衆議院

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第12号 平成21年4月7日(火曜日)

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平成二十一年四月七日(火曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      今井  宏君    遠藤 宣彦君

      小川 友一君    川崎 二郎君

      坂本 哲志君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      平口  洋君    福井  照君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      渡部  篤君    逢坂 誠二君

      小平 忠正君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      松野 頼久君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    塩川 鉄也君

      保坂 展人君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   衆議院委員部長      山本 直和君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  櫻井 修一君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        原  正之君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            岳野万里夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   田中 順一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        椎川  忍君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (消防庁長官)      岡本  保君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  岡本 榮一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 岸本 邦夫君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            清水 弘之君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            伊藤 和博君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            寺崎 由起君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     松野 頼久君

  重野 安正君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  松野 頼久君     小川 淳也君

  保坂 展人君     重野 安正君

    ―――――――――――――

四月六日

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君、専務執行役米澤友宏君、専務執行役佐々木英治君、常務執行役藤本栄助君、執行役清水弘之君及び執行役寺崎由起君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官櫻井修一君、内閣府公益認定等委員会事務局長原正之君、金融庁総務企画局審議官岳野万里夫君、総務省大臣官房長田中順一君、大臣官房地域力創造審議官椎川忍君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、情報流通行政局長山川鉄郎君、情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君、消防庁長官岡本保君、国税庁調査査察部長岡本榮一君及び防衛省大臣官房審議官岸本邦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川友一君。

小川(友)委員 おはようございます。自由民主党の小川友一と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、国と地方自治体との相関関係の中で、財政面含めながら、運用面含めながら、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一点目ですけれども、今医療の問題が社会的に大きな問題になっていることは御案内のとおりであります。先般、千葉県の方で市民にリコールされた市長さん、自治体病院を閉鎖することによってみずからの身を逸してしまった市長さんがいらっしゃいました。市長にしてみれば、今の市民の多様化されたニーズに対してこたえていくのか、そしてまた、自治体病院を運営する中で、費用対効果を考えたときに、やはり病院を閉鎖することで町全体の市民ニーズにこたえていけるという判断をされたのではないかなというふうに思います。まさに苦渋の選択をした中で、みずから職を逸してしまったということで、私としては、一つの考え方としては非常に残念に思うところであります。

 そんな中で、平成四年であったと思いますが、薬価差益が撤廃され、医療制度、そしてまた今の研修医制度も大きく変わってまいりました。前に私も、金融ビッグバンの後は医療ビッグバンが来る、その医療ビッグバンで一番先にねらわれるのはまさに地方自治体の病院だということを資料で読んだことがあります。

 今、地方自治体の公立病院を取り巻く環境は非常に厳しいわけでありまして、それぞれの自治体が一般会計から相当の額の繰り出しをしながら病院を運営しているのが実態だというふうに思います。そんな中で、国の方では、平成十九年ですから今から二年前になりますけれども、公立病院に対する改革ガイドラインというものをそれぞれの地方自治体に示してくださいというふうな通達を出されました。

 このことに関連して一点だけお伺いをしたいと思うんですが、改革プランを策定しても、そのプランに沿って実行していくということがなかなか難しい実態にあるというふうに私は考えています。なぜかというと、プランは策定しても、それを今度は実行に移す段階で、そのハードルが、それぞれの自治体病院ではなかなか難しい実態があるというふうに認識しています。

 その辺を総務省としてはこれからどのように対応していかれるのか、まずお伺いをさせていただきます。

久保政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、一昨年、平成十九年の十二月二十四日付で、地方公共団体に対しまして、公立病院改革ガイドラインを提示いたしました。各地方公共団体におきまして、平成二十年度中に公立病院改革プランを策定し、経営の効率化、再編・ネットワーク化、そして経営形態の見直し、この三つの視点に立った経営改革に総合的に取り組んでいただくように要請をいたしたところでございます。

 今後、改革プランの策定でありますとかその後の実施状況を定期的に調査いたしまして、その結果を公表するほか、経営改善や再編などの改革に関する先進的な事例につきまして、私どもとして、各地方公共団体にそうした情報を提供して、改革の着実な実行を支援してまいりたいと考えております。

 また、各病院の経営健全化に向けまして、不採算部門でございます過疎地あるいは産科、小児科、救急部門に関します医療などに対する一般会計からの繰り入れ、病院会計へ繰り出すために、このたびの一兆円の地方交付税増額、これは地方財政計画にも同額を計上するということにいたしておりますけれども、それを活用して、平成二十一年度以降、公立病院に関する地方交付税措置を七百億円程度増額いたしまして、三千六百億円程度の規模で財政支援をするということにいたしました。

 さらに、再編・ネットワーク化でございますとか経営形態の見直しにつきましても、例えば、病院の再編に伴う新たな医療機能の整備に要する経費、例えば遠隔医療設備でございますとか患者の搬送のための車の購入といったことにつきまして、一般会計出資債を措置するなど、改革の実施に必要となります経費について財政措置を講じて、各地方公共団体における取り組みを積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。

小川(友)委員 今御説明いただいた中で、自治体病院は、医療過疎の地域に、市民の健康と生命を守るという大義名分の中で、公的な役割を担いながら病院が建設されているということは私もよく理解をしています。

 しかしながら、時代の変遷に伴って、その地域の医療圏の中に大学病院とかいろいろな病院ができてきます。御案内のとおり、不採算部門を抱えた中で、公務員という一つの大きい中で、今、医者は、医療現場の人は労基法に基づいて働き過ぎだというふうなことも言われている中で、民間病院と自治体病院とは大きなギャップがあります。言いかえれば、職員の配置基準、そしてまた看護体制も含め、民間と比べたら公立病院は非常に過多になっているということもよくわかります。

 しかしながら、そういう状況を踏まえ、今、新たに地方交付税の中に七百億円を増額してそれを補っていくというふうな御説明ですけれども、このことは、厚労省との共管をしながら、もう少し根本的に自治体病院のありようというものを精査していかなくては、いつまでたったってこんな問題は、お金を出したら解決するという問題じゃないというふうに私は思います。

 その辺を総務省として今後どういうふうに対応していかれるのか、再度お伺いしたい。

久保政府参考人 まさに私ども総務省だけで解決するような問題じゃないと思っております。

 特に、公立病院、普通、企業会計の場合には使用料を取る、料金を取るということでやっていきますけれども、社会保険診療報酬というのが病院の場合の収入でございますから、それは各病院ではどうしようもできない。そしてまた、今の深刻な病院経営の背景には医師不足ということがございますので、これは、厚生労働省、文部科学省、そして我々も入りまして、政府を挙げて解決をしていかなければいけないと思っております。

