衆議院

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第25号 平成18年6月1日(木曜日)

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平成十八年六月一日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    田嶋  要君

      寺田  学君    仲野 博子君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      柚木 道義君    横光 克彦君

      伊藤  渉君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (消防庁長官)      板倉 敏和君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  安住  淳君     仲野 博子君

  逢坂 誠二君     柚木 道義君

  富田 茂之君     伊藤  渉君

  亀井 久興君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  仲野 博子君     安住  淳君

  柚木 道義君     逢坂 誠二君

  伊藤  渉君     富田 茂之君

  糸川 正晃君     亀井 久興君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)(参議院送付)

 国家公務員の留学費用の償還に関する法律案(内閣提出第八六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消防庁長官板倉敏和君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 おはようございます。民主党の後藤でございます。

 きょう、委員長はクールビズでさわやかな格好なんですが、大臣、きのうテレビですてきなお姿を拝見させていただきましたが、クールビズではないんですね。やはり危機感が漂っていますので、ぜひその形でお願いしたいと思います。

 冒頭、法案に入る前に、きのう大臣も、地方自治危機突破決起大会にお出になって御発言をされたようであります。もう何度となくこの委員会で、地方自治の問題、特に交付税や自治体再生の問題、たくさんの問題を、大臣がこの半年間、懇談会等も含めていろいろ御議論をし、また地方六団体からもいろいろな御議論を今ちょうだいしながら、本来であれば、今までの流れで、きのうの時点で地方六団体からも正式に地方自治法の意見書の提出というような話もありましたが、それは何か若干延びたようでありますが、地方というか地元に戻ると、やはり地方交付税の削減の記事が連日報道で踊りますと、自治体の長の方、また議員の方、住民の方を含めて、これから自分たちの町はどうなるんだろうという思いが強くあるのも事実であります。

 ぜひ大臣、詰めた議論はきょうはしませんが、きのうの大会に御出席をされたその雰囲気や、そして竹中大臣の懇談会もかなりまとまった議論が詰まってきたというふうに思っています。その点を踏まえて、総務大臣として、特に地方に軸足を置いた大臣として、地方の声を十二分に聞いていただいて、どうも骨太は何か七月に取りまとめが先送りをされるような報道もございますが、若干はまだ時間があるということなのかどうかよくわかりませんが、ぜひ地方のスタンスで最終的な取りまとめに向けて対応していただきたいと思うんですが、大臣のきょう時点の御見解をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 後藤委員御指摘のように、昨日、地方自治危機突破総決起集会に私も出させていただきました。やはり地方の自治の最前線にいらっしゃる皆様方は、大変な危機感を持って今当たっておられると思います。

 夕刻、そこで地方の方々との懇談会がございましたので、その場でも私は申し上げたんですが、地方の状況は危機的であるということに加えて、私が感じるもう一つの危機は、地方の財政の仕組みを十分に御理解ないままに、非常に安易なと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、これを削ればいいじゃないか、どれを削ればいいじゃないかというような議論が政府の中でも横行して、マスコミでもそれを安易に支持する動きが見られる、そういうことがある意味で本質的な危機であると思うというふうなごあいさつをさせていただきました。

 繰り返し申し上げますけれども、これは、国と地方が双方大変今財政は厳しいですが、であるからこそ、国と地方が納得のいく形で落としどころを探っていかないと建設的な議論にはならないというふうに思います。

 実はもう一つ、昨日夕刻、経済財政諮問会議がございました。その中で私一つ発言をさせていただいておりまして、これから国と地方を本当にどうするかということについて一つのめどをつけなきゃいけない時点が近づいていると思います。それに当たっては、私は総務大臣としてもちろん全力を尽くしますけれども、国と地方の意見交換に関しては、内閣官房、内閣府も、政府全体の取りまとめとしてこのプロセスを大事にしていただきたい、そうしないと建設的な議論になりませんということを、総理も出席しておられる前で私は申し上げてまいりました。

 その意味では、後藤委員おっしゃるように、地方が不安を抱かないように、その取りまとめ等々の段階ではしっかりと議論を重ねなければいけない、そういう強い思いを持っております。

 そして、もとより、内容に関しては、これは繰り返し申し上げておりますけれども、交付税というのは中間的な支出でございます。国も地方も最終支出を減らすように努力しなければいけない、この努力はしなければいけないと思います。一方で、地方税、税収が上がって、その結果として交付税を減らすことができるような状況がつくれれば、それはそれでもちろん悪いことではないと思います。しかし、最初からこの中間支出である地方交付税をねらい撃ちにして、ターゲットを決めて、これを削減しろという議論は、これは政策論としてそもそもおかしい。この姿勢はぜひ貫いてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、きょうは大臣というよりも消防庁長官とメーンに御議論をさせていただきますが、市町村消防にかかわる予算、市町村でトータルで大体一兆八千億強の消防予算があります。そのうちの一兆七千億、ですから九割以上が地方交付税の収入で、大臣によると収入ではないのかもしれませんが、それで賄っているという現実の中で消防というものも各市町村で対応していることを、ぜひその点も御認識の上、引き続きの御努力をお願いしたいと思います。

 きょう、六月一日は、一つ大きな消防にかかわる中で変化の日であります。これはきのうの読売新聞でありますが、二年前の消防法の改正に伴って、個人住宅にも火災報知器を設置することが義務づけられました。

 特に新築については、もう既にこの数カ月、建築基準法の中というか、同時審査で、火災報知器がないとなかなか住宅が建てられないというような状況になっているようなんですが、実は、この法律をよくよく読むと、例えば火災報知器を設置しなくても罰則の規定がない法律だそうであります。ですから、ある方に言わせると、日本版キャンペーンをしながら、強制というよりも、率先して自己防衛をするための法律の体系を二年前につくったというふうな指摘がございます。

 ただ、やはり罰則がない中でこれが進んでいくことになると、この中にもいろいろあるんですが、新築の住宅についてはきょうから適用される。既存の住宅については、条例で五年ほどの猶予期間があって、それぞれのスケジュールの中で決めていく。

 私、ある若い工務店の方と先日お話をしたら、単に設置型の火災報知器だとそんなにコストが高くないんですが、やはり初めから設置をすることになると、天井裏に電線を張りましてきちっとしたものをつくった方がいいという指導も含めて、ハウスメーカーや火災報知器メーカーの方からそういう話があって、本質は何なんだと。特に、購入の際にはNSマークのついた商品をできるだけ購入してくださいと。このNSマークは、日本消防検定協会のマークだそうです。

 もう一つは、よくある話なんですが、悪質な訪問販売に御注意と。これから設置の義務化ということが、多分きょうの夕刊からあしたの朝刊にかけて出てくるんでしょうけれども、不適正な価格で販売を無理強いしていく、そういう場合にはクーリングオフの制度の対象になりますよというふうな注意書きがこの広告にはあるんですが、私も実はつい一週間ほど前まで知りませんでしたし、前もこの委員会でも御指摘をさせていただいた中古家電のPSEの問題も、四月一日の施行の一カ月ほど前から大問題になって、そして結局は今でもシールが張っていない家電も売られている、多分同じような状況になってしまわないかなと。

 なおかつ、個々の四千七百万世帯に、基本的には、東京都は非常に条例が厳しくて台所と各居間全部に火災報知器を設置しろ、法律では、寝室と階段という二カ所に義務化をしたと。市町村によっても住宅で設置する場所、個数が違っていくという、ちょっとでこぼこがある中できょうの義務化のスタートを迎えるというふうに思っています。長官、ここの部分で、やはりまず周知をきちっとしていただく。

 それで、設計段階で、図面に例えば火災報知器があるのかないのかということで、工務店の方とか設計士の方が市町村へ持っていくと、昨年の十一月から設計でいろいろな問題がありましたから、結構市町村の担当の方は、先ほどの大臣じゃありませんが、緊張感を持ちながらその仕事をしているので、建築確認の許可がおりるまで非常に時間もかかる。ある意味では、現場というか、それぞれの業務を担当している方も混乱をしているところもあるので、ここはもう一度きちっと消防庁としても周知をしていただいて、そして、市町村の担当の方にも、そして国民の方にも、罰則はないけれども義務なんだよという、若干わかりにくい説明なんですが、きちっとこれから周知をもっとしていただいて、現場に混乱がないように、所期の目的を達成していただくようにぜひお願いをしたいんですが、その点はいかがでしょうか。

板倉政府参考人 住宅用火災警報器の関係でございますけれども、近年に至りましても、住宅の火災によります死者が千人を下らないということで、何とかこれを減らしていきたいということで、平成十六年の消防法改正によりまして、ただいま御指摘がございましたとおり、住宅用火災警報器を、新築住宅につきましては平成十八年六月一日、本日でございますが、本日から、既存の住宅につきましてはおおむね平成二十年から二十三年の間で市町村条例で定める日から適用されるということになっております。

 この警報器につきましては、今もお話がございましたとおり、基本的にはみずから設置をしていただきたいということでございまして、罰則は設けておりません。そのために、その普及を図るために広報啓発活動が非常に重要であるという認識をいたしております。

