衆議院

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第24号 平成14年6月25日(火曜日)

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平成十四年六月二十五日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      河野 太郎君    左藤  章君
      佐藤  勉君    新藤 義孝君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      野中 広務君    山口 泰明君
      山本 明彦君   吉田六左エ門君
      吉野 正芳君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      島   聡君    田並 胤明君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      山元  勉君    山名 靖英君
      石原健太郎君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    今川 正美君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   総務大臣政務官      山内 俊夫君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (総務省郵政公社統括官) 野村  卓君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    松井  浩君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           洞   駿君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十五日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     山口 泰明君
  新藤 義孝君     谷田 武彦君
  田並 胤明君     山元  勉君
  横光 克彦君     今川 正美君
同日
 辞任         補欠選任
  谷田 武彦君     新藤 義孝君
  山口 泰明君     山本 明彦君
  山元  勉君     田並 胤明君
  今川 正美君     横光 克彦君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     大野 松茂君
    ―――――――――――――
六月十七日
 独立行政法人の組織等に関する予備的調査要請書(野田佳彦君外四十五名提出、平成十四年衆予調第二号)
は本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 日本郵政公社法案(内閣提出第九二号)
 日本郵政公社法施行法案(内閣提出第九五号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出第九三号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九六号)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省郵政企画管理局長團宏明君、総務省郵政公社統括官野村卓君、郵政事業庁長官松井浩君及び国土交通省自動車交通局長洞駿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田六左エ門君。
吉田(六)委員 おはようございます。
 今、国民のすべてが、特に私ども新潟の雪深い山間僻地あるいは離島、こうしたところの人たちは、かたずをのんで日本郵政公社法案、そして民間事業者による信書の送達に関する法律、この行く末を見守っている。ユニバーサルサービス、これが今まで同様、より以上に私たちの日々の暮らしを支えていただけるようなルールとして守られるんだろうか、こうした思いをお預かりして、質問の機会が与えられましたことに心から感謝をして質問させていただきます。
 と同時に、私は、当選してきてすぐが橋本行革の真っただ中でございました。総務省というばかでっかいこの省も、あのときに改革の名のもとで整えられて、そして片山大臣、私は決してお世辞を言うわけでないんですけれども、この幅広の省をお預かりになられて、自治省関係のかかわりから、郵政三事業、そしてあまた、よくお務めだなと思います。これは、こうした大変な幅のある省をつくったことでよかったのかなとさえ、知恵のない私ですけれども、今若干案じている。大臣であればこそお務まりになるので、今後はこれはどうなのかな、そんな思いさえいたしております。
 そんな思いから、まず委員長に、お願いというか一言申し上げさせていただきたいと思います。民主党松沢委員の総理に対する質問に対して、総理は、全逓、全郵政、特定郵便局長会議、選挙運動を頼んでいるんだから結果として改革に向けての押しというか歯切れが悪いとかと、そのとおりでありませんけれども、こうした答弁に対して理事懇預かりというようなことだったと理解をしておりますが、ひとつこの取り扱い、スムーズにしていただいて、そして、こうしてこういうふうにしたよということをできるだけ早目にお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
平林委員長 ただいまの吉田議員の御発言につきましては、理事会で協議中でございます。協議がまとまり次第、その結果を申し上げます。御了承を願います。
吉田(六)委員 よろしくお願いを申し上げます。
 さて、総理は、ユニバーサルサービスは公社が行うと明確に、ここ何遍かの先輩、同僚議員の質問に対して御答弁されています。諸外国の例を見ましても、ユニバーサルサービスと民間参入が一緒にうまくいかない、こういう例はあまたであります。そして、ユニバーサルサービスを確保するためにある部分の独占をも許しているというのが実情だ、こう勉強し、理解させていただいています。
 公社にユニバーサルサービスを義務づける一方で民間参入を実現しよう、このことはそれぞれ相離反、裏返しのことだと私は理解しています。ユニバーサルサービスの提供や三種、四種の国策にものっとった料金の減免、これを継続することを義務づけるわけですから、さすれば、外国でやられているとおり、こうしたことを義務づけて公社になさせるために、この財源はどのようにして確保されるのか。赤字の場合は国の補助金もお考えいただいているのであろうか。
 なおも言えば、これとまた裏腹になりますが、国庫納付金という問題がありますけれども、払わせればくれなければならない、これが道理でございます。根本的には、ユニバーサルサービス、そして三種、四種の料金減免は公社がおやりなさい、こう総理、定めていただいているものですから、この辺について大臣の御見解を伺わせていただきたいと思います。
片山国務大臣 吉田委員から大変温かいお励ましもいただきまして、ありがとうございました。
 ユニバーサルサービスと民間参入の関係ですけれども、これは国によって必ずしも同じじゃないと考えておりますし、諸外国で民間参入をやってうまくいかなかった例も御指摘のようにございますね。我が国では、このユニバーサルサービスの確保と民間参入によるいい競争状態によって、サービスがよくなることの両立をぜひさせたいものだと我々は考えております。
 したがって、民間参入される事業者の方には、ぜひ、いいとこ取りじゃなくて、クリームスキミングじゃなくて、ユニバーサルサービスをやってもらう。それから、公社の方は、現在の例えば三種、四種の政策料金やあるいは国際業務や書留ということを義務づけておりますけれども、これも公社の経営努力の中でうまくこなしてもらう。こういうことによってぜひ両立させていきたい、こういうふうに考えております。
 国庫納付金は、あの規定、もう少しはっきりしていないじゃないかというところがあるんですが、経営の見通しがつくまでは払わなくてもいいと言ったらちょっと言い過ぎになりますけれども、そういう思想があの規定の中にはございますので、公社の健全な経営の見通しがつくまでは国庫納付金は払うことはない、私はこういうふうに思っております。
 ただ、補助金を出したらどうかと。基本法でも、独立採算、企業会計、こう言っておりますから、特定のことについて特別に福祉的なことをやるんで公社に物すごい負担をかけるのなら、補助ということも一つの考えと思いますけれども、基本法の精神からいうと、補助なしで、経営努力でいろいろな難しいこともこなしていく、このことが筋ではなかろうか、こういうふうに考えております。
吉田(六)委員 やってみなければわからないということでありますけれども、うまく機能して、そして潤沢な利益を得るような状況になりせば、納付金よりも、体力をつけるために内部留保などという形で、かつて専売公社がたばこ、JTに、そして日本国有鉄道がJRにそれぞれひとり立ちしていくときに、頑張れ、元気でなと言って出発させてやったあの思いを私は忘れてはいけないのではないか。大事なユニバーサルサービスを担っていこうとしている公社でありますから、このことを一言申し上げさせていただきたいと思います。
 次いで、ドイツでは、総理大好きなドイツでありますけれども、民間化されて、郵便のユニバーサルサービスを確保するために、一年半ほどやってみたんですが、郵便局がぼろぼろと減っていくものですから、慌てて、ドイツ・ポストに郵便局は一万二千局の設置を義務づける、それから、利用者からは一キロメートル以内にポストの設置を義務づけているということでありますが、これは我が国とて同じことだ。今、日本国の二万四千七百の郵便局の数、この現行水準を維持するということを、もはや先人の例がありますから、これに倣って、あらかじめ法律で明記する必要があるのではないか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
片山国務大臣 今お話しのように、ドイツでは法律で、郵便局のそれ以上の減少をストップするというような法案も出されたことを我々も承知いたしております。
 そこで、今回のこの日本郵政公社法案の中には、郵便局が引き続いて二万四千七百体制を維持できるように、地域住民の利便の確保に配慮して郵便局を設置しなければならない、その具体的な人口や面積の基準は省令で定める、こういうふうに法的な手当てはいたしておりまして、当面、我々としては、この体制を維持していく、減少させる考えはない、こういう決意でございます。
吉田(六)委員 道路公団の関係につきまして、第三者機関、この人選について、私たちは国会同意人事をなしでいいということに定めさせていただいたわけでありますけれども、実際に法律ができ上がって動かすときになると、猪瀬なる者がそのメンバーとして入る、こんなことを目の当たりにしますと、何でもかんでも新しい法律をつくるときは細かく決めてもらわなきゃ安心できないなというのが私の思いであって、結果として今のような質問をさせていただいたわけであります。
 先般、この委員会で、六月の十一日でありますが、荒井委員から総理へ、郵政三事業は戦後、税金、国民の血税を使ったことがありますか、こういう質問をされました。これに対して総理は、税金を使っていないことを明確に答弁されていません。財投資金、そしてその融資を受けた公社公団等のことにまで言及されましたけれども、お返事は明確でなかったと私は理解しています。
 郵政三事業にかかわる者、あるいはこのことをよく理解する国民の多くは、郵政三事業は税金を使わずに、三事業の中の自助努力で大変いい成績で運用しつつあるんだよ、このことが誇りであります。できれば、総理のこの明確にできなかった部分、財投は、資金運用部に渡して、そこからは御自由にどうぞ、こういうことだと私は理解しておりますが、この辺、大臣、いかがでございますか。
片山国務大臣 前の委員会でそういう質問が荒井委員からありまして、私は、戦後のインフレの異常な時期を除いて、一般会計から郵政事業関係に税金が繰り入れられたことはない、こういうふうに答弁いたしました。
 それから、今お話しのように、財投の関係では、郵貯の場合に資金運用部への預託が義務づけられておりまして、義務預託なんですね。そこで、義務預託ですから、同時に、郵貯については返すときは政府が保証しているんですよ。そこで一応郵貯と特殊法人の関係は切れているんですね。あとは資金運用の運用で特殊法人や何かにお貸しして、それがいいか悪いか、その議論は、私は所管でもございませんからやる立場にありませんけれども、そこの関係で、郵貯は資金運用部に義務預託のところなんですね。
 ただ、特殊法人の方がおかしくなれば、結果としては資金運用部を通じて流れている郵貯や簡保の金が、簡保は義務預託じゃありませんけれども、それが返ってこないようなことになると、税金を補てんするということがあり得るな、こういうことを言われたんではなかろうか、私はこういうふうに思っております。
吉田(六)委員 説明はわかります。風が吹けばおけ屋がもうかる、このような、何か因縁があってなしのことをおっしゃったのであって、今の大臣の御答弁を私は了とさせていただいて、私は、そのように思い、また今後の法律の制定の中にもぜひこの精神を大事にしていきたい、このように思います。
 次に、民間運送事業者について少し御質問させていただきたいと思います。
 メール便という名称で、雑誌でありますとかカタログ等を運送しているわけでありますけれども、これに対する規制はどのようになっているのか。いわゆる事業許可、約款認可などが必要なのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 メール便といいますものは、主に企業を対象としたサービスでございまして、書籍、雑誌、商品目録等の比較的軽量な荷物を荷送り人から引き受けて、それらを荷受け人の郵便受け箱などに投函することによって運送行為を終了する運送サービスでございまして、平成十二年度から実施されておりまして、現在七事業者がこのような事業を行っております。
 このような運送サービスは、いわゆる貨物自動車、トラックを使用して行われる場合には貨物自動車運送事業法の対象となります。このために、新たに貨物自動車運送事業を開始する場合には、事業の許可、運賃・料金については事前の届け出、それから約款の認可等の手続が必要となってまいります。また、既に貨物自動車運送事業を行っている事業者は、メール便を対象とする運賃・料金を設定して届け出るということになります。
吉田(六)委員 私は、メール便という中で、バイクによる集荷、そして配達、このことも今随分と忙しいようでありますが、これは、バイクについても今の御答弁のとおり理解していいのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
洞政府参考人 そのとおりでございます。
吉田(六)委員 わかりました。
 メール便の料金は、今お話がありましたとおり、全国均一料金で届け出をしていると私は承知しています。現実には、利用者との相対でかなり弾力的に料金設定が行われていると聞き及びます。また、配達地域によって異なる料金設定なども行われているという話もあるわけであります。実態についてどのように掌握しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
洞政府参考人 メール便の運賃の実態についてのお尋ねでございますけれども、メール便の運賃には、重量に応じました全国一律の運賃を設定しておりますほかに、営業割引制度というものが設けられております。
 営業割引につきましては、具体的には、三カ月以上にわたって常時大量に出荷する荷主に対して、その数量に応じた割引に加えまして、荷主がメール便を行いますトラック事業者の最終営業所ごとに貨物を仕分けして持ち込む場合などにはさらなる割引も設けられておりまして、最大で五〇%を超える割引が行われております。
 このために、実際の運賃設定におきましては、この割引制度の範囲内で、荷主ごとに異なった運賃設定が行われたり、あるいは、同じ荷主であっても地域別の発送量に応じた割引が行われたりする結果、単価に差異が生じることがあるものと承知しております。
吉田(六)委員 以上二点のことを質問させていただきましたのは、メール便では郵便法第五条に違反して信書を取り扱っている、こういう話が漏れ聞こえてくるからであります。ダイレクトメール、残念ながら中身を点検するわけにはまいりません。メール便も公共事業であります。さすれば、なおさらのこと法律を守って事業を行うことが求められると私は考えます。
 国土交通省としては、民間運送事業者の監督官庁でありますから、これらを含めてメール便の実態をきちんと掌握されて、そして、なおも申し上げますけれども、郵便法第五条に違反して信書を取り扱うという、これらにかかわっても適切な指導を行う、このことが役務でなかろうかなと考えますが、この辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
洞政府参考人 郵便法第五条への対応も含めまして、メール便の実態把握、そして適切な指導についてのお尋ねでございますが、民間事業者によります信書の送達は郵便法の第五条において禁止されておりまして、このような違反行為に対しましては、信書を所管する総務省において適切に指導監督が行われるものと認識しております。
 我々は、監査等に入っていろいろな事業者に立ち入ります。そういう場合に、他の法令等に違反している事実がもし発見された場合には、それぞれを所管する省庁にそれを連絡する、そういう体制で臨んでいるところでございます。
 一方で、貨物自動車運送事業法におきましては、荷主とトラック事業者との契約のひな形となります標準運送約款におきまして、法令に反する運送を申し込まれた場合には、トラック事業者はその引き受けを拒絶することができる、こういう規定を設けて法令違反の防止を図っているところでございます。
 また、実際のメール便の事業が行われて二年ぐらいがたつわけでございますが、誤配送等々、いろいろ苦情等が私どもにも送られてきておりますけれども、そういうものを見ながら、消費者保護の観点から、事業者への指導等を行っているところでございます。
 国土交通省といたしましては、今後とも、このメール便が一般消費者にも身近なサービスであることを踏まえまして、トラック運送事業の適切な運営を確保する観点から、必要となる対応につきまして、そのさらなる実態把握も含めまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
吉田(六)委員 今の御答弁、了といたします。
 この委員会でこれからも濃密な議論が、新しい公社に向けてなされるわけでありまして、そして、ある日あるところで必ず収れんしていくわけでありますが、そうした動きの中で、メール便、これらも一緒にいかなければならない事業だと考えておりますので、この信書の取り扱いに対するチェックその他も適切にお願いいただけるようにお願いを申し上げさせていただいて、国民がかたずをのむように関心を持っているこの法案の行く末であります。委員会がいい意味での機能をして、そして、公社に移行していく中で、ユニバーサルサービス、それと一緒に弱者や国の政策にのっとった三種、四種の料金減免、これが未来永劫に守られますことを心から念じまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、武正公一君。
武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。
 郵政関連四法案に対する質疑を行わせていただきます。
 まず、冒頭、ちょっと質問通告にはございませんが、けさの新聞に、大臣の政治資金報告書の件の記事が出ておりました。地元の建設会社から、男性社員二十二歳を私設秘書として派遣、給与全額を負担していたことが二十四日わかったと。この新聞では、片山氏は、負担の事実を認めた上で、報告書の修正など措置をとると述べたと書いてありますが、この点について、事実の確認をお願いいたします。
片山国務大臣 去年の秋に、私の親しい会社の社長が来られて、うちの若い職員を、社員を勉強させたい、研修させたい、事務のいろいろな進め方とかいろいろな人を知るということもあるので、こういうことですから、それは勉強に来させてはどうですかと。それは私の事務所ではなくて、岡山県の参議院の第二選挙区支部でございます。そこに来てもらって、六、四ぐらい、特にあれがないときは車の運転なんかを中心にやってもらっておりますけれども、そうでないときは、会社の仕事をやっておるんです。
 それで経過しまして、そういうことなものですから、政治資金規正法上は労力提供も寄附になりますから、そこで三月までに、去年の政治資金の収支の報告をしますね、そういうことの中で、それを入れておくようにと言ったんですが、どうもそれが落ちているようなので訂正を命じたというのが事実でございまして、会社の希望で勉強に来ていただいておりますので、しかるべきときに、会社とももちろん話す必要がありますけれども、会社の方に帰っていただこうか、こういうふうに思っております。
武正委員 もう言うまでもなく総務大臣はこの政治資金規正法の所管大臣。その所管大臣が、政治資金規正法に基づく収支報告に誤りがあったということは、やはりこれはとても容認できない事実でございます。また、額の大小というような報道もございますが、額の大小に限らず、これはもう極めて重い事実であろうというふうなことを指摘させていただきたいと思います。
 それでは、関連四法案の方の質疑に移らせていただきますが、過去十年間に事務次官経験者の就職先を総務省からいただきました。そうしますと、交互に郵貯振興会と簡保事業団に就職をされております。過去二十年を見てもこういうような形になっておりますが、これは慣例というふうに見ていいのか。
 さらにまた、人事院の資料によると、人事院承認が必要な十級以上、各大臣に任せられている九級以下の就職先、これについて、人事院の報告では他省庁と比較すると郵政事業庁が一番多い、この理由、これをそれぞれ大臣、お答えいただけますでしょうか。
片山国務大臣 先ほどのお話ですけれども、あれは三月までに報告して、追加や訂正の期間を認めているんですよ、何カ月間。三月までですからね。そこで、選管とも手続をとるような相談をしておりますから、そういうことはぜひ御理解を賜りたい、こういうことでございます。
 それから、今の退職の話でございますが、事務次官が郵便貯金振興会と簡易保険福祉事業団にたすきがけで行っているんじゃないか、慣例ではないか。
 そういうことはありません。ただ、見ますと、次官経験者が行っている例は多うございますけれども、それは慣例だとか決まっているとかということではありませんで、やはり本人の能力、適性、経歴等を見て適材な人に行ってもらっている。特に、簡保事業団の方は総務大臣の任命でございますけれども、郵便貯金振興会の理事長の方は、これは評議員会で決める、こうなっておりますので、ぜひそういうふうに御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
 それから、郵政関係で民間企業に就職している人が多いじゃないか。
 これは絶対数が多いんですよ、御承知のように、私どもの方の職員は。それは武正さん、よく御承知だと思いますけれども、三十万人近い職員がおるわけでございまして、その点もひとつ御勘案賜りたいと思いますし、手続は、いずれも国家公務員法等の手続に従って適正な退職管理をいたしておるつもりであります。
武正委員 先ほどもお話ししましたように、事務次官の方は不思議に、この二十年間を見ると、またいただいた資料も十年間ですが、必ずどちらかに就職をしているんですね、交互に。ほとんど交互です。これはやはり慣例というふうに見ざるを得ないというふうに思うわけであります。
 さて、人事院さんもきょうお見えでございますが、人事院監査ということで、郵政事業庁、本省とそれから地方郵政局をやっておられますが、私は、これだけ多い方々が関連企業に就職するかどうか、そういったチェックをしなければならない人事院とすれば、この監査の頻度をもっとふやしていいんじゃないかというふうに思います。
 また、公社化法で国家公務員の身分とされております公社職員でありますが、そうすると今度は、人事院の公表対象はこれまでどおりなのかどうか、あるいは逆に、地方郵政局に対する人事院監査がこれまでと同様できるのかどうか、この点、あわせてお答えいただけますでしょうか。
中島政府特別補佐人 監査の頻度でございますけれども、再就職件数のおおむね二分の一というところを目標に監査を行っております。この再就職につきましては、省庁それぞれかなり習熟しておられますので、二分の一というところをめどに監査をしていけば大丈夫じゃないかという感触を現在得ております。
 それから、もう一つの御質問でございますけれども、郵政公社に移られましても再就職についての国民の関心が大変高いというふうに予想されますので、郵政公社に移行した後の再就職者についても現在と同じように公表してまいりたいというふうに考えております。
武正委員 今まで以上にきちっとやっていただきたいということが一つと、先ほど聞いたのは、地方郵政局も対象なのかどうか、これも変わらないということでよろしいですか。もう一度御答弁をお願いいたします。
中島政府特別補佐人 変わりません。
武正委員 私は再度、人事院の監査はこれまで以上に行うべきであろうということを重ねて申させていただきます。
 さて、お手元の方に理事会の御承認を得てお配りいたしました資料は、簡保の指定単の信託銀行の平成十二年度末の委託残高の一覧でございます。十六兆三千億のお金が中央三井信託さんを筆頭にこのような形で委託をされているといったことでございます。
 二枚目の方は、これは、総理の懇談会の方に松原委員が要求をして出していただいた資料ということで、いわゆるファミリー企業と言われるところに、平成十年から三年間、郵政事業庁からあるいは旧郵政省からどのぐらいの方が就職をされているのかという一覧表でございます。
 まず、ここに出ておりますリスト、二枚目の方でございますが、この企業を、郵政事業庁とかかわりの深い企業、いわゆるファミリー企業というふうに考えていいのかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
佐田副大臣 このリストを今拝見させていただきましたけれども、いわゆるファミリー企業、こういう考え方というのはないわけでありますけれども、いわゆる、退職された方々が本人の知識であるとか経験であるとか技能等を就職先に評価されて行われているものと思っておるところであります。
 先生も御存じのとおり、こういうことは厳正に厳しくやっておりまして、国家公務員法等の手続をしっかりやっておりまして、例えば退職されて二年以内の方につきましては厳正に行わせていただきまして、営利企業に勤めるときも必ずこれは人事院の承認を得る、こういうことでやらせていただいておるわけであります。
武正委員 いわゆるファミリー企業ということで、こうした就職と、それから郵政にかかわる事業を、どの程度仕事をやっておられるかというようなことも加味して、やはりこの関連企業というものは、郵政事業庁との関係は透明性があってしかるべきというふうに考えるところであります。
 さて、この資料に基づいて、幾つかの企業を取り上げながら順次質疑をさせていただきたいと思います。
 まずは、左一番上、ピーアイ投資顧問でありますが、これは、投資信託をお願いしている銀行から顧問料という形で年間二億円の顧問料を受けていたのではないかという疑いが財務金融委員会で我が党同僚議員、長妻議員から質問があり、また、質問主意書を内閣の方に送りまして、同委員会で村田副大臣が、そういったことがあればやはり調査を行うという旨の答弁を行っているんですが、質問主意書では、なかなかそれについては了とできないと回答がありました。
 ただ、その回答書では、八行が十六億円の顧問料を投資顧問会社に払っていたということがあったわけであります。きょうは村田副大臣お見えでございますが、委員会では調査を行うというように御答弁があったんですが、調査は行われているのか、あるいは、行われたとすればその結果をお答えいただきたいと思います。
村田副大臣 ただいま委員から、当時の財務金融委員会での長妻委員の質問に対しまして、そういったことがあれば調査をする、こういうふうに御指摘をいただきましたが、今もう一度、財務委員会の一月二十八日の記録を読んでみますと、私、「一般論としてお答えいたしますれば、銀行のあり方としてかかわる問題とあれば調査いたします。」という答弁をいたしておりまして、同じお答えになりますけれども、私ども、一般に、銀行の健全かつ適切な運営を確保するために必要がある場合には、報告とかあるいは資料の提出を求める、こういった方法によりまして、業務の運営等の状況につきまして実態の把握に努めているところでございます。
 ただ、個別の取引に関する事柄につきましては、関係者に不測の損害を与えるということもございまして、実態把握の必要性の有無を含めて、答弁を差し控えさせていただきたいということでございます。
 この点については、長妻委員からの質問主意書でも同趣旨のことをお答えさせていただいたところでございます。
武正委員 金融庁として、金融機関の健全な発展ということを第一義に考えるというような趣旨の御答弁だと思いますし、個別の取引についてはというような御答弁だと思うんですが、これは、国民の代表である国会での質問に対する答えでありますし、また国会という場は、立法府として、国権の最高機関として国民の代表者である国会議員が行政府である内閣にさまざまな質問をし、それは質問権として、それに対する答え、これは答弁としてやはり義務があるわけであります。それについて、今のお答えでは、あくまでも金融庁として、監督機関として、目が金融機関の方に向いているというような答弁としか受けとめられません。納得できないわけであります。
 再度、ちょっと質問を変えますが、きょう、お手元にこうした指定単の信託銀行の一覧がありますが、質問主意書では、八行から十六億円、顧問料をピーアイ投資顧問は受けていたといいますが、それでは、この八行はこの中に何行ありますか。質問主意書で八行十六億円というふうに答えておられますから。
 では、質問を変えましょう。まず、その八行はこの中にありますか。あるかないか、あるとすれば何行あるのか、お答えをいただきたいと思います。
村田副大臣 質問主意書でお答えをしたとおりでございますが、個別の取引にかかわることでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
武正委員 あるかないかだけをお答えいただきたい。個別でどこの銀行がということは言わなくていいですから、この中にあるかないか、それをお答えいただきたいと思います。
 また、これはもう指定単の運用で二〇〇〇年でも三兆を超える、三兆八千六百二十三億円の損益を計上しているということもありまして、単に個別のやりとりじゃないですよ。先ほど大臣も言ったように、郵貯、簡保で国民の貴重な財産をお預かりして、それをまた指定単ということで運用を図っている。
 これから郵政事業庁が自主運用を図る意味でも、この簡保の自主運用をまずやっているという実績を上げておられる郵政事業庁でありますし、ぜひ、ここは、まず副大臣、この中にあるのかないのか、お答えをいただきたいと思います。
村田副大臣 答弁の繰り返しで恐縮でございますが、個別の取引にかかわることでございますので、控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
武正委員 あるかないかですから、ちょっとお答えをいただきたいと思うんですよ。個別の案件があるかどうかということじゃないのですよ。この中に、十六億円が八行から渡っているわけですから。この指定単の、この銀行の中にあるかないか、それだけお答えをいただきたいと思うんですよ。
村田副大臣 まさにそのことが個別の取引にかかわることでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
平林委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
平林委員長 速記を起こしてください。
 村田副大臣。
村田副大臣 改めてお答えをいたします。
 御質問は、質問主意書では、七行とか八行というふうに行数についてお答えをいたしておりますし、また、「大手信託銀行など」と、こういう一般、普通名詞で「信託銀行など」というふうに書いてございますが、私ども、個別の行名をこの場でお答えすることに対しまして、いささか、本日の質問通告にもなかったことでございますので、もう少し精査が必要だ、こういうふうに考えております。
 理事会で御指摘があれば、もう一度お時間をちょうだいいたしまして、お答えし得るかどうかということについて私ども検討させていただきたいと思っております。
武正委員 これはもう質問の流れの中で出てきているあれでありますし、その場でお答えをいただけるものということで私は質問しているわけであります。今の答弁では、到底納得できないところでございます。
 また、これは「大手信託銀行」と言っているんですよ。では、ちょっと総務大臣、大手信託銀行はこの中に全部入っているんじゃないですか。この簡保の十六兆円の運用で、指定単で、いわゆる大手信託銀行、全部入っているんじゃないですか。違いますか。
佐田副大臣 繰り返しになって申しわけないんですけれども、投資顧問会社というのは基本的に民間企業でもありますので、なかなか言及することが、申し上げる立場にないということで御理解をいただきたい、かように思っております。
武正委員 ちょっとこれじゃ質疑できません。
平林委員長 それでは、理事さん、ちょっと集まってください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
平林委員長 速記を起こしてください。
 武正君。
武正委員 ちょっと質問を変えます。
 村田副大臣に伺いますが、このリストに大手信託銀行というのは全部網羅されているんじゃないですか。
村田副大臣 御指摘のとおりだと思います。
武正委員 要は、この大手信託銀行など八行が十六億円を払ったということは、もう質問主意書で御答弁がございました。
 今村田副大臣から、大手信託銀行はすべて網羅されているということでございますが、簡保事業団の簡保指定単、これをお願いしている信託銀行から顧問料をもらっていた、これがピーアイ投資顧問ということがこれでわかるわけでございますが、そこに郵政事業庁から就職していく、これがファミリー企業ということでの構図だというふうに私は理解いたしますが、総務大臣、この点、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、ファミリー企業という確固たる定義というものはありませんで、これは退職後の、要するにその方々の見識であるとか、そしてそういう知識を買われて、雇用する側の会社が雇われた、こういうことで認識しております。
武正委員 簡保指定単をお願いしているところからお金をもらう、これがやはり癒着でなくて何であろうといったところだと思います。
 さて、次にまた移らせていただきます。左側、順次質問をさせていただきますが、東北美装の発起人に郵政弘済会の理事長さんが入っている。その下の関東郵弘さん、現関東整美さんとなっておりますが、この社名がなぜ変更したのか、お答えいただけますか。
佐田副大臣 関東郵弘が平成十一年四月に名称を変えられたということは承知しておりますけれども、これは、経営判断であるとかそういうことを加味して、その理由がどういうことかは承知はしておりません。
武正委員 この表を見ますと、全部で六つの会社が社名を変更しているんですね。前は郵便の郵という字が入っていたんですが、最後の、右側の一番下の旧日本自動機器保守が東芝ソシオシステムサポートに変わったのを除くと、全部郵という字を取っている、これはどういった意味なのかなといったところもございます。
 それから、先ほどのピーアイ投資顧問、これが廃業した理由、これをお答えいただけますか。
佐田副大臣 先生言われる廃業した理由ということでありますけれども、要するに、投資顧問会社、これは競争も激しいわけでありまして、そういう中におきまして、簡単に申し上げれば非常に業績が上がらなかった、こういうことではないかと聞いております。
武正委員 ちょっとよくわからなかったんですが、競争が激しいから廃業したと。お答えください。
佐田副大臣 ですから、競争が激しい中において、どのような経理内容になっているかということは私はわかりませんけれども、そういう経営判断の中で廃業をされたと思っております。
武正委員 続いていきますが、中央ビルメンテナンス、東京ビル管理のそれぞれ、発起人に名を連ねる加藤桂一さんは郵政省のOBというふうに拝察をいたしますが、退職時の肩書は何でございましたか。
佐田副大臣 最終の官職は郵政事務次官でございます。
武正委員 続いていきますが、東海ビル美装も郵政弘済会事業として開始。中国ビル管理の主な株主は、郵政弘済会と清和株式会社。新興機材と東京高速郵便輸送の発起人を務める瀧本哲郎さんの郵政省退職時の肩書は何でしょうか。
佐田副大臣 最終官職は、瀧本さんの場合は東海郵政監察局長であります。
武正委員 互興建設株式会社の主な株主は、清和株式会社、津久井湖開発株式会社であり、主な得意先は郵政互助会。清和株式会社の主な株主は、郵政省共済組合、日本郵便逓送、関東整美。日本高速道郵便輸送の主な株主は、郵政省共済組合、日本郵便逓送、関東郵便輸送。要は株式をお互いに持ち合っているということもおわかりいただけると思います。
 そしてこの右側の方に行きますが、日本オンライン整備とぱるオンラインにこれが分かれた理由、東日本と西日本ということで分かれた理由、これをお答えいただけますか。
佐田副大臣 要するに、オンライン、東日本と西日本に分かれたという理由でありますけれども、郵政局のATMであるとかCDは、会計法の原則に従いまして、毎年、一般競争入札で調達しているところでありまして、郵便局ごとに異なったメーカーの機材が配置されまして、同一の郵便局でも異なったメーカーの機器が配備されるという、民間金融機関にはない特徴があります。
 このために、ATM、CDの保守は、どのメーカーの機器も確実に保守できる一括保守が最も効率的であることから、平成十年までに、各メーカー五社の機器、いずれについても保守できる保守会社が日本オンライン整備しかないのでは非常にこれは不明朗であるということで、競争を促進する、こういう観点からもこれを分離したんではないか、こういうふうに思っております。
