衆議院

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第5号 平成19年2月27日(火曜日)

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平成十九年二月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    渡部  篤君

      逢坂 誠二君    後藤  斎君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務副大臣        大野 松茂君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官久保信保君、自治行政局長藤井昭夫君、自治財政局長岡本保君、自治税務局長河野栄君及び情報通信政策局長鈴木康雄君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 おはようございます。

 若干時間割りが変わって、最近いろいろな学校でも、ちょうど卒業シーズンでありまして、いろいろな行事の中で時間割りを変えることがありますが、当委員会でもそのような趣旨だというふうに理解をしております。

 大臣、先週もお尋ねをしましたが、NHKの問題をちょっと冒頭お伺いしたいと思います。

 先週、私どもの質疑の中でも、今のNHKの公共放送と民放さんの二元体制を大臣は維持したいということでありますが、改めてもう一度お尋ねをしますが、NHKを民営化、分割することなく二元体制でやっていくという大臣のお考えに変わりはありませんでしょうか。

菅国務大臣 前の委員会で申し上げましたけれども、あまねく全国というものを考えたときには、やはり今の二元体制というものが維持されることがふさわしいのではないかなというふうに考えております。

後藤(斎)委員 ちょうど先週の委員会が終了した翌日だと思いますが、大臣にアドバイスをするタスクフォースと申すのでしょうか、専門家チーム、放送と通信の融合に関する座長を務められた松原先生が大臣の方に、大臣も、例えば放送法の改正が今回予定をされておりますが、ただ無条件でNHKの受信料の義務化ということはしない、しかるべき対応をNHKでもとってもらわなければという趣旨の御答弁が先週もございました。そして、その専門家チームでは、NHKの体制のいろいろな変化がなければ義務化には強く反対だという報道が土曜日の各紙に載っております。大臣、この事実に現在でも変わりはないんでしょうか。

菅国務大臣 先週の通信・放送のタスクフォースの会合に、約一時間やったんですけれども、大体私も出ておりました。そして、それぞれの委員の皆さんから、忌憚のないNHKに対しての意見表明がありました。

 私、副大臣当時に政府・与党合意というものを実はまとめさせていただいています。その内容というのは、NHK内部の改革をまず徹底してやってもらう、そして料金の義務化、そして値下げ、こういうことが政府・与党合意の中に書かれておるわけでありまして、私は、基本的にはこの三つがセットにならなきゃならないというふうに思っております。

 まさにその前提として、現在の料金の体系、約三千三百万の世帯の方が受信料をお支払いいただいている、そしてまた、一千五百万前後の人がお支払いをいただいていない、こういう中で、その三千三百万世帯の方の負担の上にNHKというのは今成り立っておるわけであります。私自身も、地元に帰ってさまざまな国政報告会みたいなことで意見交換をするときに、余りにも不平等である、このことを強く実は言われています。

 そういうことから、義務化をして広く徴収をすることによって利益を還元する、このことは物すごく大事なことだというふうに思いますし、また同時に、約六千億円のNHK予算の中で八百億円近いお金が徴収をするのにかかっている。これは一二%から一四%が今日までかかっていますから、海外は四%前後でその聴視料を回収しますので、そうしたことも含めて、NHKの改革というのは、さらに音楽とかスポーツとかそういうものを切り離す、あるいは子会社間の統合だとかそういうものを、やはりきちっとした形でNHKそのものが改革を行う、このことも私は大事だというふうに思っていますので、やはりこういうことの前提の中で義務化、値下げというのは私はあると思っています。

後藤(斎)委員 報道でしか承知をしておりませんが、きょうの各新聞でも、昨日総務事務次官の方から、NHKのそういう引き下げも含めた改革案が出なければ、三月十三日が一応閣法の提出期限になっておりますが、難しいという趣旨の御発言をなさったようなことも報道されております。

 大臣、今大臣がおっしゃられたことが、NHKみずからが、三月の十三日前、ですから、いろいろな事務手続を含めればあと十日くらいで、そういう自己改革、値下げも含めたものが出てこなければ今国会での放送法の改正の中にNHKの受信料の義務化というのは盛り込まないということでよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 私は、国民の理解を得られないのじゃないかなというふうに実は思っています。

 義務化をしてNHKだけが焼け太りになるというのですか、そういうことはやはり避けなければならない。やはり国民の皆さんにわかりやすいメッセージというのが義務化の前提になるだろうと私は思っています。

後藤(斎)委員 ですから、端的に言えば、その条件、NHKみずからの改革案が出てこなければ、それも内容的に大臣が御納得いただけないものであれば、義務化は見送るということでよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 できるだけ検討したいというふうに思いますけれども、私の基本的な考え方は、今申し上げたとおりであります。

後藤(斎)委員 もう一点、質問通告はないんですが、これと関連して、大臣、きょう民放連の方にも民主党としてお話を聞いたんですが、二元体制は維持をしてもらいたいということと、NHKでも、今大臣がお話をしたような、いろいろな競合と協調を積み重ねてきたので国民から支持をされる体制が確立されることを期待するというような、大臣と同じような趣旨のことを言いながら、一方で、放送へのいわゆる圧力は極力避けてもらいたいということも、報道も含めて、されております。

 特に、以前から我々民主党も御提案をしているように、チェック機関である大臣が直接命令をしたりという、そこの部分がやはり問題ではないかな。独立機関も含めて第三者的なものが設けられて、そこが、例えば番組内容であるとか視聴率の、せんだってもお話ししたような内容であるとか、そういうものも含めて、やはりきちっと放送メディア全体の、監視と言うとまた語弊があるかもしれませんが、チェックのあり方をしていくことの方が望ましいと思いますが、その点について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 私の例えばNHKに対しての命令放送というのは、放送法で規定をされたものに従って私は行ったというふうに思っていますし、今回の再発防止策についても、国民の資産である公の電波を私ども所管し、そして放送事業に割り振りしているわけでありますから、そこによって捏造されたことが報道されるというのは、私は、これは極めて深刻な問題で、国民生活にとっても非常に影響を与えることだというふうに思っていますので、こうしたことについては、もちろん報道の自由だとか編集の自由というのは当然の中で、再発防止策というのは私は必要ではないかなというふうに思っています。

