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第1号 平成15年10月3日(金曜日)

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本国会召集日(平成十五年九月二十六日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 遠藤 武彦君

   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君

   理事 八代 英太君 理事 安住  淳君

   理事 黄川田 徹君 理事 武正 公一君

   理事 桝屋 敬悟君

      浅野 勝人君    伊藤信太郎君

      岩永 峯一君    上川 陽子君

      川崎 二郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    滝   実君

      谷  洋一君    谷本 龍哉君

      野中 広務君    平沢 勝栄君

      平林 鴻三君    宮路 和明君

      吉田六左エ門君    荒井  聰君

      伊藤 忠治君    大出  彰君

      玄葉光一郎君    島   聡君

      手塚 仁雄君    中沢 健次君

      松崎 公昭君    山岡 賢次君

      山名 靖英君    若松 謙維君

      春名 直章君    矢島 恒夫君

      重野 安正君    横光 克彦君

      金子善次郎君

平成十五年十月三日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 武彦君

   理事 荒井 広幸君 理事 岩永 峯一君

   理事 佐藤  勉君 理事 八代 英太君

   理事 安住  淳君 理事 黄川田 徹君

   理事 武正 公一君 理事 桝屋 敬悟君

   理事 矢島 恒夫君

      浅野 勝人君    伊藤信太郎君

      上川 陽子君    川崎 二郎君

      左藤  章君    佐田玄一郎君

      滝   実君    谷  洋一君

      谷本 龍哉君    菱田 嘉明君

      平沢 勝栄君    平林 鴻三君

      宮路 和明君    山本 幸三君

      吉田六左エ門君    荒井  聰君

      伊藤 忠治君    生方 幸夫君

      大出  彰君    玄葉光一郎君

      島   聡君    手塚 仁雄君

      永田 寿康君    山岡 賢次君

      山名 靖英君    若松 謙維君

      春名 直章君    重野 安正君

      横光 克彦君    金子善次郎君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務大臣政務官     吉田六左エ門君

   総務大臣政務官      平沢 勝栄君

   総務大臣政務官      世耕 弘成君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)

      佐久間健一君

   政府参考人

   (人事院事務総局勤務条件局長)

      山野 岳義君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)

      森   清君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林  省吾君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  野村  卓君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三日

 辞任         補欠選任

  野中 広務君     菱田 嘉明君

  宮路 和明君     山本 幸三君

  中沢 健次君     生方 幸夫君

  松崎 公昭君     永田 寿康君

同日

 辞任         補欠選任

  菱田 嘉明君     野中 広務君

  山本 幸三君     宮路 和明君

  生方 幸夫君     中沢 健次君

  永田 寿康君     松崎 公昭君

同日

 黄川田徹君が理事を辞任した。

同日

 矢島恒夫君が理事に当選した。

同日

 理事林幹雄君九月二十五日委員辞任につき、その補欠として岩永峯一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

九月二十六日

 国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(玄葉光一郎君外四名提出、第百五十一回国会衆法第五八号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(玄葉光一郎君外四名提出、第百五十一回国会衆法第五九号)

 特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案(玄葉光一郎君外四名提出、第百五十一回国会衆法第六〇号)

 聴覚障害者の利便の増進に資する字幕番組の提供の促進のための放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(大畠章宏君外二名提出、第百五十三回国会衆法第三号)

 特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案(岡田克也君外八名提出、第百五十四回国会衆法第六号)

 地方自治確立基本法案(黄川田徹君外一名提出、第百五十六回国会衆法第二七号)

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(河村たかし君外四名提出、第百五十六回国会衆法第五一号)

 日本放送協会平成十三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

同月二十九日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院勧告)




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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 この際、去る九月二十六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更等に伴い、理事の辞任及び補欠選任を行います。

 まず、理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事黄川田徹君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任並びに委員異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      岩永 峯一君    矢島 恒夫君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

遠藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

遠藤委員長 この際、麻生総務大臣、山口総務副大臣、田端総務副大臣、吉田総務大臣政務官、平沢総務大臣政務官及び世耕総務大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 総務委員会の審議に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げさせていただきたいと存じます。

 総務大臣を拝命いたしました麻生太郎です。

 総務省は、御存じのように、国民生活に密着した、極めて幅の広い行政分野というものを所管しておる役所でもありますし、日本の行政の基本的構造に大きな責任を有する役所でもあり、小泉内閣が進める構造改革には、こうした立場から積極的に取り組む所存であります。

 行政改革につきましては、行政改革担当大臣等と連携をいたしつつ、特殊法人の改革、公務員制度の改革、また公益法人改革等に取り組んでまいります。

 また、治安部門、よく話題になっておるところでありますが、急を要する部門には適切に定員を配置し、さらなる減量、効率化につきましては、政府全体として定員のスリム化に努めるとともに、独立行政法人の事務事業の整理縮小に頑張ってまいりたいと思っております。

 さらに、各府省庁の政策評価結果の政策、予算等への反映、評価の質の向上、また、情報公開制度の適正な運用などを推進いたします。

 国家公務員の給与改定につきましては、去る八月の人事院勧告どおり改定を行うため、所要の法案を今国会に提出させていただいたところでもあり、ぜひ、各委員の御理解、御協力のほどをよろしくお願いを申し上げます。

 地方分権につきましては、地方にできることは地方にとの原則に基づいて、積極的に推進をいたしたいと存じます。特に、市町村合併につきましては、平成十七年三月の合併特例法の期限までに十分な成果が上げられますよう、引き続き強力に推進をいたしたいと存じます。

 地方税財政制度につきましては、おおむね四兆円をめどとする国庫補助負担金の廃止・縮減、また基幹税の充実を基本とした税源の移譲、そして、地方交付税の見直しから成ります三位一体の改革を進めてまいります。

 ITにつきましては、世界一安くて速いブロードバンド環境が実現をいたしました。今後は、いまだ不十分なその利活用を促進して、いわゆるコンテンツの利用を促進して、日本発の新しいIT社会の構築を目指しまして、早期に世界最先端のIT国家実現に取り組んでまいりたいと存じます。

 また、電子タグ、情報家電に代表されるユビキタスネットワーク、例の、いつでもどこでもどこからでもというユビキタスネットワークの実現や研究開発を通じまして、情報の安全、セキュリティー確保等に全力を挙げたいと思います。

 IT関連新規事業というものを創出していくというのは大事なところだと思いますが、競争環境整備の推進とともに、電波の再配分のための給付金制度の創設など、電波制度改革に取り組みます。

 また、本年十二月開始を予定しております地上デジタル放送の円滑な導入や、アジア・ブロードバンド計画などのIT国際戦略には積極的に取り組みたいと存じます。

 電子政府、電子自治体につきましても、インターネットでの多様な行政サービスの提供やIT化に対応した業務改革への取り組み、あわせて、その基盤となります行政機関個人情報保護法の施行に向けた準備を進めます。

 郵政事業につきましては、日本郵政公社の健全な経営が確保され、国民の皆様に信頼されるよう努めてまいります。

 今後の郵政事業のあり方につきましては、総理の方針に基づき、総理の懇談会の報告書にも示されているさまざまな論点につきましては、幅広く国民的議論を行い、利用者の利便性の一層の向上が図られ、職員が意欲を持って職務に取り組むことができ、かつ国全体の観点からもプラスとなるよう、積極的に貢献をしてまいりたいと思っております。

 消防行政につきましては、大規模地震等に対する対策を強力に推進いたします。大規模災害における緊急消防援助隊の緊急対応体制の充実等、消防防災全般にわたる施策の充実強化を図りたいと思います。

 副大臣及び大臣政務官ともども、全力を尽くしてまいりますので、遠藤委員長初め、理事、委員の皆様方の特段の御指導をよろしくお願い申し上げて、ごあいさつにかえさせていただきます。(拍手)

遠藤委員長 次に、山口総務副大臣。

山口副大臣 このたび総務副大臣を拝命いたしました山口俊一でございます。

 麻生大臣を懸命に補佐し、務めてまいりたいと思っておりますので、皆様方の御指導を何分よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 次に、田端総務副大臣。

田端副大臣 このたび総務副大臣を拝命いたしました田端正広でございます。

 麻生大臣のもと、しっかりと汗をかいてまいりたいと思いますので、どうぞ皆様方、格段の御指導のほどよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 次に、吉田総務大臣政務官。

吉田(六)大臣政務官 このたび総務大臣政務官再任をいただきました吉田六左エ門でございます。

 麻生大臣、山口、田端両副大臣、お支えを申し上げさせていただいて、委員会のスムーズなる運営、このことに努力をしていきたい。

 各位の格別なる御指導をちょうだいできますようにお願いを申し上げて、ごあいさつにします。

 ありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 次に、平沢総務大臣政務官。

平沢大臣政務官 このたび総務大臣政務官を拝命いたしました平沢勝栄でございます。

 皆さん方の格別の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

遠藤委員長 次に、世耕総務大臣政務官。

世耕大臣政務官 このたび総務大臣政務官を拝命いたしました世耕弘成でございます。

 麻生大臣、山口、田端両副大臣を補佐して、全力を尽くしてまいりたいと思いますので、皆様方の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

遠藤委員長 次に、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 去る八月八日の一般職の職員の給与についての報告及び給与の改定に関する勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁中島忠能君。

中島政府特別補佐人 本年八月八日に行いました人事院勧告について御説明いたします。

 まず、職員の給与に関する報告及び勧告について申し上げます。

 本年四月時点における官民の給与較差がマイナス四千五十四円、率でマイナス一・〇七%となったことを踏まえ、俸給については、すべての級のすべての俸給月額について、平均で一・一%引き下げることといたします。

 また、諸手当については、民間の支給実態等を踏まえ、配偶者に係る扶養手当の額を五百円減額して一万三千五百円とし、自宅に係る住居手当を新築・購入から五年間に限定することといたします。

 通勤手当については、交通機関等利用者の手当額の算定方法を低廉な六カ月定期券等の価額による一括支給に改めるとともに、全額支給限度額を五万五千円といたします。また、自動車等使用者に係る手当について、民間の支給実態に合わせた改定を行うこととします。

 調整手当の異動保障については、いわゆるワンタッチ受給を防止するため、調整手当支給地域における在勤期間が六カ月を超えることを異動保障の支給要件とします。また、激変緩和という異動保障の趣旨を徹底するため、支給期間を二年間に短縮し、二年目の支給割合を現行の八割に引き下げることとします。

 ボーナスについては、民間のボーナスの支給割合との均衡を図るため、支給月数を〇・二五月分引き下げることとします。

 実施時期については、公布の日の属する月の翌月の初日としておりますが、通勤手当、調整手当については平成十六年四月一日から実施することとします。なお、官民較差相当分の解消については、昨年の国会の附帯決議等を踏まえ、四月の給与に官民較差の率を乗じて得た額を基本とし、十二月の期末手当の額で減額調整を行うこととします。

 このほか、寒冷地手当について、速やかに全国的な支給実態の調査を行い、その結果を踏まえた検討を行うこととします。

 次に、公務員制度改革に関する報告について申し上げます。

 公務員制度改革が国民の批判に正面からこたえ、国民から支持される実効ある改革となるためには、各方面でオープンな議論が行われる必要があり、こうした議論に資するため、公務員制度改革が向かうべき方向性などについて見解を表明いたしました。

 具体的には、試験や研修等を初めとする公務員人事管理の中立公正性、労働基本権の制約下における代償機能の適切な発揮の仕組み、能力等級制の議論の前提となる事項、天下り問題などについて見解を表明しております。

 以上、本年の報告及び勧告の概要を御説明申し上げました。

 総務委員会の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に深い理解を示され、この勧告を速やかに実施していただけるよう衷心よりお願い申し上げます。

遠藤委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。

     ――――◇―――――

遠藤委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。

 本年八月八日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出をされております。政府といたしましては、その内容を検討いたしました結果、勧告どおり実施することが適当であると認めております。一般職の職員の給与に関する法律等について所要の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職給与法の改正について申し上げます。

 第一に、俸給表のすべての俸給月額を、人事院勧告どおり改定することとしております。

 第二に、扶養手当につきましては、配偶者に係る支給月額を一万三千五百円に引き下げることとしております。

 第三に、期末手当の支給割合を年間〇・二五月分、期末特別手当の支給割合を年間〇・二月分、それぞれ引き下げることとしております。

 第四に、職員がその在勤する地域を異にして異動した場合等における調整手当について、その支給要件を六カ月を超える異動等に限るとともに、その支給期間を異動等の日から二年間に短縮し、さらに二年目についてはその支給割合を異動等の前の八割に減じることとしております。

 第五に、通勤手当につきましては、交通機関等利用者に係る手当を、六カ月を超えない期間を単位として一括で支給すること等としております。

 このほか、初任給調整手当、住居手当及び非常勤の委員等に支給する手当について、人事院勧告どおり改定することといたしております。

 次に、任期付研究員法及び任期付職員法の改正について申し上げます。

 第一に、任期付研究員及び特定任期付職員に適用する俸給表のすべての俸給月額を改定することとしております。

 第二に、期末手当について、支給割合を年間〇・二月分引き下げることとしております。

 以上のほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定をすることとしております。

 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。

 本法律案は、特別職の職員の給与につきまして、一般職の職員の給与改定にあわせて、所要の改正を行おうとするものであります。

 すなわち、内閣総理大臣等の特別職の職員の俸給月額及び期末手当等について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うほか、この法律の施行期日等について規定することとしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げる次第です。

遠藤委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官春田謙君、人事院事務総局人材局長佐久間健一君、人事院事務総局勤務条件局長山野岳義君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省自治行政局公務員部長森清君、総務省自治財政局長林省吾君及び総務省郵政行政局長野村卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 麻生大臣の就任のあいさつに対して、特に地方分権、後で武正議員からも議論があろうかと思いますけれども、時間があれば少し郵政の話をさせていただきたいというふうに思います。

 まず冒頭、麻生大臣は、ことしの八月二十七日、二十一世紀臨調の知事・市長連合会議という、岩手県知事を初めとする方々が国庫補助負担金の見直しに関する緊急提言というのを出された、それを恐らく読まれたと思いますし、直接要請を受けたのではないかというふうに思います。

 簡単に内容を申し上げれば、平成十五年度予算では、都道府県に対しては国庫補助負担金の総額が約十一兆円だ、その十一兆円を精査したところ、九兆円について、十一兆円のうちの九兆円について廃止をして、そのうち八兆円を税源移譲してくれ、こういう内容でありますけれども、これをどういうふうに受けとめましたか。

麻生国務大臣 直接要請を受けたわけではありません。まだ着任をして四日か五日ですから、とてもさようなわけには、そこまでいっておらぬのですけれども。

 この考え方につきましては、地方分権改革推進会議が示しております十一項目に含まれております国庫補助金等について、あちらの方では、簡単に言えば十一兆の八兆というので、これは全体で二十一兆円の話なんだと思いますので、そういった意味では、私どもとしては、四兆に比べて十一兆の方がより積極的なんではないかというところが多分おっしゃりたいところなんだと思っておるんですけれども。

 この内容というものは、実にいろいろなところがありますので、この数字の表、これだけ玄葉先生に渡して。この数字を渡してもらった方が話が早いから。ほかの方に回すと、ちょっと経費がかかりますので、一枚だけで勘弁してください。あとはコピーをそちらでいただいていただければいいと。この図を見ていただくとわかりやすいんだと思うんですが、社会保障関係費というものが、全体の二十兆四千億のうちの実に十一兆を占めておるというのが実態なんです。この実態の中からいきますと、これはなかなかさわれぬ部分なんだと思うんです。

