衆議院

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第15号 平成20年4月15日(火曜日)

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平成二十年四月十五日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長代理理事 今井  宏君

   理事 石田 真敏君 理事 萩生田光一君

   理事 林田  彪君 理事 山口 俊一君

   理事 黄川田 徹君 理事 原口 一博君

   理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      井上 信治君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    高鳥 修一君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      西  博義君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 小野 芳清君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大西 典良君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     井上 信治君

  馳   浩君     高鳥 修一君

  谷口 和史君     西  博義君

  亀井 久興君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     石崎  岳君

  高鳥 修一君     馳   浩君

  西  博義君     谷口 和史君

  糸川 正晃君     亀井 久興君

同日

 理事馳浩君同日委員辞任につき、その補欠として萩生田光一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

今井委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に萩生田光一君を指名いたします。

     ――――◇―――――

今井委員長代理 内閣提出、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事大西典良君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政管理局長村木裕隆君、情報通信政策局長小笠原倫明君、総合通信基盤局長寺崎明君及び国土交通省航空局次長小野芳清君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。御声援ありがとうございます。しっかり頑張ります。

 きょうは、電波法の一部改正案についてということで、これについて質疑をさせていただきます。

 実のところ、昨日夕方に、私がここで質問させていただくということが決まりまして、地元であいさつ回りなどをしておったときに連絡が入りまして、大変焦ったわけでございます。夜も会合が入っていて、これも抜けられなくて、夜中、夜行の寝台列車の中で質問を考えなきゃいけないということになりました。なんですけれども、携帯電話もありますし、今どき、パソコンからPHSでインターネットに接続してメールをやったり、ウエブでいろいろな資料を見たりということもできますので、できてしまうということで、いかに電波の高度な利用とか、それによるビジネスとか、そういうものが便利になったなということを改めて感じた次第でございます。そのため、若干寝不足なのはお許しをいただきたい、こう思うわけでありますけれども、そういうことで、電波法の質疑ということです。

 早速本題に入ります。

 その電車の中で、先週の本委員会の質疑の速報を改めて確認させていただきました。その中で寺田委員が、きょうまだお越しになっていませんけれども、電波利用料の使途について、大変寺田委員らしいと申しましょうか、質疑をされておられました。それに関連して、私からも少しお伺いをさせていただきたいと思っております。

 現行の電波法の百三条の二の四項におきまして、電波利用料というものは、総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務に要する費用の財源だ、こういうふうに規定をされておられる。そこについていろいろな議論があったわけでございます。

 現時点、現行法においても、あるいは改正案についても六つの項目がその中で例示をされておりまして、その中でも、例えばその三の技術開発等についてということ、あるいはその六の無線利用困難な地域に対する普及支援の補助だとか整備だとか、そういった項目がありまして、今回の法改正による使途拡大でも、その二項目についてさらに拡大をするということになっているわけであります。

 改めて、その二つの項目に電波利用料を充てる理由というものをまず確認させていただきたいと考えております。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 電波資源拡大のための研究開発事務につきましては、その対象としている技術は、具体的には、周波数を効率的に利用する技術、周波数の共同利用を促進する技術などでございまして、いずれも周波数逼迫の緩和を通じて無線局全体の受益を直接の目的とするものでございます。

 特に、三ギガヘルツ以下の電波はきつきつの状態で周波数を割り当てております。非常に増波が難しい状況がございます。また一方、移動体の通信に使う電波は、動き回るもので、回り込んでいく、カーブして飛んでいく、そういう性質が必要になります。そういった点からいきますと、移動体に使われる周波数というのは周波数が低い方が望ましいということで、三ギガヘルツ以下の周波数が非常に重要になってきます。

 そういったような中で、きつきつの状態で無線局数を、さらに増波とかそういうことを考えますと、やはり別の知恵を出さなくちゃいけないというようなことで、具体的には、いっぱいのところに対しましてさらに、同じ周波数で技術を使って共用技術を入れていくだとか、一つの無線局を狭い帯域で使えるようにして二倍の無線局が使えるようにしていくだとか、そういったようなことをやっていかなくちゃいけない、そういう背景でございます。

 また、無線システム普及支援事業につきましては、携帯電話の小セル技術やデジタル放送技術といった周波数の能率的な利用に資する無線技術の積極活用を図るものでありまして、こういった無線技術による無線設備等の整備支援を行うことで、周波数逼迫の緩和を通じて無線局全体の受益を直接の目的とするものでございます。

 このように、電波利用料を充てている事務につきましては、いずれも無線局全体の受益を直接の目的として実施しているものでございます。

橋本委員 今の御答弁ですと、技術開発にしても無線利用困難な地域に対するものについても、周波数逼迫の緩和ということがキーポイントになるのだろうというふうに考えております。

 これはもうよくわかるとおり、地デジにしても、あるいは携帯電話、特に基地局数というか台数が大変ふえる中で、どうやって割り当てていくかというのは大変重要な問題であって、そこに対してニーズがある、これは何とかしなきゃいけないということは事実であります。

 無線局全体の受益という言葉がもしかするとひっかかる方もおるのかなと思うわけです。例えば、それを物すごく厳密にというか細かく考えて、今ある無線局に個別具体的に対応して受益をするというような考え方をすると話が少しややこしくなるわけでありますけれども、貴重な有限な資源であるところの電波を使う無線局ユーザーのコミュニティー全体としてその利益を増すということで、この二つの支出というものは電波利用料を充てることが正当化をされるのであろうと今の答弁を伺っても思いましたし、なのであれば、今回の法改正で使途拡大をするということも当然なのかな、現下の周波数帯逼迫という現状を考えると、とても必要なことなのかな、こう思ったわけでございます。

 今のような考え方でいいですか。

 はい、ありがとうございます。うなずいていただきましたので、そういうことなのでしょう。私と政府の考えと合っていたということです。

 続いて、電波利用料の国などの負担についての改正についてお伺いをします。

 現行法では、国、独立行政法人、国立大学法人など電波利用料が免除をされておりますけれども、今回の法改正で、それらについても電波利用料を原則負担するということに転換されることになったと承知をしております。ただし、消防、防衛、警察、海上保安などの用途に用いられる無線局については、こういう大事な業務なので、電波利用料については負担を免除する、もしくは軽減をする、こういうことになっております。

 これについて、先週の委員会で、塩川委員に対する寺崎参考人の答弁において、負担を軽減する、免除するものとして、国、地方公共団体の専ら非常時における国民の安全、安心の確保を直接の目的とする無線局云々、こういうくだりがあって、さっき申し上げたような消防だとかそういうものを指しているものと考えております。

 これについて確認なんですけれども、国、地方公共団体のという言葉がありました。それについて、消防といっても常備消防といわゆる消防団と二系統あるわけでありまして、常備消防だけではなくて、地域の安全、安心をしっかり守っている消防団が使う無線局についても同様の扱い、負担免除の対象になるのだろうというふうに理解をしておりますが、この点について御確認をお願いいたします。

寺崎政府参考人 市町村が消防組織法に基づきまして設置する消防団において消防活動の目的のために利用する無線局につきましては、従来から電波利用料の負担が免除されているところでございます。

 今回の改正により、その扱いについて変更するものではございません。

橋本委員 了解をいたしました。

 話は違いますが、消防団については、消防団機庫のNHKの受信料を考えてくれというような要望もあります。これはちょっと話題が違いますけれども、いずれも重要な任務でありますので、彼らの負担軽減というものはぜひ考えていただきたいと思いますし、その趣旨の中で今回の法改正対応も含まれているということで了解をしました。

 続きまして、地上デジタル放送の推進ということについてお話を伺います。

 今回の電波法改正で、さっきの使途拡大の中で、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備事業というものが新たに補助の対象として加えられることとなっています。

 この地デジの放送というのは、二〇一一年七月にアナログ波がとまるということで、あと残すところ三年、そういうところでありますので、早急な対策が必要だということで、大変必要な措置だというふうに考えております。

 総務省の資料によりますと、平成二十二年度末までのアナログ受信世帯に対するデジタル放送のカバー率、視聴可能世帯は約九九・五%というふうに承っておりますけれども、この九九・五%という推計は、今回の電波法改正による新たな事業を実施するということの効果というのが考慮、算定をされているのかどうか、含まれているのかどうか、まずそれの確認をお願いしたい。それから同時に、今回法改正をして新たな事業をやりますということで何%もしくは何世帯ぐらい拡大をするような効果を期待されておられるのか、できれば具体的に、あわせて教えてください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘いただきました地上デジタル放送の視聴可能世帯数約九九・五%という数値でございますが、これは、昨年九月に発表されました市町村別ロードマップに基づき、全国放送を実施しているNHKの例で示しているものでございます。

 この九九・五%という数値でございますが、これは辺地共聴施設の今後の改修見込みを踏まえたものでございまして、今回の電波法改正により盛り込まれた支援措置により共聴施設の改修を計画的に実施し、まずはデジタル放送の視聴可能世帯数九九・五%を達成できるよう取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 また、今回の電波法改正によりまして、NHKではなく民間放送事業者のデジタル中継局整備に関しまして、自力建設が困難なものについて、一定の条件のもとで支援措置を講ずることが可能となりました。

 先ほど申し上げました、昨年九月に公表しました市町村別ロードマップでは、民間放送事業者が検討中としている中継局もございます。つまり、まだその時点で設置のめどが必ずしも立っていないという意味でございますが、この検討中としている中継局の世帯数といいますのは、全国的なネットを持つ系列局ごとに集計しますと約八万から十三万世帯となっております。

 私ども総務省といたしましては、今回の電波法改正に盛り込みました支援事業を活用等いたしまして、これらの世帯、八万ないし十三万世帯というものが電波によりカバーされることとなるよう取り組んでいく所存でございます。

