衆議院

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第6号 平成13年11月8日(木曜日)

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平成十三年十一月八日(木曜日)

    午後一時四十一分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 田並 胤明君 理事 松崎 公昭君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      伊藤信太郎君    北村 誠吾君

      左藤  章君    佐田玄一郎君

      坂井 隆憲君    新藤 義孝君

      滝   実君    谷  洋一君

      中本 太衛君    林  幹雄君

      宮路 和明君    山本 公一君

     吉田六左エ門君    荒井  聰君

      伊藤 忠治君    金子善次郎君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中沢 健次君    中村 哲治君

      楢崎 欣弥君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    中田  宏君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官

    兼行政改革推進事務局

    長)          西村 正紀君

   政府参考人

   (人事院事務総局勤務条件

   局長)          大村 厚至君

   政府参考人

   (人事院事務総局公平審査

   局長)          北神  智君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上杉 道世君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   江崎 芳雄君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 大坪 正彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員

   部長)          板倉 敏和君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           水田 邦雄君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     中本 太衛君

  野中 広務君     林  幹雄君

  宮路 和明君     北村 誠吾君

  大出  彰君     楢崎 欣弥君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     宮路 和明君

  中本 太衛君     河野 太郎君

  林  幹雄君     野中 広務君

  楢崎 欣弥君     大出  彰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局長西村正紀君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、人事院事務総局公平審査局長北神智君、内閣府大臣官房審議官上杉道世君、内閣府政策統括官江崎芳雄君、総務省人事・恩給局長大坪正彦君、総務省自治行政局公務員部長板倉敏和君、財務省主計局次長杉本和行君及び厚生労働省大臣官房審議官水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 まず初めに、この法案の問題点として、男性公務員の育児休業、介護休暇の取得について聞かせていただきます。

 国家公務員の育児休業の取得状況につきましては、平成十一年度、育児休業取得者数は八千百十二名、うち女性が八千七十九名、男性が三十三名、つまり女性が九九・六%を占めています。また、地方公務員の場合は、育児休業者数六万二千五十九人、うち女性が六万一千九百三十七人、男性が百二十二人、つまり、女性が九九・八%です。介護休暇の場合、これは地方公務員のみのデータが出ているのですけれども、合計三千五百九十三人、女性職員三千四十八人、男性職員五百四十五人、つまり、女性職員が八四・八%です。これは、男女共同参画社会の実現を目指すこの法案の趣旨からしても、実態として低いのではないかと思います。

 総務大臣にお聞きします。この格差についてどのようにお考えでしょうか。そして、どうすべきだとお考えでしょうか。

片山国務大臣 いやいや、今の数字を私もお聞きしまして、ちょっとびっくりしました。圧倒的ですね。男性が育児休業や介護休暇をとれることを、あるいは知らないのかという気もいたしました。今まで、男性は外で働いて女性は家でいろいろなことをやってと、こういうやや固定的な観念が残っているのかなという感じを受けました。

 ただしかし、最近の若い人はまた変わってきていますよ。本当に、女性が今までやってきたことを男の人がやることをいとわなくなっているような感じが若い人を見ているといたしますので、これから事情は変わってくるかもしれません。男性もこういうものがとれるのですから、やはりこれは啓蒙したりいろいろなことをやりまして、男女共同参画社会にふさわしい、そういう休暇、休業のとり方が望ましいのではなかろうかと思っておりますので、私どもの方でも努力してまいりたいと思います。

中村(哲)委員 普及に努力していくと断言なさったことを本当に頼もしく感じております。

 それで、男性の公務員の取得状況、育児休業、介護休暇の取得者が少ない理由について、取り組むとおっしゃるからには、やはり調査されていると思うのです。でも、下調べといいますか、この質問のレクに来た職員の皆さんに直接聞くと、どうも調査はされていないかのような話を聞いております。この取得者が少ない理由については調査をしなくてはならないと思うのですけれども、その点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。すべきだとお考えにはなりませんでしょうか。

片山国務大臣 しかし、今、委員が言われたのは何かの調査の数字でしょう。(中村(哲)委員「数は調査されているのですけれども」と呼ぶ)ああ、数は。状況を……(中村(哲)委員「理由です」と呼ぶ)それは、今聞きますと、理由についての調査はやっていないと思います。もう少し様子を見て、各府省の人事担当者の意見も聞いてから検討させていただきたいと思います。

中村(哲)委員 理由についてぜひ調査していただきたいわけでございます。そうでないと、どのようなことをすれば広まっていくのか、そういうふうな政策立案にはつながっていかないのじゃないかなと思っております。

 ここで、私、少し私見を述べさせていただきますが、男性職員の取得者が少ない理由について、一つの要因として超過勤務があるのではないかと私は感じています。つまり、超過勤務を強いられるような勤務実態があると、職場の周りの皆さんのことを思って取得にはなかなか踏み切れないのじゃないか。この意見に対しては、いや、女性のキャリアの皆さんでも、忙しいですが、育児休業、介護休暇をとっておられますよという反論も聞きます。しかし、女性の場合は、ある意味、仕方なく、やむにやまれずとっている場合もあると思うのですね。

 私は、国家公務員の、地方公務員もあるでしょうけれども、特に国家公務員の超過勤務というものが今マスコミでもずっと問題になっておりますから、ここに目を向けていかないといけないのではないかなと感じております。

 きのうの省庁の皆さんとのお話でも、労働基準法は公務員には適用されないと法律で決まっているというお話でした。しかし、その労働基準法の趣旨というのは公務員法に反映されているはずでございます。霞が関の公務員の皆さんの働き方を聞いておりますと、朝は少しゆっくりかもしれないけれども、晩は午前様はもう当たり前だ、家に帰って子供の顔をほとんど見られない、夕飯も一緒に食べられないという話もよく聞きます。公務員の方と夜の会食をすることもあるのですけれども、その後に、今からまた省に帰りますとおっしゃいます。このような働き方をこの国がしていって本当にいいのかどうか、それを私はすごく強く疑問に感じています。

 私は、この国の根深い問題というのは、政策立案にかかわる霞が関の皆さんが滅私奉公を強いられているところにあるのじゃないかなと感じています。

 確かに、公務員ですから公のことを第一に考えないといけない、それはそうなんでしょう。しかし、私の部分がいわば極小化しているのではないでしょうか。当たり前のことですけれども、公務員は国民の全体に奉仕する存在です。国民というのは、公のことも考えるけれども、まず自分たちの生活を一番大切に、幸せを考えて行動する、そういうふうなことを追い求める存在でもあります。個人を大切にすること、それはまさに、公務員の皆さんお一人お一人が、個人として尊重される、そういうふうな生活のあり方、働き方を保障されていないといけないのじゃないでしょうか。私がある程度保障されて初めて公務員の皆さんも公のために資することができる、このような考え方で、公務員の働き方というものを政府としては見ていかないといけないのじゃないかなと私は思います。

 特に今、父親の不在によって、拒食症など、家族の崩壊も言われております。この国が、ある意味、昔保っていたよき文化、父親がきちんと家族として役割を果たしていった。古い封建的な父権という意味ではなく、二十一世紀になって、今改めて家族における父親の役割というものが見直されていると私は思います。

 今この国は、そういう意味で、霞が関を含めまして、この国の勤労者それぞれが労働の質というものを問われる時代に入ってきております。組織の中で自分たちがいかにして働いていくのか、どのような労働をしていくのか、それが問われる中だからこそ、今、公務員改革ということも議論になっているのだと思います。長時間働くのではなく、組織のあり方を見直して効率的に働いていく、そして、家庭と仕事を両立していくこと、これは女性だけではなく、男性にもひとしく当てはまることなのではないでしょうか。だからこそ、男女共同参画社会なんだと私は思います。

 そこで、改めてお聞きします。

 超過勤務について、実態調査はなされていないと聞いております。超過勤務について調査をすべきだと私は思います。また、超過勤務と男性公務員の取得率が低い理由との相関関係も、ないという声もありますが、調べる必要があるのではないでしょうか。大臣の御決意をお聞かせください。よろしくお願いいたします。

片山国務大臣 今、中村委員がお話しのように、特に中央の、政府の国家公務員というのは夜型ですね。昼はお客さんが来たり国会に出たり各省の折衝をやったりということもあると思いますが、本当の企画立案業務というのは夜型になっていますね。夜の方が頭が働くかもしれませんね、今までの長いあれで。

 外国では、残業するのは能率が悪いとか能力が低いとか言われるのだそうですね。だから、仕事があっても家に持って帰るというのです、うそか本当か知りませんよ。日本はそうじゃないですね。これは仕事もあるのでしょうし、みずからの勉強やいろいろなことがあるんだろうと思いますけれども、次第に直していかなければならない、こういうふうに思っておりますし、全体の能率をよくするということも、IT時代ですから、考えていかなければならぬと私は思います。

 話は飛びますけれども、委員が言われたように、今一番の問題は家庭の崩壊ですね。お父さん、父というものがいないし、弱くなっているのですね、言われるように父権という意味じゃありませんけれども。そういう意味でも総合的に考えていかなければならないと思います。

 この超過勤務の実態はなかなか千差万別、ばらばらなんです。だから、調査しても、何か統一した尺度でつかまえられるかどうかわからないですね。御趣旨はよくわかりますので、ちょっと関係のところでよく相談させてください。

中村(哲)委員 大臣のお言葉をもう一度確認させていただきたいのですけれども、私も、総務省の大臣として申させていただいているだけではなく、やはり内閣の、国務大臣の一員としての片山大臣に対して申させていただいております。

 この問題というのは、一つ総務省だけの問題ではありません。もちろん、公務員制度というのは総務省で所轄することですから、片山大臣のもとでやっていただかなくてはならないことだとは思うのですけれども、全省庁にまたがることです。そして、この公務員の働き方いかんによって、この国が変わってきます。天下りの問題にしても特殊法人改革の問題にしても、ある意味、霞が関の皆さんが一般国民と違う生き方を強いられているところにも、感覚のずれというのは起きてくると思うのですね。公というものを極大化し、私というものを極小化していくようなあり方というものは、政治家の方が認識しないといけないと思うのです。

 こんなことを言ったら、私たち野党の議員が質問を遅くに出すから悪いんだということも言われますけれども、ただ、こういうふうな国会の審議のあり方自体がいいのかどうかということも考えていかぬと、あかんのじゃないかなと。事前に質問を出して、公務員の皆さんが質問案をつくって、大臣に託して、ここでやりとりをする。本当にそれが、政府委員というものがなくなった国会改革の趣旨からして、今の運用というのがどうなのか。そこまで見通してというか、そこまで考えを深めながら、今後、私たち政治家が取り組んでいかなくちゃならない課題なのじゃないかなと思います。

