衆議院

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第9号 平成19年3月15日(木曜日)

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平成十九年三月十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      井脇ノブ子君    石田 真敏君

      今井  宏君    大塚 高司君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木原 誠二君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      杉田 元司君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      原田 憲治君    福田 康夫君

      福田 良彦君    藤井 勇治君

      渡部  篤君    安住  淳君

      石関 貴史君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    田嶋  要君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    谷口 和史君

      丸谷 佳織君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原 邦夫君

   参考人

   (日本放送協会会長)   橋本 元一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   原田 豊彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   畠山 博治君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中川 潤一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小野 直路君

   参考人

   (日本放送協会理事)   衣奈 丈二君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     藤井 勇治君

  田中 良生君     井脇ノブ子君

  萩生田光一君     木原 誠二君

  萩原 誠司君     大塚 高司君

  橋本  岳君     原田 憲治君

  渡部  篤君     杉田 元司君

  後藤  斎君     石関 貴史君

  江田 康幸君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     田中 良生君

  大塚 高司君     萩原 誠司君

  木原 誠二君     萩生田光一君

  杉田 元司君     渡部  篤君

  原田 憲治君     橋本  岳君

  藤井 勇治君     今井  宏君

  石関 貴史君     後藤  斎君

  丸谷 佳織君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、総務省自治行政局長藤井昭夫君及び情報通信政策局長鈴木康雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 冒頭、委員長に一言、お願いというかクレームを申し上げたいと思います。

 三月二日の強行採決、私は委員長らしからぬ判断だったというふうに、同僚議員からも強く抗議を申し上げたところであります。ただし、昨日与党、野党で合意をされ、きょうから正常化に国会がなっております。その中で、総務委員会の補充質疑も含めて十二分な時間を確保するということもありましたので、委員長、ぜひ公平公正な立場でこれからの総務委員会の運営をよろしくお願いしたいというふうに冒頭申し上げたいと思います。

佐藤委員長 承りました。

後藤(斎)委員 それでは大臣、大臣は昨年以来、NHK並びに放送業界全体にいろいろな思いで対応なさっています。私は方向性は必ずしも間違っていないと思いますが、ある方は、大臣やり過ぎだと言う方もたくさんいらっしゃいます。その中で、今回のNHK予算の審議は、大臣が今までおっしゃってきたこと、そしてこれから大臣がやろうとすること、いろいろな部分が絡み合って多分審議を進めなければいけないというふうに思っています。

 そして、せんだってのこの委員会でも私から大臣に、三月十三日というのは閣法のとりあえずの期限だということで、十三日の日に官房長官も、この放送法の問題と厚生年金、共済年金の一元化法の問題、まだ十二分に政府内で議論がされ尽くしていないということで、ちょっと待ってくれという話がありました。

 ただ、大臣と二月の二十七日に議論をした中で、いわゆるNHKの受信料の義務化の問題は三点セットが基本的に対応できなければだめだということで、それができなければ義務化の規定は放送法に盛り込まないという話を繰り返し大臣はなさっています。大臣、今でもそのお気持ちはお変わりありませんか。

菅国務大臣 昨年の六月二十日に、通信・放送に関する政府・与党合意というのを取りまとめました。私は当時、竹中大臣のもとで副大臣をいたしておりまして、この政府・与党合意というのは、NHKの内部の改革、そして放送料の義務化また値下げ、これはある意味で私は三点セットであると思っておりまして、このことをずっと言い続けてまいりました。義務化する場合二割前後の料金値下げ、このときも私はNHKの経営改革ということを申し述べていましたけれども、この三点がなければという考え方は全く微動だにしません。

後藤(斎)委員 それでは、受信料の引き下げがなければ義務化条項は置かないということでよろしいんですね。もう一度お尋ねをいたします。

菅国務大臣 私が今申し上げましたけれども、この三点セットがなければ私は当然そうなると思います。

後藤(斎)委員 NHK会長にお尋ねをいたします。

 受信料の設定というのは、単価に契約対象世帯数ないし受信機数を掛け算すると総額が出てきますが、以前お尋ねをしたときにも、受信料の基本的な考え方は総括原価方式で対応なさっているというお話でございました。

 あわせて、今回の十九年度予算の審議を今しているわけですが、放送法の三十七条四項の規定によりますと、その受信料の月々の額、これは国会の承認によって決めていくというスタイルになっています。

 会長、仮に今大臣がおっしゃったことであれば、大臣は、受信料の引き下げがなければ義務化をしない、しかしながら、以前から会長は、記者会見やいろいろな場で、受信料の義務化はぜひお願いしたい件だという話をされています。会長は、受信料の今回の問題について、特に義務化ということについて今どんな御見解をお持ちなのか、端的にお尋ねをしたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 この支払い義務化につきましての私の所感でありますが、現在でも、放送法あるいはその放送法に定められた受信規約ということで、二段構えでありますけれども、契約義務及び支払い義務というものがセットになって支払い義務が存在しているというふうに考えております。

 今回新たに支払い義務が発生するものではないというふうに考えておりますが、これは実際に視聴者の方々に受信料支払いのお願いをする立場から申しますと、やはり放送法の中で支払いを明示するということは大変わかりやすい、公平負担の徹底につながるものと考えております。

後藤(斎)委員 大臣、ちょっとまた戻りながらお聞きをしますが、大臣が先ほど、昨年六月二十日の通信・放送の在り方懇の後の政府・与党合意という中で、その義務化の問題とあわせて、NHK関係では、経営委員会の抜本改革、一部委員の常勤化ないし事務局体制の強化、チャンネル数の削減の問題も含めて詰めていくということを合意されています。

 大臣、仮に受信料の義務化条項だけ外して放送法の改正案を提出するというおつもりはあるんですか。

菅国務大臣 私がその義務化にこだわる理由の一つに、ぜひこれは御理解いただきたいんですけれども、やはり多くの国民の皆さんに不平等感というものが非常に蔓延をしてきている、このことは私は一つの大きな問題だということを思っておりまして、NHKの本来の、全国あまねく広く国民という目的からしても、今の受信料そのものが約三千三百万人という特定の方の御負担によってNHKが運営をされている、ここに私は非常に危機感を持っている、そのこともぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 そして、この経営委員会でありますけれども、委員御指摘のとおり、昨年の政府・与党合意の中でも経営委員会の強化ということが言われております。この義務化の問題は、まだ政府・与党の中で調整ができていないという形で、三月十三日の期限を切っても今議論をしているところでありますけれども、それが今もし提出できなくなっても経営のガバナンスはやるかということでありますけれども、それは私は切り離して考えたいと思っています。

後藤(斎)委員 タイムリミットは、大臣としたら、与党との合意というのはいつまでが最終期限だという今のお気持ちでしょうか。

菅国務大臣 そんなに長引かせてはまずいなというふうに実は思っておりまして、長くても今月いっぱいぐらいかなと思います。

後藤(斎)委員 一方で、NHK会長は、いろいろな、これは報道ですから私たちは十二分に承知をしていませんが、九月までにNHKの抜本改革を含めて対応なさっていくというお話をされております。

 そうであれば、大臣、今月いっぱいというよりも、むしろそのNHKの自己改革の部分とあわせて、九月まできちっと待った上で御議論をなさったらよろしいんじゃないんでしょうか。その点についてはいかがですか。

菅国務大臣 政府・与党が合意できたのが昨年の夏です。当然そのことについても、NHK側はその内容もよくわかっているわけでありますから、私、記者会見で申し上げたんですけれども、なぜ九月までなのか、もっとスピード感を持って国民の負託にこたえてほしい、そういう思いを申し上げてきました。今もその気持ちは変わりませんので、この法案の提出問題については、今月いっぱいぐらいかなというふうに思っています。

後藤(斎)委員 大臣、受信料の額は、先ほど会長にもお尋ねをしたように、放送法の三十七条四項の規定で、この予算の審議の際に月々の額が決まるわけですね。大臣がおっしゃっているように、仮に年度途中でその額の引き下げないしが出てきたときにどうするかということであれば、この受信料の月額の単価、現行の水準を少なくとも維持するということで今回予算が提出されていますけれども、そこでは大臣は、下げなきゃだめだと言いながら、あわせて総務大臣意見という中で、かなり細かな附帯というか配慮事項を規定しております。

 ですから、大臣、大臣が引き下げが前提じゃなきゃだめだよというお話をしながら、であれば、大臣、先送りというか、もっとじっくり考えて、そこの義務化との三点セットはとりあえずフリーズをするという立場でないと、これは大臣、不承不承かもしれませんが、少なくとも、やむを得ないという判断というのは、その点おかしいんじゃないですか。いかがですか。

菅国務大臣 今度のは十九年度の予算でありますから、そこには当然、義務化、値下げも間に合わないわけでありますから、そういう意味の中で、さまざまな附帯、私大臣の意見をつけて、やむを得ないということにしたわけであります。

後藤(斎)委員 大臣、もう一点。

 では、十九年度は大臣がやむを得ないという結論で、与党もオーケーだということであればそうなるのかもしれませんが、大臣、この放送法の規定の中には、先ほどの三十七条四項で、承認をすることにより定めるということで、もしこれが承認をされなければ、NHKはみずからが暫定予算を組む規定というのは放送法の中にないんです。ないはずなんです。大臣、この承認が得られなかったら、そのときにはNHKの予算の執行というか業務の執行はどうなるんですか。

佐藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

佐藤委員長 速記を開始してください。

 菅総務大臣。

菅国務大臣 暫定予算の措置というのは可能であります。

後藤(斎)委員 何条の何項になりますか。

菅国務大臣 三十七条の二です。

後藤(斎)委員 では、ちょっと逆の視点からお尋ねをします。

 NHK会長、受信料の単価、先ほどお話をしたように、総括原価方式ということであります。今回の予算の中身をいろいろ見せていただくと、確かに受信料の収入の回復があり、そして、コスト削減もあわせて予算の重点配分を行うということで、ある意味では、事業支出のポイントで、重点配分の項と経費削減の項がほぼ、百九十三億円の重点配分の内容の充実と、百九十四億円の経費削減の項がございます。

 ただ、会長、私が常々思うのは、昨年か一昨年から制作費の単価というものをある程度外枠で出すようになっていますが、どう考えても、例えば国内放送の「NHKスペシャル」など大型企画の充実をするとか、ドキュメンタリーの強化、これは確かに国民的に大変いいことかなと思う反面、まだまだ三百億を超える借入金や放送債券があるわけですよね。通常の感覚であれば、まずそこをできるだけ削減していくような予算の編成というのをNHKみずからがやはりお立てになるべきだと思うんです。それは、番組単価というのは確かにわかりにくくて、例えば大河ドラマが一本六千万、「風林火山」がかかっている。これもどういうふうな内訳になっているのか、細かな部署、それぞれの担当のプロデューサーの皆さんやそこで積算をしているんでしょうけれども、やはり見えないんですよ。

 ですから、私は、この支出、予算の削減はすべきはやはりする。でも、その分をひっくり返して、番組内容の充実と称して対応するというのは、ちょっと予算の立て方として、今これだけ国民の皆さん、視聴者の皆さんから、いや、もっとNHKちゃんとやってくれよと、一方で、借金は三百億を超えるだけあるじゃないかという指摘に対して、会長はどういうふうにその点は御説明をなさるんでしょうか。

橋本参考人 確かにNHKは、借入金に対して、これを返していかなければならないということがございます。一方では、視聴者の方々にしっかりと番組をつくって届けるという役目と両方持っている中で、大変厳しい財政状況でありますから、やはり基本的には番組の方でしっかりとNHKに対する期待を果たしていくということがまずポイントかと考えております。

 しかし、実際に事業を行った上で、当然ながらコスト削減ということもやっておりますけれども、こういうもので出てきたいわゆる収支差金というものにつきましてはしっかりと借金の返還に充ててまいっていくということで、決算のところも御提示申し上げたいと思います。

後藤(斎)委員 会長、平成十六年にいわゆる不祥事が発覚して、視聴者の皆さんから非常に大きな抗議、そして受信料を払わないというケースが多発をしました。平成十六年には六千四百億ほどあった受信料が、十七年度には四百億減って六千億ちょっとの部分で対応なさっています。

 このときに、私、つらつら思い出すに、本当に番組内容が低下をしたとかそういうことはなかったはずなんです。あったんですか。中の皆さんの御努力も当然あると思います。だから、受信料が四百億減収をしたときでも、きちっと対応ができていた。

 ですから、まずその借金を全部返して、健全で、そしてデジタル化もこれからこの四、五年間で全部対応しなきゃいけないという時間的な制約もありますから、では、そちらの資本の部分に移して、きちっと建築をしていく、設備を充実するということは当然あってしかるべきなんですが、そうではないことを、やはり今回の重点配分の百九十三億の対応というのはそう見られてもしようがないと思うんです。平成十七年のときに受信料が四百億減ってもきちっとやってきたということを踏まえて、もう一度、会長、その点についてお尋ねをしたいと思います。

橋本参考人 実際に、我々、財政が減少した大変な状況の中で、質の低下を来さないいわゆる放送サービスというものをどう行ってきたかということを申し上げたいと思いますが、日ごろから視聴者の方々から大変リクエストの高い過去の放送の大変好評であった番組、こういうふうなものを再放送という形で提供することによって、質、いわゆるクオリティーを保ってまいりました。ただし、新規に番組をつくっていくという制作経費については相当抑えたつもりでございます。

 そういう意味で、我々、やはり過去の再放送を行うことによって補強したという財政事情の好転した部分については、従来のように新規番組等を開発し放送していくということで、今回の重点的な配分をしてございます。

後藤(斎)委員 そろそろ時間が来るようなんですが、大臣、先ほど大臣は暫定予算が放送法三十七条の二で決められるという話をされました。ただ、これをよく読んでも、事業計画、収支予算、資金計画を受理したときは、これを検討して意見を付し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければならないという規定だと思うんです。ですから、これは本当にできるかどうか、私はちょっと、大臣がさっきお答えになったことは疑義があります。

 ぜひきちっとチェックをして、もし放送法をきちっと改定、義務化条項を外すおつもりであれば、やはりそういう部分もきちっとしなければ、確かに政治的な中立性とかいろいろなものもあって、私はNHKにもっと頑張ってもらいたいという思いがいっぱいあります。ただ、やはりこの承認ができなければ、NHKは事業ができなくなるわけです。だから、やはり暫定予算の規定は明確に置くべきだと思うんです。僕は繰り返しこれを読んでも、この三十七条の二項の規定で読み切れないということを、きちっと検討していただくことを、大臣、それだけお約束していただけますか。

菅国務大臣 三十七条の二ですよね。ここで、国会の閉会等やむを得ない理由により当該事業年度の開始の日までに国会の承認を受けることができない場合には、三カ月以内に限り事業の経常的運営等に云々ということを書いておりますけれども、ただ、私は、十九年度予算というのは、やむを得ない中でもという意見は付していますけれども、ぜひ承認をさせていただきたい、そういうことであります。

後藤(斎)委員 私は、明確な形でもう一度やはり見直すべきだと思うので、その点については全体を見直すときにぜひ検討課題として対応していただきたいということを要望して、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 前回、三月二日に地方税法あるいは地方交付税法等の法律が強行採決をされてしまって、私も一時間ほど質問を予定していたものですから、非常に残念でございました。またいずれ、この点についてはぜひ菅大臣の方には質問をさせていただきます。きょうは、申しわけないんですが、NHK会長の方に質問させていただきますので、ひとつゆっくり聞いていていただきたいと思います。

 それでは、NHKの十九年度予算案について質問をさせていただきますので、ぜひ橋本会長から簡潔な、明快な答弁をお願いしたいと思います。

 まず最初に、受信料制度の見直しについてでございます。

 一つ目は、受信料の性格についてでございますが、NHKとしては受信料の性格というものはどういうものだととらえているのか、教えていただきたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 受信料そのものの法的な解釈というものにつきましては、昭和三十九年の郵政省の臨時放送関係法制調査会というところで答申を下しております。この中で、これは視聴者が公共放送NHKを支えるための特殊な負担金という性格で位置づけられております。この中で、私の立場で申しますと、やはりNHKの行っている放送の番組編集の自主自律あるいは組織運営の独立性、これを財政面から保障するものとして、公共放送の財源として最もふさわしいものと考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 やはり、何としても公共放送を国民が広く薄く公平に支える一種の負担金あるいは拠出金ということだと思います。私もぜひそのような考えで皆さんには頑張ってほしいと思っています。

 二つ目は、受信料制度の見直しの必要性についてであります。

 今回、御案内のとおり、受信料については、一連の不祥事、あるいはそのときの経営者の対応の甘さ、あるいは番組をめぐる政治とNHKとの距離の問題などから五百億も大変下がったということで、受信料制度そのものが崩壊の危機にある、そのように私は考えておりますけれども、そういうことを考えると抜本的な見直しが必要なのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

橋本参考人 受信料につきまして、やはり福田先生おっしゃいましたように、視聴者の皆様方から、我々としてあまねく電波サービスをするということと同時に、非常に公平負担ということが求められております。

 そういう中で、制度の見直し、今の現行制度が抱える問題という観点から申しますと、視聴者の方々の立場から見れば、やはりわかりやすい制度が必要であろう。それから、NHKとして受信料をお預かりするその立場から申しますと、やはり実際に公平負担を徹底する、そういう仕組みというものが、しかも今日的な仕組みというものが大変必要になってこようかと思います。

福田(昭)委員 やはり受信料をいただくということになって、そのときに、残念ながら、今のところ七割ぐらいの人しか納めていただけない。本当にそういった意味では、菅大臣からもしょっちゅう話があるようですけれども、国民の方が不公平感を持っているという話でございます。

 しかし、やはり受信料をいただくための困難性というものがあるんじゃないかと思うんですね。そのために、実は経費も、八百億といいますか、ことしの予算では約七百六十億ですか、そんなにかかっている、営業経費率が何で高いんだ、こういう指摘があるわけでございますが、その理由は何なのかということを、NHKとしては明快にやはり皆さんにお知らせする必要があるんじゃないでしょうか。菅大臣もちょっとよく把握していないような気もいたしますので、明快に答えてください。

小林参考人 なぜ営業経費がこんなにかかっているのかということでございますけれども、ぜひともこれは御理解いただきたいと思いますのは、実は、NHK受信料制度に関しましては、視聴者の皆様からの契約、住所変更等に関します自主的な申し出が、残念ながら非常に少ない。公的料金でありますれば、当然、申し出ないとつながらないとかがありますので、それに比べますと、NHKに関しましては、まずそういう事情があるということです。

 そういう中で、全国のお宅を一軒一軒訪ね歩いて、それで契約取り次ぎあるいは集金活動をさせていただいている。年間、契約取り次ぎ活動でありますと三百万件、訪問集金でありますと五百万件、現実にも取り次ぎをさせていただいている。もちろん、それは現実に、できない活動、倍する活動をしながらとれているという状況でございまして、そういった意味で大変膨大な活動がどうしても余儀なくされる、それも多くは人海戦術であるということでございます。

 そういう点だけはぜひ御理解をいただきたいと思いますけれども、さはさりながらも、経費が高いということは御指摘のとおりでございまして、例えば来年度の十九年度予算でも一二・四%という経費率、これはこれまででは一番少ない数字でございます。そういった努力をしております。それから、今後、訪問集金を廃止していこう、これはこれまでの契約・収納活動ではかなり抜本的な見直しになりますけれども、それをやりまして、より間接集金化してコストを下げていくということ、あるいは自主的申し出をさらに広げるためのインターネット等によります申し出の推進といった活動をこれから続けまして、一層効率的にやっていきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 もう少し具体的にお話しした方がよろしいと思うんですが、いろいろなところで指摘されていることは、まず最近の住宅事情、マンションなどで面接をするのが非常に困難だということが一つ挙げられると思いますし、それから契約拒否者がふえているということ、さらには三点目は、これが一番大きいんだと思いますが、視聴者の移動情報といいますか、転居の情報といいますか、そういったものを把握するのが非常に困難だ、これが一番大きい理由だというふうに私は伺っておりますが、いかがですか。

