衆議院

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第8号 平成21年3月13日(金曜日)

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平成二十一年三月十三日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      今井  宏君    遠藤 宣彦君

      小川 友一君    川崎 二郎君

      坂本 哲志君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      田中 良生君    谷  公一君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    平口  洋君

      福井  照君    古屋 圭司君

      松本 文明君    渡部  篤君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    小平 忠正君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    伊藤  渉君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   国土交通副大臣      加納 時男君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            岳野万里夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           二川 一男君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省航空局空港部長)           渡辺 一洋君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   参考人

   (日本放送協会理事)   日向 英実君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役副社長)         山下  泉君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          横山 邦男君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            伊藤 和博君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            寺崎 由起君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     鷲尾英一郎君

  田嶋  要君     川内 博史君

  重野 安正君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     田嶋  要君

  鷲尾英一郎君     逢坂 誠二君

  菅野 哲雄君     重野 安正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事日向英実君、日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君、執行役副社長山下泉君、専務執行役横山邦男君、専務執行役米澤友宏君、専務執行役佐々木英治君、常務執行役藤本栄助君、常務執行役伊東敏朗君、執行役伊藤和博君及び執行役寺崎由起君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官岳野万里夫君、総務省自治行政局公務員部長松永邦男君、自治税務局長河野栄君、情報流通行政局長山川鉄郎君及び情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部篤君。

渡部(篤)委員 自由民主党の渡部篤であります。

 世界は、今、アメリカ発の金融危機によって、百年に一度と言われる大不況に見舞われています。我が国も、国難に直面していると言っても過言ではありません。こうしたときこそ、政治家の理念が問われると私は思います。大臣と政治の理念について忌憚なく論じたいと思う次第であります。

 私が尊敬するイギリスの保守政治家であるエドモンド・バークは、政治にはプルーデンスが大事だと言いました。プルーデンスとは、日本語で「慎慮」と訳されております。「慎慮」とは、熱狂や極論に走らず、バランスを重んじる知恵のことです。バークは十八世紀のイギリスの政治家です。しかし、このバランスを重視する「慎慮」とは、中庸を重んじる日本の伝統とも一致すると思います。この「慎慮」を重んずる立場から、鳩山大臣にお聞きします。

 これまで地方分権が盛んに言われ、中央から地方へというスローガンのもとに構造改革が進められてきました。しかし、その結果はどうでしょうか。

 鳩山大臣が一番御存じのように、都市と地方の格差はますます拡大しており、地域共同体は崩壊の危機に瀕しています。中央と地方は相互依存の関係にあります。地方が疲弊すれば、中央もやがては衰退し、人心が荒れ果て、ひいては国全体が衰えてしまうでしょう。

 国の力は、中央と地方がお互いを支え合うことから生まれてくるのです。中央か分権かの二者択一ではなく、中央と地方のバランスのとれた発展を考えるべきではないでしょうか。それが本来の保守政治が目指す理念であったはずです。

 特に、現在のような国難にあって、中央からほうり出された地方は著しく衰退しています。今、国直轄事業に負担金を支払えないという状況が如実に物語るものです。平成二十一年度は一兆円の地方交付税の増額が図られましたが、これに決してとどまることなく、地方税の充実を図るとともに、地方交付税の総額を安定的に確保するなど、地方税財政の拡充を図るべきではないでしょうか。大臣のお考えをお伺いします。

鳩山国務大臣 渡部篤先生は、私がやるべき最も基本的な仕事について御指摘をされたというふうに思います。

 結局、地方分権ということを盛んに議論する、もちろん、地方分権改革推進委員会の第二次勧告等の問題があって、事務や権限をどこまで地方に移すかという問題がありますが、基本的に言えば、やはり財源の問題が決定的でございまして、そうした意味でいうならば、今回、別枠で一兆円地方交付税を増額して、この厳しい国、地方を通じた財政状況の中で、来年度は四千百億円の地方交付税の増額、つまり、十五兆八千二百億円にはなったわけでございますが、三位一体改革前の水準にはまだほど遠いわけでございます。

 そういった意味でいうならば、地方税と地方交付税の充実というものが何よりも重要でございまして、例えば国税対地方税の比率が六対四というのではなくて、これが一対一になることを目指していかなければならないと思っております。

 先ほど先生は国の直轄事業についてお触れになりましたけれども、直轄事業をやって三分の一は地方に負担をさせるという仕組みについて、今見直しの議論が随分ございます。

 私が正しいと思う道は、直轄事業の量を減らして、今直轄事業としてやっていることを地方の判断で行うようにする、それが地方分権の一つの道ではないか、そんなふうに考えております。

渡部(篤)委員 これまでの構造改革路線では、官から民へということが盛んに言われてきました。これも地方分権と同じで、官か民かというバランスを欠いた単純な思考法です。

 しかし、官と民とは、本来、お互いを支え合うものではないでしょうか。しかも、今のような経済危機のときには、官が民を支えることが一層重要です。世界各国も、政府が積極的に市場に介入し、官が民を助けています。どの国も官民挙げて協力して、国難に対処しようとしているのです。

 ピーター・エバンスというアメリカの政治学者が、官と民が完全に分断されるのではなく、お互いが交流し、支え合う方がうまくいっていると言ったそうです。それを国家と社会のシナジーと言っています。シナジーとは共鳴です。しかも、エバンスは、この官と民の共鳴がうまくいった例として、かつての日本の官民協調体制を挙げているそうです。

 私は、官と民が協調し、共鳴すべきだと考えます。もちろん、官民の癒着はいけません。しかし、官と民は対立すべきものではなく、お互いを信頼し、交流し、知恵を出し合って国難を乗り切るべきです。また、官から民へではなく、官と民の共鳴こそが我が国の国柄に合うものだと私は考えます。

 大臣のお考えをお伺いします。

鳩山国務大臣 官と民の共鳴という御指摘は、全くそのとおりではないかと思っております。

 麻生総理大臣も、施政方針演説の中で、ただ官から民へというスローガンのようなもの、あるいは大きな政府か小さな政府かといった発想だけでは国や社会のあるべき姿は見えない、こういうふうに述べられまして、私は、これも今の渡部篤先生の御指摘と同じ観点に立つものだと思っております。

 重要なことは、先生のおっしゃる官と民のシナジー、そして、それぞれが役割を果たしながら、どうやってこの難しい社会状況あるいは経済状況に立ち向かっていくかということだろうと思いまして、要は分担の問題でございます。官と民の適切な役割分担、そして、それぞれが責任を持って行動する中で、協力をする、協働をする。そして、協力し協働して社会の発展を目指していく姿がシナジーと呼べるのではないかというふうに思っております。

 私はシナジーという言葉は余りふだん使わないものですから、官と民もいわば共生をすればいいと思います。

 先ほどの御質問の中でちょっと私申し忘れましたけれども、都会と地方というものを考えた場合、一つの川の流域でいえば、河口の方に大都会があるとする、中流域に農村地帯が広がる、上流域に山村が広がる、また中にはそこに過疎と言われる地域や限界集落があるとするならば、それぞれの川の上流や中流、下流の地域が共生するような政治をやらなければいけない。

 とりわけ都会というものは、川の中流や上流域の恩恵、それは水にしても空気にしても食料にしても、そうした恩恵のもとで発展をしているわけでございますから、それを感謝の気持ちとしてあらわす必要があるのではないか。かつて水源税という発想があったけれども、そういうような考え方がこれからは必要になるのではないか、そう思っております。

渡部(篤)委員 官から民へという理念の誤りに関連して、郵政民営化についてお聞きします。

 郵政民営化は、まさに官から民へという理念のもとに実行されました。しかし、世界的な金融危機で、国が管理する安全資産や公的資金の重要性は世界的に高まっています。我が国は、郵便貯金が安全な資産、公的な資金として活躍すべき、まさにその直前に民営化を行ってしまったのではないでしょうか。このことについて大臣はどうお考えなのか、お伺いします。

鳩山国務大臣 こういうような百年に一度という経済危機がございますと、確かに先生おっしゃるようなタイミングだったかというふうな要素もあろうかと存じます。

 ただ、私は、郵政民営化自体は非常に立派な大改革であった、こう思っているわけでございまして、これは官から民への一つのいい流れをつくるものとして大いに期待をされたわけでございます。その民営化の中で、より高品質で多様なサービスが提供されて国民の利便性が高まる、あるいは国民の貯蓄、郵便貯金、場合によっては簡保のお金でしょうが、これが効率的に、効果的に活用されるということが大いに期待をされてきたわけでございます。

 ただ、残念ながら、光が強ければ影もまた強いわけでございまして、さまざまな問題点が指摘をされているわけでございますので、その影の部分をできるだけ小さくするために、これから見直しというものは大胆に進めていかなければならないと考えております。

渡部(篤)委員 西川日本郵政社長にお伺いいたします。

 あなたは、銀行頭取としての手腕を買われて、日本郵政社長に就任したのだと思いますが、社長としてどのような理念をお持ちなのか、問いたいのです。

 と申しますのも、あなたが銀行頭取として頭角をあらわしていたころ、アメリカの金融資本主義が全盛でありました。我が国のエコノミスト、市場関係者、そして金融マンの中には、破格の高収益をもたらすアメリカの金融モデルを礼賛する人が少なくなかった。そうした中で、西川さんも高い評価を受けていた。

 しかし、その金融資本主義は破綻しました。アメリカやイギリスですら、高収益な投資ファンドのモデルを反省しています。例えば、昨年六月、イギリス銀行協会の会長であるスティーブン・グリーン氏は講演の中で次のように述べています。英米の銀行がこの五年間展開してきた金融ビジネスのモデルは破綻した、以前のような利益率の高い時代は終わった、銀行は顧客との信頼関係を重視する昔ながらの基本的な経営姿勢に戻る必要がある。

 西川社長、銀行頭取であったとき、このアメリカの金融モデルについてどう考えておられたのか、そして今どう考えておられるのか、お伺いします。

西川参考人 お答えいたします。

 私が銀行の頭取に就任いたしておりましたのは一九九七年から二〇〇五年まででございますが、その後半、ITバブルの崩壊後に問題になりましたサブプライムローン、そしてこれを組み込んだ証券化商品が大きく台頭してきたという時期でございました。

 このサブプライムローンそのものに大きな問題が内包されておりましたし、また、これを証券化する際に、インベストメントバンクにいたしましても、ヘッジファンドにいたしましても、あるいは銀行にいたしましても、大変大きなレバレッジをかけて商品化し、世界じゅうに売りまくったということでございます。

 これは、金融工学を駆使して魅力的な利回りの高い商品に仕立て上げるとともに、精緻なリスク管理を行って格付機関からも高い格付を得ていたものでございますが、二〇〇七年春ごろから、不動産バブルの崩壊によって、想定をはるかに上回る大きなリスクが発生してコントロール不能になり、破綻をしたというこの経過でございます。

 これは、証券化でございますとか、あるいはそこで使われますデリバティブでございますとか、あるいは金融工学そのものに問題があるわけではございませんで、やはり市場の暴走ということが大きな問題であったろうと思います。やはり管理やチェックの仕組みを構築することが重要でありますし、また、マーケット参加者、あるいは投資銀行、あるいは銀行の経営者の自己規制、セルフディシプリン、これが欠かせないのだと私は考えておる次第でございます。

 以上です。

渡部(篤)委員 さて、今になって顧みますと、郵政民営化のねらいは金融資本主義の発想に沿ったものではなかったのか、私はそう思います。つまり、低リスク・低リターンであった郵便貯金を、アメリカの金融モデルのように高収益をもたらすように運用するということです。

 しかし、金が金を生む金融モデルは破綻しました。時代が変わったのです。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、あたかも金に繁殖能力があるがごとく、金に金を生ませるのは最も不自然なりと言ったそうです。金に金を生ませるような虚業は、いつかは破綻するというのが昔からの知恵であるようです。欧米の投資銀行は、この古くからの常識を忘れ、飽くなき利潤追求に走った結果、破滅したのです。

 私は、経済活動は利潤追求だけで行ってはならないという常識に今こそ立ち返るべきだと考えます。特に日本郵政は、民営化したとはいえ、郵便事業を行い、郵便貯金を預かっている公共性の高い事業体です。収益性だけを基準にして経営されるべきものではありません。

 さて、西川社長は、かんぽの宿の売却や東京中央郵便局の再開発を進めようとしていますが、その個別の問題については、今あえて問いません。そのかわり伺います。あなたは日本郵政をどのような理念に基づき運営されようとしているのか、お答えいただきたい。

西川参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、日本郵政グループは高い公共性を持つサービスを担う事業体でございまして、ユニバーサルサービスの維持などの使命を果たしていくことが重要であるということは十分に認識をいたしております。

 一方で、民営化された以上、グループ各社が、経営の自主性、創造性及び効率性を高めて、収益性を強化し、市場の中で自立し、国民の皆様に多様で良質なサービスを提供していくということも大変重要なことであろうかと思います。この公共性と収益性の両立ということは、私どもの大変大きな課題でございます。

 私は、守るべきは守り、変えるべきは変えていくという決意のもとで改革を進めてきたところでございますが、これからも国営事業として培われてまいりました郵政の安心と信頼のブランドを引き継ぎまして、これをさらに高めていくよう取り組んでまいる所存でございます。

 以上です。

渡部(篤)委員 さて、私は、これまでの議論の中で、バランスを重んじ、「慎慮」を重視する保守主義の立場から、構造改革を批判的に検証してまいりました。

 国民、特に地域住民は、構造改革で疲弊し切ったところに百年に一度の大不況を迎え、まさに危機的状況にあります。今こそ、政治家は、家族、地域、国を守り、まじめにこつこつ働く人々が報われる世の中を築くという、政治の基本に返るべきだと強く思います。

 最後に、一政治家として、昭和十五年の斎藤隆夫の演説になぞらえ、次のように申し上げたい。ただいたずらに改革の美名に隠れて国民的犠牲を閑却し、いわく規制緩和、いわく民営化、いわく小さな政府、いわく地方分権、かくのごとき雲をつかむような文字を並べ立てて、国家百年の大計を誤るようなことがありましたならば、現在の政治家は死してもその罪を滅ぼすことはできない。

 以上で、質問を終わります。

赤松委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 きょうも引き続き地デジのことでやりとりをさせていただきたいと思います。

 きょうは、また大臣にはお聞きいただきながら、山川局長の方とかなり実務的なことをやりとりさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 このことにしばらく特化して質問させていただいているのも、今の景気、経済の状況を見ても、ここ二年半ぐらいでデジタル化に完全移行していくというのは、ある意味で特需でもございます。これを滞りなく進めていくことは、景気回復という観点からも非常に重要なことだろうと思っています。そういう意味では、また引き続き、私どもも、そしてまた大臣にも、そのために必要な予算の確保を含めて全力でお取り組みをいただきたい、そのように思っております。

 きょうは、いつもお聞きしている受信障害対策施設から少し離れまして、まず冒頭、ケーブルテレビのことをお伺いしたいと思います。

 ケーブルテレビ会社の地デジ、一般の方は、ほっておけば勝手に地上波デジタル放送が始まるだろうという印象を持たれている方が多いわけですけれども、ケーブルテレビ会社におけるデジタル化の進捗状況を山川局長にお伺いいたします。

山川政府参考人 昨年三月末現在のケーブルテレビの加入者数は、約二千百九十四万世帯でございまして、世帯普及率は約四二・四%となってございます。このうち、地上デジタル放送の視聴可能世帯数は約二千百二十万世帯ということで、全体としては九六・六%に達しております。

 私どもが掲げておりました普及の当面の目標、北京オリンピック時点で約二千万世帯が地上デジタル放送をごらんいただけるようにという目標を掲げておりましたが、これを大きく上回っておりまして、順調に推移しているというふうに思います。

 しかしながら、一部のケーブルテレビ会社では、まだデジタル化が完了していない施設も存在いたします。したがいまして、これら施設の早期のデジタル化対応を推進することが必要と認識しております。

 総務省といたしましては、第九次の行動計画を策定しておりますが、地上アナログ放送終了までのできるだけ早期に、かつ、遅くても二〇一〇年の十二月末までにすべてのケーブルテレビ施設においてデジタル化を完了するよう、地域情報通信基盤整備推進交付金などを活用いたしましてデジタル化対応を促進するなど、引き続きケーブルテレビ会社のデジタル化を推進することとしております。

伊藤(渉)委員 九六%、もう地デジ化が進んでいる。

 そうしますと、ことしの正月、これは一月八日の読売新聞ですけれども、見出しは「CATVはアナログ併存」と。「機器普及遅れ 地デジ移行後三〜五年」こういう見出しの新聞記事が出ました。要するに、ケーブルテレビは、一部、二〇一一年七月二十四日以降もアナログ放送が見られるようにするというような記事が出ましたけれども、これの事実関係を、山川局長、御答弁お願いします。

山川政府参考人 地上デジタル放送への移行に関しましては、ケーブルテレビによる地上デジタル放送を視聴可能とするため、まずは地上デジタル放送の再送信を行っていただくということが基本であろうと思っております。

 御指摘のケーブルテレビ局において地上デジタル放送をアナログ方式に変換して再送信するサービス、いわゆるデジ・アナ変換サービスと呼んでおりますが、これにつきましては、残存するアナログ受信機器対策としては有効であろうという側面があろうと思っておりますが、地上デジタル放送への円滑な移行に資するものである一方、実際には、ハイビジョン画質とか五・一チャンネルのサラウンドの高音質といった放送は視聴できません、それから、電子番組表も活用できません、字幕放送も利用できない、そういった制約があることは事実でございます。

 ケーブルテレビ事業者の方にいたしましても、例えば、デジタル・アナログ変換サービスを実施するとして、その終了方法あるいは費用回収等の運用上の課題、あるいは地上放送事業者からの再送信同意の取得等の制度的課題など、条件整備に向けた課題もいろいろあります。

 こういった状況でございますので、総務省といたしましては、まず技術的な課題あるいは視聴者の反応等の効果を検証するために、ケーブル会社の協力を得ましてデジ・アナ変換の実証実験を行っております。こうした実験を通じまして、ケーブルテレビ事業者などから課題を伺いまして、本年の夏までに必要な検討を行うこととしております。

