衆議院

メインへスキップ



第16号 平成14年4月25日(木曜日)

会議録本文へ
平成十四年四月二十五日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君
   理事 八代 英太君 理事 安住  淳君
   理事 後藤  斎君 理事 桝屋 敬悟君
   理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    小西  理君
      後藤田正純君    左藤  章君
      新藤 義孝君    谷  洋一君
      西川 公也君    野中 広務君
      林 省之介君    望月 義夫君
      山本 明彦君    吉野 正芳君
      伊藤 忠治君    大石 尚子君
      大出  彰君    島   聡君
      田並 胤明君    武正 公一君
      中村 哲治君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    三井 辨雄君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      石原健太郎君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    阿部 知子君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務大臣政務官      山内 俊夫君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十五日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     山本 明彦君
  河野 太郎君     後藤田正純君
  佐藤  勉君     望月 義夫君
  滝   実君     小西  理君
  谷本 龍哉君     林 省之介君
 吉田六左エ門君     西川 公也君
  荒井  聰君     三井 辨雄君
  玄葉光一郎君     大石 尚子君
  田並 胤明君     大出  彰君
  横光 克彦君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     滝   実君
  後藤田正純君     河野 太郎君
  西川 公也君    吉田六左エ門君
  林 省之介君     谷本 龍哉君
  望月 義夫君     佐藤  勉君
  山本 明彦君     大野 松茂君
  大石 尚子君     玄葉光一郎君
  大出  彰君     田並 胤明君
  三井 辨雄君     荒井  聰君
  阿部 知子君     横光 克彦君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二二三七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)(参議院送付)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長高原耕三君及び総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
伊藤(忠)委員 他党の応援団が多くて、まことに申しわけないんですが、時間が参りましたので始めさせていただきます。
 私、二十分間なものですから、余り質問ができません。本来ならば電波とは何ぞやというところから質問したかったんですが、答弁に時間がかかるだろう、こう思いまして、その部分を抜きまして進めたいと思います。
 まず第一点、お聞きしたいのは、電波というのは、つまり無線設備があって初めて電波を発信しますから電波が利用できるわけですね。しかし、電波の免許はたしか無線局に与えられる。無線局というのは人が操作をしますから、一体的にとらえて無線局というふうにいいまして、そこに免許を与える、こういうふうに私は理解をしておるんですが、実際は無線設備によって特定の周波数帯での通信が可能になる、これが電波の実態ではないかと思うんですが、そういうふうに理解をさせていただいていいのかどうかというのが一点。
 二点目は、免許というのは、これは使用権なのか、それとも、免許を与えますと一つの財産みたいになりますが、これは財産権なのか、この点について、まず最初に質問いたします。
片山国務大臣 伊藤委員言われましたように、我々も電波は国民共通の資源と認識いたしております。
 そこで、いろいろな行政制度には免許だとか許可とか認可とかありますけれども、免許は、特別にある種のことをやることを認める、そういう権利を設定するということでございまして、我々は、そういう意味では、免許は強いて言えば使用権、強い使用権だ、こういうふうに考えておりまして、有限、希少な電波資源が国民にとって最大限有効に利用されるように、無線局に対して、その割り当てについては計画的にやる、こういうふうに考えておる次第であります。
伊藤(忠)委員 そうしますと、例えばヨーロッパなんかでオークション制度がありますね。ああいう制度の場合は使用権を売るんでしょうか。そのあたり、どういうふうに考えればいいんでしょう。
鍋倉政府参考人 なかなかちょっと定義的に難しいことになるのかもしれませんけれども、オークションで普通やられておりますのは、例えば二十年の間独占的にそれを使える権利をオークション、お金で買うということになりますので、やはり二十年なら二十年の使用権というものを対価を払って買う制度だということでよろしいんじゃないかなと思います。
伊藤(忠)委員 その点はわかりましたので、次に移ります。
 メガヘルツ帯が実態上逼迫状況にあるというのは、せんだって省の方から説明をいただいて、よくわかります。とりわけその中でも、携帯電話が非常に普及しますから、無線のケースですからやはり逼迫するんでしょう、それが一番大きなことかな、こう思うんですね。
 それで、当面のその打開策として言われておりますのは、光ファイバー化して無線使用を少しでも逼迫化をなくしていくというか、そういう方法としてとりたいとか、あるいは、これはちょっと私の質問なんですが、逼迫解消の対策としてそれが一つあり、二つ目には、国際分配の見直しということが関係をするのかどうか、その点を含めて説明をいただきたいと思います。
鍋倉政府参考人 先生御指摘がありましたように、今、UHF帯やマイクロ波帯の一部の周波数でございますけれども、移動通信、携帯電話等に使われております八百メガヘルツから二ギガ帯、あるいはこれから、先生御承知だろうと思いますが、第三世代から第四世代の携帯電話に移っていきますが、そこで恐らくその周波数が使われるだろうと思われております、あるいは無線LANというものが最近伸びておりますが、そういったものに使われます三ギガから五ギガヘルツ帯が特に逼迫をしている状況にございます。
 今、先生御指摘ございましたように、固定通信、固定間の通信につきましては、光ファイバーで代替可能なものについては光ファイバーに移行していただくとか、あるいは仮に移行先の波がありますればそっちの方に移行していただくというようなことになるのかなというふうに思っております。
 今先生御指摘がありました国際的な分配の話でございますけれども、衛星とかあるいは短波帯のように世界じゅうに届くような波、こういった波というのは各国で調整をしなければいけません。衛星の場合もほかの国に漏れますので、そういう衛星の波ですとか、短波のような世界を駆けめぐるような波については、各国で、言葉は悪いんですけれども分捕り合戦みたいなことはございます。
 ただ、今逼迫をしておりますようなマイクロ波帯につきましては、これはそんなに波がほかの国に漏れるようなことがございませんので、特に日本の場合は島国ですから、ほかの国と混信を起こすようなことはございません。ということで、原則的には、この分配というのは、そういう衛星とか短波を除きますとすべての波が日本では使えるということでございます。
 ただ、その場合に使用目的というのが世界的にITUで決められておりますので、その使用目的を、例えば移動体の携帯電話にも使えるように、日本としては携帯が非常にニーズが高うございますから、今は国際的には携帯には使えないというふうに取り決められているものを携帯にも使わせろというようなことで私どもはITUに主張をし、そういう主張をなるべく通すような形で、日本に使い勝手のいいような波の配分を、そういう意味の配分というか分配を強く働きかけておりますし、今までもやってきたということでございます。
伊藤(忠)委員 では関連してお聞きしますが、今の答弁はそれでいいので私はわかりましたが、例えばメガヘルツ帯でも帯域というのは結構あるじゃないですか。その帯域は全部、例えば省に届けられておる、言うならば電波の使用権ですか、免許を与えていけば、かなり多くの帯域、周波数を実際には使えると思うんですが、それがもう全部詰まってしまって逼迫化するという見通しなんですか。
鍋倉政府参考人 今申しましたように、移動体のところの八百メガから二ギガヘルツ帯、あるいはこれからは三ギガから五ギガというものにつきましては、先生がおっしゃるように非常に大きな帯域がございますけれども、特に五ギガ帯等につきましては、もう二重三重に混信しないように免許を与えております。
 これから例えば第三世代の次の第四世代の携帯ということになりますと、映像も送るようになりますから物すごく幅を必要とします。ということで、現在割り当てて三重四重になっているさらにその上に大きな束で割り込むすきがない、こういうことでございます。ただ、それは東京とか大阪とか地域の差はございますけれども、そういうことでございます。
伊藤(忠)委員 次に移りますが、逼迫状況にあるから、ファイバー化しなさいとかいろいろ工夫をしますよね。そうすると、周波数変更に伴う移動が必要になった場合の所要経費というのは、例えば地上デジタルのときの、言うならば投資経費を利用料予算でもって面倒を見ていこうということになったわけですが、そういう一般的な周波数変更に伴う費用は、所要経費として電波利用料予算を使ってやる考えがあるのかないのか、この点について質問いたします。どうですか。
佐田副大臣 先生言われるように、逼迫してまいりまして、光ファイバーであるとかいろいろな利用方法が行われてこようかと思います。
 再配分を実施する場合には既存の免許人への補償がどのように必要かということで、本年一月から研究会を開催して検討を進めているところでありまして、十一月には報告をしていきたい、補償の必要な場合にそれをだれが負担すべきかについての議論もこの中でやっていきたい、かように思っております。また、具体的には、電波利用料の活用のほか、例えば電波の再配分後の新規免許人から経済的な価値を勘案した電波の使用料を徴収する、それは一つの例でありますけれども、いろいろなことを今議論しているところであります。
