衆議院

メインへスキップ



第20号 平成13年6月12日(火曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月十二日(火曜日)

    午後二時三十四分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    坂井 隆憲君

      新藤 義孝君    滝   実君

      谷  洋一君    野中 広務君

      平井 卓也君    宮路 和明君

      山本 公一君   吉田六左エ門君

      伊藤 忠治君    大出  彰君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    松崎 公昭君

      松原  仁君    山井 和則君

      山村  健君    高木 陽介君

      山名 靖英君    佐藤 公治君

      春名 直章君    矢島 恒夫君

      重野 安正君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   総務大臣政務官      景山俊太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議

   官)           林  省吾君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君

   政府参考人

   (総務省郵政企画管理局長

   )            松井  浩君

   政府参考人

   (郵政事業庁長官)    足立盛二郎君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

六月十二日

 郵便振替法及び簡易郵便局法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)(参議院送付)

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)

 電気通信役務利用放送法案(内閣提出第六七号)(参議院送付)

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案(内閣提出第七四号)

同月八日

 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(三村申吾君紹介)(第二五一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案(内閣提出第六五号)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官林省吾君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省郵政企画管理局長松井浩君及び郵政事業庁長官足立盛二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村哲治君。

中村(哲)委員 こんにちは。民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 大臣、本会議での答弁、お疲れさまでした。一言申させていただきますが、我が党の武正議員の発言にはきちんと答えていらっしゃらなかったと思います。法令改正についての答弁がなかったように思いますので、その点につきましては、後日、一般質疑でさらに明らかにさせていただこうと思っております。

 さて、質問に入らせていただきます。

 大臣、変革の時代です。だからこそ、私は、時代が変わっても変えてはいけない普遍的な部分と、時代が変わるにつれて変えていかなくてはならない改革すべき部分と、両者を判別するためにきちんと議論して明らかにする必要があると思っております。

 今回、郵政官署法案が提出されているのも、変革の時代だからこそ、市町村合併をにらんでワンストップ行政サービスを導入する仕組みをつくろうということだと私は理解しております。私は、それならば、今、二〇〇三年の公社化をにらんで、また、小泉政権ができて郵政三事業が議論のテーブルにのっている今だからこそ、郵便制度の本質、すなわち信書の問題について、法案審議の前提として議論させていただこうと思います。

 郵便制度の趣旨にさかのぼっての議論というのは、私が調べた限り、国会ではまだなされておりません。当然、近代国家なら必要な制度だということで、明治時代にイギリスからそのまま制度が輸入されたのではないかということなのだと思います。

 当時からすれば、郵便法第一条で定める郵便事業の目的である、あまねく、公平に郵便の役務を提供することによって公共の福祉を増進すること、すなわち、ユニバーサルサービスを提供するためには、信書の独占は当たり前でした。

 そこで、私が思うには、郵便法第一条で定めたユニバーサルサービス、郵便の役務はなぜ必要なのか。ユニバーサルサービスがなぜ必要になったのかということを、議論を通じて明らかにしなくてはいけないと思います。

 まず、私の思う結論から申させていただきます。

 私は、信書の送達という郵便の役務の提供は、近代国家、立憲民主主義を支えるのに必要不可欠な制度として、国が制度として保障すべきものだとしたのではないかというふうに考えております。すなわち、日本国憲法上、我が国が立憲主義をとる限りにおいては、郵便のユニバーサルサービスは国民に保障していかなくてはならないナショナルミニマムであると考えております。

 以下、その理由を簡単に述べさせていただきます。

 思うに、封建国家が近代国家に移るとき、こういうことを考えないといけないと思います。封建国家というのは、まず国家があって、その国家に合わせた国民がいる、そういうものだったと思います。しかし、市民革命、近代化によって、まず国民がいる、さまざまな境遇にいる国民がいる、その中で国民同士が議論をし、また自分たちを治めるための権力を少しずつ出し合って、社会契約によって国家をつくっていった。これが封建国家と近代国家の大きな違いだと思います。

 その前提となるものは何か。人の意思がきちんと他人に伝えられるということだと思います。意思がきちんと相手に伝えられて初めて、近代国家というのは国家のシステムとして機能するのではないか、私はそのように考えております。

 だからこそ近代国家というのは、ほとんどの国、ほとんどすべて、すべてと言っていいでしょうね、すべての国に郵便制度があり、そしてUPUの条約によって、ここで出された手紙というのは世界各国にきちんと届くようになっている、そういうことになっているんだと思います。だから、人が紙に文字を書き、そしてそれをポストに入れるだけできちんと時を超えて相手に届く、これが、意思を伝えるという意味で民主主義国家に不可欠な制度だと思います。

 時代が変わっても普遍的なものとして、郵便のユニバーサルサービスは民主主義国家にとって必要なのではないでしょうか。だからこそ、郵便法一条は、あまねく、公平に郵便の役務を提供することによって、公共の福祉に資するというふうな、公共の福祉を増進することを目的としているのではないでしょうか。その点についての大臣の御見解をお聞かせください。

片山国務大臣 今、中村委員からいろいろお話がありましたが、私もくしくも思い出したんですが、不易と流行ということがあるんですね、不易流行。変わらないものが不易で、時代に応じて変わっていくものが流行という言葉がございますけれども、いろいろなもので、特に行政でも、やはり不易の部分と流行の部分はあるな、こう思っておりまして、そういう意味で、ユニバーサルサービスというのは不易の部分ですね、変えられないもの。

 それで、これは今お話しのように、郵便法の一条にも、先ほど御紹介がありましたが、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供すると。万国郵便条約第一条も、すべての利用者が、その質を重視した郵便の役務を、すべての地点において、恒久的に、かつ、合理的な価格のもとで云々と書いておりまして、まさにこういうことがユニバーサルサービスだ、こういうふうに私も思うわけであります。

 それでは、なぜ郵便がユニバーサルサービス、不易なのか、普遍なのかといいますと、これは国民の基礎的な意思伝達手段、通信手段でございまして、したがって、これはしっかりと国民に提供をしていく、こういうことが国としても大きな責務ではなかろうかという感じは私も持っております。

中村(哲)委員 国民の基礎的な意思伝達手段という言葉を答弁としておっしゃいましたけれども、基礎的な伝達手段というのはやはり民主主義国家にとって必要不可欠だからということでよろしいんでしょうか。

片山国務大臣 民主主義にもいろいろな定義がございますけれども、やはり民主主義の中でコミュニケーションという、お互いの意思を伝え合って多数の意思を形成していく、これは民主主義にとって不可欠ですよね。そういう意味では、今のユニバーサルサービスということにもつながっていくのではないかと思います。

中村(哲)委員 郵便制度の目的はユニバーサルサービスの提供なんだ、そこは確認でき、意見の一致を見たと思います。

 私は、次に議論させていただきたいのは、信書の民間開放の問題でございます。

 中央省庁等改革基本法の三十三条三項にはこう定めております。「政府は、郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入るものとする。」そのように書かれております。新聞の記事も、昨年の十二月ごろからいろいろと出ております。郵政省の方針としたら、一定の重さを基準として、ユニバーサルサービスを課さない形で民間に参入させるというような方針の報道がなされておりました。

 私は、これは誤っていると思います。郵便の目的というのは、あまねく、公平に国民にユニバーサルサービスを提供するということです。それであるならば、参入してくる民間業者にはユニバーサルサービスを課さないと、郵便法の目的上、郵便の目的上、目的が達成できないと思います。

 参入条件が厳し過ぎるという声があるかもしれませんが、しかし、本当にそうでしょうか。ほかのものと違って、運送というのは、運送業者同士のネットワークをつくることによってユニバーサルサービスは達成することができます。非常に広く提携をしていく、そして、通信の秘密に関しては別途法律できちんと制約していくことによって、きちんとユニバーサルサービスの提供は可能だと思います。そして、具体的な名前を申した方がいいのかはわかりませんが、一社においても、我が社だけで信書のユニバーサルサービスの提供はできると断言している民間企業もあります。

 だから、私は、むしろユニバーサルサービスは課す、そのかわりに、余りに厳しい条件ですから、郵便については全面開放する、そして市場の競争に任せていく、それがあるべき方法だ、あるべき道筋だと考えております。

 なぜそのように思うのか。重量で分けると、やはりいいとこ取りが起きると思うんです。重量で分けて、かつユニバーサルサービスを課さないということになると、もうかるところだけやるということになりかねません。そして、結局、ユニバーサルサービスの提供の義務を課せられるのが特定の団体になってしまう。今であれば、恐らく郵政公社になっていくんでしょう。

 そうしたときにまたファンドでやっていくのか、そういう議論もあるかもしれませんが、今、ユニバーサルサービスを課してもそれにたえられる業者がいるにもかかわらず、あえてファンドの方式にして、クリームスキミング、いわゆるいいとこ取りを許すような制度をつくるべきではないと私は考えます。

 その点について、大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 御承知のように、基本法の中には、郵便事業への民間参入、条件を検討するものとする、こういうことが書かれておりますので、我々は公社化以降の段階で民間参入を認めたい、こういうふうに思っております。

 どういう民間参入を認めるかはこれからの議論でございまして、私は、参議院選挙後ぐらいに研究会でもつくって、そこで御検討いただくのかな、それはもちろん、民間の事業者の方を含めて広く国民の皆さんの御意見を伺うというふうにしてやるわけでありますけれども、そういう御意見を承りながら案を固めていくのかな、こう思っておりますが、総理の方針であります、民間でできることは民間にやらせよう、こういうことと、今、委員が強調されましたユニバーサルサービスを確保する、この二つの要請を満たすようなことを考えたい。

 そのためには予断を許さずに検討していきたい、こう思っておりまして、委員が指摘された重量云々は、郵政省のころできておりました研究会の中の答申か意見の中にそういうことがあったような気がいたしておりますけれども、それも一つの参考にしなければなりませんけれども、それにとらわれることなく幅広く検討いたしたい、こう思っております。

中村(哲)委員 研究会で方針を決めるんだったら、政治家は要らないと思います。私は大臣の考えをお聞きしております。

 ここに、郵便法令研究会が出しております「郵便法概説」という書物のコピーがあります。そこに、明治時代、郵便制度ができたときのことが書かれております。当時の飛脚の制度、それを廃して郵便事業が国家独占になっていった、その過程も書かれております。そのところの一文を読ませていただきます。

 三〇〇年来、通信を世襲不動の営業としてきた飛脚業者にとっては、一番利益のある書状の送達の部分を政府がとり上げてしまうというのであるから、彼等がこれに反対し、激しく競争したのは、まさに当然であった。しかしながら、郵便はこれを全国各地へ漏れなく送達することができるようにしなければならず、更には中国、欧米諸国までも広く通信を行うことが必要となってきたので、飛脚業者らの力をもってしては、このような要請にこたえ得る膨大な施設を到底整備することはできないであろうという、通信本来の目的からの説得が、飛脚業者を納得せしめるに至ったのである。

このような時代背景のもとに、国家独占というのが制度化されたわけですよね。

 だからこそ、今、民間業者ができるようになってきた。戦後の高度成長に伴って、トラックの運送も飛躍的に伸びた。そのような背景の中では、運送業者をネットワーク化することによって、ユニバーサルサービスというのは可能なんです。さらに、今IT革命が進んでおりますから、ネットワーク化することによって、ユニバーサルサービスは可能なんです。ユニバーサルサービスを課して、民間に全面開放する、その方針が私は必要だと思っております。その点についての大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 先ほども言いましたが、来年の通常国会に法案を出すことを考えておりますから、できるだけ民間参入についても、公社化の法案として一体に物を考えた方がいいのではないか、こう思っておりまして、そのためには、いろいろな今までの、先ほど委員から御指摘もありました研究会の報告等を含めて、あらゆる角度から検討して、関係の事業者や学識経験者やいろいろな方の意見を聞いて案をまとめたい。今、私の個人の意見を云々するような段階じゃなくて、総務大臣として、責任者として案をまとめていきたい、こう思っておりますので、なお、検討の時間をぜひおかしいただきたい、こういうふうに思います。

中村(哲)委員 研究会で研究するのであれば、本当に政治家は要らないと思います。

 過去の委員会の答弁を私は精査してみました。そうすると、官僚が答弁している方向にそのまま行ってしまうんじゃないでしょうか。

 例えば、平成十年三月十一日に、我が党の小沢鋭仁委員に対する政府答弁があります。これを読ませていただきます。

 純粋な民間企業がこれから国の郵便事業の一部に参入するということを考えました場合に、この純粋な民間企業に国と同じような全国均一料金による全国提供義務を課すということにつきましては、制度的に無理があるというふうに考えております。

  現在こういった全国提供の義務を課されておりますものは国内を調べてみましてもございませんし、努力義務はございますが、そういった企業は、かつて独占の権限を与えられておったというような経緯がございます。

  なお、諸外国の状況をまだつぶさには調べておりませんが、私ども今知る限りでは、諸外国でも、参入した民間企業にユニバーサルサービスの義務を課しているという例は見当たらないというふうに承知をしているところでございまして、これからこの辺も含めまして研究を進めてまいりたいと考えております。

 どう研究したんでしょうか。平成十年三月十一日の逓信委員会での会議録でございます。三年たっております。何も政府は研究していなかったんでしょうか。

片山国務大臣 委員の質問の趣旨を定かに私、受け取れなかったんですが、いずれ責任を持って決めるのは我々なんです。研究会の意見は参考にするんです。研究会が決めるんじゃありません。研究会の意見を参考にして、我々が決めて、法案にまとめるんです。しかし、それは、我々だけでは、我々の能力やいろいろなことに限度がありますから、関係の事業者の方や学識経験者の方や、いろいろな人に、国民の皆さんの意見を聞いてまとめるんです。責任を持ってまとめるのは我々なんです。研究会じゃありません。研究会の意見は参考にします。

中村(哲)委員 それでは、大臣、聞かせていただきますが、この三年間、関係業者へのヒアリング、そして学識経験者への意見聴取、そういうものをやってこなかったということですか。

片山国務大臣 それは恐らくやってきたと思いますよ。しかし、平成十五年中に法律できちっと公社に移行する、その際、民間参入の条件を検討しろ、こういうことが国会の意思として、国民の意思として、我々に課せられたわけですから、それに従って、我々はやっていくということでございます。

 それから、私が大臣にしていただいたのは去年の十二月五日からでございますから、引き継ぎは受けておりますけれども、それでは前にそのためにやったかどうかということについては、私も十分に承知していない、こういうわけであります。