 また、私どもとしてできることはどういうことがあるだろうかというので、御議論をいただいておりますガイドラインというのをつくったわけでございますけれども、このガイドライン、いろいろな指標を掲げて経営改善の努力をしていただくということにしておりますが、その前提として、個々の病院の役割といいますか、それがどういうものであるのかというのを徹底して議論していただいて、地方公営企業法の十七条の二には、採算がとれないもの、そして採算をとることが適当でない、そういった分野については一般会計から繰り出さなきゃいけないということにしておりますので、各病院ごとにこの病院の性格は何なのかというのを議論していただいて、そして必要な繰り出しを一般会計からやっていただく。

 私ども、先ほど申し上げました、その一般会計からの繰り出しについて、地方財政措置をやらなきゃいけないところはやっていくということを、すべて総合的にやっていかないと公立病院の改革というのは実現はしないだろう、こう思っております。

小川(友)委員 今、一般会計からの繰り出しのお話がありましたけれども、地方自治体の財政状況というものは、経常収支比率が八〇、九〇なんというところは今余りないんですね。総務省だってつかんでいると思いますけれども、大体一〇〇前後ですよ。その中で、地方自治体の予算規模によっても違いますけれども、結構なウエート、私の選挙区の町は四百五十億ぐらいの予算規模で、その中で八億円の一般会計からの繰り出しをしているというのが実態です。これは、ここの町だけではない。私は三多摩ですけれども、地方から比べればまだまだいい状況です。

 しかしながら、このガイドラインのポイントの中に、占床率が七〇%ぐらいずっと継続したらどこかへ売りなさい、もしくは、業務委託してほかの者にやってもらいなさいというふうなことが書かれているんですね。そういうふうな形だけでは、今この自治体病院の役割とこれからの公立病院のありようというものは是正がされないというふうに私は思っているんです。

 今、総務省の方は、一般会計からの繰り出しがどうなのかというので、財政的にもう少し整理をすればいいじゃないかというだけで、この問題は私は解決をしないというふうに思いますので、どうぞ、しっかりと関連のところと共管をしながら積極的に取り組んでいただきたいとまずお願いをさせていただきたいと思います。

 あわせまして、私も地方自治体で働いて、現場で働いた経験が長いわけでありますけれども、過去、今、国も含めて、地方自治体の財政というものは歳入も非常に厳しくなってきた。そして、将来は生産人口が減っていくわけですから、歳入増になっていくということは非常に難しい状況だと思います。

 そんな中で、以前は、総務省は五年ごとにそれぞれの自治体に行財政改革大綱を策定しなさいというふうな通達を出していました。それぞれの自治体は、総務省、国がそういうふうに言うから改革大綱を出しておけばいいじゃないかということで出していました。国はその大綱に対してほとんどチェックをしていません。ノーチェックです。要するに、一生懸命やっているのかやっていないのかのチェックもしていない。

 そして、その財政指標をつくるときに、どうにでも地方自治体は工夫ができるんですね。極端に言えば、人件費比率が少し高過ぎるから物件費に織り込んでしまえばいい、もしくは委託料の中に人件費を盛り込んでしまえば比率は下がっていくじゃないかと、工夫をしながら財政指標を提出しているんですね。その辺のチェックをしていないから、最後は夕張みたいなことが起きてしまうんです。

 夕張はだれが悪いのか。これは、市長も悪い、それをチェックしなかった議会も悪いかもしれない。しかしながら、統治をしている国があらゆる面で地方自治体にたがをはめているわけですから、国がもう少し前へ出て整理をしていかなくてはいけないのではないかなということも日ごろ感じています。

 そんな状況の中で、一昨年、十九年に、私も前、菅総務大臣にも御指摘させていただいたことがあるんですけれども、いわゆる財政健全化法に基づいて財政指標を公表しますよ、公表しますよということは、あなたの自治体は一生懸命改革をやっていないんだからということで、指標を出すことによってみずからの啓発を促すような形の法律ができました。

 私は、こういうふうな形で指標を公表するだけで地方はこの問題に対してしっかりとやっていくかというと、そうでもないんですね。国で、法律で、地方自治体が運営が難しい状況になったときには地方交付税で賄いますという大きい旗印があるんです。本当は、地方自治体の議会も執行部も、ある程度の人は、いわゆる改革をして投資的経費を生み出すことと、いわゆる地方交付税の交付団体と不交付団体のバランス、この辺を履き違えている自治体がたくさんあるんです。

 国は、そうではないと言っている。改革して投資的経費を出して、市民ニーズにこたえていろいろな事業をやる。だけれども、そのことと、いわゆる交付税を受ける、再建団体になる寸前の町と、不交付団体になるならないの一つの線引きの中で、地方自治体は余りそういうふうな意識を持っていないんです。そんな状況の中で、今のこの財政健全化計画で財政指標を公表するだけで、本当にこれから地方は財政再建していけるのかどうか、私は疑問に思うんです。

 そこで、私は、国がもっと前へ出て、その指標をチェックしていきながら国が管理していかなければ、いわゆる夕張に近いような、再建団体に近いような自治体が今たくさんあるわけでありますから、なってからするのではなくて、事前にしっかりと整理をしていくことがこれからますます求められるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

久保政府参考人 地方財政は、この平成十九年度決算ベースで見ましても、百九十九兆円の借入金残高がございますし、社会保障関係経費などの義務的経費の増加などによりまして財政構造が硬直化しているといったことで極めて厳しい状況にございまして、歳出改革などを通じた地方財政の健全化に取り組んでいく必要がございます。

 また、私どもといたしましては、地方財政計画を策定するときに、やはり正確なといいますか、実態を調査して、地方財政計画の歳出を的確に把握していく、そして、それに必要な歳入、昨今のように、平成六年以来巨額の財源不足が続いておりますけれども、こういったものについては確実にそれを埋めていくといったことを一方で行っていく必要があると思います。

 そして、御指摘がございますように、ことしの秋から公表されます平成二十年度の各地方公共団体の決算から、地方公共団体の財政の健全化に関する法律が完全に施行されます。すべての地方公共団体は、財政指標を算定の上公表する。公表につきましては既に十九年度決算から行われておりますが、この公表のみならず、今後は、財政指標のいずれかが早期健全化基準以上である場合には財政健全化計画の策定が義務づけられますし、また、財政再生基準以上でありますと財政再生計画の策定が義務づけられるといったように、計画的な財政の健全化が図られていくというふうに考えております。

 この財政健全化法の思想といいますか、これは、財政状況に関する情報開示を徹底することによって、まずは住民の皆様によるチェック機能を発揮させて、そして分権時代にふさわしい地方の自己規律による財政の健全化を推進しようというのがその目的でございます。