 また、デジタル電波の特性によりまして新たに難視の可能性がある世帯、あるいは共聴施設の改修がその時点で困難と見込まれている世帯につきましても、今回の支援措置を活用し、あるいはさらに精査を進めることによりまして、最小限となるよう取り組んでいきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、電波法改正により実施が可能となるこれらの支援策も含め、あるいは他の措置も活用いたしまして、二〇一一年に向けまして、すべての世帯にデジタル放送を送り届けるよう全力で取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。

橋本委員 ちょっと長かったので確認ですけれども、今のお話ですと、要するに、もう算入されているということで理解をしていいでしょうか。

小笠原政府参考人 NHKについて示している数値につきましては、この辺地共聴施設の今後の改修見込みも含まれているということでございます。

橋本委員 わかりました。

 では、これをやってもまだ一〇〇%にならないということで、さらなる努力が必要だということであります。

 今、辺地共聴施設についての御答弁もございました。これは、具体的に言うと、NHKの共聴施設でいうと八千五百カ所、自主共聴施設によると一万カ所、それで六千カ所が支援の対象ということにされていて、大変莫大な数があるわけでございます。

 これらについて、二〇一一年という目標に向けて、本当にそれだけの数ができるのか。しかも、財政的に支援をしますというだけではなくて、合意をとるだとか工事をする人の手数、そういったものもしっかり考慮をしていかないといけないと思うのですが、できますか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、今御審議いただいております電波法改正案が成立した場合には、速やかに平成二十年度予算執行に着手し、事業の着実な実施を図っていきたいと考えているところでございます。

 また、先生今御指摘になりました共聴施設のデジタル化、あるいは中継局整備に当たりましては、施工業者の確保の問題もございますことから、アナログ放送の終了間際に工事が集中することのないよう、平準化といった観点から計画的に取り組むことが必要と考えております。

 このため、例えばNHKが維持管理します共聴施設につきましては、先般のNHK予算におきまして提出いたしました総務大臣の意見書におきまして、共同受信施設のデジタル放送対応等をできるだけ前倒しして取り組むよう要請しているところでございます。

 また、いわゆる自主共聴施設につきましても、私ども、これから、二十年度、二十一年度、二十二年度、各年度の整備目標を定めまして、これに基づき周知説明会を反復継続して開催し、住民の方々の御理解をいただくということとともに、支援措置も活用し、改修状況などを逐次把握いたしまして、地方公共団体あるいは放送事業者等とも連携して取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

橋本委員 限られた時間の中でございますので、ぜひともしっかり取り組んでいただきたいと考えておりますし、実は私の地元岡山県というところは九九・五%の中でも低い方なんですね。さらに拡大できるような対策というのも必要であろうかと思いますので、ぜひともあわせて御検討いただきたいと思っております。

 もう時間が来ておりますので、最後に、今申し上げましたような送信者側の対策、それから、土井委員が受信者の、高齢者などの経済負担といった話もされましたが、そういった対策も含めてしっかり二〇一一年七月までに行って円滑に移行するのだということで、大臣の御決意を承りたいと考えております。

増田国務大臣 テレビは、国民にとりましてなくてはならないものでございます。今委員からお話がございましたとおりの、受信者側の対策それから送信側の対策、そして何よりも視聴者、もうこれは広く国民にわたっておりますが、国民の皆さん方の理解を醸成していくということが大変大事でございまして、二〇一一年の七月二十四日、この日は私どもは動かさずに、それに向けて最善のあらゆる策を講ずる、こういう決意で今臨んでいるところでございます。

 まだまだ課題がございますが、そういったものをきちんと一つ一つ克服をして、二〇一一年アナログ停波、そして完全地上デジタル化に向けて全力を尽くしていきたい、このように考えております。

橋本委員 ぜひとも政府全体としてしっかり取り組んでいただきたいと考えております。

 以上です。

今井委員長代理 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いいたします。

 電波法の質問に入ります前に一つ質問させていただきますが、大臣、きょうは何の日ですかというふうに聞けば、私どもに関係の大きいものとしては二つあるのかな。これは質問じゃございませんが、一つは、きょう山口県での補欠選挙の告示日である。公示じゃなくて告示ということのようでございます。それともう一つは、有名になった後期高齢者医療制度に関しての、二カ月分の年金からの天引きがきょうからスタートするということで、大変重要な日であるということでございます。

 それに関連いたしまして、質問通告しておりませんが、総務大臣に質問したい点がございます。

 今申し上げた後期高齢者医療制度も、総理大臣からまずかったというような答弁もございましたけれども、これは与野党問わず、地元に帰ると、七十五歳以上のお年寄りからかなり厳しい声が上がっております。それに輪をかけているのが、今申し上げた、きょうまさに始まる年金からの天引きということでございまして、天引きに対してはいろいろな意見がありますが、しかし、年金自体が消えかかっているときに、そこから政府が天引きをするというところに関して多くの方が心配をされておるわけですが、年金に関しては、ねんきん特別便というものも一方でいろいろな形で混乱を今つくっていると思います。

 私、この二つの全国で起きている問題、社会問題と言ってもいいかもしれませんが、共通する一つの課題は、これは政策の中身もさることながら、お客様というか国民に対して何をどうコミュニケーションしていくか、広報活動ですね、それと、国民に対してどういう中身のお手紙、どういう形で伝えていくかというところで大変失敗をしていると思います。

 ねんきん特別便に関して言えば、標準報酬月額の数字が入っていなかったとか、あるいは後期高齢者の件に関しては、もう御案内のとおり、保険証が何万人もの方に届かなかった。その結果、古い保険証でも使うことができる病院も今大分ふえていますし、あるいは、天引きを先送りした自治体が数十カ所あるというような話もございます。

 そこで、総務大臣にお伺いしたいんですが、前回私も、地上波デジタルの問題、大分これは重要な問題で、大きなことにならなきゃいいがと申しました。この今起きているねんきん特別便と後期高齢者の二つの問題から学び取れる教訓は一体何かということを、総務大臣、一度確認をさせていただきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず年金の問題、ねんきん特別便、それから長寿医療、後期高齢者医療ですね。この二つ、いずれも、国民の目線に立って、国民の皆さん方に制度を御説明する、あるいはお送りした文書を国民の皆さん方に読み取っていただく上での十分な御理解を得る、そうした点において努力が足りなかった。また、国民の目線で本当にきちんとした対応が政府としてできていなかった。

 昨日総理の方からも、後期高齢者の点については率直なおわびがあったわけでありますが、いずれにしても、私申し上げましたとおり、委員のお言葉をかりれば、この二つについて十分なコミュニケーションが国民との間でできていなかったということがあったのではないかというふうに思います。

 制度の中身云々、政策のことについてはあえて申し上げませんけれども、それ以前というか、そうしたことの前提として、やはりしっかりとした国民目線に立った努力があれば、展開はいささか違っていた部分があったのではないか、あるいはそれが制度設計のところに逆にフィードバックされて反映された部分もまたあったのではないか、こういうふうに思うところであります。

田嶋(要)委員 私も、そしてここにおいでの委員の多くの方も、自分の日々の活動に照らし合わせて考えるならば、自分が有権者とコミュニケーションする、国政報告とか、どんな小さな文章でも、あるいはホームページにアップする内容、そういうのを人任せにするというのは恐ろしくてできないわけですね。私に関しても、大変骨の折れることですが、発信をすれば最終チェックは必ず責任者がしっかりやらないと問題が起きる。それを、重要な政策の骨子は決まったからあとはもう事務方でやってくれという発想だと、最後につまずくのが実態でございますね。

 ですから、大臣、コミュニケーションが足りなかったということなんですが、なぜこれが繰り返されているか。全然違う政策分野でもいろいろ同じことが繰り返されているから、私は申し上げています。このままいくと恐らく地上波デジタルでも同じことが起きるだろう、それで後になって大臣がコミュニケーションが足りなかったとおわびをして、恐らく三年後に同じ風景が見られるんじゃないかということ、私はもうこれは想像にかたくないと思います。

 それで、やはりこれはもう少し、政策の重要な中身の議論だけじゃなくて、政策の中身はおいておいて、私もそうしたいと思いますが、まさにどうやったら国民にとってわかりやすいメッセージが送れるのか。そして、例えば、国民に届けるお手紙やあるいはさまざまなお知らせの中身に関して、やはりトップがもう少し責任を持ってしっかりと最終チェックを行うような仕組みを持っていないと、これはどの省庁でも同じ失敗が繰り返されると私は思っております。

 特に総務大臣に関しては、三年後、幸いなことにこれは一応期日が設定されておりますので、それに向かって、同じ失敗を繰り返さないということをもう一度確認したいというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

増田国務大臣 やはりこの地上デジタル化の問題も、国民の皆さん方にどういう変化が起こるのか、そしてどういう御対応をお願いするのか、それ以外のことも含めていろいろ丁寧に御説明をする必要がございます。国民の間にも、若い方から特にお年寄りの方まで、さまざまな年齢階層の方がございますので、そうした多くの皆さん方をそれぞれ念頭に描きながら御説明をしていかなければならないと思いますので、今の委員の御指摘は十分に踏まえて、可能な限りの対応を適切に講じたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 今、独居老人の方が四百万人と言われていますけれども、私は、二〇一一年におよそ一千万ぐらいは対応できていない状況が起きるんじゃないかなと自分個人では思っております。

 そういう意味では、前回NHKのときに、私を含め複数の委員から地デジの懸念が表明をされまして、偶然なのかその結果なのかわかりませんが、その数日後に続けてこういう形で新聞に周知をやっていただけました。これに関しては大変感謝を申し上げたいと思います。

