衆議院

メインへスキップ



第23号 平成19年5月24日(木曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月二十四日(木曜日)

    午前九時十一分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      越智 隆雄君    大塚 高司君

      岡部 英明君    川崎 二郎君

      木原 誠二君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    長島 忠美君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      松本 洋平君    渡部  篤君

      安住  淳君    石川 知裕君

      逢坂 誠二君    後藤  斎君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     江藤  隆君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     大塚 高司君

  萩生田光一君     木原 誠二君

  福田 康夫君     越智 隆雄君

  田嶋  要君     石川 知裕君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     福田 康夫君

  大塚 高司君     松本 洋平君

  木原 誠二君     萩生田光一君

  石川 知裕君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     鍵田忠兵衛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案(内閣提出第六八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公共団体の財政の健全化に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長藤井昭夫君、自治財政局長岡本保君及び国土交通省都市・地域整備局下水道部長江藤隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森本哲生君。

森本委員 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、基準策定のプロセスについてからお伺いをさせていただきます。

 早期健全化基準、それと財政再生基準の設定につきましては、その比率がどうなるかによって地方公共団体の予算編成は大きな影響を受けるものと考えております。特に、先般も質疑がありましたが、病院経営など公営企業における赤字問題を抱えているところも多いだけに、その基準によってはかなりの混乱も想定されると考えております。したがいまして、基準の設定は、地方の実態に合わせるためにも極めて慎重に行う必要があると考えております。

 そこで、まず基準の策定プロセスに地方はいかなる形で参画できるのか、お聞きしたいと思います。この点は、一昨日の当委員会で、全国知事会の井戸兵庫県知事も参考人として述べられておりました。また、委員会では、逢坂議員の質問に対して政府参考人の方から、既に多くの意見を地方公共団体から聞いているとの答弁がありました。

 ただ、焦点になるのは、今後行われる具体的な基準の設定や各指標の計算式にありますので、その策定プロセスにはいかに地方が参画できるのか、そのことについてお答えをいただきたいと存じます。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、この基準というのは極めて大きな影響を与えるということは、私も十分承知をさせていただいています。

 この四つの健全化判断比率の基準の策定につきましては、本法案に定められております財政の早期健全化及び財政の再生、この規定の趣旨を踏まえて、年内に政令において定めることになっておりますけれども、策定に当たっては、現行の再建制度や地方債制度の運用などを踏まえ、四つの比率間の整合性、これも極めて大事でありますので、地方公共団体の意見というものを十分聞きながら作業を進めていきたい、こう思っています。

森本委員 大臣から前向きにお話をいただきましたので、できたら参加というよりも参画をというような形でぜひよろしくお願いをいたします。

 それでは次に、各公共団体の規模や財政格差をどう反映するかということについてお伺いをさせていただきます。

 今もお話がありました四つの指標の設定に関しましては、地方公共団体の規模や財政力格差を十分に考慮することが重要であって、画一的な指標基準ではなく、必要に応じて差を設けることが必要だというふうに思います。現行の再建法でも、起債許可団体への移行条件について、標準財政規模に対する実質収支の算定は段階的に設定されておりますが、健全化法案のもとでも各公共団体の規模や財政格差を反映した基準を設定する考えがおありかどうか、お伺いします。

岡本政府参考人 お答えさせていただきます。

 この指標の基準の策定に当たりましては、現行の再建制度や地方債制度などの運用を踏まえながら、その整合性も勘案して策定してまいりたいというふうに考えておりますが、今委員御指摘のように、現在、実質赤字比率でも、現行の再建法でも、都道府県では五%、市町村では一律二〇%というふうになっております。また、地方債の許可制度の運用につきましても、赤字比率につきましては、財政規模を勘案して、財政規模の大きい団体から二・五%から一〇%というような幅を段階的に定めながら運用をいたしているということもございます。

 いずれにいたしましても、そういうような現行制度の運用や、これから地方団体の御意見を伺ってまいるということをしながら、その整合性を勘案しながら策定をしてまいりたいというふうに考えております。

森本委員 ここのところは、方向性は維持するんだという解釈をさせていただいて、次に進ませていただきます。

 財政状況の判断なんですが、四つの指標に基づいて財政状況を判断するわけであります。このうち、実質公債費比率については三年間の平均というふうになっておりますが、その他の指標については単年度数値となっておるわけであります。

 しかしながら、その年度の景気や特殊事情などによって、標準の財政規模の変動など財政状況が大きく左右されることがあるわけであります。単年度の数値だけが悪く出てしまう、そういう場合もあるわけでありますが、そうした配慮をするためには、基準によっては複数年度の数値により判断した方がよい場合もあると考えますが、いかがでございますか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 例えば赤字比率を見てみますと、例えば実質収支の赤字というのは、本来収支均衡しなければいけないという、委員御案内のとおりの数字なわけでございます。したがいまして、この実質収支の赤字といったものにつきまして、例えば前年度の実質赤字といったものが発生すれば、それは再建団体になるあるいは健全団体になるということの前に、直ちにそれを解消するということが必要になるわけでございますから、その指標の性格上、考えれば、これを例えば複数年度で平均値を出すとかいうような性格の数値ではないのではないか。

 公債費比率のようなものは、ある意味では、例えてみればその団体の体質のようなものをあらわしているわけでございますから、その体質は平均値的なものであらわそうということで、例えば今の地方債の許可制度でもそういう三年間平均というのをやっておりますが、例えば赤字比率というものについても平均値を算出する意義というのは余りないのではないかというふうに考えて、この法案でお願いをいたしているところでございます。

森本委員 そうすると、例えば税収の減で交付税が変わってくるとか、その年度で大きく公共投資をしていくとか、そういう場合にも、単年度であくまでも勝負というとなんですけれども、算定をして、複数年度の判断ということはもう取り入れないということで理解してよろしいですか。

岡本政府参考人 例えば財政運営を考えてみましても、年度に当初予算、予算は常に均衡して編成するわけでございますから、例えば税収変動等があれば、その税収変動がある程度見込まれる状況の中で補正予算を組みながら収支均衡予算を編成していただくというのが基本的な考え方でございますので、その意味で、実質赤字をある意味では年度間で、ある年は赤字が出ることを基本的には認めて次の年は黒字でそれを埋めるとかいうようなことは本来財政運営として想定をしておりませんし、また、そういうことは財政の規律上ないという考え方でございますから、こういうものについて平均値を算出するというような考え方は私どもとしてはとっていないわけでございます。

森本委員 これ以上議論するつもりはありませんが、そういった単年度に行政の場合はこだわる、それがいいところもあれば悪いところもあると私は思っておるんです。ですから、そういったことはこれからも御検討いただきたいなという私の意見として申し上げて、次に移らせていただきます。

 次、連結ルールについてですが、将来負担比率については第三セクターまで含まれるということになります。その際、第三セクターの範囲をどこまで含めることを想定しているのか、第三セクターに対する公共団体の関与は出資や損失補償などさまざまな形態がありますが、この法案ではどのような基準を設けるのか、お聞かせください。

岡本政府参考人 将来負担比率の範囲についてでございます。

 地方団体が出資している第三セクターに関します将来負担につきましては、当該法人のために損失補償契約を締結している場合に、財務状況や経営状況を勘案して、将来その第三セクターに関係しまして当該地方団体が実質的な負担が見込まれる部分を算入したいというふうに考えております。

 御指摘のように、第三セクターへの地方団体のかかわり方としては出資金があるわけでございますが、出資金は、出資時に出資債を起こしてやるような場合がありますが、出資債を起こしている場合には、その残高は当該団体の地方債残高としてとらえられますので、これは将来負担として把握ができるということ。それから、例えば一般財源によって出資をしたような場合には、その出資をした当該年度の収支、仮にそれが赤と出ていれば、そのフローの赤字要素として認識ができるということでございますので、第三セクターに関しましては損失補償契約を将来負担比率の対象としてとらえたいというふうに考えているわけでございます。

森本委員 局長、さっきのは、地方公共団体が出資のみで損失補償を行っていない場合には判断基準の範囲には入らないということですか、入るということですか。

 もう一回言いますが、第三セクターに対して地方公共団体が出資のみで損失補償を行っていない場合には判断基準の範囲に入らないか入るか。

岡本政府参考人 問題の第三セクターに対して地方団体が出資だけを行っている、損失補償契約を一切やっていないという場合には、第三セクターに関する将来の負担というのは基本的には発生しないというふうに考えられますので、それについては将来負担比率の中には入りません。

 出資金は、先ほど申し上げましたように、出資債を起こしてやれば、それは、当該地方団体の普通の地方債残高、公債残高の方で計算ができますし、それから、一般財源で負担をしていれば当該年度の歳出としてカウントしておりますので、仮にそこで赤字が出ていれば、フローの赤字という形で健全度の判断はできるということでございます。

森本委員 そうしますと、例えば第三セクターが破綻した場合、ここは出資債か出資債でないかで変わってくるわけですか。

 ちょっと質問がわかりにくいかもわかりませんが、第三セクターが破綻した場合は出資額が戻ってこないわけですね。その場合は今回の判断基準には入らないということでよろしいか。

岡本政府参考人 同じ答えで恐縮でございますが、第三セクターに出資のみをしている場合には、出資をしたときに出資債を起こしている場合には、その出資債は当該団体の公債費の負担に、一般会計の負担にもう計算してありますから、そういう意味では、その一般会計の負担額が、出資債を起こした範囲で、それはもう将来負担の額として計算をされております。それから、キャッシュで出資をした場合にはその出資をした年の歳出としてカウントしておりますから、仮にその年に赤字が出ていれば、赤字としてカウントしております。

 破綻をいたしますと出資が返ってこないだけですから、そういう意味では、その出資の部分は計算がもう済んでおりますので、そういう意味で、出資だけを行っている場合には、損失補償契約を結んでいない場合には、その当該団体の将来負担の見込みという計算の中にはこれは入らないということでございます。

森本委員 どうもありがとうございました。

 それでは、次に大臣にお伺いしますが、今回の連結実質赤字比率などの指標において、国の法令や義務づけに基づいて実施される国民健康保険事業なども範囲に含まれることになりました。

 しかしながら、赤字構造を抱えるこの保険事業会計がある中で、このことをもって地方公共団体の責任による赤字であると認定されてしまうことは、地方公共団体側に非常に重い責任負担を課すことになるのではないかというふうに考えます。こうした特別会計の連結についてどのようにお考えか、お聞かせください。

菅国務大臣 連結実質赤字比率というのは、それぞれの団体として一定以上の資金不足というものを生じないように、当該団体の財政運営責任を果たす上でも極めてこれは大事なものであって、そういう観点から、公営企業等の特別会計も含めた全会計というものを今回対象にさせていただきました。

 そういう中で、仮に制度上の課題がある会計が指標の悪化の原因となっていく場合にあっても、特別会計は例外なく当該比率の対象となるだろうというふうに思っています。赤字の算定方法だとかあるいは基準の設定等の検討に当たっては、特別会計の持つ特性等、そういうものについては留意をするとともに、各団体に共通する制度上の課題が認識される場合には、関係省庁とも連携をとりながら制度的見直しを行う、そういうこともあり得るだろうというふうに思います。

 今御指摘のありました国民健康保険事業の赤字が大きい団体ということでありますけれども、逆に言えば、保険料だとかあるいは保険税の負担額や徴収率が低い団体が圧倒的に多いわけですから、改善余地というのは私はかなりあるのではないかなというふうに思いますが、基本的にはそういう考えであります。

森本委員 これは、財政力の強いところ、弱いところがあります。くどいようですが、国の法令や義務づけに基づいてこれはされておるということでありますから、そうしたことは十分踏まえて今後御検討もいただきたい、そのことをお願いして、次に移ります。

 将来負担比率の算出方法における負債の定義に関してでございますが、資産を勘案しないで単純に負債を見積もっているように思われます。退職給付債務の見積もりなどは企業会計ほど精緻ではありません。そのルールの設定の仕方次第では総務省の裁量的かつ恣意的なものにならざるを得なくなるように思われますが、この点についてはいかがですか。

岡本政府参考人 退職手当の支給についての将来負担比率のルールについてのお尋ねでございました。

 将来の退職手当の支給のうち、過去の勤務、その計算をする時点以前の勤務に対応した部分については将来の負担が予定をされるというふうに考えられます。したがいまして、将来負担の一要素として含めているわけでございます。

 具体的には、例えば国の一般会計や地方の財務書類の作成基準でも、退職手当に係る引当金を当該年度の期末に必要となる支給額方式で算定をいたしておりますので、将来負担比率の計算におきましても、比率の公表年度の前年度末時点において当該団体の職員がすべて退職をしたと仮定した場合に支給すべき退職手当のうち一般会計などが実質的に負担すべき額というものをとらえることといたしております。

 具体の算定方法につきましては、これも各地方団体の意見を十分伺いながら定めてまいりたいというふうに考えております。

森本委員 ここは、団塊の世代の退職の問題もありますし、市と町村では退職積み立てとかいろいろな面で大分格差というか違いがあるんですね。ですから、そこのところを十分踏まえてお願いしたいということを要望として申し述べておきます。

 それでは、さらに将来負担比率の算定でございますが、決算統計の数値から直接求めるわけにもいきません。地方公共団体によって自己査定され、監査委員の審査に付されたものが含まれております。例えば下水道事業会計では、下水道料金収入では償還財源として不足する部分などが該当するわけであります。そうした金額の確定には今後実務的な困難も予想されるというふうに考えますが、いかがでございますか。

岡本政府参考人 将来負担比率の算定に当たってのお尋ねでございますが、将来負担比率は、当該団体が将来負担する見込みのあるものを計算するということでございますので、一般会計の地方債現在高といった、今御指摘のように決算統計等で既に計算の済んでいる、特に新たに算定をしないもののほか、公営企業債の現在高のうち一般会計等の負担分、この中に下水道等も入ると思いますが、そういう場合には、一般会計と企業会計、料金等で負担をすべきものとの一定の案分といったものが必要になるものもございますし、また、公社や第三セクターに係る実質的負債のように、各団体で一定の評価をするということが必要になるものもあるわけでございます。

 したがいまして、こうした案分や評価を要するものの算定方法といったものの詳細につきましては、地方団体の意見も伺いながら定めていくことといたしておりますが、当然のことながら、その基準を明確化いたしまして、各団体に対して、どういう評価をしたのか、どういう案分をしたのかということがそれぞれ明確になるように、そういう基準の作成に当たってまいりたいというふうに考えております。

森本委員 それで、国土交通省の関係でちょっときょう御足労をいただいたわけです。今のお答えに対する質疑ではありませんが、実は、下水道の実態を少しお聞きする意味で、申しわけなかったんですが、下水道事業について、合併された三重県から要望が出ておるわけであります。

 津市の市町村合併に伴って下水道管の口径の変更等が必要になってまいりました。これまで合併特例によって補助対象になっており、今年度までは何とか措置を受けることができましたが、来年度以降引き続き補助が受けられるかどうかわからないということであります。もし補助が受けられなくなりますと、かなり財政的な負担が市にかかってくるというふうになります。これは全国的な、三重だけの問題ではないと思いますが、財政圧迫の要因というふうにも私は考えます。

 特例措置が平成二十年度以降どうなっていくのか、お聞かせください。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公共下水道の管渠の国庫補助の範囲につきましては、国土交通省の大臣告示ということで定めさせていただいておりまして、人口規模が小さくなるほど補助の対象範囲が広いという形になっておりますが、今委員御指摘のように、合併をされますと人口規模が大きくなって補助対象範囲が狭くなるという不利益を受けられますので、現在、特例措置ということで、合併前の規模の補助対象範囲の適用を行っております。

 今お話がございましたように、この特例措置が十九年度までということになっておりまして、二十年度以降につきましては、今お話がございましたような公共団体の実情であるとか要望を十分踏まえまして、関係省とも協議しながら検討してまいりたいと思っております。

森本委員 今のところは、財務省との関係もございましょうし、いろいろな省庁との関係もあります。特にこうしたことがこの財政再建法案の今後の将来負担として響いてまいります。

 例えば、本当にこれは私もびっくりしたんですね、津市なんかは、二市六町二村で合併して、下水道の管がほとんど補助対象から外れていって、何と四百三十二億六千四百万ですか、それだけの負担が、これは補助とか債務負担とか、今からお金のつくり方をいろいろ検討されると思うんですけれども、しかし、これは合併しなければこれだけの負担が少なくなるというようなことになりますから、この財政は将来大変なことになると思うんです。

 ですから、こういったところは法的に、合併したからこうなったということですから、私は法改正でもしてやるべきだと思うんです。そのことはきょうは総務委員会ですからもう議論しませんが、全国的に大変なことですから、国土交通省に頑張っていただきますように強く要望させていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、夕張市の問題なんですが、もういろいろな方からお話がありますが、この法案が以前からあったら夕張市の財政破綻は起きなかったと大臣は思われますか。

菅国務大臣 そういう問いであれば、私は、起きなかったというふうに思います。

 それはなぜかと申しますと、夕張市がこの財政の問題に対処がおくれたというのは、何回となくこの委員会でも議論されていますけれども、不適正な財政処理というんですか、会計の年度の操作をしながら行ってきた、そういうことがまさに最大の原因であったというふうに思います。現行法制において観光事業会計等の特別会計の赤字が対象外になっていた、こういうことも一つの大きな原因であるというふうに思います。

