もつきませんし、これは単なる決済手段ですから、それをその議論に持ち込まれるというのは、大変我々としては不本意でございます。

 また今、地方団体の利子に税金がつかないのも、これも別に郵貯だけの話じゃございませんので、この辺も、私は大変な誤解を生むような発言だ、こういうふうに思っております。

田並委員 大臣の見解はわかりました。

 これからもこういう記事がいろいろな雑誌に載ったりすると思うんですね。総務省の立場というのは、その都度その都度反論するのは難しいかもしれませんけれども、余りうそのことを国民の皆さんに伝えるということはとんでもない誤解を生みますから、ぜひ適切な対策を立てていただきたい、このように思います。

 最後になりますが、例の郵政公社になるための法律、中央省庁等改革基本法に基づいて、二〇〇三年にはいよいよ郵政事業庁が公社に移行するということになりますが、この郵政公社化の準備状況は現在どういう状況で、制度設計がどの程度進んでいるのか、これについてございましたならば、お聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 御承知のように、郵政公社への移行は二年後、こうなっておりますから、総務省発足後直ちに、公社の制度設計を担当のところにお願いしておりまして、できれば本年中におおよそ制度の概要を固めたい、できれば来年の通常国会に郵政公社の法案を提出いたしたい、そういうことで今準備を進めておりますし、基本的には、公社の枠組みは行革基本法で書いていただいておりますから、国営、三事業一体、国家公務員、企業会計を導入する、民営化しないと基本法に書いておりますから、そのフレームの中でしっかりした公社をつくりたい、こういうふうに思っております。

田並委員 わかりました。

 重ねて、元郵政大臣が雑誌を通してそういうことを言うわけですから、これは同じ党の中のはずでございます。うちの方の党にも民営化を唱える人もおります。これはしようがないです、いろいろ表現の自由、言論の自由なんですから。ただしかし、法律として決まった以上は、その方向に沿って、総務省としても最大限の努力をしていただきたい、このことをお願いして、この点についての質問を終わります。

 次に、IT基本法関係について、これは遠藤副大臣でしょうか、小坂副大臣でしょうか。一番最初は、大臣にちょっと答弁を願いたいのです。

 というのは、昨年の年末の臨時国会で一応議決をされましたIT基本法の中で、五年以内に世界最高水準の高度情報通信ネットワークを形成する、そのために、内閣に総理大臣を本部長とするIT戦略本部を置いて、重点計画を作成したり、その計画を迅速に実施をする、そういう機能を持ったIT戦略本部を設置するんだということになっています。

 このIT戦略本部が既に発足をして論議が始められていると思うのですが、重点計画の現在の論議の状況、進捗状況はどうなっておるのか。IT戦略本部に出ておられる片山大臣の方から現在の状況を聞かせてください。

片山国務大臣 御承知のように、昨年の臨時国会でIT基本法を通していただきまして、それに基づく新IT戦略本部が一月六日発足いたしました。一月二十二日に、民間の戦略会議の御提言の基本戦略を国家戦略ということで承認いたしまして、e―Japan戦略、こう言いますけれども、それに基づいて重点計画を年度内に、三月末までにまとめる、こういうことで今各省庁、協議をいたしております。

 その中の中心的なテーマは、一つは、超高速ネットワークインフラの整備、公正な競争政策を促進する、それから電子商取引ルールを確立して環境整備をする、それから電子政府を実現する、さらには人材の養成、こういうことでございまして、その主要な部分は我が総務省の担当でございますから、現在、関係のところで鋭意策定中でございまして、来月中にはそれがまとまる、こういうことになると思います。

田並委員 関連して幾つか聞きたいのですが、もう時間がないので、一つだけ聞きます。

 一つは、例のIT基本法の第十八条に基づいて総務省、当時は自治省ですが、ITの基礎技能講習を推進するための費用を各自治体に交付決定をした。総額が四百八十四億六千四百万円。これは、各自治体に、四十五道府県ですか、交付決定をしたという記事が出ていました。

 この予算でいきますと、基礎講習を受けられる可能人員というのが五百五十万人程度、このようになっておりまして、私は埼玉ですが、もう既に埼玉も、県もあるいは市町村もその準備に入っておるのですが、この五百五十万人で基礎講習は終わらせてしまうのかどうか。

 というのは、本年度の総務省の予算を見ますと、載っていないのですね。予算に載っていないのですよ。そうすると、確かに昨年の年末の臨時国会の補正で通ったわけですから、恐らくあれが十二年度、十三年度にまたがる基礎講習の費用だということで、多分その推移を見てからまた後は考えようということなんでしょうけれども、国民の皆さんがあまねく高度情報通信の恵沢を受けて、しかも、だれでも安く、速く利用できるような情報通信社会をつくろう、こういうふうにIT基本法は決めているわけですから、そういう意味では、果たして五百五十万人という数字が妥当なのかどうか、これについてぜひ聞かせていただくということと、自治体の取り組み状況、今始まったばかりですから、まだ把握できていないと思います。

 何か、四半期ごとに全部状況報告を求めるのだそうですが、この金額が大変大きな金額です、約五百億円になりますから。これがばらまきにならないように、本当に基礎講習がしっかり受けられてその効果が上がるような、各都道府県の自主性に任せながらも、適切な指導体制というものは必要なのではないだろうか、このように考えますので、その辺についてお聞かせを願い、私の質問を終わりたいと思います。

遠藤副大臣 IT講習について御質問をいただきまして、ありがとうございます。これは、国民の皆さんにITの基礎的な技術を習得していただこうという趣旨で、平成十二年度の補正予算で五百四十五億円計上いたしましたところでございます。

 この交付金について、御指摘のように、既に四十五道府県に四百八十四億円については交付を決定いたしたところでございまして、その後、残る二都県、これは東京都と千葉県ですけれども、ここからも交付の申請がございましたものですから、平成十二年中に合計五百四十五億円すべてを全都道府県に交付することを決定したいと思っております。

 そして、この事業は確かに補正予算で計上したものでございますけれども、基金にいたしまして、平成十三年度末までの十五カ月間について事業を展開する、こういう趣旨にしておりまして、延べ五百五十万人の住民の皆さんに御利用していただけるように、地方公共団体にお願いをしているところでございます。地方公共団体では、既に具体的な計画をお立てになっておるようでございまして、平成十二年度中、十三年の三月まででございますが、この二カ月間だけでも大体八千五百講座、十六万六千人を対象にいたしましたIT講習会が実施できる見込みになっております。

 今お尋ねの五百五十万人でいいかどうかという御議論でございますが、これは十三年度が終わりました後、十四年度をどうするかという議論になりますので、慎重にお考えをお聞かせいただきながら検討を続けたい、こう思っておるところでございます。

田並委員 ありがとうございました。終わります。

御法川委員長 次に、荒井聰君。

荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。

 片山大臣、御就任おめでとうございます。個人的なことで大変恐縮でございますが、大臣がまだ自治省に御勤務なさっていらっしゃいましたときに、たまたま仕事で携わることがございました。大変有能な方、そして決断力のすぐれた方とお見受けいたしまして、それ以来、また、役人としても尊敬をしていたところでございます。そのような有能な方であっても、今の大変な、政局の難しい時期、そして初めて総務省という役所を率いていくということは、大変御苦労が多いかと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ところで、今度の行政改革で最初に一府十二省庁という数を決めてしまったがために、どうも行政改革で総務省という省をつくった、その意義ですとか意味ですとかが国民に大変わかりづらい。何となく、どこにも属さないものをみんな集めてしまって総務省という省をつくったのではないかという悪口さえ言われております。行政改革、地方自治、郵政、IT、これはどこにどういうふうに関係があって、これらをどういうふうにまとめていくのだろうかと大変危惧しているところでございます。

 特に、かつての霞が関、今もそうだと思いますけれども、局あって庁なし、省なしと言われて、総合的な政策がそれぞれの省でできかねているのじゃないだろうか、そういうような指摘もありました。

 そういう意味では、この総務省の行政というのをまとめていき、そして、国民の皆さんに総務省の仕事はこういうものなんだ、こういうことを私たちはやっていくんだというメッセージを出すお役目が総務大臣にはおありだと思うんですけれども、その点、お伺いしたいと思います。

片山国務大臣 荒井委員からも非常に御丁寧なごあいさつをいただきまして、大変感謝いたしております。

 総務省についての今お尋ねがございました。

 今回の中央省庁再編は、できるだけ行政目的別に大ぐくりな再編成をする、こういう基本的な考え方に基づいてなされたものでございますが、総務省の場合には、国の基本的な仕組みあるいは国民の経済社会活動を支える基本的なシステムを所管する、特に一番国民生活に身近な市町村の役場や郵便局も担当する、こういう行政機能を持つということで発足いたしたものであります。

 私は、やはり総務省が国、地方を通じる行政改革、行政の簡素化をやる、総務庁と自治省ですから。それから、これから二十一世紀はIT化、情報化の時代でございますが、これは政府部分が電子政府、電子自治体にならなければいけません。そのためには、これは総務庁、自治省、民間は旧郵政省がやる。そういう意味では、国、地方、官民挙げての総ぐるみのIT化はやはり総務省という形がいいんではなかろうかと。

 それから、今も申し上げましたが、一番国民に身近な行政機関は市町村の役場と郵便局でありますから、ぜひ私はこの両者に連携を持ってもらって、さらに国民福祉のために相乗した効果をぜひ出してもらいたい、こういうふうに思っております。

 確かに荒井委員御指摘のような御批判、御指摘も我々は聞いておりますけれども、それを乗り越えて、一つの省としてまとまった効果を出せるように頑張ってまいりたい、こういうふうに考えております。

荒井(聰)委員 住民にとって、公的な権力あるいは公的な機関、一番身近に感ずるのが市町村であり、あるいは郵便というものなんだろうと思うんですね。そして今、我が国の最大の政策テーマというのは、どうやって行財政改革をしてコストを下げるか、あるいは財政赤字を減らしていくのかということにかかっているんだろうと思うんですね。

 そのためにも、電子政府化という、ITを利用した、行政改革の手段としてITを積極的に活用していくという方向も大変有意義な方向だと思いますので、ただいま大臣のおっしゃいました、一番身近な公的な機関としてしっかりと行財政改革をやっていく、住民に十分なサービスをしながら、政府のあるいは地方自治体のリストラをやっていくんだ、そういう姿勢をぜひお示しいただきたいと思うんです。

 ところで、国の財政も大変な大きな赤字を抱えていますが、しかし、実は、国の予算の大半は、実態は地方自治体で使われているんですね。地方自治体がコスト削減といいますか、あるいは行財政改革を図ることが、私はある意味では国の財政赤字を改善していく上でも大変必要なことなのではないだろうかというふうに思います。

 しかし、今の地方財政計画はここずっと大変な赤字続きで、赤字が累積をしております。この解消というのは、もしかすると国の財政改革、財政の赤字よりももっと重たいものなのかもしれない。なぜならば、独自財源が非常に不足をしていて、財政赤字を解消するのを交付税制度に頼らざるを得ないという側面を非常に強く持っている。独自財源についても、外形標準課税の議論はされていると思うんですけれども、この点についてもまだまだ見通しが立っていない。

 そういう状況の中で、この地方の赤字解消というものを、どういう点に照準を当てて、どのぐらいの期間で、どういう方法でやろうとなさっているのか、その点についてぜひお聞かせ願いたいと思うんです。

片山国務大臣 荒井議員御指摘のように、現在の地方財政は毎年度大変な財源不足が続いておりまして、結局それは借入金で対応する、こういうことでございまして、平成十三年度末の残高は百八十八兆円になろうと。国の方が四百七十兆ぐらいでしょうか、両方合わせて六百六十六兆、こういうことになるわけで、極めて厳しい状況にありますし、赤字の総額は国よりは地方が少のうございますけれども、地方財政というのは単一財政ではありませんで、三千三百のそれぞれの主体の財政を集合したものでございますから、見方によっては大変国よりも厳しい、こういうことが言えようかと思います。

 そこで、どう地方財政を再建するんだ、立て直すんだ、こういうことでございますが、一つは、できるだけ地方の歳出の節減合理化をやる、これは相当各府県あるいは各市町村努力してやっておられますけれども、これをさらに徹底するということ。それからもう一つは、やはり景気が回復して税収が伸びないといけませんから、その関係の景気刺激の対策はしっかりやっていく。こういう両建てだろうと思いますし、さらに、地方分権一括推進法が施行になりましたので、次は地方税財源の充実だ、そのためには国と地方の関係をきっちり見直して、場合によっては、国から税財源の移譲ということを考えていただかなければいかぬと。

 ただ、国も大変厳しい状況ですから、やはり景気がきっちりした、自立で動くような、そういう段階になるときまで少し待たなければいかぬのかなと思いますが、いつまでも待っておれませんので、それはそれで我々としては十分議論し、関係のところとも話し合っていきたい、こういうふうに思っております。

荒井(聰)委員 一番財政問題に深刻な状況を意識せざるを得ないのは、私は地方公共団体の長だと思うんですね。ところが、今の地方公共団体の長の性格からいきますと、赤字になったら最後は何とか地方交付税などで総務省が面倒を見てくれるのではないか、自治省が面倒を見てくれるのではないだろうか、こういう甘えの構造といいますか、そういうものが今の地方自治体の中にややもすればあるのではないだろうか。この考え方を払拭しない限り、本当の意味で地方自治が成立していく、あるいは改革していくというエネルギーにならないんじゃないだろうかなというふうに思うんですね。

 私は、むしろ国の税財源を大幅に地方に移譲して、そのかわり地方交付税といったような制度は少し縮小していく、そういうようなことで、地方が税を取る苦しみといいますか、その責任をしっかり自覚するとともに、自分で集めたお金ですから大事に使う、そういう姿勢を地方自治体の人たちにしっかりと心の中に理解してもらう、そういう政策、対策が必要なのではないだろうかなというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 まさに荒井委員御指摘のとおりでございまして、私は、やはり地方分権、地方自治ということは、地方が自分で物が決められる、そのかわり、その決めたことには責任を持つ、こういうことだと思いますね。ところが、今までややもすれば、過保護でもございませんけれども、いろいろ面倒を細かく見過ぎまして、地方団体がやや依存的な、そういうマインドを持ったところも私はなきにしもあらずだな、こう思っておりますが、地方分権というのはまさに権限や事務を地方に移譲していく、こういうことでございますから、その権限や事務に合わせて税財源もできるだけ充実強化してやる、そこをつないでいく、そこで自己責任を持ってもらう、頼らずに。こういうことを今後とも考えてまいりたいと思っております。

荒井(聰)委員 私は、前、現職でありましたときに、地方分権推進法の法案作成に当時与党でございましたから携わりましたけれども、そのとき意外だったのは、実は市町村長の方から、地方分権ということで預けられると、何をしていいかわからないんだ、今のままの方がいいんだというような意見が結構あったということ。これはやはり地方自治を扱う人たちにとって、私たちにとってゆゆしき事態なのではないだろうか、本当は大変大きな問題なのではないだろうかというふうに思った次第でございます。

 ところで、その際に、介護保険法というのも私は携わりました。この介護保険という保険制度は、厚生関係の政策としては大変大きな政策で、いろいろな論議を呼んだのですけれども、しかし、実際に実施してみますと、現在は大変な混乱も生じております。混乱も生じているんですけれども、自分たちで決められる、あるいは自分たちでいろいろな仕組みを、工夫の余地があるということで、これを担当している市の職員や町村の職員が非常に意欲を持って元気いっぱいこれに取り組んでいる、そういう実態が片一方でございました。私は、介護保険というのは、そういう意味では、市町村に対して、地方分権というのは具体的にどういうことなのかということの学習効果としても極めて大きかったのではないかなというふうに思います。

 介護保険の件もそうなんですけれども、最近の市町村行政は、広域的にサービスを提供する、あるいはコストを考えると、広域的な視点から行政を変えていく、そういうことが必要になってきたのではないだろうか。その点からいきますと、医療のサービスについても、あるいはごみの処理についても、現行の市町村の大きさ、もちろん、大きな市町村もあるんですけれども、全国三千押しなべて見ますと、今の介護ですとか、消防もそうでしょうか、あるいはごみ処理もそうでしょうか、そういうものは現行の市町村の枠を超えてやっていかざるを得ないのではないだろうか。そこに市町村合併の大きな意味があるし、また、市町村合併をすることによって、多くのコストの削減、行財政の改革ということも可能なのではないだろうかというふうに思いますけれども、その点、大臣、どうお考えでしょうか。

遠藤副大臣 市町村合併について深い見識をいただきまして、ありがとうございます。

 確かに、介護保険制度の導入という形が、措置制度から選択制度、契約制度に変わったということから、それを主管する市町村におきましても、広域化で規模のメリットを追求していかないと難しいということが、一つ大きな市町村合併の契機になっていることは事実だと思います。

 確かに市町村合併を行いますことによって行政コストを削減できるというメリットがあるわけですけれども、それは単に削減するという意味ではなくて、地域の住民のサービスを充実するために地方の財政を健全化していくということが大きなメリットだと思います。

 ちなみに、ことしの一月二十一日に東京都の田無市と保谷市が合併をいたしたわけでございます。西東京市というのが生まれたわけですが、合併後十年間で、人件費を中心にいたしまして約百九十億円の行政経費が削減できるだろうということをみずから公表しているわけでございます。

 このように、今後、市町村におきまして、みずからの行政サービスを充実するために、みずからの経営基盤を安定させていくために市町村の合併を推進していきたい、こういうふうな機運が盛り上がってきていることは大変うれしいことだと理解をいたしておるところでございます。

荒井(聰)委員 もう少しこの辺について御議論させてください。

 総務省としては、今三千市町村、この三千市町村、どのぐらいの合併を考えておられるのか、あるいは、規模としてどのぐらいのものが先ほどの広域的な市町村行政としてふさわしいのかということを踏まえて、どのようなものをイメージされているのか、そういうものがございましたら、お聞かせ願いたいと思います。

片山国務大臣 合併につきましては、昨年の十二月に決めました行革大綱の中で、与党三党の方で千ぐらいを、今三千二百二十七なんですが、千ぐらいを、こういうことがありますから、その千ぐらいを念頭に入れて進めていくと。

 その千という数字に根拠があるのかということですが、大体三分の一ぐらい、こういうことでございまして、昭和二十七、八年から三十年の初めぐらいにかけての合併のときは、新制中学校を設置管理できる能力という八千だったんですね。

 これから進める合併は、人口は幾らだ、こういう議論があるんですが、それは私は、なかなか線が引けないだろう、こう思っておりますし、まだ一万以下の町村が五割ぐらいあるんですね。そういう意味で、できるだけそれ以上の人口を目指して、事務や権限移譲に対応できるようなしっかりした規模、能力を持つ市町村をつくっていこう、こういうふうに思っております。

荒井(聰)委員 私は地方分権推進法の設立のときに随分議論させてもらったんですけれども、そのときも、教育というものだけが地方分権化されていない、教育委員会があって、知事部局が直接タッチできないというその状況はおかしいではないか、現実に私立高校や私立の文教施策については知事部局が一括やっているのにもかかわらず、教育委員会制度という制度を地方分権の問題からいってもそろそろ改めるべきではないかと。

 最近、教育問題が大変いろいろな点で深刻化していて、またその改善点などについてもいろいろなところで議論をされていますが、この教育の問題は、制度の面からあるいは地方分権という面から議論している点はないように思うんですけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。

遠藤副大臣 地方分権改革につきましては、平成七年と今おっしゃいました地方分権推進法の制定というのが大きな契機になりまして、その後同法の基本理念に基づきましてさまざまな改革がされまして、特に最近では地方分権一括推進法という形で推進がさらに強化されたところでございまして、今から考えてみますと、平成七年の地方分権推進法の制定ということが大変大きな意味があった、このように評価をしているところでございます。

 この中で、教育分野についてお尋ねがありましたが、特にこの地方分権一括法におきましては、教育長の任命承認制度の廃止をいたしましたり、あるいは公立図書館長の司書資格規制の廃止などを行いまして、二十一本の関係法律の改正を行いまして、国の関与の見直し、必置規制の縮減とか権限移譲などの措置を行ってきたところでございます。

 今後さらにどうするかという議論はございますが、教育委員会というのはやはり、教育の中立性を担保するという意味で設立された経緯がございまして、こういうことは慎重に検討をする必要がある、このように考えているところでございます。

荒井(聰)委員 教育というのは一番身近な住民サービスなんだと思うんですね。住民サービスといいますか、もっと意味のあるものなんだろうと思うんです。一番よく知っている人がやはりそこに携わっていくというのが地方分権の意味であり、意義であろうと私は思うんです。ぜひこの点、政府としても十分御検討いただきたいと思うんです。

 ところで、我が党は、景気対策として公共事業がそれほど効果がなくなっている、したがって、公共事業でじゃぶじゃぶ使って財政を悪化させる、そういうような政策は間違いではないかという指摘をしております。しかしながら、今度の地方財政計画あるいはここ数年の地方財政計画でも、国のこういう政策と軌を一にするようにして公共事業の地方単独事業というのをかなり計上しているだろうと思うんです。

 しかし、実際は、市町村長は、景気対策もにらみながら地方単独事業を執行しているというのが実態だと思うんですけれども、その地方単独事業の実際の効果を余り認識をしていない、認識をしていないというか、効果がない、むしろそういう認識に立っていて、地方単独事業を抑制ぎみに執行しているのではないか、それが決算状況にも出ているのではないかと私は思うんです。にもかかわらず、地方単独事業をかなり高く見積もっているというか、あるいはやれという指導の仕方をしているのではないだろうか。

 この点、私は、むしろ市町村長の言う方が正しいのであって、総務庁や自治省はその意向を政府にはっきり言うべきなのではないか、公共事業の時代は終わったよということを政府の中で言う資格があるとすれば、総務省なのではないだろうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

遠藤副大臣 確かに、現下の地方財政は大変厳しい状況にございまして、地方単独事業につきましても、地方団体の皆さんは概して慎重な対処をされているというのが実態ではなかろうかと思います。

 しかしながら、この地方単独事業というのは、住民に身近な社会資本を蓄積していくという意味で大変重要になるものでございますし、地域経済の下支えにもなる大変重要な施策であると考えております。したがいまして、地方の実情に応じまして積極的に対応していただきたいという気持ちを持っております。

 平成十三年度の地方財政計画につきましても、今度のIT革命の推進等地域の発展をしっかりやっていくという意味で、日本新生緊急基盤整備事業として約三千億円を創設しておりますし、あるいは地域経済に即した事業を機動的に実施できるように、臨時経済対策事業として八千億円を引き続き確保したところでございまして、より住民に身近な中身のある単独事業を推進していただきたい、このように考えているところでございます。

荒井(聰)委員 地方の職員、特に公共事業に携わる職員は、ここ数年、補正予算でありますとか景気対策で大変過重な労働を強いられているというのが実態なのではないかと思うのですね。それにもかかわらず、公共事業に携わっていると、何となくうさん臭く見られている、私は、職員の人はかわいそうだなと思うことがたびたびあるのでございます。

 そういう中で、地方自治体の官製談合とかあるいは入札妨害罪といったような形で、公共事業にかかわる人たちの間でどうもモラルハザードが非常に強く発生しているのではないだろうか。これなどは、入札の改善策も含めて、モラルの復活というのをぜひ総務省が中心になって旗を振っていただきたいということをお願い申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、伊藤忠治君。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。