伊藤(忠)委員 これから検討されるということなんですが、これはやはりそういう立場で検討なさらないと、つまり、今使っている電波をほかに移動させようということになりますと、それなりに、送受信設備を含めて相当やはりお金がかかると思うんですよね。使用料だけというわけにいきませんからね。だから簡単なものじゃないと思うんです、ケースによりますが。その場合に、それは自前でやりなさいというわけには、一たん与えているんですからね。そういう場合には、やはりそういうケースが私は出てくるんじゃないのかと。という場合に、これはもう自己負担で終わりというようなことにはならないんではないのかなという点を私は心配するんですね。ですから、その点も含めてひとつ検討いただきたいな、こういうふうに思っております。
 次に、自衛隊とか米軍が使用する電波については、電波法の適用除外に現行法はなっております。それは現行法がそうなっているんですから、その前提に立って私は質問いたしますが、自衛隊の電波が何に、周波数の帯域は何にそれぞれが使われているのかということは、全くこれはブラックボックスなのか。総務省としては、自衛隊の方から一応計画が出されて、それを追認のような格好になるんでしょうが、そういう手続になっているのか、中身は全然把握されていないのか、どうなんでしょう。
鍋倉政府参考人 先生今御指摘がございましたように、米軍の無線局につきましては電波法の適用除外になっておりますけれども、ただ、ではやみくもに米軍が使っていいのかといいますと、電波でございますから、日本で使っている波と混信をしたりしたら困りますので、その使用する電波につきましては、そういうことで、混信したり、あるいは将来我々が使おうと思っているところとまた混信しても困りますので、そういった支障が生じないように、いわゆる日米地位協定に基づきまして、日米両政府間の協議機関として設置されております日米合同委員会のもとで調整をしております。
 ですから、そういうことで、どのような電波をどういう目的で使っているかということは、私ども把握をしております。しかし、個別に、どういう運用をその中でやっているかというところまでは承知をしておりません。
伊藤(忠)委員 大まかな把握はできていますが、中身の具体的な、この周波数ではどういう通信をやる中身かということまではわかっていない、そういう意味ですか。
鍋倉政府参考人 例えば軍事用のレーダーに使っているとか、あるいは航空機、戦闘機に載せられている、そういう目的で使っているとか、そういうことは私ども把握をしております。
伊藤(忠)委員 米軍の場合は、自衛隊と米軍が日米協定によって協議はしますけれども、その結果、米軍の使っている周波数なり中身のことは総務省にはおわかりなのかどうなのか、把握されているのかいないのかというのは、どうなんですか。日本国の中でやっているんですから聞いているんですが。
鍋倉政府参考人 先生の今のお尋ねは、自衛隊と両方で使うような波を把握しているかどうかということでございましょうか。
伊藤(忠)委員 いや、そうじゃなくて、米軍がどのように使用されるか。それから、自衛隊との関係をどう調整するかというのは、これは米軍と自衛隊がやりますよね。それで、米軍の使っている中身は総務省として把握するすべがあるのかないのかということを聞いているんです。
鍋倉政府参考人 先ほど申しましたように、米軍がどのような目的でどんな波を使っているかということは、私ども承知をしております。把握をしております。
伊藤(忠)委員 次に聞きますが、警察が使用されている中身は把握されているんですか。
鍋倉政府参考人 警察の使用しているものにつきましては、全部把握をいたしております。
伊藤(忠)委員 それは、各省庁がそれぞれ電波を使う場合がありますね、と同様の、言うならば割り当て、それから使用計画なりというものは総務省で把握されているわけですか、同じレベルで。
鍋倉政府参考人 建設省が河川用に無線局を持つとかというレベルで、同じように把握をしております。
伊藤(忠)委員 聞かずもがなでございますが、自衛隊と警察と扱いがどうしてそのように違うんですか。
鍋倉政府参考人 防衛庁が使う波も、すべてが警察と異なる取り扱いをしているわけではございません。
 自衛隊が使用するレーダー、あるいは移動体の無線設備、これは端的に言うと飛行機だとか船舶に載せる無線設備ということになるんだろうと思いますが、それらにつきましては、部隊の行動とも密接な関係を有する、それから設置場所あるいは設置数量は随時変更されますし、その設備も臨機に変更される場合が多いということ、あるいは自衛隊のレーダー及び移動体の無線設備の操作を行う者は隊員をもって充てるものであること、もう一つは、無線局の設置場所それから設備に関する情報は厳に秘密が保持をされなければいけないということから、電波法上は、レーダーと移動体の無線設備に限って警察と違う取り扱いをいたしております。
伊藤(忠)委員 秘密が守られなきゃいかぬというのは、別に自衛隊の場合でも警察の場合でも、それから個人の場合でも一緒じゃないでしょうか。もしそれが漏えいするような、電波妨害なんかがやられたら、これはプライバシーのことも含めて問題になりませんか。だから、そういう観点だけで差別、格段に扱いが違うというのはどういうことなんでしょうか。
鍋倉政府参考人 秘密保持の面でいきますれば警察も同じでございまして、そういう意味では、私どもには国家公務員としての守秘義務もございますし、どういう波を使っているかということをそんなに公開しているということはございません。それから、今度電波法の改正でお願いをしております使用状況についての調査はいたしますけれども、それの公表というものはやはり慎重にしなきゃいけないという点では、警察も防衛庁も変わらないと思います。
 ただ、それではなぜ、自衛隊の使う無線局の一部でございますけれども、警察と違った取り扱いをしているのかということでございますけれども、自衛隊は警察と異なりまして、米軍との相互協力に基づく行動なども想定されますので、関係する無線設備については、その取り扱いを米軍と同じような扱いにしているということだろうと思います。
伊藤(忠)委員 最後になりますが、自衛隊の場合も警察の場合もそうですが、この電波周波数の割り当てについては、ここをおれのところにいただきたいという優先権は与えられているんですか、いないんですか。それを最後にいたします。
鍋倉政府参考人 電波というのは広く国民に使っていただくということでございますので、そういった意味で、この部分が特にだれに優先をさせるというようなことはございません。
 ただ、使い方が物理的に決まっておりますので、例えば、さっきの携帯電話に都合のいい波であれば、携帯電話用に使いますから、携帯電話の各社さんあるいはほかに新規事業をやりたい方は免許の申請をしてください、そういう意味での特定性はございますけれども、だれか個人に対する優先権というものはございません。
伊藤(忠)委員 だから、実際あるということですよ、個人のことをやっているわけじゃありませんから。だから、自衛隊がお見えになって、軍としてこういう要望があると言えば、それはやはりそれを優先するんでしょう。もう最優先ですから、今話が出ましたけれども、最優先。警察はその次ということで、実際はそういう運用になっているんじゃないですか。全然ありませんか。パラでやるんですか。
鍋倉政府参考人 国際的に電波というのはどういうふうに使用するかというのは大体決まっておりますし、それから、先ほど申しましたように、防衛庁の方々がどういうところを使いたいかということは、必ずしもほかの民間の方々が使い勝手のいい波のところではございませんし、そういったことは私どもと相談をさせていただきながらやっているというのが実情でございます。
伊藤(忠)委員 これ以上なかなか答弁はできないでしょうから、終わります。
平林委員長 次に、武正公一君。
武正委員 民主党の武正公一でございます。
 限られた時間でございますので、電波のようにてきぱきと行ったり来たり、よろしく御答弁をお願いいたします。
 さて、今、電波の逼迫状況ということで、今般、電波法改正については、その理由が最大のものというふうに伺っておりますが、逼迫状況についても地域的、時間的偏在があるんではないかということでございますが、大臣の御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 電波の逼迫状況は、委員御指摘のとおり、地域間や時間帯によって異なるものでございまして、一般論で申し上げますと、首都圏は地方に比べて大変逼迫しておりますし、また、昼の方が夜よりも電波は逼迫している傾向にあると聞いております。
武正委員 電波の利用状況の公表等に関する調査研究会報告、平成十三年十二月におきまして、時間別の占有時間率というのがございます。十五分刻みですから、二十四時間が九十六に分けられておりますが、三〇%を超えるものはわずか二件、一〇%以下が六十八件、七〇%以上が一〇%しか使われていないといったことでございます。
 インターネットの父と言われるポール・バラン氏は、こういった中で、ソフトウエア無線というものによって、端末に周波数アナライザーを使って変調方式で無限のやり方があるよというようなことでございまして、安田早大教授も、先ほどの報告書のヒアリングで、同一周波数帯の共有化政策で特に人口稠密地域では対応できるんではないかということでありますので、日本のこれまでのいわゆる電波政策は、所有権を与えるというような形で、一度その電波を有するとかなり強い権限を持つという形で来ておりますが、それはやはり問題あり、技術的にもそれを克服できるいろいろなやり方があるということでございます。
 ちなみに、これから進めようとする四Gの携帯電話ではこの電波の変調方式が考えられておりますが、今の電波法でいきますと、このやり方では海賊無線になってしまう。電波法の問題点も指摘して、次に移らせていただきます。
 副大臣におかれましては、電波利用料はどのような基準で決めているのか、また、平成八年、十一年と値下げした理由、これはもう既に議会でもいろいろ御答弁があるんですが、よろしくお願いいたします。
佐田副大臣 先生の質問は二問あろうかと思います。
 まず最初の、電波利用料の基準ということでありますけれども、電波利用料制度は、電波の監視などの無線局全体のための共益的な事務の費用をその受益者である免許人に負担していただく制度でありまして、その料額は、制度の趣旨を踏まえ、共益的な事務から受ける受益の程度や事務に要するコストに基づいて算定をするということであります。
 したがって、二つの要素があるということでありまして、無線局データベースの作成に必要な経費については、無線局の種類によって決まる免許申請書類のデータ量見合いで全無線局で案分するということでございまして、具体的に申し上げますと、要するにアンテナの大きさであるとか、また容量の大きさとか、そういうことが一つの要素になりまして、それ以外の、電波の監視などに必要な経費につきましては全無線局が均等に負担するということで、その合算というふうな形で決められているところであります。
