衆議院

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第5号 平成16年3月2日(火曜日)

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平成十六年三月二日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    平沢 勝栄君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      山下 貴史君    市村浩一郎君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      川端 達夫君    黄川田 徹君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      山花 郁夫君    若泉 征三君

      河合 正智君    長沢 広明君

      古屋 範子君    塩川 鉄也君

      吉井 英勝君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務大臣政務官      平沢 勝栄君

   総務大臣政務官      松本  純君

   財務大臣政務官      七条  明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)  大野 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)  南川 秀樹君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  中村 哲治君     市村浩一郎君

  河合 正智君     古屋 範子君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     中村 哲治君

  古屋 範子君     河合 正智君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 所得譲与税法案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、所得譲与税法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官大野慎一君、自治行政局長畠中誠二郎君、自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長板倉敏和君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷本龍哉君。

谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。

 先日の委員会審議を聞いておりまして、民主党の若手議員の方々から麻生大臣にエールが送られておりました。それを見ておりまして、野党にも人気があるんだなと非常に驚いたわけでございますが、では自民党内ではどうかという疑問があっても困りますので、この場で正直に申し上げまして、私も、若手議員、自民党内の議員の一人として、きょう質問させていただくのを非常に楽しみにさせていただいておりました。よろしくお願いいたします。

 それでは冒頭に、通告をしておりませんが、麻生大臣の基本姿勢についてまず最初にお伺いをしたいと思います。

 自分の党内の話で恐縮ですが、麻生大臣は、大臣になられる前は自民党で政調会長をされておりました。この当時、我々改革派を自認する若手議員のいろいろな話をしっかりとよく聞いていただいて、そして、耳を傾けるだけではなくて、それをしっかりと政策の中に取り入れていただきました。それをまた、麻生節とでもいいましょうか、いろいろな会議の場で歯切れよく切り込んでいっていただいた。このことに対しまして、私は非常に敬意を持っております。

 特に、これも党内のことで申しわけございませんが、e―Japan特命委員会などでは、今までなかなか手をつけられなかったIT予算、ITといえば何でも予算がついた、しかし、そこにもむだがあるんじゃないか、こういう考えに基づいて若手議員が調査しまとめ上げた、例えば、各省庁の持つ旧式コンピューター、いわゆるレガシーシステムと言われるものに、維持管理あるいは契約に問題はないか、こういうものをしっかりと取り上げていただいて、全面見直しの道筋をつけていただきました。こういうことも、若手議員の一人として、非常に敬意を表し、また評価をさせていただいているところであります。

 そこで、総務大臣となられまして、今、総務省の政策課題、非常にたくさんあります。今議論をしている三位一体改革、それにつながる市町村の合併、あるいは地方分権、あるいは郵政の改革、あるいは地上波デジタルの問題、これは私は個人的に問題だと思っているんですけれども、この問題。こういった、たくさんの課題が今山積をしております。

 これらの問題に対して、政調会長時代と同様に、守りに入ることなく前向きに、攻めの姿勢で、歯切れよく切り込んでいっていただけると期待しておりますが、その基本姿勢について、一言お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 想定外の質問、予想をはるかに超える難しい質問なのであれですけれども、今谷本先生が言われました、一連の、今話題になっておりますものにつきましては、これは基本的に、やった方が長い目で見てやはり国益に沿うというものになったものが多いように思われます。細目を挙げれば、いろいろもっときちんと詰めなくちゃいけないところはいっぱいあるとは思いますけれども、大筋において、この種の改革は、今の時代において国家にとって必要なものと思っておりますので、積極的に頑張ってまいりたいと思っております。

谷本委員 わかりました。ひるまず、前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、本題の質問に入らせていただきます。

 一問目に、三位一体改革の目的というものについてお伺いをしたいと思います。

 今、いろいろな指標を表に出して、景気は回復基調である、このような話がいろいろなところでされております。確かに、統計上を見れば、よくなっている数字が非常に多い。以前に比べれば、すべて悪かったのが、いい部分が出てきた。確かにこれは事実だというふうに思います。

 そしてまた、我々、平日はこの東京におりますから、東京にいると、景気はいいなという感じをどうしても受けてしまいます。至るところで新しいビルが建てられている。あるいは、ブランド品の店に行けば、五十万円以上もするようなバッグが飛ぶように売れて、予約待ちで、何カ月も先じゃないと手に入らない。あるいは、最近、六本木に六本木ヒルズができました。あそこに非常に高いチョコレート屋さんがあるんですけれども、こんな小さなチョコレート一つ、八百円とか千円とかするような。そこに長蛇の列で人が並んでいるんですね。

 こういうのを見ると、本当に日本は景気がいいんだなというふうに思ってしまいますが、一方、週末になって我々が地元、地方の方に帰りますと、どこに行っても聞く話は非常に厳しい。これが一体同じ国かと思えるほどの差が歴然としてございます。

 三月一日、昨日ですが、共同通信のアンケートが公表されました。その中で、地方の自立を目指す構造改革、これが自分たちの自治体にとってよい方向に行っているか、あるいは悪い方向に行っていると感じるかという結果が出されました。よいあるいはどちらかというとよいと答えた地方自治体が三八%、悪いあるいはどちらかというと悪いと答えたのが六一%、過疎指定の市町村においては七三%が悪い方向に行っている、こういう結果が出ております。

 三位一体の改革、これは本来、ただ単に歳出をカットして、そして全部削っていく、こういうことに明け暮れるということが目的じゃなかったはずだと思います。しっかりと地方に自由度を与え、その経済を活性化させる、これが本来の目的であったと思いますが、なかなかその効果が見えない、あるいは逆の方向に行っているような感じを地方の市町村長は感じている。この点に関しましてどのような所見をお持ちか、大臣のお考えを聞かせてください。

麻生国務大臣 今の資料の中で、同様に、人口五万以上もしくは大都市圏にいきますと、今の数字は逆になっておって、総じて今のあれを積極的にとらえておられるという数字。それは、同じ共同通信の配信した資料だったと思います。そういう意味では、私どもとしては、この差は確かにあるなという感じが率直なところです。

 ただ、この三位一体の話とか市町村合併の話というのは、何となく金目の話から入るのでえらく矮小化された形になりますけれども、本来は、今景気の話も出ましたが、地方の住民サービス、行政を含めまして、地方の元気が出るためには自由度を増す、自由に振る舞うためには銭が要るという話で、財源移譲ということになるんだと思いますが、基本としては、そちらの方が目的でありまして、合併はその手段ということになります。

 なぜなら、権限を渡されても、それをやるだけの行政能力が欠けておるのではないか。例えば、おたくは、行政手続オンライン化法に沿って二〇〇五年までに全部オンラインでやれますかと言われると、やれない町村等々がまだありますので、そういったいろいろな意味で行政能力を高めてもらわないかぬ。また、財政能力という面においても、ある程度財源というものをきちんと持っておかないかぬ。しかし、人口はいない、法人もいないというのでは、取ろうにも取る相手がおらぬということになります。

 合併の本来の目的は、地方の独立、自由度を増す、自由裁量権を増すというのが本来の趣旨であります。私どもとしては、何となく金目の話から入ってきておりますけれども、本来の目的は、今申し上げた点が一番大事なところなのであって、それを忘れずに、基本としてはそちらの方向で進めていかねばならないと思っております。

谷本委員 今大臣の方から財源移譲の話が出ましたので、少し順番は変わりますが、一つ単純な疑問、あるいは地方自治体の首長さんからよく言われる単純な疑問がありますので、それを聞きたいと思います。

 国庫補助負担金の削減額、これは今回一兆三百億になる。それに対して税財源措置というのが、所得譲与税で二千二百億、そして税源移譲予定交付金で二千三百億、合計約四千五百億というふうになっております。単純に見れば、大幅に削減されているじゃないかという疑問が地方の首長から出るのは当然だというふうに思いますが、この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 よく一兆円の削減という中で、御存じのように、事業が地方で義務的にあるというのは、継続する必要があると認められているもの六千百億円につきましては財源措置がなされたということで、残りの約四千二百億ぐらいのものが補助金として切られておるというわけですが、その分につきましては、事業そのものが必要ないということになっております。その事業そのものはなくなっておりますので、ないんだから補助金もないということになるというところで、そこらのところが、まず事業自体がなくなっているんだから、四千二百億なくなるのはある程度やむを得ないところだと思っております。

 ただ、そう言われても、それでも仕掛かり品、途中継続になっているもの等々がありますので、その点につきましては、どうしても必要なものがありますので、それは別に、いわゆる地域再生債だとか、いろいろな形で八千億の手当てをそこにしておるという形になっております。

 地方の声というのは私も本当に、私のところも極めて財政力指数の弱いところをいっぱい持っておる選挙区でありますので、そういったところの話もよく聞くところですけれども、きちんとある程度説明をして、こういったことになっているので、この分につきましては地域再生債を使いなさいとか、おたく合併するんだったら財政健全化債を先にとか、いろいろなことを丁寧に教える、解説するという手間がないと、今までと同じに考えると、いきなりぽこっとそこだけ減ったように見えるので予算が組めないという話になるんですが、きめ細かな対応が必要だと思っておりますので、御指摘なり不満の声が上がっておることは重々知っておりますけれども、丁寧に今説明をし続けておるところであります。

谷本委員 わかりました。丁寧な説明を続けていただきたいと思います。

 それでは、少し角度の違う質問ですが、地域の活性化というものをこの三位一体改革を進める上では考えなければいけない。それにはいろいろな工夫あるいは方策があるだろう。

 その中の一つとして、観光という切り口、これは直接は総務省ではないでしょうけれども、国土交通省になるのかもしれませんが、この切り口はこれから各地方にとって非常に重要だというふうに思います。観光産業の持つ経済波及効果というのは非常に多岐にわたり、幅広いものがある。しかしながら、日本は豊かな自然やあるいは古い伝統のある文化というものを持っていながら、なかなか観光資源というものをうまく使い切れていないのではないかというふうに私は考えております。

 その中で、日本から外国へ出ていく旅行者の数、これは毎年一千六百万人おります。これに対して、日本へ外国から入ってくる旅行者の数はわずか五百万人しかいない。これを国際収支差で見れば約二・九兆円の赤字になるという計算になっております。しかも、この五百万人という数は、世界で見れば上から数えて三十三位という低い位置にあります。アジアだけ見ても、中国や韓国や香港より下にありまして、八位という非常に少ない数になっております。

 こういう観光産業の状態、これをやはり何とかしなければいけないという思いがあったからだと思いますが、総理の方でもビジット・ジャパンというキャンペーンをすることを提唱されて、今取り組みが行われています。二〇一〇年までに日本を訪れる外国人を倍増させよう、つまり一千万人にしようという計画だというふうに伺っております。

 観光の経済効果ですけれども、平成十四年の数字をちょっと調べさせていただきました。二次的な経済波及効果も含めると、平成十四年においては、まず国内生産額九百二十兆円の中の四九・四兆円、五・四%、雇用効果は総雇用六千六百二十二万人のうち三百九十八万人、六・〇%と現状でも非常に大きな効果を持っております。これが倍増すれば、当然この数字には国内旅行も入っているでしょうから、すなわち倍とは言いませんが、それでも大きな経済効果を生むことは間違いないというふうに思っております。

 そして、観光産業を発展させるというためには地方の努力というのも当然大事でございます。よく麻生大臣が言われております均衡ある国土発展から特色のある国土発展、これはある意味では地方切り捨てじゃないかという批判をされる方もありますが、私は別の言い方でこう解釈をさせていただいております。

 それは、少し言い方が悪いかもしれませんが、今までは、他の地域と比べて、自分のところには何がない、これがない、だからそれをつくってくれ、ない物ねだりのようなやり方が普通だったと思うんですね。そうじゃなくて、これからは逆にある物探し、うちの地域には何がある、これがある、ではそれをどうやって生かしていくのか、そしてそこにお金を重点的にかけていく、こういう考え方が必要になってくると思います。

 先ほども言いましたが、中心はもしかすると観光ですから国土交通省かもしれませんが、これは全省庁的に取り組むべき問題だと考えます。総務省としては、どのようなお考えを持たれておりますか。

麻生国務大臣 基本的に、谷本さん、日本というのはやはり観光って余り重視したことはないんですよ。だって、運輸省に観光局ないものね。部はできた。その程度ですよ。

 それから、おたくの行った国立大学あたりでも、ホテル学科とか、ないでしょう。たしかないと思います。プリンストンはありますね。ああいったところで、やはりホテル学とか、そういったものはきちんとした学問として育っておりますけれども、日本にはないと思うんです。多分、私の世代では、ホテル学科があったのは六大学では立教大学だけだったと記憶しています。

 今、ある物探しというのは非常にいい言葉なんだと思いますが、極端な例の方がわかりやすいと思いますので。

 石川県の七尾、あそこに加賀屋という大きな旅館があります。北陸の方なら御存じと思います。多分、客室数日本一だと思います。不便なところですよ、小松から一時間以上かかりますから。不便なところですけれども、ここが多分日本一の客室数を誇り、客室の満室率もえらく多いところなんですが、お客の半分は外国人だと思うんです。しかも外国人は、台湾人と香港人に極端に偏っていると思います。そこに勤めている女中さんは全部、北京語ができる、英語もできる、もちろん女中さんとして必要な程度の英語というか北京語という意味ですが。営業はほとんど台湾、上海なんかでやっておるということをしているんです。何でそんなに来るかといえば、温泉と白砂の海岸、御存じのように白砂の海岸というのは台湾なんかにはありませんから。そういった意味では、白砂の海岸といわゆる温泉かつゴルフというので、もうわんわん来るというようなことを前からやっております。そういった意味では、やはりここは、ほかのところの温泉街に比べて条件が悪かったにもかかわらず、客の的を絞って成功したという一つの例だと思います。

 やはりある物探しという観点は非常に大事なのであって、国全体としても、出ていくのが忙しくてこちらに呼ぶということは余りこれまで考えずに来ましたから、交通標識にしてもほとんど漢字でしか書いてありませんけれども、ローマ字で書いてやるぐらいの手間暇かけて、そういった意味ではわかりやすく案内してやる、地図でも、一応ローマ字をつけておいてやるぐらいのことは、地方の観光課でもそれくらいのところはしてやるというようなことが大切なことだと思います。私は、これは非常に、総理も言っておられますけれども、伸ばしていくべき部門だと思っております。

谷本委員 まだまだ伸びる可能性のある分野でありますので、ぜひとも、大臣の方も総務省の範疇において努力をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、地域再生に関して二点まとめて質問をさせていただきます。

 先ほど言いました共同通信のアンケート、この中で、財政状況についての質問に対しまして、各自治体、厳しいと答えたところが七一%だった。確かに、国も厳しい中ですから、なかなかすぐにこれを改善するのは難しいでしょうけれども、その中で、ではどのような工夫をしていけばいいのかという問題があると思います。

 その中で二点。一つは地方団体のアウトソーシングの問題です。どの分野をどういうふうにしていくか、いろいろな議論があるとは思いますが、これが可能であれば、行政サービスを効率化できる、同時に、それを外に出すことで民間企業の活性化も図れる、二つの効用があるいい方法だというふうに思っております。昨年、地方自治法の改正によって、とりあえず公共の施設の民間委託というものが可能になりましたけれども、それ以後、実際に具体的に何か事例が出ているのかどうか、あればそれを教えていただきたいと思います。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 公の施設の管理を民間事業者に行わせることができること等を内容とする指定管理者制度でございますが、これは昨年の通常国会で、当総務委員会で御審議いただいて成立したものでございます。昨年の九月二日に施行されておりまして、各地方公共団体において取り組みが進められているというふうに承知しております。

 一、二、例を挙げますと、昨年十二月でございますが、山梨県の観光施設について、民間のレジャー会社が指定管理者として指定されております。また、先月、二月でございますが、横浜市の市立病院につきまして、日本赤十字社が指定管理者の指定の議決を得ているというふうに聞いております。まだ、指定あるいはまた指定の議決の段階で、実際の管理の開始は、先ほどの山梨県の場合は四月一日からでございますが、まだ始まっておりませんが、総務省といたしましては、条例改正等によりまして、今後ともこの取り組みが各地方公共団体でさらに進められていくものというふうに考えております。

谷本委員 ぜひその方向性で、しっかりと前へ進めていただきたいというふうに思います。

 もう一点、地域再生に関してですが、既存の施設の有効活用ということもこれからはしっかり考えなきゃいけないんではないかと思います。今までは新しい施設をどんどんつくることに力を入れてきましたが、なかなか今後はそういうわけにもいかない厳しい財政状況があるという中で、同時に、つくったのはいいけれども、ニーズを読み間違えたり、あるいは時代が変わってニーズが変わって、既存の施設の管理費ばかりが負担になる、こういう状態もたくさん地方には見受けられるというふうに考えております。

 こういうものに対しまして、制度的には、国庫補助金も地方債も、どちらかというと新しい施設整備、そちらに偏重した形になっているのではないかと思いますが、これからは既存の施設の有効活用、例えば、既にあるものを、ニーズが変わったのでリニューアルして使う、そういったことに対してもしっかりとした支援というものをしていくべきだと考えますが、この点についてのお考えをお願いします。

麻生国務大臣 まことにごもっともというか、大事な御指摘で、有効活用というのはすごく大事だと思っております。例えば、四町で合併する、学校は二つしか要らない、子供が減っているから。そうすると、残り二つ学校が余る。その学校を、例えば生涯学習センターに使うとか、いろいろなものに使おうとすると、目的変更ということになって、それまで使った助成金返せということになって、それが返せないから合併できないなどという話は幾つもありましたので、その種のことにつきましては、返さなくてよろしいという方向で、他の省庁にかかわる、文部省等々にかかわるところでもありますので、その方向で事を進めております。

 いろいろな意味で、ほかにも、認定を受けた公共施設の転用につきましては地方債の繰り上げ償還等々というようなことを今考えておりますので、おっしゃった方向で進めないと、いわゆる活性化につながらない、活性化の阻害要因になっている、私もそう思います。

谷本委員 大臣の今の答弁のとおり、既存施設を有効活用できるように、さまざまな制度をもう一度見直していっていただきたいというふうに思います。

 次に、まちづくり交付金について少し伺いたいと思いますが、今回の国庫補助負担金の一兆円削減の中の一千三百億がまちづくり交付金という形になっております。これに対して、従来国庫補助金として運用されていたものを名前だけ変えたんじゃないか、余り内容が変わらないんじゃないかというような疑問の声も聞くところでございます。

 このまちづくり交付金のスキームをもう一度きっちり説明していただくとともに、地方の自由度、裁量度というものがどのようにそれで高まるのかという点を御説明願いたいと思います。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 今、谷本先生御指摘のまちづくり交付金、これは総務省として詳細を十分把握しておるわけではありませんけれども、市町村が作成をする都市再生整備計画、これに基づく事業を対象として、その事業費の一定割合を助成するというふうなことでありますけれども、特にその中でも、個別事業ごとの詳細な事前審査を要しないというふうなこと、あるいは従来の補助メニュー以外で市町村が提案する事業を対象にできるというふうなことがありますので、これまでの補助制度と比べて多少は地方の自由度、裁量度が高まるものというふうに考えております。

谷本委員 多少はという言葉もありましたが、しっかり自由度を確保できるようにしていただきたいと思います。

 細切れになりますが、続きまして、義務教育費国庫負担金の改革について伺いたいと思います。

 この退職手当と児童手当だけを暫定的に一般財源化する、そして税源移譲を、すぐに行うわけではなくて、税源移譲予定特例交付金により財源措置する、これは非常にわかりにくいやり方だというふうに思うんです。一般から見ると、何かちょっとごまかしてやっているのかなというイメージにとられる可能性もありますので、この部分について、大臣どのように説明されるのか、お願いします。

麻生国務大臣 わかりにくくなっている点は率直に認めるところなんですが、少なくとも、今回の一兆円のいわゆる補助金の削減に当たりまして、文部省の中から出てきました分がこの退職手当ということになりました。

 御存じのように、退職手当の場合は、地方の自由度は全くふえません、これは決められておりますので。ですから、余り意味がないと言われることもよくわかるところでありますし、また、渡すに当たっては、基幹税と言われる所得税を住民税にという形で地方税に切りかえる方向で進むというのも、方向としては正しいんですが、退職給与引当金というのは、御存じのように、今後団塊の世代が退職するとき、ごそっとふえることになりますので、今のうちに額はこれと決められますと、後でちょっといろいろ地方が負担をこうむることになります。しばらくの間、きちんとするまでの間は、税源移譲予定特例交付金という名前にして、一応アローアンスをしておいて、数年するとある程度額が出ますので、その段階できちんとあとやっていこうということがその本来の趣旨です。

 したがいまして、自由度を添加する点がなかったという点につきましては、私どもとしても率直に認めるところです。ただ、基幹税と言われるいわゆる所得税というもの、絶対放さなかったこの基幹税に一部穴があいて、間違いなく所得税から住民税に事が移ろうとしていく方向だけははっきりいたしましたので、その点は一歩前進というように評価しております。

