衆議院

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第18号 平成17年6月9日(木曜日)

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平成十七年六月九日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 松崎 公昭君

   理事 長沢 広明君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    小西  理君

      佐田玄一郎君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      平井 卓也君    増原 義剛君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    渡辺 具能君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      楠田 大蔵君    小宮山泰子君

      神風 英男君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      山花 郁夫君    若泉 征三君

      河合 正智君    桝屋 敬悟君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  田村 政志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  自見庄三郎君     渡辺 具能君

  萩生田光一君     宮下 一郎君

  高井 美穂君     若泉 征三君

  松野 頼久君     神風 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  宮下 一郎君     萩生田光一君

  渡辺 具能君     自見庄三郎君

  神風 英男君     松野 頼久君

  若泉 征三君     高井 美穂君

    ―――――――――――――

六月九日

 シベリア抑留問題の早期解決に関する請願(石井一君紹介)(第一七三八号)

 同(平野博文君紹介)(第一八一五号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一八七九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政手続法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政管理局長藤井昭夫君、行政評価局長田村政志君及び経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 連日、麻生大臣におかれましては、特別委員会とのかけ持ちで大変御苦労さまでございます。特別委員会で黙ってお座りになっているのはさぞ苦痛であろうなと思って、きょうは第一義的にお答えができる本委員会で質問をさせていただくことになりました。

 まず、この行政手続法の一部改正案でありますけれども、命令等を行う場合に、その法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない、そして、その重要なツールとしてパブリックコメントを義務づけようという趣旨の法案でございまして、基本的には非常にいい法案だ、正当な法案だ、こう思うわけですけれども、法律案にはやはりすべて、光もあれば、ひょっとしたらという影の部分もないわけではないということで、念入りに審議をさせていただきたい、こういうことでございます。

 まず、本改正案の趣旨でございますけれども、私は、官の側からいくと政策を民主的に正当化しようということだろうと思いますし、これは国民の側から見ると、やはり命令等といえども、その公正性、透明性を高める手段としてこれが必要だということだろうと思うんですが、その法案の趣旨については私の解釈でよろしいかどうか、大臣に伺いたいと思います。

麻生国務大臣 五十嵐先生の御指摘にありましたとおり、各行政機関に対して、従来、いわゆる政省令というものが出されるときにおきましては、余りよくわからぬうちにというようなこともよく御批判の対象でもありましたので、その案を事前に公示するという意見公募手続、通称パブコメ、パブリックコメントをすることにいたしております。

 意見を公募して、その意見を参考にしたいということでありまして、外から見たときの透明性と、それから公正というものをより一層確保したいということで、国民の権利利益の保護というような、今御指摘のあったとおりのものを本来の意義といたしております。

五十嵐委員 先ほど少し申しましたように、しかし、本来は、例えば法令等で決められる審議会についても同じような趣旨で審議会が設けられているわけですが、とかく行政側の隠れみの、都合のいい人だけを人選して、自分たちの政策を正当化するための手段として審議会を使うということが指摘されてまいりました。

 同じように、このパブリックコメントについても、行政の隠れみのになる、つまり正当化の手段として形の上だけで使われるという可能性、行政の主体によっては、これは準じることになるでしょうから地方にも当てはまる、そういう使われ方もあり得ないわけではない、こう思うんですが、その行政の隠れみのに使われるということと同様の危険性はないのかどうか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 これまで政省令等は、行政の内部の話で、国民に見えないところで行われておりました制定の手続を、いわゆる目に見えるようにする、透明化することによって公正を確保しようとするというのが本来の目的でもあります。そして、意見を考慮して出された結果も、いわゆる一般に公開するというように義務づけておりますので、より国民の目にさらされるということになると思っております。

 実施状況につきまして、この点はもっと問題なのではないか等々の御意見もあろうと思いますが、そういう場合に関しましては、それを適宜指導していく等々の措置はとらねばならぬことも起こり得るとは思っております。

五十嵐委員 可能性としてはあるわけで、十分にやはり法施行の段階でフォローすることが必要かなというふうに思います。

 同様に、この規定ができたために、本来、国会あるいは地方の議会等で審議されるべき法令、条例等が、本来の法律事項からより下位の政省令あるいは命令、行政指導等に委譲される、そういう言いわけに使われないかという心配も出てくると思うんですね。

 本来、議会に付すべきものを、こういう制度があるからいいじゃないかということで正当化する、より下位の、官が縛られない、あるいは人目にさらされにくいところをより増す、そういう分野をより広げる方向に動く可能性がないかということが二つ目の危険性の一つだと思いますが、いかがでしょう。

麻生国務大臣 この改正案が今改めて改定をしようとしております手続は、もちろん、いわゆる我々国民の代表ですので、国会の審議に代替し得るものではありません。それはもうはっきりしておると思うんです。

 また、本来、法律規定で定めるべきものを法律できちんとやるというのは当たり前の話なんでして、この制度ができたからといって法律はやらなくていいというようなことにはならぬ、私どもはそう思っております。

 その今御疑念の点につきましては、そういう趣旨では全くないということだけは明確に申し上げられると存じます。

五十嵐委員 大臣の御答弁はもっともです。それはそのとおりなのでありますが、役所あるいは官僚というものは非常にずるいというかずる賢い方々がおられるものですから、より楽な方へ楽な方へと実態的には動きかねないということ、そのいい例が郵政民営化法等、最近出てくる政府案で政省令委任事項が非常に多いということなんだろうと思いますね。

 政省令に委任すると法律に書いてあるからそれでいいんだという言いわけに使われて、実際には、本来明らかにすべき政策の枠や道筋が、逆に政省令にゆだねられて、法案審議の場では余り表に見えてこないということが起こりがちである、そういう傾向を助長しないか。この法律の枠の中では、それは総務大臣の解釈がもっともであるわけですが、この法律の枠を超えて傾向として使われる危険がないかということなのであります。

麻生国務大臣 一般に、政省令への委任につきましては、手続的な事項とか技術的な事項とか、ほかには事態の推移に応じて臨機応変にというような措置をせねばならないときにされるということになっておると思います。

 いずれにいたしましても、その委任をいたします法律の規定が適当であるか否かとか、また、国会内において、その法律案の審議によってやはりこれは判断されないかぬところなんであって、今言われたように、それは安易過ぎないか、パブコメに付せば審議会でそのままちゃんちゃんというわけにいかぬぞというような御意見は、やはり代表であるこの国会の場においてきちんとされるようにフォローされていく、またはしていくという義務と責任も我々にあろうと存じます。

五十嵐委員 このパブリックコメントというのは、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、公募された意見が反映されるかどうかについては、結果を公開するということによって一応担保しようという仕組みになっていると思うんですが、これが反映されない場合、たくさんの意見が出されたけれども反映されないということもあり得るわけで、その場合の対抗する手段といいますか、あるいは行政の側から見ると救済する措置というものが考えられるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 この改正案は、いわゆる政省令の制定に関する事前手続というものを透明にしよう、政省令の公正さを確保しようというものでありますので、制定後に生じました権利の侵害とか、いろいろなものが考えられますので、救済措置というようなものをあらかじめ定めるものではないんですが、今言われたような場合、個別具体的な問題に対しては、行政事件の訴訟等の必要な措置がとられるということはもう当然あり得ると思っております。

 御指摘のありました、いわゆるパブリックコメントの意見の反映というようなところであれば、これはもう合理的なものでありさえすれば反映されるべきであって、何が合理的かそうでないかは行政機関の責任と判断にゆだねられるということになるんだと思いますけれども、ただ、その判断については、そういった意見を受けても、その結果こうなったということは公示してもらいますよということを義務づけておりますので、公正は確保されるのではないかと私どもは思っております。

 したがいまして、この改正案というもので定めようとする手続というものをまず徹底させることによって、提出されます意見の取り扱いの徹底を確保するということが一番大事なところかなと思っております。

五十嵐委員 特に特効薬みたいなものはないと思いますので、当面公表で対応するということで、あとは、行政側の心構えとして、大臣おっしゃるとおりに、法の趣旨を生かしていただくということだろうと思います。

 一方、逆に今度は、組織的な応募があって、どうかと思われる意見がたくさん集中して、数だけ公表するとその意見が圧倒的多数になってしまうというようなこともあり得るんですね。こういうことについて、そのまま公表するということでこれは仕方のないことなのか、それとも、これは組織的な同種同文のコメントであったというようなことを含めて公表すればいいということなのか、その辺のところもお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 そのようなことがあり得るというのは、特定の大臣を批判するといきなりばあっと、メールでいただければよろしいんですけれども、ファクスなんかで来るとファクスの紙代はこっちなものですから被害も出てくるというので、正直迷惑する話は今までもいっぱいあります。

 そういった意味では、こういったものは広く一般から意見を聴取するものではあるんですけれども、今言われましたように、同じ意見で組織的にやられた場合の話でいけば、数量ではかるんじゃないということであって、やはりその意見の内容の適正とか合理性とかいうものに着目しなければならないのではないかと思っております。

 やはり中立とか公平とか公正とかの立場から考慮するというのが最も大事なんだと思いますので、特に意見の内容とかまた考慮した結果などを公示するということによって、意見の公正というものを図っていかないかぬと思っておりますが、出されました意見というものを必要に応じて整理して、きちんとその内容を要約して公示するということもまた必要な方法かなと私どもは基本的に考えております。