中村(哲)委員 中央省庁等改革基本法は平成十年の法律です。郵政公社というのは二〇〇三年から始まるということはわかっていたわけですよね。そして、郵政公社の仕組みづくりというのは、来年一月からの通常国会で議論される。それまでに法案ができるわけですよね。そこまでに、この方針ができてから、またこの答弁が出た平成十年の三月十一日からずっと議論して、蓄積していく責任が政府にあったわけでしょう。

 それを、小泉政権ができたから、郵政三事業のことは考えていかないといけないということで、泥縄式に研究会をつくって研究していこうというのは、余りにも無責任だ。十二月五日に引き継ぎをするまでのことはよくわからないというのも、大臣、これは無責任ですよ。だからこそ、大臣のお考えをお聞きいたします。

片山国務大臣 泥縄式じゃありませんよ。平成十五年に国営公社に移行するまでに結論を出すということなんですよ。十五年といったら二年先ですよ。だから、年内に我々の考え方をきちっとまとめて、来年冒頭の通常国会で、国会の御審議を願おうと。何が泥縄ですか。私は責任を持ってやると言っているんです。

小坂副大臣 委員の今の御質問に、事実関係だけ申し上げておきますと、郵便のユニバーサルサービスの在り方に関する調査研究会という、旧郵政省時代からあります郵政研究所が主管をいたしました調査研究がございますが、これが平成十年の二月にスタートをいたしまして、平成十一年の七月に中間報告を出しておりまして、最終報告を昨年十二年の十二月四日に報告書を公表しているところでございます。そのような形で、委員の御指摘の部分の研究もあわせて行われておりますし、また、その中央省庁の改革基本法の成立までの経緯におきましても、郵政省内ではいろいろな検討が行われております。

 そういう意味で、諸外国の事例を全く調べていないわけでもございませんし、国内のあり方について議論をしていないわけでもございませんで、それなりの議論を進める中で、ただ何もしないでいて、そして政治家も役所も何もしていないような御指摘でございますが、そのような事実ではないということだけ、まず御認識をいただきたいと思います。

中村(哲)委員 答弁をお聞きいたしまして、努力はしてきている、しかし、方向性も私たちは示すことができない、そのように受けとめられる発言だと思います。

 その点について、だから、どういう方向に持っていきたいのかということを政治家の判断として今お考えになっているのかということをお聞きしたいんです。

片山国務大臣 十五年から始めるんですから、それまでにしっかりした案を決めて、国会の御承認を得なきゃいかぬのですよ。国会の審議に出すために、今、どういう案がいいのか、いろいろな案をどうやって集約していくか考えているわけでありまして、今言えません、これから案をきちっとまとめるんですから。まとまったら、必ず国会に出して、皆さんの御審議を仰ぎます。十五年中ですから、締め切りの期限は。それをぜひお考え賜りたい。

中村(哲)委員 今申せませんとおっしゃいましたが、平成十年の三月十一日の答弁の方向を維持するのであれば、ユニバーサルサービスは課さないというふうな方向になるけれども、この方向でいくと考えられるのか、いや違うんじゃないかと考えられるのか、そこをお聞きしたいわけですよ。そうでなかったら、最初に、ユニバーサルサービスが郵便法の目的だというようなことを長い時間とって聞いたりしませんよ。

片山国務大臣 それは何度も申し上げていますように、総理も予算委員会で答弁しているでしょう、予断を持たずに検討して結論を出す、予断を持たずに。

中村(哲)委員 それでは、予断を持たずにというのは、具体的にはどういう内容でしょうか。

遠藤(和)副大臣 私は、十数年前から当時の逓信委員会に所属しておりました関係で、信書の部分の、民間にどういうふうに参入を認めるかというふうな議論は、国会の中では十数年前から行われているわけですね。そして、ユニバーサルサービスとは一体何ぞやという御議論の中で、一つの話としては、ポスト投函制、あるいは全国あまねく同一料金で行う、こういうのが一つのユニバーサルサービスの姿ではないのかなという議論がありました。その中で、もし民間に参入を認めるのであれば、国と同じように、そのポスト投函制だとか全国一律条件を課したらどうかという議論があったことは事実でございますし、事実、赤いポストじゃなくて白いポストでやったらどうかなどという議論も行われた経緯はあります。

 そういう議論はいろいろあったわけでございまして、あるいは、重量で制限してはどうかとか、料金で制限してはどうかとか、議論としてはあったわけでございますけれども、それを中央省庁再編のときにあわせて議論をいたしまして、とにかく郵政事業庁をつくったわけですけれども、今度、郵政公社に移行するときに、一体的に考えて、参入条件をそのときに明示しようと。

 ですから、政府といたしましては、この郵政事業庁を今度、国営の公社に、三事業一体でやるわけですけれども、このときに、長い間議論があった、このユニバーサルサービスあるいは信書の民間参入条件というものもはっきり定義をいたしまして、公社法案を提案しよう、こういうことでございます。今まで議論があって、また政府も一生懸命考えて、最終的に、公社法案と一体となって、この民間参入の条件をそのときにきちっと決定をして、公社法案とともに国会で御審議をいただこう、こういうことでございます。これは小泉内閣が出現する前からの既定方針でございまして、泥縄式に行われていると言われることは、まことに心外でございます。

中村(哲)委員 揚げ足をとるつもりもありませんし、泥縄式という言葉に非常に敏感に反応されているということは、ある意味、図星なのかなと思っておりますが、国会の場で成案になるまでのプロセスについて実質的な議論をしていただきたいと本当に思います。

 その点について、していただけないということがわかりましたけれども、時間が終わりましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。よろしくお願いいたします。

 質問に入ります前に、一つ確認と要望を行いたいと思います。

 私、議員になりましてまだ一年たっておりません。西も東もわからない状態なものですから、質問するに当たって、どうしても調査室の方を利用することになるんです。

 そこで、確認なんですが、調査室の方には守秘義務が当然おありになると思うんですが、私が調査依頼をしたものが郵政事業庁にばれているようなことはないでしょうねという確認でございます。大臣にお願いします。

小坂副大臣 委員がどのような御質問をされるか、あるいはどのような御質問を調査室にお聞きになったかということは、私どもには全く入ってまいりません。

大出委員 確認でございます。調査室、我々は頼りでございますので、ぜひ守秘義務は守っていただきたいということを、仮定の話でいたしましたので、よろしくお願いします。

 それから、要望でございます。質問取りは構いませんが、実は私は憤慨をしておりまして、指図がましいことは言ってほしくないと思っております。さるお方が来て、そういうふうに感じましたので、もしそんなことがありますと、外務省には出入り禁止という制度があるようでございますので、質問取りについては大出彰の事務所は出入り禁止であると言わなきゃなりませんので、お気をつけいただきたいと思います。

 それでは、最初の質問をいたします。

 きょうの総務の部門会議の中で、一問目の質問というのは決まっていることになっておりまして、本当は答えが出ておるので質問はやめようかと思うんですが、この法案の、郵政官署に取り扱わせるわけですが、初めに、どのくらいの地方公共団体が取り扱いを行うというふうに見込んでいるのかという、部会の中での池田元久さんの質問でもあるんですが、大臣、ひとつよろしくお願いします。

片山国務大臣 恐らく、事務方は内々の意向打診を市町村にやっているのかと思いますけれども、やはり、正式に法律が通りまして、きちっとした意思表示を求めたい、こう思っております。私が聞く限りでは、相当数の市町村が、郵政官署といいますか郵便局に自分のところの仕事をやってもらおう、こういう意思をお持ちだと私は認識しております。

大出委員 相当数と。きょうの部門会議あたりでは、半分ぐらいがというふうな話も出ておりましたが、相当数でいいと思います。

 次の質問に移ります。

 気になるところは、当然のことなんでしょうが、住民の側が手数料を払う場合と地方公共団体が郵便局に払う場合があるわけなんですが、この手数料、全国一律なのかどうかという点についてです。どなたでも構いません。

林政府参考人 地域の住民の方が地方公共団体の窓口で納付されます手数料は、各地方団体ごとに地方団体の条例で決定されているものでございます。本法案の仕組みによりまして、住民の方が郵便局の窓口で支払うこととなる手数料も、同様に、各地方公共団体の判断により、各地方団体の条例によって決められるものと考えております。

大出委員 議事録を読んだときに、今のような質問をし合っていると、何を話しているか実はわからないんですよね。ですから、六つの取扱業務があるということで、ちょっとだけ読んでおきますが、戸籍の謄本、抄本等、納税証明書、外国人登録原票の写し及び外国人登録原票記載事項証明書、住民票の写し及び住民票記載事項証明書、戸籍の付票の写し、印鑑登録証明書、こういうことについての話をしているわけです。

 そこで、附則六条で規定しているわけなんですが、その他というところがもう一個ありまして、それは要するに、公営のバス回数券の販売とか公共施設の利用申請の取り次ぎ、あるいは高齢者等への立ち寄り、声かけや日用品の配達、図書館の図書の配送、返送などですね。これ以外のものを、本法案では契約を結べば郵便局でも取り扱いができるのかどうかについてお尋ねします。

遠藤(和)副大臣 この法案によりまして、総務省設置法の一部改正をいたしておりますから、地方団体が委託された業務を郵便局において取り扱えるようにしたということでございます。今お話がありました、例えばごみの処理券等の販売とか、郵便局の窓口機能を活用した行政サービス、あるいは高齢者への立ち寄り、声かけ、図書館の図書の配送とか、外務職員のフットワークを活用した行政サービス、そういったいろいろな事業につきましても郵便局でできる、このように理解をいたしております。

大出委員 先ほど二条に列挙された六つの話をしたわけですが、六つに限られているわけですが、今後、対象をふやすといいますか、そういうお考えはおありでしょうか。

遠藤(和)副大臣 この法案では六つのことを限定列挙しているわけですけれども、ほかにもいろいろと住民のニーズが高いものもございますから、その動向に合わせまして、関係省庁と協議をして、郵政官署において取り扱える事務の範囲を事情によっては拡大する、そのときは当然、法律の改正が必要でございますけれども、そういう方向で取り組んでいきたいと思います。

大出委員 この法案、ずっと見てまいりますと、むしろ特定郵便局の方が大変ではないかなというような思いがしますので、そこをちょっと先に質問しますが、全国に特定局というのはどれくらいあるのでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定郵便局の数は、平成十三年三月末現在でございますが、一万八千九百十六局でございます。

大出委員 そうすると、特定局以外の全総数はどれくらいなんでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど特定郵便局についてはお答えしましたが、それ以外では、普通郵便局、もちろん、特定郵便局も国の直轄郵便局ですが、普通郵便局も直轄郵便局でありますが、千三百十二でございます。このほかに、簡易郵便局と呼んでおりまして、今回の事務の対象外でありますけれども、委託によります郵便局がございます。直轄ではございません。これが四千五百五十ございます。

 以上でございます。

大出委員 総数だと二万四千七百七十八でよろしいんでしょうか。

松井政府参考人 仰せのとおりでございます。

大出委員 計算をさっきしましたところ、特定局の数が七六%という、四分の三が七五%ですから、四分の三を超えてあるということなんですね。それで、数の少ない特定局もございますので、事務的に大丈夫なのかなという気がするんですが、定員の少ない特定局において十分な取り扱いができるのかどうかについて、まずお伺いします。

松井政府参考人 郵便局の要員事情は郵便局ごとにいろいろ差異がございます。実際に、今回の法案によりまして事務を受託するに当たりましては、事務の範囲、それから取扱郵便局、取扱手数料等につきまして事前に地方公共団体と協議を行います。そして、郵便局の方の要員事情も勘案しながら、受け入れ可能な局で実施するというふうにしております。

 もっと端的に申しますと、局長さん含めて二人のような局だとかあるいは三人のような局でも、実施が不可能だとは思っておりません。

大出委員 事務的には大丈夫であるということでありますから、大丈夫だから推進をしようということだと思います。

 そこで、ほかの心配でございます。というのは、よく言われているんですが、特定郵便局長が自由に使うことができると言われている渡し切り経費というのが、こういうのを導入することによってふえてしまうんではないかと思うんですが、渡し切り経費というのはどういうもので、ふえるかどうかについてお答えいただけますか。

松井政府参考人 ちょっと手元に資料がないものですから、若干のあれは御容赦いただきたいと思いますが、基本的には、国の仕事は、会計法に従いまして厳格な手続のもとに費用を支出することになっております。その例外として、小さな郵便局の中では、特定局はその典型でございますけれども、そういうところでは厳格な手続をとりますと、事務的に大変非効率になりますので、ある程度経費を渡し切るという段階で国は歳出をしたというふうな制度的位置づけになっております。

 ほかには、例えば在外公館だとか、あるいは法務省の例だとかあるように聞いておりますが、そういう仕組みの中で、小さな郵便局では簡便に経費が支出できるような仕組みになっておりますが、何に使ってもいいというふうにはなっておりません。使い道について、光熱費だとか事務費、そういった使途を限定した歳出という形でやっております。

 今回のことについてどれだけの経費がふえるかは、それに伴う事務経費がどれだけふえるかによりますが、大きな事務になるとは思っておりません。今回のことによりまして、もっと端的に申しますと、実際に事務は作業をやりますから、そういう人手がより多くかかるようなことは余り想定しておりません。

大出委員 人手が多くかからないので、そんなに渡し切り経費に影響することはないだろうというようなニュアンスだと思います。

 今大体言っておられるんですが、では、この渡し切り経費というのはどこがチェックをなさるんですか。

松井政府参考人 二つ仕組みがございます。会計的には、渡し切り経費を支出したという段階で歳出が行われたという扱いになっておりますが、私どもは、個々の郵便局においてどのように渡し切り経費を使ったかということについて、内部的なルールとして記録簿を残すようになっております。

 それで、これに対しては二つの道がございます。一つは、内部監査として、一つは私どもの会計監査という仕組みの中で監査があります。それから、監察の中で業務考査という形で監察官が評価もいたします。ほかに、状況によっては会計検査院の検査の対象にも当然なります。

 以上でございます。

大出委員 領収書とか帳簿とかが当然あるわけでしょうから、それで通ってしまうんでしょうが、ただ、渡し切りというような名前がついているようですので、実際は何に使ったかというのは確認のしようがないんではないでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、あらかじめ、何がその使い道の対象になるかは決まってございます。ちょっと新聞なんかを見るとありますが、研修関連の費用だとか、そういうことももちろん入ります。何に使ったか、言ってみれば事後的なお話でございますよね。これは記録簿によって確認するようになっております。

