衆議院

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第12号 平成14年4月11日(木曜日)

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平成十四年四月十一日(木曜日)
    午後二時十四分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      岡下 信子君    左藤  章君
      佐藤  勉君    新藤 義孝君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      馳   浩君    林 省之介君
      吉野 正芳君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      島   聡君    田並 胤明君
      武正 公一君    中村 哲治君
      長妻  昭君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    石原健太郎君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      滝   実君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          荒木 慶司君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           大竹 邦実君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十一日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     岡下 信子君
  河野 太郎君     馳   浩君
 吉田六左エ門君     林 省之介君
  島   聡君     長妻  昭君
同日
 辞任         補欠選任
  岡下 信子君     大野 松茂君
  馳   浩君     河野 太郎君
  林 省之介君    吉田六左エ門君
  長妻  昭君     島   聡君
    ―――――――――――――
四月十一日
 地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律案(内閣提出第五〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長吉村博人君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治行政局公務員部長荒木慶司君及び総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 公務員共済年金の質問に入ります前に、さきの横浜市長選挙では中田宏さんが当選されました。私は、この流れというのは、政党に対する不信ということと同時に、日本の民主主義なり地方分権がある意味では進んできた、いわゆる政党に左右されずに市民が自分たちの町をどう治めていくかということをみずから考える、そういう意味では、昨年の長野でありますとか、一昨年ですか、千葉県、あるいはある意味では小泉総理の選ばれ方もそうであります。そして、この横浜という最大の政令都市で、若い、そして無党派というか、政党の支持のない、こういう市長が誕生した。これは、今の日本の政治、そしてまた、地方と中央との関係も含めて非常に象徴的なことだと私は思っております。この件に関しまして、最大与党の一員でもあります大臣、この感想といいましょうか、いかがでしょうか。
片山国務大臣 選挙前に予想された状況とはちょっと違いましたですね。私は、市民の皆さんが変化を求めたり、高齢多選との絡み、あるいは今お話しのように全般の政治状況の中で、いろいろな原因があると思いますが、いずれにせよ、選挙の結果、市民の方の厳正な審判の結果でございますから、今委員からお話しのように、横浜市は全国の市の中で一番大きな市でございまして、前の市長さんは市長会の会長さんでございましたので、今度新しく市長になられました中田さんにも、ぜひ新市長として頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。
松崎委員 中田さんは、たまたま、国民総背番号制、いわゆる住基法、これも大反対でございました。それから、私も実は属しておるのですが、郵政民営化の研究会、小泉さんがいまだに会長でございますが、その郵政民営化論者でもある。つまり、これだけ大きな都市で、このリーダーが、こういう今の法体系の中で問題があり、それから日本の構造を変えるために郵政を民営化しよう、そういう動きが出てきているわけであります。私は、これはこれで大変大きな力になるんではないかという感想を持っております。
 ところで、少し公社化法、信書便法の問題で、私も、民営化論者としては非常に気になっておりますけれども、きょうは荒井先生も、稲葉先生はいらっしゃいませんか、野中先生もいらっしゃいますので、大変答えにくいところかもしれませんけれども、今、これはもう小泉総理の最大のテーマ、それが多分きょうの時点でも非常に大きく揺れ動いて、法案もまだ出せない、あるいは分割をして、公社化法と信書便法を分割して出すのではないかとか、いろいろ言われております。この問題、先ほど本会議では国庫納付の問題が出ましたけれども、私はこれはしっかりと進めるべきだという立場からお尋ねをしているのですけれども、実態上、この行方は、信書便法はどのようになりますか。特に、小泉さんの強い強い指示を受けながらの、大臣の現時点でのこの二つの法案の行方をひとつお示しをいただきたい。
片山国務大臣 我々は、郵政公社法案、信書便法案、それぞれの整備法案で、四法案一括で国会に御審議をお願いいたしたい、こういうことで今準備を進めておりまして、特に民間事業者の参入の問題につきましては、公社化研究会というのを、学識経験者の会議を去年つくりまして、今もありますが、年末に御答申をいただいたものですから、今それを中心に法案づくりをやっておりますが、大変膨大な量でございまして、法制局の審査もなかなか進んでおりませんので、昨日も法制局長官にお電話しまして、審査の促進方をお願いしたところでございます。また、与党や自民党でもいろいろ御議論いただいておりますので、できるだけ早くまとめまして今月中に出したい、こういうふうに考えております。
松崎委員 この問題はまた場所を変えて、時を変えてやらなければならないので、これ以上はお話を申し上げませんが、国民も注視をしている、恐らく小泉総理は一つの大きな、まさに自分の政治的な生命をかけながらやっていらっしゃるのではないか。私たちは、郵政の民営化によって大きく、小さい政府をつくる、そして民主導型の、そしてゆがんだ金融体制も変えていく、そういう意味では大変重要に思っておりますので、ぜひその辺をよろしくお願いしたいと思います。
 本題に参ります。
 地方公務員の共済組合法、この問題をきょうは議論させていただきますが、これは実は、本来は地方議員さんを中心とした地方の問題かもしれません。しかし、これは国会における年金法とも絡みながら誕生したということもありますので、やはり当然、法案の審査ということもあるので、この国会でしっかり議論しなければなりませんが、私は、今地方の活力が生まれてきた、そして、先ほど横浜市長選に触れたのは、やはり政党が、あるいは中央政治、国が地方に余り介入し過ぎるのはどうか、そういう意味で、むしろこの問題は地方からいろいろな発言があっていいんじゃないか、そう思っていました。
 そこに最近、昨年でしょうか、私のおります千葉県の北西部に東葛地区というのがございますが、そこの議員さん、若手の議員が十五名ほど勉強会をやっている。東葛ステイツマンクラブという名前なんでありますが、ここの皆さんが今回の地方公務員共済組合法、いわゆる議員年金法の改正に際しての提言をされました。これはなかなか、みずからの肉を切りながら、この制度がいかにあるべきか、そういう本質的な考え方を述べて、大臣あるいは総理にも御提案をされたと思いますけれども、この提言について大臣は御存じでしょうか。
片山国務大臣 今、松崎委員が言われましたように、東葛ステイツマンクラブの皆さんが去年の六月に意見書を提出していただいておりまして、私も目を通しました。関係のところではもちろん検討させてもらっておりますが、また、検討会でこの改正案をつくるに際しましても、このステイツマンクラブの皆さんの意見書を参考にするようにお願いいたしました。
 その意見書の中に八項目ございますけれども、そのうち、給付水準の引き下げだとかあるいは標準報酬年額の算出方法の見直し等については、この改正案の中に盛り込んでおります。全部ではございませんけれども、何項目かは今回の改正案の中で具体化しております。
松崎委員 そういう地方の、しかもこの人たちは、私は民主党でありますけれども、全員民主党には関係ございません。無所属で、みずからの力で、若い三十代を中心とした、組織も何もない、みずからの意思で、運動で勝ち上がってきた、そういう、私は、これからの地方行政にとって、政治にとっては極めて有意義な方々だと。その方々が、今大臣のおっしゃったとおり、特に今回の法案にも盛り込まれております部分も含めて提案をした。聞きますと、全国的には余りこういう提案は地方から上がってきていなかった。そういう意味では、私は、こういう芽が出てきたということは大変よろしいと思っております。
 さて、この検討会が報告を出されました。この部分を生かされたとは言っておりますけれども、この辺が実は、この制度そのものがどうなんだろうという、非常に疑問というか、私も地方議会出身ですからよく存じておりますけれども、そろそろ真剣に考えなければいけない、そういう状況に来た。
 つまり、平成十九年には町村の共済が、積立金が枯渇する、平成二十四年には県あるいは市の共済が枯渇する。もう既に平成七年と平成十一年には、町村が七年に、市が十一年に赤字になって、積み立てを取り崩している、こういう状況になっています。これは実は、この東葛ステイツマンクラブの皆さんも提案しているんですけれども、自分たちがもらう立場でこの制度を見たとき、どうもやはりおかしいんじゃないかと。
 一つの例をいいますと、これは私の市の市会議員さんの例でありますけれども、十二年間で九百十万円掛金を払って、十二年間で終わった、やめた場合、今のレベルで話しますと、六十五歳から毎年二百三十二万円もらう、それで大体四年間で掛金を取り戻してしまう。それで、退職年金と遺族年金を合わせますと、今の平均でいくと大体二十六年間ずっともらっていく。ですから、大変な金額になるということで、普通の年金等と比べましてもはるかに有利である。
 ですから、この議員さんたちも、果たしてこんなに厚遇でいいんだろうか、しかもそこに税金が入っている、そういうことで、今回のこの改正案には入っておりますけれども、できれば公費の負担分というのはこれ以上引き上げるべきではないんじゃないかという大きな論点を持ってこの提言をしていたわけであります。
 その辺は、これは検討会が中心でしょうけれども、本来はこれは議員立法ですから、役人さんとか総務省が主体的にやるというのはちょっとおかしいじゃないかということがあるかもしれませんが、一応法律として皆さんがお出しになっておりますのでお聞きするわけでありますけれども、この公費負担の部分というのは、みずからの方々が、やはりちょっと多過ぎるよ、これをまた上げるのもおかしいんじゃないか、そう言っておりますけれども、いかがでしょうか。