 そのために、消防庁といたしましては、各消防本部で活用できます消防法改正の内容を説明したパンフレットですとか、広報用のCM等の作成、配付を行いましたり、施行日である六月一日、本日でございますが、午後、いわゆる住宅防火関係者によります大会を開催いたしまして、その中で竹中総務大臣から住宅防火推進宣言というものをやっていただくなど、いろいろとそういうような趣向を考えておりまして、新聞、テレビ等の報道機関との連携など、広報普及活動を進めております最中でございます。さらには、消防団とか婦人防火クラブ、また自主防災組織などの地域の組織で積極的に取り組んでいただいているところも多いわけでございまして、その方々のための指導者用のテキストなども作成をいたしまして、地域での普及啓発活動を推進いたしております。

 また、建築関係者に十分周知をするという必要がございますので、消防本部が作成した改正内容等の説明文書の配付などの実施を各消防本部に要請しまして、周知を図っております。

 さらに、御指摘がございましたとおり、不適正な訪問販売というのが起こる可能性がございます。これにつきましては、非常にゆゆしき問題でございますので、注意喚起等を図りますように地方団体に要請をして、住民の不安解消に努めているところでございまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 長官、今長官がいみじくもおっしゃられたように、先ほども御指摘したように、これは義務だけれども罰則はない、要するに、できるだけしてくださいよという、ある意味ではお願いをするような形。実は、私、先ほど申しましたように、一週間前、この法律の改正がされること自体知らなくて、実は地元に帰って、家を見て、東京都であれば私は条例違反になるのかなと。きょうの委員会のメンバーの方も、家の各部屋に火災報知器が全部あるというのは多分余りいらっしゃらないんじゃないかな。

 ですから、啓発をする際に、例えば県営住宅とか、市営住宅とか、国家公務員の官舎とか、いろいろございますよね。やはりそういうところから、まず隗より始めよみたいなことで、少しずつやはりその認知を住民の方にしていただかないと、一挙に例えば消防署の立入検査があって、おたくにはありませんねというふうなことではやはり困ると思いますし、私は、PSEの中古家電以上に対象も広いですし、私ももう十何年か今の家はたちますけれども、三年たつからいいやとか、五年たつからいいやと、多分また先延ばしになる、ほとんどそうなってくるんじゃないかなと。

 改めて新築をなされるという方は今百万戸を切っているわけですから、そこでの指導と、既存の部分の指導というか、その認知、周知をさせるということは大変重要な問題だと僕は思う。それは、現場に行くと、最後に長官も答えたように、訪問販売も含めていろいろな部分、そして、消防署の職員の方や消防団の方にその家の例えばチェックを依頼するということになると、では義務だからやりなさいということは、言いたいけれども、この法体系では言えないわけですよね。お願いしますよということじゃないかなと思うんです。

 ですから、そこのギャップを埋める努力を引き続きやはりしていただかないと、これは、今回の消防組織法の改正である組織をどう変えていくかという問題よりも、四千七百万世帯というその世帯数から見て、周知徹底をするいろいろな広報だけじゃなくて、実質、市町村や県や国がかかわる官舎や住宅の部分についてまず段階的にやっていくような形での自治体との連携もしていただかないと大きな問題になると僕は思うので、お答えは要りませんので、ぜひそんな点でこれから対応していただきたいと思います。

 次なんですが、五月二十七日にジャワ島中部で大地震が起きて、きのう、実は前総務大臣の委員会でありますテロ対策の委員会でも御質問させていただいたんですが、今、国際緊急援助隊が三十日に現地入りをして、きのう、自衛隊の先遣隊がその中のチームとして行った。そして、私ちょっと変に思ったのは、消防庁もこれだけやはり世界というかアジアの水準から比べればはるかに高い機材や職員の資質があるにもかかわらず、きのう、麻生大臣のお答えだと、現地のニーズをきちっと踏まえながら対応すべきはしますよというお話だったんですが、今、初動が消防の場合は特に必要なわけですよね。

 過去に、この消防白書を拝見させていただいたら、たくさんの事例の中で御協力をなさっている。確かに相手国のニーズというのはあるんですが、むしろこれだけの、今六百人近い緊急援助隊員の候補者みたいな方が全国にいらっしゃって、そういう方をやはり、これはPRと言うとおかしいんですが、やるべきことはお互い協力してやるという、まさに消防の原点でもあることに対して、消防庁の取り組みが若干遅いような感じが私はするんです。

 まだ多分行っていないという国際緊急消防隊ですか、そういうスキームが大きくある。私、それも、大変申しわけありませんでしたが、緊急援助隊の内訳だということは承知していたんですが、そういう組織が現実に存在するということも、勉強させてもらうまでよく了知をしていなかったんです。そういうものを積極的に外に向けても対応していくという姿勢も必要だと思うんですが、長官、いかがでしょうか。

板倉政府参考人 国際緊急援助隊の関係でございますけれども、私ども消防は、今回のジャワ島の地震が起こりましたその直後に連絡をとりまして、用意ドン状態といいましょうか、すぐに出発できる、数時間のうちに出発できる、そういう体制は常にとっております。かつ、隊員も非常に士気は高くて、行きたいという希望を持っていらっしゃる方が全員だというふうに思います。

 ただ、こればかりは相手の国の方が援助を要請してこないと派遣できないという、仕組み上の非常に大きな欠陥と言うとあれなんですけれども、国際的なそういう問題がございまして、要請がなければ出られない、こういうことでございます。

 ただ、特に消防の救助の場合には、実際に崩れた家屋の下に埋まっている人を救助する、そういうのが専門といえば専門でございますので、非常に時間的に切迫しておりまして、二日、三日たってしまいますと、消防の援助隊が行ってもやることがないといいましょうか、もうできることがないという状況になるわけでございます。

 そういう意味で、私どもとしては、発災直後から相手の意向を確認していただくように外務省の方にも再度にわたってお願いはしてきているわけでございますが、そういう状況で今回は派遣することができなかったということで、事情を御理解いただきたいと思います。

後藤(斎)委員 長官おっしゃったことはよく理解をしています。

 以前、私、各国の消防機関の状況一覧というのをつくっていただいて、そして、消防白書にありますように、国際的課題への対応ということでいろいろな、セミナーも含めて対応しているのは承知をしています。

 問題なのは、インドネシアの部分はどういう状況かよくわからないですが、連邦政府や国が消防制度の企画や調査研究をしているところは、多分そういうパイプとか理解が深まっていると思うんです。そうではないところが、例えば大きい国だけでも、アメリカで連邦の義務がない、ドイツも連邦の義務はなくて、州が消防制度の企画をしている。

 そういうふうに、企画とかまとめを国の機関が、例えば日本の消防庁のようにやっている部分であるかないか。私は、そういう研究も少し、消防研究所も、まあ消防研究所はそういう研究ではありませんが、これから少しずつ蓄積をしながら、やはり消防が長官おっしゃったようにすぐ出られる体制になっているというのは、これは国内の中でも二十四時間体制でやっていただいているからある意味では当然なんですが、そういう意味の部分でも、海外に向けてもそういう協力の部分というのはこれからもっと必要になると思うので、ぜひそういう情報蓄積も含めてお願いをしたいと思います。

 そして、私、この中で、この資料をつくっていただきながらお話をしてよく思ったのは、我が国の消防組織というのは、いわゆる常備消防と消防団の非常備消防、非常にバランスがとれている。特に消防団については、ほかの国よりも、例えばアメリカは七十七万人、消防団、非常備消防がいて、二十六万人が常備消防、いわゆる消防職員の方。日本は、常備消防が十五万人強、消防団の方が九十万人。この比率がどうかというよりも、やはりこのバランスがとれた形でこれからも、この消防組織法もそうですけれども、やっていくんだというふうに繰り返し消防庁も総務大臣もいつもおっしゃっておられます。

 ただ、この中で気になるのは、やはりこの中で常備消防の職員の方は今、微増ないし横ばい、そして消防団の職員の方というか団員の方は、準地方公務員という位置づけ。特に、私、大変恥ずかしい話なんですが、消防団の共済組織というか、災害補償法の制度があるのは、この間地方公務員の災害補償法をやったにもかかわらず、消防団の方が別枠で法律制度があるというのをきのう初めて教えていただきまして、勉強もさせていただきました。

 そんな中で、やはり準公務員である位置づけになっているこの消防団の方々は、やはりこれから減少していくのを前提にするのではないということを、以前の検討会、平成十五年ですか、消防庁の審議会の中でも、百万人まで平成二十年に持っていくんだという計画があります。実際もうそこで十万人のマイナスになっている。これからその百万人体制に持っていくということは結構厳しいと思うんですよね。実際、サラリーマン化とか、いろいろな御指摘があって、お仕事も忙しい、二十四時間体制はやはりたまらぬと。一年間の手当がとりあえず一人当たり三万六千円というのが基本単価であるという中で、やはりなかなか、手を挙げて、おれは地方の消防のために頑張るぞというところまでいっていないのも現状だと思うんです。

 先ほどお話をさせていただいた予算についても、一兆八千億から、今だんだん、ちょっとずつやはり全体絞られているわけですね。これは、先ほど大臣もお話しした交付税もこれから十年たったらどうなるか、その前にどうなるか、大変厳しい状況でもありますけれども、今回の法律の中で、広域化に伴う予算の支援というのは地方債の部分で柔軟に対応して支えるよという仕組みをつくったにしても、やはり今の消防組織、消防行政の対象が常備と非常備、要するに消防団の二頭立てがある、これはこれからも変わっていかないということだと思うんです。