武正委員 ここまで見てくると、名前を変えたり、企業を廃止したり、お互いに株を持ち合ったり、また不明朗だということで競争促進というようなことで会社を分割したりというようなことが、ここに出ている企業の中でおわかりいただけると思うんです。
 郵政省共済組合ということが先ほど出てまいりました。KDDの筆頭株主であり、今はKDDIですが、七万六千六百四十一株を有し、日本郵便逓送の五百二十二万株、これは千四百三十万株中の筆頭株主、先ほど名前が出てまいりました清和株式会社、日本高速道郵便輸送、また大阪郵便輸送の株式も有している。旧郵政省と関係の深い分野であり、仕事の請負関係にあり、離職後、多くの職員が再就職する企業の株式を監督規制官庁の職員共済組合が保有するというのはいかがなものかと思いますが、大臣の認識を問います。大臣、お答えをいただきたいと思います。
片山国務大臣 いろいろ御指摘ありますが、この株式保有については、過去の特別な経緯によるものと私は聞いております。
 これはKDDIが昭和二十八年に国際電信電話株式会社として設立当時、政府所有の株式が大蔵省より売り出されることになり、同社から、安定株主として郵政省共済組合に株式を優先的に割り当てたいので引き受けてほしい、こういう依頼がありまして、郵政省の共済組合が引き受けた、こういうふうに承知いたしておりますが、今後このような株式の取得を行う予定もございませんし、事業運営や行政の遂行に支障のないように十分配慮してまいる所存であります。
武正委員 やはり共済組合が、今はKDDIの話をしましたが、そのほかの清和、日本高速道郵便輸送など、日本郵便逓送、それぞれがまた、先ほど名前を挙げた、この表の会社の株を持っている。これは結局は、郵政省の意向が、事業の関係、さまざまな形で企業に反映をしていくということを指摘せざるを得ない、そんな仕組みになっているわけでありまして、これはやはり改めていくべきだろうというふうに考えるわけであります。
 さて、日本郵便逓送は、郵便局同士の郵便物の輸送を担う委託契約の六割から七割を占めております。会計検査院も問題点を指摘しようとしましたが、旧運輸省の規制緩和を注視するという姿勢でありました。今通常国会で郵便物運送委託法の改正により許可制が外れたことにより、平成十五年度から一般競争入札を実施するというように考えていいのかどうか、御答弁をお願いいたします。大臣、お願いいたします。
片山国務大臣 もう経緯は私よりは武正委員の方がお詳しいんでしょうが、現在は郵便物運送委託法第四条第一項の規定で随意契約を行っておりますが、今御指摘の法律が今国会でもう成立いたしましたので、その法令が施行された場合には、郵便物運送の安定的運行の確保を最重点としつつ、委託契約の見直しについて適切に対応してまいりたいと考えております。
武正委員 軽四輪の取集業務は既に一般競争入札を導入しているということでございますが、見直しということは一般競争入札を導入するということでよろしいでしょうか。
 いや、大臣ですよ。今の答弁に対するあれですから、大臣じゃないと困りますよ。
松井政府参考人 ちょっと事実関係で一つお答え申し上げますが、今の鉄道事業法等の一部を改正する法律の関連の関係法令がまず施行されなければなりません。これも踏まえながら、施行までには固めていきたいというふうに考えておるところでございます。
武正委員 私は大臣に伺ったので、一般競争入札を導入ということでよろしいでしょうか。
片山国務大臣 いや、そういうことを含めてと申し上げました。現行の随意契約を見直していくということでございますから、それ以外のケースも含めて検討する、こういうふうに御理解賜りたい。
武正委員 会計検査院は、一般競争入札が必要というような指摘はしませんでしたが、そういうような趣旨で検査をしております。含めてということですとよくわかりません。さらにもう一度御答弁をお願いいたします。
松井政府参考人 御案内のように、郵便事業を預かっております。これは日々大変な、膨大な仕事がございます。これを確実にやっていく、物量の波動性はございますが、それをきちっとこなしていく、この安定的な運行というものが私どもにとっては生命線でございます。(発言する者あり)いや、違います。
平林委員長 不規則発言は慎んでください。
松井政府参考人 今までは、会計法の規定に基づく中、それから郵便物の運送委託法の規定に基づく中でやってまいりました。全体的な秩序が変わっていく中で、どうしたらきちっと安定的運行を確保できるのか。今までは、事前の届け出と、事後、改善命令とのセットで料金が定まっているという状態の中での体系でございました。この体系が変わっていく中で、どうしたら本当に安定的な運行が確保できるのかということを最優先に考えながら、御指摘の競争的要素をどう加味していくのか、これを考えていきたいというふうに考えているところでございます。
武正委員 御担当のお立場とすればよくわかります。ただ、会計検査院が指摘はしなかったけれどもその旨で検査をした理由というのは、先ほども触れましたように、日本郵便逓送の株式、その大口の株主、最大の株主が郵政省共済組合である、そして委託契約の六割から七割を受託している。この不明朗な契約関係を問題として指摘しているんですよ。
 ですから、運送事業法も変わった、そして会計検査院も規制緩和の流れを見ている、注視をしているという中ですから、来年度から、含めてではなくて、一般競争入札、軽四輪の取集と同じようにしていいんじゃないですかということを聞いているので、大臣、お答えをいただきたいと思います。
片山国務大臣 今も松井長官が話しましたように、安定的な運送というものの確保をまず一つ考えなきゃいかぬ。そういう中で、今のような御指摘もありますから、随意契約以外にそれは一般競争入札もあるし、指名競争入札もあるし。だから、そういうことを含めて総合的に何が一番いいのかを考えていく、こういうことを申し上げているわけであります。
武正委員 私たちは国会の立場ですから、貴重な税金、それから国民からお預かりしたさまざまな財産、これが適正に運用されているか、そしてむだがないか、これをチェックするのが国会の役割であります。ですから、私はその立場で聞いております。
 今の問題は、会計検査院も指摘はしないけれどもそれをもとに検査したように、特定の、たくさんの郵政事業庁のOBが就職をしている会社が、そして、そこの筆頭株主は郵政省の共済組合である。日本郵便逓送が六割から七割の受託をしている。安定的な運送はわかるけれども、その不明朗な関係は問題ありということで聞いているわけであります。それに対するお答えが、総務大臣も国民に対しての説明責任を果たしていない、簡保の利用者に対する説明責任を果たしていないと言わざるを得ないんですが、再度御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 だから一般競争入札も視野に入れると申し上げているんですよ。ただしかし、それだけでやるということが本当にいろいろ総合的に考えた場合に妥当かどうかという判断なんですよ。
 だから、それは国民の目から見て納得ができるような形でしっかり対応するということを私も松井長官も申し上げているわけで、それはひとつ御理解を賜りたいと思います。
武正委員 なかなか一般競争入札をやるというような明快な御答弁が得られないのが大変残念であります。国民を向いて、しかも簡保の利用者を向いた運営がその監督官庁の総務大臣には求められる、そうした答弁をぜひこれからのこの郵政関連法案の質疑でもいただきたいということをお願いしたいと思います。
 こうして見てくると、規制監督官庁からの再就職、株の持ち合い、不透明な契約、そしてこれに対する会計検査院等からの指摘はないけれども、そうした点からの検査に見られるように、新公社が国家公務員の身分の職員を抱えて、ドイツ・ポストのような民営化を行わないまま出資を行うということは、これまでのファミリー企業と言われる、きょうお見せしたこれらの企業、それぞれのいろいろな関係、これを見てもやはり問題が多いというふうに考えますが、総務大臣、御所見を伺いたいと思います。
片山国務大臣 もう既に何度も当委員会でもお答え申し上げていますように、公社法をつくるときに出資をどうするか検討いたしました。
 公社に経営の自由度を与える、こういう観点からは、郵便事業についてはある程度範囲を限定して民間企業に出資できることも一つの選択肢だな、こういうふうに思いましたが、出資が適当な事業の範囲や、あるいは公社にふさわしい出資制度をどう考えるか、こういうことについてはなお検討すべき必要があるな、こういうことで今回の法案には盛り込まなかったわけでありますけれども、引き続いて我々はあるべき出資については検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
武正委員 出資については検討ということですが、今のこの体制、そして後でまた話がありますが、新公社にして独法にしなかった、あるいはさまざまな今までの旧の電電公社の国会への報告等との比較、あらゆる点で政府提案の公社は説明責任を果たしていない組織体だというふうに言わざるを得ません。そういった意味では大変、この出資について検討事項であるという総務大臣の発言については、今のこの法案で出資を認めることは断じて認めるわけにはいかない、このように申しておきます。
 さて、先ほどのピーアイ投資顧問でございますが、指定単、皆様にお見せをしましたこの表でありますが、第一位で三兆四千億の委託を受けております中央三井信託銀行でありますが、同銀行の格付は、国債の格付で今通常国会でも話題になっておりますが、ムーディーズでBダブルa、事実、投機的要素を持っているという指摘。スタンダード・アンド・プアーズではダブルBプラス、アウトルックではネガティブという指摘でございますが、運用を任せている簡保事業団はどういう評価でこの指定単の投資先を選んでいるのか、総務大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 今、何で独立行政法人にしないんだと。国会で決めたんですよ、基本法で。今の郵政事業庁というのをまずつくって、国営公社にするということは国会でお決めになったことで、独立行政法人とは性格が違いますから、それはなおよく御検討賜りたい、こういうふうに思っております。我々は基本法に基づくフレームで国営公社をつくっておるわけでありますから、その点もぜひあわせて御理解を賜りたい。
 そこで、今の、信託銀行の選択をどうしているのかと。我々は、簡保事業団におきまして、定性評価、定量評価、定性評価というのは、ファンドマネジャー等の運用にかかわる者の経験、人材配置に当たってどうか、あるいは、運用手法、運用スタイルに一貫性を持っているかどうか、投資の意思決定が計量的、客観的に行われているかどうか等を民間の専門評価機関に委託して定性評価をしてもらう。それから、定量評価につきましては、評価期間中に達成した運用実績を評価する。定量の方はわかりやすいですから、その結果現在のような委託残高になったわけであります。
 中央三井信託銀行というのは、一緒になったんですね、中央信託銀行と三井信託銀行が。だから、二つ一緒になったから多いということもありますし、それから、やった時期が比較的早い、こういうこともあるんではなかろうかと思っております。
武正委員 事実認識が違いますのでお伝えをいたしますが、両行が合併する前は約四兆円、四兆円近いということで、全体の約四割、四割近くを占めていた、それが合併して減ったのが事実であります。
 また、先ほど言ったように、事実、投機的要素を持っているという指摘を受ける同行がトップの運用をしている、委託を受けている、それが定性と定量評価で適正であるということが総務大臣の認識であれば、やはり問題が多いこの指定単の委託先であろうというふうに感じるわけであります。
 さて、続きまして、郵貯、簡保が〇一年度から自主運用になったんですが、三百七十兆円の運用を行うことが本当に可能なのかどうか、特に人材面でという心配があります。
 簡保の運用が実績があるからという御答弁がよくあるんですね。ただ、簡保の運用でも〇〇年度で三兆六千億の損失を計上している。そして、先ほどの投資顧問会社ピーアイ投資顧問と簡保事業団、そしてその監督官庁である総務省、その人材のいわゆる天下り、こうした結びつき、本当に自主運用ができるんだろうかということなんです。
 野村アセットマネジメントは、二十兆円の運用を六百人で行っている。運用の神様と言われる方に言わせても、一人一兆、本当にすばらしいそういったディーリングができる人でも一兆が限界だろうというような中で、先ほどの野村アセットマネジメントの計算でいくと、一万人が必要になってくるんですね。本当に自主運用ができるんでしょうか。総務大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 お話もありましたが、簡保資金は大正八年の創業から自主運用、郵貯は、全部じゃありませんが、六十二年度から自主運用をやってきている。これまでも毎年安定した運用実績を上げてきております。これを生かしていくということが一つ、ストックがある。
 それからもう一つは、郵貯、簡保の運用は、国債などの債券を大きな取引単位で長期安定的な運用を行うことが基本で、ちょこちょこ株を中心に売ったり買ったりする必要はないんですよ、安全で確実で長期的なことをやりますから。
 そういう意味では、これから人を育てていきますし、現在も、郵貯の関係が百二十六名、簡保の関係が百七十名やっておりまして、また、能力向上のために海外等にも研修に行かせる、こういうこともやっておりますから、私は、今の運用の体制あるいは方針で、さらにそれを向上していくことも含めて、大丈夫ではないかと考えております。
武正委員 その国債の評価が下がっているんですね。総務大臣、ちょっと質問通告ありませんが、国債の評価が下がっていることについてはどのようにお考えですか。財務大臣はあのように――総務大臣にお答えいただけないならいいです。では、今の質問はなかったことにします。総務大臣にお答えいただきたいと思ったので。国債、国債と言われるし、八割の、ポートフォリオは国債を中心にということですから、私は総務大臣にお答えをいただきたかった、大変残念であります。
 そもそも、私はまだ国会議員になる前でありましたが、先ほど、国会で決めたんですよ、新公社を決めたのは国会ですよというふうに言われたんですが、私は残念ながらそのとき国会にはまだおりませんでした。国会の議論を注視していたんですが、最初に受けたとき、行政改革会議の中間報告では、簡単に言うと、郵便は国営、郵貯・簡保は民営化と出たんですよね。その最終報告ですよね、同じ年の。半年間の間に三事業一体の公社化に変わった。この理由、何でこれが変わってしまったのか、これをお答えいただけますか。これは、大臣、お願いいたします。
片山国務大臣 これはいろいろな経緯があって最終的には現在のような基本法の形に落ちついたので、途中経過ではいろいろな議論がありますよ。私はそういうふうに理解しておりまして、最終的には、現在のような国営公社で一体として三事業をやる、公社事業としてやる、これが当時における最善の選択ではないかということで、国民の代表がお集まりの国会でお決めいただいた、こういうふうに理解しております。
 国債についてのお話がありまして、所管じゃありませんから、余り私見を申し上げるのはいかがかと思ったんですが、今の格付、ムーディーズですか、それが常に正しい、常にこれが権威があるというのもいかがかなと私は思っておりますが、これは全く個人の意見でございます。
武正委員 所管でないからお答えにならないということじゃなくて、国債を買っているのは郵貯、簡保ですよ。その所管大臣ですよ。ですから、所管でないから答えられないということでは、やはり説明責任は果たせない……(片山国務大臣「いや、格付や評価は私は言うあれではない」と呼ぶ)だから、その国債を買っている……(片山国務大臣「だから、今言いましたよ」と呼ぶ)
平林委員長 質問と答弁に分けてください。
武正委員 当事者として、重大な関心があるという御答弁を私は期待したわけでございます。
 さて、次に参らせていただきます。〇一年六月十二日の雑誌エコノミストによりますと、渋谷区千駄ケ谷三丁目あるいは世田谷区代田の戸建て官舎に、郵政三事業にはかかわらない職員が長年住み続けていることが指摘をされている。この費用、借り上げか建築か、それぞれお答えもいただきたいんですが、三事業のための費用を扱う特別会計のどの項目に当たるのか。また、同誌によれば、郵政官舎四万八千四百五十六のうち、郵政三事業以外の職員が住んでいる官舎が三百二あるとされるが、今もそうなのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
山内大臣政務官 お答えをさせていただきます。
 千駄ケ谷三丁目の宿舎は、昭和二十五年九月、国費によって建設をされておりまして、建築費用は郵政事業特別会計における支出項目となっておりまして、局舎其他施設費で支出をしております。つまり、土地建物は国のものであるということでございます。
 代田一丁目の宿舎については、昭和三十五年の九月、当時の郵政省共済組合の借り入れにより設置したものでありまして、借り上げ費用については業務費で支出をいたしております。ですから、土地は国のもの、そして建物は共済組合のもので、借り上げという形になっております。
 そして、当時、四万八千四百五十六の職員宿舎のうち三百二という数字でありますが、これは、平成十四年の一月現在におきましては四万六千八百四十四になっておりまして、郵政事業特別会計宿舎のうち、現在は三百二じゃなくて二百五十戸というのが実態でございます。
武正委員 郵政三事業以外の職員の宿舎の手当てを郵政三事業のための特別会計で行うことについて、問題があると考えますが、山内政務官、お答えをいただけますでしょうか。
山内大臣政務官 宿舎の貸与に当たりましては、所属する会計に応じて、一般会計職員には一般会計所属宿舎、そして特別会計職員には特別会計所属宿舎を貸与いたしている、これを原則にいたしております。
 旧郵政省では、特別会計部門と一般会計部門間の人事異動が非常に頻繁に行われておりましたから、同じ管内で少し部署がかわったからといって、ではこれは特別会計の宿舎だからあなたはこちらへ移りなさいよというわけにいかない、そこらあたりは多少の臨機応変で行っておったと思います。このため、特別会計の宿舎を一般会計の職員に貸与しているケースとか、その逆のケースが生じてきておるのは事実でございます。公社移行時には整理する所存でございます。
武正委員 先ほどの〇一年六月十二日のエコノミストで、両官舎は長年郵政三事業にかかわらない方がずうっと住み続けていた、あるいはいるということでございますので、異動したからということは必ずしも指摘にはならない。公社化に当たってすっきりとしていくというお答えをいただいたところでございます。
 さて、大臣におかれましては、当総務委員会の野中広務議員が、これは平成十年六月十一日号の週刊文春で、問題の本質は郵政事業特別会計にある、特に郵政の官房が使う車に青ナンバーが多い。別なところでは、特別会計に群がる郵政官僚というような指摘もあったんですが、このように批判をしているんですが、この点をどう認識し、これはどのように改善をされたか、お答えをいただけますでしょうか、総務大臣。
松井政府参考人 最初に事実関係だけ私の方から申し上げたいと思います。
 平成十年六月十一日号の週刊文春の中で野中先生の方からの記事があったところでございます。内容が、七けたの区分機、郵便の読み取り区分機でございますが、この導入が国民に大きな負担を与えているにもかかわらず、必ずしも効率化に結びついていないんじゃないかという点が一点目。それから二点目が、区分機の保守を通じて天下り先の確保を行おうとしている、こういった点について、これから総務省に変わろうとしている時代に、郵政事業に携わる者が国民の理解を十分に得られるよう事業運営を行うべしとの御指摘があったということでございます。
 それから、先ほど先生御指摘の官房経費等が特別会計であったというのは、当時そういう仕組みで、圧倒的に郵政事業の特別会計の部分の方が金額的に大きいものですから、そういうことで、特別会計で官房の経理を基本的にはやっていたということではございます。もちろん、一般会計に限定されたものにつきましては、一般会計で経理されておりました。
 それで、その後の取り組みでございますけれども、郵便番号の七けた化につきましては……(武正委員「そんなこと聞いていない」と呼ぶ)よろしゅうございますか。(武正委員「聞いていないです」と呼ぶ)はい。着実に成果を上げてきたと思っておりますし、それから定員削減も着実に成果を上げてきたというふうに考えております。
 それから、退職した職員の問題につきましては、国家公務員法等の手続に基づいて適切に措置するように努めてきたところでございます。
武正委員 私は、役職名がちょっと出てきませんが、質問通告していないんですよね。政治家の方にお答えをいただきたいということでやっているんですが、これだけ再三再四出てこられて、総務大臣も質問を譲ってしまう。貴重な時間ですので、ぜひ総務大臣にお答えをいただきたいということで、以下も当初の質問通告どおり、お答えをいただきたいと思います。
 さて、山内政務官、この特別会計でありますが、渡切費、平成十四年度分はゼロになっておりますが、この渡切費はどの項目になったのか。それと需品費一兆三千億円の内訳はどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
山内大臣政務官 お答えさせていただきます。
 今おっしゃいました渡切費の、平成十四年度においては、十三年度限りでもう渡し切りというのは打ち切っておりまして、そういったことで、十四年度予算においては、従前の渡し切り郵便局以外の普通郵便局等で用いられていた事務費の歳出科目であります需品費という形で計上いたしております。
 そして、その需品費一兆三千億の内訳はどうなっているかということでございますけれども、これは正味一兆二千八百七十二億円という計上をいたしておりまして、この需品費とは、人件費、旅費、諸税、各種分担金等を除く、郵便局などすべての郵政事業官署における業務運営上必要な一切の経費に使用されるものであるということ。
 そして、具体的な中身を申し上げますと、国会に提出いたしております各項目の明細書で御説明をさせていただきますが、五つばかりの大きな項目に分けさせていただきますと、集配運送費は一千九百六十四億円、そして賃金、これはアルバイトも含みますけれども一千七百七十七億円、土地建物借料は一千百七十三億、簡易郵便局手数料が二百三十三億円、切手類の販売手数料等が三百八十二億円、大体こういう大きな項目で分けさせていただいております。
武正委員 渡切費は需品費に入ったということでありますね。(山内大臣政務官「はい」と呼ぶ)
 さて、公社化によって、財務省主計局、会計検査院、そして総務省行政評価局によるチェック体制がこれまでとどのように変わるのか。使用前、使用後ではありませんが、それぞれお答えをいただきたいと思います。
砂田大臣政務官 お答えいたします。
 財務省におきましては、現在は、郵政事業特別会計予算、郵便貯金特別会計予算、簡易保険特別会計予算の国会提出に際し、総務省からの予算要求を受け、査定を行っているところであります。
 郵政公社発足後は、公社は、中期経営計画において事業計画や予算等を定め、総務大臣の認可を受けることになっておりますが、郵政公社法案においては、総務大臣は、中期経営計画の認可をしようとする際には、財務大臣に協議をしなければならない旨規定をされておりますので、そこのところで補完をされるかというふうに考えております。
 以上でございます。
武正委員 民主党の国対方針がありまして、ちょっと質問通告していないんですが、政務官におかれましては、鈴木宗男衆議院議員から六百万円の資金提供を政党総支部、北海道の十三……(発言する者あり)御静粛に。十三選挙区支部から寄附を受けていたということが報道されております。この事実について確認をしたいと思いますが、お答えをいただけますでしょうか。
砂田大臣政務官 既に参議院の委員会でも申し上げておりますけれども、その事実はそのとおりでございます。
武正委員 極めて明快にお答えをいただきまして、ありがとうございます。
 さて、質問を移らせていただきますが、会計検査院、お願いします。
円谷会計検査院当局者 公社法案によりますと、郵政公社も全額国の出資団体になりますので、会計検査院法第二十二条の第五項によりまして、検査対象になります。その点では、現在の郵政事業庁と何ら変わるところはございません。
武正委員 総務省。
佐田副大臣 もう申すまでもありませんけれども、郵政公社は法律によりまして特殊法人として位置づけられておりまして、これは、これまで総務省設置法に基づきまして、特殊法人の監督行政に関連する調査として、必要な行政評価、そしてまた監視の調査を行ってきたところでありまして、郵政公社についてもこのような取り扱いとなるということであります。
 したがって、郵政事業については、郵政公社化されても引き続き行政評価、監視の対象となることについて実質的に変わるところはない、こういうふうに考えているわけであります。
 また、余談ではありますけれども、行政評価は政策の企画立案機能に着目して評価を行うものであります。郵政事業庁が実施している政策についての評価は総務省本省を対象に行うものでありまして、これについては、郵政事業庁が公社化された場合であっても何ら変更はない、こういうふうに思っております。したがって、行政評価局が実施する政策評価の取り扱いについても変わるところはない、このように考えております。
武正委員 行政評価の対象がやはり変わってくるわけですね。これまで郵政事業庁そのものに対してできていた政策評価、これができなくなるといった点が、今の御答弁からおわかりいただけると思います。
 砂田政務官、再度ちょっとお聞きをしなければならないんですが、この六百万円以外の献金はありませんかどうか、これ、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
砂田大臣政務官 全くございません。
武正委員 極めて明快な御答弁、ありがとうございます。
 さて、会計検査院さん、新公社になりますと、これまで予責法の対象でございました郵政事業庁、これは対象外になりますか。
円谷会計検査院当局者 予責法の対象は、国または公庫等の職員ということでございますので、郵政公社の職員はそれに入らないというふうに理解しております。
武正委員 総務大臣、予責法について前も質疑をやりましたが、この予責法の対象から外れるといったことで、私はいかがなものかなというふうに思うんですが、御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 なるべく自律的、弾力的な運営、民間に近い形の経営がやれるようにしよう、国会も役所もできるだけ口を出さないようにしようというのが基本法の考え方ですね。そういう意味では予算等についても、国会の議決を要しない、こういうことになりましたから、予責法の適用はないと我々も考えておりますけれども、予責法の対象外になることに伴う弁償責任のあり方については、一般の例により、郵政公社の会計規程に定めることがどうかなと、こういうことで現在検討いたしております。
武正委員 やはりチェックが届かなくなるというのが、この予責法の対象から外れることでもおわかりいただけるわけであります。
 先ほど、独法の話を申しました。国会が決めたんだと総務大臣お答えがあったんですが、独法であるならば政策評価の対象でもあるんですよね。なぜ独法でないのか。国家公務員の身分をこの新公社の職員に与えるために独法を嫌ったのか、このことも含めてお答えをいただけますでしょうか、総務大臣。
片山国務大臣 独立行政法人というのは、ある意味では行政の一環なんですね。ところが、この郵政事業というのは、名前が事業がついていますように、大変事業的な色彩が強い、こういうこともありまして、国会でのいろいろな御議論の中で、今の国営公社の方式をおとりになったのではないか、こういうふうに私は考えておりますね。
 そこで、独立行政法人そのものも、行政評価の対象にはならないんです。独立行政法人自体は政策評価の対象にはなりませんが、やっていることはなるんですね。やっていることはなる。
 そういう意味からいいますと、この郵政事業につきましても、郵政公社そのものは私はならないと思いますけれども、郵政事業ということについて、いろいろこれから総務省とのかかわりもありますし、企画立案その他、総務省でやるわけですから、そういうことについてはこの政策評価の対象になると考えております。なお、しかし、細部は関係のところで詰めたい、こういうふうに思っております。
武正委員 先ほど、国会が決めた国会が決めたというお話ですが、平成九年十一月十二日行革会議の郵政省の意見、この中で、「郵政事業は独立行政法人化すべきでない」と郵政省が言っているんですよ。その理由として、独立行政法人の職員の身分は原理的に非公務員であると。これは事実認識が違うんですよね、独立行政法人、国家公務員の身分ということで。
 だから、こういった間違った認識を示しながら、独法ではだめですよということを、郵政省さん自身が行革会議の最終報告の前に言っているんですよ。
 私は、独法と公社化法を比べました。独法も問題です。国会への報告が非常に甘い点、独法が今水膨れしている理由はここにあると私は思います。役員が三倍になったという指摘が、既に今国会でもあります。
 比べますと、こうです。
 評価委員会によるチェック、これは独法はあります。評価と、しかも改善勧告ができる。剰余金の使途や財産処分についてもできる。公社化法はできない。
 審議会が評価に対して意見を述べ、勧告を行うこと、これも、独法はできるが、公社化法はありません。
 また、中期経営計画、年度計画、役員報酬、これは独法は公表義務がありますが、新公社化法にはありません。また、毎年度の職員数の報告義務もない。
 一方、独法には長期借入金の項目がない。公社化法にはある。
 こうした点を比べると、この新公社は大変チェックの甘い組織である。国会も、そしてさまざまな関係機関もチェックができない。これについて、総務大臣、いかがお考えでしょうか。
片山国務大臣 前の公社にしない、もっと自由にいろいろな経営的な、そういうことも生かせるようなものにしようというのが国会の意思なんですよ。だから、自律的、弾力的な。
 もし委員の言われるように、がんじがらめにしよう、役所と同じにしよう、今と同じじゃないですか。だから、自由を与えて大いにやってもらおう、大きいところは中期経営目標や事後評価でチェックしていく、こういうことなんですよ。
 できるだけ役所も国会も必要最小限度の関与にしよう、こういうのが制度の趣旨ですからね。そこはひとつ誤解のないようにお願いします。
武正委員 制度の趣旨で水膨れしていって、そして、そこに多くの天下りの職員が就職をしていく、お金がむだに使われる、それを理解しろというのが無理でありまして、国会の役割とすれば、チェックをしなければならない。税金が適正に使われているか、国有財産が守られているか、そして、簡保、郵貯に預けられた国民の資産が有効に使われているか。とても理解はできないのであります。
 さて、公社化法によって、特別会計もなくなります。国会も、チェックするすべがなくなります。これは、電電公社化法にのっとって、大臣に提出された年度予算書は国会に提出して、国会の議決を必要とすべきというふうに考えるんですね。
 自由にやらせればいいじゃないかというような大臣のさっきの御答弁でしたが、当初のエージェンシー化、これは、日本の場合は独法を目指していたんですよ。でも、独法よりも全然チェック体制が甘い新公社に、この政府提出法案はなっているんですよ。国会はチェックできません、公社の運営に当たって。この特別会計だって、よく中がわからない。今でもわからないのが、もっとわからなくなってしまう。
 再度、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。
片山国務大臣 国でなくて、国とは別の、何でそういう法人をつくって、そこに中期的な目標管理をしながら、できるだけ事後評価にして事前チェックはやらなくて、全体の事業の自律的、弾力的な経営を可能にしようかと、こういうことの御議論でそうなったんですよね。民営化という議論も結局はそういうことなんですよ、議論の先にあるのは。そこでそのときいろいろな議論があった中で、当時の国会は、こういう国営公社化を選択されたんですよ。
 独立行政法人は、行政の一部をやるんですよ。だから、ある意味では、がんじがらめ度が公社より強くてもそれはそれでやむを得ない、私はこう思いますけれども、何のためにこの郵政事業の改革をやるかということを、ぜひお考えいただかなきゃいかぬ。全部チェックして、細かいことまであれしてと、こういうことじゃないんですね。
 ただ、大きいところは、何度も言いますように、チェックするようになっておりますから、その範囲でやるということが今回の基本法の精神であり、今回の法案だと私は考えております。
武正委員 私は、一つお手本になるのが旧電電公社であるというふうに考えているんですね。ですから、先ほども、電電公社のように国会へ報告、その予算の議決、これがあったっていいだろうしということで質問をしたわけなんですが、自由に自由にといいながら身分は国家公務員である、これはやはり矛盾しているんじゃないですか。これはどうですか、大臣。
片山国務大臣 これも、恐らくいろいろな議論があったと思いますよ。
 独立行政法人も、最初は非公務員型だということでいったんですけれども、公務員型と非公務員型と併存で、今は公務員型の方がどっちかというと多いんですよね。
 そこで、郵政事業は、民間的な事業の要素も十分あるけれども強い公共性もあるので、しかも信書の秘密を守るというようなこともあるので、そこはいろいろな議論の上に国家公務員になったと、私はこういうふうに理解いたしております。
武正委員 質問を移りますが、郵政企画管理局の職員の給料は、現在、特別会計から支弁と。特別会計がなくなるとどうなるのか。また、管理局の規模はどうなると考えているのか。あわせて、郵政監察の職員は現在特別会計で給料を払っているが、公社化後は一般会計から支払うのか、これも総務大臣、お願いいたします。
片山国務大臣 特別会計は、もう御承知のように、公社発足によって廃止されるわけでありますから、総務省に残る内局の組織の人件費は、当然一般会計で支弁する。それで、監察の職員は、郵政監察は公社の職員で、今までのように考査、調査、捜査、防犯等をやるわけですから、これは公社の方の人件費で払う、こういうことでございます。
 そこで、現在の郵政企画管理局をどうするか、こういうことになります。かなりな部分は縮小することになると考えておりますけれども、具体的には平成十五年度定員として、仕事の状況、この法案の成立後の状況等を考えながら検討してまいりたいと思っております。
武正委員 郵政監察局の職員は公社が払う。こういったことは、今までも特別会計で払っていること自体が、例えば金融庁の検査、これはもう私は絶対押さえなければならない。先ほどの議論で、やはりチェック体制が非常に甘くなっているということなんでございますが、金融庁の検査官が、検査する銀行から給料をもらっているようだと。特別会計からお金をもらって郵政監察をやっている、また今度も公社から給料をもらって郵政監察をやる。身内が身内を厳しくできますか。こういった問題点、当然指摘をされるわけでありますね。
 さて、この郵政監察、GHQの主導でできたと聞きますが、この考え方の導入、当初は、昭和二十四年でありますが、事業内容の効率化、経済化の助成を図るため事業運営の施策に資する有効な改善策を助言すること。当初は効率化とか経済化が中心だったんですよ。それが、いつの間にか防犯などが主になってきた、変化をしてきたというふうに思うんですが、当初のこのGHQの考え方に従って導入した郵政監察の考え方、これについての大臣の所見と、なぜ変化したのか、お答えをいただきたいと思います。
片山国務大臣 郵政監察といいましても、内部監査ですからね、当たり前の話ですよ、内部監査するものを、その人件費をその組織自体が持つことは。
 それから、今、GHQが勧告云々というお話がありましたが、郵政監察は、考査、調査、捜査、防犯、こういう業務を通じまして、事業の健全な運営を確保することを設置以来の目的としておりまして、これは変わっていないと思いますよ。防犯、防犯と言われましたけれども、考査、調査等をかなり中心に行っている、こういうふうに私は考えておりまして、設置以来、その基本的な目的、業務等は変わっていない、こういうふうに考えております。
武正委員 内部監査だというお話でしたが、平成十一年六月号の逓信協会の雑誌で、新監察制度五十周年の対談で、郵便法五条に触れ、立石上席監察官が述べているのは、地域振興券など、信書独占の規制緩和に触れ、先ほどの郵便法五条に触れ、しかしやるときには省を挙げて意思決定をし、司法当局の理解をも得るという確証を得て、踏み出すべきときには踏み出したいと思っていると力強く、信書の定義を侵すやからにはしっかりと英断を持って向かうんだというようなことを言っているんですが、これは先ほどの内部監査とまたちょっと違いますよね。この点についてはどうですか、総務大臣。この発言についてどのように思われますか。
片山国務大臣 この発言の正確な趣旨は私はわかりませんし、それも読んでございませんけれども、郵便法第五条に違反する疑いがあれば事実関係を調査して、違反が繰り返されるような悪質の場合には捜査権を使って厳正に捜査する。監察の立場から当たり前じゃないでしょうか。
武正委員 私は、郵政監察の当初の目的が変化してきたのではないかというふうなことをるる指摘をさせていただいたわけでございます。
 やはり、身内が身内を裁くには甘くなる、身内が外部の者を裁くには厳しくなる。こういったことが、今度公社化で、そこから給与をもらって監察官が働くというのはやはり問題あり。私は逆に、行政評価局に置くべきではないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 これは全然、監察と政策評価は違うんですよね。そこはぜひ御理解を賜りたいと思います。
 内部監査と言いましたが、外部のそういう違反行為が全くできない、捜査権があるんですから、それをやるのはまた当たり前でございまして、そういうことは、最初にできてから、この使命、役割ということは変わっていない、私はこういうことを何度も申し上げているわけでございまして、政策評価とはまた違うんですね。この点はぜひ御理解を賜りたい。
武正委員 身内が身内をチェックするのは限界あり、やはり外部に置くべし。やっと郵政公社で外部に置いて自由にさせるんですから、そこに、内部に郵政監察官がいる必要はないということを改めて指摘させていただきます。
 さて、本法案では、審議会は八条機関とされておりますが、私は再度、これは三条にすべきであり、また総務省に置くべきではない、これはやはり内閣府に置くべきだというふうに思うんですが、大臣の御所見、改めてお伺いします。
