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第21号 平成14年6月6日(木曜日)

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平成十四年六月六日(木曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      金子 恭之君    河野 太郎君
      左藤  章君    佐藤  勉君
      阪上 善秀君    七条  明君
      新藤 義孝君    滝   実君
      谷  洋一君    谷本 龍哉君
      野中 広務君    森岡 正宏君
      山本 明彦君   吉田六左エ門君
      吉野 正芳君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      島   聡君    田並 胤明君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      石原健太郎君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   総務大臣政務官      山内 俊夫君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (内閣法制局第三部長)  梶田信一郎君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (総務省郵政公社統括官) 野村  卓君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    松井  浩君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           洞   駿君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月六日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     七条  明君
  大野 松茂君     山本 明彦君
  佐藤  勉君     金子 恭之君
  新藤 義孝君     森岡 正宏君
  谷  洋一君     阪上 善秀君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     佐藤  勉君
  阪上 善秀君     谷  洋一君
  七条  明君     赤城 徳彦君
  森岡 正宏君     新藤 義孝君
  山本 明彦君     大野 松茂君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 日本郵政公社法案(内閣提出第九二号)
 日本郵政公社法施行法案(内閣提出第九五号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出第九三号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九六号)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第三部長梶田信一郎君、総務省郵政企画管理局長團宏明君、総務省郵政公社統括官野村卓君、郵政事業庁長官松井浩君及び国土交通省自動車交通局長洞駿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。
吉野委員 おはようございます。自由民主党の吉野正芳でございます。早速質問に入らせていただきます。
 まず最初に、平成十年、中央省庁等改革基本法が制定されました。この三十三条の三項に、「政府は、郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入るものとする。」こう書かれております。この検討という条項を受けて、今度の法案の提案理由の中で、この検討をした結果、信書便法案を提出するというふうに述べられておりました。十分な検討が果たしてなされたのか、私はそう思います。
 大臣の公社化研究会の答申も、中間報告なんです。中間報告ということは、まだこれから検討を続けて、そして最終報告を出す、そういう意味にもとれます。にもかかわらず、中間報告を踏まえてこの法案を出してまいりました。私は、平成十年、当時のこの基本法をつくった状況の中で、検討するということは当然いいことであります、反対しません。でも、公社化後、公社をつくって、そしてその公社を動かしてみて、どんな形で動いていくのかというところも、平成十年のときの検討という言葉の中に含まれるものというふうに理解していくのが素直な考え方だと私は思います。そういう意味で、公社をつくり、そしてそれを動かしてみてその動きを見ていくことも検討の中に含めるべきではないかと私は思うわけでありますけれども、その辺のことについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
片山国務大臣 今、吉野委員からお話がありました点でございますけれども、この基本法三十三条第三項の規定は、平成九年十二月の行政改革会議の最終報告で同じような表現があるんですね。「郵便事業への民間企業の参入について、その具体的条件の検討に入る」と。それをそのまま立法化してそういう規定を置いた、こういうふうに考えております。
 いろいろな考え方ができますけれども、これは、競争を導入するということを目指して、郵便事業に民間事業者を参入させるということを前提に具体的な条件の検討をしてくれ、こういうふうに受け取っているわけでございます。
 そこで、これらを受けて、平成十二年の十二月の行政改革大綱で、民間事業者の郵便事業への参入を図ると正式に閣議決定いたしたわけでありまして、それを受けて検討に入ったわけでありますけれども、役所だけではということで去年の八月に公社化研究会をつくりまして、十二月に中間報告をいただいて、それに基づいて今度の立法をした、こういうことでございます。
 中間報告であって最終報告ではないではないかと。まだ研究会の任期があるものですから中間報告という名前をとりましたけれども、基本的にはあれは最終報告なんですね。後はアフターケア的なことを少し御議論いただこう、こういうことにいたしておりまして、公社化については中間報告が最終報告だ、こういうふうに御理解賜れば大変ありがたいと思います。
 そこで、委員言われるように、公社をつくってみて、公社を動かしてからでもいいではないか、そういう御意見もほかにもあるわけでございますけれども、我々は、公社化をする際に民間事業者にも入っていただいて、競争関係に立つ方が郵政事業全体にとってはいいのではなかろうか、こういう考え方でございまして、その辺もぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。
吉野委員 今の議論はお互いに理解の仕方の違いでありますので、平行線になろうかと思います。
 続いて、公社化をした後、公社の民営化はしない、明確に基本法に書かれております。法律の三十三条一項六号であります。これをきちんと読みます。前号に掲げる措置をやることによって、民営化はしない。前号に掲げる措置という、ここはいろいろありますけれども、企業会計原則の導入とか、公社をつくる、中期経営目標をつくり中期経営計画を立てて、いわゆる民間的な経営をする、そういうことがもろもろ前号に書かれております。ですから、公社は、中身は民間的な経営手法を大きく取り入れた、そういう公社であるので、よって民営化はしないというふうにここの法律は解釈をするのが当然だと思います。ここについて大臣の御所見を賜りたいと思います。
片山国務大臣 この点につきましてもかねがね御議論を賜っておりますが、政府の公式な解釈は、前号に掲げる措置、公社化ということですね、公社化によって民営化等の見直しは行わないものとすると。だから、公社化をやるんだから民営化しないのだよということを確認的に書いているわけでありまして、この条項があるから、以降何らの検討もできない、何らの措置への移行もできない、こういうふうにはなかなか解釈できないというのが、法制局長官もせんだって答弁されたと思いますけれども、公社化の措置ということは、確認的に、民営化の見直しはしないことだ、こういうふうに書いていると我々としては解釈いたしておるところでございます。
吉野委員 ですから、例えば五十年たって、三十年たって、法律を見直さなければならない時期が来た場合には、当然、幾ら法律で民営化はしないと書かれてあろうとも、民営化は、その法案は、修正、改変をしなければならないと思いますけれども、まだ公社もできていなくて、動いていなくてというこの時点において、民営化はしないという、法律ですから、閣議決定よりも重い法律を今の時点で破るといいますか、そういうことは、私はいかがなものかというふうに思います。
 さて、次の質問に参ります。
 私、いろいろ地元を歩いております。私の選挙区も山の多いところで、山間部です。この間地元の人とお話をしたら、こんなことが地元から声がありました。この間小包が届いたんだけれども、宅急便の小包なんだけれども、配達したのは郵便局なんだよな、こういうお話でした。え、やはり山間部だとコストがかかりますから、宅急便屋さん、自分で配達するコストを考えるよりも、小包料金を払って、もう郵便局に任せちゃった方がやはり採算的には得なんだな、そんな経営的な判断から山間部の方では郵便局が宅急便屋さんの小包を運んでいるというふうに私は理解をして、でもやはり、お客さんからの荷物を届けるという受託責任はどこにあるのかなと。その小包を受け取った地域の人たちも、何かおかしいな、こういう声でありました。
 それで、いろいろ私も調べてみました。そうすると、何と、これは国交省の方の宅配についての運送約款なんですけれども、標準宅配便運送約款というのが平成二年に定めてありました。ここではこう書いてあるんです。特約により、本人が同意した場合にはこの小包は郵便局に頼んでいいというふうに運送約款に書かれておりました。早速宅配屋さんの申込書を見させてもらいましたら、確かに書かれておりました。それも眼鏡で見なきゃ見えないような小さな小さな字で、本当に、ここに書かれている文字では一番小さな文字なんです。この荷物はどこどこ運輸がお預かりをし、郵便局のチルドゆうパックとして配達いたします、こう書かれております。ですから、小包については、民間業者が本当に行けないといった場合に、郵便局に頼んでもいいというのが法律で認められているわけです。
 翻って、運送約款の方は、ではどうして郵便局というところに頼んでもいいという判断を下しているのかと思うと、やはり国営でやっていますので、絶対的な信頼が郵便局にはあるんです、国営ですから。これが公社になり、もしくは民間に郵便局がなった場合、この国交省でつくっている運送約款そのものが、郵便局に頼んでもいいなんという運送約款ではいけないのかと私は思いますけれども、まず、こういう実態について、あと料金について、どういうふうになっているのか、事務当局に質問をしたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生の御指摘は、チルドゆうパック等という形で民間事業者と郵政事業庁が提携している典型的なケースのことを御指摘かと思いますが、これはどういうことかといいますと、民間運送業者がお客様からお預かりした保冷荷物等を郵便小包として郵便局のネットワークを活用して全国にお届けする取り扱いでございまして、平成十年の六月から提携ベースで実施しております。
 この場合、民間の運送事業者は、お客様からお預かりした荷物を、先ほどちょっとお示しでございましたが、お客様の了解を得た形で郵便小包として郵便局に差し出される、そして、郵便局では一般のお客様と同じように郵便の取扱手続に従ってお届け先へ配達しているものでございます。こうしたやり方で今やっておりますのは、現在、民間運送事業者十六社と提携しておりまして、数字で申しますと、平成十三年度の取扱個数は約八十四万個でありまして、年間のゆうパック取扱個数の約〇・五%になっております。
 こうした提携による差し出し、それから、そうでないような山間地域で出されるものもあろうかと思いますが、いずれも郵便の手続に従ってお届け先へ配達するものでございまして、郵便として出されていますので、料金については、割引の仕方も含めて一般利用者と同じ扱いでございます。
 郵便の立場で、宅配業者との関係で特別の受託責任は負っておりません、宅配事業者とお客様の関係はちょっと別でございますが。
 公社化後におきましても、郵便小包として差し出されるものにつきましては、やはり郵便制度の趣旨に沿って取り扱われるものというふうに考えております。
吉野委員 一般小包の料金として、宅配便の方も一般の小包も全く同じく扱うというわけですけれども、小包の料金体系を見ますと、大口割引という形で本当に割引をされた料金体系になっております。ですから、業者の場合は、この割引制度をフルに活用しているのかなと思います。
 そして、今、公社化後もこれは続くというお話でありました。もし信書便法案が成立した場合に、信書便について、この小包と同じように、山間地域については、八十円切手を張り五十円切手を張って、信書便も山間地域はもう郵便局に任すというような場合が考えられるわけですけれども、そうした場合、郵便局としては、公社としてはそれをどうするのか、そして委託をした民間事業者についてはどういう対応をしていくのか、お尋ねをしたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 今小包の例をお話しいただきましたけれども、通常の郵便につきましても、郵便局におきましては引き受け義務というものがございます。したがいまして、利用者がどなたであろうと郵便を引き受けなくてはいけないということになりますので、事業者だからといって断るということについては、引き受け義務上問題があるのではないかというふうに考えます。
 しかしながら、一般信書便事業は、本来的には全国のサービスをみずからが行うというのが原則でありますので、一般信書便事業者と利用者との関係というものをどう整理するのかというふうなことについてはなお問題があろうかと思います。本来的には、みずから、ないし正式の業務委託という形で全国のサービスを行っていただくのが原則というふうに考えております。
吉野委員 片山大臣、大臣がもし国交大臣だとして、運送約款を見た場合に、郵便局にお願いするというのは、平成二年当時は全く公社化も考えていないし、全くの国営、絶対的信頼を置くことのできる郵便局でございます。でも、時代が今これから変わろうとしておりますけれども、そうした場合に、運送約款を変えざるを得ないのかな、絶対的信頼を民間業者に置くということはできないわけでありますから。その辺、大臣どうお思いでしょうか。
片山国務大臣 小包の場合と信書の場合は違うんですね。小包の場合は、先ほど郵政事業庁長官が答弁しましたように、一定の約束のもとに配達を引き受けている、運送約款上もそういうことを認めている、こういうことですが、信書は、今言いましたように、みずから全面参入をされた民間事業者の方にやってもらうという建前ですから、これを配達だけ郵便局のネットワークでやるようなことにはならない、こう思いますから、その点で運送約款を見直す必要は、信書についてはないと私は思いますけれども、小包の方は、今それでうまくいっているんなら、それはそれでいいのかな、こういうふうに思っております。信書の方は、そういうことは想定もしておらないし、そういうふうにしてもらっては困る、こう思っております。
吉野委員 民間業者が郵便局に頼むという経営判断でありますけれども、そこがまさに民間業者にとっては損益分岐点だと思います。
 私の地域、人口密度を計算してみましたら、一平方キロメートル、一キロ一キロ四方で人口十五名です。世帯数で五世帯です。この辺が一つの損益分岐点の目安になるのかなというふうに私は推察するわけですけれども、この辺の全国的な統計といいますか、そういう分析はしておられるんでしょうか。
松井政府参考人 お答えします。
 民間運送業者から差し出されます小包郵便物につきましては、先ほども申し上げましたように、一般利用者として差し出されるものでございますので、私どもといたしましては、一般の小包と区別することなく引き受けております。したがいまして、特にどのような地域に配達されているかについて、組織的に把握していない状況でございます。
吉野委員 まさに、公社化になって、そして民間の事業者とこれから競争していくわけです。今の答弁だと分析していないというわけですけれども、民間は、もうこの線からは全部郵便局に任すんだという一つの損益分岐点を設定して、そして現実に小包については郵便局に任せているわけであります。ですから、公社化といっても、やはりライバルの宅配及び一般信書便事業者等とは戦っていくわけですから、その辺の徹底した分析というものをしなければならないのかなと私は思います。今答弁できないということですけれども、実際、庁内では十分なる分析、検討をしているかと思いますけれども、そこがまさに損益分岐点だというところを頭に入れて、分析、検討をお願いしたいと思います。
 各地方では、なかなか郵便事業は黒字にはなりません。赤字です。ですから、それぞれの局がアイデアを出して、少しでも小包、また手紙、はがきが出るように努力をしています。その中の一つにふるさと小包便という、郵便局でやったものがあります。
 実は、私の地元でも、海なものですから、サンマがございます。サンマの季節になると、ここの、浜の郵便局は生サンマをチルドで全国に配送しています。もう私たち市民は心待ちにしています。自分の親戚においしい生サンマを届けたいという、こんな事業をやっているわけですけれども、公社化になればもっとこういう事業が活発化しようかと思いますけれども、どんな手だてをとっているのか、お聞かせを願いたいと思います。
松井政府参考人 お答えします。
 ふるさと小包につきまして、温かいお話ありがとうございます。
 ふるさと小包は、郵便局にあるカタログ、チラシによりまして、全国各地の特産品、名産品をお申し込みいただき、ゆうパックとしてお届けしているものでございまして、郵便小包の需要拡大につながっているところでございます。
 郵便ネットワークを活用して全国を販売エリアとすることができるということでございますので、従来、限られたエリアしか販路をお持ちでない生産者のお立場からすれば、販路の拡大にもなるし、地場産業の振興にも寄与するのではないかというふうに考えておりますが、平成十二年度で約二千四百十七万個の利用個数があったところでございます。
 この拡大方策でございますけれども、従来の郵便局の窓口でのお申し込みに加えまして、平成九年からはインターネットによる申し込みも可能としておりまして、利用者の利便性の向上に努めております。それから、ふるさと小包を広く知っていただくという立場で、お年玉つきの年賀はがき等のくじつきはがきの当選商品として、ふるさと小包賞を設定したりしております。その他、公社化後も、各種の積極的な営業施策の展開によりまして、ふるさと小包の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
吉野委員 民間参入の外国の例でございますけれども、全面参入を認めた国に五カ国あろうかと思います。ここの実態、これを御説明願いたいと思います。
佐田副大臣 今先生が言われた国は、スウェーデン、フィンランド、イギリス、ニュージーランド及びアルゼンチンでありますけれども、最初から独占分野を撤廃した国は、スウェーデン、フィンランド及びアルゼンチンのみでありまして、ニュージーランド及びイギリスにつきましては段階的に自由化の範囲を拡大しているものと聞いております。
 時間の関係もありますので簡単に申し上げますと、スウェーデンは一九九三年に全面自由化を実施いたしまして、主に市町村内、大都市間における書状の送達の分野に民間事業者が参入いたしまして、それに対抗しまして、郵便事業体は、競争地域内のみの料金値下げ、小口料金の大幅値上げ、大口料金の値下げ等で対抗しているというのが現状であります。
 フィンランドでは一九九一年に自由化が実施されまして、ただし、参入に際しましては免許が必要であるというところ、ユニバーサルサービス維持の観点から、参入事業者に対しましても売り上げについて最高二〇%の課税を免許条件としていることなどによりまして、参入事業者は実質的にはあらわれておりませんで、独占状態であるというのが現実のところであります。
 また、イギリスでは、二〇〇一年に制度上独占分野を撤廃いたしまして、参入に際しましては免許制を採用いたしまして、政府は、ユニバーサルサービスの維持を大前提としつつ、その範囲内で免許を付与する方針でありまして、現在までのところ、免許を受けているのは八社から九社でありまして、その内容は、特定の企業内、特定の地域などにおきまして翌日早朝までに配達する付加価値サービスなどに限定されておりまして、実質的には部分自由化、そういうふうな形になっております。
 ニュージーランドは、これは評判になっておりますけれども、一九八八年に自由化に着手いたしまして、一九九八年には全面自由化を実施いたしまして、主に同一都市内、都市間送達書状等の分野を中心に民間事業体が参入しまして、これに対しまして、ニュージーランド・ポストもビジネス郵便を専門に取り扱う子会社を設立いたしまして、同一都市内部で発着する書状の料金を大幅に低くして対抗しているという競争が行われておるわけでございます。
 また、アルゼンチンは、一九九四年に全面自由化を行ったものの、自由化の影響もありまして、郵便事業体は二〇〇一年九月に会社更生法の適用を申請しておるという厳しい状況になっている、そういうことであります。
吉野委員 大臣、今の五カ国の例にも見られるように、どこもうまくいっていません。なのに、どうして条件つき全面参入がいいんだということでありますから、そこの理由を御説明願いたいと思います。
片山国務大臣 問題は条件ですね。我々は、ユニバーサルサービスを提供してもらう、郵便局のネットワークと同じような状況でやっていただけるんなら、ここは競争原理を導入した方が大変わかりやすいし、すっきりするんではなかろうか。こういうことでございまして、部分参入という考え方もありますし、段階参入もありますよ。ただ、少しわかりにくいのと、やはり、入りたいという業者の方に、全部はこうだなんということがわかった方がいいんではなかろうか。そのためには、研究会の御意向もありまして、条件つき全面参入、こういたしたわけでございます。
吉野委員 ドイツの例を見ますと、やはり高い目標を掲げて、そして段階的に、まあ、これは特殊会社ですけれども、ドイツ・ポストは日本でいえば公社と置きかえてもいいと私は思いますが、ドイツ・ポストを育てていこう、育てていこうという形でドイツはやっているんです。そのために、二〇〇二年で独占をやめるというところを二〇〇七年まで延ばしてみたり、ドイツ・ポストの動きを見ながら、いろいろな法改正をやりながら育てていっています。
 この方式が私はいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
佐田副大臣 ドイツ・ポストも、先生、これは非常に特殊な事情がありまして、二百グラム以上または基本書状料金の五倍超とか、一通あたり五十グラム超の同一内容の書状で同時に五十通以上差し出すものが自由化されていますけれども、それ以外はドイツ・ポストが独占になっている、こういう現状があります。
 なお、政府は二〇〇一年に、二〇〇二年末に撤廃することになっていたドイツ・ポストの独占保留分野の独占期限を二〇〇七年に延長した、今言われたことなんでありますけれども。ドイツ・ポストの会長が、正確な発言を承知していませんけれども、ドイツにおいては、参入する事業者に対しましてクリームスキミングを防止するための条件を課していないなどの条件から、自由化範囲の拡大に対して、ユニバーサルサービスの維持が困難になる可能性がありまして、会長の発言はそのような背景に基づいているんではないか、私はこういうふうに思っております。
吉野委員 時間が参りましたので、通告をしていた質問があったんですけれども、本当に申しわけありませんで、そのおわびを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
平林委員長 次に、谷本龍哉君。
谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。本日、お時間をいただきまして質問をさせていただきたいと思います。
 郵政公社化関連四法案ということで、二日目の審議でございますが、今までの質問者と重なる点も多いとは思いますが、重複はあらかじめおわびした上で質問させていただきたいと思います。
 今までの質疑を聞いておりまして、この公社化法案そのものに関して、いろいろな論点がかなり明らかになってきたと思います。それと同時に、何となく、その先どうなるんだといったような部分も含んだ議論が非常に多いというふうに感じております。これは小泉総理の持論であります郵政民営化論というものが強く影響しているのかなと思いまして、質問時間をいただいて、「郵政民営化論」という、民主党の松沢先生と小泉総理がともに出されました本を一度読み返しまして、今読んでもかなり刺激的な内容の本であるなというふうに思いました。
 それはさておき、今回は、公社化法案ということでございますので、それに従いまして、まず、基本的な部分の確認と、また、若干の外国との比較をしながら、何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず一問目ですが、これはもう何度も大臣、答弁されていると思いますけれども、スタートですので、もう一度最も基本的なところを確認させていただきますが、今回、この関連四法案を出されました。まず、日本郵政公社法案におきまして郵政事業を日本郵政公社として公社化する、そして、民間事業者による信書の送達に関する法律案におきまして郵便事業への民間参入を認める、こういう法案であるわけですが、この二つの内容につきまして、どういうメリットがあるのかという部分をいま一度説明いただきたいと思います。
片山国務大臣 この四法案、特に中心は日本郵政公社法案と信書便法案でございますけれども、これは、根っこは、中央省庁改革基本法の規定、それと、平成十二年十二月の行政改革大綱の閣議決定、それと、昨年お願いしました公社化研究会の中間報告、それに基づいて立法化したんです。
 そのメリットは、今の国直轄の事業を日本郵政公社という国営公社にすることによって、法律の表現でいいますと、自律的かつ弾力的な運営を可能にする、自由度を与えて、役所やその他が余りいろいろなことを関与せずに自由にやってもらう、こういうことが一つ。それから、信書便法の方は、民間参入によって競争原理を持ち込む、しかし、あまねく公平なサービス提供というユニバーサルサービスは確保してもらう。
 ユニバーサルサービスを確保しながら競争を持ち込む、公社に自由度を与える、それによってより質の高いサービスが国民に提供されるんではなかろうかと、ユニバーサルサービスを確保した上でですよ。そういうことがこの四法案を通じるメリットではなかろうかと私は考えております。
谷本委員 わかりました。何度も繰り返されている内容だとは思います。
 そこで、今回こういうふうに変えるというのは、基本には、最近の風潮というか、総理が何度も言われておりますが、民間でできることは民間に、そして官業よりは民業の方がより効率化した仕事ができるんではないか、そういう方向性がそこにあるのではないかというふうに思います。ただ、すべてをそうすればいいというのではなくて、その中で守るべき部分もある、民間に任せては達成できない部分もある、それを守らないといけない、そういう趣旨であるというふうに理解いたします。
 そこで、今回のこの法案ですが、官業の方から民業へ効率化を求めていく、その中で、民営化までいかずに公社化にする、つまりそこには理由があるということだと思いますが、その点についてちょっとお尋ねをしたいんです。
 郵便事業については、今言われましたように、ユニバーサルサービスの確保という問題がある、公社とはいえ国営ということでいくことについて、まだこれは理解しやすい部分だと思います。また議論もたくさんなされていると思います。
 ただ、この郵政の場合には、あとの二つの事業があります。郵便貯金、簡易保険、この二つについて、これもともに民営化ではなく公社化が適当であるということにつきましては議論が余りされていない、あるいはわかりやすい形の理由がなかなか聞こえてこないような気がします。昔と違って銀行も保険会社も民間にたくさんあるということで、国営で郵便貯金あるいは簡易保険をする必要があるのかという声が一部にあるのも事実であります。
 この点について、国民にわかりやすい説明をいただければと思います。
佐田副大臣 先ほど大臣の方からもお話がありましたように、三事業一体で公社化に移行するという話につきましては、これは中央省庁等改革基本法三十三条一項の規定を踏まえまして制度設計を行っていくということでありまして、これはもう三事業一体で、また、この三事業で成り立っておったという現実もありまして、これが国民の生活基礎サービスの郵便局ネットワークを活用して、そういう意味において非常に国民に密着しておる、こういうふうな現実も踏まえてこういうことが結論されたと私は理解しております。
 また、これは繰り返しになりますけれども、公社におきましては、今後、自律的、弾力的な経営を行う、または企業会計原則に基づいて行うとか、中期経営計画の策定、そしてまたこれを評価していくとか、こういうことでしっかりとガラス張りでやっていく、そしてまた、国民に密着したような形、そしてネットワークを維持しながらユニバーサルサービスをきちっと守っていく、こういう観点を踏まえてこの公社化が行われておるわけでありまして、それ以後につきましては、懇談会で今議論をし、また国民の御意見をこれからもしっかりと聞いていく、こういうことであろうと思っております。
谷本委員 今お答えをいただきました、そのとおり本当に見えやすい形でこれから進めていっていただきたい。疑問点がわからないところで処理されるということがないような形で進めていただきたいと思います。
 次に、公社化後の雇用問題について一つお尋ねしたいと思いますが、今答弁の方にもございました公社化、民間参入により独立採算のもとで自律的、弾力的な経営を行う、競争原理を導入する、それによって利用者が多様で安いサービスを受けることができるということだと思いますが、このような果実が生まれる前提には、言われたとおり、郵政事業の効率化が必要なことは言うまでもないと思います。
 このことについて、郵政事業に現在従事している職員、この人員削減についてどういうふうに考えられているか、お答えをお願いします。
松井政府参考人 お答えを申し上げます。
 郵政事業がお客様によりよいサービスを提供して健全経営を維持していく、このためには効率化、合理化を推進することが必要と私どもも認識しております。
 これまで、平成八年度から十二年度までの五年間で約七千人の定員削減を実施してまいりました。これに加えまして、公社化に向けて経営基盤の強化をさらに図っていきたいということで、平成十三年度から十七年度までの五年間で約二万人の定員削減を進めているところでございます。
 ちょっと事業別に内訳を申しますと、郵便事業におきましては、郵便業務の機械化あるいは非常勤職員の活用を進めるということによりまして、平成十三年度からの五年間で約一万五千人の定員の削減を進めているところでございます。また、為替貯金事業におきましては、貯金事務センターの再編成、それから外務職員のスリム化などによりまして、やはり十三年度からの五年間で約三千三百人の定員の削減を進めているところでございます。さらに、簡易保険事業でございますが、保険料自動振替払い込みの推進などによりまして、やはり同じ期間の五年間で二千三百人程度の定員の削減を進めているところでございます。
谷本委員 今、二万人の削減計画であるという答弁でございました。今、非常に雇用問題、いろいろ厳しい中でございますので、この削減がまた影響が出るのかという思いもしますが、同時に、民間参入を認めるという中で、新規参入することによって市場が生まれる。そうすれば、そこに新たな雇用が創出されると考えるわけですけれども、この郵便分野、民間参入による雇用の増加については何か検討なり計算なりはされているんでしょうか。
團政府参考人 御指摘の郵便事業に民間が参入した場合の雇用の問題ということでございます。
 これにつきましては、どういう態様で参入されるかということ等まだ不明でございますので、具体的な計算をしているわけではございませんが、この郵便の事業量自体が変わらずに、公社の事業が民間に移るだけであれば、これは雇用はふえないということになるわけでございます。しかしながら、現在期待しておりますのは、民間事業者が入りましてやはり新しい需要を生み出していくということ、それを期待しているわけでございます。
 具体的に、例えば数字を申し上げますと、国民一人当たりの郵便利用通数といいますものは、世界で日本は大体十八位ぐらいでございまして、一人当たり二百通という程度でございます。ヨーロッパ諸国は大体四百通ぐらい、アメリカは七百四十四通というのが一九九九年でございます。
 したがいまして、新しいアイデアとかサービスによりまして全体の郵便の量がふえるということによりますと雇用がふえてまいります。しかも、人力依存度の高い事業でございますので、また雇用のふえ方も大きいということでございますので、そういうことを期待しているというところでございます。
谷本委員 ぜひとも、民間参入、今回これで認めることになれば、そういう新しい需要、新しいサービスが生まれる方向で進められるように御努力をいただきたいというふうに思います。
 続きまして、これも何度も質問には出ておりますが、信書の問題について、繰り返しになりますがお尋ねしたいと思います。
 信書につきましては、郵便法五条で国家独占というふうに決められているわけでございますけれども、郵政事業の中で民間と競合しない部分というのはこの信書の部分だけだと思います。当然、他の小包あるいは郵便貯金、簡易保険は、ある意味民間と常に競合している部分である。では、なぜこの信書だけが独占、競合しないようになっているのかという部分についてでございます。
 その定義につきましては、答弁を何度も聞かせていただいております。「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」という定義だそうでございますけれども、この定義に、どの信書が信書に当たるのか当たらないかという議論の前に、この信書の部分だけ国家独占としている趣旨、理由というものがあると思います。その定義以前の、では、なぜその部分だけが国家独占になるのか、この点をわかりやすく御説明いただければと思います。
山内大臣政務官 委員お尋ねの、なぜ国家独占になるのかということでございますけれども、国民の思想とか表現の自由にこれは大変密接にかかわっておりまして、信書送達の分野というのは通信の秘密が確保されなきゃならない、そういったところでございまして、特にここから大事なんですが、クリームスキミングに対して大変脆弱な体質を持っております。民間業者の自由な参入を認めたときに、このユニバーサルサービスがまず確保できなくなってくる、そういうことで従来独占とされておったところでございます。
谷本委員 この点につきましてはいろいろとほかの委員の方からも質問は出ていると思います。信書について、詳細については総務省が後にガイドラインで示すというふうに伺っておりますけれども、総務省独自の、決定過程が見えない判断では非常に困ると思います。当然のことですけれども、それぞれの一つ一つの分野について、どの分野はもうかってどの分野はもうからない、そういう基準であっても困るという中で、ガイドラインを示される中では、国民が見て、なるほど、こういう基準で、だからこれはこっちなんだということがはっきり納得できるような判断基準を示していただきたいというふうに思いますが、その点についていかがでしょうか。
山内大臣政務官 先ほど言いましたように、この分野については大変脆弱であるというのが基本にありまして、そして、今、先生、今後のガイドラインについてどのような考え方を持っていくんだろうかというお尋ねでございますけれども、民間参入に当たっては、これらを取り扱う業者については、先ほど言いましたようにクリームスキミングの防止、そして信書の秘密の保護というものが大きな柱になっておりますから、許可制にしておるわけでございますね。そして、許可を要する事業者の範囲を明らかにするために、信書の定義規定を置くとともに、実態に即して信書の概念への具体的な当てはめを行うためにガイドラインをつくろうということを考えております。
 なお、ガイドラインの作成に当たりましては、手続面でも公正で、また透明性が高いものとするために、今、内容的にもできるだけわかりやすいものとするように心がけておりまして、ガイドライン作成に心して取りかかっておるところでございます。
谷本委員 ぜひとも、だれが見てもはっきりわかるような判断基準というものをしっかりと示していただきたいと思います。
 では、次に、公社化後の郵政公社の経営の安定に関してですが、今までも出資規定についていろいろな議論が各委員からなされました。それに対する答弁では、法案には入れていないが出資しないという考えではない、今後の課題として検討したいというお答えだったと思います。この出資規定のことは、たくさん質問されていますので、おいておきまして、それ以外にもいろいろな方法があるように私は思います。
 その一つとしまして、業務提携について質問をさせていただきたいんですが、一九九〇年に公社化されましたフランスのラ・ポストが二〇〇〇年九月に米国の宅配航空貨物大手のフェデックスと業務提携をして、これは国際的な業務提携でございますが、事業の拡大を行った。このような国内あるいは国際的な業務提携については今後郵政公社がどういうふうに進んでいくのか、その点のお考えをお聞きしたいと思います。