 それと、これは後藤委員と前にも議論した話でありますけれども、日本は議院内閣制を採用し、内閣の一員である各省大臣が責任を持って行政を執行する、このことは私は原則であるというふうに思っております。委員の指摘は多分行政委員会のようなものだというふうに思いますけれども、かつて日本にもそうしたものが存在した時期があったようでありますけれども、私は、現在のように技術革新が激しい中で、やはり今の体制が一番適切ではないかなというふうに思っております。

後藤(斎)委員 やはり、現行放送法の中でも、いわゆる政治からの独立性、政治に対する中立性というのが当然なければ、メディアとして、特に公共放送としての役割というものは絶対あり得ないというふうに思っています。これは今話をしてもお互いの水かけ論になるかもしれませんけれども、大臣、やはりそこは、議院内閣制であるからこそ、そういう点にきちっと対応ができる、そしてそれが国民からも、ニュートラルな機関でのきちっとした判断であればというものがやはり必要だと思いますので、その点については強く要望しておきたいと思います。

 もう一点、本論に入る前に、本論とも関係するんですが、二月の日銀の金融政策会合の中で、金利の引き上げが決まりました。基金、ストックで、プラスの財産であれば、いわゆる地方財政の部分で十三兆円ほどプラスの部分があり、また、借金の部分では二百兆円くらい普通債と企業債含めてあるという中、この金利引き上げというのは、一月からいろいろなトーンは変わっておるんですが、経済的な消費やいろいろな動向が一カ月で大きく好転したかどうかというのは、私の実感から言えばそんなにないんですが、いずれにしても決定をされたということで、もう先週くらいから普通銀行も含めていろいろな新しい商品やローンの引き上げとか、いろいろなものがされていますが、地方財政に、例えば十九年度の今回の予算、そして十九年度以降、どのような影響があるのか、大臣、端的にお答えをいただければというふうに思います。

菅国務大臣 日銀の利上げというのは、地方債の金利上昇、これは当然つながるだろうというふうに思いますけれども、その場合にでも、新たに発行する利子負担が重くなるわけでありますから、歳出の要因になる、しかし一方で、日銀の金融政策の結果、安定した経済成長が続くことになれば、税収等の増加にも寄与するだろうというふうに思っています。いずれにしろ、地方財政は多額の地方債残高を抱えており、金利の動向に十分注意しつつ、財政健全化の取り組みも進めていきたいというふうに思っています。

 今までどうだったのかということも私なりに実は気になっておりました。そういう面で顕著な方向で結果というのはあらわれていなかったようであります。

後藤(斎)委員 大臣、余り過去では顕著にあらわれなかったというお話が最後にありましたけれども、やはりこれから、少なくとも金利をどういう形で決めていくかというのはもちろん日銀の専決事項でありますが、やはり国内だけの関係だけではなくてもちろん海外の部分にもということで、これから多分緩やかに上がっていくという局面が想定をされるという前提であれば、これから地方財政全体も指導監督をしなければいけない大臣としては、やはりそこの点についても十分な御配慮というか目配りをお願いしたいというふうに思います。

 それに関連をするんですが、大臣、これから経済成長が本当にどういうふうになっていくのかはどうかして、今回のいろいろな目玉として、一つか二つの部分をまずお尋ねしていきたいというふうに思っています。

 一つの視点が、交付税特別会計の、要するに新規をやめ、これから借金返していくぞという意思決定を今回なさいます。その中で、借入金の償還計画というものも、私どもがちょっと欠席の中で決められてしまいましたが、十八年度の償還計画も含めてこれは補正で対応なさっています。それで、十九年度、今回は、五千八百六十九億。要するに今年度から来年度、十九年度から本格的に返していくということで、これは、平成三十八年まで一〇%ずつ基本的には前年度から償還額が上がり、平成三十八年には三兆五千八百九十七億円返していくというふうな計画が、地方の負担部分でございます。

 大臣、基本的には交付税額というのは、現在では約十五兆円、一時期、平成十二年では十九兆ほどありましたけれども、減ってきている。これが例えばこの十五兆で固定をされても、要するに借金の返済額、償還額が増加をしていくということで、やはり使えるのは、仮にその十五兆が一定で、経済成長が不透明な部分であれば、この成長の変化によって当然でこぼこが大きくあると思うんですね。

 きのう、いろいろ事務方の方とお話をしていたら、その交付税総額が決まるときに一番優先すべきは借入金、要するに償還金の返還なんだというお話をお伺いしました。ということになると、以前も、そうではなく、どうしても財源不足になるときには、それを特例にして、でこぼこを単年度で修正するということもあるんですが、やはりこれだけ明確な償還計画をつくられている、そして、優先順位はこの借入金の返還だということであれば、やはり使えるその交付税の部分が、税収全体が大きくふえない限りあり得ないということなんですが、大臣、この償還計画、本当に大丈夫なんでしょうか。

菅国務大臣 委員御指摘のお話ありましたけれども、この借入金の償還計画がすべてに優先するということはないと私は考えております。少なくとも、やはり私どもは交付税総額を確保して、その中で国民の皆さんが一定水準の行政サービスをできるようにするのが私どもの基本的な考え方でありますので、償還を最優先することではない、これは私から申し上げたいというように思います。

 いずれにしろ、総体的な考え方の中で償還計画をつくったわけであります。これについては、今後の安定的な経済成長というものが予測をされているわけですから、当然、歳出の効率化の努力や歳入確保を続けることによって、この計画どおり、私どもは目標として行っていきたいというふうに思います。

 なお、経済には不確実性というのが当然伴うものでありますから、今後の経済動向だとか、地方財源不足というものも、その時点では当然十分な検討になってくるだろうというように考えておりますけれども、少なくともこの先数年間は今の成長過程の中でこの償還計画ができるというふうに私どもは思っています。

