衆議院

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第13号 平成15年5月8日(木曜日)

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平成十五年五月八日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      川崎 二郎君    左藤  章君
      佐田玄一郎君    滝   実君
      谷  洋一君    谷本 龍哉君
      野中 広務君    平林 鴻三君
      宮路 和明君   吉田六左エ門君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    中沢 健次君
      中村 哲治君    松崎 公昭君
      三井 辨雄君    山田 敏雅君
      江田 康幸君    西  博義君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      金子善次郎君    三村 申吾君
    …………………………………
   議員           武正 公一君
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           高部 正男君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            有冨寛一郎君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   清水 英雄君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           松井 英生君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  伊藤 忠治君     中村 哲治君
  中沢 健次君     三井 辨雄君
  久保 哲司君     西  博義君
  山名 靖英君     江田 康幸君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 哲治君     伊藤 忠治君
  三井 辨雄君     中沢 健次君
  江田 康幸君     山名 靖英君
  西  博義君     久保 哲司君
    ―――――――――――――
五月七日
 住民基本台帳ネットワークシステムの中止に関する請願(筒井信隆君紹介)(第一九四三号)
 同(大出彰君紹介)(第一九五六号)
 同(島聡君紹介)(第一九五七号)
 同(城島正光君紹介)(第一九五八号)
 同(平野博文君紹介)(第一九五九号)
 同(山田敏雅君紹介)(第一九六〇号)
 同(重野安正君紹介)(第一九七一号)
 同(仙谷由人君紹介)(第一九七二号)
 同(達増拓也君紹介)(第一九七三号)
 同(牧野聖修君紹介)(第一九七四号)
 同(山花郁夫君紹介)(第一九七五号)
 同(石毛えい子君紹介)(第一九九〇号)
 同(金田誠一君紹介)(第一九九一号)
 同(重野安正君紹介)(第一九九二号)
 同(中村哲治君紹介)(第一九九三号)
 同(牧野聖修君紹介)(第一九九四号)
 同(山内功君紹介)(第一九九五号)
 同(山花郁夫君紹介)(第一九九六号)
 同(山元勉君紹介)(第一九九七号)
 同(荒井聰君紹介)(第二〇〇八号)
 同(川田悦子君紹介)(第二〇〇九号)
 同(北川れん子君紹介)(第二〇一〇号)
 同(五十嵐文彦君紹介)(第二〇二〇号)
 同(北川れん子君紹介)(第二〇二一号)
 同(細野豪志君紹介)(第二〇二二号)
 同(五十嵐文彦君紹介)(第二〇三〇号)
 同(北川れん子君紹介)(第二〇三一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
 電波法の一部を改正する法律案(武正公一君外三名提出、衆法第一六号)
 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外三名提出、衆法第一七号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、電波法の一部を改正する法律案並びに武正公一君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長高部正男君、総務省情報通信政策局長高原耕三君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、総務省政策統括官清水英雄君及び経済産業省大臣官房審議官松井英生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷本龍哉君。
谷本委員 おはようございます。自由民主党の谷本龍哉でございます。
 電波法の一部改正法律案に関して質問をさせていただきたいと思います。
 まず、電波利用料額の改定についてお伺いしたいと思います。
 これは、昨年、平成十四年の七月二十三日火曜日の閣議後の記者会見におきまして、片山総務大臣はこのように発言をされております。まず、問いかけが、地上波デジタルのアナ・アナ変換の千八百億円について、これの財源としては電波利用料の値上げというのはという問いに対しまして、電波利用料で対応したいと思いますが、そのために電波利用料を値上げすることは考えていない、そして、間に話がありまして、最後に、アナ・アナ変換のために電波利用料を値上げすることは考えていませんというふうに明言をされております。これと今回のこの電波利用料額改定について、その整合性をどのように考えられていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
片山国務大臣 今、谷本委員言われましたように、去年の七月の閣議後の記者会見でそういうことを確かに申し上げました。このアナ・アナ変換の対策の額が、御承知のように、八百億程度と見ておりましたのが、最終的には千六、七百億になった、こういうことは確かにあるんですが、そのために電波利用料全体について値上げを考えることはしたくない、こういうことで、今の電波利用料額の仕組みの中で検討いたしたい、こう思っていろいろやってきましたが、なかなか難しいんですね。
 そこで、今、電波利用料というのは免許人間に大変な不公平がある、御承知のように。これを私は、総務大臣にしていただいたときから、もうかねがねそういう認識を持っておったんですけれども、放送局が〇・八%なんですよ。五百億の中で四億幾らなんですね。それは、携帯電話を持っている人からいうともう大変な不公平なんですよ。これは、もうかねがね、公式にも非公式にも不平不満を聞いておりまして、携帯電話等から。
 だから私は、いつかの機会に、これはぜひ公平に、もう少し上げてもらわにゃいかぬ、バランス、公平の問題で。こう思っておりましたので、ちょうど放送局等関係の方と十分議論しまして、不公平是正なんだと。結果としては、その金がこのアナ・アナにも回るということは、これは谷本委員、御了解を賜らにゃいかぬと思うんですが、そういうことで、不公平是正ということで御了解いただいて、結構ですと。こういうことで今回上げたんですが、これだって二十何億ですからね、正直言いまして。
 これで十分かどうかという議論はさらにあると思いますけれども、当面はこういうことで、不公平是正ということで放送局関係の負担を上げさせていただこう、こういうことでございますので。それで、結果として、上げたものがアナ・アナに回るということもぜひ御理解を賜りたいと思います。
谷本委員 少し苦しい説明かなとも思いますけれども、確かに、大臣言われるとおり、もともと非常に不公平な制度である、これは私も同感でありまして、これはいろいろと考えないといけないというふうに思っております。
 それで、その中で今回の利用料額の改定なわけですけれども、現行の電波利用料額に加算して、地上アナログテレビ放送用の放送局から八年間、時限措置として平成十五年度から二十二年度まで八年間の総額で二百四十五億円を予定していらっしゃるということですが、これの加算の仕方ですね。大規模局、VHFの五十キロワット以上には三億一千万円、次に中規模局、五十キロワット未満〇・一ワット以上には八万三千円、そして小規模局、〇・一ワット未満に対しては六百二十円と、非常に、ぱっと見ると、極端な話をすれば五十キロワットになった途端にこれは何千倍ですか、三千倍ぐらいになるんですかね、非常に極端な設定のように見えるんですけれども、この利用料の改定の算定の根拠をお聞かせください。
有冨政府参考人 今回の追加料額でございますが、アナログ周波数変更対策業務ということで、デジタル放送が開始されてもアナログ放送が円滑に継続できる、こういう放送局の受益に着目したものであるということでございますけれども、この受益についてでございますが、これは出力が大きいほど視聴エリアが広範囲になります。そうしますと、他の放送局と干渉する度合いも大きいということなので、アナログ放送局が他の無線局と混信を起こさずに円滑に継続できる、こういう観点での受益の大きさというものは放送局の出力によって大きく異なるというようなことがございます。
 このため、今委員御指摘のとおり、大規模局、中規模局、小規模局というふうな三つの区分に分類をいたしまして、出力に比例する形で算定することとしたものでございまして、例えば小規模局でございますと、VHFで空中線電力が〇・一ワット未満、UHF帯で空中線電力が〇・二ワット未満の放送局、これは山間僻地の集落など非常に狭い地域にサービスを提供するというものがほとんどでございます。これは、電波の到達範囲が狭いということで、これを小規模局として、受益の小さいものとして、料額を低く設定しているということでございます。
 それから、関東広域圏のNHKであるとかあるいは民放キー局の親局でありますが、これは周波数、VHFで五十キロワット以上です。これは東京タワーから発射をします。一局で関東一円をカバーする視聴範囲が極めて広いということでございますので、その受益は極めて大きい、そこでこれを大規模局として高い料額を設定したということでございまして、それ以外の小規模局、大規模局につきましては、中規模局として、両者間の料額を設定するというようなことにした次第でございます。その結果、委員言われたとおりの料額になったということでございます。
谷本委員 非常にこれは極端に途中でふえますので、これが本当に公平であるかどうか、またそういう議論もあるかと思うんですが、それより何より、先ほど大臣が言われました、これはもともと不公平な制度ではないか、そのとおりだと思います。そうであるならば、今回は時限措置ということで平成十五年から二十二年まで限ってやっていますけれども、本来であれば、もともと根本的にこの電波利用料制度、これを抜本的見直しをする必要があるんではないかというふうに考えますが、大臣のお考えをお願いします。
片山国務大臣 谷本委員の言われるとおりです。電波利用料制度が導入されてから御承知のように十年ですね。導入したときとはもう全然状況が変わってきまして、例えば今のように携帯電話等が九五%持っているんですね。先ほども申し上げましたが、放送事業者の方は約〇・八%と。こういうふうなことがあの時点で考えられたかどうか。また、平成五年から導入しましたが、携帯電話や無線LANがこれだけ急速に拡大してまいりまして、携帯電話の加入者数は、平成四年度末で百七十一万局あったんです。今は七千五百六十六万局です。
 そういうふうなことを考えますと、今委員が言われたように、電波というのは国民共通の資産ですから、この資産の利用についてどういう負担をお願いするかというのは国民的な課題ではないか、多方面から、総合的に国民の納得できる形で見直していく、こういうことが必要じゃないか、私はこう思っております。
 去年の一月から電波有効利用政策研究会というのをつくりまして、ことしの一月に、この中で電波利用料制度のあり方を専門的に検討する電波利用料部会というものをつくりまして、現在、関係の方からヒアリングをやるとか、いろいろな議論をしていただくとかやっておりますので、できるだけそれを急いでやりまして、皆さんの御議論を集約していきたい。そういうことで、年内ぐらいには、十分議論を尽くした上で論点を整理していきたい、それで、来年度のいつになるかわかりませんけれども、しかるべきときに結論を得て、制度改正について検討していきたい、こういうふうに思っております。
谷本委員 大臣おっしゃるとおりで、ぜひとも抜本的な見直しに着手をしていただきたいというふうに思います。
 それから、次に移りますが、初めに大臣が言われたとおり、利用料額の改定、全体の問題としてということではあるけれども、それがアナ・アナ変換にも行くであろうということでありますから、そのアナ・アナ変換、あるいはひいては地上波デジタル、この問題についても少しお聞きしたいと思うんです。
 まだ残された課題というのが幾つか地上波デジタルの問題にはあると思うんですね。そのうちのちょっと心配なことを幾つかお伺いしたいんですが、まず一点はブースター障害というものについてです。
 総務省のパンフレットを見ますと、アナ・アナ変換の対策手法として六つほど挙げられております。テレビのチャンネルの再設定、アンテナの取りかえ、アンテナ方向の変更、アンテナの高性能化、そしてブースターの追加、取りかえ、フィルターの追加、取りかえ。
 この中でブースターの問題なんですが、アナ・アナ変換の対象地域は大丈夫だと思うんです、それでやっていけばいいと思う。ただ、最近言われていますのは、このブースターというのはもともと電波を増幅する機械でありますから、サイマル放送期間中に、アナ・アナ変換の対象じゃない地域においても、このブースターがデジタル波を増幅することによって混信障害が起こるのではないかというふうに最近言われています。これに対して総務省は何らかの対策を考えられているのでしょうか。
高原政府参考人 今先生おっしゃいますように、現在、アナログ放送において、一部の家庭において、利用者みずからが家庭のアンテナに電波を増幅する機器、これをブースターと申しておりますが、これを取りつけてテレビをごらんになっているというケースがございます。こういう家庭の場合は、デジタル放送を開始しますと、今までのアナログ波に加えてデジタル波も同時にこのブースターは増幅をいたします。したがって、ここでアナログ波の映像が乱れてしまうということが起こる可能性がございます。
 これは確かに先生おっしゃるように問題でございますので、この年末から関東、近畿、中京で始まりますけれども、そういう地域について、今、放送事業者が主体となって調査をやっております。したがいまして、その調査の結果を踏まえまして、今、全国地上デジタル放送推進協議会というのをNHK、民放、総務省でつくっておりますが、この場におきまして、とにかく十二月の電波発射時に支障の出ないような方向で、この調査結果を踏まえて検討してまいりたいということでやっておる最中でございます。先生のおっしゃる問題意識は十分に持っております。
谷本委員 現在調査をされているということでございますが、これに、ではまた一体幾らかかるのかという問題も出てくると思いますが、それが従来の、初めの枠内で、金額内でできるのかどうか、そういったところも調査結果が出次第、また教えていただきたいというふうに思います。
 次に、もう一つ問題があるんですが、次の問題は共聴施設というものの問題です。
 テレビというのは、直接自分の家だけで見ている家庭というのをすぐ連想しますけれども、実際には、日本の場合、全世帯の五四%、半分以上、約二千六百万世帯、これがマンションとか集合住宅で共同受信をしております。この共同受信世帯は、集合住宅の共聴施設あるいは商業用のケーブルテレビ、同軸ケーブル経由、こういったものでテレビを見ている家庭が非常に多いわけですね。
 その中で、デジタル放送で使われるUHF帯域までの高周波対応になっていない共同受信施設というのが約一千万世帯以上あると言われています。これらの世帯は、同軸ケーブルの張りかえ、あるいは周波数変換器の設置など、多額の費用をかけない限りデジタル放送を見ることはできません。総務省は、この費用の出どころについて、二〇〇一年の通常国会で、視聴者の負担とするとたしか言明されたと思います。つまり、マンションのオーナーとか管理組合、住人などが独自でやりかえなさいという主張であったと記憶をしておりますが、そうなると、最悪、一世帯当たり平均十万近く支出が出るのではないか。これはデジタルの受像機の購入費とは別に発生するという問題があります。
 この問題に対して現時点での総務省の考え方をお聞かせください。
高原政府参考人 今先生御指摘ございましたように、今全国の約半数の世帯が、CATVあるいは共聴施設、それから集合住宅の中の共同受信施設といったようなもの、全体として共同受信施設と申しておりますが、この共同受信施設を経由してテレビを受信しているということでございまして、共同受信施設のデジタル化は御指摘のように非常に重要な課題でございます。
 ここの共同受信施設でございますが、デジタル化に伴いまして、受信障害そのものが大幅に改善されるというのが地上デジタルの特徴でもございますので、この辺も含めまして、二〇一一年のアナログ放送終了までの間に共同受信施設のデジタル化対応がとにかく円滑に進むようにということで、先般も大臣の懇談会でCATVのデジタル化の数値目標も定めたところでございます。そういう面も含めまして、関係業界とも連携をして取り組んでまいりたいと思います。
 この負担に関しましては、先般もお答えしましたとおり、基本的には利用者の自助努力でお願いしたいというふうに考えております。しかし、今御指摘のように経費等の隘路もあるという可能性もございますので、調査費の予算もついておりますので、今鋭意検討している最中でございます。この辺も、先生の御指摘も踏まえながら、遺漏なきように期していきたいというように思っております。
谷本委員 民間の方の放送事業者の試算では、これにかかる費用が、ちょっと幅があるんですが、最低でも三千億、多く見れば一兆以上かかるのではないかというふうな試算も出ておりますので、対応策をしっかりと検討していただきたいというふうに思います。
 続いて、地上波デジタルテレビについて少しお伺いしたいんです。
 今現時点では一台も地上波デジタル対応のテレビは売られておりませんが、先日発表がありまして、初めての地上波デジタルテレビが六月五日に発売予定だ、ある会社から出ると。一応価格はオープン価格というふうになっておりますが、言われておりますのは、三十六型で約三十万円、三十二型で約二十五万円、二十八型で約二十万円、非常に高い値段だというふうに思うんですが、この値段帯で出てきたのを見て、総務大臣どのようにお考えか、お聞かせください。
片山国務大臣 高いですね。今委員が言われたように、予想価格は今お話しのような数字だと聞いております。
 ただ、BSデジタル放送が平成十二年の十二月に始まりましたけれども、あのときの受信機の価格はもっと高かったですね。三十六型で四十万から五十万、三十二型で三十五万から四十万、それに比べたら五、六割ですから安いのかなと思いますけれども、しかし、早期普及のためにはやはり相当下げていかなきゃいけませんね。
 それで、BSデジタルテレビは、私も買ったんですけれども、やはり一年半ぐらいたちまして、一年半か二年か、半分ぐらいになりましたですね、最初の発売より。そういう意味では、普及のスピードと価格の低廉化というのか、価格が下がるのはある程度スライドしていきますので、ぜひメーカーの皆さんにも努力をしてもらいたいと思いますし、我々も万般の努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
谷本委員 今大臣の方から努力をされていくようにという話もありましたが、その中でテレビの普及の話がございました。今の計画では、二〇一一年アナログ波停波ということになると、八年間、約三千日でございます。
 今、BSデジタルの話も出ましたけれども、BSデジタルは当初、一千日一千万台、これが目標だったと思いますが、なかなかこれを達成できていない状況です。それに対して今回のこの地上波デジタルの普及計画は、三千日一億台でございます。当然、デジタルチューナーというのも入ってくるでしょうから、すべてがテレビでないにしろ、一億台、日本国内にあるテレビすべてを変えなければテレビを見ることができないという状態だと思います。
 この四月十五日に、総務省のブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会というところが報告書を出しておりますが、その中のデジタル受信機の普及計画の中にイベントごとの目標というのを出してありまして、二〇〇六年サッカーワールドカップ・ドイツ大会のときに一千万世帯ふやす、二〇〇八年北京五輪のときに二千四百万世帯ふやす、そして一一年には全世帯普及、そういうロードマップが描かれていますけれども、BSデジタルの例を見ているとなかなかこれはしんどいんじゃないかという気がしますが、この三千日で一億台、これは可能かどうか、どのように考えられておりますか。
片山国務大臣 確かにBSデジタルは千日一千万台ですね。今は四百万台ぐらいですかね。ただ、状況を見ますとやはりしり上がりに、ずっと加速度的に上がっておりますから、これからもっと伸びていくんではないかと思いますけれども、三千日で一億台というのはなかなか大変は大変だと私も思っておりまして、例のブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会で、今、谷本委員が言われたようなことの将来見通しをつくってもらったんですが、それで十分だと思っておりません。
 そこで、近々に、放送事業者はもとよりですけれども、関係のメーカー、卸、小売、マスコミ界、経済界、地方自治体等を含む国民組織をつくりまして、今、万般ということを申し上げましたが、いろいろな分野における国民運動的なものをぜひ起こしていきたい。まだもうひとつ世間一般の認知が低うございますので、ぜひそういうことを含めてやっていきたい。
 そういう中で、国民の皆さんは、一遍方向が決まると割に、日本は空気の国と言われますけれども、そういう空気、雰囲気をつくって、今のデジタル受信機の普及にもそういうことでぜひそれはしっかりしたものにしていき、実現していきたい、こういうふうに思っております。
谷本委員 今大臣言われましたとおり、なかなか周知が進んでいない、雰囲気づくりができていない、まだ正しい理解がなかなかできていないんじゃないかというのを強く感じます。
 その中で、今、アナ・アナ変換対策がずっと行われているわけですが、三大都市圏で今やられています。ただ、この三大都市圏も、本来であれば二〇〇三年中に三大都市圏全域でという予定でありましたが、アナ・アナ作業がなかなか、当初スタートがおくれたということで、限定出力で段階的にやっていこうと。少しスピードが遅くなったのかなと。そしてさらに、当初は二〇〇六年までにアナ・アナ変換を全域で終了しようという計画であったのが、三大広域圏以外の地域においては二〇〇九年までかかるというお答えも、総務省から明言をされております。
 ということは、二〇〇九年にならないとデジタルテレビを見られない地域が存在する。それまではアナログを見なきゃいけない。そうすると、二〇一一年停波まではわずか二年しかないわけで、今回の地上波デジタル対応テレビを見ても、当然アナログテレビも見られるような構造にはなってはおりますけれども、そういう意味では、せっぱ詰まるのが二〇〇九年となると、なかなか今度、最後の二年というのは厳しいんじゃないかというような気がします。
 このアナ・アナ変換のおくれに従って、この最後の停波の二〇一一年七月という期限、苦しくなってくるんじゃないかというふうに私は思うんですが、そこは大臣、どのようにお考えですか。
片山国務大臣 これも言われるとおり、なかなか大変なんですが、二〇〇三年からやるということは、十二月ですけれども、ちょっと時期はおくれましたが、三大都市圏では地上波のデジタル放送を始めていただける。それから範囲も、当初よりは少し狭くなりましたが、それは今のキー局等は取り返す、こう言っておりますから、そこに我々は期待しておりますし、それから、アナ・アナそのものの工事は二月から始めまして、これは割に順調なんです、今。
 だから、そういうことの中で、全体で、少しおくれたものをどうやって努力で取り返すか、こういうことになるのかな、こういうふうに思っておりますが、先ほども申し上げましたような総合的な推進組織をつくって、そこを中心にぜひ進めてまいりたい。
 言われるように、二〇〇九年までアナ・アナがかかりますから、地方の方になると思いますけれども、できるだけ二〇〇九年も前倒しできるものは前倒しをしていって、こういうふうに考えておりますが、二〇〇九年、一〇年の辺はかなり場合によってはきついことになるのかな、こう思っておりますけれども、ぜひ関係者全員の努力で乗り越えてまいりたいと思っております。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
谷本委員 何度も委員会でも言わせていただいているとおり、私も別に地上波デジタルに反対をしているわけではありませんで、ただ、スムーズにいくためにはしっかりやらないといけない。その中で、確かに目標をしっかり決めてやらないと進まないというのも事実だと思います。ただ、無理をして、いろいろなところで矛盾が出てきてしまうというのも問題でありますので、私自身の個人の考えとしては、この後ろの切り方を、まあいろいろ考える余地はあるんじゃないかというふうに、これは個人的な考えですが、思っております。
 その中で、先ほど、周知がなかなか進まないという話がありました。デジタル波に変わる、この周知がおくれていることもありますが、この政策にかかるコストというのもなかなか周知徹底されていないんじゃないか。
 国民の負担という問題。アナ・アナ変換費用で一千八百億円、これは総務省の発表でございます、電波利用料を財源に国費で負担するということですが。同時に、放送会社の方の設備投資も莫大なものがあります。民放連の調べでは約一兆一千億円、NHKが五千億円、民放が六千億円、これだけの投資が必要になる。これは厳しい地方局も出てくるんじゃないかというふうに言われています。さらに、先ほど言いました共聴の問題、あるいはその他、ビル陰等の難視聴の問題、いろいろな費用が、先ほど言いましたように、多く見れば一兆円を超えるんじゃないか。そして、これに加えて、デジタルチューナーあるいはデジタルテレビ、これを買いかえなきゃいけない。
 莫大な費用が、これは経済効果があるのかもしれませんが、そういう意味では、国民に対するあらゆる意味でのコストが非常に大きくかかってくる政策である。それであるにもかかわらず、なかなか国民の意識がというか周知徹底が行き届かない、このあたりについてさらなる努力がいろいろな方法で必要だと思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。
片山国務大臣 この地上波デジタル化というのはもう国家的な大事業だ、私はこう思っておりまして、幸いなことに、放送事業者の皆さんが、NHKも民放連も全部、よし、やろう、これは大変な困難を伴うけれども頑張っていこう、こういう認識で一致していただいていることは大変ありがたい、こう思っております。
 谷本委員言われるように、相当なお金がかかるんですよね。アナ・アナは別にしましても、一兆一千億なりそれ以上という設備投資を放送事業者にはやってもらわないかぬ。特に今、民放連等の一部では、地方局ですね、キー局はいいんですけれども、地方局で財務体質の弱いところ、こういうところについては、何らかの公的支援というんでしょうか、何らかの方策を考えられないか等々の意見も出ておりますので、状況を見ながら我々も対応を、どこまでどうできるか、難しい問題はありますけれども検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
 また、今言われますように、受信機を全部買いかえていただく、これが二十万になるのかどうかわかりませんけれども、一億台ですからね、それだけで二十兆ですよね。ただ、我々の試算では、このデジタル化によって経済効果という面では、関連の産業への波及効果等まで含めますと十年間で二百十二兆円の効果がある、こういうことでございます。大変今景気が悪うございますけれども、一つのこれが景気回復の推進力になるんではなかろうか、こういうふうに考えておりまして、そのためにも関係の皆さんにきちっとわかっていただくということが一番大切だ、こういうことでございます。