 だからこそ、改めて確認なんですけれども、大臣には、ほかの省庁の大臣ともよく話していただきまして、公務員の超過勤務の問題、それから働き方の問題について、ばらばらかもしれませんが、調査をして、また生の声を聞いて、その中から新しい二十一世紀の公務のあり方というものを考えていただきたいと思います。

 もう一度大臣の御感想をよろしくお願いいたします。

片山国務大臣 せんだっても、閣議の席で私と石原行革担当大臣が、超過勤務手当はできるだけ少なくするように、超過勤務はむだなものはないと思いますけれども、それはできるだけ少なくするようにということを各閣僚にお願いいたしました。

 いろいろな要因があるのですよ、超過勤務をせざるを得ないということには。一つは、確かに国会がありますね、本当に。もう一つは、やはり予算ですね。私は、そういうことについて総合的に改善の検討をすべきだと思いますし、委員の言われた点については関係の閣僚と十分相談してまいりたいと思います。

中村(哲)委員 全体的な国の改革の一環としてこの公務員制度改革もあると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、二つ目の質問として、非常勤についての質問をさせていただきます。

 育児休業も介護休暇も、非常勤については取得対象外となっております。しかし、非常勤で働いている皆さんの中には、継続されるなどして、常勤に近い勤務実態も多いと聞いております。私は、常勤に近い非常勤の人も何らかの形で対象にしていくべきなのではないかと考えております。

 しかし、その前提として、この非常勤の職員の皆さんの勤務実態が調査されていないということを聞いております。常勤に近い非常勤も対象にするかどうかという政策判断の前に、やはりこの調査はしていかなくてはならないのではないでしょうか。もちろん、非常勤の数というものは調査されているのですけれども、どれぐらいの方が継続して同じ場所で働いておられるのか、そういうデータはないと聞いております。そういう継続的な雇用形態についての調査というものをしないといけないと思うのですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

大坪政府参考人 ただいま先生の方から非常勤の方々の実態ということについてのお尋ねでございます。

 私どもの方では、言われましたように、数字という点については把握しているわけでございますが、先生が言われますのは、勤務実態というようなお話であろうというふうに思うのです。

 御承知のように、非常勤の方々の職務というものは、それぞれの事務あるいは事業の手助け、補助という格好でされておりますし、それぞれの省庁がそれぞれの必要に応じてされているということで、一律的な調査ということで実態をつかむというのは非常に難しい分野の話ではないかなというふうに思っております。この辺は、先生の言われる実態というものにつきましては、各省庁それぞれが必要に応じてやっているということで、ちょっと調査は難しいのではないかなというふうに考えております。

中村(哲)委員 局長答弁は要らないということをきのうの打ち合わせで言わせていただいていたので、なぜ答弁なさるのか私にはわからないのですが、それは結構でございます。

 つまり、いろいろな省庁にかかわること、また、国家と地方と両方あるから、いろいろあるから調べられないというお話なんですけれども、やはり何らか集める努力はしないと、統合する努力はしないといけないのじゃないかなと思います。

 今の御答弁におきましても、各省庁それぞれの部署内で調べておるということですけれども、今ワークシェアリングというのも民間で議論になっております。これはオランダ・モデルとかいうこともありますけれども、正規雇用だけでなく、正規雇用とパートタイムの社会保障の差もなくしていくような議論も始まっておりますから、正規雇用とそれ以外という、ぱしっと分けるような議論ではなく、やはりその間にはアナログ的に段階があると思います。どういう傾向なのか、そういうふうな調査というものは難しいからしないというのではなく、やはり一定の努力をしていく必要があるのではないか、調査についての努力をしていく必要があるのではないかと思います。

 これは方向性だけの話ですから、大臣にお答えしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

片山国務大臣 非常勤というのは、委員、常勤でないのですよ、常勤の上に非がつくから。だから、ずっと継続的な雇用形態で、常勤はしないということで、非常勤職員というのが予算に組まれまして、その予算の使い方は各省庁の大臣の権限というか考えでやれる、こういうものですから、これも千差万別なんですよ。

 ただ、恐らく、委員が言われるような常勤的な形態も、私は、中にあると思いますね。確かにそれはあると思います。これをどうするかというのはなかなか難しいので、常勤的非常勤職員をワークシェアリングで持ち込もうというのは、ちょっとこれは、なかなかそうは簡単に私はいかないのではないかと思いますが、一義的には予算の執行の問題で、各省大臣の問題ですからね。

 これまた委員の御趣旨はわかりますので、財務大臣を初めとして関係の大臣と相談はしてみたい、こういうふうに思います。

中村(哲)委員 ありがとうございます。

 次の質問に移らさせていただきます。

 子供の看護休暇について、人事院にお聞きいたします。

 民間の方は先日、与野党の修正案で、三年後に議論を始めるということになりました。公務員制度は民間準拠ということですので、人事院としても検討中だと聞いております。この検討状況について、今現在どうなっているのか、お聞かせください。

中島政府特別補佐人 おっしゃいますように、民間準拠といいますか、民間企業で働く労働者と均衡が保てるような制度にしていかなければならない。

 民間労働者に関する育児休業法というのが衆議院を通過する際に修正されておりますし、附帯決議もついております。それに基づいて、厚生労働省の方、また、それぞれの民間企業の雇用主の方も努力されていると思います。私たちは、そういう状況をしっかり正確に把握しながら、また、緊密に連絡をとりながら、きちんとした対応をしてまいりたいというふうに思います。

中村(哲)委員 次の質問に入らさせていただきます。

 代替要員についてお聞きいたします。

 今回の法案の改正で、臨時的任用のほかに任期付任用も可能になりました。育児休業をとった場合に、きちんと予算的にも代替要員の確保策は講じられるのでしょうか。

 それからもう一つ、関連なんですけれども、介護休暇の場合、休暇ですから、非連続的なとり方というのもあると思いますから、難しいとは思うのですけれども、介護休暇の場合もいかがでしょうか。

大村政府参考人 お答えします。

 先生が今御指摘のように、現在の育児休業制度というのは最長でも一年を超えないことから、任命権者が、その職員が行っていた仕事を処理するために、例えば職員を配置がえしたり、そういう方法でやっている場合もあるわけでございますが、一番多いのは、臨時的任用ということにより代替要員を確保して、その業務を処理していく。平成十二年度に新たに育児休業を取得した職員のうちの約半数以上が、この臨時的任用を使いまして代替要員を確保しているという状況でございます。

 しかしながら、今般の改正によりまして育児休業期間というのは三年まで延びるわけでございますので、現在の臨時的任用というのは特別な任用でございますので、一年間に限られているということでございます。したがいまして、その業務処理を行うための要員確保が困難になるわけでございますので、今回、新たな措置として、育児休業期間に係る期間は、任用の期間の限度として任期付職員の採用を可能とする制度を設けたわけでございます。これによって公務の円滑な運営を確保するとともに、職員ができる限り育児休業をしやすいように配慮したところでございます。

 また、介護休暇につきまして、先生が今御指摘のように、介護休暇というのは、介護をされる方の状況に応じまして、例えば一日おきに取得するとか、時間で取得するとか、ある決まった曜日に取得するとか、そういうような、とり方自体が非常に多様な状況になっております。したがいまして、このために育児休業と同じような要員確保というのはなかなか難しいのではないだろうかという議論があるところでございます。

 ただ、今回、介護休暇の期間の延長が行われるということになりますと、どういう休み方になるのか、その辺の介護休暇の取得の状況を注視して検討してまいりたいというふうに考えております。

中村(哲)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきますけれども、大臣には、今の御答弁をお受けになりまして、代替要員といいますか、かわりの人がきちんと来て、安心して働けるような環境をつくっていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、田並胤明君。

田並委員 それでは、中村委員の質問に続いて、民主党の田並でございますが、引き続いて質問をさせてもらいます。

 今回の法改正というのは、平成四年の四月一日に現在の法律ができて以来、大変大幅な改正と言ってもいい内容でございます。特に、育児休業、介護休暇の期間の延長というのは、男女共同参画社会を推進していくという趣旨から見ても、あるいは女性公務員の採用、登用を拡大するという観点から見ても、職業生活と家庭生活の両立を図る、それを支援するという観点から見ても、一歩前進をした内容と言えますし、その努力に敬意を表する次第でございます。しかし、幾つかの点についてさらに改善をすればよりよくなる、こういう内容も含まれておりますので、これらの点について、以下幾つかについて聞きたいと思います。

 その一つは、育児休業の対象となる子の年齢が三歳に引き上げられました。それに伴う経済的保障の関係について、まずお伺いをしたいと思うのです。これは人事院と財務省の方にお伺いをします。

 内容は、育児休業、介護の期間が延長はされましたけれども、経済的な支援といいますか、保障といいますか、これは現行のまま据え置き、こういう内容であります。

 現行の内容というのは、共済の短期給付として育児休業手当金が、育児休業を取得している一年間だけ、給与相当額の四〇%が給付をされるという仕組みになっておりますし、さらに、共済の掛金についても一年間だけは免除される、このようになっております。しかし、これから、今一年経過をして、この法律が来年の四月からですから、それ以降さらに二年間延長をしたいという人の場合は適用になるわけですが、そうなりますと、一年を経過した後というのは無収入ということになります。しかし、共済の掛金だけは一年を経過しますと、俸給相当額の大体二五%ぐらい、長期、短期の掛金で納付をしなければならない、こういう事情になるようであります。

 もちろん、復職後には二分の一の給与の調整というのがあるそうですが、いずれにしても、これを総合的に判断をしてみて、せっかく三年間延ばしてもらったんだけれども、どうも収入の面で、あるいは経済的な保障の面で非常に立ちおくれているんじゃないか、こういう気がいたします。

 せっかくいいものをつくったのですから、さらに実のあるものにしてもらうように努力をしたらいかがなものか。これはもちろん、民間準拠という内容がありますから、民間がどうなるかによってまたかなり左右はされると思うんです。しかし、民間準拠だから民間よりも後追いでいいんだということではなくて、逆に、場合によったらこっちが進んで民間にもそれを引き当てるような努力も、人事院ではやってもいいんじゃないだろうか、こんな気がいたします。