團政府参考人 公社化後の業務提携というお話でございます。
 まず、委員御指摘のとおり、郵便局のネットワークというものは全国に張りめぐらされておりますし、そういうハードな面だけではなくて、職員も地域に密着しているということで、これを単に三事業で活用するだけではなくて、国の事務、地方の事務、それから民間との提携、こういうのを進めていくというのは公社の一つの大きな方向であろうというふうに考えております。
 これまでも他の省庁からの印紙販売とか年金の支払いをやっておりますし、昨年、おかげさまで郵政官署法というのを通していただきまして、自治体との連携も進んでまいりました。さらに、民間との、先ほどの保冷小包の提携とか、そういうようなものも進めているわけでございまして、いろいろな形で国、地方、民間との連携を進めていくというのが一つの大きな方向であろうというふうに考えております。
谷本委員 わかりました。業務提携について多様な形で進めていっていただければと私は思っております。
 もう一点、今の公社経営安定化の中で質問をしたいと思うんですが、これも外国の例でございますけれども、これは民営化の方ですが、オランダのTPG、あるいはイギリスのコンシグニア、これは全株政府保有の株式会社でございますが、この二社が行っているサービスで、郵便局の持つ全国ネットワークを最大限利用するという方法として、ネットワークのオープン化というものをいたしまして、そのネットワークを利用する業者から手数料を取るというようなビジネスをこの二つは行っておりますが、こういった形の事業というのは今回は考えられているんでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申しましたように、公社が自律的、弾力的に経営を行うということで、全般的な業務の提携であるとか業務の受託を進めていく、これは法律的にも、三事業以外の業務についても明記しているところでございます。
 今の、ネットワークの利用、対価を得てということでございますけれども、先行的には、郵政官署法によりまして、自治体の業務を請け負ってコストをお支払いいただくということ等で始めたわけでございます。
 さらに、このことをどう進めていくかということでございますが、郵便事業につきましては、先ほどから議論がございますように、一般信書便事業については、みずから全国のサービスを行うということで一定の限度があるわけでございまして、そういう制約がございますけれども、今後、新たな格好でお互いのネットワークを向上するという事柄のサービスを進める、その際に、受託する場合も委託する場合もあろうかと思いますけれども、そういうことで、適正な手数料、コストをもって双方の業務が円滑にいくということについては、いろいろな場面で検討していくべきものではないかというふうに考えております。
谷本委員 さまざまな形で安定化を目指していただきたいというふうに思います。
 では、次に、話を変えますが、郵政公社の経営管理というものについてです。
 今回、今までの予算などによる事前統制というものから事後評価に転換するというふうに伺っておりますが、このためには、行われた業績に対してきちっとした評価が行われなければならない。これについて、一体どのような形で評価をすると考えられているのか、大臣から答弁をお願いします。
片山国務大臣 今お話しのように、事前チェックといいますか管理から事後評価へ移行する、こういうことが今回の制度の大きな目玉の一つでございます。
 具体的には、総務大臣が郵政公社の策定した中期経営目標の達成状況をチェックしていく、評価をしていく、こういうことでございまして、これは例えば、中期経営目標期間が大体四年を考えておりますけれども、終了後に行う全体的なものと毎事業年度行うものがあるわけでございまして、それは公社から出された報告書を中心に評価しチェックをしていこう、こう考えております。
 具体的な目標の内容でございますけれども、これはこれから正式に決めるわけでありますが、例えばユニバーサルサービスの提供についてどうか、健全な事業財政の確保、郵便については例えば収支率だとか、為替貯金では単年度損益だとか、簡易保険では責任準備金積立率だとか、それからサービス水準の向上では、郵便では送達日数達成率がどうなるか、為替貯金では窓口平均待ち時間の五分以内局の割合がどうなるかとか、簡易保険なら失効解約率、保険金額や年金額、こういうことの項目を出しまして、これについて状況の報告をいただいて私どもが評価していく、そして場合によってはいろいろ御注意申し上げる、こういうことをやっていきたい。業績評価、事後管理、こういうことでやっていきたいと考えております。
谷本委員 この評価という部分が非常に重要でございますので、目標の設定、あるいはそれに対してどれだけ到達したか、数字でそれをはっきり出すといった、だれが見てもわかるような評価というものを下していただきたいというふうに思います。
 では続きまして、会計制度の点についてですけれども、郵政公社法第二十八条によって、今回、企業会計原則によるというふうにされております。具体的に、これまでの会計制度から企業会計原則というのに移るに当たっては、どのような点が変更され、また、どういうメリットがそれにより生まれるのか、御説明をいただきたいと思います。
山内大臣政務官 お答えいたします。
 郵政事業においては、現在でも既に企業会計的会計処理を行っておりますけれども、いわゆる企業会計とは異なる部分があるわけでございます。ですから、今度の公社化に合わせまして、企業会計原則を全面的に取り入れようということにしております。
 具体的に申し上げますと、一つには、現在全額を収益処理しております切手類販売のうち、その未使用部分を負債計上することとなります。そして、現在計上していない退職給付引当金など、将来支出が発生する債務を負債計上することなどが大きく変更されるわけでございます。ちなみに、今の大体の試算では二・八兆円ぐらいになろうかと思うんですが。
 そして、企業会計原則の採用におけるメリットというものについては、郵政公社の財務状況を国民の目から見てわかりやすく、また、一般の企業とも共通の客観的な尺度によって情報開示をしていく、そうすることによって、国民に対して説明責任を一層適切に果たすことができるようになるんじゃないか、それがメリットのうちに入ると思います。
谷本委員 国民に対する説明責任をしっかりと果たすというお話でございましたが、この会計制度についてもう一点、今言われたように、公社の経営責任をしっかり国民に示すという意味では、経営の状態、情報というものをしっかりと開示することが重要だと思います。ただ単に郵政公社としてというよりも、三事業ございますから、それぞれの業績について財務諸表上きちんとこれは開示されるようになるのか、郵便貯金、簡易生命保険の事業別の経営情報というのはどういうふうに示されるのか、説明をいただきたいと思います。
山内大臣政務官 郵政公社は、一般の企業と同様でありまして、企業会計原則に基づく財務諸表を作成することとしております。
 また、財務諸表におきましては、郵政公社法案の第二十九条第二項の規定に基づきまして、郵便業務、郵便貯金業務、簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにすることとしておりまして、これらによりまして、三事業それぞれの事業別の損益、資産及び負債の状況が財務諸表上きちんと開示されるということになります。
 さらに、財務諸表と同時に作成される事業報告書におきましても、事業別の業務の実施状況等を明らかにしなければならないということになっております。
谷本委員 ありがとうございます。しっかりと、国民の皆さんの前に見えるような形の経営情報というのを開示していただきたいというふうに思います。
 次に、時間もそろそろですので最後にしたいと思いますが、人事制度についてお聞きしたいんです。
 今回、郵政公社化になる中で、その採用や給与というものについても弾力的に行うというふうに伺っておりますが、実際、公社といっても国営という中で、どのようにその弾力的な人事制度というのを機能させるのか、その運用の仕方について御説明をいただきたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 公社の人事制度につきましては、大枠は先生御指摘のとおりでございますが、私どもは、郵政事業は人に頼る割合の高い事業であると考えておりますので、職員の意欲を高めて、生きがいを持って働ける職場環境を確立することが重要であると考えております。具体的には、個人の自己実現が公社の経営目標の達成に結びつく、そういった仕組みにすることが必要だと思っております。
 したがいまして、事業が求める具体的人材イメージと経営戦略をリンクさせるということ、それから経営戦略に基づいて与えられた個人の役割を基準に職員の業績等を評価すること、評価結果を処遇に適正に反映させること、こういったことを通じまして、経営戦略の実現と個人の自己実現をともに達成する、そういった人事の仕組みに変革したいというふうに考えております。
 こうしたことから、具体的には、必要に応じて労働組合との団体交渉を経まして、透明性、信頼性、それから納得性のある人事評価の仕組みを構築した上で、その評価結果を適材適所の人事配置あるいは給与等に反映させるべきものと考えております。
谷本委員 どうもありがとうございました。時間ですので、質問を終わらせていただきます。
平林委員長 次に、田並胤明君。
田並委員 それでは、きょうは二日目の質疑になりますので、今までの方の質問と若干ダブるところがあるいはあるかもしれませんが、なるべく重ならないように聞かせていただきたいと思います。
 一つは、まず総務大臣にお尋ねをしたいのは、今審議をしておりますこの郵政関連四法案、これの位置づけの問題なんですよ。
 というのは、新しい、これからできる郵政公社の制度設計の基本について、いろいろ言われています。我が党の委員からも言われました。民営化を前提とする郵政公社なのか、それとも将来にわたっても国営の公社としていく制度設計なのか。これは明らかに、中央省庁等改革基本法であるとか、あるいは郵政公社化研究会の中間報告であるとか、これを見ると一つとして民営化なんということは書いていないんですよ。勝手にある総理大臣が言っているだけであって、ということなんですね。
 前回の私どもの党の方で質問をした質問主意書、この中にもありますように、本年五月二十一日の郵政公社法案外三法案に対する質疑の際に、総理大臣が答弁として、この法案というのは民営化に向けた一里塚である、こういう答弁をして、それが総理大臣の発言なのか、あるいはどういうことなんだといって答弁を求めたところ、閣議決定で、それは小泉総理の政治家の発言だ、別に政府として民営化を決めたわけじゃない、こういうことがはっきり言われているんですから、その辺は論争に終止符を打って、とにかく私たちは、国民のための郵政公社をどうつくるかということを中心にして、この基本法であるとかあるいは中間報告に基づいてでき上がっているこの関連法案を審議しているのだということを明確にしておかなくちゃいけないと思うんですよ。後は後ですよ。
 後は後だけれども、しかし、中間報告で言われている、郵政公社化研究会でいろいろと論議を重ねてつくられてきた内容というのは、まさに五つほど基本が書いてあります、公社設計の基本が。
 一つは、確かに経済がグローバル化をして、競争至上主義だとか市場主義、あるいは自己責任、これを求められる、そういうシステムになっているけれども、しかし、今まで全国のネットワークを利用して国民のために提供してきた郵政事業というのは、国民の共有のインフラ、いわゆるネットワークとして国民生活に大変な貢献をしてきた。どういう時代になったとしても、この郵政事業と全国ネットワークを持っている郵便局のこのネットワークを利用して、公社化後もこの機能を確保、充実していくことが必要なんだ、これがまず第一に書いてあるんですね。
 これは民営化を予想しているものじゃないんですよ。これからもそういう機能を果たしてほしいと。その中身は、市場万能主義あるいは経済原理、それだけじゃなくて、もっと社会政策的に、福祉政策として、地域の発展やあるいは国民生活のインフラとしてその機能を充実発展させていかなくちゃいけないんだということが、まず冒頭書いてあるわけだと私は思うんですよ。
 ですから、そのことをまず第一に私たちは確認をしてこの法案の審議に入っていると思うので、その辺のところは、ぜひ、後ほど大臣の方から改めて答弁をいただきたいと思うんです。
 それと同時に、この中間報告によりますと、国民利用者の立場から見て公社になってよかったということが評価をされるようになることが大切だ。そのためには、公社の経営にはできる限り民間企業的手法を取り入れて、国の関与はなるべく必要最小限度にとどめて、公社の自律的かつ弾力的な経営を可能とすることが不可欠だ。ということは、新しくできる国営の公社が長期にわたって安定的に経営ができるようにしなさいよということを意味しているのじゃないかと私は思うのですね。
 そこで、ちょっと聞きたいのは、今までは、官業は民業の補完なんだ、官業は民業を圧迫してはならないんだ、こういうふうに言われていました。しかし、郵便の民間参入が始まりますと、郵貯も簡保も競争へ入っているわけだし、小包も競争へ入っているんですし、幾ら官業といえども、民業を圧迫しないように、あくまでも官業は民業の補完物だ、こういうふうになりますと、もうかるところはどうぞ民間がやってください、もうからないところは官業がやるんですよという思想にもつながると思うのですね。そうすると、結果的には全国ネットワークのインフラが崩れてしまう、こういうおそれもあるのです。
 ですから、それは余り肥大化しても困るのですが、その辺は、この全国ネットワークの郵便局の機能というのが、国民生活向上のためにあるいは地域の発展のために使われる、そういう最低限度の経営というものをやっていかないといけないと思うのですね。
 そのことが、やはり今までのような、官業は民業の補完物だとか、官業は民業を圧迫してはならないんだ、ただそれだけの原理原則でいったのでは、この新しい公社というのは成り立たないし、またそのことを、三番目の基本原則のところで、先ほど言ったように、できる限り民間企業的手法を取り入れる、それから国の公社に対する関与は必要最小限にとどめるんだ、独立採算制で企業的な性格を持った運営をしなさいよ、これを私は示唆しているんじゃないかと思うんです。
 そういうことで、そのほか四つ五つと五項目あるんですが、今言われたようなことが私は基本だろうと。
 あるいは郵便の民間参入についても、現在のユニバーサルサービスの確保が大前提だ、そして、競争の導入によって価格の低廉化とかサービスの向上、高度化といった国民利用者の利益の増進を図っていく必要があるんだというのが、この中間報告の最後に、基本的な立場として郵政公社化研究会の方々の取りまとめとして出してあるわけです。
 そこで、先ほど言った総理の答弁、郵便事業への民間参入ができることになるということは民営化に向けた一里塚であると考える、こういうふうに言っているんですが、この郵便事業への民間参入が民営化の一里塚であるという総理大臣の発言というのは、まさにその中間報告で述べている公社化研究会でまとめた最後の項目、ユニバーサルサービスの確保を大前提とした上で、要するに、なぜ民間参入をするかというと、競争導入によって価格の低廉化、サービスの向上、高度化といった国民利用者の利益の増進を図っていくんだと。別に民間参入イコール民営化の一里塚なんだということは一つも書いてないんですよ、中間報告には。
 それをねじ曲げて、総理大臣が国会の本会議で答弁したものが、あれはそうじゃなくて政治家の発言なんだ、こんなばかなことが許されるはずないんですね。何か本人の趣味で民営化をやっているような感じがするんですよ。こういうことは私は許されることじゃないと、総理が来るようですからどなたか質問するんでしょうけれども。
 まず、新しい郵政公社の制度設計の基本について、私は、何回も言うようですが、中央省庁等改革基本法、郵政事業の公社化に関する研究会の中間報告、これに基づいて三事業を一体として行う国営の公社を設立し、長期安定的な経営を確保するために弾力的な経営をしてもいいよということが今度の法案の趣旨であり、そのことをつくり上げることが今の政府の国民に対する責任ではないか、このように思うんですが、まず第一に、総務大臣の御見解をお伺いします。
片山国務大臣 今いろいろお話がございましたが、今回の郵政関連四法案が、お話のように、中央省庁改革基本法でフレームがもう決まっているわけですね、どういう公社をつくれという。これはしっかり法律で、国会で御承認いただいて、国民のいわば合意としてそういうものが決まっておりますから、それが根っこにある。それからさらに、その具体化のためには、私どもの方が民間の有識者の方にお願いして公社化研究会でかなり詳細な御検討をいただいて、中間報告という形で十二月にまとめていただきましたので、これに基づいて立法作業したものでございます。既に御答弁しておりますけれども、この公社法案は、そういう意味では民営化の一里塚、こういうことじゃないんですね。
 そこで、これについては御指摘がございましたので、せんだってもお答えしましたが、総理としては郵政民営化がかねてからの持論でございますから、それについて国会で、公社化のあり方、公社化後の方向として民営化を自分としてはと、こういう持論をお述べになったものであり、したがって、政府として公社化後民営化するということは決めたわけでは全くない。そのために、公社化後のあり方については、総理の懇談会で、現在、御議論を賜っておりまして、夏じゅうには最終的な意見集約をする、それが出てからまたどういうふうに対応するか、これはもちろん政府もそうでございますし、国会もそうでございますし、国民すべてもどうだ、私はこういうことになるんではなかろうか、こう思っております。
 そこで、今度の民間参入の話でございますけれども、大原則は民間にできるものは民間にやっていただいて、官は補完だ、こういうことでございますけれども、郵政事業、特に郵便事業の場合には、これは全国あまねく公平に、隅々にまでというユニバーサルサービスの確保というのが、これはもう大前提ですよね。これを守りながら民間にも入ってきていただいて競争していただければ、その基礎の上により高度なサービスが行われる可能性がある。国民のために一番いい公社をつくり、国民のために一番いい競争の状況をつくるということができるんなら、それはそれで大きなメリットがあるんではなかろうか、こういう考え方でございまして、ユニバーサルサービスが確保できれば、民間の方にもどうぞ、こういうことでございますが、公社がそういう意味では公社として自律的な経営ができなければ、それはユニバーサルサービス確保ということになかなかなりませんから、そこで、官と民との接点、節度というものをどう考えていくかが大変難しい。
 そこで、我々は、現在のような参入の条件を考えて、民間の方にお示ししようと。ただ、詳細は、技術的なこともありますから、法律を通していただいた上でその基準を明らかにしていきたい。その上で民間の方に御検討いただいて、できれば入ってきていただければいいな、こういうふうに思っているわけでございます。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
田並委員 私が言いたいのは、先ほども言ったように、中央省庁等改革基本法、これも国会で決めたことです。それに基づいて郵政公社をどういうふうに制度設計をするかということで、総務大臣のもとに、主宰で、郵政公社化研究会をつくったわけでしょう。郵政公社化研究会は、中央省庁等改革基本法に沿ってより具体的に論議をして、パブリックコメントもいただいたり、いろいろなことをしながらまとめてきたわけですよ。その中に民営化の問題は一つも出ていないんです。それに基づいて今この法律ができて、論議をしているわけですよ。
 事もあろうに総理大臣が、今我々が論議をしている内容というのは何かということは知っているわけですから、それ以降のことは自由だよと言ったって、この法案が上がる前にいたずらにそういう発言をするとは非常に不見識だ、国会を冒涜している、国会の審議を何と思っているんだというふうに私は思うんです。
 ですから、あえて言ったんですが、ぜひこれは、まあ総理大臣が十一日に出るようですから、うちの方はどなたかやるようですからその辺は聞くと思うんですが、もう一回総務大臣、私は、中間報告をまとめてくれた郵政公社化研究会のメンバーに対しても、あるいは中央省庁等改革基本法をつくった国会に対しても、幾ら総理大臣といえども、それをもとにしてこの法律を審議している最中に、その冒頭にそういう発言をすることは許されるんだろうかという思いがするんです。いかがでしょうか。
片山国務大臣 総理も、ぜひこの四法案、公社化関連法案を通していただきたい、国会の十分な御議論の上で御賛成をいただきたいと強く思っておりますので。ただ、昔からの思いがあるものですからね。だから、それがつい国会でああいう発言になったと思いまして、それはそういう意味でございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
田並委員 思いを、思いのたけを総理大臣が述べられたんじゃ、何しでかすかわかりませんよ。
 それで、次に、私はもう一つ、やはり総理大臣の発言なり内閣官房長官の発言で非常に不穏当だと思うのは、信書の定義の問題です。法律では基本原則が書かれますが、今度、信書の範囲等については、総務大臣が答弁されておりますように、広く関係者の意見だとか国民の意見を聞いて、パブリックコメントにもかけて、国民が納得できるガイドラインを定めていきたい、こういうふうに言っているんでしょう、総務大臣は。
 ところが、これは五月二十六日のNHKの番組で福田官房長官が、民間が参入できないような法律じゃ意味がないと。それは、入る、入らないは自由ですよ。ちゃんとユニバーサルサービスを義務づけて、これで入ってくださいよと、この法律はそれこそ全面参入で門戸をあけたわけですから、入る、入らないは今度は民間業者の自由ですよ。だから、もうからないと思えば入らないんですよ、だれも。もうかろうと思えば入るんですよ。もうかるところだけ入りたいんですよ。そんなことは当然です、利益を追求するのが会社ですから。それは、幾ら社会的な責任を感ずるとか道義的責任、こんなものは利益が上がってからの話。利益も上がらなければそれは入ってこないですよ。それは勝手です。
 だから、そういう意味では、民間が参入できるように工夫しなければならない、こういうふうに官房長官は言っているし、総理大臣はいろいろなところで、要するに指針をつくる中で、過程で民間が参入できるようにしますよ、こういうことを言っているんですね。これは、総務大臣が、幅広く関係業者、国民の皆さん、パブリックコメントもかけて聞いた上で、とにかく慎重に信書の指針はつくります、こういうふうに言っているわけでしょう。パブリックコメントをいただきながらそういうものをつくっていくということを、既に総理や官房長官は、自分の考え方を恣意的に入れようという意味があるんじゃないかと私は思います。これは民主主義じゃないですよ、そういうやり方は。
 やはりあくまでも、総務大臣言われるように、幅広く関係業者や国民の皆さんから聞いて、パブリックコメントを求めて、国民の皆さんが納得する形で決めていきたい、これは有権解釈でやるんですということなんでしょう。それを超える権限というのが総理大臣にあるんですか、国民の意思を、国民の考えを大切にしなくちゃいけないというこの民主主義の社会で。あるいは、国会だってあるわけですよ。国会も意見を聞いてもらわなくちゃ困るんです、こういう場所で。それを抜きにして、おれが法律だみたいな感じで言われたんじゃ、これはちょっとおかしいですよ。その辺はどう思いますか。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 民間参入の法案をつくるんですから、民間参入があった方がいいに決まっている、こういうことで、できるだけ入ってもらいたいという御希望というんでしょうか、お考えがああいう発言になったと思います。
 細かい具体的な要件は、これから決めていきますから。例えばポストの数は、御承知のように今郵便局は十七万七千ですよね。それを民間に入っていただく場合にどのくらいにするか。これは、入りやすいという意味では少ないほどいいに違いないし、しかし少なければユニバーサルサービスが確保できるかという議論があるから、そこのぎりぎりのところを我々としては決めていきたい。
 しかし、それはやはり国民の皆さんが納得できる、国会の先生方にもそれでいいという御了承をいただける、そういう基準にしなきゃいかぬ、こう思っておりますので、パブリックコメントや具体の業者の方や何かの御意見も広く聞いて、なるほどなということにぜひいたしたい、こう思っておりますので、その辺は、恣意的な云々ということじゃないと思います。
 総理も官房長官も、制度をつくるんだから、制度を利用する、そういう希望がたくさん出てくる方がいいな、こういうことが、表現が適当かどうかというのはあるのかもしれないと私は思いますけれども、ああいう発言になったんではなかろうかと考えております。
田並委員 いずれにしても、問題点だけを指摘しておきますが、今言ったように、幾ら自分が民営化論者だといったって、国会があり、国民のいろいろな考え方があるわけですから、これはやはり、一政治家、一国会議員ならいいですよ、あちこちばんばん言ってもらっても。少なくも総理大臣というのは、それだけの大きな責任もあるし、総理大臣の言ったことというのはかなり影響するわけです、最近は支持率が下がっているからそうでもないでしょうけれども。ですから、私は、そういう意味では、発言については相当注意をしていただきたい、このように思うんです。それはもう、公社化研究会のメンバーに対して失礼だし、中央省庁等改革基本法をつくった国会議員に対してだって失礼ですよ、立法機関に対しても。そう思います。
 それでは、次に、郵政企画管理局長に聞きたいんですが、やはり信書の範囲の問題でお伺いします。
 今、ダイレクトメールが話題となっています。諸外国でもいろいろあると思うんですが、諸外国でダイレクトメールというのは信書の範囲に含まれているのかどうか、参考にお聞かせいただきたいと思います。
團政府参考人 信書の定義についてでございますが、今回の郵便法等によりまして、特定の人に対して、自己の意思を表示し、または事実を通知する文書を信書と定義するような改正案を提案しているわけでございます。
 諸外国でダイレクトメールがどうかということでございます。ダイレクトメールにつきましては、これはいろいろな概念がございまして、はっきりしないところがございますが、唯一ややはっきりしていますのがEUでございまして、EUの指令で、これはEU共通のものとしてダイレクトメールのことを定義してございます。それでいいますと、宣伝、マーケティングまたは広告だけで成り立つ通信文であり、名あて人の氏名、住所、中略しますが、その他、同一内容のメッセージで構成されているものというふうなことで定義されております。これが一般にダイレクトメールと言われるものと思います。それで、これには解釈規定、ノーティスというのがついておりまして、これによりますと、ダイレクトメールは信書に入るというようなことを言ってございます。
 アメリカの例でございますけれども、これは一般の信書の規定を、日本に似たような規定を置いた上で、書籍やカタログなども、大きいものは信書から除外されているというふうな言い方で、逆にカタログも一定ページ以下であれば信書みたいなことを言っておりますが、ダイレクトメールという明確な格好で信書から除外はしていないということから、一般的なダイレクトメールというのは、やはり信書等の範囲にしているものではないかというふうに理解してございます。
田並委員 そうですね。郵政企画管理局長が直接、先ほど言ったガイドラインをつくるわけじゃないんでしょうけれども、原案等をつくるときに、幅広く国民の皆さんから意見を聞いたり、関係業者から意見を聞くというんですが、国際的なそういうEU指令等も十分参考にされたらいかがかというふうに思いますので、それは参考に申し上げておきたいと思います。
 そこで、郵政企画管理局長にもう一回聞きたいんですが、別な問題なんですが、信書の秘密というのは憲法で保障されている大変重大な要件なんですね、憲法で保障されている信書の秘密というのは。これはもう、国民の自由と権利にかかわる関係なんです。
 そこで、先々月、四月二十六日に、郵便に参入をしたいという民間業者が記者会見を行ったんですが、そのときに信書の定義だとか概念についてはかなり細かくお述べになっているのを聞きました。肝心の信書の秘密の問題については余り触れていないんですね。要するに、信書の一番大切なところというのは、やはり通信の秘密を守るということが一番大きな要件ですから、そういう意味では、民間事業者は信書の秘密に対して関心が薄いのかなというふうに私自身は思いました。
 これから民間参入が行われる場合の通信の秘密、これについてどういう適格性というものを配慮されるのか。どういう内容でこの通信の秘密を、これは国民に対して担保するわけですから、どのようにお考えなのか、担保の方法としてどういうふうにお考えなのか聞きたいんです。
團政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、信書送達の事業といいますものは、他人の秘密を託される事業であるということでございますので、憲法上の要請も引きまして、通信の秘密の確保というのを当然の前提としてこれまでもやってきております。
 信書便法案におきましてもこのことは変わりはございませんで、この法案におきましても、取り扱い中に係る信書の秘密の侵害の禁止、それから業務に従事する者の在職中信書便に関して知り得た他人の秘密の厳守というようなものを義務づけておりますし、これを担保するための信書便管理規程を策定することとか、それから、これもやはり秘密の保護の観点から、事業者の責任を明確にするということで、信書便であることの表示をする、あるいは、送達、還付ができない場合の手続を定めるというようなことを信書の特質ということからこの信書便法にも書かせていただいているわけでございます。
 運送事業というものにつきましても、例えば個人情報の保護とか、こういうものは必要だろうと思いますが、信書ということになりますと、そういう秘密の保護が必要ということで、信書便法の中でいろいろ規定をさせていただいているというものでございます。
田並委員 もう一つお聞きしたいのは、今、郵政職員の場合は国家公務員です。もちろん公社になっても国家公務員なんですが、守秘義務というのがあります。それで、これは退職後も業務上知り得た知識を漏らしてはならないという、かなり厳格な秘密を守らなくちゃいけないという条文があるんですよ。ところが、例えば民間の参入業者が郵便に参入した場合に、それに従事をした人というのは同じような取り扱いを受けるんでしょうか、それが一つです。まず、それだけちょっと聞かせてください。
團政府参考人 お答えいたします。
 今の御指摘の点でございますが、御提案しておりますいわゆる信書便法の五条でございまして、五条の一項には、一般信書便事業者の取り扱い中に係る信書の秘密は、侵してはならない、二項におきまして、信書便の業務に従事する者は、在職中信書便に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない、その職を退いた後においても、同様とするということで、公務員の身分という点では違いますけれども、信書便の扱い、郵便の扱いとは同等の秘密の保護、それに対する義務規定を置かせていただいているところでございます。
田並委員 その場合の罰則規定というのは何かありましたか、民間業者の場合。
 それと、調べている間にちょっとお聞きをしますが、現在、郵便の取り扱いの中で、三種、四種は政策的な料金になっていますが、それ以外に、例えば有珠山の地震災害だとか阪神・淡路の大震災であるとか、あるいは大水害であるとか、こういう災害が発生をした際に、救援物資を送るための小包などの無料扱い、あるいは信書についても災害地あてのものは一部無料化をする、あるいは送金についても無料化をする、こういうことを今郵便局がやってくれていますね。そういう事実関係についてお聞きをしたいのと、これらは今後とも、新しい公社になった後もそういう取り扱いをされるのかどうか、これをお聞かせ願いたいと思うのです。
松井政府参考人 最初に私の方から、先生御指摘の実態について申し上げたいと思います。
 御案内のように、先生御指摘の阪神大震災、大変なことでございました。住居の被害だとか高速道路の倒壊だとか、ほかに郵便局施設も、神戸中央郵便局だとかあるいはその隣の長田郵便局だとか、大変な倒壊がございました。そういう中で、大混乱の中でございましたけれども、国の事業として、あらゆる困難を乗り越えて、少なくともライフラインとしての郵便の使命を守るべく事業としても取り組みましたし、とりわけ関係地域の職員の方々の懸命な努力が印象に残っております。
 そのおかげで、小包につきましては、十七日が地震のあったときでございますけれども、小包は一月の十九日から完全に業務をやっておりますし、それから、速達配達は一月二十日以降でございます。通常配達につきましては、できるところは一月の十九日から着手しておりますが、全局ができるようになりましたのは一月三十一日以降でございます。そういう中で、避難所への配達というのが大変困難をきわめたわけでございますし、それから、先生御指摘のように全国からの膨大な量の救援小包が殺到いたしまして、神戸市と、当局等とよく連携をとりましてその対応をさせていただいたわけでございます。
 私自身も、当時、郵便局を訪れまして、自分の家が倒れている中を、お母さんの、役職者の職員の方でしたけれども、三時間かけて郵便局にたどり着いたんだというお話を当時の神戸中央で聞きまして、大変その意気を感じた次第でございます。
 それから、水害のときは、名古屋で、この間の枇杷島でもございましたけれども、あのときも同じような対応ができたというふうに思っております。
 こうした使命といいますのは、今私は事業庁の立場で申し上げますが、やはり国営公社としてはそういった任務を担っていかなきゃならぬというふうな気持ちでありますし、その関係の私どもの職員も同じ気持ちであろうかと思っております。
團政府参考人 先ほどの、通信の秘密を侵害した場合の罰則ということからまず御説明申し上げますが、この法律の第五章に罰則関係がございまして、信書便の業務に従事する者が信書の秘密を侵した場合にも刑事罰を科すというふうなことにしてございます。
 続きまして、非常災害時の郵便の取り扱いということでございますが、これは現行、今、長官の方からその実行面を申し上げましたけれども、制度面から申しますと、非常災害の場合におきましては、被災者が差し出す通常郵便物や送られます救助用物資を内容とする郵便物の料金を免除する措置を講ずるというふうなことを郵便法に基づいてやっているわけでございます。
 最近の例としましては、先ほど阪神・淡路の例がございましたけれども、平成十二年の伊豆諸島の火山活動、鳥取県西部地震の際に、例えば被災者が差し出した郵便物一万四千通、あるいは救助用物資等を内容とする郵便物約二千通が無料扱いとして結果的になされているというものでございます。
 公社化後のことでございますけれども、これも、先ほど御指摘の第三種・第四種郵便物も存置いたしますけれども、この非常災害時に際して被災者の援助に寄与するという目的のための料金免除の規定というものを引き続き郵便法に存置しまして、公社において実施していただくというふうな仕組みをとっておるところでございます。
田並委員 今、災害対策特別委員会の方に所属をしているものですから、そういう関係も非常に関心があります。公社になっても、今局長からお話のあった災害に対する公社の使命というものをぜひ果たすように御努力をお願いしたい、このことをお願いします。
 次いで、関係して佐田副大臣の方にお伺いをしたいんです。
 今申し上げたように、今郵便局が提供している社会政策的な料金、いわゆる三種、四種、それから今言われた災害時における郵便の果たしている役割、無料で小包を送ったり、被災者が出す郵便物は無料にするとか、いろいろ大変な御努力をされているわけです。これはもちろん公社化後も引き続き行われるようですが、これから民間参入が始まって、もし民間参入業者がそれはできない、要するにユニバーサルサービスの中に含むか含まないかという定義がまずあるんですが、もしそれはできないといった場合に新しい公社が全部それを引き受ける、当然のこととして引き受けていただかなければいけないんですが、そういう部分については本来は政府が補償すべきじゃないかと思うんですよ、国営の公社であっても今までの国の郵政事業と違うんですから。
 そういう意味で、自律的な経営だとか弾力的な経営だとか、とにかく収支相とんとんにしてしっかり全国ネットワークを守らなくちゃいけない、国民生活のインフラとしての役割も果たさなくちゃいけない、こういう大変な役割を負うわけですから、民間参入はできました、しかしそういうものは全部公社でやってくださいというのではちょっと不公平じゃないかと思うんですね。やる以上はやはり全部同じような条件でやってほしいし、もしそれができないのならば、その部分については当然政府が郵政公社に対して補償すべきだという気がするんですが、その辺はいかがなものでしょうか。
佐田副大臣 先生の言われた社会政策的なサービスというのは、私も非常に重要なことだと思っております。そしてまた、要するに、これからの問題でありますけれども、公社の経営の一層の努力が前提になってくることだと思いますけれども、私は、今先生の言われたような災害時の問題であるとか三種、四種の問題であるとか、こういうことはしっかりと引き続きやっていかなくてはいけないことだ、また、今言われましたように、そのためのユニバーサルサービスであるとか、二万四千七百の郵便局のネットワークであるとか、こういうこともしっかりと守っていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。
 ただ、御指摘ありました国からの補助を考えたらという御意見なんでありますけれども、これも一つの研究課題としてこれから考えていきたい、かように思っております。