小林参考人 先生全く御指摘のとおりでございまして、移動情報の困難が最大の課題でございます。とりわけ、今ございましたように、オートロックマンション、これは御承知のように表札もかかっていないという状態になりつつあるという中で、訪問だけではなかなか把握が困難であるといったことでございます。

 そういった中でありますけれども、先ほど申し上げましたように、現在五千七百人の基幹戦力である委託収納員が全国を回っているということで、その他法人等のパワーを活用しまして努力しているところでございますけれども、残念ながら、訪問回数が集金も含めますと年間で六千万回以上やらなきゃいけないということでございまして、そういったことをどうしていくかということが重要な課題であります。例えば、外国で申し上げますと、御承知のように、公的な情報を活用して移動情報を把握しているということで、より効率的で経費率も下げていけるということがございます。そういったことも、どうしていけばいいのかということを含めて、課題として考えていかなきゃならないというふうに思っています。

福田(昭)委員 それでは、今お答えがありましたけれども、営業経費を削減するためには、その具体策としては移動情報を正確に把握するシステムといいますか、そういったものを早くつくらなくちゃだめだ、こういうことですが、何か考えておりますか。

小林参考人 できるだけより合理的な手法が開発できれば一番好ましいと思っておりますけれども。

 外部情報の活用につきましては、当然、これは申し上げているように、効率的な業務運営に資するというふうに考えております。これは経費率の削減だけじゃなくて、契約率、収納率の向上、あるいは収納額の向上にもつながるというふうに考えていますので、ぜひともそういった制度が活用できればと思っております。現在既に住民票の除票の写しの交付を受けることはやってございます。ただ、これはもちろん一件ごとにお金がかかりますし、窓口によっては十分提供できない、していただけない場合もございます。

 そういったものをどうしていくかといったことでありますけれども、そういったものも何か活用できれば非常に幸いである。例えて言えば、電器店等の販売店等から通報していただく、外国ではその通報義務という制度を設けている国もございます。そういったものなどの是非をぜひ検討してまいりたい。ただ、御承知のように、これにつきましては個人情報の保護という観点がございますので、そういった課題を克服できるのであれば努力してまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 それで、そのことについては私もまた次の質問で申し上げたいと思いますけれども、その前に、今回の総務省の方から話の出ております、受信契約に続いて支払いも義務化させる、そうした放送法の改正、NHKの受信規約においては既に支払いも義務化されているわけですが、法律上義務化をしたからといって、それでは菅大臣の言われるように、受信料が、今の七割から八〇から八五%に上がって、料金は二割ほど引き下げをするというようなことが可能なのかどうか、いかがですか。お答えいただきたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 大変難しいという状況を数字を挙げて御説明したいと思います。

 現在、支払い者率は十八年度末の状況で七一%という状況でありますが、これを一%上げるというのはおよそ四十万軒というふうな世帯について支払いを確保しなければいけない。先ほど申し上げましたように、オートロックマンションとか移動だとか社会動向の困難性の中でこの四十万軒を確保するというためには、十倍以上の接触、アクセスということを図らなければいけない、こういうふうなことは、大変財政的に潤沢でありました高度成長時期でありましても困難なことであったというふうなことがございます。

 そういう中で、現在の時点で、NHKがこれだけの活動量ということを、実際にお客さんの立場から払っていただくというところまで取りつけられるかどうかということが大変厳しい状況になっております。

福田(昭)委員 法律上義務化しただけではそう簡単に受信料を上げることはできないということはきっとはっきりしていると思うんですけれども、加えて、NHKとしては、総務大臣から、ぜひ国の政策だということでテレビの地上デジタル化の建設をやっているわけですね。これは平成二十二年度までに三千八百五十億円という大変巨額な投資をするわけですけれども、その償還計画はできているんですか。

衣奈参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、二十年度以降に限りましても約千三百五十億円の支出が今後デジタル投資にかかると考えております。これらについて、その額そのものを、民放さんとの共同建設やさまざまなコスト抑制に努めていくことによって対応していくということを考えておりますし、それでも対応できない場合、さらにさまざまな設備計画の繰り延べなども場合によっては考慮しながら、一方で債務の償還も続けてやっていきたいと考えております。

福田(昭)委員 それではちょっと答えにならないですよね。ちゃんと償還計画ができているのかどうか。大変な巨額な投資をして、しかも受信料引き下げをして、ちゃんとNHKが公共放送としての役割を果たしていけるのかどうか、そういったこともしっかり検討した上でないと、簡単に、受信料引き下げをするとか、そんな結論は出せないんじゃないか、こう思っていますが、いかがですか。

橋本参考人 我々、この地上デジタルに対する投資というものにつきましては、これはNHKのみならず民放さんもそうだと思いますが、国の国家的な事業ということで、最大限必要な経費は賄っていくという考え方でおります。

 そういう中で、このデジタルにかかわる設備的な経費というものを現在持っていますが、それ以上に、このデジタル放送を普及しなければいけない。それをどう使っていくかという、ここではやはり放送サービスあるいは番組面の工夫、いろいろな、現在でも携帯電話にワンセグサービスというふうな新たなサービスを考えておりますが、そういう開発経費等もこれからの中でどのようにお客さんがこれを求めていくかということも、推移をしっかり見きわめて投資をしていかなければならないと思っています。

 そういう点で、このデジタル投資というものをしっかり確保するという理念は持っておりますけれども、具体的な計画は、視聴者の動向等をしっかり把握して、無駄がないように投資をしていかなければならないと考えております。

福田(昭)委員 ちょっと頼りがないですよね。やはり総務大臣にもしっかりその辺は認識してもらう必要があるんじゃないですか。しっかりと償還計画も立てて、ちゃんと経営が成り立っていくのか、そんなこともちゃんと総務省とも協議をして進めていく必要があるんじゃないでしょうか。そのために、実は、総務大臣が早く受信料の値下げを返事をしろという話ですが、九月まで待てというのはそういう意味と違うんですか、これ。

橋本参考人 おっしゃるとおりでございます。

 もう本当にこういう計画につきましては、実際に私としても、経営を預かる身で自信を持ってこの計画をつくるということで、ぜひ十九年度、来年度でございますが、再来年度以降の中長期の見通しを得た上で、しっかりと十九年度前半の時期をいただきたいということでございます。

福田(昭)委員 私は、何としても公共放送を守りたいために実はこのような指摘をしているわけですから。

 そこで、実はこれは質問しようと思っていたんですが、時間がなくなってきたので、一つの提案をさせていただきたいと思いますが、この提案は私の提案ではないんです、実は。NHKの皆さん方の先輩、元理事の営業総局長の芳賀氏の提案でございます。

 やはり、何といっても、これから受信料の徴収コストを下げるためには、何としても世帯の移動、芳賀氏は移動管理システムと言っていますが、視聴者の移動管理システムじゃなくて、住民の立場からいえば移動把握システムですよね、移動把握システムをつくるということがやはり徴収コストを引き下げる上で一番大事だ、こう指摘をいたしております。私もそうだなと思います。

 先ほども話がありましたけれども、徴収のために五千七百人も職員がいるというのは、ちょっとこれは異常ですよ。ですから、これは何としても視聴者の世帯移動システム、把握システムをしっかりつくっていく。そのためには政府もしっかりバックアップしなくちゃならない。

 先ほどちょっと答弁がありましたけれども、諸外国ではしっかりとしたバックアップシステムが実はあるというんですね。この芳賀さんの書いているものを読んでみますと、例えばイギリスのBBCでは、郵便局の住所ファイルの活用、電器店、レンタル店からのテレビの購入者、貸出者情報を受け取ることが法的に担保されている。フランスでは、受信料と住居税とを一括して徴収されており、したがって、住居税の住所ファイルが活用されている。ドイツでは、住民票の登録データが活用されている。お隣の韓国では、受信料は電気料と一括して集金しており、電力公社のデータベースを使って受信世帯の移動管理を行っている。こうして契約率も高く維持されて、営業経費率も低く抑えるということが可能になる。これが諸外国の例だということで例示がしてあります。

 もちろん、プライバシーは守らなくちゃならないということですが、プライバシー保護の先進国であるイギリスやフランス、ドイツ等では、公共放送を支える受信料制度を効果的、効率的に維持する手段として、こうした世帯移動情報の活用が実は法的に担保されているということでございます。

 現在の日本の状況を考えてみますと、やはり先ほどからも話がありましたが、非常に面接困難になっているような社会状況もある、あるいはメディアがどうも政治に弱い、そんなところも考えれば、やはりしっかりと効果的な世帯移動管理システムを持たない今日のNHKが高い契約率を維持できる時代はとうの昔に過ぎ去っている、こう言っております。サポートシステムなしに、これ以上契約率を高めろ、なおかつ営業経費は大幅に削れという要求は余りにも現実離れしていると。

 市場化テストをやって民間委託をやれという話ですが、既にもうNHKでは民間委託も八社ほどに出しているという話も聞いておりますが、こうしたまさに現場を知り尽くした元NHKの先輩の指摘、私はこれはしっかり皆さんも踏まえて、やはり総務省と大変厳しい総務大臣とも対決するべきだと思うんですね。先輩らしく、こんなことも気遣っております。NHKが新生プランでこうした点に踏み込んだ提案をしなかったのは、きっと一連の不祥事などがあって提案しにくかったんだろう、こう先輩は大変心配をいたしております。

 しかし、NHK会長の予算説明のときの話にもありましたけれども、国民に真に役立つ放送をする、公共放送としてのNHKだからできる放送をするためには、何としてもこの受信料制度、これをしっかり維持していくということがもう一番大事だと思います。

 この間の高等裁判所の判決でも、政治に弱い、政治家の意図をそんたくしてどうも放送を変えたんじゃないか、こういう判決がありました、NHKでは即時抗告したようでございますけれども、今の安倍総理……

佐藤委員長 申し合わせの時間は既に経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

福田(昭)委員 当時の官房副長官の、言ってみれば圧力ですよね。ぜひそうした政治に弱いNHKを脱却するためにも、何としてもやはりこの受信料制度をしっかりと守って頑張っていくということをぜひお願いをしてといいますか、要請をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 与えられた時間が十五分で、大臣がもう間もなく出られるということで、淡々と質問をしたいと思います。

 命令放送等また義務化等々は、放送法の改正のときにちょっと重点的に質疑したいと思うので、一ユーザーから寄せられた素朴な疑問と苦情をもとに、大臣と会長の方にお伺いしたいと思います。

 ちょっとこれは通告していませんけれども、総務大臣、衛星放送はごらんになられていますか。

菅国務大臣 たまに見ます。

寺田(学)委員 当然のことですが、御自身の御意思で衛星放送を受信するということで、機器をそろえられる等々の手配をされた、みずからの御意思で衛星放送をごらんになられる環境をおつくりになられたということでよろしいですか。

菅国務大臣 たしか、私のところはマンションですから、そのマンションの中でだったというふうに思っています。

寺田(学)委員 まさしく今言われたところが一つの問題点でありまして、大臣自身、受信料の値下げ等々言われていますけれども、実質的に値上げがされている状況にある、そういうふうに感じられている視聴者も多いということを申し伝えたいと思います。

 どういう仕組みかといいますと、昔は、衛星放送が始まった当初、衛星のための受信料を付加的に取るようになったのが一九八九年ですけれども、その当時というのは、自分でデコーダーを買って、自分で自宅にアンテナをつけて、衛星放送をみずからの意思で受信するという形をとっていたと思います。

 しかし、今大臣言われたとおり、今まさしく総務省が進めている地デジ対応のテレビ等を買いますと、ほぼ例外なく衛星のチューナーが入っています。かつ、言われるとおり、集合住宅に入りますと、集合住宅のアンテナが三波共同のアンテナをとられているということで、アンテナ線に差し込むと衛星が見られちゃうんです。どうなんでしょう、九百四十五円、衛星の付加価値がついて料金が多く取られるんですけれども、ユーザーの中には、もちろん地上波の分の受信料は払いたい、ただ、NHKみずからモアサービスときのう御説明いただきましたけれども、モアサービスという、ある種、付加価値的なサービスである衛星放送を、そういう自分の意思ではないところで勝手に見られる環境にあるわけです。

 NHKの徴収の方が、衛星放送を見られる環境にありますかと言われると、正直に言う人は、いや、突っ込めば見られたんですという話になるわけですね。ただ、その方は、みずからの意思で衛星放送を見たいと思っていないわけですよ。昔と違って、機器の発展によって衛星放送が勝手に見られて、正直に申請すると九百四十五円高く払わなきゃいけない、そういうような状態になっています。

 衛星放送がみずからの意思で見る見ないを判断できないような環境になりつつあることを、大臣自身、これは適正であるとお思いですか。

菅国務大臣 NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、放送法上はNHKとの受信契約の締結を義務づけられている、こういうことになっておりますので、それに基づいて契約の義務がある、私はこう思っています。

寺田(学)委員 テレビを置く置かないということで受信料を払う払わないは、制度上みずからの意思でやれます。衛星放送ができ上がったころは、みずからアンテナを設置する、デコーダーを買うということによって、衛星放送をモアサービスとして受けるかどうかの判断ができました。ただ、今、自分で衛星放送を見ないという判断ができなくなりつつあるわけです。

 徴収者の人に言わせると、いや、だったら見られない環境にしてくださいと言うそうなんですけれども、集合住宅に住まれていて、三波共同のチップが入っているテレビを買われた、地デジ対応のものを買われた方は、中から機械を分解して取り出すか、共同アンテナのアンテナの一個を自分のところに配線しないようにするか、そういう形じゃない限り、大臣が今言われた、見られない環境にするということは不可能に近いんですよね。衛星放送のあり方というものが、モアサービスとして始まったんですけれども、これから地デジ対応のテレビが普及するとすれば、集合住宅に住まれている方は、ほぼ強制的に衛星放送に加入しなきゃいけない環境になります。

 こういう今の環境は適正であると大臣自身思われているんだとしたら、値上げに近いんですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 先ほど答弁しましたように、受信する設備を設置した者は、放送法上、受信契約の締結を義務づけられている、こういうことです。

寺田(学)委員 大臣、お時間ですので、もう結構です。ぜひ御検討をいただきたいと思うんです。スクランブルをかける等々も含めてですけれども。

 会長の方にお伺いしますけれども、一応、衛星放送というのは難視聴というものを一つの目的として始まりました。もう当然御存じのはずです。八四年に始まって、八九年から、地上波の焼き直しではなくて独自の放送、大リーグとかドラマとかを含めてモアサービス、きのうレクをしていただいたときにはそう言われましたけれども、モアサービスということで衛星受信料を取ることになりました。

 ある種、付加価値的な存在であると私自身把握しているんですが、この衛星放送自体、付加価値的なものととらえてよろしいですか。

橋本参考人 お答えします。

 衛星放送につきましては、寺田委員が先ほど御指摘のとおり、当初、地上テレビの難視解消という役割、これは現在でも衛星第二放送、BS2と言っていますが、これについては難視解消波としての位置づけがございます。それから、衛星放送独自の普及発展のために衛星第一放送ということがございます。それから、現在、地上デジタルテレビでも標準となっておりますハイビジョン、あの時代からこれを普及するための、衛星ハイビジョンの普及のためのチャンネルということで、三チャンネル目のBSハイと言っていますが、このチャンネルがございます。

 いずれも、国の計画としては放送普及基本計画という中で、国家的な電波行政といいますか、そういう視点からこの衛星放送の普及を図ってきているという歴史的な事実がございます。その中で、今御指摘ありましたケーブルテレビ、このケーブルテレビの育ちといいますのも、やはり山間地の難視を救う、あるいは都心のビルでの普及を促進するという中で育ってきたわけであります。

 そういう中で、やはりBS放送の普及ということにつきましては、付加的なといいますか、補完的なといいますか、そういうふうな形で進んできてはおりましたけれども、実際に視聴者の方々にお届けする今の性格、難視ではない部分については、やはり総合的な放送、地上テレビではできない放送というものを行うための衛星チャンネルというふうな性格づけで考えられると思います。ますます普及世帯がふえているということで、そういう意味合いは強まっていると思います。

寺田(学)委員 私が質問したことに御答弁いただきたいんですけれども。

 もっと具体的に質問しますと、先ほど申し上げた具体例、自分では全く衛星放送を見ようという意思がないにもかかわらず、住宅の環境とテレビの技術の発展によって衛星放送が見られる、見えるような環境になってしまう状態が今かなり多くなってきていて、今、衛星放送の受信者、加入者数がふえていますけれども、その一部分は、そういう形で受け身的に、勝手に見られる環境になったのでお金を払わざるを得なくなった人がふえているはずなんですよ。

 会長、いかがなんですか。そういう、自身として衛星放送には加入したくないけれども自分の意思とは関係ないところで見られる環境になった方は、どのようにして衛星放送のための九百四十五円を払わないようにすればいいのか。会長自身、どのようにお考えですか。

橋本参考人 我々の立場としては、放送をできるだけ見ていただきたいということで、お客さんにはぜひごらんいただきたいということで理解を求めているわけでありますが、現在の受信料の体系でいいますと、衛星放送まで含めた料金のところと、それから地上テレビのみの料金、こういうことが選択できる体制にございます。無理に受信機を壊せということは毛頭申し上げません。

寺田(学)委員 いや、今、非常におもしろい発言をされたんですが、とすれば、みずからの意思で衛星放送を見るつもりはないけれども勝手に住環境とテレビの性能によって見られてしまう場合は、徴収される方が来たときに、私はかくかくしかじかこういう理由で自分の意思としては見るつもりはございませんと言えば、それは御納得いただけるということですか。

橋本参考人 今の御指摘でいうと、受信機を選択した場合、NHKが受信できない状況であれば、受信料の対象ではありません。しかし、やはり受信環境として、これは、電波と同じようにケーブルそのものは一つの伝送手段でありますが、いわゆる受信機のところで考えまして、そういうことが受信できる受信機をお備えになった場合には受信料をいただくという考え方になっております。

寺田(学)委員 いや、答弁が全然違う形になっているんですよ。無理やり壊さなくていいですよというお話をされたということは、そういう、みずからの意思ではなく衛星放送が見られる環境になった場合には、壊さなくていいということですよね。物理的に見られない環境に持っていかなくとも、その事情を勘案するという御答弁を、さきの答弁ではされているはずなんです。そうしたら今度は、いや、見られる環境になったら払ってくださいと、答弁が全然違う方向になっているんですけれども。

 見られる環境にある、今のこの具体例の場合は、自分の意思で、払いたくない、衛星放送は見るつもりは全くなかったという方は、どのようにしてその意思を表明し、九百四十五円を払わなくて済むのかということを会長にお伺いしているんです。会長、いかがですか。

佐藤委員長 とりあえず小林理事のお話の後、会長に答弁を。(寺田(学)委員「登録していない」と呼ぶ)専門的な話ですから。

小林参考人 お答えいたします。

 衛星放送につきましては、地上放送と同じでございまして、法の趣旨に基づきまして、テレビ受信機を設置して映る状態であれば、当然ながらその受信料をいただくということでございます。