後藤(斎)委員 大臣、先ほどちょっと、NHKの受信料の義務化にも関係をするんですが、大臣が受信料義務化は今のままではできないというお話をされたときに、昨年の政府・与党合意の中の、きちっとした経営のあり方を改善したり、受信料引き下げをしたりという、その条件をきちっと言われたはずなんです。

 大臣が、今のような形で、いやこの償還計画よりも、確かに単年度は財源不足をきちっと対応するということは当然のことなんですが、やはりきちっとした規律というか条件が、やはり明示、明示は余りないんですが、していないと、それは、大臣、やはりおかしいと思うんですよ。やはり、この地方負担分の三十四兆を、先ほどもお話をしたように、ことしは五千八百六十九億から、平成三十八年度には六倍近い単年度の返済をしていくという、これはもう計画できちっと明示をされていると思うんです。

 ですから、大臣、そこは、確かにそういうことは仮に起こり得るかもしれないけれども、やはり借入金の返済が優先順位が高くて、そして、その地方の税収をふやすというのは、前提があるかもしれませんけれども、やはり地方の中でもきちっとやっていくということがないと、後でちょっとお尋ねをしたいと思っていた、いわゆる公債費の高金利の部分の補償というか繰り上げの部分にもこれは大きく、地方には財政の計画をきちっとつくれ、そうでないと高金利であってもチャラにしないよということをきちっと言っているわけですよね。

 ですから、もう一度大臣、その点については、やはり借入金の返済が優先するのかどうかは別としても、大臣が今おっしゃられた、いやいや柔軟に対応するんだということが余りメーンで進むとよくないと思うので、その点について大臣、もう一度お尋ねをしたいと思います。

菅国務大臣 私は、委員の話の前提で、経済が悪くなった場合の前提の話をされたものですから、そのときは柔軟に考えざるを得ないじゃないかと。地方自治体が行政運営できないような状況になっては、それはまずいわけですから。ただ、私ども、今立てているこの償還計画の前提である経済成長が続く場合においては、これを私どもは完済するのが当然のことでありますけれども、もしそうでなくなったということの前提で私はお話をさせていただきました。

 経済というのは非常に不確実性が伴うわけでありますから、今の時点で十五年とかそういう先というのはなかなか予想できない部分もありますので、そういうことが言われたと私は理解をしたものですから。経済が私どもの今の前提より非常に悪くなった場合、そのときでも借入金を一番にするのかな、そういうふうに私はとったものですから。私どもは、一定の経済成長推計の中ではきちっと借入金を償還していくというのは当然のことだというふうに思っています。

後藤(斎)委員 大臣、もう一点。

 地方税と例えば国税を比較した場合、違いというのが、私、この委員会でも何度か指摘をさせていただいたんですが、地方税の滞納額、要するに、裏返して言えば徴収ができない部分が国税に比較して地方税が多い。ただ、いろいろな御努力の中で、平成十三年は二兆三千四百六十八億円から、いろいろな経済動向の変化もあるんでしょうけれども、平成十七年度には二兆三百七十六億円までその滞納額が減ってはきています。

 この中で、やはりまじめに払っている人。大臣、これは受信料の義務化もそうなんですが、なぜ義務化をしなければいけないか。先ほど大臣が、何度かこの委員会でも言われている、いやいや、もともともう三割の人が払っていないという前提だとおかしいよというお話を何度もされています。であれば、地方税をトータルとして二兆円いまだにやはり払っていない、まあ、どうしても払えないという方も、不納欠損額ということでこのうちの一割くらいがあるようでありますけれども、しかし、よく言われる、地方公共団体が非常に小さなエリアだと、知っている顔の人で滞納していても、なかなかお願いがしにくい、徴収がしにくいというお話もありましたが、この数年間でその部分も、合併で市町村の規模も大きくなっておりますし、やはりまじめに働いている人が二兆円という額を聞くと、おっ、すごいなというふうに当然思うわけですね。私も二兆円というのは見たことありませんけれども、大臣も多分現物はそうだと思いますけれども。

 だから、そんなときに、これを本当になくしていくんだという強い姿勢がないと、また、それぞれの自治体がやるんだろうということでは困るんであって、総務省として、メディアの悪い部分、大臣がおっしゃられたような行き過ぎた部分は大臣のお立場でということも、私は個人的には、お考えというかお気持ちはわかりますが、もっと、やはり税という部分は国民生活の一番義務と負担の部分のベースでありますから、ぜひ、私は、この二兆円の今ある地方税の滞納額というものをなくすという強い姿勢の中で、今後の対策についてお尋ねをしたいと思います。

菅国務大臣 これからも、地方分権を進めていく上でも、地方の自主財源である地方税を充実させていくということは、これは当然極めて大事なことであります。

 そういう中で、歳入を確保する、税負担の公平を保ち、納税者の信頼に基づく行政を展開する観点からも、徴収率を向上させていくというのは努めなきゃならないというふうに思っています。基本的には、地方団体が自発的努力において徴収努力を尽くすことが大事であると思っています。

 また、近年では、滞納整理組合の設立など広域化や、都道府県、市町村間の連携強化、また、地方団体の創意工夫による滞納処分の実施など、積極的な取り組みが地方公共団体の中では行われております。

 また、総務省としても、地方交付税の算定における徴税努力を反映する仕組み、こうしたものも実は導入をしておりますし、コンビニ収納など民間委託、これも推進をしています。また、軽油取引税の脱税防止策の強化や、自動車税の月割り課税の廃止等の制度改正など、徴収率を向上するための環境整備に取り組んできているところであります。

 ことしから三兆円の税源移譲、これが行われますので、地方税というのはますます重要になってきます。今後とも、委員の御指摘のように、こうした徴収率が上がるように総力を挙げて取り組んでいかなきゃならないと考えております。

後藤(斎)委員 これは、それぞれの地方自治体の主体でやるというのは当然当たり前のことかもしれませんが、徐々に回復をしているとはいっても、冒頭御指摘をさせていただいたとおりなので、大臣が今お話をしたような形の、やはり最後の部分で国もどういう形でその責任の一端を有すのか。