 それと、民間事業者においても公益事業として可能な範囲で同様のサービスの提供が期待されるということでありますけれども、これは確かに我々としてもお願いしたいのでありますけれども、果たしてこれを法律で規定して義務づけることが適当かどうかということは、これはちょっとまた考えさせていただきたい、かように思っております。
 また、実際に、一つの例でありますけれども、公益事業において身体障害者の皆さん方に対する料金の減免であるとか、こういうことも実質的にはもう社会的義務として考えていかなくちゃいけないんですけれども、こういうことも法律で義務づけることはいかがかということも考えておるわけであります。
 以上であります。
田並委員 今佐田副大臣が言われた中で、きょうは国土交通省にもお見えいただいているのですが、新しく民間参入をされる業者というのは、例えば運送業者の場合は国土交通省の監督も受けるし、それから総務省の方の監督も受ける、こういう二重の監督機構になるのです。
 私はここで、民間参入をされる場合、あるいはされなくも、例えば阪神・淡路大震災のような大変な災害が発生をした場合に、郵便局の人たちが必死にやったというのは先ほどの御答弁にあったとおりです。その場合に、郵便に民間参入をしたいという声を上げている業者の方、あるいは、上げていなくも当然いろいろな条件によって参入してくるかもしれない、そういう民間宅配事業者に対して、どういうふうに国土交通省は対応されようとするのか。例えば阪神・淡路大震災のときに民間の宅配事業者というのはどういう対応をされたのか、これを国土交通省の方からお伺いをしたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 阪神・淡路大震災の際の民間宅配事業者の当時の対応についてのお尋ねでございますが、阪神・淡路大震災時におきます宅配便の輸送につきましては、発災直後は、先生よく御存じのとおり、道路はずたずたに寸断されます。緊急車両を優先して、一般車両は通行が禁止されるというような道路管制もしかれます。
 それから、宅配便業者にとって、宅配貨物の受け入れ施設が被害を受けるというようなこと等から、個人向けの貨物の輸送は一時的に困難な状況になりまして、片一方で、地方公共団体からの要請を受けたいわゆる大型トラックによる緊急輸送物資を第一優先にするということもありまして、各社とも、やむを得ず、被災日から阪神地域の個人あての発着宅配貨物の引き受けを一時停止いたしました。
 その後、交通状況の改善あるいは受け入れ施設等が整備されるに従って順次再開されておりまして、大手の事例をとってみますと、十七、十八の二日間は兵庫県行きの貨物の引き受けを全面的に中止いたしましたが、二日後の十九日からは兵庫県のうち姫路地域方面への荷受けを始めました。その後、二月一日から順次拡大されまして、十三日に全面的に再開されたということです。
 一方におきまして、宅配便各社を含むトラック事業者は、緊急援助物資のトラック輸送をやらなければいけないということで、全国トラック協会の指導のもとに緊急輸送体制を整えまして、震災の発災直後から、地方公共団体の要請を受けて被災地に向けて緊急輸送を開始いたしました。一月十七日から二月末までの間、他府県から兵庫県内への緊急トラック輸送は約七千台、兵庫県内での配送業務に五千台余りの車両を出動させております。この中には、宅配便で送られました緊急物資も入っております。
田並委員 今お話がございましたが、実は、こういう雑誌の記事をちょっと見たんですよ。これはある大手の宅配業者の方の、労働組合なんでしょう、その幹部の方が、阪神・淡路大震災のときに、民間ではとても対応できないよとあなたは言っていた、そういった面での役割については、例えば民間参入したような場合にはどうするんですか、こういう質問に対して、国家公務員というのは、国民に奉仕するのが当然だ、そのために給料をもらっているんだ。我々民間は、国民のために存在価値がなければならないけれども、ある意味で犠牲はいたしません、命の犠牲まで民間の企業はしないでしょう。ですから、地震があったとしたら、まず郵便局が配達するのが当たり前だ。我々は安全を確認して、国がよろしいと言ったら配達します。簡単に言えばそういうお話をされているわけです。
 これはもう民間参入が決まったならばそういうことはないんじゃないかと思うんですけれども、この辺のこういう発言といいましょうか、対応をどのように国土交通省としては考えられているのか。これはもちろん、いろいろな法律がありますから、その法律の枠内でやるのは当然なので、その辺は民間参入と同時に、そういう道路運送業法というのでしょうか、この指導監督する立場にある国土交通省も少し考えを変えないといけないんじゃないか、こんな気がするんですが、いかがなものでしょうか。
洞政府参考人 その雑誌におきます発言者がどういう意図を持ってお話になられたかというのは私承知しておりませんけれども、一般論で申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、大規模地震等の発生時におきましては、いわゆる民間宅配事業者を含みますトラック事業者は、まず第一に、各自治体等の防災計画に基づいて、被災者への救援物資輸送、都市機能の回復のための物資輸送をまず行うということになっておりまして、このための全国的なそういう指揮命令系統等の連携の全体的な組織が図られておりまして、そのため出動すべき車両等も特定されております。これがまず第一に優先される。
 そしてその次に、こうした災害時の緊急物資以外の一般の個人向けの宅配便輸送につきましては、先ほど申しましたとおり、道路交通規制等の当局による規制が非常にしかれていきますから、その規制の許す範囲内におきまして、各事業者の自主的努力において、利用者利便の確保の観点から、できる範囲で最大限のサービスを提供するよう努めるということになるのではないかと思っております。
田並委員 事情はよくわかりました。
 これも災害特別委員会の立場から、ぜひ民間業者の方にも全面的に、災害復旧については、あるいは災害後の国民生活を守るための働きを心から期待申し上げたいと思います。
 時間が実はもうなくなりましたので、最後にこれは郵政企画管理局長にお伺いをし、さらに佐田副大臣にも最後にお伺いをしたいのですが、郵便に民間参入をした場合にどういう影響が時系列的に出てくるのか、これについて最後にお伺いをしたいと思うんです。
 というのは、例えば、今度条件つきながら郵便の民間全面参入をするというこの法律になっています。その場合、するかしないかは別として、これは一つのシミュレーションとして聞いていただきたいのですが、今、小包等、要するに独占でないものを除いて、独占の郵便物が、平成十一年度で収益として一兆七千九百六十三億円、これは国際郵便を含めて。約一兆八千億ですね。これが平成十一年度の収入総額です、小包等を除いて。
 これが平成十七年度、ちょっとシミュレーションをして、民間参入がそのうち二〇%入ってきた、全面参入に対して二〇%入ってきたと。そうしますと、単純計算で、一兆七千九百六十三億円の二〇%ですから約三千六百億円ぐらいになります。
 今、かつての郵政省、今は事業庁ですが、例えば百億円減収があった場合に、どのくらいの人件費に相当するんだろうかと、計算された資料がございますが、百億円減ると千二百人分の人件費に当たるということになります。したがって、約四万一千人分の人件費が、今言った三千六百億程度に当たると。四万人を超えるんですね。これは単純計算ですが、要するに、これだけのものが参入されれば、必然的に人件費として約四万一千人分減収になるということになるんですよ。
 ですから、私は、公社になった場合に、守りじゃなくて攻めでいけと。民間が入ってくるのと同時に公社が新しく商品を開発して、どんどん仕事をふやしていく、こういう努力もしていかないと、指をくわえていると、単純計算でいくと、平成十七年には四万人からの人が要らなくなる。人が要らなくなるだけじゃなくて、場合によると郵便局の統廃合も進めなくちゃならない、公社経営を維持するために。シミュレーションすると、そういう結果が出るんですよ。
 ですから、これはぜひ労使にお願いしたいのは、よく話し合いをして、新しい商品の開発については謙虚に、新しい公社のいわゆる経営陣も話を聞いて、いいものはどんどんやっていく、国民の皆さんのためになることはどんどんやっていく。その攻めの姿勢がないと、いたずらに事業が縮小する、縮小すると、公社であっても田舎の郵便局はなくなっていく、こういう実態が出てくるんじゃないかと思うんです。その辺はいかがでしょうか。もう時間がないから、答弁はお一人で結構です、また続けてやりますから。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 民間事業者の参入がありました場合に、これまで以上に競争が激しくなるものというふうに私どもも考えております。そのような中で、経営基盤の強化を図りながらサービスの改善、高度化も図っていかなきゃならぬというふうに考えております。
 そのためには、まず、都市部における競合に対応するために、大口利用者を中心とした法人郵便の利用拡大のための使いやすい料金、サービスとするような見直しも必要かと考えております。具体的には、この五月から、大口利用者のための一般小包の特別料金を実施したところでございます。それから、いろいろ需要が多い、また競争も激しい首都圏だとか近畿圏、あるいは名古屋圏、そういった地域での法人営業体制の強化も図っていきたいと思っておりますし、法人営業職員のスキルアップに努めまして、郵便利用の拡大につながるような顧客管理体制も確立していきたいと思っております。
 そういう中で、職員との関係でございますが、職員の心を一つにまとめまして、お客様第一の意識をさらに徹底していくことが重要だと思っておりますし、特に、お客様に近い第一線の職員の方々の意見や提言を積極的に取り上げまして、創意工夫を生かした事業運営を行っていくことが必要かと考えております。
田並委員 そのほかにも質問通告をしたものがありますが、時間の関係で終わります。また次回やらせていただきます。
 以上で終わります。
平林委員長 次に、島聡君。
島委員 民主党の島聡でございます。
 一里塚発言、余りやらないでおこうと思いましたが、さっきから総務大臣の発言を聞いておると、どうしてもやらざるを得ないと思って、やります。
 今総務大臣が、総理は思いを言ったんだから仕方がないと言って、みんなどっと笑う。総務大臣、いいですか。憲法六十三条に、内閣総理大臣及び大臣は、後で法制局に聞きますけれども、答弁または説明のため出席を求められたときに、院に出席しなければならないんですよ。非常に重い話なんだ、これ。それで、そこで言った、こういう答弁した、説明した。
 総務大臣の雰囲気だと、いつも私は総務大臣とは割とある意味で柔軟に質疑をやっていますけれども、きょうは違いますからね。
 そういう意味で聞くと、今、例えば総務大臣、思いだからと言って、どっと笑いが起きる、そうしたら、総務大臣に私質問をした後、必ず、今のは総務大臣の思いですか、総務大臣としての答弁ですかと聞かなくちゃいけないじゃないですか。そういうふうに聞かなくちゃいけないということですか、総務大臣。
片山国務大臣 せんだっての本会議におきます総理の発言の、今いろいろここでも論議の的になっています表現は、これは、政府の正式な見解で、政治家としての持論を述べたと。持論というのは思いでしょう。だから、それを、思いを一切国会で言えないということは、私はないと思いますよ。
 だから、そこははっきり、政府としては、今法案を出して御審議を願っているんで、公社後のことについてはこれからの話ですから、そこで総理は、政治家としての持論をお述べになったと。
 総理の懇談会も今やっているんですから。結論を一つも出していないですよ、まだ。一生懸命、今、審議の最中ですからね。そういうことを踏まえての総理の発言だったと私は言って、まあ、思いという言い方が、表現が適切かどうかというところはありますけれども、私はそういうふうに考えて、今答弁させていただいたわけであります。
島委員 今のは、思いですか。
 余り法制局って僕は聞かないんですよ。内閣の部局である法制局が憲法解釈するというのはおかしいと思っているんで、私、憲法調査会の小委員長でもあるからそうやって言っているんだけれども、きょうは法制局に来てもらいました。
 本会議の答弁なんです。党の代表質問に対する答弁なんです。内閣総理大臣小泉純一郎君と議長に呼ばれて、本会議で発言した答弁なんです。これが憲法六十六条に規定されるところの、内閣の首長たる内閣総理大臣としての答弁じゃなくて、もちろん、国会審議ですから、自分の思いを言って、そうじゃないですかと言って柔軟にやることも必要でしょう。だけれども、本会議場で、我が党の荒井議員の代表質問に対して、その場ではみんな内閣総理大臣としての発言だろうと思っていた。だけれども、後で質問主意書を出したら、これは政治家としてのかねてからの持論を述べたものだ。そうしたら、本会議での総理大臣の答弁って一体どうなる。
 法制局にあえて、法制局は大体それをオーケーということを言うんだろうけれども、とりあえず聞きます。法制局、お願いします。
梶田政府参考人 お答えを申し上げます。
 憲法六十三条には、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」こういうふうに規定されておるところでございますが、この規定は、内閣総理大臣その他の国務大臣の地位にある者が、議院の会議あるいは委員会におきまして、質疑に対する答弁におきまして、一政治家として、その他個人の立場で見解を述べることを禁止しているものではないというふうに考えております。
 したがいまして、代表質問に対しまして、内閣総理大臣が、政府として決定していない事項について政治家としてのかねてからの持論を述べたといたしましても、そのことがただいまの憲法の規定との関係において問題を生ずることにはならないというふうに考えておるところでございます。
島委員 今申し上げたように、内閣の一部局である法制局はそう言うだろうと思っていましたが、とりあえず聞きました、今までいろいろな解釈を出してきたところですから。
 だけれども、これは一般の国民の人が本当にそれで納得するのか。そんなこと言ったら、本来、先ほど安住理事も言っておられましたけれども、これは個人的な見解だからときちんと言わないと、本会議場で、繰り返しますよ、内閣総理大臣小泉純一郎君と呼ばれて出てきた、うちの代表質問者に対して。本当は本会議やり直しを請求したいぐらいなんです。今度、十一日に来られるという話だから、そのときは徹底して、どういうものかということをやりたい。
 もちろん、そこで政治家としての見解を言うことは、それはもう国会の審議活性化において必要であるけれども、それは内閣の首長たる内閣総理大臣としてといったら、これは、例えば福田官房長官の政府首脳のオフレコ発言だってこれだけ問題になっているんです。あれは私の政治的な見解を述べただけである。自民党内だけだって、きちんと、官房長官の意見としては軽々しいという意見が出ている。私はそれはそうだと思う。官房長官、副官房長官及び総理大臣というのは政府の中枢ですよ。この一里塚発言及びそれについては、これは政府として、国家機関として恐らく発言したものを後でこんなふうにするとは大きな問題だと思いますから、これは十一日にしっかりやっていただきたいと思います。
 次であります。
 昨年の十一月二十一日に、私も郵政民営化研究会に名を連ねておりますので、首相官邸に郵政民営化研究会の提案書を持っていきました。これは本当に私もよくわからない。郵政民営化研究会の代表はいまだに小泉首相なんです。私、どうやって整理されているのか、小泉さんがよくわからないときがある。そこにはいろいろなことが書いてある。中央省庁改革基本法三十三条六項を削れとか特定郵便局はこの際廃止しろとか、それが郵政民営化研究会の意見です、代表なんです。どう整理されているのか私よくわからないんですが。
 ただ、そのときにたまたま私持っていったものがあります。その当時は、本当にこの法案が国会に提出されるかどうかなんということが議論されていました。要するに、総務会を通るか通らないか。そのときに、私、小泉総理に手渡しました。こうすれば総務会なしでもできますよというメモを渡しました。要するに、総務会の審議事項、全会一致主義というのは、昭和三十七年に当時の赤城総務会長が提出したものであるから、それは慣例ですから大丈夫ですよという話はそのとき申し上げました。今はいろいろなところで報道されている意見ですが、非常に興味深そうに見ておられたことが印象的でありました。結局、総務会の方は、他党のことですから私よく知りませんが、今回提出をされたわけであります。ただ、新聞報道で聞き及ぶところによると、部会は別に決めていないと。
 非常に具体論としてお聞きするわけですが、憲法七十二条において内閣が議案を提出することができる、これはいいでしょう。私は、首相主導の政治というのもいいだろうと思っていますので、これはこれでいいと思っています。ただ、具体的になってくるといろいろ疑問があるんで聞きたいと思うんですが、議院内閣制であります。議院内閣制において、一応、内閣が閣議決定して法案を提出した。今まで与党が修正案を出してきたということはあるでしょうが、与党が対案を出して、そしてそれで本法案が否決というようなことがあった場合には、これは内閣不信任案になるんじゃないですか。内閣不信任と同じ意味を持つんじゃないですか。総務大臣、どうお考えになりますか。
片山国務大臣 時間その他の関係がありまして、与党、特に自民党の正式な了承は受けておりませんけれども、引き続いて、国会審議と並行して御検討いただいて御理解を得たい、こう思っておりますから、委員が言われたような事態は想定されない、こういうふうに考えております。
島委員 希望的観測を含めておっしゃったと思いますが、何か部会長に聞こうかと思うぐらいですが。
 それはそうとしまして、これはどういうことか。今後もあるかもしれないので、またこれも法制局の、内閣部局でありますが、法制局の見解を聞きたいと思います。
梶田政府参考人 ただいまの、与党の反対で否決があった場合というような御質問でございますけれども、これは仮定の場合についてのものでございまして、御答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
島委員 それはおかしいでしょう。仮定の場合じゃなくて、法律の一般的な解釈の場合、これは現実にあり得るから、そのときはどうなるんだ、解釈。
梶田政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論としてお答えをいたしたいというふうに考えますが、憲法におきまして、内閣の不信任につきましては、六十九条に規定がございます。そこでは、「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」こういう御承知どおりの規定がございます。
 したがいまして、仮に内閣が提出いたしました特定の議案が否決されたといたしましても、そのことをもちまして、憲法上、内閣が不信任されたということにはならないというふうに考えております。
島委員 ということですから、全然心配要りませんから。
 ちょっとお聞きしますけれども、予算関連法案の場合、予算に直接している場合は予算も執行できなくなりますが、その場合はどうなりますか。これも一般論で結構です。
梶田政府参考人 ただいま申し上げたのは内閣が提出した特定の議案ということでございますので、あらゆる議案につきまして、先ほど御答弁申し上げたとおり、憲法上、内閣が不信任されたということにはならないというふうに考えられます。
島委員 という内閣法制局の見解でございました。政治論としてはいろいろあると思いますが、とりあえずきょうは承りました。
 これから信書便の法案の第一条についてお聞きします。
 この第一条、これは目的規定ですから、また総務大臣、これは目的ですからとおっしゃると思いますけれども、目的規定です。目的規定の第一条に、「利用者の選択の機会の拡大を図り、」というのがあります。これもまた、そうやって言うと、新聞報道だけなんで必ず民間参入があると信じておりますと言われるのかもしれませんが、現時点では、どうも某運輸会社は参入拒否を打ち出したという話であります。そう報道されているので、同じく代表質問で私どもの荒井議員がそれを聞いた。利用者の選択機会の拡大を図るべきだというお話を聞いていましたら、小泉総理は、必ず民間参入ができるように総務大臣に指示しているところでありますと答えました。これが五月二十一日であります。総理大臣、内閣の首長たる総理大臣から指示を受けられまして、五月二十一日から六月六日の間にどんなことをされましたか。
片山国務大臣 特定の業者さんがどういうふうに何を言われたかというて、私、事実確認しておりませんから、個別の事案でなくて一般論として、民間の事業者に入っていただいて、競争をやっていいサービスをする、こういうことのために、できるだけ民間が入りやすい状況にしてくれ、こういう指示は受けております。
 そこで、今国会にお示ししている法律で条件は書きまして、それ以上は、これは技術的な観点でかなり細かくなりますので、我々としては省令という形でしっかり基準は明らかにしたい。よく言われますポストの数等ですね。そのためには、パブリックコメントをやりますし、業界の方へ広く意見を聞きます。そういうことを明らかにすることによって、関係の業界の方が、よし、ひとつ入ろうか、こういうお考え、機運が出てくるんではなかろうかと私は思っておりまして、特定サービスと、もう一つあるんですね、一般信書便と特定信書便。こちらの方は、これも私、確認しておりませんけれども、報道によると、数社は今参入を検討されている、こういうことでございますので、今の段階でどうこうと言うのはちょっと早いのかな、こういうふうに思っております。
島委員 何もしていないということですか。思いじゃなくて、答弁としてお答えください。
片山国務大臣 答弁でございます。
 時々思いを私も挟むことがありますけれども、きょうはできるだけ答弁でいこう、こういうふうに思っております。
島委員 お聞きしましたのは、何もしていないということですかということですね。今の答弁ですと、何もしていないというふうにとらえられたんで、何もしていないということですかということですが、何かやっておられますか。
片山国務大臣 総理からは、できるだけ参入しやすいように、こういう指示を得ております。法律は、もう総理の了承を得て、閣議で決めて国会に出させていただいて御審議いただいておりますから、今後、この省令で定める具体的な条件については、広く意見を聞いた上で、できるだけ参入しやすいようなことを考えていきたい。
 ただ、ユニバーサルサービス確保ということは、何度も言いましたように、この郵便事業の一つの生命でございますから、ユニバーサルサービスは確保する、しかし、できるだけ民間に参入をしやすいような基準を考える、こういうことでございます。
島委員 具体的条件はこれから議論するというのは何回も聞きましたから。
 要するに、今、小泉さんが何を言ったとしても、確かに法律的には、内閣法三条は、各大臣は行政各部を指揮監督するですから、総理が言われても無視することはできるのかもしれませんが、そういう状況なんでしょう、今。ということがよくわかりました、今の質問で。
 次へ行きます。
 二条一項、信書。信書に関しましては、後で中村議員が詳しくされますので、私はさわりだけやらせていただきます。
 信書の定義、いろいろあって不明確な点がありますが、恐らく、具体的議論などは、ダイレクトメールになってくると思います。ダイレクトメールをすると、クリームスキミングであるとか、それだともうユニバーサルサービスが守れないんだとかいう意見を、ここにおりますと不規則発言でよく聞きます。
 そういうことも考えられないこともないと思いますが、きのう質問通告しておきましたのできちんと答えていただきたいんです。ダイレクトメールを例えば信書外としていった場合に、郵政公社が本当にどれぐらい、ユニバーサルサービスが実現できないぐらいの経営悪化になるのか。一体どれぐらいと推定しているのかということについてお尋ねします。
佐田副大臣 先生おっしゃられるように、一般信書便事業者の場合は、ダイレクトメールを含むすべての信書を取り扱うことができるようになるわけでありまして、このような信書の全分野へ参入可能にしたことによりまして、ダイレクトメールを含めて、公社の郵便事業収入の減少は当然予想されてくるものだ、こういうふうに思っております。
 ただ、ダイレクトメールについて言えば、郵政事業庁の調査によりますと、手紙、はがきの約四分の一を占めているというデータもあるところでありますけれども、サンプル調査で、受取人がダイレクトメールと判断したのを記載されたものであるために、ここでダイレクトメールと判断されるものも、これはこの間も答弁させていただいたんですけれども、ダイレクトメールの確実な定義というものがなかなかないものでありますから、したがって、今四分の一というふうに申し上げましたけれども、どの程度の影響を受けるかというのは、まだちょっとこれは判断できない、こういうことであります。
島委員 だから、判断できないという話になって、そうするとユニバーサルサービスが守れないと言われても、我々も判断できないわけですよ。そうですね。四分の一ぐらい減るということは今言われましたけれども、それぐらい減るんだというふうに判断していいわけですか。
佐田副大臣 ですから、先生の言われるような形で四分の一というものは、これは大きな数字ですから、これは非常に厳しい部分がある。ただ、今言いましたように、ダイレクトメールの今の判断では、もしもこれが、やるということになれば、ユニバーサルサービスにも大きな影響がかかってくる。これは事実だと思います。
島委員 だから、大きなはわかったんですよ。ここの議論というのは、そういうのが多過ぎるんです。後で決めますとか、大きなとか。それだけで判断しろと言われても判断できないから、きのうも言ったんだけれども、質問するのに、大きなじゃなくて具体的な数字は、少しでも、概算でもいいから、出るのか出ないのか。それは出るんですか、出ないんですか。
佐田副大臣 今申し上げましたように、繰り返しになりますけれども、細かい数字につきましては出せない、こういうことであります。大まかなところは、現状では、いわゆるダイレクトメールというふうに言われているものについては四分の一ということでありますから、そういうことで判断、細かい数字までは出せない、こういうことであります。
島委員 出せないということは、それは総務副大臣の答弁ですか。
佐田副大臣 出せないであろうということでありまして、もっと細かく調べろと言うんなら、それは調べますけれども、それはもちろん今ここで答弁していることであります。
島委員 今、細かく調べろと言われたら調べますと言われましたんで、次は調べてくれるでしょう。答弁だそうでありますので、調べてもらって、それで、本当にユニバーサルサービスが維持できるかできないか、具体的に議論しようじゃないですか、これ、資料を提出してもらって。そういうことになると思います。
 それで、ちょっと前に戻りますが、これは法案ができたとしましても、いろいろな報道があって、それは事実確認していないという話ですが、法案をつくって、ある意味で信書を民間開放するとなった、結局何もなかった、参入もなかった、そういうようなことが大いに予測されるような法案を審議するというのは、非常に我々もむなしい感じがするんですね。
 仮に聞きますが、もしこれ、法案をつくったけれども一つも民間が参入しなかった。選択の機会拡大ということがなかった。そうすると、これは法律のもともとの目的、実効性ということに関して実効性がある法案と言えないと思うんですが、総務大臣、どう思われますか。
片山国務大臣 我々は、総合的な観点で、何度も言いますけれども、中央省庁改革基本法のフレームに基づいて、そのフレームの具体化を公社化研究会が御答申いただきましたので、それに基づいて法案をつくったわけでありまして、あとは民間の方がどういう御判断をされるか。
 ただ、すべての判断をしていただく条件がまだ整っていないと私は思っておりますので、もう少し時間を、民間の方にもお与えしてというのか、そういう時間で十分な御検討をいただいてから御判断賜ればありがたい、こう思っております。確認しておりませんよ、いろいろな報道によって我々が知るところによりますと、少なくとも特定信書便については幾つも希望がある、こういうことでございまして、こっちの方がわかりやすいからね。一般信書便の方は、今言いましたように、ユニバーサルサービス確保の条件についてまだ細部が決まっておりませんから、ちゅうちょされている向きもあるのかな、こういうふうに考えております。
島委員 ダイレクトメールに関しましては、また後で中村議員が随分詳しくされますので、次に行きたいと思っています。
 公社法三十五条について聞きます。
 公社法三十五条は、要するに国庫納付金であります。「公社は、公社の経営の健全性の確保に支障を及ぼすおそれがないと認められる範囲内で政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付するものとする。」政令が多い法案なんです、これ。極めて政令が多い法案。
 要するに、「公社の経営の健全性の確保に支障を及ぼすおそれがないと認められる範囲内」も政令で決めるんです。それから、その「政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付」するんです。全部後で決める。私は、これで国会で審議するというのは、非常に不思議な感じがしております。
 まず最初に聞きます。
 この具体的な納付開始時期、金額、これは、このまま読むと、政令事項のため今のところ不明なんですね。
片山国務大臣 この国庫納付金につきましては、いろいろな考え方があるんですね。正直言いまして、私と財務大臣とはやや国庫納付金についての考え方に差がありまして、しかし、法案は出さなければなりませんし、調整をしなければなりませんので、そこで、大筋の考え方を、今委員が言われましたように、公社の経営の健全性の確保に支障を及ぼすおそれがないと認められる範囲というまず大くくりをしまして、その上で、公社の損益並びに資産及び債務の状況その他の公社の経営の状況その他の事情を勘案してという、枠といいますか条件をつけて、しかしそれ以上はなかなか今の段階では詰め切れませんので、政令で定めるところにより、政令で定める基準の額を、こういたしたわけでございます。
 ここからは答弁というよりやや私の思いに近くなりますけれども、私は、公社の健全な経営の見通しがついてから納付することが適当である、こう考えておりますので、少なくとも最初の中期経営目標期間が終わるまではそういう状況にならないのではないか、こういうふうに考えております。
島委員 ということは、四年間は国庫納付金を入れない状況になる可能性も高いという話なんですよね。思いです。明快な答弁をいただきました。
 しかし、それは逆に言うと、思いなんで議論はなかなかしにくいんですけれども、ある意味でのきちんとした判断基準がないと私たちはわからないです。きのうもそんな議論をしておったんです、質問通告のときに。次のときにはぜひ財務大臣も呼んでちょっときちんとお聞きしたいと思うんだけれども。思い同士だったら、こそこそやるより、ここできちんと議論してもらった方がいい。
 ついでだから、どんどん思いを話してもらおうと思って聞きますが、例えばBIS基準というのがありますよね。BIS基準だと、これはBIS基準自身を使わない方がいいと、多分財務省はそうやって言うと思うんですけれども、今、自己資本の充実を待つなんという話になると、たしかこれは公社化検討会だったかな、中間報告で、資産のバランスシートのモデルみたいなのがあって、それだと一・九兆円ぐらいの資本で、あと三百五十兆円ぐらいがあるという話ですね。金融庁基準で四%が最低限のものだとすると、そうすると三・五兆掛ける四で十四兆円という話になるわけですね。四%も低いんだけれども。本当は八パーぐらいないと……。
 そんな状況だと、なかなかこれは国庫納付金、全然払わないような状況のまま郵政公社というのは推移するというふうに類推できるんですが、そういうことですか。
片山国務大臣 公社にストレートにBIS基準を適用するのが正しいかどうかということは実はあるんですが、公社化研究会でも総理の懇談会でも、極めて弱小資本であるというきつい指摘を受けたことも事実でございまして、事業量に比べて。だから、今計算すると一兆九千億ですよね。これを相当程度増強しなければ大変だ、こういうあれでございまして、ただ、我々は、今国営の公社ですからね。国営の公社だからということは申し上げたわけでございますけれども、いずれにせよ、国営といっても国とは違うわけでございますので、そこそこの納得できるだけの資本は積んでいく必要があるんではなかろうかと。
 そこで、いろいろな計算がありまして、八パー、これは銀行の場合はそうですね。八パーと四パーですよね。四パーでも幾らになるんでしょうかね、十四、五兆。しかし、そんなになかなか収益が上がるような状況じゃありませんよね、御承知のように。
 だから、そういうことを含めまして、我々としては当面、この国庫納付金も、資本金を積ませていただいて経営の見通しをつけさせていただいて、その上での議論だ、こういうことを財務省とも相談いたしまして、財務省もそこは大方の納得をいただいた、こう考えております。
島委員 民間金融機関からすれば、これについて聞きますが、民間金融機関にすれば、預金者保護のためにはちゃんと預金保険機構にお金を払いまして、さらに法人税も納めているんですよ。
 しかも、一応、郵貯は公社になっても、今の法案だと、国が保証するという話になっていますよね。そうすると、今のお話で、BIS基準を採用するかどうかは別として、なかなか民間金融機関と全然バランスがとれない状況になると思うんですが、そういう特例を設けるということになっている理由は、私は納得できないんですが、理由を御説明ください。
片山国務大臣 先ほども言いましたが、財務省と我々が違うのは、国庫納付の物の考え方なんですよね。恐らく、財務省的な考え方からいうと、今委員もちょっと言われましたが、法人税見合いとか預金保険料見合い、こういうことになると思いますが、我々は、国庫納付金は、ほかの特殊法人の例もありますけれども、法律によって特別につくられた法人で、しかもいろいろな恩典、優遇を受けているというようなことについて、それ相応の払える状況になればこれは払わせていただく、中期的には当然収益が上がらなきゃいけませんから、そういうことの中で国庫納付に御協力するのもやぶさかでない、こういう考え方でございます。
 それで、預金保険料を払ってないじゃないかとかいろいろなことがありますけれども、ユニバーサルサービスを確保しろと法律で義務づけられておりますし、例えば、よく言いますけれども、基礎年金の国庫拠出分は、民間でも国が持っているものを全部郵政事業の方で負担しているとか、運用についてもいろいろな制約があるとか、そういうことをトータルで考えると、私は、とんとんと言ったら表現がよろしくありませんけれども、まあまあではないか、こういうふうに考えております。
島委員 きょうは口あけですから、今度一度、財務省も呼んで、一回きっちり議論していただいた方がこれはいいと思います。(発言する者あり)時たま筆頭理事から合いの手が入りますが。
 そういうことも含めて、政治判断で決めなくちゃいけない話がまだまだ残っている法案なんです、これは。政治判断で残っていることが随分あって、それでさあ審議しろなんだから、極めて不思議な状況の中にこれは審議が進んでいる、全部政令で決めると。
 事実確認でもう一つやっていきたいんですが、三十一条、簡保。
 この前から、運用がこれから問題だという話になっていますが、簡保の、これは事実だから佐田さんですかね。簡保等は六・一国債なんか結構持っていて、かつ八〇年ぐらいに出したものが、百円のが七十円ぐらいに下がっていて大変だという話も聞くんですが、それはどうですか、状況は。
佐田副大臣 先生の御質問の内容でありますけれども、いわゆる郵貯、簡保の運用の状況ということでよろしいですか。(島委員「はい、結構です」と呼ぶ)
 運用の状況でありますけれども、これは常にディスクローズさせていただいておるわけであります。最近の平成十三年九月末における状況を申し上げますと、いわゆる投資額、これは購入時点の時価でありますけれども、それと、市場価格の差であります評価損益ということでありますけれども、郵貯の場合は、本体運用の評価益と指定単運用での評価損を相殺すると、六千二百五十七億円の評価益、こういうことになっておりまして、簡保の方は、これは残念でありますけれども、二千三百三十八億円の評価損、こういう状況になっておるところであります。
 また、郵政公社が継承する資産の原価につきましては、公社法施行法第七条によりまして、原則として、郵政公社の成立時点における時価を基準として、総務大臣が任命するいわゆる学識経験者の評価委員が評価した価額とすることと定めているところであります。
 いずれにいたしましても、その評価に際しましては、企業会計原則によるという公社会計の基本的な考え方に沿ってこれからも考えていきたい、こういうふうに思っております。
島委員 今の話は事実確認ですから、手短に聞きます。
 今おっしゃったように、公社移行時における、公社施行法七条でしたかね、それで、公社移行時に国が出資することになっておりますから、資産の適切な評価が必要だと思うんですけれども、どのように適切な評価をされるんですか。
佐田副大臣 先ほど申し上げましたけれども、公社が継承する財産の価額につきましては、その公正性や妥当性を確保するために、郵政公社の成立時点における時価を基準といたしまして、総務大臣の任命する学識経験者が評価していくわけでありまして、そういうふうな形で御理解をいただきたいと思います。
島委員 今佐田さんが、これは質問通告してありますね、企業会計原則については。佐田さんは企業会計原則と言われた。佐田さんはいつも私が通告せずに質問するからと言われたので、通告してあると思いますが。