片山国務大臣 三条機関というのは、これは独立して、ある程度、各種の執行権を持つようなものなんですよ。いろいろな規制を行ったり、是正命令を持つもので、典型的な例は公正取引委員会ですよね。ここで言う審議会というのは、そういうあれじゃないんですね。三条機関がお好きな方も大勢おられますけれども、これは大体アメリカ型なので、私は、八条機関がずっとベターだと思います。
 それから、何度も言いますけれども、法律に基づいてやるんですよ、我々は法令に基づいて。だから、内閣府に置いておけばちゃんとやれて、総務省ではやれないなんというのは、法治国家ということを否定するお考えにつながりますよ。ぜひそこは御理解賜りたい。
武正委員 消防法のときにも指摘をさせていただきましたが、日本は法治国家と呼べない。法律を守る人には厳しく、法律を守らない人には甘く。要は、行政のさじかげんがあるからこれが問題であり、準立法、準司法的なものは独立させるべし。
 独立行政機関については、大臣はよく、大統領制だから日本の議院内閣制と合わないとおっしゃいますが、アメリカでもやはり議論があるんです。大統領制であって、果たして独立行政委員会いかにと。ただ、それを乗り越えてきている。
 日本の議院内閣制においても、やはり行政委員会制度と行政訴訟制度で和田英夫さんが指摘をしています。戦前からの強力な日本の官僚制からの独立が必要なんだと。しかも、政党からの独立が必要なんだと。特に与党からの独立が必要なんだということで、独立行政委員会、三条委員会が好きだから言っているんじゃないんです。日本の行政を、さじかげんのきく、法律に基づいてという大臣のお話がありましたが、法律に基づいてさじかげんがきくんだったら、それは法律に基づいていないんです。書くべきものは法律に書くべきです。それによって厳格に運用すべきだと考えるんですが、大臣とこの点について、私はまたさらに議論を進めていきたいと思います。
 なぜ内閣府にというお話ですが、ドイツ・ポストは、経済庁のテレコム・ポスト規制庁と財務省の国有財産売却局、二重のチェックを受けるようになっている。私は、やはり正しい選択だと思うんですよ。いろいろな省庁からチェックを受けるような体制で、この郵政事業、新公社はあるべきだというふうに考えるんですが、この点についての御所見と、そして最後、ちょっと時間の関係で質問ができませんが、もう一問。会計監査人、なぜ任期が一年なのか。
 この二点、お答えをいただきたいと思いますので、一問目は大臣、二問目は副大臣、よろしくお願いいたします。
片山国務大臣 昔は、裁量行政というのはあったんですよ。今はもう、できるだけ裁量行政を少なくしようというのが立法に対する基本的な姿勢なんですよ。覊束裁量ということになっているんですよ。もう自由裁量というのはほとんどなくなっている。だから、法令に基づく行政だということを私は申し上げているわけであります。
 ドイツの例をお挙げになりましたが、テレコム・ポスト規制庁と財務省の国有財産売却局、これが両方規制しているじゃないか、こういうことなんですが、郵便事業そのものの規制はテレコム・ポスト規制庁がやっているんですよ。国有財産売却局の方は、民営化されたこのポストの株主として、資産価値についてのチェックをやっている、こういうわけでございまして、観点が違うんですよね。
 我が国の場合には、我々がいろいろなチェックをやらせていただきますけれども、お金に関係することにつきましては国庫大臣である財務大臣と協議する、こういう仕組みになっておりまして、幾らでも規制をする官庁をつくればいいというのは行革に反しますよ。どうやって効率的なチェックをやるか、有効なチェックをやるかという議論なので、別の機関をつくって別の機関でやればいい、こういうことでは私はないと考えております。
佐田副大臣 先ほど来からのお話にもありますように、自由な経営ということを考えたときに、株式会社の会計監査人の任期というのが、法律的に、就任後一年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結のときまで、こういうふうになっておりまして、総務大臣による財務諸表の承認のときということで、一年ということが一番適切であろう。いろいろなところを勘案しまして、一年ということを決めさせていただきました。
武正委員 これで終わりますが、総務大臣には、やはり先ほどのドイツの例ですけれども、財務省は例えば郵便で上げたい、それで株が上がりますからね。そのときにやはりテレコム規制庁は、カルテル防止からいかがなものか、ちゃんとチェック体制がある。それぞれがぶつかったときにどうするかといったら、首相が閣議決定したり、会計検査院が乗り出したり、国会の委員会で議論をする、いろいろなチェック体制でドイツはやっております。日本の今の公社化では問題ありということを再度申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、荒井聰君。
荒井(聰)委員 民主党の荒井でございます。
 民主党では逐条に質問をすることにしてございまして、私は信書便法の逐条を質問するんですけれども、その前にどうしてもちょっと大臣に、あるいは関係の政務官や副大臣に聞きたいんです。
 きょうの新聞に、片山総務大臣が、秘書給与を建設会社が負担と。先ほども武正議員が質問されておりましたけれども、今、国民は大変政治家に対して厳しい、特に税金の使い方について、あるいは秘書給与の使い方について、非常に厳しい目を持っておられます。これについて、武正議員にもお答えになったんでしょうけれども、再度お答え願えますでしょうか。
片山国務大臣 報道はいろいろありまして、正確な報道もありますけれども、大変不正確な報道もあるわけで、それはきょう記者会見でも言っておきましたけれども、私の事務所の個人秘書じゃないんですよ。参議院第二支部のそこの職員として、見習いをしたい、仕事を覚えたい、人を知りたい、こういうことでよこしたいということですから、それは結構ですという希望を聞いただけでございます。
 そして問題は、その人件費については、若い人ですから人件費、そう高くはありませんし、去年のものがことしの三月までの報告ですから、二カ月半について給与をちゃんと報告するようにということを言っておきましたが、どうもちゃんとしていないようで、三月までのものが、これは補正期間がありますから、その間にきっちり補正するようにということを私が言ったのがああいう記事になったわけでありまして、これはいわゆる秘書給与云々という話じゃ全くございません。会社なり当人の希望を聞いて、第二支部のそういうことの事務を手伝ってもらっている、こういうことでございます。
荒井(聰)委員 かつて自民党を中心として、各企業から秘書が派遣されている、そういうような実態があったと言われているわけですね。今、田中眞紀子さんの疑惑についてもそれに近いのではないかといったような報道もされているわけなんですけれども、そのようなことは総務大臣の場合には決してないですね。もう一度確認させてください。
片山国務大臣 いや、全くありません。
 しかもこれは、私が先ほども申し上げましたように、自分の会社の仕事もやっているので、主として私が二週間に一遍ぐらい帰ったときの車の運転その他をやってもらっているわけでございます。だから、全部が第二選挙支部の仕事をやっているわけでもない、こういうことでございまして、仮に六割選挙支部のことをやっているとすれば、六割分については、政治資金規正法上の扱いはこれは寄附になるわけでありますから、その寄附の届け出をする、こういうことでございます。
荒井(聰)委員 佐田総務副大臣もそこにおられますので、副大臣にもお聞きしますけれども、特定の企業からの出向といったようなことはございませんね。
佐田副大臣 全くありません。
荒井(聰)委員 それでは、逐条に入る前に、私は本会議で代表質問をさせてもらいましたけれども、そのときを踏まえて、少し疑問に思っている点を質問させていただきたいと思うんです。
 総務大臣、今回の公社法あるいは信書便法、この根幹に流れる問題は、独占というものに対する考え方、これは日本の場合には独占禁止法という法律がありますし、アメリカでも非常に厳しい運用が図られているんですけれども、この独占ということに対する考え方について、我が国ではまだ十分に議論もされていないし、国民的なコンセンサスもないんではないか。独占がもたらす弊害といったようなことについてのきちっとした議論がされていないがゆえの、さまざまな立場からの議論が出過ぎているんではないかと思うんですけれども、独占禁止法あるいは独占ということに対する考え方について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 私は基本的には、やはり国の独占でも民間の独占でも、これはよくないと思いますね。やはりそういうことがあると非効率で進歩に乏しくなる弊害があります。
 ただ、かつて社会主義云々だとか共産主義云々の議論がありましたときは、しっかり平等を保障するためには、国なり公が全部コントロールして、仕切って平等を保障する方がいいという議論もありましたね。しかし、結果としてはやはり自由主義で、お互いに競争をやって、そういう中から活力を生んで、それで、強者と弱者が出てくるので、弱者については別の形でこれを救っていく、こういうことの方が大きな社会的な考え方になっているので、やはり独占というのはむしろマイナスの方が大きいというのが今の一般の考え方ではないかと思っております。
荒井(聰)委員 私も独占についてはそのとおりだと思うんですね。
 ただ、日本の場合は、独占あるいは寡占というものに関してそれほど悪いイメージは持っていない、あるいは、大きければ社会的な責任が高くなって、それなりの社会的責任を果たしていくんだというような国民の考え方が根底にあるんではないだろうか。そういう中での独占というものの開放、あるいは一部を開放していくということに関して、今回もさまざまな意見が出ているんではないかと思うんですね。
 今回の公社法などでも、全面開放なのか部分開放なのかということについても随分議論があったんですけれども、これなども、やはり独占の禁止ということに関する国民的な議論が十分に行われていなかったんではないだろうかというふうに思うんですね。特に、郵便に関する独占は国家独占でありましたから、この国家独占についてどのように考えていくのかということに関して、私は、総務省あるいは旧郵政省の国民に対するPRというか、自分たちの立場を少し擁護し過ぎていたがために、この面の考え方というのがまだ十分に整理し切れなかったんではないだろうかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
片山国務大臣 郵便の場合には、私はまた独占云々とは別の議論もあると思うんですね。とにかく、憲法で言う表現の自由を保障する基本的な通信手段ですね、基本的な。それともう一つは、これは通信の秘密は守らなければいかぬ、このためには、そういうことを考えると、やはりユニバーサルサービス、全国公平にくまなくということで、これは効率だとか競争だとかというのはややなじまないんですね。だから、郵便事業については、それだけの国民の理解があったと私は思います。だから、ユニバーサルサービスを確保しながら競争を入れていって、そこでより安い、よりいいサービスを求めるということはあるんだろうと。
 ただ、郵便については独占の方がいいという意見も、私は確かにたくさんあると思いますよ。これはやはり事柄が特殊でございますので、お互いにいいところだけとり合うような競争よりも、やはり公平に公平に、しかもきちっと信書の秘密を守っていく、私は、こういう国民的なある程度の考えが、合意があったんではなかろうか、こう思っております。
 したがいまして、今考えておりますのは、ユニバーサルサービスはしっかり確保する、その上で競争を導入してよりいいサービスを求める、こういうことではないかと思っております。
荒井(聰)委員 今も大臣がお答えになりましたけれども、私は、やはり日本の社会の中に、まだまだ公取委あるいは独占禁止法という法律が根づいていない。なぜ独占がよくないのかということに関する国民的なコンセンサスがないがゆえに、郵便の場合にも、さまざまな要素はあるんですけれども、それからの議論の深まりがなかったんではないだろうかというように思います。
 ところで、この郵政公社については、私は、今までの公社公団とはやはり違う、新しいものを求めている、新しい理想を求めているな、そういう印象を持ちます。極めて自主、自律というか、どちらかというと民間企業に近いようなものを求めたところがあるんではないだろうかなというふうに思うんですね。
 その際に、民間企業などでも一番問題とされるというか一番大事なのは、やはり経営責任はだれが負うのか。民間企業の場合には、株主が、出資金を出資している人が、会社の経営が悪くなったときに減資になったり、あるいは倒産した場合には出資金が全部戻ってこなくなるといったような形で責任をとっていくわけですけれども、この公社の場合、片一方で民間経営的なものをねらいながら、本当に経営責任というものをしっかり国民の皆さんに訴える、そういう内容になっているのかどうか。そこは、よくわからないというか大変疑問に思うところなんですけれども、それはいかがでしょうか。
片山国務大臣 今までの公社とは違う新しい形の公社をと。そこで、いろいろな議論の過程で、かつての国鉄も公社でございましたが、国鉄がうまくいかなかったのは、国鉄の関係の方が言われておりましたけれども、経営の自由度がなかったというんですね。ことごとく監督官庁や国会に手足を縛られて、やりたいこともやれなかった、非常に時間がかかる、だからぜひ経営の自由度を高めてくれ、こういう議論があったようでございまして、そういうことを含めて今の郵政公社の基本的なフレームができたんではなかろうか、私はこう思っておりまして、もし、これで経営がうまくいかないときは総裁の責任ですね、総裁の責任になる。民間の企業なんかでも、やはり最高経営陣の責任ということになると思います。
 ただ、総裁一人ではありませんで、総裁の下は副総裁や理事もおるわけでございますし、それから国の監督権、総務大臣の監督権もあるわけでございますから、ある意味では全部の責任ということになりますけれども、しかし、最終的には総裁の責任だと考えております。
荒井(聰)委員 経営責任で一番社会的なあるいは国民的な影響力が大きいと思われるのは、郵貯、簡保の運用が失敗した場合ですね。先ほど武正議員に対しては国債を買ったり云々というようなお話があったんですけれども、この簡保、郵貯の運用益というものが公社の健全性、健全経営ができるかどうかというところの大変大きな要素になっているわけですね。
 その部分について、責任、だれが運用するんだろう、そういう技量を持った、技術を持った人がいるんだろうか、あるいはそれが失敗した場合にはどういう補てんなりなんなりをするんだろうか、そこのところについては大変議論が不足しているような気がするんですけれども、いかがですか。
片山国務大臣 郵貯、簡保等の運用につきましては、いろいろなチェック機能を中につくっていますね。いろいろな審議会の意見を聞くとか、運用のポートフォリオの手続も決まっておりますし、場合によっては財務省等との協議もありますし、そういうことでいろいろな意味での保険を掛けておりますが、しかし、それでも失敗したら、私は、やはり総裁の責任になる、こういうふうに思います。
 したがいまして、そういうことを含めて、今の過少資本を解消して内部留保を高めて、事が起こった場合にちゃんと補てんできる仕組みをこの公社の中に確立していかなければならない、こういうふうに思っております。
荒井(聰)委員 内部留保をふやしていく、あるいはそういう補てん財源をふやしていく、そういうことはぜひ必要だと思うんですけれども、それでも足りない場合にはやはり税金で補てんするということにならざるを得ませんね。いかがですか。
片山国務大臣 そういうことは想定しておりません。我々としては、想定していない、そういうことで今の三事業を努力していくと。
 今、御承知のように、郵便貯金事業も簡保事業もまだ相当の内部留保を持っております。郵便事業がやっと昨年度から黒字に転じまして、なお経営体質を強化したいということで定員の削減等も今努力いたしておりますので、そういう事態を我々としては想定しておりませんし、そういうことがないように最大限の努力をいたしたい、こう思っております。
荒井(聰)委員 そのようにならないように最大限に努力するというのは当然なんですけれども、しかし、経営というのは予期せぬことが起きるものですから、その場合には、やはり今の仕組みの中では税金で補てんする、それ以外考えられないのではないかというふうに思われます。
 ところで、経営の効率性を高めていくというためには、この公社の経営体をいかに合理的に、あるいはスリムにしていくのかということが大変大きな問題になろうかと思うんですけれども、この企業体の合理性をどのような形で確保していくのか、どのような方針で確保していくのかということに関しては、大臣、どのようにお考えですか。
片山国務大臣 今も言いましたように、我々は公社の移行を来年の四月、こう考えておりますから、本年度中に、今言いましたような健全経営ができる体質強化ということで、今、五カ年の定数削減計画や健全化計画をつくっておりまして、それを着実に実行していこう、こう思っております。
 五カ年間で、全部入れまして二万人ぐらいの定数削減を実は考えておりますし、機械化その他事務の合理化等も現在鋭意進めておりまして、これは民間が参入してきた場合にも公社としてはしっかりとした経営ができるような、しかも、公社としては特別の、また公社であるがゆえの義務づけも場合によってはあるわけでありますので、そういうことを総合的に考えて対応できるような公社にしようと、今努力しているところでございます。
荒井(聰)委員 先ほど、旧国鉄の場合の話をされていましたけれども、まさしく国鉄の場合には政治がぐちゃぐちゃにしてしまった。それから、そのほかの公社についても、監督官庁との間のさまざまな形のしがらみといいますか、そういうものが経営の自由度を狭めてしまって経営がうまくいかなくなった、そういう要因があると思うんですね。
 今回のこの郵政公社につきましても、郵政省との関係で、郵政省の幹部職員が公社に幹部職員として天下っていく、あるいは人事交流を図っていく、そういうようなことも考えられるんですけれども、これをやったら全くまた同じことになると思うんですね。その点はどうなんですか。
片山国務大臣 今、一生懸命検討しているところでございますけれども、少なくとも、理事や監事に仮になるとすれば、それはもうノーリターンでしょうね。それから、そういう理事や監事じゃなくて、その下の、例えば部になるんでしょうか、局になるんでしょうか、そういうところに行く人の場合をどういうふうに考えるか。全く固定化してしまいますと、それはそれでいいのかな、こういうことになりますし、大幅な交流ばかりやっていますと、何が何だかわからなくなりますので、その辺はどういう人事体制、人事交流がいいのか、今鋭意検討しておるところでございます。
荒井(聰)委員 監督官庁と監督される団体との間で実務者のレベルで人事交流を行いますと、それはやはり監督官庁の方が圧倒的に強い立場ですから、経営の自由度というのは徐々に徐々に失われていくというふうに思うんですね。
 きょうは、人事院総裁、来られているんですけれども、この監督官庁とこういう公社公団との関係で、人事交流というのをどういうふうに見たらいいんでしょうか。
 公社の採用については国家公務員として採用していくわけですけれども、そうすると国家公務員として採用するルートが二つできるということになってしまうのか、あるいは別の試験をつくって、郵政公社専門の試験を人事院はつくるおつもりなのか。そのあたり、試験の方式、採用の方式と、それから人事交流の二点にわたって、人事院総裁、どういうふうにお考えなのか、お聞かせください。
中島政府特別補佐人 先ほども大臣との間でいろいろ議論しておられるようですが、監督官庁とこの郵政公社との人事交流というのは、やはり監督官庁サイドはそれだけの、郵政公社の管理運営についての技術的な知識、経験等をお持ちでございましょうから、この交流について否定するわけにはいかない。しかしまた、交流することによって、公社の自主的な経営というものの芽が摘まれることがあってはならないということでございましょう。したがいまして、監督官庁は、そういう面に配慮しながら人事交流をしていただくということになるんじゃないかというふうに思います。
 もう一つのお尋ねでございますけれども、郵政公社が試験をされるというふうに私たちも考えておりますけれども、その場合に、やはり重要なのは、この採用試験の中立公正性というものをどのようにして確保していただくかということだと思います。郵政事業庁の幹部の方と私たちの幹部の方と、その点について現在、意見を交換し、協議を重ねておりますが、公務員でございますので、やはり全体の奉仕者を採用するということでございますから、中立性というものが重要でございましょう。
 したがいまして、その採用試験に当たっての中立性、公正性の確保についての視点というものを入れていただくという方面において私たちは御意見を申し上げ、郵政事業庁の方でも基本的に同意をしていただいております。これからそういう面において鋭意検討を進めてまいりたいというふうに思います。
荒井(聰)委員 大臣、郵政公社職員というのは、独自に採用試験をするんですか、もう一度確認を。
片山国務大臣 これは人事院との相談になると思いますけれども、人事院の了承を得ながら、独自の採用ということも考えております。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
荒井(聰)委員 まだ決まっていないわけですね。働く人がどういう形で採用されていくのか。身分は国家公務員という形で決まっているんでしょうけれども、どういう形で採用されていくのかということは極めて重要というか、骨格の部分なんだろうと思うんですね。それがまだ人事院との間で協議中ですということだと、私は代表質問でも、この法案は極めて生煮えの法案だというふうに話をしましたけれども、どういうふうに職員が採用されるのかさえ決まらない法案というのは、私は非常に問題だと思うんですけれども、大臣、どうですか。
片山国務大臣 正直言いまして、現在、人事院を含めまして、いろいろ相談をしている段階で、まだ固まっているというわけにはまいりませんけれども、今言われますように、来年の四月が公社移行でございますから、早急にこれは固めたい、こういうふうに思っております。
荒井(聰)委員 公社には確かに専門的な知識を有する人が必要なのでしょう。先ほどの、資金の運用などについても、普通の国家公務員でそれができるかどうかということになると、大変難しい事例でしょうし、そういう経験を積んだ人を郵政公社職員として採用したいという郵政公社の希望はよくわかるんです。しかし、国家公務員の採用が二系統になっていく、しかも、旧郵政関係では、特定郵便局長という、どちらかというと恣意的に採用されたのではないかと疑われるような採用の仕方があったと言われているわけですので、そういう中で、本当に公平性、中立性が確保できるのか。郵政公社それ自体が採用していくことによって、その郵政公社に採用された職員が本当に中立公正な形で採用されると言えるのかということを大変疑問に思うんです。
 そういう意味でも、人事院を一枚かますというとおかしいんですけれども、人事院の中立公正性、そういうものにある程度は依拠した方が私はいいのではないかというふうに思うんですけれども、大臣、もう一度御見解を。
片山国務大臣 言われるとおりでございまして、公社独自で、こういうことになりましても、やはり人事院と十分協議の上、了承を得たやり方で、今言いましたように、公平で中立的な、そういう採用に努めたい、透明度の高いものにいたしたい、こういうふうに思っております。
荒井(聰)委員 旧郵政省関係では、採用あるいは働く環境といったようなものの中でも、さまざまな問題が指摘されております。これらの問題は、ある意味ではもっと公務員制度の中で議論されていくべき、そこのところがおろそかになっていたのではないだろうかという疑問を持ってございます。
 ところで、人事院総裁おられますので、今、公務員制度改革の議論が行われています。特に、公務員の採用試験についても、各省庁が独自に、あるいは内閣で独自に行うんだ、そういう方向なんだというふうに言われているんですけれども、これは私は逆行しているんではないかと。
 まさしく今、公務員というのは、さらに一層公正さ、中立性というものが求められている中で、各省庁が各大臣の意向で採用していくといったような方式がとられるならば、それこそ自民党に好意的な人しか採用されないとか、そういったような事態だって考えられなくもない。このあたり、人事院総裁、一体どうお考えなんですか。
中島政府特別補佐人 国家公務員というのは、もう先生に申し上げるまでもなく、全体の奉仕者でございます。全体の奉仕者ということは、政治的に中立であることによって全体の奉仕者性というのが確保できるだろうと思います。
 したがいまして、公務員を採用するときには、その方が民主党の支持者であるか、あるいはまた自民党の政策の支持者であるか、そういうことには関係なく、専ら公務員として必要な能力を持っておるか、資質を持っておるかという点に配慮してやはり採用していくべきだというふうに考えております。
 現在、公務員の採用試験が人事院の職責、職務とされておるのは、やはり、政治的に中立であるという点に着眼して、公務員制度の、公務員の採用試験というものの責務が与えられておるんだというふうに思います。したがいまして、そういう意味において、私たちは、これからもこの採用試験の中立性、公正性の確保について鋭意努力していかなきゃならないというふうに考えております。
荒井(聰)委員 今、人事院総裁の言ったとおりなんですけれども、しかし実際は、特定の議員の言いなりの政策を実現するために走り回った外務省のある職員がいるとか、そういう実態がぼろぼろ出てきているわけですね。本当に公務員が公正中立なのか、そういうことが疑わしく、疑問に思うような事例が出てきているわけですので、その意味でも、この公務員制度問題というのは、もっと国民的な議論を呼ぶ、そういうような形で、ぜひ人事院が中心になって議論をしていただきたいなというふうに思います。
 さて、それでは信書便法に入ります。逐条の質問に入ります。
 まず、信書便法の第一条、これは目的が書いてあるんですけれども、目的は、「信書の送達の役務について、あまねく公平な提供を確保しつつ、」ということと、それから「利用者の選択の機会の拡大を図り、」この二点が規定されているんですけれども、この両者の関係というのは一体どういう関係なんですか。ある意味では、これは相反するようなニュアンスも含まれているんですけれども、この関係というのはどういうことを意味しているんですか。
片山国務大臣 これは両方両立させるということなんですが、私は、基礎はユニバーサルサービスだろう、こういうふうに思っております。ユニバーサルサービスが確保された上で、その上で競争をやって、さらにサービスの向上を図る、こういう関係ではないかと考えております。
荒井(聰)委員 ユニバーサルサービスが重要であるということは、私たち民主党もそういうように整理をしております。しかし、片一方で「利用者の選択の機会の拡大を図り、」ということも目的の一つにしているわけですから、極力、民間の参入が促されるように、それに必要な規制については必要最小限のものにするということが重要ではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 言われるとおりでございまして、やはり、ユニバーサルサービスを確保した上で競争をやっていただくためには、民間の参入を促進する、こういう必要がございますので、できるだけその規制は必要最小限度にする。
 例えば、郵政公社は手紙、はがきのほかに書留などの特殊取扱や国際郵便などの提供義務を付与されておりますけれども、民間の方には特にそれは義務づけない、信書便役務だけをやればよろしい、こういうことにいたしておりますし、料金につきましては、公社は原則認可制でございますけれども、一般の参入業者の方の料金は届け出制である。また、よくここでも議論になっております三種・四種郵便の社会政策的な料金の減免は、今の案では、公社には義務づけておりますけれども、民間事業者の方にはその義務づけはない、こういうことにいたしておりますし、全体の規制も、同種のものと比べると、それと同じか、それ以下ではないかと私は考えております。
荒井(聰)委員 大臣、信書便法における、総務省がどのぐらい規制やあるいは許認可権を持っているかというのを調べてみましたら、総務大臣の命令が六件、許可が六件、総務大臣の認可が二十件、総務省の政省令に定められている事項が二十九件。やはり、規制をなるべく少なくという趣旨からいくと、これだけの規制をかけているということは、今の大臣の答弁とはちょっと違うんじゃないだろうか、ここに民間業者は辟易して参入をあきらめているというのが実態ではないかと思うのですけれども、いかがですか。
片山国務大臣 そうやって全部拾いますと、それは、法律はいろいろなケースを想定していますから、ちょっと数が多くなるのですが、ただ、御理解いただきたいのは、郵便事業につきましては、何度も言いますけれども、信書の秘密はしっかり守っていただく、それからクリームスキミングではなくて、ユニバーサルサービスを確保していただく、こういう規制はどうしてもやらせていただかなきゃいけません。しかし、ほかの関係のあれに比べますと特に多くはない、私はこういうふうに思っておりますが、運用上、できるだけ透明度の高い、そういうことにしてもらいたいというふうに思っております。
荒井(聰)委員 総務省が何か旧郵政省に戻ったかのような、そのようなふうに思うのですけれども、ただ、想定されていたクロネコヤマトが全面参入をあきらめたということになりますと、当面、参入する業者はいないのではないか。本来、法案というのは、社会的にあるいは市場的にそういう需要が発生して、法整備がされたら、その法に基づいて参入してくる、この場合ですと参入してくる、そういう機運が盛り上がっているときにつくるのであって、この状況、この段階でこれをつくっても、つくった人にはかわいそうですけれども、本当に骨折り損のくたびれもうけの法案になってしまう。そういう意味では、この法案には重大な欠陥があったのではないかというふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 この法案は、中央省庁改革基本法のフレームに基づきまして、しかも学識経験者の公社化研究会の答申をいただきまして、それに基づいてつくりましたので、我々としては、最善のものだ、こう考えております。
 ただ、まだ細部でもう少し決まっていないところがございますから、全貌が明らかになれば、民間の事業者の中で、よし、やってみよう、こういうところもあるいは出てくるのではないかと思っておりますけれども、私は、まだ慎重に様子を見られている段階ではなかろうか、こういうふうに思います。全面参入ということになると、それはもう大変いろいろなあれが考えられますから、なかなかそこにぱっと踏み切るというのはあるいは難しいのかなと。
 そういう意味では、特定便サービスの方がずっとわかりやすい、全面の方はちょっと全体のいろいろなことがもう少しわかりにくいところがあるので、関係の民間の方が慎重になっているのかな、こう思っておりますけれども、特定便から入って全面にということもあり得るわけでありまして、そういう意味では、民間の関係の業者の方のさらなる御検討をお願いいたしたいと思っております。
荒井(聰)委員 先月でしたでしょうか、私が小泉総理に、民間参入がないではないかということを質問しましたら、必ず、総務大臣に指示して、民間参入がなされるようにするというお答えをされていたんですけれども、今の答弁を聞きましても、なかなか難しいんだなというふうに思います。その意味で、この法案の難しさ、あるいはこの法案の持っている意味というのが大変難しいというか、存在意味は何だったんだろうかということを改めて思います。
 人事院総裁、もう結構です。
 ところで、次に、第二条に入りますけれども、第二条では信書の定義がされております。
 信書の定義はかなり不明確になっていまして、基本的には、ダイレクトメール、クレジットカード、これは信書になるのかならないのかというところが最大のポイントだと思うのですね。総務省はなかなかそこのところはお答えになりません。
 これはよくわかるのですね。ダイレクトメールを信書外、信書ではないとすると、民間参入の可能性は極めて低くなる。ダイレクトメールを信書とすると、民間でできることは民間での原則違反になってしまうということで、ダイレクトメールですとかクレジットカードというのが信書なのかどうか、そのあたりはどこに線を引こうとされているのか。ガイドラインで決める、決めると言っておられるんですけれども、まさしくここが民間参入のポイントになっているんではないか。あるいは、既存の公社の方から見てみれば、健全な経営ができるかどうかという、そこの瀬戸際にこの問題がなっているんだろうと思うのですね。
 ここのところをいつも、ずっとあやふやにしたままこの議論を進めていく。この法律を成立させようとされているんでしょうけれども、ここをはっきりさせないところに、この法律の審議についてさまざまな意見が出てきたり、あるいは法律の趣旨にのっとっていないのではないかといったような議論が出てくるんですけれども、ここは実際のところ、どうなんですか。
片山国務大臣 荒井委員、信書の定義をどうするかが民間参入の条件じゃないんですよ。民間参入すれば、信書が何であれ全部できるんです。信書であるものはもちろん、ないものも全部できるので、参入しさえすれば、信書の定義がどうであるというのは関係ないんです。参入せずにやろうとするから信書の定義が問題なんです。参入されればどうということはないんです、全部できるんですから。参入せずに、法律で言う業者にならずにやろうとするから問題なので、しかしそれは、やっている皆さんのその気持ちはわかります。
 そこで、我々としては、法律にある程度判例で確定したものは書いて、残りの、際どいところは確かにあるので、よその国はダイレクトメールは信書ですよ。ただ、ダイレクトメールといいましてもいろいろあるし、新しいものが出てきますから、しかも不特定多数なんかまでが、そういうダイレクトメールも信書だという意見もありますから、そこで我々は、幅広く意見を聞き、パブリックコメントにもかけて信書の定義を明らかにしたい、こう思っております。
 クレジットカードや地域振興券も大変な議論がございます、今までもありました。しかし、それをぜひ、幅広い意見を聞いて、新しい観点から、国民の皆さんが納得できるような線引きをいたしたい、こういうふうに思っておりますので、参入されようという方はそこのことは余り問題にされずに、ぜひ、参入するとすればしていただきたい、こう思っております。
荒井(聰)委員 参入する人にとっては、信書論議というのは極めて大事な場面になっているし、あるいは郵政公社自身も、信書の範囲というのは極めて関心を持っているところだと思うのですね。そこに対して明確な回答がなされていないということは、私は極めて無責任ではないかなというふうに思います。
 ところで、郵政事業の公社化に関する研究会の中間報告では、民間参入の選択肢から三つ審議されていたはずなんですが、最終的には条件つきの全面参入を採用したと理解しておりますが、そこのところの経緯について、少しお聞かせ願えますでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、郵便事業の民間参入につきましては、昨年八月から、郵政事業の公社化に関する研究会の中で御審議いただいております。
 御指摘のとおり、その途中の案としましては、選択肢として三つある、一つは条件つき全分野への参入、二つ目は部分的な自由化、三つ目が段階的に自由化ということで議論がされてきたという経緯でございます。最終的には、条件つき全分野への参入が適当だというふうな結論になっておりますけれども、その観点は、冒頭にもございましたけれども、競争の効果を重視するという観点からこの条件つき全分野への参入が好ましいというふうにしております。競争の効果を重視する結果としまして、利用者利便の向上などの効果があるということを認めているわけでございます。
 ただし、この条件といいますものは、御指摘のとおり、クリームスキミングというものがございますので、これを防止するという点については条件をつけるというふうな意見になってございます。
荒井(聰)委員 この二条の関係では幾つかの数字が出てまいります。例えば、一般信書便役務の範囲というのは、三日以内に役務がなされること、それから特定信書便の場合には、三時間以内という時間が出てまいりますし、あるいは千円以上と。
 この三日以内、あるいは三時間、千円、これはどこからどういうふうに決められたのか。大変不思議に思うんですけれども、どうでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 今の、三日、三時間、千円、なるべく法律に書くということで、具体的な数字を挙げているわけでございますけれども、まず、三日以内の配達ということでございます。
 これにつきましては、研究会でも議論されておりますけれども、一般に現在の郵便のサービスといいますものが原則として三日以内で、これは郵政事業庁のサービスでございますが、やられております。新規参入ということになりまして、競争になりますけれども、そこにおきまして一般的な送達の水準が下がるということはやはり好ましくないというふうなことから、三日といいましても、差し出し日を含みませんので、実質四日目になりますけれども、その程度のことは確保していただく。
 また、日数を決めている一つの意味につきましては、採算性の低い地域とかそういうふうなところにおきましては日数をおくらす、そういうことがありますと、また実質的な、地域的なクリームスキミングということも発生しますので、こういうものを基本的に明定させていただくというふうなことで書いているわけでございます。
 ただし、祝日であるとか、それから離島間とかそういう特別な地域、そういうものにつきましてはこれは不可能でございますので、これらにつきましてはその例外として省令で除いていくというふうなことも根拠を置かせていただいているわけでございます。
 それから、特定信書便事業におきます三時間ということを法律で書いているわけでございますが、これについてはどうかということでございます。
 これにつきましても、研究会ないしその後の総務省のヒアリングも踏まえて法案に規定しているものでございますけれども、これにつきましては、主として事業者の意見としまして、二時間以内のサービスとか、あるいは千円以上で提供しているバイク便の延長線ということから、そういうサービスについて開放してもらいたいというふうな要望がございます。