五十嵐委員 パブリックコメントを求める命令等、法令でございますけれども、特に影響が広範囲に及ぶあるいは深刻な利害にかかわるというようなものについては、特別に、念入りに配慮する必要があるのではないか、パブリックコメントの期間を十分にとらなければいけないとか、そういう規定が必要ではないかなというような気がしないでもないんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のあった点は考慮しなくちゃいかぬところで、この法令等で規律する内容というのは、実にさまざま、非常に広い分野でもありますので、これは一般的なルールというものを定めようとしているのでありまして、個別具体的にこの法令の場合というのは、それはやはり担当される行政機関、法務省なら法務省という行政機関で、ここに定めてありますルールとは別に、一カ月を二カ月にする必要があるとか、またいろいろな意味で期間の延長というようなことは別に考えられるということはもう十分にあり得ると私どもは思っております。

 特に、税金を徴収するとかいうような話になりますと、これは金銭納付についての命令というのがありますので、例えば中労委、中医協、ああいったような第三者機関というようなもので、委員会で審議をされる結果出されます命令等につきましては適用の対象から外してやらぬと、国会審議や個別法の趣旨を尊重しようということになりますので、そこらのところを外すなど、個別には幾つか出てくるだろう、私どももそう考えております。

五十嵐委員 一般法としてこれを実施してみてから、また手直しすべきところはしていただきたい、こう思うわけであります。

 今の行政手続法の精神から見て、今最も問題となっている郵政民営化法は、どうも、より慎重な手続や民主的な手続が求められるにもかかわらず、先ほども言いましたように、政省令の委任事項が極めて多い等、大変私は不透明なものである、この法の精神に背くものだというふうに思わざるを得ません。

 例えば、勤務する者が、郵便局会社に今後行けと言われた人たちは、自分たちは公共のために役に立つ郵便事業のために郵政省あるいは公社に入ったにもかかわらず、本業が金融代理店なのか物品販売業なのか何なのかわからないというようなものを、これはひとつ成り立つわけですから許してくださいと言っても、どうも、それは余りにもひどい話じゃないかというのは当然出てくる。

 それから、郵便局の周りの事業者、小さな商店などにとっては、地域の自分たちの味方の官の代表がいつ商売がたきになるかわからないということにもなってくるわけで、これはやはり事前に、どういうビジネスモデルを構築するのか、それがサステーナブルかどうか、永続性があるかどうかというのを審査しなければこの法案というのはおかしいではないか、こう思うわけですね。

 いわゆる、一つの代表的例として、コンビニをやるんだとか介護をやるんだとか、あるいは、なぜ出てきたのかわからないけれども、住宅のリフォームをやるんだとかいう話が出てきているけれども、それは確たる話ではなくて、後で経営者に判断してもらうんだということでは、職業の選択があるんだけれども、自分は何屋さんになったのかわからないということが出てくるので、これは人権上も大変問題だ、こう思うわけですし、周辺の事業者も不安に陥る。小さなクリーニングの取次業で暮らしている人たちが、いつ郵便局が自分の商売がたきになるかわからないというのでは、これはたまったものではない、こう思うわけであります。それから、郵便局の利用者にとってみれば、いつ生活インフラがなくなるかわからない。

 こういう深刻な影響があるわけですから、できるだけそれは政省令にゆだねずに本法の中に書き込む、本法の中に書き込まなくても、国会審議の中で明らかにするというのが当然のことだろうと私は思うんですが、大臣は、あそこでは余り御発言がないようですけれども、いかが思っていらっしゃるでしょうか。

麻生国務大臣 今の話で、基本的には、法律で書けない部分は政省令で書かざるを得ないところも幾つもあるんだと思いますけれども、いずれにしても、そういった大改正でもありますし、今言われた、従業員にとりましては、かれこれ三十七万九千人ということになろうと思いますが、三十七万九千人の、組合員に限りません、職員総数ですけれども、そういったものの中では、今言われたように、郵便局に入ったわという方もいらっしゃれば、例えばしかるべき会社の本社の課長をやっておられた方が、親が死んだから特定郵便局長をやれといって、しゃにむに高給をもらっていた会社をやめさせられて郵便局長になって、しばらくしたら、はい、あなたはまた民間と言われても、それは、もとの会社にいれば得べかりし利益はもっと多かっただろうというような話はありますよ。何となく、そっちの方が私は問題だと正直思いますけれども。

 そういったようなことを含めて、組合との話、もしくはそういった方々との話というのは、ある程度の納得というものを得るような努力をされないと、これは職員の労働意欲というものを著しく阻害することにもなりかねませんので、そこらのところは今後とも大事にされるべきところだと思っております。

 また、政省令の話につきましては、まだなかなか決め切っていないところが一つと、やはり経営をやったことのない学者とか役人とかいうのは、これは余りよくわかっておらぬでしょう、わかっておらぬ人が書くから話になるので、それで我々の意見というのを言うことにならざるを得ないということになっておりますので、今のところ、いろいろ御意見は出ているところだと思います。

 一応、今の形のものになると、そこそこビジネスモデルとして、一応民営化された後の会社というものが形としては成立し得る、商売として成り立ち得るというものでなければ、社長を引き受ける人はいませんから、少なくともそういった意味では一応のものができ上がるところまではいったかなというのが正直なところなので、今いろいろやってみて、まだ国会の御審議の中でいろいろ出てくるところだろうと思っております。

五十嵐委員 例えば、公社の資産の継承に関しては税制が決まっているんですよ。これは、登録免許税等、あるいは自動車取得税、不動産取得税等、あるいは印紙税、免税にすると書いてあるんですが、その他の税制なんかさっぱり書いていないわけですよ。あるいは、会計上の措置も、連結納税を認めるかどうかというのは重要なところなんですけれども、こんなことも何も決まっていないわけですね。

 そうすると、これは成り立ち得るかどうかというのは、本来、そこまで調べなきゃわからないわけですよ。なぜ成り立ち得ると言えるのかということがわからないわけで、余りこれ以上言うと手のうちをさらすことになりますので言いませんけれども、中身について非常に問題が多いと思いますので、やはりいいかげんな、抽象的な答弁ではなくて、なるべくきちんと答弁していただく。

 そこで、この間の特別委員会の方で、一義的な答弁は民営化担当大臣である竹中さんがするんだという御答弁がありました。これはおかしいんじゃないですか。私は、一義的という言葉は、有権的に、優先的に解釈する権限があるというふうに受け取れます。通常はそうです。一義的に答弁するというのはそういうことです。有権解釈権、優先的な解釈権を竹中さんが持つということなんですが、それはそうではないでしょう。

 もともとが、総務省の設置法においても、公社の事業、郵政の三事業については総務大臣が所管をするということになっているんですから、あの法案はあくまでも共管のはずでありますから、一義的という表現は間違いではないか。ともにそれは責任を分かち合う、そのために我々は六大臣と言い、当初から民営化委員会には三大臣が張りついているわけですから、三大臣は少なくとも政府側の立場にとっても同等の共管事項でなければならない、こう思うんですが、一義的という答弁について、私は大変疑義がありますが、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今の答弁の内容、詳しい記憶がありませんので、今の一義的という点についてお答えすることはできないんですが、今言われましたように、総務省設置法というのでいきますと、郵政事業に関する企画及び立案等々、いろいろこれは書いてあるところなんですが、ただ、郵政民営化に関する事務は、平成十六年九月の組閣におきまして、小泉総理から、特に竹中大臣に対して、民営化の担当大臣として指名をされておりますので、総務大臣の立場といたしましては、郵政事業及び郵政公社を所管する立場から、竹中郵政民営化担当大臣に協力をするということになろうかと存じます。

五十嵐委員 法体系というのは、法律に書いてあることが上位なんです。これは、ですから、元官僚の皆さんがいらっしゃるけれども、できるだけ法律に基づいた予算を獲得しようとするわけですね。ですから、都合の悪いところは、もし引け目のあるところは政治家に頼んで議員立法でつくってもらって、そして法律に基づいた仕事をふやす、これが役人の習いでございますから、これは法律に書いてある方が政治的な判断よりも実は上位に来るべきものであります。

 法律にははっきり、今大臣が御答弁されましたように、郵政公社に関する事項、郵政三事業に関することは、主務大臣は、所管大臣は総務大臣でありますから、これは一義的という発言はやはりおかしいのであって、一義的、それについてはお答えできないと言っていたけれども、あれだけ一義的、一義的と何回も言われたら、一義的という表現を使ったことは間違いないというふうに御確認できると思うんですが、一義的に私がお答えするとか答弁するとか、そういう表現だったと思いますが、一義的という言葉を使ったことは間違いありません。

 これは、私は、はっきり誤りだ、私も当然責任を持って答弁し得る立場にあるし、別に私の答弁が第二義的なものではないということを私はおっしゃられるべきだと思いますが、いかがですか、改めて。

麻生国務大臣 私、答弁をあのとき振られていませんでしたし、ほとんど質問通告もありませんでしたので、余り聞かずにおりました。正直言って、一義的ということを言われたと言われると、確かに一義的という言葉があったかなという感じはいたしますし、今、一義的と何回も言うておるというお話なので、そうなんだと思いますが、だからといって、私の話は二義的だというように感じているわけではありません。

五十嵐委員 要するに、郵政大臣の答弁は、同じく閣僚として、あるいは主務大臣として責任を負った発言であって、二義的なものではないということは、逆にひっくり返せば、竹中さんが優越的な地位にあって一義的に有権的解釈権があるというものではない、竹中答弁は法律的に見ると誤りだったというふうになるかと思いますが、余りここで追及しても大臣に御迷惑かと思いますので、場を変えてまたこの続きはさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

実川委員長 次に、稲見哲男君。

稲見委員 稲見哲男でございます。

 先ほど五十嵐委員からもありましたが、古巣ですのでリラックスをしていただいて、きょうはお役人にも答弁を求めておりませんので、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 この行政手続法の一部改正ですが、私も自治体におりましたのでいい法案だなというふうに見ながら、中身を勉強していきまして、あれ、あれれ、あれっと、こういうふうなことになりました。というのは、手続法が、処分、行政指導、届け出、こういうふうに限定をしておりますから、先ほどからありましたように、改正のパブコメは、法律に基づく命令または規則、審査基準、処分基準、行政指導指針、こういうことに限定をされている、こういうふうなことであります。