 であれば、その消防団の一方の方をどうするかというきちっとしたメッセージがなかなか、百万人体制という目標を掲げたにもかかわらず、そういうふうになっていない、むしろ減少だというところについて、これからその消防団についてどんな形でやっていくのか、簡潔に、長官、御答弁をお願いします。

板倉政府参考人 消防団は、いろいろな形で義勇消防は世界じゅうございますけれども、我が国のような形というのも非常に特殊で、非常にいいものだというふうに評価をされているところでございます。

 そういうことで、私どもといたしましては、常備と非常備を車の両輪として今後の防災対策を考えていきたいと思っているところでございますが、御指摘のとおり、最盛期二百万人を抱えておりました消防団が、常備化が進展するということで必然的に減少してきた部分はございますが、百万人になり、今は九十万人台になってきているということで、この数年間は年に一万人ずつぐらい減少しているというのが実態でございます。

 私ども、なかなかこれに有効な対策を打ち立てることができていないというのが実態でございますけれども、いろいろな努力はいたしております。ポスターを作成して全国に配付して入団を促すとか、昨年度でございますけれども、入団促進ビデオというのをつくりました。これは非常に好評で、全国からDVDにしてほしいというような要望をいただいているということでございます。こんなような地道な努力ではございますけれども、これまでやってきております。

 これだけではなかなか進展しないというのも実態でございます。これは一つには、やはり社会の環境が大きく変わってきた、国民の生活の実態も変わってきた、サラリーマンがふえた、いろいろな要因があろうかと思いますけれども、なかなかそういう社会の変化を大きく覆すほどの施策が考えつかないということでございます。

 ただ、いわゆるPRだけではなくて、新しい型、タイプの消防団というのも考えられるのではないかということで、いわゆる機能別の消防団、つまり、すべての活動に参加はしないけれども、大きな災害のときには参加をするという形の機能別の消防団員とか消防の分団、そういうことで、例えば郵便局職員が郵便局ごと消防団員になってくれるというような事例も出ております。大学生を団員にするというようなこともございまして、そういうことで、いろいろと努力をしておりますので、今後とも引き続き努めてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 時間がそろそろなくなるんですが、長官、これは大臣にも最後にぜひお聞きをいただきたいんです。

 先ほどアメリカの事例で、アメリカは、非常備が七十七万人体制、常備が二十六万人ですから、大体倍の人口ですから、日本と大体同じ。ですから、私、百万人というふうに消防団の目標を掲げるのはいいと思うんですが、今長官がおっしゃったように、やはり現実は大変厳しい。では、手当をふやせば、それを例えば十万か二十万円にすれば、それはそれで来ていただけても、それだと常備と変わらなくなっちゃう。どういう位置づけなのかというのをもう一度。

 この広域化というのは、後で西村さんから細かく質問していただけると思うんですが、この消防行政の体制を将来に向けて本当にどうするのかという中で、限られた予算で当然やっているわけですし、手当がたくさん、どんどん出せるわけでもないし、旅行券をばんばん配るわけでもない、ボランティア精神に依存をしている。でも、そこにもやはり限界があるということも長官がおっしゃったとおりだと思うんです。

 ですから、そこに向けて、これから予算も少なくなるというときにどうするかということを、ぜひ検討課題として消防審議会で、私は、広域化も必要ですが、それ以上に抜本的に、これから市町村の枠組みもまたいずれ変わるし、収入、支出の部分も大きく変わっていくという中で必要だと思うんですが、最後に御答弁をお願いしたいと思います。

板倉政府参考人 まさにおっしゃるとおりでございまして、常備、非常備のかかわり合いをどういうふうに考えていくかというようなことが、やはり今後の消防団を考えていく上で非常に重要な事柄であると思いますので、その点も含めて、今後、真剣に検討を進めてまいりたいと思います。

後藤(斎)委員 時間がなくなりましたので、以上で終わります。よろしくどうぞ。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、消防組織法の質問に入ります前に、大臣に二点ほど御感想を伺っていきたいと思うことがあります。

 先ほどの地域消防の話などを伺っておりましても、やはり地域で消防団に入ってくださる若い人たちがどうも減少ぎみだというようなことは、各地で指摘をされていることだと思います。そうやって、地域の力というようなもの、コミュニティーの力というようなものが全国的に弱まってきている中で、ここで、では、一体何によって地域の、市民のニーズを支えていくのか、それに対応していくのかというのはとても重要なテーマだと思います。

 私は、ここはバランスの世界だろうと思っていまして、よく官から民へというふうに言われてきましたけれども、大臣、その民の部分が何なのかということは、私は長く疑問でした。この間、地方分権二十一世紀ビジョン懇、この中でも議論されてきた中で、小さな政府を地方においてもつくるというようなことが提案されているわけであります。

 私のイメージは、国から地方に大幅に権限、税財源は移譲するけれども、決して小さな政府を地方においてつくることを目的とするのではなくて、適切に地域の中にあるニーズに対応していくために、むしろそこで、どうやったら有機的な仕事ができるのか、質のよい政府になっていくのかということでもって議論していかなければいけないんだろうというふうに思うんですね。そういった地方の政府に加えて、コミュニティーの力、地域の力、あるいは新しいセクターと言われていますNPOやボランティアの力、そこに加えて、伝統的なという言葉は余り適切ではないかもしれませんけれども、家族が支える力、これらがうまくバランスをとり合って、一つの地域として成り立っていくんだというふうに考えておるんです。

 大臣、地方分権二十一世紀ビジョン懇、この中で、小さな政府という言葉が入り込んで、最終報告書案がまとまったわけでありますけれども、今申し上げたこととあわせて、今後の取り扱いについて伺えればと思います。

竹中国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今、西村委員が言われましたように、キーワードは、これはもう委員が言われたとおりですけれども、私は本当にバランスの世界なんだと思います。もちろん市場の力は重要であります。一方で、政府がやらなきゃいけないことがたくさんある。そして、家族が担わなきゃいけないこと、地域が担わなきゃいけないこと、個人がしっかりと責任を負わなきゃいけないこと、要はバランスの世界だという御指摘は、私は全くそのとおりだと思います。

 そういう中で、この五年間、小泉内閣で、そしてその内閣の中で私自身が小さな政府というふうに申し上げてきたのは、よいバランスをつくる上で、これまでは、やはり官が少しいろいろなことに日本の社会では出張り過ぎていたのではないかという思いがあるからでございます。

 どういうバランスをとったらよいかというのは、ここはやはりいろいろな意見があるんだと思います。私自身はもう少し官が小さくなる方がよいバランスだというふうに思いますが、それと違う考え方も当然あり得るというふうに考えております。そういう意味では、私自身も地方の出身でございますけれども、私が生まれ育った時代の地方というのは、それなりのバランスがとれていたのではないのかなという思いがございます。

 そういう意味では、まず、市場の力をもっとかりなきゃいけない、それでバランスをとらなきゃいけないという思いがありますが、一方で、これは、地域の力、コミュニティーの力、官ではないけれども公的なことを担う力というのをまさにつくっていかなければいけないということだと思います。実は、消防団の話というのも、その中の一つの重要なポイントになるんだと考えているところでございます。

 それを受けて、後半の委員の御質問としては、そういうことも踏まえていろいろ議論はしているんだろうけれども、この懇談会の議論の取り扱いをどうするのかということでございますが、何度か御答弁させていただきましたように、これは私的な懇談会でございまして、専門家の議論を受けて、総務省としての考え方をしっかりと固めるという段階に今差しかかっていると思っております。

 もちろん、これを受けまして、さらには今後、地方の意見もさらにお伺いしながら、懇談会は懇談会として最終的な報告を取りまとめていただく。そして、それと並行しつつ、私としては、総務省の考え方をしっかりと判断しまして、政府の中で、そして与党と政府で合意できる点については、骨太の方針に反映できるものについては反映させていきたいというふうに考えているところでございます。

 懇談会は、最終取りまとめの段階ではありますが、まだ最終決定ではございません。さらに地方との意見交換も懇談会のベースでもやってもらいたいと思いますし、私自身のところでもさらにそういうプロセスを大事にしていきたいと考えております。

西村(智)委員 先ほど私が申し上げた中で、民間企業の活動というのを少し抜かしておりました。民間と官と、それからコミュニティーの力、地域の力、家庭の力、このバランスだということなんです。

 大臣、官が出張ってきたというふうにおっしゃいましたけれども、私は、これはやはり、この国が、中央が地方に手とり足とり何でも指導してきたことによって、地方政府が官の性格を強めてきたんだと思っているんですね。

 もともと、地域の役所で働く人たちはそこの地域の住民ですから、地域での暮らしを考えないわけではなくて、考えていて、その地域のために何が必要か、何をしたら一番いいのかということを本来的には考えるんだと思うんです。それが、中央の力、いろいろなルールで手足を縛られてきたことによって官という性格が強まってきたためだと思っておりますので、そこのところは認識を御一緒させていただいていると思っていますが、ぜひそのことも踏まえていただきたいと思います。

