衆議院

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第8号 平成18年2月27日(月曜日)

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平成十八年二月二十七日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 萩生田光一君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 後藤  斎君 理事 渡辺  周君

   理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      園田 康博君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  小室 裕一君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    衞藤 英達君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  土屋 正忠君     西本 勝子君

  寺田  学君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     土屋 正忠君

  園田 康博君     寺田  学君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長安藤隆春君、総務省自治行政局公務員部長小笠原倫明君、自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長小室裕一君、統計局長衞藤英達君、厚生労働省大臣官房審議官白石順一君及び国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。竹中大臣、総務委員会でお目にかかるのは初めてでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは一時間の時間をいただいて質疑をさせていただきますけれども、もう国会が始まりまして一カ月以上たちました。この国会の冒頭の論戦を振り返ってみますと、格差社会、これが一つのキーワードで進んできたのではないかと今振り返っております。つまり、ジニ係数などという耳なれない言葉が登場いたしまして、これが大きくなっているのかどうか。総務省のデータ、厚生労働省のデータ、いろいろありますけれども、総務省のデータは一九九九年までのものしか出ていないんですね。非常にデータの出方が遅いというふうに思いますが、それはさておいても、この格差の拡大の有無、そしてその是非、これが問われたのではないかなと思っています。

 私は、もちろん、この格差社会、これは今の日本の中での大変大きなテーマであるとは思っておりますけれども、むしろそれよりも、既にあるシステムそのものがいろいろなものをはじき飛ばしていることに問題があるのではないか。つまり、社会保障制度などを見てもそうですけれども、今や国民年金は若い人たちから保険料を払っていただけないような状況にございますし、また、今回の医療制度の抜本改革においても、高齢者の医療費負担がどうなるのかということで大変懸念をされております。既に手直しだけでは本当にもう間に合わなくなって、ありようそのものを変えていかないと間に合わない時代に入ったのではないかというふうに考えています。

 これを地方自治の方に目を向けてみますと、やはり同様のことが言えるのではないかなと思います。今、市町村合併が随分進んでまいりまして、規模の大きい自治体もふえてまいりました。こういうところではコストカットも可能ですけれども、しかし、何らかの事情で小さいままで存続するということを選択した、そういうところもあるわけでございまして、そういう多様な自治体がこの日本の中には存在する、それを包括するように地方行財政の仕組みを考えていかなければいけない、こういう段階に入ったのではないかなと思っております。

 いただいた一時間の中では、そういったことにも触れながら大臣のお考えを伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私たち民主党はこの国会は安全国会と名前をつけまして論議を進めておりますが、まさに安全、安心の町づくりという点から、耐震強度の偽装問題に関連して一点伺いたいと思っております。

 今回、分譲マンションの耐震強度偽装問題が発生いたしましたときに、その責任はどこにあるのかということが問われたわけでございます。まだこれは決着はついていないというふうに思っておりますけれども、そもそも自治体にも建築行政があるわけでございますので、そこの責任は追及されてしかるべきであろうと。

 しかし、建築確認ということになりますと、もともと国と自治体の責務だったんですけれども、建築主事が足りないとか、あるいは阪神・淡路大震災後などの要請などもありまして、民間開放されたところでございます。建築行政に関して、都道府県でも段階補正が適用されている、市町村でも普通態容補正が適用されているということなんですけれども、最近、都市部を中心にマンションの建設ラッシュが進んでおります。基本的には業者の申請手数料によって賄われているということなんですけれども、これは自治体の一般財源の持ち出しなどもあるやに伺っております。

 こういったとりわけマンションの建設ラッシュが進んでいる都市部では、自治体の建築確認行政、これが立ちおくれているという指摘もございますけれども、この建築確認申請手数料の水準が低いために自治体の負担が生じて、建築主事の不足につながっているという指摘もございますが、国が建築基準法で自治体に建築確認等の事務を義務づけているわけでありますので、不足する財源などについては、交付税の基準財政需要額に必要な一般財源を計上して、確実な財源保障の措置を講ずる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず、西村委員が冒頭御指摘されました、システムそのものが部分的な修正では済まないような段階に至っているのではないだろうか、さまざまな問題について根幹からの議論が必要ではないかという点に関しましては、私もまさしくそのように思っております。そういう問題意識を持ちながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

 お尋ねの、耐震偽装問題を契機とした建築確認制度の見直しでございます。それに関して手数料についてのお尋ねが今あったわけでございますけれども、建築確認制度そのものについては、委員も御承知のように、今、国土交通大臣の諮問機関でございますところの社会資本整備審議会において多角的に議論をされているというふうに承知をしております。

 その中で、手数料の水準と建築確認業務、例えば建築主事の数との関係とか、そういったようなことを含めてどのような議論が行われているかということについて詳細はちょっと承知をしておりませんけれども、今後、国土交通省におけるさまざまな検討がなされていくと思いますので、そうした検討を踏まえまして、財源問題等々についても、必要な御相談に総務省としてはやはり乗ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 確認の経費を手数料で賄うべきなのか、違う考え方もあるのか、これにはいろいろな考え方があるというふうに承知をしております。いずれにしましても、国土交通省での検討を踏まえまして、財源問題等についても今後相談に乗ってまいりたいというふうに思っております。

西村(智)委員 これは、国の役割は何か、そして地方の役割は何か、まさに地方分権を議論するときにかかってくる根本的なテーマでもあると思っておりまして、また後ほど関連で一点、大臣のお考えを伺いたいと思っております。

 次に、同じく住宅の関係でございますけれども、私は新潟一区選出の議員でございます。おととしになります新潟県中越地震では大変な被害をこうむりまして、今なお八千人近い方々が仮設住宅でお住まいでいらっしゃいます。

 今回、地方税法の改正において、住宅耐震改修に伴う税制上の特例措置、これが講じられたということでございます。特に新潟県中越地震に関しては、被災して家屋が滅失、損壊したときに、住民の皆さんがこれにかわる家屋をつくられると、最初の四年間は固定資産税と都市計画税が半額になるというふうに伺っております。住宅でありましたら、今回延長される新築住宅の特例措置と相まって、四分の一の負担になるということでございます。

 今、地域では本当に復興に向けて取り組みが進められているところでございますけれども、被災地からの人口流出を食いとめることになるのではないか、そしてまた復興の後押しになるのではないかということで大変期待しておるところでございます。

 一方で、目を転じてみますと、この間ずっと、耐震改修の必要性、これが言われてまいりました。私は、また午後の、これからの災害特でも質問いたしますけれども、被災者生活再建支援法、これをぜひ条件緩和をして、使いやすいものにしていただきたいというふうに考えているところでございますけれども、その議論の中でも、いや、耐震改修が進まないからこの法律は改正しちゃいけないんだというような、理屈に合わない理屈が時々聞かれるわけでございますが、いずれにいたしましても、耐震改修というのは必要であるということは間違いがない。

 現在、古い、旧耐震基準のもとでつくられて、現在の基準を満たす耐震強度が確保されていない住宅は、これは国土交通省の推計ですと一千百五十万戸存在するというふうに伺っております。地震に対して脆弱な住宅、これをなるべく早く減らしていくことが必要だと思いまして、今回の税制改正はその要請を受けて行われたものであると思っております。

 ですけれども、ちょっとお伺いしたいのは、国税では所得税で耐震改修費用の税額控除制度が設けられております。これに対応する地方税といいますと住民税でありますけれども、今回はこれは住民税ではなくて固定資産税の減額措置となっております。住民税ではなくて固定資産税で措置することにした理由、これをお聞かせいただきたいと思います。

小室政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅の安心、安全についてのお尋ねで、委員の方から、中越地震の特例について引用されながら、旧、古い方の住宅の耐震改修について、なぜ固定資産税で行うのかという御質問でございます。

 この既存住宅の耐震改修の促進税制については、一昨年来、お話がありましたように、所得税、個人住民税における税額控除の創設、こういったことが議論されてまいりました。

 その中で、個人住民税について申し上げますと、地域社会の会費として住民がその能力に応じ広く負担する、こういった性格を有するものでございますので、政策的な税額控除については、これまでもその性格になじまないと位置づけられてきたわけでございます。また、個人住民税の場合、税額控除制度を導入しても、税金、個人住民税を納めていない所得の低い方々にはその効果が及ばないといった点がございます。

 それに対しまして、固定資産税の方では、これまで既存住宅に係る特例措置はなかったわけでございます。ただ、住宅の耐震化というのは、住民の生命身体に対する危険を防止するという意味で、地方公共団体にとっても大変重要な課題でございますので、今回、国民の安心、安全、こういった点から、既存住宅を課税対象に含めている固定資産税、この固定資産税の減額措置というものを創設したものでございます。

 お話にもありましたように、この耐震改修を必要とする昭和五十六年以前の住宅の居住者は、一般的に高齢世帯が多いことを念頭に置きますと、所有者の所得状況、これにかかわらず支援策が適当ではないかなと。そういう中で、所得の多寡にかかわらず資産に対して課税する固定資産税、これはこの要請にも合致するものと思います。

 また、持ち家、貸し家の別を問わず、地域全体の耐震度を高める支援策が望ましいわけで、こうした点からも、固定資産税はこれにこたえられるものとして、今回、固定資産税の方でこういった制度を創設させて、御提案申し上げているところでございます。

西村(智)委員 ぜひ、この制度を活用した住宅の耐震改修が進むこと、そして地震で倒壊する家屋を一つでも少なくすることができるように、引き続き周知などに努めていただきたいと要望いたします。

 それでは、引き続きまして、大臣、先ほどの国と地方の役割分担に関連して、生活保護費について伺いたいと思っております。

 この生活保護費、随分議論がございました。地域の皆さんもかなり勢いを持っていろいろな議論に加わってこられたんだと思いますが、結果として、今回、生活保護費負担金の削減、これは行われませんでした。ところが、ちょっと気になりますのが、この生活保護費の国庫負担率削減の動きが非常に活発になってきておりました中で、自治体がこの生活保護費の手続に関する事務を返上する、生活保護事務の返上をするというような動きが各地で起こったというふうに承知をしております。

 そもそも、生活保護は法定受託事務だと承知をしております。法定受託事務である生活保護費について、国と地方の役割分担はいかにあるべきだと大臣はお考えなのか、その負担のあり方も含めて大臣のお考えをお聞かせください。

竹中国務大臣 ただいまの御質問は、まさに地方自治の本質、国と地方の役割分担の極めて本質的な議論だろうと思います。これは、本質的な議論に関しては、幾つかの、専門家の間でもいろいろ議論があるところだというふうに承知をしております。

 生活保護というのは、私は、ある種最も国がやるべき所得再配分政策、非常に純粋な形のそういう所得再配分政策に近いものだと思っておりますので、その意味では国の役割が最も大きい、相対的にですけれども、ものの一つであろうというふうに思っておりまして、三位一体の改革の中でも、であるからこそ、この生活保護というのを地方に、押しつけると言うとちょっと言葉が悪いかもしれませんが、そういうことは絶対に反対するという総務大臣としての立場を閣内では貫かせていただきました。

 生活保護というのは、国が本来果たすべき役割に係る法定受託事務である、委員の御指摘のとおりであります。そうした観点からすると、非常に純粋理論的には、国がまさに全額負担するという考え方が非常にわかりやすい考えとしてはあり得る考え方だと思います。制度創設時の考え方として、国を費用の主たる負担者としつつも、地方もその生活保護費の一部を負担するというふうにしたわけでございますけれども、その理由として挙げられていましたのは、地方もその区域内の住民の保護の実施について責任を負っているのではないかという点、それと、実施機関である地方団体に一定の抑制効果が見込まれるのではないか、そういった議論があったものというふうに理解をしております。そこで、制度設計上、一定の地方負担もあり得るという観点で今日の制度ができ上がっているんだと思います。

 現行の国庫負担率四分の三については、生活保護が国として責任を持つべき事業であるということから、他の制度の補助率と異なって、最高の水準の補助率を維持すべきという観点から、平成元年度に恒久化されたものというふうに認識をしています。

 言うまでもありませんけれども、この生活保護制度は、憲法二十五条の理念に基づいて、国の責任で行う。生活に困窮するすべての国民に対して、健康で文化的な最低限度の生活を営むことを権利として保障するものであります。そこにおける地方団体の基本的な役割というのは、被保護者の客観的状況を把握するということであって、国が定めた認定基準への当てはめ、つまり事実認定を行うという立場にあるんだと思います。

 このような観点を踏まえますと、今後とも、生活保護において、国と地方の役割分担、費用負担等は、今までの経緯を踏まえて、現行のような形を堅持するのが適切ではないか、現時点では私自身もそのように考えております。

西村(智)委員 これはたった今のニュースなんですけれども、生活保護世帯が月平均で初めて百万世帯の大台に乗る見通しだということでございまして、これは勤労世帯にも増加をしているということでございます。非常に生活保護世帯がこのように急増している中でございますので、引き続きその負担のあり方などについては適時適切な議論を行っていただきますように要望いたします。

 引き続きまして、またこれは国と地方との役割分担に関連してということになりますけれども、児童手当のことに関連して一点伺います。

 ことし、新年度予算案で、児童手当の支給対象年齢が小学校六年生まで引き上げられるというようなことが出されておりますけれども、ある自治体の方から、事務作業がふえるという懸念の声を私お伺いいたしました。つまり、該当する者が申請する、いわゆる申請主義に立っているわけですけれども、その登録作業などのための事務作業がふえるので、それについての、事務量増に伴う財源措置について国はどのように考えているのかということでございました。このことをどのように措置されるのか、大臣のお考えを伺います。

瀧野政府参考人 児童手当制度の見直しに伴いまして、事務費の財源措置をどのように考えているかという御質問でございます。

 児童手当の給付に要します事務費につきましては、平成十六年度に大幅な見直しがございまして、その段階で、それまでは国の方からの交付金制度であったものを交付税上の措置へ移しておりまして、その段階で大幅な見直しをし、拡充をしてございます。そういった中で、いろいろな、システム改良費でありますとか、今おっしゃいましたような申請に対する審査事務費というようなものを大枠として交付税の中で措置したところでございます。

 今回も大きく変わるわけでございますけれども、我々といたしましては、毎年一定の見直しをかけてございますが、今回も、そういった全体の措置をした中で、全体の行政改革というような問題もございますけれども、既に措置している中で地方団体の方で対応していただけるものというふうに考えておるところでございます。もちろん、なかなか難しい面があるという御意見もあろうかと思いますので、順次また地方団体の御意見をよく聞きながら対応してまいりたいというふうに思います。

西村(智)委員 言いたいことはたくさんあるんですけれども、きょうはそのテーマではございませんので、この程度でとどめておきます。

 続きまして、ちょっと話題は変わるんですが、国勢調査について何点か伺いたいと思っております。

 二〇〇五年は簡易国勢調査が行われた年でございました。私、地元の自宅と、気がついてみましたら宿舎の方にも調査票が入っておりまして、あいにく失念しておったものですからそちらの方は回答できなかったんですが、まあ、基準日があるということでございますので、それはそれでよろしいといたしますが、去年の国勢調査は大変問題が多うございましたね、局長。恐らく統計局、総務省の方にも、あるいは各自治体の方にもたくさん苦情の電話が行ったんだろうというふうに思いますし、民間でそういった相談を受け付けているホットラインを設置したところなどは、一日じゅう電話が鳴りやまなかったそうでございます。

 調査員の方々が足を棒にしてお宅を何度も何度も訪ねたけれども会えない、結局、とうとう回答してもらえなかったというようなケースも非常に多いということでございますし、ついにはにせ調査員などというのがあらわれて、お金を取り上げようとしたり、個人情報を聞き出そうとしたりというようなことで、大変多くの問題が浮き彫りになったと思います。

 こういった中、国勢調査の実施に関する有識者懇談会というのが設置をされまして、五年後に行われることになっております本格的な国勢調査、これに向けて議論が行われているということでございますが、一点お伺いしたいのは、この国勢調査を昨年総務省が市場化テストの対象に含めるということを決めたそうでございます。正確に申しますと、国勢調査などを含む五十六の統計調査業務を市場化テストの対象に含めるということを決めたそうなんですけれども、これについて大臣の考えを伺いたいと思っております。

 大臣は、昨年の十二月の十三日、市場化テストの対象にこの統計調査業務を含めるということを公表したときに、小さな政府をつくるために極めて重要なツールになるというふうにおっしゃっているそうでございます。市場化テストの導入に際しましては、例えば、有力な文化人が、国立博物館や美術館の運営、これを市場化テストの対象にすることに反対をしたので除外され、あるいは不祥事の続いてきた社会保険庁の事業などは一円で入札されたところもある。こういうふうに、世論の動向いかんで市場化テストの導入の可否、これが決まってきていると見ることもできるんですけれども、その意味において、やはり国勢調査への導入というのは非常に微妙な段階にあるのではないかなと思っております。どうでしょうか、大臣、この点について考えを。

衞藤政府参考人 今お話しの指定統計調査でございますが、政府全体では五十六本、七本ですか、あと総務省が所管しておりますのは、国勢調査を初めといたしまして、十四、五本ということでございます。

 ただいま市場化テストのお話でございますが、これにつきましては、指定統計調査全般に関する実施業務、企画等はもちろん国がやらなくちゃいかぬものですから、実施業務についてどうかというようなことにつきまして、昨年末、規制改革それから民間開放の推進会議の方から二次答申がございまして、そこの方で、指定統計調査全般につきまして市場化テスト、民間開放を進めるという形ができ上がってございます。

 差し当たり、当方も、かれこれ一年前からこの話がございまして、平成十八年度におきましては、専門的な知見をいただきながら、報告者の秘密の保護でありますとか、やはり一番大切なのは統計の正確性ということでございますので、統計の正確性、それから関係者との信頼関係を損なわないように、こういう前提で市場化テスト、それから民間開放を進めるということで、差し当たり二つの指定統計、具体的には個人企業経済調査と科学技術研究調査でございますが、これの試験調査をまず来年度、十八年度からやろうと。

 それから、残りの指定統計調査全般につきましても、また順次速やかにやろうということでございまして、これもまた計画を立てた上、試験調査の実施状況、まずこれを検証しなくちゃいけませんから、十八年度前半までにこういった全般の計画策定を図ることといたしております。