大出委員 今の御答弁だと、要するに、使途も明確だということを言っているんだと思いますが、わかりました。

 次の質問に行きます。

 この法案で一番問題になっているのは、やはりプライバシーが守られるのかなということだと思うんですね。地方におけるいろいろな差別があったりとかする、あるいはいろいろな団体とかがこの問題で非常に危惧をしていますね。なぜかというと、やはり住民票だとか戸籍の問題等が、過去にも流出をしてしまったりとか悪用されてしまったりした例が結構あるわけです。やはりこの問題で一番問題なのは、プライバシーの問題だと思っているわけなのです。

 そこで、順次お伺いいたしますが、プライバシー保護の観点から、本人以外の方の交付請求は可能なのかどうかという点をお伺いします。

遠藤(和)副大臣 この法案では、本人以外の者は可能ではございません。本人に限っております。

大出委員 私はこの問題で、職務上請求のできる方、弁護士とか行政書士などなんですが、その方はできてもいいのではないかな、実は逆の反面、思ったわけなんですね。

 私も行政書士をやっていましたから職務上請求というのはやっておりまして、特に戸籍とか納税書とか印鑑証明、仕事上しょっちゅう依頼人のためにとりに行くというのが仕事、かなり入っていまして、郵便局にこういうのが来ると、大変便利になるということを実感しているのです。

 ところが、そのときには、いわゆる職務上請求書という書類に書きまして出すわけですね。その部分は信頼をしていただいていいのではないかなと実は思っているんですが、職務上請求ができるような方でも請求はできないんでしょうか。

    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕

遠藤(和)副大臣 この法案では、今お尋ねの、例えば弁護士さんとか行政書士の方とか、職務上請求ができる、こういう場合でも郵政官署でできないことにしておりまして、郵政官署はあくまでも本人に限る、そういう方は従来どおり市町村の窓口で対応していただきたい、このようにしております。

大出委員 プライバシーの保護というところが法案で一番重要だとこれまで思っているわけなのです。

 そこで、郵便局において、個人情報が流失しないようにする、防止するためにはどういう担保をしていくんでしょうか。

景山大臣政務官 ちょっと長くなりますが、説明いたします。

 本法案では、戸籍等に記載されている者の請求の場合、つまり、本人に限りまして郵便局において取り扱いを認めることにしております。この郵便局というのは、職員が守秘義務を持っております普通郵便局、特定郵便局に限りまして、簡易郵便局は入りません。人権上の観点に配慮いたしましてやっていかなくてはいけないと思います。

 それから、戸籍等の、住民のプライバシーに関する事務の取り扱いにつきまして、先ほど言いましたように、人権上の配慮をしていかなくてはいけません。本人の確認を行うということは、いずれ省令でやるわけでありますが、証明資料の提示などを今後規定して、提出していただくようなことになるんじゃないかと思います。

 それから、地方公共団体や地方郵政局等に対する通知、マニュアル等におきましては、プライバシー保護について徹底的に図っていきたいというふうに思います。

 それから、地方公共団体の長が郵便局長等に報告を求めましたり、また指示を行うこと、こういうのは法案第四条に規定をされておりますが、適正な執行を図ることにしたいと思います。

 それから、郵便官署の職員に対しまして、使用等利用禁止の指導を行うとともに、研修の徹底を図るということでありまして、これは第五条でございます。特に、いろいろなことを知り得たということで、それを営業活動に使ったり、そういうことは絶対にないようにしていかなくてはいけません。

 それから、郵便局員というのは、情報漏えい等につきましては国家公務員法第百条の守秘義務違反といたしまして、当然、罰則とか懲戒処分の対象になるということでございます。

 以上でございます。

大出委員 個人のプライバシーの保護ということで、総務省でも前に人権啓発を推進する法律が通っていますので、十分に用心をしなきゃいけないわけです。

 そこで、気になるところは、やはり郵便局で取り扱う場合、地方自治体の方は大丈夫ですね、郵便局の方で交付事務に係る責任の所在だとか権限についてはっきり明確化させておく必要があると思うんですが、その点についてはどんなふうに。

遠藤(和)副大臣 まず各種証明書の作成事務全体の責任というのは、当該地方公共団体が負っています。このため、この法案の第四条で、地方公共団体の長は、事務の適正な処理を確保するために必要があると認めるときは、郵政事業庁長官等に対し、報告を求める、あるいは必要な指示ができる、そういう旨を規定しております。

 なお、今回の法案について、請求に係る証明書を作成する公証行為自体は各地方公共団体に留保した上で、郵便局員が交付請求の受け付けとか証明書の引き渡しという窓口事務を受託して行うわけでございまして、その範囲の中において当然、郵政官署の責任が生じている、こういうことでございます。大きい意味では、全体の責任は地方公共団体にあるけれども、受託の範囲の中で郵便局が責任を負っている、こういうことでございます。

大出委員 というと、特定郵便局であれば、直接の責任者といいますか、例えば郵便局長ということになるんでしょうか。そういうことなんですか。

遠藤(和)副大臣 局長並びに直接それの取り扱いをした局員、双方という理解でございます。

大出委員 そういうことのようでございまして、だとすれば、ただ、責任をとるといっても、郵便局長がやめるわけじゃございませんし、損害賠償とか、そういう問題についてはどんなふうになっているんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 例えば守秘義務違反というふうな事例があった場合は、先ほど景山政務官が述べたとおりでございます。

大出委員 責任の所在はそういうことだということでございます。

 次に、当然、人権啓発等のことが必要でございますから、取り扱う担当の職員の方等に、いわゆる教育や研修をしなきゃいけないと思うんですが、その辺についてはどんなお考えを持っていますか。

松井政府参考人 先生御指摘のように、事務を取り扱う郵政職員の教育、研修は大変重要であるというふうに認識しております。このために、事務の取扱手順や本人確認の実施方法、プライバシーの保護の問題、それから他用途利用禁止、そういったことにつきまして、事務を取り扱う職員に対する訓練、研修を予定しております。

 また、プライバシー保護につきましては、特に地方公共団体や地方郵政局、郵便局に対する通知、それからマニュアル、そういったものにおきまして、取り扱いの徹底を図っていきたいというふうに考えておりますし、こうした訓練、研修によりまして、地方公共団体事務の適正な事務処理の確保に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。

大出委員 るるプライバシーに配慮する質問をしてまいりましたけれども、やはり反対が出たときから懸念はずっとあるわけですので、万が一にも、この問題、この法案にある六つのことプラスその他のことでプライバシー侵害があったと言われないようにしていただきたいと思います。

 最後になりますが、電子政府との絡みを考えたときに、どうもダブるといいますか、オンラインで電子政府では行われるわけですので、そうなってくると、二十四時間三百六十五日ノンストップで省庁対個人で利用し合うことが起こってしまうわけです。そうすると、どうも今回の制度というのは影が薄くなるといいますか、どういうふうになるのかなという点を、将来の構想みたいなものを含めまして大臣にお伺いいたしたいんです。

片山国務大臣 電子政府、電子自治体ということで、インターネット等を利用した申請や届け出のオンライン化を考えておりますが、一遍に全部なかなかできませんね。

 それが、我々が考えている郵便局は、やはりコミュニティー、特に地方のコミュニティーの中心ということで、顔なじみの人が役場に行くのを郵便局で利用するというケースが一番多かろうと思いますので、私は両方併存すると思いますね。併存していく、こういうふうに思いますし、電子政府も一応二〇〇三年までと我々今、念頭に置いていますけれども、これは全部がそういうことになるということではなかなかございませんので、その辺は両方が、今言いましたけれども、並立、併存していくような状況になるのではなかろうかと思っております。

大出委員 電子政府、まだ未来の話でございまして、電子政府についていろいろ述べている方があるわけですが、これがこうなるんだというのがいまいち読めないところが実はあるんですね。

 というのは、それこそプライバシーの問題が起こったりもしますから、そういう意味で、単純に言えば、もっと簡単に、例えば、住所登録を役所であるいはこういうので住所変更をしたら、直ちに自動車の免許の住所だとかその他の住所が全部変わるというようなことを考える人もいるんですが、そうすると、今度は、そんなことまでしたらプライバシーの問題があるのではないかといろいろもめるわけなんですね。多分、そんな議論をしながら徐々に先へ進んでいくんだと思うんです。

 そういう意味で、この問題、プライバシーに十分配慮をして、常にその問題に気を配りながら、私は行政書士の立場的には非常にありがたいと思っていますので、推し進めてほしいと思うということを申し上げまして、ちょっと早いですが、質問をやめにします。ありがとうございました。

荒井(広)委員長代理 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 大臣には、本会議、大変お疲れさまでございました。通告に従い、引き続き質問いたしますので、よろしくお願いいたします。

 小泉総理は、去る五月七日の所信表明において、郵政三事業については予定どおり二〇〇三年の公社化を実現し、その後のあり方については、早急に懇談会を立ち上げ、民営化問題を含めた検討を進め、国民に具体案を提示するとしております。また、六月六日の党首討論において、我が党の小沢党首は、郵政三事業の民営化は首相の看板政策だが、改革を断行するにはスピードが大切であると強いリーダーシップの発揮を求めているところであります。

 一方、御案内のとおり、一月六日に旧総務庁、郵政省、そして自治省が統合されて総務省が発足して、五カ月が経過いたしました。総務省は性格の大きく異なる省庁が統合されましたが、それだけに、省庁統合のメリットを十分発揮し、中央省庁再編の実を上げていかなければならないと思っております。

 具体的には、例えば情報通信分野において、電子政府、電子自治体など、国、地方を通じた行政の情報化の推進や、高度情報通信ネットワーク社会の形成促進、いわゆるIT改革の推進などもありますけれども、旧自治省が所管している地方行政と旧郵政省が所管している郵政事業の間の統合メリットも重要な課題と考えます。

 すなわち、全国に張りめぐらされた約二万四千七百局の郵便局ネットワークは、住民に最も身近な公的機関であり、この郵便局ネットワークと地方公共団体とが協力すれば、住民の利便の向上や行政の効率化などの面で、大きな力を発揮できるものと思っております。

 折しも省庁統合を控えた昨年の四月から、旧郵政省、自治省が共同で地方公共団体と郵便局の協力体制のあり方についての研究会を開催して一層の協力方策の検討を行い、その検討結果がこの法案に反映されたものと思っております。私としても、地方公共団体と郵便局は、住民、利用者のために今後とも協力体制を維持、強化すべきであると思っております。

 そこで、最初に、地方公共団体と郵便局の連携について、基本的な考え方を総務省にお伺いいたします。

    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 いろいろ今、黄川田委員からも御質問をいただきまして、本会議でもいろいろ御指導いただきまして、ありがとうございました。

 今お話しのように、全国二万四千七百の郵便局のネットワークは、本当に百三十年の歴史の中で地域社会に定着して、地域住民に非常に愛されて利用されていると私も思います。いわば国民の資産と言ってもいい。

 こういうものを最大限に活用して、地方公共団体と連携を深めてもらって、住民便宜をさらに増進していく。特に、合併ということが一つ市町村の場合ありますから、そういうことの関連で郵便局にも一役も二役も買っていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。

 今、委員御指摘のように、我々は、これが三省庁統合のメリットの一つだ、そういう意味では大変重要な政策だ、こういうふうに考えておりまして、ぜひこれを進めていきたい、こう思っております。御協力のほど、よろしくお願いします。

黄川田委員 地方公共団体と郵便局は、今までもひまわりサービスですか、あるいはまた防災協定、こういうふうな形でさまざまな協力施策を行ってきておりますけれども、本法案の内容に入る前に、地域連携の基本的事柄をちょっと確認しておきたいと思います。

 そこで、住民サービスをより効率的に提供すべく、地方公共団体と郵便局の連携の現状はどのようになっておるのでしょうか、お尋ねいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便局は、住民に最も身近な公的機関として全国にあまねく配置されておりますし、また、そうした店舗網であるだけでなくて、郵便配達等のための外回りのフットワークも持っているところでございます。こうした郵便局の特徴を生かしまして、地方公共団体と地域の郵便局がいろいろな協定を締結しまして、さまざまな連携施策が行われているところでございます。

 具体的には、先生も御指摘のひまわりサービスがございます。これは、過疎地域の高齢者等に対して郵便局の外務職員がお声かけをさせていただく、そして日常生活用品の注文受け付け、配送など、連携のもとにさせていただくといったことがございます。それから、道路の損傷等の情報提供がございます。これは、郵便集配途上等で発見した道路やガードレール等の損傷状況を地方公共団体に情報提供させていただくものであります。

 このほかにも、防災協定の締結だとか、いろいろな施策の中で連携が行われているということでございます。

黄川田委員 それでは、法案の内容に入りますけれども、本法案においては、戸籍謄抄本、納税証明書、外国人登録原票の写し、住民票の写し、戸籍の付票の写し、印鑑登録証明書の六種類の公的な証明書の交付が郵便局での取り扱いの対象とされております。確かにこれらはよく利用されるものであるし、郵便局での取り扱いが可能となれば、住民の利便が向上することは間違いありませんけれども、また一方では、取り扱い対象が限定されているとの印象も否めないところであります。

 本法案の策定までの過程において、郵便局での取り扱いの対象として、恐らくさまざまな事務が検討されたのではないかと思いますけれども、今回はその第一歩としてこれらが選ばれたものと思っております。

 そこで、まず、本法案により、新たに郵便局でできることとなる事務として、第二条の六項目の証明書等の交付事務を列挙した理由は何でしょうか。また、今後、他の業務を加える方針で検討しているのでしょうか。加えて、市町村等からの新たな要望はあるのでしょうか。あわせて総務省にお伺いします。

遠藤(和)副大臣 ワンストップサービスができる、その中身につきまして、いろいろな住民のニーズがあることは承知しております。特にその中でも、格別にニーズが高いもの、かつ、その処理に対して郵便局が適正に事務処理が可能であるもの、そういうものを限定いたしまして、六つ、限定列挙をさせていただきまして、この法案を提出させていただきました。

 この法案の中身の話ですけれども、では今後どうするのかという話ですが、今後は、そうした観点から、さらに、住民のニーズが高いもの、そして、それを適正に処理できるもの、こうした視点から整理をいたしまして、必要があれば法律を改正する形で皆様の御審議をいただきたい、こう思っております。

黄川田委員 市町村等から新たな要望等は、今の段階で何かあるのでしょうか。

遠藤(和)副大臣 市町村から特に要望がある具体的な事例といたしましては、パスポートの配付であるとか、あるいは登記書類の手続であるとか、そういうふうな要望があることは承知しているわけですけれども、これは関係省庁との連携もございますし、今後さらに十分に議論をしていかなければいけない問題であると思っております。