 もう一つの御質問でありますけれども、電波利用料を値下げしているという理由でありますけれども、電波利用料の料額は平成五年と平成八年及び十一年に見直しを行っており、その際、以後三年間に必要と見込まれる無線局全体のための共益的な行政事務の費用を同期間内に見込まれる無線局で公平に負担する、そういうふうなやり方で算出しているところであります。
 平成八年及び十一年の見直しにおいては、共益的な事務費用の増加に比べて無線局数の増加の度合いが大きいと見込まれる、いわゆるモバイルの関係でありますけれども、料額を維持すると収入額が共益費用の額を上回る傾向が続くというふうに想定されたものですから、いわゆるモバイルが相当ふえてきていましたものですから、これを下げさせていただいた、こういうことであります。
武正委員 一点目については、百八国会で電波法の改正がありまして、電波有効利用促進センターをつくる理由として混信調査のための既設の無線局へのデータ収集、分析、ただ、それを民活を利用してということで、調査研究、啓発等、そういった形で取り組んできているわけなんですね。そういった中で、この電波利用料というものも、一応基準を持って決めてはいるんですが、なぜ下げたかということで、モバイルがふえた、要は携帯電話の台数がふえたからといったところでございまして、携帯電話の利用者によって約八割、電波利用料が賄われている、それによってほかの利用者の利用料金を下げたといったところでございます。
 さて、総務委員会では、アナ・アナ変換が約三倍に額がふえたことは随時指摘をされておりますが、自民党の平井卓也代議士が、「地上波TVのデジタル化 コスト膨らみ視界不良 計画の一時凍結論も」という見出しの朝日新聞、本年三月二十六日で、デジタル化計画を立ちどまって考え直すべきだ、どういう基準でセットトップボックスを配るのかというようなことも指摘をされております。
 これについて、大臣の御所見、御見解をお願いいたします。
片山国務大臣 平井議員からそういう御指摘があり、御所論があるということは私も読ませていただきました。
 我々は、いろいろ検討しました結果、地上放送のデジタル化は国民に多くのメリットをもたらす、こういうことから、二〇〇三年には三大広域圏で、二〇〇六年からその他の地域でデジタル放送を開始する、こういうスケジュールをつくったわけでございまして、現在関係者で協議いたしておりますけれども、このスケジュールを変更することは考えておりません。それぞれの事業者もできる、こういうことでございますから、来年中には三大広域圏ではデジタル放送を始めていただきたい、こういうふうに思っております。
 そこで、セットトップボックス方式についてでございますけれども、今、武正委員が言われましたように、相当経費が高くなるということが見込まれますので、一つの選択肢として、効果のある場所に限定して、導入するかどうかということを検討いたしております。
 具体的にどうやるかにつきましては、現在、私どもの方とNHK、民放から成ります全国地上デジタル放送推進協議会においていろいろな対策手法を含めて検討いたしておりまして、ことしの夏ぐらいまでには、七月上旬ぐらいまでには取りまとめを行いたい。どういう方式にするか、貸すのか配るのか、あるいはどうするのか、そういうことを今検討いたしている段階でございます。
武正委員 大臣は、四月二日の総務委員会での御答弁で今のようなお話をされておりますが、「今、できるだけ経費を切り詰めるように、ぎりぎりでどのくらいかかるかということをこの夏までに報告をまとめよう。」今のお話だと思います。「それで、これは国が補助することにしておりますから、電波利用料で。」というような御答弁をされておりますが、七百億が二千億に膨らんだものを電波利用料で賄うということは、電波利用料を値上げするということでございましょうか。
片山国務大臣 これがいろいろ議論のあるところでございまして、見込み違いはだれの責任かという議論もありますけれども、できるだけすべての方に迷惑をかけないような方法で議論すべきではなかろうか、こういうことで、先ほども言いましたが、協議会におきまして今議論いたしております。
 今のアナ・アナ対策の財源も電波利用料ですね。だから、電波利用料を中心に物を考えていく、こういうことでございますが、このために値上げするというのはなかなか国民の理解が得られにくいんではなかろうか、こう思っております。
 それでは全く値上げを考えないかというと、それは、考え方の中にはそういうことも一部はあるのかもしれませんけれども、総合的に電波利用料中心にこの経費をどうやっていくかと。とりあえずは経費の総額の削減ですね、二千億とかなんとか伝えられておりますものをどれだけ縮められるか。その縮める額が出てきて、単年度の電波利用料あるいは中期的な電波利用料含めてその対応を考えたい、こういうふうに思っております。
武正委員 大変苦しい御答弁かなというところも拝察をいたします。
 ただ、国民の理解というのは、国民にはいろいろいるわけですね。先ほど言いましたように、私は、やはり携帯電話の利用者が全体の電波利用料の八割を負担していますので、この携帯電話の電波利用料を上げるというのはいろいろ問題があろうというふうに思いますが、先ほどの副大臣のように、過去二回、一割、一割というような形で下げてきた、そういった意味での電波利用者の電波利用料、あるいは国や地方公共団体が負担するか負担しないか、これももう一回再検討もあるだろうし、何といっても、先ほどの時間的なもの、地域的な偏在などで利用されていない電波がたくさんあるんじゃないか、それについてはやはりいろいろと考え方があろうと思うんです。
 電波には経済的な価値に見合った対価というものを負担していただいたらどうかという点については、大臣、御認識はいかがでしょうか。
片山国務大臣 電波に対する考え方も、やはり私、だんだん変わってきていると思いますね。だから、今委員の言われるような考え方が私は確かに強くなってきていると。国会での御議論もそうでございますし、国会外の一般的な意見でもそういうことが割に目立っているな、私はこういうふうに思っておりまして、その辺をどう考えていくかですね。
 ただ、オークションにつきましては、メリット、デメリット両方ありまして、ヨーロッパの例なんか、余りいいことになっていないんですね。だから、そういうことも参考にしながら考えていかなければならないと思います。
 アナ・アナ対策については、この見込み違いを直ちに電波利用料を納めてくださる方に転嫁するのはいかがかな、こういうふうに思っておりますが、それとは別の観点から、今の委員の御指摘を含めて、この電波の利用の対価をどういうふうに決めていくかということは、大いに検討すべき課題だと思っております。
武正委員 電波の対価について検討するということで、半歩前進したかなというふうに理解をいたします。
 実際、e―Japan重点計画あるいは規制改革等でも、電波のオークション制について検討する、検討するというようなことがうたわれているんですが、実際にオークション制度についての検討が今までどのように進められてきたのか、この点について、これは大臣、簡単にお願いいたします。
片山国務大臣 オークションにつきましては、前から御指摘をいただいておりますので、担当のところでは相当研究いたしております。
 ヨーロッパ型のオークションの方式がいいのか、あるいは新しい、日本型というのをつくってもいいわけでございまして、そういうことを含めて少し前広に議論してもらいたいと。先ほども言いましたが、ヨーロッパの例は必ずしもいい例にならないんで、悪い例は悪い例として、反面教師的なあれもありますので、十分な検討をしてまいりたい。
 あるいは、三カ年計画では、二〇〇五年までに結論を出す、こういうふうにいたしておりますから、それまでにはしっかりした結論を出したい、こういうふうに思っております。
武正委員 国際大学の池田教授は、やはり、ヨーロッパで値上がりしたのは、勝者ののろい、ワイヤレスバブル、入札手法にいろいろ問題もあった。これについては、イタリア、フランスの事前の書類審査等もあろう。「料金に転嫁されるという批判は、欧州ではもう聞かれない。過去にそういう事例はないからだ。」ということも言っておりますので、ぜひ御認識をお持ちいただきたいと思います。
 今回の電波の利用状況の公表等に関する調査研究会のヒアリングあるいはパブリックコメントで、電波のオークションに前向きな意見が寄せられたものを紹介してほしいと思いますが、これは、政務官。
山内大臣政務官 結論から申し上げますと、報告書の取りまとめに当たって実施された意見広告については、オークションに前向きな意見というのはほとんどなかったんです。ただ、電波の利用状況の公表に関する調査会においてのヒアリングの中で、二つの意見がございました。
 それは、経済学者からでございますが、電波の新たな配分時にオークションを実施し、市場原理に基づき電波の経済的価値を算定する。その上で、オークションを実施しない他の帯域においても電波の経済的価値を試算し、電波の使用料を設定することによって電波の有効利用が促進されるという意見がありました。
 もう一つは、社団法人の全国陸上無線協会から、電気通信事業や放送事業への周波数の割り当ては、原則オークションを採用してはどうかという二つの意見がございました。
武正委員 意見がないというのは、ヒアリングの聞き方に問題がございまして、総論の中で、「その他、新規電波ニーズに対応するための周波数の確保方策について、ご意見等がございますか。」という聞き方でございますが、その中であえてそのような御意見が出てきたといったことでございますので、先ほどの大臣の、調査について前向きに検討するという御答弁でありますので、やはり、電波の入札制いかにということで、ちゃんと項立てをして聞いていく、もうそういう時期にあろうというふうに考えるわけでございます。
 さて、今回の法改正であります。
 調査、公表、評価の仕方でございますが、調査は三年に一回、また、公表については、参議院の御答弁では、地域ごと、同種の免許人をくくって公表する、個別の名前が余り出ないようにというような御答弁もありました。また、本法は、評価は総務大臣が行う、そして電監審に諮問ということでございます。
 まず、その調査でありますが、NTTコムあるいは個人の方から、先ほどの報告書では、基礎調査の周期は、その種別によりますけれども、一年ごとにすべきだろう。それから、公表については、FCCと同レベルの公開をしてはどうか。そして、最後、評価についてなんですが、これはNTTドコモさんから、防衛用などの例外については、公表は不必要だが、評価については他の無線局と同様に公正に実施してほしいということのヒアリングの結果が出ておりますが、それぞれにつきましての御見解、大臣にお願いいたします。