 地デジにはUHFアンテナが必要です、あるいは、マンションに関しての準備はお済みですか、こういうことをやっていただいたのは評価をいたしたいわけでございますが、こういう広くあまねく新聞に載っければ済む話じゃなくて、やはり最後は、独居老人の方お一人お一人にきちんと説明をするような努力、そしてそれは、今頑張ってお金をかけておけば後々その数倍のコストを払わなくて済む、そういう発想のもとに今から計画的にやっていただきたい。今申し上げたように、恐らくは、このままいくと二〇一一年七月二十四日の時点で一千万人ぐらいテレビが映らないようなことになるんじゃないかなというふうに私自身は思っております。そのことを申し上げたいと思います。

 それで、電波法の関係でございますが、今申し上げた地デジとの関係も今回の法律改正の中で入っております。地デジの完全移行への支出が今回新規で入れられたわけでございますが、これは言ってみれば、三年に一度の電波法改正で、仮に三年後あるとしたら、次の電波法改正は地デジの完全移行の時期と重なってくるわけでございますが、これは大臣、今回のこの新改正によって今後予想される地デジのさまざまなコストに対応していきたい、そういうお考えでございますか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 お話しのとおり、三年ごとに電波法の手数料の見直しが行われてまいりましたので、今回の改正で、次の回を待たずに、地デジの問題について基本的には対応していかなければならないというふうに考えております。

田嶋(要)委員 ほかの国の事例を見ますと、先ほどの対応できていないアナログテレビに関しまして、補助金みたいな形で、いわゆるテレビを地デジ対応にするのではなくて、地デジの外づけのアダプターを配付するような政策をやっている国があると聞いておりますが、そういった予算も今回の法改正で予算手当てができるようになる、そういう理解でございますか。

増田国務大臣 チューナーあるいはアダプターですが、それについては、今まで私ども民間の開発ということを主眼に考えておりますので、特に今回のこの中で大幅な予算を入れているということではなくて、民間の方に仕様書を示して、それで競争政策でコストを低減化させようと。ただし、もちろん、弱者対策というか経済的に弱い立場の皆さん方はどうするかの問題はまた別途考えなければいけないというふうに思っておりますが、低廉なチューナーを開発するなりなんなりということについては基本的にはこれまでも行ってきたところでございますけれども、そうした対策の延長で対応していきたいと考えております。

田嶋(要)委員 今列挙されている今回の追加の中には、受信側の相談体制に対するものが書かれているだけで、外づけチューナーの費用みたいなものは想定はされていないようでございます。

 お配りをした配付資料の二ページにおつけいたしました、電波利用料予算、今日までの剰余金というのがおよそ二百十八億円ございます。私は、これは恐らく、ポケットを少し残しておきながら、これから三年間、特に地上波デジタルの予期せぬ困難に備えようというふうにお考えなのかなと思っておるわけでございます。今後、特にことし夏の審議会からの答申を踏まえて、ほかの国の対策と同じような外づけチューナーを国が買い取るような形も含めて、メーカーさんの経営リスクを抑えながら、例えば五百万台国が買い取る形で安くつくってくれ、そういうような形にもこういった財源を充てていくのかなと私は想像しているわけです。

 その場合には、法律改正も三年に一度ではなくて、例えば来年ないしは再来年の法改正も含めてあり得るのかなというふうに思っておりますが、大臣、その点もう一度御答弁お願いします。

増田国務大臣 まず、今先生最後にお話しございました、アダプターの大量の買い取りのようなことは今のところ考えていなくて、ですから、電波利用料の使途、目的の範囲を今回拡大してございますけれども、この三年間の使途拡大は今回御提案しているもので足りる。逆に言うと、使途については法律できちんと決めておかなければならないので、それで対応する、今回御提案しているもので対応する、こういうふうに考えております。

 それからあと、今お話ございました剰余金でございますが、この差額というのは当該年度の一般会計の中で電波利用共益費用以外の国の経費に充てるということで、毎年毎年戻している。ですから、これが何か別の財布で積み重なっているのではなくて、一般会計の中で、しかも総務省じゃなくて他の省庁も含めて、全部そちらの経費に充てているので、これを今お話のあったようなところを想定して出している、剰余金として生み出しているという性格のものではなくて、翌年度以降の費用としてもし仮に必要なものがあれば、もちろん総務大臣が財政当局に対して翌年相当額を予算要求できる制度になっていますけれども、それは最終的に国会の御判断、議決を経て予算ということになります。

 今お話のあったような、そういうアダプターですとかチューナーをどういうふうに今後活用していくかについては、またその時点で私どもとしてその予算の必要性等は吟味をしていきたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 国家プロジェクトでございますから、背に腹はかえられず、最後はそうならざるを得ない可能性も十分あると思いますし、私はそういう形での使い道に必ずしも反対するものではございません。

 冒頭申しました、目標日が設定をされている案件でございますので、この夏に答申が出てくるからそれを待ってとかいうことを言わずに、時間は日々たっていくわけでございますので、先ほど申し上げた独居老人の方、テレビはもう本当に生活になくてはならぬものだというふうに先ほど大臣御自身おっしゃいました。そういうことを考えて、ぜひ、今使うお金の方が絶対に有効に使えるということで、将来、高額のお金を、例えばこの電波法を来年、再来年もう一度改正して、そして巨額のお金を投じることを余儀なくされるという状況を回避するためにも、こういった新聞のこれも結構でございますが、一人一人の顔の見える対応をしていただきたいと思います。

 そして、その際、今回のねんきん特別便や後期高齢者医療制度の失敗から十分学んで対応していただきたいということを重ねてお願いさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それともう一つ、前回、二年半前に、やはり電波法の改正で私も質問に立たせていただきました。これは大臣、先週にも少し御指摘があったように思いますが、今回、新しい部分の法改正の法案提出でございますけれども、前回もさんざん、例えば研究開発は本当にいいのかというようないろいろな疑問がございまして、これだと使途がどんどん広がり負担もどんどん広がるということですから、今回もこういうふうに拡大させてくださいと言う前に、これまでどういうふうな道のりだったか、特にこの二年半どうだったかということを、やはりしっかりとタイムリーに情報開示していく責務があるというふうに私は思っております。

 そういう意味で、今回、私も質問をする段階でいろいろ情報をいただこうとしたんですが、例えばこのお金から海外出張が毎月三名とか六名とか、決まったようにして毎月毎月海外出張されております。それはどういう目的で、この法の趣旨に本当に合致した内容の出張になっているか。細かい話かもしれませんが、やはり無駄遣いはそういう細かいところからスタートするものでございますので。検証させていただこうにも、これは出すと膨大な資料になります、用意するには十日間かかります、こんなことを言われてしまいますと、情報を集める気力もなえてしまうわけでございます。

 大臣、これはやはり、物の順序として、もう一度新たな使途拡大を言う前に、そういったところに関してしっかりタイムリーに情報開示をやっていただかなきゃいけないというふうに思っておりますが、今回、何か反省していただく点はございますでしょうか。

増田国務大臣 情報開示、そして、特に国会、立法府に適切に資料をお出しするというのは、これは行政府として常に心がけなければいけないことでありますので、当然、特に今回、法改正の審議をお願いしている立場でございます。事務方の方にも、できるだけ資料請求のあったものについては適切に対応するように、改めて前回の審議の後も指示をしたところでございますが、それ以前のことはちょっと細かにわかりませんので、いずれにしても、前回も御指摘をいただきました、そういう形で、我々、今後はでき得る限り審議に資するように誠実に対応させていただきたい、このように考えております。

田嶋(要)委員 やはり、そのときその場しのぎで終われば後は忘れちゃうみたいなことでは本当によくなくて、三年ぶりではございますけれども、あのときどういう議論があったか、多くの方が、道路特定財源じゃないけれども、こういう形で財布をつくると結局歯どめがかからなくなる、そして無駄遣いがいつかはスタートする、そういったことに対して我々は十分懸念を表明しておるわけですから、行政府の方は、今回までの、前回了承いただいた内容に関しては、今日までどういう道のりで、どういう使途で、どういうふうに使われてきたか、そこは、我々がもうそれ以上要らないと言うぐらいしっかり情報を出していかないことにはいけないというふうに私は思っております。

 そこで、研究開発に関して一点確認させていただきたいんですが、配付資料はちょっと間に合いませんでしたけれども、いただきました資料、やはり研究開発、大変大きな額が使われております。

 そして、研究開発の成果は何ですかということでここに書いてあるんですが、例えば「基地局のみで空間信号処理を行った場合に対し、四倍以上の周波数利用効率を実現」、こう書いてあるんですが、これは素人にはよくわかりません。この研究開発が成果があったというふうに読めということなんでしょうけれども、そもそも電波法でこうやって利用料を取る目的は、直接的にすべての電波を利用している方々に便益が行かなきゃいけないわけですから、言ってみれば、基礎研究の側面で成果が出たってそれは余り意味がないわけでございまして、重要なことは、本当に電波の有効利用に貢献したような成果が出たかということが一点でございます。

 それともう一点は、これは二年半前に私が質問をいたしまして、当時の麻生総務大臣、こういう御答弁がございました。基本的に一般財源というのは長期なんですよね、それに対して、五年以内にすぐ出るようなものに関してがこの電波利用料から使われるような研究開発だ、今後五年以内に開発すべき電波の有効利用技術のための研究開発という形に枠が決められておりますと。それが総合科学技術会議等での一つの考え方ということでございますので、それが一種の歯どめになる、本当に実用に向かっての研究開発に限定されているんだというふうに私は理解をいたしました。

 今回、この三つの項目の研究開発の成果をちょうだいいたしましたが、この二年半に、その合計額がおよそ七十とか八十億円程度、前回、法改正で了承をした新規の研究開発におよそ七十億とか八十億が使われてきているわけでございますが、これは、どうでしょうか。もう既にあのときから二年半たちました。麻生大臣の当時の御答弁では、残り二年半で明確に電波の有効利用に資するような結果の実利があらわれていなきゃいけないと思うんですが、総務大臣、予定どおりでございましょうか。