 いずれにいたしましても、個人情報保護でありますとか、それから先ほどの正確性、関係者との信頼関係等々、統計づくりの基本を損なわないように、まず一つずつ着実にやるということが大事だと考えてございますので、こういうことを積み重ねながら、検証しながら、市場化テストを着実に実施してまいりたい、そういうふうに考えてございます。

 以上でございます。

竹中国務大臣 統計業務の市場化テストについては、私が総務大臣に就任してから統計局長の方に、できるだけむしろ市場化テストそのものは積極的にやろうじゃないかということを申し上げた経緯がございます。

 これは、市場化テストというと、一部のマスコミでは何かすぐ市場化するように思っている方もいらっしゃるんですけれども、そうじゃないわけですよね、委員御承知のように。市場化していいかどうかをテストするわけですから、テストを受けないで、入り口から拒むということはやめようではないかと。だから、そこはやはりテストを受けて、私は、統計の質の問題、まさに個人情報の管理の問題、いろいろありますから、これはやはり政府でやる方がいいという結論が出てくるものもたくさんあるんだというふうに思います。ただ、テストそのものを拒むこと、それはやめようではないかというのが基本的な方針でございます。

 同時に、テストのやはりやり方が問題なわけですね。変に何か価格だけでテストをされると、委員も御懸念のような質の問題とかプライバシーの問題、個人情報の問題が出てきますから、そういうテストのやり方そのものを育てていかなきゃいけないという意味で、対応は慎重に行って、そして試験調査をまず新年度二つやろうというような形にしているわけでございます。

 決して最初から否定はしない、しかしやり方は慎重にやっていく、そういう方向をぜひ目指したいと思っております。

西村(智)委員 国勢調査は五年に一度でございます。市場化ということになりますと、これはどこか民間にお任せをする、市場化するということになりますけれども、五年に一度の事業のために人を雇って、五年に一度の事業のためにトレーニングをして、それでペイをするというようなことというのは現実にあり得るのかなと私は率直に疑問に思います。

 また、全国で今回は八十五万人、調査員の方が活動された、調査に本当に奔走されたわけですけれども、八十五万人が必要とされる国勢調査で果たして民間開放が本当に可能かどうかという疑問を私は持っております。

 そこで、引き続いてなんですけれども、そもそも国勢調査のあり方についてやはり抜本的な見直しが必要なのではないかと私は考えております。

 調査項目も、ことしは簡易調査でしたけれども、見ましたら、なぜこのようなことを書かなければいけないのかという項目、そんな疑問を持つ項目は決して少なくない。五年前の本格的な調査のことを思い出してもそうです。果たしてこの項目で何がわかるのか。そして、本当に国の政策にどういうふうに活用されているのか。目的と合致しているのかどうかわかりませんし、また、対面調査という調査方法にもそろそろ限界が見受けられるのではないかと思います。

 あわせて、自治体の負担も連動して大きくなってくるということでございますし、有識者懇談会での議論の進み方も含めまして、このあり方を抜本的に見直す必要があるのではないかと思いますが、お考えを伺います。

衞藤政府参考人 今、先生おっしゃるとおり、かなり国勢調査は曲がり角に来ているという認識でございます。ということでございまして、アメリカなどもそうですけれども、五年に一遍そのときだけ頑張ればいいということではなくて、通年的にこれからそのシステムを考えておかなければ、そういう姿勢でございます。

 先ほど先生からお話ございましたけれども、昨年十月の国勢調査は、不在世帯の増加、それから世帯のプライバシー問題等ございまして、かなり苦労いたしたところでございます。ただ、統計サイドからいきますと、やはり対面調査が一番本当はベストかなと。調査員の方が世帯を回って、調査の中身であるとか記入を助けるということが一番間違いないので、かれこれ日本は一九二〇年以来、これでうまくいってきたわけですけれども、国際的に見ると、やはりアメリカでもイギリスでもどこでも今苦労しているところでございまして、そういう中で、我が国もこういう状況でございますから、抜本的に見直そうということでございます。

 そういう中で、全調査項目につきまして全数調査が必要であるかとか、そういうことも問題になるわけでございますけれども、基本的に、この人口減少社会の中で、なるべく全国的なトータルの数字、それからあわせて市町村、それから小地域の統計データということもかなり重要でございますので、そういう意味で、できる限りの情報はとりたい。

 ただ、先生がおっしゃっておりますように、さまざまなコスト、調査員のコスト、それから市町村の指導員の方々の御苦労等がございますので、それはまさに、これから有識者の会議で議論しながら適切に対応してまいりたい、かように考えてございます。

 以上でございます。

西村(智)委員 一回国勢調査をやると六百億円かかるんだそうでございますね。私は、調査の方法もそうなんですけれども、まず、この調査の目的をはっきりさせていただきたいと思っています。調査員の方々が対面で一番お困りになるのはそこではないでしょうか。つまり、なぜこの調査が必要なのかと聞かれたときに答えられないわけですね。答えられる正当な法的根拠、そして目的がきちんとしていれば、それはそれで対面調査もやってやれないことはないと思います。ですので、そのあたり、根本的なところの見直しから含めてやっていただきたいというふうに要望をいたします。

 それでは、引き続いて、本題に戻りまして、三位一体改革の今後の第二期改革をどういうふうに行っていくのか、そのことについて伺いたいと思います。

 三位一体改革の第一期分、これは評価はいろいろございます。地方六団体の方は、筆が走ったのでしょう、画期的ななどという評価がされておりましたけれども、実際に自治体の方々とお話をしますと、とても画期的などという評価は聞こえてまいりません。むしろ地方六団体が望んでいたのはほかのことであって、今回補助金廃止が行われたというのは、そもそも地方六団体が望んでこなかった部分のみ行われたというふうに私は見ております。

 この三位一体改革の第二期分、これがどういうふうに行われるかということなんですけれども、冒頭申し上げましたとおり、自治体も非常に多種多様でございます。規模の小さいところ、それから個性のあるところ、規模が大きいところ、本当にいろいろな自治体がございますので、ぜひ国と地方の協議の場をしっかりつくっていただきたい。できればこれを制度化していただきたいというふうに考えております。

 大臣、この点については、今までも前向きな御答弁をいただいておるわけでございますけれども、改めて決意のほどをお聞かせいただきたい。特に地財計画、交付税の算定ルールについては、これはやはり不透明だという批判がずっとあるわけでございますし、地方財政中期ビジョンですか、これについてもやはり地域からも意見をしっかりと聞き取る、そして事実は何かということを見詰める、そのことが必要であると思いますけれども、いかがですか。

竹中国務大臣 今般の三位一体の改革を受けまして、これをさらにどのよう発展させていくかということは、この国の形をつくっていく上で本当に重要な作業だと思いますし、その意味では我々は大変重要な段階に今置かれているというふうに思っています。三位一体の第一期の改革についてはいろいろな御評価はあろうかと思いますけれども、この成果を踏まえて私たちとしてはさらに前に行きたい、その思いは変わらないと思います。

 その際に、国と地方の協議の場は、現実にこれまでの改革の中でも本当に重要な役割を果たしたというふうに思います。国と地方の協議の場がなければ、こういう形でまとまることは私はできなかったと思うんですね。それだけ重要であったと思います。理由はもちろんいろいろありますけれども、こういう改革は国と地方の信頼関係に基づいて共同して改革していくというのが重要だということ。その意味で、地方は非常に多様ではあるわけですけれども、その多様な声を何らかの形で取りまとめて地方団体の方に表明をしていただく、そしてそういう声に国が真摯に耳を傾けていく、そういう形が今後とも大変必要かと思います。

 こういう場は、私は非常に多元的なというか多様にある方がいいと思うんですね。今既に、国と地方の協議の場、関係閣僚が全員出るような場がございます。これは引き続き積極的に活用してまいります。同時に、総務大臣と六団体との間でもう少し実務に近いところで議論するものもあるし、さらには、部長さんクラスのものもございます。そういうものを多元的に私としては活用してまいりたい。

 しかし、いずれの場合も、その中心といいますかコアになるのは国と地方の協議の場でありますので、この場を積極的に活用して地方の声を聞き、また前向きな議論をともにしてまいりたいと思っております。

西村(智)委員 聞きっ放しにならないようにその後の制度化もぜひきちんとお願いしたいというふうに思います。

 続いて、交付税改革に関連してなんですけれども、今回、行政改革のインセンティブを盛り込むということで、これは何ですかとお伺いいたしましたら、行政改革のインセンティブですということで御説明はいただいたんですけれども、私、これはちょっといかがなものかなというふうに思っております。

 そもそも、交付税は地方固有の財源であるということはもう確定をしている考え方でございますので、ここに行政改革のインセンティブを盛り込むというのはその概念を超えるのではないかというふうに思いますが、大臣の基本的なお考えを伺います。

 節約した分が生じればその余分は使い回せる仕組み、そもそも交付税はそういうことになっているんだと思いますし、ここにインセンティブを新たに盛り込む理由は何なのか、伺います。

竹中国務大臣 交付税は地方固有の財源として大変重要な役割を果たすわけでございますけれども、これはいろいろな声の中で、やはり今の交付税の制度に対する御批判の声も現実には存在しているんだと思います。その批判の声は、誤解に基づく面も多いんですけれども、一つのわかりやすい例として言うと、今やはり財源不足が生じています。その財源不足を何らかの形で国が補う形になっているわけでありますけれども、その財源不足との関係もあって、やはり一生懸命節約した地方とそうじゃない地方がともに交付税で手当てをされるような仕組みに結果的になっているのではないだろうか。そういう意味では、むしろインセンティブではなくて、地方は頑張っているところはたくさんあるわけですけれども、一部に逆のディスインセンティブが働いているのではないかという御批判は私はやはりあるのだと思います。

 そういう観点から、財政需要の算定に当たって、例えばアウトソーシング等々の地方歳出の見直しに即して財政需要を算定する等々の仕組み等々を持っているわけでございますけれども、これは十八年度から始まったわけではなくて十七年度からそういう仕組みになっていたわけですけれども、十八年度においてはさらに、積極的に行革を進めている団体は、単に経費の削減のみを目的としているのではなくて、それにより捻出した財源も活用しながら、住民サービスの向上を図るため地域振興施策の展開に努めているという状況を踏まえて、このような団体について、地域振興関係経費の財政需要を割り増しして算定する、そういうインセンティブをさらに半歩進めるような措置をとらせていただきたいというふうに思っているわけでございます。

 これは決して固有の財源というのを否定しているわけではなくて、しかし現実問題として、財源不足が非常に大きくなる中で一部にそういう逆のディスインセンティブが働いてはいけない、そういう批判にこたえるために、俗に言うと、しっかりと頑張って節約したところにはっきりとその恩恵が行くようなシステムにしたい、そういう思いでこのような制度の提案をさせていただいているわけでございます。

西村(智)委員 行政改革のインセンティブを付加するということになると、理屈で言うと、ほかのインセンティブも盛り込むことはできるようになるんだと思いますね。

 大臣のおっしゃること、一つの御意見、お考えだというふうには思いますけれども、私は、交付税のその基本的な性質からして、やはり疑問の念はぬぐい去れないところでございます。この点については、また機会がありましたら、引き続き質問させていただきたいと思います。

 次に、三位一体改革の第一期分、また改めて振り返ってみますけれども、補助金の改革については、一部施設整備費の補助金廃止以外はすべて交付金化しただけで終わってしまった。例えば、地方再生交付金が昨年の通常国会で創設をされた。これはもう補助金官庁を取り巻く構造はそのままそっくり残ったということからいたしますと、やはり公共事業補助金の改革はもっと大胆にやっていただきたいという思いが非常に強くございます。

 私の住んでおります新潟県は、やはり災害続きだったということもあるんでしょう、全国に比べて投資的経費のウエートが極めて高くなっております。義務的経費のウエートは、これは平成十五年から十六年で見ますと、約一〇ポイントも激減をしているわけです。いわゆる公共事業が突出した歳出構造の姿となっておりますけれども、こういった中で、ハードからソフトへの構造転換というのはなかなか容易ではありません。

 このハードからソフトへの転換を図るために、三位一体改革の第二期は、大臣は、第一期の延長線で補助金の削減と税源移譲と交付金改革、この三点セットを続けるということはなかなか難しいというふうに答弁されていらっしゃいますが、第二期についてはどんなイメージを持っておられるんでしょうか。

竹中国務大臣 まず、公共事業関係の補助金の改革を大胆にさらに進めたいという思いは私自身も非常に強く持っております。

 その上で、第二期の考え方でございますけれども、ちょっと誤解があるといけませんのですけれども、私は、補助金の改革と税源移譲と交付税の改革、これは引き続きやらなきゃいけないと思います。ただ、第一期のように、一つについて数値目標を決めてそれでやるというような、その点だけにフォーカスした、限定的な改革ではなかなか前に進まないので、より大きな、仕組みそのものの見直しをしたいんだということを申し上げているつもりでございます。

 実は、ちょっと先ほどの質問に戻りますけれども、交付金というのは、そもそもそういうインセンティブなんかを全くなくして、非常に無味といいますか透明なものにした方がよいのではないかという考え方はあり得るわけで、先般もたしか逢坂議員から同じような御質問をいただいて、その考え方はその考え方で、私たちもしっかりと検討しなきゃいけない課題だというふうに思っているわけでございます。

 したがって、そういうことも含めて、第二期の改革というのは、そもそも国と地方はどういう役割分担をして、地方にもっと自由度を持ってもらいたい、先ほどおっしゃった公共事業の補助金の改革ももっと地方に自由度が持てるようにしたいという思いでありますから、自由度を持てるためにはどのようにしたらよいのか。それは決して補助金の改革だけではなくて、ある法律で決めた範囲内で条例でさらに細かく決めることができるような仕組みがつくれないかとか、そういう広い土俵で自由度を考えたい。自由度の裏返しとしての責任も同時に考えたい。そして、結果的に財政がより健全化していく方向は健全化していく方向として目指したい。そういうことをまず総括的に議論をしていただいて、これは当然非常に先の長い話になりますから、そこから逆算して、ここ一、二年、二、三年でどのようなことから手をつけたらいいのかということを考えたい。そういう形で第二期の分権改革のメニューを、ぜひ議論を深めたいというふうに私は思っているところでございます。

 ここは非常にスケールの大きな話になると思いますし、専門家と言われる評論家、学者の方も、現状の批判はするんですけれども、ではどうしたらいいかという議論は、気がついてみるとほとんどないわけですね。つまり、トータルとしての案というのがないわけでございます。

 そういう点を踏まえて、ぜひ建設的な方向性を示したいと思っているところでございます。

西村(智)委員 民主主義の基本はやはり情報公開だと私は固く信じておりまして、望ましい仕組みを提案されていないということについては、私も、まあそうかなというふうに思います。私に、では具体的にどうしますかと聞かれてもなかなかすぐ答えは出てまいりません。ですけれども、最低限、情報公開はきちんとする、交付税の透明度を高める、これはどうしても必要なことだと思いますし、むしろ言ってみれば、そこからしか始まらないのではないかというふうに考えています。

 大臣、地方分権にかける熱い思いがおありでしょうから、そのことをぜひ取り組んでいただきたい、強く要望いたします。

 続いて、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会について伺いますが、私は、冒頭申し上げたように、やはりここのところ、自治体間の格差、格差というと戻ってしまいますが、自治体間の多様性というのはさらに増しているというふうに考えております。市町村合併はあめとむちをうまく使われて進んでまいりましたし、交付税の段階補正もここのところ見直されて、小さい自治体はあっぷあっぷということで、どうもやはり、概観いたしますと、国の方針は行政コストを追い求める、しかし小規模自治体はそれには合わないから、今の地方行財政システムの中から小規模自治体がはじき出される、締め出されるおそれがあるのではないか。おそれはなしというふうには私は考えておりません。

 そういった小さい自治体も含めて包括し得るような行財政システムが必要なのではないかというふうに考えておりますが、今回の地方分権二十一世紀ビジョン懇談会は自由と責任を中心に議論をされております。この発想だけでは、過疎地域などこれから人口が減少していく小規模自治体は成り立っていかないのではないかというふうに考えますが、大臣の考えを伺います。

竹中国務大臣 実は、今の御指摘の点というのは、本当に非常に慎重に議論しなければいけない重要な点を含んでいると私も思います。なぜならば、地方自治ですから、自分でやりなさい、自分でやれるはずですというのが前提になるわけでございますけれども、自分でやれるということと小規模団体でやれるかということの間には、実は現実問題としてはなかなか難しい問題があるということなんだと思うんです。

 そもそも、なぜ自治体の合併について我々がやはり必要だというふうに考えたかというと、自分で自立してやっていただきたい、そのためには現実問題としてある程度の財政基盤が必要なのではないのか。これは専門家の間でもいろいろな研究があります。ある専門家は、やはり最低人口十万ぐらいなければいけないと言うし、ある専門家は、いや、三十万なければいけないのではないかと言う。これは、統計的な一般法則としては、やはりある程度の規模がないと自立が難しいという経済的現実がございます。だから、自立を言うんであるならばやはりある程度の経済的な基盤を持とうではないかということで、合併というのが一つの政策の方向になってきた。しかし同時に、私たちはいろいろな多様性を認めるということでありますから、もしも小規模なところでも十分な財務基盤が自分で持てて、それで持続可能な形でやっていけるんだったら、それはそれで大変結構なことであるというふうに思いますし、むしろそういうところが本当に出ていただきたいなというふうにも思うわけです。

 そういう意味では、やはりある程度の財政基盤、自立のための財政基盤を持っていただくということは方向として認めながら、同時に、しかし改革は現実的にやらなければいけませんから、現実問題としてそういう規模に満たない小さな自治体が特に過疎地に存在しているという事実はあるわけですから、それについては一律に画一的な基準をもたらすのではなくて、何らかの実際的な考慮をしていくということが必要になってくるのではないかと思います。

 したがって、この議論はそんなに一つの解ですぱっと割り切れる議論ではないんですが、原則として、強い財政基盤を持っていただく、一方で、多様性を認めるための実際的な仕組みは考えていきましょう、そういうことで現実の政策はやっていく必要があるというふうに思っております。