 もう一点、先ごろ、政府の規制改革・民間開放推進会議が重点項目の論点整理を取りまとめておりました。この中で、非常に大胆な提言をされています。

 例えば、NHKにつきましては、受信料収入で行う公共放送は報道などに限定すべきで、娯楽番組、国際放送などはNHK本体から切り離して有料放送化すべきだというような提言なんですけれども、この規制改革・民間開放推進会議の提言、論点整理に対する大臣の御感想を伺えればと思います。

竹中国務大臣 御指摘の規制改革・民間開放推進会議、宮内議長のもとの会議で、重点事項の論点整理が公表されたということは承知をしております。ただ、その議論の詳細、特に非常に細かいところのプロセスについてはまだ承知をしておりません。

 NHKは、言うまでもなく、放送法に基づいて、まず放送を全国普及させる、そして豊かでよい放送番組を提供する、公共放送としての特別の使命が課せられておりまして、そのために、これまでそれぞれ重要な波、八波が準備されてきたわけでございます。

 同時に、その一方で、NHKが保有するこういうメディアというのは決して固定的なものではない、その時代のニーズ、その状況に合わせて柔軟に考えていくべきものであるというふうにも考えなければいけないと思います。現実に、NHK自身も、十八年度から二十年度の経営計画の中で、状況の変化に応じて保有する放送波のあり方を見直すことも必要だ、これはNHK自身も述べているところでございます。

 もう一つ、私の放送・通信の懇談会におきましても、個々のチャンネルの役割等の観点から、現行の数を見直すべきではないかという議論が出されているということも事実でございます。また、その中では、やはり地上波というのはなかなか、いろいろな住民のニーズ等々の問題もあり、現状が適切なのではないか。その一方で、衛星放送やラジオについては削減の議論をしてもよいのではないかという議論がなされているというふうに承知をしております。今後、それぞれさらに議論が進められていくというふうに思います。

 委員のお尋ねは、私の印象ということでございますので、そういう意味では、放送法で定められた範囲で、しかし時代のニーズに合わせて、そこはNHKのガバナンスの強化、経営資源の集中という点も踏まえてしっかりと議論していくことが必要であるというふうに思っております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 それでは、消防組織法の質問に入らせていただきたいと思います。

 参議院の委員会の質疑でも問題になっておりました高齢者グループホームの消防対策について伺っていきたいと思います。ことしに入って、冬でしたか、グループホームの火災が発生いたしまして、七名の方がお亡くなりになったということでございました。

 今回、消防庁の方で、三月二十九日、認知症高齢者グループホーム等における防火安全対策検討会報告書というものが出されておりますけれども、ここの中で、対策として三点言われておるわけです。

 一つは、在館者に報知するための自動火災報知設備の設置。それから二つ目が、消防機関へ通報する火災報知設備の設置。先ほど後藤委員が議論しておりました火災報知設備というのは在館者に対する報知設備だというふうに理解をいたしますけれども、それが価格的にいいますと一万とか二万とかいうことなんですけれども、消防機関へ通報する火災報知設備の設置ということになりますと、かなり高額になるということですね。三点目が、住宅用のスプリンクラー設備の設置ということで、この三点を全部セットでやると、およそ三百万円ぐらいかかる。

 消防庁の方は、この三点の設置についてすべきであるというふうに報告書の方では記されておりまして、ただし、高齢者用のグループホームと申しますと、いろいろな形態のものがありますけれども、私も見学させていただいたようなところは、本当に賃貸の住宅でやっているところも多うございまして、五年程度の猶予期間をそれらについては設けるということでありますが、やはり高額な設備だと思うんです。

 しかも、スプリンクラーの設置については免除する要件が三つ定められておりますけれども、どうなんでしょうか、全国で七千六百カ所あるグループホームの中で、賃貸住宅もかなり多いんだろうと思うんです。どういうケースがスプリンクラーを設置しなくてもよいケースに該当するのか。読めばわかるんですけれども、これに該当せずとも、例えば、いわゆる経済的な事情などで設置が難しいというところについてはどういうふうになるのか。

 あわせて、ちょっとこれは通告していませんが、自動火災報知設備と火災報知設備の設置については、これは必ず設置しなければいけないということの理解でよろしいんでしょうか。

板倉政府参考人 グループホームの関係でございますが、御指摘の報告書の中で、認知症高齢者グループホーム等につきまして、火災時に夜間職員が一人で全入居者を安全に避難させることは困難であるということから、住宅用のスプリンクラー設備の設置が必要であるというふうにされているところでございます。

 ただ、すべて導入をすればより安全性は高まるということは事実でございますけれども、設置者の状況ですとか設備の状況、いろいろな条件がございますので、必要最低限の規制にするという考え方のもとに、住宅用スプリンクラー設備の設置と同様の効果が期待できる措置が講じられている場合、例えば、防火区画により安全性が確保できるものですとか、特に既存の施設にありましては、二方向避難が確保されている、夜間も含めて複数の職員がいる、そういうような場合で、すべての入居者が安全な時間内に避難し得ると考えられるものにつきましては、住宅用スプリンクラー設備を設置しないことができるということに報告書ではされているわけでございます。

 この報告書の内容を踏まえまして、既存施設におきまして住宅用スプリンクラー設備の設置を要しない場合の要件といたしまして、火災による煙や熱の影響によって階段、廊下等の避難経路が危険な状態に至る前にすべての入居者が地上まで安全に避難することができる旨を示しまして、消防機関におきましてその適合性を個別に確認するということとしているところでございます。個別具体的には、現在、いろいろ関係者等とも協議をしておりまして、より一層具体的にお示しできるようにしていきたいというふうに考えております。

 それと、御指摘のございました自動火災報知設備等につきましては、これはすべての施設につけていただくという前提で考えております。

西村(智)委員 厚生労働省の方といろいろ協議はされたんだと思いますけれども、ぜひ消防庁の方でもグループホームの実態把握に努めていただいて、その上でさらに細かい検討をしてくださるようによろしくお願いいたします。

 それでは、消防組織法なんですけれども、幾つか通告していたものはあるんですが、はしょらせていただきます。

 まず、都道府県の定める推進計画の策定または変更の際には関係市町村の意見を聞かなければならないというふうに書いてありますが、関係市町村というのは具体的にどこを指すのでしょうか。市町村合併が既にかなり進んでおりまして、消防の再編もこのところいろいろな市町村で進んできたことと思います。首長さんあるいは消防長、消防局長だけではなくて、現場に近い声も聞くことをこの計画の中、基本指針の中で求めていくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 そして、今後のスケジュール、基本指針の策定と推進計画の策定、これはどういうスケジュールになっていくのか、あわせてお聞かせください。

板倉政府参考人 意見を聞かなければいけないということでございますが、これは当然、関係市町村は、この範囲内で広域化をしたらどうですかという場合に、そこに入る市町村はすべて入ると思いますし、場合によってはその周辺の市町村も意見を聞いて、それなら私のところも入れてくれとかいろいろなことがあると思いますので、そういう意味で、かなり広目に意見を聞いていただくということになると思います。

 それと、ここでは法律上は市町村の意見を聞くということでございますが、当然のことながら、市町村内の意見集約ということになりますと、これは一番のあれでございます消防本部の意見を聞くというのは当然だと思いますし、消防本部の中でもいろいろ議論があると思いますので、その中でいろいろまた議論をしていただいて、すべての人たちが前向きな形でもって広域化をしていただくというのが一番理想的な形だと思いますので、そういうような形で進めていただければと思っております。

西村(智)委員 地方債について伺いたいと思います。

 広域化に伴って必要なものに充当するということなんですけれども、都道府県にとっては、この地方債の対象物件ですとか、あるいはその充当率などについて見えていた方が、推進計画を策定するときに都道府県の負担にはならないというふうに考えているんですけれども、事前にできる限り明確にしていく必要があると思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。

板倉政府参考人 済みません、先ほどスケジュールをちょっと落としてしまいましたが、いずれにしましても、この法律を通していただきましたならば、今年度中にいわゆる消防庁長官の基本指針というのをつくりまして、それを各都道府県に流します。そうしますと、平成十九年度までに都道府県の方でその推進計画をつくっていただいて、その後五年ぐらいをかけて広域化を進めていただければというようなことで考えておりまして、そういうようなことをできましたらその基本指針の中にも書き込ませていただくというようなことを検討しております。

 それと、地方債の関係でございますけれども、どういう財政支援をする気かというのは当然再編の際に御議論の対象になるわけでございますので、できるだけその辺は具体的に明らかにできるように努めていきたいと思っております。

西村(智)委員 市町村合併のときにも随分細かく、合併特例債はこういうことで、こういう条件でというようなことをあらかじめ示して、そして合併など進んできたということもあるわけです。地方債のことについてもできる限りぜひ明確にしていただきたい、強く要望しておきます。

 さて、それで、この広域化が進んでまいりますと、少なくとも、消防吏員の方は別として、総務・管理部門の方々は人員の減少につながることになるのではないかと思います。この広域化がリストラのための広域化であったというそしりを受けないためにもきちんと御説明をいただきたいと思いますが、人員削減をするための広域化ではありませんね。また、減少したその人員はどのようになるのでしょうか。