谷本委員 時間がなくなってまいりましたので、まだ少し質問があったんですが、それはやめにしまして、最後に、これも通告しておりませんが、一言だけ大臣にお伺いしたいのは、この法案とは関係ありませんが、先ほど言いました難問の中に地上波デジタルの問題というのがございます。これは、私は賛成なんですけれども、今のやり方ではかなりいろいろなところに無理が出るんじゃないか、だから早目にいろいろ見直していかないといけないという思いを持っておりますが、大臣、その辺はどのようにお考えか、一言だけお願いします。

麻生国務大臣 昨年の十二月からこれは始まりましたので、始まったばかりのところでいきなり見直しと言われても、ちょっとまだ始まったばかりですので。

 ただ、正直申し上げて、日本の場合、中山間地が七五%を占めるような国土にあって、全国間違いなく全部きっちりデジタルハイビジョンを、かえれば見えるというのをあと数年でできるかと言われると、いまいち自信がないところ。また私、もともと難視聴地域に住んでいることもありましたので、NHKでそれがなかなか難しかった時代がありましたので、そういったことだとは思います。

 ただ、この持っております意味、非常に波及効果は大きい。双方向とか美しく見えるとかいうこともありましょうが、救急医療、緊急医療等々にも使えますので、私どもとしては、これは国の、いわゆるユビキタス社会とかいろいろな表現をやっていますけれども、そういったものには大いに資するところでもありますので、いろいろな問題点はその都度改正をしていかねばならぬということも確かだとは思いますけれども、これが絶対といってこだわっているわけではありませんが、これの効果の大きさというものははかり知れぬものがあると思っておりますので、これの普及のためには今後とも改良を加えてきちんと対応してまいりたいと思っております。

谷本委員 蛇足ですが、実は興味がありますので。東京は今見られるようになりましたので、テレビを買ったんです。しかし、九段宿舎は実は映らないんですね、向きが悪いということで。何とかこういう状況を改善していただければと思います。

 以上で質問を終わります。

佐田委員長 次に、長沢広明君。

長沢委員 公明党の長沢広明でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 きょうは、三位一体の改革と、それから先ほど来議論がありますが、合併の問題と含めて質問をさせていただきます。

 政府の三位一体の改革。地方交付税、補助金の削減、税源移譲の三点セットで、国の地方に対する関与を少なくして、地方のことは地方でという、この自由度を高めようということが三位一体の意味であり、原点であったというふうに思っております。

 今回の一連の改革案の中で、そのうち、来年度予算の中では、地方交付税と臨時財政対策債、いわゆる赤字地方債が昨年度に比べて一二%、額にして二兆八千六百二十三億円も減少するということで、先ほど谷本委員も取り上げていらっしゃいましたが、共同通信のアンケートの中でも、これについて、評価ができないとか、あるいは自由度が高まらない、こういうような声も上がっておりますし、この地方交付税の圧縮が予算編成、地方自治体に大変深刻な影響を及ぼしているという声が上がっております。

 この地方交付税の圧縮という問題、そして、地方からは、それで自由度が高まっていない、評価できないというふうに言われていることについて大臣はどのようにお考えか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 いろいろ感じ方の問題もあろうと思います。

 今使われたその資料、先ほどの谷本議員の質問にもお答えを申し上げたんですが、総じて、人口五万以上のところでは評価するの方がパーセントが高い、それ以下のところの市町村でパーセントが低いという数字にその資料ではなっておると思うんです。今申し上げたように、やはり交付税等々に依存する率が高いところほどそういうことになってきている、一般的にはそういうことになろうかと思います。

 私どもとしては、今先生言われましたように、基本的には、地方にできることは地方にということ、その方が地方が元気が出てくる、そのためには地方の自由度を上げてやらないかぬ、そのためには自由にできる財源が要る、金が要る、これが多分必要なんだと思っております。

 したがって、それが目的ですから、そのために町村合併でやってみたりなんかするんですが、傍ら、交付税というものは、御存じのように、今二百四兆円の累積赤を抱えておりますので、これをこのまま放置しておきますと将来禍根を残すことになるので、そういった交付税という面につきましても、地方がある程度スリム化していただかぬとどうにも対応できないところまで来ております。一種の非常事態と私ども率直に思って、一昨年からこの方向でハンドルを切ったということが言えると思っておりますけれども、今年度、いよいよそういったところが入り口になってきておりますので、今やらせていただいております。

 ただ、自由度につきましては、いわゆる公立保育園の補助金約二千億というようなものもありますが、この公立保育園二千億というものは、従来ですと公立保育園にしか使えないという形になっていた部分ですけれども、これが基本的には地方税として税源が移譲されることになりますので、その使い道はその町村長の自由ということになります。

 したがいまして、昨年から、公立保育園を公設民営にしたり、いろいろな形で既に動いておられる方が大勢いらっしゃいますので、私どもとしては、そういったようなもので、少しずつではありますけれども、自由度を増していく方向、税源は地方により多くの形で、自由に使える財源が渡るような方向で進めていかねばならぬものだと思っております。

長沢委員 自由度が高まっているかどうかということについて、大変受けとめ方がやはり違う。大臣おっしゃったとおり、小規模の自治体はやはり受けとめ方としては非常に厳しく受けとめている。比較的体力のある大き目の自治体はまだまだ、ではそういう自由になったものをどう生かそうかという発想にはなりますけれども、小規模の自治体はやはりそこまで発想が届かないということで、そういう落差を受けとめながら、格差がなくなるように見ていく必要があると思います。

 次に移らせてもらいますが、私ども公明党のマニフェストの中で、これはもう国の一つの流れではありますけれども、国の補助事業を段階的に地方に移していくというその考え方、大変賛成ですし、四兆円を目途に国庫補助負担金の廃止、縮減を行う、これとあわせて、国から地方への税源移譲を積極的に進めて地方分権を一層推進するという立場で、今の流れについては推進をしております。同時に、国と地方の均衡ある発展を目指すという立場から、国と地方の税源比率を一対一にすべきだということを訴えてまいりました。

 総務省のお考えも比較的この考え方に近いというふうに私は理解をしているんですけれども、この補助金につきましては、平成十五年度に五千六百億円、平成十六年度に約一兆三百億円の改革に踏み切った。一方、税の問題につきましては、今回、所得税の一部を所得譲与税として四千二百四十九億円が地方に振り向けられるということは、この一対一という問題に、そこから見ると一歩踏み出したのかなというふうに見ております。

 そこで、国と地方の税源比率を一対一にするという考え方、この考え方をどうとらえられるか、そして、今回の四千二百四十九億円という所得譲与税の金額がその意味でどのような意味を持つのか、前進というふうに受けとめてよろしいのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 長沢先生御存じのように、今、一対二とか三割自治とか、いろんな表現がありますけれども、そういった中で、この交付金を入れますと、三にいたしますと一・五対一・五ぐらいになる、大体、アバウトで。そういうふうになりますが、基本としては、国と地方の比率一対一というのは極めてわかりやすい目標で、目標の立て方としてはいい方向だと思っております。私は、基本的にわかりやすいと思っております。

 また、四千二百四十九億の話につきましては、これは基本的には、基幹税というところに穴があいておりますので、私どもとしては、その方向で一歩踏み出した。譲与税とかいろんな名前がついておりますけれども、これは、三年間たった後どうなるかという額が明確ではありませんので、その間、譲与税という名でしてありますけれども、基本的には、所得税の方から地方住民税の方に税の形が移ってくるという方向の第一歩と思っております。

長沢委員 税源比率、国、地方一対一というのはわかりやすい目標だと大変評価をしていただきましたし、ぜひそういう方向を、政府としても数字を目標に掲げて進めていただければというふうに思っております。

 それからまた、基幹税に今回穴をあけたという意味で、この方向性は非常に大事な、一対一という目標に向けても非常に大事な意味を持つと思いますし、基幹税を移していくという考え方をさらに地方にも理解していただくように努力が必要かなというふうに思っております。

 ちょっと話をかえますが、合併の話でございます。

 一方、合併特例法の期限がもう近づいておりまして、合併協議が各地で大詰めの段階に今入っております。私は地元は埼玉県なんですけれども、埼玉県でも十七の法定協議会が進行しておりまして、合併の行われた自治体に対しては、優遇された範囲での合併特例債という起債ができる制度、これは非常に期待を持ってここの合併が進められているという面があります。

 ただ、この特例債は、七割は交付税で措置される、逆に言いますと、三割は地方の自己負担ということになるわけですが、限られた地方交付税の税額の範囲の中で、この合併特例債の元利償還のきちんとした交付税措置が本当になされていくんだろうか、合併特例債を期待して合併を進めながら、本当にちゃんと交付税措置がされていくのかどうかというやや不安の声も上がっております。

 そういう心配に対して、この不安を払拭してもらいたいと思うんですが、この点、いかがでございましょうか。

麻生国務大臣 ごもっともな御指摘だと思いますけれども、基本的には、合併特例債の元利償還に要する経費につきましては、これは毎年度の地方財政計画というのが出ておりますので、これを策定するところを通じまして、歳出にはきちんと計上をさせていただいて、地方交付税等、必要ないわゆる地方財源は確保するという方向で事は進んでおりますので、御心配のような形にはならないと思っております。

長沢委員 なかなかこの地財計画の方が理解をされていないという面もありまして、そういう意味で、不安をやはり取り除いていきたいなと思って、ちょっとお伺いをいたしました。

 次に、全国で今進められている法定の合併協議会なんですけれども、全国の法定合併協議会の数と、そこに参加している自治体の数についてお伺いしたいと思います。

 三月の一日付で、全国で六県八地域の四十三市町村が合併をいたしまして、新潟県佐渡市など八市が新しく誕生をいたしました。このうち、佐渡市と長崎県対馬、壱岐両市は、いずれも島の全自治体が一緒になる一島一市に再編をされまして、四十三市町村の再編で、全国の市町村の数は三千百三十五となったと聞いております。

 先ほど取り上げられました共同通信のアンケートの結果では、この合併について、市町村の六六%が合併の見通しというふうに答えておりまして、自治体再編のうねりが顕著にあらわれているというふうに思います。

 この法定合併協議会に参加している市町村の数が、今合併協議会をつくっていても、それがそのまま、必ずしもすべて本当に合併にいくかどうか、正確にはそういうふうに限らないといたしましても、合併特例法の期限である十七年の三月いっぱいまでに幾つの自治体に再編される見込みであるか、大変関心の高いところでもありますし、見込みについてお伺いしたいと思います。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 今、長沢先生御指摘のとおり、平成十五年度になりましてから、二十九件の合併が実現をして、現在の市町村数は三千百三十五というふうなことであります。また、現在、全国の六割を超える千八百八十九市町村が五百十の法定協議会に参加をするというふうなことで、全国における合併の取り組みはかなり進展しておるものと認識をいたしております。

 そして、現在の法定協議会がすべて合併をすると仮定いたしまして、機械的に計算をいたしますと、市町村数は千七百六十程度になるものというふうなことでございます。

 しかし、今先生も御指摘のとおり、協議の過程におきまして、法定協議会が解散をしたりする例も実は出てきておりまして、私の地元といいますか、徳島県も、庁舎の位置だとか、いや、あそこは借金があるとか、名前がどうだということで、結構大変な状況下にございますので、では、実際どのぐらいになるんだということに関しては、まだ若干不透明な状況としか言いようがないと思っております。

長沢委員 一つの合併の動機なんですけれども、やはりアンケートの中で合併の動機について聞かれておりまして、それに対する答えを非常に注目したいと思っているんです。

 既に合併したか、今後合併する見通しの市町村の約六割が、合併の理由、動機について、特にこれは小規模の市町村の場合は非常に顕著なわけなんですけれども、財政難で存続が難しいということを理由に挙げております。新しい町づくりという前向きな意味でその理由を挙げているところはごく少数というふうに言われています。逆に、合併しないと言っているところは、なぜしないかというと、町の個性や地域のつながりが薄まるというのが四割の答え、もう一つ、住民の意見が反映されにくくなるという答えが三割あるということがあります。

 合併する側は、財政危機で小規模の市町村が合併に追い込まれていくという実情がうかがわれるわけなんですが、この合併の動機、合併に関するこの市町村の動向について、大臣、どんなふうに受けとめられますでしょうか。

麻生国務大臣 これはさまざまなんだと思いますが、基本的には、御存じのように、今、世の中、物すごく変わってきて、例えばよく例に引きます行政手続オンライン化法という法律が二〇〇五年にスタートいたしますと、地方の村役場におりてくるのは、インターネットで全部、県庁から、国からということになる。それをあけて、それを見ながらマウスをクリックして読める町長ってどれぐらいいるかといえば、僕は、埼玉県が進んでいるとはいえ、私の福岡県よりは進んでいるかもしれませんけれども、同じ九十市町村、とても無理だろうなという方も随分いらっしゃるし、私は、この間町へ行ってみたんですけれども、ずらっと役人がいますので、ここで何人できる人がいるんですかと言ったら、みんなしんとしているから、多分、できる人は一人か二人なんですよ。

 僕は、そういう状況になってきて、これはもうどんどんやると、住民サービス、行政サービスにこたえ得るだけの、もうすぐそこに来ているという意識がどれぐらいあるかなというのは、正直疑問に思いました。それが一点です。

 それからもう一つは、この種のインターネットが進みますと、いわゆるバックオフィスと言われる後ろ側のところの部分はかなり合理化できるはずですから、その部分では人はかなり減らせるはずということがいろいろ出てきます。そういった意味では、やはり民間企業がやっているのと同じように、地方行政体もある程度合理化、スリム化というのはこれは避けて通れないところだと思うんです。

 そういったサービスが住民に対してできる行政能力というのを持たねばならぬし、それに対応するだけの財源も持たねばならぬということなんだと思いますので、私は、今山口副大臣が言われましたように、やはり地名の問題とかいろいろな問題があります点につきましては、これはきちんと区で名前を残せるようにすればよろしいと思いますし、いろいろな形で柔軟に対応はしていかねばならぬものだと私も思います。

 まだまだいろいろ、こうすれば、ああすればという手は幾つも考えられると思いますので、私どもはそこは柔軟に考えていかないかぬと思っておりますが、やはり基本的には、住民に対しての行政サービスを維持し、それに対応できるだけの能力を得るためには、ある程度の規模が要るのではないかというところが一番大きな背景であろうと思っております。

長沢委員 この合併協議会が、先ほど山口副大臣も、壊れているところもあるというふうにおっしゃいましたけれども、さまざまな理由から協議会そのものが解散したり、あるいは合併協議会から離脱する自治体が出たりとか、いろいろなパターンが生まれております。必ずしもうまくいっている話ばかりではないという状態でございまして、埼玉県内でも法定合併協議会が二月の終わりに一つ解散をしたりしております。

 合併しない、この合併の流れに乗らない自治体というのは、一つは、自立してやっていきますよという自立型で合併協議の流れに乗らない自治体、もう一つは、合併したいと思って話を一生懸命進めて、あるときには協議会まで進んだけれどもどうも周りと折り合わない、あっちがだめなんで結局みんなだめになったみたいな話が幾つかパターンとしてあります。

 自立していこうと考えているところは、それはそれなりの私は決断だと思いますし、選択だと思います。それは、将来の展望が本当にあっての自立なのかどうかというのは地域によって違うと思います。ただ、本当に合併したいという、特に小規模の市町村は、さっきの財政の問題もあって、やはり合併をきちんとしていきたいというふうに頑張ってやってきたけれども、枠組みから壊れる、あるいは取り残されるという市町村もあります。そういうところは非常に将来に大きな不安を感じていると言っていいと思います。

 合併したくてもできない、こういうような自治体に対して今後どのように対処していくか、そういう小規模の自治体からは、何とか救済策はないのか、今進んでいるものもあって言いにくい点もあると思いますが、方針をお示しいただきたいと思います。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、先生御指摘のとおり、合併したいんだけれども結局仲間外れになってしまった等々、結構いろいろな状況がございます。

 そういったことを踏まえまして、昨年十一月の地方制度調査会の答申では、現行の合併特例法が失効した後は、新たな法律を制定して、都道府県が合併構想を策定するなどして、一定期間合併を促していく必要があるだろうというふうなことでございまして、現在、いわゆる合併新法の検討をさせていただいておるところでございます。

 いずれにしても、関係市町村において十分協議をしていただいて取り組んでいただきたいと思っておりますが、そういったいろいろな経過の後、どうしても合併できないみたいなところに関しては、また別途検討の余地もあるのかなというふうにも思っております。

長沢委員 今検討されておりますが、この合併を促進する新しい枠組みについてもしっかり議論をしなければいけないというふうに思っております。

 次に移ります。

 先ほどちょっと大臣も触れられておりましたが、この合併、あるいは三位一体の一つの流れという中で、地方がどう効率化していくかということがやはり大事なことである。地方の行政改革については、合併そのものが大きな一つの意味の行政改革でありますけれども、財政の問題だけではなくて、行政そのものの効率化という観点も極めて大事であるというふうに考えております。

 どうサービスを落とさずにむだを省いていくかという効率化を目指していくことは非常に大事でございまして、これは地方が自主的に行っていくことであるとはいえ、サービスを落とさないでむだを省いていく、地方の行政の効率化を進めていくということについて、国としても積極的に後押ししていくということが大事であるというふうに思っております。この点、どのようにお考えでしょうか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 地方行革の取り組みについての御質問でございますが、総務省では、平成九年に地方行革推進指針というものを策定いたしております。また、十二年の十二月には行政改革大綱というものも出されておりまして、私どもとしましては、地方公共団体に対し、事務事業の見直し、組織機構の簡素効率化、定員管理、給与の適正化、それから民間委託の推進といったさまざまな行政改革の取り組みを要請してきているところでございます。

 例を挙げますと、先ほど大臣もお触れになりましたが、一昨年に行政手続オンライン化法が制定されておりますが、地方公共団体における行政手続のオンライン化等の電子自治体構築を積極的に推進しているところでございまして、これによりまして、電子自治体の構築に当たりまして、バックオフィス等の既存の業務、それからそれに係る組織の見直しを行うことによって、ITの便益を最大限に活用しながら住民のサービスの質的向上と行政コストの削減を実現することが可能となるものというふうに期待しております。

 また、民間委託につきましては、先ほど谷本先生の御質問にもお答えいたしましたが、公施設の管理を株式会社等の民間事業者に行わせることができる指定管理者制度を導入したところでございます。

 行政評価につきましても、各自治体で積極的に取り組んでおられまして、私どもとしましては、さまざまな情報提供を行っているところでございます。

 今後とも、地方行革の事例等に関する情報提供とか必要な助言等を行いまして、地方行革のさらなる機運の醸成を図って、地方公共団体の自主的な行政改革の促進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

長沢委員 そういう効率化をどう進めていくかということは非常に大事でございまして、同時にこの改革によって、自治体によって行政サービスに格差が生まれないようにという目配りも非常に大事だというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 効率化という観点では、一方で地方公務員の削減ということも避けて通れない問題であるというふうに思います。非常に幅広い観点から、この地方公務員の削減についても、目標を持って計画的に取り組んでいく必要があるというふうに思っております。

 ちなみに我が党は、国、地方にわたりまして、目標をしっかり掲げていこうということで、むだのない効率的な行政を目指して、国、地方を通じて公務員数を一割削減という目標を掲げているわけなんですが、この地方公務員の削減、スリム化という点についても計画的に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、御所見を伺いたいと思います。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 まさに先生御指摘のとおりでございまして、今地方公務員の総数は約三百十二万でありますが、平成七年から九年間連続をして減少しておりまして、これは平成十五年四月一日現在でありますが、累積で約十七万の純減という状況でございます。

 地方公務員の定数管理につきましては、地方自治の本旨に基づきまして各地方公共団体において主体的に取り組んでいただいておるところでありますが、地方財政計画に計上する地方公務員の数につきましても、御存じの「改革と展望」、この期間の四年間で四万人以上純減をする方針でございます。

 こういったことを踏まえまして、平成十六年度の地方財政計画におきましても、一万九百八十人の純減というふうなことでございます。御党の公約の一割、約三十六万人強であろうかと思いますが、何とかそれに近づくべく頑張らせていただきたいと思っております。

長沢委員 ぜひその目標を掲げて計画的に進めていただきたいというふうに思います。

 もう一度ちょっと市町村合併の話に戻りますけれども、この後また法案も出て、合併をどう促進していくかという議論になります。多分その細かい議論の中で、合併を進めるための手だてとして幾つか用意されているメニューもあるというふうに承知していますが、それがいいか悪いかというさまざまな議論になると思います。地方のリストラというような言い方を合併について言う人もいるわけですけれども、やはり合併を進めるということは非常に大事なことだと思っていまして、我が党は一千自治体を目標に市町村の合併を進めるべきであるということを公約に掲げております。

 最後に、大臣、もう一度確認の意味で、いわゆる合併を進める理由はどこにあるのか、これをやはりしっかり押さえておく必要があると思いまして、合併を目指す目的、意義ということについて確認をさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、昔に比べて、御存じのように、明治の時代は四十七が九十六県ぐらい、県数も、函館県含めいろいろ県があったのが今のような形になり、市町村も戦後九千から約三千にということになって、昭和の大合併とかいろいろ言われております。最初のころは多分、最初のころはというのは明治のころ、あのころは、近代工業化社会をつくり上げるために中央集権でばっといけるという体制をつくり上げる必要に迫られたというのが大きな理由だったろう、三百諸侯あったわけですから。それをするためにというのが大きな理由だったろう、私はそう思っております。

