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第8号 平成19年12月6日(木曜日)

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平成十九年十二月六日(木曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 神風 英男君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    石崎  岳君

      越智 隆雄君    岡本 芳郎君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      玄葉光一郎君    郡  和子君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    横山 北斗君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月六日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     越智 隆雄君

  逢坂 誠二君     横山 北斗君

  黄川田 徹君     神風 英男君

  森本 哲生君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     井澤 京子君

  郡  和子君     森本 哲生君

  神風 英男君     黄川田 徹君

  横山 北斗君     逢坂 誠二君

同日

 理事黄川田徹君同日委員辞任につき、その補欠として神風英男君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十六回国会閣法第九四号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に神風英男君を指名いたします。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 第百六十六回国会、内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案及び山口俊一君外四名提出の修正案を一括して議題といたします。

 原案及び修正案に対する質疑は、去る四日に終了いたしております。

 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、放送法等の一部を改正する法律案に対しての反対討論を行います。

 反対理由の第一は、認定放送持ち株会社制度の導入によってマスメディア集中排除原則を空洞化させるものだからです。

 マスメディア集中排除原則は、憲法で保障された放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるように、放送を一の者に独占させないようにするものですが、認定放送持ち株会社はこの原則の例外とされ、異なる地域であれば複数の放送事業者の子会社化が可能となり、持ち株会社による放送の寡占化、集中化をもたらすことになります。

 現状でも、放送番組がキー局中心で、地域独自の制作が少ないとの指摘がありますが、この傾向がさらに進みかねません。新たな行為規制も、これまでの原則、構造規制を補うものではなく、視聴者・国民の知る権利も狭めることになります。

 反対理由の第二は、NHKの経営委員会の合議制をゆがめ、政府の介入につながる仕組みをつくるからです。

 NHKの経営委員会は、独断を排し、各分野の知識と経験と意見を持ち寄って、民主的に決定が行える合議制機関として位置づけられてきました。常勤化される一部の経営委員が監査委員を兼任し、新たに監督と監査を行い強い権限を有することとなり、非常勤の委員との間に格差を持ち込むことによって、合議制をゆがめるものです。一部常勤化については、経営委員会からも、情報量の面で格差が生じ、合議機関である経営委員会の独立性と多様性を損なう懸念などの見解が三月に出されています。

 また、常勤者で強い権限を持つ経営委員の任命を内閣総理大臣が行うことになっていることは、NHKに対する政府の介入が強まるものであり、重大です。NHKのガバナンスにおいて、営利企業と同じ仕組みを持ち込むことは容認できません。

 反対理由の第三は、国際放送の命令制度の問題です。命令制度について命令を要請と変えても、NHKに努力義務を課すなど、政府の介入を排除できないものだからです。

 そもそも、国際放送の命令は、独立規制機関、電波監理委員会が行っていたものを、電波監理委員会の廃止後政府が直接行うようになったことに、政府の介入を招く大もとの要因があります。小手先でなく、制度のあり方を根本から見直すべきです。

 なお、修正案については、表現の自由、番組編集の自由を侵害する再発防止計画に関する改定規定の削除は当然ですが、他の問題点を修正するものではなく、反対です。

 最後に、放送の今後のあり方の転換を行う重要な審議をわずか六時間で終局したことについて遺憾の意を表し、討論を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案及び自民党、公明党、民主党、国民新党提出の修正案に対し、反対の討論を行います。

 今回の改正案は、NHK不祥事や民放の不祥事を奇貨として、メディア規制の流れを強めるべく、当時の菅総務大臣が主導したものであります。社民党は、命令放送問題に加え、権力の側がしきりにメディアへの介入を試みてくる手法に極めて問題があることから、慎重な審議を求めてまいりました。

 修正案の各項目は、原案をよりよく改善するものであると評価しています。特に、民間放送番組のすべての分野について、虚偽や事実、国民生活への悪影響とみなすかの判定権を総務省に与える条項を削除することは、大きな前進と言えます。

 しかし、残念ながら、なお以下申し上げるような懸念が残されていると考えます。

 第一に、NHK経営委員会の番組編集への関与を禁止する文言を追加する修正は評価しますが、古森経営委員長が、チャンネル数の削減や民間ばりのリストラを迫ったり、選挙期間中に番組編成に干渉する発言を行ったりする現実を見れば、視聴者不在のまま経営委員会の権限を強化することの危険性は払拭されておりません。

 第二に、出資上限が引き下げられる修正が行われても、認定放送持ち株会社制度の導入は、特定資本への集中を招き、マスメディア集中排除の原則を緩和することになり、地方局の寡占化、地域性や多様な言論の切り捨て、情報の東京一極集中に拍車をかける懸念があります。

 第三に、新たな要請放送に一定の条件をつけても、NHKに対して法的にも事実上も権力を持つ総務大臣からの要請となれば、事実上の義務づけになり、報道の自由を侵害する懸念が残ります。制度そのものを撤廃すべきであります。

 第四に、行政処分規定の削除は評価しますが、最近の総務省の運用が、言論、表現の自由の擁護という当初の立法趣旨から外れている現実も問題だと考えます。放送倫理に関する問題についても、あくまでも世論の批判と放送事業者及び放送業界の自浄努力にゆだねるべきであって、視聴者を含めた第三者機関の強化により、自主的、自律的に解決していくことが法の本来の趣旨であるはずです。

 以上、修正によっても、NHKに対する支配の強化、言論の多様性やローカル色の喪失、命令放送の実質的な枠組みの存続といった問題点が残ることから、賛同できないことを申し上げ、討論を終わります。

渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 放送法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山口俊一君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、今井宏君外三名から、自由民主党・無所属会、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・そうぞう・無所属の会の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。原口一博君。

原口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会(以下「協会」という。)は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 協会の経営委員の人選については、協会の役割及び公共放送の在り方について十分理解し、協会の経営について中立的に判断できる者とすること。

 二 協会に対して新たに認められる番組アーカイブのブロードバンドによる提供については、民間事業者との公正な競争の下で行われるよう、その適切な競争環境の整備に努めること。また、番組アーカイブは受信料により制作されていることから、新しいサービスによる収益は、受信料に還元させるよう検討すること。

 三 協会が行う外国人向けの国際放送については、多額の受信料を投じることが妥当であるか検討すること。また、我が国の対外情報発信力を強化するため、政府においては、法第三十三条第一項の要請に関し、法第三十五条第一項に規定する国が負担すべき費用について必要な予算の確保に努めること。

 四 総務大臣が国際放送の実施の要請を行うにあたっては、協会の表現の自由、番組編集の自由を最大限尊重すること。

 五 認定放送持株会社制度の導入に伴い、マスメディア集中排除原則が緩和されることとなるが、同原則が放送の多様性・多元性の確保に大きな役割を果たしてきたことにかんがみ、同制度の運用にあたっては、マスメディア集中排除原則の趣旨が損なわれないよう十分配慮するとともに、地方の独自性が確保されるよう留意すること。

 六 放送番組の適正性に関し、放送の不偏不党、真実及び自律が十分確保されるよう、BPO(放送倫理・番組向上機構)の効果的な活動等関係者の不断の取組みに期待するとともに、政府においては、関係者の意向も踏まえつつ、その取組みに資する環境の整備について検討を行うこと。

 七 放送・通信行政の公正性及び中立性を確保するため、引き続き放送・通信行政の在り方について検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十四分散会


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