衆議院

メインへスキップ



第12号 平成19年4月10日(火曜日)

会議録本文へ
平成十九年四月十日(火曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      小野 晋也君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      杉田 元司君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      広津 素子君    福田 康夫君

      福田 良彦君    馬渡 龍治君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    田嶋  要君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    江田 康幸君

      谷口 和史君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            出合  均君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  石田 直裕君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  熊谷  敏君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            森   清君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策評価審議官)       中野 雅之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事)         黒木 雅文君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     杉田 元司君

  福田 康夫君     小野 晋也君

  渡部  篤君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     福田 康夫君

  杉田 元司君     井澤 京子君

  広津 素子君     馬渡 龍治君

同日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

四月九日

 統計法案(内閣提出第三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案(内閣提出第三二号)

 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

 統計法案(内閣提出第三四号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(地方税法及び地方交付税法)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構理事黒木雅文君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君、事務総局給与局長出合均君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長石田直裕君、自治行政局公務員部長上田紘士君、自治財政局長岡本保君、総合通信基盤局長森清君、厚生労働省大臣官房政策評価審議官中野雅之君、大臣官房審議官村木厚子君及び職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森本哲生君。

森本委員 おはようございます。森本哲生でございます。

 今回、自己啓発等の休業制度の導入に対して質問をさせていただきますが、あと、育児のための短時間勤務制度についても少し触れさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今回、自己啓発のための休業として、大学等における修学と国際貢献活動の二つが認められたわけでございますが、そもそもこの二つが認められるようになった理由、そして背景についてお聞かせをいただきたいと存じます。

谷政府特別補佐人 社会が複雑高度化してまいりまして、公務部門にも広い教養、知識が必要となってまいりました。また、社会のあり方といたしまして、生涯、自己啓発に努めていくという風潮もございます。それから、我が国として、国際貢献活動を行っていくということが我が国の国際的な立場において非常に重要であるという認識も深まってまいりました。

 そういったことの中で、今回、自己啓発等の休業というものを設けまして、職員が身分を保有しながら、そういった社会的活動あるいは自己啓発のための修養を積むことができるような仕組みを設けたいと考えたからでございます。

森本委員 ありがとうございました。

 中身の問題についてはまた後で議論をさせていただきたいと思いますが、大学等における修学に関連してでございますが、平成十三年十二月二十五日に閣議決定されました公務員制度改革大綱の中では、「自己啓発のための休業制度の導入」として、「大学院等に進学する場合や研究所・シンクタンク等で研究活動に従事する場合など、」とされておりました。今回の法案では、研究所やシンクタンクに行くことは可能なんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 自己啓発等休業の事由の一つとなっております大学等における修学というのは、国内外の大学及び大学院並びにこれらに相当する教育を行うものを対象としておりまして、研究所、シンクタンクというのは対象とされておりません。

森本委員 そうしますと、先ほど人事院総裁のおっしゃられた、教養、知識、生涯の自己啓発、どうして、先ほどの研究所、シンクタンク、さまざまな調査研究活動を行うことが、私は自己啓発以外の何物でもないと思うんですが、その点についていかがですか。

吉田政府参考人 今先生御指摘の点でございますけれども、自己啓発休業のうち、職員の専門的能力の向上を図るための能力開発というものは、基本的には、大学等の教育施設で行うことが基本であるというふうに考えております。

 この自己啓発等休業の実施につきましては、さまざまな御意見がございました。そういうことを踏まえて見ましたときに、御指摘の研究所やシンクタンクにおける研究活動というものは、一般には対価を伴って業務として行うというものでございますので、専ら専門能力の向上を図る教育とは趣旨が異なっておりまして、当面限定的な運用でスタートするという自己啓発休業の対象としてはふさわしくないというふうに判断したところでございます。

森本委員 そのことは後で、私の個人的な考え方としてまたお話をさせていただきたいと思っておりますので、とりあえず次へ進ませていただきます。

 地方公務員法の場合には、「公務に関する能力の向上に資すると認めるとき」となっております。国家公務員法の方には法律の中にそうした文言がないわけですが、それはどうしてでございましょうか。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 法律の立て方でございます。地方公務員につきましては、対象範囲を条例にゆだねるという形になっております。これに対しまして、国家公務員につきましては、休業から復帰した後に何らかの形で直接的、間接的に公務に役立つものである、これを前提といたしまして、その対象を国内外の大学、大学院等と、法律に限定をしているところでございます。したがいまして、この関係から、改めて、公務に関する能力の向上に資するとは明記しなかったということで、それは前提として法律をつくらせていただいております。

森本委員 了解しました。

 公務員の能力の向上というのがどこかに目的としてあるのであれば、例えば、大学等で専攻する学科科目として、職務とは全く関連のない単なる教養的なものであった場合でも、そうなると、こだわるわけでございますが、公務の関連性も判断基準にするのかどうか、お聞かせください。

戸谷政府参考人 大学等における修学でございますが、職員の幅広い能力開発を促進することを目的としておるところでございます。大学等で専攻する科目が職務と直接関連のない教養的なものであっても、学術を中心とした幅広い知識、こういうものを身につけてこれから使っていただくということなどにより、公務の能率的運営に何らかの形で資することができるということから、大学等における修学の対象としておるところでございます。

 ただ、具体の承認に当たりましては、任命権者が公務の運営に支障が生じないと認める場合に、職員の勤務成績、大学等における修学の内容等を考慮した上で判断される、こういう形になっております。

森本委員 任命権者の判断については後でまたお伺いさせていただきますので、よろしくお願いします。

 では、次に、国際貢献活動のための休業についてでございますが、地方公務員の場合には、国際協力の促進に資する外国における奉仕活動のうち、参加が適当であるとして条例で定めるものとなっておるわけでございます。しかし、国家公務員の場合は、JICA、国際協力機構が実施する奉仕活動に限定がされております。国家公務員の場合はどうしてJICA活動だけになったのか、お聞かせください。

吉田政府参考人 この休業期間中というのは、職員としての身分を保有したままでこうした活動を行うことになりますので、公務員として活動するものとして適当であるということが明確であって、かつ、活動中に活動の趣旨、目的、内容の大枠が変化しないということが制度上担保される必要があるというふうに考えております。さらに、職員が活動することになりますので、安全かつ円滑に活動に従事できるよう、事前訓練を実施している、あるいは活動先でも必要な設備や受け入れ体制が整っているというような点を考慮いたしまして、当面は、独立行政法人国際協力機構がみずから行う派遣業務の目的となる開発途上地域における奉仕活動を法律上明文で対象としたところでございます。

森本委員 当面はという答弁をいただいたんですが、であるならば、例えば、地方公務員の場合で条例化されて幅を広げて成果が上がった場合は、国の方も考え方を変えるという判断でよろしいですか。

吉田政府参考人 今御説明いたしましたように、法律上は国際協力機構の活動のみが対象となっておりますけれども、NPOやNGOの中にすばらしい活動を行っているものもございます。今後、そうしたものが、国際協力機構を選定した際と同様の事前訓練あるいは受け入れ体制などの条件を満たしてきた場合には、こういったものを人事院規則で指定することができるということが法律上定められてございます。

森本委員 そうしますと、くどいようですが、例えば、NGO、NPO、地道に熱心に途上国への奉仕活動を行っている機関がたくさんあります。中には、JICAのプログラムのように計画的に人を受け入れているところもあると思うんですが、こうしたところに行って活動を行うということは、制度の趣旨に一応合致すると考えてよろしいですか。

吉田政府参考人 今申し上げましたように、安定的に活動が行われている、あるいは受け入れ体制とか職員に対する危険の配慮というものが確実になされている、そういう条件が整ってくれば、JICA以外のものについても対象とすることはあるというふうに考えております。

森本委員 それでは、今シンクタンクの問題で、例えばお金のことも少し、私が間違っていたらお許しください、働いた者に対して支給をいただくというような考え方のもとで、大臣にお伺いしたいんですが、今の議論を聞いていただいておりまして、例えば奉仕活動としては、私は、国際的な奉仕活動も大切と思っておるんですが、地域への奉仕活動もとても大切なことだというふうに思っています。

 例えば間伐問題とか、いろいろな農林業が問題になっておりますが、一年間入って、例えば山の再生に奉仕するとか、崩壊しつつある地域社会に入って地域再生活動に従事するとか、そういった経験は今の公務員の方々になかなか、今の私どもの質疑の状況を見ておっても、ほとんどこの東京の中で、現場へ足を運べないような中での計画作成、政策案が出てくるわけでございますが、そうしたことを考えると、その後の行政に非常に、これは少し幅が広くなってしまいますが、私は個人的な考え方として、地域の奉仕活動についても休業制度に加えるべきだというふうに、自説でございますが、この考え方については大臣はどのようにお考えでございますか。

菅国務大臣 森本委員への答弁に先立ちまして、一言申し上げたいと思います。

 先般の法律案提案理由説明の際にも御説明をいたしましたけれども、昨年の通常国会において成立をしました健康保険法等の一部を改正する法律において、地方公務員等共済組合法の改正に不備がありましたので、遺憾ながら、これに対応した改正についても、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案にあわせて盛り込み、御審議をお願いすることとした次第であります。ここにおわびを申し上げ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 今の御質問でありますけれども、今御指摘をされたさまざまな奉仕活動というのは、非常に意義があるものというふうに私自身も思っております。しかしながら、この自己啓発等休業というのは、最大三年間の長期間にわたって公務員としての身分を保有したまま休業するものであって、御指摘のような奉仕活動は、長期間休業して行うことというのは想定しづらいのかなというふうに思っております。また、人事院の意見の申し出でも特に言及されておりませんので、そのような活動を自己啓発等の休業対象とはしていないところであります。

 しかしながら、この自己啓発等休業の対象範囲のあり方については、今後、制度の利用実績だとか、各府省の人事当局、職員のニーズ、やはりこうしたものを把握しながら行っていく必要があるだろうというふうに私は考えています。

森本委員 ありがとうございました。

 まず突破口を開いていこう、そういう考え方も理解できないことはありません。ただ、今から申し上げることについてもぜひお考えをいただきたいということ。こうしたことが自己啓発よりも一つの感性を磨くということにつながっていく、そこからいい政策が出てくるんじゃないかなというところから申し上げますが、今の問題でもそうです。

 山にこだわるわけではありませんし、農林水産業の現場、製造業の現場、いろいろな現場があると思うんですが、一つ、民間の営利企業に一定期間行くのも、私は、場合によっては非常にいいことだというふうに考えています。営業をされて頭を下げられたり、大変生意気なことを申し上げますが、物やサービスを売ることの難しさをやはり知って、実体験されたり、時間の感覚を学んだり、お客さんを大切にすること、これが国民の側に立っての政策につながりますし、これは行政にも随分生かしていただけることだというふうに私は思っています。

 もちろん、先ほど大臣がおっしゃられたように、公務員の身分というものがありますから、悪いことをするとか、それはいろいろな問題が出てくることも考えなければなりませんが、休業できる対象を、営利企業を含めてもっと広げていって、私は、そこで報酬をいただいても対価をいただいても、それはそれでいいんじゃないかというふうに考えております。そのことの考えについての大臣のお考えは、いかがですか。

菅国務大臣 確かに、民間企業の経験というのは必ず公務に役立つというふうに私も思っています。一方、職員が自己啓発等の休業を活用して、公務員としての身分を有したまま自発的な意思に基づき民間企業の業務に従事するということは、公務の公正性及び信頼性を損なうおそれもあると思います。

 また、職員の民間企業への派遣等については、官民人事交流、これが既に制度としてありますので、これらの制度を活用した方がいいのかなというふうに思いますし、先ほどの山林の奉仕とは若干違うのかなというふうに思っております。

森本委員 いろいろな問題が発生してくるということは承知をしています。しかし、悪い方ばかりでもない、いい方にというのは、それが政治の進むべき方向ではないかなというふうに私は個人的に思っておりますので、質問をあえてさせていただきました。

 それでは、また実務的な問題に戻りますが、現在、公務員が海外及び国内の大学、大学院に留学したり、また民間企業などとの人事交流を行ったり、公務員の能力を向上させるための制度や取り組みが幾つかあります。これらの場合は実は有給でございますが、今回の無給での休業制度との関係はどのようになっていくのか、お聞かせください。

吉田政府参考人 今先生がおっしゃられた公務員の留学、これは、行政官の長期あるいは短期の在外研究員制度、あるいは国内の大学院への派遣の制度がございますが、これらは任命権者の職務命令に基づきまして、公務員が、職務、仕事として行うものでございますので、給与が支給されております。また、例えば官民交流等によって民間企業に派遣される場合には、職務に従事いたしませんが、任命権者の派遣命令により民間に行って従事するということでございますので、派遣期間中は民間から給料が出ております。

 これに対して、自己啓発等休業は、職員がみずからの意思によって職務から離れて、希望した教育施設においてその修学期間中修学できるという制度になっておりますので、いわゆるノーワーク・ノーペイの原則にのっとりまして無給とすることが妥当だと考えたところでございます。

森本委員 後でも申し上げますが、無給ということの中で、対象が非常に難しいのかな、果たして制度がうまく生かされていくのかな、そういう心配も実はしておるわけでございますが、そのことについては、時間があればまた触れさせていただきます。

 例えば任命権者の関係で、今のお話とは少し異なるんですが、国家公務員の場合、休業の請求をした職員の勤務成績、大学等における修学または国際貢献活動の内容を考慮するだけでなく、その他の事情をも考慮するとなっており、任命権者に非常に広い裁量を認めるような書きぶりに実はなっておりますが、勤務成績が悪い人は休業を申請しても承認されないということになるわけですか。

吉田政府参考人 職員の勤務成績は、任命権者がこの休業を承認するに当たって総合的に判断する場合の考慮要素の一つとされております。

 勤務成績を考慮要素の一つとした理由でございますが、勤務成績不良の職員は、公務外で活動する前に、まずは勤務成績を改善するということを優先すべきであるというふうに考えられること。それから、これは部内の問題でございますが、繁忙部署で非常に苦労している成績優秀職員が休業を希望しているんだけれども仕事があるために休業できないというのに対して、勤務成績が良好でない職員が自由に休業できるということになりますと、組織のモラル低下に影響が出るというようなことに配慮したものでございます。

 なお、勤務成績が必ずしも優秀でないという場合でありましても、職務との関連性が強く、公務の能率的運営に有用であるという判断があれば、当然承認されるということになると思います。

森本委員 この解釈は難しいと思うんです。自己啓発と称するならば、今おっしゃられたような勤務成績が非常に好ましくない方でも、少し趣旨とは違うかわかりませんが、自己啓発という観点からいけばそれは認めるべきでありますし、優秀な職員に御褒美的にされるというようなことになるとまた問題も出てくると思うんですが、そのあたり、もう少し簡単に触れていただけませんか。

吉田政府参考人 繰り返しになりますが、自己啓発休業というものは、職員が希望をして、その希望を基礎に休業を認めるという制度でございます。

 それを承認する場合の基準の一つに勤務成績というものがあるわけでございまして、今先生御指摘のように、そこのあんばいは非常に難しい部分があると思いますが、現実に各任命権者が判断する場合に、あくまでもその本人の意思というものを基本としつつ、ただ、公務運営に支障が生じないということも、この制度が定着するために必要でございますので、職員が抜けることによって仕事にマイナスが生ずる、あるいは組織全体として人事管理や行政運営にマイナスが生ずるということがないように、適宜、承認するかしないかという判断をしていく必要があるものというふうに考えております。

森本委員 ありがとうございました。

 例えば、補充の職員のことになると思うんですが、そこについてはもう時間がございませんのであえて触れさせていただきませんが、この問題についてもう一つ、三年以内となっておるんですが、その範囲内で一人が何回も取得することは可能なんでしょうか。

吉田政府参考人 三年以内と申しますのは一つの休業の期間でございます。その休業が終了後、また例えば別の国際貢献活動をしたい、奉仕活動をしたいということになれば、もう一度別の申請をしていただくということになります。

森本委員 その細かい点につきましては、例えば、五年でも行けるのか、一年でやめられるのか、二年でもいいのかとか、そういうことについてはまた後で具体的にお聞かせいただきたいと思いますので、その節にはよろしくお願いいたします。

 それでは、育児のための短時間勤務制度について少し、あと残り時間、よろしくお願いをいたします。

 今回の制度の対象となる職員は、「常時勤務することを要しない職員、臨時的に任用された職員、配偶者がこの法律により育児休業をしている職員その他の人事院規則で定める職員を除く。」となっております。つまり、常勤職員に限るわけですが、そこでお聞きしたいのが、「その他の人事院規則で定める職員」とはどの方を指すか。非常勤職員に適用されない理由をお聞かせいただけないでしょうか。

吉田政府参考人 人事院規則で定める職員につきましては、法律で書かれている非常勤職員、臨時的職員のほか、例えば勤務延長をした職員、あるいは配偶者が育児休業法その他の法律により当該子供について既に育児休業をしているその職員などを想定しております。

 また、非常勤職員を対象から除外している理由でございますが、公務における非常勤職員は、臨時または緊急の必要に応じて任用されるものでございまして、民間の一部の有期雇用者のように、雇用の継続を前提として任用されているものではないこと、また、日々雇用でない非常勤職員は、もともと勤務時間が短い短時間勤務であることから、今回の短時間勤務制度の適用にはなじまないというふうに考えたところでございます。

森本委員 それじゃ、それに関連して。非常勤職員であっても、数年にわたり繰り返し任用されている者があることはいろいろな裁判でも明らかになっておるわけであります。育児・介護休業法が、当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者は育児休業をすることができるとしていることと、少しかけ離れておりませんか。

吉田政府参考人 今委員御指摘の、繰り返しの非常勤の任用につきましては、国家公務員に関して申し上げますと、閣議決定によりまして、「継続して日日雇い入れることを予定する職員については、必ず発令日の属する会計年度の範囲内で任用予定期間を定めること。」とされるなど、いわゆる常用化につながらないような措置、運用がなされているものと承知しております。

森本委員 そうしますと、局長、常用化に向かっていく職員については将来考えられるということではないのか。

吉田政府参考人 非常勤職員の官職につきましては、基本的には臨時または緊急の場合に設定されるということから、長期間にわたってその官職の継続が予定されているものではないというふうに整理されております。

 したがいまして、そういった官職を占める非常勤職員について、継続的な雇用の保障ということが考えられていないというのが今の仕組みでございますので、そういう非常勤職員制度の基本的な枠組みについて議論がされれば、当然そのはね返りとしてこちらの方にも影響が出ると思いますけれども、まずは非常勤職員制度のあり方の問題があるだろうというふうに考えております。

森本委員 局長、これは、その期間が一年以上であるという現実があるんですよね。しかし、それは現実に、法的にはないはずだというようなことになると思うんですが、ここは非常に現実と法との解釈、解釈といったらおかしいんですけれども、ギャップの中で、そうすると、この辺はこれから整理をされていくということの判断でよろしいんですか。

吉田政府参考人 非常勤職員の官職というものが臨時または緊急の場合に設定されるものである、そういう本質であるということが変わらなければ、その実態としてどうなっているかということだけを議論するというわけにはいかないというふうに考えております。

 そういう実態につきましては、先ほど申し上げましたような閣議決定等で、任用予定期間が長期化しないように、つまり常用化しないようにという運用の方向を国家公務員について定めておりまして、そういう運用がされておりますので、それを前提とした議論を現時点では考えているということでございます。

森本委員 これ以上議論はしませんが、やはり今私が申し上げた方々にもこうした運用がなされるような方向でぜひお考えをいただきたいということを要望して、この問題については終わらせていただきます。

 それで、二点目の項目なんですけれども、育児短時間勤務の請求をした職員の業務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合は承認しないことができるということになっておりますが、この部分は極めて限定的に解釈して、実質的に承認しないことはないというぐらいでなければ、改正の趣旨が台なしになってしまうというふうに私は思っています。著しく困難な場合とは具体的にどういうことを言われるのか、お聞かせください。

吉田政府参考人 著しく困難な場合につきましては、具体的には、業務分担を見直したり、あるいは職員の配置がえを行ったり、あるいは並立任用等の部内的な措置を行ったり、あるいは任期付短時間勤務職員を任用するなど、さまざまな措置によっても当該職員の業務を処理できない場合というふうに考えております。これらの場合に該当して請求が不承認になる場合というのは、先生御指摘のとおり限定されるものというふうに指導しております。

森本委員 局長、今のお話では、私の心配には及ばない、できる限り努力をして、この制度を活用できるようにしていただくということで解釈をさせていただいてよろしいですね。

 それでは次に、国家公務員の育児休業法改正案では、任期付短時間勤務職員に俸給表を適用するということは評価をさせていただいております。一方、地方公務員の育児休業法改正案では、この任期付短時間勤務職員の給与や勤務条件についてほとんど規定がされておりません。これは、地方自治の趣旨から、それぞれ自治体ごとに条例を定めるということになっておると思いますが、国家公務員育児休業法の短時間勤務職員と同様に給料表を適用して、給与月額及び職務関連手当は勤務時間に応じた額とするのが適当だと思いますが、そのことについていかがお考えですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 育児短時間勤務に伴います任期付短時間勤務職員の給与でございますけれども、具体的には、御指摘のとおり、各自治体の条例で定めるということになりますけれども、その内容につきましては、基本的には国家公務員の取り扱いと同様にすることが望ましいと考えております。そのような助言をするつもりでございます。

 具体的な取り扱いにつきましては、今お触れになりましたけれども、基本給それから職務関連手当、これは基本的には時間割りで支給をするということ。それから、つけ加えて言えば、生活関連手当とか退職手当につきましては、これも国と同様でございますが、支給しないようにする、そういうふうな考え方で対処するつもりでございます。

森本委員 部長、その時間割りで支給ということ、もう少しそのあたりを具体的に説明いただけませんか。

上田政府参考人 勤務時間が、例えば育児の方が半分勤務で二十時間になる、そうすると、その裏に短時間勤務職員の人が二十時間で入るとした場合は、基本給を定めた上でその二十時間分の給与を払う、こういうことでございます。

森本委員 ありがとうございました。

 きょうは、私は、自己啓発の方を中心にということで質疑をさせていただきました。特にお願いをさせていただいておきますが、やはり、日本の方向を決めていただく職員の皆さん方が、少しでも視野を広めていただいて、そして現場とマッチした政策をつくっていくというようなこと、自己啓発を含めて、できるだけ広い範囲で人間的な学問をしていただくという、これは大変失礼な言い方なんですけれども、そうした視野を広げていただく研修もこれからぜひお考えいただきたい。

 もちろん、県との交流等で現場へ入っていただくということはよくわかりますが、しかし、本当の現場というものは、黒塗りの車に乗ってずっと回っておるだけでは、それはある面では本来の現場を見ることができません。

 ですから、そうしたことも含めて、自己啓発のこの法律がそうしたところへ広げられて、少しでも現場を見ていただけるような時間をつくっていただける、そうした方向へ進んでいくことを期待いたしまして、きょうの質疑は終了させていただきます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 今回の改正案の主な柱は、新たに導入される育児のための短時間勤務と任期付短時間勤務職員であります。総論的に申し上げれば、職業生活と家庭生活の両立支援や公務におけるワークシェアリングの推進に資するものと思います。

 育児休業制度は、幾度かの改正を経て、民間では一歳に満たない子、ただし一定の場合には一歳六カ月まで、公務員の場合は三歳に満たない子と、育児休業期間が延長されてきました。このことは選択肢が広がることから大変意味があることと思いますが、現実に取得する側からいえば、長期間職場を離れるよりも、むしろ短時間勤務できる仕組みを望む声の方が大きいと思います。しかしながら、短時間勤務となると、賃金を初め労働条件について必ずしも均等に処遇されていない。特に賃金の時間比例割りというのはなかなか難しいのが現状でございます。

 今回のこの法改正をこうした状況を打開する一法としていくようにする必要があると考えております。その立場から、不十分な点や不明瞭な事項等もあるので、以下質問してまいりますので、明快な、簡潔な答弁をお願いいたします。ちょっと声がおかしいんですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。

 まず一つ目は、育児短時間勤務についてであります。

 その一点でありますが、今回の法改正の取り組みの経緯を見ますと、人事院では二〇〇三年に、有識者による、多様な勤務形態に関する研究会を発足させました。同研究会は、〇四年に中間取りまとめ、〇五年には「勤務時間の弾力化・多様化への提言」と題する最終報告を行い、育児、介護を行う職員の短時間勤務制の実現に向け早急に検討を進めるよう人事院に要請をいたしました。これを受けて、昨年八月に人事院は、育児のための短時間勤務の制度の導入等のための国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申し出を行い、今回の法制化に至ったわけでありますが、最終報告以降、随分時間がかかりましたが、短時間勤務制度を法制化するに当たり何が一番問題だったのか、人事院総裁にお伺いをいたします。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおり、多様な勤務形態に関する研究会に御意見を伺いまして、十七年の七月に最終報告をいただきました。その後、昨年の人事院勧告にあわせて意見の申し出を行うまで、このことについて検討をいたしてきたわけでございますが、その検討に当たりましては、一つには、職員が常勤職員の身分のままで短時間勤務をすること、それからもう一つは、短時間勤務制の導入によりまして公務サービスの低下を招かないように、また、人件費の増加を来さない方法でしっかりとした後補充を実現すること、この二つがポイントと考えたわけでございます。

