衆議院

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第8号 平成14年11月28日(木曜日)

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平成十四年十一月二十八日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
      山口 泰明君   吉田六左エ門君
      吉野 正芳君    赤松 広隆君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            鍋倉 真一君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十八日
 辞任         補欠選任
  佐田玄一郎君     山口 泰明君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 泰明君     佐田玄一郎君
    ―――――――――――――
十一月二十六日
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇二号)(参議院送付)
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇三号)(参議院送付)
 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇四号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇二号)(参議院送付)
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇三号)(参議院送付)
 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出第一〇四号)(参議院送付)
 情報通信及び電波に関する件
 接続料等に関する件


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 情報通信及び電波に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤勉君。
佐藤(勉)委員 おはようございます。自民党の佐藤でございます。
 大臣には、大変お忙しいところ御出席をいただきまして、まずもってお礼を申し上げたいと思います。情報通信及び電波に関する件ということでございますが、接続料についての御質問をさせていただきたいと思いますし、ぜひ私どもの思いを大臣には遂げさせていただきたいというふうに思っております。
 我が国の電話サービスは、NTTの全国的なネットワークを利用することによって全国的にあまねく提供されているというのが常識になっております。NTT以外の電気通信事業者が参入することによって、またその事業者間の接続料金によりまして、長期増分費用、この長期増分費用というのは私は余りよくわからなかったり、アメリカの話がございまして、こんな話を取り入れざるを得ないなんという話になっておりますが、この辺はちょっと私も理解しにくいわけでありますが、そのことによっても日本の電話料金が著しく引き下げられたということではないかなというふうに思います。
 また、さらにマイラインの導入もあったり、市内通話についての競争が促進されたり、値下げが実現してきたところはもう皆さん御承知のとおりだと思います。このような方向性は、国民利用者にとって利益をもたらすものだということでもあるとは思うんですが、多くの事業者が市場に新規参入するためにも有効に機能してきたものであったと思うんです。
 現在、大変さまざまなコンテンツが充実しつつある携帯電話、そして急速に普及し世界でも最も低廉かつ高速となったADSL、今後本格的な普及が見込まれるIP電話といった新しい技術、サービスが取り入れられ、日本の電気通信市場は大きな変革期に来ていると私は認識しております。
 そこで、大臣にお伺いをしたいと思いますが、これまでの事業者間接続料金の引き下げによって、電話料金が低廉化し国民に大きな利益をもたらしたと私は考えるわけでありますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 佐藤委員御指摘のように、平成十二年度に長期増分費用方式が、大議論がありましたが導入されたわけですね。これによりまして段階的に接続料金が引き下げられましたので、通話料金にもこれは当然はね返るわけでありますので、今我々の身近な市内通話は、特に東西NTTは、前は三分十円でございましたが、今は八円五十銭に引き下げが実現しまして、このことは国民全体が幅広く恩恵を享受している、こういうふうに考えております。
 そういう意味では、議論がありましたが、長期増分費用方式を導入したことが、委員御指摘のように大きな成果を上げたのではないかと私どもも考えております。
佐藤(勉)委員 成果を上げたかどうかというのはちょっと認識の違いかどうかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、先日の情報通信審議会の答申において、競争を促進する立場から接続料を東西別とすべきとされております。仮にそのようなことが実現すれば、利用者料金に反映され、ユニバーサルサービスである電話サービスについて国民の負担が地域によって不公平になるということになりやしないか、利用者利益が阻害されることになるのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
鍋倉政府参考人 情報通信審議会の答申におきましては、競争政策を促進するという観点から、接続料を東西別に算定することが適当であるとしております。これは、そもそもNTTを東西に分割しましたのは、東西において、相互にサービスですとかあるいは価格ですとか、そういった競争をさせるという趣旨でございましたので、そういったことが適当であるとしているものでございます。
 ただ、そうしますと、接続料における東西別格差というものがかなりございますので、利用者料金に反映される可能性が非常に高いということでございます。ということで、利用者等へ与える影響等に配慮しまして、この答申におきましても、いきなり格差をそのまま反映させるのではなくて、段階的に適用する等の措置を講じる必要があるというふうにされているところでございます。
 総務省としましても、電話サービスが国民生活に不可欠でありますし、それからまた、日本全国で公平かつ低廉な料金によって提供されるべきユニバーサルサービスであるということを踏まえまして、具体的な実施に当たりましては、国民の代表である国会の御議論を初め、利用者各層から幅広く御意見を伺って適切に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、電話料金、サービスは大きな変革期にあるということは既に先ほども述べさせていただきました。そこで、NTT東西においても既に電話ネットワークに対する投資をとめていると私は伺っております。このような状況にあって、長期増分費用方式を使い続けることが本当に必要なのかどうかということをぜひとも考えていかなければいけないというふうに私は考えております。