寺崎政府参考人 これは三年前から始めまして、三カ年で一通りの成果が出たものをお届けさせていただいておりまして、こういったものにつきましては、法律で五年とか、そういった点で書かれてありまして、これは二十三年度までに、ですから、成果が出てから五年という形で実用化するということで、今後具体的な取り組みになっていくものと理解しております。

田嶋(要)委員 そうしますと、具体的な成果はもう見えてきているということでいいですね。

 要するに、これは一たんオーケーしたら、どんな研究開発でもいろいろ使っていくと、やはり歯どめがかからなくなる、毎回毎回この辺はしつこく確認をしていかないと、皆さん方御自身の歯どめはなかなかかからないんですよ、外の人間が見ていかないと。そういうことで、ちょっとしつこい質問をさせていただきますけれども、よろしいですか。

寺崎政府参考人 いずれも二十三年度までに実用化いたします。

田嶋(要)委員 では、そういう御答弁、よろしくお願いいたします。

 それから、時間が過ぎていますけれども、いろいろな改正の中の一点、確認をさせていただきたいんですが、次に、納付委託制度に関してお伺いをいたします。

 今回、コンビニエンスストア等での支払いをというような話がございました。これは配付した資料をごらんいただきたいんですが、三ページ、この電波利用料は、ある意味非常に際立った特徴のある負担の形になっておりまして、下を見ていただきますと、負担をしている額で見ていけば、個人に係る免許人は全体の一%の負担、それに対して、数的にははるかに少ない企業等の負担が、負担額としては九九%でございます。上を見ますと、では、数としてはどうか。八五%が個人であるという状況でございます。

 今回のこの法改正は、主に個人、すなわち出しているお金は一%にすぎないけれども、数的には八五%、そこを目がけた法改正であろうというふうに想像するわけでございます。

 そこでお伺いいたします。

 個人のアマチュア無線局は、年間の負担額が五百円というふうに聞いておりますけれども、例えばコンビニエンスストアでの費用徴収という形をとると、どのくらいの追加的な手数料がかかってくるんでしょうか。

寺崎政府参考人 現在の現行料金では、アマチュア局、先生おっしゃったとおり五百円ですが、今回の改正後の料額では三百円になります。

 徴収コストにつきましては、三百円納めていただければ、それで含めた形でいただくということに、三百円ぽっきりということでございます。(田嶋(要)委員「いや、コンビニに払う手数料です」と呼ぶ)払いません。アマチュアの納める方は三百円で、その中に手数料も。逆にいきますと、私どもからコンビニに委託料を払いますので……(田嶋(要)委員「だから、そこを聞いているんです。幾らですか」と呼ぶ)一件につき数十円程度と理解しております。

田嶋(要)委員 約六十円という御答弁を前いただいているんですが、ちょっと私もそこら辺があれっという感じもするわけですね。

 額としては全体の一%……ちなみに、収納率は今幾らぐらいですか。

寺崎政府参考人 平成十八年度末における電波利用料の収納状況は、徴収決定済み額六百五十九・一億円に対しまして、収納済み歳入額は六百五十八・三億円でありまして、収納率は九九・九六%でございます。

田嶋(要)委員 NHKより相当いいわけでございますが、これはNHKだけじゃなくて、恐らくは公共サービスさまざまの中で非常に高いと思いますね。それは当たり前ですよ。だって、個人のいろいろな多くの方からお金を集めるというよりは、ほとんどだれかが把握できるような大手から圧倒的多数の収入があるわけですね。

 そこで、私申し上げたいんですが、今回、こういうようなサービス、お客さまの声に応じてという話も聞きましたが、やはり公平負担という概念は大切なんですけれども、もう一つ、経済合理性ということも考えていただきたいと思います。五百円が三百幾らか何かになって、そのうち手数料で六十円取られているような制度が、本当にいい制度なのかなということを私は若干疑問を持っておるわけでございます。

 そこで、大臣、時間がございませんので、私、一つ提案なんですけれども、これはコンビニ等でございまして、実際には、政省令でしたか、コンビニ以外でいろいろ検討していただくわけなんですが、例えば、携帯電話会社等と事業を一緒にやって、支払いを携帯電話の支払いの中に乗っけていってしまう、そういうやり方もぜひ検討をいただきたいと思います。

 もともと携帯電話は端末一台一台が免許人で、気づいていない形では支払いをされているわけですが、当然ながら携帯電話事業者自身が、数百億ですか数十億ですか、その負担をしておるわけでございます。今、携帯電話はほとんどすべての国民が持っているというふうに考えてもいいかと思いますので、コンビニエンスストアのような形よりも、もう少しコスト的にも安くいくような形の一体的な支払いということもぜひ考えていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

増田国務大臣 今の携帯電話での支払いの関係は、少し検討させてください。事務方の方に指示をしておきます。

 それからあと、コンビニエンスストアでの支払い、これは、御案内のとおり、この問題だけではなくて、ほかの部分も含めて非常に二十四時間便利なものですから、それ自体については、今後、政府のさまざまな行政サービスの中で検討していく必要があるかなというふうには思っております。

田嶋(要)委員 どうしてもコストが大変かかるようなものであれば、今申し上げた電波利用料はかなり特異な、非常に際立った特性のあるような負担構造になっているという面を私は強調したいと思います。

 最後に、ちょっと時間が来てしまいましたが、これはしかし、私は、そもそも総務省が直接こうやってお金を集めているような仕組みがあるというのは余り認識していなかったわけですが、もう一つお願いしたいのは、これはやはり市場化テストに、少なくとも一度検討してみる必要があるのではないかな。

 お配りした資料の四ページでございますが、徴収関連の業務というのは、この表でわかるとおり、市場化テストでいろいろと検討されている中身でございます。そういう意味で、債権管理の問題があるとかという御説明も事前に受けておりますが、財務省にも確認しておりますけれども、やれないという問題ではもちろんございません。私は、若干コストをかけ過ぎているんじゃないかなというふうに思っております。

 例外は、聖域はないわけでございますので、市場化テストに関しての総務省の評価はほかの多くの役所に比べたら若干高いようでございますが、ぜひとも、例外なく、こういったものも市場化テストの検討をいただきたい。内閣府はあくまで受け身でございますので、総務省の方から、こういったものもやはり検討の対象にしていただきたいということを私はお願いいたしたいわけですが、大臣、御答弁をお願いいたします。

増田国務大臣 市場化テストは、私も大臣になるまで官民競争入札の監理委員をやっていまして、やはりこれはもっと広げていく必要がある。

 今のお話の収納業務ですが、いつも各省との間でその際問題になっていたのは、要するに、公権力の行使、財産の差し押さえなどもこの電波利用料の徴収には伴うものですから、全部を民間に委託すると、弁護士法との関係等も出てきて、若干難しいところがある。ただ、朝、きょうまた事務方に指示しておきましたが、それでも少なくとも督促業務までは市場化テストの対象にできるはずですので、ロットの問題で民間がどれだけ出てくるか等の問題はあるんですが、それは次の段階として、市場を開放した上で考えればいい話なので、今のお話のこういう徴収業務に対しての市場化テストの導入については、私どもも内部できちんと考えたい、検討させていただきたいと思います。

田嶋(要)委員 ぜひその方向でよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

今井委員長代理 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 まず、きょうは、光ファイバーの接続料金問題等についてお尋ねしてみたいと思います。

 御案内のとおり、ブロードバンド市場における電気通信事業者間の競争はADSLから光ファイバーに軸足が移ってきている、こう思っております。光ファイバー市場でもNTT東西は七割を超えるシェアを占めるなど、NTTグループの市場支配力は圧倒的な状況となっております。

 それで、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」でありますか、NTTグループの経営形態のあり方については、「ネットワークのオープン化など必要な公正競争ルールの整備等を図るとともに、NTTの組織問題については、ブロードバンドの普及状況やNTTの中期経営戦略の動向などを見極めた上で二〇一〇年の時点で検討を行い、その後速やかに結論を得る。」とされたところだと私は思っております。この政府・与党合意は二〇〇六年七月の骨太方針の中に取り入れられまして、そして閣議決定された。正式に政府の方針になったものと承知しておるわけであります。

 そこで、政府・与党合意が掲げる二〇一〇年まででありますが、あと二年であります。電気通信分野の公正な競争環境の構築に向けまして、二〇一〇年までの競争政策、これを総務省はどう進めていくのか、大臣の見解を伺っておきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今お話ございました公正な競争環境の整備ということで、総務省の方で、これは平成十八年九月になりますけれども、新競争促進プログラム二〇一〇というものを策定いたしました。

 このプログラムは、具体的な施策の項目ごとに細部を検討いたしまして、一言で言いますと市場環境の変化に対応した公正競争環境を維持するためのルール整備、例えば接続ルールの整備ですとか、あるいはモバイルビジネス活性化のための施策展開といったようなことですとか、さまざまなものについて検討して、その結果に基づいて、今多角的な取り組みをやっている。そして、このプログラムのフォローアップを毎年一回ずつ行いまして、その都度改定を加えているということでございます。

 二〇一〇年を目指して、私としても、引き続きこのプログラムに沿って競争促進のための施策を積極的に展開していきたいというふうに考えております。

黄川田委員 私も、地元、住田町というところがありまして、大臣、御案内のところと思いますけれども、丸ごと中山間地、難視聴地域であったわけでありますけれども、総務省の補助を活用しまして、そしてまた隣町の遠野市のケーブルテレビとの連携ということで、二百キロにわたる光ファイバー網を町内全域に敷設しまして、地デジ対応、ブロードバンド対応、あるいはまた携帯電話の対応等、すべて行ったところであります。そして、ケーブルテレビの開局式がありまして、大臣からのビデオメッセージも届いておったところであります。