 特に介護休暇については、取得者が非常に少ないものですから、三カ月を六カ月に延長したとしても、その分、全部経済的な保障をしても金額的にはそんなに多くならないんではないだろうか、こういう気がいたしますので、これらについてどうお考えなのか。こちらとしては、当然、対応する労働団体とも十分協議をした上で、掛金にもはね返りますし、税金にも関係するものですから、いろいろと要素があると思いますが、ぜひひとつ検討していただきたいものだ、お考えを聞きたいと思うんです。

 人事院と財務省の方にお願いします。

中島政府特別補佐人 先ほど中村議員からも公務員の勤務条件は民間準拠だなという話がございました。今も田並先生からそういうことを前提にお尋ねがございました。私たちも基本的にはそういう考え方で、今までやってきております。

 今回、育児休業に関する制度につきまして、介護休暇に関する制度につきまして、民間労働者関係の法律につきまして、厚生労働省、厚生労働委員会でいろいろ議論されたということを聞いております。したがいまして、その議論というものをよく調べてみたい、そして、どういう議論が行われたかということを考えてみなきゃなりませんけれども、やはり基本的には民間準拠ということでまいりたいというふうに思います。

 ただ、こういうふうに制度改正をいたしますと、今、議員がおっしゃいますように、さらにこういうこともしたらどうだという要求が出てくる、それは当然だと思います。また、私たちもそういうことを問題意識として持たなきゃならないというふうに思いますけれども、一歩視野を広げて、G5の国の状況がどうなっているだろうかということを、かつて私たちは外国に出張したとき聞いたことがございます。

 そうしますと、ほとんどの国は最初からもう無給だということでございます。たしかドイツでしたか、日本より短い期間、日本よりも少ない額の給付金があるようでございますけれども、やはりノーワーク・ノーペイという原則で、遠慮なしにとれるようにしておこうというのが基本的な考え方でございます。

 ただ、日本にはそれだけの違った背景があるんでしょう。また、違った考え方があってもいいと思いますけれども、先生がおっしゃるような観点というものも、また、私たちは厚生労働省とも相談しながら持ち続けたいというふうに思います。

杉本政府参考人 私の方からは育児休業手当金及び介護休業手当金、それから掛金の免除措置についてお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほどからお答えがございますように、国家公務員共済組合の育児休業手当、介護休業手当等につきましては、民間の状況に対応して考えていくということを考えておりまして、それぞれ民間でどういう給付がなされているかということに対応した措置をとっております。

 育児休業手当、介護休業手当につきましては、雇用保険の育児休業給付及び介護休業給付にならって設けておりますし、保険料の免除につきましても、民間を対象といたします厚生年金保険、さらには健康保険と同じ措置をとっているところでございます。現在のところ、雇用保険、厚生年金それから健康保険、こういったものでとられている措置をきちんと公務員の方でもとっておるところでございまして、官民の関係を考えますと、そういうことで適切に対応させていただいているものと考えております。

 なお、今後、民間の雇用者を対象といたします雇用保険それから厚生年金、健康保険、こういった分野におきましてどういったことになるのか、今後の動向や組合員の育児休業手当の取得状況、こういうものに配慮しながら、民間の動向を見きわめまして適切な措置は必要に応じて講じていきたいと思っております。

田並委員 答弁はそういうことなんでしょう。

 そこで、これは参考に申し上げますが、平成十一年度の国家公務員の離職状況というのがあるのですよ。これは質問じゃないですが、これを見ると、大体女性の方の場合、結婚されて子供さんが生まれて育児が一番大切なときに退職をされている人が非常に多いのです。ということは、三年間に延ばされて非常にありがたいのだけれども、実際に一年間だけ、先ほど言ったように、給与相当額の四〇%が共済短期として給付をされる。二年目に入るとそれがなくなるということになると、それではやはり三年もたないんじゃないかということで、この数字を見ると、二十五歳から二十九歳までの方がおやめになる全体の八・八%を占めている。全体の退職者のうちの八・八%を占めている。ここが一番多いのですよ。以下、三十歳から三十四歳ぐらいの方、ここが退職者の約七%ぐらいを占める。年齢で見ると、特に女性の今言った年齢層の方が育児にちょうど専念する時期におやめになっているのです。ですから、そういう意味では、全部が育児じゃないんでしょうけれども、ちょうど育児に該当する年齢の方が多い。

 こういうことから考えると、一年が三年になったことは非常にうれしいんだけれども、二年目、三年目になると、自分が戻ったときの席があるんだろうか、あるいは仕事の内容はどうなんだろうか、いろいろな不安が出る。そこへもってきて収入面でちょっとまた不安が出ると、ならいっそのこと、やめた方がいいのかなと。というので、逆にそういう悪い方向になるのを非常に恐れるのです。ですから、確かに民間準拠という内容になっていますから、それはそれで一つ基準は置きながらも、一層改善するような努力をひとつ惜しまずにやっていただきたい、このことをお願いしておきたいと思うのです。

 そこで次に、先ほど私どもの同僚委員の方から質問がありました育児休業の男性取得の促進の問題なんです。

 先ほども大臣、びっくりしておったようですが、平成九年度から十一年度までの統計が出ていまして、国家公務員の育児休業の男女別取得状況というのは、この三年間ちっとも変わっていないのですね。女性が九九・六%の取得で、男性は〇・四%なんですよ。一%に満たない。一%近くまでとっているような気がするかもしれないけれども、実際〇・四%なのですね。これはいろいろな事情があると思うのです。いろいろな事情があったとしても、この育児休業法の目的からして、男女共同参画社会を推進するんだとか、あるいは男女の家庭における共通の役割を持つんだ、さらに女性の職場への採用、登用、こういうものについて効果的な措置をするための一つの方策だということになりますと、これはもっと真剣に男性取得の促進について考えていただきたいと思うのです。

 ことしの人事院の報告でも、公務における男性職員の育児休業取得について積極的な促進が図られるよう努める、このように記載をされております。したがって、人事院としてもっともっと積極的にこの課題については検討すべきだと思いますし、過般行われました厚生労働省の民間労働者の育児休業法あるいは介護法の改正のときに、厚生労働省としては、今後、男性の方の取得を促進するために研究を始める、そういう研究をすると。なぜ男性がとれないのだろうか、男性が育児休業をとれるような、促進できるような研究を始めようということで大臣が答弁をしているようですので、人事院としても、その辺についてぜひ取得促進のための研究を早急に始めるべきではないか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。

中島政府特別補佐人 おっしゃるように、男性職員が育児休業をもう少し取得するように私たちも努力をしてまいりますが、今、議員がおっしゃいますように、厚生労働省でそういう研究を始めるということでございますので、厚生労働省とよく連絡をとりまして、どういうような施策をとれば男性が育児休業をより多くとるかということについてよく研究してまいりたいといいますか、よく検討してまいりたいというふうに思います。

田並委員 ぜひそういうことで最大の努力をしていただきたいと思います。

 それから、次が、子供の看護休暇の早期制定と育児、介護を行う者の超過勤務の規制について、これも先ほど、中村委員の方からも少しありました。

 特に、子供の看護休暇は、人事院勧告と合わせて提出をされた「公務員人事管理について」の報告の中で、子の看護休暇の関係について、人事院はこのように述べているのですね。「子どもの看護に係る休暇についても、早期の導入に向けて検討を進めることとしたい。」このように言われておりますが、現在、具体的な検討が進められているのかどうか。進められているとすれば、その内容について、また実施の時期をいつごろに考えられておるのか。これも、民間準拠ですという回答で終わるのかもしれませんけれども、少なくも、民間準拠をすれば、厚生労働省もどういう考えを持っておるのか、これらの点を十分整合性を持って検討していただいて、早期にひとつ子の看護休暇の関係についても実現方を強く望むところでございます。

 また、看護休暇の日数については、一年につき二週間程度というのが一番いいのじゃないだろうか、まずその辺から出発をしてみたらどうだろうか、こういう気がいたします。

 それと、超過勤務の規制の問題なんですが、同じ報告の中で、育児や介護を行う職員の超過勤務の制限の強化について所要の措置を講ずる、このようになっています。

 過般の民間労働者の育児休業の法律の改正の中では、これは努力義務ですけれども、事業主は育児を行う労働者あるいは介護を行う労働者については、一年間で百五十時間超過勤務の制限を、さらに一カ月二十四時間、努力義務ですが、こういう制限を課しております。

 人事院規則では、現行でいくと、一年間三百六十時間、一カ月三十時間、このようになっているんですが、この人事院規則を改正する意思があるのかどうか、もちろんあると思うんですが、いつごろそれを行うのか、それを聞かせてもらいたいと思います。

中島政府特別補佐人 厚生労働省の方とよく連絡をとりながら、そしてまた、厚生労働省と一緒に前向きな努力をするということを申し上げて、大体先生のおっしゃることがよくわかりましたと申し上げておきましょう。

田並委員 この法律の施行が来年の四月一日からですから、ぜひそれに間に合うように厚生労働省と十分協議をして、実現方をお願いしたいと思います。

 次に、不利益取り扱いの禁止と原職復帰の原則についてお伺いをしたいと思うんです。

 育児休業の目的は、前から言っていますように、公務員の継続的な勤務を促進して、公務の円滑な運営に資するんだというふうに規定をされております。もちろん、その前段は、男女共同参画社会実現、これが大きな目的なんですが、さらに、公務員の場合には、今言ったように、公務員の継続的な勤務の促進と公務の円滑な運営に資する、こういうことで、この育児休業制度の目的が規定をされております。したがって、育児休業をとられて職場に戻られる際に、本人の意向というのをぜひ最大限尊重するようなシステムを人事院としてつくっていただきたい。もちろん、今でもやっていると思うんですが、ぜひそれを最大限尊重するという義務を課していただきたいということが一つです。

 それともう一つは、育児休業を三年間とるというのは、先ほども申し上げましたように、経済的な問題もあるし、それから、職場へ戻ったときに、果たしてもとの席に戻れるんだろうか。三年というと、IT革命もどんどん進んでいますから、物すごい速さですから、仕事の内容があるいはがらっと変わるかもしれない、事務取扱も。そういういろいろな不安が交錯をする中で、場合によると、やめてしまおうかという気持ちを持つかもしれないのです。一番いいのは、復帰をしたときに、職場が温かく見守っていただくということで、この三年間のブランクがなくなって、一日も早く仕事が正常にすぐできるような環境づくりというのは、非常に重要だと思うんですね。三年間というのは初めてですから、どなたもまだ経験したことがあるわけじゃないわけです。

