衆議院

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第4号 平成16年2月26日(木曜日)

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平成十六年二月二十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    平沢 勝栄君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    稲見 哲男君

      大出  彰君    川端 達夫君

      黄川田 徹君    須藤  浩君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      寺田  学君    中野  譲君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      橋本 清仁君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      吉井 英勝君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務大臣政務官      平沢 勝栄君

   総務大臣政務官      松本  純君

   財務大臣政務官      七条  明君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 水田 邦雄君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  中村 哲治君     橋本 清仁君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 清仁君     中野  譲君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  中野  譲君     中村 哲治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 所得譲与税法案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、所得譲与税法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長板倉敏和君、厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、政策統括官水田邦雄君及び国土交通省道路局長佐藤信秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 昨年の秋に初当選をいたしました。夏まで長く兵庫県庁に勤めておりまして、二十代のころは当時の自治省にもおりまして、そういうわけで、地方税財政十数年、公務員生活の中でも半分以上そういう仕事をしてまいりました。その間、阪神・淡路大震災にも遭遇いたしまして、国なり全国の皆様方から大変温かい御支援を受けました。そして、数兆円にも上る災害救助、救援、震災復旧復興の予算も立てまして、精いっぱい取り組んできたところでございます。

 そういう経験を踏まえまして、昨年の自民党内の税制改正などでも、地方分権を進める立場から、たびたび質問、要望をしてきたところでございます。きょうは、せっかくの機会でございますので、麻生大臣に何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、三位一体改革についてであります。

 私は、三位一体改革の考え方をまずきちんととらえることが必要だと思います。そういう中で、昨年の十一月二十八日に麻生大臣が経済財政諮問会議に提出したという資料、実は、私も選挙の後ばたばたしていまして、年明けまでその資料のあれをよく知らなかったんですが、麻生三原則とでもいうべき、一つは「地方に信頼され、地方が元気になる改革」、二つ目が「自主財源を拡充する改革」、三つ目が「地方の自由度を拡大する改革」、そういう原則、考え方というのは、大変わかりやすく、方向性も明確に示されておりまして、私は全くそのとおりだと思います。そういう考え方のもとに三位一体改革は進められるべきだと思います。

 そして、そういう流れで見てみると、昨年の六月の骨太二〇〇三といいますのは、これまでとかく、国庫補助金それから税制、交付税、こういったものに個々ばらばらに対応してきたものを、一体として、年限を切って、具体的数値目標を初めて閣議決定のレベルで明らかにしたという意味では、私は大変高く評価すべきだというふうに思います。

 特に、その前の分権会議で、ちょっと名前は忘れてしまったんですが、小委員長とか議長とか、いわば国税と地方税との税源配分の見直しを増税時点まで先送りするというような流れがあっただけに、その六月の骨太二〇〇三できちんとそういうような方向性を明確に出したということは大変いいことだったというふうに思います。

 そういう流れで、では、十六年度のこの三位一体改革というのをどう評価するか、どうとらえるべきかということについて、まず麻生大臣にお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 三位一体をどう評価するかというところは、ちょっとこれは、正確には多分後世の歴史家の評価にまたないかぬところなんだと思います。

 少なくとも、御存じのように、もう長く県庁におられましたので地方税等々お詳しいところなんだと思いますが、基本的には、この三つ一緒にどうしてもやらないかぬところが難しいので、これは相互に物すごく入り組んでおります関係にありますので、地方税がふえれば交付税が減る等々いろいろ相関関係がいっぱいあるところですので、これは三つ一緒にやらねばならぬというところでスタートした。

 三位一体というのは、父と子と聖霊との御名によってアーメンというあのキリスト教の用語から、いつの間にかこれが政治用語に変わったんですけれども、この話は、今回のところで評価すべきところは、多分、もともとは地方税制等々借金が多くて大変だという話からスタートしたんだとは想像つきます。

 いずれにしても、国と地方の関係が、明治の近代日本が始まってこの方、中央集権できたこの国が、地方分権、地域主権に大きく変わっていこうとしているこの十年間の中にあって、国税の基本でもありました所得税というものを地方税に振りかえるというところに踏み出したというのは、多分、今回この三位一体の改革の第一歩として、一番大きなはっきりした方向性を出したのは、基幹税と言われる所得税の一部を地方税であります住民税に振りかえたというところが一番大きなところだった、数字として挙げれば、実績としてはそういうことだと思いますが、その他いろいろなものにつきまして地方に権限をゆだねていったんだと思っております。

 したがいまして、評価はどうかと言われれば、決してすべてが満足というわけではありませんけれども、方向としては、少なくとも地方の自由度が増すということによって地方が元気が出る、そのためには、ある程度の財源がないとなかなかさようなわけにはいかないという観点からいきますと、方向としての第一歩としては評価できると思っております。

谷委員 私も、今回完全に満足というわけではないにしても、まあまあ、当時、当時といいますか、地方財政対策が決着する前に一部新聞紙上で出ました、たばこ税を移譲で事足れりというような流れからすると、基幹税である所得税を移譲するという道筋をつけたという意味で評価すべきだというふうに思っております。

 しかし、ただ一方で、例えば国庫補助金の改革といいますか削減額が、通常の国の予算査定といいますか、予算での縮減、そういったものも入っているのじゃないか、いわば水膨れしているのじゃないかというような声もあることも事実であります。そういうことについての考えをお聞かせ願いたいと思います。

 また、あわせて、それよりも大きな声として、所得税に手をつけたというのは大変大きな成果であるけれども、一方で、地方交付税それから臨時財政対策債が大きく減らされた。それは、地方財政計画における歳出の見直しとパラレルではあるんですけれども、そういったことで、地方公共団体の人といいますか、知事なり市町村長によっては、びっくりした、これは不意打ちじゃないかという声があることもまた事実かと思うんです。

 それで、そういう自治体関係者の声というのをどういうふうに大臣は受けとめておられるのか、先ほどの国庫補助金が不十分じゃないかという問いとあわせてお答えをお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今お話があっておりました。これは谷先生、地方によって、三千百三十五市町村ございますので、その市町村、いろいろ事情がそれぞれお違いになるので、一律にというわけにはなかなかいかないんですが、基本的には、これはまず、市町村も自由度が増した分を使っていただいて、それなりにいろいろスリム化、減量、リストラ、いろいろな表現はありましょうけれども、していただかないかぬということはもう間違いないと思います。

 それから、交付税がというお話をよく聞かれますが、これは平成十五年度、十六年度の差の一番の違いは、昨年までは地方税の収入が景気が悪くてごとんと落ちておりまして、約二兆円地方税が減っていた。ことしは、御存じのように景気が少し回復してきましたので、地方税が二兆円伸びております。その分でいきますとほぼチャラみたいになりますので、逆に言えば、交付税がその分だけ出るということが減る。これは相関関係にありますので、その意味からいきますと、景気がよくなった分地方税がふえた、その分交付税が減ったという点が二つ目で、忘れられているところだと思っております。

 それから、三つ目は、昨年の概算の段階以降も、少なくともおととしのように、減るぞ減るぞといって大して減らなかったというときと違って、今回は地方税が伸びております分だけ交付税は減りますよということもまた、いろいろな意味でこの三位一体の関係が出ますので、あらかじめ十分用意をしておかれないといかぬと申し上げたのを、素直に聞かれたところと聞かれてないところの差がかなり出たということ、これも確かだと思います。

 ただ、そうはいっても、なかなか簡単にはいかぬところもいっぱいありますので、その点につきましては、いわゆる地域再生事業債とかいろいろな形で今別の手当てをしようといたしておりますし、大体ある程度それを予想して八千億ほどの地域再生事業債というものをあらかじめ用意もしておったところでもありまして、なおかついろいろ出てくるところにつきましては、これはちょっと個別にいろいろ対応させていただかねばならぬと思っておりますので、その種の地方の声には十分に耳を傾けて対応させていただきたいと思っております。

谷委員 個別のそういう地方公共団体の要望は、大臣言われるように、それぞれ団体によっていろいろな事情がございますので、十分聞いていただいて、適切な対応をよろしくお願いしたいと思います。

 地方公共団体は、今回で、今お話しさせていただいたように、相当大きな衝撃を受けた方も少なからずいるわけではございますけれども、もう一つ大きな不安は、これからどうなるのか。来年は、十六年度は何とかやりくりしたけれども、これからどういうふうになっていくのか。

 骨太の二〇〇三では、平成十八年度まで続くというふうになっているわけでございますけれども、そういう中で、まず国庫補助負担金改革の道筋のことでございますけれども、あと二年間、どういう分野の補助金をターゲットといいますか重点に改革というか縮減していきたいと総務省の方では考えておられるのか。

 そして、そういう中で、今年度、義務教育費国庫負担金の退職手当と児童手当の取り扱いが何か大変中途半端なままで終わっているわけでございますけれども、地方公共団体の立場からすると、義務教育国庫負担金の退職手当など一般財源化されても何もメリットがないんじゃないかという声もありますし、私もそう思います。そういう義務教育の国庫負担金の取り扱いも含めて、十八年度までの国庫補助負担金改革の道筋についてお尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御意見なんだと思いますが、基本的には、平成十八年度までに約四兆円をめどということで、国庫補助負担金の削減ということで事が進んでおりますのは御存じのとおりです。

 それこそ二〇〇三の中にも書いてありますように、地方も地方として行財政の合理化、効率化を図っていただかないかぬというのが一つ。そしてさらに、私どもとしては、地方交付税等々いろいろ税源を移譲されましても、そのされた分だけ人口がいないとか、税源移譲されても対象となるべき法人がないというようなところにつきましては、これは当然のこととして、従来の補助金より交付金の方が減ることになりますので、その分につきましては、しかるべくその差額を埋めるような対応は、地方交付税の本来の趣旨でありますバッファーとしての役、調整としての役を果たすのは当然と思っております。

 義務教育国庫負担金の退職金につきましては、もうおっしゃるとおりでありますので、その他、この義務教育をどうするかにつきましては、これは二兆五千億というのがぱっと目につくところですから、それはどなたもそこに目をつけられるところなんだとは思っておりますし、財政諮問会議でも同じような御意見が出ていたのも確かです。

 これは、総務省として地方自治体の声に耳を傾ければ、それということの声の方が多いような感じがいたしますけれども、ただ、これは文部省としてはなかなか難しいところでしょうし、義務教育というのをどの程度のものにするべきなのかという、そもそも義務教育はというそもそも論からちょっとやっていただかないと、ただただ銭金だけの話だけでやるのは極めて危険という形になろうと思いますので、この点につきましては、慎重に検討を重ねていってしかるべきところだと思っております。

谷委員 大臣、今の義務教育の件ですけれども、確かに金額が非常に大きい。それで、そもそも義務教育における国としての役割はどうなのかという、いわば教育論にもかかわってくるところは確かにあろうかと思いますけれども、これから、単なる事務的にその取り扱いを検討するというレベルではなかなか済まないような気がしているんですけれども、大臣としての、具体的なスケジュールというよりも、こういうようなやり方というかあれでそれを詰めていったらというようなものがありましたら、ちょっとお聞かせ願えればというふうに思います。

麻生国務大臣 日本の場合は、御存じのように、明治二十三年に、世に不学の人なからしめんと欲すに始まります義務教育というのが、イギリスに先立つこと三年も早く義務教育制度としてスタートし、世界に冠たるものになったんだとは思いますけれども、今時代が変わって、義務教育というものに対する考え方がいろいろ出てきておりますことはもう確かで、よく御年配の方が、昔は小学校までが義務教育だった、戦後は中学まで延ばして何かいいことあったか言うてみいと言われて、ちょっとなかなか反論のしようがない。アメリカはさらに三年延ばして高校までやっているが、何か機関銃ぶっ放してとんでもないじゃないかと言われると、それまた反論のなかなかしにくいところなんでして、長ければいいというものでないことは確かなんだと思っております。

 したがいまして、義務教育についての考え方というのは、これは国民的な合意としては、日本としては、一から十までレベルがあれば、まあ六、七、八、九ぐらい、十もいないけれども一もいないというようなのをもって大体よしとするんですけれども、例えばアメリカなんかに行けば、もう一から十まであって、できる者はできるけれども、できない者はできない。それでも、読み書き計算、英語が、会話がそこそこできればあとはいいじゃないか、それは義務だ、あとは自分でやれと言い切ってしまう。もともと文部省はアメリカにはありませんし。

 そういった意味では、考え方が基本的に違っているところだと思いますので、義務教育を県に渡して県が特色ある義務教育を地域でやってくれるという保証が、任せてくれと言われる県知事さんも市長さんもいらっしゃれば、その金があればもっとほかのところに使えるんじゃないかとか、いろいろ考えられます。これは義務教育を渡した場合、その渡した分だけのことをやっていただくというので、今まであった細かいところは、教職員総量枠の規制やら何やらいろいろな形で、今回も文部省としてはかなり、清水から飛びおりるような勢いで、随分教職員のところなんかはさわっておりますことも確かだと思います。これはもうちょっと議論をさせていただかないと、やっと義務教育についての意見がいろいろなところから出始めたところだと思いますので、これはことし一年かけて、文部省等々いろいろなところでこれは検討をされてしかるべき問題でして、何となくお金の話だけで義務教育に手を突っ込むというのは危険かなという感じが私は実感としてはございます。

谷委員 地方公共団体の不安といいますか、ことしは何とか予算編成ができた、どうにかやりくりしてできた、しかし、三位一体改革はまだ進む、こういう中で、全国の市町村、一方で合併の議論が進んでおります。全国的に見ましても、市町村合併が、この平成十一年から十四年まではわずか数件であった。それが、今年度、平成十五年度は、年度末までの見込みを含めて三十件もある。そして、来年はいよいよ、合併する市町村が相当数出てくるというふうに見込まれております。

 私の地元兵庫県でも、十七の法定協議会が既に立ち上がっておりまして、私の選挙区兵庫五区では、そのうち約三分の一の六つの法定協議会があって、二十八の市、町があるんですけれども、それが、うまくいけば、三分の一の六市三町に再編される、そういう合併の状況です。

 そういう中にあって、来年どうなるのか。来年といいますのは十七年です。十七年なり十八年の自治体の予算が組めるのかどうか、大変不安に思っているというのが現状ではないかと思います。

 ですから、私としては何らかの、地方財政対策を毎年度講じている総務省の方が、目安となるような指針といいますか、例えば、来年、再来年もこれぐらいに相当厳しいので、そういうことに留意して財政運営をしてほしいとか、そういったものを示してもいいのではないかというふうに考えているところでございますが、所見をお伺いしたいと思います。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 今、谷先生御指摘のとおり、私も土日地元に帰るたびにそういったお話を町長さんや村長さんからお伺いをするわけでございまして、頭を悩ましておる面もあるわけなんですが、ただ、先ほど大臣もお話をされておられましたけれども、例の二〇〇三、これにおきまして、平成十八年度までに地方財政計画の歳出を見直していくことによって交付税の財源保障機能の見直しを行うというふうなことまで盛り込まれております。また、三位一体の改革の進め方につきましても、今後引き続いて経済財政諮問会議の場において種々検討がされるというふうなことになっております。

 したがいまして、各地方団体におきましても、既に決定をされておる地方財政計画歳出の見直し方針とか、今後の三位一体改革に関する検討状況等を参考にしながら、それぞれの歳出を、その構造にまで踏み込んで、これまで以上に厳しく見直して、財政健全化について一層の御努力を図っていただくという必要もあろうかと思います。

 しかし、お話のとおり、これからどうやって予算を組んだらいいのかというふうな声も多々聞くわけでございまして、これまでもいろいろ周知徹底ということをやってきましたけれども、やはり今般の場合は年末にというふうな話も実はございましたので、我々としても極力早くそうした情報を手に入れて、あるいは議論をする中で、これまで以上にきめ細かく地方公共団体の皆さん方の方に周知徹底をし、ともどもに、こうしたらどうなんだというふうなことにも取り組んでいきたいと思っております。

谷委員 また、周知徹底といいますかPRといいますか、その辺のことをよろしくお願いしたいと思います。

 なかなか、先ほど来少しお話しさせていただいていますように、今年度の三位一体改革の取り組み、反応は甘くないといいますか厳しいものがあるというのも事実かと思うんです。しかし、そうはいいましても、例えば、公立保育所の運営費などが一般財源化された、そういうことによって地域の自主性を伸ばしたり、あるいは、より地域の現状に適応した施策が行いやすいよう、地方財政計画の中で、あるいは、これから交付税算定の中で工夫して取り組めるようなところも出てくるのではないかというふうに思うんですけれども、何かそういった工夫なり、その取り組みがあれば、大臣の方にお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 今、保育所のお話が出ておりましたけれども、御存じのように、このたび公立保育所の補助金につきましては一般地方財源化ということになっておりまして、その分に関しましてはかなり、それを受けた首長さんはそれをどう使われるかは自由ということになっております。

 ただ、いろいろ御意見があって、これは、おまえ、いろいろ規制があってできぬじゃないかというお話もいっぱいあるんです。これは従来はそうだったんですが、厚生省の方としては、保育所を運営するに当たりましての規制というのがいろいろあっておりましたのを、かなりさわっておられます。

 駅前のビルを一括活用して、定員十人程度の駅前保育所を開設というのは今まではできませんでした。しかし、これはできるようになっております。また、保育所と幼稚園と共同で合同経営というのも可能ということになったりいたしておりますので、渡されたけれども、ちっとも地方の自由度は増していないという御意見に対しましては、私ども総務省としては、幼稚園は文部科学省、また保育所は厚生労働省等々と、自由度をもらった以上それが使えるように、公設民営ができるとか、いろいろな形での自由度を増せるようにということで今お話をさせていただいているところなので、自由度が増した分だけ地方が元気になるような方向でいかぬといかぬので、逆に言えば、そういったことは、うまく経営できる首長さんの腕、首長さんの経営センス、そういったものも問われることになるんだと思いますが、こういった方法があります、ああいった方法があります等々は、広報、またホームページ、いろいろな形でそれに対応させていただいておるというところです。

谷委員 またPRの方、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、所得税が基幹税として移譲されるという方向性が出たということなんですが、私も昨年の自民党の税制調査会で意見も述べさせていただいたときに、基幹税をとにかく地方の方にぜひ移管してほしい、それは所得税か消費税かということで、どちらという決めつけはしていなかったんですが、最終的に所得税ということに決まった、消費税ではなくて。

 そのことについて、大臣の方はどういうふうに評価されているのかということを最後にお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、基幹税が地方税に移管されたという一点は、これは少なくとも私がこの業界に足を入れて二十数年、初めての大きな変化だったと思っております。(発言する者あり)業界というのは業界でしょう、やはり。政界という業界です。

 それまで、いまだかつてこの話は、毎年、年末の税調のたびに出ていたと思いますが、基幹税が自治省、今の総務省に移管されたというのは、ほとんど私の記憶にはないんだと思います、たばこ税ぐらいのもの。今回も同じくたばこ税の話が出ましたが、御存じのように、たばこ税は九千億で、三年後の話までにはとても耐えられるような話ではありませんので、これは煙のごとく消えたというのが正確で、基幹税としての所得税ということになったんだと思っております。

 消費税につきましては、これは将来のことを考えて、まだこの消費税の形がなかなかよく、おさまってきたとはいえ、消費税の値上げだ、消費目的税だ、それに対するいろいろなお話があっております最中ですので、基幹税としては今回所得税というところは、おさまりとしてはよかったというような感じが私の率直な実感です。

谷委員 どうもありがとうございました。

佐田委員長 次に、河合正智君。

河合委員 公明党の河合正智でございます。

 本日は、麻生大臣並びに副大臣ほか、御質問させていただきたいと存じます。

 まず、三位一体改革に関しまして、二月の二十三日、全国市長会の会長が、国、地方財政の三位一体改革に関する緊急要望を発表し、総務省に提出されたところでございます。市長会の会長は、交付税削減の扱いが突然出てきて、その縮減幅も大きく、戸惑いや不満を隠せない、三位一体改革の全体像など具体的な工程表を早急に提示すべきだ、こういうこともおっしゃっております。

 同じように、全国町村会長も、二月二十三日、緊急要望を発表されております。地方交付税及び臨時財政対策債が大幅に削減されていることは、税源に乏しい個々の町村の財政にとって深刻な事態であり、平成十六年度の予算編成にも重大な支障を来す状況に立ち至っている、このようにおっしゃっております。

 また、これは市町村長さんの具体的な声でございますけれども、その中の若干をお伝えさせていただきたいと存じます。

 財政調整基金から繰り入れて、やっと予算を組んだ。三位一体の改革は、基幹税の税源移譲が優先されるべきで、国庫補助負担金の廃止、縮減はそのための手段として認識されなければならないのではないか。また、国は弱いところをいじめているのではないか。ここ四年間に平均で一〇%削減されており、このままでは福祉までしわ寄せが来る。我々は、首を絞められて呼吸困難の状況にある。これが本当に政治かと思う。弱いところをいじめるような国の体質を改めてほしい。また、財源不足については、財政調整基金や減債基金の取り崩しで対応したけれども、来年度については見込みが立たない。税収面では、滞納者が非常に多い。水道料金、住宅使用料、国民健康保険料も同様である。

 また、ほかの首長さんは、大きな合併を控える中で予算編成を行うことを心配している、次回以降は、合併が成功できるよう配慮をお願いしたい。

 また、ほかの首長さんは、このままでは投資的経費に回す資金がなくなってくる。

 また、ほかの首長さんは、市長に就任して以来八年になるけれども、八年間で一回の中途採用を行っただけで、人件費を縮減する等努力してきた。こうした努力に加えてこのような削減となれば、基盤整備だけではなく、福祉や教育などの主要な分野でサービス低下を招くことになる。三位一体改革は、都市への集中と地方の切り捨てを行っている。格差が拡大し、地方が疲弊すれば、都市も疲弊する。税源移譲と交付税の財政調整機能をきちっとやっていただきたい。このままでは、治山治水や人材育成の面で格差が生じてしまう。

 こういう御意見を踏まえまして質問させていただきますが、先ほど大臣も若干触れられましたけれども、そもそも三位一体というこの語源、これについてはどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 その語源の定義が、三位というこの三つの話になりますと、先ほど申し上げましたように、これはもともとは、多分、地方に発生しております二百兆を超します累積赤字の問題が一番大きな理由なんだと思っておりますが、この赤字というものを何とかしてとめるためには、少なくとも……(河合委員「まず、語源をお願いします」と呼ぶ)語源、三位というキリスト教の用語の話ですか。

 私、このもともとの話は、前の片山大臣のときに、交付税と補助金等という話を三つ一緒だということで三位一体という言葉が出てきたんだと伺っておりますので、それぞれ努力、みんなで別々に論議していたものを一緒にということになったという経緯だそうです。

河合委員 私もちょっと調べてみました。三位一体とは、聖書において啓示されている神を言いあらわす用語であると。三位一体というのは、イコール神。だから、地方はこの言葉によって、私は非常に期待したと思いますね。だから私は、現在起きていることというのは、神を冒涜するとまでは言いませんけれども、しかし、現在置かれていることが仮に三年続きましたら地方から反乱が起きると思います。そのくらいの厳しさを私は感じました。実際は、これは三位一体などという大げさなものではなくて、三者一体と言っておけばこんなショックはなかったと思いますけれども、これは私の個人的な見解です。

 要するに、ここで首長さんがおっしゃっておりますように、三位一体と言いながら一体ではない、要するに全体像が見えてこない、だから全体像をまずきちっと示してほしいという要望ですね。場合によっては、市長会でおっしゃっているように、工程表を示してほしい、この要望についてはどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 宗教家でいらっしゃる河合さんにとりまして、私も見た目と違って、敬けんなカトリックの一人としては、これは私の話ですよ、だれも信じてくれないんですが、敬けんなカトリックとしては、この三位一体という言葉は、正直、この言葉自体はかなり驚いて、いつから宗教用語が法律用語になったのかと、昨年そう思ったのが正直なところです。三者一体ぐらいでちょうどよかったではないかとおっしゃれば、私も同じような感想がないわけではありません。

 ただ、一応これがもうスタートしておりますので、これを神と思ったことはないんですが、少なくともこの三つを一緒にやるということにしないと、個別にやると、まず補助金削減だと出す方が反対、交付税を削減というと減らされる方が反対、みんな全部反対が出てきますので、そこで三つ一緒だということになって三者一体ということだったと思っております。

 そこで、今回やらせていただきました中で、いろいろな御意見があるんだと思いますけれども、基本としては、時代の流れに合わせて、やはり中央集権で何でもしてきた明治この方百三十何年続いた制度から、地域主権で、地方の自由裁量でやれる範囲をふやそうといった形の流れになってきた。これが非常に大きな流れで、それを補佐するためには地域に自由度を与える、そのためには、地域が自由度を得るためにはそれなりに要るものが要る、すなわち自主財源が要る。その結果、地方が自分の責任で地方を経営することによって特色ある地域の発展を促せるというのをもって行き着く目的なんだとしているんですが、そのための手段としてこの三者一体というものが出てきているんだ、私どもはそう理解をいたしております。

 したがいまして、これは地域もある程度、これまでの間かなり何となく、いよいよになったら最後は交付税でとか、最後になったら特別交付税という形で埋めてもらえた部分を、少なくともいろいろな形でスリム化してください、ICT、いわゆる行政手続もオンライン化されますよとか、いろいろな形で努力をしてください、そうしないと、一人当たりの行政経費が五千人以下の町は百万円かかっていますよ、一、二万になれば経費は四十万円から五十万円に落ちますでしょうがと。

 そういった話も、いろいろ合併というのもそれにも関連しているんだと思いますが、そういったようなところから少しずつ国も地方もそれぞれ努力をしないといかないんだと思いますので、その日程につきましては、二〇〇三なんかで定義されておりますやり方がいろいろ出ておりますので、四万人の削減とか、いろいろ御存じのようなところが出てきておるというのは、当面今やるべきところだと思っております。

河合委員 特に地方でショックを受けましたのは、年末に財務省原案を見てからでは間に合わない、しかも削減幅が多過ぎる、このショックが大きかったと思います。したがって、十七年度以降の具体化に当たりましては、地方の声を十分に聞いて反映できるように、そういう機会と時間をつくってほしい、こういう要望に対してはどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 一連の補助金の削減等々の話は、一昨年から既に出ておったところなんですが、少なくとも一昨年に関しましては、いろいろ政府としても手を差し伸べた結果、余り大きなショックはなかったというのに続いて、昨年、もう早い段階で、概算の前から出ていたところだったんですが、一昨年と同じ程度のものだろうとなめてかかったところは何となくショックが大きかった、それが非常に大きいと思っております。

 二つ目は、地方税の収入というのが、一昨年は約二兆円ぐらい、前年度比マイナスになりました。その分だけ交付税はふえたということだと思いますが、今年度につきましては増ということになりますので、少なくとも二兆円減ではなくて、ふえもしなければ減りもせぬ、微増であります、景気がよくなった分だけ。その分だけ、逆に言えば交付税は来ないということになりますので、その意味では、予算の立て方が一昨年と同じと思ったところはなかなか難しかったということだと思っております。

 いずれにいたしましても、こういったようなものにつきましては、流れとしてはいろいろ出てまいりますので、今言われましたように、地方に対して、えっということは、これは実に、同じ紙が回っていても、その紙を見てはっと理解をする方と、どこかへこうというところと、もうこんなに差がございまして、そこのところは、ちょっと正直、私ども、まじめに考えるとえらいことになりますよと申し上げたところでも、いやいや、まあまあなんていうところとはえらい違いが出ますので、そこのところは、正直、私どもとしては丁寧にやらせていただいているつもりですけれども、さらに一層、その種のことにつきまして、ショックが少ないようにという努力は今後ともさせていただきたいと存じます。

河合委員 その中で、具体的に地域再生事業債についてでございますけれども、その対象はハード事業が主であって、ソフト事業、だから福祉等については対象にならないのではないかという心配の声もあります。これは、福祉等について一生懸命取り組んでいる町村長さんに対して、非常に不安が多いところでございますので、お答えいただきたいと存じます。

瀧野政府参考人 地域再生事業債についてお答えいたします。

 地域再生事業債は、各地方公共団体の平成十六年度におきます地方単独事業の実施状況に応じまして、一定の要件を満たす団体について、通常の地方債の充当に加えまして、さらに一〇〇%までの範囲内でこの事業債を充当できるというものでございますが、御指摘のように、ハード事業に充当するということではございますが、そういうハード事業に係ります一般財源がこの充当によりまして軽減されますので、そういった軽減された財源を福祉その他の行政分野の財源に確保していただこう、こういう趣旨も含んでいるわけでございます。

 また、行政改革等に取り組んでいただく団体につきましても、財政健全化債というものも予定をしておりますが、これも同じように起債でございますので建設事業に充当されますけれども、それによって一般財源が浮いてくる、それによって全体の財政運営がきめ細かく対応できるようになってくる、こういうふうに考えているところでございます。

河合委員 一般財源を浮かせて、その中のやりくりで対応できるのではないかというお答えだったと思いますけれども、具体的に、例えば臨時財政対策債で手当てされる、後年度に交付税措置がされるということから比較しますと、やはり現場を預かっている首長さんとしましては、厳然たる差があるということにならないかと思いますが、その辺はどのようにやりくりしたらよろしいのでしょうか。