伊藤(渉)委員 この新聞記事が出たときに私はどう思ったかというと、とにかく全力で完全に移行しようと思って努力をしているにもかかわらず、ケーブルテレビをごらんの方は引き続き今のテレビのままアナログ放送みたいな形で見れますよと言ってしまうと、完全移行へのインセンティブが薄れるというか、やっていることが少しちぐはぐになるんじゃないかというふうに感じたわけです。

 今答弁していただいた内容と重なるところもあろうかと思いますけれども、多分そういうことは十分承知されているんだろうと思いますが、もう九六%までケーブルテレビの方はデジタル対応ができているというなら、残り四%を地デジ化するためにより一層全力を挙げるべきなのに、ぎりぎりのところでアナログ放送が見られるようなことも検討をするというのは、政策の流れとしていま一つ理解に苦しむわけですが、改めて、デジ・アナ変換を検討する、政策を進める上での意義をどういうふうに考えていらっしゃるのか、もう一回答弁をお願いします。

山川政府参考人 現在私どもが行っている検討は、ケーブルテレビ事業者が地上デジタル放送の再送信というのをあくまでも行った上でこのデジ・アナ変換サービスを暫定的に導入するということはどうかということで、その課題を検討しているということをまず御理解いただきたいと思います。

 したがいまして、ケーブルテレビの視聴者が地上デジタル放送のメリットを享受するためには、先ほど申し上げましたように、いろいろな制約を考えれば、デジタル受信機器の購入等が必要なことは変わりはございません。

 では、デジ・アナ変換は全くメリットがないかというと、そんなことはございません。例えば地上アナログ放送が停波してしまった時点で、少なくとも一台はデジタル放送のテレビはお持ちだ、しかしながら、二台目、三台目のテレビはまだデジタル対応でなくてアナログのものが残っているというようなことが各御家庭であろうかと思いますが、こうしたことが生じた場合に、まだアナログ受信機器が使えると、使えるのにこれを捨ててしまうのか、これはもったいないのではないかというような消費者の方々からの御要望がございます。それからまた、アナログ受信機器を一気に買いかえるのではなく、例えば廃棄、リサイクルを平準化するために少しずつ出していただくというようなことも考えられます。また、視聴世帯のアナログ受信機器を一気に買いかえるというのはかなり負担かなというところもございますので、こうした御家庭の平準化、こうしたさまざまなプラスの要因もあります。

 そういった意味では、デジ・アナ変換サービスが、先生御指摘のようにマイナスの面だけではなくて、地上デジタル放送への円滑な移行のために資する部分というのもあろうかというふうに思っておるところでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、ケーブルテレビ事業者や放送事業者の関係者を含め、関係各方面の御意見をいろいろ伺いながら、このサービスにつきまして本年の夏までに必要な検討を行っていきたいというふうに思っております。

伊藤(渉)委員 おっしゃる意味はわからなくもないんですけれども、どこまでいっても、二〇一一年完全移行するというふうに進めてきている以上、完全移行していただくためにどうすべきかということを考えるべきだと思います。同じだと思いますけれども。

 その上で、ケーブルテレビの場合は引き続き御自宅でアナログテレビも使えますよというようなことを言ってしまうと、そもそも、何のために一生懸命地デジ化しようとしているのかと。アンテナで見ている人はそれができないわけですから。そのうち、アンテナの人も、自宅にチューナーを買うと、デジ・アナ変換ができて相変わらずアナログテレビでデジタル放送が見られますみたいな話になっていくと本末転倒してくるような気がしてならないものですから、そこは十分注意をして、今局長おっしゃっていただいたように、あくまでデジタル化に資する形で利用するということに十分気をつけて検討をお願いしたいと思います。

 今あるテレビがもったいないという感覚は、もちろんよくわかります。一方で、冒頭申し上げたとおり、景気の回復に資する地デジ化の特需ということを考えると、一般の御家庭に御負担にならない施策も打ちながら完全移行を進めていくためには、行政の介入というのが非常に大きく必要になってくると思いますので、この辺は予算との絡みになります、景気回復のためにありとあらゆる政策をとっていくということですから、そのために必要な予算は確保して完全移行に向けて突き進んでいくということがあるべき姿じゃないかなというふうに思います。

 次に、高齢者の方に対してのサポートです。

 そもそも、地デジのテレビを買いますと、まずリモコンのボタンが多い。どれを押せばチャンネルがかわるかわかりにくいぐらいボタンがある。この辺も電機メーカーの方とも御相談いただいて、携帯電話でも簡単な携帯電話が出てくるほどで、今の電気製品というのは本当にこんなに機能を使うのかというぐらい機能がついていまして、年配の方がますますふえてくるのには、不必要なものもたくさんあるんじゃないかというふうに思います。ですから、できるだけシンプルな形で、電化製品そのものが使えるようにという働きかけを、これは経産省の話になるのかもしれませんが、メーカーにしていただくことも重要かなと。

 また一方で、生活保護世帯、またNHKの受信料支払いを今のところ免除いただいている世帯へチューナーを配布する、このチューナーも、配布するのはいいんですけれども、例えば高齢者の方の単身世帯等々であれば、送られてきただけではとても自分で取りつけることは難しいんだろうと思います。

 そういう意味で、高齢者の方々に対する周知、またスムーズに利用していただけるための環境をどうつくっていくのかということも、ここから二年半、非常に大きな課題になってくると思いますけれども、総務省の見解、取り組みの展望をお伺いいたします。

山川政府参考人 まず、リモコンに関しましての御指摘がございました。

 おっしゃるとおり、受信機の機能がどんどん高度化しておりますので、これを操作するリモコンにつきましても、どんどんボタンがふえてきております。そういう意味で、高齢者が使いやすい簡易な製品を、だれもが利用できる環境というのを整えることは非常に重要だと思っております。

 総務省といたしましても、経済産業省と連携をいたしまして、関係メーカー等の団体であります社団法人電子情報技術産業協会というところがございますが、そこに対しまして、昨年の二月でございますけれども、簡易なリモコンの開発と普及促進につきまして協力を依頼させていただきました。

 この依頼を受けまして、協会の方では、簡易なリモコンの開発及び普及促進ということに一層取り組みますよう、会員の各社に対しまして要請等に取り組まれております。一部メーカーにおきましては、既に通常のリモコンのほかに簡単なリモコンを製品に同梱するような取り組みもされております。さまざまな取り組みを通じまして、使いやすいリモコンが普及するように私どもとして期待しております。

 もちろん、リモコンもそうでございますが、そもそもデジタル放送を受信するために国民の皆様に準備を行っていただくということが非常に重要でございまして、特に高齢者の方々につきましては、情報が届きにくい、あるいは御理解がなかなか難しいという側面がございます。したがいまして、こうした方々につきましては、丁寧な働きかけが必要だという認識を私どもも持っております。

 NHKとか民放が番組を通じていろいろ周知もしておるわけでございますが、私どもも、テレビ受信者支援センター、デジサポを本年二月に全都道府県五十一カ所に拡充、設置しております。

 このデジサポは、一般的な受信相談や調査を行っていくほか、特に、デジタル化の対応がおくれるのではないかと懸念される高齢者の方々を中心に、例えば、町内会、自治会、あるいは老人クラブを単位としたきめ細かな説明会の実施、あるいは説明会に参加できない高齢者等の世帯に対する戸別訪問、こうした丁寧な説明をしていきたいというふうに思っております。

 このために必要な経費につきましては、平成二十一年度政府予算案に計上させていただいているところでございます。

伊藤(渉)委員 今、最後の方で出てきましたデジサポですね、高齢者の方へのさまざまな説明にもここが活躍をしていく。

 これは質問ではありませんけれども、大臣、このデジサポで少し気になっているのは、これは入札して外部にデジタルサポートセンターを委託するという中で、これが何か単年度で毎回入札して、二〇〇九年度と二〇一〇年度ではデジサポをやる人がかわるという話も耳にしています。

 これはあと二年半で一気にやらなきゃいけないのに、せっかく一年やって蓄積したノウハウが、次の年かわってしまうようなことになると、入札という意味ではいい面もあるのかもしれませんけれども、一年ごとに人がかわって、せっかく一年積み上げた仕事がまたリセットして別の人がやるようなことになると、これは業務上非常に非効率だと思いますので、私もどうすればいいのか検討しなきゃいけないと思っていますが、これも引き続き大臣にも少し頭の片隅に置いておいていただければと思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に二つ重ねて言います。

 まず、デジサポ自体が相当、これまで私が質問してきた受信障害対策施設の改修も今さまざま検討していただいていますが、この件でもデジサポが表に出ていくことになりますし、デジサポの機能の強化ということが一つの大きなキーになってくると思います。この点についてどう考えているのか。

 また、地デジへの完全移行に向けてさまざまな準備をしてきています。以前も申し上げたとおり、デジタルテレビを買ってもアナログ放送を見ている人もいるということを受けて、今は右隅にアナログとかデジタルとか出るようになって、大分解消をされてきたというふうにも聞いております。

 また、そういった状況を踏まえて、一番わかりやすいのは、二〇一一年の完全移行までに一回全部デジタル放送にかえてみる。そうすると、急に映らなくなる人が出たり、それをやってふぐあいをある意味前倒しで出して、そこの部分をつぶしていく。いわゆるリハーサルというものも検討していると聞いておりますが、この点についての検討状況。

 デジサポの機能強化とリハーサルの検討状況について、最後にお伺いをいたします。

山川政府参考人 先生御指摘のデジサポでございますが、運用の透明性と業務の継続性ということに配慮しながら私ども運営していかなければならないというふうに考えております。

 このデジサポでございますけれども、平成二十一年度からは、御指摘のような高齢者、障害者等への支援、あるいは訪問説明など業務の拡充が行われますので、人的体制も拡充していく必要があろうということで考えております。そのために必要な予算につきましても、平成二十一年度予算案に計上させていただいております。

 例えばこの機能強化という点では、デジサポのほかに、電器販売店あるいは工事業者等地域の関係業者にこのデジサポに御協力いただく、あるいは市町村を初めとした地域の多くの方々に御協力いただく。こうしたさまざまな方々の御協力をいただきながら、デジサポの機能を強化し、地上デジタル放送への完全デジタル化を一層推進していく所存でございます。

 また、御指摘のように、実際にアナログ放送を終了しようというときに想定される課題が幾つかございます。先生御指摘のように、デジタル機器をつけたんだけれども、実際には気づかずにアナログ放送を見ておられたような事例もアメリカで報告をされております。したがいまして、こうした課題を事前に把握するために、特定の地域においてアナログ放送の終了リハーサルを実施するための予算を二十一年度予算案に計上させていただきました。

 こうしたリハーサルは非常に重要だというふうに思っておりまして、私どもでは、この予算案が成立いたしましたらできるだけ速やかに実施ができますように、現在、選定基準の目安を策定しながら実施地域の選定を進めるなど、実施方法やスケジュールにつきまして関係者と検討を行っているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 大きなプロジェクトは最後の詰めが非常に大変で、総務省の皆さんも御苦労が多いかと思いますけれども、行政というのは、国民の皆様から税というお金をいただいて仕事をするサービス業的側面も非常に大きいと私は思っています。そういう意味では、いよいよきめ細かな対応をしていかないと、またさまざまな御批判をいただくことになろうかと思いますので、引き続き時間をいただきながら地デジの問題に取り組ませていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 以上で終わります。

赤松委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 委員長のお許しをいただいて、皆様に資料をお配りしたいと思います。

 まず冒頭、先ほど地デジの話がございましたが、私たちは、ICTへの積極的投資をやるべきだという御提言を申し上げたいと思います。

 地デジになれば、その分の電波帯域があきます。そのあいた電波帯域を利用して、例えばぶつからない自動車、こういったこともできる。ICTのGDPへの寄与度というのは、鳩山大臣、非常に高うございまして、約四割。この寄与度は地域間格差がありません。多くの地域で、例えば三十五以上の都道府県が、約五割以上のICTのGDPに対する寄与度を持っている。

 ここで戦略的に私たちはICTへの投資を、前回、私はこの場でこの予算で本当にいいんですかという量の話をしましたが、きょうは冒頭、どのようなものに集中的に投資をしていくのか、焦点を当てていくのかという話をしておきたいと思います。

 ただ、我が国の競争力は、今、世界第十九位。これはとても受け入れられるような数字ではございません。中でもおくれているのが、麻生総理とも議連を御一緒して、大臣のお兄さんの、我が方の鳩山由紀夫幹事長が会長代行でやっている電子政府、これは物すごくおくれている。日本は二〇〇二年で二十六位、二〇〇八年は十一位です。この取り組みが非常におくれている。それから、学校の校内LAN。今、皆さんはコンピューターを持っていらっしゃいますが、ここはLANもない。日本は校内LAN六二・五。韓国は一〇〇ですよ。わざわざコンピューター室に行かなくても、教室でやれるわけです。

 私たちはすぐれた技術を持っています、日本はすぐれた技術を持ち、インフラを持っています、光というインフラを持っている。しかし、利活用がおくれているために競争力が落ちている。

 また、医療もそうですね、これは、国会に送っていただいた十三年前に、当時の小泉厚生大臣に提案をしましたけれども、レセプトあるいはさまざまなカルテの電子化をしようという話をしました。しかし、現実には、保険医療機関では約一・五%、保険薬局では四%、合計は平均すれば二・一%しかレセプトのオンライン化というのはされていないんです。もうじき確定申告の時期ですが、大臣、e―Taxはやられたことがありますか。大臣がやるには重過ぎるし、多過ぎると思いますけれども。韓国は、このレセプトのオンライン化率は九一ですよ。

 私たちは、この非常に厳しい中で、積極的にICTに投資すべきだということを民主党として提案して、きょうの本題のかんぽの宿の問題について、きょうは西川社長、横山専務、お見えでございますので、議論を進めていきたいと思います。

 資料の9をごらんください。これはどうしてバルクになったのかというのは、結局私たちよくわからなかったんです。平成十六年にバルクについて議論をしている、そこの資料を出してくださいということを何回も理事会でお願いをしましたが、それについては見当たらないということだったんです。そして、委員長がきつくおっしゃっていただいて、探しなさいということで出てきたのが、この資料9の議事録でございます。これをごらんになってください、大臣。「この委員会で何を決めるのか。バルク売却することを決定するのか。なぜバルク売却をするのか。」と。

 「入札公告についてはインターネットに載せる予定。鑑定評価はこれから依頼する。」なんということを事務局は言っていますね。それで一番下に、バルク売却の「必要性、メリット、デメリットがわかる資料が欲しい。」「今回の意見を踏まえ、資料を再度作成する。本日は委員長不在のため、内容を報告した上、今後の委員会の進め方を検討する。」と。ここでバルクについての検討が始まっているんです。

 ところが、その次のページ10をごらんください。施設部長小野さんの印鑑、そして、きょうお見えいただいている次長の寺崎さんの印鑑が付してある。

 日本郵政にお伺いしますが、これは公社時代ですけれども、この間に何か委員会が、公社不動産売却促進委員会が一回でも開かれたか。つまり、不動産の売買についてバルク売却するという決定を翌年の一月十二日にしていますが、その間に何か委員会が開かれたかどうか、これについてまず伺いたいと思います。

藤本参考人 お答えいたします。

 十月二十日に不動産売却促進委員会が開かれておりまして、当時委員長が不在でありまして、副委員長が司会をされたのは御指摘のとおりでございます。そういうことがあるものですから、その後、当時いろいろな御意見なりが出ております、これは、バルク売却は十六年度が最初の年でありまして、まだ委員の方もなじみがなかったということでいろいろな御意見がございました。それを受けまして、先刻御提出申し上げた資料の中で、公社不動産売却促進委員会第一回補助資料とありまして、日付が同じ十九日でありますので若干紛らわしいのでございますが、そこでいろいろ出されました意見にこたえまして個別に論点を整理いたしまして、それをもちまして委員長あるいは参加された委員にすべて回って御説明申し上げまして、今後、媒介、受託を含めて進めることを承認されてございます。

原口委員 日本郵政におかれては、正しく、聞いたことだけ答えてください。

 十月二十日とおっしゃいましたが、十月十九日でございますし、そして、一月十二日までには、西川社長、これは一回も開かれていないんですよ。ここでバルクを決めているんです、事務方で。それは事実ですね。委員会を開いているかいないかだけ答えてください。

藤本参考人 お答えいたします。

 売却促進委員会といたしましては、開かれていないと認識しております。

原口委員 今、西川社長に現実を御理解いただくために言っているので、事実だけぜひお答えください。

 そして、平成十九年、きのう松野委員が話をしましたが、二社が、西川社長、かんぽの宿の売却にバルクで受けています。コスモスイニシアと駿河ホールディングスでした。しかし、この二つの会社は極めて近い、代表取締役あるいは資本関係を見ても極めて近いものでした。つまり、何が起きていたかというと、頭は同じで、右手と左手が入札に入ってくださいねといって、左手がおりて右手が入札を受けているという状態でした。

 さて、1をごらんください。きのう理事会に提示をされた、いわゆる今回のかんぽの宿の売却にかかわるオリックス不動産の提案書でございます。この提案書をつぶさに見てまいりますと、プロジェクトルネサンス最終提案書、二〇〇八年十月三十一日、ローマ御中、メリルリンチ日本証券株式会社御中とあります。このローマというのは何ですか。

佐々木参考人 日本郵政株式会社のことでございます。

原口委員 そうですね。ということは、日本郵政に対して、オリックス不動産が提案をして、経営体制はこのようにいきますよといって出したのが、この1の資料でございます。(発言する者あり)1はその中身で、5はその表紙です。1がこのような経営体制にしますよといったものでございまして、「取締役社長」は実際には名前が出ています。「取締役」も出ています。「取締役副社長」を見て驚きました。福本誠さんという、日本郵政株式会社宿泊事業部長の名前がここに出ているんです。これはどういうことですか。

 当時、日本郵政本体をローマと言い、この宿泊事業部はフィレンツェと言ったらしいですね。フィレンツェの福本さんという方を副社長でお迎えしますよという提案なんですね。そういう提案だと、日本郵政、理解しているということでよろしいですか。