 ただ、私ども総務省といたしましても、御指摘にございますように、報告をされる財政指標の状況を把握したり、また、それだけではなくてそのほかの決算データも勘案しながら、それぞれの地方公共団体の財政運営の実態を把握して、個別の地方公共団体の財政運営について、技術的な助言を徹底していきたいと考えております。

小川(友)委員 今御説明を賜りましたけれども、私は、今お答えをいただいた内容で地方自治体が財政再建ができるような状況に向かっていくということは非常に厳しい状況ではないかなということを感じています。

 国はいろいろな面で、現行はですよ、いずれは分権が進んでいくと思いますけれども、総務省は権限、財源を地方に渡すということは嫌がっていますけれども、いずれそういう時代が来ると思いますよ、そういうふうな状況の中で、今はですよ、今はそういうふうな形で国の方から地方自治体を管理しているわけですから、しっかりとチェックをしていただくようにお願いさせていただきたいと思います。

 たしか平成十二年だと思いますけれども、地方分権一括法が制定されました。御案内のとおり、これは、機関委任事務とか法定受託事務とか行政事務とか一般的な事務を、今までしていたことを自治体に投げただけで、地方自治体の自主性というものはほとんどないわけであります。

 地方自治体は、歳入が減少している、歳入欠陥の中でそれぞれ工夫しているんですね。非合法ではありますけれども、それぞれの自治体が要綱で、条例をつくるわけにいかないので要綱で、いわゆる開発負担金とか教育負担金だとかといって開発業者にそういうふうなものを強いたりして、非合法の中で財源を確保している状況があるわけであります。

 そんな中で、今私がお話しさせていただきましたように、それぞれの自治体の自主課税権というものが非常に薄いわけでありまして、自治体が独自な何かをやろうとしても、常に国がそれに歯どめをかけているのが実態であります。

 そんな中で、平成十何年でしたか、これに対する制限税率をある程度かさ上げしたり撤廃したりしているんですね。撤廃したりするのはいいんですけれども、極端に言えば、固定資産税は上限を、制限を撤廃しますよといったって、隣の町、近隣市がある程度の一定の中で、突出してその自治体だけが固定資産税を膨大に税率を上げるということは、実際、無理な話なんですね。

 ですから、税率の制限は撤廃していますよ、それから法人税だって、今までは一・一だったけれども一・二にしますよとか、形はできていますよ。形はできていますけれども、もう少し地方自治体に自主的に課税ができるような仕組みというものを持たせていただかないと、地方はなかなか独自の施策や、まさに地方自治というのは可能性の宝庫だと私は思っているんですけれども、その辺、国の方としては課税権に関してどういうふうにお考えをしているのか、再度お伺いをさせていただきます。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 地方団体の課税権につきましては、地方税法の中で一定の枠を設けまして、その範囲内で課税することができる、こういう基本的な仕組みになっているわけでございますけれども、その中で、地方団体の判断で課税自主権の活用が図られますように、一つには法定外税の仕組み、それから超過課税を可能とする仕組み、こういったものを設けているところでございます。

 お話ございましたように、こういった課税自主権を拡充するということは地方分権の推進の観点からも重要でございまして、制限税率の関係について申し上げますと、例えば平成十年度改正におきまして個人市町村民税、それから平成十六年度税制改正におきまして固定資産税についての制限税率を廃止いたしましたほか、逐次制限税率の引き上げなどを行ってきているところでございます。

 こうしたことによりまして、現在、法人関係税が多いわけではございますけれども、固定資産税や個人住民税などにつきまして超過課税が実施をされておりまして、平成十九年度の実績ベースで申し上げますと、超過課税の税収は約六千九百億円程度というふうになっております。

 もちろん、こうした超過課税等を行いますためには、納税者の理解を得る努力等が必要でございますけれども、地方団体の判断によって条例でこういったことを活用できるわけでございますので、地方団体なりその議会におきましてよく検討を行っていただいて、活用をしていただくということが重要であろうと思っております。

小川(友)委員 条例で制定してもなかなか地方自治体はできないという実態を認識していただきたいとお願いをして、質問を終わります。

赤松委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 四月の五日に北朝鮮からミサイルの発射が行われたわけでありますが、情報管理と申しますか、誤情報があったということでございますので、本日はこのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 今回のミサイルの発射というのは、我が国のみならず北東アジア地域の平和と安全を脅かす行為であって、断じて許すわけにはまいらない、このことをまず初めに申し上げたいと思います。

 北朝鮮が人工衛星と主張しておる長距離弾道ミサイルが、四日の午後零時十六分、発射された模様だといった誤った情報が自治体、報道機関に流れた。その後、五分後にこれを取り消しされたわけでありますが、自治体は大変な混乱が生じたというようなことがございます。これが第一点ですね。

 それで、秋田では、午前十一時過ぎに発射の誤情報が県から全市町村に電子メールで一斉に伝達される騒動があった。県では、自衛隊員から口頭で情報が伝えられたと説明をした、防衛省もコンピューターのふぐあいであったということを認めたということで、この二つの誤情報が流れたわけでございます。

 まず初めに、きょうは防衛省からおいでいただいていると思いますが、この誤情報についての原因を簡潔に説明していただきたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 四月四日の防衛省からの誤報でございますが、まず、午後というか、十二時十六分の事案でございますが、航空自衛隊の千葉県飯岡にございますレーダー、FPS5というものの探知情報につきまして、今回の事案の対応の統括をしております航空総隊司令部、ここに情報が入ってまいりましたときに、そこの司令部の担当者が、スパーク・インフォメーション、飯岡探知、こういうことをレーダーの部隊から連絡を受けたわけですが、それを航空総隊司令部内に伝達する際に、別な言葉で伝達をしたというか、飯岡探知、SEW入感というふうに伝達したわけでございます。このスパーク・インフォメーションというのは、こういうレーダーを担当している者の用語として、弾道ミサイルの発射の探知情報の意でございます。他方、SEWというのは早期警戒情報のことでございます。

 今申し上げましたように、航空総隊司令部内でそのように伝達された形のものが、今度は防衛省の中央指揮所の担当官の方に同じように、飯岡探知、SEW入感というふうに繰り返し伝えられ、それで、中央指揮所の担当者が、SEWの有無を確認することなく、発射というアナウンスをいたしました。それを官邸でモニターしておりました防衛省の連絡官を通じて、官邸危機管理センターの方に発射という形で伝達されたわけでございます。