瀧野政府参考人 地域再生事業債と臨時財政対策債の違いということでございます。

 御指摘のように、臨時財政対策債の方は赤字地方債という性格づけでございますので、建設事業にかかわらないいろいろな経費に充当できるという面では非常に広く運用できるものでございます。ただ、赤字地方債でございますので、その発行につきましては、法律できちんと決めまして、特別のものとして発行し、額も上限を設ける、こういうことになってございますので、ある面では弾力的な運用というものはできないものでございます。

 それに対しまして、再生事業債の方は建設事業債でございまして、その発行はもとより地方財政法で決められてはおりますけれども、弾力的に対応できるものでございますので、我々といたしましては、この地域再生事業債、現在八千億の枠でございますけれども、地方公共団体の要望を踏まえまして、その枠にとらわれないで対応していくということがこの再生事業債ではできるという面で、それぞれ違う性格のものであるというふうに思っております。

河合委員 地方にありましては、三位一体改革ということについて、それぞれやっぱり覚悟はしているんですけれども、ソフトランディングして最終的にきちっとするのではないかという期待を、今回こういうことになったことについての衝撃が大きいと思います。したがいまして、地方交付税につきまして、先ほど議論もございましたけれども、財源調整機能のほかに財源保障機能というものは、私はこれは適正に維持されるべきであると考えております。

 これについて質問を用意しましたけれども、これは私の意見として述べさせていただきたいと思います。

 今回の交付税削減で、特に深刻なのは市町村の中の町村、一律カットは小規模自治体にとっては致命的だ、こういう声が上がりますけれども、いかがでしょうか。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 今お話ございましたように、一律カットというふうなことでありますが、実は、各地方公共団体に係る普通交付税の算定につきましては、当該団体の標準的な財政需要であります基準財政需要額が標準的な財政収入である基準財政収入額を超える額を普通交付税として配分する仕組みになっておる、これはもう先生御存じのとおりでありますので、そういった意味合いから一律カットということにはなっておりません。

 地方交付税制度が、全国のどの地方団体においても法律で義務づけられた事務事業など一定の行政水準が確保できるように必要な財源を保障するという趣旨にかんがみて、今申し上げた基準財政需要額、基準財政収入額の算定に当たっては、小規模団体も含め、各地方団体の状況を的確に把握して、適切に算定をすることによって、しっかりと確保されるものと思っております。

 恐らく、先生の思いの中には、例のあの段階補正だとか、いろいろなことで、結果として小さいところがより減っているんじゃないかというふうな思いがおありになろうと思いますが、そこら辺はしっかりと対応させていただきたいし、先ほどお話がありました再生事業債等々もございますので、十分対応させていただきたいと思っております。

河合委員 次に、地方への事務が義務づけられたままで地方交付税を大幅削減する、こういうやり方というのは結局地方の自立につながらないのではないか。地方の事務に関する国の関与というものを抜本的に排除して、地方への権限移譲ですとか規制緩和を加速すべきだ、こういう声は正論だと思いますが、これは大臣、声を大にして御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には地方でできることを地方にということで、今、同化定着という言葉が既に出てきておりますが、既に地方に事務を移管しているにもかかわらず実質国でやっている等々、同化して定着しているもの、同化定着という言葉になっておりますものにつきましては、これは積極的に地方にさせるという方向で、これは経済財政諮問会議でも最終決定をしたと記憶をいたします。

 おっしゃられるとおり、自由化しているんだけれども、ほかの省庁からとかほかの省令でとか他の政令でそれができなくなっているというものに関しましては、これは積極的に地方の裁量権がふえる方向で事を進めていくべきものだと思っております。

河合委員 ただいま、各地方にありましては、合併とこれが同時進行しております。

 合併にかかわることについて一つお伺いさせていただきますけれども、市町村合併を行いますと首長と議員定数は削減されます、自動的に。ところが、公務員定数は同じようにはいかない。しかし、ここを削減しない限り財政的にやっていけなくなる。だから、その合併団体というのは、これから合併を目前に控えているところ、それから合併を決めたところについては、特にこのジレンマが大きい。この問題についてはどのようにお考えでしょうか。

山口副大臣 お答えをいたします。

 一般論として、合併によって行財政の効率化が図られるというふうなことはありますが、先生御指摘のとおり、議員さんは減る、首長も減る、これはもう明らかであります。しかし、地方公務員の皆さん方に関しては、いろいろな問題点があろうかと思いますが、一般職員の計画的な削減とか事務事業の見直し等を盛り込んだ財政計画をベースに市町村建設計画というものが策定をされていっておるわけでありますし、同時に、例の二〇〇三におきましても、十八年度までに四万人減らしてもらうというふうなことで、大体毎年一万人強減らしていただくというふうな方針等もあるわけであります。

 いずれにしても、市町村合併におきましても、そういった面を含めて、さらに行財政のさまざまな効率化を図っていただきたいと考えております。

河合委員 また、合併が具体的に進んだところの例を一つ挙げさせていただきたいと思います。

 私の地元、野田先生にとってもお近くでございますけれども、山県市というのができまして、美山町と高富町と伊自良村というのが合併したわけでございますが、かつての美山、伊自良、高富という町名は消えてしまったことによって、その地域住民にとっては非常にアイデンティティー的なものを感じなくなった、それから、行政サービスというものはそういうことにも関連して低下しているのではないかという不安がございます。

 先ほど大臣は経済財政諮問会議のことをおっしゃいました。また、大臣にはデフレと不良債権の問題について御見識を私は伺ったことがございますが、感銘を受けました。しかし、この経済財政諮問会議で論じられていること、経済の競争原理というものを社会にもそのまま当てはめていこうとされていることが二〇〇三からも私は感じております。

 そうなりますと、結局、合併というそのコストの効率化は図られるかもしれませんけれども、しかし、そこで、地方自治にとって基幹、根幹をなすコミュニティーというものが破壊されていってしまったら、これは元も子もない話じゃないか。だから、経済原理と社会構造の原理というものはきちっと遮断して考えていかないといけないんではないか。

 例えば、地方では今、大きなスーパーは閉鎖されて、地域の最前線に小さなスーパーマーケットができている。少子高齢社会というのはお年寄りの行動半径は小さくなるわけですから、そこに対応していかないと、私は国の大きな政策として方向を過つのではないかという懸念を持っております。この点も踏まえまして、今のままの行き方というのは、経済財政諮問会議から出ている地域コミュニティーを破壊してしまうのではないかという懸念についてはどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 いろいろな意味で町村合併をいたしまして、昔の名前というのがよく出てくるところですが、昔郵政省がやったときも御記憶だと思いますが、例えば東京に今、南青山という意味不明な地域があります。ここは、笄町とか霞町とかいうきちんとした由緒正しき昔からの名前があった。それが郵便局の配達の都合で南青山という名前になって、いかにも格好いい名前になり、群馬県では沓掛がなくなって中軽井沢とかいう。何となくいいんだか悪いんだかわからぬような名前にみんな変わった。私が、これは住民がみんな住民投票でもやったのかということを聞くと、そうでもないけれども、何となくいつの間にか変わったと。断固反対した東京の小伝馬町、蛎殻町はそのまま残ったというのは、もう昔からよく言われたところなんです。

 今回も同じように、合併というのは方向としていいが、コミュニティーが、地域が、方言が、文化がということに関しましては極めて大事なところだと思いますので、総務省といたしましては、区で名前を残すとか、いろいろな形で対応をさせていただいております。

 その意味では、いろいろな形で合理化されたところの中にあっても、その地域で一体としてやるのは効率的になりますが、その地域の長い間のお祭りとかいったようなものはなかなか一緒にならぬのじゃないかなというのが正直な実感でもありますので、こういったものは今後とも大事にされてしかるべきと基本的には思っております。

河合委員 大臣の御経験を踏まえられました多様な御見識については非常に期待が大きいと思います。以上、期待を表明いたしまして、質問を終わります。

佐田委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。よろしくお願いいたします。

 三位一体の、神々しい名前であるということでございますが、三位一体の改革、実は、地方分権一括法がありましたけれども、地方分権推進委員会の勧告に基づいて一括法で実施をした改革が第一次の改革、今回の国、地方の税財政改革というのが第二次の改革であろう、こういうふうに思っておるわけです。

 そこで、多くの方に聞かれていることだと思いますが、三位一体改革を行って、どのような国の形にするのか、しようとしているのか、そして、そうすると世の中がどう変わるのかというのが一番知りたいところだと思うんですが、その点について御見解をお願いします。

麻生国務大臣 最も大事なところだと思います。

 基本的には、一八六八年開国この方、それまで約二百七十年間三百諸藩に分かれて、いわゆる地方分権のきわみだったんだと思います。それがやはり近代工業化社会を目指すためには中央集権でやらないかぬということで、明治四年に廃藩置県をやって、当時は九十何県あったそうですが、四十七都道府県にし、いろいろな形で中央集権化を図った結果、日本は近代工業化社会に少なくとも有色人種では一番最初に到達したというのは、歴史的判断なり政治的判断としてその当時は正しかったんだと存じます。

 しかし、時代が変わって、脱工業化社会という、工業化社会が終わった今の時点になって、新しい時代として、多分、情報化とか知価社会とかいろいろな言葉が使われておりますが、そういった時代にあっては、これはもう一回、何でもかんでも中央で全部決めて一律というのはいかがなものかということになった。

 均衡ある地方の発展から特色ある地方の発展というようなものに変わってくる流れの中にあって、やはり地方には地方の文化というものを育てていくという方向にしないと、先生の場所はどうか知りませんが、例えば私どもの筑豊でいきますと、筑豊銀座とか新潟銀座とか、大体、もともと銀座もないようなところに銀座なんという名前をつけるのは一種の劣等感の裏返しみたいなものだと思って、いつもくだらぬなと思っておりましたけれども、そういった言葉は最近はなくなった。

 そういった言葉を使うのは余りみっともよくないなという気になって、それぞれの商店街が、それぞれの町がいろいろお祭りを始めた。そういったことは一つの新しい地方の時代として、今あります三千二百のものまでうわっと全部、全部が違うとはいかぬとは思いますが、少なくともいろいろな形で、今選挙区で約三百ございますが、大都会はともかく、地方にしてみれば、同じ選挙区の中でもいろいろ方言も違いますし、言葉に限らずお祭りも違う。

 そういった意味で、地方に、特色ある、小さな効率のいい政府と、そして活力ある、文化の育った社会、漠然とした言い方で恐縮ですけれども、そういったものができやすいような制度改革という方向の流れなんだと私自身は理解をいたしております。

大出委員 そういう認識、同じような認識でございます。

 総務委員会だからというわけではございませんが、この三位一体の分権と同時に、私はある意味の一つの社会を描いております。それはやはり、IT革命というのもある意味の第三次産業革命でございますね、先ほど脱工業化とおっしゃいましたけれども、その行き着く先は知識情報社会ということだと思うんですね。

 総務委員会でございますから、それを見据えながらこの間の日本のあり方を振り返ってみますと、中央集権であり、そして高度成長型であり、さらに使い捨てという文化だったわけですね。要するに、この間の不況をずっと見ていますと、ここに間違いがあるんではないかと思ったわけですね。当然、IT社会を見据えながらですよ。それを克服する手段として、一つはITを促進することがありますね。さらには、中央集権だったんだからやはり分権がいいんじゃないか、こうなるわけですね。それと、高度成長はもう無理だからせいぜい安定成長にしよう、こうなるんですね。それに、使い捨てはまずいから循環型にしよう、こうなるんですね。これが、三位一体につながってくるまず初めだったんだと思うんです。

 それと同時に、私は、さらに新しい意味の福祉経済社会をつくらなければだめなんだと考えているんです。というのは、IT社会の行き着く知識情報社会というのは、先ほど申し上げたように第三次産業革命でございまして、昔は、軽工業から重化学工業に移ったときは、要するに人間の手足のかわりを機械がしたものですから、機械の性能を上げれば生産性は上がったんですね。ところが、IT社会は機械なんですね。パソコンは機械なんですが、頭脳ではないんですね。頭脳計算のかわりをやっているだけですから、機械の機能を幾ら上げてもこれは太刀打ちできないんですね。つまりは、人間の知識だとか知恵だとか能力を高めないとこれは諸外国に勝てない時代なんですね。

 そうだとすると、人間の知識や創造力や知恵を高めるにはどうするかというと、いわゆる社会生活をしているところの環境を、年金や介護や医療や、あるいは休暇だとかフレックスタイム制とか、この部分をしっかり提供しないとそういう人間が育たないわけですね。

 ですから、そういう意味で、新しい社会福祉の経済社会をつくるべきだというのはそこなんですが、新しいという意味は、財政が少ないときに大きな政府はできませんから、そういう意味も含めてですが、こういう絵をちょっと描いているんです。

 それで、その中の、これはまさに総務委員会的なんですが、片方のITがあり、片方の分権の部分が今回の分権改革だと思っていまして、この分権改革の行き着く先なんですが、明治の時代の廃藩置県、その逆をやろうとしていますね、今、私たちは。国の縦割りをなくそうとしているわけですね。国の縦割りが何でいけないかというと、まずは補助金の総額が先に決まってしまって、それに地方の事業量が後から決まる仕組みなんですね。

 これをやっていますと、要するに、地方の意向が必ずしも反映していなくて、反映させるために一生懸命陳情に行くわけですね、中央にもあるいは政治家にも陳情に行くわけですが、まさに陳情民主主義になっている。

 さらに、中央とのパイプということを言って一生懸命選挙運動をやった方もおられた。大分変わってきましたね。さらには、そういう方式でやっているんだとすると、何だ、行政は全国一律ではないかということも起こりまして、さらには、そんなんだったらもう任せておけばいいではないかという、お任せ民主主義といいますか、こういうものが縦割りの弊害であろうと考えられて、それを打破しようというのがこの分権改革の意味だと思うんです。

 どうなるかというと、資源配分の決定権が国から地方に行くわけです。そうしますと、道路や橋などの公共事業を国から引き出すといった利益導入型の中継ぎをする方や口ききが要らなくなるだろうということですね。

 さらには、各省庁の補助金分配やそれを通じた地方の統制、これも要らなくなるだろう。そうすると、官僚の方々が失業することになるわけですが、これは当然、地方が吸収したり、優秀な方々ですから、いろいろなところが吸収するだろう。そして、では各省庁の機能はどうなるのかというと、これは内閣と地方が吸収するだろう。となるとどうなるかというと、霞が関の解体というところまでいく話なんだと思うんですね。

 これをやりますと、官僚支配体制から政治主導体制に移行するだろう。同じ絵かどうかわかりませんが、そういう思いの中でこの三位一体の改革なんだろうと思っているんですね。ところが、現実はそう簡単にはいっていませんが。

 そんな中で、先ほど、今回の国と地方の税制改革というのは第二次改革と申し上げましたけれども、私は今みたいに考えているんですが、この次に来る、第三次改革といいますか、それについてはどのようにお考えか、お述べいただきたいと思います。

麻生国務大臣 大出先生、第三次改革という定義がいまいちよくわからないんですが、ちょっとそこのところ、もう一回教えていただけますか。

大出委員 地方分権一括法が第一次改革だとすると、今度は税財政改革を行います、今やっていることなんですが。その後に分権のためにどんなことを始めるのかなということなんですが。

麻生国務大臣 これは、ちょっと私のとり方なんだと思いますが、諸井委員会で出ましたときのが、多分あれが第一次ということになる、地方と中央との対等という感じのものが第一次だったと思う。今のが、これがお金の話で第二次。それで第三次は何かということなんだと思いますが、第三次は多分、規制というもののさらなる改革なんだと思っております。それが本来の流れかなという感じがいたしております。

 これはいろいろございまして、地方自治法でいろいろ決められた中で、例えば、まことにつまらぬ話ですけれども、学校のプール、夏は学生が夏休みでいない、開放せい、地方で使っていいぞというのは、地方自治法は、公共の施設を公に勝手に貸すというのはだめ、学生以外に使わせるのはだめということになっておりました部分は、これは地方自治法を改正してマルということにしたんですが、今度は教育委員会が、学生以外はバツと言うものですからこれまたできない、一つの例を申し上げましたけれども、そういったような話というのは実はいっぱいございます。

 こういったものは規制を緩和して、地方のスポーツクラブに貸して、役人が貸しますと金取ることを忘れるんですけれども、自分でつくったんだったら地方団体もちゃんと金を取れといって、それでちゃんと維持費やら何やら出せるようにということも含めまして、規制の改革、アウトソーシング、いろいろな表現が今出ておりますけれども、そういったものをやりますと、もう少し自由度が増すかなという感じがいたしております。

大出委員 まさに私も次はそうだろうなと実は思っておりまして、そのときに、今までの、大正時代から改革をやってきて、税源を移譲しようという試みがあって、結局それがとうとうできないできたというのが現状なんですね。

 ですから、それができないと、後の第三次で規制を緩和してみても余り意味がなくなるだろう、やはりここが正念場なんだなというふうに思っているところなんです。それでお尋ねをしたんです。

 ちょっと話は変わりまして、この間の過程の中で、二〇〇三年の前半のときに、地方分権改革推進会議、西室泰三議長さんのときに、小委員長試案というのが出てまいりました。これは地方共同税というんでしょうか、そういう提唱が出されまして、地方税にして、それを超える分については徐々に削減をし、ゼロに近づけようという提案だったんですね。唐突に出てきて、当時、委員会とかないときですから消えていってしまいましたが、これ自体はなぜつぶれていったのかといいますか消えていったのかということ、経過的なところを何らかお答えください。

瀧野政府参考人 地方分権改革推進会議で示されました地方共同税構想についてのお尋ねでございますが、これは、ただいまも御指摘がございましたとおり、地方交付税を法定率分と特例措置分に分離して、法定率分につきましては地方税と位置づける、その税収を地方公共団体から拠出させてプールをいたしました上で、歳入面の格差是正をするために、水平的に、地方公共団体同士の財政調整を行うということと、それから、特例措置分につきましては、国が政策的に交付する財政調整交付金というものに組みかえて、段階的に定率で減らしていく、こういう内容でございました。

 これにつきましては、要するに、現在の地方財政対策で、いろいろな交付税の増額とか、あるいは特例地方債を出しておりますけれども、これは本来交付税率を上げるべきものなのでございますけれども、国の財政状況が非常に厳しいものでございますから、臨時的な制度改正で対応しておるというものでございまして、この分権推進会議におきまして出されましたような法定率分と特例分を別物とするという考え方というものは、本来の特例分あるいは法定率分の考え方と違っているというところが一番の問題だったというふうに我々考えておるわけでございます。

 そのほか、地方公共団体にいろいろな事務事業を国としてお願いしているわけでございますので、そういった財源をトータルとして確保し保障するという責任がどういうことになるのかというような問題等々、いろいろな面もございます。

 また、この水平的財政調整をやりますと、地方税としてせっかく取ったにもかかわらず、全体としてプールするものでございますので、地方税収が限りなくゼロに近づくような団体も出てくるというようなことで、地方税制としても成立し得ない面があるのではないかというような論点もございました。

 そういった中から、地方団体からも非常に激しい反発が出、また委員の中でも異論が噴出し、御案内のとおり、十一名の委員中四名が反対、一名が記名拒否というような異例な事態になり、そういった中で、今回、基本方針二〇〇三の中におきましても、この地方共同税構想という構想につきましては全く議論もされないままであったというふうに承知しております。

大出委員 私も、この小委員長という方、何かその試案が出たときに、有名な方らしくて、地方分権の方の方なのかなと思っていたんですね。そうしたところ、もともとが財政の持続可能性の構造とか何か言っていまして、あれ、何だろうな、地方分権だったら地方の自由度を高めるようなことをおっしゃらないといけないんではないかと思ったら、そうでなかったんですね。だから消えていったのか。

 つまりは、当時から、分権なのか財政再建なのかという部分の闘いがあって、この方は財政再建ということを重視した方だったのかなと。しかし、地方分権の方なんだなと思って、ちょっと奇異に思ったものですからお聞きをしたんでございます。

 今、余りその辺のぶつかり的なところはおっしゃってはいただけませんでしたけれども、まさに地方税がゼロのところも出てくるということがあれば、全然地方の自由度というのは高まりませんから、つぶれていくことになったのかな、そんな認識でございます。

 次に、この後に、二〇〇三年の六月に、いわゆる骨太方針の第三弾が出てきたわけでございまして、これは、御存じのように、約四兆円の国庫補助負担金の廃止、縮減、それから税源を移譲する、それは義務的事業については効率化した上で全額、それ以外のものについては八割程度を目安に、こういうことだったと思います。

 そこで、二〇〇三年の十一月になりまして、小泉さんがおっしゃったのが、平成十八年度までに四兆円、十六年度には一兆円廃止、縮減で、税源移譲はというと、所得譲与税で四千二百四十九億円、税源移譲予定特例交付金で二千三百九億円だけということなんですね。これだけなんですね。

 私がいろいろ調べてみたときに、例えば政府の経済財政白書の平成十三年度版ですが、税源移譲シミュレーションというのがありまして、これだと六・八兆円、七兆円ぐらいなんですね。全国知事会の提言、平成十五年でございますが、七・九兆円。要するに、七兆円か八兆円ぐらいは移譲しないといけないんではないかというのが大方の認識なんですね。我が社は、五・五兆円を削減し、十三・二兆円ということを言っていますね。合わせて十九兆円、こう出しているわけです。

 ところが、四兆円だということ、それから今回一兆円だという。余りにも少ないのではないかなと実は思っております。そして、さらなるといいますか、改革を上積みしなきゃいけないんではないかと思うと同時に、十八年度までに前倒しはないのか、参議院選挙もあることですし、そういうことはないのだろうか、その辺についてお伺いをしたいんです。

 まずは、骨太方針でいきますと平成十八年にどれくらい税源移譲になるのかということと同時に、前倒しは考えていないのか、この質問をいたします。

山口副大臣 お答えをいたします。

 今、大出先生のお話の中にもありましたけれども、基本方針二〇〇三におきまして、補助金改革に対応して、基幹税の充実を基本に税源移譲するというふうなことに決定はいたしております。

 この税源移譲につきましては、実際のところ、補助金改革の状況に応じて検討もしなくちゃいけないというふうな側面も実はございまして、今もお話がございましたが、既に三年間で四兆円というふうな、いわゆる補助金改革というふうなことが明言をされておりまして、税源移譲につきましても、十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するということも明確になってきております。

 確かに、先生の御指摘のような思いもするわけでありますが、今後、ともかく本格的な税源移譲の具体化に取り組んで、まさに分権社会の基盤となる地方税体系をつくっていきたい。そして、御指摘がありましたように、思いとしては、四兆円等々にとどまることなく、さらなる検討も必要になってくるんじゃないかなというような思いはございます。

大出委員 その思いが大事なんですね。

 五・五兆円という片山さんのプランをやったときに、ああ、いいこと言うなと思ったんですね、実行できなかったですけれども。ですから、やはりここは、先ほど言ったように、私たちは同床異夢かもしれませんが、霞が関の解体までいくんだろうと考えているんですね。そのときに、とっととやれよというのが本当の思いでございまして、参議院選挙もありますので、そこのところは閣議の中で前倒しをしていただきたいというのがお願いでございます。

 次に参りますが、今回の改革を見たときに、もう今までと違うなと思ったのは、地方から国庫補助負担金の廃止案が出てきて、大きな流れができてきたと実は思っています。今までだと、陳情しないと、もらいたい、もらいたいという話だったんですが、要らないよというわけですからね。とにかく税源を移譲しろということでございまして、この流れが要するに相当動かしているんではないかと思います。この流れに乗りおくれますと、補助金を上げるに当たって省庁の方が理由をつけなきゃならなくなってくるようなことなんですね。

 そういう中で、非常に私はそこが重要だったんだと思っておりますが、この間の経過を見ていると、厚生労働省の方でしたか、生活保護費の率を下げるだとか、こういう話が出てきたり、あるいはたばこ税というような話が出てきたり消えたりしているわけですが、その辺の経過についてちょっとお話をいただきたいと思います。

瀧野政府参考人 私の方から、最初に生活保護の関係についてお答えいたします。

 生活保護費の負担金につきましては、昨年末、三位一体改革の議論の過程で、厚生労働省の方から負担率を引き下げるという提案があったところでございます。

 他方、生活保護につきましては、法律上、全国画一的な基準によりまして金銭給付を行うという制度の基本的性格がございまして、そもそも地方が自由裁量を許されない行政分野であるといった考え方もあるわけでありまして、全国知事会を初め地方団体も、この生活保護負担金の廃止、縮減には強く反対してきたところでございます。

 こうした状況の中で、政府・与党の協議を経て、最終的にはこの生活保護負担金に関しまして、給付のあり方や国と地方の役割分担などにつきまして、地方公共団体関係者等と協議しつつ検討を行って、その結果に基づいて平成十七年度に所要の措置を講じる、こういうこととされたところでございます。

板倉政府参考人 たばこ税の関係でお尋ねがございました。

 税源移譲につきましては、基本方針二〇〇三におきまして、補助金改革に対応して、基幹税の充実を基本として実施をするということとされております。

 たばこ税につきましては、税率の調整によりまして、比較的簡単に税源移譲が実現をできるという点がございますけれども、まず第一に、基幹税ではないということ、また、たばこの消費本数が減少傾向にございまして、将来性が懸念をされる税目であるというようなこと、また、移譲可能額に限界があるというようなこともございまして、たばこ税の移譲につきまして地方団体から強い反対があったということは御承知のとおりでございます。

 こういうことを踏まえまして、昨年末の税制改正の議論の中で、平成十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するということを明確にいたしました上で、それまでの間の暫定措置といたしまして、平成十六年度において、基幹税でございます所得税の一部を地方に譲与するということで所得譲与税を創設するということとされたものでございます。

大出委員 そういう話なんですが、昔から、税源の偏在をどうやって克服するかというときに、たばこ税を移せとかいう話があったんですね。私は、だから両方やればよろしいんじゃないかと思ったんですね。これもやります、さらに所得譲与税もやりますと。本当は、最終的には移譲しないといけないと思います。なぜかな、両方やればいいのになと実は思ったんですね。

 ただ、これを見ていまして、生活保護費だとか、あるいは義務教育費なんかもそうですが、どうも、各省庁が義務的なものばかり出しているわけですよ。やる気あるのかな。ないんでしょう。あるいは、先ほど申し上げたように、霞が関の解体につながってしまいますから、そこがあるからだと思いますが、トカゲのしっぽ切りじゃありませんし、こんな義務的なものは、地方からすれば移譲されたって使いにくいわけですよね。財政面の自由度なんて高められていないわけですよ。

 そういう意味で、これでいいのか、もっと本当の意味の、大正時代に移譲ができなかった最後のいいチャンスでございますので、しっかりと移譲すべきではないかと実は思っております。

 そして、今度公共事業の方を見ても、公共事業関係の補助負担金ですが、一部は交付金になったわけですね。ところが、大部分は事業縮小にとどまっていまして、税源移譲の対象から外しているんですね。これでは、本当はここの部分が重要なんですから、自由度は高まっておりませんし、むしろ逆に改革の趣旨に逆行しているのではないかと思っているんですが、その点はどうかということ。

 もう一つは、これは、省庁間の調整に任せておきますと、有益な方向に進まないですね、先ほども言ったように、トカゲのしっぽ切りみたいなことになりますから。

 ですから、この際一つ原則をつくるべきだと思うんです。補助負担金の廃止、縮減は自由度が高くなるものを優先させる、こういう原則でやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど、公共事業に関する国庫補助負担金の見直しというふうなことでありますが、確かに、お話のとおり、公共事業関係の国庫補助負担金につきましては、四千五百億円程度の改革を行うというふうなことにされたところです。そのうち、まちづくり交付金に振りかえられた分が一千三百億円程度ございます。ということで、純粋な削減額というのは三千二百億円程度であって、これも、二〇〇三にうたわれております、国、地方を通じて行政のスリム化を図っていくというふうな観点から行われたのであろうというふうなことであります。

 ただ、この件に関しましても、大方の皆さん方は、やはり八割もしくは一〇〇%税源移譲かなというふうなお考えも持っておられた方もおいでるんだろうと思います。そういった点で若干誤解もあった節もありますので、今後そういったことのないようにしっかりと我々としても広報を徹底していきたいし、さまざまな機会を通じてお話もさせていただきたいと思っております。

 さらには、自由度を高める方向での改革というふうなことでありますが、もうまことにごもっともであろうと思います。地方が決定をすることは地方がみずから決定をするというふうな地方自治の本来の姿に向けて、いわゆる三位一体改革というのを進めておるところでございます。

 特に、国庫補助負担金の改革に当たりましては、これも、二〇〇三に基づいて、地方の権限と責任を大幅に拡大するとともに、国、地方を通じた行政のスリム化というふうな観点から、さまざまな見直しを行うというふうなことにしておるわけでございます。

 しかし、御案内のとおり、各省庁間のさまざまな思いがございまして、結局は、総理の一兆円というふうなお話が出てから急速に話が進んだというふうな側面も否めないわけでございまして、そこら辺、私どもとしても、今後もしっかりと地方の自由度とかあるいは責任を拡大して、まさに本当の意味での地方分権社会の基盤の確立につながるように努力をさせていただきたいと思っております。

大出委員 ありがとうございます。その方向で頑張っていただきたいと思いますし、さらなる改革の上積みと前倒しが必要だったというふうにつくづく思うところでございますと同時に、今、小泉さんの話が出ましたけれども、この改革の行き着く先を本当におわかりになっているのかなと思いながら実は見ているところでございます。