 その左側の黒い部分のところを見ていただくとわかると思うんですが、その十一兆一千億円というのは、これはちょっとなかなかさわりにくい部分だろう、当然のこととしてそう思われます。また、右側の方に、約九兆円のものがそこに入っているんですが、その中で、義務教育の負担金とか、また、いわゆる政府で決めた負担金というのが、義務として与えている部分がありますので、その意味からいきますと、簡単になかなかいけないところでもあります。

 私どもとしては、この国庫補助金の見直しというのは、これは個別に徹底的に洗わにゃいかぬことは確かなんですが、同時に、補助金の大半、というのは、これは法律で決められている部分というのがありますので、これを義務として課している以上、きちんとしてそこで出さにゃいかぬということになりますので、何となくそこのところは簡単にはいかないところであることは、もう御存じのとおり。

 それを全部交付金に変えろという御意見もありますけれども、一部の知事の方も言っておられることも知らないわけではありませんが、内容の見直しを全然しないで全部交付金で渡しちゃうというのも、またいかがなものかというところでもあります。これは、向こう三年間の間に四兆円というのを政府としては目指しておりますので、いろいろ内容をきっちり洗った上で、四兆円以上いけるものならいきたいところでもありましょうし、また、政府として削ったはいいけれども、地方はそれによって丸々どうにもならなくなったというのでは、これは成り立たないことになりますので、よくよく詰めた上で事を進めていきたいと思っております。

玄葉委員 各知事さんたちが現場感覚で、私の名前も玄葉ですが、現場感覚でまさに積み上げてこの結論を出したんだと私は思います。尊重したいと思います。

 二十・五兆あるいは計算の仕方によっては二十一兆、補助金とか負担金が確かにあります。都道府県に来ている十一兆のうちの九兆円を見直しの対象にしよう、これを積み上げてそういう結論を出したということは、どういうことかということをよく考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。

 民主党も、実は、市町村分も含めて、都道府県は、都道府県に来ている国庫補助負担金を対象にしましたから十一兆円ということなんですけれども、社会保障費を単純に抜いたということではなくて、市町村分を入れれば確かに、国保とか老人医療とかあるいは介護保険とかということがあります。だけれども、そういう保険だって、保険の再編の仕方によっては、額は削減できないけれども、それぞれ地域の責任ですよということは、これから言うことは可能だと思うんですね。

 ですから、二十兆あるいは二十一兆全体をまず真っさらな気持ちで見直しの対象にして、我々民主党は、十八兆円、対象になると思っています。例えば生活保護だとか、そういうのは対象にならない。あるいは災害だとか、そういうものも対象にならないけれども、十八兆は十分対象になり得る。そのうち、財源を使って五・五兆は住民税に所得税から振りかえる。残りの部分について、さっき大臣がおっしゃったように、交付金に変えていこうじゃないか、こういう考え方なんです、基本的な考え方は。

 政府の四兆円というのは、確かに余りにも絵が小さいというのか、一体どういう、国と地方の関係というか、国家像を描いて四兆円という数字を出されてきているのか、私にはわからないんですね。

 私の演説ばかりしてもしようがないんですが、先般も北欧に行きました。ノルウェーとかフィンランドという国は、人口が四百万人台とか五百万人台ですね。北海道は五百六、七十万ぐらい、たしかあるんじゃないですか。緯度は北欧の方が高い。一人当たりの所得水準は、それぞれ豊かか豊かでないかという議論はあるけれども、一定のレベルに達している。黒字も出している。

 何が言いたいかというと、一定の人口があれば日本人なら間違いなく、三百万、四百万あれば国家経営できるぐらいの人材、資源というのはあると私は思っているんですね。すべての都道府県で外交、防衛をやれと言っているわけではもちろんありません。そのぐらいに考えて制度設計をするぐらいの気持ちじゃないと、本来持っている地域の潜在力というのは発揮できない。私は、今の日本政府というのは、残念ながら、その潜在力にふたをしてしまっていて、そのふたをあけてあげればいいんだけれども、ずっとふたをしている状態にあるというのが今の日本の政治の現状だと私は思っているんですね。

 だから、何で四兆円、一歩一歩着実になんて言っている、そういう麻生大臣の時代認識には私は思えないんですよ。今までの御発言を聞いていて、こんなレベルで満足するような麻生さんじゃないと思っているんですけれども、どうですか。

麻生国務大臣 所変われば品変わるという話があるところかもしれませんけれども、今言われたお話ですけれども、その十八兆の数字の中を全部洗ったわけではありませんので、玄葉先生の言われるように、それがちょっと、今すぐこの場でいいとか悪いとか申し上げるわけにいかないんですが、今、知事会の方に、知事会としてどういう案があるんですか、これは政府としては四兆円と言っている、おたくじゃどうですかと。ほかに、全国市議会議長会とか県会議長会とか市町村長会とか、いろいろ、六団体ありますので、ぜひ、どういう案にすればいいと思うんですという案はそちらの方で出してもらいたいということで申し上げておるところであります。近々いただけるそうですが。

 ただ、玄葉先生御存じのように、これは知事会の県知事さんの意見と市町村長会の意見とはかなりギャップがあるので、それはそっちでまとめなきゃだめよという話も同時にあわせて申し上げておるところなんです。これは、市町村と県との意見というのはなかなか違うんじゃないかなという勘だけはするんですけれども、もう少し詰めさせていただいて、今言われましたように、これがさらにできるのであれば、現場の意見というものは当然尊重されるべきものだと思っております。

玄葉委員 私が解説する必要はないんですけれども、結局、都道府県と市町村で一番違うのは、推測も含めて言うと、税源移譲したときの財政格差をどうするか、恐らくそこが一番だと思うんですよね。どこまで許容するのかということがあると思います。もっと言えば、都市部とそうでない地域と、財政格差の議論が一番違うんだと思います。そこは調整をどうするかというのは、まさに政治が最終的に決断をしなきゃいけないんだと思います。なかなか法律を、一つ一つの国庫補助金の見直しについて改正しなきゃいけないものもたくさんあるんだと。そのとおりです。だけれども、その法律を改正するのは政治なんですから、これは、やるかやらないかということだと思いますね。

 私は、研究者も入れて一つ一つ積み上げて、できるなと思いました。十八兆については、今の都道府県と市町村の能力でできるという判断をしました。ですから、麻生大臣、ぜひやってみてください。できるんですよ。

 だけれども、私は、残念ながら、総務省の多くの役人も実はできると思っているんだけれども、これは政治の問題だと思っているわけですね。当たり前です。やらなきゃいけない、あるいはやるべきなんだけれども、これは政治の構造上できるかできないかの話だ、こう思っているわけですよ。特に、今の自民党の構造でできるんですかと本音では思っているわけですよ、率直に言って。補助金をもらってきたから私を応援してください、全員とは言いませんけれども、そういう、選挙で積み上げてきたところが正直あると思うんです。私もかつて自民党にいたけれども、県会議員のときは。よくわかるんですよ。そういうことが全くできなくなるという話ですから。これは構造上できるんですか、やるんですかやらないんですかという話なんです。

 だから、民主党は踏み切ってやりますということを宣言している。これは確かに革命的です。大変なことも承知で言っている。だから、分権革命だというぐらいのことで、我々は、いわゆる政権公約というか、公約の中に盛り込もう、こういう考えであるということです。

 これは余りやっていこうとすると、時間がなくなっちゃって肝心なことが聞けなくなってしまうんですが、簡単に、端的に幾つか各論を聞きます。

 三年間で四兆ということですね。我々は全く絵が小さいということは先ほど来から申し上げていますが、例えば、じゃ、この四兆円もどうするのか。まさか、補助金だけ削減して税源の移譲はしない、補助金の削減だけ先行する、こんなことは絶対あり得ないですね。イエスかノーかで結構です。

麻生国務大臣 三位一体と書いてありますとおり、これは三つ一緒にやらぬとどうにもならぬので、一部だけというような話ではない、そのように思っております。

玄葉委員 では、そのときの税源移譲は基幹税を移譲するということですが、何を移譲するんですか。

麻生国務大臣 基幹税というものの定義、基幹税という言葉はつくられた言葉であって、基本としたものがあるわけではないんですが、景気変動に余り影響を受けない税ということになりますので、消費税、住民税等々の景気変動を余り受けないという論をもって基幹税というように理解をしております。

玄葉委員 一つだけ、少し細かいんですが、確認のために聞いておきたいんですけれども、税源移譲するときに、例えば教育の国庫負担金、教職員の給与ですね、そういった義務的経費等については、移譲するときには一〇〇%移譲しますよ、削減しませんよ、こういうことを既に総務省として方針を発表しているというふうに聞いていますけれども、これは、例えば四兆円の補助金があって、半分の二兆円が義務的経費だったとしますね。では、その二兆円については丸々税源移譲の財源にしますよという単なるその意味なのか、マクロ的な意味なのか。いいですか、例えば○○県、教職員の国庫負担金だったら県ですね、○○県にとって、確実にその義務的経費は今までどおり各自治体にとってミクロで見て確保されるという意味なのか。どっちなんですか。

麻生国務大臣 法律で決められておるという前提に立っておりますので、義務的経費につきましては、決められた額を決められたように渡すことになります。

玄葉委員 市町村合併の話でありますけれども、先ほど市町村合併に特に力を入れていくというあいさつがありましたが、今、法定協議会ができているところが五割を超えているということのようでございます。まさに平成の大合併の感があるんですけれども、我々民主党も、市町村合併は基本的には推進です。ただし、プロセスを大事にしよう、合意形成過程を大事にしよう、こういう立場でいます。

 ただ、どうも総務省あるいは政府から漏れ聞いたところによると、あるいは新聞報道等とかで拝見すると、人口一万人に満たない自治体について、合併しない場合は、事務を半減して、あるいは事務権限を縮小して、都道府県に代行させるか、もしくは強制的に編入するんだ、こういう方針をとろうかということのようでありますけれども、そういう方針でいくんですか。

麻生国務大臣 今、いわゆる三千百と言われる資料があるんですが、今そこに紙をお渡ししたと思うんですが、これでいきますと、簡単に言えば、人口五千人未満のところですと、その一番左側になるんですが、一人当たりの財政支出が約百万円を超えるということになります。それがずっと下がって、一万人ぐらいになると、四十万、四十三万八千円と書いてあるんですが、それがだんだん下がっていって三十万前後で落ちつくんですが、さらに五十万を超えると逆にまた上がり始めるという、これは財政支出の一つのカーブなので、そういった意味では、約一万人ぐらいを上回るようになると、大体百万かかったものがその半分ぐらいになるという、財政支出の目安としてこういったものがあるということを前提にして考えておりますが、これは御存じのように、小さなところもいっぱいありまして、二町十何村全部集めて一万何百人とかいうので、面積だけからいってめちゃくちゃ広いというような話は、人口比だけでやるのはいかがなものか。

 まあ人口比だけでやりまして、選挙区の端から端まで六百三十キロになったという、東京から神戸までが一つの選挙区みたいになった。北海道にもそういったところはできましたので、何だか人口比だけでやるというのはかなり問題があることは確かだと思いますが。

 ただ、行政経費としてはかなりいろいろな差が出ますので、できるだけということをやっておりますが、今私どものところも似たようなものを幾つも抱えているんですが、なかなか名前が、どうもこの名前じゃ気に入らないとか、あいつが市長の下では絶対やりたくないとか、個人的感情が根っこにあって、表向きは別の理由でくっついていますのが、私らのところも選挙区でいえば四市十六町あるんですけれども、なかなか、強引に旗を振っているのは私とほか数名というようなところではありますけれども、それでも一応立ち上げることは立ち上げております。

 やはりいろいろな意味でこれは大きな事業だと思いますので、事業として考えていただくぐらいかなり優遇措置ができておりますので、その優遇措置の間にやっていただくように御理解を得たいと思っております。

玄葉委員 要は、合併しない自治体、例えば一万人とはっきりしなくてもいいんですが、一万人前後、未満みたいな人口規模で、どうしても戦略的に合併しない方がいいというふうに判断をした自治体なんかも出てくるわけです、これから。そういう自治体についても、いわば先ほど申し上げたような事実上の、強制合併をしないというのはわかりますけれども、事実上の強制合併、つまり事務権限を縮小したり、あるいは強制的に将来編入する、こういう方針でいくんですか。

麻生国務大臣 強制的にするつもりもありませんし、これはやはり基本的にはみずからやっていただくので、三千人のまま名前にこだわったり、いろいろな理由で、その地域の歴史的な理由もあったりして、こだわったところでどうしてもなるところは出てくることもこれは十分考えられると思っています。

 私どもとしては、そういった経営基盤というもの、昔でいえば中学校一個なきゃだめとか、いろいろ基準があったんだと思いますけれども、そういった組織機構というようなものを簡素なものにすることをして、私どもとしては、こういったものを考えて、幾つか合併したところが出ますと、隣が合併した、うちはしなかったと。合併したところの方がよく見えたら、やはりおれのところも合併したらええなという気に、本人というか、村長、町長ではなくて、そこの町民、村民がその気になって、合併の機運が盛り上がってくるということが一番の私どもとしての期待なので、その方がいいなと。

 しかし、やはり、ほら合併してみろ、あんなことになったじゃないか、合併しなかった方がよかったなということになるんであれば、それは合併せぬことになるんですが、その場合は、何で合併した結果が悪くなったかという点は、これは対応として、この点が問題なんだという点はやはり合併した方も対応しないといかぬところだと思いますので、少なくとも今言われたような点で、強制的にどうするとか、差別するとかなんとかするというようなことを意図的にやるつもりはありません。

玄葉委員 では、強制はしない、事実上の強制もしないということですね。

 一問だけ郵政について聞かせていただきたいと思いますが、麻生大臣は、小泉首相の民営化という方針には賛成だ、こういうふうに発言をされているわけでありますけれども、総理の、民営化の中身については触れていない、しかし、スケジュールについてだけは触れているこの方針。来年秋までに具体案をまとめる、二〇〇七年四月から民営化する、こういうスケジュールだけは具体的なんですけれども、このスケジュールどおりやるんですね。イエスかノーかで結構です。

麻生国務大臣 イエスかノーかであれば、スケジュールに沿ってやりたいと思います。

玄葉委員 もう一つ。総理大臣は、首相は、郵政民営化を自民党の総選挙の公約にする、こういうふうに言っているわけですが、麻生大臣も同じ考えですか。

麻生国務大臣 これは、ついこの間まで政務調査会長をしておりましたので、それを、公約をつくる方の立場にいたときの習慣がまだ抜けていない点も多々、なきにしもあらずですが、私としては、これは大変やろなという感じは正直いたしますので、よくよくこれは国民的論議を踏まえにゃいかぬと、総理もこれは所信で言っておられますので、その点はぜひ入れた上でということなんだと思っております。

 これは、よくよく御存じの上で聞いておられるのであれなんですが、やはり、三点、四点はきちんとしておかないかぬと思うんですね。民営化したら民営化した方がよかったと言われるようなものでないと、民営化の目的は、民営が目的ではなくて、民営化は手段と思いますので、民営化をする以上何かよくなったということにならないと、サービスが前より悪くなったのでは、利用しておられる国民は全然意味がありませんので、そういった意味では利便性の確保。