 これはまさに、情報が正確に伝えられなかったというところ、それからSEWの有無をきちっと確認できていなかったというところに原因があろうかと思っております。

 また、同日午前中、秋田県で発生いたしました誤報の件でございますが、これは、陸上幕僚監部においてコンピューターの操作中に問題が生じまして、秋田県庁に派遣されておりました陸上自衛官に誤って編集中の緊急メッセージが送信され、同連絡官が秋田県の職員にそのことを伝達したために生じたものでございますが、本来、自治体への発射情報の伝達は内閣官房よりエムネットを通じて一義的に行われることになっておりましたので、この情報を自治体に流すということは適切ではなかったということを考えています。

谷口(隆)委員 今のをお聞きしますと、やはり人為的なミスだったということのようでございます。

 今回、今まさにおっしゃった秋田の件では、エムネット、緊急情報ネットワークシステムを使って自治体、報道機関また住民に情報を流していくということのようであったわけでありますが、人為的なミスがあったということなんです。だから、そもそも、そういう意味では、防衛省の情報管理といいますか、正確な情報を流し得なかったということは十分反省をしていただかなきゃなりませんし、一方で、エムネットという緊急情報ネットワークシステム、このシステムがこれでいいのかどうかというような状況もまた検討しなきゃいかぬと思います。

 このエムネットは、大体三割程度まだ穴があいているわけですね。全国の自治体は七割ほど接続しているという状況でございますが、三割ほど穴があいているというようなことで、また一方で、後でお伺いをいたしたいと思いますが、Jアラートという消防庁が所管しておる全国瞬時警報システムというものがあるわけでございます。

 今回エムネットを使って情報を送ったということに対しまして、Jアラートとの比較ということも想定してネットワークシステムの説明をお願いしたいと思いますが、例えば長崎県では、佐世保と川棚町ではエムネットのふぐあいで受信できなかったというようなことも起こっているようでございます。内閣官房、きょう来ていただいておりますが、このことについて御説明をお願いいたしたいと思います。

櫻井政府参考人 お答えいたします。

 議員の御質問は二点あったと存じます。

 まず一つは、エムネットとJアラートの比較という御質問が前者だったと思いますけれども、これについては、それぞれ使用の目的、伝達する情報の内容が異なっていますので、いずれの情報手段も必要なものというふうには考えています。

 それで、比較ですけれども、具体的には、エムネットは、基本的には、事態対処法に基づいて事態認定が行われた後に、国民保護法に基づく、国から都道府県に対する避難措置の指示や、あるいは国が発令した警報等の文書を都道府県等に迅速に伝達するための手段として整備してまいりました。一方、Jアラートにつきましては、国が市町村の同報無線を自動起動させまして、サイレンとあらかじめセットされている音声に基づいて武力攻撃に関する情報等の緊急情報と避難すべき旨などを瞬時に住民に伝達するもの、そういう違いがございます。

 政府としては、これに関しましては、エムネットとJアラート、それぞれの特性を踏まえて、状況に応じて、それぞれの利点を生かして、適切な手段あるいは組み合わせにより、迅速かつ確実に地方自治体や国民に必要な情報を伝達するように今後とも努めてまいりたいと思っています。

 それから、もう一点のお尋ねであります。長崎県佐世保市、川棚町で受信できなかったという報道がございました。これにつきまして申し上げます。

 まず、基本的には、エムネット自体については信頼性の高いシステムだというふうに考えております。

 それで、今回の御指摘の点につきまして、長崎県を通じましてふぐあいの原因について聞いてみました。調査したところ、エムネットの機能そのものに問題はなかったということ、それから、佐世保市につきましては、ネットワーク機器の点検等を行ったところ、エムネットの機能が復旧しまして受信ができたというふうに聞いております。それから、川棚町につきましては、サーバーの異常を確認しまして、その復旧後には受信ができたというふうに聞いておりますから、それぞれの市、町の庁舎内のネットワーク機器の一部にふぐあいがあったものと考えておりまして、エムネットそのもののふぐあいではなかったというふうに承知しております。

 いずれにしても、ユーザー側におかれましても、各種機器の点検整備の徹底、それから使用方法の習熟を図るように、訓練を含めまして、今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。

谷口(隆)委員 次は、Jアラートについてお聞きいたしたいと思いますが、そういう緊急情報を提供するシステムが二つあるというようなことが混乱にならないのかというような問題意識が一つにはあるわけであります。

 そもそも、このJアラート、全国瞬時警報システムというのは、人工衛星経由で防災無線などを自動起動させて、消防庁からの発信とほぼ同時に住民に安全に関する情報を伝えられるものである。しかし、まだこの整備率が約一五%程度なんですね。

 そういうことで、Jアラートが使われるのは有事のときというようなことを言われておるようでございますが、やはり一般の方がテレビとかラジオでしか速報を受けられないということについてはおかしいのではないか。危機管理の専門家も、Jアラートの整備をもっと進めるべきであるというようなことをおっしゃっておられるわけでございます。消防庁長官、来られていますので、このことについて御見解をお聞きいたしたいと思います。

岡本(保)政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、緊急事態の情報につきましては、これを迅速かつ確実に住民に伝達するということは重要なことであるというふうに認識をいたしております。そのためには、それぞれの伝達手段の持っております特性、あるいはその普及状況等を踏まえまして、いろいろなツールを確保するということが必要であると考えております。

 テレビ、ラジオなどの報道機関を通じた情報伝達といったことは、広く住民に伝達できるという有効な手段ではございますが、一方で、屋外にいる方あるいは仕事中など、そういう媒体を視聴していない方にどうやって伝達するかということも課題でございます。今回の事案でも、市町村では、そういうこと以外にメールの配信でありますとか車両で巡回するとかいろいろなことをやっておられますが、今委員御指摘のように、私どもといたしましては、緊急事態の情報につきましては、市町村の防災行政無線と直結をしていますJアラートが非常に有効な手段であるというふうに考えております。

 残念ながら、今御指摘のように、まだ二百強ほどの市町村にしか行き渡っておりませんが、これらの情報を少しでも早く国民にお伝えできるような、そういう意味での情報体制の整備、Jアラートの整備というものを進めていかなければいけないというふうに考えております。

谷口(隆)委員 そこで、総務大臣にお聞きいたしたいわけでありますが、このJアラートの整備に、防災無線の設備費を除きまして、一自治体当たり平均七百万ほど必要だというようなことのようでございます。

 この際、これを導入いたしまして、先ほど申し上げましたように一五%程度でございますので、国民の安心、安全体制を早急に整備していく必要があるのではないか、このように考えておりますが、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

鳩山国務大臣 私も谷口先生と全く同じに考えておりまして、今回の北朝鮮の飛翔体の発射ということで、エムネットとかJアラートとかいろいろなことが話題になって、かえって国民の関心が高まってよかった、これを機会に、こうしたシステムについて大胆に、素早く整備をしていくことが何よりも大事だと思っております。