 我々はいつも放送事業者の皆さんにお願いしているんですよ。放送番組をつくるのはお手の物ですから、ぜひ民放についてはスポンサーも探していただいて大々的にやっていただきたい、こういうことを言っておりますし、NHKさんにもそういうことをお願いするし、政府としても、補正予算で広報関係の予算がとれましたので、最も効果的な方法は何かについて十分関係の皆さんの意見を聞きながら進めてまいりたい。
 幸いなことに、ことし年末からデジタル放送が三大都市圏で始まるということ、二〇一一年には完全にアナログがデジタルに移行するということについては約五割の方がわかっていただいている、こういう結果もありますので、この機会に、さらに本年度から大々的な周知をしてまいりたい。国民の皆さんの理解がどの程度あるかが恐らく、私は、これは勝敗と言ってはいけませんが、勝負のかぎだ、こう思っておりますので、今後とも大いに関係者とともに努力をしたいと思っております。
谷本委員 時間がなくなってまいりまして、本当は自己確認制度についても聞こうと思っていたんですが、それは省かせてもらって、最後に一問だけ。
 今言われたとおり、国民の周知を広げていく。非常にコストがかかりますので、放送会社の公的支援となればまた税金が必要になるということもありますので、しっかり周知を、テレビ番組も見ました、やっているのを。ただ、テレビ局の人も本当に理解しているのかなと思うような内容のものもありましたので、その辺もしっかりやっていただきたいなというふうに思います。
 そして最後に、以前も少し聞きましたが、地上デジタルテレビ放送実施推進会議、仮称だと思いますが、五月の二十三日ですか、設立総会が開催されるという話も伺っているんですが、この辺の進展状況について、簡単で構いませんので、最後に聞かせていただきたいと思います。
高原政府参考人 今先生御指摘の地上デジタルテレビ放送実施推進会議というものでございます。これは、大臣の懇談会の行動計画で、こういう実施推進組織をつくれという内容のものが出されました。それを受けて、設置準備が民間を中心に進められております。
 結論、一言で言いますと非常に順調に、先ほど大臣もお話ございましたように、広範な方々の参加がほぼ確定をしつつございます。五月二十三日に設立総会が開催される予定というふうに聞いておりまして、地方自治体あるいはマスコミ、各種経済団体、量販店、家電メーカー、放送事業者等の方々が、ほぼお願いした方はほとんど全員、あるいは関係省庁も御参加いただくといったような方向で今進めておるところでございます。
谷本委員 終わります。
林(幹)委員長代理 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 久しぶりに総務委員会で質問をさせていただきます。
 さて、本日は、電波利用料について質問をさせていただきます。
 まず、政府に、特定周波数変更対策業務、いわゆるアナ・アナ変更に伴う費用について質問をさせていただきます。
 政府提出法案では、アナ・アナ変更に伴う費用について、放送事業者に追加負担を求めております。その追加負担をした場合と、していない場合と、それぞれ放送事業者が負担する費用は幾らになるんでしょうか。
吉田大臣政務官 御答弁申し上げます。
 追加徴収前、すなわち平成十四年度の電波利用料予算における放送事業者の負担額は年間約五億円、そして、追加徴収をさせていただけた場合の平成十五年度の電波利用料予算における放送事業者の年間負担額は約三十五億円となります。
中村(哲)委員 全体で千七百八十六億円かかる、その総額ではどうでしょうか。
吉田大臣政務官 アナログ周波数変更対策について、平成十三年度の段階において対策経費が大幅に増加したわけであります。このことについては、委員御質問のとおり、私もなぜに……(中村(哲)委員「今はデータを聞いているだけです」と呼ぶ)
 これは、ですから、五億円プラス三十億ということで三十五億と……(中村(哲)委員「それは年間ですよね。総額を聞いているんです」と呼ぶ)総額は、結局、二百四十五億円ということになります。これを八年で割りますものですから約三十億と……(中村(哲)委員「幾らから二百四十五億に」と呼ぶ)
 これは十年という数字で計算をさせていただいておりますけれども、実際には、サイマル放送の期間は一局当たり平均して二・八年、こういうことでありますから、これから計算をいたしますと……(中村(哲)委員「わかりやすくもう一回質問しますので」と呼ぶ)はい。
中村(哲)委員 わかりやすく説明をゼロからさせていただきます。
 二年前の電波法の改正のときの審議では、アナ・アナ変換にかかる費用というのは八百五十二億円と言われていたんです。そして、今回、いろいろ紆余曲折があって、ここはまた議論をしないといけないんですけれども、この二年間で八百五十二億円が千七百八十六億円になっちゃった。だから、電波法を改正して電波利用料の見直しをしないといけないというのが今国会の流れなんですよ。そして、八百五十二億円だったら年間五億円で済んでいたなという議論だったんですが、千七百八十六億円になったので、放送事業者の負担もふやさないといけませんよね、そうしたのが今回この法案が衆議院でかかっている経緯なんですね。
 私が政務官にこんなことを説明するのはどうなのかとは思うんですけれども、そういう趣旨で今議論がされているわけなんです。政務官、きょう何か答弁に立つことが急遽決まったみたいなんで、ちょっと大変だったのかもしれないけれども、まあそういう流れで来ているわけです。
 そして、その千七百八十六億円になりましたね。でも、今までのルールだったらこの千七百八十六億円のうち幾ら放送事業者が負担することになっているのか、そして、今回の法案に変えることによって幾らになるのか、それは今、吉田政務官が説明されたように二百四十五億円なわけですよ。だから、この法案が通らない場合に、千七百八十六億円のうち放送事業者が幾ら負担することになっていたのかという、その二百四十五億円のもとの数字を聞きたいわけです。
吉田大臣政務官 これは、五億円掛ける八年でございますから、四十億円ということになります。
中村(哲)委員 つまり、千七百八十六億円のうち四十億円しか放送事業者は負担しないことになっていた、しかし、今回の法案が通ることによって、千七百八十六億円のうち二百四十五億円は負担しますよ、そういう話ですよね。
 ということは、その差額の、千七百八十六億円引く二百四十五億円、だからこれは大体千五百四十一億円になるわけですよね。そして、携帯事業者は結局このうちの八割ぐらいを負担するわけですから、約千三百十億円ぐらいを携帯事業者が負担する、こういう計算でよろしいんですね。(発言する者あり)
片山国務大臣 済みません。委員長の前に御指名をいただきまして。
 考え方はそのとおりです。
中村(哲)委員 それじゃ、四十億円から二百四十五億円に放送事業者の追加負担分がふえました。それじゃ、この放送事業者の追加負担分の二百四十五億円というその根拠は何でしょうか。
吉田大臣政務官 これは、先ほどちょっと答弁を早まってし始めたんですけれども、アナログ周波数変更対策業務には、当該対策業務の終了後に空き周波数が生じるというようなこと、周波数の逼迫緩和にもなるということから、無線全局に対して受益が発生します。と同時に、デジタル放送が開始されてもアナログ放送が引き続き円滑に維持できる、こうした受益、放送局のみに発生する受益もあります。これを、ざっくり千八百億を半分ずつということで九百億、こういうことです。
 電波法上、アナログ周波数変更対策業務について十年間を超えない範囲でやる、こういうことですから、アナログ放送局の周波数の使用期限を定めることにしております。したがって、仮に周波数割り当て計画の変更日から直ちにデジタル放送を開始した場合、アナログ放送局には最大十年間のアナログ放送を継続できる受益が生じるということです。
 結果として、放送事業者の追加負担分を算定するに当たり、まず、最大十年間のサイマル放送が行われた場合は、無線局免許人全体に生じる受益と等しく取り扱い、アナログ放送局の免許人にアナログ周波数変更対策業務に要する費用の二分の一の負担を求めることが適当である、こう考えるわけですね。
 結果として、実際に、デジタルとアナログのサイマル放送の期間は、一局当たり、さっき申し上げたように平均二・八年か、こう推定されます。実利用期間を勘案して、放送局の追加負担の割合をアナ変対策経費の二分の一、すなわち二・八年、十年間ですから、この割合でいきますと、結果として二百四十五億、こういう計算になるわけです。これを八で割ると年間三十億ということであります。
中村(哲)委員 私は、その質問を昨日も公務員の方から聞いたんですよね、事前にレクをして。論理的につじつまが合わないんですよ。
 ざっくり九百億円というたら、九百億円負担すべきじゃないですか。受益を受けるのが放送事業者、それで全体が半分。事業者と全体で半分ずつ負担しようということだったら、事業者全体で九百億円負担すべきなんじゃないですか。受益を受けるから半分ずつにするんでしょう。その間、今、吉田政務官おっしゃったように、サイマル放送するから、二倍受益を受けるから、だから負担するという理屈じゃないですか。
 吉田政務官、私が言っていることを理解されていますか。ちゃんと話を聞いて答弁に向かってくださいよ。ざっくり九百億円だったら、九百億円負担すべきなんじゃないですか。
吉田大臣政務官 これは、今のお話のとおり、放送事業者と実際に必要とする費用を負担し合おうということで、今回の電波利用料改定により、放送事業者には新たに二百四十五億負担をお願いすることになるわけで、アナログ停波までの期間、現行のアナログ放送が継続できるという放送局に発生する受益に相当する負担額として算定したものであり、追加負担額としては妥当であろう、こう考えているわけであります。
中村(哲)委員 ここにいらっしゃる委員諸君に改めてお聞きしたいんですけれども、したいぐらいなんですけれども、今の答弁でわかりますか。今、吉田政務官のおっしゃった答弁は、先ほどおっしゃったことの繰り返しであります。
 私が聞いているのは、ざっくり九百億円と言うんだったら、全体で九百億円負担しないといけないんじゃないですか。それをさらに十分の二・八するということは二重の意味でおかしいんじゃないですかということを言っているんですよ。論理的につながらないんです。そこについての答弁を求めているのに、書かれたものしか読まないということでは、それは務めを果たせませんよ。いかがですか。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 こういうことなんですね。アナ・アナは、周波数変更をデジタルのための前提としてやるんです。それは、もう確かにそのとおりなんです。しかし、これをやることによって、周波数が相当再編、合理化、効率化されるんですね。
 というのは、電波が相当あいてくるわけですよ。あいてくるものはいろいろなことに使えるわけなんですよ。例えば、今は電話は第二世代が主流で、第三世代の携帯電話が始まっておりますけれども、恐らく八、九年後には第四世代ということになるんですよ。だから、そういう第四世代の電波も確保せないかぬのですね。そういうことは無線局全体の利益であるんです。だから、本来は、特に放送事業者だけに特別の負担をお願いせずに、今の電波料の仕組みで全体を賄わないかぬのです。
 ただしかし、一つは、不公平であるということがありますよ、不公平である。〇・八%しか放送事業者は持っていない、これは私は不公平だと思うんです。
 それからもう一つは、平均二・何年間、三年間はサイマルをやるわけですね。だから、その分だけ両方使うわけですよ。デジタルも使い、アナログも使うわけですから、その分は負担してもらってもいいじゃないか、こういう理屈なんですね、当方の理屈は。
 それからもう一つ、放送事業者の理屈を言うと、今まで〇・八%の負担しかしていないのに、何で今特別にこれを負担せないかぬのだと。それについては、ちゃんと自分らも納得できるということと負担能力の問題がある。経営等も必ずしも全部順調じゃありませんから、個別の名前は言いませんけれども。
 そういうことの中でいろいろ御相談いただいて、このくらいなら理由も説明、納得できるし、このくらいなら負担できる、そこで折り合ったのがこれでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
中村(哲)委員 つまり、二百四十五億の数字というのは、論理的に決まった数字じゃないということですよ。このくらいだったら負担できるだろうという、経営的な状況も踏まえて相談の上決まった数字だ、そういうふうに大臣が最初から答えてもらったらわかりやすいわけですよ。
 だから、二分の一掛ける十分の二・八というのは、ある意味、相談の上決まった数字で、今の説明を聞いていたら、理由は後づけですよ。そうじゃなければ、もともと、これは十三年の改正のときにもっと議論しておくべきだったのかもしれませんけれども、そもそも電波利用の趣旨ということからこのアナ・アナ変換の費用というのは外れていると言っていいんですよね。
 もともと電波利用料制度というのは、無線局全体のための共益的な行政事務の全体費用を全体で分ける、そういった考え方ですよ。アナ・アナ変換の費用が共益的な行政事務と言えるのかどうか。法律百三条の二第二項で挙がっておりますけれども、それと比べてアナ・アナ変換の費用だけが、ある意味、突出して性質が違うわけですよ。
 だから、アナ・アナ変換というのは、電波利用料の枠を広げるんじゃなくて、やはり特別の対策をする立法をつくるか、特別の財政的な措置を設けるような、そういうスキームをつくるべきだったんじゃないか、私はそういうふうに思っているんです。そうじゃないと説明がつかないですよ。今大臣がおっしゃった、大臣が認めていらっしゃるように、純粋に、ぎりぎりと合理的な基準でこの額が決まっているわけじゃないんですよ。
 いわば、ざっくりいくんだったら九百億負担すべきなんです。だけれども、やはり経営的な状況もあって、急にふやせと、今まで年間四億から五億円しか負担できていなかったのが、いきなりこれ九百億ということになると、年間百億円ぐらい負担しないといけないということになりますから、それはきつい。そういうことで、大臣おっしゃったように二百四十五億円になったんですよ。
 だから、私は、そもそもこのアナ・アナ変換というものを電波利用料というスキームでやること自体に論理的に無理があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
加藤副大臣 委員のお話でありますが、アナ・アナ変換によってもたらされる利益ということに関していいますと、アナログ放送終了後の周波数逼迫の解消による利益、そしてまたデジタル放送開始後に混信を生じることなく現在の無線局を引き続き利用できるという利益、この二つの利益が考えられますが、いずれも、この利益について、無線局の免許人が享受する利益であります。
 このように、アナ・アナ変換対策の受益者が無線局の免許人に特定できることから、受益者負担金の一種であります電波利用料財源で賄うという考え方に無理はないと考えております。
中村(哲)委員 これからは民主党の法案提出者にお伺いいたします。
 私は、民主党提出者の出している法案というものは、今政府がおっしゃった、逼迫した周波数を有効的かつ効率的に利用するということを意識してつくられているんだと考えております。具体的には、電波利用料の設定に経済的価値を反映させて、効率的再配分を行うに当たり、市場の力をかりようとするというものだと理解しております。
 そこで、法案提出者にお伺いいたします。電波利用料の額はどのように定めるんでしょうか。
武正議員 中村委員にお答えをいたします。
 まず、前提といたしまして、衆法提出者は、地上波デジタル放送については、もちろんそれについては是である。あるいはまた、先ほど大臣が答弁されたように、景気回復といったことももちろん是である。そういった観点から、やはり土俵づくりについては第三者機関、あるいは公平公正な土俵をつくってもらった上で事業者がそこで事業を営む、こういった観点から衆法を提出しております。
 今の御質問でございますが、電波利用料の額は、経済的価値が適切に反映されるような算定基準を総務大臣、設置後は通信・放送委員会、第三者機関が省令で定め、これによって決定することとしている。また、免許人の選定に当たっては、オークションが用いられた場合は、オークションにおける競落額が電波の経済的価値を適切に反映するものとして電波利用料額となるということでございます。
 先ほど委員御指摘のように、九三年に電波利用料がスタートした当時は、当初、郵政省は出力とか帯域幅に応じて電波利用料を決めたかった。ところが、関係省庁とのやりとりの中で、結局、書類の量によった。つまり、手続費みたいな形になってしまった。これも、やはり電波というものが関係省庁にまたがるがゆえに、内閣府の外局、三条委員会にすべきという根拠にもなろうと思います。
 また、今回のパブコメについても、NHK、民放連、テレビ東京、あるいは新広島放送等から、これは暫定的な措置なんだろう、あるいは、納得がいかない、あるいは、三つに分けることは疑問がある、今回限りにしてくれというパブコメが出ておりますので、やはり放送事業者からも異論が出ている。
 さらにまた、サイマル放送についても、受益があるというふうに総務大臣はおっしゃいますが、NHKからも、これはユニバーサルサービスであって受益にはならないんだ、あるいは民放連からも、二重投資でこれは受益にならないんだ、そういった指摘もあるわけでありまして、さまざまな問題をはらんでいるので、やはり経済的価値に応じた電波利用料設定、しかもその参考にオークションが必要、このように考えます。
中村(哲)委員 よくわかりました。
 それでは、オークション制度導入について、そもそもの目的は何ですか。また、具体的に衆法提出者が考える法案におけるオークション形式とはどういうものをお考えなのでしょうか。
武正議員 電波は国民共有の資源であって、それを効率的、効果的に使うことで、これは国民の福利向上、そしてまた日本における電波を利用した技術の発展、そしてそれを利用して起業、つまり、どんどん事業が起きてくる、あるいはベンチャー企業が起きてくる。こういった目的のために、まず電波利用共益費という今の概念、経済的価値については、負担していない、つまりゼロである。これはやはり、電波を効率的に利用するインセンティブが働く仕組みになっていないという認識のもとに、電波利用により享受する経済的利益に見合った負担を行う趣旨に改める。具体的には、オークションの形式として、電波利用料の一年間当たりの額について競りの方法をもって行うこととしております。
中村(哲)委員 それだったら全部オークション方式にするのが筋じゃないかなという考え方もあると思うんですが、しかしながら、衆法提出者の法案によると、オークションによる免許付与と従来からの比較審査による免許付与を総務大臣、設立後は通信・放送委員会ということになるんでしょうけれども、総務大臣が選択できることとなっております。その趣旨は何でしょうか。
武正議員 オークションが成り立つためには、付与可能な免許の数に比してこれを上回る数の申請者が見込まれること、ある周波数帯につき特定の者に免許を付与する公益上の必要がないことといった諸条件が整う必要があるが、これに関して、個々の免許ごとに状況判断が必要であるため、総務大臣、設置後は通信・放送委員会が個別に選択できることとする必要がある。ですから、やれるものとやれないもの、それは通信・放送委員会が見きわめるということでございます。
 加えて申せば、例えば放送についてはやはり公共性が高いというようなこと、あるいは公的セクターについては、今ゼロでありますが、これはやはり賦課をすべきでありますが、公的セクターについても、やはり通信・放送委員会がその公共性にかんがみてその設定額を決めるというようなことはできようかというふうに思っております。
 加えて、昨年この電波利用料、放送局の値上げということが報道された当時、当初七十億というような報道もございまして、結果三十五億に落ちついたといったことがあります。こういったことが放送の独立性の堅持の妨げになるのではないか。つまり、放送局が支払うべき電波利用料の額を総務大臣のさじかげんで決めてしまうということにならないか、こういう危惧を覚えての衆法の提出になっております。
中村(哲)委員 非常にわかりやすい答弁ありがとうございます。
 それでは次に、免許の有効期間を五年以内から二十年以内にするのはなぜか、そして、有効期間の延長はかえって再配分が硬直化するのではないか、その二つの質問をあわせてさせていただきます。
武正議員 オークションを成功させるためには、免許の有効期間を現行の原則五年以内よりも長くすることが必要な場合もあり得ると考えたところであります。例えば第三世代携帯電話のように規模の大きな事業では、欧州で見られるように、二十年の免許期間が適当と考えられるものもあり、二十年の範囲内で個別に適切な免許期間を設定できるようにしたということでございまして、この二十年以内ということが初期投資の回収に当たっては有効ではないか。
 ただ、これが再配分を硬直化するということも御懸念あると思いますので、最初のオークションの際に年数を設定して、二十年の範囲内でどの程度で競りをかけるか、それを決めることも通信・放送委員会ができるわけでございますし、あるいは、例えば十七年で落札をした業者さんが、例えば十五年で返そう、あるいは十四年で返そう、こういったことも一年ごとに競りの額を払っているという仕組みからいって可能であるというふうに考えております。
中村(哲)委員 オークション制度を導入した場合の懸念なんですけれども、オークション制度を導入したら免許費用が高騰したり買い占めが行われるような、そういう懸念が考えられるんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
武正議員 いわゆるバブルというんでしょうか、これは欧米であったというような御指摘があるわけなんですけれども、オークションは市場原理によって経済的価値をはかる方法であり、オークションによる競落額は電波の経済的価値を適切に反映したものになると考えております。オークションは、諸般の状況から適当と認められる場合に初めて実施されるものであり、周波数帯が特定の者によって買い占められるおそれはないものと考えております。
 先ほど、冒頭触れたバブルでありますけれども、これは、インターネットバブルの時期に重なったワイヤレスバブルというようなことも言われておりまして、特にイギリス、ドイツというところがその額が高騰した。それを見て各国がさまざまな形を取り入れているといったこともあるわけなんですけれども、一つやはり事例といたしましては、入札額は高騰したけれども、それが利用者に転嫁されたことはない、これはぜひ御認識をいただきたい点でございます。
中村(哲)委員 その具体的な例として、海外で実際にオークション制度を導入していて成功している事例というものは、具体的にもし答えられるのであれば答えていただきたいと思うんですけれども。
武正議員 一九九〇年前後から米国における第二世代携帯電話のオークション、九三年を初めとしてニュージーランド、オーストラリア、英国、ドイツ、カナダ等で無線局免許にオークション制度が導入され、これまでに多数実施されており、肯定的に評価されているものと理解しております。
 欧州の一部、先ほど触れたように、イギリス、ドイツでは、二〇〇〇年に実施された第三世代携帯電話の免許のオークションにおいて免許料が高騰したことが問題とされたのは確かでありますが、これらの国でもオークション制度自体はおおむね肯定的に評価しているものと理解しているところであります。
 また、先ほど触れたように、イギリス、ドイツを参考に、例えばイタリアでは書類審査を事前にやる。あるいはフランスでは、美人コンテストというんでしょうか、そういう事前審査の方式を取り入れている。あるいはオランダでは上限価格を設定しているなど、さまざま各国工夫しながら、このオークション制度を前向きに導入しているということでございます。
中村(哲)委員 非常によくわかりました。
 オークション制度だけでやるというわけではなくて、オークション制度を部分的に導入すると。オークション制度にも弊害が起こる部分に関しては、従来の、今までどおりの方法も使うことによってその弊害をなくしていく。非常に明確な基準を求めてこれをやっていけるということですね。
 政府に、このオークション制度についてどのように考えておられるのか、最後にお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 一つのやり方であることは事実ですが、今のヨーロッパなんかの例を見ましても弊害が多過ぎる。金を積みさえすれば国民の資産である電波を二十年間ひとり占めできるなんということはなかなか国民の理解を得がたい。しかも、具体に弊害があるし、うまくいっていない。ただ、研究はする必要がある、こういうふうに私は思っております。
中村(哲)委員 片山大臣の答弁は、武正提出者のお話の一部分をとらえて話されているように私は理解しております。だからこそ、これから検討させていただくということをおっしゃったんだということを理解させていただきまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、山田敏雅君。
山田(敏)委員 山田敏雅です。
 まず、法案提出者にお伺いいたしますけれども、今回の目玉であります通信・放送委員会、これを設置する趣旨をまず述べていただいて、それから、総務省の所掌事務から情報通信の規律、まあ規制というのを規律という言葉で言うんですが、規律に関する部分を分離して独立行政委員会の事務としなければならないのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
武正議員 山田委員にお答えをいたします。
 通信・放送事業の規律、電波監理等情報通信の規律に関する事務は、内閣が一体として政策的に行う振興行政と異なり、総務大臣の裁量により振興行政の都合に左右されることなく、公正かつ中立に行われる必要性が特に高い。そのため、独立した委員会によって実施されることとする必要があるというふうに考えます。
 よく言われる官僚の無謬性、官僚は間違えない、こういったことがあると、結局は柔軟な対応が行えない、継ぎはぎ継ぎはぎで、過ちを何としても繕うような形がとられてしまう。こういったことから、やはり規律について、ルール設定については第三者委員会で、これはもう平成九年の行革会議で、集中審議のときにも了承されまして、二十五回議事録に出ておりますが、二十五回議事録で結局了承されたのが通信放送委員会でありまして、四十一回、結局設置しない方向になったのは、政府・与党との協議ということでございましたが、行革会議でも既に出ている。これについては、衆法提出者とすれば、電監審、情通審、そして、できれば電気通信事業紛争処理委員会も合わせてもいいのかなというような形でのイメージを持っております。
 加えて、ちょっと御披露させていただきますのは、「電監審四十年のあゆみ」というもので電監審の委員がいろいろなことを言っております。
 この電監審というものはまだまだ今のあり方が最上であるとは思っていない、これは芦部委員であります。それから塩野宏委員は、公正で民主的な電波法行政を遂行するため重要な役割を担っていることには変わりがない、こういった認識。
 それから、審理官もさまざまなことを言っておりまして、公平審理官、カラーテレビは早くやりたい、まだ早い、大変な騒ぎがあった、元電波監理局長が陣頭真っ先に座を占める、そういった雰囲気であると。これは、いわゆる訴え側の方ですね。それから中西審理官も、異常な雰囲気と。あるいは渡辺審理官も、電波監理委員会設置の際、自民党政府は委員会行政に内心反対であった、あの毅然たる態度がいつか次第に失われていったのである、それが現在の政治の姿とはいえまことに寂しい限りである、こういったことも言っております。
 そしてまた、いわゆる聴聞会というものがありますが、一説、聞くもん会と言われ、当局は一度言い出したら利害関係者が何を言っても聞くもんかいの対応であった、これは草部審理官が書いております。任命権者が郵政大臣であってみれば、審理官は首をかけて審理に当たらねばならず、郵政と利害関係者の中にあって公正中立を保つため、心を千々に砕かざるを得なかった。
 私は、主宰した聴聞の調書について当時の電監審の委員の先生方に説明したとき、行政当局と同一機構の中にある審議会としては、どうしても大きい行政方針に拘束されるのは仕方がないことだと申し上げて先生方の納得を得たことを思い出す、これは小林審理官の言葉であります。