竹中国務大臣 お尋ねのように、消防本部の総務部門等々、広域化の中で効率化で生じた人員、これは発生してくると思います。

 ただし、とにかく基本的な姿勢は、我々は、国民の安全、安心を確保することが重要であって、そのために消防防災体制の一層の強化を図るというのが私たちの姿勢でございます。具体的にこの法案の中でも、この広域化は消防体制の整備及び確立を図ることを旨として行われるんだということを明記しております。したがって、人減らしのためにということでは、これはもう厳にございません。

 具体的には、効率化等々によって生じた人員を必要に応じて現場活動要員に活用などして、一層の強化を図っていただくということを期待しているわけでございます。

西村(智)委員 それで、先ほども冒頭申し上げた地域の消防団、高齢化と担い手不足、共通した課題であるかと思います。今後、対応はしっかりと検討していかなければいけないというふうに思います。

 ところで、話は全く変わるのでありますが、内閣府が策定しております男女共同参画基本計画第二次改訂版、昨年の年末に策定をされました。この中で、「消防団における女性の活躍を促進し、全国の女性消防団員を将来的に十万人以上にする。」というふうに書いてあります。随分高い目標数値で、すばらしいことだとは思うんですが、この基本計画の中で、数値目標がやはり幾つか出ているんですね。例えば、育児休業取得率を男性一〇%、女性八〇%にすることを目標とするというふうに書いてあったりするわけですけれども、大抵の目標数値には実行達成年限というものが書いてあるわけなんです。

 ところが、この総務省の女性消防団員を十万人以上にするというのは「将来的に」というふうになっておりまして、プログラムがどういうふうになっているのかわかりませんし、見方によっては消極的なことにしかなっていないんだなというふうに見えるわけでありますけれども、ぜひそのような私の受けとめを払拭するように御答弁をいただきたいと思いますが、どうですか、消防庁長官、御感想は。

板倉政府参考人 消防団員はサラリーマン化がかなり進んでおります。そういう中で、地域の安全、安心を守るということになりますと、家庭を守るという意味で女性の活躍する場というのが広がっているのではないかという認識のもとに、消防団員として女性をできるだけ確保していきたい、これは私どもの強い願望でございます。

 十万人というのも、確かにおっしゃいますように、具体的な裏づけがあるわけではございませんので、我々の強い願望のあらわれということでありますけれども、近年におきましても女性団員の伸び率はかなり高いものがございますので、これをさらに高いものにしていけるような、何かいろいろな方策を私どもとしても考えて、何とかその十万人が将来達成できるように頑張っていきたいと思っております。

西村(智)委員 これは平成十七年版の消防白書でございます。ここに、「活躍する女性消防団員」というテーマで、この裏側は「活躍する女性消防吏員」というふうになっておりますが、ここのところにこんなふうに書いてあります。「社会環境の変化に伴い、地域に密着して生活し、地域コミュニティとの結びつきが強い女性の能力が地域防災力の充実強化のために一層期待されるようになり、」という表現ですけれども、私はこの表現にいささか違和感を持つものでございます。

 つまり、「地域コミュニティとの結びつきが強い女性」ということは、地域にいる、地域とのつながりの強い女性、逆に言うと、地域とのつながりのない男性、こういう図式につながっていきかねないわけですね。それを固定化するようなこの表現をぜひ見直していただきたいというふうに思います。

 私は、今、男女共同参画社会の時代というのは、一人一人が性別にとらわれずに、仕事と、地域を含めて家庭を含めての生活、とのバランスのとれた暮らしを送っていくことができる、これが求められている社会の姿なんだろうと思います。そのときに、地域にいるのが女性で、地域にいないのが男性であるというような、こういう固定化された考え方をあらわしかねないこういった書き方というのは次のときには見直していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

板倉政府参考人 特にそういうことまでを意識して書いているものではないと思います。

 ただ、実態を反映ということでそういう表現になったと思いますけれども、そういうようなことで問題があるのではないかという御指摘をいただきましたので、今後、そういう表現をする場合には、よく考えてやっていきたいと思います。

西村(智)委員 内閣府の男女共同参画基本計画にはそのような書き方はないわけですね。男女双方の視点に配慮するとか、男女のニーズの違いに配慮する、がゆえに女性消防職員の増加が望まれるというような書き方はありますけれども、地域の女性、地域にいない男性というような書き方はありませんので、ぜひお願いします。

 そこで、女性の消防職員についてお伺いしたいと思います。

 平成十五年でしたか、女性職員の採用について通知が出されたというふうに承知しておりますけれども、その後どうなっていますでしょうか。また今、女性職員をふやすための取り組みについてどのようなことをなさっているのか、伺いたいと思います。

板倉政府参考人 消防庁から、平成十六年でございますけれども、採用については男女の区別なく平等な受験機会が与えられることが必要である、警防業務の職域すべてから女性を排除することは適当ではない、男女別の仮眠室や更衣室、洗面所等の女性に必要な執務環境の計画的な整備を行うことなどにつきまして、各消防本部に対して通知をしまして、女性消防職員の採用及び職域拡大等の取り組みを促しているところでございます。

 十八年四月一日現在で二千八百三十五人となっておりまして、十五年四月一日の二千六百十八人から、二百十七名ではございますが増加をしているということでございます。

 今後とも、引き続き女性職員の増加について私どもも働きかけを強めてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 時間ですので、終わります。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、法案にかかわって、まず最初に伺いたいのは、今回の法案というのは、国が基本指針をつくる、基本指針に基づいて都道府県が推進計画を策定する。都道府県がつくる推進計画の中には、どことどこの消防本部を合併しようという対象市町村の組み合わせを必ず入れなければならないということになっておりますし、都道府県知事は、消防本部の広域化、つまり合併のための必要な援助を行う、法律上、こういう仕組みとしてあるわけですが、この手法は、都道府県を間にかませておいて、市町村消防の合併をかなり強引に進めていくというやり方につながってくると思うんです。この間の市町村合併推進の手法そのものと言えるやり方に見えます。

 市町村合併のやり方を今度は消防本部の合併でもやっていこう、これがこの法改正の一つのねらいではないかとうかがわれるんですが、このことをまず最初に伺っておきたいと思います。

板倉政府参考人 今回の法案でございますけれども、市町村の消防防災体制の充実強化を図るために、市町村の消防の広域化に関して、都道府県、市町村、消防本部等の関係者が十分に議論を行うための枠組みを準備しようとするものでございまして、各市町村におきましては、国の基本指針、都道府県の推進計画等を参考にしながら、みずからの地域の今後の消防防災体制のあり方について十分に議論を行っていただくことを私どもは期待しております。

 その上で、当該地域において消防の広域化を行うという結論に至った場合には、各市町村の協議によって広域消防運営計画を作成し広域化を行うということでございまして、広域化を強制するということではないということを御理解いただきたいと思います。

 法律の条文上も、市町村は、「広域化を行おうとするときは、その協議により、」「計画を作成するものとする。」としているところでございまして、その趣旨をあらわしていると考えております。

吉井委員 今のお話は、市町村合併のときも大体同様の言い方で説明をしてきたものなんですよ。この間、市町村合併、自主的というふうに言ってきたのは、大体合併推進論の方たちの言葉でありました。とりわけ小さな自治体である町村からは、自主的であったなどという言葉は今もほとんど聞かれません。

 総務省の方からもらっている資料を見ると、九九年三月三十一日とことし四月一日で比べて見たときに、合併で町村がどうなったのかというのを見ると、事実上の強制合併の七年間で、二千五百六十二の町村が千四十一の町村へと二・五分の一、三分の一近くに減ったわけですね。それを仕組みをつくってやってきたわけです。

 ですから、地方の声を聞きますと、二〇〇四年五月二十七日、平成の大合併に関する特別決議というのを全国町村議長会や都道府県会長会が行いましたが、その中で、国主導の理念なき大合併推進は、存否をかけた苦渋の選択を迫り、対立と混乱を生み出した、これは地方から出ていた声ですね。

 二〇〇四年十月二十二日に、市町村合併の進展と三位一体の改革の実現に関する特別決議というのが同様に同じ団体で行われましたが、この中では、法令や強力な行政指導により国の方針に従わざるを得ず、苦渋の選択として合併へいったというわけですね。

 二〇〇四年十一月十七日に、自主的判断に立った合併を促す特別決議というのが町村議長会全国大会で採択されましたが、この中では、国の方が合併後の自治体数、千を目標とするとの方針を変えず、その数値目標に合併を半ば強制するというやり方、これは地方分権時代にあってはならないことだという厳しい声が出されました。

 合併を推進する立場の者は自主的自主的と言いますが、実際に、広域化、合併というのは、皆さんの方の調査検討会報告を読めば、その考え方というのはきちんと読み取ることはできますが、しかし、合併の当事者の側は、今の地方団体の決議にも見られるように、読めば、それはそうではないというのが実情です。

 そこで、こういうやり方で消防本部の合併をやっていこうというのが今回の法律のやり方なんだなと。実際、趣旨説明の中でも「広域化を推進する」と。これは要するに合併の促進ですね、それが法律のねらいですから。

 ところで、今回の法案については、最初は六年間の時限立法、新法でやっていこうということを考えておられたんじゃないかと思いますが、この点はどうなんでしょうか。

板倉政府参考人 立法の形態につきましては、いろいろな形があり得たと思います。新法で時限立法にするという形もございますし、今回お願いしているような形もあるということで、政府部内で種々いろいろ議論をした結果、消防組織法の改正がいいだろうということでお願いをしているわけでございます。