寺田(学)委員 専門的なお話と言われて、今、全く専門的な話でもなかったですよ。

 これは、経営のトップ、経営というか会長として、視聴者の意思をどのように酌み取るか、それとともに、衛星放送というものを今後どういう位置づけにしていくかということが非常に大事なわけですよ。

 衛星放送というものが地上放送を補完するという言葉ではなくて、付加価値でもなくて、衛星放送と地上放送の内容全部をもって公共放送なんです、いわば、その放送を見られていない方は、機器的な問題によって、物理的な環境によって公共放送が十分に受けられていないんだという立地点に立つのであれば、少しは理解できるんです。しかし、そういう形でやっていないわけですよ。モアサービスとして、大リーグとか「冬のソナタ」とか、およそ付加価値的なものと見られる内容のものを流しているわけですよ。それで、昔は、それを見たい方は自分で高いお金を払って機械を設置して見てくださいという話だったんです。

 ただ、今は、総務省が進められている地デジの、二〇一一年までに買いかえなきゃいけないんですから、先に買いかえた場合には、そこに入っちゃっているんです。集合住宅も、自分の意思ではなく、三波共同のアンテナが入っちゃっているわけです。衛星放送が見られてしまうんです。勝手に見えるんです。

 その場合において、視聴者の意思というものをどのように反映させていくのかということを、トップとしての判断をお伺いしているわけです。

橋本参考人 この受信料の性格といいますのは、いわゆる見たものに対する対価論という考え方ではございません。基本的に、NHKという公共放送を行う組織を支えるかどうかという特殊的負担金という考え方であるという、この中で法体系もできております。

 私が先ほど受信機を壊さなくてもいいということを申し上げたのは、これは、寺田委員が、壊さなきゃならないんじゃないかというふうなことをおっしゃったものですから、そんな必要はないということを申し上げたのでありまして、法体系のところでいえば、それを見ることが可能な環境にある場合、それについては、やはり実際に受信料をお支払いいただいてNHKを支えていただくということが理念の基本になっております。

寺田(学)委員 いや、受信料の性格に関して、私は去年も一昨年も質問しているとおり、別に見ないから払わないということはあり得ない、見ようが見まいが、公共放送である以上支えていく特殊な負担金であるということは十二分に承知して質問をしています。

 ただ、この衛星放送に関しては、設立当初からモアサービスという形で、付加価値的に取っているわけですよ。このサービスを付加的に見たいのであれば、払ってください、そのための設備を御自身で用意してくださいということだったんですけれども、今、特段NHKだけを責めるわけじゃないんです、技術的な革新によって、テレビの中にすごい安い形でデコーダーが入って、共同アンテナという形で、自分の意思とは関係なく衛星放送が見られる環境になったんです。そこをどう整理していくんですかということをお伺いしたいわけですよ。

 別に私自身がテレビを壊せと言っているのではなくて、私はそういうつもりはないんだけれども、ではどうしたらいいんですかと言ったら、NHKの受信料の徴収の方が、それは壊して中から取ってもらうしかないですよと言われたから、それを引用しただけです。

 だから、この問題は、ある意味、今、総務大臣が値下げだどうこう言われていますけれども、勝手に値上げされているに近いものがあるんですよ。ここをしっかり整理して、これから、視聴者の衛星放送を見る見ないの意思をどうしんしゃくしていくかということは、NHKでも御整理していただきたいと思います。

 質疑時間が終わりましたので、以上にします。ありがとうございました。

佐藤委員長 午後二時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十一分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一です。

 平成十九年度のNHK予算案について質疑をさせていただきます。

 まず冒頭、きょう午前中、衆議院の憲法調査特別委員会において、委員長職権で委員会が立てられ、二十二日の中央公聴会がまたこれも強行的な採決によって可決をしていることについて、改めてこの場で、与党の運営に対して、また、憲法調査特別委員会の委員長に対しても抗議を申すものでございます。

 御案内のように、当総務委員会も、三月二日には地方税法等がわずか三時間で審議が打ち切られ、委員長による職権採決といったことが、ちょうどきのう、ようやく衆議院ではそうした意味では与野党の正常化成ったその舌の根も乾かぬうちに、憲法調査特別委員会でのこうした強行採決、しかもその指示が首相官邸であるというような報道もこれあり、憲法改正、そしてそのための国民投票法案、これを数の力で押し通そうとするその与党のあり方に改めて抗議を申すものでございます。

 さて、質疑に移らせていただきますが、まず、会長には、未契約者一千万世帯、そして三割が不払いだ、こういうことが盛んに火曜日の当委員会でも出ておりますが、十三日の参考人、小林理事ですか、御答弁では、その一千万の内訳、転居など二百十万件、面接困難三百三十万件、対応中というのが四百六十万件、うち明確な拒否が五十万件ということですので、要は、接触不可能というところが五百四十万件もある。また、対応中四百六十万件のうち、明確な拒否五十万件以外の四百十万件について、つぶさにその内容をNHKにお伺いしましたが、それについては、定かでない、お答えできないというような御返事でもございました。

 要は、その一千万件のうち、大方が、どういう方がどういう世帯で、またどういう状況であるのかというのが、実態がつかめないというような現状において、推測、推計でいう、いわゆる総世帯からの世帯数の割り出し、それから現状の既契約世帯を除いた世帯数一千万というはじき方、これはいささか無理があるのではないのかな。

 やはり、既契約対象数での不払いは約一割、ことし一月でいうと九%、そして、未契約者の契約締結を進めているという丁寧な言い方が適切なのではないかというふうに考えますが、これについて会長の御所見を伺いたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 武正委員御指摘のとおり、既契約対象者数による不払いというしっかりとしたこの定義といいますか、こういうところで言えば一割、あるいは、未契約者との契約締結を進めているということは、大変正確な言葉と存じます。

武正委員 昨年の当委員会の決議にも、その三割というのは推計されるというような言いぶりで決議になっておりまして、あくまで、やはり丁寧にその世帯数の割り出しというものがあってしかるべきというふうに考えております。

 そこで、お手元に「協会財政の推移(決算版)」、それから「外部資金の推移」をお配りさせていただいております。これを見てまいりますと、平成元年、二年に、受信料の約三割の値上げあるいは衛星受信料を新たに徴収する、こういったことで約一千億受信料がふえておりまして、それ以降の協会財政を見ると、やはりある面、企業でいえば、事業収支差金あるいは経常収支差金を見る限り大方黒であるといったこと、それから、二枚目をごらんいただきますと、いわゆる長期的な借入金、放送債券プラス長期借入金、これが十七年度で三百九十億ということで、毎年六千億のいわゆる受信料収入が定期的に入ってくる企業体と考えた場合、この三百六十億なり三百九十億の長期債務というのは、企業でいえば極めて健全な財政状況、こういうふうに言えるわけなんですけれども、こういった認識について、どのように会長として考えておられるのか。

 また、平成十九年度、一枚目をごらんいただきますと、二十億の経常収支差金、二十億の黒字を経常収支で見込んでおられますが、これは、いわゆる受信料の徴収義務強化を織り込んだ二十億であるのか、あるいは、そういったものは織り込まないでも二十億の黒字と見ておられるのか。

 以上二点、会長にお答えをいただきたいと思います。

橋本参考人 御指摘のように、財政状況、借入金、外部資金の推移、この点で考えますと、私は大変健全な経営をしているというふうに考えております。

 また、十九年度の予算案につきましては、いわゆる支払い義務強化という点については、考慮には入ってございません。

武正委員 支払い義務強化、会長の言われる、法律でしっかりとうたってほしいということが織り込まれているということですか。

橋本参考人 この点については織り込まれておりません。

武正委員 織り込まれていないで二十億の黒字を見込んでいるということでございます。

 そこで、三月一日、会長は記者会見で、「支払い義務を放送法上にはっきりと謳うことで、支払い根拠をわかりやすいものとし、公平負担の徹底を図るため意味のあるものと認識している。」このように記者会見で述べておられます。また、おとといときょうも、当委員会でもそのような趣旨を答弁されておりますが、これまでに、会長として、受信料の徴収義務強化の制度改正あるいは法改正を、政府・与党あるいは総務省関係者に、具体的には、いつ、だれに直接依頼をされたのか。そうしたことがあったのか、なかったのか。あったとすれば、今言ったように、いつ、だれに、直接、NHK会長として、法改正、制度改正を依頼したことがあったのか。お答えをいただきたいと思います。

橋本参考人 この点につきましては、明確に文書等、要望書でしっかりと出すような形ではしておりません。

 私は、いろいろな場合に、支払い義務の明確化という点につきましては、現在で二段構えになっている法律が一本化で放送法に明記されるということは、視聴者にとって大変わかりやすいものである、そういう意義について御説明は申し上げております。

武正委員 明確にNHKとして文書等をもって政府・与党あるいは総務省関係者にそうした要請をしたことはないということが今わかったわけでございます。

 そこで、既に会長は、やはり記者会見で、ことしの九月までに、あるいは九月に、総務大臣からも要請のあった受信料の二割削減など含めて検討をというようなことを言っておるんですが、現行制度での未収の回収とかあるいは未契約者の契約締結を進める努力、これがまず行われてしかるべき、先決というふうに私は考えております。

 おととい、きょうと、いや、昨年の六月の政府・与党合意でもう決めたじゃないか、もう一年たったじゃないのか、すぐ結論を出せ、こういうようなことが委員から、あるいは総務大臣からも出ておりますけれども、私は、先ほど触れたように、現在のNHKの財政状況を見ても、また現行での取り組み状況、またそうしたことを新年度でやろうという予算案がちょうど出ているわけですので、やはりそれをまずしっかりと見きわめる、これがあっていいんじゃないのかと。

 平成十九年度についていえば、九月といえば上半期の状況も大体見きわめてくる、そういったころだというふうに思うわけでありますが、もう既に議論はあったにしても、昨年の督促状送付、また、ことし二月の事業所の受信料体系の見直し、これはまだまだ民間事業所だけでありますので、それこそ衆議院の議員会館も含めて、中央省庁あるいは地方自治体、こういったところも改めて、会計検査院の指摘もあって、そうした未契約についてしっかりと見直しをしていく、まだまだやるべきことがたくさんあるだろう、こういうふうに考えるわけですが、改めて、九月以降にという会長の記者会見で述べたその方針、私は至極当然というふうに考えますが、その方針に変更はないかどうか、会長の御所見を伺いたいと思います。

橋本参考人 この方針に変更ございません。

 我々、これから考えます、実際の増加目標あるいは削減の見通し、こういうふうなものを総合的に考えた上で、この内容につきまして九月末に御提示申し上げたいと思います。

武正委員 ぜひこの半年間、御努力をいただきたい。そういった思いを込めた予算案を提出されたものというふうに拝察をする次第でございます。

 ただ、やはり指摘をしなければならないさまざまな、まだまだ改革が必要である面、これを一点指摘させていただきます。

 協会の子会社などとの取引は千二百三十二億円というふうに聞いておりますが、この契約の随意契約率が高いことなど、改善の余地がまだまだあると考えるが、これについてはどのように考えられますでしょうか。

 平成十七年度、協会と関連団体との取引について、番組制作関係の業務委託を除く三千万以上の全契約千百六十五億円のうち、およそ四百六十八億円、四〇%が随意契約であります。ですから、番組制作を含めたり、あるいは、三千万以上というのは私は非常に高いというふうに思っております。昨年、中央省庁の五百万以上の全契約のうち七割以上が随意契約、これについて全省庁が今取り組みを進めておりますので、三千万ではなくて五百万以上でやはり数字を出してくるべきというふうに考えておりますが、こうした契約の見直し、これについて会長としての御所見を伺いたいと思います。

佐藤委員長 発言表には出ていませんので、会長、お答えください。

橋本参考人 我々、実際に、この随意契約の状況の公開という点につきましても、順次幅を広げ、公開しているところでございます。

 基本的に、可能なものから競争契約というふうなことに鋭意努めて、これまで進めてきてございます。これからも、金額レベルについても努力してまいりたいと考えております。

武正委員 ぜひ、五百万以上の全契約の随意契約率、これを委員会の方に御提出いただきたいというふうに思っております。

 さて、午前中、参議院の委員会でも大臣が民主党の議員との質疑をしておりました模様を院内テレビで拝見をさせていただきました。関西テレビの捏造をきっかけとした放送法改正、強化を政府、総務省は検討中との報道がありますが、私は、やはり放送業界全体の自律性強化、自律というのは、コンプライアンス、セルフガバナンスということでありますが、こうした自律性強化、それから制作会社における低廉な制作費の問題などをまず先に手をつけるべきであると考えております。

 全日本テレビ番組製作社連盟から話を民主党の部門で聞きますと、この二十年間、制作費が上がったことがない、こういうような話もございました。また、関テレについては、一次、二次下請、これが四次まである。こうした業界全体の問題点、こうしたものをまず先に手をつけるべきであるというふうに考えております。

 また、大臣はよく、いや、昨年も四件あったというふうに言いますが、これは白インゲンマメですか、あれはTBSであって関テレではなかったわけでありますので、あれもこれもごっちゃにして、さあ放送法改正だとこぶしを振り上げるのはいかがなものかというふうに思っております。今BPOの強化をNHKもそれから民放も考えておられるようですが、こうした自律性強化を考えるその考え方の意図というか、これを御披瀝いただくと同時に、民主党は、既に二回出しておりますのは、やはり電監審ではある面、総務省の意見を何となくやったふりという形になりがちであります。ということでありますので、独立行政委員会、通信・放送委員会がやはり必要であるというふうに考えるわけです。

 以上二点、会長に御所見を伺って、大臣にもお話を伺いたかったんですが、以上で私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本参考人 まず第一点目の、いわゆる今回の民放さんの番組にかかわるBPOの機能強化という点でございますけれども、我々、基本的には、それぞれ個々の放送事業者自身が自主的に、自律的にこのような問題に対応して再発防止に取り組む、これがまず基本だと思っております。当然ながら、こういうことが起こらないように日常的にするということが一番大事だと思っております。その上で、放送事業者全体が、放送事業全体の放送倫理観を高める、あるいはそれをしっかりとガードしていく、つくり出す、そういうふうなものが大事だというふうな考えで今回の取り組みを行ったわけであります。

 この点で、民放さんの制作会社との取引の価格につきましてはNHKは承知しておりませんけれども、NHK自身は、やはりそういう点にも心配りしながら、実際の番組を制作し放送するに当たっては、NHKとしてのチェック体制といいましょうか、これをとって行っているところでございます。

 また、当然ながら、こういうふうな活動自体につきましては、基本はやはり個々の放送事業者がきっちりと対応していくことを基本にしている中で、独立行政委員会という点につきまして提案されていることは承知しております。この点につきましては、さまざまな側面があり、その側面ごとに考え方があると承知しています。そういう点で慎重な議論が必要であろうかなと思います。

 とにかく大事なのは、表現の自由の確保ということをどういう場合であれ放送事業者、放送界がきっちり守っていくこと、これが一番大事なことだと考えております。

武正委員 NHKとして、公共放送として、そしてまた会長として、今の表現の自由、報道の自由が守られる、そういった意味での毅然たる対応を心から御期待を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 最近、余り菅大臣とお話しする機会がないものですから、最初にちょっと通告外のことを二つだけお伺いしたいと思います。

 午前中の憲法調査特別委員会、非常に私はやはり残念だったなというふうに思っております。というのは、憲法問題というのは、諸外国の議論の例を見ても、与野党の対立の中からやはりいい結果というのは生み出されるものではない。与野党がやはり最小限どの程度合意できるかというところから憲法問題というのはよい結果が出るというのは、諸外国の調査などの例からも、これは与党の憲法特の委員も野党の憲法特の委員も理解をしていたところでありまして、そういう信頼関係のもとでいろいろ議論をしていたのに、きょうの午前中のようなことがあったのは残念だなというふうに思っています。

 これは、もしかすると、安倍総理が憲法の議論、あるいは憲法というものの位置づけに対して多少認識の甘さがあるのではないかというふうに私は感ずるんです。安倍総理が、先般、憲法に関して道州制を盛り込むというような話をされておりましたが、これについて、菅大臣、どのようにお考えでしょうか。道州制を憲法に盛り込む。連邦制ならわかるけれども、道州制というのはどんなものか。少し憲法の本質を理解していないのではないかと思うんですが、地方行政を担当される大臣として、この点、どのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。

 それから二点目でございますけれども、今、レクを受けている最中でございますが、政治資金規正法の趣旨にかんがみると、昨今の松岡農水大臣の姿勢というのは、私は誠実さに欠けるのではないかというふうに思うんですね。政治資金規正法を盾にして、だからしゃべらなくていいんだと言っているのは、法の趣旨を逆手にとっているのではないかという気がするわけですが、この点について、大臣、どうお考えか。

 二点、簡単にお聞かせください。

菅国務大臣 憲法調査会のことについて、私は参議院の委員会で答弁をしていましたので、どういうことになったかというのは、私はよくわかりません。ただ、いずれにしろ、各党会派で協議の上これは進めることだというふうに思っております。

 また、政治資金規正法の話でありますけれども、私ども総務省というのは、委員既に御承知の上での質問だと思いますけれども、実質的調査権というのは私どもは実はありません。そういうことで、事実関係を把握する立場にないわけでありますから、その中で、それぞれの議員の発言に対しては、答えは控えさせていただきたいと思っています。

逢坂委員 松岡大臣も誠実さに欠けると私は思うんですけれども、今の答弁は、菅大臣も若干誠実さに欠けるかなというふうに思います。それはそれでいいでしょう。

 それと、もう一点ですけれども、午前中、寺田委員から質問のあった件ですけれども、参議院の方へ中座されましたので、若干補足をして私も聞いておきたいなと思うのです。

 マンションなどに入居して、三波が一緒にコネクターから電波が出てくるというような場合に、本人はBSの番組は見たくはないのだけれども、機械をつないでしまうと自動的にBSが流れる仕組みになってしまう。このような場合、NHKの受信料を集めて歩く方は、BSが入る仕組みになっているからBSの代金も払ってくださいと言う。だけれども、私はBSは見ていないし見たくもないんだ、たまたま垂れ流しのように出てくるだけなんだといった場合に、受信料を徴収される方は、ではBSのところを壊してくださいというような発言をされたというようなことを、午前中、寺田委員が紹介をしたんです。

 壊す壊さないの問題はともかくとして、本人は見たいと思っていないのにBSがそういうふうに流れる仕組みというのは、今、日常的にマンションなどにあるわけで、このような場合の受信料というのは、本人の意図せざるものをNHK側としては払っていただきたいというようなお願いをしているようでありますけれども、これについて、大臣、どのようにお考えになりますか。

菅国務大臣 集合住宅に入居する方のBS放送の受信環境については、必ずしもやはり一律ではないというふうに私も思います。しかし、受信可能な機器、受信機を設置する場合においては、法の趣旨からしても、受信料制度というものがやはり適切に運用されるべきだというふうに思います。

逢坂委員 適切に運用されるべきだというのは、そういう場合でも払わざるを得ないというようなことだというふうに解していいのかと思います。わかりました。

 さて、それじゃ、きょうの本題に入りたいと思いますが、橋本会長にお伺いしたいんですけれども、非常にこれは初歩的な質問なんですが、聞くのが恥ずかしいぐらいの質問ではあるんですが、でも、やはり私は日常的に、地元にいるとよくいろいろな方から聞かれるんです。NHKの受信料というのは何で払わなきゃいけないのと。それで私は、いやいや、あれは義務じゃないんだよというふうに言う。NHKの受信料を払うことは義務化はされていませんよね。義務じゃないんだよ、だけれども、NHKの受信料というのはちょっと特殊な性格で、テレビをつけたらそこに払うというようなことが発生するちょっと特殊なものなんだよというのは、私もよく説明できないで困っているんですよ。