 それから、そこに従業員約二十八万人、それから、ゆうメイトと言われる、いわゆる補助でいろいろやっておられる方が約十二、三万はいらっしゃると思いますので、それでいくと約三十数万。家族を掛けますと約百万弱の従業員の生活の安定というのもありますし、やはり国全体としてのメリットというようないろいろなことを考えて、それがみんなプラスになっていくということにならないとなかなかこの話は具体的にはならぬと思いますので、どうやればそういったものが具体的になれるかというようなところが、何となく、経営感覚が全然ない人がつくった経営書というのは余り当てにしちゃいかぬものなので、経営感覚というものをある程度入れたところで、皆さんの御期待に沿える民営化というのが望ましいと思っております。

玄葉委員 そうすると、条件つき民営化みたいな感じで公約に書き込むべきだ、こういうことですね。

麻生国務大臣 これから先は、実際、もう公約を書く立場に私なくなりましたので、これはちょっと、総務大臣としての発言、いや、それは個人としてと言われても、やはりここは総務委員会で聞かれておりますので、総務大臣として、党としての公約にどうのこうのと言える立場にはもうなくなりましたので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。

玄葉委員 それは麻生大臣、わかっておっしゃっているんだと思うんですけれども、違うと思うんですよ。つまり、政党が内閣を組織しているわけでありますから、それは言い逃れになってしまう。担当大臣、与党を代表して担当大臣になっていて、担当大臣のまま総選挙を迎えるわけですから、これは麻生大臣として、郵政民営化を自民党の公約に入れるか入れないか、責任を持って発言をしていただきたいと思います。

麻生国務大臣 一面当たっていると思いますけれども、同時に、逆に言わせていただくと、これを担当いたします委員会との詰め等々はきちんとしたわけではまだありませんので、今の段階で答えられるという段階にはありません。

玄葉委員 私は、正直、この歯切れの悪さは、私、べた褒めしているようですが、ある面で麻生大臣のまじめさだと思うんですよ。いや、そういうことだと思うんです。つまり、小泉さんは、公約は大したことない、こう言っちゃったわけですね。だけれども、公約というのは重いんでしょう。ある意味では重いから言えないと私は解釈しますよ。重いから言えないんだと。

 つまり、選挙の前にそれを約束するということは、各公認候補者はその実現に連帯責任を負うというのが、当然公約の本来のあり方ですよ。だから、多分、麻生大臣は政調会長をおやりになられていて、とてもとても各公認候補者が郵政民営化の実現に連帯責任を負えるものではないだろう、こういう判断があるから、私は歯切れが悪いというふうに判断するんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 結構歯切れよく答えているつもりなんですが、なかなかそういうぐあいに御理解いただけないところは残念ですけれども、立場として言わせていただければ、今申し上げた以上のことにはならないと思います。

玄葉委員 これ、ぜひお考えいただきたいんです。

 先ほど申し上げたように、公約は重いので、極端な話、その公約の実現に連帯責任を負えない人は、私は、政党はその人を公認すべきじゃないし、逆に言えば、その人は政党の公約実現に責任を負えないんだったら公認を辞退すべきだと、そのぐらいの選挙に次の選挙はしないと本物の選挙にならないということだと思っていますから、ぜひ、公約になるときには、内閣はもちろんだけれども、担当大臣として、与党と内閣というのは本来一致していなきゃいけないわけですから、与党全体、特に自民党の選挙公約であれば自民党全体をまとめてから出してほしい、このことを最後に申し上げたいと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 ごもっともな点もあろうかと思いますので、努力はもちろんいたします。

 国民的論議を踏まえてというところが一番肝心なところで、国民的論議を踏まえるという点につきましては総理の所信表明でも何度か言っておられますので、そういったところも踏まえて公約を実現するということなんだと思っております。

玄葉委員 終わります。

遠藤委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 今、玄葉委員から触れておりましたこの郵政事業の民営化について、まず冒頭お聞きをしたいと思います。

 大臣は、当初の記者会見では正直に難しいというような会見をされ、過日の予算委員会ではそれを訂正したというふうに私は理解をしておりますが、総裁選の公約を政権公約にすると明言をしている小泉首相、その政権公約では、平成十九年四月民営化をすると。来年の秋ごろまでに民営化法案をまとめ、平成十七年、通常国会に改革法案を提出する、これが総裁選の公約でありましたが、先ほど大臣言われたように、所信表明では「国民的議論を行い、」という文言が挿入をされておりまして、これはお得意の、総理・総裁の最初に花火を打ち上げておいてだんだん落としどころを探っていくやり方かなということで、この郵政事業民営化がどのように自民党の政権公約に盛り込まれるか注視をしておるんですけれども、具体的に総裁選の公約に示された十九年四月民営化、再来年通常国会法案提出、こういった年次を明示しての郵政事業民営化には賛成ということでよろしいでしょうか。これを、大臣と、郵政事業懇話会事務局長もお務めであった、今もお務めである山口副大臣にお伺いします。

 そしてまた、あわせて、来週の六日には自民党も政権公約を発表するということが新聞で書かれておりますが……(発言する者あり)まだですか。自民党政権公約委員会からどうですかと、担当大臣として、あるいは郵政事業懇話会事務局長でもある山口副大臣、聞かれたら何とお答えになるのか。

 年次を明示しての郵政事業民営化に賛成か否か、そしてまた、自民党政権公約委員会からお尋ねがあったときにどうお答えになるのか、これをそれぞれお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、国民的論議を踏まえというところでやっていかないかぬと思っておりますが、期限を切るというのはマニフェストとしては正しいということを民社党が言っておられますので……(発言する者あり)民主党、済みません。十九年までと言って年次を切ってというのは、一つのやはり出口がそこに決められた上でやるという手法というのは、決して間違っているとは思いません。

 ただ、それまでにできるかどうかというのは、かなり膨大な、多分、法律としては、紙でいえばこんなものでおさまるかなと思うぐらいのものですから、それはなかなか簡単にはいかぬだろうなという感じはいたしますけれども、民営化という方向は、これは小泉内閣の方針として既に決まっておりますので、その方向で最大限努力せないかぬものだと思っております。

武正委員 もう一点。聞かれたら。

麻生国務大臣 政党の方から聞かれたらと。聞かれたら、小泉総裁の線に沿ってぜひということを言われる立場です。

山口副大臣 お答えをいたします。

 実は、私、郵政担当ではない副大臣でありますが、たっての御質問でございますのでお答えをいたしますが、私も内閣の末席を汚しておる一人として、当然小泉内閣の基本方針に従って懸命に努力をするということには変わりはございません。

 また、郵政事業懇話会というふうなお話がありましたが、私的な勉強会の事務局長をしておりますけれども、検討委員会の方からは何のお話もございませんし、党の政策を作成するこれまでのいろいろな経緯を考えてみますと、恐らく聞かれることはないだろうと思いますが、聞かれましたら、当然、今大臣がお答えをしたとおり、私も内閣の一員でありますので、そのように御返事をしたいと思っております。

武正委員 予算委員会で大臣は枝野議員の質問に答えて、「今、内閣の一員としては当然だと思います。」と、「今」というこの言葉がついているんですね。これをどのように理解するのか。

 今は内閣の一員としては当然だと思うけれども、例えば小泉内閣がかわったら、あるいは我々が主張するように政権交代したら、それはまた違いますよということでの今というふうに私は理解したんですが、これはいかがでしょうか。この「今」について御説明いただけますか。

麻生国務大臣 「今」について今お答えを申し上げますが、「今」という言葉を言ったのがそんな、ちょっと余りそんな意識なく今と言ったんだと思いますが、内閣の一員としてという意味だと、文脈からいったらそういう理解が正しいと思っております。

 内閣がかわったらということは、全然私は期待しておりませんので、その点は答える必要がないと思いますので、その前の方のときに、仮に小泉総理が別の方にかわられたらどうなるかという御質問だと思いますが、いつのころかは別にして、仮に、それまでに国民的論議を踏まえて、これは民営化の方でいいではないかということになっておるかどうかというところが一番大事なところだと思いますので、もし、その段階で、これは挙げて反対というようなことになっていたらともかくとして、何となく私は、いろいろなところの理解を得られるような経営内容の詰めが全然できていないまま民営化という言葉だけが先に行っているのは極めて危険なんで、世の中、民営化したら前よりよくなったということでないといかぬので、そこのところの論議がないまま事が進んでいますので、そこらのところは責任ある立場としては結構きちんと対応せないかぬと思いますので、国民的論議を踏まえ、いいという段階になった場合は、当然、今じゃなくて、そのときになっても民営化という方向で進めていかないかぬものだと思っております。

武正委員 この政権公約とも訳されているマニフェスト、既に民主党は発表しておりまして、十月五日の合併記念大会でさらに踏み込んだものを、大きなテーマのものを掲げようとしておりますが、このマニフェストというのを、政権公約というような今新聞の訳し方なんですね。民主党でもそういうふうに使っているんですよ。政権をとったら民主党はこれをやりますよという言い方で政権公約と。

 そうすると、小泉政権の間はこれは有効だけれども、先ほど私が言ったように、後者は否定をされましたが、少なくとも自民党の中でもし政権が小泉さんからかわったら、これはほごにしていいんじゃないかというふうに理解している方がいるんじゃないかというふうに私は思うんですが、そういったことはないですよね。

 先ほど、国民的議論とかいろいろ言われましたが、少なくとも総選挙に当たって政権政党が示した公約、マニフェスト、政権公約という訳し方もありますが、これは国民に対する約束である、もし自民党政権が万が一続いたとしても、小泉さんがかわったとしても、当然生きていくということでよろしいですか。

麻生国務大臣 武正先生、常識的にはやはり法律がその段階では通っていると思われますので、法律が基本的には成立している、その法律の前にという話になるとまた別の話かもしれませんけれども、常識的には法律が通っておりますので、法律が通っておった場合は、仮に政権がAからBさんに同じ党内で移ったにしても、それはそのとおり施行、実行していくことになると思っております。

武正委員 先ほど玄葉委員が、民主党はこのマニフェストをこれから全議員に、ある面、守ることを誓約、具体的にどういうふうにやるのかわかりませんが、署名をさせるかどうか、あるいは、署名をさせて、このマニフェストを我々は守りますよということで、それを条件に公認を与えるというようなことも検討されているんですが、自民党の政調会長としてやってこられた麻生大臣でありますが、今、自民党ではそういうような検討はされているのかどうか、教えていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 昔、共和党でしたか、ニュート・ギングリッチというアメリカの人がいたんですが、今どうしたか、やめたかな、これが、国民との契約というのを、コントラクト・ウイズ・ザ・ネーション何とかいう、ちょっと正確な訳は忘れましたけれども、そういったのをやって、今言われたような話をされて、結果的に余りうまくいかなかったんです。

 ちょっと、内容が今どの程度詰まっておるか、正直、この四、五日、全くあれがわかりませんので、今の段階で党の中がどうなっているかということに関して、お答えをするべき資料というか情報を持っておりませんので、ちょっと答弁いたしかねます。

武正委員 民主党はそういう方向でやろうということでありますので、今回、自民党も大英断というか決断をされて、与党としても、きょう本会議で法律を通して、次期衆議院選挙で選挙期間中マニフェストを配れるということになるわけでございますので、主要大臣そしてまた前三役ということのお立場もありますので、麻生大臣にはぜひそういった、党として、このマニフェストをやはり各議員が守る、これを当然掲げて選挙を戦うということを自民党にもしっかりと働きかけをしていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第です。

 さて、麻生大臣は、これまで政調会長としても盛んに、景気回復を優先しその後構造改革をと、自民党の二〇〇一年総裁選、小泉総理と争ったそのときにも掲げ、その後さまざま財政出動の必要性を言ってこられました。特に、ことしの三月には、予算委員会で予算案の審議中であったので、私どもの岡田幹事長からは当然、おかしい、この時期にという発言をしましたが、五兆規模の補正予算が必要、こんな発言もされたんですが、今もってそのお考えに変わりがないのかどうか。

 加えて、五兆補正予算であれば、その財源はどのように考えておられるか、お答えいただけますか。

麻生国務大臣 三月と比べて、この半年の間にある程度変わったものは株価だと思っております。また、資産価格の下げ幅が大分おさまってきたというところも二つであります。機械受注が大幅にふえて、結果として設備投資もふえてきたというようなのは、この半年間の中における景気状況の一番の違いだと思っておりますが、これはこのままほっておけばそのままずっといくような基調かそうでないかというところが、一番意見の分かれてしかるべきところだと思います。

 私の感じからいけば、株価が上がっているほとんどの理由は、外国人の買い、日本人の売りという形になっておるのが、あの株が上がっております大きな、きのう二百六十五円ぐらい上がっていましたけれども、また、そういった内容を見ますと、日本人の方はいま一つ行こうというところまで行っておらぬのかなという感じがしておりますし、機械受注がふえますと六カ月後には設備投資が上がってくるというこれまでの傾向値からいきますと、ほたっておいてもというほど力強いかといえば、そこまでは行っていないような感じがしますので、今の段階でちょっと判断を最終的に、三月に比べればよくなっていることは確かですけれども、だからといって、やめればいいかというのは、もう少し七―九の話が出てこないとちょっとよくわからぬかなという感じであります。

武正委員 財源についてはお触れになられませんが、私の言いたい点は、国債発行をこれ以上続けると、やはり国債の暴落、この危険がある。長期金利のこの九月の上昇、これをやはり大臣は、過去、九四、五年、五、六年ですか、いや、二パー、三パー大丈夫なんだよ、このような発言をされていますが、片や、内閣で竹中大臣は、やはりこの金利上昇のリスクということを指摘している。

 私もやはり、この長期金利のこれからの上昇、これに基づく国債の暴落、これの懸念が大変国債を持っている団体には、機関には大きいものというふうに理解をしておりますので、万が一補正予算を組み、五兆円の国債を発行した場合に、四八%の国債依存というような高い比率になってくる。来年度はもう五割を超えるんじゃないかとさえ言われている。これはもう異常な事態であって、やはり財政再建を進めなきゃいけないというふうに思うんですが、これまでの大臣の論調は、至って、財政出動すべしと。五、六年で、四、五年でよくなるよというような発言も二〇〇一年にされておりますが、果たして今御指摘のように、外国人投資家も売り越しに転じているといったニュースもきのう出ておりますので、今回の株価上昇はあくまでもリストラ効果であるという指摘もあるし、大企業はいいけれども中小企業、零細は泣いているよという指摘もあるわけでございます。

 そこで、この国債発行で、五百兆の発行のうちの郵貯、簡保の引き受けが百二十兆ということなんですね。四分の一なんですね。そうすると、これは民営化したとすると、では、国債をこれまで政府の意図どおり――民営化された会社は、国債引き受けを、嫌だよ、暴落したら嫌だよ、暴落する可能性があるから受けられないよ、こういった可能性というのは民営化の会社運営としては当然考えられるんですが、この点について、民営化すると国債引き受けを頼めないんじゃないかな、こういったところもあるんですが、この点はどうですか。

麻生国務大臣 国債発行額いわゆる五百四兆円というもののうちで郵貯、簡保は約百十四兆円ぐらいだと思いますが、これは、基本的な考え方は、政府に言われて強制的に買わされているわけではないので、自主運用の中から郵政公社が決めてやっておられるという形になっておりますので、預かっている金のもとが小口金融というか、小口の窓口からたくさん集めて、国民の小金をいっぱい集めているという立場でありますので、どこかの企業からまとめてどんと入ってきているという種類の預金とは違って、これは貯金ですから、そういった意味では内容が全然違うので、運用というのはよほど慎重にやらないかぬというのは基本的な立場だと思っております。