 今回の法は、まさに特別会計も含めて全会計を通じて赤字を把握する連結の赤字比率だとか、公社、第三セクター、そういうものを含めて実質的負債を示す将来負担比率、こういうものを監査委員の審査に付した上で毎年公表する、ある程度悪化した段階で外部監査の要求を義務づけるなど、ある意味では全体として透明化する仕組みになっておりますので、こうしたものが制度化されていれば、夕張市もかなり早い段階においてそうしたものが住民の皆さんの目にも触れたでしょうし、当事者もそうした財政再建への道というものに当然進んでいったというふうに思っています。

森本委員 では、局長にそのあたりのテクニック的なものをお伺いします。

 例えば、夕張市では、決算時、出納整理期間に民間金融機関から一時借入金の融資を受ける際に、公営事業会計と普通会計の間の会計操作を繰り返すことによって普通会計を黒字化するといったいわば粉飾決算を行ったわけですが、私も市の担当の皆さんに地元のことを聞かせていただきますと、この場合非常に見つけるのが難しいんじゃないかという御意見がありました。

 今後同様の操作を行った場合、この四つの指標のどこかでそれがあらわれてくるような形にはなっておるんですか。

岡本政府参考人 今委員御指摘のような、一時借入金を利用した、ある意味でいえば悪用したような形での不適正な財務処理といったことをやりました場合でも、どこかの特別会計で赤字といったものは発生をする。現に夕張の例におきましても、幾つかの特別会計では実質的な赤字というのを計上されております。普通会計ベースでは黒字という形をとられたわけですけれども、そういうものになります。したがって、そういう意味でいきますと、連結した実質赤字というふうに今回いたしておりますので、そういうものは把握ができるんじゃないかというふうには考えております。

 また、今回の制度改正とあわせまして、この一時借入金を利用した不適正な財務処理ということにかんがみまして、十八年度決算からは、各団体の一時借入金の全体像が一覧で把握できますように各月ごとの月末残高とピーク額といったものを決算統計調査の中で新たに加えるという意味でのチェック項目といったものも財政情報開示という中でできるようにいたしておりますので、そういう点からも、異常な数値といったものがあれば、そこが見えやすくするという意味での改善も既に行っておりますので、そういう改善とこの制度改正と相まっていきますれば、そういう不適正な財務処理、夕張の場合でも、それが発見をできるのではないかというふうに考えております。

 なお、夕張の場合、例えば具体的な数字で申し上げてみますと、今公表されております過去の決算数字を見ましても、例えば平成十三年度末では、現行の再建法では対象となっておりませんが今回の法案で対象としております連結の実質赤字比率の計算でいきますと、例えば病院会計あるいは国民健康保険会計の実質的な赤字といったものが約三十億円ほど計算されておりますので、この三十億円が、そのまま当時と同じような形でやるとすれば、当然、標準財政規模の約半分ぐらいになっちゃいますので、そういうものを勘案すれば、やはりそういう意味では、数字として、比率を幾つにするかという問題はありますが、標準財政規模に対して非常に多額の連結の赤字になっているというような状況でございます。

森本委員 そうすると、今回のような粉飾といいますか、そうした行為は極めてやりにくいということでよろしいですね。

 監査の問題なんですけれども、例えば、私は内部の監査がこれからも非常に大事になってくるんだと思うんですが、健全化法案の二十六条では、健全化・再生・経営健全化計画の策定に当たって外部監査を求めなければならないと規定をされております。一般会計のみならず関連する会計全体の外部監査を必要とするため、小規模団体や条件不利地域など、適当な人材、あるいは、先ほど局長が言われたような、非常にハイレベルと申しますか、かなり複雑な会計になるわけでございますが、監査に要する費用、また人材、こうしたところが不足している地域があるんではないかというふうに考えます。何らかの配慮が必要と思われますか、いかがですか。

岡本政府参考人 今回の法案では、監査委員の機能といったものについて、先ほどお尋ねがございましたようないろいろな基準の公表に当たりましても、監査委員の審査に付した上で公表するということにいたしております。

 また、先ほどの質問にちょっと戻りますが、今回の判断基準といったものを公表する場合には、その判断基準の算定となる根拠についても、書類等を付した上で監査委員に渡してそれを公表するというようなことになっておりますので、そういう意味でも、先ほど御質問のありました夕張のようないわば粉飾もどきのようなものについても、そういういわば算定根拠を示していくというようなところも全部出さなきゃいけないということになりますので、しにくくなるというふうに考えております。

 そういう意味で、監査委員の役割といったものについて、現在でも、自治法上、決算、基金の運用状況でございますとか、財務監査、行政監査あるいは財政援助団体等の監査等の権限を有しておりまして、監査委員はチェックに重要な役割を果たしているわけでございます。

 今回の法案によりまして監査委員の役割は一層重要になるわけでございます。小規模自治体や条件不利地域の自治体も含めまして、本法案の施行が円滑に行われますよう、各団体に対しまして、本法案におきます監査委員の事務に係る留意事項や、あるいはどういう点にチェックをしていくかといったことについて、私どもも、その監査委員の方々の事務にお手伝いができますように最大限の情報提供や資料、そういったものについて御援助してまいりたいと思いますし、また、そういう意味での議論もしてまいりたいと思っております。

 なお、監査委員に要する経費につきましては、普通交付税の基準財政需要額の算定対象として計算をいたしております。

森本委員 ありがとうございました。

 小さな自治体ではなかなか事務が多くなって担当の皆さんは大変だろうな、そういう思いも私はあるんですが、逢坂議員から言わせますと大丈夫だというような話でございますので、この問題についてはこの程度にとめさせていただきます。

 ただ、今、監査委員の話が出ましたが、四つの指標を正確に担保するためには、監査委員の役割が今言われましたように非常に大事であります。しかしながら、決算統計の財政指標を審査する際に監査委員が具体的に何をすべきか、また、審査結果に対して監査委員はどこまで責任があるのか、さらには、決算統計の作成プロセスにどのような影響を与えるのか、必ずしも私は明確でないというふうに思っています。早急に詰める必要があると思いますが、いかがですか。

岡本政府参考人 御指摘のように、今回の法案によりまして、監査委員の皆様方に、健全化判断比率の客観性の担保という意味で、すべての制度の仕組みが動きます一番基礎的な数字といったものについての客観性の担保という重要な役割を担っていただくわけでございます。

 したがいまして、その比率の算定の基礎となるものにつきましては、この法案及びこれに基づきます政省令等に照らしまして、どのような形で通常の決算統計あるいは各地方団体がつくります決算諸表等のどういうところからどういうふうにこの数値を算定し対照させていくのかといったような具体的な手順について誤りがないような、そういう意味での、先ほど申し上げましたような算定の仕方でございますとかというような過程のプロセスもお示しをするということにしていくことが必要ではないかと思っております。

 今回のいろいろな政省令等を定めるに当たりましても、監査委員のそういう意味での事務に係る留意事項といったものについては、御指摘のように非常に多々の点があると思いますので、監査委員の方々の御意見も当然地方の御意見を伺うときには伺いながら、そういう意味での体制をつくっていきたいというふうに考えております。

森本委員 それでは次に、再生振替特例債の発行についてお伺いをいたします。

 健全化法案の十二条では、収支不足に対し発行する再生振替特例債の規定を置いて、第三項で、再生振替特例債の資金について法令の範囲内で適切な配慮を行うことが明記されております。その際、具体的な財政的配慮がどのように想定されているのかお聞きしたいと存じます。

 例えば、現行の再建法十五条では、国による利子補給や準用団体に対する特別交付税による利子相当額への交付などが想定されておりますが、そのような想定はされているのかどうか。よろしくお願いします。

菅国務大臣 基本的には、財政状況の悪化した団体というのは、まず当該団体が徹底した歳出削減、歳入確保に努力をしてもらうというのは当然のことだというふうに思っています。財政再生団体の再生については、当該団体のこうした努力を前提としながら国の配慮を規定いたしておるところでありますけれども、具体的には、計画の円滑な実施に資するための情報の提供、あるいは当該団体の財政負担を伴う事業の抑制を初め、個別のケースの事情に応じた支援を行うということになっています。

 また、今御指摘のありましたように、財政再生計画に総務大臣が同意した場合に再生振替特例債を活用することができるとされておりますけれども、この利子については、再生団体の財政状況、個々の状況を踏まえて、真に必要な場合に所要の措置を検討する、こういうことになるだろうというふうに考えております。

 以上です。

森本委員 大臣、一方、早期健全化に取り組む団体に対する国の財政的支援策はどのようなものがあるのか。何らかの財政的な配慮が必要ではないかという声がありますが、その点についていかがですか。

菅国務大臣 こうした団体については、まず当該団体の自主的な改善努力が当然義務づけられるわけですね、法の中で。国の支援措置というのはその段階では特別考えていないところであります。

森本委員 時間が余りなくなってきましたので、局長、ちょっと通告のを飛ばさせていただいて、大臣に首長の責任についてお伺いします。

 地方公共団体が財政再建を行わざるを得なくなった場合、首長や議会に対して責任を追及する何らかの仕組みが必要だと考えますが、今回の法案では特段の措置が講じられているわけではありません。

 昨年五月十一日に出された新地方分権構想検討委員会中間報告では、地方公共団体が財政再建団体になった場合には、「首長・議会の責任を問う意味から、直接請求制度や住民監査請求制度を住民が一層活用しやすい仕組みとする。」ことが必要であると提言されました。

 全国知事会の再建法制等問題小委員会では、「首長、議員の責任は、原則として、選挙で問われるべきであり、再建法制の仕組みの中で直接具体的に規定することは適当ではない。」としながら、住民の監視機能を強化するための仕組みが必要であるとしております。

 さて、本法案の策定過程におきまして、首長及び議会の責任のあり方、特に財政再生団体になった場合の責任のあり方についてどのような議論がなされたのか、お伺いをいたします。

菅国務大臣 本法案においては、六団体の検討委員会の中間報告にあるような直接請求制度等の改正を盛り込んではおりませんけれども、全会計を通じて実質的な赤字や将来の財政負担の状況も含めた財政指標を整備し、そして毎年度それを議会に報告する、そういうことでは住民に公表することを義務づけております。このように、住民に対する財政情報の開示を徹底する仕組みになっておりますので、住民自治によるチェックというのはかなり強化される、私はこのように思っています。

 首長や議員というのは、いずれも住民の負託を受けております特別職でありますので、これらの情報開示の仕組みによって、現行の直接請求制度や住民監査請求制度の活用も含めて、当該団体の住民によってその責任についての判断がなされるだろう、このように考えています。

森本委員 それでは最後に、少し省略をさせていただきますが、首長の権限がかなり強い、そんな中で、法的に首長の多選を禁止しようとする動きがあります。これは時代の流れかなというふうに、地方分権という流れもあるわけであります。しかしながら、従来から、首長の多選禁止を法律で縛ることが憲法上どうなのかという議論が続いてきたわけですが、先般、総務省の研究会、首長の多選問題に関する調査研究会において、首長の三選以上の立候補を法的に制限することは違憲ではないとの判断を示す方針を固めたとの報道がありました。

 このことに関連してお伺いしますが、総務省としては、首長の三選以上の禁止に関して何らかの法定な措置を今後検討されるおつもりか。また、その場合には法律で一律に制限すべきだと思われますか、それとも一部は条例にゆだねるべきだと思われますか、お考えをお聞かせください。

菅国務大臣 首長の多選問題が国民の大変大きな関心を呼び始める中で、私どもは、昨年十一月に、総務省内に首長の多選問題に関する研究会というのを、憲法学者、そして行政学の学者などのいわゆる先生方につくっていただいて、今まで問題とされておりました憲法上の多選に対しての問題、どのような内容であればいいのかどうかも含めて、憲法論に焦点を当てて何回となく検討を重ねていただきました。最終的な取りまとめについては、たしか来週に行われることになっておりますけれども、その検討の過程の段階で座長がブリーフィングしておりますので、そういう中で、必ずしも憲法に反するとは言えない、そういう方向で多分議論が進められてきているというふうになっています。いずれにしろ、来週にはこういうことが明らかになるだろうというふうに思っています。

 この多選問題については、都道府県知事の不祥事が相次いだ昨年以来、それぞれの政党も、森本委員の所属されています民主党でも、たしか三選までとか、何かそういうのを決められたと思いますし、私どもの党内でもそういう方向も決めております。与党の中でもそういうことになっております。

 ただ、これは政治的に与える影響というものが非常に大きいものでありますから、私どもは、各党会派の皆さんの議論に供するための判断基準というのですか、この研究会においてそういうものをしっかりと出させていただきたい。それによって皆さんの中で議論をしていくことが望ましいのではないかなというふうに私は思っています。

森本委員 ありがとうございました。終わります。

佐藤委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、早朝からお疲れさまでございます。

 大臣、ちょっと質問通告していないんですが、一点だけ冒頭お尋ねをしたい件がございます。

 先週の土曜日、十九日の日に、大臣は、二時間三十五分にわたってNHKの方で、「日本の、これから 地方衰退」という表題で、各有識者の方々や、いろいろな討論を含めて、「地方の衰退は「自己責任」なのか? 行政サービスの競争原理は「地方の再生」につながるのか? これからの地方のかたちを徹底的に議論する。」ということでスタジオで対話をなさったというふうにお聞きしています。残念ながら、私、会合をしていてみずから見ていないんですが、やはり今回の財政健全化法もその流れの一つの大きな柱かなというふうに思います。

 ただ、もう七月二十二日には参議院選ということがあって、来週以降、もしかしたら放送法もいろいろな意味でこの委員会で質疑をするという中で、この趣旨というのは、もちろんNHKからの申し出で総務大臣としての大臣が出てお話をしたというふうに思うんですが、これは大臣、どんなようなお話が端的になされたのか、ちょっと概要だけでも。夕張の昨年以降の問題や財政健全化法の話を具体的にしたかどうかわかりませんけれども、かいつまんでで結構ですが、その概要について少し端的にお話をしていただけませんでしょうか。

菅国務大臣 テーマは四つありまして、地方の衰退、東京への集中、それと、衰退をする地方は国が支えるべきだとか、あるいは地域を集約することをどう考えるかとか、国と地方のあるべき関係、こういうことで議論をさせていただきました。

 多分、この夕張の財政再建というのは、それぞれの国民の皆さんに、自分の地域はどうなのかという将来に対しての不安、あるいは日本の地方自治はどうなるのかと、ある意味では大変大きな関心を喚起したということは間違いないというふうに思っています。そういう中でこの問題を取り上げたということだというふうに思っておりまして、私自身は、地方がそれぞれ自立していく中でさまざまな問題点というものが浮き彫りにされた、そして、多くの国民の皆さんが自分の住んでいる町について自分たちが将来どうしていこうかと、また、東京と地方の財政の格差をどうしようかと、さまざまな問題について、いろいろな世論を喚起する上で、ある意味ではそうした世の中の一つの流れというんですか、問題をとらえた番組ではなかったかなというふうに思っています。

後藤(斎)委員 大臣、そうはいっても、今の御趣旨はよくわかりますし、私も二時間三十五分もの大河ドラマは見たことがないんですが、やはりいろいろな意味で、来週以降の放送法の問題も含めて、公共放送であるNHKが大臣にリクエストをもちろんされたということで、その中で御発言するのは地方自治の責任者としてのお立場ということであれば当然のことだと思うんですが、現行の放送法の規定というものも現在あるということもぜひ御理解を、当然、大臣は一番わかっている方なので、ぜひその御配慮も含めてこれからお願いをしたいなというふうに思います。

 これはまた後でもしかしたらお話を聞きますが、中身に入ります。

 この財政健全化法、いろいろな議員のお話をお聞きしている中で私非常に気になったのは、健全化判断指標、この指標が比率で決められておりますね。実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率と。大臣、赤字だけでいいのかな。要するに、内容、質の部分がなかなか表に出ないなと。

 大臣はウエスト八十五センチ以上あるかどうか知りませんが、私、実は八十五センチ以上あって、メタボリック症候群の予備軍だと。多分、お見受けすると何人かの先生方もそうだというふうに思いますが、それは、例えば男性は八十五センチ以上なんですね、一つのウエストの定義が。女性は九十センチ以上だと。そこに血圧であるとか血糖値であるとかというものが連動して、その数値を全体的に上回ると動脈硬化だとか成人病の予備軍だとかということで、気をつけなさいよという部分があるわけですね。

 ですから、例えば人件費のウエートが実際の予算の何割であるかとか、要するに質の部分を、政令でこれからたくさんお決めになる部分がございますから、そういう部分を少し検討していかないと、本当の体温計だとか健康診断だとか、そういうものになり得ないのかなというふうに思うんですが、大臣、冒頭で結構ですから、比率以前にその中身の質の議論というものを、比率というのは非常にわかりやすいので、八五とか九〇とかいう比率は、ある意味では数字でわかりますけれども、内容の検討というものをどうするかという方向性も、私、この健全化法が成立して以降、やはり自治体にきちっとその理解を、もちろん首長さんや議員の方々がしているのが大前提でありますが、もう一度原点に戻って、これは五十年以上たった法律ですから、そういう視点も持って対応すべきだと思うんですが、大臣、その点はいかがでしょうか。