 前者につきましては、常勤官職を占める職員が常勤職員であるという整理のもとで、育児のために必要な期間について短時間勤務に従事する職員も常勤職員の身分を変更しないものという整理をいたしました。また、後者につきましては、一つの常勤官職に二人の職員を占めさせる並立任用によりまして定員の弾力的運用を可能といたしましたほか、常勤職員と同様の職務を行わせるために、俸給表を適用いたしまして常勤職員並みの処遇を確保する任期付短時間勤務職員、後補充の制度でございますが、この制度を創設したところでございます。

福田(昭)委員 ただいまの話を聞いて、いろいろ工夫をされたという話を伺いました。

 そこで、育児の短時間勤務制度ですけれども、常勤職員の身分を有したまま短時間の勤務を行うという公務員制度上全く新しい概念。常勤はフルタイムというこれまでの考え方を覆して、パートの常勤公務員制度ができるということで、多様な働き方を実現するという意味においては大変大きな一歩だと思います。

 そこで、常勤と非常勤のそれぞれの定義を確認したいと思います。常勤はフルタイムという定義は今回の法改正で変更されたと理解してよいのかどうか、人事院総裁にお伺いいたします。

谷政府特別補佐人 結論から申しますと、変更いたしておりません。

 御案内とは存じますが、常勤職員とは常時勤務を要する官職を占める職員ということで、これはフルに占めるという意味を含んでいると考えます。それからまた、非常勤職員とは常時勤務を要しない官職を占める職員という整理でございます。

 これまで常勤職員には専ら週四十時間勤務の職員しか占めていなかった。そういう常勤官職でございますが、今回は、育児のために必要とする期間短時間勤務をする職員につきましても、その常勤職員の身分を変更しないまま常勤官職を占めることができる、そういう整理をいたしました。しかし、これに伴いまして、先ほど申しました常勤職員及び非常勤職員の定義自体を基本的に変更したところではございません。

福田(昭)委員 よく工夫の跡が考えられるような気がいたします。

 それでは、三つ目でありますが、今回の法改正で育児のみに事由を限定した理由はなぜか。少なくとも、多様な勤務形態に関する研究会の最終報告にも、育児と並んで介護についても短時間勤務の対象とするようになっておりましたけれども、介護を除外した理由はどうしてか。また、今回は育児に限定しておりますけれども、事由のいかんを問わず一般化することが今後の課題になると思いますが、いかがですか。人事院総裁にお伺いをいたします。

谷政府特別補佐人 確かに、御指摘のように介護ということもあるわけでございますが、しかし、介護につきましては既に介護休暇制度がございまして、最長六月までは一日単位または一日ごとに四時間以内の休暇取得が可能であるわけでございますが、その利用実態を見ますと、上限の六月取得した職員は約二割にとどまっております。また、時間型の介護休暇の利用者は少ないという状態でございます。ほとんどが全日型の利用者であるということでございます。さらに、アンケートを聴取いたしましたが、その結果から見ましても、時間型の取得期間の延長を求める声は比較的小そうございました。

 こういう実態を見ますと、短時間勤務型の介護休暇制度のニーズは少ないと考えられますので今回は対象といたしませんでしたが、今後とも、さらに実態を調査いたしまして、介護の利用状況、職員の要望、他の施策との連携のあり方、それから民間の状況等も見定めつつ、必要な検討は継続して行っていきたいと考えております。

 それから、事由のいかんを問わずその他の分野にもということでございますけれども、今回は、仕事と家庭の両立支援策の一環としてこういうような措置をしたわけでございます。そして、事由を限定しない一般的な短時間勤務の導入、あるいは他の事由による短時間勤務の導入につきましては、現時点では特段の必要性というものを認められるものはございませんので、現在、具体的な考え方を有しておりません。しかし、今後とも、行政を取り巻く環境は変化いたしますので、そういう変化に対応いたしました多様な勤務形態のあり方については適時適切に検討していきたいと考えております。

福田(昭)委員 ぜひ介護にも、今後引き続き検討していただきたいと思います。

 それでは、次、四点目でありますが、今国会に雇用保険法の改正案が提出されております。この法律をめぐって厚生労働省の不祥事があったようであります。しかし、仮に成立すると、暫定的ですけれども育児休業手当金が五〇%まで増額することになります。公務員の場合は共済組合から現在四〇%支給されておりますが、これも雇用保険法の改正と同様に五〇%にする予定のようでございます。

 そうした中で、育児短時間勤務を二十時間とすると俸給の二分の一となります。他方、フルに休業すると同じ額が支給されます。無論、俸給として支給されることと、共済から手当として出されることの意味は異なっております。さらに、扶養手当など諸手当が支給されるので両者が同額にならないことはよくわかります。しかし、この両者のバランスについてどのように考えるかが問題だと思います。

 今後、もしこうした制度が民間にも広がるということになれば、同じようにバランスが問われると思います。この際、考え方についてはきちんと整理されるべきだと思いますけれども、厚生労働省の考えをお聞きしたいと思います。

岡崎政府参考人 短時間勤務をされた場合、就業している場合につきましては、当然その労働に見合った賃金ということで払われるということだろうと考えております。

 育児休業給付につきましては、労働者が、育児休業中に一定の所得保障を受けながら安心して育児休業を取得して、それで失業の予防をしながら雇用を継続する、こういう観点で払う制度でございます。その際、どのくらいの給付にするかということにつきましては、一方では雇用保険制度の一般の失業者との関係を考える必要もあるだろう、それから、おっしゃるような勤務している方との均衡も考える必要があるだろうというふうに考えております。

 そういう中で、これまで、四〇%を給付する、こういう仕組みだったわけでございますが、少子化の進展等々への対応ということを考えまして、御指摘のように、暫定的にでございますが五〇%の給付にする。しかしながら、その場合に、雇用継続を旨とするという考え方から、休業期間中は三〇%はそのままにして、六カ月後に支払う方につきましてこれを一〇%から二〇%に上げる、こういう考え方で整理したということでございます。

 いずれにしましても、今御指摘のような点も含めまして、暫定措置の終了後どうするかということについてはまた検討していきたい、こういうふうに考えております。

福田(昭)委員 最後にちょっと指摘したいと思っておりますが、勤務時間の半分勤めても全部休んでも同じ手当といいますか給与というのは、どうしてもやはりなかなか納得しかねるところがあるかと思いますので、これは今後さらに研究をしていく必要があるんじゃないかなと思っております。これはまた最終的に違う仕組みの導入でお話をさせていただきたいと思います。

 五つ目でありますが、五つ目は、民間の育児休業法でも、当初は期間を定めて雇用される者は適用されなかったわけでありますけれども、さきの改正で、有期雇用者であっても、引き続き雇用された期間が一年を超えるなどの条件が満たされれば取得できるようになりました。これは、いわゆる有期雇用であることを理由に育児、介護を取得できない状況を基本的に見直したものだと思います。

 非常勤職員でも、数年にわたり繰り返し任用されている者がいるのは御承知のとおりでございます。今後、公務員においても、民間に倣って非常勤職員の適用について前向きに検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。総務大臣にお伺いをいたします。

菅国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、民間の育児休業適用対象となる有期雇用者についてでありますけれども、雇用実績が一年以上あって、子の一歳到達日以降も一年以上雇用の見込みがあるという要件が定められております。一定程度の雇用の継続が見込まれる有期雇用者が想定されているわけであります。

 これに対し、公務員における非常勤職員というのは、臨時または緊急の必要に応じて任用することが基本でありまして、民間の有期雇用者のように雇用の継続を前提として任用するものでないということを御理解いただきたいと思いますので、育児休業の適用にはなじまないのかなというふうに思います。

福田(昭)委員 それでは、六つ目でございますが、公務員の育児短時間勤務制度の導入がさらに民間にも広がる契機となることが大切だと考えております。

 民間労働者を対象とする育児休業法においては勤務時間の短縮が定められておりますが、限定的であったり選択であったりしております。フルタイマーからパートへの転換、さらにはパートからフルへの転換が可能で、しかも賃金や労働条件等で均等に扱われる仕組みが必要だと考えております。

 先週、本会議で、いわゆるパート労働法について政府案と民主党案が質疑されておりますが、パートタイム労働者の均等処遇の問題は早急に解決すべき課題だと思っております。安倍内閣も再チャレンジをうたっておりますので、ぜひとも、多様な働き方を保障するシステムづくりのためにも、今回の公務員の制度をモデルにして民間で生かしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。厚生労働省にお伺いをいたします。

村木政府参考人 委員御指摘のとおり、今パート労働法の改正法案については厚生労働委員会で御審議をいただいているところでございます。

 政府の提出いたしておりますパート労働法につきましては、すべてのパート労働者を対象として多様な就業実態を踏まえた均衡待遇を確保し、特に正社員と同視できる働き方をしている者には差別的取り扱いの禁止を求める内容となってございます。

 今回の公務員の方の制度改正等々でございますが、民間のすべての企業に最低基準として求めていく制度としてすぐこれを活用できるかどうかは別といたしまして、公務の部門等でありましても、よい事例、よい制度等々につきましては、民間企業にもこれを周知する、情報提供するというような形で、短時間労働者と正社員の均衡待遇が図られるように努力をしてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 この育児休業につきましては、公務員、特に教職員から先行してスタートした仕組みですので、これらが民間に広がるようにぜひ努力をしていただきたいと思います。

 次に、育児短時間勤務職員の並立任用についてお伺いをいたします。

 一つ目は、今回の並立任用の制度化により常勤職員の欠員補充ができるようになりまして、定員取り扱いの事実上の弾力化となります。しかし、基本的には人頭ではなく総勤務時間数でカバーするなどの弾力化措置をさらに追求していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。総務大臣にお伺いをいたします。

菅国務大臣 国の行政機関の定員管理におきましては、恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員を対象にしております。具体的には、常勤職員一人に相当する業務量が認められる場合に一人分の定員を措置しております。

 今回の改正法案におきまして、任命権者の承認を受け、常勤職員が短時間勤務を行う制度を新たに導入するとともに、週二十時間勤務の二人の育児短時間勤務職員を同一の官職に任用することを可能にいたしております。この制度におきましては、短時間勤務によりカバーされない職務については他の職員がカバーするものであり、短時間勤務職員が占める官職自体の業務量が変わるものではないので、定員一人として取り扱うこととしたものであります。

 今回のこの制度に係る並立任用のさらなる弾力化につきましては、まず、今回導入されたこの制度の運用というものをぜひ見た上で考えていきたいというふうに思います。

福田(昭)委員 そういう意味では実際どうなるかということですが、時間の関係で簡潔に少し先に行きたいと思います。

 人事院総裁にお伺いいたしますが、この並立任用はどの程度活用されると考えているのか、お伺いをいたします。

谷政府特別補佐人 いわゆる並立任用でございますけれども、一週間当たりの勤務時間が二十時間の二人の育児短時間勤務職員を一つの常勤官職に任用するということでございますので、一つの官職の仕事を二人で処理するということになる仕組みでございます。

 各府省に対するヒアリングによりますと、多くの職員が一つの課、室を構成しておりまして、そういったところで、調査、審査、データ処理など、個々の職員が自己完結的に業務管理できるような職場、こういったところが一つ活用できる職場として考えられるかと思います。

 なお、近接する官署で配置がえをしても転居を伴わない場合につきましては、職員を配置がえさせまして異動先の官署において並立任用させることもあり得るところでございますので、そういう意味で、確かになかなか一般的に運用するということについてはいろいろ制約もあろうかと思いますが、こういった制度を活用し得る職場もあるだろうというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは次に、任期付短時間勤務職員についてお伺いをいたします。

 一つ目ですけれども、育児短時間勤務職員の代替となるのが任期付短時間職員でございます。短時間勤務職員と同一の業務を行うことをその職務内容といたしますが、常時勤務を要しない、つまりは非常勤の職員となります。同じような能力を要する仕事をするが任用上は非常勤という扱いになります。なぜ常勤としなかったのか、その理由は何なのか。

 非常勤というのは、通常、やむを得ない場合、補助的職種に限って雇うもので、原則八時間働くことは想定されていないのではないか。常勤と同じ仕事をするにもかかわらず非常勤とするのはなぜなのか、人事院総裁にお伺いをいたします。

谷政府特別補佐人 常勤職員は、先ほど申し上げましたけれども、週四十時間勤務の業務量のある官職に充てられるのに対しまして、それより少ない業務量の官職に充てられますのを非常勤職員であるという整理をされてきておるところでございます。

 育児短時間勤務職員の代替として設けられました任期付短時間勤務職員の官職でございますが、これは週二十時間勤務より少ない業務量の官職となるわけでございますので、この考え方から申しまして非常勤官職と整理されているところでございます。

 育児の短時間勤務職員でございますが、これは、本来的に常勤官職を常勤職員として勤めてまいりまして、同じ官職につきまして、特別の事由によって一定期間従前の勤務をすることが困難になるという事情はあるわけでございますけれども、非常勤につきましては、当初から、こういった短時間の勤務、それも期間を限定されました勤務を前提といたしまして勤務する職員であるわけでございまして、この官職は非常勤官職として整理をしているところでございます。

 そういう意味で、先ほどもお言葉をちょうだいいたしましたけれども、基本的な官職の考え方についての非常に微妙な整理の中で可能となっている制度でございますので、そういう意味で、この補充のことにつきましては、これ以上は難しい考え方だろうと思っております。

福田(昭)委員 非常に難しい整理をされているかと思いますけれども、二つ目をお伺いいたします。

 給与は常勤同様に俸給表を適用し、手当は非常勤であることを理由に支給しない。そういった意味では、いかにも大変中途半端な仕組みになっております。退職手当や国家公務員共済組合についても、非常勤職員であることを理由に非適用となっております。最長六年も就労するにもかかわらず退職手当の対象にならないというのは制度として未熟ではないか。なぜ、こんな中途半端な仕組みになったのか、関係省庁の反対などもあったのか、総務大臣にお伺いをいたします。

菅国務大臣 委員御承知のとおり、この退職手当というのは、職員が長期間継続勤務して退職をする場合の勤続報賞、そうした性格が強いものであるというふうに思っています。ですから、基本的には、長期勤続が基本であって、常勤の職員を念頭に置いた制度であるというふうに私は思っています。

 したがって、非常勤職員である任期付短時間勤務職員については退職手当は原則として支給をされておりませんが、これは他の非常勤職員と同様の取り扱いにもなっておりますので、妥当なのかなというふうに思います。

福田(昭)委員 おっしゃるところはよく理解をできるつもりですが、最長六年も勤める人が出てくるということになると少し検討する必要があるのではないか、このように思っております。

 次に、三点目でありますが、地方公務員育児休業法改正案では、すべて条例で、地方自治の趣旨から自治体ごとに条例で定めるということになっておりますが、国家公務員と同様の措置がとられることが適当だと思いますが、いかがでしょうか。総務大臣にお伺いいたします。

菅国務大臣 基本的にはそれぞれの地方公共団体が条例でというのは、委員の指摘をしたとおりであります。

 ただ、この改正後の第十四条において、育児短時間勤務職員の給与や勤務条件については、国家公務員の給与や勤務条件の取り扱いに関する事項というものを基準としておりますので、国家公務員と同様の取り扱いになるように私どもからも助言を行いたいというふうに思っております。任期付短時間勤務職員についてもそういう方向で考えていきたいと思います。

福田(昭)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。

 次に、育児休業した職員の職務復帰後における給与の調整についてお伺いをいたします。

 ここは一つだけお伺いいたしますが、確認をさせていただきますけれども、昨年八月の人事院の申し出では、育児休業した期間の三分の三以下に相当する期間を引き続き勤務したものとみなすことを考えているとあります。人事院規則ではどういう調整を予定しているのか、人事院の局長にお伺いをいたします。

出合政府参考人 お答えいたします。

 昨年の意見の申し出のときに、育児休業につきましてはいわゆる復職時調整三分の三にというふうに申し上げているところであります。現在のところもこの考え方は変わっておりません。

 具体的には、最大で育児休業した期間をすべて勤務したものとみなして給与の調整を行うことができるというようなことを考えております。これによりまして、実際、この期間を良好に勤務した場合と同じ号俸まで調整できるということになっております。

福田(昭)委員 それでは、これは最後の質問になりますけれども、パパクオータ制度の導入についてお伺いをいたします。

 まず一つ目、大変失礼になるんですが、確認の意味でお聞きしたいんですけれども、総務大臣は、ヨーロッパ、特に北欧で実施されているこのパパクオータ制度について御存じですか。

菅国務大臣 私知っております。たまたま、私、何年か前に北欧のある国を訪問したときに、大臣と会見をする予定でしたけれども、きょうは子供を迎えに行くのでちょっとおくれるという非常にほほ笑ましい一こまがありました。そういう中で、そうしたさまざまなことについて習得させていただいたということであります。

福田(昭)委員 ありがとうございます。大臣もにこにこして知っているという話ですから、ぜひ、このことについてこれから検討してほしいと思うんです。

 二つ目でありますが、男性に育児参加のための休暇が現在五日間設けられているわけでありますが、依然として男性の育児休業の取得率が低い。短時間勤務職員の導入等でより取得しやすい環境が整ってきたと思いますけれども、私は、パパクオータ制度のように、一定期間男性にも育児参加を積極的にさせていく制度の導入がぜひとも必要だ、こう考えておりますが、総務大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 男女共同参画社会の実現のためにはそうしたこともまた非常に重要だというふうに思っております。そして、私ども、職員の全体を管理している中で、それぞれの省庁の人事担当者についても、こうしたことの導入を行うことのできる環境というんですかね、そういうものについても、私はこれは前向きに積極的に取り組んでいきたいというふうに考えています。

 今提案がありましたパパクオータ制度でありますけれども、これは、それぞれの歴史もあるいはその環境も違うとは思いますけれども、一つの参考になることかなというふうに考えています。

福田(昭)委員 実は、私も若いころ、私のパートナーと一緒に共働きをしながら四人の子供を育ててきました。それはそれは非常に大変な状況でございましたが、それこそこういう仕組みがあったらもう少し楽だったのかな、こういうふうに思っているところでございます。ぜひとも、我が国の少子化の状況、あるいは家庭教育の現状、今回、国も教育基本法を改正して、その中で家庭教育が大事なんだということをうたったわけでございますけれども、こういう状況をしっかりと打開して、日本の活力をさらに高めていくということを考えたときには、やはり家庭教育には、母親だけじゃだめ、父親と母親両方がしっかりと参加をして子供を育てていくというのが非常に大切だというふうに考えているんですね。そうすると、今の状況を考えますと、なかなか父親が育児に参加できない、そういう現状にあるかと思います。

 そうした中で、国家公務員の勤務時間制度を見てみますと、かなりいろいろ充実はしてきているんですね。これを見ますと、時差出勤がオーケー、早出遅出勤務オーケー、交代勤務オーケー、フレックスタイム制オーケー、裁量勤務制オーケー。それから、育児、介護のための休暇、休業に関する制度では、保育時間もとれる、育児休業もとれる、育児のための部分休業、今回は育児時間等の時間を変更いたしたようですけれども、介護休暇もとれる、男性の育児参加のための休暇もオーケー、子の看護のための休暇もオーケー。深夜勤務、超過勤務制限もある。こういうことで、かなり国家公務員の仕事と育児の両立を支援する仕組みはそろってきたというふうに思うんですね。今回この短時間勤務制度ができてきて、かなり充実してきたというふうに思うんです。

 一方、民間企業ですけれども、民間企業も、先日の新聞など読んでみますと、これから、子育て支援をする企業が今度は企業本体の競争力にも非常に強みを発揮する、そういう時代がやってくる、こんな新聞報道もございます。そういった意味では、私は、民間企業においてもやはりこのパパクオータ制度を導入させるような環境が整いつつあるんだと思うんです。それは、御案内のとおりの少子高齢化、日本の労働力人口の減少という中でぜひそうした……

佐藤委員長 質疑時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

福田(昭)委員 はい、わかりました。もう終わりにいたします。

 ということでございますので、今回大事なのは、今や公務員だけじゃなくて民間企業もそういう状態でございますから、やはり父親の役割をしっかりと決める、四分の一は父親が育児休業をとるとか、あるいは、育児休業手当をしっかりまとめて、ヨーロッパ、北欧のように七割、八割にするとか、そういう抜本的な対応が政府全体として必要だと思いますので、ぜひそんな検討を早急にしていただくよう要請して、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 今回、地方公務員そして国家公務員の育児休業等に関する法律が一部改正をされることになりました。ちょっと時間がかかり過ぎたのかなという感じが、これまでの経過を見ておりまして、しております。本来であれば、この前の国会で、公務員制度の法案のときに一緒に出てきてしかるべきだったんだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、今回このような形で育児短時間勤務制度が導入されるというのは非常に喜ばしいことだと思っております。

 社会的な要請であるワークライフバランスの確立にも、いよいよ官職の面からも進んでくるということは非常に重要な意義があると思っておるんですけれども、細かい点については先ほど福田委員の方からいろいろと質疑がありましたので、私の方からは、多少大きな点になるかもしれませんが、この育児短時間勤務制度導入の対象などを中心に伺っていきたいと思います。

 まず、今回の法案で、地方公務員の法の方では第十条、国家公務員の法の方では第十二条にありますが、ここにおけるその対象となります職員の意味について伺いたいと思っております。つまり、今回その対象となる公務員の職種と言ったらよろしいんでしょうか、雇用形態、こういったものはどうなっているのか。例えば、地方公務員の方ですと、任期付職員法、それから地方公務員法の三条三項三号、それから第十七条、二十二条ですか、国家公務員法でも同様に定めがあるんだと思いますけれども、そこで定められておりますいわゆる非常勤職員や臨時職員、こういった方々は今回育児短時間勤務制度の対象の内側となるのか外側となるのか。その点から伺っていきたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の育児休業法につきましては、臨時的任用職員それから非常勤職員については短時間勤務制度の対象にはならないというふうに規定されております。

上田政府参考人 地方公務員につきましての基本的な考え方を申し上げますと、育児短時間勤務制度を利用できる地方公務員の範囲は、非常勤職員、臨時的に任用される職員、配偶者がこの法律により育児休業している職員その他条例で定める職員を除いた職員としております。具体的には、その条例の中において国家公務員と同様の事項を規定するということを考えているところでございます。

西村(智)委員 今回の育児短時間法は、臨時職員と非常勤職員は対象外となる、こういう御答弁だったと思います。これは、地方公務員と国家公務員の育児休業法の方でも同様なんですよね。臨時職員と非常勤職員が対象外となっている。ただ、実態を見てみますと、果たしてそれでいわゆる社会的な要請にこたえているのか、そういう点が幾つか見られるんですけれども、臨時職員と非常勤職員が育児短時間法それから既にあります育児休業法の対象外となっている理由について明確に答弁をいただきたいと思いますが、それぞれいかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 非常勤職員を対象から除外している理由といたしましては、公務における非常勤職員が、臨時または緊急の必要に応じて任用されるものでありまして、民間の一部の有期雇用者のように雇用の継続を前提として任用されるものではないこと、それから、短時間勤務に限って申しますと、日々雇用でない非常勤職員はもともと短時間勤務であることから、短時間勤務制度にはなじまないことがございます。

上田政府参考人 ただいまの対象にならない理由につきましては、地方公務員の場合におきましても、臨時的任用、非常勤職員について、国同様に長期的、継続的な勤務を前提としていないこと、そういったことが理由となっておりますことは同様でございます。

西村(智)委員 雇用の継続を前提としていないので臨時職員及び非常勤職員は対象外となっている、そういうお話でした。しかし、これは民間の部門でも問題になってきたことだったんですけれども、つまり、期間の定めがあるといいながら、実際には長期間働いてもらうことを前提として職場に雇用されているというケースが非常に多かったり、しかも、それが反復更新をされて、実質的には期間の定めのないものとみなされるような雇用というのはたくさん例があったと思います。

 実際に、官職の部分においても、ある調査によりますと、雇用期間というのは、これは契約の期間ではなくて実際の雇用期間でありますけれども、臨時職員の平均は大体三・九年、それから、嘱託、非常勤の職員は平均五・七年、こういう調査結果も出ておるんですけれども、こういうことからいたしますと、雇用の継続を前提としていないというふうには一概に言えないんじゃないかというふうに思います。

 ちょっと視点を変えまして、民間の方の育児・介護休業法の方から伺っていきたいと思いますけれども、先ほど福田委員の質問の中にもありましたが、最初は有期雇用の方々は対象となっていなかったこの育児・介護休業法ですけれども、三年前の改正だったでしょうか、ここで、そういった期間の定めのある雇用者に対しても育児休業が取得できるようになりました。実際に契約更新を繰り返して、実質的には期間の定めがなくなっている地方公務員そして国家公務員、こういった分野の臨時職員や非常勤職員は、こういう民間の育児・介護休業法からは除外されている、いわば適用除外となっているわけですね。しかも、地方公務員、国家公務員の育児休業法からも除外されているということなんですけれども、いかがなものかと思うわけです。

 まず一点目、伺うんですけれども、民間の育児休業法に基づいて、休業期間中は育児休業手当金が支給をされる、ここの財源には雇用保険の保険料が入っているというふうに承知をしているんですけれども、その雇用保険に臨時職員や非常勤職員は加入しているのでしょうか。