 そこで、私どもの党でも電気通信調査会という会がございまして、接続料に関する緊急決議というのを出して、その方針について見直していただきたいという方針を立てているところでございます。その辺について、必要な見直しという観点からぜひ答弁をいただきたいと思います。
遠藤委員長 時間がないから簡潔にやってください。
鍋倉政府参考人 長期増分費用方式につきましては、情報通信審議会答申におきましても、長期増分費用方式というものにはある前提条件がございますので、その前提条件が、現実が違ってきて前提条件と乖離をするということになる、有効に機能しなくなる可能性についても指摘をされております。
 具体的には何かと申しますと、NTT東西が既存の電話ネットワークに対する新規の投資を今もう中止をしたという状況がございます。ところが、長期増分費用方式というのは、最も低廉で効率的な設備の投資が持続的に行われるということを前提としておりますので、そういった前提が成り立たなくなるということが想定されるわけでございます。
 したがいまして、今後どのような算定方法を用いることが適当かについて検討しまして、必要に応じて長期増分費用方式の見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
佐藤(勉)委員 もう時間がありませんので多くを申し上げませんが、いずれにいたしましても、日米協議ではなくて対話という話になっておりますけれども、こんなものに関して、私はいろいろ話を聞く必要はないのではないかなというふうに思っておる一人でございますので、ぜひいろいろな面で、決議をしていただいて、この件を審議していただきたいとお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、伊藤忠治君。
伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。
 本日は、本委員会で接続料問題について委員会決議が行われることになったと聞いております。国会が行政に対して見識を明らかに表明するということは画期的なことでございまして、その持つ意味は極めて重い、私はこのように認識をいたしております。
 さて、接続料問題についてでありますが、従来の実際費用方式から現在の長期増分費用方式、つまりLRIC方式に法律改正されましたその当時から、私は一貫して国会審議にかかわってまいりました一人でございます。
 民主党の主張は、接続料問題というのは、回線を貸す方と貸してもらう事業者が相対取引で行う、話し合いで料金を決めるというのが本来のあり方であると思います。それを政府が法律で決めるというやり方は、市場経済の原理からして大変問題がある、基本的なことはそこに据えなければいけないと思っております。
 二点目は、LRIC方式というのは、今も御答弁がございましたとおり、仮想的なモデルに基づくコストでありまして、投下した資本を回収できない構造的な欠陥を持つ方式である、このことを当時私たちは何度か強調いたしました。したがって、LRIC方式の導入は、これは収入構造を必ず悪化させるから反対である、こういう立場を堅持したわけでございます。
 三点目の私たちのスタンスは、適用事業者の所有するネットワークが市場の大宗を占有しているということが理由になるとしても、法律でそのことをがんじがらめにするのではなくて、ガイドラインで示して、業者にそれぞれ理性的な対応を求めながら問題の解決を図るべきである、これが三点目の私たちの一貫した主張でございました。
 私たちが一番問題視しましたのは、商品のコストを計算するときに投下資本をも回収できないようなコスト計算が果たして世の中にあり得るのか。ましてや利益率を見込むなんということは、この方式でいきますと論外でございました。そういう商売が成り立つとお思いですか。メーカーの例あるいはサービス業の例、いろいろありますが、これが商売の基本なんでございます。
 このような計算モデルを導入すれば、通信市場がどんどん拡大をすると、クリームスキミングの事業者が無数に今、参入しているわけでございます。回線リセールが一番単純なんですが、この回線リセールの業者が、付加価値をつけまして、無数に参入をしてきております。ということになれば、当然それに比例しまして、NTTの東西会社の財務内容は悪化の一途をたどらざるを得ません。そうなれば、めぐりめぐって国家国民の重要かつ貴重な共有財産である電気通信インフラが維持できなくなる、これは私たち、当時も申し上げました。このことを私たちは一番恐れましたし、つまり、国民の立場、利用する立場に立って、そのことが一番、将来不幸になる、こういう事態を招来させないために頑張ってきたわけでございます。
 当時、日米間におきましては、貿易摩擦の最大課題として、このNTT東西会社の接続料金に対する大幅引き下げが、アメリカから日本に対して強烈に迫られたわけでございます。アメリカ政府のUSTRにとことん押しまくられまして、日本政府はその外圧に屈した。二二・五%の大幅引き下げに、結局、同意したわけでございます。
 今日、アメリカ国内ではごく限られた一部のエリアでしか実施されていない、アメリカですらLRIC方式というのは限定的な、極めてそのエリアだけなんですね。ところが日本では全面実施を迫るという、このアメリカ政府の理不尽。これはどう考えたって我々は外圧に屈することはできないよということを主張いたしました。これは自民党の皆さんだって同じスタンスだったわけです。
 日本の政府や当時の郵政省は、アメリカに対して、アメリカもLRIC方式を全面的に採用していただきたいと言っているわけです。ちゃんと項目がございます。言っているわけです。アメリカはそれに対してどう答えたか。今後検討するで終わりですよ。アメリカは、日本がそう言っても、今後検討しますで一蹴された。ところが日本は、全面的に二二・五%引き下げたものを、屈しまして、一律に法律でもって、省令でもって実施をしてきたわけでございます。これが主権国家間の対等な交渉と果たして言えるでしょうか。
 私は、当時の郵政大臣であられた八代英太先生に迫ったことがございます。もう交渉に出なきゃいかぬというときに、私は迫りました。外圧には絶対屈しないで頑張ってほしい、このように当時の八代郵政大臣に迫ったわけでございます。私、記憶に残っておりますが、答弁として、八代先生はこういう趣旨をおっしゃいました。私は日本を代表する大臣である、気概については負けない、国益を踏まえて懸命に努力をしたい、こういう答弁をいただいたのです。ところが結果は、お役人の全くのていたらく、ふがいなさで、アメリカのUSTRにやられてしまいまして、だから、そういうことに対して八代先生には今もって無念の気持ちが残っているんじゃないかと私は御推察申し上げているんです。