黄川田委員 多分、登記簿謄本とかの交付かと思いますけれども、法務省の方では登記所の統廃合が全国で今進んでおりまして、国の身近な機関がどんどん少なくなっているという状況でありますので、それらの連携等々もぜひとも考えていただきたいと思っております。

 それで、本法案は郵便局での取り扱いを規定しておりますけれども、住民に身近な存在という意味では、例えばコンビニエンスストアが都市部では大量に出店しているし、地方においてもかなり営業されております。仮にの話ですけれども、これらのコンビニ等でも住民票の写し等の交付が可能となれば、住民の利便が大幅に向上すると思います。しかしながら、戸籍や住民票は、いわば個人情報の固まりであり、プライバシーの保護にも十分配慮する必要があるのも事実であります。

 そこで、コンビニ等では第二条に規定されているような事務を行うことは現在は難しいと思いますけれども、インターネット社会になりつつある現状を踏まえ、どのような条件が整えば将来的にこのような事業を民間に開放することが可能となるのか、総務省の見解があれば伺いたいと思います。

遠藤(和)副大臣 確かに、諸外国の例を見ますと、コンビニとかキヨスクだとか、そういうところでワンストップサービスができるようにしている例は承知しています。

 ただ、やはり取り扱う書類がプライバシーの保護を厳格に要請されるものでございますから、今回の法律は、公務員の資格を持つ者、こういう形で、郵政官署でやるというふうにしたものでございます。

 今まで、住民票等につきましても地方公務員の皆さんが扱っていたわけですけれども、これは守秘義務が課されております。同様に、郵政官署も国家公務員としての守秘義務が課されておりますから、個人のプライバシーの保護については守秘義務を課されているという点で全く同じでございますから、こういう取り扱いをさせていただいた、こういう問題でございまして、将来の課題として、民間人の方にも守秘義務を課すということを考えていくのかどうか、そういうものができればそういう選択肢もあろうかと思いますけれども、今のところは郵政官署に限らせていただいている、こういうことでございます。

黄川田委員 ところで、先ほどからもお話がありましたけれども、戸籍謄抄本や住民票の写し等については、戸籍法や住民基本台帳法において、市町村の窓口では、何人でも交付を請求することができますけれども、不当な目的の請求とみなされた場合には、交付を拒否できるとされております。

 しかし、本法案においては、郵便局で交付を受けられる人の範囲を、本人ないし戸籍や住民票等に載っている人に限定しております。

 そこで、総務省にお尋ねいたしますけれども、公的証明書について、本人からの請求に限定している理由は主にプライバシーの保護にあると思いますが、その趣旨は概略、どのようなものでしょうか。

林政府参考人 本法案に列挙をされております各種公的証明書の交付事務は、住民の個人情報にかかわり、プライバシーの保護あるいは人権への配慮等の観点から、特に慎重かつ適正な事務処理が必要なものであると考えられましたので、本人の請求に限定することといたしたところであります。

 第三者からの請求を認めます場合には、窓口における請求事由の正当性の確認等が必要とされることになるわけでありますが、原簿データ等を有しておりません郵便局の窓口におきましてこれを行うことは必ずしも適当ではない、こういうふうに考えましたことから、第三者請求を除外することといたしたところでございます。

黄川田委員 お話のとおり、プライバシーの保護は非常に重要な問題であり、特に戸籍など本籍地情報が記載されている証明書については、人権問題にも十分配慮する必要があると思っております。

 当然のことながら、人権問題についても、プライバシー保護の観点から十分な対策が講じられているとは思いますが、戸籍謄抄本等、個人のプライバシーや人権にかかわる情報が地方公共団体の外で取り扱われる場合、情報の漏えいや流用の防止のために、どのような措置が講じられているのでしょうか。郵便局員による情報漏えい等に対し、本法案には罰則規定が明示されておりませんが、その場合どう対処するのでしょうか。私からも改めてお尋ねいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 これは、先ほど林総括審議官が答弁したことにも一部重複しますけれども、例えば、申請者は本人に限る、そしてまた、それを受ける人も国家公務員である郵政職員に限る、これは一つの方法でございます。

 さらに、人道上の配慮だとか、あるいはプライバシー保護に関する事務の取り扱いについて、具体的には、例えば、地方公共団体や郵便局におけるプライバシー保護に留意した事務処理を徹底する、特に郵便局の窓口での本人確認をしっかり行う、それから、必要な場合には地方公共団体の長が郵便局の長に対して報告を求められる、指示を行うことができるようにする、あるいは、職員に対し、郵政事業庁長官による他用途利用禁止のための措置を講じた指導とか研修の徹底を行う、こういうことができるようにしております。

 また、罰則の話ですけれども、この法律には直接記載はないんですが、これは、国家公務員法第百条の守秘義務違反といたしまして、罰則及び懲戒処分の対象になる、こういうことでございます。

黄川田委員 私からも、特に地方の小規模な郵便局でのプライバシーに関する教育とか研修の事前準備を十分に行っていただきたいと思います。これは要望であります。

 そこで、少し観点を変えまして、ちょっと論じたいと思います。

 本法案は、その目的として、「住民の利便の増進を図る」ことと、「地方公共団体の組織及び運営の合理化に資すること」を掲げております。住民の利便の増進については、身近な郵便局で公的証明書を受け取れるわけでありますから、これは理解できるわけでありますが、地方公共団体の効率化との関係は、直観的にちょっと理解しにくい部分があります。

 そこで、この制度により地方公共団体の効率化が、具体的にどのように進むと考えられるのか、総務省の御見解をいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 これは、住民サービスに利する、こういうことを目的といたしているわけですけれども、結果として地方公共団体の事務が効率化される、こういう効果を生むということは確かだと思います。

 例えば、実際に郵便局で事務を取り扱っていただくことによりまして、例えば地方公共団体の事務が少なくなる、あるいは効率化される、中には支所とか出張所について郵便局にかわっていただくということができるかもわかりません。こういった形で組織とか人員とか、そうした意味で効率化が図られるという結果が生ずるものと理解をいたしております。

黄川田委員 郵政事業、特に郵便事業は、今、厳しい経営状況にあると承知しております。郵政事業は、郵便、郵便貯金、簡易保険のいわゆる郵政三事業を中心に、それらに関連してさまざまな受託業務を取り扱っておるところであります。そして、この受託業務には、年金支払いなどの国の業務や、銀行とのATM提携やバイク保険契約の取り次ぎなどの民間企業から委託された業務がありますが、地方公共団体の事務を取り扱うのは、本法案によるものが初めてではないかと思います。

 そこで、郵政事業にとって、今回の自治体からの受託業務も含めて、これらの受託業務はどう位置づけられるのか、また、郵便、貯金、保険の三事業に続く第四の事業に拡大していくつもりなのか、その場合、特に民間からの受託業務等々でありますけれども、よく言われている民業圧迫にどう答えていくのか、総務省の見解はいかがでしょうか。

小坂副大臣 お答え申し上げます。

 総務省設置法におきまして、郵政事業は、郵便事業、郵便貯金事業、いわゆる郵便為替事業等も含むわけですが、簡易生命保険事業のいわゆる郵政三事業を中心としつつ、その他の各種の受託業務もあわせて構成されております。今回の地方公共団体の事務の受託は、このうち、その他の各種受託業務の一部に位置づけられる、そういう関係にあるわけでございます。

 郵便局と地方公共団体その他地域との連携施策を進めることは、住民の利便の一層の向上を図る観点から、私どもとしても大変重要な施策であると認識をいたしております。

 今回の法律によりまして、地方公共団体が郵便局に委託可能となる事務のうち、住民票の写しの交付等の六つの事務につきましては、住民のプライバシーの保護の観点から民間に委託できないこととしているわけでありますが、公営バスの回数券の販売等の事務については、民間にも委託できるという性格のものであります。

 お尋ねの事務拡大等の観点について、地方公共団体が、どの主体に委託するかは、そのサービスの性格や窓口の場所、委託料等によりまして、これは郵便局がとか受託側が言うのではなくて、地方公共団体が総合的かつ自主的に判断するものでありまして、郵便局がいたずらに業務を拡大し、民業を圧迫していくというような、そういった指摘には当たらないと思っております。

 したがって、今後とも、私どもは住民サービスの一層の向上という観点で、なお努力をしてまいりたいと存じます。

黄川田委員 郵政民営化論との関係でですが、先ほどの答弁によりまして、郵便局員が、守秘義務等の服務規律が課せられている国家公務員であるから、郵便局で住民票の写し等を取り扱うことが可能とのことでありました。しかし、郵便局がもし民営化され、職員が公務員でなくなってしまうと、その前提が崩れるわけであります。

 そこで、郵便局が民営化された場合、これは将来の話になりますけれども、今回の住民票の写し等の取り扱いはどのような対処のされ方になるのでしょうか、お伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 御承知のように、平成十五年中に現在の郵政事業庁、総務省の外局、それにつながる各郵便局は国営公社に移行する、こういうことでございますが、これも御承知のように、国営公社の職員は今と同じ団結権と団体交渉権を持つ国家公務員だ、こういうことでございますから、服務規律も地方公務員と全く同じでございます。

 そういう意味では、国営公社移行後の事務に関しては、私は何の支障もない、こういうわけでございますが、御承知のように、与党三党の合意もあり、また、総理も国会答弁をされておりますように、公社移行後、その後のあり方については民営化問題を含めて議論する、国民的議論の中で方向を見つけていく、方向づけをする、こういうことでございまして、どういうことになるのかは現時点では定かではありませんけれども、仮に国営公社でないということになった場合にも、私は、法令上の手当てをすれば、これらの事務を行うことは可能である、こういうふうに思っております。

黄川田委員 時間はまだありますけれども、最後の質問であります。

 地方公共団体も、少子高齢化の中で住民福祉の向上であるとか地方行革の推進、広域的行政の要請など、本当にさまざまな課題を抱えております。その解決方策の一つとして、本会議でも申し上げましたけれども、市町村合併による行政規模の拡大、財政基盤の確立等、地方分権の受け皿としての体制の整備が強く求められておるのであります。

 我が自由党は、現在三千以上ある地方自治体を最終的に三百の市に統合して、足腰の強い自治体づくりを目指すということになっております。党としての最重点課題であります。

 それで、市町村が合併していきますと、一つ一つの役場等がどんどんまとまって一つになる。しかしながら、郵便局は住民の最も身近な組織として残るのではないかということで、この政策によって市町村合併の推進がある程度進むのではないかという気もするのですが、それに対してのこの法案の貢献度といいますか、どうお考えになるのでしょうか。

片山国務大臣 先ほど、本会議で黄川田委員の質問にもお答えしましたが、市町村合併は、我々は二十一世紀の大きな課題としてぜひやりたい、こういうふうに思っておりまして、合併をすれば幾つかの市町村が一つになるわけでありますから、役場がどこになるかは別にしまして、コミュニティーと役場との距離がかなり離れてくる、その限りでは住民は不便になる、こう思っておりまして、その肩がわりと言ったら語弊がありますが、市町村役場的な機能の一部を郵便局にやっていただく、それによって住民の利便の減退、後退を防ぐ、こういう意味での効果があるのではなかろうか、私はこう思います。

 また、合併することが大変市町村行政の効率化にもつながっていきますので、全体としてはそういうプラスの面もある、こう思っておりまして、我々は、郵便局の市町村行政における活用をこれは一つのケースとしながら、なおそういう意味での市町村行政のスリム化、アウトソーシング、そういうことについての方向をさらにいろいろ探っていきたい、こういうふうに思っているわけであります。

黄川田委員 いずれ、地方と国の役割の分担、連携をきっちりと推進していただきたいと思います。大臣もお疲れでしょうから、この辺で終わります。

 以上であります。

御法川委員長 次に、矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 私は、まず、提案されております本法案の目的のところについてお尋ねいたします。

 この目的には、住民の利便を図るとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資することを目的とするとあります。戸籍謄本や戸籍抄本あるいは納税証明書など六種類の交付事務を郵便局で行う、こういうことになれば、確かに住民の利便性を高めるものだと思います。

 しかし、一方、郵便局で交付事務を行う分を、現在、地方公共団体自身がやっているサービスが削減される、それだけ郵便局でやるんだから、うちの方はそのサービスをやめようと。例えば、先ほど言った支所の肩がわりの問題もあるかもしれません。そういうサービスが減ってきては困るわけなのです。つまり、郵便局が肩がわりをするということになりますと、利便を図ることには私はならないのではないかと思うのです。

 今回の法律の目的はあくまでも、住民の利便を図る、これが目的であって、地方自治体の業務の郵便局への肩がわりだとか、あるいは自治体の合理化自身、これを目的とするものではない、こういうふうに私は思うのです。このことを確認したいのですが、総務大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 今、市町村合併の推進と絡みまして、先ほどもお答え申し上げましたが、我々としては住民の利便を図るということが第一です。利便を図った結果、それではそれだけ人が減るのかというと、そういうことはないのです。今、市町村は、これからいろいろな仕事を国や都道府県から事務移譲や権限移譲を受けてやらなければいかぬようになるし、またしなければならない、こう思っております。そういうことのために、もし仮に郵便局に仕事をやっていただくことによって身軽になったエネルギーがあるとすれば、そういうことをやる、こういうふうに理解していただけばいいと思いますが、全体としては、市町村行政の運営の効率化にはつながる、こういうふうに思っております。

矢島委員 今の大臣のお答え、片方は住民の利便を図る、これを目的とする、片方は合理化に資する、これを目的とする。つまり、図ると資するの違いというのは、やはりこの法文の中にもあらわれているのだろうと思います。

 次に、これも既に同僚議員から質問があったことですが、確認しておきたいと思います。それは、今回の交付事務についての問題として、住民のプライバシーの問題がいろいろ出てまいりました。そこで、今回の法案によりますと、郵便局の係の方に請求書が出てくる。それを郵便局員が、必要事項がきちんと書いてあるかどうかを確認して地方自治体に送る。地方自治体から、今度は本人の請求した、例えば戸籍謄本なら戸籍謄本が返ってくる。それは請求した本人かどうか確認しなければなりませんから、来たものが本人のものだなということを確認した上で本人に渡す。結局、郵便局の係の人にしてみれば、請求者の戸籍謄本だとか納税額だとか、そういうものに実際に触れるわけです。