 一方、この意見公募手続、パブコメ、これについて政府の中でこれまでどういう検討の過程があったのかというふうに申し上げますと、一つは、平成九年十二月に出されております行政改革会議の最終報告、こういうものがあります。少し引用させていただきますと、早口になりますが、

  各省庁によって政策形成が行われる場合、民意の反映、専門的知識の導入、利害調整等が不可欠な場合が多く、また、その政策形成過程の公正と透明性を確保することが必要である。

  上記目的を達成するための方策として、各省庁が政策の立案等を行う際、原案を公表して、専門家、利害関係人その他広く国民から意見を求め、これらを考慮しながら意思決定を行う仕組みを作ることが必要である。

 対象としては、基本的な政策の樹立、変更、国民の権利義務、国民生活に影響を与える新たな制度の導入、変更、国民の権利義務、国民生活に影響を与える行政運営の基本的なルールの設定、変更、多数の者の権利義務に影響を及ぼす事業等の計画の策定及び変更。

 方法として、個別法にある場合は別にして、個別法による制度がない場合にあっては、行政運営上または新たな制度の整備を行う、こういうふうなことがございました。

 そして、それを受けて、中央省庁等改革基本法、これは平成十年ですが、三十三条も問題になっておりますが、これの五十条の二項で、「政府は、政策形成に民意を反映し、並びにその過程の公正性及び透明性を確保するため、重要な政策の立案に当たり、その趣旨、内容その他必要な事項を公表し、」以下云々、こういうふうな形になっております。

 ところが、今回の行政手続法が出されてきた背景ということで考えますと、その後、中央省庁等改革に係る大綱というのが翌年に出されておりまして、そこで、いわゆる意見照会手続については「規制の設定又は改廃に係る意見照会手続」、こういうふうに初めてここで言われまして、それが中央省庁等改革の推進に関する方針の中でも「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」、こういうふうに、つまり、対象が、重要な政策なり法自身の立法についてのところからこの行政手続法というところにぐぐぐっと限定をされた経過があるわけです。

 そういう意味で、総務省として行政手続法の中でこのパブコメを位置づけられたということはわかりますけれども、今申し上げた一連の流れの中で、総務省としてそれ以上に全体にパブコメを採用していこう、そういう法制定をしていこうというふうな検討があったのかどうか、その点についてお聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 今、稲見先生の言われましたとおり、最初にできましたのは行政改革会議の最終報告、そしてそれに続きまして、平成十年、翌年ですけれども、中央省庁等改革基本法の第五十条ということになっておりまして、そこのところで広く国民から意見を聞くべきである旨定めているということになっております。

 それで、今言われましたように、今回の改正案の中においては手続の対象となっているものは限定され過ぎているのではないかという御意見なんだと思いますが、これはもう私どもとしては、今回の改正案の中では、平成十一年の閣議決定で実施してまいりましたパブリックコメント手続の実績等々を踏まえて、まずそこから検討に入らせていただいて、統一的な手続についての成案が得られたいわゆる命令等を定める話につきましては法制化の提案をさせていただいたというのが経緯であります。

 したがいまして、重要な施策につきましていろいろ国民の意見を広く聞くという重要性に関しましては、私は十分に認識をいたしておるところでして、今回の改正案によって、少なくとも積極的に国民の意見をより幅広く聞くということに関してこれを否定するものでは全くありません。

 そういった意味では、ただ、一般的な手続を行政手続法というものの中に設けることについては検討すべきことがまだ多々あろうかと思いますので、今回の改正案は特段の規定を設けるに至らなかったということだけでありまして、ほかのことを排除するというような意味ではございません。その点だけは、今後いろいろ幅広くさらに時間をかけてこういったものはきちんとやっていく必要があろうと思っております、都市計画とかいろいろ出てくるところだとは思っておりますので。

稲見委員 総務大臣だけにこのことを求めるというのはどうかなというふうには思いますけれども、先ほど申し上げたように、行政改革会議の最終報告では、やはり重要政策とか法制定そのものについてパブコメを実施すべきだ、こういうふうなことになっているわけですから、では、行政手続法でもこれを規定するということに加えて、この国民の権利義務の保護を主たる目的、国民の権利利益に直接かかわる分野というのは行政手続に限定されないわけですよね。

 そうすると、国民の参画というのも法律的にはまだ非常に限定されたものにしかなっていないということですから、総務省管轄のいろいろな法律にかかわって、個別法でいくのか、あるいは全体を網羅していくのかということがありますけれども、積極的、統一的に法律の制定や行政計画などさらに重要な施策展開においてパブコメを求める、こういう法制定を考えておられるのか、あるいは現在作業もある程度進んでいるのかということについてお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御質問のありましたとおり、広く広げていきたい、私どもは基本的にそう思っておりますが、これは個別の法律によっていろいろ背景が違うと思っておりますし、内容によりましても、法律それ次第によっては求められない、ほかの審議会のあれがついているとかいろいろな意見がありますが、私どもは基本的には、今後出てくる問題をちょっとよく洗ってみないといけませんので、まず、一般的にこういうことをやらせていただいて、さらに、他省庁に対しても、こういったものに関しては、中央省庁改革、例の五十条の話に基づいて広く開示を求めていくべきという方向で、私どもはその方向でやってまいりたい。他省庁にも同様であります。

稲見委員 自治体の場合は、こういう手続に限らず、条例の制定などで、あるいは基本計画の策定などでパブリックコメントを広く実施しているという状況が既にあるわけですから、その点、総務省としてのリーダーシップをぜひ発揮いただきたい、こういうふうに思っております。

 それじゃ、この行政手続法の改正にかかわっての、今申し上げた自治体との関係、これをちょっとお伺いしたいと思うわけです。

 自治体においては、既に行政手続条例がほとんどの自治体で制定をされております。資料を見ますと、九九・五%というところで条例化をされておるというのがあります。

 一方、このパブコメの手続制度は、調査室の資料によりますと、特例市までなんですが、道府県で四十、それから八政令市、十九中核市、十二特例市ということで、百三十五分の七十九都市、約五八%程度のところでこのパブコメの手続制度ができているというようなことであります。したがって、それ以下の市町村でどれだけのところでできておるかということは、総務省としても承知しておられないというふうなことであります。

 ただ、この場合、この手続制度が条例化されている都市はわずか五都市、こういうふうなことでありまして、すべてが内部の要綱、要領で行われているというふうなことであります。

 一方、もう一度戻りますと、行政手続法と条例の関係でいいますと、地方自治体は分権の観点から適用除外にした、こういうふうな説明をされておりますので、自治体はこの法改正に沿って、当然、行政手続条例の中にパブコメを入れ込んでいくという条例改正が考えられる、こういうふうな状況だというふうに思います。

 その場合、先ほど申し上げましたように、国としては適用除外あるいは対象外という位置づけにしている施策に関する方針等の決定・変更、これが九六・二%、それから例えば、義務を課する条例等の策定についてパブコメを実施するというところが七九・八%、こういうふうな形で、もともと、先ほどのお話でいきますと、国が今まだ至っていない法律そのものの立法過程でのパブコメを実施している、こういうふうな状況にあります。

 したがって、この行政手続条例とパブコメの実施手続との関係なんですが、この行政手続のところに限定した条例化、条例改正というのが行われていくと、今、広くパブコメをしているところがむしろ後退するのではないか、こういうふうな気がいたしております。

 その点、国の問題でいいますと、行政手続法のところでパブコメを始めたから、個別法であるところは個別法でやってください、しかし、それ以上のことは今は規定しておりませんというふうなことで、自治体の側が手続、制度の中で実施していることがむしろ後退するんじゃないか、こういうふうな危惧を持っております。杞憂であるのかどうか、その点、総務大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 まず最初の方ですけれども、おっしゃるとおりに、要綱ではありますけれども、条例でやっている都道府県はゼロです。政令都市で神戸と京都ぐらいかな、中核市では横須賀ぐらいが多分条例で決めておられるんだと思いますが、いろいろな意味で、これのことにつきまして条例を使っておられるところはまだ限られておるとは思いますが、要綱では今言われたように七〇%や八〇%、いろいろ要綱ではやっておられるところは多い、私の記憶ではそうなっております。

 また今、既にやっておるところがいっぱいあるが、今回総務省がつくったこの法律によって、今まで既に地方で要綱に従い等々でパブリックコメントに付しているものに関しては後退するんじゃないかという御懸念の話なんだと思いますが、私どもは、今回の改正案の趣旨にのっとった行政手続の条例とは別に、これまで実施されてこられたいわゆる広範なパブリックコメントの手続について、今回の改正によって妨げるつもりは全くありませんので、今御懸念のところについてはそのようなことはない、私どもとしては基本的にそういう姿勢でおります。

稲見委員 杞憂に終わればいいわけですし、当然ながら、それは市政の、市民の状況があるわけですから、行政手続法あるいは行政手続条例に逆に今度は限定して、こっち側を外していきます、そういうことはないとは思います、ないとは思いますが、むしろ、そうであれば、これは自治事務ですから、総務省としてどういう関与ができるかということはありますが、総務大臣もおっしゃっているように、パブコメの手続を要綱、要領からむしろ条例化をするべきだ、こういうふうな指導があって、したがって、行政手続のところは行政手続条例でやる、広く市政全般にかかわる重要事項についてパブコメを実現するというのはこちらの条例でやるというすみ分けをすることによって、そういうことが杞憂に終わるというふうなことが私は必要だと思います。