 調べてみますと、現在、信書は配達しておりませんけれども、バイク急送便と言われるものにつきましては、都市部を中心に一、二時間、それから料金水準が大体一キロメートル以内千円程度というふうな内容でございまして、これに信書もあわせてサービスができれば、新しいことができる、新しいビジネスができるというふうなことがございまして、この三時間以内。
 それから、料金につきましても千円以上ということにしてございますけれども、これは、千円以上になりますと、従来の速達、書留とか、そういう料金を上回った料金でございます。そういう料金がありますと、これはいろいろなサービスが考えられるだろうということで、千円以上ということで、これは省令で多少の幅を持たせたいと考えておりますけれども、そういう考え方を持ちまして、こういう条件であれば民間らしい新しいサービスが出現するんじゃないかということで決めさせていただいているという理由でございます。
荒井(聰)委員 これは一部新聞報道によると、ソクハイの社長さんですけれども、特定信書便事業の要件の一つに三時間以内の送達というのは極めて厳しいという感想を漏らしていますね。今調べてみたらというお話なんですけれども、これは本当に調べたんですか。
 それから、千円以上というふうに規定が書かれているんですけれども、民間企業の場合、企業の合理化をすることによって千円以内にできる場合があるわけですね。千円以内になっちゃったら特定信書便でなくなってしまうのかというふうにも思うんですけれども、そういう心配もするんですけれども、そこはどうですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 我々の調べでございますけれども、今バイク便と言われているものにつきまして、料金でございますけれども、例えば一キロであれば千二百円とか、二キロであれば千九百円とかいうことで、おおむね千円を超えているのが今の例ではないかなというふうなことでございます。
 それから、三時間ということについて言いますと、これは三時間以内ないし千円以上ということになりますので、三時間以内のサービスであれば千円以下ということでも可能でございますので、幅としてはかなり幅広い特別なサービスが実現できるんじゃないか、そういう実態と認識しているところでございます。
荒井(聰)委員 時間がありませんので、もう少し先に進めさせていただきます。まだ二条で終わっていますので、私の役割は八条までなものですから。
 ところで、三条では郵便法の適用除外の話が出ているわけですけれども、この信書便法というのは郵便法の第五条の特例事項としての位置づけだろうと思うんですね。それならば、最初から郵便法の第五条を廃止する、そういう書き方もあったんではないかと思うんです。この第五条の適用除外規定というのを設けた信書便法については、第五条を廃止した場合にはどんな不都合があったのか、むしろそっちの方がわかりやすかったんではないかという指摘もあるんですけれども、大臣、そこはどうですか。
片山国務大臣 第五条を廃止しますと、だれでも信書の配達ができるということなんですね。だれでもできると。しかし、それは困るんですね、何度も言いますけれども。全国くまなくやってもらう、しかも通信の秘密も守ってもらう、そのための五条なんですね。五条をやめますと、だれでもできるんですよ、信書を。そうなると、それがクリームスキミングになる可能性も非常にありますし、あるいは信書の秘密が完全に守られるかどうかの保障もありませんし、そういうことで五条は残して、五条の例外として、一般の全面参入してくださる方はどうぞ信書もやってくださいと、信書以外はもともとできるんですから。そういうことで五条を残しているわけであります。
荒井(聰)委員 五条を廃止しても、書き方というのは私はまだあったんではないかなという気もするんですけれども、それはそれにしまして、次に、五条に進みます。
 五条は秘密の保護について書いてあるんですけれども、この信書送達業務にかかわる企業や職員が具体的にどのように信書の秘密を保護することになるのか、あるいはその場合の罰則規定などはどういうふうになっているのか、お聞かせ願います。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便法の第五条でございます。ここにおきましては、通信の秘密を保障しております憲法二十一条を受けまして、信書便事業者の取り扱い中に係る信書の秘密を侵害することを禁止するということにしてございます。これに違反しますと刑罰が科せられるという罰則もつけてございます。特に、侵害をする中で、信書便事業に従事する者、すなわち事業者とか職員ということについては刑罰が加重されるというふうなことで、秘密の保護を厳格に求めるという仕組みにしてございます。
 また、実際にそういう刑罰に至る前の管理の問題としまして、実際に実務的に信書便の業務を実施する上で秘密を保護するために信書便管理規程というものを策定していただくということにしてございます。ここにおきまして、秘密保護に配意した作業方法とかあるいは教育訓練、こういうものについての規程を設けていただくということをお願いするという規定を置かせていただいております。
荒井(聰)委員 六条と七条は事業の許可あるいは許可の申請の話が書かれていますね。管理する側の総務省としては当然だという言い方なのかもしれませんけれども、進出をしよう、参入をしようとする民間企業にとっては、事業計画を提出するということは経営内容あるいは経営戦略をオープンにするというのと一緒ですよね。これでは手のうちを全部見せてしまうということになって、それで参入についても足踏みをするということになるのではないかと思うんですけれども、このあたりは本当に必要だったんでしょうか。大臣、どうですか。
團政府参考人 最初にちょっと具体的なことについて御説明申し上げたいと思いますが、事業計画を出していただくということにしてございまして、その点の御質問かと思います。
 この事業計画の提出に当たりましては、例えば、信書便の引き受けの方法、それから配達の方法、信書便物の送達の方法、その他の事項ということになってございますけれども、これはいずれにしても、基本的に、クリームスキミングを避けるという意味で、それを実際どういうふうなことで計画していただいているかということを確認させていただくために提出していただくということにしてございます。
 例えば、具体的には、信書便物の引き受けの方法でございますけれども、こういうものにつきましては、信書便差出箱、その他の方法でも結構なんですが、そういうものをどういうふうな配置をするのか、その方針はどうであるのか、配置の数はどうであるのかというふうなこと。それから、配達の方法につきましては、一日当たりの配達回数ということと、例外的に地況的にどうしても戸別配達を行えない場合、それはどういう地域であるか、そういうふうなこと。それから、信書便物の送達の手段、事業開始時期、こういうものを確認させていただくというふうなことでございます。
 経営的なことにつきましては、例えば、料金も事前届け出制としてございますし、料金の届け出制の中の基準としましても、八十円のもの以外につきましては料金の自由度も認めておりまして、必ずしも、企業秘密にかかわるといいますか、経営戦略全般についてこれに書かなくちゃいけないということには考えていないところでございます。
荒井(聰)委員 役所が許認可権を握って、そして事業計画書を審査するときには、どんどん細かくなるのが一般的なんですね。北海道できょうエア・ドゥという航空会社が残念ながら民事再生法を申請したという新聞記事が載っているんですけれども、これなども、新しく航空会社が航空業界に参入しようとしたときに、運輸省に提出した資料の高さが二メートルぐらいあったとか、そんな話もあるぐらいで、いろいろな内容を事細かく、申請書の参考資料でしょうか、そういうもので提出させられていたという話をよく聞きます。
 私は、この法案が民間も参入させたいと思えば、もっと易しくといいますか簡単に、簡略に申請書を受けとめてやればいいと思うんですけれども、どうもそういうことではない、逆の動きの可能性があるのではないだろうか。そうなれば、申請書なり事業計画、審査する事業計画内容というのはますます複雑、あるいは精緻をきわめないとだめだというようなことになりはしないかという心配をしてございます。
 七条で信書便の引き受けの方法が書いてありますけれども、この信書便の引き受けの方法で、民間事業者が切手を発行することを想定されているんでしょうかどうでしょうか。また、引き受ける方法についてどのようなことを具体的に想定されているのか、そのあたりをお聞かせ願えますか。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便の引き受けの方法というところの御質問でございます。
 ここで、事業計画で引き受けの方法と考えておりますのはいわゆる物理的なことを考えておりまして、今御質問ありました切手を発行するかしないか、これは一切規制してございません。しかるべきルールに基づきまして切手を発行されても結構ですし、そうじゃなくても結構だというふうなことで、ここに引き受けの方法として記述していただく必要はないと思っております。
 今、引き受けの方法として考えておりますのは、多少議論にもなりましたけれども、例えば、信書便は差出箱によって引き受けるというのが基本だと思いますので、そういうものをどれぐらい設置するのか、どういう配置の方針で設置するのか、それから形状とか外観とか、事業者識別ができるかというふうなこと、それから利用可能な日時がどういうことであるか、これは恐らく定型的に決まってくると思いますので、そういうものを書いていただく、確認させていただくというふうなことを考えているものでございます。
荒井(聰)委員 最後になりました。やっと八条まで来ました。
 八条は、懲役または禁錮の刑に処せられた者や許可の取り消しを受けた者については信書便事業の許可を受けることができない、そういうことが規定されているんです。これは、犯罪は犯罪ですよね、確かに。しかし、禁錮刑の判決を受けて、それをちゃんと果たしてきたということになるならば、何も欠格事項にする必要はないのではないかというふうにも思うんですけれども、このあたりはどういう趣旨でこの欠格事項というのをつくられたんでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便事業は、御議論がございますように、通信の秘密にかかわるもの、それから利用者保護のための重要な事業でございます。こういうふうな公益事業につきましては、一般に、過去にこういう反社会的な重大な法律違反を犯した者につきましては、経営に参加することはふさわしくないということで排除するのが一般的でございます。
 ただし、法律違反につきましても、重大な法律違反ということで、微罪と申しますか、そういうものにつきましては入れておりませんが、やはり重大な法律違反を犯した反社会性の強い者ということについては、公益事業としてはふさわしくないということで排除するということにしているところでございます。
荒井(聰)委員 以上で私の持ち分の一条から八条まで終わりました。次の質問者がまた次を続けていくと思います。
 私は、この郵便ネットワークというのは社会インフラだと思うんですね。極めて精緻にできた社会インフラだと思うんです。社会インフラという概念からいけば、これをもっといろいろな形で利用できるように開放していくというのも社会インフラの一つの生かし方なのではないだろうか。例えば、道路というのは社会インフラです。道路で産業をつくったり、企業をつくったり、あるいは生活がよくなるといったようなことは、道路を開放しているからそういうことができていくわけですね。
 このように、インフラである、極めて貴重で、日本の社会の財産だと思うんですけれども、それを、郵政公社だけが独占するという形ではなくて、もう少し利用の仕方、あまねく社会的に広く利用できるようなことをもっと考えられたのではないだろうかというふうにも思ってございます。
 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
平林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。伊藤忠治君。
伊藤(忠)委員 伊藤でございます。逐次質疑をいたします。
 まず、逐条審議でございまして、公社法の第一条ですが、お読みいただきますと、ごらんのとおり「国営の新たな公社」、こういう明文がございまして、どういう組織なんだろうということを私はお聞きしたいのですが、これは第二条に「日本郵政公社は、法人とする。」こうございますから、これ、関連をしまして、一括してお伺いいたします。
 この条文に言うところの「郵政公社」といいますのは、どういう組織なんでしょうか。お伺いいたします。
佐田副大臣 公社の方は、先般も一度答弁をさせていただきましたけれども、旧三公社と一緒のところもありますし、また違うところもあるわけでありまして、法律によりまして、法律というのは中央省庁等改革基本法の三十三条の一項ということで、この法律によって直接に設立される法人であるということにおいては旧三公社と同じであるわけでありますけれども、例えば予算の国会議決、旧三公社の場合は予算の国会議決などが事前管理とされていたのに対しまして、郵政公社におきましては中期的な目標管理による事後評価、こういうふうになっております。
 また、旧三公社におきましては、例えば運賃だとか電話料金であるとか、そういうものにつきまして法定でその料金が定められたのに対しまして、郵政公社におきましては、郵便料金等につきましては認可または届け出。言うなれば、自律的かつ弾力的な経営、こういうことにのっとってやらせていただいておる。
 また、業務が国民の生活基礎サービスに非常に関連しておりますので、こういうことを考えたときに、職員の身分を国家公務員としておる。
 こういうことが旧三公社と異なるところでありまして、また、独立行政法人とちょっと違うところは、交付金を受けずに独立採算でやっておる、こういうところも違うわけであります。
伊藤(忠)委員 つまり、かつての三公社と比較をしますと、三公社の自由度よりもより民間に近い特徴を持っている、こういう御説明だと思うんです。だから、公社公団だとか事業団は横にのけますよね。これは対象になりません。ということは、特殊法人にこれは当たると思うんですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
佐田副大臣 そういうことであります。
伊藤(忠)委員 つまり、公社の組織の性格は公企体だ、後でも触れますが、ただ、その社員の身分は公務員だという点が従来の三公社とは違う点だ、これは特徴的に違う点ですね。そういうふうに理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
佐田副大臣 そういうことであります。
伊藤(忠)委員 今も副大臣がお答えになりましたが、改革基本法のたしか三十三条ですか、これがルーツになっているわけですが、改革基本法、私も特別委員会に参画をいたしまして、議論にも参加していますので記憶に新しいのですが、つまり、特徴が三つあったと思うのですね。
 一つは、中央省庁のスリム化ですか。当然、これに伴って廃止、統合が出てきました。これが一つの柱。二つ目には、現業部門の分離だったと思います。なぜ分離したかというと、民でできることは民でやろうじゃないかという当時の政府の方針があったと思います。三つ目は、地方分権化の推進だったんじゃないでしょうか。
 したがって、今副大臣が言われたのはまさしくそのことだと思いますが、民間との競合を前提にしまして自由度のある組織に改革をするというところに、「新たな公社」と呼ぼうが何と呼ぼうが、公社化の、そこに求める意思が具体的ないろいろなシステムとして働いている、このように理解をしてよろしゅうございますか。
佐田副大臣 先生の言われるように、民にできるところは民にということでありますけれども、基本的に、先ほど申し上げましたように、国民の生活基礎サービスに密着しておる、言いかえるならば、津々浦々、ユニバーサルサービスをしっかりと守って、そしてまたなおかつ非常に重要なことは、これは信書の秘密をしっかり守っていく、そういうことの観点から、国家公務員、こういうふうになったと思っております。
伊藤(忠)委員 そのことを前提にしまして、この法文の第一条を私はもう何度か読むんですが、これは明文といいましょうか、日本語の文のていをなしていない、私はこう言いたいんです。
 言っているのをずっと読んでみますと、「国営の新たな公社」までわかるんです。その後来ていますのは「独立採算制の下、」でしょう。これもいいですよね。それから、「信書及び小包の送達の役務、」というのは郵便のことを言っているわけで、次に、「簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段」というところはいわゆる郵貯のことなんでしょうね、決済システムを含めまして。その次に来ておるのは、「簡易に利用できる生命保険を提供する業務、」というんですから、これは簡保のことを言っているんです。だから、これは三位一体、三事業一緒にやりますよということなんでしょうが、その後がこういう表現になっていますよね。「当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う」、それから後はまた申し上げますが、「当該業務を行うための」というのは、三事業を行うという意味ですね。三事業を行うための「施設その他の経営資源を活用して行う」というのは、これはどういう意味なんでしょうか。ちょっと御説明ください。
野村政府参考人 お答えいたします。
 私どもの郵政三事業は、郵便局を一つのサービス拠点として活用しておりますので、そういった郵便局並びにそこに働く従業員といいますか職員、こういったものを指して、ここに言っています「経営資源」と言っているところでございます。
伊藤(忠)委員 たしか、これまでの公社の目的の中には、こういう持って回ったようなというか、抽象的な、聞かなきゃわからないような表現はなかったように私は思っていますが、あるからといってどうのこうの言うわけではありませんが、わかりにくい表現ですよね。それが一つ。
 その次に、「活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的とする。」全然これは意味をなしていないと思うんですよね。私の言いたいこと、おわかりだと思うんですが。そういう資源を活用して国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資する業務、よく理解できませんし、どうもこれは文章的におかしいじゃないですか。私、文章にけちつける気は毛頭ありませんが、これは日本語としておかしいんじゃないですか。
野村政府参考人 この表現といたしましてこういった表現を使っているわけでございますけれども、これは具体的には、業務の範囲のところで郵政三事業以外に、国庫金の取り扱いとか外貨両替とか国債窓販とか、こういったいろいろな業務をやってございまして、それを総括して表現したものが、この「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務」という形でまとめて表現したところでございます。
伊藤(忠)委員 次に、自民党の荒井先生の発言で、小泉さんとかなりやりとりがございました。あのときに国民の福祉向上に貢献をするということもかなり強調されましたけれども、これはここには御指摘のとおり一言も入っていないんですよね。一言も入っていません。だから、「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的とする。」福祉の向上なんて全然入っていない。この辺はどうなんですか。
野村政府参考人 この件については前に御答弁を申し上げたと思いますけれども、我々、郵政事業は、郵便、貯金、保険等の業務をやっているわけでございますけれども、それぞれ、例えば郵便業務についての具体的規律については郵便法で書いてございます。その郵便法の方に公共の福祉の増進ということを書いてございますので、そういった公共の福祉の増進を目的とした郵便業務等をまとめて郵便局を使って総合的に行うということでございますので、公共の福祉の増進というのはそこで読めるということで、あえてそこに規定しないところでございます。
伊藤(忠)委員 ひっかかるような質問なんですが、そうすると、結局、郵便法で決めているから特別法の公社法にはそういうものは書かなくても、郵便法に書いてあるから、そこで包括的にそのことは含まれている、こういう理解ですか。
野村政府参考人 お答えいたします。
 郵便事業については、先ほど言いましたように、郵便法の方で公共の福祉の増進に資するということを書いてございまして、それ以外にいろいろな業務をやってございます。例えば外貨両替等々やっているわけでございますけれども、それは外貨両替の関係法律に基づいてやっているわけでございまして、そういったところについては、外貨両替に関する法律の趣旨にのっとってやるということでございます。
伊藤(忠)委員 こんなやりとりしていてもしようがないんですが、実際の話が、条文を読んだら、どうもすとんと落ちない部分もありますよ。だから、荒井先生が言われたように、福祉の問題が入っていないじゃないか。実際には公社がやっていくんでしょう。公社が我が国の郵便事業の言うならばチャンピオンとしてやっていくわけですが、そのことが法の目的に据わっていないということは、むしろ、そのことよりも国民生活の安定だとか経済の健全な発展というところが重点的に置かれていて、福祉そのものは隠れているわけですよ。
 だから、私はこういうふうに推測しますよね。例えば三種、四種だとかとありますね。福祉の皆さんにサービスをしているという部分はあるじゃないですか。ところが、だんだんこれは民間経営のベクトルがそちらへ進むに従って、そういう福祉サービスというのは、むしろ、これは社会政策上やってもらうんだから国の方で負担してくれや、ここでは負担しませんよというところにどうしたっていくんじゃないでしょうか、将来は。僕はそうならざるを得ないと思うんですよ。
野村政府参考人 三種、四種につきましては、これは公社法で規定しているわけじゃなくて、御案内のように郵便法の中で規定をしておりまして、何度も申しますけれども、郵便法は全体として公共の福祉の増進に資するということでやっているわけでございますので、その精神にのっとって三種、四種についても規律されるといいますか、規定されているというふうに考えているところでございます。
伊藤(忠)委員 私は、法律の軽重をあえて言うならば、やはりこの新たな公社がやっていくサービスの中身は何かということで規定していくわけですから、その中で一言も入っていないということは、行く行くはそういう福祉サービスについてはもう私のところでは面倒見ませんよ、これは国が面倒見てくださいよというふうに、必ず私はそうなっていくと思います。これは見解の違いでしょうが、私はそう思いますね。そうならなきゃいいんでしょうが、私はそのように思いますから、しっかりひとつ腹に入れていただきたいと思います。
 条文は飛びますが、十八条に「職員の任命」というのがあります。この職員の任命というところでお聞きをいたしますが、この公社職員、公社員と呼ぶんですね、これからは。公社員と呼ぶわけですが、その公社員と呼ぶ場合の任命権者、これは総裁なんでしょうか。
野村政府参考人 公社法十八条にございますように、「公社の職員は、総裁が任命する。」ということでございますので、任命権は公社総裁にあるということでございます。
伊藤(忠)委員 すると、総裁は、公社員である公務員を任命されることになりますね。
野村政府参考人 おっしゃるとおりでございます。
伊藤(忠)委員 総裁は公務員なんでしょうか、この新たな公社法で言いますところの。
野村政府参考人 総裁も公社の職員でございますので、国家公務員でございます。
伊藤(忠)委員 当然、副総裁も理事も公務員なんですね。これは答弁要りませんが、そうだと思うんです。すると、この公務員というのは、一体何を指して公務員と定義づけるのかということだと思います。
 そこで、これは、人事院総裁がお越しいただいているわけですが、ありがとうございます。お聞きをいたしますが、国家公務員法第二条で一般職と特別職に分けられていると思うんですが、一般職を国家公務員と呼ばれていますが、そういうことでよろしゅうございますか。
中島政府特別補佐人 国家公務員には一般職と特別職がございますが、一般職も特別職も国家公務員でございます。
伊藤(忠)委員 公務員という定義は存在をするんでしょうか、御説明いただきたいと思います。
中島政府特別補佐人 法令上、国家公務員とはということで規定したものはございません。ただ、戦後、講学上、学者の世界、我々実務家の世界もそうですが、我々の世界では、国家公務員とは三つの要件を原則として備えておることというふうに言っております。
 一つは、国の事務に従事しておること。国の任命権者によって任命されておること、それが二番目でございます。三番目は、原則として国から給与を支給されていること。この三つの要件を備えておる場合には、通常、国家公務員というふうに言っております。
伊藤(忠)委員 この郵政公社は、国家行政組織法というんですか、つまり国の組織はこうなんですよというのが決まっていますよね、あの範疇に入るんですか入らないんですか。これは総裁でない、大臣ですね。
野村政府参考人 お答えいたします。
 公社は、御案内のように国とは別の法人格を持つ法人でございますので、組織的には国家行政組織の外ということでございます。
伊藤(忠)委員 今総裁が御答弁いただきました、三つのケースに入る場合には公務員、特に一般職の場合でしょうが、公務員というふうに判断をされる、そういう定説に基づいてきましたと。今、国家行政組織法には新たな公社は該当しないと。すると、国の業務ではないわけですね、特殊法人は。その辺はどうですか。
野村政府参考人 国家行政組織法下の業務が国の業務ということでしたら、国の業務じゃないということになろうかと思いますけれども、私ども、国営事業でございまして、最終責任を国が負うという意味からすると、国の業務と言ってもいいのではないかなと思っております。
伊藤(忠)委員 人事院総裁に伺いますが、つまり、国の組織ではない、国の業務ではないことをする人が国家公務員であるというのは、これは理屈が立たないんじゃないですか。どうですか。
中島政府特別補佐人 郵政公社の職員に国家公務員の身分を付与するかどうかということにつきましては、恐らくいろいろな議論があったんだと思います。ただ、その経過は私がつぶさに存じておるわけではございませんけれども、郵政公社で行う業務の性格というのを恐らくよく検討されたんだと思います。
 例えて言いますと、先ほどから議論になっておりますように、守秘義務をかける必要がある業務じゃないかどうか、あるいはまた、その業務の性格上、滞ってはならないというので、争議行為を禁止するとか、あるいはまた、郵政公社で行っておる業務等から考えて、かなりの力を持っておる団体だ、したがって政治的行為というものを制限しなきゃならないというようなことが議論されたんじゃないか。
 そういうようなことから考えて、国家公務員の身分を付与した方がいいという御判断もあったというふうに私は推測しております。
伊藤(忠)委員 公務員であるかないかという最終的な判断は、どの場でこの規定はきちっとつけられるんですか。今の総裁の話を聞いていたら、こういう経過があったらしいというので、どこがこれは認定するんですか。
中島政府特別補佐人 先ほどから議論になっておりますように、中央省庁等改革基本法、その三十三条において、郵政公社の職員については国家公務員の身分を付与するというふうになっております。
 したがいまして、こういうふうな条文が生まれてきた、背景の考え方というのはいろいろあったんだと思いますが、先ほど私が答弁申し上げたようなことも恐らく考えられたんだろうというふうに思います。
伊藤(忠)委員 だから、これまでの考え方で整理をすれば、総裁が言われたように、副大臣も言われたように、新たな公社組織というのはかつての三公社よりも自由度はむしろ高いわけですね。だから、これは特殊法人なんですよ。特殊法人は国家行政組織の範囲から外れているわけですよね。その職員に対して公務員という冠をかぶせるということは、従来の政府の一つの考え方からしたら、これを変えるものなんですよね。それを踏襲したらつじつまが合わないわけですよ。しかし、にもかかわらず、改革法三十三条でこういうふうになりましたからというところへそこが飛んじゃうわけですが、筋からいえばこれはおかしな話なんです。
 だから、私は思うんですが、改革基本法の三十三条をお読みください。こう書いてありますよ、「特別に付与し、」と。国家公務員の身分を「特別に付与し、」となっております。なぜ「特別」という文字があるのか、私もいろいろ考えてみましたが、結局、だから、つじつまが合わないけれども、政治的に考えるしかないと思うんです。政治的な理由で特別に付与して、国家公務員として扱え、こういうふうになったんじゃないかなと私は思うんですが、どうですか。
片山国務大臣 今、伊藤委員の御質問を聞いておりまして、言われるとおりなんです。この公社は特殊の公社なんですね。昔の公社をイメージしていれば大分違う。それから、昔の公社は公務員じゃありませんからね。
 この特殊な公社に国家公務員という身分、資格を与えるというのは、これは一種の立法政策なんですね。そこでの内閣の意思であり、国会も最終的にはそれを認めた、こういうことでございまして、それは、公務員でなくてもいいんです。しかし、公務員にしましたのは、いろいろな背景を総合的に考えて、仕事の公共性だとか、労働基本権のいろいろな関係だとか、現業の公務員というのが前にありましたですよね、今も郵政の公務員は国の、現業の公務員ですけれども。そういうことを考えて、私は、特別に国家公務員とする、こういう判断をして基本法に書いた。それを受けて、今回の日本郵政公社法で我々も公務員にしている、こう御理解いただくべきではないかと思っております。
伊藤(忠)委員 まさしく、だからこれは政治的な一つの判断なんですね。
 なぜ政治的に判断して、公務員という冠をかぶせたのかと。みなし規定で、国家公務員に準ずると言っておけばいいわけですよ、過去の三公社はそうだったわけですから。にもかかわらず、国家公務員という冠をきちっとかぶせてしまった。
 これは私は、当面気づく問題として、労働基本権があると思っているんです、労働基本権が。でなければ見つからないですよ、この理由は。なぜこんなおかしな、国家公務員にするのかなと。これは国家公務員という冠がどうしても魅力的だ、だから何としてもこれをかぶせてくれという声があるかもしれません。しかし、冠をかぶせたって、この新たな公社の、今、公企体の組織がどんどんこれから自由度を増していくわけです。民間に近づいていくわけです。実態がそうであるにもかかわらず、冠だけ公務員だというので、これは全然実効性がないわけですから。
 そこで気づいたのが、労働基本権の制約をきちっとここで、従来の権利制限を言うならば踏襲するためには、これはやはり、無理してでも公務員という冠をかぶせておかないとつじつまが合わないのかなというふうに私は前回も申し上げましたけれども、そんな結論に私自身は落ちついているわけですが、その点については、総裁、どうですか。
中島政府特別補佐人 私も、この過程というのをつぶさに存じておりませんので、今先生のお話を聞きまして、ああ、そういうふうに理解する方法もあるんかなということを勉強させていただきました。
片山国務大臣 前の公社も、争議権はなかったんですね、公務員じゃありませんけれども。だから、それは、私は労働基本権が一つあったと思いますけれども、今回の国家公務員には。しかし、それは国家公務員で必ずしもなきゃいかぬという致命的な理由じゃないですね。同じですから、団結権と団体交渉権ですから。争議権は、旧公社も争議権はなかった、認めていなかったと。今回も、もちろん今回は現業の国家公務員に近いと思いますけれども、争議権は認められない、こういうことでございますから、総合的な、いろいろなあれじゃないでしょうかね。
伊藤(忠)委員 大臣が言われると、余計これは反論が出てくるんですよ。それは、三公社のかつての身分は、社員の身分は、争議権はありませんよ。何もそれだったら、公務員、かぶせることないんですよ。準公務員で、みなし規定にしておいて、社員にすればいいじゃないですか。だから、国家公務員ということに物すごくこだわっておるように思いますからね。
 私は、もう一つの意味でもこれは心配しておるんです。これから新たな公社が出発されますね。必ず、国家公務員というこの冠が邪魔になると思います。必ず、これはしまった、あれはああいう冠つけなきゃよかったという後悔をなさるときが来ますから、私はそういう面でもこれは一つ問題にしたいと思っています。そのことをしっかり胸に入れてください。
 公企体からどんどんベクトルは進んでいくのに、なぜ公務員にこだわるんですか。公務員になればいいことがあるんですか。公社員でしょう、公社員で公務員と。何かいいことあるんですか。公務員は特典があるんですか。後から私、質問いたしますが、何もないと思いますよ。
 総裁、御苦労さまでした。済みませんでした。どうぞ、多忙だと思いますから。――感想があったらどうぞ言ってください。何かいいことあるんですか、わざわざ公務員をかぶせるというのは。
中島政府特別補佐人 別段感想はございませんが、いろいろ勉強して難しい質問をしておられるところだなということが私の感想でございます。
伊藤(忠)委員 それで、郵政公社、いわゆる公務員の採用についてお伺いいたします。
 従来は人事院が実施していました試験合格者の中から総務省が採用する、事業庁が採用するという方式を改めて、公社の責任と判断によって今後は採用されることに、従来の方針をこのように変更なさるわけですね。そういう理解でよろしゅうございますか。
野村政府参考人 従来は、御案内のように、人事院試験の1種、2種、3種試験から合格者を採用したわけでございますけれども、公社化に当たりまして、人事院の定める試験機関として公社で独自の採用試験をやりまして、そこから採用したい、そっちの方向で検討しているところでございます。
伊藤(忠)委員 それで、公社になって採用なさるその試験の内容なんですが、郵政総合職、これは仮称になっておりますが、従来の1種、2種に該当する総合職ですね。それからもう一つが郵政一般職、これは内勤、外勤を含めて一般職。このように採用の種類が変わってくるわけですね。そうお聞きしておりますが、理解してよろしいですか。
野村政府参考人 現在検討中の案では、今先生おっしゃったように、郵政総合職ということで、大卒程度の方の採用試験を郵政総合職という形にいたしまして、郵便局の職員ということで郵政一般職、これは今おっしゃったように、現行の3種とか外務職員相当職をこういった形で採用したいということで現在検討中でございます。
伊藤(忠)委員 そういう採用試験が一つと、もう一つは、資金運用など専門能力を有する者については積極的に選考採用あるいは任期付採用を実施したいと思っている、こういう説明を受けているんですが、これは、どういう職種というんですか、どういう仕事をなさる人にこういう選考採用、任期付採用で採用されるんですか、実施されるんですか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 私の立場からは、現在の郵政事業庁で選考採用なりあるいは任期付採用という形で、そういった専門的な方をどういうふうに採用しているかについて申し上げたいと思います。
 特定郵便局長は選考採用の一つの例でございますが、ほかに医師、看護師、切手なんかの技芸官、デザインをする人ですが、それから郵政研究所の研究官、こういった方々を選考によって現在採用しております。それから、先生の御指摘の、郵貯の資金運用を担当する人として民間等で豊富な経験を持った人を中途採用しております。ほかに、任期を定めた採用として、病院の会計の責任者について採用しているのが今の現状でございます。
伊藤(忠)委員 いわゆる特技を持った方は選考採用とか任期付採用の範囲に入っていると。分類として大体理解できますよね。特定郵便局長は何でその中に入るんですか。一般の採用試験でやればいいじゃないですか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 現在の国家公務員の採用は、御案内のように、国家公務員法に基づきまして原則競争試験によるものとなっておりますが、例外では二つの範疇がございます。
 先ほど私が答弁させていただきましたのは、専門的な知識経験等を有する者ということで、公務部門で確保することが困難な場合に、民間の人材を中途採用する場合あるいは任期を定めて採用する場合のことを申し上げたわけでございますが、もう一つの範疇は、人事院が実施される採用試験の対象とされていない官職に職員を採用する場合でございまして、これは特定郵便局長がこれに当たるわけでございます。
 実際には、その地域の中に根差して、そして、その地域の信望を担って、かつ経営管理能力も持った上でその仕事をしていただくということで、特定郵便局長を選考採用しているところでございます。
伊藤(忠)委員 今言われた、それは、この選考採用や任期付採用のほかの職種の皆さんとは一緒にならぬですよ。郵便局長さんは特別のノウハウが必要なんですか。地域の事情なんて言われますけれども、特定郵便局長さんは、その特定郵便局の業務を、局長さんですから、管理監督をして、率先して自分がやはりその役割を果たせるという人を採用するわけでしょう。採用して、仕事を実際にやってきたら、精通されて、局長さんに上がっていかれるというのが局長さんの本来のあり方じゃないんですか。その人を何か選考採用や任期付採用、任期付採用はないと思いますが、選考採用でどんと持ってきて据えたら、かえって職場の和というんですか、そういう点からいったってうまくいかぬじゃないですか。
 地域の事情だとかなんとかと言われるのは、それはどんな事情なんですか。それなら、駐在さんも地域の事情でそのように雇わないかぬですか。校長さんもそうなんですか。そうはならぬでしょう。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 特定郵便局長の採用でも、その部内から採用されている人の方が多いです。そういう実情はございます。実情はございますが、部外は部外で、その地域の信望ということは非常に大事なことでございますし、そして、それが地域に密着という形で特定郵便局の、小さな郵便局の機能としてこれまで定着しておりまして、これが大きな役割を郵政事業全体として果たしているというふうに考えておりまして、そういう中で、そういう採用のルートもあるということでございます。