 そして葛西審理官。福島の織田大蔵氏が異議申し立ての準備書面で、審理官のことを郵政省の大臣以下と同じ穴のムジナとののしったのを指定職員の一人として聞いた覚えもあり、身を持することに慎重でなければと身の引き締まる感を覚えたのはいまだに生々しいことである。
 塚原審理官。審理官の数が二人が一人になったというのは、これは問題だと。
 そしてまた郵政省側からも、河野職員は、逓信委員会で申請者リスト、要は電波の申請、予備免許の申請リストの提出要請があった、強くお断りし続けたこと、電監審の職員時代の回想として書いてあります。
 このように、こういった第三者の委員会というのはさまざまな圧力があると。政治側からも圧力がある、そして事業者側からも圧力がある。その中で、郵政省の中にある、今の総務省の中にある八条委員会の限界性というものをこの電監審の四十年史で触れている、これをつけ加えさせていただきます。
山田(敏)委員 規律と振興ということですね。原子力行政もそうだったんですが、規制をする側と振興する側が同じ場所で物事をやると、いつの間にか、一生懸命振興しなければいけない立場の人間が、今度は国民のために厳正な規制をしなければいけないということが非常にあいまいになってくる、これが一つの例だったと思うんですが、今回の、振興と規律は一体の方がいいというのは政府の見解だそうですが、これについてはどう思われますか。
武正議員 振興と規律を分離するとスピーディーでなくなるという主張が政府から聞かれるわけですが、その趣旨がいま一つ判然としないと思います。両者を分離したとしても、必ずしも政策決定がスピーディーでなくなるとは考えておりません。
 例えば、昨年からのNTTの接続料問題、これももう一年、優にかかっております。いろいろな、さまざまな圧力がかかっております。アメリカからも文句を言われている。内政干渉が甚だしいのにこれを放置する。それは、やはりある面、裁量行政を許しているという批判にたえられないからでありまして、そういった意味でも独立行政委員会が必要であろうと思います。
 また先ほど来オークション問題、大臣はきっぱり、これは無理だというふうに切って捨てましたが、これはもう平成三年から話題に出ているんですね、電波政策懇談会。そして平成七年、規制緩和推進計画、平成九年から十一年にやるよと、そして結局、規制改革推進三カ年計画では、平成十五年の措置ということなんですが、先ほど触れたように、局長の一諮問委員会が結論を出した。それを大臣は、これでもう結論出ているんですよというような言い方もされましたが、結局、公平公正な形ではそういった決定がされていない、総務省の意に沿うような形で一審議会あるいは一諮問会議が結論を出している。これは、これに参入しようとする事業者にとっては甚だおかしなもの、スピーディーなことをかえって阻害しているんじゃないか、一緒になっていると。こういうふうに考えます。
山田(敏)委員 アメリカのFCCは、規制業務と振興業務というのが一緒に今、形の上ではそうなっているんですが、ここで提出者にお伺いしたいんですが、アメリカの事情と今の日本の事情、これはどういうふうに違うんでしょうか。
武正議員 アメリカでは、FCC、確かに振興と規制が一つになっております。ただ、その前提として、審議とかプロセスは文書を公表して公開をする、そして少数意見も尊重をする、公開をする、そして規制は公平公正性をということで、参入しようとする事業者にとってはその不確実性が少ない、リスクが少ないというメリットがあります。
 一方、我が国の方は、省庁の意思決定により結論が大臣名で出される、実質的なプロセスは非公開である。私もそうですけれども、いろいろ議事録を下さいと各省庁に言うんですけれども、議事録が出てくるというのは少ない。出てきたとしても、その個別な、だれが発言したかというのはほとんど書いていない、こういったことがありまして、加えて、日本の場合、審議会のメンバーは非常勤、実質的な決定はやはり省庁内部で行われる。
 これでは事業を行おうとする参入者にとっては不確実性が高い。事業に参入したら途中でルールが変えられてしまうんでは、とてもリスクがあって萎縮してしまう。これでは、結局は、日本の電波利用あるいはITの事業が盛んになっていかないというふうに考えるわけでございます。
山田(敏)委員 今回の提出法案で政府の意見をいろいろ聞いたんですが、一つの意見で、行革に逆行しているんじゃないかという意見があります。その辺について、ちょっと組織的な見直しも含めてお答えいただければと思います。
武正議員 行革に逆行するという御指摘なんですけれども、ただ、今回、衆法提出者が提出しました三条委員会、これは、先ほど触れたように、電監審と情通審を合わせて通信・放送委員会をつくるわけですから、二つの審議会が一つになるということで、逆に言うと行革を進めているんじゃないか、これが第一点ですね。
 それから、人員についても、後でまた触れますけれども、今までの総務省の職員を移行するだけ。
 ふえる部分はどこかというと、八条委員会を三条委員会にしますと、委員は常勤ですから、その委員の手当が一億二千八百四十一万円、これは五名の委員ですね、公取と同じですから。委員長が三千万、そして委員が二千五百万、これで約一億三千万弱、これがふえるということなんですが、これまでも委員の手当は、電監審は六百四十三万のうち三百六万、情通審は五千四百七十四万のうち三千五十八万円はそれぞれ委員の手当で要していたということでございまして、スクラップ・アンド・ビルドにより行うものであり、行政機構の肥大化につながるものではない。したがって、行政改革に逆行するとの批判は当たらないと考えます。
山田(敏)委員 総務省にちょっとお伺いいたしますが、電監審と情報通信審議会の事務局はどこが務めていますでしょうか。
加藤副大臣 まず、電波監理審議会の事務局は総務省の総合通信基盤局総務課、そして、情報通信審議会の事務局は情報通信政策局総務課が担当しております。
山田(敏)委員 ちょっとついでに答えていただきたいんですが、電監審の幹事は何名で、だれですかということと、総務省の八条委員会のうち、国会の同意人事を必要とするのは幾つでしょうか。この質問、ちょっと答えてください。
加藤副大臣 まず最初のお尋ねでありますが、電波監理審議会の幹事は、総合通信基盤局総務課の職員が一名指名されております。
 そして次の、八条審議会は、地方財政審議会、国地方係争処理委員会、電気通信事業紛争処理委員会、電波監理審議会の、この四つであります。
山田(敏)委員 今お答えになったように、電監審も情報通信審議会も全く役所の、総務課というところがやっているわけですけれども、その電監審の幹事も総務省の職員が当たっている。本当に役所の中でがんじがらめにコントロールをする、そういう体制が見えてくるんですが。
 そこで、今回、法案提出者が提出しておりますこの委員会ですね、役所の方にちょっときのう聞いたんですが、これはちょっとなじまないんじゃないかという意見を聞いたんですが、その点、ちょっと総務省の方、お答えいただけますか。
片山国務大臣 私は、何度もこの委員会でも同じことを御答弁させていただいておりますが、アメリカは委員会大好きなんですよ。これは大統領制だからですよ。だから、大統領に全部権限が集中するんですよね、そういうものが大統領制なんですから。知事や市町村長さんも同じですよ。だから、できるだけ特殊のものについては委員会をつくってやる。
 しかし、日本の場合には、もう何度も、釈迦に説法ですけれども、議院内閣制で、国会で指名された国会議員である総理が国会議員を中心に内閣を組織して、国会に対して連帯して責任を持つんですね、国会から国民の代表として選ばれた人が。しかもそれは、意思決定は閣議ですよね。総理が意思決定するわけじゃないんですよ。閣議で全員が合意して国の意思が決まる。それで、それぞれ所管の仕事については各大臣が責任があり、執行権があるんです。総理じゃないんですよ。
 だから、総理は閣議の主宰者でありますし、閣僚の任免権という大変強い権限がありますけれども、仕事は分かれているんですね。だから各大臣が責任を持ってやる、こういう仕組みなので。これはこれで、国会に対して連帯して責任を持つんですから。委員会で民間の人を何人か呼んできてやる、これは準司法的なことはいいですよ、専門的なことはいいけれども、しかし、それは国会に対して責任を持てないんですよ、そういう意味では。これは議院内閣制にもとるんですね。
 だがしかし、必要最小限の公取や何かは要りますけれども、だから、各大臣に責任を持たせてやって、問題があれば選挙でまた、国民の皆さん、それはだめだ、この内閣は、この与党はだめだということで審判を下すでしょうから、それで交代していく、こういう仕組みですから、何でも委員会がいいというわけにはなかなか私そこはいかないと思う。
 それから、振興と規律ですか、振興というのは、親でいうと、子供をおだてて、いいところを伸ばしてやるのが振興で、規律の方は怒る方でしょう。おだてるのと怒るのが一緒の方がずっと効果的なんですよ、うまく育つ方にも、怒る場合にも。その方が、一人の人がやるんだから、おだてる方と怒る方が別で、これはコミュニケーションがなかったら混乱しますよ。
 そういう意味で、今の金融行政でも産業振興行政でも、金融庁が振興と規律と一緒にやっているんですよ、経済産業省がそういうことを一緒にやっているんですよ。一つもおかしくないんです。FCCもそうですから。これを分けて幾らでも組織を分割していくということは、結果としては行革に反するんですよね。
 そういう意味で、お気持ちはわかるのですが、特に電波行政は、何度も言うように、中立公平で専門的ですから、電波審議会というのがあって、そこの意見を聞いて責任を持って総務大臣がやる、昔は郵政大臣がやる、こういう仕組みで私は一つもおかしくないと思う。もしそれが悪ければ次の総選挙か参議院の選挙で、与党がだめだ、こういうことになるだけですから。これが議院内閣制だと私は理解しておりまして、何でも行政委員会というのはいかがかなと。
 アメリカが来たとき、二十四できたんですよ、日本に二十四の行政委員会ができたんですよ。それが、国情に合わない、非効率、責任が持てない、二重行政ということで全部やめていって、今残っているのは四つですよ。ということは、私はそれが国民の最終的な選択、判断だ、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 主観的な御意見をよくお伺いしましたけれども、法案提出者、今の件について御意見ありますか。
武正議員 まず、国会のたがが外れてしまうんじゃないかということは、さっき言ったように、同意人事できちっと抑えられるわけですね。
 それから、怒る人となだめる人、ちやほやする人が一緒というのはやはりおかしいですよね。やはりこれはちゃんと分けてやった方がいいと思いますね。
 それから、今の大臣の御発言ですけれども、これはやはり私は第三者委員会が必要であるという論点に立っておりますが、まず、国会が国権の最高機関である、これが憲法に書かれておりますが、これが実際、有名無実になっているんじゃないかというのはかなり多くの委員が共有している認識ではないか、日本はやはり行政が強いなと。この行政がまた一府十二省庁になっちゃったんですね。だから、より強くなっちゃいました。
 これはやはり、準司法、準立法的なものは独立させていい、しかも、国会もちゃんと同意人事でたがをはめられる。しかも加えて、今、電監審、電監審と大臣はおっしゃいましたが、実は、平成十一年七月十六日の中央省庁等改革関連法改正で、電監審の大事な部分を削除しちゃったんですよ。電波、放送の規律について調査し、必要な勧告を行うという、戦後二回しか勧告をやっていませんが、これを削除しちゃったんです。それからもう一つ、その電監審の議決を尊重して措置し、その他電波の規律という、これも削除しちゃったんですよ。
 こういう逆行することを、戦後、残念ながら政府は積み重ねてまいりました。そのまず端緒が昭和二十七年の吉田内閣で、戦後、GHQがつくった二十二の三条委員会は、これは合わない、減らしていこうと、七つに減らしちゃったわけですよ。そして今、電監審さえこうやって削除しちゃっているんですよ。
 そして、さっき言ったように、電波の有効利用、オークションについてどうしようか、やりますやりますと言って、どこに考えさせているかといったら、局長の一諮問会議に任せているんですよ。電監審や情通審にだって諮問していないんですよ。これでオークションはだめだと総務大臣が言っているのはおかしいじゃないですか。
 以上です。
山田(敏)委員 大変わかりやすかったです。
 大臣がおっしゃったように、議院内閣制、やはりこれは、国民の代表である政治家がしっかり国民の利益を行政に反映するという重要な役割があるので、今さっき総務省の方に答弁していただきましたけれども、今の審議会は全く役所のコントロールの中にあって、それをますます強めていくようなやり方、これはやはり政治家として反省すべき点であるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 役所が事務局をやっていますよ。それは専門家だし、いろいろな調査機能やら情報収集機能もありますから、これが民間の人が来て事務局をやったら大変だから役所がやっていますが、審議会の議論は、少なくとも私が私の省で知る限りは、これは自由濶達にやってもらっていますよ。役所の言うことを聞くような人は、そんな偉い人いませんよ。みんな役所とは独立して、自由に意見を開陳してもらっているので。
 それは、役所がいろいろな資料を出したり、説明はしますけれども、結論や何かは役所の影響下にあるというのは、それは私は誤解じゃなかろうか、こういうふうに思っております。決めるのは、しかし役所なんですよ。諮問会議やいろいろな調査会や研究会の意見を聞いて、決めるのは役所が決めるんですよ。その間にはパブコメや何か、いろいろなものにかけますけれども。
 それは、役所はその貴重な、専門的な御意見をいただくのだけれども、決定権は諮問機関、調査会や研究会や審議会にあるわけじゃないんです。それが議院内閣制なんですよ。総務大臣が総務省のことは責任を持って決める、問題があれば責任をとる、これなんですよね。
 意見は聞きますよ。しかし、決めるのは役所が決めるので、たまたま研究会の言われたことが正しければ、そのとおり決めることが多いことは事実ですね。それはそうなんですけれども、そうでなきゃ、国権の最高機関である国会や議院内閣制を冒涜することになりますよ。諮問会議が全部決める、調査会が全部結論を出したらそれがそのまま国の意思になる、そんなことはありません。ぜひそこは御理解を賜りたいと思います。
山田(敏)委員 最後に、法案提出者、今の御意見にちょっとコメントしていただけますか。
武正議員 私の方は、今回、総務省から職員を第三者委員会に切り離すというようなことを考えておりまして、行革には逆行しないということを重ねて申し上げさせていただきます。
 具体的に言うと、本省から二分の一程度、地方支分局からは十分の七程度が通信・放送委員会に移ることになるのではないかというふうに考えております。当然、そういった職員については、退職されたら、新規の職員はやはりその分野にたけている人を採用したり、あるいは特に公取との人事交流等、二年で交代するんじゃなくて五年ぐらいで人事交流するとか、あるいは専門性と、いろいろやり方があろうかなというふうに思っております。
 議院内閣制との関係でございますが、現在の法制度のもとにおいても、公取、公安委員会、公害調整委員会、ちゃんとあるわけでして、独立行政委員会が日本の法制度において従来から認められてきた組織であって、日本になじまないという制度ではありません。
 これは個人情報保護法のときも、大臣が、どんどんと独走していってしまう第三者委員会は怖いというようなことを言いましたが、ちゃんと民主的コントロールはききます。さっき言ったように、国会が同意人事もやっていますし、政府が予算を握っているというようなことで、ちゃんとコントロールは及んでいるわけでありまして、そういった御懸念はないというふうに考えております。
 行政府がルールを決めるというのはやはり無理がある。だって、行政府は振興しようとしているわけですから、いろいろな事業を興そう、興そうとしている、事業をどんどん頑張れ、頑張れと言っている、予算をつけている、補助金をつけている、そういった行政府が公平であるべきルールも決めちゃおう、これはやはり無理があるというふうに考えます。
 以上です。
山田(敏)委員 委員会の話になりましたけれども、公正取引委員会のような役割を持っていくということをきのう政府の方に申し上げたんですね。そのときに、総務省の方は、委員会というのは事後規定には向くんだ、事前規定にはなじまないんだ、こういう理屈をおっしゃいました。
 政府委員、御存じですか。結局、総務省の中の仕事を奪われるのは耐えられない、役所の中の自分たちの仕事を守ろうという、非常に、国民のためにいいことをやろうというんじゃなくて、そういうのが見え見えになるんですが、委員会という、今四つの委員会が残っていますけれども、これについて、政府委員、どう思われますか。
片山国務大臣 今の行政委員会方式は、今言いましたように、いろいろな難点があるので、終戦直後はたくさんつくりましたけれども、どうしても必要な行政委員会だけに限定して今残っている、こういう状況でありまして、私は、アメリカの大統領制と日本の議院内閣制は歴然と違うので、そういう中での行政委員会の活用の仕方には、やはり日本は日本としての限度がある、日本としての工夫がなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。
 基本的には、今、行政委員会というのは結局、合議制の執行機関なんです、簡単に言うと。大臣というのは独任制の執行機関ですよね。しかし、議院内閣制というのは、閣議で全会一致で意思決定をやるので、意思決定は全会一致、合議ですけれども、独任制の執行機関。公取のように五人か何人か集まって、ここでみんなで相談して物を決めてやっていく、こういうのが行政委員会ですよね。
 しかし、この方が、先ほども言いましたように、全部民間の方で、国会に対して責任を持つような立場にない。しかも、仮に規律だけやらせるとすれば、振興と規律の関係が二重行政になって混乱が起こる。しかも、その合議制の執行機関が、中央から地方までちゃんと事務局を持つのなら、これは大変行革に反することになる。
 だから、どうしても必要最小限度のものは行政委員会というのも認められますけれども、基本的には、議院内閣制を貫いた方が行政効率の上でもあるし、救済措置はちゃんといろいろあるわけですから。不服申し立てもある、訴訟もある、あるいは審議会で意見を聞くこともある。私は、そういう仕組みの方が国民から見てずっとわかりやすいし、責任が明らかだし、効率的である、こういうふうに思っております。
 同じことを繰り返していただきましたけれども、この電波等について行政委員会で分けていくということには、なかなか結構でございますということにはならない、こういうことを申し上げているわけであります。
山田(敏)委員 電波及び通信、情報、これからの日本の行く末を決める大変重要な分野です。これを間違うと日本は世界から取り残される、成功すると非常に大きな可能性と雇用が生まれる、非常に重要なポイントだと思うんですね。
 先ほどから、委員会、例えば公正取引委員会、これが議院内閣制と何か反しているような、そんな言い方をされるんですが、独立行政委員会は委員会で、きちっとした役目を持って、そして公正に中立に、国民の立場に立って、正しく競争が行われるかどうか、こういうことをきちっと果たしているんじゃないですか。それに対して、議院内閣制と違うんだとか、大統領制と違うんだというのは何の脈絡もない。
 法案提出者、お答えいただけますか、今の僕の意見に対して。
武正議員 例えば、議院内閣制の御本家であるイギリスでは、トライビューナルとかADRということで、行政に附属をしながらもやはり準立法、準司法的なものは独立させているんですよ、議院内閣制の御本家であるイギリスで。
 そしてまた、先ほどから閣議、閣議とおっしゃいますが、残念ながら、まだ日本の行政は各省縦割りですよ。それぞれの大臣も、それぞれの自分の省庁の権益をやはり閣議の中でいかに守るか、こういったことに頑張っておられるんじゃないですか。日本の国益を守るために閣議が決定して、首相のもとに日本が運営されている、残念ながら、まだまだそうなっていないじゃないですか。
 やはり経済の展望を開かなきゃいけないこの今の時期にあって、相変わらずルールを各省の大臣がその省庁にとって都合のいいようにやっているから、電波利用料を九三年に決めたときだって、郵政省は出力と帯域幅に応じて決めたかったんでしょう、それが各省との折衝でできなかったんじゃないですか。書類の量に応じて決まっちゃったのが電波利用料じゃないですか。
 だから、ここがやはり根本的な過ちがあるということで、準立法、準司法的なルールづくりは独立行政委員会であってしかるべきであって、何ら議院内閣制とそごを来すものではないというふうに思います。
山田(敏)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
遠藤委員長 次に、島聡君。
島委員 民主党の島聡でございます。
 電波法に関する審議であります。
 今、山田委員も言われていましたように、電波は限られた資源とよく言われます。電波不足ともよく言われるのですが、これは、きょうは法案提出者に特に聞きますけれども、今日本、無線LANも余り伸びていませんよね。無線LANに一番適した電波帯というのは無線インターネットですけれども、四から五ギガヘルツぐらいなんですよ。これは今回の法律とはまたちょっと違った形で使うようになっていますけれども。
 今、電波不足と言いますけれども、電波はいろいろ、低周波から高周波までずっとあって、本当に不足しているところはいわゆる携帯電話のところだけなんです。不動産の土地からいけば、ほかのところはあいていて、低層住宅があるんだけれども、一部、携帯電話のところだけは物すごく高度利用をせざるを得ない。そこだけ不足している。周りは物すごく低層住宅で、一戸だけ高層ビルがあるようなものですよ。これはもう行政がおかしかったんですね。第四世代携帯電話というのが、恐らく十年後で、どうでしょうね、周波数帯域約五割ぐらいに膨らんでやっていくようなことになっていきます。
 そういう意味で、電波法というのは非常に重要であるという意味で、私どもも武正IT副大臣が中心になってこの対案を出しました。
 そういう意味で、武正提出者に聞きますけれども、特に電波利用制度の中で、共益費用でしたね、今までの考え方が。それを電波の経済的価値を反映したものに変更してきた。これは今申し上げた観点からも非常に重要なことだと思うわけでありますが、その趣旨は何ですか。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
武正議員 先ほどからお話をさせていただいておりますが、共益費用は、要は電波の監理のための事務手数料。九三年にスタートしたときは、ファイルをつくるというのが一つと、二つ目は妨害電波、電波妨害に対するそういった意味で共益費用が始まったんですよ。
 それが、今、もちろんアナ・アナ変換も含めてだんだんと共益費用の項目がふえていっています。共益費用があって電波利用料を決めたと当初は言っていたんですが、今これだけ携帯電話が、八千万台を超えて、電波利用料がどんどんどんどんふえていった、国庫に入ってくる、これを使わなきゃもったいないということで共益費用の項目をふやしていった。電波利用料があって共益費用がある。当初の設定とは全然変わったものになってきているこの共益費用、もうかなり無理があるというふうに思います。先ほど触れたように、やはり経済的価値を反映した電波利用料にしなければ、この国民共有の資源である電波を有効に活用できない。
 しかも、今委員おっしゃられたように、無線LANですよね。これは欧米が競って電波帯を開放して積極的に導入を図っている。一時、無線LANですか、JRが試験的に、ワールドカップのときだけ主要駅でやりましたよね。あれがあればそれぞれの駅で無線を利用してさまざまなインターネットサービスも受けられる、いろいろな受益を供与できるわけでありますが、これが進んでいない。こういったところも、実際、結局、日本の電波行政がスピーディーでない理由というふうに批判を受けるところだと思います。
 私は、やはり電波利用料は、無料ではなくて、経済的価値に応じてきちっと、その価格に応じて受益者は負担をすべきである、それが大事だというふうに思っております。
 ある方に言わせれば、電波利用の共益業務は、これは民営化して、競争入札方式で外部委託すればいいという意見もあるんですよ。そういった意見もありますし、今委員がおっしゃられたように、ある面、無線LANとかあるいは免許不要の帯域があったっていいというような意見もあります。
 電波も、電波帯で決められた方しかできないんじゃなくて、重層的に有効に利用できる、実際、調査してみると、全体の一〇%、五%しか利用していない。日本の国民共有の資源である電波帯が逼迫しているんじゃなくて、有効利用がされていないということだと思いますので、こういった点をやはり解決するために経済的価値を反映したものに変更するべきだというふうに思います。
島委員 おっしゃるとおりなんですよ、本当に。
 有効利用させて、しかも、すごく技術が発展しているために、どんどんそれに対応させようと思ったらそういう経済的価値を反映させてやっていかないと、電波監理を最も市場経済的原理に合わせた方がいいところを、何か社会主義の考え方みたいに管理していくと本当に失敗する、私は本当にそう思いますね。
 ただ、提出者、法案では、国や地方公共団体が公益上の電波の利用を必要とする場合にもオークションが行われる可能性に触れていますけれども、これは私、若干考えなくちゃいけないことがあると思うんですが、どうですか。
武正議員 九三年当時も、公的セクターが電波利用料を払わないというのはおかしいじゃないか、妨害電波の影響は公的セクターも受けますよといったことを経済団体からも指摘を受けていたんですが、さまざまな省庁からの御意見を踏まえて郵政省さんも、公的セクターから電波利用料を取らないということでスタートしております。
 公的セクターであっても電波利用料を払っているというのは、イギリスとかオーストラリアとかカナダということで、実際事例がございます。
 ただ、公的セクターがオークションするかどうかという御懸念でございますが、公益上特定の電波を利用することが必要不可欠であると認められる場合には、オークションによらず、総務大臣、設置後は通信・放送委員会が、従来どおり、行政手続により承認または免許を与えることができるものと衆法では考えておりまして、そういった通信・放送委員会が、やはり電波の利用者の公共性ということをかんがみた、さまざまな対応ができるというふうに考えております。
島委員 電波は非常に、大いなる公共財ですから、そういう観点も必要であるということでありますね。
 オークションによる免許付与、従来から比較審査による免許付与を、それに対してまたこれは、徹底してやるのじゃなくて、総務大臣にも選択ができるようにしていますね。その趣旨は何ですか。
武正議員 オークションが成り立つためには、付与可能な免許の数に比してこれを上回る数の申請者が見込まれること、ある周波数帯につき特定の者に免許を付与する公益上の必要がないことといった諸条件が整う必要がありまして、これに関しては個々の免許ごとに状況判断が必要であるため、総務大臣、通信・放送委員会設置後は委員会が個別に選択できることとする必要があるというふうに考えています。
島委員 先ほど、オークションを言下に否定されたという話をされましたけれども、いわゆるそういう公共財であることも十分に検討してあって、そして、それも付与してある法案であるということだと理解をしております。
 新制度でやっていきますと、電波利用の収入は現行の五億円程度からかなり増加することが予想されると思います。その使途についてはどんなふうに考えていますか。
武正議員 当初、電波のオークションという話が出たときに、財政再建の観点からということが随分言われました。これは与党の総務会長、当時の方からも、電波のオークションによって五兆円収入が上げられるんじゃないか、あるいは十兆円だというようなこともいろいろ挙げられましたが、そういったことが、やはり現下の経済情勢もかんがみたり、あるいはいわゆるバブルといったことも踏まえて、今回、衆法では、財政再建ということは、これは今後、日本の経済の状況においてこのオークション制度をどの程度の帯域まで広げていくか、それはやはり通信・放送委員会がいろいろとかげんをしながらやっていっていいんじゃないかなというふうに思います。