片山国務大臣 この三年ごとに実施してというのは原則でございまして、いろいろな観点から三年ごとにやりますけれども、タイムリーに実施すべきだ、こういう御意見もありますので、いろいろな状況を見まして、例えば突然出現する電波の新規需要や技術革新にも適切に対応する必要がありますので、三年が原則でございますが、臨時の利用状況の調査等を行うこともやろう、こういうふうに考えております。
 それから、FCCと同様にインターネット上で全面的に無線局情報を公表すべきだ、こういう御意見につきましては、例えば、無線局の設置場所の公表につきましては、免許人から、無線設備に対する物理的な破壊活動、そういうことを誘発するんじゃないかというような懸念、あるいは営業情報の漏えいとなるというような懸念、プライバシー侵害になるんじゃないかという懸念などから慎重にしてくれ、こういう意見が多くありますので、このような全面的な公表については、みんながいいなと、こういうふうな合意の形成ができれば、そういう時期までもう少し待つべきではなかろうか、こういうふうに思っております。
 それから、防衛情報、防衛用の電波についても評価の対象にすべきではないか、こういうことでございますが、これは調査の対象にはいたします。ただ、その評価案は電波監理審議会へ諮問していろいろ議論していただこう、公表はちょっとこれは待たせていただいて。そういうふうに今考えているところでございます。
武正委員 今、最後、電監審のお話がございましたが、これは私がかねてより大臣にお願いをしておりますのは、電監審への異議申し立て、昭和二十七年から平成十二年までわずか二十五件、加えて大臣への勧告は昭和二十年代の二件しかない。今回、特に最後の評価につきましては、総務大臣が評価をする、電監審に諮問という御答弁がありましたが、その電監審が大臣に勧告したのは昭和二十年代の二件だけ。それ以降大臣に勧告したことがない。これはやはり電監審の公正性が、八条機関で、しかも総務大臣の外局であるということでございますので、やはり三条機関にすべきだろう。
 加えて、次の質問とちょっと一緒にさせていただきますが、通信と放送の融合化が進んでいるので三条機関にすべきでありますが、やはり日本版FCCとして、電通審と電監審を統合すべきではないか。しかも、それはやはり監督業務と監視業務、監理業務ですか、あるいは公正性をチェックするという意味からは内閣府に置くべきではないか。
 以上、三条機関と、それから電通審との統合並びに内閣府に置くべき、大臣の御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 電波監理審議会についての異議申し立ての件数が少ない、こういう御指摘がございましたが、ある意味ではちゃんとやっているということですね、役所の方が。ちゃんとやっているから異議申し立てしなくてもみんな納得している、こういうことじゃないかと考えております。
 そこで、三条機関か八条機関かというのはありますけれども、三条機関というのはなかなか取り扱いは難しいんですね。これは、独立というのはいいことなんですけれども、機動的にやる、一体的にやる、そういうことにおいてやや問題がございまして、これは戦後盛んに取り入れられた制度の一環でございますけれども、日本的にどうかなという議論は前からあるわけでございまして、ぜひその辺は御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。
 それから、内閣府という案ですが、何でも内閣府では、これは大変なんですね。今でさえ内閣府が大きくて大きくて、いろいろなことをやり過ぎて、ちょっとなかなか大変じゃなかろうか、こういうことがありますので、大きな中央省庁をもう一遍見直すときに、内閣府のあり方、あるいは、いろいろなものが総務省の所轄になっておりますから、今の総務省のあり方、こういうことを考えていくべきではなかろうか、こういうふうに思っているわけでございまして、今の体制でもしっかり仕事をする、信頼できる仕事をするということが私は必要じゃないかと思いますし、FCCじゃありませんが、例の紛争処理の委員会を設けて、そこでいろいろな紛争の処理をやってもらうなんということも今までの行政からいうと前進ではないか、私はこういうふうに考えております。
 いずれにせよ、御指摘の点は大きな課題でございますので、引き続いて十分な検討を重ねてまいります。
武正委員 電通審との統合もお聞きしたんですが。
片山国務大臣 これは、そういう御議論もあるんですが、電波監理審議会は、電波法や放送法に基づく周波数の割り当てや技術基準の制定や無線局免許などの総務大臣の処分に対する不服申し立ての審理を行っている。ところが、情報通信審議会は、そういうことよりも電気通信事業法に基づく電気通信事業の許可や情報通信政策全般についての審理を行っておりまして、この両機関はそれぞれ対象とする行政分野や所掌事務が大きく異なっておりますので、それを一緒にするということになると性格があいまいになる。適切かつ効率的な審議、結論が果たして出るのかどうか、こういうふうに考えておりまして、現在の方がベターかな、こういうふうに考えております。
武正委員 ドイツ、そしてアメリカが一緒にやっている、イギリスは別ということでございますが、私は、やはりこれは統合して、そしてそのかわり三条機関に格上げして、八条を二つくっつけるわけですから三条にして、しかも先ほど御議論がありましたが、私は内閣府に置くべきとあえて申させていただきます。
 さて、きょうは国土交通省政務官もお見えでございます。そろそろ一年二カ月もう過ぎました、えひめ丸遭難のときに遭難信号がどのように発せられて、そしてラフトに生存者が確認できた〇九一七時までどのような形での時系列での展開があったのか、これをまず御答弁いただくとともに、そうした中、いわゆるEPIRB、これについては、非GMDSS船遭難時における委員会では、小型で簡易、簡便なEPIRBあるいは小型船SARTを漁船やレジャーボートなどに普及するにはどうしたらいいのかというようなことを検討されているか、あわせて御答弁をお願いします。
高木大臣政務官 ただいまえひめ丸の遭難時の情報の入手と伝達についての御質問がまずございましたけれども、委員御存じのように、日本時間の、平成十三年の二月十日の午前八時四十五分ごろ、オアフ島沖において米原潜とえひめ丸が衝突。その後、同船が遭難信号を発しまして、その二分後、午前八時四十七分に静止衛星を通じて海上保安庁に到達しております。
 この信号は静止衛星を介して受信したものであったため、その機能上、遭難の位置情報は把握されませんでした。その上で、同信号から出た識別信号から船名と所有者名、この情報を割り出すことができましたので、これに基づいて、海上保安庁では直ちに宇和島水産高校とまた所属漁業無線局である三崎漁業無線局の方に動静を確認いたしました。
 ただこれも、その後位置は確認できませんでしたので、午前九時十四分、機能上遭難位置情報を把握できる周回衛星、これを介しまして再度遭難信号を受信しまして、このため直ちに同海域の救助調整機関である米国沿岸警備隊のホノルル救助調整本部に詳細を問い合わせて、御指摘の午前九時十七分、同船が米原潜と衝突したと確認し、乗員が救命ボートに乗っているということを確認いたしました。
 その上で、委員御指摘がございました非GMDSS船遭難時における連絡手段の確保等に関する調査研究委員会、この委員会は平成十二年の四月から約二年間にわたって研究をしてまいりました。これは、御指摘がありましたように、GMDSS体制の対象外となる小型船舶、いわゆる非GMDSS船について、緊急時に何らかの連絡手段を確保すること、これを迅速化していこう、そういうために小型船舶に搭載が望まれる通信機器等について検討がこの二年間にわたってなされてまいりました。
 検討の結果提言された内容というものは、小型船舶船の活動海域に応じて、既存の機器であるVHFの無線機、あと小型船用の衛星EPIRB、インマルサット衛星の電話と携帯電話、こういった通信機器の搭載が望まれるものとなっておりますけれども、その一方で、将来に向けては、それらの機器の小型化、軽量化、さらに安価な機器ということでの開発研究が必要という提言となっております。
武正委員 ありがとうございました。
 今の海難・漂流時用パーソナルブイ、これがいろいろな応用ができる可能性があるといったことも言われております。ただ、そのためには、とりわけ中小、ベンチャーの有能なメーカーが乗り出しやすいためにも、やはりその電波の利用状況がわかりやすく公表されるべきだろうといった点の指摘がございました。
 この点について大臣の御見解を再度、その透明性を高めるについてお伺いするとともに、本法は十年で見直しということで、参議院での大臣の御答弁は、三年の調査を三回やって、三掛ける三で九年、プラス一年ぐらいで十年でちょうどいいんじゃないかという御答弁なんですが、百五十一回国会の電気通信役務利用法案、特定商取引改正法案、特定電子メール適正化法案、後の二つは百五十四国会ですが、それらはいずれも三年で見直し、遅くとも、電子署名認証法案、百四十七国会、五年で見直しということから考えますと、大臣が言われるドッグイヤーといったことから、十年は長過ぎるというふうに考えるのですが、以上二点について、御答弁をお願いします。
片山国務大臣 この法案によりまして、我々は、電波の利用状況の透明性が大幅に向上する、その上で今のお話のようないろいろな対応が図られていく、そういうふうに今後とも努力いたしたいと考えております。
 それから、十年で見直すというのは、十年待たなければ見直さないということじゃないのです。調査は三年ごとに、これは経年変化や継続性が必要でございますからやっていく。十年で見直すということは、三年掛ける三プラス一年の十年と書いてはおりますが、その十年の間に、適宜見直していく、必要ならばいろいろな改正も考えていく、こういうことでございますので、十年たたなければということじゃないというふうにひとつ御理解を賜りたいと思います。
武正委員 もう時間になりました。
 最後でありますが、私から、鬼木大阪学院大学教授の講評についてなんですが、先ほどのヒアリングなんですけれども、全く損害のない情報公開は不可能なんだ、だから問題は、負担原則を最初に決めておけば情報公開はやはりやるべきだろうというふうに言っておりますので、御答弁の中で、企業名とかいろいろ出せない、出せないということじゃなくて、ぜひ前向きに公開をしていただくことを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 持ち時間二十分でありますので、通告に従い順次質問いたします。また、他の委員と重なる質問もありますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。
 さて、電波の利用は質的な変化とともに量的にも大きく拡大しまして、周波数の逼迫状況はIT革命の進展に伴いますます深刻化しております。
 私は、昨年四月の電波法改正の際に、周波数割り当て等の電波政策は、土地政策と同様に計画性が大事でありまして、きちんとした開発計画の策定が重要との観点から、電波利用料や地上波デジタル化等にかかわる特定課題を指摘いたしました。