 エムネットの場合は、例えば、先生御指摘のように、まだシステムを整備していないところが三分の一ぐらいの自治体に上っているわけでございます。Jアラートに至っては、何と県でも、大分県だけは整備しておりません。したがって、四十六都道府県ということになります。そして、二百八十四市区町村ということでありますし、このうち、例えば津波だとか大地震だとかミサイル発射ということを連絡しても、いわゆる防災行政無線で、直ちに音声で屋外にいる人たちに連絡がつく、音声で連絡できるところは二百十一市区町村にとどまるわけでございますから、これはかなり少ない、非常に低い率でございます。

 これを一気に高めるために、今、もちろん地方財政措置は、多分これは四五%補助だということだと思いますが、最終的に九〇%を起債対象として、その元利償還金の五〇%を交付税ということですから、国が四五%、地方が五五%という割合。大体先生がおっしゃったような金額のもののように私も聞いておりますが、場合によっては、これをさらに後押しするような施策が必要になってくるのではないかと思います。

谷口(隆)委員 ぜひ進めていただければというように思っております。よろしくお願いいたしたいと思います。

 それで、ちょっと時間が残っておりますので、地上デジタル放送の受像機の普及状況について、短時間でお聞きいたしたいと思います。

 地デジの受像機の今現在の普及状況と、二〇一一年七月二十四日があと残り二年四カ月ほどになりましたから、このままいくと、二十一年度、どの程度普及が拡大されるのかということを、まず山川局長の方から御報告いただきたいと思います。

山川政府参考人 社団法人電子情報技術産業協会等で公表している統計データがございます。それによりますれば、ことしの二月末の受信機の普及台数自体は四千八百十三万台でございまして、当初の目標を若干上回っているわけでございますが、総務省において本年の一月に実施いたしました調査によれば、地デジ受信機の世帯普及率は四九・一%、大体二千四百五十五万世帯と推定しておりますが、目標の五八%を大きく下回る結果になっております。

 したがいまして、私どもといたしましては、この普及状況につきましては、極めて厳しい状況にあると認識しております。

 昨今の厳しい経済状況ということを踏まえますと、今年度時点の普及目標の達成はかなり厳しいものになるというふうに思っておりますので、今後、国と関係者が一丸となりまして、国民への周知広報の徹底でございますとか、高齢者等へのきめ細かいサポート、あるいは経済弱者へのチューナーの配布など、最大限の取り組みを行っていくことが必要というふうに認識しております。

谷口(隆)委員 あと五千万台ぐらい普及していかないと、なかなか目標に達せられないと。

 これは大臣が国策だということをおっしゃっておられるわけでございますが、二十一年度は、仄聞しておりますところ、この上昇カーブで行くと大体一千二、三百万台、そういうような状況になりまして、このままいきますと、あと残り二年四カ月でどうも目標を達せられないという可能性もある。

 とにかく国民の皆様に周知徹底もしなければなりませんし、地デジの受像機を買いかえていただかなければなりません。また、今までのアナログテレビのリサイクルという問題もあります。私は、何らかのインセンティブをつけて方針を考えていく必要があると思っておりますが、大臣、御見解をお願い申し上げたいと思います。

鳩山国務大臣 地デジ移行は国策であると何度も申し上げ、最終的な責任は、国策である限り、国がとるということも申し上げております。

 私、法務大臣をやっておりましたときに、裁判員制度が始まるということでありまして、これもまだ随分あるなというのが、あっという間にやってまいりました。

 総務大臣になってちょっとしたときに、あと一千日だということで、ちょうどデジサポ等をつくったのがそのころだったと思うんですけれども、これがもう、考えてみると、再来年の七月二十四日。こういう日はあっという間にやってまいるわけで、現在、ちょっと世帯普及率が下回っているという状況は非常に心配でございます。

 したがって、今後、ありとあらゆる政策をやって、再来年の七月二十四日にすべての世帯で地上デジタル放送が受信できるようにしなければなりません。それは、ほんのわずかは一部衛星を借りるということはあるかもしれませんが、基本的に全部の家庭で見ていただけるようにしなければならないわけでございまして、経済的に困窮度が高い世帯、いわゆるNHK受信料全額免除世帯が二百六十万世帯あるわけですが、今年度の予算で組んでおりますのは、六十万世帯分、百七十億円でございます。

 例えばCATVの方も使う、そうすると、そういうところにも支援をすべきだとか、さまざまな問題がございますので、これは新しい経済対策との絡みで、新しい経済対策をやるのであるならば、地デジ移行へ大きな追い風となるように持っていくのが筋だと思って、私はそういう方向で努力をしたいと思っております。

谷口(隆)委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、ぜひ、今の地デジの問題は本当に重要でございますので、大臣、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

赤松委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 また再び当総務委員会にてこうして質疑のお時間をいただきましたこと、委員長を初め各党の皆さんに心から御礼を申し上げる次第でございます。

 まず最初に伺いたいのは、三月十七日に当委員会におきまして、町田参考人の意見陳述の中で配付された資料に対して、日本郵政が、内容証明を送って、そして、謝罪をしろ、また謝罪がない場合には二週間後に法的手段に訴える可能性があるというような内容証明を送ったという話がございます。

 その件について、日本郵政、間違いはないでしょうか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、三月十七日に開催されました総務委員会に参考人として出席された町田徹氏に対しまして、彼の提出されました資料について客観的な事実に明白な誤認がございましたので、四月一日に、同人あての内容証明郵便物により訂正を求める請求書を郵送したところでございます。

松野(頼)委員 その封筒を見ると、日本郵政株式会社、住所が書いてあって、取締役兼代表執行役社長、部署名、西川善文という形で封筒の裏側に記載をしてあるわけですね。

 この内容証明を送ることに対して決裁をしたのは一体だれですか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 本件は、町田氏の提出されました資料中、横山専務に関する記載が事実に相違いたしておりましたことから、同専務に確認の上、送付したものでございます。

松野(頼)委員 決裁権者はだれですかと伺っているんです。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 本件は、経済ジャーナリストである町田氏に対しまして訂正を要求する内容でございました。したがいまして、報道関係を担当する横山専務執行役の決裁により行われたものでございます。

松野(頼)委員 伺いますが、この資料は、各党の理事が理事会にて合意をして、委員長の判断によって、委員に限り配付をした資料でございます。どうやって入手したんですか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 資料につきましては、具体的にどこからということについては今ちょっと手元に情報がございません。