 この国民共有の財産である電波を特定の者に利用させることから得られる収入は国民全体に還元させるのが基本であります。ですから、国庫の一般会計に繰り入れられ、国政全般のために使われるべきと考えます。ただし、電波から生じる収入であるので、現行と同様、一般会計の歳入としつつ、電波利用共益費用に必要な分についてはこれに優先して充てることとしております。
 ただ、先ほど触れたように、電波利用料がふえていったから、では共益費用の項目をふやそう、これではやはりおかしいわけでありまして、必要な分はそこから充てますが、不必要な分はしっかり国庫に返して、入れて、それできちっと、しかるべき施策に充てるということが国民共有資源である電波の経済的価値に見合った、このオークション制度の導入という目的だと思います。
島委員 最初、オークション制度が導入されるときには、確かにそういう議論がありましたね。これで財政再建に随分寄与するというような話が、たしか与党から出たと私も思っています。どういう経緯でどういうふうに変わっていったのか、ちょっと私も理解しがたいところがありますが。
 私は、今もおっしゃったように、国民共有財産である電波ですから、一般会計というのはそれでいいと思います。国政全般に使われていく、そしてさらに、共益費の分というのはそれはそれとしてとっておく、それはそういう形でいいのではないかなというふうに思います。
 何はともあれ、電波政策の非常に根幹のところであります。ここできちんとした審議が必要であると思いますが、先ほどからいろいろな議論が出ておりますいわゆる通信・放送委員会ですね、NHKを通信・放送委員会が所管するとしているという法案だったと思います。その目的は一体何ですか。衆法の提出者。
武正議員 当委員会にもNHKの会長さんが年に一度二度お見えになって、予算、決算、その質疑に当たられております。多くの委員が質疑に立たれていると思いますが、私の見るところ、また多くの同僚委員も感じられるところでありますが、NHK会長の答弁は非常に奥歯に物が挟まったような感じで答えられているように受けざるを得ません。ある面やはり監督官庁である総務省に対する気兼ねがNHK会長の答弁にあるとすれば、やはりそれがNHKの放送の独立性を堅持するといったところを侵しやしないかということを危惧するものであります。
 そういった意味で、通信・放送委員会がNHKの監督を、行政を行うという独立行政委員会に任せていこうと、中立かつ公正に行われるべく、規律行政であるため、規律行政を担う委員会の所管としたものであります。
 現状、NHKは総務大臣から財務、受信料、業務、放送施設等さまざまな場面で認可、そしてまた届け出、そしてまた命令、これを受けるような形になっておりまして、また多くの部分は電監審に諮問も、必要的諮問事項ということでなっておりますけれども、ただ、この電監審でさえ、先ほど触れたように、中央省庁等改革関連法案で電監審の大事な部分を削除してしまっております。
 こういった中で、NHKの放送の独立性、公共放送であるがゆえになおさらその独立性をNHKが堅持されるように、その監督は通信・放送委員会にさせるべきというふうに考えております。
島委員 私ももちろん同じ党でありますから法案説明はたびたび受けておりましたが、非常に詳細に検討してあることを改めて思いまして、見事な議員立法能力だなというふうに感心をした次第でございます。これは自画自賛ではなくて、一議員としてきちんと正確に申し上げます。私もある程度IT、放送の専門家だと自分で思っておりますので、その立場からでも立派にやっておられるという議員立法だと思います。
 ちょうど統一地方選も終わったところでございますので、そして統一地方選後最初の総務委員会でありますので、質問を一つしたいと思います。
 今回の首長選挙で、マニフェストという言葉が幾つか使われました。そのマニフェストという言葉、これはきょうはまず大臣にお聞きして、その後補足があったら参考人にもお答えいただきたいんですが、まず正確に申し上げて質問をします。
 首長選挙の候補者が告示前もしくは告示後に、当選後に行う政策やその期限、財源などを具体的に示したものを載せたもの、これをマニフェストと定義します。それを作成して冊子として頒布した場合、公選法上の問題はあるのか。また、一部ではそれを販売したというようなことも、報道もあったようでありますが、そういう場合は一体どう考えればいいんでしょうか。まず大臣、お願いします。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 最近、マニフェストというのははやりですからね。横文字で言えばいいかと思っているようなところもややありますけれどもね。
 ただ、そこで、今委員が言われたようなものについてもいろいろなんです。ただ、ざっと考えますと、かなり際どい。事前運動の禁止やあるいは選挙運動のための文書図画の頒布の禁止規定に該当するかなりなおそれがある。しかし、物によりますから。内容がどういうものである、あるいは配られ方の時期、場所、方法、対象、その他がある。無償、有償は関係ありません。したがって、今の選挙法でいうとかなり疑いが持たれるものではないか、こういうふうに思っております。
 専門家がおりますから、選挙部長に場合によっては聞いていただきたい。
島委員 今おっしゃったように、例えば三重県知事選でマニフェストをつくったある候補者がいたそうですが、それを想定しなかったので、現行の選挙制度のもとではこれを配らなかったというような記事もありました。積んであったままという記事もありました。
 選挙部長ですか、参考人の方、補足をお願いします。
高部政府参考人 お答え申し上げます。
 現行の公職選挙法におきましては、百四十二条という規定におきまして、選挙運動のために使用する文書図画の頒布については法定された文書だけができるという規定の仕方になっているわけでございます。これは選挙の種類にもよりますけれども、通常はがき、ビラというような、地方選挙の場合はビラはございませんが、そういうふうに特定されているわけでございます。
 マニフェスト、これはいろいろあろうかと思いますけれども、これが冊子状になっておりますと、そもそも形態として配布可能な文書にはなっていないということがまず言えようかと思います。
 それから、これも選挙運動のために使用する文書図画でありますので、選挙運動は、先生もよく御案内かと思いますが、選挙を特定して、当選を得るとか得さしめるために有形無形に働きかけるような行為が選挙運動に当たるということになるわけでございます。ですから、この選挙について投票してくださいと頼む文言があればこれは明確なんですが、そうではなくても、外形でございますとか内容でそういうものと認められれば、選挙運動のために使用する文書図画ということになります。
 公約を、公約といっても定義がちょっといろいろあろうかと思いますけれども、特定の選挙について、当選後の政策を訴えるというようなことになってきますと、それが選挙運動のために使用する文書図画と推認されるおそれがあるということでもございますので、そのようにお考えになれば法定された文書図画には当たりませんので、これは配布が難しいということになろうかと思っております。
島委員 今、大臣の方から、それを売ろうが売るまいがそれは特に問題ないという話がありましたが、それについての補足説明をお願いします。
高部政府参考人 公選法で頒布、掲示というようなことが規制されております。
 頒布の場合は、頒布概念というのは、不特定または多数に配布するという概念でございます。その配布方法について、公選法は、有償によると無償によるとという区分をして規定しておりませんので、この頒布という概念に当たれば、有料でやったからといって法律上認められるということにはならないものだということでございます。
島委員 これはある新聞の記事ですが、ある県でマニフェストをつくった知事候補がいた。ところが、マニフェストの冊子は公選法の制約で県民には配れないとの説明で、その知事候補の事務所にマニフェストの冊子もなかったという状況になっています。
 今、マニフェスト政治をやろうということは、つまり、政策をきちんと打ち出して、そして、次の期間、例えば首長でしたら首長の期間にこういうものを自分の責任できちんとやるんだということをいわゆる市民、県民に訴えてやっていこうというのが今の公選法上はなかなか難しいところにあるというのが今の実態であるということをまず委員各位に御理解を賜りたいと思います。
 次です。衆議院の総選挙において、政党が、選挙後、政権を獲得すれば実行する具体的な政策や目標を明示したいわゆるマニフェストというのを発表し、冊子という形で頒布、販売することは現行の公選法上可能なのかどうか、それについてまず大臣にお尋ねします。
片山国務大臣 委員が言われるようなマニフェスト的なものを個人でなくて政党がやった場合も、法律上は同じなんですよ。ただ、政党の場合には、政治活動というのは常時やっていますよね、それから、個人の候補者との結びつきが薄いから、今でいう公選法に抵触する程度は、個人の場合よりはちょっと薄いかもしれませんね。しかし、法律の考え方としては同じであります。
島委員 これが、先ほどから出ています議院内閣制下におけるイギリスのマニフェストであります。こういうマニフェストを冊子にして、そして、政権獲得後、我々、これは労働党ですが、労働党は政権獲得後実行するということを渡して、そして政権選択を迫るというのがイギリスの現在の制度であります。
 極めて具体的に申し上げますと、例えば二〇〇一年のイギリス総選挙におきましては、五月八日にブレア首相が下院解散・総選挙の実施を発表して、五月十日に保守党がマニフェストを公表した。そして、五月十四日に下院が解散されて、五月十六日にマニフェストを公表したわけです。そして六月七日に総選挙を投票した、そういう形になっています。
 日本の現行の制度でいきますと、今、マニフェスト政治というのが大きな動きになっています。それにつきましても、今、なかなか難しい、政党でも難しいという話があったわけです。これは要するに、政策をきちんと公約として国民との契約としてやりますよ、そういうことですね。ところが、公選法というのは割と時代おくれになっていまして、文書図画というもの自身が、これは昔、紙が高価だったとかいう、そういう時代につくられた考え方だというふうに聞いています。
 今回、今大臣は、英語で言えばいいという話じゃなくて、これはそういう意味じゃないですよ。政策をきちんと訴えて、次の選挙の後に、きちんと、選挙を当選させていただいたら、その後はこういうふうにする。
 例えば、私たちも電波法をきょう出していますけれども、我々が、電波法の議員立法を我々のマニフェスト、この中に入れて、そして、選挙後これを実行します、だから支持してください、電波法は改正しますと。議院内閣制下ですから、私どもの出した議員立法が通るかどうかということはなかなか、いろいろな議論があります。だから、そのときに、こういうところに、電波法はこういうふうにしますから、だから支持してくださいというふうに皆さんに言うというのがマニフェストの政治であります。
 こういう政策本位の選挙を実現するために、いわゆる公選法の考え方ということもこれから議論をしていくべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 時代が本当に速いテンポで変わっていますから、今委員が言われたように、今の公選法の選挙運動に関する規定が時代に沿っているかというのは、これは議論がありますね。
 そこで、総務省の中でも、インターネット等を選挙運動その他に使えないかという研究会をやってもらいまして、いろいろ議論してもらったんですが、これがまた両方の意見が、もう先生方は役所の言うことなんか一切聞きませんから、全く自由な議論をされて、なかなか意見の集約は難しいんです。
 私は、IT時代、IT先進国家になるという国の方針等考えると、やはりインターネット等の利用は少なくとも選挙運動では位置づけていくべきではないかと。ただ、その場合に、釈迦に説法ですけれども、いろいろな問題点がございまして、そういういろいろな問題点、デメリット、弊害をどうやってうまく抑えられるか、この研究がどうしても必要だろう、こういうように思っておりますし、また、基本的には、選挙制度あるいは選挙運動のあり方は極めて政党政治あるいは選挙そのものの根幹ですから、だから、大いに国会内において各党各会派で御議論いただく、方針を出していただけることが大変ありがたい、こういうふうに思っております。
島委員 今大臣から、インターネット選挙に関しては非常に前向きに答弁をいただいたこと、それは私もすばらしいと思っています。
 やはり政策本位の選挙にしていく。今申し上げたように、私ども、きょう、議員立法で電波法を出していますね。それで、ここはきちんと審議されましたけれども、私ども、たくさん出している議員立法、審議されないままの法律も実はたくさんあります。今申し上げたように、マニフェストというのは、我々が政権をとったらこういうことにする、その議員立法までできている、その一つの例として、きょう電波法を出しているわけです。
 この電波法が、私どもは、これはある意味で経済的価値というのを求めてやった方が利用はうまくいく、特に、片山大臣もおっしゃったように、IT時代はどんどん進みますから、無線LANがこれだけ普及しなかったということは、大臣、本当に真剣に考えられた方がいいと思います。無線LANは、私の目から見ると非常に大きな可能性を秘めていますので、四ギガから五ギガヘルツ、一体どうするかということは非常に重要な話だ、そう私は思っています。そういうことであります。
 ぜひとも、私どもが出した議員立法、皆さんにもきちんと御理解賜って、そして、もちろんこの委員会でも当然可決のために頑張りますが、そうならなかった場合、議院内閣制ですから、次はマニフェストで提出して、国民にしっかり訴えて実現する、そういうことを申し上げまして質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 先ほどから、民主党の皆さんの対案をお出しいただいての議論、ずっと拝聴させていただいて、敬服しているところであります。
 今、島委員のマニフェストの話で頭が大分ぐらぐらしてまいりましたけれども、電波法の改正の話に戻りたいと思います。
 先ほどから聞いておりまして、きょうもまた個人情報保護法についていい議論だなというふうに、本当に感動しながら聞いているところであります。ただ、聞けば聞くほど、後ほど申し上げますが、大変にそうだなと思うところがある反面、やはり立場が違うなと。我々、与党になりまして、自民党の皆さんにも時々、いや、違うんだけどなと思う気持ちがあるのでありますが、民主党の皆さんにもそんな気持ちを持ちながら、先ほどから聞かせていただいておりました。そんな点もちょっと議論をさせていただきたいと思いますが。
 今回の電波法の改正、電波利用共益費用の負担における無線局免許人間の公平性を確保するということで、放送事業者の電波利用料の額の改定を行うとされているわけであります。特に、アナログ周波数の変更対策業務につきまして、放送局の受益に着目をして時限的に一定額を加算すると。
 先ほども議論がありましたけれども、私も、この分野は専門ではありません。きのうも随分話を伺いましたが、なかなかよく理解できない。今回のスキームは、何も今回が初めてではなくて、平成十三年度の特定周波数変更対策業務が追加されたときに既にこのスキームが整理をされていたというふうに伺っているわけでありますが、実は、私の頭でもなかなか理解ができません。サイマル放送中に、デジタル放送が開始されてもアナログ放送が継続できる、こういう短期的な受益があるんだ、こういう御説明でありますが、なかなか私はここは理解できないのであります。
 テレビジョンの放送局にとって本当に受益なのかどうか。不公平があったということは先ほどの議論で理解をいたしましたけれども、逆に、二重の設備投資も必要だという声もありますし、本当に受益なのかどうか。一つ、二つの基礎的な受益、それから今回の、まさにサイマル放送中の受益ということについて、素人の私にもわかるように、端的に御説明をいただきたいと思います。
有冨政府参考人 先ほどから私ども説明をさせていただいておりますが、今回の、放送局のみに発生する受益というものにつきましては、委員、今御指摘がありましたように、アナログ周波数の変更対策というようなことで、デジタル放送が開始されてもアナログ放送が円滑に継続できる、いわゆるサイマル放送ができるということに着目をして措置をするということでございますが、こういう考え方も、今委員お話しのとおり、平成十三年度のアナログ周波数の変更対策業務の開始、そのときに発生しているというような考え方でございます。
 今回は、そのアナログ周波数の変更対策業務、この費用が、見直しまして確定をしたということで、放送事業者からも追加的な料金を徴収するということで、かねてから課題でありました無線局免許人間の公平を確保することが実現できるというようなことでございます。
 ただ、二重投資になるのではないかというようなお話がございました。
 確かに、民間の放送会社につきましては、サイマル放送を維持するという観点、それからデジタル化投資を行うという観点で、経営的な負担というものはあるというふうに思いますけれども、そのことは、あくまでも経営上、事業を運用する、いわば便益を実現するための手当てということでございますので、料金、負担料をどうするかということとは別の次元で考えているというふうに御理解を賜りたいと思います。
桝屋委員 さっと言われて、なかなか理解ができないのでありますが。
 先ほどからの議論を聞いておりまして、私の理解がまだ十分でないのかもしれませんが、役人というのは金を取るためにはどんな理屈も考えるものでありまして、この電波利用料というのはなかなかいいへ理屈だなというふうに最初から私疑ってかかっているものだから余計私の理解ができないのかなと、こう思っているわけであります。
 今の説明でも、例えばサイマル放送中というのは、放送事業者にとっては両方の電波を出していくのは当然なサービスでありますから、両方やれるからそれは受益ではないかと言われて、はあ、そうですかと。どうも先ほどの大臣の話を聞くと、業界の皆さんは大体理解をされているということでありますから、まあそうしたことでいいのかなとも思うのでありますが、大変な疑いを私自身はまだ個人的に持っております。
 きのうも話を伺いましたが、アナログ周波数の変更対策、これはまさに電波の有効利用ということで、国の責任において、国費をもって充てる。特定財源ということになるのでありましょうが、そこは、その考え方は変わらない、今回のこの法案の中でも変わらないということでありますが、八年間で二百四十五億、一年間で三十億とかという数字になるのでしょうか。これは、例えばNHKさんにしても、今までであれば二億ぐらいのものが十二億とか十三億とか、あるいはキー局にしても、三百万が三億円になるとか、相当な負担増になるわけであります。
 そこは、今までが安過ぎたんだ、不公平があったんだという整理なのかもしれませんが、そうした莫大な費用の追加というようなことを考えますときに、電波利用料を財源とする特定周波数変更対策のこの事業、これは限界を超えているんじゃないかという声もあるわけでありますが、その辺は、いかにお答えになりますでしょうか。
高原政府参考人 今先生お話しのように、今回の電波利用料額の見直しは、放送事業者が受けている便益に対して放送事業者の電波利用料負担が小さ過ぎるという観点から、負担のバランスを図るということで電波利用料の見直しを行うものでございます。
 額も、先ほどお話にございましたように、一年間で、放送業界全体として、計で三十五億程度の負担をお願いするということで、これも電波利用料額全体の六・五%にすぎないといえばすぎないわけでございまして、そういう面で、関係の方々にはこの負担について御理解をいただきたいというふうに考えております。
 しかし、この措置は、あくまでも時限的なものでございまして、一応二〇一〇年度ということを期限といたして考えておるわけでございます。
桝屋委員 質問通告しておりませんが、なかなか物わかりの悪い私にぜひ理解をさせてもらいたいんですが。
 ちょっと時系列的に整理しますと、電波利用料の制度が始まったのが平成五年、その後、今のアナログ周波数変更対策、デジタル化に伴うアナログ周波数の変換、これが出てきたのが、十二年の国会で議論して、十三年度から始まった。その十二年の国会で議論し、十三年度から始まったそのスキームというのは今回は変わらないというふうに私は理解しているんですが、その後、さっき話が出ておりますが、アナ・アナ変換の経費が大変増大をした、当初の見込み八百五十億ぐらいが千八百億円ぐらいになったと。
 この見込み違いといいますか、これが増大したことによって、当初の、十三年度から始まりましたその制度が、そのスキームが変わったものではない、新たな負担を求めるということではないということなのか。いやいや、そうではない、こういう負担がありますよということなのか。これは質問通告しておりませんが、端的に確認をさせていただきたいと思います。どなたでも結構でございます。
有冨政府参考人 今の電波利用料というのは、あくまでも行政の事務に関する共益費をどう負担するかということでございまして、その負担の仕方についての考え方が、受益というものに対応して負担をするという構成になっておりますから、その基本的な枠組みは今も変わらないというふうに先ほどから申し上げているところでございます。
 あくまでも、共益費というものについて、それを判断する基準として受益という概念を持ってきて、そこでいろいろな諸事務が、もし必要があれば、例えばアナ・アナ変換もそうですが、これまで共益費の関係する事務として法定されていなかった、前回新しい事務として法定をされた、その事務の経費をどう負担するかという観点で、従来の枠組みの中で業務が追加できているということで御理解賜れればと思います。
桝屋委員 そうしますと、八百五十億ぐらいが一千八百億になった、そこは従来の負担のスキームで今回も負担をお願いするということでありますが、果たしてその膨れ上がった費用が本当に捻出できるのか。恐らく特定財源の中で、いろいろな全体の事業の中で相当努力をされなきゃならぬのかな、こう思っているわけであります。
 もう一点、この電波利用料の収支、特定財源の収支がどうなっているのか。十四年度の予算を組むときにも、過去の剰余金を充当するというようなこともあったようでありますけれども、現在、剰余金がどうなっているのか、この処理の状況を確認させていただきたいと思います。
有冨政府参考人 現在決算が確定しております平成十三年度末の剰余金でございますが、およそ百三十・六億円ということでございます。
 なお、平成十四年度、これは予算ベースでございますけれども、歳入予算額が五百三・六億円、歳出の予算額が五百二十五・八億円ということでございまして、歳出の方が多いということになっておりますが、これの差額の約二十二億円は剰余金から充当する。これは電波法に基づいた措置でございます。
桝屋委員 これはまた後ほど申し上げますが、大臣、特定財源の難しさというのは多分にあるんだろうと思うんですね。恐らくこれから、私もいろいろ勉強していく中で、アナ・アナ変換はまさに電波有効利用のために国がこれから進めていかなきゃならぬ仕事であるということは理解をいたしました。しかし、特定財源という形で電波利用料が整理されているということからすると、財務当局は、あれがあるではないか、特定財源で全部やれというようなことで、多分激しい予算の攻防があるんだろうと思います。いつまでも特定財源でいいかどうかという議論も実はあるんだろうというふうに思います。
 今回、一定期間アナ・アナ変換のために対策を講じるということ、それは、先ほどから時限の措置であるという説明をいただいておりますが、将来の姿としては、そこは後ほど申し上げますが、ここは財源の性格としては議論のあるところかな、こう思っているわけであります。
 もう一点大臣にお伺いしたいのは、今回は、この法案については、まさに特定周波数の変更対策業務の追加ということが大きなテーマでありますが、電波利用料の事業の中で電波監視業務あるいは総合無線局監理システムの構築等についても、負担のバランスについては、やはり見直しをしていただきたいという声がある。
 先ほどから議論も出ておりますけれども、例えば、周波数の有効利用の観点からセルについてもできるだけ小さくした方がいい、しかしながら、電波利用料の負担のバランスからいくと、それがむしろふえてしまうということからすると、電波利用料の体系そのものももっともっと検討していただく余地があるんではないか、こういう声もあるわけであります。そこは、先ほどから議論が出ていますように、役所に任せるんではなくて、第三者委員会でこういうふうにやらなきゃだめだというのが先ほどからの議論のような気もいたします。
 電波利用料全体の体系の見直しについては、やはり、今回の改正も含めて、続けて検討していただく必要があるだろう、このように思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 今いろいろ御指摘ございましたが、特に、特定財源制度を維持するのが得か損か、これはあるんですね。特定財源制度にした方が得な場合と、特定財源制度だから損な場合と。ただ、今のところ、得も損もないようなことで来ていますけれどもね。
 今後については、私は、今言われた全般的な電波利用料制度を見直す中で考えていく必要があるんじゃなかろうかと。今は、アナ・アナ対策も共益費用だ、こういうことにしているんですね、特定財源として出す方のあれに入れているわけですが。だからこれも、共益費用というのはどこまでなのかということを、必要があれば何でも共益費用になるんならこれはまた別の議論が生じるので、そういうところも私は考えていかなきゃいかぬと思います。
 電波が限られた国民の資産であるという点からいうと、そういうものを使用させる場合に、反対給付としてどの程度がいいのか、共益費用を賄うためだけというのはなかなか通りにくくなってくるだろう、そこで共益費用を膨らませるということもいいのかどうか、こういう議論があるので、根っこに返って、電波のあり方、電波利用料のあり方を考える必要がある。そこで、先ほども答弁させていただきましたが、研究会をつくりまして、去年の一月からやっている、特にことしの一月からは利用料に焦点を絞ってやっている、こういうことでございます。
 オークションの御提案も、民主党さんの御提案の中にあるものですから、私は、オークションは頭から否定するものではありません、一つのあり方で、研究する余地はあると思っておりますけれども、ヨーロッパ型の無制限のようなオークションはなかなか問題があるな、問題が大きいなと、現実もそうですから。ただ、将来の研究課題だ、こう思っております。
 いずれにせよ、先般の電波法の改正でいろいろなことの調査ができることになりました。公表の仕組みもつくりました。こういうものを活用しながら、いつというてもなかなか期限が申し上げられませんけれども、電波利用料あるいは電波のあり方について総合的な勉強をしまして、早い時期に一定の結論を出して、最終的には法案という形で国会の御審議を仰ぐわけでありますから、電波のあり方も電波利用料も決めるのは国会なんですよ、役所じゃありませんので、最終的には国会の御判断で決めていただく、こういうことを考えておりますので、引き続いての御指導や御支援をお願いいたしたいと思います。
桝屋委員 先ほどの議論を聞いておりまして思わず引き込まれそうになったのは、正直申し上げて、私ども公明党も、二〇〇〇年の第三回の私どもの党大会で、電波周波数のオークション制度の導入の検討を進めるということで、先ほど武正提案者の話を聞きながら思わず賛成しようかなと思ったぐらいでありますが、これは、実は私どもも当時は野党でありましたけれども、一つは、当時の厳しい経済、我が国全体の厳しい財政の中で、電波というのは国民全体の財産だという観点から、財政危機を何とかしたい、こういう裏心があったのかなと思ったりしますし、電波利用料制度が始まる前の議論として、欧米等の事例も見ながら、やはりオークション制度も検討に値するということを私どもは当時考えていたわけであります。
 その後、国会の議決を経て新たな電波利用料制度が始まった。しかも、十三年度から、先ほどから議論が出ていますように、国の政策としてアナ・アナ変換を進めていかなきゃいかぬ、これが今後の電波の有効利用を進める上でどうしても避けて通れない道だということになっておりますから。当時の我々の主張は主張として、大臣も先ほどからこれは検討に値する話だというふうにおっしゃっていただいておりますから。