 そういう指導ができるかどうかは別にして、今申し上げたようなことについて、総務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これこそ地方自治の話でありますので、こうしろと言うのはいかがなものかと存じますが、基本的には、要綱を条例に上げる方向というのは正しい指導の方向だ、私どももそう思っております。

稲見委員 そうしましたら、行政手続法の一部改正は少しこの辺でおきまして、経済財政諮問会議、郵政民営化とともに、麻生大臣、御苦労もされていると思いますが、総人件費の削減の問題で少し御質問をしたいというふうに思っております。

 昨年の十二月に、五年間で公務員定数を一〇%削減する、こういう方針が閣議決定されております。御案内のとおりだと思います。

 一方、ことしの骨太二〇〇五をつくるに当たっての議論の中で、五月二十四日の経済財政諮問会議では、民間委員から、五年程度の純減目標を国、地方ともしっかりと平成十七年度中に策定すべき、こういう意見が出されて、その後、素案議論が六月七日に行われているわけですが、そこで総理から純減目標の指示が出されたというふうにお聞きいたしております。新聞報道では、谷垣財務大臣、麻生総務大臣のお名前もそれに対して出ておりました。

 この定数削減については、岡田代表も代表質問で触れているところでございます。

 まずは、これは行政ですから、仕事と人の関係である。したがって、まず議論をしなければならないのは、行政の業務をどのようにしていくのかという議論が先にあって、その上で、やるべき仕事に対する定員をどうするのかという議論を行うべきであるというふうに私は考えております。

 とにかく、歳出削減のために総人件費を減らすというのは、小さな政府づくりの論理でも何でもなくて、単なる財政の論理だ、こういうふうに考えますけれども、とりわけ純減目標について、麻生総務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりと言っちゃうと、いかにも無責任なような答弁になろうかと存じますが、これは、稲見さんは市におられたのでよく御存じと思いますが、純減目標に数値を入れる、数字を入れるということになりますと、少なくとも一律何%とか、そういったような話にどうしてもなるんですよ。だから、それはだめなんです、そういうのは。

 だから、基本的には、やはり今、行政サービスの需要の多いところ、例えば法務省の入管、また麻薬取締官、また治安等々の警察官、刑務所の管理等々、行政サービスとして、行政として必要なものというものの需要がどれぐらい今後出てくるかというようなものがある程度出てこないと、少なくともそれに見合って減らすことになりますので、今の現在量を維持するだけでも、このふえる部分を無視してこっちだけ出せというのであれば、それは可能ですよ。しかし、純減という以上は、ふやせる部分の、行政に対する需要の部分の数値が確定しない前に減らす方だけ確定しても、ふえる数字の方が千ふえて減ったのが八百九十だったら百十純増じゃないかということになりますので、その意味では、純減目標と言われる場合は、こちらの数値を入れるなら、ふえる方の数値を明確にしてもらいたい。これは基本的に、私ども行管を所管する、行政管理局を所管する立場からいえば、そういうことを言わざるを得ないんだと思っております。

 そういった意味で、小さな政府も結構ですし、基本的には純減ということも決して間違っている方向だとは思いませんけれども、一つだけ、国家公務員というものは、今、現実としては約三十万人強、そこまで減っております。少なくとも、これまでと違って、現業部門と言われた部門はほとんどなくなりましたので、純粋にホワイトカラーしか残っていない状況でさらに何十%というような数値は、現実問題として、需要増というものが考えられればともかくも、新しい需要の中では難しい。

 他方、地方公務員の場合は、町村合併で一つ。それからもう一つは、団塊の世代という方の数がかなり多くなっておりますので、その部分が再来年ぐらいから逐次定年の対象になられますので、新しく採用される方の数をそれにあわせて減らすとか、またICTの利用等々によってかなりの事務量が削減できる可能性があるなどいろいろ考えられますけれども、中央省庁の場合は、団塊の世代の大量採用というのがありませんし、またこれまでも現業部門は大幅に減らしていますので、そういった意味からいきますと、私どもとしては、なかなかこの種の話で、純減努力はいたしますけれども、数値までというのはなかなか難しいのではないか。

 何となく、金目の話からだけで話をされても、現実問題として、仮に千人減ったとしても、四、五十億ということになるのかな、そんなものにしかならないんだと思いますので、そういった意味からいきますと、私どもとしては、この種の話は、本当の行政サービスの必要な部分というものが見えない限り、純減目標を数値で示すのはなかなか難しい。私が経済財政諮問会議等々で、二回にわたって、いずれも同様の意見を述べておるというのが背景でございます。

稲見委員 それでは、総人件費の削減にかかわって、これは定数が片方あります。もう一方では、一人一人の公務員の単価の問題があります。

 給与の削減については、民間委員や財務省から、人事院の官民比較のやり方を改めるべきとか、地場の民間賃金と比較すべきという意見が出されております。六月七日の基本方針二〇〇五の素案では、「総人件費改革のための基本指針を平成十七年秋までに策定し、平成十八年度の予算や地方財政計画から順次反映させる。」こういうふうにされております。

 人事院勧告体制は、これまでも何度も私も申し上げ、大臣も御答弁ありましたけれども、労働基本権制約の代償措置として機能をしておる、こういうようなことで、政府もその尊重を再三言われてきたということであります。

 したがって、この素案の経済財政諮問会議の結論をことし合致させようとするならば、二つしか方法がないというふうに私は考えます。

 つまりは、人事院への要望という言葉が使われているようでありますが、経済財政諮問会議の圧力に負けて、人事院がことしの勧告を出すというのが一つ。これであれば、結論は合致します。一方では、人事院勧告は、第三者機関としての調査をして勧告をするけれども、例えば、人勧凍結というのがあったように、政府の側の施策としてそれを棚上げして、経済財政諮問会議としての方向性を重視して取り組む。この二つしかないというふうに私は思うわけです。

 そういう意味でいうと、前者であれば、第三者機関としての人事院機能の空洞化を招く、こういうようなことになりますし、後者でいけば、制度の否定につながるのではないか、こういうふうに思いますけれども、大変苦しいお立場かもしれませんが、御見解をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 これは稲見先生よく御存じのように、人事院というところは、完全に独立した中立機関ということになっておりまして、ここの人事院総裁とかいうものの人事に関しましては、日銀総裁同様、政府とか政治家とかいうものが介入できるかというと、できません。これは基本的には、人事院というものは極めて独立性の高い組織になっておりまして、これに対して恣意的にああだこうだというようなことはとてもじゃないけれどもというようなのが、基本的なところであります。

 なぜそうなっているかと言われれば、今言われましたように、労働基本権の話にさかのぼって、いわゆる労働基本権の制約をしております代替措置、代償措置としてこれがつくられているわけです。この人事院勧告の尊重というものは、いわゆる政府の基本姿勢として当然のことなのでして、国政全般との関係も考慮しつつこの検討を行うということになっておりますので、企業会計等々を行う場合におきましても、これは、今後とも同様の措置、同様の方針というもので考えていかざるを得ません。

 私どもとしては、今言われた二点に関して、人事院が財政諮問会議に言われたから、こういうことはとても考えられませんし、ちょっと、今言われた二つの点しか考えられぬとは思いますけれども、人事院がどう考えられるかということに関しては、これはちょっと私どもに聞かれてもお答えのしようがないところだと思いますが、おっしゃっているとおり、人事院というものの存在というのは労働基本権に対する代替措置でもありますので、極めて意味の大きいものだ、私どもは基本的にそう理解して対応してまいらねばならぬと思っております。

稲見委員 むしろ今、市政の状態も、周りの環境も非常に厳しい、そして国の財政も非常に厳しい。ここは、公務員制度、国家公務員、地方公務員、どうあるべきかということも含めて、全体の中で、例えば緊急避難でこういうふうにしてもらえぬかというようなことを直接政府と公務員労働組合の間でしないと、これは決着、打開ができないんじゃないかと思うんですね。

 そういう意味では、むしろここですぐに結論が出、答弁があると思えませんけれども、労働基本権を回復して直接交渉の中で打開点と妥結点を見つける、こういうところにもむしろ戻った方がいいんじゃないか、こういうふうに思います。この点、私の意見として申し上げておきたいと思います。

 それから、もう一度経済財政諮問会議に戻りますけれども、先ほどの定数の問題とは違って、財務大臣と総務大臣のところでやりとりがあったということをお聞きしております。地域の民間給与を上回る給与水準とか、同種の国家公務員に比べて高い給与水準があるとかというふうな地方公務員給与について、財務大臣がいろいろ発言をされ、総務大臣も発言をされたというふうなことでありますけれども、この点について、一つは認識をお聞きしたいということと、ちょっと時間が迫っておりますので、この経済財政諮問会議、むしろ大変厳しい、公務員の賃金や労働条件や制度そのものについて今議論をしているということからいいますと、労働界の代表から必ず意見を聞くべきだ、こういうふうに私は思っております。

 答申が閣議決定する前に、少なくとも公務員組合から意見を聞くべきだというふうに思いますけれども、構成員であり主務大臣としての総務大臣の御所見をあわせてお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘になった総務大臣、財務大臣の間に関しましての、いわゆる財務大臣が提出された資料、例えばラスパイレス指数というのはよく使われますけれども、ラスパイレス指数というものは、とり始めて今回初めて一〇〇を切ったというのが現実であります。

 それで、そういった中にあって、いわゆる話題になりました大阪の特殊勤務手当等々を含めまして、技能労務職の給与についていろいろ問題があるのではないかといって、いかにも何兆円あるかのごとき数字に見えましたけれども、あれは現実問題としては二百億しかない、私どもそう思っておりますので、いかにも重複支給のあります分が誇大な話に聞かれるような誤った数字はいかがなものかということを申し上げております。

