衆議院

メインへスキップ



第9号 平成18年2月28日(火曜日)

会議録本文へ
平成十八年二月二十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      石破  茂君    岡部 英明君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    福田 良彦君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      逢坂 誠二君    園田 康博君

      田嶋  要君    寺田  学君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      横光 克彦君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        松山 隆英君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  小室 裕一君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   岡田 克行君

   参考人

   (日本郵政公社執行役員) 元女 久光君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     早川 忠孝君

  田嶋  要君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     奥野 信亮君

  園田 康博君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

二月二十八日

 独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社理事岡田克行君及び執行役員元女久光君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局審査局長松山隆英君、総務省大臣官房総括審議官荒木慶司君、行政管理局長藤井昭夫君、自治財政局長瀧野欣彌君及び自治税務局長小室裕一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 この際、去る十六日の渡辺周君の質疑に関し、日本郵政公社より発言を求められておりますので、これを許します。日本郵政公社理事岡田克行君。

岡田参考人 先日の渡辺先生に対する答弁で、平成十六年度北朝鮮あて保険付郵便物の物数につきまして誤った数字をお答えしたことに対し、まずおわび申し上げます。本当に申しわけございませんでした。

 平成十六年度の北朝鮮あて保険付郵便物の引受数として千五百六十通と答弁いたしましたが、この中には書留郵便物の引受分も含まれておりまして、正しくは五百三通の引き受けとなってございます。

 その際先生より要請のありました、北朝鮮あて保険付郵便物の現金総額集計につきましては、全国の取扱郵便局の調査を行うには時間がかかるため、現在、取り扱いの多い東京中央郵便局と大阪中央郵便局の二局につきまして調査を進めておりまして、早急に報告ができるように取り組んでいるところでございます。

 本当に申しわけございませんでした、心よりおわび申し上げたいと思います。調査の方はしっかり行ってまいりたいと思います。

 以上でございます。

中谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは、九時間に及ぶ委員会質疑の締めといいますか、総括的な質問をさせていただきたいと思います。

 今の、岡田理事にお願いしたいんですが、前回もちょっと質問して、全国は確かに時間がかかるということでございますけれども、東京中央郵便局と大阪中央郵便局に関しましては、全送付数の大体二割を占めているということでございます。そろそろ前回質問に立ってから一週間以上たつわけなんですが、その辺について、一体いつごろがめどなのか、まず冒頭それを聞いて、それをお答えいただいてから御退席いただけますでしょうか。

岡田参考人 ただいま答弁いたしました二局の分につきましては、大半の集計が終わっておりまして、最終的なちょっとチェックをしている段階でございますので、そう時間のかからないうちに御報告できると思います。

渡辺(周)委員 ぜひ慎重を期しながらも速やかに出していただきたいと思います。私に関しては、私の質問ではもうございませんので、もし所用がありましたら、御退席いただいて結構でございます。

 それでは、地方税法等の一部改正の法律案それから地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 各論につきましては、これまで私ども民主党のそれぞれの委員から、四時間半にわたりまして、さまざまな観点から質問させていただきました。この後、私と後藤委員と二人で質問させていただくわけですが、私は、ちょっとそもそも論につきまして、大臣にぜひ御見解を伺いたいと思うんです。

 私も、平成三年から約六年、五年半ほど、平成八年まで静岡の県会議員をしておりました。その間何度となく、やはり県議会の陳情で上京もしました。

 また、国会へ出てきてからも、例えば、私の選挙区は静岡県の沼津市というところですが、駿河湾に面して大変広い海岸線がございます。そこが台風の影響で、高潮でいわゆる防潮堤が下がえぐられまして、高潮対策で早急にこれを何とかしなきゃいかぬということで、地元の沼津市というところと、隣接する富士市というところがあるんですね、陳情に来るからぜひ立ち会っていただきたいと地元の市長さんから言われて、国土交通省に行ったことがございました。

 そのとき驚いたのが、私の町から五十人、隣の富士市から五十人。沼津市から来た陳情団は、地元の自治会長さん初め、もちろん行政関係者もいらっしゃったんですが、新幹線で参りました。隣の富士市の方は、バスに乗って、借り上げて、東京まで来られました。およそ百人の方が来られて、国土交通省のウナギの寝床のようなえらい細い迷路のようなところをずっと陳情して回るわけです。

 当然、行政の方がいろいろたくさん資料、そもそもこの現場はどこにあるかというような地図から始まって、写真を撮ってそれを張りつけたものを、こんなのを持ってきまして、これを、当時は大臣それから政務次官、それから担当する局長やら課長やら、どんどん置いて回る。百人もの人間が国土交通省の中を歩いているわけですから、もう後ろの方なんか、前の方で何をやっているか全然わからないわけですよ。前の方でも、頭下げて、出ようと思ったら、ぶつかり合いながら、はい、引き返します、今度は上の階へ行きますといって、もう何だかわからないけれども、後ろの方はただとにかくついてきて、何の陳情をしているのか、何の話をしているのか、全然わからない。

 しかも、行く先々でうなぎパイか何かを一個ずつお土産に置いていくものですから、一体、これは経費がえらいかかっているなと。でも、それをやはりやらないと、まあ、何を申し上げたいかと言いますと、そこまでやって初めて地元の熱意というか誠意だと。もうセレモニー化しているんでしょうけれども、それをやって初めて陳情が完結するみたいなところがございます。

 それを、とにかく今これをやらなきゃいけないという、そろそろ、もうこれだけのコストをかけてわざわざ数十分の陳情のために上京してくるようなものを見ながら、これは本当に、目の前にある防潮堤の工事ぐらい、応急の工事ぐらいは、まさに静岡県庁の土木事務所に行けばいいじゃないか、なぜ霞が関にこんな百人の人間で来なきゃいかぬのだろうかと思ったわけでございます。

