衆議院

メインへスキップ



第16号 平成17年4月26日(火曜日)

会議録本文へ
平成十七年四月二十六日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 大出  彰君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      金子 恭之君    亀井 久興君

      小西  理君    佐田玄一郎君

      自見庄三郎君    田中 英夫君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    原田 令嗣君

      平井 卓也君    増原 義剛君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      稲見 哲男君    内山  晃君

      楠田 大蔵君    小宮山泰子君

      寺田  学君    中村 哲治君

      西村智奈美君    松木 謙公君

      松崎 公昭君    山花 郁夫君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   総務大臣政務官      山本  保君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            有冨寛一郎君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  自見庄三郎君     金子 恭之君

  谷  公一君     原田 令嗣君

  田嶋  要君     松木 謙公君

  松崎 公昭君     内山  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 恭之君     自見庄三郎君

  原田 令嗣君     谷  公一君

  内山  晃君     松崎 公昭君

  松木 謙公君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 昨日、尼崎市におきまして、大規模な列車事故が発生をいたしております。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、事故に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げる次第です。

 けさ八時三十分現在、県の災害対策本部、尼崎市消防局からの情報では、死者七十二名、負傷者四百四十二名と報告されております。なお、一両目の車両につきましては、消防機関が中心となって救助活動に当たっております。

 消防庁では、事故発生直後に災害対策本部を設置するとともに、消防庁の職員三名の先遣隊を現地に派遣するなど、被害状況の把握など対応に努めてきたところであります。

 本日早朝七時より、消防庁長官が現地に入り、消防機関等の活動状況の確認に当たっております。

 緊急消防援助隊につきましては、事故発生直後から大阪府、京都府、岡山県の部隊に出動を要請し、救助・救急活動、医療搬送活動に全力を尽くしておりますが、本日未明、午前零時より三人の救出を含めて、現在までに二百四十人を救出いたしております。

 今回の事故は、まれに見る大規模な鉄道事故災害でありまして、消防庁がこの主の事故に派遣をされたのは始まって以来のことでありまして、事故原因の早期の徹底究明と再発防止に全力を挙げて取り組んでいただきたいと考えております。

     ――――◇―――――

実川委員長 内閣提出、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長伊藤哲朗君及び総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

寺田(学)委員 おはようございます。民主党の寺田学と申します。

 尼崎の事故に関しては、本当にいたたまれない気持ちもありますし、消防庁も全力を挙げて一名でも多くの人命を救助されることを心からお祈りしたいと思っております。

 本法案ですけれども、正直なところ、かなり切実な問題があるなと私自身思っております。麻生大臣も、携帯電話を持たれているでしょうし、パソコンのアドレス等もお持ちになられていると思います。最近、PCへの迷惑メール、本当に不届きなメールというか、なかなか破廉恥なメールが多くて喜んでもいられないという状況でもありますし、うちの母親は六十四歳なんですけれども、そこに出会いのメールが来るということも何か息子として少々心苦しいなと思っております。

 いずれにせよ、ワンクリック詐欺であるとか、また架空請求であるとか、そういうようなことが多くて、そして、さっきも述べたとおり、パソコンに送られるメールの数が最近倍増するかのようにふえている。そういうことは、大臣がおっしゃられるICT社会ということの大きな大きな阻害要因になるのではないか。私は今回質問する中でちょっと強目のことを考えているんですが、本当にかなり抜本的というか、今まででは考えられないようなやり方をやらない限り、こんな法案をつくっても意味がないだろう。そもそも、ICT社会というか、ICTの中の根幹というか、中心をなすインターネット時代の存在を危うくするぐらいの迷惑メール、スパムメールは、私は本当に大きな問題だと思っています。

 いろいろなところを調べてみると、ドコモの方に一日どれぐらいスパムメールが送られてきているのか、いろいろな説はあるんですが、大体、皆さんどれぐらいの数が送られていると御想像されるか、正直、実態よりはかなり過少に見積もられると思うんですが、一日八億メールのスパムメールが送られてきていて、ドコモの一日総受信量というか総メール数が十億通ですので、約八割がスパムというような状態になっていて、アメリカのAOLの方でも一日二十五億通、それも、まさしく全メールの中の八割ぐらいを占める。

 スパムメールがふえればふえるほど、通信事業者としては本当のメールを送受信するための設備を拡大していかなきゃいけないという意味では経済的にもかなりマイナスですし、私も毎日毎日フィルタリングをしてごみ箱に要らないメールを送っているんですが、それでもフィルタリングし切れないものもかなり莫大な量になってきて危うく大事なメールまで削除してしまうところだったというような段階になっています。

 私も今、東京の事務所、議員会館の方と秋田の事務所の方をIPホンというのでつないでいます。IPホンというのはインターネットを介して使う電話でしょうけれども、それをやると無料になるので、地元とのファクス送信であるとか地元との電話のやりとりが経済的にはゼロに近いので非常にありがたく使っているんですが、ここに恐らくもう数年で出てくるのが、無料であるIPホンを利用して一方的な電話をかけてくる、いたずらIPホンというか、迷惑IPホンというものが多発するんだろうなと思っています。

 そういう部分もかなり力を入れて対応しない限り、繰り返しになりますが、ICTというものは使えないぐらいのものになってしまうのではないかなと思っています。

 迷惑メールはなぜふえるのかということを考えるんですけれども、IPいたずらも予想されるということを私が考えているとおり、悪質業者側の経済的負担が異常に軽いということが最大のネックだと思っています。この部分の経済的負担を重くしようという発想で解決するならば、IT社会全体のコストが上がってしまうということもありますので、ここは不可能だろうなと思います。もう一点、身元確認が非常に難しいということが迷惑メールがふえる理由であり、ここはかなり手のつけようがある、対策のしがいがあるところだろうなと私は思っています。それと、迷惑メールを送る方々の事業を始める際の初期コストが異常に低いということも迷惑メールが減らない理由であると思っています。

 総論として言えることは、この法案等々でもいろいろ見たんですけれども、一本の悪質なメール業者を退治するとか、悪質なメールをやりとりするのをやめさせるという観点も必要ですけれども、莫大に送られてくる、さっきドコモで八億件と言いましたけれども、そういうメール総量、迷惑メールのボリューム自体を減少させることがこの問題に関しての一番の解決策であると私は思っております。

 そういうことを考えると、この法案の中でもいろいろあるんですが、総務省さんが警告メールを出したり、時には警察の方にお願いしてというようなやり方で対処を考えられているようですけれども、はっきり言って、私は、そんなものではふえ続ける業者及び業者が発する莫大な量のメールに対して有効な対応策を打ち切れない、まさしく事業者側の協力、ドコモであるとか各プロバイダーであるとか、そういうサーバーを持たれている方が何かしらの対応ができるような法整備をする、ある意味、解釈を変えていくということが必要だと思っています。

 そういう意味で、まず改正法案なんですけれども、この法案ができて三年間、迷惑メールは減ったか減らないかというのをどういうふうに算定していいかわからないと思うんですけれども、そもそもとして、法案ができて迷惑メールに対して有効な手だてが打てたと大臣自身は思われているかどうか、御答弁をいただければと思います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりに、この種の便利なものというのは、光の部分と影の部分が常につきまとうもので、便利なものを利用する人もいれば悪用する人もいるのは常のことだとは思います。

 まず最初に、平成十四年七月に特定電子メール法が施行された後、総務省としてどのようなことになったかといえば、この法律に違反した電子メールの受信者から情報提供というものを受けることになりますので、月に約百件程度の送信というもので、私どものところにいろいろな形で送られてきたのをもとにして、その送信者が送信を停止したという例が幾つかあります。