岡崎政府参考人 公務員に対する雇用保険制度の適用でございますが、常勤職員につきまして、退職手当法等に基づきまして雇用保険制度を上回る退職金制度がある方、これについては適用除外でございますが、それ以外の方については、一般の民間の方々と同じ適用基準になっております。したがいまして、週所定労働時間が二十時間以上で一年以上の雇用見込みがあるという方につきましては、国や地方公共団体のいわゆる非常勤職員につきましても雇用保険法の対象になっている、こういう状況でございます。

西村(智)委員 そういたしますと、一年以上の雇用が見込まれる人で週二十時間以上の勤務をしている人たちは雇用保険に入っている、つまり雇用保険料を払っているわけですね。ところが、雇用保険が財源となっている育児休業手当金は、その方々はどう頑張っても支給をされないわけですね。これはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。こういったことをずっと放置しておくというのは、これは制度設計の面からも非常に大きな問題があるというふうに思っております。

 二点目のお伺いは、こういった状況、つまり臨時職員や非常勤職員の方々が育児休業法から排除されている状況というのは、男女共同参画社会基本法、それから少子化社会対策基本法、あるいは、これは厚労省の方からの発案だったんでしょうけれども、次世代育成支援対策推進法、こんないろいろな法律が出てきており、また、ワークライフバランスが非常に重要だと言われるこういった社会的な背景からいたしますと、やはりこれはおかしいのではないかというふうに考えるんですけれども、この点について、厚生労働省の見解はどのようなものなのでしょうか。

村木政府参考人 先生御指摘がございましたとおり、次世代育成支援対策推進法、それからワークライフバランスの観点から、民間であれ公務の分野であれ、働きながら子供を生み育てることができるような制度を充実していくということは、私どもがどの分野であっても制度を向上させていかなければいけないということはそのとおりでございます。ただ、具体的にそれぞれの分野でどういう制度を設計していくかということについては、それぞれの所管のところで制度設計をしていかなければならないわけでございます。

 先ほど先生から御指摘がありましたとおり、民間の分野につきましては、平成十七年の四月から、一定の期間雇用者を対象として育児休業の取得が可能になったところでございます。公務員につきましては、育児・介護休業法を制定いたしましたときに、国家公務員や地方公務員のさまざまな特殊性を勘案いたしまして、これは特例を設けて公務員制度の方で制度設計をしていただくという仕分けをしているところでございます。

西村(智)委員 今の御答弁ですと、もう厚労省には責任はありませんという御答弁なのかなというふうに思います。

 総務大臣、こういう仕切りがされているんだそうでありますが、仕切りの問題もあるんですけれども、要するに法律と法律のはざまでたくさんの臨時職員、非常勤職員が育児休業や育児短時間勤務制度が取得できないという実態に目を向けていただいて答弁をいただきたいと思うんです。民間の育児・介護休業法それから公務員の育児法、こういったはざまに置かれている状況が実際にあるわけなんですけれども、これを総務大臣としてはどういうふうに認識されておられますか。

菅国務大臣 総務省としても、子育て支援というのは積極的に取り組んでいかなければならない、そういう立場の中で、今回短時間勤務制度を導入するということは仕事と子育ての両立を行う方向で導入することでありますけれども、この制度そのものは、職員の継続的勤務を促進しよう、そういう制度の趣旨によって今回長期継続勤務者も対象に設けられたというものでありまして、国家公務員と同様に、やはり非常勤職員は地方公務員としてもその対象になっていない、そういうことであります。

西村(智)委員 では、今のままほうっておいておいてもよろしいという御認識なのでしょうか。

 臨時職員や非常勤職員、事実上長く働いている方はたくさんいらっしゃると思います。正確な数字を教えてくださいませんかとお願いしていたんですけれども、なかなかこれは数値がとれていない。ただ、一般論として言われますのは、例えば二十年前、三十年前には臨時職員、非常勤職員は、例えば自治体、地方公務員の分野では約九万人だった。一九八〇年の段階で九万人であった臨時職員、非常勤職員が昨年の段階では四十万人に近いということですと、これは飛躍的に伸びているわけですね。かつてのような季節的な、あるいは臨時的な、補助的な働きというよりは、既に多くの非常勤、臨時職員の方々が、恒常的に、基幹的に働いています。そういう意識を持っている方が大変多くなっているというふうに私は承知をしております。

 では、実際そういう方々が育児休業や育児短時間勤務、育児時間を取得することができるケースというのはどういうケースなんでしょうか。どういう法律を根拠にそれを取得できるのか。できないとすれば、やはりこれはきちんと整備をしていくべきではないかと考えますけれども、これは人事院総裁と総務大臣にそれぞえ考えを伺います。

谷政府特別補佐人 先ほどから何度か御答弁もございましたけれども、基本的に現在の非常勤の制度は臨時または緊急の場合に設置される非常勤官職に充てるということでございます。また、その運用につきましては、閣議決定によりまして、会計年度内の任期で運用するようにという指導になっております。その前提で考えますと、そういった短期の非常勤職員についてこういう制度を導入するかどうかということにつきましては、民間における状況、これを十分注視して考えていく必要があると思います。

 それから、先生御指摘のありましたように、そういった期間を限定する非常勤職員制度の運用では公務の運営に支障を来すという実態が明らかになってまいりました際には、公務運営のあり方そのものを職員の制度を含めて見直すという可能性もあるわけでございますが、それは現在予定されているところではないというふうに考えております。

菅国務大臣 先ほど来お話しさせていただきますように、育児休業だとか短時間勤務、これは、職員の方に長期的また継続的な勤務をしてもらおう、そういう制度の趣旨によって設けられたものでありまして、今の制度の趣旨からしますと、非常勤職員の皆さんを育児休業の対象とするということは現時点では非常に難しいというふうに言わざるを得ないと思います。

西村(智)委員 閣議決定の方向などからいたしますと難しいということなのかもしれません。ただ、私、先ほど申し上げたように、臨時職員それから非常勤職員というのはこの間ふえ続けてきているわけですね。ふえ続けてきているんだろうと思うんです。なぜかというと、行政改革という一つの方針が立っていて、地方公務員においてはこの間、五・七%でしたか、五・九%でしたか、これからも減らし続けましょうね、そういう方向性が出ているわけですが、しかし、このところ、行政に対するいろいろな意味での期待というのはむしろ逆に大きくなっている。この前の「頑張る地方応援プログラム」ではありませんけれども、役所の仕事というのはやはりふえてきていると思うんですね。しかも、非常に専門化してきていますし、高度化してきている。

 そういった意味で、業務量全体はふえているんだけれども、定員法の枠でどんどん役所の方はスリム化されている。では、どうやって定員の枠の外でふえてくる業務量をカバーするかということになると、やはり非常勤職員とか臨時職員とか、あるいはいわゆる物件費という枠の中で支出をされている人たちにやってもらう、そういうことしかないんだろうと思うんですね。

 これは別に地方自治体を責めているとかということではなくて、そうせざるを得ない状況に今まさに追いやられているということだと思うんです。これをやはり放置するというのはよくないと思いますし、今回公務員制度改革の中でもこの点はきっちりと議論されていってほしいと願っております。

 実態を把握いたしたいのですが、そもそも、任期付職員法ですとか、あるいは非常勤や臨時などという形で雇用されている就業者の実態を政府は把握しているのでしょうか。私の手元にも正確な数字というのは実はありません。探してみたんですけれども、ありません。国と地方それぞれで、実数そしてまた性別でどうなっているのか、この点について伺いたいと思います。

上田政府参考人 申しわけございません。先生のお尋ねすべてはちょっと今控えを持ちかねておりますので、地方公務員における臨時、非常勤の数の調査をここで御答弁させていただきます。

 平成十七年四月一日現在ということで調査をいたしました。全地方公共団体の臨時、非常勤、これはいわゆる任期付短時間など一定の職員を除いておりますけれども、その中で、任用期間が六月以上または六月以上となることが明らかで、かつ、一週間あたりの勤務時間が二十時間以上、こういう条件のもとで調査を行いました。この結果が、先ほど申し上げた十七年四月一日現在で四十五万五千八百四十人ということでございます。

 ちょっと男女のあれは統計がございませんけれども、例えば一般事務職員ですと十一万二千三百十五人、技術職員では七千百四十七人、医師が九千九百五十五人等々となっているところでございます。

戸谷政府参考人 国家公務員の方でございます。平成十八年七月一日現在の数字を手持ちで持っています。一般職非現業の国家公務員のうち非常勤である者、これはいろいろな種類がございますが、総数としては約十四万九千人という数字に上っております。

西村(智)委員 性別ですとか、きのう通告していたと思ったんですけれども、入っていないんでしょうか。それはまた後でしっかりお聞かせいただきたいと思います。

 つまり、今御答弁いただいたのは、いわゆる根拠法の定めがきちんとある人数ですよね。その中に、先ほど申し上げた、いわゆる人件費として支払われているものではなくて、物件費で採用されている方々の数というのは入っていないんだろうというふうに思うんですね。やはり、こういう実態をしっかりと把握するところから、今後のこういった非常勤、臨時、このあり方を考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。

 民間の範たるべき公務サービスの分野でこのようなあいまいな雇用が継続されていいというふうに言う人はどなたもいないと思いますし、今、パート労働法を厚生労働委員会の方で審議いただいておりますけれども、そういった民間部門とのバランスをしっかりととらえながら、大変難しい問題であることは私も承知をしております、身分は公務員ですから非常に難しいということはわかるんですけれども、そこは、今の実態が既に難しいと言っているレベルからさらに上のところに上がってしまって、やはりもう一工夫、知恵を出すところまで今来ているんだということをぜひ御認識いただきたいなと思っています。

 最後に一点、総務大臣、やはりこういった雇用形態による格差といいますか差別、これを是正するために、公務分野における均等待遇への取り組みが進められるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 非常勤職員ですけれども、例えば国家公務員を見てみますと、事務的な補助のところ、あるいは保護司の方も四万九千人いる、あるいは審議会委員等、職務内容、勤務形態、それぞれ非常に多様でありますので、処遇を統一的に考えることは非常に困難なのかなというふうに思っております。

 いずれにしろ、こうした個々の実態を把握しているそれぞれの府省庁において、こうしたことに適切に対処していくべきかなというふうに考えます。

西村(智)委員 ぜひお願いいたしまして、終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤であります。

 大臣、きょうは自己啓発等の法案の方に論点を置いて議論させていただきますが、その前に、二点ほどちょっとお尋ねをしておきたいこと、確認をしておきたいことがございます。

 一点は、きょうの朝日新聞に、大臣のインタビューということで「消費税 地方に配分増」ということが載っております。これについては私自身もこの委員会で、やはり少しでも地域の自主財源が安定的に確保されることが望ましいという視点も含めて議論をさせていただきました。

 そういう中で、一昨日、地方の借金、市町村の中で格差が五百倍あるという記事が載っておりました。資料をいただいていましたが、これは、いわゆる都道府県、市町村の人口一人当たりの地方債の残高という記述の中で大変象徴的な部分を上手に取りまとめておるんですが、実は私の山梨でも、小菅村という人口が大変少ない村では、一人当たり地方債残が二百二十六万円であります。日本で一番地方債残が多いのは鹿児島県の十島村で、一千五十二万円という大変巨額になっております。この地域の共通する部分は、すべてがいわゆる山間地、離島という部分も含めてかもしれませんが、条件不利地域であります。

 これは、昨年の夏からの夕張市の事例を見ても、もうほとんど破綻寸前だという定義ができるような状況でありますし、今二つ事例を挙げた小菅村と十島村は実は夕張市よりも多いということであります。ですから、どうしても財政再建ができないという部分も当然ありましょうし、さきにも御指摘をさせていただいたように、今いわゆる過疎振興法をこれからどうするかという議論の中で、十年以内に四百以上の集落が消滅するといういろいろな事例も含めて、やはり自主的な努力だけではなかなか再建ができないという視点に立ちながら、大臣としたら、こういう本当に巨額な一人当たりの借金を抱える市町村に対してどんな支援をするおつもりなのか、お考えをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 基本的には、骨太二〇〇六の中で、歳出の見直し、こういうことを私どもは求める中で、財政改革をしっかりやっていただいている。そういう中で必要な交付税総額を私どもはしっかりと確保する。そして、今御指摘のありました離島だとかあるいは寒冷地、条件不利地域、こうしたところにおいて特別な財政需要というものを的確に把握して、それに対応していくということがやはり大事であるというふうに思います。そしてまた、どんなところであっても一定水準の行政サービスは保障する、このことは責任を持って対応していきたいというふうに思います。

 十九年度で申し上げますと、昨年と比較して約五千億、交付税総額を確保しました。また、三年間で五兆円規模の公的資金の繰り上げ償還、これも行うこととしておりまして、これも財政力の指数の低いところを中心にきちっと対応していきたいというふうに思います。

 それと、冒頭お話ありましたけれども、税の配分の見直しの中で、偏在の低い地方消費税というものを地方税の根幹とするような中で私どもは対応をしていきたいというふうに思います。

 ただ、いずれにしろ、非常に難しいそうした山間部等の集落の問題、そうしたものにつきましては、私ども、コミュニティ研究会をつくるだとか問題意識を十分に把握しながら、しっかりと対応していきたいというふうに考えます。

後藤(斎)委員 大臣、きょうは各委員会が並行的に開催をされておりまして、大臣が今ちょっと触れられたような地方の自主的な力を強めるという法案も経済産業委員会で今議論をしています。

 ただ、そうはいっても、この条件不利地域というのは、はっきり言って、例えば企業誘致ももちろんできない、人口は減少する一方。夕張のときにも、極論で、では一人の市民になったときに市長を兼ねながらすべての借金を返すのかと。いや、これも本当は、実現性ということからいえばそうではないというふうに、普通の方だったら思うはずなんです。

 ですから、私は、今大臣が最後にお答えをいただいたように、ぜひいろいろな観点から、本当にこういう集落や地域をどうするのかということを、大臣が今まで触れられてきた以外にも、やはりいろいろな角度から検討をぜひ進めてもらいたいと要望をしていきたいと思います。

 本論に入る前にもう一つなんですが、今、国家公務員の人材バンクの問題とか能力・実績主義の強化であるとか、いろいろな公務員制度のいわゆる改革というものが議論をされております。

 ただ、大臣、一番大切なことは、これは国家公務員でも地方公務員でもそうだと思うんですが、その人たちが持つ能力をどんな形で組織全体が引き出すのか。そして、もし国民や地域住民の方から見て国家公務員や地方公務員の方々がおかしな問題があればそれをどう是正するか。先ほども西村委員が最後に触れられたように、これから地方公務員の方はますます、国からの事業が移譲、移管をされていけば業務量はふえるでしょうし、また細かな仕事もふえると思うんです。そのときに、どんな形で能力を高めていくか。そして、官と民を別に比較するわけではありませんが、今までと同等、ないし、より能力や意欲のある方に人材としてそこで働いていただくということを組織として考えていかないと、大臣、やはりたたくだけという姿勢は建設的ではないと私は思いますし、これは、別の議論で宿舎の問題とかありますけれども、本当の本質は何なのかということも含めて、やはり議論をきちっとしていかなければおかしな方向に行ってしまう。

 これは、教育と同じように、五十年、百年先の国のあり方、地方のあり方というものを含めてやはり議論をしていくべきだというふうに思うんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 私も、後藤委員と基本的には考え方は同じであります。

 私どもは、今回議論をされておりますのは、公務員をたたくということではなくて、公務員の皆さんがやはり誇りを持って働くことができる、そしてまた安心をして働くことができる、そうした制度づくりというものに取り組んでいるということで御理解をいただきたいと思います。

 そして、今、天下り問題が国民の皆さんからさまざまな批判をされています。入省された公務員の皆さんは、国とか地方を含めてですけれども、天下り先があるから来たという人はだれもいないわけでありますから。ただ、途中で、早期退職ということの中でそうしたものが弊害となってあらわれてきておりますので、先ほども申し上げましたけれども、やはり安心をして誇りを持って働くことができる、私はそうした制度改革が必要だという考え方で取り組んでいきたいと思います。

後藤(斎)委員 大臣、ぜひその視点でお願いをしたいんですが、これは昨年か一昨年の人事院白書にも、求められる公務員像みたいなものが、優秀な方、四、五人か五、六人かちょっと忘れましたが、載っておりました。これは総裁にはお尋ねをしませんが、ぜひ大臣も一緒に、ちょっと要望だけしておきたいんですが、諸外国でも、多分、行政の効率化とかスリム化とか、そういうものはいろいろな国で起こっていると思うんです。ただ、本当に、例えばアメリカやヨーロッパやアジアの国で、これだけ公務員の身分や将来に対する不安、そして、民が有能であり官はそうではないというようないろいろな社会の雰囲気が醸成されている国が本当にあるのかどうか。そして、それがもしほかの国もあるとしたら、どんな状況でどんな解決策を求めているかというのを、いろいろな幅広い観点からぜひ情報収集して、それを国民の皆さんや、地方公務員の方でいえば住民の皆さんにきちっと理解をしてもらう努力というのも、やはり総務省や人事院はもっと積極的にやっていただく必要があると私は思うんです。自己啓発の方に入りますけれども、これは、ぜひ強く要望だけしておきたいと思います。

 自己啓発の方に入らさせていただきますが、これも、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案と地方公務員法の一部を改正する法律案ということで、二つ、国家公務員と地方公務員があります。これは、趣旨としたら、やはりより能力を高める。去年、国家公務員の留学制度について議論をした際には、組織からの命令、要請でその方が留学とかをした場合どうするかという議論をしました。今回の自己啓発は、まさに自己、個人が例えばアジアの国で、途上国のお手伝いをしたいとか、アメリカの大学で勉強したいとか、国内で勉強したい、いろいろな要素があると思うんですが、あくまでも個人が主体のベースであります。

 ただ、私は、実態を見させていただいたのですが、例えば留学という部分でどの程度あるのか数字的に細かい部分はよくわからないんですが、きょうはJICAの方も来ていただいておりますが、例えば、多分国際貢献という受け皿になるであろうボランティアの数は、国家公務員、地方公務員の部分で、青年海外協力隊、シニアの部分を合わせて、国家公務員ゼロ、地方公務員百二十一というのが十八年度の新規派遣分の実績であります。

 今回、国家公務員法の方で、三条の部分で「自己啓発等の休業の承認」ということがあります。ここでは、基本的には、公務の運営に支障がないと認めるときには、職員の勤務実績や大学における修学、国際貢献等の内容その他の事情を考慮した上で、大学等の修学の休業は二年、国際貢献では三年を超えない範囲に限り、自己啓発等休業を承認することができるという三条一項の規定がございます。地方公務員の方は、若干違って、これは二十六条の部分、公務の運営に支障がなく、かつ、当該公務に関する能力の向上に資すると、「能力の向上に資する」という規定が追加になった形で承認を認めるという規定になっております。

 この両方に共通する、公務の運営に支障がない、これをどう判断するかというのは、これは先ほど大臣に、なぜこれからの国家公務員や地方公務員の方の人材や能力をというお尋ねをしたのは、やはり今でも、国家公務員百万人、地方公務員三百万人、約でありますが、その中で、先ほどもお話しをしたように、地方公務員が現時点で、国際貢献という枠組みであれば百二十一人しか出ていない。国家公務員はゼロであるという中で、皆さん、多分、局長以下、大臣はもちろんでありますが、総務省の皆さんも大変お忙しい。では、忙しければ出せないのかどうか。

 ですから、まず承認の要件というこの三条一項の公務に支障がないというのはどのように考えるべきなのか。もし国家公務員と地方公務員と同じ基準であればお一方で構いませんし、違うのであればそれぞれお答えを願います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 承認の判断基準につきましては、まず行政サービスを低下させないという部分がございますので、職員が休業することによって生ずる欠員につきまして、後補充職員の確保あるいは業務分担の編成等によって補うことが可能であるかどうかということが一つの判断のポイントになると思います。

 もう一点は、人事管理上の観点でございますが、職員には、長期的な人事管理上の視点から、職務に必要な知識や技能をその職務を通じて獲得するということが求められておりますが、自己啓発休業によって職場を長期間離れるということになりますと、こうしたキャリア形成に大きな支障が生ずる部分もございます。ですから、そういった点に問題がないかどうかというような観点からも判断をするということになると考えております。

後藤(斎)委員 これは総裁も、総裁にはきょうはお尋ねをしないようなことになっているのかもしれませんが、やはり行政サービスを低下しない、では、例えば私がインドネシアに二年間国際貢献に行きたいというときに、だれかその仕事をしなければいけないわけですから、これは、先ほどの育児休業と同じように、全体の人事管理にもかかわる問題だと思うんですね。

 ですから、そこのスキームの中でどんな運用かというのは、通常の、例えば課長や係長が、課長が多分この任命権者になるのか、局長なのかは別としても、そこでやはり行政サービスが低下をしないということであれば、普通は、例えば五人、十人の課であれば、やはり一人抜ければちょっと困るわけですよね。すぐ新規補充もできない。ですから、実態的に、この法律がなかったからかもしれませんが、国家公務員の部分では今ゼロという現実の中で、ちょっと話の視点を変えて、例えばこの制度が施行をされれば、国家公務員、地方公務員で留学の部分と国際貢献の部分でもし数字があれば、どの程度効果というか、人を出す予想というか目標があるのか、その点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 この制度を検討するに当たりまして、各省庁の職員に対してサンプリングを行いまして、ニーズ調査を行いました。その結果を見ますと、大学等の修学のための休業を無給でもいいから利用したいという職員が約六%、それから、国際貢献活動のための休業を無収入でも利用したい、あるいは活動国で生活できる程度の収入があれば利用したいという職員が約一四%という結果になっております。

後藤(斎)委員 今のは地方公務員ですよね。

吉田政府参考人 国家公務員です。

後藤(斎)委員 地方公務員はどのようですか。

上田政府参考人 地方公務員につきましては、今人事院からお答えがありましたような計数的なものは私は持ち合わせておりませんけれども、職員団体等からこういった制度の導入の要望があるということ、あわせて、先ほどの国家公務員の状況等から考えまして、こういったニーズは当然あるというふうに考えております。

 と同時に、ちょっとここまで求められておりませんけれども、やはり、こういう制度の存在を認識していない人がそういうことを希望するかどうかというのはなかなか難しい面があるので、こういった本人のためにもなり、かつ組織のパワーアップにもつながるような制度を設けることによってそういう意欲が高まる、そういうような制度の使い方を当局としてもしていくべきものというふうに思っております。

後藤(斎)委員 もう一点、ちょっとこれに関係して御質問をしたいんですが、退職金の規定は、この自己啓発休業の期間は、国家公務員の場合、除外規定が第八条にございます。地方公務員も同様だというお話を聞いておりますが、いわゆる短期共済、保険の方についてはどのようになっているのか、ちょっとお答えをいただけますか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正におきましては、自己啓発等休業中の職員につきましては、地方公務員共済組合制度の短期給付、医療保険の方ですけれども、その掛金の額は休業前の給料表の給料を基礎として算定をする、医療保険給付については通常の職員と同様の取り扱いを受けるということになっております。

 長期給付、年金につきましても同様ですが、特例を設けておりませんで、休業前の給料表の給料を基礎とした掛金が徴収をされ、通常の職員と同様、年金給付に反映をされるという形にしております。

後藤(斎)委員 先ほど、国家公務員では留学希望が六%、もし百万人で計算すると六万人、国際貢献に行きたいという方が一応一四%、十四万人ほどいらっしゃるということなんですが、ただ、ちょっと留学の方はいろいろなケースがあるからあれですが、特に国際貢献はJICA、国際協力機構がその受け皿、受け手になるのかなということで、先ほどもちょっとお話をしましたように、現行では国家公務員はいらっしゃいません。地方公務員の方が、十八年度実績で、新規で百二十一人お出になっているということであります。

 この中で、国際協力機構としては、本法が施行された以降、国際貢献でおおよそどの程度受け入れ可能なのか、ちょっとお答えをいただけますか。

黒木参考人 お答え申し上げます。

 JICAといたしましては、本法案に基づき特に枠を設けるという予定はございませんけれども、最近、途上国側のニーズを見ますと、行政サービスでありますとか理数科教師など、公務員の方々がこれまで職務で培った経験を生かすことができる要請も多く出てきております。

 先生御指摘のとおり、平成十八年度には新規に百二十一人の公務員の方がボランティアとして参加されております。

 JICAといたしましては、本法案により、国際貢献活動への意欲がある公務員の方々がボランティアとして多く参加されることを期待しております。

後藤(斎)委員 枠がない中でどう出ていくかというのは大変現実的には難しい問題なんですが、これは、新法の五条二項で、この休業期間中には給与を支給しないという規定があります。一方で、JICAの方にお尋ねをしましたら、先ほどもちょっと触れられましたけれども、現地生活費とか住居費とか、往復の渡航の資金であるとか、現地支援費とか、いろいろなものを、これはあくまでも給料や報酬ではありませんので御留意くださいという中で、説明のペーパーをいただきました。

 これはどう考えても給与ではないかなと思うんですが、これは新法がなかったときにはもしかしたらこの理屈でもよかったと思うんですが、この新法の五条の二項で、給与を支給しないという規定が決められた以降でもこの説明ぶりは変わりませんか。