佐々木参考人 本件のこの事業譲渡の審査に当たりまして、当社から経営体制に関する提案を候補先の各社に求めました。そのときにオリックス不動産はこの宿泊事業部長を提案書に記載しておりました。

 一方、HMIの提案につきましても……(原口委員「聞いたことだけで結構です」と呼ぶ)失礼しました。

原口委員 オリックス不動産がこの福本さんを求めたということでいいですね。聞いたことだけ答えてください、時間がございませんので。

佐々木参考人 提案書には、先ほど申し上げましたように、同氏の名前を書いてございました。

原口委員 いいですか、大臣。この福本さんという宿泊事業部長さんの名前を出して、この人を新しい会社の副社長に入れますよということを言っているわけです。

 さてそこで、もう一回日本郵政に伺いますが、最終の審査表、これはきのうの夜中に出していただきました。これは皆さんのお手元に配付をしているA3の大きな資料です。西川社長、この審査をした方が五人いると私は聞いているんですが、この五人の中にこの福本さんというのは入っていますか、入っていませんか。

佐々木参考人 五名の審査員の中に入っております。

原口委員 大臣、お聞きになりましたか。審査した人が、自分が次の会社に入る、副社長で迎えられる。これはできレースじゃないですか。事前にすり合わせしていないと、こんなことできないでしょう。先ほど西川社長は、市場の暴走、みずからを律するとおっしゃいました。これは日本郵政の暴走なんじゃないですか。これはどういうことですか。

佐々木参考人 先ほど途中で遮られましたが、今回、オリックス不動産は、この福本の氏名を提案書に記載しておりました。一方、HMIの提案につきましても、具体的な氏名の記載はございませんでしたけれども、当社出身の人材をしかるべき地位に登用するという旨が記されておりました。

 一般に、私どもといたしましては、こういう事業の譲渡に際しまして、買い主側はスムーズな移行を実現するために事業の統括的な役割を担える人材の受け入れを希望するというふうに理解をしております。私どもといたしましても、承継従業員の雇用確保という問題がありますので、そういうものを実効性のあるものにさせるために、リーダー格の人材を統括者の地位に据えるということも望んでいたところでございます。

原口委員 全く説得力がないですね。だって、HMIは特定の人じゃないでしょう。HMIは名前を出していましたか、福本さんに来てくださいと出していましたか。

佐々木参考人 HMIは具体的な氏名の記載はございませんでした。

原口委員 それが自分を律することになるんですか。自分で売って、自分で審査をして、そして自分でそこに行きますということじゃないですか。大臣、これはおかしいと思われませんか。

鳩山国務大臣 私は、できレースではないかと申し上げたのは、ことしの初めであったかと思います。それは、正直言って、検察ではありませんから、法と証拠に基づいたのではなくて、私の嗅覚だったと思います。ですが、今の原口委員御指摘のことを知ったときには、ほれ見ろというのはちょっと言い方、表現は悪いんですが、これをできレースと言わなかったら、世の中にできレースはないんじゃないですかと私は思いますよ。

 それで、うちの吉良部長が、段ボール箱をいろいろみんなで、チームでやってくれて、幾つか問題点はここでもお話ししたことがありますけれども、まだ全部は調べ切っておりませんけれども、印象としてどうなんですかと。私の部屋に入ってきた第一声が、これは随意契約です、競争性はありません、これは随意契約という印象ですと。私は、彼が第一声でそう言ったことが、今原口委員が御指摘の点を含んでのことだったのではないか、こう考えます。

原口委員 西川社長、どう思われますか。これをできレースと言わずして何と言うという大臣の答弁ですが、御感想をどうぞ。

西川参考人 お答えいたします。

 まことに申しわけございませんが、私、このペーパーを見たのはしばらく前のことでございまして、当時見ていなかったということでございますが、具体名を書いて出してくるというのは極めて不適切ではないかというふうに思います。これは人事の問題もございますので、相手が出してきた場合には、これは訂正しろと言ってとめるのが筋ではないかなというふうに私は個人的には思っております。

原口委員 西川社長の御見識だと思います。

 そこで、皆様のお手元の資料5、これが今申し上げたオリックス不動産の最終提案書の写しでございます。きのう、私たちの手に入りました。

 次のページをごらんください。資料6です。これは見て驚きますよ。これはワープロの、削除だ何だという、要するに未完成の文書なんです。

 今、西川社長がお話しになったように、これは、きのう日本郵政に伺いました。こんな最終提案書なんて見たことない。私たちだって、党の中でこんなものを上に出したら首になります。

 何でこんなふうにしているんですかと言ったら、日本郵政が提案をして、各会社、HMIとオリックス不動産から、それぞれ、削除する部分、つけ足す部分を、どこを削除し、どこをつけ足したかがわかるようにしたものですという御説明でした。へえ、そんな最終提案書があるんだろうかと思いますが、今、西川社長がおっしゃったように、個名を書いているとしたら、そこは削除しなさいと日本郵政は言わなきゃいけないじゃないですか。それが当たり前でしょう。

 先ほど個名を書くのはあり得るというような答弁でしたけれども、どうですか。皆さんが提案書のひな形を二社に渡して、それを添削させているんです。西川社長、添削させているんです。それがこれです。HMIも同じようなものがありますから、資料の4をごらんください。HMIもやっていますね。資料3は、HMIはローマと書かずに日本郵政株式会社御中というふうにしているわけです。

 これは、福本さんは個人名があったんだから、こんなことをやられたら困るから削除してくれとおっしゃらなかったんですか。横山専務、全体の責任者としてお答えいただければと思います。

佐々木参考人 先ほどお答えいたしましたように、オリックス不動産は氏名を福本誠と提案書に記載しておりましたが、さっき社長からも申し上げましたように人事の話でございまして、私どもはこれで確定という認識ではございません。オリックスの提案書の中にこういう名前があったというだけの認識でございました。

原口委員 いや、社長がおっしゃったこととあなたがおっしゃることは違うじゃないですか。社長は、こういう個名を挙げるのは不適切だとおっしゃっている。私は、その西川社長の御認識が正しいと思います。それが一般常識だと思います。

 私が伺いたいのは、佐々木専務、こんなことはある意味では会社に対する干渉であり、しかも、この福本さんは審査員なんですよ、審査員の名前を書くというのはおかしいじゃないですかと言っているんです。そのことはおっしゃらなかったんですか。社長がおっしゃったように、不適切だという判断をされなかったんですか。だって、これは最終提案書ですよ。どうですか。

伊藤参考人 お答えさせていただきます。

 個人名が提案書に書かれてございましたのを最初に見る立場の担当でございますけれども、その段階で、相手さんに対してこれは個人名になっているじゃないですかということを問いました。それに対して、先方からは、個人を指している意味ではなくて、その事業部門の長という意味で書いたのであって、個人名に意味はないですという説明がございましたので、書きかえはしなかったということでございます。

原口委員 とんでもない答弁をなさらないでくださいよ。

 本当にそんなことを言ったんですか。伊藤執行役は最初に見るお立場にあって、これは単なる立場を書いているだけだから、個名が入っていても問題ないということであなたが納得されたということでいいですね。

伊藤参考人 現場判断でそうさせていただきました。

 それと、先ほどの評価者が福本であるということにつきましては、買い手の側は、だれが評価者であるかということはわからない形で審査をしておりました。

原口委員 わからない形でと、あなた、国会で虚偽を言ったら、それはひどいですよ。私はきのう福本さんと、一時間半にわたり、宿泊をどうやるかずっと交渉したというのを福本さんはおっしゃっていますよ。審査だけじゃなく、その交渉するつかさじゃないですか。交渉するつかさの人を、あなた、副社長で来てくださいと、そんな話が通りますか。

 西川社長、今のようなお答えで本当にいいんですか。

西川参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、これは通らないと思います。

原口委員 執行役、通らないという判断ですよ。それは当たり前ですよ。これだけ巨大な企業が、李下に冠を正さずじゃなくて、まさにしょっちゅう冠を正してばかりじゃないですか。

 なぜこんなことを言うかというと、やっときのうの夜中に手に入ったこの審査の評価書、ごらんください。これ一枚きりですか。これは予算委員会からすると、一月からすると、二カ月間これを出してくださいと言って、やっときのうの夜中に手に入ったんです。皆さんのお手元に、これをごらんになってください。

 西川社長は、雇用が大事だということを下から報告を受けておられますね。雇用はオリックス不動産の方がよかったんだということですが、違うじゃないですか、契約書をつまびらかに見ていくと。ホテルマネジメントインターナショナルについては、この審査表の中とこの提案書を見ると、HMIの方は提案書にはこう書いてあるんです、すべての従業員の皆様をお迎えいたしますと書いてあるんです。大臣、HMIの提案書には本文にこれが書かれているんです。ごらんになってください。バツと書いてある従業員の取り扱いについて、すべての従業員の皆様をお迎えしますという文言がありますか。ないでしょう。

 そして、オリックス不動産の方をごらんください。一年目の売り上げ三百十五億円掛け人件費率四〇%で、評価は三角になっていますね。しかし、この注の二をごらんください。オリックス不動産の「従業員の取り扱い」欄中、「一年目の人件費率「四〇%」は、「三五%」の誤り」。これは何ですか。

 つまり、この表だけ見ると、大臣、正社員は全員引き継ぐというふうに読めるんです。西川社長の答弁も、私に対する答弁もそうだったんです。ところが、実際契約書には、正社員六百二十名中五百五十名のみ引き継ぐと明記されているんですよ。違うじゃないですか。つまり、鳩山大臣、これがこの契約のできレースの二つ目の証拠です。書いた人たちがオリックス不動産の方に有利に書いてしまっているんです。そして、総人件費では、日本郵政が計算した数字なんですが、確定した数字のようにこれは読めますが、契約書をよく読んでいくと、実際は、売上高掛け目標人件費率で計算していて、売上高が目標を下回れば下振れする数字じゃないですか。

 本当にこんなことで、これは会社側のどなたでも結構です、労働組合にあるいは働く人たちにこの契約書を見せましたか。

佐々木参考人 その後、オリックスとの契約が解除になりましたので、見せておりませんが、ちょっとよろしいですか……(原口委員「いや、結構です」と呼ぶ)

原口委員 見せていないわけです。そして、私たちにも、今、私たちは今見ました。

 それで、再三再四、二十七社から二十二社に移したときのリストも出してくださいと。皆さんが持ってこないので、私、あるところから入手しました。これは第一次提案審査リストというものですが、雇用のコの字なんか一言もないじゃないですか、雇用が。つまり、二十七社の中には、皆さんが金科玉条のごとくおっしゃっていた、オリックス不動産が雇用がいいと。雇用だって、三角ですよ、先ほど申し上げたような内容なんですよ。

 最初の審査リストの、皆さんの基準の中に雇用という項目がありますか。

佐々木参考人 提案書を受けるためのメリルリンチが作成しました案内書の中には、事業譲渡で職員の雇用を引き継いでいただくということを記載していたということでございます。

原口委員 いや、それは一般論で、佐々木さんはそうおっしゃいますけれども、私が聞いたのは、審査リスト、今出させていただいた最終審査結果の表、皆さんがおつくりになった第一次審査の表の中に雇用という項目がありますかと。

 メリルリンチが一般的に雇用について配慮するんですと書いているのは、それは知っていますよ。私が聞いているのはそこじゃないんですよ。各審査のときに、雇用がこんなに大事だと言っているけれども、雇用を判断基準の中に入れていますかということを聞いているんです。

佐々木参考人 最初の段階では、事業の継続、遂行ということを前提に考えていただいておりますので、当然、そのものにつきましては雇用というのは前提になっているという理解でございます。

原口委員 いや、私たち、中央省庁の頭のいい方々の答弁を受けますけれども、そんなごまかしの答弁をする人は中央省庁にいませんよ。入っていないじゃないですか、雇用が。考慮するというのは、どこを考慮していますか。

 委員長、極めて不自然な答弁でございますので、集中審議を求めたいと思います。

 そして、きょうは西川社長、横山専務がお見えでございますが、横山専務は三井住友銀行さんからの出向、退職は形だけで実際は出向だという銀行のコメントも紹介されたと参議院の議事録にございますが、家賃が相場の約三倍もするところにお住まいだということでございますが、お二人に伺いたいんですが、銀行の持ち株会を通じて同行の株式を購入されたそうですが、現在も横山専務、西川社長御自身は株をお持ちですか。もしお持ちだったら、保有数を教えていただきたいというふうに思います。

赤松委員長 時間が参っておりますので、横山専務、手短にお願いします。

横山参考人 お答え申し上げます。

 銀行時代に持ち株会を通じまして株式は保有しておりました。しかし、この会社に入りましてからは持っておりません。ちょっと、株数につきましては、私覚えておりません。

西川参考人 私は、持ち株会その他、若いころから直接株式を購入したものもそのまま持ち続けておりますので、現在は単位株で申しまして七千株でございます。(横山参考人「済みません、ちょっとよろしいですか、訂正です」と呼ぶ)

赤松委員長 横山専務、追加の答弁。

横山参考人 銀行時代に株式を持っておりまして、この会社に来てからは新たな購入がないという意味で私先ほど申し上げさせていただきました。

原口委員 今お持ちなんですね。何株ですか。

横山参考人 定かではありませんが、大した株数じゃなかったと思います。

赤松委員長 原口君、時間が来ております。

原口委員 これでおしまいにしますが、利益相反、あるいは、横山専務、これはメディアで書かれていることなので事実ではないと思いますが、料亭等の飲食に際して特定企業に対してその料金を支払わせるあるいは払ってもらっていたなどという事実はないというふうに思いますが、それでよろしいですね。(横山参考人「はい、よろしいです」と呼ぶ)

赤松委員長 もう時間ですので、終わります。

原口委員 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 委員長、与野党の理事の先生方のお許しをいただきまして、発言させていただく機会をいただきました。まず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 さらに、本日は、NHKからも参考人として放送総局長にお運びをいただいておりますし、日本郵政からは山下副社長様にお運びをいただいております。お忙しい中お運びをいただいたことに、感謝を申し上げたいと思います。

 まず、かんぽの宿について、私も原口委員に引き続いて質問をさせていただきます。

 これをできレースと言わずして何をできレースと言うのかという総務大臣の御発言がございました。では、そのできレースをできレースたらしめた原因は何なのかということを明らかにしていかなければならないわけでありますが、それが、郵政公社時代に所有の不動産、簡易保険加入者福祉施設に対して減損会計を導入したというところにさかのぼらなければならないわけであります。

 本件の対象であるかんぽの宿等七十九施設は、取得価格が二千四百億、固定資産税評価額が八百五十七億だったものが、郵政公社時代、平成十七年九月の中間決算から、二年半の間に三回の減損会計を経て、平成十七年三月に千五百三十五億だった帳簿価格が平成十九年には百二十九億円になった。そして、日本郵政になって百九億円で売却されようとしたわけでありまして、帳簿価格がわずか二年半で十二分の一になった。これが減損会計処理だということでございます。

 では、この減損会計処理というものがなぜ行われたのか、どのように行われたのかということが論点としてあるわけでございますが、せんだっての予算委員会で、私は、簡易保険福祉施設というのは簡易保険事業の中の一業務であって、本来は郵政公社が費用を負担する、そして利用者はその費用の一部を負担する、そしてなるべく安くなければならない、したがって簡易保険福祉施設は収益事業ではない、正確に言うと、収支の差をマイナスにすることが法令上義務づけられている施設である、収支の差がマイナスになることを法令で義務づけられている施設であるということを郵政の方から御答弁いただき、明らかにさせていただきました。

 それでは、なぜ減損会計を適用するというようなことをされたんですか、だれがやったんですかということをお聞きしましたらば、郵政公社時代の担当理事である山下さんと、そして藤本さんであるということを教えていただいて、本日、山下さんに来ていただいている。きょうは、その御担当であった山下さんから詳しくお話を聞かせていただこうということでございます。

 まず、減損会計を導入するに当たっては、資産のグルーピングというものが必要だというふうに聞いておりますが、このグルーピングを決定したのも山下理事ということでよろしいでしょうか。

山下参考人 お答えいたします。

 グルーピングの決定につきましては、減損に関連する事項といたしまして、関係部門からの報告を受けまして、経理部門の長であります藤本執行役員が決定をしたものでございます。私は経理部門の業務を統括する立場から、経理部門の長から適宜報告を受けまして仕事を進めてまいりました。

川内委員 グルーピングというのは非常に大事だと思うんですけれども、この前、予算委員会で、簡易保険福祉施設は簡易保険事業の一業務であるということで御答弁を確定させていただいているわけでございますが、一業務である簡易保険福祉施設を、そして収益事業ではない簡易保険福祉施設を事業としてグルーピングしたのはなぜですか。

山下参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、グルーピングは簡易保険事業を単位としておりますけれども、その簡易保険事業の中の管理会計上の単位としまして、かんぽの宿につきましては一つのグループとして認定できますので、そこにおきまして、そうした企業会計原則にのっとりまして、これは減損する必要があるというふうに判断いたしました。

川内委員 一つのグループとして認定できるということでございます。

 きょうは金融庁に来ていただいておりますので、お尋ねをいたしますが、収益事業ではない、法律で収益事業としてはならないことを義務づけられている施設、民間の会社でいえば、例えば社宅あるいは保養所などが収益事業ではない施設として位置づけられると思いますが、社宅あるいは保養所を減損会計処理するというのは、企業会計基準では妥当なことでございましょうか。

岳野政府参考人 お答え申し上げます。

 企業会計基準におきまして、社宅、保養所について減損の扱いはどうなっているのかということでございます。

 企業会計の減損の考え方につきましては、もう既に先生相当お詳しゅうございますけれども、基本的には、事業用資産かどうかというところがメルクマールになってきていると承知しておりまして、先般来先生からたびたびお尋ねいただいております減損の関係も、事業用資産の減損のルールということでございます。

川内委員 事業用の資産を減損会計の適用にしていくということであれば妥当であると。ここは非常にグレーなんですね。要するに、簡易保険福祉施設は収益事業ではないわけです。これはもう法律で義務づけられているわけです、福祉施設だと。それを事業用資産として減損処理した。