若松副大臣 今回の制度改正でございますが、委員も御存じのように、特に町村の議員年金が大変厳しいということもありましたが、共済会の極めて厳しい財政状況を考えまして、まず給付水準の引き下げを行う、そして掛金率、特別掛金率の引き上げを行う、こういった形で、この年金の会員であります地方議員の皆さんにかなりの自助努力を強いているものであります。
 それを踏まえて、いわゆる既裁定者の給付の削減にかかわりなく、公費負担についても引き上げを行った、こういう経緯がありまして、何度も議論になっておりますいわゆる検討会、地方議会議員年金制度をこの検討会で、どうしたら長期的に安定した制度になるか、こういった観点から関係者の議論も踏まえての結果として出したものでありまして、総務省としては、かなりぎりぎりの必要な措置ではなかったか、そのように考えております。
松崎委員 もちろん、法案を読めばそういうことなんですが、やはり先ほどから言っておりますように、どうも、十二年で権利を取得できる、それから他の年金とも重複は可能である。
 こうなりますと、いわゆる公的年金のように老後の生活を保障するというよりも、議員とか遺族の生活の安定に何とか資するということで、どう見ても国民が、今でも四割は各地方自治体を含めて入っているわけですから、これはちょっとこの時代に、大変借金もふえて地方それから中央も入れてもう七百兆、もちろんこれは交付税対応しておりますから国税も入っているということになるので、そういうところで、今の時代の中でこれだけまたふやすということ。既に市だけでも百億。それから十二年一年間だけで、公費の投入というのは、県議会の共済が二十億、それから市の共済が百億、町村で九十九億と、約二百億以上の公金が全国で一年間で使われている。そこへ、今回また、この値上げ率で公費負担分を見ますと、全国で、市だけでも十億円はふえていくということであります。
 ですから、この辺で、どうでしょうか、総務省さんも交付税の問題もやっていらっしゃいますけれども、こういう財政事情の中でこれ以上公金を、制度をいじくるのはいいと思うのですよ、もらう方あるいは入っていて支払う側、これは自分たちの年金ということですから、ふえたり、それからいただくお金が減る、これはしようがないことだと思うのですけれども、公金をまた今までのように入れていく、ふやしていく、これはちょっと私は疑問に思うのですけれども、お立場から、大臣、どうでしょうか。
若松副大臣 先ほど申し上げましたように、議員の共済年金の制度でありますが、いわゆる現在の会員が相当の自助努力をしていただいている、こういう結果として制度の改正になっております。
 例えば掛金率でありますが、都道府県、市議会議員共済会ですけれども、従来は百分の十一が、都道府県議会につきましては百分の十二になったということで、一%上がっております。市議会議員、町村議会議員につきましては二%上がっている。さらに特別掛金率ですと、従来の制度ですと百分の〇・五ということだったのですが、平成十六年度以降は百分の五ということで、実は十倍に上がっております。
 そういう形で、さまざまないわゆる議員の団体の方々からも、掛金のアップを何とかもっと軽減してほしい、こういった依頼もあったわけですが、先ほど申し上げたようなかなりの負担を議員の方々にしていただいた、こういった前提で、公費負担率も、本当に若干なんでありますが、都道府県の場合には〇・五%、二百分の一ですね、さらには、市は一%、町村は一・五%上げている。
 こういったことで、先ほど申し上げました地方議会議員年金制度検討会、ここでは学識経験者や地方議会議員の代表者等のさまざまな、いろいろな議論がありまして、あくまでも、共済年金ですから、いわゆる関係者がみずからの意思で制度を検討していく、こういった一つの結果としてのぎりぎりの案だということをぜひ御理解いただきたいと思います。
松崎委員 そもそも、ですからこの制度が、生い立ちからいきましても、本来は共済ということで、互助年金から始まって、一年ぐらいして地方公務員の共済組合法に組み込まれた、性格が違うものが一緒になっているんです。
 やはり、先ほども言いましたように、いわゆる普通の年金のように生活に直接関係するかどうか。もちろん、今職業的に議員さんになっておりますから、こういう点で決して頭から否定はしないんですけれども、私は、何でこんな肥大化した形になって公金が、実は私も、地方議会のとき、そんなに公金が入っているということを知らなかったんですよね。ですから、そろそろ制度そのものを考えてみたらどうか。そうしないと、どうもこれは小手先の、今の制度の基本をいじくらずに何とかしなきゃならないとなると、公費負担したり皆さんから掛金をいただくということになるわけですけれども、どうもシステムそのものがおかしいんじゃないかと。
 私も国会図書館で調べさせていただいたのですけれども、世界ではほとんど地方にはないようですね。国会の方はありますね。国会の方は、イギリスとかアメリカ、ドイツ、フランス、かなりの国であります。同じように公金が入っています。日本の場合も、三十三年からは互助年金で、これも掛金が何か国庫に入っちゃって、国が直接払うということで、恩給的な伝統が流れていますから、これもちょっと地方とは違うかもしれません。どちらにしても、地方には世界を見てもこういう制度は余りない。
 それで、私も地方議会出身ですから、見ていますと、十二年、三期をやってやめるんだというのが統計的からいっても多いんですね。これはある意味では非常に停滞をするもとにもなるということで、私は、これは根本から考えなければならないのじゃないか。
 まして、今回の制度上だけ見ましても、先ほど副大臣がお話しになったように、現役の方、掛ける方、それからいただく方、そして税金の部分、この制度が危ないからということで、それぞれが分け合って同じように負担をするということであれば私はよろしいと思うのですが、どうもそれがそうじゃないようです。
 つまり、今もらっていらっしゃる方ですか、この方々は外してしまった。実は、最初の案の方では、研究会の報告は入っていませんでした。途中で自民党さんの方に、与党に説明をした段階で、そのときは、いわゆる今いただいている方、この方々は一割カットするというふうに入っていたのですね。既裁定者というのですか、非常にわかりづらい話でありますけれども、今までいただいている方が、平成十三年の十月の段階で、与党に示したときは一割削減を入れていました、現受給者。そして、各県市の共済会に通知をしたときも入っておりました、一割削減。これであれば、東葛ステイツマンの案では二割だったんですけれども、一割というものが入っていた。
 ところが、最終的なこの検討会の案ではこれが抜けてしまった。つまり、今までいただいている方々の削減というものが抜けてしまった。これはどうも公平ではないのじゃないか。そしてまた、制度をみんなで支えていくという点では、やはり今までの既裁定者も入れるべきではないか、そういうふうに私は思うのですが、なぜ外したのか。
若松副大臣 なぜ外したかという御指摘でありますが、当初の議論では、今松崎委員が御指摘したような、既に共済年金の受給者も一定の削減を協力しようということで、それも、いわゆる各議員もしくはOBの方に対して努力を求めようという動きをしていたわけであります。
 しかし、総務省としてこれを具体的に、いわゆる法制化の段階でいろいろと検討してまいりました。そうしたところ、既にもらっている受給者、こういった方々に給付を引き下げるということは、憲法第二十九条で保障されているいわゆる財産権との関係でこれはちょっと問題がある、実はそういう指摘がありまして、これについてはさらに掘り下げた検討が必要ではないか、そのような議論の経過がありまして、今回の改正では既に受給者の方々に対する引き下げは見送った次第でございます。
松崎委員 検討会の報告書にもそれは書いてありますね。ただ、私はどうもそれが、皆さんも腑に落ちないと言っているんですね。
 それでは、これは法制局の見解なんですか。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 ただいま副大臣から御説明がございましたように、いわゆる既裁定者の年金額につきまして、検討会におきましては、それの引き下げについても、削減につきましても検討が行われたところでございます。
 この検討会、平成十二年以降六回にわたって行われましたが、あらゆる角度から検討する中で、今の既裁定者の取り扱いについても議論が行われたところでございます。検討会では、確かに途中の段階で、この既裁定者につきましても引き下げをするということも一つの案として出されたわけでございますが、私どもとしましては、副大臣からもございましたように、特に憲法二十九条の財産権の関係、これは既裁定者につきましては法に基づく年金の受給権が既に発生しております。現在議員であられる方、あるいはこれからなる方はもちろんですが、これにつきましては、期待権と申しますか、性格的にも法制的にそのあたりは違うということがまずございます。
 したがいまして、この既裁定者の取り扱いについては慎重な検討を要するということで、私どもも、法制局にもアドバイスはいただきましたが、私ども役所の中で法を所管する立場で検討いたしまして、これについてはさらに掘り下げた検討をさせていただきたいということを検討会にも申し上げまして、私どものそういった考えも踏まえていただきまして、検討会の場では、今後の課題、引き続き掘り下げた検討を要するということで、特に今回は平成十九年度に特に町村議会の年金の方が基金が枯渇するという差し迫った状況にもございますので、急を要するということも一方でございましたので、この大きな課題についてはさらに今後の掘り下げた検討にまつということになった次第でございます。
松崎委員 急を要するというお話だったんですけれども、先ほどのお話でも、もう既に赤字が何年か前から進んでいたわけですね。ですから、もっと早くこの問題は検討していかなければならなかったはずです。
 そして、既裁定者の問題は、既に幾つか、JR共済の問題、退職時特別昇給分、これをやはり既裁定者でも下げていますね。それから、十四年一月一日施行の農業者年金、これも九・八%、既裁定者から下げている。そして、最高裁の判決も五十三年七月に国有財産の問題でありましたね。この内容もやはり、財産権の内容を事後の法律で変更しても、公共の福祉に適合するということであれば違憲ではないという判決もあったわけですね。
 これらも当然検討した上で、今おっしゃったように、法制局は判断はしていないけれども、総務省が判断をしてこの結論を出したということでありますので、ちょっと、私は、今言った憲法二十九条財産権に関する判例とJR共済、農業者年金、こういった経験を踏まえて、どうなんでしょうか。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 ただいま委員から御指摘ございましたように、公的な年金における既裁定者の給付の引き下げの例としまして、平成二年のJR共済における退職時特別昇給分の削減、それから平成十四年の、ことしから行われております農業者年金における経営移譲年金の削減がございます。過去の既裁定者の給付の引き下げのこれらの例と今回の地方議会議員の年金の既裁定者の取り扱い、これを対比してみますと、その置かれている状況がかなり異なっているという点がまずございます。