 これらの業務を、結局、先ほどコンビニの問題が出ましたけれども、コンビニに委託するのではなくて、やはり郵便局に限定していったというのは、個人情報やプライバシーの保護というのは、国家公務員である郵便局員の守秘義務ということで確保されているのだということが根底にあるのだろうと思います。そのことを確認したいと思いますが、副大臣。

遠藤(和)副大臣 おっしゃるとおりでございまして、郵便局は窓口事務だけしか扱わないのですけれども、それを扱うにしても、やはり国家公務員たる郵便局の局員は守秘義務が課されている、そういう意味でこれに限定した、こういうことでございます。

矢島委員 ただいまの副大臣の答弁にもありましたように、交付事務が郵便局で行えるのは、まさに郵便局員が国家公務員であり、国民のプライバシーが守られるという制度的保障があるということだと思うのです。

 そこで、個人情報あるいはプライバシーの保護という問題で、私は総務省にお尋ねいたしますが、憲法二十一条のいわゆる通信の秘密の問題、それから郵便法の第九条、秘密の確保の問題、第一項、第二項がありますけれども、この問題でございます。郵便の業務に従事する者が郵便物に関して知り得た情報を利用することの問題なのです。

 例えば、民間の生命保険会社で通知が来て、もう満期ですよとある、これが目に入った、それというので簡保の勧誘にこの情報を使うとか、あるいは、いろいろなイベント小包をやっておりますけれども、例えばそういう父の日の情報を得た、そこでイベント小包の販売に利用するとか、あるいはダイレクトメールの送り先、こういうのをチェックしてふるさと小包を利用させるとか、こういうのは、いわゆる郵便法の第九条に違反するものと考えるのですが、それでいいですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、憲法第二十一条では、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」とありますし、それから、郵便法の第九条では、「郵政事業庁の取扱中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない。」第二項では、「郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」というふうに規定されております。その趣旨は、郵便の業務に従事する者が郵便物に関して知り得た他人の秘密を守るべきということがきちっと規定されているわけでございます。

 ただ、ふるさと小包への活用だとか簡保の営業への活用とか言及がございましたけれども、一つ一つの事例につきましては、やはり個別の事例に即した判断をすべきものだというふうに思っておりますので、一般論として言い切るというのはちょっといかがかなというふうに、私どもの立場としてはそう考えております。

矢島委員 違反するかどうかということについては具体的な一つ一つの個別の問題で、その手段や目的が明らかにならなければ、違反なのか違反ではないのか、そういう断定は下されない、そのとおりだと私も思います。

 しかし、少なくともやってはならないことだ、モラル上問題があるのではないか、こういうふうに思うのですが、松井局長、そういう考え方はいかがですか。

松井政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、憲法並びに法はきちっと規定しておりますので、考え方はお話されたとおりだと思っておりますが、個別具体的な判断というのはやはり事実に即して行われるべきことだということがございますので、よろしくお願い申し上げます。

矢島委員 そのことは私も先ほどそのとおりだと認めたわけですが、違反するかどうかというよりも、むしろそれを利用してやるということのモラル的な問題、これはやはりひとつきちんとしておかなければならないだろうと思うのです。

 というのは、今度の法律でも第五条で目的外利用の防止の項目があるわけですけれども、国家公務員だ、だから守秘義務がある、だからプライバシーの保護が担保された、こう単純にぽんぽんといかないという点なのです。その点、研修するとか通達を出すとかいろいろなことを今まで答弁されているわけですけれども、私は、今現実に起こっている問題で、ちょっとこれは足立長官にお聞きしたいのです。営業成績を上げようというので、いろいろな競争だとかあるいはノルマ、この問題を私もこれまで何回も取り上げてきた問題ですけれども、現場では、ノルマを達成するためとか営業成績を上げるという問題で、お客さんの情報を手に入れてこれを利用して何とかやっていこうということが盛んなのですよ。長官、こんな問題があったのですが、あるいは御存じかどうかお聞きしたいのです。

 昨年の十一月の段階ですが、川崎市のある郵便局で、朝礼というのですか、第一集配営業課と第二集配営業課の職員全員を集めました。いわゆる全体ミーティングというのです。そこで郵便局長も総務課長も出席している中で、第一集配の営業課長が、営業の発言の中でこういう発言を行ったのです。高島屋などから送られてくるダイレクトメールがどこの家に来たかインプットないしメモ書きする、コピーをとったらだめですよ、その家は需要があるから営業に行くのですよ、こういう発言があったのです。

 私がお聞きしたいのは、これに対して労働組合が、郵便局長に要求書を出したり、あるいは関東郵政局に質問書を出したりしているんですが、こういう事実については足立長官は御存じかどうかということなんです。

足立政府参考人 お答えを申し上げます。

 神奈川県の郵便局におきまして、そういった問題が関係労働組合から指摘されておるということで承知しております。

 ただ、労働組合からの問題提起もありましたので、私どもの方で実は調査をいたしました。その結果でございますが、ただいま先生から、ダイレクトメールがどこの家に来たか、それをもとにして営業に行くんだというようなことを言ったということでありますが、当該課長は、そのようなことは実は言っていないと、ただ、自分が言おうとしたのは、民間がいろいろ、カタログとかダイレクトメール等を発送するときに、いわゆるレスポンス率といいますか注文が出てくる率、そういったものを効率よくやるために、お客様にただやみくもにダイレクトメールやカタログをいろいろ発送するんではなくて、よく見込み客というのを見ながらやっている、そういった民間の営業の効率的なやり方というのは郵便局も学ぶべきではないかということを申したと、したがいまして、営業に当たって通信の秘密を侵すというようなことを、そのとき申したのではないということでございました。

矢島委員 私は、ここで長官と言ったとか言わないとか、そういう問題で議論しようとは思っておりません。結局、こういう事態が現場にも起こった、しかし、それは事実かどうかは、今、長官が言われたようなことだと思います。

 それからもう一つ、今、御答弁の中にはなかったんですが、関東郵政局に質問書を出しましたら、関東郵政局がこういうことを言ったんですね。頭の中にインプットし、営業など仕事に使用する場合は信書の秘密を侵すようなものではない、よってそういう質問状を受け取るわけにはいかないと。この考えだと、私は非常に問題があると思うんです。つまり、今回、法案が出ておりますが、この法案で郵便局が交付業務をやるわけです。その交付業務をやることによって知り得た、例えば納税証明書などの情報、これを頭の中にインプットしておく、そして、ふるさと小包か何かの営業に利用する、こういうのはプライバシーを侵すようなものではないということになってしまうわけですね。

 これも、関東郵政局の答弁がこうであったかどうかはまた論争になりますから、私が聞きたいのは、インプットしておいてそれを利用するのは、通信の秘密を侵すようなものでないというふうに判断しているのかどうかということなんです。つまり、ダイレクトメールから得た個人情報をコピーすることも、メモすることも、あるいは頭にインプットして営業に利用する、こういうことは、まさしく信書の秘密を営業に利用する、九条の違反ではないかと私は思うんですね。

 そこで、長官に聞きたいのは、積極的に、こういうやり方を進めろとか、あるいはやり方の指導、こういうのを実際やっているんですか。

足立政府参考人 信書の秘密に違反するか違反しないかといった問題以前に、私どもの国営事業というものは、やはり営業のあり方として品位と節度を持って行うべきだということで現在、郵便局も指導をしておるところでございます。

 いわゆる信書の秘密といいますのは、郵便を利用される方にとりまして極めて重要なことであります。郵便局を信頼されてお客様が郵便を託されるわけでありますので、そういったことにつきましては、特に私どもとしても厳格な運用を平素から指導しておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。

矢島委員 今、私が挙げた例は、言うなれば氷山の一角じゃないかと言われるような問題で、例えば、今、一課長の問題で言った、言わないなんてことも別にここで明らかにしようとは思いませんけれども、こういうのもあるんですよね。

 これは、北海道の郵務部長から各郵便局長あてに、公文書ですね、郵営第二〇七号という文書が出ております。その中に「販売方法」という項がありまして、「次のビジネスチャンスについて、」次のビジネスチャンスというのは、例えば個人のお客の場合には、出産、七五三、成人、還暦、以下ずっと、誕生日、結婚記念日とかあります。それから、事業所の場合には、創業○○周年記念行事とか各種イベント、いろいろずっと書いてあります。こういうビジネスチャンスについて、郵便あるいは貯金や保険の外務員、まあ貯金や保険の外務員の皆さん方とは違うと思いますが、郵便ですね、「のお客さま情報をとらえる等して、タイムリーな販売勧奨を行うこと。」という通達が出ているんですね。これは、一個人課長が言ったとか言わないとかいう問題じゃなくて、通達として、あらゆる個人情報を利用してどんどん営業活動に利用せよというんですね。

 こういうことは当然あってはならないことだと私は思うんですけれども、いかがですか。

足立政府参考人 先ほども申し上げましたように、郵便局はやはり国営事業でありますので、繰り返しになりますが、品位と節度を持って行うということは、私どもの基本として指導しておるところであります。

 では、具体的にどういう形の営業を展開しているのかということの御指摘でありますけれども、先ほど来から議論になっております通信の秘密あるいは郵便物に関して知り得た他人の秘密をもとにして営業するなどといったことは、やってはならないことであります。しかしながら、平素から、営業というものはお客様のニーズというものをとらえて営業するということでありますので、その辺は常識的な範囲で郵便局の職員にも頑張っていただいておるというふうに理解しておるところでございます。

矢島委員 常識的範囲で頑張ってもらいたいと。常識的範囲じゃないんですよ、これは。それも、郵務部長の名前で郵便局長に、こういうことをやってどんどん売れというんでしょう。まさにこれは、先ほどから長官がそういうプライバシーの問題については厳密にいろいろと指導していると言うんだけれども、現場ではいろいろなことが起きているんですよ。こういう点は非常に重大な問題だと私は思うんです。

 片山大臣、今いろいろとやりとりをいたしました。一月から、郵政事業については事業庁のもとに置かれるようになりました。さらに、郵政公社化へ移行するわけです。だから、国民が郵政を見る目というのは非常に厳しいものが今あるわけなんですね。特に信書への民間参入というのは、先ほどもお話しになりましたけれども、検討されているというときですから、通信の秘密を守る、あるいは個人情報を守るということは極めて重要だと私は思うんですよ。知り得た情報を営業に利用するなどということがあれば、まさに国民の信頼を失っていくものだ。郵政事業に対しての信頼を国民は持っていた、しかし、どうも私の情報が流されちゃったというようなことになれば、これは信頼失墜に当たるわけなんですね。つまり、これだったら別に国営じゃなくてもいいやなんということになったら、私たちは民営化反対でやっていますけれども、そういう事態になりかねない。やはりこれは、大臣、個人情報を守るとかプライバシーを守るということは、もう基本的に極めて重要なことだ。これはやはり総務省としての確固とした、あるいは大臣として確固とした態度が今、求められているんだと思うんです。どのようにお考えですか。

片山国務大臣 御指摘のように、国営ということでの信用はやはり守秘義務、秘密を守る、こういうことでございまして、その知り得た秘密を営業に利用はしていないと私は思いますけれども、もしそういうことがあれば、それはもう極めて遺憾なことだ、こういうふうに思っておりますし、今後とも、人権上の配慮もありますし、また、この事業の権威、信用のためにも、そういう意味でのプライバシーの保護には万全を期してまいりたいと思いますし、今回、こういうことで郵便局にやっていただくことにしましても、今までそれぞれがるる説明しましたように、万全の対応をとってまいりたい、こういうふうに思っております。

矢島委員 だからこそ、今回の郵便局の業務の拡大というのは、何回も出ているように、郵便局の職員というのは国家公務員であるということが前提で成り立っているんだろうと思うんです。

 そこで、この問題は先ほども別の観点から、別の方向からの質問があったんですが、いわゆる郵政民営化とのかかわり合いです。つまり、私が聞きたいのは、もう大臣、何回もこれは答弁されていますから、公社化ということを確実にやり遂げて、それから後いろいろそれも含めて論議していくんだ、それはそのとおりでいいんです。私が聞きたいのは、いよいよ郵政民営化の検討などが始められるという中で、民営化されると国家公務員じゃなくなるということですね。そうすると、今ずっと私が論議してきたように、国家公務員であるからこそ、こういう取り扱いを郵便局でできるようになったんだ、その土台がなくなっちゃうということは、民営化された場合には、郵便局ではこういう業務はできなくなると考えてしまっていいですか。

片山国務大臣 せんだっての質問にもお答えしましたが、公社移行は別にこの点の関係は全く問題ないわけですね、国家公務員がやるわけでありますから。その後については民営化問題を含めて幅広く検討して結論を出す、こういうことでございますが、仮に国営なり、あるいは国営公社でなくなった場合、この仕事ができるかどうか、これについては議論があると思いますけれども、私は、法令上の手当てをすれば十分可能である、こういうふうに思っております。

矢島委員 郵便局ネットワークというのは、営利を目的としない公共的ネットワークとして、国民生活への基礎的なサービスを提供している。今回の法案もそうした公共的ネットワークとしての役割に着目したんだろうと思うんです。

 私たちは郵政民営化に反対ですから、この郵便事業分野の政策というものを発表しておりまして、私は本当にここで国民の理解を得ていく必要があると思うのは、やはり郵便局の持っているこのネットワークとそれから信頼、この二つだと思うんです。

 ところが、今、これはあるかないかは別として、守秘義務や信書の秘密、こういうものがあるにもかかわらず、知り得た情報を営業に利用しちゃうなんということがもしあるとすれば、これは国民の信頼を失い、国民は、国営でなくたっていいじゃないのということになりかねないんですね。

 そういう点から考えてみて、この郵便局ネットワークというのは営利を目的としない公共的なネットワークとしてさらに発展させるべきものだと私は考えているんですけれども、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 先ほども御答弁いたしましたが、この二万四千七百の郵便局のネットワーク、ネットワークとして大変有用なんですね。しかも、百三十年の歴史の中で、地域社会に定着して、国民の信用、信頼も大変厚いわけですから、どういう形になるにせよ、できるだけこのネットワークの機能は国民の資産として残していきたい。どういう形がいいのかということは、我々もこれから大いに研究、検討してまいります。

矢島委員 時間になりましたので、私、この問題を取り上げた中で、守秘義務、いわゆるプライバシーや個人情報を守っていく、このことの重要性について幾つかの例を挙げながらただしていったわけでございますが、私が懸念するような事態が現場で起こらないように、長官もひとつ十分現場をぜひ見ていていただきたい、このことをつけ加えまして、質問を終わります。