 ただ、ぜひもう一度確認をいただきたいんです。
 先ほど武正議員の話を聞いて大分心も動かされたわけでありますが、諸外国で、ドイツ、イギリスあたり、それからアメリカのタイプとか、いろいろあるんだろうと思っておりますが、余り問題もないという話もありましたが、私は、電波利用料制度を始めて、オークション制度を始めて、正直言って、やはりうまくいってない、特に我が国が取り入れるという立場で考えたときに、やはり先進国の事例は参考にならないんではないかというふうにも感じております。
 ちょっと諸外国の事例、我が国に取り入れるとしたらどういう問題があるのかという観点から、御説明をいただきたいと思います。
有冨政府参考人 直近のオークションの例が、欧米、特にヨーロッパの第三世代の携帯電話でございますし、アメリカでもかねてから実施をしているということもございます。
 最初に、第三世代の携帯電話の導入に関するオークションについて、若干、事実関係を御説明させていただきたいと思います。
 イギリスにおきましては、二〇〇〇年の四月にオークションを実施いたしました。それで、五つの事業者が選定をされまして、落札総額は約四・五兆円という非常に大きな額になっております。ドイツでも、同じ二〇〇〇年ですが、八月にオークションを実施いたしまして、六つの事業者が選定をされております。落札総額が約五・八兆円という額に上っております。
 その結果、現状はどうかというようなことでございますが、まずサービスの実施状況について申し上げますと、両国で、先ほど申しましたように、五つの事業者、六つの事業者、合計十一の事業者が免許を取得しておりますが、そして、二〇〇〇年ですからもうおおむね三年が経過をするわけでございますけれども、実際にサービスが開始されているというのは、この三月にようやくイギリスでハチソンという一事業者がロンドンにおいてサービスを開始しただけでございます。その他の事業者はいまだサービスを開始はしていない。ドイツでいいますと、二つの事業者は事業から撤退をする、こういうような状況がございます。
 今のはサービスの関係でございますが、では、経済全体について、あるいは経営基盤についてどうであったかということでございますが、電気通信事業者の経営基盤については、これは世上いろいろ言われておりますが、著しく悪化をしております。また、過度な負担があったということで電気通信事業者の投資が縮減をしておりまして、単に事業者のみならずメーカーの経営状況に対しましても深刻な打撃を与えておりまして、メーカーの経営基盤すら危うくなっているというような状況がございます。
 よく企業の格付ということが話題になりますけれども、このオークションの前と後で具体的に電気通信事業者の格付はどうであったかということを見ましたけれども、例えばドイツ・テレコムでは、Aa2という評価から四段階下げられてA3になっております。それから、ブリティッシュ・テレコムでは、Aaの1から六段階下げられましてBaaの1というふうになっておりまして、これは相当ひどい引き下げ方ではないかなというようなことでございます。
 それから、アメリカでございますが、アメリカでは、確かにやっているということでございますが、私どもの承知をしておるある民間の方々の意見を聞きますと、これは本来の市場価値よりもかなり高い、したがって、結構多くの企業が過大な負債に苦しんでいる、果たして適正な市場価格とはどういうものだろうかというような疑念があるということを、私ども承知をしているところでございます。
桝屋委員 ありがとうございます。
 今お話がありましたように、欧州それから米国、サービス開始の遅延であったり、撤退、落札額が高騰して、その後にまさにIT不況の一因ではなかったのかと言われるような状況もあるということからしますと、民主党の皆さんの御努力は本当に評価するものでありますが、少なくとも、平成五年から始まって、あるいは平成十三年度から新たな方向性で今進んでいる、こういう中で、今ドラスチックなそういう制度導入ができるのか。
 先ほどの説明を聞いておりますと、我が国の中で、我が国の今の現状で、では、導入するとすればどういうことができるのかということを本当に真摯に議論していただいているんだなということは感じた次第であります。しかし、一定の方向性を持って今動き出しているということからいたしますと、今新たにオークションの制度というのはなかなか難しいのではないか、やはり、中長期的な課題として引き続き検討する、そうしたテーマではないのかな、こう感じさせていただいているところであります。
 それで、もう一点、電波利用料だけでなくて、今回は、公益法人改革等の流れから、登録証明機関の制度、あるいは点検事業者制度とともに、技術基準の適合自己確認制度、これを導入するということになっているわけでありますけれども、この点、最後に一点だけ確認をさせていただきたいと思います。
 申し上げた自己確認制度の導入でありますが、やはり、良好な電波利用環境を維持していくということは極めて重要な課題であります。大丈夫だとは思っておりますが、そうはいいましても、最近の我が国の、特に大きい企業の不祥事、例えば総会屋に対する利益供与であるとか、食品の偽装表示事件であるとか、あるいは電力会社の原発に絡むさまざまな問題であるとか、大手の企業のそうした事件が目につくわけでありまして、大丈夫かなと。大手企業の一連の不祥事を考えますときに、自己確認制度を導入いたしますと、基準不適合設備がはんらんをするんじゃないかという危惧も持たれるわけであります。
 本当に大丈夫なのかなというふうに思っているわけでありますが、事後確認、事後のチェックも含めて、どういうお考えなのか、最後に確認をさせていただきたいと思います。
有冨政府参考人 技術基準の適合自己確認制度、この導入に当たりましては、今委員御指摘のとおり、良好な電波利用環境を維持するということが極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。
 この案でございますが、そういう観点から、技術基準適合自己確認制度の対象とする特定無線設備につきましては、無線設備の技術基準あるいは使用の態様等を勘案いたしまして、他の無線局の運用を著しく阻害するような混信等の妨害を与えるおそれが少ないものに限定をして定めることにいたしております。しかも、現在のイメージからいいますと、携帯電話端末あるいはPHS端末のようなものに限定をしたいというふうに考えております。そういう扱いでございます。
 仮に、自己確認をした無線設備が技術基準に適合していない、いわゆるコンプライアンス等において反しているというような事実があった、その結果、混信等の妨害が生じるおそれがあるという場合でございますが、これは、総務大臣が、自己確認の届け出を行った者に対しまして、報告徴収あるいは立入検査というようなことを実施することができるようになっております。
 その結果、どういうような効果があるかということでございますが、技術基準適合自己確認の表示をするということになっておりますが、それを表示することを禁止する、あるいは表示があってもそれは表示されていないものとみなす、それと、自己確認の効果がもう生じないようにするというようなこと。それから、もう一つ重要なことは、あわせまして、製造業者等に対しまして、妨害を防止するために必要な回収を含めた措置、こういったものを講じるように命令をする、それに従わないというときには罰則を科すというような形でつくっておりまして、とりわけ法人には重い罰金を科すというようなことのこしらえをしておるところでございます。
 私どもとしましては、以上のような措置を講ずることによりまして、自己確認制度を導入しても技術基準不適合設備がはんらんするというようなことのないように、電波の有効な利用環境は確保できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
桝屋委員 以上で終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告に従い、順次質問していきたいと思います。
 高度情報化社会の進展に伴いまして、電波の利用環境が大きく変わってきていると私は思っております。そこで、まず、電波利用料制度そのものについてちょっと考えてみたいと思っております。
 この電波利用料額は、三年ごとに料額の見直しが行われることになっております。そして、この三年間に必要と見込まれる電波利用共益費用と同期間内に見込まれる無線局数をもとに算定されるわけであります。それで、電波利用料額は、電波利用の効用の大きさ、経済的価値にかかわらず、無線局単位で課金されるため、急速に普及している携帯電話端末等の無線局の負担が著しく増大しているなどの矛盾を抱えておると思っております。
 この電波の逼迫対策が喫緊の課題となる中、これまで、電波利用料のあり方等の電波政策について、情報通信審議会や、そしてまた電波有効利用政策研究会などを中心に活発な議論がされてきたと思っております。現在の電波利用料の算定基準では、電波の利用効率を高め、多数の無線局の利用を可能にすればするほど電波利用料の負担が重くなる、そういう問題点も抱えておるところであります。
 そこで、こうした問題に対応するために、無線局単位の課金ではなく、占有の帯域幅あるいはまた送信出力等に応じた課金に改めるべきではないかという意見が電波有効利用政策研究会に多く寄せられておることでもありまして、そしてまた、この際、電波利用の社会環境も大きく変化しておるわけでありますので、小手先の改正ではなく、電波利用制度そのものの見直しを加味した抜本改正、これを行うべきと考えますけれども、大臣の見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 黄川田委員言われますように、電波を取り巻く環境は激変しましたね。もう答弁させていただいておりますように、携帯電話が七千万から八千万台になる、あるいは無線LANが急速に今普及しておりまして、そういう意味では、これはかなり変わってきている。そういう中で、電波利用料も九五%は携帯電話の皆さんの方が負担するようなことになる、またアナ・アナ対策なんかも出てくる、こういうことでございまして、電波のあり方、電波利用料のあり方、これを抜本的に我々も見直すべきではないか、こう思っております。
 今、無線局の数でやっておりますが、お話がありましたように、電波の帯域幅だとか出力、これでやっている国もありますね。そういうことで考えたらどうかというような意見もあります。そういうことで、これも先ほど答弁させていただきましたが、研究会で昨年の一月から議論を始めていただいて、特に電波利用料については、ことしの一月から部会をつくって、その問題に焦点を当てて議論していただいておる。できるだけ年内ぐらいに論点を整理しまして、来年のしかるべき時期には結論をいただきたい。
 その上で、この見直しをどういうふうに進めていくか。最終的には法律を直すということでございましょうし、国会でそれを認めていただくということになると思いますけれども、関係者の意見を十分聞き、また国民の皆さんの意向も聞きながら、そういうふうに進めてまいりたい、こういうふうに思っておりますので、どうか、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
黄川田委員 いずれ、研究会が発足していろいろ議論しておるということでありまして、年内にもいろいろな意見がまとまるのではないか、あるいはまた、来年四月にはさまざまな意見を聴取してということでありますけれども、この抜本改正、やはり時期を逃してはならないと思うわけでありますので、いつのときがいいのかという、その具体の時期はここでは述べることはできませんか。これまでの答弁では、そのうちという話でありますが。
片山国務大臣 慎重にしなければならないのは、見直しということは負担の増につながるんですね。いろいろな影響がいろいろ派生してまいりますし、そこは我々は十分慎重に取り扱わなければいかぬなと。
 しかし、議論は深めてまいらにゃいかぬということでございますので、先ほども言いましたが、年内には論点を整理してもらいたい。来年のしかるべき時期には、そういうことで研究会の部会や研究会の意見を集約してもらいたい。その上で、どう扱うか、どういうことにするか。それこそ、先ほども言いました、関係業界等の意見を十分聞きまして、方向を出して、最終的には法律改正、こういうことにつなげてまいりたいと思います。
 いつごろになるのか、こういうことは今の段階では確たることは申し上げられませんが、状況を見ながら、できるだけ急ぎたい、こう考えております。
黄川田委員 それでは次に、アナログ周波数変更対策関係についてお尋ねいたしたいと思います。アナ・アナ変換であります。
 地上デジタル放送がことしの十二月一日から三大広域圏において開始される。これに伴いまして、この三大広域圏におけるアナログ周波数変更対策が本年二月九日から開始されたところであります。そして、この対策の具体的内容として、受信者側の対象世帯においては、アンテナの取りかえや方向の変更あるいはまたチャンネル設定等が、そしてまた送信側の放送局側においては、送信機あるいはまたアンテナの交換、調整等といった送信設備の変更が必要になってくるわけであります。
 そこで、このアナログ周波数変更対策の進捗状況、そしてまた同経費の執行状況はどのようになっておるか、総務省にお尋ねいたしたいと思います。
高原政府参考人 アナログ周波数変更対策につきましては、昨年八月以降、まず送信側の対策を進めてまいりました。この結果、現在までに二百十四カ所の対象箇所数のうちの百七十四カ所、これは八一%に当たりますが、これで交付決定を行いまして、放送事業者において鋭意送信対策工事を進めているところでございます。
 それから、受信対策につきましては、この送信対策の進捗を受けまして、今先生お話にございました二月九日から三大広域圏で一斉に受信対策を開始しております。
 今まで四十九地域で対策に着手して、うち二十五地域、約三万世帯の対策が終了いたしております。おおむね順調に進んでおります。あと、現在、関東では八王子市、中京では岐阜市、多治見市、近畿では奈良市、生駒市等の大規模な対策地域の受信対策に取り組んでおるところでございます。
 それから、対策経費でございますが、昨年八月に対策を開始して以来、平成十四年度中において約四十五億円を執行したところでございます。
黄川田委員 関連してお尋ねいたしますけれども、約千八百億円のブロック別のアナログ周波数対策経費の一覧表をいただいたわけなんでありますけれども、特に人口などとは無関係に、中国とか四国とか九州などのブロックの対策経費が多いなど、ブロックにより偏りがあるようであります。
 例えば、北海道が十五億、東北が十八億、信越が十八億、北陸が二十億、これに対して、中国が二百十億、四国が二百十億、九州が四百七十八億と、けたが違うぐらいの差があるわけでありますけれども、例えば瀬戸内海等、大分大変なところがあるという、地域的なものがあるかもしれませんけれども、その理由ですね、具体的に改めてお聞きしたいと思います。
高原政府参考人 昨年の八月に全国地上デジタル放送推進協議会が取りまとめた結果によりますと、今御指摘のように、中国、四国、九州ブロックの三地区につきましては、この三地区だけで合計約九百億円で、全国経費の約半分を占めるに至っております。
 これは、中国、四国の場合は瀬戸内海を挟んだ地域があります。それから、九州の場合は有明海を挟んだ地域がございまして、こういう地域は、海上を電波が伝搬いたしまして、その周辺各県の電波が広域に入ってくるという特殊な状況がございます。
 また、こういう地域では、同時に、沿岸部においては非常に地形が複雑でございまして、そのために多数の中継局を設置しておりまして、こういう状況から、周波数事情が非常に厳しい地域となっております。このために、アナログ周波数変更作業は、一つの中継局の周波数を変更するために、連鎖的に多数の中継局の周波数を変更していかなければならないという非常に複雑な手法が必要になっております。
 また、家庭等の受信対策におきましても、通常の受信チャンネルの再設定とかアンテナ交換だけではなくて、高性能なアンテナあるいは共同受信施設による受信対策を必要とするなど、非常に他地域とは異なった高額の受信対策を必要とするといったような状況がございまして、そのために、御指摘のように、多くのアナログ周波数変更対策経費がかかるというふうになっているものでございます。
黄川田委員 また、今回の電波料の見直しは、現行の料額全体を見直すということではなくて、放送事業者のみの料額を増額改定するという考え方でありますけれども、この増額分はアナログ周波数変更対策経費に利用されることになるわけであります。そのアナ・アナ変換経費の総額、先ほどから議論されておりますけれども、約千七百八十六億円とのことでありますけれども、今回の見直しによる追加料額は、今後八年間で約二百四十五億円となっておりまして、差し引きの千五百四十一億円余りが不足しているわけであります。
 そこで、その不足分について、もうちょっと明確に、どう対処していくのか、電波利用料財源の予算状況と関連づけまして、総務省の説明をいただきたいと思います。
高原政府参考人 今御指摘の、今後の各年度の電波利用料の予算でございますが、例えばこの十五年度の場合は、電波利用料の額が五百三十五・八億円でございます。そのうちアナ・アナ対策に百九十五億円を充てるといったようなことで御決定をいただいておるわけでございますが、今後もこのアナログ周波数変更対策経費につきましては、今回の電波利用料の改定、あるいは携帯電話のこれからの加入増に伴う歳入増、あるいは電波利用料を用いて行う各種施策の経費の効率的な使用といったような努力を含めまして、毎年度の予算要求において、電波利用料全体の収支状況の中で、アナ変対策を確実に実施するために必要な額を、毎年度、その都度確定していきたいというふうに考えておるところでございます。
黄川田委員 毎年度確定していくということでありますけれども、千五百億という物すごい金額であります。先は見えているんでしょうか。改めて確認いたします。
高原政府参考人 今申し上げましたように、携帯電話等の加入増の歳入増、あるいは今の電波利用料を用いておりますいろいろな施策の経費の節減、効果的な使用といったようなものを含めて、全体の中でこの千五百四十一億を捻出してまいりたいというふうに考えております。
黄川田委員 それでは次に、電波利用料額についてお尋ねしていきたいと思います。
 電波法百三条では、電波利用料の使途として五つの項目を具体的に定めておるわけであります。そのうち、このアナ・アナ変換の一項目は平成十三年に追加されたわけであります。
 この電波利用料額は、受益者である免許人全体で負担する全体費用である電波利用共益費用でありますが、総合無線局管理ファイルの作成及び管理に係る費用以外の費用を各無線局に均等配分するものと、そしてまた同管理ファイルに関する費用の一部を各無線局のデータ量に応じて比例配分するものを合算したものであります。均等配分は無線局共通でありまして、現行では、一律五百四十円であります。
 そこで、携帯電話事業者や、あるいはまたPHS事業者からは、この均等配分の五百四十円については、電波利用料の負担率が高く、放送事業者等も含めた免許人間の公平性の改善に向けてさらなる電波利用料制度の見直しを求める声が強いわけでありますけれども、先ほど、一千五百億の足りない部分は携帯電話の高度利用等々からいただけるんではないかという話でありますけれども、そういう声に対する総務省の見解を求めておきたいと思います。
有冨政府参考人 今委員御指摘のとおり、電波利用料制度については、これまで、とりわけ電気通信事業者、携帯電話事業者の方から、放送事業者の負担が少ないのではないかというような意見等を多々いただいておるところでございます。今回、そういった意見も踏まえまして、携帯電話事業者や放送事業者など免許人相互間の受益と負担の公平性を確保するという観点で、地上アナログテレビ放送局の免許人から追加的に電波利用料の徴収をするということを提案させていただいているものでございまして、これによって相当程度公平性というものが改善されるのではないかというふうに考えておるところでございます。
黄川田委員 それでは、あわせて、アナ・アナ変換の整備が終わった後の、八年後の平成二十二年には、再度、放送事業者の電波利用料額を、携帯電話事業者から不満があるにもかかわらず、もとに戻すことになるのか、この施策が終わった後にはもとに戻すのか、お尋ねいたしたいと思います。
有冨政府参考人 今回の追加料額につきましては、アナログ周波数の変更対策期間中、すなわち八年間でございますが、その間、時限措置として徴収をするということでございます。
 今の制度を変えなければ、何も変わらなければもとに戻るということになりますけれども、八年後の平成二十二年以降の料額につきましては、先ほどから答弁がございますけれども、将来の電波利用料額のあり方について検討中でございまして、この検討の結果を踏まえまして判断をしていくことになるというふうに思います。
黄川田委員 いずれ、電波の需要とかさまざまな課題がありますので、抜本改正もあるでしょうから、そういうことだと思います。
 それでは次に、電波利用料の入札制度についてであります。
 私、昨年四月の電波法の改正の折、国民の貴重な財産である有限な電波資源のより一層の効率的利用を促進するため、適正な利用料に値上げを図ることも必要であり、そのことによって、休眠または極めて利用効率の低い免許人が免許を返上する仕組みを早急に確立する必要があるのではないかと主張したところであります。
 そしてまた、入札制度については、欧州のオークションの失敗例の轍を踏まず、日本流の入札制度を導入すべきことを一昨年四月、電波法改正の折、これも主張したところであります。その際、小坂副大臣は、我が国にふさわしい方式を検討してみると答弁いたしましたけれども、いまだに政府の考え方が提示されておりません。
 一方、昨年十二月の電波有効利用政策研究会第一次報告書によりますと、市場原理活用型の比較審査方式を提唱しているわけであります。
 電波再配分後の新たな利用形態が専用である場合、免許人の選定手続において、再配分の費用負担額に上限、下限を設けて負担金額を申請させる、また、最適利用者を選定するには、電波の経済的価値のみの評価ではなく、事業計画の適切性、技術能力等をも考慮し、それらを点数化した比較審査方式を、透明性、公平性、迅速性等を確保して導入すべく政府は検討する必要があるとしております。
 そこで、質問でありますけれども、ここまで具体的な手続が提示されていながら、今回の改正では、入札制度の導入にまで踏み込まず、地上放送のデジタル化経費の捻出の小手先の改正にとどまっておるわけでありますけれども、その理由を改めて伺います。そしてまた、今後、入札制度といいますか、そういうものの関係の計画、どういうふうになっているのか、大臣にお聞きしたいと思います。
加藤副大臣 今黄川田委員御指摘の電波有効利用政策研究会から、昨年十二月、携帯電話などの新規ニーズのための電波の再配分を行う場合には、再配分後に新たな免許人を選定する過程におきまして、新たに免許取得を希望する者に、損失を受ける既存免許人に対する給付金の財源に充てるための負担額などを申し出させることとし、これを免許人選定の審査項目に加える等といった新たな審査方式の導入が適当であるという旨の御提言をいただきました。
 今後、研究会の提言も参考にいたしまして、制度化も含め検討を進めてまいる予定でありますが、新たな審査方式の導入に当たりましては、既存免許人に対する給付金制度の導入が前提でありまして、セットで検討を進めることが必要でありますし、また、新たな審査方式の対象となるのは、携帯電話など電波を専用する形態の場合を想定しておりますが、少なくともここ一年はこのような形態の新たなサービスの導入が見込まれていないこと等の事情を踏まえ、検討を進めているところであります。
 いずれにせよ、今後、具体的なサービスのイメージを念頭に置きつつ、制度化に向けた検討を鋭意進めてまいる予定でありますし、時期を失することがないよう努力してまいりたいと考えております。
黄川田委員 残り半分なくなりましたので、それでは次に、マスメディアの集中排除原則の緩和問題についてお聞きしたいと思います。
 地方ローカル局は、地域の住民に必要な情報を提供するなど、地域に密着した情報発信源として極めて重要な役割を果たしておるところであります。しかしながら、今後デジタル化投資が本格化すれば、さらに厳しい経営環境に置かれるのではないかということが想定されるわけであります。この緩和問題は、地方の小規模局にとって、経営の安定性とそしてまた独自性の確保をどう保つか、これは本当に難しい問題を抱えておると思います。
 そこで、ローカル局が地域性を確保しつつ、そしてまた経営の安定性の確保を図る視点がマスメディア集中排除原則の見直しには必要であると私は思っております。
 総務省としては、どのようにこのマスメディア集中排除原則の見直しに取り組むのか、お尋ねしておきたいと思います。
加藤副大臣 先生御指摘のとおりでありまして、総務省といたしましても、マスメディア集中排除原則の見直しにつきましては、放送による情報の多元的な提供や地域性の確保を図るという、まさにマスメディア集中排除原則の意義に十分配慮するとともに、ローカル局の経営基盤の強化にも資する観点から、関係者からの意見も広く聞きつつ、検討を進めていく所存であります。
 なお、マスメディア集中排除原則の見直しにつきましては、総務省の放送政策研究会におきましても、同一地域内及びキー局とローカル局間については慎重に検討するべきとする一方、異なる地域のローカル局同士で、地域性を維持し、かつ経営基盤の強化が可能になる隣接等の条件を満たす場合につきましては、一部兼営までを可能とするなどの緩和の方向性が打ち出されているところであります。
 総務省といたしましては、今後、この検討に当たっては、このような研究会の報告も一つの参考としてまいりたいと考えております。
黄川田委員 次に、地域課題と申しますか、中山間地の難視聴対策についてお尋ねしてみたいと思っております。
 現在、民放テレビ放送が一波も良好に受信できない難視聴地域等において、その解消を図るために、中継施設あるいはまた共同受信施設を整備する市町村に対しまして助成策が講じられておるところであります。
 そこで、総務省にお尋ねいたしますけれども、地上デジタル放送が本年十二月から関東、中京、近畿で開始されまして、さらに二〇〇六年までにはその他の地域でも開始される、そういう予定であります。その後、アナログ放送終了までのできるだけ早い段階で、アナログ放送と同等の放送区域においてデジタル放送が可能となるよう、各放送局が中継局の整備を行っていくことになるわけであります。
 とりわけ、企業体力の弱い地方の放送局においては、中継局の施設整備に要する多額の設備投資が経営を圧迫してくるのではないかと危惧するわけでありますけれども、これについて国としてどう対応をしていくのか、お聞きしたいと思います。
加藤副大臣 先生御指摘のとおり、デジタル放送設備に係る投資負担がローカル放送局の課題となっております。
 このため、総務省といたしましても、平成十一年度より、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法等による税制、金融上の支援措置を設け、さらに、平成十五年度におきまして、対象施設の拡充を図るなど、ローカル放送局の負担をより一層軽減し、デジタル化投資の円滑化を図っているところであります。
 放送事業者におきましても、送信鉄塔の共同建設や放送用機材の共通仕様化等、投資の効率化に取り組んでいるところであります。さらに、これらを通じて、メーカーにおける機器の低廉化が進んでいくものと期待しております。
 しかしながら、さまざまな地域的事情により、民間投資による整備が容易に進みにくいといった状況が生ずることも考えられますことから、必要によりまして、アナログ放送における各種支援措置等も参考としながら、公的支援のあり方についても積極的に検討してまいりたいと考えております。
黄川田委員 それでは、関連しまして、携帯電話のエリア整備について、二点お尋ねしたいと思います。
 平成十五年三月末現在で、携帯電話の加入数は七千五百万以上にも達しておりまして、既に固定電話の加入数を大幅に超えておるところであります。しかしながら、中山間地の多い私の地元の岩手県でありますけれども、電波の不感地帯が三十一カ所にも及びます。いまだに携帯電話が利用できない地域が数多く残っておるわけであります。そしてまた、県の地域振興部門では、その解消を強く要望しておるところであります。