伊藤(忠)委員 いずれにしても、苦しい答弁と私は聞こえますね。説得力がないですよ。採用の目的、基準というのはきちっとしてなきゃいかぬわけで、これはこのケースだ、これはこのケースだと。国家公務員なんですよ、国家公務員を採用するんですから、そんないいかげんなやり方は、いいかげんだと言ったら怒られますが、私は何かそういうふうに聞こえますよ。それはよくないと思うのです。
 地域の事情なんて、それは千差万別でしょう。それは千差万別なんであって、だから、局長制度をどうだということを僕は言っているんじゃないですよ。それはそれで必要だったら必要のようにちゃんとやられればいいわけで、ただ、人事がそうなるというのはおかしいじゃないかと私は言っておるんですが、大臣、どうですか、これ。
片山国務大臣 特定郵便局長さんの任用については前から当委員会でもいろいろ御議論いただいておりますが、仕事ができるということは当然ありますね。それから、今の郵便局は、伊藤委員よく御承知のように、地域のいわゆるコミュニティーの一つの求心力になっているんですね、郵便局が。だから、そういう意味では、その求心力が郵便局にあるとすれば、それを担うにふさわしいような地域の人望がある人、そういう人の方がいいと私は思いますよ。仕事ができるという前提の上に言っているんで、全くできない人は困る。しかし、プラス地域の信望ということは、選考の大きな要素になるんではなかろうか、こう思っております。
 我々はこれから市町村合併をやろうと思っておりますから、いよいよ郵便局の役割がコミュニティーセンター的になるわけでありまして、そういう意味では、ぜひひとつ、地域の信望、輿望ということも一つの大きなファクターにすべきではないかと思っております。
伊藤(忠)委員 時間の関係がありますから、この点だけであれするわけにいかぬですけれども、ただ、地域の事情だとか信望だとか、それプラス政治なんですよね。プラス政治なんです。それでしか、とてもじゃないけれども筋が通らないと思いますね。説得力がないんですね。このことはきちっと申し上げたいと思います。
 こういうのはやめた方がいいと思いますよ。これからどんどん自由度を増していこう、ベクトルは民営化に向かって進むというんですから、競争の時代にどうでしょうか。そういう管理者をいただいたら、なかなか僕はうまくいかないと思いますし、下で働いている人のやる気が出ないじゃないですか。私はそう思いますよ。やはり、近代的な組織に衣がえしていかないと、組織というのは対応できませんから、市場には対応できないものですから、私はそのことを心配して言っているわけですが、いずれにしてもそういうことでございます。
 次に、人事に移りますよ。競争原理の働く任用や登用システム、これはどういうことなんでしょうか。それのベースとなります人事評価制度をどうお考えなのか、この点について説明してください。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 今まだ公社になっておりませんので、公社化後につきましてどういうふうにやっていくのかといろいろ中では議論しておりますが、いずれにしろ、新たな公社の首脳部が決定してから決定されるという面がございます。しかし、そういう中で現在いろいろな議論をしている状況について申し上げたいと思います。
 先ほど来話が出ておりますが、職員の採用試験は、公社が独自に採用するということで答弁があったとおりでございます。それで、今後の任用、登用でございますが、従来はどうしても年功重視、横並びになりがちであったということでありまして、これにつきまして、より競争原理の働く適材適所の人事配置とするように検討しなきゃならぬというふうに今考えております。
 具体的に申しますと、事業が求める具体的な人材のイメージと経営戦略がリンクしなければならぬということが一つでございます。それから、経営戦略に基づいて与えられた個人の役割、それを基準にして職員の業績等を評価するという体制をつくらなきゃならぬというふうに思います。それから、その評価結果が任用を含めた処遇に適正に反映されなければならない。こういうことを通じまして、経営戦略の実現と個人の自己実現をともに達成することを目指す仕組みに変革していきたい、このように考えるわけでございます。
 こういう中で、事業が求める職員像を前提にして評価基準を策定して、必要に応じて労働組合との団体交渉を経て、透明性それから信頼性それから納得性のある、そういった人事評価の仕組みを構築した上で、その評価結果をもとに、能力、実績に基づいた任用、登用を推進していきたいというふうに今議論しているところでございます。
伊藤(忠)委員 早い話が、従来の公務員の人事、任用も絡むんですが、人事、任用制度のあり方から、公企体にふさわしい任用と制度に変えていくということですね。そういうことになりますよね、今の話は。意味、わかりますか。イエスかノーかでいいんですよ。そのことを言われたんですから。言葉を短く言えばそういうことですねということなんです。イエスかノーかでいいですよ。もう説明いいですから。
松井政府参考人 イエスです。
伊藤(忠)委員 そこで聞くんですが、今、郵政事業庁は、とりわけキャリアの皆さんは、最長二年ぐらいでみんなかわられますね。ほとんど二年でかわっていかれるわけですよ。これは腰かけというんですがね。二年ローテーションが慣例になっているわけですが、今後はそういう方針でいかないと思うんですが、どうですか。私は、場合によってはこれが五年になる場合だってあると思いますが、どうですか。イエスかノーかでいいんです、時間がないので。
松井政府参考人 御指摘の方向と考えております。
伊藤(忠)委員 給与等について伺いますが、説明によれば、国家予算の統制から自主性の拡大へ、こうなっております。それは、経営状況を反映した給与の支出ということが当然考えられると説明をされております。つまり弾力化であります。ということは、従来の年功序列中心の給与表あるいは一律定期昇給、管理者は査定がされておりますが、ボーナスは一般の方は一律支給なんですね、こういう従来の給与の体系からそれが変わる。どのように変わるかといったら、これは能率評価、そのようにがらっと変わる、このように私は理解をするんですが、端的にお答えください。
佐田副大臣 郵政事業職員の給与につきましては、今までは予算の中で国会決議でコンクリートされていたわけでありますけれども、今度は、公社化に伴いまして、給与総額の制約は受けない、こういうことになってきたわけであります。
 では、どういうふうな基準で決めていくかというと、これは国家公務員の給与や民間事業者の従業員の給与、公社自体の経営の状況、また先生の言われたようにいろいろな能力の問題もございますけれども、そういうものを含めて勘案して給与を決めていきたい、こういうふうに思っております。
伊藤(忠)委員 今御答弁になったのは、経営状況を反映した給与の支出ということだと思います。
 そこでお聞きしますけれども、現在まで受けていた給与というのは、公社が新たに発足しましても、最低限確保されますか、されませんか。その点についてお伺いします。
野村政府参考人 公社になりましたら新たな給与制度に変わるわけでございますけれども、少なくとも公社発足時点は現行、そこで変われば別でございますけれども、今のところ、現行のまま公社の方へ異動しまして、その後、関係組合と相談しながらそういった能力主義に基づく給与制度に改善していくという形になろうかと考えております。
伊藤(忠)委員 考え方が一応こう出されているわけですが、私は相当これは変わると思いますよ。変わるというよりも、変えようと思うと公務員の冠が邪魔になると思います。
 何が言いたいかというと、公務員の給与制度というのははっきりしていまして、それは年功重視の給与制度であって、よほどでないとあなたの給与減らしますよということにならぬわけですよ。一般の職員の給与というのは、これは一律にきちっと支給されているわけです、俸給表に従って。ボーナスもそうなんです。
 ところが、今言われたように、予算総則、つまり予算制度が変わる、それからいろいろな評価制度を入れる、自由にやろうというんですから。自由にやりますと、これはもうこれまでの公務員給与の形、個々人ごとに相当変わると思いますよね。そうすると、何だ、これは、我々のやっているのは、これは公務員かよ、こんなもの民間と変わらぬじゃないかという声が恐らく現場で出ますよ、はっきり言って。
 つまり、評価制度でしょう。AさんとBさんはこんなに評価が悪い。あなたはいいけれどもこちらは悪いとなったら、それはボーナスに響くんですよ、賃金の付加給に響くんですよ。最低限はどこなんだということを決めなかったら、こんなもの職場の団結もちませんよ。内輪げんかが始まります。
 だから、そのように変えていこうと一方でおっしゃるわけですよね。にもかかわらず、一方で公務員の輪っぱをはめるわけですよ。こんな矛盾した組織は私はないと思っていますよ。おれは公務員じゃないのか、公務員だったら当然そういうことを保障されてしかるべきじゃないかと必ず言いますよ、下がる人は。その辺のつじつまが合わないから、私は具体的に今質問申し上げているわけですが、かなりこれは、職場の大きな意識の変革にも関係しますけれども、大変な変化がそこで起きると私は思っているわけです。これは私の意見ですから、お聞きください。
 それで、次に質問いたします。役員の報酬はどれぐらい上げられるんですか。
佐田副大臣 郵政公社の役員の報酬につきましては、公社法の第五十条一項におきまして、その役員の業績が考慮されるものでなければならないものとしておりまして、同条三項におきまして、国家公務員の給与、民間事業の役員の報酬等、公社の経営の状況その他の事情を考慮して定められなければならないということです、先ほども申し上げましたけれども。したがいまして、役員につきましても、それぞれの業績や公社の経営の状況を適切に反映した報酬等を実現できるものと考えておるところであります。
伊藤(忠)委員 副大臣、抽象的な御答弁をなさったんですが、端的に聞きますけれども、今、事務次官は国会議員より少し高いですよね。百三十万ぐらいありますよ、月に。年俸に直しますと、やはり二千五、六百万超えるんじゃないですか。この事務次官の給与と一緒のレベルというわけにいきませんよね。
 今おっしゃったように、公企体とはおっしゃらなかったけれども、いろいろな業界の横並びのことも考えてというような話でしたから、三公社というのはもうないんですよ、今、みんな株式に変わっていますから。ああいう皆さんのレベルを見ていますと、大手だと大体五千万近いじゃないですか。そうすると、どうです、新たな公社総裁はいいところ三千万いくのかなと私は自分なりにそう思うんです。そういうふうに、これは公開されるんですが、役員の報酬というのはそういうレベルに上がるんですか、どうですかということをお聞きしておるんです。
野村政府参考人 具体的には、役員の給与等につきましては、今後、法律を通していただきました後、来年の三月三十一日までの間に公社の設立委員というものが決められますので、その人たちが具体的な中身を決めていくのではないかと考えているところでございます。
伊藤(忠)委員 だから、我が党が言っていますように、国会議決もないんですよ。チェック機能がないんですね。もちろん、これは皆、総務大臣が責任を持って、いや、おれが監督するから大丈夫というシステムになっているんですが、果たしてそれでいいのかなと私は思います。随分いろいろなことが変わりますので、私は、そういう心配半分の意見を申し上げているわけです。お答えは要りませんので、必ずそうなると思っていますよ。
 それは、業績が上がれば、これが四千万、五千万に上がるかわかりませんよ。それはそれだけの責任を果たしておみえなんだから、それだけの報酬をいただいてもそれはいいでしょう。おれはそれだけの仕事をやっているんだと言われれば、それでいいと思いますよ。ただ、そのときには、現場の皆さんは、やはりいろいろな見方が出てくると思います、何だと。我々は、成績でもって、評価制度でもって、けつたたかれて、今でも随分ノルマが高くて、臨時雇いでその辺を継ぎはぎやっておるんですが、大概きつい。それで、とにかく、全体がそういうふうに評価制度、ノルマ制度に変わるということで、相当、職場はこうなると思います。ところが、今のようなトップのそういう移りがずっと出てくると、僕は心配いたします。
 そこで、提案がございます。団結権、団体交渉権、争議権、労働三権といいますが、その中心は、団結権も当然ですが、団結なければ団体交渉できないわけですが、団体交渉権というのが一番中心なんですよ、実際の権利としては。団体交渉が機能していなければ団結する意味もないし、団体交渉が機能しないから、補完物として争議権が存在するわけです。そういう意味では、やはりこれは、労働三権といいますが、団体交渉権が一番中心なんです。
 何でも団体交渉で決めればいいじゃないか、今はそんな発言じゃなかったんですが、そういう感じの発言がございましたから私は申し上げるんです。何が言いたいかというと、団体交渉というのは、団体交渉事項が決まっていまして、管理運営事項があるじゃないですか、管理運営事項で全部外すんですよ。要員の問題、資金の問題、言うならば、経営のマル秘に属する問題は団体交渉事項じゃありませんよ。何でも交渉ができるというんじゃないんです。対象が決まっていますから、団体交渉でやるには限度がございます。
 中期経営計画を団体交渉の俎上にのせて団体交渉をやるなんということはなかなか難しい。なぜか。中期経営計画、資金はどうなるの、要員はどうなるの、施策はどうなるのということが当然出てまいりますから、そんなもの、一々団体交渉でやっておれぬ。個別具体的な課題あるいは賃金とか労働条件に関する問題に限定して団体交渉というのは大体与えられているわけですから、これは限界がございます。
 団体交渉を自主交渉、自主決着路線でやっていかれるというのは、これは大いに拡大していただきたいと私は思っておりますから、お願いをしたいのですが、それではやはり限界がございますから、経営協議会というものを設置してやっていく気はおありなのかどうか。これは参考人の陳述の中に、全逓の委員長さんがお見えになりまして、ぜひとも新たな公社が出発する場合には経営協議会方式を自分たちとしても要求していきたいという発言がございましたので、私はそのことを今思い出して申し上げるのです。経営協議会方式というのは民間でも広く採用しておりますが、新たな公社に出発なさる場合にはそういう場を必ず設けていただきたいな、そのことが、いわゆる職員の今の採用だとか評価だとか、いろいろなことを含めて、適切に対応していく道でもあろうと思いますから、その辺について御答弁をお願いいたします。
團政府参考人 先生御指摘のとおり、自律的、弾力的な公社ということになりますので、当事者能力というのは拡大しまして、団体交渉というのはまた非常に範囲も広がり、また重要性を増すんじゃないかと思います。加えまして、今御指摘の中期経営計画とか、そういう団体交渉になじまない事項についての労使関係というのも非常に重要になっていくんじゃないかと思います。
 現状を申しますと、現在の労使関係の中でも、事業推進労使懇話会というものを設けまして同様なことをやっておりますけれども、さらに、来年四月からの発足ということになりますと、この間に新しい執行部も決まってまいりますし、またその間の労使関係もございます、そういう中で、この団体交渉及びそういう協議会的なもののあり方ということにつきましても労使間で十分意見を交換しまして、実のある労使関係というものをつくっていくように努力してまいりたいというふうに考えております。
伊藤(忠)委員 時間が参りましたので、最後に三点申し上げます。
 まず第一点は、団体交渉をやられる、その経営側の責任者の問題です。これは副総裁を少なくとも経営側の最高責任者に据えていただきたいと思います。これは当然なんです。今はそうなっていません。三事業、分かれておりますから。もっと下の方の人と言ったら怒られるな、課長さんとかそういうレベルなんですが、やはりこれじゃだめですよ。だから、全体を仕切っていく、責任が持てる経営者側も、最高責任者として配置してください。これは副総裁がなられるということが私は一番いいんじゃないか、こう思っております。これは私の御注文でございます。
 それから二点目は、中間管理者の皆さんが随分ブロック別に配置されていますね、これも二、三出ておりました。これはおたくで考えられることですから、私が余りそのことについては意見は言いませんが、一点だけ言いたいのは、やはり意識改革ですよ、意識改革。これは、もちろん働く場所を変えないと意識もなかなか変わりませんね。条件が意識を決定すると言いますからな。それはそうだと思いますが、やはりそのことを意識的に、改革に取り組んでいただきたいと思います。これは考えられていることでしょうけれども、意識的にそのことをおやりいただきたい。
 何が言いたいかというと、結局、管理部門が肥大化しているようじゃ、なかなかこれは機能できませんよ。公益体としても、あるいは民間志向で走る場合も、できませんから、そのことを意識的にお願いをしたい。そこでおのずからスリムにするか肥大化するかというのは答えが出ると思いますから、そのようにお願いしたい。
 三つ目は、郵政監察の話ですよ。これは、管理監督、監察という、上からにらんでいるわけですよ。そういう組織が存在するというのは、これからの公社が進もうとするベクトルとは全く逆の方向なんですね。だから、これは一千名近く見えますが、そういう役割を果たすんではなくて、むしろ現場の皆さんの先頭に立って、マーケティングだとかいろいろなことで頑張っていく、ついてこいというような役割にどうして変わらぬわけですか。どうして変わらぬわけですか、上から監督しようなんというのは。だから、そのような仕事に配置を変えない限り、意識は変わっていきませんよ。
 監察というのは内部監察の役割なんですが、歴史がございまして、私も時間がありませんからもう余り触れませんけれども、マル生のときにどういう役割を果たされたかというのは、もう古い皆さん皆知っているわけですよ。そういう名残がございますから、この組織を置いておいたら、必ず何か浮いたような存在になりますから、そうじゃなくて、これはなくして、言うなら、現場の皆さんの先頭に立って頑張るという役割に変えたら、大きく組織は変わるんじゃないか。余計なことかわかりませんが、非常に肝心なポイントだと私は思いますので、そのことを意見として申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。
 四法案に入る前に、何点か確認をしたいと思います。
 冒頭、滝政務官にわざわざお越しをいただきました。政務官、政務官は、自民党の北海道第十三選挙支部から寄附を受けられております。この代表者であります鈴木宗男衆議院議員は、先週、滝政務官も賛同されたと思いますが、議員辞職勧告決議案を本会議で決定をされています。
 政務官、大変恐縮なんですが、この寄附の経緯、そして金額はどのくらい十三支部から入っているのか、そして、今後どんな形で対応されるのか。冒頭、御質問申し上げます。
滝大臣政務官 十三支部ではございませんで、北海道の自民党の比例第一部から六百万円をいただいております。
 これにつきましては、既に鈴木事務所に対しましては、返還をさせていただきますということをお伝えさせていただいております。
後藤(斎)委員 鈴木宗男衆議院議員の資金管理団体もあるというふうなお話を聞いておりますが、そこからの授受は受けておりますでしょうか。
滝大臣政務官 これは、平成十年と十一年に出版記念パーティーをやらせていただきまして、その際に協力をしていただいておりますので、その資金が、二十一世紀政策研究会ですか、そこから私どもの資金管理団体にいただいております。
後藤(斎)委員 具体的な金額を明示してください。
滝大臣政務官 平成十年が五十万円、平成十一年が百万円でございます。いずれも資金報告をいたしております。
後藤(斎)委員 先ほど、比例支部の方からの金額については返却を考えておられるというお話をおっしゃっておりましたが、いつ返却なさるんでしょうか。あわせて、資金管理団体からの百五十万の、パーティーだというお話でしたが、この返却の御意思はあるんでしょうか。
滝大臣政務官 いつというか、鈴木事務所の方が落ちつけば、その段階で手続をとらせていただく、こういうふうに考えております。
 それから、出版記念パーティーの方はやや性格が異なりますけれども、同じような扱いにさせていただこう、こう思っております。
後藤(斎)委員 経緯について必ずしも明確でなかったんですが、どんな形での寄附というふうにお考えでしょうか。
滝大臣政務官 平成十二年の場合は、選挙の年でもございましたし、いろいろ資金が必要だ、こういうことで資金提供をいただいたというふうに思っております。
 それから、平成十年、十一年は、今申しましたように出版記念パーティーの協力という格好で協力をしていただいた、こういうことでございます。
後藤(斎)委員 それ以降、以前かもしれませんが、鈴木宗男さんが代表を務められている北海道の自民党支部ないしは資金管理団体からの寄附の授受はございませんでしょうか。
滝大臣政務官 それはございません。
後藤(斎)委員 ありがとうございます。滝政務官、結構ですので。
 引き続きまして、もう一点、これは内閣委員会でも大臣に何度か確認をさせていただいております。住基ネットの問題であります。
 この件につきましては、防衛庁のリスト問題を含めてまだなかなか再開ができないというのが現状であります。
 そんな中で、個人情報保護法に関する法体系がなかなかできないということも含め、八月五日の、あと一カ月ちょっとだと思いますが、延期を求める自治体が出ております。
 六月十七日には日野市の議会で、地方自治法第九十九条の規定による意見書が提出をされたというふうに承知しております。この論点は、個人情報保護の点が十分な法的拘束力がないまま住民基本台帳ネットワークシステムを稼働することは住民を守る立場から賛成できないということで、八月稼働にこだわらず、十分な検討のため延期を強く求めるという意見書であります。
 これ以外にも、岩手県、高知県、新潟県の町村でも同様の延期要請の決議ないし意見書が出ているというふうに承知しております。
 大臣、こんな中でも、どうしても八月五日というものは必須なんでしょうか。地方の意見を聞くというのが総務大臣に与えられたお役目の大きな一つだと私は思っておりますが、その点、いかがでしょうか。
片山国務大臣 今、後藤委員言われますように、幾つかの市町村の議会でそういう動きがあることは承知いたしております。
 しかし全体は、八月五日ということで、もう技術的ないろいろなことも終わりまして、チェックもやっておりますし、ぜひやってくれという意見の方が圧倒的に多いものですから、我々としては圧倒的に多い方を聞くべきではなかろうかと、予算も組んでおりますし。
 それで、若干誤解があると思いますのは、御承知のように住基法の中で個人情報保護の仕組みをとっておりまして、情報提供する行政機関も特定、事務も特定ですね。それから、目的外利用はきつく禁ずる。守秘義務については、違反をすれば二年間の懲役。
 そういうことで、我々としては、今の住基法のシステムの中で万全の体制をとっているんで、もちろん小渕総理の御答弁もよく承知いたしておりまして、全体の個人情報保護の仕組みができるのがいいことは確かでございますが、しかし、個人情報保護法と住基法のネットの関係は、直接の関係は何にもないんですね。直接の関係は何にもないんで、我々は、完結して住基法でやれるので、そこはぜひ御理解をいただいてこれは進めたい、こう思っておりますし、できれば個人情報保護法も、まだもう一カ月以上会期ありますから、内閣委員会その他で御審議が進んでいけばいいな、そうなれば答弁のとおりになりますから、そういうふうに考えております。
後藤(斎)委員 今の大臣の御発言の中で現状の認識が若干違うんじゃないかなと思うんです。
 それでは、この住民基本台帳法に基づく、できないと意見表明をしたり決議をしている自治体が八月五日に間に合わなかったら、この罰則はどうなるんですか。
片山国務大臣 それは私も気になりまして、担当の課長や皆さんに聞きまして、そういう団体についても準備は全部終わっている、こういうことでございまして、そういう意味では、八月五日に向けて最終の準備体制が今整いつつある、こういうふうに考えております。
 それから、後藤委員には本当に、もうそんなことはよくわかっているとおしかりを受けるかもしれませんが、これは国が一元的に持つとかなんとかじゃないので、都道府県が市町村のものをまとめて、全体をつないでいって、しかも電子政府、電子自治体を、これはもう御承知のように、e―Japan戦略でもアクションプランでも二カ年で全部やろうといってこうやっておるわけですから、行政手続のオンライン化を。オンライン化をやろうというときに、添付書類だけ判こを押して持っていけ、住民票を添付しろ、あるいは個人証明をしろ、個人確認を別にやれというんじゃ、これはオンラインにも何にもなりませんし、よく御承知のことを言っておるのでまことに恐縮でございますけれども、ぜひひとつよろしくお願いします。
後藤(斎)委員 私が御確認しているのは、八月五日に参加ができない自治体について、決議をしている、ないし意見書を採択している自治体、それが参加をしていないときの住民基本台帳法に基づく罰則はどういうふうになるんですかというふうにお尋ねをしているんです。
片山国務大臣 それは罰則はありません。ありませんが、やらないと法律違反になるんですよね。そこで市町村が法律違反をおやりになるようなことはまずないだろうと。
 それから、これはネットワークですから、またこれも後藤委員に怒られるかもしれない、全部つながらないと実は意味がないので、何かしらが欠けているというんじゃ、これはなかなか、そういう意味でのネットワークとしての意味がなくなりますので、ぜひそこも御理解を賜りたいと思います。
後藤(斎)委員 ですから、六月の中旬には内閣委員会、二回、大臣にも御論議をさせていただきましたが、それも踏まえてかどうかわかりませんが、何か自治体への施行への協力要請、書面で発出したというふうに承知しております。書面の内容は十二分に承知しておりませんが、本当に八月五日が必須なんですか。それをやらない自治体には、ネットワークが、大臣おっしゃったように、全部が有機的に結合しなければ意味がないと。意味がない中でスタートをなさるんですか。
 そして、質問主意書では、私どもの民主党の河村たかし議員が出している、小渕内閣総理大臣の答弁とのやりとり、この中でも、いや、あくまでも法律をつくるのは立法府であると、小渕総理は、行政府の長として、法律上の意味とは別に必要性についての認識を示したものであるというふうなことを内閣はお答えになっております。
 それとの関係も含めて、私はあくまでも、先ほども話したように、総務大臣は、地方自治全体の中でこれから地方分権を進める、税財源を移譲する片山試案をつくられた、経済財政諮問会議でも大臣はそういうスタンスで発言をなさっている。それを無視するように、やれやれという話では、大臣、今までこの委員会や本会議で大臣がおっしゃっていることと矛盾をしていませんか。
片山国務大臣 幾つかの今委員御指摘のような市町村でちょっと待ってほしい、そういう意見書や決議があるということは承知いたしておりますけれども、これは三年前から、三年後にはやる、しかも、平成十四年度、十五年度で申請手続が全部オンライン化するということも一応これは決めているわけですね、国の意思として。そういう中で、私としてはぜひ御理解をいただいてやりたい。議会の意見書や決議はもちろんありますけれども、最終的には、それぞれの市町村が大乗的な立場で御理解、御協力いただけるんではなかろうか、こう思っております。
 私は、地方自治をもっともっといいものにしたいということでこういう住基のネットワークシステムをつくり、オンライン化をやり、電子政府なり電子自治体をしっかりつくっていこう、こう考えておりまして、税源移譲や地方分権と矛盾していないと思うんですね。そういうことがちゃんとできることが、いろいろな地方団体の意思決定が的確になり、迅速になり、それから、住民は助かるんですから、その辺で、いろいろな御意見はあると思いますけれども、ぜひ御理解賜りたい、こういうふうに思います。
後藤(斎)委員 電子政府や電子自治体を否定するものでは全くありません。ただ、そのときの法体系の整備が必要ではないんでしょうかと。
 あくまでも、大臣がいつもおっしゃっている、要するに自治体の意見を吸い上げて対応していくのが総務省、旧自治省のお役目であったはずであります。それをまさに御自身の体験としても対応なさった大臣から、やれやれという上からの一方的な言い方だと、何か大変おかしな形かなと思って先ほど御質問させていただきました。
 それともう一点、これでこの件については終わりますが、八月五日施行、政令で定める日というふうに法律にあります。それでは、今国会でその延期を決める法律案が通った時点では、この住基ネットは稼働しないわけですね、法律に基づいて、というのが、この質問主意書の逆の意味の回答でもあるわけですね。
片山国務大臣 今の施行は、もう法律で決まっているわけです、三年前に、もう御承知のとおりですね。それを改正されて別の国会が意思決定をされるということなら、それはそれに従わざるを得ません、それはまさに法治国家でございますので。
後藤(斎)委員 それでは、四法案の中に入ります。
 まず、御確認をしたいと思います。
 平成十二年の十一月三十日に公正取引委員会から、郵政事業への競争導入と競争政策上の課題についてという、これは研究会のレポートかどうか明確ではありませんが、公正取引委員会ということで報告書が出ております。この中に、「競争状況と問題点」ということで幾つか指摘をしてあります。
 大きく私がこれからお伺いしたいのは、例えば、「事業所が差し出す大量郵便物(DM等)及び付加価値郵便物については、自由化の対象とすることが必要。」であるとか、「競争政策の観点からは、信書の送達を原則全面自由化し、郵便事業体と民間事業者との競争を促進していくべき。ただし、競争の導入は段階的に行うことが適当。」もう一点指摘をします。「自由化分野における競争制限行為に対する独占禁止法の厳正な執行が重要。」と。もろもろの規定があり、さらに最後の項で、「郵便事業体の経営情報の公開」ということで、「現行の会計制度」、これは公会計原則だと思いますが、「企業会計方式に改めるとともに、中立的な第三者が検証する仕組みを設ける必要があると考えられる。」という指摘がございます。
 このような指摘は、先ほど伊藤委員からも逐条で御質問しましたが、そして今までの議論の中でもありましたが、この公取の報告書、どんな形でこの法案に反映をされているのか、冒頭お尋ねをしたいと思います。
佐田副大臣 公正取引委員会、今お話がありましたように、政府規制等と競争政策に関する研究会ということで、その郵政事業ワーキンググループを開催しまして、平成十二年十一月に報告書を公表しているわけであります。公取ですから競争政策の観点から郵政事業への民間参入、今お話がありましたような形で部分的、要するに段階的に参入していくべきであるとか、経営を見る第三者的立場の組織も必要ではないかと。あくまでもこれは、御指摘のように、公取の立場からの御指摘だと思うんですね。
 一方、総務省におきましても、これはもう言うまでもありませんけれども、中央省庁等改革基本法の規定に基づく事項を検討するために、昨年八月に研究会を開催しまして、中間報告を出させていただいたわけであります。その中には、公正取引委員会の報告や各種団体の意見、さらには有識者、そして利用者のヒアリングを踏まえまして検討を行ったところであります。この中間報告では、ユニバーサルサービスの確保を図る観点から、一定の条件を付した上での全分野への参入を認めたところでありますけれども、そういうふうな形で、公正取引委員会の御意見も聞きまして、あらゆる方面からの御意見を聞いて今回の法案になってきた、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
後藤(斎)委員 これが基本的な公正取引委員会の意見を踏まえたものだということは今副大臣が御答弁の中でも指摘をしたような感もしますが、それでは、この公取が指摘している部分、これからの事業のあり方の中でそうではないという方向に行った場合、公取から意見表明があった場合、公社が判断するというふうにお答えになるかもしれませんが、どんな形で対応していくんでしょうか。現時点でのお考えで結構ですから、お尋ねをします。
團政府参考人 御指摘の公正取引委員会のつくりました研究会の報告書の取り扱いでございますが、同報告書は平成十二年の十一月三十日に提出されております。そこで、この民間参入につきましては、総務省におきましては、こういうものを受けまして昨年八月に研究会をつくりまして、十二月に中間報告を受けたということでございます。この総務省のつくりました研究会におきましては、公正取引委員会のつくりました研究会の報告書、組織的には経団連の研究会の報告書、それからいろいろな事業者の御意見というものを聞いて報告書をつくられたということになっております。
 政府の形式的な手続としますと、総務省としましてはこういうものを踏まえた民間参入の研究会の中間報告を受けて法案をつくったわけでございますが、その後、政府の法案を出す場合には、政府内の調整を行います。当然のことながら、各省に協議をして法律を出しておりますので、この時点ではこの法案についての異議はなかったというふうなことで手続的には進んでいるわけでございます。
 今後、いろいろ具体的な、独禁法の関係とかあるいは政策的な御意見というのがあろうかと思いますけれども、政策をつくってまいりますのは総務省になってまいりますので、政策的な御意見であれば総務省でいろいろ承りながら政府内の調整を今後ともやっていくということになるんじゃないかと考えております。
後藤(斎)委員 大臣、お尋ねをしたいと思います。
 先ほど武正議員、荒井議員からもお尋ねがありましたように、大臣、きょうの新聞にいろいろな論点が載っております。私、三月の十九日のときにも、当時は恩給法の審議でしたが、別の視点から大臣の件についてお尋ねをしましたが、大臣は政治資金規正法上の監督責任者であります。第三十一条にございます。そして、今議論をしております公社の問題、信書の問題にも絡みますが、大臣、例えばドイツ、アメリカもそうですが、企画、政策立案、まあ規制の部分を含むかもしれませんが、そして監督の部分、武正議員からも指摘がありましたように、その部分は明確に分けている国、ドイツもそうであります。そこでチェック・アンド・バランスが相互にきいて対応がされていると。
 公社については、大臣が認可をしたり、規制をしたり、許可をしたりする件がたくさんございます。信書法についても同じであります。そして、公社については、先ほども天下り等々の中で話がありましたが、行き来はするかもしれないという答弁がございました。総務省が、まず、行き来をするという中で、一方で民間に参入がされるであろう方も規制をしたり許可をしたりする。それで、人的な部分で行き来をしている公社の監督もすると。総務大臣は、公社と、入ってくるであろう民間の方、そこでまた言われるであろうことは、公社の方に甘く、例えば民間にきつくということが指摘されざるを得ないと思うんです。
 ですから、審議会ないし先ほど御指摘をしました公取の報告書にもありましたように、中立的な第三者機関を設置するないしして、そこの部分については、経営情報の検証をすることで民間事業者との比較検討をしたり、そういう、やゆをされぬようなことをしていくべきだということで私はこの公取の報告書がまとまっていると思うんです。
 大臣、その点では、きょうも二人の委員から御指摘をされた、大臣が一方で政治資金規正法の監督大臣である、一方で政治家である、そこの二者を束ねるときに、大臣何やっているのというふうな部分と政治家として何をやっているという部分が一体となった議論をきょうもされているわけです。先ほど滝政務官にお話を聞いたのも、政務官という公的なお立場と政治家というお立場、これは一体であるということできょうお尋ねをしているわけです。
 これからの事業のあり方について、総務省が政策立案と監督を一体となってやり、そしてそれがこれからの公社、そして民間事業者のものに本当に国民から見て十二分な対応をすることができていけるのかどうか。はいとは多分言うでしょうけれども、そうではない仕組みを、じゃ、内部的にどんな形でおつくりになっていくのかについて、大臣にお尋ねをしたいと思います。
片山国務大臣 これもかねがね議論のあるところなんですが、政策の企画立案と規制をやる、これは一つありますね。
 それから、私どもの方でいうと、一方では郵政公社を監督しながら、民間事業者も、競争相手も監督する、まあこういうことはありますけれども、何度も言いますように、日本は法治国家でございまして、それぞれのセクションが法律に基づいて責任を持って企画立案したり規制をしたりする。むしろ公社と民間事業者を並べてやる方がずっと私はバランスがとれて公平になるんじゃなかろうか。日本の組織は、後藤委員御承知のように大体そうなっているんですよ。
 例えば、国土交通省は住宅公団を監督しながら民間事業者も同じようにあれしているんですよね。電発と電力事業者を経済産業省はやっている。私のところの方でも、NHKを監督しながら民間放送もやっているんですよ、放送法に基づいて。それはちゃんと法律の方に書き上げてもらっておりまして、それをやるセクションはそれに基づいてきちっとやっている。
 また、今回の、今度の郵政事業の場合には、我々はぜひ透明で公正な基準をつくりたい、透明にしたい、審議会にかけて、いろいろな規制権限を行使するときには審議会の御意見を尊重してやろう、こういうふうに思っておりまして、これを全部、企画立案と規制を分けなさいと言うたら、これは大変なことになりますね。
 その間のコミュニケーションがよくなくて、かえっていろいろな行政が混乱してくるんではなかろうか。一つの省の中でぴしっとそれは機能を分けて、セクションが責任を持って法律や透明な規制に基づいてやるということの方がずっと私はバランスがとれるし、わかりやすいし、こういうふうに考えている次第でございます。
後藤(斎)委員 その意味で、ちょっと戻って恐縮ですが、大臣、きょう二人の委員から御指摘があった私設秘書ではないというお話でしたが、仮にその差分の何十万かについて、額の大小ではありませんが、その点については大臣がみずから、県選管になるんですか、それとも総務大臣じゃないんですか、まあどちらでも結構ですが、大臣が大臣に修正報告を出すというケースも、じゃ、あり得るということですね。