 しかし、今は逆になって、特色ある地域と言われるぐらい、そこそこみんな、公民館も持った、何も持った、一応行き渡った今の段階になって、工業化の次の社会、いわゆる脱工業化という言葉でよく言われるように、新しい時代になって、情報化とかいろいろなことを言われますが、そういう時代になって、ある程度国民も豊かになったという前提になると、中央で決めて地方に全部一律にこれという金太郎あめ的な話では、住民の幸せというものはなかなか得られない。むしろ地域に合った自治行政が必要という時代になったんだと思うんです。

 しからば、それに合わせて、行政手続もすべてクリックしたらぱっと出てくるようになりますというような時代になってくると、そういったサービスを含めまして、地方の住民が期待する行政サービスも変わったものになってきている、私はそう思います、個人によっても、地域によっても。

 そういった時代にあって、やはりそういう地域地域に合った住民の行政サービスに対する要望、ニーズにどうやってこたえるかという行政能力というのは、これはもう今までの程度ではとてもできないような時代になっているのではないか。それに対応するのに、きめ細かくやらないかぬ。そのために郵便局のネットも使った方がいいとか、いろいろな形のものが、技術が進歩しているがゆえにそういった対応もできるようになると思っております。

 その意味では、これらの技術の進歩、情報通信技術の進歩に伴って、私どもは新たに今の時代に合った行政システムというのをつくり上げるというのが本来の目的であって、それをやるためにある程度財源も要る、自由度も要る、裁量権も要るということだと思います。財源の話からどうも事がスタートするものですから、何となく話が瑣末というか矮小化されることになる傾向があるというのは、私もそういう感じはいたします。

 本来の意義は何かという長沢先生の御説で申し上げれば、今の時代に合った行政組織につくりかえていく、必要に迫られてやっておるというのが一番大きなところでありまして、それは何かといえば、地方が元気になる、そのためには地方を自由にさせる、そのためには自由にできるだけのある程度の財源も移譲する、権限も移譲するということではないかというように考えております。

長沢委員 新しい時代に合った地方行政を進めていくということを今迫られているということ、大臣、そのとおりだと思います。

 蛇足ですけれども、埼玉県の市町村長さんは、結構、町長室とか行きますとパソコンが置いてありまして、使える方は結構いるというふうに私は理解をしております。どうかよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 先週に引き続きまして、民主党の一年生議員の質問でございますが、昨年十一月の総選挙で初めて当選をさせていただきました、千葉一区から選出の田嶋要です。どうぞよろしくお願いします。

 私も大変光栄なチャンスだと思って楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。特に、麻生大臣におかれましては、民間企業の経営をやっておられたということで、今この日本全体に求められている官から民へという大きな流れの中で、その要諦を押さえられているだろうということで、私としては大変期待をいたしておるところでございます。

 冒頭、若干、通告には入っていなかった部分ですが、現在の分権改革、これはきのうの私の地元の千葉日報、一面トップでここにいろいろ出ておりまして、大変関心が高そうに見えるのですが、これは実は、ややもすると官と官の間の話に矮小化されているようなところもありまして、一般市民から見ると、中央の官から地方の官へ、これで一体何が変わるんだ、何か官と官の間で権限、財源の分け合いの話をしているだけじゃないのかというふうに感じます。

 お役所の方とか首長さんは大変関心を持っておられることですが、一般の生活者から見て、自分たちにとって果たしてこれは何なんだというところをうまく説明していかないと、特に、厳しい厳しいという話ばかりだと、結局、住んでいる人たちには悪い話しか来ないんじゃないかというふうにとられかねないと思うんです。

 その辺、特に民間企業の経営をされていたという観点から、どういうような意義があるというふうに説明をしていけばいいか、そして、そのためにはどういう点がこれから分権を進める上で重要になってくるとお考えになるか、そこをまず御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 中央から地方へイコール中央官庁から県庁へ、県庁から市役所へ、市町村長へというのでは何の意味もないじゃないかという話なんだと思いますが、基本的には、そこらのところは事実だと思っております。

 ただし、問題は、権限を移譲したに当たりまして、エピソードとしてこんなことがありました。今ぱっと言われましたので、記憶ですが、地方自治法を改正いたしまして、例えば千葉市営の学校、市立の小学校、中学校のプールは、学校が終わった六時から朝の六時までだれも使っておらぬ。夏休みなんか、ほとんど子供は塾に行くなりどこかへ行って、ディズニーランドへ行って、全然使っておらぬ。そこがあいておる、丸々使わず。それを貸せ、市民に開放せいというのは、今までの法律ではだめでした。学生以外に使わせるわけですから、明らかに目的外使用ということになってだめだったものが、地方自治法を改正してオーケーということにしました。

 ところが、いざやってみたら、だめ。なぜか、千葉市教育委員会がだめと。市でとめるわけです、教育委員会が言うから。なぜ教育委員会がそんなことを言うんだ、これはおまえ、千葉市のものであって教育委員会のものじゃないぞということを言って、随分ごちゃごちゃしたんですが、文部省から、そういった権限は、学校を教育目的外に使うのはあかぬということになっておると。

 事ほどさように、いっぱいほかにも例を挙げればありますが、そういったものがあるんです。これは基本的には、プールをきちんと管理していただける市民クラブなりスポーツクラブなりに貸していいということに最終的になりました。したがって、民間にも結構行くことになる。そのかわり、いただくんですよ。どうも役人というのは、金を取るということに関しては恐ろしく経営能力というかセンスがないものですから、ただで貸してやってみんな喜ぶなんて思っておるんですけれども、これはだめです。貸す、金も取る、必ず掃除もせいというと、こっちは掃除代は助かるわ、施設の利用率は上がるわということを考えないとだめということだと思います。

 今、ぱっと言われましたので、一つの例を引きましたけれども、そういった形で、アウトソーシングが随分できるようになったということは方向として言えると思いますので、さらに民間でできるもの、もっとできる部分がありましたら、これもどうだというのがあったら、私どもも、逆に教えていただければ、その方向で規制の緩和やら何やらには取り組みたいと思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 私も全く同感なんですが、結局、やはり必要なのは、特に一般市民から見て今回の分権が意義があるというふうに見せていくためには、確かにこれから地方財政は厳しくなっていくと思いますけれども、よく言われているとおり、情報公開、それから、説明責任を果たす、そして、何といっても住民が参加していく地方行政という形をとっていかないと、本当の意義というのが、役所の方々ではない、いわゆる一般の普通の人たちには理解しづらいものになるのではないかなというふうに私は考えます。

 次に、補助金の削減の関係で御質問をさせていただきますが、いろいろ過去の、地方自治体自身から出てまいります削減金額、要望金額、知事会では八・九兆とか、政令市では八兆円、市長会では五・九兆、これはどれをとっても今回政府から出てきております数字よりも全然大きいわけでございますね。

 この辺、まさしく自治体みずからがそういうような数字を出しているのにもかかわらず、それに中央側のスピードがついていっていないというところに関してどのようにお考えでしょうか。その御見識をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 このたび、少なくとも知事会を皮切りに、政令指定都市の市長会並びに全国市長会、続いて地方の方から補助金は要らぬという話が出ましたのは、これは多分、歴史に残る話だった、私はそう思っております。向こうの方が要らぬと言うわけですから、私はこれは非常にいいことだと思うんです。

 傍ら、例えば、では何を切るかというと、いろいろな例の中で見られたことと思いますが、義務教育国庫負担金なんというものがその中に出てきておりますが、約三兆円、二兆九千億とかいろいろな表現がありますが、それが約三兆円ということになります。

 そうすると、問題は、その義務教育国庫負担金というものをひもつきでがちがちにすると自由度が全然ない。自由度を出せということになりますと、その金を使って何をするかというところが非常に問題点であって、教育に非常に関心の高い首長さんと、そうでない首長さんとの間にいろいろな意味で差がついてくる、結果として、あの市の教育はこれだけれども、こっちの市の教育はこれということになります。

 これは、アメリカなんか行っていらしたからおわかりだと思いますが、ペンシルベニアとかあの辺に行けば、大体教育に関心があるという人は父兄なんですよ。もうちょっと別のところへ行きますと、税金も安いけれども、そのかわり義務教育についてもクオリティーにはいろいろ問題がある、質においては差があるというのも御存じのとおりだと思うのです。アメリカはそれをよしとしておるわけで、一から十ぐらいまでレベルが違って当たり前じゃないかということなんです。

 ところが、日本の方は、やはり一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十ぐらいランクがあると、大体、一もなければ十もない、六、七、八、九ぐらいのところをずっと集めるという傾向のある国民性なり歴史だと思います。

 それからいきますと、完全に自由にした場合どういうことになるかなというのは、ちょっと正直、ここのところは、義務教育制度をしいてからかれこれ百年になりますので、その間の長い歴史を無視して一挙にぱっとやってどうなのか、よほどこれは慎重に今やらないかぬところだと思います。

 私どもとしては、この点はいろいろ議論を待たないかぬところだと思いますので、一挙にいかないかぬというのはちょっとあれなので、まずはということで一兆、目標を四兆円ということにしておるのはそういう背景なので、私どもとしては、今後とも、方向としては削減の方向と思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 今、義務教育国庫負担金の話が出ましたけれども、そういたしますと、前回、本会議の方でも御答弁されておりますが、御自身が言われている中で、それ自体は地方の自由度の向上に資するものとは考えがたいというコメントがございました。一方で、とはいえ、これは改革を一歩前進させるものだと考えておられるというふうに……(麻生国務大臣「退職金の話」と呼ぶ)退職金のことですね、ごめんなさい。考えがたいというふうにコメントがございますけれども、そういった意味では、この一兆円の中で裁量がふえないものがかなり実は多く占めているというふうな印象を受けるんです。

 結局、それは、もともと小泉さんが四兆円のうちの一兆円をことしやるんだというふうに掲げたときの意図とは、実際、優先度としては違うものが上げられてきてしまっている。要するに、余り慌てて削減して、ほとんど地方から見ると意味のないものが上がってきているだけにすぎないのじゃないかという印象を受けるんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 自由度が簡単に上がるとは言えないというのは、それは、たしか高井美穂先生に対する答弁だったと記憶をしますが、義務教育国庫補助負担金のうち退職給与引当金というのが今回なっております、義務教育の中の。退職給与だけですと、これはもう自由裁量権はきちんと決まっておりますので、その点は全然裁量権がふえぬということを申し上げたので、今回の予算に限って言えば、義務教育がその分だけがなっておりますので、そこの点に関しては自由裁量権はふえないというように申し上げたと御理解ください。

 もう一点の、その他一兆円の中にどんなものがふえたのかといえば、例えば、よく例を引きますけれども、公設の保育園というものに関しましては二千億、私立に対しても同じく約二千億、合計約四千億ぐらい出ていたと記憶しますが、今回は、そのうちの公設だけが地方に渡されて、補助金はなし、そのかわり同額のものに見合う税源を上げます、税源を移管しますということになりました。

 問題点は二つあります。

 一つは、千葉市は違いますけれども、小さなところは、今まで補助金が二千万仮に来たとしますが、税金になりますと、人口が少ない、対象になる法人も少ないということになって、千五百しか取れない。かつて交付金だったら二千、税金だったら千五百、これは五百万損をする、だからとんでもないと言われる方が出てくるのが一つです。この点の五百万については、いわゆる交付税できちんと補助をします。ここがわかっておられぬ方がいっぱいいらっしゃるんですけれども、地方の首長さんの中で。この点が一点です。

 その点に関しまして、もう一点は、渡された方はどうするかといえば、幾つかもう既にやっておられる市町村さんありますが、公設が三つ、私立が三つ、四つあったとしましょう。もうみんな私立を呼ぶんですよ。呼んで、ちょっとおまえ、公設で民営化せいと言うと、御存じのように、それは民の経営者の方がはるかに能力はありますから、もうきちんと経営者としての能力が明らかにありますので、そういったところでは、施設は丸々市から、町から借りてそのまま使うわけですから、きっちりそこのところは対応できますので、経営している市としては、国からもらった補助金のほか、赤字のところが多いですから、市からまた別に補助しているという部分も全部しなくなって、私立の福祉法人がそれを経営することによって市からの歳出は大幅に減る。

 既にやっておられる市は昨年末から幾つか出ていますけれども、そういったところの自由度は確実にふえた一つの例です。そういった例、少しずつではありますけれども、一挙に自由度がふえているわけではございません。ただし、そういったところが少しずつ芽が出てきているということだけは言えると思っております。

田嶋(要)委員 確認ですが、今の義務教育国庫負担金、暫定的に交付金で渡すわけですが、これは平成十八年度までに所得税を財源を移して個人住民税という形で行っていく、そういうことでよろしいですか。

麻生国務大臣 何で所得譲与税だというところに御理解が得にくい、御不満なのかもしれませんが、基本的には、退職金というのは今からふえるんですよ。なぜなら、雇った人の数が、ちょうど団塊の世代があの辺からわあっとふえていきます。ここのところがふえるのに合わせて退職金がふえるんだから、今のうちから所得譲与税を渡したら、額がこれだと決められたら、地方の方は、受けた平成十六年はこんなだったけれども、二十年だとこんなにふえちゃうので、それだったら取り急ぎの間、譲与税で決めただけでして、基本的には、所得税というものを住民税という形で、名前もきちんとした形で、ほぼきちんとした、この額がこれだけということになった段階で切りかえます。

田嶋(要)委員 義務教育の方は譲与税は関係ないと思うんですが、私が申し上げたのは、税源移譲の予定交付金ということで、暫定的な一般化ということだったと聞いておりますが、それを平成十八年までには、本来の予定であります所得税から地方の個人住民税へと税源移譲していくというお考えでいいかです。

麻生国務大臣 今、公立保育園とちょっと混線しました。済みません。

 言われました予定特例交付金という形で、特例交付金の方につきましては、これは何をするかというのは別にしまして、今、消費税であるとか住民税とかいろいろなことがよく言われておりますけれども、基本的には、基幹税と言われるもので、きちんとした形で地方税に移管させます。

田嶋(要)委員 では、三年間で四兆円ということなんですが、ことし一兆円ということで、単純に、来年、再来年の二年間はさらに三兆円の補助金削減が進められるというふうに理解してよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 十八年度までにということで、今三兆円というのを目標に最大限努力しているところであります。今回、よく芽出しとかいう聞きなれない言葉が出ていますけれども、約一兆円の改革を行わせていただきました。残り三兆円を目指して、正確に言うと、一・五、一・五かとか、一と二かとか、いろいろな表現がありますけれども、最終目標四兆円ということにいたしたいと思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、補助金の削減も、当初のねらいを定めたら、射撃のように、ぶれることなく最後までやり抜いていただきたいな、そのように思っておりますので、よろしくお願いします。

 交付税の方に質問を移しますが、先週もボードを出されて御説明をされた点に触れられたと思うんですが、この紙ですけれども、確かに、税源が減らされた分すべて返ってこないところには交付税で補われるという話がございましたけれども、一方で、総額としての交付税自体が減るわけですので、これはミクロではそうかもしれませんが、それぞれの自治体の全体を見た場合には、そういった理屈と実際というのはかなり違うんではないかなと思うんですが、そこはいかがですか。

麻生国務大臣 基本的には交付税全体が減るではないかというところなんだと思いますけれども、それはそのとおり減ります。それに対応して、ある程度地方もスリム化していただかないかぬところなので、この間お見せいたしましたあの資料に関しては、あれは基本的に、義務的なものとして、これはやらねばならぬと決められたものに関しましては、その差については確実に埋めます。

 ただし、必要ないものとして約四千億でしたか四千百億だったか、ああいったものにつきましては、これは事業として必要ないということになったからということになっていますので、その意味におきましては、そちらはある程度減らしていただかぬと数字が合わないということになるんだと思います。

 いずれにいたしましても、地方交付税の総額を抑制していく方向にあることは間違いありませんし、また、いろいろな意味で、そのほかにも、地方公務員の単独でやっております分につきまして約四万人の抑制とか、それから、地方単独の事業につきましては平成二年度並みに、バブル以前にしてくださいよとか、また、今の一般の行政経費につきましては今以上にふやさないでくださいというようなことはお願いをいたしておりますので、そういった形では、最終的な数字としてはきちんとしたものになると思っております。

田嶋(要)委員 いずれにいたしましても、交付税改革のところが恐らく地方の首長さんあたりからの不満が一番強いところだということで、きのうの地元の新聞にも載っておりますけれども、約七割の首長さんが、三位一体改革の初年度決着の評価に関して、いい評価をしておりません。それ以外も、三位一体の基本方針自体に関しても、半数以上がいい評価をしていないということでございますが、中でも、交付税に関して問題だというふうに言っております。

 いろいろちょっと拾ってみたんですけれども、例えば、橋本知事なんかは、正直者がばかを見る改革だ、田中長野県知事が、えせ三位一体改革だ、谷本知事が、交付税は大規模テロだというようなコメント、それから片山知事は、凍結した方が世のためだというふうにおっしゃっている。

 元自治省の方々も含めて、地方の首長で責任を持って現場を見ておられる方がこれだけ酷評している交付税改革、これは大臣として、本当にこのまま進めていいんでしょうか。やはり地方自治だから、まさしくあらゆる政策の中でも地方の現場の声を一番大切にしていかなければいけない、その地方の皆さんがこれだけそろって酷評しているというのはちょっと問題じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今言われた方々は決していいかげんな知事じゃありませんので、それぞれの見識のおありになる方のお話ですから、私どもとしてはきちんと耳を傾けないかぬところだと思っておりますが、今いろいろ御説明があっておりましたけれども、やはり交付税を減らされて、よくやったと言う知事はおらぬと思いますね、一人として。やはり減らされる方は、偉いと言って褒めてくれることはまずないと思う。

 したがいまして、私ども、そこは決して褒めてくださいなんと言うつもりはさらさらないんです。ただ、基本的には、私どもとしては、二百四兆円の地方交付税の借入金の累積がありますので、それをある程度抑えない限りはとめどもなくいくというのだけは、これは何としてもとめないかぬというところで、今回少し景気も戻ってくるような雰囲気ですから、地方税のいわゆる事業税、そういったものも去年までは二兆円減りましたけれども、一応今年は横並びぐらい、来年はもう少し上がるかというようなことにまでは、微増ぐらいのところまでは来つつありますので、そういった意味でも、流れとしては変わってきているかなとは思わないでもありません。

 いずれにしても、この種の話は、いろいろな意味で、地方と中央と全部がきちっとうまく合ってなんということは、改革をしようと思えばいろいろなところで痛みが伴ったり摩擦が起きたりするのはある程度やむを得ないところだとは思っておりますけれども、いろいろ現場の声というのは大事なところなので、きちんと話をさせていただきながら進めさせていただきたいと思っております。

田嶋(要)委員 特に、こうやって発言をされておられる方は、結構目立っておられる首長さんばかりで、そういう方々が交付税自体が減らされることそのものを怒っておられるのではないな、私はそういう印象を受けます。むしろ、意思決定のプロセスが、地方自治に関する、地方分権に関することでありながら、全く分権型でなくて中央集権で物事が進められている、あるいは省益の話とか、権限が全然移管されてこない、そういったこともろもろのことに不満を持っておられるのかなというふうな印象を持ちます。

 地方税に関しての質問に移りたいんですが、地方税の今回の改正の中で、法定外税の話が出ております。

 この法定外税の税負担が軽減をされる場合に関しての総務大臣の同意は不要というふうに今回内閣提出法案の中で出ておるわけですが、本来の課税自主権の拡大というふうな観点からいたしますと、私は、法定外税の内容が上でも下でも、負担が強くなる方でも弱くなる方でも、いずれにしても、これは本来、地方の自治体の方に、自主的に判断をする、当然それは議会で条例が通過しなきゃいけないわけなので、そういうふうな本当の課税自主権を拡大していくという意味であれば、そこまで踏み込んだ形での規制緩和というか、地方を中央から解放していくというところまでやっていただきたいというふうに私は思うんですが、その点に関しての御見識をいただきたく思います。

麻生国務大臣 法定外税、馬券税を含めていろいろございました。ホテル税それから核燃料税でしたかね、福島県で出された。いろいろ、こういったのがあったと思います。

 私どもといたしましては、こういったものを、お下げになるのは自由ですけれども、これを上げるということになりますと、これはかなりいろいろな意味で国との間に、よく調べてみたら二重課税になっているとか、極めて常識的な方ばかりとは限りませんし、いろいろな意味でここらのところはよくよく注意しておかぬと、下げられる分にはそれは県民は迷惑しませんけれども、そういった意味では、ここらのところは変な形になりますといかがなものかという念が私ども正直ないわけではありません。いろいろな意味で、これまでやったけれどもやめちゃったというのも幾つもありますので。

 そういった意味では、私どもとしては、課税自主権の拡大というのは、基本的には正しいとは思いますけれども、今言われたように、上げるというところに関しましては、懲罰的な意味のものをやられても困るし、余り具体的なことを言い過ぎるとぐあいが悪いけれども、影響がいろいろな意味で大きいだろうなという感じはいたします。

田嶋(要)委員 二重課税という話がございました。そうすると、二重課税であれば、上げる場合だけじゃなく、下げる場合でもそもそも最初から問題だったんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 可能性はあると思います、その点に関しましては。ただ、いろいろありますよ、二重課税といっても。例えば株というものは、一回税金を払った後に、会社としては法人税を払った後にまた株を払って、また株を取るのはおかしい、あれは二重課税じゃないかとか、これは税法の世界でもいろいろな表現があるところだとは思いますので、一律にこれはというわけにはいかないとは思います。