菅国務大臣 後藤委員のそうした指摘というのもそれなりの理由があるだろうというふうに私も今思っています。

 ただ、私どもとすれば、数字で八五という一つの目安というものが、まずこのことが極めて大事なことであるということは御理解いただけるというふうに思います。そういう中で、私どもが実質的な中身の問題に余り入り込むと、実は分権の趣旨からさまざまな問題が出てくることも事実だというふうに思っています。そうしたことも当然考慮する必要があるだろうというふうに私は思います。

後藤(斎)委員 大臣、既に例えば現行の地方自治法の二百四十五条の四で、技術的な助言や勧告並びに資料の提出ということで、現行の地方自治法の中でも、そういう助言、勧告、それに基づいて多分総務省では大臣の思いというものを、それぞれの自治体に提出させることができるわけですよね。

 ですから、これは後でも議論をさせていただきますが、夕張の際に、大臣が自己責任だという部分を非常に強調した夕張の破綻のスタートのときから、大臣が十二月に夕張に行ってお年寄りの方や若い方といろいろお話をされて、最低限の行政サービスは国が責任を持って支援をするというスタンスにお変わりになりました。それも含めて、やはり国がやる事業というもの、支える部分と、そうではない、大臣が今おっしゃられた地方の自主性、自己責任だよという部分が明確に区分されていなかった。それは混然一体になって現場は動いているというのが当然のことかもしれませんが。

 そこの整理というものを、地方制度調査会か何か政府の部分でも国と地方の事業の仕分けというのはかなりやっています。もっと言えば、地方自治法自体に、一条の二ですか、地方自治体の責務は、住民の福祉の増進、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割。二項で、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務等、現在四つ掲げているわけですね。

 ただ、ここの部分はやはりグレーな部分がたくさんあって、それは、単年度予算の執行のフローの部分の国が法的に法令で委託をしている部分と地方自治体がみずからやる部分。そのフローがたまってストックの部分での負債の部分もそういうふうな整理がこれからなされていかなければ、先ほど来お話がありますように、では国の責任というのは本当にないのかと、いや、全部自治体の責任だよという部分の整理を、そのスタートのときから今回やっておくべき必要があるなというふうに私は思っているんですが、大臣、その点についてどのようにお考えですか。

菅国務大臣 地方分権改革推進法の中で議論をさせていただきましたけれども、国と地方の関係、役割というのは明確に分担をする、このことは私も極めて大事だというふうに思っていますし、そういう中から国と地方の関係というものは図られていくだろうというふうに思っています。

 ただ、現状においては、今委員から御指摘のとおり、国が一定の基準は決めていますけれども、それに対して地方自治体がさまざまな上乗せをすることも可能だとか、地方が条例によってさまざまなことを行うことも可能だとか、そういうことになっておるところでありますけれども、まず国と地方の役割を明確に分担して、権限、税源、財源を移譲するという、そこが地方分権のこれからのスタートになるだろうというふうに私は思います。

後藤(斎)委員 大臣、比率で決めるのが非常にわかりやすくていい、内容も必要だというお話があったんですが、例えば大臣がお住まいの横浜市のように三百五十万の市と、例えば四百人、五百人の町、村というものが現実にある中で、例えば、オリンピック選手がどうかは別としても、私は身長が百八十ちょっとあるんですがウエストが八十五と、身長が百六十センチで体重六十キロある人と、どちらが健康かというのは、すぐはわからないわけですね。

 ですから、この比率の適用においても、例えば現行の再建法の部分で、道府県では標準財政規模の五%の実質赤字という部分と、市町村では二〇%以上になったときには地方債の発行についてはみずからできないよという、大臣、規模によってもやはりそこの比率というものは工夫が必要ではないかなというふうに思うんですね。

 それは、先ほどの中身にも関係するんですが、横浜市で例えば一%の水準というのが五百億だとすると、五百人の町というのは、多分一%というのが五百万とかそういう数字に当然なっていくわけですね。ですから、そういう部分での比率の一律適用というのは、実際の政令をつくるときにちょっと工夫が必要であって、目安としては一つは正しいのかもしれませんが、背丈とか体力とか体重とか、もっといえば、単年度で予算のそれぞれの自治体の議会の議決を経るということは、ある意味ではもしかしたら人間ドックに定期的にかかったり血液検査を定期的にやるのと同じような仕組みなのかなというふうなことも思いながら、大臣、やはり自治体の規模によってその辺は差をつけて、配慮という言い方が適切かどうかは知りませんが、そこでの留意をしながら、これから政令で実際の比率を決めるときに、やはり現場の部分を考えてほしいというふうに思うんですが、その点について、局長でも結構ですから、お答えください。

菅国務大臣 委員から御指摘ありましたけれども、現行の再建制度については、起債制限の基準というのは、都道府県が五%で市町村が二〇%と。これは、都道府県においては削減困難な経費の割合が市町村に比較して大きいことなどを考慮して設定をされていると思っていますし、市町村間については、財政規模等を勘案せず一律の基準設定をされています。

 本法案における再生判断比率の設定に当たっては、財政規模の異なる市町村間における削減困難な経費の割合の差の程度や現行制度の運用の経緯などを踏まえ、当然これは地方公共団体の意見を十分聞きながら検討を進めていきたいというふうに思います。

後藤(斎)委員 大臣、基本的には地方自治体は、首長さんが実質的に予算を出す権限をお持ちになっている。

 今回のこの再建計画、健全化計画にしても、例えば十七条で、財政再建計画の部分で長と議会の関係という規定がございます。ここで、例えば首長さんが出したものが議会で否決をされたときの手続があるんです。

 例えば、繰り返し否決の同じものをどうしても首長さんは通したい、議会は、いや、だめだと。再議に付すということもあるんですが、これはどこまで続いていくのかなという部分で、例えば首長さんは、いや、もっと切り込まなきゃいけないと。ただ、議員というのは、我々ももしかしたらそうかもしれませんが、いろいろな地域の要望も含めてございますね。例えば、何々温泉という自治体の温泉があって、絶対住民サービスには必要だ、病院も絶対必要だということが特にその地域の出身の議員からは当然要望があって、当然、地域代表だけでなくて市民や県民の代表というお立場はあるんですが、そういう部分はどこで線を引き、例えば大臣が、基本的には議会の同意がなければ大臣のところには財政再生計画は上がってこないことになっていますから、そのときには、例えば先ほどの現行の地方自治法の二百四十五条の四の技術的な助言みたいなことがこの場合できるんでしょうか。

 どこかで線を引かなければ、早く計画をつくって実行させなければいけないという立場も含めて、どのようなことが想定されるのか、ちょっと教えていただけますか。

菅国務大臣 この財政再生計画だけでなくて、例えば神奈川県なんかでも、議会と首長が非常に対立をしてさまざまな法案がなかなか成立しないということが実際あります。多分全国至るところに、至るところと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、何件かそういう例があるだろうというふうに私は思っています。

 今回、仮に議会が否決した場合に、首長は、本法案の規定に基づいて再議に付すとか、あるいは議会が否決した理由を勘案し計画を作成し直す、そして再度計画を提出しなきゃならない。しかし、委員から御指摘のとおり、これがまた否決をされた場合、また同じようなことを繰り返すだろうと私は思っています。

 ただ、いずれにしろ、こういうことが何回も繰り返しされた場合でも、これはあくまでも判断をするのは地方議会だというふうに思っておりますので、議会において、計画の策定に当たっては、それぞれそのような厳しい状況にある中でありますから、何回となくそういうことを繰り返しながらも最終的には適切な判断が行われるだろうと私は思います。

後藤(斎)委員 希望的な観測を含めて、いわゆる大人の対応をしてくれるであろうというふうに思いますが、大臣、その前にいろいろ、この法律自体じゃなくて、やはり周辺、例えば健全化という自分の自治体の健康チェック、体温計と言う方もいらっしゃいますが、どこに問題があるかということは、これはもちろん通年の普通の平時でも当然やっていかなきゃいけない。

 私は、ドックには入らないんですが、実は年二回血液検査だけはしていまして、幾つか悪い指標があるんですが、お医者様からも大丈夫と言われているので、とりあえず今健康体でおるんです。やはりこの健全化法の適用を受ける前に、何をしていくかということがもちろん大前提だというふうに思うんですね。

 そして、いろいろ考えてみたんですが、先ほど大臣お答えいただいた国と地方の仕事の仕分けと、道州制が将来十年か二十年たってできるかどうかはちょっとおいておかないと議論がくでになりますから。くでというのは厄介になるということです。市町村と県の事業のあり方、それとこの間副大臣もおっしゃったような市町村の広域連携みたいなものも含めて、今実際、お聞きをしたところ、現行の地方自治法の二百五十二条の十四で事務の委託ということができることになっております。現在、基本的には市町村の事務であるけれども都道府県に事務を委託しているのが、委託団体数をトータルすると、これはダブりも当然あるんでしょうけれども、千六百二団体、市町村だというふうにお聞きをしています。

 実際、いろいろなお仕事をされているのはお聞きをしているんですが、こういう規定もあって、活用しているところもたくさんある。これは、県の仕事と市町村の仕事をどういうふうに仕分けをしなきゃいけないのかということも当然関連をしていくと思うんですけれども、やはりそういう仕組みがある。例えば夕張についても、少なくとも道については、利子補給も含めて対応し、人的な部分で、再建団体になるまでは道の職員の方も行って一緒にお仕事されて再建計画を現行法でつくられたというふうな部分がある。

 大臣、今さっきお話をした、国も指導助言はできますし、県も委託事務はできますから、そういうふうにアラームが鳴る前に、もちろん現在、首長さんたちもお話し合いをして、うまくいくところは例えば一つの市になったりするところもありますけれども、やはりこういう委託ができるという部分も含めての仕事の整理というものを、まず公の部分、公でどうしてもしなきゃならない部分も含めてやっていく必要があると思うんです。

 その点については、指導助言ということで今まで多分総務省も旧自治省時代からしてきたと思うんですが、これからももっと委託事務を進めようというお考えなんでしょうか、それとも、いやいや、これはあくまでも自治体の主体的な判断だよというふうにお考えでしょうか、どちらでしょうか。

藤井政府参考人 今委員御指摘のように、市町村の事務であっても都道府県に委託する場合とか、あるいは、市町村を越える広域的な事務を共同処理する場合とか、地域の実情によっては、受け皿体制を整備できるように、事務の委託とかあるいは事務組合とかあるいは広域連合とか、そういういろいろな仕組みがあるわけでございますが、基本的には、私どもの立場は、まさに地域の実情に即して一番適切な仕組みを選んでいただけるように、そういうツールを準備するというのが基本的スタンスでございます。

 それに加えて合併推進とか今一生懸命やっているところですが、地域の総合の行政を管理する、そういう組織ということであれば、やはり市町村という形が適当であるということで、あくまで地方の自主的、自律的な御判断でございますが、やはり本筋は市町村合併、そういう形を進めていくということで今までやってきているところでございます。

後藤(斎)委員 ちょっと切り口を変えて、大臣、夕張のときにも、最低限の住民サービス、行政サービスは国が支援するというお話を当委員会でもしていただきました。

 大臣、じゃ、例えば再建団体になったときでもいいんですが、現在でも、ナショナルミニマムは国がきちっと支援を、財政的にも人的にもしなければいけない事務というものは、前回のときにはトータルの話だったので、具体的に何なんでしょうか、教えてください。

菅国務大臣 基本的には法律で定められていることだというふうに私は思っていまして、いずれにしろ、再建団体というのは、徹底した事業の見直しだとか歳出削減、そういうものをやっていただく中で、一定水準の行政サービスと私はずっと言い続けてきているわけですけれども、そういうものというのは、例えば義務教育だとかあるいは生活保護だとか介護、福祉だとか消防だとか、そうしたことだというふうに私は考えています。

後藤(斎)委員 確かに、大臣がおっしゃった部分というのが一番大切な部分だというふうに思います。

 総務省から以前いただいた資料で、大臣がおっしゃった学校教育や健康保険、介護、ただ、例えば国保にしても介護保険にしても、今実施主体というのは基本的には市町村になっている。学校も義務教育は市町村になっている。だから、その部分で、大臣も繰り返し、今回のこの法律もそうですけれども、財政的な直接支援というのは絶対しないスキームになっているわけですよね。今までもしたことがないと。少なくとも、その計画、これは後で債務調整と絡むんですが、もちろん、借りたものは全部、基本的には自分で計画を持って返していくんだよというのが、今回のストック部分も入れた新しい地方財政の再建法だというふうに理解をしています。

 そうであれば、大臣、国の関与というものは、先ほども、局長、大臣もお答えになったように、いやいや、あくまでも地方が主体だよと言っておきながら、地方自治法の一条の部分でも仕分けがしてあるにもかかわらず、大臣がおっしゃったような部分というのは明確な国が関与する部分ではないんですね、実は、地方自治法の部分では。外交とか防衛とか、よく言われている国が絶対やらなきゃいけない部分の仕分け。

 だから、法令に基づいてということは、大臣がおっしゃっている部分で私も一番大切な部分だと思うんです。ただ、国が財政支援とかそういうものも、少なくともそれは交付税でいろいろな部分で対応なさるということは、財政調整という部分では当然やられているんですが、やはり、どうしても大臣にお答えをいただきたいのは、夕張のときもそうでしたけれども、国はいろいろなお手伝いをしただけで、基本的にはみずからがやりなさいというスタンスでありました。

 多分、この財政再建の新しい法律ができた以降も、イエローカード、レッドカードを順次出しながら、できるだけ早期に住民の皆さんも理解をして、そうではないことを議会のチェックも含めてさせていくんだよということの仕組みですよね、これは。でも、最悪どうしてもということがあったときに、これは、例えば高度医療の部分もそうですけれども、一億円出しても、例えば二億円医療費がかかっても、この患者さんは助けなきゃいけないというときが必ずあると思うんです。ですから、国というものはどこまでそれをするかということがやはり明確に、絶対もうしないんだということではない、ですから、このスキームを法律としてつくって、そして、大臣にもいろいろな報告や勧告する権限も与えられ、そして、地方自治体がみずから財政計画が実施できるように助言もしていくというふうなこと。でも、言葉だけではなくて、実際、スキーム上に何らかの支援というものがやはりあるということが、私は、安定感ある、実際のこの健全化法が、ぎりぎり自治体自身が努力をしなければ当然なんですが、そうではないときには、国はきちっと、先ほど大臣がおっしゃったような、ナショナルミニマムの部分では責任を持つというふうな明快なスタンスが必要だと思うんですが、改めて大臣にお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、こうした財政の再生団体についても、法令で地方公共団体事務と定められた事務、また、国と地方の役割分担を踏まえて、当該地方公共団体としての行政サービスというものを当然提供する必要があるというふうに思っていますし、個別のケースについては、今回の場合、例えば市町村というのは都道府県がその実態というのを一番よく掌握していますから、第一義的にはそうした都道府県がどういう形でその再生のための支援をするのか、そこと私どもは相談をさせていただきながら支援をしていく、そういう手法をとらさせていただきました。

 今回も、再生振替債ですか、そうしたものの中で、先ほど森本委員からの質問もありましたけれども、私どもとしては、国として特に必要な場合は検討したいという話をさせていただきましたけれども、基本的には、やはりそれぞれの地方自治体が再建策を行って実行に移すのが基本でありますから、しかし、そういう中でも必要なものについては国は最小限その支援をしていく、そういうことであります。

後藤(斎)委員 大臣、再生振替債も結局は自治体が返すということに当然なってくるんだと思うんですけれども、二十条にある国の勧告等ということで、この勧告がどこまで重いかどうかは別としても、財政再建計画を総務大臣が同意するかどうかというときの判断基準にも今のような話が関係すると僕は思うんです。

 例えば、もし自治体がもう出血多量になるまで予算をカットしたときには自動的に、大きく予算を削れば大臣は同意なさるというおつもりなのか。それとも、大臣のお気持ちとして、やはりここは国が積極的にナショナルミニマムということで、ほかの自治体の方々や国民全体のバランスを見てやるかという判断基準につながると僕は思って今お聞きをしているんです。

 さっきの地方自治法の二百四十五条の四の規定に基づく技術的な助言や勧告の範疇みたいなこともお話にあるんですが、国が新しい法律二十条に基づいて勧告をする、財政再建を同意するというときの重みというのは、今お話をさせていただいたように、例えば財政再建が行き過ぎた場合でも、それはいや違うんだろうということをやはり大臣として多分おっしゃる部分がもしかして出てくると思うんです。ですよね、大臣。

 ですから、通常だと、いや、まだまだ不十分だからもっとカットをしろよというのがあるのかもしれませんが、もしかして、すごい危機感の中で、必要以上の行政サービスの低下を招いても例えば圧縮の計画をつくるという自治体も想定されるはずなんですよ、将来のことはだれもわかりませんから。