 簡易保険事業というのは法律にきちんと位置づけられて、そもそも郵政三事業という言い方で、貯金、保険それから郵便、この三つの事業分野が郵政にはありますねと位置づけられている。したがって、簡易保険事業として、全体としてグルーピングする。これは企業会計原則に書いてありますよ。グルーピングのやり方として、事業に付随するというか、事業の中の一つの部門を評価するときに、それだけでなかなか評価が難しい場合は全体として評価してくださいねということが企業会計原則に書いてあります。

 ここがまず大きな疑問点でございますね。なぜ簡易保険福祉施設だけを取り出して事業用資産として評価したのか、これは大きななぞでございます。

 では、一つ山下さんに確認しておきたいんですけれども、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針のグルーピングのところでいくと、何を適用したんですか。何を適用して、簡易保険福祉施設だけを取り出してグルーピングできるというふうに判断したんですか。

山下参考人 お答えいたします。

 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第七項に、「資産のグルーピングは、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行う」ということになっておりまして、簡保の福祉施設につきましては、独立のキャッシュフローを生む単位として認められるということで判断いたしました。

川内委員 いや、だから、そこが法律違反でしょう。山下さん、郵政公社法、簡易保険法で、簡易保険加入者福祉施設は簡易保険事業の中の一つの業務であって、郵政公社が費用を負担すると法律に書いてあるんですよ。法律に書いてあるものを、法律上は簡易保険事業の中の一つの業務だが、会計上は独立した事業だと言い張るんですか。

山下参考人 お答えいたします。

 日本郵政公社法上は、会計につきましては企業会計手続にのっとってやるということになっておりまして、平成十七年度から減損会計強制適用のため、企業会計手続にのっとってその必要な手続を行わなければならないということでございました。

 そこで、私どもとしましては、損益が、グループの最小単位としてのかんぽの宿の施設につきましては継続してマイナスであるために、キャッシュフローがマイナスである、それから、日本郵政株式会社法により、民営化後五年以内の廃止、譲渡が確定しておりましたから、そうした意味での点は、やらなければならないというふうに考えました。

川内委員 山下さん、私が申し上げていることを多分御理解していただいていると思うんですけれども、それでは、もう一つ聞かせていただきますが、事業の中の業務であるということは、郵政公社時代はこれは事業の中の一つの業務であるというふうに法律で位置づけられている、収益事業ではないということも法律で定められている、そういう法律の大きな原理原則にのっとった上で企業会計を適用するということが必要ですよね。それは、そうですよね。

山下参考人 今おっしゃったことについて、それはもちろんおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、要するに、会計の目的と別だと思うんです。確かに今おっしゃるように、簡保事業として、お客様のために福祉施設の費用を出していく。ただ、その簡保の事業自体につきましては、やはり適正な評価をしていかなきゃいけない、キャッシュフローを生み出すものとしてやるというのが企業会計原則だと思いますので、そこは区別して考えなきゃいけないんじゃないかと思います。

 ましてや、私どもとしては、平成十七年のその当時はもう既に売却が決定しておりましたので、それに基づいてやるしかないというふうに考えております。

川内委員 いや、譲渡または廃止が決定したのは平成十七年の九月ですから、法律が決まったのは、その前に既に減損処理を導入しているわけですよ、導入を決定しているわけですよ。ちょっと今のはごまかしですよね、答弁として。

 郵政民営化法が国会で成立したのは、忘れもしない、我々にとってはあの悲惨な、郵政民営化選挙でぼろぼろにされて、あいたたと思いながら、国会で郵政民営化法が成立。平成十七年の十月ですよ。減損処理を導入しているのは、もうその前に、十七年の中間決算でやっているわけですから。ここは言いわけをする場ではないので。日本郵政あるいは郵政公社がおやりになられたことを、今事実を検証させていただいているわけです。

 法律で収益事業ではないことを義務づけられている業務を事業資産として減損処理するというのは、私はどう考えても、郵政公社法に、経理は企業会計にのっとってやると書いてありますよ、しかし、それは公正妥当なものでなければならないというのが施行規則か何かに書いてあるんですね。本来、簡易保険事業全体として評価をしなければならなかった簡易保険加入者福祉施設を、そこだけを取り出して、そもそも収益事業ではないと法律で義務づけられているものを事業として減損処理したというのは、郵政公社法並びに日本郵政公社法施行規則に反しているのではないか、公正妥当ではないというそしりを免れ得ないのではないかというふうに思いますが、総務大臣の御見解をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 実は、かんぽの宿は加入者福祉施設であるから高い料金は設定できないんだ、そして、損が出た、減損処理だ、それが二千四百億が百九億になっていくマジックの源泉ではないかという答弁を私は何度もしておったわけでございますが、川内委員から以前、あれは予算委員会だったでしょうか、簡易保険法の御披露があって、目からうろこという思いがいたしました。

 つまり、かんぽの宿に泊まる、あるいは温泉に入る、金を取らなくてもいいんですね、法律の内容によれば。加入者に対するサービスだと。ただ、一部費用の負担を求めることができる、できるという規定かどうかわかりませんが、少なくとも全部とは書いていないんです。費用を全部利用者から取って初めてゼロですよね、費用の全部以上を取って初めて利益ですから、これは法律上、利益を生んではならない、赤字が当たり前、大赤字でただで泊まらせてもいいという規定になっているわけでしょう。それを使って、利益を生まないから、マイナスが出るからといって、企業会計を使って、そのマジックによって、だんと百億ちょっとまで減っていった、これが私の感想というか、今の私の考え方でございます。

 百歩譲って、それは公社から日本郵政へ引き継ぐ承継の価格、承継時の簿価というのかもしれませんが、そのためにのみやったというならばいいんです。だって、それを、今度は利益を生む宿屋とかホテルとして譲渡する場合には、全く話は別ですね。採算をとってもうけようというところが買い取るときには、減損処理した価格は全く使ってはならない。五倍、六倍になったって当たり前だ。むしろ固定資産税の評価額ぐらいあって当たり前だ。

 バルク、大たたき売りの根拠として、簿価より上だからいいんだという、私はそこに決定的な間違いがあると考えております。

川内委員 総務大臣、これは要するに、郵政民営化法が成立する前から、実は用意周到に、一回でがんと落とすのはちょっと見え見えだから、三回にわたって減損処理を入れて価格を落としてきた。私は割と、割とというか、相当悪質だなというふうに思っております。

 平成十四年の八月九日に、金融庁の諮問機関である企業会計審議会が減損会計に関する意見書というものを出しておりまして、その「基本的考え方」のところに、収益性が当初の予想よりも低下した場合に減損処理をすると書いてあります。これは、きのうの夜中、一生懸命探して見つけたんです。

 これは、要するに、収益性が当初の予想よりも低下したら減損処理するんですよ。そもそも収益事業ではないものを減損処理することは、この企業会計基準に照らし合わせて違法であるということを言わざるを得ないというふうに私は思いますが、ちょっと時間もないんですけれども、山下さん、これに対してどう答えられますか。

山下参考人 お答えいたします。

 先生御指摘をいただきましたのは、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針の第十二項(4)でございますね。(川内委員「違います」と呼ぶ)

 会計基準の考え方は、適用指針が決まっておりますので、そこの点について、今おっしゃった点は、要するに、確かに、当初計画に比べてマイナスになることが予定される場合には減損の兆候には該当しないという規定がございますけれども、この部分は、基本的には、将来キャッシュフローの回収は実行可能という前提のもとで認められるということでございますので、それが会計審の考え方だと思います。

 それで、かんぽの宿につきましては、たびたび申し上げておりますように、ずっとマイナスのキャッシュフローでございますし、先ほど申し上げましたように、先生は十月とおっしゃいましたけれども、四月の時点で閣議決定はされておりますので、それに基づいて、譲渡の前提でやらざるを得なかったということだと思います。

川内委員 国会の意思を無視するんですか。国会で決まって法律というのは実効性を持つんですよ。政府の方針は閣議で決定されたことでしょうけれども。そこの議論はおいておいても、法律が成立、施行されて初めてその法律は効力を持つわけですから。

 それから、今おっしゃった説明は、私が申し上げていることと全然違うんです。

 金融庁にちょっと御答弁いただきますが、平成十四年の八月九日に減損会計に関する意見書というものが出ていて、収益性が当初の予想よりも低下した場合に減損処理をすると、減損処理の大きな、基本的な考え方が書いてあるわけですね、そもそもの考え方。そういう事業について適用するよということが減損処理の大きな考え方であるということで、金融庁、よろしいですよね。

岳野政府参考人 ただいま先生から御指摘をいただきました、平成十四年八月九日、金融庁にございます企業会計審議会が固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書を出しておりまして、先生御指摘のとおり、「三 基本的考え方」の一の第二パラグラフで、「事業用の固定資産であっても、その収益性が当初の予想よりも低下し、資産の回収可能性を帳簿価額に反映させなければならない場合がある。」こういった場合について減損会計という基準をつくりまして適用していこうという基本的考え方でございます。

 ただ、これは、これ以上のことを会計担当が申し上げるのはどうかとも思いますけれども、こういう事業用資産の議論は、基本的には民間の企業会計を前提としてつくってきておりますので、当然、当初の計画では収支がちゃんと償うという民間のビジネスを前提とした書き方になっておりますことを御理解いただければと存じます。

川内委員 非常にすばらしい御答弁だったと思います。収支がちゃんとするだろうという民間の事業を前提にこういう企業会計、減損処理の考え方はできているんだと。

 そもそも収益事業ではないことが法律で強制されている施設ですから、それに減損処理を持ち込んだということは、それが故意であったか過失であったかは別にして、法令違反の疑いが非常に強いということを私は申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、きょうはNHKさんにも来ていただいておるので、若干視点を変えて、先生方のお手元に資料をお配りしております。

 実は、大変仲よくしている私の同僚議員である民主党の石川知裕衆議院議員が参考人招致をされる予定であるということが四、五日前から報道され始めて、三月十日の「NHKニュース7」のトップニュースで、大久保容疑者と顔写真を並べられて報道されました。大変ショックを受けまして、つらつらいろいろなことを考えたのでございます。

 報道の自由というのは何が何でも守らなければならないものである、言論の自由も何が何でも、どんなことがあっても守らなければならない。しかし、その美名のもとに、最近、資料の二枚目につけておきましたが、これは日経新聞なんですけれども、四角で囲ってありますけれども、捜査関係者から聞きましたということで、堂々と捜査情報が記事になっている状況があるわけでございます。捜査関係者から聞きましたと。

 しかし、先日、私は別の委員会で確認をいたしましたが、捜査情報の漏えいあるいはリークというのは、もちろん法と証拠に基づいて立件をされなければならないけれども、捜査情報の漏えいというのは、国家公務員法第百条の職務上知ることのできた秘密の漏えいに法と証拠がそろえば当たるということを法務省の刑事局から御答弁いただいております。

 そこで、ちょっとNHKの方に教えていただきたいんですけれども、この「ニュース7」の中で関係者とか会社関係者という言葉が使われているんですけれども、この関係者という言葉の中には捜査関係者というのも入るのでございましょうか。

日向参考人 お答えいたします。

 取材は、基本的に、できるだけ多くの取材先に取材をいたします。その多角的な判断から、一方的ではない多角的なニュースを心がけているということでございます。

赤松委員長 川内君、時間が来ましたので、手短にまとめてください。

川内委員 はい。最後に一問だけ。済みません。

 最後、ジェラルド・カーティス先生のお書きになられたものも参考資料としてつけさせていただいているのでございますけれども、検察が捜査情報をお話しになられる、それは国家公務員法違反である。他方で、NHKさんを初めとするマスコミは、しかし、それはそれとして、報道すべきことは報道しなければならないのだという判断で報道をされる。しかし、そこには、民主主義をしっかりと守っていく、あるいは、報道の公正さあるいは中立性というものがしっかりとその判断の根底にはあるんだということを確認させていただきたいというふうに思います。

日向参考人 言うまでもなく、NHKとして、NHKの使命でございますけれども、公平公正、そして正確な報道、これが基本でございます。

川内委員 終わります。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、先日も質問しました郵政公社時代のバルク売却についてお聞きいたします。

 郵政公社時代の三回のバルク売却は、いずれもリクルートコスモスグループが落札をし、特に三回目の入札が不透明であることを私は指摘し、できレースではないかと申し上げたわけであります。大臣も、リクルートコスモスが三回の全部を落としていることを考えると、偶然なのかと疑問を抱くのは私だけではない、できる限りの調査をしなければならないと述べました。

 重ねて、この問題について、まず日本郵政に質問いたします。

 昨日、松野委員から質疑がありました。その内容について改めて確認をさせていただきたいんですが、三回目のバルク売却の入札について、入札参加者はコスモスイニシアグループと有限会社駿河ホールディングスグループの二グループでありました。この三回目のバルク売却の入札に参加をした駿河ホールディングスの住所が、落札したコスモスイニシア、リクルートコスモスの一〇〇%子会社のCAM6と同じ住所だったということは、そのとおりですか。

藤本参考人 お答えいたします。

 CAM6の入札参加は十六年度だったと思いますが、そのときの資料によりますと、新橋二丁目二番九号でございます。それと、お話のありました駿河ホールディングスは、新橋二丁目二番九号、同じでございます。

塩川委員 その平成十六年度のバルクに参加をしているCAM6の取締役と駿河ホールディングスの元取締役が同一人物だった、その点について確認させてください。

藤本参考人 お答えいたします。

 平成十八年度のバルク入札に参加をいたしました有限会社駿河ホールディングス取締役は、平成十六年度の入札に参加したCAM6の代表者、中村という方でございますけれども、同じ名称であることを履歴事項証明書で確認いたしております。

塩川委員 この駿河ホールディングスと一緒に共同購入者として参加をしている合同会社CKRF4の代表者にもこの同一人物の名前が記載されているわけです。ですから、コスモスイニシアのグループ企業と同一の住所、同一の代表者が入札の相手方企業にもいる。つまり、コスモスイニシアグループという本体と、いわばその別働隊として入札に参加をしている、こういう構図というのが浮かび上がってくるわけであります。

 別な角度からお聞きします。

 一万円が六千万円に化けたというあの物件を所有していたレッドスロープ社はリーテック社の一〇〇%子会社だということは、以前の質疑でも確認をさせていただいています。リーテック社の社長はリクルートコスモスの出身者で、リーテック社は、コスモスイニシアなどから出資を得て、資本金を七千万円から五億四千万円に増資している、このことは東京新聞で報道されております。

 そこで、日本郵政にお尋ねしますが、三回目のバルク売却時点で、リーテック社とコスモスイニシアの住所は同一ですね。

赤松委員長 藤本常務執行役、答弁を急いでください。

藤本参考人 今、手元にその三回目の時点の資料がございませんので、調べて、早急にお答えいたします。

塩川委員 同一であるわけですが、リクルートコスモスとリーテックとレッドスロープ社が一体だったということが、ここでも明らかであります。

 そこで、重ねてお聞きしますが、この三回目のバルク売却のときに、レッドスロープ社はコスモスイニシアの共同購入者に名前を連ねておりました。しかしながら、二回目のバルク売却時には、レッドスロープ社はリクルートコスモスではない別のグループの共同購入者として名前を連ねていたのではありませんか。

赤松委員長 藤本常務執行役、急いでください。

藤本参考人 お答えいたします。

 三回目の入札におきましては、レッドスロープ社はコスモスイニシアを代表者といたします共同購入者でございます。二回目につきまして、ちょっと今、私、資料を見ておるのでございますけれども、レッドスロープ社、私の見落としかもしれませんが、今ここに……(塩川委員「七番目の」と呼ぶ)七番目ですか。プロスペクトでございますか。(塩川委員「のところの共同購入者」と呼ぶ)ちょっと私どもの資料にないもので、ひょっとして見落としかもしれませんので、確認させていただきます。

塩川委員 日本郵政からいただいた資料で、申請者プロスペクトの共同購入者としてレッドスロープというのが出ているんですが、その資料がないんですか、日本郵政からもらった資料ですけれども。

 後でもう一回答弁いただきたいんですが、いずれにせよ、日本郵政からの資料で確認をしているわけです。つまり、本来、リクルートコスモスのグループであるレッドスロープ社が、二回目の入札の際には、リクルートコスモスとは別に、ほかの入札の参加者の一員として参加をしている。ここでも、リクルートコスモスという本体の別働隊としてレッドスロープ社が別の入札参加者に協力をするという構図になっているわけです。

 一回目、二回目でリクルートコスモスと争っておりました長谷工コーポレーションや東急不動産グループは、三回目では、入札の相手方ではなくて、リクルートコスモス、コスモスイニシアのグループの一員として入札に参加をしているわけです。

 そうなりますと、本来、入札で争う相手方が同じグループ内に入って、そのグループが落札をするとなれば、いわば、事前にどの物件はだれがとるという調整が行われているんじゃないのかということが当然疑われてくるわけであります。そして、三回目の入札の相手方の駿河ホールディングスそのものも、コスモスイニシアの別働隊ではないかという疑いが出てくるわけですから、これで公正な入札が行われたと言えるのか、できレースではないかという声が上がるのは当然のことです。

 そこで、日本郵政として、このことについて検証、分析を行ったのかどうか。西川社長が、公社時代のバルク売却についても調査を検討したいと答弁しておりましたが、例の平成十八年三月二十日付の公社不動産処分検討委員会の議事録で、高橋委員長が「昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当儲けたと聞いている。」と述べているわけですが、この事実関係を確認されましたか。

藤本参考人 お答えいたします。

 御本人と連絡をとりまして、話を聞きました。そのときの話では、風評ということでございまして、高橋委員長が確定的な事実を確認したということではないということでございました。

塩川委員 風評であれ、そういうのがどういうものだったのかということについての事実関係の確認はされないんですか。風評であれ、どういうことが指摘をされたのかということについて、明らかにしてもらえますか。

藤本参考人 お答えいたします。

 今、公社時代の六百数十件の不用資産の売却につきまして、所有権の移転先等は確認中でございますし、さらに、それからどこに移転しているかということも確認中でございます。可能なことであれば、その転売額等も把握しようと思っておりますが、今すべて確認できておりませんし、御本人の承諾がなければ一部入手できない情報もあろうかと思っております。