西村(智)委員 このビジョン懇、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会において消費税がどういうふうに取り扱われるのか、地方消費税の扱いについて伺いたいと思います。

 地方六団体から、三位一体改革第二期分として、地方消費税の二・五%への引き上げによる税源移譲などが主張されておりますけれども、この提案、どうも政府・与党からは黙殺されていると言っていいのではないでしょうか。ビジョン懇は、一月から半年間開催されて六月ごろビッグピクチャーを取りまとめるということのようでございますけれども、この中で地方消費税をどういうふうに取り扱っていくのか、お伺いしたいと思います。

 大臣は、地方六団体の方々ともよく意見交換をしてまいるですとか、あるいは消費税は偏在性のない税であるというふうにおっしゃっておられますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

竹中国務大臣 二十一世紀ビジョン懇談会、これは専門家の方に今議論していただいていますけれども、その方向として私がお願いしているのは、地方の自由度をしっかりと高めたい、権限を高めたい、それに伴った責任も持っていただく。その中で、当然のことながら、地方の税源を拡充するというのは重要な方向として出てまいると思っております。地方の税源の拡充。

 そうしますと、今お話のありました地方消費税については、委員もお触れになったように、税源の偏在性が少ない、そして税収が安定した基幹税であるというような点、そうした点でやはり非常に重要な項目に間違いなくなるというふうに私は思います。そうした観点から、地方六団体の方々もそういう御提言をしておられるわけです。

 今、委員、残念ながら霞が関では黙殺をされているのではないかという御指摘がありましたけれども、決してそうならないようにするのが私の役割だと思っています。半年かけてこのビジョン懇で議論するというふうにした最大の趣旨は、六月ごろに歳出歳入一体改革についての一つの議論を、議論そのものは年度内続きますけれども、骨太に向けて中間的に議論を取りまとめなきゃいけませんので、その中でそういった地方の税源充実の話もぜひ織り込ませたいというふうに私自身は思っているわけでございます。その意味では、そういった考え方、地方の意見等々が黙殺されないように、私としてもやはりこのビジョン懇でしっかりと議論をしてほしいし、歳出歳入一体改革の中でそういうことを堂々とぜひ議論してまいりたいというふうに思っております。

西村(智)委員 竹中大臣はこの地方消費税に真っ正面から取り組んでくださっているということが理解できました。

 ちょっと順番を変えまして、道州制について一点伺いたいと思います。

 あす、地方制度調査会の道州制のあり方について答申が出されるというふうに伺っておりますけれども、そもそも道州制の意義について大臣はどのようにお考えでしょうか。また、あしたの答申を踏まえて今後どのように検討していかれるのか、伺いたいと思います。

竹中国務大臣 道州制でございますけれども、先ほども少し御答弁申し上げた市町村合併の急速な展開を踏まえて、やはり広域の自治体制度の改革というのが非常に現実味を今後帯びてくるんだろうというふうに思います。

 総理の諮問を受けまして道州制のあり方について調査審議をしております地方制度調査会におかれましても、国、地方を通じた効率的な行政システムを構築する、そして地方分権の推進、地方自治の充実強化、そして自立的で活力ある圏域の実現という方向で検討が進められるものというふうに承知をしております。

 政府としては、既に骨太二〇〇五で次のように決定しています。将来の道州制の導入に関する検討を進めるということを明示的にも二〇〇五骨太方針でも決めておりまして、明日に予定されております地方制度調査会の答申を踏まえて、まさにこの骨太の方針のとおりしっかりと私としては対応してまいりたいと思っています。

西村(智)委員 小泉総理は、二〇〇三年ですのでもう三年前になりますが、北海道の道州制先行構想などを提唱されておりまして、総理のお考えはこういったところから前向きであるなというふうに拝察するわけです。ですけれども、総務大臣のお考えがなかなか見えなかったものですから、質問させていただいたんですけれども、もう既に答申案が報道などで出ておりまして、三つの案がひとり歩きをしております。新潟県などは三案でみんな所在地が違うんです。もう既に地元などでは大きな議論になっておりますので、ぜひ、当事者の意見をまず先に聞く、この姿勢を徹底していただきたい。区割りはどうなるかというのは、これはもう本当に最後の最後のテーマだと思いますので、その点についてはぜひ注意してくださるようにお願いいたします。

 最後になりますが、新地方行革指針に関連して伺います。

 新地方行革指針は、昨年の三月二十九日、事務次官によって通知をされたものでございます。見ますと、過去五年間で自治体の職員の総数はもう四・六%減少している。その通知の中では、過去の実績、つまり四・六%ということになりますが、それを上回る総定員の純減を図る必要があるというふうにした上で、それぞれの自治体に明確な数値目標を設定するよう求めているわけですが、この策定状況、各自治体でかなりばらつきも出てきているのではないかなと思いますが、現時点でどのような策定状況になっているのか、それを伺います。

竹中国務大臣 新地方行革指針を示して、それに基づいて集中改革プランというのを三月までに策定するということになっている。お尋ねは、その集中改革プランをどの程度やっているか、どう把握しているかというお尋ねだと存じますけれども、全国ほとんどの団体でこの集中改革プランの公表に向けた取り組みが進んでいると承知をしております。

 四十七都道府県のうち九七・九%、政令市については一〇〇%、その他の市区町村については九九・七%がそのように対応している。これは十七年度合併市町村以外でございますけれども、そういう状況になっておりますので、ほとんどのところでしっかりとした取り組みがなされているというふうに承知をしております。

 これは提出期限が三月末でございますので、我々としても、早期に把握をして、今のは取りまとめ状況ですけれども、内容についてはできるだけ早く把握をして、早期に取りまとめ、公表したいというふうに思っております。

西村(智)委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 民主党の横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。

 竹中大臣とは、ちょうど昨年、郵政特別委員会で大変激論を交わしたわけでございますが、あれから一年たってこんな状況になるとは、正直言って夢にも思っておりませんでした。ただ、こういった結果にはなったんですが、状況認識だけはしっかりとここで、大臣、認識しておいていただきたいと私は思うんですね。

 これは質問じゃないです。

 郵政の問題は、国会では一回は否決されたという事実、これは民意でございます。しかし、結果的に解散という形で、しかも、刺客騒動やあらゆることで国民、マスコミの関心を引きつけて結果が出た。確かに議席数は大差になりました。

 しかし、問題は獲得票数です。このことは、圧倒的な支持を得たとおっしゃっておられますが、決してそうじゃないという結果が出ているということ。つまり、与党の獲得したのは、小選挙区では四九%、比例区では五一%、半々なんですね。しかも、もっと細かく、各議員が郵政の問題について意思表示した結果は、反対を表明して戦った人の獲得票数の方が多いんですよ、百万も多いんです。これはデータがちゃんと出ていますので。こういったことが現実なんですから、郵政にノーと言った人が百万も多いということをしっかり認識していただきたいということです。

 そして、そういったノーと言った方々あるいは心配されている方々が、あの特別委員会で、我々がさまざまな疑問点をお聞きしたときに、すべて大丈夫だというような答弁を大臣がされているんですね。それは国民に対する公約でございますので、これをこれだけ多くの方々が心配しているわけですから、審判の結果でも半分の人たちがノーという意思表示をしているんですから、あの公約をしっかり守っていただきたい。

 例えば過疎地の郵便局の問題も、動きが始まっております。ネットワークを維持するという御答弁をされておりますので、しっかりこのこと等を、そのほかいろいろな課題を質問いたしましたが、大丈夫だ、大丈夫だということで答弁されておりますので、それをしっかり守っていただきたいということを冒頭認識した上で、公約を守っていただきたいということをお願いしたいと思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、三位一体改革についてお尋ねをしたいんですが、これは、政府・与党としては、地方の権限と責任を大幅に拡大する、そして歳入歳出両面での地方の自由度を高める、これが大目的でございますが、今回の改革において、目的どおり地方の権限と責任が大幅に拡大したのか、そして地方の自由度が高まったとお考えなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 横光委員とは本当に暑い時期に郵政の特別委員会で本当に真剣にお互い議論をさせていただきました。そのときの公約は、今委員御指摘がありましたように、しっかりと守るように担当大臣として最大の努力をする覚悟でございます。

 三位一体改革の評価でございますけれども、基本的に、地方にできることは地方にというのが三位一体改革の理念であります。国の関与を縮小して地方の権限、責任を拡大する、そして同時に、国、地方を通じたスリム化を行う。その結果として、今回の改革の結果として、三兆円の税源移譲、四兆七千億円の補助金改革などを行うこととされたところでございます。

 今回の補助金改革、これはいろいろな御意見があることは承知をしております。地方の改革案にはなかった補助率の引き下げが含まれている、そういった点で、地方の自由度は高まらないのではないかという御批判もいただいておりますけれども、一方では、公立保育所の運営費でありますとか、学校や社会福祉施設の施設整備費、これは、施設整備費を初めて一般財源化できたというのも一つの事実でございますので、地方みずからの創意工夫と責任で政策を決められる幅はやはり拡大したというふうに思います。

 同時に、税源は移譲されたわけでございますから、地方税収としては、地方の経済の活性化等々によって今後税収が期待できるという面もございます。

 そうしたことをあわせて、地方の自主財源の強化、補助金改革による地方の自由度拡大とあわせて、改革全体として、地方分権の進展に資するものにはなっているというふうに思っております。

 しかし、何度も申し上げまするように、我々も満足はしておりませんので、さらなる改革は必要だというふうに思っております。

横光委員 確かにそれは前進した部分はあるわけでございます。しかし、今回の補助金改革の状況は、この結果を受けての地方六団体の考えは、結局のところ、地方が求める改革案の一二・一%、これは義教費を除けば一二・一%しか望みがかなえられていない、つまり、三千八百九十三億円にすぎないと指摘しているんですよ。地方六団体が結果を見て。

 そしてさらに、各種のアンケートによると、過半数の知事が政府・与党合意を評価しないと。これはほとんどの大手の新聞社のアンケート結果が、大体同じ結果が出ています。さらに、同じく過半数の知事が、政府・与党合意は地方の意見を尊重していない、こういったアンケート結果を出しておるんです。

 三位一体改革、地方分権の片一方の主役は地方なんですね。その地方自治体の皆さん方の過半数の方々が、今回の、十八年度で一応一区切りついたこの三位一体改革についてこのような評価しかしていない。確かに前進した部分もありますけれども、私は、この知事さんの皆様方のアンケート結果のように、改革改革と言われておりますが、実態は目的にほど遠い状況であるということだと思うんですね。

 ただ、私は、分権に向けて国と地方の協議会ができた、これはすごいことだと思っております。そして、今言われたように税源移譲が行われた、三兆円規模の税源移譲が行われた、これもやはり画期的なことだと。ただ問題は中身ですよ。中身は多々問題点があると思うんですね。

 その中の一つで、例えば義務教育費国庫負担金についてちょっとお尋ねしたいんですが、これは今回、小中学校を通じて国庫負担率を二分の一から三分の一に引き下げるという結論になりました。しかし、この結論は、国の負担率を引き下げただけであり、義務教育のあり方について、国と地方の責任とか役割とかあるいは理念とか、こういったものが全然示されておりません。大臣は、義務教育について、税財政負担も含めて、国と地方はいかなる役割分担を担うべきであると考えておられるかということをまずお聞きしたいんです。

竹中国務大臣 前半おっしゃった御評価については、いろいろな御不満が知事さんの間にもあるということは私も承知をしております。同時に、六団体全体としては画期的なものであり前進であるというような評価、それを受けて個々の点についてさらに解決していく問題があるということだというふうに私も認識をしております。

 義務教でございますけれども、教育環境の整備が一定の水準に、今、昔に比べれば、委員や私が幼いころに比べればやはり達したということなんだと思います。そういう中で、国、地方の役割分担の見直しというのが時代の要請になってきているという一つの背景があると思います。

 特に自治事務でございます義務教育の根幹は、これはまず教育の機会均等である、そして無償制である、水準の確保である、それがやはり重要な根幹なんだというふうに私自身は理解をしております。

 その意味では、国は、国民に対してこういった環境を保障するように大枠を法律によって担保する、そして所要の財源を確実に保障する、一方で、地方は、国が定める大枠の基準を満たした上で、地域ごとの創意工夫を生かして主体的、自主的な取り組みを行う、そういうことがまさに私は今の時代は求められているんだろうというふうに思います。

 昨年十一月の政府・与党合意でございますけれども、義務教育や高等学校教育等のあり方、国、都道府県、市町村の役割について、そうした点を踏まえて引き続き検討するというふうにされているところでございまして、教育分野における国と地方の役割分担については、今後も幅広い観点から、今申し上げたようなことを基準にして議論が行われていく、そういう必要があるというふうに思っております。

横光委員 この問題はそれぞれの立場によってやはり随分と方針やお考えというのが違っていたということが今回かなり如実にあらわれたんですね。そのことを示すように、私から言えば今回の数合わせ的な結論に至るまで、大変な紆余曲折があったわけです、この二、三年の間に。

 地方は、今回、とりあえず中学校教職員の給与等を補助金として移譲してほしい、八千五百億円余り、こういう要求をした。しかし、政府・与党の方は中教審の結論を得るまで先送りして、結局十七年度は暫定措置でしのいだわけですね。その中教審の答申は、二分の一、これまでどおりやはり国が責任を持ってこの制度は堅持すべきだというお答えを出した。しかし、それぞれの意見がありながら、出た答えは全然それぞれの思いと違った形になったんですね。

 要するに、地方団体が主張する中学校教職員の給与等に係る負担金の移譲でもない、また中教審や文科省の主張する負担率とも異なる、総務省としても恐らく税源移譲という形だったでしょうから、違った形になった。考えてみたら、この結果は、負担率の引き下げという、地方側も文科省もあるいは総務省も望まない、いわば財務省のひとり勝ちという結果になったと言っても私はいいと思うんですね。つまり、結局財務省の数合わせ的な形でこの問題に決着をつけてしまったと私は思うんですよ。

 義務教育という国の根幹にかかわるような重要な問題をこのような形で決着していいものか。地方の意向もかなわない、担当している文科省、中教審の意向もかなわない、総務省の意向もかなわない、三方がそれぞれ、一両か二両か何両かわかりませんが、それぞれ損して、一番もうかったのは財務省だけ、このような決着の仕方で、義務教育のあり方で果たしていいと思うんですか。お聞かせください。

竹中国務大臣 現実にこの義務教の話、これは大臣に就任してすぐこの三位一体の改革の話があって、一カ月ぐらいは各大臣もうこれにかかりっきりだったわけですね。これはもう本当に振り返っても厳しい交渉でした。委員おっしゃるように、それは地方から見ても文科省から見ても総務省から見ても百点からは大分遠いぞ、それはそれで事実なんだと思います。

 ただ同時に、今申し上げた、地方から見ても文科省から見ても総務省から見ても、これではどうしようもない、これではやらない方がましだというふうな結論にはなっていないわけです。そこは、ある意味で、大変厳しい状況の中で、それぞれが何とかぎりぎり折り合えるような線を話し合いの結果私はやはり出したということなんだと思います。

 財務省がどうかというのはちょっと私には、得をしているか損をしているかというのはよく、にわかには判断はしかねますけれども、いずれにしても、重要なのは、私はやはり、今回の改革論議というのは義務教育における地方分権の一つのプロセス、一過程であるというふうに思っております。だから、今後さらに幅広い議論をしていかなければいけない、そういう思いは関係者はいろいろ持っておられるのではないかなと私は思うんですね。

 それと、義務教育を決して財政の議論だけから議論したわけではなくて、まさに根幹の話でありますから、中教審の鳥居先生のところでもぎりぎりの議論をしていただいたのだというふうに思っております。

 問題点がある、残っているということは十分に承知をしておりますが、地方分権の一過程であると考えて、さらなる道を探りたいと思っております。

横光委員 確かに、お話のように、大変なそれぞれの立場によって難しい問題ではあります。私は、先ほど国の根幹にかかわると言いましたけれども、まさに、これはよく皆さんがおっしゃいます、総理だっておっしゃるんですね、資源のない私たちの国で唯一の資源は人材の育成なんだと。世界の潮流は、先進国も発展途上国も今教育へ教育へと国の予算をつぎ込んでいるのが世界の流れなんですよ。今、義務教育はもう半額どころか全額国で持とうというのが今の世界の流れなんですよ。

 そういった意味で、この義務教育、高等教育の前の義務的な教育、基礎を教え養うというところでは、やはり国がしっかりと責任を持ってこれまでどおり、これまでどおりというより、むしろ全額国がしっかりと責任を持って負担して人材を育成するんだというぐらいの気持ちを示すべきだという考えを私自身は持っているということを申し上げておきます。

 先ほどの質問で、大臣は、生活保護の件で、これも国が責任を持ってやるべきだというお話をされました。それぞれの分野において国の責任というものはあると思うんですね。生活保護の分野もそうでしょう。私は義務教育もその分野に入るという考えを持っておるわけですが、その生活保護や児童扶養手当のことでちょっとお聞きしたいんです。

 生活保護は結果的に負担金の見直しは行われませんでしたが、児童扶養手当の引き下げが行われた。そして、ほとんど議論されてこなかった児童手当、この負担率の引き下げがまるでつじつま合わせのように、先ほど私は数字合わせといいましたが、つじつま合わせのように突然決定されることになってしまったんですね。非常に地方はこのことに対して強い反発を持っております。

 生活保護や児童扶養手当というのは、国民の生存権の立場から、全国どこでも公平に受けられるものでなければならないわけでございまして、これを地方に移譲したからといって、一体どこに、政府・与党の言うところの地方の権限と責任の大幅な拡大あるいは地方の自由を高めることにつながるのか、全然私にはわかりません。これは御答弁は要りません、先ほど同じ思いを聞かせていただきましたので。

 ただ、心配は、今回の政府・与党合意において、地方が生活保護の適正化について真摯に取り組むこと、その上で適正化の効果が上がらない場合には、国と地方は必要な改革について早急に検討し実施すると。こういう与党合意があるんです、政府との。これは今後の生活保護の見直しの可能性を残しているということでしょう。