黒木参考人 お答え申し上げます。

 JICAは、国際協力機構法第十三条第一項第三号の事業として青年海外協力隊員等を派遣しておりますが、同隊員等に対しては、現地生活費、住居費等を支給しております。

 一方、本法案第五条第二項に言います給与とは、一般職給与法による給与をいうものであり、JICAが負担する現地生活費等の経費はこれには該当しないというふうに理解しております。

後藤(斎)委員 いたしているというのがこの本法と矛盾するのではないか、直接こうやってなっていないですが。

 僕はもう一つ問題だというのは、時間はもうこれで終わりますが、「退職せずに海外ボランティアへ」というJICAさんがお出しになった中に、今回の自己啓発等の休業に関する法律というのがことしの四月以降施行予定だということで、もうこれはかなりの部分でお配りになっていますよね。違いますか。配っていますよね。これは、人事院や総務省と少なくとも協議をしたんですか。

 そこをきちっとしてもらいながら、あわせて、大臣に最後に、やはりこれは、どうこの制度を生かすかということが必要だと思うのと、先ほど人事院の局長がお答えになったように、国も地方も公務員がこれだけたたかれている、どう国民や住民の方に理解を得るかということがやはり必要だと思うんですが、それをちょっとお答えをいただいてから、お答えいただきたいと思うんです。

黒木参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のこの資料につきましては、人事院とは既に協議をいたしておりますけれども、いまだ配付はしておりません。当然この法案が通るという前提で書いてございますので、まだこれは実際には使用しておりません。

菅国務大臣 いずれにしても、この制度が導入された場合は、自発的に挑戦をしていただいて、能力開発に努めていただき、その結果というものを公務に発揮できるような、そんな仕組みにぜひしたいというふうに思います。

後藤(斎)委員 済みません、時間が来ましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、この法案審議の前提になる問題について最初に伺っておきたいと思います。昨年の通常国会での法改正に関連して、改正する必要のない部分を改正したという不備があったということですが、昨年の十月ごろわかったというふうに伺いました。大臣がこのことを知らされたのはいつであったのかを大臣に伺っておきます。

菅国務大臣 先ほども、私からこの不備についておわびをさせていただいたわけでありますけれども、今回の事案について具体的な報告を受けましたのは三月二十九日です。

吉井委員 三月二十七日ですか。

菅国務大臣 九日です。

吉井委員 私は三月六日にこの法案について事務方からレクを受けたんですが、このときは、こういう改正ミスをこの法案に盛り込んであるということは全然説明はありませんでした。何か特別な配慮でもあったのかと思うんですが。

 それで、三月二十八日に私のところに説明は来たわけですが、そうすると、二十九日に大臣が聞かれたということは、これは、大臣からの指示によって、間違いがあったことをきちんと、既に提出してしまっているんだけれども、法案レクをやっているんだけれども、そのときやっていなかったんだからちゃんと言いに行きなさいと、大臣の指示で来たというものじゃなかったんですね。

菅国務大臣 私から指示はしていませんけれども、吉井委員にそうしたことの御説明をさせていただいたということについては報告を受けています。

吉井委員 不備があったということがわかったのは昨年十月なんですよね。法律に不備があったと。その不備のあるものをさきに、昨年の通常国会で通してしまっていたということなんですが、そのことを公にしたのが五カ月たってから、私へは三月二十八日なんですね。法案の趣旨説明の、この委員会における経読みの前日なんですね。しかも、その間には野党には法案の説明をしているわけですよ。その際、釈明をしようと思ったらできたわけですけれども、なぜそれをしなかったのかというのは非常に理解できない話です。これは大臣も知らなかった、そのこと自身が余りにも異常だと思うんです。

 だから、私、委員会における経読みのときに、非常に不思議に思っていたんです。実は二〇〇四年の百五十九通常国会でもこういうことがありましたけれども、当時の麻生大臣はそのとき謝っておられるわけですよ。今回は、経読みのときに、不備があったという説明だけで、まあ、きょうは大臣から冒頭おわび発言というのはありましたけれども、本来、経読みするときに、この法案は昨年通してもらったんだけれども実は国会をも欺いた形になっているんだ、これは誤りだからきちんと正すと、大臣として謝罪をするとか、本来、そのときにきちっとするべきであったと思うんですが、大臣、こういうことでいいんですかね。

菅国務大臣 いずれにしろ、明らかな過ちでありますので、それはやはりしっかりと報告をし、おわびすべきだったというふうに思っています。

吉井委員 そういうことをきちっとしないと、法案そのものを、何か我々、委員会で審議している法案が、おい、ちょっと待てよ、これは大丈夫なんかい、こういう疑念が出てきますからね。こういうことはきちっとするべきだというふうに思います。

 育休法について質問に入っていきますが、一昨年十二月の閣議決定、男女共同参画基本計画には、おおむね二〇一四年度までに育児休業取得率を男性一〇%、女性八〇%にすることを目指し、育児休業取得率の向上を図るというふうに、私もあれを読みましたけれども、書いてあります。

 総務大臣は男女共同参画会議の議員としてそこにかかわっておられるんですが、まず、この目標は達成できるのか、伺います。

菅国務大臣 目標を掲げたわけでありますから、当然、それを達成できるように最大限努力するということであります。

吉井委員 努力は努力として、具体的にどうするかというのは、ここからが一番大事なところだと思うんですね。

 直近の数字を見ますと、国家公務員は女性が九二・四%、男性が一・〇%、地方公務員では女性が九五・五%、男性が〇・五%、民間は女性が七二・三%、男性が〇・五%と、要するに取得率については男性が極端に低いということになっているんですね。この、取得率が男性が極端に低いという要因というのは、どこにあるというふうに大臣はお考えでしょうか。

菅国務大臣 まず一つは、男性自身に、育児のために休暇をとる、そういう意識が少ないのかなというふうに思います。そして、これが大事でありますが、もう一つは、男性がそうした育児休暇をとれる環境というのがなかなか醸成されていないのかなというふうに思っております。

吉井委員 大事な問題だと思うんですが、なかなか取得しにくいというその要因をどういうふうにして取り除いていこうと。これは、法案を提出されるときには、やはり出すからには、それがきちっと生きるという手だても含めて考えておかないと、法律はつくったが生きてこないということになりますから、その要因を取り除くことについてお考えを伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 男性職員に対しても、男女共同参画社会の実現に向けて、男性も、女性とともに家族としての責任を担っていく上で積極的に取得をしていただきたいと。

 総務省としても、そういう環境になかなかないということで多分低いというふうに私ども理解をしますので、職場や男性職員の意識改革を図るとともに、育児休業制度の周知徹底を図り、また、人事管理運営方針等によっても各府省に要請を行っていくなど、男性職員が育児休業をとれるような環境整備に全力で取り組んでいきたいというふうに思います。

吉井委員 その環境にかかわることなんですけれども、最近発表があった内閣府の、女性のライフプランニング支援に関する調査というのを読ませていただきましたが、家事、育児の分担では、ほとんど妻がやっているというのが六八・六%、七割ですね。そして、夫が家事や育児の分担をしないという家庭については、夫は残業が多くて、時間の融通性もない働き方をしていると。子育てしながら働く場合に最も必要なことはという問いには、夫が平日も協力してくれることというのが四二・七%とトップで、夫の理解というのは二八%、それに比べるとうんと低いことになります。

 労働政策研究・研修機構という厚労省の独法がありますが、ここが先月発表した仕事と家庭の両立支援にかかわる調査というのも見てみますと、労働時間が長くなるほど、結婚、出産後も働き続けることが困難だと思っている人が多いですし、社員に、配偶者と過ごす時間がもっと欲しいと思うかとの質問には、労働時間が長くなるほど、もっと欲しいと答えている人の比率が高くなっています。週六十時間以上働いているという人では七三・六%の方がもっと欲しいと、多いわけですね。

 内閣府の調査は三十代、四十代の女性が対象で、労働政策研究機構の方は男女の区別なく企業の一般社員、管理職を対象としたものですから、全体の傾向をよくこれで見ることができると思うんですが、この調査結果から見ると、男性の育児休業の取得率の低さの要因の一つは、やはり長時間労働という問題があると思うんですが、これについての大臣の考えというものを伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 長時間労働の最たるものが私ども議員ではないかなと思いますけれども。育児休業の低さと長時間労働、その因果関係というのがどういう形かというのは明確にはなっていませんけれども、しかし、超過勤務の縮減については、職員の健康だとかあるいは公務能率の維持など、さまざまな観点からも極めて重要な問題だというふうに私は考えています。

 政府としては、今後とも、それぞれの府省において業務の効率化などを進めるとともに、一体となって国家公務員の超過勤務の縮減に向けた努力をしていきたい。また、民間においても当然そうしたことが望まれるというふうに思います。

吉井委員 実は、この間も、厚労省の方の毎月勤労統計調査とか、そういうのを見ておりまして、年間総労働時間で言えば、これはよく言われておりますように、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスに比べて日本がトップ、非常に長いわけです。フランス、ドイツに比べて年間二百時間以上、大体二百五、六十時間日本は多いということですが、時間外、残業も入れると四百四十から四百五十時間日本が長い。

 ですから、当然、時間短縮法も変えられて、総労働時間は最近では少し横ばい状態が続いているんですが、しかし基本は、やはり労働時間の短縮、労働政策の問題、これをきちっとやらないと、せっかく公務員の育児休業法で育児休業の取得率を高めるようにと言っても、やはり労働時間短縮がうまくいかないとなかなか進まない。

 そのこと自体は確かに労働政策ですから厚労大臣の分野なんですが、しかし、労働時間短縮の問題というのは、とりわけ男性の育休を取得する率を高める上でもきちっとやらないと、これは法律はつくったけれども生きてこないということになる問題だということを改めてやはり強調しておかなきゃいけないと思うんです。

 ところで、男性従業員が育児休業を取得するよう対策をとっている企業というのは、企業でもわずか九・六%なんです。そこはなかなか取得率は上がらないのは当たり前だと思うんです。

 国家公務員と地方公務員はこれが今どれぐらいになっているのかということを伺いたいと思います。これは政府参考人の方に。

吉田政府参考人 国家公務員の男性の育児取得率は平成十七年度で一・〇%でございまして、女性の九二・四%と比べて少ない状況になっております。

上田政府参考人 地方の育児休業の取得状況でございます。

 平成十七年度でございますけれども、女性職員が九五・五%、それから男性職員につきましては〇・六%となっております。

吉井委員 ですから、国でも地方でも、公務員の実際の育休の取得率は、国で一・〇%、地方で〇・六、極端に低いわけです。

 それで、二〇〇三年に施行された次世代育成支援対策推進法、次世代法では、三百一人以上の労働者を常時雇用する事業主に対して行動計画の策定と策定した旨を都道府県労働局に届け出るということを義務づけていますが、国と自治体も、特定事業主として、行動計画の策定と、策定して公表と義務づけられております。

 総務省の特定事業主行動計画の男性職員の育児休業の目標取得率というのを聞かせていただきましたが、これは二〇〇七年までに五%となっているんですね。二〇〇五年が二・五%ですが、二年間で倍にするという計画なんですね。これは実際にちゃんと二倍にできるのかどうか、それをやっていくということを、具体的に、総務省に関しては大臣はどういうふうに進めていかれるのか、伺っておきます。

菅国務大臣 いずれにしろ、私どもは、先ほど冒頭の質疑にもありましたけれども、そうした目標を掲げているわけでありますから、そのことが実現できるように、きちっとした形で環境整備を進めていきたいと思います。

吉井委員 調査によりますと、男性職員が育児休業を取得する対策をとっている企業の方がやはり取得数が多い、そういう傾向が示されております。対策がとられているかどうかというのは、男性職員の取得率を上げていく上で前提条件になると思うんですね。

 自治体職員の給与や定員については、細かいところまできちっと調査して公表する。ラスパイレス指数幾らとか、きちっと自治体別にやっているわけですが、だから、自治体職員についても、男性職員の育児休業の目標取得について計画を立て公表をする。それは、地方自治体の実態はどうかということをきちっと調べようとしたらできる話ですし、実際法律で定められているわけですから。ですから、特別の対策はとられているかどうか、二〇一四年までに一〇%の取得率を目指すと言っているわけですから、国と地方の公務員について取得率を上げていく対策はどうなっているのか。

 それから、各省、省ごとにあるでしょうけれども、省ごとにあるものについても総務省は総まとめをやって、法律で国家公務員についてやるわけですから、各省の数字はどうなっていてそれをどのように引き上げようという計画を持っているのか。

 これについて総務省がつかんでいることを、地方と国の各省の動き、これを伺いたいと思います。

戸谷政府参考人 まず、国の関係で私の方から申し上げます。

 先生お話しのとおり、各府省、次世代育成支援対策推進法に基づきまして、職員の仕事、家庭の両立等に関し行動計画を定めるという中で、多くの府省において男性の育児休業、あるいは育児休業に準ずる長期の休暇というようなものを含めてのものもございますが、取得率の数値目標を定めておられます。

 数値目標をそれぞれ定めましたのは各府省でございますが、私どもといたしましても、やはり職場や男性職員の意識改革、こういうものが必要だということで、いろいろな育児休業制度の周知徹底を、我々の出会えるいろいろな場面で各府省に要請をしていくということはできる限りやっていきたいというふうに考えております。

上田政府参考人 地方公共団体関係の取り組みについて申し上げますと、各地方公共団体では、次世代育成支援対策推進法に基づきまして特定事業主行動計画を策定されることになっていますので、その中で、必要に応じて男性職員の育児休業取得率の目標を掲げている団体もあると承知しておりますけれども、これら個々の数字を我々の方で総括して調査するということにはなっておりません。

 そういう中で、地方公共団体でもこういったことがより積極的に取り組まれるようにするためには、先ほど大臣からありましたけれども、意識を変えていくということがやはり肝要かと思います。したがいまして、例えば、我々の総務省で発行しております地方公務員月報というような雑誌がありますけれども、こういうところに実際に育児休業を取得した男性の体験談をお書きいただいて、こうしたことを広く知っていただくことによってそういった運動が広まるように努力をしているところでございます。

吉井委員 国の各省についても地方についても、今の答えは非常に一般的なお話なんですね。

 要するに、地方の方も特定事業主として計画を立てるということになっている。そういうふうに承知していて、しかし、一般的に、必要に応じてやっているだろうということを承知しているというお話であって、具体的に幾つの自治体がそういうのをきちっと進めているのかとか、何もつかんでいない。

 各省についても、人事管理運営方針というのが示されていますから、各省みんな立てるわけですね。実際にこれに基づいて国家公務員について進むのかどうか。それを法律を出すところがつかんでいないというのでは、進むわけがないと思うんですね。

 意識を変えるというのですけれども、意識を変えるというのは、総務省がきちっと、繰り返し繰り返し、計画はどうなっているんですかと、これをつかむ、やはりそれが意識を変えることにつながっていくと思うんですね。

 だから、私は、やはり法案を提出するからには、そういう取り組みを総務省としてやっていかないと、言葉だけの法律に変わってしまうと思うんですが、この問題についての大臣の考えを最後に伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 先ほどからの委員の発言の中で、やはり目標を掲げて行っているところが多いという御指摘もありました。例えば国家公務員については、私どもは、やはり率先して行って、それぞれの府省庁の自主性を重んじながらも、そこは私どもが的確に対応していきたいというふうに思います。

 また、地方公共団体におきましても、そうした目標をしっかり掲げた方が効率がいいということでありましたので、そうしたことも念頭に置いて対処させていただきたい、こう思います。

吉井委員 これは、一般的な話じゃなくて、二〇〇五年十二月二十七日の閣議決定なんですね。それは、「男女共同参画基本計画の変更について」というもので、それで二〇一四年までに一〇%の取得率を目指すということを閣議で決めたわけですよ。決めてそれをやれといっても、決めただけで徹底されなかったら、やはり一〇%にいくには、現状はもっと低いわけですから、二倍以上引き上げなきゃいけない。地方もなかなか簡単にいかないわけです。

 そうすると、意識改革といっても、どうも閣議決定があったらしいねと、これではなかなか進まないわけで、実際に、地方については総務省の方から、あなたの自治体、年次計画はどうなっていますかとか、現実をつかむという取り組みをしないことには進まない、一般的なかけ声だけではだめだということを申し上げておきたいと思うんです。

 最後に、これからまた電気通信事業法の改正の問題とかいろいろ出てくるんでしょうが、私は、そのときにまた深くやりますが、それに先立って調べておいてもらいたいということもありますから伺っておきたいんですが、NTT西日本の個人情報流出問題について聞きたいと思うんです。

 ついこの間、三月に、NTT西日本の社員六万人の個人情報が紛失するという事故が起きたと聞いておりますが、この件について厚生労働省はNTT西日本からどういう報告を受けているのか、これを伺います。

中野政府参考人 NTT西日本から大阪労働局に、本年三月十三日付で、雇用管理に関する社員情報の紛失について通知がございました。

 通知の内容は、本年三月二日から五日の間、NTT西日本研修センター内におきまして、NTT西日本から人材育成業務を委託されておりますNTTラーニングシステムズにおきまして、フロア移転作業期間中に社員情報を保存したパソコンの紛失が発生したというものでございます。保存されておりました社員データ数はNTT西日本グループ会社所属社員六万三千百三十七名分でございまして、保存されていた社員情報は、氏名、年齢、生年月日、経歴等であったというものでございます。

 大阪労働局におきましては、保有個人データを委託先に提供する場合の安全管理措置の徹底等について指導しているところでございます。

吉井委員 これは、個人情報は、氏名コードもメールアドレスなども、それから現社員の資格とか在級年数だとか、かなり個人の情報が全部入ったものが六万三千百三十七人分流出しているということなんですね。

 NTT西日本とそのグループ企業の全社員に当たる個人情報の紛失ということなんですが、電気通信事業者は、事業の性質上、個人情報管理にとりわけ厳しい責任を負っていると思うんです。今回問題となっているのは顧客の個人情報でなく社員の個人情報なんですが、個人情報を厳重に管理すべき電気通信事業者であるNTT西日本がこうした事故を起こしたということは、極めて重大な問題だと思うんです。社員情報も、それから顧客情報にしても、個人情報が、何しろコンピューターの時代ですから、何万人と大量に流出してしまう、本当にとんでもないことだと思うんです。

 問題は、これは三月二日、三日ごろの話でしょう、この事案発生から一カ月を経過するにもかかわらずNTT西日本からは公的な説明は一切ないんですね。NTT西日本には、私は、社員に対してももちろんですけれども、公にきちんと説明責任を果たして謝罪をするということは当然のことだと思うんです。そういうことを、やはり電気通信事業を所管する大臣として、個人情報保護という点からもそうですが、こういういいかげんなことが物すごく頻発していますから、やはりきちっとさせるということが必要だと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

菅国務大臣 特に、情報通信分野においては、個人情報については厳格な実施を行うということが極めて大事だというふうに私自身思っています。

 私どもも、今回のこの西日本における個人情報の漏えい事案の公表については、これはガイドラインもあることですから、そうしたことに基づいて公表するよう要請をしてまいりたい、こう考えています。

吉井委員 実は、二〇〇五年の五月にも、これはNTTデータの方ですが、USBメモリーとか記録ファイルとともに、パスワード、暗号化等のセキュリティー対策を施されていなかったという問題があって、そういう中で社員情報一万一千八百三十五人分流出しているんですね。

 だから、NTTの中では二年前にも、セキュリティー対策をとらないままに、一万一千八百三十五人の個人情報が流出するという問題を起こしたりしているわけですが、このときは、NTTデータは、紛失からほぼ一週間後にニュースリリースを発表して、経緯とか内容とか、原因、再発防止を明らかにして公に謝罪しているんですね。

 NTTデータですら謝罪しているんですが、こんな基本的なことが、NTT西日本とそのグループ社員六万三千百三十七人分もの個人情報が流出しながらいまだきちっとしていないということは本当に情けない。情けないだけじゃないですね。これは信頼を損なうことになると思うんです。

 改めて、最後に大臣に、厳しい対応というものをされるように求めたいと思うんです。

菅国務大臣 社員とはいえ、このことについては遺憾なことだというふうに私も思います。そして、先ほど申し上げましたように、要請をしっかりとしてまいりたい。

吉井委員 時間が参りましたので終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 通告に基づきまして質問しますので、簡潔に要領よく答弁願いたいと思います。

 両法に入る前に、一つ確認をしておきたいのでありますが、昨年の給与法改正案の質疑において、私は労働基本権問題について質問いたしました。その後のこの問題に対する政府部内における検討状況、あるいは関係労働団体との交渉過程等々はどういうふうになっておるのか、どこまで進展しているのか、まず総務大臣に聞きます。

菅国務大臣 公務員の労働基本権については、労働組合の関係者を初め、各界の有識者の皆さんから構成されております行政改革推進本部専門調査会において、職員団体を含め三十二団体からヒアリングを行うなど、精力的に検討が行われている、このように伺っています。

 専門調査会においては、国民意識を踏まえつつもさまざまな角度から検討が行われており、その検討を見守っていきたいと思います。

重野委員 この問題は大変大きな問題でありますし、関係する職員の数も膨大な数に上るわけですから、これは早期に結論が出るように積極的に頑張ってほしい、このことを申し添えておきます。

 それでは、まず、きょうの課題になっております育児休業関係について質問いたしますが、この育児休業法、重要なポイントは短時間勤務制度だろうと思いますが、この制度の導入の趣旨及び目的を改めて確認をしておきたい。

谷政府特別補佐人 昨今の個人の意識、価値観の多様化でございますとか、それから急速に進行いたしております少子化への対応を進めますために、職員が職業生活と家庭生活とを両立させつつ働けるような環境の整備を早急に行うことが求められているというふうに認識をいたしております。

 そこで、私ども人事院といたしましては、特に少子化対策の一環といたしまして、育児休業制度のあり方について、勤務形態の多様化、それから職員のキャリア形成の継続を図る観点から検討を行ったところでございます。

 現在行われております国家公務員の育児休業について見てみますと、一年を超える育児休業の取得者は少のうございますが、その理由としては、経済的理由や御自分のキャリア形成の必要性などが考えられるところでございます。また、男性職員の育児休暇取得率が大変低いという状況にございます。そこで、男性職員を含めまして、仕事から完全に離れることなく育児を行うことができる短時間勤務制を導入することが、勤務しながら安心して子育てができる環境の整備として重要と考えましたので、今回のようなこの国家公務員の育児のための短時間勤務制を導入することについて勧告させていただいたところでございます。

重野委員 それでは、民間企業における育児のための短時間勤務制度の導入、あるいは実施の状況はどういうふうになっているんでしょうか。

吉田政府参考人 民間企業における導入状況でございますが、人事院で実施しております民間企業の勤務条件制度等調査によりますと、平成十七年度でございますが、育児を行う従業員のため短時間勤務制を導入している企業の割合は、企業規模百人以上の事業所で四三・四%、企業規模五百人以上の事業所で五八・三%となっております。

 これらの短時間勤務制の勤務時間でございますが、一日当たり六ないし八時間、つまり、短縮される時間が二時間以内というものが七三%、それから、一日当たり四時間から六時間の勤務となっているところが二五%という結果になっております。

重野委員 わかりました。

 この種の制度を導入すること、これは我々も当然歓迎するわけでありますけれども、問題は、どのように利用されるかというところに尽きようか

と思います。とりわけ、先ほど来審議の中で、男性の利用状況というのは極端に低いわけでありまして、したがって、この制度を導入することによって、果たして男性職員の制度利用が格段に増大するんだというふうに受けとめられるのかどうなのか、そこら辺はいささか疑問を持つわけでありますが、その点についてはどういうふうに見ているんでしょうか。

吉田政府参考人 育児休業を取得する男性職員の割合が低いという背景事情でございますが、職員が育児のために休むという意識は必ずしも高くなくて、職場の中で休みづらい、あるいは、休むことによって職場から離れてしまうということで、キャリア形成上の不安があるというような事情があると考えられます。

 今回の育児のための短時間勤務制度というものを活用することによりまして、仕事をしつつ養育する時間が確保されることになるわけで、そういう意味で、男性の育児参加の促進に資する部分があるのではないかというふうに考えております。

上田政府参考人 地方公務員につきましても基本的に同様の考え方になろうかと思いますけれども、やはり休業してしまって丸々職場から離れるということについてはちゅうちょがある、しかし、例えば半日ならどうだろうか、こういう選択肢が広がるということは必ずプラスに働くと思います。それから、現行の二時間以内というのは、逆に言うと、二時間までのサービスなら別の方法でやってしまうので、わざわざ休暇をとらないというのがあるかもしれませんけれども、まあ、半日単位ぐらいで休めれば、そういう選択肢はとるかもしれない。

 こういったことがありまして、私としては、こうした新しい制度の創設により、男性職員が制度を利用するということはふえていくと思いますし、格段という言葉の意味がちょっとあれですけれども、格段にふえるように精いっぱい努力をいたしたいと思っております。

重野委員 そこで、この制度をどういうふうな形で利用するのかというのが一つ問題になると思うんですが、例えば、夫婦ともに同時にこの休業制度を利用する、いわゆる休業を取得することができるのかという点、また、短時間制度がやられるわけですけれども、その場合でも夫婦同時に取得できるのか、その点についてはどういうふうになるのでしょうか。

吉田政府参考人 育児休業制度につきましては、育児と仕事の調和を図ることを可能とする制度でございますので、子を養育する職員の事情をはかるとともに、職員が長期間休業することに伴う公務への支障もあわせて考慮する必要があるところでございます。