 「企業会計原則による」と二十八条に定められておりますが、企業会計原則というのは、いろいろ違うのですよ、上場、非上場、国際基準、国内基準。そしてまた、かついろいろな、財務省や金融庁が決める方針とか会計士協会が定める、認める会計指針とか、そういう総合的に指す概念。この企業会計原則というのは、一体どの企業会計原則を指すのですか。例えば民間銀行並みにするということかということですが。
佐田副大臣 具体的な話でありますけれども、例えば、当該財産の種類、用途、その他の事項を勘案して評価することが適当でないと認めるときは、当該財産の時価によらないことができることとしておりまして、具体的には、保有の有価証券の評価については、事業の承継性を考慮するならば、金融商品に係る会計基準、これは会計審議会で出されているものでありますけれども、それに従いまして、保有目的に応じて評価することが適当と考えております。
島委員 金融商品に関する会計基準を使う、そういうことですね。
 それに従って、きょうは佐田副大臣からは資料は出すと言えば出しますという答弁をいただきましたから、またこれに基づきまして、この問題につきましてはいろいろな資料提出要求をしていきますから、よろしくお願いをしたいと思っておる次第でございます。(発言する者あり)いろいろとコーチがたくさんおられますので……。
 それでは、あと十分ぐらいでございますので、これも後で多分松崎議員がされると思いますので、渡切費について少しだけ質問をさせていただきます。
 去年、私は、特定郵便局、自分の地元の特定郵便局の渡切費の情報公開請求、私じゃないのですが、した人がいまして、渡切費の資料をこんなにもらいました。情報公開も結構時間がかかって、しかも、三年前だったかな、何年か前のはもう出せないみたいな話になりました。なぜだろうと思いましたが、それはおいておきまして、とりあえずいろいろとしてみました。
 質問しようと思ったら、八月二十三日の新聞に、「特定郵便局 「渡切費」二〇〇三年に廃止 総務相方針」と出たものですから、あえてその後質問はしなかったわけです。その新聞には、「総務省は渡切費制度の廃止に伴い、これに代わる新たな経費の支給方法を検討することとし、近く発足する総務相の私的研究会で具体策を詰め、来年の通常国会に提出する郵政公社関連法案に盛り込む。」と書いてありました。
 「郵政公社関連法案に盛り込む。」とあったから郵政公社関連法案をずっと見たのですが、ないです。ないので、これは、この報道が間違っていたのか、それとも何かの理由があってこの郵政公社関連法案に盛り込まなかったのか、それをお尋ねしたいと思います。
佐田副大臣 先生御指摘のように、渡切費は平成十四年から廃止しまして、渡切費として使用していた予算の科目は、従前の渡し切り郵便局、いわゆる特定郵便局が中心でありますけれども、以外の普通郵便局で用いられているような事務費の歳出科目であります需品費のような形に統合していく、これをこれからも公社の場合でも規定していく、こういうことであります。
島委員 需品費になったと。
 渡切費九百億円と言われていましたね、前。この需品費というのは、一体どんなものに使われるのでしょうか。
 といいますのは、私の調べによりますと、全部きちんと言っちゃうと今個人情報保護とかいろいろあるので、私の地元の刈谷のO局というところは、昔の渡切費だと郵便局経費と特推連経費、特推連経費だけ言いますが、受入額三百三十二万円のうち百四十万円が食費。それから、知立のH局というのは特推連経費受入額百十一万円のうち五十四万円が食費。それから、碧南のS局は、特推連経費受入額百三十二万円のうち三十四万円が食費。これは私どもが資料を集めて計算したので、微少な差異、ひょっとしたら少しぐらいの差はあるかもしれませんが、大体こんなものなんです。三百三十二万円のうち百四十万円が食費、それから、百三十二万円のうち三十四万、百十一万円のうち五十四万、それが食費になっている。
 こういうのに需品費というのは使えるのですか。
佐田副大臣 先生の御指摘のありました需品費につきましては、郵便局のすべての郵政事業官署における業務運営上の必要な経費でありまして、物品の購入等に要する費用のほか、人件費、旅費、諸税、各種分担金等を除く一切の経費に使っていくものであります。
 具体的なものというふうに言われますと、集配運送費であるとかアルバイトの賃金であるとか土地を借りたお金であるとか修繕費であるとか、または簡易郵便局手数料であるとか切手類販売手数料、機械化関係経費、用品購入等経費、そういうふうないわゆる必需品であります。
 先生、今回変わったところというのは、こういうものを集計しまして共通事務センターに送りまして、またこれを会計検査院に送ってしっかりと管理していく、こういうことでありますので、御理解をいただきたいと思います。
島委員 端的に、要するに食費というのは多いのですよ。いろいろな領収書を見ると、どこかで、簡単に言えば飲んだとか食ったとかいうのが多いのです。そういうのにも使えるんですかということです。
佐田副大臣 それは、例えば年度がかわるときであるとか、そういうとき、打ち合わせの後の非常に常識的な範囲では使えると思います。(発言する者あり)
島委員 そうコーチが言っていますけれども、常識の基準を出さなくちゃいけないと思うのですが、どうですか。
佐田副大臣 島先生に怒られるかもしれませんけれども、これはやはり常識的な範囲ですね。食事するときお弁当を食べるとか、そういう範囲だと私は思っております。
島委員 今のような、会計検査院にも今度はきちんとするという話でありますから、常識の基準がきちんと常識になっていくであろうという思いはあります。それが今後進んでいくというふうに思いますので、公社になったら今度は監視、監督責任があるわけですから、しっかりやってください。
 もう一つ、今個人情報保護というのが結構いろいろなところで議論されています。OECD八原則を含めて、二次利用というのは大変問題であるという話になっています。
 これは、ある雑誌の記事であります。雑誌の記事だから、先ほどの総務大臣的に言えば、私も事実確認しておりませんので、それは御了承賜りたいと思いますが、ある地方特定局長のBさんはこう言っています。「お客さんの名簿から百人分の名前を提出していました。よく知っている人には事前に了解を得たが、勝手に」、選挙の話です、「勝手に名前を使わせてもらう人もあった。」というようなことを言っているのです。ずらずらと書いてありますが。
 これは、真偽のほどは私は確認しておりませんので、これをどうこうと言うつもりはありませんが、各郵便局にもこういうお客さんの名簿があるわけですね。今後、コミュニティーの中核にするという構想もあるという話をこの前もされた。そうなってくると、個人情報の保護というのをきちんとしなくちゃいけないと思いますが、どのような形で今後やっていかれるおつもりですか。
片山国務大臣 今郵政事業庁においては、顧客情報というのは極めてプライバシーにかかわる重要なものである、細心の注意でその取り扱いを行っておりますけれども、例えば内部管理規程をつくってやるとか、とにかく、今言われた二次利用といいますか目的外利用は、絶対これは禁ずる、こういうことでございますね。
 現在、国会で御審議いただいております法律、公的部門における個人情報保護法、これは、御審議いただいて成立した暁には、あれに基づいてしっかりやろう、こういうふうに思っておりますし、冒頭委員が言われましたそういう事実はない、こういうふうに考えております。
島委員 まさに個人情報保護の所管の大臣でもあらせられると思いますので、きちんとそれは確認をしていっていただきたいと思う次第であります。終わります。
平林委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。
 私は、昨年六月十二日の質問に引き続きまして、信書の性質論について議論をさせていただきます。信書の定義、ガイドライン、そして具体例、ユニバーサルサービスの内容などについて、本日は議論をさせていただきます。
 ただ、具体的な質問に入ります前に、先ほど大臣がおっしゃった答弁と個人的見解の違いについてお聞きいたします。
 まず、行政機関の長が国会で質問をされて答える場合、その発言というものは行政機関を代表して行政機関の見解として答える答弁であると考えてよろしいですか。
片山国務大臣 原則としてはそうだと思います。
中村(哲)委員 それならば、特に断りがない限り、行政機関を代表して行政機関の見解を述べていると考えてよろしいですね。
片山国務大臣 断りがなくても、その答弁の、発言の全体を見て、これは個人的な見解だということは私はあり得ると思います。
 今回も、御承知のように今郵政公社化法案の御審議をいただいているわけでありまして、公社化法案後のあり方については、総理直属の懇談会で議論の真っ最中でございます。だから、総理は御承知のように郵政民営化論者ですから、郵政民営化を行おう、やろうという立場から見れば、この公社化はその途中経過だ、こういうふうにお考えになるのも無理はないので。しかし、全体としては、今、国会で公社化法案を御審議いただく、政府は何らの公社化後については結論を持っていない。したがって総理がわざわざ直属の懇談会をつくって御議論いただいている、こういう中で言われた発言ですから、私は、政治家としての持論を述べたものだ、こういうふうに考えております。
中村(哲)委員 特に断りがなくても、場合があり得るというお話でした。
 それならば、私たち国会議員は、政府からの答弁に対して、何を基準に、この今なされている答弁が政府の答弁なのか、それとも政治家個人としての発言なのか、それを判断すればいいのでしょうか。
片山国務大臣 私、原則として申し上げました。
 答弁は、行政機関の長としての公的な答弁というのがほとんどだと思いますけれども、内閣法制局の方から話がありましたように、個人的見解があっても、それは一向構わない、こういうことでございますから。個人的見解の場合には、断るのが一番いいんでしょうけれどもね。しかし、断らずに個人的見解をつけ加えられるということは、私はあり得ると。
 ただ、全体の発言の中身から、それは個人的見解だということがわかるのではなかろうかということもあるということを申し上げたわけであります。
中村(哲)委員 全体的な発言の内容から個人的な見解がわかるというのは、客観的に明確である場合でなくてはならないと私は考えます。その点に対して一義的に明らかでない場合、やはり答弁と考えるのが国会のルールではないかと考えますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 多くの場合は、今委員の言われるとおりだと思います。
 ただ、今回の小泉総理の発言は、同じことを繰り返しますけれども、今公社化法案を御審議いただく、まだ通っていないんですよね。しかも、公社化後のあり方については、総理みずから懇談会をおつくりになって、結論を出してほしい、こういうことで、今審議中ですよね。そういうもろもろのことを考えたら、総理の発言は、やはり個人的な見解といいますか、かねての持論の開陳であった。政治家としての持論を申し上げたんだ。これは、政府として統一した閣議決定によって、質問主意書を出された議員の方にそういうお答えを申し上げておるわけでありますから、あのとおりだと御解釈いただきたいと思います。
中村(哲)委員 私が聞いているのはそういうことではありませんでして、私たちが質問をした場合に政府から答弁がなされる、その答弁が政府の見解なのか、それともその政治家個人としての発言なのか、それを、その答えを聞いている間にどちらかを判断する基準はどこにあるのか、どういうふうに判断すればいいのか、それについてお聞きしているわけでございます。
片山国務大臣 どういう答弁をされるか、どういう発言をされるかわかりませんから、それは基準というようなものはないんでしょう。
 ただ、今、何度も言いますけれども、ほとんどが行政機関の長としての答弁だ、こう御理解いただければいいと思います。
中村(哲)委員 この問題に関しては、さらに踏み込んで十一日に質問がなされるでしょうから、次に移ります。
 まず第一に、信書の定義についてお聞きいたします。
 今回、法律で、信書の定義として、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」という定義になりました。なぜこの定義なのか、お聞かせください。
片山国務大臣 これは、確定した判例なんですよ。確定した判例でございますので、その表現をとらせていただきました。
中村(哲)委員 確定した判例というのは、一つ形式的な理由としてはあり得ると思うんですね。しかし、実質的な理由としては非常に弱いと思います。実質的な理由をお聞かせください。
片山国務大臣 定義するのに、各国の法令も見まして、その確定した判決も見て、こういう表現が最も妥当ではないかと考えたわけであります。
中村(哲)委員 大臣にとっては釈迦に説法の話になると思いますが、少し見解を述べさせていただきます。
 判例というのは、言うまでもなく、具体的な事件に対して、その事件を解決する限りにおいて、法令で明確な基準が述べられていない場合に司法がその権限においてその事件を解決する範囲内で行う行為です。つまり、個別具体的な事件に対する見解であります。
 そして、それを、法的な確信のレベルまで高まったということで、法改正の議論において定義に盛り込むということになると、そこにはそういうふうな法的確信に至ったその実質的な理由を起草者は述べないといけないはずです。
 憲法七十二条、内閣法五条に基づいて、この法案は内閣から提出されております。それがゆえに、この定義がなぜこの定義になったのか、実質的な理由を起草者である内閣は述べないといけない、これが憲法の枠組み上の法理であります。だからこそ、実質的な理由を聞いているわけでございます。御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 何度も同じことを言いますけれども、今まで信書という定義はなかったんですよね、日本の法律の中には。そこで、今回も、今までも法律上の定義がなくて実際やってきたわけですから、定義は要らないんじゃないかという議論もあったんです。
 しかし、今回は公社化になる、民間事業者の方にも郵便事業に参入してもらう、それから、先ほども言いましたが、外国の法律をずっと調べまして法律上どういう定義を書くのが適当か、そこで、先ほど委員が言われましたように、特定の受取人に対して差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書だ、こういうことを明らかにしたわけであります。そうすることが今回の郵政事業改革においては必要だ、こういう実質的な判断に立ったわけでございまして、そういう意味では、憲法で、特に表現の自由に絡んで秘密を保持する、秘密を守る、個人間の通信の秘密を守る、こういうことも念頭にあったことは事実であります。
中村(哲)委員 諸外国の例を参考にされたというお話でした。
 諸外国とは何なのかということを考えますと、万国郵便条約を結んでいる国々、そういった国々を見ますと、やはり立憲主義、近代立憲主義ということと大きく関係しているんだろうと私は考えます。
 信書の性質論の議論になるかと思いますけれども、信書と立憲主義について、その関係をどのように大臣はお考えでしょうか。
片山国務大臣 なかなか難しい御質問をいただきましたが、立憲民主主義、憲法に基づく民主主義の基礎として、憲法に保障されている、先ほども言いましたが、表現の自由、通信の自由、そのために、この信書というのは基本的な手段でございまして、これは秘密は絶対守るべきものだ、こういうふうに私は考えております。
中村(哲)委員 大臣のお話を伺って私なりに理解を述べさせていただきますと、近代立憲主義国家というものは、まず国民がスタートである、そして、国民が自分たちで国家をつくっていく、ないしは統治機関をつくっていくときに、国民同士の、個人同士の意思の流通が必要である、そのように私は理解しておりますが、その点について、いかがでしょうか。
片山国務大臣 私も全く同じ考えであります。
中村(哲)委員 そうすると、日本国が日本国憲法で立憲主義という統治体制をとっている限り、まず国民と国民が自分の意思を流通させる、それが必要である、そういうふうに考えてよろしいですね。
片山国務大臣 私もそのように思っております。
中村(哲)委員 私は、るるなぜこのようなことを申すかというと、信書というものが国民と国民の意思の流通にとってどういうふうな役割を果たすべきなのか、立憲主義をとる場合において、この信書がどのような位置づけになるのかということを改めて総務大臣の口から答弁としてお聞きしたいからでございます。
 つまり、信書は電気通信などと違って、通信手段として立憲民主主義にとってどのような意味を持っているのか、それについてお聞きいたします。
片山国務大臣 先ほども委員言われましたが、国民と国民の間のコミュニケーションの基本的な手段ですよね。しかも、それは秘密ということですね。お互いの秘密をしっかり守るという前提で、そこがほかのものとは違うのではないか、こういうふうに考えておりますし、そういう国民の自由な意思のコミュニケーションを担保するということが民主主義の基礎ですね。憲法もそれを基本的人権として強く保障している、こういうふうに考えております。
中村(哲)委員 私がお聞きしたかったのは、電気通信などのほかの通信手段と異なり、信書が立憲民主主義においてどのような役割を果たしているのか、その点についての御認識を伺いたかったわけでございます。改めてお願いいたします。
片山国務大臣 だんだん、Eメールだとか携帯電話だとかというのが大変普及してきておりますけれども、信書には、現物が送付されるという現物性、年賀状、あいさつ状などに見られるような儀礼性など、電気通信の手段によっては見られない特性があります。将来、通信手段として電気通信関係が幅広く利用されることになったとしても、私は、この重要な役割は変わらない、特に年賀状などというのは、そういう意味での日本の文化ではないか、こう考えておりまして、その重要性は減らない、こう思っております。
中村(哲)委員 大臣の答弁を、私なりにもう一度問いを変えてお聞きいたします。
 通信手段として、どのような考え方をするのか。まず信書というものがベースに、基礎的にあって、その上にほかの通信手段、電気通信などがあると考える考え方が一つあります。もう一つの考え方は、電気通信というようなものもある、信書というものもある、これは並列的に考える、そういう考え方です。どちらの考え方をとるのかということが非常に重要だと私は思うんですね。
 これがどういうときに違いとなってあらわれてくるのか。それは二十年後、三十年後、電気通信がほとんど通信手段としては占めてしまう。そして、信書というものは、文化的な価値、いろいろな価値はあるんだけれども、どんどん少なくなってしまう。そして、その結果、信書便はもとより、公社においても独立採算ができなくなってしまう。
 そういったときに、いや、もうほかの通信手段でユニバーサルサービスが確保されている、国民の国民に対する意思の伝達、それは確保されているから、もう信書は要らないんだと考えるのか、いやそうではなくて、何らかの措置を考えて、信書のユニバーサルサービスは守らなければいけないのか、ここに大きな結論として出てきます。
 私の見解は、立憲民主主義を日本国がとる限りにおいては、紙に文字を書いて、封をして、切手を張ってポストに入れるだけで届くものというのは、やはり年齢などを超えて、だれもができる、だれもが使えるサービスです。電気通信のように、電話機を買ったり、インターネットをするためにパソコンを買ったりする必要もありません。そういった意味で、信書というものは立憲民主主義にとって基本的な通信手段であり、電気通信などは、いわばその上にあるプラスアルファの通信手段と考える考え方を私はとります。
 大臣は、どちらの考え方をとるのか。基礎的なものがあって上になるのか、それとも、並列に考えていくのか。どちらの考え方でお考えになるのでしょうか。
片山国務大臣 私は、やはり信書の出し、受け取るということは、国民にとって基礎的な通信手段だと思いますね。最も身近で、しかも大変安く手軽にできる。しかも、隅々までできる。お金がかかりませんね。かかりますけれども、しかし、それはほかの手段よりはずっと安いというようなことなら、やはりこれは生活インフラといいますか、国民にとっては基本的な通信手段ではないかと考えております。
中村(哲)委員 昨年六月十二日の片山大臣の答弁で、片山大臣は不易流行ということをおっしゃいました。時代に応じてやはり変えていかなくてはならないもの、しかし、時代が変わっても変えてはいけない普遍的なもの、そこをきちんと見きわめていくことが必要なんじゃないかという私の質問に対して、片山大臣は不易流行という言葉でお答えになりました。
 本日の片山大臣の御答弁を総括いたしますと、信書の送達、ユニバーサルサービスの提供というものは、日本国が立憲主義をとる限りにおいては、必ず国民にあまねく保障しなくてはならない、そういう性質のものだと政府は考えていると考えてよろしいですね。
片山国務大臣 まさにユニバーサルサービスというのはそういう考え方ですね。委員と同じ考えであります。
中村(哲)委員 それでは、第二に、ガイドラインの話についてお聞きいたします。
 一昨日の答弁で、有権解釈によって行うということでした。有権解釈とはどういう意味でしょうか。
片山国務大臣 法令というのはそれぞれ各省が所管しております。その法令について一義的に責任を持つ、所管する省庁が解釈を示す、これが有権解釈である。ただ、これについて問題ありと仮にすれば、最終的には、我が国は三権分立ですから、最後は司法の判断、こうなりますけれども、一義的には、今言いましたように、責任を持つ省庁が法令の解釈をする、こういうことであります。
中村(哲)委員 私はそこが問題だと思っているんですね。結局、ガイドラインをつくるといっても、それは今まで法律によって行政に与えられた権限内でできるんだ、それが有権解釈ということですね。
 そうすると、やはり参入する民間企業ないしは参入はしないけれども物品でいろいろな書類などを送ろうとしている人にとっては、官僚の裁量が大き過ぎるんじゃないかという批判があると考えられます。
 この有権解釈に関しては官僚の裁量という問題といつもかかわってきます。私は、この批判をかわすためにも、政府提出の立法ですから、この批判にこたえるためにも、このガイドラインの決め方などを法定化していくのが一つのやり方ではないかと考えますが、この官僚の裁量が大き過ぎるという批判にはどのようにお答えになるでしょうか。
片山国務大臣 今回、はっきり法律上、定義を書きましたから、特定の受取人に関して、差出人が意思を伝達する、事実を告知する、こういうことですから、それについて大部分はどなたが解釈してもわかるんですよ。ただ、かなり際どいものも中にあるかもしれませんので、そういうことを、この際、はっきりした何らかの基準で国民の皆さんにわかっていただく方が便利ではなかろうか、こういうことであります。
中村(哲)委員 大臣のおっしゃったことを否定するつもりはありません。
 しかし、そのはっきりした定義に基づいて、何がそれに当たるのか、そのガイドラインの決め方についてはやはり何か手続規定が必要なのではないかというのが一般的な考え方、批判のもとになっている考え方ではないかと思います。それについての御答弁をお願いしたいわけでございます。
片山国務大臣 だから、有権解釈を示すのは行政サイドだけの判断でいいんですけれども、今回については広く国民の皆様の意見を聞く、パブリックコメントという形、あるいは関係の業界その他の皆さんの意見を聞く、あるいは有識者の意見を聞く。幅広く意見を聞いて、その上で国民の納得できる形の信書の範囲はこうだ、こういうものを示したいと考えているわけでございます。
中村(哲)委員 つまり、総務大臣としては、有権解釈の範囲でガイドラインの決め方、ガイドラインを改変するときのその改変の仕方などもやっていきたい。対して私は、やはりガイドラインをつくる際には、ガイドラインのつくり方も含めて、国会の関与のもとに法文化していくことが必要である、そういう見解の違いがあるということを確認させていただいてよろしいですね。
片山国務大臣 我々は、法案も今御審議いただいておりますし、この信書についても国会でさまざまな御論議をいただいておりますから、それを参考にもちろんさせていただきたいと思いますし、またつくり方や、これから幅広く意見を聞いてまとめていきますけれども、その過程で国会の議員の皆様の御意見を聞かせていただく、大変結構だと思っております。
中村(哲)委員 ガイドラインの見直しということに関しても、見直すやり方、そのガイドラインをつくるガイドラインというようなもの、そういう手続規定については国会にお示しなさるつもりはございませんか。
片山国務大臣 今、三権分立の考え方からいうと行政府だけでやってもいいわけですけれども、それはもう大いに立法府の、この国会において御議論いただくのは、先ほども言いましたが、私は、大変結構なことだ、こういうふうに考えております。
中村(哲)委員 大臣、私の聞いたことに答えておりません。ガイドラインをつくるその手続規定について、いわゆるガイドラインをつくるためのガイドラインについては国会に示すつもりがあるのかないのか、イエスかノーかで聞いているわけでございます。
片山国務大臣 手続というのは特別ないんですよ。ただ、今言いましたのは、総務省といいますか、そこがつくる場合に、パブリックコメントという手続を設けるとか、あるいは有識者の方に集まっていただいて意見を聞くとか、そういうことを今考えておりますが、いつまでにどうする、こういうことについては国会の御審議を見ながら、法律が通ってからの話ですから、今そういうことで検討中でございます。
中村(哲)委員 イエスでもノーでもない、検討中だということでしたので、ぜひガイドラインをつくるための手続規定のガイドラインは示していただきたい。
 らちが明きませんので、第三の質問。第三番目に、信書の具体例を交えての議論をさせていただきます。
 先ほどから、ダイレクトメールの話がありました。ダイレクトメールが信書に当たるのかどうか、それについての議論がなされています。私は、佐田副大臣の御答弁をお聞きしておりますと、最終的には、ダイレクトメールの中に信書に当たるものも当たらないものもあるだろうと。
 佐田副大臣のお立場ならば、その当たるかどうかということも含めて、今後ガイドラインの中で決めていくべきことだから、今はなかなか答えられない、今判断できない。法が通ってから、有権解釈のもとで出されるガイドラインに基づいてダイレクトメールが信書に当たるのかどうかということを判断するわけだから、ダイレクトメールというのはいろいろなものを含んでおりますから、今一義的に信書に当たるかどうかは言うことができない、そういうふうな御答弁であろうと私は理解しておりますが、佐田副大臣、それでよろしいでしょうか。
佐田副大臣 先生、先ほど一番最初に判例のお話がありましたけれども、基本的に信書がいかなるものか。いろいろなことを言われる方がいらっしゃいますけれども、広くわっと出すものについてはこれは信書じゃないわけでありまして、それはあくまでも、要するに、法令の定義に基づきましてこれは判断をしておるものであります。
 一方、ダイレクトメールというのは、今先生の御指摘がありましたように、ダイレクトメールはこういうものだという定義がないわけでありまして、これはいい、これは悪いということは今のところ、要するに有権解釈というような形ですけれども、監察局で、公社になったら変わりますけれども、監察局の方で判断をしてやらせていただいているというのが現実であります。
中村(哲)委員 このダイレクトメールの議論をするときに、チラシのようなものはどうなるのか。カタログのようなものとどう違うのかということが議論になってきます。そういうふうなところで、有権解釈をするにしても、何か基準をつくる必要があるのではないかということが私の念頭にありまして、具体例を挙げながらの質問をさせていただいています。
 郵便法五条三項ただし書きにおいては、信書であっても添え状、送り状は物品と一緒に送っていいということになっています。それに対して、なぜそうなのかということに対しては、第一回国会衆議院通信委員会、昭和二十二年十一月十一日における小笠原郵務局長の答弁があります。その答弁の中には、一般の慣習であるということが理由となっております。信書であるがゆえをもって禁止することは、一般の実情に即しませんので、貨物に添付する添え状、送り状は特にこれを認めることといたしますというふうに答弁なさっています。つまり、社会的相当性ということと非常に大きな関係を持っているのがこの信書の解釈の部分なんだと私は考えます。
 そういったものを考えるときに、事前に総務省から示された信書に該当するものの例、該当しないものの例の中に、該当しないものの例として書籍、雑誌というものがあります。
 サイン入り本などはどのように考えたらいいのか。本の中に、中村様へ、この本読んでくださいね、謹呈、その著者の名前が書いてあるもの、そういったものと、その部分だけが添え状になっているもの、その本の違い。サイン入り本か、添え状がついている本か、これが片一方ならば信書に当たるのか、片一方は物品に添え状が添えられているものだと考えるのか。社会的な観点から見たら、どうもこういうふうな違いが起こってくるのはおかしいんじゃないかなということも感じるわけでございます。
 このサイン入り本の件と、本と添え状のセットの違いについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
佐田副大臣 先生、この辺はちょっと常識的に考えていただきたいんですけれども。常識的と言うと失礼かもしれません。先生も御指摘にありましたように、五条の三にありますように、「貨物に添附する無封の添状又は送状は、この限りでない。」というこの条項でありますけれども、例えば本に、読んでくださいとか、こういうふうな誘導するような形の、こういうものは信書ではない、こういうふうになっておりますので、御理解をいただきたいと思います。
中村(哲)委員 例えば、携帯電話の後ろに、あけたら大体電話番号が書いてあるんですよね。この電話番号が書いてあるところに、中村さん、この電話番号であなたのところにかかりますと店主の名前が書いてあるような場合、これも信書に当たらないと考えてよろしいですね。
佐田副大臣 携帯電話にだれだれさんへと書いてある場合は、これは特定の人に送る、示すわけですから、これは信書であると思っております。(発言する者あり)中にでしょう。中に書いてあるんでしょう。
中村(哲)委員 こういうふうに中に電話番号が書いてあって、ここに、この使用方法として、この電話番号にかけてもらったらあなたにかかりますということを店主の名前で書いてある場合。
佐田副大臣 失礼しました。私はそれを個人的なことが書いてあると思って誤解しました。済みません。
 それは、要するに、ここへかければかけられますというのは、これは送り状かもしくは添え状、こういうふうに判断しております。
中村(哲)委員 送り状、添え状というのは、本体に書かれていても送り状、添え状になるということですか。
佐田副大臣 済みません。ですから、そういうふうに個人的にやるんじゃなくて、物品に書いてある場合はこれは違うわけですね、それは送り状とかそういうものになるわけです。
中村(哲)委員 いや、個人的にやっているわけです。個人の名あてに、中村様、この番号にほかの人からかけていただきますとあなたにかかりますというふうな文言が携帯本体に書かれているような場合、その店主の名前もちゃんと書いてありますよ、そういうふうな場合、それは信書に当たるのかどうか。
佐田副大臣 大変難しい質問ですけれども答弁させていただきますと、先生、要するに、判例に従って考えるならば、これは当然、厳密に言うならば、これは事実を伝えるわけですから、これは信書である、こういうふうになりますね。
中村(哲)委員 同じことをほかの物品で考えてみましょう。冷蔵庫や洗濯機のことを考えてみましょう。
 洗濯機の裏面には、大体、使用方法が書いてあります。中村様、この以下の使用方法に基づいて使ってください、店主の名前が書いてある。今、佐田副大臣の御答弁ならこれも信書に当たるということになりますが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 非常に厳密な話ですけれども、やはりこれは五条の三にありますように、何々様、要するに、扱い方のところに書いてあるわけでしょう。これはもう添え状、こういうふうに判断しております。
中村(哲)委員 添え状になるんだったら、これは信書に当たるわけですよ。さっきの御答弁であると、本体に書かれているものは信書である、先ほどの携帯電話も信書である、冷蔵庫、洗濯機も信書であるということになる、そのように考えてよろしいんですね。
佐田副大臣 要するに、冷蔵庫か携帯かとか、そういう問題ではなくて、それはあくまでも、非常に微妙なところではありますけれども、やはり意思を伝えているかどうかとか、そういうところで判断するわけでありまして、例えば、こういう品物をやるときに、機能の説明のところをお読みくださいとか、こういうものについてはこれは添え状であります。
 ですから、実際問題として、先生、それは、例えば携帯なんかにどういうものが書いてあるか、これを見ない限りなかなか判断が難しいと思います。
中村(哲)委員 つまり、添え状、送り状というものは、本体と一体となっていたとしても添え状、送り状であると考えてよろしいですね。
佐田副大臣 添え状であるとか送り状というのは、当然これは常識的に考えて一体のものだ、こういうふうに判断しております。
中村(哲)委員 私が言っているのはそういうことではなくて、本に添え状、送り状が、物理的に離れた存在であるけれども一緒にある場合、ある場合が普通のケースでありますけれども、先ほど携帯電話のケースや洗濯機、冷蔵庫のケースで申しましたように、本体と一体となっているものであったとしても、社会的通念から見たらそれは別個の添え状、送り状であると判断して、五条三項ただし書きの送り状、添え状と判断するという答弁でよろしいのかどうか、そのことを聞いているわけでございます。
佐田副大臣 例えば、今の書籍の話で、特定の人にあてた通信文を書き込んだ場合には、その通信文が送り状または添え状に該当するものであれば、これは民間運送の営業者でも送達できる、こういうことであります。
中村(哲)委員 私が聞いているのは、先ほど申しましたように、冷蔵庫にあのように書き込んだ場合、携帯に書き込んだ場合、冷蔵庫自体が信書になるのか、携帯自体が信書になるのか、そういうことなんですね。
 佐田副大臣の御答弁をお聞きしたら、それは、携帯電話や冷蔵庫と物理的には一体だけれども、社会的には別に観念して、本体とは一体だけれども書かれている部分を別に観念して、添え状、送り状であると。その部分だけは、物理的には一体だけれども、法律上、観念的には切り離して考える、そのように私は理解しているんですけれども、それでよろしいですか。
佐田副大臣 いや、先生の質問は非常に微妙なものですから。
 常識的にこれは御判断いただきたいんですけれども、例えば冷蔵庫に何か文書が書いてあれば、これはやはり信書です。そしてまた、本なんかに別にくっついていても、これはやはり一体なものと判断される。別に送るということはまずないと思いますしね。例えば書籍と別々にしたとしても、これは判断基準になる。添え状なら添え状だし、信書なら信書、こういうふうになろうかと思います。
中村(哲)委員 何遍も繰り返しますけれども、ちゃんと問いに答えてください。
 サイン本に関しては、全体が信書性を帯びるのかどうか。そうではないとお答えになっていると私は考えるんですね。携帯電話の場合もそう。本体とは一体だけれども、その書かれた部分のみが信書性を帯びて、添え状、送り状になって、携帯電話は物品であり、その部分が添え状、送り状になっていると。物理的には一体だけれども、法律上、観念上は別のものと分けて、五条三項ただし書きが適用されるものになると。
 そういうふうに御答弁されていると私は理解しているんですけれども、それでよろしいですか。
佐田副大臣 ですから、要するに、本にそういうふうに書いてあれば、これは添え状かもしくは信書になる、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 つまり、添え状、送り状のたぐいだと認められるようなものが書かれている場合であれば、そこは、物理的に一体であっても社会通念上別個のものと判断されるので、法律上は別のものと判断すると考えてよろしいということですね。
佐田副大臣 ですから、書籍は信書じゃないわけですから、当然そういうふうに御判断されても私はいいですけれども、これは一体ですからね、もちろん。一体として判断していただきたいと思っております。
中村(哲)委員 副大臣、今のは答弁になっていませんよ。とめてください。――無理ですか。今、矛盾があるということをお感じになりませんか。
 今の場合なら、冷蔵庫、携帯も信書で送らないといけないわけですよ。そこについて、どのように御整理になっているんですか。
片山国務大臣 今の携帯電話や冷蔵庫は、注意書きかなんかですよね。だから、そういうものは常識的にある程度考えなければいかぬのですよ。かなり際どいことばかり拾われて質問されておりますけれども。そういうことがあるから、今度はガイドラインではっきりさせよう、こういうことでございます。ある意味では、頭の体操みたいなことになりますからね。
中村(哲)委員 私は、この議論をするときに、佐田副大臣の御答弁の方向じゃなくて、文書性というところで議論があるのではないかと思っていたんですね。特定の人に対して意思表示ないし事実の通知をするものであっても、それは文書に当たらないんじゃないか、そういうところから議論をすべきでないかと考えていたんです。
 私の文書の定義というのは、その物体から可視的に読み取れる情報のみで、一般人から見て、送り手の方が意図するその物体の本来の目的を果たすものを文書とすべきじゃないかと考えているわけなんです。