 これに類する話はもう皆さん方たくさんありまして、一つ一つ挙げる理由もありませんが、これは別の県でありますが、以前何かで読んだときには、どこか北陸の方の方々が飛行機で東京に陳情にやってきた。百万円かけて陳情に来て、学校の夜間照明か何かの、ついた補助金が百万円だったという、百万円かけて百万円の補助金をもらいに来るというおかしな話がいっぱい、もう枚挙にいとまがないわけでございます。

 もう常に、地方分権こそ国家の改革である、これはみんな、だれもが言っているし、本屋に行けば、そのたぐいの本は、行政関係の本とか物すごい売っているわけであります。ですから、地方分権を推進していかないと、本当にこの国の、コスト削減も含めて改革ができない。やるべきだともう何年も前から、えらい昔から言われておりますけれども、なぜこれができないのかという、これはそもそも論なんです。総論は賛成だけれども、いざ各論になると反対をする。

 この後、きょう答申が出される北海道の道州制についてもちょっとお聞きをしたいと思いますが、これは、中央の省庁が自分たちの権限と人員が減らされるということでそれを嫌がるのか、それとも、地方にはまだ任せられない、地方には残念ながらまだそれだけの、言葉は悪いですけれども力量がないということでこれは進まないのか。

 大臣、そもそも論ですが、これについてどうお考えか、ぜひ御見解をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 渡辺委員今御指摘のように、陳情というのは、本当に陳情なさる方も大変だし、実は陳情を受ける方も大変な面があるということなんだと思います。ある意味で中央集権、やはり物事が霞が関、永田町を中心で決まっているという一つの象徴的な現象になっているのだというふうに思うわけでございます。

 御指摘のように、地方分権となると、だれも総論として反対する人はいません。にもかかわらず、どんな小さなことでも、一つ権限なり財源を中央から地方に移そうと思うと、これはもう大変でございます。国民が全員支持していて、与野党そろってこれには賛成しているにもかかわらず、先般の三位一体改革のときのように、総理大臣みずからが何度も何度も旗を振って、しりをたたいて、ようやく少し中央官庁が動くというのが現状だと思います。

 その原因は一体どこにあるのかというお尋ねなわけですけれども、渡辺委員は二つ原因と今指摘をされて、やはり中央省庁の権益の問題なのか、それとも地方の力量の問題なのかというお尋ねでございますが、私はやはり前者の問題が基本的に極めて大きいというふうに思っております。

 お役人の方というのは、それぞれの持ち場の仕事は間違いなく一生懸命やっておられるし、一人一人と話すと大変高い見識もお示しになるわけですけれども、事自分の省庁の権益の話になると、私はちょっとやゆしていろいろなところで申し上げるんですけれども、まるで人が変わって、人格が変わったように、物すごい組織防衛という論理になります。もう毎日のようにそういう姿が見られているわけで、やはりそこなのだと思っております。しかし、そこを何とか突破しないと、逆に言うと、一たん突破すると、それに基づいてしっかりと仕事をなされるというのもまた官僚、お役人の一つの姿であろうというふうに思います。

 地方の力量に関しては、私は、これは鶏と卵のような問題だというふうに思っておりまして、しっかりと権限と財源が移譲されることによって地方もさらに力量を増していくということになると思いますし、その点は、やはり前者の問題をしっかりと解決していくことこそが重要、そのためのリーダーシップが大変重要であるということであると思っております。

渡辺(周)委員 これは、今大臣が御指摘になられましたように、自分たちの権限と人員が減るようなことを自分たちから出せないわけでございます。よく言われる行政改革あるいは構造改革というのは、自分たちの自分たちによる自分たちのための改革をしてしまう。ですから、これは本当に政治判断、政治決断によって方向を決めてやらなきゃいけないわけでございます。

 そういう意味では、私たちは、効率的でまさに温かい行政をやろうと。やはり効率的ということを考えた場合、先ほど申し上げた例をもう何度も繰り返すまでもなく、とにかく非効率な、あるいは非常にコストパフォーマンスとしてもったいないようなことをしながら今までは地方行政を運営してきたということについては、これは与党、野党関係なく、超えて、変えていくべき大きなテーマだろうということは我々も認識をしているところでございます。

 さて、その点はまた改めて議論をするとしまして、本日でしょうか、いわゆるあの北海道道州制の答申が出されると聞いておりますが、まさに、北海道の道州制の権限移譲、この点については非常に関心を私も持っております。

 先日、北海道の高橋知事にお会いをしたときに、もう既に北海道が何度も提案をしていらっしゃいます、道州制特区に向けた提案という形で、北海道が事業仕分けをして、国の権限を道に移譲するには、何ができる、あるいは連携するものは何か、あるいは国としてやるものは何かということを大変この提案の中で整理されております。大変参考になるわけで、地方分権を進める上で、権限移譲を我々が検討していく上で、非常にこれは参考になる資料をいただいたんですけれども、その上で、どのような形で、方向に進むのかということについては、これは北海道のみならず、北海道でもし権限移譲ができるのならば、道州制に移行する以前にも、道州に移譲する前にも、今の、現行の地方自治体、同じ権限を当然移譲できるだろうというふうに、大変私たちは行く末を見守っているわけでございます。

 そこによりますと、国から道州への移譲が予想される主な事務、例えば、国土交通省では国道、一級河川の管理でありますとか、経産省では中小企業対策でありますとか、その他、農水省ならば農地転用許可だとか、さまざまな例がもう既に例示を、地方制度調査会専門小委員会の方から出されている。

 北海道という単独の地方自治体がもしこの権限を移譲できるということならば、例えば静岡県でもできるのではないか、あるいはそれ以外の、長野県でも山梨県でも当然権限の移譲というのはできるのではないかというふうに考えれば、非常に、地方支分部局も含めたあり方というものが二重行政という批判を今受けております。これは、この間、全国知事会のある知事さんが、まさに地方支分部局というのは二重行政であると。だから、ここのところを整理するという視点でぜひ進めていただきたいというような激励をいただいたんです。