 ですから、恐らくいろいろな問題が出てくると思うんです。そのときに、できれば職場復帰後一定期間は何らかの対策をそれぞれの各省庁でとれるような指導も、指導というのは人事院はないのかもしれませんが、そういう報告みたいなものをつくっていただいて、一つの指針にするべきではないだろうか、このように思うんです。

 それと、人事院には、不利益取り扱いを受けたときに申し立てをする制度がありますし、苦情相談の制度があるはずです。したがって、これまでで、一年間の育児休業というこの制度の中で、まだ何年もたっていない、九年ぐらいたっていますが、この中で、育児休業後の職場復帰に際しての不利益取り扱いをしたという申し立てがあったのかどうか。それから、苦情相談があったのかどうか。あったとすれば、どういう内容で、それを解決するためにどのような努力を人事院がされたのか、これについてお聞かせを願いたいと思うんです。

中島政府特別補佐人 先ほどから、育児休業、介護休暇等につきましていろいろ御質問をいただきました。先生の御質問を聞いておりますと、本当に真剣に考えていただいているんだなという気が伝わってまいります。これからもひとつよく勉強していただきまして、私たちにいいアドバイスをいただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 質問にお答えいたしますけれども、育児休業を取得されまして職場に復帰してこられる、そのときに、勤務が継続できるように、とにかく配慮するということを各省庁の方に私たちはこれからよく伝えて、よく指導してまいりたいというふうに思います。復帰したけれども、継続勤務ができないような遠隔地に転勤させるというようなことがあってはなりませんので、そういうことがないように各省庁にそれはよく話をしてまいりたいというふうに思います。

 それから、三年間仮に育児休業をとられまして職場に復帰されるというときには、それは不安も確かにあるでしょう。だから、本当にそういうふうに長期にとられるような方に対しては、昔の職場の状況等を職場の上司が当該本人に適切な間隔でお伝えするというようなことを始めた企業もあるようですから、いろいろな民間企業の先進的なやり方等を調べまして、私たちもそういう仕方があるぞという情報を各省庁に流して、職場復帰というものが円滑に進むように配慮してまいりたいというふうに思います。

 それから、不服申し立ての方につきましては、少し技術的でございますので、担当の局長から答えさせます。

北神政府参考人 それでは、過去三年間におきます育児休業に関する不利益処分についての不服申し立てとか、あるいは苦情相談の状況につきましてお答えしたいと思います。

 まず、育児休業に関する不利益処分についての不服申し立てでございますが、これについては該当するものはございません。それから、育児休業に関する苦情相談でございますが、過去三年間に人事院が受け付けました苦情相談件数は四件ございまして、それにつきましてその内容と処理結果、ちょっと概要をお話し申し上げますと、一つは、育児休業から復帰半年で、子供の保育所への送迎が事実上困難な勤務地の官署への配置がえを内示されたというものでございます。

 これにつきまして、処理結果といいますか対応としましては、当局に申し出内容とそれについて配慮すべき旨の人事院の意見を伝えましたところ、当局が必要に応じて新勤務官署に近い公務員宿舎の手配や保育所の確保等に協力することとなったところでございます。

 それから二点目は、育児休業中の船員である職員の方からでございますけれども、職務に復帰するに際し、子供が就学するまでの間、陸上勤務に配置がえをしてもらいたいというものでございました。

 これにつきまして、申し出人に対しまして相談内容について助言をいたしまして、当方から当局に相談内容を伝えることができる旨説明をいたしましたけれども、本人の方から、本人の意思で、みずから当局と話し合いを行いたいという申し出がございまして、結局、特段の措置はなされなかったということに終わっております。

 それから三つ目は、看護婦の方でございますけれども、夜勤のない外来勤務に配置すると言われましたので、一年間の育児休業を六カ月間の育児休業に変更して復職したが、一年たったら外来勤務から夜勤のある病棟勤務にかえられたというものでございます。

 これにつきましては、人事院からは当局に対し説明を求めましたが、そもそも辞職願を提出した後の相談でございまして、申し出人は間もなく辞職されたということになってございます。

 あともう一点は、育児休業からの復職時の昇給時期の取り扱いについての疑義でございまして、これにつきましては、制度を説明したところ、申し出人は納得されております。

 以上でございます。

田並委員 今四件ほどの事例が報告されましたけれども、恐らく、これが一年が三年になった場合に、三年丸々とるということになると、いろいろとそういう問題が出てくると思うのです。原職復帰というのが原則であって、例えば、私は埼玉ですが、埼玉から東京へ通っていらっしゃる公務員の方が育児休業をとった後、さらに小学校に行くまでは大変だろうということで、本人の意向も尊重しながら、埼玉へ転勤させてもらうのは結構なのです。ところが、東京へ勤務しているのが今度は千葉だとか神奈川だとか、そういうところへ持っていかれては困るということと、さらに、三年たちますと、確かに仕事の内容がいろいろと変わってくると思います。ですから、余り違った、今まで経験したことのないようなところへ持っていかれますと、これは一種の嫌がらせみたいな感じになりますから、そういう点についての御配慮をいただきたい、このように思います。

 時間がもう参りました。終わりますが、総務大臣は公務員の人事管理の元締めでございますから、今やりとりした内容についてもぜひひとつ御記憶をしていただいて、いろいろな意味でひとつアドバイスをしていただきたい、このように思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。一部質問が重複するところがありますけれども、今回もよろしくお願いいたしたいと思います。

 さて、男女共同参画社会の実現は我が国の最重要課題の一つでありまして、平成十一年に成立した男女共同参画基本法に基づき、社会のあらゆる分野においてさまざまな取り組みが推進されていると承知しております。しかしながら、働く女性がふえる一方で、働きながら子供を産み育てることができる環境の整備がいまだおくれていることが出生率の低下につながるなど、少子高齢化の進展に拍車をかけている、これが現状であります。

 そこで、安心して子育てや家族介護ができる環境の整備が急務であります。特に、家庭での責任を共有する男女の労働者が仕事と子育て、あるいは仕事と介護を両立できる環境が整備されることは、これまた切実な社会問題でありまして、そのための支援策の充実は男女共同参画社会の実現の重要な施策であると考えられます。

 このような中にあって、御案内のとおり、民間労働者については、仕事と家庭の両立支援策の一環としての育児・介護休業法の改正法案が既に本院を通過しております。そして、公務員についても、育児休業や介護休暇に関して、これらの拡充のための法案がただいま提出されたわけであります。男女共同参画社会の形成に向けて国や地方公共団体は率先して取り組まなければならない、そういう観点から、これから順次質問していきたいと思っております。

 まず最初に、これらの法律案の提出に当たった経緯、背景からお伺いいたしたいと思います。

 これらの法律案については、本年八月の人事院からの意見の申し出等を踏まえているとのことでありますので、その基本的な考え方を人事院にお尋ねいたしたいと思います。

 そしてまた、国家公務員について、このほかに仕事と家庭の両立支援につながる施策があれば、あわせてお伺いいたしたいと思います。

中島政府特別補佐人 今、先生が冒頭にお話しになったことでほぼ要点は尽きていると思いますけれども、もう一度私の方から述べさせていただきますと、男女共同参画というのを公務員の世界でも実現していかなければならない、むしろ、公務員の世界が率先して実現していかなければならないという意識がございます。そのときに、やはりできるだけ多くの女子職員を公務の世界で採用する、そして、採用した女子職員をできるだけ登用していくということを考えるわけですけれども、その前提として、何よりも女子職員が長く勤務できるような環境をつくっていかなければならない、職業生活と家庭生活を両立させるということで、育児休業、介護休暇制度というのがございますので、それを充実していく必要があるという認識に立ちまして、八月の意見の申し出になったということでございます。

 国会でいろいろ議論していただきまして、またその充実強化というものについて努力していかなければならないという意識でおりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。

黄川田委員 この法案のほかに、仕事と両立の関係で、ほかの施策、何か具体的なものがありましたら、お答えいただきたいと思います。

中島政府特別補佐人 失礼いたしました。

 法律で規定している以外では、一つは、育児、介護に従事しておられる職員の超過勤務の上限というものを設けていこうということでございます。

 民間労働者につきましては一カ月二十四時間、年間百五十時間ということでございますので、厚生労働省とよく連絡をとりながら、私たちも同一テンポで進めてまいりたいというふうに思います。

 もう一つは、看護休暇というのがございますが、これにつきましても同様、私たちの方は進めてまいりたいというふうに思います。

黄川田委員 総裁の話、よくわかりました。

 また、育児や介護などの職員の超過勤務の制限であるとか、あるいは子供の看護休暇ですか、これは御検討なされているということでありますが、この法律とともに積極的に取り組んでいただきまして、速やかにその措置も講じられて、男女共同参画社会が本当のものとなるようにお願いいたしたいと思います。

 それから、先ほど来お話がありましたとおり、男性の育児休業の取得状況が極めて低いわけでありまして、この制度の充実とあわせて、実効性が高まるようによろしくお願いいたしたいと思っております。

 次に、個別の問題として、育児休業の代替要員の確保について質問したいと思います。

 職員が育児休業のため休暇を取得すると、その人の仕事をだれかがかわって処理しなければいけないということになります。そのため、現行制度では、臨時的任用によることができるとされておりますけれども、この育児休業に伴う臨時的任用はこれまでどの程度活用されているのでしょうか。そしてまた、今回、このほかに任期付採用を導入することとしておりますが、その理由はどうでしょうか。あわせてお尋ねいたします。

大村政府参考人 お答えします。

 現在、職員の代替要員ということでございますが、先生が今おっしゃったように、臨時的任用というのが最も多いわけでございまして、この利用状況につきましては、平成十二年度の、新たに育児休業を取得した職員、これは五千四百六十七人おります。このうち、臨時的任用が措置されたのは二千七百八十九件、割合にして五一・〇%となっているところでございます。

 今回、臨時的任用とともに新たな制度を設けたわけでございますが、それは、臨時的任用というのは特別の任用形態でございますので、一年を限度ということでございます。したがいまして、今回、育児休業期間が最長で三年まで延びたわけでございますので、これに対応することができるように、新たに育児休業期間に係る期間の任用の期間を限度といたしまして、任期をつけた職員の採用を可能としたわけでございます。これによって、公務の円滑な運営に資するとともに、職員もできる限り育児休業をとりやすくなるのではないだろうかというふうに考えております。