 そういうわけで、光ファイバーの整備は、放送経路としてだけではなくて、これから、中山間地で大変な医療であるとか、あるいはまた教育であるとか、そういう社会サービスの基盤になるのではないかとも思っております。そして、条件不利地域といいますか大変なところでも、こういう光の網がかかれば、デジタルデバイドの解消にはとてもいいものだと思っておりますが、ただ、住民、特に経済的弱者にとって、やはり料金が下がらないと大変だ、競争環境を整備するのが一番大事じゃないのか、こう思っておるのであります。

 そしてまた、私も国会議員になったときは、ちょうど携帯電話、あるいはまたADSLということで、OECDの中では最も高い国だったということでありますが、競争原理が働いて、今では最も取っつきやすいものになっておる、こう思っております。

 そこで、報道によれば、次世代ネットワークの接続ルールの検討において、光競争の促進や料金値下げが議論されたわけでありますけれども、光ファイバーの接続料をある程度下げることとしただけで、他の競争事業者からの抜本的なコスト低下の提案についてはその実現スケジュールが示されておらない、こう思っております。今後の検討を早める必要があるのではないかと思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

 そしてまた、総務省としても、ブロードバンドゼロ地域の解消の達成を目指して、引き続き新規事業者から抜本的なコストの低減の提案がなされているはずでありますけれども、これについてもあわせて大臣の見解をお伺いします。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、今、技術の進展に伴って、ADSLからFTTHに移行が行われているわけですけれども、今委員からお話ございましたとおり、このFTTH市場において、NTT東西のシェアが七〇%を超える、こういう状況でございます。ですから、事業者間の競争を促進することが大変重要だというふうに私どもも考えております。

 そこで、先月、三月末に、情報通信審議会の方の答申で、こうしたFTTH市場における事業者間競争を促進するという観点で向こうの方からの考えが示されたわけですけれども、これは二つございます。

 一つは、今、御案内のとおり、一芯の光ファイバーを末端のところで八つに分岐をして各家庭にそれを配線しているわけですけれども、こうした一芯の光ファイバー、一業者が専用していますけれども、これを共用するための取り組みを積極的に進める、それが料金の低廉化につながります。

 それから、NTT東西は、今申し上げましたような、この一芯の光ファイバーの共用化に向けた可能な協力を行っていくということと、それから、私申し上げました、加入光ファイバー接続料のさらなる低廉化措置を講じることが必要、こういう考え方が示されております。

 私どもは、こうした審議会の答申を踏まえまして、いずれにしても、接続料の低廉化をさらに促していきたい。それから、競争事業者間で一芯の光ファイバーを共用するための積極的な取り組みを進めていきたい。事業者間競争をそれでさらに促進していくということです。

 それから、競争事業者の方から今我々提案いただいております一分岐単位での光ファイバー接続料の設定、要は、料金設定が今そうした形になっていないものですから、料金設定の体系も変えていく必要があるんですが、そうしたことにつきましては改めてまた検討していきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、この点については、今後市場環境や分岐についての技術の変化というものをよく見ながら検討していく必要がございます。その点もよく注視しながら、競争を促し、接続料の低廉化につなげていきたいと考えております。

黄川田委員 今大臣お話しのとおり、新規事業者の方からは、八つの束を一つ一つにしてくれないか、一分岐の導入といいますか貸し出しの導入といいますか、こういう提言が出ているということで、その結論がちょっと見送られたような感じでありまして、また一方、接続料は少し下げていくというふうな感じなんであります。

 本当に使い勝手がよい形にして、そして事業者間の競争もさることながら、例えば固定電話、あるいはまたNHKの放送、あるいはまた郵便など、ユニバーサルサービスですか、この光ファイバーがユニバーサルサービスかどうかということはまた別な面もあるかもしれませんが、それによって地域が元気を取り戻すといいますか、やはり地方にあってこのデジタルデバイドの解消というのが一番大事な面でありまして、そしてまた一番最後の部分で大変なところ、事業者の競争だけではなくて、国家として支えていかなきゃならないところも間々出てくるのではないのか、こう思っております。

 そしてまた、うちの方の小沢代表が、二十数年前ですか、かかわっておりまして、通信事業の自由化、そして携帯電話、競争の導入によって本当に一億も普及するということでありますので、その辺でやはり、総務省のかじ取りといいますか積極的なかかわりが必要だと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。

 それでまた、政府はIT改革の一環としてブロードバンドゼロ地域の解消を掲げ、そしてNTTは四年前の中期経営計画で光三千万計画を掲げたわけであります。しかしながら、昨年NTTは、光の目標値を三千万件から二千万件に引き下げると発表しております。

 この下方修正は、ブロードバンドゼロ解消を目標とする次世代ブロードバンド戦略二〇一〇の目標に大きな影響を与えるのではないか、こう思っておるのでありますけれども、ブロードバンドゼロ解消、これをどのように達成するつもりなのでしょうか。

増田国務大臣 確かに、総務省が掲げております戦略二〇一〇で、世帯カバー率、すなわち、別の言葉で言いかえますと利用可能世帯数ということですが、ブロードバンド利用可能世帯数九〇%以上、こういう目標を掲げております。一方で、NTTの方で、経営戦略の中では、二〇一〇年度末時点で二千万契約を目標とすると。こちらの方は会社ですので、契約獲得数の目標として設定してございます。

 すなわち、政府目標の世帯カバー率と若干概念は異なるんですけれども、NTTの経営戦略の方が下方修正されたことによりまして、政府が掲げております世帯カバー率の方の拡大のテンポに影響が出る可能性はやはり否定できません。影響があり得るだろう、こういうふうにとらえております。

 このため、総務省の方では、こうした総務省の掲げております、政府で掲げております目標の達成のためには、整備主体である通信事業者、それから公共団体への支援措置の拡充に向けた取り組みをさらに加速化させる必要があるというふうに考えております。

 すなわち二つでございまして、今年度、二十年度予算に盛り込まれた情報通信基盤整備に向けた各種の支援施策がございます。情報通信基盤整備推進交付金、これは六十数億ございますし、地域イントラネットの基盤整備の関係で三十億台の半ばほどの予算がございます。合わせて百億弱の予算がございますが、こうした予算を執行して各種の支援施策の実現に取り組むということ。

 それから、それだけではなくて、昨年十月から、デジタル・ディバイド解消戦略会議ということで、自治体の人たちにも入ってもらって、こうした支援策のあり方等についても検討をいただいております。こちらの方は六月を目途に提言が取りまとめられますので、その内容について、必要なものは来年度向けの予算要求にも反映をさせていきたいというふうに考えております。

 今申し上げました二つのアプローチで、このデジタルデバイド解消についての関連施策を積極的に展開していきたい、そしてその上で政府目標の達成に向けて努力をしていきたい、このように考えております。

黄川田委員 お話のとおり、光ファイバー網の世帯カバー率は九〇%以上というのが目標なのでありますけれども、これは物理的にブロードバンド整備をすればいいというだけではなくて、敷設された光ファイバーがいかに地域住民に安く提供されるか、そういうところが大事だ、こう思うわけなのであります。

 NTTも大変なところがあるかもしれません、それから新規事業者も大変なところがあるかもしれませんが、それぞれの経営努力でない部分がかなりあると思いますので、重ねて総務省のしっかりした対応をこれまたお願いしておきたいと思います。

 それでは、電波法に移りたいと思っております。

 まず、今回の電波法改正は電波利用料制度の見直しを行うものでありますけれども、これは従来から、放送事業者の電波利用料負担が軽過ぎるのではないかというふうな指摘、批判があるわけであります。その結果、電波利用料財源の支出による受益と電波利用料の負担との間で公平性を欠いているのではないか、そういう意見もあるわけであります。

 そこで、今回の見直しで、受益と負担との間の公平性の観点から、整合性がどのようにとれているのか。そしてまた、電波利用料の使途では、地上テレビジョン放送のデジタル化に係るものが多いようであります、平成二十三年七月には地上デジタル化が停止するわけなんでありますけれども、そうなれば、電波利用料財源の規模は小さくなり、その翌年度からは電波利用料の大幅値下げがなされる、こういうことになるのでしょうか。

寺崎政府参考人 電波利用料は、電波監視等の無線局全体の受益を直接の目的として行う行政事務の処理に要する実費につきまして、その受益者である無線局免許人等全体で負担する、広義の手数料の性格を有するものでございます。個々の免許人の個別の受益に対応して負担を求めるものではございません。

 現行テレビジョン放送局の電波利用料は、放送事業者のデジタル化投資に係る負担に配慮した料額としていたのは事実でございます。これにつきまして、今回の改正では、地上テレビジョン放送局につきまして、他の無線システムと同様に、使用帯域幅や出力等に基づき算定した料額に引き上げることとしております。

 また、平成二十三年の地上デジタル放送への完全移行に伴い、その送受信環境整備に係る経費は低減化するものと見込めるのは事実でございますが、他方で、平成二十三年度以降の電波利用料の料額は三年後に定めることになっておりまして、電波利用共益費用の全体額や無線局の数等、現時点ではまだ予測がつかないところもございますので、その料額につきまして、値下げになるかどうかにつきましては、現時点ではちょっと予測しがたいところがございます。いずれにしても、三年後の見直しということになろうかと思います。

黄川田委員 まるっきり予測がつかないというわけじゃないんでしょうけれども、しっかりと対応してください。

 残り時間も少なくなってまいりましたが、せっかく大臣は岩手の知事から大臣になっておりますので、岩手の中山間地の話をしますと、先ほどお話ししたとおり、住田町では十億弱で全世帯をカバーしたわけでありますけれども、面積がさらに広い川井村あるいはまた岩泉町なんかで住田と同じようなデジタルデバイド解消政策をやりますと、町の予算に匹敵するぐらいの予算が必要だという形になっております。補助をもらって過疎債を導入して何だかんだやっても、これは大変な状況になっておるわけなんであります。

