衆議院

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第19号 平成19年5月11日(金曜日)

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平成十九年五月十一日(金曜日)

    午後零時十一分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 林  幹雄君

   理事 森山  裕君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      遠藤 宣彦君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    長島 忠美君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    広津 素子君

      福田 良彦君    渡部  篤君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    田嶋  要君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      松本 剛明君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      佐々木憲昭君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 岡本 全勝君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長)    松田 敏明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     遠藤 宣彦君

  木挽  司君     近藤三津枝君

  萩原 誠司君     長島 忠美君

  渡部  篤君     広津 素子君

  安住  淳君     松本 剛明君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     石田 真敏君

  近藤三津枝君     木挽  司君

  長島 忠美君     萩原 誠司君

  広津 素子君     渡部  篤君

  松本 剛明君     安住  淳君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

五月九日

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)

同月十一日

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案(内閣提出第六八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。菅総務大臣。

    ―――――――――――――

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、個人情報に対する意識の高まりへの的確な対応及び住民基本台帳に対する信頼性の向上を図るため、住民票の写し等の交付の制度について、交付請求の主体と目的を一定の要件に該当する場合に限定し、請求時の本人確認手続を整備するとともに、転出、転入等の届け出の際の本人確認手続を厳格化し、あわせて偽りその他不正の手段による住民票の写しの交付等に対する罰則を強化するものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、住民基本台帳に記録されている者は、自己または自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し等の交付を請求することができることとするとともに、交付の際の本人確認手続等を整備することとしております。

 第二に、国または地方公共団体の機関は、法令で定める事務の遂行のために必要である場合には、住民票の写し等の交付を請求することができることとするとともに、交付の際の本人確認手続等を整備することとしております。

 第三に、第一、第二によるもののほか、住民票の写し等の交付を請求することができる者について、住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者等に限定するとともに、交付の際の本人確認手続等を整備することとしております。

 第四に、戸籍の付票の写しの交付の請求についても、住民票の写し等の交付の請求に準じて規定を整備することとしております。

 第五に、転出、転入等の届け出の際の本人確認手続を整備することとしております。

 第六に、偽りその他不正の手段による住民票の写し等の交付、戸籍の付票の写しの交付または住民基本台帳カードの交付に対する制裁措置を強化することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四十二分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官岡本全勝君、地方分権改革推進委員会事務局次長松田敏明君及び総務省自治行政局長藤井昭夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 まず大臣にお伺いをしたいと思います。

 参議院から衆議院に渡ってこられてお聞きをするわけでありますが、お聞きをするのは天下りの渡りについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 三年間でという数字が発表になっていますけれども、感覚的に、これではとても全部が出ていないんではないかとおっしゃった方もおられますけれども、大臣として、指示をされ、お調べになった結果がこれでいいのかということを改めて確認したいと思います。

菅国務大臣 調査対象期間であります平成十六年から十八年、この間、二回目以降の再就職をあっせんしたものとして総務省が確認したものは、私どもの中では一名でありました。これは、その他確認されたものはない。

 ただ、私自身も、今委員が言われましたけれども、確認できたのはこれだけかなという、実は最初はそういう懸念を持ったものであります。

松本(剛)委員 どのような問題も同じでありますが、やはりまず事実をしっかりと解明しないといけないということが大きなテーマだろうというふうに思います。

 特に、官僚主導という言葉と政治主導という言葉がよく言われますが、私どもも、最大の問題は情報をいわば官僚の方が全部握っているということにあると思います。はっきり申し上げれば、大臣への御報告ですらそういうことであるというのはやはり非常に大きな問題であり、また逆に言うと、漏れ聞くところによると、来週から天下りに関連する審議も衆議院でも本格化をするように聞いておりますけれども、ここでしっかりと出さなければいけない時期に来ているというふうに思いますので、大臣としては、そのような感覚をお持ちであれば、改めて指示をされて、しっかりと調べてみたい、こんな御意思があれば御表明をいただきたいと思います。

菅国務大臣 何事も、この問題だけでなくて、やはり明らかにすべきことは明らかにする中で議論をしていくというのが大事なことであって、そのことによってまたさまざまな問題が解決の方向に向かっていくだろうと私は思っています。

松本(剛)委員 同僚の議員も質問の折々にこの渡りの問題についてもお聞きをしていきたいと思いますので、大臣もぜひ、その感覚をお持ちいただいているということを改めて所掌の省内にお示しをされて、しっかりと事態を解明していただきたい、このように思います。この問題は本当に構造的な問題につながる問題だというふうに我々も認識をしており、しっかりと議論をさせていただきたいと思っています。

 関連をするとも言えると思いますが、独立行政法人の問題についてお伺いをしたいと思います。

 一昨日だったでしょうか、参議院の決算委員会でも、我が党の藤本議員と、独立行政法人全般とそれから情報通信機構について御議論いただいておりますので、内容、詳細は重なるところは省いていきたいと思いますが、一つは、大臣自身もおっしゃっていますが、全体を所掌する立場として、最近の報道では全廃とか民営化という言葉が躍っておりますし、総理もそのように指示をされたようにも報道されていますが、全体を所掌される大臣に対して、総理から全廃ないしは民営化の指示があったのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 この独立行政法人について、先般の経済財政諮問会議の中で、有識者議員より、渡辺行革担当大臣に対して、総務省と連携しつつ、百一の独立行政法人すべてを見直しすべく、年内を目途に独立行政法人整理合理化計画を策定するよう要請がありました。この諮問会議で示された課題というのは大変重い、このように私は受けとめております。