片山国務大臣 今回の場合には、相手は県選管でございまして、これはもう、これまた委員御承知のように三月までに前の年の収支報告を出すわけで、これは私の事務所じゃないんですよ。何度も言いますが、参議院第二選挙支部というんでしょうか、そこでございまして、これは法律上七月までに訂正、追加は認めるんですね。だから、その間にきっちりやれと私は言っておりまして、額はそう大した額じゃないようでございますが、詳しくは私知りませんけれども、しかし、そういう手続をちゃんとやるというのは、これは政治家としての方でございまして、県選管の上の監督というんでしょうかね、全体のそういう政治資金規正制度についての所管はこれは総務大臣でございまして、これは機関ですから、片山とか後藤とかいう話じゃないんです、機関ですから。だから県選管の方に私が一議員として、選挙支部長として収支報告を出させていただく、こういうことでございます。
後藤(斎)委員 大臣、私との質疑の中で、お約束を三月の十九日にしてもらっているんですが、政治資金規正法の収支報告に記載されているという六人について、「チェックしまして、また御報告申し上げます。」と。もう三カ月たつんですが、報告をいただいておらないんですが、どんな形になったんでしょうか。
 これはまた後日でも結構ですので、御報告をお願いしたいというふうに思います。いいです。また後日で結構ですから。よく調べておいて、報告をまだいただいていないという指摘だけしておきたいと思います。今の件について、収支報告でありませんから。
 佐田副大臣、先ほども伊藤委員と議論にありましたが、いわゆる天下りの問題、そして幹部職員の相互交流の問題、これをどうされるのか。ちょっと、ほかの、後の質問に関係するので。要すれば、先ほど大臣もお答えになっていただいたように、総務省と公社が人事上一体ということはやはりおかしいと思います。どういう形で公正中立性を確保するのかどうか、これが国民から見て問われる点だと思います。
 その点も含めて、どんな形で総務省の残るであろう局と公社との人的交流、特に幹部職員の交流の考え方についてお尋ねをしたいと思います。
佐田副大臣 先生、総務省と公社の関係ということでありますけれども、これはあくまでも、人事につきましては、きちっと法律で規定をしていかなくちゃいけないことだ、こういうふうに思っております。公社法の第十二条には、「理事は、総裁が任命する。」こういう、任命権は総裁にあるということがしっかりと明記されておるわけでありますから、具体的に、理事をだれに任命するとか、今後、総裁が判断することでありまして、一般論で申し上げますと、公社の実務を担う常勤の例えば理事さんなんかの場合は、もちろん、行ってすぐ仕事にならなくちゃこれは困りますから、郵政事業に精通している人材を任命するという必要性がありますから、多岐にわたって選んでいく、こういうふうに解釈しております。
後藤(斎)委員 大臣、公社のあり方というのが、本当に、国民の方が大きく関心を持って、公社のあり方がどうとかということを十二分にまだ、私は、考慮はされていないような感じがいたします。
 と申しますのは、国民の側、利用者の側に立ってみれば、一番求められているのは、はがきが五十円で手紙というか封書が八十円、もしかしたらこれが長く続き、そして、もっと安くなればいいということが、私は、ユニバーサルサービスというものは若干おいておいても、本当に求められていることだと思うんです。ユニバーサルサービスについても、EU指令の例えばユニバーサルサービスの規定、アメリカのユニバーサルサービスの規定、我が国の規定、それぞれ違います。
 大臣、国民は、多分、一番、利用者の方は、公社になって五十円、八十円という料金は上がるのか下がるのか、それとも維持がされるのか、それがどんな場合、どんな形で対応がされるのか。郵便法の三条は、基本的には総合原価主義であります。総合原価主義ということは、独立採算を一方でとるということであれば、効率的な事業運営ができないということであれば、足し算をしていってコストが高くなるかもしれない、効率的になれば安くなるかもしれない。要するに、一条のなるべく安い料金で、あまねく公平に郵便サービスの提供といういわゆるユニバーサルサービスの規定とこの三条をどんな形で料金決定がされていくのか。ずっとこの水準が維持されるのか、アメリカから見れば高いじゃないかという指摘もありますし、もっと下げる余地もあるんじゃないかという利用者側の指摘ももちろんあると思います。
 その点について、少し、長期的かもしれませんが、見通しをお尋ねしたいと思います。
片山国務大臣 言われるとおり、国民から見れば、安くなる、速くなる、もっと丁寧になる、何度も来てくれる、そういうようなことが恐らく、目に見える形が一番サービスがよくなったな、こういうことだろうと思います。
 今回、我々は、公社の提供する料金は、先ほども言いましたが、認可制となりますけれども、この認可条件としては、二十五グラム以下の封書については現在のような八十円以下、通常はがきの料金については今五十円ですけれども、この八十円以下で決めてもらう、こういうことになると思いますので、仮に、民間が入ってきまして競争をやる、そこで八十円が七十円になるとか、五十円が四十円になるとか、こういうことになればそれは一定の成果かな、こう思っておりますし、公社も、そういうことの中で、今の料金を少なくとも上げない、こういうことで頑張ってもらうように、経営体質を強化するように今いろいろな合理化の努力をやっているわけであります。
 三年ほど赤字が続きまして、昨年度の決算でどうにか私は黒字になるのではなかろうか、十四年度は黒字にしたい、こういうふうに思っておりまして、そういう努力は引き続き続けていきながら、いろいろな政策的なものものみ込んで料金を上げない、こういうことで公社に頑張ってもらいたいと思っておりますし、また、参入される民間業者は、そういう料金もユニバーサルサービスの一つですから、その料金の中でぜひ公社と競争して、全体が、お互いに切磋琢磨して、少しでも安くなるようにしてもらいたい、速くなるようにしてもらいたい、こういうふうに思っております。
後藤(斎)委員 この公社法では、役員のあり方、そして職員が国家公務員である、中期経営計画をつくる、幾つかのフレームをつくっておりますが、中身が、要するに、どなたがどんな仕事をするのかという業務が、少なくとも三事業をするということは明確になっておりますが、私は、組織的なものが明らかではないというふうに思っています。
 今、大臣が、いろいろな努力をして上げないようにしている、これからは競争してもっと下げるような努力も出てくるんじゃないかという話をされておりましたが、例えばこれは総務省の資料でありますが、なぜ効率化を今までしてきたかというのは、人員を削減しているという部分がほとんどであります。
 例えば平成三年から十二年度の効率化の実施状況、効率化というと、別に人を減らすことだけが効率化でないはずなんですが、この十年間で郵便事業で一万四千百四十九人、為替貯金事業で同じように七千四十六人ですか、そして、簡易保険事業で三千七百六十九人等々で生産性を上げているということなんです。
 ただ、私は、これから、公社というのは東京に置くんですよね、たしか。東京に公社の本部を置く。今、地方郵政局というブロック単位の局があります。そして、先ほど来お話があった郵政監察をやる局もございます。その部門というのは本当に今のブロック別のものを公社になっても維持していくのか。私は、今の地方郵政局及び地方郵政監察局というのは何のお仕事をされており、何人の定員が全国にいて、そしてそこに人件費、事務所の借り上げも含めて、経費が幾らかかっているのか、これについてまずお尋ねをしたいと思います。
松井政府参考人 地方郵政局や監察局の業務内容、定員等についてお尋ねでございますが、お答え申し上げます。
 地方郵政監察局の業務内容でございますが、郵政業務に関する犯罪及び事故の調査、処理のほか、これらの犯罪及び事故により発生した損害の賠償並びに業務の考査などになっております。
 また、地方郵政局の業務内容でございますが、これは、郵政事業庁の所掌事務のうち、現業事務の管理に関する事務となっておりますが、具体的に申しますと、郵便局の設置、それから郵便局における要員の決定、それから郵便物の運送方法、郵便貯金及び簡易生命保険の募集等の企画または決定及び日々の業務運営に係る郵便局の指導監督でございます。
 次に、定員について申し上げます。
 平成十三年度末現在でございますが、地方郵政監察局で千百四十五人でございます。地方郵政局でございますが、貯金事務センター等を除きますと、純粋の郵政局の管理機構としての郵政局で申しますと五千六百一人でございますが、貯金事務センターだとか簡保の事務センター等、その他職員を含めますと、定員は一万六千二百四十八人になります。これは事務センターといいまして、バックオフィスといいましょうか、コンピューターとかいろいろなことをやっているところでございます。そういうものを入れてそうなるということでございます。通例の管理機構だけでいいますと五千六百一人でございます、郵政局は。
 次に、経費について申し上げます。平成十二年度決算で申し上げますが、地方郵政監察局と地方郵政局のその管理機構部分、事務センターを除いた部分で約七百七十七億円でございます。事務センター等の経費を含めますと一千八百三十億円になります。
 以上でございます。
後藤(斎)委員 今長官から御答弁いただいたように、貯金センターを入れるかどうかは別として、この部分を除いても七千人、地方郵政局と郵政監察局、そして八百億近いお金が、これは人件費を除いていますね。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 人件費を含んでおります。
後藤(斎)委員 いずれにしましても、要するに、これから効率化をしていく、企業会計原則に基づいてサービスも向上していくという、公社には大きな課題があります。
 私は、中間管理機構をどういうふうにこれからしていくか。現場に近づけるのか、それとも本部に近づけるのか。要するに、今の時点では私は非常に中途半端ではないかなという感が強くしてなりません。
 要すれば、都道府県ごとにほぼ中央郵便局というのがあると思います。そういう現場に中間管理をしているその機構を近づけていく。そうすれば、例えば、先ほどもお話をしたように、この十年間で二万五千人ぐらいの方が減員をされております。これは見てみると、現場に近い方が多分ほとんどであると思います。では、なぜその中間管理機構だけが公社という新しい形になっても残るのかというクエスチョンマークを私はどちらかにやはりシフトをさせないといけないんではないかなと。私の考えは、より現場に近い、これは郵政事業の何かパンフレットを見ても現場主義ということを高く掲げていることからいってもそうであるべきだと思いますが、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。
佐田副大臣 私も、先生の言われるように、効率をよくしていくということも大事であると同時に、この郵政事業におきましては、何といってもユニバーサルサービスをしっかりと守っていかなくちゃいけない。
 そういうことを考えたときに、じゃ、どういうふうにこの組織を決めていくかということになりますと、これはもう総裁とこれから設立委員の方々が決定をしていくわけでありますけれども、あくまでもこれからの公社の理念でもあります自律的で弾力的な運営を行っていく、そして、そういう中におきまして、組織そしてまた職員数をできるだけ効率よくしていく、そしてまた、先生が言われました現場主義ということを考えますと、これはやはり特定局のことを考えた場合に、現場に近づけていくという考え方もありますけれども、総裁と設立委員の方々がこれからしっかりと検討していく、こういうふうに認識しております。
後藤(斎)委員 副大臣、春ぐらいだと思いますが、副大臣は、ある会合で、平成十二年度の数字、二万四千七百七十八の郵便局ネットワーク、一郵便局たりとも絶対崩してはいけないというふうなお話をされております。
 ただ、大臣、この数年間見ても、郵便局、ふえていますよね。この郵便局というのは、今の効率化の観点、ちょっと質問通告していないんですが、観点からいうと、現場としてはふえていくんでしょうか、それとも減っていくんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 今ちょっと手元に数字はないんですが、結果としては少しずつふえている状況がございます。それは、団地ができたり駅ができたりしたときに、どうしても必要な部分がございます。
 一方において、極端に過疎が進んだようなところもございますけれども、一方、そういうところでは、地域から郵便局がなくなることに対する強いお気持ちがございます。そういうことはやはりよくユニバーサルサービスの維持という観点からも私ども踏まえておりますが、ただ、余り郵便局をふやすことについては、経営の効率全体としての事業の効率という観点から、よく見ていかなければいかぬというふうに考えているところでございます。
後藤(斎)委員 これも質問通告をしておりませんが、非常に単純な質問なんです。あえてさせていただきます。
 一部報道によりますと、郵便局の数を明定するという報道もございます。今の総務省のお考え方ではそうではないというふうなことだと思いますが、郵便局の数を明定することについてどうでしょうか。
野村政府参考人 公社法の二十条に郵便局規定がございまして、そこで、地域住民の利便を勘案して、総務省令で定める基準により、郵便局を設置しなければならないという規定がございます。具体的な総務省令では基準を決めていきたいと考えておりまして、個別具体的な数については、今のところ書く、書くといいますか、規定するつもりはございません。
後藤(斎)委員 先ほども伊藤委員の方から、特定郵便局の問題、若干触れましたが、要すれば、どんな形で方向性を示して見直しをしていくのかというのが私は問われているんではないかなと思います。
 例えば、縁故採用については試験を導入するという御答弁がたしかあったと思います。そして、それ以外にも、給与水準が管理職ですから高い、ないしは、定年制が六十五歳まで。さらに、それが三年を限度として延長ができるということになっておりますから六十八歳まで。そして、さらには特定郵便局長には転勤がない等々、ほかの公務員の方から見れば、公務員というのは郵便局の中の公務員の方から見れば、何でというふうなこと。これが、まさに同一の仕事をユニバーサルサービスという繰り返し総務省が御答弁をされている点を本当に円滑にし、なおかつ企業効率、効率性も上げていくという点をクリアするには、やはり何か特権があるような特定郵便局長であってはいけない。
 私は、先ほどきちっと御答弁をされませんでしたが、いや、歴史的にその重要性があったということであれば、それをきちっと言うべきであると思いますし、それが言えないのであれば、明確にこういうふうに直すということを私は答弁をしていただきたいというふうなことを思いながら、今指摘した点につきまして、公社化に伴ってどんな見直しを具体的にしていくのか、御答弁をお願いします。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、特定郵便局は、明治の郵便事業の創業以来、地域に密着して、郵便局ネットワークの重要な担い手として郵政事業の発展に寄与してきたというふうに認識しているものでございます。これは歴史的なことでございます。
 それから、特定郵便局長の任用あるいは給与等についてさまざまな御意見があることは承知しておりますけれども、公社化後におきましても、地域に密着した形で郵政三事業のサービスをきちっと提供していく拠点の長として、その特定局長の果たすべき役割、責任というものは基本的には変わらないのではないかというふうには考えております。
 今後、競争環境がいろいろ激化してまいります。そういう中で、より充実したサービスの提供と経営基盤の強化を図るという観点から、いろいろ御指摘いただいたような改善すべき点をまた改善していくという姿勢で努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
後藤(斎)委員 ぜひそんな形で、なおかつもう少し具体的に、国民の皆さんの一部かもしれませんが、御指摘をし、批判をしている部分については、真摯に受けとめ、それを解決するような見直しをぜひ行っていただきたいと思います。
 逐条に入りたいと思います。
 私の分野は、公社法の二十七条以降の部分を中心に御質問をしたいと思います。
 まず、この公社、何度か御指摘もありましたが、公社の会計を企業会計原則によるというふうに明定をしながら対応する、その主目的をお尋ね申し上げます。
山内大臣政務官 お答えさせていただきます。
 郵政事業におきましては、現在、今まで発生主義的な会計を適用しておりました。勘定科目の設定等も独自のものでありまして、いわゆる企業会計とはかなり違ったものであったと我々も認識をいたしております。今回の公社化に合わせまして、企業会計原則を取り入れ、企業会計方式の会計処理を徹底するものであると我々は考えております。
 その趣旨は、郵政公社の財務状況を国民の目から見てわかりやすいようにする、一般の企業と共通の客観的な尺度により開示することによりまして、国民に対する説明責任をより充実させていきたい、このように考えております。
後藤(斎)委員 ちょっと前に戻りますが、済みません。
 公社において、それでは企業会計原則を採用いたします。今政務官がお話をしましたように、民間的な経営手法を取り入れるということ、比較、透明性が増すということだと思いますが、それでは、効率化が進展すれば、先ほどガイドラインをつくるとおっしゃいましたが、郵便局の統廃合も必然として進んでいくのではないんでしょうか。
佐田副大臣 郵政事業の公社化は、経営主体を国とは別の法人格を有する公社とすることによって、予算の国会議決等の事前管理から中期的目標管理による事後評価に移行するなど、郵政事業の自律的かつ弾力的な経営を可能とする、こういう理念があるわけであります。
 これによりまして、郵便、郵便貯金、そしてまた簡易保険などの国民の基礎的なサービスを、郵便局ネットワークを利用して、あくまでも公平に提供するという郵便事業の意義を引き続き確保しつつ、より一層質の高いサービスを国民が享受できるように、非常に重要なサービスであるわけであります。
 したがって、ユニバーサルサービスの提供は引き続き確保されなくちゃいかぬ、こういうこともありまして、これは効率化という観点もありますけれども、先ほどもお話しいたしましたように、基礎的なサービスという観点からすると、ユニバーサルサービスをしっかりと守っていかなくちゃいけない。ということは、郵便局も、先ほども申し上げましたように、しっかりと地域に根差したものであるべきであり、存在価値も十分にある、こういうふうに思っております。
後藤(斎)委員 現行の予算書ないし財務諸表の整理では、郵便局単位ではその収支というのは出ておりませんですよね。これをプロフィットセンター構想として実験的にやろうとなさっておりますが、あくまでも、例えば財務諸表につきましては、第二十九条の二項で、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとに内訳を明らかにする。もう一方で、ちょっと飛んで恐縮ですが、三十六条で「利益及び損失の処理」ということで、要すれば、不足があるときは、不足額は繰り越しの欠損金として整理しなければならないような規定があります。
 二十九条の財務諸表では区分ごとにするという規定になっているにもかかわらず、三十六条では損失の対応ができるような書き方をしていると思うんですが、この三十六条と二十九条の二項の関係はどんな形で整理をすればよろしいんでしょうか。
山内大臣政務官 先生ただいま御指摘いただきました点でございますが、第三十六条の趣旨という、これは三事業間のつけかえが行われるのではないかというようなことで御理解いただいておるのでしょうかね。(後藤(斎)委員「はい」と呼ぶ)
 それでありますと、郵政公社は独立採算制のもとで郵政事業に係るサービスを提供する責務を有しておりまして、郵政公社の財政状況を安定的なものにするために、一事業年度の損益計算において利益が発生した場合でも、これを留保しておき、他日、損失が発生した際に、これをもって補てんすることが必要でございます。
 すなわち、利益を生じたときには、前事業年度から繰り越した損失を埋める。なお残余がある場合については、積立金として整理をする。損失を生じたときには、積立金を減額して整理する。そして、不足があるときには、その不足額は繰越欠損金として整理をしていくということでございます。
 なお、郵政公社法第二十九条第二項におきまして、貸借対照表及び損益計算書上、郵便、郵便貯金及び簡易生命保険各業務区分ごとの内訳を明らかにすることとしておりまして、郵便法等の作用法においては事業ごとの料金決定における収支相償原則を定めていることから、御指摘のような三事業間の利益のつけかえということについては行われることはないと我々は思っております。
後藤(斎)委員 今、つけかえはない、三事業は別々に経理処理をする。ですから、逆に言えば、それでは郵便局というのが、効率化という観点で、要するに郵便局という現場では三事業一体になっていますから。ただ、そこで収支が出ないわけですね、赤字なのか、黒字なのか。
 どんな形でこれから、では、先ほど長官がお答えになったように、マンションができ、団地ができれば、そこで無尽蔵にふやしていくのか。それとも、では一方で、企業会計原則ということでお答えをいただいたように、要するに、適切な業績というのは、どんな形で末端では、現場では対応なされているのか。何か矛盾しておりませんか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど政務官が答弁されましたのは、三つの事業について、つけかえなしで、それぞれ区分経理でしっかりやるということでございまして、これは新たな公社の法制の中でも予定されておりますし、現在の政府の組織としての郵政事業においてもきちっとされているというふうに考えております。
 例えば、郵便局で申しますと、郵便課、貯金課、保険課というふうに分かれておりましたら、それぞれ事業ごとにその直接の経費はコストになります。それから総務課等々あるいは郵便局長の経費等は、それぞれの事業別に分計してそれぞれ負担するという形で処理されております。
 ですから、それは小さな特定局においても同じでございまして、総合服務でございますから一人の職員が三つの仕事をやりますが、それぞれ勤務時間調査をいたしまして、どれだけの時間をかけたんだから、どれだけの費用負担をする、そういう計算のもとに、全国的にきちっと配分しております。
 なお、新たな公社にこれから企業会計原則で新たな会計システムの準備が必要でございますが、私どもとしては、個別の局ごとにコストがわかるようなシステムを整備していくべく、今取り組み中でございます。
後藤(斎)委員 いや、三事業別々の処理であることはわかりました。
 そうであれば、逆に言えば、郵便事業が、これからIT社会を迎えて、IT、政府の報告の中で、要するに、マーケットはそんなに大きく伸びないという推計も出ております。一方で、民間事業者が信書法に基づいて入ってくるであろうというせめぎ合いの中であれば、じゃ、郵便事業はこれからもっともっと人的削減をかけて対応していくのかどうか。
 と申しますのは、現行の特別会計を三事業別に見ますと、一番収入を上げている項が今郵便事業であります。私の読み方が間違いなければ、平成十四年度の予算額が七兆二千三百六十二億円、そのうち事業別に見ると、郵便が五兆二千九百五十二億円、貯金が一兆二千五百三十九億円、保険が六千八百七十一億円等々のものを見、さらに、今、人的削減がかかっている部分のメーンは郵便事業であることは現実であります。
 ただ、私は、このまま削減が続いていくのであれば、先ほども御指摘をした中間管理機構をもっときちっと見直しをして、現場に人的な部分をより厚くし、対応していかない限り、三事業別々の経理区分でやって、独立採算を、三事業ごとだよというものは、いずれ郵便事業から破綻するということは明確じゃないんですか。それに対して、どういうふうに対応なさっていくんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 事業別にそれぞれ損益の状況が違うというのは、御指摘のとおりかと思います。しかしながら、私ども、公社全体としての独立採算であるとともに、それぞれの事業ごとの独立採算というのが大前提になっているかというふうに考えております。
 その結果、局面局面では御指摘のようなことも否定できないと思います。否定できませんが、そういう意味で、ちょっとさっきの御指摘の中で、最も収入が多いのは郵便だとおっしゃいましたのは違っていると思います。あれは郵政事業特別会計の中での話だと思っておりますし、それから、言ってみれば印紙の通り抜けの部分が入ったお話だと思います。
 郵便事業の事業規模は、二兆数千億の規模でございます。一方、金目だけで申しますと、簡保事業は二十兆近いレベルがございます。それから、郵便貯金は、利子収入だけで申しますと、約十兆か十一兆か、ちょっと正確にはあれですが、そういったレベルでございまして、金目だけで申しますと、郵便事業は極端に小さい。
 ですから、新しい公社の中では、損益のレベルでもそうでございますし、それから資産のレベルでも、郵便事業は圧倒的に小そうございます。世間の見られている目と全く違うのが本当の会計上の姿だと思います。もちろん、人の数で申しますと、全体の事業の半分は郵便でございます。
 そういう状況でございますが、言ってみれば、三軸制御じゃありませんが、三つの事業をそれぞれ、共同で一つの郵便局で三つの事業をやっている、それから小さな郵便局においては一人の人が三つの事業をやるという形もある。それから、別々にやっていることもあります。大きな郵便局では課が分かれておりますし。そういった形の中で、これはこれまでの郵政事業の展開でございますが、その基本を維持しながら、効率的にそれぞれの事業の採算を確保していきたいというふうに考えておるわけでございます。
 そういう面で、いろいろ私ども努力しなきゃいかぬ点は多々ございますが、それは基本的な使命だと思ってやり抜いていきたいというふうに考えておるところでございます。
後藤(斎)委員 大臣、前回の質疑の中で、三十五条の納付金のところで、四年間、要するに中期計画のスタートのときは国庫納付をしないでいいんだという御答弁をなさっているんですが、その真意というのは何なんでしょうか。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
片山国務大臣 公社が来年から発足しますね。それで、中期経営計画をつくって、それをやる。
 私は、この国庫納付金というのは、公社の経営の健全な見通しがしっかりできるまでは、これはなかなか払えない、こういうふうに思っておりまして、まず過少資本を、どこまで積めばいいのかというのはこれからの議論ですけれども、相当な額を積まなければ過少資本の解消になりませんね。そういうことをやって、それから法律にも書いてありますように、公社の将来の経営の健全性が大丈夫だ、こういう見通しがついた段階で払わせてもらうということは財務省にも言っておりまして、そういう意味から、少なくとも最初の経営計画の四年間にはそういう状況にならないだろう、こういうことを個人的な見通しとして申し上げたわけであります。
 いずれにせよ、経営計画をつくっていきますから、そういうことを含めての検討にさせていただこう、こう思っております。
後藤(斎)委員 大臣がそういう形で、四年間は納付しなくていいんだという見通しを立てられると、以前から、新しい準備委員会であるとか、総裁が決めていくんだということが何か、これは平成十四年の六月何日の国会で当時の片山総務大臣が言ったというふうに繰り返し大臣言われますよ。きょうじゃないですよ。この間ですよ、せんだって。
 私は、その四年間というのは非常に重いんじゃないかなと。むしろ、新しい総裁以下、公社のスタッフが懸命な努力をして幾つかの条件をクリアできた、これは税なのか何かの負担金なのかという明確な定義はございませんけれども、いずれにしても、税にかわるものであれば税を払うのは当たり前だし、ただ、国営の公社であるというところで負担が軽減される分があってもいいのかもしれません。いずれにしても、不透明なわけですよね。しなきゃいかぬ、その前提条件はつきますけれども。
 ですから、大臣、ここの四年というのは、いずれにしても後で何度も繰り返し対応をされる部分だと思いますが、余り先行的に大臣が言っていただくことは、やはり間違っていると私は思います。性格が明確でないという点も、まずその点について御指摘をしておきたいと思います。
 まだたくさんあるんですが、幾つか通告している分で、あと一点か二点だけ、お尋ねをします。
 三十七条に、長期借入金及び債券の発行ができるということがございます。もちろん、その前提条件は、経営の健全性を確保するという条件がつき、なおかつ、その目的の主体も限定をされておりますが、例えば通常の企業会計原則を導入するのであれば、資本や資産の一定の割合にリンクさせて、長期借入金の限度額ないし債券発行の限度額というものを設ける必要があると思うんですが、その点、いかがでしょうか。
山内大臣政務官 お答えさせていただきます。
 郵政公社の長期借入金及び債券発行については、これは限定されておりまして、郵便局舎などの施設建設等の財源に充てる場合に限ってということになっております。そういった資金を市場を通じて自己調達することができますように、今回、第三十七条の中で、総務大臣の認可を受けて行うこととしていくということになっております。
 当該認可を行うに当たりましては、資金調達の必要性等のほか、御指摘のような資産、資本の状況を含めた郵政公社の財務の健全性への影響についても、十分配慮、考慮されなくてはいけないと思っております。
 なお、郵政公社の財務の健全性への影響度合いとか資本装備の必要性というものは、郵政公社の経営状況、経済環境によっても変わり得るものであって、資産、資本の額の一定割合の限度額を法律上規定するということは、少し適当ではないのかなというように考えております。
後藤(斎)委員 法律上書き込めという話じゃなくて、それをある程度ガイドラインとして、信書の方は、ガイドライン、ガイドラインというお話をされています。少なくとも、その基準というのが、例えば、大臣がかわったら変わるとか、担当の職員がかわったら変わるということでは、やはり困るわけです。ですから、それが透明性があるか、例えば資産の一割であるとか五%であるとか、いろいろな基準のつくり方があると思うんです。そういうふうな形で対応していく方が、よりわかりやすい形で公社が国民の皆さんから理解をされる。
 先ほども御指摘したように、この公社というのは、私はこの数年間が大きな山だと思うのです。大臣が言うように、四年いいよ、国庫納付しなくてもいいよというんじゃなくて、この数年間で国民から本当に公社が信頼をされるかどうかが、私は次のステージにどんな形で行くのかということに本当にかかってくると思うのです。ですから、職員も、新しい総裁以下の理事も、指導監督する総務省も一丸となって、本当に新たな形でやらなきゃ、これは、何だ、こんなことじゃもっと違った形にしろということが、私は必ず意見として出てくる。
 ですから、幾つかのシンボルがあります、ユニバーサルサービス、企業会計原則、いろいろなものがありますけれども、それをもっとわかりやすい形で国民の前に示していかない限り、そして、フレームだけ決めるのではなくて、中身の組織のあり方も含めて、私はきちっと国会の中でも明確にしていただきたい。きょうの点ではまだまだ不十分だという点を最後に言わせていただきまして、時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
稲葉委員長代理 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 郵政四法案の総括事項は既に伺いましたので、本日は、郵政公社法の個別課題について議論を進めていきたいと思っております。特に、職員の意識改革、組織管理、そして監査等にかかわる諸問題についてお尋ねしていきたいと思います。
 まず初めに、職員の意識改革であります。
 公社化に際し、職員は国家公務員として身分保障がなされております。そしてまた、公務員制度改革も、大綱は示されましたけれども、この実行までには時間を要すると思います。政府が目指す公社化後の民営化までに、どこまで職員の意識改革を図り、民間との競争力強化が図られるか、疑問を感じるところもあります。郵政公社の職員は、二十九万三千人と約三十万人にも及ぶ労働集約産業の典型でありまして、NTTの推移を見ましても明らかなとおり、職員の労働条件の見直しを実行していかない限り、一口に効率よい公社化及びその後の民営化といっても、その道のりは遠いのではないかと思っております。
 そこで、構造改革は、制度や仕組みを変えることも重要でありますけれども、やはり私は、現場で働く人のやる気を引き立てる、これが大事、意識改革が大切である、このように思っております。そのための具体策が実は今回の法案には欠落しているのではないかと私は思っております。そこで、この点について大臣の所見を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 言われるとおり、制度や仕組みを変えることも必要ですが、より重要なのは、その制度や仕組みの中で働く人の意識を直していく、こういうことでございまして、現在、公社化に向けての意見交換会をやりましたり、あるいは自主勉強会を支援したりいたしておりますし、法案が成立いたしますれば、それをさらに拍車をかけていきたい、パンフレットをつくったり、会議、研修等を通じてそういう意識改革に取り組んでまいりたい、こう考えております。
 この制度の中では、もう既にお話をしましたように、職員の意欲、能力、実績に基づく人事配置、あるいは競争原理に基づく任用の徹底、あるいはそういう弾力的な給与制度の導入、上に国家公務員の冠がついておれば限界があるのではないかという御指摘もありましたが、できるだけ、国家公務員は国家公務員でございますけれども、実績主義、成績主義、実力主義、そういう人事体制、人事のシステムをぜひ導入していきたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 お話をいただきましたけれども、公社の職員は公務員ということでありまして、そしてまた国家公務員の全体の奉仕者としての立場の確保という点は、これはすべての公務員に当てはまる重要な論点であります。特に政と官のかかわり、官の政治的中立性など、本当に今回の鈴木議員の不祥事でも大きな問題になっております。この公務員制度改革のあり方については、後で腰を据えて議論したいと思っております。
 それでは次に、公社の職員への採用であります。この枠組みなのでありますけれども、採用の仕方でありますけれども、これまでの議論で、まだきっちりと決まったという話ではないであるとか、あるいはまた人事院と協議中であるとかという話でありますけれども、大変重要なことであると思っております。
 民間企業であれば、求める人材を会社が独自に採用すればそれでよいということになるわけでありますけれども、公社職員は公職につく者でありまして、全体の奉仕者たる公務員の身分を付与されておりまして、その採用のプロセスの透明性や公正性といったことが国民との関係で明らかにされなければいけないと思っております。
 そこで、公社職員の採用試験は公社が行うということでありますけれども、この公正性、透明性をどのように確保していくつもりなのか、これまた大臣の見解を求めておきたいと思います。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 公社の職員の採用につきましては、人事院が行います1種、2種あるいは3種試験によらずに、経営主体である郵政公社において、郵政事業の実態を踏まえた新たな採用試験を実施する方向で検討いたしております。
 具体的には、現在、既に御答弁申し上げましたが、人事院と協議中でございますけれども、郵政公社の職員は一般職の国家公務員でもありますので、国家公務員法の枠組みの中で人事院の指定を受けて郵政公社が採用試験を行うことを考えております。
 実施に当たりましては、募集方法、実施方法等について人事院と緊密に連携し、公開平等の原則のもとに、御指摘のとおり、公正性、透明性、それらが確保されるものになるよう十分配慮してまいりたいと考えております。
黄川田委員 これまでの議論で、特定郵便局長の採用の件であるとかいろいろ課題があるようでありますけれども、あわせて、公務員の採用試験制度を所管します人事院総裁の見解も求めておきたいと思います。
中島政府特別補佐人 今、総務大臣から答弁がございました趣旨で満たされておると思いますが、国家公務員というのは、今先生がおっしゃいますように、全体の奉仕者であり公僕でございます。したがいまして、こういう公務員を採用するときには、今おっしゃいますように、透明性とか公正性というものが確保されている必要があるということでございます。
 具体的には、三つの原則が満たされている必要があるだろうというふうに思います。一つは成績主義の原則、もう一つは公開の原則、そして三番目は平等の原則ということになると思います。
 具体的に申し上げますと、公開平等ということでございますので、その受験者が、例えて言いますと、私のように農家の出身であっても、あるいはまた高級官僚の息子であっても、平等の条件で競争できるという制度でなければならないというふうに思います。また、公正性といいますか、成績主義の原則というのは、公務員として必要な能力、資質というものを検証するのであって、それ以外の要素を考慮しない。先ほども御答弁申し上げましたけれども、公務員を志望される方が、自由党の政策の支持者であってもあるいはまた自民党の政策の支持者であっても、それは外に置きまして、やはり公務員としての必要な能力、資質というものを検証して結論を出す、そういう試験でなければならないというふうに思います。
 そういうような考え方で、今、郵政公社の方の試験をなさる郵政事業庁の方と試験の実施の細目について打ち合わせているところでございます。郵政事業庁の方も基本的に同じ認識を持っておられますので、私は、近いうちに話がまとまるだろうというふうに思います。
黄川田委員 また、公務員が全体の奉仕者としての使命を果たす上で、セクショナリズムの是正が重要でありまして、これまでの公務員改革の中でも、中央官庁の官僚を中心として省益優先体質を改めることが必要とされてきたところであります。現在、内閣官房で進められております公務員制度改革は、試験合格者の増による各省の裁量拡大や天下りの大臣承認制など、各省庁の権限を強化し、縦割り主義を一層助長するものとなっているところではないかと思われるところであります。