 総論的な話はこのくらいにいたしまして、各論に入りますが、まず最初に、国土交通省さんをお呼びしておりますので、一つ最初に質問させていただきます。

 横浜市。私、横浜に住んでおりますので。横浜市から、内閣府や総務省、財務省、国土交通省に要望が出ておりまして、その一つだけを質問いたします。地方からしますと、国の直轄事業で負担金を出すというのは何でなんだろうと。これは受益者負担なんだといえばそうなんですが、重いものがあるんですね。

 そこで、横浜市の方から出ているのは、直轄事業地方負担金について、本市予算に与える影響が大きくなってきていることから、事業計画の策定に当たっては、地域の課題や財政状況に応じたものとなるよう、事前協議制度を導入するなど、地方の意見を反映する仕組みを確立してほしい、こういう要望が出ているんですが、国土交通省、どのようにお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 先生のお話の横浜市の場合、多分、横浜高速環状南線、この事業がかなり進みつつある、こういうことで、負担金の問題がなかなか厳しいな、こういう面もあろうかと思います。

 この部分、ちょっと一言申し上げますと、横浜環状南線は、横浜市の環状道路であるとともに、首都圏全体の大きな環状道路、首都圏中央連絡自動車道、圏央道と申しておりますが、この一部でもある、両方の機能を持っておる、こういうことであります。

 事前協議制、こういうことで考えますと、大変な負担もいただくわけでありますから、概算要求の段階であるとかあるいは実施計画が決まった段階、それぞれ綿密に打ち合わせをしながら、実態上支障のないように進める、こういうことが大事なことだと思います。

 制度的に事前協議、こういうことになりますと、実は幾つか課題がありまして、一つは、例えば今の横浜環状南線の場合には、全体としては、神奈川県も東京都も、この事業をどう進めていくか、大変関心を持ち、またいろいろ御意見のあるところ、こういうことでございますので、リジッドに、一つの使途、この事業をこう進めましょうという形で決めていくというにはちょっと無理があるところもある。

 もう一つは、予算の問題で申し上げますと、実は、国会の承認を予算でいただいてから、速やかに実施計画といいますか、じゃ来年度、例えば十六年度でいえば、この予算を通していただいた上で、事業の箇所ごとに、どのぐらいの事業をやるか、これは財政当局とも相談しながら速やかに決定する、こういうことになっているわけでございます。

 この場合に、国会の承認を待たずに事前に幾ら幾らというふうにお約束をし合うわけにもまたいかない、こういう問題もございますので、協議制度という形をとるよりは、実質的に、そうした連絡調整を綿密に行いながら、お互いに、事業の執行とさらにその負担の問題も含めて、支障が出ないような形で円滑に行っていく、これが大事なことだと考えております。

大出委員 地元のことでございますので、まあ確かに、事前協議制導入などとなっていますから、これを強く要求しているとは限りませんけれども、やはり地方の意見をしっかりと反映するように、今おっしゃっていただきましたから、よろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、各論で、まず地方税から入らせていただきますが、税負担の公平ということがあります。ところが、地方税には非課税等特別措置というのがございまして、それの整理合理化を図るべきだと思うわけです。まあ、図っているようでございますが、今回どのような非課税等特別措置の整理合理化を図ったのかお聞きします。そして、特に事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特別措置、これはいろいろ言われていまして、この見直しをすべきだと考えるわけですが、その点いかがでしょうか。

板倉政府参考人 非課税等特別措置を整理合理化せよという御指摘でございます。

 非課税等特別措置につきましては、特定の政策目的を実現するための政策手段の一つといたしまして位置づけられております。税負担の公平、中立、簡素というような基本原則の例外措置ということでございますので、個々の措置につきましては、政策目的、効果を絶えず吟味いたしまして、整理合理化を進めていくことが必要だというふうに私どもも認識をしております。

 今回の税制改正におきまして、例えば、鉄道事業者が建設をした変電所に係る固定資産税の課税標準の特例措置の見直しなど、個々の改正内容自体はそれほど大きなものではございませんけれども、各税目にわたりまして検証を行いました結果、全体として、廃止十二件、縮減四十一件、計五十三件の整理合理化を行ったところでございまして、私ども、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

 次に、事業税におきます社会保険診療報酬の非課税措置の問題でございます。

 これにつきましては、御承知のとおり、実質的に非課税扱いということになって、現在に至っております。もともと、昭和二十七年に議員提案による立法によりまして創設をされ、現在に至っているものでございますけれども、長年にわたりまして、政府税制調査会からは、税負担の公平を図る観点から速やかに撤廃すべきであり、少なくとも段階的な見直しが必要というような指摘を受けているところでございます。他方で、この措置につきましては、撤廃反対という大変強い声があるのも事実でございます。

 総務省といたしましては、税負担の公平を確保するという観点から、保健医療政策との関連はございますけれども、少なくとも何らかの見直しを図っていくことが適当であると考えておりまして、引き続き見直しに努力をしてまいりたいと考えております。

大出委員 次に、自治体の課税自主権というのが当然あるわけですが、それをやはり本来のあるべき姿に戻すべきだと考えているんです。

 というのは、何を言っているかといいますと、よく言われるんですね、横浜市の税は高いとか言われるんですね、何だと。要するに、みんな同じなんですね、同じなんですよ。同じじゃいけないんです、本当言うと。

 つまり、税率を自主決定させるべきだと思っているんですね。多くの人は誤解をしていて、今同じなんだけれども、それぞれが決めているように思っているんですね。だけれども、本当はそれぞれ決めた方がいいんですね。その自由度を高めた方がいい、課税自主権を拡大した方がいいというか、あるいは本来の姿にした方がいいというのが一個。そうでなかったとしても、少なくとも地方税に係る制限税率は緩和をすべきだと考えているわけなんですが、その点いかがでしょうか。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 課税自主権をもっと拡大すべき、まさに御指摘のとおりだろうと思っております。地方公共団体が、納税者の皆さん方の御理解を得ながら、その自主権を活用して地方税の充実確保を図る、まさにあるべき姿なんだろうと思っております。

 御指摘の制限税率につきましても、これは昨年の十二月の政府税制調査会の答申におきまして、制限税率の見直しなど地方の税率設定の自由度を拡大する必要があるというふうに指摘をされておりまして、また、その際、租税体系の秩序維持及び法人の総合的な税負担の適正化の要請にも十分配慮するというふうな御指摘もさらにまたされておりまして、こうしたことを踏まえまして、平成十六年度税制改正におきましては、固定資産税の制限税率につきましては廃止をさせていただきたいということにしております。

 法定外税につきましても、もう既に三十地方公共団体、三十団体ほどがいろいろな形で実施をしておられまして、金額的には三百億弱でありますけれども、着実に取り入れていただきつつあるなというふうな思いを持っております。

 今後とも、さらに、そうした課税自主権を活用しやすいように、総務省としても検討を進めてまいりたいと考えております。

大出委員 課税自主権ということなんですが、合併もそうですけれども、スケールメリットを広げながらということで、まだ税源を移譲していない過渡的なことで法定外の話が出てきたりしているんですね。私が言ったのは、本来的な意味の課税自主権をというつもりで言ったんですが、三百億という話でございますので、ある意味の前進だという意味でとらえたいと思います。

 続きまして、地方交付税の質問。あと少ししかないですね。十三個は無理ですね。行きます。

 地方交付税の冒頭、私は、地方交付税自体が地方の固有財源だ、こういう性格を持っているということ、これは一番重要なことだと思っておりまして、だからこそ、国の一般会計を通さないで地方交付税特別会計に繰り入れるべきだ、こう考えているんですが、いかがでしょうか。

瀧野政府参考人 交付税特別会計への直入についてのお尋ねでございます。

 この点につきましては、かねてから地方制度調査会の答申などにおきまして御指摘をいただいておるところでございます。

 総務省といたしましては、地方共有の固有財源、今御指摘がありましたけれども、そういう性格を地方交付税は備えておりますことから、交付税特別会計への直入の実現を図ることが望ましいと考えておりまして、かねてから、予算要求に当たりましては、それについて言及してきたところでございます。

 しかし、一方、一般会計歳出の二〇%を地方交付税が占めておりますので、これを一般会計から除きますと、国の一般会計におきまして主要税目の状況を一覧性のある形で示せなくなるというようなこと、あるいは一般会計の規模が国の財政の実態を反映しなくなるのではないかといったような意見が財政当局にございまして、合意を見るに至っていないという状況にございます。

 平成十三年六月の地方分権推進委員会の最終報告におきましても、この際検討を行うべきだという御指摘もいただいておりますので、今後とも、その実現に向けまして努力してまいりたいと思います。

大出委員 根幹の話でございますので、お願いをしたいと思います。

 地方交付税の二番目の質問でございます。

 ここがあれですね。基準財政需要額、これを聞きますと、この間麻生大臣が、子供は分数が入ってきたあたりから理科系とこうなったと言いますけれども、私も、これを読んだときに、ああ、地方行政、嫌だと思いましたからね。私はIT系かなみたいな感じでございます。しかし、これはいかにも一般の人にはわかりづらいんですね。

 基準財政需要額は、測定単位掛ける補正係数掛ける単位費用だというんですね。補正係数はというと、種別補正、段階補正、密度補正、寒冷補正、数値急増補正、数値急減補正、財政力補正、態容補正、合併補正、まだあるんですね。もう何だかよくわからない。これで地方行政嫌いになってしまいますので、どうか自治体の財政需要の実態を考慮しながら、ここが難しいんですね、実態を考慮しながら、もっと簡単な方式に改めていただけないか、お答え願います。

瀧野政府参考人 地方交付税の算定につきまして簡素化を図るべきではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、平成十年に閣議決定されました地方分権推進計画等を踏まえまして、これまでも補正係数の廃止、縮減等に努力してきたところでございます。

 今後の算定に当たりましても、基本方針二〇〇三におきましても同じような御指摘がございますので、算定の簡素化等の改革に取り組むこととしておるところでございます。

 具体的には、都道府県分の補正係数につきましては、その方式をおおむね半減するということを目標に年次的に削減していきたいというふうに考えておりますし、その中で、平成十六年度におきましては、高等学校及び特殊教育諸学校費に係ります種別補正、普通科とか職業科とかいうような種別でございますが、そういった種別補正を廃止するなど、十の補正係数を削減するということとしているところでございます。

大出委員 十個削減ということですね。わかりました。

 続きまして、補正の中の段階補正というのがございまして、段階補正の見直しというのは、いろいろな場合があるんですが、場合によっては小規模の町村の財政運営に不利益を与えることがあるんですね。今回は、この見直しはそういった小規模な部分についてどのような配慮をなさったのかということと、それから、そういう小規模の町村等から、段階補正に面積を加味したらどうなんだろうかというような主張もあるんですが、いかがお考えでしょうか。

瀧野政府参考人 段階補正の見直しでございますけれども、これにつきましては、経済財政諮問会議の基本方針二〇〇一におきまして、合理化とか効率化への意欲を弱めることにならないよう見直しを図るべきだという指摘がされたところでございます。

 もとより、法令で義務づけられた事務を行うことに支障がないように財源保障を小規模団体に行うことが必要であるわけでございますが、小規模団体におきましても、職員の兼務とかあるいは外部委託などによりまして合理的、効率的に行財政運営を行っている地方団体もあるわけでございますので、そういった実態を反映して、合理化とか効率化の努力で対応できる範囲内で見直しを進めていくということとしておるところでございます。

 したがいまして、段階補正の見直しの影響につきましては、適切な合理化の努力をすれば対応可能という中で、地方団体の財政運営に支障が生じないというふうに考えているところでございます。

 また、面積の加味の関係でございますが、現在におきましても、道路橋梁費とかその他の諸費という算定項目がございますが、そういった項目におきまして面積の要素を指標として算定を行ってはいるところでございます。

 今後とも、地方団体の合理的かつ妥当な水準における財政需要の算定、こういうのが交付税の使命でございますので、これにかないますように努力していきたいと考えております。

大出委員 お願いしたいと思いますね。特に小さいところの自治体というのは、やはり財源保障というところの機能も非常に重要でございますので、合理的で妥当にということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 留保財源比率の見直しについて質問しますが、地方自治体の自主性を損ねてはいけないわけなんですが、先ほど言ったように人口が少ない、これは県でございますけれども、小規模の県の意見、実態を十分考慮したのかどうか、今回の見直しはそれを考慮したのかどうかについてお伺いいたします。

瀧野政府参考人 留保財源の見直しの件でございますが、平成十五年度におきまして、都道府県分の留保財源率を二〇%から二五%に引き上げたということでございます。この留保財源率の引き上げを行った場合、各団体とも留保財源額は当然ふえるわけでございますが、財政力の高い団体ほどその額が多くなる、財政力の低い団体はそれほどふえない、こういうことになります。

 この場合に、基準財政需要額の削減を一体として行うことになるわけでございますけれども、全団体一律で行いますと、留保財源額が少ない財政力の低い団体では、需要額の削減の方が大きくなるという影響が出てまいります。こうしたことを極力回避して、財政力の弱い団体も、イコールフッティングといいますか対等なスタートラインに立てるということが必要だということで、その点の配慮をしたところでございます。

 具体的には、留保財源率の引き上げに伴います需要額の削減に当たりましては、地方団体におきまして相対的に自由度の高い需要、投資的な経費を中心に自由度の高い需要がございますので、そういったところから削減を中心的に行うということで配慮したところでございます。

大出委員 ありがとうございました。

 時間ですので、質問を終えます。

佐田委員長 次に、稲見哲男君。

稲見委員 おはようございます。

 昨年の十一月に当選をいたしまして、初めての総務委員会での質問ですので、少しだけ自己紹介をさせていただきます。

 その前は、大阪市役所に二十八年ほど勤務をいたしておりました。区役所の窓口、第一線職場での仕事も多くありました。そういう中で、九三年から九四年、九五年、地方分権についての議論が非常に進んでいく、特に九六年の三月でございましたけれども、先ほども出ておりました諸井委員会、地方分権推進委員会の中間報告、これを現場の職員として読みました。

 少しだけ引用しますが、「国権の最高機関たる国会が率先し、これに内閣が歩調を合わせ、明治期以来の中央集権型行政システムを新しい地方分権型行政システムに変革しようとする決意を表明したものであって、わが国の憲政史上にも稀なる画期的な政治決断であった。」「それは明治維新・戦後改革に次ぐ「第三の改革」というべきものの一環であって、数多くの関係法令の改正を要する世紀転換期の大事業である。」これを非常に感動を持って私も読ませていただきました。

 したがいまして、政治家を志した中でも、地方分権をライフワークとしていきたいと思っております。きょうは、そういう意味で御質問をさせていただきたいと思います。また、人の好き嫌いというのは第一印象で決まる場合もございますので、私も丁寧に御質問させていただきます。ぜひ優しく御答弁をいただきますようにお願いを申し上げます。

 一昨日も、またきょうも議論が続いているわけでございまして、私もこの分権改革が三位一体の改革として進むことを全く否定をいたしておりません。先ほど申し上げたとおりでございます。地方からの引き続く地方分権を求める声も大きいものがあるわけでございますし、先ほど大出委員からもありましたように、第一次の分権改革で進まなかった、踏み込めなかった、いわゆる国庫補助負担金と地方交付税、そして税財源の移譲、このことがようやく課題になったということだというふうに思います。

 第二次分権改革ということでいいますと、三位一体を推進するのであればぜひ徹底をしていただきたい、こういうふうに徹底して進めていただきたいというふうに思っております。地方の自主的な、また自律的な政策推進、町づくり、こういうものができる真の地方分権の仕組みを確立していかなければもう日本はだめになる、こういうふうに思っておりますし、全国画一的な政策推進では、大臣もおっしゃっているように地域、地方は元気にならない、地方の再生はあり得ない、こういうふうに思います。

 また、一昨日もおっしゃっていましたけれども、地方の中央への依存、こういうものも地域をだめにしていく、こういう認識は持っております。地域、地方の特性や、人材を直接生かせる仕組み、これを自主的、自律的に確立して、元気な地域づくり、日本の再生を展望していかなければならない。その重要な時期であり、大変重要な議論だ、こういうふうに思っております。

 その観点から申し上げますと、まず一つ目に、これは皆さんからもありましたが、国庫補助負担金の削減額が一兆三百億円、地方交付税の削減額が一兆一千八百三十二億円、臨時財政対策債の削減というのが一兆六千八百億円、合計で三兆八千九百三十二億円、こういうふうに減額をされております。先ほどからの議論もお聞きをしておりましたけれども、来年度の税源の移譲額としては四千五百七億円ということにすぎないわけでありまして、削減額全体の一一・五%ということにすぎなくなっております。地方への税財源の移譲が極めて少ない、こういうふうに思います。

 三位一体の改革を進めて地方の自律的な力を財政面から確立していくべきにもかかわらず、このような結果になっており、財政のつじつま合わせを地方の負担でしのごうとする、いわゆる地方を励ますという三位一体ではなしに地方いじめになっているんではないか、そういう点で大臣のお考えをお聞きいたしたい、こういうふうに思います。

麻生国務大臣 稲見先生、現場におられましたのでよくよくお詳しいんだと存じます。

 基本的には、今言われたように、地方と中央との関係をどうやって対等にするか、そのためには財源を、そして最後には権限をというところの三段階、先ほど大出議員の御質問にもあったところだと思います。その前提で、今、お金のところに、第二段階に来ているというところなんで、今言われましたように、額につきましてはいろいろ差が出てきておるではないかというところなんだと思いますが、おっしゃる点は、その点だけ見ればそういうことになるんです。

 先ほど申しましたように、いろいろ地方税収が変わった部分とか、そういったところで二兆ぐらい、前回は減っております分だけ交付税が伸びた。今回はその分だけは、地方税の収入は微増することと予想されておりますので、そういったところで地方交付税が約二兆ぐらい違う。

 また、いろいろな意味で、地方でもある程度努力をしていただかないかぬ。かなり単独事業等々で膨れ上がった部分につきましては、ある程度努力をして減らしていただかないかぬ。

 また、人員につきましても、ラスパイレス指数等々を見ましても、大阪市周辺というのは、結構今までは高かったところで、随分減った。最近は、稲見さんのおかげで一〇三ぐらいまでですかね、ちょっと褒め過ぎかな、これは。従来は大きかった。一〇三ぐらいまで、全国平均で減ってきておりますので、そういった意味では、昔に比べれば随分努力をしていただいているところなんだと思います。そういった努力をしていただいても、なおかつ今いろいろ、当面の間として、差が出ていることは確かだと思っております。

 ただ、基本的な流れとして、今、この前の段階で補助金の削減約一兆円ということとあわせまして、義務教育とか保育園とか、いろいろな形でその部分につきましては税源の移譲がなされているところ、自由度がその分だけ増しておるというところもちょっと頭に入れておいていただきたいところで、義務教育国庫負担ではなくて、例えば、公立保育園の話が先ほども出ておりましたけれども、この公立保育園につきましては、これをしなければならないと細かく決められておりましたところにつきましては、地方に税源として渡された分だけ、地方の自治体を運営、経営しておられる首長さんによって、与えられた補助金ではなくて、税源ですから、その税を使っていただいて保育園をするに当たっても、その保育園の内容を公設で民営化するとか、いろいろ細かく決められておりましたところにつきましては随分自由にしていただいて、その中から経費をいろいろな形で浮かせていただく等々のことができるようにもなりつつあります。

 また、いろいろな意味で、それでも足りないとか、今まで既に仕事が始まっておる、もう既に始まっちゃっているんだから、今さらとめようがないじゃないかという御意見もいっぱいありますので、その点につきましては、将来そういったことをやっていただくのであれば、今ちょっと三年でやられるところを四年でやっていただけませんかとか、いろいろな形の御相談をさせていただいたりもいたしております。

 個別にいきますといろいろありますので、なかなか一概にこれというのは申し上げられないんですが、その差額は、基本的に今後とも地方に自由度がふえます財源のもとを今回ははっきりと基幹税として、いわゆる所得税を地方住民税に振りかえるという方向が打ち出されたというのは非常に大きな変化だったと思っております。

 その意味では、今回の流れというものは、方向が出ましたので、譲与税というわけのわからぬ言葉になっておりますけれども、これは基本としては、住民税に事が移っていくということをはっきり示しておりますので、そういったものでいきますと、三年たちましたときの四兆円のときにはそれぞれのものになっていくんだと思っておりますので、ある程度ぎくしゃくしたところが出てきております分につきましては、財政健全化債とか地域再生債とか、いろいろな新しい枠の中でそれを柔軟に対応させていただく。

 私どもとしても予想しておりましたところでもありましたので、あらかじめ八千億の用意だけはしておって、それでも足りなくなるであろうという御意見もありますので、その点は拡充、柔軟に使わせていただきたいと思っております。いろいろ御意見、よくわかるところでもありますので、その方向に沿って努力をいたしたいと思っております。

稲見委員 削減に対してはいろいろ要素があると。地方税のところが戻ったというふうなことなんですけれども、先ほど資料で見ておりましたら、都道府県税で二千五百六十七億戻ってきているということなんですが、市町村の方がやはり千六十一億の、加えて前年に対する減なんですよね。そうすると、都道府県、市町村合わせて千五百億円増ということですから、前年比で交付税を見ていくということになると、必ずしもそこを十分補てんをされていないんじゃないかという気はいたします。

 それにかかわって、先ほど河合委員の方からも少し御指摘があったわけですが、二月九日に全国知事会、それから二月二十三日に全国市長会から、緊急コメントや緊急要望というのが出ております。少ししつこいようですが、少しだけ、私、思うところをもう一度御紹介させていただきたいと思います。

 知事会の方ですが、地方交付税及び実質的にこれと一体の臨時財政対策費が、突然に前年度比一二%も大幅に削減をされ、平成十六年度の地方公共団体の予算編成にも著しい支障を来しておるという認識、それから「地方財政見通し等の早期公表と地方の意見の反映」というところで、各地方公共団体が予算編成の大詰めを迎えようとしているさなかに、我々の予想をはるかに上回る地方交付税等の削減が行われた、大きな混乱を生じさせるだけではなく、国に対する大きな不信感を招いている、国の財政再建のために地方に負担を押しつけることがあってはならない、こういうふうな御意見でございます。

 全国市長会の方もやはり同じようなところがあるわけですが、各都市の平成十六年度の予算編成において過大な収入不足を招くなど極めて重大な状況、今回一部の国庫補助負担金が廃止をされたが、国の法令等による基準は緩和されておらず、地方の自己決定、自己責任のもと、サービス水準の決定ができないなど地方分権改革が目指す税源移譲と権限移譲が一体的に実現をされていない。こういう意味では、自由度が増しているというふうな認識に全国市長会はない。今回の地方交付税の急激な削減は、最後の税源ともいうべき基金の取り崩しによって対応せざるを得ず、翌年度以降このような状況が続けば、破綻状態に陥る都市自治体が数多く生ずることが懸念される。

 これが地方の側、現場を預かる、まさしく大臣がおっしゃっていた経営者の側の今の認識であるということで、先ほどいただいたお答えと少しやはり雰囲気が違うのかなというふうな気がしております。

 このような地方からの批判、悲鳴の中で、先ほどもありましたように、急遽、地域再生事業債八千億円を超えてもという枠と財政健全化債の弾力的運用というのが政府決定をされておりますけれども、この記者発表を聞いたのが、今申し上げた二つの声明の後だったと思います。

 そういう意味では、三位一体として出された地方財政計画の破綻を、結局この再生事業債というのは明らかにしてしまっているんじゃないか、これだけの財政措置を行うならば、先ほどの基本的な認識に戻ると、税源の移譲として明確にすべきではないか、こういうふうに思っております。

 この点、もう一度大臣の所見をお聞きしたいと思います。

 それともう一つ。来年のことですが、あわせて。

 今の二つの緊急コメントなり緊急要望の後段のところで、地方財政見通し、三位一体の改革の具体的な内容などをできる限り早い段階で明らかにし、地方の意見を十分に反映させること、これが全国知事会でございまして、今後は、市町村の意向を十分反映した上で、できる限り早い段階で内容を明らかにされたいというのが全国市長会の方の要望でございます。

 ことしがいろいろばたばたしたとか、ぎくしゃくしたとかというふうな答弁もあるわけですが、ぜひ今の基本的な認識とともに、来年に向けての大臣の御決意といいますか、努力の方向性を明らかにしていただきたいと思います。

麻生国務大臣 今おっしゃられましたように、いろいろ今回は従来と違って大幅な改正が行われたということは事実です。現実問題としては、これは一昨年もほぼ同じ話でスタートいたしましたが、一昨年のときには、後でいろいろ補てんをいたしたり、いろいろ対策を講じたことがありましたものですから、今回も一昨年とほぼ同じ程度ではないかなと思われた首長さんと、去年がああだったからことしはいよいよだなと思われて準備されたところとは、非常に大きく違ったということが一点です。

 二つ目は、やっぱり一昨年は約二兆円の地方税の減が起きましたので、その分だけ、いわゆる交付税が出た。今回は、御存じのように、景気が少し持ち直しておりますので、地方税は、どれくらいかわかりませんけれども、微増するであろうと思われます。国税は間違いなく増になりますが、地方税も同様に微増すると思われますので、その意味からいきますと、その分だけ交付税が減りますので、そういった意味では、交付税が大幅に減るような形になる。

 私どもとしては、あらかじめ予測をしておりましたので、再生債等々八千億のものを用意しておりましたし、昨年の概算の段階からいろいろ申し上げてきたところではありましたけれども、いよいよにならぬとぴんとこられなかったところもあった。これは地域によって差があって、首長さんによって、もうこれは前から決まっておったやないかと言われる首長さんもいらっしゃれば、いきなり聞かされたと言われる方もいらして、実はこれはいろいろなんです。資料はちゃんと出ておりますので、結構対応はしていたと私なりには思っておりますけれども。

 今後、もうちょっとわかりやすく、実際こうなりますよというようなところを、今ホームページ等々、いろいろ出ておりますけれども、あらかじめ、もうちょっときちんとした形で対応していかないといかぬかなという感じがいたしておりますので、大幅な改正に当たっては、いま少し丁寧にわかりやすく、地方の首長にわかるようにさせるよう、努力は今後とも引き続き行っていきたい、また、いかなならぬと思っております。

 何となく、いつものように来た紙かなと思ったら、実はそれは非常に重要だったという話なんだと思います。これは、いや聞いておらぬとか、行っておるとか、いやそんなもの受け取っておらぬとかいう話はもうよくある話でありますけれども、少なくとも、昨年の段階から結構早目に、こうなります、ああなりますということは一応してあったということは、事実だと思っております。

 細目につきましては、瀧野の方から答弁させます。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

山口副大臣 私の方から若干補足をさせていただきたいと思います。

 今大臣からもお話がありましたが、交付税総額等の抑制、これにつきましては、もう先生御存じのとおりで、地方財政、二百兆に余っての赤字、さらには、交付税特会にしても、五十兆に余ってのというふうな、まさに非常事態とも言えるような状況がございました。やはり財政の健全化を進めていただくということは避けられない状況下にございます。各地方公共団体におきましても、健全化に向けてさらなる御努力を賜りたいというふうなことで、今回のような形になったわけであります。

 しかし、確かにお話のとおり、十二月の末にばたばたとなったというふうなお話も実はございます。予算編成が困難な地方団体に対しましては、さらにきめ細かく相談に応じながら、地域再生事業債の枠の拡大とかあるいは財政健全化債の弾力的な運用というふうなことにいたしたわけであります。

 これも実は新聞報道等では、いかにも、例えば自民党の方から言われて再生事業債が出てきたような報道がされておりますが、先ほど大臣もお話がございましたように、やはり激変緩和というふうなことも考えざるを得ないだろう等々さまざまな思いがございまして、若干そうした検討はしておりました。ただ、より使い便利のいいように、より実態に即したようにというふうな形で、今のようなことを考えさせていただいたわけでございます。

 ちなみに、実は先般も私、選挙区ではありませんが、ある地区にお邪魔をして、町長さん、村長さんあるいは議会の皆さん方に話をしてくれというような機会がございました。先週であったんですが、ほとんどの皆さん方がそこら辺の状況を御存じなかったというふうなことで、実はびっくりしたわけでございます。

 そうしたことがないように、しっかり私どもとしても、情報提供もし、さまざまな協議をしながら、十分周知徹底をした上で、支障を来さないように、今後とも努力をさせていただきたいと思っております。

稲見委員 来年以降の丁寧な協議、こういうところで、特に大臣からは、どうも、自治体の側の受け皿論といいますか、ぼやっとしている首長の方が悪いんだみたいなところに戻りますので、そこは、先ほどあるように、知事会、市長会も、やはり改革努力の方に向かって自主自立という特色のある自治体をつくっていくという方に向かって努力をしているというふうなことだろうと思いますので、そのことについては、また後ほどのいろんな質問事項の中でお聞きをしたいと思います。

 ただ、今は、新年度の予算案についても、改革をしていく方向が突然出たことによって地方の方できっちり準備をする時間がないというふうな現状なんじゃないかなという気がいたしております。

 それでは、もう一つ、各論に入りまして、国庫補助負担金の削減について、今度、自治体の側が今しっかり努力をしているということを少し申し上げて、大臣の所見をお願いしたいと思います。