 つまり、その物体が、可視的に読み取れる文字ないし記号で、意思表示ないし事実の通知になっているもの、それは送り手が意図する性質のもの。しかし、送り手が意図するといっても、送り手自身がそう思っているわけじゃなくて、法律ですから、一般人から見て送り手の意思がどうであったかということが判断できないといけない。そういった意味で、私はこのように定義させていただきました。
 もう一度申します。文書とは、その物体から可視的に読み取れる情報のみで、一般人から見て、送り手が意図するその物体の本来の役割、機能を果たすものと私は定義しているんですけれども、この件については、昨日、質問通告もさせていただいておりますので、明確な御答弁をお願いいたします。
佐田副大臣 非常に微妙で複雑なものですから、失礼いたしました。
 信書については、特定の人に対し意思を表示しまして、言うまでもありませんけれども、また事実を通知する文書でありまして、その素材であるとか本来の機能いかんにかかわらないと解してきたところであります。
 しかしながら、例えばクレジットカードについて言えば、その支払い手段として利用される側面に着目して、記載された文書は通信文とは解せないんではないか、こういう指摘もあるわけであります。この辺につきましてもいろいろなケースがありますので、そういう非常に微妙なところにつきましても、今後、こういうふうに言われるとまた御質問されるかもしれませんけれども、ガイドラインの中で検討していきたい、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、私が申しているのは、有権解釈のもとで解釈するのであるからこそ、国会で、そのガイドラインを議論するときの基準について議論しなくてはいけないと思うから、ここまで詰めた議論をさせていただいているわけでございます。もし、佐田副大臣が今のような御答弁をなさるのであれば、それは国会審議を軽視していると言われても仕方ないことだと思います。
 ぜひ、この件に関しまして、政府見解をきちんと出していただくようお願いいたします。委員長、いかがでしょうか、この点に関して。
平林委員長 後刻、理事会において協議をいたします。
中村(哲)委員 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。
平林委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十七分開議
平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 きょう四人目のバッターでありまして、今回、この法案に関しまして、ずっと、まだ日にちは浅いわけでありますけれども、じっくり聞かせていただいております。
 国民のいろいろな意見を代弁するのと同時に、非常にさまざまな意見の中で、この国をどうしたらいいのか、政治あるいは行政、そういうものを含めて改革していこうという大きな流れの中で、どういう改革が本物になるんだろう、そういうことで、この郵政公社化の問題等もその一番の大きな改革の中心的なテーマとして、我が党もいろいろなお立場があります、それから自民党さんもそうでありましょう。ただ、一つ言えるのは、どうやって国民のために、先ほど特に中村議員の貴重な御意見もありましたが、不易流行のものもある、そしてこれは立憲民主制のためにも基礎的なものである、私も民営化を目指す一人ではありますけれども、こういう見方も極めて大事なんだと。
 であれば、今の構造を変えながら、国民すべての方々へのサービスも確保しながら、そしてなおかつ、日本のある意味ではゆがみ過ぎた社会主義的な官僚体制、こういうものも直していくということは、やはり民営化なら民営化というものを一つ基軸にしながら、そして地方のいわゆるユニバーサルサービスの部分は、私は個人的には、地方の採算の合わないところはやはり補助金等を出すのも必要ではないかと。
 そして同時に、民営化をしながら競争をしていく、それが三十万の郵政職員の皆さんが生き残っていくためにも、このままではさまざまな社会の変化に対応できないだろう、であれば、体力をつけて、そして競争の原理も受け入れながらこのシステムを生かしていく、そんな立場で、私は今回はこの場に立たせていただいております。
 さて、私は五月八日の決算委員会で小泉総理にこの場へ来ていただきました。当時、総務大臣も御一緒でございました。そして私は、総理の熱い思いといいましょうか、民営化に対しまして、今までさまざまな困難を克服しながら総裁選で主張しながらここまで来たんだと。そして、先ほども出ました、「信書の定義にしても、極めて限定的に、民間企業が参入できるような定義を設けます。既に片山大臣に指示しています。必ず民間参入できるような条件を考えます。」と。そのとき片山大臣もいらしたわけでありまして、これを、五月八日ですから本会議の答弁のはるか前に、総理は答弁しておりました。
 大変な熱意を持って、絶対やるんだよという熱意を感じたわけでありますけれども、先ほどの答弁では、大臣はその後余り検討をしていないというふうにも言っております。私は、あのとき総務大臣にも、こういう発言を目の前で総理がされたということ、大変な思いでしたね、橋本内閣のときに自分の主張を入れて基本法に入れたんだ、そして、この主張を通して総裁選で私は立候補し当選したんだ、これは当然皆さんがこれを承知した上で自分のリーダーとしての方向性をこれだけ出していると。
 そこで大臣、同じ質問になりますけれども、私はあのとき極めて重く受けとめたわけであります。片山大臣にも、裏にいらっしゃいますねということをお聞きいたしました。これは、やはりきちんと総理の指示に従うべきではないかと思いますが、再度答弁を願います。
片山国務大臣 私も決算委員会に総理と同席しておりまして、松崎委員の質問、私にもありましたし総理にもありましたが、しっかり聞いております。総理からは、できるだけ民間が参入できるように、そういう検討をしてほしいということでございますので、それから一生懸命検討しているんです、いや本当に。ただ、まだここでしっかりとこういうことですという段階ではありませんし、検討の結果、何度も言いますが、幅広く国民の皆さんに意見を聞こう、また関係の方の意見も聞こう、こう思っておりますから。検討はしております。
 ただ、我々は、何度も言いますけれども、民間にできるだけ参入してもらいたいと同時に、ユニバーサルサービスは、これは松崎委員と同じだと思いますけれども、しっかり守っていきたい、こういうことでございまして、あの際、信書につきましても、法律では判例的なことを書かせていただいて、後はガイドラインをつくらせていただきます、国民の納得のいくガイドラインにいたしますと私は答弁したことを今思い出しておりますけれども、ぜひ今後ともそういう観点でやっていきたい。
 民間に入ってもらう法案をつくるんですから、ぜひ入ってもらうような格好にしたい、しかし同時に、ユニバーサルサービスというものはしっかり守っていかないと、これは郵便事業そのものが壊れてしまいますから、そこの接点をどこに求めるか、これが大変難しいところだと考えております。
松崎委員 それで先ほど、グレーゾーンを含めたその部分の審議なんですが、有識者会議のようなお話がありました。私は、それであるならば、総理のそういう意向を、このような審議をいたします有識者会議にやはりそれははっきりと示すべきだろうと思います。
 つまり、大臣の方は、私が質問したのは五月八日で本会議が五月二十一日で、もう随分時間がたっております。そして、四月からもう公社は動くわけでありますので、ここで、私に言わせればグレーゾーンのまま余り政令とか省令で、いわゆる役人さんの恣意のところで残しておく、そういう部分を残すということを意図されているように思いますけれども、この辺は早く、来年の四月の公社を運営する前に有識者会議等をつくって、そしてまた総理の意向はこういうことですよということを伝えるべきだ、私はそう思いますけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 政令も省令も、これはもう釈迦に説法ですが、今の法制下では、執行する法律の委任を受けるか、法律で決めた事項の執行のためにしか政令も省令もつくれないんですね。大枠は我々はこの法律の中に書いているつもりなんです。だから、後、政省令を基準という形でつくっていきますけれども、それにつきましては、有識者会議をつくるということまで決めているわけじゃございませんで、幅広く意見をとにかく聞く、パブリックコメントだとかあるいは関係の業界の方、そういう方の意見を幅広に聞いていこう、こういうことの中で、例えば有識者の皆さんの意見を聞くのもあるな、それを一つの組織体、合議体みたいにするかどうかは別にして。
 そういうふうに考えているわけでございまして、いずれにせよ、来年四月の公社発足までにはそれは明らかにしていきたい、ということは国会でも十分な御議論を賜りたい、こういうふうに思っております。
松崎委員 ヤマトが参入をやめました。そしてまたきょうの新聞でも、ソクハイの社長が、だまされたような気分だというようなコメントも出されておりますけれども、結局、民間参入をうたって法律化してきているんですが、実際に入らなければ、特に信書便法案は有名無実になる、特別の地域の分は入りますけれども。やはり私は、どうもこれを見ていると、改革の流れはとめられない日本の状況の中で、何とか今までのものを守っていこうというのが見え見えである。つまり、ハードルを高くしたりあるいは民間業者が入りづらくする、政令もそうですね。もっと法律で書くべきだということも皆さん言っておるわけですね。
 そこで、ヤマトが入らないということによって小泉さんが正直窮地に立たされた。ですから、二度にわたって本会議場でも非常に強い言い方をしておりますね。自分の本心なんだということを私への答弁でも言っておられました。ですから、そういうものをやはりきちんとやっていくには、どうもグレーゾーンというのは、あるいは特に大事な信書の定義なり、これをやはりきちんとすべきであろうと思います。
 さて、ヤマトの断念の問題は別ですけれども、ソクハイの社長が、きょう同じように、こちらは入る予定はしておるのでしょうけれども、これは特定の方でしょうか、本来は百円以内で二十三区内を五時間で届けるサービスを考えていたんだと。ところが、これが千円以上でしかも三時間。三時間となりますと、二十三区は無理なんだ、山手線の中なら可能かもしれないよと。そういうことで、多分これでもこの会社は参入するでしょう。そして、これから条件が緩和されれば事業の拡大はあるだろう、そういうことを言っておりますけれども、やはり、こういう印象を持たれるということが、せっかく民営化といいましょうか公社化を進めて、民間参入、入れるという大胆なといいましょうか、一つの妥協案を出されたにもかかわらず、実際に入る方々が、だまされた気分だ、あるいはヤマトは抜けると。これに対して、法案を作成された側の感想はいかがでしょうか。
片山国務大臣 民間の事業者の方は、これは営利企業ですから、できるだけ採算がいい方がいいわけでありまして、そういう観点からの私は御議論もあるのであろうと。我々は、何度も言いますけれども、今のサービスを悪くしない、もっとよくしたい、ユニバーサルサービスはしっかり確保していきたい、こういう観点がありますから、そこで必ずしも民間の事業者の方とは一致しないところがあると思うんですね。信書の秘密を守っていかなきゃいけませんし、あまねく公平にというサービスは確保していかなきゃいかぬ。だから、何度も申し上げますが、そこの接点をどういうふうに考えていくか、こういうことだと私は思います。
 一般の方は、信書のことをいろいろヤマトの方が言われるかもしれませんが、参入されれば、信書のグレーゾーンであろうが全部できるわけですね。参入しないで今やっているものを仮に拡大したいというのなら、そこのところで信書の幅が大変問題になるわけですね。だから、そこは我々は、国民の納得のいくように、極めてなるほどという常識的な、そういう線引きをいたしたい、こう考えておるわけであります。
 特定の方は、これもかなり議論して今の基準をつくったわけでありまして、特定の業者の方がどう言っているか知りませんが、我々としては、これで大変公平に、中立に、客観的につくったと考えております。
松崎委員 この議論は、恐らく今後また続くんではないかと思います。
 さて、原則論に戻りますけれども、この公社化あるいは民営化論の根本にございます、いわゆる巨大な規模の郵貯、簡保、そして市場に影響を与えている、自由主義経済を異常な形にしていると。そしてまた一方では、財投がありましたから、これは今改革されたということで言っておりますけれども、実態は、やはり同じように特殊法人等にも金が行くわけでありまして、そういう意味で、この構造自体を、やはり民営化に向かっていくという小泉さんの主張は私は正しいんじゃないか。これはやはり、世界に向かってもその辺をはっきりさせていく。
 ですから、公社化の中に、今回の議論でも非常にたくさんあります、公社化の先の議論をやはりはっきりさせなければ、公社化のつくり方が違う。これは、前も私はこの委員会でもお話ししましたけれども、そういう意味で、おとといからの議論では、一里塚は違うんだ、あるいは、あれは総理の個人的見解だというふうになっておりますけれども、私はこの際、しっかりと今の日本の置かれたこの異常な郵政三事業、特に簡保、郵貯、こういうあり方を真剣に考えたら、やはりこれは民営化の方向に行かざるを得ないんじゃないかという小泉さんの考え方は、大臣はどの程度評価をしているのか。
片山国務大臣 今回の四法案は、既にお答え申し上げましたが、中央省庁改革基本法でつくられたフレームに従って、なお公社化研究会で具体的なことを御議論いただいたのを受けてつくっているわけでありまして、そこは中立なんですね。公社化で終わりでもなければ、民営化を前提としての公社化でもないんです。全くその基本法と研究会の中間報告に基づく公社化でございまして、ぜひそこは御理解を賜りたいと思います。
 それから、小泉総理のお考えは、一つの大変立派な見識だと私は評価いたしておりますが、私は今、この担当と申しますか、所管大臣としまして、やはりこれは、どちらの方向にするにしても、大きな国民的議論の中での合意を形成していっていただくことが必要ではなかろうか、公社化後は。
 公社化後については、正直言いまして、まだ国民的合意がないわけですね。公社化までは、基本法の中でも国会でも議論されて、方向をお決めいただいたわけです。だから、公社化後どうするかについては、やはり幅広い国民的議論の中で方向づけをしていただくのが正しいんじゃなかろうか。総理は、そのたたき台を今の総理懇談会でつくってほしい、こういうことではなかろうかと私は理解いたしております。
松崎委員 民間参入をさせていくということは、これは法的にも決定をしている。これは、やはり公社を含めた今までの郵政事業の経営を合理化し、近代化していく、そしていろいろな批判があったものを取り込んでいくということでいくと、先ほど中村議員もおっしゃっていましたけれども、今IT時代になってきます。一定の年齢以下の若い人たちは特にそうでありますけれども、社会の動きがどんどんメールでありますとかIT化しておりますから、私は、郵便そのものが非常にこれから減っていくんではないか、そう思っているんですね。
 それから、一つ証左としては小包ですね。小包というのは、恐らくこれからIT時代が始まりますと、無店舗販売、あるいは店舗がなくてもEコマースでありますとか、そういうものがどんどん進んでまいります。そうしますと、これは物流はどんどんふえてきます。恐らく革命的にふえていくと思うんですね。物流しませんと、幾らITで売買したって物は電波で飛んできませんので、これは当然物流はふえてきます。
 そうすると、今の物流をちょっと比較してみましても、はるかに、郵便小包はどんどん減っているんですよね、そして、いわゆる民間の方はどんどん伸びております。佐川急便と宅急便、ペリカン便を足しますと、郵便小包の方は、例えば平成二年、二四%を占めていた。ところが、平成十一年に一一・九%に落ち込んでおります。
 佐川急便に関しますと、平成十年、十一年、まだわずかなんでありますけれども、飛躍的に伸びている。特に、最近の佐川の伸びは、いわゆる決済を、家の玄関先でカードで支払いができるとか、極めて対応がよくなっているんですね。ですから、わずかの年限でも、もう既に平成十一年で佐川は二〇・二%のシェアを持っている。宅急便が三一・二%、これは平成十一年です。ペリカンが一五です。ですから、これだけ足しても六六%ですね。それで、先ほど言いましたように、小包の方は十年前からずっと下がりっぱなしです。
 こんな状態ですから、私は、今のまま郵便が続いていきますと、メール等が進み、もちろん中村説のように、どうしても大事な文書、信書というのは続いていくと思いますけれども、三十万も抱えながら、もちろんこれは郵便だけじゃありませんけれども、こういう状況でいくと、必然的にこれは減っていくだろう。
 そうなったら、やはりもっと民間的な発想で、過疎地も含めてさまざまな、コンビニでありますとかサービスをさらにつけ加えていく、そういう時代に転換をしなきゃならぬ。そういう意味で、私たちはこの状況から、民営化、民間参入という一つの刺激を与えられながら、今までの、これからの公社もそれに向かっていくべきであろう、私はそう思っておりますけれども、今私が言いましたような、これからの郵便小包を含めた郵政の方向性、将来性、それをどのように思われますか。
片山国務大臣 松崎委員言われますように、信書についてこれからどうなるのか。電子メール等が大変普及してくる、携帯電話も七千万台を超える、こういう状況の中で信書は減少していく、こういう見方もあります。しかし、ダイレクトメールなどはむしろふえてくるんじゃないか、こういうことでございまして、定かではございませんけれども、平成十三年度の通常郵便物の数は前年度よりも〇・四%増加しています。二百六十三億通。
 小包、小型物品については、これもいろいろな議論がありまして、なるほど郵便小包は大変シェアが低うございますし、委員が言われるように、シェアも落ちてきています。ただ、これも、今言われた電子商取引が拡大すれば、話は決まっても送るのは必要でございますから、そういう意味では、これはふえるんじゃないかということも言われております。
 ただ、私が見まして、郵便小包のシェアが落ちてきたのは、やはり民間の方がいろいろなサービスをお考えになる、小回りがきく、こういうこともあるわけでございまして、この際、公社になって、民間的発想でいろいろな新商品等を、魅力あるものを開発していただいて、それで民間と公社も一生懸命競争していくことが公社のためにもなる、国民はもちろんより安いサービスを受けられるようになるんではなかろうか、私はこう考えております。
 ただ、郵便事業全体では、松崎委員の言われるとおり、将来が大変バラ色じゃございませんね。そういうことで、今、体質強化のために、十三年度から五カ年かかりまして、郵便事業は一万五千人の職員の数を削減する努力を労使でやっているわけでございまして、そういう総体的な努力が今後の郵政事業全般に必要ではなかろうか、こう思っております。
松崎委員 だからこそ、公社化は一たんいたし方ないと思いますけれども、この中に、民営化の方向に向かって、民間をもっと参入しやすくして、そして民間と競合しながら新しいものを開発していく、そういう姿勢に変えるべきではないかな、私はそう思うんですね。
 先ほど大臣がおっしゃった公社化で自律的な経営ということなんですけれども、どういう形、どういう点に自律的経営の形が目に見えて出てくるんでしょうか。この公社化で予測できますか。
片山国務大臣 私が思いますのは、今度は、できるだけ国が、と申しますのは総務省やあるいは国会が、予算を初めとするいろいろなことに関与をしていかない、できるだけ自由な裁量権を与える、こういうことでございまして、結局は、どういう経営陣を選ぶかですね、総裁初め経営陣を。
 そこが私は一番のポイントだと思いますが、旧三公社に比べますと、今度は相当自由度を与える仕組みにしておりますから、事前には一切チェックしない、事後チェックでいくとか、料金等も届け出でいくとか、予算もかなり自由に、移用や流用やいろいろなことができる、繰り越し等ができるようないろいろなことを考えておりますから、あとは、今の仕組みを上手に生かす経営陣をどういうふうに選んでいくかということが、これから、当初の設立後の、発足後の一番の課題ではなかろうか、このように思っております。
松崎委員 先ほど大臣は一万五千人削減というお話がありました。これらも自律的経営という一環だろうと思います。人や金や物、それに、全体に対して公社化として自律的な経営を目指すんでしょうが、今のところさっぱりよく見えておりません。
 今、経営者の問題がありました。この辺も、どういうところを想定しているのか。自由度を入れるということでありました。しかし、見ますと、社外の理事が十六人中三人、監事が三人中一人、これだけがいわゆる社外役員であるということは聞きましたけれども、この程度で自由度が進むんでしょうか。また、トップの人選というのはなるほど大変なんですけれども、この辺、理事にしても監事にしても、本当に将来いわゆる民業と戦っていくのであれば、やはりもう少し変えていかないと私はだめだろうと思いますけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 役員の数をどうするかは大変議論がありまして、一方では、これも一種の特殊法人でございますから、特殊法人全体を、役員の数をスリムにする、こういうこともありまして理事は十六人にいたしたわけでございます。
 また、一応の役所としての割り振り、理事さんの分担の考え方はありますけれども、なおこれは精査して、能率的な事業ができるような体制を考える必要があろう、こう思いますが、三つの事業について事業本部制みたいなことをとらせていただいて、理事さんを一人ずつその責任者にすること等を含めて現在検討中でありまして、これらについてはもう少し時間をかしていただきたい、こういうふうに思っております。
松崎委員 そこで、幾つか個別の問題にちょっと触れさせていただきますけれども、先ほどの、限度額は一千万でこれ以上変えないんだということと、国家保証はありますが、最近、郵便振替口座、ここに大変移動が起きているんだというふうに聞いております。去年の五月と比べますと、五月で約倍になっていますね。昨年は一兆三千億、ことしは二兆六千億になっておりますけれども、この辺は、これは民間に対して、額からいったら大したことはありません。しかし、やはりこの限度額といい、いわゆる国家保証といい、そして安全なところへ逃げていくという心理もありまして、こういうことで民間を圧迫していくわけでありまして、この辺、私はまだ非常に納得できないのでありますけれども、郵便振替の口座の資金移動、これは本当に野放しでよろしいんでしょうか。
片山国務大臣 郵便振替は、御承知のように、主として、個人が地方税等の公金を地方公共団体へ払い込む、あるいは電気料金等の公共料金を払い込む、あるいは通信販売の代金等を支払うための送金手段でございます。したがいまして、ここで、金をここに置いておこうとか貯蓄しようとか、御承知のように利子は一切つきませんから。そういうものでございます。
 なるほど、少しふえておりますけれども、全体の額から見ると、松崎委員も言われましたように大したことはございませんで、十三年度で約四千億円増加しております。例年よりは少し大きいかなと思いますけれども、今後ともこの動向は我々としては注視してまいりたい、こういうわけでございます。
 また、これは送金手段でございますから、これに限度額を設けると送金手段が機能しなくなるんですね。一時わっと集まることもありますし、送り方もいろいろありますので、その辺については、限度額を今設けることは余り適当ではないんではなかろうか、こう考えておりますが、先ほども言いましたように、振替口座の動向についてはウオッチしてまいりたい、こういうふうに思っております。
松崎委員 要は、今までの郵貯が果たしてきた国家財政に与える問題でありますとか、それから、これは銀行業界、そしてまた生命保険業界に対しても、非常に異常な国営の銀行、国営の保険会社ということで、もうさんざん言われてきたわけですね。その一環としてこういう結果が出ているわけでありますので、この辺の基本的な姿勢の中でやはりこれは考えていかなければいけない問題ではないかなと思っております。
 また、この今回の法案には、いわゆる郵政の方々あるいは自民党、与党の郵政族の方々が、我々からいいますと、ある意味では守りが非常に強く出ているというふうに見えるわけでありますけれども、その中でも出資の問題が最近よく新聞ざたで出ております。今のところ、この法案では、たしか民間出資はできないようになっておると思います。しかし、この前の中間報告では出ていました、民間企業への出資。経営の自由度を付与する観点から出資は可能性があるんだということを言っております。この今回の法案に対する小泉さんと与党側との関係も含めて、修正らしき話が出ておるというふうに聞いております。
 この辺の民間出資の問題は今後どのように考えていらっしゃるのか。
佐田副大臣 出資の問題につきましては、先ほどもお話がありましたけれども、郵政事業の公社化に関する研究会の中間報告を踏まえまして、競争に対応しつつユニバーサルサービスの維持を図るために、公社に経営の自由度を付与する観点から、必要な範囲に限り民間企業に出資できることというような検討、調整を行っているところでありますけれども、何分とも各省庁とのいろいろな話し合いがちょっとおくれまして、まだそれが中に入っておりません。また、今もお話ししましたように、どこまで出資をしていいのか、こういうところも今議論の最中でありまして、今後とも検討を深めていきたい、こういうふうに思っております。
 また、今、与党の中のお話がありましたけれども、これはあくまでも、この法案につきまして、内閣として提出をさせていただきましたけれども、これからもしっかりと御議論をさせていただく、こういうふうなことでございます。
松崎委員 各省庁との問題というのは確かにあるのかもしれませんけれども、将来、民営化するんであれば、もちろん一定の、もともとがもし国営から民営化した場合には条件が極めて厳しいわけでありますけれども、完全な民営化になれば子会社も結構ですけれども、既に今でもファミリー企業をたくさん抱えて、非常に天下り等で問題になっております。
 では、今の下請といいましょうか、ファミリー企業、三十八社ぐらいあると思いますけれども、こういうものは今は別に出資していないんでしょうか。それから、今後この子会社はどうなっていくんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 雑誌等でファミリー企業という言葉で、先生もまたそういうふうな御指摘があったようでございますが、今、私どもにつきましては、国の組織でございます。ですから、民間企業に対する出資というのは一切許されておりません。特殊法人としての簡保事業団等については簡保事業の特別会計から出資はしておりますが、それは民間企業でございませんので、そういう出資はございません。
 なお、物品等あるいは役務の調達に関連した形でよく議論がございますが、先般申し上げたかと思いますが、計数で申し上げますと六九%が完全な一般競争契約でございます。会計法令に従った契約行為をしておりまして、いわゆるそういう特定の企業を調達行為の中で優遇するというふうなことが許されておりませんので、御了解いただきたいと思います。
松崎委員 天下りはあるわけですよね。それは、いろいろな数字のとり方があると思いますけれども、OBのいる公益法人とか、これは全部がこの三十八社、ファミリーじゃないんでしょうけれども、これはどの省庁も同じようにそういう天下りが大変ふえているわけでありまして、この辺に大きな問題があるというふうになっております。
 ですから、今の答弁ですと、今のいわゆるファミリー企業は資本の関係はない、これは恐らく続いていくと思うんですね。ですから、この辺が、出資の問題がこれから出てくるわけでありまして、よほど気をつけていきませんと、公社が同じような、今度はもっとやりやすくなっちゃうわけですね。多分、先ほどの大臣の話では、今後、中間報告でもその方向を出しているから、やる可能性が、実現の可能性が十分あると私は思うんですね。これはよほど気をつけていかないと大変なものになっていくだろうと、私は今から警告をさせていただいておくわけであります。
 さて、この全体像の中で、徐々に今抜け落ちてきている問題があります。
 私は、去年は随分、高祖問題で、特定郵便局の問題を審議させていただきました。この特定郵便局は、いろいろな歴史があって特殊な形にはなっておりますけれども、この辺は、今後公社になっていくわけでありますけれども、立場とか位置づけ、それから、余り法的には位置づけされていないようでありますけれども、採用のことも含めて、特定郵便局の制度というのは、我々はもう廃止すべきだというふうに言っておったんですけれども、このままでいきますと今までどおりということでよろしいんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 御案内かと思いますが、特定郵便局は、三事業のサービスを少人数で効率的に提供するということ、それから地域に密着したサービスを提供する拠点として、郵便局数でいっても圧倒的に多い数でございまして、郵政事業で重要な役割を果たしているのが今日でございます。これは歴史的なことでございます。
 そうした特定郵便局の事業の中での役割というのはやはり維持していかなければならないと思っておりますが、その具体的な運営方法についてはいろいろ改善する問題もあろうかと思います。そういうことで、運営方法としての特推連の見直しも既に着手いたしました。それから、渡切費制度の廃止につきましても、大臣の御指示がありまして、既にこの予算年度から廃止をしております。一般の会計手続に従った措置を講じているところでございます。
 こうした特定郵便局の役割を踏まえながら、改善すべきものは改善していくというのが基本的なスタンスかと考えております。
 特定郵便局という言葉は、特定郵便局長を長とする郵便局として位置づけられておりますけれども、その辺は、任用制度等につきましては、新たな公社の中でどのように考えていくかということでございますけれども、基本的には選考任用ということで、経営管理能力と地域での信望というこの二つをキーポイントとしてやってきておりまして、これを基本にしながら、さらに有為な人材を確保するための方法について検討を加えていきたいというふうに思っておるところでございます。
松崎委員 答えは、全然変わらないということですね、選考でありますとか。だから、どこが公社で変わっていくのかというと、まずほとんど平行移動でいくのかなと思います。むしろ、やりやすいところだけが公社化によって幅広くなっていく、そして、肝心な、本来改善しなければならないところはちゃんと死守をしていく、そういう構想にどうしても見えてくるわけであります。
 さて、そうしますと、人事の、採用の問題なんかはどうなるんでしょうか。今までは、人事院も関与をしていたと思うんです、一応国家公務員ということでありますから。この辺は、聞くところによりますと、何か人事院から今度公社の方に全部移っていくというふうに聞こえておりますけれども、果たしてこれは、人事院さん、これでよろしいんでしょうか、公務員なんですよ。
中島政府特別補佐人 一応公務員じゃなしに、立派な公務員でございます。
 したがいまして、公務員を採用する場合の基本原則というのがございます。公開、平等、成績主義という原則に基づいて採用試験をしていくということでございますが、先ほど郵政事業庁長官から話がございましたように、郵政職員につきましては、一般の公務員とは若干異なった能力というものを見る必要があるということでございますので、私たちは、試験の実施につきまして、郵政公社を試験実施機関として指定したいというふうに考えております。
 ただ、先ほど申し上げましたような試験に当たっての原則というものを踏まえた上で、採用試験方法とか募集方法というのを決めていただく、そういう協議が調ったところで試験実施機関として指定していきたい。そして、事後の報告を受けるとか、そこはきちっとしたことを行って、責任官庁としての業務をしてまいりたいというふうに考えております。
松崎委員 そうしますと、今後とも、人事院はさまざまな形でチェックをしたりしていくというふうに受けとめてよろしいんですね。
中島政府特別補佐人 先ほど申し上げましたように、試験実施機関として郵政公社を指定するに当たりまして、募集方法とか実施方法について事前に協議をいたしまして、よくその点について郵政公社の方にも御承知いただく、そのことが調いました後で試験実施機関として指定する、そして、試験の実施をなさった後にも事後の報告も求めていくなどいたしまして、試験が試験原則に従って実施されているということを確認するようにしてまいりたいというふうに考えております。
松崎委員 今、大分私語で、そんなことできるわけないという専門家の御意見もございましたけれども、国家公務員の身分でありますので、ここはしっかりと、御自分の都合の悪いところは民営化の方向で自分の方にやって、そして、大事な権利のところでは国家公務員ということを主張されるとうまくないわけでありまして、一応そうであれば、しっかりと人事院がチェックをしていかなければいけないんじゃないか。今の話では、どうも危ういなというふうに思います。
 さて、渡切費という問題も、実は先ほどから出ておりまして、先ほどの答弁でもありました。これは変わっていないと思うんですよね、それは需品費という形になると思うんですけれども。あの渡切費は随分大きな問題を起こしました。そして、選挙違反にもつながっていくような使われ方をしてみたり、何度も何度もこの問題では、新聞も、あるいはこの委員会でも指摘をしました。新しい流れというのがどうもよくわからないんですね。ちょっとよく説明していただきたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 今まで、十三年度までやっておりました渡切費制度でございますが、これは小規模官署における常時必要とする経費について、責任者にあらかじめ渡切費を支給し、支給を受けた者の責任においてその支給金を使用して経理させるということによって、会計事務の負担を軽減するという仕組みでございます。ですから、特定局初め小規模の局に適用されてきたところでございます。
 それにつきまして、それ自体は制度としてはそれなりの意義があるわけでございますが、その運用をめぐっていろいろ問題が出てきたということで、また、最近の状況で、会計事務のパソコン処理の推進も出てきたということで、この十四年度から渡切費制度を廃止したところでございます。
 新しい会計手続は、透明性とチェック機能を強化するということで、それでも郵便局での事務の増加をなるべく軽減するというふうにしておるところでございます。具体的に申し上げますと、郵便局では、物品を購入する前などは個別の契約ごとに、会計法令に基づきまして予定価格の決定、見積もりの取得、それから文書決裁をきちっとやった上で、契約内容や支払い内容を記録に残して支払いを行う。そして、支払った証拠書類については、自局へとどめるのではなくて、共通事務センターという別のところに届けるということでございます。
 共通事務センターというのは別のところでありますけれども、そこでは、支払いについてチェックをやりまして、郵便局から送られてきました証拠書類によりまして実際の支払い内容の確認をやります。そして、支払い件数だとか金額等の取りまとめ調書を作成したり、それから会計帳簿に記入したり、そうした会計法令に基づく事務処理をやります。そして、会計法令に基づきまして、支払いの証拠書類をさらに会計検査院に送ります。
 従来の渡切費制度のもとでは、決算は渡切費を支給したという段階で完結してしまうんですけれども、今度は、先ほど申しましたように、その後の手続がいろいろございます。そういうことによって、決算データも、支給実績によって作成、公表してきたところでありますが、これからその使用実績によってきちっと決算を行って、より詳細な使用実績を把握することができるわけでございます。そういう意味で、透明性とチェック機能の強化が図られたというふうに考えているところでございます。
松崎委員 私、決算委員会でもこれをやったことがありますけれども、渡切費の領収書が一年ぐらいしかなくて、決算審査もほとんどできないということでした。ですから、これは今後は何年間ぐらいきちっと、これは公社ですからできないのかもしれませんけれども、それはしっかりと、これだけ渡切費に関しては不透明な部分がありましたので。金額は減っていませんよね。平成十四年、実質的に八百八十億、今まで九百億ぐらいでした。これはもう本当に、使途の内容を見ましても、今までは細かく一応書いてありましたけれども、これを実際に、今言ったようなやり方でうまくいくんでしょうかね、どうでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 予算は若干減ったと思っておりますが、基本的には構造的な大きな数字の変化はございません。
 ただ、申し上げますと、これは電気代だとか電話代だとか、それから奨励等の物品費だとか、そういったものが中心でございまして、この委員会等でも御指摘いただいたような、飲み食いの金というふうな言い方でおっしゃったことがあるんですけれども、そういった会合費は極めて少額でございますし、それから、グループでいろいろ研修をやったり地域との会合を持ったりする特推連経費もその中に入っておりますけれども、いわゆる一般企業で言われているような渡し切り交際費というものではございませんので、その点はちょっと御理解を賜りたいと思っております。
松崎委員 それは、また今後やります。
 それから、一つだけ最後に、私、ちょっとかかわりを持ったものですから。
 高祖事件がありまして、実はこの前、四月の新聞で、先ほど特推連も見直しをしたと言っておりますけれども、特推連の会長、このまとめ役だった人たちの中で、あのとき三十一名辞任しました、二十一人がまた会長に返り咲いたという記事は実際事実なんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 特推連の連絡会の会長は、連絡会の事務を総括、整理する職務を持っているということで、豊富な経験と高い指導力が求められております。実際には、会長の指名権限を持っておりますのは地方郵政局長でございまして、地方郵政局長が責任を持って適任者を選考することとしております。