 ところが、交渉の任に当たった外務省、名前は伏せますが、北朝鮮で男を上げている外務省、それから総務省にも、もうOBになりましたが、交渉の任に当たった責任者は責任をとっていないのですよ。結局、高級官僚というのは全然責任をとらない。国益をこんなに損なっても、ちゃんと天下って、いいところでのほほんとしているじゃないですか。政治家はそうはいきませんよ。大臣だってそうはいかないわけだ。責任はやはりとらなければいかぬわけよ。
 そういう立場にある人が重要な問題を責任を持って決めるということが政治主導なんです。議会の立場はそうだと思うのです。行政というのは、我々が法律をつくって、それを執行していただく、公正に執行するというのが行政の立場であるし、特に高級官僚の皆さんは忠実にやってもらわなきゃ困る、責任もとってくれというのが、一連の特殊法人の改革で与党を含めてこれは議論になりました、大変議論になった、そのことだと私は思っているのです。
 それがもう現実にこういう痛い目に遭いまして、言うならば本家本元のアメリカでは、その後どうなったか。LRIC方式の導入をめぐりまして、これを拒否する事業者との間で裁判が起こりまして、現在最高裁で係争中なんですよね。それで、アメリカの識者やFCCの関係者までが、LRIC方式の導入は大変問題が多いということを公式にコメントしておりまして、そういう世論の背景があるものですから、USTRはちょっと声がしぼんできているというのが現状なんでございます。私の情報が間違っておればどうぞ御指摘いただきたいのですが、そういう状況なんです。
 だから、アメリカもかつてのような勢いはUSTRにありませんが、しかし、アメリカはそういう国なんですから、日本はしっかりしておかないと大変なことになるぞということを実は申し上げたかったわけでございます。
 今日、IT社会というのは、予想をはるかにしのぐ勢いで進展と変化を見せております。その中でも特徴的なのが、皆さん御承知のとおり、ADSLやIP電話の普及なんだと思うのですね。事電話トラフィックは、今後、激変の一途をたどるでありましょう。皮肉なことに、トラフィックの現況を見ますと、長期増分費用方式ではなくて、長期減分費用方式なんですな、これは。
 だから、はっきりしておりますように、構造的な欠陥が明らかになりましたから、大臣に手短に答弁いただきたいんですが、このLRIC方式は早期に廃止すべきである、私はこのように申し上げますが、それに対して責任のある答弁をいただきたいと思います。
片山国務大臣 アメリカとの、交渉じゃなくて意見交換は事務的に始まっておりますが、私は、こちらの言い分はちゃんと言え、意見交換なんで、こっちの国内問題なんだからということは強く言っております。
 八代大臣の御苦労もわかりますし、そういうふうな姿勢を貫いてまいりたいと思いますし、今の点は、先ほど局長が答弁しましたように、情報通信審議会も、これは変わってくれば考える、こう言っておりますから、審議会が言いますように、有効に機能しない場合には他の方法等について検討いたしたい、こういうふうに考えております。
遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 ただいまの同僚の伊藤先生の長い演説を聞いておりまして、きょうのこの委員会の意義づけが、ほとんど私も理解できたわけであります。ありがとうございました。先生の質問を私が成りかわりましてやりたいと思っております。
 それで、今回のNTTの接続料の話でありますが、十五年から二年間の接続料について今から検討するわけでありますが、今、同僚の委員からも話がありましたように、昨今のトラフィックの減少というのは大変なものがある。IP電話であるとかあるいは携帯電話の普及ということが、二年前の状況からまさに大きく変わってきた。長期増分費用ではなくて減分費用だというお話もありましたけれども、私はあのときも、このLRICの話はよその委員会で聞いてはおりましたが、いささか先が見えない、先はどうなるんだろうということは実は私も個人的には思った一人であります。
 きょうまず伺いたいのは、トラフィックの減少がどういう状況で時系列的に来ているのか、ちょっと御説明をいただいて、議論をもう少し進めたいと思います。トラフィックの現状をちょっと御説明いただきたいと思います。
遠藤委員長 持ち時間は十分ですから。
鍋倉政府参考人 電話のトラフィックでございますけれども、平成十二年度までは一貫して増加をしてきましたけれども、十三年度には一転して減少ということで、対前年度比で、通信時間でございますが、トータルで約一〇%減少しております。これは十四年度に入りましても、今度は月で比べますけれども、対前年同月比で一〇%を超える減少が続いている状況でございます。
桝屋委員 まさに二年前には想定できなかった数字、この傾向かもしれません。しかし、私は、これから先を考えるときには、やはり今回の一連の流れはよくよく踏まえなきゃならぬな、こういうふうに思っております。
 問題は、これから先を考える場合に、入力値をどうするかということになるわけでありますが、実際に実績のトラフィックでいくのか、予測値でいくのか。これは十二年から下がり始めたということですが、今後、これからの傾向を予測するということは可能なのかどうなのか、まず理論的な、理屈の話だけ聞かせていただきたいと思います。
鍋倉政府参考人 情報通信審議会の答申でも、信頼性のある予測が可能な場合には予測トラフィックを用いることが適当というふうには答申がされておりますが、現在、それを受けまして、私ども総務省の中で研究会、それからその下には関係の事業者、電気通信事業者でございますけれども、これも参加をしていただく作業グループをつくっておりまして、ここで予測トラフィックの作成を行っているところでございます。
 具体的には、最近発生している、あるいは今後発生するであろう事象、例えば、議論になりましたADSLとかIP電話でございますが、そういった影響をどのように考慮するのかといったような課題もありますけれども、過去のトラフィックのデータですとかあるいは市場の構造変化も加味しながら、トラフィックの推計の数式を構築するように今努力をしているところでございます。
桝屋委員 努力をして本当に出るかどうかなんですが、そこもちょっと気にはなるところであります。
 いずれにしても、それほどトラフィックが減少する中で、コストをトラフィックで割るという今のやり方でいきますと、全体としては接続料はどうしても高くならざるを得ない。その高くなる部分をどこが負担するかという悩ましい事態であるわけであります。もちろん、利用者にはね返らすということはなかなか困難なことでありますから、どこが負担するかというのはもうそれほど選択肢がたくさんあるわけではないわけでありまして、そこは私は冷静に議論をしなきゃならぬな、こういうふうに思っているんです。
 答申を見ますと、接続料については東西別にモデル算定値を適用することが最善の方法、こう書いてあるわけでありますが、これは東西別でいっていいのかどうか。この答申で東西別にモデル算定値を適用することが最善の方法というふうに書いてありますが、その心といいますか、背景を御説明いただきたいというふうに思います。