 そこで、質問でありますけれども、現在、携帯電話が利用できない箇所をすべて解消し、日本全域において携帯電話が利用可能な状態とするためには、今後どの程度の費用がかかるものと考えられるのか。さまざま研究会等々を開いておりますでしょうから、それらを踏まえて、大まかな試算をお尋ねいたしたいと思います。
有冨政府参考人 総務省におきましては、携帯電話サービスのエリア整備のあり方という観点で、昨年の十月から、携帯電話サービスにおけるエリア整備の在り方に関する調査研究会を開催して、検討を行ってまいりました。そして、本年三月に報告書が取りまとめられましたが、その報告書において取りまとめられました試算結果について、御説明をさせていただきたいというふうに思います。
 現在携帯電話サービスのエリア外となっている居住地域のすべて、それから非居住地域を含めて現在携帯電話サービスのエリア外となっている地域のすべて、二つに分けて試算結果が出されております。
 まず最初の、現在携帯電話サービスのエリア外となっている居住地域のすべてを対象として整備を行う場合の必要額でございますが、基地局の施設、これを整備する額がおよそ六千億円から一兆二千億円、それから基地局施設を運用するための経費、これが年間約二百五十億円から五百億円と試算をされております。
 それから二つ目の、非居住地域を含めて現在携帯電話サービスのエリア外となっている地域のすべてを対象として整備を行う場合の費用でございますが、基地局を整備する費用、これが約四兆四千億円から八兆八千億円程度、それから基地局施設の運用経費として、年間約千八百億円から三千六百億円と試算をされているところでございます。
黄川田委員 ちなみに、今、岩手県は三十一カ所ぐらいあるんだと、北上山地の方に散在しておるか何かなんですけれども。全国でどのぐらいなんですかね。岩手は一番多いぐらいなんでしょうかね。もしお答えできるなら、お願いいたします。
有冨政府参考人 携帯電話サービスエリアにつきましては、エリア外の地域が何カ所あるかということについて、申しわけございませんが、把握をできる状況になっておりません。
 ただ、先ほど申しました研究会で、そのエリアの状況をどう把握するかということで、国勢調査に用います地域メッシュ統計という手法がございますけれども、その手法を用いました調査によりますと、国土全域の居住地域の約一三%がエリア外、それから人口ベースで見ますと約一%、およそ百三十万人になるかと思いますが、その方々がエリア外に居住しているというような結果となっておるところでございます。
黄川田委員 お話を聞きますと、本当に膨大な費用がかかるということでありますけれども、辺地、過疎地にあっても、デジタルデバイドの克服、これが大事であると思っております。
 そこで、こういう過疎地域等の条件が厳しい地域においては、携帯電話のサービスエリア、これを拡大するということにおいて、具体的にどのような方策があるのでしょうか。お示しいただきたいと思います。
有冨政府参考人 私どもも、いわゆるデジタルデバイド、とりわけ携帯電話のデバイドにつきまして、何とかこれを解消したいという形で取り組んできております。
 具体的に言いますと、平成三年度から、移動通信用鉄塔施設整備事業という施策によりましてこれを支援してきておりまして、実績を申し上げますと、平成十四年度までに四百六十八カ所でこの事業が実施をされております。
 しかしながら、残存しているエリア外地域は、これは先ほども統計調査で御説明いたしましたけれども、人口が非常に過少であるというような地域が多うございまして、携帯電話事業者が施設整備事業に参画をする、事業者が参画しなければ携帯電話のサービスを受けることはできませんので、その参画ができる、そのための採算を確保することというような観点からいいますと、なかなか参画が可能になるような地域の割合は少なくなっているというような状況にございます。
 私どもといたしましては、今の国庫補助事業のスキームを有効に活用して、何とか過疎地域等におきまして、さらに携帯電話サービスのエリアの整備を進めるということができないか、その観点で、一番の効果的であると思われるものは基地局の運用経費の節減、削減であろうというようなことで考えております。
 とりわけ、運用経費の大部分を占める基地局と携帯電話事業者の交換設備との間の回線の経費を軽減するということが必要であろう。そのために、新たな周波数帯をその回線用として活用できないかというようなことが一つ。それからもう一つは、最近は地方公共団体がみずからネットワークを整備するということでございまして、その中で、すべてを使い切るということではありません、若干余っている、未利用の部分があるということでございますので、その有効利用を図る。大きく言いますと、二つの観点がこれからサービスエリアの整備に非常に有効ではないかというふうに考えているところでございます。
黄川田委員 私も四月の統一地方選挙で、私の選挙区なんというのは端から端まで車で三時間半ぐらいかかるところでありまして、そしてまた中山間地、さまざま歩きまして、連絡しようと思っても圏外というのが時々出るわけであります。いずれ、選挙だけじゃない、住民一人一人の利便性を高めるために、どうぞさまざまな政策を具体的に実施していただきたいと思います。
 あと五分でありますので、一点だけお尋ねいたします。
 今回の基準・認証制度の改正についてであります。自己確認制度についてお尋ねいたしたいと思います。
 今回の改正は、事前に国が技術基準への適合性を確認していた制度を、製造業者等がみずから確認するものとしております。基準に適合していない無線設備が使用され、良好な電波環境が阻害される、そういうことがあってはならないわけであります。
 そこで、今回の自己確認制度の導入は、警察であるとか消防等の重要無線に対し混信妨害を生じさせるなど、電波の良好な利用環境を阻害することにはならないか、総務省の見解を最後に求めておきたいと思います。
有冨政府参考人 今委員御指摘のとおり、警察あるいは消防等の重要無線について混信を与えないかというようなことは大変重要な課題だというふうに思っておりまして、まさに良好な電波利用環境を維持することは重要なものというふうに認識をしております。
 そういうことで、今の案でございますが、技術基準適合自己確認制度、これにつきましては、あくまでもこれは無線の関係でございまして、特定無線がいたずらに他の無線局の運用を著しく阻害するような混信等の妨害を与えるおそれがあっては困るという観点から、その対象設備につきましては限定をして定めるということにしておるところでございます。
 もし、その自己確認をした無線設備が技術基準に適合していなくて、そして混信等の妨害が生じるおそれがある、こういう場合には、総務大臣が、自己確認の届け出を行った者に対しまして報告徴収あるいは立入検査等を実施するということになっております。そして、その結果、問題があるという場合におきましては、表示の禁止、あるいは表示されておってもそれが表示が付されていないものとみなすとか、あるいは法律効果というものは認めないとかというようなことで対応する。
 さらには、製造業者等に対しまして、その妨害防止のために必要な回収等の措置を講じるように命ずるというような仕組みをつくっておりまして、その命令あるいは禁止行為にしていることについて違反した場合については罰則を科する、とりわけ法人には重い罰則を科すというふうにしております。
 こういった措置によって、自己確認制度を導入しても電波の有効な利用環境は阻害することがないものというふうに考えているところでございます。
黄川田委員 残り二分ありますけれども、これで終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十四分開議
遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 午前中から、電波利用料の問題についていろいろと論議されてまいりました。私も、まず最初に、電波利用料の額の改定、この考え方について質問していきたいと思います。
 そこで、まず最初に、今回、地上アナログ放送局だけから特別に電波利用料、これを徴収できるということになっているわけですが、その根拠について。
有冨政府参考人 アナログの周波数変更対策に関しまして、デジタル放送への完全移行によりまして、新たな空き周波数が生み出され、周波数の逼迫が緩和されるという無線局全体の受益に加えまして、デジタル放送が開始をされましても、アナログ停波までの期間、アナログ放送が円滑に継続できるという地上アナログテレビ放送局の受益、この二つがございます。
 このことから、後者、つまり、サイマル放送を行える地上アナログテレビ放送局の受益に対する追加的な負担を求めるということによって、電波利用共益費用における無線局免許人間の負担の公平性を担保したいというようなことでございます。
矢島委員 要するに、アナログ放送を継続できるという受益が発生しているということだろうと思うんですが、どうもその説明、私、総務省の説明は納得できないんですよ。
 といいますのは、前回、アナ・アナ変換業務を導入したときに法改正が行われて、そのときに既にアナログ放送局の受益というのは発生したんじゃないのか。そうすると、前回の改正のときには、アナログ放送を継続できるという受益、このことについては法案の中で何の説明もなければ、審議の中でも説明はなかった。今回いきなり受益が発生する。前回発生しないものが、なぜ今回発生したんだということなんです。何か答弁してください。
有冨政府参考人 アナログ周波数の変更対策業務の開始時におきまして、これはいろいろ検討する過程もあるわけでありますが、まず一つは、電波利用料額の見直しというものを平成十一年度に実施をしたばかりであったということが一つございますし、もう一つは、後ほどにはいろいろ議論が出ましたけれども、当初は、アナログ周波数変更対策業務の費用につきまして、当時の電波利用料収入によって十分対応が可能であるというようなこと等がありまして、その際、特別の放送局の受益に着目をした追加利用額の徴収は実施しない、ただし、三年ごとの定期的な電波利用料額の見直しの際に見直しを行いたい、このように考えていたということでございます。
矢島委員 そうすると、こういうことですか。前回も受益が発生するということについては認識していた、ただし、先ほど言った、いつ徴収するかという問題や、一応、電波利用料で足りるからとかいうような問題があったので、そこで受益が発生するという認識はあったけれども、それを放送業者側に負担を求めなかったという解釈だろうと思うんですね。これは非常に重大な発言だろうと思うんですよ、そういう決め方をしたというのは。
 というのは、電波利用料徴収の根拠となって、現実に、アナ・アナ変換費用総額千八百億ですか、このうちの二百四十五億円を徴収しようというわけですが、算定式については後でいろいろお聞きいたしますけれども、当時、つまり前回の法案を審議したときに、七百二十七億円のうち、その計算式を認めるとして、あの二分の一掛ける十分の二・八というものですが、あれについても後で聞きますけれども、認めるとしても、約百億円になるんですね。七百二十七億円のうちの百億円がいわゆるサイマル放送を行うことができることによって受けるところの受益と。あなた方が言っている計算方式でいけば。
 つまり、そういう百億円分に当たる受益が放送局側には生ずるということを認識しておりながらまけてやったことになるんですね。こういうやり方というのは重大な問題があると指摘したのは、事実上、放送業界への隠れた補助金という性格を持つことになるんじゃないか。報道機関である放送局への補助金、放送の独立性あるいは言論の自由、こういうものにかかわる根本問題ですよ。
 こういうことは、もう今までも何回となく、郵政省時代から論議されてきた問題ですよ。それは、もちろん金額の多寡じゃありませんよ、多いとか少ないとかいう問題じゃないんです。こういう受益が発生するという認識を持ちながらまけてやったということになるんですね。そのことはそういうことでいいですね。
有冨政府参考人 私どもとして、先ほどちょっと申しましたけれども、必ずしも状況というものが十分に、どういうふうに見直すかということについて、しっかりとした費用の見直しができていなかった。むしろ、平成十四年度が利用料の定期的な見直し時期に当たっていたということがありまして、これを待っておったということでございます。それが決まりましたので、放送局の特別の受益に対応した費用負担額、これをアナログ周波数変更対策費用の総額の一定割合として算定をしたということでございます。
 今先生が言われましたけれども、平成十五年から追加料額を徴収することになりましても、平成十三年度当初から追加料額の徴収を開始した場合と徴収総額には変わりはないというふうに認識をしているところでございます。したがって、補助金云々の論議ではないのではなかろうかというふうに思います。
矢島委員 いろいろと言いわけを言いますよね。そもそも認識していたならば――徴収の仕方というのは、これはいろいろありますよ。確かに言われるとおり、後でまとめていただこうとか、今回のように分割でいただこうとかいろいろありますよ。しかし、もう一言もその問題に触れないで前回、法案が出てきたわけですよ。
 あのときは、全部の無線局が受益を受ける、四分の一があくから、だから全部で負担するんだというので電波利用料から支出するということを決めたんですよ。私たちは、非常に問題があるということは指摘しながら法案全体に反対してきたんですけれども、しかし、実際にはそういうことで成立した。ところが、今回になったら、いや、放送局は受益がある、だからその分は負担してもらうんだということで決めようとしているわけでしょう。
 大臣にお聞きしたいんですが、前回、法案提出のときに、今言ったようなサイマル放送を続けることの受益という認識はあったのかないのか、その辺について。
片山国務大臣 潜在的にはあったんですよ。やはり、今回のアナ・アナをやる、デジタルをやる、途中はサイマルでいく、放送局に受益があるという認識はありました。
 それから、それよりも何よりも、私も事務方も同じだと思いますが、不公平だ、公平でない、今の放送事業者のシェアというのか負担割合が。スタートのときは六・五だったんですよ。今は〇・八ですからね。それから、いろいろなことを考えますと、〇・八はいかにも社会的不公平ではないかと。これが変わってきたんです、ずうっと、何年かの間に。だから、そういうことを言うと、七百何十億のときはそれで賄えるという話ですからね。事を荒立てて、法律を改正して、特別に取り上げるのもいかがかなと。しかし、いずれにせよ、それはきっちりけじめはつけようと。我々はそういうことだったんですよ。
 ところが、今回、その七百何十億が、精査してみたら千八百億だ、こういうことなものですから、それでは、いずれけじめをつけるものを、前倒しでもないけれどもこの際はっきりしようじゃないか、こういうことにいたしたわけであります。
 経緯もありますので、そこはひとつ矢島委員、よろしく御理解のほどをお願いいたします。
矢島委員 非常に整合性がないんですよ、提案された法案が。だから、法律である以上、そういう面がきちんとしていないと。
 ただ、またこの問題も後で取り上げたいと思うんですが、午前中の答弁で放送局の負担能力の問題も出ましたけれども、この法案のどこにも負担能力に応じてやるんだというようなことは何も書いていないですよ。我々は、この提出されている法案について今審議しているわけです。だから、そういうあいまいなやり方というか、私に言わせれば、でたらめな考え方で、そのときの行き当たりばったりでやっている、こういうところに問題があるんです。
 そこで聞きたいんですよ。今の問題、それで了解したというわけじゃないんですが、次へ進まないことには、たくさんの問題を抱えていますから。
 二百四十五億円の負担額を決めたその算定式の問題なんです、今度は。つまり、法案の第百三条の二の二項に「二分の一に相当する額」という文言が入っています。その後、この十分の二・八にかかわるところの、それを想定するところの文言が書かれています。ですから、その百三条の二の二項を見れば、なるほどこれがそれに相当するんだなとわかるんです。
 そこで、この二分の一ということについてです。つまり、今までの午前中の説明を聞きますと、サイマル放送が可能なアナログ放送局の受益と、それから全無線局が、つまり周波数帯があいたことによって受ける受益、これを一対一とする、こういう理屈でこのことが考えられたのかどうか、それを確認したいんです。そういうわけですか。
有冨政府参考人 電波法上の扱いでございますが、アナログ周波数の変更対策業務、これは、周波数割り当て計画等の変更を公示した日から起算して十年を超えない範囲内に既開設局の周波数の使用期限を定めるということを求めておりまして、仮にその周波数の割り当て計画等の変更日からデジタル放送を開始した場合、既開設局にはその周波数の使用期限まで最大十年間の期間においてアナログ放送を継続できる受益があるということでございまして、したがって、新たな空き周波数が生み出されて周波数の逼迫が緩和されるという無線局全体の受益とこれを等しく扱って、既開設局の免許人に特定周波数変更対策業務に要する費用、便益、これを一対一という形でひとまずは整理をするということで算定式を構成しているものでございます。
矢島委員 私の言ったことに何か、その式の内容はどうでもいいんですよ。もう午前中からやっているんですから、二・八がどうして二・八になったかとか、十分のは何かとかはね。
 つまり、この一対一というのは、アナログの放送局の受ける利益、つまり受益と総無線局の受益を比較して、そして一対一とした、それがつまり二分の一になる、そういうことでよろしいんですか。
遠藤委員長 有冨総合通信基盤局長。端的に。
有冨政府参考人 放送局の受益とそれから無線局の受益と、性格は違いますけれども、受益全体の概念としては一対一ということでございます。
矢島委員 比較できないものを無理やり比較して、無理やりこの二分の一というのをつくり上げたんですよ、これは、どう考えても。今局長、答弁されたように、一対一というのは両者の、つまり放送局の方の受益と無線局の受益、これが一対一だ、こういうわけですよね。そうすると、比較できない、別次元のものを比較して一対一にした、こういうことですね。
有冨政府参考人 受益という概念の中で具体的な既放送局あるいは無線局の性質に応じて分けていたということでございます。
矢島委員 全然わからないです。午前中もこの問題で質問された方もいらっしゃいましたけれども、いいですか、二百四十五億円という算定、この根拠ですね、その根拠の中にこの一対一という考え方が入っているんですよ。
 この一対一というのは、そもそも比較できないもの。つまり、片方は放送局の受益です。これは少なくとも期限が限られているんですよ。一方の無線局の受益というのは、これは恒久的なんですよ、そこはあくんですから。そういうものを何度も比較していくというやり方で、結論的には一対一というものを出したいという計算式が先にあったと考えざるを得ないんです。
 その中でも、先ほど私ちょっと触れましたが、放送局の負担能力を考えてやったんだという大臣の答弁が午前中にあったんですよ。そうなんですか。やはり負担能力というのに応じてこの額を計算していったということに、総務省としても、そのとおりだと考えているんですか。
片山国務大臣 負担能力というのは、私、負担能力だけ考えたわけじゃないですよ。負担能力も、それから、払う方のおおよその納得、同意も要るものですから、そういうことの中に、向こうの負担がどうかということは当然あるわけですから、放送事業者側の。それも聞いてやった。理屈と負担能力がたまたま合った、こういうことであります。
矢島委員 私もわからなくはないんですよ、そういう考え方。
 ただ、私たちは、この出された法案というものを今審議しているんです。その法案の百三条の二の二項という問題を今取り上げているんですが、その中に、もちろんどこにも負担能力というのは書いてないんですよ、そんなことは書くわけないでしょう。ただ、そういう話がいろいろこれを決める中に出てきたなということを大臣は話したんだと思うんですがね。ですから、やはりこういう場での論議というのは、この法案というものがどういう中身で提案されているか、それをきちんとやっていかないとだめだと思うんですよ。
 だから、逆算しているという感じをやはり我々は受けるわけですよ。計算の、二分の一だとか十分の二・八だとか、いろいろな数字があるけれども、後ろの方については、それなりの根拠はありますよ、十分の二・八の方は。ただ、前の一対一の、二分の一の方は、これは受益が同じだというふうな考え方、受益全体を考えれば同じだと、どこで同じになるんだ、何一つ根拠ないんじゃないですか。こじつけだと言わざるを得ません。
 ですから、私は、こういう法律としての最低限の要件は、一つには一貫性、つまり、前回の法改正のときと今回の法改正のときの一貫性というものが必要なんだ、整合性というのが必要なんだ。それから、客観性を持たなきゃならない。やはりだれが見ても、このような一対一という裏づけがあるんだなということを感じるようなものでなきゃならないということを考えると、まさにこれは欠陥法案なんですよ。そのことを指摘しなきゃならないと思うんです。
 それに、放送事業者から取るべきものを、前回の法案の中では、受益が生ずるということを認識していながら百億円取らなかったわけですから、まけてやったんですから、結論としては。ですから、そういう問題など、非常に根本的な放送行政の問題になりますので、さらに追及していくということで、アナ・アナの進捗状況の問題、これもなかなか簡単な問題じゃないんですよ。
 一応予定したのをやっていきたいと思いますので、まだ途中の問題、例えば大臣が話した公平という問題でも、片方は時限が限られている、片方は恒久的だ。だから、もし利用料を根本的に公平にするんだったら、これは午前中にも答弁されていましたからそれで理解しますけれども、これが公平にしたやり方なんだということで大見えを切られるような中身じゃない。それは確かに放送局の方が負担は多い、多いけれども、電波利用料が不公平だから、だから変えていくんだというんだったら、もっと根本的な問題があるということだけ指摘しておきたいと思います。
 そこで、アナ・アナ変換の進捗状況について聞きます。
 四月に予備免許が交付されました。三大広域圏の地上デジタル放送の放送エリアというのが明らかになりました。アナ・アナ変換の進捗に応じて、開始はことしの暮れですね。ことしの暮れ、開始当初、それから一年たって来年の末に、それから二年後、二〇〇五年の末、それぞれ放送エリアは拡大していくと思うんですが、何万世帯、それぞれの年に視聴可能になるのか、その数を教えてください。
高原政府参考人 三大広域圏全体における視聴可能世帯数でございますが、二〇〇三年十二月の放送開始当初では約千二百万世帯、それから一年後の二〇〇四年末では約千七百万世帯、二年後の二〇〇五年末では約二千三百万世帯を予定いたしております。
矢島委員 その数字の内容をちょっと聞きたいんですが、果たしてその数字は、つまり、そういう数字が今、例えば、ことしの末には千二百万世帯が見られるんですよということについては、たくさんの人が知っているとは言わないけれども、これに関心を持っている、地上波デジタル放送というものに関心を持っている人は、大体千二百万世帯ぐらいがことしの終わりには見られるようになるんだなということは知っています。ところが、果たしてそういう理解でいいのかどうかという問題なんですよ。
 開始当初の二〇〇三年末、関東広域圏で見てみましょう。NHK総合を見ることができるのは六百九十万世帯、これはそのとおりだと思うんです。ところが、まだ、NHKの教育、それから民間キー局、これは視聴可能じゃないですよね。NHKの教育、それから民間キー局、それからNHK総合、これが全部見られる、全部見ることのできる世帯は、いわゆる関東広域圏では十二万世帯、こう言われているわけですね。つまり六百九十万世帯ではないんですよ、東京圏で。
 だから、全体でも千二百万世帯というのがあるんですが、ほかの広域圏も全部合わせて、NHK総合、それから教育、民間キー局、全部見ることができる世帯数というのは、ことしの終わりにはどのくらいになるんですか。
高原政府参考人 今先生おっしゃいましたように、中京、近畿ではほぼ、例えば中京の場合は、NHK総合、広域民放、二百四十万世帯、二百三十万世帯ですから、ほぼ同一の世帯で見られます。それから近畿も、NHK総合、広域民放、二百八十万世帯で、同じ世帯数で見られるということで、関東のみ、NHK教育と広域民放が十二万世帯に対して、NHK総合が六百九十万世帯ですから、この差でございますので、千二百万から六百八十万ぐらい引いたのが全体の数というふうになります。
矢島委員 ちゃんと視聴者に説明しないと、詐欺的な行為だ。つまり、見られないのに、あたかも、いや、受け取る側の問題だと言われればそれまでですが、教育やあるいは民間、これは東京、いわゆる東京タワー中心の地域、ここでは五百二十二万世帯なんて見ることはできないで、十二万世帯だというわけですよ。関西の場合やそのほか、近畿の場合にはおおよそ近い、中京が十万世帯ですから、おおよそその数は一致しているわけです。そうすると、見られると思った人たちが、教育テレビや民間放送、これを見られない世帯が出てくるわけですよ。
 その辺はやはりきちんとしてもらわないと、これは非常に大変だと思うんですよ。いかにその差があるかという点は。東京でテレビを見ている人は全部、ことしの暮れからデジタルが見られるんだな、デジタル波が来るんだなと思っている人が結構多いですから、その辺はひとつきちんとやらないと、とんでもないことになるんじゃないかと思うんです。
 そこで、一つだけお聞きしたいのは、前回の電波法を改正するときに、アナログ放送の終了時期、二〇一一年としました。この前回の電波法の改正のとき、二〇〇三年末では何万世帯ぐらいがデジタル放送を視聴可能と考えていたのか、その数字を教えていただきたいと思います。
高原政府参考人 二〇〇一年の電波法改正時におきましては、二〇〇一年からアナログ周波数変更対策を開始するということを予定いたしておりました。二〇〇三年末にはかなりの割合でアナログ周波数変更対策が終了するというふうに想定していたと思われますけれども、結論から申しますと、具体的な視聴可能世帯数は当時、算出をいたしておりません。
矢島委員 高原局長、この問題は委員会で質問が出ているんですよ。二〇〇一年六月七日の参議院の総務委員会です。我が党の宮本岳志議員が、二〇〇三年にデジタル放送が開始されるのは、関東を初め三大圏の親局でどれだけだということを質問したんです。そうしたら、当時の鍋倉真一情報通信政策局長は、いろいろ言いましたよ、世帯数が幾つあってこれこれこれこれだ、親局レベルでカバーしている世帯は約二千百三十六万世帯であると推計していますとか、今度は、親局が始まったらできるだけ速やかに大規模中継局についても放送開始をできるようにしていく、そうすると大体九割を超えるということになるというふうに私どもは推計しております、こういう答弁をしているんですよ。
 そうしますと、全体では二千五百四十四万世帯、その九割ですから二千二百九十万世帯、二千二百九十万世帯にことしの暮れにはなるだろうということを前回の法案の審議の中で答えているんですね。この二千二百九十万世帯というのは、おおよそにしますと二千三百万世帯になりますから、そうしますと、先ほど局長が答えた二〇〇五年末の数字と一致するんですね。この二千三百万世帯というのは、今の計画でですよ、今の計画で二〇〇五年末の数字と一致しております。
 ということは、少なくとも、この数値だけ見ている範囲でおおよそ二年おくれですか。現実の二〇〇三年末の見込みは、NHKとキー局全部で見られる世帯というのは五百二十二万世帯。当時の答え、つまり答弁の中で出てきたのが、二〇〇三年末には約二千三百万世帯だと。それを今現時点で当てはめてみると二〇〇五年末。
 結局、大臣、開始当初、つまりことしの暮れですね、ことしの暮れ、東京では十二万世帯なんです、全部が見られるのは。一応五百二十二万世帯をカバーすると言っているけれども、教育テレビや民間放送を見られないんですから、見られる世帯というのは十二万世帯だ。三大広域圏、もちろん関東の地域が一番大きいわけですけれども、千二百万世帯だというのに比べれば約半分だ、今こういう状況なんです。
 つまり、午前中にもありましたように、計画はおくれているんじゃないかというのがありましたが、これらの数値からいけば二年おくれということになるわけなんです。このことについては、大臣、やはり二年間はおくれているとお認めになりますか。