 現状はそういうことをやっております。

塩川委員 風評という話であれ、当時そういうのがあったとすれば、それがどういうことなのかということについてぜひ明らかにしていただきたい。そうでなければ、内部でまともに検証、分析もしないで、この問題をあいまいにすることになるということであります。

 こういう事態について、総務省はどうだったのか。総務省はバルク売却について承知していたんじゃないですか。その点をお聞きします。

吉良政府参考人 お答えいたします。

 認可は個々の重要財産ごとに行っていたことから、その際には、一括売却である点は認可時点では承知しておりません。

 ただ、制度上の要請ではございませんけれども、認可した個々の重要財産の処分状況について、新たに認可申請があった際に、公社からまとめて報告を受けておりまして、処分が認可申請書の記載どおりに行われていたかどうか、売却額が申請時点の不動産鑑定評価額を下回っていないかどうかというようなことを事後的に報告は受けております。

 記載の仕方としては、認可しない他の財産とあわせて売却した場合には、「競争入札(一括)」というような表記がなされていたところでございます。

塩川委員 そのように、売却方法として「競争入札(一括)」というのが出てくる。そういう資料というのは総務省は持っているんですよ。

 当時、マスコミでも、郵政公社の一括売却、バルク売却は大きく報道をされましたし、内部ではこういうふうにリクルートが転売でもうけたんじゃないのかという議論さえされているわけですから、これは監督官庁としての総務省の責任が問われるんじゃないですか。

 この一回目、二回目、三回目のバルクの売却が行われていたときの総務大臣はそれぞれどなただったか、お答えください。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 竹中大臣と菅大臣。ちょっと申しわけありませんが、時期だけ見るとそういう感じがします。

塩川委員 一回目のときは麻生総務大臣です。二回目は竹中総務大臣、三回目は菅総務大臣です。

 ですから、当時から一括売却が行われているということは総務省は把握をし、郵政公社内部ではリクルートが転売でもうけたんじゃないかということさえ言われているということについて、監督官庁としての総務省、総務大臣の責任も免れないんじゃないのか、当時の総務大臣の責任も問われているんじゃないのか。この点について、現総務大臣の鳩山大臣、お考えをお聞かせください。

鳩山国務大臣 これは難しいんですが、この間私も見た資料では、結局、取得価格二億円以上のものが総務大臣認可ということでございますので、例えば物件がいっぱいありましても、その幾つかだけがまとめられて認可を求めてきているわけでございます。そして、売却方法等については、自治体に譲り渡す場合は随意契約、それ以外は一般競争入札によるなどということが書いてあるわけですが、バルクでやるということは全く書いていない。

 したがいまして、売り払う前に総務大臣がこれを知るという機会は、かなり厳しかったのではないか。つまり、決裁文書にはならないわけですから、総務大臣が他の仕事に忙殺されておって、みずから報告を求めるようなことでもしない限り、監督権限はあっても、バルク売却であるということを知り得なかったという可能性は大きいと思います。

塩川委員 新聞報道では一回目も二回目もたくさん報道されていますから、バルク売却というのは当然わかっているわけですよ。それについて内部がどうだったのかということこそ問われているわけで、特に二回目、三回目のバルク売却のときの大臣の責任というのは極めて大きい。

 こういう点についての検証も強く求めて、この問題についての疑念がしっかり晴れるような対応をお願いして、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社民党の重野安正です。

 早速質問に入りますが、十五分という限られた時間でありますので、答弁の方は、ひとつ要領よく、簡潔にやっていただきたいと思います。

 まず、先日の総務委員会で、大臣から、大学の非常勤職員の話を聞きました。その中で、大臣が、「正規職員でない非常勤だからといって、物すごい低報酬のもとに置くということは、改めなくちゃいかぬ」、こういうふうに申しました。私もその大臣の言葉に全面的に賛成するわけです。

 非常勤職員の待遇であるとか低賃金の改善に向けた大臣の決意でもある。その決意を具体的に実行してもらわなきゃならぬ。大臣御自身が栄養補給云々という話もされましたけれども、それはごくごく限られた話であって、今、正規職員でない非常勤あるいは臨時職員というのは、数十万という規模なんですね。そういう圧倒的多数の臨時、非常勤職員、しかも、それは極めて低額な賃金に置かれている。そういう現状に照らして、今後そういう構造というか仕組みをどう変えていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。

鳩山国務大臣 折しも百年に一度という経済危機、雇用問題が最大の問題になっているときでございまして、重野先生から御指摘の件は、もちろん企業一般の雇用にも十二分に当てはまるところだろうと思っておりますが、とりわけ、地方公共団体に臨時、非常勤職員の増加が目立つ、あるいは、低賃金とか手当が出ないというような条件の悪化が目立つということがございますので、私が申し上げた、非常勤だからといって低報酬のもとに置くのは改めなくちゃいけないという気持ちは全く変わらないのでございますけれども、ただ、これは地方自治という部分もございますので、それぞれの地域あるいは地方公共団体によって条件が違いますから、一律にガイドラインを示すということではなくて、むしろ、それぞれの自治体がそれなりの条例を定めて、みずからの責任で対応してくれればいいというふうに考えております。

 地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会というのがあって、その報告書も出ておりまして、考え方がある程度整理されているわけでございますけれども、これをさらにまとめまして、新年度早々にも、これはいわゆる通知でしょうから、技術的助言という形でこれを通知してまいろうかと思っております。

重野委員 大臣、先般の予算委員会において我が党の菅野委員が質問に立ちました。その折、大臣が、今申し上げましたようなことを具体的に、「通勤費用相当分については費用弁償として支給することができますので、そのような方向で指導していきたい、そのような方向で進んでいくことを期待いたしております。」このように答弁をされております。私はこの答弁は了といたします。

 しかし、そうはいっても、なお、地方自治体、公務員が働く職場というのはいろいろな職場があるわけで、そういうところで働いている非常勤あるいは臨時だとかパートだとか、そういう方々の劣悪なというか低いレベルの状況を底上げしていくためには、今大臣が言っていることからもう一歩、具体的にこうするというふうなものが出されないと、数十万という数を雇用しているもろもろの職場において、なかなかそういうふうな動きが出てこないのではないかと危惧をするんですね。

 大臣、そこのところはもう一歩踏み込んだ熱意をこの問題について示す、そのことを求めるんですが、いかがですか。

鳩山国務大臣 当時の詳しい事情は私はつまびらかにできませんが、平成八年の三月ですから随分前になりますが、通知をしておりまして、地方公共団体に対する周知徹底という意味で、費用弁償として通勤費用相当分等は支給できるんですよというふうに、これも、そういう話を通知という形でしているわけでございます。

 ところが、実際には、それが徹底しているかというと必ずしもそうではないと思います。通勤費用相当分は実費で弁償したらいいと我々が勧めると、逆に、募集するときに、徒歩通勤可能な方どうぞという募集をした例があるようでございます。

 ですから、そういった意味では、これはいずれさらに徹底しなければならないと思いますので、先ほど申し上げました、新年度早々に地方公共団体に周知していく内容には、休暇のこととか通勤費用の取り扱い等、いろいろ含めて通知しようと思っております。

重野委員 今大臣が言っていることを具体的に一歩踏み出して、自治体もそうかと言うような状況をつくっていくためにひとつ頑張ってほしい、そのことを要望しておきたいと思います。

 次に、前回の委員会で住宅ローン減税についてお尋ねをいたしました。その折、政府参考人から、税源移譲によって所得税から個人住民税に移譲された額の範囲内で控除するという考え方が示されました。

 確かにもともと国税であったものですが、しかし、今は厳然として地方税であります。どうも政府の答弁を聞いていますと、何となく歯切れが悪い。むしろ、税源移譲、地方自治体の税なんだという主張は、この間総務省の、いわゆる地方の権益をふやしていくという点については盛んに発言がされているわけですけれども、この問題についてはどうもそこのところが、私の聞く限りにおいては歯切れが悪いなという感じがするんです。

 今後、こういうふうな形で税源移譲が進むかもしれませんが、その折、今されようとしているこのやり方が一つの基準になって、今後それに倣ってもろもろをやっていくということになるのかならないのか、いや、それはそれ、これはこれ、そこのところの説明をお願いしたい。

河野政府参考人 前回の委員会でもお答えをさせていただいておりますけれども、今回の税制改正におきまして、住宅ローン控除につきましては、一つは、最大控除可能額を過去最高水準まで引き上げる、また、その中で、できるだけ中低所得者層にも効果が及ぶようにして政策効果を高めていく、こういう要請があったわけでございます。

 従来、住宅ローン控除につきましては、所得税において対応するということを基本にやってまいっておりますけれども、税源移譲によりまして、従前であれば所得税から控除できた額が控除できなくなっておる、こういう事情にございますので、個人住民税における対応が求められたわけでございます。そこで、個人住民税においても、所得税から控除し切れなかった額を控除する、こういう制度を導入したわけでございます。

 ただ、一方で、これも前回も申し上げましたけれども、個人住民税というのは、行政サービスに要する経費を住民の方々にできるだけ広く、公平に御負担いただく、こういう地域社会の会費という性格を持っておりますので、それを損なわない範囲で対応していくということが必要であると考えられたところでございます。

 そこで、具体的な控除額の範囲につきましては、税源移譲によって所得税から個人住民税に移譲された額の範囲とするということにさせていただいているところでございます。

 今後、住民税についての政策的控除、いろいろな議論はあろうかと思いますけれども、私ども、やはり基本のところは、住民税は地域社会の会費であって、政策的な控除は極力抑制的に対応していくということが基本であろうと思っておりますので、住民の負担の公平の見地からも、そういう観点で対応してまいりたいというふうに考えております。

重野委員 なおこの点については今後とも議論していかなきゃならぬと思います。

 時間も来ておりますので、先に行きます。

 郵政問題。これは昨年も私尋ねたんですけれども、いつも年末の年賀はがき販売で、割り当てられたはがきがさばけなくて、それを金券店に持ち込んで、そこで売っているというような記事が、本当に年中行事のように年末出るわけですね。

 調べてみますと、去年からずっとさかのぼって、販売枚数と実際に引き受けたその差が、最高が大体六億八千万、最低が六億と、大変な乖離、差が出ているわけですね。一体、その六億五千万枚の年賀はがきはどこに行っているのかという議論です。

 それに対して、昨年も郵政の方から答弁をいただきましたけれども、この間本当に、年賀はがきの売れ残りというか、その数が全然変わっていない。質問して、当局の方はそれに対し、善処するだとか、あるいは自爆営業なんというのはないようにやるんだというふうにずっと言っているんですが、一向にその数が減らない。一体これはどういうことなんだ。そういう点についてまず聞いておきたい。

伊東参考人 お答えをいたします。

 私、昨年もたしかお答えをさせていただきました。今委員御指摘の、販売した年賀はがきの枚数と私どもがお預かりした年賀はがきの枚数、六億強毎年差があるのは御指摘のとおりでございます。このうち、書き損じで交換する枚数、あるいは販売所などで販売するために用意した分で余ったものを等価で交換いたしますけれども、これが約一億通ぐらいございます。

 したがいまして、残りの五億通ぐらいがどうなっているのかということになろうかと思いますが、これも昨年も答弁させていただきましたが、私ども、確実なところは押さえているわけではございませんけれども、書き損じをされましても交換に来られない方もいらっしゃる。それから、お買い求めになった分がどうしても、百枚とか五十枚とかいう単位でお買い求めになった場合に、全部お書きにならない場合もあるというようなことを積み重ねた数字ではないかというふうには考えているところでございます。

 ただ、先生御指摘の、毎年毎年金券ショップの話題が新聞等で報道されるのも事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、マニュアルをつくりまして、そういうことのないようにということは書いているんですけれども、昨年も、たしか十一月だったと思いますが、新聞で報道されました後、十二月の二日だったと思いますけれども、個別に再度、管理者、社員に対しまして、そういうことのないようにと、特に、一人一人はそうですけれども、やはり管理者自身がそういう気持ちで取り組まないと、ややもすると職員一人一人が抱えた目標をどうするかということになりますので、そういうことのないようにという指導を改めてしているところでございます。

重野委員 今の日本郵政の答弁ですが、昨年も私、この問題で質問いたしましたが、大臣、これは毎年毎年繰り返されているんですね。今私が言いましたように、日本郵政の説明によると、くしくも、毎年大体一億ぐらいの書き損じなんかがあって、実質五億がそうなっておる。これは、僕はやはりよくないと思うんですね。

 僕は、現場の皆さん方は相当に重い荷物を抱えて金券ショップに駆け込んでおる、こういうふうなことになっているのではないかと思うんですが、そういうことはあってはならぬことで、そこら辺について、大臣に答弁を求めます。

鳩山国務大臣 記念切手だったらこういう差があって当たり前なんでしょうけれども、年賀はがきをコレクションしている方が五億枚もするというのはちょっと考えがたい。そうなりますと、かなり無理なノルマみたいなものが与えられて、いわば社員が自分の負担で、売れたように見せて自分で買い取っておいて、それが結局全部は売り切れないというようなケースがあるように聞いておりまして、その場合は本当にお気の毒というか、やはりあってはならないことだろうと思うものであります。

 また、郵便事業会社が発行する年賀はがきでございますが、局会社も売ると、何か一どきに二カ所で売っているというような話を聞いたこともありますし、その辺の合理化も図らなければならないと思います。

 いずれにしましても、この差がこれだけ大きいというのは非常に、そういうことを疑わせる不安要素の一つでもございますので、特殊会社である事業会社、局会社に対して私は監督権限がございますので、アドバイス等もしていきたいと思っております。

重野委員 終わります。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 郵政事業に関する件の調査に関し、かんぽの宿等問題について、来る十七日火曜日午前十時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十二分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長松永邦男君、自治財政局長久保信保君、情報流通行政局長山川鉄郎君、厚生労働省大臣官房審議官二川一男君、国土交通省鉄道局次長久保成人君、航空局空港部長渡辺一洋君及び防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いいたします。

 千葉県選出でございますので、きょうは成田財特法に関しまして、それ以外も含めまして一時間ちょうだいをいたしました。ありがとうございます。

 この成田財特法は、累次にわたる延長で、今回も再延長ということで出されておるわけでございますが、まず最初の質問といたしまして、この法律がこれまで果たしてきた役割、そして今後の役割、使命につきまして、総務大臣の方から改めて御説明をいただければと思います。

鳩山国務大臣 成田空港は我が国最大の国際空港でございますし、これからも、滑走路の延長計画もございますし、やはり世界の成田空港を目指していく必要があると思います。昭和四十五年スタートですから、既に四十年たっておりまして、法律としては十年で、十年、五年、五年、五年、五年という延長で、トータル四十年ということになるんだろうと思います。

 それで、空港周辺地域整備計画に基づいて、道路、鉄道などの交通網、あるいは上下水道、公園などの生活環境、さらには河川、教育施設、消防施設などの整備を進めてまいりまして、総事業費がそれらで五千五百三十九億円で、四十年間合わせたかさ上げ額が二百四十二億円と聞いておりまして、やはり地元の地方公共団体にはそれだけの負担がかかるわけでございますので、その負担の軽減のためには事業が早く進むことが何よりも重要だ。成田財特法によってこういう道路等の整備が進んだことで、関連企業の進出があり、雇用機会の拡大などが図られてきたわけでございます。

 今、ちょっと正確な数字は言えないかもしれませんが、例えば成田財特法の範囲とはちょっと違う範囲になるんですが、成田市、富里市、神崎町、芝山町、多古町の五市町でとらえまして、一九七〇年の就業者人口が五万七千二百三十七人、二〇〇五年には十七万六千三百七十人と、就業者人口が三・一倍になっている。その間、全国平均は一・二倍でございますから、全国平均をはるかに上回るスピードで就業者人口がふえているということもありまして、これらも成田財特法の成果の一つかと考えております。

田嶋(要)委員 この法律のポイントは補助率のかさ上げということでございますが、その点に焦点を合わせたときに、かさ上げをすることによって、実際どれだけの追加的な財政支援を国が行ったことになりますか。

久保(信)政府参考人 空港周辺地域整備計画に基づきまして、これまで実施をしてきた事業に対しての国の負担額の総額は約一千二百六十億円でございまして、これに含まれておりますかさ上げの額は二百四十二億円というふうになってございます。

田嶋(要)委員 一方の地方の負担額が八百億円強だという理解でございますので、要するに、この法律の存在によって、およそ一千億円ずつなかりせば、負担があったところのうちの二百四十二億がかさ上げによって地方の負担ではなくて国の負担によって行われてきた。一対一のさまざまな事業への財政出動が、実際的には三対二の比率に変えられた。国が三、地方が二、そういうような形で行われたというふうに私は理解をいたしました。

 これまでの千葉県の発展に大変大きな役割があったのだろうというふうに思っております。

 そこで、もう一点、過去のデータの確認でございますが、この補助率のかさ上げ、あるいはそれ以外の部分も含めて千葉県から出される整備計画を総務大臣が承認をするわけでございますが、その中に占める道路と鉄道に関しての国の負担がこれまでどのぐらいあったかという点を教えていただければと思います。

久保(信)政府参考人 先ほど国の負担の総事業費の総額が一千二百六十億円と申し上げましたが、そのうちで道路事業に対します国の負担額は約四百四億円でございます。また、鉄道事業につきましては、国の負担額は約二億円となってございます。

田嶋(要)委員 これまでのこの財特法の大きな役割を認めつつ、今後のことを考えるとき、私、一つ考えなければいけないのは、どういう分野にこれから支援をしていくかということは、十年前、二十年前、そしてこれからが必ずしも同じであってはいけないと思いますし、時代とともに分野が変わってくるのではないかなというふうに思います。

 予想されたとおりといいますか、きょうも本会議で、道路の関係の法律でございましたけれども、これまでの国のかさ上げ額ないしはかさ上げを含めた国の負担一千二百六十億のうち、三分の一程度が道路の方に回っていたということがあるわけでございます。