松野(頼)委員 どうやって入手したのか、お答えいただけないでしょうか。

米澤参考人 申しわけございません。今手元に、どこからという具体的なところは私のところにございませんので、申しわけございません。

松野(頼)委員 委員長、今私が申し上げたとおり、私も二年前まで議運の筆頭理事をしておりましたので、これは議会運営の根幹にかかわる部分であります。

 これは、委員長の御決裁によって、参考人が意見陳述の補助として、理事会で合意をし、委員長が決裁をされて、委員限りに配付をする資料であります。きちんと、どこから入手をしたのか、明らかにしていただきたい。お待ちいたしますので、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。

米澤参考人 調べて御報告申し上げたいと思います。

赤松委員長 米澤専務執行役、今の審議中にお願いします。

 松野頼久君。

松野(頼)委員 これは質疑の根幹にかかわる部分なので。どういう形で入手をして、それを確認して、内容証明を送って、何らかの返答がない場合には二週間後には法的措置に切りかえるというふうにおっしゃっているんですね。その資料の入手経路を、ぜひ、これは質疑の大事な根幹でありますので、お待ちしますので、ちょっと明らかにしていただきたいと思います。

米澤参考人 今、至急調べて御報告申し上げます。

赤松委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤松委員長 速記を起こして。

 松野頼久君。

松野(頼)委員 きょうは本会議があるということで、本来ならばここでお待ちをするところでありますけれども、この件は、どうかこの質疑中、なるべく早いときに確認をしていただいて、御報告をいただきたい。この質疑の最中にぜひ確認をしていただきたいと思います。

 では、この件を飛ばして、次に進みたいと思います。

 今回、鳩山大臣が業務改善命令を出されました。その報告書をいろいろ拝見して、幾つか質問をしたいというふうに思うんです。

 まず、日本郵政の方に伺いたいんですが、今回のメルパルクを含んだ七十数施設の売却に関して、これは、メリルリンチのアドバイザーから二回も中止を含めた提言があったにもかかわらず、特に平成二十年度は不動産の市況が非常に下落をしている最中でありますから、当然このアドバイザーの提言というのは私はよく理解ができるんですけれども、なぜこの時期に売却を急いだのか、お答えいただけないでしょうか。

佐々木参考人 先生今御指摘のとおり、メリルリンチからは市場悪化のウオーニングがありましたほか、三つの選択肢が示されたところでございます。

 一つ目は、本件実行を取りやめる、二つ目が、当初予定どおりの内容で実行、三つ目が、内容を一部変更して実行というふうな選択肢が示されたところでありますが、事務方において検討の結果、私ども、世田谷のレクセンターの評価を譲渡の対象外とする、それでも十分な評価額でないため、全体の価格引き上げを要請するという内容の再提案を求めまして、もし万一満足のいく内容の提案が得られなければ本件実行を取りやめることも含めて検討するという方針にいたしまして、その後、経営層にも確認をして対応したということでございます。

松野(頼)委員 なぜこの時期に売却することを決断されたのか。そして、その決断をされた決裁権者はだれですか。

佐々木参考人 以前先生にもお答えしたかと思いますが、そもそも二十四年の九月三十日までに譲渡もしくは廃止を終えなければいけないという期限がございました。それから二番目には、毎年赤字を出す事業であるということで、できれば早くこれを譲渡もしくは売却したい。それから三番目には、もと宿泊事業部の施設に携わる職員の今後の不安をより早く解消して方向性を早く出したいということが理由でございます。そういう意味で、早く譲渡を終えたいと思った次第でございます。

松野(頼)委員 まず、その時期に関しては、二十四年までに売却をすればいいわけでありまして、不動産市況が最悪の状況になるであろうというこの時期に売却をお決めになるという理由には私は聞こえないんですね。

 二点目、赤字を出している施設であるということでありますけれども、赤字を出している施設、これは、お配りをしてあります資料の3をごらんください。

 メリルリンチから平成二十年六月にインフォメーション・メモランダムということで、これも総務省が指摘をしていることでありますけれども、かんぽの宿を含めた収益見通しといって、二〇一〇年三月には全部黒字になるというふうにメリルリンチは試算しているじゃないですか。最大、二〇一四年には十七億利益が出るということをきちんとメリルは報告しているんじゃないですか。

 だから、赤字を出すからこの売却を急いだんですと言って、一方では売却を急いでいる、一方では、これを買ってもらうお客さんには、こういう形で二年後からは黒字になりますよということを言っているんです。一体これはどういう整合性があるんですか。もう一回御説明ください。

佐々木参考人 先生が今指摘なさいましたのは、おっしゃるとおり、インフォメーション・メモランダムというところに掲げられた数値でございます。

 このインフォメーション・メモランダムの損益見込みと申しますのは、外部の専門家に査定してもらったものなんですけれども、今私どもが持っているリソースだけじゃなくて、ある意味、理想的な形で経営すればこういうことも可能であるという形で試算をしたものだというふうに理解をしております。

 もちろん、全く荒唐無稽ではないんですけれども、例えばいろいろなシステムだとか、あるいはマネジメントだとかを一番いい姿でやった場合の試算値だということで理解をしておりまして、こういう事業譲渡の場合には、通常こういう予想の試算が添えられるということは往々にしてあるというふうに承知をしております。

松野(頼)委員 一方では赤字が膨らむから早く売らなければいけないと言っておいて、一方では、こんなにもうかりますよ、来年度からは黒字が出ますよという試算を自分たちで持っているわけじゃないですか。

 では、何でこの試算に基づいて、経営努力をして赤字を黒字にしようとされないんですか。おかしいじゃないですか。もう一回お答えください。

佐々木参考人 確かにおっしゃるように、こういう試算値はございますけれども、先ほど申し上げましたように、これは今私どもが持っているリソースを理想的に駆使して経営した場合ということでございまして、この試算の前提になっておりますのは、例えば、今食堂、飲食部門を委託しているところがございますけれども、この試算の前提は二十一年度の四月から全部を直轄でやるというふうな前提になっておりましたので、そこの部分は現実問題として困難かというようなことが難しい理由かと思います。

松野(頼)委員 ということは、困難である試算を、売り先には渡したということですか。

佐々木参考人 先ほどの答えと同様でございますけれども、困難というよりは、こういう施設を理想的に運営した場合にはこういうことも期待できるという一つの見通しという数値で示したものでございまして、受け取られる方も、一応そういうふうな前提で受け取られるものと承知をしております。

松野(頼)委員 試算というのは、実態を数字に落とすことが試算なんです。空の数字じゃないんですよね、試算は。それに対して金融機関もお金を貸すわけですから。融資を頼みに行くと、いつも試算表を出してくださいと。それは空の数字じゃないんですよ。実際の数字を数字に落として試算をするのが試算なんですね。