 それで、要するに、お年寄りでもお母さんでも、この分野に余り詳しくない方に、NHKの受信料というのはなぜ皆さんにお支払いいただくんですかということを、ちょっと簡潔に、例えば会長であればどのように説明するか、お伺いをしたいんです。

橋本参考人 これは、NHKの役割としては放送法七条にその役割があるわけでありますけれども、実際に視聴者、お客さんのレベルでどうお話しするか。私が視聴者との触れ合い活動をする中でお話しする具体的な例で申し上げますと、やはり一番わかりやすいのは、生命財産を守るような災害放送とか、それから、非常に生活に密着した、日々の生活で皆さん方を力づける、支援する、そういう番組を流す、民放さんとは違う性格で番組を提供していますと。こういう放送を行う、それを公共的なと言っていますが、公共的な放送を行うNHK自身をお支えいただくための負担金として受信料をお支払いくださいという言い方でいつも御説明しております。

逢坂委員 もしかすると、私自身も今橋本会長が説明したような説明の仕方をするかもしれませんが、そういう説明をしたら次にこういう質問が来ると思うんですね。いや、そういうNHKはわかるけれども、私はNHKを見ないんだ、だから払いたくないんですよ、それを私に払えと言うのはさらにどういう理由なんですか。

 私はNHKを見ないんだというふうに言われたら、会長、どのようにお答えになりますか。

橋本参考人 実際にそういうふうな御質問ございます。

 そういう中で、いざという場合にはしっかりと放送を出しております、それから、日ごろからこういう番組を御提供しているのでぜひごらんいただきたいということでお話ししております。

逢坂委員 ぜひごらんいただきたいという話がありましたけれども、となると、何かセールスマンの勧誘のような感じもしないでもないんですけれども、どうもやはりそのあたりがはっきりとわかりやすく説明できないところに、今のNHKのさまざま抱えている問題の根があるのかなという気がするわけですね。

 私が子供のころは、NHKというのはある種民放と違った見方といいましょうか、これはすべての人がそうだというふうに言っているわけではありません、たまたま私がというふうに言わせていただきますが、やはりNHKというと、ニュースといえばやはりNHKだよね、災害といったらNHKにすぐチャンネルを合わせるよねとか、さまざまな民放と違う部分があって、受信料を払うということに対しても、まあNHKならみたいなところがあったわけですが、どうも最近はそうでもないところもあるんじゃないか。国民の中にそうじゃない意識の方がだんだん強くなってきたのではないかというふうに思うわけですね。

 そこで、もう一度お伺いをしたいんですが、先ほど会長の言葉の中に、公共的、公共という言葉がありましたけれども、その公共放送たるゆえんというのはNHKは何なんでしょうか。もう一度お答え願えますか。

橋本参考人 今日的に、この公共ということ自体が放送法の中にも、公共放送という定義は書かれておりませんけれども、公共的な役割、NHKの役割として書かれているわけであります。

 今日的な、私としてのこの受け取り方というのは、これは電波を津々浦々あまねくサービスするということにつながりますけれども、情報格差をなくしていくということ、それから、そういうふうなインターネットとかいろいろな情報がたくさんあふれてくる中で、NHKとしてのオーソリティーといいますか、そういう中でクオリティーを保って、いわゆる頼りになる、頼みになる情報提供をする、この役割があろうと思います。

 それからもう一つは、国民・視聴者の方々が孤立した状況にならないように、お互い共助の精神といいますか、そういう助け合いの精神を醸し出す、そういう場を放送を通じて提供していく、こういうものがやはり公共的な役割としてあろうかと思います。

逢坂委員 今の言葉の中に情報格差をなくしていくという発言がございましたけれども、情報格差をなくしていくのはNHKの役割でしょうか。

 菅大臣、これは国の役割なんじゃないでしょうか。そうではないんですかね。

菅国務大臣 情報格差といっても、いろいろな情報があると思います。ただ、NHKの役割の一つにあまねく全国に放送をするということがありますので、そのことをとらえての今の会長の発言じゃないかなと思います。

逢坂委員 菅大臣にお出ましいただいたので菅大臣にも、例えば御地元のお年寄りや若い方から、NHKの受信料ってなぜ払わなきゃいけないのと素朴に聞かれたときに、何てお答えになられますか。

菅国務大臣 公共の福祉のために全国あまねくその放送をし、そして、視聴率にとらわれない、高度なというんですか、豊かな文化的な番組をつくってもらう、そして公共的な役割をNHKに業務としてお願いしている、そこで、その負担を国民が全体で賄う、そういうことだというふうに言います。

逢坂委員 それで本当に皆さん理解してくれるでしょうか。理解される方もいるとは思うんですが、やはり、どこか説明に窮するようなところがあるのが今の実態ではないかなというふうに思うわけですね。したがいまして、今、義務化の問題もいろいろ議論をされていますけれども、もう一度NHKの原点というものを考えてみる必要があるのではないか。もちろん、三十年前のNHKの原点と今の原点は少しずつ変わっているかもしれないんですけれども、このあたりをやはり十分に考えてみないと、いつまでたっても国民の間には不公平感があったり、この問題をうまく乗り越えていけないのではないかなという気がしております。

 さて、それで、時間がありませんので、次の問題に入りたいと思います。

 NHKの受信料ですが、これはもう言わずもがなでありまして、諸外国に比べると、日本の場合は納めていただくコストが非常に高い。諸外国が数%のコストなのに日本は十数%だという話があるようです。これに関連して橋本会長が、住基ネットの情報などを利用してはどうかみたいな発言をされたというふうに聞いているんですが、橋本会長はこの考えは今もお変わりないでしょうか。

橋本参考人 私は、海外の公共放送の料金徴収の仕組みの中でこのような住基ネット等を使っている例があるということを申し上げました。やはりそれはあくまでも海外の事情の中での話でございます。

 ただ、私どもNHKにとって受信料徴収コストの点で今最大の問題は、やはり移動している世帯動向というものをいかに正確に把握できるのかということが一番大事な要件であります。そういう点で、いろいろな方法論というものはやはり考えなければいけないというふうに思っている。そういう場合、海外はどのような例があるのか。ほかにも、電器屋さんからの通知もあります。先ほどからもお話が出た、ケーブル事業者のそういうふうな情報等もあります。今、個人情報保護法の中で大変厳しい、難しい問題ではありますが、個々の世帯移動というものをどう把握するかということで、ここでいろいろな方法を考えなければいけないということは申し上げたいと思います。

逢坂委員 今の話、そういう趣旨で発言したということは理解いたしました。

 そこで、総務大臣にお伺いをしたいんですが、もし仮に、NHKの受信料徴収に住基ネットを使いたい、使おうというようなことが起こった場合に、現状でどんな問題をクリアすればそれは使えるようになるんでしょうか。あるいは、そのあたり、住基ネットを使うというような議論がもし国民の中に非常に高まったとしたら、総務省としてはどのように対応していくおつもりでしょうか。

菅国務大臣 先ほど来この話が出ていますけれども、NHKが料金徴収をするために、今、六千億円の徴収、集めるために七百六十数億円ですか、計上している、地域スタッフと言われる人たちが五千七百人いて平均年俸が五百九万という。だれが考えても、ここはやはり改革をすべきである、私は実はそのことも指摘をしております。

 そういう中で、住基ネットをそのために用いたいということについては、この住基ネットの利用というのは給付行政や資格付与の分野で国民に関係の深い行政事務等となっており、これをそれ以外に利用することの是非については、個人情報の保護の面だとか、NHKが利用することに対する国民全体のコンセンサス、こうしたさまざまな観点から極めて慎重な議論が行われるべきであって、今住基ネットを利用したいということを出すこと自体、私からすれば、今マスコミに身を置く中で果たしてこういうことができると思っているのかな、そういう思いもしたことも事実です。

逢坂委員 大臣に改めて確認ですが、現状では住基ネットをNHK受信料の徴収に対して利用するには極めて難しいという趣旨でよろしいでしょうか。

菅国務大臣 慎重にも慎重の上の議論が必要だと思っています。

逢坂委員 了解いたしました。

 それで、次なんですけれども、NHKが今後どうあるべきかということについて、残された時間、若干話をしたいと思うんです。

 NHKの組織を、これは私が外の人間として見ているときに、極めて中央集権的な組織のように私には思われるわけですね。もっと思い切ってNHK改革をしていくためには、NHKを例えば分社化するとかそういう考え方というものがあった方が、地域の皆さんにはNHKのいわゆる公共性というものが受け入れられる可能性が高いのではないかというふうに思うんです。

 私、今、単純に分社化と言って、その中身については余り詳しく説明しておりませんので、会長もおわかりにならない部分があろうかと思いますが、もし仮にそういう発想があったとしたら、これは、会長、まあそういうものもおもしろいなとか、ちょっと考えてみた方がいいんじゃないかななどというようなことがあるかないか、そのあたり、ちょっとお伺いしたいと思います。

橋本参考人 地域に対しての分社化というふうなお言葉でありましたけれども、まず、今のNHKの事業の行い方といいますと、具体的に言えば、個別に、分社化してそれぞれが機能するようなときに、独立して持っているべきようなものを、要は、ある共通部分については全部一緒にして合同で使おうというふうな発想、この発想の中で非常に効率的に事業運営しています。これは、日常の事業運営のコストもそうでありますし、それから番組そのものをどう使うかということもその一端としてございます。

 具体的に、番組自体につきましても、地域でつくったものを地域で発信する使い方、それからよそでつくったものを地域に向けて発信する使い方、それから地域でつくったものをよそ、例えば東京なりどこかで放送する、いわゆる全国発信、そういうふうな送り方を網羅的に行っております。これはやはり、現在、中央集権的だとおっしゃられますけれども、NHKが持つ全国ネットワーク機能というもので、できるだけ重複なく番組をつくり、放送し、また事業も行うという中で効率よくやっているというふうなことがございますので、分社化という考え方は持ち得ておりません。

逢坂委員 この問題はまたどこかで機会を改めてやりたいと思います。

 もう時間がなくなりましたのでこれで終わりたいと思いますが、この質疑の様子はNHKさんで放送されるというふうに聞いておりますが、きょうの橋本会長と菅大臣の話、なぜ受信料を我々は納めなければいけないんですかということをお二人に私は国民にわかりやすく説明をしていただいて、このNHKの放送を見た後に、みんなが、では、おれも受信料を納めようというふうになってくれるかなというふうに思って、PRの場というような意味合いも含めて御質問したんですが、結果はどうも裏目に出たかなというふうに思っているところでありまして、やはり根源の部分、公共放送と受信料の意味合いというところを、私も含めてもっと真剣に突き詰めてみなければ義務化の議論というのもなかなか難しいところに入るのかなというふうに思っている次第であります。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 田嶋要です。

 私からも、まず冒頭、職権の濫用ということに関して一言申し上げておきたいというふうに思います。

 国会が正常化いたしまして、しかし、その前に、私も含めまして、野党の質問権がかなりの部分に関しまして奪われたわけでございますが、ようやく正常化したと思いきや、また改めて同じようなことが憲法特で行われてしまった、公聴会の設定ということに関しまして、やはり大変残念であるということを一言、冒頭申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、質問に入りますが、二十分、まずきょうお伺いしたいのは、質問通告をしていない点、一つ質問をさせていただきたいと思います。

 NHKからちょうだいをいたしました資料の中で目がとまったものでございまして、人の財布の中身をいろいろ言うのも若干気が引ける部分もありますが、しかし、情報公開ということで、NHKがこういった厳しい状況にある中で、幹部の報酬、そういうところに関して少し質問させていただきたいと思います。

 御自分のことですから、会長の話をさせていただきますけれども、NHKも、こうやって経費削減、大変厳しい経営の危機を乗り越えていかなきゃいけないということで、会長の報酬も削減をしてこられたわけでございますが、大体、この十年、どのぐらいの削減がなされていたか、御自身のお口から答弁いただきたいと思います。

橋本参考人 これは十年ということでございますかね。私、十年たっていないものですから。

 十年間ということはわかりますが、資料で御提示申し上げていますように、平成九年から十二年までは、会長職でいえば年額三千九百九十二万円でございますが、これが現在、私の段階に至りますと、およそ二割削減の三千百九十二万円という状況でございます。

田嶋(要)委員 その数字だけ聞いて、多いとか少ないとかいろいろな意見があると思うんです。

 財政破綻をした夕張市は、せんだって話を聞きましても、七割カットという状況。まあ、NHKがそこと同じにするべきだということは意見としてはありませんけれども、ちょっとさかのぼってみますと、過去には四千万ぐらいの水準だったわけで、大体内閣総理大臣と同じぐらいだったという状況があったわけでございます。それが、二段階で引き下げてまいりまして、特に不払い問題が大きく顕在化をしてきた時点で、今おっしゃったように一五%ほど引き下げた、そういったことで、一番過去の高い四千万のときから比べるとおよそ二割引き下げておるという状況なわけです。

 私自身の感覚といたしましては、今のおっしゃった約三千二百万ですか、そういった水準が、競争にさらされていない、あるいはいわゆる民間企業のようにお客様から売り上げとして収入が立つ企業ではない、そういうところのトップが、今のこういう不祥事続きの状態の中で、果たして、まず隗より始めよというところでみずからを律していく十分なアピール効果を持っているのかなというところは、私自身、この数字を素朴に見て、かなり高いなという印象を持たざるを得ません。

 従来、総理大臣と同額ぐらいもらっていた時代は言うまでもないわけでございますが、今日、三カ年計画、人員削減、スリム化、こういうことを声高におっしゃっておる限り、これは会長だけではないですけれども、幹部がまず身を正す、社内に対する、会長もあそこまでやっている、そういう印象を私は全く受けないわけでございます。

 二割下がった。昔は総理大臣と同一水準であって、そこから二割下がったということで、この部分、多分テレビでは放映されないんだと思いますけれども、本来はこういうところこそNHKは放送して、いや、本当にだれの目から見てもちょっとこれは余りに高過ぎたな、しかし自分はそのときは会長をやっていなかった、おっしゃるとおりです、しかし、そういう時代もあった、大変まずかった、だから常識的なレベルにしたんですということを、見ているお客様あるいは社内の社員に対して、ここまで痛みを分かち合っているんだ、夕張の市長もそうですけれども、そういうアピール効果というのはやはり出していかないといけないんじゃないでしょうか。

 会長、御意見を。

橋本参考人 私も、着任した直後この判断をしたわけでありますけれども、やはりそういう姿をお見せしていくということは大事なことだというふうに考えております。

 この給与の問題だけでなく、あらゆる面、我々、視聴者の方々に理解していただけるような形で、いろいろな経費削減、そういうふうなものもあわせて行いますけれども、引き続き、これは給料ということではございませんけれども、視聴者の方々に、いろいろな面で、現在行ってきた改革、これからも考えていく改革というものをアピールしてまいりたいと思っております。

田嶋(要)委員 何もしなくともとは言いませんけれども、民間の企業に比べれば、やはりある程度予定された収入が毎年立つような組織なわけです。そういうところに関しまして、そういったトップが、どこから見てもよくやっている、ぎりぎりのところで頑張っている、そういう姿勢を見せることが大変重要だというふうに私は思いますが、大臣、御意見がありましたら一言お願いいたします。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、やはり国民の視点に立ってその改革というものを私は進めるべきであるというふうに思いますし、それが現実に、ああ、こういう状況になったのかとわかることが私は必要だというふうに思います。

田嶋(要)委員 私自身、初めて三千二百万円という数字を今回確認いたしましたけれども、私は、繰り返しですけれども、若干まだ自分に甘い、あるいは幹部に対して甘い状況ではないかというふうな意見を持っております。

 次の質問に入ります。

 料金の義務化の話でございますが、その根拠として、公平性、それから、きょう午前中も、平等性を担保したいということをおっしゃっておるようでございますが、私は、いろいろ見ていると、はっきり言って、不公平だらけの今状況にある中で、義務化をすることでどの程度の公平性が担保できるのかなという感じを持っておるわけでございますが、大臣、公平性、公平性とおっしゃいますけれども、もし仮に義務化をされたとき、世の中の人が思っている今のNHKの不公平感のうちのどのぐらいが解消される、それによって全部が解消されるというふうにお考えなのか。そこら辺はどうなんですか、大臣。

菅国務大臣 全部解消されることはあり得ないというふうに思います。

 ただ、少なくとも、先ほど来話ありますけれども、一千万と言われる人たちが受信料を支払っていない、受信料を支払っている方は三千三百万の方でありますから、そうした方に対しての不公平感というものは、私は物すごく強く残っているというふうに思いますし、さらに、例えば事業所を初めホテルだとか、NHKで今度、たしか二台目以降半額とか言われましたけれども、そうしたものを含めて、さまざまな不公平感というものは今私蔓延しているというふうに思っています。現に、私自身が地元で、自分の四、五十人の後援会の中でこの問題を発言していても、その不公平感というものは物すごく実は言われていますので、この義務化というのは、その不公平感を解消させるための一つの私は方法だというふうに思っています。

 しかし、私は、これも言い続けておるのでありますけれども、NHK内部の改革と義務化と値下げ、この三つをセットで行わなければ国民の皆さんから理解を得られない、このことを主張し続けているわけであります。

田嶋(要)委員 先ほどの幹部の報酬ということもそうですが、まず問わなきゃいけないのは、組織としてやるべきことは全部やったか、徹底的にすべてやり尽くしてもう手がないんですというところまで今の組織が来ているかどうかということが私は重要だと思うんですが、そこで、ちょっと今回注目をいたしましたのは、事業所の受信料の関係でございます。これは、平成十七年の評価が出ておりまして、その十七年の評価を見ましても、これは出所は、会計検査院から検査報告というのが出ておりまして、それをいろいろ読ませていただきましたが、私はいろいろ腑に落ちないことが大変多い。

 これはまずNHKにお伺いしますが、事業所からの収納率というのは、そうじゃない一般家庭からに比べてどのような状況でございますか。

小林参考人 お答えいたします。

 いわゆる法人、事業所、ホテル、病院、一般の事務所等でございますけれども、その契約状況につきましては、平成十七年度末で、契約数は二百十一万件、契約率は七四%、収入額は三百五十億円程度となっております。

田嶋(要)委員 だから、それを一般の方の契約率との比較においてお答えいただきたいんです。

小林参考人 一般世帯の契約率は約七八%台でございます。それと比べますと若干低い数字となっております。

田嶋(要)委員 今おっしゃられたような若干低い状況は、過去十年ずっとそうなんですね。なぜですか。

小林参考人 法人、事業所の受信契約につきましては、事務室などテレビの設置場所ごとに御契約をいただくということになっております。それを基本に、事業所の御申告に基づきまして契約をさせていただいているということでございます。

 ただ、NHKにはいわゆる立入調査権がございません。したがいまして、テレビの正確な設置状況の把握が必ずしも十分できない、確認をとり切れないという面がございます。また、それだけじゃなくて、受信料制度につきまして必ずしも御理解いただけないということで、テレビの設置状況調査に協力いただけないというケースもございます。そういった中で、必ずしも設置状況の把握とそれに基づく契約が十全ではない、そういうことも考えております。

 こうした法人、事業所に対しては、日常的に徹底した御理解、御協力をいただくよう、誠心誠意御説明しながらやっている状況でございます。

田嶋(要)委員 皆さん、お聞きになってわかると思うんですが、今おっしゃられた理由、すなわち、NHKは強制的に立ち入ることができませんとか、あるいは受信料の意義に関して十分理解をいただいていない、これはもう全国共通のNHKの課題なんじゃないでしょうかね。別にこれは、事業所だからとかという特殊事情では全然ないと私は思うわけであります。したがって、ではなぜ、四%から五%、いつも事業所からは取れていないのかというところが私の疑問です。