 まず、JR共済、それから農業者年金につきましては、既裁定者の引き下げを行わなければ制度改正の翌年度にも給付が不可能になるという大変切迫した状況にあったこと、これに対しまして、この議員年金につきましては、少なくとも平成十九年度までは給付が可能な状態であるという違いがございます。また、削減の対象となった財産権の性質、あるいは削減することによって保護される公益につきましても、JR共済、農業者年金とこの議員年金では違いがあるということで、必ずしも前例にはならないということで、今回の憲法二十九条で保護されております財産権との関係、これにつきましては、先ほどの最高裁の判例等も私ども十分踏まえて今のような観点について検討したわけでございますが、こういった点を比べてみますと、議員年金の取り扱いについてはさらに掘り下げた検討が必要であろうという考えから、今回は見送った次第でございます。
松崎委員 憲法論争やら法律論争をここで私もやる気はありませんけれども、やはりこれだけの財政事情、そういう社会的な環境とかからいっても、切迫をしていないと言っていますけれども、今回の改正でいっても、あと二十年後にはまたパンクをするというのはわかっているわけですね。それも、これだけ公金を投入して制度を変えながら、まただめになるというのは大体予測している。
 しかも、これは合併の問題等は余り計算に入っていない。これから総務省が、もう今ひっちゃきになって合併特例法をやりながら、合併して議員の数も減らしていこう、そういう状況。これから二十年間は相当の勢いで変わってきますね。そんな要素は要素に入れていないということで、今の段階での予測でも、二十年後にはまたパンクする、しかも今回これだけ公費も投入し、制度の設計をし直して、もうわかっているわけですね。
 そうなると、やはりこれは制度上に、再三言いますように、問題があるんじゃないか。同時に、あくまで、言いますように、これは二階建てか三階建てかはわかりませんけれども、普通の年金と比べましてもやはり優遇された、しかも十二年間でもらえるとか、二重取りもできるとか、普通の年金と違うんですね。
 しかも、議員さんをされて、これは職業的な仕事で、それを保障するということになっているかどうかわかりませんけれども、欧米の議員さん、地方議員の場合はほとんどボランティアですから、こういう制度は出てくるわけないんですよね。そういう、いずれ日本の政治構造も地方の民主主義の内容も変わってきますから、当然それは将来はどんどん変質してくる。それが、もう二十年も先のことを想定しながらここで改正しているわけです。しかもその二十年後も危なくなる。しかも、ベースである地方の行政のシステムやら政治のあり方やら、多分、議員さんの選ばれ方、また議員さんのなり手の発想も変わってくる。
 そういうところで、いつまでもこのまま置いておいていいんだろうか、これが大きな今回の、やはりそういう受けとめ方をすべきだということになりますと、特に税金、これだけたくさんの倒産があり、失業者があり、ことしは倒産は、一月、二月は歴史上ない大きな倒産の数、史上最高です。金額もそうです。中小企業はことしは十万件つぶれるんじゃないか、そういう日本の社会構造、経済構造の中で、こういう公金をまたふやしていく、しかもこの制度の基本を根本的に考えないでやっていくということは、どう見ても国民の側から見た場合に問題があるというふうに私は思うんですね。
 ですから、これは少なくとも、今いただいている方々も普通の年金者と違うわけでありますから、きちんと説得をして、そして少しでも公金の投入を避けていく。むしろこの財産権の問題は、総務省が裁判を受ける可能性がある、だからなるべくならばそれは避けておいた方がいいだろう、そういう役人さんの保全とか身を守るとか、私はそういう感じに見えてしようがない。国民から見たらこんなふざけた話はないのでありますから、その辺はもう一度、これは国だけじゃありません、地方議会もあるいは国会もこういう問題を真剣に考えなきゃならないと私は思っておりますけれども、その辺、大臣、基本的にどうでしょうか。
片山国務大臣 なかなか難しいところなんですね、いやいや、本当に。この財産権の問題は、一つの既得権になるんですね。
 そこで、法制論としていろいろある。どんなことがあっても断じてやる、訴訟も受けて立つというところまで決意を固めれば、それはそういうことがあったのかもしれません、最初の案はやはり一割カットだったんだから。しかし、そうはしなくても、みんなで掛金を上げて給付を下げれば、どうにか二十年以上はもつではないかと。それは、そこまで今の受給者の方々に迷惑をかけなくてもというぎりぎりのところだったろうと私は思うんです。
 しかし、委員も御指摘のように、この制度の性格をどういう性格かしっかり位置づけて、その上でいろいろな仕組みを考え直すということが今後必要になる、こういう気がしておりますね。国会議員さんの方も歳費は一割カットされますね。そういういろいろなこともありますし、御指摘は十分承って、今後の参考にいたしたいと思います。
松崎委員 それで、抜本的なことはこれから真剣に、地方も国会も含めて、あるいは総務省も含めてやるべきだと思います。
 当面の形としてよく出てくるのは、これは横浜の例ですけれども、市議会三期やって県会三期やって移っていく、そうすると両方もらえる。これでいきますと、ダブルで、神奈川県議会と横浜市議会の、これはかなりお高いんでしょうけれども、年額が四百九十六万円ももらえる。ここで国会議員十年やりますとえらい金額になるんですけれども、そういう方がいるかどうかわかりません。
 こういうことを見ていると、どうも変じゃないか、三つの地方の共済を統合していったらどうか、そんな案もあるんですよ。私は、二十年後を目指しながら、恐らく将来的にはなくなるものだと思うんですね。恐らく、さっき言ったように政治の構造やら何やらが変わりますから、なくなっていくんでしょうけれども、そこへ向かって、いろいろな工夫の中で、三共済の統合ということも一つのパターンじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
若松副大臣 松崎委員が最初から御指摘されておりました日本の地方議員のいわゆる報酬のあり方、確かに諸外国、特に欧米系を見ますと、かなりボランティアが多いのも事実でございます。日本の場合には、戦後、地方制度確立のために、地方議員の方で、特に町村議員ですけれども、現実には大変、彼らが生活するという観点からは極めて厳しい報酬の中でやる、そういう意味の、現在の町村議員の不満もあるのも事実でございます。
 ですから、これはやはり議論があるわけでありまして、非常に、指摘としては私どもこれからも検討させていただきたいし、それはそれぞれの自治体において、ぜひとも住民を巻き込んだ議論をしていただければと考えております。
 その上で、今後どうなるかという御指摘でありますが、先ほど大臣も申し上げましたが、とにかく今回の改正をしていただければ二十年間とりあえずもつわけでありますが、現在、総務省としては、与党が志向されたいわゆる千自治体への市町村合併の推進、こういったことを考えますと、一方、合併特例法が平成十七年の三月までで切れます。
 そこで、年金の金額また制度につきまして四年ごとに今財政再計算を行っておりまして、ちょうど平成十八年がその財政再計算のときであります。私は、この三年の間に、負担率の引き上げとか、もしくは先ほどの、いわゆる都道府県、市議会、町村、この三つの共済会の統合とか、そういった財政単位の一元化等の議論も必要になってくるんではないか、そういうことを考えておりまして、総務省としては、そのときに応じて適切に対処してまいりたいと考えております。
松崎委員 時間ですから。
 ぜひ御検討いただきたい。そして、これは、聖域をつくってはいけないという小泉さんの聖域なき改革に入るように、既得権者の皆さんもやはり検討すべきだと私はお願いを申し上げまして、終わりといたします。ありがとうございました。
平林委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 三月十九日、当委員会でも、大臣と、政治と国会のあり方、そして首長さんの政治倫理のあり方について御論議をさせていただきました。今週の月曜日、大臣は私たちの同僚議員と、首長は特別職ですけれども、退職金の問題も決算委員会で御議論なさっています。
 今、いろいろな意味で、政治と金の問題、政と官のあり方、いろいろな形で議論をされております。三月の十九日にお話ししましたが、前徳島県知事が収賄罪で起訴をされ、十五日付で辞職をされております。
 まず冒頭、大臣、月曜日の同僚議員との関係もありますが、前徳島県知事の退職金、収賄罪ということですが、どんな形で退職を具体的に法律制度上されて、そして具体的に退職金額はどのくらい払われているのか、お答えを願います。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 前徳島県知事の退職の位置づけにつきましては、地方自治法第百四十五条に基づき、議長に退職の申し出をなし、議会の同意により退職したものと承知しております。
 退職手当の額でございますが、一期目及び二期目の退職金がそれぞれ五千九十六万円、これは平成九年と平成十三年の十月に支給されておりますが、合計一億百九十二万円支給されております。
 なお、既に支給された退職手当につきましては、禁錮以上の刑が確定した場合には、条例上は返納させることができることとなっているものと承知をしております。
後藤(斎)委員 月曜日の議論でも、大臣は私たちの同僚議員にお答えをしていただいておりますが、昭和五十四年に、特別職の退職手当についても議会の審議等を通じ、住民の十分な理解と支持が得られるものとすべきであることという、公務員部長の各知事への通達がございます。
 大臣、今の金額をお伺いして、大臣は地方自治に大変長い、そして今は大臣というお立場の中で、収賄罪ということで、過去にもさかのぼってこれは適用されるのかどうかというのはまた別の話かもしれませんが、率直な御感想を受けたいと思います。
片山国務大臣 正直言って少し高いですね。これは、それぞれが地方自治の建前で、条例で決めるようになっております。
 ただ、我々は、しっかり県民の皆さんに、知事さんの場合には、徳島県の場合には、納得ができる額にしてほしいということをかねがね言っておりますし、報酬の方は特別職報酬審議会、ここで議論していただくようにしているんですが、退職手当はその対象にしておりませんので、今後、状況を見ながら、いろいろ検討する問題があるなと思っております。
後藤(斎)委員 もう一点。これに関連しまして、四月四日付の徳島新聞では、前知事から昨年の知事選の直前に、選挙費用として百万円から二十数万円、与党十一人授受を認める、明確な授受を認めるということが記載をされております。
 警察庁にお尋ねをしたいと思います。
 こういう記事が出て、なかなかお答えが難しいかもしれませんが、報道という中ですが、こういう事実確認をされており、そして、県警がもちろんこれから具体的にどうこうということだと思いますが、こういうふうに明確にマスコミが報道されていて、これについて警察庁として今後どのような形で捜査及び対応をするのか。
 今大臣がお答えになったように、国民感情というものを考えれば、いろいろな形で、今私たちの国会も大揺れに揺れ、法に抵触しているかしていないかはまた別としても、議員辞職をされた方もこの一カ月でお二人いらっしゃいます。いろいろな意味で、政治と金、政と官、地方自治のあり方が問われているときに、そういうものも含めて、警察庁はどのようにこれから対応なさるのか、きちっとした答弁をお願いしたいと思います。