田嶋(要)委員 最後の質問をいたします。

 交付税の関係で、これから徐々に税源を移譲していくということで、今、六、四に対して四、六というねじれの現状がある、それを少しずつ地方へ税源を移譲していくということだと思うんですが、そうやっていくと、どこかでやはり非常に豊かな、現在不交付団体というのはもちろんあるわけですが、やがてこの税源を移譲していくことによって、もう本当によそに配らなきゃいけないような財源の状況になってくる。東京都なんかそうだと思うんです。

 そういったような状況が考えられると思うんですが、今の六、四、四、六のねじれを、どの辺まで長期的なビジョンとして、あるべき姿としては移譲をしていくか。最終形は例えばどういうところに持っていこうというふうにお考えか。それはもちろん、交付税の配分を、今もちろん中央からやっておるわけですね、その配分権をどうするかという話とも絡むと思うんですが、最終形として財源というのはどのぐらいの位置、先ほど五対五という話や一対一という話もございましたけれども、その辺、具体的なお考えをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今既によく言われますように、三割自治とかいろいろな表現があります。今でも交付税というものを地方ということになっておりますので、これを入れますと、大体三にすれば一・五対一・五ぐらいの半分ずつぐらいになるんですが、私は先ほどの長沢先生の御質問に対して答弁を申し上げたとおりに、片山大臣も言われていたそうですが、まあ半々、一対一とか五対五とか、そういったところにいけばいいところかなという感じは、私の実感から言わせていただくと、先生の表現からいえば一対一というところがいいところかなというのが、ぱっとどれぐらいが目標かと言われたら、一対一が理想かなと思います。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、今回の地方分権改革というのは、決して官と官との間の財源あるいは権限をどこにどう持っていくかということに終始しては意味がないのであって、やはり最終的には日本全体の、あるいは地域それぞれが活力あるような形に持っていかないことには本来の目的を達することはできない。先ほど、人々の幸せという言葉をお使いになったと思うんですが、まさしくそこが今回の分権改革による目指すべき社会だということだと私は思っております。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、若泉征三君。

若泉委員 福井県の若泉でございます。

 麻生大臣とは初めてお会いしましたのが、初めての国会の開会式に陛下をお迎えしますときに、玄関の前で二列に並びましてお迎えしましたときに、私のすぐ上に、一番上にいらっしゃいまして、ここへ来たら会釈するんだよ、あそこの玄関まで行ったら会釈するんだよと懇切丁寧にお教えいただきました。きょうもそういった御答弁をいただけるものと期待をいたしております。

 もう一つは、私の親戚でもございます京都産業大学の若泉敬教授が、実は大臣のおじい様でいらっしゃいます、戦後の復興をおやりになりました吉田茂首相の、その吉田学校の生徒でございましたので、常々大臣には非常に期待をいたしていたところでございます。

 そこで、今これから私は質問をさせていただきたいと思いますが、新法案が三月にまた提案されますので、法案の審議におきまして、詳しい質問はこの次にまたやらせていただきたい、このように思っております。

 きょう、この前から私どもの委員の質問に対しまして、時々耳にさわるようなことがございましたが、私は町長を十六年経験いたしておりまして、町長の力が能力の差だとか、または意欲とか意識がないとか、全国の市町村長がもしこの話を聞きますと、ほとんどの方が、いや、おれはやっているよと。私も、その中では極めて能力を十分に発揮した町長、または、その意識とか、そういった意欲につきましては、だれにも負けない町長としてやってまいりました。そういう自負をいたしております。

 それで、私なりに、これから少し分権の必要性をお聞きしたいと思いますが、ではどのようなことを、自負できるだけのことをやってきたかということを簡単に申し上げます。きょうは余り時間がございませんので、簡単に申し上げます。

 例えば公共施設は、すべて各省庁の予算を組み合わせて共同事業でやる。これは大変時間がかかりました。縄張り意識がありますので、縦割り行政ですから。これを、三つぐらいの省庁の予算をとって一緒にやるとか、または、下水道事業は今立方式下水道事業ということで、官庁速報の全国版に載りました。

 それはどういうことかと申しますと、当時建設省と私ども交渉をやりまして、流域下水道じゃなくてコンパクトな、三千、四千人のそういったところにも、そういう下水処理場を認めよという中で、あとは、地方は所有地をたくさん持っていらっしゃる方がいますので、合併浄化槽と建設省の事業を合体しまして共同事業でやりまして、三百億かかる事業を二百億にした。私は、百億のむだを省く協力を国に対してやっております。

 また次には、建設省と自治省の事業をいただきまして、私どもの観光施設と観光施設の間のわずか二百メーターの道路でございますが、これが約四億円ほどかかったわけでございますが、それを、大体八割ぐらいのお金を自治省と建設省からもらう。たまたまそのときの専門官同士がお友達だったものですから、非常にわかりがよかった。でも、これはやはり交渉しまして、努力をしてきた。そのようなことで、和紙の里通りがシンボルロードとして認められまして、ついにマイロード事業、全国に今親しまれております道の駅、これは私どもが発祥の地でございまして、まさに先進地ということでございますので、頑張っているところをお認めいただきたい、このように思います。

 そして、芸術館というようなホールは、日本全国にホールが二千ぐらいあるんです。これもむだなお金です。むだではないところもございます。私どもの芸術館、ホールにつきましては、何と利用者率九七%でございました。舞台の稼働率が五五%でございます。これは、細かくぜひそのノウハウを教えてほしいという方は、私の方へまた来ていただきたいと思います、これは今時間がかかりますので。そのようなことで、施設は、むだのない施設だ、住民参加の施設だということでございます。

 そしてまた、住民参加によるボランティアの推進というものをいたしました。なぜこれができるかといいますと、町民が、住民が、ある程度行政に対します信頼とある程度の満足感を感じますと、ボランティアにどんどんどんどん参加してくれるんですね。これは、私の一つの町づくりでもございまして、また、自然と環境の町づくり、いわゆる木炭とかバクテリア、有機農法とか、または太陽光発電で恒久施設をやるとか、そういうようなことを進めてまいりました。

 こういったことを、今ちょっと申し上げましたが、ただ、こういったことをやってきましたが、町長にも非常に限界があるというようなこともございまして、自由にできないことが多い、それは特に財源と権限でございます。

 その財源と権限といいますのはどういうことかと申しますと、きのうも国土交通省へちょっと申し上げましたが、例えば、道路をこうしたいから補助金が欲しいといいますと、いわゆる国土交通省の規格がありまして、四メーターか五メーターの道路でいいのにもかかわらず、十二メーターの道路。そして、歩道は二メーターつける。その歩道は何と犬しか通ってない歩道なんですね。そういう歩道があるんです。別に、地方に歩道は二メーターも要らないところがある。そういうこととか、あとは、今、治山治水事業につきましても国の規格がある。規格外だからこの補助金は出せないと。いわゆる規格も権限がありません。そしてお金も、いわゆる規格によってその財源をいただくことができない。

 そういった許認可の問題というものは非常にございまして、そういう中におきまして、近代国家をつくるために、西欧諸国に追いつくためには中央集権が必要であった。したがって、経済成長の著しい発展と全国的なシビルミニマムの安定ということで、日本は非常に大きな成果をおさめました。

 しかし、一歩先を行く西欧を見ますと、成熟社会になっている。フランス、ドイツでは、六千から七千程度の自治体がまだ合併いたしておりません。成長率は低いんですが、それなりにフランスやドイツは幸せにやっている、非常に豊かに見える、また豊かである。

 そして、地域地域で特色ある暮らしをしておりまして、例えば、フランスにブルターニュ地域というのがあります。そこにランデルノ市という市がございます。ちょうど、あかつき丸のウランの船が出たところの、あの港の近くでございます。一万五千人の町でございますが、私の町も一万五千でございましたので、そこと私が町長のときに姉妹縁組をいたしました。

 それをしましたところ、非常に質素に見えますけれども、豊かである。丘の上には昔の古城がある。古城がちょうど日本でいいますと公民館的な要素を持って、市民が十分にそれを、みんな利用できる。私もそこへ行きましたときには、地元の地域でつくられた畜産の牛、そして、最もおいしい、一番いい小麦だと言われますその小麦のパン、そういったものをいただきながら、大変おいしいディナーパーティーを、今でも思い出していますが、すばらしかった。ただ、余りにおいしくて、フランスパンというのはかたいので、余計なことでございますが、歯を折ってしまった人もいます。それはいいんですけれども。

 それで、このランデルノというのは、人口一万五千人でございまして、そして小中学校が十校、そして裁判所とか行政機能の中心になっておりますし、また、市役所の職員が三十五人、そして市長の給料は二十五万。それで、市長が議員を指定するんです。五、六人しかおりません。そして、県議も、県会議員も兼任している、そういうことでございます。

 こういうランデルノ市を見ましたときに、市町村合併について、私は町長の立場上いろいろなことを感じるわけでございます。自給自足できる体制、もともとのコミュニケーションと、そして、そういったものが崩壊しないような、本当に昔からの歴史とか伝統とかそういうものを大切にした町づくり、市町村合併のときに私は当然これを指導されなければいけない。

 その指導はだれがやるんだと私が言いいますと、政府の皆さんがおっしゃることは、それは自治体同士でやれと。大臣もおっしゃるように、もっと能力ある町長、市町村長としてやるべきだ、こうおっしゃるんですが、実際のところ、なかなかそれがうまくいってない。私は、このようなフランスやドイツのような衛星都市、または自給自足できるような、こういったシステムの、体制づくりというものを本来ならばやってほしかった、今からでも遅くないんじゃないか、このように思っております。

 そういう中におきまして、大臣にお伺いしたいと思います。成熟社会になったこの日本に必要なものは、私は地方分権だ、このように思っております。大臣はどう思われますでしょうか。

麻生国務大臣 今の話の中で感じましたこと、三千百の市町村長さんが、若泉先生みたいに見識と経営能力といろいろなビジョンというものを描いておれば、私ら何も仕事せぬで楽でいいなと、正直なところそう思いました、まじめな話。

 それから、今ブルターニュの話が出ていましたけれども、あの辺はやっぱり豊かなんですわ、基本的には。そういう意味では、逆に言えば、市がやる仕事も余りない。権限も与えられていないかわりに給料も少ないし何も少ない。みんな全部できる。市民も、あれやれ、道路つくれ、何とかかんとかと言わぬでも、大体みんなでき上がったものばかりだからということに多分なっているところもあります。これも、敗戦国と戦勝国の違いとかいろいろな表現があるんだと思います。やっとこちらも成熟したものになってきていますので、そこらのところはこれから我々も見習っていかないかぬところだと思います。

 分権をして、やっぱり権限を与えられたら、例えば、首長さんによほど見識があれば、うちはもう収入役は要らぬ、こんなものは要らぬ、財政課長でやれと。助役もおれ一人でやるから要らない。それから、町会議員も、三十人もいるから、冗談言うな、こんなもの、三人でいいとか、四人でいいと。しかも、給料はなしと。おれもなしだから、おまえもなしとかというような、これはアメリカなんか行かれたら、いろいろそういった例は幾つかあります。

 いろいろな例があって、おれは経営能力がない、おれは票を稼ぐだけ。おれは町長やるから、おれの給料やる、そのかわり、カリフォルニア州から人を雇ってきて、おまえ、シティーマネジャーをやれ。そのかわり、おまえの給料はおれの給料をやる、利益出したらパーセントやる。そういういろいろなことをやっているのは、これは実はアメリカとかフランスとかドイツとか、いろいろあります。

 私どもは、次の時代になったら、もう一回考え直さないかぬのは多分それかなと思って、やってみたけれども、やっぱりこれはよくないから別れておれ一人でやる、そのかわり、おれのところの給料は、こんなにして、小さな行政単位にして、あとはパソコンで全部やる、何とかかんとかするなんというのが多分出てくるんだと思うんです。ただ、今の段階としてはどうかと言われると、ちょっと今の段階でそこまでいけるかなというのが、正直、私どもも何となく疑問のあるところなのですが、地方分権という方向にいく流れというのは間違ってないと思っております。

若泉委員 また、二〇〇〇年に地方分権一括法が施行されまして、国と地方が対等になったと言われておりますが、皆さんいろいろと御質問されていますけれども、財源と権限の移譲はまだなされていない。そういう中で、今後必要なのはやはり権限と財源の分権である、そのように私は考えておりますが、大臣はどのように思われますか。お聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおり、地方分権一括化法、あの法律によりまして、上下関係から対等にはなった、法律的にはそうなっていると思いますけれども、いわゆる権限と財源については、まだそこまでいっておらぬということなんだと思います。少しずつ少しずつ、全部が全部とは申し上げませんけれども、いろいろな意味で、事務の執行なんかにつきましては、既に市町村でやってもらっておる。ただ、縛りがかかっておるという点につきましては、私どもでは、この分はまだ残っておるような気がいたしております。

 また、税源と財源につきましては、これもまだ今始まったばかりのところで、いわゆる税源移譲というのは三位一体の中でやっと始まったばかりで、今回、かたくなだった基幹税がやっと一部初めて手がついたところかなという感じがいたしますので、まだ、おっしゃるとおり、発展途上といえば発展途上という感じ、私も同じように思っております。

若泉委員 これは、大臣のお考えを確認したということでございますが、次に、具体的なことを行政局長にお尋ねしたいと思います。

 二〇〇〇年の地方分権一括法におきましてはどのような権限が国から地方団体に移譲されたのか、そしてまた、その後権限移譲については何らかの動きがあったのか、今後具体的なスケジュールはあるのかどうかというようなところをお聞きしたいと思います。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 まず、地方分権一括法でどのような権限が国に移譲されたかという御質問でございますが、地方分権一括法では、森林法とか都市計画法など三十五本の法律が改正されまして、国から都道府県、あるいは都道府県から市町村に多くの事務権限が移譲されております。また、特例市制度というものが設けられまして、騒音規制法とか悪臭防止法など十五本の法律に関係する事務権限がまとめて移譲されております。それから、都道府県から市町村への事務権限の移譲を進めるため、条例による事務処理の特例制度というものも設けられているところでございます。

 一例を挙げますと、例えば、国から都道府県へは公共下水道事業計画の認可権限、それから都道府県から指定都市へは一定の都市計画の決定権限、それから都道府県から中核市へは中核市の県費負担教職員の研修の権限、それから都道府県から特例市へは騒音を規制する地域の指定権限、それから都道府県からすべての市町村へは身体障害者に係る補装具の交付に係る権限などが移譲されているところでございます。

 それから、今後のスケジュール等でございますが、分権一括法が施行された後も、例えば、都市計画のゾーニング、市街化区域と市街化調整区域の区分の決定、いわゆるゾーニングの決定を都道府県が行うことができるようになりました。ごく最近では、新聞にも報道されておりますが、一定の無料の職業紹介を都道府県で行うことができるようになったということが挙げられます。

 このように、私どもとしましては、住民に身近な地方公共団体にできるだけ事務権限を移譲しまして、地方の権限と責任を一層拡大することが必要であるというふうに考えておりまして、その一方策としまして、先ほど、都道府県の条例によって事務処理の特例制度を設けることができると申し上げましたが、これは一方通行でございますし、それを、市町村の方から都道府県に個々の事務権限の移譲を要請することができるというような内容を持った地方自治法の改正の検討をやっておりまして、これをできればこの国会に御提案したいというふうに考えておるところでございます。

若泉委員 今お聞きしていますと、余り進んでいない。また、今後やはり何らかの手だてが必要であると思いますが、合併につきまして、私は、分権のためには市町村はある程度の規模が必要と考えておりますので、分権の受け皿論といたしまして市町村合併が必要である、このように考えております。

 しかし、実際には思うようには進んでいないのではないか。そういう中で、先ほどからもいろいろな御答弁がございましたが、総務省の方にお聞きしたいと思います。三つほどお聞きします。

 現在の法定協議会がすべて合併すると市町村の数は幾つになるか。そしてまた、単純に計算いたしまして幾らぐらいの経費節減になるのか。例えば、市町村の人口規模別一人当たり経費の平均などで試算した数字をお聞きしたい。当初、経費節減においては、市町村合併によって五兆円ぐらいの経費節減になるというような話も最初に出ましたが、ただいま申し上げましたようなことと、それから、この前の合併特例債は総額幾らぐらいまで発行されるか、このようなことをお聞きしたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。

大野政府参考人 まず、現在、全国の六割を超える千八百八十九市町村が五百十の法定協議会に参加をいたしております。そこで、現在の市町村数は三千百三十五あるわけでございますので、これを単純に差し引きいたしますと、すべてこの五百十の法定協議会が合併に至る、こうなれば、市町村数は大体千七百六十程度になるのではないか、このように思っております。今いろいろ大詰めの段階で、解散をする例などもあるわけでございますが、何とか落ちこぼれなく最後まで合併の協議を進めていただきたい、このように思っております。

 そこで、そういった形で合併が進んでまいりますと、今、若泉委員御質問のございました、全体で幾ら経費の節減になるのか、こういうことでございますが、事情がさまざまでございまして、具体的な試算はしておりませんけれども、例えばでございますが、これまで合併した自治体で、兵庫県の篠山市、御存じだと思いますが、これは財政計画をつくっておりまして、五年間で大体二十七億円削減する。ただ、人口が四万七千人程度。五万人足らずの市で、五年間で二十七億、大体毎年六億円ぐらいの額を減らす。実は、これは議員の削減の額は入っていませんから、議員さんを減らしますと毎年数億円という額がさらにオンされるというわけでございます。

 それから、西東京市。これは十八万人ほどの市になったわけでございますが、十年間で百九十億、大体毎年二十億減らす、こういう計画を持っております。二十万人足らずのところで毎年二十億円ぐらい減らす、こういう計画になっておりまして、いろいろ今計画をつくっておられますので、そうした中で全体の数字が出てまいりますが、ちょっと単純な試算はしておらないということでございます。

 それから、合併特例債の総額。このミクロの市町村の合併特例債の発行上限でございますけれども、合併をした場合の新しい市の人口、それから、合併をして人口も増加するだろう、こういうふうなことになるわけでありますから、そういった人口の増加の面、あるいは合併市町村の数、二市で合併するのか五町で合併するのか、いろいろさまざまでございまして、そういった形の上限額というものは算定できるんですが、それをマクロで積み上げてはおらないのですが、ちなみに、実はこの合併特例債、まず平成十一年から十五年まで見ますと、大体今九百十億ぐらい出しております。平成十一年から平成十五年までの、許可見込みもありますが、九百十億。それと、来年度、十六年度の地方債の計画上は二千六百億を見込んでおります。そうしますと、十六年度中にこれが全部出ますと三千五百億出る、こういう感じでございますね。これから話がまとまれば、今申し上げた、来年度は二千六百億オーダーですけれども、もう少しそれが毎年毎年大きな額になるのではないか、こう思いますが、ちょっとマクロの具体的な試算はしておりません。

若泉委員 もっと全体的なことをお聞きしたかったのですが、時間がございませんのでまた今度お聞きします。

 丹波篠山のところは四つの町が合併しましたけれども、四つの商工会はまだ合併していませんですね。あちこちそういうところがございます、ちょっと指摘しておきますけれども。

 それから、このようなことを聞きますのは、実は、次のことがございましたのでお聞きいたします。

 ちょうど、私、滋賀県の方へ講演に行く二日前に総務省の方が講演にお見えになりまして、お金をむちに合併を急がせているということだったんです。どういうことかと申しますと、名前は伏せておきますけれども、総務省の方が滋賀県で講演された際に、特例債は先細りになるので早く合併した方がいい、そういうことをおっしゃったのです。これは、合併をあおっているということで、合併を推進したいのはわかりますが、このような発言はいかがなものかと苦言を呈しておきます。

 また、私は、自治省が指導されてきました、今総務省ですが、自治省がもと指導されてこられました広域行政と広域行政圏、こういったものが非常に、今質問はいたしませんが、ばらばらになっている。長い間、自治省からの、私ども福井県に丹南広域というものがあるんですが、相当なお金がここへ投じられています、国のお金も。そして広域行政をやっていこうと。それが今、合併でばらばらになってしまっているんです。コミュニケーションもそうですが、逆にもう、お互いに、今、鯖江と福井が合併しますが、これもにらみ合わせて、だんだん人間関係が悪くなっている。このような状況が、日本全国私は講演して歩きましたが、至るところにございます。これはやはり国の指導が必要じゃないか、このように思っております。

 また、最近の市町村財政は大変でございますが、特に十六年度は、先ほどから御質問がありますように、交付税やら臨時財政対策債が大幅に減らされまして、予算が組めないという悲鳴があります。この前、北海道のある町長さんは、合併してもしなくてももうやっていけないと。それ以上に私が問題だと思うのは、政府の方針であると思います。これまでに、地方団体に対しまして、地方単独事業を積極的に実施せよと政府が誘導いたしまして、ふるさと創生からやる気を出した。経済対策やらでありますが、そのため地方債を増発した。これは小渕内閣のときでございますが、地方債をどんどん使えということで地方債を増発した。そして今度は、償還金を交付税で措置することが行われたわけでございますが、余りにも急な方向転換でございましたので、市町村は、今後財源がどうなるのか非常に不安であると。