 そこで、この会計検査院から出されておる報告書を読みますと、平成十六年の六月に本部内に法人営業センターを設置したというふうに書いてあるわけですね。私、こういうところからして、ちょっといすから転げ落ちそうになるわけでございますけれども、普通、営業というのは、やはり法人営業というのは大変重要なわけですね。菅大臣もうなずいておられますけれども。それを、その重要性に数年前にやっと気づいて、こういうセンターをつくって法人からの徴収率を上げなきゃいけないとやり出していること自体が、やるべきことはまだ相当あるのにまだ何もやっていないということのあかしではないかと私は思うんです。

 そして、この会計検査院の報告をもうちょっと読みますと、何か役割を分担いたしまして、地方放送局で取る部分とこの営業センターで取りに行く部分を分けるとか、それから、テレビの設置状況調査票なるものをつくって、その辺をきちんと事業所から報告してもらうだの。ところが、情報交換が十分とできていなくて、どっちの仕事かがわからなくなっているとか、国立大学法人からも、七十八法人のうち二十八法人に関しては受信機の設置状況を把握していないとか。民間企業であれば、まだ何か営業を始めていないような状況に今のNHKがあるのではないかという感じがいたします。

 NHKの状況を考えますと、普通の民間企業であればお客様に頭を下げて売り上げが立つわけでございますが、そういう活動が一切ない。だから、NHKの営業というのは、これは料金回収ということだと思うんですね。営業局の一番大きな仕事は料金回収だと思うんですが、そこにまだまだやるべき課題が幾らもあっても十分にやられていないのではないかなというふうに私は考えます。

 そこで、来年、事業所の受信料体系の見直しなんという話も出てきておるんですけれども、この中で、何か値引きをしていくというような話もあるわけでございます。適正な申告をもとに敷地内の設置場所全数分を支払うときにのみそういった割引を行うというような考えを持っているんですが、これは、そもそもそれができないというのが先ほどの説明だったのにもかかわらず、どうやってこういうことをチェックしていこうとお考えなんですか、NHKさん。

小林参考人 ただいま先生御指摘のように、事業所契約につきましては特例制度を設けようという方向で検討を進めております。

 今ございましたように、敷地内の設置場所につきまして、あくまでも全数分につきまして受信料をお支払いいただくというときに限りまして二契約目以降を半額程度にしていこうということを、今検討を進めているところでございます。これによりまして、きちんとお支払いいただいていた事業者からの収入は減ることがございますけれども、一方、先ほど申し上げましたように、まだ少ない受信料をいただいているところからは、全数分をお支払いいただくということでやっていこうというものであります。

 どうやってそれをきちっと把握して、特定して、正しくできるのかということでございますけれども、当然ながら、全数をお支払いいただくというものにつきましては、一定の申請をしていただく、それをもって確認しますということでありまして、例えて言えば見取り図でありますとか、あくまでも部屋単位でございますので、どういうものが設置されているかということについてはその確認をとらせていただく。

 なお、もしそれが通常的に考えて少ないという場合でありましたら、改めてそれは調査させていただくということをもって、確定した段階で半額特例というような制度を設けていきたい。

 これによりまして、より公平負担が徹底できるのではないかというふうに考えているところでございます。

田嶋(要)委員 論理矛盾があるような感じがするわけでございますが、本当に実態はわからないという状況は家庭も事業所も同じだと思うんですよ。それで、やはりもっと法人にしっかり特化した営業努力をしていただかなきゃいけないというふうに私は思います。

 それから、時間が限られますけれども、もう一つ、これは、義務化とかいうことを言う前に、本当に、移転とか、引っ越しちゃってわからなくなったとか、NHKがいろいろ御苦労されているそういうことに関して、ありとあらゆる、データベースをよそから借りてくるだの、そういう方策に関して全部可能性を考えてみたのかということです。午前中も同僚議員から意見、質問が出ておりましたけれども、私、そこに関しても大変大きな疑問を持たざるを得ません。

 先進国の中で日本だけは外部情報の活用がバツということで、いただいた資料にもなっておるわけですけれども、大臣、そこに関して、例えば郵便局の情報ファイルの活用なんというのは、いろいろさかのぼっていきますと憲法の通信の秘密までいっちゃって、これはなかなか難しいものがあるという御説明をいただいたわけですが、それほどハードルの高くないものもあるのではないかなと私は思うんです。

 NHKさんに幾ら聞いても、そういうのを本当に徹底的に、二十通り可能性があるものがあった、でも、調べていくと全部壁にぶち当たって、どれ一つ実現できないというところまで調べ上げたんだったら仕方がないから義務化しかありませんという話もあるかもしれませんが、順序としては、そういう営業努力、会社の努力をしているのか。具体的な話が何も出てこないですけれども、大臣、どういうふうに御認識されていますか。

菅国務大臣 私もさまざまな方法というのはあるというふうに思っています。そこについてはやはり具体的に、一つ一つつぶしていって回収する必要があるだろうと思います。

 そもそも、実は私が義務化という話をしなきゃならないと思いましたのは、副大臣になって、ホテルはどうなっているんだという話を聞いた。ホテルも、調べてみますと、例えば、全国展開をしているあるホテルは全く契約をしていないということもありました。あるいは、会計検査院の検査の中で、あるホテルは五%だけであります。なぜこれはできないんだという話を私はしました。

 それは、先ほど来の議論の中にありますそういう理由でありましたので、義務化すれば、さまざまな方法というのはあるでしょうから、そういう中で、一方で三千三百万の人は千九百五十円を今支払っているわけですから、そういう人たちに対して余りにも負担がかかり過ぎている。少なくとも、そうした事業者の実態を含めると、数多くの、まだまだ契約可能性というのはある、そういうふうに私は思っていますので、そういうものを回収し、やはり、NHKの本来であります、全国あまねく、公共の福祉のために、広く国民負担という中で、料金を値下げして、NHKは発展をすべきじゃないかなということで、今、NHKに、内部改革、そして義務化、値下げという三点セット、これを昨年、私どもは政府・与党で合意をしまして、このことを実は要請しているというところであります。

田嶋(要)委員 時間になりましたけれども、もちろん義務化も選択肢の一つではあるとは思います。しかし、今申し上げたように、私は、去年もおととしも、NHKの予算、決算を見ていて、何かいつも同じ文章がいろいろ並ぶわけでございますが、本当に徹底的にやり尽くしたのかということですね。冒頭申し上げた、会長の給与はそんなにもらって本当にいいんですか、そういうことも含めて、やはり全部、社内に対して質問していかなきゃいけない。いいのか、やったのか、これはやったのかと、全部やり尽くしてから義務化なんということを口にしていただきたいなというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございます。

佐藤委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、冒頭、午前中の憲法調査特別委員会での強行採決に抗議を申し上げたいと思います。国民投票法案、メディアもかかわる極めて重要な法案でありますが、NHKの予算案が審議されているこの日の午前中に強行採決されたということは、あってはならないこと、遺憾でありますので、今後こういうことがないようにぜひお願いをします。

 それでは、質問に移ります。

 まず、命令放送について伺いたいと思いますが、私も新潟出身の議員でありますので、拉致問題の解決には積極的にかかわっていきたいと非常に強い思いはございます。しかし、そこから先の手段、そしてまた、放送の自由とどう両立をとるかということは、多少大臣と考えが違うところがありまして、昨日、電波監理審議会に大臣が諮問されて、昨日のうちに答申が出されているようでありますけれども、これについても、知らないうちに出されてしまった、私たちは本当に青天のへきれきという思いでおるんですが、そのことについてはまた後でお伺いをしたいと思います。

 まず、NHKの方に、昨年十一月の十日に、ラジオ国際放送において放送の内容にまで命令が加わった、その後、一体放送がどういうふうに変化したのか、それをお伺いしたいと思っております。命令が具体的にどういうふうに反映されたのか、内容あるいはその頻度、どんなふうな変化があったのかということをお伺いしたいと思います。

原田参考人 お答えいたします。

 NHKは、ラジオの国際放送におきまして、この命令が出ました前も後も、報道機関といたしまして、自主的な編集判断のもとで拉致問題の放送に当たっているところでございます。

 この命令が出されましたのは十一月十日でございましたけれども、この日を基準に、前の二カ月それから後の二カ月、原稿の本数を比較いたしますと、後半の方が多うございます。

 ただ、これは、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議が開催されたり、あるいは、APEC、アジア太平洋経済協力会議で拉致問題の解決への協力を日本が各国に訴えた、そういう首脳会議が開かれたり、あるいは拉致の被害家族による初めての国際会議が開催されたというふうなことによるもので、すべてNHKの判断できっちりお伝えをしているところでございます。

西村(智)委員 今の御答弁ですと、地下核実験が行われたり、それから、実際に六カ国協議に関するニュースが多かったりしたので、全体としては北朝鮮に関するニュースの出稿本数がふえた、そういう御答弁でありましたし、しかも同時に、その編集はNHKの自主的な編集によって行われた、こういう御答弁だったと思います。

 そこで、総務大臣にお伺いしたいんですけれども、総務大臣は、昨年の十一月十日の命令変更後、つまり内容について変更を加えた後のNHKの対応について、どのように評価していらっしゃるのでしょうか。

菅国務大臣 当時も私は、編集権には言及しない、編集の自由というのは尊重する、当然だという話をさせていただきました。NHKより提出をされる週間の番組表だとか、あるいは実施報告書によれば、命令というのは適正に実施されているものじゃないかなという判断をいたしております。

西村(智)委員 でも、今のNHKの答弁ですと、命令に適切にこたえたという表現は一言もなかったわけですよね。ところが、大臣は、自分の命令に適切にこたえてくれたのではないかと思っている、ここはやはり食い違っているんではないかなと思うんですね。つまり、大臣は、命令は出してみたものの、そしてNHKがそのようにこたえてくれたと思ってはいるけれども、NHKの方はどうもそういうふうには考えていない。これははたから見るとちょっとこっけいでありまして、大臣の命令はされっ放しだったのかなというふうに考えるわけなんです。

 新年度のNHKの予算は、事業収入の区分で見ますと、国からの交付金収入ということで、昨年度が二十二億円であった交付金収入がことしは二十五億円ということでふえております。この内訳、大体ざっと内容もお伺いしたんですけれども、三億円がテレビ国際放送に対するものだということでありました。

 そして、昨日、電波監理審議会の方に諮問が行われ、即日答申が行われたところの内容は、ラジオとテレビにそれぞれ命令が出される。ラジオについては昨年の十一月の十日に出された命令書の内容と同一のものであって、テレビについては、放送内容の指定といいますか記載はなかったものの、初めてテレビ国際放送に対しての命令が出される、こういうことであります。これは極めて画期的なことであるし、重大なことだと私は考えております。

 総務大臣にお伺いいたします。

 今回の命令は、テレビに対しては内容についてまでの事項は含まれていなかった。今後、テレビ国際放送に対してもラジオと同様に内容についてまでの命令を行う可能性があるでしょうか、ないでしょうか。

菅国務大臣 私、ラジオについて、ことしも拉致問題というものを特定させていただきました。それはまさに、自由を奪われて助けを求めている多くの日本人が北朝鮮にまだ生活をしています。帰ってこられた人たちの話の中でも、この放送によって、日本の家族や国民や、そして政府が、何年たってもまだ救出のために働いてくれる、そのことを知って生きていこうと思ったという、ある意味では非常に大きな希望を持てたと。そういう中から、私は、人道的問題であるということで、ラジオについてはことしも命令放送の中に入れさせていただきました。

 また、国際放送でありますけれども、北朝鮮における日本人の拉致問題というのは、北朝鮮のテレビというのは、まずチャンネルが固定をされていて、放送しても受信をできないというふうになっておりますので、北朝鮮の拉致問題に留意するとの項目というものは入れなかったということです。

西村(智)委員 いえ、私がお伺いしたのはそういうことではありませんで、テレビ国際放送についても個別の放送内容に踏み込んだ命令を行う可能性があるかどうか、一般論として伺っています。

菅国務大臣 まず、御承知の放送法の第三十三条の一項において、総務大臣は協会に対し、放送区域、事項その他必要な事項を指定し国際放送を行うべきことを命じることができるとされておりまして、どのように命令をするかというのは、私は、その時々のやはり国際情勢というものを判断して適正に判断すべきものだというふうに思っています。

西村(智)委員 今後行う意向はございますか。大臣、いかがですか。可能性はわかりました。

菅国務大臣 現時点ではありません。

西村(智)委員 昨年からの予算案と比べますと、交付金収入、国からNHKに交付されている交付金の額は二十二億円から二十五億円とふえている。しかも、ラジオ国際放送に対してだけではなくて、テレビ国際放送に対しても今回初めて命令が出されます。これは、はたから見ていますと、NHKに対するいわゆる国の関与が相当拡大してきているように見えます。

 これは、三億円ですから、どのくらいの大きさなのか比較も難しいですが、初めの一歩。小さな一歩かもしれません。ですけれども、ここから先にこれがどういうふうになっていくのか。これはいろいろな想像があるでしょう。そうしますと、NHKというのは国のための放送なのか、あるいは視聴者のための放送なのか、そこを問われてくる、そういうおそれもなきにしもあらずであります。

 NHKに対してお伺いをいたしたいんですけれども、命令放送に対して会長のお考えは現時点でどのようなものでしょうか。つまり、この間いろいろ、私たちの民主党の方でもヒアリングをしておりますけれども、この放送法第三十三条、命令放送の規定は、由来もはっきりしないし、なくてもよい、そういう項目ではないか、こういう意見もあるわけですね。

 お伺いは二つです。つまり、制度として、命令放送という制度が要るのか要らないのか。NHKとしては、本当にこれは必要なものだと思っているのか、不必要だと思っているのか。そしてまた、それを一つ区切りといたしますと、個別内容の命令が行われることについて、これも必要か不必要か。この点について、会長のお考えをここは明確にいただきたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 国際放送あるいは命令放送という仕組みにつきましては、これは国の行政と大変かかわっていると思っております。命令放送自体というのは昭和二十七年から長い間行ってまいりましたけれども、国として海外に対して国の意思を伝えるために設けられている制度と心得ております。したがって、この是非あるいは制度そのものについては、やはり国民的な議論が大変必要なものだと考えております。

 現在我々が行っております国際放送、NHKの国際放送自体につきましては、やはりNHKの編集権という中で情報発信を行っているわけでありますが、これは当然ながら、命令放送という、国として必要な命令放送の内容を加味した形で、一体的に、しかしNHKの編集権の中で放送しているという構図をとっております。

 こういうふうに、NHKの自主的な編集権で行うことによってしっかりと海外でも広く聴取されているということでございますけれども、しかし、先ほど御指摘がありました個別事項というものを示していく、指定していくということになりますと、この点には、その内容いかんによってはやはりNHK自身の編集方針に制約を与える、あるいはそごを与えるという懸念も否定できないというふうに考えておりますので、この運用につきましてはくれぐれも慎重な上に慎重に行わなければならないというふうに考えております。

西村(智)委員 答えていただいたのか、答えていただいていないのか、わからないんですけれども、答えていただいていないですよね。私は、制度として必要ですか、必要でありませんかというふうにお伺いしたんです。はっきりと答えていただけませんでしょうか、会長。どうですか。

橋本参考人 今申し上げたように、国際放送には国として必要な国際放送というものがあろうと思います。それから、NHK自身が行っている国際放送というものもございます。これを、国として必要なものをどう行うのかという点で、やはり一体的に放送しているという構図が今行われているということで、国として必要な国際放送という点について、これが要るか要らないかという点については、NHKとしては、申し上げるというよりも、やはり国民的議論が必要だというふうに考えております。

西村(智)委員 はっきりと制度として必要だという答えではない。同時に、不必要だというふうにも答えていただけなかったわけですけれども、必要だというような答弁でもなかったという理解をしております。

 でも、会長は大変大事な、重要なことをおっしゃったと思います。国として必要な放送かどうか、これはやはり一つの論点立てとして重要なところだと思うんですね。

 総務大臣、私は、放送法第三十三条というのは、やはりこれは見直した方がいいと思っております。大臣は今後、この命令を要望という文言に変えて、しかも、報道によりますと、応諾義務を付すというふうにお話しになっておられるようでありますけれども、応諾義務のついた要望というのは一体どういうことかなと思うわけです。少し時間がなくなりましたので、本当はこのこともお伺いしたかったんですが、恐らくそちらから出てくるであろう放送法改正案の議論にまたそちらは譲りたいと思います。

 きょうは、最後に確認をさせていただきたいのは、先ほど会長が、国として必要な放送かどうか、こういうふうにおっしゃいました。仮にそれがあるんだとすれば、私は、今の三十三条の枠の中で、交付金というお金を入れて、NHKに、何だかわからない、薄めてやるのではなくて、諸外国でやられているように、例えば時間枠を買い取って、ここからここまでは政府の命令でやっています、そういう切り分け、これが必要ではないか、これから今後続けていくのだとすれば。政見放送ですとかいうような仕組みもありますし、先日は、拉致の関心を喚起し維持するための政府CMがつくられた、そういうこともありました。

 ということからすると、そこは編集権の独立をしっかりと確保する、要するに、自主的編集権でやっているという部分と、それから政府が命令したのでやっているという部分がきっちりと切り分けられる、そういう仕組みが必要ではないかと思うんですけれども、大臣はどのようにお考えになりますか。

菅国務大臣 この国際放送による命令というのは、日本の見解や国情をまさに外国に伝える、あるいはまた、海外同胞に災害、事件等を迅速に伝えられること、そういう中で、私は、拉致問題はまさに人道的な問題であるということでさせていただきました。この放送は、国として実施をすることが必要なものについて、みずからの意思で行うものであって、私は今後とも必要なものであるというふうに考えております。

 この命令放送の実施に当たっても、何回も私は申し上げていますけれども、表現の自由やあるいは報道の自由が極めて重要であるという認識のもとに立って、従来からNHKの編集権にも配慮してきているところであります。

 命令放送の部分を切り分けるのではなくて、NHKの自主放送と命令放送を一体として行うことによって国際放送が効果的に行われていく、私はこういうふうに考えています。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

西村(智)委員 NHKの予算、事業収入の六千三百四十八億円に占めるうちの交付金収入は二十五億円です。比率としては小さいかもしれません。ですけれども、確実にこれは昨年度と比べてふえております。ぜひそこは、政治と報道の切り分けといいますか、国による関与がないんだ、まさにそれがあるというような疑念が生じないような、そういうNHKの毅然とした態度と、そして、引き続きしっかりとこの委員会の中での答弁をしてくださるようにお願いをいたしまして、時間になりました、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岡本(芳)委員長代理 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。

 質疑に入ります前に、少しお願いをさせていただきます。

 私も、この国会に出させていただいて、まだ二年目になるわけでございますが、さきのこの総務委員会、地方にとってとても大事な地方交付税法そして地方税法、この審議が三時間で打ち切られた。前回、小泉総理の第百六十四国会は、私は他の委員会の所属でありましたが、国会が、委員会の審議が大変盛り上がっておったというように私は思っております。今回、安倍総理になりましてから、どうもきょうの憲法調査会でも、このような、審議が非常に短い、しかも強行で採決されていくというようなことは、昨年の経験からしますと、非常に残念であります。どうぞ、そういう面は委員長も大臣もよくそのことを頭の中へ入れていただいて、これからの審議をぜひお願いしたい、そのことをお願い申し上げて、質疑に入らせていただきます。