吉井委員 実際、昨年十二月十九日付の読売を見てみますと、管轄三十万人未満の小規模消防を統合する、総務省が新法というふうに書いてありました。ですから、いろいろな考え方があったと言うんですが、実際には新法を考えてきていたというのが考え方としてあったのじゃないかと思うんですが、改めて伺っておきます。

板倉政府参考人 私どもは、選択肢の一つとして新法というのを考えていたということは事実でございます。

吉井委員 自治体の合併については、このときは、自治法上の規定としては廃置分合と境界変更で、手続も自治法上に明記されているわけですから、別に新たな法を起こさなくてももちろんいけるということだったんですが、しかし、一定の期間に特定の目的のために、自治法でいえば廃置分合、境界変更を行おうということで、特例法として市町村合併推進法がつくられたわけですね。

 ですから、上から合併をやらせようというのに別に賛成しているというわけじゃありませんが、法律の立て方としては、今回の改正内容のような場合には、消防組織法の中での改正じゃなくて特例法として提案するという、読売などが伝えていた方がある意味でいえば筋が通っているのかなと思うんですが、そうしなかった理由というのはどういうところにあるんですか。

板倉政府参考人 幾つかございますけれども、特段これでということはないのでありますが、やはり消防の広域化というのは、一時的な課題というよりは、これから将来にわたって進めていかなけりゃいけない、そういう問題であろうということで、消防組織法の改正ということにしたものでございます。

吉井委員 消防の広域化というんですけれども、これまでから広域的に消防活動をやってもらっているわけですね。それは、市の消防本部という形もあれば、幾つかの市町村ないしは町村が集まっての一部事務組合という形での現に消防の組織があって、そして消防応援協定によって、第一次出動だけでは不十分だ、火災規模が大きくなったら、応援協定に基づいて周辺の消防本部なり組合の方から駆けつけて、一緒になって鎮火に当たる。だから、そういう点ではネットワークを組んでやってきたわけですね。同時に、巨大合併といいますか、統合して、支署なり出張所がなくなってしまうと、現場から遠くなるということが防災の面では大きなマイナスになってくるんですね。

 だから、大事なことは、きちんと機能するもののネットワークをどう組み上げて広域的にも消火の体制をきちんとつくっていくかというのがこの問題の一番大事なところであって、ですから、それがかなり無理やりの合併というやり方で、とにかく規模を大きくすればいいという、この発想というのは、私は、事防災という面では必ずしも当たらないというふうに思うんです。

 そこで、先ほどからも出ておりましたが、消防力のことについて、その整備の問題を伺います。

 もともと消防組織法というのは、市町村消防、自治体消防の原則をうたっておりますし、組織法第六条は「市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果すべき責任を有する。」と。市町村が火災の予防、警戒、鎮圧、救急業務、人命の救助、災害応急対策その他の消防に関する事務を確実に遂行する、これは消防力の整備指針、第一条ですね。それができるように国が消防力の整備指針や消防水利の基準を示して、市町村に対して必要な施設及び人員の整備を要請しているということですが、要請だけじゃなくて、本当は、国としても、三位一体改革だ何だと言っているだけじゃなしに、この分野については、実際に地方の整備がおくれておれば、財政も含めてどれだけの支援をやるかということを考えるのが一番の先決だと思うんです。それをやらないと、ただやみくもに広域化したら整備できるというものじゃありません。

 ところが、よく見ると、施設及び人員の整備が、市町村の財政状況があって実際進まないわけですよ。消防職員の数はふえているんですが、現有車両に対する定員の充足率というのは三年に一度の調査で見ても減少傾向にありますし、実はよく見ると、消防力基準の見直しをやっていますね。だから、いただいた資料を見ておっても、九六年四月一日の算定数という基準の数字と二〇〇三年四月一日の算定の基準数がうんと変わっています。例えば、消防ポンプの自動車の整備状況。二〇〇三年四月一日の基準数で整備数を見れば、これは九五・五%で、足りないのは五%足らずということになるんですが、ところが、九六年四月一日ので見れば八六・七%、だから一三%以上基準に満たないわけですね。

 だから、その充足率が上がったという話は簡単にはいかなくて、実際には、分母を小さくすれば率が上がるのは当たり前の話ですから、本当に整備を進めるということは、やはりこれまでから、身近なところで消防資機材が整って、第一出動で、初期消火で鎮火をしてしまうというこの体制をどれだけきちんとつくっていくかというのがこの問題の一番のかなめだと思うんです。

 私は、そういう点では、やはり消防力基準の見直しがあって、さっきの数字で、消防職員について見ても、二〇〇三年四月一日の基準でいけば七五・五%ですから、まだ二五%職員が不足しているわけですが、九六年四月一日の基準でいけば七四・六%と、さらに充足率は低いわけですね。ですから、資機材もそうだし、実際、防災に当たる消防職員も十分充足されていない。四人に三人しかいない、四人に一人は足りないという状況ですから。

 ですから、こういう点では、管轄区域内に十五メートル以上の中高層建物がある場合に整備が必要とされるはしご車とか、あるいは危険物がある場合、石油化学コンビナートとかそういう場合はもちろんそうですが、化学消防車とか救助工作車、消防ポンプ自動車、この救助工作車とかこういうものは消防ポンプ自動車に比べても一〇%ぐらい充足率は大体少ない。

 だから、この辺の状況を見ると、どうもこの読売の記事が書いているように、この実態からすると、新法というのは、専門スタッフの確保やそれから特殊車両の装備強化などを進めやすくするようにこの法律を考えてきたというのも一つのねらいなのかなと。しかし、本当は、この法律を幾らつくってもそれだけでは充足にはならない。もっと財政問題の根本に踏み込まないと、財政的裏づけを持たない限り新法をつくってもうまくいかない、進まないと思うんですが、新法のねらいの一つは、この特殊車両等の整備という、読売に書いているようなことが入っているんでしょうか。

板倉政府参考人 御指摘ございましたとおりに、小規模な消防本部におきましては、財政規模が小さく、必要な職員の確保や装備資機材等の導入が困難というような場合があるというふうに考えております。そういうことで、小規模な消防本部で、人員、施設、資機材などの整備状況、充足率がより低いというような状況も事実かと思っております。

 そういうことで、広域化を進めることによりまして、先ほども大臣の答弁がございましたが、いわゆる管理部門の要員が少なくなれば、その人たちを警防の部門、消防ポンプ自動車に乗せるとか、そういうような方向で充実をすることができる、ないしは、小さい消防本部ではなかなか難しいのですけれども、必要なはしご車やそういう特殊車両の整備ができるというのも、これは広域化の大きなメリットであり、目的の一つかというふうに思っております。

吉井委員 広域化のメリットというお話なので、見ていると、今後の消防体制のあり方の中に出ている資料でよく読み取ることができますが、人口十万規模と三十万規模で見れば、消防ポンプ車は、十万規模のときのものを三十万規模とすると三倍ということになりますが、そうすると九台必要なのが六台で済むとか、要するに、どうもスケールメリットと言っているのは数を減らす方のメリットであって、本当に住民の安全という立場からすれば、身近なところで初期消火に当たってもらえる体制が進むのかという、本来のメリットからすると、言っておられるメリット論というのは必ずしも当たらないんじゃないかというふうに思います。

 広域化によって、消防力の整備指針の充足率、分母も変えていますから率として上がるかもしれませんが、消防資機材の絶対数がふえるというものじゃないということは研究会報告のポンチ絵のようなものを見ておっても感じました。

 例えば、九八年十月に埼玉県の朝霞、志木、新座、和光の四市の消防本部が合併して、これは研究会報告の合併したところの一覧に出ていますが、埼玉県南西部消防本部をつくっていますね。もとの市にあった消防署は支署、消防署数は変わらない。しかし、和光のある支署では、消防ポンプ自動車と救急車が一台ずつあったのが、消防自動車がなくなって救急車だけになったという事実があります。だから、消防力基準の充足率は合併によって引き上げられたんですが、支署から消防ポンプ自動車がなくなってしまった。

 火事は初期消火が一番大事ですね。その初期消火のときにすぐに飛んできた支署からの消防車がない、ポンプ車がない。幾ら時間がたってから周辺からたくさんの自動車が駆けつけてきてくれても、ぼやで済むものが一軒丸焼けになってしまったのでは、あるいは周辺への延焼が起こったのでは何にもならないわけですね。私は、やはり住民にとって身近なところから消防車がなくなっていくということは、スケールメリット論では、幾らそれを言ったって、大きな問題だと思うんです。

 これは一地域の問題ではなく、全国的に起こっておりますから、消防庁の資料では、この間、消防署と出張所の合計数はふえているんですが、消防ポンプ自動車は九六年の二万三千百六十五台から二万二千三百二台へと減っているんですね、絶対数では八百六十三台減っているんです。にもかかわらず、充足率は九〇・一から九五・五%に上がっている。何とも妙な話です。

 ですから、消防力基準見直しがあったとはいえ、消防本部の広域化、合併の結果、絶対数が減っているのに基準の充足率が上がる、こういうことでは、問題の解決にならないどころか、むしろ深刻にするおそれもあると私は思います。