 だって、大臣、当たり前に考えて、地方税の二兆円がそのまま地方自治体の財政収入になれば、それだけ、自治体自身もそうですし、国からの交付税のいろいろな算定の仕方も当然変わっていくわけですよね。ですから、私は、国のこととしてもやはりそこは対応していくべきだと思うんですが、ぜひその点はこれから、確かに放送法に係る専門家チームもいいんですが、主管の、地方税局でしたっけ、きちっとした局も総務省の中にあるわけですから、やはりそういう企画立案、そして指導というのがやはり総務省の本骨頂であるというふうに私は思うので、そこは、ぜひ、局長以下、さらにそういう部分を、本当に実利というかきちっとした徴収が上がるような形の対応をしていただきたいというふうに思います。

 続いてですが、先ほどもちょっと指摘をさせてもらったんですが、もう一つの今回の法改正の中で大きな視点というのが、いわゆる高金利の部分だった普通債並びに企業債の繰り上げ償還の新設の部分であります。

 これは、いろいろなお話を聞いていると、今まで、財務省、旧大蔵省から絶対だめだということで、なかなかその部分が、総務省としたらやりたかったけれどもできなかったというお話は聞いております。しかし、大臣もそうだと思うんですが、特に公営企業の部分は、本当に七%、八%でお借りをして下水をつくったり水道をつくったりという市町村、たくさんあったわけですよね。いろいろなお話を承ったこと、私もございます。だから大臣はもっと多いと思うんです。

 やはり、その部分のいろいろなやりとりが、なぜ今までできなくて、今回できたというのは、財務省がみずからの部分でその分を昨年から導入したということがメーンなのか、それとも、やはり総務省のたゆまない努力が今年度から実を結んだということか、どちらでしょうか、大臣。

菅国務大臣 どちらかといえば、これは両方相まってという形になると思いますけれども、それは、私も横浜市会議員を二期務めましたので、国会に当選させていただいてから、毎年このことをやっていたんです。こんなに金利が低いのに、七・五とか八、上下水道だとか地下鉄、そうでありましたから、私はずっと強く党内で主張をし続けてきました。そして、多くの仲間の議員もそういう形で続けてきたところであります。

 私も、実は、総務大臣に就任をして、このことについては風穴をあける最高の機会だ、そういう意味で、非常に強い決意を持って臨んだということも事実であります。例えば、十七年に、住宅金融公庫、これの特殊法人等の一部に補償金なしで繰り上げ償還が実は行われています。そして十八年には、十二兆円の金利変動準備金の国庫納付が行われた。こういうこともあったものですから、なぜ住宅金融公庫がよくて市町村がだめなんだと、私は役所に大号令をかけました。

 うちの事務方も、これは徹底して財務省と、ある意味では当たり前のことでありますけれども、頑張ってくれたというふうに思っております。そういう意味で、地方からもこのことに対して物すごく強い要望もあったこともそうでありますし、やはり現実的問題として、この低金利のときに、今、一番高いのが、八・五%というのがたしか五百億円ありました。そういうこともあって、今回、事務方の皆さんも一生懸命に頑張って周りの環境を整備してくれた。

 実は、これをやっておりましたら、私ども、所管で郵貯を抱えていますから、そちらの方も逆の問題が出てきました。これを私がやるという話になってきましたら、総裁からも新しい会社の社長からも反対ということで私のところへ来ましたけれども、これは私の判断で、こんないい機会はなかったものですから、それは処理させていただいて、今度のことが実現した、こう思っています。

後藤(斎)委員 大臣、今回、普通債、公営企業債合わせて大体五兆円が対象だというふうにお聞きをしています。それに要する費用は八千億円だというふうにお聞きをしています。

 これは「地方財政の状況」という総務省が前に出されたもの、三センチくらいある厚い本ですが、その中に、先ほど大臣が触れられた利率別内訳というのが地方債と公営企業債別に大体書いてあります。それを見ると、大臣、よく聞くと、高金利で借りているところは、特に、いつも地方の格差、地域間格差をお話しさせていただいていますが、いわゆる小規模の市町村とかが結構多い、高金利で借りているところが多い。ですから、もしこれをもっと、例えば財源を八千億から一兆円とか、倍増をしながらやれば、もっとその部分が負担が軽減をされ、これからの、この条件にもなる財政健全化計画にもプラスになるというふうに思うんです。

 例えば地方債でも、これは区切りがよくわからないんですが、五%以下と五・五%以下という何か不思議な区切りで利率の内訳があるんですが、五兆円以上、企業債も含めれば十五兆円ぐらいの金額が五%を超える部分であると思うんです。大臣、その利率が五%に絞られて、なおかつ五兆円という規模、それをもう少し例えばふやして、今のよく言われている地域間格差の是正にもつながるということで、今、自民党席からも久方ぶりに大臣を褒めるようなやじが飛びましたが、私はいつも褒めているんですが、そういうことも含めて、やはりもっと枠の拡大ということも含めてきちっと対応した方がいいと私は思うんです。

 大臣、その点について、八千億じゃなくて、もっと枠の拡大をして、きちっと地域間格差という視点も含めて対応するんだという強い御決意をもう一度この委員会の場でお願いしたいと思います。

菅国務大臣 私も、実は十兆円全部やれという話の大号令をかけてきました。実は、この前に、たしか四、五年前だと思いますけれども、そのときは七%以上のことを繰り上げ償還で一回やったことがあります。そういう歴史的な中で、住宅公庫に対して財務省がある意味で踏み切ったわけですから、それを口実に私ども、今回、十兆円の二分の一、そういう形になったわけであります。

 私も、地方公共団体がこの低金利の時代にこうした高い金利を多く抱えている、それを是正するというのは所管大臣として当然のことだというふうに思っておりますので、さらにこの対象が広がるように、私もこれからもたゆまず努力をして頑張っていきたいというふうに思っています。このことがやはり地方が安定的に財政運営できる一つの大きな問題であると、問題意識として私も持ちながら、頑張っていきたいと思います。