 また、そういった意味で、国と地方というものを比較されますが、地方の方が平均年齢が高い、地方の公務員の方が学歴も高いという前提条件を考えていただかないかぬという点。

 また、地方の公務員の給与というものがその地域の民間企業に比べて著しく高いような話が書いてありますけれども、これは、公務と言われるものと全然類似していない例えば作業現場の人の給与とか、そういったものを全部突っ込んで、全産業突っ込みの単純平均というものを出しておられて、これをもって民間給与というような平均とされておられるのは、これは全く異なるものを使っておられる不適切な資料ではないかということであります。

 また、多くの都道府県では、もう御存じのように、既に実施しております給与カットという部分に関しましても、これを全く無視した比較をしておられるというところもありますので、そういう意味から、私どもとしては、いかがなものかという話を申し上げて反論をし、現実問題、研究会というものを開いて、今いろいろな方々の御意見をいただいて検討を進めておるところであります。

 もう一点の内容につきましては、労働界からの御意見をということでございましたけれども、これはその都度、私、総務大臣になりましてから一年半少々になりますけれども、平成十六年から今日まで四、五回、笹森さんを初め、また名前を言ったらいかがなものですかね、丸山さんとか、それなりの団体代表の方々といろいろ話をさせていただいております。これまでも、主に公務員連絡会は丸山さんでもありますので、直接御意見を交換させていただいたということもありますので、一つの大事な感覚を聞かせていただく意味でも、公式、非公式問わず、こういったのをされるというのは大事なことではないか、私自身はそのように考えております。

稲見委員 時間が参りましたので、終わります。

 総務大臣の姿勢は是としますが、特に、経済財政諮問会議として、労働界の代表の意見も答申を決めるまでにやはり一度は聞くべきじゃないかというふうに思いますので、その点は、ぜひそういう主張といいますか御意見を経済財政諮問会議の中でも反映いただければというふうに思います。

 終わります。

実川委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学と申します。

 きのうの倫選特に続き、麻生大臣におかれましては、引き続きおつき合いいただければと思います。

 冒頭に、ちょっと通告していないことなんですが、きのうの倫選特の最後、ちょっと時間がなくて少ししか聞けなかったんですけれども、統一地方選挙について、きょう読売新聞の方でちょっと報道がありまして、きのう自民党の調査会の検討で、統一地方選挙、統一率が下がっているので年一回にしよう、いずれにせよ分散実施の是正を図ろうというような方向性が決められたと報道されておるんです。きのうの段階では余りはっきりとしたことを言われていませんでしたけれども、このような報道というか、自民党の調査会の方での決定を受けて、麻生大臣としてどのようにお考えになられているでしょうか。

麻生国務大臣 寺田先生には前に申し上げた記憶があるかどうかわかりませんけれども、僕は努めて新聞は読まないようにしておりますので、読むと間違えると思っていますので、余り読まない、見るだけは見るんですけれども。

 これは、ちょっと初めて今渡されましたので、正直申し上げて今初めて拝見をしたところで、きのうこれは多分、自民党の調査会の検討と書いてありますから、調査会で検討された。この内容については全然知りませんので、お答えをちょっと今の段階ではいたしかねます。

寺田(学)委員 新聞を読まれないことは結構なことかもしれませんけれども、基本的に分散実施の是正を図るという方向性がいずれにしても示された。そのことに関して、新聞報道がどうこうではなくて、御自身としてどうお考えになられますか。

麻生国務大臣 今現実、統一地方選挙というのは、今回の合併が完了いたします来年三月三十一日で一千八百二十二になるんですが、これによって、統一地方選挙に合わせて選挙をする地方、都道府県、市町村の総数に占めます統一地方選挙の比率は三一%ぐらいになるんだと思うんです。

 今三五、六あると思いますが、それが三一まで減ることになりますので、これはもう一回大論議をしないと、基本的にはばらばらにやるということになりますと、これは、経費がかかるとか、いわゆる関心が高いとか低いとか、いろいろな面から論議をしなくちゃいかぬところだと思います。地方ごとにやった方がいいのかというと、多分しょっちゅうしょっちゅう選挙をやることにならざるを得ないんだと思うんです。だって、七〇%は違うわけですから。七〇%違うとしょっちゅうしょっちゅう呼び出される者はたまらぬなというのが正直な実感かな、僕から言わせていただければ。

 ただ、経費として見ればそっちの方が安くなりますかね。経費だけで考えるべきものでもありませんので、いろいろな面からちょっと検討してみないと、今この場でどちらかと言われると、ちょっと今この場で答弁はいたしかねるというのが正直な実感です。

寺田(学)委員 自治体が三千以上あったころは、統一することによって経費的な問題やら注目的な問題やらということも効果があったんだと思いますけれども、言われているとおり、もう半分以下になってきた、千八百ぐらいになってきているのであれば、余りそのようなメリットもないんじゃないかな、無理やり統一する必要性もないんじゃないかなというのがちょっと自分自身の意見としてあります。

 本題に戻りますけれども、今回の改正案、パブリックコメント制度を拡充するような制度改正ということである。正直申しまして、非常に頑張ってほしいな、かなり他の省庁から嫌われるような役回りを受けられているので、そこら辺、官僚の皆さん含めて頑張ってほしいなと思うんです。

 この法案を見るに、どのような視点から自分として質問を考えればいいのかなと思ったんですけれども、役人のことを性悪説ととらえるのもいささかちょっと誤解があるかもしれませんが、いかにしたらこのパブコメ制度をすり抜けて、ごまかして、何とかすり抜けてやろうという気持ちとして持ってこの制度を見て、いかにしてすり抜けようかということを視座に質問させていただくので、少々性格がひん曲がっているように聞こえるかもしれませんが、おつき合いください。

 まず、行政運営の公正さの確保と透明性の向上ということがこのパブコメ制度の一番の私は役割であると思っているんですが、国民の方からコメントを募るということを考えますと、国民の参加ということも視点として考えられる。ここら辺のバランスが難しいと思うんですが、国民の参加ということに関するウエート、このパブコメ制度においてのウエートはどの程度に考えられているか、大臣にお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 基本的には、パブリックコメントというもの自体が、いわゆる行政にいる人間もしくはそれにかかわった地方を含めて議員と言われる人たち以外の第三者ということになりますので、パブリックコメントを求めること自体が、いわゆる第三者と言われる市民の目線に立ったという表現があるんでしょうが、そういったことを義務づけるということになりますので、かなりの部分、そういったものを重く見たがゆえに、この種のものを私どもとしては義務化して、制度化しようとしております。

 確かに、他省庁、いろいろこれに対する抵抗等々がありましたことは事実でありますけれども、なかなかこういったような情報開示というのは、人様のところに足を踏み入れる話ですので、抵抗が強いというのは、これは別に役人に限らずそういったものはあろうと思います。

 私どもとしては、広く意見を求めるというのは正しい、より効果のある法律、より効果のある政省令になっていくんだと思っておりますので、パブリックコメントを求めること自体が、かなり一般の意見を大事にしているというように御理解いただければと存じます。

寺田(学)委員 その政省令というか命令等に関してまず原案を出して、それに対して意見を募るということなんですが、その原案自体がどのように出されるかということもまず第一歩として大事だと思うんですね。

 三十九条二項の方に、具体的かつ明確な内容のものというような規定があります。言いかえると、どのような形で原案を出すか、案の成熟度ということも非常にかかわってくると思うんですね。いろいろな政省令があると思うので、一律的な基準は難しいのかもしれませんが、大体の目安として、例えば、この間はブラックバスの規制に関してのパブコメがありましたけれども、禁止する魚の名前とか外来種の名前を列挙するぐらい具体性を持たせるのがいいのか、それとも、どのようなものを禁止すべきでしょうかという形の投げ方もあるでしょうし、もっと引き下がって、どのような基準のものを禁止すべきでしょうかという聞き方、大きく分けて三段階ぐらいあると思うんですよね。

 三十九条二項の、具体的かつ明確な内容のものというのはどのようなことを指しているのか、御答弁いただければと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 成熟度というようなのは、御指摘のとおり、なかなか具体的には説明しづらいところがあるわけですが、ただ、ちょっと説明の仕方が変わるかもしれませんけれども、行政機関の中で政省令を考える場合、まだ検討中の、言いかえるとふらふらしているような段階、そういった段階での案を国民にお示しするということはある意味で国民に対して失礼でもありますし、仮に意見が出てきても、再度最終段階で意見を聞くべきだということが当然議論として起きてきます。

 そういう意味で、御意見をお聞きする案というようなのは、やはり行政機関内で相当検討された上で、それで、最終案とは申しませんけれども、最終的な段階の案を示されるということをこの制度は前提としております。

 それで、ブラックバスがいいかどうか、そういうようなカテゴリーで、そういう場合もあるのかもしれませんけれども、極めて抽象的な言い方でございますが、いわば、行政機関の中でやはり相当判断した上で、自信を持って、行政機関としてはこういうふうに考えるんだけれどもというぐらいの熟度の案という意味で、この具体的に明確にという言葉を使わせていただいております。

寺田(学)委員 答弁の方を解釈させてもらうと、かなり具体的に列挙した形でやるのがいいと一般的には言われるということだと思うんですよね。原案がどのように出されるかということが、結果的には、意見を公募した上での最終案にどのような修正を加えるか、加える限界というものにもかかわってくると思うんです。

 それは後ほど聞くとして、意見を公募している、原則三十日以上ということなんですけれども、例えばの話、六十日の日数を規定しておいて、四十五日で切っちゃう、この程度の意見でいいやということで切っちゃうということは可能なんですか。