 というときに、私は、大臣は、大臣のお人柄や人格からいえば、いやいや、これは行き過ぎているから、まだここの部分まではきちっと対応した方がいいよというふうなお話をされるのではないかなという期待感も込めて、今お話をさせてもらっているんです。

 もう一点、大臣、ちょっと話をかえてお答えをいただきたいんですけれども、この間も新機構に公庫の部門をやった公営企業についてもちょっとお話をしたいんです。

 これは以前から私がお話をさせていただいているように、公営企業というのは、確かに、自治体の行政サービスを補完というか、実質的に経営をしながら住民の行政サービスを向上させている、この点については当たり前のことだと思うんです。

 私はきのうもちょっとお話をさせてもらったんですが、例えば、新しく市になったところに、旧町で例えば八町村あって、二つの町立病院、市立病院ができましたと。これは、例えば財政再建計画のときに、大臣が同意するときの一つの判断基準に多分なってくると思うんですが、では、五万人の市で、当然、住民の方から見ればそばに基幹病院があった方がいい。でも、それは普通に考えれば行き過ぎていませんかというふうなことというのは、地域に住んでいる方から見れば、引き続きいてほしいというふうに思うのは当然だと思うんですね。

 以前局長もお答えをいただいた平成十七年の三月の二十九日に出されている新地方行革指針に基づく地方行革の推進という中に、これからの行政の役割の重点化、その中に、民間委託の推進であるとか、指定管理者の活用であるとか、地方公営企業、公社の経営健全化、第三セクターの抜本見直しという項目があると思うんです。

 ですから、これをもう一度見直して、いや、地方の自主性だとまたおっしゃるかもしれませんが、やはり指導助言という技術的な部分で、そういうモデル的なものは、それは過剰であるかどうかは自治体が最終的に判断することかもしれませんが、少なくとも、指導というか対応をなさるような思いというものが、もう二年たたれて、このときについては非常に画期的だったかもしれませんが、これだけ、公営企業公庫も新機構にこれからなる、財政再建法も変わっていく、大きくいろいろなものを見直しする中で、やはりきちっとした新しい基準というか指針というものをつくっていくべきだと私は思うんですが、先ほどのお話も含めて、大臣、ぜひ御見解をお伺いしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

菅国務大臣 まず、財政再生計画というのは円滑に実施するようにということを、二十一条でも、配慮するように、国や都道府県がお互いに連携をとってということになっていますので、そのことについては、やはり当然、地域の実態をよく知っている都道府県と相談をさせていただきながら、その円滑な実施ができるように、やはり私どもも国としての役割というのを果たしていかなきゃならないというふうに思っています。

 今、公営企業についてのお話をいただきました。確かに、十七年の新地方行革指針において、今委員から御指摘のようなことを指摘されております。特に、民間への事業譲渡とかあるいは経営形態について、あるいは行革、いろいろなことがここに書かれているわけであります。

 確かに私どもの考え方というのは基本的にはそういう方向なんですけれども、このことについても、皆さんからも当然、一律的にやるべきじゃない、地方の事情を考えてやるべきじゃないかという大きな意見も、今までも議論をされているところであって、一概に国がこの基準でというのは非常に難しいということも私は認識はしておりますけれども、しかし、そうした方向に進めていかなきゃならない状況にあるということも私は強く考えているところであります。

後藤(斎)委員 理解をしていただいたようなしていただかないような、ちょっと微妙な感じで、では、ちょっと違った視点から話をさせていただきます。

 三月の地方税法の改正のときに、いわゆる償還金だけの繰り上げ償還の話がございました。この中に、五%以上の金利の部分の自治体、公営企業、特に、今後五年間の財政健全化計画、今回の健全化計画にかなり似たような名前なんですが、五カ年の財政見通しをつくり、そして行革推進法を上回る職員の純減の行革を実施し、そして、国民負担、住民負担の軽減という部分から、この繰り上げ償還の効果というものを特定しながら、地方自治体、公営企業がこれに合致というか、総務省が了としたら、大臣が了としたら、繰り上げ償還の対象にするよという規定にしています。

 まだ日が浅いんですが、実際、もう計画を出されて申請をした自治体とか公営企業はあるんでしょうか。そして、この財政健全化計画というのが、今回の地方公共団体の財政の健全化に関する法律とこれからかなり連動をしていくのではないかなと思うんですが、その辺の連動性についても、局長、どのようにお考えなのか、時間がありませんから簡単で結構です、御見解をちょっとお聞きしたい。

岡本政府参考人 補償金なし繰り上げ償還の対象につきまして、政令を三月に公布いたしまして、その後、現在、財務省と検討をいたしている最中でございまして、その詳細を通知した後、地方団体から今お話のございました財政健全化計画といったものについてどういうことを策定していただくのか、その具体的な内容といったものを各地方団体に御連絡すべく、現在作業をしておりますので、現段階でそういう計画が出ているというものではございません。

 それから、今回の補償金なし繰り上げ償還に際しまして、いわば健全化計画を、名前がたまたま同じでございますが、お願いしておりますのは、やはり補償金といったものを免除する、ある意味では、そういうものは、全体の今までの中の貸した側からすれば、その分、得べかりし利益を逸しているわけでございますから、そういうことを考えますれば、そういう貸している側の背景にいる方々に対して、その補償金を免除する地方団体についてはここまでこういう健全化の努力をしているということをきちんと理解していただくということとも相まってつくっているというものでございます。

 内容的には、いわば財政の健全化をやるという目的でございますので、今回の法律に基づいてつくる財政健全化計画と内容としては同じようなものが、質的には同じようなものが出てくると思いますけれども、この法律の健全化計画は、それぞれの指標をゼロにするとか、あるいは一定の、健全化基準なら健全化基準を下回るようにするとか、そういう意味での数値目標といったものがその目標になるものでございますから、そういう意味では性格が異なっております。しかし、人件費を削減するとか歳出の項目を減らすとかいう意味では、委員おっしゃるように、そこはかなり重なるというものがあると思います。

後藤(斎)委員 大臣、今局長に御答弁いただいたように、当時、三月はいろいろあって、十分な議論がこの分できなかったんですが、私は、この繰り上げ償還の部分をずっともう一回読み直したんですが、今大臣にお答えいただいた公営企業のこれからのあり方も含めてなんですが、例えば、指定管理者制度、民間委託の推進やPFIの活用がどれだけ進んでいるかとか、人件費の総額がどこまで削減できるかとか、売却資産の処分による歳入の確保であるとか、先ほどの平成十七年の三月二十九日の通達というか通知をかなり盛り込んで、これを具体化して報告をこれから求めるような別紙の書き方になっているんですね。

 もっと言えば、公営企業に対する公費負担の抑制みたいなことも含めて、地方債発行の抑制とかも含めて、そういう部分での収入、支出、要するに、入りをできるだけ多くし出る部分を少なくする、これは当たり前のことなんですが、今までの制度を踏まえて基準づくりを、この五カ年計画、財政健全化計画をつくれというふうな話をしているんですね。

 ですから、これはこれでいいんですよ。もう通っていますし、政令の具体的な詰めを財務省としているということですが、これが進んでいけば、今審議している財政健全化のこの法律自体にひっかからないような抑制の仕組みというのが、この前段でかなりベースが整備できるのかなという思いが実は私はあるんです。

 ですから、きちっとこれをやっていただきたいと思うんですが、そのときには、先ほど大臣御議論をしたような、例えばこれからの地方公営企業、この判断基準では、民間委託がどこまで進んでいるかとかPFIをどこまで導入しているかというのも、行政改革の実施というところで見る指標になっているわけです。公債費や地方債もどこまで削減できるかということを見るような指標になっているわけです。

 ですから、私は、やはりこの部分とある意味では連動というか、第一ステージが、多分ほとんどの市町村が繰り上げ償還したいというふうに思っているでしょうから、財政健全化計画をつくって、そして今度は新しいこの法律にならないようにいろいろな指標を毎年毎年出していくということに、同じ制度というか自治体がまずみずからやる事業でしょうから、連動を上手にさせていくということもこれからの政令づくりや助言指導をする際にやっていただきたいと私は思うんです。

 その点については、大臣、どうでしょうか。

菅国務大臣 まず、この二つの関連でありますけれども、繰り上げ償還というのは、昨年の予算のときに、私ども、地方の自治体の長の皆さんから大変強い要望がありましたし、これだけ低金利のときに、ある意味ではそれぐらい認めていいんじゃないかなという強い思いも実はありましたので、財務省と私どもが折衝する中で、五%以上の金利のもの、五兆円をという形まで実はなったわけでありますけれども、この地方自治体への効果というのは約八千億円を超えるだろうと実は言われているわけであります。

 それだけのものでありますから、そうしたものを行うには、今委員から指摘がありましたそうした再建計画、財政計画というんですか、健全化計画というか、そういうものを当然出した上でということは、これは国民に対してのある一つの責務でもあるというふうに私は思っていまして、当然のことだと思います。

 それと今回の法案、実は連動してはいなかったんですけれども、結果的には、今回、時期も重なりましたし、方向性というのは私はほぼ一緒だというふうに思っていますので、そういう意味においては、委員の指摘する方向というのは間違いないというふうに私は思います。

後藤(斎)委員 もう一つ、もう時間が五分しかなくなっちゃったので。

 今度の新しい法体系にするにしても、繰り上げ償還の財政健全化計画をつくるにしても、かなり今までと違った、例えば、みずからの職員自体がその会計を、予算書を複式簿記で見られるような能力もこれからもちろん育成をしていかなきゃいけない。ただ、先ほどの大きな自治体、小さな自治体もそうなんですが、例えば五十人の自治体の職員の方にそれを全部やれと言ってもできるかどうか。一万人、二万人いる自治体であれば、それはもちろん可能だと思うんですが。

 いずれにしても、大臣、私先ほどもお話をしたんですが、財政支援は今特別考えていない、振りかえの部分がいずれという話だった。むしろ、今は自治大学校みたいな制度もあるわけですよね。私は、人材育成の部分で、国が、総務省が、大臣が、どんどん言える部分があると思うんです。

 例えばこの自治大学校、きのうファクスで見させていただいたんですが、今でも、徴収であるとか監査の部分、監査は十九年度でまだ三十人しか計画がないようなんですが、こういう監査の部分とか、そういう国としてできる部分、人的な育成という部分でサポートすることは幾らでもできると思うんです。

 ですから、そういう部分でまず人材なくしては、前もお話ししたように、これだけ地方も国も、公務員の皆さんがたたかれている、でも一生懸命やろうという人がたくさんいる、これからこういう新しい、ストックも含めた財政健全化というものをそれぞれの自治体が主体で考えなければ、大臣や局長がおっしゃるのもよくわかりますが、そのスキルというか技術を知らない者ではやはりできないわけです。それを、もちろん自分でインターネットや本を読んで勉強することも必要ですが、やはり専門家の方がきちっとした指導を。僕は、外部監査もいいと思うんですが、内部でそういう規律をどう持つかということが非常に大切だと思うんです。

 ですから、私は、一番の国の支援というものは、それぞれの地方自治体の人材の育成と言うと大変失礼な言い方かもしれませんが、それをサポートすることだと思うんです。自治大学校の充実も含めて、大臣、どのようにお考えなのか、端的で結構ですからお答えいただけますか。

菅国務大臣 極めて大事な御指摘だというふうに思っていますので、そのことは私、前向きに、十分に配慮して実行に移していきたいというふうに思います。

 それは何も監査の専門家だけでなくて、例えばまちづくりの専門家とかいろいろなこともあると思いますので、特にこれから監査というのは極めて大事になりますので、そういう専門家養成のためには、私も、この自治大学をぜひ活用させていただきたいと思います。

後藤(斎)委員 大臣、最後になりますが、地方ですね、地方の応援プログラムとか地域支援活性化法とか、今回、この国会でいろいろな法律や予算づけが実施されるようになってきました。ただ、そうはいっても、すぐはなかなか難しいんですね、自主財源をつくるのは。

 むしろ、宝くじ、これはよくよく勉強すると、地方財政法に基づく部分で、特に第三十二条で当せん金付証票の販売ということができる規定になっていて、結構その分配率というのは、証票法の五条の一項で五割以上は返さないよと言ってはいるんですが、それはともかくおいておいて、これがほとんど一兆円で、ほかのギャンブル系のものがかなり減少しているのに比べると、まだ結構頑張っているんですね、よくテレビでも有名なおじさんがやっているからかもしれませんけれども。ある意味では、もっとこの販売をふやして地域への還元、これは僕は、本当に小さな額ですが、コミュニティー創成にもかなり役立っている部分がたくさんあると思うんです。

 ですから、この宝くじは総務省の所管の部分でもありますが、むしろ、税外収入というか、きちっと全体をサポートする仕組みとして、一兆円といわずJRAの四兆円に頑張って向けていくようないろいろな御努力をやって、これは、この間の公営企業の新しい機構と同じように、ある意味では地方共同法人みたいな形で運営もなさっていますし、協議会も実際そういう運営ですよね。それを地方自治体が上手にお使いになっている。特にコミュニティーみたいに小さなところですね。

 という部分も含めて、余り頑張り過ぎるとよくないかもしれませんが、育成という観点、それが上手に地方自治に役立っていることも含めて、大臣、どのような御見解をお持ちか、最後にぜひお尋ねをしたいと思います。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、宝くじの収益金がそれぞれの地方自治体の発展のために大変大きな役割を果たしていると私も思っております。

 私どもとして、余りやり過ぎると、この間、totoの問題もいろいろありました。そういう中で、国民世論の動向を見ながら、一層健全な中で、方向性としてはこの宝くじというのはそれなりに健全ではないかなというふうに私自身も思っていますので、そういう方向で検討させていただきたいと思います。

後藤(斎)委員 ふるさと納税も大変必要なことかもしれませんが、むしろそうではなくて、夢も買える、一石二鳥の宝くじということで、ぜひ大臣、少しずつ軌道修正をいろいろな部分でしていただけるようにお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岡本(芳)委員長代理 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 大臣もいろいろな委員会に出席されてお疲れだと思いますけれども、大変申しわけありませんけれども、最初に通告外の質問をさせていただきます。

 それは、国家公務員法の一部改正、例の人材バンクといいますか、天下りバンクの関係でございます。

 そのセンター長が内閣官房長官だという話でございますが、その組織そのものはやはり総務省に置かれるべきじゃないか、こういう考え方があるんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 最終的には有識者会議で検討することになっておると思いますけれども、ただ、今までの議論の流れの中で、内閣全体を考え統括をするという意味では、官房長官ですか、そこがやはり一つの考え方ではないかなというふうに私は思いますし、私もそこについては積極的に、今までの累積もありますし、貢献をしていきたい、こう思っています。

福田(昭)委員 センター長が官房長官でもそれは仕方がないのかもしれませんが、では、国家公務員の定員管理はどの大臣がやられているんでしょうか。

菅国務大臣 総務大臣の私であります。

福田(昭)委員 国家公務員の定員管理は総務大臣の管轄なんですよね。ですから、今度の人材バンクも、そういった意味ではまさに人事制度の一環としての管理センターなんですよね、天下りバンクなんですよ。したがって、これは、やはり総務大臣が普通ならセンター長にならなくちゃおかしいし、総務省に事務局もなきゃおかしい、こう思うんですね。

 このことについては、大臣は直接の担当大臣じゃありませんから、渡辺喜美大臣に聞くのが一番いいのかもしれませんが、こうした大きな問題もありますので、我が党が主張しているように、私も前回お話し申し上げましたが、この国家公務員法の一部改正案は、これはやはり総務委員会と連合審査をしなきゃだめですよ。与党の皆さんも、皆さんの所管ですよ、皆さんの所管を放棄しているんです、これは。仕事を放棄しているんです。そういうわけで、ぜひ連合審査でしっかり天下り法案をやらないと、これは国民の皆さんに責任がとれませんよ。ぜひそういったことで、いかがですか、大臣。

菅国務大臣 私どもは天下りをなくすためにこのセンターをつくるわけでありますから、今のままの状況であれば、これは、正直言ってそれぞれの省庁が権限を持っていますから、それぞれの省庁の中で私どもの見えないところで行われている。そういう中で、私どもとすれば、内閣全体として、国民の皆さんの前で明らかにできるような形でしっかりと対応しよう、そういうことで今回の仕組みが出てきた、このように実は思っております。

 いずれにしろ、連合審査云々というのは国会で決めることでありますから、そうしたものに私どもはゆだねたいと思います。

福田(昭)委員 返答は、今度は与党の皆さんにかかってきましたから。これは連合審査をしなかったら総務委員会の責任放棄ですよ。こんな国会軽視はありませんよ、本当に。

 ですから、そういった意味で、どこかの新聞に書いてありましたけれども、それこそ思想的には右と言われる方が、事なかれ主義の自民党をぶっ壊せ、こういうことを書いておりました。本来なら自民党の味方の方ですよ、そういう論客が、事なかれ主義に陥った自民党を下野させろ、こういうことを書いておりました。それはやはり今の安倍内閣の運営を言っているんだと思うんですよ。まさに、審議すべきことをまともに審議しない。審議しないで、ある一定の時間が過ぎたらもう採決だと。与党の皆さんも意見がたくさんあると思うんですよ。ところが、その意見も言わせずに、時間が来たら採決。これは国会軽視以外ありませんよ。