 それから、我々は選挙で選ばれる立場でありまして、さまざま、選挙運動に関しても、いまだに携帯電話がつながらないというようなところもあるわけでありまして、こういう不自由している中でどうやって生き残れるかというところがあります。

 そこで、今回の電波法改正では携帯電話の不感地域を解消すべく支援策を拡充しているようでありますけれども、その具体的な支援スキームについてお尋ねいたしたいと思っております。そしてまた、この政策によってどの程度不感地帯の解消が進むのか、あわせてお尋ねいたします。

寺崎政府参考人 携帯電話は、国民生活のさまざまな場面で活用されておりまして、その利用を確保することは政府としても積極的に取り組むべき課題と認識しております。そういった観点から、総務省としましても、民間事業者による自主的なエリア整備に加えまして、国庫補助事業によりまして支援に取り組んできております。

 これまで全体としては着実に整備が進んできているものの、今後のエリア整備は、山間部など条件的に厳しい地域が中心となってきておりまして、各地域からは国の支援拡充の要望が多く寄せられているところでございます。

 このような現状を踏まえまして、現在御審議いただいている電波法改正法案に基づく平成二十年度事業においては、過疎地域等における整備促進を図る観点から、特に整備が進みにくい地域、百世帯未満地域でしょうか、こういったような基地局整備に係る国庫負担割合を二分の一から三分の二に引き上げるということにしてございます。

 不感地帯の解消につきまして、政府として、二〇〇六年から二〇〇八年度末までの間に過疎地域等の条件不利地帯において新たに二十万人以上が携帯電話を利用可能な状態にすると目標を掲げておりまして、今回の補助事業の拡充策によりまして、目標達成に向け弾みがつくものと期待しております。

黄川田委員 着実に事業の進捗をお願いいたしたいと思います。

 それで、今回の電波利用料制度の見直しをするに当たって、総務省では研究会を開催したわけであります。そして、検討の中で、研究会の報告書では、料額の決定については、現在法律で料額を決めているのを変更し政令委任にしてもいいのではないかとの議論が行われたと仄聞しております。

 そこで、この報告書を受けて、総務省ではどう対処したのか。こういった国民に負担を求める事柄については、はっきりと法律に定めるということが大事だと思っておるのでありますけれども、この点、いかがですか。

寺崎政府参考人 先生御指摘の電波利用料制度に関する研究会報告書、去年の七月にまとまったものでございますけれども、その中で、一定の料額に関しては政令で定めること等を検討することが必要とする考えが示されていることは事実でございます。

 しかしながら、無線局免許人等の負担の範囲を明らかにし、その予測可能性を確保するためには、原則として国会において電波利用料の料額を法定することとするのが適当であると私どもとしては判断しております。

 このため、今回御提出した改正法案におきましても、料額を法定するという考えについては何ら変更しないこととしてございます。

黄川田委員 電波利用料として特定財源としていただいておりますし、それから、各委員の質疑の中でも、歳入よりも歳出、その使われ方、そしてまた、出される決算書を見てもなかなかよくわからないというふうな感じになっておりますので、しっかりとしたそういう情報提供、透明性を高めないと、また一方で政省令で何でもできるなんというような方向性を見出したら、とてもじゃないけれどもこの法案は通らないと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、時間になりましたので、最後の質問にさせていただきます。

 携帯電話の利便性を向上させまして、さらに競争環境を整備するために、北欧などでやっている端末ポータビリティー、つまり、携帯電話事業者を変更しても携帯電話端末を変更する必要がないようにすることが有意義ではないかと私は思っているわけであります。我が国では端末ポータビリティーが一部でしか実現していないようでありますけれども、それはどのような課題があるからなのでしょうか。そしてまた、総務省では今後これにどう対応していくか、お尋ねいたしたいと思います。

寺崎政府参考人 委員御指摘のように、現在、利用者が携帯事業者を変更する際、それまで利用していた端末を引き続き利用することはできず、変更後の事業者の端末を改めて購入する必要がございます。

 利用者が引き続き同じ端末を利用可能とするためには、携帯端末に搭載されております、SIMカードと言われていますけれども、利用者識別用のICカードでございますが、このSIMカードを別の携帯事業者のSIMカードに差しかえて動作するようにすることが必要でありますけれども、現在は、携帯事業者の経営判断として、SIMカードは各携帯電話事業者が販売する端末でしか機能しないようにする、いわゆるSIMロックが原則適用されているところでございます。

 SIMロックが解除されると、同じ端末で携帯電話事業者を乗りかえることができるという点で利用者利便の向上が図られるほか、メーカーがみずから開発した端末を消費者に対して直接販売するなど、端末市場が一層活性化することが期待される面があろうかと思います。

 このため、総務省では、昨年九月に策定いたしましたモバイルビジネス活性化プランにおきまして、SIMロックについて原則解除する方向で検討を進めることといたしまして、二〇一〇年の時点で最終的に結論を得るというふうにしてございます。

 総務省といたしましては、モバイルビジネス活性化プランを踏まえまして、SIMロック解除について市場の動向を注視しつつ、課題の解消に向け、引き続き所要の施策展開を図ってまいりたいと考えております。

黄川田委員 この世界ではやはりきちっとした競争原理が働くというのが一番大事だと思っておりますので、総務省でもその件をしっかりと腰を据えてやっていただきたいと思います。

 以上で終わります。

今井委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 今回の電波法の改正の中で、電波利用料の使途拡大ということで、その一つに、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備支援事業というのがあります。関連して、地デジ対策で、都市受信障害対策に関連してお尋ねします。

 都市受信障害対策共聴施設について、その原因別で分類しますと、一つに、航空機の運航に伴う電波障害対策というのが挙げられます。米軍基地や自衛隊基地につきましては、先日防衛省に確認したとおり、防衛省の責任で対応策をとることになっております。

 民間空港について、国土交通省に伺います。電波が航空機に反射したことによるテレビ画面のふらつきなどの電波障害対策について、民間空港につき、国土交通省としてどのような対策をとっているのか、その点についてお答えください。

小野政府参考人 お答えいたします。

 航空機によるテレビの受像障害、いわゆるフラッター障害につきましては、財団法人空港環境整備協会におきまして、空港の円滑な運用の確保に協力するという観点から、その環境対策の一環として、昭和四十七年から、新たに開発されましたフラッター防止アンテナを各家庭に設置する対策を講じてきております。これまでに、全国五空港で二万本以上の実績がございます。

 このフラッター障害対策の対象空港は、障害が発生する可能性が高い、ジェット機が頻繁に離発着する空港において行っておりまして、実態調査をしっかり行った上で、実際にフラッター障害が生じておるということが確認された場合に、対策を講じておるところでございます。

塩川委員 地デジ化に対応して、こういった電波障害対策を行っている空港において地デジに伴う電波障害の実態調査も行い、その結果、障害が認められれば、ふさわしい障害防止対策をとることが必要だと思いますが、その点についてはどのような対応となるんでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、地上波デジタル放送が普及いたしました場合、その際、受像障害がもし発生するようでございますれば、これまでと同様に、財団法人の空港環境整備協会において実態調査をいたしまして、何らかの対策を講じていくことが必要になってくるのではないかというふうに考えております。

塩川委員 現行で対策をとっている空港というのがジェット機が頻繁に離発着をする空港だということですけれども、その辺の境といいますか基準というのはどのようになっているんでしょうか。その基準に当てはまらないような場合であっても現実には障害が出る可能性もありますから、そういった空港について何らかの電波障害対策をとる考えがあるのか、そのようなことについてのお話をお聞かせください。

小野政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げているように、実際に障害がございますれば実態を調査して対策をとるということでまいっておりますので、今後、もし実際に障害が出るといったような実態がございますれば、そのような苦情がございますれば、しかるべく対応することになると思います。

塩川委員 成田や関空、中部空港といった民間の空港会社が措置しているのもあるそうですけれども、そこについても、地デジにおいて電波障害というのが認められれば適切に対応策を求めていく、そういうことについて国土交通省はどのようにお考えですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 成田、関空、中部といったように、いわゆる株式会社が運営をしております空港におきましては、その株式会社が責任を持って環境対策をやるということになってございますので、もしそういう事実がございますれば、しっかり対応するように、それぞれの会社を指導してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 次に、高速道路などの道路の高架に伴う電波障害対策ですけれども、総務省に伺います。

 地デジ対策に関し、高速道路会社に、地デジについての受信障害の調査及び障害が認められた場合については工事費用負担を求める考えはあるのか、その点についてお聞かせください。

小笠原政府参考人 今、高速道路の関係についての御質問でございますけれども、基本的に、デジタル化した場合に、デジタル化後、受信困難なエリアというのが発生した場合に原因者がどの程度補償するべきかというのは、成文法上定まったルールはございません。したがいまして、基本的には、いわゆる自治の原則と申しますか、その原因者と受信者の間の話し合いによるのが基本だと考えております。

 いずれにいたしましても、いろいろ前回でも御答弁申し上げましたが、デジタル化移行に当たっては、原因者あるいは事業者の方で視聴者の方に十分丁寧な御説明をし、御理解をいただいてその移行を進めるということが必要ではないかというふうに考えている次第でございます。

塩川委員 重ねてお聞きしますけれども、送電線などに伴う電波障害対策というのもございます。その際に、総務省として、電力会社などが、地デジにおいてはもう障害がないから対応策はとらないんだというようなことの説明も現場でしていると聞いているんです。

 実際に、その障害が地デジにおいて残るような場合であれば、電力会社に対しても同様に、まずは受信障害の実態調査も求め、障害対策を求めていく、そういうことについてもきちんと公益事業者として責任を果たすよう求めていく必要があると思いますが、改めて、いかがですか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘の、送電線等を原因とする受信障害への対応でございますが、これも共聴施設のデジタル化というものを進める上で大変重要な課題の一つと認識しておるところでございます。