 時間もありませんからまとめて質問しますと、一つには、この北海道特区について、総務省としてどういうふうに今とらえていらっしゃるか。つまり、権限の移譲ということについて、いろいろ各省庁の抵抗やら与党内の抵抗もあるときょうの新聞あたりには出ておりましたけれども、道州制の推進法案が、今国会ではちょっと出すのは、提出は難航しているんじゃないかというような報道もございました。報道ですから、これは真実はどうかわかりませんけれども、総務省としてどうお考えか、そしてどのような決意で進めていくかということ。

 それから、今申し上げた地方支分部局、二十一万人いるわけですね、国の出先機関。この二十一万人の中には、権限がちょっと移譲できないような分野もございます。例えば法務省の役割ですとか、あるいは徴税の分野ですとか、あるいはいわゆる防疫の関係ですとか、あるいは麻薬の取り締まりとか、そういう分野もありますけれども、これは地方に移管しても差し支えない分野がかなりあると思うんですが、この地方支分部局のあり方について今どのような御見解を持っていらっしゃるか、あわせてお尋ねをしたいと思います。

竹中国務大臣 道州制の話、道州制特区の話、そして地方支分部局の話、これはともに、総務省として、また私自身が非常に強く取り組みたいと思っているテーマについて御質問をいただいたと思っております。

 まず、前者の、とりわけ北海道の道州制特区の話でございますが、これは、御承知のように内閣府の所管で、今内閣府でいろいろと、まさに協議を深めていただいているというふうに思っております。

 そもそも道州制特区は、道州制を考えるに当たって、北海道に関しては、道州制が将来とられたとしても多分今の形がそのまま道として残るのであろうから、いろいろな取り組みを先行的に始めやすいはずだという総理御自身のリーダーシップによって始まったものでございます。私自身も前に道州制特区の担当大臣をさせていただいたことがございまして、高橋知事を中心に懇談会を持って、どういうふうに進めているかということを推進してきた経緯がございます。

 そういう観点からいいますと、国民の関心も深まる中で、道州制に向けた先行的な取り組みになるというふうに強く期待しておりまして、総務省としては、道州制そのものの議論を今地制調で詰めておりますので、そういったこともにらみながら、しっかりと内閣府には取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 その際、同時に、国から道への権限移譲とともに、道から市町村への権限移譲という、道内分権等々についてもしっかりと議論を深めていただきたいというような期待を持って今見ているところでございます。

 地方支分部局の整理につきましても、実は、総人件費改革の実行計画の中で極めて重要な位置づけを我々としても与えたつもりでございます。国家公務員の行政職が、三十数万人いると思いますけれども、そのうちのかなりの部分が実は地方にいらっしゃるというのが現状であって、その地方の支分部局、御指摘のように、やはりこれは二重行政になっている可能性がございます。

 そういうところをしっかりと見直していくということは、この総人件費改革実行計画の極めて中心的な部分でありますので、これは先般、行革担当大臣から総務大臣に対して、地方支分部局の問題等については特に総務大臣がしっかり見てくれという協力依頼を受けております。私もしっかり対応しますという発言を閣僚懇でさせていただいておりまして、まさにそのような方向で取り組んでまいります。

 具体的に、平成十八年度におきましては、地方支分部局の定員につきまして千七百二人を純減しております。純減率はマイナス〇・八%ということで、これは行革後、最大であります。全体の下げ幅の倍ぐらいをこの地方支分部局の定員で下げております。

 十九年度以降につきましても、こうした問題について抜本的な見直しを行って、事務事業を精査した上で積極的な改革に取り組んでいく決意でございます。

渡辺(周)委員 これは、我々も今、地方支分部局の見直しについて、いろいろとヒアリングを各省庁から我々の部門でもやっております。驚くべきことは、一体これだけの方が何をどうしているんだろうか、これは本当は現場へ行って見てきたいんです。

 例えば、宮内庁の京都事務所、職員数七十七人とか、国家公安委員会の管区警察局四千五百四十六人とか、あるいは公安調査庁の千百三十六人とか、この辺は国の仕事としてなかなか削減しがたいところだと思うんですが、例えば農林水産省あたりになりますと地方農政局が一万七千三百六十二人とか、国土交通省地方整備局二万二千三百九十二人、もうとにかく国土交通省の出先だけで三万九千二百七十三人いるわけです。こういう数を挙げていくと時間がなくなってしまいますけれども、とにかくこうした分野を地方に移管することによってかなりスリム化できるんじゃないか。

 例えば、国家公務員が地方公務員という身分になって、道州制が進むことによってその中で一時的に地方公務員がふえるかもしれませんが、そのときは、岩手県の増田知事に言わせると、それは地方分権を進める上で覚悟だ、地方が一時的に職員がふえるけれども、それは、当然のことながら、理解を得られるように、そして削減をしていくことによって、権限をまずはゆだねてもらうということをおっしゃっていました。

 地方支分部局で一つ例を挙げたいんですけれども、ちょっと驚くような、これは国土交通省関連でございますけれども、時々わからないようなお仕事、これは地方分権というよりも、もしこういう方々が、道州制への移行によって、あるいは権限移譲することによって、かなり少なくなるんではないかなということを申し上げたいわけでございます。

 先ほどちょっと、二十一事務を移譲する中で一級河川の管理というところがございました。この権限を移譲してはどうかということが例示されたというふうなことを申し上げましたけれども、例えばこれは北海道なんですけれども、ここにございます数字を申し上げますと、水門の操作員というのがいるんですね。これは非常勤公務員です。水門等操作員、無保険車街頭取締補助員という二つの業務がその他の職員に分類されていて、水門等操作員というのは、北海道開発局が、旧北海道開発庁の方々が今お仕事をしていらっしゃる。何をしているんですかと聞いたら、大雨が降ったときの水門のあけ閉めだとか、あるいは定期的に水門をチェックしに行って、要はモニターしに行っていますと。この方々が何と千五百九十四人もいるんですね。