 大臣はこの問題についてこれまで反対の主張をしっかりと貫いてきていただいておりますが、こういった政府・与党合意があるということは、これから地方にとってはまだまだ心配事が残っておるわけなんですが、これまでどおりの主張をしっかりと総務大臣としては貫いていかれるおつもりかどうか、再度お聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 生活保護に対する基本的な考えを申し上げておりますけれども、御承知のようにさまざまな問題があって、地方団体からも制度設計のあり方についてこれは提案が行われております。生活保護は、憲法上の要請、制度の問題点等がありますので、地方団体の反対が極めて強かったため、現行制度を堅持するという形になった。

 委員のお尋ねは、給付の適正化を行う必要があるという点については、これは国も地方も認識は一致をしておりまして、政府・与党合意においてその旨確認しているわけでございます。その方向に沿って今後議論を深めていくことが必要だというふうに思っておりますが、その際、国庫負担率のさらなる引き下げの可能性を残しているものとは私はとらえておりませんで、その意味では、適正化と引き下げとは違う。そこは、適正化はやはりいろいろな知恵を出していかなきゃいけないと思っておりますけれども、委員御懸念のようなことにはならないように、担当大臣としてはしっかりと対応してまいります。

横光委員 よくわかりました。よろしくお願いをいたします。

 それでは、これまでも多くの議員が取り上げておりますが、二十一世紀ビジョン懇談会についてちょっとお聞きしたいんです。

 さらにこれからの、三位一体改革後の将来の地方分権の具体的な姿を描くために、こういった会議を私的懇談会として発足した。五月にも検討結果をまとめようとされております。これに対して、地方団体からは強い警戒の声が上がっていることが報道されておりますし、私も地元に帰っていろいろお話を聞きますと、非常にこの懇談会の件で心配されている首長さんが多いんですね。

 私は、地方が心配している大きな理由の一つが、懇談会のメンバー構成にあると見ておるんですよ。この今回のメンバー構成。つまり、地方側から見ると、地方交付税批判の急先鋒を務めてきた財政制度審議会の中心的なメンバーの方や、あるいは地方に対して厳しい発言を行ってきた方ばかりが目立つということじゃないかと思うんです。ですから、今回のメンバーは総務大臣みずから選任されたということですが、地方のことをやるのにもかかわらず地方の方はだれも入っていない。これまでの推進委員会やあるいは改革推進会議、このあたりには必ず地方の代表者も入って、いろいろと地方の意見を述べてまとめてきたわけですが、今回は全くそれが入っていない。非常にバランスを欠いている人選だという印象を持っております。いかがですか。

竹中国務大臣 改めて今横光委員から、今回のメンバー、これは私が私の責任において選任をさせていただきましたが、地方に厳しい人だという御指摘があったんですが、私は全く実はそうは思っていないんですね。メンバーの方は、例えば地方がもっともっと地方行革の余地があるんではないかとか、そういう意味で厳しい意見を持っておられる方も結構いらっしゃいます。同時に、国の制度に対して、財務省とかに対して非常に厳しい意見を持っておられる方が結構ずらっと並んでおられるわけですね。その意味では、国と地方というのはもちろん対峙するわけではありませんけれども、国の制度を変えろというようなことをかなり積極的に発言される、されてきた方が多いと私自身はむしろ思っております。

 それともう一つ、地方の当事者が、現場の方が入っていないというのは、これは事実でございます。これはいろいろな考え方があると思います。当事者の声を聞く方がよい場合と、少なくとも制度設計そのものは当事者に入っていただかない方がむしろよいのではないかという場合も私はあるのだと思います。むしろ、最近の議論では、当事者が制度設計の中に入るのはいかがな場合かというような趣旨の御質問も予算委員会等々では出ているというふうに思うんです。私は、今回はその意味では、地方の声はしっかりと聞きます。しかし、制度のあり方そのものは専門家の方に独立した立場で議論をしていただく方がよいというふうに判断をしたわけでございます。

 同時に、この場でも申し上げましたけれども、私から地方六団体にお願いをしまして、総務省ではこのような場を持ちますので、地方六団体でもぜひ同じような場を持って検討していただきたい、そして意見交換をいたしましょう、お互いによく議論しましょう、耳を傾けますと。そのことを私は、先ほどから出ている、総務大臣と地方六団体との協議の場で私の方から地方六団体の方に提案して、つくってください、皆さんの方でもつくってくださいというふうにお願いしたわけでございます。現実に、地方六団体でもそのような場ができておりまして、先般の協議の場でも、もう少し話が進んだ段階でお互いに意見交換をいたしましょうということを約束しております。

 そういった観点から、当事者、現場の声がしっかりと入るように私も最大の努力をしてまいりたいと思いますので、そういう懸念がないように、そこは中身で、ぜひそういう懸念はないんだということを示してまいりたいと思います。

横光委員 今、地方の声は六団体の中でも委員会を設置していただいてヒアリングを行う、バランスをとっていくみたいなお答えでございましたが、私は、やはり地方の三位一体改革のこれからというのはまさに地方が主役だと思うんですね。その地方の人たちの意見をそういった形だけでヒアリングで済ませようとするのは、やはり問題だと思うんですよ。

 これはちょっときつい言い方になりますけれども、大臣が地方分権の推進を議論するに当たって、いわゆる友と敵を峻別しているような気がしてならない。つまり、自分と意見を異にする者は外側に追いやって、内側には意見を同じくする者を集めたと見られかねないんですよ、これは。地方側の疑心暗鬼はそこにあるんですね。

 現に、かつて地方分権改革推進会議、ここではどうだったですか。地方の意向と全く異なる動きをとった結果、地方の尊敬と信頼を失ったじゃありませんか。あそこには地方の代表者がいたにもかかわらず、そのような形になったんですよ。今回、地方の代表者もいない。もう先が見えているじゃないですか。そんな気がするんです、私は。地方側にとってですね。もちろん、財政サイドにとって厳しい意見を言う人も入っているということは、確かに入っているでしょうけれども、そういうことを理由に、地方の意向が恐らく無視されていくんじゃないかということを私は心配しておるんです。こういった地方分権改革推進会議の例もあるので、ぜひともこのような苦い教訓を先例として、同じ轍を踏まないようにしてほしいわけでございます。

 この会議が五月にも結果をまとめようとしておりますが、五月というともうすぐですよね。それで、この懇談会は、長期的な幅広い論議をしてもらう。であるにもかかわらず、五月に検討結果をまとめようとしている。問題の重大性に比べて余りにも拙速ではないんですか。このような短期間の議論で、どのようにして長期的な幅広い論議をまとめることができるとお思いなのか、お尋ねしたいと思います。

竹中国務大臣 ちょっと委員、誤解があるといけませんので、ぜひ申し上げたいんですが、まず、今回は総務大臣の私的な諮問機関でございます。ここで何かを決めるわけではありません。ここで、私たち自身がまずしっかりとした考えを持つための素材を出していただくわけで、それに基づいてどのような行政をとるかというのは、これは行政の私たちの責任においてその後しっかりとやっていかなければいけない。

 中身も、まさにビジョンでありますから、詳細な制度設計について議論する場ではございません。そんなことはとても、委員御心配のように、半年とかでできるような話ではございません。その中で書かれた一つの方向性なりビジョンなりについて、では当面どのような行政をやるべきかということをまず抽出する、そして、その中でさらにそれではだめな中長期的な制度設計の議論が必要な場合は、それはしかるべき審議会等々で中長期的な制度設計の議論はやっていく。そのイニシアルの私たちの、政府としての、担当大臣としての考えをしっかりと持つための一つのプロセスとしてこういうことをやっておりますので、ここで何か決まるとか、そういうものでは決してございません。

 あえて五月、六月ぐらいまでにまとめたいと思っておりますのは、歳出歳入一体改革の話について六月に一つの方向を出すことになっておりますから、その中で、例えば今のままだと、とにかく理由もなく、地方交付税を削れ削れというふうに財政の議論の中でどうしてもなってしまうわけですね。私はやはりそれでは困ると思うんです。だからこそ、国と地方の役割はこうあるべきで、その中で、地方交付税というのはそのための一種の中間的支出でありますから、その最終的な支出についてどうするのかということと、それと、独自の税源をどのように持っていく必要があるのかというようなことについて、それなりの知見を我々としてやはり持っていたい、そういう思いでいるわけでございます。

 決して、半年で、しかも私的な諮問機関で何か国の将来の大きなことを決定するというようなことにはもちろんならないわけでございますので、もちろん法律のときはここで御議論いただかなければならないわけですので、そのようなプロセスはしっかりと踏んでまいります。

横光委員 大臣の私的諮問機関ということで、プロセスを踏んでやるということをおっしゃっておりますが、ビジョンや方向性を決めるだけなんだということで今おっしゃいましたが、そういったビジョンや方向性をそこでまず決めてしまいますと、それは言われるようにひとり歩きするわけですよ。

 この骨太の方針を決める、その前に財政諮問会議で論議する、その前にこの懇談会の意見を反映させるわけでしょう、逆から言えば。ということは、今まで言われた、私的懇談会の中での意見がそのまま骨太の方針につながっていくということに、これは普通の人から見ると当たり前のように考えるじゃないですか。

 であるならば、私は、その中の意見として地方の意見を聞くということをおっしゃっておりますので、このところをしっかりとやるべきだという思いがするんですが、このあたりの、結局どういった形でやるのか、あるいは回数とかそういったレベル等はもうお考えなんでしょうか。

竹中国務大臣 ここのビジョンで議論されたことが骨太の方針にそのままなるのではないかということですけれども、私は、総務大臣としてはそうなってほしいという思いはありますけれども、これはなかなか大変だというふうに、総務大臣としては相当頑張らなきゃいけないと思っております。

 といいますのは、先ほども言いましたように、骨太の方針等々で、財務省的なといいますか、財政当局的な見方というのは、とにかく交付税を削減しろという見方なわけです。私たちは、それでは困るから、より国と地方の健全なあり方についての根本的な議論を持って、理論武装をして、そういう議論にならないように骨太の方針を持っていきたいというふうに考えているわけなんです。

 したがって、横光委員おっしゃるように、ここで決まった方針が骨太の方針になるというような、そんな楽観的なことはとてもとても現状では見込んでおりませんで、何とか地方交付税削減ありきというような議論にならないように、私は担当大臣としてはぜひ持っていきたい。そのことは、そういう意味ではぜひ先生方には応援していただきたいと思うし、そういうふうな一つの準備プロセスである。

 その際に、委員が重ねて御指摘のように、地方の声を聞けと。これは必ずやります。そして、そのためにも、地方六団体で一つのカウンターパート、これは、先ほども言いましたように、批判は幾らでもあるんですけれども、どうするかという議論になるともうなかなか出てこないものですから、地方御自身の意見もお取りまとめいただきたいというふうにお願いをしているわけでありますので、そこの趣旨につきましては何とぞ御理解をいただきたいと思います。

横光委員 地方側との意見交換をやるとおっしゃっておりますし、それが単なるセレモニーで終わることのないようにお願いしたいということ、そして、今度の三位一体改革の結果に対する評価が、先ほど言いましたように、地方の知事さんの過半数が、なかなか地方の意見を尊重していないというような評価をしているのも現実ですし、それはもう結果です。しかし、これからさらなる改革、三位一体改革に向けてこういった懇談会がスタートをするわけですが、その前に、地方から、国は地方の意見をなかなか聞こうとしない、意見も委員も入れてくれない、そういった声が上がらないような形でやはりしっかりと対応していただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、私は最初に、地方税法の中の固定資産税の問題について質問をしたいというふうに思います。

 昨年三月三日の総務委員会におきましては、私はちょうど、住宅の耐震化問題、これを進めていく上で、耐震化して値打ちが上がると固定資産税が上がったりすると逆になりますからね、耐震化することによって、耐震化する住宅については、例えば固定資産税の減免を考えるなどインセンティブを与えること、それは、今住宅の耐震化ということは非常に大事なときだけに、考えるべきではないかと質問をしまして、麻生大臣の方からは、これは検討させていただきたいというお話でありました。

 固定資産税というのは、収益の上がらない、暮らしを支える、そういう住宅資産については負担を重くしないということとか、さらにそれが、日本は地震国ですから、耐震化がおくれている中で進めていくならばインセンティブを与える方向も考えていくとか、こういう大事な問題があるというふうに思っております。

 そうした中で、私、きょう最初に伺いたいのは、逆に、負担調整の強化ということが今度出てくるわけですね。ですから、そこで伺いたいのは、これは政府参考人に伺っておきますが、固定資産税の負担調整措置の見直し、これは、対象となっている商業地は一八・六%あって、対象となる納税者数は二百万者、それから小規模住宅用地については二六・九%が対象で一千万者というふうに、大体資料からすれば読み取れるんですが、まず、間違いないか伺います。

小室政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅の点については委員の方から御紹介がありましたので、土地の関係でございます。

 今回の負担調整措置の関係でお話がございました、住宅用地、とりわけ二百平米以下の小規模住宅用地についてということでございますが、御案内のとおり、評価額を六分の一に減額する大幅な課税標準の特例措置が講じられております。したがいまして、小規模住宅用地はそもそもそういった税負担が低く抑えられているわけでございますが、その本来の税負担に比べ、なお実際の税負担の水準がさらに低い土地が一部にございます。そして、これらの土地について、課税の公平の観点から、従来より、負担調整措置によって税負担が引き上げられてきたところでございます。

 そうした小規模住宅用地の中で、負担水準が低い、具体的に言えば八〇%未満の土地の割合ということで、数字を挙げられました平成十八年度の見込みで申し上げますと、課税標準額で二七%、それから納税義務者の割合で四一%、委員が挙げられました数値、私どもの把握した結果と一緒でございます。

 それから、商業地についても同様に数値がありましたが、その点も一致しております。

吉井委員 要するに、収益を別に生み出すことのない庶民の小規模な住宅地、これは、税負担を重くするということはもともと余り考えるのはなじまない世界だったんですよ。バブルのときは地価がどんどんどんどん上昇していきましたから、その結果、税金も上がったわけですが、ところが、九〇年代からバブル崩壊で、今度は地価はどんどんどんどん下がり始めている。そのときに、今度は七割評価だといって、課税標準を引き上げることで税金を上げていくということをやり出したわけですね。

 大体あれから十年たって、地価が下落し続けている中で、固定資産税を毎年引き上げられるようにしてきたというのがこの負担調整措置であったわけですが、地価が下がっているから、本当だったら固定資産税は下がっていいじゃないか、普通の国民からすればそういうことになると思うんです。

 そこで、大臣に最初に伺っておきたいんですが、負担調整措置の見直しというんだったら、本当は、地価が下がっているときなんですから、普通に住んでいる人からすれば、土地を売らない限りもちろん収益につながらないものではありますが、見直しというんだったら、税負担を考えるというのが普通の考え方じゃないでしょうか。

小室政府参考人 委員は、これまでの経緯、現在の負担調整措置についても十分御案内のことでございますので、今回の見直しの趣旨という点について申し上げさせていただきます。(吉井委員「いやいや、その趣旨はわかっている」と呼ぶ)そういう意味で……

吉井委員 あなたがまた大臣になったら答弁してもらいたいんだが、僕が大臣に聞いたのは、負担調整の見直しというんだったら、本当は、本来、税負担を軽くすることを考えるべきじゃないですかということを聞いているんです。お答えしようとしたようなことはみんなわかった上で聞いていますからね。

竹中国務大臣 固定資産税に関して、何が適正な課税の水準かということに関しては、バブルのときから、いや、それ以前から、非常に大きないろいろな議論があったかと思います。それに関して、どういう考え方でやっていくべきなのかということで、私の認識を問うということだと思うんです。

 そもそも、やはり今まで、いろいろな意味で、実効税率について、日本の場合は諸外国に比べて低かったのではないかという議論があったと思います。それがまた、バブルを生み出した、資産に対する投機を生み出した一つの原因になっていたのではないかというような議論も根強かったと思います。そうした中で、適正な税負担をしていただくことによって土地の有効利用を促進しようというような考え方に基づいて、固定資産税に関する一連の法律改正がなされてきているというふうに思います。

 確かに地価は下がっているわけでございますけれども、しかし、そうした中で、これまで国際的に見て少し低かった実効税率を、ちょっと極端に言いますと、課税が不適正なために資産投機が起こるというような状況がないようなプロセスに持っていく、その調整を今行っているところであるというふうに思っておりますので、これはやはり必要な調整として続けなければいけないというふうに私は認識をしております。

吉井委員 ちょうどこれは九〇年代初めの負担調整のときにも議論したことではありましたが、あのころは、皆さんが出した資料でも、地価がぐんと上がっていったんですね、売買価格が上がっていったわけですよ。それに対して、従来どおりの課税標準に基づいて千分の十四を掛けて、あるいは都市計画税を足したとしても低くて乖離があるからというのが話だったんです。

 今は、これは逆に落ちてきたわけですね。落ちてきたら乖離はどんどんどんどん縮まっているのに、なぜ、見直しというんだったら逆に税負担を軽減することを考えていいときなのに、これを上げようというのは逆じゃないか。これは多くの国民の皆さんが、これだけ負担増がどんどんどんどんかぶさってきている時代ですから、そのことを問題視するのは当たり前だと私は思っています。

 それで、次に、政府参考人に伺いますけれども、小規模住宅用地で評価額の八〇%まで毎年引き上げていくということなんですけれども、そうすると、負担水準の分布状況を見ると、小規模住宅用地の場合、六〇%台と七〇%台の間に負担調整措置の対象者の大体八割が存在しているわけですが、仮に、現在七〇%の人がそのおっしゃる八〇%の水準に、据え置きゾーンまで行くのに、現行制度で、この制度を延長していくと前年度に二・五%ずつ上積みということになりますね、そうすると、八〇%に行くのは、大体何年ぐらいかかって行くであろうと見込んでおられますか。

小室政府参考人 今吉井委員がおっしゃる負担調整措置という意味では、まさに、同じ評価額であっても税負担が異なる、こういう状況を、不公平をできるだけ早く均衡させていこうという趣旨で今回の話があるわけでございます。

 お尋ねの、現在の仕組みで何年くらいかかるか。これはゆっくり上げているわけですけれども、そこのところは、負担水準七〇%であれば八〇%まで六年、六〇%であれば十二年、こういったのは今の仕組みをそのまま延長していった場合の年数でございます。