 昨年十一月の十八日に、来年度の予算というところに入る前に、全国知事会がいわゆる国庫補助についての対象事業を精査して、細かく一覧表になっているものを私もずっと見せてもらったんですが、これは廃止をしてもいい、これは国の事業として当然やるべきだ、あるいは、これは補助金という形で残すべきだというふうな精査を一つずつした上で、対象となる都道府県への国庫補助負担金十一兆二千億円のうち、廃止をすべき国庫補助負担金八兆九千三百五十七億円、非常に細かいところまで、一項目一項目出して精査をいたしております。そして、この九兆円弱の廃止に対して、税源移譲、移すべき額は七兆九千二百三十四億円、これは地方の自由に使える税源として国から地方に移してほしい、こういうふうにおっしゃっております。

 また、同じ昨年十月に全国市長会の方も、これは、都道府県の補助金、それから市町村の補助金というふうにダブっているところもあると思いますので、これをすべて両方とも足してしまうということにはならないわけですが、市長会としては、制度一般の見直しの中で検討すべき補助金を除いて、対象となる補助金総額八兆五百四十四億円のうち、廃止をすべきもの五兆八千五百五十二億円、税源移譲額は、そのうち四兆九千六百五十二億円、こういうふうなことで提起をしておられます。

 まさに、先ほど大出委員からもありましたように、地方の側から補助金を欲しいという行政ではなしに、補助金を切って自立をしていきたいというふうな思いが強くなってきたということが、この提言の中にも明らかになっているんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう意味では、九兆円程度の削減事業のメニューが地方団体から提言されていることを踏まえますならば、総務省あるいは政府としてその実現のために全力を挙げるべきであって、三年間で四兆円の規模と中身については、小さ過ぎるんじゃないか、こういうふうなことを思っております。まだ一年目ということなわけでありますが、考え方を明らかにされたい。

 知事会、市長会など地方団体が具体的に対象事業を明示して、先ほど申し上げました、補助金の廃止の提言をしていることはかつてないことであり、画期的なことだというふうに思っております。この際、一気に補助金のほとんどを廃止し、例えば生活保護費の国庫補助負担金など、ナショナルミニマムの性格の強い国庫補助負担金は除いてこれを廃止し、同時に、地方に税源移譲していく、あるいは民主党が申し上げております一括交付金として交付をする地方分権を推進していくべきだというふうに考えておりますけれども、どうかというふうに思います。

 それと、先ほど補助金のところでありましたけれども、本来、補助金の廃止は地方の裁量の拡大ということで、大臣もおっしゃっているとおり行うべきものでありますけれども、先ほどの地方からの声にありましたように、今回のように補助金の使い道が限定された、地方の自主的な裁量の働く余地のない事業、これの補助金を廃止しても分権は前進をしない、こういうふうに思っております。

 全国知事会、市長会の提言も含めて、ぜひ補助金のこれからの問題、今の一兆円の問題も含めて、大臣の所見をお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 今御指摘ありましたように、最初に政令指定都市の方から昨年の十月にこの提案が出てきて、続いて全国知事会、そして市長会、大体同じような感じで、額はそれぞれ違っておりますけれども、大幅のものが出た。これに対して評価はどうかといえば、画期的なことだと。この点は、革命的とは言いませんけれども、画期的なことだ、私は率直にそう思っております。

 地方の時代というのは、もう長くおられましたのでおわかりのとおり、地方が責任を持ってその地方自治体を経営するということを意味します。地方がその地方の責任で地方を経営するということは、その地方同士で競争が起きる。あっちの市に行くよりうちの市に来た方がいいよという話でありまして、そういった意味では、隣の市ではこれだけ市民税が安いのに、うちの市では何で高いんだとか、いろいろな話が出てくるということ。工場を誘致するに当たっても、うちの市だったらしばらくの間は事業所税をこれだけ減税します等々の自由度がふえるというのは、それはもう決して悪いことではないと思っておりますので、私どもとしては、方向として、そういった自覚が出てこられたということはまことに喜ばしいことだ、基本的にはそう思っております。

 では、しからば、十八兆と言われますが、よく言われる補助金約二十兆円ございますが、その中で、御存じのように社会福祉、介護、医療、保健等々のもので約十兆、厚生労働省所管だけで十兆ありますが、こういったものが一括して全部すぱっとできるかと言われると、ちょっとそれはどうかなという感じがいたします。一括でやるのは少々無責任過ぎやせぬかなという感じが私自身正直な実感でもありますので、そういった意味では、四兆円だけでこれで終わりというんではなくて、今後ともこの種のことは、地方にできるものは地方にという方向で行かせるべきということに関しましては、基本的に私も同じ方向で考えております。

稲見委員 私は、できないことはないと思うんです。ここまで地方の側も、それを受けて仕事を自律的にやっていくんだというふうな覚悟のもとに提言をしているわけですから。

 問題は、では、国の側の補助金の振り分けといいますか、仕事がどうなっていくのか、国の統制が地方に対してきくのかどうかというふうな、まさに地方分権に戻っての、そういう議論がむしろ中央の側、政府の側の中でネックになっているんじゃないかなという気はいたしております。しかしながら、四兆円に限らずというふうなことでございますので、ここもぜひ、今の流れをむしろ打ち消すといいますか、水を差さないような形で、総務省としての、大臣としての努力をお願いしておきたいと思います。

 それから、交付税の問題はきょう私は申し上げておらないわけですが、補助金をカットしていく、税源移譲、今は所得譲与税、それに予定交付金というふうになっておるわけですが、ことしの一月の十九日に閣議決定をされました構造改革と経済財政の中期展望、この中の三位一体の実施にかかわりまして、二〇〇六年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲をする、こういうようなことで、この点は何度も大臣も答弁をされているところであります。

 しかし、ここ数年の税源移譲の形、その最後のところまでの形を明確に示して、特に地方を含めて国民的な議論を起こすべきだというふうに考えておりまして、地方への税源移譲のデザインを示すべきではないかというふうに思っております。所得譲与税としては一般財源化されているのは当然の措置であり、一昨日も、きょうも所得税から地方住民税に税源移譲をするというふうに答弁をされておりました。

 昨年の年末の東京新聞で、財務、総務両省では、個人住民税を一〇%にする案におおむね合意した、こういう報道を私も読んでおりまして、都道府県民税が二%、市町村民税が三%、こういうのが一〇%になれば五%分底がふえるわけですから、配分は別にしても三兆四千億円ほどの地方の増収、こういうふうにお聞きをいたしております。ただ、一番高いところで、都道府県、市町村民税、合わせて一三%というところがありますので、比例税率でそれを一〇%に統一をしますと四千億円の減収になる、差し引きで三兆円、こういうようなことになっております。

 四兆円の補助金のカットとこの三兆円の地方住民税の増ということで間尺に合うのかどうかということはありますけれども、それは別にして、そういうふうな報道もありまして、本格的な税源移譲についての考え方をお示しいただければと思います。

麻生国務大臣 稲見先生御存じのように、地方住民税というものにつきましては、五%、一〇%、一三%と三段階ありますのはもう御存じのとおりでありまして、人口比でいけば五%が一番多い、一三%は一番少ない。したがいまして、それを一律に一割ということにすると、まず簡単に非常に簡素化する、これはもう非常にはっきりしております。一三%の方の数が少ないわけですから、その分が減って、五%の方がふえて、横に並べますと約三兆円、数字的には合っております。

 私、その東京新聞を読んでおりませんのであれですけれども、今の案としては合っております。流れとしては決して悪い方向だとは思いませんが、ただ、その方向で財務省と合意したかという点につきましては、財務省に聞いたらとんでもないと多分跳び上がるだろうと思うようなところかなという感じはいたします。地方税の方向としては望ましい方向だとは思いますけれども、財務省と合意で大筋を決めてということは、今初めて聞きましたけれども、この大筋を決めるというところには至っておりません。

稲見委員 今、新聞の真偽といいますか、財務、総務両省合意をしたかというところだけが質問ではなかったのです。

 今は所得譲与税ということですが、今の地方住民税を含めて、当面の措置をできるだけ早く、もう自主財源として地方税にして渡してしまうというようなことも含めて、これから三年間の中での計画デザインがあるのかどうか。先ほどからの地方の要望などを何度も引用しておりますのはその辺が見えてこないということに対する不安感でもあろうかと思いますので、例えば、少なくとも三年間に向けての税源移譲のデザインがあればお教えいただきたいと思います。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 御懸念のとおり、この三年間というのをどうやってやるかというのは非常に大事なところだと思いますが、基本的には、基幹税と言われる住民税、いわゆる人口比できちんとはっきりするそういった基幹税というものにさせていただくというものが一番大事なところで、何となくそうなりますと住民税といわゆる消費税ということになるんだと思います。

 その中では、今消費税は、目的税化する等々、御党でもいろいろ御意見があっておるところのように伺っておりますが、今の状況として申し上げようとするならば、基幹税なら、地方住民税と言われるものを所得税と住民税との配分比率を変えるという基幹税で対応すべきというのが基本的に正しい流れだ、私自身はそう思っておりますし、その方向で事を動かしていきたいと思っております。

稲見委員 これから、来年、再来年に向けて補助金の廃止、交付税の問題、それから今の税源移譲、地方とも、あるいは、六団体を含めていろいろなところとも議論をしていただくということですから、今、三年間に向けての税源移譲、所得譲与税でない、当面の措置でない移譲というところで御答弁いただけませんでしたけれども、その辺、今後の地方とのいろいろな議論の中で御検討いただければというふうに思います。

 次に、少し細かくなるんですが、この国庫負担金の廃止にかかわって、公立保育所の運営費の問題について少しお伺いをしたいと思います。

 一兆三百億円の補助金の廃止という中で、厚生労働省、昨年の議論経過にありますように、生活保護負担金をどうするかこうするかというのがあって、最後の段階で公立保育所の運営費千六百六十一億円を所得譲与税として一般財源化をする、こういうふうなことに変わりました。民間保育所はそのまま補助金として残る、こういう状況がこの平成十六年度の現況になるわけであります。

 この千六百六十一億円を含めまして、社会保障費のところでその他の負担金とともに廃止をされた総額が二千四百四十億円というふうにされております。税源移譲が二千百九十八億円、約九割というふうになっておりますけれども、義務的経費については十割ということではなかったかというふうに記憶をいたしておりまして、この九割へ少し目減りしている分、どうしてかという点、お聞かせいただきたいと思います。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 お話のとおり、確かに義務的な事業につきましては所要の全額、そしてその他のものについてはその性格等を勘案して八割程度を目安として移譲するというふうなことにされておるところであります。

 平成十六年度におきましては、この方針に沿いまして、国庫補助負担金について税源移譲等により一般財源化を行っておるところでありますが、このうち、公立保育所運営費など恒久的な一般財源化を行ったもの、これは二千四百四十億円でありますが、全部で実は二十一件ございまして、これらを義務的な事業とその他のものに精査、分類をいたしました。義務的な事業につきましてはその所要の全額、その他のものにつきましてはその性格等を勘案しつつ八割程度を目安として精査した額の合計額が二千百九十八億円、これを所得譲与税として税源移譲したというふうなことでございます。結果として、全体として見れば、御指摘のとおり、九割に相当する額の税源移譲が行われたというふうなことになっております。

 特に、公立保育所の運営費につきましては、職員設置費にかかわる部分はこの全額を、それ以外の事務費等にかかわる部分の八割を税源移譲するということにしたということでこうした形になったわけでございます。

稲見委員 何度も総務省なりのヒアリングも受けておりまして、一般財源化をされたところが少し減ったとしても、それは基準財政需要費のところに積んでいるんだから、基準財政収入額との差額で交付税が出てくればそれは大丈夫です、こういうふうなことでお聞きをしておりますので、この二千四百四十と二千百九十八という差のところについては、今度は基準財政需要費のところの問題になるのではないかなというふうには思っております。

 そういう点で、その全額が基準財政需要費に積み込まれているということでありますけれども、社会福祉費のところを見ておりますと、昨年の八千四百七十円に比較してことしが一万一千百円、全体の中で二千六百三十円の増になっております。これで十分なのかということが一点。

 それから、先ほど大出委員からもありましたけれども、交付税算定をする場合、積み上げられております単位費用掛ける測定単位の数値掛ける補正、こういうふうに聞いておりまして、補正も細かく言うと、この社会保障費の関係でいいますと、段階補正、態容補正、密度補正ということになるのではないかというふうに思っております。これはどのように補正を考えておられるのか、この点も明らかにしていただきたいというふうに思います。

 特に、密度補正についてでございますが、これまでの補助金の場合、それで打たれておった場合には、留意、配慮されていた点として、入所の子供数、当然子供数がふえていけばそこでお金も必要になってくるという点、それから入所児童の年齢分布、これは、年長さんになれば保育士一人でたくさんの子供たちを見られますけれども、ゼロ歳児、全くもう産休明けの赤ちゃんについてはつきっきりになるというふうなことでの年齢分布、それに、一部保育料という形で親から負担をいただいておりますので、それは所得階層に応じてその負担金が来るということからいいますとその市町村の親の所得階層の分布、こういうものも収入の側には影響をしてくるということになりますし、民間保育所との関連、つまり、今回公立保育所が一般財源化をされて、民間保育所はそのまま厚生労働省の補助金ということですから、十カ所の保育所がその市町村にあったとしても、そのうち公立が何軒あって民間が何軒あるのかということともこの負担割合の関係も含めて関連をしてまいります。

 こういう要素がこの密度補正の中で、特にことし、初めて総務省管轄でこれを進めていただくわけですから、この点が十分に要素として含まれているのかどうか、こういうふうなことでお聞きをいたしたいと思います。

 それからもう一つ、基準財政需要費について、一万一千百円という総額が明示をされておりますが、この公立保育所の運営費というふうにかかわりますと児童措置費ということになるかと思います。その限定をしての単位費用が幾らになるのかということについて教えていただきたいと思います。ここに、小さな表ですが、これは五月ぐらいになりますと「地方交付税制度解説(単位費用篇)」ということで、それぞれの項目ごとに出てくる一覧表でございますが、その児童措置費のところがことしどういうふうに、単位費用は幾らになっているのかということをお聞きしたいと思います。

 それから、これは当然ながら交付金ですから、その場合はいろいろな算式が出て、そして市町村からのそれの提出を受けて交付税を決めていくということになるわけですけれども、新たな制度になったということ、一年目ということでいいますと、現場の不安を少し解消するには、総務省として、昨年の厚生労働省の公立保育所に補助金として行っていたものと遜色のないものがことし交付金という形で保障されるのかどうかというふうなことについてもお聞きをしたいと思います。

瀧野政府参考人 公立保育所の運営費の関係で何点か御質問がありましたので、お答えいたします。

 まず、単位費用が今回一万一千百円ということであるけれども、それで十分なのかという御質問でございました。

 単位費用につきましては、標準的な行政を行うのに必要な一般財源所要額として、各測定単位当たりの費用を算定するものでございます。我々といたしましては、今回の単位費用につきまして、公立保育所運営費負担金の一般財源化によります所要の経費全額を算入するということといたしておるわけでございまして、この他標準的な財政需要を適切に算入した結果、この一万一千百円ということで、前年度比三一%増と大幅に増加させている、これで十分対応できるというふうに考えております。

 それから、公立保育所の運営費についての補正でございますが、御指摘のように、社会福祉費にこの公立保育所運営費が算定されるわけでございますが、測定単位は人口、それから補正係数としては、段階補正、態容補正、密度補正というものを適用しております。

 保育所の経費につきましては、各団体の基準財政需要額が測定単位でございます人口には必ずしも比例しないということが当然あるわけでございますので、保育所の入所児童数を基礎とした密度補正を現在も適用しております。

 平成十六年度におきましては、運営費につきまして、一般財源化が公立保育所についてされるということでございますので、この公立保育所に係ります密度補正による算入単価を大幅に引き上げるということで対応していきたいというふうに考えております。

 その場合に、密度補正につきまして、国庫補助負担金におきましては、いろいろな要素を加味しているではないか、その点についてはどうなのかという御指摘でございます。

 御案内のように、交付税は標準的な財政需要を算定するものでございますので、国庫補助負担金のようにきめ細かくというわけにはいかないということは御理解いただきたいというふうに思います。

 しかしながら、平成十六年度の保育所に係ります経費の算入につきましては、まず、これまでと同様に、入所児童数を指標とした密度補正を適用する、ここは堅持していきたいと思っておりますし、それから、児童一人当たりの単価につきましては、公立と私立が区別されることになりますので、私立保育所と公立保育所の入所児童数を分別いたしまして、公立保育所の一般財源化によります地方団体の負担の増加を適切に反映していきたいというふうに考えております。

 具体的には、前年度のこの地方公共団体の支弁額、支出額とそれから保育料の徴収額、この差額を適切に反映させるというようなことをいたしますと、間接的ではございますけれども、御指摘のようないろいろな事情も反映してくるというふうにも考えておるところでございます。

 それから最後に、児童措置費についてどういうことになるのかということでございますが、児童措置費の十六年度の単位費用につきましては、市町村部分につきまして、四千百四十円ということになってございます。

 その場合に、これでどういうことになるかということでございますけれども、一般市町村であれば、当該団体の公立保育所に係ります国庫負担金、従来の国庫負担金と県負担金との合算額に相当する額がおおむね基準財政需要額に上乗せされるというふうに考えていただいて大差ないというふうに考えておりますので、そのように対応していただきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

稲見委員 今の段階での全体の姿は明らかでないんですが、これから、市町村からの交付税の請求、算定、そういう中で、この公立保育所の運営費の問題については、後もいろいろ、私も数字を含めて検証させていただきたいと思います。

 時間が参りましたので終了いたします。初質問としては、ちょうど五十分で終わることができました。皆さんの御協力、ありがとうございました。

佐田委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは五十分ございますので、ゆっくりと質問させていただきたいと思っております。

 大臣、まず非常に素朴な疑問から伺いたいと思うんですが、この小泉内閣は、聖域なき構造改革、これは一つのスローガンですよね。また、今回のこの三位一体の改革は国と地方の形を変える構造改革の一つの大きな柱である、これもよろしいですよね。そうすると、構造改革なくして景気回復なしというのも小泉内閣の柱だと思うんですけれども、この三位一体の改革がこれから進んでいきますと日本の景気にどのように影響を与えるのか。これは、大臣の所見をまず伺いたいと思います。

麻生国務大臣 地域差が出ると思います。これだけははっきり言えるんだと思います。構造改革がスムーズにうまくいったところ、やり切った市町村とそうでないところとには当然のこととして差が出るということを覚悟せないかぬと思っておりますのが一点。

 しかし、これは多分避けて通れないという覚悟をしないと、現実問題として、この三年間で、失われた十二年間と言われるものの中では、いろいろな後世の歴史家というか経済評論家の、経済評論家というのはちょっといいかげん過ぎますね、歴史家の判断を待たねばならぬところだとは存じますけれども、少なくとも、今、この数年間、構造改革というのを行うために、規制の緩和、大出先生の言葉をかりれば第三段階の規制の緩和をかなりやった結果、少なくとも通信、情報関係においては飛躍的な変化が出てきておるという事実は認めないかぬところだと思っております。

 そういった意味では、まだ途中段階で、まだまだ、景気の指標がやっと上向きになったというところぐらいですから、ここは大事にしていかないと、また前回の二の舞になりかねないところだと思います。構造改革なくして経済成長というところ、まだそこまではちょっと、正直申し上げて、実質経済成長率で世の中は生活しておるのではありませんので、名目で皆しておるわけですから、その名目成長率がもっとはっきりした形で何年間か安定した状況にならないと、いわゆる景気回復までにはつながらないと思っております。今やっと少し芽が出つつあるかなという程度でここは注意深く、もうこれで大丈夫などというようなことではとてもないと思っております。

松野(頼)委員 そうしますと、大臣、三年でこの三位一体の改革が終わります。そうすると、地方都市がもっと活性化して、景気がよくなる大きな起爆剤になるんじゃないかというふうにお思いですか。

麻生国務大臣 同じく、地域によって差が出ると、これまた思います。

 基本的に、それを経営しておられる首長さんの経営能力が問われるところです。どうでしょう。例えば三重県、北川というのがおりましたが、昔、同業者をやっておりましたので、あれなんで、今は知事もやめてどこか大学の先生をやっているとこの間言っておりましたが、ここはシャープという工場を誘致するために、地方税の先行減税というのをやったりした、シャープは中国進出をやめ、三重県の四日市だかどこかに工場をつくった結果、長期的に見れば、あの決断は、当面がたっと事業税等々の収入は減るということにはなるんでしょうが、それによって雇用が生まれ、いろいろな意味で大きな影響が出たということになりますね。

 ああいうものを含めて、地域が競争するということを意味しますので、私どもとしては、そういう能力のあるところはどんどん企業の誘致を始めたり、いろいろな規制の緩和をすることによって地域に雇用が生まれたりということになろうと思います。その意味では、そういう能力のある、感覚のある、そういった地域においては、景気は間違いなくある程度今までとは別な方向で元気が出てくるということになるだろうと思います。

松野(頼)委員 ここのところは、もうちょっと議論を本来であればしたいところなんですけれども、時間の関係で省略いたしますが、私たちも、国の形を、もっと中央の権限を減らして、財源も減らして、なるべく地方に権限と財源を渡していこう、要は地方分権を進めていこうと。本当の形でこれが完成すれば、随分この日本の国の形が変わり、今非常に行われているむだが減って、日本の経済の復興につながると思うんです。

 今回の、政府が出していらっしゃいます三位一体のこの改革の案、その柱が、約四千二百四十九億円の所得譲与税というものを設けて、これが税源移譲だというお示しです。この約四千億円の税源移譲、基幹税から地方に税源を渡すという基本的な理念、たばこ税にするのか基幹税にするのかという議論が随分あったようですけれども、基幹税である所得税にいったことは少しは前進ではなかろうかと思うんです。

 ただ、私が考えますのは、もしこの所得譲与税というものを中途半端につくらずに、所得税を減税して、これで増税しちゃまずいですよ、全く同じ額の住民税を増税した方が、何も一回所得税を国が吸い上げてまたそれを分配するという形をとらなくても、この方がよっぽど地方の裁量が広がるんじゃないかと思います。この件についていかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは技術的な話なんだと思います。最終的に補助金が幾らというのが明確じゃありませんものですから、それに見合った分ということになりますので、所得譲与税という名前を一時期使っているだけであって、先ほど稲見先生から、五%、一〇%、一三%の話、一律一割という話があっておりましたけれども、あれで約三兆ということになるんだというお話でした。数字はそのとおりだと思いますが、それをやるまでに一体補助金が、各省庁どれだけの額が減らせられるか等々というのがよく見えてこないものですから、向こう三年間譲与税という名前を使わせて、最終的に三年たちましたときに、額が確定した段階で、それに合わせてという形になるんだと思います。

 今言われたのは正論だと思いますけれども、ちょっと一挙になかなかいきにくい、額がまだ決まっていないというところが、譲与税という一段階手間をかけたというように御理解いただければと存じます。

松野(頼)委員 あともう一点。額がちょっと四千億というのは少ないですよね、大臣。これで国の形が変わる、例えば三年間やっても、どこまでやるおつもりかわかりませんけれども、二兆ぐらいやるのかどうかわかりませんが、二兆を例えば税源移譲したところでこの国の形は変わらないと思うんです。これは、多分総務省は、本音ベースでいうと所得税じゃなくて消費税で欲しかったんじゃないですか。この辺いかがですか。

麻生国務大臣 本音をぺらぺら言えるような立場にありませんので、これでもある程度控えめに発言しているんですが。

 消費税の方がよかったではないかというお話ですけれども、御存じのように、消費税は、いわゆる福祉目的税にするとか、まず各党いろいろな御意見があっております真っ最中でもありますので、それがまだはっきり見えてこない段階で、基幹税といえば所得税から住民税という以外には、たばこ税は煙のごとく、どのみち九千億しかあれはありませんので、そういった意味では、ちょっと現実問題としてはほかに手段はなかったと思っております。

松野(頼)委員 三年後にきちっとした形にされると思いますから、この場で消費税の方がいいと言うと一斉に出ますので、どうぞ御発言をいただければと思いますが。

 それはさておき、ちょっと、実は順番が違うんですが、厚生省から政務官に来ていただいていますので。これは午前中しかだめだということですので、ちょっと順番を変えて伺いたいんです。

 さっき我が党の委員も聞いていましたが、公立保育所の運営費にかかわる補助金が廃止をされ、一般財源にこれは所得譲与税として移譲されるわけですが、これはちょっと観点を変えて伺いますと、要は、公立保育所の運営費、これは、設置基準はそのまま国が持っているんですけれども、運営費を一般会計に渡しますよ、だから、その地方地方の首長さんが、公立保育園に使おうが何に使おうが自由度が高まるじゃないかという議論だと思いますが、それは間違いないですよね。

竹本大臣政務官 今まで国の負担金として、補助金として出しておったものを自治体に渡すわけですから、その面では自由度が深まることは間違いない。ただ、保育所の設置基準あるいはそこにおいてお世話をする基準については国で一定のものを設けております。その資格は守っていただきながら、財源の自由は与えますので、それでうまくやっていただきたい、こういうことでございます。

松野(頼)委員 では、公立保育園に使わない自治体の長の方が出てきても大丈夫ですか、厚生労働省は。

竹本大臣政務官 今、大体公立保育所と民間の保育所、全部で二万二千ぐらいあります。そして、一万二千が公立であり、約一万が私立というか民営ですね。

 今回、公立保育所の補助金を一般財源化したわけでございますけれども、我々としては、今までと同じ待機児童ゼロ作戦を展開していただきたい。大体待機児童というのは二万五、六千人いるんですよね。これをできるだけ減らしたいというのはもちろん我々の目標でございます。したがって、その趣旨に応じた施策を自治体の判断でやっていただきたい、そういう希望を持っております。

 ですから、所によって、保育所のための金をほかに、おっしゃるように全く全然違うところに使うとか、そういうことを我々は想定いたしておりません。

 ただ、例えば、地域によっては、山間にある保育所とか、いろいろな地域事情を考慮しなきゃならないところもあるのは事実なんです。その辺は自治体の御判断でやっていただければいいのではないかなと思っております。

松野(頼)委員 これが今回の三位一体の一つの例として小泉内閣の掲げる、今回のあの所信表明でもおっしゃっています、待機児童ゼロ作戦というのは一つのシンボルでもあるわけですよ。その公立保育所の運営費を一般財源にして自由に使える裁量をふやしたんですというと、これは厚生省の立場だったら、待機児童ゼロ作戦が崩れちゃうんじゃないかと本当は慌てふためいていなきゃいけないと思うんですよね、本来は、本当に使えるならば。

 総務大臣、総務省の立場でいうと、これは一般財源ですから、自由の裁量の幅が広がるんですよというわけですよ。これが今回の僕は三位一体の姿だと思うんですよね。実際には、お金は渡すけれども、設置基準は握っている。ほとんど公立保育所のお金を一般財源にして、それで道路をつくったり、建物をつくったりする人はいないであろう。でも、実際には、そこに、それぞれの各テーマの財源を削減したり、補助金を削減したりする部分の、総務省側の意見と受け取る側の意見との違いというのが私は出てきていると思うんです。

 どうでしょうか、総務大臣。これは一般財源化しますから、自由に使えるんだ、地方の自由度が高まるんだ、こうお思いですよね。

麻生国務大臣 保育園をやめる首長さんはおらぬと思いますよ、間違いなく。したがって、自由というのを、やめてどこか別のものに、交際費に使うなどというのは、これは常識的には考えられぬと思うんですね。そういった意味では、まず保育園というものに関して、首長さんとしてきちんとやるということなんだと思うんです。

 今自由度の話が出ていましたが、例えば、よく待機児童で、駅前ということになりますが、無認可というのがやたら多い。認可されるためにはいろいろ制限がありまして、二十人以上預かり児童がいなくちゃいかぬとか、それから、いわゆる一定面積以上の屋外遊戯場がなきゃいかぬとか、調理室だとかいろいろなものがないと、これはみんな無認可になっていたということになっております。そういった意味では、約十人程度でも駅前でもできるようにとか、いろいろな形で今調整が進んでいるところでもありますので、今言った二万四千の待機児童の話が、少なくとも一応前に進む方向に自由度が増したとはいうことになるんだと思います。

松野(頼)委員 ちょっと苦しいところがありますな。

 ちょっとこれは通告していませんので質問ではなく、一つ例を挙げさせていただくと、児童手当の事務の八十七億円というのが、今回ゼロになっているんですよ。この一兆三百億円の補助金カットの中で。これはきのうちょっと事務方に聞きました。そうすると、児童手当を支給する事務が各役所からなくなるのかなと思ったわけですよ。違うんですよね。そのお答えは、配偶者特別控除がなくなったので増額になったんですと。それと、交付税で手当てさせてもらうから変わらないんですよと言うんですよ。

 非常に複雑な形になっているんですけれども、どうも、見ると、出る金が変わっただけで、実際には、本当に自治体の裁量がふえて、自治体が自分たちの考えで行政を行える、お金も権限も財源も地方に行くという形とはちょっと大臣、違うと思います。その辺、御感想、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、義務教育の退職給与等、これは自由にならないものと自由になるのと、二つあるんだと思いますので、これは自由になる方がふえた方がいいには決まっていますけれども、今の分は交付税で、その中でということになるんだと思います。これは自由になる分とならない分といろいろある、そのとおりだと思います。