 今回の電波法の改正案は、現在の電波の利用状況を定期的に把握し、今後の電波の再配分計画の策定に活用していくというものでありまして、理解はでき、特段反対するものではありませんけれども、この改正案はあくまでも後追い作業でありまして、問題解決の本質をついていないような気もいたします。
 根本は、我が国の電波利用料が安過ぎ、既得権益化しているのではないか、そこにあるのではないでしょうか。電波利用状況の調査以前の本質的課題であると思っております。
 一例として、平成十二年度放送事業者の電波利用料の支払い額は、キー局、準キー局クラスの電波利用料は、一社当たり三百万円弱から五百万円強の間でありまして、放送事業者の負担は、その事業の大きさに比較しまして極めて安いと私は思っておるわけであります。
 そこで、この電波利用料を適切な価格体系に見直すなど、中長期的な電波政策のビジョンを再構築する必要があると考えておりますけれども、ことし一月からですか、新たに開催された電波有効利用政策研究会、この役割あるいはまた検討課題等踏まえまして、片山大臣の基本的な考え方をお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 電波利用料のあり方、その水準についてはいろいろな議論がある、私はこういうふうに思っておりますが、今後とも、国民の皆さんが納得のできるような電波利用料というものを考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
 本年一月から、電波有効利用政策研究会、こういうものをつくりまして、現在開催中でございますけれども、従来電波の再配分には十年以上の準備期間を設定しておりましたけれども、それでいいのかどうか、準備期間のあり方をひとつ御議論いただく。それから、既存免許人への補償の要否、再配分の場合ですね、あるいは電波の再配分において電波の経済的価値をいかに考慮するか等の電波の再配分のルールについて現在検討中でございますが、これのみにかかわらず、今後その他の電波の有効利用方策についても御議論をいただく予定でございます。
 特に、対価につきましては、オークション方式を初めいろいろな御議論がございますので、その導入のメリット、デメリットも研究会において整理していただいて、我々としても適切に判断してまいる貴重な資料にいたしたい、こういうふうに思っておるところでございます。
黄川田委員 また、昨年の質疑で、電波利用権の新規取得の際の入札制度、これが欧米のオークションの弊害と対比しまして広く議論されたところでありまして、また先ほどもこのオークションについて話されたところでありますけれども、その際私は、日本にふさわしい入札制度の検討はないものか、そういうことを主張いたしましたが、前小坂副大臣は、欧米で今まで行ってきた入札方式でない新たな日本型の入札方式を幅広く検討する、こう答弁されたと記憶しております。
 そこで、総務省は、新しい入札方式をこの一年どのように研究してこられたのか、先ほどの質問にもありましたけれども、改めてお伺いいたします。そして、電波の再配分にどのように適応しておるのか、副大臣の見解を求めたいと思います。
佐田副大臣 御指摘の小坂前副大臣の答弁につきましては、欧米で実施された電波オークションの弊害等を教訓として、オークション方式の改善、限定導入等含め、電波の経済的価値を勘案し、電波の有効利用方策について幅広く検討を進めることが重要と認識していただいて、これを示されたと記憶しておるところであります。
 総務省では、これまで主として、一昨年欧州で実施されました第三世代携帯電話のオークションの実施状況等のフォローアップに努めてきたところでありまして、欧州では入札額が高騰しましてその事業の開始のおくれを招いたほか、欧州のIT不況の引き金を引いたという現状もあります。
 先生も御存じのとおり、電波は非常に希少で重要なものでありまして、海外でも非常にこれには気を使っております。日本の場合は特にでありますけれども、なかなか外資規制であるとかそういうことができませんから、そういうところも含めてしっかりと検討すると同時に、欧州では今申し上げましたように、欧州だけではなくてアメリカでも非常に高騰して、会社自体の経営が危なくなっておるという現状もありまして、この辺も含めて長期的に検討していきたい、かように思っています。
黄川田委員 次に、地上波デジタル放送の基本課題についてお尋ねいたしたいと思います。
 この地上波デジタル放送は、従来、二〇〇三年末には東京、大阪、名古屋の都市部で放送を始めまして、二〇〇六年に地方中心都市、遅くとも二〇一一年までに全国全域で切りかえを完了させる、こういうところだと思います。
 そこでまた、片山大臣、改めて、重ねてお伺いいたしますけれども、大臣は、一部混信地域は残るけれども二〇〇三年末には三大都市圏で本放送を開始すると再三明言されております。しかし、最近の新聞報道を見ますと、それから実態を見てみますと、二〇〇三年末から一部地域で試験放送が可能になる程度ではないかと思うわけであります。
 ここで、メンツにこだわらず、スケジュールの変更等々を考えておられるのか、お尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 アナ・アナがおくれておりますから地上波デジタルもおくれるのじゃないか、こういうあれでございますが、地上波デジタルの方は、この委員会でも御答弁させていただきましたが、エリアを少し直すとか、あるいは電波の出し方を、周波数の出し方を、混信が生じないような工夫を加えるとかというような変更はあるかもしれませんけれども、二〇〇三年から三大都市圏でデジタル放送を開始する、こういうスケジュールは変更しない、こういうことにいたしておりますし、せんだっても民放連も、やります、こういうことの声明を出されましたね、NHKは前からやると言っておりますから。だから、来年中、二〇〇三年中にはそういう意味での地上波のデジタル放送が始まる、こういうふうに我々は理解しておりますし、ぜひそういうふうにいたしたいと。
 メンツは余り考えておりませんけれども、そういうことで進めたい、こう思っておりますし、国民の方に多くのメリットをもたらすものでございますし、そういう意味でのPRも、いつも御指摘いただいておりますが、十分やっていきたい。この辺もNHKや民放の皆さんと相談してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
黄川田委員 今大臣がお答えになったとおり、どうも国民のPRがすごく不足しているんじゃないかと思っております。私も地方から東京に来ておりますので、国政報告会や何かで今のテレビが十年後使えませんよなんて言っても、なかなか浸透していないところがあります。そこが一番大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そしてまた、デジタル化に伴う効率的な周波数の変換でありますが、これは大都市の駅前の過密な都市再開発に似ていると思っております。都市開発でありますが、これは別の地域の建物に住民を一時移転させることで、これはどうにか進められるわけでありますけれども、電波の場合は、四百七十から七百七十メガヘルツ、十三から六十二チャンネルの同一帯域内でアナログ波からデジタル波に順次切りかえていかなければならないわけでありますので、これまた難しいわけであります。
 また、一度親局からあるデジタル波を飛ばすと、近隣の中継局で干渉する現行アナログ波を変更するだけでなく、さらにそれ以遠の中継局で干渉する波も変更するなど、二次、三次の複雑な玉突き現象を解決しなきゃならないと思っております。
 今になって初めて、周波数の変更作業の複雑さ、大変さがわかってきたのではないかとも思っております。最近は、地上デジタル放送推進協議会ですか、これのもとに各種委員会、部会等を設けて検討されているようでありますけれども、これがまた連合体形式というのでありますか、例えば、各地域ごとの作業主体者はだれであるか、また、だれの責任のもとにどのように作業が行われてきたのか、実態がよくわからないところであります。
 そこで伺いますけれども、これらの要因が全体の周波数変更計画をおくらせ、コスト積算の精度を低下させているのではないかと考えておるんですけれども、総務省のこれの見解を求めておきたいと思います。
高原政府参考人 今先生おっしゃいましたように、地上放送のデジタル化及びアナログ周波数変更対策につきましては、現在、民放、NHK、総務省の三者で、全国地上デジタル放送推進協議会及び全国三十二の地上デジタル放送推進協議会を設置して、検討作業を進めているところでございます。
 全国協議会におきましては、総会のもとに運営委員会、あるいは技術、送信、受信、あるいは制度関係といったような部会を設けております。それぞれに部会長といったような方が責任者としておりまして、そのもとでメンバーが検討作業を行っております。
 また、地域協議会におきましては、例えば、周知広報部会、あるいは対策作業部会といったような専門の部会が置かれておりまして、それぞれ担当幹事が責任者として配置をされておる、それに応じて、それぞれの地域の地元の放送関係者が検討作業を進めておるということでございます。
 このような体制のもとで、アナログ周波数変更対策の世帯の実態調査、あるいはチャンネル見直し作業といったようなものを、中央、地方、密接な連携を図ってやっておるわけでございまして、今後、詳細な絞り込み作業によって、受信対策を要する地域、あるいは対策手法ごとの世帯数の把握といったような作業が行われるということになっております。
 先生がおっしゃいましたように、アナログ周波数変更対策の経費が中間段階としてかなり増加する見通しとなったという原因でございますけれども、こういう検討体制が悪いというふうに我々は考えておりませんで、現実の原因といいますのは、何度も御答弁申し上げておりますが、周波数事情の特に厳しい九州、西日本、あるいは関東の一部地域で、地元の専門家がいろいろ予測をした予想をはるかに超えた複雑な電波状況があったというふうに考えておるところでございます。
黄川田委員 変更にかかわる費用は、大臣は再三電波利用料で賄うと表明しておりますし、先ほどの議論でもお話しされたところでありますけれども、七百億円の当初予算が二千億にも及ぶんじゃないかということ、これを考えますと、十年で一千三百億円の増ですか、年間百三十億円が節減が図れて、年間百億円程度の増加は避けられないと仮定した場合、これはどうなるんでしょうか。平成十四年度の電波利用料は五百億強と聞きますけれども、電波法第百三条の二では、電波利用共益費用として免許人が負担するということになっております。
 そこで、私からも質問するわけでありますけれども、そのための対策をどのように講じるのか。周波数変更対策だけのために、単純に電波料から求めるとすれば、十年間平均二割も電波利用料を値上げすることになるのでありますけれども、先ほど何か明快な答えがちょっと出なかったものですから、改めて総務省の見解をお伺いします。