吉井委員 おっしゃったように均衡を考えるんだったら、低いところを上げる、つまり負担を重くするというのもあなたのおっしゃる均衡かもしれないけれども、今重いところを、地価が下がっているときですから、軽減することによって均衡ということも、考え方としては当然ある話なんです。

 それで、今回の負担調整措置の見直しによって、先ほどの小規模住宅用地の場合、仮に今度は調整することによって七〇%、八〇%の据え置きゾーンにするとしたら、何年かかるということになってきますか。

小室政府参考人 今回の改正案ということでは、七〇%の負担水準にあるもの、これについては二年で、それから六〇%の負担水準の場合には四年で、当然この場合、地価は動かないでそのままいるという前提に立っております。

 なお、制度自体としても、今回御提出しているのは三年である、これはお含みください。

吉井委員 ですから、地価がずっとこのまま下がらずにとまっているとして、今おっしゃったように、六年、それから片方は十二年。要するに、六、七年程度かけて緩やかに負担調整をというのは、これまでのやり方だったらそうなるんですね。ところが、突然これを前倒しして、二年ぐらいで引き上げてしまおうというわけですね。つまり、突然前倒しして、二年で増税をやろうという話なんですよ。どんどんどんどん地価が下がってきて、そして下げどまりになりかけてきているとも言われているときに、どんと上げようというわけですから、これは、地価上昇を見越して五%に調整措置を変えようというのが本当のねらいじゃないかというふうに思われるところですね。

 ここのところは大臣にちょっと腹のうちを聞いておきたいんですが、地価上昇を見越して五%に引き上げをしておこう、これがねらいなのかどうか。これは大臣の腹のうちを聞いておきましょう。

竹中国務大臣 そういうことではございません。

吉井委員 しかし、幾ら腹のうちはそうじゃないと言ってみたって、実態としては、地価がどんどんどんどん下がっているときの話じゃなくて、地価が下げどまりからひょっとしたら上がっていこうかという、実際に東京などは上がってきているわけですね。そういうところで負担調整措置を、今までの二・五%だったら六年、七年かかる、だんだんだんだん調整していきましょうというのを一遍にぽんと上げようというわけですから、これは地価上昇を見越しての五%増税のねらいじゃないかと言われても仕方のないところだと思います。

 現行制度は、地価が上昇し始めると乖離を縮小できない。今のままじゃ、上昇しても乖離はなかなか解消できないんですね。だから、地価が上昇しても乖離をなくせるようにしようとした増税措置、これは、いろいろ説明されても、結局こういう話にならざるを得ないと思うわけであります。

 家計所得が今、毎年減少している国民生活に、そこには思いをいたさないで、どおんとあれも上げる、これも負担をふやす、今度は小規模住宅の固定資産税もふやしていく。こういう庶民の住宅地というのは、もともと生活の手段なんですから、評価額が上がっても別に収入がふえるわけじゃないんですよ。そういうものへの負担をどんどん引き上げようというやり方は、私は根本的にこの考えを改めるべきだということを申し上げて、次に、そういう中で、評価額が時価を上回るとその分はどうなるかという問題について。

 実は、二〇〇五年七月十一日の最高裁判例は、評価額が時価を上回るとその部分は違法となるという判断を出しております。昨年七月十三日の東京高裁は、売買取引事例について、正常な価格のもとに売買が行われていたか否か、これをまず調査するのが一つだ。二つ目に、正常取引であれば、その取引価格を、登録価格等の乖離について審査、検討を行うべきだ。三つ目には、必要なら評価手法の変更を行っていく。そういうことを本来やっていくべきなんだということを東京高裁が示していますね。

 これは政府参考人の方に伺っておきますが、ですから、要するにこの判決では、評価基準とか取り扱い要領や公示価格、基準地価格を聖域化しないで、審査委員会は客観的時価を審査するべきであるということを示したわけです。だから、評価委員会は適正な価格かどうかを調査する、このことが不動産評価委員会に特に求められている。やはり不服審査というのが出てくるわけですからね。

 この点は政府参考人の方に、高裁が示したのはこの点であったと思いますが、まず確認しておきます。

小室政府参考人 高裁の判決の内容自体、幾つかの点を御指摘になっていると思います。かつ、高裁の判決について、現在上告中というふうにも聞いてございます。

 今お話のありました、審査委員会の実際の対応ということで委員の方からあったわけでございますが、御案内のとおり、できるだけ速やかに納税者の不服に対する処理を行う、課税の公平を期すために設置されているわけでございます。したがいまして、一般的な合理性というのが評価基準にございますので、審査委員会は、まず基本的に、評価基準に基づいた適切な評価が実際に行われたかどうかということが出発点、基本になるかと思います。

 ただ、その上で、評価基準に定める方法によって適切に算定することができない等の特別の事情があることを主張される場合がございます。そうしたときには、その主張というものが根拠があるかどうか吟味した上で、必要がある場合には特別の事情の有無を検討して判断を行う、こういうふうな形になろうかと思います。

吉井委員 上告して争われるものがあれば、それは上告審での判断というのはもちろんあるわけですが、今言いましたように、昨年七月十一日の最高裁判例も、七月十三日の東京高裁の判決も、やはり一つの考え方を示している。これは非常に大事なところで、私は、この判決がどうあろうと、個々の事案とは別に、その中で大事な原則が二つあると思うんですね。

 一つは、地方税法では、市町村長は、今おっしゃったように、自治大臣告示の評価基準によらなければならないという原則が一つありますね。同時に、二つ目の原則は、地方税法では、賦課期日における客観的時価を上回る価格を算定することまで自治大臣が告示する認定基準にゆだねてはいない。この二つのことはきちんと、これはどういう場合もあるわけですから、そこをきちんと踏まえた判断をしなきゃいけない、このことはおわかりですね。

小室政府参考人 今おっしゃられたように、評価基準に出発点としての客観性があるということを前提として、ただ、実際の当てはめのときに、地価が急激に変動する、急激に下がる、それは時点のずれというのがかつてある程度幅がありましたので、そこら辺がよく論点になるわけでございます。そういう意味では、そこの時点の差というものもできるだけ小さくしておりますが、そうした意味での変動、その辺というものは常に考えていかなければいけない、そうした趣旨についてお示しいただいたものだろうと考えております。

吉井委員 ですから、私は、大臣、こういう大事な原則は、個々の事案については、それぞれの評価、判断はもちろんあり得るわけですよ。しかし、原則的に、地方税法の考え方は、自治大臣告示の評価基準によらなきゃいけないということと、その場合も、賦課期日における客観的時価を上回るもの等、変動はあり得るわけですから、ですから、それを算定することまで自治大臣が告示する評価基準に入っていない。

 このことを踏まえてやっていくとなると、次に大事になってくることは、そのことを踏まえてどれだけ実態をきちんとつかんでいくかという、今度は、固定資産評価委員会は、市町村長が決定した固定資産の価格に対する不服審査請求が出てきたときに、口頭公開審理などをやって、これは審査決定する合議体ですから、そうすると、そこをサポートする体制がどうなるかということを考えていかなきゃいけないと思うんです。

 最初に政府参考人の方に伺っておきますが、この事務局組織を独立して設けている市町村というのはどれぐらいありますか。

小室政府参考人 おっしゃられる不服審査を担当します固定資産評価審査委員会、この委員会自体はもちろん独立した組織であるということは御案内のとおりでございますが、その中で、実際のいろいろな事務局体制、ここのところの御議論であろうと思います。

 これは、行政体制全体の話として地方団体それぞれ御苦労されているわけでございますが、ある意味で専門的なことを扱うものですから、その辺の知見もなければいけないということで、ここの体制についてこれまでいろいろ御議論があって、実際の評価、賦課を担当する職員がやっているのはいかがなものかというような御議論もあって、もちろんそうした観点について、いろいろ工夫をし、また改善もされていると思いますが、委員がおっしゃられていた、まさに全く独立してという意味では、そこの事務局組織を設けているのは少なく、五・四%でございますが、いろいろな意味で、評価、賦課担当者以外でいろいろな形で担当している。逆に言いますと、評価、賦課担当者が担当しているというのは三分の一くらいで、残りの三分の二はそれ以外の者。ただ、その中で、全く独立した事務局を抱えている、これは規模にもよりますけれども、そういった団体については、先ほど申し上げた数字になっております。

吉井委員 今おっしゃったように、不服審査請求が出てきたときに、きちんと審査委員会の委員の皆さんをサポートする体制が全国で五・四%しかないんですよ。これじゃ公平公正な審査や適正な価格かどうかの調査というのはそもそもできないということになってきますね。独立した審査委員会の事務局を設けるということは非常に私は大事な問題だというふうに思っているんです。

 それで、市町村で見てみると、おっしゃったように、不服審査委員会の事務局を評価、賦課を担当した課が兼ねているところというのは、二〇〇四年で六一・四%、六割を超えていますから、三分の二というお話ですね、大体それぐらいの状態なんですね。つまり、評価額を決める事務を担当したところが、不服審査が出てきたら、その審査も扱うわけですよ。自分で評価しておいて、文句が出てきたら、おれの評価に文句あるのかという感じでやるわけですから、公平性とか中立性という点では、何のために評価委員会を独立機関としてつくっているのかという、ここが問われてくることになりますね。

 だから、もともと固定資産評価審査委員会の委員は、固定資産評価委員との兼職は禁止ということになっているんじゃないんですか。

小室政府参考人 今お話のあったのは、審査委員会の不服を受け付ける方と評価の委員の方が兼ねることはできないという意味でおっしゃられているかと思いますが、その点については、実際の委員と、それから審査委員会、こちらはある意味で独立でございますからということでございます。

吉井委員 だから、それは分けなきゃいけない、分けるんですよ。ところが、不服審査を扱う固定資産評価審査委員会の委員の方は、その人をサポートする人たちは兼務でいいと。それじゃ、どう考えてみたところで、これは公正な事務執行にはなっていかないと思うんです。

 かつて、三大都市圏での宅地並み課税の問題が出てきたときも、数千件、数万件という形で不服審査が出され、公開口頭審理なんかも行われたわけですよね。そういう事務を扱うときに、やはり事務局体制をきちっとしておくということが必要なわけですね。これはかつての宅地並み課税だけの話じゃありません。

 ですから、大臣、私はこの際、やはり不服審査担当の事務局は、評価、賦課を担当する部署ではないところできちんとその事務局を設けるべきだ、その努力は尽くしていくということを、やはり大臣として、そのことを示して取り組んでいかれることは必要だと思うんです。

竹中国務大臣 今の委員の御指摘を伺っていまして、御趣旨は理解できるところが確かにあると思います。

 確認ですけれども、委員そのものは独立をしているということですね。それはやはり最低必要な条件で、そこは満たされているということなんだと思います。

 それに加えて、委員の御指摘は、事務局もそれをサポートするんだから独立している方がよいのではないのかと。独立しているのと独立していないのとどちらがよいのかと聞かれれば、確かに独立している方が有効なのだと思います。

 同時に、各自治体、いろいろな仕事を抱えて、そういうことができるのか。そこだけ独立させるというのは、なかなか実務上いろいろな困難が伴う場合もあるのだと思います。

 方向としては、その方が望ましいというのは、私もお話を伺う限りそのように思いますが、最低限、委員はきちっと独立させるということをした上で、ほかにどういうような仕組み、努力が考えられるのかというのは、これは私もちょっと勉強してみたいと思いますし、自治体にはそのような努力をしてほしいというふうに思います。

 現実問題として、さっき局長から御指摘がありましたように、何らかの形で、三分の二ぐらいはそういう直接オーバーラップがないような形でいろいろな努力をしているし、独立したところも五%ぐらいはあるということですので、そういうことが広がっていくのは望ましいと思いますので、ちょっと私自身も少し勉強してみたいと思います。

吉井委員 これは、自分で評価した人が納税者に通知しますね。納税者の側からすると、あなたの評価に異議ありということで出てきているときに、評価した人が事務局になって、それで、委員の先生、こういうことですから、これで審査してくださいと。これはもともと公平性、客観性に欠ける話なんですよ。だから、望ましいというお話なんですが、私は、そこからさらに一歩進んだことをやっていかなきゃいかぬと思うんです。

 実はこれは、今急に始めた議論じゃないんです。ちょうど十年前になりますが、一九九六年の三月二十五日の地方行政委員会で、我が党の穀田委員がこの評価委員会の中立性の問題を取り上げました、同じことを言ったんです。そのときに、佐野さんという政府委員の方の答弁で、審査委員会の運用実態の把握に努め、必要に応じて検討してまいりたいと。

 つまり、大臣は今から研究というお話なんですが、総務省の事務方の方はもう十年前から知っているんですよ。だから、本当を言うと、十年たっていますから、大臣のお名前は変わっていても、十年間の研究成果物を竹中大臣に渡さなあかんわけですよ。それを今、大臣が改めて研究を今から始めるようなお話じゃ、これまた十年先にどうなるかという心配が出てまいります。

 だから、この話は、要するに、物事は人員削減の話だけではなくて、公正で信頼される公務をどう実現していくのか、そのことがおろそかになるようではとんでもない話ですから、だから、これは大臣として、その是正の方向に向けて取り組んでいると。もちろん直接的には自治体の方がそれぞれ取り組む話なのは私もよくわかっているんですよ。だけれども、そのことを国としても、すべての住民から信頼される公正で効率的な行政の執行というのは、信頼されぬと効率も何もないですから、吹き飛んでしまいますから、やはりその是正は図るべきだ、このことを大臣としてきちんと取り組んでいかれることが大事だと思います。

 これは大臣に伺います。

小室政府参考人 今、委員の方から、かつてのやりとり等についてお話がありまして、当時、不服申し立ての件数が大変多い時期で、審査委員会の方にいろいろな形で荷重がかかったわけでございます……(吉井委員「それはみんな知っているよ」と呼ぶ)はい、そういう意味で、それは繰り返しません。

 あるいは、委員が中立性を持ってとか、あるいは裁判制度があるということもあれですが、一つだけ申し上げたいのは、一方で、大変小規模な市町村、これも今、合併等が進んでおりますが、そういったそれぞれの事情がいろいろあるという点で、やはり大事なのは、審査委員会の中立性、専門性の確保、こういった点については今後とも十分に留意していかなければならない、かように考えてございます。

竹中国務大臣 今また吉井委員から御指摘をいただきましたが、ちょっと私自身は大変不勉強でお恥ずかしいですが、十年前の経緯は詳しくは存じ上げませんでしたので、今委員から御指摘をいただきましたので、国としてできることとできないことはあると思いますが、何ができるか、よく考えてみたいと思います。

吉井委員 それは、合併して、人がその分削られるというだけの話ではなくて、そのことを担当する人も、もし合併したところだったら生まれてくるわけですから、評価側でない人を含めて考えられるわけですから、そのことはやはりきちっとやらないと信頼される公正な行政というものは実現できない、このことを申し上げて、次に、私は、竹中大臣が署名された二つの文書に関連して伺いたいと思うんです。

 一つは、昨年の十二月十八日の谷垣大臣と署名された文書、覚書の方ですね。この覚書の六項にありますが、平成十八年、二〇〇六年度の税制改正に伴い云々の後、要するに、平成十九年度以降、二〇〇七年度以降、恒久化される恒久的な減税に係る地方税の減収についての扱いです。

 これについては、次のとおり補てん措置を講じるとして、二〇〇七年度以降、地方たばこ税の増収措置を恒久化する。二〇〇七年度以降、法人税に係る地方交付税率については三四%とする。この(一)、(二)の措置により補てんされない減収相当額については、総務、財務両大臣覚書第五項と同様の国と地方が折半して補てんをすると。要するに、これは説明のときのフローシートでも示してもらっていますが、こういうふうにやるんだという説明も聞いていますし、覚書にもあるんですね。

 問題は、二〇〇七年度以降、平成十九年以降の、十八年度におけるフローシートでも、国税の減税による地方交付税影響分というのは、十八年度の説明もあるんですよ。また、恒久化される地方税の減収に対する補てんの方は、この覚書どおり、このフローシートに、もちろん下に括弧書きで枠の中にちゃんと書いてあるんです。

 問題は、二〇〇七年度以降、地方税の減収補てんについての取り決めはあっても、地方交付税の減収措置についての取り決めというのはないんですね。これはなぜないのかを伺います。

瀧野政府参考人 恒久的減税につきましての補てん措置が既に今まで決められておりまして、今回、恒久的減税の見直しという中で、全体の見直しがされるということになったわけでございます。

 したがいまして、恒久的減税のうち、地方税の部分については今御指摘のような枠組みを考えておるわけでございますけれども、恒久的減税が今後は恒久化され、一般の税制になることに伴いまして、国税の減税に伴います交付税への影響につきましては、一般の通常収支の中に含まれていくだろう、こういう考え方の中で、今御指摘の国税の交付税への影響につきましては、特に定めておりませんけれども、当然、通常収支の方に吸収されていくだろうというふうに考えております。

吉井委員 地方交付税への影響分は二〇〇七年度以降は出てこない、影響はないということですか。

瀧野政府参考人 国税の減税に伴います地方交付税への影響、これは当然、一定限度あり得ると思いますが、それにつきましては、全体の税制が恒久的減税という形から一般の恒久化された措置という意味で通常の税制に吸収される、そういう意味で、全体の通常収支の中の一部分として構成されるようになるであろう、こういう意味でございます。

吉井委員 さっぱりわからぬですね。要するに、地方交付税の影響分は二〇〇七年度以降も出てくるということは今おっしゃったんです。影響は出てくるんだけれども、これは一般の中に含まれるというだけの話で、なぜ今回、地方税の影響分は措置するんですが、交付税の影響分については、補てん措置はこういうふうにしますと取り決めが何にもないんですよ。よく見なかったら、そもそも地方交付税の影響分はないのかと、だれが考えても、これは、ああ、二〇〇七年度以降はないんだなというふうに思いますね。だけれども、今あなたがおっしゃったように、あるということを言っているんですから、あるならば、どうするのかということをやはりきっちり取り決めをしておかないと、説明がつかないというか、我々がこの文書を読んでもわからないということですね。