 省庁再編で総務省が新たに誕生いたしまして初の委員会の審議になるわけですが、その最初の日に質問をさせていただくということは、私にとっても、橋本政権以来一連の行政改革、とりわけ行政改革特別委員会の省庁再編などにかかわってまいりました一人として、非常に意義深い機会である、このように思っているわけでございます。

 したがいまして、これからの問題というよりも、これまでの重要問題の経緯がさまざまございまして、その経緯を受けて、これから二十一世紀に向けて、とりわけ重要な問題が発展をする。長い経緯を背景に持った問題も多いわけでございまして、そういう立場から問題点をピックアップして、きょうは、大臣初め皆様方に質問をさせていただきたい、このように考えております。

 時間もございませんので、せいぜい一つか二つぐらいだと思うのですが、まず、二月二十一日の朝日新聞の記事にこういう報道がございました。

 政府の規制改革委員会は、二十日、三月下旬に閣議決定する新たな規制改革推進三カ年計画に、NTTの持ち株会社の廃止と、NHKの一部民営化につながる放送衛星放送の有料化を織り込む方針を決定した、こういう報道になっております。

 この報道は、恐らく、レクチャーを受けられて、記者が記事に取り上げられたのだと思いますが、この規制改革委員会は、いわゆる行政設置法に基づきます三条委員会あるいは八条委員会、どのような位置づけになって設置をされているのか。これは大臣、副大臣、そのことだけで私は質問を事前に言っておりませんが、常識の範囲内でございますので、どういう委員会の性格なのかなということをまずちょっとお聞きするわけでございます。よろしくお願いします。

片山国務大臣 これは八条委員会でございます。それだけでよろしゅうございましょうか。

伊藤(忠)委員 了解しました。八条委員会ですね。八条委員会は合計で随分ございます、百を超えますね。

 これは諮問機関の一つなんですよ、そう理解していいわけです。だから、委員会のメンバーもおりましてというような格好になると思います。わかりました。

 それで、実は、持ち株会社の廃止ということがどんと前に出ているわけですが、この問題は、御承知のとおり、九六年の秋から九七年の通常国会にかけて行われましたNTTの再編論議に私自身も理事の一人としてかかわってまいりました。その国会審議当時の大臣答弁などを記憶しております一人として、記事を読みまして、その答弁とこれが全く違うではないかということを、どうも私は腑に落ちないという感じがしたわけでございます。

 当時、大臣や政府委員、担当の局長などはどのように答弁をされていたかということなんですが、私も当時の資料を持っていますので、それをゆうべ抜き出しまして見てみたのですが、読ませていただきます。これは堀之内郵政大臣が、当時郵政大臣として、六月十日に答弁されておりますが、こういうくだりでございます。

 この持ち株会社制度というのは、私は非常にいい知恵で皆さんが編み出したと思います。世界的には、さらにまた大きな資本の合同を図ることが世界的な流れにもなりつつあります。そういう面で、持ち株会社というのが浮かんできました。しかも、これはNTTのみへの特例ではなく、時代の要請というか、国会の方で独禁法の改正をする、こういう流れになったわけであります。最近の国際競争という問題、こういう事態を考えて理解をいただいたものと思っております。

 このように御答弁をなさっております。

 ここで強調されておりますのは、こういう点だと思うのです。国際競争が激化する中で、大きな資本の合同を図ることが世界的な流れになっている、持ち株会社方式によって、資本の分散を図らない、つまり、非常にベターな案だと高く郵政大臣は評価をされていたわけでございます。

 したがって、こういう答弁が出まして、私ども民主党としては、いろいろ問題点があるなというので議論を重ねてまいりました。国会審議を通じて、このような郵政大臣の答弁、私たちの思っていました疑念が解けましたので、最終的には、附帯決議をつけて民主党は賛成しました。そういう経過でございまして、非常にこの大臣の明快といいますか、考え方には私たちも評価をしたわけでございます。

 それで、実は、こういう大臣発言の背景でございますが、九六年の二月に、皆さん御承知のとおり、アメリカの通信法が改正されましたし、六月にはドイツの通信改革法が制定をされる。十一月にはBT、これはイギリスの二大企業と言っていいのですが、BTは国営から民営化を図ったわけですが、BTとMCIが合併をする。そして、世界市場のメガコンペティションが本格的にどんどんと進み出したという背景がございます。

 第二は、そういう世界的な情報通信の流れ、国際競争の激化の状況をごらんになった、時の橋本総理は、九六年の七月に、当時の郵政省に対しまして、大胆な規制緩和を行わなきゃいかぬ、そして、NTTの国際市場進出を促進されたいという異例の指示を出されました。この指示を受けまして、郵政省と当該企業が協議会を開きまして、その後の国際対応を決めていったことは有名な話でございまして、そのことが、言うならば一連の、持ち株方式で新たな事業展開を図っていくという再編成の大きなインパクトになったことは事実なのでございます。私たちはいまだにそのことを、橋本政権の、こういう国際的な視野で判断の時期を適切にやっていただいたということについては、高く評価をしているわけでございます。これがまず当時の堀之内郵政大臣の一項目めの答弁でございます。

 今のは参議院の答弁でございますが、さらに、衆議院におきまして、堀之内郵政大臣はこのように答弁をされております。今回NTTを持ち株会社の方式に再編成するという案が出てきましたのは、これを完全に三分割するということになりますと、資本的には非常に弱くなっていく、これが一番、NTTとしても今後の国際競争の中において大きな問題があるということが一つでございます。したがって、そういうことを考えますと、資本は一つに統一をして、それぞれの分野での努力をさせていくという体制、つまり、持ち株方式でございますが、これこそ日本方式の一番いい案であったと思います、このように、時の郵政大臣は答弁をされているわけでございます。

 つまり、ここで強調されている点は、御承知のとおり、持ち株方式に再編成するというのは、完全に三分割すると、資本的には非常に弱くなって、国際競争においては、あれ以降、今日の動向を見れば、御案内のとおり、少し弱ったなと思ったら、外資が来てMアンドAの対象にしてのみ込んでしまうというのは、もう日常茶飯事、起こっているわけですが、当時の再編成議論では、そういうことを視野に置いて持ち株方式で再編成するというのが、その時点ではベターな方法であったということを強調なさっているわけでございまして、今日においても熟読玩味すべき答弁である、私たちはこのように考えているわけでございます。

 少し長くなりますが、第三点として、時の郵政大臣が強調されました点がございますけれども、それは、基盤的な研究については、研究開発力を維持するために持ち株会社で一元的に行っていくという仕組みを大事にしたいというのは、谷電気通信局長もそのことを申されているわけでして、そういうさまざまな角度からの議論を経て今日の持ち株方式が誕生したわけでございます。

 ですから、これは、一番、関係者としても大変な御努力をいただいたわけでございますが、独禁法改正をやるというのは戦後の我が国では初めての試みでございまして、大変な抵抗がございましたが、それを何とか切り開いて新たなこういう方式をつくってきたという関係者の御努力は大変なものでございました。その点については、審議に終始参加をしてきました私としても、関係の皆さんの御努力を大変高く評価をさせていただいているわけでございます。

 そういう一連の再編成議論をやりまして、大きな組織を再編しますと、その後、落ちつくまでに大体三年ぐらいかかります。これはもう今回の省庁再編で皆さん方も随分そのあたりは身にしみられたと思うのですが、組織を本当に大改革するということはかなりな問題でございまして、一方では商売もやらなきゃいかぬわ、一方ではそのように再編せないかぬわというのは、やはりその間相当ロスがございますね。しかし、それは、国家的な戦略企業としてそういう位置づけをいただいたということで、関係者はかなり努力をして今日を迎えているわけでございます。こういう委員会の審議の中におきます大臣答弁あるいは当該局長の答弁について御理解をぜひともいただいておかないと、この改革委員会のように、そういう議論よりも何か別の観点からというか、別のサイドから議論をなさって、もしそういう結論が出るということになりますと、つまり、国会は唯一の立法機関でございますし、国会に対して政府は対応なさる責任を持たれるという立場からすると、これはいかがなものか、私はこのように考えましたので、そのように問題点といいますか、経過をくどくどと私は申し述べたわけでございます。

 当時、遠藤副大臣はたしか同じ逓信委員会ではなかったかと思いますので、そういう議論は頭にしかと入っていると思いますが、その点はどうでございましょう。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

遠藤副大臣 確かに、平成九年度のNTT法改正におきまして、私も逓信委員会の委員でございまして、御一緒に議論をしたことを、今懐かしく思い返しておりました。

 当時の国会の議論といたしましては、ただいまお話がありました持ち株会社制度の採用についてとか、NTTを完全民営化すべきであるとか、東西の料金の格差をどうするんだとか、あるいはユニバーサルサービスの確保をどうするか、政府の株の保有の義務をどうするのか、株主の権利保障をどうするのか、多角的な観点から総合的に議論がされました結果、ただいまお話がありましたように、持ち株会社を基礎にいたしまして、NTTを東西の二社そして長距離会社、このように分割をすることにいたしたわけでございます。

 当時は、なぜ持ち株会社制度にするのかというのは、ただいまお話があった御趣旨がいろいろな角度から述べられまして、特にユニバーサルサービスを確保するという意味では、経営といったものが大きな資本のもとで一体的に行われるべきではないのか、こういうふうな議論もあった。あるいは、研究開発というものが持ち株会社の中で行われることがよいのではないか、あるいは世界的な競争力を担保するためにもそうした方がいいのではないか、こんな議論がありまして現在の形になった、このように理解をいたしているところでございます。

伊藤(忠)委員 最後になりますが、時間の関係がございますので、あと七分間でしゃべりますが、大臣に、これはもう大臣にしてみれば当たり前だと言われそうですが、ちょっと述べさせていただきます。

 つまり、行政と諮問機関のあり方なんですね。

 それで、各省庁の大臣が諮問機関に諮られる場合は、恐らく、一定のテーマを設定されて有識者の意見はどうでしょうかと聞かれる、そういう場だと思うのです。諮問機関は答申という形でまとめることが意外と多いですね。しかし、それをしんしゃくするのは大臣の権限であり、責任ではないのか、こう思っているわけです。

 諮問機関、すなわち、これは審議会ということなんですが、行政上の権限や責任は存在していないと思うのです。にもかかわらず、最近の傾向としては、かなり声が大きくて、場合によっては何か主客転倒するようなケースも時たま見られがちな、そういう感じを私はしておるわけでございます。

 数を拾い上げますと、これは議運の場でも大変問題になるわけですが、三条委員会、八条委員会の一覧を私は持っておりますが、大変な数ですね。これも減らされてこの数なんです。省庁再編以前は二百数十あったと聞いております。現在、百ちょっとなんですね。

 そうすると、そういう諮問機関の皆さんの声も、当然、声が大きいのはいいので、それは大いに賛成なんでございます、そのためにお聞きするわけですから。それはいいのですが、何かそのとおりに行政が動かなかったらどうのこうのというような話が時たま出ますので、それはいかがなものか。やはり責任を持たれて、権限を持っておるのは大臣でございますから、だから私は、その点のけじめだけはきちっとしておく必要があるなと。そして、大臣が、言うならば法案として国会にお出しになると、立法府であります私どもとの対応になり、そこで議論が始まるわけでございます。本来そうあるべきであるし、またそうなっていなきゃいけない、このように思っておるのですが、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 今伊藤委員からいろいろお話もございましたし、遠藤副大臣からも経緯を聞きました。

 二月二十一日の新聞の報道は、必ずしも正確ではございません。規制改革推進三カ年計画を年度内にということは、来月中につくろうと、今総務省が中心で各省と協議しておりまして、もちろん、規制改革委員会の意見をお聞きしますけれども、この計画は最終的には閣議決定でございます。閣議で政府が決める、こういうことになっておりまして、その中には持ち株会社の廃止を必ず入れるということを全く決めているわけじゃありません、現在作業中でございますから。その点はぜひ御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。

 総務省としましては、NTTの経営形態のあり方につきましては、昨年末に電通審、電気通信審議会から第一次の答申をいただいておりますので、その趣旨を体してやりたい。まずは現行経営形態のもとで最大限の競争方策を遂行することにより、可及的速やかに地域通信市場における実質的な競争を実現することを最重要課題、ちょっと役所言葉でございますから難しゅうございますけれども、現行の経営形態のもとで最大限の競争体制をとってもらう。そのために、この国会に新たな競争政策を盛り込んだ電気通信事業法の改正案を提出するつもりでございますので、また御審議を賜りたい、こういうふうに思います。

伊藤(忠)委員 ありがとうございました。

 これで終わります。

御法川委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。

 先日十九日、会社更生法の申請を行いました宮崎県のシーガイア、第三セクターが華やかなりしころ、民活法あるいはリゾート法という法が制定されまして、その後こうした地域振興型、地域開発型の第三セクターが次々に設立をされました。特に、この宮崎県シーガイアは、リゾート法の適用第一号であったということで、全国的にも大変に注目を浴びた施設でございました。

 私も、かつて静岡県の地方議会、県議会におりましたときに、ちょうど開園前、開設前のシーガイアに行きました。この中心部にございます大変な高層ホテルの一番トップに上がりまして、海岸線を見ながら、大変広大な敷地の中で、すばらしいリゾート、またすばらしい高級ホテルを見させていただいたわけであります。

 そんな中で、当時だれしもが夢を持ちました。特に、地方におりますと、地域の活性化、地方の活性化という言葉の中で、みんなバラ色の夢を見て、例えばコンサルタント会社でありますとか自治体が提案をする将来の町のパースというのでしょうか、予想図ができますと、あるところにはマリーナがあり、あるところには例えばヨットハーバーがあり、あるいは大変大きな複合型の施設がある。だれもが、バブルの中、地域の活性化、地域活性という意味においてみんなが夢を見たわけでありまして、これは決して宮崎県だけが責められる問題ではないということを大前提にして、我々のこれから得た教訓としてお尋ねをしたいわけであります。

 まず、このシーガイアの破綻、更生法を申請したということについては、さまざまな理由は関係各方面からも言われております。新聞の社説等でもいろいろ言われております。今さらながらこれを問いただすつもりはございませんが、この更生が認められるとすれば、基本的に、メーンバンクが第一勧銀、金融機関の債権カットということになるわけであります。そしてまた、この第一勧銀が九九年に融資を打ち切った。そして、今度は宮崎県が六十億円の救済を目的とした基金を積み立てました。二十五億円の緊急の経営資金を行いまして資金繰りをしたわけでありますが、例えばこの基金というものがどうなるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

 また、会社更生法を今回シーガイアが選択をしたということで、結果としてどのようなメリットが考えられるのか、先々どのような見通しを持っておられるのかということについて、まず、このシーガイアについてお尋ねをしたいと思うわけでございます。

遠藤副大臣 シーガイアと県、市とのかかわりについて最初に申し上げますけれども、出資金は県、市とも七千五百万円ずつでございます。貸付金の残高は三十四億四千万円でございます。これは平成十三年二月十九日現在です。それから、損失補償はいたしておりません。それから、補助金といたしまして、振興基金を通じた補助を二十六億五千万円いたしておる。こういう事実関係でございます。

 シーガイアの場合、今申し述べましたように、関係地方団体は損失補償は行っておりませんものですから、法的には財政負担は出資金及び貸し付けの範囲に限られる、このように認識をしております。

 この出資金、貸付金の取り扱いでございますけれども、更生計画の中で明らかになるということでございまして、現時点では、現実に損失が発生するかどうかということは未定でございまして、今後の会社更生手続の推移を見守っていきたい、このように思っています。

 基金につきましては、関係地方団体や民間が出捐をして観光リゾート産業の支援の目的で設置されたものでございまして、その一部が基金からシーガイアに対し支出されたところでございまして、補助金として支出済みのものでございまして、これについては回収云々の問題は生じないものと思料しているところでございます。

 また、もう一点でございますけれども、シーガイアが会社更生法を選択したメリットについていかんというお尋ねがございました。

 これは、会社更生法を選択したことによりまして、民事再生法と比較いたしますと、民事再生法では、再建案の決議に関する可決要件として債権者数の過半数の同意が必要なんですけれども、会社更生法を選びますと、更生債権額の三分の二以上の同意であり、これは整いやすいということで、そちらを選択した。あるいはまた、担保権を実行されるおそれがないという点がございます。民事再生法では、不動産担保権は別除権として取り扱われるために担保権の実行が可能でございまして、これはそちらではなくて会社更生法を選択いたしまして担保権を実行されないようにした、このようにいたしましたという説明を県から聞いている次第でございます。

渡辺(周)委員 テーマパーク、売上高でいきますと、一位が東京のディズニーランド、二番目が長崎県のハウステンボス、実はこのシーガイアが、日本の中のテーマパークとしては売り上げとしては全国三番目の規模であったというようなことが後でわかったわけであります。そんな中でありましても、結果としてさまざまな、現状の金融機関の抜本的な不良債権の処理の問題、また地方財政の非常に今厳しい状況、そして何よりも需要見込みというものが当初をかなり下回った、結果として、さまざまなバブル崩壊後の状況によってこういう結果になったわけであります。

 今後当然、このシーガイアに限らず、日本の各地でこうした第三セクターがこのような状況に恐らく追い込まれるだろうという懸念が大変あります。ですからこそ、旧自治省も、平成十一年の五月には第三セクターに関する指針というものを策定しまして、昨年には実態調査を行っているわけであります。民間の帝国データバンクによりますと、地域開発型の第三セクターの八四%が経営不振ではないかと言われておりまして、ここにいらっしゃる分析者の方の言葉をかりれば、まだこれから三百社ぐらいは破綻するのではないかというような指摘もあるわけであります。

 実際、このシーガイアに見られるような第三セクター、特にリゾート型の破綻、結果としてこれから各地で、先ほど申し上げたような経済情勢、金融機関あるいは出資企業の今後の連結決算の導入によって今後はかなり厳しい状況に追い込まれるだろうということを考えまして、今回のシーガイアの例に限らず、大臣として、第三セクターの経営状況、そして今後どのような状況になるかということについて、今どういう御認識を持っていらっしゃるのか。

 あわせて、先日二十日ですか、閣議後、記者会見で、せっかく大臣答弁いただくわけですから、例えばこのシーガイアについて、県全般の財政が困るとか仕事ができないという支障が出るようなら対応を考えたいというようなことを御発言されたようでありますが、宮崎県のみならず、今後どのような形で、自治体に対して、もしこういうことになった場合に支援を考えていかれるのか。そしてまた、地方財政の今後の見通しから含めて、御見識、御見解を伺えればと思います。

片山国務大臣 今、渡辺委員からいろいろお話がございました。

 最近の総務省の調査結果によりますと、対象は地方団体が二五%出資ないし出捐した法人でございますけれども、それによりますと、第三セクターのうちで商法法人形態のものでは約四割が経常赤字、民法法人形態のものでは約三割が経常赤字、こういうことでございまして、バブルの崩壊によりまして経済環境が相当変わってきたということ、また、できたのがバブルの前ないしはバブル中でございますから、ちょっとぜいたくにつくったようなこともありまして、あるいは経営のまずさもあるのかもしれませんが、赤字の累積等、経営が特に悪化している状況であります。

 そこで、今渡辺委員御指摘のように、平成十一年五月に、地方団体に第三セクターに関する指針を通知しまして、例えば、経営状況を定期的に診断しろ、情報開示をやれ、それからリストラをやれ、場合によっては存廃を含めて適切な対応をとれ、こういうことを言って指導してきているわけであります。

 シーガイアの例に見ますように、やはり第三セクターの経営悪化は地域経済や雇用に大変大きな影響を与えますし、地方財政そのものにも影響を与える。遠藤副大臣が言いましたように、基本的には出資の範囲内あるいは補助の範囲内、損失補償している場合は損失補償の範囲内、こうなりますけれども、そういう意味でいろいろな影響が大変あるのではなかろうか、私はこう思っております。

 そこで、シーガイアの際に記者会見で申し上げましたのは、シーガイアそのものの財政支援は全くできない、それはする必要もない。ただし、これのいろいろな影響なり、出資や補助あるいはふるさと融資等で宮崎県なり宮崎市等の全体の財政運営に大変支障が出る、問題になる、やれない、こういうことになるとすれば、それは今後検討しなければなりませんけれども、その場合には県や市の財政全体についてどういう対応ができるかを検討したい、こういうふうに申し上げたわけであります。シーガイアそのものではありません。

渡辺(周)委員 まさに第三セクターが今後危機的になってくるだろうということは、もうそれは御認識をされていると思いますし、実際、我々がバブルの最盛期に夢を見たことが、ここへ来て、本当にいろいろな形でツケとなって、負の遺産となって残ってきた。そしてまた、それを本当に目の前に今突きつけられているというところであります。

 やはりいろいろ言われるのは、お互いもたれ合いの中に生きて、共同責任と言いながら、責任の所在があいまいであった。よく言われますのは、公の信用を背景に民間は出資をした。しかし、いざとなれば公は何とかしてくれるだろう、これは、当時は金融機関がとにかく競うようにして、融資を浴びせかけるためには、本当に稟議もせずに公ということであるならばどんどんお金を出した、そういう時代でありました。これは、我々全員がある意味、反省をしなければならないことであります。

 そんな中で今情報開示という言葉がございまして、ここでまた大臣にお尋ねしたいわけであります。

 この第三セクターが経営悪化してきていることによって、地方財政に大きな影響を与える。今回も、宮崎の県議会に再建計画を出すという段階の直前に来て、更生法申請という手続がとられたわけでありますが、現実問題において、我々も今回のこの破綻を調べたのですが、なかなか第三セクターについての情報というものが得られないわけであります。情報開示を求めて住民の監査請求等が地方で幾つか行われているわけでありますが、そうはいいながら、形式上が例えば株式会社であるということからして、なかなか情報開示がされない。ですから、結果として、まず不透明であるということが、ここまでいろいろな問題を先送りしてきた一つの大きな理由じゃないかと思うわけであります。

 自治体の出資が二五%以上の法人が第三セクターである。実際、出資比率が五〇%以下の法人では、第三セクターには該当するんだけれども、首長には議会に対する報告義務であるとか説明責任というものが課せられないわけであります。この点については、先般の指針の中でも、問題を先送りせずにできるだけ情報公開に努めよというふうに、旧自治省の方でももう既にこういうふうな形で指針はされているわけでありますが、まだ残念ながらこの部分については徹底がされていない、そしてチェック機能もやはり働いていないというのが現状でございます。

 そのことを考えますと、将来の負担リスク、そして経営状況の透明化ということを考えれば、最低でも議会への報告義務が生じる出資の割合を引き下げて、そしてまた、第三セクターの定義を変更して経営状況が明確になるようにしていくことがまずは急務じゃないかと思うわけであります。まず、この情報の開示、透明化という点について早急に行わなければならない、この点につきまして大臣はどのようにお考えなのか、その点についてお伺いして、この質問を終わりたいと思います。