 そこで、いわゆる国債というのは、預かり金利が今御存じのように普通預金で〇・〇〇一ぐらいになっておりますので、その意味では、かたい運用というのであれば、基本的には、結構自由度が増した公社とはいえ、一番かたいのは、きょうが一・四ぐらいかしら、十年物国債、一・四ぐらいのところでかたい運用ができていくという意味におきましては、国債というのはやはり一つの大きな、郵便貯金側から見て買ってもいい商品、安全という意味におきましてはそういう商品なんだと思います。

 いずれにいたしましても、民営化するにしても何にするにしても、基本的に新しくなった郵便会社、郵政会社というところが、預金者への元利の支払いとかそういったことで心配が、いわゆる預金者が心配のないようにそれを運営せないかぬということになりますと、そういった意味では、確実に運用ができるという意味におきましては、国債というのは非常に大きな、安全なものとして、一つの買う場合においての対象として位置づけるであろうという感じはいたします。妙に利幅が出るからといってハイリスク・ハイリターンというのは、ちょっと郵便の金の運用としてはいかがなものかというのが率直な実感です。

武正委員 今の前提は、国債が暴落しないという、しかも国の財政がある面破綻をしない、未来永劫大丈夫だよという前提に立っての御発言というふうに理解しますが、私は、やはり国債の暴落の危険、そしてまた、今のこの、ことしもし補正を万が一組んだら五割になんなんとする国債の占める歳入割合、この異常さは、やはり日本がそれこそ破綻をする、しかねない、そんな危険があるという前提に立って、民営化したらそうした国債を新しい民営会社が買わなくなるんじゃないかというふうに思うからでございます。それで聞いたわけでございます。

 さて、昨年、政調会長として公社化法の改正に、担当政調会長として大臣や首相にかけ合った大臣の御発言がいろいろ出ております。郵政公社化法ではこんな報道もありまして、首相に、細かいことにはこだわらず、技術的なところは任せてほしい、首相がそれに対して、麻生さんが言われたので、それもそうだな、公社化法案、好きにやってくれ、任せます、こんな報道があったわけなんです。

 昨年、当委員会では、公社化法の改正で三点、ユニバーサルサービスと子会社への出資と、そして三つ目が、今四年間である面黒字が出た場合は、前四年間の黒字以上であれば国に納めますよという改正。当初は、この四年間で黒字が出たら国に納めましょうということだったんですが、それが改正されてしまった。

 今、中期目標では三兆九千五百億ですか、三兆九千億ですか。そうすると、今期が三兆九千億だ、来期は三兆八千五百億だったという形で減っていった場合、国に納めなくてもいい。しかも、基準額は計算すると六兆だと。要は、国に納めないで、それこそ、あのときは法案提出者八代委員が言ったように、まず資本額を、二百四十兆であれば十兆までふやしていきたいと。

 要は、やはりこれも、公社化あるいは改革、小泉改革と言いながらの、言葉は悪いですが焼け太り、あるいは郵政省がいわゆる省益の確保、看板のかけかえにすぎないんではないかというふうに思うんですが、当時は政調会長としてそれを、党側の要求をまとめて、総理からある面任せますという言質をとった担当政調会長、今大臣として、この公社化法三点の改正、特に私が触れた三番目、これは正しい改正であった、あるいは立場上やむを得なかったからやったけれども、やはり公社が国に国庫納付しないというのはおかしいなというふうに思っておられるかどうか、御意見を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

麻生国務大臣 今、こういったものが仮に民営化をされるということになりますと、基本的にはBIS規定の対象になり得るということになる。そうすると、それの場合の自己資本比率は、国内だけでも四%。四%という基準がいいか悪いかはまた別の話ですよ。これは単なるBISの規定に金融庁が乗ってそれをやっているだけなので、これが本当に必要なものかどうかというのはこれまた意見のいろいろ分かれるところで、インターナショナルな商売をするのは八%はともかくも、ドメスティックな、リージョナルな、何とか言ったな、竹中さんはリレーションバンキングと言ったかな、ああいった地域をやるところのものは何もそんなのは関係ないんじゃないのということで、いろいろな意見が御存じのようにあるんです。

 今の現状でいきますと、郵政公社の自己資本比率は〇・三%ということが実態なんです。そうすると、やはり二百兆、三百兆の金を預かっているところの比率をそこそこ行かせるためには、六兆だ、七兆だぐらいの金がないと四%にならぬということになるんだと思いますので、民営化を前提ということになりますと、これは国が保証しているから〇・何%でもそれは安心感はあるでしょうが、それは考えたら日本銀行だって資本金は一億円ですから、そういった意味では、考えてみれば、国の保証がついているというのはすごく大きなものだと、私もそう思います。

 しかし、それがなくなって民営化されるということなのであれば、それはそれ相応の自己資本、資金というものを持ってないととても対応はできないということになりますので、途端に格付からいったらどおんと外れちゃうということになりかねないということになると思いますので、今言われた三番目に関して言わせていただければ、きちんとした、民営化された銀行に安心して今までどおり預金者が預けるようになり得るだけの信頼感を得ておくというのはとても大切なことだと思っておりますので、自己資本比率を上げるという方向は正しいと思っております。

武正委員 まず前提として、国が保証すると安心だというのは、私はもう破綻をしかかっているというふうに思っております。先ほども触れました。具体的な例は地方三公社ですね。きょうも、読売さんか朝日さんか、見開きにどんとでかく出ていましたね。いわゆる土地公社あるいは道路公社等、不良債権の山ですよ。地方自治体で実際これが今起こり始めているんですね。地方自治体が保証してくれれば大丈夫だというのが、もう今まやかしになりつつあるんですね。

 私は、国も同じ道を歩んでいるんじゃないか。だから今こそ改革が必要であって、それは自民党という一つの政党の中で、改革派対守旧派でやっている場合じゃない。やはり二大政党で、国会の場で、こういった委員会の場で、残念ながら委員は出ておりませんが、こういった委員会の場でやらなきゃだめなんだよ、大事な話は。大事な話は党の部会でやるんじゃないよ。そのためにも二大政党が必要な、来るべき総選挙、テーマになってくると思います。

 さて、今のお話ですが、もう一点、BIS規制ですが、四%だったら、今の一・七兆の四パー、二十五倍、三十兆しか郵政公社は貯金を持てないんじゃないんですか。それ、逆なんじゃないですか。二百五十兆だから四%で十兆にふやさなきゃいけないんじゃなくて、一・七兆だから三十兆に減らそうよ、これがやはり今の国がとるべき道ではないかというふうに私は思う。だから分割論議が出てくる、これから郵政の民営化の中で、というわけなんですね。それが逆なんだ、二百五十兆を前提として、肥大化したこの郵貯、簡保の三百五十兆を前提として自己資本をふやさなきゃいけないという前提が違うというようなことを思うわけであります。

 さて、副大臣、お伺いしますが、九九年閣議決定、二〇〇〇年度から十年で公務員数、十年間で二五%減。平成十四年度末、そしてまた十五年度末、それぞれの結果と予想、お聞かせをいただけますでしょうか。

山口副大臣 確かにお話しのとおりのような目標ということで進めさせていただいておりますが、この閣議決定に基づきまして、毎年度、政府としての重要施策に対応しつつ厳しく定員の審査を行っておりまして、十四年度末までに二・四万人、四・三%の純減を達成いたしておりまして、十五年度末までに三・四万人、これは六・三%というふうなことになりますが、純減を達成することとなっております。

 なお、参考までに、実は、十六年度には、国立大学、国立病院・療養所が法人化をされますので、御承知のとおり、先般法律が通りましたので、十年、二五%純減の目標達成はまず間違いなかろうというふうに思っております。

武正委員 そうすると、郵政公社は削減の対象としてカウントしないということでよろしいですか。国家公務員のままですので。

山口副大臣 もともと郵政の職員は対象外ということでやっておりましたので、お話しのとおりでございます。

武正委員 最後に伺いますが、きのう新聞で報道されておりますように、独立行政法人化、十月一日、三十四の特殊法人が三十二の独法になりました。トップ三十二人のうち八〇%超の二十六人が官僚の天下り、うち二十二人は前身の特殊法人からの横滑りということでございます。加えて、三年から五年内の経費一割カット、政府の指針に対して、削減率一〇%未満が十五あった、こういった報道があるんですが、相変わらず、独立行政法人といっても、役員が三倍になったという報道もあり、結局はやはり看板のかけかえ、見せかけというようなことが指摘をされるわけなんです。

 私は、やはり人事院のチェックというのが大変大事だと思っておりまして、それを、各省に天下りの許認可権というか許可を与えるのはやはり問題であろうということを思っておりますので、これについて、総務大臣、どのようにお考えになるか。

 あわせて、地方公務員の天下り規制は、国家公務員に比べて非常に甘いということ。そしてまた、いわゆる予算執行責任者に関する法律についても、国家公務員は適用ですが、地方公務員は適用外。地方分権を進める以上、地方公務員も国家公務員並みの厳しいいろいろな守るべきものがあっていいんじゃないかというふうに考えますが、以上の点、総務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 幾つか御質問があったと思いますが、八割というところの話で、事実、数字からいきますとそういうことになって、いろいろ、緒方貞子さん初め幾つかの方々は民間、あの方も公務員かと言われると、国連の職員だったとかいろいろな言い方はあるのかもしれませんが。

 基本的には、適正な能力ということを探しますと、全く新しい、大きな独立行政法人のことに全く無知な人がいきなり入ってきてすぐできるだけの経営能力があるか。これは経営をしなきゃいかぬことになりますので、その点は適正な、選ばなくちゃいかぬところだとは思いますので、幅広く人材を探して、総務省としても、郵政公社に生田、これはたしか日本郵船の社長だったと思いますが、こういった人を探した、受けてきたというのが一つの例だとは思いますけれども、民間の方ですんなり来ていただく方もなかなかいらっしゃらぬということになりますので、そこらのところは、今後とも幅広く人材を集めるという努力は当然していくべきだと私も思っております。

 天下りの点につきまして、地方等の意見の差も出ておりましたが、上級職と言われる方々、国家公務員上級試験を受かった方々の話を聞きますと、今の慣例では、大体五十四、五歳でいわゆる肩たたきという形になっております。そうすると、大体定年、普通六十歳ということになりますので、四歳、五歳、六歳余して退職ということになりますので、そこで今言った天下り等々の話が出てくるので、逆にそこのところまで詰めておかないと、五十四歳で切られちゃうということを逆に六十歳まで残す前提でやりますと、その分だけの給与をある程度どこかでとめるとか、民間がやっているようなことを全部やるというのは、これは結構な、人事院としても大きな騒ぎになるんだと思いますが、この天下りというのは、そこの問題も含めて全体として、人事院含めていろいろなところで、公務員制度の改革の中で考えていかねばならぬ大事な点だ、私どももそう思っております。

 済みません。日本郵船じゃなくて、商船三井でしたね。済みませんでした。

 それから、地方公務員のことにつきましては、今お話があっておりましたけれども、これは、地方公務員の場合、直接監督の立場にあるところからいえばいろいろなまた意見が出てくるんだと思いますけれども、法律上は規制は設けられていないということになっております。

 そこで、いろいろなところで意見が出てきて、地方公務員の給与が一時期、ラスパイレス指数、特定の地域にいきますと一五〇だ何だという時代が、昭和五十年代前半、あの辺あったような記憶もありますけれども、今は随分変わってきて、地方公務員も、一〇〇より高いところは幾つかもちろんありますけれども、そういった形で随分変わってきたとは思います。ただ、地方には地方の言い分があって、安くしたのでは、とてもじゃないけれどもいい職員は来ない、全部国家公務員の方に行っちゃうんだという御説も、それはわからぬわけではありませんので、いろいろな点を詰めなければいかぬところだとは思っております。

 いずれにしても、こういったような公務員の給与とか採用条件等々含めまして、これまでの慣例というものに関していろいろ御批判のあるところでもありますので、そういったものを踏まえて対応していきたいと思っております。

武正委員 時間が来ましたので終わりますが、最初の御答弁は、天下り容認というふうにとらえかねない答弁ですので、御指摘をしておきます。

 以上であります。ありがとうございました。

佐藤(勉)委員長代理 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。先般まで自由党におりましたけれども、合流しましたので、民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い質問していきたいと思いますけれども、通告に加えてちょっと質問があるかもしれませんが、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まずもって、総理の所信表明演説を聞きましたけれども、本当に大きな落胆を禁じ得ないところであります。年金問題、こういうものの社会保障制度の構築に本当に真剣にビジョンを持っているのか、本当にそういう提示もないままでありました。国民へ期待を抱かせるものは何一つ見受けられないと思っております。そしてまた、来る衆議院の解散・総選挙に向けて、その宣伝文といいますか、その域を脱し切れないと思っております。

 そしてまた、総理の景気状況の判断でありますけれども、これまた私は極めて楽観的だと思っております。私、特に地方から来ておりますので、地方経済の疲弊し切った姿、そしてまた中小企業の経営状況、本当に大変だと肌身で感じておるからなのであります。特にことしは冷夏で、米作、米の作柄でありますけれども、北海道、東北の大部分は著しい不良ということであります。

 そしてまた、地方の雇用環境がいかに悪化したままで改善されていないか、ちょっと一例を示してみたいと思います。八月の完全失業率が五・一%に、多少全国的には改善されているものの、私の地元の岩手県の平成十六年三月の卒業予定の高卒者でありますけれども、八月末の求人倍率は〇・六九にすぎず、県内希望に至っては〇・三三にすぎません。希望職種のミスマッチを容認しても、三人に一人しか地元で職を得られない、そういう状況であります。

 そこで質問であります。実業界の経験豊富な麻生総務大臣でありますので、お聞きいたします。

 以上の地方の経済実態、そのとおりでありますので、その実態を踏まえて、小泉内閣が掲げる地方分権改革、これはどこまで達成可能と認識、意識しておるか。

 すなわち、先ほど来議論されておりますけれども、四兆円の補助金を二〇〇六年度までに廃止し、税源移譲を図るなどの三位一体改革は、地方にとっては、具体性に乏しく、そしてまた地方の切り捨てのやり方では、弱り切った地方経済の活性化、今の三位一体では到底うまくいかないんじゃないのかと思っております。

 地方経済の回復なくして真の日本経済の回復はないと私は思っておりますので、大臣の見解を求めておきたいと思います。

麻生国務大臣 大企業と地方、中小企業、いろいろこの三月の決算を見ておりますと、かなり同じ大企業の中でも勝ち組、負け組の差がついた。それから、地域におきましても、東京にかなり勝ち組が寄ってきて地方に負け組という形は、数字の上ではそのようになっているということでもありますし、また、東北、北海道等々は、失業率やら何やらは明らかに景気の悪さを示しているというのは、地域別に見てもはっきりしておる。黄川田先生の御指摘のとおりだと思っております。

 形としては、リストラの結果切られた方が地方、切った方が中央という形なのかもしれませんけれども、いずれにしても、地方の中小企業をどうするかというところは非常に大きいところだと思っております。

 政府というより、総理の方針の中にも、従来と違って、中小企業対策という言葉は消えて、中小企業政策というぐあいに言葉が改まったのは、これは、今まででは大体政府の中小企業はすべて対策だったと思いますが、今回は政策と言葉をかえて、はっきり、こうしよう、ああしようというのが前向きに出てきて、要望に応じて対応するという形ではなくなってきているというのは評価すべきところだと思っておりますが、今言われた地方交付税に関しますものやら補助金の問題やら税源移譲の問題やら、いわゆる三位一体というのは、これは正直申し上げて、おっしゃるとおり、中身はまだきちんと詰まっているわけではありませんので、妙に不安をあおっているという点は私も否定するところではありません。