 また、携帯電話事業者、ISP等々の電気通信事業者におきましても、一日におけるメール送信通数の制限というものやら、迷惑メールの送信に利用された回線の停止などの自主的対策を行ってもらっておりまして、これらと相まって、迷惑メール対策としては一定の効果はあったのではないかと思っております。

 今言われましたように、さらに悪質化してきたことは確かですし、巧妙化しておりますし、いろいろな意味で迷惑メールの問題が解決したと言えない状況にあることははっきりしていますので、そういった意味では、この法案によりまして、さらに効果的な迷惑メール対策というものをやっていかなければいかぬところなんだと思っておるんです。

 基本的にはこれは、やたらめったらいっぱい送ってくるというのも問題なんですが、これを詐欺に使っているという手口が、迷惑を通り越して被害が出ますから、そういった意味では、この種の話は、振り込みの銀行の口座そっくりそのまま似せてつくってみたり、手口は今いろいろ進んできておりますので、おれおれ詐欺を含めて、固定電話じゃないものが発達した便利さの反面、犯罪として逆に悪用されているというところをいかにやるか。これはもう法律でやる、もちろん大切なところだと思いますが、業者の協力も要る、いろいろなところできちんと対応していかねばならぬ頭の痛い問題だと思っております。

寺田(学)委員 今大臣の方から、一定の効果があったというお話がありました。法を施行されている側ですので、そういうような御答弁かと思いますけれども、正直なところ私は、多少減りはしたとはいえ全く効果がなかっただろうという判断を持っています。

 聞くところによると、大臣の措置命令というものは三年間に三件しかなかった。そもそもどういうプロセスで措置命令まで行くかということを勉強してみれば、迷惑メールが来たことに関して相談センターというところに苦情が行く、それが一カ月三万件程度ある。そもそもその苦情を相談センターに送ること自体かなりまれな方だろうなと私自身思っているんですけれども、送られて月三万件。そのうちに、何か聞くところによると、判断基準として一日同様の苦情が三件あれば総務省に上がってくる。総務省側が、結局、一日三件上がってきたものに関して警告メールを出す。そういうような仕組みになっているそうです。

 まず、そもそもこの相談センターが、悪質なものかどうかを考える上で一次的なフィルターをかけている、一日三件同様のものがあれば総務省に伝達するということ自体適正かどうかということを、事務方の方でもいいので、お答えください。効果はあるんでしょうか。

有冨政府参考人 今先生お尋ねのいわゆる迷惑メール相談センターに対して、そのセンターが何らかの規制をするということはあるんではないかというような御指摘だと思います。

 今通信の世界というのは、これは余り消極的に言いたくはないんですが、やはり通信の秘密等々がございますので、簡単にセンターが独自の判断で取り締まるというようなことは困難でありまして、法に従ってやらざるを得ないというふうになりますと、最小限の単位でいたずらとか、あるいは誤送信に基づく情報提供の排除をするため、あるいは迷惑メール相談センターの処理能力等を考えると、一日三件以上ということを一つの基準にいたしまして、内容が違法かどうかを総務省が判断をして警告するというのが現時点でできることではないかというふうに思っております。

寺田(学)委員 少々何か、私の真意を先取りした上で御答弁いただいた感じがありますけれども。

 結論から言うと、相談センターに相談してきたものが一日三件あったら総務省に上げて、総務省が警告メールを出す、果たして、その警告メール自体も効果があるのか。悪質業者なんというものはアドレスなんて幾らでも持っているわけで、もしかしたらドメインだって幾らでも持っている。そこに恐らく警告メールを出すんでしょうから、迷惑メール業者のアドレスに対してだめですよというふうなことをメールを打たれたところで、一日三件なければ総務省に行かないのであれば、タイミングをずらすとか平気でアドレスを変えるとか、そんなものは幾らでもできるわけです。

 そもそもの問題として、この仕組み自体、措置命令まで行くのが三年間で三件であるということ自体どういうことか、よほど間抜けな業者が三件あったんだろうなぐらいしか思わなくて、結果、迷惑メールは幾らでもふえているという今の実情を考えれば、このこと自体の意味がなかったんではないかなということすら私は思います。

 特に、パソコンで仕事をやっていると、未承諾広告ということで送られてきて、正直話しますと、この法案を勉強するまでは、未承諾広告という題名で送られてくること自体が何かわからないし、その中に、もし不要だったら返信してくださいと御丁寧に書かれているんですけれども、それが怖い。これを返信したら悪用に使われるんじゃないかというような、勉強不足からくる不安感というのは多々ありました。

 この法案ができてから、迷惑メールに関しては未承諾広告というものがついていて、オプトアウトという感じでこれを拒否すれば今後送られないようになりますよという伝播にかなり努力されたんでしょうか。

有冨政府参考人 今先生の御指摘のようないろいろな、今の法律の体制の中ではなかなか解決しづらい点がいっぱいあるというようなことで、私どもとしては、こういった迷惑メールに対して、これは、産業界あるいは学識経験者あるいは消費者の方々から成る研究会を開催して、今のようなオプトアウトがいいのか、あるいはオプトインがいいのかというようなことも含めていろいろ検討して、結果、基本的に、オプトアウトかオプトインかということではなくて、違法性をきちんと把握して、それに対する適切な対応をすることが基本ではないかというような研究会の結論を踏まえて、今回、新しい取り組みをお願いしているところでございます。

寺田(学)委員 全然質問に答えてくれていないのが頭にくるんですけれども。広告宣伝に力を入れたかという話に対して、どういうような経緯でそういうことが決まったかという答弁をされても、こちら側としても質問しにくいんですが。

 本当に何度も結論を言うようですけれども、全くこんなシステムは意味がない、総務省の有能な方々の御尽力をむだにいただいているような気がして、私としては何ともしがたいなと思っています。

 今回、改正法案の中で私は目をみはるものがあったと思うのは、送信元を偽っている者に対して直罰規定を設けた、たしかそういう形だったと思うんですけれども、これはある種一つの新たな方向性だとは思っています。

 そもそもの問題になるんですけれども、先ほども御答弁の中で通信の秘密という言葉がありましたけれども、通信の秘密ということが一つ論点として、憲法の中の規定であり、論点としてやられる中には、郵便というものが恐らく大方の想像され得る通信のメーンのものであったと思いますが、今ほとんどメールに変わってきている。そもそも郵便とメールの通信における差異というものは前提としてお考えになられているのかということを大臣に聞きたいと思います。

麻生国務大臣 インターネットメールというものにつきましては、これは電気通信事業法のいわゆる通信というものに当たりますので、当然のこととして電気通信事業法上通信の秘密というものが保障されているのでして、電気通信事業法第四条ということになろうと思います。そして、郵便に対しては当然信書の秘密というものが保障されております。これは郵便法というものでされているのだと思います。通信の秘密という部分と信書の秘密ということに関しては、これは両方ともその保障の範囲については差異はありません、秘密という点に関しては。

 違うところは形態でして、インターネットメールというのは瞬時に多数の相手に一発で全部送信が可能であるという点、電気通信ネットワークというものを利用する、そういう特性がありますので、自動的に送信者の情報が受信者に伝わるといった特徴がありまして、これは明らかに郵便とは異なっているんだと思います。このような特徴がありますので、このインターネットメールというものを利用したいわゆる広告宣伝メールというものは、一方的に大量のいわゆる送信が行われるということになるので被害が大きいんだと思うのですね、一挙に受ける方が、コストも安いし。

 そういった意味では、本来正しい情報が伝わるはずの、いわゆる送信者の情報を偽って、受信者をだます、欺くというような悪質性の高い送信が行われているということで、特に懲役を含む重い刑事罰を科すという取り締まりのやり方がある程度必要なのではないかということなんだと思います。