黄川田委員 育児休業をする職員の穴を埋めるための代替要員の確保でありますけれども、国民あるいは住民に適正なサービスを提供する上からも必要でありまして、職員が心置きなく育児休業をするためにも大事なことであります。

 一方、国も地方も厳しい財政状況の中にあって、そしてまた定員管理の問題もありますけれども、これに関して、代替要員の措置に当たって正規職員の増員等も考えておられるのでしょうか。

大村政府参考人 育児休業をとった職員の業務の後を埋める場合には、通常、先ほど申しましたように、現在では、臨時的任用で新たな人を採用するか、もう一つは、現在いる職員の配置がえとか、そういう方法でやるとか、それから非常勤職員を採用してその業務に当たらせる、いろいろ工夫をしているようでございます。

 したがいまして、これとは別に新たな職員を増員するということは、現在、いろいろな省庁を聞いても考えていないようでございます。

黄川田委員 代替要員の確保ということでありましょうから、そのずうたいを大きくするというような考えまではないということだと思いますね。

 次に、これに関連しまして、地方公務員育児休業法の雇用促進効果についてお尋ねいたしたいと思います。

 九月の完全失業率は五・三%と、また過去最高を更新いたしました。雇用対策は、猶予の与えられない喫緊の課題であります。特に、地方における雇用情勢はさらに厳しいものがあります。

 そこで、代替要員確保措置について、少し視点を変えてお尋ねいたしたいと思います。

 今回の法律案によりますと、地方公務員育児休業法も、国家公務員育児休業法と同様に、代替要員確保のために臨時的任用及び任期付採用ができるように措置することとされております。地方公務員の育児休業者数は、総務省の資料によりますと、平成十二年度は六万三百五十七人もの多数に及びます。

 今回の育児休業期間の延長により、さらに多くの代替要員が必要となると考えられることから、私は、ある一面では地方の雇用促進にも役に立つものと期待しておるところであります。これについて、総務大臣のお考え、御見解はいかがでしょうか。

片山国務大臣 今、大変雇用情勢が厳しくなりまして、九月の完全失業率は、御承知のように全国平均で五・三%ですね。特に、近畿や北海道や九州は高いですね、それよりもっと高い。

 こういう状況で、今度の補正予算で政府は、あした国会に提出いたしますけれども、三千五百億円の臨時雇用創出のための人件費補助を組んでいるわけでございます。その意味で、育児休業が一歳が三歳になるということは、やはりそれだけ取得者が新たにふえる、こういうことでございますから、代替のための臨時的な任用等がふえていくということは雇用創出的な効果は確かにある、こういうふうに私も考えております。

黄川田委員 次に、育児休業中の所得の補てんについて、私からも改めて基本的なことをお聞きいたしたいと思います。

 育児休業中は給与を支給しないとされており、その期間中の所得の補てん策は関心が高いところでありますけれども、これについて、国家公務員、地方公務員、それぞれどのように補てんされることになっているのでしょうか、それは民間の育児休業期間中の所得補てん策と比較してどう異なるのでしょうか、あわせてお尋ねいたします。

遠藤(和)副大臣 育児休業期間中の経済的援助、所得の補てんと言ってもいいと思いますけれども、それは、子が一歳に達するまでの期間、要するに、ゼロ歳児の期間ですけれども、この期間につきまして、国家公務員、地方公務員ともに、それぞれ所属しております共済組合から、育児休業手当金、これは標準報酬の四〇%ですけれども、この支給が実施されております。

 また一方、民間におきましても、雇用保険法によりまして、全く国家公務員と同じ水準で、標準報酬の四〇%が給付されているということでございます。国家公務員、地方公務員ともに、民間に準拠するということで同じ仕組みになっているわけでございます。

 今回の法案で、休業期間を取得できる期間が延長されました。いわゆる三歳未満ですから、ゼロ歳児、一歳児、二歳児までとれるようにしたわけですけれども、今回、民間の方も、いわゆる所得補てんというのは従来どおりゼロ歳児までということでございますから、こちらの方もそのとおりいたしまして、それにかかわる変更はしなかったということでございます。

黄川田委員 今回の育児休業期間の延長に伴って、所得補てん策の充実も同時に図る必要があるのではないかと思われるところもありますけれども、いずれ、民間の所得保障等の動向も踏まえながら、今後適切な対応をお願いいたしたいと思っています。

 それでは次に、男女共同参画社会の実現に向けた施策の推進状況についてお尋ねいたしたいと思います。

 民間労働者についての育児・介護休業法の改正法案と本法案は、男女共同参画社会の実現のために寄与するものでありますが、男女共同参画社会の実現のための取り組みはこれで足りるものではありません。小泉内閣で待機児童ゼロ作戦などの施策が打ち出されていることは承知しておりますけれども、ここで少し視野を広げて、政府のその他の取り組み状況についてお聞きいたしたいと思います。

 内閣府では、重要政策に関して、男女共同参画会議を置くなど、男女共同参画社会の実現に向けた検討が進められると耳にしております。その実現に向けて障害となっているものがあれば、その主なものは何でしょうか、そしてまた、それを踏まえて進められている主な施策はどのようなものでしょうか、お伺いいたします。

上杉政府参考人 我が国の男女共同参画社会の形成については、近年、相当前進しつつあると思いますが、なお解決すべき課題が多々ございます。

 具体的に、重要なものを三点ほど申し上げたいと思います。

 まず一点目は、国民の意識についてでございます。世論調査の結果を見ますと、男は仕事、女は家庭といった性別に基づく固定的な役割分担意識を持つ者が依然としてかなりいるという状況でございます。

 二点目は、女性が経済や政治や行政の場で重要な意思決定に参画できているかどうかという点でございます。国際的に比較いたしましても、まだまだ不十分ではないかと考えられるところでございます。

 三点目は、本日も御審議、御議論いただいておりますけれども、我が国の働く女性が、出産、育児期に一たん仕事を中断し、子育てが一段落したところで再就職するという就業パターンを持つ者が多く、仕事と子育ての両立が重要な課題であると考えております。

 こういった課題に対しまして、政府におきましては、御指摘がございましたように、平成十一年に男女共同参画社会基本法を制定し、これに基づいて、昨年、平成十二年に、男女共同参画基本計画を策定いたしました。現在、この十一の重点分野を網羅した基本計画に基づきまして、各省連携して幅広い施策を進めているところでございます。

 また、ことし一月発足いたしました内閣府に設置されております男女共同参画会議におきましても、さまざまな課題について検討を進めてございます。具体的には、七月には、この会議の意見に基づいて、仕事と子育ての両立支援の方針について閣議決定いたしましたほか、十月には、ちょっと別の問題でございますが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の円滑な施行に向けた意見を決定してございます。

 今後とも、男女共同参画会議を中心といたしまして、積極的に施策を推進してまいりたいと考えております。

黄川田委員 その中にあって、特に少子化対策が最も大事だと私は思っております。

 そこで、エンゼルプランについてお尋ねいたしたいと思います。

 冒頭にも触れましたけれども、出生率の低下に伴う急速な少子化は、経済への影響のほか、地域社会の活力の低下など、将来の我が国の社会経済に深刻な影響を与えるものと私は懸念しており、少子化を防ぐための積極的な対応が急務であります。先ほどは内閣府を中心とした男女共同参画社会の実現に向けた取り組みについてお聞きいたしましたけれども、少子化対策として、エンゼルプラン、平成十一年十二月から新エンゼルプランが進められていると聞いておりますけれども、その概要、推進状況、そしてまたその成果など、お聞かせいただきたいと思います。

水田政府参考人 先生から御指摘いただきましたように、私ども、男女共同参画社会の構築も踏まえつつ、仕事と子育てが両立しやすい雇用環境の整備でありますとか、利用者の多様なニーズに対応した保育サービスの整備などに取り組んでいるところでございます。

 具体的には、少子化対策推進基本方針に基づく重点施策の実施計画として、先生が申されました新エンゼルプランが策定されております。例えば、保育所におきまして、低年齢児、三歳未満児の受け入れの拡大でありますとか延長保育の推進、それから、放課後児童クラブの拡充、これらの施策に関しまして平成十六年までの目標が定められているところでございます。

 このプランに基づきまして、毎年着実に施策の拡充を進めておるところでございまして、平成十四年度の概算要求におきましては、全体として、この新エンゼルプランを大幅に前倒しした積極的な内容を盛り込んだところでございます。特に、保育所の待機児童の問題が緊急の課題となっておりますので、先ほどもありました本年七月の閣議決定を踏まえまして、保育所を中心とした受け入れ児童の増を図ることができるよう、重点的な取り組みを行っているところでございます。

黄川田委員 今国会の、ただいま出されました法律案の環境整備とともに、今お話しされたような施策とが相乗効果を上げることを期待いたします。さらに、この少子化対策については新しい政策もどんどん検討していただきまして、推進していただきたいと思っております。

 それでは、時間でありますので、最後となります。

 男女共同参画社会の実現に向けた施策は、とりわけ公務部門が率先して取り組んでいくことが効果的であると私は思っております。そこで、このような観点から、国家公務員そして地方公務員の双方について所管されております総務大臣の御見解をいただきたいと思います。

片山国務大臣 今御指摘のように、男女共同参画の推進は、豊かで活力ある社会を築く上で重要な問題であり、公務部門においても積極的に取り組んでいく必要があると考えております。

 私どもの総務省といたしましては、内閣府に男女共同参画局等がありますから、そういうところ等との連携を図りながら、今般の二法を初めとして必要な施策を講じていくことにより、公務部門における男女共同参画を、これが全体を引きずっていくような、そういう成果が上がるように努力してまいる所存であります。

黄川田委員 時間でありますので、終わります。

御法川委員長 次に、矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 この育児休業法、一九九一年、国会で成立しまして、翌年四月から実施され、九五年に大幅の改正が行われ、現在に至っているわけですけれども、それまで仕事と育児の両立で苦労してきた全国の働く女性の切実な要望が制度として実を結んできたと思うわけです。私は、今度の改正案も、そうした方向からこの制度改正を積極的に評価していくものです。例えば、育児休業の対象年齢の引き上げだとか代替要員の確保のための措置、それから部分休業の対象年齢の引き上げ、介護休暇の期間の延長などなどの点で、実際に民間の労働者の中でも、あるいは公務労働者の中でも、実に切実な要求として今日まで渦巻いてきたものです。

 私は、そうした現場からの切実な要求から出発して、どうしたら本当に生きた制度として活用しやすく、継続的な勤務を促進していけるか、そのためにはどのように改善していくべきか、そういう角度から質問していきたいと思います。