 千五百九十四人も水門等操作員という方がいらっしゃいまして、この方々と合わせて、その他の職員という分類ですが、無保険車街頭取締補助員という方と合わせて二千三十一人。トータルで幾ら人件費がかかったか、二億二千三百万円。そのうち水門等操作員には一体幾らぐらい人件費が払われているのかわかりませんけれども、時給千七百八十八円でございます。雇用期間は一年だけれども、再任可ということで、どれぐらいでもできるのかなと。

 今こういう数字をちょっと精査していますけれども、こういうことが果たして非常勤であれ国家公務員がやることなんだろうか、地方に任せていいじゃないかというふうに思うわけですね。

 もう一つ、これは別にも、観測監視等職員という内訳の中にやはりまた水門等操作員というのがあるんですね。この人は旧建設省の方々です。先ほど申し上げた方々は旧北海道開発庁の方々です。結局、合併したけれども、水門等操作員というのは二種類いらっしゃるんです。二種類というのは悪い言い方ですけれども、二グループあるわけですね。

 この方々も含めて、この方々と、水門等操作員、河川環境保全モニター、道路情報モニター、この方々が千十六人いまして、かかっている人件費が一億四千二百万円。この河川環境保全モニターは何と時給七千円ももらっているんですね。三時間もやったらもう日当二万一千円、まさにちょっと驚くような給料が払われている。

 ただ、これは、先ほどおっしゃったように人件費にカウントされていなくて、いわゆる定数外の人たちですから、この間も申し上げたように、さまざまなところから捻出をされている。まさにこういうところで、無駄遣いと断言はできませんけれども、極めてちょっと疑問なような方々がいっぱいあるんですね、調べていきますと。

 これを例えば本当に国家公務員がやるのか。どうしても必要なら、地方にやらせる、だれか本職の、職務の一つとして、地方自治体の職員に兼務してもらえばいいわけです。河川の環境保全モニターだとかあるいは水門の操作をなぜそんな高い日当を払ってそれだけの人を雇ってやるのか、それならば地方のどこかのセクションがこれをやればいいじゃないかと私なんかは思うわけでございます。

 これについてはまたぜひ御提言をしたいと思いますが、何せ理解のできないような職種も実はあるんだなということでございます。その点についてはまた改めて質問をいたしますので、ここではお答えいただきませんが、ぜひそういうことを御認識していただきたいと思います。

 時間がございませんので、あと二点、質問させていただきます。

 昨年の特別国会で我々が申し上げました、私もこだわっておりますが、地方の特殊勤務手当。これは、地方の財政健全化という意味からいくと、地方合わせて大体四百億円と言われていますが、地方の特殊勤務手当というのは今現状どのように改善されているかということにつきましてお尋ねをしたいと思います。それが一つ。

 それともう一つは、昨年の特別国会で、この委員会ではございませんでしたけれども、付託はされませんでしたけれども、委員会で取り上げました。きょうの新聞にも出ておりましたけれども、これは人事院でございますけれども、いわゆる国公準拠をやめて、いわゆる地方自治体の人件費、給与、これを国公準拠の原則から、地方自治体の人件費を見直すというような報道がされました。この点について今どのように総務省はお考えかということが二つ目です。

 もう時間がないからまとめて聞きます。

 もう一つは、我々が、官民格差を是正するためには、百人以上の事業所を対象にした国家公務員の人件費の算定はおかしいのではないかということで法案を昨年出しましたけれども、この点について、きょうの報道にも出ていましたけれども、国の人件費、百八十万から二百万違うと言われ、国の人件費が非常に高い。これを、いわゆる調査する対象を中小企業まで広げるというような報道がありましたけれども、これは事実かどうか、またそういう方向に進んでいるのかどうか。

 最後、時間もございませんので、まとめてお尋ねをしたいと思います。

竹中国務大臣 三点御質問をいただきました。

 特殊勤務手当については、従来から厳しい御批判もいただいて、その適正化を進めてきたところでございますけれども、さらに重点的な見直しを促進しますために、都道府県、政令指定都市の実態について特別調査を行いました。そして、その結果を平成十六年十二月に公表しておりますけれども、それに加えて、昨年の三月に地方公共団体に通知をしました例の行革指針、新行革指針においても、こうした特殊勤務手当を含めた諸手当の支給のあり方について、総合的な点検や見直しを推進するように要請しているところでございます。

 それを踏まえて、どのような現状になっているかということでありますけれども、各団体においてもいろいろな真摯な取り組みが行われているというふうに認識をしております。例えば、昨年度中に特殊勤務手当の是正に取り組んだ団体の数というのが把握されておりますが、前年度に比べて、都道府県、政令指定都市において二倍になった、全地方公共団体においても約五割増しになったということでございます。

 今後とも、例の集中プランが三月末に出されてまいりますので、そうした取り組みについてフォローアップを我々としても行いまして、適正化を強力に進めたいというふうに思っているところでございます。

 二番目の国公準拠の問題でございますけれども、地方公務員の給与は国に準ずるという、いわゆる国公準拠の考えについては、これを廃止することを決定したというような事実はございません。現在、総務省に設置しております地方公務員の給与のあり方に関する研究会というのがございますけれども、そこで重要な課題として御議論をいただいているところでございます。

 これは、地方公務員の給与決定の基本にかかわるものでございますので、本年三月中に取りまとめを予定されている研究会の最終報告に向けまして、やはり地方公務員の給与に地域の民間の給与の状況をより的確に反映させるということは必要だと思っておりますので、総合的な観点から御検討をいただいているところでございます。

 最後に、三点目、中小企業の状況をしっかりと公務員の給与に反映させるべきではないかということでございますけれども、これはまさに、民間の水準をどのように把握するかという大変重要な問題で御提起をいただいていることだと思っております。

 そうした御意見も受けまして、既に、政府としては、人事院に対してそうしたことの御検討をお願い、要請しております。諮問会議に人事院の総裁においでをいただきまして、その場で御要請をしているという経緯でございますので、現状では、人事院において、そういう、民間の実態をより正しく、中小企業のことまで含めて把握するというための検討を今進めていただいている段階でございます。