 そのため、共働きの夫婦の一方が既に育児休業を取得して子を養育することができるようになっている場合には、もう一方の職員の育児休業を取得することはできないということが法律上規定されているところでございます。

 今回の短時間勤務制度につきましても、育児休業制度と同様に、共働き夫婦の一方が既にフルタイムの育児休業を取得しているケースであるとか、配偶者が専ら育児に当たることができるという職員の場合には短時間勤務を取得することができないとしておりますが、例えば夫婦で曜日や時間帯をずらして交互にこの短時間勤務制度を利用するということは可能であるというふうに考えております。

重野委員 わかりました。

 今回のこの育児短時間勤務制度導入についての趣旨であるとか、あるいは目的という点については、先ほど来説明がありました。

 そこで、非常に基本的なというか、この制度と現行の部分休業、これはどこが違うのかという点が一つですね。私は、先ほど来話があっていますように、なかなか取得率が低いという現実があることが明らかになっておりますが、だから、この取得率を上げるために今回の短時間勤務制度を導入する、こういうふうになったのかな、こういうふうにも思うんですが、そこら辺はどういうふうに説明できますか。

吉田政府参考人 現行の部分休業制度でございますが、これは、割り振られた一日八時間の勤務時間のうち、二時間以内について職務専念義務を免除することができる制度でございます。短時間の職務専念義務の免除でございますので、いわゆる後補充の職員を任用するというようなことは予定されておりません。他方、急な取得とか断続的な取得ということは柔軟に対応できるので、メリットがあるという制度でございます。

 一方、育児のための短時間勤務制度につきましては、その時々の職務専念義務免除ということではなくて、長期にわたって計画的に、例えば一日四時間であるとか週三日であるとかいう、職員の勤務時間を短くして、勤務の形態自体を変更する制度でございますので、この短時間勤務制を導入することによって公務サービスの低下を招かないように、後補充のための制度もあわせて充実させたというところでございます。

 したがいまして、現行の部分休業制度に加えてこの短時間勤務制度を導入することによって、職員の多様なニーズに応ずることが可能となりまして、仕事と家庭生活の両立がより促進されるものというふうに考えております。

重野委員 次に、育児短時間勤務している職員の給与について、育児短時間勤務を取得している、そういう勤務に入っているその期間中の給与、これはどういうふうになるんですか。

出合政府参考人 お答えいたします。

 まず、育児短時間勤務職員の俸給月額でございますが、その職員の勤務時間に比例して定めることとしております。具体的には、その職員がフルタイムであれば支給される俸給月額に、フルタイム職員の通常の勤務時間、四十時間になると思いますが、これに占める当該職員の勤務時間の割合を乗じて得る額ということになります。

 次に、諸手当でございますが、フルタイム勤務とは勤務時間数が異なっておりますので、それらを踏まえまして、それぞれの手当の趣旨、目的に応じた措置を講ずることとしております。具体的には、俸給の調整額など俸給月額を調整する給与につきましては、俸給月額の取り扱いと同様、当該職員の一週間当たりの勤務時間数に応じた額とすることとしております。扶養手当、住居手当などの生活関連手当につきましては、原則として、フルタイム勤務時と同額の手当を支給するということにしております。

 また、期末・勤勉手当につきましては、フルタイム勤務時と同額の俸給月額を基礎としながら、当該職員の勤務時間を考慮して支給額を算出することとしております。

 特殊勤務手当、超過勤務手当などにつきましては、勤務実績に応じて支給するということにしております。

 なお、地域手当など地域関連手当につきましては、その算定の基礎となります俸給月額が当該職員の一週間当たりの勤務時間に応じた額となっておりますので、当該職員の勤務時間に応じた額ということになろうかと思います。

重野委員 短時間勤務を取得している職員に対する退職手当の問題ですけれども、その手当の在職期間の算定、これは、長期在職者の場合にはそう大きな影響はないと思うんですが、中途退職者の場合はかなり大きい影響が出るんじゃないかと私は思うんですが、そこのところはどうなるんでしょうか。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 退職手当でございます。休職等をした職員ということになりますと、通常、国家公務員退職手当法第七条というのがございます。その期間の二分の一に相当する期間を勤続期間の計算上除算する。どちらからはかっても二分の一ということで、二分の一期間を在職期間とするという一般原則がございます。

 ただ、今回の育児短時間勤務でございますが、急速な少子化の進行等を受けて、次世代支援ということ、あるいはフルタイムではないものの短時間の勤務ということを踏まえまして、育児短時間勤務をした全期間につきまして、除算の割合を三分の一とする、したがいまして三分の二を在職期間として認めるという特例を設けております。

重野委員 それをフルに認めることはできないということを確認しますが、そういう配慮というか、そういう余地というのは全くないんでしょうか。

戸谷政府参考人 先生からせっかくのお話でございますが、育児短時間勤務をした期間につきまして、退職手当の算定上、他の制度だと職員の子が一歳に達するかどうかというような論点もあるわけでございますが、今回の場合には、そういう年齢にかかわらず、除算の割合を三分の一とする特例を設けて、育児短時間勤務をする職員に対して配慮したというふうに考えています。

 退職手当の算定上、これより上のさらなる特例ということになりますと、フルタイムで勤務している職員との均衡上なかなか難しいというふうに考えております。

重野委員 そもそも、この根底には、急速に進む少子高齢化社会の進行、そういう現実があると思うんですね。そういう現実に照らして、子供を安心して生み育てられる、そういう環境を整備していく、そういう大きな命題があると思うんですね。だから私は、この国にとってやはり今最大のテーマだと思うんですね。やはり公の世界で率先して具体的にそういう世界をつくっていく、そういう点において、私は、さっき言うような単なる比較論議というふうな形において消極的であるということはいかがなものかという思いがいたします。

 答弁は要りませんが、私は、やはりそういう視点で、どこかで画期的な転換点というものを制度の上でつくっていくことは決して早くない、むしろ遅きに失しているんじゃないかというふうな感じもしますので、そこのところは今後の検討課題としてしっかり検討していただきたいなと思います。

 次に、いわゆる並立任用の仕組み、これは一体どういう仕組みなのかということが一つ。それから、そういう仕組みを導入する目的は那辺にありやと。そして、仮にこの制度を導入したとした場合、どのように活用するのかということを想定しておられるか。私は、これは口で言うのは簡単ですが、この活用というのは現実的にはなかなか難しいんじゃないかなというような感じがするんですが、この点についてはどうでしょうか。

吉田政府参考人 常勤の職員の官職というのは、一週間当たり、勤務時間で四十時間分の業務量が予定されております。いわゆる並立任用と申しますのは、一週間の勤務時間が二十時間の二人の育児短時間勤務職員を一つの常勤官職に任用して、いわば二人で一つの常勤官職の仕事を処理してもらうという仕組みでございます。これによりまして、二人が占めていた常勤官職のうちの一つの官職に欠員が生じますので、そのあいた常勤官職に他の常勤職員を任用することが可能になるということでございます。

 この並立任用が行われますと、同じ職場に育児短時間勤務職員が二人いる場合には、後補充のために週二十時間の任期付短時間勤務職員を二人採用するという選択肢と、それからフルタイムの四十時間働ける常勤職員を採用するという選択肢が出てくるわけですけれども、専門能力のある人材の数に限りがあるという現状の中では、一人のフルタイムの職員を採用して有効に活用するという方が効率的あるいは合理的に業務を遂行することに資するのではないかというふうに考えられているところでございます。

 昨年の意見の申し出の前にこの制度を検討した際にも、幾つかの府省からこういう制度を活用したいという申し出もございましたし、並立任用に適した職場への積極的な配置がえ等も含めまして、この制度が活用される余地はかなりあるのではないかというふうに考えております。

重野委員 それでは次に、自己啓発関係について。

 この自己啓発等休業制度、一つは、この創設する趣旨あるいは目的。そもそもこの自己啓発とは何ぞやということですね。それから、ここに、「等」ということになっています、自己啓発等休業制度。この「等」が入っている、これは何を意味するのか。具体的に説明してください。

谷政府特別補佐人 御答弁申し上げます前に、先ほどの育児休業制度に関する御答弁の中で、意見の申し出と申し上げるべきところを勧告と申し上げてしまいました。おわび申し上げますとともに、訂正させていただきたいと存じます。

 ただいまの御質問でございますが、公務を取り巻く社会環境が著しく変化いたします中で、そうした情勢変化に対応できますように、職員の幅広い能力開発が重要となってきております。その方策の一つといたしまして、職員の自発性や自主性を積極的に生かした能力開発の機会を提供することが有用であり、そのための柔軟な仕組みを用意することが必要であると考えられます。

 また一方、政府の開発援助大綱、これは平成十五年の閣議決定でございますが、これにおきまして我が国の人的国際貢献の促進が定められたということも考慮いたしまして、我が国の国際的立場に対する認識と公務員としての意識の一層の醸成を図るという観点から、職員の自発的な国際貢献活動を支援するための仕組みを導入する必要があるということも考えました。

 そこで、国家公務員に自己啓発及び国際協力の機会を提供することを目的といたしまして、自発的に職務を離れて大学等における修学や国際貢献活動を行うことを可能とする仕組みを導入することとしたいと考えたところでございます。

 それから、言葉の意味でございますが、辞書などを引きますと、自己啓発とは一般的に、みずから進んで知識を広めるとか、物事に対する理解を深めるというような意味として使われているのかと思いますが、私どもがこの制度で使っております自己啓発は、大学等における修学を通じまして幅広い能力開発、それから国際貢献活動を通じましての我が国の国際的立場に対する認識と公務員としての意識の一層の醸成を図る、涵養を図るということでございます。そして、何らかの形で公務の能率的な運営にも資するというものを対象としたいというふうに考えております。

 それから、この自己啓発休業等の「等」でございますが、この「等」は、本制度で、今申し上げましたけれども、自己啓発のほかに、目的としております国際協力、これを意味しておりまして、法案の名前といたしまして、できるだけ簡潔にということで「等」という表現をしているわけでございます。

重野委員 そこで、問題は、この制度をつくった場合に、どれだけの職員がこれに応じていくかということであります。この自己啓発等の休業に対する国家公務員のニーズがあるかどうかが一つ。あるいは、そういうニーズを調査したことがあるのかどうか、同じように、地方公務員についても同様なことをやったかどうか、人事院それから総務省、答弁願います。

吉田政府参考人 人事院では、この自己啓発等休業に関する意見の申し出を行う前に、各省庁に対しましてサンプル的なニーズ調査を行いました。修学のための休業を無給でもいいから利用したいという職員が約六%、また、国際貢献活動のための休業を無収入でも利用したい、あるいは活動国で生活できる程度の収入があれば利用したいという職員が約一四%という結果になっております。

上田政府参考人 地方公務員における自己啓発等休業のニーズにつきましては、職員団体等からの御意見の中にそういう要望があるというふうに聞いております。

 また、今回の法的措置は、人事院の意見の申し出を受けて、国家公務員、地方公務員を通じてこうした制度の創設が望まれるのではないかという観点で提案をしておりますので、そのバックデータとしては、地方独自でとったものはございませんが、今人事院からお答えのあったこうした調査も一つの資料となるものというふうに考えております。

重野委員 これについてはまだまだたくさん聞きたかったんですが、通告もしておったんですけれども、もう時間が来てしまいまして、またきょうもたくさん積み残しが出ました。大変申しわけないと思っておりますが、またいつの機会か、そこら辺について今後の議論の中でただしていきたい、このように思っております。

 いずれにいたしましても、この法律が本当に所期のねらいどおりに実効的なものになるかどうか、今後の運用いかんにかかってまいりますから、そこら辺はひとつしっかり詰めていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより各案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、ただいま議決いたしました各法律案中、まず、国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、谷公一君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。

谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 育児短時間勤務制度の運用に当たっては、各任命権者及び職員に制度の趣旨を十分周知し、男性取得の促進を含め、取得しやすい職場環境を整えること。

 二 総務省及び人事院は、育児短時間勤務を取得した職員が人事管理や昇給、昇格等において不当に不利な取扱いを受けることのないよう、各任命権者を指導すること。

 三 育児短時間勤務やそれに伴う並立任用の実施に当たっては、行政サービスの低下を招かないように十分留意すること。

 四 地方公共団体における育児短時間勤務制度の運用に当たっても、以上の趣旨に則り、必要な助言を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり両法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 次に、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案に対し、谷公一君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。福田昭夫君。

福田(昭)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 自己啓発等休業の運用に当たっては、各任命権者及び職員に制度の趣旨を十分周知し、これを取得しやすい職場環境を整えること。

 二 任命権者は、職員が自己啓発等休業から復帰した際、その休業によって得た能力を公務に十分発揮できるよう、適切な人事管理に努めること。

 三 各任命権者は、自己啓発等休業制度の趣旨にかんがみ、職員が自己啓発等休業から復帰した後、早期に離職するようなことがないよう、職員との十分な意思疎通に努めること。

 四 地方公共団体における自己啓発等休業制度の運用に当たっても、以上の趣旨に則り、必要な助言を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり両法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、両附帯決議について、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅総務大臣。

菅国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿い、努力してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時八分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 地方自治及び地方税財政に関する件、特に地方税法及び地方交付税法について集中的に調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官門山泰明君、行政評価局長熊谷敏君、自治行政局公務員部長上田紘士君及び自治財政局長岡本保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一です。

 地方税法、交付税法に関しての質疑、当初、法案可決前ということができませんでしたので、きょうこうして改めて質疑をさせていただきます。

 さて、まず質疑に入る前に、ようやくというか、三月十三日提出と言われました放送法、これが先週金曜日に閣議決定されております。私は、三月十三日までということで衆議院の議運でも求めてまいりましたこの法案提出、それを過ぎたのであれば、今国会の提出は見送って、とりわけ参議院選挙もあって会期延長もできないわけですから、臨時国会以降に当然提出をすべきであろう、こういうふうに考えておりますが、先週提出をされております。

 その法案が、きょうも私どもの部門の勉強会で説明を聞きましたが、放送法等と言っておるんですけれども、放送法についても大変分厚い盛りだくさんの内容、それに電波法、そしてまた、近未來通信事件をもとにした、私はこれは法改正すべきでないと再三申し上げた電気通信事業法改正、こういったものまでセットで出されるというのは、当総務委員会では過去も、地方自治法の改正、あるいは平成十七年も放送法、電波法をセットで法案を出されまして、私ども民主党では両法案への対応が違っていたものですから、やはりこうやって何でも一緒に出される、そうした政府、とりわけ総務省の国会への法案提出のやり方、これについては再三改善を求めてきております。

 そういった経緯がある中で、時間も大変、一カ月近くおくれる中でまた三法をセットで出されるということは甚だ遺憾であり、改めて法案をもし出されるのであれば放送法だけに絞って提出をいただきたいということを重ねて求めておきます。

 それでは、質疑に入らせていただきますが、まず、今回の地方選挙でいわゆるローカルマニフェストが初めて解禁になりました。ただ、部数などをめぐって、三十万部が上限であった知事選などでは、やはり東京の有権者一千万からするといかがなものか、こういったような指摘もあるわけなんですが、こうしたローカルマニフェストの初めての選挙であったこの選挙を振り返って、ローカルマニフェストについて、大臣としての御所見。

 また、期日前投票がかなり定着してきたと思います。ただ、期日前投票をしたくても、投票用紙が手元に届くのが告示後数日を経てというふうになっておりますと、今回、例えば県議選ですと九日間、特に最初は土日があるわけなんですけれども、その土日に期日前投票をしようにも、まだ投票券が届いていない。実際私のところもそうだったんですけれども、こういった実態があるんですけれども、これについてもまだ改善の余地があるのではないかと思いますが、以上二点、大臣の御所見を伺います。

菅国務大臣 いわゆるローカルマニフェストでありますけれども、各党会派の皆さんの協議によって、この選挙前に倫選特の委員長提案という形で法案が成立をし、この統一地方選挙から頒布できるようになった。

 そういう意味で、今、ビラの枚数についてのお話がありました。これにつきましては、国政選挙だとか、あるいはそうした通常はがきの枚数、そうしたバランスの上で今回取り決められたわけであります。

 やはり多くの国民の皆さんがそれぞれの選挙の際に非常に参考にする方がふえてきているようでありますので、今回は初めての導入でありましたけれども、今後、それを広げるについても、ぜひ各党会派においてしっかりとした議論をして方向性を定めてほしいなというふうに思います。少なくとも、今回のことによって選挙に関心が高まったということは私は評価をしたい、こう思います。

 期日前投票でありますけれども、実は私も期日前投票に行ったんですが、私のところはもう事前に着いておりました。委員のところはまだだったということでありますけれども、これはやはりできるだけ多くの自治体が、告示前というんですか、その土日に対応できるようにするのがある意味では私は望ましい姿だというふうに思っていますので、私どもも、これの徹底というんですか、そういうことも前向きに考えさせていただきたいというふうに思います。また、もっと言うならば、この投票をもっと多くの人に利用してもらえるように、そういう仕組みも一緒に考えていきたい、こう思っています。

武正委員 ローカルマニフェストはおっしゃるとおり委員長提案で成立をしておりますので、これは各党各会派でやはり今回の検証が必要だというふうに私も思っております。

 期日前投票をもう一度おさらいをいたしますと、投票券は総務省の政令によって告示日に発送するということになっております。政令ですね。そうしますと、私が言った土日というのは最初の土日ですね、最初の土日に投票しようにも、まだ届いていなかった。私のところは月曜か火曜だったと思うんですけれども、期日前投票利用者にすれば、やはり土日の休みを利用してというふうになろうかと思いますので、やはり告示日に発送するというのをもうちょっと前倒しでできないのかなというのが私の問題意識であります。

 総務省さんに聞きますと、いや、選挙人の確定が告示日の前日なんだ、こういうふうにおっしゃられるんですが、でも、三カ月住んでいないと地方選挙は投票できないわけなんですよ。ということは、もう三カ月前には投票人は確定されているわけです。しかも、年四回、三月、六月、九月、十二月の一日に選挙人の確定が定時で行われている。

 ですから、問題は、前日なり前々日なり、それを確定する意味というのは、三カ月間の間にどこかに行ってしまった人に対して、移動した人に対して投票券を送らないようにするという意味の確定であって、どっちかというと、無駄を排するというか、投票権がない人に投票券を送っちゃいけないということで、ぎりぎりまでそれをずらしているそうなんです。そうであれば、十二月一日から十二月三十日までの一カ月間にもし転居されて投票権を失ったような方々、そういった方に対しては、例えば前々日とか前々々日にそれがわかっていれば、前日の場合に、投票券は送ってしまったけれどもあなたは投票できませんよとか、いろいろなやり方があると思うんですね。

 そういった意味で、政令でやっておられるところでありますし、前日に確定をしなければいけないということも法律にもないわけですので、政省令で対応ができるところなので、ぜひその点、これから地方選もありますし、また参議院選挙もありますので、期日前投票の利用をより進める意味で御検討をお願いしたいと思いますが、再度、御答弁をお願いします。

菅国務大臣 選挙人名簿の選挙時の登録は、新たに三カ月の住所要件に該当することによって選挙人名簿に登録されるものの、選挙権の行使の道をできるだけ広く開くという趣旨から、それぞれの選挙管理委員会が、公示日の前日を基準日として登録を行っているものというふうに承知をしております。

 一方、入場券がなくても投票も実はできるわけでありますので、こうしたことも一方にはしっかり広報していきたいなというふうに思います。

 いずれにしろ、できるだけ速やかに入場券が届くように、これは私も前向きに行いたいと思いますし、特に地方選挙は一回しか日曜日はありませんので、そういうことも配慮していきたいと思います。

武正委員 ぜひ、ことしは選挙イヤーでありますので、そうしたお取り組みを所管省庁としてお願いして、投票率を上げていく、そしてまた有権者の皆様が投票権を行使できる、そのための所管省庁としてのでき得る限りのお取り組みを強く求めたいというふうに思います。

 さて、次に、税法、交付税法に移りたいんですが、六月からの定率減税全廃、地方への税源移譲、ダブルで、特に住民税が年収五百万円から七百万円までの層が二倍近くにはね上がる、こういうことでございます。

 年収五百万円の方は、定率減税が昨年半減した後と、今回の全廃と税源移譲ダブルを比較しますと、これは総務省がつくったモデルでございますが、住民税が七万三百円が十三万五千五百円、ほぼ倍。年収七百万円の方は、住民税が十八万一千三百円が二十九万三千五百円へということで、これは五割以上、六割ぐらいやはり上がっていく。一千万円の方も、四十二万二千円が五十三万九千五百円ということで、こちらは三割ぐらい上がる。

 とりわけ中堅所得層に対する負担増、これは当然、所得税、住民税の中立ということはわかっているにせよ、定率減税も加わりますので、一月に所得税が下がったということを、半年ぐらいたつとやはりだんだんみんななれてきてしまいますので、ここで住民税がダブルでごおんと二倍に上がってくるというのは大変な重税感を、特に年収五百万円の方々は持つというふうに私は危惧をするわけなんです。そういったことを考えると、やはりこの定率減税全廃と税源移譲をダブルにことしなぜやらなきゃいけなかったのか。再三申し上げているように、恒久的だと。安倍総理、菅総務大臣は、暫定的だと。そしてまた、税制の抜本改革は秋以降だと政府税調も言っているということであれば、なぜことしダブルでやらなきゃいけなかったのかということで、私は、やはりこの定率減税は税制の抜本改革とあわせてやるのが国民的にも一番わかりやすいことではなかったのかなということを思うんですが、特にこの中堅所得層の重税感、個人住民税が約二倍にはね上がることについて、改めて総務大臣としての御所見を伺います。

菅国務大臣 委員も質問の中で言われておりましたけれども、税源移譲によって個人住民税が増加しても、その分だけ所得税が減少する、そういう設計で、所得税、個人住民税合わせると個々の税負担は変わらない、このことは御理解いただけるというふうに思います。

 その中で、定率減税の廃止に伴って影響が生じるわけでありますけれども、この定率減税の廃止につきましても、景気が一定の方向が見えてきた中で、十八年度税制改正において廃止することになったわけであります。

 所得税と個人住民税をあわせて見てみますと、定率減税の廃止によって負担がもとに戻るものであって、例えば夫婦子二人の世帯であれば、年間で、給与収入五百万円で一万八千円程度、給与収入七百万円で四万一千円程度の負担増が生じるわけでありますし、そういう意味では過大なものではないと御理解いただきたいと思います。

武正委員 私は、再三、暫定的ではなくて恒久的であった定率減税でありますので、やはり秋以降というか来年度以降の税制の抜本改革とあわせてやるべきであったと。今からでも遅くないというのが私の意見でございます。

 続きまして、実際、住民税が上がっていくこと、要は、定率減税でも上がる、それから税源移譲でも上がる。厚生労働省の副大臣がお見えですので、その後お聞きしますが、厚生労働省以外でこの個人住民税がダブルで上がることに伴って連動して上がる個人の負担というものはあるでしょうか。これは大臣、お答えいただけますか。

菅国務大臣 税源移譲によって六月から個人住民税の税額が変動しますけれども、先ほど言いましたように、所得税が一月の段階で減税をされている。そういう意味では、所得金額や課税、非課税の区分に連動する仕組みになっている他の制度への影響は生じないというふうに考えています。

 ただ、個人住民税額を用いて国民健康保険料を算出しております一部の市区町村においては影響が生じることがありますので、それぞれの団体において必要な措置がとられているところであります。

 厚生労働省所管以外では、幼稚園就園奨励費補助金の算定に個人住民税額が用いられているところです。また、このほかに、保育所の保育料や地方団体独自の制度などについて影響が生じる場合があり得ますけれども、それぞれの所管省庁やそれぞれの制度を運用する地方公共団体で適切な対応がなされているというふうに考えています。

武正委員 それぞれの地公体が適切な処理をされるというふうに考えておられるということですが、今言われたような厚生労働省以外のこともそれぞれの省庁がきちっと地公体に対応しているかどうかは、やはり横ぐしで総務省がしっかりとチェックをするべきだというふうに思いますので、この点遺漏なきよう御対応をお願いしたいと思います。

 厚労省関係は非常に多いと思うんですが、個人住民税に連動する制度、今言われた国民健康保険税のほかにも、介護保険料、介護保険制度の利用料、国民年金保険料、児童手当、児童扶養手当、障害者自立支援等ございますが、厚労省関係で個人住民税に連動することがあり得るのか。そして、それについて、今言われたように地公体に対応するのか、副大臣にお答えをいただきたいと思います。

石田副大臣 平成十九年からの定率減税の廃止、地方への税源移譲の実施により、六月から住民税が増加することに伴い国民健康保険料が影響を受ける、こういうことでございます。そのことは今総務大臣からも触れていただきました。

 一方、介護保険の保険料及び利用料、国民年金保険料、児童手当、児童扶養手当については、影響を受けません。また、障害者自立支援法関係では、本年七月より対象となる所得割の額を設定し直すことにより影響が生じないように措置することといたしております。以上です。

武正委員 国民年金保険料はいかがでしょうか。

石田副大臣 国民年金につきましては、影響はございません。

武正委員 今お話ありました国民健康保険と障害者自立支援、これについて影響があるということですので、それについては、厚労省さんからも、また総務省さんからもきちっと地公体への御対応をよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、副大臣、どうぞ。どうもありがとうございました。