松野(頼)委員 そろそろお昼ですので、また午後によろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

佐田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

佐田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野頼久君。

松野(頼)委員 大臣、午前中に引き続きまして、また質問をさせていただきます。

 ちょっと、午前中、大臣が思いのほかしっかりと答弁をいただくもので、ちょっと順序を変えまして、固定資産税、今回の地方税法改正の条例減額について伺いたいと思います。

 僕が今回総務委員会に希望しましたのは、麻生大臣が総務大臣になられたからで、非常に大きく期待をしているんです。大臣は、固定資産税に関しては、政調会長時代に随分しっかりとした発言をされていまして、例えば、本会議の質問でも申し上げましたけれども、日本記者クラブで、土地の値段が下がっているのに税収は三倍になっている、評価額を五〇%に下げるべきだというふうにおっしゃっています。

 また、去年、十五年二月六日の予算委員会では、大臣みずからが政調会長として質疑に立たれまして、こんな、固定資産税の実効税率と名目GDPの推移とか、商業地の宅地の負担水準の推移、こういう資料まで提出をされて、御自分でつくられて、こういうふうに発言されているんです。

 今回のこの税制改正というものが成立いたしますと、不動産取得税、登録免許税、特別土地保有税、それから事業所税等いろいろなものが大幅に、時限立法、もしくは軽減され、廃止するんだと思いますが、今後とも固定資産税というものが非常に大きな要素だというふうにおっしゃっています。また、固定資産税というのはこの十年間の間にこんなに大きなものになっておりまして、平成六年度で二四・九が平成十四年には実に六〇・二%になっております、土地というものがどんどん下がっているにもかかわらず払っている固定資産税がどんどんふえておるということが、土地を持っておられる一般庶民の方々の住宅を含めてこのようになっておりますと。

 とにかく、土地の下落がこの不況の原因であり、この土地の下落を食いとめるためには、不動産税制を引き下げなければいけない、こういう多分見識だと思うんですが、これは私、本当に見識だと思います。企業の経営の感覚を持たれている方は、ほとんどの方が皆さんこういう思いだと思いますし、また、地元に帰りまして、商店街を歩いていても、まちづくり補助金をちょっとくれるよりも固定資産税を下げてくれた方がよっぽどうれしいんだと。実際に、多分、大臣のふるさとの福岡でもこういう状態だと思いますが、私の地元でも、中心部の商店街がもうシャッターばかりなんですよね。

 特に、バブルの前に八百屋さんや魚屋さんをやっていました、でも、バブルでだんだん土地の値段が下がってきて、固定資産税が上がってきたがために、もうこれじゃ固定資産税払えないと言っていたら、銀行が、今ビルを建てませんか、家賃収入を得て、それで固定資産税分を払いませんかと言われてビルを建てました。いざバブルは崩壊しました。そうすると、テナントさんがどんどん出ていく、あっぷあっぷして、結局その税のために商店街で商売をしていた方がもうその商売の本業さえおかしくなっちゃったというのがたくさんあると思うんです。

 ですから、本当にその大臣の見識は私は大いに期待をしておりますし、また、この大臣ならばもしかしたら固定資産税引き下げだと大胆におっしゃってくれるかなということを期待しているんです。

 大臣、ちょっとお配りをしました資料の一を見てください。これが固定資産税の評価額、課税標準額税収の推移なんですが、大体、地価が下落をしてきましたのが平成三年ぐらいと言われています。これはデータなので多分一年ぐらいおくれて、平成四年から下落をしています。この一枚目の表の一番左を見ていただければ一目瞭然だと思うんですが、平成四年から平成十四年までずっと地価は下落をしているわけです。これが、全国の宅地とか商業地、住宅地含めた全国平均の下落率が、右側の公示地価の下落の変動率として、三角で書かれているのが、これがずっと下落をしている状況であります。

 それに比べて税収はどうでしょうか。土地の税収というのが、平成四年には二兆八千六百三十九億あったのが、平成十四年には、若干下がったとはいえ、三兆六千億あるわけですよ。これだけ土地の値段が下がって、税収がこれだけ上がっているわけですから、これは事実上の増税だと思うんですよね。この税のために苦しんでいらっしゃる方がたくさんいる。

 こういう現象になった一番の原因は、これは本会議でも申し上げましたけれども、平成四年に、自治省の事務次官依命通達で、全国の評価額を七割に上げなさいという通達を出したんです。今まで全国でばらつきがあって、二割から三割だった固定資産税の評価額をいきなり七割に上げたものですから、これは一番左の評価額を見ていただきますと、平成五年は三兆五千九百億だった評価額がいきなり十四兆に上がっているんです。ただ、いきなりこれじゃまずいというので、負担調整措置をかけて、直接的にここまで税収には上がってこなくなったんですが。

 本会議でも申し上げましたこの七割評価、税を課す場合には、やはり議会をちゃんと通って、国民の代表者であります国会の議決を経てから税額に直結する評価額の引き上げをしなければいけないんじゃないかというふうに私は思うんです。

 大臣の本会議での答弁は、地方税法三百八十八条、要は固定資産税の評価基準に書いてあるから、これは租税法律主義には反していないということだったんですけれども、ただ、どうでしょうか、大臣、議会に身を置く国民に選ばれた政治家として、やはり税額に直結をする部分は、国民の思いとしては、国会でちゃんと法案を改正して、国会の中での賛否をちゃんととって、それからやるべきではないかというふうに思うんですが、大臣の所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今いろいろお話があったんですが、基本的には、松野先生、バブルがはじけたと言われておりますのは、御存じのように、株価が一九八九年の十二月の二十八日、終わり値で三万九千九百八十円、あれがバブルの終わりと言われたんですが、土地はその後も上がり続けまして、ずっと上がったんです。

 上がっていった結果、土地が急に下落し始めましたのは一九九二年、いわゆるこの年から御存じのような形でばんと下がっておりますので、本来でしたら、私は、相続税の評価が八割とかいろいろいうんで、ばらばらだったものを、あの一九八五年からだんといき始めるわけですから、あのときにいわゆるこの評価というのをだんだんに上げておくというのが一番正しかったんだと思うんです。ある程度下がり始めてからやったものだから、非常に下がってから上がったというふうにしかとれないという、感情論としては、基本的にはそういう感情が大多数というのが現状の事実だ、私自身もそうだと思います。

 問題は、ばらばらだったものをどこかでそろえなければいかぬわけです。そのそろえ始めるタイミングが少し後になったのが一点。

 もう一点は、これは法律違反じゃありませんので、それはそれでやむを得ぬところなんだと思いますが、今言われたように、感情論としてはそういうことなんですが、あのときに土地に関する融資の総量規制という法律が出まして、これで一斉に、固定資産税に限らず、すべて土地にかかわる税法というものをむちゃくちゃさわって、土地譲渡益課税は二六%から五割上げて三九%等々、むちゃくちゃしたんですよ、私に言わせれば。土地税制というものを全部上げたんだから。土地を持ったことのない人は、土地なんかさわるなといって、あのころ随分物議を醸した記憶が今でもありますけれども、そういうような時代だったんだと思っております。

 ただ、今は、御存じのように九二年を境にずっと下がってきて、その表をお持ちだったら、ちょうど九四年でクロスしているはずですが、その段階でやはり法律をもう一回もとに戻すべきだったんです。その後、維持し続けたために、土地は急激な勢いで下落をして、商業用地においては八割下がったとかいろいろな表現がありますが、その結果、シャッター街になったとか、まあシャッター街はそれだけが理由じゃありませんけれども、大きな理由の一つになるところまでいった、大きな遠因であったことは間違いない。

 そこで、今言われましたように、この固定資産税は大きな部分だと言われるところは私もそう思いまして、ずっと言い続けておりますけれども、今回は、少なくともこの点につきましては、七〇、六〇の裁量、御存じのとおりのところをいまやろうとしております。では、ここまで上がったらせえのでもう一回もとへ戻すかといったって、全国の地方自治体にとりましては、これは最も安定した財源でもありますので、これがいきなりまたもとの二割だ、三割だなんというのはとてもじゃないというところだと思います。今、七〇、六〇という幅を地方自治体に与えるというところで、地方の自由度を増してもらうというところでスタートをさせていただいたというのが、昨年の税制改正に伴う私どもの考え方であります。

松野(頼)委員 大臣、確かに、この平成四年の通達のときも、全国のばらつきを直すんだといって七割に上げたんですね。今回、そのばらつきを直すといって上げた評価額の七割を、また今回、負担水準、今回は評価額を七割から六割に落としたんじゃないんですよ、大臣。その下の負担水準を七割から六割まで、各首長さんの判断で下げることができるというだけの内容なんです。だから、実際、これが税に直結をして、税が下がったという例は、僕は多分全国でほとんどないと思います。

 せっかく今回、上限の撤廃をしましたので、上げることもできるし、下げることもできる。要は負担水準を六割まで下げることができるという。少し裁量を持たせたでしょうけれども。ただ、大臣おっしゃったように評価額を五割に下げれば、これは経済界も要望していますように、また国土交通省も五五%に評価額を下げてくれという要望を税制改正要求のときにしているように、評価額を五割までもし下げれば、相当私は減税効果があると思うんですね。

 確かに、今大臣がおっしゃったように、市町村の基幹税、これが大体、市町村税だと固定資産税と都市計画税で約五二%。この配分も僕はちょっといかがなものかと思うんですが、一つの資産課税に余りにも偏り過ぎているんじゃないかとは思うんです。ただ、今こういう現状のバランスですから、私も、地方自治体の運営がどうなってもいいということはありません。

 だから、さっき申し上げたように、もっと基幹税からどんと持ってきて、それを固定資産税分の減収に充ててもいいんじゃないかというふうに私は思っているんです。

 それと、やはり大臣、さっき租税法律主義の問題を言いましたけれども、僕らはこれは前に総務副大臣とも議論したことがあるんですが、僕ら政治家、要は国民に選ばれて、選挙によって選ばれた政治家が、通達で税額に直結する部分を上げたら、本来ならば大臣がこういうことはけしからぬと言っていただくべき問題じゃないかと思うんですね。これは最高裁で判例が出たから違反じゃないんだ、それはわかります。ただ、やはり納税者としては、国会を通っていれば、次、その国会議員を落とそうということができるわけですよ。ただ、国会を通らないで通達、紙でばっとやられると、あとは不服審査請求をするか訴訟をするかというこの二つしか、納税者、有権者の立場から見るとないんです。

 これはやはり大臣、どうかきちっと、今回、地方税法改正されていますけれども、来年でも結構ですから、地方税法をしっかりと改正して、そして、まずこの評価額に関しての通達による七割評価の根拠をつけるか、できればこの七割評価を五割五分ぐらいに落とすかということを、どうか評価額を落とすということを検討していただきたいと思いますが、ちょっと所見をお願いします。

麻生国務大臣 五割に下げるという案はずっと申し上げてきておったところでもありますので、これは、下げてもらえる法人、また、その他商業をやっておられる方々、そういった土地持ちの方々は皆大いに賛成されることはもうわかっておるんですが、傍ら、地方自治体の方からしてみれば、今の段階ではとてももちませんと。

 それで、問題は、その財源として国税を地方税にという話なんですが、その国税の方も今どんどん減っておるんで、五十兆は四十兆までとか、法人税、いろいろな表現があるとおりなんで、なかなか今はちょっとタイミングとしては難しいとは思いますが、基本的には、今言われたように、一役人の通達で全部ひっくり返っちゃうというようなのはいかがなものかという御指摘は、私は基本的には正しいと思っております。余りにもその影響が大き過ぎた。

 ただ、あのころは生まれておられたろうけれども、世論は、とにかく土地の値段さえ下げればすべて世の中よくなるんだって、みんな、全社書いたんです。私どもが反対すると、おまえ土地持ちだからそんなこと言うんだとかいって、ぼろかす言われた。しかし、あのときは、下げたらこんなことになるよと言ったとおりになったんです。私どもとしては、ほら見たことかと言いたくなる気持ちもあるんですけれども、しかし、基本としては、こういったようなのは余りにも影響が大き過ぎたんで、正直、これは出した総務省というか当時の自治省、また当時の大蔵省主税局初め、これはいよいよ反省しなきゃいかぬところは多々あるんだと思います。

 総量規制という名の土地に対するあれは、あの時代はよかったのかもしれませんが、直ちにというところを、あれにありますように、クロスしたにもかかわらず維持したというのが、今回のデフレ不況を招いた非常に大きな原因になったということは反省の念として持っておりますので、今言われた点は、今後とも考慮しなきゃならぬ問題だと思っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。どうかよろしくお願いします。

 本当にこれは、個人の税金が高いとか安いとかいう問題よりも、僕は日本経済の復興の根本にかかわる問題だと思うんですよ。今おっしゃったように、バブルを崩壊させたとき、バブル崩壊は天災でも自然現象でもありませんから、総量規制をやり、固定資産税を取っている上に、国税で地価税を取り、また短期の譲渡に関しては、最高の九八%という懲罰的な、当時スーパー重課と呼ばれましたけれども、懲罰的な重加算税をかけて、まるで社会主義の国でもこんなことしないんじゃないかという、税制と金融をめちゃくちゃに引き締めて、一気に土地の値段を下げたわけですよ。

 それが、もう十数年たって、いまだに日本経済が持ち上がらない。大臣も予算委員会の中でおっしゃっていたとおりに、不良債権の処理をしても処理をしても、毎年担保にとっている不動産が下落をするものですから、処理をしても処理をしてもふえていくという泥沼の状態に入っている。

 その中で、大体十三兆八千億ぐらい、相続・贈与税を除いた土地関連税収があるんですよ。その中の九兆八千億、大体三分の二が土地、家屋、償却資産の固定資産税額なんですね、平成十三年度ベースでいうと。

 ですから、確かに資産デフレ対策として、塩川大臣がいらっしゃったときに、二千億円の登録免許税を減税しました。もちろん、減税しないよりした方がいいんです。ただ、十三兆八千億の中の二千億をしても、そう僕は日本の景気に響かないと思うんですよ。だったら、一番でっかい、三分の二を占める地方税であります固定資産税を下げろと。

 もちろん、下げただけじゃ困っちゃいますから、今回、本当はそのときに、経済財政諮問会議で三位一体が出たときに、僕は経済産業委員会にいまして、平沼大臣、何でこれをその場にいたのに訴えてくれないんだ、固定を下げて、三位一体の中に固定を下げる分も入れてほしいと言って、随分強く要望したんですね。ですから、これは、本当に国益として、日本の経済の発展のために、復活するためにということでどうか考えていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 あと、この七割評価のことについてちょっと伺います。

 そんなテクニカルなことは意地悪に聞きませんので、この七割評価をしたときに、なぜ七割なのかという疑問があるんですね。

 それは、全国の基準地、これが資料二になっています。これは五十四年度と五十七年度になっていますけれども、たしか平成四年のときに、このぐらいのときの資料を目途に使ったんですよ。これが大体、基準地といって、各都道府県で一カ所ずつとっていっているんですね。それの評価の割合が、大体一般的に、左側に出ている札幌から那覇市までずっと全国の市の基準地をとった数値なんです。

 五十四年度と五十七年度、これが大体平均七割だから七割評価を入れたんですというのが、地方税法三百四十一条にあります、固定資産税の評価は「適正な時価をいう。」。その「適正な時価をいう。」の中で、先ほど言いました、評価基準の中で七割の根拠だと言われているんですが、基準地以外のがこの右側に、ちょっと細かくてテクニカルで非常に申しわけないんですけれども、右側に出ていますが、右側の方は基準地じゃないところの数値なんです。

 これでいうと、七割に到底及ばないんですよね。ですから、このときも、七割評価を導入した根拠が基準宅地の平均値だというふうにおっしゃっているんですが、実際、基準宅地以外ではこういう状況ですけれども、大臣、これも所見をちょっとお願いします。

山口副大臣 私の方からも若干お答えをさせていただきたいと思いますが、もう松野先生十分御存じでしょうけれども、固定資産税の宅地の評価を地価公示価格の一定割合、つまり七割にすることにつきましては、固定資産税評価において市町村間、地域間でばらつきがある、その均衡化、適正化を図ることが要請をされておったというようなことはもう御案内のとおりです。

 土地基本法におきまして、これは平成元年でありますが、公的土地評価相互の均衡と適正化を図るというふうなこととされまして、総合土地政策推進要綱におきまして、相続税評価との均衡にも配慮しつつ、速やかに、地価公示価格の一定割合を目標に、固定資産税評価の均衡化、適正化を推進するというふうにされておりまして、この相続税評価でありますが、これが実は平成四年から七割であったのが八割になりました。そうした状況も踏まえまして、地価公示価格の八割にされました。

 そうした状況も見ながら、実は昭和五十年代の地価安定期における地価公示価格に対する固定資産税の基準宅地に係る評価の割合が七割程度の水準であったというふうなことも踏まえて、こういうふうな格好になったということでございます。

松野(頼)委員 今、相続税評価を持ち出されましたけれども、相続する場合に、土地に対してもし借金があれば、その分の価値は目減りをしてくれるんですよ。固定資産税は、借金があろうがなかろうが、その土地にビルが建っていようがビルが建ってなかろうが、そこに存在をしていれば、あなたの土地は幾らですよと、一月一日に勝手にやられて送ってくるんです。

 だから、相続税が八割だから固定資産税が七割で整合性があるんだという理論は、これは僕はちょっといかがなものかと思いますが、もう一回、副大臣御答弁ください。

山口副大臣 お話のような点も確かにございますけれども、ただ、形として、平成四年から上がっていったというふうな流れの中で、実はさっき申し上げたような御指摘もあって、均衡をとるという意味合いもあり、同時に、さっき申し上げましたいわゆる基準宅地に係る評価の割合が七割程度であったというようなことで、総合的に判断をさせていただいたということでございます。

松野(頼)委員 だんだん時間がなくなってまいりましたが、ちょうど僕が待ち望んでいた判決が去年の六月に出まして、初めて最高裁の第一小法廷というところで、東京都千代田区の土地に関する裁判で、固定資産税評価額に対して、評価額が実勢価格を上回った場合には、その上回った部分に関して違法であるという判決が初めて出たんです。

 これは、さっき申し上げました地方税法の三百四十一条、固定資産税の評価は適正な時価とする、ここがずっと裁判の争点になって今まできたんですが、この適正な時価が、七割評価が実際の土地の値段を上回っていたらば、飛び出した分は違法であるという判決なんです。

 大臣、ちょっと次の資料の三、四、五までごらんください。

 これは、実際に不動産鑑定士さんからもらいました、土地に関する取引事例カードなんです。実際は、本当はここに名前も入っていたんですが、それはプライバシーの問題があるので省きましたけれども、別にこれは特別探して探して見つけた数字じゃないんですが、資料三を見ていただきますと、平成十二年度の路線価は百八十七万円の土地なんですね。これが、実際に取引をされましたのが平米百五十八万円。丸がここに二つついています、見やすいように。ちょっとコピーで汚いですが、丸がついています。資料三です。

 資料四もどうか見てください。これも、真ん中辺の右側に二つ丸がついていますけれども。平成十二年度の路線価が百九十五万円の土地が、実際に取引をされたのが百二十四万九千六百二十五円なんです。

 ですから、実際に、今回裁判まで、去年の六月に出た裁判の人は、ずっと意地になって闘っていましたからそういう評価が出たんですけれども、実際にこの数字を見て、こういうのはたくさんあります、今。不動産屋さんに行って土地を買いたいと言うと、固定資産税評価額でどうですかと、そこからの多分相談になるぐらいの現状だと思うんですよ。ですから、この出した数値というのは決して特異な例でもありませんし、こういう事例があって、非常に全国で訴訟なり不服審査請求がふえています。

 ですから、今の水準ですと非常にひっかかる可能性があるので、大臣、ちょっと、ごらんになった感想はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 ちょっと、正直今見ましたのであれですが、取引事例カード、資料三の方でいくと、どうでしょう、これは平成十二年十二月ですから、多分平成十三年一月一日には評価が変わっているんだと思うんです。そこで、百五十八万二千二百七十八円、これは平米だと思うんですが、そこらが変わっているということをおっしゃりたいんだと思うんですが、これは多分路線価格でしょう。

 路線価格ということになると、これは、基本的には、土地をやっておられたらおわかりだと思うが、道路に何面面しているかとか、それから、奥行きがどれだけだとか間口がどれだけ広いとか、ごちゃごちゃいろいろくっついていまして、それによって値段がごろっと変わることになりますので、路線価格だけをもってこれだと言われると、ちょっとなかなかこれは難しいんだと思うんです。

 ですから、そういった意味では、こういった例は多分あるんだと思いますけれども、路線価格が即そのまま評価額としてはいかがなものかというのとこんなに違うではないかというのとは、私どもとしても、事例が全部違いますので、なかなか簡単に、一概にこれとは言えぬところかなというのが見た感想です。

松野(頼)委員 要は賦課課税ですから。申告納税、申告課税なら、自分が納得をして、それで申告をしているわけですからいいと思うんですが、この固定資産税は賦課課税で、勝手に査定をして送ってくるので、やはりちょっとおかしいなという部分を若干低目に僕は設定した方がいいと思うんですね。

 資料五を見てください。この人は、実際に今不服審査申し出をして、これは建物の評価額です、たくさんビルをお持ちなんですけれども、これは実際にその不服審査申し出に提出をされた書面なんです。これが、左側が固定資産評価額、右側が自分のところでやりました鑑定評価額。こんなに違うんですよ。例えば、一番でいうと、固定資産評価額が鑑定評価額の一四〇%なんです。

 大臣、固定資産税の建物の評価基準というのはごらんになったことありますか。

麻生国務大臣 再建築評価方式という、知っていますよ。

松野(頼)委員 その中身というのは見たことありますか。

麻生国務大臣 いっぱい書いてあるあれね。見たことあります。

松野(頼)委員 あれを見ますと、例えば壁にしても、竹べらで塗っていたら何点とか、普通のへらだったら何点。壁紙も、洋式、洋物だったら何点、和物だったら何点。それは、多分そこでだれかお持ちだと思いますが、こんな分厚い本になっていまして、事細かに書いてあるんです。一点一円らしいので、和式の壁紙と洋式の壁紙の点数が違うということは、評価額が違うんですよ。何か、まるでソ連の、物の重さによって税額が違うみたいなことをいまだにやっているんですよ。それで、実際にその評価をする人が、いや、これは竹べらだから何点で幾らなんだと。これは笑い事じゃない。今現にやっているんですよ。

 こういうやり方をしながら点数を評点して、実際にこういう乖離になって、この人が税務署で言われたのは、あなたが実際にゼネコンから買った値段と、最初は発注した見積書までつけた、買った値段と自分のところの課税庁がつけた値段は、買った値段より課税庁のつけた値段の方が正しいんだと言われているんです。

 でも、普通の常識で考えて、適正な時価というのは、今回の裁判でも言われていますけれども、普通の状態の客観的交換価値という認識なんですよ。普通の、正常な経済状況の中で残る適正な時価が、それは、ゼネコンに払った金額以上に適正な価値はないじゃないですか。それを否定して、課税庁で、竹べらだったら何点、これは洋物だったら何点と、それで割り出した評価額が正しいといって、これで、もう膨大な時間を費やして、裁判までしなきゃならないというこの現実について、ちょっと一言お願いします。

麻生国務大臣 お互いさま、そういった立場に立たされたことがありますので、ようわかるところなんですが、ほかの方もいらっしゃいますので、参考例として、今壁を言われましたので、かわらでいきます。

 屋根のかわら、平成十二年度評点項目、実にかわらだけで十三種類。日本がわらだけで特上、特、上、中、並、焼き方の違いでありまして、洋風がわらが上、中、並、セメントがわらが上、並、厚型スレート。合計十三。これだけ評価というのはあるんです。いや、まじめな話、これはみんなやられているんですよ。これは大事な話。やめます。上、中、下、三つにします。

松野(頼)委員 随分簡素になると思います、それで。

 それはでも、大臣、償却資産は、取引価格に今でも固定資産税を使っているんですよ。建物も、国税では、取引価格から耐用年数を決めて毎年償却させていくんですね。これはやっぱり公平ですよ、ある意味では。もちろん、残存価格を、もう大臣十分御存じかと思いますが。固定資産税だけ上、中、並で、かば焼きじゃないんですから、そういう上、中、並というのは、だれが上でだれが中でどこが下なのかを決めるのかというのもわからない。せめて、やっぱり収益還元的な考え方と、取引価格をもとにした、やはり、もう時代が時代ですから、そろそろ考えていただきたいということを痛切に思いますね。

 これは、ちょっと参考までに。私の結構大好きな後藤田先生が、自治省、総務省というのは非常に懐の深い役所で、地方税法五十周年記念論文というのを書いています。初代自治税務局長としての、昭和三十九年のときに固定資産税評価がえをされたんですけれども、そのときの回顧録が出ているんですよ。

 固定資産税の課税標準は時価なのだが、シャウプ税制以来、時価とは収益還元価格である時価であるということできていたんだ、土地でいえば、収益が違うんだ、また、売買時価と収益還元の価格の開きが出てきた、そこで、売買時価を課税標準にしようということになったわけだが、できるのであれば私は収益還元法の評価額が公正だと思う、また、固定資産税は年税だから、それを売買時価というのはおかしい、やはり収益還元法の方が好ましいんじゃないかということを回顧されているんですね。初代の自治税務局長。

 また、もう一つ。その昭和三十九年の評価がえのときには、今から考えれば、この改正は、税収をもっと上げて自治省の声を抑えようという大蔵省の思惑に乗せられた感もなきにしもあらずなんだ、多分今も一緒だと思います。大蔵省は、自治省から地方交付税の税率を上げろと言われて困るので、地方財政をより豊かにしよう、そのために、固定資産税の土地の評価を売買実例価格を基準とすればもっと高くなり、固定資産税もふえるということであるという回顧をされているんです。

 多分状況は、今回の三位一体でも今の地方税法改正でも変わらないと思うんですが、本音ベースでこういうことを回顧されている大先輩もいらっしゃいますし、平成十八年が固定資産税の評価の見直しの年であります、三年に一度大きな評価の見直しがありますから。どうか、きょうの議論をしっかりと踏まえていただいて、大臣も持論をお持ちですから、十八年度には、納税者また国民が怒らない、そしてまた日本経済復興に寄与するような税制に変えていただきたいということを最後に要望しまして、質問を終わらせていただきます。

 大臣、もし感想があったら、どうぞ一言。

麻生国務大臣 いろいろ、やはり土地というものに関しては、松野先生、この国の場合は、もともと狩猟民族と違って農耕民族ですから、やはり土地に関する執着、愛着というのはちょっと、狩猟民族と言われる欧米人種とは思い込みが全然違うと思うんですね。ですから、そういった意味では、土地というのがやはり資産としては非常に大事。

 一種の神話があって、土地だけは下がらぬという前提をいきなり根底からひっくり返すような、総量規制という名の、今後ともあれは悪法だったと多分言われるであろうことは、僕はこれだけはそうだと思うんです。

 ただ、そうはいっても、現実問題として、その結果土地は下がった。下げろとみんな言って下げさせたわけですから、それは下げ過ぎたら、やはりこれは行き過ぎなんだと思ってしかるべきなんですが、これまた、それで結構いい思いをしている部分もありますから、その部分がなくなっちゃうと、今度は今いい思いをしているところがどんといきますので、そこのところをやはりなだらかにうまくやっていくということを考えなきゃいかぬという現実をやっていかないかぬのが、やはり今行政側にいるとそういうことになるんだと思います。こういった意味では、やはり土地に対する考え方も随分昔とは変わってきたような感じもします。

 いずれにいたしましても、資産の大部分を土地でずっとやってこられた私どもの世代、おたくのおやじさんの世代やら何やらにとりましては、やはりこれは非常に大きな気持ちの思い入れでありまして、先祖代々なんという土地は、イギリスの貴族以外は言わないと思うんですけれども、アメリカ人はまず言う人はいないと思うんです。やはりそういうのは、土地とか農地とかいうものに対する長い間の歴史なんだと思いますので、これはやはりさわるときにも、何となく土地のない人がひがみっぽくやったんじゃないかと言われるようなことは、将来とも禍根を残すことにもなりかねぬと思いますので、そういった意味ではこういったものは丁寧にやってしかるべきものだと思いますので、今後とも慎重に検討させていただかねばならぬと思っております。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。

佐田委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美と申します。

 今回、一期生でございまして、総務委員会で初めて質問をさせていただきます。麻生大臣との質疑を楽しみにしておりました。地方の声を本当に国でみずからの口から述べることができるということを非常に楽しみにしておりましたし、地方自治の推進のために力を尽くしていきたいというふうに考えております。

 既に多くの方々が関連法案については質疑をされておりますけれども、私も、やはり問題意識は皆さんと共通するものもありますけれども、また、独自のものもあるということで私の言葉でさせていただきたいと思っています。

 もう既に何人もの方が御指摘されていますけれども、やはり今回の三位一体改革、平成における改革は明治維新以来の大改革であろうというふうに思っております。ある意味でいえば地方の蜂起、蜂起というのは草莽崛起のことでございますけれども、しかしその胎動は、やはり依然としてまだ勢いが弱いんではないかというふうに感じております。ここはやはり、国が制度的に地方分権を推進する仕組みをつくって、そうした地方の動きを後押しするようなことが必要なんだろうというふうに考えております。

 第二次地方分権推進会議、報告書にもございましたけれども、これからは分権をして地方がより大きな力を持っていくのだということがうたわれております。私は、中央政府が、大きな政府から小さな政府へという、この流れに反対をする者では全くございません。同時に、地方自治体の政府が大きな権限を手に入れて、大きな地方政府であり続けていいのかどうか、まだなっていないんですけれども。その先にどういう地方政府をつくるかということを考えたときには、やはり地方政府は、分権していただいた先には小さくなることを考えなければいけない。つまり、NPOですとか住民参加のもとに、本当の意味での市民一人一人の幸せが実現されるような、そんな地方分権の先にある日本の国の姿を見ていかなければいけないんだろうというふうに考えております。演説が長くなっても仕方ありませんが。