高原政府参考人 これも先ほどの大臣の御答弁と同じ内容になるんでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、全国地上デジタル放送推進協議会と各地の地上デジタル放送推進協議会において今作業をしておりまして、この七月初旬を目途に対策経費の概算を取りまとめるということになっております。
 したがって、その後の対処の仕方につきましては、現時点で具体的に、この電波利用料の値上げ等も含めてどうするのかということを今は申し上げる段階ではございません。経費の確定を待って、今後総合的に検討させていただいて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
黄川田委員 この財源には、電波利用料の充当か、あるいは税金の投入か、これはいずれかしかないと思っております。
 先ほどお話ししましたとおり、本年度の電波利用料収入は五百億円を超えるという見込みでありますけれども、約七千万台ですか、これを超えた、普及した携帯電話の各端末を一無線局としてそれぞれ年五百四十円が徴収されていることは、そしてまた大半を国民が直接負担していることは、余り知られておりません。国民一人一人が携帯電話の普及に伴って電波料を支払っているんだよという認識は極めて薄いところがあると思います。
 ですから総務省は、国民にアナログからデジタルへの変更の全容を詳しく説明して、先ほど言いましたとおり、なぜデジタル化であるかとか、国民一人一人が理解できるような、そういう啓発にぜひとも引き続き取り組んでいただきたいということを指摘しておきたいと思います。
 それでは、時間でありますので、最後に、個人情報の保護に関係して伺いたいと思います。
 新しく電波を利用したい人が既存の電波利用者に係る情報を得ることによりまして、行政へ免許を申請する前に、本当に自分が電波を使うことができるかどうか自主的に調べることができるようになることは、国民が電波を利用したビジネスチャンスを確実につかむことが可能となりまして、経済を活性化させる方策の一つと考えられるところであります。しかしながら、無線局に関する情報は、個人のプライバシー情報も含まれているはずでありまして、この扱いには十分留意しなければならないところもあると思います。昨年施行されました情報公開法においても、個人情報は不開示情報として整理されておりまして、個人のプライバシーにも十分配慮したものとなっております。
 そこで、このように個人情報にも配慮して整備された情報公開法とは別に、今回改めて電波法において無線局に関する情報提供制度を整備した理由は何か、そしてまたプライバシー保護の観点からは具体的にどのような配慮がされておるのか、総務省の見解を求めておきたいと思います。
山内大臣政務官 今回の情報提供制度というものは、そもそも新たに電波の利用を希望する者がおおよその電波の利用可能性をみずから調べることができるようにするための制度でありまして、特には、必要となる技術情報を提供するということが基本になっております。そういったことで、総務大臣が提供することとなる無線局情報というものは、周波数、それとか出力のワット数、無線設備の設置場所、アンテナの高さとか向きなどの技術的な情報に限定されております。
 したがって、具体的には、個人のプライバシー侵害という事態は想定されておりません。念のために、プライバシー侵害の懸念等は十分に配慮して、今回、情報公開法による対応ではなくて、新たな情報提供制度の導入を図るものとしております。
 具体的には、情報公開法では、一たん開示された情報については、その利用の目的には限定が設けられてはおりませんが、今回の制度では、情報提供は無線局の開設等に必要な範囲内での情報に限定をいたしておりまして、無線局の開設などの目的以外に利用したり、他人に提供した場合の罰則を設ける措置を講じているものであります。
 以上でございます。
黄川田委員 大規模な電波の再配分には透明性が最も大事でありますので、時代を先取りしました特段の配慮を要望いたしまして、終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 国民共有の財産であって限られた資源としての電波、これをいかに有効に使っていくかということは極めて大切な問題だと思います。提案されております法案の、利用状況の調査、あるいはその評価、またその結果の公表などなど、すべてが満点とはいきませんけれども、電波の再配分と有効利用を進める上で必要なものである、このように考えます。
 ところで、この周波数が逼迫した状況の中で、その対策としてデジタル化を進めるということは、もちろん技術開発の中でこういう方向が進んでいるわけですけれども、有効な取り組みであると思います。
 そういう状況の中で、昨年の電波法の改正の問題を、私、もう一度お聞きしたいわけであります。
 地上デジタル放送の問題が論議されました。二〇一一年にはアナログ放送を打ち切る、こういうことに決まったわけですけれども、まず最初に、打ち切るのは二〇一一年のいつなのか、その辺をお答えいただきたい。
高原政府参考人 昨年七月に告示された放送用周波数使用計画によりますと、地上アナログテレビジョン放送の周波数の使用は、平成二十三年、すなわち二〇一一年の七月二十四日までというふうに定めているところでございます。
矢島委員 ところで、既にアナ・アナ変換というものが、昨年の十一月ですか、ずさんな調査の結果ということで大変問題になったわけで、一年もおくれているわけです。
 NHKの予算の審議の中でも、NHKの会長が、地上デジタル放送の開始、これを、先ほど来大臣も答弁されておりますが、二〇〇三年末、こういうことで答弁されております。それから、民放各社も同じで二〇〇三年末から開始する、こういうことに進んでおります。
 そこで、私が聞きたいのは、今局長答弁されたように、二〇一一年の七月二十四日、ここで打ち切るわけであります。そうしますと、実は、この法案を昨年論議する中で、二〇一一年の打ち切りということについては、その根拠としていろいろあると思うんですけれども、決めなきゃだめだというようないろいろな意見がありますが、その中で一つ、テレビの買いかえサイクルの問題が出たんです。ちょうど八年から十年ぐらいが、大臣も答弁されましたけれども、大体テレビの買いかえのサイクルだと。そうしますと、二〇一一年ということになれば、二〇〇三年というところから大都市圏では地上波デジタルが始まるので、そこで適当な時期なんだ、こういう答弁もあったわけです。
 ところが、どうもこの今の状況から考えますと、二〇〇三年の暮れには何とかいきそうですが、それでも二〇一一年の七月二十四日までということになりますと、その期間は七年八カ月あるわけですね。
 そうすると、テレビの買いかえの期間とのかかわり合いからいうと、実は、八年ないし十年という答弁もあったように、これは内閣府が調査しました消費動向調査、これを見ますと、カラーテレビの平均使用年数というのは十・七年、こう出ていますから、平均して十年ぐらいと踏んでみましても、今の状況からいうと、去年の一月に購入したテレビというのは二〇一一年の打ち切りの時点でもまだ映っているんですよ、現役として。しかも、地方では地上波デジタル二〇〇六年ですから、そうしますと、まだアナログテレビは売られているわけですよ。
 そうしますと、一年間でおおよそ、今、テレビの出荷台数一千万台と言われているんですね。一千万台というと、打ち切りの時点で三千万台近く、あるいは、地方の二〇〇六年という放送開始、そこまでアナログテレビは売られているわけですから、多いと五千万台ぐらい、まだまだ現役の映るテレビが使用されているという状況になっているんですね。アナログのテレビが使用できる状況になっている、そういう状況にあるわけです。
 そこで、二〇一一年の七月という時点を考えてみますと、一億台ぐらいあると言われる日本の各家庭でのテレビの台数からいくと、半分近くがまだ見ることができるのに、アナログ放送が打ち切られてしまう。こういう状況をつくるわけで、これは当初の大臣の答弁からしても、どうもこの二〇一一年という期限を切ることの一つの根拠として、その計画が破綻しているんじゃないか。ですから、ここで計画を見直す必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣いかがですか。
片山国務大臣 昨年の電波法の改正のときにもいろいろ御指摘をいただいたんですが、二〇〇三年から地上波のデジタル放送を始めるために、その前にアナ・アナをやろう、こういうことですね。そのアナ・アナが確かにおくれていることは事実ですけれども、そのためにできるだけ、例えばセットトップボックス方式を導入するとか、区域を限定するとかという努力をやりまして、七月から一生懸命かかわっていく。二〇〇三年から三大都市圏で地上波のデジタルが始まるということは変えないわけですから、やり方を変えるかもしれません、エリアを幾らか変えるかもしれませんが、これは当初の計画どおり、二〇〇六年からは地方からもやってもらうということも変えない。
 そこで、テレビの買いかえのサイクルが八年ないし十年と申し上げましたが、そうしますと、少しそれは現役が残りますよね。だから、そういうところはもうちょっと早目に、八年か七年で買いかえてもらう。そのときは相当安くなっていますから、よくなっていますから。
 それともう一つは、どうしてもというのはチューナーをつければいいわけですから、チューナーも安くしてもらいまして、安い値段でチューナーをつけてもらう。そういういろいろなことが考えられるんじゃなかろうか。
 それから、やはりおつくりになるメーカーや、お売りになる販売店の方も、恐らくアナログ放送の末期が近づいてまいりますと、もうデジタルにかえなさいという宣伝をすると思いますから、そこは、日本人は大変賢明なる国民でございますから、私はスムーズな移行が可能ではなかろうか、こう考えております。
矢島委員 国民の賢明さに期待するということですが、しかし、やはり現実の問題として、二〇〇三年でもまだアナログテレビは売られているわけですから、そうしますと、実際の現役、つまり映るアナログテレビが二〇一一年の段階、打ち切りの段階でもある、こういう事実は事実なんです。ですから、そういういわゆる一つの法律によって、たくさんの使用可能なテレビがスクラップになってしまう。もちろんチューナーをつけるとかいろいろなことも言われますけれども、現実問題として使えなくなる、そういう状況は非常に混乱をもたらすのではないかと私思うわけです。
 ですから、出だしが間違ったんですから、つまり、計算間違いもあるんですが、見込み違いがあるんですから、ひとつ、この時期というものを見直したらどうか。私たち、去年の電波法については修正案を出しました。つまり、見直し条項をつけ加えるということ。しかし、それは成立しませんでした、残念ながら。そういう状況を考える中で、やはりもうこの二〇一一年ありきというやり方でやるべきなのかどうか、この問題を私は指摘しておきたいと思うんです。