渡辺(周)委員 時間の関係ですべて質問できなかったわけですが、特殊勤務手当について、静岡県の場合ですけれども、新年度から、四月から九種類やめる。例えばわさび栽培作業手当、ワサビ栽培をすると一日三百六十円出るとか、時々、知らないよ、こんなのあったんだというふうな、あるいは牛ふん尿散布作業手当とか、いろいろありますけれども、九種類やめて、大体これで年三百六十五万円削減する。三百六十五万円といったら、財政的にどれぐらい本当に影響があるのかということだと思いますが、ただ、その姿勢だと思うんですね。この程度の手当を見直せないところが大きな財政再建をできるわけがない。

 これは、四十七都道府県が同じように取り組めば何億という単位での削減につながるわけでございますので、四月からどういう自治体がどういうふうに廃止するかということについてはまた改めてお尋ねしたいと思いますが、次回また取り上げたいと思いますけれども、こうした地道な成果が出ているということにつきまして、ぜひ定期的に総務省としても公表して続けていっていただきたいなというふうに思っております。

 以上で終わります。

中谷委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 地方税法に入る前に、一点、二月の十六日に質問させていただいた、いわゆる郵政公社の一円入札について、冒頭、幾つかお尋ね、確認をしたいと思います。

 十六日の際にもお尋ねをしましたが、いわゆる簡易保険、簡保の資金の資産管理事務の外部委託というものが、平成十七年の十二月の十六日に入札を開始し、落札がその後いろいろな経緯を経て一月の二十日に決まったということであります。この際に、前回も御指摘をさせていただいたように、従来であれば、現在は公社の中でこの資産管理をされておる、その前は当然郵政省の中でやっていたということであります。そして、入札をされた信託銀行は一円で入札をされ、その理由は、その後発生するであろう日銀からの手数料収入が数十億円あるということを踏まえて一円で入札されたと。

 内部でいろいろな御議論をされてこの経緯に至ったという話は聞いておりますが、まず冒頭、公社でやっていたこの事務を一括委託したのはなぜかということと、あわせて、八十兆という巨額なあの資金を、資産管理という事務でありますが、一社に限定してなぜやったのか。八十兆という部分であれば、例えば、リスク分散ということであれば、管理業務であっても半分ずつ対応させるとか、いろいろな手法があったはずですが、なぜ一社に絞って一括委託をしたのか、冒頭、お尋ねをしたいと思います。

元女参考人 それでは、まず質問の最初の方でございますけれども、公社がやっていた事務を一括委託したのはなぜなのかと。

 確かに、現在、公社は資産管理事務を行っております。ただ、民営化後という展望を開いた場合に、今やっている事務以外に、例えば税務処理といったようなもの、それから保険業法に基づく生保会計への対応といったような、いわゆる民間生命保険会社として必要な事務が新たに発生するものでございます。

 そういう中で、業界といいましょうか、民間大手生命保険会社におきましても、資産管理につきましては、いわゆる非競争分野と位置づけまして、事務リスクの低減と運用効率の向上といった点から、こうした資産管理を専門に行う信託銀行へ委託するというのが流れとしてなっております。こうした点をとらまえまして、こうした新たに発生する事務も対応できるというようなこと、また確実で円滑な民営化の推進といったようなものも視野に入れますと、こういう資産管理を一括して専門の信託銀行へ委託するというのが適当ではないかと判断して委託することとしたものでございます。

 それから、八十兆円という巨額なお金なので例えば二社に分けてもよかったのではないかという御指摘でございますけれども、今回、外部委託する資産管理事務、具体的な中身としましては、例えば、私どもが約定しました有価証券の売買に伴う資金の決済とか債券の決済、これは名義変更をするわけでございますけれども、それからそういう債券から発生します元利金の受け払い事務とか、それから資金運用に伴う会計とか決算処理といったようなものが具体的な中身になるわけでございます。

 仮にこうした事務を二社に分けた場合に、二社がそれぞれ資金とか債券の授受を行うことになるということで、日々の会計帳票を私どもの郵便保険会社の方で集計し直さなければならないというような格好になるところでございます。特に中間、期末等の決算期におきまして膨大な貸借対照表等の作成事務が発生するわけですが、そうした貸借対照表等の数値を検査するとか集計するという事務が、二社に分けますのでちょうど倍になるといった点で、迅速な決算処理をちょっと邪魔してしまうというようなところもございますので、またあわせて、計算間違いをすれば事務リスクになるわけでございますので、その辺を勘案して、一社に一括して委託すると。民間生保会社でも基本的には一社に委託する例が多いというふうに聞いておるところでございます。そうした点が理由でございます。

後藤(斎)委員 今のお尋ねの中で、ミスも二つに分けるとあるというふうなお話だったんですが、実際に、既にこの一円入札というのは過去にも何事例かあって、昨年の十二月にも、財務省の近代金貨売却業務に係るオークションの運営補助業務の入札に関与して一円入札がありました。その際には、独禁法十九条の規定に違反するおそれがあるということで、ヤフーやその委託先であるシンワアートというところに対して警告が発令されています。

 公取の方がいらっしゃっていると思うんですが、今回の郵政公社の行ったいわゆる一円入札の事案に対してどのように御見解をお持ちでしょうか。

松山政府参考人 お答えいたします。

 今御質問の、郵政公社が発注した資産管理事務委託業務についての一円入札の問題でございますが、個別具体的な事案につきましてのお尋ねでございますので、具体的に今公取としての正式な見解を申し述べるというのは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、一般論で申し上げますと、公正取引委員会といたしましては、正当な理由がないのに供給に要する費用を著しく下回る対価で継続的に販売して、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるというような場合がございますれば、不当廉売に該当するということで従来から厳正に対処しているところでございまして、そういう面では、そうした考え方に基づきまして今後も対処してまいりたいと考えているところでございます。