 大臣に言っても仕方がありませんが、ぜひこれは安倍総理とやりたい話ですが、忙しくてなかなかこちらへ来てもらえませんけれども、そんなことを最初に指摘しておきたいというふうに思います。

 それでは、本題の方に入らせていただきますが、私の方は、この健全化法についての基本的な事項について確認をさせていただきたいと思っておりますので、大臣からは簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 まず、健全化の判断比率についてお伺いしたいと思います。

 一つ目は、実質赤字比率と連結実質赤字比率についてでございます。

 今回、地方公共団体の実質的な赤字規模の把握に関してこれらの指標を二つ併用する、こういうことになったわけですが、その理由についてお伺いをしたいと思います。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 まず、健全な財政運営のためには収支均衡が基本でありますので、地方公共団体の財政の主要部分であります一般会計等の収支不足を示す指標として実質赤字比率を用いるケース。

 さらに、公営企業等の特別会計、こうしたものを含めて、当該団体全体として一定以上の資金不足を生じることがないよう、当該団体の財政運営責任を果たす上で重要である、そういうことから連結実質赤字比率を併用することにいたしました。

福田(昭)委員 部分的じゃなくて全体を把握するために併用するということだと思います。

 二つ目は、実質公債費比率と将来負担比率についてであります。

 今回、地方公共団体の債務の状況の把握に関してこれらの指標を同じく併用することにしたわけですが、これについての理由を教えていただきたいと思います。

菅国務大臣 公債費や公債費に準ずる経費というのは、委員の御経験からも、一度増大すると削減することは極めて難しい経費である、このように思っておりますので、実質公債費比率として用いる必要がある、こう考えます。

 また一方で、公社だとか第三セクターに対する損失補償などを含め、将来負担が増大するだろう、将来の実質的な公債費に大きく影響を与える可能性がある、こうしたことから、実質的な負債と債務償還能力を比較する将来負担比率、こういうものも必要だということで、併用させていくことにしました。

福田(昭)委員 今回、第三セクターも含めて将来負担比率を出していくということは、私も非常に大事なことだというふうに考えております。

 そして、三つ目でありますが、三つ目には、夕張市の場合についてです。

 具体的な指標等については、政省令への委任ということで、年内には決めるということでございますけれども、夕張市の場合に当てはめるとどのような数字になるのか、まだ計算していないかもしれませんけれども、ぜひ計算をして教えていただければと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 夕張におきます、現在出ております平成十七年度決算におきますと、実質赤字比率は三七・八%、それから実質公債費比率は二八・六%でございます。

 夕張市の、現在いただいております財政再建計画を見てみますと、十八年度の赤字の見込み額は三百五十三億円というふうにされておりますので、この場合の実質赤字比率は八〇〇%程度ということになります。

 ただ、夕張の場合、この三百五十三億円という赤字は、夕張市が抱えている観光事業会計や病院事業会計などの赤字あるいは資金不足といったものをすべて一般会計の赤字に整理をして、いわばある意味では連結をさせた実質的な赤字といったものにかなり近いというふうにも考えておりますので、これから出ていくのでまだ計算はできませんが、仮に三百五十三億円という見込みを前提といたしますと、連結実質赤字比率といったものはこの八〇〇とそんなに大きく変わらないんじゃないかというふうには見込んでいるところでございます。

 なお、今委員御指摘のように、具体的に算定方法の詳細を検討し、年内にお示しするということにしておりますので、現段階で具体的な数字というのは算定できないということでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 大変なすごい数字だということはそれだけでよくわかるんですが、ただ、先日の参考人質疑の中で、公認会計士協会の副会長さんでしたか、お話ししておりましたが、これだけの粉飾をされると見つけるのは非常に難しいんじゃないか、こういう話がございました。

 このような四つの比率をつくったとしても、もし仮に、相当上手に粉飾をした場合にその発見ができるのかどうかということですが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 今回の法案におきましては、それぞれの四つの新しい指標を導入するということと、またその四つの指標について、それぞれの積算根拠でありますとかその証拠書類といったものをすべて開示して、それを監査委員の審査に付して、それをまた議会に報告し御議論をいただいてやるということにいたしております。

 したがいまして、そのすべての書類を、ざっくばらんに言えば、例えば本当の数字と違う数字を二重でつくるとかいうようなぎりぎりのところの議論は別にいたしますと、今回の制度によりまして、そういう意味での粉飾といったものは起こりにくいというふうに私どもは考えておりますし、またそういうふうに、私どもとしてはぜひ地方団体にも御努力を願いたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 ということは、議会と監査委員とが執行部と一体にならなければということになるんだと思うんですね。そういうふうになりますと、どんな基準をつくってもまず難しいのかなというふうに思っておりますが、ぜひ適切に運用されることを希望したいと思います。

 それで、次に財政健全化計画、財政再生計画についてお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、今回の計画の中で新たな計画事項が出てきたわけでございます。その一つが要因の分析ですが、要因の分析についてはどの程度行えばよいのか、計画期間についてはどの程度の計画期間とすればよいのか、計画期間中の各年度の比率の見通しについてはどのような考え方のもとに設定されることを想定しているのか、あわせて簡潔にお聞かせいただきたいと思います。

岡本政府参考人 財政健全化計画の記載についてのお尋ねでございます。

 要因の分析という項目につきましては、早期健全化基準や財政再生基準に該当いたしました比率の悪化原因となった会計のそれぞれの財政運営や事務処理といったものを特定して、その当該部分に関します事象といったものを住民にわかりやすく示していただきたいというふうに考えております。

 また、計画期間につきましては、財政悪化の要因分析を踏まえまして、比率の数値あるいはその改善能力といったものによって変わってくるわけでございますが、そういう改善能力等を勘案して各団体で適切な期間を定めていただく必要があると思っておりまして、とにかくできる限り早期に、短い期間で目標達成を図っていくということが重要であろうと思っております。

 それから、比率の見通しでございますが、歳出削減策や歳入確保策によりまして、当該団体の計画をつくる時点におきます数字を計画期間にどの程度、例えば何%改善するといったようなことを推計いたしまして、その見込みを記載していただきたいというものでございます。

福田(昭)委員 これもこれからということになるんだろうと思います。

 それでは、二つ目ですけれども、国の関与と計画の実効性の確保についてであります。

 この点については、地方分権の時代にふさわしいように、自治体の自主性を尊重するというような仕組みになっているようでありますけれども、しかし、どのようにして実効性を確保しようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

岡本政府参考人 国の関与と計画の実効性の担保、確保ということでございます。

 早期健全化の段階におきまして財政健全化計画の策定を義務づけております。この財政健全化計画につきましては、できる限り当該団体の自主的な改善努力といったことを尊重するということにいたしております。

 したがいまして、国の関与につきましても、計画の実施状況を踏まえますと、今のままでは、その実施状況では財政の早期健全化が著しく困難だと認められるような場合に限って国や都道府県が必要な勧告を行って、議会、住民によります前向きな議論を喚起いたしまして、財政の健全化を促そうというものでございます。

 一方、財政の再生段階におきましては、当該団体の徹底した歳出削減、歳入確保の取り組みを前提といたしました確実な再生を図るということが喫緊の課題になるわけでございます。

 したがいまして、基本的なベース、想定といたしましては、計画について国に協議をし、その同意を求めることができるということにいたしまして、同意を得た場合には再生振替特例債の活用が可能となるとかその特例債の資金に配慮するなどということになります。一方、同意を得ないということを選択された場合には地方債を制限するということにいたしております。

 同意を求めるということにいたした場合は、国が一定関与をいたしまして、予算の内容や何かをある意味ではチェックをし、その同意なくしてはその執行ができないという形にするわけでございますので、そういうことに対応したものとして特例債といったような形での支援を図るというものでございます。

 なお、財政の再生が困難と認められる場合にしましても、国は予算の変更等を含めた必要な勧告を行うことといたしまして、議会などにおきます前向きな議論といったものによって財政の再生を図ろうということでございます。

福田(昭)委員 非常に易しい決め方になっておりますが、しかし実際には同意を得ないとなかなか難しい、そこで実効性を担保しよう、確保しよう、こういうことだと思います。

 それで、三つ目でありますが、財政健全化計画にかかわる早期健全化基準について並びに財政再生計画における財政再生基準について、これについての数値はそれぞれ政令で定めるというふうになっているわけでありますが、年内に定めるわけでありますが、それぞれどのような考えに基づいて定めるのか。そして、どの程度の団体がこの財政健全化計画または財政再生計画を策定しなくちゃならないか。想定しているとすれば、その数を教えていただければと思います。

岡本政府参考人 御指摘の健全化基準あるいは再生基準といったものは、今お示しいただきましたように、年内に政令において定めることを予定いたしております。

 したがいまして、それぞれの基準といったものは、今回御議論いただいております早期健全化あるいは再生といったこの法案の趣旨を踏まえまして、地方団体の御意見を十分に伺いながら検討してまいりたいと思っております。

 その際、現在の再建法で行われております赤字比率五パーないし一〇、二〇というような現行の再建制度におきます運用、あるいは現在の地方債協議制のもとで置かれております許可団体への移行基準や単独事業等の起債制限基準といった、現実の規律として今ワークしている基準がございますので、このような基準との整合性や四つの比率間の整合性を勘案の上、検討を進めていきたいというふうに考えております。

 したがいまして、現段階で幾つぐらいの団体が考えられているというようなことは、まだわかりません。申しわけございません。

福田(昭)委員 現段階ではわからないということですが、先日の参考人質疑の中でも兵庫県の知事がおっしゃっていましたが、大変借金の多いところについてはぜひ多段階にしてくれというような意見もございましたけれども、そんなことは検討の一つになるんでしょうか。

岡本政府参考人 今の委員の御質問の趣旨が、各団体におきます例えば団体の特性とか市町村の規模とかいうような形で段階を設けてはどうかというような議論でございますと、先ほど来御答弁させていただいておりますように、地方団体のいろいろな御意見、そういうものも十分踏まえながら検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 なかなか基準の決め方も難しいかと思うんですけれども、ただ、計画がしっかりしていればそれはやり方もあるのかな、こういうふうに思っていますので、ぜひ御配慮をいただければと思います。

 次に、四つ目ですが、財政再生計画の同意についてであります。

 計画の同意については、都道府県知事を今回どうも関与させないような形で、都道府県、政令市にあっては総務大臣、それから各市町村にあっては総務大臣というような、総務大臣の専権事項と思われるような位置づけになっておりますけれども、再生計画の同意を総務大臣の専権事項にした理由はどういう理由なのか、教えていただければと思います。

岡本政府参考人 財政再生計画につきましては、その同意手続につきまして、都道府県、政令指定都市といったものにつきましては国に直接的に申請をいただき協議をするということにいたしております。また、一般の市町村につきましては都道府県知事を通じて総務大臣に御協議願うということにいたしております。

 現在の再建法におきましても、例えば夕張の財政再建計画といったものにつきましては、同じく総務大臣が北海道知事を通じていただいたものについて同意をするという手続をとっておりますので、その基本的な考え方を踏襲しております。

福田(昭)委員 特に気になったのは、この再建法では都道府県と政令市がどうも同格の扱いのような形になっておりまして、これからの地方自治制度の議論のあり方を考えたときに、私は都道府県と政令市は同格になってもいいと思っているんですが、先取りするような印象を受けたんですが、そういったことは全くないんでしょうか。

菅国務大臣 私は政令指定都市の市会議員を経験しましたので、やはり同じようにすべきだという思いは、政令指定都市所属の議員は全員持っていると思います。

 それは、余りにも二重行政過ぎる、そういうふうに実は思っています。住民に近い権限というのはほとんど市がやりますけれども、しかし、県を通じて来るものもありますし、市会議員と県会議員の関係というのも実は非常に微妙な関係がありまして、そういう方向では、今委員の御指摘のことではないんですけれども、しかし、単純にできるものはやはり明快にした方がいいだろうというふうに実は私は思っています。

 そしてまた、当然、この政令指定都市と県のあり方というのはこれから議論しなきゃならないわけでありますので、今国会中に二十九次の地方制度調査会を立ち上げたいということを、これは総理の諮問になるわけですけれども、表明しておりますので、そういう中でこうした問題を、あるいは、市町村合併をしてどんどんと基礎的な自治体も大きくなっています、そういうものも含めて検討すべき必要がある時期に来ているのかなというふうに思っております。

福田(昭)委員 ぜひそんな検討もしていただければと思います。

 それでは、同意を受けるメリットとして、地方債の起債制限が解除されたり、あるいは、先ほど話がありましたような再生振替特例債の起債が認められるということですけれども、これ以外に何らかの支援の予定があるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

岡本政府参考人 現在御審議をお願いしています法案で国の支援という形で想定をいたしておりますのは、今御指摘のような再生振替特例債の発行、また、その再生振替特例債の資金につきまして優先的配慮をするということ、また、他団体、国といったものは当該団体の財政再生といったものが円滑にいくように、その意味での協力をお願いしているということでございます。

福田(昭)委員 今回、夕張市の場合、三百五十三億円という借金を一括償還するということで、その資金については道が低利の資金を貸し付ける、こういう仕組みをつくったわけですけれども、私は、こういう場合には、低利じゃなくて無利子の一括繰り上げ償還制度というのをつくったらいいんじゃないか、こう思っているんですね。ただ、単に無利子の一括繰り上げ償還制度をつくって、それを融資する、貸し付けるということだけでは余りにも甘過ぎるので、その際、首長の責任とかそういったことをしっかり、議会の責任もあるかもしれませんが、そうした首長や議会の責任の強化ということを、特に首長については、それこそ辞職をするとか退職金を返上するとか、そういったことを条件に無利子の一括繰り上げ償還制度をつくって対応していくというようなことも必要なんじゃないか、そんな考え方もいたしておりますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 実は、夕張のときに私も同じような考え方を一時したことがあります。しかし、これについて、周辺の市町村との関係だとか北海道からのさまざまな意見の中で、北海道庁が〇・五%という金利で判断をされました。そういう中で私どももそこについてはやはり支援をさせていただきたいということを決断したわけでありまして、この夕張の財政再建の中でこのことは極めて大きかったというふうに私は思っています。

福田(昭)委員 私も非常に大きかったと思っています。やはり借りたものはしっかり返すというのが基本だと思うんですよね。ただ、返すに当たって、少しでも楽にしてあげるというのが低利なり無利子の貸付金だと思うんですよ。ですから、そういう仕組みというのが必要なのかなと。後で議論しなくちゃと思っているんですが、自治体の破綻制度をどう考えるかという点と関連してくるんですが、私はぜひそういう考え方が必要じゃないかなというふうに思っているところでございます。

 だんだん時間がなくなってきましたので先を急ぎたいと思っていますが、次に、地方債の起債の制限等についてお伺いをしたいと思います。

 一番目の話は省略をいたしまして、二つ目の再生振替特例債についてでありますけれども、先ほど局長の方から話がございましたが、優先的に資金を提供するんだというんですが、「国は、法令の範囲内において、資金事情の許す限り、適切な配慮をする」と書いてあるんですが、これは優先順位を高めるというだけの話なんですか。何かもっと具体的な意味があるのかどうか、教えていただければと思います。

岡本政府参考人 基本的に、資金の配慮という場合には、委員の御指摘のような範囲だろうと思っております。

福田(昭)委員 なるほど、非常に希望的な話でありますけれども、これも少し何らかの具体化といいますか、そういうものがあるといいんじゃないかなとも思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 それから、三点目に当たりますが、国及び地方公共団体の配慮についてであります。

 再生団体が再生計画を円滑に実施できるように国及び地方公共団体の配慮としてどのようなものが想定されるのか、教えていただければと思います。

岡本政府参考人 財政再生団体の再生に当たりましては、当該団体の徹底した自助努力というものが前提でございますが、国及び他の地方公共団体に対しましては、財政再生団体の計画に沿った再生の円滑な実施について配慮するということを規定いたしております。

 国の配慮といたしましては、計画の円滑な実施に資するという意味で、情報の提供でございますとか、あるいは、当該団体の財政負担を伴うというような事業、国が行う事業において各種の直轄事業等が発生するといったような場合があるわけでございますが、財政負担を伴うような事業は例えば当該期間は抑制をするというようなことも考えられるということでございますし、また、各種のいろいろな国が持っておられます施策といったものについて、再生団体が計画内で行う事業にいろいろな資金援助、補助等が該当する場合に、そういうものについて配慮するといったようなことが考えられると思います。

 また、他の地方公共団体で考えられる配慮といたしましては、例えば財政再生団体と共同で広域連合や一部事務組合を設立されている団体に当たりましては、再生団体と協力して一部事務組合全体の財政状況を改善する、あるいは効率化するといったような取り組みを行っていただくというようなことができると思いますし、また、市町村を包括する都道府県が行う協力といたしましては、必要な情報の提供や適切な助言といったことを初めといたしまして、今回の夕張の場合に北海道が行われましたような人員の派遣でありますとか、あるいは資金の融資といったようなことも考えられると思っております。

福田(昭)委員 それでは、今までの法律にあるような準用再建団体の実質赤字額に係る一時借入金の利子に対する特別交付税措置がありますけれども、このような措置を再生振替特例債の利子について講ずるような考え方は今のところないということですか、ありますか、いかがですか。