 先ほど来、同僚委員からそれぞれ質問がありますように、最初に私、延長部分の所得保障の問題で、今度は三年まで延長しますと二年の期間は無収入となるわけですが、人事院総裁と財務省の杉本さんの方からは答弁がありました。先ほどは副大臣からも話がありました。まだ総務大臣の考え方が出ておりませんので、どんなお考えか、お聞かせいただきたい。

片山国務大臣 人事院総裁や財務省や副大臣と私の意見が違うわけがございませんが、重ねてのお尋ねですから。

 これは、共済組合から育児休業手当金が標準報酬の四〇%支給されるわけでありますが、何度も御答弁させていただきましたように、民間準拠でございまして、民間の労働者の皆さんが雇用保険法に基づいて同様の給付金が支給される取り扱いになっておりますので、それに準じたものでございます。

矢島委員 私がこれから質問する幾つかの中にも、多分、民間準拠という言葉が出てくるんじゃないかなと思っているんですが、先ほど、男女共同参画社会の問題で、やはり公務職場が率先してやっていくことも必要だ、こういう方向での答弁があったわけですよ。つまり、民間準拠、民間準拠ということでいろいろな部分を民間と同じように決めていくという方向ではなくて、今現在、国を挙げて少子高齢化対策だとか男女共同参画社会を目指しているわけですから、公務が先行して改善すべきもの、あるいは公務が規範性をはっきりと示すこと、こういうことが私は重要だと思うんです。

 先ほど人事院総裁がノーワーク・ノーペイの話をしていらっしゃいました。ILOの第百六十五の勧告を見ますと、休暇の間、関係労働者は社会保障による保護を受けることができるとなっています。この休暇期間中の所得保障、こういうものについては、EUにおいても親休暇の拡張を行動目標の一つに取り上げる、あるいはEU指令では、育児休暇中の親手当として社会保障を含む公共基金から支払われるべきものとしている。何かドイツのことを総裁が取り上げたんですが、私の調べたところによりますと、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、フィンランド、イタリア、ノルウェー、その他の国もあると思いますが、調べた範囲ですが、こういうところでは所得保障を行っているんですね。

 制度はつくったけれども、活用をされなければやはり意味がないんです。今まで公務労働者の活用、とりわけ女性の活用が八九・四%でしたか、対象者の中の。ここでよかったのは、何と言っても、今までは、一年間ですが、四〇%ですけれども一応所得保障があったということは一つの大きな要因になっていると私は思うんです。そこで、いかに実効ある措置にするかという点で、三年に延長したことは歓迎すべきいいことなんですが、これが活用されるという保証が果たしてあるんだろうか。

 私、多くの方、現場の声ということで、地方自治体に働く方だとか、あるいは公務労働者の方々だとか、とりわけ航空管制官の方々、それから看護婦さん、学校の先生方、いろいろとどういう状況かということで現場の声を聞いたわけです。そうした中で、やはり最も強く要望が出ていたのは、共働きで一方が無給になってしまったら生活が大変だという声なんですね。

 例えばこういう声があります。これは自治体に働いている労働者の声です。あなたは三歳まで育児休業をとりますか、こういう質問に対して、三歳まではとれない、保育園の入園時期を考えて一年過ぎても取得することはあっても、仕事を続けていく中で三年も現場を離れることには抵抗がある、二人目以降は正直なところ経済的に不可能だ、部分休業はできればとりたい、こういう答え。あるいは、二歳ぐらいまでならとる、給与が無給なので家のローンを抱えている世帯としては経済的に三歳までは難しい。こういうような声がほかにたくさんあるんですけれども、時間がありませんから、二つだけ例を挙げました。

 こうした声が大臣のところにも届いていますか。こういう声についてどう認識されているか、お尋ねしたい。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

片山国務大臣 私のところには直接そういうお話はございませんが、恐らく担当の人事・恩給局長やそういうところにあるいは来ているのかな、こう思います。

 大変、この勤務条件の問題は、矢島委員御意見がおありでしょうけれども、やはり民間準拠なんですね。公務員は先憂後楽でなきゃいかぬという人がおりまして、やはりいいことも悪いことも民間の後に、こういうことでございますので、これは制度そのものはいいことでございますけれども、ただ、手当の方は民間に倣っていく、こういうことでございまして、しかし、制度は拡大されるわけですから、できるだけ使ってもらわなきゃいけません、制度としては。そういうことのための努力は関係のところと一緒にいたします。

矢島委員 ぜひ努力していただきたいと思います。

 日本共産党は、きょう修正案を提出する準備を進めてまいっております。特別の場合には二歳までを対象に所得保障すべき、これを本委員会に提出する予定であります。先ほどのアンケートにありましたように、二歳ぐらいまでなら取得したい、しかし無給で三歳までとなるとどうも二の足を踏む、あるいはとりづらい、こういうのも、今、大臣が積極的にいろいろな面で考えていくという答弁がありましたので、ぜひ考えていっていただきたいんですが、我が党の案は、所得保障は少なくとも従前の六〇%を保障すべきだという点なんです。これは、健康保険法による産前産後の休暇中の出産手当が賃金の六〇%だということ、あるいは労働基準法二十六条の休業手当が六〇%以上とされている、雇用保険法による基本手当の日額が賃金の六〇%となっている、六〇%というのが相当の保障ではないか、こういうことで修正案を用意しているわけです。

 今現在の状況は先ほど大臣が御答弁されたとおりだと思いますが、この六〇%の方向へ向けてやはり考えていくべきだという私たちの修正案についてのお考えはどうでしょうか。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

遠藤(和)副大臣 雇用保険の方、民間の方も二五%から四〇%に上がったばかりなんですね。したがいまして、将来の話はまた別の問題でございますが、当面は四〇%という水準、これが妥当なものだと思っております。

矢島委員 ぜひこの面についても前向きな検討、やはり民間準拠、民間準拠は、先ほど私その問題点を挙げたので繰り返しませんけれども、公務労働者あるいは公務職場で率先していくべきいいことはやっていく、ぜひこういう方向を出してもらいたいんです。

 そこで、これも共済掛金の問題なんですが、先ほどもう答えまして、民間準拠という言葉がここで出てきているんですよ。ですから、聞いても同じ答弁になるのかなと思いますが、財務省に聞くのは、私、これ一問きりありませんから、せっかく待っていただいていたんですから。

 要するに、私が聞きたいのは、現行規定であるこの育児休業期間中の掛金の特例というものなんですよ。一歳までの共済掛金は免除する、こういうわけですが、二歳以降は今度は徴収するわけですよ。やはり、「聞いてください!わたしの一言」とか、たくさんの声が寄せられているんですが、その中に、無給なのに共済掛金を払わされるとの切実な嘆きがたくさんあるんです、これは。一つや二つじゃないんです。二歳以降も給与の保障を願うのはごく当然ですが、実際にはそうなっていない、無給であります。無給だけれども共済掛金だけは払わなきゃならない。ここで切実な要求が出てくるわけなんですよ。

 やはり民間準拠以上の答えはないかもしれませんが、お願いします。

杉本政府参考人 国家公務員共済組合の掛金免除のお話でございますが、先生まさに質問の中でもおっしゃっていましたように、民間準拠ということでございまして、健康保険組合、厚生年金と同等の扱いということで国家公務員についても対応させていただいているところでございます。

 したがいまして、今後民間で、雇用保険、厚生年金、健康保険、そういったものの状況を見守りながら、必要があれば適切な措置を講じていきたいという考えでございます。

矢島委員 代替要員の問題で質問します。

 この問題も、同僚委員から何回かもう質問が出ております。

 私、実は、角度を変えてお聞きしたいのは、もちろん、確保しなければならないということやぜひ確保してもらいたいという声は大きいわけですけれども、そういう中で、専門性が高いところ、例えば航空管制官とか労働基準監督署の監督官だとか特許庁の審査員、裁判所の調査官、あるいはもちろん病院の看護婦さんだとか教職員もこの中に入ると思いますけれども、こういうところの声というのはこんなふうになっているのですね。

 もちろん代替要員が確保されていないために育児休業をとりづらい場合があるので確保してほしいというのは基本ですが、これは航空管制官です。二十代の女性です。管制官という特殊な職にあっても代替要員が確保できるよう、退職者の一時雇用など、早く制度化してほしい、こういう声があります。それから、これは看護婦さんです。制度はできても代替要員が入らず、欠員が続くと職場に迷惑をかけます、女性の多い職場や専門職では予備要員として確保するなど工夫が必要ではないか、こういう声であります。

 代替要員の問題でこういう声が非常に強いわけですけれども、このことについてどういうふうにお考えですか。

遠藤(和)副大臣 本法案においても改正を設けておりまして、育児休業職員の代替要員を確保するための方策といたしまして、新たに任期付職員の採用の制度を設けているわけでございます。

 また、今お話がありました専門性の高い職種においては、配置がえであるとか任期付採用制度の活用であるとか部分休業制度等を通しまして、円滑な業務の運営を図りたい、このように考えております。

矢島委員 いずれにしろ、職場から出ている声は、代替要員がきちんと確保できると安心してとれる、それがないためになかなかとりづらさがある、こういう声なんですね。

 実はこれは、ちょっと調べてみました。先ほど管制官の女性の職場、女性だけじゃなくて男性からもとっておりますが、その人たちの声の中で、もちろん代替要員問題だけじゃありません、いろいろな意見をずっと一人一つずつ出しているのですが、約二百ぐらいの答えの中で三〇%の方が、やはりこの代替要員をよろしく頼むという要望になっています。こういう点も十分配慮しながら、ぜひ代替要員、支障のないように取り組んでいただきたいと思います。

 その次に、任期付採用ということで副大臣が御答弁になりました。そこで、この任期付採用がとられることになりましたけれども、上限三年の任期付採用というわけですが、これは育児休業代替以外には使われることはないというふうな理解をしてよろしいのですか。

 というのは、今でさえ臨時職員がたくさんいるわけですね。こういう中で、育児休業以外に任期付採用だというので採用されるなんということがあると、乱用されるということは困ると思うのですが、これはそういうことでいいのですか。

大村政府参考人 今回の任期付採用につきましては、育児休業の代替職員、それに限るということでございます。

矢島委員 その辺もきちんとやってもらえばと思います。

 不利益の取り扱いについて質問を通告しておりましたけれども、残り時間がなくなってまいりました。

 そこで、子供の看護休暇の問題で幾つかお尋ねしたいと思います。

 この問題も、先ほど来、人事院総裁の方からも答弁がございました。確かに、働いている皆さん方の声の中では、この問題も非常に大きいですね。子供の看護休暇、これを望みますという声です。