後藤(斎)委員 日本で今いわゆる資産管理を行っている株式会社や銀行は三社あるというお話を聞いています。今の取扱量では、ほぼ百二十兆前後で三社拮抗しております。これに公社が改めて八十兆という部分を資産管理で委託をされて、会社は一挙にこの三社の頭をかなり抜くような形になります。

 仮に、この独禁法四十五条の事実があるとき、どなたからか事実の報告があって、「適当な措置をとるべきことを求める」という四十五条一項の規定に基づかれて何らかのアクションがあった場合、公取はどんな形で対応なさるんでしょうか。

松山政府参考人 御指摘のとおり、公正取引委員会は、独占禁止法の四十五条に基づきまして申告等がございますれば、法律の規定に、何人もこの法律に規定する事実があると思料するときは公正取引委員会に対してその事実を報告し適当な措置をとることを求めることができるという規定がございまして、そのような報告があった場合には必要な調査をしなければならないということで、調査させていただくこととなると思います。

後藤(斎)委員 公社が十六日の答弁の中でも触れられたように、中での弁護士と相談されて、不当廉売に該当するおそれはないという中で現在でも作業を進められております。

 仮に、ここで警告なり違反の事実ということがあったら、公社としたら今後どのように対応するんでしょうか。

元女参考人 今般の一円入札という点で、その契約金額についていろいろ御質問はいただいておるわけでございますが、繰り返しになるかもしれませんけれども、私どもとしては、不当廉売、差別対価、優越的地位の濫用といった法令への抵触のおそれがあるのかないのか、それから、契約期間満了後における優位性の部分があるのかないのか、それから、当該受託者に契約履行能力があるのかないのかといった点を総合的に検討しまして、いずれも問題はないという判断で契約をしたものでございます。

 したがいまして、公社としましては、本契約は有効に成立しているというふうに考えてはおりますけれども、仮に、受注者である事業者に対して公正取引委員会から独占禁止法に違反するといったような判断がなされた場合には、当該事業者の申し出を待って対応を検討することとしたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、公社はこれから来年の十月一日に向けていろいろな御準備をなさるということはよくわかっています。ただ、内部だけの議論というよりも、まだ総務大臣が公社のいろいろな指導監督という立場に現在ではございます。こういう大きな事案ではないという御認識だったかもしれませんが、少なくとも民営化に備えて、八十兆という資産を管理させるという今までと違った対応の仕方があって、なおかつ、公取とも事前の十分な相談もしなくて対応してきたということで、ぜひ大臣、これからいろいろなことが株式会社、民営化に向けて公社も対応があると思いますが、国民の皆さんから余り疑義がないように、大臣からもきちっと指導、チェックをしていただきたいと思いますが、簡潔に御見解をお願いいたします。

竹中国務大臣 今、委員が御指摘になった個別の経営判断の問題についてでございますので、これは公社の方できちっと対応されているというふうに聞いておりますけれども、一般論として申し上げれば、まさに今、後藤委員御指摘のように、公社が公社としての機能を日本の社会の中できっちりと果たしていく、それをしっかりと監督する責任と権限が私たちにはございます。権限もあるし責任もあると思っておりますので、適切に対応していくというのは、大変私たちにとって重要な役割だと思っております。

後藤(斎)委員 ぜひそんな形で今後とも、よりよい形の、国民にきちっと情報開示をしながら対応されることを求めていきたいと思います。

 地方税の部分に入りたいと思います。

 地方税が、非常に徴収の確保が困難ないわゆる滞納部分がなかなか減らないという現実がございます。確かに、歳出のいろいろなコスト削減の努力をなさったり、また税収回復ということでいろいろな御苦労を各自治体、総務省も含めて対応なさっております。

 きのうの新聞では、国税の滞納が二年連続一兆円割れということで、かなり国税の方の滞納額は減少の幅が多くなって、ある意味では健全化になっています。一方、地方税の方では、累積額でいえば二兆円を上回る部分からなかなか下げどまらないということになっています。

 実際、平成十五年度と十六年度決算を見ますと、十六年度が、トータルで累積滞納額が二兆一千六百四億円、減少率としたら四%減。一方で、国税の方は、十六と十七年度を比較してみると一二・三%の減、九千億ほど、要するに滞納が減っているということであります。

 これは、いろいろな御努力をなさっていることは承知をしておりますが、大臣、後で定率減税についても触れさせていただきますが、やはり地方税の滞納をなくす。税の徴収の公平性の観点からいっても、まじめに払っている方が損をするようなことは、かなり近い部分にいらっしゃる住民の方から見れば、いや、あの人払っていないのに何でおれだけまじめに払うのかなということになる。これは、NHKがあの不祥事の以降いろいろな御努力をしてもまだまだ受信料が回復をしないということとはイコールだと思いませんが、ぜひまず、きちっとルールに合ったものは取る努力を、徴税の努力をもっともっとしていただきたい。その取り組みについて、大臣、どんな形で臨まれていくのか、御見解をお伺いしたいと思います。

小室政府参考人 大臣の方から御答弁させていただく前に、数字の関係で、後藤委員おっしゃられた国税のお話、記事、たしか新規発生分ということで、現年分の数値でございます。それがピーク時から半減したということで、そういう意味では、地方税の方も現年課税分という意味では最新のところで五千二百三十一億円。ただ、これには前年度までの滞納分で繰り越されて積もっていく部分がありますので、その辺を合わせて二兆円という数字、その辺はまた機会がありましたら後藤委員にあれしたいと思いますけれども、そういう事実関係にあるということをとりあえず私から御答弁申し上げます。

竹中国務大臣 今、委員お話しくださいましたように、決められた税金をきっちりと払っていただく、当局からするときっちりと徴収する、これは本当に基本中の基本であると思います。

 まず、委員御指摘になりましたように、やはり税の公平性の観点で納税者の信頼が揺らぐようなことがあってはいけない。したがって、同じようにきちっと払うべきものは払っていただくことが重要。また、自治体からしましても、これはまさに重要な財源でありますから、財源確保をするという観点からも重要でございます。このため、我々も幾つかの努力は行ってきているつもりでございます。