片山国務大臣 今渡辺委員御指摘のように、今の地方自治法では、地方団体の出資比率が二五%以上のものについては監査委員の監査を行う、五〇%以上のものは議会へ経営状況を提出する、こういうことになっておりますが、先ほど言いました平成十一年の指針では、たとえ自治法に基づく議会への報告義務がなくても、必要に応じて定期的に議会に経営状況を説明しなさい、外部監査制度を積極的に活用するなど監査を強化しなさい、それから第三セクターみずから開示を行うように指導を地方団体は強めなさい、こういうことを言っておりますので、現に滋賀県や沖縄県等では、出資が五〇%未満であっても公開する、議会に説明する、こういうことをやっている団体も出てきておりますので、状況の推移を見ながら、渡辺委員御指摘の点については検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

渡辺(周)委員 状況の推移を見ながらというお言葉でございますが、そうではなくて、やはり今これだけ第三セクターについてはかなりのデータが、民間のいろいろな団体あるいはマスコミも含めて出ているわけであります。これを見ますと、今後はどの自治体においても第二、第三の、規模は違えど、このシーガイアのようなことが当然あるし、またそういう爆弾を抱えているということは、まず自治体の担当者はもちろん思っているわけでありますから、ぜひともその点については、強い指導といいますか、今回のことを機に、地方分権の時代の中で国がはしの上げ下げまでという確かにあれもありますが、やはりこの点については早急な情報開示、透明化に努めるようにぜひ働きかけをしていただきたいと思うわけであります。

 もう一つ、別のことでちょっと質問をさせていただきたいと思います。第三セクターについては、また後の機会に改めて委員会の中で御質問したいと思います。

 もう一つの質問は、今夏参議院選挙が行われるわけでございまして、選挙制度のことと電子投票制度についてお尋ねをするわけであります。

 非拘束名簿方式、我々野党がルール無視だということで反対をしましたが、それを押しのけて、与党としては非拘束名簿式を導入されました。そしてまた、これによって事務作業が恐らく大変煩雑になる。先般も、新聞報道等によりますと、かなりの自治体が即日の開票が困難であるということを、アンケートなどをとると、大体言っております。

 確かに、これは、候補者の名前を政党の名前として置きかえる作業をする、しかも、地方区を抱えて、全国の非拘束名簿式を抱える、大変な事務作業になるわけでありまして、これからまだまだ各政党が候補者をどんどん我が党も含めまして擁立をしていくわけでありますが、現段階で即日開票が困難だというふうに表明している自治体が一体どのぐらいあるのか、それは全有権者数の割合でいけばどれぐらいに相当するのかということを、まずここでお尋ねしたいと思います。

 それから、投票所へ行きますと、今度は投票作業という部分におきまして、これは候補者の一覧というものが当然張り出されるわけですね。ところが、これは各政党が、比例区におきまして、あれは四十八人まででしょうか、これを幾つかの複数の政党が出すとなると、大変膨大な数になる。この名簿登載者の一覧などというものが果たしてどのような形で準備されるのか、その点についてはどう考えているのか、事務作業の点について、基本的なことでありますが、確認の意味を込めてちょっとお尋ねしたい。

遠藤副大臣 参議院選挙の即日開票が困難なところという質問がありましたが、本年一月末現在で、十三都道府県の百八十五市町村でございます。これは、有権者数にいたしまして約三千万人でございますから、総有権者の約三割ということでございます。

 それから、ただいまお話がありました名簿の掲示の問題ですけれども、この法律では、投票の記載をするところに限定をいたさないで、投票所全体の中で適切な場所に掲示をする、こういうふうに法律にはなっておりますものですから、比較的大きな字でわかっていただけるような形にして、政党別に名簿登載者の名前が皆さんにきちっと理解をしていただけるものになるように工夫をしてまいりたいと思っているところでございます。

渡辺(周)委員 この非拘束名簿式というのは、当然、ここにいるすべての委員もそうでございますが、一体どなたがどの党の方でと、大変に混乱をきわめて、まして有権者の方々にすると大変難解な制度、しかも個人名を書くというと、かなりの疑問票やかなりの誤記名などがあるのかなと思うわけですけれども、その点についてはぜひ徹底してやっていただきたいなと思うわけであります。

 ちょっと時間がなくなりましたけれども、そういういろいろな、投開票作業において非常に煩雑であるということが今言われたわけでして、十三都道府県の三千万人、全有権者の三割が翌日になるであろうと。

 そんな中で、先般、昨年ですか、片山総務大臣は、電子投票の導入についてはこれまで正直言って慎重だったけれども、新しいことも前向きに取り上げるべきだというような御発言をされました。森総理大臣も、IT時代だからやるべきだということを超党派の国会議員の研究会の中でも言われているということで、最後にお尋ねしたいわけでありますが、電子投票制度というものを法案として準備して導入する、この点について、現段階でどのような状況にあるのかということが一点。

 そして、もし仮に導入された場合、実際投開票作業に携わる、特に人件費の部分と、機械を導入するということについて、そのコストダウンはどれぐらいのメリットがあるのかということを最後に確認をしまして、私の質問時間が来ましたので、終わらせていただきたいと思います。

片山国務大臣 今電子投票制度についてのお話がありましたが、電子投票はそれなりのメリットはある、こういうふうに私は思いますが、今の選挙制度は自書、自分で名前を書く、こういう仕組みになっておりますから、もし電子投票ということになりますと、法律の改正が要るわけですね。

 それから、制度化につきましては、大変な議論があるので、私が今思っておりますのは、試験的に、自分のところはやりたい、こういう地方団体が出た場合に、それは認める、そういうことの法的根拠を与えるかどうか、トライアルですね、トライアルをやるところについて、トライアルができるようなことが考えられるかどうかということで、現在、公職選挙法改正の検討作業をいたしておりまして、関係のところ等の意見を聞かなければなりませんが、その上で、もしまとまるならばこの国会に出すこともある、こういうふうに考えております。

 それから、経費は、開票の経費ですね、開票の経費が大変楽になるわけでありまして、ただ開票の経費は、どうでしょうか、実際は六、七%でございますから、例えば五百億かかるとすれば四十億とかそういうことになるのじゃないでしょうかね。それは少し詰めておりませんので、見当としては開票の経費が大変ダウンする、こういうことでございます。

渡辺(周)委員 トライアルということについてはちょっと確認なんですが、やりたいという自治体があればやれるようにするという意味での法改正、できるということですか。その法案をこの国会中に出すこともあるということでしょうか。そこだけ確認して終わります。

片山国務大臣 トライアルですが、やりたい団体がある場合に、やらせるということの道を開く、こういうことでございまして、希望が幾つかありますので、よく調整いたしたい、こう思います。

渡辺(周)委員 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 片山大臣は、岡山県で副知事をなされるなど、自治行政に非常に明るい方と伺っております。私は昨年の総選挙で国政に参画した者であり、一回生でありますが、地元岩手県の県会議員を経験し、常に住民の目線で地方行政に身を置いてきた者であります。

 さて、今回の省庁再編で総務省は国土交通省ともどもマンモス官庁になりました。郵政省、自治省、総務庁の旧三省庁はそれぞれ専門性の強い職務を抱えており、うまく融合し効率的な仕事はしばらくはできないのではないかとの声も聞かれるところであります。また一方、地方自治体と全国の郵便局との協力体制を構築し、地方分権を推進する基盤を固めるなど、合併のメリットも多く期待されているところでもあります。

 そこで、最初に、初代の総務大臣としての基本的役割、そしてまた、その抱負についてお伺いいたします。

片山国務大臣 今黄川田委員からお話がございましたが、黄川田委員も市役所なり県議さんなど地方行政の大変貴重な体験をお持ちでございますから、よろしく今後ともお願いいたしたい、こういうふうに思っております。

 総務省は、お話のように旧郵政省、旧自治省、旧総務庁が一体となりまして、私は個人的にはかなり似通ったところがあると思っておりまして、ぜひそういうところを統合して相乗効果、総合効果を出したい、こう思っておりますが、その一つに、私はやはり郵便局と市町村行政との連携、連結、こういうことがあるのではなかろうかと。

 既に幾つかの郵便局でワンストップサービスのトライアルをやっていただいておりますけれども、これを正式に法律に根拠を与えまして、郵便局と市町村の合意の上で、例えば住民票の写しですとか納税証明書、印鑑証明書、戸籍謄本、抄本ですね、郵便局に行けば、役場なり支所でなくてもそういうものの交付ができる、こういうことを考えたらどうだろうかと。あるいは外務関係の郵便局の職員の方が十四万人ですか、十四万か十五万おられますから、そういう方に過疎地におけるひとり暮らしの老人等のケアを、いろいろな代行をやってもらう、声をかけるとともに。今これも一部の郵便局でひまわりサービスということをやっておりますけれども、これをもう少し広げたらどうだろうかと。そういうことで総務省ができ、旧郵政省と自治省が一緒になったことによって国民の皆さんの利便が増大した、福祉が進んだ、こういう形ができればいいなというふうに思っておりますし、先ほども申し上げましたが、国、地方を通じる行政改革、行政の簡素化あるいは国、地方、官民を通じる情報化の推進ということは大いにやってまいりたい、こういうふうに思っております。

    〔委員長退席、若松委員長代理着席〕

黄川田委員 大臣から御答弁いただきましたとおり、郵便局員はひまわりサービスで高齢者への元気づけあるいはまた日用品の買い物サービスですか、また最近ではバイクの自賠責保険の代行とかいろいろ、地域に密着した郵便局の存在が認識されつつあります。今後とも市町村との連携をよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、旧自治省関係の質問をいたします。

 昨今の厳しい財政事情を反映し、かつ地方分権時代を迎え、各自治体は独自の新税を工夫していると耳にしております。法定外税をめぐる各地方公共団体における取り組み状況はいかがでしょうか。

片山国務大臣 法定外普通税、目的税もありますが、法定外普通税の動きが、黄川田委員御承知のように、幾つか出てきておりまして、既に議会で議決を受けて、総務省の協議に持ち込まれたものもございます。例えば横浜市の馬券売上税でございますとか、また幾つか、神奈川県の法定外普通税等が。

 基本的には、課税自主権の強化ということは私は賛成でございます。ただ、税制はやはり安定性、共通性、統一性ということが一方で求められるので、そこの接点をどういうふうに考えるか、こういうことだと私は思いますけれども、それぞれ希望する地方団体と十分な協議、調整をしまして、認めるものはできるだけ認めていこう、地方税法上の条文がありますから、条文上で認めがたいものは、申しわけないのですが、それは御勘弁いただく、こういうふうに思っております。

黄川田委員 お話がありましたとおり、いろいろ検討されております。国の対応がおくれていることも、逆に自治体の独自課税を促す背景となっておるのではないかと私は思っております。

 自主課税は自治体の財政民主主義の点で評価されますけれども、他方、地方税財源の充実という点では過大な期待はできないと思っております。税源の充実は既存の税制の改革を前提として議論されるのが筋だと私は思っております。

 いずれにせよ、国から地方への税源移譲が最も必要と考えるわけであります。税源移譲については、どうも前の大臣からも景気回復を待ちながらという話でありますが、すぐさま取り組みを進めるべきではないかと考えるわけですが、片山大臣の御見解はいかがでしょうか。

片山国務大臣 景気の回復を待っているといつになるかわからないという意見もございますので、自律的回復軌道に乗りつつある段階で、国、地方を通じる財政構造改革の議論の一環として、税源移譲を含めて、国、地方の税財源配分のあり方について御議論賜りたい、幸い、経済財政諮問会議というのがありまして、御承知のように、これは中央省庁再編の一環として、経済運営なり予算編成の大筋を決めていこう、こういう諮問会議でございますから、恐らく諮問会議の中で国と地方のあり方、税財源の配分のあり方等も取り上げられることになるのではなかろうか、その中でも大いに議論していきたい、私はこういうふうに思っております。

黄川田委員 地方税財源の充実を目標とする第二の地方分権改革は強く求められておりますので、積極的な対応をよろしくお願いいたします。

 次に、国庫補助金については、地方の自主性を阻害し、あるいはまた、超過負担を生む可能性があるなど、問題が多々あると考えますが、どうでしょうか。

 また、国から個別の事業に対して補助を行うのではなく、一括交付金を交付し、地方公共団体の裁量に極力ゆだねるべきではないかと考えますが、この点についても御見解をお願いいたします。

片山国務大臣 補助金についてはいろいろな見方がありますが、一つは、地方の自主性を阻害する、こういうデメリットがあります。国が補助金をつけるものを優先して地方が事業化する、施策化して対応する、こういうことがありまして、地方の自主性をやはりそれは阻害する反面があると私は思いますので、最近は国の補助金も総合補助金だとかメニュー補助金だとか大ぐくりになりまして、その中で地方に選択してもらう、選んでもらう、こういうことになってきたのは大変いいことだ、こういうふうに私は思っております。

 今委員御指摘の一括交付の補助金ですか、交付金ですか、ちょっと中身が定かでございませんけれども、昔第二交付税という議論がございまして、今の交付税を第一交付税としますと。ただ、この第二交付税についてはいろいろな議論が実はありまして、御提言は御提言として慎重に検討させていただきたい、こういうふうに思います。総合補助金、メニュー補助金をふやしていく、そして零細な補助金はやめていく、これが基本だろう、こういうふうに私は思っております。

    〔若松委員長代理退席、委員長着席〕

黄川田委員 我が自由党としては、日本一新において、財政構造改革の一環として補助金制度の原則廃止と補助金相当額の地方への一括交付を主張しておりますので、ぜひとも具体的な取り組みをお願いいたしたいと思います。

 次に、最近、地方財政を圧迫しております第三セクターの問題に移ります。

 先ほど渡辺委員さんからもお話がありましたとおり、リゾート開発の象徴的存在でありました宮崎市のシーガイアの経営が破綻しました。その原因はいろいろ根深いものがあるのでしょうが、観光市場分析の甘さ、国、県、市と企業間の責任区分が不明確であったことなどが挙げられております。

 昨年十二月、旧自治省の調査によると、自治体が二五%以上出資する利益目的の三セクのうち四割が経常赤字だそうであります。経営が悪化しても、自治体の天下り先となっていることなどから抜本的対策をとらずに放置されてきたからでしょう。

 そこで、重複するところもありますけれども、具体的にお尋ねいたします。地方公共団体が出資している第三セクターの数と、その事業内容はどうなっているのでしょうか。また、リゾート法施行後、観光、レジャー関係の第三セクターがふえたのではないかと思いますが、その状況はどうでありましょうか。自治財政局長にお伺いいたします。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、地方団体が二五%以上出資している第三セクターにつきまして時系列的に把握をさせていただいておりますけれども、それによりますと、平成十一年一月現在で六千四百七十八法人ございます。

 事業分野を見ますと、行政補完的なサービスを行うものから地域開発関連まで非常に多岐にわたっておりますけれども、主なものを申し上げますと、観光、レジャー関係が一七・一%、教育、文化関係が一七・〇%、農林水産関係が一六・七%といったところに相なっております。

 御指摘がありました観光、レジャー関係の第三セクターの状況を見ますと、リゾート法が施行されました、これは昭和六十二年五月でございますけれども、その当時三百四十二法人でございましたけれども、平成十一年一月現在では千百五法人となっておりまして、七百六十三法人の増加となっております。

 以上でございます。

黄川田委員 大変多くの第三セクターがありますけれども、それぞれ厳しい経営、運営を強いられていると思います。

 そこで、地方公共団体が第三セクターに損失補償を行うことなどが、顕在化しない負の遺産となっており、地方公共団体の財政運営が圧迫されていると私は思っておりますが、その実態と、それに対する見解はいかがでしょうか。

片山国務大臣 総務省調査によりますと、損失補償を行っている第三セクターは、六千七百九十四法人のうち七・七%に当たる五百二十法人。出捐、出資はもちろん二五%以上しているものを対象にしておりますから、そういう出捐、出資あるいは融資、補助等があるものもあると思いますけれども、私は、地方財政そのものを大きく圧迫するようなケースは少ないだろう、こういうふうに思っております。

黄川田委員 先ほど渡辺委員さんからも御質問がありましたけれども、重ねて、総務省として、第三セクターの適切な運営が図れるよう、どのような取り組みをしていかれるのか。指針は、昨年ですか、出されたということでありますが、なお今後、本当に地方行財政、厳しい中にありますので、明確な、具体的なもの、すぐにでもとれるような形で指針に加えたものを出していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

片山国務大臣 平成十一年の指針についてはもう既に申し上げましたので、この指針のさらなる徹底を図りたい、こう思っておりますが、黄川田委員御指摘のような、ケースによっては経営状況が大変悪化していろいろな問題を起こしているようなところがあるかもしれませんので、そういうものにつきましては、ピックアップして、個別に協議に応じ、指導いたしたい、こういうふうに考えておりますし、情報開示等についても、先ほど言いましたように、さらなる強化、徹底を図りたい、こう思っております。

黄川田委員 時間も半分過ぎましたので、次に旧郵政省関係の質問をいたしたいと思います。

 今回の省庁再編で、郵便、郵便貯金、簡易保険の郵政三事業が、総務省の外局である郵政事業庁に移行されました。さらに、三事業は、二〇〇三年には国営公社に経営形態が変わる予定であります。

 そこで最初に、公社化について、どのような基本的な考え方であるのか、そしてまた、どのように取り組んでいるのか、お伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 これも既に一部申し上げましたが、今年中に郵政公社の制度設計を考えたい、それを法案化しまして来年の通常国会に御提案させていただいて御審議を賜れば、こう考えております。

 新しい公社の基本的なフレームは行革基本法の中に書かれておりまして、独立採算制のもと自律的かつ弾力的な経営をやることが一つ、国の関与は事前管理から事後評価に変えるということが一つ、企業会計原則の導入、経営情報の公開の徹底を図るということが三つ目、四つ目は職員の身分は国家公務員。国営事業、三事業一体、こういうことでございますので、この線で制度設計をいたしたい、こういうふうに思っております。

黄川田委員 また、あわせて、地域密着を図るべく、郵便局ネットワークの新たな活用など、郵政三事業の今後の展望について大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、郵便局は、今郵政三事業ですね、中心は。今後は、市町村行政と連携をして、ワンストップサービスをさらに拡充していくということが一つ。それからもう一つは、やはりこれからIT化を進める上では、デジタルデバイドの解消ということで、地方のIT化のかさ上げをしていかなきゃいかぬ。そのためには、郵便局に地方の情報化の拠点になってもらう。今、地域LANのイントラネット整備というのをやっておりますけれども、この中の拠点に郵便局は必ずなってもらう、こういうことを考えております。

 何度も申し上げますけれども、二万四千七百の郵便局のネットワークは国民の資産でありますから、この国民の資産は有効に活用してもらいたい、こういうふうに思っております。

黄川田委員 次に、さきの総理の所信にあったように、IT基本法に基づく重点計画を三月末までに策定し、五年以内に世界最先端のIT国家になることを目指すということでありますが、その達成について私は不安を持っております。特に、NTTは光ファイバーの全国整備に向けて取り組んでおりますが、光ファイバーだけではなく、既存のインフラである固定電話を使ったDSL、デジタル加入者回線なども活用して高速ネットワークを構築し、世界最先端のIT国家を目指すべきであると思います。

 このDSL方式は、既に韓国など海外では広く普及しており、NTTがみずからのサービスであるISDN方式にこだわり、他事業社がNTT回線を利用してDSLサービスを行うことに抵抗を示したため、その発展がおくれたと言われております。旧郵政省が世界の潮流に目覚め、NTTへ本格的指導を始めたのは、つい半年前であります。

 そこで、総務省として、規制緩和、市民サービス向上の観点から、このDSLの普及に今後どう対処していくのか、お伺いいたしたいと思います。

小坂副大臣 黄川田委員御指摘のように、結論から申し上げますれば、世界最先端のIT国家とするためには、DSLを初めとする広帯域加入者網の一層の普及が不可欠でございますので、そういった意味で全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

 委員御指摘のように、半年前に目覚めたという御指摘でございますが、昨年の七月に先行しておりましたISDNというサービスとこのDSLというサービスが信号の中でぶつかるのではないか、こういうような懸念がありましたが、そういうものはないということが確認できましたので、この後、NTTを指導いたしまして、全国展開に向けて他事業者に対応するように指導をいたしました。

 また、その後の、昨年末でございますけれども、加入者回線のいわゆる開放、アンバンドルと呼んでおりますが、このルールにつきましても省令を改正いたしまして、一層の他事業者の、多様な事業者のDSLサービスへの参入を可能としているところでございます。現在、一月で一万六千の加入者数に、一気に、半年ぐらいの間に五倍ぐらいにふえているわけでございまして、これからさらに加速度的に普及を図れるものと思料しているところでございます。

 また、今後、DSLサービス提供事業者に対しましては、税制上、財政上の措置を講ずることとしておりまして、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただきまして、委員の御理解も得ながら早期成立を図ってまいりたいと存じております。これらの取り組みを一体的に推進することによりまして、DSLの普及が一層促進されるように努力を重ねてまいりたいと存じます。

黄川田委員 先日、NTT東及び西からLモードについての申請があったと思います。

 このサービスについては、KDDIなどの他事業者から問題があるとの声があります。巨大なNTTによる電気通信市場の独占につながるのではないかと危惧するものでありますが、総務省としてどのような方針でこれに具体的に対処されるのか、お伺いいたします。

小坂副大臣 委員御指摘のように、Lモードという、この東西NTTの起案いたしましたサービスにつきましては、当初言われておりましたその内容は、いわゆるNTT法の期待しております事業分割の効果に抵触するのではないかという懸念がございましたので、指導いたしまして、NTT東西から二月十五日に許認可の申請がありまして、十六日に情報通信審議会電気通信事業部会に諮問をいたしました。現在、検討中でございます。

 先生御指摘のような問題につきましては、NCC、いわゆる新規事業者の方からも、一括して料金請求を行うようなことは実態上東西NTTの一体サービスではないかというような指摘もありました。市場支配力を持つ地域会社がLモードを提供することで、インターネット市場の健全な発展が阻害されるのではないかという懸念が指摘をされております。

 このため、事業部会におきましても、契約形態や料金回収のあり方、一体的営業の問題、接続要求への対応、そしてまた、インターネットのサービスプロバイダー、そういったサービスとの競合等の点を論点といたしまして審議が行われているということを認識いたしております。今後、事業部会におきまして、三月六日に関係者のヒアリングを行い、その上、三月十六日開催の次回の事業部会におきまして審議が行われると考えております。

 総務省といたしましては、審議会の答申を踏まえて適正な判断を行っていく所存でございまして、基本的な考え方といたしましては、高齢化社会を迎えて、インターネットが、身近な機器によりまして、だれにでも使いやすい環境を整備することは早期にすべき、このような認識を持っておりまして、同様のサービスがいろいろな事業者によって提供されることを私どもは推進してまいりたいと存じます。

黄川田委員 そろそろ時間ですので、最後の質問になります。

 NTTの政府保有株式の配当を原資とする基盤技術研究促進センター制度に関し、これまで、経済産業省分を含めて百九件に約二千七百億円を既に出資しております。今般、同制度を改革し、出資から委託に変更すると聞いておりますが、この制度改定でどのような効果が期待されるのでしょうか。そしてまた、これまでこの出資事業はどう政策評価されてきたのでしょうか。かつまた、第三セクターへの出資は何社あるのでしょうか。政策統括官にお伺いいたします。