 NHKの予算について質問をさせていただきます。

 これは、受信料の支払いの義務化についてであります。特に、総務大臣が二割程度の値下げということをこの義務化とセットにされて主張されておるということは、もう何度も何度も言われておるわけでございますが、二割の値下げをNHKとしては受け入れられないというような、結局そのところにおさまったというようなことの中で、放送法の改正案に支払い義務化を盛り込まれない可能性が非常に高いというふうに理解をさせていただいております。

 当委員会でも、値下げの問題に関しまして非常に議論をされておるところでございますが、改めて大臣に、なぜこれは二割なのか、一割でも三割でもいいんじゃないかと思うんですが、なぜ二割に固執されたという、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

菅国務大臣 まず、義務化について提出をしないということは、まだ決まったわけでもありません。党内でまだ議論の最中であります。

 私がなぜこれを申し上げたかといえば、昨年、政府・与党合意の中で、NHKの内部改革、そして義務化と値下げ、これは実は三点セットでありまして、そういう中で、私は義務化の話をさせていただいているところであります。

 それで、よく地元の皆さんに聞きますと、やはり余りにも不平等だ、私はこのことは国民の率直な声だと思います。そしてまた、私自身も、先ほど申し上げましたけれども、ホテルの徴収等について、やはり余りにも原理原則がなさ過ぎるということも実は副大臣当時から指摘をしておりました。

 そういう中で、二割ということでありますけれども、受信料のこれは一連の不祥事前というのは約八〇%あったんです。それで、この支払い義務化というものが加われば、八五%ぐらいまでに高まるだろう、その中で年間千二百億円の増収効果が見られる、先ほども民主党の委員の方からお話がありましたけれども、やはり六千億円の中で七百六十億円徴収にお金をかけているのは、どこと比較しても余りにもかかり過ぎるわけですから、そうした合理化だとかさまざまなことを行うことによって二割前後の引き下げというのは可能である。委員のように、三割であればもっといいと私は思いますけれども、とにかく広く薄く国民の皆さんに負担をしてもらうという、やはり原点に立ち返る必要があるんじゃないかなという形の中でこのような発言をさせていただいているところであります。

森本委員 言葉足らずでしたらお許しをいただきたいんですが、可能性が極めて高いということで御理解をいただきたいというふうに思います。

 私も、総務大臣の言われること、安くしろ、それが国民へのサービスでありますから、そのことを否定するつもりはありませんが、今、八〇から八五%というようなことも実際言われておりました。しかし、先ほど武正議員の、徴収率が低い最大の原因は結局は一千万件と言われる未契約者であるというふうに思っておるんですが、それが全体の二割、二一・六%になるわけです。

 ちなみに、契約をしながら支払い拒否あるいは保留しているのは全体の約七%という数字が出ておるんですが、義務化をすれば、これまで未契約だった人が契約するとお考えなんでしょうか。私は、なかなかそのあたりは難しいんじゃないかと。これは未契約の方なんですが、そもそも面接困難であったり拒否をされておったり、非常に言い回しは失礼かもわかりませんが、半ば確信犯的に契約していない人たちで、義務化規定を設けたからといって、その人たちが簡単に契約をされるとは私は思えないんですが、そのあたりについて、いかがお考えでございますか。

菅国務大臣 義務化というのは、受信機を所有した人に対して、現行の契約締結義務に加えて、法律で直接支払い義務を規定するわけでありますから、このことによって、契約締結拒否を招きやすいといった問題をまず解消することができる。不払い者の大宗を占める現在の未契約者に対する迅速な対策も可能になるわけであります。

 現に、不祥事が発生する前までは八割近くあったわけですから、そして先ほど来言っていますけれども、一千万、この母数というもの、今、皆さん御承知のように、マンションだってどんどん建って、核家族化が広がっているということもあります。やはり、もう一度そうしたものをしっかり精査すれば、二割前後というのは可能な数字だというふうに思っています。

森本委員 それでは、NHKの会長にお伺いしたいんですが、総務大臣は過去に八〇%あったという話です。

 今、福田議員の質問の中で、一%アップに四十万世帯の確保で、十倍以上の接見、アクセスというようなことをお話しされておりましたが、そうなると、義務化をすれば徴収率がどの程度向上するのか。義務化は希望されておりながら、今私が申し上げた意見と会長の意見は、私は少し一致しないんじゃないかなと。というのは、義務化をすればどの程度徴収率が向上すると思われておるんですか、会長。

橋本参考人 現段階でも、義務化という考え方は存在すると考えております。その中で、放送法で支払い義務化ということを明記することは、視聴者の方々に大変わかりやすいという効果が発生するということは申し上げているところでございます。

 そういう中で、実際に、今御指摘ありましたように、受信料としてお支払いを確保するためには、十倍以上の接する回数を持たなきゃいけない、そういうふうな物理的な行動が必要になっていることも確かでございます。

 そういう中で、支払い義務化というものを放送法に明記した、では、この効果が具体的にどのぐらいの効果につながるかというところは、基本的には大変はかるところが難しい数字でございます。全くないとも言い切れませんし。それから、当然ながら、そういう中で我々はまた受信料収納の活動、努力ということも加えてまいります。

 そういう中で、不払いの方々が、実際には払っていただける状況にある方がどのくらいであるかということは、やはり現段階ではなかなか申し上げられませんけれども、大変な努力をしていかないと確保できないということは申し上げられると思います。

森本委員 会長の質疑に移る前に会長にもお話をさせていただきたいのですが、今、少しおくれましたが、私は小さな町で育てていただきましたから、地域の活性化とかいろいろな番組に取り上げていただいて、全国各地で、埋もれておったと言うとおかしいんですけれども、頑張っておられるところをNHKさんが取材することによって、その地域の活性化に非常に結びついたことがあるんですね。いろいろなものの中で、民放の方には大変失礼なんですが、NHKの関係の報道がありますと、いろいろな、地域が活性化したり物が売れたりその地域を訪れたり、そうしたことで地域の方々が誇りを持たれて、感謝されている例というのはたくさんあるんです。しかし、それと同時に、きょう私どもの議員が会長の給与とか質問をさせていただいて、会長、このあたりは随分アンバランスだと私は思っていますよ。

 ですから、今、地方は大変なときですから、少なくともそうしたNHKの報道によって元気を取り戻していただく地域も必ず出てまいりますから、それとともに、そういう信頼関係もあるということの中で、NHKがこれからどう信頼を取り戻していくかということを冒頭に申し上げたかったんですが、ここで少しお話をさせていただきました。

 また質疑に戻らせていただきますが、総務省では、二割の値下げをたとえ行っても徴収率の向上など、トータル面でNHKの収支に対する経済的な悪影響は余りないということを申されております。

 NHKとしては、今のお話にもありましたが、現時点で値下げには踏み切れないという見解ですが、もし仮に義務化した上で二割の値下げというふうに強硬にこの話が進んだ場合にどのような影響がございますか。

橋本参考人 この二割という額は、金額でいいますとおよそ一千二百億円というふうな全体の額になろうかと思います。実際にこういう金額、受信料額の増収あるいは経費の削減ということで考えましても、現在このような値下げということを、実際に経営を預かる私の立場では、大変な状況を来すというふうなことで、経営の健全性ということを考えますればとてもとり得ないというふうに考えております。

森本委員 そうしますと、値下げをしないんであれば義務化はだめだというようなそうした大臣の言葉というのは、いわゆる政府による価格統制だというふうに考えられますか、会長。

橋本参考人 受信料額につきましては、これは実際にNHKで中長期の計画を立てる中で、あるいは単年度の計画を立てる中でNHKが策定して、これをこういう国会の審議の場で御議論いただいて御審議いただいた結果、確定してくるものでございます。そういう仕組みの中で我々はこの料額の決定というものは考えていきたいと思います。

森本委員 この件については、時間ももうあと五分ということでございますので、次に移らせていただきます。

 重野議員の方からも少しお話が前段あったわけでございますが、値下げの圧力、圧力というか、ごめんなさい、圧力でないと総務大臣は思ってみえないかもわかりませんから、私が勝手に思ったんですけれども、放送法の改正を担当する課長を異動させられた、これはNHKに近過ぎたからというようなことで彼を切られたというようなことも一部に話されたのではということですけれども、これは更迭でございますか。

菅国務大臣 まず、先ほど来の義務化の問題ですけれども、私今八五という話をしましたけれども、よく皆さんが例に出すBBCなどは、料金の徴収率が現在九五%なんです。韓国は九七でありますから、義務化すれば私はそれなりの大きな効果というのはあるというふうに考えております。そして、そのことを広く国民の皆さんに平等に負担をしていただくわけですから、その値下げというのは当然である、当然NHKにも経営改革というのを強く求めていきたいという、先ほど申し上げました三点セットであります。

 この課長を異動させた、私はその後こう申し上げました。NHK改革を加速させるためである、新しい視点に立って改革に取り組む、そういう面で新しい人がいいだろうと。そういう形の中で、私はまさに適材適所という意味で配置転換をさせたということです。

森本委員 少し簡単で結構でございますので、その新しい視点、発想というのはどういうことなのか。つまり課長は古かったということですか。

菅国務大臣 これは多分何でもそうだと思いますけれども、今までいろいろ交渉してきますと、これがそうだという考え方というのはやはりあると思う。既成の考え方というのは当然あると思いますから、そうでなくて、義務化というのは、これは大変なことなんです、国民の皆さんに負担をお願いするわけですから。それはやはり新しい視点というのが私は必要だというふうに思ったんです。

森本委員 大臣、先ほどホテルの関係でもお話しいただきまして、努力するところは努力しなければならないというのは、それはよくわかります。ただ、日ごろごあいさつさせていただくんですけれども、本当に温和な大臣、敬意を表しておるんですけれども、しかし、ここへ来て、やはり今のNHKでの議論の中は、命令放送とかいろいろなことの中で、少し、私は全体の、きょうの前段のこの委員会運営も含めて、安倍総理の言われる美しい国というのは、やはり武士道、覚悟を決めて、日本の道の精神文化というもの、寛容さ、優しさ、思いやりとか、そうしたことを大事にされていくことが美しい国づくりにつながっていくんじゃないかと私は思うんです。どうも、いろいろな面を考えてみますと、少し強権ではないんかな。まあ大臣だから強権になるんですよ。しかし、そのことを少し申し上げて、これは議論をもう少しさせていただきたいんですけれども、もう時間が来ておりますので、最後の質問にさせていただきます。

 これは会長、きょうはワンセグの問題も触れられました。ケーブルテレビの話題もありました。ですから少しはしょって質問しますが、カーナビとかパソコンとかワンセグとか、これ、非常に今世の中が動いてきたときに、今までのような感じで料金をいただくということは無理だと思うんですよ。そのあたりの研究はどうされていますか。

小林参考人 今先生御指摘いただきましたワンセグ等モバイル系を初めとして、さまざまな受信機がふえております。そういう中でなかなか現実的に捕捉が困難になってきているということでございまして、あくまでも我々としては受信料制度の堅持が最も大事だと思っていますので、その観点から、今後、そういったものを含めて、例えばどういう料金体系があるか等につきましては、九月までを目指して検討してまいりたいと思います。

森本委員 例えば、いろいろ差があります。ケーブルテレビでお世話になっていますが、ケーブルテレビはホームターミナルがないと、私のところは三台テレビがあっても一台なんですよ、見られるのがね。そういう地域もありますし、いろいろあります。

 ですから、そういうことを十分気をつけていただくのと、白黒が三十二万六千も契約がある。この時代感覚の古さが、私はNHKが認めていただけないところがあると思いますから、そのあたりも十分御協議をいただきますようお願いを申し上げまして、終わります。

岡本(芳)委員長代理 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、最初に、本日午前中の国会の異常、不当な事態については一言申し上げておきたいと思います。

 憲法調査特別委員会というのは、これは理事会で各党合意を得て運営するべきものでありますが、与党単独で本日公聴会日程を強行した。これは憲法と議会制民主主義の根幹を揺るがす重大問題として、その誤りをまず冒頭に厳しく糾弾しておきたいと思います。

 さて、NHKの予算について質問いたしますが、会長の諮問機関として設けられておりますデジタル時代のNHK懇談会、この報告を読みましたが、昨年六月十九日のこの報告書で、まず冒頭に、「一昨年以来相次いで発覚した金銭的不祥事と、政治との距離に対する疑念をきっかけに、視聴者からの批判と不信が噴きだした。それは受信料の支払い拒否や保留の急増へとつながり、NHKの財政基盤を揺るがすと同時に、旧経営陣を退陣へと追い込む深刻な事態となった。」と指摘していますね。

 そこで、NHKはこの危機の要因についてどう考えているかについて、会長にまず認識を伺っておきたいと思います。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

橋本参考人 この不祥事の件、大変、私としても、このような事態というものが発生したということは重く受けとめ、また反省しているところでございます。やはりこの事態そのものにつきましては、視聴者からいただいている受信料というものを、しっかりと視聴者第一に考えるこの視点というものが欠けている中で発生したものであり、また、報道人としての法令遵守の考え方というもの、意識が欠けていた、こういう中で発生したものだと思っております。

 私は、しっかりこの点について、仕事の仕方あるいは役職員の意識というものも、視聴者第一、あるいは報道人としてのしっかりした遵法精神といいますか、こういうものを形づくる必要があろう、その役目があるというふうに考えております。

吉井委員 私はこの危機の要因を伺ったんですけれども、報告では、不正経理と、政治との距離に対する疑念という二つを挙げておりますが、この点では認識は同じですね。

橋本参考人 我々NHKは日ごろから、政治との距離ということに対して、やはりこれも報道機関に勤める者として組織全体があくまでも自律の精神を持っていくということが一番基本だと思い、これまで努めてまいりましたし、これからも努めてまいりたいと考えております。

吉井委員 今のお話で、不正経理の問題とともに政治との距離についての疑念を国民の皆さんが持つようなことじゃ危機を深める、そういう御認識というふうに思いました。

 最初に不正経理の方について少し伺っておきたいんですが、NHK不信の端緒となった不正経理問題については、これは二〇〇六年度の予算成立直後の四月に空出張問題が出てきました。これはNHKがみずから不正経理を明らかにしたというものじゃなくて、外部からの指摘で明らかになったわけですね。なぜみずからこの不正経理を明らかにすることができなかったのか。その前に問題があったのに、ずっとみずから明らかにできなかったわけですね。それはなぜなのか、伺います。

畠山参考人 お答え申し上げます。

 不正経理を見抜けなかった一つの原因というのは、上司が本人の勤務実態、業務実態を把握できていなかった。そもそも札幌局で端緒があったわけですけれども、ただ一人の札幌局でのスポーツ担当ということで、上司が仕事を任せっ切りにしていて、彼がいろいろな出張の申請を出してくるものをそのまま受けていたということが一つございます。

 それと、さらに、不正問題がありました後、例えば出張につきましても手続を厳しくするなどしていたわけでありますけれども、例えば宿泊所の領収書をつけるというのもやっておりましたが、東京に出張する場合、彼は自宅が東京にありますので、その場合宿泊料金が出ませんので領収書も要らない、そういうところばかり出張を出すとか、ないしは、東京に転勤しました後は、日帰りで領収書の要らない形の出張を出していたということがございました。

 それで、この点につきましては、札幌に彼の後任に行った人間が、おかしいなというところまでは思ったんですけれども、それを上司に話したりはしましたけれども、いわゆる空出張をやっていたんだというところまでは思いが至らなくて、そのままになってしまった。

 我々、受信料をいただく身としては、本当に公金意識、コンプライアンス意識というのを強く持たなければならなかったんですけれども、それが浸透していなかったということで、強く反省いたしております。

吉井委員 要するに、特定の個人の問題ということで済む話じゃなくて、やはりコンプライアンスの徹底が不十分であったというところ、そして、前に問題になったときに全部局について徹底的に調査するとか、その姿勢がなかったということ、つまり、危機意識を浸透させ切ることができなかったというところが非常に大事な問題じゃないかと思うんです。

 その後の、「NHKの不祥事に伴う支払拒否等の動向」という資料を見ておりまして思ったんですが、二〇〇四年七月の不正支出発覚以降、支払い拒否がどんとふえて、支払い再開件数がずっと低迷しておりましたけれども、しかし、二〇〇五年の八月から九月の二カ月の三万五千件に比べると、その次の十月―十一月期というのは八万一千件というふうに倍以上にふえて、八万一千、八万件、九万件というふうに、ずっと支払い再開が伸びていったわけですね。だから、そういうふうになったときに、信頼回復に進み出したときに、このときに二〇〇六年の四月の問題でまた半分以下にどんと落ち込むわけですね。伸びたときというのは、決算見込みと決算額とを比べてみても収入が伸びてくるなど、信頼回復は進んでいたというのがこのデータを見たらよくわかるわけですね。それだけに、せっかく信頼回復というのが、財政面から見ても見込みを上回るほどの流れが生まれていたし、それから実際に支払い再開が伸びていたのに、四月の空出張事件が発覚して、その信頼を断ち切るような非常に深刻な問題であったと思うんですね。

 だから、二〇〇六年度に入ってすぐに発覚したこの不正経理事件によって、私は、国民の信頼を回復する機会をみずから失うことになってしまったんじゃないかと。このコンプライアンスの不徹底という問題が非常に深刻な問題をやはりNHKにもたらすものであったということが、今厳しく受けとめられなきゃならない問題じゃないかと思うんですが、この点については、会長、どうですか。

橋本参考人 コンプライアンス上といいますか、NHKの信頼というものを確保するために、コンプライアンスを守る、あるいはこういう不正経理等の不祥事を再発させないということは、視聴者の信頼を確保していくために大変不可欠なことだと思っております。

 そういう意味で、この十八年度からの三カ年計画がスタートする初年度の冒頭のところでこのような不祥事が発生して、大変我々も大きな反省点というものを改めて感じたわけであります。

 これを受けまして、私としても、過去のうみを出し切るという決意、覚悟で、過去と決別するというふうな考えで、全国の各局における過去七年間の、およそ三千万件ぐらいある、いろいろ経理データ、出張伝票とかあるいは業務記録、こういうものを点検して、洗い出した。これを昨年暮れに発表させていただいたということであります。

 これは、当然ながら、過去の不正を洗い出すという以上に、やはりこれからの再発を防止するという点で、コンプライアンス上大変役に立つ手段だと思っていますし、こういう反省を受けて、実際に、経理的なコンピューターシステム、こういう中でも、不正行為をチェックアウトするプログラムを埋め込むとかいうふうな形で、システム的にも強化してまいっているところでございます。

吉井委員 その後、全部局調査を行ったりとか、新たな取り組みというのが始まっていることは伺っているんですが、やはり、順調に回復しつつあった支払い再開を、この空出張問題でみずから信頼を失ってしまった。

 その後、それで落ち込んだのが上がった、ちょうど二〇〇六年の十月からはまた二倍を超えるぐらい回復するんですが、しかし、それは、やはり低迷する支払い再開を支払い督促の司法の力をかりてという、見かけ上はそういう形が今出てきているわけですね。信頼をみずから裏切っておいて穴埋めを司法に頼るというのは、私は、本当の意味での視聴者の信頼をかち取ることによって支払い再開を伸ばすということとは違う問題だ、それはちょっと筋が違うと思うんですね。

 私は、最初、報告を少し読み上げましたけれども、本当の危機である不正経理の問題そして政治との距離についての疑念を払拭して、やはり視聴者の皆さんの信頼をかち取ることによって、それで支払いが伸びるようにする、そのことが大事であるというふうに思います。