鍋倉政府参考人 これは、平成十一年の七月にNTTを東西に分けましたときの趣旨が、東西間で価格あるいは料金、それからサービスですとか、そういったものを競争させるということが一つの趣旨でございましたので、そういう面から見ますと、東西別にモデル算定値を適用して競争させるという観点からすれば、それが最善の方法という、そういう答申の中身だろうと思います。
桝屋委員 淡々とお答えになりましたけれども、ここも悩ましい話でして、先ほどから議論が出ていますように、経緯はともかくも、東西に分けた以上は東西でそれぞれ設定されるということも、これは一つの、答申が示しているように、今の理由のようなこともあるわけでありますから、これも悩ましい話だなと私どもは党内で議論するときに実は感じた次第であります。
 最後に、大臣にお話を伺いたいんですが、さっきから言っていますように、一つはトラフィックが下がっている、必然的に接続料が上がる、この上がる部分をどこが負担するのか。ただ、その負担をするときに、先ほどの委員の御主張にありましたように、やはり我が国のユニバーサルサービスを確保するという観点でそこは整理しなきゃいかぬ部分も確かにあるだろうというふうに我々も思います。しかし、NTTを考えたときに、東西分かれたNTTの姿、これからこれをどうしていくのかということもあるわけであります。
 これからの新しい接続料金の設定のあり方について、大臣、最後にお伺いしたいんですが、二十一世紀のこれからの電子通信の時代、やはり相当これから先を見越した上で、物すごい速さで進んでおりますからなかなか難しいのかもしれませんが、二年後にこういう議論をしなきゃならぬような、これは算式方法というのは一つのルールでありますから、ルールそのものを二年後に考えなきゃいかぬというのは実にある意味ではだらしない話でもあるわけであります。これはよほど、NTTの皆さんにもあるいは通信業者の皆さんにもよくよく、これから先の電子通信のインフラ整備をどう考えていくのか、利用者の動向等も踏まえて、私は、あるべき利用料算定の方法をこれは本当に本気で考えなきゃならぬなと。
 ルールづくりはそんなに変えてはならぬ、ルールは変えてはならぬというのが私の基本的な信念でありますけれども、大臣、これからのお取り組みをお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 桝屋委員言われるとおり、こういうふうな状況になってくるということはその当時的確に予想したかどうか、私はそうではなかったんではないか、こう思います。しかし、今の状況の中で、審議会の答申もありますし、やはりそれが現実と乖離していく、大変問題が指摘されるというようなことになると、これは困るわけでございますので、少し腰を据えて、中期的ないろいろな予測の上に立って、どういう方式が最も適当か、これは十分検討に値するな、こう思っております。
 審議会が東西を別々にというのはこれも一つの意見なんですね、分けたんですから分けたものがいつまでも同じじゃ。しかし、そうはいってもユニバーサルサービスですから、これは大変大きな影響を与えますし、今、分けるな、同じにしろという陳情が相次いでいるんですよ。特に西の方ですね、高くなるおそれを、そう思われているんだろうと思いますけれども。そこで、我々としてはどうするかは、国会の御議論を中心に幅広い意見を聞いて、このことについての結論を得たい、こういうふうに思っております。
桝屋委員 大臣も、ITには殊のほか造詣が深いと思います。これから二十一世紀、ITがどれだけ進もうとも、今NTTが有しているインフラ、これはやはり利用する、利用せざるを得ないわけでありますから、少し先を見通して、しっかりと政府においても議論していただくことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 各委員さんからお話しのとおり、ADSLの台頭やあるいはまたIP電話のサービスの開始等によりまして、ここ二、三年、電気通信事業の競争環境は大きく変化していると思っております。この中にあって、公正な競争環境を育成することは、これまたますます重要なこととなっていると思っております。
 市場の支配力を有する事業者と新規参入事業者の公正な競争条件を確保するための競争政策につきましては、「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての最終答申」、情報通信審議会の平成十四年八月答申にもあるとおり、NTTに資本分離等を求める構造的競争政策と、そしてまたネットワークの開放等を求める非構造的競争政策、この二つがあるということであります。当面はこの非構造的競争政策を推進することが重要でありますけれども、十分な進展が見られない場合には、NTTの完全資本分離や、あるいはまた道路公団や電力会社の設備の保有と利用の水平分離の検討等にも見られるとおり、構造的競争政策もこれまた考えてみる必要があるわけであります。
 そこで、この非構造的な競争政策の中心的役割が期待される接続ルールについてでありますけれども、NTTの接続料算定に長期増分費用方式を導入したことによりまして、競争の進展にどのような影響を与えたのか、まず総務大臣の見解をお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 既に御議論いただいておりますが、接続料につきましては、平成十二年度に長期増分費用方式が導入された。これによりまして、長距離系の事業者が市内電話に参入をしまして、競争が促進されまして、先ほども申し上げましたが、市内通話料金が下がった。こういう意味では、この方式は競争を進展させた、こういうことで、一定の成果があったと、これは御議論ありますけれども、私はそう考えておりますが、今のこういう状況変化の中で、今後どうかはまた別の議論だな、こういうふうに思っております。
黄川田委員 導入の効果があったということでありますけれども、この接続料の変更に伴い料金政策がこれまた変わってくるという場合には、パブリックコメントなど国民の声を広く聞くということ、そしてまた激変緩和、こういうものに段階的に取り組んで実施していただきたい、そう思っております。
 そしてまた、構造的競争政策についてでありますけれども、これについては、昨年六月、竹中大臣は、IT分野の強化にはNTTのあり方の抜本的な見直しが避けて通れず、NTTの完全分割などで競争政策を推進する考えを表明しておりました。また一方、総合規制改革会議の宮内議長は、ことし七月、中間答申の取りまとめの際、NTT内の競争促進を求めて、グループ各社の独立性を高める考えを示唆しております。