 財政再建のために規模を縮小しなければならないということは理解できますが、私も今、ちょっとある町の状況を調べてまいりました。一万五千人ぐらいの人口でございますが、今回の減額措置によりまして二億二千万減っている、しかし、先ほどからお話がございます所得譲与税は、二千二百万ということでわずか一割だ、これじゃやっていけないと、本当にもう各市町村、自治体がみんな悲鳴を上げている、このような状況でございます。三位一体改革が進むこともわかりますが、具体的な金額はわからない、多分総務省も具体的な数字はわからないんだろう、このように思っております。

 一方、フランスやドイツの町では、合併せずに自治を行っている。我が国とは担当している事務の量が、先ほどおっしゃいましたように、確かに違います。それなりに、自前のお金で自分たちのサービスを賄っている。日本の場合、ヨーロッパに比べて数多くの事務を担っている。公共事業、生活保護、また介護保険、国民健康保険まで市町村が担っています。今後、税源移譲が行われても、田舎の町村ではそれだけの税金をかける対象がないということが言えると思います。

 次に、時間がございませんので、大臣の御所見を一つだけお聞きしたい、このように思います。

 まず、私の考えでございます。これは私の持論でもございますが、まず消費税を国税から地方消費税に移譲して、地方の取り分をふやしていく、これは人口で配分する、これが基礎部分であります。これによって、どんな田舎の町でも一定の事務ができる。次に自前の税金がございます、これは固定資産税や住民税でございます。基礎的な地方消費税の配分の上に自前の税金を合わせて、大抵の市町村は標準的な事業ができるように制度を設計できる。それでも財源が不足する場合には、市町村には交付税で財源調整をする、しかし、さらにぜいたくをしたいという市町村は、固定資産税や住民税を増税する。

 このような一つの提案をしたいわけでございますが、今の小泉首相は、消費税は絶対上げないとも言っていらっしゃいますし、消費税に対する取り組み方としては、今大臣はお答えしにくいかと思いますが、大臣の御所見を、今後の、将来の方策といたしましてお考えをお聞きしたい、このように思っております。

麻生国務大臣 今、若泉先生言われました、いわゆる偏在性の少ない地方基幹税と言われる、例えば消費税、住民税、いろいろありますけれども、そういった地方税を充実させて、標準的な事業を実施できる地方公共団体というものをふやすという方向は、私は基本的には全く賛成、その方向で正しいんだと思っております。

 また、今やりつつあります三位一体の改革の中で、税源移譲という話は、これは国庫補助負担金の削減とあわせていろいろやっていますけれども、所得税という基幹税から移譲させていくというのを優先して今実施しているところなので、消費税につきましては今言われたようなことがありますので、消費税の流れというのは、例えば福祉目的税にするとか、いろいろな話があっていますので、ちょっと今なかなかさわりにくいところかなという感じがいたします。

 いずれにいたしましても、税源移譲というものを具体的に進めていって、分権社会と言われましたか、地域主権の社会の中にあって、やはり基盤となります地方がある程度自分の財源を持っていくというのは、分権して自立していくためには絶対条件だと思いますので、そういった意味では、地方税の体系というものの構築をきちんとやっていかなきゃならぬものだと思っております。

若泉委員 終わらせていただきたいと思いますが、きょう何度か、大臣は、市町村の長の能力の差があるとか、そういうことをおっしゃいましたが、そういった市町村長には立派に地域を経営している方も多いと思います。そうでない町は確かに寂れるかもしれません。しかしながら、一番お願いしたいと思いますのは、これは要望で終わりますが、市町村が競争できるように、その条件をそろえてほしい、すなわち権限と財源を渡してほしい、そして、歳入は減るとしても、その方向性をはっきりしておく、これが今一番市町村長が望んでいることだ、このように私は考えております。

 これまでにしておきますが、地方が安心して行政ができるようにという観点から、今後も質問を続けたいと思いますが、大臣、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。一年ぶりの総務委員会で、二期目初めての質問をさせていただきます。

 質問に入ります前に、定足数が、今多分やっと足りていると思うのですが、本来、与党の皆さんが御出席をされて、定足数をきちんと十分に満たすというのがまさに責任与党の役割だと思います。

 佐田委員長におかれましては、私は、副大臣のころ、本当に失礼かと思うようなたび重なる、信書の定義についての質問をさせていただいたにもかかわらず、真摯に誠実にお答えをしていただきまして、そして信書の定義を厳密化していただきました。

 まさに委員長は総務部門全般に深い見識を持っていらっしゃる委員長だと私は認識しておりますので、委員会運営におかれましても、与党に対する強い指導力を発揮していただきたいと思います。

 また、麻生大臣におかれましては、あの片山大臣、余人をもってかえがたいと言われ、森政権の後、小泉政権を引き継がれた大臣でございましたが、その大臣の後の大臣でございます。どういった御答弁をなさるのかなと聞いておりましたところ、いやいやどうして、片山前大臣にまさるとも劣らない大臣だと本当に実感しているところでございます。

 その名委員長のもとに麻生大臣に御質問させていただくことを本当に光栄に思っておりまして、質問を始めさせていただきたいと思います。

 まず、七割問題といいますか、地方の歳出に対して国が義務づけている部分が約七割あるという問題から質問させていただきたいと思います。

 ここに、総務省が私たちに説明をするときに配っていらっしゃる「地方財政計画の歳出の分析」というペーパーがあります。皆さんのお手元にはないんですけれども、そのペーパーを実は何で出してきたかというと、二年前に片山大臣に同じペーパーを出して質問をさせていただいておるんです。

 多くの部分の地方の歳出が国によって決められているということになっておりまして、これが七割ということですねと私がお聞きしました。平成十四年、二〇〇二年三月五日、総務委員会での質疑でございます。片山大臣はこのようにおっしゃっております。

  ざっと集計すると七割、こういうことでございまして、国が法律なり政令なりあるいは省令等で決めているもの、あるいは通達で決めているもの、あるいは補助金を出して拘束しているもの、そういうものを入れますと、地方団体の収支の七割は国の影響下にある、こういうふうに我々は考えております。

とおっしゃっておりました。

 そして、私が、七割という数字は多いでしょうか、少ないとお考えでしょうか、そういったことをお尋ねしたところ、片山大臣は、

  私は多いと思いますね、多いと思います。

  だから、やはりそれは、国と地方が協力してやる仕事はたくさんありますけれども、この七割はもう少し少なくてもいいんではなかろうか。そういうことで、地方分権一括推進法だとか、機関委任事務をなくするとか、関与を縮めるとか、いろいろなことをやってまいったわけでございまして、そういう意味では、端的に七割は多いか少ないかと言われると、私は、まだ多い、こう考えております。

とおっしゃっております。

 そして、私がさらに、この七割の部分をいかに少なくしていくんでしょうか、スケジュールについてお尋ねをいたしました。そうすると、片山大臣はこのようにお答えになりました。

  地方分権一括推進法が一昨年の四月から施行になりまして、その後どうするかということを地方分権改革推進会議がいろいろアフターケアを含めて現在御議論いただいておりますので、一定の御提言か御報告はいただけるんじゃなかろうか、こう思っております。

  私は、今、経済財政諮問会議なんかで言っておりますのは、できるだけ国庫補助金をなくしていく、零細、少額なものや地域の事業と一体になっているようなものはやめていく、そういうものを、特定財源じゃなくて、税か交付税か一般財源で交付してほしい。これによって、相当、七割の制約が減ってくるわけですよね。そういうことをお願いしておりますし、まだ残っております必置規制、国が指導して、これは必ず置けとか、このポストはどうだとか、そういう必置規制や関与についてもこれは縮減してもらう、こういうことを言っております。

このように片山大臣はおっしゃっているわけでございます。

 そして、同じ時期に、後で御紹介させていただきたいと思いますけれども、塩川財務大臣も、決算行政監視委員会第一分科会、平成十四年、二〇〇二年四月八日にこのようにお答えになっております。塩川財務大臣。

  近く、経済財政諮問会議それから政府税調等で、税制改正の問題が議論されます。私は、当然、そのときに国と地方との税の問題が出てくると思います。そしてまた同時に、税制改正の中で経済の活性化をどうするかということ、そうしたらまた一方において福祉財源をどうするかということが出てまいります。そういうのを見ましたら、負担の問題、これとまた負担の分け合い、役割分担、こういうのが出てくると思いますので、そういう機会を見て、今言っているような問題を提起してみたいと思っています。

このように塩川財務大臣もおっしゃっているところでございます。

 そこで、改めて麻生大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 この七割が、地方の歳出の七割に国の関与がある、国の影響力のもとにある。これをいかに縮めていくかということが三位一体のもう一つの目的と申しますか、三位一体は金の問題ですが、この七割の問題というのは権限の問題です。こういった問題はコインの裏表のような関係にありますから、同時にやらないと、結局、基本方針二〇〇三が示しておりますような地方の自由度を高めるということは実行できないのじゃないかと私は思いますが、この七割の問題、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 佐田先生と違って余り紳士的じゃありませんので、表現等々が、佐田先生ほど辛抱強くもないし、品もよくないということをあらかじめお断りしておかないと、あなたは全然違うじゃないかと言われると困るので、あらかじめお断りをしておきます。

 まず最初に、七割の話が出ておりましたけれども、基本的には、教育、公共事業、福祉、この三つの占める率が多分高い。多分、七割を占めるうちの大半がこの三つなんだと思います。この三つの比率がある程度下がってこない限りはいわゆる三位一体の話に出てくるところもいかぬのじゃないか、これはコインの裏表ではないかと言われるのは、まさに正鵠を得ているというとちょっと褒め過ぎかどうか知りませんけれども、少なくとも二十兆の補助金のうち半分がいわゆる福祉ですから。そして義務教育国庫補助負担金等々が約二兆九千億、約三兆円。公共事業が約五兆前後ということになりますので、やはりそういった意味では、補助金の中を見ましてもその三つが非常に大きなウエートを占めておることは間違いありません。

 そこで、今回の場合、今、福祉の一環であります保育園の話が出、また義務教育、取り急ぎまずは退職引当金だけでいきましたけれども、一応今言われた方向で事は、少しずつではありますけれども、確実にその方向に踏み出しつつある。しかも、それを裏づけるものとして、基幹税をもってそれに充てるというところまでは来たというような感じがいたしております。

中村(哲)委員 これから取り組みをされるということなんですけれども、どの補助金を選ぶのかというときに、国の関与をできるだけ下げていくための補助金を選ぶという視点が必要なんじゃないかなと思うんですね。

 つまり、今、公立保育所の運営費、または義務教育の国庫負担金、その一部が廃止をされて所得譲与税や税源移譲予定特例交付金という形で今回税源移譲されるわけですけれども、内容的に見たときに、地方の側から見たら、地方の自主性が必ずしも促進されるような、また自由度が増すようなものではないわけです。多分、地方の不満からすれば、義務教育の国庫負担金や公立保育所の運営費というようなものではなくて、もっと違うものがあるんじゃないか、地方の自由度を増すようなそういった補助金があるんじゃないか、そっちを先に廃止して税源移譲してくださいよ、そういった要望があると私は思うんですね。

 だから、そのときに、先ほど三位一体の改革、四兆円の改革、これも非常に重要なんですけれども、この四兆を選ぶときの基準として、こういった図を見ながら、この網の部分を薄めていくとか減らしていくとか、そういった観点で、自由度を増すような、そういった補助金を選んでいく必要があるんじゃないですか、そういうことを申し上げているわけでございます。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 おっしゃっている意味はよくわかります。

 具体的に、今言われたような観点から今回の一兆円を考えたかというと、違うと思います。本当にいきなりぼんと一兆と出てきたものだから、とにかくしゃにむに一兆を合わせないかぬということになったのが正直なところですよ、多分。ですからいきなり生活保護なんというようなとてつもないものが出てきたわけです。だから、そういったのはだめといって総務省としてはそれはけったわけで、結果的に保育園ということになったんです。

 あの話につきましても、やはり、一応保育園の場合には公立だけにしてありますので、それが、御存じのようにいっぱい枠がかかっておりますね、遊び場はこれだけなきゃだめだとか、何とかがなきゃだめだとか、二十人以上じゃなきゃだめだとか、調理室がなきゃと。ああいったようなものがないのにも補助金をつけますということにすれば、基本的には無認可にも補助金がつけばやることは同じということになって、結果的にはそれが認可する方向へいってもらえれば、それはそれでもう一つの考え方だとは思うんです。

 そういった意味で、自由度が増すようにしてやった方がいいというのはもう間違いない。私もその点はそう思います。自由度が増すところからいくというと、どれでいくかなというのがちょっと正直なところで、特に福祉関係のこの十兆円のところが、どれからというのがよく見えないところでして、今その答えを持っているわけではありませんが、その優先順位はそこから考えるべきというのは一つの視点だと思います。

中村(哲)委員 真摯に誠実にお答えをしていただいていると思います。本当にありがとうございます。

 さらに質問を続けさせていただきたいと思います。

 臨時財政対策債の話に移らせていただきますが、臨時財政対策債、これは、三年前に片山大臣が三年に区切る理由をおっしゃっております。平成十三年、二〇〇一年二月二十七日、総務委員会での質疑です。武正公一委員、我が党の衆議院議員でございますが、武正委員の質問にこのように答えていらっしゃいます。

  昨年末の、そのときは大蔵大臣でございましたけれども、宮澤大蔵大臣との折衝では、とりあえず三年間この方式でやってみよう。我々の思いは、三年たてば景気がきっちり自律的な回復軌道に乗る、その際は、国と地方の事務や権限の再配分に伴う地方税財源のあり方について、国と地方の配分のあり方についてしっかりした議論ができるのではなかろうか。それまでのつなぎということもありませんが、それまでの間の方式としてこれを採用しよう、そこで大蔵省とも我々の方とも意見が一致したわけでありまして、私は、三年後はこの方式を続けるのではなくて、できれば新たな方式というのがあるのかな、こう思っております。

このように片山大臣はおっしゃっているわけでございます。

 だから、本当は、この臨時財政対策債、赤字地方債のスキームというのは今回はもうやめにしておかなくちゃいけなかったわけです。だけれども三年間延長した。そうなると、地方の側から見ると、三年間延長した、三年たったらまた三年延長するのかな、どういう制度になるのかわからない。

 ここで麻生大臣にお聞きしたいのですが、なぜ三年延長したんでしょうか。これからも、三年後もこのまま三年ずつ延長していくんじゃないですか。そこはどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今回、片山さんにしては、ちょうど三年たってやめておいてよかったな、中村さんの質問を受けずに済むなと多分思っておられるんじゃないかと思いつつ今この質問を受けますけれども、基本的にはやはり足らなかった、地方税が思ったより伸びなかった。これが特に去年は二兆ぐらい減っていますから、その意味ではこれは延ばさざるを得ぬことになったというのが正直なところだと思うんですね。

 基本的には、本来はこれは交付税になるべきところが、もう交付税はこれ以上出せないということになって、折半というような形のこういった臨時財政対策債というので補ったということなんだと思いますが、地方交付税法の第六条三の二でしたっけ、あそこの話と同じような話なんだと思います。

 これは、今回やらせていただきますときには、交付税率の引き上げを含めて局長あたりと随分議論をしたところではあるんですが、やはり基本的には地方税が思ったほど伸びなかった。来年も、どう考えても微増ではあっても増にはいかぬ。再来年またどうかわかりませんけれども、一応微増ぐらいまでしかいかなかったものですから、十兆円ぐらいのものがどうしても足らぬということになったのが一番のあれだと思います。

 今回はこのようなことになったんですが、これが三年後どうなるかと言われると、中村さん、そのころ私も総務大臣なんかやっていないように願いたいなと思っていますけれども、正直なところを言って、景気というものが少しは形が出てきていますので、地方税収というのは今よりは少し上がっているかなという感じはします。では、これをやめられるかというと、今私がやめますなんと言うと、三年後総務大臣をする人がまた迷惑することになっちゃいかぬのでうかつなことは言えぬのですけれども、交付税でどんどんどんどんやっていきますと後膨らみますので、少なくともこれは半分ずつにしてもらうということで、一応隠れ借金と。別に隠しているわけじゃないけれども、マスコミが隠れ借金なんと言うものだから、いや、隠しているわけじゃないんだといって、あのような形で半分にしたという経緯があります。その意味では、地方の方も一応見える形になっているというところが一つの形として言えます。

 これをどうするかというのは、今言えと言われても、ちょっと今のこの段階で明言できるということには至っておりませんが、取り急ぎ、今の段階としては、交付税はふやせない、隠れ借金と言われないようにするためにはということで、今回は三年間の延長ということで踏み切ったというところが正直なところです。

中村(哲)委員 しつこくて申しわけないんですけれども、片山大臣が三年にした理由というのは、三年たてば景気がきっちり自律的な回復軌道に乗るというような希望的観測も含めて三年だということをおっしゃったんですね。私はその後、景気は本当に回復するんですかみたいな話を議論していたんですけれども、そのときに挙げられていたのが、IT関係でかなり景気が回復するんじゃないかということをおっしゃっていたんです。

 IT関係といえば、昨今、デジタル家電が非常に急激に伸びておりますので、そういった意味も含めて、かなりその部分で景気が回復してきつつあるという認識も多分お持ちだと思うんですね。そうすると、片山大臣が三年前におっしゃっていたようなそういった環境は今日ある意味で整いつつあるんじゃないか、片山大臣がおっしゃっていたようなIT関係で景気が回復しつつあるという今日においては。しかし、地方税が伸びない、また国税五税の方も伸びない。

 そもそも、景気が回復すれば議論するとか、三年たてば景気がきっちりと自律的回復軌道に乗るということを前提として三年と決めていたのがおかしかったんじゃないかと思うんですよね。だから、そこがポイントなんですよ。今の大臣の御答弁によると、三年後何を基準にこれを見直すのか、どういった状況になればこの臨財債折半ルールというのを見直していくのかということの基準がないわけなんです。

 ちょっと厳しい質問だと思うんですけれども、ここについて一言御答弁をお願いいたします。

麻生国務大臣 なかなか答弁のしにくいところだと思いますけれども、いわゆる景気の状況というのは非常に大きな要素です、やはり地方税というものが入ってきますので。

 それから、地方の財源不足というものに関しましても、少なくともいろいろなところである程度スリム化が進んだり、不要不急というとまた語弊があるか、何となく今の単独事業を少し見直してもらうとか、いろいろな形で、国も入れて、国と地方の財政状況というものをある程度勘案した上での話なんだと思いますけれども、しかるべき補てんルールというのはある程度やっていかないかぬというのは、合併なんか進んで、地方交付税が要らなくなるところが出てくるかもしらぬ、それから逆に、三千百が半分に減って仮に千五、六百になったとしても、それらのところでどれくらいのものがバランスし、そのままやってもやはりだめというところもあるんだと思いますので、やはりある程度、交付税というバッファーの役をしますものは今後とも必要で、みんなはやめろやめろと言うけれども、これはやはりなくすわけにいかぬだろう、僕はそう思っています。

 これは必要なものだと思いますので、人口割ですぐ単純にやれというのは都会派の方はみんな言うけれども、私ちょっとこれは問題だなという感じがします。そういう意味では、これはある程度維持していくにしても、やみくもにいくわけにいかぬから、おたくも借金ちゃんとしているのよということをある程度自覚してもらうためにも、半分は持ってくださいよというのが一つの方法だとは思っておるんです。

 ただ、では、全部交付税をやめてこれにしろとか、また交付税だけにしてこっちはやめろとかいうようなものかねというのもちょっと正直今のところわからぬところなので、こっちにしますとかいつやめるというのは、ちょっと今の段階で答え切るというわけにはいかないのが正直なところです。

中村(哲)委員 今大臣がおっしゃったことは、私も同じ気持ちなんです。ただ、片山大臣がおっしゃっているような、「できれば新たな方式というのがあるのかな、こう思っております。」とおっしゃっている、その新しい方式というのをやはり考えていかないといけない時期に入っていることも間違いないわけです。

 また、あわせて考えれば、ことし、なぜ交付税率の引き上げをしなかったのか。国税五税の、今一定割合で十一兆余りですか、ことしの交付税の法定率分というのは十一兆千五百六十億円ですけれども、このパーセンテージを上げるという議論も本来ならしなくちゃいけなかったと思うんです。

 この二つの点。新たな方式というのはどういうものがあるのか。今は想定できないというなら、それでも結構です。それから、ことし、なぜ交付税の法定率分を上げることを考えなかったのか。その二点についてお答えください。

麻生国務大臣 一応、地方には三年間と言ってありますので、そこのところはそれぞれやはり考えてもらわなきゃいかぬところなんだと思うんですが、今すぐ新しい方式というのはどの方式かというのは、これはいろいろな人がいろんなことを言うんですけれども、今この段階でこんなことを考えていますと言うと、それが答えみたいになるとちょっとぐあいが悪いところもありますので、もう少しこれは煮詰まってこないと、今の中村先生の質問に対してぽっとこれを言えないのが正直なところなんです。