 そこで、最後に一言だけ大臣に伺っておきたいんですが、そういう消防の施設や人員の整備を、数字合わせのように、上から鼻面を引っ張るようなやり方での無理無理の合併というものはやるべきじゃなくて、今一番大事なことは、むしろ内容充実のために財政的にどうしていくのか、この支援を考えることこそ国として考えるべきことではないかと思うんですが、大臣としての財政支援についての考えがあれば伺って、終わりにしたいと思います。

竹中国務大臣 消防の広域化をお願いしているわけでありますけれども、それを実効的なものにするためには国による財政支援も必要であるというふうに考えています。

 このため、現行の消防補助金などの財政的支援、これがあるわけですけれども、これに加えて、新たに、広域化を行った市町村がその計画を達成するために行う事業に要する経費については地方債について特別の配慮を行うということ、これは法の第三十五条二項にもう明記しているわけでございます。

 財政、もちろん多ければ多いほどいいわけですが、こういう状況でありますから、当然のことながら、一定の限度があるということは否定はできないと思います。ただ、今申し上げた地方債の特別の配慮を含めまして、必要な財政措置について、これは当然のことながら、法案を提出して広域化をお願いしたいということを申し上げている以上、我々としてもしっかりと対応していきたいと思っております。

吉井委員 広域化云々の話の前に財政支援というのは、今、人員で言ったら消防職員は七五%なんですから、二五%不足しているんですから、機材もそうです。この充実こそ当たるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 早速、質問に入ります。

 今回の改正のポイントが、今もございましたように、今後の消防体制のあり方に関する調査検討会の中間報告による人口三十万人規模というその点だろうというふうに思います。

 問題は、この三十万人規模という結論に至るプロセスというのはなかなか理解できないわけでありますが、あっという間にその結論に行ったなと。最初に三十万人規模というのがあって、それを正当化するためにいろいろな理屈をつけたんじゃないかな、非常にうがった見方ではありますが、そういう感じがいたします。

 そこで、この問題について二点聞いておきたいんですが、これでいくと、単独で三十万人規模の消防を持ち得るというのは中核市並みですね、そういう都市だけということになりかねないんではないかということが一つあります。そうなると、市町村の事務である消防という原則が有名無実になるのではないか。逆に、人口三十万人以下の自治体であっても、例えば一部事務組合あるいは広域連合、そういうふうないろいろな形で今消防がありますけれども、そういう消防もやはり市町村消防の範疇に入る、三十万人規模ということになった以降も存在する場合に、それは当然市町村消防という範疇に入るのかどうなのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

竹中国務大臣 三十万人の議論が出てきた経緯等々については、この答申の取りまとめの経緯で、これは必要があればまた消防庁長官から答弁をさせますけれども、基本的には、自分の町は自分で守る、この基本理念は極めて重要でございます。そして、そのことは、この取りまとめの中での中間報告等々でも明確に、そのことは重要であってそれは守るんだということは明記をされているわけでございます。いわゆる市町村消防の原則、自分の町は自分で守る、その基本理念は変わるところはないわけでございます。

 他方で、消防について、これは現実問題として、市町村が単独で処理するよりも共同でそして広域で処理する方が効果的であって効率的である場合が多いというのはやはり重要な事実であろうかと思います。現実に、これまでも一部事務組合方式等による共同・広域処理が推進されているわけです。現在、約千八百の市町村のうち千三百程度はこの共同・広域処理方式によっているところというふうに承知をしております。

 もとより、三十万というのは一律の基準ではございません。これもまた後で、必要であれば消防庁長官からさせますが、市町村消防の原則と共同・広域処理方式をとるというのは決して相矛盾することではなくて、原則を守りながら現実的に対応していけるものであるというふうに考えております。

重野委員 問題は、こうした広域化が本当に住民の生命財産を守るという点においてどれだけ貢献し得るのか、そこが最も大事な点であります。例えば、連絡があって火災現場に到着するまで時間がかかるわけですけれども、その火災現場への到着時間にこの広域化がどういうふうな影響を及ぼすのかという問題があります。

 この中間報告の中で、消防署の設置については、消防力の整備指針に基づき市街地の人口規模によって設置されているため、市街地が変化しない限り、広域化したとしても基本的に減少しない、こういうふうに書いていますから、そこら辺が、延着するというふうなことを想定しているわけではないだろう、このように思うんです。

 そこで、これまで消防庁が、一九九四年に「消防広域化基本計画の策定について」、また、二〇〇一年に同計画の見直しについて、さらに、二〇〇三年には「市町村合併に伴う消防本部の広域再編の推進について」、こういう通知を出しております。これら通知によってどれだけ広域化が進んだのかという点が一つあります。また、そうした進展に伴い、中間報告に言う平均到着時間や平均鎮火時間が現実にどのように変化したのか、具体的にお示しいただきたい。

板倉政府参考人 累次の広域化推進のお願いの通知をしておりますけれども、一部それによりまして実現をした広域化もございますが、私どもの理解としては、余り進んでいない、こういう理解をしております。そういうこともございまして、今回、あえて法律改正による広域化推進という手法をとらせていただきたいということでございます。

 さらに、御質問の平均到着時間や平均鎮火時間の短縮でございますけれども、広域化に伴いまして、第一のメリットといたしましては、一気に投入できる部隊が多くなるという意味で、火災の延焼を防ぐ力が格段に強くなるということが第一かと思いますけれども、さらに、おっしゃいますように、署所を適正配置する。これまでは市町村単位で置いておりますから、場合によったら、隣の市と非常に近いところに消防署があるというようなこともあり得たわけでございますけれども、それを適正配置することによりまして、より全体として時間が短縮されるということも期待されるかと思います。

 これにつきまして、具体的に調査を行ったわけではございませんけれども、例えば消防の広域化を行いました新潟県の西部広域消防事務組合消防本部というところがございますけれども、そこからは、救急自動車の平均到着時間が最大で五分早まったとか、平均鎮火時間が十分早まったとか、そういうような報告も受けておるところでございます。

重野委員 そこで、広域化の根拠づけに当たってよく使われている、消防力の整備指針、こういう言葉がたくさん出てまいります。この消防力の整備指針というのは、どういう性格、性質のものなんでしょうか。

板倉政府参考人 消防力の整備指針でございますけれども、国民の安全の確保という責務を有する国が、それぞれの区域、地域においてその責任を果たすべき市町村に対しまして、必要となる消防力に関する基本的な考え方と具体的な水準などを専門的、技術的観点からお示ししているものと理解をしております。

 消防力の整備指針は、法的な位置づけといたしまして、今御審議いただいておりますこの法律で改正する以前の消防組織法第二十条の規定に基づく消防庁長官の勧告でございますけれども、市町村は、この指針を整備目標として、地域の実情に即して具体的な整備に取り組むことが要請をされているというふうに考えております。

重野委員 法的強制力というんですか、拘束力というんですか、そういうものは持つものではない、いわば整備目標、こういうふうに理解をいたしますが、だけれども、広域化に当たって、その根拠づけに盛んにこの言葉が使われるんですね。今の長官の説明は、そういう現実に照らして見るときにいささか説得力に欠けるんではないかと思うんですが、そういう私の指摘が間違っているんでしょうか。

板倉政府参考人 御指摘のとおり、確かに、消防力の整備指針は法的拘束力を有するものではございません。しかしながら、社会環境の変化や防災・危機管理の必要性も踏まえまして、専門的、技術的な観点から、各市町村において必要となる消防力に関する具体的な水準などを国の立場でお示ししたということでございまして、市町村が消防力の整備を進める上での整備目標、そういう性格を有するものとしてお示しをしておりますので、各市町村におきましては、その趣旨を十分に理解して、示された各基準に基づいた消防力の整備に御尽力をいただいているというふうに理解をしております。

重野委員 消防力に関連して、中間報告においても、またことしの二月の消防審議会答申においても、三十万人規模以上に広域化するに当たって、機材、財政力はもちろんだが、マンパワー、消防職員の充足率が殊のほか重視されております。

 消防職員の充足率はどうかと調べてみますと、二〇〇〇年四月段階での充足率が七六・五%、二〇〇三年の四月になりますと、これが一%落ちて七五・五%となっています。この消防職員の充足率の計算方法というのは、どのような計算方法でこの充足率を出すんですか。

板倉政府参考人 消防職員の充足率の計算方法でございますけれども、分母といたしまして、消防車両の数に必要な搭乗人員数を掛けたもの、予防業務に必要な職員数、通信指令業務に必要な職員数、その他必要な庶務の職員数を合算して算定した数、これが分母でございます。分子が、各消防本部が実際に配置している消防職員の現員数でございまして、算定数に対する現員数の割合を計算した数ということでございます。

重野委員 そういう数字を調べてみたところが、例えば、分子に当たる実員数は二千人弱ふえている、なのに充足率は下がっている、こういう結果があるんですね。ふえているのに充足率は下がるというのはおかしいな、素人考えでこういうふうに私は思うんですが、これはどういうことなんですか。