 民間有識者で構成されます二十一世紀臨調は、先般、小泉首相に公務員制度改革の緊急提言を行っておりまして、その中で、こうしたセクショナリズムの強化につながる公務員制度改革大綱の再検討を求めております。具体的には、省庁別採用制の抜本改革や、あるいはまた内閣官房での再就職の一括管理等を提起しておりまして、これらは国民本位の公務員制度とする上で傾聴に値する提言だと私は思っております。
 そこで、こうした有識者の提言を踏まえまして、この大綱の内容を国民本位のものに改めていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。そしてまた、特にこの公社化に関しては、これらの視点を踏まえ、国民本位の公務員制度の改革の思想をできるところから実行する必要があると考えるわけでありますけれども、あわせて大臣の見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 今お話しのように、政府におきましては、内閣の行政改革推進事務局を中心に、公務員制度改革大綱の具体化に向けた検討作業をしております。公務員制度を所管するのは総務省でございますので、我々も、その具体化に当たりましては、行政改革推進事務局と連携協力しながら今いろいろ作業いたしておりますが、お話しの二十一世紀臨調の方からの提言もございますので、これも参考にさせていただく、こういうことでございます。一括採用というのは昔から話がありますけれども、なかなかこれも難しい、ネックがございまして、そういうものがどうクリアできるかということを含めて今後検討していく、こういうことでございます。
 郵政公社に来年度から移りますけれども、郵政公社の職員は一般行政部門の人材と異なる能力、適性を必要とするものであることから、先ほども言いましたが、公社独自の採用試験を行うことを考えておりますけれども、人事制度につきましては、何度も言いますように、成績主義を徹底した人事配置や任用、あるいは弾力的な給与制度、こういうものを導入していきたい、そして、こういう考え方は公務員制度改革大綱の精神にも合致するものだ、こう考えております。
黄川田委員 官僚の縦割り行政といいますか、この官僚に関しては、経済財政諮問会議も官僚の拒否権で議論がうまく進まないと本間議員が嘆いていると報道されております。霞が関に課長が千人いるとすると、全員が拒否権を持つ。それぞれが利害得失をもとにパワーゲームをしている。そしてまた、一方、ゲームにうつつを抜かすのは能力の浪費だが、そうしないと我々のような民間議員の意見も入れられないというふうなことであります。いずれ公務員、本当に、全体の奉仕者性の確保というのが大事でありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、郵政公社の組織と業務範囲であります。
 具体的に、公社に役員として、総裁が一人、副総裁二人、理事十六人以内、監事三人以内を置くこととしております。そしてまた、役員を構成員とする理事会を設置することといたしまして、理事会に総務大臣による認可、承認事項、その他理事会が特に必要と認める重要な事項を審議、決定する権限を付与しているところであります。
 理事は十六人以内と規定しておりますので、個別の理事が所掌する組織の骨格を総務省は既に想定していることと私は思っております。そこで、その骨格はどのようなものでありましょうか。そして、理事のうち三人以上は外部から登用するとしておりますけれども、主にどのような部署を所掌する予定であるのか、お尋ねいたしたいと思います。
 加えて、理事は常勤でありまして、かつ、自分で部長職等の実務を兼ねることが好ましいと私は思っておりますけれども、現事業庁内部の局長あるいは部長を登用することになるのか、あるいはまた天下り方式で総務省のOB等を新たに任用することになるのか、その方針もあわせてお尋ねいたしたいと思います。
山内大臣政務官 お答えさせていただきます。
 具体的な理事の所掌につきましては今後の検討課題になっておりまして、郵政公社法案第八条において理事の人数を十六名以内にしたということについては、経営の効率化を前提として、現行の業務を全国あまねく提供するという、ユニバーサルサービスでございますけれども、郵政事業の業務の質とか量、こういったものを念頭に置きまして旧の公社、特殊法人などを参考にして必要最小限の数としたところでございます。
 そして、理事のうち三名以上は外部から登用するということにつきましては、郵政公社法第十二条において、理事のうち三人任命をすることになっておりますが、例えば、信書送達等の物流の専門家とか貯金、保険等の金融の専門家、そして三人目については経営全般についての専門家などの知見を活用したいということで、外部から三名を登用したいと考えております。
黄川田委員 また、この理事会は、中期の経営目標やあるいは経営計画など経営に関する重要案件について、審議、決定する権限を持つこととしております。
 そこで、公社としての最終的な経営責任はどこにあるのでしょうか。組織全体としての理事会にあるのか、あるいはまた、最高経営責任者といいますか、その個人として総裁にあるのか。そしてまた、任命権者である総務大臣の責任はどうあるべきと考えておるのか。あわせて大臣の見解を求めておきたいと思います。(山内大臣政務官「済みません、先ほどの、ちょっと答弁漏れがありましたので」と呼ぶ)後段の、また答弁が何か抜けていたような気がしたんですけれども、後段とあわせて、今の質問とよろしくお願いします。
山内大臣政務官 郵政公社法の第十二条に、「理事は、総裁が任命する。」と規定をされておりまして、理事の任命権は総裁にあるということは、もうこれは動かせない事実です。
 具体的に理事にだれを任命するかということについては、今後、総裁が判断することでありまして、一般論として申し上げるならば、公社の実務を担う常勤の理事には、郵政事業に精通している人材を任命する必要があるものと考えております。
片山国務大臣 今、山内政務官の答弁にもありましたが、この公社の経営責任、最終的な経営責任は総裁であります。総裁が副総裁や理事を任命するわけでございまして、経営責任は総裁にございます。
 また、総務大臣は、中期的目標管理による業績評価をやりましたり、各種の認可を行うわけでありまして、郵政事業が適正かつ確実に実施されるような監督責任、これは総務大臣にあります。
 まあ理事会もございますけれども、構成員は総裁、副総裁及び理事でございまして、いずれも自分以外は総裁が任命権者でございますので、理事会もいろいろなことをやりますけれども、経営責任はやはり総裁にあると言わざるを得ない、こういうふうに考えております。
黄川田委員 時間も残り少なくなってまいりました。一方、郵政事業については、郵貯、簡保の肥大化を初めとして民業補完の原則を逸脱しているというふうなさまざまな批判もあるところであります。平成九年九月の行革会議の中間報告によりますと、これも午前中の質疑でありましたけれども、郵政三事業については、簡易保険事業は民営化する、郵便貯金事業は早期民営化のための条件整備を行う、そしてまた郵便事業は国営事業とする等々合意がされておったはずであります。
 今回、郵政事業庁から公社への業務の承継に伴いまして、業務範囲の見直しは行わないとのことであります。我が党は、基本方針として、郵貯、簡保について民営化を主張しておるわけであります。
 そこで、もう時間もない、そういう制約があるのでありますけれども、この際、三事業のうち、歴史的にも新しく、また最も異質と思われる簡保事業のみ民営化を図るなど、可能な限りこの承継業務の見直しを行うべきであると思っておりますけれども、これまた大臣の見解はいかがでしょうか。
片山国務大臣 中間報告では、簡易生命保険事業はすぐ民営化をやろう、郵便貯金事業は民営化の準備に入ろう、郵便事業は国営化で残すということが中間報告であったことは、事実ですね。しかし最終的には、何度も御答弁申し上げていますように、一体的に遂行しよう、全体として三事業一体でやろう、これはとりあえず郵政事業庁にして国営の公社に移行しよう、こういうことが決まったわけでありますから、我々は今、この簡易生命保険事業だけをどうする、こういうことは考えておりませんで、この事業も独立採算制のもとで、引き続いて健全経営で維持していく。
 簡易生命保険というのは基礎的な、基本的な生活保障手段ですね。特に、簡易が上についているだけに、無診査で加入できたり、職業による加入制限はやらない、保険金は原則即時に払う、こういうわけでございまして、やはりこういうものが郵便事業や郵便貯金事業と一体となって郵便局で行われるということが、私はある意味では、郵政事業そのものが生活インフラ、国民のセーフティーネットだ、こう言われるゆえんではないかと考えておりますので、今の段階で簡易生命保険だけ切り離すということは考えておりません。
黄川田委員 ぜひとも、将来の議論として取り残さないで、いろいろと検討していただきたいと思います。
 それでは、通告の順序を変えまして、残り時間が少なくなってまいりましたので、金融庁の検査にかかわって御質問をさせていただきたいと思います。
 郵貯、簡保合わせて三百六十兆円ですか、巨大な公的資金が、公社化後、運用先は厳しく制限されるとはいえ、金融市場の活性化あるいは安定化に与える影響は大きいと私は思っております。そしてまた、決算状況、資金運用等の広範囲にわたる郵貯・簡保システムの運営実態は、その透明性が国民の目から厳しく求められているとも思っております。
 この法案の五十八条でありますけれども、五十八条では、総務大臣が立入検査権限の一部を総理に委任し、そして総理はその委任された権限を金融庁長官に委任し、さらに金融庁長官は財務省財務局長等に委任することができるとされております。そこで、どうもこの委任事項は実態的にわかりにくく、だれが、何を、どこでどう検査するということになるのか、改めてこの基本方針を総務省にお尋ねいたしたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる金融庁検査の関係でございますが、御指摘の公社法案の五十八条でございます。ここにおきましては、基本的に五十七条によって総務大臣が監督をいたすわけでございますが、御指摘のとおり、リスク管理というのは非常に重要な業務でございますので、これを金融庁の検査を受けるというふうなことでこの条文をつくってございます。
 この五十八条によりまして、まず本来的に総務大臣の監督権があるわけでございますが、それを、内閣総理大臣と書いておりますが、これは金融庁長官でございます。この本来の監督権の一部を金融庁長官へ委任するということを決めております。さらにこの一部を、地方で行う場合に、金融庁長官から財務省財務局長等へ委任するという権限の委任をしているわけでございます。
 この委任の内容でございますけれども、まず、総務大臣から金融庁長官への委任につきましては、これは民間金融機関の検査を行うという金融庁の業務がございます。その専門性を活用するという趣旨から、郵貯、簡保のリスク管理分野というものにつきまして検査を委任するということにする予定でございます。
 それからもう一つは、基本的にそういう委任をいたしますけれども、本来的に、総務大臣もリスク管理の責任もあるわけでございまして、その権限をみずから行使することも妨げないというふうなことを予定してございます。
 リスク管理の検査の内容でございますけれども、これは、現在金融庁が行っております民間金融機関の検査と同様のものというふうに考えてございます。金融検査マニュアルというものがございますので、恐らくこういうものに従いまして、郵政公社の本社それから地方組織を対象に、このリスク管理について検査が行われるものというふうに考えてございます。
 以上でございます。
黄川田委員 地方郵政局に対しては別といたしましても、検査の主体は金融庁が検査を行うことになると思っておりますが、昨今、この金融庁による民間金融機関の検査の話題がいろいろ報道されております。今の御答弁で、民間と同じような検査になるだろうということでありますけれども、私、ちょっと金融問題には不案内でありますので、金融庁の役割、そしてまた体制など、基本的事項を改めて金融庁にお尋ねいたしたいと思います。
村田副大臣 お尋ねでございますので。
 金融庁でございますが、平成十年六月に、それまで大蔵省の銀行局、証券局で担当しておりました行政分野を総理大臣の権限にするということで総理府のもとに置かれまして、それからいろいろな変遷を経まして、最終的に、十三年一月から内閣府のもとに金融庁ということで組織的に落ちついたという形になっております。
 何をやるかということでございますが、要約して申し上げれば、我が国の金融システムの安定を図る、それから預金者あるいは有価証券の投資者、あるいは保険契約者の保護を図る、そうしたことを通じまして金融の円滑を図っていく、こういうことが仕事でございまして、その手段といたしまして、金融庁は、金融制度の企画立案から検査監督を行って今言ったような行政目的を達成していく、こういうことになっております。
 そういう意味で、平成十四年度で、検査局といたしましては総勢九百八十一人という体制になっておるわけでございます。
黄川田委員 時間も残り少ないので最後の質問となります。
 今お話がありましたけれども、金融庁は歴史も浅く、過去の金融危機等に対処すべく、検査員として大量に民間金融機関から採用してきたと聞いております。そこで、検査員の出身別内訳、構成をお伺いいたしますとともに、公社化後、金融庁はどのような検査を行うのか、例えば銀行法による立入検査、こういうものをイメージするのか、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
 そしてまた、郵政実務に明るい検査官をどのように育成していくのか、これは大事だと思いますので、その対処方針等々を重ねてお尋ねいたしたいと思います。
村田副大臣 私、たった今、検査局の人数として九百八十一と申しましたが、これは本庁全体の数字でございますから、おわびを申し上げて訂正させていただきたいと思います。
 検査局の定員は十三年度末で三百六十名ということになっておりまして、その中で、民間出身者が同じく十三年度末におきまして二十九名、こういうことでございます。
 私どもは、先ほど局長から御答弁がございましたが、郵政公社のリスク管理の分野についての検査を行わせていただく、こういうことでございます。私ども検査全体では、法律の遵守状況、すなわちコンプライアンス、そういう分野もあるわけでございますが、私たちが今回の改正によりまして担当させていただくのはリスク管理分野の検査でございまして、これは、私どもがこれまで民間の金融機関の検査を通じて積み重ねてきたノウハウが活用できる分野ということでやらせていただく、こういうことになったわけでございます。現状、私ども、金融検査マニュアルというものを公表しておりまして、それに基づきまして私どもは検査を実施していくことになろうか、こういうふうに思います。
 これからでございますが、まず、今御審議いただいている法律が通りまして、それから検査体制につきまして、私どもといたしましても研修体制を充実したい、それから、もちろん人間もまだ不足しておりますものですから、そういう意味で、そういう段になりましたら十五年度の定員要求で定員の充実も要望してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
黄川田委員 通告では、監査等その仕組みについてお尋ねしようと思いましたが、時間になりましたのでこれは次回に延ばしますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
平林委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 片山大臣に、質問通告ではなかったんですが、きょう記事が出たものですから、先ほど同僚委員が何人か御質問されたので、私もその点について最初にお聞かせいただきたいと思います。
 六月二十五日、きょうの山陽新聞に、中国建設ですけれども、この建設会社の社員、私設秘書的に仕事をしていただいていた社員の方が、昨年七月の参議院選挙でも片山大臣の選挙運動を手伝っているという報道がございます。これは事実でしょうか。
片山国務大臣 去年の七月の選挙では、選挙事務所をつくりまして、大勢の人が、これはちゃんと正規の手続で運動員としてやってくれた中の一人でございます。
春名委員 それから、その際には給与はどこから出ていたか、ここまでなかなか御記憶ないかもしれませんが、どういうことになっていたでしょうか。
片山国務大臣 選挙中は選挙事務所に私自身がいませんから、全くわかりません。それは正規のあれをしたと思います。
春名委員 そこが少し問題なものですから、今は突然のお尋ねですので、わからなければ後で報告いただきたいんですが、公職選挙法、御存じのとおり百九十九条があります。つまり、この百九十九条は、国または地方公共団体と特別の関係がある者の寄附の禁止という条項になっています。衆議院選挙や参議院選挙に関しては、国に対して請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、その選挙に関し、参議院選挙に関し、寄附をすることができないという仕組みになっているわけですね、百九十九条は。
 したがって、この選挙をお手伝いされた職員の人が、中国建設から派遣をされて、そこからもし給与が出ていて選挙を手伝っていたということになると、これは厄介な話であります。つまり、中国建設は、国の事業をたくさん受注している、公共事業を受注している会社です。したがって、特別の関係がある、百九十九条に該当する会社になります。そこから労務を提供するという形で寄附がされているということになりますと、これは公職選挙法の百九十九条に明白に違反することにならざるを得ません。
 私も突然の質問ですから、わからないところがあると思います。二番目の質問で、どこから給与が出ていたのかが今はわからないとおっしゃっていますので、七月にあった選挙ではお手伝いをしているということになっておりますので、単なるボランティアであれば、給料もなしに、別にそこの関係なしに自分の意思でやっておられるということだったらまた別ですが、それが中国建設から派遣されて、そういう形でお手伝いをしているということにもしなった場合は、こういう問題になってくるんです。これはもうよく御存じのとおりであります。
 したがって、この一部始終をきちっと調査していただいて報告をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
片山国務大臣 報告をするかどうかはわかりませんけれども、調査はいたします。
春名委員 いや、これは公職選挙法の所管大臣として、百九十九条についてどういう事態になっているのかということが問われる大変大事な問題でございますので、報告するかどうかはわからない、そういうあいまいなことでは困りますので、きちっと調べていただいて、当委員会に御報告をお願いします。
片山国務大臣 それは選管との関係ですから、選管の方の報告書を見ていただければいいので、私は全くわからない話で、今あなたが突然言われたので、だから調査はいたしますということは申し上げたわけであります。
春名委員 選管との話ではなくて、所管している公職選挙法の条文との関係で、百九十九条に違反している疑いがあるということを問題提起しているわけですので、その疑惑についてきちっと解明をしていただいて晴らしていただくということにすればいいわけです。したがって、報告をしていただきたいということをお願いします。
平林委員長 春名君、御希望として、大臣がうなずいておられますから、よろしゅうございますか。
春名委員 わかりました。
 では、続いて行きます、うなずかれたので。
 それから、政治資金規正法違反の問題についての大臣としての責任をどう感じておられるかということについてであります。
 政治資金収支報告書の修正をされるというふうになっているわけですが、これは、そういう修正をしなければならないという判断をしたきっかけ、だれからどういう指摘があって修正をしなければならないと判断されたのか、この点についてお聞かせください。
片山国務大臣 去年のものは三月までにやるんですよ。七月までにそれはいろいろ補充ができたり修正ができるんですよ。それで、念のために私はどうなっているか調べてもらったら、そこが落ちているというような話があったので、至急選管と相談して処理をしなさい、こう申し上げているわけであります。
春名委員 この念のためにお調べになったということについては、だれから指摘があってそういうふうにされたのですか。
片山国務大臣 それは、報告書の相談がこっちにありますから、その段階で私が言ったわけであります。だれからどうということではありません。
春名委員 私が聞いているところによりますと、マスコミからの指摘もあって、それが発端になってきょうの記事にもなっているという状況なんですね。昨年の十月からこの方は派遣をされておられますね。この夏までという約束でやられているようですが、当然、大臣自身がこのことは了解をされてこの方を派遣されるということになったんだろうと思います。
 そうだといたしますと、政治資金規正法を担当する大臣としては余りにも軽率ではないでしょうか。外部から指摘もされて、それまでは、わからなかったのかどうかわかりませんけれども、修正していなくて、修正すればいいだろうと。それでは、所管の大臣として本当に済まされるのかという思いを私は持たざるを得ませんが、その点についての責任はどうお感じになっているんでしょうか。
片山国務大臣 これは、向こうの方からぜひ勉強したいと。若い人ですし、いろいろな仕事のぐあいや人も知りたい、こういうことですから、それは顔を出されたらどうでしょうか、こういうことで始まったわけでありまして、あなたの言うように、契約とかあれとか責任とかと、そういう話じゃないので、ただしかし、半分ぐらいは私の事務所にも来ているので、念のためにそこはしっかりしたらどうかということを事務所に言ったわけであります。
 追うように、責任だとか何とかだとかきっかけだとか、そういう言い方は御遠慮いただいた方が私はいいと思います。
春名委員 しかし、政治資金収支報告書を修正するという行為自身が、誤っていたということをあなたがお認めになっているわけですから、そのことについて、昨年の十月からそういう事態が続いていたわけですから、そして、私の知り及ぶところによりますと、マスコミからもそういう指摘がされて、そしてお気づきになって、調べてみたらこれはまずいということで修正をされたという経過ではないんですか。そのことを考えますと、本当に政治資金規正法に責任を持つ大臣としても、それは、まあ、しゃあないんだということには私はならないんじゃないかと思います。
 それからもう一つ、政治資金規正法との関係でお聞きをしておきます。
 労務の提供というのは企業献金そのものというふうに位置づけられています。ですから、企業献金は今政党支部のみしか受け取ることができません。しかし、私、今お話を聞いていますと、この方は、実際は私設秘書としての仕事をやっておられたのではないか。その点でいいますと、政党支部への企業献金というよりも後援会の仕事、片山大臣の仕事を一緒にやっていたということから考えると、この点でも政治資金規正法違反の疑いがあるんじゃないかというふうに感じてしまいますが、その点はいかがでしょうか。
片山国務大臣 何度も言っているでしょう。私の選挙区支部の、それの勉強に来たい、こういうことでございまして、そこにはどうぞと言ったので、後援会だとか事務所は関係ありませんということを何度も申し上げているんですね。
 それから、三月までに報告をすればいいので、七月まではそれは認めるわけでしょう、今の仕組みは。だから、その間にしっかりやってほしいということを言ったわけで、もともとそれをどうにかしようなんという気はありませんよ。そんな事柄でもなければ、額でもなければ、そんな状況じゃないんですから。
春名委員 第二岡山参議院選挙区支部の方に所属というんですか、入っているということだそうですけれども、私も調べてみましたけれども、この第二支部は、率直に言って片山大臣の事務所そのものだと思います。住所が岡山市富田町二の五の十一で、第二支部、それから片山さんの後援会の事務所、全く同じ住所です。そして、第二支部の代表者は片山大臣そのものです。
 そして、午前中の論議でも言われているとおり、あなたが現地に帰ったときに車の運転をされる、その他をやってもらうということを御答弁されている。実態は、片山事務所に派遣されているということではないんですか。そういう点から考えても、私は疑わしいと言わざるを得ないと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
片山国務大臣 選挙区の支部長として私が行動するのを手伝っているわけでありまして、いないときは選挙区支部の仕事をやっているんですよ。そういう思い込んだような、決めつけたような言い方は私は必ずしも適当でないと。まあ、お得意ですけれども、ぜひお慎みください。
春名委員 今の話は訂正しなさい。何がお得意ですか。ちゃんと事実に沿って言っているんですよ。訂正しなさい。訂正してください。――委員長、時間がもったいないですから……(発言する者あり)何を言っているんですか。私は、事実に沿って一つ一つ聞いているんです。いいですか、今政治と金の問題が最大の問題になっているんですよ、今度の国会は。業者と政治家と官僚の癒着の問題が、今度の国会の一番の焦点になっている問題でしょう。政治家と業界の癒着そのものが今問われているんです。
 いまだにこの社員をお雇いになって、ことしの夏までそのままお続けになるのかどうかは私はわかりませんが、そういう契約になっておられる。それで、給与はすべて会社が払っているという体制は、これからも続くんですか。そういうところを政治と金の問題で今問われているんじゃないかと私は思うんです。そこをきちっとされた方がよろしいんじゃないかと私は思いますが、その点はどうお考えなんでしょうか。
片山国務大臣 向こうの申し出ですから、向こうの意向を体してやりたいと思いますし、あなたの御意見は御意見として承っておきます。
春名委員 この問題は非常に大事な問題でして、今国会の主題の一つでもありますので、そういう点で、私は、きちっとそういう二つの法律の所管大臣としても明確にしていただきたいということを改めて強く要請をして、次の問題に入りたいと思います。
 今、郵政事業に求められている改革は何かということです。国民が期待していることは何かということです。まず第一は、何よりも高祖事件に見られる特定郵便局長会、郵政事業と政権党との癒着の一掃だろうと思います。第二に、経営そのものをガラス張りにして国民監視のもとに置いて、渡切費などの不明朗な運営や不正を一掃するということが今国民が期待していることだと思います。そして第三に、そのことで一層質の高いユニバーサルサービスを提供していくということが、国民の期待にこたえる改革の中身だろうと思います。
 まず、お聞きをしたいと思います。あなた方は、高祖事件を受けて、特定郵便局長業務推進連絡会連合会、特推連の全国組織と地方ブロック組織を廃止したというふうになっております。それから、特推連の役員を志願制に改正した、改善をしたということをおっしゃっておられます。これらのそれぞれ理由について、御報告いただきたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の参議院議員の通常選挙に関連いたしまして、近畿郵政局管内の職員が公職選挙法違反で有罪判決を受けるなどしたことはまことに遺憾でありまして、このような事態に至ったことにつきましては、厳粛に受けとめまして深く反省しているところでございます。
 本件を改めて振り返りますと、服務規律の指導が、通達にのみ依存するなど具体性に欠いて不十分である、公務員として守るべき服務規律の認識に欠けるところがあったということが一つございます。それから、さっき御指摘がありました公的な特推連と私的な特定郵便局長会の活動の区別があいまいであった、こういった問題があったということを認めているところでございます。
 その反省に立ちまして、昨年の十一月一日及び本年の二月一日に、私ども郵政事業庁におきまして、服務規律の保持に関する指導通達を発出しております。そしてその中で、特推連と特定郵便局長会の活動の峻別、それから国家公務員法等に関する研修会の実施、これらを実効あらしめるために、綱紀の保持についての地方郵政監察局等による特別考査の実施といった再発防止策を講じたところでございます。また、特推連組織の見直しを行いまして、地方郵政局の特定郵便局業務に関する直接的な指導体制を強化するために、本年三月をもって、全国連合会及び地方連合会を廃止したところでございます。
 いずれにいたしましても、郵便、貯金、保険などのサービスの提供に当たりましては、国民利用者の皆様からの信頼が最も大事であることを改めて思い起こしまして、事件の再発防止に向けて、事業に携わる職員一同が襟を正してまいりたいと考えているところでございます。
春名委員 今お話しになった改革ですよね、効果は大分上がり始めているんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、その服務規律の保持に関する指導通達に基づきまして、特推連会議の適正な執行の徹底を図るということ、それから郵便局の管理者等に対する服務規律の研修を実施いたしました。平成十三年度中には、二百七十会場で、延べ三万一千六百九十人に対して研修を実施いたしました。
 また、地方郵政監察局等による特別考査でございますが、これを全郵便局に対して行うことといたしましたので、平成十四年の五月末現在で申しますと、一万三千七十七局に対して実施いたしまして、研修の実施が不十分だった局など四十六局に対しては、特別考査時に是正改善を指導いたしましたほか、再考査の実施等も行っているところであります。今後とも、再発防止の徹底を図っていきたいと思っております。
 また、特推連組織の見直しで、全国連合会、地方連合会を廃止したことによりまして、私的な局長会であります全国会、地方会といった階層的な組織構造を持っております特定郵便局長会組織との対応関係が解消いたしまして、公的な組織の特推連との混同がなくなったかと思っております。
春名委員 いろいろ変化をつくって努力されているということだと思うんですが、本当にそうなのかということを次に聞きたいんです。
 まず、志願制なんですが、ここに読売新聞の四月十一日付の宮城版がございます。志願制の導入の結果について述べておりまして、結果はどうだったか。東北特推連では、二十五連絡会長のうち二十四人が東北特定局長会の地区会長だった。二十五連絡会長のうち二十四人までが東北特定局長会の地区会長だったと。東北地方のある特定郵便局長によりますと、二十五連絡会長の多くが志願者一人の無競争だったというふうに述べております。全然変わっていないんじゃないでしょうか。これはどうですか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 地方の特推連の連絡会長につきましては、地方郵政局長が指名することになっております。それで、それはどういう者を指名するかということでございますけれども、人格、識見にすぐれて事務に明るい、それから連絡会長として連絡会内をまとめて指導していく手腕、そういった信望のある者、こういった者がその対象になるわけでございます。それを見定めた上で、郵政局長の責任において適任者を指名するということになっております。その過程で御指摘のような結果になったんだと思います。
春名委員 私どもの調査でも、この読売新聞の調査を裏づけている資料を今配付させていただいております。委員各位にぜひごらんいただきたいと思います。
 二ページを開いていただきたいと思います。
 ショッキングな表題にしていますが、表裏一体表というふうにしました。東北だけではなくて、全国の二百三十八ある地区ごとの特推連会長とそれに対応する特定局長会の会長の名前を全部調べてみました。何と、二百三十八地区会長中百八十五地区で調べがついたんですが、百七十四名が特推連の連絡会長を兼ねていまして、完全表裏一体率は九四%であります。さらに、特定局長会の副会長や理事が特推連の会長を兼ねているものまで含めますと、表裏一体率は九八%であります。ほぼ一〇〇%。
 先ほど、公的な特推連と私的な機関である局長会の区別があいまいで活動を峻別しなければならない、そのことによって癒着が生まれて、ぐるみ選挙という問題が指摘されてきたということが反省点としてあるということを述べられました。しかし、現実には何にも変わっていないんですよ。表裏一体率九八%。東北だけじゃないんです。全国すべてが、今までと、高祖事件以前と全く変わっていないというのをこの表は如実に示しているものだと私は考えますが、これでも変わったとおっしゃるんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、地方郵政局長の責任においてそれぞれの郵政局管内の連絡会の会長を指名するということになっております。そういう中で、結果的に私的な局長会の会長と一致する場合ももちろんあるわけでございますけれども、あくまでこれは、人格、識見、それから信望、そういったものを踏まえて選考された結果だというふうに考えております。
 なお、実際に役員構成等はかなり変わっているんではないかというふうには思っております、人、顔ぶれそのものはですね。
春名委員 結果的に一致しているなんという生易しいものじゃないですよ、これは。九八%が同じなんですよ。
 あなたは、識見やさまざまな評価で議論してこういうふうになったというふうにおっしゃいました。それでは、私は聞きます。
 近畿郵政局で繰り広げられた高祖事件で、近畿郵政局内の三十七の連絡会の会長のうち、起訴猶予となって近畿郵政局の内部処分も受けるなどした局長、三十一名います。この三十一名が昨年十月に責任をとって会長をおやめになりました。ところが、そのうち二十一名がこの四月一日には返り咲きをしています。
 その資料もつくってあります。一ページをごらんください。
 この黒くゴシックで書いてあるのが大体継続しているという方です。復活率は、やめた人で復活した人はほとんど七〇%。それだけではないですね。これを見ていただければわかるように、最大の問題を起こした近畿の郵政局内でも表裏一体率を出してみました。滋賀、京都、奈良、和歌山では一〇〇%、判明している三十七地区中三十四地区の表裏一体率は九一%、地区副会長が連絡会長になっている二地区を含めれば、表裏一体率は九七%。
 最大の問題を起こして国民的な憤慨を引き起こした近畿でもこういう実態ではありませんか。どこが改善しているというんですか。一体何を反省し、何を改善したのか。二十一人が返り咲いたといいますが、どんな選考をされたんですか。国民にわかるようにきちっと答弁ください。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 まず一つは、特推連の方は、公的な方は郵政局長の指名でございます。一方、局長会の方は任意団体でございます、私どもの所管ではございません。これだけはまずひとつお含みいただきたいと思います。
 それで、先般、一度委員会で私も答弁させていただいたことがあろうかと思いますけれども、近畿の会長として指名された者の中に、御指摘のように昨年の公職選挙法の違反事件に関連いたしまして会長を退いた者がいるのは事実でございますが、近畿郵政局では、これらの者は、刑事訴追を受けなかったものの起訴猶予となったことから、部内規定に基づいて指導矯正措置としての訓告を行った、そして十分に反省したと認められたというふうに聞いております。
 また、郵政局長の指名に当たりましては、書類選考、それから面接を行った上で、業務運行や営業活動の推進状況はもとより、本人の意欲、知識、指導力などを総合的に判断した上で適任だと認めたというふうに聞いております。
 これらの者を会長に指名したといたしましても、前回の事件の再演はないものと判断したとのことでありまして、その判断を尊重したところでございます。
春名委員 今、長官は、別々に決めているんだ、任意団体は任意団体で決める、特推連は皆さんの業務組織ですから公的な部門で決めるとおっしゃるんだけれども、この表を何のためにつくっているかといいますと、任意団体の特定局長会の総会は大体二月から三月にやられるんですよ。そこでそこの会長が決まるんです。その後に皆さんの特推連の役員が決まっているんですよ。全部、任意団体の特定局長会の会長を決めた後に、その人を特推連にそのままスライドさせているんですよ。だから、ここに地区総会の開催日の日程まで全部書いてあるんです。全然言いわけですよ、こんなものは。十分に反省をしたから二十一人復活させた。冗談じゃありません。どこに反省があるんですか。さっき、表裏一体をやめて、本当に、表と裏で批判が出るようなことがやられたから、その反省の上に改革をしているんだとあなた方はおっしゃっているけれども、実態は全然変わっていないじゃないですか。ここを変えるのが本当の郵政改革と違うんですか。
 大臣、これはいかがですか。
松井政府参考人 御指摘の近畿郵政局管内におきましては、前回の事件に関しては十分な反省があると思います。それは徹底していると思います。そういう意味で、再演はないものと信じております。
春名委員 だれが聞いてもそんなことは信頼できません。ブロックの特推連や全国の特推連を廃止しても、地方組織の特推連と、それに対応する地方特定局長会はそのまま健在です。その下の部会単位の特推連と局長会も一緒に健在です。要するに、実動部隊は何も変わっていない。むしろ国民から隠れたところで一層癒着が強まりかねない。ここにメスを入れなければ本当の改革はできない、このことをはっきり申し上げて、私の質問を終わります。
平林委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 私は、今回の郵政公社化に伴う関連法案につきまして質問いたしたいと思いますが、まず最初に、離島、過疎地における郵便局の存在意義についてお伺いをしたいと思うんであります。
 今回の郵政公社関連法案のもとになったのは、言うまでもなく、総務大臣の研究機関である郵政事業の公社化に関する研究会の中間報告でありました。この中間報告の取りまとめに当たっては全国各地で公聴会を実施されておりまして、特に、熊本の公聴会では、私の出身の地でもあります長崎県福江市の森稔元市会議員が意見を述べておられるようでありますが、その御意見の中身を要約して紹介をしていただきたいと思います。
野村政府参考人 御案内のように、昨年の郵政事業の公社化の研究会におきましては、広く意見を求めるということで、仙台、名古屋、熊本におきまして公聴会を開催いたしました。熊本での公聴会におきまして、先生御案内のとおりに、五島列島の福江市にお住まいの森稔様初め六名の方から御意見を伺ったところでございます。