 次に、政治との距離の問題について伺っておきますが、昨年のこの委員会でも私取り上げました、「ETV2001 問われる戦時性暴力」番組の改編問題ですが、昨年、この番組について、NHK幹部が当時の安倍官房副長官に番組の説明を行い、安倍官房副長官の持論を聞いた後、この幹部たちの指示でどのように番組が変わっていったかということを、番組のシナリオを示して質問しました。

 ことし一月、この番組改編事件を審理していた東京高裁は、この番組改編の経過について、松尾放送総局長と野島国会担当理事が相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図をそんたくしてできるだけ当たりさわりのない番組にすることを考えて試写に臨み、その結果、そのような形にすべく本件番組について直接指示、修正を繰り返して改編が行われたと認定しました。政治的圧力については認められなかったとしているんですが、政治家による圧力がなかったとは言っていないんですね。さらに真実の究明、追求が、今、求められています。

 政治家の圧力の解明というのは不十分とはいえ、番組改編過程について、私もこの委員会で資料を出して示したように、NHK幹部が当時の安倍官房副長官に面会した後、この幹部たちの指示で番組改編が起きたということは動かしがたい事実であり、当然の事実認定であったと思うわけです。

 これに対してNHKは即日控訴しているんですが、そこで私は経営委員長に伺っておきます。一月三十日の経営委員会にこの控訴についてNHK執行部から説明があったと思うんですが、経営委員会の方ではどのような受けとめ方をされたのか、伺います。

石原参考人 ただいま御質問の件でございますが、判決の翌日、一月三十日の経営委員会におきまして、会長から、直ちに上告の手続をとったという説明がございました。

 私ども経営委員会といたしましては、そういった観点で、係争中の案件でございます、したがいまして、経営委員会としての見解につきましては控えることとして、今後、執行部に対しまして、必要に応じ、状況説明方求めたものでございます。同時に、NHKとして、先生おっしゃいました不偏不党、自主自律をしっかり堅持すること等につきまして、引き続きこれをNHKとして実践していくよう求めたということでございます。

吉井委員 経営委員長に重ねて伺っておきますが、経営委員会の会議録によると、例えば小林緑委員は、「「ETV2001」については、本当に注目されている問題であり、経営委員会として、いずれ、これに関して時間をかけて議論する場を設けなければならないでしょうし、経営委員会として見解を出すことも考えるべきだと思います。また、NHKとしても、本当に重大な問題として、しっかりと取り組んでいくことを明言すべきだと思います。今、NHKとしても「公共放送とは何か」ということがあらためて厳しく問われており、この機会を逸すると、信頼回復が難しくなるような気がします。このことについて、ぜひご斟酌ください。」

 小林委員からこういう発言がありましたが、私は、この言葉というのは、視聴者の声を代表して、この番組改編問題を経営委員会として議論するべきだと提起しているものと思うんですが、この提起は経営委員会の中ではどのように受けとめられているのか、重ねて伺います。

石原参考人 先生から今、その趣旨の意見があったというようなことがございました。そういった意見もあったかと存じます。経営委員会は多様な意見がなされる場でございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、既に上告され、なおかつ係争中であるということを重く踏まえまして、経営委員会としての見解は控えることとして、執行部に対して今後必要に応じて状況説明を行っていただくよう求めた、こういう次第でございます。

吉井委員 私は、経営委員会というのは、NHK執行部がどうかじ取りしていくかということをきちんと監督するのが経営委員会の役割じゃないかと思うんですよ。そういう点では、執行部の決定をそのまま追認してしまったら、これはちょっと経営委員会としてはいかがなものかということになってきます。経営委員の中からも、この問題について時間をかけて検討するべきだという話とか、それから、さっきの報告にも出てきますが、会長の諮問会議の方に参加された方の中からも、第三者機関で検証することが提起されていますね。

 NHKの執行部の主張は、NHK幹部の指示による番組の改編に問題はなかったということなんですが、この番組の現場の責任者であったチーフプロデューサーなんかは、裁判の中ではまた、番組をよくするための改編ではなく、しかも、放送人としてというより人間としてやってはいけない改編だったという証言も出ていますから、執行部はよりよい番組をつくるための改編をしたんだという主張ですが、これは食い違っているわけですね。裁判は裁判なんですよ。やはり、そのあり方については、第三者機関を設けてきちんと検証するとか、あるいは経営委員会としても、そこはきちんと検討されて、放送局として視聴者に説明責任を果たすようにしなさい、そういうことをやらないと、本当の意味での信頼が取り戻されるということにはつながっていきません。

 ここは再度経営委員長に、NHKとして視聴者に説明責任を果たすべきだ、そのことをきちんと指示して臨まれる、裁判は裁判の話ですからね、私は裁判の中身についてを経営委員長に求めているわけじゃないですから、そういう説明責任を果たすという問題、これについて伺っておきたいと思います。

石原参考人 経営委員会といたしまして、先ほどお話し申し上げましたように、既に上告され、係争中であるということを重く踏まえた結果、先ほどのように委員会としての結論を控えたものでございます。

 また同時に、先ほど申し上げましたように、NHKとして編集の自由を守ること、これは大事でございます。この姿勢をしっかりと堅持し、なおかつ、みずからの行動についての説明責任をしっかり果たしていくこと、これも重要であると存じます。したがいまして、これを引き続き実践していくよう求めている次第でございます。

吉井委員 今経営委員長がおっしゃったように、私は昨年そのことを求めましたが、やはり説明責任を視聴者の方たちに果たしていくべきである、このことを指摘いたしまして、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。二十分という時間でありますので、簡潔に質問いたしますが、答弁も簡潔に、要領よく、わかりやすくよろしくお願いいたします。

 まず、総務大臣に聞きます。

 NHKに対する総務大臣の意見が毎年出されるわけでありまして、十六年度、十七年度、十八年度、ずっと読ませていただきました。その内容は細かく申し上げませんが、おおむね適当である、やむを得ないと認める、やむを得ない内容と認める、こういうふうな表現で大体決まりみたいな感じなんですけれども、そもそも、この意見なるものの性格、これは大臣はどのように解しているんだろうか、それについてまず聞きます。

菅国務大臣 放送法の三十七条の二項に、NHKから提出された収支予算等について、総務大臣がこれを検討した上で大臣意見を付す、このようになっております。

 総務大臣意見は、NHKの収支予算等について、政府の立場から、その妥当性に関する見解を示すものであり、来年度予算に付した意見の中では、NHKの改革に向けた取り組み、さらに将来の受信料額のあり方、国際放送等について私の見解を示させていただいたところであります。

重野委員 この三年間をとってみても、大臣の意見は、やむを得ないという言葉を使いつつNHK予算を認める、そういう立場に立っているわけです。これは私のうがった見方かもしれませんが、消極的な評価をしたものと理解をいたします。

 配慮すべきであるとして改善すべき点を列挙されておりますが、そこで、この三年間の消極的評価に立つ意見を付して国会に提出すること、それ自体について、大臣はどのように考えておられるか。

菅国務大臣 この十七、十八、十九年の予算については、いずれも、受信料の収入が不祥事発覚前の水準を下回る状況にある、また、NHKにおいて国民の皆さんの信頼回復に向けた取り組みの途上である、さらには、経費削減により収支を均衡させている、こうしたことから、やむを得ないという、三年連続でそうしたものになったのではないかなというふうに思います。私はこういう観点からやむを得ないということにさせていただきました。

 そして、今後のNHKについては、私は、受信料未契約世帯等の割合が今全体の三割近くある、受信料収納に多額の経費を要する、こうしたことなど、受信料の公平負担の徹底や業務効率化、なお改善すべきが多々ある、そういう中で、大臣として、経営改革に真摯に取り組み失われた国民の信頼を回復すべきである、そういうことで、今回、やむを得ない、そういう意見をつけさせていただいたところであります。

重野委員 この間、大臣は、NHKの受信料の義務化と並んで、その引き下げを強くNHKに迫ったという経過があります。

 私は、この点について疑問を持つわけでありまして、かつて放送行政局長をされました金澤さんという方がおられますけれども、その方が執筆をいたしました「放送法逐条解説」というのをずっと読ませていただきました。そうしますと、私は、例えば三十七条の解釈の仕方がいろいろあるなという感じがいたしました。まず、予算編成権はあくまでも協会にある、これが一つですね。それから、収支予算、事業計画及び資金計画に同項の規定によりこれを変更すべき旨の意見、これは国会に対して提出されるべきものである。それから、同条四項によって、受信料の月額は国会が収支予算を承認することによって定められるとなっている。

 こういうふうに読んでいきますと、大臣の意見として、将来の受信料の減額を検討するということ、その前に受信料の二割引き下げ要求など一連の大臣発言は、この三十七条の条文から見ると、著しく逸脱をしているんじゃないか、こういう私なりの結論に至るわけでありますが、その点について大臣はどのように考えますか。

菅国務大臣 全く逸脱もしていないと考えています。

 私は、放送法を所管する大臣として、NHKを含めて、放送全体の健全な発達について責任を持っているものであります。そして、義務化、料金値下げ、それとNHKの経営改革、このことは、実は昨年、政府・与党で合意をされたことでありますので、私はそうしたことを踏まえて発言をさせていただいているということであります。

 今委員御指摘の、放送法第三十七条二項の規定によって、総務大臣は、NHKから提出された収支予算等について、内容を検討した上で大臣意見を付すことができる。そして、こうした制度は、国民・視聴者から徴収される受信料額の決定やその適正な支出の仕組みを確保するために設けられた仕組みであって、国民の負託にこたえるべく、行政は適切な意思を表明すべきだというふうに私は思っています。

重野委員 この問題は非常に根源的な問題でありまして、今後ともじっくりやっていきます。

 次に、NHKのコンプライアンス問題など、経営計画について具体的に聞いてまいります。

 経営委員会の諮問機関でありますコンプライアンス委員会、その提言を踏まえて、コンプライアンスの徹底、ガバナンス強化を図るとされております。

 このコンプライアンス委員会による昨年十二月の第一次答申について、その内容は今後どのようにNHKとして具体的に改革に着手していくのか、まずこの点について。

橋本参考人 お話のように、昨年十二月、経営委員会のもとにありますコンプライアンス委員会から、第一次答申という形で答申をいただきました。

 この中で、主な内容でございますけれども、トップマネジメント、私以下のリーダーシップ、この強化ということが挙げられております。それから、監査などモニタリングの機能、これを強化するということが挙げられております。また、企業風土といいますか、組織風土と職員意識というものをコンプライアンス上しっかりと醸成していくことが掲げられております。それから、そういうものをしっかりと形づくるための体制整備というふうなこと等もございます。

 そういう中で、これまで、私を含めて役員が全国の放送局を回りまして、あるいは各職場の職場対話といいますか、こういう中で、いわゆるコンプライアンス精神、報道人としての倫理観の醸成、あるいは、受信料を大事に使うという、視聴者第一の意識、こういう点について説いて回っているわけであります。できるだけ、トップの意思を下へ伝える、あるいは、下の現場レベルの意見、こういうものも我々自身が把握する、そういう体制、活動を既に行ってきているところであります。

 これからまたこのコンプライアンス委員会とも具体的にいろいろ相談をしてまいるわけでありますが、いわゆる監査等のモニタリング機能をどのように実際に強化していくのか、現在でも、いわゆるCOSOフレーム等、こういうふうなものをNHKライクに導入してきているわけでありますけれども、あわせて、このモニタリングの現場的な強化というものをどうしていくか、あるいはほかにもどのような手段があるかということも指示を受けながら、指摘をいただきながら形づくってまいりたい、努力してまいりたいと思っております。

重野委員 次に、経営委員長に伺いますけれども、この答申では、経営委員会がより一層リーダーシップを発揮してNHKへの監督に当たることが極めて重要、こういうふうにされております。

 そこで、諮問した経営委員会のトップとして、具体的にいかなるリーダーシップをとるおつもりか、その点についてお伺いいたします。

石原参考人 先ほどの第一次答申にございましたように、コンプライアンスの徹底は業務と一体で行われるべきものである、そういった観点から、会長はもとより、執行部全体が一丸となって強力なリーダーシップを発揮すべき課題であると認識しております。

 私ども経営委員会といたしましては、先ほどのコンプライアンス委員会の答申を真摯に受けとめまして、執行部の監督に最大限反映させてまいる所存でございます。具体的に申し上げますと、第一次答申を受けまして、二月十三日、執行部に対しまして、コンプライアンスの徹底に向けた申し入れを示しております。今後、申し入れに沿った工程表の提出を受け、定期的にモニタリングを行いつつ、結果についても公表してまいりたい、かように存じている次第でございます。

重野委員 今、経営委員長の説明を聞いたわけであります。現場の会長以下執行部は、NHKに課せられている社会的使命、これをしっかり認識して危機意識を全役職員に示す、そういう決意が求められておりますし、そういう決意を披瀝したんだろうと思います。

 さて問題は、果たしてそれで全職員が、はい、そうですかということになるだろうかという疑問を私は持っています。それは以下述べますけれども、まず金融庁に聞きますけれども、医療保険など第三分野商品で不払いが多数見つかった損害保険会社十社に、金融庁は十四日、改善命令を発した。これは、平成十七年の損保会社に対する支払い漏れに関する一斉報告要求、損保二十六社に対する業務改善命令など、一連の措置の当然の結果と思います。

 そこで、損保に対する金融庁の報告要求、業務改善命令、再調査の指示など、一連の措置について説明を願います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自動車保険の特約など付随的な保険金の支払い漏れにつきましては、平成十七年十一月二十五日に損害保険会社二十六社に対して業務改善命令を発出したところでございます。しかしながら、各社の支払い漏れ調査は完了していないと認められたため、調査完了時期等について各社に報告を求めておりまして、各社とも鋭意支払い漏れ調査作業を進めているものと認識しております。

 また、医療保険など第三分野商品に係る保険金の不適切な不払いにつきましては、昨日、損害保険会社十社に対し業務改善命令を発出し、そのうち六社に対しては、それに加え、一部業務の停止命令を発出したところでございます。

重野委員 今の説明にありますように、私もいろいろ報告書を読ませていただきました。支払い漏れとはいえ、そう言えば聞こえはいいのでありますが、要するに、払うべき保険金額を払わなかった。これは、わかりやすく言えば契約違反そのものであります。悪く言えば、掛金を取るだけ取って後は知らぬ顔、悪く言えばそういうことになる。それで問題は、その会社の中に東京海上日動火災保険がある。東京海上日動火災保険の場合、最もその件数が多い、金額も大きい。

 そこで、そうした会社のトップが経営委員会のトップにあって、しかも、これは十二月の臨時国会の本委員会の議論の中でも指摘をされた内容であります。自来三カ月たっています。だけれども、全然それに対する具体的な反応というものを我々は見ることができません。外には受信料の督促、内にあってはコンプライアンスとかガバナンス、これでは対外的にも対内的にも信頼を得ることはできないんじゃないか。そういう問題意識を持っているのかどうか、その点についてお伺いします。

石原参考人 まず、私ども損害保険業界における、私どもの会社も含みますが、一連の問題に関しまして、御契約者の皆様を初め関係各方面の信頼を大変損ねる結果となったことにつきまして、大変申しわけなく、猛省している次第でございます。

 現在、東京海上日動個社としてはもちろんでございますけれども、損害保険業界全体におきましても、信頼回復に向け工程表を定めまして、具体的な策を講じ、日々懸命に努力しているところでございます。

 一方、経営委員長でございますけれども、御高承のとおり、経営委員長は経営委員の互選によって定まっております。そういう中で、私といたしましては、託された身として、日々、課せられた職責を懸命に果たしているというのが現時点における私の使命である、こういうふうに考えている次第でございます。

重野委員 十二月の臨時国会の折は、あなたをこの場に質問者は呼んでおりませんでした。だけれども、それはやはり私は非常に配慮があったと思います。そして今この間の報告している内容等々が明らかになって、三カ月たって、国会における議論そのものが一体どういうふうに影響したのかというときに、今の答弁は全然関係ない、そういうことです。そういうことでいいんですか。信頼を取り戻せることにつながりますか。私はそう思いませんが、どうですか。もう一度、はっきり言ってください。

石原参考人 私ども損害保険業界の失われた信頼と申しますか、これを回復すること、これに今全力を尽くし、それを形となってあらわすこと、これが何よりも大事だというふうに考えております。そういう中において、NHKの経営委員長としての職責につきましてはまさに日々刻々果たしていく、これが私に課せられた使命である、こういうふうに考えている次第でございます。

重野委員 もう時間が来ましたから、最後、私は、本当に言いにくいんですけれども、事の重大性というものをもっとしっかり委員長は受けとめなきゃいかぬと思いますよ。今、NHKが信頼回復のために全社員全力を挙げて頑張っている、その最高の位置におるあなたですね。だから、言葉だけではなしに、私は、そのことをきちっと国民の前に示してもらいたい。そのことが、NHKを構成するすべての役職員が本当に頑張った、その成果を具現化していく道につながる、このように私は信じておりますので、その点をしっかり考えていただきたいと思います。

 以上で終わります。

佐藤委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。

 答弁される皆様方も、また委員の皆様方もかなりお疲れだと思いますけれども、最後の質問でございますから、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。

 今、いろいろな議論を聞いておりましたけれども、NHKが重大な岐路に立たされているな、そういう印象を大変強く持ちました。国民の信頼をどうやって回復していくか、そのことは、一にNHKばかりではなく、私ども国会としても、またあるいは政府としても真剣に考えていかなくてはいけないことだと思います。

 そこで、NHKのいわゆるあるべき姿といいますか、それをどういうように考えるかということ、非常に基本的な問題だと思いますけれども、私は、どうも菅大臣とNHKのイメージが少し違っている点があるのかな、そういう感じが率直にいたします。

 私、この委員会で、ちょうど一年前でございますが、当時は竹中前大臣でございました、竹中さんにいろいろな御質問をいたしました。NHKが第二次世界大戦前に民間法人として出発をした、それが、言ってみれば公共放送としての役割を十分に果たせずに、いわば国営放送的な道を進んでしまった、そして戦争への道を進んでしまうことについて、軍部に引きずられる当時の流れというものをせきとめることができなかった、そのことも、戦後の反省として新しい放送法がつくられ、新しい財団法人日本放送協会が出発をしたということも申し上げたわけでございますし、また、よく比較されますけれども、イギリスのBBCの姿というものと比べていろいろなことも申し上げたわけでございます。

 その中で、やはり私は、先ほど来議論になっておりますけれども、政治権力と常にNHKが一定の距離を保つということは、公共放送として非常に大事なことだと思います。今、民放との二元体制ということについては、これはもう大臣もお認めになるわけだし、NHK自体もそのことは十分にわかっていることだと思いますが、前に民放連の前会長の日枝さんをこの委員会でお呼びしてお話を伺ったときに、放送というのはエンターテインメントとジャーナリズムが二本の柱で、その二本の柱をうまく両立させるために、強い公共性、公益性の自覚というものがなくてはいかぬ、そういうことを言われたんですね。これは、まさに電波は国民の共有の資産でございますから、それを免許事業として占有をしている、そしてまた放送メディアの持つ影響力、電波媒体の持つ影響力というのは非常に大きいということから考えれば、当然、公益性、公共性の自覚というものがなくてはいけない。

 ところが、今の民放の姿というものを見ておりまして、番組の中身を見ても、公共性、公益性というものを十分に考えておられるなというようには必ずしも思えない。それは当然だと思うんです。民放の場合には、収益を追求する営利事業でございますから、どうしても視聴率競争の世界に入ってしまう、そういう中で大衆迎合的な番組をつくらざるを得ない。また、報道についての中立性ということを保とうと思っても、権力が、時の政権が圧倒的な人気があれば、やはりそこにすり寄ると言うと変な言い方ですけれども、強い批判ができにくくなってくるということはあるし、また逆に、その政治権力がある程度弱まってくると猛烈な批判をする、そういうこともある。だから、なかなか民放の場合には報道の中立性というものを保つということは難しいんだろうと思いますね。そういう中で、NHKの役割というのは極めて大きい。