藤井政府参考人 お答えします。

 この法律は、一たん意見募集をしたにもかかわらずその募集期間を変更するというようなことを前提とした仕組みは設けておりません。この法律の趣旨からいっても、やはり行政機関と国民の信頼関係のもとでこの制度は運営されるべきだと考えておりますので、やはり行政機関としての、先ほど言いましたように、熟度のある案を三十日なら三十日以上の期間を明示して、その上で、意見を聞いた上で最終的に政省令案を決定していただく、そういう手続を念頭に置いて制度を設計しているところでございます。

寺田(学)委員 行政との信頼感というお話がありましたけれども、残念ながら、余り今行政側と国民の間の信頼感というものは万全と言えるような状態がないので、冒頭申し上げたとおり、官僚側としてもいかに、言い方は悪いですけれども、しち面倒くさいような制度をどのようにすり抜けるかということが必然的に気持ちとして生まれるわけで、そこに対していかに歯どめをかけるかというのは大事だと思うんですよね。

 ですので、信頼関係があるとしたら当然ということで、期間の前に区切るということはないであろうというような言い方ですけれども、これを禁止するような必要はないんですか。

藤井政府参考人 あるいは先生後ほど御質問される御予定のことにかかわるのかもしれませんが、私どもとしても、一たんこの法律が施行された後は各省に任せきりにするということは考えてございませんので、やはり、この法律の趣旨に沿って各省庁においてこの法律が施行されているかどうかということを、実情を調査する必要があると考えております。そういう過程の中で、問題のある事例があれば、やはりそれの是正を進めていくということを図る必要があると考えているところでございます。

寺田(学)委員 後で施行調査を行うということなんですけれども、そのころに発覚したのであったらもう後の祭りであって、この制度そのものの信用性というか、目的の担保ができていないことになると思うんです。特段、期日より前を禁止することは悪いことじゃないと思いますし、行政側に対してそれほど、自分の方で六十日と設定したのであれば、六十日待つことは何ら業務量が増加するような話ではないと思うんですよね。そこら辺私は一律、わざわざ書くことじゃないかもしれませんけれども、設定した期日を前倒しして意見打ち切りということをしないというようにした方がいいんじゃないですかね。そう思いますけれども、ちょっと時間がないので先に進みます。

 ある程度の意見を募集した上で政省令、命令等の意思決定を行うということなんですけれども、例えばの話、三十日意見公募します、それで、意見公募し終わった三十日後から何日間の間にその最終的な案を出すというようなことになっているんでしょうか。

藤井政府参考人 意見募集後の政省令等の決定までの期日をどう考えるかという御質問かと思うんですが、これはまさに策定手続にかけられる政省令のボリュームとか中身とか、極めてさまざまなものがあり、なかなか一律な基準というものを設けることは難しいかと思っています。ただ、この法律案の趣旨からしましたら、せっかく意見を公募して決定するわけですから、可能な限りやはり速やかにきちんと結果を出して、その上で決定すべきということになろうかと思います。

 大体、政省令、最初につくる場合は法律で施行期日というのが定められておる場合が多いわけで、政省令なんかも当然その施行期日までには間に合わせる必要があるというような状況も個別にはあろうかと思いますが、そういう範囲の中で、あと、現実にはいろいろ、新たな制度をつくる場合は周知期間とか準備期間とかいうものも必要なわけで、行政機関側は大体そういった要素を考えて決定期間を考えているというのが現状であるところでございます。

寺田(学)委員 私が悪意を持った官僚であって、しかも自分が出す政省令が非常に反発が予想される問題であれば、三十日間の意見公募を募って半年間寝かしておく、もうほとぼりが冷めたころに政省令を出しちゃって万歳ということもできると思うんですよね。

 いろいろ意見をもらったものに対して精査しなきゃいけないということがあるんでしょうけれども、先ほど、冒頭述べられたとおり、具体的にもう自分たちの案を出しているのであれば、そんな何カ月とかとかかる話じゃないと思うんですよね。一カ月であるとか二カ月であるとか区切る。そこまで最終決定、意思決定ができないのであればもう一度パブコメをやるとか、その段階において、なぜこの段階でも決まらないかを言うとか、それぐらいの制度があってもいいと思うんですよね。どうですか。

藤井政府参考人 御指摘の趣旨はおっしゃるとおりだと思いますが、問題は、そういう制度をつくる必要があるかどうかということかと思っております。一たん意見公募をしたにもかかわらずずっと放置していたというような場合とか、あるいは、その期間にいろいろ状況に変化が生じたというような場合は、公募に出した案そのものの実質的状況に変化があるというような場合は、それは改めてやるべきというのがこの法律の趣旨からいってもそうだろうと思います。

 蛇足ながらつけ加えさせていただきますならば、この制度の第一次的目的は透明性を図ることだというふうに大臣の方からも何度も御説明いただきましたが、やはり透明性を図るということは、そういう策定手続がいわば国民がチェックできるような状況に置かれるということでございます。むしろ、今までは数十日も放置されていたというようなことが見えなかったのが、それが国民の目の前にさらされるということ自体が、やはり行政に対する極めて強いインパクトというか、それが働くということを暗にねらった制度設計になっているということは御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 大臣がおられるので、この件について大臣にもお伺いしたいんですが、何度も申し上げているとおり、何で公正、適正なものにしなきゃいけないかとか透明化しなきゃいけないかということは、その背後には、結局のところ、隠ぺい体質があったり、まずいことは隠しちゃえというような体質があったからこそ、こういうのがある。であるならば、できる限りそういうものは防止していくべきだと思うんですよね。

 今、話しているとおり、意見募集をし終わった後に半年寝かせることが可能であるのであれば、そういうことを平気でやる人は出てくると思うんですよ。それに対して一定の期間を設けることは、特段、具体的な案を出している官僚側にとってみれば負担にはならないと思うんですよね。意見募集をして、終わった後からある一定期間の間に意思決定をせよ、できないのであればその理由を開示せよということを制度として設けるべきじゃないですか。どうですか、大臣。

麻生国務大臣 普通、寺田先生、こういったものをパブリックコメントに付す場合には、施行日をある程度予定しているんですよね、大体。三月三十一日までとか四月一日からとか、大体予定して、その前までにきちんととる、これを普通やりますので、常識的には、それをばさっと延ばして一年後にしますとかなんとかということはまずない。

 だから、普通ばかりだったら苦労しない、普通じゃないのもいっぱいいるだろうがということなんでしょうが、それは普通じゃないのもいっぱいいますよ、確かに。それは間違いなく、それは国会議員も、人間皆全部が全部まともな人だったら法律は要らぬことになっちゃいますので、そんなことはないのです。

 確かにいろいろありますので、そういったことも考えておかないかぬということは確かですが、形として、今のようなことが、幾つかそういうケースが起きてきた段階で、改めてそういったものをもう一回改定せないかぬということでお願いすることになることもあり得ないとは言いませんけれども、性善説に基づくとは言いませんけれども、通常ちょっと考えられぬなと思っているのが一つ。

 それからもう一点は、最近やはり、情報開示とか行政評価とかパブリックコメントとか、この数年間、私ども当選した二十五年かそれぐらい前に比べたら、この種のものは猛烈な勢いで開示とか情報公開というところに追い込まれていった。正確に言うと、国会議員が追い込んでいったということになるんですが、そういったような形で、流れとしては、以前に比べてもう圧倒的に情報開示ということが多くなってきておりますので、今言われましたように、御懸念に対応するための手段として、行政評価を含めてこういったものが出てきているので、特に今、インターネットという情報通信技術の進歩によってこういったものができやすくなったのであって、今までだと、これが多分手紙とか、よくてファクスとかいうことだったものが、こういうことになってきたんだと思います。

 御懸念の点は絶対ないとは申しませんけれども、もしそのような例がたくさん出てきた場合においては、それはその時点でもう一回対応しなければならぬとは思いますが、なるべく常識的なところでいけば、やはり役人もきちんとした対応をしないと本人自身の出世にもかかわるでしょうし、いろいろなことを考えて、やはりきちんとした対応はしなければならぬと考えるのが普通だと存じます。

寺田(学)委員 もともと性善説に立ったり、大体はいい人間だというようなことに立つのであれば、そもそも規制する必要はなかったり、こういうような制度はないわけで、性悪説に立っているというか、もともと性格が悪いというか、隠ぺいするようなことがあるからこそ、要は、法律の施行日だって省令で定めるということもあるでしょうし、そういうようなことをいろいろ駆使して隠していくということが今まであったからこそ、こういうのが出ていると思うんですね。そこら辺はかなり重要性を持って考えられたらいいと思います。

 それと、意見を募集した後に意思決定をするわけですけれども、その意思決定内容というものがどれほど原案からずれていていいのかということも、この制度の本質を担保するためには大事だと思うんですよね。

 かなり具体的なものを列挙して、具体性のある原案を出して、それに対して意見が来た、そのときに、意見が来たもの以外のものを最終の意思決定として省庁側から出すということもあるのかなと思うんですよね。私が性格が悪いなりに考えてみると、ここにもともとさらしたくないものがある、さらしたくないある箇所があって、それをわざと原案には載せない、載せないでパブコメに出して、意見をばっともらって、その意見の中に入っていない、当初から隠してあるものを最後にぽんと載せて、最終的な意思決定ですとやることもできると思うんですよね。

 どうなんでしょう。ここら辺、原案に対して最終の意思決定をする、でき上がったもの、要は修正の限界点というのはどれぐらいにあるんですか。

藤井政府参考人 御指摘の点はごもっともだと思うんですが、これもなかなか一般的な形式的基準ではお答えにくいところであろうかと思っております。

 ただ、この制度が前提にしているのは、やはり国民に案を示して、その意見を考慮した上で決定する、こういうシステムを前提としておるわけですから、国民に意見を聞いていないもの、そういったもので決めるというようなのは、この法律の趣旨に反することでございますので、決して適法とは言えないと思っております。