 今までと状況が大きく違ってきて、信書とは大分情勢が変わってきて、一挙に、しかも短時間で来るし、余りよくわかっていない方が簡単にだまされる。一応読むというより、何となくそういうので来ちゃうと、似たようなもので銀行のネットなんかつくられると、何となく見て、今度変わりましたのでなんて言われると、自分の情報を提供したら、それをそっくりそのまま引き落とされるというような形の、普通の郵便では考えられないようなことができてきておると思いますので、そういった意味で、私どもとしては、こういった通信の形態の違いというものが与える影響がでかいがゆえに、これはちょっと対策が要るのではないかということ、ただだまされた方が悪いというだけの話では済まぬのではないかという感じが率直な実感です。

寺田(学)委員 形態の違いがある、郵便とメールではそういう形態の違いがあるんだということは、私も痛感しております。郵便の場合であるとか固定電話の場合であるとか、送信元を偽って相手側に発信することを禁止する、及び罰するような規定はないけれども、今回初めて、メールに関しては送信元を偽って送ったらだめですよというような一つの規則ができた。これはもうまさしく、通常言われる通信であるとか信書であるとかいうような部類の中で、メールだけはかなり特殊なものであるということが透けて見えると私は思うんですね。

 結局のところ、偽った送信元、なぜにそこを罰するかといえば、そもそもメールというものは、送信元がしっかり把握されていて送信先に届くものだ。送信元がしっかりしていることが前提であるということを考えれば、送信元を偽っているとか、及び不明であるとか、そういうこと自体がそもそもメールというものの範囲を外れている、もうメールとみなされないのではないか、私はそれぐらいの解釈が必要だと思っているんです。

 何をしたいかというと、結局のところ、冒頭にも言ったとおり、莫大な量が降りかかってくる迷惑メールをどれだけ少なくできるか。私の方としても一生懸命削除、取捨選択はしますけれども、それでも百、二百来たらもう限界があります。だからこそ、送られてこないということが一番の肝であって、送られてこないためには、要は事業者側の方が、送信元を偽っているとか不明であるメールを自動的に排除してしまうことができるようにするべきではないか。

 もちろん、送信元を事業者側が見るのはいただけないということがあるかもしれませんが、メールの仕組みを見てみれば、幾らでも自分が書いた内容から何から全部、通信事業者を通って見られるような環境にある。そこに公権力が、どのようなものを送っているかどうかということを話すのではなくて、事業者側の方が、送信元を偽っているようなものであれば及び不明なものであれば、一様にけってしまう。送信元を偽って送信先に送るような正当な理由なんて何も考えられないんでしょうから、その送信元が不明であるものに関して事業者側で一様にけってしまうということをやるべきではないかなと思うんですが、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 寺田先生のおっしゃっている意味はわからぬでもありませんけれども、電気通信事業法上は、いわゆる電気通信事業者というものも通信の秘密は侵してはならぬ、これは第四条で一緒のことに法律が適用されますので、メールの送信元も通信の秘密の保障が及ぶということだろうと思います。送信元を見ることは原則として通信の秘密を侵すということにどうしてもなるんだと思うので、そういった意味でこれはなかなか難しいところなんだと思います。例外的には、通信当事者の同意がある場合とか、裁判所の発付する令状に基づく場合とか、メールの送信を見るということが緊急避難として行われる場合等々は確かに許されているということになっているんですが、どうやってこれを識別するかというところがなかなか難しいところなんだと思うんですね、送られる方ももう大量ですから。

 そういったところがなかなか難しいので、しょっちゅう同じ番号を使っているなんということは普通は考えられませんから、必ず変えてきますので。そういった意味では、具体的にどういうのが最も今の時代として適切にやっていけるかという技術的な問題を含めて、物理的な問題を含めて、ここのところは大いに検討、研究してみなければいかぬところだと思いますが、具体的にこれがいいという手口は、なかなか今の段階ではないんじゃないかという感じがしますけれども。

寺田(学)委員 送信元を見ることは通信の秘密にかかわるんだという部分、わからないでもないですけれども、今回、送信元を偽ったものに関しては罰する。なぜに罰するかということは、送信元を偽っていること自体が不届きであるし、私は、それ自体がメールとしてカウントされないのではないかなという思いがあります。

 もちろん、そういう部分は置いておいて、恐らく、これから迷惑メールはほとんど送信元を偽ると思います。私だって簡単にできます。今届いているものに送信元がないメールなんて幾らでもありますし、AAAアットマークAAAというのも幾らでもあります。信じてくれないなら幾らでも大臣に送ってあげます。素人でも、ソフトで改ざんしてできる。

 だからこそ、そういうような簡単なものを事業者側がブロックするということをやらない限り、では、この直罰規定において警察が動く、送信元がわからないものに関して、私が交番に電話して、こんなものがありましたとメールを転送して、何とかしてくださいと言っても動くわけはないでしょうし、総務省さん側としても、これだけ莫大な量の送信元が不明及び偽っているメールがふえているときに、対応し切れないと思うんですよね。

 だからこそ、私は、わざわざ今回罰するようなところまで踏み込んだのであれば、郵便とか電話ではないわけですから、メールの特殊性というものをある程度勘案した上で、事業者側の方が、もう明らかにだめなものであることは、別に内容まで見ろとは言いませんけれども、送信元を偽っている、わざわざオープンリレーサーバーを使って偽っているのが見え見えなものに関して、ブロックすることを許してあげてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、だめですかね。

麻生国務大臣 送信元が不明、怪しげということで、これは偽っているだろうなということであっても、そのメール自体が通信であることは間違いないんですよね。そこが面倒くさいところなんだと思うんですね。

 したがって、その送信元を洗う、調査するということなり特定するということは、これは通信の秘密にかかわるということに多分なるんだと思うんです、法律的には。そこがなかなか難しいところで、正直申し上げて、大量に送りつけてくるのはいつも大体似たような番号ではないか、傾向としてはこうじゃないかというのは、担当している人は大体わかるんじゃないかという感じがされるんだと思いますけれども、だからといってやれるかということになると、なかなかそこのところはちょっと、法律的には通信の秘密という物すごく大きな問題に直接触れることになるんじゃないかなという感じがしますけれども。

寺田(学)委員 もちろん、このことに関して、そんなにすんなり通る問題ではないと思っています。ですけれども、冒頭で述べたとおり、もう今の段階でも仕事に大きな大きな支障を来すほど迷惑メールがふえている。

 私がICTの未来を考えない立場であれば、及びお金をもうけたいのであれば、この商売、非常に不謹慎ではありますけれども、手っ取り早いし、お金はかからないし、もうかりそうなんですよね。すべての人間が善意で動いているわけじゃないですから、悪意を持った方がどんどんふえていって、今百件、二百件で済んでいるものが一千件になったら、サーバー側としても増強しなきゃいけないですし、物すごいむだな経済投資です。しかも、受け取る側もどんどんふえてきて、メール自体の信憑性がない。最近の仕事のやり方では、余りにもこういうスパムが多過ぎて、大事な内容は電話してくれ、メールをカットしてしまう可能性があるからということすら言われている。

 そう考えれば、通信及び通信の秘密と言われるような部分で大きな問題ではありますけれども、メールはもう完全に特殊なものである、インターネットという社会自体がもう完全に特殊である。私としても、何を書いて、どこに送っているかということが全部一様に見られるようなもの、封筒のようにわざわざ、びりびりあけて見るようなものではなくて、明らかになった上で、電気通信事業者を使って配達されているものでありますから、インターネットの特殊性を完全に認めて、電気通信事業者側がある程度、もうもとから断つようなやり方をしてしまうべきではないか、それがないと、本当にこのインターネット、もう二年、三年で使えなくなるのではないかなという思いがあります。