 続きまして、お手元に資料を配らせていただきました一枚目。二枚目は先ほどの所得税、個人住民税の税額についての表でございます。交付税特会の償還、十八年度補正で五千三百三十六億円償還をしておりますが、十九年から二十年かけてこのような償還額という表でございます。毎年一〇%ずつふえていくという制度設計でありますが、まず、十八年度補正で五千三百三十六億円しか返さなかった理由。たしか二兆五千億円ぐらい、そういった意味では余剰というか税収増に伴うそうしたものがあったわけですので、私は、お金があるうちにもっと返しておけばいいのになというふうに正直思いましたので、この点がなぜなのか、もっと返せたんじゃないですかというのが一点と、それをどうしてもそのときに五千三百三十六億円にしたのは、毎年毎年一〇%ずつ増額して三十四兆円を、三十八年度には三兆五千億返す制度設計ゆえにそういうふうにされたのかと思いますが、やはり毎年一〇%ずつふえていく。わかりやすく言うと、借金の返済を、定額ではなくて、しかもお金があるときに返そうというんじゃなくて、これから毎年一〇%ずつ借金の返済額をふやしていくというのは、一般的な民間の感覚でもなかなか無理があるんじゃないのかなと。お金があるとき返しましょう、あるいは毎月、毎年決めた額を返していきましょう、それに伴ってそれこそ将来の生活設計をしましょうというのが個人あるいは民間のわかりやすい感覚だと思うんですが、なぜこういうような制度設計にしたのか。

 以上二点、お伺いしたいと思います。

菅国務大臣 まず、委員御承知のとおり、交付税特別会計の借入金は五十三兆円ありました。その中で、国分と地方分を分けて、三十四兆円について地方が償還をしていく。いずれにしろ、この交付税制度の持続可能性というものを確保するということ、これは私ども非常に大事だというふうに思っていますので、そういうことで早期返還を実は決定しました。

 言われましたように、十八年度補正で五千三百三十六億円の償還をすることにいたしました。そして、毎年度一〇%ずつ段階的に増加する形で二十年間で償還計画を、今の資料にありますように決定をさせていただきました。

 仮に、この補正において五千三百三十六億円、これに増額をするならば、平成十九年度に繰り越して交付税総額に加算している一・五兆円、これが小さくなってしまう。また、十九年度に安定的な財政運営に必要な交付税総額というものについては当面の償還をした上でも確保できる、そういう見通しがあったものですから、このような形にさせていただきました。

武正委員 十九年度については、当初の税収見込みよりもふえるというようなことも既に言われているわけですので、私は、やはり十八年度補正でもう少し踏み込んで返済ができたのではないのかなというふうに思っております。

 それと、今の一〇%ずつ上がっていくことが、先ほどの率直な、素朴な感覚からいって非常に無理があるように思うんですけれども、なぜ毎年一〇%ずつ返済額をふやしていくことにしたのか、その根拠をお示しいただきたい。

菅国務大臣 今委員からの御指摘にありましたように、その資料によれば、最終的には平成三十八年度三・六兆円、毎年の償還の増額というのは五百億円程度であって、最終年度で前の年と比べ三千億ふえるわけであります。

 これについては、内閣府で試算された「進路と戦略 参考試算」によれば、地方交付税の法定率分というのは現行法定率の場合でも毎年約五千億円程度も増加しておりまして、今回の償還計画は一定のそうした前提のもとに立てられておるところであります。

 今後、安定的な経済成長に努めることによって、歳出の効率化努力や歳入確保努力を続けていくことによって、計画どおり償還できるように努めていきたいと思っています。

 とはいえ、経済というのは不確実性が伴うことも事実だというふうに思っております。この償還計画の前提である経済が順調に推移しない場合等には、今後の経済動向だとか地方財源不足の状況などを踏まえてその時点で十分検討して対応していきたいと思っております。

武正委員 十分検討して対応していきたいというお話なんですが、多分、これは財政当局というか財務当局、財務省とのやりとりの中でいろいろこういった額を決めてきたと思うんですね。国全体の財政事情の中でこうした形をとってきたと思いますので、総務省だけで対応していくといってもやはりかなり無理があるのではないのかなというふうに思います。

 毎年五千億円ずつふえていく国税収入あるいはその根拠となる五税ですか、言われたわけですけれども、この十年間をとってみても、平成十七年と昭和六十二年、六十三年を比べて、あるいは平成元年と比べると、国税収入は十兆円、租税収入は下がっているわけですね。地方税の収入もでこぼこで、上がったり下がったりというのがこの二十年間やはり続いているわけですね。

 ですから、これからの二十年間、毎年五千億、五税なり国税の地方交付税の算定基準がふえますよというのもいかがなものかと思いますので、今回の制度設計、国と地方ではっきりと責任を分けたというのは評価をしても、この返済計画には非常に無理がある。また、そのときに総務省だけで対応しますといっても、説得力からいって、やはり政府全体でどういう形でこれに対応できるのか。

 これは地方交付税制度全体、民主党は地方への一括交付金、これも過渡的な考えでありますが、こうしたものを打ち出しておりますが、やはり交付税のあり方そのものも、交付税特会の借入金の償還計画は改めて提起をしているということをこのときにあわせて指摘をしたいというふうに思います。

 さて、今回、交付税法の改正で新型交付税を提案されておりますが、その前に、私は、今三千三百の自治体が約千八百になっているわけですけれども、この先政府は、自治体の合併目標を幾つに置いて、いつまでにどのような手法で市町村合併を進めていかれるのか、御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 市町村合併につきましては、与党の行財政改革推進協議会における、市町村合併後の自治体の数を千を目標とする、そういう方針に基づいて、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進するという閣議決定に基づいて、政府として積極的に進めていきたいというふうに思っております。

 現在、平成十一年十一月には三千二百三十二あった市町村数が、本年四月には千八百四となったわけでありまして、それなりの効果があったというふうに思っています。

 しかしながら、現在でも、人口一万未満の市町村も五百程度存在をしております。少子高齢化の進行や厳しい財政状況、さらに地方分権の進展などを踏まえるときに、市町村において、行財政基盤の強化の観点からも、合併新法の期限、平成二十二年になっておりますけれども、ここを見据えて、合併について検討していただきたいというふうに思っているところであります。

 この合併新法におきましては、都道府県が市町村合併の推進に関する構想を作成したりあるいは合併協議会の設置勧告をできるようにするなど、都道府県の役割を強化しておりまして、さらなる都道府県の積極的な役割を期待しているところであります。

 政府としては、市町村合併支援プランによって各種支援措置を講じるとともに、都道府県と協力をしながら、引き続き市町村合併というものを一つの千という目標を目指して取り組んでいきたいと思います。

武正委員 行革大綱でも千ということをうたっているわけですが、具体的にいつまでというのは決まってはいないということでよろしいでしょうか。

菅国務大臣 具体的な最終目標年次というのは決めておりません。

武正委員 それで、これまで千八百まで進める中で、やはり合併の特例に基づいて、合併に伴う地方債の発行について交付税措置を、これがかなり合併を促してきた、一つのインセンティブ効果があった、これは大臣も認めているところだと思うんですね。ただやはり、先ほど触れたように、財政当局のそうした考えも当然あるでしょうし、これがこの先使えないという中でどうやって市町村合併を進めていくのか。

 先ほど都道府県に頑張ってくれというお話でしたけれども、果たして、では都道府県知事が、それこそ分権時代ですので、市町村合併についてもかなり、いや、ここまでやったじゃないのかというような見方も都道府県知事には一部あると思うんですね。その中に、知事に頑張ってくれと言っても、それこそ総務省、政府は、ないそでは振れないよ、あとはもう自主的に頑張ってよと言って、本当にこの先市町村合併が千に進んでいくのかどうか。

 また、合併もかなり無理をしてまいりましたので、果たしてそれが本当に住民にとって、福祉の向上にとって役に立つのか。あるいは、コミュニティーがそれこそ崩壊していないか。それこそ、地域間の格差がこれによって、それぞれの地域地域で大きな合併の市町村が誕生したことによって、それぞれの市町村の中での格差が拡大しているのではないのか。

 こういったさまざまな疑義もあるわけですけれども、千という目標をとらえて、今言ったような合併特例債、これが、交付税措置がない中でどういう形でインセンティブをつけていくのか、御所見を伺います。

菅国務大臣 まず、三千二百から千八百になった。これは、全国を見てみますと、都道府県によって非常にばらつきが実はあるわけでありまして、寺田委員のところの秋田県なんかは合併が非常に進んでいる。しかし、合併の進んでいないところもある。私どもとすれば、まず先行して合併をしていただいたそうした市町村、そこがまず合併してよかったという仕組み、当初目標のようになることというのは、私は、極めて大事だというふうに思っております。

 そのことも、関係省庁によってこうした支援を行うことになっていますので、その効果というのはこれから出てくるというふうに思っていますので、合併効果が上がって合併の一つの模範的な自治体がふえてくれば、当然、続く市町村もそうした方向になってくると私は思います。

武正委員 では、合併効果はどういったところで出る、あるいはそれをどういうところで評価されるんでしょうか。

菅国務大臣 例えば、単独の市町村ではできなかった、幼稚園だとか、保育園だとか、学校だとか、あるいは図書館だとか、高齢者福祉だとか、全体の中で見られるわけでありますから、私は、合併効果というのはやはり非常に大きなものが出てくるというふうに思っています。

 それと、コミュニティーのためのバスの運行だとかいろいろなことを今それぞれの自治体で取り組んでおりまして、効果も出始めていますので、私は、必ずそういう効果が出てくると思っております。

武正委員 そういう合併効果が目に見えた形で住民の方がわかるには、一つにはやはり分権を徹底して進めていくというのがまず第一だというふうに思っております。

 一方、コミュニティーというお話がありました。ただ、今まではそれぞれの市町村がコミュニティーとして成り立っていたわけですから、それは自治区とかいろいろな形の補完的な法改正も既にありましたけれども、やはり旧来の市町村が大きなものになってしまった中でどういう形でそれを補完するのか、これがやはり問われてくるというふうに思いますので、その点は、この先、この総務委員会でもきっちり議論をしていきたいと思いますが、御対応をお願いしたいと思います。

 そこで、新型交付税なんですが、ax対byイコール、都道府県が三対一程度、市町村が十対一程度ということで、xが人口、yが面積ということで算定方法を出していただいています。都道府県は三対一ということで、人口と面積でいうと面積の三倍人口を評価する。ただ、市町村は十対一ということで面積よりも十倍人口について評価をするという数式になっているので、これはもしかしたら市町村の合併を促すために三対十にしているのかなというふうに、うがった見方もされると思うんですけれども、この点についてはどのようにお答えになりますか。

菅国務大臣 うがった見方はしない方がいいのかなと実は思っておりますけれども、いずれにしろ、今委員御指摘されましたように、都道府県は三対一、市町村は十対一ということは事実であります。

 これは、新型交付税で算定をする投資的経費について、都道府県分においては、土地改良事業など、面積の広い狭い、これによって事業量が増減する事業のウエートが非常に高いということであります。また一方、市町村分においては、小中学校だとか廃棄物処理施設の整備など、人口の多い少ない、これによって事業量が増減する事業のウエートが高い、こういうことを実は反映した結果であります。

 また、この新型交付税の制度設計に当たっては、人口が少ない地方公共団体ほど人口一人当たりの行政経費がかかりますので、そうしたことを反映するとともに、条件不利地域の財政需要にも配慮するなどしながら変動額を最小限にとどめることとしたところであります。

 新型交付税の導入というのは、前にも申し上げていますけれども、算定の抜本的簡素化と交付税の予見可能性を高める、そういう中で行われたものであって、市町村合併を推進するためのことではありません。

武正委員 どうしても、都道府県が三で市町村が十ですから、うがった見方をしないでくださいといっても、そういった指摘がされるところもあるということでございます。

 いずれにせよ、やはりこの新型交付税はよくわからぬというところでありまして、これから五兆円までこれを拡大していくということでありますから、やはり説明責任がきっちり果たせるように、簡素化というところは私も理解できますし、人口、面積については私もこの委員会でそうしたことを提起したこともあります。

 ただやはり、今合併に伴って、それぞれの市町村の抱えているさまざまな課題、またこれから市町村を千にというときに、これがそれのてこにという形で使われてしまうとまたおかしなことになりますので、やはりきっちり制度がわかりやすい形で説明ができるように取り組みをしていくべきだと。我々は、やはり新型交付税は問題ありという立場に変わりはないところでございます。

 さて最後に、平和祈念事業特別基金が、ことし四月一日から二年間、請求受け付け期間としている恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者、それぞれの対象人数は何人であり、今年度の予算総額は幾ら、その予算総額の対象人数は何人であるかをお答えいただきたいというふうに思っております。

 昨年、総務委員会でこの法案は可決をしたわけです。民主党は、三十万円から二百万円までということで、基金全額を取り崩して、それも国債で支払うべきというふうなことを主張しましたが、政府案の、半額をもって、しかも十万円の旅行券ということであります。

 既に始まっているわけなんですけれども、どうも、総務省のホームページあるいは市町村に資料は置いてありますが、申請制度、当事者からの申請に頼っているところもあります。平均年齢八十五歳という方々であり、長年待たれていた方々でありますので、私は、もっと積極的にこの周知徹底を図るべきというふうに考えておりますので、今の点についてお答えをいただき、例えば、対象者の特定が可能であるならば、あるいは可能でないとしても、できる限り団体を使ってその周知徹底を図るなど、やはりこの特別慰労品贈呈対象者への告知方法について改善をしていくべきだというふうに考えます。

 以上、最後、この三つの質問をまとめてお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 今回の特別慰労品の贈呈事業の対象になられる方々は、実際の申請は別にしまして、恩給欠格者は約七十万人、戦後強制抑留者は約十一万人、引揚者は百二十四万六千人と想定をいたしております。

 今回のこの贈呈事業の実施に当たっては、平和祈念事業特別基金の資本金の一部を取り崩す形の中で、今年度は、平和祈念事業特別基金による贈呈事業の過去の実績などを踏まえまして、約二十七万件の申請を想定し、九十八億円予算計上をいたしております。

 そして、特定は可能であるのか、あるいはもし可能でなければどういう理由かということでありますけれども、申請者一人一人について、個々に軍歴などを確認する必要がある人が約二百二十万人という大変膨大な数が見込まれています。

 この対象者のうち、昭和六十三年から昨年まで、この基金による書状等の贈呈を受けられた八十四万人の方々についても、贈呈時の状況は把握できるものの、その後の死亡、転居等の個々の消息は把握されておりません。

 こうしたことから、この慰労品の贈呈対象者を特定するというのは極めて困難かなというふうに思っております。

 そういう中で、周知について、具体的には、全都道府県担当者会議による事業内容や受け付け体制の説明、全都道府県及び全市区町村窓口のポスター、パンフレットの掲示、配布の要請、都道府県、市区町村広報誌への掲載の要請。さらには、平和祈念事業特別基金のホームページに掲載するとともに、今月の五日以降は中央紙と地方紙の計七十三紙に新聞広告を掲載するなど、対象者に広く周知するように今全力で取り組んでいるところであります。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

武正委員 前回も、銀杯については対象者の六割程度というようなこともありまして、やはりこれは、大臣が拉致問題に積極的に取り組んでいるところは評価するところなんですが、シベリア抑留者あるいは中国の残留孤児等、やはり日本人の生命財産、あるいは日本の領土、領海を守るということに大変取り組んでこられた大臣であればこそ、やはりこの周知徹底、さまざままだまだやり方があると思うんです。団体をもっともっと活用もできますし、今までの過去の方々をしっかりと把握することもできると思うんですね。予算があって、それで人をということで、その周知徹底があだやおろそかになっているとすれば、やはり我々後輩が、さまざま、先人の、先輩の御苦労に対して、その責任を国会は果たしていないぞ、あるいは政府は果たしていないぞというそしりを免れ得ないので、改めて、その二年間の取り組み、しかも平均年齢八十五歳ですので、よろしくお願いをしたいと思いますが、最後、一言御決意をお願いいたします。

菅国務大臣 私どもも、今日の平和のために国を代表して戦ってこられた、そうした人たちに対してできる限りのことはさせていただきたい。そういう中で、周知徹底、まずそれが最大でありますので、そのことに全力で取り組んでいきたいと思います。

武正委員 ありがとうございました。

谷委員長代理 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 四十分の間、菅大臣と、土屋政務官にもお願いしていたんですが、よろしくお願いしたいと思います。

 秋田の方でも、この間の日曜日、県議会議員選挙がありまして、余り勢力図に大きな変化はなかったんですが、うちの父親が非常に暗い顔をしておりまして、どうしたのかと尋ねたところ、おまえみたいにねちねち質問する議員が復活して本当に憂うつだということを言われました。私自身として、きょうの質問を眺めて見ていると、非常にそういう意味では該当する質問ではありますが、議員の役割として頑張りたいと思いますので、四十分間よろしくおつき合いください。

 質問に入る前に、きょうの朝日新聞の話、後藤委員の方からも触れられていましたが、「消費税 地方に配分増」というような記事が載っておりました。長年といいますか、私も麻生大臣のころからいろいろ質疑をさせてもらっていますが、この手の話題が出ることは出るんですが、実際、本当に消費税の五パーのうち一パー以上のものを地方に持ってきたり、あとは、税目交換にも言及されているようですけれども、これが実現したことがないので、そういう意味でいうと、今まではそういう記事が出ても余り注目はしなかったんですが、事菅大臣となりますと、決めたことはてこでも動かないぐらいかたい決意を持たれておりますので。

 この記事、伝聞調のところで、六月ごろまとめる骨太の方針に盛り込むんだということが書かれています。実際、本当に盛り込まれるとしたら大きな一歩だなと思いますけれども、実際、盛り込まれるおつもりがあるのか、そしてまた、それに対する不退転のお気持ち等を御披露いただければと思うんですが、いかがですか。

菅国務大臣 私は今のこの地方全体を考えたときに、やはり法人二税が東京に余りにも集中をしてきている。そして、これはまた十九年度もそういう傾向であることは間違いないわけでありますから、そういう中で私は、地方を所管する大臣として、この問題について避けて通ることができない、これについては真っ正面から取り組んでいきたい、こういう決意を実はいたしました。

 財政諮問会議におきましても、東京問題というのを実はかつて私は初めて提案をいたしました。ことしの秋以降に抜本的な税制の見直しをやる、例えば、消費税を据え置いた場合でも、今の仕組みではやはり余りにも東京に集中し過ぎている、ここについて、その場合はどうするのか、そこも含めて、私としては、まさに決意を持ってこの問題については取り組んでいきたい、こう思います。

寺田(学)委員 余り他党の方が拍手されると、私も賛同しがたいんですが、いずれにせよ、六月というショートノーティスでもありますので、ぜひとも御努力いただきたいなというふうに思っております。本当に、地域間格差を是正する意味においては、この税目交換というのはほっとけない話でもありますので、放送法等でごりごりやられるよりも、こちらの方でごりごり頑張っていただいた方が国民のためにはなるのではないかなと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。

 「頑張る地方応援プログラム」並びに地方交付税の新型交付税について質問したいんですが、ある種、国と地方との距離感ということをはかる意味で、三位一体の補助金改革についての大臣の御所見というのをまず伺いたいんですが、補助金改革を行ったそもそもの理由というものは何であるとお考えになられていますでしょうか。

菅国務大臣 まさに、地方が国の影響なしでみずからのことを考え行うことができる、地方の自由度を高めたい、そうした思いからであります。

寺田(学)委員 並びに、昨年の国会で設置いたしました地方分権推進委の方でも国の義務づけを廃止する方向性でやっていこうということを考えますと、今の御答弁も含めて、国としては、地方のことに関して過剰なまでに関与することもやめ、かつ何かを奨励的にさせようということも控えて、本当に自分たちの財源を持って、自分たちの自由な発想を持ってやっていくということで、地方自治というものを充実させていこうというおつもりである、そこは変わらないものだと思っております。

 そういう意味において、「頑張る地方応援プログラム」というものを出されたその御意思というか目的意識は、私自身も何の曇りもなく大賛成ではあります。ただし、ちょっと、このやり方、具体的な政策の中身となると、私は、いかがなものかなと首をかしげたいところがたくさんあります。目的は本当にいいと思うんです。命令放送のときもそうだったんですが、拉致問題を解決したいというお気持ち、目的は非常に賛同申し上げるんですが、そのやり方として、命令放送を使ってどうこうというのは、他の部分に大きな影響を与えてしまうということがあったと思います。

 そういう意味で、この「頑張る地方応援プログラム」、三千億程度の予算を組まれてやる仕組みですけれども、本当に効果があるのかという点と、本当に公平な制度としてつくれるのかどうかということ、そしてまた、それを交付税でやるということの是非、さまざまな問題点をはらんでいる一つの仕組みだと思います。

 何度も聞かれているので、御答弁も飽きられているかもしれませんが、まず、そもそも何でこういう具体的な仕組みをつくられたのか、大臣自身、お考えを御披露いただければと思います。

菅国務大臣 私は副大臣当時から地方を見てまいりまして、地方に元気がない、これはどこに行ってもよく言われたことでありますし、多分ここに出席している議員の認識も同じだというふうに思います。

 しかし、地方には地方の特徴とかよさというのは必ずあります。どこに行ってもそうした地方の魅力があるわけですから、何らかの形で地方の魅力を引き出して、その地域の活性化につなげることはできないのかな、そういうことを考えたときに、この「頑張る地方応援プログラム」、こうしたことを、そういう発想の中から考えてきたところであります。

寺田(学)委員 地域の活性化を望むというところだと思います。その地域の活性化のために頑張る自治体を応援したいということだと思います。

 この具体的なプログラムの中身を見てみると、成果指標というのを出されておりまして、今のところ暫定的に、仮にという形で御説明いただきましたけれども、九つほど、転入者人口であるとかごみ処理量とか、さまざま、そういうのが列挙されております。

 この指標を眺めてみると、やや経済的な指標が非常に高いのではないかなと。物事をはかるという意味で、数字にあらわせないと意味がない、正確にはかれないという制度的な事情もあるんでしょうけれども、成果指標そのもの、一個一個が非常に、製造品出荷額とか、経済的なにおいが強いものが偏って列挙されているなと思っております。

 そういう意味でいうと、町の美化に取り組んで、その町に住む方々の気持ちを高揚させて、町自体の活気が上がっていくということもあり得ることですから、例えば町の美化ということに頑張る自治体があってもいいわけですよ。それが正当に評価される仕組みにはなっていないわけですけれども、なぜにこういう経済的な指標に偏った形で頑張り方を成果指標としてピックアップしようとすることになっているのか、御答弁いただけたらと思います。

菅国務大臣 成果指標というのは、やはり客観的な数字がなきゃならないというふうに実は思います。私ども総務省が恣意的に決定すべきじゃないというのは、これは私の基本でした。

 そういう中で、行政改革のインセンティブなんか、例えば財政力指数によってそれなりの数字もこれは可能であります。それと、活性化のために都会と地方の交流人口とか、町の活性化、町のやる気につながるというんですか、そういうものも実は加えさせていただいているわけであります。それと同時に、成果指標でない中でも、みずからそうした、例えばさっきの住民サービスですか、そうしたことを掲げて行うことであっても、これは特別交付税で措置することに実はなっております。

 ただ、成果指標には難しいのかもしれませんけれども、そういうことも実はこの「頑張る地方応援プログラム」は含んでおるわけでありまして、そういう中で、私ども今九つを掲げていますけれども、今、地方団体との懇談会の中で、こういう指標もどうだろうとかいろいろなことも実は提案もされておりますので、そうしたことをできるだけ地方の皆さんの声というものも反映したいということで確定をしていないということでありまして、七月ぐらいまでの間には確定をさせて明快にしたいと思います。

寺田(学)委員 冒頭私が申し上げた、この仕組みというものは賛成できませんねという理由に、公平にはかれないんじゃないかということを一つお話しさせていただきましたけれども、きょう、共同信だと思いますけれども、地元紙の方にはこの地方応援プログラムについての記述がありまして、地域で事情が異なるのに、全国的な物差しで努力ははかれないという批判も相次いでいるというような記事もありました。

 まさしく私はそのとおりだなと思っていて、成果指標に何を挙げていくか、もちろん頑張ろうとしたことに対して特交の方でお金をつけていく仕組みはありつつも、大部分のお金を割いているのはその成果指標によって挙がっていくところに二千二、三百億かけるということですから、後々質問させていただきますけれども、その成果指標に何を挙げていくかということによってインセンティブ効果があるんだとしたら、そちらに誘導していくような形になるんだと思うんです。

 私自身、本当に頑張るところを正確に評価するのであれば、どうやってはかるかはまず別として、矢祭町とかでやっている、土日も役所を開いたり、出張して、役所みずからが出かけていって役所事務を行うとか、そういうことも頑張りではあると思うんですよ。しかし、それはこの中では、今挙げられた、列挙されているものでははかることはできないでしょうし、恐らくこれから考えたとしても、そういうものを数値化して指標として挙げていくのは非常に難しいんだと思います。