 また、では実質どこまで認められるかということになりますと、これはやはり個別具体的なケースごとに見ていかなければいけないことになると思うんですが、一番重要なのはやはり国民の権利義務に直接かかわるようなルールなわけでございますから、そういう国民の権利義務に実質的に影響のあるような変更を案を公示しないでやるということは、この法律は認めていないというふうに私どもは理解しているところでございます。

寺田(学)委員 では、原案に載っていないもので新しい意見がないものを最終の意思決定として出すのはだめだということですよね。どうですか。

藤井政府参考人 先ほどの御答弁の中でも実質的という言い方をしたかと思いますけれども、形式的であって、軽微であって、国民の権利義務に直接かかわるものではないというものはあり得るかと思いますが、そこはなかなか、明確にこういう場合はこうだというようなのは、今こちらではお答えしにくく、まさに個別の事例に即して判断していかざるを得ないというふうに考えているところでございます。

寺田(学)委員 正直、結構ざるになっちゃうと思うんですよね、こういうものは。なぜにざるになるかということは、正直なところ、違反しても、前回の閣議決定の部分での、要は違反、手続ミス、そういうものが多々あったみたいですけれども、それに対しての罰則が何にもないわけですよね。だとしたら、多少専門家からちくちく言われようとも、こんなもの無視しちゃえとか、こんなものいいかげんにやっちゃえということはできるわけですよ。これは罰則を設ける気はないんでしょうか。

藤井政府参考人 罰則の件でございますが、これも、従来の情報公開法とか個人情報保護法なんかの御論議でも出てきたわけでございます。基本的に、この法律もそうですが、法律の義務の対象は実は行政機関ということでございまして、組織に課しているところでございます。組織の長というのは、恐縮ですが、大臣でございますが、その方々に対する義務という形でつくられているところでございます。

 実際、この法律の趣旨に反した行動をするというのは補佐機関である職員ということになるわけですが、こういう職員が法律に反した行為をするということについては、既に一般法としての国家公務員法等で、法令遵守義務とか上司の命令に従う義務とか、そういう法律が定められておりまして、いわば、そういう一般法である国家公務員法のもとに、行政機関の長の方のいわば指揮監督の中で適正に法律を執行する、そういうシステムがこれまでずっとつくられてきたということでございます。

 したがいまして、この法律で特別に罰則を設けるというようなことはしていないということでございます。

寺田(学)委員 役人の方々の義務は、この制度に関しても大臣に対して報告義務がある、一義的にはそこなんだと言われますけれども、国民から意見を募っておいて、いいかげんにされたものを、いやいや、それは大臣に対しての義務ですからということで逃げられても仕方ないわけですよね。わざわざ国民に対して意見を聞きましょう、先ほど、一番最初の質問の中で、国民に対して意見を聞くことによって非常に大きな意義があるみたいなことを言われていますので、そこら辺、罰則を設けることにどのような効果があるか、どのようなことがデメリットとしてあるか、いろいろ考えられると思うんです。

 この制度に従わなかった場合はこうなりますよということを言っておくことによって、まじめな人たちがふえてきて、特段別に罰するためにつくるわけじゃなくて、抑止のためにもなるし、この制度の、省庁の方々は面倒くさいと思っているかもしれませんが、ある程度必要性というものを感じてくる。国民に対してもパブコメを募るということによって、政省令に対して意見できるんだということの実効性は担保されると思うんですよね。

 どうですか、大臣、そこら辺をもう少し厳しくやる必要があると思いませんか。

麻生国務大臣 おっしゃる趣旨は、これをやらないと罰せられますよということによってより開示するという効果をねらっておられるんだというように、性悪説をとられるという御趣旨を言っておられましたので、そうなんだと思います。

 基本的には、今既に閣議決定に基づいてざあっとやらせていただいておりますが、現実問題として、今ほとんどパブリックコメントに付されることになっておりますので、今のように悪意にとった例というのは、これまでのところ、特にそういったものが目についているわけではありません。

 基本的に、寺田先生ほど性悪説をとっているわけではありませんので、私の方はある程度の性善説に基づいて部下を信用してやるという立場におりますので、私どもとしては、今言われたように、そういったことが起きないように指導していくというのがまず基本かなという感じがしております。

寺田(学)委員 性善説に立たれるのはいいんでしょうけれども、例えばの話、これが施行されて、重要な法案に基づく省令においてこの制度に対して著しい手続違反があったときに、世論がどっと沸く。それに対してこの制度は何だったんだという話になったときに、よりきついものを求められたら、それこそこの法案の裏側にある、行政に対して物すごく業務量をふやすような制度でもありますので、そこら辺がちょっと振り子が振り過ぎるような感じになるんじゃないかなと思うんですね。そこら辺は、ほどよいある程度の拘束力というか罰則力というものも考えざるを得ないんじゃないかなというふうにも思っていますので、そういうようなことを念頭に置かれてこれからもやっていただければと思います。

 以上で終わります。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 行政手続法一部改正案について質問いたします。

 その前に、関連といいますか、国民に必要不可欠な情報を提供するという角度から、災害時の情報提供の問題がございます。

 昨年の十月の中越大震災の際に、私、この委員会でも何度か質問をさせていただきました。総務省として、被災者支援のための特別総合行政相談所を開いて、多くの方が足を運ばれて、具体的な要望についておこたえになった、こういうこともお聞きいたしました。そういうものとあわせて、ぜひとも被災者一人一人の方に必要な災害時の情報が届くような手引がつくれないかというお話も申し上げたわけであります。

 その後、中越大震災におきましてどのような取り組みを行ったのか、その点をお聞かせください。

田村政府参考人 新潟県の中越地震災害に際しましては、まず、被災者からの各種問い合わせに直ちに対応できるよう、地震発生五日後に、新潟行政評価事務所内にフリーダイヤルで被災者の相談を受け付ける震災特設行政相談所を開設いたしました。この相談所におきましては、この三月三十一日までに四百六件の相談が寄せられているところでございます。

 それから、今御指摘ございました、被災者の立場に立って必要な情報を迅速的確に提供するということで、罹災証明書の発行、被災者の生活再建支援、住宅の補修の融資など、国、地方公共団体などの各種支援措置やその相談窓口をわかりやすく取りまとめたチラシを十一万部作成いたしました。これを避難所に直接配布したり、新聞の折り込みによって被災地域の各戸に配布するとともに、新聞、テレビなどを通じて周知を行ったところでございます。

 さらに、長岡市、十日町市、小千谷市そして川口町の四カ所において、関係の機関が一堂に会しまして、被災者からの各種の相談、問い合わせ等をワンストップで受け付けて処理する特別総合行政相談所を開設いたしました。これらの相談所においては、国税の減免措置、国民健康保険料の免除、災害復興住宅の融資等に関しまして、合計二百六十七件の相談を受け付け、処理したところでございます。

塩川委員 被災者の方へのさまざまな支援の内容を盛り込んだ手引ということで、こういう手引を出されたということで受けました。一番最初に大事な罹災証明書の発行というのもきちんと書いてありますし、御説明にもあった、生活再建支援ですとか住宅支援、生活福祉支援など、さまざまな項目についてわかりやすく、連絡先なども明記をして、それが新聞折り込みと同時に避難所にも一つ一つ届けて取り組まれたということで、大変積極的な取り組みで、こういう取り組みが被災者の方を励ますものの一つになったのではないかなと思っております。

 今後におきましても、福岡西方沖地震などもございましたけれども、大規模な災害の場合にはなかなか情報が届かないということもございますので、ぜひ総務省として、こういった手引を発行するようなことも含めまして、積極的な対応を求めたいと思っておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 塩川先生にいきなりまともに褒められると、性悪説に基づくと何かあるかなと、性善説に基づいてお褒めいただいたことに感謝を申し上げます。

 これは、私どもとしては、お役人言葉はかなり省いて、いろいろわかりやすく、とにかく七十歳以上の人が読んでわからないものはだめということで、それを限定して、結構つくるまでにも、このロゴマークも、右下のところに「行政相談」というのが書いてあると思いますが、何となくそういったのを含めましていろいろ考えさせていただいて、つくらせていただいたんです。

 いずれにしても、阪神・淡路大震災以降、いわゆる大災害というようなものに対しての対応というものは、役所側の対応はもちろんですけれども、一般の方々のボランティアによりますそういったものに対する支援というものは格段に意識が変わったことは国民性のすごさだと、正直、福岡の西方沖地震のときにも私はそう思ったんです。

 中越地震、福岡の西方沖地震、いずれの場合も、この種の話になったときには、テレビを見られて、実は、こうなったらああいうものが必要なものらしいという情報が広く伝わっていたこともこれありで、行政の人に対する注文の仕方は極めて具体的だったというのが、率直に、消防庁を所管する側からいたしましても、私どもとして大変感謝をしておるところと同時に、国民性というものに関して改めて敬意を表しているところなんです。

 行政もそれに合わせて、行政の側から見てこれが必要と思っても、実はそんなものより別のものだったというのがこれまでもいっぱいあったそうなので、それに基づいて結構きちんとしたものができて、評価していただいたことに感謝を申し上げると同時に、今後ともさらに、こういったものは起こり得る話だと思っておりますので、きちんと対応を、より一層努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 我が党としても、災害時にそういう手引をつくりましてお届けする、それは、それぞれの団体、ボランティアの方も含めて多様な形でやっていくということが求められていると思います。そういう点でも、国として積極的なこういう情報提供の取り組みを行われた、今後についてもぜひともお願いをしたいと思っております。

 行政手続法についてですけれども、やはり国民に対して必要な情報がきちんと提供されることが当然重要であり、同時に、それとの関係でも、きちんと国民の声を受けとめる、意見公募を行う、こういうことが今回、閣議決定のものから法定化をするという形で行われているわけであります。我々としても、これは必要な措置であろうと思っております。