 ところで、大臣が時々、この委員会の質疑、答弁の中でこんなふうにおっしゃっておられます。地方の首長もしっかりした人ばかりではない、あるいは、地方の議会も十分にチェック機能が働いているかどうか危うい、あるいは、行政のIT化が進んでいったときに、パソコンの一台も使えないような役人がいては困るではないかというようなお話をされるんですね。これは私は、大臣のお考えがあろうというふうには思いますけれども、恐らく役所の方々がそういうふうに日ごろおっしゃっておられるんではないか。恐らく、自分たちは大丈夫だけれども、地方はまだまだ手がかかるので、もう少し面倒見なければいけませんよというふうにきっと言い続けてきたんではないかと思うんです。

 ただ、それは、地方の側からいたしますと、子供の意向を無視して子離れを拒み続けてきた親の小言のように聞こえるわけでございます。やはりここは一度、地方はまだまだだと言わずに思い切って任せてみてはどうかというふうに強く思う次第です。地方分権を推進する、地方自治を推進する総務省の皆さんからは、ぜひそういうことを声を大にして言っていただきたいと思いますし、また、これから人の地方分権ということが始まったときには、優秀な総務省の皆さんから、ぜひ地方に行っていただいてその能力を発揮していただきたいと思っています。

 済みません、長くなってしまいました。質問に移ります。

 三位一体改革についてでございます。

 午前中にも論議がございました、二月二十三日に全国知事会と全国市長会の方から出されております緊急提言でございます。お伺いしましたところによると、年末には政令市の市長会の方からも出されたとか。

 つまり、その内容は、今ちょうど全国市長会から出されております緊急要望が手元にございましたので、抜粋してその中身を改めて見てみたいと思います。

 改革内容の決定が遅かった。そしてまた、不明な部分も多く、市町村の予算編成に大きな支障が生じたことから、今後は、市町村の意向を十分に反映した上で、できる限り早い段階で内容を明らかにされたい。平成十八年度に向けた三位一体改革の全体像、年度別内容・規模など改革の工程表を早急に提示されたいというふうに書かれてございます。

 やはり、三位一体改革の主役は何といっても地方団体であると思うんです。その主役の声がこのように出ておりますけれども、この要望にどういうふうにこたえていくおつもりか、まずそこからお聞かせください。

麻生国務大臣 まず最初の、見識に対する考え方から。

 地方分権ということは、県が焼け太りするのを意味しないということは、焼け太りなんて品のない表現じゃなかったですね、もうちょっとまともな表現を使っておりましたが。地方に権限が移った分だけ権力が増すのではない、地方の県、町というものも、小さな県、町の方がより望ましいというお考えだったように思いますが、私も基本的にはそうだと思っております。

 これは、政令都市などという例を引くとわかりやすいと思います。今、新潟も政令都市を目指しておられますが、国から県を飛び越していきなり市という部分がふえてくるということになります。そういった意味では、流れとしては、県と市町村の話、対国とかいう話じゃなくて、市町村にしてみれば対県もありますので、その部分が、早い話、今まで国で話がついたところが、県で全部やるんだということになると、何だ、手間は大して変わらぬじゃないかということになったりする例も、これは決してなきにしもあらずだと思います。県の部分も市に渡す、町に渡すというところは、大変大事なことだと思っておりますので、基本的に、最初の見識について、自分で述べておられました点に対しまして、流れとしては正しいと思っております。

 次に、三位一体の話が出ておりましたけれども、この点につきましては、市町村の意見を取り入れなければいけないということで、結構市町村の意見は、この九月以降、大臣に就任をしてからも、少なくともこれまでの間、例えば、地方の税制につきましては、たばこではだめ、いわゆる基幹税ということの話も、知事会、市町村長会等々六団体の意見を踏まえてああなりましたし、また、国民保護法制というのを今御審議いただくことになるんですが、この問題につきましても、市町村長から国民保護法制について知事会の意見を尊重せいという御意見を受けて、総理に出席していただいてやると、結構耳を傾ける姿勢はきちんとしておると思っております。

 ただ、地方についての知らせ方が遅いということですが、これは、市町村の方で御存じの方はよくわかっておられるところなんですが、税金が幾ら入るであろうかというのは、十二月にならないと、これは国税の収入に見合って地方税ということになりますので、税収見積もりというものが十二月にならぬとわからぬというのに基づいて来ますので、どうしても遅くなるというのが毎年のことでもあります。ことしだけ急になったというのではないという点だけはぜひ御理解をいただければと思います。

西村(智)委員 毎年のことであったという御答弁でしたけれども、それでも、やはりことしは余りに地方にとっては大きな衝撃であった。あちこちでいろいろな話を伺いますけれども、特に、私の地元でも、例えば補助金の削減ですけれども、十二月になって、税収見込みがこのとおりである、国からのお金はこの枠でしか来ないというようなことが示されて初めて、予算編成の困難に急に直面するということがあったわけでございます。

 例えば、特養の設置計画を三つ進めていた。もう事業者との話し合いも済んでいて、年度改まってすぐスタートすることが決まっていたんだけれども、そのうちの二つまでが切り捨てられるというようなことも実際に起こっております。これは、国と地方との関係だけではなくて、市とそれから民間業者との間の信頼関係の問題でもあるということなんですね。

 多くの自治体が、急激にこのような補助金の削減を打ち出されたということについては、非常に大きな憤りを持っているのではないかというふうに考えています。とにかく、ことしは初年度の一兆円ということですけれども、残り、平成十八年度までの年数で合計四兆円という補助金の削減を一体どのように進めるのか。そのことについて見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 最初の御質問のところで、計画しておった事業が十二月の通達であったがためにできなくなったという例を引かれました。新潟市の例かどうか存じませんが、そういった例はほかにもあると存じます。

 したがいまして、どうしてもそれはできない、もう既に発注しちゃってどうにもならぬというような例のために、地域再生事業債というのを新たに八千億認めて、かつそれの拡張、延長というのも緩やかに、あるいは、これ以外出たらだめというような言い方ではないようにしております。その点は、言っていただいたら、今の話でどうしてもという点につきましては、地域再生事業債というものがあるということを、御存じないとは思わぬけれども、もし御存じだったら、それがありながらもやめるというのは、逆に不要不急でもうちょっと待ってもいいかなということにもなるので、そういった意味では、どうしてもこれは今やらねばならぬというものである、もう仕掛かり品であるとかというのでしたら、いわば使えるということだと存じます。

 もう一点の残り三兆というのにつきましては、十五年度は改革の芽出しということで、約五千六百億でしたかというのをさせていただき、平成十六年度で約一兆ということになったんですけれども、確実にそういった補助金が昨年、今年と続いて改革が、少なくとも補助金というのはいろいろ御批判のあるところでもありましたので、そういったものは確実にやらせていただいているところなんです。

 これをさらにどうやっていくかというのは、それこそ地方公共団体から過日、先ほど、大出先生だったか稲見先生だったか、地方からもいろいろ発案があるではないかという御意見もあっておりましたので、そういったものをいろいろ踏まえまして、二〇〇三の中にも出ておりますように、国庫補助負担金の改革というものについて、いろいろな地方の意見というのをそれこそよく聞かせていただいて、そういった中から選択をしていかねばならぬものだと思っております。

西村(智)委員 ぜひ、地方の声を大切にという今の御答弁どおりに進めていただきたいと思います。同時に、地方の方では、さらに四兆円を超える補助金の改革というものを主張しております。

 全国知事会、午前中にもお話がございました、対象事業をすべて精査いたしまして、八兆九千億円の国庫補助負担金の廃止と、税源移譲については七兆九千億円の提言をいたしておる。同時に、全国市長会では、市町村向けの補助金、これも重なっていると思いますけれども、十五・三兆円のうちの五・九兆円を廃止して、そのうち約五兆円の税源移譲を提言しているということでございます。

 地方の声をよく聞くということからいたしますれば、この二つの団体が出している提言にこそ耳を傾けなければいけないのではないかというふうに考えております。ここまでの気力を持って補助金の改革を行っていただきたいと地方みずからが発言をしているということを、ぜひとも重く受けとめていただきたいと思います。

 民主党の方で、十八兆円の補助金、国庫補助負担金廃止をマニフェストとして打ち出させていただきました。大臣はどのようにお考えでしょうか。平成十九年度以降の国庫補助負担金の改革についての所見を聞かせてください。

麻生国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、全国知事会八兆九千三百五十七億、政令都市の方で廃止・縮減額七兆九千九百八十七億、同じく全国市長会五兆八千五百五十二億円の、いわゆる補助金の削減という案が出されております。

 その内容の中には義務教育国庫負担金の二兆六千億を初めいろいろ出ておりますことは、もう先生よく御存じのところでありますので、そういった意味では、こういったものを参考にしながらやらせていただいて、要らぬと言うておるわけですから、私どもとしては、この点は真剣に検討されるべき問題だと思っております。

 ただ、一挙にやっちゃうということになりますと、これはなかなか問題も多いかなと思って、無責任なこともできませんので、私どもといたしましても四兆円というのを目標にしておりますけれども、これが最終目標というわけではありません。今後とも、こういった提案をいただいておりますので、こういったものを参考にしながら、平成十九年度以降も補助金の削減、税源移譲というものについては考えてまいりたいと思っております。

西村(智)委員 今回の三位一体改革というのは、ずっと伺っておりまして、かけ声は勇ましかったんですけれども、結局のところは、総務省と財務省の構図の中でやや押し切られてしまったのかなという印象を持っております。ぜひとも、今おっしゃったような趣旨で、十九年度以降の改革、これはしっかりとやっていただきたいというふうに御要望させていただきたいと思います。

 さて、次なんですけれども、少し話は飛びますが、今度、地域間格差の問題について少し伺いたいと思っています。

 今回、所得譲与税という形で四千二百四十九億円、これについては人口規模に応じて配分をするということだそうでございますね。こういうふうに税源移譲が進んでくる、進んでいただきたいと思うんですけれども、進んでいったときに、必然的にやはり大規模自治体の方に配分額が多くなるのではないか、そういうことが問題視をされておりますけれども、こういったことについてはどういうふうに対応をお考えなのでしょうか。さまざま、いろいろ言われているようでございますけれども、具体的にお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 パネルを使っていいですか。

佐田委員長 はい、結構です。

麻生国務大臣 委員長の許可をいただきましたので。普通、こういうのは共産党の方やら野党の方がなさるんですが、私の方は与党の方で大変恐縮ですけれども、与党も結構手間かけてやるという実例を、一年生だからサービスするというような、そんなつもりは全くありませんし、女性だからというつもりもさらさらないんですが。

 今の中で、これはよく質問されるところなので、図で配っていたんですけれども、余りあちこちから言われるものですから、市町村長さんに説明するとき用につくったものなんです。

 一番左側がいわゆる改革前、今こうなっておるということです。それが、今回、財源力が乏しいところ、新潟はどうなっているか知りませんけれども、六日町は六日町、あそこのあたりで足りないというところは、国庫補助負担金というものがごそっと減って、地方税でいったということになりますと、地方税でこれだけしか来ませんと。そうすると、その減らされた分だけとてももたぬと。従来は二千万円来ていたものが、簡単なことを言えば、地方税になった途端に千万しか来ぬという場合は、交付税の額をふやします。

 したがいまして、受取総額、受取総額というのは民間用語ですが、地方団体が受け取ります交付税はふえますので、改革後は従来と同じような形になりますということです。

 右側の、こちら側の図の方は、これは逆に人口の多いところです。いわゆる地方に税源移譲されることによって、人口も多い、法人も多いということで、交付税の方が、従来千万来ていたものが一挙に千五百万来ましたというのであれば、従来出しておりました交付税は千万円を五百万円に減らします。そして、トータルとしては同じということにするということを意味しております。

 いわゆる地方によって差が、人口比によって大きく差が出るというようなことは、こういうようなやり方をさせていただきますので、地方、人口が少ないがゆえに割を食う、割を食うというのは余り言い方がよくないですね、人口が少ないがゆえに不利をこうむることがないというように御理解をいただければと存じます。

西村(智)委員 そういった交付税制度のあり方について、恐らくこの後、寺田委員が集中的に質疑をされると思いますので、そちらの方にもお譲りをしたいと思いますけれども、やはり、そういった将来像をきちんと早く地方の方に示していただきたい。どのくらいになるのか、交付税制度、これからどういう形で維持をされるのか、大体、地方と中央の財政はどのくらいになるのかということを、できるだけ早く具体的に示していただきたいというふうに思うものです。

 合併の関連で一つお伺いをいたしたいんですけれども、合併についても、これは財政的な関係がとても強いというふうに私は考えております。地方の方から出ている声というのは、まず、分権の道筋も明らかになっていない、財政も、どういう形で税財源の移譲が行われるのか明らかになっていないので、合併も判断できないというような主張が時々聞かれるわけでございます。

 例えば、町村議長会の方では、税財源の地方分権の道筋が明確にされないまま、合併を強要することは順序が違うというふうに申しているわけでございます。税財源の地方分権を実現することが先決であって、そして、それを踏まえて初めて市町村は合併か存続かの自主的な判断が可能になるというふうに主張されているわけでございます。

 やはり、こういった要望が出されていることを考えるまでもございませんけれども、市町村合併は、国と地方の財政の将来像を示した上で推進するべきものではないでしょうか。国庫補助負担金、そして、先ほど言われたような地方交付税、そして、税源移譲を含む三位一体改革の工程表づくり、これはまたさっきの話に戻るんですけれども、そういった市町村の合併に関する基本的な資料をそろえていくことがまずは大前提だろうと思っております。

 しかし、この間の合併の論議、ずっと経過を見ておりますと、やはり、あめとむちの交互の行ったり来たりではないか、本来であれば、合併は地方分権を推進する見地から生み出されたものでなければならない、だけれども、それにもかかわらず、財政ありきという議論から出てきたものであるように思えてなりません。

 ちょっと改めて確認のために伺いたいのですけれども、合併は財政ありきの議論であったのではないかというふうに考えておりますけれども、どうでしょうか。と同時に、国と地方の財政の将来像を示さない、まだまだはっきりと地方に対して示すことのできていない、国が今回のさまざまな合併論議を混乱させている原因をつくっているのではないかというふうに考えるんですけれども、そのあたりの責任についてはどうお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今回の合併論議というものは、これは、金が足りているから合併しなくていい、金が足りないから合併するというような趣旨ではない、基本的にそう思っております。

 一番最初に御見解を述べられましたように、やはり、地方というものがそれなりに自分で判断して自分の責任で地方自治を、住民自治をとかいうことが主眼。そのためには、今の状況として、いろいろな意味で地方自治体の内容がしっかりしてこないかぬ、そのためというのであって、それが目的、あとは手段ということになろうと思います。

 優先順位からいきましたら、地方の自立ということになろうと思います。そこのところは、財政がやはり、何となく直接金の話になります。ただ、地方が自由にやるためにはある程度財源も要るということが付随してまいりますので、そういった意味では、財源のために合併するのではなくてというところが、優先順位を間違えちゃいかぬところだという御指摘なんだと思いますが、私もその点はそう思います。

西村(智)委員 財政ありきであっていただきたくないと思いますけれども、依然としてそういう声が根強いということはぜひとも御認識をいただきたいと思っています。

 法案関連で、本会議でもございましたけれども、生活保護費のことについてお伺いをしたいと思っております。

 本会議の民主党の代表質問、これに対する御答弁の中で、生活保護費の考え方について、どうも総務省と厚生労働省の意見の相違があるということが見られました。これは、政府・与党協議、年末に行われたところによりますと、厚生労働大臣は、平成十七年度に生活保護費の削減については実施をしたい、当然のことながら、総務省や地方団体との協議を重ねて結論を得るというふうにはおっしゃっているんですけれども、おおよそそういう方向性である。一方、総務大臣の御答弁では引き下げ反対というようなことでございます。

 今後、この意見の相違、見解の相違、どういうふうに議論を整理していかれるおつもりですか。

麻生国務大臣 御指摘のとおり、厚生労働省と総務省と意見が食い違ったのは確かであります。

 これはもう厚労省もよくわかっておるところでありますが、生活保護というものは、これは憲法上、全国画一的に金銭的給付を行うという一種の制度ができ上がっておりますので、いわゆる地方の自由裁量というものが全く許されていない分野という点が一番肝心なところだと思っております。

 ただ、今言われますように、地域、県におきましては、千人当たりで十七人いらっしゃるところもあれば、一・何人しかいらっしゃらぬところもあり、県によってこんなに差があります。その地域はそんなに生活保護者が多いのかという、その背景は歴史的な理由もいろいろありますけれども、そういったものはある程度、もう少し精査されてしかるべきではないかというのは、私はそれは正しいと思いますので、いろいろな意味で、これは厚生労働省と今後年末にかけて議論を詰めていかねばならぬところだと思っております。

 何の抜本的改正もせずに、ただただ一律カットなどということはできません。

西村(智)委員 おっしゃられたように、地域によって例えば認定のばらつきがあったりですとか、保護基準のあり方についてはどうなんだろうかという問題点も指摘されているわけでございますけれども、厚生労働省の方から来ていただいていると思いますけれども、同じ問いをお答えいただければと思います。

小島政府参考人 ただいま先生御指摘いただきました各省大臣間の合意におきましては、自治体の自主性、独自性を生かし、民間の力も活用した自立・就労支援の推進、事務執行体制の整備、給付のあり方、国と地方の役割、費用負担等について、地方団体関係者等と協議しつつ、検討を行い、その結果に基づいて平成十七年度に実施するというふうにされているわけでございます。

 これに基づきまして、私どもといたしましては、今後の進め方も含め、総務省を初め関係省庁あるいは地方自治体の方々と十分協議をしつつ、生活保護改革の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 やはり、国民に対してきちんと説明できる内容を示していくべきだろうというふうに考えております。

 今回の三位一体改革、まだまだ続きますし、補助金、補助負担金の中で約半分を占めると言われている厚生労働省社会保障費関係、これは総務大臣もおっしゃっておられましたけれども、やはり補助金改革をするというときには、どうも二十兆円のうちの約半分を占めている社会保障関係費、厚生労働省の関係費のところに目を向けざるを得ないというふうにおっしゃっておられるわけです。

 そのときに、ではどういう基準でどういう考え方に基づいてそれを行うのか、そのことについて、私は、本来三位一体改革というのは社会保障制度をどういうふうに維持するかどうするかという議論とセットで行われなければいけないのではないかというふうに感じています。これをいみじくも北海道・ニセコの町長は、三位一体ではなくて本来的には四位一体でやるべきだというふうにおっしゃっておられました。

 これからこの改革が進んでいく中において、社会保障制度をどうするか、ナショナルミニマムなどをどうするのかという議論とセットでやるべきではないかというふうに考えておりますけれども、また厚生労働省と総務大臣に見解をお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもがやっております社会保障施策、さまざまあるわけでございますけれども、そのうち、個々の住民の生活実態に即して行われる給付でありますとかサービスにつきましては、これは言うまでもなく地方自治体の果たすべき役割は大変大きいわけでございまして、今後とも、そういった分野におきましては、地方分権の視点に立って、国と地方の役割分担のあり方につきまして見直しを進める、その中には重層的な連携も含まれていると思いますけれども、そういった観点で見直しを進めることが必要である、このように考えてございます。

 三位一体の改革全体につきましては、私どもの関係、社会保障に関する国と地方の役割分担のあるべき姿について留意しながら、十八年度までに、先ほど来お話がありましたとおり、四兆円の国庫補助負担金の廃止、縮減等を行うという方針がございますので、これを踏まえながら、地方団体、関係者の御意向も伺いながら、引き続き検討していく必要があると考えております。

麻生国務大臣 西村委員が言われましたように、二十兆の補助金のうち、約半分がいわゆる社会保障関係、大体半分ぐらいというふうに御理解いただければいいんだと思います。したがいまして、今後、補助金の削減をやっていくに当たりましては、そもそも社会保障とはどうあるべきかという話をしておくべきではないかという御指摘なんだと思いますが、正しいと思います。

 そもそも、金の話と社会保障の話は、基本的には財政的な話と社会保障の話とを一緒にしたような話が、何となくすぐ金の話になり過ぎる嫌いがありますので、シビルミニマムという言葉を使われましたけれども、シビルミニマムとしてはどれぐらいのものがミニマムなのかというのは、これは生活保護の話等を含めて、基本的にここだけはきちんとしておくべきという点がないと、話が非常に矮小化されることになりかねないと思いますので、基本的にその種の話はきちんと論議されてしかるべきだと思います。

西村(智)委員 世知辛い世の中になりますと、お金がないから減らされたんだ、これでは国民に対しては説得になりません。また、国民の皆さんも納得は決してできないというふうに思っております。ぜひともその基本的なラインは崩さないでいただきたい。本来ですと、そのことは民主党の方でやりたいという思いの方が強いんですけれども、そのことについては強く強く要望しておきたいと思っております。

 最後に一点。三位一体改革が地方の声を聞いて行われなければいけないという趣旨からの質問というふうに御理解をいただきたいんでございますが、揮発油税についてでございます。

 全国知事会の方から、揮発油税の地方への移譲が提案をされておりました。見ましたら、非常に額が大きい。ちょっと今ぱっと出てきませんけれども、恐らく二兆とか三兆とか、二兆八千億円でしょうか、このくらいの額というふうになっております。ほかの道路特定財源と比べましても際立って大きい額ですけれども、これは依然として国税、国の部分ということで保持をされております。

 一方、道路の整備率でございますけれども、国道の改良率、これはもう九〇%に近い。一方で、地方道全体では五三・四%、地方道の整備に対する要望が強いということもまた一方で事実だというふうに思っております。

 そこで、お伺いは、この全国知事会から出されております提案について、これが出されているという状況をどういうふうに認識していらっしゃるのか、そのことを伺いたいと思います。

山口副大臣 お答えをいたします。

 もう委員も御指摘のとおり、地方の道路、まだまだ未整備の区間が多うございます。私の選挙区も、高井委員さんもよく御存じと思うんですが、めちゃくちゃに整備がおくれておりまして、しかも道路特定財源のうちごく一部が地方にというふうな形になっておるのは、もう委員も御案内のとおりでございます。

 ですから、知事会の御提言ということも大変よくわかるわけでありますが、一方、三位一体の改革の一環としての税源移譲につきましては、国庫補助負担金の改革に対応して、地方が引き続いてしっかりと事業をするものにつきましては、基幹税の充実ということを、ぜひともこれを税源移譲していきたいというふうに思っております。ですから、まずは基幹税である所得税から個人住民税への税源移譲の実現に向けて、これに全力を挙げて取り組むというふうなことでございます。

 しかし、今の御指摘のような状況もあるわけでございますし、今般も、道路特定財源から、九百億ですか、地方の方にというふうな話が出ておりまして、これも実は、いわゆる高速道路の直轄分のみならず、やはり道路関係で削減された補助率に関してもというふうな意味合いも含めておりまして、やはりそういった方向で我々考えていかなきゃいけないんだろうと思っております。

西村(智)委員 終わります。

佐田委員長 次に、寺田学君。

寺田委員 民主党の寺田学と申します。

 さきの西村委員に続きまして、私も今回初当選ということで、初質問をさせていただく、そのお相手が麻生大臣ということで、大変感激しております。

 私もまだ二十七歳なもので、一昨日、麻生大臣の答弁の中に、学校を出てすぐに議員になっちゃって人間的深みがどうこうということがありまして、私も、数年間ほど民間企業で働いた経験があるんですが、そのような御指摘が非常に当てはまってしまうのではないか、そういう部分、少々恐縮しておるんですが、麻生大臣も、多々引き出しがあるような御答弁をされておりますので、そのような雑駁なというか、本当に一つのビジョンというものを私たちの方にお示しいただき、私の人間の幅というものを深めるとともに、地方分権問題というものの議論もより深めていけたらなと思っております。

 最初に質問させていただきたいと思うことは、まず一つ、麻生大臣の人間観的なものを若干お聞きしたいなと思っておるところであります。

 この日本、四季もありまして、そして大都市であったり地方であったり、山間部であったり漁村であったり工業地帯であったり、そして、私の住むところは秋田というところで、大変雪深いところでもあります。もちろん雪の降らないところもありますでしょうし、麻生大臣の住まわれているというか御出身のところは雪が降らないと思うんですけれども、そういうような居住地域の多様性ということは、本当に日本各地においてある。そういうことを含めまして、この地方分権という問題にも大きく絡んでくるんではないか。

 そういうことを前段としまして、今、多種多様なもの、人口的なものでいっても多い都市もあれば、少ない市町村もある。そういうような、むしろ人口的に小さい部分の市町村というものをお認めになるのか、言葉はきついんですけれども、その多種多様な居住地域を認められるのか。そして、総務省的に、そのようなことも日本の一部の国土として、行政地域としていいんではないかというのであれば、それはその市町村の自助努力によるのか、それともある程度国の補助によってその多種多様な行政地域を保っていくのか。

 そういうようなことを、どのようなビジョンを抱かれているか、最初にお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 二十七歳で当選、おめでとうございました。ぜひ、特殊な色に染まらぬように、幅広く人間関係を構築されることを。今ここらで、昔はおれたちもあれくらい純粋やった、今は随分すれたなという話をしていたんですけれども。

 まず、基本的に、やはり日本という国は、少なくとも、トインビーの言葉じゃありませんけれども、世界七大文明の中にあって、一国家で一文明圏をなし得ている国は日本だけという言葉がありましたけれども、そういった意味では極めて特殊な文化圏を形成してきた国だと思っております。

 しかも、御存じのように、北から南まで、南は、失礼ですけれども沖縄まで入れずに、大隅半島の突先ぐらいまでのところまででも、少なくともヨーロッパで二十三カ国入ります、ずっと。今ユーゴスラビアなんて分かれましたから、もっとなっているでしょう。多分、物すごく多くなっているんだと思います。

 小さいという割には南北に極めて長い国でありますので、御存じのように、田植えの時期でも二カ月半ぐらい違います。そういったところに長い間育ってきたものですから。多分、秋田と私どもの福岡とは田植えの時期が二カ月ぐらい違って、田植えが違えば当然稲刈りも違うんですが。そういった文化というものは、それぞれの地域によって違って当たり前、私どものところには雪国の手当はありませんから。そういった意味では、それぞれの地域で違ったものができ上がって当然と思っております。

 そして、それがまた一つの文化であり、その地域の伝統、風習、歴史をはぐくんでまいりますので、そういった意味では、きちんとした形でその地域独特のものが育つ方がやはり文化としては値打ちがあると思っております。

 基本的には、小さいものを全部つぶして大企業というような発想、乾物屋、三河屋、八百屋を全部つぶしてスーパーマーケットなんというようなあの種の発想には全くくみしません。

寺田委員 その多種多様な居住地域、行政地域というものはやはり大事であるという、あの地方分権論議のときによく出てくる、特性ある地域をつくり出すということにも合致するんではないかなと思っております。

 そういうような目的のもと、三位一体改革が行われて、税源移譲である、補助金廃止であるというようなこととともに、その三位の残りの一つである交付税問題というものが、やはり私はまだ少し雲がかかっているんではないかなというような感がしてなりません。

 そこで、ここもまた一つ大きな、大臣としての御意思というか御判断をお伺いしたいんです。

 そもそも、交付税制度そのものの趣旨というか、かなり学問上的なことでいうと、各地の財政的な部分のバランスを保つ財政調整のためであるとか、そしてまた、一つは財源を確保するための機能を持っておるんだというような二つに分かれるという方もいらっしゃいますし、いやいや、それは一緒であるという方もいらっしゃると思います。もちろん、そのほかの機能があるということを考えていらっしゃる方もいると思います。

 そのところ、大臣はどのようなことを制度の趣旨として思われているか、御見識をよろしくお願いします。

麻生国務大臣 地方交付税というものの必要の背景は極めて明確だと思っております。

 それは、仮に、今回のように税源移譲が国から地方になされたとしても、その地方において、税を取る対象の人口がない、もしくは、法人税を取る、事業税を取る企業が存在しないというところに税源移譲をされても何ら収入はありませんので、そういった意味では、ある程度地域差が生まれてくる状況の中において、過疎と過密、いろいろな表現がありますけれども、ある程度の差が出てくることは避けがたい。

 そういうときにあって、先ほどの御質問にシビルミニマムという言葉が使われていましたが、そういうようなものをある程度維持するためには、地方交付税というものである程度その差を緩和しておくということは必要なことだと思いますので、地方交付税というものは今後とも必要だというように理解をいたしております。

寺田委員 私も、地方交付税、まあ三位一体と名前が一つ加えられている以上、もちろん大事なことであろうと思っております。しかし、改革という名で、地方交付税改革をせねばいかぬというような名のもと、今回、行われたことというのは、先ほどの表でいろいろ反論されていましたけれども、絶対的に一兆二千億弱減らされた、そのことによって各地方自治体が悲鳴を上げているという現状にあると思うんです。