 次年度からは利益が出ると自分のところで試算されているじゃないですか。その数字を持っていながら、赤字が膨らむから早く売らなきゃいけないんですと言うのはおかしくないですか。

 この試算のとおり、日本郵政で運営すればいいじゃないですか。二年目から黒字が出るんでしょう、二〇一四年には十七億の利益が出るんでしょう。そういう見通しをメリルリンチから日本郵政はもらっているわけですよね。何でこのとおり運営しないんですか、売却を急ぐんじゃなくて。もう一回答えてください。

佐々木参考人 先ほどもお答えしましたが、私どもといたしましては、今のこの運営をきっちりやっていきながら経営改善をやっていくというのが現実的な問題として課されているわけでございまして、先ほども申し上げましたように、予想図のような状態で、理想的な状態で運営できるということはすぐには困難かと思います。

 もちろん、大臣からも年度末に条件をいただいておりまして、経営改善に向けての最大限の努力はやっていかなければいけないと思っておりますが、直ちに先生今御指摘のような見通しに沿った経営というのは難しい部分がございます。

松野(頼)委員 では、鳩山大臣、どうでしょうか、今の議論を聞いていて。

鳩山国務大臣 今委員の先生方お聞きになったような、国民共有の財産であるかんぽの宿の処分の問題について全く覇気のないことを平気でおっしゃる。

 つまり、今、松野委員が示されたメリルリンチ作成のものもある。それ以前に、もともと簡易保険法でもうけてはいけないということが明記されているからもうけなかった、低料金に抑えてきた。ただでお風呂に入らせて、ただで泊めたって、簡易保険法を読めばそれも可能だ。一部の費用は取ることができると書いてある。ところが、そういうふうな形で運営、経営されてきたかんぽの宿がまるで赤字を垂れ流す不良債権のようなとらえ方をする。だから一日も早く売り払わなければいけないと言う。しかし、今、松野委員が示されたような資料もある。

 およそ、本気で黒字化を目指す経営改善をして価値を高めようという覇気が感じられない。そういう点があったから、私は、業務改善というか、監督上の命令もした。それから、三月三十一日、事業計画を認可するに当たって、こんな覇気のないものは認可できないと。つまり、かんぽの宿に関しては大体三十八億円ぐらいの赤字だという、そんな覇気のない、まるで何か安くたたき売るための理屈を見つけるような、そういう態度に対して私は認可の条件をつけた、こういうことでございます。

松野(頼)委員 全く大臣のおっしゃるとおりで、一方では、買ってもらうお客さんには、二年後から黒字が出ますよ、二〇一四年には十七億の利益が見込めますよと言って自分たちでは売却をしているわけですね。一方では、四十億、毎年三十八億の赤字が出るから早く売却をしなければいけないと言って、百九億という価格で売却の契約まで行っているわけです。

 もう一ページめくってください。

 その百九億という価格に関して、メリルリンチが当初この物件に対して想定した価格は、六百四十億ぐらいで売れるでしょう、だから、自分のところの手数料はこれに掛ける一・五%ですよといって、九億円という金額を算定しているんですよ。固定資産税の評価額は八百五十六億です。六百四十億で売れるでしょうというメリルリンチのこの試算は、私は、低目に見積もっているけれども、まあ妥当な金額だと思います。

 こういう数字を持っていながら、なぜ百九億での売却の契約書に判を押したのか。これを答えていただけないですか。

佐々木参考人 今先生御指摘の数字というのは、この譲渡のディールが始まった、あるいは始まる前の状況に応じて見込まれた数字だろうと思います。

 その後、御案内のような市況の悪化、あるいは、一番の理由といたしましては、今回のこのディールが事業譲渡ということで、職員の雇用を維持しつつ事業を継続的に発展させていくというような条件をつけて試算した結果、最終的には百九億という数字になったというふうな経過でございます。

松野(頼)委員 事業譲渡としてメリルリンチに試算させたんでしょう。

佐々木参考人 このメリルリンチの試算は、事業譲渡だということでございます。

松野(頼)委員 だから、メリルは事業譲渡として六百四十億と見込んでいるじゃないですか、六百四十億と。この資料は、日本郵政がメリルリンチに頼んで出した金額なんでしょう。六百四十億と百九億、余りにも開きがあるなということを感じなかったんですか。

佐々木参考人 確かに、当初見込んでいた数字よりは低いということではございましたけれども、この状況下で百九億、事業譲渡という形で考えれば、妥当な数字かなと思った次第であります。

松野(頼)委員 今、笑いが出ていましたけれども。

 これは、六百四十億ですよ、メリルリンチは、大体これぐらいでは売れるでしょうねと。多分、低く見積もっているんですよ。固定資産税評価額は八百五十六億円です。課税庁が適正な時価として地方税法の中で試算をした金額というのが固定資産税の課税標準なんですね。それが、税をかけるに当たって課税庁が判断する適正な時価なんですよ。それよりまだ低いこのメリルの金額もいかがなものかと思うけれども、それでも六百四十億あるんですよ。それを、なぜ百九億で売り急いだのか。その売り急いだ理由は一体何なんですか。

佐々木参考人 先ほどもお答えしましたように、五年以内の譲渡もしくは廃止を完了しなければならない。この状況下で、今回延ばした場合に、この先必ず市況が好転して状況がよくなるという見通しが立たなかったものですから、この状態で決断をしたということでございます。

松野(頼)委員 麻生総理は全治三年とおっしゃっているんですね。三年後には景気が回復されると、今の日本国政府のトップである麻生総理はおっしゃっているんです。五年間あるんですよ、五年間。

 今、この不動産が一番下落をしている最中に、ましてやアドバイザーが六百四十億ぐらいでは売れるでしょうといって出したものを百九億で売るということ、まず、これはだれが決裁したのか、お答えいただけないですか。

佐々木参考人 関係の役員が当然決裁に関与しておりますし、最終決裁権者は社長だということでございます。

松野(頼)委員 きょうは国税庁に来ていただいております。

 国税庁に伺いますけれども、余りにも極端に低い金額で不動産を売買した場合、買った方、売った方、双方とも受贈益の課税があると思うんです。今の議論を聞いていただいて、固定資産税評価額は八百五十六億円、アドバイザーが算出をした金額は六百四十億円、そして実際に契約書に判こをついた内容、鳩山総務大臣がぎりぎりでとめたから売買に至りませんでしたけれども、百九億円。固定資産税評価額の八分の一、アドバイザーが算出をした金額の六分の一、もしこの金額で売買が実行されていたら、受贈益課税の対象になるでしょうか。