 最後に大臣、そういう意味も含めて、今後どういうふうに対応されるのか。この問題に関して三年間で何にも効果が上がっていないのは、結局のところ、いろいろなそういう論点を消極的に判断し過ぎて、及び執行体制が十分じゃないがゆえに何の対処もできていないということだと思うんです。これから本当にICTを推進されるのであれば、ここは本当に、大臣、いろいろな考えを整理して、積極的な判断をして対処すべきだ、私はそういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、寺田先生、技術の進歩というのと両方研究していかないととても進まぬ話ですので。

 今、送信元が偽装されておる、偽っておるということを自動的に機械で発見してブロックするような技術、ISP、アメリカ等々の間で開発中というところまでは来ているんです。受信者の同意が得られれば、これは技術的に、導入してブロックすることは不可能ではないというところまでは来たと思っておりますので、これをさらに研究して、プロバイダー、いわゆる事業者と受信者と、またいろいろな形でうまいことやるとインターネットの環境がもう一回、もう一回といっても死んだわけじゃありませんけれども、きちんとした形で使えるようなものになり得ると思っております。全部が全部手作業で、これは怪しいとかなんとかというのを仮に開示したとしても、これだけの数来るとなかなかという感じがいたしますので、そういった意味ではこの種の技術の開発というものにも大いに期待をしていかねばならぬところだと思っております。

 私どもとしては、この点については積極的に応援をしていきたいと思ってもおります。

寺田(学)委員 質問は終わりますけれども、これは簡単に三十分だけで終わる質問ですけれども、物すごく大事なものであり、もしかしたら、ここが崩れてしまえば、地方分権だろうが何だろうが、電子政府自体が壊れていってしまうような状況であると思いますので、本当に果敢な御判断をいただければと思います。

 以上で終わります。

実川委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 迷惑メールにつきましての質問をさせていただきたいと思います。

 やはり私たち、今も質問がございましたけれども、メール、特に携帯メールは、年齢層に関係なく、ある意味非常に普及したということを実感いたします。

 私自身、大学を卒業いたしまして最初に入りました会社が日本電信電話株式会社でございましたので、当時、私も上野営業所におきまして販売をさせていただいておりましたのは、俗に言う携帯電話、携帯と言うにはおこがましいほどに大きな自動車電話で、ショルダーホンと、大臣今ほほ笑まれているのは恐らく思い出したなと思うんですが、やはりそれから見ると、本当に技術の進歩というものが、これだけの技術進歩というものが生活を便利にし、かつ、それにつけ込む悪徳業者等をふやしているのではないかという思いはございます。

 この法律自体、現行法が施行されて過去三年間、迷惑メールに対しても、総務省も措置命令等で努力はされていると思います。先ほども大臣の答弁の中ですか、一日大体百件ぐらいというような、そういった対応をいろいろされているということではありますけれども、事例はわずか、措置命令が出たのは三年間でたった三件ということを伺っております。

 まずもって、この措置命令が三件にとどまった理由は何かということを改めて伺いたいと思います。

有冨政府参考人 措置命令を発出するためには大体三段階ございまして、一番目はまず、特定電子メール法に違反する広告宣伝メールを受信した者からの申告、これが必要でございます。次に、当該メールに記載されております送信者の情報とかあるいは宣伝されている出会い系サイト等に記載されている情報等を調査するということになります。その調査をしながら、だれが送ったか、送信者の特定をしなきゃならない。

 こういった手続を経て初めて措置命令ができるわけでありますが、残念ながら、最近の迷惑メールの送信手法は、先ほどから出ておりますけれども、巧妙化し、悪質化が進んでおる。したがって、送信者がなかなか特定できない。したがって、結果的に三件というような措置命令の発出になっているということでございます。

小宮山(泰)委員 今答弁にありましたけれども、迷惑メールの送信というものが大変悪質化して巧妙になっているということをあらわした答弁なんだと思います。だからこそ、警告する相手先がはっきりしないというようなこともあって、三件ということになるんだと思うんです。

 それでは、今回、改正が提案されておりますけれども、現実的にはもっともっと実効性のある法改正をしなければいけないと考えております。そういった立場から質問いたしますけれども、この改正案をすることによってどれだけ効果を上げられるというふうにお考えなのか。できれば、端的に見通しについてお伺いしたいと思います。

有冨政府参考人 先ほど答弁いたしましたように、今の制度ではなかなか相手を特定させるまでにいかない。これをどうして特定させるか、要するに送信者までたどり着けるかということの基本は、まず、広告宣伝メールを送信する際に送信者情報を偽った、こういった者に対して直接刑事罰を科すことにする、そのことによって例えば通信ログ等をたどっていくことができるというようなのが一つございます。それからもう一つは、総務大臣の措置命令に違反した者に対して罰則を引き上げるということによって抑止効果も期待できる。こういうようなことで今回お願いをしているものでございます。

 これだけではなくて、それ以外に民間でも、特定電子メールの範囲を拡大するとか、あるいは架空アドレスによる送信を禁止するとか、いろいろな手だてを今回講じておりますし、また、指定法人が行っている今の業務についても登録機関によって実施をするように改めるというような形で、効率的に機能できるような仕組みを今回お願いしているものでございます。

 したがって、こういったものによって一定の効果は、相当の効果は期待できるんじゃないかというふうに受けとめております。

小宮山(泰)委員 ある一定の効果といって、実際に総務省は措置命令三件であったのをどのぐらい上げられるんでしょうか。

 今回の改正点におきましては、大きく四点あると思うんです。メールアドレス等虚偽の送信者情報に措置命令と直罰が行われるということ。そして、架空アドレスあての広告宣伝メールということは措置命令違反で罰則強化。それと、個人に加え、企業メールアドレスも対象に含んでいくこと。そして、大量の架空アドレスあてメールでプロバイダーのサービス拒否権など。

 そういった意味では、確かに大きな効果を見込んでいるとおっしゃいますけれども、実際、寄せられた情報量等、今の改正案ですと、指定法人というものを置いて、そこに寄せられた情報によって総務相が措置命令を今まで出していらっしゃると思うんですが、一日大体百件という表現でございましたが、例えば民間プロバイダーでいいますと、二〇〇五年三月末ですと、例えばKDDIが公開していますので、迷惑メールの情報量というのは、迷惑メールがあったら利用者からプロバイダーの方に教えてくださいということを情報提供を呼びかけております、それが大体二百九十一万件。そして、対処数は大体約四万件、四万回線の対応をもう既にしています。また、ボーダフォンでいえば、二〇〇五年の三月末現在でいえば、情報量の提供は、これもすごいんです、四百九十九万件、五百万件に及ぶ量が寄せられて、そのうちプロバイダーとして対処をしたのは約二万件というふうに情報が公開されております。

 それから考えると、今、総務省で頑張っていらっしゃる、指定法人に寄せられる情報というのは非常に少ないような気もいたします。ここを考えてみても、これから総務省は、もう一度伺いますけれども、どのような効果が得られるというふうに見込んでいるのか、もう少し具体的に教えていただけないでしょうか。

有冨政府参考人 現時点で計数的に幾らになるというようなことはなかなか申し上げづらい点がございますけれども、これまで、今の現行法では、なかなか事業者自身が契約回線を切るとか等々のことができないということもあったりしておりますので、こういう刑事罰を科すとかあるいは今先生言われたような仕組みによって、これは相当程度抑止効果ができるというふうには思います。ただ、残念ながら、五割削減するとかできるとかということはないと思います。

 ただ、これからはこういった点で、今先生が言われたような指定法人、今度は登録機関になりますが、これと民間の業界との関係もより密接に連携をし合ってやらなければならない、連携をする中でより一層の効果を期待したいというふうに思っております。