吉村政府参考人 委員御指摘の報道がなされたことについては承知をしております。ただ、個別具体的な事案にどのように警察として対応していくのかということにつきましては、恐縮ですが、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 もちろん、一般論でございますけれども、刑罰法令と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべき事実があれば、厳正に対処するのは当然のことでございます。
後藤(斎)委員 大臣、もう本当にこういう話はなくして、本当にこれから国民のため、国のため、そして地方のための議論をもっとしたいと思うんです。ただ、こういう大きな事件、これは象徴的なことかもしれませんが、やはり、何が問題で、これからどの部分を改正していけば、国民から、そして有権者から支持をされる公職選挙法や政治資金規正法にしていかなければいけないと私は思います。
 この記事の中でも、三月十九日にも指摘をしましたが、政治資金規正法の問題、要するに、この方たちがきちっと収支報告に対応していれば、問題は全くなかったはずであります。
 そして、公職選挙法については、また別の議論ですが、金品の授受ということに御本人たちがどういうふうなお気持ちで対応なされたか、そこはわかりませんが、やはり根本的に、アメリカは公職選挙法、選挙の活動というのは原則自由、例外規制であります。例えばそういうもので、上限を規制していくというもので限りなく自由度を高めて、ただ、買収とか実行犯については厳正に対処する。いろいろな形、考え方があるはずです。
 政治資金規正法にも、前回も御議論をさせていただきましたが、三十一条の監督上の措置ということで、当該収支報告書を提出した者に対し、大臣並びに選挙管理委員会は、説明を求め、当該報告書の訂正を命ずることができるという規定があります。
 この件については、大臣のお立場からはなかなか難しいかもしれませんが、時間もありませんので、ぜひ大臣、今前半にお話をした、抜本的に公職選挙法や政治資金規正法を考えていく、改正していく。それと、今回の事案について大臣は、監督上の命令ができる、収支報告の訂正を求めていくつもりがあるのか、直接介入できないのであれば、県の選管に対してそういう指導ないし指示をするおつもりがあるのか。まとめてお答えを願いたいと思います。
片山国務大臣 徳島県の事案につきましては、警察の方からお話がありましたように、個別具体の事由が定かでなければということで、コメントは差し控えさせていただきますが、一般論として、我々は、地方分権を進める、地方の税財政基盤を充実したい、こういうことですから、こういう問題が起こることは大変遺憾だと思います。そういう意味では、特に知事さんや市町村長さんの首長さんは大統領ですから、制度が大統領制ですから、いやが上にもクリーンで、やはり地方も自浄システムというものをしっかり考えていただく必要があるのではなかろうか、こう思っております。
 そこで、政治資金規正法の今のお話ですけれども、これは伝統的に、総務大臣や選挙管理委員会は、形式審査権はあるけれども、実質審査権はない。これは、受け取ったものを発表して、公表して、公にすることによって国民の御批判、御議論を待とう、こういう制度の仕組みですから、ここをどう変えるかということになれば、ひとつ各党各会派で十分な御議論の上、御方針を出していただく必要があるのではなかろうか、こう思っております。
後藤(斎)委員 先ほどもお話をしましたように、三月十九日の全体の首長さんへの倫理条例の制定の検討、そして四月八日にお約束をしていただいた、十分に検討に値すると言われた特別職の首長さんの退職金等の問題。これは全部ひっくるめて、先ほどもお話しして、大臣もお気持ちの中にはかなりあると思いますが、そこをぜひ徹底的にこれから御議論をしていく、場合によったら第三者機関をきちっとつくって、政治に直接関与していないいろいろな有識者の人にも聞くというようなことをぜひ積極的に対応していただきたいと思いますが、一言だけその御決意をお伺いします。
片山国務大臣 今までもいろいろな御指摘をいただいておりますので、ひとつ我々としては前広に、いろいろな研究をさせていただきたいと思っております。
後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございます。
平林委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 今回の地方議会議員の年金制度の改正につきまして質問をさせていただきます。
 この制度は、昭和三十六年、地方議会議員互助年金法の制定からスタートして、翌年に地方公務員共済組合法に統合されて今日に至っておるわけでございます。今日までの間、何回となく改正がなされておりますが、特に今回の改正につきましては、相当の状況変化、年金財政をめぐる状況が極めて悪化をしてきた、こういうことでございます。受給者がどんどんふえる、その受給者は高齢化いたしまして、そういった意味でのまさに成熟度が高まってきている。そうなれば当然、掛金を上げる、あるいは給付を下げる、こういった財源率に対しての見直し、これは一定いたし方ないものと我々も認識をしております。
 ただ、この地方議員の共済年金制度というのは、国会議員の我々と違いまして、退職金制度という位置づけではなくて、むしろ永年在職した議員あるいはその遺族の方の生活の安定に資する年金制度、こういう性格を持っている以上は、我々国会議員とまた全く違った意味合いの中で論じられなければならない、このように思っております。生活の安定に資する年金制度である以上は、一方である程度の痛みを伴っていくということは、公的年金制度もさることながら、この議員共済年金制度も、そういった仕組みがある以上は、一方でやむを得ないかなと思っております。
 ただ、地方議員の皆さんにとっては、今現職でいる人、これから選挙へ打って出て議員になろうという方にとっても、この制度は極めて関心のあるところでございます。
 そこで、この痛みを伴う今回の改正が、検討会をつくられて今日まで検討され、そして今回の提案に至ったわけでありますが、どのように地方議員の皆さんの声をお聞きになってこの改正案に盛り込まれたのか、この辺の経過についてまずお伺いをしたいと思います。
若松副大臣 この地方議員の共済年金の制度改正でありますが、地方議会議員年金制度検討会、これが、都道府県議会、市議会、町村議会、そういった方々の代表、さらに学識経験者等を含めて、もう一昨年から何度か検討会がなされまして、そして地方議会議員の代表の皆様の意見も伺いながら、議員の収入面、給付面等いろいろな観点から対応策を検討いたしまして、そして、これはとっていこう、これは無理であろう、そんな整理をしながら、平成十四年の二月に報告を取りまとめて、総務省としてはこの検討会の報告を踏まえて制度改正案を作成したところでございます。
 また、共済会におきましても、三つあるわけでありますが、この共済会の置かれている厳しい年金財政の状況や制度改正の必要性、制度改正案の内容等につきまして、共済会の代議員会に報告をさせていただきました。そして、地方議会議員にもその改正案の周知をしていただいて、かつ意見も伺う等、私どもはかなり丁寧に検討会を通じてこの共済年金の制度改正について議論をしてきたと認識しております。
 したがいまして、今回の地方議会議員年金制度の改正案につきましてでありますが、地方議会議員の意見を十分賜った上で作成したものでありまして、私どもは、いろいろと意見があることは承知しておりますが、おおむね地方議員の皆様の理解は得られたものではないかと理解しております。
山名委員 年金財政が極めて悪化してきたいろいろな要因があろうかと思います。制度設計上の根本的な要因というもの、これは当然あるわけでありますが、近年の経済状況といいますか、いろいろな状況変化の中で、その年金財政圧迫の大きな一因になっているのは、いわゆる共済年金の運用利回り、この問題が一方であるのではないかと。財政再計算における予定利回り四%を大きく下回っておりまして、そういった意味での収入不足、これが財政圧迫の拡大の大きな一因であろうと思っております。
 そこで、その現状と今後の積立金の運用利回りの見通し等についてお教えをいただきたいと思います。
荒木政府参考人 各共済会の積立金につきましては、預金のほか、国債、地方債、社債などの有価証券、生命保険等で運用をしているところでございますが、運用環境の悪化等により、平成十二年度の運用実績は、都道府県議会議員共済会が三・〇二%、市議会議員共済会が三・〇二%、町村議会議員共済会が一・三二%となっております。
 今後の運用利回りの見通しでございますが、このような状況を勘案いたしまして、都道府県で三・〇%、市で二・〇%、町村で一・五%と見込んだところでございます。
山名委員 この運用利回りについては、今後とも的確な判断のもとに資金運用ができるように、ひとつ御努力をいただきたいと思っております。
 ところで、今、総務省が進めております地方分権、とりたてて市町村合併、これが大変、特例法の終わりをにらみながら、それぞれ全国の市町村で市町村合併の波が高まっております。そうなりますと、市町村合併による議員数の減少、これは当然出てくるわけでありますし、そうなりますと給付等の問題も絡んでくる。今回の改正案によりますと、今回の改正でほぼ平成三十五年までは大丈夫だ、こういうことだそうでありますが、今後、市町村合併が進んでいきますと、そういう意味ではますます年金財政が厳しくなることは必至であります。
 市町村合併を今後進める上で、この年金財政に対してはどういうような事態になるのか、当然そういった意味での試算があるかと思っているんですが、積立金の枯渇時期、この予想等、いかがでしょうか。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 市町村合併の議員年金財政への影響でございますが、今後の全体の市町村数が合併の進展によってどうなっていくか、これを見きわめるのが大変難しゅうございます。また、市、町村の区分がどうなるか、いつの時点で合併がされるか、あるいはどのようなペースで進んでいくか、こういった前提条件のとり方いかんによりまして、年金財政への影響額は大きく異なってくるところから、試算を行うのはなかなか難しいというのが率直なところでございます。
 しかしながら、仮に、これはあくまでも机上の、あらあらの試算ということになりますが、市町村数が一千程度になった場合、今後二十年間で、一定のペースで、しかも市町村の割合が、市と町村の数の割合等一定の前提を置きまして試算してみますと、町村議会議員共済会は財政規模が縮小するということにとどまりますが、市議会議員共済会につきましては、今回の制度改正を行いましてもかなり厳しい状況になりまして、これから十五年後ぐらいには恐らく基金が枯渇するような状況に立ち至るのではないかと見込んでいるところでございます。
山名委員 では、その場合、どの時点でどういった見直しをするのか、ここのところのものがもう少し見えてこないと、ある面で市町村合併の進展を阻害する要因にもなるんじゃないかと思っているんですね。やはり安心をするという意味からも、どういった見直しを今しようと考えているのか、これについて現時点における考え方を聞かせてください。