後藤(斎)委員 残念ですが、大臣が何か中座をされるということであります。本当はここで質問を打ち切りたいと思いますが、そういう指示も出ておりますので、あと残り五分間、続けさせていただきます。

 私は、今回の法改正の中で、いわゆる個人住民税の現年度課税ということが、政府税調で検討ということが指摘されたにもかかわらず、盛り込んでいないというのは、非常に何かスピードが遅いなというふうに実は思っています。

 きのうのスポーツ新聞をごらんになられた方もいらっしゃると思いますが、野球の中村選手が、前年度課税、納税額が幾らかは別として、私も落選したことがありますから、前年度に住民税をかけられると何百万というのが来まして、払えないんですよね。ですから、所得税は当年度課税でありますから、払える金額がその当該年度にあるということで、その点はやはりできるだけ直近の所得なりに比例をして対応するというのが税の大原則だと思うんです。

 その点について、私は、個人住民税についても、やはり当年度の所得に応じた中での決定そして課税というものをぜひ早急にしていくべきだと思うんですが、その点についてどのような御見解を副大臣はお持ちでしょうか。

大野副大臣 大臣が予算委員会の方に行かれましたので、かわって、副大臣でございますが、お答えをさせていただきたいと存じます。

 個人住民税につきましては、ただいま御指摘がございましたように前年所得に対して課税をしておりますが、一般的に、所得課税におきましては、所得発生時点と税負担時点をできるだけ近づけることが望ましいという観点から、現年所得に対する課税に改めるべきとの御指摘がありますこと、御指摘のとおりでございます。

 一方で、この個人住民税を現年課税の仕組みに移行した場合でございますが、所得税と別個に個人住民税につきましても年末調整が必要になります。給与支払い者の事務負担がそのことで大きくなりまして、また、相当数の納税義務者に対しましては、新たに確定申告を行う必要が生じるなどもございますものですから、解決しなければならない課題がここらにありますこと、御認識のとおりでございます。

 近年、IT化の進展であるとかあるいはまた雇用形態の多様化など、社会経済情勢は変化をしつつありますことを踏まえますと、現年課税化の可能性につきましても引き続き検討してまいること、研究してまいることが大事であろう、こう思っております。

後藤(斎)委員 副大臣、きょうは時間がなくて指摘できませんが、なぜ今回また退職手当債を倍増近い大きな金額にしてきたかというのは、やはり団塊の世代の一斉退職というのがこの二〇〇七年からの大きな問題として発生する。同じように、退職される方も、今までの収入からかなり減った中でそういうものが課税される、今までよりもそういう対象がふえるわけなんです。

 だから、そういう中で、今大臣がお答えになったものでは、情報通信とか、地方も含めてIT化を進めてもっと効率的な政府にしようという趣旨と違うじゃないですか。そこは、そうじゃなくて、さっき大臣がお話しになられたように、いろいろな問題はあるけれども、やはり必要なことであればするという話をしてください、今。

大野副大臣 ただいまお答えしたとおりなんですが、ともかく、こうしたいろいろな事情が変わってきておりますものですから、それらに対応するということは大事なことでございますし、それはまた、納税者の皆さん方のあるいはニーズがそこにもあるかもしれませんし、十分そういうことを承知しながら対応を急ぐべき、このように思っているところでございます。

後藤(斎)委員 もう一点、大臣、これが最後になるかもしれませんが、年金についてもそうだと思うんです。個人住民税を年金の部分から天引きしない今まだ仕組みになっています。

 これは社保庁の問題とも絡むというお話を聞いていますが、社保庁も今回大きく模様変わりをします。

 やはり、今ある公平性とか、そういう税のものの中から対応していく。時代の変化によって、これから退職者の方も非常にふえていく、年金で生活される方も非常にふえていく。公平性や平等性の観点、中立性も含め、いろいろな部分が急速に変化をしているので、私は今、年金からの個人住民税の天引きもそうですが、それと先ほどの現年度課税の部分、この二点についてはぜひ前向きに、早急に検討をし、そしてきちっとした結論を得てもらいたいと思いますが、あわせて御答弁をお願いしたいと思います。

大野副大臣 個人住民税、またただいまの年金からのこと、それぞれ御指摘をいただいております。

 総務省といたしましても、関係省庁とともにこの制度を詳細に検討を進めることも大事でございますので、市町村における準備が円滑に進むように適切な情報提供も努めなきゃならないと思っております。

 また、年金につきましては、平成十九年度の政府予算におきまして社会保険庁に所要のシステム開発経費が計上されております。これらも十分踏まえる中で、年金天引きにつきましてもシステム開発を進める予定でございますので、御理解いただきたいと思います。

後藤(斎)委員 時間が来ましたので終わりますが、きょう通告して時間の関係でできなかった分はおわびをしながら、副大臣に再度その分については強く要望して質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 おはようございます。公明党の江田康幸でございます。

 本日は、地方税法また地方交付税法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきますが、三十分という短い時間ですので、幾つか焦点を当てて質問をさせていただきます。

 まず、地方税法に関して、最初に住宅のバリアフリー改修にかかわる固定資産税の減額措置についてでございます。

 現在、我が国では高齢化が急速に進んでおりますが、介護が必要になっても住みなれた自宅で暮らしたり、また自宅での転倒事故による介護が必要な状態になることを防止するためには、住宅をバリアフリー化していくことは政府として取り組むべき大変重要な課題であるわけでございます。

 我が国におきましては、高齢者等が居住する住宅のバリアフリー化はまだそれほど進んでいないというのが現状だと思います。公的助成としても介護保険給付と自治体による補助金がございますけれども、介護保険による住宅改修費の給付は、要介護または要支援の認定を受けた者の居住する住宅に限られている等の限界があるわけでございます。

 公明党としましては、このような現状を踏まえまして、特に高齢者や障害者に配慮して、住宅のバリアフリー化を促進していくような支援を税制面でも行っていくべきであるとしまして、これまで積極的に取り組んできたところでございます。これをまた受けまして、今般の税制改正におきまして、所得税とともに固定資産税における減額措置が盛り込まれたことについては高く評価するところでございます。