小宮山(泰)委員 今、ちょっと指定法人のことが出ましたけれども、この法案上で指定法人になっているのが財団法人日本データ通信協会なんだと思っております。

 こちらの方、いろいろなことをされていらっしゃるし、役員の方には当然、俗に言う天下りの方たちもいらっしゃる、業界団体の関係の方もいらっしゃる団体ではありますが、ここがやはりデータの処理をしたりとか、そういう意味では委託業務をされていると思うんです。指定法人から登録機関による指導助言等の業務へ移行することとなるはずですが、登録機関はこれから具体的にどんな業務をされるんでしょうか。

有冨政府参考人 登録機関の業務は、現在、指定法人として定めてある業務、つまり、指導助言あるいは調査研究、事実関係の把握等々でございます。

小宮山(泰)委員 移行した先の登録機関も同じということでよろしいんでしょうか。

有冨政府参考人 現在は指定法人として日本データ通信協会がなっておりますが、これは法律に基づきまして、施行の日から六月以内については登録機関とみなす、それを過ぎますと、登録機関として改めて申請をして登録するという形になります。したがって、今のままですと、そのまま移行するという形になると思います。

小宮山(泰)委員 今の話ですと、指定法人が終わったら、一回変わって登録機関に移行するということですか。そういう意味では、どのような要件がそろえば登録機関になれるんでしょうか。移行するのであれば、別に変える必要もない部分だと思うんですが。

有冨政府参考人 今回の基本的な考え方は、これまでのように、指定法人である、そこに政府の方で委託研究をする、随契というのが多いわけですが、それは果たしていわゆる行政改革の観点からいって問題ではないか。やはり複数の機関が例えば委託業務を受けるというような形でいわば競争するというような体制の方がより予算の効率的な利用ができるのではないかということでございます。

 したがって、現時点では指定法人がそのまま登録機関になりますけれども、登録制度ができるということは、ほかにもこういった業務をしたいというような事業者が出てくるであろうということを期待しております。

 したがって、出てくれば、いわゆる今のような指定法人だけに任せるというんじゃなくて、少しでも競争的に、効率的な予算執行ができるような体制を整えるという観点で今回お願いをしているものでございまして、業務的な中身は変わりません。

小宮山(泰)委員 ちょっとこの問題はまた後ほどもう一回質問したいと思うんです。

 それでは、総務省さんも本当に頑張っていらっしゃると思うんです。今ここにありますけれども、電気通信サービスで、総務省電気通信消費者センターとか、そういったいろいろなパンフレットをつくられたり、また経済産業省さんとも、こうやって特定電子メール送信の適正化に関する法律とか、こういういろいろなリーフレット等をつくって頑張られているんですけれども、特に携帯の電子メールで多く行われますのが、やはりいろいろなアダルトサイトであったりとかそういういろいろな勧誘等で、犯罪等で、そういったサイトで知り合った人にある意味拉致監禁されたというような、そんなような事件も起こったり、いろいろなことが本当に社会的にも引き起こされております。

 そこで、改正案で直ちに警察の捜査が可能になると思いますけれども、総務省とそのほかの省庁の連携が捜査でもすごく必要になってくると思っております。現在、ほかの省庁とどのような協力体制をしているのか、また総務省として、改正後、警察の捜査を含めてどのような協力手順を準備しているのか、まず伺いたいと思います。

有冨政府参考人 こういった迷惑メール対策というのは、総務省だけで効果が上がるというふうには考えておりません。

 したがって、今先生が御指摘のように、例えば特定商取引法の中に迷惑メール対策について規定をしているものがございますけれども、これは経済産業省が所管をしております。したがって、総務省と経済産業省といわば連携をとりまして、パンフレット等を作成して、いわゆる周知啓発に努めておるということがございます。

 それからもう一つは、あわせまして、やはり具体的にどういうようなメールがあるかということを絶えずモニターしていくというような観点で、それぞれ迷惑メール追放支援プロジェクトというようなことで取り組んでいるものがございます。

 次に、警察との関係でございますが、今回の改正案につきましても、具体的な効果を上げなきゃならないということで、刑事手続を所管する法務省、それから犯罪の取り締まりに当たる警察庁、これとよく連携をとりまして、今回、悪質な迷惑メール送信行為に対する直接の刑事罰の導入という形で取りまとめたというのが一つの成果でございます。

 それから、具体的に今後どうするんだということでございますが、今回の法案が改正をされますと、送信者情報を偽った広告宣伝メールの送信に対しまして、警察が取り締まりを行うことが可能になるということでございます。したがって、その適切な執行を期待するためには警察との連携が非常に重要であるというふうに思っておりまして、具体的に警察は警察の方で下部機関等に対して指示がされるでしょうけれども、我々も、関係の事業者あるいは総務省の中の内部機関等と警察との間の連携によく努めるようにしていきたい、このように思っております。

小宮山(泰)委員 ぜひきちんと、この法律またメールに関しましてはいろいろな省庁等絡んでくる問題でもあります。ですので、ぜひ積極的なというか、きちんと連携をとっていただきたいと思います。

 今、お答えの中に、パンフレットの作成等で周知徹底するような話がございましたけれども、先ほども言いましたけれども、民間プロバイダーもそういう意味では独自の迷惑メール対策、こう言ってはなんですが、指定法人以上に頑張っていますし、それは実態的にいえば、利用停止等いろいろなことを考えると、実効力のあるものなんだとは思います。

 これから官民の、利用者の相互乗り入れの協力というものも必要だと思いますし、総務省としては、例えば各大手、全部とは言えないんですけれども、こういう通信事業者さんたちがこれだけ対処数、現実に自分たちも自己努力をして、それと、実際には指定法人以上に迷惑メールの情報というのは、どう考えても、データ的に見ても集めていらっしゃいます。こういったところが登録をしたい、この法案が通った後、登録機関になりたいと言った場合はどのような対応をされるんでしょうか。

有冨政府参考人 登録機関の要件というのは別に法律に定めておりますけれども、具体的に、その要件に合う限りにおいて、特定の事業者がなることについては排除されるものではないというふうには思います。

 ただ、現実問題といたしましては、私どもの指定法人、今の指定法人であるとか、あるいは行政もそうでありますが、やはり一番よく現場を知っているといいますか、実態を知っているのは事業者でございます。したがって、社会的な大きな犯罪に使われたとか、あるいは極端なスパムメール等が起こったとかということに対して、これは一事業者ごとがばらばらではだめでございますので、適宜連絡会というものを開催いたしまして、情報の共有を図っております。

 したがって、何も事業者が登録機関にならなければならないということではなくて、そういった全体のトータルとしての取り組みの中で効果はより発揮できるものと思います。

小宮山(泰)委員 ぜひその連携はとっていただいて、現実に起こっていることをどんどん情報として取り上げていただきたいと思います。

 そういたしましたら、今、重要犯罪にも利用されるということの指摘がありましたので、その点に関して少し伺っていきたいと思います。

 警察庁及び都道府県警は多様なサイバー犯罪に対応しておりますけれども、今回の改正で、警察が迷惑メール捜査に直接乗り出すことができるということになっていくと思います。違法な迷惑メールの送信者の摘発はお任せくださいと現実に言える環境にあるんでしょうか。こちらの分野において、人員の配置等も含めて、総務省も、今対応していただいている課の方も、人数が少ないところで振り込め詐欺の問題とか多くの案件を抱えていて、なかなか対応し切れない人員で回しているというのを見ますと、警察庁の方も、これだけいろいろな多様化していく中においてどんな環境にあるのか、それとも、まだまだ整備が必要だというような課題があるのか、その点についてお答えください。