岡本政府参考人 再生振替特例債につきましては、その資金について国が配慮をするということにいたしておりますが、その償還は基本的には当該団体の歳出削減の努力によって行われるべきものと考えております。

 御指摘の利子につきましては、再生団体の財政状況など個々具体の状況を踏まえ、真に必要な場合には所要の措置を検討するということになろうかと考えております。

福田(昭)委員 では、全く考えていないということではないんですね。場合によってはあり得るということですか。

菅国務大臣 最初から具体的に書くというのはどうかなという中でこういう表現をさせていただきました。

福田(昭)委員 わかりました。

 それでは、だんだん時間も迫ってまいりますので、公営企業健全化計画について一点だけお伺いをいたします。

 資金不足比率についてでありますが、これも政令で定めるということですけれども、どのような考え方に基づいて定めるつもりなのかお伺いをしたいと思います。

岡本政府参考人 経営健全化基準として考えております資金不足比率は、普通会計におきます実質赤字比率に相当する意義を持っているわけでございます。各公営企業の現金ベースでの資金不足が事業の規模に対してどの程度の割合を占めるかということを算定するというものでございます。

 この基準と算定につきましては、今後政令で定める、また地方団体の御意見を十分伺いながら進めるということは、他の基準と同様でございます。

 ただ、公営企業の場合、例えば下水道事業など、供用開始後の一定期間は構造的にやむを得ず資金不足が生ずるといったような場合が多いというようなこともございますので、この基準の設定に当たりましては、こういうそれぞれの事業の特性に基づく事情といったものも適切に考慮し、地方団体と十分意見交換を行いながら設定をしてまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 次に、債務調整についてお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、地方自治体と民間企業の違いについてであります。地方公共団体に民間と同様の破綻法制を適用するには課題も多いと思いますけれども、どのように考えているのかお聞かせをいただきたいと思います。

菅国務大臣 この債務調整というものについて、私自身は必要性というものを強く意識しておるものであります。ただ、これを導入するについてはさまざまな問題が生じる。そういう中で研究会も開かせていただいて、まず一回目、昨年十二月にまとめられました新しい地方財政再生制度研究会報告書、これによりますと、課題として、債務調整についての合理的な基準設定のあり方、首長等の経営責任のあり方、裁判所等の関与、体制のあり方との関係、財政力が弱い地方公共団体においての資金の調達、こうした四点がその課題として指摘をされました。

 こうした課題について、現在、債務調整等に関する調査研究会、ここにおいて議論をこの課題に対していただいているところであります。

福田(昭)委員 なかなか重い大きな課題だと思いますけれども、そうした中で、私はちょっと大臣とは考え方が違うんですが、地方公共団体にはいわゆる民間企業のような倒産はないわけです。倒産がないということは清算もないということだと考えておりまして、したがって債務調整のやり方というのは少し慎重に考える必要があるんじゃないかと思っています。そうした中で、これは代表質問でもさせていただきましたけれども、地方六団体は首長や議会の責任の強化と住民負担の導入というのを提言しているんですね。

 そういった中で、総務省に置かれています新制度研究会では今のような議論が行われたんだと思いますけれども、首長や議会の責任強化、住民負担の導入についてどの程度議論が行われたのか、今大臣が掲げたような課題を出しただけなのか、その辺のところをお伺いできればと思います。

菅国務大臣 債務調整について、福田委員は私と違うと言われましたが、うちの役所の事務方も福田委員とほとんど一緒なんですよね。しかし、私は、これはやはりもうこういう時代の中で考えるべき問題だろうと、私自身は思っております。

 今御指摘がありました件の中で、首長や議会の責任のあり方については、「民間企業の債務調整では、経営者の更迭など経営責任が問われる場合が多いが、地方公共団体の場合、民事再生法上の監督委員と同様な職をおくことが適当か。例えば市町村長の経営責任を問うことについていかに考えるべきか。」こうしたことが指摘をされました。

 また、住民の負担責任については、そもそも債務調整が議論される財政の再生の段階においては、当該団体の徹底した歳出削減、歳入確保努力が前提となり、住民の負担も生ずることになるもの、こうした課題を含めて、現在、この債務調整等に関する調査研究会で幅広い観点から議論をいただいている。

 いずれにしろ、この問題については、さまざまな意見があることも事実、課題もあることも事実でありますけれども、ただ、あるからといって避けて通るべき問題ではないというふうに私自身は考えています。

福田(昭)委員 なかなか難しい問題だと思いますが、私は、先ほどもちょっと申し上げましたが、債務のまず全額一括償還が必要かなというふうに思っています。そして、首長の責任を前提として、国、地方の支援を行う。その際、さっき申し上げたような一括の繰り上げ償還、借りかえ制度、そうしたものを創設して自治体の債務調整に当たったらどうか。やはり借りたものはしっかり自治体は返さなかったら、これはやはりモラルハザードになっちゃいますよ。民間企業とは違いますので。ここはやはり公的機関がしっかりと借りたものは返すという当たり前のことをやれなくなったら、日本はもうどんどん混乱していってしまうと思います、いろいろな仕組みが。私はそう考えております。

 三つ目でありますが、そうしたことを考えると、やはり事前監視制度の導入が私は必要だと思うんですよね。今回、竹中大臣も、アメリカの破綻法制などを参考にしてやるんだ、こういう話でしたけれども、しかし、いろいろ調べてみますと、イギリスもフランスもドイツもみんなすべて、財政破綻を未然に防ぐための規制とかあるいは事前の監視制度が整備されているため、破綻法制はないというんですね。設けていないというんです。アメリカでも、破綻法制は設けていても実際に適用例は少ない、こういう話なんですね。

 そんなことを考えると、やはり事前監視制度、今回の健全化法も事前に監視できるような仕組みになっているわけでありますが、この仕組みをさらに強化できる方法があれば、それを備えて、むしろ破綻のときに破綻処理をするよりもその方がずっとベターだと私は思うんですね。

 例えばですけれども、そうした中で、私は、破綻をしてしまえば最終的には住民負担が、重い軽いはいずれにしても必ず住民負担が出てくるということですから、住民が事前に監視する制度というのを設けるべきだと思うんですね。そのためには、私も間接民主主義が基本だと思っておりますけれども、直接民主主義の一つである住民投票というものを活用していくということが必要なんじゃないかなと私は思っているんですね。

 我が国においても、市町村合併では住民投票を非常に使いました。これで相当効果を上げて、市町村合併が進んだんですね。その次の段階として、例えば多額な起債事業、これからいろいろなところで大規模な公共事業をやろうとしております、あるいは公営事業、鉄道事業とか地下鉄とかあるいは路面電車とかいろいろやろうとしておりますが、こうしたものは完全に、それこそ将来多額な借金を背負い込むというのが明らかなものもあるわけです。こうしたものに対して住民がイエスかノーかと判断を下すために住民投票制度というものを導入すべきだと私は思うんですね。

 それからもう一つ、これはアメリカではよくやっている話ですが、我が国においても地方自治体に独自課税権、課税自主権を法律上与えていただきましたけれども、アメリカでは、独自の税をつくる場合には、住民投票にかけて五〇%以上の賛成があれば独自の市町村の税金をつくれる、実はそういう仕組みがあるんですね。そのために住民投票制度を活用しているわけです。

 ですから、そういったことを考えると、多額の起債事業とかあるいは独自の税金をつくる場合に、住民投票制度を導入するということが大事なんじゃないか、これを一つの事前の監視制度として使っていくことができるんじゃないか、そういうふうに考えておりまして、ぜひそんなことも考えるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 再建全体に対しての福田委員の考え方というのは、この法案にかなり具現化されているんじゃないかなと私は思っています。

 今回の法案では、全会計を通じてガラス張りになる、そういうことで市民の皆さんにかなりの情報を提供できる、そういう仕組みになっておりますので、情報提供というのはかなり徹底するだろうと思っています。したがって、将来の住民負担の増加等についても監視というのが可能になる。

 今御指摘をされました住民投票による住民監視制度でありますけれども、現行の代表民主主義を基本とした我が国の地方自治制度のもとで議会や長の本来機能と責任をどう考えるか、こういうことに十分配慮する必要があるというふうに思います。

 いずれにしろ、幅広い議論が必要な一つの大きな問題だというふうに私は考えています。

福田(昭)委員 確かに議論は必要だと思いますけれども、私も考え方は大臣と一緒なんですよ。間接民主主義が基本です、私もそう思います。

 しかし、間接民主主義だけでは不十分なところを、直接民主主義の一つの方法であります、住民参加とかいろいろあるわけですけれども、住民投票制度というのを導入して、やはりより民主主義を充実させていくということが大事だと思うんですよね。そうでないと、住民も、夕張市のように市長と議会が同意のもとにやっていたら発見できないんですよ。あるいは、ある自治体がこれからやろうとする大規模な事業も、首長と議会が合意すればできちゃうんですよ。それで、赤字だ、四、五年たってやめよう、こういう話になる。住民負担はこれでふえますよ、これでは住民はたまったものじゃないですよね。

 ですから、そういう意味で、そうした大きな課題、大きな事業については、事前に住民投票にかけて、赤字になっても、住民負担がふえても、この事業は公共性が高いからやるべきだ、こういう判断を住民にしてもらうべきだと私は思うんですよ。そういうことによって日本の民主主義も充実していくと思うんですね。

 時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、そんなことがこれからもどんどん起きると私は思っているんですよ。実は私の地元でも起きそうな件が一つあるんですが、これは必ず起きてしまうと思うんですが、そんなことを後で後悔のないようにしていくのがこの事前の監視制度というか予防制度だと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 この際、暫時休憩をいたします。

    午前十一時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十四分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 前回に続きまして、私は、最初に、財政健全化計画の策定というのが、自治体の長が作成し、議会の議決を経てこれを住民に公表するということになっている、この段階でとどめたらいいじゃないか、前回この話をしたわけですが、ところが、報告、勧告というふうにあるわけで、ですから、知事や大臣への報告、それから健全化計画の実施状況に係る報告、これがないとなぜだめなのかということについて、どんな不都合なことがあるのか、まずこのことを伺っておきたいと思います。

岡本政府参考人 財政健全化計画につきましては、財政再生計画とは異なり、国に対する協議や同意の手続を設けておりません。その内容については、当該団体の自主性を尊重しているものでございます。ただし、今御指摘のように、策定された計画、実施状況については、総務大臣または都道府県知事に報告をしていただくというふうにいたしております。

 これは、総務大臣や都道府県知事が、各団体が策定いたしました財政健全化計画の内容を承知するということとともに、これを取りまとめ、その概要を当該都道府県内の住民や国民に対しましてわかりやすい形で公表するというための前提として設けております。これによりまして、広くその財政健全化への各団体の取り組みを、他団体と比較可能な形での情報開示を徹底するということ、また、当該健全化計画をおつくりになっている団体の住民や議会が、それぞれ自分の団体の計画について他団体と相互に比較をし参考とすることで健全化の取り組みがより適切に行われることを期待しているというものでございまして、仮にこの規定がない場合には、今言ったような取り組みに支障が生ずるおそれがあるというものでございます。

吉井委員 今の答弁をこの間もしはったわけですが、比較、参考としてもらうというわけですね。

 比較をしてもらうというわけですが、これは住民の皆さんに何を比較してもらうのか、参考にしてもらうのかという、その中身といいますか、何を比較するわけですか。

岡本政府参考人 財政健全化計画のまさに中身ということになろうかと思いますけれども、その財政健全化計画は、期間、それから当然その中身として、具体の歳入確保策あるいは歳出削減策などの取り組みといったものを内容といたしているわけでございますので、各団体におきます歳入確保策にどのような取り組みをされているのか、あるいは歳出削減にどのような取り組みをしているのかということについて、それぞれ都道府県や全国単位でこれを一覧化するということによりまして、財政悪化の要因が類似している団体と計画内容や進捗状況を比較いたしましたり、他団体の計画におきます具体の改善方策といったものを例えば自分の団体がとっていない場合には、自分の団体のところでとれるのか、あるいはそれはとる必要がないのかということの議論に資するということになるわけでございます。

 また、都道府県単位、全国単位で定期的に取りまとめられるということで、当該団体の住民のみならず、都道府県内の住民の方々あるいは国民全体に対しまして、その傾向や実態を明らかにし、地方財政全体について広く御理解をいただくということにも資するというふうに考えております。

吉井委員 指標を示して、指標について判断をする。その指標の報告というぐらいならば、簡単なものであれば、まだこれは住民の方が見て判断材料になるという話もあるかもしれないんですが、財政健全化計画の内容というのは、四条二項に示している八つの項目がありますね。

 これは、健全化判断比率が早期健全化基準以上になった要因の分析だとか、計画期間とか、財政の早期健全化の基本方針、実質赤字額がある場合、一般会計等の歳入歳出の均衡を実質的に回復する方策だとか、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率が早期健全化基準以上であればそれを未満にする方策とか、各年度ごとの前二号の方策に係る歳入歳出計画だとか、八つあるわけですね。これらの内容を比較して、一般の人にこれはわかるというふうに思っているわけですか。

岡本政府参考人 今、健全化計画の内容について委員から御指摘をいただきました。

 まさにそれをもう少し具体的に、どういうふうに書かれるものかということを想定いたしますれば、例えば夕張の再建計画でも、歳出削減のためにどういうことを策定していくのか、例えば住民のサービスといったものについてどのような議論を行うのかといったことが、まさに歳出削減、歳入確保という意味での、歳出削減の一つの具体的な中身であるわけでございますので、歳入確保のためのいろいろな税の問題でありますとかいうようなことは、夕張の例を見るまでもなく住民のまさに最大の関心事でもございますから、そういうことについてお互いに他団体の状況を理解するといったようなことは意味があることではないかというふうに考えております。

吉井委員 今総務省のホームページを見れば、全国の自治体の決算概要については、決算資料は一覧にして出しているわけですから、そういう数字的なものだったら、ああ、自分の自治体はこういう水準にあるのかとか、ここがよそと比べるとどうだとか、これはわからないことはない、一般の住民の方たちがわかる話だと思うんです。

 しかし、健全化計画の比較となると、先ほどの八つの項目ですよ。同じ人口規模や財政規模であっても、都市部の自治体なのか農村部の自治体なのかということによって財政状況が異なってくるわけですね。それから、公営企業があるところなのかないところなのかとか、いろいろなことによって財政状況が異なってくるわけです。ですから、八つの項目について、こんなことは一般住民にとってみれば、決算概要の数字みたいな一覧表とは違って、これは比較しようにも簡単に比較できる話じゃないんですよ。そういうものを全国的に総務省がまとめて発表しても、実際には住民にはわからない、意味がないということになってくると思うんですが、違うんですか。

岡本政府参考人 今申されましたような、まさに指標といったものにつきまして、現在私ども、各団体に対しましても、例えば人件費比率がどうであるとか経常収支の比率がどうだとかいうようなことをそれぞれ類似団体、産業構成が似ている、あるいは税収の比率が似ているといったような団体と比較した形で、自分の団体のポジションをわかるような形で示してほしいというお願いをいたしております。

 今回いただきます、健全化団体がどの程度の団体の数になるのか、これはまだわかりませんけれども、健全化に取り組まれている団体におきます今委員御指摘のような点につきまして、まさに住民の方々が比較しやすいような形で、そういう意味での公表といったものに私どもとしては取り組むことによりまして、先ほど申し上げましたような都道府県単位あるいは全国単位での、それぞれの団体の財政健全化への取り組みといったことがわかりやすく比較していただけるように公表に努めるということが我々のまた責務ではないかと思っております。

吉井委員 今のお話であれば、要するに指標だけの報告で十分なものだと思います。

 それで、第三条では、健全化判断比率のことですが、これは監査委員が絡んでくるわけですね。ところが、第五条の方の健全化計画の策定については監査委員の審査を絡ませていないわけですね。この理由というのは何なのかということを次に伺います。

岡本政府参考人 監査委員は、自治法上、決算、基金の運用状況を毎年審査する役割、権限が与えられておりますとともに、財務監査、行政監査、あるいは財政援助団体等の監査の権限を有しておられます。

 また、監査委員は、当該団体の財務管理、事業の経営管理、その他行政運営に関してすぐれた識見を有している方々及び議員のうちから、議会の同意を得て選任されるということと同時に、住民からの解職請求の対象ともされておりまして、当該団体の機関としての議会、住民に対して責任を有しておられるわけでございます。

 このように監査委員は、地方公共団体の適正な行財政運営をチェックする立場で重要な役割を担っていらっしゃるわけでございますので、先ほど申し上げましたような意味で、健全化の判断比率といったようなものは、議会、住民といった方々がいろいろな健全化の努力について議論をされる際の基礎となるものでございますので、そういう意味で監査委員にお願いをいたしている、審査を絡ませたいわけでございます。

 一方、計画そのものは健全化の努力というものでございますから、これにつきましては、その執行の責任者である長と議会、長が原案を作成した上で、議会の御審議をいただいて決定していくべきものというふうに考えたわけでございます。