 やはり、景気が安定してくるというのは非常に大きな要素なんですよ。みんなすぐ、この間、余り経済をわかっておらぬ人が実質成長率が七%とかなんとか言うけれども、世の中実質で回っているわけじゃありませんからね。世の中名目で回っておるんですから、名目成長率で少なくともあなた二%ぐらい伸びてもらわぬと、何となく伸びているという気にはなりませんから。だから、名目成長率で二%台というものが、ある程度、数年続きまして、初めて何となくみんなそういうことになってくるというと、またその状況で少し感じも違うでしょうし、景気もそれだけ伸びてくれば、いわゆる年金の部分だって、一八%だ何だかんだいうのも、だって、経済がさらに成長すれば、その分は一五%とか一六%になってもおかしくない数字になりますので、これはちょっと、要素がまだよくわからぬところなんですが。今みんな、もうデフレ、デフレ、デフレで、デフレ不況という前提になっていますが、インフレで不況があったのと同じように、デフレでも好況があり得ますので、そういった意味では、今の状況を前提にして考えると、何となくお先真っ暗みたいな予想しか立て切らないことになっちゃうんです。少し状況が変わってくると、また雲も少し晴れてくるかなという、おまえ、それは希望的観測に過ぎるぞと言われればそうなのかもしれませんけれども、いろんな経済の要素というのを無視してはこの種の話は考えられぬというのが私の今考えておるところです。

中村(哲)委員 今、名目成長二%が数年続けばというようなことも一つの基準だとお示しになりました。

 私、もう一点質問しておりまして、ことし国税五税のうちの法定率分を上げる検討をしなかったのはなぜなのかということについて、答弁が漏れておりましたので、お答えください。

山口副大臣 私の方から御答弁をさせていただきたいと思います。

 もう中村先生御指摘のとおり、もとより、いわゆる特例地方債に依存しない財源措置が望ましいというふうなことでありまして、特に、この交付税率の引き上げというのは、やはり是が非でもやっていきたいというふうな思いはあったわけなんですが、この交付税率の引き上げも含めて、実は、財政当局と相当議論をいたしました。結局は、国、地方折半の考えのもとに、国負担分は一般会計加算によって、地方負担分は特例地方債の発行で補てんというふうなことになってしまったわけでありますが、もうこれも御案内のとおり、結局は、現在の国の財政状況では、暫定的であれ、交付税率の引き上げは大変困難であり、今回の補てん措置もやむを得ないというふうなことになってしまったわけでございます。

 今後とも、そうした種々の状況を踏まえながら、適切な地方財政対策を是が非でも講じていきたいと思っております。

中村(哲)委員 山口副大臣におかれましては、もっと強く財政当局と、財務省と折衝に当たっていただきたいと思います。

 それで、時間も本当になくなってきましたから、順番を変えまして、そういったことを考えておりますと、やはり特会のあり方についてもちょっと考えをめぐらさないといけないと思うんですね。

 今、私、特会と言いましたけれども、交付税特別会計のこれから地方が負担すべき三十三兆円、これをどこが負担するのかという問題があります。今、折半ルールで隠れていますけれども、本来ならば、交付税を受けている団体が、交付税はこれぐらいにしておきますよ、そして余った分で返しますよというのが、いわゆる交付税特別会計の三十三兆円の部分なんです。このままいきますと、折半ルールも見直すことができない。それだったら、この三十三兆円というのは、もうずっと塩漬けになる可能性があるわけですよね。

 そうなら、もう今の時期から、この三十三兆円を将来どうするのか、そういうことを考えていかないといけないわけですよ。ある意味、もう国債を発行してチャラにするとか。というのは、交付税をもらう団体というのは非常に財政的に弱い団体ですから、そういったところに負担させていいのかどうかという議論もあるでしょう。いろいろな考え方があると思います。私が言ったのは一つの考え方です。極端な考え方かもしれません。一つの考え方ですけれども、そういったことを考えながら、三十三兆円、この特会の地方負担分をどのようにしていくのか、どこが責任を持っていくのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今言われましたように、約三十二兆八千億、三十三兆円の金をどうやってという話は、基本的なことを言えば、非常にはっきりしていまして、常識的なところしか返ってこないんで、今の徳政令みたい話はなかなか難しいところだと思うんですね。

 やはりこれは、いわゆる構造改革という形のものが進んで、経済もある程度活性化してきて、地方税がふえてきてというところで一つ。そして、地方自治体自体もスリム化して、いろんな形でやっていったというのが一つで、早い話が行財政のギャップを少し埋めていくというような、極めて常識的なところで少しずつではあっても確実に埋めていくという以外に、今の段階で申し上げられることはそれしか答えがないんです。ついこの間まではバランスしていたんですから、その意味では、そんなにまた急に、これがずっと続くというような話じゃないんじゃないのかという感じがしますので、私どもとしては、決して悲観せず、希望を持ってやっていかないかぬと思っております。

中村(哲)委員 時間がまいりましたので、このあたりにしますけれども、特会の借り入れというのは、どんどん膨らんできたんですよね。毎年毎年、折半ルールでも臨財債を発行というのはなくすことができないという状況にありますから、そこを考えて、本当に、国会議員また政府としてこの問題に取り組んでいかなくちゃいけないし、皆さんには取り組んでいただきたいと思います。

 こういった形でこれから質問をずっと続けていきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、松崎公昭君。

松崎(公)委員 民主党の松崎公昭でございます。

 二月の十九日に代表質問をさせていただきまして、きょうが民主党の私が最後ということで、私はこの委員会にずっといたんでありますけれども、今回の大臣との論戦も含めて、どうもこの国は、もうにっちもさっちもいかないなというところに来ているということは確かだと思うんですね。

 それで、先ほど答弁の中で大臣も、私も同じなんですね、中央集権体制の明治以来この国がある程度しっかりでき上がった、そういうことは認めますけれども、それが、昭和のこの最近の四十年代までの高度成長が終わって、一定の力を持った国が、先ほど大臣もちょっとおっしゃっていましたが、やはり、地方がもう少し自分の意思で自分たちの地域を治めていく、そういう社会構造にしなきゃいけないところ、残念ながら、余りにも大き過ぎる中央集権体制が自分からはなかなか壊すことができない。

 そこで、私は実はこの委員会でずっと質問してきましたけれども、先ほども出ていました、宮澤さんも、その前の野田自治大臣もそうですね、財源移転のことはわかってはきていたんです。ところが、やはり景気がよくならなければやらない、そういう話で来ました。

 そこからいきますと、小泉さんが出てきて、今景気が悪くても財源移転を始めたということは、もちろん評価は一定程度しているんですよ。ですから、ある意味ではかなり、民主党は最初だまされまして、頑張れみたいな雰囲気がありましたけれども。今になりますと、もう道路の問題も、まあ郵政はこれからですけれども、大体おさまるところにおさまっちゃうんじゃないか、私は公社のままいっちゃうんじゃないかと思います。

 そういう、ほとんどの改革が残念ながら後退せざるを得ないのは、この分権の問題も私はそうかなと。一兆円の突然に出てきたお話で、やや期待は持ったんですけれども、相変わらず四千五百億しか実際には財源移転できていない。そういうことで、このままでいくと、まだ四兆の先も見えないし、その四兆のうちの三兆が、前の片山さんは一兆五千億ずつ二年間でやるんだと言っておりますけれども、私は、それも大変厳しいだろう、そういうふうに思っています。

 大体、もともとは、国が今年度で大体八十一兆ですか、それで地方が八十四ですから、ほぼ同じような規模の中で、地方税が、この地財計画八十四のうち三八%ぐらいしかないわけですね。だから、三分の一ぐらいしかない自前のお金の中で、国からいろいろもらいながらやってきたわけですから、どうしても中央政府の支配からなかなか抜けられないのは、これは当たり前なんですね。

 それをやるのはやはり財源なんですよね。分権推進委員会ですか、最初は、あれも財源までやろうと思いましたけれども、財源まで踏み込めなくて、そして、今始まっています分権改革推進会議、ここでようやく財源の問題も取り上げてきて、今回、こういうふうになってきた。

 それはわかるんですけれども、土台が、地方がお金が少ないところへ国からもらう体質ががっちり明治以来できちゃっていて、それを自由にある程度力強くさせるには、もう本当に財源の移転しかないことはわかっているんですね。だから、期待をしておりました。

 それで、四兆というところが出ました。御質問も、実は、何で四兆なのかなというふうに思うので、これも聞きたいんですけれども、それよりも、やはり分権のあるべき姿というものを、自民党でもいいですよ、今のままでいってどういうふうな国の形にするかというのが、いろいろ断片的に、先ほどから大臣の端々には、こういう形、こういう形と出ていますから、つなぎ合わせると何となくわかるのかもしれませんけれども、やはり政府として、先ほど言った、こういう形で財源をしっかりこうやって、地方にこれだけの権限を持たせて、これだけ中央政府は本当に小さくするよと、言葉じゃなくて、もっときちんとした図を出してもらいたい。

 先ほどから断片的に出ていますから、それをつなぎ合わせて、大臣の、分権というものの、おぼろげながらのきちっとした形を見せていただきたい。

麻生国務大臣 多分、江戸二百七十年間、あれは地方分権と言えるんだと思うんですね。三百諸侯、地方分権。それで、それぞれのところでは、加賀に行けば百万石の加賀前田の文化があり、薩摩に行けば島津の文化があるというような形で、あれはやはり地方分権で、まあ、多分ある程度上納はしていたでしょうけれども、地域は地域で結構それなりに、密貿易を含めいろいろやっていた、島津を含めてみんなやっておるわけです。そういったところあたりで、やはり独立していたあの時代というのは、地域に文化が根差したということは間違いないんだと思うんですね。

 そういった意味で、どういうようなものがいいのか、おまえの考えている地方分権はどうかと言われると、これは国民の意識の問題もかなりあるんだと思いますが、総じて、地方でそこそこの、県とかいうのではなくて、人口二、三十万の市でえらく独立の意欲の強いところなんかを見ますと、おれのところはというのは、すごくよく見えてくるところなんです。

 お隣の県ですけれども、群馬県と栃木県とにまたがって、ここに群馬の人がいますけれども、まとまって両毛市なんというのをやろうとして、県をまたがって五市合併なんというのを考えて、どっちの県へ行くんですかと言ったら、条件のいい方に行くと言う。それぐらい言い切る市長さんというのが結構いらしたりするというのは一つのおもしろい流れかなと。

 正直、私、今、手が離れつつあるもので、少しずつみんな、これぐらいやって大丈夫かなと思っていろいろ出てきていますので、これはもう少し規制が離れてくれば、もっと、おれはこれもやるというのが出てこやせぬかなというのであって、こうすべきだとかいうのを言うのがそもそも間違い。大体、余り当たりませんので。

 そういった意味では、まあ流山なら流山、柏なら柏のところでどうするという話はもう少し考えていただかないかぬところなんでしょうが、問題は、先ほど言ったら、若泉先生に、ばか、もっとちゃんとした町長もいると言われましたけれども、あの方ぐらいちゃんとした人ばかりがいれば、それはそんなに苦労せぬのですけれども、私どものところを見ていると、いろいろお見えになりますけれども、そんな方ばかりでもないような気がします。

 ただ、基本的には、ずうっと何でもかんでも国がし過ぎてきた結果、何となく、困ったら国が後はやるべきだというような意識が根づいてしまったのではないか。

 おれはちゃんとあっちこっちくっつけて、集落排水やら合併槽やら何やらやったというのは、あの話は非常に参考になりましたけれども、ああいったようなのを含めて、本来だったら、合併浄化槽とあれとは所管する官庁が違うにもかかわらず、町のレベルできちんとやっておられたというようなことがある程度できてくるというのが、今やれるか、そういう意欲があったかといえば、そんなのは予算をつけませんよと言われたらそれでぱたっととまる、道路はこれだけ以上のものにしなかったら予算はつきませんよと言ったら必要もないのに道路を広げるということがあったことも、また事実だと思うんです。

 それに対して、ちょっと待てというのが、今、少しずつではありますけれども確実に出つつあるというところで、今どれくらいのものになればいいのかと言われると、ちょっとまだそこまで全体の絵がビジュアルのものとして浮かんできているわけではありません。

 間違いなく、中央官庁ばかりが強かったのが、少なくとも、東大出の、昔やたら勉強ができた人がみんな高文を通って役所に行く時代は終わった。かなり優秀な人たちが今行政官試験を受けなくなってきている、少なくとも、地方に行ってみたりなんかする人が結構出てきつつあるというのは一つの流れかなという感じはするんですけれども、まだいま一つ、これが答えだというものを持っているわけではありません。

松崎(公)委員 それはやはり、そろそろしっかり出さないといけないと思います。

 ただ、今大臣のおっしゃったように、若泉さんみたいにやる気のある人たちは、首長じゃなくても、住民も今は変わっていますよね。だから、やはりそれをどう生かすか。そこにつなげていくのを今邪魔しているのは、むしろ官僚体制なんですよね。

 私は、きょう初めて、今回の国会で麻生さんをずっと聞いていますけれども、やはり経営者感覚なんですよ、民間なんです。私も経営者の端くれですけれども。やはり民間感覚で、そして政治家、これに今求められているから、最近の国会は、我々の党は本当は役人から答えをもらう必要はないという立場なんですけれども、まだ一年生でなれていませんから、皆さん、役人さんが出てきちゃっていますけれども、やはり政治主導にしないとちゃんとした政治はできませんよ。

 ただ、役人さんは優秀ですよ。優秀だけれども、やはり、何か聞いてみると、一人一人いいところはあるんですけれども、役所の固まりになると何か違うムードになっちゃう、これはありますよね。

 だから、そこを壊すのが政治なんですよ、内閣なんですよ、政治家なんですよ。だから我々は、答弁は大臣か副大臣しかいただかないというのはそこにありますので、お願いしますね。

 それで、私はその点を麻生さんに期待をしているのは、今の役人体制を見ていて、この三位一体だって結局、一兆三百と言っていますけれども、あの中だって、まちづくり交付金千三百億なんというのはうまくごまかして、本当は九千億なんですね、移譲は。それで半分、五千五百億減らしちゃっている。

 ただ、自治体はやはり多分無知で、少し努力しろということでやっているんでしょうけれども、しかし全体を見ると、この前本会議で言いましたけれども、財源カットは三兆八千八百九十一億ですからね、いわゆる臨時財政対策債まで入れますと。しかも汚いのは、あなた、去年やった二千五十一億まで入れてことしの分なんて、汚いと思いませんか。本当は四千五百なのに六千幾つだって全部答弁している。

 こういうこそくなことをやってまでも一兆円をやるんだということを、これは役人さんなんですよ。だから、ここは政治家が頑張らなきゃいかぬということです。

 私は今それと同時に気の毒に思っているのは、多分、自民党さんに毎年陳情して、一生懸命補助金をもらっていた地域の、人口が少なくて産業もない首長さんたちが一番困っているんですね、一番削られていますから。

 だから、がんがんがんがん皆さん地域から文句が出て、地域再生事業債とか財政健全化債なんというのを無理やり、借金やめろよ、削りますよと三兆幾らも削っておいて、またこっちで足りないからというので借金をさせる、おかしいと思いませんか。

麻生国務大臣 基本的には今松崎先生おっしゃったとおりなんであって、そこらのところは、私たちも別にやりたいわけで八千億つくったわけではないんであって、どうしてもできないと言われるから、そこのところで、ではというので今再生事業債を八千億して、かつ、それもある程度柔軟なものに、柔構造にしたというのが正直なところで、これは借りずに頑張ったところの方がそれは立ち上がり早いですよ。借りちゃうと後に尾を引きますから。これは借金と同じことですから。

 そういった意味では、いろいろな形で、私どもとして、どうしても言われると何とかせないかぬという従来の思いも、地方に頼まれた、何とかしてやらぬといかぬぞという、内務省以来の長い感情論みたいなものでいけば、地方は何とかしてやらないかぬというのは確かにあるんです。あるんですけれども、何となくそれをやっていると延々とずっといくような形が起きるぞと言っておられるので、まさにそうだと、私自身もそれはそう思います。

 しかし、今猛烈な勢いで変わってきつつあるところなんで、それに対応し切れているようなところ、これを見越してある程度やってきたところと、そうじゃないところと、これは本当に人によって大分違う、長によって大分違うという感じがします。

 いずれにいたしましても、今言われたように、助けることないじゃないかというお気持ちは正直なところわからぬでもありませんけれども、ただ、あれを、もしなかったら今ごろもっとえらい騒ぎになっていただろうなという感じも正直なところです。

松崎(公)委員 地域再生事業債は一〇〇%見るんですよね。何か堂々めぐりしているんじゃないですかね。残るのはやったふりだけなんですよ。四兆円だ、一兆円削減した、やったふりがそのありさまということになるんですね。

 それで、四兆円まではいっているんですけれども、我が党は十九兆、かなり粗っぽいうちの案ですよ。でも、一括交付金という形でやると意思は出しているんですよ。四兆の先は、やりますか。二十兆に限りなく近づきますか。

麻生国務大臣 平成十八年度四兆いったらそれで終わりというわけにはいかぬと思うております。

 やはり、さらにいろいろなところで、その間、税源の移譲とか、いろいろなことを考えて、残り、ほかにもいろいろまた出てくるでしょうけれども、そういったものを含めて、補助金の削減というのは正しい方向、そして、その分は地方が自分で決めるという方向は決して間違っていない方向だと思っておりますので、四兆ぽっきりで終わりというようなことではないと思っております。

松崎(公)委員 国と地方のあり方を変えちゃうわけですから、当然もう大きな要素として、もちろん社会福祉関係、社会保障関係はこれはちょっと議論しなきゃいけません。我々も、どういうふうに割るか。つまり、全部それじゃ地方に任せちゃっていいのかというと、シビルミニマムとか、最低限のことは国がある程度見る。だから、私は個人的には、半分はやはり社会保障関係も地方に回すべきだ。

 前に大臣おっしゃった、我が福岡には寒冷地手当はありませんと言っていましたけれども、全く地域が違うんですから、福祉だってみんな違うんですから、その独自性はやらせる。しかし、最低限のものは全国一律でやらなきゃならないということで、我が方の案も少しその辺は手直しをしなきゃいけないんですけれども。

 その場合、四兆の先やるというお話ですけれども、既に地方自治体関係、全国知事会、指定都市、全国市長会、おおむね八、九兆削減を出していますよね。そして、移譲枠は七、八兆になっていますから、やはり彼らも削るところは削るという意思をあらわしているんですよね。だから、現場の方々がこういう数字を出しているんですから、いずれ四兆の先やりますじゃなくて、やはり具体的に、では社会保障をどうするかということも含めて、しっかり出すべきだと私は思っております。

 それで、私はもう一つ言いたかったのは、今回、予算編成時期に、昨年、二〇〇三年の六月から、選挙が終わってから一兆円出てきましたから、それは物理的に難しいのはわかるんですけれども、来年は一・五かどうかわかりませんが、二年で三兆、大体決まっているんですね。そうすると、この二〇〇四年の六月の諮問会議か何かで方針を出すのか。その辺、今回のように地方に大変な混乱を起こさせないように、せめて四兆の範囲の中でもしっかりと方針を示していかないと地方は大変混乱しますよね。その辺どうでしょうか。

麻生国務大臣 今回も、私どもの感覚からいったら、一昨年からこれは話が始まっておりますので、一昨年から、そして昨年も概算要求の段階で一応という感じが正直なところだと思っております。

 ただ、そう言われても、地方では全然通じておらぬところいっぱいあるぞ、あらかじめもう少し丁寧に、きちんと節目節目にはこういう流れとかいうのはもっと教えておかないかぬということなんだと思いますが、この点につきましては、私どもとしても、全体像をきちんとしながら、少なくとも十八年度までには三兆、二兆でやるか、一・五でやるか、一でやるか含めまして、こういう方向になりますよという方向で、全体像はできるだけ早くお知らせしたいと思っております。

松崎(公)委員 三位一体の中で、私は、交付税も入っていたので交付税制度改革が入っているのかなと思ったんですけれども、今回は交付税改革ですよね。要するに、交付税をやたら減らせ、補正係数だ何だといろいろ技術で減らしていった。要するに総枠でばあんと減らすというところから始まった。

 ただ、私は、この交付税制度というのは、将来我々がもし政権とっても財政調整は必要ですから、このような機能は絶対残さなきゃならないことはわかっているんですね。ただ、今の皆さんの改革からいっても、私は、交付税はこのままではなかなかうまくいけないだろう、ただお金だけを減らすだけでは、どうも交付税制度の改革にはならないなと。

 交付税制度の改革は出ていないんですが、交付税制度そのものはまだちょっとお答えは難しいかもしれません、これは国と地方のかかわりの形、お金の流れの形の全部に関係しますけれどもね。交付税制度そのものはやはり、例えば財政調整機能だけに特化するんだとか、そういう必要があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。

麻生国務大臣 おっしゃる意味はよくわかりますけれども、今言われましたように、交付税の財源保障、財源調整機能というのは、やはりこれは必要なんじゃないかなという感じはしますので、一本化できるかと言われれば、どうでしょう、ちょっと。今、交付金制度と交付税制度のあれを言われましたけれども、これはある程度よく首長さん方の話を伺ってみないといかぬところだと思いますが、これはやはり必要じゃないかなという感じが私自身はいたします。