 そういう意味で、私は、行革指標というのはありますけれども、これは単純に人が何人減ったとかそういうようなたぐいだと思いますので、人を減らさない中で小さな町が、一般的にはその町ではできない以上のサービスを頑張ってやっているんだというところも評価されてしかるべきだと思います。もしそれが評価されないのであれば、他の部分だけが評価されるというのも公平とは言えない状態になると思うので、そういう意味において、私はこのプログラムというのはいかがなものかなというふうに思うんです。

 どうでしょう、自主的に図書館をつくったり、あとは出張して役場が行政サービスを行ったりというその矢祭のやり方に関しても、努力を認めるような形の指標をつくっていくというふうにお考えになられているのか、そもそもそういうのははかりにくいなとお考えになられているのか、いかがでしょうか。

菅国務大臣 例えば、そうした先駆的な取り組みというのは、今申し上げましたけれども、特別交付税の取り組みという形では、たしか三千万だったと思いますけれども、それは可能だというふうに私は思います。ただ、行革の姿勢の指標になるんですかね、例えばそういう。

 いずれにしろ、ここについては全国的、客観的な指標ということをうたっています。人口の多い少ないとか、そういうことも指標の中に明記したいと思います。ただ、その中でも、今のような取り組みが全国それなりのところで行われていれば、それも一つになるのかなと思いますけれども、全国的、客観的な指標に当たるかどうかというのは、今私がこの場でどうこう判断することは実はできないんですけれども、ただ、頑張る取り組みに対しては特別地方交付税で措置することは可能だと思います。

寺田(学)委員 頑張るやり方に関しては、とりあえず特交の方で三千万を上限にということで言われています。あえて自分でも矛盾するようなことを言いますけれども、頑張っているか頑張っていないかなんてはかれないわけですよ。例えば、出張の役所をつくるサービスをやった、それに対し三千万の特交をつけましたと。何にも考えずに、子供がふえるようにとか転入者ができるようにという、わけのわからない箱物を三千万を使ってつくったとしても、それは総務省から、特交の中から支給されるわけですよ。

 そういう意味で言うと、頑張っているところには三千万つけますからという答弁は、頑張っていないところにも、頑張りの指標をはかるのは非常に難しいということははらみつつも、ほとんど、言い方は悪いわけですけれども、ばらまきに近いわけですね。この特交の仕組みを見たときに、三年間やるということでしたけれども、三千万ずつ三年間やれば九千万ですから、ある種ふるさと創生資金と同じようなにおいがぷんぷんする仕組みだなと思うんですよ。

 どうなんでしょう、特交の話を大臣がされましたから、これはふるさと創生資金と何が違うんですか。

菅国務大臣 まず、ふるさと創生事業というのは、全国の公共団体を一律に、あのときたしか一億円だったと思いますけれども、配付をしました。私どもの今度のプログラムは、地方が独自のプログラムを円滑に取り組めるような、その取り組みに対しての経費として私どもは講じるわけでありますので、そしてまた、具体の成果目標を掲げる、そこにこの交付税措置がありますので、そういう意味で、ふるさと創生の資金とは明らかに違うというふうに私は思います。

 こうしたプログラムというのは、取り組み経費支援に加えて、今申し上げましたけれども、成果指標の中で交付税を措置していくという二段構えになっているところであります。

 いずれにしろ、地方団体がみずから取り組み姿勢というものを発表するということが前提であります。

寺田(学)委員 ふるさと創生との違いを、事前にプログラムを発表するとか、あとはそこに数値目標をつけるとか、何かそういうのがあるのかもしれませんけれども、そういうものだと言いつつ、総務省としては、そのプログラムに対しては、もちろん地方の自主性を尊重するということで口は出さないでしょうし、たとえ成果指標を出したとしても、目標に達しなかったときにお金を返還してもらうということがない以上、目標を出しっ放しでもいいわけですよね。それが三年間続いていくということになると、多少その部分の違いがあったり、あとは特交で出すのか、財政需要額の算定を一億分高めてやるとかそういうような形でやるのかぐらいの違いしかなくて、もらう側からしてみれば、はいと手を挙げてちょちょちょっと目標をつければ三千万もらえて、もちろんそれを大事に使うか大事に使わないかは別ですけれども、三年間分で九千万になるということになれば、ほとんどふるさと創生と一緒だなと思うんですよ。

 ふるさと創生のあの施策の是非というものをまたここでやるには、ちょっと時間が足りな過ぎるのであれなんですけれども、私は、何度も申し上げるとおり、地方を応援する気持ちを物すごく大事だと思うし、その大臣のお考えは大賛成なんですが、どうも無駄なような気がするんですよ。ないよりあった方がましだという地方の実情を考えると、そういう形でも特交からお金をもらった方がいいとは思いますけれども、どうも大臣自身が考えられている効果というものが上がるとは限らないんじゃないかなということで、御再考願いたいと思っているんです。

 効果という意味でもう少しお伺いしたいんですが、そもそもこの「頑張る地方応援プログラム」の、毛色というのもなんですけれども、地方に頑張ってもらうインセンティブを与えるためにこういうプログラムをつくったのか。それとも、多少リンクしますけれども、あんたら頑張ったねということで御褒美を上げましょう、御褒美という言い方はちょっと上から下という感じがするんですけれども、頑張ったのであればお金を上げましょうと。これはかなりインセンティブの部分とかぶるんですけれども、どっちの色合いが強いプログラムなのかということを、大臣自身はどのようにお感じになられておりますか。

菅国務大臣 私は、ぜひ地方がそれぞれの特色を生かして頑張ってほしい。そういう中でよく言われたのは、取り組み経費がないだとかいろいろなことがありましたので、そういうことで、地方がみずから、これをやるぞ、そういう計画を出していただく、そこで取り組み経費もそういう特交の形で用意させていただく、そういうことであります。地方自治体も今かなり、それぞれの隣の町と比較をしたり、そういう状況になってきていますので、そういう意味で、うちはこれだけ頑張ったけれども何もないという話も実はよく聞きました。これは、特に行政改革のときはいろいろな市町村長から私はよく言われましたので、「頑張る地方応援プログラム」以前に、もう既に行政改革のインセンティブ算定というのは政策課題として取り組んできたところであります。

寺田(学)委員 端的にもう一度お伺いしますけれども、頑張るインセンティブを与える仕組みだということでよろしいですか。

菅国務大臣 そう言われると、私はそうではないと言いたいと思うんです。

 要は、とにかく地域の魅力を生かして頑張ってほしい、まずそこが基本です。ですから、そこで取り組み経費という形をまず特交で手当てをさせていただく。そのほかについてはやはり全国の客観的な成果指標の中で、地方自治体が自分で頑張ったことについては客観指標の中で交付税で措置をしていく、そういうことでありますので、決め打ちということではなくて、その辺の思いというのは理解をいただきたいと思います。

寺田(学)委員 立法趣旨というのはいろいろどの法律にもあると思うんですけれども、その立法趣旨は何なのかということを聞きたいんですよね。

 何でお金をつけるのかという細々とした理由はありつつも、この仕組みによって頑張る地方を応援する。ただ応援したいのであれば、私は応援するんですと言い続けていればいいのに、一応血税を毎年三千億突っ込んでやるということは、その三千億に見合うだけの立法の趣旨、立法の目的があって、その目的は何であるかといったら、頑張る人たちに、必要経費という理由でお金をこちら側として補助する、補てんするという形をもって、もっと頑張ってほしい。頑張っているところと頑張っていないところに差をつけることによって、より頑張る人たちのインセンティブをかき上げていく、ないしは、頑張っていない人にも、では頑張ろうという気持ちを呼び起こしていく。そういうインセンティブを植えつける仕組みなのかなと思っているんですが、インセンティブを植えつける、インセンティブを地方の側に持ってもらうための仕組みではないんですか、これは。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 それがすべてじゃないということであります。

 やはりそれぞれの地方の特徴を生かしたまちづくりをやってほしい。そういう中で、先ほど申し上げましたけれども、取り組み姿勢の第一段階と、それと成果指標ということで第二段階という二つの段階になっておるわけでありますので、インセンティブだけではなくて、活力ある地方になってほしい、そういう思いの中で仕組みをつくらせていただきました。

寺田(学)委員 自由に独自の施策を展開する活発ある地方にしてほしいがために、お金をつけたこのような仕組みをつくったというところがロジックだとは思うんです。

 そこで、土屋政務官にお伺いをしたいんですが、いかがですか、長らく市長をやられていて、九つ挙げられていますけれども、もし今も武蔵野市長だというのであれば、この指標を挙げられて、よし頑張るぞというお気持ちになりますかね。この指標を挙げられてどう思いますか。

土屋大臣政務官 やめちゃったものですから、今どうだと言われても若干困るところがあるんですが。

 直接のお答えにならないかもわかりませんが、私は全国市長会の中で長らく役員をやっていたことから申しますと、市長会側の要望というのは、頑張っても交付税が削減されるんじゃないか、例えば企業立地をしても、その分税収が上がっても削減されるんじゃないか、こういうことがたびたび言われました。それからもう一つ言われたのは、御承知のとおり、がちがちの補助金が今まであったわけでありますから、どこでも同じようなまちづくりしかできないんじゃないかという、この二つのことが強く言われて、寺田先生のお父さんも含めて、我々側としては、もう少し自由な発想でまちづくりが活性化できないかということを首長側としてはずっと要求してきた、こういうことがあります。

 こういうことにこたえる意味で、今、菅大臣の御提案、また安倍内閣の方針によりこういうプランが出てきたわけですから、従来の補助金から比べるとはるかに自由度が増している。しかし、客観的な指標みたいなものをつくらないとそれは恣意的になるわけですから、一応こういう目標をつくった。こういうことですから、その背景を考えると、もし現場の市長だったら、よし頑張るぞ、こう思ったなと、私は今ここで思っている次第でございます。

 済みません、答弁が長くなって恐縮です。

 なお、全国の市町村のところへ何市か行きましたらば、こういう答えも出されました。例えば、人口がふえる、こう言うけれども、ふえるふえるといったって、幾らやってもふえないんだ、減らないで頑張っているのを、これも頑張りなんだ、減り方が、本当はがくっと減るところを減らないで頑張っているのを頑張っているんだと。そうすると、私は、では踏ん張る市長応援プログラムですねと申し上げたわけでありますが、こういうことも含めて、菅大臣がたびたび御答弁しておりますように、基礎的な自治体からいろいろ意見を聞きまして、さらに、平成二十年以降に、妥当な指標があればつくっていきたい、このように菅大臣の指示のもとにやっているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

寺田(学)委員 物すごく答弁長いですね。やる気になりますかどうかというのをお伺いしたかったんですよ。もちろん、政務官になられているとか市長会の役員をやられていたというのはあるんでしょう、実際ハンドリングされていたわけですから。

 率直な話として、特段、別にプログラム申請をしようともしなくとも、暫定的ですけれども、この九つの指標が動いたところは基本的に二千二百億の中から割り振られてお金をもらえるわけですから、特段頑張るとは思わないんですよね。

 インセンティブ効果があるかどうかというと、ロットが小さいということも含め、あと、さっき政務官が最後に言われたとおり、頑張らない、踏ん張る市長だって評価されてしかるべきだし、矢祭の方だって、出張をして役所業務を広げているというあり方だって頑張っているんですから、一律にこういうものを挙げてやるのは難しいですし、公平に頑張りを評価することも非常に難しい。かつ、ロットが小さいということも含めて、意味がないような気がするんですよ。もしここに二千二百億使うんだったら、前回逢坂先生とかも言われていましたけれども、自治体病院とかも大変ですし、まだまだいろいろなところに、お金を使えるところは、使わなきゃいけないところはたくさんあると思うんですよ。そういう意味で、僕は、このインセンティブ効果に関しては非常に少ないんじゃないかなというふうに思います。

 大臣が先ほど答弁された中で、インセンティブの話だけではない、他にもあるということは、裏返して言うとインセンティブは含まれているわけですから、そのインセンティブ効果に関して、このプログラムによってインセンティブ効果はあると大臣自身はお考えになられているかどうかだけ、まずお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 それはあると思います。

寺田(学)委員 土屋政務官もあると思いますか。

土屋大臣政務官 あると思います。

寺田(学)委員 行政改革指標というのがまずあります。まず土屋政務官からでいいです。行政改革指標、従来やられている部分もありますけれども、これによって行革のインセンティブは高まるというふうにお考えになられますか、土屋政務官。

土屋大臣政務官 行政改革は、自立性を高めるために、それぞれの千八百四の基礎的な自治体を中心としてやるわけですが、さらにこういう指標があればインセンティブは高まる、このように考えております。

寺田(学)委員 これがねちねちとしたと言われるゆえんかもしれないんですけれども、総務省の岡本全勝さんの「地方財政改革論議」というのを、私、ちょっと勉強不足だったのでいろいろ読むんですけれども、「「行革努力をして経費を節減すると地方交付税配分額が減るので、地方団体は行革努力をしない」との説を述べる人がいる。これはまったくの間違いである。」というふうに書かれていて、交付税算定の仕組みから導いて、行革努力をその単年度ですればその分自分たちの自主財源はふえるんですよということを言われていて、交付税をふやさなくとも行革努力のインセンティブは高まるんだということを切々とおっしゃっていらっしゃるんです。

 私もそのとおりだと思うんですよ。交付税が減る減らないとかという話は十分な形じゃない情報として与えられて、しっかり行革努力をすればその分だけ自由に使える財源は高まるんだという話もされているんだと思いますが、それでも行革のインセンティブはあると土屋政務官は思われますか。

土屋大臣政務官 先ほどお答えしましたように、それぞれ自己努力をするわけでありますが、さらにそれに加速される、こういうことだろうと思います。

寺田(学)委員 全くの間違いだぐらいまで言っている仕組みなので、そういうところは十分整理した上で、情報的に……。

 大臣、お答えになられますか。では、大臣、どうぞ。

菅国務大臣 実は私は、岡本、当時総務課長でしたけれども、大激論をしました。今までの総務省の考え方というのはそういう考え方でありました。しかし、私は、多くの地方自治体の長の皆さんからさまざまな話を聞いたときに、やはり今の仕組みは非常に問題がある、こういうことも実は言われたということも事実であります。そういう中で、私、副大臣当時でありましたけれども、財政力指数の低い、たしか〇・五以下だったと思いますけれども、そこでもその行革のインセンティブ、そうしたこともとらせていただきました。

 そして、私は常に言っていることでありますけれども、よく横浜市と大阪市のことを実例に出させていただいています。横浜市が三百六十万の人口で、たしかことしは交付税が百億ぐらいです。職員の数は今三万人を切っています。大阪市は二百六十万人で、職員の数は五万弱です。交付税は四百億が行っています。

 総務省の事務方から言わせれば、それは交付税というのは算定項目が決まっていますから、そういう感じであわせてやってきている。しかし、人件費がそれだけ莫大なところがありますから、そこはどう説明しても結果として国民に理解をされないんじゃないかなということも私は議論したこともあります。

 いずれにしろ、そうした中でこうしたことを私が竹中大臣のときに考えてきたということであります。

寺田(学)委員 交付税の仕組みが複雑であるということ自身、私も全部はわからないので、複雑だなとは思います。今、横浜と大阪の話をされましたけれども、確かにそのお話だけ聞くと、非常に人口に対する人件費のかかり方が違うなとは思うんですが、私自身よくわかりませんけれども、大阪と横浜では財政需要が違うのかなと単純に思います。生活保護者が多いとかさまざま、そういう理由で積算していくとそういう結果になってきているということだと思うんです。それを人口の部分と交付税額だけ引き抜いて、フェアじゃないじゃないかと言うのはやや乱暴に過ぎるかなと思います。

 かつ、これはちょっと残りの時間ではやれないですけれども、交付税の算定のあり方に関しても、今後も基本的に人口と面積でやっていくという形をとるんでしょうけれども、財政需要を正確に把握していくということ、今までこの交付税制度の中で励まれていた部分をぶっ飛ばして、今大阪と横浜のお話をされたようなニュアンスをもって交付税制度をつくり上げていくのは、ややせっかちに過ぎるのではないかなというのを思っております。財政需要というのは、もちろん、どこまで国がお金として面倒を見るかということの議論はありつつも、財政需要はそれなりに、それなりにというかできるだけ正確に把握する方が私はいいのではないかなというふうには思っております。

 頑張る地方に戻りますけれども、この政策というものは、何年続けられるおつもりで、かつ、どれぐらいのときに、まさしくこの政策、このプログラムがよかったか悪かったかみたいなものの評価をされるのか。大臣、どのように御想像されているんですか。

菅国務大臣 いずれにしろ、さきの臨時国会で地方分権改革推進法が成立をして、三年以内に一括法を提出するということは今決まっていますので、その三年間というのは一つのめどかなというふうに私は思っています。

 それ以降について見れば、やはりまさに国と地方の役割を明確に分担して、こうした仕組みなしに地方が自由度を増して自立できる、そういう仕組みというものを私はこの一括法以降についてはつくりたいと思っていますので、それまでの間の三年間かなというふうに私は思っています。

寺田(学)委員 では、これはどうやってこのプログラムが有効であったか無効であったか判断するんですか。大臣、いかがですか。

菅国務大臣 地方に活力が出てくれば、よかったなと評価されると思います。

寺田(学)委員 なかなか小泉さんのようなことを言われますね、本当に。

 正確にこのプログラムの評価というのは難しいと思うんですよ。ただでさえ、特交で、手を挙げたところへはお金をじゃんじゃん出して、かつ、手を挙げようが挙げまいが、成果指標に挙げられたものが数字が動けばぴょこぴょこお金をふやしていく。それで、うん、地方の元気が出たなと判断するには、余りにも短絡的かなというふうに思います。

 どうなんでしょう。率直な意見として申し上げますけれども、本当にこの三千億があるんだったら、違うものに使った方がいいんじゃないかなと。これは法律事項でもありませんでしたし、まだ検討段階でもあるので、もう一年、ちょっとゆっくり考えて、このプログラムをやるかどうかも含めて考え直すというのはあってしかるべきじゃないかなと。むしろ、さっき言われた、六月の骨太の方に消費税の方を織り込むために全力を投資するという姿勢の方が、私は地方も喜ぶんじゃないかなというふうに思うんですが、再考する余地というのはないんでしょうか。

菅国務大臣 先ほど来御指摘いただいていますように、決めたことについては私は全力でやっていきたいと思います。

寺田(学)委員 いや、具体的な内容はまだ決まっていないわけですから、まだUターンする余地は残っています。たとえUターンしても我が党は決して責めませんので、この三千億を僕は本当に有効に使ってほしいなと思うんです。

 かつ、交付税でやる理由がよくわからないんですよ。

 大臣が言われるとおり、頑張ったところが減って、さっきの大阪と横浜のようなやり方はありますけれども、だとしたら、その是正をするんだったら算定式の方を、こういう形の算定式ではなくて、動態的な指標に連動するような算定ではなくて、今ある基礎の算定のあり方を少し考え方を変えたり、国がどこまでお金を出すのかということを考え直したり、もっと根本的なところからいろいろやれると思うんですよね。そこから直していって、まさしく分権推進委の方で国の義務づけを廃止して、それがなくなったからこそ、こちら側として、国として補てんする部分のところを人口と面積にするんだという考え方は、そちらの方がまだやや根本的な感じがするんですよ、是非はともかくとして。

 ですので、大臣、本当にこの「頑張る地方応援プログラム」、頑張り方に関しても、さっき言った踏ん張る首長を応援できませんし、矢祭のような、少ない人口の中でそれ以上の行政サービスをする、行革をして人を減らすのではなくて、いる人間でその人たち以上のサービスをするというところもはかれませんし、町の美化という、ある種、住んでいる方にとってみると非常に強く心に残るものであったりということは数字でははかれない。

 それとともに、インセンティブ効果にしても、行革努力というのは僕は余りインセンティブは働かないと思いますし、この指標、二千二百程度しかないんですけれども、こういう指標が上がったところでこれを改善していこうとも思えませんから、私は、まさしく大臣の大英断をもって三千億を違う部分に使っていくことに決めたというふうにされる方がいいと思うんですが、全くUターンする余地はないんでしょうか。大臣、いかがですか。

菅国務大臣 私は、この「頑張る地方応援プログラム」というのは地方自治体の皆さんから大変喜んでいただいているというふうに思っていますので、これはぜひ進めさせていただきたい。

 今、福島県の、先ほど来お話ししています矢祭、そこについても、聞いていただければわかると思いますけれども、そうした日曜日等やっている取り組みに対して特別地方交付税で処理されることについては、私は多分、そこの村長さんですか、たしか合併しないところですよね、評価をしてくれるというふうに思います。

寺田(学)委員 時間になりましたので、せめて二段階ある特交部分と、あとは成果指標の部分の、特交の部分はいいですわ、成果指標のところだけはどうしてもこれ、何とも、効果もないだろうし、交付税のそもそもの役割に逆行しているような気がしてならないし、こういうのをやめられて、二千二百億を自治体病院の救済に充てるとか、予算をそのまま回せるかどうかは別ですけれども、そういう形にされた方がいいんではないかなということを一議員として申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 田嶋要です。よろしくお願いします。

 今、寺田委員の方からしつこく、ねちねち頑張るプログラムがあったので、僕はもちろん評価しているんですけれどもね、ちょっとその続きで、私も大体同じ意見なんですね。これは寺田さんと私だけじゃなくて、これまでも再三いろいろな方から言われているとだんだん大臣も心配になってくるんじゃないかなと思うんですけれども、先ほど話に出たふるさと創生のああいうのと同じで、また午前、いろいろ公務員のバッシングの話も出ましたけれども、間違っていたと思ったら引き返す勇気というのを見せるのも、これは名を上げると私は思うんですよね、大臣。

 公共事業なんて三十年前に決めた計画をそのままやるみたいな話もあるわけで、それがこれまでの役所の仕事の当たり前みたいなことが言われてきた中で、「頑張る」の方ですけれども、本当に何でこんなことやるのかなという感じがしていまして、そういう意味では、法律事項ではないということもあるわけですが、指標のあり方とかそういうことを、時間の制約があるわけじゃないですし、ぜひちょっと考えてほしいなということを私も申し添えたいと思います。

 後世に非常に汚点になるような、ふるさと創生の政策が今でもこうやって語られるぐらい恥ずかしかったと思うんですよ。それを大臣、また同じようなことを繰り返すつもりですか。

菅国務大臣 私は、ふるさと創生に対しての評価というのは、必ずしもだめだったということだけではないというふうに思っております。

 私自身、この「頑張る地方応援プログラム」でありますけれども、地方の活力を引き出すためにどうしたことが一番いいのかなということで、いろいろ議論して考えに考えた末、また、多くの市町村長さんからのそうした要望等もある中で今回提案をさせていただいているのでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

田嶋(要)委員 これは昨年の臨時国会の総理大臣の所信に入っていたというようなことなわけですけれども、やはりそういうところで出ちゃうとだめですか、やめちゃうことは。やはりこれは難しいですか。

菅国務大臣 私たちは、地方の皆さんから必ず支持をされると思いますし、地方の活力なくして国の活力なし、これが総理の基本的な地方に対しての考え方でありますので、そうしたものを実現するための有効なプログラムだというふうに私は考えます。

田嶋(要)委員 さっき、現場の地方の声も賛成しているということを、なぜ引き返さないかという一つの理由としておっしゃられましたけれども、私は、そういう方々が、総務省がヒアリングをしたときに、それをあたかも賛成するような意見を言うときに、やはり非常に慎重にそのレスポンスを分析しなきゃいけないと思うんですね。

 要するに、それは何かよりすぐれた政策との比較においてのことではなくて、こういうことをやろうとした場合どうだろうか、それは別に害にはならないと思えば、まあいいんじゃないというポジティブな評価をするかもしれないけれども、要するにさっきの三千億で、その原資がもっとほかの使い方があるのにというその部分に関して、現場の首長さん方がきちんとした意見を申し述べるような機会が本当にあったのかどうか。

 だから、大臣が直接話された方もこのプログラムを評価しているから後ろに戻らないんだというのは、やはり根拠としては弱いような感じが私はするわけですけれども、その辺まで十分な意思疎通をされていますか。

菅国務大臣 これは、私が大臣になって急に考えた話でもなくて、地方議員の経験、そしてまた副大臣としての就任中も含めて、そうした中から、地方に活力を持ってもらうためにはどういう政策がいいのかなという、そこについて私、かなりいろいろな方の意見も聞きましたし、熟慮もしてきました。そういう中で、有識者と言われる方からも意見も聞きました。あるいは現場の人からも、頑張っている皆さんからの意見も実は聞かせていただきました。六団体の代表の皆さんとも懇談をしました。そういう中でこうしたものができ上がってきたということであります。

田嶋(要)委員 いろいろと今までも出ていますが、このプログラムの中で、頑張った度合いの評価というのに総務省の恣意性というのが本当に排除されているのかどうかということがいろいろな方からも質問が出ていると思うんですが、もう一度確認しますけれども、このプログラムは恣意性というのは入らない、そういうことですか。

菅国務大臣 そこは明確にしたいと思います。ですから、客観指標を決めた場合は、まさにインターネットで、ホームページで公表するとか、そういう透明性というのは、これは間違いなく確保させる予定であります。

田嶋(要)委員 そういう意味では、大臣おっしゃるとおり、そこの部分に関しては恣意性は排除されていると思うんですが、これは寺田委員の方からも指摘された点ですが、私も、この九つの指標というのは、もっといろいろある指標の候補の中から九つが選ばれたんだろうと思うんですが、この指標を選んでいるのはどなたなんですか。