 そういう点で、しかし、現行でどうなっているのか、閣議決定のスキームにおいても現在それが十分徹底されているのかというと、必ずしもそうではないのではないかということを私は思っております。

 そこで、一つの例として、経済産業省の事例を紹介しようと思うんです。

 今、各地で、大型店の出退店で中心市街地が空洞化をする、こういう問題が大問題となっております。町づくり三法がもう破綻している、こういう議論が起こって、今見直しの議論も行われているわけですが、その際に、そういう流れの中で、大店立地法の運用指針の見直しの作業が昨年からことしにかけて行われました。

 このガイドラインの見直しについて、当然権利義務にかかわる問題です、パブリックコメントも行われたわけです。ですから、私、パブリックコメントについてきちんと出してもらいたいということで求めたわけですけれども、出てきたものというのが、残念ながら、パブリックコメントの文書そのものというのではなくて、役所の方がわざわざテーマごとに切り刻んで配列をするという形のものになっているわけですね、かえってこの方が事務量が大変だなと思いましたけれども。これではやはり、国民の声がどうかというのが、私のところにも届かないということにもなっているわけです。

 こういった大店立地法の運用指針の見直しについてのパブリックコメント、何で全文を公表しなかったのか、経済産業省に伺いたいと思います。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 大店立地法の指針の改定案につきましては、昨年の末からことしの二月までの間、パブリックコメントを行いまして、百九十四件の意見の提出がなされたところでございます。そして、これらの意見につきましては、指針の改定案のどの事項についての御意見かというふうなことを、対応がわかるような形で、内容ごとに分類をした形で、すべて網羅的に公表をしておるところでございます。具体的には、三月二日にホームページの上で公表をしたところでございます。

 それから、原本を公表しなかったではないかという点でございますけれども、これは、平成十一年三月の閣議決定におきまして、パブリックコメントで出された意見、情報については、適宜整理をして公表しても差し支えない、ただし、その場合は、提出された意見、情報については、閲覧等の方法によって一定期間公にするように、こういうふうな閣議決定があるわけでございます。言うなれば、情報媒体を通じたような広く皆さんにお知らせするというものについては、適宜整理したもので行った。原本そのものにつきましては、私どもの方で整理をいたしまして、閲覧をしていただけるように置いておいた、それを全部何か情報媒体で広くお知らせするという形はとらなかったということでございます。

塩川委員 私は、これは後で知ったので、そのとき知っていれば当然問題にしたんですが、うちの事務所で資料を要求したわけですよ、公表しているんだから全文きちんと出してほしいと。そうしましたら、わざわざ切り刻んだデータと一緒に表紙がついているんですよね。この表紙に何と書いてあるかというと、個人名や個別企業名等の記載があり、公表すると無用な混乱を招くおそれがあることから、パブリックコメントそのものにつきましては公表しておりませんと言うんですよ。パブリックコメントそのものについては公表していないとわざわざ書いて届けてきているんですよ。

 個人名とか個別企業名、墨を入れて出してくるとか、それはありますよ。しかし、文書そのものは大体どこも出してくるじゃないですか。総務省の、この前の迷惑メールの法律のときだって、パブリックコメントは全部出ましたよ。何でこんなふうにわざわざ切り刻んで出すんですか。

 パブリックコメントそのものについては公表していないと言っている、これはどういうことなんですか。

迎政府参考人 今の点につきましては、要すれば、パブリックコメントそのものの中身というのは、御意見を出されるに至った背景ですとか、あるいは改定指針案以外の流通政策についての言及ですとか、いろいろそういったものがございまして、百九十四件、大部にわたることもあり、隠すというふうな意図ではございませんで、むしろ御意見の内容を、どういった御意見があって、それに対してどういうふうに原案を修正したのか、そういったことをわかりやすくお示しするという形で公表しているわけでございまして、原本そのものを何か隠しておくというふうな意図は全くございません。

 ただ、今の先生の御指摘の点につきましては、閣議決定の文章でも、公表するという言葉と公にする、要するに、広く知らしめる形で提供するという形と、求められた場合に隠すということではなくてお見せするというふうな言葉を非常に厳密に使い分けておるわけでございます。

 したがいまして、パブリックコメントそのものについてはそういう広く周知するというふうな形でやっていないということは申し上げたわけでございますけれども、先生の方から御指摘があった際に、来ていただければお見せできますとか、あるいは、大部でございますので見に来ていただけないでしょうかとか、そういうふうなことを申し上げなかったという点については、私どもの方もやや不親切であったというふうなことはあろうかと思いますので、その点はおわびをしたいと思います。

塩川委員 私は、パブリックコメントを公表すると無用な混乱を招くおそれがある男と言われているわけですから、これではちょっと納得できないというのは率直にあります。

 大体、百九十四部が大部と言いますけれども、これは同じ経産省の商標法のときのパブリックコメント、これで大体五十ぐらいなんですよ。ですから、大体その四倍ぐらいというのは、コピーは大変かもしれないけれども、大部というような話じゃないんですよ。ここにやはりいろいろな意見が込められているわけです。

 大店立地法というのは、大体今の枠で、騒音だとか駐車場だとかごみだとか、こんなことしか物が言えない、これじゃ地域の環境を守れないでしょうということでいろいろな意見がたくさん寄せられたわけでしょう。それがどれだけ運用指針に反映されているのかされていないのか、これをきちんと見定めるというのは当たり前じゃないですか。具体的にどういう経済団体がどういう要求をしているのかとか、どういう地方の自治体などが要望を出しているのか、こういうのがきちんとわからなければ具体的な中身ができないというのは当たり前じゃないですか。

 そういう点では、きちっとパブリックコメントについては出してもらうということをぜひそのお立場で言っていただけますか。

迎政府参考人 ただいま申し上げましたように、公表の際も、すべての御意見について、どういう御意見、なおかつ、どういうふうな事業者の方からの御意見なのか、あるいは一般の方からの御意見なのか、そういったものも示した上で公表をいたしております。

 それで、パブリックコメントそのものにつきましては、閲覧できる方法で提供をするということで今回判断したわけですけれども、こういうところに来ていただければ閲覧できますとか、そういうふうなことをもう少し周知するというふうな点については、我々、足らなかったところがあるかと思っておりますので、個別の意見が閲覧可能であることについても今後は周知の徹底を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。

塩川委員 余り納得できるものではありませんが、経産省さんとはいつもおつき合いもしておりますので、また違う機会で、いろいろな形で要望しておきたいと思っております。

 ここにもあるように、国民の声が出ているのにきちんとした意見を示さないというのでは、何のためのパブリックコメントなのか。役所の都合でやっているのか。聞きましたよ、聞きおきましたよというだけの話になるじゃないですか。この点が今問われているんじゃないですか。

 この点でも、現在の閣議決定でこういう不徹底という点で、実際に法定化した際に本当に実のあるものになるのかということが問われているという点では、まず経産省が率先してこれを是正してもらいたいと強く求めておくものであります。

 その上で、最後に、法案についてですけれども、行政立法ということで今回パブコメを位置づけるわけですけれども、適用除外、対象外になっているものがあるわけですよ。そういう点では、私は、やはり行政計画についてもきちんと対象にする必要があるんじゃないのか。

 要するに、例えば、私なども運動にかかわっているような群馬の八ツ場ダムの問題なんかもあります。八ツ場ダムという五十年前のダム計画なんですけれども、いまだに本体工事にも入れない。こういう問題について、適用除外になっている施設、区間、地域等を指定する命令と言われているものがありますよね。水源地域対策特別措置法というのがあって、その中にダムの位置指定が入っているんですよ。ですから、どこどこのダムですよという中に八ツ場ダムも当然出てくるわけですね。二十戸以上が水没するとかいうところはそういうのが指定になるわけです。ですから、こういった地域に直接かかわるような行政計画についてもきちんとパブコメの対象にする必要があるんじゃないのか。

 この点、ぜひ大臣にお答えいただきたいと思っております。

麻生国務大臣 塩川先生御存じのように、今回の改正案というものは、基本的には、国民の権利とか義務とかいった、いわゆる直接関係ある政省令というものに関して意見を公募するというのがまず大前提で、まずここからスタートしておりますので、できるところからスタートさせていただいたというのが正直なところです。

 今の八ツ場のダムを含めまして、公共事業などの計画の策定とか、今、大きなスーパーをつくるときなんかの大型店舗の話などについても、近隣住民の意見などを聞かないかぬということについて、大変重要なんだと思っておるのは当然なんですが、ただ、個別の法律というのはそれぞれみんなありますので、そういったもので制度化がある程度されているものだ、私どもはそう理解をいたしております。

 ただ、一般的に、今度手続を法制化するということになっていった場合、計画という、行政計画というのも、これは事業別の個別のものから政策の基本を示すようなものまで実に幅の広い多種多様な話でもありますので、いろいろ手続的な規律というのをどのようにするのが一番妥当かというのは、ちょっと検討してみないかぬところだと思います。

 今後、このパブリックコメントというのは、かなり通信技術の進歩等々もありまして定着してくると思いますので、私どもとしては、引き続き、今言われたような問題を含めて、今後、検討は続けてまいりたいと思っております。

塩川委員 国交省なども、河川法を改正して、整備計画をつくる際に住民の声を聞くというのをつくっているんですけれども、例えば八ツ場ダム、その法改正が行われてから八年間もたっているのに、そういうのがないわけですよ。

 そういう点で、やっているやっていると言うんだけれども実際にはやっていないような状況の中で、別な手段でも国民の意見をきちんと聞けるような場を設けるという点でのパブリックコメント、検討対象を大いに広げてもらう、この点を重ねて要望して、質問を終わります。

実川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 行政手続法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

実川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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