若松副大臣 市町村合併が進むことによりまして議員数が減少すると、そこで当然掛金が少なくなるわけでありますので、議員年金の財政が厳しくなるという委員の御懸念につきまして、今回の制度改正に当たりましては、先ほど公務員部長からも一つの雑駁な数字というものを提示いたしました。
 先ほども、おおむね過去十年間の議員数の推移というものを算定して年金財政の試算を行ったわけでありますが、今後、市町村合併が進展して、今回の制度改正の前提条件以上に会員が、議員の数が減少した場合には、当然年金財政が当初の見込みよりも厳しくなる。
 こういうことで、先ほども松崎委員からも同様の御質問がございましたが、年金の財政再計算は四年ごとに行われておりまして、次回の財政再計算の計算を行うのは平成十八年度であります。ですから、その十八年度のいわゆる開始の前の平成十七年三月、ここまでに、合併特例法というのが、そういう法律が施行されるわけでありまして、それをもとに急速な合併が行われるわけでありますが、その合併特例法のいわゆる法の効力が失効した平成十八年度、このときにおきまして、先ほどの財政再計算、単なる従来型の財政再計算だけではなくて、負担金率の大幅な引き上げとか財源率の見直しとか、また三共済会の統合を含む財政単位の一元化等、かなりの抜本的な施策、いわゆる改正案というものを議論するのではないか、またそのような必要性が出てくるのではないかと私どもは考えているところでございます。
山名委員 今若松副大臣から御答弁いただいたわけでございますが、当然、市町村合併が進展すると、いわゆる統合されるわけですから、今三共済会がそれぞれ独自性を持って運用されている、こういったものは今は実質的には崩れつつあるわけですよね。
 そういう点では、今最後にお述べになったいわゆる三共済会の統合、財政の一元化といいますか、こういったものは、私は、もう避けて通れない、ある面では大きなテーマじゃないか。都道府県共済会あるいは市議会共済会、町村議会議員共済会、この三つの共済会それぞれが、成り立ちが違い、また実情が違う中で、それなりの困難さも当然出てくると思いますが、将来の年金財政の安定化、そして何よりも地方議員の皆さんの生活の安心、安全といいますか、こういったものを考えたとき、やはりこの制度は今後とも継承し、発展させていかなきゃならない。やはり、こういう中での三共済会の統合については、もう少し力を入れて今から取り組む必要があるんじゃないか、こういうふうに考えておりますが、大臣、いかがでしょう。
片山国務大臣 この統合の問題は、今、山名委員が言われましたように、生まれも育ちも体質も違うんですよね。
 とにかく、特に財政状況が、体質がみんな悪くなってきましたから、今回は体質強化、財政安定化、こういうことでやりましたけれども、お話しのように、やはり市町村合併が進みますと、恐らく、町村議会の議員さんが減ってきて、市議会の議員さんがふえていくということになるでしょうね。しかし、総数はかなり減ってくる。こういう状況になりますから、いつまでも今のような三本立てがいいのかどうか、これは十分研究する必要があると思いますし、そういうことで、合併の方の法律にもそういうことは何らか考えなきゃいかぬという規定も置いておりますし、ぜひ、今後の検討課題として十分承って、我々もいろいろな対応を考えてまいりたいと思っております。
山名委員 もう時間がありませんので最後の質問になりますが、私はこの地方議員の共済年金制度、今回の改正をいろいろと見てきまして、今後のいろいろな経済状況、あるいはいろいろな市町村合併等の進展の中でまた大きく揺らいでいく、そのたびごとに地方議員の皆さんは不安に思いながら議会活動をしなきゃならない。こういった事態がいつまでも繰り返されることはいかがなものかと基本的に思っております。
 そもそも論として、この制度のスタートからのことを考えれば、これは議員立法で我々国会が決めたことですから、当然、国会が責任持って地方議員の皆さんのそういういわば年金制度も面倒を見る、あるいはいろいろな形でアドバイスする。こういうことは、地方の時代といって、大臣も二十一世紀は地方の時代だ、こうおっしゃっているわけでありますから、やはり、それぞれの地方が、地方議員の皆さんが三共済会統合も含めて独自のお考えで運用していく、それなりの工夫をしながらみずからの自助努力でこの制度のまた一層の発展も期していく、こういったことも、もうそろそろ独立した形のものを考えていった方がいいのではないか。
 我々国会議員が議員立法という形でつくったといういきさつ、経過は当然ありますけれども、こういった地方分権の時代、地方の皆さんの行き方についてはそれぞれの皆さんにゆだねる、こういったことで、まさにこれは抜本的な改革になりますけれども、そういったことも私はもう視野に入れていいのではないかと個人的に思っているんですよ。
 そこで、大臣の御答弁をお伺いしまして、終わりたいと思います。
片山国務大臣 これは、四十年の歴史を持った制度になっていますよね。
 そこで、今、地方が共同で、こういう特別の公益法人というんですか、特殊法人というのか、そういうものをつくる制度がないんですよ、今の制度では。だから、それぞれが条例で個別にやったら、こんなもの成り立ちませんからね。
 そこで、地方共同公益法人制度、地方独立行政法人制度、今いろいろな御提案がありますので、そういうものを制度化するかどうかを今後は考えたいと思うんですよ。もしそういう制度化ができれば、どうぞ地方で、共同でやっていただくのが一番適したことだと私は思っております。
山名委員 ぜひ今後の大きなテーマとして、私たちも考えますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 特定の課題の法案でありますので、これまでの質疑で重複するところもありますけれども、通告に従い質問いたしますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 ちなみに、私は地方公務員十八年でありまして、県議会議員五年でありまして、どうも継続していないんですね。どれも年金からは遠ざかっておるといいますか。実は、最も大事な問題と思っております。
 さて、地方議会議員年金は、地方議会議員が報酬の中から掛金を共済会に納付し、また地方公共団体も公的な負担をするという仕組みになっております。そういう意味では、公的年金と近いものがあると思っております。
 また一方、御案内のとおり、我が国では公的年金が国民皆年金という形で定着しておりまして、地方議会議員だけの方は国民年金、サラリーマンをしながら地方議会議員をされた方は厚生年金と併給ができるようになっております。いわば公的年金に上乗せされて支給されるということで、特殊な年金ということも言えると思います。
 また、給付の設計も常勤の地方公務員と比べると大きく異なっておりまして、常勤の公務員は、公的年金の一環として、二十五年在職しないと受給資格が得られないのに対しまして、地方議会議員年金は、三期十二年で受給資格を得ることができるわけであります。また、年金額の算定方法も、常勤の地方公務員の年金は在職年数に比例して算定されるのに対しまして、地方議会議員年金は十二年在職すると標準報酬年額の百五十分の五十、すなわち三分の一が年金額として保障されるというところであります。そしてまた、三期十二年という年金受給資格を満たすことができなかった者に対しては、一時金という形で掛金の一部が払い戻しされるということになっております。これも公的年金にはない特徴であると思っております。
 それで、地方議会議員年金の経緯を調べてみますと、昭和三十六年に任意加入の互助年金制度として発足し、昭和三十七年には常勤の地方公務員の年金制度を定める地方公務員共済組合法に統合されまして、強制加入の制度となっております。
 また、この年金制度の評価についても、議員をやめたら生活手段のなくなる地方議会議員にとっては、将来の生活の不安なしに議員活動に専念される、そういうことで評価がある一方で、公的年金に上乗せして支給される制度であり、任意加入の制度にして公費負担をなくすべきであるという意見もあります。
 そしてまた、就業構造の変化、あるいはまた年金制度の成熟化の進展等に対応しまして、公的年金制度の安定化と公平化を図るために、今後、さらに公的年金制度の一元化、これを推進すべく、昨年三月、閣議決定がなされたところでもあります。
 そこで、質問であります。
 そもそもこの地方議会議員年金は、昭和三十六年の制度発足当時、名誉的なものか、あるいはまた慰労金的なものか、そしてまた生活給的なものか、どのような性格のものとして発足したのでしょうか。そしてまた、現在はどのような性格に位置づけられておるのか、総務大臣の見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 この制度は、今お話しのように議員立法ですよね。地方議会議員互助年金法という名前だったんですね。名前のとおり、互助年金だったんですよ。それで、それは任意加入でしたし、会員の掛金のみで運営されている、こういうことで、互助年金だと私は理解すべきだと思います。
 しかし、その後、制度改正がありまして、強制加入になって、公的負担が入るようになりました。そうなると、公的な年金だという性格が加わったんですね。ただしかし、それでは、国民年金や厚生年金等の公的年金とはこれはまた違いますよね、給付の設計が異なり、あるいは公的年金との重複適用も認められるんですから。そういう意味では、公的な互助年金なんですよ。公的性格を持つ互助年金、こう言うのが一番正確なのではなかろうかと私は思っております。
黄川田委員 今でもその性格を維持しているということでありますね。
 先ほど来、地方議会議員共済会の仕組みにつきましては、都道府県議会議員は都道府県議会議員共済会、そしてまた市議会議員と東京都の特別区の区議会議員は市議会議員共済会、そして町村議会議員は町村議会議員共済会の三組合がそれぞれ独立して運営、年金給付を行っているということでございます。
 しかしながら、各共済会も年金財政が非常に厳しく、都道府県、市、町村、いずれも共済会は近年赤字でありまして、積立金を取り崩しながら年金給付を行っているというのが実態であります。このままでいくと、お話しのとおり、平成十九年度には町村議会議員共済会、平成二十四年度には都道府県議会議員共済会と市議会議員共済会の積立金が枯渇してしまい、年金給付ができなくなるということであります。
 そこでまず、この地方議会議員年金がなぜこのような財政状況になったのでしょうか。そしてまた、最近の積立金の運用環境、ますます厳しい中でありまして、この積立金の運用でありますけれども、何か最近新しい工夫でもしているのか、これもあわせてお伺いいたしたいと思います。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 地方議会議員年金の財政悪化の原因でございますが、まず制度設計上の問題といたしまして、給付設計は在職十二年で標準報酬年額の三分の一が年金として給付されるという手厚いものとなっておる一方で、収入構造は公的年金と類似した方式をとっておりまして、収支のバランスを図る上で不安定な構造となっていることがまず第一に指摘できるかと思います。
 また、近年の要因といたしまして、地方議員の数の減少、それから高齢化の進展に伴う年金受給期間の延び、運用利回りの低下等が挙げられるかと思います。