御法川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 この法律案は、郵便局で戸籍謄本、戸籍抄本等、六項目の事務を取り扱うことができる、そういった証書を交付することができるという法案でございます。その目的に、「利便の増進を図る」ということが書かれておりますが、それは住民にとっては大変大きなプラスでございます。しかし、それと同時に、プラスの面とマイナスの面、このことによって何らかの弊害が生じることはないのかということを心配しておりますが、それは、これまで各委員が質問いたしておりますように、非常に重要な問題だと思うんですね。

 そこで、私もちょっとそのことを触れたいと思うんですが、今回、郵便局にこういった事務取り扱いを委託することができることによって、やはり人権とか差別とか、先ほどからのプライバシーの問題、こういった問題が非常に弊害として起きる疑念があるわけですね。やはり、こういった問題の根底には戸籍制度というものがあると思うんですね。戸籍あるいは外国人登録の取り扱い事務が人権を侵害したり、あるいは差別を引き起こす原因にもなってきたと思うんです。その戸籍情報の取り扱いが拡大される、郵便局でもそれができるということになる法案でございます。

 そこで、重ねて、こういった法案が施行されても、郵便局に事務を委託しても、プライバシーを侵害するようなことはないんだ、そんな心配はないんだということを、まず大臣にはっきりと改めて言明していただきたいと思います。

片山国務大臣 私だけではなくて、副大臣や局長からもお答えしておりますように、プライバシーあるいは人権の保護には万全を期したい、こういうふうに思います。

 したがいまして、第三者による請求は除外する、郵便局での請求の受け付けに当たっては適正に本人確認を行う、また、これは地方公共団体の長と郵便局、郵政事業庁長官の方で契約を結ぶわけでありますから、地方団体の長は必要に応じて郵便局側に報告を求め、必要な資料を出すこともできますし、郵政事業庁長官は郵便局員に守秘義務を課して万全の措置を講ずる、こういうことにいたしておりまして、こうした対応によりプライバシーの保護、人権の保護には十分対処できる、こういうふうに考えております。

横光委員 今のお言葉どおり、それは必ずや現場で実施していただかなければならないわけですが、大臣が時間が限られているということで、もう一問大臣にお尋ねいたします。

 大臣は、先日の国会で本法案に基づいて市町村合併との関係で、きょうも先ほどの本会議で地方自治法の一部改正案の中で、市町村合併推進の意欲が語られたわけでございますが、この委員会におきましても、先日、大臣は、市町村合併は進めなければならない、やはり郵便局にワンストップサービスは必要だ、こういった答弁をされております。

 これは、受け取り方によっては、郵便局におけるワンストップサービスの実施を市町村合併の推進の手段としても位置づけているのではないかというふうに受け取れるわけですね。市町村が合併しようとする場合に、どうしても外縁部といいますか遠隔地域の行政サービスが低下する懸念があるわけでございます。そういった懸念を郵便局のワンストップサービスをやることによって払拭できるという意味合いにも受け取れるわけですが、これはそれでもいいと思うんですね。

 そういった意味で、大臣、率直に、こういったお考えなのかどうかということを改めてお聞きします。

片山国務大臣 いろいろお考え、お立場がありましょうが、我々は、市町村を二十一世紀の地方分権の主役にするために市町村合併を進めなければならない、こう考えております。合併をした場合には、やはりどうしても役場が物理的に遠くなるわけでありまして、住民サービスがこういういろいろなものの受け付けや受理では後退する。それを後退させないためというもう一つの効果が、私はそこであるのではなかろうかと。合併を促進するためじゃなくて、合併の結果住民サービスが後退するということは防がなければならないので、郵便局を活用するということはその後退の防止になるのではなかろうか。

 ただ、これをもって合併の一つの推進力にしよう、てこにしようとは考えておりません。

横光委員 大臣、もう結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、先ほどの、しつこいようですが、プライバシーとか人権とか、そういったいろいろな問題を改めてお聞きしたいと思うんです。

 こんなことはあってはならないし、ないとは思うんですが、仮に、先ほどもちょっと質問に出ましたが、住民の個人情報、家族構成等のデータ、いわゆる入学や就職等がはっきりわかるような情報が、郵便局の窓口の職員にも今回の法案によって目に触れることになるわけですね。そういった場合に、こういった職員が、内務職員ですが、知り得た個人情報を郵便貯金または簡易生命保険を扱う外務職員に提供する、あるいは、これを受けた外務職員がその住民の自宅を訪問して商品の勧誘等の営業活動を行った場合、これは業務上知り得た情報の目的外使用に該当することになるんですが、守秘義務があるからこういうことはないと言いながら、そういうことがあったとしても立証することは極めて困難ですね。

 しかし、抑止していかなければならないことは事実でございます。この立証がほとんど不可能であるならば、郵便局の職員に対して、今回の業務が新しく委託されることによって業務上知り得た情報の目的外使用を抑止するにはどのような方法を考えておられるのか。やはりそこのところは重要な問題であろうと思いますので、お答えいただきたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 内務職員が知り得た情報を外務職員に提供するような、そういった内心の問題の御質問でございますが、取り扱い職員は、先ほど来の答弁で申し上げていますが、守秘義務を負っております。そのほかに、郵政事業庁の長官が講じる他用途利用、目的外の利用禁止措置、そういったことに従う義務を負っております。そういうことで、内務職員が知り得た情報を外務職員に提供するということは、この禁止措置に違反するということになろうかと思います。

 それから、懲戒処分等を行うに当たりましては、御指摘のとおり、内心の意思の証明という非常に難しい問題が生じる場合がありますが、仮に、客観的に見て違反と思われるような事態が生じた場合には、必要に応じて関係職員への事情聴取等を行い、事実関係を明らかにして厳正な措置を行っていく所存でございます。

 いずれにいたしましても、職員に対しましては、情報の適正な取り扱いについて十分指導をしてまいる必要があろうかと考えております。

横光委員 今そういった事例が起きた場合の対策をされましたが、問題は、この事例が起きないということが一番大事なわけですね。

 そういった意味で、それぞれの自治体でもまだまだこういった問題については格差がある、また、それぞれの窓口によっても格差がある。今度、郵便局で新たな取り扱いができるようになるわけですから、これが公布されて施行するまでの間に三カ月という期間があるとするならば、私は、自治体を含めて郵政職員にも人権啓発の研修期間が改めて必要ではなかろうかと。こういうことを実施しようという意向があるのかどうか、お聞きいたしたいと思います。

松井政府参考人 郵便局の職員の訓練等につきまして申し上げたいと思います。

 先ほど来のプライバシーの保護の問題、それから事務の適正な実施をきちっと確保していく必要があるということで、研修、訓練が必要であるというふうに考えておりまして、きちっと準備をしていきたいと思っております。

横光委員 新たな業務が加わるわけですから、この問題の抱えている問題点の周知徹底を職員の皆様方にしていただいて、そして、問題なく業務を行うことによって、先ほどから言われておりますように郵便局の信頼は高まるわけですので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 とはいいながら、戸籍謄本、抄本、あるいは外国人登録原票の写し等は、やはりどうしても人権侵害のおそれがあるわけですね。今度六項目の事務を自治体の方から委託することができるとなっておりますが、自治体がみずから判断することができるということで、これらの人権侵害に当たりかねない三つの項目については、委託から外すということも各自治体の判断によっては可能かどうかということをお尋ねいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 おっしゃるとおりでございまして、六つ全部でもいいし、六つのうち一つでもいいし、それは、自治体の自主的な判断をしていただいた上に、議会にかけることも必要ですけれども、その上で郵政官署と契約をしていただくということでございますから、自治体の自主的判断でできるということでございます。

横光委員 わかりました。

 さらにもう一つお尋ねしたいんですが、今まで、各委員がやはり心配だということでいろいろ質問が続いたわけですが、プライバシーの保護をより徹底するために、これからの課題だと思うんですが、先ほど挙げた三項目等の事務については、選挙の洋上投票で用いられているいわゆるシールつきファクス、こういったことを今後用いることも考えていいんではないかと思います。その点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

林政府参考人 御指摘の、選挙の洋上投票の場合、投票の秘密を厳守するためにシールつきファクスを用いることとされているところでありますが、今回の郵便局での各種証明書の取り扱いにおきまして、御示唆のございましたシールつきファクスの採用を排除いたしているものではありませんで、最終的には地方団体の判断によるものであろう、こういうふうに考えております。

 ただ、本法案におきましては、先ほど来いろいろと御議論をいただいておりますが、必ずしもシールつきファクスによらなくても、地方公共団体の窓口における場合に比べましてもプライバシーの保護には十分配慮した制度として仕組んでおりますので、団体によりましては、このようなシールつきファクスによらなくても適切に対応できるものと考える団体が多いのではないか、こういうふうに考えております。

 なお、御存じのことと思いますが、シールつきファクスの場合、なかなかコスト的にあるいは技術的にいろいろな問題を抱えているとも伺っております。

横光委員 確かに、コストとかいろいろな問題があろうかと思いますし、私が今提案したことが杞憂に終わるように、どうか現場で頑張っていただきたい。

 次に、国と自治体の役割分担についてまたちょっとお聞きしたいのですが、地方自治法では、「国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担する」とあるわけですね。国の事務を法定受託する場合、あるいは自治体同士で事務委託を行うことはございますね。ところが、自治体の事務を国の行政機関に取り扱わせる例はほかにあるんでしょうか。今回、自治体の事務を国の行政機関に取り扱わせることになるのですが、これまでこういうことはあったのでしょうか、ないと思いますけれども。

松井政府参考人 私の立場から地方行政上の全般的なことはお答え申し上げませんが、郵便局が自治体の公金の収納事務、そういったことを受託していることはございます。

横光委員 先ほども言いましたように、「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねる」、今回の住民票の写し等は、住民に身近な仕事なんですね。このことを考えると、今回国で扱わせるということはいわゆる国と自治体の役割分担に反するおそれもあるわけでございます。

 地方公務員は、国家公務員と異なり、直接住民の福祉の増進を目的とする地方公共団体の職員ですね。ところが、郵政事業は国の公企業であって、住民の福祉の増進を保障する自治体のサービス、事務とは本質的に性格が異なるわけです。この両者の根本的な性格の違いを無視して、自治体の事務を今回国の事業官庁にゆだねることになったわけですが、たとえ証明書の交付という事実行為であっても、やはり基本的な問題があるのではないかという気がしているのですが、その点はいかがお考えでしょうか。

林政府参考人 今回御提案いたしております法律におきまして列挙されております事務は、地方団体の事務であることは間違いございません。個別法におきまして地方団体の事務とはっきり明示されているものでございます。

 ただ、これらの事務は、責任を持って実施するのは地方団体であることに変わりはありませんが、その事務の取り扱いの一部を郵便局においてお願いしようというのが今回の法律の趣旨でありまして、当該地方公共団体の主体的な判断によりまして、条件が整った場合に、郵便局で取り扱っていただくこととしているものでありまして、あくまでも住民の利便の増進を図る場合に規約に基づきまして郵便局に事務をお願いするものでありまして、地方公共団体の責任のもとに、また行政目的に沿うものとして実施するものであることを御理解いただきたいと思います。

 なお、公務員の性格についても言及をいただきましたが、ともに公共のサービスに従事する公務員でありますので、地域住民の福祉向上に十分寄与していただけるものと期待をいたしているところであります。

横光委員 基本的には問題がないという意味合いだと思います。あくまでも住民の利便性の増進という趣旨もございました。

 そのことでちょっとお尋ねいたしますが、住民の利便性の増進、これが目的の一つにあるわけですが、今回の郵便局で取り扱う事務も、これまでの地方公共団体の窓口事務の取扱時間帯に限定されるわけですね。郵便局から自治体に申請するわけですから、自治体がやっている間にしかこれはできない。ということは、今回の法案も、郵便局においてもおおむね平日の昼間のみの対応となる。ということは、これは実際に利用できるのは、同一の行政区域で生活あるいは活動している住民に限られる。しかも、このサービスを利用するために郵便局に赴くことによるメリットが生ずるのは、一日じゅうこの行政区域で過ごしている住民のうち、地方公共団体の窓口より郵便局の方が近いという住民だけにだんだん絞られていくんですね。これがいわゆる住民の利便性の増進ということなんでしょうか。

林政府参考人 今回、六項目の事務につきまして郵政官署における取り扱いを可能とする法案を御審議していただいているわけでありますが、この対象となっております事務のうち、例えば住民票の写しでありますと年間の取扱件数は八千五百万件に上っておりますし、また、印鑑登録証明書になりますと約六千五百万件、それぐらいの取扱件数がある事務でございます。

 これらは、いずれも住民の日常的な生活と経済行為に不可欠のサービスとなっておりまして、これを生活の場に身近な郵便局の窓口で対応できるようにすることにつきましては、かねてから地域の住民等から強い要望があるものであります。アンケート調査の結果によっても確認されているわけでありますが、今回取り扱いの対象といたしました事務は、現段階におきましてこのような多くの要望のある、住民のニーズを受けて法案化を図ろうというものでございます。郵便局の窓口で取り扱うことが適当であると認められるものにつきまして、可能となるよう法的な措置を講ずるものでありまして、住民の利便の増進に有効なものと考えておりますので、御理解をいただければと思います。

横光委員 多くのニーズがあったということでございますが、それが実際実施されるようになって多くの人たちが利用できれば本当にいいことだと思っております。

 一方の、もう一つの目的、いわゆる「地方公共団体の組織及び運営の合理化に資する」ということでございますが、これは、郵便局に委託したとしても、地方公共団体の職員が記載事項等を今までと同じように改めてチェックする必要があるわけでございます。また、発行事務は、受付場所にかかわらず専ら地方公共団体が、これまでどおり職員が行うことになるわけですね。さらに、地方公共団体及び郵便局の専用のファクシミリの設置費用やファクシミリの通信費あるいは郵政事業庁に支払う郵便局の取扱手数料、これが新たに地方公共団体の負担となるわけですね。つまり、地方公共団体にとりましては事務量は実質的にはほとんど減少しない、逆に経費面の負担が増加することになるのですね。これが合理化につながるということなんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 確かに、郵政官署で窓口業務をできるようにする、本人確認をしたり、それを交付することができるわけでございまして、そういう意味で、今市町村なんかも、例えば三月ごろ行くと窓口が非常に混雑していまして、順番待ちで並んでいるというような状態がありますから、そういった住民票の交付だとかいろいろな事務を、六つの事務を郵政官署ができるということになれば、窓口の業務がすごく整理されるということで、住民のサービスの向上にもなるし、市町村の事務も、直接窓口の事務は減少することは間違いないと思うのですね。そして、例えば支所とかそういうところでは、今までやっていたのだけれどもそれを廃止しても可能ではないかということが具体的に起こってくるかもわかりません。