吉井委員 健全化判断比率の方は、これは要するに全国的な公表を前提としているから監査を絡ませるわけですね。健全化計画の方は全国的な公表を前提としていないから、だから監査が絡まない、絡ませていないということかと思うんですが、全国の自治体の健全化計画を比較しても、これは一般住民にはわからないわけで、そういうものは本来的に必要とされるものじゃないと思うんですが、結局これを必要とするのは総務省じゃないんですか。総務省が自治体をチェックするために必要というのが、この一番のねらいじゃないかと思うんです。

 機関委任事務制度が存在していたときだったらそういうこともあったかもしれませんが、地方分権一括法が成立して、国と自治体との関係は対等、平等なんだ、対等、協力の関係になったと言っているわけですから、そうすると、自治体に対する国の関与もこれまでとは違ったものになってこないとおかしいと思うんですね。これでは分権一括法前と同じ関与のやり方じゃないか、このことを指摘しておきたいと思うんです。

 今問題にしておりますこの監査委員の方の問題について次に伺っておきたいと思うんですが、法案では、三条の健全化判断比率やあるいは二十二条の公営企業の資金不足比率を公表する際には、監査委員の審査に付し、その意見をつけて公表しなければならないとしているわけですが、監査委員の審査を絡ませた理由というのはそれではどこにあるのか伺います。

岡本政府参考人 監査委員は、当該地方団体の財務監査、行政監査ということについての権限を有しておられます。したがいまして、監査委員はその地方公共団体の適正な行財政運営の確保、そういう立場から重要な役割を担っておられるわけでございまして、その健全化のいろいろな指標という意味での、その指標の正当性の確保を図るということのために、監査委員に毎年の健全化判断比率等の審査を行うことをお願いしたものでございます。

吉井委員 地方財政再生制度研究会の報告では、指標の客観性、正確性を担保するため第三者機関の活用を図るとしているわけですね。この第三者機関に該当するものとして監査委員というのを考えているものですか。

岡本政府参考人 新しい地方財政再生制度研究会の中におきましていろいろ御議論ございました際に、その数値の客観性、正確性というものを担保する、いわばこの数字は長が計算し発表するわけでございますので、長と離れた立場で、違う立場でその数字の客観性、正確性といったものを審査する人が要るのではないかというような御議論は研究会でございました。そういう中で監査委員というのを選んだということでございます。

吉井委員 地方自治体の財務諸表の客観性、正確性を担保する機能を果たすと期待されている今の監査委員の問題、これについて伺っておきたいと思うんです。

 夕張市では、監査委員に職員OBや議員が充てられて、監査機能が機能していなかったと言われている問題があります。

 現状のままでは、監査委員の審査を経たからといっても、夕張でも一応監査委員の審査を経た形になっているわけですが、それが本当に客観性や正確性を担保するものになっているのかどうかということがあります。現状について、この点での認識というものを伺っておきたいと思います。

藤井政府参考人 御指摘のように、監査委員というのは、地方行政全般に関する監視とチェックを行うことにより、その公正で能率的な運営を保障するという重要な機能を担っているものでございます。

 地方分権の進展により、自己決定権と自己責任の拡大ということはますますふえていくわけでございますので、地方行政のあらゆる分野で公正で効率的な運用が求められているわけでございます。監査機能の果たすべき役割はこれまで以上に重要となっているというふうに認識しているところでございます。

 このような状況を踏まえて、この監査委員制度については、これまでも逐次制度改正をしてその充実強化を図ってきているところでございますが、いずれにしても、このような状況を踏まえますと、現状においては、それなりに適切に監視、チェック機能を発揮しているというふうに考えているわけでございますが、総務省としても、さらに地方分権を進める上で、監査の充実強化を図るという観点から今後も引き続き必要な検討を行ってまいるという所存でございます。

吉井委員 今申し上げました夕張の例、夕張だって、監査委員の方が、職員のOBとか議員が監査委員になっているわけですが、この監査委員の方が一応監査して、それで、結構ですといいますか、正確性あるいは客観性を担保した形になっていたわけですね。

 ですから、監査委員はしっかりやっているということで現在正確性あるいは客観性を担保するものになっているのかどうか。今、お話では大体担保するものになっているというお答えなんですが、本当に担保するものになっているのかどうか、それをどういうふうに見てはるのかということをもう一遍伺っておきたいと思うんです。

藤井政府参考人 委員の御指摘は、OB職員のような方々が監査委員になっているということで、その中立性、公正性というものに問題があるのではないかという御指摘かと思うんですが、このようないわゆるOB委員につきましては、やはり一面では地方公共団体の行政に精通しているということや小規模団体における人材の確保というようなことを踏まえて、あるいは、当該地方公共団体の職員であった者が、かつての勤務先である地方公共団体の行政運営について常に公正不偏の態度を保持し、長から独立して監査を行うことができないおそれがある、こういうことにも配慮して、両面から見まして、これまで二回にわたり選任の制限を強化はしてきているところでございます。

 さらに、昨年八月には、「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」におきまして、各地方公共団体に対しまして、当該地方公共団体の常勤の職員であった者の監査委員の選任は特にその必要がある場合以外には行わないこととして、地方公共団体外部の人材を登用することを原則とするなど、住民の理解と支持が得られる監査委員制度の運用に努めるということを指摘しているところでございます。

 このように、私どもとしてもやはりいろいろそういう問題は認識しているんですが、いろいろ地域の実情ということもありますので、これからも引き続きそういう改善努力をお願いしているというところでございます。

吉井委員 いや、私が言っておりましたのはその話じゃなくて、監査委員はしっかりやっているので担保になるという趣旨の御答弁だったので、それならば夕張のような問題は出ないはずなんですね。だから、現状というのはそうはなっていないんじゃないですかということをお聞きしたんです。

 監査委員については、OBの起用が常態化しているという問題がありますし、議員から選出される監査委員が短期で交代するという問題があります。

 総務省からもらった資料によれば、都道府県で、有識者として選任された監査委員九十六人に対して議員選出の監査委員が九十二人で、大体同じなんですね。市町村で見ても、有識者出身が三千五百十二人で、議員出身が三千二百八十六人ですから、市町村も大体同じぐらいの数、フィフティー・フィフティーでやっている。

 有識者として選任された監査委員の方は、ではOBの方が有識者に占める比率がどれぐらいかというのを見れば、都道府県では三七・五%、市町村で二四・一%。

 議員選出は短期にぐるぐる交代するものですから、きちんと財務状況を把握することが必ずしもできないとか経験が蓄積されないという問題がありますし、OBについては今度は身内に甘いという問題があるなど、これまでから、今も少し触れ出しておられましたが、そういう指摘は繰り返しあるんですね。

 では、それを打開するためにどういう手をつけてきたのか、どういう手をつけようとしているのか、ここをもうちょっとすぱっとお聞かせいただきたいと思うんです。

藤井政府参考人 お尋ねの件は、監査委員選任の際のOB制限にかかわる改正のこれまでの経緯ということであると思いますが、まず、平成三年四月二日の地方自治法一部改正では、識見委員が二人以上の場合、少なくともその一人以上は、選任前五年間において当該地方公共団体の職員でなかった者でなければならないというような制限を加えております。

 また、平成九年の地方自治法一部改正では、当該地方公共団体の職員であった者の委員は一人を限度とするということで、これも限定を加えているというところでございます。

吉井委員 都道府県議会議長会に電話で聞いてみたわけですが、九九年の一斉地方選挙後の四年間を対象とした議長会の調査によりますと、監査委員を一年で交代する団体というのは三十団体、二年交代が十二団体、四年交代が二団体、つまり、一期四年間ずっとというのは二団体。それで、その他が三団体。三団体というのは、ある会派出身の監査委員は二年間やるけれども別な会派は一年交代とか、だからその他ということになってくるわけですが、監査委員の任期は四年ですから、議員選出の監査委員が四年の任期いっぱい務める団体というのを見てみたら、四十七都道府県のうちわずか二団体。

 この問題は九七年の地方自治法改正のときにも我が党から提起したわけですが、当時の資料では、一年交代が三十団体で、二年交代が十五団体だったわけです。当時、松本行政局長は「監査という視点から考えますと、やはり短期交代というのは必ずしも適当ではない」と答弁したわけですが、しかし一方、議会の自律性というものもあるからすぐに手をつけるということにはならなかったというのが実情です。

 しかし、今言ったように、その後少しも事態は改善されないで同じことが続いているし、やはり夕張の例を見ても、監査委員が本当に機能を果たすということが非常に大事になってきているときですから、監査委員の選任については、OBとか議員は選出の対象から外すということを検討することが必要だと思うんですが、この点については大臣どうですか。

菅国務大臣 確かに現状の監査委員というのは非常に問題がある、私はこう思っております。そういう中で、今委員から御指摘のありましたそうしたことも、これから改善のための一つの方向だというふうに私は思います。今日までもOBの制限などを行ってきていますけれども、まだまだ私は改革をすべき点はあると思いますし、監査委員というのは、これからの地方分権の中で極めて大事な役割を果たしてくるようになってくると思っています。

吉井委員 あわせて、選任の方法ですね。議会の同意を得て長が選任という形にはなっておりますけれども、しかし、長というのは監査を受ける側なんですね。監査を受ける立場の長が監査委員を任命するという形ですから、選任方法の見直しについても、これは報告などで指摘されているんですが、この問題についてもどのように今後検討していくかということがあると思うんですね。これについても大臣のお考えを伺っておきます。

菅国務大臣 今の監査制度の現状というものについて、確かに先ほど来いろいろな御指摘がありましたけれども、私も現状としては問題があるというふうに思っておりますので、そうしたことも含めて検討させていただきたいと思います。

吉井委員 いずれにしろ、監査委員というのは、このチェック機能というのが指標の客観性とか正確性を担保するものになってきますから、そうした要請にこたえて機能を発揮し得るかどうかという点を見たときに、現状は非常に不透明で、監査機能の一層の充実が求められているということがはっきり言えると思うんです。

 最後に大臣に伺っておきたいのは、将来負担比率の算出では、資産の時価評価の話ですが、時価評価は債務超過額の増大に連動してきますから、当然、将来負担比率も高まるという形になります。公営企業で資金不足比率を指標として、資金不足比率が政令で定める基準以上ならば経営健全化計画を策定しなければならないということです。

 財政健全化計画を策定しなければならない団体数は幾つかと聞いたら明確な答弁はなかったんですが、公債費負担適正化計画など現在何らかの財政計画を策定している団体というのは約四百団体あります。大臣は、従来の考え方を極端に変えることは不安を引き起こすとも別な機会に答弁してはりますが、仮に四百前後の団体が策定団体になるとすると、これは全自治体数の約二〇%というふうになってきますね。物すごい数です。

 実は、昭和二十年代後半から三十年代にも地方財政危機というのがあって、このとき都道府県で三十六団体、市町村で千五百二十二団体が赤字団体に転落。そのときでも、財政再建団体になったのは全体の一二%でした。現行再建法の財政再建計画と今回の法案の財政健全化計画の内容に違いがありますが、しかし、計画を策定して国に提出し、そのチェックを受けるということには変わりはないわけです。当時の再建団体数を大幅に超えて、なぜ国の関与を新たに広げなければならないのかという問題がやはり出てくると思うんです。

 時間が大分迫ってきましたので、最後に、なぜ国の関与を新たに広げなければならないのか、ここをきょう改めてもう一度伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 これから政令において定める部分というものによって当然出てくるというふうに思いますけれども、私どもは国の関与を強めることは全く考えておりませんので、それぞれの地方自治体がこうした財政指標というものの情報を徹底し公開することによって、常に緊張感のもとで住民本位のそうした地方自治が行われるよう、そういう今回の改正でもあることも御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 自治体の財政状況を早い段階で住民に情報を公開して、そして、住民的な議論の中で打開していくというのは大事なことだと思うんですが、しかし、その中で国の関与を拡大する、強めるというのはやはり問題があるということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 それでは質問に入りますが、まず最初に、今回提案されております法案は、地方財政再建特別措置法及び地方公営企業法、それにかわるものとして提案をされているというふうに受けとめておりますけれども、これら今ある法案にかえて今回の法案を整備する背景というか理由をまず最初に聞いておきたい。

菅国務大臣 現行の再建法制というのは五十年前につくられたものでありまして、当時と今日を比較する中で、第三セクターだとかさまざまな、一般会計以外の付随するそうした会計というのがどんどんふえてきておりまして、現状の実態にそうした再建法制というものが合っていない、そういうふうに私は思っております。

 例えば、一般会計の実質赤字というフロー指標のみ現在は用いている。あるいは、地方公共団体の申し出がなければ再建を行う仕組みにもなっていない。あるいは、財政悪化を早期に防止するための早期是正機能というものが機能することになっていないなどの課題が指摘されているというふうに思っております。

 そこで、こうしたことに対応するために、現行制度の抜本的見直しをし、地方公共団体の全会計をカバーする新たなフロー指標だとか、あるいは公営企業、公社、第三セクター、こうしたことを含めた実質的な負債をとらえるストック指標を導入すること、これらの指標に基づいて財政悪化というものを早い段階でとらまえて自主的な財政健全化を義務づけること、さらに財政状況が悪化した場合には財政再生計画の策定を義務づけるなど、こうしたことを柱にすることが夕張の教訓の中でも必要だという中で、こうした法改正をさせていただくものであります。

重野委員 そういう理由についての説明があったわけですが、この点については、いわゆる新しい地方財政再生制度研究会報告がありますけれども、それを見ますと、七点にわたって現状の不備が指摘をされております。今の大臣の説明あるいはこの研究会報告による指摘において、例えばフロー指標のみを使っているだとか、再建団体の基準しかない、そういうことのゆえをもって本案を制定しなければならないという理由であるならば、それはそれなりにわかります。

 しかし、この研究会報告の言う、例えば、各団体において常日ごろから、早期是正・再生という観点を念頭に置いたわかりやすい情報開示がなされていない、こういうことが言われているんですが、そういうことを一つの理由とするならば、これはちょっと話が違うんではないか。つまり、こういう理由は、制度ではなくて、その制度をどう運用するかという運用論ではないのかと思うんですね。

 したがって、十分な運用、あるいは運用論がなされて運用がされておれば、個々の自治体における財政悪化の事前防止ということも可能ではないのか。しかも、今私が指摘するそうした運用面における総務省の自治体に対する指導であるとか責任、これは大きい。つまり、そういう面で総務省が責任を果たしてきたのか、こういう疑問を持つわけですけれども、そういう視点に対して、大臣、どのように考えていますか。

菅国務大臣 財政情報の開示については、これまでも、今の状況の中で、他の団体との比較を住民にわかりやすい形で情報提供するなど、私どもなりに努めてきました。

 しかし、これは現実問題として、地方公共団体全体の財政状況だとか、あるいはそうした団体に財政負担を及ぼし得る公社だとか第三セクターの状況を含めた財政状況を端的にあらわすような財政指標が今まではなかったわけでありまして、また、既存の財政指標が、本法案に定めておりますような財政の早期健全化、再生の仕組みと必ずしも関係づけられていなかったというふうに思っています。そういうことで不十分な状況にあるというふうに私は思います。

 そこで、本法案によって、全会計を通じた赤字や将来の財政負担の状況も含めた財政指標というものを整備し、早期健全化や再生の取り組みにつなげていく、そうした仕組みを構築するということが今多くの国民の皆さんからも望まれていることだろうというふうに私は思っております。

重野委員 他方、この研究会報告に言うところの七つの課題のうち、再建団体の基準しかないだとか、ストックベースの財政状況に課題がある団体が対象にならないとか、あるいは、実質収支比率の基準は地方行財政の状況が大きく変化しているにもかかわらず長期にわたって見直されていないなどは、これは明らかに制度面にかかわる制度問題です。これまた、この間、こういうことを言わなきゃならないまで放置してきた総務省の責任というのは大きいんじゃないか、こういうふうに私は思うんです。

 そういう観点から見たときに、この法律は、財政健全化計画、財政再生計画策定とその達成に至る手続法であっても、それを達成していくための国の責任、まあ、これを読んでみて、その提出をして、それについて総務省がいろいろなことを言うんだろうと思うんですが、そうじゃなくて、やはり国の自治に対する責任というものがきちっと明記されてしかるべき法案ではないか、こういうふうに思うんですが、そういう思想というのは全くないんですか。

菅国務大臣 それぞれの地方団体においては、財政ルールをしっかりと守って、そして住民ニーズを踏まえた自立的な財政運営を行う、こういうことが当然求められておるわけでありまして、また、財政の健全化、財政の再生に当たっても、当然自助努力というものが基本であることは間違いないというふうに思います。

 そういう中で、そうした地方公共団体の財政の健全化のために国がいたずらに関与したり財政支援をしたりするのではなくて、住民によるチェック、自治本来の機能がうまく発揮されるような透明なルール、そうしたものが必要であって、私どもは、本法案において、国として全団体の比率の概要を公表したり、あるいは必要に応じて勧告を行ったりするなど、地方公共団体に対して自助努力を促すような国の役割というものを今回定めさせていただいております。