 なお、積立金の運用につきましては、昨今の低金利情勢に加え、積立金自体が減少傾向にあることから厳しい状況にあるわけでございますが、各共済会におきましては、安全性に十分配慮をした上で、債券運用を中心に効率的な運用に努めているところでございます。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
黄川田委員 それで、この地方議会議員年金は法律に基づく年金制度でありまして、その破綻をぜひとも防ぐという立場から、そういう観点から改正案を見ますと、過去において、地方議会議員年金の財政状況が厳しくなったときには、年金算定基礎率を含めて給付水準を引き下げたということは初めてでありまして、地方議会議員にとっては痛みを伴うものであると思っております。しかしながら、また一方、これは時代の要請でもあると言えるかもしれません。
 そこで、今回、地方議会議員年金制度の改正案を取りまとめた経緯でありますとか、そしてまたその基本的な考え方について、改めて大臣にお尋ねいたしたいと思います。
若松副大臣 これも先ほど何人かの委員からも御質問がありましたが、地方議会議員年金の財政状況でありますが、大変厳しい状況ということで、平成十二年の十二月に、地方議会議員の代表、いわゆる全国議長会の会長さん、学識経験者、大学教授の方、新聞社の方、また旧自治省、現総務省でありますが、その関係者等から成ります地方議会議員年金制度検討会、これを発足させ、対応策を検討してまいりました。
 検討会では、収入面、給付面にわたります対応策の中から、いわゆる採用すべきものを検討して、ことしの二月に報告を取りまとめた次第でございます。
 今回の改正案でございますが、検討会報告を踏まえまして、地方議会議員年金制度の長期的安定化を図ることを目的といたしまして、退職年金、退職一時金等の給付水準を原則二割引き下げるという給付面における見直しを行いまして、さらに、収入面につきましては、会員の掛金率、特別掛金率の引き上げ、地方公共団体の負担金率の引き上げを行うことといたした次第でございます。
黄川田委員 先ほど来、地方議会議員年金制度検討会ですか、この中で関係者の意見を伺いながら改正案をまとめたということでありますけれども、給付水準の引き下げ、掛金率の引き上げ、いろいろと議論したということであります。地方六団体の中の議長会ですか、そういう方々の代表ということでありますので、地方議会議員にとって痛みを分けるその内容、理解されたというふうに、先ほど来質問がありましたら、理解されるのではないかということで、副大臣もお話しされましたけれども、そのほか一般的な議員からのお話を聞くとか、議長会という形の、前おった方とか、そういう方もおられるんでしょうけれども、何かいろいろ別な面からも資料等を取り寄せたり、何かそういうものを求めて結果を出したといいますか、議員に理解されるような仕組みにしたというふうなことをちょっとお尋ねいたします。
若松副大臣 ちょうど私が副大臣に就任する前の昨年、御存じのように公明党というのは地方議員が大変多い政党でありまして、私もそのプロジェクトのメンバーで議論をいたしまして、そして地方議会の代表の方も議論に参加していただいて、さまざまな御意見をいただきました。
 そのときに、やはりこれだけ経済が厳しい、景気低迷ということで、率直に申し上げまして、地方議員の生活環境もかなり悪化しております。そういう状況での大変厳しい共済年金制度の改正ということで、地方議員の方のかなり不安を訴える意見が続出いたしました。
 しかし、そういう状況でありましたが、公務員部の方も参加していただいて、いかに今の国または地方の財政も厳しいか、さらにはこの年金積立金のいわゆる枯渇化が大変深刻か、また、先ほどの市町村合併等々を考慮いたしますと、この検討会で一つの結論として出していただいたものが大変苦渋の御理解をいただいたわけでありますが、大方、地方議員の方には理解をいただいた、こんな経緯がございまして、今日に至るまで、私は、先ほどの三地方団体を初めとする関係各位の地方議員の皆様方への説明等は本当に丁寧にされてきたのではないか、そのように理解しているところでございます。
黄川田委員 先ほど来議論のある市町村合併において、議員数が減っていくというところでちょっと私もお話をさせていただきますと、近年の地方議会議員数を見ますと、市町村合併や条例による定数の削減によりまして減少傾向にあります。例えば、昭和五十年度と比べてみますと、都道府県議会議員はほぼ横ばいでありますか、しかしながら、市議会議員は約二千人、町村議会議員は八千人以上減少しております。地方議会議員数が減少するということは、年金財政の支え手である現役世代が減少するということでありまして、年金財政にとっては厳しい状況になることが見込まれるわけであります。
 そこで、今回の改正では、合併等々はまた別にしてという話でありまして、お聞きしますと、平成十八年度ですか、見直しをかけながら対応していくというふうな形でありますけれども、政府は市町村合併を推進しておる、また一方で、合併が進めば進むほど地方議会議員の年金財政は厳しくなるという、皮肉な結果といいますか、そういうことになっているのではないかと思っております。
 そこで、合併が進展すれば、これまでの収支見通しの平成三十五年までもたないというふうな感じになるわけなんでありますけれども、平成十八年度の見直し等も含め、前提条件を上回って市町村合併が進展し、そして制度の見直しが避けられないというふうな形になれば、その対応はどのように持っていく所存でしょうか。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
荒木政府参考人 お答えいたします。
 政府におきましては、平成十二年十二月の閣議決定をいたしました行政改革大綱にのっとりまして、市町村合併後の自治体数を一千を目標とするという方針を踏まえまして、市町村合併特例法の期限であります平成十七年三月までに十分な成果が上げられるよう、内閣に市町村合併支援本部を設置して、市町村合併を強力に推進しているところでございます。
 議員御指摘のように、市町村合併が進みますと、議員数が減少することから、地方議会議員年金の財政はさらに厳しくなるものと見込まれるところでございます。しかしながら、今回の制度改正に当たりましては、今後の市町村合併の進展を確たる数値として見込むことは困難であったことから、議員数につきましては、おおむね過去十年間のトレンドに基づいて年金財政の試算を行ったところでございます。
 したがいまして、これを上回る市町村合併の影響につきましては、御指摘のように、四年ごとに行われる財政再計算におきまして、合併の進捗状況を踏まえて、今回の措置とは別途の措置を講じてまいりたいと考えております。
黄川田委員 いずれ、地方公務員の年金、あるいは特別職の議員の年金、一般国民の年金、いろいろとこれから議論していかなきゃいけないと思っております。二十年後もつかもたないか、それもありますけれども、年金自体のあり方をもっと議論したいと思います。
 時間でありますので終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 法案の内容の議論に入る前に、きょうは、徳島県の例が出て恐縮ですが、一昨年末に発覚した徳島県阿南市の野村市長による共済組合法違反、不正蓄財事件の問題について、総務省の見解を聞いておきたいと思います。
 阿南市の野村市長は、自分が長い間徳島県市町村職員共済組合の理事長の職についておりまして、その職を利用いたしまして、組合員でない知人のために、組合員の名義を借りて蓄財をふやしました。そしてその知人に便宜を図っていたことが発覚をいたしまして、政治資金収支報告の虚偽報告も明らかになりました。四億四千万円が知人のお金で、知人に六年間で五千四百三十万円という大変な利息を与える、こういう事件でありました。
 そこで、お聞きをしておきたいんですが、にもかかわらず共済組合が返還を求めていないことから、不当な利益を得たままに今なっているわけであります。共済組合に被害が及んだわけですので、これは私は共済組合に返還されるべきものだというように考えるわけですが、総務省の見解を、まずこの点、聞いておきたいと思うのです。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 徳島県市町村職員共済組合の貯金事業の対象は、その貯金規程で組合員とされております。このことから、組合員以外の者の金を受け入れることは、同組合の貯金規程に違反するものと考えられます。
 総務省としましては、今後このような事態が起きないように、徳島県市町村職員共済組合並びに他の市町村職員共済組合に対しまして、貯金事業の適正な運営を行うよう指導を徹底したところでございます。
 なお、利息の返還につきましては、徳島県市町村職員共済組合に確認いたしましたところ、組合に損害が発生していないことから、返還を求めていくことは困難ではないかということで伺っております。
春名委員 組合に損害が与えられていないということではないと思うのですね。私の見解では五千四百三十万円実際利得を得ているということですので、これは承服はできないのですが。
 次に、その知人は、市長の選挙区阿南市の有権者の方でした。その人物に五千四百万円以上超える利得を与えるということになりました。率直に見解を聞いておきたいんですが、公職選挙法百九十九条の二、公職の候補者などの寄附行為の禁止、これにこの行為は私は抵触するのではないかと考えられますが、この点での御見解をお願いしたいと思います。
大竹政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘ございました公職選挙法の百九十九条の二第一項におきましては、公職の候補者等、これにつきましては現職の人も含むわけでございますけれども、「公職の候補者等は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。」と規定しているところでございます。
 個別具体の事案におきまして、この本条の規定に違反するかどうかにつきましては、具体の行為の実態に照らしまして判断すべきものと考えております。
春名委員 判断を避けられているわけなんですが、いろいろな政治家、公職にある者の大きな腐敗の問題がこれだけ大きな議論になっている、とりわけきょうは共済組合法の議論ですので、その理事長の地位を利用した非常に悪質なこういう事件について、関連しておりますので取り上げたわけであります。
 総務大臣、法律の所管責任者として、この事件をどうごらんになっているか、また再発防止をどうされるか、その点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
片山国務大臣 私は、事実関係は全く知らないんですね。あなたの、委員の質問で若干いろいろと知ったぐらいでございまして、もう少し状況を正確に把握して、我々としてやることがあるのならやる、こういうことだと思います。
春名委員 では次に、改正案の問題について議論を進めていきたいと思います。
 当面の地方議員の年金の破綻を回避するというのが今度の改正案の趣旨だろうと思います。同時に、先ほどから議論になっておりますように、当面の破綻を回避できても、その先安定して運営していくためには、そもそも地方議員年金制度をどういう性格の年金にしていくのかという大もとの議論が、また方針が必要であろうかと思います。その角度から何点かお聞きをしておきます。