 これは今からきちんとして詰めていかなければいかぬところだと思っておりますが、ただやみくもに、それではすぱんと切ってしまえばいいというものでもありませんし、また、地方に行きますと、地方の役所が抱えております仕事、よく言われるのは、何も公務員がしなくてもいいような仕事まで公務員がしているという仕事がないわけじゃありませんので、それをアウトソーシングする、自由にしていい、民間に発注していいというようなところも幾つか法律を変えてできるようにしております。まだ足りないところもいっぱいありますので、地方自治法としてはやってもいいけれども、教育の方では、学校なんかのものは教育基本法でやっちゃいかぬようになっているとか、幾つかそういったものがありますので、地方が抱えております仕事は外に出してもいいようにする等々、いろいろなところが変わっていかねばならぬと思っておりますのが一点。

 もう一点は、それをかなり御心配のように、地方を自由にしますと、税源移譲されても税を取る対象のないような地域というのがいっぱいありますので格差がつくということだと思いますので、そこのところの格差をきちんと埋めるためには、地方交付税等々、非常に大きな要素のものがそこにはあると思いますので、こういったものを踏まえて、やはり三つ一緒に考えないといかぬということだと思っております。

黄川田委員 残り時間が少ないのでありますけれども、まず、麻生大臣、体を張って地方交付税制度の基本を守り、そしてまた、補助金改革と税源移譲、これを実現しなければ、単に国の財政再建、それだけが進むだけであります。そうなると、地方分権どころか何のための今の改革かということになります。やはり地方の経済を回復して、地方が自立して生き残れるような、そういうしっかりとした仕組みを構築していただきたいと思っております。

 次に、公務員制度改革について、私からもお尋ねいたしたいと思います。

 この公務員制度改革については、前国会には結局法案提出に至らなかったわけでありますけれども、その背景には与党からの反発もあったと聞いております。いずれこの公務員制度改革は、国民の求める改革と政府がつくっている内容との乖離があるのではないかということ、それから、何度も私、主張してきましたけれども、やはりオープンな議論が必要であるということ、それが欠けているからではないかと思っております。

 そこで、時間がないので質問に入りたいと思います。行政改革担当副大臣にお尋ねいたしたいと思います。

 石原大臣は、これは五月二十日の委員会での内容なのでありますけれども、天下りの承認基準はできるだけ法律で定めるというふうな答弁をしております。そういう方針は今でも変わりがないのか、確認をしておきたいと思っております。

 あわせてですが、できるだけというふうな言い回しなのでありますけれども、このできるだけとはどういう意味か。

 先ごろ官庁速報で報道された法案を見ますと、任命権者は「許可の申請が、職員の職務の公正かつ能率的な遂行及び公務に対する国民の信頼を確保するための基準として政令で定める基準に適合すると認めるときでなければ、許可をしてはならないものとすること。」といった規定があるわけであります。

 これができるだけを意味するのでしょうか。もしそうだとしたら、石原大臣はどういう答弁だったのでしょうか。法律と政令、言い回しがありますけれども、この部分の認識についてお尋ねいたします。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(剛)副大臣 副大臣を仰せつかっております佐藤剛男でございます。何とぞよろしく御高導賜りたいと思います。

 ただいま先生の御質問でございますが、石原前大臣が承認基準の策定につきまして、十五年の三月、一応の目途としまして述べられたという引き継ぎは受けております。そして、国会で申し上げられましたのは、法案というのを前提にいたしておりまして、法案の策定とあわせまして、承認の基準の基本的な考え方、こういうようなものを行革事務局内部でまとめたい、こういう趣旨ではなかったかと思います。

 現在、先生今御指摘ありましたように、この問題につきまして、法律問題との絡みで、そしていわゆる百三条問題に関係いたすわけでございますので、そういう制度改革の具体化の検討を進める中で、いろいろ承認基準の具体的な内容、これを政令でするとか何でするとかというのは、法案過程の中で先生方の御意見等々、関連分野の皆様方の御意見を承りながら進めてまいりたい、これが私どもの立場でございます。

黄川田委員 できるだけというからには、少なくとも承認基準の大半はやはり法律で規定するべきものと私は思っております。せいぜい一部だけを下位規範に委任するということはあると思いますけれども、やはり承認基準、これはしっかりと法律に明記すべきだと私は思っております。

 残り時間がないわけでありますけれども、通告では大臣質問ということにしておりませんでしたけれども、給与法改正に入りまして、ちょっと質問したいと思います。

 この人事院勧告でありますけれども、厳しい民間の経済情勢を反映いたしまして、昨年に引き続き俸給引き下げ、そして年間給与では五年連続かつ過去最大のマイナスとなるなど、国家公務員については大変厳しい内容であったと思っております。しかしながら、これはそもそもは小泉内閣の経済政策の失敗によって、景気低迷のため民間企業が給与水準を引き下げざるを得ない、そういう状況の中での勧告だと思っております。この問題の本質について大臣の見解をお尋ねいたします。

麻生国務大臣 民間給与が下がったのが景気が悪いからというのは確かにあろうかと思いますが、同時にデフレーションというのが、やはり中国等々が、冷戦構造崩壊後、安くて若くて優秀な人材を大量に出せるようになったというのが、非常に賃金を引き下げるのに大きな影響を与えたということは、ドイツを見ても同じような形になっております。

 それで、日本の場合は、全部そのせいにするつもりもありませんし、傍ら、日本の経済政策だけが失敗したからというのでなくて、両方相まって賃金引き下げにつながっていった。ただ、傍ら、物価も下がっておりますので、消費者物価はこの十年間、ほぼ、特にこの四、五年間は顕著に下がってきたというところもあります。その意味では、今御心配の点、また言っておられることはわからぬわけではありませんけれども、それだけが責任かと言われるとちょっと、世界的なところもありますので、経済政策がすべて正しかったと言うつもりはもちろんありませんけれども、一般的に、給与が下がったかなり大きな理由は、中国等々が自由主義経済市場に一斉に入ってきたというのが大きかったという感じもいたします。

黄川田委員 突然の質問で申しわけございませんでした。

 言いたかったところは、毎年度、公務員に対して人勧があるわけなんでありますけれども、しっかりとした経済政策をして、民間に活力をつけて、公務員がしっかりと働けるような人勧が出てくるような、国家としての基本的な政策が必要でないのかというところを言いたかったわけであります。

 残りもう本当にわずかでありますので、最後、人事院総裁に一つだけ。

 月例給の官民比較の方法でありますけれども、これまでいろいろな比較をしてきたと思うんでありますけれども、どのような規模の民間企業を対象として調査を行い、それから、どのような従業員と比較しているのか。そしてまた、この調査方法、なかなか地方にあっては公務員給与は高いと出るんじゃないのかというところもありますので、その点も含めて、ちょっとお聞きいたしたいと思います。

中島政府特別補佐人 対象にしております民間企業というのは、もう先生よく御存じのように、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上の企業を対象にしておりますけれども、そこで働いている従業員の中で、公務と職務の種類が類似しておる従業員、そして職責とかあるいは年齢とか勤務地域等ができるだけ同一の従業員というものを対象にして公務員の給与を比較しておる、ラスパイレス方式で比較しておるということでございます。

 調査方法の改善の話でございますけれども、民間企業は、組織とか人事制度についての改革というのを最近かなり激しく行っておりますので、組織のフラット化とかあるいはスタッフ職の増加というような現象も見られますので、そういうものを考慮に入れながら調査方法というものを改善していかなきゃならないというふうに考えております。これは常に民間の状況というものを正確に把握して対応してまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 時間でありますので、終わります。

遠藤委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章でございます。

 郵政民営化問題を麻生大臣に最初にお聞きします。

 九月二十六日の記者会見で、郵政三事業の在り方について考える懇談会、この小泉懇談会の三案以外に、「第三の道があると思っている」こういうふうにおっしゃっている。そして、記者に突っ込まれまして、「民営化することを前提でと。」こういうふうにお述べになっている。

 そこで、改めてお聞きしたいんですが、第三の道というのはどういうもので、総務大臣のおっしゃる民営化というのはどういう内容のものなのか、ぜひ御説明いただきたい。

麻生国務大臣 一案、二案、三案というのはごらんになっていますね。知っておられるんですね、あれは。

 基本的には、私は、あの一案というのは、問題の先送り、もしくはほぼ現状維持という非難は免れないと思っております。

 それから、第三案につきましては、いわゆる座長が出されたということになっている案だそうですが、これは、今既に公社化している、民営化するといって頑張っている人の仕事をやめろという案ですから、これも正直申し上げて、民営化するのはつぶすためですかという話になりかねぬと思いますので、あの三案というのを書かれた方も、およそ経営というものをやったことのない方だなという感じが率直な実感です。

 そうすると、二の中にいろいろバリエーションが考えられるということになるのだと思うんです。民営化をするということは商売をするということですから、商売をするということは、逆に言えばつぶれるということも十分にあるということを意味しますので、つぶれるかもしれぬと言われながらやるんでは、やはりこれは、そこに今働いておられる方々がそんなのは嫌だということになられて、非常にいろいろ問題が起きてくることになると存じます。

 したがって、同じ二の中のバリエーションの中で、これやったら、なるほど、これ民営化ええなという気にならせる、そういったものが出てこないと、何となく、民営化すればみんなもうかるというように、安くなるというようにお思いのようですけれども、民営化して失敗したものも幾つもあります。

 今、例えば、地方でもいろいろ役場で掃除なんかを外に出していらっしゃる、アウトソーシングしておられて、それで民営化と言っておられますけれども、それは市役所の職員に掃除してもらった方がよっぽど安く済むんじゃないかということで、そういう方向に切りかえた役場もあったりいたしますので、そういった意味では、こういったのは一概に、民営化とする場合に、何をできるか、あれだけのものを使って何をできるかというのを、これこそ今からきっちり考えないといかぬと申し上げているのであって、あれは単なる典型的な例を三つ引かれたんだと思っておりますので、そういったことで、何回も本会議では申し上げましたけれども、やはり基本的に考えなければいかぬのは、それを利用している国民のメリットがあるようにせぬといかぬ、それから勤めている人も。あの三つ申し上げた内容がそれです。

春名委員 それでは、続いて聞きますが、つぶれない民営化、過疎地それから地方から郵便局がなくならない民営化というのは、どういうものを想定しているんですか。

麻生国務大臣 基本的に、二万四千という支店網というのは物すごく大きいですよ。かつ、地方の行政が、町村合併等々で、三千百ありますものが、半分としても千五百ぐらいに減る。過疎地におきましては、いろいろな意味で行政サービスを受ける最低限の役場がなくなるかもしれぬという話ですから、そういった意味では地方の郵便局の果たす役割は極めて大きいと私はそう思っている。

 だから、いわゆるユニバーサルサービスという言葉がどれくらい定着しているんだか知りませんけれども、とにかく国民一般に等しく受けられるサービスという意味なんだと思いますが、そういったものを考えていきますと、きちんとしたもので、インターネットはこれだけきちんと普及し、二〇〇五年には世界で最も電子化された政府というものを目指して法律が既に動き出しておりますので、役場に行かなくても郵便局でサービスが受けられるという、ワンストップコンビニエンスショップじゃなくて、コンビニエンスオフィスかな、そういったような感じのものというのは十分考えるんであって、いわゆる田舎の人たちがこういったことはできない、こういったこととはキーボードはたたけないとか、いろいろ印鑑証明やら何やらは窓口でちゃんとボタンを押したらぱっと出てくるということになりますので、そういったものをきちんと指導してやれば、それは代書屋と同じ、代行業を請け負って、それの金をもらうとか、民営化されたらいろいろなことが、二万四千の基盤というのはやはり大きいと思っておりますので、それ、一概にぽいとやめちゃうという話にはならないと私自身は基本的にそう思っております。

春名委員 国営ですから、もうからないところももうかるところも相殺しながらこのネットワークサービスを、ユニバーサルサービスを続けている。これはもう歴然たる事実ですね。

 それで、今お話が出ましたが、例えば民間の金融機関というのは今どんな事態になっているかというと、調べてみたんですが、九八年から二〇〇二年の五年間で、都銀でいいますと四百六十七店舗がなくなっています。地銀でいいますと二百八十八店舗がなくなっています。第二地銀では四百六十一店舗、五年間でなくなっています。どんどん撤退しているんですね。

 今お話が出ましたが、二万四千七百のネットワークがあるということをおっしゃいました。そのうち集配を担当して扱っている集配郵便局は約五千しかないんですね。つまり、約二万の郵便局は郵便を集配しない無集配局なんですね。町にある大抵の郵便局というのは、この無集配局ということになっているわけです。

 要するに、今お話も出ましたが、二万四千七百のネットワークシステムというのは、郵便のネットワークというよりも、郵便貯金や簡保、金融のネットワークを地域で果たしている。しかし一方では、民間にゆだねた民間の金融機関というのは今どんどん撤退している。こういう事態に今進んできているわけですね。

 ですから私は、第三の道のうち、民営化は前提だとおっしゃっているわけです、民営化を前提にした第三の道というのは一体どういうものかを聞いているんですが、よくわからないんですけれども、民営化することによって、麻生大臣自身も同じ記者会見で言われているように、商売自由ですので撤退していく、それはもう目に見えて歴然としているということじゃないんですか。

 だから、民営化して地域の、過疎地の郵便局がなくならない、そういう第三の道というのは一体どういうことを意味しているんだろうかということをお尋ねしているんです。

麻生国務大臣 御心配の点はもっともだと思うんですが、ちなみに、東京都二十三区を見ますと、銀行の支店は、約六八%が銀行で、残り三〇%、三一%ぐらいが郵便局ということになるのとちょうど反対側で、過疎地域におきましては、郵便局が約七五%、銀行等々が二五%という比率になっておりますので、そういった意味では、地方におきます郵便局の持っております支店というものの機能は、極めて地方の生活者にとりましては直結している問題だ、私もそれは全くおっしゃるとおりだと思っております。

 したがって、その人たちがきちんとして民営化されても食えるようなことを考えないかぬと申し上げているのであって、そのために、いろいろな意味で、少なくとも銀行と違ってうちは地方の市役所の仕事を代行しましょう、一つのフィーを取るというものです。そういったようなことも一つの考え方でしょうし、いろいろな意味でいい場所にもありますし、ほかにもいろいろなことを考えられると思いますので、それを今すぐ具体的に言えと言われても、ちょっとそこまで全部が全部でき上がっているわけではありませんが、いずれにいたしましても、二万四千の支店と三百兆を超す資金というのはやはり非常に大きな基盤だと思いますので、そういったものを大事にして、今言われたような御心配がないようにやっていくというのがこの郵政民営化の中の非常に大事な観点だと思っております。

春名委員 大臣の話を聞いていると、何で民営化しなきゃいけないのか全く出てきませんね、率直に言いまして。本当に、今私が言ったそういう二万四千七百のネットワークが大事な役割を果たしている、そして地域の金融機関の役割を大きく果たしている、そこをしっかり支えてさらに住民の利便を推進していく、こういうことが大事なんでしょう、今改革と言うのであれば。

 民営化というのは、麻生大臣自身が言われているように、民営化されると普通は利害損得で考えるわけですから、そうすると、もうからない郵便局はやめます、簡単にはそれは民営化されれば自由ですからと、もうはっきり言っておられるわけですね。それからお隣の山口副大臣も、昨年の郵政公社の議論の際の参考人質疑で、民営化になろうとも、なくなっちゃならない郵便局というふうなお話がありましたが、私は民営化になるとなくなっちゃうんじゃないかと心配しております、そういう質問もされている。