 せっかく優遇措置が創設されるのでございますから、なるべく多くの国民が適用を受けられることが望ましいと考えます。今回、地方税において制度を創設するに当たりまして、どのような方を対象とするか、また適用対象が広がるようにどのような点に配慮しているかについてお尋ねをさせていただきます。

大野副大臣 御指摘がございますように、急速に高齢化が進んでおります。そうした中で、高齢者や障害者にとって安心、安全にして快適な居住環境を確保することは、住宅のバリアフリー化を推進していく上で極めて重要な認識でございます。

 これに対応すべく、地方税におきまして住宅のバリアフリー改修を支援するために、六十五歳以上の高齢者、要介護者や要支援者、障害者が居住する住宅において一定のバリアフリー改修を行った場合に固定資産税の減額措置を講ずることとしております。

 この特例におきましては、できるだけ多くの方が利用しやすい制度としていくことが肝要でございます。その意味で、高齢者が居住している住宅であれば、その親族等が所有する住宅も対象とすること、工事費用については、補助金等を除いて三十万円以上であれば、自己資金であると借り入れであるとを問わず対象とすること、市町村への申告につきましても、改修箇所の写真や工事関係書類の添付等の簡易な手続で足りるものとすること、このようなことの配慮をいたしているところでございます。

江田(康)委員 できるだけ多くの国民が適用を受けられるように、よろしく対応をしていただきたいと要望をいたします。

 次に、テレワークを推進するための固定資産税の特例措置についてお伺いさせていただきます。

 安倍総理も、施政方針演説の中で、テレワーク人口の倍増について言及しておられました。テレワークを推進していくことは、在宅勤務を可能にすることによりまして働き方を多様化して、子育て中の女性や高齢者や障害のある方々などが安心してその持てる能力を発揮する機会を得られること、また、通勤ラッシュとか交通渋滞の緩和等を通じまして、私も関心の大きいところでございますが、地球温暖化対策にも貢献するなど、現在の我が国が抱えている社会的な課題の解決に向けて高い効果があるものと考えております。

 我が国では、インターネット環境が著しい向上を見せておりまして、テレワークの導入に向けた環境は既に整っていると言えます。しかし、我が国におきましては、テレワークの人口の就業者に対する割合というのは、残念ながら諸外国に比べてまだ低い比率にとどまっているのが現状でございます。

 公明党としましては、これまでテレワークの推進に積極的に取り組んでまいりました。その一つの手段として、導入に要するコストを軽減する観点から、税制上の特例措置の創設を主張してまいりましたけれども、今回の地方税法の改正によりまして固定資産税の特例措置が創設されることとなったことは大変すばらしいことだと思います。

 つきましては、まず、具体的にどのような設備を対象とした特例措置となるのか、お伺いいたします。また、テレワークの推進に当たりましては、今回の税制上の措置を含め、幅広い取り組みが必要と考えておりますけれども、総務省として今後どのように取り組んでいかれるおつもりか、所見をお伺いいたします。

谷口大臣政務官 お答えをいたします。

 今御指摘ありましたように、テレワークというのは、情報通信を活用して、場所にもとらわれない、時間にもとらわれない、こういった多様な就労形態であるわけであります。御指摘ありましたように、少子高齢化への対応、それから、わざわざ都会に出なくてもいいという、地域の活性化とか、それから環境保全等、こういったことに寄与するとともに、仕事と家庭生活の調和という、ワークライフバランス、これを可能にする、こういったメリットがございます。

 ただ、テレワークの導入に当たっては、やりとりする情報が、機密性の高い、そういう情報でありますので、どうやって安全性の高い情報通信環境を整備するか、ここが重要になってくるわけであります。

 そういった観点から、今回の固定資産税の特例対象なんですけれども、シンクライアントサーバー、それからシンクライアント端末、ちょっとわかりにくいですけれども、要するに、パソコン側で入力と画面の表示だけをして、実際の情報処理はサーバー側で行うということでセキュリティーを確保する、こういったものとか、それから、VPN装置と言われる、通信を暗号化してセキュリティーを高める、こういった装置を特例の対象として企業のテレワークの導入を支援していく、こういうふうになっております。

 それから、総務省としての取り組みでありますけれども、先ほどのこの税制上の措置に加えまして、十九年度予算案の中に、中小企業が簡単にまた安全にこのテレワークのシステムを導入できる、テレワーク共同利用型システムの実証実験というのを計上しております。それから、それに加えて、とにかく政府みずからが率先してやっていこうということで、総務省職員のテレワークを昨年十月から開始しておりまして、現在、育児とか介護とか、こういったことに携わる職員を対象として、今七名がこのテレワークをしております。今後、対象の職員を拡大していく予定であります。

 こういったさまざまな施策を通じて、テレワーク人口の倍増に向けてしっかりと取り組んでまいる方針でございます。

江田(康)委員 これから、団塊の世代の大量退職によりまして、高齢化も大きく進んでまいるわけでありまして、また、障害者の方々の社会参加、これを可能とすることもありますでしょうし、子育て中の家庭に対しても雇用の機会が続けて得られる、そういうような意味でも、大変このテレワークというのは画期的な取り組みだと思っております。前古屋政務官、また谷口政務官、大変積極的に取り組んでこられていることでございますが、公明党としても大きく本当に進めていかなければならない重要な政策であると思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まず、先ほどから御質問もありますけれども、最初にお伺いするのは、地方公共団体の繰り上げ償還についてお尋ねをさせていただきます。

 今まで、地方公共団体は、過去の高金利であったときに借りた地方債の金利コストに大変苦しんでまいりました。公的資金について、何とか補償金なしで繰り上げ償還ができるようにという要望、私も常に伺ってきたわけでございます。これは長年における国会の課題でもございました。そのような中で、昨年末の地方財政対策の中で、平成十九年度から三年間、金利五%以上の地方債、これは総額十兆円以上の半分が対象になるというレベルだと思いますが、補償金を支払うことなく繰り上げ償還を行う措置が盛り込まれたわけでございます。このことは、厳しい財政状況の中で高金利、その負担にあえぐ自治体にとりまして、大変負担を軽減させるものとして歓迎の声が各市町村からも上がってきております。