 先ほど、表をわざわざお出しになって、パネルで御説明いただいた部分があるんですけれども、財政力の貧しい団体であれば地方交付税をふやします、ある種、これは調整機能であるのか、それとも財源確保機能であるのか、その辺は判断が分かれるところだと思うんですが。そしてその分、財政力の豊かな団体であれば交付税の額を減らします。要は、豊かな団体の分で減った交付税分を地方の、地方というか財政力の貧しい団体のカバーに補っていく。そのような結果、今回、一兆二千億の減でも可能であったというか、そういうような改革のもと、進められているという御認識で、今回の一兆二千億の減額というのはあったんでしょうか。御見識をよろしくお願いします。

麻生国務大臣 一兆二千億というのになりました背景は、基本的に、地方交付税によります借入金の額が非常に大きなものになっておりますので、このまま放置しておりますと、これは借金漬けということになりかねませんので、そういった意味では、地方交付税を何らかの形で減額すべしという方向は、これはもうこの数年ずっと言われておりまして、事実、この数年、毎年約一兆円強前後のものが減らされてきております。

 ことしだけが減ったのではなくて、昨年もおととしも一兆強減っておりますので、そういった意味では、方向としては、減額をしていかないと、今後とも地方というものが成り立っていかない、ますます自主独立ができなくなりますので、そういった意味では、借金漬けになるのを減らすためにある程度ということがその最たる趣旨です。

 したがいまして、いろいろな意味で、この一兆二千億に限りませんけれども、その分を税源の移譲等々、また景気も少しよくなれば地方税がふえてくるところもありますでしょうし、今後もこれが永久にずっと減収減収でいくことではありません。そういった意味では、基本的には、地方が自主独立しやすいような税体系なり、また交付税はその差額を埋めるためのものとして使っていくべきものであって、今回一兆二千億減っておりますのは、余りにも大きくなり過ぎておりますこの借入金を何らかの形である程度歯どめをしておかねばならぬという背景があります。

寺田委員 先ほど、他の委員の方の御質問にもあったんですが、今回、地方交付税分の削減と臨時財政対策債の削減というか、その減少分ということで、三兆弱ぐらいになって、それが地域、地方自治体の財政を圧迫して、本当に悲鳴を上げている部分が多い。中には、赤字予算を出して、ひどく総務省に怒られたというようなお話も聞いています。県のレベルでも、四十七都道府県中、四十四の都道府県が財政不足であるというアナウンスもしている。

 そういうような状況のもと、先ほど毎年減っていると、そして、予算の関係上、タイミングがあの時期にならざるを得ないというシステム的な原因というのはあるんでしょうけれども、地方として今一番何を思っているかというと、結局のところどれぐらいで落ちつくんだ、将来像が見えない、毎年減る傾向にあるということは何かしらトレンドとしてわかるんだけれども、毎年毎年おびえて予算を組まなきゃいけないというような気持ちになっていることが、今回、本当に一番表面化してきたことだと思うんです。

 実際のところ、ある一つの到達点というか着地点というものをある程度見据え、先ほど、財政的なことを改善するために減らしていくんだという御答弁がありましたけれども、ある程度の着地点を持った上で徐々に減らすという形をとられていると思うんです。だとすれば、その最終的な着地点、数値的なことでもいいでしょうし、そして年月的なことでもいいでしょうし、そのような部分での最終的なビジョン、着地点というものをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 大変大事なところだと思っておりますが、どれくらいになっていくのかという点につきましては、これは骨太方針二〇〇三である程度大まかに示してあるところなんです。

 少なくとも、例えば地方財政上、いわゆる地方公務員の数は実質四万人減とか、また、いわゆる単独でやっておられる投資的経費の水準につきましては、平成二、三年度、バブル以前というものまでに戻してくださいというようなものを目安にしてもらいたい。それから、いわゆる単独でやっております、秋田県単独でやっておられるそういう一般行政経費、それにつきましては、少なくとも今以上ふやさないようにしてくださいというような一応の目安というものを立てて、いわゆる補助金を削減いたしますので、それを対象としている事業を減らしていただきたい、不要不急のものでしたら少し先に延ばしていただきたい。

 また、いろいろなことをお願いいたしておりますが、そういった方向で、いわゆる交付税の総額というものにつきましては、なるべくこれ以上借入金がふえない方向でやっていただくということが方向として申し上げられるところだと思います。

 御存じのように、これは、地域というか、三千二百、正確には三千百三十五の市町村でいろいろ対応が違うところだと思います。地方財政計画に基づいてきちんとやっておられるところは、今回のことでも別に驚くことはなかったと言われるところもあれば、地域再生事業債に基づいて、あれをこっちに援用しておられたりいろいろ算段をしておられるところにとりましては結構きつかったり、これはいろいろ差があることはもう事実です。

 そういった意味では、私どもとしては、やはり地域の財政というものから立て直すという方向をきちんとしていただいているところ、してきていただいていたところほどそのショックは少なかったという感じが正直なところです。

 いずれにいたしましても、とにかく、どうにもならぬというところにつきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな形で地域再生事業債等々を流用、援用、活用させていただきたいと思っております。

寺田委員 交付税の質問を多々させていただいているんですけれども、交付税の持つ意義という部分も先ほどお伺いして、そしてまた、今回の改正点というところで、今複雑過ぎる地方交付税の算定方式というものを改めようではないかと。もちろん、行政コスト的に測定が非常に複雑な部分もありますし、不公平な部分もあるということで、今回、算定方法を変えようというような動きが出ていることは理解しております。

 若干気になるところということは、最初にも述べさせていただいたとおり、ある程度、多種多様な地域というものをやはり守り抜いていくことが一つ必要ではないかということが発端で、それを根拠にいろいろな補正係数を組まれているという形になっている。その計算方法を簡素にしようという形はまずもってそのとおりとは思うんですが、その補正係数を簡素にする過程で、ある種さまざまな特殊事情にくみしない、もう大枠でざっくりと切ってしまうような算定方法のやり方になってしまうんではないか。

 実際、平成十七年以降もなおさらのこと、その算定方法及び補正係数を変えていきましょうという動きがあるということですが、それをどのように変えていくのか。大体、どれぐらい今問題点があって、どれぐらいの着地点に持っていくのかということをお示しいただければと思います。

麻生国務大臣 何十項目あったかというと八十何項目だったと思いますが、今までありました算定基準をおおむね半分にはしたいと思っております。細目につきましては、瀧野の方から説明させます。

瀧野政府参考人 ただいま大臣からも御答弁がありましたとおり、交付税の補正係数につきましては、都道府県分について半分にすることを目指して見直しをしていきたいというふうに思っております。

 また、事業費補正というものがございまして、仕事をした量に応じまして、それを交付税で後から追いかけていくというようなものがございます。これについても、特別なものを除きましては見直しをしていきたいというふうに考えております。

 これは県分でございまして、市町村は、おっしゃられますようにいろいろな団体がございますので、県の状況を見て市町村分についても引き続き対応していくという段階的な対応をとっていきたいというふうに考えております。

寺田委員 補正係数の話のもう一つの中に、先ほど、他の委員の方からも御質問がありましたけれども、段階係数をある程度緩やかにしていこうというか、廃止していこうという動きもあることは承知しておりまして、ある種、段階補正というものがある理由は、ある程度のスケールメリット、大きな枠、ある程度の人数のいる自治体であれば、行政コストも安く済むでしょうという発想のもとに成り立っていると思うんです。

 一昨日のこの委員会の速記録の方をちょっと拝見してみますに、麻生大臣の方も、民主党の須藤議員の中で、まず一人当たりにかかります行政経費というのが、小さなところで、人口千人とか二千人というようなところですと、一人当たり約百四万円から五万円、行政経費がかかると言われております。それが、大体、人口が一万人から二万人ぐらいになってきますと、行政経費が四、五十万で済む、大体半分に減るというのが行政経費として非常に大きな要素の一つですというような御発言をされていると思います。

 若干、速記ですので、多少のぶれはあると思いますが、それなりにそのような御趣旨というものは持たれている。やはり、スケールメリットがあれば、ある程度行政コストは安くなるんですよ。裏を返せば、地方で人数が少ないところであれば行政コストがかかってしまうというようなことになっていると思うんです。

 ちょっと話をずらしまして、市町村合併。今総務省挙げて取り組まれていると思うんですが、市町村合併の目的、さまざまなものがあると思うんです。分権の受け皿としてとか、今現在の多様な住民のニーズに対してどのようにこたえていくか、そのためには合併も必要ではないかと。そして、行政コストをカットしていきましょう、やはり小さいところであればすごく行政コストがかかってしまうんですというような論理のもと進められている、理由の一つに挙げられているというように承知しております。

 ですので、その二つの意味から出てくることは、やはり小さいところであれば行政コストはかかってしまうんだという認識を持たれていると私自身自覚するんです。であるならば、なぜに、総務省挙げてそういう二つの方向、行政コストが小さいところではかかってしまいますねという認識を持ちながらも、段階補正というものを今回廃止していくのか。そういう意味では、ある種矛盾というか、ベクトルが二つの方に伸びているような気がしてならないということがありますので、御説明いただければと思います。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

麻生国務大臣 段階補正の話につきましては、技術的な話でもありますので瀧野の方から説明させますが、最初の市町村につきましては、基本的には、地方自治体というものは基礎がきちんとしているというのが非常に大事なところだと思っております。

 したがいまして、行政コストを下げて、うちはうちだけでやりますというところも、これは幾つか出てくるだろうと私は思っておりますけれども、それでしたら、それは御自分でコストを下げるようにされるべきなんであって、例えば、外国を見ても、町会議員なんというのは二人か三人しかいないとか、町長は全部一年交代とか、いろいろございますので、シティーマネジャーというようなものを雇っておりましたカーメルバレーなんというような有名なところもありました。そういった意味で、いろいろ努力をされていかないと、今のままでやっておいて赤になったから出せと言われても、なかなかさようなわけには、これは国民の理解も得にくいところだと思います。

 市町村合併の本来の意義というものは、やはり地方自治体が、地方の時代、地域主権の時代にあっては、きちんとした対応ができるように基礎をしっかりしていただくというのが本来の趣旨であって、それに当たりましては、かかります経費等々があるからこっちという話ではなくて、基本的には、先ほど申し上げましたように、こちらが主でして、財政的なものは主ではなくて従ということになろうと思っております。

瀧野政府参考人 段階補正の関係についてお答えいたしたいと思います。

 議員、御主張のように、小さな団体の場合には、やはり行政経費がかかり増しになるというのは我々も想定しております。したがいまして、段階補正につきましても、制度としては今後も維持していきたいと思っておりますが、その中身を見直していきたいというふうに考えておるわけでございます。

 それは、現在は決算をもとに、人口段階ごとに、このぐらい行政がかかるな、ごみ収集ならこのぐらいかかるなというのを全団体の平均値で段階補正をつくってきたわけでございます。しかしながら、地方公共団体の中には、外部委託をするとか、いろいろな行政効率化を図るとか、努力している団体もあるわけでございますので、全体の上位三分の二の平均で段階補正をつくっていく、そういうふうに少し合理化の努力を入れたような補正係数に直していこうという考えでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

寺田委員 基本的に、最初に御答弁いただいたその小さな部分も、多種多様な部分も、日本の一つの特色として守っていきましょうという発想のもとやっているのであれば、やはりそういう行政コストがかかってしまう部分にも、ある程度行政コストを削減せよというプレッシャーを与えつつも、一つ価値観として守っていくことが必要ではないか。

 私自身、市町村合併に反対だというようなことを持論として持っているわけでもなくて、持つところは持たなきゃいけないだろうし、コストというものだけではなく、文化であり、ほかの部分であり、コストがかかろうとも守っていくものは守っていくんではないか、そういう自然な形の合併であり、地方分権というものをしていかなきゃいけないんではないかなということで質問させていただきました。

 ちょっと質問はかわるんですけれども、私、政治を志すときに、周りの方からさんざん、ビジョンは持っているのか、政治をやるのは単なる手段だ、目的を持ってやれというような御指摘をいただきました。今回こういう地方分権問題、補助金の問題もあり、税源移譲の問題もあり、もちろん先ほど申し上げました地方交付税の問題もあり、さまざまな問題はあると思うんですが、最終的なビジョンというものを持ってやるべきだろうなと思っております。

 先ほどから多くの委員の方が、義務教育費、どうするのか、教育、社会保障、どうするのかというようなことを質問されておりますけれども、大体、これから地方分権を進めていく上で、一つのビジョン、国と地方の役割というものはある程度明確にしていかない限り、その途中過程である改革の過程というものは、もう方向がぶれてしまうんではないかなと思うところがあります。

 そういうことを踏まえまして、今、麻生大臣にひとつ、これからの地方の形、もうちょっと具体的に言うと、国と地方の役割分担というものはどういうような基準で考えていらっしゃるか、御見識を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 人口密度がこれだけ高い先進国家、先進七カ国の中では多分日本が一番、群を抜いて人口密度が高い、はっきりしていると思っております。国土緑化率七五%、これも先進七カ国の中で日本だけということにもなります。

 いろいろな意味で、少なくとも明治からこの方百三十六年くらいたつわけですけれども、そういった中にあって、日本という国は、欧米列強による植民地化が進む中にあって、当時の政治家の決断によって国の方向を決め、間違いなく国家として自主独立を保ち得た。アジアの中では多くの国々が植民地化される中にあって、日本はされなかった。いろいろな意味で、私どもとしては、それなりの時代に合った政治制度というのを明治のときはつくった。

 戦後も同じように、国として、やはり、経済復興というもの一点に絞って、国の制度自身というものを大幅に中央集権化し、官僚主導、業界協調型という国家体制をつくり上げて、少なくとも、これだけ短期間の間に経済復興をなし遂げたということに関しましては、私は当たった制度だったんだと思っております。

 ただ、時代がさらに大きく変わって、均衡ある地域の発展はほとんどどうにか、そこそこ回ってきて、何となくそこそこ皆、公民館も持ち、体育館もみんなというような話になってきて、冷暖房も整ってというようなことになってきた今の段階になってくると、特色ある地域の発展というような言葉がここ数年出始めるようになってくると、いろいろな意味で価値観も多様化しておりますし、先ほど言われますように、地域差というものは寒冷地と全然違うという日本の中においては、やはり、もっと地域が自分で主権、自分がリードしてやるというようなものをもっと出していくということができやすいようにする方向というのを考えてやらないといかぬのではないか。多分、今、一円に言われております流れとしては、そういう方向に流れつつある。

 地域主権という言葉がいろいろ出て、今まで総務省というか、自治省が長いこと言っておりました基本税制というもののうち、地方税、つまり住民税の比率を上げろという話、全く通らなかった話が、少なくとも今回は間違いなく一歩前に出たということは、流れとしては、大蔵省というか財務省も時代の流れ、また、出ておられます議員さん方も同じような考えをお持ちであるがゆえに今までもう全然対応にならなかったものが、税調等々において、政府税調においてもその方向になってきたということだと思っております。

 地方の時代というものが、もっと特色ある地域というものがいろいろな形で出てきておかしくない、最低限の生活ができた以上、もっとおれのところはほかのところと違うということが言いやすくなる、そういったような形の税制、また、地方主権、地域主権というものを考えていくのが流れとしては正しいと思っております。

寺田委員 そんなような特色の出し方、そういうものにアイテムというか、カテゴリーというのはさまざまあるとして、先ほど述べさせていただいたとおり、教育問題であったり、社会保障問題であったり、さまざまそういうものはアイテムとして考えられると思うんです。

 教育はどこでやるべきかという教育論と財源的な問題をごっちゃにすることは、やはり不健全だという御発言もあったとおり、私もそう思うんですが、何分財政的なものがある種教育論に大きな影響を与えていく、密接につながっている以上仕方がないことだと思うんです。そういうことがある以上、非常に、財政的なことも含めて、総務省で教育をどうするかということも考えざるを得ないことではないかなと思っています。

 そういうことを踏まえまして、今回の税源移譲、財源移譲の話に絡めますと、三兆弱の義務教育費国庫負担金から退職金などその一部分だけを取り除いたというような見え方がしてしまう。そういうことの意図は何であるかということが一点。

 昨年のどれを補助金カットにするかということの論議の中で出てきた、先ほども他の委員の方もされていましたけれども、生活保護の観点。そのことに対しての御答弁の中では、それは画一的なものだし、憲法的な絡みもあるしということで今回は取りやめたということになって実施されなかったんでしょうけれども、今後、まだまだ一兆円で、四兆円のうちの一兆円ということがあるうち、残り三兆円の間にまた再び生活保護の問題が出てきてしまうのか。

 今まで述べられた理由というのは、画一的な問題であり、憲法的な問題であるということで一度取りやめた。であるならば、もう一度テーブルにのせるということは、やはり画一でなくてよい、憲法的な解釈もある程度考え方を変えなきゃいけないねというような発想になってしまうんではないか、そのような可能性はあるのかどうかということが一点。

 時間もありませんので、まとめて質問させていただきたいんですけれども、先ほど、知事会であり、市長会であり、さまざまな団体が何兆円の補助金を廃止すべしという具体的な数字を出してきました。片山前大臣も、片山試案ということで五・五兆円という具体的な数字を出されたと思うんですけれども、麻生大臣になられたわけですから、ぜひ麻生試案というものをひとつ御考案いただいて、具体的な数字というものを、雑駁なもので結構ですので出していただけると、一つ方向性というものが明確になってくるんではないかなと思いますので、どうかよろしくお願いします。

麻生国務大臣 まず、生活保護につきましては、これはいろいろよく議論をされたところですが、これは、憲法上、地方におきます自由裁量の許容幅が全然ない部分でもありますので、そういった意味では、今のままでただただやみくもに減らすという話はとてもではないけれどものめる話ではないと思っております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、地域によって随分、人口に比べて、それほど貧しいとも思われない地域にもかかわらずどんと生活保護者の比率の高い地域というのは確かにありますので、そういった意味では考えねばならぬところだとは思います。午前中でしたか、厚生労働省の話もあっておりましたけれども、この点は今後とも詰めていかねばならぬものだと思っております。

 義務教育につきましては、これは、世に不学の人なからしめんと欲すという言葉に始まります、いわゆる義務教育というものができました明治二十三年のころですが、こういったときに比べまして、今は学校に行かないより行かせ過ぎるところに少々問題があるんじゃないか、学校だけでいいのに何で塾まで行くんだという方まで、随分私どももよく聞かされる話ではあるんです。

 そういった意味では、少なくとも、昔と違って読み書き計算プラスいろいろなものが出てくるんであって、価値観が随分違ってきて、義務教育を中学はやめたらどうだ、あんなものやったって何の意味もない、むしろ、幼稚園の方を義務教育にしてくれ、保育園の方を義務教育にしてくれ、そうすれば九年で同じじゃないかという御意見というのは、実は私、文教関係にいたせいもあるんでしょうけれども、よく聞かされたところなんです、正直なところを言いますと。

 そういった意味では、これはいろいろ考えてもおかしくない話はいっぱいあるんだと思います。これはその地域において特区というものが一つ出てきましたので、そういった意味では、株式会社で始める等々いろいろな話が出ていますし、また地方では、中高一貫教育というのであれば、義務教育は小学校六年まででいい、あとは中高一貫だということの方法も、六年制じゃなくで五年制でもいいじゃないかとか、これはもう実に、今教育論をさせると一億二千万総評論家になりますので、これはなかなか難しいところではあるんですけれども、義務教育をどういうようなものにするべきかという義務教育のそもそも論というのをしていただかないと、先ほどの社会保障と同じで、社会保障のシビルミニマムはどれだけかという話と同じように、これはもうとめどもなく輪が広がりますので、きちんと対応していただかねばならぬものだと思っております。

 もう一点、片山試案の五・五兆円、これは、赴任して四カ月で、ちょっと試案を出すところまでとてもいきませんので、検討させていただきます。

寺田委員 ほとんど時間も残すところないもので、御質問という形になるかどうかわかりませんけれども、先ほど交付税の件でも述べさせていただいたとおり、地方としては、本当に国がどういうことをしてくれるのか、どういうことをしてくれるのかという発想自体がよくないとは思うんですけれども、どのような動きをしてくるのかということに関して、非常に敏感に、そして恐怖心を持ちながら見詰めている部分は多少ならずともあると思うんです。そういう部分を踏まえまして、着地点というかビジョンというか、最終的な部分のものをお示しいただく方が、本当にいい関係というものを国と地方は築き上げられると思いますので、どうかそういう部分、御考慮いただければと思います。

 時間ですので、以上で終わります。

左藤委員長代理 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、まず最初に、今度の地方交付税法案で、二〇〇四年度、平成十六年度から向こう三カ年間、通常収支の財源不足の補てんについて、これまで同様の、国と地方で折半して、地方負担分については赤字地方債の増発で補てん、こういう方法がとられることになっておりますが、この補てん方法について、交付税法の趣旨に反するばかりか、かつて自治省みずからが赤字地方債での補てんは法律違反になると言っていた問題がありまして、それにもかかわらずそれを行ったという意味では、二重の法律違反だということをこれまで追及してきました。今回の改正でもその本質的な問題は解決されておりません。

 そこで、大臣に、ここから質問なんですが、通常収支の財源不足が生じた場合、その二分の一を国、二分の一を地方で折半するということになっているわけですが、この二分の一を国というのを国が四分の一、地方が二分の一を地方が四分の三というふうに負担割合が変わるということはあるのかどうか、これからそういう方向を考えているのか、そういうことは考えていないということなのか、ここのところを端的に。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 御心配の向きはわかるんですけれども、これは御存じのように、国税、地方税、その他交付税、地方譲与税、いろいろ合わせた一般財源の配分というものは、おおむね国と地方が二分の一ということになっております。

 よく地方で三分の一、三割じゃないかと言われますけれども、交付税というものを入れて計算しますと約二分の一ということになりますので、今この段階でその二分の一の比率を四分の三に引き上げるという考えはございません。

吉井委員 要するに、通常収支の財源不足が生じた場合には、その二分の一ずつを国と地方で折半、それを国が四分の一、地方が四分の三とか、こういうことにすることはしない、国、地方折半というのが最低の条件。すなわち、ちゃんとそれが縛りになっているのかどうか、この点だけもう一回。

麻生国務大臣 基本的に、今総務省として想定は全くいたしておりません。

吉井委員 次に、昨日の予算委員会などでも、谷垣財務大臣は交付税の財源保障機能の廃止、縮小をしていく、抑制する道を明言しておられますが、これは財務省、財務大臣の方ですが、交付税の財源保障機能とそれから財源調整機能というのは分離できるものじゃありませんが、財源保障機能の廃止を主張する具体的なねらいというのは、財源不足の補てんに係る国の負担分、今回の場合でいえば三兆八千八百七十六億円の国の一般会計からの繰り入れをなくしていくというところであります。

 一方で、赤字地方債の増発で財源不足を補てんするということについて、これは後の交付税で財源措置する、国が約束しているから法律違反じゃないんだ、これは従来、片山前大臣なども答弁してこられたところです。

 だから、赤字地方債で財源補てんをする、その赤字地方債については後に交付税で措置するんだ、国が約束をするから法律違反じゃないというこの立論でいきますと、その先には財源不足の全額を赤字地方債で補てんということもあり得るわけなんですね。仮に全額補てんしても、それは後で交付税措置することは可能だという論でいくと、財源不足の全額を赤字地方債ということもあり得るわけなんですが、そういうことを想定はしておられるか、しておられないか、ここのところも聞いておきたいと思います。

麻生国務大臣 今のような仮定は全然想像しておりません。

吉井委員 昨年の三月の参議院の総務委員会での片山前大臣の答弁は、我々は、地方交付税法の言う制度の仕組みを直せの中に、今回の、国が二分の一は一般会計で加算、二分の一は地方がみずから赤字地方債を発行して財源調達するけれども、それは将来は交付税できちっと補てんする、こういう仕組みも地方交付税法の書いている交付税率の引き上げその他の仕組みを直せということに該当する、こういう解釈をしているわけでありますというのが、片山さんの答弁でした。

 ここのところはちょっと政府参考人の方に伺っておきたいと思うんですが、だから、この論からいくと、財源不足の全額を地方負担として、赤字地方債の発行でそれを補てんしても、交付税措置があれば、交付税法第六条の三第二項の制度改正になるということになります。

 総務省から地方に出向している方などが言っていることの中には、合併推進の旗振り役として交付税が削減されるから合併しかない、そういう議論などもいろいろあるんですが、そういう中で、要するに、財源不足が出て交付税がなかなか大変だ、交付税も削減されてくるから合併しかない、実際にそういう議論をされる方もおるんです。

 財源不足が生じないならともかく、財源不足が生じる事態で、その全額を地方負担とするような改正内容があったとすれば、それは交付税法第六条の三第二項の改正に該当しないことは明らかです。財源不足の全額を交付税措置された赤字地方債の発行で補てんすること、あるいはその全額を地方負担として交付税特会からの借入金で補てんすること、こういう内容の改正案というのは、これは提案はしない、させない、そういうことは拒否する、そういう立場をとるのが普通だと思うんです。

 そういう点についてどういう態度をとられるかについて、総務省の見解というものを政府参考人から伺っておきたいと思います。

瀧野政府参考人 地方交付税法六条の三第二項に基づく制度改正、どういったものがその制度改正に当たるか、こういう御質問かというふうに思います。

 この点につきましては、過去に内閣法制局の方から国会で答弁がございまして、いかなる内容の地方行財政制度がこの法律の趣旨に合うかということは、法律において広い選択を許しているんだ、こういう答弁があったわけでございます。

 そういった中で、現在、今御指摘がありましたとおり、全体を折半いたしまして、国はその負担分を交付税特会に繰り入れなければいけないことを法定化する。それは、国の責任を明確化するという意味がございます。それから、地方負担分については、特例地方債の発行によりまして、その元利償還金は全額後年度基準財政需要額に算入することを法定する。こういう全体が交付税法の六条の三第二項の制度改正だ、こういうことで、今それを位置づけ、今回もまたお願いをしているわけでございます。

 したがいまして、この一部分について変更になった場合にどういうことになるのかということのお尋ねかと思いますが、大臣も先ほど御答弁いたしましたとおり、現在のこのようなシステムを、地方負担がふえるような形での改正ということは考えていないということでもございまして、現在の段階ではそういったことは現実化していないわけでございますので、もしもそういうことがありましたら、その現実化する段階で考えていくということではないかなというふうに思っています。

吉井委員 現実化する段階で考えるということですが、財源不足の全額を交付税措置された赤字地方債で補てんすることとか、あるいは全額を地方負担として特会借り入れで補てんする、こういう内容の改正というのは、それはやらないということですね。

瀧野政府参考人 全体に、現在のように、国が折半をして半分を一般会計から繰り入れる、地方の方は赤字地方債でやり、それは元利償還でやる、そういうことでございますが、それは全体のパッケージの議論でございます。

 その中で、そのやり方が現在のものと変わってきた場合に、果たして法律上の要件に当たるものなのかどうかということは全体のパッケージを見てみないとわからないわけでございまして、今この段階で、それがどうだこうだという議論は差し控えさせていただいた方がいいのではないかというふうに申し上げているわけでございます。

吉井委員 今は二分の一、二分の一の枠の中での話ですからそうなんですが、しかし、赤字地方債を将来の交付税で置きかえてこれは問題なしという発想でいきますと、全部を赤字地方債でやっておいて、それで交付税の丸々の先食いということは、これは論理的にあり得る話なんですよね。ですから、そこのところは、現在は二分の一の段階だから考えないということなんですが、しかし、そういうことはしないということをやはりきちんとしておかないと、それはだめだ。

 次に、財源不足の補てんには長い歴史があることはもちろんみんなよく知っていることですが、交付税率の引き上げが行われたこともありましたし、交付税特会借り入れを全額国が負担したこともありました。そこから後退して、借入金の二分の一は地方負担となっていく。そうしていろんな経過があったわけですが、全体として、国の責任というものが後景に追いやられていく、こういう経過をたどってきました。

 そこで、政府参考人に重ねて伺っておきますが、地方財政を守るための役所なんだということを片山前大臣は言うてはりましたけれども、総務省として、財源不足の補てんに関連して、譲れない最低条件、国と地方と折半。これは譲れない最低条件として大分後退してきているんですけれども、そういうことは考えているのかどうか、念のために伺っておきたいと思います。

瀧野政府参考人 国と地方の財政秩序を考える場合に、お互いの税収なり、あるいは交付税を含めました一般財源のウエート、そういったものは当然想定されるわけでございます。そういった中で、いろいろな行政面での国と地方の役割分担というのもまた他面あるわけでございまして、そういったいろいろな行政における国と地方の役割分担、あるいは税収の状況、あるいは交付税を含めた全体の一般財源の状況、そういったものをすべて想定する中で制度設計をしていくということになろうかと思います。

 現在はおおむね折半ということになっているわけですけれども、それはいろいろな過去の制度上の経緯、あるいは今申し上げました国税、地方税なりの国と地方のあり方、それから五十年代初頭におきましても借入金で対応した場合に折半方式をとったというような、いろいろな経緯の中で現在の制度が仕組まれてきているということでございまして、我々としては、現在の制度の中で、国と地方の財政秩序を想定しながら、地方行政が支障のないように回るように財源を確保するということを使命としてやっていきたいというふうに考えております。

吉井委員 次に、今度は、四兆円近い国から地方への財政支出の削減ですが、税源移譲は、この前予算委員会でもやりましたように、四千五百七億円ですから一二%ですね、比率からいうと。圧倒的に削減額の方が多いわけですね。