 だから、お二人とも、何で民営化を今しなきゃいけないのかということの根拠が全然ないわけですね。私はそのことは本当におかしな話だと。それで、民営化をして第三の道を行くという非常に玉虫色のような言い方をされて、私は、非常に国民を惑わすものになっているというように思うんですね。

 それで、私は小泉懇談会の三つの中身を見ましたけれども、大臣もおっしゃったけれども、第三類というのは郵貯、簡保を廃止するということになっていて、まあ大変な問題だなと私も見ましたが、この本丸というのは、郵貯、簡保三百兆円以上のその資金をどうするのか。銀行の競争相手をできるだけ弱めて弱体化するということがやはり透けて見えるこういうやり方を押しつけるというのは、私は国民にとって何のサービスの向上にもならないというように非常に強く感じます。

 今のお話を聞いていましても、どういう民営化をして、民営化すればなぜ過疎の郵便局が守れるのか全く私わかりませんので、これからその議論をよく注目するとともに、しっかり国民にわかるような説明をしていただくことを強く要望しておきたいと思います。

 次に、人勧問題に移りたいと思います。

 ことしは平均十六万三千円、過去最高の引き下げであります。これで五年連続の引き下げとなって、その引き下げ合計の平均が何と五年間で四十九万円という大変なことであります。

 最初に総務大臣にお聞きしますが、こういう給与の引き下げが経済そして暮らしに与える影響について政府はどういう認識を持っていらっしゃるのか、お聞かせいただきたい。

麻生国務大臣 公務員の給与の引き下げというのは、基本的には人事院勧告に基づいてやられる部分だと思っておりますので、その意味では、公務員の給与が高過ぎるのではないかと言われた時期もありましたけれども、今回、そういった意味では、公務員の給与というものは民間の所得、給与に合わせていくのが最も正しいということで、それに基づいてやはり国民の理解が得られるように変えてきたんだと思っております。

 経済にどれくらい影響を与えるかといえば、これは私は、いろいろなことが考えられますので、こんな影響がとかこんな影響がというのは幾つか出てくるところだとは思いますけれども、それでも民間の給与に合わせないで公務員だけ高かったら、それで世間が通るかという点もやはり考えないかぬ大事なところだと思います。

 そういった意味では、厳しい状況に地方があるというのは、私も地方から来ている方ですからその意味ではわからぬわけでもありませんし、確かにいろいろな問題点はあろうとは思いますけれども、ただ、景気全体からいけば、民間との給与の差というものもある中で、やはり設備投資も少し上向いてくるなど、少しは、明るいというほどまでにもいっていませんが、活力が少しずつ戻ってきつつあるところも地域によっては出てきたような感じがいたします。

 そういった意味では、いろいろな形で構造改革に早く手をつけたところ、デフレ対策に早く手をつけた企業、もしくは地域等々は、早く芽が出てきているということは否めない事実でもありますので、公務員の給与の引き下げが直にすべてにつながっているという感じではありません。

春名委員 もう少し精緻に議論したいんですけれども、直にという話とかいうんじゃなくて。

 人勧は、賃金だけを切り下げるものじゃないですよね。公的年金の給付の切り下げ、それから生活保護基準、失業給付、社会保障給付のこういう全面的な切り下げにもつながりますね。そういう影響について、人事院は人事院として民間準拠という形で精査されたのかもしれません、後で議論しますけれども。政府は、それに基づいて給与法で完全実施をする法律をきょう出しているわけですから、これがそういう社会保障の給付減の影響、それから賃金削減での直接の影響、それが経済との関係でどういう問題があるのか、そういうことは当然議論されて、ここで議論すべきことなんであって、そこを鮮明にしないと国民の納得そのものも得られないと思うんですね。その点をきちっとお答えいただきたいんです。

久山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生ただいま御指摘の、給付などのそれぞれの支給水準に対しまして今回の給与の改定が何らかの影響を与える可能性でございますけれども、この可能性は否定するというところではございませんけれども、今回の給与改定の検討の過程におきまして、そのような詳細な試算はしていないというところでございまして、本来的に適切な試算が果たして可能であろうかという問題もあるのではないかというふうに考えておるところでございます。

春名委員 本当にひどいですね。

 一つは、影響を受ける労働者は七百五十万人になるんですよ、大臣。七百五十万人に影響するんです。国家公務員の賃金削減額は二千二百二十億円、直接。地方公務員が四千三百八十億円、同様の賃下げをやられますと。国の特別会計分がこれで五百三十億円の影響。要するに、七千百三十億円に上るんですよ、この人勧完全実施した場合に。経済産業省などの連関表などで調べてみると、国全体の消費への影響が、約七千六百九十億円のGDPの減少になるんですよ。なかなかのものですよ、これは。しかも五年連続。

 だから、これが、先ほど少し明るい兆しがあるのかもしれないとおっしゃっていましたが、GDPの六割を占める個人消費の回復にどういう影響を与えるのか、冷水を浴びせてどういう事態になるのか、それ自身も真剣な検討が要るんじゃないですかというふうに言っているんです。大臣。

麻生国務大臣 かつて人事院が出した七百五十万という資料があるのは知っていますが、今、たしか公務員は四百三十万ですかね、たしか国、地方合わせまして公務員の方は四百三十万、就業者人口五千三百万かな。だから、それのうち四百三十万の人の給与が約二%下がったら影響が全然ないなどと言うつもりは全くありませんけれども、それがよく、地方の景気をすべて足を引っ張るもとはこれだと言うのは、民間の方からの立場で言わせていただくと、これだけの時代に公務員の給料が全然下がらないのはいかがなものかという不満というのも同時に勘案せないかぬところだと思いますので、私は、今のお話は一面、決して否定するつもりはありませんけれども、他の方面も考えないといかぬのではないかということだと思っております。

春名委員 直接の四百三十万を言っているんじゃないんですよ。七百五十万人が影響を受けるということはもう明らかなんですよ。そのぐらいのことは認識しておいていただきたいと思うんです。

 昨年のマイナス勧告がやられて、例えば昨年十月から十二月期の個人消費が〇・五%、ことしの四月から六月でも名目〇・二%、こういうマイナスにもなっているわけです。GDPの六割を占めているのは個人消費です。どう考えてもこの回復に対して冷水を浴びせるということはもうはっきりしているわけですね。だから、そういうことも勘案したのかと聞いているのに、まともな議論もされていないというのは本当に情けない話です。

 しかも、民間だけ低くて公務員だけが高くてそれでいいか、納得が得られないというお話をされるんだけれども、では、私はお聞きしますが、公務員賃金の引き下げが民間企業の賃金引き下げに連動しているんじゃないか、そういう事態を引き起こしているんじゃないかと私は認識していますが、そういう御認識はあるのでしょうか。

麻生国務大臣 人事院総裁に聞いていただいた方がいいと思いますけれども、ゼロとは言いませんけれども、それが丸々、公務員にすべて合わせているという感じはありません。民間のに合わせるというのが人事院の通常の立場だと思っております。

春名委員 ですから、公務員の賃金の切り下げが民間に影響を与える、民間に影響を与えたその賃金を基準にしてまた公務員賃金の切り下げが起こるという賃金引き下げのスパイラルになっているんじゃないですか、そういう御認識はないのでしょうかということを聞いているわけです。

 例えば、ことしの七月の政府の最低賃金審議会というところの議論があります。七月十七日に、最低賃金の目安ですね、目安に関する小委員会報告というのが、小委員会で議論されて報告が出ております。労働者側の委員が、最低賃金の水準を改善することは、消費マインドを刺激し、日本経済を本格的な回復基調に乗せる一助となるという主張をいたしました。ところが、使用者側は、賃金の一般動向として、昨年の人事院勧告において引き下げ勧告が出されていることを重く受けとめる必要があるんだという反論をして、最低賃金の引き上げに対して、それをさせない最大の論拠にこれを使ってそういう議論をしている。民間の福祉や保育の労働者、中小企業で、マイナス勧告を口実にした賃下げの提案が次々と出される。とうとうことしの春闘では、賃下げは当然、日本経団連は春闘終えん宣言、定昇廃止すら迫るということになってきているわけですね。

 だから、私が聞いているのは、公務員賃金の引き下げと民間の賃金の引き下げというのがそれぞれが相まって、引き下げのそういうスパイラルをつくり出しているような側面がとりわけ生まれてきている、こういう御認識はないのですかと聞いているんです。

麻生国務大臣 企業としては、国際競争力の足を引っ張っておる最大のものは人件費という認識だというのはよくわかるところでもありますので、公務員の給与を利用しているという御意見なんだと思いますが、それはゼロとは言いませんけれども、かといって、では公務員の給料を上げろという話が今の時代に通るかと言われれば、とてもじゃないんじゃないでしょうか。

 私は、そういった意味で、何とかのサイクルとかいろいろな表現を使っておられるのは知らないわけじゃありませんけれども、基本的には、世界的な傾向の中にあって、加えて、賃金は下がっているけれども物価も下がっておるというのも事実でありますので、そういった意味では、今の話がすべて景気の足を引っ張るもとのすべてというような話にいかれるのは、なかなか理解のしにくいところであります。

春名委員 先日、日本世論調査会が暮らし向き世論調査というのをやったんですね。そうしますと、九月の下旬ですけれども、十年前と比べた暮らし向きが、悪くなった、やや悪くなったが五五・三、よくなった、ややよくなったが一三・五で、四倍以上なんですね。暮らし向きが悪くなっていると。悪くなった最大の理由は収入の減少、これが六二%。圧倒的なんですよ。そして、十年後の暮らし向きが、悪くなっている、やや悪くなっているというふうに答えたのが三八・五%。その理由の最大のものは、収入が減るだろうが六〇%、断トツでして、つまり、収入に対する今と将来への不安が地方景気の足を最大限引っ張って、暮らし向きを悪くしている原因になっている。大変くっきり出ているときなんですね。

 こんなことをすれば、消費不況に本当に拍車をかけて、デフレを促進していくということになるんじゃないでしょうか。そのことを本当に考えていただきたい。

 それから、民間の準拠との関係で人事院に次にお聞きしておきたいと思いますが、まず、なぜ一・〇七%なのかをお聞きしたいと思います。

 他のあらゆる調査を見ましても、一・〇七もの減少が出てまいりません。減らし過ぎではないか、その根拠がわからないという批判が大変強くあります。これは、どうしてこういうことになっているんでしょう。

中島政府特別補佐人 先ほど黄川田先生にお答え申し上げましたように、公務員の給与を対民間比較する場合には、給与を決定する要素というものを同じくする者同士の比較を行って、我々は従来から較差率というものを出してきたわけでございます。今回もその方式に変わりはございません、ラスパイレス方式ということになりますけれども。

 官民の給与を比較する場合に、このラスパイレス方式にかわるような方式があるかということになりますと、賃金問題の専門家に聞いても、ラスパイレス方式が一番いいだろうというような御意見でございますので、この方式を今後も続けてまいりたいというふうに考えております。

 そこで、民間の調査機関というのはどこのことかよくわかりませんが、例えて言いますと日本経団連とか連合とか、そういうところがいろいろ数字を出しておられます。こういうところの数字というのは、言うならば定点観測なんですね。四月の時点における観測だ。我々の方は、定点観測に変わりはありませんけれども、通年の変化というものを踏まえた上の定点観測だということでございます。

 具体的に申し上げますと、最近よく新聞に出ておりますけれども、全日空が五%の賃金を引き下げるということを言っております。この五%の賃金が仮に引き下がったときに、来年全日空が三%の賃上げをした場合にどういうことになるかといいますと、日本経団連とか全日空というのは、三%の賃上げ率だということだけしか出てこないんですね。ところが、官民の給与比較というのは水準比較でございますので、そこにやはり二%というものの差があるということになるわけですね。民間の給与は二%引き下がっておるということでございます。

 したがいまして、そういうことを考慮しながら議論を進めていかなければならないんじゃないかというふうに思います。

春名委員 調査の仕方が違うからやむを得ないというお話なんですが、ぜひ公務員労働者そのものにその中身をきちっと説明しないと、私は納得を得られないと思うんですね。

 毎月勤労世帯調査というのは、もう今のお話にも出ましたけれども、その前の年との比較では〇・四%減ですよね。民間の春闘結果を見てみても、定昇込みの引き上げ率が一・四から一・九%の間に大体分布しているということになっている。

 しかも、人事院の調査でも、ベースダウンを行った事業所は、一般職で三・六%、管理職で四・六%にすぎないということになっています。約六割がベースアップを中止している。ベースアップを行っているという事業所も三分の一ある。賃下げを行っている事業所は決して多くないというのが人事院での調査でも明らかです。つまり、多くは賃金引き下げという不利益変更を回避するという努力が行われているんじゃないでしょうか。

 よく総裁も人事院の方も言われるのは、情勢適応の原則というふうにおっしゃるわけですけれども、そのことを言うんであれば、こういう民間の動向にも留意することは私は情勢適応の原則だとも思いますけれども、この点の見解はいかがですか。

中島政府特別補佐人 春名先生、るるお話しになりましたけれども、そういうことが民間企業の四月時点の賃金水準に反映しているというふうに考えるべきだというふうに思います。したがって、私たちは民間企業から年度途中にどういうふうな合理化を行ったかということをよく聞きますけれども、それがすべて四月時点の賃金水準に反映しているということに間違いないというふうに考えておりますので、今のやり方というのは正しいやり方だというふうに考えております。

春名委員 私、特に問題だと思っているのを一点、総裁、もう一点聞かせていただきたいんですが、初任給周辺は〇・五%にマイナスを抑えるというふうにされていますよね。しかし、人事院の調査でも、大学卒業で八四・四%、高卒で八四・八%は初任給はマイナスではなくて据え置きをしている、こういうふうになっているわけですよね。そういう意味でいいますと、情勢適応といえば、この点でも据え置きという選択肢も当然私はあるように思うんですけれども、これはいかがでしょうか。しかも、四月から十一月までは、一律一・〇七%を掛けた分を初任給周辺の青年労働者にもマイナスにするという手法をとっていらっしゃる。青年層に非常に重い負担を強いているんじゃないでしょうか。

 民間準拠と一方で言いながら、初任給は切り下げる、調整措置の名目で初任給周辺の割り増しの減額を行う、これはどうもおかしいように思うんですが、この点、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

中島政府特別補佐人 民間準拠という場合に、非常に細部にわたることについて民間準拠していくのか、それとも、賃金体系というものの全体をにらみながら民間準拠していくのかというのは、判断として非常に難しいところでございますけれども、細部だけ見ると、先生のおっしゃるようなこともわからぬでもありません。しかし、公務員給与全体の体系というものを考えた場合には、少しマイナス幅を抑えながらやはり下げさせていただくというのが体系としてはいい体系になっていくというふうに考えざるを得ないというふうに思います。それが一点でございます。

 もう一つは調整の仕方でございますけれども、これもなかなか難しいんですけれども、十三年でしたか、プラスの額が非常に少ないというので、一律定額で一時金を出したことがございます。この場合には、若い方にはそれなりにプラスになったというふうに思いますけれども、やはりどういうやり方をやるかということは、各省の官房とか労働団体の意見を聞きながら、余り事務的に複雑にならないように、また、おおむね個々の労働者の納得が得られるようにということを考慮しながら私たちは勧告をさせていただいておるということでございます。

春名委員 おおむね労働者の同意を得られるようにというふうにおっしゃるわけですけれども、その合意、議論が得られるようにという意味できょう質問しているわけであります。