松崎(公)委員 必要性はもちろん私は、これだけでこぼこの国ですから、都市部の税源の多いところと、それから過疎地の税源のないところ、これは財源移転して一気にいったって絶対うまくいかないですよ。だから当然、なるべく少なくして財政調整は必要だと思います。

 これはこの改革の本質論に行ってしまいますから、なかなか交付税制度だけ取り上げてみても意味がないんですけれども、ただ、私は、その辺の財政調整機能というのは、今の制度を進めていった場合に、つまり、四兆からどんどん、補助金、負担金の改革だけでも、そこから財源移転していけば当然出てまいります。

 それから、今総務省が考えている、政府が考えている地方制度そのものの中に、国の財源も、非常に厳しくしている交付税という形で位置していますから、だから、さっきから言っているように、この辺はやはり全体像をつくって、そこに交付税制度の財政調整機能もどうやって入れていくか、そういうことではないかと思います。

 先ほど社会保障の話をしましたけれども、十一・七兆なんですが、今回少し削ったところもありますけれども、これはなかなか難しいですよ。今後の地方制度と国との関係でどういうふうに扱っていくか。もちろん地方にも、社会保障は国の責任であるということで。ただ、私はそうじゃないと思っているんですけれどもね。

 今後の社会保障関係をどのように地方と国との役割分担の中で位置づけようとしているか、お考えがあれば。

麻生国務大臣 これは補助金のうちの約半分を占めますのはもう松崎先生御存じのとおりで、少なくとも、少子高齢化に伴って、医療の発達に伴って、いろいろな表現がありますけれども、社会福祉関係というのは一貫して、老人医療、いわゆる介護保険等々の話はずっと右肩上がりで伸びてきた。この十年間ぐらいでは最も顕著なところだと思いますので、これを今、今回の二十兆の補助金の中で半分を占めます社会保障関係のものをどうするかというところは、今言われたように、地方でもこのことは考えさせろということなんだと思うんです。

 これは、国と地方はどこまでやらないかぬのかという役割分担を、地方も、ちょっと待て、ここから先は国でやってくれ、こっちも、いや、ちょっと待て、そこまでという話で、多分両方とも押しつけ合って、結果的にどうにもならぬということになると一番ぐあいが悪いので、ここに手をつけるときには、よほど地方との話をきっちりしなきゃいかぬでしょうし、また、受けておられる高齢者の人たちの話もよく聞かないかぬところなんです。

 これは、今までは全く手つかずでと言っていいぐらいずっとここまで来ちゃっておりますので、この点につきましては、これをいよいよさわるときがいずれ来るんですが、そのときには、よくよく地方の話を伺って、かつ、受益、負担、両方の話になりますが、そこの点もよく聞いた上でやらぬと、これでいこうと思っておりますという話が今の段階で決まっているわけではございません。

松崎(公)委員 もう時間なんですけれども、一つだけ抜かしました。

 各地方自治体がやはり一番心配しているのは、先ほどちょっと触れましたけれども、これからの二年間でどれだけ、今回四千五百しか税源移譲していませんけれども、三兆のうち、どのくらいやりますか。今回みたいに、半分、全部カットしちゃうなんということを相変わらずやるんですか。

麻生国務大臣 基本的には、例えば教育費とかなんとかいう義務的経費というものにつきましては、これは全額ということになります。

 ただ、今回の中でも、約三千数百億の分につきましては、その分は少し削れるのではないか、公共事業関係等々につきましては、これは事業そのものがなくなるわけですから、その分に関しては税源の移譲ということは起きないんですが、義務的に、国としてもこれは義務としてということをはっきりしています分につきましては全額確保することになります。

松崎(公)委員 結局、今ちょっと気がついたんですけれども、税源移譲するということを言いながら、要は国の財政事情。地方財政計画そのものが国からも相当行っている、また借金で抱えている非常に複雑な、私、何年もやっていても、常に図面を見るだけで嫌になっちゃうくらいややこしいですよね。そういう複雑怪奇な中で、結局は国の財政をよくするためにぶった切っていく。必要のない公共事業なんか要らないんですけれどもね。そういう形ですね。そういう結論でよろしいんでしょうかね。

 やはり財政を立て直すというだけが一番の目的のように、あと二年たって小泉さんがやめちゃったら、恐らくこれは、私は、いつも四兆に置いたあれが、二年間で、その先はもうとまっちゃうんじゃないかなと。麻生大臣ができればそうじゃないかとも思いますけれども、どうでしょうか。

麻生国務大臣 どなたがおやりになるにしても、地方への流れ、地方分権、地域主権への流れというのは、これは流れは決まったという感じが、私自身はそう思うんです。

 これは、よく言えば、地域が競争する時代ですから、競争能力のない経営者のところはだめになりますよというのははっきりしているので、こんな人を選ぶんじゃなかったとか、こんなところに住んだのは間違いだったといって、町長をかえるか、もしくは自分が引っ越すか、いろいろなやり方はあるんだと思いますけれども、引っ越せない人のために政治というのはあるんですから、やはり、逃げ出せる人はさっさともっといいところに逃げていけばいい、そこに生涯住めばいいわけですけれども、逃げられない人のために政治というのはきちんとやらないかぬところだと思います。

 この種の話は、下手な話で、何となく政治による暴力ぐらいおっかないものはありませんので、その意味では、私ども、十分に考えて対応していかねばならぬと思っております。

松崎(公)委員 済みません。ヤフーのことを聞こうと思っていたら時間がなくなっちゃいました。

 委員長、ヤフーの問題をちょっと最後にと思ったんですが、時間がありませんので、できたらこの委員会でヤフー問題を取り上げていただいて、全然今の話と違いますので申しわけないんですけれども、孫さんを参考人として呼んでいただきたいなということを私から理事会でぜひお願いをしたいというふうに思っております。質問をする予定だったんですけれども。

佐田委員長 その件につきましては、後ほど理事会で協議をさせていただきたいと思います。

松崎(公)委員 どうもありがとうございました。

佐田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、きょうは地方税法について質問をしたいと思います。

 端的に、政府参考人の方にまず伺いますが、個人住民税の均等割の引き上げですね。今度、人口段階別の税率区分を廃止して、税率を市町村一律、年三千円に統一することということにするわけですが、税率区分を廃止する理由は何なのか、伺いたいと思います。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

麻生国務大臣 これは、よく御存じのところなんだと思いますが、歴史的に見まして、これは数字がいろいろあるんですが、昭和三十年度と平成十三年度といたしますと、均等割のいわゆる税率は約八倍ということになっているんですが、この間、一人当たりの国民所得は約四十倍に伸びておりますし、また、一人当たりの地方歳出は約六十倍ぐらいになっておるというのが実態でして、それに比べてこの均等割の税率は実に八倍と、極めて低い水準でもあります。

 また、均等割のいわゆる税収というものが個人住民税全体の税収の中に占める比率というのは、昭和二十五年は一八・三%だったものが平成十三年度では二・〇%という形で、九分の一ぐらいにおっこっておるという実態でもありますので、今回は、そういったところで、千円上げて約三千円という形にさせていただいて合わせたところというのがその背景なんです。

 二千円にしたらよかったんじゃないかと言われればそうなのかもしれませんけれども、段階が二千円、三千円、いろいろありましたので、そういった意味では、今回三千円で一律とさせていただいたのは、その背景は、ほかと比べて余りにもちょっと抑え過ぎてきたかなというのが率直な実感です。

吉井委員 なぜ三千円かの話はまた後ほど大臣とと思います。

 とりあえず、税率区分を廃止する、なぜ税率区分を廃止するのか、そこのところを先に政府参考人の方に伺っておきたいと思うんです。

板倉政府参考人 御指摘のとおり、市町村民税の均等割につきましては、人口段階に応じまして二千円から二千五百円、三千円と、三段階の税率区分が設けられておりました。

 しかしながら、この特例は、恐らく戦後早い時期に、市町村におきます行政サービスの程度にいろいろ違いがあるというようなことがベースになりまして設けられた差ではないかというふうに考えておるわけでございますけれども、現状におきましては、大都市、都市、町村、それぞれ一定のサービス水準が確保されておりまして、ほとんどもうその差はないというようなことがございまして、二千円と二千五百円を三千円に統一するということにいたしたわけでございます。

吉井委員 政府参考人にもう一遍そこのところを伺っておきますけれども、税調答申の方ですね。これで「市町村の行政サービスは人口規模別に見ても格差がなくなってきており、」と、今おっしゃったことですね。

 つまり、総務省の方はかなり税調答申の方に引っ張られてしまって、行政サービスの水準というのは人口規模別に格差はなくなったという、税調の言っておるのと同じように、総務省の方もそういうふうに見てはるんかいなということになるので、先に政府参考人の方にその点伺っておきます。

板倉政府参考人 ただいま御答弁申し上げたとおりでございまして、そういうような考え方でございます。

吉井委員 そこで、ちょっと大臣にも確認しておきたいんですが、市町村といいましてもこれは数は三千を超えるわけですし、人口規模は、大体二百人前後の東京の青ケ島村もあれば、愛知県の富山村とか、それから私なんか大阪ですが、二百万、三百万の大阪とか横浜とかあるわけですね。ですから、人口規模の比較だけで見ても一万倍以上格差はあるわけですが、行政水準において、本当にこの行政水準に格差がなくなったというふうに大臣も見ておられるのかどうか、これをちょっと聞いておきたいんです。

麻生国務大臣 大阪と青ケ島とに地域差があるのは、これはもう当然なんだと思います。

 ただ、行政サービスというのは、最低限のところに関しましては、一応少なくとも、まあ電話が、水道が何とかとか、具体的なものはいろいろあるんだと思いますが、そういった意味では、最低限のところでは大体、昔とは違ってそこそこのものはそろったんではないかということで、上の方へいけばまたいろいろあると思いますが、最低限のところではそろったというのが、この三千円に統一しようとしている背景と存じます。

吉井委員 ですから、最低限のところは同じだという話と、上の方は違いがあるということを、うまいぐあいに中をとったようなお話もされるんですが、総務省の方がこの間進めてきていることというのは、その前提というのは、行政水準にあるいは住民サービスの提供に格差がある、これが総務省の考え方ですね。だから、市町村合併を進めさせるということも、三千以上ある現実の市町村の間には行政水準の面でも住民サービスの面でも差がある、だから合併をしなさいと。

 つまり、均等割の話は差がないという話なんですが、現実には行政水準に差があるから合併を促進させる、こういう立場に立っているんじゃないですか。

麻生国務大臣 間違いなく差があると存じますけれども、少なくとも最低限のところではそこそこそろったのであって、上の方へ行けばまだ差があることは確かだと存じますが、重ねて申し上げますけれども、少なくとも最低限のところはほぼそろったというところまでは今申し上げられるんじゃないのかと思っております。

吉井委員 最低限のところはともかくとして、要するに、差があるということは認めてはるわけですよ。だから、行政水準に格差が存在するということを前提にして、例えば地方自治体合併でも、合併後の人口規模も五段階、五つの類型を示して、それで合併をしていきなさいと。これは、あくまでも行政水準に差があることを前提にして今始まっているわけですよね。

 ですから、この点では都合のよい使い分けといいますか、つまり、増税をするときには、格差がなくなったから、もう区分を廃止して全国一律に引き上げるんだ。しかし一方、住民サービスや行政水準には、そっちは格差があるんだ、だから、より高い住民サービス、行政水準確保のために合併しなさいということを今市町村合併の方ではやっているわけですから、総務省の見解というのは、認識というのは一体どっちの方なんだと。大臣にこの点を伺っておきたいんですよ。

板倉政府参考人 住民税均等割でございますけれども、これは年額で二千円と二千五百円と三千円、こういうことになっておりまして、現在の状況を見ますと、先ほど大臣から御答弁いたしましたとおり、この税率、二千円、二千五百円、三千円という差をつけるほどのサービス水準のあれはないのではないか、こういうふうに私どもは考えたわけでございます。

吉井委員 要するに、人口段階別の税率区分を廃して全国一律だ、こっちの方は行政水準に差がなくなってきているんだという話なんですよ。しかし、同じ総務省が、一方では町村合併をやりなさい、これを言うときには、行政水準に格差がある、だから合併を通じて進めるためだということを言っているんですから、これはどっちの見解かということは本来はっきりしておかなきゃいけないんですね。

 増税するときには行政水準に差がない、増税の話を離れて合併の話になったら差があるんだ、どっちなんだと。単純な話なんですね。これはちょっと大臣に聞いておきましょうか。

麻生国務大臣 よりよいサービスを求めて合併する話と最低限の話とを一緒にはとても、次元が違う話なので。最低限はほぼ行き渡ったというので、少なくとも二千円と五百円の差で三つも段階をつけるというほどの差があるかと言われると、そこのところは、ほぼ最低限のところはいったのではないか。無灯部落もほとんどございませんし、そういった意味では、今申し上げたような、最低限の話とよりよいサービスの話とは少し次元の違うところだと存じます。

吉井委員 それはうまく次元の話を使い分けして、一番のねらいはやはり増税にあるというところが一番の問題だと思います。

 最初、大臣も少しお答えになられかけたところなんですが、なぜ年三千円なのか、この話ですね。

 今年度の実績を見ますと、市町村民税の個人均等割の標準税率を採用している市町村数は三千百六十五団体、うち税率二千円の団体が二千七百二十四団体で全体の八六%ですよ。税率二千五百円の団体が四百十八団体、全体の一三%。

 つまり、地方団体の数からいったら、比率からいったら、九九%が引き上げということになるんですね。八六%の団体で見ますと、これは二千円が三千円へと一・五倍、つまり一・五倍の増税を求めていくということになります。率として一・五倍、五割増しですから大きいものですが、しかも、一般的に所得が少ないと言われる小規模自治体の住民に負担が集中してくるんですね。

 一方で、昨年、法人事業税の外形標準課税の導入の際には、こっちは税収中立だという議論だったんですよ。つまり、外形標準課税が施行される最初の年に、担税力のある大きな企業に対しては新たな軽減措置をとりましょうと。

 これは大臣、政府の進めているやり方というのは、担税力のある大企業には減税で税収中立だ、その一方で所得の少ない人からは税金を取って、こっちは恒久増税になってくる。政府の考え方というのはそういうところにあるんですか。

板倉政府参考人 このたび均等割の税率を三千円の方に合わせるということでお願いをしているわけでございますけれども、あくまで、これまで団体の規模別に二千円、二千五百円、三千円という差があったのを統一しようというのが一つでございます。

 その場合、真ん中の二千五百円に合わせるという考え方もあるんではないかとか、いろいろ議論はあろうかと思います。しかしながら、現状を見ますと、国、地方ともに大変な財政難といいましょうか財政危機を迎えておるわけでございまして、ここはやはり、そういう状況の中であえて三千円の方を下げるという選択肢は、私どもはないのではないかというふうに考えた次第でございます。

吉井委員 今私が聞いておりますのは、担税力のある方には昨年の外形標準課税のときに減税をやって税収中立、しかし一方、所得の少ない人からは税金を均等割、これは引き上げる方ですね、そっちの方はこれは恒久増税でやっていくわけです。

 これが政府の考え方としてその方向ですかということを大臣に伺っておりますので、ちょっと政府参考人の話は次に聞こうかなと思ったことを先にしゃべってはるんですが、そこのところがちょっと違うんですよ。大臣、どうですか。

麻生国務大臣 多分、今するお話も先ほどの答えとほぼ基本的には同じなんだと思いますが、今、市町村の数で言われましたけれども、住んでおります人口でいきますと、大体、人口五万以上のところ、市のところで約六十数%が全体の人口に占める比率だと存じますので、三千円既に負担しておられる方というのは数はそれだけいらっしゃるというのがまずポイント。人口比が九十何%になるじゃないかと言われますけれども、実際問題としてはそこは少し違うんじゃないかな、別の数字の見方もあるのではないかなと思っております。

 また、先ほど申し上げましたように、倍率からいきましたら、少なくとも、これまでのところ、もう少し段階的にもっと早い段階で上げておけばよかったものをという感じが正直しないでもありませんが、傍ら六十倍も上がっているところに片っ方の方は全然上げずにずっと据え置いたために、結果としては全税収に占める比率がたった二%ぐらいの比率になっております。

 その意味では、この際上げさせていただいて、一律三千円というところでそろえさせていただくということであって、それが直ちに大増税かのごときイメージで言われますけれども、ちょっとそれは、そんな感じではないんではないかというのが率直なところです。

吉井委員 私は大増税とまで言っているわけじゃないですが、少なくとも均等割については五割増し。これは大きな比率なんです、事実の問題として。

 それで、均等割三千円にどうして落ちついてきたのかというところについては、先ほどもお話ありましたけれども、戦後の経過もあるんですが、均等割、低過ぎるという意見があるのは、これはいろいろな検討会でやってはるのは私も読ませてもらっています。しかし、じゃ、三千円が低過ぎるのか、二千円が低過ぎるのか、全体が低過ぎるのかとか、どこの部分を指して低過ぎると言っておる意見なのかということがやはり問題になってくるんですね。

 また、年間一万円ぐらいに引き上げるべきだという意見があるのも見ておりますし、均等割の創設当時の歳入に占める割合から、もっと引き上げるべきだという主張をする意見があるのも、いろいろ意見はあるんですね。

 その中で三千円としたのは、どういう理由で三千円としたのか。ここのところがやはり問われてくるわけで、これは、三千円以上の引き上げはこれまでまだやったことのない数字だから、いわば未知の領域への突入になるので、これ以上引き上げるということは住民からの反発もあるから、とりあえず最高額の三千円なら現在でも均等割課税しているんだから、これでやっていこうということなのか。この三千円を第一段階として、今回は三千円なんだがさらに引き上げていくという、いわば経過的措置といいますか、第一段階が三千円なんだという考え方なのか。ここのところを伺っておきたいんです。

板倉政府参考人 先ほどから申し上げておりますとおり、今回の改正は、二千円、二千五百円を三千円ということで、段階をなくして統一をさせていただきます。その結果、二千円のところは千円の負担増になる、二千五百円の方は五百円の負担増になる、これは事実でございます。そこは、現下の地方財政の状況等を考えてお願いをしたいというふうに思っているところでございます。

 均等割全体の割合につきましては、戦後始まったころは住民税の中で二〇%近い比率を占めておりましたけれども、近年はこれは二%ぐらいに大幅に低下をしております。そういう状況と、均等割というものが地方税の中でも住民のそれぞれの均等の負担といいましょうか会費的な性格を有するというようなことで、やはりもう少し全体として引き上げるべきじゃないかというような議論が政府税制調査会でも行われていることは事実でございます。

 そういうことも踏まえまして、今後のことはその時点でまた検討させていただきたいというふうに思っております。

吉井委員 この質問の最後に大臣の方に重ねて伺っておきますが、均等割、今度のこの一律三千円は第一段階で、さらなる増税の道をお考えなのか。あるいは、今、税率についての、累進税率から比例税率に変更する話とかいろいろな議論があるときですが、そういう中で均等割そのものを、必要な財源で廃止するようなことは考えない、均等割の廃止というものは考えないということなのか。この二点。

 これから、三千円を第一段階で、さらに引き上げるという考えを持っているかどうか。もう一つは、均等割というものを廃止するような考えは持っていないということでお考えなのかどうか。この二点、伺っておきたいんです。

麻生国務大臣 基本的には均等割というもので、累進にする考えはございません。

吉井委員 三千円を第一段階で、もっと引き上げるということもないですね。

麻生国務大臣 今の段階でやっておるかといえば、やっと三千円までいかせていただきましたので、ありがとうございました。

吉井委員 次に、軽油引取税の方で伺っておきます。

 この問題は、脱税を許さないという観点からも、また、環境を守るという観点からも大きな問題ですが、今、いわゆる硫酸ピッチの問題など出ておりまして、推定脱税額というのがマスコミでも推計したのが出ておりましたが、不正軽油密造で四十二万六千キロリッター、これに三十二円十銭を掛けると、単純計算で百三十六億ぐらいの脱税推定額、こういうふうになってくることとか、それから、実際に政府の方の出している滞納繰越額で見ましても、九六年の三百五十四億が、二〇〇二年で六百二十六億と倍ぐらいになっていますし、それで、率にしても二・五四%が五・一二%。滞納繰越額にしても率にしても、ふえてきている。

 そういう中での今度の引取税の改正なんですが、この間毎年のように改正等が行われましたが、脱税することを目的に製造される不正軽油の製造過程で出る硫酸ピッチの放置や投棄、それから、滞納額の増加などに対しても、今度の改正でこういう事態がどのように是正されていくというふうに考えておられるか。こちらは政府参考人、大臣からでも結構ですが、伺っておきます。

麻生国務大臣 これは、年々巧妙になりましたし、逮捕される規模がだんだん大きくなってきておりますのはもう御存じのとおりでありますので、これはきちんとして、今回改正を行うことにさせていただいておりますけれども、手口はさらに巧妙になることは十分に予想されるところでありますから、もうこれですぐ完全に全部なくなるというほどの自信があるわけではありません。

 ただ、罰則は結構きついことになってまいります。法人に対する罰則は三億円等々になっておりますし、不正軽油とわかっていて譲り受けたというような人に対する罰則などをつくったところはかつてない改正と思っておりますので、これによってかなりな効果がある、私どもはそう思っております。