 総務省としても、これまで独立行政法人の業務の実績の評価や事務事業の見直しなど行ってきたわけでありますけれども、そうした蓄積された知見というものを生かして、民営化すべきものは民営化する、廃止するものは廃止する、それはある意味では当然のことであるというふうに私は思っておりますので、総理からもしっかりと見直しをするように強い指示がありましたので、そうしたものに従ってしっかりと対処していきたいと思っています。

松本(剛)委員 確認ですが、全廃ないしはすべて民営化といったような言葉も躍っていたように記憶をしておりますが、見直しというのが具体的な内容だという理解でよろしいですか。

菅国務大臣 全廃ということはないというふうに思っています。民間でできるものは民間に委託する、さらに、民間にゆだねた場合には実施されないおそれのある法人及び事務事業に限定して、それ以外は廃止をする、そうしたいろいろな方向性の話がありまして、必要なものとそうでないものをやはりしっかりと精査をして、廃止すべき点は廃止する、そういうことだと考えています。

松本(剛)委員 一昨日の参議院の審議の結びのところで大臣は御発言をされていまして、私もネットなどで確認をしたんですが、一言で言えば、大臣は、これはかなり問題があるというふうに思っておりますと、質疑を聞いた上でおっしゃっておられます。

 独立行政法人はやはりかなり問題を含んでいるものが相当あるのではないか、そういう可能性はあるという御認識だという理解でよろしいですか。

菅国務大臣 例えば、今問題になっています緑資源機構の官製談合、こういうものについては、やはりどう考えてもそこまで必要であったかどうかということは議論するまでは明らかでないと思いますから、そういうものを私どもはもう一度また渡辺大臣に協力して精査して、必要なものは残し、そうでないものは民営化する、ここは徹底してやっていく必要があるというふうに私は思っております。

松本(剛)委員 この質疑の中でも指摘をされておられますし、私どもも衆議院にお願いして予備的調査をさせていただきましたが、やはり相当な数の随意契約であったり、落札率一〇〇%といったような取引であったり、結論から言えば、天下りを含めた一つの内輪の世界の中で、しかし使っているのは国民から集めた税金だ、こういう構造になっていると言ってもいい問題がある。その一つの中核の組織として独立行政法人というものがあるというふうに私どもは認識をし、逆に、必要な調査があるということで、衆議院にもお願いをさせていただきました。

 そういう意味で、独立行政法人についてやはり原則全廃といったような姿勢で臨むぐらいでないと、見直しというだけでは弱いと思いますが、そこは菅大臣であるからこそ言えるせりふではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私も所管をする大臣として精査している部分もかなりありますけれども、しかし、やはり必要な部分、官で関与していなきゃできない独立行政法人というのもあるというふうに私は思っていますから、それはやはり一つ一つしっかりと精査をして、そのかわり全く必要でないものについては民営化する、そういう強い態度で臨んでいきたいと思います。

松本(剛)委員 総務省の御所管ですからよく御理解されていると思いますが、消防の独立行政法人というのはむしろ戻されました、官でやるべきことだということで戻されました。我々も、今独立行政法人がされていることが、全部民でやればいいことだというふうには思っていません。しかし、独立行政法人という組織の形態というものが、非常にいろいろな問題を引き起こしかねない状況になっているのではないかというふうに認識をしています。

 それで、ひとつ大臣にはぜひ踏み込んでお考えをいただきたいと思うのは、やはりこの問題は、特殊法人改革からのある意味では一つの流れで来ているという問題があると思いますが、特殊法人改革のときに、私も国会でも当時の担当の大臣の方にも要請をさせていただきました。つまり、本来国でやるべきものであれば、当然国会でも担当の政府の方も質疑に答えていかなければいけないのが特殊法人である。特殊法人というものを改革と称して独立行政法人に回す、そして独立行政法人でできなければこれを財団とか社団で回す、こういうことになっていくと、むしろ本当にだれもどんどんどんどんコントロールできなくなるんじゃないか。特殊法人改革というのがそうならないようにするためには、やはり中途半端なものをつくるのはよくないのではないかということをそのときに申し上げました。

 しかし、今回の、今百余りの独立行政法人というのは残念ながらそれに近い状況になっているおそれがあるというふうに思っています。ぜひ特殊法人改革をまず、結局はそれはある意味では独立行政法人改革という看板倒れになってしまった、この総括と反省をいただかないと、独立行政法人をたとえ全廃するといっても、また新たな種類の組織が生まれてくるおそれがあると思いますが、特殊法人改革について一度総括をしていただくということはお願いできませんか。

菅国務大臣 今の独立行政法人の実態、そういうものを考えたときに、そうした危険性というのは確かに私はあるということを素直に認めさせていただきたいと思います。

松本(剛)委員 安倍総理も総理になって変わられたといいますが、大臣も大臣になって変わられたということのないように、ぜひやっていただきたいというふうに思います。

 特に、これは本当に国民の税金に直接かかわってくる問題でありますし、独立行政法人というものの本来の趣旨からすれば、今ここでは直接取り上げることはありませんが、例えば郵政のように別のところからある意味ではお金が入ってきて運営をされているというものであれば、形態が何がよかったのかというのはまだいろいろな議論があると思いますけれども、考えられると思いますが、今の独立行政法人は、この前の質疑でもお聞きになったように、一兆七千億というお金が予算では運営費交付金という形で流れているわけでありまして、これはある意味では独立でも何でもないんですよね、それだけ流れていれば。とすれば、むしろ、民間レベルでいえば子会社化することによってガバナンスがきかなくなるというおそれの方がはるかに高いわけでありますから、独立行政法人という形態、もしくはそこに当てはまるべきものをもう一度全面的にやはり見直すということがぜひ必要だと思いますので、その決意をいただきたいと思います。