 今御指摘になりました電気事業者の取り組みということでございますが、私ども総務省においては、各地方の総合通信局等を通じまして、取り組み状況を確認しているところでございます。

 それによりますと、地上デジタル放送の場合、送電線による受信障害というのは大幅に改善される見込みでございまして、その詳細な状況を把握するため、多くの事業者においては地上デジタル放送における受信障害範囲の調査を実施中と承知しております。その上で、多くの事業者は、受信障害が解消される場合は対策は継続しない、ただ、受信障害が継続する場合には何らかの対策を講じるという方針で、いわゆるこれまでの受信者等関係者への対策を進めていると承知しております。

塩川委員 あと、前回もお聞きしましたけれども、受信障害対策を実施している公益法人、今回、京阪神ケーブルビジョンについてお尋ねしたいんです。

 前回、読売の報道を踏まえて、京阪神ケーブルビジョンが、道路、鉄道会社などの補償で受信障害世帯にケーブルテレビを無料放送してきたけれども、一部で始めた地デジでは有料となった。この京阪神ケーブルビジョンについて、先週の答弁で局長は、地デジ対応の障害調査を実施しているというお答えでしたけれども、これは、個々世帯といいますか全世帯をカバーするような調査ということなんでしょうか。

小笠原政府参考人 財団法人京阪神ケーブルビジョンでございますけれども、平成十七年六月から九月までの間に、受信者の分布あるいは建造物の状況や地形等を勘案しつつ、計千百八十四カ所におきまして、デジタル放送の受信状況について調査を実施したと聞いております。

 財団からは、先生御指摘の全世帯というものの受信状況に関する調査というわけではございませんけれども、当該財団法人が提供しておりますエリアの受信状況の可否を把握するに当たっては十分な範囲のものであると聞いておるところでございます。

塩川委員 大臣にお伺いしますけれども、受信障害対策を実施している公益法人において、東京ケーブルビジョンのように一部で不適切な対応があった、住民との関係で十分な説明責任を果たしていないという問題もありました。

 そういうものも踏まえて、例えばこの京阪神ケーブルビジョンも含めて、実際に地デジに移行することで受信障害が残るかもしれないのに、そういう実態の調査も行わずに、地デジ対応についての対応策はとらないということを決めるようなことがあってはならないわけで、今まで無料でケーブルテレビを提供していたのに有料にするようなことがあってはならないわけですから、そういう点についてきちんと、この京阪神ケーブルビジョンを含めて監督官庁としての指導を行う必要があると思うんですが、その点、いかがでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、東京ケーブルビジョンですか、あそこは地元への説明を全く行っていませんでしたので、これはやはりよくないわけでありまして、今、向こうの財団の方に話をして、私どもの方で適切な指導を行っているところでございます。

 それから、今お話がございました財団法人の京阪神ケーブルビジョンでございますが、これは、まず受信状況調査という受信状況の可否を把握するための調査ということでは、先ほど局長が話をしましたように千百八十四カ所でさまざまな調査をやっているわけでありますので、その関係での受信状況についての調査としては十分なものだ、こういうふうに聞いております。

 いずれにしても、今度デジタル化するに当たって、やはりこうした受信障害の発生を解消させるということが大変大事でありますので、この調査をきちんと生かして、この財団としても、加入世帯の皆さん方と十分な話し合いをするということが必要ではないか。これは私どもも、こうした財団についての指導ということは徹底していきたい、このように考えております。

塩川委員 都市受信障害対策につきましては、地デジ移行に当たって、入り口の受信障害の実態調査というのが現時点ではなかなか進んでいない、こういう問題があると思います。そういう点で、地デジ移行に当たっての入り口での滞りということが問題になってくると思うんです。

 そこで大臣に伺いますが、昨年の八月の情報通信審議会の四次中間答申の議論の中でも、受信障害対策共聴施設について、公的な機関や公益事業の会社が所有者や原因者になっている施設については調査や改修などを前倒しして実施する必要があるんじゃないのか、こういう指摘もあったと承知をしております。

 ですから、国や、公益事業の電力会社とか鉄道事業者とか、あるいは道路公団、高速道路会社、空港会社など、これらの公益事業の会社が所有者や原因者になっている受信障害施設については、やはり国、公益事業者が個々世帯に対応した受信障害調査を実施することが必要だし、その上で障害を認めれば改修工事を行うように徹底すべきではないかと考えますが、その点、いかがでしょうか。

増田国務大臣 今委員御指摘いただきましたとおり、都市受信障害対策共聴施設のデジタル化を促進するということから、調査なども早期に行うことは大変大事だというふうに私も思います。

 それから、御指摘のように、公共施設による受信障害への対応、これはやはり早くやっていく必要がございますので、公共施設による受信障害については、昨年の九月に内閣官房に設置されました関係省庁連絡会議で、関係省庁で連携すべき課題の一つとして取り上げられております。関係省庁とも連携して今取り組んでいるところでございますが、この趣旨を各省庁に徹底して、早目早目の対応に取り組んでいきたい。

 それから、電力事業者などいわゆる公益事業者等の大規模な施設所有者に対しても、これはやはり社会的責任ですとか事業の公益性ということがございます。そこで、総務省としても、受信障害範囲の調査の早期実施を含めて、共聴施設利用世帯への十分な周知、それから受信障害が継続する世帯に対する適切な対応ということを公益事業者の方に働きかけをしてございます。こちらの方も早目早目の対応が必要だ、こういう認識を私どもも持っておりますので、そういう公益事業者に対しての働きかけもきちんと行っていきたい、このように考えております。

塩川委員 国や公益事業者がふさわしく責任をまず果たしていく、その点で、住民に負担を転嫁することのないように求めたいと思っています。

 あわせて、都市受信障害対策ということで言いますと、やはりマンションなどのビル陰の問題というのが大きいわけであります。その点についても、やはり費用が一定額かかるという点については、マンション住民にとっても、こういう負担のあり方について疑問の声もある。国策でやっているんだから国に負担してもらいたい、こういう率直な声などもあるわけです。

 そういう点で、重ねてお聞きしたいんですけれども、そもそも、都市の受信障害対策について、これを円滑に進める上で、入り口の受信障害調査について公的な支援を考える、そういうお考えというのはありませんか。

小笠原政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、デジタル化に伴う都市のさまざまな受信障害共聴施設の費用負担というものについて、現在のところ、成文法上明確なルールはございません。したがいまして、私どもこれまで、いわゆる自治の原則に従って、基本的には関係者間の話し合いで行っていただきたいということを申し上げておるところでございます。

 ただ、先ほど来大臣も御答弁申し上げておりますように、デジタル化の今後の推進につきましては、先ほど先生御指摘のような都市共聴施設のデジタル化をどのように進めていくかといったことも含めて、今、情報通信審議会でさまざまな観点から幅広く御議論をいただいているところでございますので、その御提言も踏まえて、総務省としての必要な対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。

塩川委員 マンションなどの受信障害対策とは別に、そもそも、集合住宅での共聴設備の改修も必要です。

 これは、参議院での総務委員会の審議の中で小笠原局長が、四階建て以上の地上デジタル放送に対応する実態調査についての報告に対しての答弁の中で、フォローアップ調査を現在もやっているという答弁がありました。昨年の三月の段階で、改修済みが五四%で、これからあるいは未対応というのは四六%ということですから、これのフォローアップがどういうふうになっているのか、現状どれだけ改修が進んでいるのか、こういう点についてお聞かせいただけますか。

小笠原政府参考人 今先生御指摘の昨年の調査のフォローアップでございますけれども、現在実施を進めているところでございまして、来月には結果を取りまとめることができるのではないかと考えております。

塩川委員 やはりこの間、共聴施設につきましては、辺地の共聴施設の問題と、それから都市の受信障害対策の問題と、マンションなどの集合住宅における共聴設備の改修というのが大きな課題として残っているわけです。こういう問題についてきちんとふさわしく進める上でも、入り口のその障害調査について、きちんとした対応策というのを今本当に進める必要がある、その点を重ねて要望して、質問を終わります。

今井委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社民党の重野安正です。

 質問に入る前に、今月の十二日に、きょう私も質問しようと思っているNHK地域スタッフ、長野放送局の地域スタッフ、仙名清次郎さんという方が、仕事中に通りかかった川で親子がおぼれておるのを発見して、そしてこの川に飛び込んで救助に向かったわけですね。結果的に、仙名さんもおぼれ死ぬ、子供さんもおぼれ死ぬという本当に悲しい出来事が起こりましたけれども、NHKの地域スタッフの方がそういうふうな行為をとったということが、私は本当に崇高な行為であるというふうに思うし、結果が不幸な結果になりましたけれども、これはやはり我々もしっかり受けとめていかなければいけないな、こういうふうな感じを持っております。

 では、具体的に質問に入りますけれども、まず第一に、先週の質問の中で、利用料の問題を中心に質問いたしました。

 十一日から、その利用料徴収の任に当たっておられる日本放送協会の集金労働組合が四十八時間のストライキに入った、こういうことが新聞に報道されておりました。ちょうど、時あたかも今我々はそういう関連する法案を審議しているのでありますが、まず、そういうストライキに入った経過と、その結果どういうふうなことになっておるのか、まずその点を聞いておきたいと思います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 協会と日本放送協会集金労働組合は、毎年四月に当年度の委託事務費の改定について協議を行っております。

 日本放送協会集金労働組合は、ことし十月からの訪問集金の廃止と千二百人分の労力の段階的削減は基本的に了解をしていますが、集金業務がなくなるということにより収入低下の不安を払拭し切れないということがあります。一部の単価の設定を不服として、十一日午前零時から四十八時間のストライキに入りました。