 三つの議員の共済の代表者と旧自治省の合同の研究会報告ですけれども、そこの中では、給付方式については国会議員の互助年金制度と類似の方法を採用しながら、財政方式については公的年金制度と類似した方式を採用するというこの制度は、もともと収支のバランスを図る上で不安定な構造になっているということを指摘しております。先ほど御答弁もありました。同時に、今回の対策は抜本的対応策の方向性を示したものになっている、こういうことになっております。抜本的対応策の方向性ということだそうです。
 この改正案は、今私が述べた研究会報告と同様の立場に立って提案をされているものというふうに理解してよろしいでしょうか。
若松副大臣 今委員の御指摘でございますが、十二年九月の段階での御指摘でありますが、それ以降、先ほども申し上げましたように、検討会でさまざまな関係者の議論を得た上で、ことしの二月の報告書に、いわゆる現在の制度の基本的枠組みを維持する、こういう結論になって、給付水準の引き下げ、掛金率の引き上げ等の改正を行って、おおむね二十年後の平成三十五年度まで給付が可能なように制度改正を行ったところであります。
 しかし、この年金制度の財政が将来も安定的に運営できるように、今後、財政再計算、いわゆる四年に一回の見直し、これは必要であろうと考えておりまして、各共済会の財政状況に応じて必要な措置を講じていかなければならない、そのように考えております。
春名委員 もう一度、念のために確認しておきたいのですが、他の公的年金と類似の、同様の財政運営を行っているというのが今の特徴であるということなんですが、この制度の方向性と私が聞いたのは、二十年たった以降も基本的にはそういう制度の枠組みとして運用していくということを決められたのかなというふうに思いまして御質問しているのです。
若松副大臣 この検討会の議論の中でも、いわゆる三共済会の一元化とかいろいろな抜本的な議論もございました。ですから、当然、方向性としては、将来そんな議論が必要に応じてやはり再燃する可能性は否定できないものと理解しております。
春名委員 大臣、先ほどの同僚議員の議論の中で、この制度の仕組みの性格そのものも検討しなきゃいけない必要性が出てくるな、こういうふうにおっしゃっていたと思うのですが、この点、もう一度、どういう御認識なのか、御説明いただけますか。
片山国務大臣 今委員と若松副大臣がやりとりされていることを含めまして、もう一遍、性格づけもいろいろありますので、そういうことの検討が要るのかなと思っております。
春名委員 行革それから市町村合併の強制で、地方議員の定数の削減が激しいわけですね、先ほども出ました。もともと現行の議員数が、二〇〇〇年度で見てみると、県議が二千八百七十三人なんですね、市議が一万九千三百四十二人、町村議が三万九千五百九十四人、合計六万一千八百九名ということになっているわけです。
 一番少ない他の公的年金制度を見ても、私学共済で四十一万人なんですね。一番少ないのでも四十一万人。六万人そこそこの加入者で、将来の年金財政の運営がこのままの制度の枠組みで続けられるのかというのが根本的な問題ですね、それはもう認識は一致していると思うのです。
 つまり、基本的には、現役の議員の掛金で年金を支える、そういう枠組みで今後もずっと続けることができるということなのか、そこ自身も検討しなきゃいけないというふうに御認識されているのか、そこらあたりをお聞かせいただけますか。
若松副大臣 もう御存じのように、日本の退職金制度、これは世界のスタンダードから考えますと、どちらかというと手厚い制度になっております。その延長でこのような年金制度があるわけでありますが、基本的にこれは共済年金ということで、いわゆる会員相互がこの年金制度がどうあるべきかということを議論するのがまず第一義的と考えております。
 一方、国がいわゆる市町村合併の必要性を今各自治体に訴えながらその努力を求めておりまして、また国の大きな変化というのもあるわけであります。そういったさまざまな要因を重ね合わせて、やはりそこで大きな議論の見直しということが出てくるであろうと。そのときには、当然、総務省としてもこの共済団体等のしっかりとした議論をしなければいけない、そのように認識しております。
春名委員 つまり、現役の議員の掛金で年金を支えるという今の枠組みのあり方も含めて性格をどうするのかということも検討しなきゃいけないというふうに御認識されているのかどうかということを聞いておるわけです。
若松副大臣 端的に言うと、そのとおりだと思います。現実に、昭和五十年度ですが、このときは共済年金の会員に入っている方が七万二千百九十七人おりまして、受給者が四万三千六百五十六人、いわゆる会員数に対して六〇・五%の方が受給者と。ところが、平成十一年度末ですと会員数が六万二千三百六十一人に対して受給者が八万八千二百七十人、会員数に対して一四一・五%、いわゆる昭和五十年度と比べて二倍以上受給者が多くなっていると。当然、そういう状況を考えると、これが高齢化が進みますと、そうして市町村合併が進みますと、さらにこの比率が高くなるのではないかと。そう思いますと、委員の御懸念というのもやはり具体化することも否定できないのではないかと理解しております。
春名委員 もう一方、先ほどの松崎委員の質問とも絡むのですけれども、公費負担の割合なんですけれども、この間、一%から九・五%まで上がってきているわけですね。これは総務省の見解を聞いておきたいのですが、公費負担の上限については今の時点ではどうお考えになっているのか。他の公務員年金は大体五対五です。今、五五対四五ぐらいになっていますか。ですから、公費負担の上限はどういうふうにお考えになっているのか、また、今後の見通しなどについてどういう御見解かをお聞かせいただきたいと思います。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 今回の制度改正では、共済会の大変厳しい財政状況にかんがみまして、給付水準の引き下げ、掛金率、特別掛金率の引き上げ等、会員である地方議会議員が相当の自助努力を行うということを踏まえまして、地方財政も大変厳しい状況の中ではありますが、公的負担についても相応の引き上げを行うこととしたところでございます。
 今後のことでございますが、今後のこの公費負担のあり方につきましては、引き続き地方財政の厳しい状況は変わらない状況でございますので、今後とも、制度改正に当たりましては、その中での公費負担の引き上げにつきましては慎重に対処していく必要があろうかと考えております。
春名委員 いや、私が聞いておりますのは、上限についてどういうお考えなのかということを聞いておるので、今の、現時点では上限は、そういうことは考えたことがないということなのか、ほかの公務員年金のように五対五までが上限だというふうな認識でおられるのか。そこら辺はどういう御認識なのかというのを教えていただきたいのです。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 公費負担の上限でございますが、掛金率との比率で、公的年金の場合ではおおむね一対一というものが多いわけでございますが、御指摘のように、現在の議員年金につきましては五五対四五ぐらいの水準でございます。
 この議員年金につきましては、先ほど来御議論ございますように、公的年金とは性格を異にする互助的な性格を有するというものでございますので、必ずしも公的年金の一対一の比率というものまで上げるということは当然のことということではない、また、別途の検討をしていく必要があろうかと。
 その際には、先ほど申しましたように、地方負担につきましては、地方財政の状況、さらにはその会員である方々の負担の水準の状況、そういったものを総合的に勘案して検討してまいる必要があろうかと考えております。
春名委員 どうも聞いていると将来が全然、ちょっと不安で見えてこないのですけれども。
 それで、もう一つ不安な材料は、皆さんが御質問されているのですが、掛金を払う地方議員の激減ですね。それで、私、総務大臣とも本会議のときに試算してお伝えしたのですが、一千の市町村合併、もし目標に沿ってやるということになりますと、現行の地方議員の定数が現状の約六割へと激減することになるのですね。
 先ほど、二十年間が十五年ぐらいしかもたないというお話が市議会ではあるというふうにおっしゃっていましたが、実際に、現状でも既に、法定上限定数よりもかなり下回って定数を決めている自治体も多いわけです。一層少なくなるということが想定されます。
 もちろん、私たちは、こうした強制的な合併には反対の立場ではっきりしているわけですけれども、少なくとも、この加入者がどんどん減る方向を政府の政策によって加速させるのはどうかというように思えてなりません。現行の年金財政をますます危うくするものになります。年金制度の維持という観点からすれば、この点、やはり問題があると思わざるを得ないのですが、この点の御見解を聞いておきたいと思います。
若松副大臣 委員は、年金制度と地方議員の数とを大変リンクさせてお考えになっておりますが、御存じのように、今、我が国は構造改革をさまざまな面でしなければいけない。かつ、地方自治体も、いわゆる基礎的自治体という考え方から二十一世紀の広域的な行政へ、組織をどうするか。または住民参加、そしてIT化とか、そういったことを考えますと、いわゆる町村を中心とする小さな自治体で住民のニーズに対応できるかどうか。こういうことを考えますと、やはり市町村合併は必要ではないか、そのような認識から、合併特例法を中心として、今、地方自治体の自主的な合併に対して、総務省として協力をしているところであります。
 その延長線上で議員の数が減るということは、これは私は、流れとしてはやむを得ない一つの流れではないか、また、それも住民の皆様の理解が得られる話ではないかということであります。その上で、この地方議会議員年金の財政についてどうあるか、また制度についてどうあるかということは、いわゆる四年に一回の財政再計算、そういったときをとらまえて、しっかりとこの制度の検討等をしなければいけない、そのように認識しております。
春名委員 最後に、今までの議論を聞いていてもう一度、感じたことを含めて、大臣に御質問して終わりたいと思います。
 今、御存じかと思うのですけれども、町村議員は、六十歳の現役を終えた年齢の議員さんが五割を超えているのですね。地方議員は、他に収入がある人か、あるいは定年退職した人だけしかできないというような事態になるとこれは悲劇です。これから地方分権と皆さんもおっしゃっているわけで、実際にチェックする地方議会と地方議員の役割は、今後ますます大きくなると思うのですね。ですから専任でやらなければいけない人も、もちろんたくさんおられると思うのですね。これは必定だと思います。
 ですから、先ほどのお話を聞いていますと、公費の負担は別途で考える、それから議員数は減らざるを得ない、こういう話になっていきますし、それから性格もよくわからない。要するに、現行制度の枠組みにとらわれない、やはり真剣な検討がどうしても今必要になっているというように私は感じてなりません。
 総務大臣、もう一度この点で御見解を聞いて、終わっておきたいと思います。
片山国務大臣 問題意識は恐らく、委員と私は共有していると思います。
 公費負担は慎重にやらなければいけません。今が上限です。それで頑張るのです。しかし、事態がどうしてもというときは、上限を少し上げるということはあるかもしれぬけれども。そういうふうに我々は考えております。