菅国務大臣 特殊法人改革をし、こうした独立行政法人というものができて、その当初の目的と違った方向に行く危険性があるということも、私はそれは感じております。

 そういうことも含めて、年内にですか、一応全部、百以上を見直す、そういうことだろうというふうに思いますので、私自身もそうしたことについて決意を持ってしっかりと対応していきたいというふうに思っています。

松本(剛)委員 一度は、特殊法人改革は、ある意味で、我々も含めてかもしれません、国民もだまされたとまで言うと表現が適当ではないかもしれませんけれども、それに近い結果だと言わざるを得ないというふうに思っておりますので、今度は同じことは通用しないということで、よく見ていただきたいと思います。

 もう一つ、独立行政法人に関連して、これは通告申し上げていませんが、独立行政法人の、公務員でない、非公務員化をある意味では進めてこられておりますが、独立行政法人の非公務員化された職員というのは民間人なんでしょうか。

菅国務大臣 常識的には民間人じゃないかと思います。

松本(剛)委員 きょう午前中の質疑で、年金機構ですか、新しいこの特殊法人の職員も民間人だ、こういうお答えでありました。

 民間人の給料が税金で払われている、給料は税金で払われている民間人という理解でいいわけでしょうか。

菅国務大臣 年金機構の話のことは私は承知しておりませんけれども、公務員型から非公務員型になる、それはやはり民間人と考えるのが自然じゃないでしょうか。

松本(剛)委員 独立行政法人によって会計とか収入の形態が違いますが、我々も多くの独立行政法人を見てきていますが、運営費交付金、そしてまた、場合によっては補助金など、もしくは官との契約など、発注などを受けているということからすると、かなりの部分の収入は税金が占めていることは間違いありません。それからすると、もう一度お聞きをしますが、独立行政法人の非公務員化された職員も税金で給料が払われている民間人だという理解に間違いはないということでいいですか。

菅国務大臣 すべてじゃなくて、大部分はそうなっていると思いますけれども、いろいろな形態があるのではないかなというふうに思います。

松本(剛)委員 独立行政法人には税金で給料を払ってもらっている職員がかなりたくさんいると。民間人で税金で給料をもらっている、しかも運営費交付金ということであれば、かなり本質的にもらっているということになると思いますけれども、民間人の定義というか、非公務員化というのは何なんですか。

 我々は、先ほどの独立行政法人の決算での質問も、落札の問題であるとか随意契約の問題だとか、一番に行うべきは、国民の税金がどう効率的に使われて、どれだけの行政サービスを生んでいるかということが本質的な問題だと思うんです。だとすると、外に対して政府は、非公務員化ということによって公務員を何人減らしましたと言っていますが、公務員が減ったということを聞いたら、国民は、その分だけ税金で払われている給料を受け取っている人は減ったんだろうなというふうに思うわけですよ。しかし、今お話があったように、実は、非公務員化しても運営費交付金その他変わったというケースの方が少ない。多少の増減はあります、しかし、根本的に変わったというケースは少ない。非公務員化というやり方そのものが、ガバナンスのことも含めて、かえって、その場しのぎ、ないしは、悪く言えばごまかしになるんじゃないですか。

菅国務大臣 そういう問題も含めて、人件費を減らす中で、やはり民間の手法を取り入れて、さまざまな中期目標なり行っているわけでありますから、それは一つの独立行政法人化の過渡的な問題じゃないかなというふうに思います。

 そういう中で、私どもは、もう一度見直しをするということでありますから、それはその時点でしっかり対応していきたいと思います。

松本(剛)委員 もう一つ、今申し上げたように、国民に対して、やはり国民の皆さんの税金ですから、非公務員化しますが、ただし税金はしばらく使って給料を払いますと必ずつけ加えるのが国民に対する誠意だと思いますが、これからそのようにしていただく気はありませんか。

菅国務大臣 そういう意見があることを私は真摯に受けとめさせていただきます。

松本(剛)委員 これは、政府としてやはり税金の使い道を国民にどう説明するかという話でありますから、非公務員化という言葉には、それによって税金を使わなくなるのか、引き続き使うのかというのは本質的な問題でありますから、軽々に非公務員化という言葉をひとり歩きさせるということは国民に対する誤解を招くということを申し上げているわけで、これはこれから政府として使わないということで、少なくとも総務大臣としてはお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 今、松本委員の話の中で、公務員か非公務員かの中で、公務員法の適用がないかどうかで公務員か非公務員かという形になりますから、非公務員というのは公務員法を適用しないから、私どもは非公務員という形で申し述べているわけです。

 しかし一方、運営費交付金が出ていることも事実でありますから、そうしたことも含めて真摯に受けとめさせていただいて、また検討させていただきたいと思います。

松本(剛)委員 私たちは、非公務員ということで公務員法の適用を変えられるというのは、それは一つの考え方だと思いますが、非公務員という言葉をお使いになるんであれば、ただし税金は使います、これをつけ加えていただかないといけないということを強く指摘させていただきたいと思っております。