 もう一つ今度の勧告の問題点ですが、調整措置が結局不利益遡及に当たるという問題についてです。

 ことしは、各人の四月の支給給与に対して較差一・〇七%を乗じる、これに法施行時点までの月数及び六月の一時金支給月数を乗じる方法に変更いたしました。しかし、こういう調整方法を変更しようとも、四月に賃下げの効果をさかのぼらせるという点では同一のものであります。公務員労働者の賃金というのは、法改定が行われるまで仮払いの状態というような事態になる。これでは安定的な生活保障になりません。

 昨年大変大きな議論になりましたが、不利益不遡及という原則、これは、既に行われた労働に対してその時点での給与法によって支払われた賃金を、これをちゃんと基本的に守るということですが、賃金を数カ月後に調整し減らしてしまうということになりますと、やはり賃金の一般原則からいっても、今申し上げた不利益不遡及という原則からしても、これは非常に大きな問題が残るというように考えます。

 これは、総務大臣は、この不利益遡及という問題、当然給与法の大事な問題ですけれども、どういう認識をされていますか。

麻生国務大臣 後で答えてもらいますが、不利益遡及という点を、昨年、去年のいわゆるこの法案審議の過程においていろいろ議論がなされたのを背景にして、たしか附帯決議がつけられたと記憶します。その附帯決議は、「年間における官民給与を均衡させる方法等を決定するに当たっては、職員団体等の意見を十分聴取し、理解を得るよう最大限の努力を」することという附帯決議が、去年、不利益遡及に関してついたということだと理解をしております。

 したがって、そういった意味では、今年はそういったようなことがなるべく避けられるようにするために、四月のあれを基本にして、いわゆる法施行後の十二月の期末手当において一律に調整を行うものとするということとして、これで、いわゆる人事院のあれを踏まえて、事務の簡素化には最も資する適切なものということでこういう方法を勧告したものだ、私どもはそう認識しているんです。

春名委員 どういう簡素化をしようが、不利益を遡及しているというその事実には変わりないわけでして、だから、要するに、労働者は労働基本権を剥奪されていて、代償機能として人事院勧告があるわけです。これだけの不利益をこうむる勧告に対しても、労使の交渉によって妥結をしていくということはできない。これはどう考えてもおかしい、私は本当にそう感じます。

 人事院総裁には、また総務大臣にもお願いしたいと思いますが、やはり直接不利益を受けるこういう労働者に対して、きちっとした議論もするし、情報も提供するし、調査方法の変更があるんであればその中身を伝えるし、最低そういう努力をしないととても納得を得られるものではないというように私は思います。そのことを改めて申し上げておきたいと思います。

 最後に、若者の就職難問題で一点聞いておきたいと思うんです。

 特に高校生と短大生の卒業者が受ける国家公務員3種試験の採用者数ですね。これが、二〇〇二年、二〇〇三年、採用者数がどうなっているかをお知らせください。

佐久間政府参考人 国家公務員採用3種試験からの採用者数でございますけれども、二〇〇二年、平成十四年は三千七百十七人、二〇〇三年、平成十五年は三千四百五十二人という数字になっております。これは、それぞれ前の年に実施した試験からの採用者ということでございます。

春名委員 一九八六年には、3種採用者は一万三千二百九十六名いたんですね。それが、今お話がありましたように、二〇〇二年に三千七百十七名、二〇〇三年が三千四百五十二名、はっきり言って激減しているわけですね、激減。一方、2種は、大学卒程度、官職で二級ですけれども、二千五十三名から三千九百名と若干ふやしているという状況であります。

 そこで、総務大臣、ぜひ検討いただきたいと思うんですが、今政府は若者自立・挑戦プランというのを策定して、若者の就職難の解決に政府としても乗り出す必要があるという認識で取り組みを始めておられます。私たちはその認識が非常に大事だと思っております。若者の職業能力の蓄積がなされなくなって、企業の競争力、生産性の低下、経済基盤の崩壊が始まる、社会保障システムが脆弱化する、社会不安が増大する、少子化の一層の進行など深刻な社会問題を惹起する、こういうふうに認識されて、それで挑戦プランを策定されている。(発言する者あり)時間はあります。

 いいですか、そういう、政府がやっているわけですので、私は、この3種採用者の余りの激減さ、これを少なくとも緩和して、高校生や短大生の就職という問題について総務省としても、総務大臣としても取り組む姿勢をぜひ見せていく必要があるというように思いますが、この点いかがでしょうか。

麻生国務大臣 基本的に、今御指摘のところの若者自立・挑戦プランだったかな、挑戦プランと言ったと思いますが、あのプランの話とこの採用者数の問題は直接結びつくという話ではありません。

 ただ、基本的には、今、各社リストラをして、中高年やら何やらリストラしている最中に、新しい方をなかなか雇いにくい雰囲気であることも確かです。だから、そこのところが不景気と結びつくんだと思いますが、離職者分しか入れられないとか、公務員の数の絶対量を今減らしているというような流れの中にもありますので、今、若者が入ってこないといろいろなものが蓄積しないという御指摘はまことに正しいんだと思いますので、いろいろなことを考えて、これは総合的に対処していかねばならぬ問題だと思っております。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

春名委員 終わります。

遠藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党・市民連合の重野安正です。

 法案審議に入ります前に、大臣に、大臣の政治姿勢並びに総務省の所管する諸般の問題について、まず質問いたします。

 この間、改めてこれまでの政治家麻生太郎氏の発言を整理してみますと、見識を疑わせる発言をしておられます。一つは、ある大学の学園祭での、政調会長として行った、我が国の日韓併合時代における創氏改名問題に関する発言がそれであります。

 これについては内外から強い批判が上がりました。大臣は、言葉が足らず、真意が伝わらず残念で、申しわけなく思っている、遺憾な発言で、韓国国民に率直におわび申し上げると言ったものの、歴史認識については日韓双方の学者らで話し合いを続けていると言って、発言自体は撤回しておりません。このようなやり方は往々にして見られるわけでありますが、大臣もまたその一人だということを示したわけであります。

 そこで聞きますが、当時、政調会長として発言したことについて韓国国民に率直におわび申し上げると言ったのは、具体的に何についておわびしたのか。談話の文脈からしますと、私には、言葉が足りず真意が伝わらなかった、そのことに対するおわびと読み取れるのでありますが、大臣の説明をお願いいたします。

麻生国務大臣 早稲田だったか東京大学だか、東大だったと思いますが、東大の五月祭でしたかね、そのときだったと記憶をいたしますけれども、そのときの発言だと思いますが、これにつきましては、その後いろいろ話題を供しましたので、基本的にはかつての村山内閣総理大臣談話並びに橋本総理大臣の訪韓時の発言と同様の歴史認識を持っておるという点はきちんとそのときは申し上げております。

 また、そのときに率直におわびを申し上げてということも、今言われたとおりの言葉だと思いますが、そのときに申し上げたのは、両国の歴史認識が違うではないかという御指摘がありましたので、国の歴史認識というものは、今、目下、日本でも学者を含めて、いろいろ双方でやっておられる真っ最中ですから、これが正しいという答えは、これは双方いろいろ言い分がありますので、そういった話をよく踏まえないと何とも申し上げられませんという、今の現状を御説明申し上げたと記憶をいたしております。

重野委員 いろいろな紆余曲折はありますが、歴史は大きく動いております。過去、現在、そして未来に対する深い想像力、そのことが今政治家に最も求められている資質だろうというふうに思うんです。日朝平壌宣言あるいは六者協議というものを見れば、いまだかすかなものとはいえ、東北アジアに新たな歴史の底流が始まっている、このように思います。これをいかに歴史の本流にするか、これが現在の政治家の使命ではないんでしょうか。

 であれば、過去に朝鮮の人々がなぜ日本名の名刺をくれと言ったのか、なぜ言わざるを得なかったのかという、歴史に対する想像力あるいは洞察力、それが、他国の政治家はいざ知らず、少なくとも朝鮮を併合した我が国にあって政治家を名乗る者に求められているのではないでしょうか。歴史認識には双方いろいろあると思います、そういう言動は想像力、洞察力の欠如の代名詞と言われても仕方がないんじゃないか。

 大臣の認識、いま一度お聞かせください。

麻生国務大臣 御質問の趣旨がよくわからないので、ちょっと、もう一回言っていただけますか。

重野委員 時間もありませんが、よく聞いておいてくださいよ。

 歴史認識には双方いろいろあるなどということではなくて、少なくとも我が国は朝鮮を併合したという紛れもない歴史を持っているわけです。そのことを踏まえて、今、半島の方々と向き合う、そのことが求められているのではないか。そのことに照らしてみれば、あなたの発言は私は容認できない。だから、本当に向き合っているのかどうなのか、そのことを聞かせてください、こう言っているんです。

麻生国務大臣 これは、先ほど村山談話を例に引いたと思いますが、我が国が行った植民地支配により、その地域の人々に対し多大な損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受けとめ、反省と心からのおわびの気持ちを表明するという言葉が多分村山談話だと思いますので、先ほど村山談話を踏まえと答弁申し上げたと存じます。

重野委員 平行線をたどるんですね。私は大変残念なことだと思いますよ。今後、そういう点について、大臣、もっともっと深く考えていただきたいことを申し上げておきます。

 次に、経済財政政策に対する認識についてお伺いします。

 大臣は、かつて、政調会長として予算委員会で次のように申しております。デフレ不況克服のためには個人消費と住宅投資を主力エンジンにする必要があると。これを受けて、住宅産業新聞、二〇〇三年の四月二日付インタビュー、「竹中金融・経財担当相の話は、需要を増やすのではなく、供給を減らして財政を均衡させようというものですが、その考え方は基本的に間違っている」、このように答えておられます。このことを確認したいと思います。

麻生国務大臣 住宅というものは、最も消費を喚起し得る、幅の広い問題だと思っております。したがって、住宅投資が幅広く喚起されるためには、少なくとも税制改正をするとか、いろいろな意味で、昨年末、住宅関連、相続税等々の税制も改正をさせていただいたところです。

 土地も少し下げどまった感じもしますし、住宅着工件数が下げどまりつつあるかなというところまでは戻ったんだと思いますが、基本的には、住宅というものに対する発想が、住宅は消費と考えるのではなくて、住宅は投資と考えられて、そういった方向に金を、個人の持っている預貯金がそちらの方向に回って経済のパイが大きくなっていく方向が正しいと申し上げております。

重野委員 私が確認したかったのは、住宅産業新聞の記事ですね、インタビューの記事。竹中金融・経財担当相の話は、供給を減らして財政を均衡させようというものであって、その考え方は基本的に間違っている、こういうふうに言われているんですね。その点を確認しているんです。

麻生国務大臣 例えば、住宅金融公庫が使える金というものの使用を狭めれば住宅着工件数が減るということになります。それは、すべてが住宅金融公庫じゃなくて他の銀行から借りた分もありますけれども、住宅金融公庫でないと離島にはなかなか金は貸してくれないとか、いろいろな条件が、固定金利で長期等々の住宅金融公庫の持っております部分、強さというのは非常に大きなものでありますので、こういったようなものをうまく活用するということでは、そこに対してある程度の金が行く、財投が行く等々のことを締めちゃうと、逆に供給を減らしますと今度は住宅融資に回る金の絶対量が減りますので、それは結果として経済全体の住宅への投資を促すことになりませんから、その意味では、当時、そこを締められるというお話を、政策金融機関は全部つぶす等々のお話でしたから、御記憶かと思いますが、政策投資銀行はすべて、国民金融公庫や何か等々は全部やめる話があの当時でしたから、そういった方向ではないのではないかということを申し上げたと思いますが。

重野委員 それでは聞きますけれども、今回の内閣改造で、というよりは自民党総裁選挙で、森前総理も青木参議院幹事長も、竹中経済財政担当大臣の更迭を小泉総理支持の条件、こういうふうに言っておられました。

 竹中金融・経済財政担当大臣は、構造改革路線、つまり縮小均衡、言いかえればサプライサイド路線の象徴的な存在である、小泉内閣の生命線であったこともこれまた周知の事実。

 となりますと、大臣の従来の考え方が変わっていないのであれば、小泉内閣の最も基本政策と称される部分において根本的に異なるわけでありまして、大臣は、そういう意味では、小泉内閣の閣僚の一員としてちょっと色が違う、こういうことになるわけです。

 この点、大臣は、閣僚になられるに当たって政策上どのように整合化したのか、この点について聞かせてください。

麻生国務大臣 御存じのことかと思いますが、構造改革をするということに反対しているわけではありません。これが一番の問題点だと思いますので。だから、根本的なところは、構造改革はせねばならぬ。

 構造改革をするに当たって手法にいろいろ問題があるという意見の違いがいろいろ出てくるのまで抑えられますと、私どもの方は全体主義でもなければ極めて自由主義でやっておりますので、いろいろな意見が出てくるのは当然なところだと思っております。いろいろな意見を闘わせた上で、決められたものは決まったようにしていくというルールになっておりますので。

 その方の、党員多数の支持を得られて当選をされたという方の組閣される内閣でありますので、いろいろな意見があった方々を、結果的には選挙という極めて開かれた制度によって決められておりますので、その方向に従ってやっていこうということであります。大体、自由民主党というところは、そういうところできちんとまとまっていくものだと思っております。

重野委員 それでは、次に移ります。郵政の民営化問題についてお伺いいたします。

 二十九日の本会議におきまして、総理は、郵政三事業民営化法案を二〇〇五年の国会に提出する、これは選挙公約と言明いたしました。これに先立ちまして、大臣は、選挙公約とすることはやめた方がいいだとか、二〇〇七年からの民営化についても物理的にしんどい、あるいは、総理の郵政三事業の在り方について考える懇談会のまとめた三案以外の方法も検討するとも発言をしながら、総理に対しては、民営化に賛成である、そういう発言をしておられます。

 閣僚としては総理の方針に従うのは当然でありますが、どうもこのようなマスコミ発言、本会議答弁を素直に聞きますと、民営化の否定にこそ大臣の真意はあるのではないか、そういう受けとめ方が妥当ではないかというふうに私は考えるんですが、大臣の率直な見識をお聞かせください。

 もう一点。総理の言う民営化日程の問題でありますが、この四月発足した郵政公社は、法に基づきまして、二〇〇六年度までの中期経営目標、中期経営計画を策定しています。仮に、総理の言うように、二〇〇五年に国会に法案が提出されるとなりますと、これら計画実績は何ら評価されないことになります。このようなやり方は、行政評価手続を法制化した今日の行政制度のもとでは許されることではないのではないか、このように考えますが、以上二点、大臣の見解をお聞かせください。

麻生国務大臣 二点のお話があったと思いますが、最初の点につきましては、何度も申し上げましたように、小泉内閣の方針に従って取り組んでいくことにいたしております。

 私どもの考えで、一案、二案、三案、先ほど春名議員にもお答え申し上げたと思うんですが、あの三案だけという話ではないのであって、しかも、あの三案ですら絞り込めなかったというのが事実だと思っておりますので、あの三案の中で、私どもは、基本としては、ほぼ今までと同じ、郵便貯金を全部やめちゃうというのと、真ん中と、大きく分ければ三つぐらい意見が分かれるところだと思います。

 したがって、その中でやはり、議員にもお答え申し上げましたように、国民的論議を踏まえと総理も言っておられますように、私どもとしては、論議する場合に当たっては、民営化というのは目的ではありませんで、民営化は手段と思っております。

 何をといえば、先ほど春名議員からも御質問があっておりましたように、基本的には、今、お金、資金の流れが極端に郵便貯金、一千四百兆をちょっと切っておりますけれども、一千四百兆ぐらいの預貯金、いわゆる個人金融資産のうち、約三百四、五十兆のものが郵貯に傾き過ぎておるということなのであって、そこらのところがもう少し流動化しないと、いわゆる財政投融資だ、そういったところにどんどん回り過ぎるところが問題なのであって、それは、もっと地方に、地域に金が回るようにするためにも民営化というのは論議が必要なんだ。