 今回、御指摘の、会長に指名された者の中に、昨年の公職選挙法の違反事件に関連して会長を退いた者がいるのは事実でございますが、当該の、近畿郵政局でございますけれども、これらの者は刑事訴追を受けなかったものの起訴猶予となったということで、部内規定に基づきまして、指導矯正措置としての訓告を行ったところであります。
 そういう中で、十分に反省したと認められたということ。それから、近畿郵政局が連絡会の会長を指名するに当たりましては、志願者一人一人に対しまして、書類選考、面接を行った上で、業務運行や営業活動の推進状況はもとより、本人の意欲、知識、指導力等を総合的に判断して、適任であると認められたということでございます。
 これらの者を会長に指名したとしても、前回のそういった事態の再演はないものというふうに判断したということで聞いておりまして、その判断を尊重したいと考えているところでございます。
平林委員長 松崎君、終わってください。
松崎委員 もう時間ですけれども、そんなばかな話はないんでありまして、これもしっかりと今後また追及をさせていただきたい、そう思っております。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 大臣初め皆さん、大変お疲れさまでございますが、質問をさせていただきたいと思います。
 今、百三十年の歴史を持つ巨大な組織である郵政事業、旧郵政庁が、大きくその体制を変え、変貌を遂げよう、こういうことでございまして、この公社化関連法案が出されたわけでございまして、きょうまでの二日間のいろいろな論議がございました。
 産みの苦しみといいますか、巨大な組織であるがゆえに、その持つ機能のこれからの行く末、新たな展開、こういったことについては、それだけの悩み、苦しみが伴うことは必至であろうかと思います。しかし、一方で、大変大事な法案であり、国民注目の的でもありますし、この法案がいいものになりまして、どこまでも国民のための公社化、国民のための郵政事業ということに結びついていかなければ意味もないと思っております。
 論議に当たっては、公社がどうなるのか、今までのサービスが維持できるのか、あるいは新規参入事業者についての条件がどうなのか、あるいは信書便についてはどうなのか、いろいろな論議があるわけでありますが、やはり一番大事な視点は、利用者である国民がどう思うのか、国民にとってどうなのか、ここのところがやはり一番問われなければならない観点ではないかと思っております。
 そういう意味も含めまして質問をさせていただきたいと思いますが、今までに既に出た論点もございまして、重複する部分があるかと思いますが、確認の意味も込めて質問をさせていただきますので、ぜひよろしくお願いをいたします。
 先ほど触れましたように、郵政事業の公社化は、国民生活に深くかかわる問題でございまして、国民利用者の視点で議論をすることが大切だ、こういう観点から、公社化になることによってどういったメリットが、国民のためのメリットがあるのか。まず、基本的な問題になりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 国民にとってどういうメリットがあるか、こういうことでございますが、今回の四法案は、一つは、国そのものであった郵政事業を国営の公社にしていく、自律的かつ弾力的な経営を可能にする、また同時に、民間参入を認めて、ユニバーサルサービスを確保した上で競争原理を導入する、こういうことでございますが、国民にとっては、この結果、今以上のいいサービスの提供を受ける可能性が出てくるということが一つあります。それからもう一つは、企業会計原則の導入等をやりますし、公社の財政の状況や経営のぐあいがわかりやすい形で開示される、こういうことになると思います。
 それから、職員の皆さんには、実績主義といいますか能力主義、成績主義に基づいた給与体系だとか、競争を可能にする任用の仕組みだとか、そういうものを導入することによって、もっと職員の皆さんが奮い立って国民の皆さんにいいサービスを提供してもらえることが期待されるんじゃなかろうか、こういうことが直接的なメリットではなかろうか、私はこういうふうに思っております。
山名委員 当然、郵政公社に移行いたしますと、会計面でも、これは独立採算制ということになるわけでありまして、そうなりますと、いわゆる従来型の国家予算のたがといいますか、枠から外れた自由な裁量によるところの予算組みも当然できるわけであります。
 ところで、独立採算制という観点からさらに質問をさせていただきますが、採算がとれるところに当然意味があるわけでありまして、現時点における郵政三事業の採算状況、これについてはどうなっているでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 三事業の現時点での採算状況ということでございます。三事業とも厳しい環境ではございますが、それなりのめどをつけつつあるというところでございます。
 まず、郵便事業でございますけれども、郵便事業につきましては、平成十年度から三年度赤字が続いておりまして、十二年度決算も単年度百億円の赤字ということを計上しまして、その時点で累積利益金が千二百二十六億円となりました。しかしながら、平成十三年度におきましては、補正後の予算で二百四十六億円の赤字を計上しておりましたけれども、相当な経費節減等の努力を行った結果、かなり大幅に好転する決算となるのではないかと見ております。さらに、これに引き続きます平成十四年度におきましては、予算上単年度で十億円の黒字ということを計上しておりまして、この時点で一応赤字基調からの脱却ができるんじゃないかというふうに考えております。なお、郵便の収入状況、経済状況、それから競争も入るということで、厳しゅうございますが、公社化スタートに当たっては黒字からのスタートができるんじゃないかというふうに見ております。
 郵便貯金事業でございますが、これも、平成十年度から三年度にわたりまして高金利の預託金の満期という時期を迎えまして、三年連続赤字ということになりましたけれども、十三年度以降は高金利の定額貯金が満期を迎えるということになりまして、黒字に転じております。平成十四年度は予算上一兆二千億円を超える黒字を見込んでおりまして、この傾向はしばらく続くのではないかというふうな予測をしてございます。
 簡易生命保険事業でございますけれども、これは、景気回復のおくれ、それから低金利の長期化ということによりまして、新契約や保有契約が減少傾向にありまして、剰余金も、平成十二年度、十三年度、それぞれ千七百億円という程度でございます。十四年度も、引き続き厳しい環境はございますけれども、経費の節減等の努力をやっておりまして、千六百億円程度の剰余金を見込んでおります。逆ざや分に対する準備金の引き当てということもやっておりまして、厳しい中でも健全経営を維持できるという体制にあるものというふうに考えております。
山名委員 お伺いしますと、かなり黒字に転じてきている、そういう点での独立採算制は保てる、こういうことでございます。
 ところで、せんだって、ムーディーズが国債信用度の格下げを発表いたしまして、もう我が国は南アフリカ並みということでありました。そこで、郵貯、簡保の資金運用に占める国債の割合はどの程度あるんでしょうか。
松井政府参考人 お答えします。
 平成十三年度末につきましては、現在取りまとめ中でございますので、御容赦いただきたいと思いますが、十二年度末の国債の保有割合で申し上げたいと思います。郵便貯金で一〇・一%でございます。金額にいたしまして二十五兆百八十七億円でございます。それから、簡保が持っております国債は、全体の資金の二二・六%でございまして、金額にいたしまして二十七兆三千五百二十一億円となっております。
山名委員 したがって、国債格付の低下、これによって今後郵政事業が受ける影響は全く無視していいんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 ムーディーズ社の動きでございますが、ことしの二月十三日に日本国債の格付を引き下げる方向で見直すと発表しております。発表しましてから、国債価格の決定要素としてマーケットが織り込んでいきまして、そして五月三十一日にA2格への二段階引き下げを発表したわけでありますが、この五月三十一日の格下げの発表によって国債の価格が大きく下落するというふうなことにはなっておりません。したがいまして、郵貯や簡保の資金運用が影響を受けるような状況に今はなっておりません。
山名委員 先ほど、独立採算制での郵政三事業の採算状況をお聞きしましたが、これまで郵政三事業が一体となっておりまして、そういった意味では連結決算として当然黒字ということになるわけでありますが、公社化が進んだ今後のあり方として、いわゆるこの三事業の分割、こういった問題は視野にお入れになっているのかどうか、お伺いしたいと思います。
佐田副大臣 郵政三事業につきましては、従来から一体的に経営されておりまして、独立採算制のもとで健全経営が維持されてきたところであります。公社化に際しましてもこの考えに変わりはありませんで、中央省庁改革基本法第三十三条第一項の規定に基づきまして、現在、郵政事業庁が行っている事務を一体的に遂行する国営の新たな公社を設立するための法律案の審議をお願いしているところでありまして、その方向で考えております。
山名委員 先ほども大臣からの御答弁で、ユニバーサルサービスについては今後ともしっかり維持をしていきたいと答弁がございました。このユニバーサルサービスという問題は、これはやはり国民の側から見ても極めて大事な要素でもございますし、従来から、郵政事業、郵便局等は地域の住民のためのサービスというか、ひまわりサービスを含めて、あるいは阪神・淡路大震災の際は赤いバイクが本当に列をつくって走って被災民の間を縫いながら救済活動をされたとか、いろいろな形の、いわゆる郵便局の持つ地域性といいますか、ある面でのサービスに努めてみえました。国民のための大きな貢献をされてきたわけであります。
 そもそもユニバーサルサービス、これを確保するための条件というのは、これは当然必要になってくると思います。少なくとも、民間参入のそういう事業者があったとしても、全国あまねくユニバーサルサービスを受けられる、こういう体制は今後とも維持しなければならない、こう思っております。
 私、民営化といいますか民間参入、こういった流れとユニバーサルサービスというこの二つは、果たして相入れることができるのかということを率直に思っているわけでありますが、逆に言えば、ユニバーサルサービスを維持、そしてさらに拡大するためには、やはりある意味での独占部分というのも一方では必要ではないかというふうには思っております。そういった意味で、ユニバーサルサービス、全国二万四千七百ある郵便局の持つそういった機能、これを、やはりこれからもこのサービスを提供していかなきゃならない、こういうふうに思っておりますが、その条件づけとともに、そういったサービスを維持、拡大する、こういう観点からの大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 郵便局の二万四千七百のネットワークは、百三十一年の歴史を持って、私は国民の生活インフラとして大変有用に機能してきたと思います。現在は、郵便事業、郵便貯金事業、簡易生命保険事業の三事業のみじゃなくて、御承知のように、ワンストップサービスを市町村の委託を受けてやることができるようになりましたし、あるいは、事実上、防災だとか環境だとか福祉、そういうことのいろいろなサービス機能も受け持っておりますし、あるいは、これから地方のIT化を進める上で郵便局を一つの拠点に考えていこうというようなこともありますので、公社化になりましても、そういう公的な機能は残していかなければならない。
 それで、ユニバーサルサービスを維持するためには何が必要かというと、二万四千七百のネットワークを維持するということですよ。このネットワークを今以上にしっかりとつないでいく、こういうことが必要だと思いますね。
 そこで、民間にユニバーサルサービスを守るという条件で入ってきていただいて、民間にもユニバーサルサービスの一翼というんでしょうか、分担してやってもらう、それによっていい競争を起こしていくということは、これはこれで必要だ、こう考えておりまして、郵便事業の方につきましては、民間にも今の全国公平あまねく、料金も一緒、こういうことは守っていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。
山名委員 ところで、今全国に二万四千七百の郵便局があるわけでありますが、一方で、全国五百三十九市町村には民間金融機関がないんですね。ですから、少なくとも五百三十九市町村については民間金融機関がないがゆえに郵便局等の窓口が非常に有効になっておるわけでありまして、郵貯の果たす役割というのは極めて大きいわけであります。そういう点では、先ほど御答弁いただきましたけれども、少なくともこの体制の維持というのはやはりしっかりしていただきたいし、ある面で、市町村の合併あるいは地方分権、こういったものも視野に入れながらさらに拡大をぜひお願いしたいと思っております。これは、今後の郵政公社の方の事業計画、方針になるわけでありますが、ある面ではガイドラインにしっかりとそういったものはうたっていただきたいと思います。
 そこで、ユニバーサルサービスという観点からもう一点お聞きしたいんですが、それを維持するための方策として、いわゆる内部相互補助方式あるいはファンド方式、外部補助方式、こういったいろいろな声が上がっておりまして、いずれにしてもユニバーサルサービスは維持しなきゃならない、こういうふうに言われております。その点についての取り組みの御見解をお伺いしたいと思います。
佐田副大臣 先生が今言われた、ユニバーサルサービスの確保であるとか、二万四千七百のネットワーク、これを守っていくということは非常に重要なことだと私も考えております。
 そしてまた、このユニバーサルサービスにつきましても郵政事業の公社化に関する研究会でじっくりと議論をさせていただきまして、その中に出てまいりました、今先生の言われましたファンド方式、これも電気通信でもいろいろ今議論されているところでありますけれども、郵便の場合は、基金への拠出を求める参入事業者の範囲をどのように設定するかとか、漏れなく対象事業者を把握することができるのかどうか、または、原則として受け付けを記録せずに正確な取扱通数を把握することができるか、要するに通数をどのぐらい来ておるのかということを把握できない、そういうことを考えますと、電気通信なんかの場合は各社のトラフィックを調べればわかることでありますけれども、要するに、そういうファンドにお金を平等に出していくという難しさがあるということであります。
 また、外部補助方式につきましては、現下の厳しい財政事情等を踏まえますと、自由化の一方で補助金を投入することにつきまして一般的な理解を国民に得られるかなという心配もあるわけであります。諸外国でもファンドというのは余り使われていないようでありまして、また外部補助方式につきましても、一部ではやっているようでありますけれども非常に少ない、こういう状況がありまして、やはり今回の法案のような形で、クリームスキミングを防いで、そしてしっかりとユニバーサルサービスを条件つきで確保していく、こういう方向でぜひ御理解をいただきたい、かように思っております。
山名委員 次に、経営の問題についてお伺いしたいと思います。
 郵政公社になりましてその後の経営については、やはり公社の創意と工夫、これがしっかり生かせるようできるだけ公社に任せる、自由裁量にゆだねる、こういうことも一方で必要ではないかと思っております。
 中央省庁等改革基本法でも、自律的、弾力的な経営を可能とする、こういうふうにうたっておりますが、具体的に、この公社化法の中でどのように経営面での問題について規定をされているのか、大臣にお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 国から今度は国営の公社、国とは別人格を有する公社になるわけでありますから、やはり国であることから予算だとか定員だとか組織だとかいろいろな制約がありますので、これが外れる。また、独立採算制、企業会計原則、事後管理、こういうことで、全体として自律的かつ弾力的な経営を可能とするようにしたわけでございます。
 先ほど言いました具体的な内容としましては、一つは、中期経営目標及び中期経営計画に基づく業績評価など、事後評価制度へ移行するということ。それから二つ目は、公社の内部組織、定数については、中間組織を含めまして公社がみずから決定することができる、そういうこと。また、郵便法等の改正によりまして、郵便料金等サービスの料金については法定制から認可または届け出制とすること等が自律的、弾力的経営の中身として考えられるわけであります。
山名委員 中期経営目標及びそういう計画については、当然、総務大臣がその事業のチェックといいますか評価、これを行うわけだと思いますが、いわば、この業績評価については身内的な甘い業績評価になるんじゃないかという心配も一部でございます。そういう意味では、第三者機関への委託による評価制度、こういった必要があるのではないかと思います。
 この点と、評価をいたしまして間違いがあれば、あるいは不正があれば、当然それなりの責任問題が問われるわけであります。従来、例えば銀行等であれば、経営者責任というものが問われることなく、最終的に財政出動という形で終わっているケースが多々あったわけですが、郵政公社の場合、そのような心配はないのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
山内大臣政務官 山名委員の質問にお答えしたいと思います。
 今、身内の業績評価にはならないのかどうかというような御質問なんですけれども、今回の公社の趣旨は、経営主体を国とは別の法人格を有する公社として、今までは予算の国会議決等という事前管理というものが中心だったんですが、今回からは中期的目標管理による事後評価に移行することによりまして、郵政事業の自律的かつ弾力的な経営を可能とするということになっております。ですから、こうした中で、総務大臣は公社が策定する中期経営目標の認可とその業績の評価を通しまして、公社に対して監督責任を負うということになっております。
 また、総務大臣の行う中期経営目標等の認可や業績の評価に当たりましては、審議会へ諮問するとともに、その内容を公表することを義務づけられておりますので、以上のことから適正な評価がなされるものと我々は考えております。
山名委員 職員の皆さんは引き続き国家公務員という立場で、この点については大変安心をされているわけでありますが、公社化によって、今後、職員の給与体系あるいは労働条件、こういったものが果たしてどう改善されていくのか。職員の皆さんが自信を持ち、意欲を持って今まで以上の勤労に励む、こういうことが大切なわけでありまして、そういった意味での給与体系等の問題、これについては、いわゆる労使間の団体交渉といいますか、組合側との話し合いも当然されているのではないかと思っておりますが、その辺の問題についてお聞かせいただきたいと思います。
野村政府参考人 お答えいたします。
 御案内のように、郵政事業の現在の職員の給与、勤務時間等の労働条件につきましては、現在でも国労法に基づきまして団体交渉という形で自律的に決めているわけでございますけれども、今回、公社化ということでございまして、さらに仕組みを自律的にいたしまして、一つは、先ほどから何回も出ておりますけれども、予算の制約を外すということでございまして、現在、予算の中で、給与総額ということで給与の総額が決められているわけでございますけれども、そういった制約が外れるのが一つございます。
 それからもう一点といたしまして、給与の支給基準というのを公社が定めまして総務大臣に届け出る形になっているわけでございますけれども、その給与の支給基準を決めるときの考慮要素、現在は一般職公務員の給与とか民間職員の給与、こういったものが考慮要素になっているわけでございますけれども、公社の場合は、それに公社の経営状況、こういったものを考慮要素にいたしておりまして、公社の経営状況によっては給与にそれが反映される、そういった仕組みにしているところでございます。
 そのほか、これは運用上の話で今後関係組合と調整していく話でございますけれども、従来以上に年齢給の比重を縮小いたしまして、職員の職務遂行能力とか役職のような職責給、こういった比率を拡大するとか、職員が発揮した能力、実績を昇給等給与に適切に反映する、こういったような仕組みを拡大することによりまして、職員が意欲を持って仕事ができるような環境づくりもしてまいりたい、かように考えているところでございます。
山名委員 先ほど、財政見通しといいますか、これをちょっとお伺いしたんですが、十三年度からかなり好転をし、十四年度、黒字に転じていく。さらに、中期見通しといいますか、特に郵便事業の中期見通し試算では、十六年、十七年度においては単年度黒字が出る、こういうふうに試算をされておるようでございますが、移行する前の段階で、試算でありますから、どういった根拠で単年度黒字というふうに見込んでいらっしゃるのか、その根拠となるものがあればお教えいただきたいと思います。
團政府参考人 郵便事業の採算の見通しということでございますが、十三年度が終わりまして、その決算は来月になると思います。それをベースに考えておりまして、それは、補正後二百四十億程度の赤字でございましたけれども、収入は減っております、しかし、それを上回ってかなり大幅な数百億の経費の節減をしておりまして、十三年度もかなり大幅に赤字の金額を減らすことができるということが大体確信を持てる状況になってきております。
 それを土台に、十四年度の十億円の黒字という予算を発しておりますので、今なかなか収入の状況は厳しゅうございますけれども、かなり経費の削減をしてやっていけるというふうな見通しが立っておりますので、当面、赤字基調は脱することができるのではないか、そういうことを最近の実績をもとに言っているわけでございます。しかし、今後につきましては、いろいろ競争もありますので、さらに一層の努力が必要であろうとは考えております。
山名委員 経費の節減ということでの黒字転換、その必要経費の中に人件費は入っているんですか。要するに、人員削減という問題で、たしか中期ビジョンか何かで、一万五千人削減する、こういう話も聞いているんですが、この人員削減について、よろしくお願いします。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、定員の削減、もちろんそれは郵便業務の機械化だとかあるいは非常勤職員の活用を進めるなど、いろいろな施策を前提にした話でございますけれども、先生も御指摘のような、郵便事業だけで一万五千人の定員削減を実施することを前提に計算しております。それによる人件費削減効果は大きいというふうに考えておるところでございます。
山名委員 現場的には、やはり将来的に首を切られるんじゃないかとか、いろいろな不安も出ておるようでございます。郵便新生ビジョン、ここで、十三年度から十七年度までの五年間で一万五千人削減する、こういうことが決まったようでありますが、今後とも、柔軟な対応といいますか、状況等をよく勘案しながら、やはり人員が減るということはサービス低下にもつながるというわけでありますので、この点については、十分ひとつ御検討いただきたいと思います。
 次に、信書の問題について若干お伺いしたいと思うんですが、今回、信書の定義について、いろいろと論議もございました。信書の定義づけをされた背景というものについて、ちょっとお教えをいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる信書便法案でございますけれども、これは、これまで郵政事業が独占しておりました信書の送達というものを、郵便法五条二項の適用除外を定めまして、民間事業者にも全面的に参入を認めるということにしたものでございます。
 したがいまして、この信書の定義につきましては、許可を要する民間事業者の範囲、つまり、信書がどういうものであって、それをこの事業について許可を要するというふうなことについて明定する必要がございまして、信書についての定義規定を置くことにしたものでございます。
 なお、その定義につきましては、何度も申し上げてございますけれども、これまで確立している判例に基づきまして規定を設けたというものでございます。
山名委員 一般信書便事業への参入条件、これは、いわゆる特定信書便事業の参入条件と比べると、かなりハードルが高いといいますか厳しくなっておりますが、そういうことでの、いわゆる厳しい条件づけをしたという理由、これについてお伺いをしたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便事業の参入に当たっての条件でございます。これにつきましては、御指摘のとおり、一般信書便事業と特定信書便事業がございますが、まず、両者とも、信書を取り扱うという面では共通でございます。したがいまして、そういう意味から、まず、憲法に保障されました信書の秘密その他の利用者の保護を行うという観点からの共通の規律を設けてございます。これは、例えば、信書の秘密を保持する義務を課しまして、それからそれを確保するための信書便管理規程を設けるとか、その他の規制がございます。
 御指摘の一般信書便事業につきましては、これらに加えまして、いわゆるクリームスキミングを避けるための規制を入れているところでございます。
 これはいろいろな議論がございますけれども、部分参入でございますれば、ユニバーサルサービスを損なうかどうかということも管理した格好でできますけれども、全面参入になりますと、これは非常にクリームスキミングのおそれが大きいということになりますので、全国における引き受け、配達を行うこと、随時、簡易な引き受け方法の確保を行うこと、全国均一料金などの三条件を課すことにしておりまして、趣旨としましては、あくまでクリームスキミングを避けまして、ユニバーサルサービスを維持できるというための条件でございます。
 部分参入でございますと、諸外国の例では、こういう条件を課していないということがございますけれども、全面参入を行うというからには、こういう条件が必要というふうに考えて、そういう条件を付す条件で御提案しているものでございます。
山名委員 時間も迫ってまいりましたので、次に行きたいと思います。
 もう既にこの問題については出されておりまして、それなりの答弁があったところでございますが、私の方からも再度お伺いしたいと思います。
 それは、いわゆる第三種・第四種郵便物の制度の問題でございます。その公共性あるいは有益性からも、その存続が強く望まれておる一方で、独立採算制という中で、維持が非常に難しい、こういう困難を指摘する声もあるやに聞いております。
 総務省の郵政事業公社化研究会の中間報告を見ましても、この割引制度が郵政公社の非常に負担になるんではないか、こういう指摘もあるようでございますが、その点について、この第三種、四種郵便の取り扱い、今後とも維持するのかどうか、再度お聞きをしたいと思います。
佐田副大臣 先生も御案内のとおりで、第三種、第四種の郵便物の制度は、もう申すまでもなく、社会文化の発展であるとか、学術、教育の普及であるとか、目の不自由な方の福祉の増進などの重要な役割を果たしてきたものでありまして、改正後の郵便法におきましても、引き続き、日本郵政公社が提供すべき郵便物として法定しているところであります。
 また、今回の郵便事業への民間参入の法案は、信書送達役務のあまねく公平な提供を確保できるよう一定の条件を課すことにしているところでありまして、この三種、四種のところにつきましては全力で守っていきたい、こういうふうに思っております。
山名委員 ぜひ守っていきたいということでございますので、どうぞよろしくお願いします。
 次に、郵政公社というのは、国営で、公共的なサービスを全国あまねく公平に、できるだけ低廉な料金で提供する、こういうことを使命としておるわけでありまして、大変すばらしいわけです。その経営上、利益が出てくれば資本の充実を優先させる、こういうことは当然かと思いますが、一方で、国庫納付、お金が余れば、残れば国に納めろという、国庫納付の問題も財務省側からも出ているやに聞いております。そういう利益還元については、むしろ利用者に還元すべきではないか、こういうふうに思っております。
 公社というのは株主はいないわけでありますが、その経営のために出資しているとも言えると思いますが、この郵貯あるいは簡保の顧客に対するサービスへの還元、こういったことが考えられないかどうか、大臣。
片山国務大臣 御承知のとおり、独立採算のもとで大いに頑張るわけですけれども、経営上生じた利益が出ましたら、今、山名委員お話しのように、料金を安くしたりサービス水準を新たに向上したりして、直接利用者に還元することも適当だ、私はこういうふうに考えておりますし、また、大変過少資本だということが言われておりますので、この資本の充実を図る、いろいろなリスクに対して対応できるような資本の充実を図っていく必要があると思います。その上で、なお余裕がある場合には国庫納付をやる。
 考え方はそういうことでございますが、国庫納付することが全国民への還元だ、こういう意見もございまして、この辺は、それぞれの、利用者への還元、資本の充実、国庫納付金、こういうことについて、我々も今後検討しながら、委員のお考えも十分に体して対応してまいりたいと考えております。
山名委員 ところで、簡保福祉事業団というのがありますね。その事業団に十四年度で約二百億円の交付金があります。この簡保福祉事業団、これは今後六年かけて、例えばかんぽの宿だとかレクセンター、こういったものを廃止する、こういうことが既に決まっているようであります。
 現在この事業団で運営しておるかんぽの宿、レクセンター、これは今後どうなっていくんでしょうか。
團政府参考人 御指摘の簡保事業団の関係でございます。
 現在、簡保事業団で行っております事業でございますが、公社化と同時に、簡易保険福祉事業団は郵政公社に移管するというふうなことにしておりまして、そういう事業につきましては移管することにしてございますが、その具体的な加入者福祉施設というものの取り扱いにつきましては、昨年十二月十九日に閣議決定をしておりまして、特殊法人等整理合理化計画というものに方針を決めております。
 その中では、今御指摘ありましたように、現在、平成十四年度で約二百億円の交付金を交付しておりますけれども、これは、平成十九年度までにこの交付金を廃止するというふうなことにしております。そういうことを柱にしまして、今後、不採算施設の統廃合、それから競争条件を付した外部委託の拡充、バリアフリー化施設への重点化というふうなことを図ることにしております。
 したがいまして、この交付金の廃止等によりまして不採算になるというふうな施設については、公社において統廃合を検討していくということになってまいるものでございますが、まだ期間もございますし、廃止とあわせまして、各施設におきましては、合理化、効率化、経費節減の努力を行っていくというふうなことになっていくものと考えております。
山名委員 当然、こういった時節柄極めて経営が困難で赤字を出している、こういう施設もあるようであります。ただ、一方で、町挙げて、県挙げてこれを誘致し、県民のためにこういったレクリエーションセンター等を建設したい、こういう声も上がり、現在進行中の地域もあるようでございます。
 具体論で言いますと、滋賀県守山市なんかは、簡易保険総合レクセンター、こういうことで、地元調整等も終わりまして、これはもう、市もそうでありますが、滋賀県としても、県議会でその誘致が決定をいたしております。さらに、平成十二年五月二十六日の閣議決定もされている。
 こういう状況の中で、この滋賀県の守山の例に見るごとく、工事中あるいは設計中、こういった段階にあるものについては今後どのような対応をしていくのか、これについてお伺いいたします。
團政府参考人 お答えいたします。
 簡保の加入者福祉施設につきましては、先ほど申しました十二月の閣議決定、その前の閣議決定等ございまして、建設計画があったものも中断している施設もございます。御指摘の施設も、そのうちの一つというふうに理解しております。それは、すなわち採算性の検討あるいは地元における意見調整が未調であるというふうなことのために中断している施設が六カ所ございます。
 これにつきましては、二つの要素がございますけれども、申し述べましたような閣議決定によります採算性の確認ができるということ、それから地元の理解が得られる、その二つが得られるということがありましたら、これは再開をする、中断を解きまして建設計画を実施していくということにしているものでございます。
 御指摘の守山地域につきましては、比較的採算性は問題がないのかなと。あと、地元の理解ということについて、いま一歩の意見の集約をお願いしているというところでございます。
山名委員 ぜひ、地域の実情もしっかりと勘案しながら、的確な対応をお願いしたいと思います。
 財政面での観点で一つ質問を忘れておったんですが、いわゆる指定単運用、これが昨年九月末で六・三兆円の含み損、こういうふうに聞いておりますが、公社化後、この問題についてどのように改善をされるように考えておられるのか、このことについてお伺いしておきたいと思います。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
團政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の指定単の運用というものを進めてまいりまして、この株式市況によりまして、相場の下落による影響によりまして評価損が生じております。十三年九月末現在で、郵貯の指定単運用で約一・六兆円、簡保の指定単運用で約四・七兆円の評価損が生じております。なお、その後の株価の上昇がございますので、多少評価損が減少しているものとは考えておりますけれども、損があることは現実でございます。
 この扱いでございますけれども、これは先ほど申しました簡保事業団の資産ということに現在はなっているわけでございますが、先ほど申しましたように、簡保事業団は解散いたしまして、公社化に合わせまして、この資産は公社に承継するということになるわけでございます。郵便貯金特別会計、簡易保険特別会計から承継される国債等の有価証券、これも承継されるわけでございますので、これを合わせまして、公社の資産として、時価を基本として評価されるということになるわけでございます。
 この結果、指定単の承継価額は時価に評価がえされることになりますので、その時点で指定単の評価損自体は解消するということになりますが、これは引き続き、公社化後におきましても、こういう評価損を含めました運用につきまして、よりリスク管理を含めた運用収益の向上を図っていくということにしているわけでございます。
山名委員 今後とも健全な財政運営のために、公社化後も透明性のある、そしてかつチェック機能を果たし、国民の信頼がかち取れるような、こういう体制をぜひしいていただきたいと思っております。
 そこで、郵便、郵政事業という、今日百三十年間の歩み、これはやはり何といっても、職員の皆さんの懸命な頑張りがあったと言っても過言ではないと思っております。郵政事業をめぐるいろいろな問題もございました。郵便局での事件や事故もありました。私の地元の京都郵便局でもDMをめぐる問題もございました。しかし、そういった問題を淘汰しながら、二十一世紀、新しい郵政公社としてスタートをしていくわけでありまして、当然、引き続き国家公務員という立場で職員の皆さんがお残りいただく、そして、新しい人事管理、新しい経営方針、新しい事業計画のもとに、ユニバーサルサービスを確保しながら、より一層国民のために貢献を果たしていこう、こういう郵政公社の方針であろうかと思っております。
 当然、そういう意味では、職員の皆さんが自信を持ち、誇りを持って引き続き仕事ができるように、こういった経営面における、労働条件等におけるいろいろな制度設計については、十分そういった皆さんの声を反映できる体制をもう一方できちっとしいていく必要があるのではないか、こういうふうに思っておりますが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
野村政府参考人 郵政事業の公社化につきましては、国民生活に深くかかわる、こういった問題でございますので、大臣の公社化研究会の中でも、大臣の御指示もありまして、親会でのヒアリングとか、地方での公聴会、それからパブリックコメント、こういったことをやったわけでございますけれども、その一環といたしまして職員の意見も募集したところでございます。
 主な意見といたしましては、企業性の追求による不採算地域の切り捨てにならないように配慮すべきだという意見とか、ワンストップサービスの拡大など郵便局ネットワークを有効活用すべきだ、それから三番目といたしましては、努力したことが報われるような人事評価制度、こういった制度が不可欠だ、こんな意見が出たところでございまして、寄せられた意見につきましては、研究会の討論資料として提供させていただいたところでございます。
 今後につきましても、こういった職員の意見を聞きながら公社設計をしていきたいと考えているところでございます。
山名委員 今後とも、そういった意味で健全性のある運営にぜひとも御努力をいただきたいと思います。
 関連四法案、冒頭申しましたように、極めて注目をされる命題でもございまして、私どもといたしましても、この委員会を通じ、十分慎重に、修正も視野に入れながら考えていきたいと思っております。先ほど申しましたように、やはり、国民の利便性、国民の側に立ったサービスの確保、こういったことが今後ともしっかり図られるように皆さんの御努力をお願いいたしまして、いつも私、質問オーバーいたしますので、きょうは早目に切り上げて、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