 五島列島の森様からは、一つは、離島では郵便局がなければ生活は成り立たない、公社になると過疎地や離島は見捨てられ、郵便局が廃止されないか心配である。郵便局に行けばほとんどの用件が一カ所で満たされる現在の制度は大変便利で効率的だ、三事業一体の事業推進を行ってほしい。三番目といたしまして、引き続き、全国どこでもだれでも、なるべく安い料金でサービスを受けられる制度を維持してほしい。四点目といたしまして、国や自治体の業務の受託によりまして、地域の人々の利便を図り、住みよい地域づくりに貢献してほしい。五番目といたしまして、郵便事業に参入する民間の事業者は全国展開できる事業者とすべき、どの地域だけでもよいとすれば、一部の地域では参入者がいないということも想定される。こんな御意見をちょうだいしたところでございます。
今川委員 今の森さんの御意見は一つの例なんですが、実は、私の出身地である長崎県は、約三十もの離島を抱えているんですね。こうした離島や過疎地における郵便局の存在意義の大きさというのは、例えば東京などのような大都会に暮らしていてはなかなか実感として理解しにくいんだと思うんです。
 今回の公社化自体は、かつて自社さ政権のもとで成立した中央省庁等改革基本法に定められたものでありますから、異存はございません。そこで、私の関心は、離島や過疎地における郵便物の引き受けあるいは配達は、現在はどのように実施されているのかをお伺いしたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 郵便事業での引き受けは、郵便局それから郵便差出箱、ポストですね、そういうところでやっていただくわけでございます。このための施設がどうかということでございますが、山間、辺地、離島を含めまして、全国津々浦々で約二万四千七百局、それからポストの数にしまして約十七万七千本設置されております。平成十三年度末現在で、全国三千二百二十三の市町村すべてに設置されております。
 次に、郵便物の配達について申し上げます。
 それは、現在、一軒一軒の各戸配達のできないごくわずかな地域を除きまして、すべて各戸配達を実施しております。
 現在、各戸配達ができないところとはどういうところかということでございますが、一つは交通機関がない離島でございます。具体的には、小笠原の南鳥島だとか硫黄島、こういうところでは、自衛隊だとか気象庁だとか海上保安庁の関係者のみがお住まいで、これはそういう飛行機などで運んでいただいています。それから、がけの下で道路がないところ、例えば、北海道の羅臼町だとかあるいは礼文町、こういうところでは、交通手段がお住まいになっている方の自家用の船舶だけなんです。それから、交通手段が徒歩のみで長時間を要する山小屋、例えば、白馬村だとかあるいは立山の山頂だとか四国の石鎚山の中腹の山小屋、こういったところは配達できません。でありますが、そういったところ以外は各戸配達をやっております。
 そういった、今私が申し上げました交通困難で各戸配達ができないところというのは、全国では八十四集落、百三十四カ所のみになっております。
今川委員 そこで、これは片山総務大臣にぜひお考えをお聞きしたいと思うんですが、公社化の後も郵政公社は、今申し上げた離島や過疎地における郵便物の引き受け及び配達を切り捨てることなく、現在の郵便局ネットワークを維持してほしいと心から思うんですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 何度も申し上げますが、ユニバーサルサービスというのは、全国くまなく公平に、隅々まできちっと配達する、料金も同じだ、こういうことでございまして、我々としては、現在の国の郵便局が国営公社の郵便局になろうとも、サービスを悪くしたり郵便局を減らすことは全く考えておりません。
 ただ、いろいろな状況で、例えば民間が参入してくれば、大変経営環境が変わってくるようなことがありましても、経営努力でぜひ乗り切っていただきたい、そういう意味で、計画的に経営体質の改善も図っておりますし、今後とも、公社が一層の経営努力を払うことによりまして、委員御指摘の離島や過疎や辺地についてもしっかりとしたユニバーサルサービスを確保してまいりたい、こういうように思っております。
今川委員 今、大臣がおっしゃったように、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 さて次に、郵便事業への民間参入に関してお伺いしたいと思います。
 実は、一つの例を申し上げますと、私の地元である佐世保で、バスが、市営バスと民間バス会社があります。この民間バス会社は、当然のこととして、採算の割に合わないところ、例えば平戸だとか松浦、北松からは路線を間引きしたり一部撤退したりしています。そのかわり、規制緩和が進んでいますので、一番人口の多い佐世保市の中心部では、一番利用率の高い路線には民間バスが入り込んできまして、しかも、料金を公営バスよりも一区間三十円ほど低く設定して入ってくるわけですね。これは一つの例であります。
 いわゆる都市部と離島や過疎地との経済力等の格差を考えますと、民間事業者が都市部に特化して参入し、離島や過疎地向けのサービスを十分提供しない、いわゆるクリームスキミングのおそれがありはしないかと私は思うんですが、この点、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先生の言われるとおり、クリームスキミングをしっかりと防いでいく、こういうことは非常に重要なことであります。
 今バスの例を出されましたけれども、郵便関係でいいますと、離島であるとか過疎地の方を余り十分にサービスしないで、採算性の高いところで、それで低料金で事業を行う、これは典型的なクリームスキミングでありますから、こういうことは絶対にやらせないように、我々といたしましても、全国均一料金であるとか、本当に全国に配達する、全国引き受け、配達、こういうことをしっかりと守って、クリームスキミングを防いでユニバーサルサービスをしっかりと確保していきたい、かように思っております。
今川委員 先般の参考人質疑で、郵便事業への民間参入について、郵便法第五条を廃止すればよいとの意見もあったようですが、それではその信書の秘密も守られなければ、ユニバーサルサービスの確保も保障されない、これはまことに身勝手な論理じゃないかと私は思うのですけれども、見解を伺いたいと思います。
佐田副大臣 先生の言われるとおりでありまして、今回の法案は、一定の適格性を有する事業者についてはすべての信書の取り扱いを認めるものでありまして、信書送達の国家独占を禁止することとしているものであります。郵便法第五条が残っていることをもって国家独占が残っているという指摘がありますけれども、それは私はちょっとおかしい、こういうふうに思っております。
 信書の送達の事業は、先生言われたとおり、国民の思想や表現の自由にも密接にかかわりを有する重要な事業でありまして、御指摘のように、信書の秘密の確保、クリームスキミングの防止という観点から、一定の規律のもとに営業されるべきものであります。どの国におきましてもそのような規律が課されているというふうに思っているわけでありまして、これはしっかりと守っていかなくちゃいけない、かように思っております。
今川委員 次に、ダイレクトメールは信書から外すべきとの主張もあるようですが、仮に、民間事業者が手がけたいから信書から外すべきだということであれば、これは本末転倒じゃないかという思いがいたしますが、この点、企画管理局長、いかがでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 ダイレクトメールというのはいろいろなものがありまして、一義的には論じにくいところがございますけれども、委員御指摘のとおり、この信書というものは、定義を設けまして通信の秘密の保護を行う、それから、今は国家独占ということで範囲を確定してやっているわけでございます。ビジネスの都合からいいますと、何の規制もなくビジネスができるということを求める、これは、ある意味では自然だろうと思いますが、各国とも、やはり信書につきましては、通信の秘密を守る、それからユニバーサルサービスを守っていくという観点から、いろいろな規制をしているということでございます。
 したがいまして、今回いろいろ論議もございましたので、この信書の定義規定を置くということにいたしまして、それは、これまで判例で確立している概念を明文化する。それから、これは国際的にも大体そういう概念になっているということで、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する」ものというふうな明記をしたところでございます。したがいまして、この定義は妥当だと考えますので、いわゆるダイレクトメールとかいろいろな論議のあるものも、この定義に従いまして仕分けをしていくというようなことで考えているわけでございます。
 そういう論議の中で、ビジネス上これは扱いたいとか、あるいは自分が扱うものがこの定義に当たるかどうかわからないんじゃないかというような意見もあろうかと思いますので、そういう具体的な当てはめというものにつきましては、あくまで定義に照らしまして、いろいろな質問とか意見を受け付けましてガイドラインをつくろうというようなことで、あくまでこの定義規定を柱にさらなる明確化を図っていきたいというふうに考えているものでございます。
今川委員 さて、次に、民営化の問題と郵便局の多機能化について少し私の意見も申し上げて御意見を伺いたいと思うのですが、私は、長年の経験から、市町村などの地方公共団体が効率化を求められる余り、現業部門などの事業を民間委託することの弊害を嫌というほど見てきました。
 一、二、例を示したいと思うのですが、例えば佐世保で、具体的な事業名は避けますけれども、ごみの委託ですね、清掃関係。ここで実は、例えばある民間業者が医療系のごみを収集する。そうしますと、ポリバケツならポリバケツという安全上ちゃんと決められたことをあえて無視して、例えば二年分段ボール箱を買い込みまして、当然コストが下がります。それで、実際、そこの従業員に医療系のごみを収集に回らせたら、注射針等が入っているわけですね。それが腕に刺さったりして大けがをしたとかということで、これは市のいわゆる清掃局を通しまして、あらかじめ申しまして調査をしてみますと、私が指摘したとおりのことが、実態が出てきたんですね。
 あるいは、水道局の場合も、最近は各部門ごとに民間に委託したり、民間にやらせたりしていますけれども、例えば家庭の水道管が破裂したから来てくれ、そうしますと、職員でやっているときには夜中でも来るんです。ところが、民間業者に渡してしまいますと、三日後にしか来てくれなかったとかという実例があるわけですね。そういった意味で、私は、民間でできるものは民間でという考え方をあえて否定はしませんけれども、少なくとも地域住民の生活基盤に直結する分野の民間委託はやはり非常に問題が多いんではないか、そういう考え方を持っております。
 そういった意味で、まして全国二万四千七百カ所ものネットワークを持つ、しかも国民に非常に長い間親しまれてきた郵便局を、あえて民営化する必然性、蓋然性はないというふうに私は思っています。そういった意味で、小泉総理が、公社移行、民間参入は民営化の一里塚だといったようなことをおっしゃっておりますけれども、こうした発言、考え方は、少なくとも公社に移行するに当たって、これまで長年、いろいろな立場から議論をしてきた経過を無視しているんじゃないかと私は思うんです。私は、そういった意味で、郵便事業の民営化には絶対反対だということを改めて申し上げておきたいと思います。
 そこで、今郵便局が行っているいわゆるワンストップ行政サービスに関して伺いたいのです。
 郵政公社化法案にあるように、公社の業務として、委託を受けて地方公共団体からの事務を行うことが規定されております。公社が地方公共団体からの事務を受託できるのは、職員が国家公務員であり、守秘義務等の服務規律が民間企業に比べて厳正に定められているからではないかというふうに私は思うのでありますが、御見解を伺いたいと思います。
佐田副大臣 先生が言われる部分につきましては、やはり、今先生が言われた、例えばの例に出されました、国民の生命にかかわる問題であるとかプライバシーにかかわる問題であるとか、そしてまた、そういうことを考えたときに、郵政事業の公共性というものを考えたときに、それはきちっとやっていかなくちゃいかぬというところも十分に考えられる、こういうふうに思っております。
 言いかえるならば、先般、郵政官署法が通りまして、ワンストップ行政サービスが開始されておるわけでありますけれども、この中でも、例えば住民票の写しの証明書交付事務については、住民の個人情報にかかわるものもあるわけでありまして、これはプライバシーにもかかわるわけであります。特に慎重かつ適正な事務処理は確かに必要なことだ、こういうふうに私は思っております。
 また、郵便局の職員は、国家公務員として守秘義務を初めとする服務規律が課せられておりまして、地方公務員と同様の適正かつ公正中立な業務遂行が期待できるところから、郵政官署法によりましてこういう貴重な書類を預かっておるわけであります。
 そういうことを考えますと、全国の二万四千七百の郵便局、非常にそういう公的な部分を抱えておるわけでありますから、それはしっかりとやはり守っていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。
今川委員 そこで、これは総務大臣にお伺いしたいと思うのですが、今郵便局は、一つの例として、ひまわりサービスというのをやっておりますね。以前は、大分県などでも郵便局の職員さんがずっと各田舎まで行きまして、いわばその巡回機能をうまく活用しまして、お年寄りなどに声をかけて、コミュニケーションが生まれ、お年寄りたちからも非常に感謝されている、そういう運動が広がって、ひまわりサービスというのが今積極的に取り組まれております。これは、言うまでもなく郵便局の、今申し上げた巡回機能に着目して行われているものでして、郵便局と地域の関係機関とがうまく連携し合いながら、お年寄りなどを定期的に訪問したり、地域のいわばセーフティーネットづくりに大きく貢献している一つのいい例だと私は思うんです。
 そういった意味で、やはり全国で二万四千カ所を超える、こういう巨大なネットワークを積極的に活用した形で、郵便局のこれまでのサービス機能をさらに広げ、多機能化していくということをぜひやっていく必要があるんじゃないかというふうに私は思うんでありますが、総務大臣の御見解を聞きたいと思います。
片山国務大臣 郵便局二万四千七百のこのネットワークは、百三十年余の歴史がありまして、どなたかのお話にもありましたが、国民生活共有のインフラであり、セーフティーネットだ、私もそういうふうに思います。
 そこで、私が総務大臣になりましてから、郵政官署と市町村とを連携するというので、ワンストップサービスの法案が、本当に総務委員会の先生方のおかげでうまく通りまして、今現在、相当全国に普及してきております。
 それから、事実上、ひまわりサービスという形で高齢者の方のケアをやっているのが二百二十一市町村、三百二郵便局ある、こういうことでございますし、それ以外の、指定ごみ袋の販売だとか、産廃や何かのいろいろな通報だとか、災害現場の、これも連携、通報だとか、いろいろなことをやっております。そういう意味では、本当に地域社会なり地方団体と郵便局が密着しているな、こういうふうに思っておりまして、私は、もっともっとうまく使ったらいいと思いますね、生活インフラ、セーフティーネットなら。
 したがいまして、例えば地域情報化の一つの拠点にするとか、そういうことも今考えておりますし、その他の用途があれば、公社になるんですから、私は、そこは自律的、弾力的にもっとこのネットワークの有効利用ということをみんなで考えて、地域に、それぞれ事情が違いますけれども、その地域の固有のニーズにこたえるような郵便局にぜひなってもらいたいと思いまして、そういう意味では、今川委員と全く同じ考えであります。
今川委員 実は、御答弁がそれぞれ非常に簡潔だったものですから、少し時間を余してしまったんですが、本来ですと郵貯、簡保の関係もいろいろとお聞きしたいことがあったんですが、私は、今申し上げたかったことは郵便局だけじゃないんです。地域の住民生活にとりまして公共性の高い分野というのは、国やあるいは県、市町村など地方公共団体がやはりきちっと責任を持って、行政サービスに責任を持っていくということは私は必要だと思うんです。そういう原則をきちっと踏まえながら、民間でやれるものは民間でやっていくということが私は正しい姿ではないかというふうに思います。
 そういった意味を含めまして、私は、少し時間を余してしまいましたけれども、ぜひ速やかに公社に移すと同時に、いたずらに民営化の議論などはしない、きちっと国民のために、さらに行政サービスを広めるために、ぜひ郵便局を守っていきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
平林委員長 次に、三村申吾君。
三村委員 ここに一枚カードがございます。ちょっと拡大してきたんですけれども、「配達区内の状況」「点検項目」「道路 破損・汚損・その他」「カーブミラー 破損・汚損・その他」「福祉関係」「独居老人 有り・無し」こういう紙ができるようになりました。
 実は、このカード自体は、最近、新しい郵便局長になってできたんでございますけれども、私、田舎で町長をしておりましたということはしょっちゅう話をしているんですが、郵便局とは十年前から連携いたしまして、町内の道路の穴のぐあいだとかカーブミラーとかごみ投棄とか、ひとり暮らし、二人暮らしの老人など町内の家庭に異変がないかということをよく教えてもらう取り組みをいたしておりました。
 実は、役場の課長たちを含めて、郵便局の方々と懇親しまして、意見交換をするうちに話がまとまって、そのかわり私どもも、学資保険や簡易保険、またボーナス預金に協力しようということで、お互いいいところ取りでこの取り組みをしたんですが、非常に助かりました。
 例えば、管理する距離を考えますと、一つの町の管理する距離、道路の管理する距離に比べまして、役場の建設課の道路のパトロールなんというものは足りるわけがございません。また、当時自分の町では保健婦四人、これは多い方なんですけれども、ふえる一方の厚生省とか県からの調査物に追われまして月一回も訪問できない、そのところを郵便局の方々は、バイク部隊、ほとんど毎日くまなく町内を歩くわけでございますし、その中でいろいろな異変を教えてくれる。郵便局員たちの、地域社会をともに守り、地域と一緒に歩んでいく姿勢に感謝いたしましたし、それは今でも変わらないものでございます。
 このように、地方におきましては、郵便局と自治体と住民とは相互に助け合う、補完し合うところが多いのでございます。郵便局は、こういったことを時代時代、百三十年間積み重ねてきました。その努力の積み重ねが郵便局への大きな信頼を生んでいると思いますし、また、この信頼が郵便局の価値の本質であると思っております。
 本来は、この調子で自分が参考人意見陳述をしたかったんですけれども、呼んでもらえませんでしたので、本日は、明治四年三月一日、東京発百三十四通、大阪、京都発四十通でスタートした、先人の百三十年の知恵である郵便局というシステムの未来への存続と、このシステムを守る三十万人局員に思いを寄せながら、何点か質問させていただきます。
 まず、こういうカードを示しましたので、郵便局におきますところのひまわりサービスやワンストップサービスの状況、そして今後の見込みをお教えいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 まず、郵便局、生活インフラとしてのさまざまなネットワークを活用させていただいております。具体的な委員の御指摘もありがとうございます。
 ひまわりサービスでございますけれども、これにつきましては、過疎地におきまして地方公共団体と連携して、外務員が声がけその他のサービスを行っております。件数でいいますと、三月末現在で、二百二十一市町村、三百二郵便局でございます。
 また、ワンストップサービスでございますけれども、これはいわゆる郵政官署法の施行後、かなり順調にふえておりまして、証明書交付事務が十九市町、五十七郵便局、受託事務が五百三十六市町村、千百八十七郵便局ということで、日々拡大している状況でございます。
 今後とも、いろいろな地域のニーズがございますので、よく地域との対話をしながら、この拡大を図っていくべきものというふうに考えております。
三村委員 今後、合併ということが起きてきますと、このひまわりサービス、ワンストップサービスは、地域におけるますます重要なものとなってくると思います。ぜひ広めていただくことをお願いしたいと思います。
 そこで、確認の意味も含めまして大臣にお尋ねいたします。
 郵政公社は、独立採算制のもと、企業会計原則など民間的経営手法が導入されることになります。ただ、採算性一辺倒となりますと、過疎地等の郵便局切り捨てにつながっていくようなことにならないかと常日ごろから不安に思っております。公社化によって郵便局が削減されることにならないのか、改めてお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 郵政事業の公社化は、国とは違う別の経営主体である公社、こういうことになるわけでございますけれども、国であろうが国営公社であろうが、ユニバーサルサービスを守っていくというのでは変わりはないわけでありまして、郵便局があるというのが一つのユニバーサルサービスなんですね。だから、それを減らすというのは、ある意味では地域社会の核がなくなるような感じもございますので、我々としては、このネットワークは今後とも維持していく、こういうふうに思っております。
 何で郵便局の職員の皆さんを国家公務員にしたんだ、こういう議論もありますけれども、いろいろな、総合的な観点からしたと私は思いますが、やはり守秘義務を守るのは、そういう意味では国家公務員、ひまわりサービス等、いろいろなものを含めて、最も仕事に公共性が高いから、やはり公務員の方が適当ではないか、こういう総合的な判断に落ちついていると思いますので、ぜひとも、今大変国民に信頼されて、しかも愛されておりますこの二万四千七百の郵便局のネットワークは維持してまいりたい。公社にもぜひ、スタートした後そういうことに全力を挙げてもらう、そういうふうに考えております。
三村委員 存在することがユニバーサルサービスである、二万四千七百を維持していく、そのお言葉、力強く感じた次第でございます。
 ところで、ここに至るに当たり、大臣の研究会で広く国民の意見を聴取したと聞くわけでございますが、特に過疎地などからはどういう意見が寄せられたのか、そして、この意見は当法案にどう反映されているのか、伺いたいと思います。
野村政府参考人 先ほども説明させていただきましたけれども、郵政事業の公社化に関する研究会におきまして、昨年十月、仙台、名古屋、熊本におきまして公聴会を開催いたしまして、広く国民の皆様の御意見をちょうだいしたところでございます。
 こうした中で、過疎地等からいただいた主な御意見といたしましては、一つは、地方において郵便局はなくてはならないものであり、採算性を重視する余り郵便局を廃止しないでほしい。二つ目といたしまして、市町村合併の進む中、郵便局におけるワンストップ行政サービスの充実が必要ではないか。三つ目といたしまして、郵便事業への民間参入については、引き続きユニバーサルサービスを確保していくことが必要。こういった意見をいただいたところでございます。
 こうした意見を踏まえまして、公社化法案等では、一つは、郵政三事業が引き続き全国あまねく提供されるよう、公社に郵便局の設置の義務づけをした。あわせまして、その基準といたしまして、地域住民の利便性の確保について配意しなければならない旨規定したところでございます。
 二つ目といたしまして、地方公共団体から受託したワンストップ行政サービスの業務が公社において継続、推進されるよう、これを公社の業務といたしまして明確に規定したということが二点目でございます。
 それから、三点目といたしまして、信書便法案では、あまねく公平なサービスの提供を確保する、こういった観点から、一般信書便事業者に対し、全国における引き受け、配達などの一定の参入条件を設けている、こういったところでございます。
三村委員 今後とも、折々、地方や過疎地の意見は聞いていただきたいと思います。
 さて、公社経営は中期経営目標を策定して行われるというふうに伺っておりますが、過疎地など不採算地域でのサービス提供の維持や郵便局の地域社会への貢献についても、その中期経営目標や中期経営計画の中に盛り込んでいただきたいと思いますが、どのようなお考えでございましょうか。
野村政府参考人 お答えいたします。
 今回、公社化の目玉は、事前管理から事後評価へということで、公社みずからが中期経営目標なり中期経営計画を策定いたしまして、それを実行して、その後、実施後、大臣が評価するという形になるわけでございます。
 今申し上げました中期経営目標とか中期経営計画の具体的内容につきましては、今後、法案が通りました後、設立委員の方で具体的内容を決めていくという形になろうかと考えております。そういった意味で、今委員の御指摘の項目につきましては、そういった中期経営目標全体を策定する際の参考として供する、情報提供していきたいというふうに考えているところでございます。
三村委員 ぜひ、そのようにお願いする次第でございます。
 さて、元町長として気になりますのは、地方公共団体等非課税団体についても預入金の限度額一千万というものが適用されるということになるわけですが、民間金融機関のない地域にはどのような配慮があるか、お知らせください。
團政府参考人 お答えいたします。
 今回、公社化に合わせまして、御指摘のとおり、郵便貯金の預入限度額につきまして、これまで限度額がございませんでした地方公共団体等の非課税法人につきましても一千万円の限度額を適用するということにいたしているわけでございます。
 しかしながら、御指摘のとおり、民間金融機関が全くないという地域もございます。それは、十三年三月末でいいますと全国に十二村あるというふうなことで把握してございますけれども、こういうところにつきましては、公共団体としましては限度額がありますと日々の決済もできないということになりますので、こういう地域については、特例措置として、引き続き預入限度額を適用しないというような措置をとりたいとしているものでございます。
三村委員 そういった地域の役場でも、金庫に現金で置いておくのは不安だと思います。引き受けてくれる形だということで、安心いたしました。
 ところで、片山大臣、公社法の目的規定には、新たなものとして、郵便局等の「経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務」ということがうたわれております。
 さて、郵便局というものは、実際に物を動かしておりますし、また代金の決済というものもできます。何より地域の方々に大きな信頼がございます。なればこそ、公社化を機に、交通や物流が不便であり高齢者の多い過疎地等においては、例えば薬品、この場合は、病院で出した処方せん等をファクスで受けたら、決済し、配送もしてくれるという意味も含めてでございますが、その他、介護用品、食料や日用品の注文販売などを展開できないものでしょうか。
 今回の公社法案では、子会社をつくっていろいろとやる方向性は難しくなったわけでございますが、これらは、今申し上げたことは、郵便局が地域社会に貢献する業務として積極的に展開すべき、またしてほしいと考えますが、総務大臣のお考えを承りたく存じます。
佐田副大臣 先生の言われるように、郵便局の役割というのは地域密着ということが非常に重要なことだ、私はこういうふうに思っております。
 今お話がありましたように、高齢者の方々への日用品の配達ということでひまわりサービスとして行われているのですけれども、例えば食品であるとか日用品、こういうものを注文はがきに書きまして、これを集荷しまして、それをまた販売店から郵便小包として運んでいく、配達をしていく、こういうサービスもあるわけであります。
 また、十二月には郵政官署法が施行されまして、過疎地以外においても、地方公共団体から委託を受けて、いわゆる注文受け付けであるとか配達を取り扱うことが可能になっておりまして、一つの例でありますけれども、三月からは香川県の塩江町において食品、日用品、家庭雑貨の取り扱いが始まっている、こういうことになっております。
 ひまわりサービス、そして、地域にいろいろな公共施設がないところ、こういうところを考えたときに、いろいろなサービスをこれから郵便局が果たしていかなくちゃいけませんし、そういう意味からして、私は、郵便局の重要性はこれからますます増してくるのだ、こういうふうに思っているわけであります。
三村委員 まさしく重要性は増すと思っております。今回の公社法案では出資については難しいということになったわけでございますが、いろいろな形でアイデアを持った郵便局の方々ができるような方向性を考慮いただければと思う次第でございます。
 さて、このところ、郵便局の方にお邪魔しますと、来春の公社化に向けまして非常にモチベーションを高めていると感じます。日産のゴーンさんじゃないのですけれども、高いモチベーションでこそ、新生郵政公社はさらに意欲的にグレードの高いサービスを提供し、適正な利益を上げ、そのことによって地方の郵便局の存在も守り抜けると私は考えております。
 郵便局の皆様方は、かつて高度成長時、郵便は結束なり、それで業務の正常運行確保を訴え続けたと覚えております。また、昭和五十六年ごろは、郵便は販売なりという形で危機に立ち向かいました。その五十六年をみずから営業元年、効率元年と位置づけ、それに続く五九・二、そして六一・一〇の大改革を行ったことを記憶いたしております。鉄道郵便や鉄道郵便局を発展的に解消しながらも、郵便サービスの基本である正確、迅速に運ぶことを実現することで、現在の同一料金、三日以内というユニバーサルサービスの型をつくった、そう認識するのでございます。常に自助努力し、みずから改革してきた郵便局各位には、そういう意味において私は敬意をあらわしたいと思っております。
 先ほど今川先生の御質問で、離島部におけるユニバーサルサービスもほぼ完成されていることを伺ったわけでございます。そこで、今度は世界との関係になるのでございますが、今回の公社化によって、これまでの海外郵便との関係、これはどうなるんでしょうか。ここでもユニバーサルサービスの維持は大丈夫でございましょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 国際郵便でございますけれども、これにつきましては、万国郵便条約というところで規定をしておりまして、この条約に基づきまして、各国における郵政当局または郵便事業の実施主体が国から分離されている場合には、国の責任を代行する組織体が実施主体となって、ユニバーサルサービスを確保しているということでございます。
 今後、公社化になりますと、この実施主体を日本郵政公社が担うということを想定しておりまして、国際郵便のユニバーサルサービスも日本郵政公社によって確保することができるというふうに考えております。
三村委員 ユニバーサルサービスが確保できるということで、確かに答弁いただいたと認識しておきます。
 さて、日本のヤマトさんたちだけが話題となっているわけでございますが、海外企業による郵便事業への民間参入という点でございます。例えば、委託できる業者の方々を連合、統合した形でとかいろいろあるんでございましょうが、ユニバーサルサービスが日本国内で実行できると判断されれば、海外事業者の方々も民間参入という形で日本国内の郵便市場に入ってくることは可能でございましょうか。また、その対応策をどのように考えているか、お知らせいただきたい。
團政府参考人 お答えいたします。
 今回の信書便法案では、外資による規制を設けておりません。したがいまして、海外の企業も、信書便事業の許可を受けますれば、同一の条件で信書送達事業に参入することは可能ということにしてございます。
三村委員 海外企業も可能ということであれば、ますます我々、我々というか私は、少なくとも国内の郵便をいっぱい使って、国内郵便のあり方を守る方向で頑張りたいと思います。
 さて、話がちょっと変わりますが、私はゆうパックで扱っている特産品が大変好きでございまして、きのうも実は沖縄のパイナップルを青森の我が家に送ったりしたのでございますけれども、チルドゆうパックというものについて大変注目しております。将来楽しみな営業であると思っております。かつてこういったパックを扱う会にも入っていたんですけれども、あちこちの物産品、チーズとかを頼んだことがあるんですが、数字は二年前の新聞で見たんですけれども、八十四の拠点局に保冷庫を、千三百局にチルドコンテナを、そして三百台の保冷車を配置したというふうに伺っております。百億の投資をしたんだそうでございますが、利用状況と採算状況についてお聞かせいただければありがたいと思います。
 また、一村一品的にすぐれた特産品は日本国内にいろいろございます。自治体と共同でこのチルドゆうパックの存在についてもPRしてほしいと思っておりますが、その点についてもあわせてお聞かせください。
松井政府参考人 チルドゆうパックもしくはゆうパックについてのお尋ねでございますが、お答え申し上げます。
 チルドゆうパックは、生鮮食品など保冷が必要なゆうパックを、お預かりから配達までおおむね零度Cから五度Cでお届けしてほしいというお客様の要望におこたえするものとして、平成八年の八月に取り扱いを開始しまして、十一月から全国展開を行っております。
 この状況でございますが、単独での収支決算は行っておりませんので、厳密なことはちょっと申し上げられませんが、平成九年度以降は年平均で一八・〇%増と二けたの増加になっております。平成十三年度では年間で一千四百万個の取扱数ということで、一般小包全体の八・四%を占めるなど、一般小包の利用促進にこのチルドゆうパックが大きく貢献していると考えております。
 また、特産品のPRに役立ちますふるさと小包でございますが、郵便局にございますカタログだとかチラシによりまして、全国各地の特産品それから名産品をお申し込みいただきまして、ゆうパックによってお届けしているものでございまして、郵便小包の需要拡大につながっていると考えております。これは郵便ネットワークを活用しまして、全国を販売エリアとすることができますので、従来限られたエリアしか販路をお持ちでなかった生産者の販路拡大、あるいは地場産業の振興にもお役に立っているのではないかと思います。
 ちなみに、平成十三年度では、ふるさと小包は二千四百二十六万個の利用個数があったところでございます。今後とも、積極的なPRによりまして、ふるさと小包の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
三村委員 チルドゆうパックが伸びているという点、そしてまたいろいろな市町村が努力して特産品をつくっております。ぜひまた連携して、さらにふやしていただければと思う次第でございます。
 また、話の筋が少し変わりますが、私は青森でございまして、いろいろな山間地等を抱えておりますが、日刊の新聞が郵便局の手によって読者のところへ届くという例を結構聞いております。これは通常、大体でいいんですけれども、平均でいいんですが、一部何円ぐらいで配達をしておるんでしょうか。これをいわゆるメール便でやるとすれば、幾らくらいになるのでしょうか。かつ、もしおわかりになればでよいんですが、全国的にどのぐらいの数量の新聞が配達をされておるのでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 私の方からは、最初に、現在での郵政事業庁で取り扱っている状況について申し上げます。
 日刊の新聞紙でございますが、新聞紙の目方によりましてその料金が異なることになっております。一般的に地方紙の朝刊で申しますと、大体二十四ページから二十八ページぐらいだと思いますが、この場合は百五十グラム以内の第三種郵便物の料金が適用になります。その結果、一通で五十二円ということでございます。
 それから、現時点での日刊新聞の配達物数に関するデータは、今はないんでございますが、平成八年に調査しております。その結果を申し上げますが、すべての配達郵便局で調査をいたしました。そうしましたら、全集配郵便局約五千局のうち約二千五百局、つまり半分がこういった日刊新聞の配達を取り扱っておりました。配達物数で申しますと、つまり新聞が、一日当たりで約十三万通でございます。ですから、年間に置きかえますと、約四千五百七十万通になるんですが、ここでは、意味があるのは、一日当たり約十三万通ということかと存じます。
 私の方からは以上でございます。
團政府参考人 新聞をメール便で送られているかどうかというのは、余りつまびらかじゃございませんけれども、各社の案内を見ますと、重量三百グラムまでであれば百六十円というのが定価になっておりますので、おおむねこういう料金か、ちょっと重くなりますと二百十円ぐらいかというふうなことだと思っています。
三村委員 なるほど、やはり郵便事業、日本の文化のために頑張っているなという気持ちでございます。要するに、重量とかさからいって割に合わないわけなんですけれども、公益、公共の文化向上のために明治十六年から、この第三種でございますか、行われていたようでございますが、まず、新聞社等から公社化に当たって、この存続に対しての御意見というものはございませんでしょうか。
團政府参考人 この信書便にかかわる存続の要望でございますが、新聞関係では日本新聞協会及び日本専門新聞協会の方が来省されまして、存続の要望を伺ってございます。このほかに諸団体から、新聞以外でございますけれども、三千件を超える三種郵便物の存続要望をいただいているという状況でございます。
三村委員 きょうは新聞の方もおいでかどうかわかりませんけれども、郵便事業のこれまでの意義を認識していただいている部分が新聞社にもあるんだな、そのことを確認したかっただけでございます。
 さて、持ち時間に早いんですけれども、とにかく、地方におきましては三人とか四人でやっている郵便局があります。一人で三事業をやっている、これはすごいです。郵便も貯金も保険も、黙々と毎日こなしている。大変な労働効率のよさでありますし、大変な努力でございます。そして、来春に向け、局員の方々、皆ファイト満々なようでございますから、公社化、結構であると思っております。
 ただ、これまで郵便局を支えてきたのは、地域との連帯感であり、地域からの信頼であると私は考えるのでございます。百三十年間積み重ねてきた連帯と信頼の郵便局とその制度が、公社化後も維持されることにともに尽力したいと誓いまして、質問を終えます。ありがとうございました。
平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時一分散会


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