 独立行政法人の補助金、運営費交付金等は引き続き予算を見てもふえてきているという問題もありますし、これは統計のとり方なんでしょうけれども、公務員から独立行政法人になると給料が余計にかかっているという見方も一部にあります。これは、縛り、やはりさっき申し上げたガバナンスの問題がいろいろあると思いますので、この独立行政法人という形態そのものに根本的に問題があるということ、それから今申し上げた非公務員という言葉には非常に大きな問題があるということ、二つ指摘をさせていただいて、放送法について若干お聞きをさせていただきたいと思います。

 大臣の所感で結構ですが、放送をごらんになって、こういう放送の仕方はないだろうと思ったことはおありじゃないでしょうか。少なくとも私はありますけれども、いかがですか。

菅国務大臣 例えば、今問題になっています「あるある大事典」ですか、ああいう形で捏造されたものが国民の前でそのまま放送されるというのは、やはりだれが見ても問題があるだろう、そういうふうに思っています。

松本(剛)委員 政治家として政治番組をごらんになっていかがですか。私自身も直接抗議をしたことがありますが、民主党はこう言っているということで、明らかに事実と違うことは抗議をさせていただき訂正を求めたりしましたが、それ以外でも、報道なり表現の仕方というのは、相当、私自身から見たら、これはちょっと不公平ではないかと思うこともありますが、大臣の側から見られてもあるんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

菅国務大臣 私は、何回となくそういう思いをしたことがあります。

 先ほどの憲法の調査会でも、自民党の議員から、そのことに対して、松本委員のように、逆の立場でひど過ぎるという発言がありました。

松本(剛)委員 与野党どちらも思っているということになりますから、政治的公平というのは、ある意味ではこれは非常に難しいということになろうかというふうに思います。

 放送法にも、目的のところに「不偏不党」と書いてあり、他方で、放送番組の編集というところで「政治的に公平であること。」ということがかかってきていますが、これはこれまでもいろいろ議論されてきていますが、まず、政治的に公平であるというこの編成の基準は、当然、免許を与えるとか処分をするとかいうさまざまな行為の対象になる基準だという理解でよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 まず、今委員から話がありましたけれども、この不偏不党と政治的な公平、これは、一党一派に偏った放送をしたり、また議論のある問題について特定の主張を行ったりすることがないように、そういう中から規定をされておるわけであります。放送法では、その目的規定の中に、放送の不偏不党を保障することによって放送による表現の自由を確保すること、このことも定めていますし、それを具体化したものとしては、番組準則において、政治的に公平である、意見が対立する問題についてはできるだけ多くの観点から放送を行うべき、そういうことを定められております。

 これは、放送というのは、電波を利用して、大きな社会的影響を持つ放送を行う放送事業者が一党一派に偏して行ったら、これは民主主義の発展には大変な支障を来す。そういう中でこうした問題を特定されるというふうに私は思っています。

松本(剛)委員 放送というものの影響力の大きさからすれば、やはり民主主義の根幹にかかわる極めて重要な問題だというふうに思います。

 今申し上げたように、この政治的公平というのは、ある意味では、見方によってなのか、それぞれの番組、見た番組はもちろん違うかもしれませんから、いろいろな見方があるだろうというふうに思いますが、非常に難しい問題があると思います。他方で、表現の自由の確保、それから放送法の目的で「自律を保障する」というふうに書いてあります。この目的というのは、法律の目的であるということは、当然、総務省を初め政府をも縛るものであることは言うまでもないというふうに思いますが、その意味で、だれが今申し上げたような基準なり適否を判断するのかというのは非常に重要な問題であります。

 かつて、当時は郵政省ですか、郵政省が最終的には判断をするというような答弁が、当時の放送行政局長ですか、あったことがあると思いますが、やはり法律の解釈と免許ですから、これは総務大臣が判断をするという理解でいいんでしょうか。

菅国務大臣 いわゆる番組問題が発生した場合、総務大臣というのは、まず放送事業者に対して報告を求めることができます。放送事業者は報告をする過程において、みずから、そういったのはどうなんだ、そういうものを放送事業者が判断することになるというふうに思います。総務大臣は、そうした放送事業者からの事実関係についての報告を踏まえて、報道というのは事実を曲げてはならない、こういうことがありますから、そこについて私どもが最終的判断を行う、こういう形になるというふうに思います。

 一義的にはやはり放送事業者が判断することであると思いますし、最終的にそれを踏まえて私どもが判断する。それは総務大臣だと思います。

松本(剛)委員 最終的に総務大臣が御判断をされるということで、法律としてはそうなっているというふうに私も思いますが、このことを、例えば政治的な公平を求めていく場合、それから、今回、放送法の改正はこれから審議をされるんだろうと思いますが、国民生活に大きな影響を及ぼすとか、ある意味では極めて抽象的な文言で、しかし免許という大変大きな権限を付与することができる、しかも政治的問題も入ってくると、総務大臣は政治的なことを含めて中立であるということは、大臣ということの性格上あり得ないんじゃないでしょうか。

菅国務大臣 私ども、総務大臣が判断する過程の中で、それぞれ放送事業者の判断があるわけでありますから、放送事業者というのは放送法において内部でそうした審議会も求められておりますし、ですから、総務大臣がいきなり判断をすることではありませんので、ただ、だれかが判断をしなきゃまずいわけですから、現在の制度においては総務大臣の判断というのは私は適切じゃないかと思います。