 そこで質問でありますけれども、持ち株会社のNTTコム及びドコモに対する出資の比率の引き下げ等についてまとめましたNTTの自主的実施計画に関しまして、先月、その進捗状況について総務省に報告されたと聞いておりますけれども、これについての総務大臣の所感をお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 十月二十九日に、NTTから進捗状況として、出資比率の問題に関しては、現時点では大幅な出資比率の引き下げを検討することは困難な情勢にあると考えており、この問題については今後引き続き状況を見つつ検討していく、こういう報告があったわけであります。
 そこで、これを受けまして私どもの方では、三十日に、出資比率の問題については、事業経営上の必要性、株式市況の動向等を総合的に勘案することとしており、これらの条件が整えば引き下げる方向で対処されたいとの要請をNTTに対して行いました。
 株価が低迷しておりますし、経営状況は御承知のようなことでございまして、我々もNTTの御意向も十分わかるものですから、我々としては、引き続き引き下げの方向で検討して対応してほしい、こういうことを注文いたした次第でございます。
黄川田委員 残り時間も少なくなってまいりました。
 それでは、NTTが最近発表いたしました二〇〇二年の中間連結決算は、一九五二年の旧電電公社発足以来、初の減収減益となったところであります。競争激化で固定電話の収益が減少していることは、これはこれで理解することができるわけでありますけれども、ISDNにこだわり過ぎまして、ADSL事業に乗りおくれるなど、通信市場が飽和する中で、新規事業の柱が見えてこなかったのではないかと私は思っております。そこで、NTT東西各社が、今後、ブロードバンドを主体にどう新規事業の展開を図るかの中長期的な戦略を再構築する必要があるのではないかと思っております。
 そのような中にあって、昨年、NTT法の改正によりまして、この規制の緩和によりまして、公正競争の確保に支障を及ぼさない範囲で、NTT東西は認可を受けて都道府県の地域通信業務を超えて県間サービスを行うことが可能となったわけであります。
 そこで質問でありますけれども、NTT東日本、西日本の両社は、この県間通信に進出するため、去る十一月二十二日、総務省に認可申請を行ったとの報道があります。それによりまして、NTT東西はどのような新しい事業展開が可能になり、そしてその結果、収益性にどの程度貢献できると期待されるのか、総務省にお尋ねしたいと思います。
鍋倉政府参考人 先生今御指摘がございましたように、十一月二十二日に、NTT東西から、インターネットアクセスの足回り回線サービス等として提供していますフレッツサービスにつきまして、県内に限らず、県境を越えて提供したいという認可申請があったところでございます。この認可の適否につきましては、法令に則して判断していくということになるわけでございますが、仮に東西が申請のあった業務を実施するということになりますと、インターネットサービスプロバイダーのバックボーン回線の集約化等の効果が期待できるというふうに考えております。
 また、収益でございますが、これはちょっとお答えになるかどうかあれですが、NTT東西の収益への効果につきましては、東西として収益があるとの判断に基づいて認可申請を行ったということであると考えております。
 私どもとしては、これからこの業務を行うことがNTT東西の地域電気通信業務等の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがないかどうかということを含めて、今現在精査をしているところでございますが、近く、もう近々でございますけれども、パブコメを招請する予定にしております。
黄川田委員 お話しのとおり、収益性への定量的な貢献度、これは難しいと思いますけれども、このような県間通信で新規サービスを開始することによりまして、NTT東西、特に西日本の収益性が改善されまして、接続料の格差が解消されるようなことになればと期待しておるところであります。
 最後に、要望になります。
 私も、規制緩和あるいは規制撤廃、競争社会ということを我が党も基本的に推し進めるわけでありますけれども、また一方、私の地元のような地方の高齢社会の中にあっては、固定電話が重要なライフラインであるというふうなことにもなっております。そこで、九月の情報通信審議会答申では、接続料の引き下げが大幅な場合は、基本料金の値上げの可能性を示唆しているようでありますけれども、接続料の算定に当たっては基本料金の値上げにつながらないよう強く要望しまして、終わりにいたします。
 ありがとうございます。
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 今回の接続料金改定に当たって最大の問題というのは、やはり、先ほど来各同僚委員から質問がありますように、接続料金を東西別にすべきという答申がなされたという問題だろうと思います。
 総務省からいただいた資料によりますと、東西の接続料金の格差は三〇%になる。それだけじゃなくて、NTT西日本の接続料金は、加入者交換機で十四年度の四・五〇円が四・七五円、それから中継交換機は四・七八円が五・九五円と、いずれも値上げになっているわけです。
 そこで、先ほど来出ている質問の繰り返しになるんですけれども、これによってユーザー料金の値上げというのは起こらないか。つまり、段階的に適用という答弁を局長先ほどされました。答申にもそう出ていると。総務省としては幅広く国会やその他有識者の意見を聞いて適切に対処する、こういう答弁であったわけです。そこで、この接続料金の値上げということがユーザーの料金の値上げにはつながらないと言えるのかどうか、そう言えないのか、その辺をはっきり答えてください。
鍋倉政府参考人 先生が今おっしゃいましたように、仮に東西別に接続料を算定しますと、このモデルを用いますと約三〇%の格差が生じるということでございます。この格差を利用者料金にどのように反映させるかというのは、基本的には各事業者の経営判断だろうと思います。ただ、東西いずれかの地域のみで事業を行っている事業者の場合には、この利用者料金に転嫁といいますか、反映させる可能性がやはり強いんじゃないかなというふうに思います。
 ということで、西日本エリアにおいては、利用者料金が値上げされる可能性は否定できないというふうに思っております。
矢島委員 八月に出された今回の答申の最初の案を読みますと、接続料金の東西格差について、こんなふうに答申がなされていると思います。東西別の接続料金設定は行わず、引き続き全国均一料金の接続料金とすることが適当と判断したと。しかし、この判断について、この草案をまとめたところの醍醐教授は、三〇%という格差が果たして現在のデフレ経済のもとで、また関西地域の経済活動が最近非常に厳しい状況にあると言われる中で、そういった関西圏での社会的合意が得られるかということもやはり審議会として考えなければならない、このように述べております。そして、大阪の消費者団体である全大阪消費者団体連絡会も、東西別の接続料金の設定は行わず、全国均一の接続料金を将来にわたって堅持すべき、これはパブリックコメントですけれども、この草案に寄せています。