 いずれにしろ、本法案によって、分権時代にふさわしい、地方がそれぞれ自己規律のもとで財政の健全化を推進する、そうした仕組みをつくることが可能になると思います。

重野委員 なかなか期待する答弁にはなっていないんですが、今日の地方財政が大変な状況になっている。この状況変化については、前回の質問の折に、国策に動員された地方自治体、その間に、国に踊らされたと言ったら言い過ぎかもしれませんが、莫大な負債を抱え込んで、それが膨らんで今日に至ったんだということを指摘しましたのですが、そういうところのやはり国の責任というものは逃れられないと私は思うんですね。

 今日の地方財政危機、この法案を提出する遠因にはその問題があるんですが、そのときに国がやらなきゃならなかったことを結果的に地方に負わせた部分が大きいんだ、そこのところがきちっと整理されて、そこから出発した形というものが見えないと、地方から見れば非常に不満の残るものになる、こういうふうな思いからどうしても逃れられないんです。その点について重ねて大臣の見解を聞いておきたい。

菅国務大臣 前回の質疑の中でも、重野委員から、公共事業あるいは地方単独事業等、国の政策誘導じゃないか、実はそういう御批判もいただきました。そういう中で、社会情勢の変化だとか、あるいは行政活動の複雑化、多様化、そうしたものに合わせて地方公共団体の財政の規律の確保を図っていくということは国としても責任がある、私は、このように考えております。

 このため、例えば地方債の許可制度の運用の中で、個別団体の公債費負担の適正化などを通じて各団体の財政の健全化に取り組んできておりますし、さらに、今般、抜本的に制度を見直して、新たにこうした透明なルールをつくって、国民の皆さんがそうした財政状況のそれぞれ実態がよくわかるような仕組みをつくろうという判断をしたところであります。

 そして、本法案においては、そうした地方団体の財政の悪化の段階に応じて、全団体の比率の概要を公表するだとか、あるいは健全化判断比率を超えた団体に対しては必要な勧告を行うだとか、あるいは再生判断比率を超えた団体が作成した財政再生計画が適当なものであれば私どもは同意を行うなどの規定を設けて、国としての果たすべき役割を明確にさせていただいたところであります。

 いずれにしろ、本法案によって、まさに分権時代にふさわしい、地方公共団体の財政の健全化というものを強く推進していきたいと考えております。

重野委員 私がこだわるのは、自治体のありようを変えなきゃならぬという発端は、やはりあのバブルの後遺症ですね。それは、国策に動員された地方自治体という形で見れば、そこに端を発して財政危機を招いた。そうであるならば、やはり国として、国がどういう形で自治体の苦境に向き合っていくかということが問われていると思うんです。

 私は、言うならば、今回出されている法案が、地方財政再建特別措置法に比較して、地方自治体の自由度というか、地方自治体の主体というものがどうなのかと比べてみれば、地方財政再建特別措置法の場合、前の法律ですね、再建団体に入るか否かは個々の自治体の判断。ところが本案では、健全化に関する個々の具体的な比率だとか再生計画に関する個々の比率を超えたら、それぞれもう計画を定めなけりゃならぬと。こういうところを見ると、特別措置法に比ぶれば今回のこの法律は、従前にも増して自治体の選択の幅あるいは裁量の幅というのは狭められているというふうに私はとらえるんです。そこのところがやはり私はこだわらなきゃならぬのです。

 結果的に、財政の自主権といえば、そういう視点で見れば、いわゆる分権自治だとかそういうものとは逆行する中身ではないのか、私はこういうふうに思うんですが、その点については、大臣、どうですか。

菅国務大臣 社会生活なりこうした自治を進めていくには、一定のルールというんですかね、基準というんですか、そういうものはやはり必要だというふうに私は思っております。

 そういう中で、財政運営の責任というのはそれぞれ地方公共団体にあって、財政状況が悪化したときは、その健全化はできる限りその地方公共団体の責任において行うというのは、これは当然のことだというふうに思います。

 しかしながら、住民に対する行政サービスというものを維持していくためには、一定以上財政が悪化した場合、その状態が放置されてさらに悪化することとしないような仕組みは当然やはり必要だというふうに思います。

 そこで、財政状況が一定程度悪化された場合の予防的な措置として財政健全化計画の策定を義務づけられる、さらに悪化すれば再生計画の策定が義務づけられる。現行の地方公共団体の申し出による枠組みを抜本的に今回見直しいたしました。

 この財政健全化計画の内容については、できる限りそれぞれの団体の自主性を尊重することとして、また、財政再生計画については、総務大臣の同意を求める求めない、これも実は任意とするなど、国の関与についても必要最小限のものにとどめているところであります。

 したがって、財政自主権は認めないという今委員の御指摘には当たらないのではないかと私は思います。

重野委員 なかなか平行線です。どうも大臣との議論はいつも平行線で終わってしまうんですね。

 そこで、そればかりしておったら時間がありませんから、財政健全化計画及び財政再生計画について聞きます。

 四条に定める財政健全化計画の策定でありますが、「当該健全化判断比率を公表した年度の末日までに、当該年度を初年度とする財政の早期健全化のための計画を定めなければならない。」こういうふうになっています。これからしますと、決算を公表した年度末にはもう計画を策定しなければならないわけです。期間としてはさて最長半年ぐらいということになるのかなと思うんですが、その程度の期間で策定される計画が十分な検討を経て策定された計画と言えるのかどうかという点について、私はいささか疑問なしとしないんです。裏返して言いますと、総務省はその計画にそれほどの緻密性は求めないんだ、そういうふうに受けとめることもできるな、そういうふうに思うんですが、そこのところはどうなんですか。

岡本政府参考人 委員御指摘のように、財政健全化計画、それからこれは財政再生計画も実は同じでございますが、それぞれの健全化の判断比率といったものがその基準を超えるということになったときは、その判断比率が判明をした年度の末日までにそれぞれ計画をつくっていただくということにいたしております。

 これは、それぞれ自主的な財政の健全化あるいは再生といったことは、それは当然、最終的には住民の負担を求めたり、あるいはサービスといった議論に直結をしてまいるわけでございますから、そういう事態がわかった限りは、その解消に向けてとにかく早急に取り組むということが必要になるということでございまして、そういう意味で、比率の公表年度の予算執行やその翌年度の予算編成において計画を具体的に反映させていく、そういうことを踏まえながら対応していくという観点から、直ちの計画を求めているわけでございます。

 なお、御案内のとおり、例えば今回、現行の再建法で夕張に再建計画をつくっていただきましたが、昨年の夏にそういう決算を公表し、その対象となる意思を事実上表明されて、この三月に再建計画をお持ちになって同意を得るという手続を踏まれております。

重野委員 財政再生計画となりますと、健全化計画とは違って、内容は非常に多岐に上るんですね。ボリュームというかその内容が非常に多岐にわたっております。ところが、策定期間は同じなんですね。果たしてそれは可能なんでしょうか。そこにいささか無理があるのではないか。健全化計画、再生計画、ボリュームが違うのにその期間は同じだというところに何か特別の意味があるんでしょうか。

岡本政府参考人 健全化計画にいたしましても再生計画にいたしましても、財政の指標、要するに、当該団体の財政の状況がやはり改善をする状態にあるということは、量の多さという問題については別といたしまして、基本的には同質の問題であるというふうに考えております。

 したがいまして、財政の健全化ということについては、当該団体の状況が一定の比率を超えた段階であるということでございますから、先ほども申し上げさせていただきましたが、住民への負担を少しでも緩和していくというようなことを考えますれば、直ちに健全化の努力に取り組む、あるいは再生の努力に取り組むということが必要であるということでございますから、そういう意味で、健全化計画あるいは再生計画につきましても、それぞれ判明した当該年度の年度末までに作成をしていただくということにいたしているわけでございます。

重野委員 そこで、今議論している財政再生計画と、地方財政再建特別措置法による財政再建計画、話があっち行ったりこっち行ったりして申しわけないんですが、これの性格上の違いというのはあるんですか。一定の財政比率を超えて団体が策定する計画であるならば、その性格は同じなのかなと私は理解をするんですが、この点について。

岡本政府参考人 現行の再建特別措置法は、御案内のように、一般会計等の実質赤字の解消を目標といたしております。したがいまして、ある意味では、一般会計の実質赤字、普通会計の実質赤字といったものを指標としてとらえて、その指標の解消を目標といたしております。

 一方、今回の再生計画は、ほかの三つの健全化判断比率、実質公債費比率でありますとか、そういう指標を使って、それを早期健全化基準未満にするということを目標といたしておりますので、例えば対象の会計といたしましても、公営企業会計や何かも全部含むわけでございまして、そういう意味で、幅広い観点からの財政の健全化を達成しようという点は、まず一番基本的に違う点ではないかというふうに考えております。

 さらに、現行の再建法は早期健全化の段階が設けられておりません。本法案の財政再生計画といったものにつきましては、健全化の段階で一定の努力をしていただくということがあるわけでございまして、その健全化の段階があるにもかかわらずさらに財政が悪化した団体を対象としているという点でも、その性格は異にしているというふうに考えております。

重野委員 確かに、特別措置法の場合は一般会計を対象とするもので、本案の場合は、一部事務組合であるとか第三セクターであるとか、適用範囲が非常に広がってきましたから、それはそれとしてわかるんです。確かにそういう意味での財政の再生の複雑性はあるかもしれませんが、それが即、計画内容の複雑性につながると言い切れるのかなと。

 というのは、私は、複雑になればなるほど、それをやる自治体の負担というのは、あるいは自治体の縛りというのは、あるいは自治体の自由度というのは、やはりぐっと絞られてくると思うんですね。それが過大になっていくのじゃないかなということを懸念するからそのことを問うておるわけですけれども、その点についてどうですか。

岡本政府参考人 財政再生計画は、要は、財政状況が著しく悪化した、そういう意味での実質赤字額を解消して、健全化基準未満にするということを目標として作成をいたすわけでございます。

 したがいまして、現在の再建促進特別措置法が一般会計等を対象にしているということから、対象範囲が今回の法の場合は広いという問題はございますが、基本的に、新しい財政再生計画におきましても、事務事業の見直しでありますとか組織の合理化でありますとか、使用料、手数料の額の変更、要するに、歳出の削減、歳入の確保といったそういう意味での必要な取り組みというのは、現行再建法のもとにおきましても新しい再生法の中でも、団体の取り組んでいただく内容といったことは、そんなに大きな実質的な差があるわけではない。

 ただ、それを法律上はっきり具体的な内容として明示をさせていただいておりますが、団体が財政再建に取り組む、いわゆる一般的な意味での財政再建に取り組むためのいろいろな内容を記述していただく、計画立てていただくという意味では、今の現行再建の場合でも新しい法制のもとでも、基本的な取り組みは、御努力いただくことは同じような内容ではないかというふうに考えております。

重野委員 そこのところはわかりました。

 次に行きますが、第十条「総務大臣は、財政再生計画について同意をするかどうかを判断するための基準を定め、これを公表する」、このように書いております。

 三つあるんですが、その基準とはどのようなものかということが一つ。それから、この基準の作成について地方財政審の意見を聞くとありますが、この意見を聞くための基本的なスタンスは現時点でどのように持っておられるか。また、この判断基準はいつ示すのか。以上三点。

岡本政府参考人 財政再生計画の同意基準の具体的内容についてのお尋ねでございます。

 この同意基準をどのようなものにしていくかは、今後の検討課題でございます。計画の内容が財政の確実な再生に向けて必要な内容になっているということが基本でございますので、そういう必要な内容になっているかということを確認するために、計画期間でありますとか、歳入増加あるいは歳出削減に係る基本的考え方、あるいは各年度ごとの計画の内容といったことがその同意基準の内容になっていくのではないかなというふうには考えております。

 また、同意基準の作成に当たりましては、地方財政審議会の御意見を伺うことといたしております。私どもが作成しました原案が財政の再生を確実に達成するために必要な内容となっているかどうかという観点から御意見を伺いたいというふうに考えております。

 なお、この同意基準につきましては、財政再生計画の義務づけが施行されますのは平成二十一年四月でございますが、それまでの間のできるだけ早い時期に定めてまいりたいというふうに考えております。

重野委員 もう時間も来たようでありますが、最後に、財政再生団体の場合、特に再生振替特例債を発行した団体の場合、政府は何らかの財政上の支援措置をやるのかやらないのか、どちらか。

菅国務大臣 まず、財政再生団体については、それぞれ徹底した自助努力を前提として財政健全化というのを行う、これはまず当然のことであるというふうに思います。

 その上で、総務大臣が財政再生計画に同意した場合、再生振替特例債というものを活用できる、こういたしております。その資金について国が配慮する、こういうことにいたしておりますけれども、再生振替特例債に係る利子補給等については、法制上は何ら定めてはおりません。

 しかしながら、再生団体の財政状況や個々具体の状況を踏まえながら、真に必要な場合は必要な措置を検討するということになっておりますので、当然そういう方向で考えられるというふうに思います。

重野委員 わかりました。

 では、以上で終わります。

佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に対して反対の討論を行います。

 二〇〇〇年から施行された地方分権一括法によって、国と自治体の関係は、上下主従の関係から対等協力の関係になったと言われております。昨年成立した地方分権改革推進法は、自治体に対する国の関与の整理合理化を義務づけています。こうしたことを考慮すれば、国の自治体に対する関与は抑制的でなければなりません。

 ところが、法案は、四つの健全化判断比率について、これから政令で定められる早期健全化基準を、四つの指標の一つでも上回った場合には、健全化判断比率が早期健全化基準以上になった要因の分析など八つの事項についての財政健全化計画の策定と、大臣及び知事に対する計画の報告、さらには、健全化計画の実施状況の報告が義務づけられています。また、計画どおりに進んでいないと大臣や知事が判断すれば、勧告ができる権限を国に与えているのであります。そして、この国の関与の及ぶ範囲も、これから定められる政令の基準いかんによっては広くも狭くもなるという、全く国の意向にゆだねられているのであります。

 財政の早期健全化策はもちろん必要なことです。しかし、その方法は、地方自治の本旨に基づいて自治体みずからが自主的に行うべきもので、早期健全化の段階では、国の関与は控え、自治体の自主性にゆだねるべきものであります。

 法案は、早期の段階から国の関与を認め、自治体に対する関与をさらに強めるものであり、断じて容認できないことを申し上げて、討論を終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党・市民連合の重野安正です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。

 反対の第一の理由は、今回の法案が、国に甘えるな、地方の責任だとする立場に立脚し、これまで地方財政の悪化をもたらしてきた国の責任を棚に上げ、すべてを自治体の財政運営と住民の自己責任に帰そうとしていることであります。

 第二の理由は、結局個別自治体の責任に矮小化され、地方財政全体の見直しや制度的改革を進めることにつながる保証がない点であります。しかも、旧法に比べ、国の財政的な支援措置も不十分です。

 第三の理由は、法案では、地方の選択が狭められ、自治体の自主性や自治を侵害するおそれがあるためです。旧法は、財政再建計画を策定して財政再建に取り組むかどうかは、完全に当該自治体の判断にゆだねられていました。しかし、新法は、当該団体の意思にかかわらず、一定の指標を超えれば、財政健全化計画、財政再生計画、経営健全化計画について策定を義務づけることになっており、財政自主権を縮小、否定するものであると言わざるを得ません。

 第四の理由は、政令、省令に委任されている事項が多数あり、法案だけで新制度の姿が見えてこない点です。専門的、技術的要素が強いことはわかりますけれども、例えば計画策定を義務づけられる指標自体、政令任せで明らかにされておらず、今後どれだけの団体が該当するのかわかりません。

 最後に、国家による管理、統制の強化や市場競争原理の徹底ではなく、情報公開、住民や議会による監視の強化を通して、住民主導による自主的、主体的な財政再建、そして財政だけでなく地域の再生につながる再建法を強く求めて、反対討論を終わります。

佐藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより採決に入ります。

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、谷公一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に対する附帯決議(案)

  地方公共団体の財政の健全化に関する法律案の施行を実効あらしめ、地方自治体の財政の健全性を高めるためには、自治体の財務状況を正確に把握することが不可欠であり、監査委員制度と外部監査制度の充実強化及び公会計制度の整備が急務である。政府は以上の観点に立って次の措置を講ずること。

 一 地方分権の観点から必要以上に国の関与が強まらないように配慮すること。

 二 財政指標の算出方法や早期健全化基準・財政再生基準を政省令で定める際には、画一的な指標・基準とせず、地方六団体の意見が十分反映されるようにすること。

 三 弁護士・公認会計士・税理士といった有資格者の監査委員への登用等の方法により、監査委員の独立性及び専門性を高めるための方策について検討すること。

 四 再生振替特例債の発行が認められることを受け、地方債残高の縮減に努めること。

 五 地方自治体において、企業会計を参考とした貸借対照表その他の財務書類の整備の促進を図る措置を講ずること。この場合の財務書類は、地方独立行政法人、地方三公社、一定の出資法人等を含めた資産及び負債の状況等を総合的に把握することができるようなものとすること。

 六 金融機関の貸し手責任が問われる中、金融機関等の法人情報の保護の観点に留意しつつ、民間資金も含めた地方債の引受けの状況について、実態を明らかにするよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅総務大臣。

菅国務大臣 ただいまの御決議にありました事項につきましては、その御趣旨を十分尊重させていただきます。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.