 子供はよく風邪を引くものです、保育所に入れていると伝染病にかかることがあります、予防接種も受けなければなりません、健康診断もあります、これらをすべて年次休暇でとっていてはとても足りません、子供が少々風邪を引いても無理を言って預かってもらっている状態です、こういうような声。あるいは、子供の看護に係る休暇についても早期の導入に向けて検討をしていただきたい。このことについては、人事院の今度の文書の中で検討を進めることにしたいと。それで、このことの質問に対して、先ほど総裁から答弁があったわけです。

 私が聞きたいのは、ILO百六十五号の勧告にも、子供の看護休暇を認めるよう、そういう勧告があります。私は、いわゆる子供の看護休暇というのは請求権としてきちんと法制化すべきだというように考えているのですが、人事院総裁、いかがですか。

中島政府特別補佐人 先生よく御存じのように、公務員の場合には、やはり公務という非常に重要な職責を背負って仕事をしてもらっているわけでございますので、公務がその職員の労働がどうしても必要だという場合以外はできるだけ認めていくように、私たちも各任命権者の方に話してまいりたいというふうに思います。

矢島委員 これらの問題について、厚生労働省との連絡をとりながら、こういうお話もありました。これは、十月二十六日に厚生労働省で行われた子の看護休暇にかかわるいろいろな質疑の中で、坂口厚生労働大臣がこういうお答えをしているのです。子供が病気やけがの際に労働者が休暇を取得しやすくしますためには、将来的には看護休暇を請求権とすることが望ましいと思います。

 総裁、いかがですか、こういうこと。厚生労働省といろいろ連絡をとらなくても、厚生労働省の方はこう言っているのですが、この請求権の問題。

中島政府特別補佐人 民間企業の場合と公務の場合とはやはり基本的に違うと思います。

 ただ、それは、正式にそういうふうに聞かれれば私はそういうふうにお答え申し上げますけれども、各職場において、できるだけ任命権者側がその職員の事情というものをよく聞いてそういう配慮をしていただく、そういうことが望ましいのじゃないかというふうに思います。

矢島委員 これまでいろいろやりとりをしてまいりました。それぞれ、職場の切実な声というものを例に引きながらお話ししてまいりました。やはり、早急に見直すべきは見直す、あるいは改正すべきものは改正して、本当に実効あるものにしていかなきゃならない。

 時間の関係で、私、実は介護休暇問題に入れなかったわけですけれども、そちらはまたの機会に聞くことといたしまして、全体を聞いた上で、ぜひ、早いところの改正という方向も、いろいろな声を聞きながらやっていただきたいということを大臣に最後にまとめていただきまして、私、終わりたいと思います。

片山国務大臣 いろいろ委員から御提案を含めてお話がありましたが、それは受けとめさせていただいて、十分検討の上、必要なものについては前向きに考えてまいります。

矢島委員 ぜひそのことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。質問も最後になりました。質問が重複する部分も多々あるかもしれませんが、積極的な答弁を期待いたします。

 まず第一に、一九九二年四月から実施されました育児休業の取得者数等の状況を調べてみますと、女性では、当初の三千四百九十一人から一九九九年には五千二百八十一人、約一・五倍にふえております。ところが、男性では、二十三人から三十二人へと、さしたる変化もなく今日に至っている。

 そこで、人事院総裁にお聞きいたしますが、このような取得状況を踏まえ、現行育児休業制度の現状をどのように評価しておられるか、お伺いいたします。

中島政府特別補佐人 今お話しになりましたように、制度が発足した平成四年度ですか、そのときには育児休業を取得した職員が約三千五百人、平成十二年度は五千五百人ということでございますので、やはり、職業生活と家庭生活が両立するように導入いたしましたこの育児休業制度というものは、職場でそれなりの評価を受けて定着しておるというふうに思います。

 それから、今、先生がお話しになりましたように、男性の取得率が低い、一%にも達していませんので、もう間違いなくそれは低い。そのことにつきましては総務大臣もいろいろ答弁されました。私たちも、そういうことを前提にして、男性職員ができるだけ家庭生活についても共同責任を背負うように、いろいろな会議の場等を通じて意識改革に努めてまいりたいというふうに思います。

重野委員 そこで、本改正案の効果について、もう少し掘り下げてお聞きいたします。

 育児休業取得者は、子が一歳に達するまでの期間は標準報酬の四〇%を育児休業手当金として支給されるとともに、共済掛金について同期間は免除される、このようになっております。子供が一歳を超える場合の育児休業取得者については、育児休業手当金は支給されることはありません。そればかりか、共済については掛金を自己負担する仕組みとなっております。しかも、休業期間の半分しか経歴加算されない、共済の長期給付においては免除期間分は減額となる。収入はゼロ、共済掛金は負担、復職しても加算分は半分で、長期給付にも影響する、このようになりますと、一年以上の取得者は必ずしもふえるとは言えないのではないか、このように考えられます。

 このことは、一九九五年から手当金が支給されるようになっても全体の増加傾向が急速に右上がりとなっていない、そういうことからも十分うかがえるわけでありますが、人事院総裁並びに総務大臣の見解をお聞きいたします。

中島政府特別補佐人 こういう制度を改正します場合に、今御指摘になりましたように、いろいろな要求が出てくるというのはよくわかります。ただ、私たちの方といたしましては、今回そういうふうに一年から三年に延ばすということで一つの大きなステップを踏み出したという点は評価をしていただきたいというふうに思います。

 給付金がどうだとか共済掛金がどうだという話が次に出てくるでしょう。それは、先ほどからいろいろ答弁申し上げておりますように、基本的にはやはり勤務条件というのは民間準拠だということでございますので、厚生労働委員会におきましても同じような主張をよくしていただきまして、民間企業の方でそういうことのステップが一つ大きく踏み出されるように御努力も願う、私たちもまた、そういうことを厚生労働省とよく相談させていただくということで努力をしてまいりたいというふうに思います。

片山国務大臣 今、人事院総裁も言いましたが、重野委員、やはり勤務条件は大原則があるんですね、今の民間準拠という。それから、やはりノーワーク・ノーペイという大きな原則がありまして、そういう意味では、今、いろいろな加算が二分の一ではないか、こういうことなんですけれども、これはやはり、そこは私はそういう意味ではやむを得ないのではなかろうかと。

 ただ、今までは一歳まででございましたから、それが三歳まで広がるということは、その一歳や二歳や三歳までの子供さんをお持ちの職員の方で、休みたかったけれども今まではなかなかそうはいかなかったという方は、少なくとも相当とりやすくなったのではなかろうか。ただ、大幅に増加するかどうかは、これは私もなかなか難しい点があるのではないかと思いますけれども、今、人事院総裁が言いましたように、大いに啓蒙その他をいたしまして、制度をつくったわけですから利用していただくようにして、職業生活と家庭生活との両立をできるだけ図ってまいりたい、こういうふうに思っております。

重野委員 私は、この法案については一つの前進、そういう評価の立場は皆さんと共有できると思うんです。ただ、その法案の意図するものが本当に現場において実行される、あるいは消化される、そういう条件整備というのはやはり不断に怠ることのない大きな命題だという認識がありますので、質問をしているところであります。

 そこで、本年度の人事院の意見申し出では、職員の継続的な勤務を促進し、もって職員の福祉を増進するとともに、公務の円滑な運営を図る観点から云々、育児休業等の制度改正を図ることが適当、こういうふうに申しておられます。本改正案の内容からすれば、この制度の意義は、つまるところ、期間延長と復帰を保障する、そこのところに尽きていくのではないか、こういうふうに思うんですが、総裁の見解をお聞きいたします。

中島政府特別補佐人 今先生がおっしゃいました二点というものが柱であることは間違いないと思います。

 ただ、育児休業が取得しやすいように、例えて言いますと、先ほどから議論されておりますように任期付任用制度を創設するとか、あるいはまた、育児休業を取得した後で職場に復帰する、そのときに席がないということでは困りますので過員休職制度をつくる、そういうような制度を発足いたしまして、できるだけ育児休業というものが取得しやすい環境というんですか、そういうことに努めていかなきゃならないというふうに考えています。

重野委員 ところで、ごく基本的問題について内閣府及び厚生労働省としてどのように認識しているかを聞きます。

 我が国は他国に例を見ない急速な少子高齢化社会の到来、それは避けることのできない現実として我々の目の前に横たわっているわけでありますが、そのことが我が国の総合的政策の基本に重大な影響を及ぼす、このように私は認識しております。内閣府及び厚生労働省はどのように認識しておられるか、お聞きいたします。

江崎政府参考人 先生御指摘のように、急速な少子高齢化の進展、これが我が国におきます人口構成を大きく変化させてございます。今後十数年で、国民の四人に一人が高齢者という本格的な高齢社会を迎えるというぐあいに予想されておるわけでございます。

 このような中で、国民が生涯にわたりまして就業その他多様な社会生活、社会活動に参加できる、かつ健やかで充実した生活を営むことができる、このためには、雇用システム、社会保障制度、教育制度、生活環境など、さまざまな分野にわたりまして従来の仕組みを少子高齢化の進展に対応したものに変えていくということが必要であろうかと考えてございます。このため、内閣府といたしましては、高齢社会対策大綱を策定いたしまして、施策の総合的な推進を図っているところでございます。

水田政府参考人 先生御指摘のとおり、急速な少子化の進行は、我が国の経済社会に大変大きな影響を及ぼすものと考えられております。

 経済面におきましては、労働力人口の減少、高齢者比率の上昇、市場規模の縮小などを通じまして、我が国の経済にマイナスの影響を与えることが懸念されております。また、社会面におきましては、子供の数が減少するということによりまして子供の健全成長への影響、単身の世帯がふえるという面から家族の変容、それから過疎化の進行などのマイナスの影響を与えることが懸念されております。

 このように、少子化の進行は、社会保障のみならず、雇用、産業、財政、地域行政など幅広い分野の政策の決定に影響を及ぼすことになりますので、こうした観点から、今後の我が国の政策の企画、推進に当たりましては、少子化の進行による影響を十分に織り込んで実施することが必要であり、また、急速に少子高齢化が進展した場合においても十分にたえ得る政策を構築することが重要であると考えておりまして、厚生労働省でもこの線に沿って施策を構築していきたい、このように考えております。