松本(剛)委員 私どもは、やはり委員会制度で電波はやるべきではないかというふうに思っています。

 これは、大臣も教育再生特別委員会の御議論も聞いていただいていると思いますが、私どもも、教育における政治的中立についても、しかし一方で責任ということをどう考えるかということで、執行者は首長で、教育監査委員会で中立をチェックする。

 今お話があったように、放送については放送事業者が一義的にやる。これをチェックする人間は、むしろ第三者的な委員会制度なりで行うべきで、大臣というのは、さっきも独立行政法人の話もお話し申し上げましたが、政治的意思を持って政策を実行していただかなきゃいけないのが大臣ですし、議院内閣制であれば当然そういうことになるわけですから、むしろ、こういう民主主義のルールであったりインフラを管理するいわば審判の役目と、プレーヤーである大臣とが一緒になっているということ自身は早急に改正をする必要があると思いますが、お考えはいかがでしょうか。

菅国務大臣 この委員会でも、武正委員から何回となくそういう主張がありました。そして、民主党の政調会長である松本委員が今また言われたわけでありますから、党としてそういう方向性を考えているんだろうというふうに私は思っています。

 私どもも、かつて日本の中においてもそうした委員会形式で行った時期というのが歴史的にあります。しかし、そうしたときに、それが現在の日進月歩で技術改革が推進されるとか、そういう時代に対応されるかどうか、そういうさまざまな問題を考えた中で、私どもは、今の体制がいいのではないかなというふうに思っているところであります。

松本(剛)委員 制度として、私を含めてそう考えていることは今申し上げたとおりでありますが、いずれにせよ、政治的中立性なり、今申し上げたような、いわば民主主義の制度の審判のような役割とプレーヤーのような役割を兼ねておられることには変わりはないわけであります。だとすると、大臣というのが放送について発言するなり処分をするなりということについては、少なくとも極めて抑制的でなければいけないということは言えると思いますが、そのようにお考えだという理解でよろしいですか。

菅国務大臣 基本的には、私どもは抑制的でなければならないと私は思っています。それと同時に、やはり国民の大事な資産の電波を私どもはお預かりをしているわけでありますから、それについてやはり客観的に公平公正、そして正確な情報を流してもらう、そういうことも私は必要であるというふうに思っています。

松本(剛)委員 公平公正、客観的にという抽象的な言葉はおっしゃるとおりだろうというふうに我々も思いますが、やはり民主主義という制度も、また、ある意味では市場経済という制度もそうだと思いますが、人間が完璧でないということをある意味では前提にしているという部分があると私は思います。だからこそ、いろいろな形の制度をつくっているというふうに思っております。

 ですから、そういうことから考えると、今回も放送法を改正されて、ある意味では、大臣の手段をふやすということは、抑制的ということと方向は逆だと思いますけれども、いかがですか。

菅国務大臣 これから国会で審議が始まるわけでありますけれども、ただ、私は、正確な情報を客観的に国民の皆さんに伝える責務というものも私どもはありますから、そのためには、私どもは、行うべきことはやはりきちっと行っていかなきゃならないだろう、このように考えております。

松本(剛)委員 先ほど大臣は、電波は公共のものだ、国民のものだというふうにおっしゃいました。税金を含めて公共のものを使うなり処分をする場合には入札が原則だというふうに思いますので、我々も、電波についてもそれは一度お考えをいただくべきだということ申し上げると同時に、持ち時間が終わりましたので、放送法の改正について、与党でこの国会は先へ送ることを決めたという新聞記事を目にいたしました。私たち自身のこの放送法改正に対する考え方は今申し上げたとおりですので、おやめになるというのは一つの見識だと我々は思いますが、仮にも与党で手続を済まされて国会に出されたものを、大臣のいわば閣法としてお出しになられたものを与党でそういうふうにお決めになったということがもし事実だとすれば、いかがですか、大臣の御所見は。そんなことは許さぬぐらいは言われるべきじゃないでしょうか。

菅国務大臣 私は、提出した責任者として、全くそんなことは考えておりません。

松本(剛)委員 新聞報道が事実でないとすれば、放送ではありませんから直接はあれでしょうけれども、正式に抗議をされるべき、もしくは与党の中できちっと言われるべきではないでしょうか。そうでなければ、やはり私どもはそれを事実として受けとめざるを得ないというふうに思います。

 以上です。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、いろいろな角度から質問したいと考えましたけれども、あえて地方分権改革推進委員会にかかわる点に絞って質問いたしますので、よろしくお願いをいたします。

 まず最初に、地方分権改革推進委員会の第一回の会が四月二日に開催されました。その際、総理のあいさつがあったと聞いておりますけれども、どういう内容だったのか、まずその点をお聞かせいただければと思います。

松田政府参考人 御説明させていただきます。

 去る四月二日に開催されました第一回地方分権改革推進委員会におきまして、安倍内閣総理大臣からは、「美しい国、日本」をつくるためには我が国の戦後の基本的な枠組みを原点から大胆に見直す必要があり、国と地方の関係もその一つであること、それから、地方の活力なくして国の活力なしの考え方のもと、国が地方のやることを押しつけるというこれまでのやり方は捨てるべきであること、それから、地域がみずから考え実行することのできる体制づくりが不可欠であり、そのためには各行政分野における国と地方の役割分担をはっきりさせていく必要がある、そこで委員には、各省庁の利害にとらわれることなく、あるべき姿となるよう役割分担の見直しをお願いしたいこと、それを踏まえ、権限移譲の推進などを行い、その上で地方交付税、補助金、税源配分についての一体的な検討を進めていただきたいこと、地方分権は安倍内閣の最重要課題であり、政府一体となって取り組むこと、委員会においては、五月末ごろまでに地方分権改革の推進に当たっての基本的な考え方を、秋には中間的な取りまとめをお願いしたいことといった内容のごあいさつをいただいたところでございます。