 その後、協会は十一日午後に単価の修正に応じる追加回答を行い、十一日の二十四時、組合はストライキを中止しました。

 経緯と結果は、以上でございます。

重野委員 NHKの今年度の予算は、当委員会でも既に承認されております。その際、附帯決議として、「受信料制度への視聴者理解に不可欠な地域スタッフの業務に配慮」云々、こういうことに附帯決議はなっております。

 私は、この地域スタッフの業務に対する十分な配慮と、そしてスタッフと経営側との意思疎通というものが十分できていたのかどうなのか、その結果がこういうことになっていったのではないかというふうに思うんですが、そこら辺の認識について再度確認しておきたい。

大西参考人 お答え申し上げます。

 ことし十月からの訪問集金の廃止に向けては、平成十七年から、さまざまな場を設けて意見交換をしながら、親切丁寧に対応してまいりました。その結果、段階的に合意を得てまいりました。したがって、地域スタッフへの配慮が欠けていたのではないかという御指摘でありますが、欠けていたとは考えていませんが、附帯決議の御指摘は十分今後とも踏まえてまいりたいというふうに思います。

 以上でございます。

重野委員 ここに、四月二日の朝日新聞でありますが、八十歳のお年寄りの投書が新聞に出ていました。この方は、次のように言っておられました。

 ラジオで廃止されることを知った、二カ月に一度の訪問集金を楽しみにしている、非常に残念だ、足が悪く外出が難しい、集金員の方と数分間のおしゃべりをしている、信頼できる集金員の定期的な訪問は老人世帯に安心感を与えてくれる、費用がかかることはわかっているが、訪問集金を望む受信者には認めるべきだ、こういうふうな新聞の記事でした。こうした方にNHKは支えられているのだと思います。

 視聴者からの意見には、電話や手紙、最近ではメール等々もあろうと思いますが、顔を見ながら話すこの地域スタッフの情報こそ最も貴重なものだと思うんですね。確かに、経営が問われる、経営の効率化、こういう説明はわからぬでもないんですが、私はやはり、視聴者にとってNHKの顔が見える、そういう経営姿勢を貫いてもらいたい、このことを要望しておきたいと思います。

 さて、先週の委員会で、電波の利用料の値上げについて少し伺いました。きょうはもう少し具体的に聞いておきたいと思うんですが、別表第六に関してです。この中で「六 放送をする無線局」というのがあります。まずお聞きしたいのは、現行二万五千七百円となっている部分に該当するのは、在京キー局を初めとした既存の地上波テレビ局がすべて入っている、そういう理解でいいのかどうか、まずその点を確認したいと思います。

寺崎政府参考人 現在のアナログテレビジョン放送局の電波利用料は、キー局であるか否かにかかわらず、一局当たり二万五千七百円でございます。

重野委員 そこで、今回、この部分が大幅に改正されたものが提出されております。

 ちょっと私もよくわからないのでありますが、空中線電力によって四区分されていますが、最も少額の〇・〇二ワット未満で六千百円、一方、空中線電力が十キロワット以上のものは三億六千四百万円となっておる。この四つの区分は具体的に言ったらどういうものなのかということですね。具体的に言うと、どういった放送局がこの四区分の中のどれに当てはまっていくのか、その点について説明願いたい。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今回の見直しによりまして、テレビジョン放送局の料額につきまして、出力に応じて四つの区分に分けて料額を設定しているところでございます。

 具体的に申しますと、先生今御指摘になりましたいわゆる電波法改正案の本則の料額表のうち、一番高い料額区分につきましては関東広域圏のキー局及びNHKの親局、つまり、東京タワーから電波を出しておりますいわゆるキー局が五局、それからNHKの総合、教育の二局が該当いたします。

 それから、次に、二番目の料額区分につきましては、近畿広域圏及び中京広域圏にあります準キー局及びNHKの親局などが該当します。

 それから、三番目の料額につきましては、他の地域、いわゆるローカル局の放送局の親局や中継局が該当いたしております。

 それから、最も安い料額区分につきましては、山間部等にあります出力の小さな中継局が該当するものでございます。

 以上でございます。

重野委員 それにしても、今分類はわかりましたけれども、三億六千四百六十八万五千六百円と、その次の七千二百九十四万千四百円というふうに、こんなべらぼうに価格が違う、これはどういう基準でこういう額が算出されるんでしょうか。

小笠原政府参考人 今先生お話しいただきました個々の無線局の料額という点でございますが、これはそれぞれの無線システムの特性を反映して定めておるものでございまして、今回の改正におきましては、その電波の経済的価値というものに応じて個々の放送局の料額を定めることとしたものでございます。

重野委員 これは新たに設定されたものなのか。この表を見ますと、この欄で、現行のところが今指摘したように二万五千七百円、それが、今指摘したように三億六千四百万もあるし七千二百九十四万もあるというふうに、今度新たにこの額というのは設定されたんですかね。

小笠原政府参考人 御指摘のとおり今回新たに設定されたものでございますが、これまで御説明しておりますように、放送局の料額につきましては、現在デジタル化投資を行っているということに着目をいたしまして、段階的な経過措置というものを設けておるところでございます。

重野委員 キーワードは、やはりデジタル化というところにあるんでしょうか。

小笠原政府参考人 今申し上げた経過措置につきましては、もちろん現在デジタル化投資が進められているという状況を考慮したものでございますけれども、先ほどの電波の経済的価値ということをやや砕いて御説明いたしますと、より広いエリアで電波を利用する方、つまり出力が大きい方についてはより多くの利用料を徴収することが適当であることから、その無線局の出力に応じた料額とすることを基本としつつ、視聴世帯が非常に多い、例えば東京、関東広域圏といった放送であるかということも勘案して定めているものでございます。

 ただ、こうしたいわゆる出力に応じて料額を定めている例は、例えばETC基地局などのように、既にほかにあるところでございます。

 また、こうした料額を定めるにおきましては、さまざまな、ほかの無線局と同様の考え方というもので算定しているものでございまして、ほかの無線システムとの公平性も確保されているものと考えておるところでございます。

重野委員 先週の委員会で、今局長が申しましたが、テレビ放送局の料額について、他の無線局と同様の考え方に基づく算定方法と答弁しておられます。どこら辺が同様の考え方に基づく算定方法なのかという疑問も残ります。

 今回の改正で、テレビ局の利用料額が空中線電力に応じた区分となっています。それ以外の無線局では、周波数ないしは地域ごとの区分で、空中線電力に応じた区分は少ないんですね。

 なぜテレビ局だけこうした区分を行ったのかという点、また、他の無線局との公平性、そういうものがこれで保たれているのか、そういう視点からどういうふうな考えを持っておられますか。

小笠原政府参考人 先ほども御答弁いたしましたけれども、こうしたような、出力に応じて個々の無線局の料額を定めている例は、ETC基地局といったものもございますし、例えばラジオなども現在でも出力に応じた料額が定められてございまして、その他の無線システムとの公平性というものは確保されているものと考えておるところでございます。

重野委員 高い低いといいましても、これを割り算していきますと、高い方は実に一万四千二百倍の値上がり、こういうことになるんですよ。これで公平性が保たれるんだという説明なんですけれども。では逆に、昨年度までは公平性が保たれていなかったのか、逆説的でありますが、そういうことにもなりますし、なぜこういう状態が今日まで長く続いてきたのか、そういう点についての説明をお願いします。

小笠原政府参考人 再三繰り返して申し上げることでございますけれども、まず、放送と他の分野とに負担をどのように配分するかということにつきましては、他の放送以外の利用と基本的に同じ考え方でやっております。

 ただ、ではその放送の中でどのように配分するかということにつきましては、その出力によって分けています。それは、例えばラジオの中では現在でもそういうような出力に応じた負担の配分をしているところでございますということをちょっと御理解いただきたいと思います。

 なお、そういうことによりまして、今回さまざまな御意見を踏まえて見直したわけでございますけれども、我々としては、今回のような改正を行ったことにより、他のシステムとの公平性は確保されているものというふうに考えているところでございます。

重野委員 いずれにしても、当然これに至る過程の中でパブリックコメント等々とったことだろうと思うし、その際どういった声が寄せられたかという点が一つ。

 それから、微に入り細に入り質問をしたんですけれども、私としては、何といっても額が余りにも開き過ぎているという点については、専門的にはわかりませんけれども、何でこんなことになるのかと。だから、そういう意味では、やはりぴしゃっと公式があって、算式があって、それに基づいてやっておるんだ、その算式については、この間のさまざまな議論の結果としてその算式が固定しているんだというふうな説明があればあったでそれなりに私もわかりますが、そういうふうなものが、いわゆる公式というのがあるんですか、この額を出すに至る公式。

小笠原政府参考人 再三申し上げておりますけれども、先ほどの、出力に応じて料額を分けているわけでございますが、出力に応じて分けている考え方は経済的価値と申し上げましたが、例えば東京タワーのような局からは、実に大体千四百万ぐらいの世帯がこれを利用しております。あるいは、山間にあります中継局になりますと、その利用は三けたあるいは場合によっては二けたの世帯もあるかもしれません。そうしたような、電波によって利用する範囲にまさに着目して行っているわけでございます。

 これも再三申し上げますけれども、今申し上げましたような、出力によって料額を分けるというのはあくまで放送内部の配分の問題でございまして、放送とそれ以外の分野をどのように負担を配分するかということにつきましては、基本的には他の分野と同じ考え方のもとで配分しているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。

重野委員 時間も来ましたので以上で終わりますけれども、なかなかすぱっと胸に落ちる理解に至りません。今後とも、この点についてはひとつ十分に説明をしていただきたいと思います。

 以上で終わります。

今井委員長代理 次回は、来る十七日木曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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