 私は、この財特法の今後の役割ということを考えたとき、道路と同時に少し鉄道分野に対して、総務大臣としても、これはもちろん計画そのものは千葉県が地元の自治体と協議をした結果として案を提案し、総務大臣が関係省庁の大臣と協議をして最終決定をする、そういうプロセスになっておると思うんですが、しかし、もともとの案を提出するに際しても、当然、国といろいろ相談をしながら千葉県が案を提出してくるわけでございます。

 私は、今後のこの財特法の役割ということを考えたとき、今後も少なからぬ役割があるものの、その中身、構成要素という点では、これからはこれまでと少し変わってくる必要もあるのではないか。特に移動交通手段ということで考えたときに、鉄道への支援というのが、今まではほとんどこの法律のスキームではなかったわけでございますが、そういったところに軸足を少し移す必要もあるのではないかなというのが私自身の意見でございますが、その点に関しまして総務大臣に御意見をいただきたい。

 もう一点申し上げれば、きのうたまたま新聞を見ていましたら、アメリカで半世紀で初めて電車の利用者数が史上最大になったと。こういう不景気な状況の中で、車から列車等へのシフトが起きているということがアメリカでもあったわけでございます。私がかつてアメリカに住んでいたころに、アムトラックは余り乗らないんだよなんということをアメリカ人が言うのを聞いたことがありまして、まさにアメリカなどは車中心社会。

 それに対して、同じ先進国でもこの日本は、今でもそういった車以外の手段、電車を中心とした大量輸送機関によるところの比率は、先進国では飛び抜けて高いというふうに理解をいたしておりますが、それをいわゆるモーダルシフトと呼ぶんでしょうか、そういった、今時代のトレンドも踏まえて、この財特法の、実際の国から地方自治体への支援も少しずつ形を変えていく側面があっていいのかなというふうに思っておりますが、その点、総務大臣はどのようにお考えでしょうか。

鳩山国務大臣 私は、田嶋先生のおっしゃるお話は、基本的に正論だと思っております。

 私、きょう実は委員会が速やかに終わりましたら飛行機に乗りますけれども、飛行機よりも車の方が環境負荷は大きいわけですね。ですから、今高速道路料金の話が盛んに出ますけれども、やはり自動車、これが電気自動車なら、あるいは燃料電池で走る自動車だったらまた話は別でございますが、一般にガソリンを使って走る車のことを考えますと、環境負荷というものは大変大きなものになり、しかも、この地球の、フローではなくてストックを食いつぶしていくわけでございますから、これは環境問題としては大変ゆゆしい事態が来ているわけでございます。

 そういった意味で、鉄道でありますと、環境負荷は、例えば一人の人間が一キロ移動するのにどれくらいの環境負荷かということを考えれば、二酸化炭素換算すればはるかに少ないものでございまして、多分、一台の自動車が走って出す二酸化炭素というのは三百人か五百人の大名行列の吐く息ぐらいが出るわけでありましょう。そんな計算を見たことがありますから。

 そんな意味では、やはり環境負荷の少ない鉄道へのシフトというのは、今後十二分に考えなければいけないことであって、この成田財特法のスキームについても、これから考えていかなければいけないことと思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 恐らくは、これまで何度も延長してきた中で、鉄道への支援ということはほとんど視野になかったのかなという感じもする一方、千葉県の方から提出される計画の中には、鉄道の計画も含んでいつも提出をされてきておるわけですが、この法律の立て方として、そもそも補助率のかさ上げという考え方以外の支援の仕方が想定されているのかという点と、それから、道路や農業関係や学校関係にはお金が出ていますけれども、鉄道分野にも、やろうと思えば、これは頭を切りかえれば、補助金ないしそれ以外の形での財政支援ということが可能なのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

久保(信)政府参考人 今御指摘にもございましたが、この成田財特法、また今御審議をいただいております今回の法案、これは、かさ上げ対象事業といいますのは、空港周辺整備のために必要な基幹的事業であって、国庫補助制度があるものを前提としていて、それに対してはかさ上げを講じるということが主たる中身でございます。

 ただ、空港周辺整備計画、これ自身はその地域の総合的な計画であるという前提に立っておるものですから、その他の施設といったようなことで鉄道につきましての記述というのももちろんございます。

 御質問がございました、かさ上げ以外の方法はどうなっているのかということでございますけれども、御審議をいただいております法案の中でも、第四条というのがございまして、「国は、前条に定めるもの」、これはかさ上げでございますけれども、「もののほか、空港周辺地域整備計画を達成するために必要があると認めるときは、地方公共団体に対し、財政上及び金融上の援助を与えるものとする。」という規定がございます。

 ただ、この規定に基づいて、私どもきのういろいろ調べてみたんですけれども、現行にございますのは起債措置で、一般単独事業債の特別枠として普通よりも充当率がちょっと高いという形で空港周辺地域というものがございます。ございますが、これも、ほかの起債の方もいろいろな意味で充当率がよくなったりしている関係上、平成十五年度以降使われた実績はないということになってございます。

田嶋(要)委員 今、法律四条の御指摘もございました。それと、県から計画を出すわけですが、補助率のかさ上げということを前提にしていながら、補助率と補助率のかさ上げが全くない部分まで含めて、総合的な計画が総務大臣に出されておる点がございまして、その点、もし補助率のことだけをこの法律が想定しているのであれば、何のためにそれ以外の部分の計画まで大臣の決定事項になっているのかなという感じがいたします。

 ぜひ、今後の時代の変化の中で、鉄道分野等にも、いろいろな形があるかとは思いますけれども、支援をしていく、そういうことをこの財特法の中でも御検討をいただきたいというふうに私は思ってございます。

 ちなみに、成田空港の関係でいえば、鉄道を使ってのアクセス、そして道路を使ってのアクセスの比率というのは、今どのぐらいでございますか。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 成田国際空港株式会社が平成十九年に実施をいたしました成田空港へのアクセス交通の実態調査によりますと、これは成田空港の出発旅客を調査したものですけれども、空港まで鉄道を利用した人が全体の約四割、バスなどの自動車類を利用した人が全体の約六割を占めているという結果が出ております。それから、内訳といたしまして、JRと京成電鉄を利用した人が出発旅客全体の二割ずつを占めております、それから、リムジンバスを利用した人も全体の約二割、こういうふうな結果でございます。

田嶋(要)委員 今、大臣、聞いていただいても、成田空港周辺を支援していくという法律の趣旨がある中で、実際の空港への人の流れというのは四対六、これが今後どういう比率になっていくかはわかりませんけれども、そういう実態がある。

 一方、これまでお金の三分の一程度が道路に回っているわけでございますが、そういった現状を踏まえて、ぜひこれから実際の支援の中身に関して十分時代にマッチしたものに柔軟に対応していただきたい、その一点をもう一度総務大臣から御確認いただきたいと思います。

鳩山国務大臣 成田財特法は、一般に補助率のかさ上げというふうに考えられておりますけれども、この第四条を読めば、「財政上及び金融上の援助を与えるものとする。」というわけですから、鉄道に対するさまざまな援助の方法、今久保局長から説明はありましたけれども、さまざまな援助をすることが読み込めると思っておりますし、四対六であるとするならば、環境等を考えてこれを逆に六対四にしたいというような面もありますので、いろいろ工夫をしていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 いろいろと質問させていただいておりますが、次に、きょう国交省加納副大臣がお越しでございますので、国交省の方にもお尋ねを申し上げたいと思います。

 特に時代の変化という、先ほどモーダルシフトということを申し上げましたが、もう一つ、具体的に今大きな変化の時代が来ておると思っております。

 この成田に関しましては、最近よく聞く言葉で、羽田との一体的な運営というようなことがございます。それと、御案内のとおり、来年の四月からでしょうか、今から一年後ぐらいでございますが、上野まで三十六分でつながる新高速鉄道ができると。

 これは、常日ごろから、航空の世界の競争力が足りないとかいろいろなことがずっと言われてきた、この日本のある意味国際競争力の一つの大きなボトルネックになっているアクセスの問題が、全面解消とまでは言いませんが、かなり改善をされるということで、私は千葉県選出ということにかかわらず、大変重要な変化がある。十年前にもこのようなことを当時運輸省に対して御指摘されている議員の方もおいででございましたけれども、いよいよそれがカウントダウンに入ってきた。

 そういう中で、今度は国土交通省の方からも、羽田と成田との一体的な運営というのはどういうことを意味しているのか、そして、そういう時代に入った中で、担当、所管の役所として、空港、そしてアクセス道、鉄道、全体を含めた形でこれから国としてどういうような支援をしていくべきなのか、モーダルシフトの点も含めまして御答弁賜りたいというふうに思います。

加納副大臣 今、田嶋委員からは二点ございました。一つは一体的運用とは何か、二つ目は両空港間のアクセスの改善の問題でございます。

 お答えさせていただきたいと思いますが、私ども国土交通省といたしましては、首都圏空港の国際競争力の強化を図るため、成田と羽田の一体的活用を推進するということを基本にしているところでございます。

 先生御指摘のとおり、大きな変化、来年、二〇一〇年に成田と羽田の発着枠が増加いたします。これを活用しまして、第一に、成田につきましては、その特色、豊富な国際ネットワークをさらに強化するということ、そして、羽田につきましては、昼間は羽田にふさわしい近距離アジア・ビジネス路線を就航させ、深夜早朝は、今成田が騒音問題により深夜は閉鎖されていることから使えませんので、これを、新しく深夜の方に出てくる枠を羽田において欧米を含む世界の主要都市へ国際線を就航させるということによりまして、それぞれの空港が相まって首都圏の国際航空機能の最大化、そして二十四時間化を実現していく、二つの空港の特色を生かしながら一体的な運用をしようということを考えているところでございます。

 それから、先生が二つ目の御質問のアクセスとモーダルシフトの問題でございます。

 両空港のアクセスにつきましては、これは御指摘のとおり、両空港の一体的活用を推進する上で重要な要素であると認識をしております。平成二十二年度開業を目途に準備を進めておりますのが、御案内のとおり、成田新高速鉄道でございます。それと、京浜急行ですとか京成電鉄など既存の鉄道施設の活用によりまして、都心と両空港、また、羽田、成田両空港間のアクセスの改善を図っていきたいと考えているところでございます。

 先ほどもお話の中にございましたモーダルシフトと環境対策でございますが、鉄道は、総務大臣からもお話ございましたように、二酸化炭素排出原単位が小さいわけでございます。どのぐらい小さいかと申しますと、マイカーの約十分の一でございますので、そういう意味では環境負荷の小さなグリーン交通機関であるというふうに私どもは考えておりまして、地球温暖化対策としても鉄道の果たす役割は非常に大きいというふうに考えております。

 そこで、空港アクセスとしての鉄道利用を促進するための方策でございますけれども、鉄道のネットワークの充実、ちょっとわかりにくい言葉でございますが、鉄道の相互乗り入れでありますとか、あるいは線路の整備でありますとか、所要時間の短縮、こういったことを図っていく、利便性をよくしていく。今、おっしゃるとおり、非常に乗り継ぎの悪いところがございます。日暮里駅なんかですと、階段を上がって、またおりてということになりますから、上がっただけで済むような改修をする。あるいは京浜急行の蒲田駅も、品川の方から来るとそのまま乗り入れられるんですけれども、横浜の方から来ると乗りかえなきゃいけませんので、横浜からの直接乗り入れができるといったようなことも利便性の向上になるだろうと思っております。

 さらに、さらなる短縮策、ショートカットの短縮策も含めまして検討しているところで、実施を図っていきたいと思っています。

田嶋(要)委員 国交省のホームページにも「両空港間のアクセス改善を図る。」という書き方がされておる。今副大臣もおっしゃいました両空港間のアクセス改善、これは普通に考えますと、道路ではアクセス改善にもなかなか限界がございまして、国土交通省も「成田新高速鉄道の整備や接続する鉄道を活用し、」というふうにまで明記されております。

 それと、確かに十年前に、これは自民党の水野先生が取り上げておったときでございますが、そこの答弁でも、当時の中馬政務次官の方から、自動車で成田に行く方が多うございますけれども、渋滞どころじゃない、環境の問題もあるということで、今後の鉄道充実のことがはっきりとうたわれておるわけですね。

 したがって、この成田と羽田の一体的な活用、二十四時間運用ということで考えますと、今後、ますます、この財特法だけじゃありませんけれども、国家プロジェクトとして、道路もさることながら、鉄道への国としての支援に物すごく力を入れていかなければ、国際競争力の観点からも、あるいはモーダルシフトの観点からも十分ではないというふうに私は考えておりますが、その点はしっかりと取り組んでいきたいということでよろしゅうございますか。鉄道分野でございますけれども。

加納副大臣 その方向でぜひ頑張りたいと思っております。

田嶋(要)委員 もちろん、財特法だけじゃない話でございますが、総務省には財特法ということで、それ以外のさまざまな具体的な支援策も含めて国土交通省にもお願いをしたい。

 ただ、何となく、もともと別の役所だったということもあると思うんですが、道路は建設省、鉄道が運輸省、そして、道路の方は建設を支援するけれども、鉄道の方は運行の認可とか、そういうことにどうも仕事の軸足が行っているような感じがいたしますが、一緒になったからには、全体としての交通政策を国としてどういうふうに戦略的に考えるかということを、特に成田、羽田、このことを中心にこれからしっかりと戦略的に考えていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 そこで、少し財特法は離れるんですが、ローカルでは、千葉県の地元では大変大きな問題として一つ取り上げさせていただきたいのが、北総電鉄という電車の運賃の問題でございます。

 これは九、十年前に実川先生も取り上げていただきました。それ以外にも多くの与野党の議員から取り上げさせていただいておるわけですが、当時の実川先生の御質問を読みますと、いろいろな方が挑戦してもらちが明かない状態、「一向にらちが明かない。」こういうふうに言われておるわけでございます。

 まず、そこに入る前に、一つ一般論として総務大臣にお伺いいたします。

 お配りしている資料の一ページ目でございますが、総務省でございますからいろいろな地域の現状は大変気にかかるところでございますが、お配りした資料で三つ載せてございます。

 さまざまな公的サービスといいますか、公共サービスといいますか、最近とみによく言われます国民健康保険料をごらんいただいても、全国で一対五の開きがある。実際には一対四ぐらいですか、そういうような開きが現実にある。これは年間の負担額だと思います。その下をごらんいただくと、水道料金、下水道料金で、やはり地域間の格差といいますか自治体間格差がかなり大きい。こういう現状があるわけでございまして、偶然ではないと思いますけれども、大変高い負担の水道料金、下水道料金の一番、二番に財政破綻をした夕張市があるわけでございます。

 まず、総務大臣にお伺いします。

 こういうような暮らしのライフラインといいますか、そういうところに関して、住んでいる町でこれぐらい各家計の負担に差がある現状を総務大臣としてはどのように見ておられますか。

鳩山国務大臣 確かに、国民健康保険料で五倍の格差があるんでしょうか、五倍まではないでしょうか、あるいは水道料金でも大変な差がございます。とりわけ夕張市が大変高いわけでございますけれども、これは財政破綻との関係があるわけで、水道料金も高くせざるを得ないというところがあったんだろう、そういうふうに思います。下水道料金も同様だと思っております。

 一般論として、住民向けの同一のサービスに対する負担について五倍とか六倍というような格差が大きくなるのは、もちろん望ましいことではない。しかも、財政力が低いようなところ、したがって市民一人当たりのGDPが余り高くないようなところにより公共料金が高いということであれば、ダブルパンチということにもなるわけでございます。

 ただ、国保だとか下水道とか上水道とか、それぞれ地域の事情に応じてそれなりに適切な料金の設定がなされているわけでございますが、まさにそれが地方自治なんでしょうが、結果として大変大きな格差が生じているので、これは何としてでも縮小の方向に向かわせなければならないというふうに考えております。

 ただ、国民健康保険でございますと、被保険者に占める高齢者の割合あるいは所得の低い方の割合が高いと、給付額や保険料収入に大きな影響が出てきて高くなってしまうということがあるんだろうと思います。また、上水道については、ダムを取水源とする場合は建設コストが響いてくるという、ある程度やむを得ない事由による面もあろうかと思いますが、精いっぱい総務省的立場で何ができるかというようなことで、例えば水道では高料金対策という意味での地方財政措置はとらせていただいているわけでございます。

 ですから、今のところは、総務省としてはその程度のことしか、いわゆる地方財政措置を通じて措置をするということしかできておりませんが、今後の大きな課題の一つととらえております。

田嶋(要)委員 自治ですからある程度はやむを得ないということを認めつつも、やはり余り大きな格差があるのは問題だということで、大臣もそういう御認識だということは了解いたしました。

 特に、こういう国民健康保険料がこんなに格差があるのは私は昔は知らなかったわけでございますが、大体の人はその町にずっと住んでいるからそういうものだと思って、こういう全国の比較表を見て愕然とする方々も大勢おいでなのではないかなというふうに思います。

 格差が全然ないのも不可能だと思いますが、ある程度の範囲にないと、最終的には、特にライフライン、公共サービスに近いものは、やはり何らかの是正を考えなきゃいけないのではないか。私も、国民健康保険がこれほどの負担比率、格差があるのはやはり問題ではないかなというふうに思っている一人でございます。

 ところが、この北総電鉄の問題は、こういったいろいろな統計データなどでは全く出てこない問題でございまして、あるいは一部地域の、一部地域と申しましても九万人ぐらいの人口でございますが、その地域に特殊な状況でございますが、実際に家庭の負担ということを考えますと、ここに書いてある国民健康保険の格差以上に特定の地域に暮らす家庭の方々には厳しいものがございまして、年間に五十万、六十万という運賃を払わなきゃいけない家庭が実際に多いわけでございます。

 こういうことを私が申し上げますと、役所の方から、別に北総電鉄だけが値段が高いわけじゃありません、こんなようなことを言われることもあるんですが、しかし、どこまで耐えられるかという受忍限度のぎりぎりに来ているかどうかの一つのバロメーターは、地域の住民が具体的に何かアクションをとっているかどうかだというふうに私は思います。