伊藤政府参考人 今後整備すべき課題についてでございますけれども、今回の改正案第六条において違法とされますのは、営業のための広告宣伝メールであり、かつ、送信者情報を偽っているメールを送信することであります。ただし、架空・不当請求メール等のいわゆる迷惑メール全般を規制するものではないものでありますから、警察が今回改正される規定に基づき迷惑メールの送信者をすべて取り締まれるようになるものではないというものでありますので、そうした点の問題あるいは課題というものはあろうかと思います。

 警察といたしましては、本法施行後、改正法によりまして違反となったものにつきましては、改正法の趣旨にのっとりまして、悪質な違反行為の取り締まりに努めていく所存でありますけれども、都道府県警察における取り締まり体制は、御指摘にありましたように、必ずしも十分とは言えないものでございますので、新たな人員の確保など所要の体制の整備に努めていきたいと考えているところでございます。

小宮山(泰)委員 ぜひ警察にも頑張っていただかなければいけないと思う点に関しましては、迷惑メールのほとんどが出会い系サイトと言われております。関連した犯罪の被害者に十八歳未満の女性、児童が大変多いのも特徴と聞いております。

 警察庁のことしの二月の資料によりますと、昨年の被害者数千二百八十九人中、児童が八四%、そのうち女性が何と九九%も占めるということになっています。これは、出会い系サイト規制法、青少年特別委員会で審議されました、平成十五年の九月施行、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律や、児童買春、児童ポルノ法、青少年保護育成条例、児童福祉法などの処罰を根拠にしていると理解しております。今回の改正によって、出会い系サイトの児童の被害を少なくしなければいけないと考えます。

 そこで、警察庁としても、迷惑メール法を活用できるという点において、何かお考えになっていることはあるのでしょうか。

伊藤政府参考人 平成十六年中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙件数を見てみますと、トータルで千五百八十二件でございまして、主な内訳を見ますと、児童買春、児童ポルノ禁止法違反が七百六十八件と全体の約半数を占めておりますほか、青少年保護育成条例違反が三百七十七件、児童福祉法違反が八十七件であるなど、主に十八歳未満の児童が性的犯罪の被害者になっている状況がうかがえるところであります。

 他方、出会い系サイトの広告宣伝を内容とする迷惑メール等、児童のこうした性的犯罪の被害との関係については必ずしも明らかではありませんけれども、今回の法改正によりまして、出会い系サイトに係る送信者情報を偽った広告宣伝メールが減少するものと考えておりますので、児童が出会い系サイトに関連した犯罪の被害に遭うことも減ってくるのではないかというふうに考えられるところであります。

 警察といたしましては、改正法の活用に努めるとともに、児童買春、児童ポルノ禁止法違反等の、児童が性的犯罪の被害に遭うような犯罪の取り締まりを推進してまいりたいと考えているところでございます。

小宮山(泰)委員 ぜひこの改正によって、できることなら思惑どおり、目的どおり、迷惑メールが減少すれば、この犯罪に携わるというか、被害者が減ればいいとは思いますけれども、やはり技術がどんどん進んでいくという中において、犯罪の巧妙化ということももちろん進んでいるのも現実であります。

 ぜひしっかりとした体制、減ると見込んでするわけではなく、未然に防ぐ、特に、電話機本体、特に携帯電話などは個人一人ずつが一個ずつ持つ、これは親は安全のためと思って持たせる場合もあります。そういったところにつけ込むようなものを早急に取り締まれるように、ぜひ体制を整えていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと戻るんですけれども、やはりどうしても私自身ひっかかるものがあります。それは、何といっても指定法人の日本データ通信協会なんですが、政府から調査研究委託名目で年間約一億円が支出されていると思います。これは迷惑メール対策として使用されたものなのか。もしくは、迷惑メール対処が無償だったとすれば、法改正後、もしこれが登録機関となった場合、指導助言業務というのも引き続き無償になるのか。その点について伺いたいと思います。

 そして、調査研究委託費一億円というのを今出していると思うんですが、これはどのように今後総務省としてはなっていくのか。こういう登録機関が、恐らく条件に合っていれば拒否をする理由はほかのところもないとは思うのですが、そういった調査委託をほかのところにも出していくのか。現在、随意契約ということで、その正当性というものもありますが、登録機関に対して公開入札とする予定があるのか、伺いたいと思います。

有冨政府参考人 今、先生御指摘の調査研究委託でございますが、これは、日本データ通信協会に対しまして、電子メールに関する国内実態それから海外実態の調査分析、電子メールの送受信に関する技術動向の調査分析という形の中で、請負として支出をしているというものでございます。そういう観点からしますと、今先生御指摘の指定法人としての指導助言業務等に対しまして、予算的には特別のものは講じておりません。

 そういう面でいいますと、今の制度の仕組みからいうと、これは来年度予算の中にもこれからの折衝でなるのかもしれませんけれども、今のままでいきますと、新しく登録機関になったところにおいても、そういう特別の予算措置というものは現時点では考えてはいない。ただ、業務量がふえればそれなりのことについては考えざるを得ないと思いますけれども、現時点では、先の予算措置のことでございますので、答弁はちょっと差し控えさせてもらいたいと思います。

 ただ、これからの調査研究委託がどうなるのかということでございますが、これはあくまで、今申しましたように、いわゆる登録機関の指導助言というものとは制度的には別になっておりますので、登録機関に対してどういうふうな委託をするかについて、それは今後、十八年度予算等の中で財務当局ともいろいろな形で折衝をしていきたいと思います。

 ただ、気持ちとしては、登録機関に対して何らかの具体的な調査研究委託というものを考えたい、しかもそれは、競争的な仕組みを導入しておりますので、できれば競争的な形でその委託業務等をやれる方策を考えたい、このように思っております。

小宮山(泰)委員 ぜひ本当に、景気が苦しいので税収等も伸び悩むというのが現実で、この辺は、総務大臣、一番実感されていると思うんですけれども、適正な形でこの委託費というんでしょうか予算が使われるように、これからも注視していきたいと思います。

 そういたしましたら、先ほどから、前の寺田議員の質問にもありましたけれども、最近、犯罪というものが大変複雑になってくるし、また巧妙になっていくということにおいて、個人情報を集めて、結局それを売買するという、直接ではない間接的な犯罪も起こっております。

 この個人情報の観点として、総務省としては、こういう売買が行われたということがわかった時点でどのような対応をしていくのか、簡潔に教えてください。

有冨政府参考人 まず、今の御質問の件でございますが、この法律に限って物を言いますと、いわゆる迷惑メールで情報を収集するということの入り口に着目して、架空アドレス等でデータを集めることを検証するということがまず基本でございます。

 したがって、この迷惑メール法の中でいいますと、いろいろな迷惑メールを送信している者がおると思いますけれども、個人情報データベースを事業の用に供している等の要件がある、いわば個人情報取扱事業者に該当するということでありますと、これは個人情報保護法上の規律を受けます。

 したがって、この場合においては、主務大臣、総務大臣でございますが、迷惑メール送信者が同法に違反して個人情報を取得した、そして第三者に提供したというような場合においては、勧告あるいは命令というものを行うという形になります。

小宮山(泰)委員 ぜひこの個人情報の点におきましても、迷惑メールによって、若い人だけではなく高齢者等もこれからは犯罪の対象になり得ますので、その点に関しては、厳重に処罰等に向かって手続をしていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、この法案に関しての附則におきまして、三年以内の見直しは、必要に応じいつでも見直すべきだと考えております。やはり技術革新等がありますので、その点に関して、必要に応じて三年を待たずに改正する気構え等があるかどうか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 先ほど寺田議員からも、今小宮山議員からも御指摘がありましたように、この種の技術の進歩というのは、ドッグイヤーじゃありませんけれども、物すごく速いことになっております。三年を待たずということは十分に考えられると思いますので、状況に応じて適宜見直すというのは正しいと思っております。