 近年におきましても、地方税の徴収の効率化に資するための制度改正としましては、いわゆるコンビニで納税することを可能にした。これは平成十五年度改正でございます。そして、脱税に対する罰則の強化なども行っております。一方で、地方の税務職員の研修等々を、実践的かつ高度な研修を自治大学校で行うというようなことも充実をさせてきております。

 さらにもう一点申し上げますと、地方団体が徴収対策を強化するためのインセンティブを付与するという観点から、地方交付税の基準財政需要額の算定におきまして徴税強化の努力を反映する制度を平成十七年度分から実施したというのも事実でございます。

 いずれにしましても、税源移譲をしますとますます地方税が重要になってまいりますので、しっかりとそうした納税がなされますように、現場の声もよく聞きながら、必要な対応を我々も行ってまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 ぜひ、その公平性という部分からいえば、バランスがとれてというよりも、むしろきちっと住民の方から理解をされる仕組みにしていただきたいと思います。

 その中で、今回、定率減税を見直す、要するに廃止をするということで、改正案が今議論をされております。平成十一年のこの導入当時、いわゆる抜本的な見直しを行うまでの間ということで、暫定的になされてきました。

 今回、全体を見て、かなりいろいろな部分で工夫はあるというふうに一部評価をするものの、やはり、今お話をさせていただいた滞納の部分にも関係するんですが、本当に公平な税制であるかといえば、そうではないという議論も大臣もいろいろなところからお聞きになっていると思いますが、なぜこの時点で、ある意味ではねらい撃ちにした、取りやすいところから取るような仕組みに変えてしまうのかという意見もございます。

 ぜひこの点について、やはりわかりにくい、もっとやはりこの定率減税は、この委員会でも議論があるように、まだまだ都市と地方の格差とかいろいろな格差がある中で、貧しい者だけがもっと貧しくなっていくようなものにはしてもらいたくないという御議論もある中で、この改正をどうしてもと実現をしなければいけないということになった、その考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

竹中国務大臣 今の御質問は、今御審議をお願いしております地方税のみならず、国税を含む税全体の話に関連する問題でもあろうかと思います。

 定率減税の性格に関しては、これまでもいろいろ御議論いただいて、いろいろな問題点があるじゃないかという御指摘もいただいてきたというふうに承知をしております。

 ただ、私どもの理解としては、定率減税というのは、平成十一年に景気対策として導入された暫定的な税負担の軽減措置である。そういう意味では、昨今の経済状況の改善等を踏まえて必要な修正を行っていかなければいけないのではないか、これが基本的な姿勢でございます。これについては種々異なる御意見があるということは承知をした上で、私どもはやはりそういう考えだということを申し上げているわけでございます。

 経済の状況が今どういう状況かということは、いろいろ申し上げませんけれども、象徴的に、二〇〇五年十―十二月期の実質GDPは年率換算で五・五%と。もちろん、これは本来持っている潜在成長力より非常に高いですから、これが日本経済の実力であるということでは全くございませんけれども、一時、平成十一年当時議論されていた状況とはやはりさま変わりになった。

 一方で、個人の所得課税の抜本的な見直しにつきましては、近年の改正におきまして個人所得課税の基本的枠組みであるところの人的控除を見直すとともに、十八年度税制改正において、御承知のように、住民税の税率を一〇%フラット化するというような形で、税率構造の見直しを進めることとしているところでございます。今回の措置は、そうした構造的なといいますか抜本的な見直しを踏まえて、そして同時に景気の状況を踏まえて、定率減税を廃止するというふうに我々としても判断をさせていただいているところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、全体の、全国一律ベースの中でいえば確かにそうかもしれませんが、たくさんの委員からも、同僚議員からも常に御指摘があるように、やはりまだまだ地方の部分ではそうなっていない地域もたくさんあるということはぜひ御理解をいただきながら、これからより抜本的な改正の部分に向けても御努力をぜひお願いしたいと思います。

 次に、いわゆる普通会計と特別会計、これはいろいろ国の中でも議論をされております。特に今、大臣の諮問機関であります分権ビジョンの懇談会でも、いわゆる倒産法の話も、この委員会でもたくさんの意見が出ています。常に議論になるのは、私は、ストックとフローの部分で、今の再建法がフローだという御指摘はこの間の十六日にもさせていただきました。

 いろいろ話を整理していくと、今まで財政再建団体に指定をされた団体、これからされるであろうという自治体は、ほとんどが、土地開発公社であるとか町立病院であるとか、そういういわゆる第三セクター、公社的な、公営企業的なところの赤字を、その債務をどうするかというところからスタートをしたような感じがいたします。一番最近再建団体であった福岡の赤池町でも、行き詰まった原因は土地開発公社と町立病院が抱えた巨額の債務であったという指摘が、町のホームページでもございます。

 やはり、大臣もいつも言っているように、これからは総務省、国が自治体のいろいろな会計予算を管理するのではなくて、住民から見える形でと、繰り返し大臣もお触れになっております。そのためにも、いわゆる普通会計と公営企業も含めた全体の予算のやはりあり方が住民や市民の方に見えないと、その全体像がどうなっているんだということになる。町便りや市政便りを、いろいろな自治体のものを見ますが、なかなかその全体像が見えるような仕組みにはなっていませんし、総務省がお出しになっている地方財政白書にも、そういう観点からの数字、また分析もなされていないような感じがあります。

 大臣、土地開発公社についても住宅供給公社についても、かなり赤字を抱えている公社がたくさんあります。あわせて、それが起因になりながら、平成十六年度の普通会計の決算、これは普通会計ですが、実質赤字になった団体が既にもう二十六ある。これはある意味では、再建団体予備軍と言ったら大変失礼な言い方かもしれませんが、それに準ずる扱いになりながら対応していかなければいけない部分だと思います。