 そもそもの民営化の始まったもとは多分これだった、私の記憶ではそういうことになっておりますので、あとは、民営化はそれを解消するための手段ですから、その手段として民営化するに当たっては、少なくとも民営化される側の、今勤めている人たちにとってある程度安心感がないと、おまえの仕事はあしたからなくなるという話ではなかなかうまくいかないのではないか。

 したがって、勤めている従業員二十八万プラス十二万、約四十万ぐらいの方々の生活の安定も考えなきゃいかぬ。また、サービスを受けている国民、貯金している人、簡保に入っている方、また郵便サービスを受けておられる方々につきましても、同じように、均一料金で全国一律と言われる、いわゆるユニバーサルサービスというものを維持するという前提にならないととてもいかぬということで、第三の道を考えるというのならば、あのいずれの案もその案はかなり危ないと思いますので、第三の案を考えることが必要なのではないかということを申し上げております。

 当然、第二の質問に対しましても、これは郵政の今公社化をいたしておりますので、そこの経営の内容を見ましても、幾つかいろいろ努力をしておられますことは私どもも知らないわけではございませんので、そういったものも十分に踏まえて、こういった公社の経営の改革の状況というものをよく知った上で、新しく民営化をするに当たっても、仮にするにしても、その場合はどういう実績を踏まえたかという現場の話もよく聞いてみないと、一方的に話だけをやるよりは、やはり少なくとも、商船三井の経営者をやった立派な方が今あそこに行かれて、今経営に従事しておられる方の率直な意見も十分に参考にさせていただき、この一年間の実績もよく踏まえ等々が国民的論議ということになろうかと思いますが、そういったところも踏まえて十分に検討させていきたいと思っております。

重野委員 それでは次に、いわゆる三位一体問題についてお伺いいたします。

 六月に閣議決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三における国と地方の改革においての三位一体、まず、この改革における三位一体について、大臣の認識、評価を聞かせてください。

麻生国務大臣 三位一体の評価ですか。(重野委員「はい」と呼ぶ)画期的なことだと思います。税制、財政等々、これだけ大きな改革をやったのは、多分、過去、少なくとも敗戦後初めて、これだけ大きいのはないと思いますね。

 そういった意味では、今から物すごく頭の痛い話ではありますけれども、この話は、評価と言われれば画期的なことだと思います。

重野委員 骨太の方針におきましては、総務省も財務省も三位一体なる言葉では一致をしました。しかし、その内容を見ていきますと、国庫補助負担金について、おおむね四兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革を行い、税源移譲に当たっては、補助金の性格等を勘案しつつ八割程度を目安として移譲と書かれているだけであります。あとは二〇〇六年度までの予算編成を見てください、これが実態なんですね。

 そこで聞きますが、臨時財政対策債、つまり赤字地方債の廃止とこの三位一体改革なるものはいかなる関係に立つんでしょうか。この改革内容あるいは手法からする限り、他の要素、つまり、地方財政の総額抑制措置がなされない限り、来年度も赤字地方債に依存することは目に見えているのではありませんか。このことは、来年度税収が概算要求総額の半分しかならないことからも十分予測できることでありますが、まず、この点について大臣の見解をお聞かせください。

 もう一つは、三位一体といっても、地方財政の性格を踏まえれば当然の順序があるはずであります。地方分権推進委員会が最初から指摘するように、地方の歳入と歳出の乖離を均衡化すること、つまり、税源の地方移譲が先であって、次いで、地方の行財政運営の自由度を高めるための国庫補助負担金制度の改革があり、これらの後に地方交付税改革が来るのが当然の手順だと私は思います。ところが、谷垣財務大臣に至っては、地方交付税の議論が税源移譲の前提などと言っておられます。これらを見ますと、三位一体改革もまさに同床異夢。

 そこで、大臣、この改革を推進するに当たって、財政調整制度たる地方交付税はあくまでも地方交付税法にのっとって行う、このことは、大臣、明言できますか。お聞かせください。以上二点。

麻生国務大臣 三位一体、これは大体キリスト教の用語で、父と子と聖霊の御名によって、三位一体という言葉が突如として役所用語になったのは驚きましたけれども、この三位一体という言葉はまさにそのとおりでありまして、これは地方交付税だけ先にやるとか、一つだけやるというようなことはいたしません。

 それから、地方交付税の持っておりますのは、これは、財源を移譲されても、地方によっては財源を与えられたとしても対象にする企業もしくは大きな人口がない等々、地域間格差がありますのは御存じのとおりでありまして、仮に市町村合併が大幅に進んだとしても地域間格差がなくなるということにはならぬだろうと思いますので、交付税の存在意義は極めて大きいと思っておりますので、やはり三位一体でやっていただくということにならざるを得ないだろうと思っております。

 細目につきましては林財政局長の方から答弁させます。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 三位一体の改革につきましては先ほど大臣の方からお答えがございましたが、私の方からは臨時財政対策債の点についてお答えをさせていただきたいと思います。

 御案内のように、臨時財政対策債は、現行の制度のもとでは、通常収支の財源不足が生じました場合に、これを国と地方が折半して負担することといたしておりますが、その際、国の一般会計からの臨時財政対策加算とセットで同額を負担するために発行することといたしているものであります。したがいまして、御懸念いただきましたこの臨時財政対策債の今後の動向につきましては、これを私ども、地方財政の改善あるいは健全化に向けて取り組む中で縮小する努力をしていかなければならないと思っているわけでありますが、そのためには、まずは地方の財源不足を縮小していくことが第一に重要な課題となってくるものと考えております。

 このため、私どもは、今後、経済社会の構造改革の推進等によります経済の活性化を図っていくことによりまして、地方税等の地方一般財源の収入増に努めていかなければならないとまず考えております。

 加えまして、お触れになりました三位一体の改革を推進していく中におきましては、国の歳出の徹底的な見直しと歩調を合わせつつ、地方財政計画の歳出を見直しまして、地方財源不足の圧縮に努めることといたしておりますが、このような改革によりまして、国、地方を通じた歳出の効率化、財政の健全化の努力を図っていくことによりまして、まずは国、地方トータルのプライマリーバランスの黒字化を目指す、その上で、さらに地方財源不足の解消を目指していくことが必要であると考えております。

 今後、三位一体改革の推進につきましては、各省庁と連携をとりながら、私ども、地方財政の健全化に向けての努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

重野委員 時間も余りありませんので、次に進みます。

 人勧問題についてお伺いいたします。

 勧告では、「給与構造の基本的見直し」として、地域に勤務する公務員の給与に関する研究会基本報告に基づきまして、地域の公務員給与構造全般を見直すことをうたっております。

 そこで聞きますが、この中で、多くの民間企業では年功的人事・賃金体系を成果・実績重視の人事・賃金体系に改革して、成績に応じた個人の公平をより重視した仕組みへの見直しが進められていると指摘をしまして、民間の改定データを提示しております。が、果たしてこれをうのみにしていいのかという問題意識であります。というのは、一部民間企業におきましては業績評価システムの見直しが行われて、諸外国からも従来の我が国の人事給与制度を評価する声があることを見ますと、必ずしも現在の民間の状況が将来も続くとは思えないのであります。

 この点、制度の改変を伴うものである以上、民間動向の観察には慎重さが求められると考えますが、人事院の考え方をお聞かせください。

中島政府特別補佐人 給与構造の見直しということが最近よく言われます。その一つとして、成果主義の導入ということが言われておるわけですけれども、この成果主義の導入というのは、先進的と言われる民間の大企業で今までかなり導入され、反省されているということもございます。したがいまして、そういう過程でどういう議論が行われ、今どういうような反省点が出てきておるのかということをよくわきまえたいといいますか、それをよく把握いたしたいというふうに思います。

 例えて言いますと、今まで民間企業で言われておる成果主義というのは、個人成果主義ですね、どちらかというと。そうしますと、部門の成果あるいはまた全体としての成果というものはどうなるんだというようなことがございます。そういうような話とか、成果主義を導入するときには目標管理制度というのが通常一対になって議論されておりますけれども、目標管理制度ということになりますと、年度当初に目標の中に組み込まれなかった仕事というものはどのようになるのかというようなこともございます。いろいろなことが指摘されておりますので、そういうこともよく勉強してまいりたいというふうに思います。

 ただ、一つ、先生よく御理解いただきたいのは、最近、民間企業の若手、特に若い労働者というのは、公務員の世界でも恐らく同じじゃないかと思いますけれども、成果主義の導入について賛成しておる労働者が六〇%おるということでございます。したがいまして、そういうことを前提に、組織の末端で混乱が起きないようなことを考えていかなきゃならないというふうに思います。そのために、各省の官房とか、あるいはまた職員団体の方の意見もよく聞いて、いいものをつくっていかなきゃならないというふうに思いますけれども、このことにつきましては、行革事務局の方でも、評価制度とか能力主義の基準とか、そういうものをお出しになるでしょう。そういうものをお出しになったときには、十分国会で議論していただくという機会があるんじゃないかというふうに思います。

重野委員 この給与構造の基本的見直しが仮に、仮にです、制度化されますと、これまでの国家公務員の給与は、総額における民間準拠のみならず、地域的民間準拠に転換することになるんではないか、そういう気がいたします。その場合、同じ公務労働であっても、給与に格差が生じるだけではなしに、地域的労働市場にも大きな影響をもたらすことになるのではないかというように推測するんですが、人事院はどのように認識しておられるんでしょうか。

中島政府特別補佐人 国家公務員というのは、地域を異にして頻繁に異動いたしております。したがいまして、そういう公務員に適用する給与制度というものは、給与制度としてそれなりに、それを踏まえた上の整合性といいますか統一性というものが必要でございましょう。それは地方公務員と異なるところだというふうに思います。

 ただ、国家公務員の、地域でお勤めの方の給与水準というのは当該地域の民間企業の給与水準に比べて高過ぎるという批判が全国各地であることも、これまた事実でございます。したがいまして、そういう声を踏まえながら、どのように公務員の給与構造というものを変えていくか。今先生がお話しになりましたように、俸給表というものが年功主義的な要素が強過ぎるんじゃないかという声もありますから、そういう点も議論していかなきゃならないでしょう。また、業績とかあるいはまた実績というものが給与の中に十分反映されていないじゃないかというような指摘もありますので、それも検討していかなきゃならないと思います。

 したがいまして、私たちといたしましては、いろいろな方の御意見というものを聞かせていただきますけれども、我々が今まで地域で、いろいろな民間企業の代表者とかジャーナリズムの方とか地域の労働者の代表とか、そういう方から意見を聞いてまいりましたけれども、そういうものを総合しながら、公務員の中で地域でお勤めの方々の給与水準というものが地域の住民から批判されないような形のものをつくっていかなきゃならない。しかし、そのときには、給与構造として統一性のあるといいますか、一つ筋の通ったものを考えていかなきゃならないだろうというふうに思います。

重野委員 労働組合等々とも十分意見交換をしながら、よりよいものをつくり上げていただきたい、要望しておきます。

 最後になりますが、次に公務員制度、特に能力等級制度に限ってお伺いいたします。

 この制度について、前の国会中に石原大臣がこの委員会や予算委員会などで行った答弁を聞いたり、また議事録を読んでみます。聞けば聞くほど、読めば読むほど、理解に苦しむ制度と言わざるを得ない。

 特に印象に残っていることを聞きますが、石原大臣は、ことしの四月九日の決算行政監視委員会で、我が党の山口委員の質問に対しまして、仕事の難しさに応じて、能力等級というものをまず分類する、そして、職員の皆さんについては、例えば中東問題であるならば中東問題を適切に処理することができるのか評価して、能力等級に位置づけるわけである、このように答弁しているわけです。

 まず、石原大臣がこのような趣旨の答弁を行ったことが事実かどうか、行政改革推進事務局、確認をいたします。

春田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今の、委員の方からお話のありました四月の九日でございますけれども、衆議院の決算行政監視委員会の山口わか子先生からの御質問の関係で、能力等級制に関しまして、いわゆる中東問題の経験ということで大臣がお答えになっておりますが……

遠藤委員長 簡単にやれよ。

春田政府参考人 はい。

 そのときに、その中東問題の担当の課長につかせる、任用するといった場合に、そういう職員の能力というものを、現在の制度では潜在的な能力というようなものをベースにして任用しているという面があるのではないかという趣旨でお答えになっていることは、そのとおりでございます。

重野委員 時間も来たようでありますので、今後、公務員制度改革、引き続き私もただしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

遠藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。矢島恒夫君。

矢島委員 私は、日本共産党を代表して、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、前回の七千億円に今回の六千六百億円、二年前に比べると合わせて一兆三千六百億円もの削減となる国と地方の公務員給与引き下げが、国民の懐を冷え込ませ、その削減分以上に個人消費を冷え込ませ、経済に悪影響をもたらすおそれが強いからであります。

 構造改革の名によって国民に痛みを押しつける小泉内閣は、国と地方の財政危機の最大の要因である公共事業ばらまき政策を基本的に温存する一方、年金給付切り下げ、雇用保険の改悪、配偶者特別控除の廃止など、四兆円の国民負担増を国民に押しつけ、国民生活引き下げの政策を繰り返しており、この公務員給与引き下げもその国民生活破壊政策の一環をなしているものであり、経済政策の上から見ても認めることはできません。

 第二の理由は、二年連続の俸給月額、五年連続の平均年間給与の引き下げが、国と地方、七百五十万人の公務関係労働者とその家族に、前回の十五万円と今回の十六万三千円の、合わせて平均年収三十一万三千円以上もの削減の犠牲を強いるものになっており、また、給与引き下げを四月にさかのぼって適用し、年末調整で清算する不利益遡及の問題点を持っていることであります。さらに、この法改正が、民間労働者に対する賃下げ圧力に利用され、賃下げの悪循環を招く問題点も指摘せざるを得ません。

 最後に、国民の懐を暖めて個人消費を拡大するために、社会的ルールを無視した大企業の非情なリストラなどを規制し、雇用対策やサービス残業改善対策などを急ぎ、低下を続ける勤労者の賃金給与収入アップを図るなど、国民の懐を暖める政策への転換を政府に要求するものであります。

 なお、特別職給与については特に異論がないことを申し上げて、討論を終わります。(拍手)

遠藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、給与関連二法案につきまして、反対の立場から討論を行います。

 今回の人事院勧告に至る過程において、昨年の本委員会における附帯決議の趣旨を踏まえ、人事院と関係労働組合の間に真摯な交渉、協議が行われたことについては評価いたします。

 しかしながら、本勧告は、月例給の二年連続の引き下げや一時金の大幅な月数削減で、年間給与は五年連続、かつ過去最大のマイナスとなっております。勧告どおり実施されれば、公務労働者の生活に大きな影響を与えるものであります。しかも、政府の社会的給付に依存する多くの国民の消費生活や、公務員に準拠する地方における中小・未組織労働者への影響は極めて大きいものがあります。公務員給与のマイナス勧告は、賃金のマイナススパイラルを加速させ、現下の不況をさらに深刻化することにつながります。したがって、法案につきましては反対いたします。

 最後に、労働基本権の回復、労使協議による賃金決定システムのための真摯な議論が必要であること、寒冷地手当や給与制度、地域給与、短時間勤務制度などの課題についての関係当事者との十分な交渉、協議、合意を強く求め、私の討論を終わります。(拍手)

遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより採決に入ります。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十九分散会




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