菅国務大臣 いわゆる有識者という皆さんの懇談会の中で、こういう指標が一つの指標として出てきました。それと同時に、私どもが今、副大臣、政務官、そして私、地方に出向いてこのことを説明をしている中で、現場の声として、これだけじゃなくて、いろいろなことが現場からも上がってきています。また、九つに固定をしたわけではありませんし、七月ということを前から申し上げておりますけれども、地方に行って地方の方の意見というものをその中に反映させて、できるだけ全国的、客観的な指標が可能であるものについては取り入れていきたいというふうに思っています。

田嶋(要)委員 もう一度ですけれども、この九つの指標を最終的に決められたのはどなたですか。

菅国務大臣 成果指標については、先ほど言いましたけれども、地方公共団体や有識者の皆さんから意見を聞いて、私どもがそれに基づいて指標を出させていただいた。これの企画立案に当たっては、すべての地方公共団体を対象に、活性化に向けて想定される取り組みと、その取り組みの成果をあらわす指標の提案を地方公共団体にも求めてきているところであります。

田嶋(要)委員 ですから、いろいろな意見をとったのはいいんですけれども、最終的にこのプログラムの、今書かれているこの九つの指標に決めましたね。決めたのはどなたなんですか。

菅国務大臣 それは、そういう中から、交付税の算定にふさわしい、そして全国、客観的な指標が可能なものについては私どもで決めさせていただきました。

田嶋(要)委員 だから、やはり総務大臣が最後は決めているということですね。だから、変数というか、こういう指標自体を決めているのはやはり最後は霞が関で決めている、大臣が決定されている、そこに先ほど申し上げたやはり恣意性が入るんじゃないですかね。こっちの指標じゃなくてこっちの指標を入れようというところを判断されているわけでしょう。だから、結局はそれは霞が関の恣意性が介在されていると思いますよ。

 どうでしょうか。頑張るということを、先ほども、踏ん張る、頑張る、いろいろあるみたいで、それぞれのところがやっているのに、ここに絞り込んで、そして、その絞り込んだ変数の設定というのは、最終的には大臣がやられているわけですよ。それが、私どもが申し上げている、恣意性を排除されていないんじゃないかということなんですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 ただ、先ほど申し上げましたけれども、全国の皆さんから上げてもらって、そういう中で、全国的また客観的なものとしてできるものについて、だれかが決めなきゃ悪いわけですから、取りまとめは当然私どもにならざるを得ないと思います。

田嶋(要)委員 私は、本来、自治体が頑張っているかどうかをやはり評価すべきなのは、その地域の住民ではないかなというふうに思うんですけれども、その点は大臣はどのように思っていらっしゃいますか。

菅国務大臣 それは、私も、そこについてはそう思います。

田嶋(要)委員 そうしますと、ちょっと質問通告はしてないですが、どこが頑張っているかということを、やはりさまざまな認識があって、住民一人一人の受けとめ方もいろいろだと思うんですが、私は、こういうプログラムよりも、やはり住民の声を何らかの形で聞いて、それを何か頑張り度の尺度として見ていく方がまだそういう意味では正確なものが得られるんじゃないかなというふうに思っておるんですけれども、大臣、いかがですか、そこは。

菅国務大臣 それは、地方自治体によって、それぞれの住民の考え方も全国で違うわけですから、地方自治体のことについての最終的な判断というのは、私は地域住民がされるべきだというふうに思います。

 ただ、これについては、全国的な指標でありますから、客観的な指標というのはそれぞれの住民がそこの場で決められることじゃなくて、やはり全国的、客観的なものについては、それぞれの地方公共団体の皆さんから、こういうものをという形で出していただいた中から私どもが決めさせていただいて、それで、客観指標というものを私どもはオープンにするわけですから、それに基づいて、そこに到達すればという形になりますから、非常に、ある意味では私はわかりやすいと思いますし、そこのところで私どもひとつ配慮させていただきたいと思っているのは、財政力の低いところの部分にどうするかということも含めて、全部ホームページでオープンな形にさせていただきたいと思います。

田嶋(要)委員 私は、先ほど大臣も御同意された、住民がやはりその頑張り度というのは本来評価をするべきで、したがって、民間企業などで時々採用される顧客満足度、それと類するような形でその自治体の行政の頑張り度というのを評価していく、そういう手法の方がやはりはるかに、本来の頑張り度、地域それぞれに異なる、取り組みもさまざまあるその頑張り度を評価する共通の手法としてはすぐれているんじゃないかな。そして、その評価が経年でどのぐらい例えば数字が上がってきたか、その評価ポイントか何かのですね、そういうような見方の方が、こういったプログラムよりはよほどすぐれているのではないかなというふうに意見を申したいと思います。

 それで、もう一つは、頑張った結果の、インセンティブあるいは、御褒美という言い方は余りよくないかもしれませんが、そちらに関してもお伺いをいたしますが、大臣、先ほど、寺田委員の質問、なぜこのプログラムをそもそもやろうとしたかという中で、地方に元気がないというその実態を何とか変えていきたいというふうにおっしゃいましたね。

 ただ、私思うんですけれども、そういったことをおっしゃったら、地方に元気がない、その元気を何とか取り戻していこうとしている改革が分権改革そのものじゃないかなというふうに思うんですが、どうでしょうか。

菅国務大臣 もちろん、地方が物事を決めて責任を持てる、そういうのが、私は最終的に地方分権だというふうに思っています。この改革が進むことは、当然、私も、担当大臣でもありますから、先般皆さんに同意をいただいた地方分権改革の推進委員七人、この皆さんによって新たな一括法を三年以内につくってもらう、そしてそれを実行していく、これはやはり物すごく大事なことであるというふうに思います。ただ、現在の中でできることという中の選択であります。

田嶋(要)委員 ですから、地方に元気がないのは、本来、分権改革をもっと進めるべきところが、まだ権限や財源の移譲が十分に行われていないからやはり地方に元気がないのではないかなと私は思うんですよ。つまり、今の改革が中途半端な状況にあるから、これを一日でも早く前に進めることが地方の元気につながるのであって、交付税によってこういった形のインセンティブ制度をつくっていくというのは、やはり私はおかしなことだろうというふうに思っているわけなんです。

 一つ確認ですけれども、不交付団体と交付団体では、大臣、当然、不交付団体の方が自立度は高いわけですよね。

菅国務大臣 そういう意味で国の制約が非常に少ないわけですから、当然、自立度は高いと思います。

田嶋(要)委員 そういう意味では、同じように交付されている団体の間でも、同じ財政規模であれば、交付額の多い自治体はより依存度が高い自治体であるというふうに言えると思うんです。そういう意味では、この「頑張る地方応援プログラム」の本質的な欠点の一つは、頑張ったところが依存度が高まる制度になっているということだと私は思うんですね。頑張れば頑張るほど交付税をより多くもらえる形になっている。

 結果的には、先ほど申し上げた大きな流れ、要するに、なぜ地方に元気がないか、それは、財源も権限ももっともっと自分で使えるようにしていかなきゃいけない、それが本来の分権改革であって、それが道半ばであるから地方に本来元気がない、私もそう思いますけれども、そういうことから考えると、やはりこのプログラムは、途中で何かできることとおっしゃいましたけれども、私は、方向性としては、役所の恣意性ということもありますが、さらに加えて、本来目指すべき分権の流れからすると逆行した中身ではないかなというふうに思っておるんです。いかがでしょうか。

菅国務大臣 今の交付税という仕組みの中で、地方に活力を生み出すための一つの考え方であって、地方分権とは全く逆行はしないというふうに私は思います。

 さらに、支援をするというんですか、自分たちで参画して計画を出す、そのための取り組み指標ですから、それは、どこに多く少なくということでも当初はないわけですし、客観指標というのはそのインセンティブにつながるということであります。私はやはり、今までの交付税というのは逆だったというふうに思っていますので、それは分権と逆行することはないと思います。

田嶋(要)委員 もう一つ伺いますが、頑張った地方へのインセンティブの上げ方として、その自治体の自立度を高めていくようなインセンティブが望ましいというふうにはお考えですか。

菅国務大臣 これは交付税ですから、自由に使えるお金ですから、そういう意味では、それは当然地方自治体が自由に行うことができるわけですから、それは当然そういう方向になっていくと思います。

田嶋(要)委員 一般論として、頑張った地方については、その地方の自立度が高まるようなインセンティブをつけていくべきだというふうにお考えですか。

菅国務大臣 それは交付税で地方が自由に使えるお金でありますから、当然その分はそういう方向に、自立度が高まっていく方向に私はなっていくと思います。

田嶋(要)委員 私は、先週の私自身の質問の中で、借入金の件、借入金の自由度の関係、事前規制の問題を指摘させていただきまして、政令市とそれから都道府県に関しては事前のそういった規制が必要ないような形にしていくべきではないかというふうに申し上げたところです。私は、まさしく、どういう形で頑張り度を評価するかはまず一つ問題としてありますけれども、頑張ったところに対しては、例えば財源の自由度、財源でもっと自分たちで自由度を高めていくような制度を、ぜひこれから、可能であれば検討してもらいたいなというふうに思うんです。

 今申し上げた、例えば、ある頑張りのあるところに関してはそういった外部からの資金調達の部分に関しての事前規制をもう少し緩やかにしていくとか、そういうような形の、要するに一個一個の、個別の、地場の産品とか少子化とか、そういうものはどうやったって、最後に選んでいるのは大臣なんですよ。だから、何を選ぼうがそれは恣意性が入っているので、そういうことよりもやはり自治体の自立を高めていくような制度を導入していくような検討をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 なかなか御理解いただけないんですけれども、客観指標を出して、その目標に到達すればそれぞれの地方団体の自由になるわけですから、私どもが選ぶのじゃなくて。ただ、客観指標については、私どもがそれぞれの地方団体や有識者の皆さんからの意見の中でつくらせていただく。到達しないかどうかというのは、それはすべてそれぞれの地方団体になるわけでありますし、それに到達したところには交付税で上乗せが行くわけです。それは補助金でもありませんし、自由に使えるお金でありますから、そういう意味で、私は、自立度というのは高まってくるというふうに思います。

 財源的によくなれば、そうしたことも当然自由になってきますよね。そういう意味で一つの方向かなと思いますけれども、ただ、これによってそこを位置づけるかどうかということはまだ検討はしていないというところであります。

田嶋(要)委員 いずれにしても評判がよくないと僕は思います。

 それで、先ほども、いつまでやるのかということで、三年という話がございましたけれども、きょうは私、この後、行政評価局の関係の質問もしたいと思っておるんですけれども、行政評価局で政策評価をやる、それがお仕事なんですが、これはやっていただけませんか。どうなんでしょうか。これは年間十本ぐらい評価しているそうなんですけれども、御自分の役所のプログラムも評価がもちろんできるわけですね。検討対象に加えることは可能なんですか。

菅国務大臣 スタートして、時間がたったらいいじゃないかと思います。スタートして、それなりの時間がたって、評価の可能性、評価することができるようになったら評価してもいいんじゃないかなというふうに私は思います。

田嶋(要)委員 ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 続きまして、新型交付税に関しても質問させていただきますが、この新型交付税に関しまして、先週ですか、せんだっての御答弁の中で大臣は、非常に複雑で関係者にわかりにくいと不評の交付税に関しての予見可能性を高めるのが目的だというふうにおっしゃいましたが、その意味に関してもう一度御答弁いただきたいんですが。

菅国務大臣 現在の交付税の算定項目というのは、たしか九十幾つあるんですね。それを今回の新型交付税を導入することによって六十ぐらいに、三十ぐらいたしか算定項目が減ります。そういう中で当然予見可能性というのは高まってくるというふうに思いますし、また、地方自治体の皆さんから、来年の交付税どうなるんだろう、なかなか算定できない、できるだけ予見可能性の高いものにしてほしい、そういう強い要望もありますので、このことを導入することによって、若干でありますけれども、予見可能性というのは私は高くなると思います。

田嶋(要)委員 スタートとしては約一割ぐらいですか、一割ぐらいが包括算定経費ということになるわけですが、当然、残りの九割は個別算定経費として残るわけですよね。いずれにしたって、変数というかブラックボックスのところが九割あるので、予見可能性は僕は一切高まらないと思うんですよ。だからそこは、大臣、誤解をされておるのではないかなと思うんですけれども、もう一度御答弁いただけますか。

菅国務大臣 しかし、これは、一たん人口と面積で計算をすることによって、九十幾つは六十になりますから、予見可能性というのは私は当然高まると思います。

田嶋(要)委員 要するに、具体的に数字が見える部分がありますね、人口と面積で。だけれども、残りが全然見えないんですよね。だから、それを足し算すればやはり見えないということですよね。そういうことですよね。

菅国務大臣 確かに残りの部分がありますけれども、見えるところが多くなるじゃないですか、これを導入することによって。結果的に、私が言っていますように、地方分権というのは何としても推進をして、国と地方の役割を明確に分担して、権限とか財源とか税源が地方に行って、地方の自由度を高める、そこまで行くまでの、現時点として私は可能な限りの政策だと思っています。

田嶋(要)委員 見解の相違かもしれませんが、この予見可能性を高められるアクションというのはほかに何かございますか。これで予見可能性が高まっていると大臣はおっしゃいますけれども、ではこれ以外にこの交付税の予見可能性を高めていくために今後考えられていることはございますか。

菅国務大臣 やはり、算定項目を簡素化するということが予見可能性を高めるための私は最大のことだと思っています。

田嶋(要)委員 それでは、次の質問に移りたいと思いますけれども、統一地方選挙の間に地方改革推進委員会というものができました。それで、今度第二期というんですか、地方分権改革の第二期が始まったということなわけです。確認させていただきたいのは、二〇〇〇年の改革で機関委任事務が廃止をされました、第二期においては、これから三年以内に法律を出すということなわけですが、第二期というのは何を目玉にしていきたいと大臣は考えられているか、具体的なものは今ございますか。

菅国務大臣 私は、白紙から、ゼロベースで検討してほしいというお願いをさせていただきました。ただ、当然、前回の積み残しの部分というのはあると思いますから、そうしたことも計画策定する上で重要な根拠になると思いますけれども、とにかく、地方にできることはすべて地方にやれる、それぐらいの白紙の状況でぜひお願いしたい、そういう考え方を私は持っております。

田嶋(要)委員 それで、地方議員も御経験された大臣が、機関委任事務の廃止、そういうような一つキーワードとなるような、大臣の見た現状、分権改革の今道半ばだとして、これから本当に残されたところで一番のきいてくるポイントみたいなものは何かお持ちじゃないんですか、大臣御自身として。

菅国務大臣 私は基本的に、先ほど言いましたけれども、ゼロベースで見直してほしい、国と地方の役割を明確に整理をしてほしい、そのこと。そして、権限、税源、財源を地方にゆだねて地方の自由度を高めてほしい。そこから先、この分権を成功させることによって、私は道州制というのが見えてくるというふうに思っています。私は、当初のあいさつの中で申し上げたのは、日本の国の形を変えるぐらいのそういうものにしたい、そういう中の分権改革ということで、全くゼロベースでお願いをしたい、そういうことを申し上げました。

田嶋(要)委員 これは強力なリーダーシップがもちろん要るわけで、私、前回のいわゆる三位一体で大変残念だったことの一つは、補助金改革が、補助率、そういう形ですりかえられたというところは大変私は残念だったと思うんですが、そういうことが繰り返されないように、ぜひ大臣に頑張っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、先ほどの行政評価局に関してお伺いをしたいんですけれども、世の中の流れとしては徐々に、事前規制から事後にその評価をして、プラン・ドゥー・シー・アクションですか、PDCAですね、そういったサイクルに乗っけていく、これがいろいろな国の政策分野でも流れになってきておるわけです。

 一つ目としてお伺いをしたいのは、総務省の中に行政評価局というものがございます。これがほかの先進国の組織のあり方とは少し異なるように理解をしておるわけでございますが、大臣も、総務大臣になられて、そういったことは以前から御承知だったと思いますけれども、このことに関してどのように評価をされますか、大臣。

菅国務大臣 私は内部の会合でよく申し上げているんですけれども、この行政評価というのは、なかなか国民の皆さんにはまだ理解をされていないんですけれども、しかし果たす役割というのは極めて大きいというふうに思っておりますので、これは、もっともっと国民の皆さんにわかってもらえるような、そういう制度に私自身も変えていきたいというふうに思っています。

田嶋(要)委員 私も、うまくいけば大変役割の大きい部分になってくると思うんですが、やはり、なぜほかの国と位置づけが違うのかなということも含めて、うまくいかないかもしれないという心配もあるわけですね。

 具体的には、総務省の中にあるこの局の評価が、ほかの局、ほかの役所に対してどのぐらい強制力が持たせられるのか、あるいは翌年の予算に対して影響が及ぶのか、そこはやはり気になるところでございます。ほかの先進国では財務当局、予算当局にこういうものが置いてあるケースもあるわけですけれども、その点に関しては、大臣はどのように御認識されていますか。

菅国務大臣 私どもが評価をさせていただいて指摘したことについては、それは財務当局も、それぞれの私どもが評価したところの省庁も、私どもの方向で物事が進んでいくというふうに私は思っています。

 ただ、私どもは限られておりますので、私は、もっとこの評価制度というものを充実させ、そしてまた、私どもにももう少し権限があってもいいのかなというふうに実は思っております。

田嶋(要)委員 そうですね。今二百名とかそういう陣容ですけれども、それでもかなり専門部隊という印象を受けるわけですが、私は、ぜひこの局が、今後大きな役割を果たすのであれば、霞が関で恐れられる存在になっていかなければいけないというふうに思うんですね。だからそれは、やはり情報公開という部分も含めて、あるいは切り込み方という部分も含めて、鋭くなっていかなきゃいけないんだろうと私は思うわけです。

 そこで、中の仕事の中身としては、行政評価・監視というんですか、昔から行われている部分と、それから平成十四年からスタートいたしました政策評価という部分が中にあるわけですが、どれも似たような、何度聞いてもその差が余りよくわからないような感じもしておりまして、大臣、ぜひ、ひょっとしたらうまく化けるかもしれないわけですけれども、御自身の省の中のこの局が本当に有効に機能しているのかどうか、あるいは人員的な無駄もないのかどうか、そういうことを改めてきちんと見ていただきたいなというふうに思います。

 例えば外部の人材をもっと導入していくとか、中途採用で民間の方々にもいろいろ入っていただくとか、いろいろ専門性も高い仕事だと思うんですね。そして、ほかの役所が表にされると嫌なような部分に関してどんどん切り込んでいって、税金の無駄遣いがあるのかどうかとか、そういうことも取り組んでいくのだろうというふうに思いますので、その辺に関して、改めて大臣の方から、御自身の、総務省の中にある行政評価局に関してしっかりと、それこそよそのいろいろな政策を評価する前に行政評価局自体のあり方をきっちり評価していただかなければいけないというふうに私は思うわけですが、大臣、いかがですか。

菅国務大臣 行政評価局が今行っている評価については、私は評価をしています。ただ、もっと陣容を強力にして、この体制で取り組んでいきたいというふうに思っています。

 今でも私どもが行政評価をさせていただく省庁からはかなり嫌がられていることも事実でありますし、そういう意味で、私どもとすれば、無駄遣いを防ぐためにも、私どもの果たす役割というのはこれから極めて大きくなってくるというふうに思っていますので、これは充実させていきたいと思います。

田嶋(要)委員 一つの御提案は、これも始まったばかりでございますが、内閣府の方の市場化テストと連動ということを私はぜひお願いしたいと思うんですが、この点に関しては現在どういうふうになっておりますか。

菅国務大臣 私どもは、この評価を行ったその結果については、関係府省に勧告の後、同時に、すべて公表いたしております。

 政府全体として、評価の結果が適切に活用されることが期待されており、当省としては、今後とも、評価の結果の周知を図るとともに、各方面による行政の改革、改善に資する評価の活動に努めていきたいというふうに思っています。

 さらに、この市場化テストとの関連でありますけれども、それぞれ私どもの行ったことを参考にしていただければありがたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 ですから、プラン・ドゥー・シー・アクションの部分のアクションだと思うんですけれども、評価した結果、何らかのアクションがついてくるわけですが、そのアクションの中の一つの選択肢として、これは役所でやる必要はないのだな、ひょっとしたら民間の方がいいかもしれないということで、内閣府で始まった市場化テストの方にこの評価結果がきっちりと情報としてフィードバックされて、そして民間の方々が市場化テストの、いわゆる毎年六月か七月に手を挙げる形があると聞いていますが、そういった制度につながっていくというようなことをしっかりと連携してやっていただきたい。

 私の聞いたところでは、今の時点ではその連携は全くないということなので、この行政評価局と市場化テストをやられておられる内閣府の方と連携を図っていただきたいというふうに思いますが、もう一度お願いいたします。

菅国務大臣 ぜひ前向きに検討していきたい、こう思います。

田嶋(要)委員 あともう一つ。先ほど、私、頑張るプログラムをぜひ評価していただきたいというふうに申し上げましたが、その評価の対象をだれが決めているかということでございまして、今年間十本ぐらい評価をしておるということですが、これにもぜひ広くいろいろな人の意見を取り入れるような道をつくったらどうかなと私は思っていまして、パブコメをやられてはどうかなと思うんです。その点に関して、もう最後の質問になると思いますけれども、今はやっていないということのようですが、その点も御検討いただけますでしょうか。

菅国務大臣 現在は、テーマの選定については、政策評価・独立行政法人評価委員会における調査審議を踏まえるほかに、総務省のホームページにおいて、政策評価、行政評価・監視に関する具体的提言の受け付けという形で、広く国民の意見、要望を受け付ける体制はとっております。

 こうしたテーマの選定に当たっては、広く国民の意見を踏まえて、国民の関心の高いテーマや早急に改善する必要のあるテーマに取り組んでいるところでありますけれども、そうしたことも踏まえて検討していきたいと思います。

田嶋(要)委員 ぜひ、その点もよろしくお願いいたします。

 もう一つだけ確認しますけれども、独立行政法人の評価というのも業務の一つとしてあるわけですね。先ほど申し上げた二つ、政策評価と行政評価に加えて、三つ目の柱として独立行政法人評価というのがあるんです。これは、それぞれの所管省庁の一次評価の後ろで補完的に行う二次評価だというふうに理解をしていますけれども、最近、私ども、それこそ武正先生を中心にやらせていただいた予備的調査ということで、独立行政法人に関して情報が非常に分厚い本で何冊も出てきたわけですね。その結果に基づいて、先日も読売新聞に出ていますけれども、独法の発注の六割が随意契約だとか、そこに大変多くが天下っているとか、こういうことが出てきたんです。

 総務省の内部にあるこの行政評価局が本当に果たして機能するのかなということに関して、私が余り期待できないかなというふうに思っている一つの理由は、何でこういうことが予備的調査とかで我々がアクションをとって初めて表に出てくるのかなと。せっかく、総務省の中にこういう局がしっかりあって、何百人も人がいて、独法評価という役割まで与えられていながら、それぞれの一次評価が一個一個の独法を見るのはわかりますけれども、くし刺し的な独法の今の実態に関しては、まさに嫌われている役割の評価局が、我々が予備的調査で得るよりもずっと前から発見して、そういうのをパブリックに対して公表していただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、それはどうですか。

菅国務大臣 今までは、私どもは二次的な調査でやりましたから、しかし、これからは厳しく業務にも切り込んでいきたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 そのぐらいが限界だと思うんですが、いずれにしても、やはり嫌がられる調査をきっちりやってもらって、いかに税金の無駄遣いが多いのか、大体、そこらじゅうにあるという前提で切り込んでもらいたいと思うんですよね。そのぐらいやってもらわないと、行政評価局自体を評価した結果、やはり要らないという結論にならざるを得ないわけだから、そこはしっかりやっていただきたいというふうに最後に申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、内閣提出、統計法案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。菅総務大臣。

    ―――――――――――――

 統計法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 統計法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 新たな統計法制度のあり方に関しましては、内閣府の統計制度改革検討委員会及び総務省の統計法制度に関する研究会において、昨年六月に報告が取りまとめられました。さらに、昨年七月に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六において、「統計整備の「司令塔」機能の中核を成す組織を内閣府に置くこととし、同組織は、基本計画の調査審議や内閣総理大臣等への建議等を行う統計委員会として設置する方向で検討する。」とされたところであります。政府は、これらの報告及び閣議決定に沿って、このたび、本法律案を取りまとめ、御提案することとなったものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とするものであります。

 第一に、公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本的な計画を策定することとするとともに、公的統計を、その体系の根幹をなす基幹統計とそれ以外の統計に区分して規律を整備するものであります。

 第二に、統計データの利用促進と秘密の保護を図るため、調査票情報の二次利用ができる場合を明記するとともに、委託に応じた集計による統計の提供や匿名性の確保措置を講じた統計データの利用に関する規定を整備し、また、統計調査によって集められた調査票情報等の適正管理義務及び秘密の漏えいの禁止に関する規律を、統計調査事務の受託者を含めて明示的に課すこととするものであります。

 第三に、各府省が作成する統計を総合的かつ体系的に整備するための企画立案・調整機能の強化を図るため、基本計画案等の調査審議及び内閣総理大臣等への意見具申を行う統計委員会を内閣府に設置するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.