重野委員 念のため、私も、公表されております議事録で、総理のあいさつを確認させていただきました。

 その中で、一つ見逃せない発言があるというふうに私はとらえました。それは、今答弁にもありましたように、国と地方の役割分担を明確化することが必要、このような点が発言されております。この総理の発言は間違いないか確認します。

菅国務大臣 総理の、地方の活力なくして国の活力なし、この考え方のもとに、私どもは今、この地方分権というものを進めております。そのためには、国と地方の役割分担の見直しを行って、国は外交や防衛など本来果たすべき役割を重点的に担い、地域における行政、特に住民に身近な問題についてはできるだけ地方公共団体にゆだねる、その考えというのは極めて大事なことであって、このことを一層徹底していきたいというふうに私は思っています。こうしたことは、総理の、役割分担の見直しという発言に基づいて行っている、私もこう思います。

重野委員 そこで、昨年審議された地方分権改革推進法について改めて確認しておきたいと思うんですが、昨年のいわゆる地方分権改革推進法、法律の第五条、地方分権改革の推進に関する国の施策に触れた条文を記憶するのでありますが、まずこの五条の条文がどういう内容になっているのか確認いたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 地方分権改革推進法第五条は、平成十一年の地方分権一括法によって定められた地方自治法第一条の二第二項に規定する国と地方の役割分担の一般原則の趣旨を、改めて確認的に規定しているものでございます。この規定は、国が担うべき役割の類型を例示し、国はこれに重点化すべきという方向性を示している、それ以外のものはできるだけ地方公共団体の役割とすることを基本とするという原則を明記したものでございます。

 この推進法の第五条は、このような国と地方の役割分担の一般原則を基本とし、各行政分野において見直しを行い、国から地方への権限移譲の推進、国の地方に対する事務の義務づけや関与の整理合理化等の所要の措置を講ずるという国の施策について規定しているものでございます。

重野委員 今説明があったように、この第五条、地方分権改革の推進に関する国の施策における国、地方の役割分担の問題について、昨年十一月二十八日、私は質問いたしました。国、地方の役割分担は地方自治法第一条の二に引き継がれているという答弁があったことから、重ねて、国、地方の役割分担は片づいたものか、こういう質問をいたしました。それに対する政府の答弁は、御指摘の趣旨のとおり、こういうふうに答えています。つまり、国、地方の役割分担は既に法定化されているんだ、したがって今後の分権改革はこれに基づき進める、これが政府の答弁であったはずです。

 そこで聞きますけれども、決着済みと政府みずから答えている問題について、総理が改めて国、地方の役割分担を見直すと言うことは一体どういうことなのか。この分権改革というのは、私は、第一次分権改革、第二次分権改革と連続性があるというふうに認識しているのでありますが、その二点について答弁を求めます。

菅国務大臣 私も、この分権改革には当然連続性というのがあるというふうに考えています。

 特に、平成十一年の地方分権一括法によって、地方自治法第一条の二第二項に国と地方の役割分担の一般原則というものが規定をされました。この規定は国が担うべき役割の類型を示しており、国はこれらに重点化するべきという方向性を示し、それ以外のものはできるだけ地方公共団体にゆだねる、ここを一般原則として明記したものと思っています。

 今回の分権改革のもととなる地方分権改革推進法第五条第一項においても、地方自治法第一条の二第二項の規定の趣旨を改めて確認的に規定をいたしております。

 今回の改革は、まさにこのような国と地方の役割分担の一般原則を各行政分野において一層徹底していくという観点から、個別法令の見直しを行う必要があるものであります。地方分権改革推進委員会においてもこのような観点により具体的な検討がなされる、このように私は考えております。

 総理の発言もこうした考えに基づいているものと認識をいたしておりますので、総理の発言と昨年の十一月二十八日の政府委員の発言というのは矛盾をしていない、このように思います。

重野委員 大臣は昨年の答弁の中で、「新たな地方分権改革においては、この一般原則の方向性を、個別の法令における国と地方の役割分担について一層徹底する必要がある、」このように答えたんですね。私が今指摘をしましたように、国、地方の役割分担の見直しなどということは答えていない。今の答弁とこの部分、どうも行き違いがあるんじゃないか、このように思うんですね。私が言うように、改革の継続性にかかわる重要な問題でありますから、そこのところはきちっとしなければいけないと思うんですが、再度答弁を求めます。

菅国務大臣 昨年の私の答弁の趣旨というのは、今回の地方分権改革において、地方自治法の第一条の二第二項に規定をする国と地方の役割分担の一般原則を各行政分野において一層徹底していくという観点から、個別法令の見直しを行う必要があるという趣旨でありまして、一層徹底をしていくことと見直しをするというのは同趣旨であるというふうに思っています。総理の発言もこうした考えに基づいているものと認識をいたしています。

重野委員 くどいようですけれども、昨年の私の質問について、地方分権一括法による地方自治法改正によって同法第一条の二第二項にこの役割分担は恒久化された、これが公式な答弁ではないんですか。私は、この役割分担に基づいて新たな分権改革、これが地方分権改革推進法に基づく分権改革ではないのか、この点について答弁を求めます。