片山国務大臣 当初よりはおくれております、それは。ただ、おくれをどうやって取り返すかということで、そこはいろいろ関係者が集まって協議会等を開いております。議論いたしております。
 それから、全部見られないのは見られたということにならないと言うけれども、見ている時間はNHKがどうしても多いですよね、総合テレビが。そういう意味で、ほかが見られなきゃ見られることにならない、難しいところですね。だから私は、両方のそこは解釈が成り立つような気がいたします。
矢島委員 それは、見られる率からいけばそうかもしれませんが、テレビがいよいよデジタル電波が来ますよ、テレビを一つ買いかえればそれらが全部できるんだといって買ってみたら、いや、NHKの総合だけじゃないかといったら、これはもう見る率の問題じゃないんですよ。ですから、その辺はきちんと説明する必要があるんだということを私は言いたかったわけであります。
 さてそこで、今度はデジタルテレビの普及の問題に移りたいと思うんですよ。
 いろいろ困難な問題をあれこれ抱えている中で、やろうという意気込みだけは確かに前々から聞いているんですが、これは意気込みだけでできる問題じゃないんですよ。やはりきちんとした計画、そしてそれが極めて合理的なもの、現実的なものでなければならないんです。
 このテレビの普及目標、先ほども言ったように、アナ・アナ変換業務は大体二年おくれ、こういう状況にある。二百四十五億、これの負担、こういう問題でも、前回との整合性というのが、私が指摘したように、なぜ前回は取らないものを今回いきなり受益が出てきたのかというような整合性の問題もある、だから欠陥法案だ、私はこう言ったわけなんです。
 放送事業者やあるいは家電の事業者が、先ほどもちょっと出ましたが、ブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会というのをやっていますね。四月十五日に第三次行動計画というのをまとめました。これを見てみますと、いろいろ書いてあるんですが、まず御答弁いただきたいのは、第三次行動計画でまとめたいわゆる世帯目標、それから台数目標、二〇〇六年、二〇〇八年、それから最終の二〇一一年、どんなようになっているか、ちょっと答えていただけますか。
高原政府参考人 世帯目標でございますが、二〇〇六年において一千万世帯、二〇〇八年において二千四百万世帯、それから二〇一一年初頭までに全世帯、四千八百万世帯への普及を目標といたしております。
 また、台数目標でございますが、二〇〇六年において千二百万台、二〇〇八年において三千六百万台、最終目標として、地上アナログテレビの停止の期限までに一億台の普及を目標といたしておるところでございます。
矢島委員 二〇〇〇年に約千三十万台買いかえがされているんですね。二〇〇一年には千三十八万台、二〇〇二年には九百六十三万台、それぞれ買いかえがあるんです。そうすると、今の目標というのはべらぼうにすごいんですよ。一応二〇〇六年夏に千二百万台というのはあれとしても、それから後、三千六百万台、通常の約三倍ですよね、それで二〇一一年には一億台にしていこう、こういうわけですよね。
 そこで、時間がなくなってきましたので、経済産業省においでいただいているのでお聞きいたしますけれども、テレビの国内出荷台数の実績、それから今後の予想、こういうものを経済産業省は発表しているわけですが、BSも含めて結構ですから、二〇〇六年末までに累計何台のデジタルテレビが出荷される計算になっているか。
松井政府参考人 お答えいたします。
 二〇〇六年末におきますデジタル放送受信機の累計出荷台数は、デジタル放送の段階的導入に加えまして、ブラウン管テレビから液晶テレビやプラズマテレビへの買いかえ、あるいは二〇〇四年のアテネ五輪や二〇〇六年のワールドカップなどのスポーツイベントの効果なども加わり、一千二百四十七万台と電子情報技術産業協会は予測しております。また、二〇〇四年から二〇〇六年までの各年におきますデジタル放送受信機の予測出荷台数は、二〇〇四年には二百三十八万台、二〇〇五年には三百五万台、二〇〇六年には三百九十三万台と予測されております。
矢島委員 今お答えいただいたように、二〇〇四年が二百三十八万台ですか、二〇〇五年が三百五万台、二〇〇六年が三百九十三万台、こういうペースなんですね。第三次の行動計画で、二〇〇六年夏には千二百万台と先ほどお答えいただいたわけですが、こういう目標になっている。これはほぼ達成できるんです。今、経済産業省に答えていただいたのとおおよそ一致するんです。
 ところが、その次から問題なんです。二〇〇八年夏に三千六百万台というんですよ。二〇〇四年のときに二百三十八万台、それから、今経済産業省が答えたように、翌年、五年には三百五万台、六年には三百九十三万台ですよね。二〇〇六年から二〇〇八年にかけて、いきなり千二百万台、つまり三倍以上にはね上がるんでしょう。本当に現実的な目標なのかという点が私非常に疑問に思うところなんですよ。
 幾ら何でも、今までの経済産業省が考えた予測や実績、そういうものから考えて、その三倍以上のテレビが、幾らドイツのワールドカップだとか、いろいろとスポーツ行事があるからといって、そう簡単に三倍ものテレビが普及できるんだろうか。もっともっと普及目標としては現実的なものを、ただ単に、二〇一一年には一億台をやるためには逆算すればと、逆算が本当に好きなんですが、最後のところの数値を決めて、あとだんだんだんだん前へ来るというやり方というのは、私はこれは納得できないんですよ。
 そこで、もう時間がありませんから、最後に大臣にお聞きしますけれども、私はこの時間、いろいろと問題点を指摘しました。一つは、追加料金の問題について。どうして計算をこういうふうにしていったか、一対一の問題も含めて。さらに、今どれだけの領域が、電波が、何年にどれだけの世帯が見られるようになるか。
 一番最初、私たちがこの問題を論議したときには、野田郵政大臣ですけれども、何しろ一〇〇%電波をカバーすると。つまり、電波をとめる、アナログ波をとめる、そのためには一〇〇%必要だと。それから台数も、八五%の世帯でテレビを買いかえる、こういう事態になったときに初めて考えるんだというのが最初だったんですよ。
 それが、今度は二〇一一年を決めた途端に、もうしゃにむにそこへ行こうという中身になっているんです。これだけいろいろ問題点が、普及の問題にしても、電波のカバー率の問題にしても、それから追加負担の問題にしても、いろいろな問題を抱えたまま、このまま突っ走るということに対して非常に私は危険を感じるんです。できたらやはり、この間、私この問題と同じことを大臣に聞いているんですが、これを白紙に戻して考え直したらどうか、どう思いますか、これが最後です。
片山国務大臣 ここまで関係者が努力しようと盛り上がっていますから、それを白紙に戻すことなんかできませんし、やはり目標を具体的にきちっと決めるということでみんなが力を合わせるんですね。
 だから、それはそのとおりになるかというと、トレンドだけじゃないですよ、意欲も入っていますよ、それは言われるように。ただしかし、全部買いかえなくても、例えばチューナーをつけるというような方式もありますし、いろいろな工夫をしながら、やはりデジタル化は、国全体としては大きなメリットがありますし、国際的ないろいろな状況もありますから、我々としてはきっちり目標を決めて、それに向かって努力していきたい。そのかわり、いろいろなことが出ればその対応をしっかり考えていきたい、こう思っております。
矢島委員 時間になったので終わります。
遠藤委員長 次に、横光克彦君。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
横光委員 社民党の横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。
 電波利用料についてちょっとお尋ねをいたします。
 平成十三年、百五十一国会で、電波利用料の使途につきましては、特定周波数変更対策業務、いわゆるアナ・アナ変換対策費というものが新たに追加されたわけですね。先ほどの大臣のお話にございましたように、地上波のデジタル化、これは国家的な大事業であるというお話でございます。つまり、国策としてやると。そういった地上放送のデジタル化に伴うアナログ周波数変更対策経費の全額を電波利用料を財源とする国費で賄う、こういうことが決定したわけでございます。
 平成十二年四月に取りまとめた検討結果によれば、アナログ周波数変更対策経費、総額で七百二十七億ですか、そういうふうに算定をされました。ところが、この対策経費の試算に大変な多額の見込み違いという事態が発生したわけでございます。この見込み違いが今回の法改正につながっていると私は思っているわけでございますが、そうしますと、あの見込み違いというのは、大変大きな、重大な事態だと私は思うわけですね。
 ここで改めて、もう一度大臣に、法改正につながるような大きな見込み違いにつきましてどのような認識をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
片山国務大臣 横光委員言われるように、私も大変遺憾な事態だと思っています。
 見込み違いというのは、五割か六割違うというのはいいんですけれども、二倍以上違うというのは、幾ら何でも見込み違いと言えるのかどうかと思います。いろいろ聞いてみますと、電波の混信の状況が、机の上や、ちょっと調べただけではわからないというんですね。しかもそれが、一番問題があるのは、私がおります瀬戸内海だとか、横光委員もおられます九州なんですよ。あの辺なんですよ、大分や熊本や。それから関東なんですね。
 そういう意味で、大変私も、個人的にも、担当の事務方も、責任を感じていることは事実でございます。
横光委員 そうですよね。結局、二倍以上の、想定以上の結果になったわけですから、大変な大きな問題だと私は思うんですね。
 今回の改正で周波数変更対策経費の総額が、今度は千七百八十六億円と算定されているわけですね。ところが、NHKあるいは民放、総務省、また各地域の地上デジタル放送推進協議会で構成いたしております全国地上デジタル放送推進協議会、ここがアナログ周波数変更対策の対策経費について精査しております。その結果、十四年の七月、昨年の七月ですが、この対策経費については、「今後の経済状況や技術開発の進展等により変動があり得る」、こういった一文が付されているわけですね。つまり、「変動があり得る」ということは、経費が上がったり下がったりするということでしょうが、変動があり得るとした最大の要因はどこにあるか、お聞かせいただきたいと思います。
高原政府参考人 今先生おっしゃいましたように、NHK、民放、総務省でつくっております全国地上デジタル放送推進協議会が、昨年、十四年八月に、先生おっしゃるような「地上デジタル放送の今後の進め方について」ということで、千八百億のアナ・アナ経費をまとめております。このときに、「今後の経済状況や技術開発の進展等により変動があり得る」というふうに書いております。
 これは、これから八年間の長期にわたってこのアナログ周波数変更対策事業に取り組んでまいるものですから、将来、予測不可能な特別な事情が全く生じないということも言い切れない、要するに、費用が増減する可能性、増加だけではなくて減少する可能性も完全には否定できないということからこういう表現を入れておるものというふうに理解をいたしております。しかし、特に今の時点でその千八百億を変化させるだけの特定の要因があるかということは、今のところは、そういうことはないというふうに我々は考えております。
横光委員 この対策は、今お話ございますように、二月からもう実施されているわけですね、今後八年間にかけて。この対策を進めるに当たり、今、想定していない新たな電波干渉問題等が起こっているという話も聞いておりますが、こういうことはどうでしょうか。
高原政府参考人 今先生おっしゃいましたのは、多分関東地区の青梅地区のアナ・アナ変換事業で、予定より一カ月おくれた、一応終了はいたしておりますけれども、千葉のあたりのU局の親局の電波が干渉しているのが当初は見つからなかったというようなことであったと思いますが、非常に特異事例ということで、今回青梅地区においては起きましたけれども、そこで特段、経費が、千八百億を超えるような経費がかかったということはございません。
横光委員 電波というのは、御案内のように、電波の特性というのは、発射してみないとなかなかわからない部分が多々ありますよね。最初の、大幅な増額になったのも、やはり、実施してみなければ、調査してみなければわからなかった問題です。これから八年間にわたっての対策の施行がもう始まっている、そして、先ほど言いましたように、電波というものはどういう事態が発生するかわからない、そういったことを考えたときに、そういったことも含めて変動があり得るということも書かれたんではないかと私は思うんです。
 こういうことはあってはいけないんですが、こういった想定していない新たないろいろな電波干渉問題等が起きた、あるいはその他の問題が起きたことに伴って、このアナログ周波数変更対策経費が今後増加する可能性があるのかないのか、そのあたりをちょっとお聞かせください。
高原政府参考人 今のところは、我々といたしましては、千八百億の範囲内でやり切ろうという意気込みでやっております。
横光委員 十四年度の電波利用料額の見直しのときには、現行の料額は妥当であるという判断をしております。三年に一度この料額を見直すということになっておりますが、その前の八年、そして十一年の見直しのときには、むしろ一部値下げという状況がありましたね。これは、いわゆる携帯無線局が圧倒的にふえて、いわゆる電波利用料の収益が上がった、収入が上がったということでしょうが、十四年度では現行の料額でいいと。
 しかし、これも先ほどちょっとお話が出ましたが、十四年度からは、この電波利用料の使途に、冒頭申しましたアナログ周波数変更対策業務が新たに加わっているのです。当初でも約七百二十七億円という経費が必要となっていたわけですね。にもかかわらず、電波利用料額は現状維持で相当である、こうしたわけですが、この理由はどこにあるんでしょうか。
有冨政府参考人 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、アナログ周波数の変更対策業務は平成十三年度から実施をしたということでございますが、その際に、電波利用料の見直しはどうであろうかと。平成十一年度に実施したばかりであったというようなこと、それからもう一つは、当初のアナログ周波数の変更対策業務の費用について、当時の電波利用料収入によって十分対応が可能であると見込んでいたということ等の事情を踏まえまして、その際には、放送局の特別の受益に着目をした追加料額の徴収は実施をせずに、三年ごとの定期的な電波利用料額の見直しの機会に見直しを行いたいと考えていたところでございます。
 先生今言われましたように、平成十四年度が次の電波利用料額の定期的な見直しの時期に当たったわけでありますけれども、この時点では、なおアナログ周波数の変更対策に係る経費の見直しが進行中であったということから、対策費用額の確定を待って見直すことといたしまして、今回の料額改正に至っているということでございます。
横光委員 今たしか、当時はこの対策費を含めても電波利用料で十分対応できるというお言葉でしたね。そして、電波利用料でその対策をやるということは法律で決まったと。
 ただ、そのときの、十四年度の電波利用料の歳入予算が四億円、いわゆる総額五百三億円のうちの〇・八%であったと、放送局全体がですよ。当時では、この数字は応分の負担である、このようなお考えだったわけですね。
有冨政府参考人 算定からいいますとそういう考え方でございましたけれども、これに対してはいろいろと御意見がありまして、不公正ではないかというような声もあったと承知をしております。
横光委員 今回、何か不公平是正をするというお話もございましたが、では、当時は不公平ではなかったという考えだったんですね、十四年度は。
有冨政府参考人 いろいろ評価があったかと思いますが、見直しの時期にそういった問題点も解決をすべきというふうに考えておったところでございます。
横光委員 私は、この今回の法改正は、あやふやといいますか一貫性に欠けるという気が非常に強いんですね。制度上は十三年から放送局の受益が実際に発生しているわけですから、それが、本来であるならば、不公平是正をするというなら、そのときからやっていればまだどうにか今回のことも理解できないこともないのですが、そのときには国費でやるということでやっていながら、今回こういった状況になったら、それでも国費でやるのが本来の筋であるにもかかわらず、今回こういった、十五年度から料額を見直すことになった。このあたりがちょっとわかりにくいんですね。
 要するに、十五年度から料額を見直すことになったのは、アナ・アナ変換に対する対策費が膨大に、倍近くかかるということが一番大きな理由なんですね。
有冨政府参考人 先ほど御答弁いたしましたけれども、対策経費がどのぐらいかかるかというのが明確でなかった、それが明確になって、大変大きな金がかかることになったということでございまして、それに対して応分の負担を新たな方式においてお願いをする、それによって不公正なことも是正できるということでございますが、ただ、総額は見直す時期によって変わっているわけではございませんで、平成十五年度から追加料額を徴収することにはしておりますけれども、全体の追加料額の総額そのものは、十三年度当初からのものと差はないというふうに理解をしているところでございます。
横光委員 ちょっとよくわからないのですが。
 今回の見直しは、現行の料額全体を見直すものではありません。放送局のみ料額を改定する、いわゆる放送局のみ料額を増額するという考えでございますが、このことは、言いかえれば、増額分についてはアナログ周波数変更対策経費に使用する、こういうふうに受け取ってもいいわけですね。
有冨政府参考人 今回の追加料額につきましては、従来の電波利用料収入と合わせた上で、アナログ周波数変更対策業務に必要となる費用に充当されるというふうに考えております。
横光委員 ですから、私は、不公平を是正するとかいう言い方であるならば、もっと早くからやらなきゃならなかった問題だと思うし、今回こういうふうになったのを、不公平を是正するという理由で提案してくるというより、やはり、実際、アナ・アナ変換に対してこれだけ膨大な、想定できない経費が必要になったというようなことの方が、私は、放送局事業者にも非常にわかりやすいんではないかという気がいたしております。
 この対策経費、約一千八百億と今度算定されたわけでございますが、今回の見直しによる追加料額は、十五年から二十二年までの八年間で約二百四十五億円となっております。そうしますと、最初、今回新たな総額が決められる前は、七百二十七億という形で平成十四年度はスタートをしているわけですね。これが十五年からは一千八百億にふえる。そうしますと約一千億近くふえるわけですが、追加料額は二百四十五億円なんですね。八百億強不足しているわけですが、この不足分についてはどのように対処していかれるんでしょうか。
高原政府参考人 各年度の電波利用料の予算については、国会の御審議を経て確定していただくということになっております。
 先ほども申し上げたんですが、十五年度は百九十五億円ということで、アナ・アナ変換費用、確定いただいておるわけです。今先生がおっしゃいました、二百四十五億円では足りないじゃないか、不足分はどうするのかということでございますが、全体として、電波利用料の中で捻出をしていくということでございます。
 今回のアナログ周波数変更対策経費は、これから、電波利用料改定によるもののほか、携帯電話の加入増に伴う歳入増、それから電波利用料を用いて行う各種施策の経費の効率的な使用といったようなものをすべて合わせまして、その中で、毎年、電波利用料の中からこのアナ・アナ対策経費ということで必要な額を確保して予算要求をして、国会で御審議いただくということにしたいということでございます。
横光委員 単純に計算して、不足分が約八百億強ですね。これはかなり膨大な金額ですね。今度の見直し、次の見直しは十六年度になるんですか。大臣は、アナ・アナ変換のための電波利用料を値上げすることは考えていないと記者会見でおっしゃいました、昨年の七月に。アナ・アナ変換のために電波利用料を上げることは考えていませんと。それが一年後には、放送局事業者に対して電波利用料が上がったわけですね。そして、さらに八百億強がまだ二十二年までの間に必要だ、それで、電波料で、これを国費でやる、こういう形になっている。ということは、次の電波料見直しのときには当然この不足分を考えなきゃいけないわけですが、大臣は、アナ・アナ変換のために電波料を上げることはしませんと言っている。このあたりの説明を、ちょっとわかりやすくしてくれますか。
片山国務大臣 記者会見で、アナ・アナ対策のための財源としての電波利用料は上げることは考えていない、こういうことは申し上げました。もうそのときは、なかなか七百二十七億ではおさまらないということはわかっておったんですよ。ただ、全般にそのための電波利用料の改定はしたくない、こういうことを私は申し上げたので。
 ただ、前から私は、放送事業者の負担が不公平ではないかという感じは持っておりまして、先ほども申し上げましたが、スタートのときは六・五だったんですよね、放送事業者の負担割合が。そこでいろいろな議論があってあのときはそういうことでスタートしたと思うんですが、今の時点では、携帯がどっとふえまして、〇・八になっているんですね。いかにも放送事業者とそれ以外を比べたときに不均衡ではないかと私はかねがね言っておったんですが、ただ、見直しのときに直すべきだろうというのが事務方の意見ですから、それもそうかな、こう思ってきたんですが。
 結果としては、アナ・アナ対策が突出しまして千八百億近くになる、こういうことでございまして、全般の電波利用料で賄うとすれば負担のあれを延ばさないかぬですね、何カ年かじゃなくてもっと延ばさないかぬ。そういうことの中で、ぜひ、それじゃ、放送事業者の持ち分の少ないアンバランスをこの際解消したらどうだろうか、こういうことでございまして。ただ、放送事業者の方のお考えもあるので。
 不公平だということは、私は率直に申し上げました。それから、全般を上げたくないということも申し上げました。そういう中で、不公平だから不公平是正ということで、この際特別に時限的に負担をしてもらえれば、それはアナ・アナに回せるし、アナ・アナの電波利用料に充てる期間が長くなるのが幾らか短くなる、そういうことで御理解をいただこう、こういうことにいたしたわけでありまして。
 横光委員、基本的には電波利用料全般を見直さないかぬのですよ、抜本的に。だから、それまでのつなぎで、時限的に、少なくとも不公平をならしておこう、こういうことで今回の措置をとったわけでありますが、率直に言いますと、それはアナ・アナの財源に充てるという意図も何割かは実はあったわけでありますけれども、基本的には、私は、電波利用料は抜本的に見直す、少し時間をかけて、こう思っておりまして、前の国会でも、電波のいろいろな調査ができるとか、いろいろなことの問い合わせがあれば情報公開するとか、あるいは私どもの方から進んで公表するとか、そういう電波全般の見直し、電波行政のあり方、電波のあり方の見直し、電波利用料のあり方の見直し、そういう意味での環境整備をしたつもりなんで、そういうことの中で、この時限的な措置はその中で解消していきたい、こういうふうに思っております。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
横光委員 やはりこれは、地上デジタル化という国策というのが大きな契機になるんですね。そこのところで、国策でやる以上、国費でやるということをやはり放送局全体がお願いをしたいというところからこの電波利用料の問題に私は来たんだと思うんです。ですから、抜本的に制度そのものを見直す大きな時期が来たということは私も認識しておるんです。
 ただ、やり方が、国費でやる、電波利用料でやると言っていながら、結局、それが次から次へと上げられる、放送局全体だけに上げられる。それは確かに、不公平という形ははっきりしていますよ。〇・八%という、これだけ携帯無線局が圧倒的な中で、では放送局の負担がそれでいいのかという問題もあるでしょう。そういった一貫性というものがとても感じられないところに放送局全体の不信感が出てくるんじゃないかという心配をしておるわけですね。
 その一つは、追加額を政令で決められるということに今度なっておりますね。電波利用料の料額を法律と政令と両方で定めるということになっているんですが、この理由は一体何ですか。
有冨政府参考人 今回の追加料額でございますが、対象となるアナログ周波数の変更対策業務の内容あるいは受益の程度が明確であるということが一つございます。もう一つは、電波法の規定に明記しておりますけれども、具体的な算定方式、さらには料額を算定する際の勘案要素、こういったものも明確に規定をされているということがございまして、今回は、政令で定める料額について、国会で御審議をいただいた法律に基づいて明確に算定できるものということでお願いをしている次第でございます。
横光委員 余りよくわからないんですが。
 結局、過去の大臣答弁でも、電波利用料の料額は、電波利用共益費用であるが、この規模というものが政府の施策のあり方によっていろいろ流動性があることにかんがみ、国会で審査されることが適当であることから料額を法定している、いわゆる電波利用料の料額は法律で決める、こういうことになっているわけですよね。それが今回、政令で一部決めるという改正になっている。ここは矛盾しているということになりませんか。
有冨政府参考人 今先生言われましたように、今の電波利用料につきましては、対象となる具体的な事務がすべて法律に明らかにされているわけではない、あるいは事務に要する費用の規模が政府の施策により変わることがあるということで、国民にとって事務の内容や受益の程度、費用の程度を予見し得るものではないといったことにつきまして法定をするというようなことでございます。
 今回の追加料金につきましては、先ほど申しましたように、その対象となる事務の内容あるいは受益の程度が明確である、算定する際の勘案要素も法律に基準を示して予見もできるということで、分けて整理をしているということでございます。
横光委員 政令で定めるとしたことは、これまでの電波利用料制度の趣旨を見直して、新たな趣旨を持って改正することになると受け取られかねないんですが、そうであるならば、その趣旨を伺いたいと思います。今までなかった、政令で変えられるようにするということは、制度そのものの趣旨を変えるということですか。
有冨政府参考人 制度そのものを変えるというわけではございませんで、具体的な決め方について、どちらがなじむかというような観点で切り分けているということでございます。
横光委員 そもそもこの電波利用料の性格というものはどういうものかということなんですが、いわゆる税的な意味合いを持つものなのか、それとも手数料的な意味合いを持つものなのか、どちらですか。
片山国務大臣 今の法制上から見ますと、電波利用料は手数料的なんですよ。というのは、共益費用をみんなで分担するという考え方ですから。手数料は、基本的にはそういう考え方なんです。したがって、手数料は政令で決めるのが普通なんです。
 ところが、これは、手数料的なんだけれども、手数料そのものとも断定できないんですよね。手数料的なんだけれども、それを超えているあれがあるので国会で最終的に決めていただいた方がいいということで、今まで法定してきたんですよ。本当は政令でもよかったんですよ。ただ、電波利用料というのは単なる共益費用の負担でいいのかどうかという議論がありますから。国民の貴重な、限定された資源だとすれば、これをどうやって活用して、活用した場合にはどれだけ反対給付をもらうかということは、これは手数料を超えていますよ。恐らくそういう思想もあって法定したんだろうと思いますが、今回は法律で基準を書いたものですから、また、政令は法律の授権を得るものですから、そこは政令で、技術的なこともあるから政令にしてもいいんではなかろうかと。だから、手数料的なというところが今回政令になったんです。
 ただ、全体の性格は、私は大いに議論していく必要があるんではなかろうか、こういうふうに思っております。
横光委員 それは、手数料的な意味合いでなければ政令で決められませんよね。税だと、これは法律で決めるしかないんですから。そういった意味合いだとすると、またちょっと。