高原政府参考人 最初に、第三セクターへの出資の件数だけお答えいたします。

 基盤技術研究促進センターから第三セクターへの出資は三十四社、三十五件でございます。

小坂副大臣 御指摘のように、基盤センターの出資事業につきましては、昭和六十年から支援をしてまいったわけでございますが、これまでに二千二百件の特許登録、そして二万件を超えます学術発表等、知的ストックを形成しております。また、関連するベンチャー企業を七社創出するなど、研究人材の育成を通じて、我が国の技術力の向上という面において幅広い波及効果をもたらしたものと認識をいたしております。

 特に、基盤センターの出資事業によりまして支援しております、ATRと呼んでおりますが、国際電気通信基礎技術研究所というのがございますが、これは、関西文化学術研究都市におきまして、基礎的な、独創的な研究開発を実施し、中核的な研究拠点として世界に高い評価を得ておりまして、このような成果を評価いたしております。

 しかしながら、基盤センターの現行の制度は、特許料等の収入によりまして出資金の回収を図ることを期待いたしたわけでございますが、基礎研究というのはなかなかリスクが多くて、直接製品化につながりにくいことから、このようなスキームがうまくいかないということで、今御指摘のような新たなスキームに変えてまいります。

 この効果でございますけれども、テーマを今後は民間企業から公募するという形で、幅広いテーマを、むしろ需要の面から研究してまいりたいと思っておりますし、また、研究開発の成果であります知的財産権、特許を受託者に帰属させる、アメリカでいわゆるバイ・ドール法というのがありますが、このバイ・ドール方式を採用いたしまして、より一層のインセンティブを図ってまいりたいと思います。

 さらに、総務大臣及び経済産業大臣が基盤技術開発に関する基本方針を策定いたしました。戦略的に推進すべき技術分野の目標を提示いたしました。プロジェクト採択時と途中、そして事後に評価を実施することによりまして、さらなる、今までの反省に基づいた効果を出してまいりたいと思います。

 従来の、言ってみれば金銭的リターンに依存したものから、いわゆるパブリックリターンといいますか、幅広い有形無形の知的資産の形成あるいは研究の人材育成、新たな研究領域の開発、そういった幅広い効果が出るように図ってまいりたい、このように評価をいたしておりますし、また、新たな効果を期待いたしているところでございます。

黄川田委員 昨年四月に地方分権一括法が施行されまして、地方も国と連携をとってこの財政危機を乗り越えたいということなんであります。

 まず第一に、仕事の中身は、国と地方を明確にする。次には、税財源もきっちり明確にしていかなきゃいけない。それからまた、かつては地方は国の下請みたいな形で認識されていたが、これは非常に困る、国と地方は対等の立場で、パートナーシップでやっていきたい。そしてまた、総務省も、最も身近な、具体的な国の行財政機関といいますか、郵便局という二万四千のネットワークを持っておる。そういうことでありますので、どうぞこの地方分権と一体となった政策が、具体的に、明らかに、明快に進みますことを強く望みまして、私の質問を終わります。

 以上です。

御法川委員長 次に、左藤章君。

左藤委員 自由民主党の左藤章でございます。

 まず、二十一世紀の最初で、かつ省庁再編後、新たに発足した総務委員会での質問をさせていただける時間をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 総務省初代の大臣御就任の片山先生、また遠藤、小坂両副大臣、滝、景山、山名大臣政務官の御就任をまずお祝い申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 本年の一月六日の省庁再編により、総務省は、旧総務庁、郵政省及び自治省が一緒になってできました。職員数から見ますと、十二省庁の中でも群を抜いて巨大な官庁となりました。当然、これまでの業務を遂行しながら、さらに統合のメリットを生かし、国民によりよいサービスを提供するために各種施策を展開する必要があると思います。

 ところで、総務省は、地方行政の新たなシステムの構築、地方分権の推進、行政改革、IT社会の構築、通信・放送行政、郵政三事業の効率化また合理化、恩給行政、消防行政等、国民生活に広くかかわる行政を行う役所でもあります。そして、旧三省庁の職員の融和を図りつつ各種施策を展開する一方では、平成十一年の閣議決定で国家公務員の定数を二〇一〇年には二五%削減など、みずから改革を行うことが必要な課題も抱えていることは事実であります。

 そこで、まず初めに片山大臣にお伺いしますが、職員数で見ても三十万人を超える巨大な官庁となる総務省が、他省庁の模範となって、統合メリットを生かしながら、国民によりよいサービスを提供するために各種施策を展開する必要があると思います。初代総務大臣としての片山大臣の御見解を伺います。

片山国務大臣 左藤委員から、冒頭、大変御丁寧なごあいさつをいただきまして、恐縮いたしております。どうかよろしくお願いいたしたいと思います。

 左藤委員御指摘のように、三省庁が統合いたしましたので、大変大きな役所になっております。職員数は三十万四千人、一般会計の予算が十八兆五千億でございまして、職員数、予算額とも一番大きい。

 巨大、巨大と、半分ぐらい冷やかしを含めて言われるのですが、私は職員の皆さんには、巨大さにひるむことはなく、やはり三省庁一体となって、国民の皆さんに統合してよかったなと言われるような役所になってほしい。特に総務省は国家の基本的な仕組みや国民の経済社会活動を支える基本的なシステムを所管して、国民に一番身近なところで活動する、何度も申し上げますけれども、郵便局や市町村の役場・支所がそうでございますから、それをしっかりやってほしい、特に国、地方を通じる行政改革の推進や行政簡素化、あるいはIT革命のために、これも国、地方、官民を通じてのIT革命にしっかりと取り組んでいく、あるいは市町村と郵便局が一体となって地域住民の福祉の増進に努める、こういうことに自信と誇りを持って、使命感を持ってしっかり取り組んでほしい、そういうことを職員の皆さんにもお願いいたしておりますし、私自身もそういう決意で最大限の努力をしてまいろう、こう思っております。よろしくお願いいたしたいと思います。

左藤委員 ありがとうございます。大変かたい決意で、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 昭和六十年にはNTTが民営化をされました。そのときニューメディア元年と言われたわけであります。そして今日、今やIT化の時代と言われている中、本年は各省庁の再編が行われ、統合メリットを生かすべきときとなったと考えます。すなわち、日本新生の実現のかぎとなるIT革命を推進する省として、情報通信を活用して地方公共団体の実務を、全国に張りめぐらされた約二万四千七百の郵便局において取り扱うことが可能となります。

 昭和六十年より、先ほど申し上げましたように、将来は可能となると言われた住民票や納税証明書等を取得する法案が準備されているようです。これは、わざわざ遠くまで出かけることなく、全国どこにでもあり、身近な郵便局を活用した国民サービスの典型的なものと考えます。

 そこで景山大臣政務官にお伺いしますけれども、郵便局を、住民へのワンストップサービスと言われる、行政サービスの窓口機関として活用することが必要と考えます。現在、検討中のワンストップ法と言われる法案の概要をお伺いします。

景山大臣政務官 冒頭、左藤先生から御激励をいただきましたことを、心から、身を引き締めて一生懸命頑張りたいと思います。

 御指摘のように、地方公共団体と郵便局が一層連携をし、地域における行政サービスを充実させ、また効率的に提供していくことは大変有効な手段であると思っております。今回の省庁再編のメリットを生かす施策として、また、総務省というのが巨大な省でありますので、その三省庁が連携して、住民に密着しているということを示すということにおいても、取り組んでいかなくてはならないと思っております。地域住民にとってこのことは大変身近なことであり、またわかりやすい取り組みであると考えておるところであります。

 こうした見地から、先生おっしゃいますように、ただいま新たな法律の検討作業をしておるところでございます。具体的には、住民票の写し、印鑑登録証明書、納税証明書等の交付等、地方公共団体の特定の事務を郵便局において取り扱うことができるようにするための手続を規定するとともに、お年寄りへの立ち寄り、また声をおかけする、そういった事務を郵便局の職員が行う規定も今整備をしようとしておるところでございます。

 この法律案は現在、検討作業中でありますが、来月上旬に国会に提出ができますように準備を進めているところでもあり、地方公共団体と郵便局とがまさに連携一体している、そういうところを図っていきたいと思っておりますので、またどうかよろしくお願いする次第であります。

左藤委員 今お話がありましたように、より地域に密着した郵便局、それを目指していただきたいと思います。

 今日、市町村合併がよく言われております。先ほどのお話にありましたように、さいたま市、また西東京市などが実現されておりますけれども、その典型的な例として、過去に福島県のいわき市の例があると思います。いわき市の合併での統合メリット、またデメリットというのがあったと思います。その現況を副大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

遠藤副大臣 常磐地域は、昔から産炭の地域で一つのまとまりがあったわけでございまして、生活圏も一緒である、経済圏も一緒であるということで、昭和三十七年に新産業都市建設促進法ができたことをきっかけにいたしまして、この地域が一つにまとまっていこうという動きが出てきまして、三十九年の三月に常磐と郡山地区が新産業都市の指定を受けたわけでございます。それが大きなはずみになりまして、この地域で十四市町村が協議をいたしまして、その結果、昭和四十一年の十月にいわき市が誕生した。

 いわき市の名前の由来ですけれども、これは、聖徳太子の十七条憲法の「和を以て貴し」ということをそのまま読むとイワキと読めるということで、平仮名でございますが、いわき市という名前にしたというふうに聞いております。

 どのようなメリット・デメリットがあったのかということでございますが、いわき市自身が平成十二年度に作成をいたしております「いわき市の発足について(合併の経過と状況)」という資料によりますと、メリットといたしましては、広域的、合理的な視点から都市整備が計画的に進められたということでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、広範な観点から上下水道の供給体制を整備できた、二つ目といたしましては、主要道路の交通網や広域交流施設を整備することができた、それから三つ目といたしましては、スケールメリットを生かした大規模なプロジェクトを推進することができた、四つ目といたしましては、人件費など行政経費を大幅に削減することができた、こういうことが挙げられております。

 一方、デメリットといたしましては、とにかく地域が広うございまして、一千二百余平方キロメートル、日本一の大きな市でございますから、しかも、その中に過密の地域と過疎の地域が混在しております関係がございまして、行政執行上は困難性があったというふうなことでございます。

 現在は、平成十一年の四月に中核市になりまして、新しくキャッチフレーズもつくりまして、「人 まち 自然が輝く 交流ネットワーク都市」ということで将来都市計画を進めている、現在も各地域から市町村合併のお手本という形で見学者が来ている、こういう状態でございます。

左藤委員 ありがとうございました。

 昨年、東京都が外形標準課税を打ち出して、我々与党三党の中でも税調で大議論になりました。これに倣い、赤字に悩む各地方自治体は、この外形標準を導入すべきという動きがあります。総務省としてのその方向性をお伺いしたいと思います。

 また、従来の地方税、または税率と地方交付税、そしてこの外形標準課税方式以外の財源の確保をどのように考えておられるか、あわせて片山大臣にお伺いを申し上げます。

片山国務大臣 今左藤委員御指摘のように、東京都と大阪府が銀行業等に対する外形標準課税に踏み切られたわけでありますが、総務省の立場からいいますと、資金量が五兆円以上の銀行業をねらい撃ちにした、それだけを対象にしているという点、あるいは普通の法人事業税は所得課税でございますから、所得課税の場合の税負担との均衡がとれているかどうか、こういう問題点があるということは指摘いたしたわけでありますけれども、東京都も大阪府も議会で同意されまして、外形標準課税に踏み切られたわけであります。

 総務省としましては、外形標準課税というのは広く薄く税をいただく、こういうことでございまして、現在、法人の六五%は赤字なんです、三五%だけが法人事業税を負担している、法人税もそうでございますけれども、それでいいのかなと。地方団体の場合には、地方団体が行いますサービスに対する対価としての税、応益性が非常に強い、国の場合には応能でいいわけでありますけれども、地方団体の場合には応益性が非常に強うございますから、赤字、黒字で差をつけるのではなくて、全体で広く薄く負担していただく、受益に対する対価としてそういうことをしていただく、そういう外形標準課税が望ましい、こう考えておりますが、来年度からの実施につきましては大議論がございまして、早期に導入を図るということで税制改正大綱がまとまった次第でございます。関係方面と十分論議しながら、外形標準課税導入についてさらに全力を挙げてまいりたい、こういうふうに思っております。

 また、地方交付税につきましてもいろいろな議論がございますけれども、現在の地方交付税は、全地方団体にとっての財源保障の仕組みであり、同時に、財政調整の仕組みでございますから、この根幹を揺るがすことはできない、私はこういうふうに思っておりますが、いろいろな御指摘があれば、地方交付税の算定方式、その他よりよいものにするための議論は進めてまいりたい、こう思っております。今、幾つかの地方団体で進められております法定外普通税の導入につきましては、先ほども申し上げましたが、課税自主権の尊重という立場と、税の中立、公平、統一性、共通性という立場を踏まえながらぜひ判断をしてもらいたい、こういうふうに思っておりますし、それぞれの地方団体でも、法定外普通税採用については議会あるいは住民の皆さんで十分な検討と論議を重ねていただきたい、こういうふうに思っております。

左藤委員 ありがとうございます。さすが自治のベテランの大臣でありまして、すごいわかりやすい答弁で感謝を申し上げたいと思います。

 ところで、現在全国の自治体は、先ほどお話がありましたように、三千三百ほどあります。平成十七年度には市町村合併で約千にするとの目標があり、これが達成されますと、合理化と効率のよい充実した広域行政サービスを図ることが可能と考えます。昨年四月から地方分権一括法が施行されましたが、地方分権を推進するために権限や税源の移譲の推進をさらに図るべきだと思います。

 例えば、四十七都道府県制を廃止し道州制を検討すべきとも考えます。このことにつきましては、昭和四十五年より日本商工会議所、また関西経済連合会、日本青年会議所等が提案をしていますように、小さな政府を原則として、地方自治体の主体性の尊重と自己責任の原則に基づく真の地方自治の確立のための改革のかなめと思います。

 そこで、今私が申し上げたように、将来、都道府県制を廃止し、道州制を検討、実施すべきだと考えますが、片山大臣の御見解をお願い申し上げたいと思います。

片山国務大臣 左藤委員御指摘のように、市町村合併が大々的に進みまして、基礎的な地方団体である市町村の規模、能力が拡大した場合、左藤委員が言われるような議論が出てくる可能性は大変強い、私はこういうふうに思いますが、今まで経済団体や地方制度調査会が提案しております道州制は、今の四十七都道府県を廃止して、八つなり幾つかの道州を置く、首長さんは公選でやる、こうしますと、一種の連邦制なんですね。

 日本に連邦制を導入したらという意見もあるのですが、私は、これだけの高密度でコンパクトな国家が連邦制をしくのがいいのか、アメリカやドイツやオーストラリアや、連邦制の国は幾らでもありますけれども、その辺、もう一つ私自身が踏み切れていないところがございます。

 いずれにせよ、今言いましたように、市町村合併が進んでいった場合に、今の都道府県の規模のままでいいのかなという議論が出てくると。ただ、長い間、もう百何十年この都道府県は国民に定着しておりますから、高校野球だって都道府県単位でみんな応援していますから、その辺、意識の上でどういうことになるのか、こういう気がいたしますけれども、長期の課題としてはぜひ御提言、承っておきたいと思います。

左藤委員 昨年の十二月からいよいよ衛星デジタル放送がスタートしました。NHKと民放との目標として、一千日で一千万台を目標に上げていたかとは思います。NHKと民放の営業努力の現状と放送時間や受信機の普及の状況、またデジタル放送が見られる映像機が不足していたり、チューナーが買えないとの声も聞きますが、この取り組み状況を副大臣にお伺い申し上げたいと思います。

小坂副大臣 左藤委員にも御支援をいただいております衛星デジタル放送でございますけれども、開始以来、一千日一千万台という目標を掲げて、普及に取り組んでおるわけでございますが、各社個別に見ますと、地上放送を利用したり、そういった広報の活動によりまして衛星デジタル放送の周知徹底を図るとともに、各社共同のパンフレットを作成し、あるいは共同で配布をして、また、イベントに参加するなどして活動を実施して、普及に努力をいたしているところでございます。

 放送時間数につきまして、NHKと有料放送であります株式会社WOWOW、それからスター・チャンネル、これらは二十四時間放送でございます。また、無料テレビジョン放送を実施しておりますBS民放各社の方は、平均で二十時間強でございます。

 こういう状況でございまして、本年一月末で、普及台数といたしましては、内蔵テレビが十七万台、チューナーが三十一万台の合わせて四十八万台というふうになっています。

 その品不足があるというような御指摘がございました。BSデジタル放送の受信機の品不足は、半導体の供給体制等により若干影響を受けているというふうにも聞いておりますが、これも一、二週間のうちには解消すると言われておりまして、本年末には百九十万台の普及が図られるものと期待をいたしているところでございます。

 総務省におきましても、BSデジタル放送の受信機をより一層普及させるために、本年末にサービス開始が予定されている東経百十度CSデジタル放送の受信機との共用化、あるいは二〇〇三年開始の地上デジタル放送との共用化、こういった受信機の共用化を一層進めまして、民間団体、受信機メーカーに要請をして、一層の普及に拍車をかけてまいりたいと存じます。今後とも、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。

左藤委員 今お話がありました地上デジタル化の問題なんですが、三大都市圏では二〇〇三年、全国では二〇〇六年までに放送を開始し、二〇一〇年ごろには映像機もほぼ買いかえられて、完全実施での放送をするという認識をしております。つまり、アナログからデジタルに完全に変わるということです。この方向性でよいのかどうか。

 そして、このアナ・アナ変換は、全国の影響世帯数は二百四十六万世帯、また、来年度予算にその対策費として百二十三億を計上していると思います。これで間違いないのか、また、今後の対策の見通しも含めて、副大臣にお伺いをしたいと思います。

小坂副大臣 結論から申し上げますと、委員の御指摘のとおりでございまして、大変によく御理解をいただいていると思うわけでございます。平成十三年度分として百二十三億円を確保いたしまして、対象世帯数が五十五万世帯ということで対策をとっております。

 さて、このデジタル化という問題でございますけれども、一つは、周波数の有効利用が図られるということでございますし、また、高品質な映像、音声サービスが提供できる、データ放送が可能になり、また、通信網と連携をした高度な双方向サービスが提供できる、安定した移動受信など、多くのメリットが国民にもたらされるということで、私どもも精力的に取り組んでいるところでございまして、御指摘のように、平成十五年、二〇〇三年末には三大広域圏について開始をしまして、また、その他の地域におきましては、平成十八年、すなわち二〇〇六年末までに放送開始を予定いたしておるわけでございます。

 テレビの受像機というものは、今までの傾向を見ますと、大体八年から十年で買いかえるというサイクルを持っておりまして、二〇一〇年ごろまでには、無理なく自然な形でデジタル放送へ移行していけるものと考えております。すなわち、BSデジタル放送だけでなく、二〇〇三年の地上波デジタルの開始を待つまでもなく、この間、デジタル放送のメリットというものが広く広報されますと、店頭にもいっぱい並びますので、皆さん、それじゃもうそろそろ買いかえようかなといって、自分の地域が始まらなくても、衛星の面からでもどんどん受信機を買いかえていただく。また、共用化が図られておりますので、その受信機はそのままその先の地上波デジタルも使える。

 こういうことで一層の普及が図られる、二〇一〇年にはうまくいくだろう、こう思料しているところでございます。よろしくお願いします。

左藤委員 今お話しのとおり、デジタル化が進んで、買いかえも含めると経済効果もあるわけでありますので、ぜひ推進をさらに進めていただきたいと思います。

 今お話がありましたデジタル化に伴いますと、アナログの周波数帯があくわけであります。この周波数帯の活用を、今後どのような方向性をお持ちでおられるか、副大臣からお願いを申し上げたいと思います。

小坂副大臣 時間もあれでございますので、手短にお答えを申し上げますが、先ほど御指摘のありましたように、アナログからアナログに変換してすき間をつくって、早くこのデジタル放送の実施をして、周波数全体から見ると、大きな余裕をつくっておこう。この余裕をどう使うか、こういうことでございまして、このあいた周波数帯の活用につきましては、アナログ放送終了後において、テレビジョン放送に必要な周波数が現状より少なくなりまして余裕ができましたら、これは実際には二〇一一年以降ということになるわけでございますけれども、その利用については、移動体通信を初めといたしまして、さまざまな電波ニーズがありますし、また、技術の革新が起こっておりますので、新たに効率的な電波利用、あるいは電波を利用した新しいサービスというものが出てくると思っております。

 これにつきましては、電波のオークションの実施状況とか、そういう外国における例を見ながら、我が国における電波の再配分のあり方というものを研究してまいりながら、また同時に、電波の特性に応じた最適な利用システム及び最適な周波数割り当ての方法など、技術的、制度的な研究を進めてまいりたいと存じます。

左藤委員 ありがとうございました。

 今日、国を挙げてIT革命に取り組んでいるところですけれども、IT社会は国民生活が大きくさま変わりすることにつながると思います。特にインターネットを中心とするインフラが整備されますと、非常に便利で、かつスピーディーになり、国民と行政との距離はぐっと近くなってまいると思います。

 ところで、今日は少子高齢化社会と言われます。特に少子化は、日本の将来の担い手が少なくなるということであり、日本の経済、社会生活に大きく影響をもたらすことは言うまでもありません。何とかこの少子化の歯どめをかけるために、国としてもありとあらゆる施策を考え、実行しなければなりません。そこで、総務省におけるITを活用した少子化対策に関する取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。片山大臣にお伺いをします。

片山国務大臣 今御指摘のように、本格的な少子高齢化社会を迎えるに当たりまして、ITを活用して少子化対策に取り組むことは極めて重要であると考えております。

 特に、子育てと仕事を両立させる、こういうことになりますと、在宅で勤務するとか身近なところで勤務する、これをテレワークだとかSOHO、スモールオフィス・ホームオフィスなんと言っておりますけれども、こういうことをもっと普及、奨励する必要があるのではなかろうか。

 ある協会の調査によりますと、二〇〇〇年における我が国のテレワーク人口は二百四十六万人と推計されております。そういう中で、総務省では、共同利用型のテレワークセンター施設を整備する場合には、そういうことを整備する自治体に補助してやろう、あるいは、いろいろな便利な仕組みのための研究開発を進めよう等を考えておりまして、今後とも、少子化対策とITを結んだ施策については精力的に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

左藤委員 ありがとうございました。

 もう質疑時間がございませんので、これにて終了させていただきますけれども、片山大臣初め、両副大臣、また政務官、三人の先生方含めて、総務省の日本のIT社会の担い手としての御活躍を念じて質問にかえさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

御法川委員長 次に、若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 私が主に旧自治省、そして総務庁、同僚議員の高木委員が郵政省、こういった形で質問をさせていただきますので、片山大臣、お疲れのところ恐縮ですけれども、あと四十分間、よろしくお願いいたします。

 そこで、まず財政状況について、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、バブル経済崩壊後、御存じのように国、地方を通じて財政状況は大変悪化しております。さらに、公債依存度を見ますと、ちょうど平成十三年度末でしょうかに、予想としては、地方が一三・三%、国が三四・三%と、開きが二〇%以上あるわけですけれども、特に地方は、地方債というのは償還が大体十年ぐらいで、借りたら返して借りたら返して、こんな形で、非常に結果的には財政状況はよくなっている。よくなっているというか、国は償還六十年ですから、十年と六十年ではどう考えたって国の方が借金が膨らむ構造になっている。では、なぜ地方は十年償還ができるのかというと、これがこれからの議論になるわけですけれども、こんな前提がある。こういうことを見ますと、いずれにしても、国の方が地方よりも財政状況の悪化は著しい、こういう問題意識を持っております。