小宮山(泰)委員 ありがとうございました。ぜひ適宜見直していただきまして、特に、青少年等がこの犯罪に巻き込まれる率が大変高いという現実も踏まえまして、対応していただきたいと思います。

 これからメールというものが使えなくなっては大変困るなと思うのは、私自身もつい三月に通信制の大学院をやっとの思いで修了いたしました。ほとんどが電子メールによって課題のやりとりをするという中で、この何年間でやはり大学院のサーバーもダウンした、スパムの攻撃等がありましてダウンしたこともございます。

 やはりこれからいろいろな面におきまして、メールというものは社会を担っていく、そしてグローバル化された世界の中においても、日本がきちんとこういう通信状況を確保できるということも重要なことだと思いますので、ぜひ今後ともしっかりとした体制を総務省としてもとっていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 迷惑メール規制の法案について質問をいたします。利用者の同意なく送られてくる迷惑メールは、利用者に無用の負担を強いるもので、精神的な苦痛にもなっています。携帯端末が広く普及することに伴い迷惑メールも大量に送信され、社会問題となっています。利用者に無用の負担を強いる迷惑メールの規制強化は急務であります。その上で、幾つかの問題について質問したいと思っております。

 総務省の迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会が昨年発表しました中間取りまとめに対し、パブリックコメントが多くの個人や団体から寄せられております。この意見を拝見しますと、多くの方から、そもそも、受信者の同意なく広告メールを送信すること自体を禁じるオプトイン規制の導入を要望しているのに対し、今回の法案では、受信者が拒否するまでは広告メールを送信することが自由なオプトアウト規制が継続をされております。今回オプトイン規制を導入しなかったのはなぜか、この点を最初にお伺いしたいと思います。

有冨政府参考人 ただいま先生御指摘のように、私どもといたしましては、迷惑メールの対策をどうするかということで、迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会を開催させていただいて、有識者あるいは消費者団体の代表の方々にいろいろと御議論をいただきました。今先生御指摘のように、パブリックコメントもしました。その中で、オプトイン方式というものを導入すべきではないかというような御意見もいただきました。

 ただ、このオプトイン方式につきましては、先生御指摘のとおり、受信者の同意を得ない限り広告宣伝メールを送ってはいけないということでございます。したがって、事業の面からいいますと、営業の自由度に大きな制約をもたらすというようなことになります。したがって、研究会においては、その導入に当たっては、慎重に検討する必要があるというような結論が得られております。

 現在問題になっているような問題は、たとえオプトイン方式を導入いたしましても、自己の情報を隠ぺいするような悪質な送信者というのは違法なメールを送り続けるというふうに考えられる。したがって、一番重要なことは、オプトイン方式を導入することよりも、まずは法令に違反した送信者に対する取り締まり等を着実に行うことではないか、こういうようなことが結論として出されたものでございます。

 ただ、この研究会におきましても、では、オプトインについては永遠に排除するかというと、これから継続的に見ていくべきではないかというような意見もいただいております。

塩川委員 まじめな事業者の方の広告活動も、これだけ迷惑メールが多いと迷惑メールの一種みたいに思われかねないというのも実態だというふうに思うわけです。やはり、基本は送信者の違法な活動についてきちんと取り締まりの強化をする、この点は大変重要だと思うわけです。

 その上で、やはり受け手の方はどういうふうに受けとめるのかということに対してもう一歩踏み込んで考えることが必要ではないかなと思っているんですが、このオプトインやオプトアウトの規制方式について、主な諸外国でどうなっているのかを簡単に御紹介いただけますか。

有冨政府参考人 まず、イギリスなどのEU諸国でございますが、欧州指令というようなものに従って制度を運用するとなっておりまして、これはオプトイン方式というものを採用しております。

 それから、他方、アメリカでございますが、これは原則としてオプトアウト方式を採用しておりますが、電子メールの利用が一般的でない携帯電話に対しましては、これは例外的にオプトインを採用しているというふうなことでございます。

塩川委員 EUの場合はEU指令でオプトイン規制ということです。米国の場合については、オプトアウトが原則でありますけれども、携帯についてオプトインということなんですが、これは、アメリカでは、昨年の六月にFTCの報告書でオプトイン規制は効果が疑問という報告を出しているんですが、その後の昨年の八月に今言ったような携帯でのオプトイン規制を導入しているわけですね。

 FTCの報告書で疑問と言いながら八月にはオプトイン規制を選択した、アメリカが選択をした理由についてはどのように把握をされておられるんでしょうか。

有冨政府参考人 携帯向けの場合、これはスパムメール規制というものでありまして、これについては法律に基づいて規制をすべきであるという観点でオプトインというものを採用したというふうに聞いております。

塩川委員 国際通信経済研究所のことし二月の報告書でも、アメリカのスパムメール規制の中で、「移動体端末に対する迷惑メールについて、「オプトイン方式」が採用された背景には、移動体端末では迷惑メールの消去にも料金がかかることや「オプトアウト方式」による迷惑メールの防止成果が期待よりも低かったことがある。」こういうふうにも書かれております。

 諸外国の状況についてもうちょっと踏み込んで研究もしていくことが必要なんじゃないのかなと率直に思うわけです。たまたま、きょうの朝日新聞には、「迷惑メール 撲滅へ国際協力」ということなんかも出されております。そういう点では、国際的な整合性の問題の観点というのも重要だと思うわけです。国際的な動向の把握もぜひきちっとやってもらいたい。

 同時に、未承諾広告というのが表示をされても、フィルタリングしたとしてもそれにかからないような形のものが実際にはたくさんあるわけで、メールアドレスの入手方法自体が実際どうなっているのかということについてはやはりよくよく研究する必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。受け手の人の立場に立っての対策ですよね。当然こういうメールについての国民、消費者の意識動向というのもあると思うわけです。

 そういう点で、国際動向も踏まえて、こういった迷惑メールに対する規制方法について、大臣、ぜひオプトイン方式の導入について、とりわけ携帯についてはアメリカや韓国の例もあるというふうに聞いております。ぜひ速やかな検討、対策というのが必要なのではないかと率直に思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今回の法改正をするに当たりまして、今塩川先生の御指摘もありましたように、研究会においてはいろいろ議論がなされたところなんですが、今回は、先ほど有冨局長の方から答弁をいたしましたように、オプトインの導入よりも、悪質な送信者に対する取り締まりを着実に行った方がいいという結論になって、そのための制度の見直しを行うということになったんです。

 もう一つは、やはりこのオプトインをやりましたイギリスの例がさっき出ていましたけれども、オプトインをイギリスがやったのは二〇〇三年の十二月ですが、それ以後、迷惑メール、スパム、ジャンク、くず情報に関する、いわゆるこの種の迷惑メールの対象になるようないいかげんな情報が減ったかというと、余り効果はなかった、減っていないというのが、少なくとも一月、二月、三月にずっと出てきた資料なものですから、その有効性についてはちょっと結論がまだ出ていないということだと思っております。

 イギリスの例で、FTCの報告書の例を今引かれましたけれども、FTCの中におきましても、このオプトイン方式の有効性についてまだ疑問ということで、もう少しちょっと経緯を見てみないとわからぬところだとは思いますけれども、さらに技術が進歩したりなんかして、こっちの方が速いんじゃないかとか、いろいろまた状況が変わってくれば、その段階で検討させていただかなきゃいかぬかなとは思っております。

 いずれにいたしましても、この問題、オプトアウト、オプトイン、いろいろほかにも方法が出てくるのかもしれませんが、そういったものを含めて継続的に検討をしていく必要があろう、私どももそう思っております。