菅国務大臣 平成十一年の地方分権一括法によって、地方自治法第一条の二の第二項に国と地方の役割分担の一般原則が、先ほども申し上げましたけれども、定められています。

 今回の分権改革というのは、こうした国と地方の役割分担の一般原則を各行政分野において一層徹底していく観点から、個別法令の見直しを行う必要があるものであって、その趣旨が地方分権改革推進法第五条においても確認的に規定をされている。地方分権改革推進委員会においてもそうした観点によって、より具体的な検討がされるものだろう、このように考えております。

重野委員 まだやはり意見の一致は見ることができないですね。

 私は、政府がかわっても、時々の政府が敷いた路線、基本方向というのは、くどいようですが、連続性があるべきだと思いますね。そこのところが今の答弁で、私は、そうなのかなと納得できない部分がある、今後に引き継いでいかなければと思います。

 そこで、今度は、分権改革委員会の運営について聞いておきたいんですが、本部長である総理は、五月末までに基本的考え方、そして秋には中間報告を出すように要請しておられます。

 そこで聞きますけれども、改革推進委員会は、法律に定める基本的事項を審議する、そのことが任務でありまして、その基本的事項とは、法律の第二章、つまり国の施策、財政上の措置のあり方、地方公共団体の行政体制の整備及び確立にあります。であれば、総理から五月末に求められる基本的考え方もこの基本的事項に対する考え方が中心になるべきだと考えるが、そのように受けとめてもいいかどうか、見解をお示しください。

大村副大臣 この点は私から御答弁を申し上げたいと思います。

 地方分権改革推進法の第二章の規定は、今委員御指摘のように、地方分権改革の推進に関する基本方針を定めたものでございまして、国の施策、財政上の措置、それから行政体制の整備及び確立といったものであるわけでございまして、同法に基づきまして設立された地方分権改革推進委員会におきましても、この基本方針に沿って調査審議の上、勧告等を行うということでございます。

 五月末に予定をしております基本的な考え方というものは、御指摘のようなこうした三点の基本的な方針を踏まえるというかにらみながら、委員会の調査審議に当たって目指すべき方向性などを大くくりに取りまとめようとするものでございまして、今後これにより調査審議を進めていくことになるわけでございます。

 なお、同委員会ではこれまでに、近年の地方分権改革の取り組みのヒアリングと地方分権改革についての委員からの意見発表が一巡をしたところでございまして、もう五月でございますから、今後、月末に向けまして、この基本的な考え方の取りまとめに向けて具体的な議論を本格化させるというふうにお伺いをいたしております。

重野委員 そこで、政府が策定する経済財政運営と構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太方針との関連でありますが、骨太方針は例年七月ないし六月に策定されております。これと、総理が五月末に求めた基本的考え方、これはどのような関係になるんでしょうか。

大村副大臣 地方分権改革推進委員会におきましては、先ほど来委員から御議論のありますように、四月二日に第一回委員会におきまして安倍総理からの要請を受けて、五月末ごろまでに地方分権改革の推進に当たっての基本的な考え方を取りまとめるべく調査審議を行っているところでございます。

 一方で、今委員御指摘のいわゆる骨太の方針、これも、昨年だけ七月でございましたが、大体六月に取りまとめるということが例年多いわけでございます。これは経済財政諮問会議で検討の上、政府において決定をしていくものでございますけれども、地方分権改革というのは現内閣での最重要課題の一つでございます。そういう意味で、五月末の基本的考え方の内容は、また改めまして、経済財政諮問会議での議論を経て、骨太の方針にしかるべく反映をされていくというふうに認識をいたしております。

重野委員 先般四月二十五日の経済財政諮問会議において、民間委員から次のようなことが建議されました。一つは、国と地方の税収比を五対五とすること、そのことを視野に入れて、補助金、税源配分、交付税、地方債の一体的な改革に取り組む、もう一つは、国と地方の税目、税源配分について、地方交付税財源を含めて大胆に見直し、地域間の税源偏在を是正する、こういうふうな意見が建議されたと聞いておりますが、間違いないかどうか、確認いたします。

岡本政府参考人 御指摘のとおりでございます。四月二十五日の経済財政諮問会議に有識者議員から提案されました「税制改革の基本哲学について」の中に含まれております。

重野委員 一方、民間委員はこういうことも言っておるんですね。「歳出・歳入一体改革について」と題する建議においては、「「基本方針二〇〇六」に沿った取組みを着実に実行せねばならない。」と述べております。もっと具体的に言うと、このことは、基本方針二〇〇六に言う、五年間で十四兆三千億円の歳出削減を目指す歳入歳出一体改革が前提となっている、そのことを示しているわけです。

 そうなると、民間委員、つまり、経済財政諮問委員であり分権改革推進委員会の委員長でもある丹羽委員長の立場とは一体どういうことなのか、こういうことを言わなきゃなりません。一方で歳入歳出改革を言い、一方で税収比を五対五とする、そんなことが本当に可能なのかどうかですね。二足のわらじであるがゆえに、それが実現しなかったときにどうなるのか、政策的にも人的にも重大な疑念を感じますが、この点、どのように認識されておるか、お聞かせください。

大村副大臣 歳出歳入一体改革は安倍内閣における最重要課題の一つでございます。そういう意味では、基本方針二〇〇六を昨年決定いたしましたが、骨太方針二〇〇六に沿った取り組みを着実に実行する必要があるという認識におるわけでございまして、経済財政諮問会議の有識者議員も同様の認識から、歳出歳入一体改革の着実な実行に向けての御提案をされたというふうに認識をいたしております。