 そこで、国の歳出決算ですけれども、委員の先生方には資料をお配りすればよかったんですけれども、昭和四十九年、いわゆる第一次オイルショック前後でしょうか、それと平成十年度の国の歳出決算を見ますと、特に、四十九年が社会保障費が対GDPで二・八%が、平成十年には四・一%になっております。一・三ポイントふえている。これは当然、社会保障関係費、高齢化等によってふえている。さらに国債費ですけれども、昭和四十九年〇・八%が、平成十年には四・七%にふえております。うち、建設公債が三%ということで、いわゆる国債費、社会保障関係費が国はかなりふえている。

 そこで、これは財務省にまずお伺いしたいんですけれども、近年の国の財政悪化の要因は何にあると考えておられるのか、大変基本的な質問で恐縮ですが、お願いします。

砂田大臣政務官 お答え申し上げます。

 財政状況、大変厳しい状況でありますが、平成十三年度予算におきましては、財政の効率化、質的改善を図り、公債発行の額を可能な限り縮減したところでありますけれども、公債発行は約二十八兆三千億円、公債依存度は三四・三%と、我が国財政は依然として極めて厳しい状況にあるところでございます。

 こうした中で、地方財政に関しましては、地方財政の運営に支障を生じることのないよう、一般会計において、地方交付税交付金等の、対前年比一二・七%増となる十六兆八千二百三十億円を計上したところでございます。

 その原因については、御承知のとおり、今、国におきましても税収の減少、そういうところに根本的な原因はあるんではないかというふうに考えているところでございます。

若松委員 では、やはり片山大臣にちょっと表へ出ていただいて、地方歳出、これにつきましても先ほどの昭和四十九年と平成十年を比べますと、昭和四十九年は、先ほどの地方歳出、特に対GDP比で一ポイント以上ふえているのが、土木費が昭和四十九年は四・四ポイント、それが平成十年は五・八ポイントと一・四ポイントふえております。それと、民生・衛生・労働費、これも、当然高齢化とかさまざまな住民のニーズに対応するために、昭和四十九年は三・八ポイントから平成十年は五・四ポイント、一・六ポイントもふえております。それで、公債費、これは国と同じなんですけれども、昭和四十九年が〇・八ポイント、それが平成十年は二・九ポイントと、これも二・一ポイントふえている。こういったところが地方の財政支出増ということで、いずれにしても、民生費、土木費、公債費が著しくふえているということです。

 この福祉の充実、また高齢化対応、こういったところはやむを得ないとしても、公共事業拡大、やはりこれが何といっても現在の財政悪化の原因になっているのではないかと思うんですけれども、この地方財政悪化の要因について、総務大臣にお考えを聞きたいと思います。

片山国務大臣 今、若松委員からいろいろ御指摘がございました。

 バブルが崩壊しまして、以降はずっと我が国は景気が悪いわけですね。景気が悪いということは、地方税収が伸びない、国税収入も伸びない。国税収入の約三二、三%が地方交付税ですから、地方税収と地方交付税が伸びない、これが一つですね。

 しかし、景気が悪いことはほうっておけませんので、財政出動をして公共の需要を増大していく。いい悪いの議論はありますけれども、これがフィスカルポリシー、財政調整政策でございまして、景気が悪いときには公共事業や単独事業をふやして景気に刺激を与える。そのためには、税収が引っ込んでおりますから、借金で、国債や地方債で仕事をやる、税収は落ちているのにもっと仕事をやる、借金でやる。だから、公債費がふえるのは私は当然のことだと思いますし、また、今の高齢化社会ですから、社会保障、社会福祉の経費は伸ばさなきゃいけません。これももちろんふえてくる。

 そこで、話が前後しますが、財政出動は、やはり一番手っ取り早いのは公共事業、単独事業、こうなりますから、土木費がふえる、こういうことだろうと私は理解しておりまして、そういう意味では、この財政悪化を食いとめるためには、一日も早い景気の回復ということだと一つは考えております。

若松委員 それで、再度片山大臣にお聞きしたいんですけれども、先ほど、国の昭和四十九年と平成十年、さらに地方のを同じく比べまして、いずれにしても、今公債依存度の悪化の状況はともに高まっているわけです。特に国の財政悪化の方が要は地方よりも深刻だというのは数字であらわれていると思います。これについて、いわゆる特会借り入れですね、これは四十兆円ぐらいあるわけです。これをどこに入れるかということですけれども、最終的にはやはり国が負担せざるを得ないのかな、私はそう認識しているんです。

 そういうことを考えますと、国の財政悪化の方がやはり地方よりも深刻と私は認識しているんですけれども、その裏、その表裏一体として地方の存在がある、先ほどの不景気要因がある、こういうことですけれども、片山大臣はどんなふうに認識されておりますか。

片山国務大臣 国の財政と地方の財政とどっちがより悪いか、こういう議論は前からありますが、なるほど公債依存度だとか借金の累積だとかを見ますと、国の方がはるかに数字は高いんですね。ただ、地方財政は、先ほども言いましたけれども、単一の財政じゃありません。アジサイの花なんですね。一つ一つの小さな花びらが財政で、それがまとまって大きな花になる。だから、地方財政というのはアジサイの花だと思えばいいんですね。一つ一つの花びらが都道府県や市町村財政です。だから、これは国と同じように議論できないんですね。一つ一つの花びらを見ると、相当悪い地方団体がたくさんある。

 それからもう一つは、今も言いましたが、自力調達が国はできるんですね、いろいろなことで。ところが、地方はこれはなかなかできないようになっておりまして、そういう意味で、私は、依存度は、国に依存しているだけに、地方財政は数字よりはずっと悪いんではなかろうか、こう思っておりますし、特に地方財政は国の裏負担というのがあるんですね。国の大きい支出を見ますと、公共事業でしょう。これは必ず裏負担がある。社会保障でしょう。これは、公共事業ほどではないけれども、地方負担がある。それから教育でしょう。これも地方の負担がある。だから、地方財政というのは、独立しているようで、国と一体になっているんですね、国に依存している。

 そういう意味で、やはり地方財政をよくするためには国の財政もよくなってもらわにゃいかぬ、こういうように私は思っております。

若松委員 それで、では今度は、地方自治体の歳出面を減らそうじゃないか。またこれもいろいろと問題があるんですけれども、特に、昨年十二月一日の行革大綱で、現在の三千三百自治体を千にする、これが、与党、そして政府主導で決意をいたしました。

 実際に、いわゆる町村合併ですね、この効果が、特に人件費面でかなり大きい。昨年の地方行政委員会で、利尻島、あそこは富士山みたいな山があって、島がちょうど真っ二つに分かれて、二つの町があります。そこを見ますと、五千人ぐらいの、五千人弱の町が二つあって、当然町長も二人いるし、議会も二つある。これをでは一つにして、九千人ぐらいの一つの町にしただけでどれだけの合併効果があるかということで、通常、地方財政は経常経費と投資的経費と二つに大きく分けられるわけですけれども、その中でも、人口指標と面積指標ですけれども、いずれにしても、面積指標は、幾ら合併しても合併効果がない。人口指標ですけれども、これでやりますと、いわゆる町村の合併ですと、大体、人件費二〇%ぐらい削減できるんですね。

 同じく、これも最近、合併が行われました西東京、田無と保谷市ですけれども、大体十万、これを、では十万規模を、三つの市を集めて三十万人ぐらいの市をつくりますと、先ほど、人口経費約一割ぐらい削減できる。

 特に町村合併というのは、やはりこれは早急にすべきではないか、そう思うんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

片山国務大臣 今、若松委員御指摘のように、町村合併というのはコストを下げるという大きなメリットがありますが、同時に、私は、やはりこれから二十一世紀は地方の時代、その地方の中でも、基礎的な、住民に身近な地方団体である市町村の時代。そのためには、さらなる権限移譲、事務移譲、さらにはそれに連関した税財源の移譲をやらないといかぬ。そうすると、今の市町村の規模、能力では不十分である。

 私は、二つの効果があると思いますね。地方分権を進めるために、受け皿としての市町村を強くする。もう一つは、それによってコストを下げていく。特に人件費ですね。先ほども若松委員が言われましたけれども、田無と保谷の合併の西東京市の、十年間で百九十億ということを遠藤副大臣が言われましたけれども、このほとんどは人件費なんです。だから、そういう意味で、私は、やはり合併は大きな国策として進めていかざるを得ない、こういうふうに思っているわけであります。

若松委員 それでは、ちょっと時間もあれなので、片山大臣に最後の質問をさせていただきたいんです。

 これは通告していないので、でもやはり触れざるを得ないかなと思うんですけれども、今借金をしているところはどこがあるかというと、国と、あと、国の国債と地方債と、そして、いわゆる、先ほどの特会借り入れ、この特会借り入れがあると非常にわからなくなる、責任も不明確になる。そうすると、とりあえず、これの返済計画がたしかあったんですよね、二、三十年ぐらいの。あれをもっと早期になくして、特会借り入れはやはり早急に、可能な限り廃止すべき方向に考えるべきではないかと思いますが、その考えはいかがでしょうか。

片山国務大臣 そうなんですね。交付税特会で資金運用部から今まで借り入れまして、それをまた地方団体に配分しておったんですよ。それがもう三十八兆円になっているんですね。それから資金運用部もなくなりましたから、私は、もうそんなことはできないし、やるべきでないので、だから、来年度から、御承知のように、国と地方の責任を折半しまして、国は一般会計で自分で調達をして入れてくれ、地方の方は自分で地方債を起こして、赤字地方債ということになりますけれども、特例地方債で措置する。これによって、国の方も地方の方も大変わかりやすくなった、責任も定かになった、こういうふうに思いますので、委員御指摘のように、もうこれ以上交付税特会の借り入れというのはやらない方がいい、私はこういうふうに思っております。

若松委員 ということで、考え方は恐らく一致したと思いますので、ぜひ早急な対応をよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、残りの時間、遠藤副大臣にお伺いしたいんですけれども、これは公明党が、実は私が、行政評価法、ずっとこの制定のために頑張らせていただいたんですけれども、いよいよこの行政評価法、法制研究会の意見も出ましたし、恐らく今月にもその骨格が見えるのではないか。

 そこで、特に公明党が推進してまいりました行政評価法、閣僚側に入って、副大臣も頑張っていらっしゃると思うんですけれども、制定に当たっての決意を改めてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

遠藤副大臣 行政機関に対する政策評価、これを義務づける、あるいは公表させるべきだ、そういう御主張は、かねてから熱心に若松議員が国会でお取り上げになりまして、それが一つの大きな結実を見まして、昨年十二月ですが、政府の閣議決定の中でも、行政改革大綱の中で、政策評価法案をこの通常国会に提案して成立させる、こういうことが明記されたところでございます。

 ただいま、私ども総務省の中で、もう大車輪でこの準備をしておりまして、近日中に骨子を発表できるのではないか、あるいは法案をきちっと国会に提案いたしまして、皆様の御審議をいただきたい、このように考えているところでございます。また折々に御意見をいただきまして、すばらしい法案の中身になるようにお知恵を授かりたい、このように考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

若松委員 この行政評価法、まさに日本の画期的な法律で、これは非常に国民の期待度が高い法律でもありますので、片山大臣も、では一言、この行政評価法についての、略称行政評価法ですので、ひとつよろしくお願いいたします。

片山国務大臣 今御指摘のように、私も、この行政機関政策評価法というのは画期的な法律だ、こういうふうに思っております。

 問題は、仕組みよりも、できた後どうやってそれを実効あらしめるものにするかということが、一番力が要るところだろうと思いますし、ぜひその評価を予算編成その他と連動させたい。そのためにどうするかを今考えているところでございますので、御指摘を十分受けとめて頑張ってまいりたい、こういうふうに思います。

若松委員 時間が来ましたので同僚の高木議員に移したいと思いますが、残りの質問については次回の委員会でやらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 大臣所信に対する一般質疑ということで、大臣及び副大臣、本当に御苦労さまでございます。

 先ほど、同僚の若松議員の方からもお話がありましたけれども、総務省、総務庁と自治省、そして郵政省、これが一緒になっていくという流れの中で、かなり分野が違うところでございました。そんな中にあって、ただいま若松議員の方からは、旧自治省、総務庁関連の質問、私の方は旧郵政省関連の問題ということで、質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、昨年来というかここ最近、ITという言葉がずっと言われ続けておりまして、昨年もIT基本法、臨時国会で成立をいたしました。そういう流れの中にありまして、まず、IT戦略本部が、五年以内に世界最先端のIT国家になろう、こういう目標を掲げた。すばらしいことなんですけれども、そういうイメージというのがなかなかわきづらい。そんな中で、出井さん、IT戦略会議の議長、ソニーの会長が、料金が安くスピードの速いインターネット網の実現、これはすごくわかりやすいなと思うんですね。

 こういった中で、多くの人たちがインターネットを使うようになってきて、ただ、よく言われるのは、特に画像を取り込むときに、動画になりますと大変な問題になりまして、インターネットがなかなか遅い。そのためにやはり高速インターネット、DSLだとかさらには光ファイバーを充実させていかなければいけないんですけれども、これも二〇〇五年、あと五年の間にこの光ファイバー網をしっかり敷設していこうという流れがあると思うんですが、これはやれと言ってできれば何の問題もない。これはもう十年前から光ファイバーの話も出ておりましたし、そういった敷設の具体的な手順、方法、さらにはそうなってきて、民間がかなり主導的にやらなければいけないとは思うんですが、市場原理に基づいてやりますと、営業ベースというのを考えなければいけない。

 そうなってきますと、今度は地域間格差、ラストワンマイルと言われていて、首都圏の方はかなり敷設状況はいいと思うんですが、山間部ですとか地方の方になりますと、光ファイバー、光ファイバーと言ったって、全然届いていないじゃないか。五年以内にこういう高速、そして超高速インターネット網ということを考えていった場合に、逆に民間主導でどんどんやらせていく場合には、光ファイバーの過疎地への格差、デジタルデバイド、こういう言い方をよくしておりますけれども、この地域間格差をどうやって解消していくか、ここら辺のところを大臣はどういうふうにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

片山国務大臣 今高木議員御指摘のように、IT国家戦略、e―Japan戦略で、二〇〇五年までに世界で最も進んだIT国家にする、そのためには光ファイバー網を初めとする超高速ネットワークインフラを整備する、こういうことでございまして、現在、今もお話がございましたように、民間主導で事業者にできるだけやってもらうように税制や財政上の支援をやっている、こういうわけでございます。この結果、中継系のネットワークについてはほぼ光化が完了、加入者系ネットワークについては平成十一年、ちょっと数字が古うございますけれども、整備率三六%と着実に上がってきておりますが、お話しのように、人口別に見ますと、人口が少ないほど低いんですね、極めて顕著な一種のデジタルデバイドの様相を呈している。

 これをどうしても我々は克服しなければならないと考えておりますので、二〇〇一年度から、十三年度から超低利融資制度を過疎地域を対象につくりました。ぜひこれを活用したい。それから、地域イントラネット基盤整備事業、これは補助事業ですけれども、地域LANですね、これもできるだけ地方における光ファイバー網に対する需要喚起のために実施していこう、こういうふうに思っておりまして、御指摘のように、我々は今後とも最善の努力を尽くしたい、こう思っております。

高木(陽)委員 今大臣も決意を述べられましたけれども、基本原則はやはり民間なんですけれども、今申し上げたように、民間だけではどうしてもできないところ、特にこれから情報化がもっともっと進む、これはまさに私たちの生活に直結する問題ですから、これに対して特に地方格差ですとか、地方の方々が不便を感ずることにならないようにするのはまさに国の役割であるな、こういうふうに感じますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 それとともに、インターネットの問題で、これは昨年の秋の臨時国会の代表質問で我が党の神崎代表も料金問題をちょっと触れられました。実は、私たちの党も、一昨年から、例えば青年党員の方々が署名運動をやって、通信料金を下げてもらいたい、特にインターネットの接続料を含めて、普及させるためには料金の低廉化が必要である、これはまさにそのとおりだと思います。

 ただ、これはそれぞれの事業者がやっている料金ですから、旧郵政省そして総務省が幾ら幾らにしなさいというふうに言うのは、また行き過ぎの部分もあるとは思うんですけれども、代表質問のときに、またはうちの党の方もずっと主張していたのは、例えば定額制で三千円程度だとみんな使えるのかな、こういうような考え方をいろいろと言っておりました。一体、どれぐらいの額というのが普及していくのか、そこら辺のお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

小坂副大臣 高木委員御指摘のように、御党の皆さんのいろいろな御支援もいただきながら、インターネットの低料金化というのは着実に進んでいると思料しております。今三千円とおっしゃいましたが、大体一日百円で一カ月三千円、大変いい感覚のところだと思います。インターネットを利用したメールのサービスとか、画像、音声、いろいろなサービスがインターネットでは可能でございます。そういった意味では、内容によって料金にはある程度幅が出てくるものと思います。コンピューターを通じてのインターネット接続は、おっしゃるように三千円から五千円ぐらいのところが、一カ月幾ら使っても同じというのは理想的なところではないか、世界の流れもそのような方向にいっているように思います。

 ただ、メールサービス等あるいは文字サービスだけであれば、もっと簡単に固定電話からもというような要請も出てきておりまして、新しいサービスも企画をされているようでございますので、そういった面から考えますと、一カ月三千円でも高い、こういうふうに思います。

 そういう意味で、内容と速度によって料金には幅が出るものと思いますが、大体メール等であれば三千円をはるかに下回る安いもの、また、画像等のサービスであればフルサービスで三千円から五千円ぐらい、こういうことで、いわゆるDSLと呼ばれるサービス、あるいはISDNから始まりましたけれども、今後光ファイバーへ向けてのいろいろなサービスが今出てきておりまして、ことしじゅうにはいろいろなサービスが、メニューがそろうと思いますが、それぞれそういった価格になるように、私ども期待し、そのための政策的な誘導を図ってまいりたいと存じます。

高木(陽)委員 今小坂副大臣がおっしゃられた中で、政策的にもという言い方をされました。まさに料金の問題というのは幾ら幾らというふうには規定できない中で、やはり市場の原理に任せながらやっていただくのが一番理想的なのかなと思います。そういった観点からいうと、価格問題となりますと、どうしてもこれは競争政策を促進していかなければいけない。競争政策というのは、これも昨年来、その前からずっと論議されていましたNTT問題にも絡まざるを得ないのだろう、NTTが独占状態だから料金がなかなか下がらないんだ、こういうような論調もあることは確かだと思います。しかしながら、NTTはNTTで努力もしている。

 そういった中で、携帯電話の売り切り制というのが、今から七年ぐらい前ですか、行われて、今携帯電話の本体というのはほぼただ同然だという形、これも競争政策の成果だと思うんです。そうなりますと、通信料金も競争政策の中で頑張っていただこう、これがいいのかなと思うんですけれども、そうなってまいりますと、昨年、電通審で答申もありました。なかなかこの問題、さわりますと、やけどする部分もあるみたいな感じもしますけれども、ここら辺のところ、現状で低料金化というのは可能なのか、それともどういうような方策でやっていくのか、なかなか言いづらい部分もあるかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。

小坂副大臣 委員御指摘のように、競争政策は着実に進展をし、また料金も着実に低廉化に向かっておると思います。当初、インターネットを利用するには高過ぎると言われた通信料金でございますが、今申し上げましたようなインターネットの利用部分においても、約一年間で五五%安くなっております。また、通信料金の部分をとりましても、e―Japan戦略あるいは今御指摘の電気通信審議会の第一次答申、「IT時代の競争促進プログラム」と言っておりますが、これにおいて指摘をされましたように、電気通信事業者による線路敷設円滑化のためのガイドライン、すなわち、できるだけ開放して、電柱等も開放して敷設しやすくしなさい、あるいは管路の開放を行っていきなさいというようなことを行ったり、自治体や公益事業者等の既存光ファイバー網の有効活用を促進する制度の導入、こういったことによりインフラ整備の促進、例えば電力会社が保有している光ケーブル、こういったものを開放させる、こういうふうな形の中で一層の低廉化へ施策としても誘導してまいりますし、また、支配的電気通信事業者、今はNTTの東西ということになっておりますが、こういった支配的電気通信事業者の反競争的行為を防止し、除去するための制度の導入と、非支配的電気通信事業者、すなわち、新規参入の事業者等に対する規制の緩和を実施してまいります。さらには、地域通信分野の一層の競争促進を実現する光ファイバーの開放、アンバンドル化といっておりますが、開放の接続ルールを整備いたしまして、外から見てわかりやすいルールにしていく。

 これらの新たな競争政策等を通じまして、電気通信事業者が新規参入に意欲的に取り組んでいただける、新しい事業者がどんどん入ってくるような、そういった市場にして、事業者間の競争が一層促進されて、結果として効率化、合理化が図られて、低廉で高速な通信サービスが国民に提供される、こういうふうに図ってまいりたいと思って努力をいたしておるところでございます。

高木(陽)委員 しっかりとやっていただきたいなと思います。

 もう一つインターネットの問題で、これは総務省だけじゃないと思うのですが、著作権の問題、これは文化庁になるのかなと思うのです。

 インターネットがさらに普及してくる、そして超高速、まあ光ファイバー等の敷設がなされて、大容量の情報が流れてくる、動画も流れてくるという形になりますと、いろいろな情報が、今でも情報があふれているのですけれども、個人がいろいろな発信ができるようになれば、そこら辺のところで、例えばここにあった映像、ここにあった情報をこうやって次に移そう、それがもう世界規模でどんどんネットワークで結ばれていくという形になってくるわけです。

 ここら辺の著作権、いわゆる知的所有権、これは本当に重要な問題で、例えば商売の流れになってこれがいろいろと広がると、あっ、これ、この著作権の問題ねということで摘発されたりするのですけれども、インターネットの場合ですと、何億という数になるわけですから、そんな中での著作権問題というのは本当に真剣にやらないと、一番最初にこの著作権、そのものをつくった人または発想した人たちのその権利というのがどんどん侵害される可能性がある、これは重要な問題であるなというふうに思うのですけれども、そういった中での著作権保護への取り組みについて、ちょっとお聞かせ願えればと思います。

小坂副大臣 委員御指摘のように、良質なそして魅力的なコンテンツが流通するためには、著作権法の処理というものが欠かせません。その意味で、御指摘のように、文化庁あるいは経済産業省と連携をとりながらこの問題に意欲的に今取り組んでいるところでございまして、放送のデジタル化、またインターネットの大容量のネットワーク化、こういったものを通じて円滑なコンテンツの流通を図るためには、放送の番組等のコンテンツが二次利用しやすい環境づくりとか、そういった中で的確に著作者の権利が保護されていく、こういった意味で、どのようにしたらこれが円滑に図られるか、こんな意味で、私どもも、デジタルコンテンツのネットワーク流通市場形成に向けた研究会というものを今月中に発足させたい、このように考えておりまして、今詰めておるところでございます。近々に発表させていただきたいと思うわけでございます。