 そこで、実はアナ・アナ変換のコストの問題でお聞きしたいんです。
 私たち、昨年来当委員会で取り上げてまいりましたけれども、このコストの計算というもので、あるいは見込みというもので大変な失敗をしたわけですね。その失敗の結果、現在こういう混乱が起きているわけですが、あの去年の電波法の審議は何だったのかと言わざるを得ないんですね。
 そこで、その対策費について、変換の対策コストを何とか削減しようという努力をされているというわけで、これは必要なことだろうと思うわけですが、実は四月八日付日経ニューメディアにこういう記事があったんです。「地上デジタル協、アナログ周波数変更による電波干渉を一部許容、対策費削減策の一環」という見出しです。
 そして、中身を見ますと、「全国協議会はこうした対策を施す世帯を減らすために二〇〇二年三月、新たな判定基準を全国の放送事業者に示した。具体的には、干渉の許容値を二十八デシベルから二十五デシベルに引き下げた。これにより、従来の基準を上回る強い干渉が起きても、電波干渉対策の対象にはならない。」と報道しているんです。
 つまり、対策を施す世帯を減らしていく、そのために二〇〇二年三月、新たな判定基準を全国の放送事業者に示した、こういうわけなんですが、これはそうやっているんですか。
高原政府参考人 今先生おっしゃいましたような、新たな基準を現時点で放送事業者に示したということはございません。
 それで、もともと混信保護比ということで、チャンネルプランの策定に際しまして、要するに放送区域において受信を希望するチャンネルの電界強度と妨害チャンネルの電界強度の比、これを混信保護比と申しておりますけれども、これが一定レベル以上となるように、今チャンネルを選定するというふうにしております。
 全国地上デジタル放送推進協議会において、今アナログ周波数変更対策の見直し作業が行われておりますけれども、この中でチャンネル選定を行う際には、検討を開始した当初の混信保護比を引き続き採用するということで今作業をいたしておりまして、これを引き下げることは、現在考えていないものでございます。
矢島委員 先日、私のところに内部告発ともいうべき投書がありました。その投書はアナ・アナ変更対策についてというので、ちょっと読んでみますと、私は某放送会社に勤める者で、アナ・アナ変更対策に関係した仕事をしています。いろいろ内容は書かれておるんですが、今局長が答弁された混信対策の混信保護比、それから新たな基準、ここのところの問題では、先般、全国協議会は新たに対策基準値を設けました、その基準は混信保護比より甘い値となっています。それは二十八を二十五にするわけですから。そうすると、いわゆる障害を受ける世帯数も、新しい基準のもとでは少なくなる。いわゆる経費削減という点では確かに一つのやり方だけれども、重大な問題があるという指摘なんです。
 それは、私は経験上、混信保護比が障害の実態に合っており、これを基準とすることが正しいと思います、また、技術部門の関係者の大部分もそう思っているんです、現実に今までの検討に対し、だれも混信保護比に異論を唱えていません、対策経費の大幅増という実態がわかってから出てきた理屈、これが新しいいわゆる対策基準値だ。もしこれで、途中でそのやり方でやって苦情が発生してくるなどということになると、今までの計画、ずさんな計画と何回も言われているわけですが、再びそういう重大な問題が起こってくる、つまり、認識が甘いという世間の批判が前以上に強まるだろう、こういうことが書かれているわけです。
 つまり、この混信保護比と新たな対策基準値、この問題については、こういう状況だったと思うんですよ。二十八デシベル、この基準とする放送区域内の混信では、対策基準値の二十五デシベルという検討をしているということを、一月三十一日に総務省、説明会で説明していると思うんです。
 それで、全国協議会の受信対策部会がその方向で今検討をしているというけれども、実際には、この二十五デシベルというので作業を進めようという方向にあるのであって、今局長が言う二十八は変えないという点については、どうも納得いかないんですが、本当にそうなんですか。
高原政府参考人 混信保護比と混信対策基準値は別でございまして、先生今両方の概念を使用しておられますけれども、混信保護比というのは、先ほど申し上げましたように、チャンネル選定に際して使用する基準でございます。それから、混信対策基準というのは、これからアナログ周波数変更対策を行った後になお部分的に混信が生ずる場合に、これから対策を行うかどうかの判断基準が新たに必要になってまいりますので、それを混信対策基準値として、現在、全国地上デジタル放送協議会で検討中のものでございます。
 したがって、何か二十八とか二十五という数字が今現在あって、それをどうこうするといったようなものではございません。
矢島委員 混信保護比というのは、いずれにしろ混信を起こさせない、一つの放送区域内で起こさせないための基準、こういうことだろうと思うんです。今度のいわゆる対策基準値というのは、その中において、あるいはその外部において混信が生ずるときに、その基準としては新たに対策基準値を使っていこう、こういうことじゃないんですか、多分そうだと思うんです。
 この問題は、時間がなくなっちゃいますから、この辺にしておきますが、どうもはっきりした答弁ではないんですよ。非常にあいまいなんですよ。どうやって進めていくかというのは、これから重大な問題ですよ。精査するんですから、この地域の混信状況を精査して、何件対象世帯があるかというのを決めていくわけですよ。またその対象世帯が狂っていたなんということになるといけないわけですし、そんなことが起こったら大変です。
 ですから、この二十五デシベルという数値というのがそういう基準なのかどうかということを、いわゆる報道とかあるいは内部の投書だとかを使って私ただしてきたわけですが、どうも局長の答弁ですと別々の問題だというようなことのようですが、またの機会にこの問題については論議していきたいと思います。
 そこで、残りの時間わずかですので、三つ続けて聞きます。
 というのは、やはりコストをいかに削減するかということ。今までコストがふえてしまったのは、やはり対策することを必要とする世帯、この世帯の数をどうも過小に見積もったんじゃないかと。そこで、ホテルや事務所、これら事業者のテレビは対策世帯になっているのか。それから、共同アンテナで見る世帯はどうなっているのか。それから、一世帯にテレビが数台ある場合、こういうときはどういうカウントをしているのか。お答えいただきたいと思います。
平林委員長 なるべく簡潔にしてください。
高原政府参考人 現在定められております給付金の支給基準では、住宅、病院、老人ホーム等、生活の拠点であるというところは給付金の対象としておりまして、事業所やホテルについてはその支給対象としておりませんが、職住一体型の事業所については支給対象としております。
 それから、一般家庭でテレビが複数台ある場合には、チャンネル調整を必要とする台数すべてが給付金の支給対象となります。共同アンテナを使用している場合も同様でございます。
矢島委員 時間になりましたので、最後に委員長にお願いなんですが、実は、このアナ・アナ変換のコストを削減するということは、これは私、必要なことだと思うんです。ただ、そのために、先ほど混信保護比の操作ということをちょっと私話したんですが、要するに、手当てするべきテレビが対象外になったりしたら大変だということなんです。これからいわゆるトータル費用というのを精査して出してくる、大体夏ごろ。そうすると六月の中旬ごろには出てくるのかと思うんですが、その時点で、ぜひ、その出た結果をこの委員会に報告し、その内容に沿って審議をするということを理事会で御相談いただきたい。
平林委員長 ただいまの矢島君のお話につきましては、別途理事会で協議することといたします。
矢島委員 終わります。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党・市民連合の重野安正です。
 私、本電波法の一部改正案について幾つか質問をしたいと思います。
 まず、今回の改正案の性格についてでありますが、確かに無線局に関する情報公開が盛られるなど前進面もあると理解をいたします。しかし、この電波行政の実態的変化、これがどういうふうに変わるのかということ、内容を読んでもなかなか具体像が見えてまいりません。法改正としては、そういう意味では非常に中途半端ではないのかなというような感じがしますが、まず改正案の性格について、大臣の見解をお聞かせください。
片山国務大臣 今、我々の生活で電波というのはもう不可欠なものになっていますよね、いろいろな意味で。インターネットやテレビを取り上げましてもそういうことになっておりまして、それに対する国民の認識も相当変わってきたと思います、電波、電波利用に対する国民の認識。
 そうなると、やはり電波行政にしっかりしてもらわなきゃならない、こういうことになりますし、その電波行政にもっと透明性を高めてもらいたい、こういうことになると思いますね。よく知らぬで事を進められるのは困る、こういうことでございまして、そういう意味では、この法律によりまして、電波行政あるいは電波状況の透明性は飛躍的に私は高まると。
 これは、調査をちゃんとやる、公表する、あるいは情報を提供する、こういうことでございまして、それから今度は、この有限の電波資源の再配分をどうやるかですね。あるいはその価格設定をどうやるか。そういうことを含めまして、やはりきちっと状況を調査する、明らかにする、それから、それを透明にするということから次なる電波行政が始まるのではなかろうか、そういう意味では大変重要な法案だと私は考えております。
重野委員 それでは具体的に聞いてまいりますが、電波の有効利用政策を総合的かつ計画的に進めるということであります。このことは、せんじ詰めれば、こうした目標のために、電波の利用状況の調査、公表と、周波数割り当て計画の作成による電波利用の再編成、これが本案の最大の眼目であろうと認識をするわけであります。となれば、周波数割り当て計画策定と、これをスムーズに実現するための行財政上の措置を含む、一貫した体系整備が求められているのではないか、そうした一貫性のある改正案を提案すべきではないのかというふうに思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 電波利用の再編成、電波の再配分をやる場合には、お話のように、既に免許を持っている人に補償する必要があるのかどうか、仮に補償が必要となった場合には、だれがそれを持つのか、こういう議論がありますね。そこで、私どもの方では研究会をつくりまして、今御議論を賜っておりまして、本年の十一月ぐらいまでには検討の結果をいただきたい、こう言っておりまして、それをいただいてから対応を考えたい、こう思っております。