 昨年八月に、当時の谷垣国土交通大臣に、私も一緒に地域の住民の声を直接届けさせていただきました。実川先生も御一緒でございましたけれども。それは、聞くところによると、二回目の署名活動、十二万名ですか、以前が六万名の署名を集めたということでございますが、そういう観点からしますと、具体的に地域住民がこういった直接的な行動で署名を二度も行っているという事例がほかに全国にありますでしょうか。

久保(成)政府参考人 お答えいたします。

 北総鉄道の運賃の値下げについては、二度、地元関係者からの署名、要望が出され、今委員御指摘のありましたように、昨年八月に地元住民の方々の署名を含めて改めて御要望いただきました。委員からも強い声をちょうだいしました。

 なかなか、過去に類似のものがあるかどうか、調べたわけではありませんけれども、類例の少ない話だとは認識しております。

田嶋(要)委員 そうしますと、我慢できる範囲の負担あるいは格差なのかどうなのかということを判断するバロメーターとして、そういうふうに地域の住民が具体的に立ち上がって何とか直接声を届けよう、そういう努力をされているという点はやはり十分受けとめなければいけないというふうに思います。

 つい最近も、私のところにも、直接私の選挙区にはこの電車は走っていないんですけれども、四人家族で一月の交通費が十万円を超えるということで、自分の家を売って引っ越すようなことも考えなきゃいけない、そういうことをおっしゃっている。そういう意味では、上水道、下水道、あるいは国民健康保険料の負担以上に絶対額として深刻な影響を、その地域、九万人の方々のかなりの方に及ぼしているということが言えるのではないかというふうに思います。

 これはお配りしておりませんけれども、ちょっと人口の統計を調べてみました。過去十年で、千葉県の人口は今六百二十万人でございますが、千葉県全体の人口が五%ふえておりまして、そして、十歳から十九歳の人口、要するに定期券とかを買ってこの町の負担の厳しさを実感する皆さんでございますが、その人口がどうなったかということに着目して数字を見ますと、千葉県全体ではその十年の間に一〇%ふえている。ところが、二市二村、この北総電鉄の関係している町は、千葉県全体では一〇%ふえているが、この二市二村に関しては一一%以上も若い人たちの人口が減っているんですね。これはすべての原因が北総電鉄の運賃ということはもちろん申しませんけれども、こういうことを考えても、あるいはそういう地域の皆さんの声がいろいろ出ているということを考えても、私は受忍限度を超えているような状況があるのではないかなというふうに思っておるわけでございます。

 いろいろな方が今まで国会でも問題提起されましたが、かつて、確かに三年置きに値上げをされておりました、それが十年前からほぼ値上げをすることなく今日までやってきたということは言えると思うんですが、その現状の運賃の比較表をつけさせていただきましたので、参考資料の二をごらんくださいませ。

 ここで御質問をさせていただきますが、この現行の運賃水準でございますけれども、これが公正かつ適正な運賃水準と言えるのかどうか、その点に関しましてどのようにお考えかを御答弁ください。

久保(成)政府参考人 北総鉄道の運賃、先生御指摘のように高いと言われておりますけれども、事業者の運賃そのものは、鉄道事業法に基づきまして、運賃収入が減価償却費だとか人件費だとかの原価に適正な利潤を加えたものを超えないことを審査した上で認可をしている、こういうものでございます。

 北総鉄道の運賃についても、それに基づいて認可をし、現在の運賃になっているものと理解しております。

田嶋(要)委員 この参考資料二におつけしました、これは具体的な例えばの話でございますけれども、実際には、東京通勤されている方は多いわけですから、先ほどの例のように一つの家庭で一カ月に十万を超える交通費を負担している家庭が相当おいでだ、そして、若い人口が外に出ていくケースも後を絶たない、そんなような現実があると思います。

 大臣、こういう状態が、少なくとも過去十年、二十年、放置されているわけですね。この十年間の間にも、少なくとも五人の国会議員もここで問題として取り上げたけれども、現状は何も改善されていないということがあるんです。

 これは、今の料金認可の仕組みに関しても御答弁がございましたが、確かに民間の企業がちゃんと経営できる状態にしなければ、まあ、行き詰まってしまってはいけない、それは全くそのとおりだと思うんですが、しかし、その観点だけで本当にいいのか。

 その地域住民がずっとこういう厳しい負担を強いられている、特に昨今のこの厳しい経済の状況、景気の状況の中で、定期代が出ているいい会社にいたり公務員の方はいいにしても、そうじゃない、非正規の仕事をされている方、学生の方、いろいろ厳しい状況に置かれている方は、待てど暮らせど状況はさっぱり改善していない。これが十年以上続いているんですね。

 私は、これはこれ以上放置、先送りしちゃいけない問題であるというふうに考えておりますけれども、国土交通省、その点はいかがですか。

久保(成)政府参考人 お答えします。

 北総鉄道の運賃につきましては、地域の鉄道でございますので、地元の関係者において対処していただくのが基本であることは当然なんですけれども、私ども国といたしましても、従来からこの問題について、十九年に設立されたんだと思いますけれども、千葉県と関係市村で構成される北総鉄道利用促進協議会といった場に私どもも参画して、必要な話などをさせていただいております。

 今後とも、こういう地元自治体関係者の北総鉄道利用促進協議会に私どもも入っていって、いろいろなお話をさせていただいて、地元とともに検討を進めていきたい、このように考えています。

田嶋(要)委員 十年前も五年前も同じような答弁で終わると思うんですね。それで現状がさっぱり進展していないという状況を、やはりもうそろそろ重く受けとめるべきだと思います。

 それと、もう一つあえてこの機会に質問させていただくのは、先ほども申し上げさせていただきましたが、来年、成田の新高速鉄道が開通をするということでございます。

 資料の三枚目をごらんください。これはたまたまでございますが、既存の、この北総の高い運賃に住民が苦しんでいるその線路の上を、今度三十六分で成田空港と都心とをつなぐ新しいスカイライナーが走る。その点では、非常に楽しみなというか、画期的なことが同じ設備、線路を使って実現するわけでございます。地域の住民は、そのことに一方で期待する気持ちがあるんですが、同時に運賃問題は相変わらず放置をされて自分たちだけ取り残されてしまうんじゃないか、そして、例えば多くの空港利用者は三十六分で東京まで行けるといったサービスが開始をされるのではないかということで、期待と不安が交錯した状況に今置かれておるわけでございます。

 そこで、料金の認可をされておる国土交通省にお伺いします。

 特に地域の住民が心配しているのは、この高運賃問題が改善されずに、新しいサービスが低料金で提供されることによるいわゆる料金の逆転現象、つまり、近い距離の移動が高くて、成田空港と都心を結ぶ遠い距離の交通が安くなる、そういった逆転現象が起きるのかどうかという点を大変皆さん心配されております。料金認可のタイミングは今月とか半年後だとかいろいろな話が聞こえてきますけれども、その辺はいかがなんですか。料金の逆転現象が起きるということはないということを確認させていただきたいと思います。

久保(成)政府参考人 成田の新高速線の運賃につきましては、現在、運行主体となる京成電鉄において平成二十二年の開業に向けて検討がなされているものと承知しておりますけれども、まだ申請が、いつ行われるかということなので、認可時期はちょっとわかりません。そういう状況であります。

 ただ、京成電鉄から認可申請があった場合には、当該路線の利用者の方々の混乱を招かないように配慮して、法令に基づいて審査をしていきたい、このように思っております。

田嶋(要)委員 およそ十年ぐらい前に、それまで三年置きに行われていた料金値上げがとまるような状況になりまして、以来値上げがされていない現実があるんですが、私は、もうそろそろ値下げをする一歩を踏み出すべきだと思います。

 ただ、それは、民間の純粋な経営の視点からいえば、相当無理なことを言っているわけでございまして、そのときにまさに、きょうも午前中どなたかの質問でございました、官と民の役割というところで考えなきゃいけないんじゃないか。純粋に株主利益とか経営が安定するかどうかという観点であれば、恐らく、到底値下げなんかとてもできる状況じゃないという答えが返ってくるでしょう。それは当たり前ですよ。しかし、そういう状況の中で泣いているのは住民だということなんです。それが十年、二十年続いていって、千葉県にとっても、あるいはこの地域にとっても、非常に打撃を与え続けている状況が本当にこれからも続いていいのか。

 この成田新高速というものが来年サービスをするこの機会を、今度の認可の料金がどうなるか、地域の方はかたずをのんで見守っております。このときに、私の提案としては、例えば五%料金を下げるというような目標と時期に関する目標設定をして、五%下げるためには年間七億円ぐらいの費用がかかるということでございますが、そういったことをぜひ目標として認可をしてもらいたいなと。それがもし経営的にできないのであれば、そこにまさに官としての支援が必要になってくるのではないか。

 冒頭、成田財特法の話で鉄道へのシフトが重要だということを申しましたが、まさにこれは羽田と成田を結ぶ鉄道の一部の部分の議論なんです。そして、地元の千葉の方々だけが料金面で大変な負担を強いられている。こういったときに、過去の負の遺産を新しい時代に向けてぜひ解消する一歩を踏み出していただきたいというふうに私は思っております。ずっと高い料金で高どまりしておりますが、ぜひ、少し地域の皆さんに希望を与えるような第一歩を料金面で踏み出せないかどうか、この点に関してもう一度御答弁いただきたいと思います。

久保(成)政府参考人 お答えいたします。

 運賃値下げにつきましても、先ほど来言及いたしましたけれども、千葉県と関係市村で構成されております北総鉄道利用促進協議会において検討されていると伺っておりますし、まずはこのような場で十分協議していただくことが肝要と考えております。

 また、私ども国といたしましても、そういった地元の取り組みに対しまして参画し、必要に応じてさまざまな発言を行ってまいりたい、過去にも行ってまいりましたし、今後とも行ってまいりたいと考えております。

田嶋(要)委員 まずは地元がというのもいつもの御答弁なんですが、住民は限界に来ているということをぜひおわかりいただきたいなというふうに思います。だから、まず地元が動くのを待っていて十年何も変わっていない状況が続いている、そのことを重く考えていただければというふうに思います。

 そして、認可は運賃だけではございませんで、もう一つ、地域から大変心配をされていることがございます。これは若干わかりにくいわけですが、北総電鉄がこれまで膨大なコストをかけて建設した、それが金利等、借金の返済ということで経営に重くのしかかっておるわけですが、今度その上を走る成田新高速が、北総部分の上を走る線路の使用料に関してどのぐらい負担をしてくれるのか。

 若干技術的な細かい話でございますけれども、その点も料金認可と同じように認可のもとにあるというふうに理解をいたしておりますが、この点もしっかりとした、上をどの事業者がやり、下の設備をどの事業者が持っているということにかかわらず、共通のルールで、フェアなコスト分担が行われなければいけないというふうに考えておりますけれども、その点、十分考慮した線路使用料に関する認可が行われるということを確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

久保(成)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、鉄道線路を持っております、下物と言っておりますけれども、そういった事業者が鉄道線路を、上を走る事業者、これは第二種鉄道事業者と言っておりますけれども、それに使用させようとするときは、線路使用料について、鉄道事業法に基づきまして国土交通大臣の認可を受けなければならない、こういう仕組みになっております。

 鉄道事業法の中で、線路使用料については、上の鉄道事業者、下物を持っている鉄道事業者それぞれの適正な運営の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合を除き認可しなければならないとなっておりますので、申請がされた際には、法令に基づきまして、鉄道事業の適正な運営の確保に支障を及ぼすおそれがあるかどうか、こういった観点から判断をしてまいりたい、かように考えております。

田嶋(要)委員 認可との関係では、大きく分けて、運賃の問題と線路の使用料に関して地域住民が大変御心配をされておる点でございます。ぜひとも、先ほども申しましたけれども、もう十年もずっとこういう状況が続いている中で、そろそろ少し地域の負担が下がるような方向で、希望が見出せるようなアクションを国のリーダーシップのもとでお願いしたいというふうに思っております。

 もう一点お伺いします。

 民でできるか、官がどの程度やるか、公的セクターがやるか、これも答えは一つじゃないと思うわけでございますが、中長期的に考えたときに、この鉄道事業は、上下分離という考え方もあるわけでございまして、資本の負担の大変重い設備部分に関しては切り離して行うというようなことも十分視野に入れなければいけない。それが、公共事業の道路、そして民間がやる鉄道という単純な仕分けじゃなくして、やはり時代時代に応じて、あるいはモーダルシフトという中で、政府がどのぐらい公的な支援を鉄道事業に行っていくか、その一つの形態だというふうに私は思いますが、そういった上下分離の考え方というのは今後検討していただけますでしょうか。

久保(成)政府参考人 こういった地域の輸送を担っております鉄道会社の資本構成としては、民間側と、先生おっしゃいました地方自治体などの公的主体でどのように分担していくか。こういうことにつきましては、誕生したときの経緯だとか地域の状況によってさまざまなパターンがございます。都市鉄道でも地方鉄道でも、地域として公的支援の必要性が高いというふうに判断された場合には、地方自治体の出資比率が例えば八〇%を超えるような鉄道会社もございます。

 北総鉄道につきましては、現時点では、千葉県と沿線六市で計二五%、あと都市再生機構が一七%強、こういう出資状況になっております。こういった今後の資本構成のあり方につきましても、自治体を初めとする地域の関係者において、将来を見据えて協議を尽くし、判断をしていただく必要があろうと思います。

 また、委員御指摘の上下分離方式についても、これはいろいろな形がございます。いずれも地方自治体としてどのように地域の鉄道を支えていくのかといった観点に基づいて、いろいろな選択がございますけれども、地域で御判断していただく必要もあると考えております。

田嶋(要)委員 事業をどう運営するかの資本構成は、別に地域住民が選んだわけでも何でもないわけですね。だから、民間主体で行われているから、その事業が成り立つように高い運賃をずっと耐え続けなきゃいけない、私はこれはフェアじゃないと思います。特にこういう鉄道なんというのは非常に公的な性格の強いものでございまして、この線がなければ暮らしていくことができない方々が大勢いる中で、繰り返しになりますが、今受忍限度を超えています。

 住民が本当に今アクションをとって何とか改善しようというふうに考えておるときに、これは国でも県でもいいんですけれども、とにかく結果を出してもらいたい。五%でもいい、これから三年間で五%下げよう、そのために経営が立ち行かないのであれば、それを国がどう支えるか。

 今、いろいろな会社が、資金繰りが大変だ、そういうことが出てきております。財務省や経産省の方でいろいろな支援策を考えている、政策金融もいろいろ考えている。これは、今この北総がそういう状況にないのは、一にも二にもその利用者に異常な負担を強いているから見かけ上ないだけであって、それは多くのステークホルダーの中の一つに利用者というのをしっかり見ていかなきゃいけない。債権者や株主だけじゃないんだ。利用者にとってこれほど異常な状況が続くのは、ぜひとも今回限り、私が最後の質問者にしていただきたい。今までいろいろな方が質問してきたけれども、全く状況は変わっていません。ちょっとくどいですけれども、ぜひそのことをお願いしたい。

 そして、住民はかたずをのんで、来年四月とも言われる成田新高速の開通を見ておりますから、このときの料金がどうなるか、自分たちもちょっとはいいことがあるか、ひどい状況に置かれたまま、成田新高速だけ、三十六分、どういう値段になるか、みんな見ていますから、ぜひそのことを頭に入れながら、お願いをしたいというふうに思います。

 最後に、この点に関しまして、総務大臣、直接の所管でございませんけれども、成田財特法の関係も全く無関係ではない。今回、成田と都心を結ぶ新しい状況が出てくる中で、ぜひとも、地域活性化という観点からも、こういった地域に関して何らかの救済ができるのであれば、格差はなるべく小さい方がいいという先ほどの点も踏まえまして、ぜひとも何か御意見があれば賜りたい、できれば枠を逸脱したような答弁まで含めて、忌憚のない御意見を賜りたいというふうに思っております。

鳩山国務大臣 枠を逸脱した答弁というのは割かし得意なんですけれども、この問題はなかなか困難な問題だなと正直言って思います。

 先ほど申し上げたように、自動車から鉄道への流れということは、私の基本的な考え方にあります。ですが、この北総鉄道全体の問題が成田財特法と直接絡めて議論していい問題であるかどうかは私にはよくわからないところがございます。

 鉄道事業法、運賃認可等を所管しておりませんので、私としては確たることは申し上げにくいのでございますが、今田嶋先生と国交省のやりとりを聞いておりまして、とにかく北総線の運賃問題については住民の皆様方の御要望は切実だと思います。

 これは正直言って私は全くわかりませんが、全国にほかにも幾つかあるんだろうと。異常な高さですね、十五・八キロで北総鉄道が六百三十円。ところが、小田急だと同じ距離で二百四十円、京浜急行二百七十円という例が出ていますね。これは定期券で見ると、割合はもちろん同じなんでしょうけれども、一カ月の定期が、同じ距離で、十五・八キロで二万六千四百六十円であるのか八千八百九十円であるのかというのでは、家計の負担というものは全く違うわけですね。

 そういう意味で、各地方公共団体やその住民の皆さんの生活向上、利便向上を図らなければならない総務省といたしましては、何かできる方法はないか。自治体を助けることによって問題が少しでも解決できるのかどうか。あるいは、三セクでありますから、自治体は資本を入れているわけでありましょうから、そんなことで何かできるのであろうか。それは、北総線が民間主導の第三セクターで運営されてきて、千葉ニュータウンの人口の伸びが思ったほどでなかったというようなことがあって大変な高料金になっているんだと思いますが、いつまでもこのような料金格差があっていいとは思いませんので、国交省の方々ともよく話し合っていきたいとは思いますが、我々総務省としては、地方公共団体、その住民の立場に立っていろいろと考えて意見を言っていきたいと思います。

田嶋(要)委員 今、総務大臣から異常な高さですねと気持ちを込めて言っていただいただけでも、私はうれしく思いますけれども、ぜひ五年前、十年前と同じ形で終わらせてほしくないと思います。今も、多分、地域の方、大勢の方がインターネットを通してごらんいただいておりまして、問うている質問は五年前、十年前と大差はないと思いますけれども、ぜひいま一度、目の色を変えてこの問題解決に向かって踏み出してほしいというふうに思います。