 ぜひ連結決算的なものをつくりながら、要するに住民側や、これから地方債を許可制から協議制に変えていくということでは、自治体の責任がより重くなるわけですから、総務省としても、普通会計といわゆる公営企業会計も含めて、物が一緒に見えるような工夫をぜひしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 今の委員の御指摘は、私自身、本当に全く同じ考えを持って、ぜひ推進をしてまいりたいというふうに思っております。

 委員今のお話の中で、まず第三セクターや地方の公社の話がございました。また、普通会計決算と公営企業会計の連結の話もございました。これはともに、ある種根は同じ問題でございまして、ともに、しっかりとしたストックの概念で情報を把握して、情報を開示していかなければいけないということだと思います。昨日来議論をいただきました点でも、ストックの概念がいわゆる再建の中になかった、ストックの概念がないということとそういった連結のバランスシートがないということは、まさに表裏一体であるというふうに私は思っております。

 基本的には、こういうことは一種のリスク管理のためにやるわけですから、リスクが第三セクター等々に潜んでいる場合に、それを含めてやはり考えないというのは、リスク管理できないわけですから、これはいわゆる一般会計だけのバランスシートをつくっても余り意味はないわけでございます。

 実は、そういう指摘はまさに例の懇談会でも非常に厳しくなされておりまして、総合的にしっかりとそうした問題に対しては対応をしていくつもりでございます。これまでも種々そういった努力はしてきたわけでありますけれども、さらにいろいろな意味でスピードアップをしなければいけないという思いでおります。

 公会計、情報開示といった問題について、新たに専門家を集めて急いで議論をしようというふうな体制も今とりつつございます。ぜひそうした方向で私自身は向かいたいと思っておりますので、御指摘のありました第三セクターの話、債務保証のものもあれば出資のものもあるし、損失補償契約の場合もある。いろいろなものをしっかりと把握していくことが必要であるというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、もう時間がなくてあれなんですが、簡潔にお話をさせていただきます。

 今、二百四兆円を超えるほどのいわゆる地方債務がございます。あわせて、行政サービスを毎日毎日しながら対応しなければならない自治体の現実もございます。そんな中で、アメリカでは、もちろん州の独立性が高いということも当然違いがありますが、いわゆるバランスバジェット・リクワイアメントということで、かなり強力に、州の憲法も含めて、年度内での予算の均衡を義務づける法律の規定がほとんどの州でございます。

 ただ、行き過ぎると、厳しい歳出削減か増税ということで、バランスが崩れれば即そういう対応。特に、二〇〇一年の同時テロと、アメリカもITバブルが崩壊をして、これが同時に起こったということで、景気後退局面に直面したときには、例えば、オレゴン州では授業の日数を短縮したり囚人の仮釈放をしたり、ケンタッキー州では九百人の囚人を刑期前に保釈したり、オハイオ州では一万七千人の子供の児童手当を一挙になくしたとか、かなり強制的なことをし、あわせて個人所得税や小売売上税の増税というものをしながら、強制的に一年間で収支を合わせちゃうというふうなことをしました。

 これは、日本の今の交付税も含めた体系の中では大変難しいと思います。ただ、大臣が繰り返しお話しになって、私もそう思っていますが、いわゆるストックの部分も含めて、どう上手に、長期の、巨額な、二百兆を超える債務とつき合いをしながら、実際行政サービスを行いという、どんな形で対応していくのか。これはまさに、国民、住民の方の信頼を得つつ、財政再建をしながら行政サービスの提供をする、大変難しい問題なんです。

 最近、東京大学の神野先生たちが、新たな財政再建論ということで論文もお書きになっているようでありますが、この中に、これ以上財政赤字をふやさないが、すぐに財政赤字を返さないという立場と。私はむしろ、これ以上財政赤字をふやさず、すぐには財政赤字を返せないがという立場というふうに思いながら、これから、六月に大臣が中心になって提案をされていく財政諮問会議の御議論も含めて、ぜひこの立場を、要するに、日本的なスタンスというものをきちっと設けながら、一度にアメリカ的にどすんと落とすというような手法ではない形で対応をお願いしたいと思うんですが、改めて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 重要な点を御指摘いただきましてありがとうございます。

 財政の健全化というのは、確実に、堅実にやっていただかなければいけない、しかし絶対に急ぎ過ぎてはいけない、これはもう大鉄則だというふうに私自身は思っております。

 実は、そういう観点から、五年前に、まず基礎的財政収支だということを申し上げたわけなんです。ストックを減らしたいというふうに財政当局は思うわけですね、借金を減らしたいと。でも、いきなりストックを減らそうと思うと、必ず失敗します。だから、基礎的財政収支を改善するということの意味は、ストックを減らすことではないんですね。ストックがGDP比でこれ以上ふえないようにするところまでまず持っていきましょうというのが基礎的財政収支、プライマリーバランスの考え方ですので、私自身は、いきなりストックを減らすということに入っては絶対にいけないという思いでずっとやっておりました。まさに基礎的財政収支というのはフローなわけですけれども、そういうフローの目標をつくることによって結果的にストックが無限に拡大していくのを防ぐ、これがプライマリーバランスの意味です。これをまず実現することが大原則で、どこの国もやはりそうやってきたんです。

 しかし、ちょっとこれがよくなると、いきなり、ストックを減らせストックを減らせという議論が、どうしても財政的な発想からは出てくる。私は、プライマリーバランスを改善した後で、つまりストックの増加を抑えた後で緩やかにストックを減らしていくという議論は出てき得ると思いますけれども、それを急ぎ過ぎてはいけない。

 しかも、重要なのは、ストックの絶対額を減らすということもある程度は必要かもしれませんが、むしろそれよりも、GDPといいますか、所得をふやして、所得に対する債務の比率が結果的に下がってくるという状況を導き出すのが、私はやはり経済運営の常道であると思っております。残念ながら、財政当局に関してはこういう常識的な議論がなかなか通じないのでありますけれども、しっかりと対応していきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、その点についてはまた議論をさせていただきます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.