 そこで、東西で三〇%の格差、西の地域においてはユーザー料金の値上げにつながりかねないこの東西別接続料金について、社会的なコンセンサスは得られていないと私は思うんですが、社会的コンセンサスがある、このようにお考えかどうか。局長、どうですか。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
鍋倉政府参考人 私どもとしましては、この答申を受けまして、繰り返しになりますけれども、東西の格差ができるということは非常に大きな影響を与えますので、広く御意見を伺って、それは国会の審議も当然尊重させていただかなければいけないことでありますし、それから、大臣もちょっと御答弁いただきましたけれども、今既に、消費者団体ですとか、あるいは経済団体ですとか、地方公共団体ですとか、地方議会ですとか、そういったところからの要望も出ておりますし、そういったこと。あるいは、実際にこれを、仮に東西別というようなことをやることになりますと、省令改正ですとか、あるいは東西からの約款申請ということになります。これにつきましては、パブリックコメントを求めて、広く国民の意見を聞かなければいけないという問題もございます。
 そういったことを加味しながら、私どもは判断をしていかなきゃいけないというふうに考えております。
矢島委員 実際に社会的コンセンサスというのならば、やはり消費者、利用者、こういう声を最大限に尊重すべきであろうと私は思います。
 読売新聞が、「「西高東低」には問題が多すぎる」という社説を載せております。「「西高東低」が定着した時、西日本経済が受ける打撃は大きなものになろう。」こういう社説です。私どもは、ユニバーサルサービスに東西格差は認められないとして、分割そのものに反対してまいりました。東西料金格差に対する社会的なコンセンサスが今なお存在しないということは、分割そのものが失敗なんだということを意味している。
 そして、この間、先ほど来IP電話の問題、データ通信の問題、出てまいりました。固定電話からADSLの加入者数は爆発的に増加している。先ほど、平成十三年度、どういうふうにトラフィックが変化しているかということについて局長が、通信時間については前年度比で二一%ぐらい減ですか、通信回数については十三年度どういう状況にあるか、お答えいただけますか。
鍋倉政府参考人 済みません。回線数につきましては、ちょっと今調べます。
矢島委員 どういう状況にあるかということについてお聞きするということでしたので、後で調べてお答えいただければいいかと思います。
 いずれにしろ、先ほどの局長の答弁でも、二〇〇一年、いわゆる平成十三年度、大幅に下がる、さらに今年度も一〇%を超えるマイナスではないか、顕著に減少していると言いました。総トラフィックが減少するときには、長期増分費用方式でコストを低目に算定したとしても接続料金は値上がりせざるを得ない。しかも、技術の動向を見ますと、まさに交換機からIP電話、こう進んでいるわけであります。総トラフィックの減少というのは一時的な現象ではない、こういうことが言えると思います。
 先日、NTTの宮津前社長は、NTT東西とNTTコムの音声収入は三年後に合計一兆円減少する、こういうことを新聞に書いておりました。また、KDDIの小野寺社長は、二〇〇五年には音声トラフィックの四ないし五割がIP電話に移る、こういうことも言っておりました。
 結局、交換機などのコストを前提とする長期増分費用方式、こういうやり方は、交換機を必要とする通信が減少していくことを想定していない。だから、我が党としては、架空の料金算定方式である長期増分費用方式そのものに最初から反対してまいりました。まさにその前提が崩れている、こういう事態の中で、この方式というのは見直し、廃止されるべきだと私どもは考えております。
 そこで、最後になりますが、まさにこのIP電話の利用というのは、ADSLや光ファイバーが利用できる都市部や企業から普及した。その分、固定電話のトラフィックが減少する。そうなれば固定電話は、接続料金に限らず、通話時間そのものの単位コストが上昇し、ユニバーサルサービスの根幹である固定電話料金の値上がりや、あるいは保守のサービスが後退する危険性があると私は思うわけです。
 そこで、固定電話からデータ通信あるいはIP電話へと移行する現状に際して、破綻したNTTの東西分割やあるいは長期増分費用方式、これを見直して、全体としてユニバーサルサービスをどう確保していくのかという点、つまり、電気通信政策のユニバーサルサービスをいかに確保するかということを基本に据えるべきだというように私は思うんですが、大臣、何かお考えがありましたら。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 この東西の別料金については、局長も答えましたように、私も答えましたように、大変各界から、考え直せ、こういうことでございまして、あれは審議会の答申ですから、どうやるかはこれから我々が国会を中心に十分御意見を聞きながら決めてまいりたい、こういうふうに答えております。
 今の委員の御指摘は、もうまさにとうとうたるIP電話化ですよ。こういう中で、やはりユニバーサルサービスというものをもう一遍抜本的に見直すということは、私も近々どうしても必要になるんではないかと思っております。
矢島委員 終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党の重野安正です。若干の質問をいたします。
 まず、今年九月、情報通信審議会は、二〇〇三年度からのNTT東西地域会社の通信回線接続料について、東西格差をつけるのが妥当と答申いたしました。これについて、片山大臣は新聞のインタビューに答えまして、「両論がある。なぜ東と西が別かという考えもあるし、競争政策だから違うのが当たり前という意見もある。審議会の意見は承ったので、これから検討していく」また「同じでなければいかんというのであれば、競争政策をやるなということになる。エンドユーザーへの影響もあり、事務局もそこのところを一生懸命議論している」と述べていますが、大臣としての答申に対する見解をまず聞いておきます。
 また、金澤事務次官は記者会見で、情報通信審議会がNTT接続料を東西別に設定するよう答申したことについて、加入電話の利用者料金にも深くかかわるのであり、具体的実施に当たっては、関係事業者だけでなく、利用者からも広く意見を聞いて対処したいと述べておりますが、どのような手順で国民利用者の声を反映させるのか、総務省としての具体的考えを聞いておきたい。
片山国務大臣 重野委員御指摘がありましたが、マスコミとのインタビューで、私は、今委員が言われたようなことをお答えさせていただきました。
 NTTを東西地域会社に再編した趣旨は、お互いにサービスの質や価格について競争しろ、こういうことですね、基本的な考え方は。だから、そういう意味では、積み上げてみれば差があるのなら料金を別にしろ、こういう議論が当然出てくると私は思いますが、一方、電話サービスは国民生活に不可欠なユニバーサルサービスじゃないか、今までも同じ料金であったじゃないか、それを安易に別々にするということはいかがかなと。私は両論成り立つと思うんですが、一定の経過期間を置きながら分けたらどうかというのが審議会の御答申ですね。