春名委員 それでは、終わります。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 最後になりますが、地方公務員共済組合法の一部改正案について、私見を述べながら、数点質問をしたいと思います。
 現在、自治体議員の法定数は、二〇〇〇年十二月末現在で、各級議会合わせて八万五千五百三十三人、こういうふうになっております。これに対し、条例定数は六万二千八百二十三人、法定定数の七三・四%にすぎません。特に町村に至っては、五万六千九百七十人が法定定数でありますが、それに対し四万二百七十七人、実に七〇・一%、三割カットとなっておるわけであります。
 各級議会のこのような定数カットは、住民自治の観点からも問題があると思いますけれども、その問題はさておいて、もしこのようなカットがなされず、法定数どおりいった場合、自治体議員の共済年金の掛金、負担金、特別掛金の増収、今よりもふえる額ですね、それは一体どういうふうになるのか、数字を示していただきたいと思います。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 地方議会議員の定数が仮に法定数どおりの数であった場合に、掛金、特別掛金、負担金収入がどれぐらいふえるかということでございます。粗い試算ではございますが、平成十二年度決算ベースで算定してみますと、都道府県議会議員共済会で約三億円、市議会議員共済会で約七十億円、町村議会議員共済会で約百億円増加していたと見込まれるところでございます。
 なお、議員数が増加いたしますと、一方で、後年度において年金給付費用が増加するため、長期的に見れば、共済会の財政収支にとってプラスに働くとは一概に言えないという点については御留意をいただきたいと存じます。
重野委員 もちろん今度は、給付する額がまたふえてくるわけですから、今の答弁だろうと思います。しかし、それは長期的な問題でありまして、当面のような、今のこの年金収支、厳しい収支状況というのは緩和されたのじゃないかな、このように思うのです。
 確かに、高齢化による受給期間の延び、あるいは運用利回りの低下なども無視し得ない要因でありましょうが、やはり最も現状を招いた要因の中で、そういう条例による定数カットというものが後押しをしたという部分も、全く無視できないものとして存在するのじゃないか。
 そういう意味では、この間、そういう議会の定数を減らしていくという方向を、指導したのかどうなのかはわかりませんが誘導していった、自治省以来の総務省の関与による責任分担も当然あるのではないか、このように考えるのですが、これについてはいかがお考えでしょうか。
片山国務大臣 我々は、地方公務員の方もできるだけ定数の削減ということに努力してほしい、こういうことを言っておりまして、地方議会も、法律で決めている定数は上限なので、できるだけ皆さんの合意の中で数を減らすということはありますよということを指導してきました。
 それは、この共済会のことを考えればもう全部おってください、こういうこともあったかもしれませんけれども、それはまた別の議論でございまして、特に今回、この地方議会議員さんの年金の財政状況が悪くなりましたのは、基本的には、給付設計と収入構造がやはりアンバランスなんですよ。そこのところなんですね。だから、給付は下げさせてもらうし、掛金は上げさせてもらうし、できるだけ掛金もたくさん取る。こういうことを直さないともたないというのが、今回の我々の問題意識なんです。それは皆さんの、関係者の御同意を得たものですから、今回、法律で出させていただいた次第でございます。
重野委員 次に行きます。
 今回の改正は、今進められております平成の大合併ということは織り込んだものではないわけでございます。先ほどもございましたけれども、この平成の合併の進みぐあいによっては再度この問題について議論しなければならない、こういう事態が出てくるということは容易に想定できるわけであります。そこで、その場合、掛金率や給付額の手直しという側面だけではなしに、今後の制度のあり方、根本的な問題をやはり検討すべきではないかと思うんですね。
 住民の立候補する権利について、働く職場によっては職を辞さなければならない、あるいは企業によっては兼職禁止、さまざまな制約条件があるわけです。しかし、住民自治というものの根本問題を考えてみますと、すべての住民が自由に立候補し、そして行政に参加するということが、最も根っこに据わっていなければならないんじゃないか。であるとするならば、官民を問わず、住民がいかなる規制も受けることなく立候補し得る権利を保障する、そういうふうな視点で制度等を検討することが必要ではないかな。
 例えばスウェーデンにおいては、勤務する自治体以外であれば地方公務員も議員に立候補することができる、そういう例がございますけれども、それを即この国に持ってくるということは、それはちょっと飛躍したことになるかもしれません。しかし、いろいろな角度からそういう点での議論を起こすことが、あながち無益ではない、有益ではないか、私はこのように考えるんですが、その点についての御見解をお聞かせください。
片山国務大臣 今重野委員が言われたことは、議論としてはありますね。ただ、今、日本の場合には、企業の方が企業に籍を置いたままで、勤められているままで立候補することは認めていますよね。
 問題は公務員なんですよ。公務員は、これは全体の奉仕者という基本的な性格と職務の公共性から見て、公務員のままで議員になってどうぞと、これはなかなかそうはいきません。
 よその国では、例えば、立候補すれば休暇をとらせてやる、当選すれば休職にしてやる、こういう国もないわけではありませんけれども、極めてこれは少のうございまして、私は、日本の今の制度でそういうことはなかなか難しいんではなかろうか、こう思っておりますので、いろいろな観点からの検討と結論が必要ですね。だから、なかなか難しいと私は思います。
重野委員 大臣のそういう答弁というものを想定できるわけでありますが、しかし、新しい百年がスタートいたしました。地方自治のあり方も、いろいろな角度から見直すことが求められております。そういう中で、この議会の問題について、私は、これは議論すべきでないというんじゃなくて、いろいろな角度から議論をしてみる、そのことが大事だ、こういうふうに考えているわけです。
 私がそこら辺を言うのは、今議員年金の問題を議論しているわけでありますが、現行、この国民皆年金制度のもとで、例えば厚生年金を初め、何らかの年金に加入しているわけですね。したがって、議員年金あるいは議員報酬のあり方等についても、そういう視点で見直していけば、意外とそこに方向性が出てくるような気がしないでもない、そういうふうに私は考えておりますが、そこら辺についてひとつお聞かせいただきたい。
 今私が指摘をした問題は、住民自治の原則に基づくものである。したがって、今大臣の見解も聞きましたけれども、政府においても、例外は排除して、とにかく十分そういう意味での議論を進めていただきたいということを要請しておきます。
 そこで、一定程度、政府のいわゆる合併政策が進んでまいりますと、先ほど指摘をしましたように、この制度についての法改正が必要となることは明らかであります。そこで、指摘をされておりますように、一つは年金受給資格年数の問題でありますが、調べてみますと、平均受給年数を見ますと、都道府県議会で十六・三年、市議会で十六・六年、町村議会で十五・六年、こういうふうになっています。そういう実態に対して、資格取得年数、現在三期十二年、こういうふうになっておるんですが、この年数を平均受給年数に近い数字につけていくというふうなことも一つの方法として検討される、そこら辺についてどういうふうにお考えなのか、お聞かせください。
荒木政府参考人 お答えいたします。
 今回の制度改正に当たりましては、年金財政上の負担を軽減する観点から、年金の受給資格を得るために必要な在職年数、現在はこれは三期十二年になっておりますが、これを延長することにつきましても、先ほど来申し上げております検討会の場におきまして検討がなされたところでございます。
 その検討会の場の議論としましては、議員の在職期間が長くなることも予想されること、あるいは公的年金制度と議員年金制度を同列に論じることは適当でないことなどの議論がございまして、今回はこの点についての改正はしないということになった次第でございます。
重野委員 一つの論点であるという点については確認できると思います。
 もう一つ、議員年金制度の性格の問題なんですが、これは名前どおりの互助年金なのか、その他いわゆる公的年金と同じように論じられる年金なのかということであります。公的負担があることに着目いたしますと公的年金と言えなくもないとの指摘もあるやに聞いておりますが、この点についての見解をお聞かせください。
滝大臣政務官 性格の問題につきましては、いろいろ今までも議論がなされてきたとおりでございまして、委員御指摘のとおり、基本的には互助年金ということで出発いたしておりますし、その性格は今でも変わっていないんだろうと思います。
 ただ、最初のときに全く公的負担なしで出発したものですから、その意味でははっきりとした互助年金ということが言いやすかったと思いますけれども、現在のように、公的負担が四五%近くも入っている、こういうことになりますと、一般的な社会保障制度の一環としての公的年金とは言えませんけれども、そういう意味で、逆に公的な互助年金制度というのが今の段階におけるいわば基本的な考え方と言っていいんだろうというふうに思っております。
重野委員 すべての自治体議員は、基礎年金に加入しています。したがって、今互助年金という話でありますが、いわば二階建て部分に当たるわけでありまして、そういうふうな見方をすれば職域年金という性格づけもできなくもない、こういう思いがあるんですが、そこら辺に対してどのようにお考えか、お聞かせください。
滝大臣政務官 確かにおっしゃるとおり、他に職業がなければ、基本的には議員といえども国民年金の対象者である。そういう意味では、基礎的年金は国民年金、議員の互助年金は職域部分だというような考え方もあり得るというふうには思っておりますけれども、それはこれからの議論の問題、もう少しその辺のところは整理して、将来に備えるかということだろうと存じます。
重野委員 そういう議論も一つ議論の中に加えていただきたいことを要望しておきます。
 最後に、いずれにいたしましても、互助年金制度については、単に財政面からだけの視点ではなく、自治体における住民参加という基本的な課題を視野に置いた検討が求められているのではないか。先ほど指摘をしたんですが、自治体議員へ立候補する権利をすべての住民に保障する、つまり一切の兼職禁止を法的に規制することが検討の出発点とならなければならない。
 これによって派生する議員年金のみならず、近年顕著になっています、いろいろな批判があります特定階層に偏った議会構成、こういうふうなものも批判される部分があるわけですが、そういうものも是正されるんではないか。したがって真に住民に開かれた議会となる、こういうふうに考えますし、今後そうした観点に基づき我々も議論していきたいし、政府においてもそういうものも議論の中に、範疇に加えていただいて、新しい時代の新しい枠組みをつくっていただきたい。そのことを強く要望しまして、私の質問を終わります。
平林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十三分散会


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