 これはなぜ取り決めをやらなかったんですか。

瀧野政府参考人 恒久的減税につきまして、地方税の減税につきまして、御指摘のように一定の補てん措置が従来もとられておりますし、今後も恒久化する中でおっしゃったような措置をとるわけでございますが、地方税の減税につきましても、たばこ税なり交付税率の見直しですべてが補てんされるわけではございません。地方税の減税につきましても、一部分はなお補てん措置がないままの状況になるわけでございます。それから、国税の減税に伴います交付税の減、これにつきましても一定の影響があるわけでございます。

 それぞれ両方につきまして、我々としては、全体、恒久的減税が恒久化されるものでございますから、地方税の減税で補てんされない部分と国税の影響で地方税が減る部分、両方相まって通常収支の方に移管するであろう、こういう御説明を申し上げておるわけでございます。

吉井委員 この覚書というのは、なかなかきめ細かく財務大臣と総務大臣が交わしておりますね。これを見ると、別紙一項の(二)のところで、平成十八年度において地方交付税の総額に加算することとされている額十一億円を一般会計から交付税特会に繰り入れるものとするとか、(三)のところでは、両大臣覚書第一項(三)に基づき平成十六年度において一般会計から交付税特会に繰り入れた交付税特会借入金利子の予算額十一億円と実際に要した額の差額七億円については、法律の定めるところにより、平成十九年度、つまり二〇〇七年度の精算額で調整すると。

 つまり、七億円とか十一億円と、非常に細かい話にしては、なかなかきめ細かく覚書で交わしているわけですね。これは、今度の、今申し上げている交付税の方の影響額については、一兆円とまではいかないかもしれないけれども、少なくとも数千億円規模では影響してくるものと大体思われるものですよね。七億や十一億はきめ細かく覚書に書くんだけれども、しかし、数千億円規模の交付税への影響額については、この両大臣の覚書の中で全く出てこない。

 結局、これを素直に読んでおれば、これは大臣、財務大臣と総務大臣の取り決めがなければ普通は地方が持つことになりますから、ちゃんとしていないあいまい部分があれば、地方が財政を持つということになってくるんじゃないですか。

竹中国務大臣 これは大事な取り決めでございますので、そんなあいまいな取り決めをした覚えは全くございません。

 今、十一億、七億の話がございましたけれども、これは決して金額の多寡の問題ではなくて、いわゆる特別枠といいますか、特別の枠組みで考える必要があるものはこの中に金額は少なくても書かなければいけない、しかし、通常の収支の枠で、通常枠の中で考えるものについては、これは合意以前の共通の理解として、通常収支の中でしっかりと考えていく、そのような考え方になっているわけでございます。

 これはもう今の局長の答弁のとおりでございまして、平成十九年度以降、国税の恒久的減税が恒久化されることになりますと、通常収支の財源不足と区分して、つまり特別枠のような形で暫定的な補てん措置を講ずる理由がなくなるということで、総務大臣と財務大臣覚書ではこの点を特に明示的に記述はしていないわけでございますけれども、地方交付税原資の減少分が通常収支の中に移行することになることにつきましては、これはもう共通の理解になっているというふうに私も認識をしております。これは共通の理解でありますから、財務大臣もそのように御認識であろうと思います。

吉井委員 覚書にきちんと私は明記をしておくべきだと思うんです。書かれていないから、今これが問題になってくるんですよ。今まで一定部分は国が補てんしていたわけですね。明記しないということは、もう国は補てんしないということになるんではないか。これは非常に懸念されるところなんです。

 実は、財政局長が、平成十九年度は地方財政の通常収支の財源不足は生じない、財源不足は解消するという旨のことを全国市長会の理事・評議員合同会議で言っているようですが、これは本当にそういう見込みなんですか。

瀧野政府参考人 市長会の役員会において、明年度の見込みについていろいろ議論がある中で、私が申し上げましたのは、明年度といいますか、十九年度以降、不確定な状況でございますので、はっきりしたことは申し上げられないという中で、財源不足の中で折半ルールに載っている部分等いろいろございますものですから、折半ルールに載っている部分について、今後非常にいろいろな議論があるという中で申し上げたものでございます。

 しかし、その前提といたしましては、税収の状況なり、あるいはそのときの経済状況、いろいろあるわけでございますので、そういった中で、地方団体には行財政運営等厳しい財政運営をお願いしたいという趣旨で申し上げたものでございます。

吉井委員 いや、それではますます地方は心配になってくるんじゃないですか。今まで折半ルールで不足分、この折半ルールについても、これは九〇年代の初めに大きな問題になったところですよね。本来国が持つべきものを、特会借り入れの半分を自治体に持たせるというのは、そもそも交付税の趣旨に異なるじゃないか、違うじゃないかという議論などもあった話なんです。

 それは置いておくとしても、いろいろな議論がある中でと言いながら、結局、その話が、二〇〇七年度、平成十九年度は地方財政の通常収支の財源不足は生じないと。しかし、生じた場合にどうなるのかということがやはり問われてくるんですね。しかも、これについては、交付税の影響額については出てくるんだけれども、それは覚書では何にもないわけです。つまり、そのときどうするかという話はないんです。

 私、これは、財源不足が解消されているから、もうその後のことは、これぐらい地方で持てという話だったら、財源不足解消の話がありましたから、二〇〇七年度以降財源不足が解消されているんだったら、もし何かいろいろ出てきたら地方で持てと、これはやはりちょっと話が違ってくると思うんですよ。ですから、そういう点で、なぜこういうことをあいまいにされるのか、そこが非常に不思議なんですね。

 かつての例を少し見てみると、例えば九四年、所得税減税による交付税減収分が一兆二千四百三十二億円生まれたときがありますね。それから、翌年は一兆二千四百二十九億円、そのまた後の九六年が一兆二千三百二十億、九八年が千三百五十七億円。この所得税減税による交付税減収分については、あのときは、特会借り入れの負担区分は地方ということで、それは全部、地方消費税ということで、消費税率の引き上げということでやってきたわけですね。

 だから、どうも結局、過去に減税に伴う地方交付税の影響分を地方が持った経験というのは、あのときは将来の消費税率を三%から五%に引き上げるということを前提にして特別減税を先行したわけですが、そのときに、交付税の影響分は、消費税増税、地方も税収はふえるじゃないか、だからそれでやっていけるんだというのがあのときの話で、実際にそういうふうにされたわけですよ。

 今度、今の状況というのは、政府税調にしても財務省にしても、消費税税率引き上げというその話がぼんぼん出てきているときに、こういうときに財源補てんの取り決めがきちんとなされていないということは、前回のような消費税率の引き上げを想定しているのではないかということにもなってくるわけです。

 これは大臣に聞いておいた方がいいと思いますが、消費税率を想定してあいまいにしているのではないということなのか、消費税率を念頭に置いて、ここは覚書で、実はこっそりこの部分は書かないで潜り込ませたということなのか、どっちなんですか。

竹中国務大臣 そんな高等戦術は考えも及びません。そういうことを考えているのかということに関しては、考えておりません。

 委員いろいろな御指摘がございましたけれども、いろいろ想定されない問題が起きたらどうするか。これはまさに何が起こるかわかりませんけれども、そういうことに関しては、これまでも適切に財政当局、総務省、話し合って解決をしてきましたし、また、今後の予見可能性等々についての御心配がありましたけれども、そういうことも考えまして、中期の財政ビジョンの作成も行おうということを考えております。

 そうした中で、今委員の御懸念のような問題、これは我々、それぞれの問題、正面から逃げないで、しっかりと中期財政ビジョンの中でも議論をしたいというふうに思っておりますし、消費税云々というのは、これは歳出歳入一体改革の中で非常に大きなテーマになります。そういう議論の中で解決されていくべき問題ではありますので、先の先を読んで、何かを想定して非常に手の込んだこういった合意をしているというような、そういうことでは全くございません。

吉井委員 想定内、想定外というのはホリエモンみたいな話になってきますけれども、要するに、過去に何をやったかということでは、過去は実際に、九四年、五年、六年、九八年、財源不足分を、結局このときは、三%を五%に引き上げるときに地方の消費税収も入ってくるからいけるじゃないかということでやっているわけですよ。ですから、過去に実例がある。

 そして今度、地方交付税の影響分は何千億か知らないけれども、あり得るんだけれども、ここは覚書ではなぜか外されているんですよ。地方税収の減収分についてはちゃんと明記しているわけですね。そうすると、これは結局、消費税なりあるいは何らかの形で地方に負担させるということになってくるのではないか。

 将来のことを想定内だ想定外だと言ったところで、その想定内外は別にして、やはり現実には地方交付税への影響額はあるというお話なんですから、それは私はきちんとするべきだと。これは、はっきり答弁されないのならば、消費税で考えていくのか、それとも地方への押しつけか、こういうことにならざるを得ないということを申し上げて、もう一つの文章の方に入っていきたいと思うんです。

 昨年末に閣議決定された行政改革の重要方針に関して、知事、市長に出された大臣の手紙ですね。あの手紙の中で、定員、給与、市場化テスト、資産・債務管理などに触れているわけですが、その中の定員問題について質問したいと思います。

 大臣の手紙で、地方財政計画上の人員を毎年一万人以上純減することによってこの五年間で十六万人の職員の純減を行ってきたが、行政改革の重要方針の策定を契機に、さらに削減をお願いするという内容でありました。

 それで、実は、削減に次ぐ削減で、住民の安全、安心はどうなるのかという問題がやはり出てきているときです。ちょうど今発売中のウエッジという雑誌でも児童虐待の問題とかそういうのが出ておりましたけれども、一昨年から特に児童虐待事件が問題になってきて、その中で、国が定めた職員の配置基準が充足されていないことが背景にあるということが問題になってきました。

 自治体の六割が職員の基準を満たしていない。職員の基準の引き上げも進められたわけですが、児童福祉法を改正して、相談窓口を市町村にまで拡大もしました。その結果、相談窓口は大体八割から九割の自治体で設置されるようになりましたが、児童福祉司の資格を有する職員はわずかに五・三%、専任職員の配置は四割に満たない、他の業務との兼務が多い。児童虐待を見抜く専門職員の養成が急務だと言われているときなんですが、現在の状況はこういう状況なんですね。

 ですから、当時、自治体は何をしているのかということを随分マスコミでも書かれたわけですが、依然として今日も児童虐待というのは続いております。児童虐待の処理件数が急増しているということも、これは国の資料によっても、それをもとにしてですが、ちょうど読んでおりましたら、雑誌の中などでもそういうのも使って改めて論じておりました。

 政府参考人に伺っておきますが、今この分野で専門職員をふやしていく、これは本当に国として、自治体等を応援もして力を入れなきゃいけない急務だと思うんですが、これはどうですか。

白石政府参考人 ただいま、市町村の児童家庭相談体制に関する数字、先生の方から御紹介ありましたように、平成十七年の四月に改正児童福祉法が施行されて、市町村が窓口ということになったわけでございますが、その直後の昨年六月一日時点で調べましたところ、今先生がお示しのように、全体で児童家庭相談に従事する職員数は、市町村では六千九百五十一人、うち児童福祉司の資格を持つ方は三百七十一名、専任の職員は二千十六名という結果でございました。

 なお、おっしゃられますように、制度施行直後ということもございましたけれども、今後とも、市町村の実情を把握するとともに、児童家庭相談体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

吉井委員 次に、私は国交省にも伺っておきたいんですが、今、耐震偽装問題が出てきて、国交省が調査したら、構造計算のできる建築主事を置いている自治体はわずか一四%と。国土交通省は専門の担当者を置くべきだとしているようですが、建築主事の増員と、研修機会をふやすこととか耐震設計についての審査体制を強化する、こういう点では、私は、人をふやすことももちろんそうですが、その人自身に研修の機会を与えることとか、やはりそういうきちんとしたことをやっていかないと、国民の安全というものはなかなか簡単には守れないと思うんですね。

 こういう点で、国交省としても、建築主事の充実の問題についてどうお考えか。私は充実しなきゃいけないときだと思いますが、どうですか。

和泉政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおり、構造計算を要する建築物に関する建築確認検査業務をしている特定行政庁は二百七十一ございます。このうち、主に構造審査を担当する、こういう形で建築主事を配置しているという報告のあった特定行政庁は、今先生御指摘のように全体の一四%でございます。

 しかしながら、これ以外の特定行政庁においては、主に構造審査を担当するという形での建築主事を配置しているわけではございませんが、そのような一般的な建築主事において、構造規定以外の規定も含めて審査が行われているものと承知しております。

 なお、御指摘の構造計算、審査の徹底につきましては、現在、社会資本整備審議会で検討しておりまして、先生の御指摘も踏まえながらしっかりと対応するように努力してまいりたい、こう考えております。

吉井委員 これは大都市部でも、地方よりは人が多いようであっても、この間も国交省に聞いてみたら、超高層ビルの固有振動数さえわからないと言うんですね。耐震の問題もありますけれども、今問題になってきている長周期地震動の問題にどれだけ超高層ビルはもつのかということについても、やはりそういう分野を含めて本当に専門家をきちんと配置していかないと、人の安全というものは、国民の安全は守れないというときだと思うんです。

 新たな法律制定、改正による自治体の職員配置や事務の増加もあります。二〇〇三年には廃掃法の一部改正など四本、二〇〇四年がDV法の一部改正など五本、二〇〇五年には湖沼水質保全特別措置法の改正など八本など、法律を次々制定する、受理する。これは当然、大事なものもたくさんあるわけですが、問題は、それに伴って地方自治体の事務も増加している。

 幾ら法律をつくっても、それをこなしていくのは人ですから、これは全部民間でできるという話ばかりじゃないんですから、公務の分野で必要な人を、やはり削減をお願いするだけじゃなしに、本当は、必要な国民の安全だとか先ほどの公正をどう確保するかとか、そういった問題については、住民の安心、安全をきちんと守っていく、その充実を考えないことには、住民の安心、安全は大丈夫なのかということになってくると思うんですね。

 私は、ここは大臣の方に、やはり手紙を書くときには、その安心、安全、公平の分野、そこはもっと充実しろということも本来言ってもらわなきゃならぬと思うんですが、伺います。

竹中国務大臣 住民サービスをしっかりと確保する、その中で、住民の安全、安心というのは当然大変重要な問題になってくると思います。

 私たちとしては、そういう個々の働いておられる方々の現状を見ると、仕事は決して減っていかないし、大変厳しいという状況をしっかりと目の当たりにしております。同時に、本当に、タウンミーティングなんかに行っても、公務員の数をもっと減らせというようなことをだれかが言うと、必ずと言っていいほど拍手が起きるんですね。それだけ国民の間に、公務員に対して厳しい目が向けられているということも事実なんだと思います。

 したがって、そこはやはり、行財政全体が、財政が厳しい中で、しっかりと減らしていく、しかし、その際に、本当に必要なところに必要な人が回るようなめり張りをつけていくということが必要だというふうに思っております。

 今、特定のレターをお取り上げくださいましたが、そういうめり張りが必要だということは、我々は常にいろいろなところに情報発信をしているつもりでございますので、委員御指摘のような方針で我々もしっかりやっていきたいと思っております。

吉井委員 民間もリストラの中で随分健康被害が出ております。きょうは時間があればそれを予定していたんですが、もう時間がないですからやめておきますけれども、公務員も、地方も国もどんどんどんどんリストラが進む中で、健康障害、被害、精神疾患を含めて、非常に深刻な事態が広がっております。

 ですから、仕事はふえる、しかし人は削るというだけでは、それは本当の意味での公務労働というものがきちんと実現されていくということにはなりませんから、私は、今指摘しました点、安全、安心、公正、そしてそれが公務員の人たちの健康も含めてきちんと守られるようなことを考えていくべきである、このことを指摘いたしまして、時間が参りましたので、質問を終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社民党の重野安正です。

 きょうは盛りだくさん質問を用意してまいりましたけれども、途中で時間が足らなくなって、通告していたのにそこまで行かなかった、そういう場合が出るかもしれませんので、その節はお許しをいただきたい、そのことをまず最初に申し上げておきたいと思います。

 大きく分けまして三つの分類になろうかと思うんですが、まず最初に、いわゆるビジョン懇談会について質問したいと思います。

 竹中大臣、私的の懇談会をつくることが大変好きなようでありまして、地方制度に関しましても、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、これを設けられております。内閣総理大臣の諮問機関として、地方制度調査会、これが設置されておりますが、今そういう地方制度調査会というものがある中で、このような私的懇談会、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会を設置する理由は一体那辺にありや、まず最初にそれを聞きたいと思います。

竹中国務大臣 私は懇談会を設置するのが決して好きな部類では必ずしもないと思うんですが、この地方分権の懇談会と放送・通信の懇談会、それともう一つ、郵政のリザーブエリアと競争政策についての、この三つは、三つ目は総理からの御示唆があったものでありますけれども、大臣の懇談会として設置をさせていただいております。

 実は、総務省自体が、局長の研究会、懇談会等々を含めて物すごい数がございまして、その意味では、その中で大臣のものというのは三つしかございませんので、比率としては非常に少ないと私自身は思っております。

 お尋ねは、そういうものの役割、特に他の審議会等との役割分担ということだと思います。

 これは、政策を進めていく上で、いろいろな政策、やり方があると思いますし、常にこのやり方一つが正しいというわけではないというふうに思うんですが、私は、金融の経験等々も踏まえてですけれども、仕組みを変えて、流れを少し変えていくに当たって、こういうような専門家で集中的に短期間で議論していただくということは有効であろうというふうに思っております。

 ただし、制度設計というような、非常に大きな議論、幅広い詳細な議論になりますと、これはこういう懇談会では必ずしも適切じゃないと思います。その際には、より幅広い分野から人材を集めて、少し時間もかけて、かっちりとした議論をしていただく、その審議会の役割というのはやはり大変大きいのだというふうに私は思っております。

 そういう観点からしますと、今回、三位一体の改革を受けまして、さあ、それで、次にどのような分権改革を進めていくかということを考えるに当たって、やはりもう少し大きな、ビッグピクチャーに基づいて、当面何が必要かという方向性を少し議論する必要があるというふうに感じたわけでございます。これは放送・通信に関しても同じでございます。放送の審議会、通信の審議会でそれぞれ重要な役割を果たしてきましたけれども、技術体系の変化、大きな流れの変化の中での議論というのをする必要がある。