板倉政府参考人 御指摘いただきましたとおり、十二年から十五年にかけまして、職員は千六百人余り増加をしているというのが実態でございます。

 ただ、先ほど申しましたとおり、いわゆる分母に用います数字の中に、消防車両に必要な搭乗員数というのがございまして、その消防車両の数にそれぞれの車両に必要な人員数を掛けたものを足したものが分母になっております。ということで、この間に救急自動車などの消防の車両が増加をしたという事情がございまして、その数を単純に計算いたしますと、増員の数よりも消防車両の増加による必要人員数の方が多いというようなことで、この率が若干下がったというふうに理解をしております。

重野委員 先ほどの説明に言うところの算定数がふえた、結果として率は下がる。ふえたんだけれども結果として率は下がる。

 こうなると、消防力の整備指針を定める政府としては、実員数のアップに資する手だてを講ずるのが当然だと私は考えるんですね。そういう思想に立って、政府は何か具体的に対策を考えておられるかどうか。

板倉政府参考人 消防庁といたしましては、各市町村が、消防力の整備指針を整備目標といたしまして、地域の実情に即しつつ、具体的に消防力の整備に取り組むことを常に要請してまいっております。

 このため、都道府県を対象にした防災主管課長会議ですとか、全国の消防長等を対象とした会議、研修会、市町村を対象とした質疑応答集の作成、さまざまな機会をとらえまして、各市町村が消防力の計画的な整備に取り組むよう指導助言をしておるところでございますが、基本的には各市町村において御判断をいただくという問題でございますので、これをいわば強制的に増加させるというような方策はないわけでございまして、引き続き充足について指導助言をしてまいりたいと思っております。

重野委員 整備指針の中で算定には現員数を使いながら、それを財源的に保障すべき地方財政計画での消防職員数においては、二〇〇二年度を例にとりますと前年度より約千人引き上げた、それ以降は全然ふやしていないんですね。固定しております。したがって、現員数に比べて一万二千人近く少ないんですよね。これはやはり私は問題だと思うんです。整備指針というものを消防庁が示している以上は、それに到達をするというか、実現する責任を政府は持っているんだろう。

 そこで、繰り返し申しますが、計画上の定員と現員数との差、そして、現員数と算定数との差を埋める財政上の措置を講ずることが政府の責任ではないのか、このように思うんですが、大臣。

竹中国務大臣 まず、事実関係を申し上げますと、平成十七年四月一日現在の消防職員数は十五万六千八十二人、地方財政計画上の人員はこれに対しまして十四万四千百五十三人でございまして、実員が計画数を上回っております。

 地財計画におきましては、先ほどから御議論いただいております整備指針の確保をもちろん目標とはしているわけですが、同時に、厳しい財政状況のもとで、まずは実態の消防職員数の状況を踏まえながら、今を現実の出発点として計上を行ってきたところでございます。

 実員数が計画人員を上回っている状況の中で、災害の現状にかんがみまして計画人員の増員を図ってきたところでございますが、これは言うまでもありませんが、巨額の財源不足そして債務残高を抱える厳しい状況の中で、計画人員を据え置いてきているというわけでございます。

 一方で、御承知のように、これからさらに五年間で四・六%を上回る純減を果たさなければなりません。この行革の方向に沿って、厳しい地方行革への取り組みを実現していかなければいけないわけでございます。

 もちろん、住民の安全、安心というのは極めて重要な問題でありまして、今回の、ことしの骨太方針の中でもそのことは十分に明記されるというふうに考えておりますけれども、平成十五年度以降、消防職員についてはこの水準を確保してきたところでもあります。

 今後とも、全体としての定員削減に取り組む、そして、真に必要な分野への重点的な計上に努める、そういうめり張りのきいた対応をしていかなければいけないというふうに考えております。

重野委員 もう時間も来ましたから、最後になりますけれども、計画と実員との差、今大臣が申されましたけれども一万二千人、この乖離分は、自治体が本当に厳しい財政の中でやりくりをして、一般財源で負担しているんですね。この分だけ自治体は一生懸命努力しているというふうに評価していいと私は思うんです。そういう自治体の自己努力に伴う一般財源の負担による職員分を入れても充足率は四分の三でしかない。こんなことは私は許されないと思うんですね。まず、地方財政計画の職員定数を是正することが先決ではないか。

 今大臣が答えましたけれども、再度その点について方向を示していただきたい。

竹中国務大臣 二〇〇五年度におきます計画計上数と実員数の差は、御指摘のとおり一万二千人。これは、二〇〇一年度の差一万一千人よりも、実は若干ではあるがやはり拡大をしているわけでございます。

 消防職員に係る地財計画の計上は、先ほど申し上げましたように、十五年度以降、公務員全体を大幅に定員の純減を図る中で、住民の安全、安心の確保から、同水準は確保している、据え置いてきたわけでございます。その意味では、相対的な確保には、我々も、全体の定員を減らす中で大変努力をしなきゃいけないというふうに考えているところでございます。

 現在、実員よりも一万二千人ほど計画人員が少ないわけでありますけれども、今後これは、各団体で策定された例の集中改革プランがございます。そこの中における総定員の純減を地財計画に反映していくわけでありますけれども、その中で、あわせて、市町村合併の進展、そして消防の広域化への取り組み等々の動向を踏まえながら、この計上のあり方について、先生がおっしゃったような問題意識を踏まえながら、ぜひ検討をしてまいりたいと思っております。

重野委員 終わります。

中谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、消防組織法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。

 消防庁は、これまで管轄人口おおむね十万人を目標にして、行政指導で消防本部の合併を推進してきましたが、法案はこの行政指導を法律にしたもので、その手法は、消防庁長官による広域化推進のための基本指針の策定、その基本指針に基づいて都道府県が推進計画を策定し、推進計画には必ず広域化対象市町村を含めるなど、この間の上からの市町村合併と同じものであります。平成の大合併は一段落しましたが、総務省は引き続きの合併推進を明言しています。

 しかも、指針に盛られる再編目標は、これまでの十万人から三十万人へと大幅に引き上げられることになっています。消防庁長官通知は、「消防行政運営のうえで、小規模消防本部の広域再編については、市町村合併により進めることが最も効果的である。」と、消防本部の広域再編は市町村合併と一体の取り組みを進めてきましたが、今回の改正がさらなる市町村の強制合併を推進するてことなることは容易に考えられるものであります。

 市町村消防の体制や能力の充実強化策は、国が指針を示し、それを目標に、市町村が自主的に車両や消防機材、職員等を確保する方法で行われてきました。これは、市町村は当該市町村の区域における消防を十分果たすべき責任を有する、それから、市町村の消防は消防庁長官や都道府県知事の運営管理または行政管理に服することはないなどの規定に見られるように、市町村消防の原則があるからであります。

 消防体制の広域化は、知事による強制的な方法でなく、市町村消防の原則にのっとって行われるべきものであることを申し添え、討論を終わります。

中谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより採決に入ります。

 消防組織法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

    ―――――――――――――

中谷委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、谷公一君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。

谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    消防組織法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 消防庁長官が定める基本指針に基づき、都道府県が消防広域化推進計画を策定するに当たっては、市町村消防の原則を維持し、関係市町村等の意見を聴取するなど地域の実情を十分に踏まえ、市町村の自主性を損なわないよう配慮すること。

 二 消防の広域化は、消防署の統廃合等を目的とするものではなく、消防隊員等の増強、高度な消防資機材の整備、救急業務の専任化等、質の高い消防防災サービスを提供できる体制を確立し、住民の安心・安全をより充実するために行われるものであるという、消防の広域化の趣旨の周知徹底を図ること。

 三 市町村による広域消防運営計画の策定に当たっては、現場の消防職員等に情報を開示し、その意見の反映が図られるよう指導すること。

 四 広域化された消防本部と市町村の防災部局との十分な連携体制の確立を図るため、両者の連携の重要性、具体的方策について、適宜適切な情報提供等を行うこと。また、広域化された常備消防と地域に密着した消防防災活動を行っている消防団や自主防災組織との連携強化を図るため具体策を講ずること。

 五 広域化対象市町村が広域消防運営計画を達成するために行う事業に要する経費について十分な財政的支援を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹中総務大臣。

竹中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

中谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中谷委員長 次に、内閣提出、参議院送付、国家公務員の留学費用の償還に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。竹中総務大臣。

    ―――――――――――――

 国家公務員の留学費用の償還に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹中国務大臣 国家公務員の留学費用の償還に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、昨年十月十八日の人事院からの一般職の職員の留学費用の償還に関する法律の制定についての意見の申し出を踏まえ、国家公務員が留学中または留学終了後早期に離職した場合に、国が支出した留学費用の全部または一部を償還させる制度等を整備するものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国の一般職の職員が、留学中に離職した場合には、国が支出した留学費用の総額を、留学の終了後五年以内に離職した場合には、国が支出した留学費用の総額に留学の終了後の在職期間に応じて百分の百から一定の割合で逓減するように人事院規則で定める率を乗じて得た金額を、それぞれ償還させることとします。あわせて、在職期間に含まない期間、適用除外となる離職、特別職国家公務員等となった者に関する特例等を定めることとしております。

 第二に、防衛庁職員及び裁判所職員、特定独立行政法人及び日本郵政公社の職員並びに地方公共団体の職員についても、国の一般職の職員に対する措置に関する規定を準用すること等を定めることとします。

 このほか、施行期日等について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

中谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十五分散会


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