 あわせまして、基本方針二〇〇六におきましては、地方分権の推進に向けて、「交付税、補助金の見直しとあわせ、税源移譲を含めた税源配分の見直しを行うなど、一体的な検討を図る。」こととされておりまして、地方分権を一層推進する観点から、議員御指摘の提案が有識者議員からなされたものと考えております。

 このような有識者議員提案は、有識者議員がそれぞれ各回の会議の議論に資するためにみずから取りまとめているものでございまして、御提案のありました歳出歳入一体改革と地方分権改革というのはそれぞれにいずれも重要な課題でございまして、引き続き、経済財政諮問会議におきまして今後とも十分に議論を行ってまいりたいというふうに考えております。

重野委員 これは決定したものではなくて、そういうふうな提案があり、それをめぐってけんけんがくがく今後議論がされて、その先に一つの結論が出てくるというふうな受けとめでいいんですね。

大村副大臣 ただいま申し上げましたように、歳出歳入一体改革それから地方分権、双方とも安倍内閣の大変重要な課題でございます。その意味で、地方分権改革推進委員会では具体的な取りまとめの方向性を打ち出していただく、そしてまたそれを政府でまとめていく、これは先ほど菅大臣が答弁申し上げたとおりでございますが、それとあわせて、歳出歳入一体改革、経済財政諮問会議、政府としての司令塔のそこで今後十二分に議論をして、そして一定の方向を見出していきたいというふうに思っております。

重野委員 最後に、事務局長の選任についてちょっと聞いておきたいのであります。

 当初、内閣官房と相談した上で、宮脇北海道大学教授を委員に選任する方針であったと聞いております。それが変更となったのは、与党の了解が得られなかった、こういう新聞報道もありました。国会同意人事であるがゆえに、またこれが社会のあり方に深くかかわる問題であるがゆえに、このような不透明なことは許されるものではありません。

 政府内部及び与党間との調整過程において政府は説明責任がある、このように思うんですが、大臣の見解をお聞かせください。

大村副大臣 委員御指摘のように、宮脇淳氏につきましては、ことしの四月一日付で地方分権改革推進委員会の事務局長に任命をしたものでございます。

 なお、地方分権改革推進委員会の委員の人選につきましては、個々の経緯、経過を申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。

重野委員 この方は当初委員としてリストアップされた、その点については確認できると思うんですが、それもできないんですか。

大村副大臣 ただいま答弁申し上げましたとおりでございまして、個々の経過というのは答弁は控えさせていただきたいと思います。

 結論的に申し上げますと、四月一日付で宮脇淳氏を地方分権改革推進委員会の事務局長として最適の人物であるということで任命をさせていただいたものでございます。

重野委員 内閣府特命担当大臣記者会見というコピーを持っておるんですが、その中で、大臣が事務局長に宮脇教授をお願いした理由について三つ挙げています。最初は民間、二つ目は法律を含め精通している方、三つ目に改革意欲に富む人の三点を理由に挙げて、これがいわば事務局長の三条件だ、こういうふうに言っているんです。

 それと、もし宮脇教授が当初どおり委員となっておれば、今言う三条件を満たす別の民間人が事務局長になっていた、こういうことになりますね。そういうことになるという点について、確認できますか。

大村副大臣 地方分権改革を強力に推進していくためには、政府が定める地方分権改革推進計画の作成のための具体的な指針の勧告などを行う分権委員会の活動が大変重要でございまして、同委員会の調査審議活動を支える事務局のトップである事務局長というのは大変な重責だというふうに認識をいたしております。

 そういう意味で、菅大臣がその経過の際に、今委員も御指摘になられましたように、民間人であること、また法制度に精通していること、また改革意欲に富むといった三条件を述べられたというふうに認識いたしておりますが、そういったものとして、適材適所の人選の結果、四月一日付で宮脇淳氏が事務局長として任命されたものと承知をしているところでございます。

 なお、今委員御指摘のような仮定のお話につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

重野委員 私は、何が何でも宮脇さんという方をこの中に入れなきゃならぬというものがあったんじゃないか。したがって、大臣は知恵を出して、この三つを後づけして、これに合致しています、こういうふうに言っているんだというふうに私は思うんです。その点はもう確認しませんが、そういう疑念を持たせる人事だ。

 それともう一つは、そういう方が事務局長になったということは、法律では地方分権改革推進委員会の委員は七名ですよね、そうすると、事実上八人体制になったんじゃないか、これは脱法行為じゃないか、こんなことすら言わなきゃならない今回の人事だ、私はこういうふうに思うんです。

 そういうふうな点を指摘しますが、いずれにいたしましても、五月末までの基本的考え方、秋の中間報告という日程からして、可能な選任なのかどうかという点を確認して、質問を終わりたいと思います。どうぞ。

大村副大臣 宮脇淳氏を事務局長に選任したことにつきましては、先ほど来るる御答弁申し上げたとおりでございます。あくまでも最適の人物として事務局長として任命をさせていただきました。

 なお、法律では委員は七名ということでございまして、これも丹羽委員長を初め最適の方を国会の御同意をいただいて任命をさせていただきました。そうした人材をもちまして、今精力的に、意欲的に御審議をいただいているところでございます。

 そういう意味で、委員御指摘のように、また、この五月末に基本的考え方、そして秋には一定の方向づけということで進めていきたいと思います。

 委員の御期待に沿うような方向をぜひつくっていきたいと思いますので、また御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

重野委員 以上で終わります。

佐藤委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十三分散会


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