 ですから、全体的に市町村が取り扱っている事務の一部が、すべてではありませんけれども、一部が郵政官署に行くわけですから、全体的には効率化に資するのではないか、このように考えております。

横光委員 今の説明で窓口業務が減るということですが、私は、同じように窓口業務というか、郵便局の方からいったら、申請されたものを取り扱うということは、今の窓口業務の人と同じようなことをしなければいけないので、そんなに減るのかなと逆に思っておるのです。

 それで、逆にこの法案による仕組みが郵政労働者の労働強化につながることはないのかということです。つまり、これまで、ひまわりサービスとかやっておりました。こういった外務職員が行っている高齢者への立ち寄りとかいろいろなこと、これはあくまでも郵便の配達先に限られているわけですね。これが、改正後は委託を受ければ郵便の配達先でなくてもやるということは、郵便配達と別な新たな業務になるわけですが、こういったことが郵政労働者の労働強化につながるというようなことはないのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの効率化の御質問と今度は逆の側面での御質問かと思いますが、今回の法案に係ります郵便局における地方公共団体の事務の取り扱いは、職員数あるいは業務繁忙の度合い等の諸事情を踏まえて、受け入れの可能性を判断してから地方公共団体と郵政側との契約で行われるものでございますので、また事務の内容も定型的なものだというふうに考えておりますし、郵便局の仕事からしますと取扱件数もそれほど多くないと考えられますので、過重な事務負担になるというふうには考えていないところでございます。

横光委員 実は、これは私の地元の新聞の切り抜きなんですが、私は大分県の宇佐市というところですが、つい先般、宇佐市でも十六の郵便局と、ごみ投棄を郵便配達員が監視するという提携を、協力体制を結んだんですね。御案内のように、家電リサイクル法が施行されまして、不法投棄が実際非常にふえている。そういった非常にタイムリーな協力体制だと私は思う。郵便局の職員がごみを見つけたら市に報告して、そして市職員が現地に向かい、不法投棄した人物を調べて撤去するよう指導する、こういった行政と郵便局のスクラムが広がっているわけです。

 このことによって地域住民の郵便局に対する信頼がさらに高まっていくと思うんですが、そういったスクラムが今地域住民にとって、郵便局の人たちの頑張りが見えているわけで、そういった中で、今回新たにこうした郵便局の仕事がふえていくわけで、これは地域住民にとっては非常に大きなプラスになるというお話でございます。

 ですから、きょう各委員が指摘しましたいろいろな問題点、疑念等が起きることのないように、ぜひ利便の増進に寄与する法律になるように心から祈念しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、宮路和明君。

宮路委員 先ほど来お話がありますように、郵便局は、ワンストップサービスの展開あるいはひまわりサービスの実施といったことで、大変地域に貢献したいという思いを強く抱きながら、かねてから頑張っておられるわけであります。我が党でも、かつて通信部会の中に、ここに座っておられる川崎理事を委員長とする地方政策小委員会というのをつくって、そうした郵便局の地方住民へのサービスに貢献したいという気持ちをぜひとも実現していこうということで勉強会をやってこられた。それがこうした形で今度法律になって、いよいよ日の目を見るということになってきて、大変すばらしいことだなというふうに思うわけであります。

 ところが、その対象事務が六種類に法律上、第二条で非常に限定しておるわけでありまして、この点がどういうことなのかなと。先ほど来民業圧迫との関係のお話もあったようでありますが、行政事務の一翼を担うということに絞って考えれば、民業圧迫というのも出てこないわけでありますし、制限列挙ではなくて、その他政令で定めるものとかなんかいって、もっと弾力的に書いていくようにしておけばよかったんじゃないか、こう思うんですが、一つはその点をどういうふうに考えておられるか。そして、今後どういう分野へ、さらに六種類から広げていこうという気持ちがあられるかどうか、それが第一点であります。

 それから、もう一つは市町村合併。先ほど本会議でも片山大臣の合併にかけての熱弁を聞かせていただいたわけでありますけれども、これから大いに大車輪で合併を進めていかなきゃならない。そういう中にあって、市町村が行政能力のレベルアップを合併によって図ると同時に、簡素効率的な行政組織にしていかなきゃならないということが求められておるわけであります。そうなりますと、どうしても市町村の今までの役場あるいはその出先が縮小ないしは統廃合されるといったような事態も出てくるわけでありまして、そういったところを穴埋めする、補完する意味からも、私は、今回の法律の趣旨、目的は非常に結構なことだ、市町村合併推進の受け皿としても大いにこれが期待できるのではないか、こう思うわけであります。

 その点についてどう考えておられるかといったことで、この仕組みの、今回のこのシステムの推進についての基本的な考え方あるいは決意といったものを、ひとつ副大臣の方から御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

遠藤(和)副大臣 後で林総括審議官にも御答弁を願いたいと思いますけれども、まず二点の質問がございました。

 一つは、今回ワンストップサービスとして六項目に限定列挙した理由はいかん、もう少し政令委任を努めて幅広くできるようにしたらどうかというふうなお話がございましたけれども、今回、初めて地方自治体の仕事の一端を郵政官署で取り扱えるようにしたわけでございまして、最初の試みでございますから、まず限定列挙してこれからきちっと行う。しかも、扱うものが守秘義務を伴うものでございますから慎重にスタートさせていただく。

 それから、特に今後の問題といたしましては、やはり住民のニーズが高いもの、さらにそれについて適正に扱うことが可能なもの、そういうものをだんだん拡大していくべきだと私どもは考えておりまして、それについて、今後、それを政令にするかあるいは法律として明記するかということは、またその都度考えていきたいと思っている次第でございます。

 市町村合併との関係でお話がございました。市町村合併は大変大切なことでございますけれども、今、我が国としては強制的な合併というものを考えていないわけでございまして、市町村の自発的な意思によりまして速やかに、できれば平成十七年三月の特例法が終わる時期までに、三千二百二十四ある市町村が千ぐらいになれば大変ありがたい、こういうことで取り組んでいるわけです。

 現場の声としては、合併が進めば役場が遠くなるとか住民の行政水準が低下するのではないか、そういう心配な声があることは事実でございます。そうした声に対して、今回郵政官署が地方自治体の事務の一端を担えるということになれば大変ありがたいことだという全国の知事会等の御意見もございまして、市町村合併を進めていこうという皆さんにとってはいいことになるというふうな歓迎の意思表示をいただいておりまして、そうした形で進むことを私どもも期待いたしておるところでございます。

宮路委員 今の副大臣のお話のように、ひとつ積極果敢にこれから取り組んでいっていただいて、郵便局の地域住民へのサービスが一層幅広く、そして細やかに展開できるようにしていっていただきたいと心から強くお願いを申し上げておきたいと思います。

 次に、この法律とは関係ないのでありますが、現在、総務省の方で、デジタルデバイドといいますか、携帯電話の電波がなかなか届かない、そういう地域の解消のために、移動通信用鉄塔施設整備事業ということを平成三年度からずっと実施しておられる、推進しておられるということでありますが、そのことについてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。

 といいますのは、IT基本法が施行され、そして、それに基づいてのe―Japan、五カ年間で世界一のIT国家に日本をしようという大変野心的な意図でこの事業、e―Japanがスタートしたという中にありまして、携帯電話の電波が届かない、携帯電話が使用できない、そういう地域が全国あまたとあるわけであります。私ども、地元でいろいろ政治活動をやる中で、今陳情で一番多いのは何かというと、携帯電話が通ずるようにしてもらいたい、これは、道路その他の陳情よりも、そっちの方が最近では我々の耳に一番強く響いてくるわけであります。

 ところが、コマーシャルベースにはなかなか乗らないということで、民間の電話会社がなかなか施設を整備してくれないということであるわけでありまして、そういった観点から、この移動通信用鉄塔施設整備事業も国の方としてやろうということで展開されている、こう承知をいたしておるわけであります。

 ところが、これは県の財政負担も伴うものですから、市町村は地元の皆さんの意向を受けて何とかこの事業を導入したい、導入して携帯電話が通ずるようにしてあげたいと思っても、県はまた、この事業には持ち出しがあるということでなかなか渋っておりまして、例えば、私の地元鹿児島では、十年間で二カ所しかまだこれをやっていない。今まで十年間で全国で三百三十六カ所と聞いておるのですが、それでも、これは一年で平均すると全国で三十三、四カ所でありますから、一県、一都道府県で一つもないということになってしまいますし、私の地元鹿児島では、これまで十年間で二カ所しかやっていない。この取り組みが非常に手ぬるいといいましょうか、非常に住民のニーズにこたえ切っていないところがあるわけであります。

 そこで、予算も、どうなっているかということで調べてみたところ、この事業の一番ピークは平成九年度、三十六億ぐらいあったというのですが、今はだんだん削られてしまって、平成十三年度は十九億弱である。IT革命の前進という面から見ると、むしろこの種の予算はどんどんふえてきてもしかるべきところが、逆に減ってしまっている。平成九年度からすると半分になってしまっている。まことにもって時代の要請にマッチしない、そういう姿になっているということであります。

 この辺は、平成十三年度から公共事業の中に入ったということでありますから、こんなことじゃ話にならないわけで、もっと広げていくべきだと思うのですが、総務省として、これについてどういうふうに今後考えておられるか。

 それからもう一つは、県というのはどうも中二階でありまして、国の方は、皆さんe―Japanをとにかくやらぬといかぬ、IT革命を進めなければならぬということで物すごい勢いで高度情報通信社会を進めていかなければならぬ、そういう気持ちを持っておる。市町村は市町村で、地元の皆さんから、携帯電話がつながるようにぜひしてもらいたいという悩み、問題をしょっちゅう聞かされておる。したがって、市町村は何とかしてやりたい。ところが、県は中二階にあって、国や市町村のそういう立場とはおよそ無縁であるといいましょうか、距離があるということでありまして、どうもこうした事業の重要性もよくわからないままに、自分が財源を持たなければならないからどうも気乗りがしないというようなことで、さっき申し上げた事業の実効も非常に上がっていない、こういうことだと思うのです。

 そこで、他の公共事業も、道路にしても港や河川なんかにしましても、市町村が事業主体になってやるものはみんな、国が直接、県を一応トンネルとして通しますけれども、都道府県の持ち出しはなくて、国が補助をするとあとは市町村が持って事業を実施する、そういう仕組みでやってきているわけであります。私も、この事業がもっと地域のニーズに即して積極的に活用されて実施されていくということをやるためには、この際もう県なんか組ませず、トンネルとして使うのはいいとしても、国が直接ほかの公共事業と同じように二分の一補助をするならあとは市町村が持つということでやる方が、先ほど申し上げた市町村の合併をこれから進めていって、基礎的な行政主体として市町村が本当に地域住民のニーズに沿ったサービスの展開をやっていくという上からも、そういうふうに切りかえた方がいいんじゃないかと思う。

 昔の、実験的にやっていたときは、あるいは県も一緒になって負担をさせてやっていくという方法も一つの便法だったのかもしれませんが、今やこういう時代になってきたわけでありますから、もっと事業量もふやし、そして、地域のニーズに即して円滑に、積極的に事業が展開される仕組みとしては、私が今提案したような方がいいのではないか、こういうふうに思っておるのですが、そこのところについての考え方をひとつお尋ねしたいと思います。

小坂副大臣 宮路委員には、こういった通信格差の是正等にいろいろ御配慮をいただきまして、日ごろ御指導いただいておりますことに、まずもって感謝を申し上げる次第でございます。

 委員が御指摘になりました鉄塔整備事業でございますが、以前は、この鉄塔もかなり大きなものが必要でございまして、建設費も一本建てるのに大体二億円ぐらいかかりまして、運用経費も年千四百万ぐらいかかっておったのですね。それが、最近では簡易型のものができまして、建設費も四千万ぐらい、年間の維持費も四百万ぐらいで、より小さな範囲をカバーする鉄塔ではありますが、そういうものも出てきた。

 そういう中で、各地域から大変御要望をいただいておりまして、事業者の方としても、これは、地域のデジタルデバイドの解消という観点からもそうでございますし、また観光地等全国からお客さんがたくさんいらっしゃるような場合、それから、そういう中でも、山だとか海なんかでもいわゆる防災的な観点からも、携帯電話というのは非常に役に立つわけですね。そういう意味で、不感地域と言われる通じない地域の解消のために、事業者にもよりその努力をお願いいたしております。

 委員御指摘のように、今日まで三百三十六カ所整備いたしまして、鹿児島は二カ所、そういう中で、このあり方という問題についての御指摘がございました。

 従来は国庫負担率が三分の一でございましたが、これを二分の一に引き上げておりまして、残りの二分の一を地方自治体と事業者ということで、県が十五分の三、市町村が十五分の二、事業者が六分の一という負担をしていただき、この地方負担分につきましては、特別交付税で二分の一補てんをさせていただいているところでございます。

 そういった中で、鹿児島が進まないのは一つはどうも県の取り組みが余り積極的ではないようだという委員の御意見がございます。この点につきまして、私どもも実情はちょっとわかりませんので、地方総合通信局等を通じまして実情の把握に努めるとともに、県の考え方というものもまた聞かせていただいてやってまいりたいと存じます。そういう中で、委員、まずもって一つ申し上げたいことは、具体的な事例等がございましたら、またその地域をより精査してまいりますので、私どもも地方総合通信局等を通じて配慮いたしますので、ちょっと教えていただく。

 それから、もう一つの点につきましては、地域間の、都道府県、市町村、事業者の役割分担についてもう一度見直したらどうだという御指摘でございますので、この点につきましても、私どもの方としても、もう一度あり方等について事業者も含めてともに検討してまいりたい、このように思うところでございます。

 予算が平成九年三十五億五千万から平成十三年は十八億八千万円ということで大分減っているということでございますが、これは、実際にそういった意味で建設費用そのものが安くなった、それから不感地域が大分解消されてきたということ、それから補助がなくても事業者自体で建設できるような簡易型のアンテナが普及してきたということ、これらが相まって予算が縮小してきているということでございます。