 だから、審議会の答申は答申として承りまして、我々としては、責任を持ってどうするかを判断せなければいかぬ。そこで、先ほども申し上げましたが、国会の御議論を中心に幅広い方々の御意見を聞いて決めたい、こう思っておりまして、既に公式、非公式、いろいろな意見が寄せられておりますので、ぜひそれを参考にして考えてまいりたいと思っております。
 金澤次官のあれは、局長の方から答弁させていただきます。
鍋倉政府参考人 今、大臣が御答弁になりましたように、当然この国会での御議論をまず尊重させていただくべきものだというふうに考えておりますし、それから、これもタブりますけれども、いろいろな団体、地方公共団体ですとか地方議会ですとか、各種団体から意見が寄せられております。これも参考にさせていただくということでございます。
 それ以外に、もし仮にどちらかの結論というか、どちらかの方向で、例えば省令改正をするとか、あるいはNTT東西の契約約款の変更が出てまいりますれば、両方ともパブコメをかけなければいけない問題でございますので、そこで広く国民の方々の意見を聞いて、またそれを参考にして対処していきたいということでございます。
重野委員 次に、NTT東西会社のコストにはかなりはっきりした格差が存在するのは事実であります。東西別接続料の設定について考慮すべきことは、モデル試算結果がありながら全国均一料金を維持した場合には、NTT西日本がモデル試算以上の効率化を迫られる一方で、NTT東日本は制度的に超過利益を得ることになるという問題であります。
 長期増分費用モデルも両社別々に算定し、両社に異なる接続料金を認め、その上で全国均一料金制の維持が必要というのであれば、それに要するコストをどの範囲でだれが負担するのか、明確にして実施すべきという選択もあるのではないかと思うのですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
鍋倉政府参考人 確かに御指摘のとおり、均一の接続料としますと、経営状況のより悪い西日本にとって、本来のコストよりも厳しい水準ということになるわけでございます。
 ですから、もし仮に均一料金ということに結論がなった場合には、当事者、これはNTTグループ、NTT東西を含む、持ち株も含めての話でございますが、当事者の要望も踏まえまして、先生が言われるような何らかの費用負担の方法というような措置についても、今後検討していく必要も生じてくるものというふうに考えております。
重野委員 接続料は適用期間内の予測トラフィックで算定するのが最も望ましい、この情報通信審議会の接続料見直しの答申を受けて、NTT接続料の算定に使う二〇〇三、二〇〇四年度のトラフィックの予測値を定めるため、学識経験者で構成する研究会が総務省に設置されております。予測値をどう確定するかが焦点となるわけですが、総務省は研究会の成果を非公開としたいということが言われています。また、新電電側からも、長期増分費用算定のもととなるトラフィック量については試算数値を使うことを提言していたが、だれが予測するのかと、恣意性の介入に対する疑問が出されていると聞いています。
 個別企業の経営関連データは除くとしても、検討の成果を公表しなければ信頼性のある予測かどうかを判断できなくなる懸念が生じてまいります。オープンな論議をすべきではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
鍋倉政府参考人 予測トラフィックについて恣意性を排除して中立的に検討するということは当然のことでございます。今、研究会において検討中でございますが、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、研究会のもとの作業グループには各事業者も入っているという形でやっておりますが、なおこの研究結果がまとまりました場合には、先生今御指摘のとおり、個別企業の経営データというのはちょっと差し控えさせていただきますけれども、それ以外のものは公表するということにしたいと思っております。
重野委員 最後に、過去十数年の我が国の通信政策は、余りにもアメリカの後追いに過ぎたのではないかというふうに考えるわけです。
 日本は、一九八五年の電電公社の民営化後、一九八四年のAT&T分割の後追いで、ほとんど十年間を民営化されたNTTの分割論議に明け暮れてきた、このように言えます。その後アメリカでは、分割とは逆の、新しい買収、合併の動きが顕著になってきました。また、相互接続料の引き下げ問題も事実上決着して、今ではむしろ逆の動きが出ていると聞いています。しかし我が国は、アメリカの後追いをして、旧来の電話サービスを前提とした相互接続料の引き下げ問題やネットワーク要素の開放問題を論議しています。しかも、長期増分費用方式の導入問題については、一昨年四月の逓信委員会で国会としての意思は明確にされているのではないかと思うのです。
 今の日本が必要としているのは、アメリカの政策の後追いではなく、アメリカがなし遂げた結果を見て、どうすれば日本のさらによい状態を実現できるかを考えてみる必要があるのではないか。日本独自の通信政策についての考え方をお聞かせください。
片山国務大臣 今まで国際交渉ではいろいろな難しいこともありまして、いろいろな見方、御意見があると思いますけれども、我々は国益第一でございまして、日本の立場をはっきり言う、そういうことで今後とも通信政策についても臨みたい、こういうふうに思っております。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 この際、林幹雄君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による接続料等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤斎君。
後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。
 この際、接続料等に関する件につきまして、決議をいたしたいと存じます。
 本件につきましては、理事会等におきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六会派で協議が調い、お手元に配付してあります案文がまとまりました。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    接続料等に関する件(案)
 一 国民生活に不可欠な基礎的な通信手段というユニバーサルサービスの主旨に鑑み、NTTの接続料については平成十五年度以降も引き続き東西均一を維持し、ユーザー料金に地域格差を生じることがないよう適切な措置を講ずること。
 二 基本料金の値上げは電話利用の少ない利用者に対し相対的に大きな負担を強いるものであり、接続料の算定に当たっては基本料金値上げにつながらない方式を採用すること。