 私は、こういう議論は懇談会でぜひしていただいて、必要な問題、この方向性について何らかの見通しが得られれば、それを制度設計する議論というのはそれぞれの審議会でしっかりとお願いすることが出てくるであろう、そういうものが出てくるであろうというふうに思っているところでございます。

 何分にも時間も限られておりますので、今回、そうした懇談会でぜひ実を上げて、よい議論を進めてまいりたいというふうに思っております。

重野委員 大臣、そういう答弁でありますけれども、地方制度調査会というのは一定の枠をはめられて議論している会ではないと思っています。多角的に、いろいろな角度から、地方制度のあるべき姿あるいは役割と任務、そういうようなものを多角的に議論されている。

 私は、今大臣が申された内容を求めるとするのであれば、それは、この地方制度調査会、その中で総務大臣としての意向あるいは期待というものを述べられて、それについて意見を求める、そういうふうな作業も私は可能だと思う。私は、地方制度という問題に対して、いろいろなそういう機関ができて、あるいは調査会とかができて、いろいろな議論をするということは、結果として、一つの方向をまとめる際に相当にロスの部分が出てくるんじゃないかというふうな感じもするんです。

 そういう点からも、私は、本来、今大臣が申された内容についても、この設置されている総理の諮問機関である地方制度調査会の中で議論すべきだ、このように思うんですが、その点についてはいかがでございますか。

竹中国務大臣 重野委員御指摘のように、地方制度調査会を中心に、重要な審議会がございますから、そういうところで議論をしてもらうことも可能ではないかと。私は、可能であると思います、そういうやり方も確かに考えられると思います。

 ただ、これはもう私の一つの経験、つたない経験でございますけれども、不良債権処理をするとき、これは金融審議会でやればいいではないかという議論は当然あったわけでございます。金融審議会という大変大きな立派な組織があるわけでございますけれども、しかし、重要な制度設計そのものについて、金融審議会でお願いすることは私は大事だと思ったんですが、限られた時間の中で、重要な方向性を議論していただいて、まず担当者である私自身の考え方を整理する上に当たって、やはり私的なプロジェクトチーム、あのときは竹中チームとか言われましたけれども、そういうものをつくってやるやり方の方が時間的制約の中では有効ではないかというふうに思ったわけでございます。

 これはいろいろな御評価があるかもしれませんが、私は、ああいう形で、私の私的な懇談会をつくって不良債権処理に一歩踏み出したことは、そして、その中でさらなる制度設計が必要なことについて、これは金融審議会等々で時間をかけて、物すごく、繰り延べ税金資産のこととか議論していただいたわけで、そういうやり方は一つの成果を上げたものというふうに思っております。

 したがいまして、今回も、これは私自身のイメージとして、私的な懇談会でありますから、そういう私自身の考え方を固めるという上で、この懇談会においてぜひいろいろな議論をしていただいて、さらに、その一定の方向性に基づいて、さらなる肉づけ、制度設計等々については、審議会、地方制度調査会等々でより深めた議論をしていただきたい、むしろそのような形に持っていけるようにしっかりと懇談会での方向性の議論を深めたいというふうに思っております。

重野委員 今大臣の答弁、不良債権処理のケースが語られましたけれども、不良債権処理、大臣の見る面から見れば、それはそういうふうな評価ができる。しかし、また違った側面から見ると、この不良債権処理、確かに短期間にやりましたが、そのひずみというものはあちこちに出てきているという現実がある、その部分は語られていない。

 そういうふうに考えていくと、私はやはり、小泉政権が、地方制度かくあるべし、それを諮問しておるわけですよね、その答申を待つわけですね。そういう作業をしている一方において、また、今言うように、いや、スピーディーに事を運ぶという側面で、別途こういう竹中チームをつくるということが果たして普遍的なのかという点において、私は非常に疑問を持っている。これはもう意見の平行ですけれども、そういう点をひとつ十分受けとめてもらいたいなと。

 そこで、そのいわゆる懇談会の中で、既にこういうことが議論されているやに聞いています、直接聞いたわけじゃありませんよ。いわゆる破綻法制、自治体が破綻したときにどうするか、そういう議論がなされているやに聞いておりますし、そういう報道というか、それも見ているわけです。

 一体、破綻法制なるものが議論される、その目的、いかなる内容なのか、その点について、大臣はどのように破綻法制について受けとめておられるか、お聞かせください。

竹中国務大臣 そういった法制について議論がなされているというのは事実でございます。ただ、議論は始まったばかり、この議論が前回されたばかりでございまして、その内容について、何か現時点で議論が深まっているという状況ではございません。

 どうしてそういう議論をしているのかということに関しては、何度か御答弁をさせていただいておりますけれども、私は、地方分権の進め方として、自由と責任ということを繰り返して申し上げております。地方にもっと大きな自由度を持っていただきたい、これは三位一体改革の中でも、その点でまだ自由度が不足だという御指摘をさまざまいただいているわけでございます。私も本当に、地方に大いに、もっともっと自由度を持っていただくような国にしないと、形にしないと、この社会は本当に活力を失っていくと思うんです。その自由度をどのように持っていただくかという議論を一方で集中的にしております。

 しかし、メディアは余りこういう議論はおもしろくありませんので、破綻法制とか出てくると、そのキャッチーな言葉に飛びついて、それだけが活字になるというのが若干残念なところではございますが、私は、自由というものがあれば、そのコインの裏側、コインの両面のように責任というものがあって、その責任の中に、一つ、破綻の法制というふうなものが議論されても、これは当然よいのではないかというふうに思っております。

 ただ、その際に気をつけなきゃいけないのは、自治体と企業を直接比べるのはまた問題がございますが、あえて言えば、企業でいえば清算型の破綻もあれば再建型の破綻もある、自治体の場合は清算型など考えられませんから、これは再建型にもう決まっているわけでございます。その意味では、今も再建の仕組みというのがございますから、その今の再建の仕組みを、よりどのようにしっかりと責任を果たしていただけるような形に持っていくのかというのが実態的な議論の中身であろうというふうに私は思っております。

 特に、これも一度御答弁させていただいているかもしれませんが、今の再建法制においてはストックの概念がやはり欠落しているのではないのか。フローの改善の話はあるけれども、ストックとして、たまった債務についてどうするかということについて、やはりもう少し明確にしておかないと、本当に窮地に陥った自治体が本当の意味で再建することが大変難しくなるのではないだろうか。

 何よりも、こういう制度を整備することによって、実際に破綻しないように持っていく。つまり、予防の効果、メカニズムをその中に入れていくということが大変重要なわけです。破綻の制度を整備するのは、破綻しないようにむしろ持っていくためにそういう制度をつくっておいて、その予防効果をねらうという面が非常に大きいわけでございますから、そういった点について、特にしっかりと問題意識を持っていただいて、議論を専門家に進めていただきたいというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、これは再建型の法制だということと、それとストックの概念をしっかりと持っていただくということと、その予防効果について総合的に十分に考えていただく、それを方向性にして議論を深めていただきたいというふうに思っております。

重野委員 私も地方自治体職員の時代に、ある市が財政再建の危機に瀕しました。私は組合の方をやっていまして、現地のその運動のキャップをしていまして、最終的に、自主再建で見事、財政再建を果たした。もう今は立派な庁舎もできて、もちろん今度合併しましたけれども、その自治体で働く職員あるいは市長さんなんかも、もうそれは、竹中さん、真剣ですよ。

 私は、だから、今、財政再建特別措置法という法律がありますけれども、その範囲の中でやれると信じていますね。そういう法律があって、現に、破綻を目前にして、みんなが自主的に頑張って、強制じゃありませんよ、自主的に財政再建をしているという団体は幾つもあるわけですね。

 そういうふうな経験をしていますから、大臣が言う破綻法制というものと今ある財政再建特別措置法というのはどう違うのか、そこが知りたい。

竹中国務大臣 中身につきましては、まさに今、議論が始まったばかりでございます。

 今の法制でやれると御自分は思っているというふうに重野委員はおっしゃいました。そういう考えも当然あるわけでございます。これからいろいろ議論していただいて、今の法制でいいじゃないかというような議論になれば、私は、それはそれで大変結構だというふうに思います。

 ただ、今私が見ている現状では、やはりストックの概念なしで本当にやれるのかな、予防についてもう少しいろいろなことがあってもいいのではないかな、そういう思いはございますから、そこはしかし、今の制度は制度で確かに機能してきた面はあるわけですから、そこは専門家で吟味をしていただいて、重野委員のように、これは今のままでよい、ないしは、ほんの微調整をすればよいというような結論になる可能性も、私は、ないわけではないと思います。

 ただ、問題意識としては、ストックの話等々、今まで必ずしも十分触れてこなかった問題についても、ぜひ御議論をいただければありがたいというふうに思っております。

重野委員 今つくられておりますその懇談会の結論じゃなくて、大臣がそう思っているから、それを大臣として言うわけにいかないから、懇談会の結論という形で大臣の思いを貫こう、そういうことじゃないんですか。

竹中国務大臣 委員の皆さんは個性豊かで、私の言うことを簡単に聞いてくれないような先生方もたくさんいらっしゃいますから、そこは本当に専門家としてしっかりとした議論をしていただけるというふうに思っております。

 もちろん時間があるときは私もその会に出て議論に参加をさせていただきたいと思いますけれども、そこは決して、私が言いたいことを既に何か持っていて、それの形を整えるための懇談会とか、もちろん今そこまで言っておられないと思いますけれども、そんなことは間違ってもございませんので、ぜひ専門家にしっかりと議論をいただきたいと思っております。

重野委員 今の大臣の答弁を、そうですかというふうに受けとめるわけにはいきませんが、もうそれはそこまでにしておきます。

 ちょっと違った角度から大臣の説明を聞きたいんですが、例えば来年度地方財政計画で見ましても、地方自治体の単年度公債費十三兆三千億円。もとより、来年度末で百四十三兆円となる地方債の残高、あるいは、地方負担となっております交付税特会借入分三十四兆、普通会計負担分である二十七兆円の公営企業債、これらの負担が地方から完全に消えていることが、私は、今言う破綻法制というものを考えるときに前提のはずです。この前提の上に、自治体が、議会やあるいは住民の同意の上に借金し、その結果、返済不能、そういうのであれば、破綻法制というものも一つの検討対象と言えなくもない。そうした議論が十分なされた結果としてこの破綻法制論というものが取り上げられているのかというと、私は、そうでもない。

 この破綻法制論というものが非常に私にとりましては目につくのでありますが、結局、これは大臣、自治体に対するおどしと言ったらちょっと下品な言葉ですが、そういうものでしかないんじゃないかなというふうな感じを私は持つんですが、どうでしょうか。

竹中国務大臣 まず、先ほども申し上げましたように、非常に幅広い議論をしているんですが、新聞、メディアがこの破綻というややもすれば物騒な言葉に飛びついて、非常にその面だけが強調されているというふうに私には思えております。その点は大変残念でございますけれども。

 実際に懇談会においては、こういう議論をするに当たって、そもそもこれまで発行した地方債の取り扱いをどうするんだということ、そもそも過去の国の景気対策の実施があって、国がそれを要請して、その結果債務が積み上がったというような事情もあるわけでございまして、そうした問題について、懇談会ではいろいろな議論をしていただいております、指摘がなされております。

 そして、懇談会においては、こうした過去の債務の課題を踏まえた上で、ではどうするかという議論をしていただいておりますので、そこは、いつも申し上げているように、非常に現実的な、現状に根差した責任ある議論をしてもらえるというふうに思っております。

 委員の御指摘で、過去の債務がなくなってからの話だという御指摘だと思いますが、現実の改革というのはそういうふうに、今もこの瞬間もいろいろなことが行われているわけですから、過去のものが全部なくなってからじゃないと次の制度に行けないということになりますと、実は改革というのはなかなかできなくなってしまうわけでありまして、そこはやはり、過去のもので踏まえなければいけないものはしっかりと踏まえていく、しかし、何かを待って改革するというのではなくて、必要な改革はしっかりと行っていきましょう、私は、やはりそういう面も必要なのではないかというふうに思っております。

重野委員 いずれにしても、地方財政の根幹に触れる大問題です。私的懇談会と言っては語弊があるかもしれません、しかし私的懇談会ですが、私的懇談会の中で軽々にこんなものを扱ってもらては困る。やはりもっと慎重に、今の話を聞いておると、私は、どうも結論があって、その場を一応ろ過して、そして出すのかな、こういうふうにうがった見方にならざるを得ませんので、そこら辺は、そうでないようにきちっと説明をしていただきたい。

 今後、この懇談会は、どういう議論を経て、そしていつ大臣にそのことの説明がなされるんですか。

竹中国務大臣 これはもうまさに私的な懇談会でございます。私的な懇談会ですので、ここで何かを、国の方針を決定するような場では全くないわけでございます。ここで議論をしていただいて、そのインプットを受けて、私が行政の担当者としてどのようにしていくかということを私なりに判断させていただいて、法制が必要な場合はまた先生方に御相談をするし、そういう当然のプロセスを踏んでやってまいりたいと思います。

 時期的な問題に関しましては、六月に骨太方針を決める、その中で、必要なものについては、ぜひ総務大臣として提案をして、閣議で決められるものは決めたいというふうに思っておりますけれども、それに関連して、特に重要なのは、六月にやはり歳出歳入一体改革の議論をしなければなりません。その際に、国と地方がどのような形で財政のスリム化をしていくのか。その中で、基礎的財政収支、つまりプライマリーバランスの回復をそれぞれが役割分担して実現していくのか。そういう観点からも、この懇談会での議論は参考になるものが出てくるというふうに思っております。

 そうした観点で、実は五月ぐらいまでに何らかの実態的な議論を進めてほしいというふうに思っているわけでございますが、そこでの議論というのはビジョンでございますから、より中長期的な話、それを踏まえて、足元としてどういうことが必要かということは、ぜひ我々もしっかりと議論をしてまいりたいと思っております。

重野委員 総理大臣の諮問機関である地方制度調査会の、骨太方針のスケジュールと地方制度調査会のこの議論のスケジュールというのはどういうふうになっているんですか、整合性をぴたっと合わせてやっているんですか。通告していませんけれども。

竹中国務大臣 地制調に関しては、明日にも御答申をいただける問題がございますし、通常、地制調だけに限らず、多くの審議会で、内閣の方針として反映できるものはやはり反映したいという思いがございますから、六月の骨太の方針を意識しながら、必要な議論をそれぞれ進めているというふうに思っております。

 地制調の、明日、道州制についていろいろな御議論がなされてくると思いますけれども、ちょっとそれ以降の問題については、必要がありましたら、局長から答弁をさせたいと思います。

瀧野政府参考人 地方制度調査会の議論は、今のところは道州制の議論をしておるわけでございますが、今後、地方財政問題等につきまして、必要があれば、もちろん制度改正ということになりますれば地方制度調査会の議論を経るという必要が出てくると思いますけれども、地方制度調査会につきましては、たしか三年間の任期というものがございまして、任期が参った場合に改めて地方制度調査会をどういう形にしていくかということは、内閣全体としての議論としてあろうかというふうに思います。

重野委員 骨太が、一つの大きな政府の当面の方針として出されるわけでしょう。そうすると、そういうものに、首相の諮問機関として恒常的に設置されている地方制度調査会、そのほかあると思うんですが、そういうふうな中の意見というものがどういうふうに反映されるか。今、大臣が、指摘した問題については、明確に、六月の骨太方針に反映、こう言いましたけれども、もう一方、地方制度調査会については三年のあれで設置していますからというのでは、非常にあいまいもことしたものではありませんか。

竹中国務大臣 今回の六月の骨太方針に地制調の議論がどのように反映されるのか、そういうお尋ねだと思いますが、先般、地制調からは、例の、助役、収入役の問題とか、それをどうするかとか、いろいろな議論がなされておりますので、それを、すぐに法制化できるものと引き続き各省で検討するものが出てきた場合は、骨太の方針の中で、この問題については法律で対応するとか、こういう問題については引き続き検討するとか、いろいろな書き込みがなされることになるのだと思います。

 それと、道州制についても、明日、どういうあれになるかというのは最終的にはまだこれから報告を受けますけれども、道州制について、内閣の方針としてここまで推進すべきというように内閣で合意が得られるものがあれば骨太の方針に掲げるし、さらに検討を要するものに関しては、いつごろまでに結論を出すとか検討をするとか、そういう形で反映されていくものだと思っております。

重野委員 それでは次に、地方財政計画と地方交付税、これについて質問いたします。

 そこで、地方財政計画の積算内容について、まず最初に聞きます。

 歳出における給与関係費の基本となる職員数でありますが、計画上の職員数は軒並み縮減されておりますが、その中で警察官のみ三千五百人増員されております。これは一万人増員計画の二年目に当たるものとして計画化されているものであるというふうに理解をしておりますが、この増員計画は再来年度で間違いなく終わるというふうに受けとめていいんでしょうか。

竹中国務大臣 地方団体において、先ほどからも少し議論になりましたけれども、行政改革の重要方針、昨年十二月に閣議決定されておりますが、その中で、地方公務員数の四・六%を上回る純減の確保に向けて、さらに地方公共団体においても取り組みを進めていただいております。重要なのは、真に必要な分野に重点配分するめり張りのある定員配分である、ここは大変重要なことであろうかと思います。

 これに関しては、いろいろな御意見がございます。やはり安全、安心が重要だということで、これに対してもっと配分をしろという御議論もございますし、一部門だけ突出して人を張りつけてよいのかというような御議論も、これはもういろいろあるというふうに承知をしております。

 警官については、警察庁の要望に基づきまして、警察業務の民間委託でありますとかIT化の促進、そして警察官OBの効果的活用等によって徹底的に合理化努力をする、その観点で全力で取り組んでいただく。そういう全力で取り組んでいただくという前提の上で、平成十七年度から十九年度までの三年間で地方警察官を一万人増員するという計画を了解いたしました。そして、十八年度において、三千五百人の増員を行うということにしているところでございます。

 そこで、平成十九年度までに一万人増員した後はどうなるのかということでございますけれども、これに関しては、治安情勢に重大な変化が認められない限り増員は行わないこととしたいというふうに考えております。