 こういった取り組みを通じまして、放送番組の二次利用のデータベース化等の支援をして、著作権の保護の充実に向けてさまざまな角度から支援措置を講じてまいります。

 ただ、一部新聞に報道をされました内容の中に、総務省は著作権を共同管理するシステムの開発に乗り出すというふうに書いてございますが、私ども役所が直接データベースを運用して著作権を管理するということはございませんで、あくまでも民間の事業者により競争的にこの分野におけるサービスというものが充実をいたしまして、的確に著作権が保護され、また二次利用に対しての流通促進が図られる、こういった枠組みを支援してまいりたい、このように考えて政策誘導をしてまいります。

高木(陽)委員 この著作権の問題、もう一つ大きな問題、これはお答えは要らないのですけれども、インターネットの場合は国境がなくなってしまいますので、日本だけで何とかやっていても、海外の方にそれを持っていかれてそこから発信されると困るという、ここがいろいろと課題が多いのだろうなと思いますので、その点も踏まえて、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、放送関係のことで、これも昨年、十二月ですが、BSデジタル化の放送がスタートをした。これはいろいろな使い方があると思うのですけれども、それ以上に、このBSデジタル化の放送によって地方局、地方の民放局がかなり経営的に苦しくなるのかなという不安が出てまいりました。

 というのは、昨年の十月、民放連が「地方局生き残りの条件」というシンポジウムを開いて、そこでいろいろと論議があったみたいなのです。一つは、BSデジタル放送という形になりますと、空からぱあっと放送が降ってくるという言い方はおかしいですけれども、その結果CMが、キー局でぼんと流しちゃえばそれで終わりだということで、これも、地方局の売り上げの五割以上というのが全国ネット放送の配分金とキー局番組に連動したCM収入というふうに伺っていますけれども、そうなると、広告収入等々が減ってくる、その結果、経営的に圧迫されていく。

 免許制度で地方の民放というのが、地方だけではなくて民放局ができているわけですから、そういった中での、それが経営悪化してつぶれてしまう、そうなると、またこれは大変なことになるなということで、これに対してどう対応できるのか、お伺いしたいと思います。

小坂副大臣 高木委員の御指摘のとおりでございまして、BSデジタル放送が始まりますと、全国一律に空から番組が降ってくる、こういうことでございまして、そうすると、それぞれの地域においてそれぞれのスポンサーを募らなくても、ナショナルスポンサーは衛星にだけぽんと送ればみんなが見られるチャンスがある、だからローカルスポンサーがなくなっちゃう、こういうような考え方も一部にはあります。

 しかしこの分野は、逆に言いますと、今度は、地上放送の役割は、地域に密着した放送という内容になってまいりますし、また地域の地方局もそういった面でサービスの強化を図ってくる、また番組内容の企画というものを進めてくると思います。

 そうしますと、そういうローカルの視聴率の高いものについてスポンサーがまた出てくる、こういうことにもなりまして、必ずしもBSで全部スポンサーを吸い取られてしまっている、ローカル局にスポンサーが来ない、こういう状況にはならないのではないかとも考えられます。

 民放連の研究所の試算によりますと、地上波のテレビ広告費というのは、昨年は二兆百三十四億円でございました。二〇一〇年にはどうかといいますと、一兆九千九百二十三億円になるだろうとかなり細かい数字まで出ているのですが、実際には、これはいろいろメディアに投下される中での地上波の広告費でございまして、これだけ見ればそんなにひどいことにはならない。

 しかし、今のままではなく、ローカル放送局がそれぞれ独自の努力を発揮して、魅力的な、地域に密着した形の放送を推進していく、また地域の自動車等のモバイル受信といいますか移動受信に配慮したサービスを心がける、そういうようなことをしていけば、これは生き残り、共存は可能であると私どもは考えております。

高木(陽)委員 時間が参りましたので、郵便関係も聞こうと思ったのですが、また次の機会にしたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。

御法川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十八分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。本会議での質問に続きまして、片山総務大臣に御質問したいと思います。

 大臣にお尋ねしたいことはたくさんあるのですが、やはり森内閣の政治姿勢にかかわりまして、森内閣の閣僚である大臣の、中小企業経営者事業団、いわゆるKSDですが、この問題でまずお聞きしておきたいと思います。

 一つは、財団法人KSDとその政治団体である豊政連、この応援役になった議員連盟との関係についてお尋ねしたいと思います。

 大臣は、昨年十月二十三日の衆議院の倫理選挙特別委員会で、片山さんは豊明議連に入っているのではないですか、こういう質問に対してこうお答えになっています。「あなたがどういうデータであれしたか知りませんが、私は入っていないと思います。」さらに「調べてみます」とも言っていらっしゃいます。調べた結果どうだったのか、教えていただきたい。

片山国務大臣 調べました。豊明議連には入っておりません。

 ただ、KSDなのか豊明会なのか知りませんが、何か広報誌がありまして、その中に、応援してくれている議員さんをずらずらと並べた中には私に全く無断で名前が出ておったようでございますが、豊明議連には入っておりません。

矢島委員 確かに、豊政連の機関誌、去年の六月のですけれども、ずっとたくさん名前が入っている中に大臣の名前も入っているということは事実であるようであります。

 そこで、もう一つの問題なんですが、それは一月十九日、多分閣議後の記者会見だったと思うのですが、豊政連から二回にわたって二百万円分のパーティー券を購入してもらった。質問に対して大臣が答えていらっしゃるんですが、それによりますと、政治資金報告書にも記載しており、手続にいささかも問題はないと思う、特別な依頼事は、これは記事の方で括弧してあるんですが、なかった、返そうと思ってもなくなっており、ちょっと困っている、こういう記者会見の内容の記事が載せられておりました。

 そこで、この二百万円は今どうなっているのか。返すところがあれば返そうと思っているわけなのか、なぜ返そうと思ったのか、その辺について大臣にお伺いをいたします。

片山国務大臣 記者会見でも申し上げましたが、平成八年と平成十一年にそれぞれ五十枚ずつ、ということは百万ずつでございますけれども、うちの事務所がお願いして、まとめて自分の方がさばくからということで購入してもらったことは事実でございまして、その結果はそれぞれの年の選管にしっかり収支報告はいたしております。

 そこで、KSDがこれだけ問題になりまして、パーティーをやったんだから、向こうも来ていろいろな反対給付を受けたんだからという意見もありますけれども、返した方がいいかなと私は判断しまして、連絡をとりましたら、豊政連の方はもうそのときは解散して、ないんですね、その前からもう実体はなかったようですけれども。

 それから、あとKSDの方に申し出ましたら、KSDの方は受け取るいわれがないと言って拒否されました。KSDも変わったのかどうか知りませんが、そういうことでございます。

矢島委員 実際にまだこの二百万円分については、相手側には返っていない、あるいは返すところがない、あるいは受け取らない、そういうようなことですけれども、国民の側から見れば、返すところがなくちゃ返せないわけですけれども、やはり問題のあるKSDからのパーティー券購入代だから持っているのはおかしいな、受け取っちゃうのはおかしいなというのは、これは国民感情であって、やはりぜひ国民が納得するような方策をお考えいただきたいと思うのです。

 それから、もう一つ、このKSDあるいは関連の財団、これと大臣とはどういう関係にあったのかという点も含めてお聞きしたいのです。

 例えばものつくり大学、当時でいえば国際技能工芸大学というわけですけれども、この設立母体となった財団法人があります。その後押しをするためにつくられたのが国際技能工芸大学設立推進議員連盟、いわゆるKGS議連と呼ばれているものです。その議連に大臣は入っていらっしゃいましたか。

片山国務大臣 今御指摘の国際技能工芸大学設立推進議連には入っております。これは、できたときに親しい議員に勧められまして加入いたしました。

 その議連に入っている数は私を初め物すごく多いものですから、余り意識せずに入るということはございましたが、これは予算委員会でもお答えしましたけれども、平成十年の夏に、私は存じ上げなかったんですが、さらに世話人にしてもらっているのです。それで、そのことについてのお尋ねもありましたので予算委員会でお答えしましたが、どうも、私が平成十年の八月から参議院自民党の国対委員長になりましたので、そこで平議員じゃなくて世話人に格上げしてくれたのかな、こう思っておりますが、その事実は、実は私も事務所も、これをいただくまでは知らなかったわけであります。

矢島委員 確かにKGS議連の中には顧問とか会長とかあるいは幹事長とか、いろいろな役職がそれぞれあって、大臣は世話人ということで就任していられるわけです。

 いろいろな議連があるので、それぞれ一々なかなかわかりにくい面もあるかもしれませんが、入っているのを、その当時は入っていない、頼まれただけだ、何も知らないんだというお答えもあるので、世間ではやはり、何も知らないで議連に入っちゃうというのもおかしなもんだなという考え方がありますので、この辺はひとつはっきりしていただくのが必要だろうと思います。

 いずれにしろ、国民の信頼がこの問題では本当に損なわれるという事態に現在もあります。現在いろいろな形で事実関係を明らかにしようとしておりますが、調査結果をぜひいろいろな面で明らかにしていただきたい。

 ものつくり大学というのがありまして、いわゆる国際技能工芸大学設立推進議員連盟ですけれども、これがドイツへ行って視察しているんですね。欧州視察団というんですか、KGS議連欧州視察団。これに参加されたと思うんですけれども、そのときのコメントを見ますと、九六年の視察団には、名簿には大臣の名前が載っているんですが、九七年に参加したんだということになっているのです。第一次視察団には不参加で九七年の第二次の視察団のとき参加した、こういうことになっているんでしょうか。

片山国務大臣 九六年に議連で行くというお誘いを受けたときは、私はお断りして行かなかったんです。それで、その次の年に再度ありましたが、そのときはラトビアとエストニアの議連との向こうでの会合もありましたので、それに合わせて私は参加しました。一日だけだったと思います。

矢島委員 新聞等によりますと、その日程やあるいは至れり尽くせりのKSD側のもてなしだったというのもありますが、要するに、この古関忠男という人がKSDというものをつくって、さらに関連財団をどんどん広げていった、その応援団として議連がつくられる。例えばものつくり大学の設置の準備財団、ここに議連の皆さん方が応援する、準備段階から国の予算がつく、いわゆる国家予算を獲得する、そうしかけてきたのがいわゆる古関被告ですね、現在は。彼が中心となってつくってきたものです。

 私、思うに、やはりこういう企業やその他がいろいろな事業を進めるときに、政治家といろいろなつながりを持って、政治家を利用しよう、一方政治家の方も、選挙で票をもらったり、場合によっては金を出してもらったりというので、まあ持ちつ持たれつのような関係にあるということは断ち切るべきだと思うんです。例えばドイツ視察は非常にいい名目ですよ、第一回のときの目的なんかを読みますとなかなかちゃんとしたものなんですよ。しかし、今こうなってしまいますと、どうもその名目というのが完全に色あせたものになっちゃったな、そういうことでしかないなと思うんです。

 そこで、今、森内閣に対する不支持も広がっておりますけれども、やはりこういう疑惑について国民の前にはっきりさせると同時に、特定の個人や団体と癒着したりあるいは便宜供与的なことを引き受ける、あるいは金銭的な関係をつくる、こういうことをきっぱりと断る、断ち切る、これが肝心だということを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。

 大臣の所信に対する質問に移ります。

 まず、多くの国民が今いろいろな関心を持っているのが情報や通信や放送、こういう問題であります。

 時間がありませんので、私これだけに入りますけれども、大臣は所信表明の中で、地上テレビジョン放送のデジタル化というのに触れた部分があります。そこで言っていらっしゃることは、全放送メディアのデジタル化を円滑に推進してまいります、こう述べていられるわけです。

 そこで、きょうお聞きするのは、細かい問題じゃありません、地上波デジタル化というものについて、これは電波法でやればいいこともありますので、政治家としての大臣のお考えをお尋ねしておく、こういうことで考えていただければいいかと思います。

 そこで、この地上波のデジタル化をどういうスケジュールで進めていくのか。これは国民の重大な関心事であるわけです。また、それは国民だけではなくて、総務大臣としてはその計画をつくらなければならない責任者ですし、総務省としても大きな課題となっていると思います。アナログからデジタルへということは、国民の生活や文化、さらには福祉の向上、こういうものに寄与するものとして歓迎されるものでなければならないと思います。

 そこで、現在の地上波放送というのは、テレビさえあれば全国どこでも見ることができるわけですね。しかも、テレビ受像機というのは現在ほぼ全世帯に普及しております。ということは、国民の基本的な情報獲得手段にこの地上波放送というのはなっているわけなんですね。

 この地上波のデジタル化ということの問題なんですが、私は、今、国民全体の基本的な情報を獲得する手段になっている、そういう性格を持っている、それをさらにデジタル化によってより豊かにするというものでなければならないと思うのですね。デジタル化によってそういう基本的な情報手段が狭められたり後退したりということがあってはならない。これは地上波放送のデジタル化を進める上での基本的な原則ではないかなと思うのですけれども、大臣、このことについて御見解がありましたら。

片山国務大臣 デジタル化の必要性は矢島委員も十分御理解いただいていると思いますけれども、大変高品質にする、あるいはデータ放送ができる、双方向サービス、安定した移動受信ができる等の多くのメリットがありますから、これは私は、関係者の合意を得ながら進めていくべきではなかろうか、こう思っております。

 そこで、その前にやはり周波数の変換のアナ・アナ対策が必要だ、こういうことでございますので、来年度から五カ年でアナ・アナ対策を進めていこうと。その上で、御承知のように、二〇〇三年から三大広域圏を中心に本放送を開始していただき、その他の地域は二〇〇六年の末から本放送を開始していただいて、一〇年から一一年ぐらいまでにはスムーズな移行を果たしていこう、こういうことを考えておりまして、その間のいろいろな支障については、精力的に支障がないように努力してまいりたいということで、現在いろいろな話し合いをしている段階でございます。

矢島委員 私の申し上げた基本的な原則というのは大臣もお認めいただけると思うのです、やはりそういうものでなければならないということについては。今お話がありましたように、日本経済新聞の二月八日の一面に、「全廃二〇一一年目標」こういうのが出たのです。ですから、今国民の間にいろいろな話題が出てきているというわけなんです。

 大臣が今おっしゃられましたように、二〇〇三年までに関東広域圏と近畿、中京の広域圏、ここはデジタル化、デジタル放送を開始する、二〇〇六年になりますとその他の地域をやる、二〇一〇年を目安として。実は、このスケジュールが出ているのを政府がどこで決めたのかなといろいろ見ましたら、政府が決めたのじゃなくて、地上デジタル放送懇談会がこのスケジュールを出していて、今のところこれだけなんですね、一応こういうスケジュールでやっていきますよというのが出ているのは。もちろん、これはガイドラインですから、電波法や放送法に定めているところの放送普及基本計画だとか、あるいは今アナ・アナ変換の問題が出ましたが、周波数割り当て計画、こういうものに書き込まれることによって政府の正式な決定となるんだと思うのです。

 そこで、私がお聞きしたいのは、つまり国民が心配しているのは、ばたっと打ち切られるんだなという感じなんですよ。つまり、高いテレビに変えなきゃならないんだなということなんですよ、一番心配になっているのは。

 ですから、この問題では、私が、九九年四月の逓信委員会だったと思いますけれども、世帯普及率が八五%という問題を取り上げまして、絶対に足切りにならないようにということで質問させていただいたわけなんです。当時の野田聖子郵政大臣は、そのことに対して、八五%普及によってアナログ放送を終了するというのではないんだ、その時点になって具体的に終了時期を決めるというものであると理解している、つまり、八五%がゴールではなくて、その時点でいつ打ち切るかを決めるのだと理解しているという答弁だったのです。それで、一〇〇%に向けて、放送事業者または郵政省初め国、さらにはメーカーの努力が今求められておりますと答弁されたのです。

 つまり、デジタルテレビの一〇〇%普及を目指すことを基本にしながら、廃止時期を、現在ではなく一定の普及状況、八五%がいいのか悪いのかというのはいろいろな論議がありますけれども、一定の普及率になったときに決めるんだ、こういう当時の考え方、基本的な考え方だと思うのです。私は、こういう考え方は極めて常識的な考え方だなと思うのですが、大臣、このことに対してはどんなようなお考えでしょうか。

小坂副大臣 矢島委員は大変この分野について御存じでございますが、私も同時に、当時の野田大臣のころの委員でもございました。当時は、確かに世帯普及率を一つの基準として、その時点の状況を踏まえて終了時期を決めていく、そういう検討方法をとっておったと思うのですね。

 しかしながら、その後、デジタル放送の普及といいますか、全世界における動向を見ておりますと、諸外国の動きが大変急速になって速まっておりまして、また、電波の有効利用の観点から、ぜひともこれを早めてでも、その方が国民全体のいろいろな総合的な電波利用サービスの向上には資するのではないか、こういうことになりまして、むしろ、普及率という一つのその状況を待たないと把握できないような不確定の基準よりも、より明確に政策的にその終了時期を決めて、そこへ向けて政策誘導をしていく方がよろしいという考え方に変わってまいりました。

 したがいまして、私どもは、二〇一〇年にアナログ放送を終了して完全にデジタル放送に移行する、こういう目標を立てて、今その普及に当たっているところでございまして、その中において、委員が御心配の部分は、ある日突然やめられて、手元にはいっぱいアナログのテレビが残っちゃった、これでは困るじゃないか、こういう御意見でございます。

 今、BSデジタル放送が始まりまして、機器の開発がされました。いよいよ普及が始まりましたが、この先、地上波デジタルの始まるまでに、共用の端末、またケーブルもデジタル化されますし、インターネットの方からいろいろな情報が流れてきてホームサーバーという形でテレビにも入ってくる、こうなりますと、そういったいろいろなサービスに対応するための受像機が早期に開発をされて、価格的にも非常にお求めやすいものに変わってまいります。そうしますと、二〇〇六年にその他の地域の地上放送が始まるころには、市場にありますテレビはデジタル対応がほとんどになってくる、そして、その価格も非常に安いものになってくると考えられます。

 そうしますと、残った期間の中で一般家庭に十分に普及して、二〇一〇年にはデジタル放送へ完全移行しても大きな混乱がなくできるのではないか、そういう予想も立ってまいりました。

 さらに、コンバーターといいますかセットトップボックスの価格低廉化へ向けて、メーカー等の協力を仰ぎながら、また技術的にも支援をして、そういった政策誘導をさらに進めて、混乱のないような方向を模索してまいりたい、そのように考えているところでございます。

矢島委員 私の心配しているのは、ある日突然始まっちゃってアナログテレビが残っちゃったというのではなくて、アナログテレビというので見ていたけれども、いよいよ映らなくなってデジタルのテレビに買いかえなければという事態についての問題として、もうこれは大臣、一般的な考え方でいいのですよ。デジタルテレビに移行する、いろいろなメリットがある、これはわかります。だからこそ、国民視聴者の自発的な選択によって移行するということは非常に重要だ。

 それで、アナログ放送を打ち切ることでテレビの買いかえをせざるを得ないという事態が起きたとすれば、今小坂さんの話だと、希望的予測かもしれませんが、もうそのころは大丈夫だと。それは、十年後にどうなっているかというのはなかなか、いろいろな面から検討しなければならない部分もあるし、果たして電波が全国に一〇〇%地上波になって行っているか、北海道の隅まで全部一〇〇%網羅できるかどうかは、これもアメリカあたりの今の状況を見ますと、大変苦労している。イギリスも、大体一〇〇%になるには、十年じゃなくて十五年という線も今出ていますね。イギリスは九八年に放送を始めましたから、ですから、実際にはそれから十五年という意味ですけれども。

 それで、そういう事態になったときに、国民はテレビを買いかえなければならない。私は、こういうことがあってはならない。買いかえさせられる。まだうちのテレビはアナログで見えるんだ、アナログで見えるのだけれども、電波が来なくなった、どうしてもこれは買いかえなければならないなというような事態がもし起きたとすれば、やはりそれはテレビの買いかえを強要することになるのだから、そういうことがあってはならないなと。大臣、やはりそういうことはない方がいいわけでしょう。だから、この問題は、やはりそれに対する万全の対策を立てなければならないし、国民の意見も聞かなければならないのですよ。

片山国務大臣 言われることは私もよくわかるのです。ただ、テレビの受信機は大体八年ないし十年のサイクルで買いかえる、こういうことでございまして、今の時点でも、恐らく二〇一〇年には、ある推計だとデジタルテレビが六千万台を超えるだろうと言われているのですね。アメリカも、何か二〇〇六年までだそうですね、一九九八年に始めまして。

 そういうことからいきますと、もう今CSがやっている、BSも始めた、それからケーブルテレビやいろいろな関係からいいますと、日本人の皆さんは適応が早いですから、私はそう心配しなくてもスムーズに乗りかえていくのではなかろうかという気がいたします。矢島委員言われますように、無理な形はいけません、合併と同じで。これはひとつスムーズに乗りかえていくように我々も努力したいと思います。

矢島委員 これは大臣にお答えいただかなくてもいいのですが、今、テレビの買いかえの周期が七年から八年、それは大体そういうことなんです。しかも、いわゆる関東とか近畿だとか中京、この地域は二〇〇三年ですから、八を足して一一年ということになって、これはちょうど周期なんですよ。問題はその後の方なんですよ。二〇〇六年なんですよ、今度はその他の地域というのは。そこで五年しかないのですよ。そうすると、せっかく、買いかえは七年、八年なんですよ、だから大丈夫なんですよという理由をつけても、それは理由にならないのですよ。もっと別の方法でなければ意味をなさないのです。ここで私は、だから少なくとも一つには、この七年とか八年という買いかえの周期があるならば、その他の地域と呼ばれている二〇〇六年開始のところにあっては、二〇一一年まで五年しかないのだから、これはその理由は成り立たないなと。

 そこで、私、イギリスでどういうことをやっているか、見たのですよ。そうしましたら、九八年からデジタル地上放送を開始したのですが、このデジタル地上放送がどのような速度で普及し、いつアナログに取ってかわるかについて、二つのコンサルタント会社に調査を依頼した。その調査結果は、デジタルテレビが九〇%から一〇〇%普及するのは放送開始後十五年、つまり二〇一三年と予測した。そこで、アナログの廃止は十年から十五年後が適当とこれは結論づけたわけなんですね。

 そうしましたら、イギリスでは、さらにこういうこともやっているのですよ。開始後一年たって、国民の意見を聞いた上で、デジタル放送の受信が可能な地域が全人口の九九・四%、デジタル放送の専用受信端末、STBの利用者が全人口の九五%に達した時点まで十二年間だと。これは、国民にいろいろと直接聞いているのですね。それで、いつから始めようかというあたり、つまり十年ではなくて、十五年かかる可能性もあるぞという指摘があるのです。ですから、相当この点は慎重にやっていく必要があるのですよ。