荒井(広)委員長代理 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 一昨日に引き続きまして、残りの総括的事項につきまして質問していきたいと思っております。それからまた、各委員から質疑があった事項につきましても、私からも確認の意味で重ねて質問いたすこともあると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。
 まずもって、公社が払う固定資産税にかわる市町村納付金につきまして前回質問いたしましたが、これについては、通告をしていなかったということのためか、ちょっと答弁が的を得ていなかったような感じがしておりましたし、そしてまた、私自身、残り時間が少なかったものでありまして、たださないでしまいましたので、三公社の時代になぜこの二分の一という形となったのか、その経緯につきまして改めてお尋ねいたしたいと思います。
野村政府参考人 お答えいたします。
 旧三公社につきまして、本来事業用資産の固定資産税について、市町村納付金がなぜ二分の一にされたかという点でございますけれども、旧三公社におきましては、法律により直接設立された法人であるというのが一点でございまして、しかも公社の行う事業が他の一般企業に比べまして強い公共性を有しているというのが二つ目でございます。そのほか、非採算地域における施設の建設、維持が求められている、こんなことを勘案いたしまして、本来事業用資産につきまして固定資産の価額の二分の一を算定基準額とされたものと聞いているところでございます。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
黄川田委員 それでは、信書の定義内容であります。重ねてお伺いいたす次第であります。
 この信書について、これまで判例以外特に明確な定義がなかったものを、今回の法案において、一九五八年の最高裁の古い判例等を踏襲しまして、初めてですか、一応、形式的には明文化されましたけれども、極めて抽象的でわかりにくいわけであります。総務省は、ダイレクトメールを初め、信書に該当するのかどうかについて議論が残る事例につきましては、ガイドライン、指針を作成いたしまして明確にするとしておるところであります。
 そこで、参入条件や信書の定義の具体的内容を、法律ではなくて、政省令やガイドラインで定めるということにいたしますと、これらの重要な事項が行政府の裁量によって決定されるということでありまして、前回も同様な問いかけをいたしましたけれども、私は、この法案、政令、省令に随分譲っているなということで、何か立法府の意味合いがどこにあるのかというところがありますので、改めて片山大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。
片山国務大臣 信書につきましては、そんなに大きな議論があるわけじゃないんですけれども、どっちとも考えられるようなものがありますね。それから、ダイレクトメールのように、定義はあるけれども実態と必ずしも定義が一致していないものもございますので、そういういろいろな事情を考えまして、今まで法律には定義を書いておりませんでしたけれども、郵便法の中に判決で確定したものを入れさせていただいて、外国も大体ああいう表現が多いわけでありますが、そこでおおよそのものは仕分けができるんです、信書か信書でないか。
 しかし、そうでないものがありますので、そういうものについては、何度も申し上げましたように、広く皆さんの意見を聞いて、パブリックコメントにもかけて、範囲を明らかにいたしたい。
 恣意的に、右のものを左だとか、左のものを右にするようなことはできっこないんです、そんなことは。ただ、今のグレーゾーン的なものについて、できればはっきりした、国民に納得いただけるようなガイドラインを示して、ああなるほどと。こういうことを我々はねらっているわけでありまして、法律に書くことも検討いたしましたが、書き切れないんです。
 それから、今、解釈ではほとんど問題がないものもかなりある。こういうことの中で、法律では必要最小限のことを書いて、その上でガイドラインによってそれを明らかにしよう、こう考えたわけでございますので、ぜひその辺は御理解を賜りたい、こういうふうに思うわけでございます。
黄川田委員 先ほど中村委員から冷蔵庫の質問をされましたけれども、佐田副大臣は冷凍庫で答弁しておりまして、随分固まっているんじゃないかというふうな感じがしておりましたので。
 そして、最近の新聞報道によりますと、信書の定義は政省令ではなく法案に明記するよう修正すると政府・与党内で調整が進んでいるとの話も耳にしているわけでありますけれども、その実態はどうなのでしょうか。そしてまた、法案を提出しておきながら、今後どう対処する予定か、お尋ねいたしたいと思います。
佐田副大臣 先生、法令に書くということは、決して、議論をしていることは、そういう事実はありません。
 それと、けさの議論でありますけれども、私もちょっと誤解しているところがありましたけれども、とにかく、きちっとしたような信書の部分の議論をしていかなくちゃいけない、かように思っていますし、このガイドラインも、今、大臣の方から答弁させていただきましたように、パブリックコメントをとったりいろいろな御議論を賜ってしっかりとやっていきたい。
 そしてまた、ちょっと御批判を受けるかもしれませんけれども、基本的には、これは判断というのは変わりません、はっきり言って。今度最高裁の判例が入りましたけれども、要するに、それを基準にして今までやってきているわけですから、大まかでそれは今までの判断は変わらない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
黄川田委員 重ねてお聞きいたしますけれども、仮に今回の信書便法で信書の定義を明確化できないのであれば、郵便法の改正で限定列挙すべきであるという考え方もありますが、いかがでしょうか。
 そしてまた、公社を監督する総務省にこの信書の判断をゆだねるのではなくて、第三者機関で検討すべきではないかという考え方もありますけれども、これについて御見解をいただきたいと思います。
佐田副大臣 先生、今言ったとおり、基本的には、要するに今までやってきたことと全く変わらないわけですね、判断は。ただ、その中で、微妙な部分につきましては、これはこれから議論をしていきましょうと。
 ただ、郵便法の五条につきましては、これはあくまでも信書の秘密性であるとか、こういうことを考えた場合に、これはしっかり守っていく。こういう、要するに信書の秘密性、秘密の部分がありますから、それはきちっと守っていって、そしてまた、先ほどの繰り返しになりますけれども、ユニバーサルサービスを守りながらきちっとこれはやっていく、こういうことでありますので、御理解いただきたい。
黄川田委員 また別の見方で、このガイドラインの内容が行政府の裁量にゆだねられるということになれば、このガイドラインの内容次第では、信書便事業に参入しないメール便等を取り扱っている既存の事業者を不当に圧迫するのではないかと心配される声もこれまたあるわけであります。
 そこで、前回の委員会の答弁で、ダイレクトメールなど民間開放を示唆したのではないかと思われるところがありますけれども、これまた大臣の見解を改めてお聞きいたしたいと思います。
片山国務大臣 何度も答弁させていただいておりますが、今の定義は変わらないんですよ。はっきり法律に書いたということと、グレーゾーン的なものがあるので、そういうものについてはガイドラインで明らかにしたい、ガイドラインは公正で透明度の高い決め方をいたします、こういうことを言っているわけでございまして、今のメール便は、あれは信書でないからやってもらっているんです。信書なら今の法律違反になる。そうでしょう、現行は。メール便というのは信書でないものを貨物として運んでいただいているので、これは変わらないと私は言っているんです。信書でないんだから、どうぞやってくださいと。信書なら違反になりますよ。そこの現状は変えないと何度も申し上げているので。
 ただ、言いましたように、全部法律に書けばいいんですが、書くのに限界があるから、解釈が明らかなものは今までどおりやっていただいて、かなり明らかでないグレーゾーン的なものについては、ガイドラインでそれをはっきりさせたい、こういうふうに考えているわけであります。
黄川田委員 郵便の取扱量は大体二百六十億通ですか、そのうち第一種が百三十億通ということで、そのうちのダイレクトメールが四分の一ぐらいということでありますけれども、金額的にはどのぐらいになるんでしょうか、収入に占める。どこかで答弁しておりましたか。改めてお尋ねいたしたいと思います。
佐田副大臣 先ほど私もちょっと答弁させていただきまして、先ほども同じように申し上げましたけれども、ダイレクトメールの定義もしっかりとこれは決まっていません。
 ただ、今の現状で、いわゆるダイレクトメールというふうに言われているものが大体四分の一ぐらいあるんではないか、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、通数等につきましても細かくこれは把握できませんから、大変恐縮なんですけれども、この細かい金額についてはちょっと申し述べることはできない、こういうことであります。
黄川田委員 いわゆるドル箱と考えることは構わないわけでありますね。答弁は結構であります。
 それでは、ちょっと切り口を変えまして、次に、金融市場の活性化と安定化について、公社化と民営化を踏まえましてお尋ねいたしたいと思います。
 去る五月二十一日の本会議での代表質問で、我が党として郵政改革のビジョンを示したところであります。貯蓄過剰の実態を見据えて民間金融と公的金融の基本的なあり方を考えた場合に、郵政三事業はそれぞれに分割した上で、郵便貯金と簡易保険事業は民営化すべきであるというのが我が党の基本的スタンスであります。
 今回の公社化法案は、昨年八月に設置された総務大臣の公社化研究会が十二月に取りまとめた中間報告を踏まえて作成されたものであります。そしてまた、一方、公社化後の民営化については、昨年六月に設置された総理大臣の私的懇談会、これにおいて議論が行われておりまして、昨年後半は、この両者が、研究会と懇談会が並行して審議を行うという状況であったと聞いております。
 そしてまた、総理のこの民営化懇談会は、これは大臣の認識とはちょっと違うわけでありますが、私はことしに入って実質的な審議が中断されているというふうな感じ、そう思っておるわけなんです。大臣はそうではないと前回お話しされましたけれども。
 そこで、懇談会のメンバーであります大臣にお尋ねいたします。
 公社化を検討する段階で、郵便事業については、ユニバーサルサービス、これがしっかり行われなきゃならないと思っておりますけれども、この郵貯・簡保事業はきちんと段階を踏んで民営化されたらいかがかと思っておるわけであります。
 そこで、郵貯、簡保がスムーズに民営化に移行できるような基本的な制度設計上の工夫をしておくべきであると思っておりますけれども、この点、いかがでしょうか。
片山国務大臣 懇談会は、全部が出る懇談会はことしになってからやっていないのです。総理の懇談会は郵政三事業に関する懇談会ですから、民営化懇談会という名前ではないのですが。これは総理と私と官房長官がメンバーなんですね。その三人が出る懇談会はやっておりませんが、三人を除く有識者だけの懇談会は、もう何回もやっておりますから、四回か五回か。というのは、国会が始まりまして、総理も私も官房長官も大変忙しいのですね。いつも夜やるわけにいきませんから、日中もありますので。そういうことで、有識者だけの懇談会で相当突っ込んだ議論をしていただいている、こういうふうに思っております。
 そして、郵貯、簡保も公社化研究会でも総理の懇談会でもいろいろな議論がありました。いろいろな議論がありましたが、総理の懇談会はまだ議論が継続中ですから、公社化研究会では、この郵貯、簡保についても公社化で、今のフレームといいますか、今の仕組みで公社化にするのが適当である、こういう中間報告をいただきましたので、これに従って我々は立案をいたした、法制化いたした、こういう次第でございます。
 いずれにせよ、総理の懇談会がそう遠くない時期に意見集約をすると思いますので、それを待って、さらに我々も対応を考えたいと思っております。
黄川田委員 それでは、視点を変えまして、郵便貯金については、少額貯蓄手段の提供という本来の目的を逸脱して、その資金規模は二百四十兆円と大きく肥大化しておりまして、こうした巨額の資金が証券市場、株式市場の活性化を阻害するなど、国民経済的に見て問題がさまざまあるとの指摘があります。
 そこで、こういった指摘がある中、証券市場の活性化や金融市場の活性化といった基本課題を解決する上で、郵便貯金の預かり入れ限度額一千万円の設定のあり方について、日本の経済のかじ取り役でもあります内閣府は、この点、どのように考えておられるのでしょうか。
松下副大臣 経済、財政を内閣府で扱っている者として、今お話しいただきましたので、御説明したいと思っております。
 証券市場それから金融市場の活性化、これは我が国の構造改革にとって大変大事なことであるし、これは本当に取り組んでいかなきゃいかぬことだ、こう思っておるところであります。そういう中で、昨年六月につくりました骨太方針の中でもきちっと取り組んでいくというふうになっております。
 経済、財政を担当している立場として、この二百四十兆円、こういう巨額の資金というものがやはり市場できちっと活用されるということは、大変我々も関心を持っておりますし、ぜひそうありたいというふうに願っているところであります。
 今お尋ねの預け入れ限度額の設定のあり方でございますけれども、これはいろいろな議論があると思います。総理の懇談会の中でもさまざまな観点から議論されているというふうに聞いておりますので、その議論の経緯をしっかりと見てまいりたいというふうに思っております。
 現実としては、調べてみますと、三百万円以下の方々が三分の二ぐらいを占めているということもありますから、やはり小口、少額貯蓄手段の提供ということでは、役割は果たしているのかなというふうにも思っているところでございます。
黄川田委員 お話がありましたけれども、官民の役割分担の適正化の観点から、民間でできるものは民間にゆだねる、これは総理のキャッチフレーズでありますね。国の経済運営の基本原則、すなわち民業補完論を郵便貯金についても遵守すべきだ、そういう指摘もあるわけであります。お話のとおり、ずっと活発な議論がされておるということでありますので。
 それで、重ねて預かり入れ限度額の設定についてであります。
 現在、限度額は、昭和四十八年に三百万円、昭和六十三年に五百万円、平成二年に七百万円と引き上げられまして、平成三年から現在の一千万円に至っておることと思います。懇談会でも、郵貯、簡保合わせて約三百六十兆円もの規模の資金が公社化後に自主運用されるとなると、我が国の資本市場を活性化させる反面、市場をゆがめる、そういう危険性が高いなど、活発な議論がなされていると私は承知しております。
 そしてまた、国債が御案内のとおり二段階格下げされるなど、我が国の経済運営が国際的に疑問視される中、金融ビッグバンの死命を制するとも言える郵貯・簡保資金の金融市場への基本的なかかわり方が大きく問われているのではないかと思っております。
 そこで、まず、民間金融と郵貯、簡保の公的金融の今後の基本的関連のあり方について副大臣の所見を伺いますとともに、限度額設定の今後のあり方、例えば現在の限度額一千万円の段階的な引き下げを図るなど、どのように金融市場の安定化と活性化を図ることが好ましいか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
松下副大臣 昭和六十年の状態のときに、個人の金融資産といいますか、それは約五百八十兆円ぐらいだったというふうに聞いております。それが、経済沸騰期のバブル期を経て、三百五十兆円ぐらいが数年間の間に広がってくる、大きくなってくる。現在では千四百兆円ほどの大量の個人金融資産を持っている。そのうちの五割を超える部分、約七百二十兆円ほどが、郵便貯金あるいは金融機関等が持っている現金で預けている資金であるということになっております。
 そういう中で二百四十兆円を持っている意味は大変大きいと思っておりますし、簡保も加えて三百六十兆円という資金もあるわけですけれども、日本人の習性として、やはり経済を活性化する立場として、間接金融から直接金融へといういろいろな努力もし、証券税制の改正等にも取り組む、いろいろな勉強もしておりますけれども、どうしても、二宮金次郎ではありませんけれども、しっかりためておく、それをやはり安心できるところに預けて運用してもらうということからなかなか抜け切らないような感じがあります。
 欧米のいろいろなそういう貯蓄性向等を見ても、日本の七百二十兆円を超えるこの資金の量というのは、アメリカやそれからヨーロッパのイギリス、ドイツ、フランス、その四カ国の預貯金を加えてもなお百兆円ほど多い、そういう性向がありますので、こういうものをどういうふうに市場活性化、金融の活性化の中に回して活性化していくかということが最大の課題だと考えておりますし、これはいろいろな議論も今させてもらっておりますので、その議論を十分踏まえながら、我々としても取り組んでいかなきゃいかぬ、こう思っているんです。
 一千万円の預け入れ限度額も、そういう個人資産がふえていく中で、三百万円、五百万円あるいは一千万円とふえてきたんだろうと思っておりますけれども、この問題についても、現実問題として、三百万円以下に約三分の二ほどの人たちが集中しているということを考えれば、その機能としては十分果たしているな、やはり安心感を持たせた、そういう体制ができ上がっているんだなというふうにも考えているわけであります。
黄川田委員 また、郵貯資金の運用でありますけれども、第四十条で適用範囲が厳しく規定されておりまして、ハイリスクな運用はできず、必然的にローリスク、ローリターンの方針で、例えばリスクの少ない国債、地方債あるいは財投債等が中心になりまして、ローンや企業貸し付けなどはできない仕組みになっておりまして、また今の組織でそれができるかということも疑問なんでありますけれども、民間企業の資金需要にこたえられない、こう思いますけれども、副大臣の御見解はいかがでしょうか。
松下副大臣 今までも申し上げてきましたけれども、この二百四十兆円、これはやはり十分に活用されるということはやはり真剣に考えていただきたい、経済活性化の上からも我々はそう考えております。
 そういう中で、総務庁の方でも、この四十条の中でいろいろな知恵を絞りながら、その活用方法について議論の上での御提案だというふうに思っております。中でいろいろな議論があるんでしょうけれども、その議論の経過を見ながら、我々としてもできるだけこれが活用されるような方向を見出していきたい、こう思っております。
黄川田委員 残り時間も少ないわけでありまして、次に海外の先進国の事例についてお尋ねいたしたいと思います。
 先般、ドイツ・ポストの会長が我が国を訪れまして、いわゆる郵便事業の民営化の進め方について講演を行った、これは記憶に新しいところであります。
 そこで、先進諸外国では、郵便事業の受け入れ形態の変更が進展しつつあると聞いておりますけれども、その変更についての基本的な考え方はどのようなものでしょうか。そしてまた、実際に経営形態を変更した国の郵便事業体の経営状況等は現在どうなっておるのでしょうか。あわせて総務省にお尋ねいたしたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 諸外国の郵便事業の経営形態の問題でございますが、幾つかの国営、公社、特殊会社というふうな経営形態に分けられると思います。
 まず、主要国で申しますと、米国でございますけれども、米国におきましてはUSPSという政府機関が郵便事業をやっておりまして、一部独占を解除しておりますのは、極めて緊急性の高いもの等でございます。これにつきましては、経営形態をめぐった余り大きな動きがないというふうに承知しております。
 次に、欧州でございますけれども、欧州は欧州市場統合という事情のもとで郵便事業体にも経営の自由度を付与するというふうな中で、各国の事業体が競争していくというふうな状況で経営形態の変更が見られております。
 例えば、この中では、フランスの場合には、公社形態、それからイギリス、ドイツにおきましては特殊会社化したというふうなことでございます。こういう特殊会社化した国では経営の自由度を増加させているという国がございますけれども、特殊会社化になっておりましても、株式は政府が全株、または過半数を所有しているというのが大宗でございます。郵便の参入につきましては、一定の独占領域を留保した部分開放というのが中心でございます。
 なお、アジア地域におきましては、中国、韓国が国営であるほか、大半の国が国営または公社形態というふうになっております。
 経営形態変更後の状況、ちょっと細かくは承知しておりませんけれども、例えばドイツにおきましては、一九九五年にドイツ・ポストが特殊会社化されておりますけれども、それ以降、内外の物流関係企業の買収が進みまして企業規模が拡大しているというふうなことの反面、利益重視、効率化重視という観点から、郵便局数を大幅に削減いたしまして、また、直営局の比率を縮小するという動きが見られたために、政府が最低郵便局数を義務づけるというふうなことによって多少の是正を図っているという動きもあるというふうに承知しております。
 他の特殊会社化した国におきましても、ドイツほどではございませんけれども、同様の傾向が見られるというふうに見ております。
 以上でございます。
黄川田委員 それぞれ国によって異なると思いますけれども、効率化によってコストの削減なんかなさっていると思うわけでありますけれども、コスト削減で主な要因、大きくコスト削減できるのはこの要因だというものがありましたら、お尋ねいたしたいのでありますけれども。
團政府参考人 細かい事情はちょっと承知しておりませんが、各国ともよく議論になっておりますのは、やはり郵便局数の減少ということでございまして、ドイツのことを紹介いたしましたけれども、各国ともやはり拠点数を減らす、それから郵便局の直営をやめまして委託局にする、そういうふうなところのコスト削減、ほかにもあろうかと思いますけれども、そういうものが目立っているところだと思っております。
黄川田委員 そしてまた、経営形態を変更した諸外国では、ユニバーサルサービスは現在どのように実施され、どう存続されようとしているのか。また、実施上の課題はどのようなものがあるか、あわせて総務省にお尋ねをいたしたいと思います。
團政府参考人 先ほど申しましたように、競争は進んでおりますけれども、ユニバーサルサービスにつきましては、伝統的な郵便事業体がこれを確保するという形で進めておりまして、民間参入もそういうユニバーサルサービスの確保に留意しながら、欧州等は段階的に進んでいるというふうに承知しております。
 経営形態を国営から公社、特殊会社に変更した国におきましては、法律、政令、または事業者と政府の協定、こういうものを結びまして、例えば取り集めとか、配達の回数とか、最低の郵便局の数とか、そういうふうなものに示されるユニバーサルサービスの義務を規定し、ないし契約をしているというふうに承知しております。
 しかしながら、そういうものと特殊会社における収益の増大という観点からの問題というのがありまして、いろいろな議論がされているというふうに見ております。
 なお、部分自由化した国におきましては、こういうような部分自由化というやり方は、クリームスキミングは排除しておりませんので、参入の範囲が拡大するに伴いまして、先般ドイツの会長もおっしゃっていたようでございますけれども、クリームスキミングと参入の問題というのは、この両立ということについては今後課題になっていくものではないかというふうに見ております。
黄川田委員 郵政三事業のうちの郵便事業については、日本全国公平に提供されなければならない。そしてまた、たとえ赤字になるとも、シビルミニマムとして、ユニバーサルサービスとして、国が事業の最終責任を持つ、そういう覚悟が必要であると思っております。
 最後に、政策的料金のあり方についてお尋ねいたしたいと思います。
 第三種、第四種の関係については公社化になっても引き続き考えていくということでありまして、従来実施されてきました政策的料金の減免は、公共の福祉の向上に寄与するとの郵便事業の目的から、高い意義が認められていると思っております。しかしながら、公社による自律的な経営を認め、そして経営に対する国の関与を緩和する等の趣旨に照らしますと、基本的に公社の経営判断にゆだねられる、そういうところもあります。
 そこで、最後に、片山大臣に伺いたいと思います。公社が民間業者との競争にさらされて経営状態が悪化した場合、郵便料金の値上げ、あるいはまた第三種・第四種郵便物の縮小廃止や、不採算地域の郵便局の統廃合等の、公共の福祉の後退を招くおそれがあるのではないかと懸念されるところであります。公社経営の自律性の確保と公共の福祉の維持、向上等の相反する難しい問題でありますけれども、大臣の所見を重ねて求めておきたいと思います。
片山国務大臣 公社になって、民間が参入して、郵便料金が値上げになって、三種、四種をやめるみたいなことになったら、これはいけませんね。何のためにやったかと、国民の側からすれば。だから、それがないように、日本郵政公社も懸命な経営努力をやってもらわにゃいかぬと思う。経営体質の強化、サービスの向上ということに今まで以上に力を尽くしてもらわなければなりませんし、参入される民間事業者の方にもユニバーサルサービスをしっかり守っていただかなきゃいかぬ。
 我々は、そういうことについては、関係の役所としてしっかりと、日本郵政公社なら監督しますし、民間の事業者の方にはお願いしていきたい、こういうふうに思っておりまして、今委員がいろいろ言われましたことの心配がないように最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
黄川田委員 いずれ国民一人一人に喜ばれるような法案にしたいと思っておりますし、まだまだ長丁場だとも思いますし、そしてまた来週は総理も来るということでありますので、時間を一分ほど残しまして、それではまた次の機会ということで、終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 一昨日に引き続きまして、郵政公社法について質問したいと思います。
 これまでの当委員会での論議の中で、小泉首相はともかくとして、片山総務大臣は、今回のこの公社化は民営化につながるものではない、このことを明言されていられます。それでは国自身が行っている現在のこの郵便事業、これをなぜ郵政公社に移行する必要があるのか。公社になって一体、郵便事業のサービスがよくなるのかどうなのか。この委員会というのは、国民や利用者に対してそういう部分を明らかにしていくということが非常に大きく求められていると思うんです。
 そこでまず、私、新しく設立する日本郵政公社の目的、郵政公社法の第一条についてお尋ねしたいと思います。
 第一条は、これまでの郵政三事業及び郵便局ネットワークなどを用いて行う業務、これを「総合的かつ効率的に行うことを目的とする。」このように書かれております。私、本会議での質問で、旧公社であった電電公社法、これには明確に、公共の福祉を増進することを目的とする、こうなっている、なっていたんですね。これに対して、新しい今度の郵政公社の目的には、公共の福祉を増進するということが欠落していることを、これは本会議の質問で私、指摘したわけであります。
 この今回の郵政公社法案の原案ともいうべき公社化研究会の中間報告、これを見ますと、郵政事業の公社化の意義という項がありますが、そこでまず第一に、国民の生活基礎サービスを郵便局ネットワークを活用して全国あまねく提供するという郵政事業の意義は引き続き確保する。
 二つ目に、その実施主体を国から法律により直接設立される新たな公社に改める。そして、組織、予算、定員等国の行政機関であることに起因する制約を外し、民間企業的経営手法を導入することにより、その経営の効率化やサービスの改善を図る。
 そして三つ目に、もって公共性の高いサービスを独立採算制のもとで引き続き全国あまねく提供することを可能とし、国民利用者の利益の増進を図ることにある、こういうふうに中間報告の中で出てきているわけです。
 つまり、ここで私が言いたいのは、経営の効率化というのは手段なんですね。目的は何かといえば、国民利用者の利益の増進、こういうふうにこの三つの中で言っているわけです。
 私は、三月二十六日に、日本郵政公社法案概要(案)、こういうのが出たんですが、たまたまこれが手に入りました。その公社の設立及び目的というところを見ますと、日本郵政公社を設立すること並びに公社は、独立採算制のもと、自律的かつ弾力的な経営体制を確立し、郵政事業を一体的に遂行することにより、これらの業務の適正かつ確実な実施を確保し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とするというように、自律的かつ弾力的な経営体制を確立することは手段で、公共の福祉の増進に寄与する、これを目的とする、こういうことをはっきりと書いてありました。
 それが、出されたこの法案で見ますと、手段であったはずの総合的かつ効率的に行うことが目的となっちゃっているんですね。つまり、目的であったはずの国民利用者の利益の増進、今まで中間報告だとかあるいは公社法案の概要の中で出てきた目的、こういうものであったはずの国民利用者の利益の増進あるいは公共の福祉の増進、これが完全に欠落することになっているんです。この理由を説明していただきたい。
野村政府参考人 お答えいたします。
 日本郵政公社法の第一条の目的規定におきましては、公社は、国営の事業として、郵便、郵便貯金、簡易生命保険等の業務を総合的かつ効率的に行う、そういった形で規定されているわけでございますけれども、先生がおっしゃるように、公共の福祉の増進ということは明文で書かれてございません。
 そのわけといたしましては、公社が行う郵便等の業務につきまして、それらを規律する法律である郵便法とか郵便貯金法、簡易生命保険法、こういった法律がございまして、それら個別の法律の目的規定におきまして、それぞれ公共の福祉を増進することを目的とする旨が規定されております。こういったことから、公社法の第一条におきましては、改めて公共の福祉の増進というふうには規定しなかったものでございます。
矢島委員 今、郵便法あるいは簡保法、そういうものの中に規定されているからという答弁だったんですが、この郵政公社法の第十九条には郵政公社が行う業務がずっと列挙してあります。業務を規定している法律というのは、今、郵便法そのほか統括官挙げましたけれども、そこに挙がっている、つまり十九条に挙がっているいろいろな業務、これはすべて目的に公共の福祉の増進という言葉がずっと入っているんですか。
野村政府参考人 お答えいたします。
 今の郵便貯金、保険等は入ってございますけれども、例えば郵便為替でいきますと、「為替を簡易で確実な送金の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の円滑な経済活動に資することを目的とする。」というような形とか、例えば国債窓販でございますと、「国民の健全な財産形成及び個人による国債等の所有の促進を図り、もつて国民生活の向上と国民経済の発展に寄与する」ということで、個別の法律ごとに書き方が違ってございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、国営の公社としてこういうことをやるということでございますので、究極的には公共の福祉の増進を目的とするという意味では変わらないというふうに考えているところでございます。
矢島委員 そうなんですよね。今統括官が答えたように、全部入っているわけじゃないんです、十九条の中で。郵便為替だとか、あるいは郵便振替なんというのは、別に公共の福祉という言葉は全然入っていない。
 そこで、私、旧電電公社の業務を規定していたいわゆる公衆電気通信法、読んでみますと、これは電電公社が、迅速かつ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、かつ公平に提供することを図ることによって公共の福祉を増進することを目的とすると規定しており、しかも、公衆電気通信法で電電公社の業務の目的が公共の福祉にあるとしているだけじゃなくて、電電公社法、こちらで、その目的も、公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な経営体制を確立することによって公共の福祉を増進する。つまり、大もともあって、それぞれ個々別々のにもきちんとこの公共の福祉の増進というのが入っているんですよ。
 今度のは、先ほど答弁にもありましたように、郵政公社法の第一条の目的のところには入っていない。しかし、それは個々のところに入っているというわけですが、事業全部に、つまり郵政公社が行う業務すべてに入っているわけでもない。しかし、旧公社の、電電公社の場合には個々のものにも入っている。随分違いがあるなと思いながら、私、これを読んでいたわけなんです。
 つまり、国とは別人格の新たな法人である郵政公社、これを設立するに当たって、郵便法などに公共の福祉を推進するというのがあるから、全部あるわけじゃありませんが、あるからといって、それで法人自身の目的のかわりとする、こういうことはできないことは明瞭だろうと思うんですね。
 日本郵政公社法の第一条は、草案にあった公共の福祉を増進するというところをわざわざ削除した。日本郵政公社法の目的、これは旧公社のように公共の福祉を増進することではなくて、郵政事業を総合的かつ効率的に行うことだ、こう理解するより仕方がないと思うんですが、統括官、いかがですか。
野村政府参考人 お答えいたします。
 何回も御答弁させていただいているところでございますけれども、確かに明文上、公共の福祉という規定は書いてございませんけれども、国営の公社としてこういった各種業務を各種個別の法律に基づいてやるということで、究極的な目的は公共の福祉の増進にあるというのはわかるということでございますので、改めてこういう明文では書かなかったということでございます。
矢島委員 大体このことを行ったり来たり行ったり来たり、統括官とやることになると思うんですよ。というのは、書いてないけれどもという、この書いてないこと自身に私は問題意識を持っているわけなんですね。ですから、そこの違いがあるとは思うんです。
 というのは、こっちに書いてあるから大丈夫だというような、私は形式論ではないんだと、この問題は。つまり、出てきたこの法律案あるいは一昨日の論議、それからきょうのいろいろな審議という経過を見ましても、やはり形式的な問題として、こっちにあるからいいというような問題でないということがだんだん明らかになってきていると思うんです。
 つまり、日本郵政公社が行う郵便事業というのは、もうからない地域も含めて全国一律のサービス、いわゆるユニバーサルサービス、これを行うことを引き続き郵便法で義務づけている。ですから、民間的な経営を行うならば、もうからないところは少し料金を高くしようとか、あるいはサービスを少し落とそうとか、自由にできるわけであります。しかし、国営の公社である以上、公共性が優先しますからそういうことは当然認められないわけです。
 ところが、実際に公共の福祉の増進に大きな寄与をしてきたところのサービス、先ほども出てまいりましたけれども、第三種、第四種の制度、私、前回もこれを聞きました。私、しつこくこの問題をただしていきたいと思うんですけれども、この第三種、第四種制度というのは自律的、弾力的経営に反するものだということで廃止しようとしているんじゃないですか。
 これについては、実は昨年末の中間報告の発表、これをする前に利用者団体に何の相談もなかった、何の相談もせずにそういう原案をこの中間報告で昨年発表した、そして大騒ぎになった。そうした議論を受けて第三種・第四種郵便の種別は郵便法に残されることになりました。しかし、総務大臣は一生懸命努力したのだと一昨日、胸を張っておっしゃられました。ところが、この点字郵便と盲人用の録音物、これを無料としたところの郵便法の第二十六条第三項は削除されているんですね。
 私は、今ここにこういう資料を持ってきたのです。これは、東京都内の視覚障害者の公共図書館の点字及び録音図書利用者推移というもので、一九八〇年から、毎年毎年この利用のための手帳を持っている人が何人で、それから実際に利用した方は何人でという一覧表ができ上がっております。それを見ますと、一九八〇年のところでは、手帳所持者は二万四千二百二十一人ですね。利用者が千二百五十七名。それが二〇〇〇年になりますと、手帳を所持している方が三万五千十四名、そして利用された方が四千五百七十六名、つまりこの二十年間で手帳を所持している方は約一・四倍、それから実際に利用された方は三・六倍、こうなっているんですね。まさにこれは視力障害者の情報を保障する手段としてずっと利用者もふえ、発展してきている、非常に大きな貢献をしているということが数字の上にもはっきりあらわれていると思うんです。
 そこで大臣、また同じことを尋ねるんだなということになるかもしれませんが、この郵政公社の目的が公共の福祉の増進で、効率的な経営がその手段であるならば、この郵便法第二十六条第三項というのは残すべきだと私は思うんですよ。この点について、再度大臣の御答弁をお願いしたい。
片山国務大臣 この日本郵政公社法の目的の中に公共の福祉の増進とはありませんけれども、「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行う」と。それで、こっちは組織法なんですね、日本郵政公社法は。郵便法だとか郵便貯金法というのは作用法ですから、書き方が違ってもしようがない。委員、思想は同じですよ。公共の福祉をないがしろにするとかそういうことは考えておりません。それじゃ何で国営の公社かということになるから。
 そこはそうなのですが、今御指摘の郵便法の二十六条は無料の行為になるので、いろいろな議論があってそこでこれは落とした、こういうようなことでございますし、もともとこれはある程度公社の判断に任せようかという思想もあったものですから、そういうことになったと思います。