 これは、千葉県は今ちょうど知事選が始まったところでございますが、千葉県にとっても小さくない問題でございますので、国の方でもしっかりと助けていただきたいというふうに思います。財布は落としても定期は落とすな、こんなようなことが地域で言われておりますが、本当にこれは額から見ても大変なことです。何とか力を尽くしていただければということを申しまして、質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 成田財特法案、本法案は、成田空港周辺の公共施設などを整備するための公共事業のかさ上げのための法の延長を求める中身であります。

 そこで、関連しまして、成田など空港周辺の住民の航空機を原因とする被害への対応策について何点か質問をいたします。地デジ対策ということで伺います。

 昨年七月の、デジタル放送への移行完了のための関係省庁連絡会議で決定しましたアクションプラン二〇〇八では、「民間航空機による受信障害の有無について、国土交通省は、その現状を把握し、空港周辺のデジタル放送の中継局が整備された段階において調査を行い、地域住民のデジタル放送の受信障害防止のために必要な措置を講じる。」とあります。

 そこで、国土交通省にお尋ねしますが、成田空港の地デジ受信障害の実態調査及び受信障害防止対策の現状と、今後の対応策はどうなっているのかをお聞かせください。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 成田空港につきましては、これまで、航空機によるテレビ受信障害対策といたしましては、VHFの電波をUHFの電波に変換して、受信障害に強いUHFに変換した電波が成田空港会社が設置したテレビ中継局から送信されるようにする対策ですとか、受信障害世帯に成田空港会社がUHFのアンテナを設置する対策など、そういうふうな対策が行われてきております。

 それで、二〇一一年の七月に地上デジタル放送に完全移行されるわけですけれども、この際には、現在の対策で使われております電波と同じUHFの電波が使用されますし、また、非常に反射に強い送信方式が採用されておりますので、基本的には地上デジタルの放送移行後も航空機による受信障害が発生するおそれは低いとは考えておりますけれども、ただ、現実に航空機による受信障害が確認されるようなことがあれば、これは成田空港会社において必要な措置を講じていくということになると考えております。

塩川委員 発生するおそれは低いということで、実態の調査はされておらないということです。

 あわせて、国管理空港についての地デジの受信障害の実態調査及び受信障害防止対策の現状と、今後の対応策はどうなっているのかをお聞かせください。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 国管理空港における受信障害につきましては、空港の周辺にデジタル放送の中継局が整備されることに応じまして、国交省として、障害に関する実態調査を実施して、実際に障害が発生するようなことがあれば、関係省庁とも協議させていただきながら必要な措置を講じてまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 その国管理空港について、地デジ対応での受信障害についての実態調査の予算措置というのはどうなっているんですか。

渡辺政府参考人 現在のところ、国交省において実態調査の予算措置を講じているわけではございませんけれども、必要な調査をこれからも速やかに実施してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 昨年七月のアクションプランでは、各省が対応する公共施設においての地デジ対応の予算措置も行うという決意でそれぞれ確認をしているはずですが、国交省においては国管理空港についての調査の予算も計上していない、成田空港については成田空港会社任せ。こういう対応で、本当に地デジ対応について適切に行われていくのか。まずは調査なしには障害の状況もわからない、その先の対策もとれないという点で、国交省の対応がこれでいいのか。そういう点でも、調査そのものが行われていないことが重大だということをまず申し上げておきます。

 関連して、自衛隊、米軍の航空機による受信障害対策について防衛省にお尋ねをします。

 同様に、昨年七月のアクションプランの中においては、「防衛省は、自衛隊等の飛行場周辺のデジタル放送の中継局が整備された段階において調査を行い、地域住民のデジタル放送の受信障害防止のために必要な措置を講じる。」とあります。

 防衛省として、これまでどのような受信障害調査を行い、今後どのような調査を予定しているのか、受信障害調査の取り組みについてお聞かせください。

井上政府参考人 自衛隊または米軍の基地におきます地上デジタル放送の航空機受信障害についてのお尋ねでございますけれども、防衛省におきましては、地元の地方公共団体の皆様方の要請や、各地における地上デジタル放送の中継局の整備状況も考慮の上、逐次、地上デジタル放送の受信障害の実態調査を実施しているところでございます。

 また、その調査の結果、障害があるという場合につきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、周辺環境整備法と呼んでおりますけれども、この法律に基づきまして、地方公共団体がテレビの共同受信施設の工事を行う費用につきまして補助をいたしているところでございます。

 お尋ねの、調査をどのように行っているかということでございますけれども、具体的には、平成二十年度までに実態調査に着手をいたしました基地は、厚木航空基地、三沢飛行場、松島基地及び千歳基地でございます。また、平成二十一年度以降に実態調査の着手を予定いたしております基地は、入間基地、嘉手納飛行場及び普天間飛行場でございます。

塩川委員 嘉手納飛行場や普天間基地でのテレビ受信障害対策というのは、アナログにおいては行われてこなかったものであります。沖縄の皆さんにとってみれば、米軍基地そのものの撤去が県民の強い願いであります。同時に、対策そのものがアナログにおいては行われていなかったというのも極めて重大だということを率直に申し上げるものであります。

 そこで、重ねて防衛省に伺いますが、地デジ受信障害対策の施設整備の工事費については、厚木基地のある綾瀬市において予定していると聞いておりますが、幾らぐらいの予算を見込み、実際に綾瀬市における現行アナログでの受信障害対策の実績世帯数が幾つであり、また地デジにおいては何世帯を予定しているのかをお聞かせください。

井上政府参考人 地上デジタル放送の受信障害の工事に関してのお尋ねでございますけれども、今御指摘のように、厚木航空基地におきましては、綾瀬市の要請を踏まえまして平成十九年度に防衛省が実施をいたしました地上デジタル放送の受信障害の実態調査の結果に基づきまして、綾瀬市が平成二十年度に共同受信施設の設計に着手をいたしまして、平成二十一年度以降、工事の実施を予定いたしているところでございます。

 これに対しまして、防衛省といたしまして、その費用を補助することといたしているところでございます。具体的には、まず、平成二十一年度におきます綾瀬市における工事の事業費でございますけれども、二十一年度予算案におきまして一億一千二百万円計上いたしておりまして、これは基本的には全額国庫負担ということでございます。

 アナログのこれまでの実施世帯数につきましては、今手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと存じます。

塩川委員 地デジの場合、私が承知しているのは、綾瀬市においての実績の世帯数が一万六千戸で、地デジによる受信障害対策の実施世帯数が八千世帯を予定しているというふうに伺っているんですが、そのとおりでよろしいですか。

井上政府参考人 申しわけございませんけれども、手元に資料がございませんので、後ほど確認をさせていただきまして、御報告させていただきたいと存じます。

塩川委員 従来、地デジの場合はアナログより受信障害が減少すると言われてまいりましたが、綾瀬市のお話を伺いましても、多数の世帯で地デジでも障害対策が必要であることがわかりました。早急な対応が必要であります。

 そこで、防衛省に重ねて聞きますが、航空基地所在の地元自治体から要請があれば調査を行い、障害が認められれば対策をとるということで承知をしておりますが、そのとおりでよろしいですね。

井上政府参考人 工事についての助成に関しての手続になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、まず市町村におきまして、そもそも障害があるかどうかというような確認をしていただきまして、そして、その確認が得られた場合におきましては、防衛省におきまして、全額国庫でもちまして、防衛省みずからがより具体的な実態調査を行うということにしております。その上で、防衛省として、地方公共団体が行われます工事に対しまして助成を行うという制度となっております。

塩川委員 防衛省が調査を行う前提として、まず市町村が地デジでの障害があるかどうかの調査を行うということがあるということですね。つまり、市町村がまず調査をしないと防衛省は調査に入らないという形になっているわけです。

 私の住んでいる所沢市の隣の狭山市に航空自衛隊の入間基地がありますが、狭山市の担当者の方が北関東防衛局に相談したところ、障害調査は市でしてほしいということなので、来年度予算に計上した、四百三十六万円だと。その結果を踏まえ国に調査をお願いするが、本来、国に調査を負担してもらいたいと私どもの事務所に答えております。

 本来、自治体は地デジについて、原因者でもない、また権限や責務も当然ないわけであります。ですから、そういった費用は、自治体が負担するというのはおかしいんじゃありませんか。防衛省としてきちっと、四百三十六万円狭山市が負担するんだったら、その分について後で防衛省が負担するということが必要じゃないですか。

井上政府参考人 今お尋ねの、市町村の事前調査についての費用負担に係る問題でございますけれども、先ほども申し上げましたが、自衛隊等の基地にかかわりますテレビの受信障害対策につきましては、周辺環境整備法という法律がございますけれども、それに基づきまして、地方公共団体の申請によりまして、防衛省が地方公共団体の事業に対しまして補助を行うというものでございます。

 したがいまして、申請に先立ちましての基礎的な調査はこれまでも申請者でございます地方公共団体により行っていただいておるわけでございまして、それを踏まえて、障害が確認された場合におきますより詳細な実態調査につきましては、国におきまして、全額国費でもって、国みずからが実施をするという取り扱いにしているところでございます。

塩川委員 鳩山大臣に伺いますが、地デジは国策として行っております。自治体に権限、責務もございません。そういう点で、今言ったように防衛省の、原因者がはっきりしているんですよ、航空機が飛んでいるんですから。それについて、まずは自治体に調査して負担してくれというのはおかしいんじゃないですか。その分は自治体の負担にしないということをはっきりさせていただきたい。そのことについてお答えいただけますか。

鳩山国務大臣 地デジは国策でございますから、それは総務省が中心となって進めていかなければなりません。

 テレビの受信障害全般を私どもやらせていただいておるわけでございまして、地域の総合通信局やデジサポ、すべての都道府県につくりました総務省テレビ受信者支援センターで必要な相談対応体制を整備して、事案の内容に応じては、受信障害が起きているかどうかの調査をいたしております。

 かつて、普天間飛行場について、地元市役所から受信障害の申告を受けたときに、沖縄総合通信事務所において現地調査を実施して、昨年十二月に、米軍機の飛行に伴う軽微な受信障害を確認したという例もあります。

 したがいまして、例えば、委員のおっしゃる入間基地、狭山市という問題であるならば、具体的な相談を関東総合通信局かデジサポにしていただければ、私どもで調査するという道がございます。

塩川委員 自治体に負担させるというのは筋でないというお立場ということで、ぜひ、アクションプランで示しています航空機の被害にしっかりと国交省、防衛省の対応も求めて、担当大臣としての要請をお願いし、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 今回、期限をまた五年間延長するという内容なんですね。この法律、既に五回にわたって延長されてきました。今回で六度目の延長となるんです。

 延長ということは多々あるのでありますが、この成田財特法に基づく事業は一体いつ完了するのか、そのめどというのはあるんでしょうか。

鳩山国務大臣 確かに、今回六回目の延長、既に四十年経過いたしておるわけです。

 空港周辺地域整備計画の変更に当たって、地元の自治体からの要望を踏まえて、今後五年間に整備が必要とされ、かつまた実施が見込まれる事業を盛り込むわけでございまして、今回のこの五年延長では、継続事業が五事業、新規事業が三事業となっているわけでございます。これらの事業については、当然ですが、法改正後の期限である平成二十五年度末、五年後の完了を目指して取り組むこととしておるわけでございます。

 それで終わればいいわけですけれども、しかし、現在整備が進められている二千五百メートルへの滑走路の延長など、今後、成田空港が、我が国最大の国際空港としての役割を拡大していくんだろう。そうしますと、空港整備が進んでいけば、整備計画にもまた新たに事業が追加される可能性があるものですから、今回で終わりだという状況にはないかと存じます。

重野委員 そもそも、政府が出している提案理由の説明書を読んでみても、この間、国会、この委員会における政府の答弁等々を見ても、私は、政府答弁は、無責任な答弁と言ったら語弊があるかもしれませんが、そういうふうに受け取らざるを得ないんですね。

 二〇〇四年の三月、参議院並びに衆議院における各委員の質問に対する答弁も、この五年間で努力していきたいと、いずれも、当然努力してこの五年間で完成させなければならぬというふうに言っているんですが、一方、この法律の提案理由説明の中を読んでみますと、「空港整備の進展等に伴う周辺地域の状況の変化に対応するため、」こういうふうに書いているんですね。周辺地域の状況の変化というのは、今みたいに激しい時代の流れの中では際限なく続くんじゃないか。そうなると、時限立法で五年間というふうに決めておることについて、これは相当に無理があるんじゃないかというふうに私は思うんです。

 しかし、政府の答弁は今まで、この五年間で終わらせるように努力するんだと言い続けてきた。そして今度で六度目の延長。そこのところはちょっと説得力に欠けていると私は思うんですが、いかがですか。

鳩山国務大臣 これは当然、国交省と常に話し合いを続けていかなければならないんだろうと思っております。

 私も、成田財特法の延長を提案しなければならないということを知ったときに、一体いつまでやるのということを総務省の役人に質問しました。またいろいろ変化がありますからいつまでということはという歯切れの悪い返事しか返ってまいりません。

 例えば、来年三月予定の平行滑走路の二千五百メートル化というのができますと、発着回数の増加、年間二十万回が二十二万回にふえる。そうしますと、周辺地域におけるインフラ整備にも追加需要が出てくるだろうというようなことでございまして、地元地方公共団体の要望というのもありましょうし、今後、公共施設等の計画的な整備の促進ということもあるだろう、こう思っておりまして、国の財政上の特別措置はいまだ必要ということで今回の延長をお願いしておるわけです。

 先ほどと同じ答えになりますが、成田空港がさらに拡充をしていけばいくほど地元の負担もふえていくという部分がありますので、まだしばらくは続くのかと存じます。

重野委員 私が地元に帰るときには今羽田を使いますが、羽田の周辺だって、今物すごいテンポで事業がどんどん進んでいるんですね。これだって膨大な資金を要するんだろうと思いますよ。

 羽田と成田同時に膨大な国費が投入されていくということ。だから、これはやはりよほど緻密な設計、計画を練ってやっていかないと、六次、七次、八次となりかねないですよね。説得力に欠けるということが言われる時期がだんだん来るんじゃないかと私は思うんです。だから、その点については、ひとつしっかり緻密な設計をやってもらいたい。

 次に、整備計画の実施状況について尋ねますが、今度のこの整備計画の実施状況というのを見てみますと、天昌寺川土地改良事業であるとか農業集落排水事業というのが事業を中止する、こういうことになっております。これはどういう経緯でそういうことになったんでしょうか。

久保(信)政府参考人 空港周辺地域整備計画の見直しに当たりましては、個々の事業につきましての実現の可能性でありますとか必要性、これらを含めて精査をするということにいたしておりまして、今回の法延長に当たりまして、御指摘のように、土地改良事業、農業集落排水事業、あるいは下水道事業につきましては、現時点で私どもは、地元の地方公共団体から、整備計画から取り下げをしたい、そういったお話をお伺いしております。

 それぞれの取り下げの経緯でございますけれども、土地改良事業につきましては、事業実施に対する地元の農家、土地改良区の理解が得られる見通しが立たないというふうにお聞きをしております。それから、農業集落排水事業でございますけれども、これは、事業実施の必要性について浄化槽の整備など他の事業と比較した結果、不要であるというふうに判断がされているということでございます。それから、下水道事業でございますけれども、これは、主として空港関連施設の汚水を処理する目的で地元調整を進めていたけれども、既にホテルなどで浄化槽が整備をされておって、現時点での必要性が薄れたといったようなことで、取り下げが予定されているということでございます。

重野委員 今度は逆に、今回も新たな新規事業が含まれているんですね。成田松尾線三期、成田小見川鹿島港線(駒井野)、市道〇一―〇〇八号線、こういう三つの事業が新規に組まれたということになっておるんですが、これはどういう事業なんでしょうか。

久保(信)政府参考人 御指摘のように、県道で二つ、そして市道で一つ、合計で三つの路線につきまして新規に追加をするという予定でございます。

 理由でございますけれども、いずれも、平行滑走路の北伸による二千五百メーター化、来年の三月に供用開始予定でございますけれども、それと、そのことによって発着回数が増加をする、年間二十万回が二十二万回になるということ、また、それと関連をいたしまして、空港周辺地域への物流企業の進出といったようなことが考えられますので、成田空港へのアクセスの増加に対処するため、関連する道路整備を追加しようとするものでございます。

重野委員 今説明を聞いたんですけれども、冒頭に申し上げたように、際限なくと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、地元の要望があってするのか、あるいは、国のあるべき姿、成田空港周辺のあるべき姿というものがあって、それを実現するためにやるのか。大体、その計画の主体というのは、要望が出てやるんですか、それとも、こちらの方からこうあるべきだということでやるんですか。どっちなんですか。

久保(信)政府参考人 この法律、成田財特法でございますけれども、昭和四十五年につくりましたが、その前に、昭和四十一年に新東京国際空港位置決定に伴う施策についてという閣議決定が行われまして、それから、御案内のようないろいろな成田の経緯を経てこの法律ができたということでございます。

 成田国際空港の建設は喫緊の国家的事業である、それに関連する空港周辺地域の整備事業を計画的に進めることが必要であるということでございまして、当然これは国家的事業であるということが前提でございますが、法律の立て方は、千葉県知事が市町村と協議をして空港周辺整備地域計画の案をつくって、それを私どもの方に申請される、それで私どもが関係省庁と協議をして決める、そういう建前に手続上はなってございます。

重野委員 いずれにしても、私は、際限なくどんどん国費、あるいは自治体も含めて、投入されていくということに対する危惧の念を持っております。

 同時に、羽田は羽田で、私は専門家じゃありませんから今どれほどの金が投入されているのかということについては知るよしもありませんが、見ておりますのに、これも本当に大変な事業だなというふうな感じです。一方においては、関西空港については経営はもともと、もともとというか、とてもとても難しい、こんな話も漏れ聞く。その辺の整合性というのか、どういう整理をつけるべきなのかという大変大きなテーマである、そういう問題意識を持って取り組んでいかなければならぬな、このようにも考えておりますので、よろしく検討のほどをお願いいたします。

 終わります。

赤松委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、来る十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十三分散会


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