 ただ、なお一層そういったデジタルデバイド解消に向けて予算面の充実も踏まえながら検討していくことを、ここではお約束を申し上げたいと思います。

 以上でございます。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

宮路委員 副大臣の出身地も長野という山あり谷あり、そういういわゆるへんぴなところが多いところなんです。私の地元鹿児島も、島あり海あり山ありで、これまた大変デジタルデバイドの最たるところであるわけでありまして、それだけにこの事業にかける期待が大きいわけでありますので、ぜひ、その事業費の大幅なアップ、事業費の獲得、計上、それに絶大なるお力をひとつ振るっていただきたい。私の地元も、徐福が幸せを求めてやってきたという田舎なのでありますが、近代文明の恩典にあずかっていないということでありますので、またよろしくお願いいたしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、左藤章君。

左藤委員 自由民主党の左藤章でございます。先輩各位、各先生方、いろいろな質問がありましたのでダブると思いますが、お許しを賜りまして、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ちょうど、昭和六十年にNTTが民営化されたときに、ニューメディア元年と言われました。そのときに、今審議されるワンストップサービスも、こういうぐあいになるのだろうという話が当時郵政省から出てまいりました。実に、そういう話が出て十六年目にこの法案が出て、実現をされようかとしております。長い間待っていた私たちにとっては非常にうれしいことでありますし、こういう話を十六年間地元でしておりまして、この前も報告会でいよいよなりますよと言いましたら、地元の方、大阪市内の方ばかりですが、都市部でも非常に大きな期待をしているわけであります。そういう面で、ぜひこの法案が通っていただきたい、このように思っておる次第であります。

 それでは、質問にさせていただきます。

 今、いろいろなお話がありました。戸籍抄本、謄本、また住民票とか、六項目において今回サービスをさせていただける、こういうありがたいことであります。

 しかし、アメリカではパスポートの申請受け付け、イギリスでは健康保険証の申請受け付け、そしてパスポートの申請の受け付けをしております。当時、昭和六十年のときに、こういうサービス以外に、実は日本でもパスポート、そして運転免許証、これも含めて何とかならないかなと議論をしたことを覚えております。そういう面で、こういうものが省庁を超えて、ひとつ住民のよりよいサービスになっていただくように総務省として努力をしていただければありがたいなと思います。

 ところで、郵便局は全国で二万四千七百七十八あります。特定局、簡易局、普通局があるのですが、特に、特定局も置けない場所に簡易局があります。四千五百五十あるのですけれども、実はこれに、今回のときに、残念なことにワンストップサービスというのが入っておりません。

 多分これは、特定局の局長さんは国家公務員でありますけれども、簡易局といいますと、民間委託みたいになっております。もちろん地元にとっては非常に信用のある方になっていただいているはずなんですが、特に簡易局のあるところというのはいろいろな機関がないところでありますので、こういうサービスを簡易局で利用できないか、またそういう対策というのはどのようにお考えになっているか、ひとつよろしく御答弁をお願い申し上げたいと思います。

小坂副大臣 全国に四千五百五十簡易郵便局があるというふうにおっしゃっていただきました。

 簡易郵便局は、地方公共団体、農協、個人等が、国との契約によりまして郵便局の窓口サービスの一部を受託し、取り扱っているものでございます。その辺はよく御存じのとおりでございます。簡易郵便局の職員は守秘義務、懲戒処分等の服務規律が課せられる国家公務員ではないために、簡易郵便局はプライバシー性の高い住民票の写し等の交付事務の取扱者とはしていないところでございます。

 しかしながら、簡易郵便局が設置されている地域におきましても、ワンストップサービスに対する住民のニーズは当然あるわけでございますので、今後、どのような対応が可能か、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。

 なお、住民票の写しだとか戸籍抄本等は、郵送による請求、交付というのが可能でございます。今、既にそういうことが行われておりますので、そのための切手だとか為替証書の購入に簡易郵便局を御利用いただいている、そういう実態があります。

 また、公営バスの回数券の販売など地方公共団体が私人に委託できる行政サービスについては、簡易郵便局も私人の立場で地方公共団体から直接受託することが可能でありますので、そんなこともあわせながらいろいろ検討を進めたい、このように考えております。

左藤委員 副大臣から、ありがたいお言葉をいただきました。これから田舎の方も、先ほどお話がありましたデジタルデバイドということになりますと困りますし、便利にならないと余計過疎化も進むということもありますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ワンストップサービスを今からどんどんするということになりますと、特定局、また普通局、そしてそれぞれ市町村の役場、例えば区役所、こういうものをオンライン化したりしなきゃならないわけであります。それに対する機械類の問題、ソフトの問題。そして、それぞれ区役所とか役場とか、また郵便局の人たちの手数をかりるわけであります。そういう面のコスト。そしてまた、ファクスでするにしても、すぐ来るのかどうか。また、例えば私は大阪市なんですが、住民票ですと二百円、印鑑証明二百五十円、納税証明二百五十円、区役所に支払いましていただいております。これの住民側の対価、コストというのは変わるか変わらないのだろうか、遜色がないのだろうか。

 そして、そういうことが進めば進むほど、先ほど申し上げましたように、市町村の方の役場、区役所の人的合理化、逆に今度は郵便局の人たちにいろいろな負担をかける、プラスアルファの仕事がふえる、こういう問題がございます。

 この辺について、どのような対応をなさるか、ひとつ教えていただければありがたいと思います。

林政府参考人 郵便局の窓口におきまして、証明書の交付受け付けあるいは交付事務をお願いいたします場合には、まず住民の方々は窓口で手数料を払うこととなるわけであります。この手数料につきましては、各地方公共団体の窓口でお支払いをいただいておる手数料と基本的には同じ程度の水準のものを納めていただくことになるのではないかと思っております。具体的には、各地方公共団体は条例によりましてそれぞれの公証行為に伴う手数料の額を決めておりますが、その条例が適用されることになるために同じ額になるものと考えております。

 それから、郵便局に地方公共団体が事務を委託いたします場合は、その委託に伴う必要なコストを委託料として支払う必要があるわけでありますが、その内容は、先ほど幾つか御指摘もいただきましたが、例えばファクスの設置であるとか、必要な人件費であるとか、郵便局における事務の取り扱いに必要な費用、あるいは消耗品ということになるわけであります。

 幾つかの地方団体からお聞きをいたしてみますと、基本的には、ファクスの設置であるとかというような固定費につきましては地方公共団体が用意をする、あるいは無償で提供する。そして、交付事務に要する消耗品につきましても地方公共団体が、例えば申請書等は窓口で用意する。そして、そのほかの郵便局における人件費等につきましては、例えば一件当たり幾らぐらいかかるかというような経費を標準的な経費を参考にいたしまして設定し、その固定経費以外の事務的な経費につきまして、取扱手数料のような形で地方公共団体がお支払いをするというようなことを考えておられるところが多いようでございます。

 ただ、住民の方々は、地方公共団体の窓口と同額の手数料を郵便局の窓口においてもお払いをいただく。地方公共団体は、その手数料は地方公共団体の収入といたしますが、別途、郵便局の窓口で必要な事務費等については取り扱い事務委託費というような形で支払うということを考えております。

 それから、交付時間につきましても御質問がございました。

 今回のシステムは、郵便局の窓口で受け付けますと、その申請書をファクスで地方団体に送り、地方団体の職員が審査をいたしまして、証明書を作成し、電子公印とともにファクスで郵便局の窓口に送る、そして郵便局の窓口で職員がその電子証明つきの証明書を申請者にお渡しするという手続を考えておりますが、現在考えております、ファクス等を利用いたしますと、支所、出張所等におきます即時交付とほぼ同じ時間ぐらいで御本人にお渡しができるもの、こういうふうに聞いております。

左藤委員 ありがとうございました。

 そういうサービスがどんどん出てまいります。そうすると、一つの、自分の住んでいる市町村または区内でそれができるということになります。残念なことに、仕事をする人は、例えば東京ですと千葉都民と言われる方がおられますし、私ら大阪ですと大阪市内に奈良の方がお勤めに来る、そういうところはこのサービスは受けられないわけであります。

 将来の話でありますけれども、これは全国でネットを張って、しっかりと戸籍台帳を管理しながらやるということにならないとできないと思いますけれども、やはり全国どこでもとれるように、システムづくりといいますか、これは技術的な問題、お金の問題いろいろありますけれども、ひとつそういう方向にしていただければありがたいなと思います。

 これがもし実現すると、先ほどもお話がありましたけれども、三千三百の市町村が千ということによりスムーズにいって、なおかつ住民サービスが変わることなく、特定郵便局なり普通局を使いながらできるというすばらしいことになるわけであります。新しい総務省の目玉として、そういう方向にどんどん導いていただきたい、また、住民の方もそういうぐあいに期待をしているのじゃないかな、このように思う次第であります。

 ところで、先ほども申し上げました三千三百が千という話は、総務大臣を初めいろいろな方にお聞きしますけれども、最近、何か急に三百という話が出ております。新聞にも出ておりますし、この前もちょっと聞きましたけれども、そんな話はどのようになっているのでしょうか。なぜ急に三百になったのか。それとも、そういう話は一方的な話で、総務省として余り関知していない話なんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 経済財政諮問会議の中で、人口三十万くらいというふうな話があるのですね。それを新聞記者の皆さんが、三十万を最低にすれば、もっと大きいものもいっぱいあるから、平均すると三百になるのじゃないか、こういうような当てずっぽうの数字を出したのじゃないかと思うんです。かつて三百諸侯という話もありましたし、衆議院の小選挙区の数も三百ですから、三百という話が何か通り相場のような話で出てきておるわけでございますが、私どもが考えておりますのは、昨年の行政改革大綱で閣議決定いたしました文案に書いてありますが、与党三党の合意の千ということを政府としても目標にしたい、こういうことを考えているところでございます。

左藤委員 わかりました。

 それで、先ほどの話にちょっと戻るのですが、ワンストップサービス、先ほど質問がありましたけれども、やはり機密保持というのが一番大事であります。もちろん、郵便局員は公務員でありますから、これは役場や市役所の人間と変わらないと思います。そういう問題と、もう一つ、通信媒体をやるわけですので、これが漏えいしないかどうか、こういう心配、考え過ぎかもしれませんけれども、やはりプライバシーの問題でありますので、その辺に対するお考えをひとつお聞きさせていただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 先ほど、IT技術が進展すれば、日本全国どこの郵政官署でも発行できるようにしたらどうか、例えば大阪の住民を、北海道でも沖縄でも発行できるようにしたらどうか。それは技術的に可能だと私は思うんですけれども、今回、それを限定している理由の一つにプライバシーの保護という観点があるわけですね。

 ですから、データベースに直接郵政官署がアクセスするのではなくて、証明書を作成する公証行為自体は従来どおりその市町村が行う、そしてその上で、取り扱いの窓口のみ郵政官署で行うことができる、そのように限定した理由の一つも、御心配いただきましたプライバシー保護ということを厳格にしたということです。

 もう一点は、申請ができるのは本人のみ、第三者を排除しました。これは、各市町村の窓口におきましては第三者もオーケーなんですけれども、より厳密にいたしまして、本人しかできない、こういうところもプライバシーの保護というものを一番大切にして取り扱ったというところでございます。

 それから、これは言うまでもないことですけれども、守秘義務を伴う国家公務員という立場の人ということで残念ながら簡易郵便局は除外をした、こういうところを考えておりまして、今後とも、プライバシーの保護ということは大切なことですから、重視してこの法の運営にも当たっていきたいと思っております。

左藤委員 プライバシーですから、ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ちょっと話が飛ぶのですが、実は私どもの家に書籍、民間のメール便がよく来ます。これは、郵便物は今まで信書ということになっておりますので、今までですと、例えば届けて、どこかへ移転しますと、郵便局は大体一週間ぐらいで、判こを押して差出人に戻ってくるわけですね。メール便はどうなっているか、ちょっと心配で、わからないんですけれども。

 郵政事業庁にお聞きしたいのは、よく他人のメール便が間違って入る。そうすると、郵便局では、そのままポストへほうり込めば持って帰ってまたちゃんとしてくれますけれども、民間のメール便のとき、もうそんなものはどこへ返していいかわからないということで、ポストへほうり込む人がたくさんいるような気がします。この辺の現状は一体どのようになっているのか、またちょっと教えていただけたらありがたいと思います。

足立政府参考人 誤配されたと思われる民間メール便が受取人によって郵便ポストに投函されるということでございますが、全国的な件数については把握しておりません。

 しかし、都内の郵便局を調査いたしましたところ、平成十二年度で申し上げますと、例えば世田谷郵便局ですと年間八百七十二件ということです。また、新宿郵便局ですと八百五十八件、板橋北郵便局ですと七百七十六件ということでありますので、東京都内だけでも年間二万件以上に上っておるということでございます。

 一般的に、郵便物でないものがポストに投函されますと、これは遺失物という扱いになるわけでありますが、本件のような商品カタログとか書籍、そのようなものにつきましては、遺失物として警察へ届け出るということは警察の方もちょっと困るということでありまして、発送人の住所、氏名が判明しておりますことから、郵便局では、無料でその発送人のところに返送する措置を現在行っておるところであります。

 いずれにいたしましても、こういうものが非常に多くなってまいりますと、郵便の正常な業務運行に支障を来すおそれもありますので、できるだけ発送人あるいは民間宅配事業者において適切な措置がとられることを私どもとしては期待しておるところでございます。

左藤委員 そういう誤配によって、直接、経営母体が違う民間メール便で郵政事業庁に迷惑がかかっているというのは、逆に言ったら我々の税金もむだになっているということに相なるわけでありますので、これはやはり民間の方もしっかりとやってほしいな、このように思います。

 ちょうど今、新聞でもちょっと出ていたんですけれども、都市部、我々大阪ですから、コンビニがよくあるんですね。実は、二十四時間公共料金の支払いサービスとかATMもあります。しかし、実は土日は有料なんですね。それに対して、郵便局は無料でやっております。それはありがたいことでありますので、これもやはり郵便局が地域に愛される、また信頼されるゆえんだろうと思いますけれども、都市部ではひとつ、もう少しATMの時間帯を延ばしていただけたりすると、サラリーマンの人たちも非常に便利でありますし、そういうこともあるんじゃないかなと大いに期待をさせていただきたいと思います。

 民営化の云々というんですけれども、いろいろ調べますと、ニュージーランドとかイギリスの例を見ますとうまくいっていない、こういう非常に不安な実例がありますし、やはり郵便局というのは、三事業ともに国民が安心をし、信頼をし、また、郵便局は住民のサービスステーションであり、コミュニティーの場でもあるわけでありますので、ますます国民の期待を担って、こういうワンストップサービス初めいろいろなサービスの充実をしていただきますように、大いに期待を申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十四日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十四分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.