 そこで、今回のこの繰り上げ償還について伺いますけれども、普通会計債は実質公債費率や市町村合併などが対象団体の基準となっております。一方、対象となる地方債の多くを占める上水道や下水道などの公営企業債の基準につきましては、具体的にどのような内容でしょうか、お答え願います。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、今回の補償金なし繰り上げ償還の対象となります約五兆円の地方債残高のうち、約八割を公営企業債が占めております。この具体的な基準としましては、厳しい公営企業の経営状況を踏まえまして、徹底した経営改革を行う地方公営企業を対象に、金利の段階に応じて具体的な基準を定めたいというふうに考えております。

 具体的には、例えば上水道でございますと、例えば、用水供給の一トン当たりの利息あるいは減価償却費、いわゆる資本費といっておりますが、資本費が高い公営企業はそれだけ経営が苦しい、その分、ある意味では多くの場合は住民の負担につながっているというようなこともございますので、そのような高い団体から優先的に対象範囲を決めるということをいたしますとか、あるいは、七%を超えるような高利のもの、相対的に高いものにつきましては、多くの公営企業がほとんど対象になるようにしようとかいうようなことを、現在、各団体の御要望をお聞きしながら調整をいたしておりますが、先ほど来御指摘ございますように、今回こういう制度を導入いたしました趣旨にかんがみまして、より多くの地方公営企業にこの制度を活用していただきますように設定をしてまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 わかりました。今の繰り上げ償還も大変大事なところでございます。

 続きまして、交付税の特別会計の借入金についてもお尋ねをさせていただきます。

 平成十九年から交付税の特別会計借入金の計画的な償還を行うこととしまして、今般、地方負担分の借入金三十四兆円につきましては、新たに償還計画を作成して償還を開始することとしたわけでございます。

 交付税の特別会計借入金、約五十三兆円の多額に上っているわけでございまして、速やかに償還を開始しなければ地方交付税制度の持続可能性というものが損なわれることになるわけで、本格的に取り組むとしたことに関しまして高く評価するところでございます。

 地方の借入金としましては、交付税特別会計の借入金のほかに、一方で各地方団体が発行した多額の地方債がございます。地方財政の健全化のためには、交付税の特別会計借入金の償還とあわせて、地方債残高の縮減も重要な課題と考えますが、平成十九年度の地方財政対策におきましては、この点でどのような対策を講じられたのでしょうか。

 また、交付税特別会計借入金の今後の償還につきまして、現行の平成三十八年までという償還期間を延長せずに、毎年度償還額が一〇%ずつ増加する計画となっているわけでございますが、後年度における償還財源は確保できるのでしょうか。地方交付税の総額が大幅に減少して、財政力の弱い地方公共団体に大きな影響が与えられることがないように、政府の見解をお尋ねいたします。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 まず、地方債の縮減についてのお尋ねでございます。

 十八年度末見込みで、現在、地方財政全体としては二百一兆円の債務残高を抱えるというふうに見込んでおります。これらを踏まえまして、十九年度の地方財政計画におきましては、まず、歳出全体の抑制をいたしますとともに、幸い景気回復に伴います地方税収の増もありますことから、財源不足も縮小するということもございますので、今の御指摘のように、地方債全体を、まず新発の地方債を抑制するという対策に取り組みます。具体的には、臨時財政対策債などの特例的な地方債を七千億円減額するということも含めまして、地方債全体で約一・二兆円の減額というふうにいたしております。この結果、地方債残高も十八末と比べますと一・五兆円の減になるというふうに見込んでおります。

 これにあわせまして、今御指摘のような、特会借入金の償還のスタートをするというマクロの、長期債務残高全体の縮減を図るということとあわせまして、また、個々の団体の地方債といいますか、公債費の対策として、先ほど御指摘ございました補償金なしの繰り上げ償還という措置も講じたところでございます。

 もう一つのお尋ねでございます交付税特会の計画的な償還の確保というお尋ねでございます。

 この特会の借り入れの償還計画は、先ほど来御指摘ございますように、一定の経済成長を前提にやっているわけでございますが、政府の「進路と戦略」等を前提といたしますと、今の償還計画の毎年度の増加額は、当初五百億円程度、最終年度で三千億円程度の増加になるというふうに見込んでおりますが、地方交付税の法定率分の方は、二十年間の平均を見ますと平均五千億円程度増加するということになっておりますので、償還計画は、この前提のもとでは可能なものというふうに考えております。

 もちろん、経済の成長は不確実性を伴うものでございますので、経済が順調に推移しないという場合には、また経済の動向、財源不足の状況も踏まえて十分検討し、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。地方交付税の総額が減少して大きな影響を与えることがないように、よろしくお願いしたいわけでございます。

 次に、児童手当の拡充に伴う財源措置についてお尋ねをさせていただきます。

 児童手当といえば公明党と、我々は自負しておりますが、もちろん、自民党、公明党、政権与党で、少子化対策、また子育て支援として、大変重要な政策として大きく進めてきたところでございます。これまでも、当初三歳でございましたけれども、それを六歳まで、そして六歳から小学校三年生まで、さらには小学校三年から小学校六年生まで、昨年引き上げさせていただいたところでございまして、当初の二百四十一万人から現在は千三百十万人と、五・四倍に広がっている児童手当でございます。

 今回、乳幼児加算というものを創設するということで、三歳未満の第一子、第二子に対する手当を、これまで五千円でございましたが、それを一万円、倍増し、この平成十九年度四月から実施されることとなっております。子育て世帯の負担軽減を図る支援策、このことにつきましては、これまでも多くの要望があったんです。特に、やはり収入の少ない若い子育て世代を支援するために、乳幼児の児童手当を手厚くするということは非常に大事だったわけでございます。