重野委員 少子高齢化社会を前提にして施策を構築していくという話はそれとして理解できますが、いかにして少子高齢化に歯どめをかけていくかという点についても、怠ることなく政策の展開が求められていくと思います。

 ただいまの答弁を踏まえますならば、育児休業制度や介護休暇制度についての社会的義務づけをさらに高める必要があるのではないか。少子高齢化社会における育児休業制度は、当該職員の福祉や公務の円滑な遂行のみに意義があるわけではありません。我が国の年齢別人口構成に均衡をもたらす、将来の社会発展に資すること、言いかえますと、ゆとりある労働条件、労働環境を整えることでこれまでの我が国社会のあり方を大きく変える契機となるべきものではないのか、ここに育児休業制度のよって立つ基盤と意義があると考えます。

 であるならば、ノーワーク・ノーペイの原則にこだわらず、取得にさまざまな条件をつけることはいささか消極的に過ぎるのではないか、こういう認識を持つわけですが、これについて総裁、大臣はどのようにお考えか、お聞かせください。

中島政府特別補佐人 現在の制度を発足させるときにも、少子高齢化対策の一環としての意識は政府部内にございました。

 そういう意識があればこそ、休業中の身分保障とか復帰するに際してのいろいろな措置というものが講ぜられている。特に、休業中、一年間の給付金あるいは共済掛金の免除とか、復帰後の給与の二分の一調整というようなことが制度化されておるわけでございますけれども、今、先生がおっしゃいますように、少子高齢化対策の一環としての認識がもう少し日本の社会の中でしっかり認識されていく、そして、そういうような方向で皆さんが努力して、皆さんというのは我々を含んでみんなが努力して、そういうことが社会一般の認識として深まってくれば、今先生がおっしゃるような方向に踏み出せるんじゃないかというふうに思います。

片山国務大臣 制度も次第に充実してきておりますということは、少子高齢化対策の観点がだんだん大きくなっておるんだろうと私は思います。

 ただ、そうだからといって、公務員だけが先行していい仕組みにするというのは、これはなかなか今の全体の、何度も言いますけれども、民間準拠であり、ノーワーク・ノーペイであり、そういうことで、私は先ほども言いましたが、いいことも悪いことも民間準拠なんですよ。そこで、今総裁が言いましたように、全体の社会の認識が変わってきて、民間もやろう、それから公務員もやろう、こういうことになれば、やはりこの制度をさらに拡充していくということにはなるのかもしれませんが、いずれにせよ大きな財政負担を伴いますから、その辺の兼ね合いではなかろうか、私はこういうふうに思っております。

重野委員 民間準拠という趣旨は私も承知をしております。しかし、民間準拠のゆえをもって状態の変化を拒むということではいけない。やはり公務員であろうと子を持つ親には変わりはない。そういう意味では、積極的な民間に対する働きかけ、これも同時に行っていただきたい、そのことを申しておきます。

 ところで、現在、石原行革担当大臣のもとで企図されております公務員制度改革の基本設計では、新たな人事管理システムの確立として、能力等級制度の導入、給与制度の改革、新たな評価制度の導入がうたわれています。行政における市場原理の導入が意図されている、そういう傍らで育児休業期間の延長等が制度化されても、果たして現場の職員が安心して育児休業に専念できるんだろうかと懐疑的にならざるを得ません。取得そのものに対しかなり自己抑制要因となるのではないか、そのことが懸念されますが、この点を踏まえた検討が必要と考えますが、行革事務局の見解を伺います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 現在、能力等級制度を中心としまして新しい人事制度について検討を進めております。育児休業制度や介護休暇制度との関係につきましても、これらの制度等を検討する中で適切に対処していきたいと思っております。その際には、育児休業とか介護休暇を取得する職員につきまして、不利益をこうむることのないように十分配慮してまいりたいと考えております。

重野委員 一昨日の本委員会におきまして、職責給の算定基準はだれが決めるのかという質問を行いました。西村行革事務局長から予算あるいは政令で定めるという答弁があったわけですが、この点について改めて確認しておきたいんであります。予算あるいは政令で定めるとしても、職責給の算定基準というのは重要な勤務条件と私は思いますが、この点、そういう理解でいいのか、西村事務局長並びに人事院総裁に伺います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 一昨日の御質問に対する私の答えは、基本設計の十九ページにおきまして、これは自主的な組織管理ということを書いた項でございますが、ここで、組織管理においては、本省内部部局の課、室等の改編について、各府省ごとの課、室等の総数及び職責給総額の範囲内であれば、局、部の改編に伴うものを除き、各府省の判断と責任において行うことができることとする、これにつきまして、各府省の課、室の総数と職責給の総額の範囲内であれば、各府省が課、室等の改編についてみずからの判断と責任において行うことができる、そして、その際のルール等についてはこれから具体的に検討する問題だという趣旨でお答えをさせていただきました。

 それから、ここにございます職責給につきましては、これは、給与制度全体の中で、能力給、職責給、業績給等を含めて、今その具体的な検討をしておるところでございます。これを具体的にどのようなものにしていくかにつきましては今検討しているところでございまして、いずれ具体的なものが明らかになれば、その中で先生の御指摘の点についても明確になっていくものと考えております。

中島政府特別補佐人 御質問は、職責給の算定基準が勤務条件か、そういう質問だったと思うのですが、それはだれに聞いても勤務条件だというふうに答えるでしょうね。

重野委員 わかりました。

 行革事務局西村事務局長、今の答弁を一つの今後の話し合いの大きな課題と受けとめておりますので、そのように認識していただきたいと思います。

 そこで、本題に戻って具体的に質問します。もう時間もありませんが、まず、男性の取得促進についてお聞きします。

 男性の取得状況は公務において一%にも満たない、こういう状況にあるわけですね。これについて、厚生労働省は研究会を設け指針をまとめる、このように承知をしておりますが、人事院として今後の促進策について急ぎ検討すべきではないか、このように思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

中島政府特別補佐人 一つの大きな問題だと思います。いろいろな方の意見を聞いたり、また、各方面でどういうような施策を講じておられるかということをよく調べて、私たちもそういう方向で努力してまいりたいというふうに思います。

重野委員 もう時間も来たようでありますが、最後に、育児休業の対象となる子の三歳引き上げに関して幾つかお伺いいたします。

 共済からの給付について、一歳までとしております。なぜ一歳なのか。また、公務労働の現場の受けとめ方は、経済的支援措置もなく三歳まで育児休業をとるとすれば、職場に戻れないということも覚悟しなければならないのではないかという一般的な認識がございます。生活上も仕事上も、本改正について必ずしもねらったとおりの評価に至っていないのではないか。したがって、三年に延長した制度からすれば、給付期間の延長や共済掛金の免除等の期間の延長も同様に措置されてしかるべきではないか。

 くどいように申し上げますが、特に介護休暇について、取得者が少ない現状では三カ月を六カ月に延長しても問題はないのではないか、こういうふうに思うのですが、総務大臣並びに財務省の見解を伺います。

片山国務大臣 制度というのは、一遍にひっくり返るようなことはできないのです。やはり制度の下敷きを敷いて、それから徐々にやってみて、民間の状況を見ながら、こういうことになると私は思いますので、これは、重野委員もそういう御意見でございましたが、一歩も二歩も前進だ、この前進をさらに次の前進につなげていくように十分検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

杉本政府参考人 私の方からは、育児休業手当金、介護休業手当金、それから掛金免除の件でございますが、これは、民間の社会保障、社会保険制度と並びで公務員についても同じ措置を講じておるものでございます。したがいまして、民間の制度と全く同じものを講じてございますので、適切に対応しているものと考えております。

 今後とも、民間での社会保険制度等の動向を注視いたしまして、必要ならば適切な措置を講じていきたいと考えております。

重野委員 政府としても、民間に対しそういう立場に立って積極的に働きかけることを要望して、終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、両案に対し、矢島恒夫君外一名から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。春名直章君。

    ―――――――――――――

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

春名委員 私は、日本共産党を代表して、議題となっております国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由とその内容の概要を御説明いたします。

 本修正案は、民間の育児・介護休業法案に対する我が党の対案に準じ、公務労働者が育児・介護休業等を一層利用しやすいものへと改善するために提出するものであります。

 修正の第一は、育児休業、介護休暇中の所得保障を六割へと引き上げることです。育児休業を分割取得できるようにし、所得保障を養育する子が一歳未満までは六割とし、保育所入所事情などやむを得ない理由がある場合には、さらに一年以内延長ができることとしております。介護休暇についても、介護休暇期間の所得保障を六割とし、期間を一年とするものです。また、一介護状態につき一回として断続的に分けてとることができるようにし、休暇中については代替要員を確保することとしております。

 第二は、育児休業、部分休業、介護休暇の取得等を理由とした賃金、昇給、昇任、配属などでのあらゆる不利益な取り扱いを禁止し、原則として原職復帰とする規定を明記しております。また、配置に当たっても、本人の意思を確認するなどの配慮義務も明記しております。

 第三は、育児休業、部分休業、介護休暇を六カ月以上勤務している非常勤、臨時職員などにも適用するものであります。

 第四は、中学就学前までの子を持つ男女職員、要支援の介護を必要とする家族のいる職員に超過勤務の制限と深夜勤務免除の請求権を認め、その上限と請求手続を定めております。

 第五は、就学前の子の養育、また、要介護の家族を持つ職員に部分休業の請求権を認め、介護については期間の制限なしで部分休業を取得できるようにすることとしております。

 第六は、中学就学前の子や要介護の家族の短期の看護、介護のための家族休暇制度を創設すること、対象家族一人につき父母それぞれ年間十日、養育する職員に配偶者がない場合は二十日の休暇が取得できることとしております。

 なお、地方公務員に係る修正案の内容につきましては、このうち育児休業に係る修正部分を準用するものとなっております。

 以上が、提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

御法川委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。

 この際、国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいまの国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 初めに、国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、矢島恒夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、矢島恒夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、渡海紀三朗君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。渡海紀三朗君。

渡海委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六会派を代表して、その趣旨の御説明を申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、次の事項について適切な措置を講ずること。

 一 職業生活と家庭生活の両立支援という法の実効性を確保するため、民間企業における実態等を踏まえつつ、育児、介護を行う者の経済的援助の在り方について、引き続き検討を行うこと。

 一 男性の育児休業取得促進について調査研究を行い、有効な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。

御法川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十五分散会




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