 詳しいことは、場合によっては統括官から説明してもらいます。
團政府参考人 ただいまの無料郵便の扱いでございますが、大臣が御答弁されたとおりでございまして、制度としては残してまいりますけれども、料金につきましては無料とまで法律で公社に強制する、これはちょっと無理ではないかということで、公社に御努力をお願いしたいという趣旨でございます。
矢島委員 私も、大臣が前半に答えられた、福祉を増進するということをこれは決して後退させるものじゃない、これはそのとおりだと思うんです。ただ、私は、この条文、二十六条を削除する、いろいろその理由についてはお話がありました。ただ、私どもの見解の違いは、削除する必要はないのじゃないかというところからお尋ねしたわけです。郵政公社の目的が、公共の福祉の増進にある、残していくべきだということでお話を申し上げました。
 さて、前回の審議を通じて、私、公社化研究会がこの全分野への参入について、条件がなかったり、あるいは条件が不十分であったら、ユニバーサルサービスに決定的な打撃になるというので、あの研究会の項目を答えていただきました。それから、条件が機能した場合には、今度はこういう政策的な料金、第三種とか第四種など、こういうところにしわ寄せが行ってしまう、こういう認識を持っているんだということをそのときにお話ししたわけです。
 そこでお尋ねしたいのは、公社化に伴って郵便事業に大きな影響を及ぼすのは民間参入だ、こう思います。実際にそれだけではない問題として、次に取り上げたいのが、企業会計原則という問題です。
 つまり、自律的、弾力的経営の根本に企業会計原則を採用する、第二十八条になるわけですね。この企業会計原則を採用する理由は何か、お答えいただきたい。
野村政府参考人 お答えいたします。
 企業会計原則の採用につきましては、中央省庁改革基本法で既に企業会計原則に基づき会計処理するというのが明定されておりまして、それを受けまして、公社法の中でも、郵政公社の会計は企業会計原則による旨を規定しているところでございますが、この理由といたしましては、郵政公社の財政状況を国民の目からわかりやすく、一般の企業とも共通の客観的な尺度により開示する、そういうことによりまして国民に対する説明責任をより一層適切に果たす、こういう趣旨でございます。
矢島委員 今お答えいただいたような、いわゆる財務の透明性、この問題だけではないのじゃないか。というのは、今回の企業会計原則の採用によって、いわゆる退職給付引当金が計上されることになるわけですね。そうすると、研究会の試算によりますと、郵便事業についてはその額は一兆六千億超に上っていると思うんです。郵便事業は、その結果、六千四百六十九億円の債務超過となる、こういうふうに出ております。
 郵便事業は、当たり前のことですけれども、毎年一千億円くらいの退職金を払ってきている。この退職給付引当金を積まなくても今まで何の問題もなかった。この郵政公社法の二十三条を見ますと、中期経営目標の内容として、経営の健全性の確保に関する事項をいろいろ挙げております。この「経営の健全性の確保」といった場合に、この郵便事業の債務超過を解消すること、こういうことになるんだろうと思うんです。それとも、今まで退職給付引当金を積み立てていなくても問題がなかった、会計の仕組みの変更で生まれた会計上の債務超過、だからこれは解消する必要はないと考えられるのか、どちらなんですか、これは。
團政府参考人 お答えいたします。
 郵便事業におきましては、委員御指摘のとおり、退職給付引当金、これを計上いたしましたので、形式的に債務超過という状態でスタートするということになります。
 中期経営目標について、これはどういう内容を決めるかというのは、今後、公社、設立前は設立委員が検討していくことになりますが、経営の健全性ということになりますと、やはり債務超過という状態は正常な状態ではありませんので、これを解消していくということについても一つの努力すべき目標になるんじゃないかというふうに考えております。
 ただし、委員も御指摘のとおり、実態が変わっているわけではございませんで、会計の整理ということでもございます。このために、直ちに現金の支出が要る、資金調達が要るというものでもございません。したがいまして、早急な解消ということが望ましいことは原則としては言えるわけでございますが、そのために料金の問題であるとかその他のものを犠牲にしていくということにつきましては、また一定の歯どめも必要じゃないかというふうに考えております。
矢島委員 やはり債務超過の解消というのは必要なこと、それがどういうふうな形で、いつまでにやるかは別として。ですから、一兆六千三億円ですか、債務超過分は六千四百六十九億円ですが、これはいずれにしろ解消していかなきゃならなくなる。どうやって解消していくつもりなのか。例えば政府がその分出資するのか、それとも利益を上げてそれで埋めていくのか、これはどっちを考えていらっしゃるんですか。
團政府参考人 この解消につきましては、経営の努力によりまして、国の支出ということではなくて、公社においてこれを埋めていくというふうなことで考えてございます。
矢島委員 そういうことになりますと、私、心配がいろいろ出てくるんですわ。民間の上場企業であれば、債務超過は言うまでもなく何とか避けなきゃなりません。避けるために例えば退職給付引当金の積み立て不足になれば、株式市場からの批判にもさらされるわけです。郵政公社は民営化を前提としたものではない。ユニバーサルサービスを目的として、もうからないサービスも提供する事業体です。ですから、単に会計制度の変更上生まれた債務で事実上、内部留保であるところの退職給付引当金、これは一〇〇%積まれなくても、経営上、ユニバーサルサービスの確保上、問題はないのではないかと私は思うんです。
 財務当局に聞きましたら、退職給付引当金の無税積み立ては認めない方向で今検討しているというふうな話もありましたので、一〇〇%なくてもとりわけ問題はないのではないかと思いますが、いかがなんでしょうか。
團政府参考人 債務超過の問題の前に、いろいろな事業、特に郵便事業につきましても収支相償というものを経営の基準にしてございます。したがいまして、現在もその原則は同じでございまして、収支相償で剰余金を積み立てながら保っていくという経営でございます。
 この経営のバランスといいますものは公社になってもやはり同じでございまして、当面、収支相償が確保できていれば直ちに経営が立ち行かなくなるということはないわけでございますが、しかし、料金の問題等、そう簡単に上げるとかいうことにもまいりませんので、公社におきまして債務超過を徐々に解消していくという努力は必要になってくるということでございます。
 構造的に、確かにおっしゃいますように、国営の公社であるということ、それから、事業構造として大きな借り入れをして事業を行うという事業ではなくて、収支相償ということを保っていけるといいますか、そういう構造の事業であるということで、直ちに問題は生じないということは事実でございますけれども、将来のこともございますので、やはり収支相償に加えまして、徐々に債務超過を解消していくというふうに努力をしていくべきものというふうに考えている次第でございます。
矢島委員 民間参入を度外視しても、この債務超過六千四百六十九億円、これを埋めるために利益を上げる経営ということになりますと、先ほど、収支相償、相償うということを局長も言われましたけれども、郵便事業経営の原則、この原則から大企業並みの内部留保を蓄積するための事実上営利経営という方へ変質するのではないかと心配する。それが郵便サービスの低下につながらないんだろうか、この点が危惧されるところなんです。民間参入あるいは民営化イコールサービスの向上だというのがいろいろと当たり前のように言われていますが、本当にそうか、現実を冷静に明らかにすることが今必要だろうと思うんです。
 そこでお尋ねいたします。これは事業庁長官だと思うんですが、郵政事業庁がこの間取り組んできた合理化とサービスとの関係です。この間、普通郵便局における苦情申告受け付け状況、こういうのを把握していらっしゃると思うんです。この苦情申告の全体の動向、あるいはその件数などを、今時間がもうなくなりましたので、いろいろ調べてきていただいて申しわけございませんが、九八年、九九年、二〇〇〇年度ぐらいのところの三カ年で誤配とそれから全体どれだけの件数があったか、そこだけ取り出してお答えいただければありがたいんですが。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 手元に平成十年度それから十一年度、十二年度、三カ年度の数字がございます。特定局はございません。普通局について苦情の申告受け付け状況についての数字でございます。
 平成十年度は、全体の合計が三十六万五千八百五十二件でございます。そのうち一番大きなのが誤配達でございまして、誤配達の苦情が十八万六千五百十六件でございます。これが一番多うございます。それから、不着というのが九万件ございます。それは内数でございます。それから平成十一年度は、苦情の合計が四十一万八千六百八十五件でございまして、約五万三千件ほどふえております。そして、その内容は、やはり誤配達が半分強でございまして、二十一万二千四百五十六件でございます。平成十二年度は、合計が四十二万四千六百五十二件で、やや微増でございます。その内容は、やはり誤配達が二十二万件、二十二万六百九十三件でございます。
 パーセンテージで申し上げますと、合計だけ申し上げますが、平成十年度から十一年度にかけては一四・四%増、それから十二年度と十一年度の開きでは一・四%増ということでございます。十二年度の増加の主な原因は、誤配の増加によるものでございます。
 以上、御報告申し上げました。
矢島委員 やはり、ふえているんですよね、誤配の問題など。
 宅配事業者のメール便など、こうした苦情受け付けの動向など資料を見たことがないんですが、ただ、このメール便の誤配というので、これは五月二日の朝日新聞ですが、非常に利用者から困っているという投書が二つもありました。
 一つは、私は約一年前に越してきました、ちゃんと表札もあるのに、運輸会社によるメール便のたび重なる誤配に悩まされ続けています。以下ずっと書いてありまして、運輸会社の態度は誤配しても知らんぷり、郵政民営化までの道のりはまだほど遠いと痛感しますというのが一つ。
 それからもう一つは、今度は郵便局員の皆さん方が大変な負担をこれによって負わされている。現在も多くのメール便が民間業者によって配達されている。メール便にはあて名不完全あるいはそのための誤配、受け取りを拒否、こういうものが少なくない。そして多くの人は、誤配や受け取りたくないメール便を郵便ポストに投函する。結局、当然これは郵便局に回収する。これは本来、郵便局の仕事でない、他業者のメール便のために労働力とコストをかけるということは非常に矛盾を感じる。
 まさにこの二つの投書を見ますと、郵便を配達する労働者の労働条件や権利が保障されずに、コスト削減によって不安定雇用がどんどん増大するということになると、正確な配達自身が脅かされることになるのではないかと。民間にできることは民間にと言いますけれども、本当に無条件でそれが正しいのかと。民間の実態を含めて、競争の導入による効率化がサービス向上になるのか、つまり、メール便事業の実態、これを明らかにしていく、そういうこともしないと、本当に国民のサービスに、利用者のサービスにつながらない、この点を指摘しまして、私、質問を終わります。
平林委員長 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。
 信書便法案なんですが、この信書便法案、これは、一言で言えば、郵便事業を民間に開放する、こういう趣旨であろうと思います。競争原理を郵便にも導入しよう、そして利用者の選択の機会を拡大しよう、そのことによって国民のためのサービス向上を目指そう、そういう目的であろうと思います。そういったことからこの法案が今回提出され、審議されているわけでございます。つまり、民間を参入させようという法案なわけですね。
 であるにもかかわらず、今のところ、一般事業には参入の動きがない。しかも、これは特定の業者のための法案ではないということを先日御答弁されていましたが、よう考えたら、特定の業者のためにやってきたようなものだなという気はしておるんですが、その肝心の特定の業者がこの法案を見て、何と、民間官業化法案であると、この法案を批判しておるんですね、ヤマト運輸は。つまり、この法案は規制でがんじがらめになっているじゃないか、あるいは、総務省と公社一心同体ではないか、さらには、癒着があるんではないか、こういったことから、敵に手のうちを見せて、そして競争しろということはおかしいじゃないかという激しい批判をしております。
 そういった業者を参入させようという意図で論議をしてつくった法案がそういうふうに批判にさらされている、このことを、提出した責任者である総務大臣、どのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 国民の皆さんは、公社になり、民間参入があって、郵便がなるべく安い料金であまねく公平に提供されるとともに、通信の秘密の保護が引き続いて確保される、こういう認識のもとに、もっとサービスがよくなればいい、こういうことなんですね。
 そこで、民間に入っていただくときに、どうしてもユニバーサルサービスは確保してもらいますよ、クリームスキミングは、これはもう困りますと。それともう一つは、憲法に保障された、きょうも午前中御質問ありましたが、信書の秘密の保護はしっかりやります、これを守っていただかなければということで、我々はそういう条件をつけているんですね。その条件を民間事業者の方が検討してみて、そこはいろいろな観点から、採算性その他の議論に当然なるんでしょうけれども、なかなか難しい、こういう御判断かもしれませんけれども、これはなかなか譲れないところですね、これはなかなか。
 また同時に、官業法案だと言われますけれども、ずうっと公社よりは民間の事業者の方に経営の自由度が発揮できるような配慮もしているんですね。特別の義務づけなんか一切していませんし、公社の方が認可であるのに対して、一般の民間の方には届け出にするとか、それなりの配慮はしたつもりなんですね。
 しかし、基本的には、やはりユニバーサルサービスであり、信書の秘密を守るという観点から、それは必要最小限度の規制をさせていただかないと、これはなかなか、我々としては、結構でございますというわけにいかない、こういうふうに考えております。
横光委員 まさにそのとおりだと思うんですよ。しかし、先日の答弁でも、これから、参入の条件、これが省令などで明らかになるにつれ、民間の事業者も参入を検討してもらえるのではないか、そういったお考えもございました。
 ということは、これから、参入する条件というのはすべて、省令あるいはガイドライン、ここにかかっているということは言えるわけですね。
片山国務大臣 信書の定義の方は、参入には全く関係ないんですよ。参入すれば全部できるんですから。参入しないで何らかのということが信書の定義なんですね、今問題は。参入すればもう全部できる、同じですから、日本郵政公社と。
 それから、全部省令、政令で決めるつもりはございませんで、何度もお話し申し上げていますように、法律で書いたものについての委任を政省令で受けてやる、こういうことでございまして、委員御承知のように、例えば差出箱ですね、口というのか、これをどのくらい確保していっていただくか、一週間に何日配達していただくか、一通でも引き受けていただくか、そういう、法律に書いてあることの具体化を省令でさせていただこう、基本的な考え方はもう法定しておりますから。
 そこで、我々としては、民間の方にできるだけ参入してもらうという観点からいえば、ぎりぎりユニバーサルサービスは、簡単に言うと、ポストでいえばどのくらいなのか、郵便局の方は十七万七千ですけれども、いろいろな人口の配置や地形を考えて、民間の方に仮に参入してやってもらうとすればどのくらいになるか、こういう検討を今いろいろいたしているところでございます。
横光委員 それでも、省令を見て、それで参入するかどうかということを判断すると思うんです。そういった意味では、この省令というのはいつごろまでにつくり上げる予定なんですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 参入の許可に当たっての基準についての省令というお尋ねかと思います。
 先ほど大臣から御答弁がありましたように、許可の基準は基本的に法定されておりまして、九条でございますけれども、事業計画が信書の秘密を保護するために適切である、これはもう法律だけでございます。二号におきまして、全国における引き受け、配達を行うこと、これも法律でございます。その加えたものとしまして、今のポストの問題が省令でやる。それから、その次に、一週間に六日以上の配達を行う、これは法律でございますけれども、総務省令で定めるというのは、祝日を除くとか、その程度でございまして、参入につきましては、基本的なことは法律で書いている。その中で多少幅があるのが信書便差出箱の設置のことでございまして、これも、原則としましては、随時かつ簡易に差し出すことを可能とするものという要件は入っておりまして、その中での省令というふうに、限定的なものというのが一つでございます。
 いつ決めるかということでございますけれども、これにつきましては、この法律では来年の四月一日の施行としてございますので、法律が通過しましたら、直ちにパブリックコメント等の手続をとりまして省令を定めていきたい。四月一日の施行でございますから、その直前とはいきませんので、なるべく早くこの省令を決めていきたいと思いますが、ちょっと、いつまでという期日は今確定してはおりません。
横光委員 ガイドラインも同じですか。省令と同じ時期ごろ発表するんですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 ガイドラインも、これは省令ではございませんが、大事なガイドラインでございますので、同様の手続をもちまして、なるべく四月一日より前に、施行が明確にできるような手続を進めてまいりたいというふうに考えております。
横光委員 四月一日施行なわけですから、当然、判断する材料として一日も早く出して判断を仰がなきゃならない、早急に示す必要がある、私はこのように考えております。
 規制でがんじがらめになっているという声もありますが、今、これは大臣もおっしゃいましたように、ユニバーサルサービスというのが大前提なわけですね。国民の思想あるいは表現に非常に重要なかかわりがある信書の送達という大変な公益事業を行うわけですから、私は、規制は当然あってしかるべきである。これはまさにユニバーサルサービスを守れるか守れないか、この規制次第だと思うんですよ。ですから、規制でがんじがらめになっているという声は決して当たっている声ではない。むしろ、規制をしっかりしいて、そしてこれまでどおりのユニバーサルサービスをちゃんと確保できるかということがこれから郵政公社の一つの大きな責任であろうと私は思うんですね。
 そういうことから、先ほどお話にも出ましたいわゆるポストの設置基準、これは、差し出す場合、参入した場合、営業所の窓口による直接引き受け、これが一つ。それからまた、外部に設置する差出箱、この二通りがあるわけですが、信書便物の差出箱の設置等については、これは先ほどからお話ございますように、省令で定めることとしている。まず、どういう差出箱を想定していらっしゃるんでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 差出箱がどういうものを想定しているかということでございますが、これはちょっと古い郵便にこだわり過ぎているという御批判もありますが、やはり、趣旨としますと、随時かつ簡易に差し出すことができまして、秘密の保護が確実に行われるということでございますので、余り難しいことは考えておりません。
 つまり、差し出す利用者から見まして、これが差し出した上で簡単に持っていかれるとか、壊されるとか、だれかが手を入れて持っていけるとかいうふうなことのないような、堅牢という言葉を使いましたので、えらく、百万もするようなことを考えているんじゃないかというふうな意見もありましたが、そんなコストはかかる必要はないと思っております。
 一般的に、常識的に、差し出した方が、ちゃんとこれは保管されるな、それも場所も特定されておりまして、そう簡単に持っていかれないな、かぎがちゃんとかかっておって簡単にあけられないな、それからどういう事業者が使っている差出箱かということが明示されている、その程度のことが確保されればよろしいんじゃないかというふうに考えております。
横光委員 確かに、そのとおりだと思います。事は、信書の秘密に関することです。利用者の非常に大切なものを預かるわけですので、今お話ございましたように、ちょっとしたことで壊れるとか、あるいは盗難の危険性があるとか、そういった事故のことも想定して、しっかりと信書の秘密を責任を持って確保できるような差出箱というものを想定しておくべきだと私は思っております。
 それから、差出箱の設置等についての基準ですね。これはいろいろ巷間、報道等で聞くんですが、やはり民間事業者が公社よりも競争上有利になるようであってはいけないという気がするんですね。
 といいますのは、いわゆる公社は政策料金も担っている、そしてまた半永久的にユニバーサルサービスという義務も負っている。一方、民間業者は、これは退出も自由ですよ。入るときも自由、出るときも自由。こういったことからして、そもそもハンディをしょっていると言っても、私は過言ではない。
 そういったことから考えると、この設置基準、これは当然のごとく、郵便ポストの設置基準と同水準にすべきではないかという思いを持っておりますが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先生、言われるように、ユニバーサルサービスを確保して、そしてまた、民間の方々に参入していただくということになれば、これは厳しい条件になるのは当然のことだろう。そして、幾つかの条件を課しておるわけであります。
 その中で、今ポストのお話がありましたけれども、今も答弁にありましたように、これは当然秘密を保護するために、そしてまた、随時かつ簡易に差し出すことが可能であるということで、それは、ある程度、後ですぐあけられてしまうとか、これじゃ困るわけでありまして、また秘密が守られるということも、しっかりとこれは考えていかなくちゃいけない、かように思っています。
 そしてまた、今の郵便事業では十七万七千本のポストがあるわけですね。ただ、その中におきまして、これから省令でこれを考えていくわけでありますけれども、当然、この百三十年の間でこれはつくってきておるわけでありますから、その中で全部というわけにはいかないものですから、それは、もちろん、人口であるとか、人口の比率だけでなくて、例えば物すごい距離があるなんというのでもまた困りますから、その辺も含めましてやっていくと、十万ぐらいなのかなというような考えもあるわけであります。
 いずれにいたしましても、引き受け方法につきましては、これはもうしっかりとパブリックコメント等々していただきまして、利用者や事業者から広く意見を聴取しながら、公正でかつ透明な省令を定めていきたい、こういうふうに思っております。
横光委員 ぜひ、先ほどから言っておりますように信書を扱うわけですので、そういった意味で、本当に信頼を失わないような形で、そしてまた、競争、競争といっても、やはり同じレベルの規制、同じレベルの基準というものは求めていくべきではないか、そういう気がいたしております。
 次に、第一種郵便物の定型郵便物、この最低料金を八十円以下に規制することが想定をされておりますね。これは、どのような理由でこのような形を決められようとしているんでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 八十円ということで、これは省令で考えている料金でございまして、これは、現在の郵便の封書の最低料金というものに合わせたいというふうに考えているわけでございます。
 この趣旨でございますけれども、これは、全国全面参入ということになりますので、あくまで全国の利用者が使いやすい料金で参入していただくという趣旨がまず一つでございます。もう一つは、これもいろいろなクリームスキミングがございますが、定価を高くしておいて大口だけ大幅に割り引くというふうなことになりますと、これは個人の方は排除されて大口だけが使われるというふうな料金政策の懸念、これはある程度いろいろな面で見えております。
 そういうふうな大口、小口のクリームスキミングといいますか、そういうものを避けるために安い料金の上限を定める、こういう二つの理由からこういう規制をしたいというふうにしているものでございます。
横光委員 いわゆるいいとこ取りを防止しようという意味合いであろうと思います。確かに、小口は、これは同一料金、ところが、大口の場合は割引料金ということで、ある意味では個人利用者には意図的に高額な料金を設定して、事実上、締め出すことだって可能なわけですが、そういった意味からこういった設定をされたんだと思っております。
 はがきはどうなんでしょうか。
佐田副大臣 今も局長の方からありましたように、二十五グラム以下の信書便にかかわる料金の上限につきましては八十円ということでありまして、今、五十円というはがきなんでありますけれども、ちょっと予定していないところであります。
 それは、はがきの料金は、国民の簡易な通信手段であることを考慮しましてより割安に設定され、このために第二種郵便の収支は、近年ほぼ収支均衡か、年度によって赤字のところもあるわけであります。よって、このはがきの料金というのを五十円を上限とすることは、はっきり申し上げまして、民間の今度入ってくるかもしれません事業者に対しましては、非常に過重な規制となるんではないか、かように思っております。
 したがって、はがきにつきましても、八十円の上限や不当な差別的取り扱い禁止等の条件のもとで料金設定されることとなり、この上限の範囲内で、民間事業者間あるいは郵政公社との競争の中で、利用者の求める低廉な料金の設定が行われることを希望しておるわけであります。
 また、先生が先ほど言われましたように、五十円とはしておりませんけれども、例えば、高くして、大量にして安くするなんということがないように、これはしっかりと監視していかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。
横光委員 大量割引がだめだということでしょうか。大口割引制度が通用しないということですか。
團政府参考人 お答え申し上げます。
 これは、一般に、コストに見合った料金ということになりますので、八十円のものにしましても、一般の封書にしましても、はがきにしましても、今の郵便でも行っておりますが、コストに見合った大口割引であればこれは認められるということでございますけれども、今の話はややダンピング的な、あるいはコストを全く無視した形での割引というのは認められない、これは料金の準則の中で規制していくべきものというふうに考えております。
横光委員 例えば、小口をはがき六十円、そのかわり大口割引は四十円で引き受ける、そういうことは可能なんですか。
團政府参考人 コストの精査はできませんが、そういうことは、現在の我々の考えております仕組みでは可能でございます。
 ただし、今副大臣から申し上げておりますのは、収益構造からしますと、八十円の封書で利益が出ております。五十円ではもうかすかすでございまして、コスト的になかなかそれを割るというのは難しいんではないか、そういう面で封書の八十円のみにしているという構造でございます。
横光委員 今のような形が可能だったら、要するに、ここでまず小口の人たちは結局差別されるわけですね。ある意味では、手間暇かかるところは引き受けなくていい、そして割引できるところだけ引き受けることだってできるんですよ。いわゆるいいとこ取りなんですよ、今の制度では。完全にそういうことができるんです。
 はがきというのはこれから、今、簡便で割安になっていると言っていました。しかし、今、郵便配達の中で、はがきと封書、どちらが多いんですか。はがきというのはこれから物すごく主流になってくると私は思いますよ。
團政府参考人 御指摘のとおり、はがきの利用がふえておりますが、平成十三年度におきまして、はがきの部数は第二種ということで百十三億通、第一種が百三十一億九千万通でございますので、やや一種の方が多うございますが、増加率としてははがきの方が多いというのが最近の傾向でございます。
横光委員 はがきの方は多いけれども、結局、収支では赤字である。年賀を入れてやっととんとんである。年賀状はがきがなかったら、恐らく相当な赤字なわけですね。
 それでも、はがきというのはこれから、今、皆さん知恵を絞るわけですよ。テクニック、開封、観音開きあるいはさらにこれが三枚開き、どんどん、はがきの中には限られることしか書き込めない、伝えることができないというところでこれまで割安ということだったんですが、これからいろいろ知恵を絞って、封書と同じぐらいのことを盛り込めるようなことが来ますよ。私は、はがき、かなりこれから利用者はふえていくというような気がするんですね。
 そうした場合、さっき言ったようなことが起きかねない。であるならば、私は、はがきも五十円という上限設定をすべきじゃないか、この方がむしろそういったことを防ぐことになる、そういう気がするんですが、いかがですか。
團政府参考人 これから決めてまいることでございまして、いろいろなパブリックコメントを求めながらやってまいりたいと思いますが、コスト構造からいいまして、五十円のレベルというのはなかなか割り込めないという点から見まして、八十円の規制で十分じゃないかというふうに今のところ考えている次第でございます。
横光委員 そういった、先ほど私が言ったような料金設定にする、参入者がまだあるかどうかわからないにしても、いずれそういったことが起きなければ私はいいと思うんですが、起きてしまえばやはり小口利用者にとっては非常に、小口利用者は五十円というところで使えばいいんですが、いわゆる差別になって、いいとこ取りということが起きかねないという気がしております。
 次に、先ほど矢島議員も質問いたしておりましたが、メール便の誤配達、これは国土交通省のメール便の定義、書籍、雑誌、商品目録等、比較的軽量な荷物を引き受け、それらを荷受け人の郵便受け箱等に投函することにより運送行為を終了する運送サービス、つまり、このメール便の場合は郵便受け箱に投函することによって終わるんですね。つまり、郵便事業と違ってその後の取り決めがないわけですね。
 郵便法での場合は、その後の通知義務というものはちゃんとあります。このメール便が、これがないがために、今引っ越しの時期、先ほど何か例を紹介されていましたが、三月、四月、五月というのは非常に誤配達が多いということ。そうしますと、やはりメール便というのは見た感じ、大臣はメール便は信書ではないと明言していましたけれども、普通の方は、あれを受け取ったら郵便物だと思う、郵便局から来たんだと思うことが多いんです。ですから、結局、間違っていたら発送のところに一応連絡する人もおるかもしれない。しかし、遠くの人だったら、遠くの発送元だったら、それは自己負担で電話料もかかる。そうすると、捨てるわけにもいかない。その後、郵便局に持っていったりポストに入れたりすることがあろうかと思うんですが、そういうことは、実際、現在、結構あるんですか。メール便の誤配達便が持ち込まれること。
團政府参考人 このことは、地方の郵便局とか郵政局とか、そういう実態が非常にある。例えば、誤配のものは郵便物でありませんと書いておりまして、これは郵便物じゃないんですけれども、これは郵便ポストに入ってくる。そうすると、この扱いは遺失物という扱いになってくるということでございますので、非常に不思議な扱いといいますか、特に困っておるということでございます。
 したがいまして、これは、貨物自動車運送事業法というものは輸送の安全というのが中心のようでございまして、過労運転の防止とか運行管理者の選任とかそういうことについての義務づけでございまして、郵便法でやっておりますような誤配の場合の取り扱いとかいうものがないということで、これは貨物と信書の性格の違いから記述が違ってきているということ、そういう本質からこういう実態が生じてきているものと思います。
 これは、信書便法によりまして、このことは解決するような手だてをとっております。
横光委員 宅配の場合の誤配達で郵便局に持ち込まれるということは余りないと思うんですが、メール便は結構あるという話を聞くんですね。そうした場合、どういう対処をするんですか。遺失物ということは、そこに返すんですか。それともとりに来させるんですか。
團政府参考人 これは、規制もございませんので、実態としては差出人に郵便局から返しているというふうに承知しています。
横光委員 ということは、これは相当なコストがかかりますね、全然関係ない物品に対して。そういうことになりますね。なぜとりに来させないんですか。郵便局にそういうものが来たら、それは差し出し営業所の方に持っていくんですか。これは大変なコスト高につながっておるんじゃないですか。
松井政府参考人 現状だけ申し上げますが、配送業者に連絡しましてとりに来ていただく、そして、とりに来なければ警察に届けるというふうな処理をしているというのが実情でございます。
横光委員 ということは、発送元に持っていくということはやってないんですね。それならいいけれども、そんなむだなことまでしているのかなと、今聞いたものですから。
 このように、これが今度、信書便になった場合に、これは通知義務があるわけですが、それでも、この信書便の場合も、誤配達ということがこれから起きてくると思うんですね、民間事業者が参入した場合。そこまで考えるのも変かもしれないけれども。
 例えば、利用者が差し出す際、一般事業者の、民間事業者のポストもある、郵便の公社のポストも、この郵便物を、一般事業者のポストに入れてしまった、あるいは一般事業者の人が郵便ポストに入れてしまった、そういった場合はどういったことになるんですか。届くことは届くでしょうけれども、郵便料金をもらってない郵便を運ぶことになりますね。こういったことがこれから出てくるという、ちょっとそのあたり。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 郵便物でないものが入っているわけでございますので、郵便として引き受けてないわけでございます。ですから、それは、郵便としては処理はしませんけれども、返却もしくは、どこも引き取り手がなければ処分するという形にならざるを得ないわけでございます。考え方は、先ほど申し上げたのと同じようなことでございます。
横光委員 民間事業者が参入したときの場合を言っておるんですよ。そのときは、同じ郵便物になるんじゃないんですか。ただ受け取り窓口が違うだけで、片一方は公社が引き受けるけれども、片一方は民間事業者が引き受けただけで、同じ郵便物になるんじゃないですか。そうじゃない。これが違うポストに入れられたときには、やはり運ばなければいけないんじゃないんですか。
 そこのところがよくわからないのですね。お互いにそういうことがあり得ると思うんですよ。郵便料金をもらっていないのに運ばなきゃいけない、そういうことだって起こり得ると思うんですね。それを返したりしたら大混乱しますよ。このあたりをちょっと整理しておいて。
團政府参考人 今、郵便局のポストがございます。そこに、切手を張らないで郵便を入れた、したがって、これは切手の張っていない、郵便物とも言えないかもしれませんけれども、そういうものと同じ扱いになるというふうに考えられるわけでございます。
横光委員 ですから、これから、同じところに二つポストがあるということはないと思うのですが、それでも、ポストに投函、あるいは新たな民間事業の差出箱に投函する場合、本当に同じ郵便という意識しかないものですから、入れる可能性がある。こういったことが起きたとき、どう整理するかというのは、やはりちゃんとしておいた方がいい。一々返すというとまた大変なことになる。
 こういったことから、差出人、受取人、公社それから民間事業者、この問題で、いろいろなことで、メール便の誤配達の義務規定もない、そういったことからいろいろな不都合が起きるんじゃないか。やはりメール便は、所管は違うであろうけれども、国土交通省と協議して、メール便に対しても、誤配達の通知義務というものをしっかりとつくる、これぐらいのことをしておかなければいかぬのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
 同様の対象を義務づけると、郵便法と。
團政府参考人 まず、いわゆる信書便の法案での取り扱いでございますけれども、これは、非常に大事だと思っておりますのは、信書便の約款というのをつくっていただいて、これを認可するということにしてございます。その中では、今御指摘のありましたような誤配達の場合どうするとか、そういう利用者と事業者の関係、これをはっきりしていただくというふうなことで、いろいろな整理をしていきたいというのがまず一つございます。
 それから、今また御指摘がございましたが、現在もやっておりますメール便との関係ということでございます。これらにつきましては、いろいろ御指摘もございますので、もう少し実態も踏まえまして、どういう改善が必要かどうかということも、必要に応じてまた国土交通省とも協議してまいりたいというふうに考えます。
横光委員 終わります。
    ―――――――――――――
平林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 各案審査のため、来る十一日火曜日及び十三日木曜日の両日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十一日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十六分散会


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