 そういう意味では、大臣、放送事業者やメーカーは、それに向けてやりましょうということになったようなんですよ、意見を聞いたら。ところが、国民視聴者にもう少し、直接意見を聞く方法や機会をつくっていく必要があるのだろうと。こうやりますということをこれから秋までの間に大臣が結局計画をつくって決定するのですから、そういう意味から、その間に十分いろいろな意見を聞くチャンスができるのじゃないか。ぜひそういうふうにしてもらいたいのですが、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 それでは、今の矢島議員の言われる国民の意見というところでございますが、いずれにせよ、これは来月末までにつくる例のe―Japan戦略の重点計画の中に、私はしっかり盛り込まなければいかぬと思っているのです。そういうことの過程で、もちろん、国民の皆さんの意向を何らかの形で聞くとすればその後になるかもしれませんけれども、御提案の趣旨はしっかり受けとめて、検討させていただきます。

小坂副大臣 私も、実はイギリスへ先月参りまして、イギリスの担当でありますスミス大臣、また上級のヒューイット大臣と直接話をしてまいりました。かなり長い時間を費やしてこの問題について議論をしたのでございますが、イギリスの場合は、高画質の放送を行っていないのですね。したがって、国民の側から見ますと、何のためにデジタルにかえなければいけないのかというインセンティブが十分に働いていないのでございまして、そのために普及率が当初予定よりもはるかにおくれております。その関係もありまして、オン・デジタルという会社は無料で端末を配っているのですね。にもかかわらず、十分に普及してまいりません。一方、我が国においては、高画質とそれから多機能というものが同時にスタートをいたしておりまして、そういう意味でインセンティブがかなり強く働いております。

 また、先ほど申し上げましたが、二〇〇六年以降、二〇〇六年にアナログだけの新しいテレビを買うという方はほとんどいないと思うのですね。そのころには、もう市場はほとんどデジタル共用テレビでございますので、そういう形の中で、その残存期間が二〇一〇年にはほぼ切れているだろうということでございます。

 また、国民の意見も、御指摘のように聞く機会を持たなければいけないと思っております。ただ、実際のサービスが見えていないところで意見を聞いてもわかりませんので、一たん始まりましたところで皆さんの認識がふえたら、そこでそういった機会をつくりながら、御意見を聞きながら進めてまいりたい。しかしながら、政策的には二〇一〇年という目標を達成する、こういう形で進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

矢島委員 時間が来ましたので終わりますけれども、円滑な移行ということを大臣は所信の中でも言っていらっしゃるわけで、これがやはり国民との合意、そうだろうと思います。スケジュール、スケジュールということでいろいろあるわけで、二〇〇三と二〇〇六と二〇一一というのが今まで出てきているわけですけれども、こういうスケジュールだけで突進するというのではなくて、国民的な合意、これが非常に重要だということを申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党・市民連合の重野安正です。

 片山大臣に質問をするのは、もちろん初めてであります。我々総務委員会所管の総務大臣として、今後ともいろいろな意味でおつき合いいただくわけでありますが、そういうよき関係というものをつくっていく上でも、お互いの信頼関係が大事であるというふうに私は認識をしております。したがって、そういう関係をつくっていく上で、どうしても避けて通ることのできない問題がございますので、まず、その点について大臣の所見を伺いたいと思います。

 今も質問がございましたけれども、いわゆるKSDの問題であります。重複をいたしますけれども、確認をしておきたいと思うのですが、総務大臣もパーティー券を、金額にして都合二百万円というふうに聞いておりますが、買ってもらった。今答弁がございましたけれども、改めてその時期並びに額について確認しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

片山国務大臣 先ほどもお答えしましたが、平成八年の秋でございましたか、私のパーティーをやるときに、私の事務所の者が豊政連の事務局の方を知っておりましたのでお願いしたら、一枚一枚とか個別に売るのは大変だろうから、まとめて引き受けて、うちの方で適当にそれはさばくからということで、五十枚、ということは、二万円でございますから百万円引き受けていただきました。

 そういうことがありましたので、私、その次のパーティーは平成十一年の二月だったと思いますけれども、そのときに私の事務所の者が同じようにお願いした。平成八年の方は、私は報告を受けておりますから、ああそうかということでございましたが、平成十一年の方は事務所の方でやった、こういうことでございまして、いずれもそれぞれの年の選管の収支報告にはしっかりと載せております。

重野委員 そこで、これも確認しておきたいのですが、片山大臣も、選挙あるいは政治資金、そういうものに非常にかかわりを持つ省庁の大臣となられたわけでございます。したがって、今後、こういう機会がもしめぐってきた場合にどういうふうに対処するおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 その時点では、KSDという団体の内容や性格を私は全く存じ上げなかったわけですね。だから、今、重野委員御指摘のように、そういうことを所管する大臣になりましたので、今後は、仮にパーティーをやったりいろいろなことをお願いするときには、やはり相手の素性をできるだけ調べて、遺憾なきを期したいと思います。

重野委員 今、大臣から大臣の考え方が示されました。やはり私も、政治というのに不透明さがあることが国民の政治不信の端緒となるわけですね。だから、我々政治家ももちろんでありますが、大臣も、社会的、道義的、政治的に一点の曇りもない、そういう姿をしっかりわきまえて対処していただきたい、このことを申し上げておきます。

 そこで、KSDと大臣、その当時は大臣じゃなかったのですが、片山大臣との関係ですね。特に理事長と深い関係があったのかどうか、そういうきっかけは何だったのか、KSDと大臣との当時の関係を持つに至ったその関係、どういうきっかけでそういうふうになったのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 それは、先ほども言いましたが、国際技能工芸大学の議連に参議院議員の親しい人に勧められて入りましたから、そういうことでうちの事務所の者が豊政連の方の事務局の人を知っていたんじゃなかろうかと思います。

 私は、古関理事長とは、顔ぐらい知っておりますけれども、向こうは私ということがわかるのかわからぬのかという程度で、参議院議員としては何人かで党の会合なんかでお会いしたことはありますが、全く特別な関係はありません。二人だけで話したこともありません。

重野委員 次に、これもちょっと確認をしておきたいのでありますが、アメリカの原潜によるえひめ丸の沈没事故が発生をいたしました。その後、当時総理がゴルフをしていたということをめぐって、今なお国民の間には大変な議論が沸き起こっているわけです。

 この事件に対して、小坂、遠藤両副大臣が、新聞記者の質問に対してコメントが新聞に出ておりました。内容的には、やはりよろしくない、そういうときにゴルフ場に居続けたという点について批判的な、否定的な見解がなされておりました。

 両大臣を監督する大臣として、その見解をどう受けとめて、それはそうだという立場をはっきりみんなの前で言えるかどうか聞きたいんですが、どうでしょう。

片山国務大臣 御質問の件につきましては、お二人の副大臣にお聞きしましたが、これは全く総務省の職務に関係なく、個人的な立場から一政治家としての御感想を発言したものと聞いておりますから、おまえは上の大臣だからと、こういう関係の発言ではないと私は理解しておりますので、コメントは差し控えたい、こういうふうに思います。

重野委員 私が言ったのはそういうことではなしに、それぞれがやはり政治家として発言された内容が記事になっておると私は理解をしております。であれば、そのことの関係という観点ではなしに、総務大臣としてあの出来事に対してどういうふうな見解をお持ちなのか、そのことを聞いておるわけです。

片山国務大臣 これは、衆議院の予算委員会でも何度も問題になりまして、森総理は、各省庁に対する措置は万全を期したが、ゴルフ場という場所にいてその判断をしたことに御批判があればおわびしなければならない、こういう発言をされておりますので、私は、現職の閣僚でございまして、森内閣の一員でございますので、そうした総理の御発言を尊重したい、こういうふうに思っております。

重野委員 その点については、これ以上言っても、多分これは同じところをぐるぐる回るんだろう。私は、総務大臣のそういう見解を是とするものではありません。

 それともう一つ、私も岡山に友人が何人かおるのでありますが、大臣は大変ゴルフがお好きなようだという話を聞きました。多分ゴルフもうまいんだろうなと思うのですが、問題は、やはり総理のゴルフ、あの事件。もしかしたら、この潜水艦による沈没事件は日本とアメリカの関係にぬぐいがたい傷を残すのではないか。戦後の日米関係というものを見直すとまではいかないまでも、ああ、やはり本音はそうなのか、こういう大きな国民的な不信感というものを醸成していく一つのきっかけになるのではないかというほどに、私はあの事件は大きい事件だったというふうに思うのですね。今の大臣の総理に対する、総理に仕えている大臣だからということだと思うのですが、それにしても、私はやはり、この間の総理大臣の行動というのは非常に深い傷を残すことにつながるのではないかという意味で、大変危惧をしているわけです。

 そういう意味で、私は、これ以上大臣の答弁はその件に関しては求めませんが、そうであっても、大臣としてそういう国民感情というものを受けとめて、今後の総理との関係において、やはりきっちり言うべきことは言う、そういう関係を今後とも醸成していただきたいな、このことをお願いしておきたいと思います。

 それから、これは私が事務方に聞いたら、どうも私の勘違いのようなんですが、例のゴルフ会員権の名義の問題ですね。

 これも新聞に出ていた記事ですが、資産公開時にも専門家に聞いて、届ける必要がない、自治省も認めている、新聞の記事はそうなっておるんですね。言うなら、その後の予算委員会における財務大臣あるいは国税庁の次長等々の答弁、贈与税の対象となる旨の答弁等々を総合的に考えるとき、やはりこれも非常な不信感を我々に植えつけた。だとするならば、この間の経過というものをやはりはっきりしておかなきゃならないなということを私は感じるのでありますが、この間の新聞報道、あれは真実なのか、いや、どうも勘違いがあるということなのか、その点も含めてはっきりしていただきたいと思います。

片山国務大臣 御指摘の点については、自治省の方は相談を受けていないという事務方のあれでございますので、官邸の方に確認しましたところ、二月十五日、記者からの質問に対して自治省とかに相談したとの総理の発言があったことは事実のようですが、その後、その発言の趣旨は森事務所において所管のところに相談したという趣旨であって、自治省に相談したという部分は総理の勘違いであった旨、官邸の方で事務方を通じて記者に訂正した、そういうふうに私は聞いております。勘違いであったと。

重野委員 勘違いというふうに簡単に片づけられる問題かどうかというのは、これは議論が多くあるところだろうと思うのです。残念ながら、私は、官邸からこの間の総理の発言に対する訂正がなされたという記事を余り見ていないものですからこういうことを申し上げるのですが、いずれにしても、それはそれとして、だからといってあの行為が妥当であるということにはならぬわけですね。今後とも、この問題は引き続き、いろいろな角度から議論がされていくだろうと思うし、私もさらにその辺の確認をしていきたいと思います。

 次に、新しく一府十二省庁体制ができました。総務省は、かつての自治省、郵政省それから総務庁、巨大な官庁になったわけです。私は、新しい百年がスタートし、そして国の省庁体制も新しい体制になった、それは、今後の新しい百年にたえ得るシステムをつくっていかなければならぬという時代の要請にこたえての一つの具体的な方策が、今一府十二省庁という形になったのだろうと善意に思うのであります。

 そこで、総務省の役割というものは一体何なのかという点について大臣の認識を聞いておきたいと思うのです。

 新しい自治法第一条の二第二項に、国は、「地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。」このようにされ、地方自治に関連して総務省設置法で、地方自治の本旨の実現及び民主政治の基盤の確立、地方公共団体及び地方公共団体間の連絡協調、これをうたい上げております。私は、そうだろうと、これを評価する立場に立ちます。

 さて、これまでの、戦後あるいはその前から、自治省あるいは郵政省は別個の省で、俗に言う縦割りという枠の中でやってきたという長い長い歴史があるわけです。果たして、この三つの省が総務省という束ねの中で、うまくそれが重層的に縦から横から機能していくのか。そしてその結果、本当に二十一世紀、新しい百年にたえ得る地方自治というものをつくっていく、あるいは自治の尊重、そういう点を含めて具体的に、新しい、その三つが一緒になった総務省の責任者として、その辺の展望といいますか、あるいは期待と申しますか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。

片山国務大臣 今、重野議員御指摘のように、それまではそれぞれの歴史、伝統、文化を持つ三省庁が一つの省になりましたから、それは一つの省になったから、その日からすぐお互い連帯意識ができて、一体でということはなかなか難しいと私は思いますけれども、一月六日に統合しまして、これで一カ月半以上過ぎましたけれども、私は、やはり顔を合わせているということは、だんだん心が合ってきて、力を合わせる雰囲気になってきているな、こういうふうに思います。

 今、できるだけ横断的な、旧省庁を超えた、仕組みというほどじゃありませんが、いろいろなコミュニケーションの場をつくっておりまして、特に中堅、若手の人はテーマを決めて勉強会をやってもらったり、いろいろなことをやっておりまして、ぜひ、この巨大巨大と言われる総務省が一体として機能するような努力を重ねていきたい、こういうふうに思っております。

 総務省は、基本的には、国、地方を通じた国家の基本的な仕組みをしっかりと、あるいは国民の経済や社会活動を支える基本的なシステムをしっかりと守るところであります。それから、名前が総務ということですから、そういう意味では総括的な、それぞれの個別の課題を持つ省に比べてやや包括的な、例えば公正取引委員会だとか、日本学術会議などもその所轄に入っているわけでありまして、そういうものをうまく丸めて内閣全体が十分機能する、もちろん内閣府や内閣官房がありますが、それに次いで総務省も潤滑油的な、各省庁をまとめる、例えば行政評価や情報公開をやるわけでありますから、私は、そういうことのしっかりした努力を今後していきたい、こういうふうに思っております。

重野委員 具体的に、私は大分の二区、もう田舎ですが、五カ村が合併をした町に住んでおります。その昔の五カ村、村ごとに郵便局がありますね、簡易郵便局とか。そして一方、役場があるわけですね、町にある。どうなんでしょうか。そういう村々にある郵便局、それから役場、その機能が具体的にどういうふうに融合し、つながっていくのかな、そして、一つの総合的な力をどういうふうに発揮していくのかなというイメージがなかなかわいてこない。

 大臣、そういうふうなことを頭の中に浮かべながら、郵便局、それから役場が中央においては総務省の束ねの中に入ったということが、末端においてはどういうふうなイメージとして機能していくのかという点、それをちょっと聞かせてください。

片山国務大臣 きょう本会議でも議論になりましたし、予算委員会でも、あるいはこの委員会でも議論になりましたが、我々は、二十一世紀は地方の時代、その地方というのは市町村の時代、そのためには市町村がいろいろな意味で主体的に物が決められ、仕事ができるようにすべきだと。そのためには、今の市町村では規模、能力がやはり不足しているから、できるだけ市町村合併をしてもらって強い大きな市町村になってもらいたい、こういうことを考えておりまして、何度も議論がありましたように、今、約三千三百でございますけれども、千ぐらいを念頭に合併を進めていこう。時間はかかるかもしれませんよ。すぐ簡単にばたばたできるとは思えませんけれども、千ぐらいを念頭に。

 そうしますと、今度はコミュニティーと市町村の役場というのはかなり距離ができるわけであります。ただ、コミュニティーというのは自治の基礎でありますから、コミュニティーはしっかり守っていかなければいかぬ。ちょうど今、郵便局が二万四千七百あるということは、やはりコミュニティーぐらい、言われました旧村単位ぐらいで郵便局があるわけで、私は、コミュニティーのセンターみたいなことに郵便局はなってもいいんじゃなかろうかと。

 コミュニティーのセンターになるとともに、市町村の支所的な機能、例えば、ここで何度も議論がありましたけれども、住民票その他の証明書の交付を受けたり、あるいはいろいろな届け出ができたり、あるいは場合によってはひとり暮らしのお年寄りのケアをやったり、そういうことを、市町村とその郵便局が望むならば、合意できるならやってもらったらどうだろうか。

 コミュニティーのセンターはむしろ郵便局で、コミュニティーを超えたいわば社会経済的な大きな共同体が市町村で、その市町村は地方分権がさらに進み、中央からの税財源の移譲も受けて、しっかりして、自己決定ができ、自己責任を持って仕事がやれる、こういうことかな。これは役所の皆さんと相談したわけではありませんけれども、私はそういうイメージを持っております。

重野委員 これも経験的なことですが、私の大分の郵便局の組合、全逓という組合があります。全逓大分は、ふれあい郵便と称しまして、ひとり暮らし老人のところなんかに郵便配達へ行ってちょっと声をかけるわけですね。ばあちゃん、元気しとるか、こういうふうなことをやっておるんです。非常に地域のお年寄りから頼もしく受けとめられているんですね。一軒一軒郵便を配達していく中で生まれるそういう価値、これをこのシステムの中にどう位置づけていくかということですね。

 そういう点についても、そういう経験的ないいものがありますので、ぜひ、積極的に大臣も実際に聞いて、あるいはその実態を調べてもらって、そういうふうなものをやはり融合的に生かしていくということが、いよいよ郵便局もそういう意味では総務省の中に入って役場と一体になるわけですから、私は、そういう意味での認識が変わってくると思うので、そこら辺をひとつ要望しておきたいと思います。

 最後に、メルクマールの法令化について、ちょっとお願いというか意見を申し上げておきたいと思うのです。

 地方分権推進委員会の扱いについては、これが延長されるのか、もうこれで終わるのか、それがいいか悪いかということをここで申し上げる気はありませんが、この間この委員会で積み上げられてきた議論の成果というものはたくさんあるわけですね。それを現実化していく、そのかぎを握っているのは大臣だと私は認識しています。

 メルクマール、具体的に説明する必要はないと思うんですが、これを、私は提案ですが、法制化するというような考え方あるいは発想というものはお持ちでないか、考えをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 地方分権推進委員会につきましては、六月末で任期が切れますので、これは、既に全国知事会なんかもいろいろ言ってきておりますので、関係の省庁と十分相談して、どうするのか、あるいは形を変えてどうするのか、そういうことを含めて検討いたしたい、こう考えております。

 今、重野委員言われましたように、法定受託事務のメルクマール、これは、御承知のように実は地方分権推進計画の中に書かれているんですね。だから、それはそれで用が足りていると私は思うんですが、御指摘は法制化はどうか、こういうことですね。だから、その辺、法制化というのもまたなかなか、私は個人的には大変だと思っておりますが、検討はさせていただきます。

重野委員 以上で質問を終わりますけれども、さっきから申していますように、大臣は非常に能動的な印象を持っていますので、一度地域に出ていってもらって、例えば医療過疎に悩む地域だとか高齢化率が物すごく高い地域だとか、実際に行って印象に焼きつけて、それを総務省行政の中に生かしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、荒井広幸君。

荒井(広)委員 自由民主党の荒井でございます。

 先ほど来から非常に、大臣の新しい省にかける意気込みと、そしてイメージ的にも、三つが一緒になったらどうするんだ、先ほどの郵便局のイメージ、コミュニティーセンターだと。非常に私たちにも心の中で結ぶわけでございますが、改めて、きょう一日の議論で、また言い足りないところもあろうかと思います。早速、初代大臣である片山大臣に、新しい総務省、政策面でのメリットをどう発揮していこう、こんなことをお考えなのか、お尋ねいたします。

片山国務大臣 お励まし、いろいろな御注意を含めてありがとうございました。

 きょう一日、総務委員会でも一般質疑をやっていただき、本会議でも地方財政計画ほか三法案の趣旨説明と質疑をやらせていただいて、先生方の、皆さんの意向が大分私もわかってまいりましたけれども、やはり中央省庁再編は成功させなければならない、そのためには、建制順では筆頭になります総務省がまずこの統合、融和を成功させなければならない、こういうふうに思っております。

 今回のこれは、単に役所の体制を直すだけではなくて、それと同時に行政の中身、あり方も見直して直していく。それは、ひいては国のありようまでつながっていく。二十一世紀をどういうふうにこの国にうまく根づかせていくか。まあ二十世紀は戦争と革命と何とかの世紀なんという意見もありますけれども、二十世紀に引き続いて平和で安定して繁栄する世紀にするために、私は総務省は大きな役割を担わなければいかぬと。大きな役所だといっていろいろなことを言われてもそれを心配するな、大きな役所は大きな仕事をして大きな貢献を国家国民にしようではないか、そのために三十万四千名が心を一にして頑張ろう、こういうふうに思っております。

 そのためにも、何度も申し上げますけれども、国、地方を通ずる行政改革や行政の簡素化や、官民を通じる情報化、IT化を強力に推進することや、一番国民との接点であります郵便局や市町村役場に頑張ってもらって、国民福祉に、あるいは住民の皆さんの便宜に大きな働きをしてもらうように今お願いしているところでございまして、ぜひ総務委員会の諸先生の御指導や御鞭撻をいただきたい、こういうふうに思っております。

荒井(広)委員 大臣の今のお話でも、また所信の中でも、国民との接点というお言葉を使われておられます。そして、融和と結束、こういったことでございますが、新たに政策を行う職員の皆さんが融和をしていただいて結束をしていただく、そうすると、お互いに気がつかなかったものに気がつく。水と油だというような悪評もありますけれども、実は、ドレッシングというのは水と油だからおいしいのがあるわけでございまして、見えなかったところが見えるということが非常にあると思うのです。

 そういう意味で、大臣、職員の皆さんの連携といいますか融和、その中で新たな活力、そして気がつかなかったところに、また思いやりの心でもって、新しい日本をつくっていく国民のためにやる。そういうことでは、職員の皆さんの融合という意味は非常に重要だと思うのですが、改めて、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 そのためには、私は、できるだけコミュニケーションの場を縦横で持った方がいいと思いまして、総務省では、最高幹部会議を毎週一回、私、副大臣、大臣政務官、事務次官、それから事務次官待遇の総務審議官、官房長、秘書課長、総務課長、それだけ入れて、コミュニケーションをやっております。省議は原則月に一回やる、これは局長以上ですね。それから、若手の横断的なプロジェクトチームをつくりまして、今四つつくっていますかね、そこでいろいろな議論をやっていただく。それ以外に、各局ごとの交流をやってもらっておりまして、今、旧三省庁の人事交流を一部やっておりますが、これがだんだん大々的に行われれば、私は、今言いましたように、顔を合わせて、心を合わせて、力を合わせることになっていくのではなかろうか、そういう機運をぜひつくっていきたい、こういうふうに思っておりますので、これまたよろしくお願いいたしたいと思います。

荒井(広)委員 今までやっておった仕事と違う部分があるわけですが、例えば消防庁、一生懸命頑張っていただいて、全国九十六万人の消防団員の皆さん、日夜、災害列島日本のために、国民の皆さんのために頑張っておられます。今まで、制度があって忘れていたのがあったわけです。消防団員の皆さんが消防の屯所に行く、屯所から家に帰る、この公務上のマイカーの自損事故の制度というのはなかったのですね。ですから、そういうものを、例えばこれは大臣初め皆さんにお取り組みをいただいて、我が自民党も与党として御相談して、対応をつくっていくわけでございますけれども、いわゆる、今まで余りにも一つの役所にいたがために見えなかったことというのが私はあると思うのです。

 ですから、どうぞ、今のような会議の場で、お互いに初めてだからこそ知り得る、あるいはつかぬことだがというような程度で中身に入っていく、こういったことで、国民の皆さんとの接点、求めているものを探していただきたい、そして、二十一世紀の国民の皆さんの求めるものにこたえていっていただきたいと思っております。

 さて、そういう意味でも、政策評価というものが非常に問われています。選挙もだんだん政策評価で投票するような時代になったかと思います。あるいは行政評価という言葉で、概念的にはいろいろ混同されていますが、きょうは、少し幅広く、行政評価、政策評価というのは一緒のような概念で使わせていただきたいと思います。