 いずれにしても、めり張りをつけて、必要なところには必要な人員を張りつけなければいけない、しかし、全体としてはしっかりと減らしていただかなくてはいけない、そういう方針のもとで努力をしてまいりたいと思っております。

安藤政府参考人 警察では、先ほど御案内のとおり、平成十七年度から三カ年一万人増員構想に基づきまして地方警察官の増員を行っておりまして、平成十七年度に三千五百人の増員が図られましたほか、平成十八年度において三千五百人の増員が予算案に盛り込まれたところであります。

 委員お尋ねの件に関しましては、間もなく到来します本格的な大量退職期におきましては、それに伴う新規採用が相当数に上り、適正規模の採用を維持する必要性という観点から、増員が困難と考えられるため、それまでの間に、すなわち平成十九年度までに最大限の増員を図るべく、今回の一万人増員構想をお願いしたところでございます。

重野委員 さらに、給与関係についてお聞きしたいんです。

 本年度の計画における職員数の増減状況と来年度に示されたものと見比べると、かなり書き方が変わっているんですね。来年度に至っては、一般職員一万六千九百五十四人を縮減し、そのうち六千百七十二人分は民間委託推進分、こういうふうに書かれている。こういう書き方というのは今までなかったんですね。

 このように書き方が変わった理由はどういうことなのかということと、六千百七十二人という数字が出たその積算根拠、それは一体何なのか。

瀧野政府参考人 地財計画上の職員数につきましての御質問でございますが、御指摘のように、今まできちんとしたそういう内訳を示さないような地財計画であったわけでございますけれども、今回、総人件費改革の基本方針というものも定められまして、地方団体の四・六%以上の純減というような目標も示している。その中で、今回、一年分として二万二千六百二人の縮減というようなこともございますものですから、そういう書き方にさせていただいたものでございます。

 その中で、民間委託等推進分ということになってございますが、その内訳といたしましては、民間委託の推進によります職員縮減分と、それから公立大学の独立行政法人化分、こういうようなものに分かれておるという内容でございます。

重野委員 ちょっとよくわからないんですけれども。

 私が思うに、この六千百七十二人分については、交付税の単価アップなどで裏づけているものと考えるんです。つまり、交付税の需要算定で一万六千九百五十四人カットをするが、そのうち六千百七十二人分については別途、需要額算定で調整する、こういうふうに読むんですけれども、そういう見方が間違っているかどうか。そうなると、交付税制度の趣旨からして問題ではないのかという問題指摘です。

 交付税の算定をもって、これでは、交付税算定をするから民間委託を進めなさい、そういうことに誘導することになるわけで、そうした算定をするということは本来交付税の求めるところではないはずだ、こういうふうに指摘をしたいんですが、どうですか。

瀧野政府参考人 民間委託につきまして、御指摘のように、六千百七十二人分の縮減を想定しているわけでございますが、これは全体として二万二千六百二人、一般職員については御指摘のような一万二千四百十一人ということでございますけれども、そういったものについての内訳として示したものでございます。

 その考え方といたしましては、従来から民間委託にいろいろ取り組んでいただいておるので、そういう実績を踏まえながら、我々としては地財計画上こういう見込みをしていますよ、したがいまして、地方団体におきましても引き続き民間委託に努力していただきたい、こういうメッセージでありまして、その部分を今度、交付税の算定の中で特に取り上げて割り増しをするとか、そういうような考え方ではございません。あくまでも交付税におきましては、全体として必要な需要を算定していくという考え方でございまして、交付税の需要と人員の削減が連動しているというようなことはございません。

重野委員 確認したいんですが、今局長も言ったように、民間委託を推進する、そういう誘導策という私の理解は間違いないですね。

瀧野政府参考人 誘導という意味ではなくて、地方団体におきまして民間委託というものについて従来取り組んでいただいてきた、そういった状況を勘案するのであれば、今後、全体の人件費について、定員の見直しをしていただく場合には地方財政計画上このぐらいが見込めるという意味で書き込んでいるわけでございまして、誘導というお言葉の意味、ちょっと正確に把握できないわけでございますけれども、我々といたしましてはそういう見込みを持っている、こういうことでございます。

重野委員 時間がだんだん少なくなってきましたから次に行きますが、次に、財政計画の関連で、退職手当債についてお伺いいたします。

 二千六百億円の退職手当債の発行が許可制によって認められることになっておりますが、この場合いかなる基準をもって許可するのか、お聞かせください。

瀧野政府参考人 来年度二千六百億円程度の退職手当債を予定しておるわけでございます。これは、団塊の世代の大量定年退職を迎える中で、今後十年間、退職手当債という地方債の許可によりまして財源手当てをしていこう、こういう考え方でございます。

 具体的には、給料総額に対します標準的な退職手当割合というものを標準団体で私ども想定してございます。そういう退職手当割合を超えて支給する必要がある団体につきまして、その部分につきまして国家公務員ベースで対象額を決めまして、今後の総人件費適正化についての計画もあわせて出していただく中で、償還財源を確実なものとして許可してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

重野委員 わかりました。

 それで、要請しておきますけれども、発行許可については、私は、柔軟に対応すべきものというふうに考えます。この点については、自治体の実情に沿った柔軟な対応を要請しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そこで、一般財源について質問いたしますが、基本的問題として、一般財源というのをどのように大臣は定義づけておられますか。

竹中国務大臣 平成十八年度の地方財政計画においては、地方税、地方交付税、臨時財政対策債に加えまして、減税補てん特例交付金、減税補てん債等を合わせた額を一般財源として説明しているところでございます。まさに一般的な、使途を定めないで使える財源、そのような意味で一般財源の範囲を表示しております。

重野委員 私の理解が間違っているのかもしれませんけれども、以前、一般財源といえば、地方税、地方交付税、地方譲与税、それをもって一般財源というのが常識だったような気がするんです。今、それ以降の、今大臣の言ったいろいろなものは一般財源という範疇の中には入っていなかったんじゃないか。いつごろからそれがそういうふうに言われ出したんですか。

瀧野政府参考人 一般財源につきましては、今大臣から御答弁ありましたように、使途を特定しないで使うものということで、従来は、委員おっしゃるような考え方が主流の考えだと思います。

 ただ、この三位一体改革をやる中で、いろいろな補助金を見直す、それで税源移譲に結びつけ、交付税と一般財源総額を確保する、こういう議論が出てまいりました。そうなりますと、単純に従来の一般財源という考え方だけをとりますと、補助金を廃止した部分が税なり一般財源に振りかわりますので、見かけの従来の一般財源はふえるけれども、地方団体の全体としての財源は別にふえているわけではないという問題が出てきたわけでございます。

 そういった中で、我々といたしましては、純粋に、単に振りかわった財源ではなくて、地方団体が一般財源として使える額というものをきちんと把握する意味で、従来の一般財源と違う考え方をとる必要があるだろう。こういう中で、今大臣が申し上げましたような減税の関係の交付金なり起債というようなものも今回は一般財源等の中に入れ込むということをしてきておるものでございます。

重野委員 今の説明を聞いても、例えば減税補てん債などを含めて一般財源とするということについては、どうしても私は理解できないんですね。そもそも臨財債を一般財源に加えること自体、私は問題があると思うんです。にもかかわらず、これら減税補てん債などを加えて一般財源とするという、この積極的理由というのはなかなか私は見つけ出さない、そういうふうに思うんですね。それでは従来の論理の無制限の拡大じゃないか、こういうふうに指摘せざるを得ないんですが、それについてはどうですか。

瀧野政府参考人 要するに、一般財源というくくりで何を示そうとするかという考え方だろうというふうに我々は考えております。

 基本的には、一般財源によって地方団体の財政的な自由度を図りたい、こういうのが従来の考え方だと思います。したがいまして、我々も一般財源の比率を高めるというのを一つの地方財政計画等の策定に当たっての目標にしてきたわけでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、昨今は三位一体改革の中で、補助金を税に切りかえていく、あるいは恒久的減税の中で一般財源をどういうふうに確保していくかという議論をする。そういうことになりますと、地方団体の自由度ということもございますけれども、財務当局との間で一般財源をどういうふうに確保していくかという意味での一般財源総額という意味合いが出てきたわけでございます。

 そういう文脈の中で、我々といたしましては、財務当局と戦う意味で、一般財源の額をこの水準にすべきではないかという場合にこういう概念を使う必要が出てまいりまして、そういう意味で、概念が若干流動化したという面は否めないかと思いますけれども、我々としてはそういう戦略的な意味合いも考えながら使っているということを御理解いただきたいというふうに思います。

重野委員 そこで、もっと臨財債についてちょっと聞いておきたいんですが、この元利償還に対する交付税の需要額算入分というのはまだまだ少ないんですね。しかし、本格的償還はこれからなんです。

 いずれにしても、そういうふうに見ますと、私が強調したいのは、交付税の先食いになるのではないかという懸念です。交付税額総額抑制というのが声高に叫ばれている中で、こうした先食いが進めば、結局、交付税制度をますます硬直化させるだけではないのかという指摘です。

 今後の交付税の制度的安定策、これをやはりきちっと押さえておく必要があるんではないか。それができないのなら、こういうふうなやり方というのは私はやるべきでない。やはり交付税制度というものをどう豊富化していくか、どう安定化していくかというところが最大の戦略目標でありますから、そこの部分はきちっとやってもらわぬと困るな、このように思うんですが、どうですか。

瀧野政府参考人 現在、非常に多額の財源不足がある中で、臨時財政対策債で財源補てんをする、こういう状況になっておるわけでございます。

 我々は、交付税法の趣旨からいたしましても、御指摘のように、交付税についてきちんとした税率の見直し等をして、安定した財源を確保するのが筋だろうなというふうに考えておりますけれども、現在、なかなか国の財政も非常に厳しい中で、臨時財政対策債に頼るというような形になっておるわけでございます。

 今後、臨時財政対策債についての償還、交付税で見ざるを得ませんので、そういった中で、将来先食いになるのではないかという御指摘もございますので、我々としては、やはり財源不足額を縮小し、きちんとした計画的な財政運営ができるように地方財政の健全化を図っていくというのが一番重要な方向であろうというふうに思っておりますので、そういう方向で今後努力していきたいと思っております。

重野委員 くどいようですけれども、地方財政の中に占める交付税の比率が相対的に低下していく、これはやはり地方団体にとっては行政を運営していく上で極めて厳しい制約条件になる。私は、そういう問題が非常に心配になりますから、そこのところはしっかり押さえておいていただきたい。

 次に、地方税について、もう時間もだんだん減ってきましたが、個人住民税問題で質問したいと思うんです。

 三位一体改革に基づく所得課税と個人住民税の制度改革問題、これは決着したと認識していいんでしょうか。

小室政府参考人 端的なお尋ねですけれども、個人住民税と所得税との関係で三兆円移譲を受けるということで、今回大きな改革があって、一区切りなわけでございますけれども、委員御案内のように、地方分権に向けた改革というのはこれで終止符ということでなく、さらに国から地方へという形で、地方分権を引き続き推進していくということが必要になってまいるわけでございます。

 そうした場合に、税源の議論も当然出てまいります。そういう中では、所得税から個人住民税への税源移譲のみならず、国と地方の税源配分全体の見直し、こうした点を含めて、幅広い観点から議論をしてこれから進めてまいる、こういうふうな考えでございます。

重野委員 個人住民税については、応益性の観点から所得税との役割分担が図られた、このようにしております。個人住民税といえども、今回のような、一〇%の比例税率のみでいいという今回の結論、これについてやはり私は疑問を持つんです。

 課税最低限だけで負担能力のあるなしをはかるというところに問題がある。まして、高額所得者に一定の累進的負担を求めるということは個人住民税においても排除すべきではない。今回は、私の主張とは違った方向でありますが、排除すべきではない、このように思うんですが、その点について、大臣。

小室政府参考人 委員の方から、今回の税源移譲の中で、個人住民税のところも累進度を保った形で残すという御意見で、そういうふうにしなかったじゃないか、一〇%の比例税率でどうなんだという御趣旨だと思います。

 私から申し上げるまでもなく、比例税率化ということは、住民が受益に応じて広く平等に税を負担する、いわば地方税の応益原則、これにのっとったふさわしい税制であると同時に、もう一つ、地方税の方の大きな課題として、地域間の税源の偏在の縮小、この観点を取り上げて、望ましい方向として今回実施したわけでございます。

 この方向につきましては、もちろんいろいろな御議論はあろうかと思いますが、政府税制調査会の答申でありますとか、あるいは地方六団体の方からも改革案が示されていたところでございまして、それにのっとっております。

 なお、念のため申し上げておきますと、個人住民税と所得税、これを合わせたものとして、個人所得課税としてはその累進度というものは残っているわけでございます。

重野委員 では、次に固定資産税の評価がえの問題についてやろうと思ったんですが、先ほど吉井委員の方も詳しく説明されておりましたので。

 ただ、十年前の話がされました。そしてさっきの答弁を聞いておると、検討します、こういう話ですが、やはり十年前の話ですから、そして今ですから、それはやはりそのときの、十年前のようなことじゃなくて、それを押さえた上で今我々はそのことを言っておるわけです。これは、そう長いスパンで考えるべきでない、やはりきちっとした方向性を出していただきたいと思うんですが、その点どうでしょうか。

小室政府参考人 十年前の御議論で、畠山議員の方からもいろいろ御議論があったのを、議事録等を読んでまいりました。あとは、当時非常に件数が多いという話と同時に、ほとんどの団体でまさに評価、賦課を担当する職員がやっていた、こういうところから出発したわけでございます。

 そういう意味で、それ以外の、評価、賦課を担当する職員でない職員が三分の二というのはいろいろまだ十分ではないじゃないかという御議論もあろうかと思いますが、十年前の議論というのを十分踏まえた上で、今後とも、そのあり方、中立性、専門性が確保されるよう十分留意してまいりたいと思います。

重野委員 やはり納税者の意見というものを率直に聞く仕組みというのは当然大事なことですよ。課税する者がその苦情を聞くなんというのは、それはできっこないですよ。だから、そこはやはり一つのシステムとして取り組んでいただきたい、要望しておきます。

 次に、来年度の固定資産税、三千三百六十一億円の減収見込みとなっております。これについてどのように見ているかということが一点。

 それから、固定資産税の七割評価に基づく負担調整措置、これもあと何回ぐらい評価がえをすれば終わるのか、その点について。

小室政府参考人 数字の話で、三千三百六十一億円ということで、大変きちっとした数字をいただきました。

 内訳といたしましては、土地に対する減収が四百七億、家屋が三千五億の減収、償却資産の方は八十一億の増収で、三千三百三十一億円の減。これに市町村交納付金の減収額三十億を含めて、三千三百六十一億円の減収となってございます。

 これにつきましては、地価ですとか建築物価の下落等を反映した評価がえ、この実施によるところが大きいので、大変な大幅な減収となるという見込みでございまして、やはり市町村税の基幹部分であります固定資産税の減収というものが市町村財政に大変大きな影響を与えるものというふうに私どもは認識しております。

 それと、もう一点お尋ねがありましたのが負担調整措置の見直しで、今後どれくらい、なお均衡化に達するまでにかかるのかということで、現行の制度そのままでいきますと三十年以上といったような部分があるわけでございますが、今回の見直しによりまして、地価の変動がないと仮定した場合で九年から十三年、評価がえで申しますと三ないし四回で均衡化の水準に達するというふうに見込んでおります。

重野委員 そこで、この負担調整措置が、今言った三、四回、あるいは九年から十三年という時間をかけて完全に終わった場合、よほど地価上昇でもない限り増収は期待できないのではないか。

 一方、納税する側は、高齢化が進む、あるいは大量に退職者がふえますから、年金生活者が増大する。そうすると、おのずと固定資産税の担税力にも限界が見える、そういう状況ではないか。

 そうなったときに、住宅地にかかわる固定資産は利益を生み出すわけではないわけで、こうした高齢者に多くの税負担を求めることはできないわけで、その結果、税収増は期待できない、こういうことになるのではないか。その場合、固定資産税が市町村の基幹税目たり得ない、そういう場合もあり得るのではないか。

 この点、社会の変化との関係でこれをどう見るか。これを大臣、答弁ください。

竹中国務大臣 本当に大きなお尋ねだと思います。

 しかし、固定資産税、二点、今委員言われたわけですけれども、一つは、今後増収を期待できるのかということ。二番目が、担税力に問題が出てくるのではないか。

 第一の点に関しては、しかし、やはり固定資産税というのは、税源が不偏、偏在していないというようなこと、それと税収が安定しているということ、それと、これは地方自治でありますから応益原則なわけですけれども、応益性になじむ税目だというふうに思うんですね。だからこそ、諸外国においてもこの不動産の保有課税というのが基礎的自治体の基幹税目になっているわけで、そういう点を考えますと、やはり今後とも市町村税として大変重要な役割を果たしていく税になるんだと思います。

 要は、今、デフレだ、資産デフレだ。この資産デフレがどのような形で終息していくかという問題にも行き着くわけですが、私はやはり、それぞれ市町村において、その土地の利用価値を高める、しっかりとした都市の再生等々も行っていただいて、都市再生を行うことを通して資産デフレにストップがかかるような努力をしていただくということも重要な柱になってくるんだと思います。同時に、やはり経済そのものを活性化して、国全体の資産デフレをとめていくというような努力も我々はしなければいけない。

 なかなかこれにかわる主要な税目はありませんから、この固定資産税の役割というのは引き続き重視していかなければいけないであろうというふうに思います。

 二番目の、担税力の問題も議論しなければいけない問題だと思いますが、これは御承知のように、現在でも住宅用地について大幅な特例措置が講じられております、そういう意味で配慮がなされております。そうした点もきめ細かく引き続きしっかりと見ながら、担税力を持っていただく、税金を負担していただく、そして固定資産税がしっかりとした地方の基幹税としての役割を果たしていけるような状況をつくっていかなければならないというふうに思っております。

重野委員 あと二つ通告をしておったんですが、もう時間が来ましたので、大変恐縮ですが、御理解いただきたいと思います。

 以上で終わります。

中谷委員長 次回は、明二十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十五分散会


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