 いや、私は、確かに、税的な問題とは違うという、手数料的な意味合いということを今おっしゃいましたが、そうかなという気もしますよ。手数料的な意味合いでなければ政令で変えることができませんから、そういった意味合いを今おっしゃられたんじゃないかと。私は、電波利用料は手数料的な意味合いで果たしていいのかという気がしますよ。手数料的意味合いというのは、その対価に見合ったことに対して支払うことが、ある意味でははっきりとした手数料ですよね。そういったことで電波利用料を受け取っていいのかなという気がするんですね。
 電波利用料というのは、無線局の監理等の業務を実施するために電波の利用者である無線局の免許人から徴収するものですよね。例えが当たっているかどうか、私は、道路整備のための自動車取得税のように、ある程度目的税化している性格を有しているんじゃないかという気がするんですね、大臣とちょっと考えが違うんですが。
 今度の追加額が、いわゆる政令で、放送局にかかわる電波利用料額の追加が政令で定めることになってしまえば、この後、例えば、先ほどお話ししましたように、電波というのは特性からして何が起きるかわからない、新たな想像できないような事態、いろいろなことが起きることを考えれば、この経費が、また、あってはならないんですが、かさむことだってあり得る。そうすると、さらに放送局に対する追加徴収が政令だと簡単にできますよ、閣議決定すれば。そういったことになってしまう。私は、ここにまた放送局全体の不信感というものが出てくるんじゃないかと。
 私は、今回の改正で電波利用料額の負担がふえることについて放送事業者は十分納得しているとは思えない。大臣は一生懸命説得したというお話でございましたが、これを読みますと、NHKの意見では、アナログ周波数変更対策は国策であり、その対策経費は本来全額国が負担すべきである、電波利用料の大幅な値上げとなることはまことに残念だとかいう意見もあります。あるいは民放も、地上テレビ放送のデジタル化は国策であり、その経費は国費で賄うという国の方針からいえば、到底今度の値上げは納得のいくものではないと。あるいは、私の地元の大分放送でも、やはり経費は国費で賄うべきだと。そういったいろいろな放送事業者の意見が、今回のことに対して、やはりどうしても批判的で、あるいは不信感につながっているんじゃないかという気がしているんです。
 ですから、政令を改正し、さらなる放送局の追加徴収をする場合、こういうことは、今のお話ではもうないというお話でございました。なければ一番いい。しかし、絶対ないと言えないためにあの一文があったわけですね。これから変動もあり得るという一文を推進協議会は加えているわけです。ということは、ゼロということじゃないわけです。
 そうしますと、そういった追加徴収をする場合、もし仮にあった場合は、やはりこの手続の透明性というものは必要でございますし、放送事業者の不信感をぬぐうためにも、私は、閣議決定をする前に、やはり政令改正案を、この委員会で審議してくれれば一番いいんですが、少なくとも委員会に報告する必要はあろうというような思いを持っているんですが、大臣のお考えはいかがでしょう。
片山国務大臣 今の電波利用料の仕組みは電波法の中に書いていますよね、こういうことに充てると。それは、基本的には、今委員が言われましたように、電波の監視だとか監理の共同の費用を、免許を持っている人みんなに負担してもらう。法的にどうかと言われると、私は手数料だと思うんです。ただ、手数料を超えていると思いますから、そこで、政令でなくて法律にしてきた、ずっと今まで。
 今回は、時限的なことでありますし、事がはっきりしておりますし、基準は法律で書きますから政令に一部ゆだねたんですが、基本的には、私は、手数料だけれども、手数料を超えたものだと思いますので、電波利用料全般の見直しの中で、今後の決め方をどうするか。私は国会に決めていただいた方がいいと思いますよ。そういう意味では、基本的には、政令でなくて法律でいく、こういうことで検討してまいりたいと思っております。
横光委員 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと民主党の案にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回、民主党改正案の中で一番の大きなポイントは、無線局の免許手続にオークション制度を導入しようとするものであろうと思っております。午前中の質疑で、大臣はこのオークション制度についてまだまだ否定されましたが、私は、決して一概に否定される問題でもない、やはりこれは、これから中長期的には十分に考えておかなければならない制度であろうという気がいたしております。
 ただ、国民共有の財産である電波の関係、このオークション制度というものは、やはりメリット、デメリット、今のところ両方ありますよね。免許手続の透明性あるいは公平性は確かに確保されやすい。免許された者がはっきりわかるわけですから、電波を有効に利用しているか否かというのも明らかになる。非常にプラスの面もあるわけでございます。
 しかし、一方、このオークション制度も、欧州各国で、諸外国で導入されている例を参考にしますと、やはり、このことによって、結果的に、落札価格が高騰したために携帯電話各社の経営を逆に圧迫してしまっているという事態も発生しているということをお聞きしていますし、第三世代携帯のサービス開始をした国は少ない。私たちの国は、ドコモとかauとかJフォンとか、いろいろ第三世代の開発を目覚ましくやっておりますが、こういった高額で落札した免許の価格が、逆に通信料金の価格に転嫁されるんじゃないかという危惧も出てきたりするわけです。
 私は、プラスもマイナスもまだあるという気がしておりますが、それぞれある中で、民主党はどのような判断に基づいて導入を必要としたのか、お聞かせいただきたいと思います。
武正議員 横光委員にお答えをいたします。
 オークションは、諸般の状況から適当と認められる場合に初めて実施されるものでありまして、総務大臣、設置後は通信・放送委員会において、個別免許ごとに、御質問の観点も踏まえて、総合的かつ客観的に判断がなされることになるだろうため、御指摘の懸念には当たらないと考えております。
 さらに言えば、オークション制度は、従来の比較審査方式に比べ、行政手続の透明性、公正性の点でまさっていること、電波の有効利用を促進するに有効な方策であること、より電波を利用する新たな技術開発、産業やサービス事業の活性化、ひいては日本経済活性化につながると考えておりまして、特に、先ほど大臣がおっしゃったように、利用状況調査、昨年度から試験的に始まり、今年度から本格的に三カ年始まっておりますが、これをやる前に、やはり公的セクターは約四割ぐらい使っているんじゃないか、こういったところも、不用電波帯を返却してもらう一つの方式としてオークションは有効であろうと考えておりまして、英米でも、今度は電波政策の大幅見直しで、不用電波帯、これもやっていこうとしております。イギリス、アメリカ、ドイツの御懸念が先ほど来出ておりますが、フランス、イタリアはうまくやっている。
 それで、しかも今回、衆法は、全部オークションじゃない、一部です。そしてまた、先ほど局長の方から第三世代携帯のお話がありましたが、日本も、auは七百万台ですが、ドコモは十五万台ということで、まだまだこれからということでありますが、これは全世界的に第三世代携帯はまだ今進捗している状況といったこともありますし、そういったことでいいますと、私は、このオークションについては、やはり日本的に前向きにとらえることができるのではないか、工夫ができるのではないかと思っております。
 最後に一つ申し上げますと、総合通信基盤局長の諮問機関である電波有効利用政策研究会の一つの部会、電波利用料部会、電監審でも情通審でもないこの局長の諮問機関の一部会が、長年、十年間、オークション、日本はどうするこうすると、政府が、閣議が決定をしてきたオークション制度の是非を一部会がこのように断じております。総務省が言っております。その克服策、ヨーロッパのいろいろな懸念を克服しない限り、「現時点ではオークションというものを軽々にわが国に導入することは不適当であるというのが最初の結論であります」と。結論ありきというのは問題ありというふうに考えます。
横光委員 終わります。
遠藤委員長 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 最初に、先ほど大臣は、電波は国民の貴重な資源だ、財産だというようなことを言われたわけでございますが、今般の電波法の改正は、いわばそのハード面の整備をどうしていくかというところに主眼があるわけでございます。
 これに関連することとしまして、ちょっとソフト面のことにつきまして大臣並びにその他の方々の御意見等も拝聴していきたいと思ったわけでございます。
 そこで、三月二十五日の総務委員会、これは参考人の意見をお聞きした際なんですが、脚本家の、日本放送作家協会理事長でいらっしゃいます市川森一参考人のお話がございました。それに関連しまして、この市川さんの話ですと、大変テレビの番組について憂慮すべき発言がかなりございましたので、少し長くなるかもしれませんけれども、冒頭、それをちょっと御紹介しながら今後の対応等につきまして御所見をお伺いしたいと思います。
 テレビ放送が始まりまして五十年、その中で、この市川森一参考人でございますが、三十七年間の長きにわたりましてテレビドラマの制作に関与をされてきた、こういう経歴の方で、国民的に有名な方でいらっしゃることは御承知のとおりでございます。テレビのドラマを中心にした話ではございますけれども、この五十年間の歴史の中でかなり変遷があるというようなお話でございました。
 最初はディレクターの時代、それから脚本家の時代が来た、それからプロデューサーの時代があった、今では芸能プロダクションの時代というようなことが言われるようになってきたと。つまり、人気タレントを抱えているプロダクションが一番主導権と発言力を持っているというような中でこのテレビドラマというものがつくられているというような話であったわけです。
 去年でございますが、二〇〇二年、テレビ連続ドラマ、これは百六十シリーズがつくられたそうです。それから、単発ドラマが四百八十本つくられた。これは非常に多い数と思うかもしれないけれども、市川森一さんがおっしゃるには、驚くべきことに、その大半がサスペンスドラマであると。
 脚本の世界の第一人者がこういう表現で言っておられます。人間性の、真実とかそういうものを追求するものではなくて、滑った、転んだ、だれが犯人かというようなドラマが、主流というよりも、ほとんど全部と言ってもいいくらいの驚くべき状況を呈しておりますと。公共の電波を貴重な財産だと先ほど大臣もおっしゃられたわけでございますが、そういうような状態になっているということを言われておりました。
 これが基本的なところでございますけれども、その中で、いろいろドラマづくりにはお金がかかるというような流れの中で、どうしてもしわ寄せがだんだん脚本家のところに行くとか、要は、視聴率をどれだけ上げるかとか、そういうような観点からテレビ番組が制作されているということを主張されておられたわけでございます。そうなると、視聴率が上がらないものは全く切り捨てられる、これが現状だと。
 市川参考人は、たまたまテレビドラマという観点から言われたわけでございますけれども、想像するに、それだけではないだろうと。現状のテレビを見ましても、私はそのような受けとめ方をしているわけでございます。再三言いますが、貴重な国民の資産がどういう形で使われているかということの一端を市川参考人は主張されているんだろうというふうに思います。
 そこででございますけれども、市川参考人は、あくまでも脚本家という立場での御発言にとどめられているわけでございますけれども、こういうことまで言っておられるんですね。要は、脚本というものが余り重視されない状況の中で放送作家の社会的地位の向上というものをここ三十年間叫び続けてきた、しかし、実情はドン・キホーテ的な妄想というような感じであるというところまで言っておられます。国会の場で言われたわけであります。
 そういうようなことで、いろいろ意見はあるそうですが、その中で、先般の参考人質疑では、時間の関係がございまして、一つだけその場で言いたいというようなことでおっしゃられたことがございました。それは、こういうことを言われているんです。
 私ども放送作家は、シナリオ、放送台本の資料館が欲しいんです、つまり、シナリオのライブラリーというものがぜひ欲しいと。これは欧米にはある、日本にはないと言い切っておられます。これは本当に悲しい状況であるというようなことを言っておられるわけでございます。
 これは決して行政だけの問題ではないかもしれません。しかしながら、先ほど大臣がおっしゃられた、電波というものは国民の貴重な資源、財産であるというような観点に立てば、その世界の第一人者たる方が全く話にならない状態だと言っておられるということは、捨ててはおけない状況もあるのではないかというふうに思います。幾つかの提案の中で、せめて資料館をつくってほしいということを主張されておられました。私も、いろいろその際に御意見を拝聴していたわけでございますが、ああ、それほどひどいのかなと思って聞いていたわけでございます。
 それで、では実際に、今までのそういう脚本、どういうふうな状態になっているかということを言っておられましたけれども、ほとんど個人的なところでとってある、有名な、有能な作家の方が亡くなられた場合なんかは遺族に頼んでその脚本を預かってもらっている、あるいはその一部は自分たちが個人的に保管しているんですというふうなことまで言われておりました。
 そこで、ちょっと長くなってしまったわけでございますが、放送法五十三条というものがございます。これを見ますと、財団法人が今できているわけでございます。放送法五十三条で、財団法人放送番組センターというものがございます。これは、五十三条の二には、いろいろな業務を行うということになっております。
 あくまでもこれは放送番組に関するということだけでございますので、市川森一参考人がおっしゃられたこととすべて一致する範疇ではないかもしれませんけれども、こういう観点に対しまして、大臣、どんなふうな感想を、いわゆるテレビドラマ、番組等について、公共の電波という観点からとらえて、仮に第一人者がそういうような評価をしている現状というものがあるとすれば、表現の自由の問題もございますからそう単純な話とは私も思いませんけれども、大臣としてどのような印象を持っておられるか、御所見をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 私も、今お話しの市川森一先生の脚本のドラマなんかを時々見せていただきますから、そういう意味では存じ上げておりますけれども、放送番組におけるシナリオや放送台本の重要性、また、そういうものの保存のための資料館やライブラリーの必要性については十分認識いたしております。恐らく委員と同じ認識だ、こういうふうに思います。
 NHKアーカイブスを、あれは浦和ですか、つくられましたが、直接アーカイブの対象じゃないんでしょうけれども、何かそういう、これからの放送通信でもコンテンツの重要性ということは盛んに言われておりますから、それを保護して利用する何かの仕組みを、いろいろ著作権や何か難しい問題はありますけれども、そういうものを乗り越えて何か仕組みが要るのかな、こういうふうに思っておりますし、こういうライブラリーができれば大変いいと思いますね。
 ただ、だれがどういうお金でどういうふうな責任を持ってやるのか、難しい問題がございますので、我々としても何ができるか、放送法所管の省として何ができるか、我々自身でも研究いたしますし、市川先生初め関係の皆さんの御意見等をお伺いするということはやってもいいな、こういうふうに今思っております。
金子(善)委員 ありがとうございました。ぜひ、そういう観点で取り組んでいただければというふうに思います。
 大臣にちょっと聞いていただきたいと思いますが、ついでに、諸外国はどうなっているんでしょうかということを、私、市川参考人に質問してみました。そうしましたら、諸外国の場合は、市場ができているんだそうです。日本の場合は、大体テレビ局が直に、こういうものをつくってほしいというやり方をやっていると。ところが、欧米とか、特にアメリカの場合は市場ができていまして、一つの会社形態のところがシナリオをつくっている。したがって、そのシナリオをもっといいものにしていきたい、推敲していきたいという場合には、いろいろな人の手が入って、ですからアメリカの映画なんか、ドラマでも何でも、脚本家というのは、一人だけじゃなくて何人も出てくるというふうなことを言っておられました。
 ちなみに、これは映画だと思うんですが、「サイン」という映画がつい最近日本でも放映されまして、これは四億円というシナリオの料金がかかったそうです。これは、そういうマーケットでシナリオが売買されていると。ですから、いいものは、高く、奪い合いになるということのようでございます。
 それで、米国のテレビの場合でもそうだというようなことを言っておられましたので、アメリカあたりでそういうような市場というものができて、日本のテレビの場合、なぜできないんだろうかと。その辺も、これはなかなか行政指導というのは難しい点はあるかもしれませんけれども、これは逆に言えば、放送会社、放送局、これは公共の、国民の貴重な電波を預かっているんだという意識をまず持ってもらわなきゃならないんじゃないか。私は、そこは日ごろから、テレビのドラマだけではなくて、いろいろな番組についてそのような感情を持っている一人でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、次に移らせていただきます。
 今度、いわゆる自己確認制度というものが導入されることになったわけでございますが、確かに、自己確認制度というものが導入されれば、言うまでもなく民間活力を最大限に引き出すというようなことになるわけでございますから、IT産業の活性化には非常に役立つということは理解できます。
 ただ、その場合でございますけれども、しかも、対象設備を限定するということまで言われておりますけれども、限定しても、いわゆる民間の、性善説に立つか性悪説に立つかによってまた考え方も違ってくるかもしれませんけれども、基準不適合機器というものが発生した場合に、それが後手後手に回ってしまうようなことにはならないのか、いわゆる消費者保護の取り組みについてどのようなことを想定されているのか、それをお伺いしたいと思います。
有冨政府参考人 お答えいたします。
 技術基準適合自己確認制度、これにおきまして、今度の改正で、国によります製品出荷前の基準適合性の審査が行われなくなるということで、消費者保護はこれまで以上に重要なものになるというふうに認識をしております。
 これまでの制度におきましても、消費者は、無線設備に付されたマークを見まして、それがあるかないかを見て、技術基準に適合しているかどうかは容易に判断できる仕組みになっておりますけれども、自己確認制度におきましても、この表示の仕組みは、同様に消費者が確認できるようにするというふうにしてございます。
 また、総務省におきまして、消費者から基準不適合機器に関する苦情等の情報を受け付ける窓口も新たに設けるということを予定しておりまして、もし、こういった消費者からの情報に基づきまして、自己確認が行われた無線設備について混信等の妨害のおそれがある場合は、総務大臣が報告徴収、立入検査等を実施する等いたしまして、その結果、必要に応じまして、製造業者等に対しまして、消費者に周知をし、回収、修理等を行うなど必要な措置をとることを命ずる、その事実を総務省から積極的に報道発表する等基準不適合機器に関する情報は公表するということによって、消費者の利益を図りたいというふうに考えておるところでございます。
遠藤委員長 金子委員に申し上げますが、せっかくいい御質問をなさっているわけですから、マイクを有効にお使いになられてはいかがでしょうか。
 どうぞ、金子委員。
金子(善)委員 失礼しました。
 これは一般的な質問ということになりますけれども、今回、大幅な変更がなされるわけでございますが、放送のデジタル化を実現した後、電波の有効利用というのは、我々にわかりやすく言っていただけば、どの程度進むのか、その辺を説明していただければと思います。
有冨政府参考人 地上放送のデジタル化が完了いたしまして現在のアナログ放送が終了いたしますと、現在の携帯電話の加入者数をほぼ収容できる幅に相当する空き周波数、周波数でいいますと百二十メガヘルツという幅になるわけでありますが、それを確保することが可能になるというような計算になります。一昨年七月、この周波数につきまして、周波数割り当て計画におきまして、移動通信などに割り当てるというようなこととしているわけでございます。
 従来、この周波数はアナログ放送のみに使われておったわけでありますが、デジタルテレビに加えまして、二〇一〇年ごろの導入が予定されております第四世代の移動通信等に使われるということでもございますので、有効利用が大幅に進むものというふうに考えております。
金子(善)委員 余りはっきりわかりませんけれども。
 それでは最後に、時間も参りましたので、総務大臣の決意と申しますか、お伺いしておきたいと思います。
 今回は周波数帯の確保というようなことが中心だと思いますが、今いろいろ言われておりますのは、関係企業の創意工夫を生かしていく電波の世界での規制緩和、これが今後のいわゆるIT産業の発展のためには欠くことのできないことじゃないかというようなことが言われているわけでございますが、この点につきまして片山大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
片山国務大臣 今金子委員が言われますように、やはりIT関連産業を景気回復の中核にする、こういうことが必要だと思いますし、今のGDPを見ましても、情報通信、放送関係はトップになっているんですね。百十兆、百二十兆と言われているんです。二番目の建設業が八十兆とか言われておりますから、そういう意味では、ぜひ今委員が言われたような観点が必要だと思います。
 そのためには規制改革が必要だということでございますので、例えば、ベンチャー等の企業や大学による新たな無線システムの開発を進めるために、免許期間が一年程度の短期間の実験局については無審査でやらせる、あるいは、地域的にいろいろな状況が違いますから、東京ではなかなか諸般の事情で規制緩和できないものでも地方によっては規制緩和をやる、こういうことで今いろいろ検討いたしておりまして、ぜひ、このIT産業、電波関連における規制緩和によって景気回復を図ってまいりたいと思っております。
金子(善)委員 終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 この際、武正公一君外三名提出、通信・放送委員会設置法案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。片山総務大臣。
片山国務大臣 通信・放送委員会設置法案につきましては、政府としては反対いたします。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより各案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。
山田(敏)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、民主党提出の電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案に賛成し、政府提出の電波法の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 急速な技術進歩に伴い、電波利用の需要は高まる一方であります。各国でも、周波数逼迫へさまざまな対応策が検討され、周波数への課金やオークション制度の利用も図られており、我が国でも早急に対応策を講ずることが不可避であります。電波政策の根本的な見直しによって周波数資源の有効活用を促し、産業の活性化を、さらなる技術開発の推進、物づくり日本の後押しを図ることが可能となるのではないでしょうか。
 電波の有効活用が進まず、技術の進展とともに電波不足が問題化した最大の理由は、これまで電波の経済的価値が認められてこなかったことにあります。電波を利用することそのものへの対価が課せられなかったことが、自発的な周波数の効率利用を妨げてきました。利用者間の負担の割合に大きな偏在があることもたびたび指摘されるところであります。
 また、電波の新規需要にこたえるためには、迅速な周波数の再配分が不可欠であり、それにはオークション制度の導入を可能とすることが適当と考えております。オークション制度は各国が工夫して導入してきており、我が国に合う形での導入は可能であります。
 政府案では、地上波デジタル放送スタートに伴うアナログ周波数変更対策費が当初の試算よりかさんだことを理由に放送事業者への電波利用料額改正がなされておりますが、本日行われた質疑によって、その積算根拠のずさんさが明らかになったところであります。このような見通しの甘さで、また論理的かつ明快な積算根拠なく電波利用料額が決定されているようでは、やはり不透明な裁量行政を指摘せざるを得ません。事業者の経営が、このような裁量に翻弄されてよいものでしょうか。総務省の裁量で電波利用料額が決定されることのないよう、独立した第三者が透明かつ公正にその料額を決めるべきであります。裁量行政の排除、ルール策定過程の透明化、急速な技術革新へ対応し得る迅速な意思決定、これらの要請にこたえ得る究極の解決策は独立行政委員会の設置にあるのです。
 なお、政府案にあります技術基準適合自己確認制度を新設すること、指定証明機関及び認定点検事業者の登録制度の移行については、規制緩和の一環であると評価し、民主党提出の電波法の一部を改正する法律案にも盛り込んでありますことを改めて申し上げるとともに、以上の考えをもって、民主党提出の電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案に賛成し、政府提出の電波法の一部を改正する法律案に反対する討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の電波法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、今回の電波利用料額の改定が、既に破綻が明確になっている二〇一一年に地上アナログテレビ放送を打ち切る前回の改正を前提にしたものだからであります。
 地上デジタルテレビ放送の進捗は、総務省自身の見通しから見ても既に二年近くおくれており、デジタルテレビの普及計画は到達不可能な目標であります。円滑なデジタル化のために、小手先の改正ではなく、二〇一一年地上アナログテレビ打ち切りを含む地上放送デジタル化計画全体の見直しを行うべきであります。
 第二は、今回新たに放送局に電波利用料を追加する根拠及びその利用料額の算定方法が、法律としての一貫性と客観性を欠くものだということであります。
 今回持ち出されたアナログ地上放送を円滑に継続できる受益という考え方が正しいものであれば、前回の法改正時に提案されていなければなりません。ところが、アナ・アナ変換費用の見積もりが大幅に狂ったことを理由に、新たな受益を後になってつけ加えています。まさに一貫性、客観性を欠く欠陥法案です。逆に、前回この受益を認識しながら見送ったのであれば、本来放送局から徴収すべき電波利用料を免除したことになります。放送行政の公平性だけでなく、言論機関である放送局への不透明な利益供与となり、放送行政の根本にかかわる大問題です。
 第三に、利用者、消費者からの不安が残っている段階で、無線機器の技術基準適合証明に係る規制緩和は認められません。
 なお、民主党提出の電波法改正案は、オークションの導入を内容とするなど考えを異にするものであり、反対ですが、通信・放送委員会設置法案は、放送行政の透明性の確保という観点から望ましいものであり、賛成です。
 最後に、改めて、破綻した二〇一一年地上アナログテレビ打ち切りを含む地上放送デジタル化計画全体の見直しを強く主張いたしまして、反対の討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより各案について順次採決に入ります。
 まず、武正公一君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
 次に、武正公一君外三名提出、通信・放送委員会設置法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五分散会


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