 また同時に、民放の場合にはどうしても採算性を重視しますから、人口の多い大都市を中心にした一つの考え方というものが強く出てくる、地方軽視というものにどうしてもなりやすい。片や、NHKの場合には、あまねく放送をする、そういう使命を負っておりますから、それだけ地方にもしっかりとした拠点があるわけで、そこでNHKと民放というものがいい意味での補完関係を持って、それで国民のために一定の役割を果たす、そういうことだろうと思うんです。

 政治との距離ということについて、これは少し話が長くなりますけれども、私はちょうど一年前に竹中大臣に同じことを質問したんです。そのときに竹中大臣はこういうことを言われている。

  実は、今のお話を聞いて一つ思い出すことがございますのですが、イングランド銀行のマービン・キング総裁、中央銀行のある種の見本ですけれども、お話ししましたときに、実は中央銀行の歴史は政府からの独立の歴史であったと。実はそのとき、マービン・キング・イングランド銀行総裁はBBCについても同じだという話をされました。政府から独立して物事を考えるということが私は本当に必要なんだと思います。

  同時に、これはニーマン・ファンデーションというハーバードのジャーナリスト養成講座のトップが言っておられたことですが、常にジャーナリズム、メディアというのは権力からも距離を置いて、そして大衆からも距離を置かなければいけない、それがメディアの役割である。私は、大変重い言葉であるというふうに思います。

  NHKにおかれても、そういう志を持って、しっかりと前に進んでいただけるというふうに思っております。

こういう答弁をされているんですが、この認識は菅大臣も同じでしょうか。

菅国務大臣 報道の自由だとかあるいは編集の自由、やはりNHKといえども放送の中の一つ、そして公共放送の中でありますけれども、やはりその認識の中であるべきだというふうに私は思っています。

亀井(久)委員 編成権、番組の中身については、当然NHKの自主独立というものがあるわけですけれども、NHKは特殊法人ですよね。特殊法人だけれども、多くの特殊法人というのは国の役割をかわってやってもらう、そういう特殊法人が多いんですけれども、NHKはそういう特殊法人とは全く性格が違うわけです。ですから、むしろ、独立した、きちっとした番組をつくっていける、そういう環境をつくっていくということが国の大きな役割だと私は思うんですけれども、その辺はどうお考えですか。

菅国務大臣 私もそうだと思いますし、現に経営委員会という中で、NHKの実際の物事がそこで行われている、そういう仕組みにもなっているというふうに思っています。

亀井(久)委員 そこで、支払い義務化のことにちょっと触れたいと思うんですけれども、確かに大臣言われるように、負担の公平性というのは大事なことだと思いますね。ですから、受信料を払っている人と払っていない人がいるということは不公平だ、そのことはわかるんですけれども、これだけNHKに強い批判がある中で、なおかつ七割の人がちゃんと受信料を払っているというのは、私はこれは日本の誇るべき一種の文化だと思うんですね。

 ですから、ただ公平性というものが失われるから支払いを義務化していった方がいいんだということ、それからまた同時に料金を引き下げればいいんだ、それと内部改革、三点セットだということを言われたんですけれども、何か、公共放送たるNHKを支えていくための負担金なんだ、そういう考え方から支払い義務化することによって、一種の税金みたいな、そういうとらえ方をされてきますと、それが戦前の失敗というものを繰り返す道に踏み出していくことになりはしないか、そこの危機感というのが私は非常に強くあるんですよね。

 ですから、国営放送ではないんだけれども、菅大臣が国際放送についての命令放送を実行された、そういうようなことにしても、それはよく、これこれこういう事情だからこういうふうにしたんですよということを説明されればわからぬことはないけれども、命令放送なんという言葉も悪いですからね、だから、どうしても何か国営放送的な方向に行くんじゃないかという危機感がやはり一部に出てくると私は思うんですね。そのことを私は大変恐れておりますので、その点についての大臣の認識を伺いたいと思います。

菅国務大臣 私はよく申し上げておるんですけれども、そのことについては全く考えておりません。ただ、今のNHKの状況でいいかどうかということを、私どもは公共放送を所管する責任者でありますから、やはり国民の皆さんの声というものをしっかりと反映させなきゃならないというのも私の仕事であります。

 そういう中で、今の料金の体系というのはいいのかどうかということを考えたときに、それは余りにも不平等、不公平である、このことを多くの皆さんからも私は言われております。先ほど、例としても出させていただきましたけれども、例えばホテルについても、ある全国展開をしているホテルというのは全く料金を支払っていない。あるいは、会計検査院でも指摘されましたけれども、あるところは五%だとか、そういう不平等というのは余りにも今大き過ぎるというふうに私は思っております。

 そういう中で、NHKの本来の趣旨というのは、その目的にもありますように、全国あまねく放送をし、そして公共的役割をNHKが業務として行っているわけでありますから、そこを広く国民の皆さんが負担をする、そういう中でできているというふうに私は思っています。そして、その仕組みが今、非常に壊れそうになっているのではないかなというふうに私は思っています。御指摘のありました例えばBBCでも、義務化して九五%の皆さんでこの放送を支えているわけでありますから、私は、そういう観点から考えまして、政府・与党合意もありましたこの三点について先ほどから申し上げ、より国民のものにしたい、そういう考え方であります。

亀井(久)委員 その点はわかります。ただ、BBCのお話をされましたけれども、BBCについても、やはりみんなが負担をしている、そういう仕組みになっておりますけれども、やはり皆さんがそれで納得しておられるということは、やはりBBCの信頼性というものがあるからなので、中身の充実と同時にまた政治権力との一定の距離を保っている、そこにBBCの信頼というものが成り立っているわけですから、そのことについてもよくお考えをいただきたいというように思います。

 それから、ガバナンス強化に関連して、先ほども他の委員の方から話がありました経営委員会のあり方なんですが、私は、前の質問のときにも申し上げたんですが、経営委員会というのがもっと大きな力を持たないと、NHKの信頼というものは回復されないと思うんですよ。今までは長い間、言ってみれば、お飾りというと失礼かもしれませんけれども、経営陣が決められたことをまさにオーソライズする、そういった役割しか果たしていなかった。だから事務局も会長スタッフが兼ねているという状況だった。

 そういう中で、改善すべきだ、強化すべきだという意見がどんどん出まして、それで今度は、いずれ放送法の改正をされる中で専任の委員もふやすというようなお考えもあるやに聞いておりますけれども、先ほど石原委員長が経営委員会の互選でもって委員長を決められているということを言われましたけれども、私は、経営委員長というのは委員の互選じゃなくて、やはりきちっと総理が任命をして、国会がそれに同意をする、そういう中で、やはりしっかりとした責任を持っていただきたい。

 しかも、その経営委員長というのは兼任ではなく、石原委員長に余り私は苦言を呈したくなかったからあえてお呼びしなかったんですけれども、やはり本業であれだけの状況になっている方が、同じ信頼回復を急がれているNHKの経営委員長というのは、これはいささか、国民の目から見てもおかしいだろう。

 ですから、これはあとは経営委員長御自身の御見識の問題だと思いますから、私は多くは申しませんけれども、いずれにしても、さっき竹中大臣の答弁の中にあった、中央銀行の総裁の立場を言われたんですが、今、日銀の総裁というのは、御承知のとおり、任命権は総理が持っていますけれども、罷免権は持っていない。そういう中で金融政策の中立性というものは維持されているということだと思うので、私は、経営委員会の委員長も、任命権はあるけれども罷免権は持てない、そういう法律改正をして、それでもっと、本当にこの人ならばと言われる、そういう立派な人を据えて、給与水準が民間の大企業のトップと比べてうんと安いから専任では無理ですよという話もあるんだけれども、それなら処遇を上げたらいいし、また、一線の経営者を引っ張ってこなくても、それだけ優秀な人材というのは日本にありますから、そういう人をしっかり据えて、それでやっていくべきだ。

 私は、経営計画も、その骨格というのは経営委員会が決めて、それを会長を中心にした執行部が肉づけをしていくということが筋じゃないかなというように思うんですが、その辺の経営委員会のあり方について大臣のお考えはいかがでありますか。

菅国務大臣 経営委員会のあり方というのは、私は委員と全く同じであります。私も副大臣当時、今の経営委員会のあり方というのは、これはだれしも、最高の意思決定機関という形ではありますけれども実際はどうなっているかな、そういう不信感というのは皆さんやはり持っていらっしゃるというふうに思っています。

 そういう中で、NHKの最高意思決定機関である経営委員会、その仕組みというんですかね、今度の放送法の中で、まさに最高意思決定機関らしく、その責任、さらにはその権限を有する、そういうものにやはり変えていかなきゃならないということを考えておりまして、改正法の中にはそうしたことも踏まえて、法案として提出をしたいというふうに思っています。

亀井(久)委員 今やはりNHKにとって一番大事なことは、イメージを変えていくということだと思うんですね。私、前の委員会で、ある権威のある経済雑誌の企業イメージ調査の結果を参考に皆様方にお知らせをいたしましたけれども、NHKがもうまさに最悪のイメージであるということで、私は、こういう状況ではなかなか信頼回復というのは難しいんだろうと。やはりトップの持つイメージというのは企業全体のイメージにつながってくるわけですから。

 NHKは、現場の一線の人たちというのは立派な人たちがたくさんいるんですよね、一生懸命頑張っている。やはり公のために貢献しているんだという使命感があるから、それが支えになっている。しかしそれが、そんなにNHKが世間から冷たい目で見られるようなら、ばかばかしいからやめちゃおうと。よく人気のあるアナウンサーが高給でスカウトされますけれども、そういう中でもみんながみんな民放に行かないで頑張っているというのは、やはりそういう使命感があるからだと思うんですね。だから、それをやはり維持していく。

 それで、人材が集まらなきゃNHKというのは私は成り立たないと思いますね。だから、それだけの人材が集まってくるようなNHKに変えていかなくてはいけないということで、何かNHKのことをよく理解している人たちの話を聞くと、NHKというのは下の人たちは立派だけれども上に行くほど顔が見えないね、そういう批判も実はあるので、会長には大変失礼でございますけれども、そういう話が実際に私の耳に入ってくるわけですから、そういうことについてもやはりもっと堂々と、ただ頭を下げて謝る、申しわけありませんでした、改善しますということではだめなので、またもとへ戻すということだけではもうだめなんですよ。それ以上に、どういうNHKをつくるんだという、そのイメージをはっきりと国民に発信していく、そのことが大事だと思いますので、それを経営委員会と力を合わせて、NHK会長、頑張っていただきたいし、それがもしうまくいかなければ、これは体制を一新していくということしかないだろうと思います。

 そのことを申し上げまして、時間になりましたので、終わります。

佐藤委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 私は、自由民主党及び公明党を代表して、日本放送協会の平成十九年度収支予算、事業計画及び資金計画に対し、賛成の討論を行うものであります。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、受信料収入が不祥事発覚前の水準を大きく下回る、依然として厳しいものとなっておりますが、NHKにおいては、国民・視聴者の信頼回復の途上にあり、また、放送サービスの充実やコンプライアンス関係経費に予算を重点配分しつつ、経費削減を行うなど、収支均衡を維持しているところであります。

 しかしながら、受信料未収世帯等の割合が全体の約三割近くに上るとともに、受信契約、収納に多額の経費を要するなど、改善に努めるべき点があることについて、NHKは謙虚に反省しなければなりません。

 NHKにおいては、公共放送の社会的責任を果たすという原点に立ち返り、改革、再生に組織を挙げて取り組み、国民・視聴者の信頼回復に努めることを強く要請いたします。

 以上のような前提のもと、本収支予算等については、これをやむを得ないものと認め、賛成の意を表するものであります。

 つきましては、新年度が始まる前に、一日も早く承認が得られることを要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)

佐藤委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、承認の立場より討論を行います。

 総務大臣は、来年度、テレビも含めたNHKの国際放送において個別的事項にかかわる命令放送を行おうとしていることが報道されていますが、放送法第三条の放送番組編集の自由に抵触するおそれがあり、到底認められません。本予算案には国際放送のための政府からの交付金が盛り込まれていますが、命令放送が個別的事項にかかわっている限り、問題があると考えます。

 NHKの一連の不祥事以降、再三にわたってNHKに徹底した改革を求めてきたにもかかわらず、NHKの努力は認めるものの、いまだそれが不十分な状況で、NHK経営陣が安易に受信料の支払い義務化に頼ろうとしていることは、公共放送としてはあってはならないことと考えます。NHKはあくまで公共放送であって、国営放送ではありません。公共放送の役割は、視聴者の受信料に支えられていることで政府から独立した法人として報道の自由を守り、視聴率は視野に置きながらも、視聴率やスポンサー企業の意向に左右されず、国民多数に幅広く放送文化と呼ぶべきものを提供することです。支払い義務化は、これまでのNHKの取り組みと国民の支持を無にするものであると考えます。

 そもそも、十九年度一年間で受信契約件数を二十万件ふやすという楽観的な見通しを立てていることに、NHK経営陣の危機意識のなさがあらわれています。十八年度は、当初十万件ふやすと見込んだにもかかわらず、結果的に一万件程度の増加にとどまったことを考えれば、楽観的な数字であると言わざるを得ません。

 また、契約収納コストの削減が喫緊の課題になっているにもかかわらず、本予算案でも受信料収入に占める収納コストの割合は一二・四%と依然として高い比率となっていること、また、番組制作を除く三千万円超の全契約に占める随意契約の比率が平成十七年度時点で四〇%を占めることなど、削減努力がまだ不十分です。

 一方、十八年度に引き続いてNHKが設備経費等の削減に取り組んでいる点や、支払い拒否件数の増加に歯どめをかけることができた点については一定程度評価したいと思います。

 以上申し述べた点を総合的に勘案し、NHK経営陣がみずからの取り組みの甘さを省みた上で、NHKが公共放送としての使命を果たすことができるよう、受信料支払い義務化という手法に頼る前に、今後も継続的に徹底的な改革に取り組むことを条件に、本予算案を承認することを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇〇七年度NHK予算案の承認を求めるの件に賛成の討論を行います。

 NHKは、二〇〇四年以来、相次いで発覚した不正経理、政治圧力に屈した「ETV2001 問われる戦時性暴力」の番組改編事件など、公共放送として根本的自覚を欠き、国民・視聴者から批判を浴び、信頼を失ってきました。

 私たちは、NHKが、これらを痛苦の反省として死に物狂いで努力し、失われた信頼を回復し、国民・視聴者から支えられる公共放送として発展していくことを心から願うものです。

 不正経理根絶に向けた努力では、昨年四月の空出張問題を契機にして、全部局調査など、その本格的な取り組みも開始され出しており、私たちはNHKのこうした努力を注視していきたいと思います。

 「ETV2001」番組改編事件に対しては、依然としてNHK執行部には反省が見られませんが、質問の中でも指摘したように、NHK現場職員からの勇気ある証言や、経営委員による問題提起がなされています。政治からの自立を確かなものにするための真摯な努力がNHKの内部に存在していることに私たちは注目しています。

 私たちは、NHKのこうした努力に期待し、国民に信頼される公共放送としてNHKが再生の道を進むことを強く期待して、賛成討論とします。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、NHK予算案に賛成の立場で討論を行います。

 今回の予算案は、この間落ち込んだ受信料収入が三年ぶりに増加するなど、NHKの改革、新生に向けた二年目の予算であります。受信料について月額を十七年連続据え置きつつ、収支を均衡させており、この点について努力を率直に評価いたします。

 しかし、NHKの本当の意味での新生は、NHKが国民・視聴者の信頼を回復し、真の公共放送として生まれ変わることであると考えます。

 そのためにも、国民・視聴者から、さすがNHKと評価され得る良質な番組づくりに加え、不偏不党と言論、放送の自由の確保が不可欠です。国民の信頼のバロメーターである受信料についても、信頼回復の取り組みの中で国民・視聴者の理解を高めていくことが必要であり、法的手段ありきではなく、不信の原因を取り除く改革を実行することが不払いをとめる力になると考えます。

 また、視聴者の代表として、NHKの業務が適切に行われているか、視聴者に対して望ましいサービスが提供されているかなどについて監視、監督しているはずの経営委員会の実際の対応は、まだまだ不十分と言わざるを得ません。そもそも、保険金不払い問題を起こした企業のトップが、不祥事を起こしたNHKを監督する立場の経営委員長であり続けるのはいかがなものであるのかという疑問を持っています。

 最後に、職員数の大幅な削減、子会社のあり方や国際放送のあり方、地上波デジタル対策及び難視聴地域対策の進め方、米軍の受信料問題、国会議員の放送番組介入問題への対応などについても問題は多く残されていることを申し上げ、討論を終わります。

佐藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより採決に入ります。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、谷公一君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及び国民新党・無所属の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 協会の懸命の努力にもかかわらず、受信料を支払うべきとされる者の約三割がなお未払い・未契約となっている現状にかんがみ、協会は、受信料の公平負担に向けた検討を行い、国民・視聴者の理解が得られるよう料金水準の在り方等を含めた具体的な対策に全力で取り組むこと。

 二 受信契約・受信料収納に係る経費の受信料収入に対する比率が、いまだに高い水準にあることから、早急に契約収納業務の抜本的な効率化を進め、経費削減に努めること。

 三 一連の不祥事以降、協会が改革を進める中で、依然として不適切な事務処理等が明らかになっているが、協会の経営は受信料により成り立っており、国民・視聴者の信頼を失えば協会の基盤を揺るがしかねないことを職員一人ひとりが再認識し、公金意識、コンプライアンスの徹底に努めること。

 四 協会は、業務全般について徹底的な見直しを行うとともに、子会社等の統廃合を含めた一層の合理化を進めることにより、グループ全体の業務の効率化・スリム化を図ること。

 五 経営委員会は、協会の最高意思決定機関として、その役割を十分発揮し、機能強化を図るため、自ら組織改革を進めること。

 六 政府は、命令放送の実施については放送法第三条にある放送番組編集の自由の遵守を前提とすること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、菅総務大臣及び日本放送協会会長橋本元一君から発言を求められておりますので、これを許します。菅総務大臣。

菅国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいります。

佐藤委員長 次に、日本放送協会会長橋本元一君。

橋本参考人 日本放送協会の平成十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。

 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会運営の根幹をなすものでございますので、これを十分踏まえて、業務執行に万全を期すことで視聴者の皆様の信頼をより確かなものとし、公共放送の使命を全うしたいと考えている次第でございます。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、内閣提出、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。菅総務大臣。

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 恩給法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

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菅国務大臣 恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、恩給制度について、恩給受給者の要望等を踏まえ、必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、高齢化が著しい恩給受給者の要望等を踏まえ、公務関係扶助料の遺族加算の年額を普通扶助料の寡婦加算の年額と同額に引き上げる等、扶助料制度間の不均衡是正の措置を講ずることとしております。

 第二に、恩給の年額改定方式について、恩給年額の水準を自動的に改定する制度を導入することとしております。

 第三に、重度障害の成年の子への転給について、公務員の死亡当時から引き続き重度障害等の状態にあることを要件とすることとしております。

 第四に、恩給の受給権が消滅した場合等における過誤払い分の金額について、事務の合理化の観点から、相続人等に支払うべき扶助料からの充当等によって調整が可能となるよう規定を整備することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十二分散会


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