 基本方針二〇〇三で補助金四兆円削減を決めているわけですが、この補助負担金部分について、二〇〇四年度は一兆円削減ですが、じゃ、二〇〇五年度は幾らなのか、二〇〇六年度は結局四兆円削減ということになってくるわけですが、それぞれに幾ら削減していこうとしているのか、それをどのように補てんすることを、税財源の移譲を考えているのか、この見通しをきちんと示していただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 過日の、二十日の日のたしか予算委員会で同様の御趣旨の御質問があっておったときにも答弁をさせていただいたと記憶しますけれども、基本的には、おっしゃられるように、ことし一兆円ということで残り二年間で三兆ということになります。私どもとしては、正直三年間で四兆円という感じでいろいろなことを考えておりましたけれども、とにかく手をつけねばならぬ、何もしないではないかという御意見等々を踏まえて、取り急ぎ、とにかく初年度一兆円ということになって、随分ばたばたした記憶があります。

 いずれにいたしましても、残り二年間で三兆ということで、それに伴いまして税源移譲もさせていただかななりませんのは当然のことであって、その方向として、基本的には、私どもとして一番大事なところだったのは、これはぜひ地方のことを考えて基幹税でやってもらいたいという地方団体からの強い御要望にこたえて、基幹税として、地方住民税の枠を、少なくとも所得税の方からこちらの比率を上げてもらうという形で決着をさせていただいたところが今のところです。

 今後、その比率を、補助金の額に応じて住民税の比率を上げていくということに流れが一応きちんと決まったことになりましたので、その方向でさせていただくとして、あと、来年は一兆ですが再来年は二兆かとか、来年は一兆五千だったら再来年は一兆五千億かとか、そのような額やら、またこれについてという細目はまだ決まっているわけじゃございませんので、基本的に、年末にならないうちに、ぜひとも概算とかその辺までに話がつけられれば一番いいがなと思いつつ、今鋭意努力させていただいているところです。

吉井委員 これから交付税の削減額はどうなっていくかとか、全体像がはっきりしないから、ですから、所得譲与税にしても、とりあえず所得譲与税で置いているにしても、要するに見えてこないというところですね。

 補助金四兆円削減は打ち出しているわけですよ。それから、二〇〇四年度で交付税は税源移譲の中には入っていない、これもはっきりしているわけですよね。補助負担金の中でも、公共事業については、これはこの間の二十日の予算委員会でも私取り上げましたが、公共事業は税源移譲に入っていない。

 そうすると、交付税とそれから補助負担金と税源移譲と、三つがきちんと歳入歳出の間でつじつまが合ってこそ三位一体であって、この点で、とりあえず単年度で歳入歳出ということでやっていくのか、あるいは、三位一体は平成十八年、二〇〇六年度が目標の年度になっているから、その時点で歳入中立を図る、こういうことを考えていらっしゃるのか、これを伺いたいと思うんです。

麻生国務大臣 基本的には平成十八年度で。今から後年含めまして、二年後、三年後ということになりましょうか、その段階で歳入歳出が合う方向でいきたい。それまでに、削減もしていただく、税源移譲もしていただくというようなことだと思っております。

吉井委員 削減は既に、二〇〇四年度でいいますと三兆八千億、約四兆円減って、税源移譲の方は四千五百億なんですね。一二%なんですね。かなり穴があいているわけですよ。単年度で穴をあけないようにするということには今年度はなっておりませんから、それを最終的に、穴があいたのを、積もり積もっていく分を最後につじつまを合わせるということか、最後のところで、最後の年度だけつじつまを合わせるのかということからして、そこがやはり本当の意味で歳入中立になるかということがかかってくるわけですね。

 三年前の地方分権推進委員会の最終報告では、国から地方への税源移譲をまず先行する、税源移譲相当額の国庫補助負担金と交付税の減額を行う、そういう歳入中立の立場に立っていたわけですね。これが、今回の三位一体改革では、二〇〇六年度、平成十八年には三年間で歳入中立というバランスのようなお話はあるんですけれども、要するに、きちんと税源移譲した分、それに見合った分だけがこの削減になるのか。今は削減の方がはるかに多いわけですから、そこをどういうふうにするのか伺いたいと思うんです。

麻生国務大臣 基本的には年度が終わりますときにバランスするということになるんですが、吉井先生、これは地方も、公共事業等々、地方の単独でやっておられる行政経費、また単独でやっておられる事業等々をある程度スリム化していただく。例えば地方公務員四万人の削減などなど、いろいろ出されておりますところをした上でバランスということになりますので、補助金カット、イコールそのまますべて財源というのと数字が少し、そこのところは努力していただく分も計算していただかぬと、違うじゃないかと言われてもちょっと困ります。

 細目につきましては、それ以上聞かれると、ちょっと財政局長あたりに答弁させないかぬところですけれども、ただ、少しのずれが出てくるのは当然のことだと御理解いただけると思いますが、その上でというんでしたら、三年後にバランスするということになります。

吉井委員 前回、公共事業のときに取り上げて、時間がなくて、これは地財法十条の二による負担金の分で約八百億円削減され、公共事業だからということで税源移譲はないというお話をしましたが、この関係での国庫負担金の予算額で見ますと、前回取り上げた公立学校それから公営住宅、下水道だけでも約一兆円の予算をことしも組んでいるわけでありまして、国も組んで当然やっているわけですから、地方のスリム化云々の話はここでは適切じゃないということを申し上げて、次のところを伺っておきたいんです。

 所得税の一部を住民税に移譲するという、今のお話ですね。そういう案が税源移譲で有力な案なんですが、それでもその額は三兆円と言われておりますが、国庫補助負担金の削減は期間内に四兆円、基本方針二〇〇三にそれは明記されております。来年度以降にあと三兆円の国庫補助負担金の削減は決まっておるわけですね。そうすると、所得税三兆円の移譲だとしても、これでチャラにならずに足りないということになってきます。

 そこで、基本方針二〇〇三では、「改革と展望」の期間中地方財政計画の歳出を徹底的に見直すとしておりますから、交付税総額の抑制は引き続いて行われるというふうになりますね。今回の経験からいえば、今後、数兆円の交付税の削減が行われるという可能性が非常に大きいと思われます。この削減に相応する財源をどこに求めるのか、これは今のところ明確じゃないんですね。そうすると、求めるとすると、これは結局増税に求めていくというお考えなのかどうか伺いたいんです。

麻生国務大臣 先ほどの御答弁でも申し上げましたように、地方は事業の絶対量を減らしていただく部分が出てまいりますので、その分だけ仕事がなくなるということは、地方の歳出自体がなくなりますから、その点は違うところだと思っております。

 それで、先ほど歳入中立と言われましたけれども、これは事業が継続する場合には、補助金というものを廃止する分だけ税源移譲ということになりますので、基本的には歳入中立なんですが、仕事は不要であるということで、やめるということになりました場合には、その分だけ歳出減ということになりますので、そこはいわゆる支出総額が減りますので、歳入が減りましても見合うということになろうかと思っております。

 もう一点は、今、長いこと、この十年ほど地方税の税収見積もりがずっと減っておりますので、何となくことしもまたということで、一昨年までは二兆円減っておった部分が、一応今年度からは地方税は微増ということに、どれくらいかはやってみなきゃわかりませんけれども、微増ということになります。そこらのところも従来と違って、いわゆる交付税が減った部分、ふえた部分というところは、地方自体で入ってくる部分もありますので、そこのところもある程度計算しておかねばいかぬところだと思っております。

吉井委員 地方税法に関するところはまた次にやりますので、きょうはおいておきますが、歳入中立の立場に立つなら、今言われている所得税の税源移譲は、国庫補助負担金の削減にも満たない額です。加えて、数兆円の交付税の削減、この財源の補てんというのは放置できないものですが、税源移譲がわずかで、大幅な地方への財源を削っておいて、これで地方の自主性、自立性が高まるということにはとてもなりません。

 歳入中立の原則がはっきりしていれば、補助金や交付税が削減されてもいずれ地方税の方に税源移譲があるということで、地方の方も目算といいますか、あれは出るわけですが、それがないから、三位一体改革などといっても削られるばかりだと地方から批判が出ています。

 これから一体交付税をどれだけ圧縮していこうというお考えなのか、これも伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 交付税というのは、吉井議員よく御存じのように、景気がよくなって地方税がふえれば、その分だけ交付税を支出する量が減りますので、幾らかと言われると、なかなか額としては申し上げにくいところなんです。

 いずれにいたしましても、今後とも、三千、何年かいたしますともっと減っておりますでしょうけれども、数ある地方団体の中で、いろいろ自治体によって格差が出てくるだろうと思いますので、その格差の分につきましては、これは地方交付税の持っておりますバッファーとしての調整というものが必ず必要と存じます。

 その意味におきましては、地方交付税の存在というものは、そのときの景気にもかなり影響するとは思いますけれども、交付税が存続した上での話でないと、何か、なくなるんではないかとお思いなのかもしれませんが、地方交付税をどんどん減らしていったら最後にゼロになるのではないかというようなことはないと思っております。

吉井委員 ゼロの話まではしていないんですが。地方税収が、今深刻ですが、落ち込んできているんですね。その中での交付税の削減なんです。地方税収がどうなるかこうなるかの話じゃなくて、現実に厳しい中で、交付税をどれだけ圧縮するつもりなのかということをやはり明らかにしなきゃならぬと思うんです。

 あわせて、地方単独事業の規模を一九九〇年から九一年ごろまでの水準に圧縮しているということを明らかにしているわけですが、地方財政計画の規模をどの程度にまで持っていくというお考えなのか。交付税の圧縮とあわせて地方財政計画の規模、これを伺いたいんです。

麻生国務大臣 地方財政計画の歳出の見直しという話は、これは、地方交付税につきましてはいろいろ議論がありまして、平成十七年度以降のところにつきましても、国庫補助負担金廃止もしくは削減によりますいわゆる補助事業の抑制というものと、それから、先ほどから申し上げておりますように地方公務員の総数を純減で約四万人というのと、また、投資的経費とよく言われます地方単独の事業というものにつきましては、平成二年、三年、いわゆるバブル以前のものまでにぜひ水準を戻していただきたいというのを一応の目安といたしております。

 また、いわゆる一般行政経費、これは単独の部分の一般行政経費につきましても、この点につきましては、現在の水準、今以上にはふやさないでください、これ以上ふやされるんだったら、ほかのものをどこか削ってくださいという話を申し上げているところで、そういった方向が、平成十七年度以降も地方財政計画の歳出見直しというものが交付税総額というものを抑制するという形になりますので、幾らかと言われますと、この段階でその額まで申し上げられる段階にはございません。

吉井委員 この間の予算委員会でも御紹介しましたように、大臣もよう知ってはるんやけれども、とにかく地方自治体はいろいろな健全化努力をやったり、穴のあいたところは空財源組んでみたり、物すごく苦労しているんですよ。

 そして、例えば単独事業にしても何にしても、地方の箱物建設についての批判はもちろんあるわけですが、これとて、国が指導してやってきたんだということは当時の宮澤大蔵大臣も認めてはるんですよ。財政健全化についても、国だけがやっているわけじゃない、みんな努力しているんだと。特に宮澤さんなどが言っているのは、緊急経済対策でやってきたそのツケが今出てきて、借金は今ピークだと、やった方も言っているし、地方もそう言っているんですよね。大変な状態なんですよ。

 そういうことを離れて、とにかくもっとスリムにやれスリムにやれと言ったって、もう削るところは削りまくって大変だという状況を申し上げて、最後に、やはり地方分権や地方自治の拡充強化を言うんだったら、私は、交付税総額の抑制と国庫補助負担金の削減を主要なねらいとする三位一体改革じゃなくて、国から地方への税源移譲をまず先行して、歳入中立の立場に立って地方税財政の改革は求められるんだ、そうでないと、三位一体改革という言葉はあっても、やっていることは全く逆立ちしている、このことを申し上げて、本日の質問を終わりたいと思います。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をいたします。

 三位一体改革という言葉でございますが、これは平成十四年の六月、ちょうど二年近く前に閣議決定されました骨太の方針第二弾において、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討する、ここで初めて三位一体という言葉が出て、始まったわけでございます。それから今日の状況に至るまで約二年近くあるんですが、この間の多くの紆余曲折があったような状況の流れを私なりにちょっとおさらいしてみたんです。

 こういった、骨太の方針第二弾の方針に沿って改革工程を取りまとめることとされた昨年の六月に、それぞれの立場から三つどもえ、四つどもえの議論が巻き起こりましたね。特に、地方分権改革推進会議から税源移譲を先送りするというような意見が出たときに、地方が大反発をした。そして、東芝製品の不買発言まで出るというような大変な大騒動になったことは記憶に新しいと思うんです。そういったすったもんだの末に、昨年の六月に閣議決定されました骨太の方針第三弾において、今言われております三位一体改革の大枠の中身が決まったわけでございます。

 しかし、具体的な工程が示されなかったこと、また、十八年度までということになっているものですから、三年かけてやればいい、そういった先送り精神からかどうか知りませんが、その後の政府の対応は決して早くはなかった、どちらかといえば鈍かったと言わざるを得ないと思うんです。それが、十一月十八日のあの経済財政諮問会議において、総理が、十六年度には一兆円の補助金の削減、縮減や税源の移譲を目指すという指示があったことから、いわゆる大騒ぎの第二弾が始まったと思うわけでございます。

 補助金一兆円削減、この総理の指示に対する各省庁の混乱、そしてまた、税源移譲に対しては、中身では、地元、地方を含めた混乱、こういったものがこの指示と同時に起きたわけですね。結果として、平成十六年度予算案には、地方向け補助金の一兆三百十三億円削減、そして、税源移譲は暫定的ではありますが所得譲与税として地方に配分ということが決定したわけでございます。

 しかし、補助金と税源移譲、この攻防に目を奪われている間に、何と、地方交付税と臨時財政対策債、合わせて三兆円弱、一二%の大幅削減が示されたことから、大騒動の第三弾がここで始まったと私は思っております。このことによって各地方団体は、急遽、さらなる事業の徹底した見直しあるいは歳出カット、財政調整基金などの取り崩し、人件費の抑制、ありとあらゆる手を尽くして対応を迫られることになり、各自治体から悲鳴が起きているというのが現状である。こういった流れではなかろうかと思う。

 つまり、いろいろな混乱が起きると、それを収拾するための対策を打つ。しかし、その対策はさらなる混乱を招いてきたというのが、私は、今日までのこの三位一体改革の流れではないかというのを、おさらいしてみて非常に強く感じたんですね。

 初年度でございますから、すべてがスムーズにいくのは難しいと思います。そしてまた、多くの課題、あるいはさらに改革見直し等の必要が迫られている課題も多く残ったままのスタートであるわけでございますが、その中で地方が、とりわけこれからも非常に大きな期待と要求をしているのが、やはり先ほどから随時質問されております補助金の問題だと思うんです。

 この補助金の削減、四兆円、十八年度まで。先ほど大臣は、これからあと二年間、どういう比率で残り三兆を削減するかというのはまだ決まっていないというお話でございました。しかし、十八年度までに四兆円の削減をするわけでございますが、この四兆円の削減をもって補助金改革の幕引きを図るということではないと思うんですが、そのことをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 実は、私も同趣旨の御質問に対して謙虚にお答えをしたんですが、きょうは大臣の方からはっきりお話が、御答弁が出ておりまして、もうまさに御案内のとおりで、今回のおおむね四兆円程度の補助金改革と、それに対応した税源移譲というのが最終目標ではございません。

 まず、十八年度までの期間において、二〇〇三、これに沿って三位一体の改革を着実に推進して、そしてその上で、さらに分権時代にふさわしい、よりよい形を模索していこうというふうなことで考えております。

横光委員 わかりました。

 とりあえず十八年度までは四兆円の削減を達成する。その後のことはさらなる前向きな形で取り組んでいくということですね。

 先ほどから意見が出ていますように、地方の知事会、市長会、いろいろなところから、項目別に挙げて要求がございましたね。あれは、本当に地方自治に携わっている、一番現場がわかっている人たちが、こういった補助金はもう要らないんだということを精査した上での要求だと私は思うんですね。そのことが実現すれば、言われている三位一体改革の本旨、いわゆる地方の裁量の拡大、自由度の拡大、さらには地域の活性化ということにつながるという思いが、私は地方の本当の声だと思うんです。

 ですから、今言われましたように、本当に、十八年度で四兆円ということで幕引きするのではなくて、さらなる地方の声を聞きながら、補助金の削減に向けて、総務省が先頭に立って、増額に向かって頑張っていただきたい、私はこのことをまずお願いいたしておきます。

 次に、一兆三百十三億円の削減の中身でございますが、地方への負担の転嫁だと地方から非常に激しい批判があった厚労省案の生活保護費負担金の負担割合の引き下げ、これは見送られました。この点に関して、二月十九日の本会議において、麻生総務大臣は、制度の抜本的な見直しを伴わない単なる負担率の引き下げは断じて容認できない、本会議場でそういった発言をされました。坂口厚生大臣は、生活保護費負担金の負担割合の引き下げは避けて通れないと、全く逆の答弁をされているわけですね。

 そもそも、この生活保護費につきましては、地域間の認定のばらつき、あるいは保護基準のあり方が指摘されて久しいわけです。今やるべきことは、認定の基準をより明確にして、そして国民の納得のいく保護基準を設定することにこそ私はあると思うのであって、負担額の引き下げよりこっちの方が先であろう。こういった問題を放置したままの生活保護費の負担割合の単なる引き下げは、私は麻生大臣がおっしゃられたとおりだと思います。

 これは、決して地方自治体の自主性あるいは自立性の拡大につながるものではない。これから協議されるわけでございますが、今回のような負担割合の引き下げ論がまた出てくる可能性がある、お互いに意見が違うわけですから。そういう引き下げ論が出るようなことのないように、今からやはり総務省としては努力すべきではないか、大臣としては努力すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 この点につきましては、多分、昨年の、いわゆる年末一番の問題のところだったと思いますけれども、今、横光先生おっしゃられましたように、これは憲法上ある程度最低生活は保障されておりますので、その意味では、この間出てきました厚労省案というのは、単なる引き下げ、せっぱ詰まってあの段階でぼろっといきなり出てきたような感じがしました。余りよく精査しないまま、一兆円と言われて慌ててあれが出てきたのかなという感じがしないでもないところではありました、正直な実感ですけれども。

 ただ、そういった意味では、今御指摘がありましたように、地域によって結構差があるところは確かなんで、高いところは北海道と福岡です。多分これは、石炭というものと切っても切り離せない、大分にいらっしゃるのでよく御存じのとおりなんで、ここが極めて群を抜いて高いのは、多分それが背景。

 生活保護というのは、あの辺では通称黒手帳というんですが、これは昭和三十六年か五年から始まっておりますけれども、そういった意味では、地域差というものが、石炭の福岡、北海道はそれが非常に長かったんだというのは推測はつきます。

 ただ、それが終わりまして結構な年数がたっておりますし、加えて、ほかの県では一三じゃなくて、ただの一ポイント幾つとかいう中にあって、片っ方は一三ポイント幾つと言われると、そんなに貧しい県かとか、いろいろな御批判が従来からずっと出てきておりますとおりで、今言われましたように、基準の見直しの方が先ではないかという御指摘につきましては、私ども、これは厚労省と今後詰めていかないかぬところだと思っておりますので、昨年末のようにごちゃごちゃしたような形にならないように、概算までの段階でできれば決着が見られればいいなと思っております。

 いずれにしても、単なる負担の引き下げというのは、とてもではないけれども、のめるところではないと思っております。

横光委員 よくわかりました。

 厚労省の案では、国の負担は減りますよ。しかし、府県や都市の負担はふえますよ。

 一方、生活保護行政は、国の規制が相変わらず強く、自治体が裁量権を働かせる余地は少ないわけですね。ですから、これは下請行政以外の何物でもないわけです。しかし、「地方団体関係者等と協議しつつ、検討を行い、その結果に基づいて平成十七年度に実施する。」という合意がなされているわけでございますので、今、概算要求までには何とかというお話で、時期のことは伺いました。検討するわけですが、検討の場ですね、これはどういう場を今想定されておるんですか。もうそろそろ考えておかなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、いきなり大臣折衝というような話とは少々違うと思います。主に厚生労働省ということになろうかと思いますけれども、厚生労働省との関係、それから地方が全部出てまいりますので、厚労省と総務省と二人だけでやるというような話ではないのではないかと思いますので、地方公共団体を含めまして、いろいろ御意見を参考にさせていただきながらやらせていただきたいと思っております。

横光委員 合意案文にも書かれておりますので、地方公共団体等と協議しつつということになっておりますので、ぜひとも地方の声をしっかり聞いた上で厚労省とまた協議をしていただきたい、このように思います。

 一兆円の補助金の削減の件ですが、私は、一兆円の削減を指示した、これは総理の英断だと思うんですね。非常に、とまっているところがぽんと総理の一声で動いたわけですから、私は、これは英断だと思う。そして、土壇場で所得税などの基幹税の移譲に道を開いた。これはまた後押しをした自治体の頑張りがあったこと、これもまた評価できることと思っております。

 しかし、削減額を一兆円に乗せたとはいえ、やはり国が法令で地方を縛る、そういった基準を弾力化しなければこれは意味がないんですね。各省庁は、総理の指示のもとで、何とかみずからの権限を残そうと、各省庁縦割りで、言葉は悪いんですが人身御供を出すようなやり方や、あるいは薄く補助率をカットしていって、金だけ削って口出しは残す、こういうようなやり方がとられて、私は、地方分権を推進して自治体の自由度を高めるどころか、逆に中央集権を強化しかねない削減方法が大手を振ってまかり通るんじゃないかという気がしてならないわけです。

 これから、先ほどからお話ございましたように、十八年度までに残りの三兆円の補助金の削減、さらにその後のまた削減の方向、こういったことを考えますと、このまままた各省庁同士の折衝にゆだねても、補助金はカットされるばかりで、自治体の自由度はなかなか高まるような状況が来ないんじゃないかという可能性も否定できません。

 そういった意味で、国と地方の役割分担をしっかり議論して、地方への負担転嫁ではなく、地方の自由度が増すような、いわゆる三位一体改革の本旨にのっとった、そういった改革のために、総務大臣、努力していただきたい。努力というよりリーダーシップを発揮していただきたいと私は思いますが、いかがですか、これからの補助金の方向に向けて。

麻生国務大臣 昨年末に当たりましても、地方のいわゆる六団体と言われます知事会、議長会等々と話をさせていただく機会を、総理出席のもと、また他の関係閣僚も何人か出ていただいて、官房長官のあれを入れますと、私だけで四、五回あったと思いますが、そういったようなことをさせていただいて、その結果を得まして、総理にもこれは基幹税という話を御納得いただき、財務大臣にもそれぞれ納得をいただいた上でさせていただきました。

 いろいろな意味で、あの終わった後は少なくとも、おまえ、ようやったと。最近はお褒めいただくことはありませんけれども、あのときはようやったとお褒めいただいたほど、珍しく、総理出席のもと知事会等々で政策決定に関与するということはなかったことを、させていただく段取りまでさせていただいて、うまくいきましたし、国民保護法制、今から御審議いただきます分につきましても、地方の意見を聞かずにやるというのは極めていいかげんなことになるという確信がございましたので、それにも全国知事会と官房長官、そういった形をさせていただいております。

 今回の件につきましても、いろいろな形で、全部集めたのがいいかは別にいたしまして、いろんな形で御意見を拝聴させていただくというのは大変大事なことだと思っておりますので、させていただくつもりにいたしております。

横光委員 急遽だったとはいえ、一兆円を削減するためにあれだけ各省庁がひっつき、引っ張り合った、そしてまた、結果的には、先ほど言いましたように法令による基準の縛りがまだ残っているというような状況でもありますので、これから、残りの削減のときには、こういった混乱をある意味では教訓としてやっていただきたいと思っております。

 また、削減されます一兆三百十三億円の補助金のうち、四千五百二十七億円を占める公共事業関係、これについては、財源が建設国債であるとか、あるいは事業量の削減が基本であるとか、そういった解釈から、今回、税源移譲の対象外となっております。

 しかし、公共事業であっても引き続き地方が主体となって実施する必要のある事業については、私は税源移譲の対象にすべきではないか、このように思いますが、いかがですか。

山口副大臣 お答えをいたします。

 今お尋ねの公共事業関係の国庫補助負担金につきましては、お話のとおり、四千五百億円程度の廃止、縮減というふうなことになりました。ただ、このうち、まちづくり交付金に振りかえられた分が一千三百億円程度。ですから、純粋な削減額というのは、三千二百億円程度というふうなことに相なるわけでございます。

 確かに、削減というふうなことでありますが、この削減分というのは、事業量の減少を伴うというふうなことで、決して地方へ負担を転嫁するようなものでないというふうに理解はいたしております。

 ただ、私も委員の御心配と同じ思いを共有いたしておりまして、二〇〇三のさまざまな議論の中でも御記憶にあろうかと思いますが、当初は公共事業というのは入っておりませんでした。それが公共事業という項目も入ってきたということで、今回こういうふうな格好になったわけでありますが、地方の皆さん方にとりましては、これも税源移譲されるのかななんと思っておった方もおいでかと思いますので、そこら辺、今後とも誤解のないようにしっかり協議もさせていただきたいと思っております。

横光委員 この件に関して、谷垣財務相は、二月十日の予算委員会において、もともと必要でないもの、あるいは廃止すべきもの、これは地方にお譲りする必要もないと答弁されているんですね。

 私は、これはちょっととんでもない答弁だと思うんですね。それじゃ、今回削減されました四千五百二十七億の公共事業関係補助金は、もともと不必要であったのかということになります。不必要であったものにこれまで交付されてきたのかということになりますよ、こういった発言をされますと。

 やはり、地方では必要な事業、継続している事業、あるわけでございます。今度の補助金の改革の中身では、一般国道、地方道補助のうち、例えば一定の舗装、補修事業を廃止するとされているんですね。しかし、つくりっ放しでいいわけじゃないんで、補修、メンテナンスというのは必ず必要なんです。これはどうしても地方がやらなきゃならない。これこそまさに、こういうことを削減されたままであるならば、地方への負担のツケ回しそのものだという私は気がしております。恐らく地方の皆様方は削られ損だという気がしておるんではなかろうかと思います。

 本来、自治体が自由に使えるように、公共事業関係の補助負担金の見直しに際しては、何とか税源移譲につながる方法はないのか。今、山口副大臣がいろいろ協議していきたいということでございますので、これはある意味では地方にとっては非常に大きい問題でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思っております。

 道路関係についてもう一つお尋ねをいたしますが、道路整備の状況。これは、国道の改良率に対して、やはり都道府県道及び市町村道、この整備水準が非常に立ちおくれた状況にあるということは御認識のとおりだと思うんですね。

 一方、道路事業費に占める道路特定財源の状況、これは、国費分に対して地方費分が低い。同じ道路事業でありながら、地方道の整備については特定財源以外の財源に頼っているのが現状でもあるわけでございます。

 市町村道の整備促進を図るために、本当に市町村道の道路財源の充実を図るべきではないか、そのためには特定財源の見直しも考えるべきではないか、このように思うわけでございますが、いかがでしょうか。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 道路特定財源、このあり方を検討するに当たりましては、従来から、地方における道路特定財源が約三割にすぎないという点につきまして、地方における道路の整備状況がいろいろ立ちおくれておるというふうな点に考慮をして、地方道路財源の充実について十分議論をしてほしい、議論をしようというふうなことで、これまでもやってきておるところでございます。

 横光先生御指摘のとおりで、さっきもどなたかの質問に申し上げましたが、私の選挙区ももう全国整備率が四十何番だ、そんなものばかりでございまして、是が非でも、そういった面も考えて今後しっかりと、もう少しそうした特定財源を地方にというふうな方向で努力もしていきたい。

 それと、さっき若干申し上げましたけれども、実は、今回いろいろと考えさせていただいた地域再生事業債、これも実は、地方において単独事業等の落ち込みがひどい、さまざまな事業ができておらないということにかんがみて、一つはそういったことで考えついた事業債でございます。

横光委員 今副大臣が言われた程度の比率で、地方にも確かに道路特定財源は配分されております。しかし、本当に地方道路というのは整備が今非常におくれているんですね。そういった中で、とりわけ揮発油税ですね、これはもう全額国のもの、そして道路特定財源の中で一番これが大きいんですね。このあたりは何とかやはり地方に少しでも配分しない限り、地方はいつまでたっても厳しい中で地方道路対策をしなければならない。

 この揮発油税の件につきましてはどうですか。具体的な項目の件でございますが。今、全額国に行っておるんですね。

山口副大臣 お答えいたします。

 揮発油税につきましても同じような思いを持っておりますが、少なくとも、今回のいわゆる三位一体改革の中では、基幹税をというふうなことで、それに全力を傾注いたしておりますので、今のところそこまでいっておりません。

 ただ、ちなみに、参考までに、先般、九百億余り、いわゆる道路特定財源が地方に回されると。これは必ずしも高速道路直轄分のみならず、やはり補助率のカット等々にも対応するものだ、地方のいわゆる道路整備のためのものだというふうに御理解を賜ればと思います。

横光委員 この揮発油税の件は、いろいろと問題があるというのも聞いております。暫定税率がこういう形でスタートをしたばかりということもございますが、これはいずれ五年間で切れるわけでございますので。

 そして、この揮発油税の移譲には、マスコミ等では道路族の反発があるというふうな声もありますが、今、そんな道路族とか何とか族とか言っているような時代じゃないんですよ。そういうことを乗り越えて、ぜひ前向きに地方のことを考えて取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次回は、来る三月二日火曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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