 それじゃ、それまで何年もじいっと待っていいのか、こういう議論ですね。我々としてはもう待てないんで、まず電波の利用状況の調査や公表の仕組みを並行してつくっていこう、それで同時に、研究会の方の御答申が出れば、それをリンクさせて、これからの、今の電波利用の再編成や電波の再配分のしっかりした対応をしていこう、こう考えているわけであります。
重野委員 それではお聞きしますが、昨年十二月、電波の利用状況の公表等に関する調査研究会報告、こういうものが出されました。その中で、「円滑な周波数移行方策の検討」として四点出されていますが、十分な準備、移行期間の設定、それから、長期ビジョンに基づく割り当て計画の策定、対象免許人に対する費用補てん、補助等、対象免許人に対する移行後の周波数を優先的に利用できる等、こういう四つの指摘がございます。
 さらに、本年十一月、先ほど大臣も申されましたけれども、電波有効利用政策研究会答申が出される、このように承知をいたしておりますが、円滑な周波数の移行は今後の電波利用の一つの重要な核をなすものであることは論をまちません。
 ここで指摘されている四つの課題に関する具体策を含んで初めて法改正は意味を持つのではないか、このように思います。
 特に、第二十六条の二、五項では、総務大臣は、免許人に及ぼす技術的及び経済的影響を調査することができると明示をしているわけでありまして、そういうことがある以上、具体策なくして法改正とは言えないのではないか、こういう見解を私は持つんですが、これに対してはどのようにお考えでしょうか。
鍋倉政府参考人 現在の周波数の再配分の仕組みというものをちょっと前段で御説明させていただきたいと思いますが、従来から、既存の免許人への影響を十分に配慮しまして、別に移っていただく周波数を用意しまして、しかも経済的負担をかけないということで十年以上の準備期間を設けて、そのかわりに減価償却等も終わっているということで補償はしないということを原則にしてまいりました。
 ただ、免許は、普通はこういうのは五年でございますけれども、免許が無期限という無線局がございます。それは義務的に設置をしなきゃいけない船舶や航空機の無線局ということでございますが、これにつきましては、国際的合意で周波数が移るという場合には、その免許人に対しまして、期限が無期限でございますので、移行していただくと同時にその損失を補償していたというのが現行のスタイルでございました。
 先生御指摘のように、二十六条の二の第五項で、技術的及び経済的な影響を調査するということでございますが、これは、今私どもが行っておりますいわゆる現行の再配分計画の検討に当たりましても、今回の利用状況の調査や、それから既存免許人に生ずる経済的な影響の調査というのは、現行の制度でも活用はできるし、効果があるというふうに考えております。
 ただ、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、基本的には、既存のものにも使えますけれども、やはり新しい制度の準備段階ということで、新しい再配分計画の前段としても位置づけるということで、今回、御提案をさせていただいているというものでございます。
重野委員 次に、電波の有効利用に関する評価問題についてお伺いいたします。
 同じく第二十六条では、三年ごとに無線局の数、無線通信量、無線設備の使用態様、その他電波の利用状況について調査する、このようになっております。
 同条第三項では、この有効利用の程度を評価すると定めておりますが、この評価はあくまでも技術的なことが中心となるというふうに受けとめるんですが、そういう受けとめでいいのかどうか、お聞かせください。
鍋倉政府参考人 今回の調査は、当然、通信内容を把握しようというものではございませんで、電波が実際に量的に効率よく利用されているかどうかを把握するものでございますので、具体的には、技術的に最先端のものを用いて効率的に使用しているか、一日にどのぐらいのトラフィック、通信量があるかといったことを把握するという、いわば形式を把握するものでございまして、そういった意味での有効利用の程度について評価をしようというものでございます。繰り返しになりますが、通信内容を把握するというものではございません。
重野委員 次に、周波数割り当て計画策定に当たっての評価基準をどうするか、このことは国民の共有財産たる電波利用の公平性にとって極めて重要な問題であると認識をいたします。
 これについて、先ほど指摘をしました研究会報告では、定量的指標に基づく評価を基本としつつも、国の安全、非常時における国民の生命財産の保護、国民生活・経済発展への寄与、科学技術の進歩への寄与を考慮する、このようにしておりますが、その上で八つの定量的指標例を挙げています。逐一全部申し上げませんが。
 しかし、定量的評価イコール絶対的評価基準とは言えない部分があることを認識しなければなりません。一例を挙げますと、防災無線は定量性では限りなくゼロであることが望ましいわけでございます。定性的評価も重要な評価基準と言えます。定量と定性をいかにミックスするか、行政の内部判断のみにゆだねられるべき問題ではないと思います。
 この点、第二十六条の二第四項では、総務省令で定めるところにより、その結果を公表する、このようになっております。そこで、ここで言う総務省令では評価基準、内容をどこまで具体的に公表するのか、その点についてお聞かせください。
鍋倉政府参考人 先生御指摘のとおり、定量的にだけでは評価ができない、いわゆる定性的な評価というのが必要なのは、そのとおりだと思います。
 基本的には、定量的指標という方が数字であらわれますので比較が可能ということでありますから、そういう意味で、使用年数だとか使用技術だとか通信量ということを基本とするということでございます。
 ただ、先生、今おっしゃいましたような防災無線というのは限りなくゼロがいいということですけれども、それならゼロでいいのかという、ゼロを割り当てるというわけにはまいりません。災害時に必要な通信量を想定して、伝送容量をあらかじめ確保していくというのは当然必要なことだろうというふうに思います。
 しからば、その評価基準というのをどういうふうに定めていくのか、どういう内容を定めるのかということだろうと思いますが、私ども、今考えておりますのは、この国会での御議論あるいは国民の方の意見を踏まえながら策定をしていきたいというふうに思っております。
 評価に当たりましては、その評価の基準も含めて具体的に、いわゆるパブリックコメントでございますけれども、パブリックコメントを示した上で意見を募集し、そういった方々の意見を反映し、さらに電波監理審議会に諮るというようなことで評価基準を定めてまいりたいというふうに思っております。
重野委員 二〇〇一年三月末現在、約六千六百五十七万局、このように聞いております。しかも、今後、電波ニーズはますます高まることが予想され、それが今回の法改正の背景にあるというふうに理解をいたしますが、こうした膨大な局が評価され、周波数割り当て計画が策定されるわけでありますけれども、例えば低評価となった無線局の扱いはどうなるのか。
 現行電波法七十五条、七十六条の規定によりますと、総務大臣による取り消し要件が求められております。例えば無線局の運用を六カ月以上休止したとき等であります。これを除けば、現行に定める取り消し要件と本改正案に基づく評価及び周波数割り当て計画との関連性、ここはなかなか見出し得ない部分もあります。したがって、仮に同調しない場合、即免許取り消しということにはならないのではないかという感がするんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
鍋倉政府参考人 現行の制度から申しますと、調査をした結果、今御指摘の、例えば帯域を圧縮するとか、あるいはまた、電波をもう御利用いただかなくて、光ファイバーへ転換していただくのが適当だというような評価が仮になされた場合には、新しい電波に対するニーズの緊急性等もございますが、そういったものも勘案をいたしまして、周波数割り当て計画を変更するということになります。
 現行の制度であれば、変更した周波数割り当て計画に基づいて免許ということになりますので、仮に五年後に再免許を同じような形で、つまり帯域の圧縮をしないような形で既存の免許人が申請をしてこられた場合には、この再免許申請を拒否するということになるんだろうと思います。
 御指摘のとおり、電波法上では、公益の目的で、現在のところ、周波数変更によっても有効期間中に免許の取り消しというものはできませんので、有効期間が終了後にそういう再免許が行われた場合に再免許を拒否する、現行の形ではそういうことになるんだろうというふうに思います。
重野委員 もう時間も来たようでありますので、最後に改めて指摘をしておきたいと思うんですが、今局長の答弁のように、これは大変な作業と内容を有するものであると認識をします。
 先ほど私、申しましたように、電波有効利用政策研究会、この結論、検討結果の取りまとめが十一月、こういうことになっています。私は、頻繁に法律の改正が行われるというのは、国民の側から見れば至極迷惑な話だと思うんですね。したがって、私は、本法改正は、この十一月の検討結果が出て、その中で総合的にやるというふうなことにした方が、国民の側から見ればいいのではないかというふうな感じがするんです。中身について我々は反対するものではないんですね。
 問題は、こういうときにやる、そしてまた十一月の結果が出れば出たでまた何らかの改正をしなきゃならぬということになっていくだろうと思うんですね。そこのところは、やはり受け身の国民の側のそういう思いというものを十分にしんしゃくしてやるべきではないか、こういうふうに思うんですが、大臣の見解をお聞かせください。
片山国務大臣 重野委員の言われるのも一つの考えですね。全部一連のものがちゃんと結論が出てから法律を直せ、こういうことですけれども、今、研究会の結論を十一月にもらいまして、そこでどういう対応をするかなんかやっていますと、早くて来年の通常国会ですよ。遅ければ来年の臨時国会、臨時国会があるかどうかわかりませんけれども。そういうことになりますと、相当おくれるんですね。
 何度も言いますけれども、今、ドッグイヤーの時代ですからね。だから、我々は、まずしっかり調査すること、公表すること、情報を提供する、そういうことは少なくともだれも異論がないんだから、この通常国会でぜひ成立させていただいて、早急に取りかかりたい、こう思っております。上るところは一緒ですけれども、上り方の話、時期の話でございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
重野委員 終わります。
平林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十時五十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.