吉井委員 環境省の方にも政府参考人の出席を求めておりますので、政府参考人に伺っておきます。

 環境省の硫酸ピッチについての調査によれば、不適正処分の件数、量とも急増し、処分されないで放置、保管されている硫酸ピッチが全国で公害環境問題を引き起こしているというので、軽油引取税を脱税する目的で軽油に重油などをまぜて不正軽油を製造する過程でつくられるもの、硫酸ピッチが存在すること、これは不正軽油が製造されていたということを示すことにもなります。硫酸ピッチの存在そのものが、だから違法を証明していることになるわけですね。

 そこで、環境省は廃棄物処理法の改正案の提案を検討されているようですが、硫酸ピッチの生成、保管そのものを禁止するという規制がまず必要だと思うんですね。特に、そのためには、硫酸ピッチの不法投棄や放置で悩んでいる自治体の要求にこたえて、この生成、保管の禁止はもとより、立入調査とか、それから、撤去命令を可能にする、違反した場合の罰則の強化など、そういう厳しい対応というものを改正内容としてきちんと考えておられるかどうか、伺います。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 硫酸ピッチ自身は、漏出いたしますと雨水と交わりまして有毒性のガスも発生いたします。そういう意味では、環境保全上も極めて問題が大きいものでございます。

 私どもといたしましては、今国会に廃棄物処理法の改正案を提案いたしておりますけれども、その中で、従来ですと、硫酸ピッチを不法投棄しなければ処罰できなかったわけでございますが、保管であっても見つけた段階で直罰として処罰できるというふうにしたいと思っておりますし、また、刑もできるだけ重い刑にしたいと考えております。

 これによりまして、従来ですと逮捕できなかった段階で、より早い段階で逮捕できるということでございますので、総務省の方で用意されております法律と相まって、この問題に対処できるようにしたいと考えております。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 立入調査、撤去命令可能という、これもきちんと含めていますね。

南川政府参考人 立入調査など、基本的にできるようになっております。

吉井委員 それで、この点で総務大臣に伺っておきますが、危険物の世界だったらこれは総務省、消防庁等になりますし、廃棄物は環境省、それから、脱税、地方税法違反だとか、これも、総務省もやれば、捕まえる方は警察庁とかがかかわってくるわけですし、第一、油の問題ですから資源エネルギー庁なんかもかかわってくるわけですが、環境省の調査によっても、ドラム缶で三万五千本を超える不適正処分があり、そのうち、処分されずに保管されている量がドラム缶で二万二千本を超える。

 硫酸ピッチというのは、pH一から二ぐらいというふうに言われておりますが、強酸性の有害物質で、直接触れるとやけどしてしまう。この間も環境省の人が、手を入れたら手がとろけるぐらいきついというお話ですが、雨水によっては有毒な亜硫酸ガスが発生してくる。

 ですから、問題は、硫酸ピッチを生成、保管している業者が、法律をつくって簡単にいけたら楽なんですけれども、悪いことをする人ですから、トンズラしてしまう。生成、保管をしているはずの業者が行方不明で、処理能力はない、ほったらかし。後の原状回復に経費がかかって、多くは住民の税金が使われる。全国十数カ所と処理施設が少なくて、後始末も大変だし、摘発に処理も追いつかないという状況にもあります。

 ですから、地方は地方で条例化したりして何とかいろいろという努力は努力であるんですが、これはやはり地方団体任せじゃなくて、いろいろな省庁にまたがりながら、しかも事は急を要する話ですから、私は、内閣として、国として硫酸ピッチ問題の早期処理、解決のために全面的に取り組んでいくという、その考え方というものを大臣に伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 軽油引取税を抜けるために不法な製品を製造する間に、副産物として今言われたような硫酸ピッチというのが出てくる。結果論として、とてもじゃないけれども、そんなものは、銭はもうけるけれども、そっちは捨てるというのは全くふざけた話です。

 今言われましたように、それを見つけたはいいけれども、後はだれもおらぬからどうにもならぬぞということにつきましては、地方でとてもやり切れぬという点は、そこまでちょっと考えておりませんけれども、これは何らかの形で、助成をしろとか、あるいはそれに対する補助をしろとか、いろいろなことが出てくるんだと思います。

 今この段階でそこまで、この法律をつくるところだけまでで、それに対する助成金とか補助金とかいうところを今の段階で考えているわけではありませんけれども、今言われました点もこれは考えておかないかぬところだろうとは思います。

吉井委員 私、具体的にどうするかとか、補助がどうだこうだ、ちょっとそこはこれからいろいろ出てくると思うんです。

 問題は、これは国として急を要する話ですから、大臣としても、内閣を挙げて、これに全力を挙げて取り組むというその決意だけ伺って、終わりにしたいと思っているんです。

麻生国務大臣 これはたしか、今、軽油引取税全国協議会等々、その種のものが既につくられておるところでもあって、それがあったおかげで各省庁連絡がうまくいったところでもありますので、既に一部取り組んでいるところではありますけれども、引き続ききちんと対応させていただきたいと存じます。

吉井委員 時間が参りました。終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 この三法の審議、二日間、約十時間にわたって審議されてきたわけでございますが、いよいよ最後でございますので、大臣、お疲れかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 この審議の状況を見ていますと、問題点は大体、与党、野党問わず、集中していますね。やはり、真の地方分権のために三位一体改革というものがスタートしたわけですけれども、その真の地方分権に本当に近づくことができたのかどうか、できるのかどうか、そういった関係の問題、質疑が多かったかと思います。そういった意味で、私もちょっと重複する質問があろうかと思いますが、確認という意味ということでよろしくお願いを申し上げます。

 まず、四兆円の補助金の削減をするということで、それを補うという意味で、所得譲与税による税源移譲という今回の改革が私は一つは中心だと思うんですね。この改革では、要するに、かねてから指摘されております地方における歳出削減、そしてまた地方税収との乖離を縮小という目標を果たして十分に達成できるのかということになりますと、今回のこの改革では、私はこの歳出と税収の乖離はなかなか埋めることはできないんじゃないかという気がしております。

 地方税中心の歳入体系の構築、これがやはり本当の地方分権の中心でなきゃならないわけですね。そのためには、少なくとも、国税と地方税、これの税源配分をやはり五対五とするような規模の税源移譲が必要ではないかと思うわけでございますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 おっしゃいますとおりに、今回の税制改正、昨年十二月に行われたところでは、平成十八年度末までに所得税から個人住民税へということで、いわゆる本格的な税源移譲を実施すべきという方向ではこれはきちんとまとまっております。

 国と地方の配分比率を五対五、一対一にすべきというのは大変わかりやすい目標だと思いますし、前、片山大臣も同様なことを言われておられると存じますけれども、私どもとしては、基本的には比率としては一対一が望ましいと存じますので、そういった意味では、地域主権型社会、地方分権型社会になるのにあわせて、地方税を中心とした税体系というのは、基本的に、税体系全体の考え方として、その方向で税体系全体の見直しがなされてしかるべきと存じます。

横光委員 地方分権ということで、地方の仕事量はどんどんふえています。これは、税源の配分と同時に仕事量の配分ということの意味からも、やはり、仕事はどんどんふえるわ税源は国が大きいわ、これじゃなかなか本当の地方分権というのは進まないと思うんですね。

 そういった意味で、私は、税源それから仕事量、こういったものを配分したことから考えると、本来なら仕事の量からすると二対三だと思いますよ。地方が大きくなきゃいけない。それが逆になっているわけだから、せめて五分五分といいますか、片山前大臣もおっしゃっていましたけれども、そういった方向も大臣も御認識されているようでしたので、ぜひこれからもそのお考えを貫いていっていただきたいと思うわけでございます。

 また、このように、地方によっては税源の偏在、いわゆる偏りというのが非常にあるわけですね。そうした場合、今回、税源移譲する、所得税を地方住民税に移行するということを、最終的にそれが実現した場合、地方団体間の財政力の格差、これはむしろ広がる可能性が強いわけですね。わずかな税源移譲より地方交付税の財源保障機能の低下を恐れる地方団体、これは非常に多いわけでございます。

 昨日の新聞で、共同通信が全国の自治体首長の皆様方にアンケートをとった結果が載っておりました。まずびっくりしたのが回答率九九・一%。普通、こういったアンケートでは六〇から七〇、よくて八〇。九九・一%、すべての地方自治体の首長さんがこれに答えた。答えたということは、私は声を上げたかったという反応だと思うんですね。九九%の人がこのアンケートに答えたということ。

 そして、その中で、やはり二つの流れになっていますね、アンケートの回答の流れを見ますと。地方の自立を目指す小泉純一郎首相の構造改革で自治体がどんな方向に向かっているのかを聞いたところ、よい方向三八%、悪い方向六一%、どちらかといえばというのをともに含んでいますけれども。悪い方向、どちらかといえば悪い方向、六一%の自治体の首長さんたちは悪い方向に進んでいるというふうにお答えになっておるんですね。それで、自治体の財政状況は七一%が厳しいと。これはそうでしょう、当然の答えでしょう。そして、その理由として、収入面では地方交付税の削減、支出面では高齢化に伴う医療費の増大、この二つの理由を大きく挙げております。

 今私の言いました、地方交付税の削減、これに見合う税源移譲、このことによって逆に財政力の格差が広がるという心配をされているわけですが、税源移譲に伴う財政力格差の拡大に対して、これをほっておいていいのか、どのような形で対処をするおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思うんです。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 横光先生のお話のとおりで、税源移譲はいいんだけれども、でこぼこになって地方は大変だというふうな話を私もよく聞かされております。

 このいわゆる財政力の格差の拡大というふうなことにつきましては、結局、税源移譲の規模を見きわめながら、偏在性の少ない地方税体系をいかに構築していくか。そしてまた、財源保障機能と財源調整機能、これを一体として果たす地方交付税の機能をしっかり発揮させていく。そしてさらには、不交付団体、これがまた実は財源がどんとふえる、いわゆる超過をするという問題に関しましては、国庫補助負担金とか地方譲与税の配分調整等を通じた財源均てん化の方策によって総合的に検討をさせていただきたい。

 いずれにしても、税源移譲の規模を十分に見きわめながら、しっかりとした対応をしていきたいと思っております。

横光委員 地方交付税の持つ財源調整、財源保障機能の強化というものは、今お話しされました。初日のときに大臣がパネルを用いて、交付税の財政力格差是正機能というイメージを御説明されました。このとおりなんですね。要するに、地方の場合は地方税が少ない、そして国庫補助負担金を減らされた場合、その税源移譲の部分も少ない、それを交付税で補う。ところが、豊かなところは国庫補助負担金の移譲分も多い、その分交付税が下がる。

 これは非常にわかりやすい。非常にわかりやすいんですが、ここで、弱いところはいわゆる交付税で補うということなんですが、その肝心かなめの交付税をこれから十八年度に向けて抑制しようとしているわけでしょう。そういうことで、この地方の厳しい財政事情、大臣がおっしゃったような形で補うことが果たしてできるんでしょうかということが単純な質問ですよね。どうですか。

麻生国務大臣 今申し上げたとおりに、これは義務的なところでありますので、そういったものにつきましてはきちんと交付税で埋めるという形にいたします。

横光委員 それが今回、交付税でなかなか埋め切れなくて地方が悲鳴を上げたということなんですが、埋めるんなら本当にしっかり埋めないと、そういう形になっているわけですから。

 私は、こうした過疎や産業の乏しい町には、税源は当然少ないわけですから、それこそが交付税の役割であると思うんですね。本来、交付税を受けるべきは、私は小規模な市町村だと思うんです。ところが、神奈川県とか大阪の方がいらっしゃると大変申しわけないんですが、神奈川県、大阪府、あるいは札幌市など大半の政令指定都市までが巨額の交付税を受けているわけなんですよね。しかし、これは、これからの改革を見ると問題ではないか。

 つまり、税源移譲を、これから大都市の方は基幹税が移譲されるわけでしょう。基幹税が移譲されれば財政力は当然向上して、交付税の必要性が薄くなる、あるいは不要になる地域も大都市は出てくるんじゃないか。こういった流れになるならば、先ほど山口副大臣がおっしゃったように、交付団体の数ではなく、交付団体に住む人口の割合を見直すという改革の方向は、私も正しいと思うんですよ。しかし、今回のように、地方交付税について、税源移譲に伴い自治体間の財政力の格差が拡大することが予想された場合、やはり一定水準の行政水準を確保することが不可欠だと思うんですね。

 ですから、大きなところに、大都市に税源移譲することによって交付税が減る、そのかわり、小さなところは、どうしても、税源移譲してもそれも少ないので交付税で補う、そういった形でいけば、交付税全体を抑制する必要はないというような気がする。

 そのためには、先ほど言った、交付税の持つ財源調整と財源保障機能の強化が必要だと思うわけです。それは、もちろん首長さんの行政能力や、あるいは各自治体の自助努力というのも必要だということは申すまでもございませんが、それはどうしても限度というものがあるんです。

 そういった意味で、どうしても、人口あるいは企業の数、量、あるいは高齢者の割合、こういうことから比較したら、圧倒的に地方が不利だということはもう一目瞭然なわけですので、そういった意味で、財政調整と財源保障の機能を、私は、中長期的な行政運営を行うためにも、所要の額というものの確保が当然必要であるということを強く申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、福祉や教育等により、これから当然地方財政は膨張していきますね。そういった中で、基礎的な部分については、地域社会でさまざまな事業や取引をして地域社会からサービスを受けている者が負担するのが地方消費税、これで私は賄うべきであると思っておるんですね。

 この消費税の税源配分も、現在は四対一ということでございますが、今言ったような意味から、消費税の税源移譲も配分を見直すべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御存じのように、これは十八年度までというところで所得譲与税という形になっておりますので、十九年度以降どうなるかにつきましては、今、消費税についてはいろいろ御意見のあるところで、福祉目的税にしろとか、いろいろかしましくあちらこちらで出ておるところでもありますので、そういったものが出そろうころになりましてから、改めて、今の消費税というのは一つの大事な考え方だと思いますし、これも基幹税ですし、人口割でもありますので、そういった方向は決して間違っておらぬ、私もそう思います。

 ただ、今この消費税を上げろとか下げろとかいう話になると、またちょっと別な話になりますので、そっちの話ばかりになりますので、配分の話としては私は正しいと思っております。

横光委員 各自治体の首長さんも、そういった形になれば、さらにいろいろな形で消費税を少しでも上げる努力、これはいろいろな地域によって違いますけれども、例えば観光都市なんというのは、やはりすごい努力します。個性的なことをいっぱい首長さんはやることができますし、何か夢を与えるということが大きい。

 今言われたように、十八年度までは所得税の移譲ということですが、次なる課題は消費税の移譲だと思いますので、今大臣もそのようにおっしゃいましたので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、先ほど法人事業税のことが出ましたが、ちょっとこのことについて触れたいんです。

 昨年の地方税法の改正に伴って、ことしの四月から法人事業税に外形標準課税が導入されるわけでございますが、これに関連して規定がありますね。この規定、イとロの二つの規定があるんですが、その規定に該当することが認められた場合は、その申請に基づき、三年以内の期限を限り、法人事業税の全部または一部の徴収を猶予することができる、こういう規定があるわけですね。

 そして、その該当するのに二つあるんですが、イという該当項目は、当該事業年度を含む過去の事業年度において三年以上継続して欠損法人であって、地域経済、雇用等に与える影響が大きいと認められる場合は、今私が言いましたような規定に該当して、全部または一部の徴収を猶予することができるというところに該当するわけですね。

 このイの規定に、例えば地方のバス事業者、これは非常に今現在赤字続きで、補助金で何とか生活路線を維持しているところが多いんです。これはもう恐らく全国的な状況です。中央のバス事業者は違いますよ。地方は、まさに補助金をいただきながら生活路線を守ろうと必死になっている。

 こういう事業者は、先ほど言いましたイの対象となると私は考えるんですが、総務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

板倉政府参考人 今、イとおっしゃいましたのは、この十六年四月から施行されます外形標準課税のいわゆる徴収猶予をすることができる、そのケースの一つを御指摘になっているというふうに思います。

 その一つは、企業再生の過程にある赤字法人に対する規定でございます。もう一つは、創業したばかりの赤字ベンチャー企業に対してでございます。最長で六年間、徴収猶予をすることができるという制度を設けておるところでございます。

 御指摘の地方バス事業者でございますが、おっしゃいました企業再生の過程にある赤字法人の場合であって、具体的に、三年以上継続して欠損法人であって、地域経済、雇用等に与える影響が大きいと認められる場合に、都道府県知事の判断によりまして徴収猶予ができるという制度になっているところでございます。(横光委員「それが該当するかどうか聞いたんです、バス事業者が今のような条件になれば」と呼ぶ)今申しましたのは、いわゆる赤字法人で、三年以上継続して赤字、欠損法人になっているということと、地域経済、雇用等に与える影響が大きいという場合でございます。

 この具体的な判断は、それぞれの都道府県知事が行うということでございます。

横光委員 最終判断は、当然のように、都道府県知事それぞれが御判断されるわけでございます。こういった該当に入るということになれば、先ほど言いましたような徴収の猶予をすることができるということになるわけですね。

 このバス事業者というのは非常に公共性も高いわけで、ここは、先ほど言いましたように、地域経済やあるいは雇用に大変大きな影響を与えるということで、今確認をさせていただいたわけでございます。

 もう一つ、これは個別の問題なんですが、ちょっとお聞きしたいんです。

 温泉供給及びこの共同事業を主事業とする財産区経営への入湯税収入の繰り入れについてお伺いしたい。

 地方税法七百一条では、鉱泉の保護管理施設のためと、宿泊客より入湯税を徴収できると定められております。

 ところが、福島市の飯坂温泉というところがあるんですが、ここに財産区で、飯坂町財産区というのがあるんです。この財産区は、ホテルへの温泉供給、これをやっておる。それと同時に、みずからの地域で共同浴場も経営を行っている。ところが、市の収入である入湯税を、財産区の事業によって発生したものであるにもかかわらず、財産区が独立採算制と定められているということから、市の会計より繰り出しができないとされておるんですね。

 財産区が利用料収入で経営されるのはこれは当然であるとしても、非常に経営がきつくなった状況の中で、入湯税の本来の目的である温泉の保護管理、これは財産区がやっているんですね。にもかかわらず、その果実ともいうべき入湯税は、市の収入となっている。入湯税を本来の目的である温泉の保護管理に使えないというのはおかしいんじゃないかという、地元の財産区から非常に激しい反発が出ているわけでございます。

 入湯税の目的に反しない限り、なぜ一般会計からの繰り出しができないのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

板倉政府参考人 入湯税に関する御質問でございます。

 入湯税は、入湯施設の利用と市町村の行政の関連性が強いということから、環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設及び消防施設その他消防活動に必要な施設の整備並びに観光の振興に要する費用などに充てることとされているところでございます。

 したがいまして、財産区において実施をしておられる事業が入湯税を充当することができる事業である場合には、市町村から財産区に対する支出が認められればということでありますが、それぞれの市町村の判断によって入湯税を充当することは可能であるというふうに私どもは考えます。

横光委員 入湯税を財産区に繰り出すことは可能であるということですね、いろいろな条件が整えば。もう一回。

板倉政府参考人 財産区に対してそういう支出をするかどうかというのは、あくまでこれは市の判断ということになりますけれども、入湯税の使途として、今財産区が行っておられるような事業は該当するのではないかというふうに考えているということでございます。

横光委員 よくわかりました。

 入湯税に関する、いわゆる保護管理というものが入湯税を徴収できる一つの理由になっております。これを十分に果たしているわけですので、そういった意味で、今、可能だというお話でございました。

 ここらはずっと昔から、村人が寄り合い的につくった温泉であり、そして地域の財産にもなっておるんですね。この前までは飯坂町の財産区だった、それが合併して市になったものですからこういった問題が発生したらしいので、以前は何の問題もなかったというんですね、町のときは。そういったことですので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、固定資産税の件をちょっとお尋ねしたいと思うんです。

 固定資産税は、今回改正によって、自治体の首長が、余りにも負担水準の高い商業地等については、市町村長の判断で条例により税額を減額する制度が盛り込まれております。また一方、著しく負担水準の低い土地も依然として存在するわけです。

 このことを考えますと、課税の公平性あるいは納税者の固定資産税に対する信頼、こういったものを確保するためには、やはり負担水準の均衡あるいは適正化、こういったことに向けて取り組みを進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

板倉政府参考人 御指摘ございましたとおり、固定資産税に対する信頼を確保するというために、同じ評価の土地は税額は同じでなければならないということが原則でございますので、それに向けて最大限の努力をしていかなければならないというふうに私どもも考えております。

 しかしながら、現状は、かつての評価水準が非常に低かった土地ですとか、急に周囲の状況が変わった土地、いろいろ状況は違いますけれども、かなり負担水準の低い土地があるのも事実でございます。

 ただ、こういう土地につきましては、一挙に何倍にもというわけにもまいりませんので、負担調整率を掛けながら少しずつ引き上げさせていただいておるわけでございますが、なかなかそれが追いつかないということもございますので、この辺は一つの大きな課題として受けとめております。

横光委員 高いところを下げるのはこれは簡単ですけれども、低いところを上げるのは難しいと思う。ですから、今のように理解をしっかり得ながら、やはり税の適正化、公平化ということで理解をいただきながら努力していただきたいと思っております。

 終わります。

佐田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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