 しかし、他方で、国、地方とも財政が厳しい中で、地方は公費の三分の二を負担しておりまして、地方の負担増に対しましてしっかりとした財源が確保されることが必要でございます。

 平成十九年度の地方の負担増につきましては、臨時的な措置としまして地方特例交付金により対応することとされたわけでございます。これは、やはり、無駄を省いて必要な財源を確保する、すなわち、行政改革等で公益法人に積まれた基金、これを国庫に返納するという措置をとりまして千七百億円捻出してきた、その財源がこの地方特例交付金によって対応されることとなったわけでございます。

 問題は、平成二十年度以降について恒久的で具体的な財源が確保されることが必要であります。総務省として、平成二十年度以降の財源確保にどのように取り組んでいくのか、力強い副大臣の御所見をお願いしたいと思います。

大野副大臣 御指摘のように、今回の児童手当拡充に伴う平成十九年度の地方負担の増加分四百七十億円につきましては、地方特例交付金により単年度の措置を講じております。

 そして、平成二十年度以降の財源についてでございますが、国の負担分を含めまして、平成十九年度与党税制改正大綱におきまして、「少子化対策のための国・地方を通じて必要な財源の確保について、税制の抜本的・一体的改革の中で検討する。」こうされたことを踏まえまして、その対応を進めていくところでございます。

 総務省といたしましても、この方針のもとで、五百七十億円と見込まれる平成二十年度以降の地方負担につきましては、税制改正の議論の中で確実に財源を確保してまいりたい、こう考えております。

江田(康)委員 政権与党としましても大変重要な児童手当でございます。二十年度以降もしっかりと財源を確保していく決意でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、新型交付税についてお尋ねをいたします。

 平成十九年度から導入する新型交付税につきましては、私もさきの本委員会で大臣に質問をさせていただいたわけでございますが、そのとき大臣がお答えをされました。過疎団体など人口が少ない団体においては人口一人当たり行政コストが割高になることを反映するということと、また、離島や寒冷地における特別な財政需要を算定する仕組みを確保する、こういった措置をとることによって、各地方団体の財政運営に支障が生じないように変動額を最小限にとどめる制度にしたということを大臣も強く申し上げられましたし、そのように承知しているわけでございます。

 都道府県の変動額につきましては、最大で十億円程度にとどまる見込みであるという説明がございました。総務省においては、一月の二十六日に、新型交付税の影響額の試算の方法を地方公共団体に提示して、地方公共団体との間で変動額の確認作業を行っていたと聞いておりますが、最終的な変動額はどの程度になるのでしょうか。市町村分を含めて御説明を願います。

大野副大臣 新型交付税の導入に当たりましては、御指摘にもございますように、地方公共団体からさまざまな御意見をいただいているところでございますが、そうした御意見を十分踏まえまして、人口規模や土地の利用形態による行政コスト差を反映するとともに、離島や寒冷地における特別な財政需要を適切に算定する仕組みを確保すること、このようなことによりまして、財政運営に支障が生じないよう変動額を最小限度にとどめることにいたしております。

 現在、各地方公共団体と試算結果についての確認を行っているところでございますが、都道府県、政令市の変動額の平均は、増加団体で約三億円、減少団体で約四億円。中核市、特例市の変動額の平均は、増加団体及び減少団体、ともに約六千万円でございます。その他の市の変動額の平均は、増加団体で約四千万円、減少団体で約三千万円。町村の変動額の平均は、増加団体及び減少団体とも約二千万という範囲でございます。

 このような見込みでございまして、いずれにありましても、変動額の基準財政需要額に占める割合の平均は一%未満、このように思っております。

 こうしたことを踏まえまして、去る一月に皆さん方にお示しをいたしたところであります。

江田(康)委員 この新型交付税につきましては、人口規模の小さい、そういう市町村等から大変懸念が多かったわけでございます。

 今お示しのとおり、変動幅というのは平均で一%未満ということではございますけれども、やはり、それが引き下がるところにおいては大変重要な政策ができなくなるところでもございますので、そこのところはしっかりと、政府としても市町村の現状を踏まえて対応をしていっていただきたい、強く申し上げます。

 次に、最後でございますが、「頑張る地方応援プログラム」についてお尋ねをさせていただきます。

 総務省におきましては、魅力ある地方の創出に向けて前向きに取り組む地方公共団体を支援するために、平成十九年度から、地方の頑張りの成果を地方交付税の算定に反映すると伺っております。各地方がそれぞれの特色を生かして活力を生み出すこの取り組みを行うことは、大変重要なことと思います。

 しかしながら、結果として、成果を上げやすい、元気な足腰の強い地方公共団体に対して交付税の配分を行うということになれば、交付税制度の趣旨に反するのではないでしょうか。なかなか成果を上げることが難しい条件不利地域の地方公共団体に対して、交付税の算定上配慮して、しっかりと応援すべきと考えます。

 総務省としてどのように対応しようとするか、副大臣にお伺いいたします。

大野副大臣 まさにそれぞれの地方が抱えている状況というのはさまざまでございます。そうした中にありまして、「頑張る地方応援プログラム」の実施を契機として、できるだけ多くの地方公共団体に、魅力ある地方の創出に向けた取り組みが広がることを期待しているところでございます。

 このため、まず、具体的な成果目標を掲げてプロジェクトに取り組むすべての地方公共団体に対しまして、その取り組み経費を特別交付税により措置することとしております。

 また、成果指標を交付税の算定に反映する際に、御指摘もありますように、条件不利地域についての割り増しを行うなどの配慮をすることを検討いたしております。

 このような措置を通じまして、条件不利地域においても頑張っている地方公共団体をしっかり支援してまいりますことがこのプロジェクトの肝要であると思っております。

江田(康)委員 国、地方ともに歳出の効率化を進めて、いつでもどこでもだれでも必要なサービスが受けられて、そして、小さくても頑張る自治体が希望を持ってこの地域再生、活性化に向けていけるように、地方交付税をしっかり確保し、また、種々の政策が対応されなければならないと思います。

 どうぞよろしくお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時十三分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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