 一月から政策評価制度ができまして、これをきちんと標準的ガイドラインに沿ってオール政府でやっていこう、こういうことで進んでおります。また、実効性をきちんと担保するという意味からも、行政機関政策評価法が予定されている、こういう状況でございます。

 そこで、国と同時に歩調を合わせる地方、自主自立の中でありますが、やはりちょっと寂しい状況かな。去年の秋以降の調査を見ますと、市町村では、これから検討するというところが半分以上あるのですね。県の方はそれなりに、五〇%程度は進んでおるようでございますが、地方分権時代だからこそ、地方の行政評価を今後どう進めていこうとされるのか、その点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

遠藤副大臣 地方公共団体におきまして、行政評価に既に国に先駆けてかなり前から熱心に取り組んでいただいているところもございます。今お話がございましたけれども、昨年の八月末現在でございますと、都道府県におきましては、既に行政評価を導入しているところが二十四団体ございまして、五一%に上っている、その一方で、市町村におきましては、導入済みはまだ七十七団体でございまして、二%にすぎない、こういうふうな状態になっております。

 国といたしましても、地方でこうした行政評価を推進していただける意義は大変大きいものでございますから、今までさまざまな助言をしてきたわけでございますが、今回、この通常国会におきまして、行政機関の政策評価法案、これを提出いたしまして、ぜひ成立させていきたい、このように思っているところでございます。

 この国の姿勢に連なりまして、地方におきましてもそれぞれの条例等をつくっていただくことが出てくるのではないか。そしてさらに、各地方の公共団体におきましても、積極的に行政評価に取り組んでいただけるようになるものと期待をしているものでございます。

荒井(広)委員 そういう方向で進んでいきますと、一つは、いわゆる現在の行政の状況を認識して、そして、国民の皆さん、住民の皆さんが求める新たな課題を発見する、こういう手段として非常に有効だと思うのです。同時に、どれだけの効果があったかということでアウトカムという言葉を最近使うようでございますが、私も聞きなれない言葉ですが、住民に対してどれだけの効果をもたらしたのか、そういうことがバロメーターとしてわかるようになるということは、ある意味では、政治や行政がきちんと、説明責任、アカウンタビリティーで、国民の皆さんに、住民の皆さんに評価の材料を提供できる、それがまたフィードバックして、我々は選挙で選ばれていく、こういうことでもございます。社会革命という意味で私は非常に意義のあることだと思いますので、どうぞ、充実するようにこの委員会でも引き続き議論をさせていただきたいと思っております。

 さて、そういうような意味で行政評価、政策評価ということを考えたときに、地方分権、そして主役は住民、サポーターは自治団体、こういうことだろうと思います。この受け皿が、いわゆる自治団体が国民の皆さんに対して必要とするもののサービスが行えるか。有形無形のものでございます。こういったものを仮に政策評価、なかなかなじまないところがありますけれども、そういったバロメーターに合わせてみますと、地方分権、そして住民主役、日本のシステムを大変換することによって、大臣もきょうの本会議でもおっしゃっておりましたし、この委員会でもそうですが、やはり大転換を図らないと、どうもこの閉塞感は晴れないと私は思うのです。

 その一つとして、やはり市町村というものを、ある評価を下すとして、こういったものを入れていけば、町村合併というのは避けて通れない課題であるなというふうに思います。もちろん、いい点があり、また改善するべき点というのはあるのですけれども、総じて言えば、これは住民の皆さんがみずからの問題として自発的に積極的に市町村合併というものを考えていただきたい、このように考えております。

 先ほど来各委員の質問にもありましたが、私も政務次官で全国の都道府県の合併シンポジウムに行ってまいりましたけれども、大体、例として皆さんが一番お出しになるのは、昭和の大合併のときに、結局、合併して役場が遠くに行っちゃった、今のところの役場はあったんだけれども、それが、村役場が、町になったら中心に行っちゃった、そこは支所になって今はもうなくなりつつあるんだぐらいの話でございまして、役場が遠くになるというイメージが非常にあるのですね。それは、とりもなおさず行政サービスの低下というふうに受け取られているようでございます。

 先ほど大臣からお話がありましたので、きょうは政務官に、そのときの不安解消、サービス機能を低下しないというために郵便局というのがあるということで位置づけしていただいておりますが、改めて、この郵便局、市町村合併後の対応としてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

山名大臣政務官 御指摘のように、市町村合併の主たる目的は住民サービスの向上にあると私も認識をいたしているところでございます。したがって、市町村合併を行う場合におきまして、従来の住民サービス、またそれ以上の維持向上を図ることは、当然重要な課題だと思っております。

 先ほどお話しいただきましたように、旧市町村の役場、こういった機能が、市町村合併に伴う新しい体制の中で、支所あるいは出張所として従来どおり積極的に活用されることは極めて大事な部分であると思っておりますし、また、先ほどもお話が出まして、大臣からも答弁がありましたように、住民サービス、住民の皆さんの生活向上のために、大変身近な部分に存在をしています郵便局等をより一層積極的に活用するということが考えられるわけでございます。

 昨年の四月から、地方公共団体と郵便局の協力体制のあり方についての研究会、こういったものを設けまして、論議を続けているところでございますが、既に、地方公共団体と郵便局、あるいは地方公共団体と住民、こういう形で試行的にいろいろと検討をしている中で、例えばひまわりサービスといって、お年寄りのところへの立ち寄りだとか聞き取り、こういったことをやってみたり、あるいは郵便局に具体的に住民票の交付のための自動交付機、そういう機械を試行的に設置してみたり、いろいろと今進めているところでございます。

 特に、地方公共団体と住民の皆さんのニーズがどこにあるのかということもいろいろと論議をしておりまして、特にニーズとして多いのは、やはり住民票とか納税証明書あるいは印鑑登録証明書等の各証明書、こういったものを早く近くで手に入れたい、こういうニーズがありますし、先ほど言いましたような、本当に田舎に行けば、お年寄りがひとり暮らしで大変な中を、郵便局員が立ち寄って声をかけてもらう、それを楽しみにしている、こういったことはぜひやってほしいとか、あるいはバスの回数券等の発券についても郵便局での利便性を高めてほしいとか、いろいろな声が出ております。

 そういったところから、その中間まとめをいただき、またそういったものを検討しながら、こういう住民票の写しの交付等につきまして、特定の事務を郵便局において取り扱えるような法案を今国会提出することとしておりまして、ぜひとも、またその際は御審議いただき、御協力を賜りたいと思います。

 御指摘のように、市町村が合併を行う場合の行政サービスの水準維持といいますか、この対処策として有効に活用していただけるもの、このように確信しておりますので、よろしくお願いします。

荒井(広)委員 なお、ロンドンのニューハムという行政区では、本庁には職員さんを極力置かないで、歩いて十五分圏内でサービスができるようにワンストップサービスステーションを置いています。

 それは、例えば、日本だったら、商店街のガレージ通り、シャッター通りがあるわけです。そういうところをお借りしてもいいです。そして学校、一番十五分圏内です。空き教室を使ってもいいです。そして郵便局。そういったものを使いながら生活圏の中に出向いていく、これが新しい時代の役所のあり方だろうと私は思いますので、またそういった御検討もお願いしたいと思います。

 続きまして、総務省は、三つが一緒になりましたので、ある意味で緊張が欲しいものがあります。

 例えば、これは財投改革の部分でございます。簡保資金に加えまして郵貯資金を、自治体の起債に対して直接融資、貸し付けができるようになったわけでございます。そうすると、国民の皆さんの大切なお金を運用するのは郵便局。そして、それで地方を経営していくのが、地方に還元していくのが自治省、役所、役場。そして、そうしたものをきちんと行政チェックをするのが総務省。こういうことでございまして、きょうは平林前郵政大臣もいらっしゃいますが、この透明性、みずから厳しく郵貯・簡保資金の貸し付けについての透明性の確保、そうした緊張感、こういったものが必要だと思いますが、この点につきまして御答弁をいただきたいと思います。

小坂副大臣 御指摘のとおり、そういった意味では、緊張感を持ってこれに当たらなきゃいけないことはもとよりでございます。

 郵貯・簡保資金の地方公共団体への貸付額につきましては、運用計画の一部として郵政審議会の審議を経るほか、財投計画の一環として財政制度等審議会の審議を経るとともに国会で議決を受ける仕組みになっております。

 また、当該資金の貸し付けにつきましては、財務省との協議を経て策定いたします地方債計画におきまして地方債資金としての計画を明らかにするとともに、地方債の発行見込額等を含む地方財政計画を国会に提出することになっておるわけでございます。

 さらに言うならば、地方債の許可については、地方財政審議会の議を経るとともに、財務省と協議を行うなど、総額の決定や貸し付けに当たっての多くのチェックが働く仕組みになっておるわけであります。

 このように、郵貯・簡保資金の運用と地方債の発行の両面からチェックを行うことによりまして、貸し付けに対する透明性は確保されるものと認識をいたしております。

荒井(広)委員 今度の郵政国営公社に向けての制度設計をやっていかなきゃならないということで、大臣から、ことしじゅうに骨格をまとめるということですが、あくまでも国営の新しい公社でありまして、そういう意味では、このようなところを見ましても、非常に重要な国民の皆さんの、そして従来からありました地方への還元、こういったことも極めて透明性高く、また必要に応じてできる。同時に、地方自治団体も財政が厳しい中で非常に有効に国民の浄財を使える、こういうことでもありますので、どうぞ厳しく、そして有効に使っていただくようにお願いしたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたので、少しテンポを速めさせてお話をさせていただきたいと思いますが、携帯電話。

 実は、ITというのは、IはiモードのI、携帯電話とインターネット、ITのTはテレビジョンとインターネットということで、今日本が世界の国々の人にも恩恵を与えられると言われているのは、まさに携帯とテレビ、この二つとインターネットの時代である、こういうふうに言われています。

 ところが、携帯電話の不通話地帯、不感地帯とも言うそうでございますが、まだまだあるわけです。役場までは何とかなっている。そして、皆様方に、国の方でも積極的に二分の一の補助をつくっていただいておりますが、今すぐに携帯電話が通じるということにならなければ、十五年のe―Japanをつくっても、結局、今携帯からさまざまなものに入っていくという方が多いのです。

 景気対策にしても、家計所得の中で電話料、高いと言われていますが、何を基準に高いかということがありますけれども、少なくともそこだけは伸びている、使っているということです。こういったことのトラフィックなんかを見ましても、私は、経済対策にも非常に有効だし、逆に言えば国民がこういうことを望んでいるのです。それによってビジネスサポート、生活サポートをやっていくということです。

 現在、二分の一補助ということで今度の予算を出されていますけれども、直ちに全国に携帯電話が使えるように一挙にやってしまうべきではないかと思いますが、御見解をお願いします。

小坂副大臣 携帯電話の普及に当たりましては、荒井委員御自身が力を尽くされましたし、また通信部会等でも御指導いただいているところでございます。

 御指摘のとおりに、今や国民の二人に一台という形で普及をいたしておりますし、通信の速度もいよいよ上がってまいりますと、インターネットのあらゆる機能が携帯のような端末を通じてできる日も近い、こう思うわけでございまして、この普及が日本のITの将来を決めていく、こういうふうにも言えると思っております。また、その意味では世界に輸出していく日本の技術として、先生のおっしゃるとおり期待のされるところでございます。

 平成十一年度までに二百九十八施設、鉄塔の整備をしてまいりました。移動通信用鉄塔施設整備事業、こういう形で支援をしてまいりまして、今回、御支援もいただきまして、二分の一の補助という形にかさ上げをして一層の推進を図っていこう、通じない、いわゆる不感地域と呼ばれる地域を絶滅しようということで取り組んでまいるわけでございますが、なかなかいろいろな問題がございます。

 その一つは、この不感地域というのをいろいろ、通じないことはすぐわかるわけですけれども、それじゃ一体そこにアンテナを立てるとどの範囲がカバーできるのか、またそこの地権者等との交渉もありますし、いろいろな意味で、決めればすぐにそこに鉄塔が建つというわけにもなかなかいきません。

 そういう意味で、それでは今一〇〇%になるにはどのぐらい必要なんだ、こういう御質問かとも思うわけでありますが、目標が、市町村の役場及び支所、主要な観光地、産業団地、工業団地等のすべてがカバーされている市町村、この割合で見ますと、九五%にすることを目標に整備しておりますが、現在九三%、残りの二%上げて九五%にするまでにあと二百カ所程度の鉄塔整備が必要でございまして、約百十億円の投資が必要かと思っております。さらに、その残りの五%を上げて一〇〇%にしよう、こうしますと、さらに二百八十億円ぐらいの費用を要するものと……(荒井(広)委員「積み増しですか」と呼ぶ)はい、積み増しでございます。今までかかったと同じ費用で建てられるという形で計算しますと、そのようになってまいります。

荒井(広)委員 踏み込んでいただいてありがとうございます。百十億プラス二百八十億ということで解釈するのか、二百八十億と解釈するのかなんですが、例えば、テレビの不感地帯が、やっと大東島まで行ったというのは本当に昭和四十七年で、電話がついたのがやっと五年前、三年前というのが大東島の実態なんです。

 ところが、今までは、テレビだったら映るだけでございました、これからは違いますが。電話は、端的に、インタラクティブ、お互いにやりとりしなきゃだめなんですから、どこか通じないところがあるということは用をなさないということです。しかも、そこに莫大な生活の利便性やビジネスがあるのですから、これは大臣、もし緊急経済対策とかそういう段階が今後ことしじゅうにあれば、一挙に二百八十億円積み増して、一挙にことしじゅうでおやりになるつもりはございませんか。

小坂副大臣 大臣の方の決意はこの後すぐに述べていただくといたしまして、実際に百十億、二百八十億足して三百九十億のものを確保して、いきなり投入したらどうなるか。先ほど申し上げましたように、用地の確保とか、そのための調査とか、いろいろございますので、やはりこれはある意味では段階的に進めなきゃいけないところでございますが、それがどのぐらいのスピードでできるかどうかは大臣次第でございますので、大臣にちょっと。

荒井(広)委員 大臣のお話は最後に承るといたしまして、結局、やはりスピードの時代です。同時に、これは悪いことじゃないですね。ダイヤルQ2でいろいろな問題があるかもしれません。しかし、こういったものの格差是正をしていくという発想から、まさに総務省は、デジタルオポチュニティー、デバイド、格差から機会均等という発想になっていただきたいのです。なっておられると思いますので、ぜひ今度予算にきちんと盛り込んでいただきたいなというふうに思います。

 それで大臣、最後にお願いしたいのですが、これは西田大臣のときから、そして片山大臣につながっていただいているわけですけれども、横須賀市で二百億円の公共事業があります。そのうち、三年間やりましたが、二年間、ここ二年は実際に始まっています。一般競争入札です。そうしたら、地方自治法で全体の大体六、七割は入札をやっているのですね。ほとんど一般競争入札が前提となっている法律というのをわかりませんでした。それで、公共事業の入札及び適正化に関する法律というのを去年立てましたけれども、その立てた中で、ガイドラインでできるということになっているわけなんです。法改正要らないのです、一般競争入札ですから。

 それで、横須賀はどういうことを言っているか。競争性が高まり定着した、いわゆる談合の懸念が小さくなった、入札参加希望者にとって受注機会が増大した、発注情報の透明性が向上した、落札価格が低下した、これは一五%低くなっています、入札事務の情報化が進み、契約課の窓口事務が省力化したということなんです。

 課題もありますけれども、これだけITというのは、社会革命、政治や行政や業界との関係を今言われているときに、断ち切る効果があるのです。一般競争入札なんて一番いいのです。こういうのを総理と大臣がどんどん、これは政府がやっているのですから、三党でやっているのですから、これをやはり国民に見せるということによって、IT社会とは何なんだ、そして我が政権、政府が何をやろうとしているんだと。こんなわかりやすいものはないのです。談合懸念がなくなった、一五%、ローアーリミットぎりぎりで来ている。こういうことを大臣が堂々と、総理も言っていただく、こういうことが必要だと思うのです。

 このインターネット入札、これはガイドラインでやっていくわけでございますが、早急に全国、政府、取り入れるべきだと思いますが、先ほどの携帯電話の不通話地域に対する思い入れも含めまして、時間が参りましたので、私の質問はそこまでにさせていただきたいと思います。御意見をお願いしたいと思います。

片山国務大臣 今荒井委員から大変な宿題をいただきましたが、いずれにせよ、私の県を含めて、携帯電話がまだ通じないところがたくさんあるんですね。こんな時代に、やはりデジタルデバイドですよ、それは。だから、その解消を我が総務省は大きな使命としておりますので、補正予算その他、あるいはどういう地方財政措置でどこまでやれるか、そういうことを含めて、私も、できるだけ委員の御要請にこたえる方向でしっかりと検討してまいりたい、こういうふうに思います。

 それから、今の横須賀市の話ですね。電子政府、電子自治体というのは、e―Japan計画の大きな目玉なんですよ。だから、三月までの重点計画、アクションプランの中に入れまして、ぜひ進めていきたい。私も、大変結構なことだ、こういうふうに思っております。

荒井(広)委員 大変期待をいたしまして、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成十三年度地方財政計画について説明を聴取いたします。片山総務大臣。

片山国務大臣 平成十三年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 平成十三年度においては、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえて、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を推進する一方、景気対策への取り組み、IT革命の推進等二十一世紀の発展基盤の構築など当面の重要政策課題に適切に対処し、歳入面においては、地方税負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額の確保を図ることを基本としております。

 以下、平成十三年度の地方財政計画の策定方針について御説明申し上げます。

 地方税については、恒久的な減税を引き続き実施するとともに、自動車の環境負荷に応じた自動車税の特例措置の創設、被災住宅用地に係る固定資産税の特例措置の創設等の所要の措置を講ずることとしております。

 また、通常収支における地方財源不足見込み額については、これまでの交付税特別会計における借入方式を見直し、国と地方の折半という考え方は堅持しつつ、国負担分については一般会計からの加算により、地方負担分については特例地方債の発行により対処するという考え方のもとに、地方財政の運営上支障が生じないよう補てん措置を講ずるとともに、恒久的な減税に伴う影響額については、国と地方のたばこ税の税率変更、法人税の地方交付税率の引き上げ、地方特例交付金及び減税補てん債の発行等により補てんすることとしております。

 さらに、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図るため、地方単独事業費の確保等所要の措置を講ずることとしております。

 以上の方針のもとに、平成十三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十九兆三千七十一億円、前年度に比べ三千七百七十一億円、〇・四%の増となっております。

 以上が、平成十三年度の地方財政計画の概要であります。

 よろしくお願いいたします。

御法川委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、先刻付託になりました内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

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 地方税法等の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。

 最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の軽減及び適正化等を図るため、自動車の環境に及ぼす影響に応じた自動車税の特例措置の創設、被災住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置の創設、一定の者に関する輸入軽油に係る軽油引取税の課税の時期の見直し等の措置を講ずるほか、非課税等特別措置の整理合理化等を行う必要があります。

 以上が、この法律案を提案いたします理由であります。

 次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。

 その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。

 個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、個人の土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の課税の特例等の延長を行うこととしております。また、株式等譲渡益課税の申告分離課税への一本化を二年間延期することとしております。

 その二は、不動産取得税についての改正であります。

 不動産取得税につきましては、不動産の流動化の促進のため、特定目的会社、投資法人及び投資信託に係る不動産の取得に対する課税標準の特例措置の拡充、創設を行うとともに、商法改正による会社分割制度の創設に伴う一定の分割に係る不動産の取得に対する非課税措置等の措置を講ずることとしております。

 その三は、自動車税についての改正であります。

 自動車税につきましては、排出ガス及び燃費性能のすぐれた環境負荷の小さい自動車はその排出ガス性能に応じ税率を軽減し、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする特例措置の創設等の措置を講ずることとしております。

 その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。

 固定資産税及び都市計画税につきましては、震災等の事由により住宅が滅失、損壊した場合に、被災年度の翌年度及び翌々年度に限り、その敷地であった土地を住宅用地とみなして、課税標準の特例措置等の規定を適用すること等の措置を講ずることとしております。

 その五は、軽油引取税についての改正であります。

 軽油引取税につきましては、特約業者及び元売業者以外の者が輸入する軽油に係る軽油引取税の申告納付期限を当該軽油の輸入のときまでとすること等の措置を講ずることとしております。

 以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、平成十三年度分の地方交付税の総額について特例措置を講ずるとともに、平成十四年度及び平成十五年度における一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を設けるほか、平成十三年度から平成十五年度までの間に限り、地方債の特例措置を講ずることとする等の必要があります。また、あわせて、地方団体の行政経費の財源を適切に措置するため、地方交付税の単位費用を改正するとともに、国庫負担金及び国庫補助金の区分の明確化、公営企業金融公庫の資金の調達手段の多様化等を図るほか、首都圏の近郊整備地帯等の整備に係る財政上の特別措置を引き続き講ずる等の必要があります。

 以上が、この法律案を提出いたします理由であります。

 次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。

 第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。

 まず、平成十三年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、平成十三年度における法定加算額五千九百八十三億円、臨時財政対策のための特例加算額一兆四千三百六十八億円、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金四兆三千四百八十七億円及び同特別会計における剰余金千八百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額六千三百二十九億円を控除した額とすることとしております。

 次に、平成十三年度から平成十五年度までの間に予定されていた交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金の償還を平成十九年度以降に繰り延べるとともに、平成十四年度及び平成十五年度における一般会計から同特別会計への繰り入れに関する特例を設ける等の改正を行うこととしております。

 また、平成十三年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するとともに、算定方法の簡明化を図るため、港湾費における漁港の管理に係る経費について、新たに測定単位を設けることとしております。

 第二は、地方財政法の一部改正に関する事項であります。

 地方分権推進計画等に基づき、国庫負担金及び国庫補助金の区分の明確化を図ることとしております。

 また、平成十三年度から平成十五年度までの間に限り、地方団体は、地方財政法第五条の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方債を起こすことができるものとする旨の特例を設けることとしております。

 第三は、公営企業金融公庫法の一部改正に関する事項であります。

 財政投融資改革に対応していくとともに、資金調達手段の多様化、効率化を図るため、資産担保型の財投機関債の発行等について所要の規定の整備を図ることとしております。

 第四は、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正に関する事項であります。

 都府県分の利子補給措置及び市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について、同法の適用期間を五年間延長することとしております。

 第五は、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律の一部改正に関する事項であります。

 地方特例交付金等の算定の基礎となる法人事業税減収見込み額の算定方法等について所要の規定の整備を図ることとしております。

 以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 次に、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限は、現在、平成十三年三月三十一日とされておりますが、関係地域の実情等にかんがみ、平成十三年度以降も引き続き公害防止対策事業の促進を図るために国の財政上の特別措置を継続する等の必要があると考えております。このため、法律の有効期限を十年間延長し、平成二十三年三月三十一日までとすることといたしております。

 なお、廃棄物の処理施設の設置の事業に係る国の補助割合については、平成十八年三月三十一日までに定められた公害防止計画に基づく事業にあっては二分の一とし、平成十八年四月一日以降に定められた公害防止計画に基づく事業にあっては二分の一以内で政令で定めることといたしております。

 以上が、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

 以上であります。

御法川委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十八分散会




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