塩川委員 アメリカのFCCの指摘の中でも、携帯にオプトイン方式を採用した理由として、PCより携帯の方がより私的な性格が強いという点での配慮というのを述べておられるそうですから、そういう点でも、携帯という機能に着目したオプトイン方式、受け手の側の立場に立った対策というのは広い意味での検討の中の一項目だと思いますけれども、ぜひ今後、早急な対応なども求めていきたいと思っております。

 あわせて、携帯に絡む迷惑ということで考えますと、地域住民にとっての携帯の基地局の建設問題があります。

 携帯基地局の建設問題について何点かお聞きしようと思うんですが、ことし三月二十七日の毎日新聞に「第三世代携帯基地局が急増 住民とトラブル多発」という記事が掲載をされておりました。一昔前は第二世代の携帯の基地局についてのトラブルというのがあったんですが、今、第三世代に移ってきております。

 数字がわかれば教えていただきたいんですが、この第三世代の基地局の建設状況は今どうなっているのか。あわせて、こういった基地局建設に伴う住民と携帯電話会社間のトラブルの件数などについて総務省はどのように把握をされておられるのか。この二点、お答えをお願いします。

有冨政府参考人 まず、携帯電話の基地局の数でございますが、これは第三世代だけでございますけれども、平成十四年度末で一万五千局、十五年度末で三万一千局、十六年の二月末で四万二千局というような数でございます。ただ、これは無線局の数でございますので、場合によっては複数の無線局が同じ場所に設置する場合があるということでございますが、周波数が短いということもありまして、基地数は第二世代よりも基本的には多いというふうに受けとめております。

 それから、トラブルの関係でございますが、先生御指摘のように、携帯基地局の建設をめぐりましては、周辺住民と携帯電話事業者との話し合いがスムーズに進んでいないケースというのが一部で起こっております。これは、平成十七年の三月末現在でいいますと二十件程度というふうに把握をしております。

塩川委員 過去二年間で一万五千から四万二千、今はもっとふえているんでしょうけれども、急速に増加をしております。二十件程度というのは、これは苦情といいますか相談件数ということなんでしょうけれども、この毎日の記事でも、こういうトラブルが全国で二百件以上起きているという点では、新たに今の段階での問題として議論が必要ではないかなと思うんです。

 といいますのも、九〇年代の後半に大きく携帯の基地局の建設ラッシュが起こった際に、これは一九九九年四月に我が党の当時の宮本岳志参議院議員が旧郵政省にこの点をただして、当時の電気通信局長もこれについての対応を答弁しているわけであります。下請の工事業者に任せることなく、携帯の事業者が土地の選定の段階から地域住民への説明や理解を得るよう努めるように指導しているというお話だったんですが、この内容については基本的に今も変わっていないと思うんですが、その点だけ確認させてください。

有冨政府参考人 今先生御指摘のようなことにつきましては、今も変わっておりません。

 なお、昨年の一月でございますが、改めて、地方総合通信局を通じまして各携帯電話事業者に対しまして、携帯電話用基地局の設置に際しては、地域住民の方の理解を得るべく最大限努力するように要請をしたところでございます。とりわけ、地域住民の電波の安全性に対する不安等を除くということが必要であるということでございますので、電波防護規制の内容とか、あるいはその規制を遵守しているとかいった旨を住民に周知するように尽力されたい旨、改めて要請をしてきているものでございます。

塩川委員 そういう点では、昨年の一月にそういう指示を出されたということの背景に、やはり地域住民の方からいろいろな不安や心配の声が上がっているということがあると思います。突然鉄塔が建ち始める、これは何だという声というのが実際には多数上がっているわけですね。ですから、建設の前の土地の選定段階での説明が実際には現場で不十分なんじゃないのかなというのを率直に思うわけです。ですから、鉄塔が建って、これは安全なのか、景観の問題はどうなんだろうか、そういう点での心配、不安があるわけで、不安を解消する説明責任というのは、当然これは事業者にも、また事業者を指導する国の方にも求められていることだと思うんです。

 そこでお聞きしたいんですが、携帯と基地局の電磁波の人体への影響についてWHOのまとまった見解を示すものとして、二〇〇〇年六月のファクトシート一九三というのがあるというふうにお聞きしているんですが、このファクトシート一九三の結論及び勧告の中に、ガイドラインの遵守とともに、用心のための措置という中で、立地決定には景観や住民感情に留意をすべきだ、幼稚園や学校、遊び場の近くに基地局を選ぶ際には特別な配慮が必要だ、また、アンテナ新設の計画段階から携帯電話事業者、地域の自治体、住民との間にオープンな対話や議論があれば、新しい施設に対する住民の理解や受け入れ拡大の獲得につなげることができるという形で、九九年あるいは昨年も出されたような指示の方向よりももう一歩踏み込んで対応を求めるということが指摘をされているんだと思うんですけれども、こういったWHOの指摘の方向で、もう一歩踏み込んだ対応というのをぜひ考えていただくときではないかなと率直に思うんですが、その点、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、携帯電話等々からいわゆる電波による人体への影響ということに関しましては、これは非常に重要な問題だ、私どももさように認識をいたしております。

 総務省においては、人体への影響について、いわゆる医学的、工学的というのか、そういった見地から調査研究を実施しておりまして、その結果、電波の強さに関する基準値を規定する電波防護指針というのを策定して安全の確保に当たらせております。

 今お話がありましたように、WHO、世界保健機関が公表しておりますファクトシート一九三におきましては、基地局の周辺での電磁界のレベルは健康へのリスクとはならないと考えられること、基地局の設置に当たって景観及び公衆の感情を考慮すべきであることなどが指摘されておりますのは、今お話のありましたとおりであります。

 したがいまして、総務省としても、この種の基地局を新しくつくるときに当たりましては、いわゆる携帯電話の事業者等々が周辺住民の理解を得るように努めることが重要であると存じますけれども、そういった意味で、いわゆる事業者に対する要請はきちんとやらないと、むやみに不安をかき立てることにもなるし、そういった意味では、公衆の、先ほど出ましたいわゆる景観という点につきましても、いきなりそこにぼんと変な棒が出てきたりするといかがなものかということでもありますので、設置する場所の選定に当たっては、そういう景観を害することによる感情を害するという面もあわせて考えておかねばならぬということで指導をいたしておるところでありますし、今後ともふえていくことになろうとは思いますので、その種の配慮はなされねばならぬものだ、私どももさように考えております。

塩川委員 人体への安全性の問題については、例えば国の調査などでも、第二世代の携帯の使用が脳腫瘍の発生に及ぼす影響は認められないということを確認したとか、こういう研究成果というのもあるんだと思うんですけれども、例えば第三世代がどうかとか、そういう点での課題というのは残っているわけで、それ自身が国の研究項目にも上がっているわけですね。

 そういう点での努力を進めていただくのと同時に、一方で不安があるわけですから、それにこたえるということも必要なわけで、特に私なんかも知っているところでは、やはり小学校のそばにつくることについてはどうかという住民の声なんかもあるわけですよ。このWHOのファクトシートでも、幼稚園とか学校とか遊び場の周辺に基地局を設置する場合には特別な配慮が欠かせない、つくるなというふうにはここには書いていないわけですけれども、配慮するということが必要だという点で、きちんと事業者に対してこの点も物申すことが必要なんじゃないか。その点、改めて要望もし、確認もしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 住民の皆さん方の感情を害さない、業務がうまくいくということに対しては、今先生言われたように、できるだけその理解を得る努力は必要だし、もし設計上避けられるのであればこれは変更した方がいい、そのように思います。現実に、設計変更したということもあります。ただ、どうしてもできないというのもありますけれども、その状況に応じて努力をすべきだろう。私どももそういうふうに要請をしていきたい、このように思います。

塩川委員 地域住民の要望や感情に沿った対応というのをぜひお願いしたいと思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

実川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

実川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.