 三 昨今の急激な一般電話通話量の減少という事態を踏まえ、仮定と予測に基づいてコストを算出する長期増分費用方式と現実の乖離を最大限抑えるべく、各種入力値は適切に算定するなど、消費者の利益に資するために適切な措置を講ずること。
 四 接続料の算定に用いている長期増分費用方式については、実際の投下資本の回収、ユニバーサルサービスの確保やブロードバンドネットワークの構築に向けた電気通信事業者の設備投資意欲を考慮し、早期廃止に向けあるべき接続料の算定方式を検討すること。
 五 接続料についての日米意見交換に当たって、政府は以上の立場を堅持し、国益最優先の立場で取組むこと。
  右決議する。
以上であります。
 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。(拍手)
遠藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり接続料等に関する件を本委員会の決議とするに決しました。
 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 我が国の電気通信分野においては、現在、ADSLが急激な普及を遂げるなど、ブロードバンドの進展が著しい状況にあります。他方、一般の電話サービスについても、引き続き国民生活に不可欠であり、また各種ビジネスの基盤として重要な役割を担っております。この電話の通話料金については、接続料が長期増分費用方式の導入によって引き下げられたこと等から、近年著しく低廉化され、利用者利便を増進してきているところであります。
 現在、接続料の見直しを行っているところでありますが、電話サービスが引き続き公平かつ低廉な料金で国民に提供されるよう、ただいまの御趣旨をも踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
遠藤委員長 お諮りいたします。
 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、第百五十四回国会、内閣提出、参議院送付、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案
 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 ただいま議題となりました行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案等三法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 初めに、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、昨年三月に高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づき作成されたe―Japan重点計画において、行政手続のオンライン化に伴う法令の見直し等を行うものとされたことを受けて立案し、このたび御提案することとしたものであります。その目的は、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人等の行政手続等に関し、情報通信の技術を利用する方法により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、電子政府及び電子自治体の実現に向けて、国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化及び効率化に資することとしております。
 この法律案の要点は、第一に、行政機関等は、行政手続等のうち他の法令の規定により書面により行うこととしているものについては、手続の性質等により電子情報処理組織の使用になじまないものと考えられる法律上の行政手続等を除き、電子情報処理組織を使用して行わせることができることとしております。
 第二に、行政手続等における情報通信技術の利用の推進を図るため、国は、情報システムの整備等に関し必要な措置を講じるよう努めなければならないこと、地方公共団体は、情報システムの整備及び条例等に基づく行政手続について必要な措置を講じるよう努めなければならないこととしております。
 引き続きまして、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、既に電子情報処理組織による手続等について規定整備を行っている法律と、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律との適用関係を整理するとともに、電子情報処理組織を使用して手続を行う場合の手数料の納付の特例規定、オンライン化に伴う手続の簡素化の規定、歳入または歳出の電子化のための所要の規定等を整備するものでございます。
 最後に、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、行政手続のオンライン化に際して必要な署名及び押印にかわる本人確認の手段を、地理的条件等による利用格差が生じないよう提供するために、市町村と都道府県とが連携して実施する高度な個人認証サービスの構築に関する所要の措置を講じようとするものであります。
 この法律案の要点は、第一に、住民基本台帳に記録されている者は、市町村の窓口において、都道府県知事の発行する電子証明書の提供を受けることができるとともに、都道府県知事は、電子証明書等の通知を受理した行政機関等からの求めに応じ、当該電子証明書の失効情報を提供することとしております。
 第二に、本法案により構築される制度の運営に当たりましては、取り扱う利用者の個人情報につき、目的外利用の禁止及び関係職員等の秘密保持義務等、適切な措置を講じ、厳重に保護するとともに、都道府県知事は総務大臣の指定する法人に電子証明書の発行に係る電子計算機処理等の事務を委任することができることとしております。
 第三に、総務大臣は、地方公共団体の認証業務に係る技術の評価に関する調査及び研究を行うとともに、都道府県及び市町村並びに利用者に対し必要な情報の提供、助言その他の援助を行うよう努めることとするほか、認証業務等の実施について必要な技術的基準を定めることとしております。
 以上が、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案等三法案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
遠藤委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十二月三日火曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十一分散会


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