岡本(榮)政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄につきましては控えさせていただきますが、一般論といたしまして、今御質問にございましたように、法人が時価よりも低い価格で資産を購入した場合の税務上の取り扱いにつきましては、時価と購入価格の差額は原則として益金の額に算入され、法人税の課税対象となります。

 また、売り手の側でございますが、売り手である法人につきましては、その時価と譲渡価格の差額は原則として寄附金の額に該当し、損金算入限度額を超える部分の金額は損金の額に算入されず、法人税の課税対象となります。

 なお、個々の取引価格が時価と認められるかどうかにつきましては、個々の事実関係、諸事情を総合的に勘案して判断することとなります。

松野(頼)委員 事業譲渡であろうと、不動産を売買する場合には、余りにも一般常識からかけ離れて安い金額で売買をすると、売る方も買う方も課税対象になるんですよ。

 こんなことが許されるならば、土地、不動産に対して税金を払う人はいなくなっちゃいますよ。何でこんなことが認められると思ったんですか。もう一回お答えください。

佐々木参考人 何でということですが、私どもとしては、簿価と、それから私どもの有した純資産の価額等を総合的に判断し、当時の状況を見て、これで妥当な価格であろうというふうに判断した次第でございます。

松野(頼)委員 事前に課税当局に打診をしたことはありますか。

佐々木参考人 ございません。

松野(頼)委員 一般の株式会社であれば、もう重々御承知だと思いますけれども、会社の資産を余りにも一般常識からかけ離れて安く売買した場合には、取締役は背任になると思います、会社に対して大きな損失を与えているわけですから。

 大臣、今、株主は国であります。もしこれを売却していたならば、当然背任として何らかの法的措置をとる必要があるのではないかというふうに私は思うんです。それぐらいの案件だと思うんですね。大臣、もし一言あればお願いをいたします。

鳩山国務大臣 私が報告徴求をして、十七箱の段ボールの中身を総務省の皆さんに調べてもらった。もちろん、日本郵政に問い合わせた口頭でのやりとりもあったというふうに聞いております。そうした中で、十六の問題点というものを抽出し、基礎的な説明資料もつくったわけでございまして、その結果として、事業計画に条件をつけ、また、法第十四条に基づく監督上の命令をした。

 そのプロセスはすべて、合法か違法か、リーガルかイリーガルかという観点では一切見ていないわけでありまして、それは別の役所の、あるいは検察とかそういう方々の仕事であると思いましたから、合法、違法という観点では一切物を見ないで、これが行政として、行政というのではないのでしょうか、これが特殊会社として許されることであるかどうかという観点で専ら見てまいったわけでございまして、合法、違法という点については私はまだ頭をめぐらせておりませんが、大変重大な問題だという認識はあります。

松野(頼)委員 もう一点、総務省は、今回の調査の中で、入札のさまざまな条件が途中で変わっていることについても指摘をされていらっしゃいます。

 四月の三日、鳩山大臣の会見の中で、世田谷レクセンターというのが突然この入札物件の中から落ちている、それについて西川社長は、レクセンターを外すなどということは全く聞いておりませんでした、こうおっしゃっていましたというふうにおっしゃっております。

 西川社長、レクセンターが外れることを御存じだったんでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 私が世田谷レクセンターを外すということを聞きましたのは最後の段階でございまして、私の記憶に間違いがなければ、世田谷レクセンターを外す、そのかわり、今の売却価額、これは純資産価額でございますが、これを引き上げてもらいたい、そういう申し入れをした、こういう話を聞いたわけでございます。

 しかし、それはもう世田谷レクセンターを外すということを通告した後の話でございまして、その点は非常に残念であったと私は思っております。

松野(頼)委員 これは、大臣、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 私は企業経験が全くありませんので、企業というものがどのように意思決定をしていくのか、みずからの経験に照らして物を言えないのがまことに残念でありますが。

 西川社長が先般委員会で、例のオリックス不動産ともう一社の最終提案書の中で、日本郵政の宿泊事業部長をうちの副社長にお迎えいたします、採点者でもある宿泊事業部長をうちの副社長にお迎えいたしますという提案がなされているわけで、そこに大きく丸印がついて、いい提案であるという採点を、副社長のえさを目の前にぶら下げられた方は当然そういう採点をしているんだと思いますけれども、そのことについて、そういうことはあってはならないし、自分に報告がなかったという旨の答弁をされた。

 今のことも、考えてみますと、それはガバナンスということであれば最高責任者は社長であられるとは思いますが、何か非常に暴走をした人たちがいるのではないかという強い印象を持ちます。

松野(頼)委員 資料2をごらんください。

 総務省にこのように言っているんですね。十一月十七日から十九日の間で、伊藤執行役が、佐々木専務、横山専務、高木副社長、西川社長に対して、世田谷レクセンターの評価が低いために譲渡の対象外とするということをここで御報告されているんです。

 今の西川社長のお話ですと、レクセンターを外すことを聞いたのは最後の最後である、最後というか、それが後であるというふうにおっしゃっているんですが、報告書の中では、ここで伊藤執行役が西川社長に対して報告をしているということが書いてあるんですが、この辺の事実関係は一体いかがなんでしょうか。伊藤執行役、いればお答えください。

    〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕

玉沢委員長代理 速記をとめて。

    〔速記中止〕

玉沢委員長代理 それでは、速記を始めてください。

    ―――――――――――――

玉沢委員長代理 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社執行役伊藤和博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玉沢委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玉沢委員長代理 そこで、伊藤執行役にお答えを願います。

伊藤参考人 お答えさせていただきます。

 十一月の十七日だったと記憶しておりますが、御報告に入ったというような記憶が、うろ覚えなんですが、あるんですね。

 ただ、社長もああおっしゃるし、そこのところがちょっと、少なくとも、メリルリンチを通じて二社に、世田谷レクセンターを外すということと、それから全体の値段を上げるということを通告した後、事後的な報告をしたことは事実なんですが、事前の十七日の日に社長のところに入った記憶はあるんですが、それがちょっとうろ覚えの状態でございまして、正確なところが思い出せません。申しわけございません。

松野(頼)委員 そんなに資産売却ということに対して適当なんですか、日本郵政は。うろ覚えであるとか、うろ覚えじゃないとかいうことで何十億というものを平気で売るわけですか。

 そんな答弁はないんじゃないですか。もう一回答えてください。

伊藤参考人 報告等におきまして、私、書類を作成したり余りできておりませんで、口頭のものが多いものですから、先生がおっしゃるような重要なことであっても口頭で行っていたということから、後で証明するものがないという状態になっております。

松野(頼)委員 大臣、今の答弁聞かれてどうですか。口頭でやっていたからよく覚えていないと。

鳩山国務大臣 私も全部覚えているわけではありませんが、十六の問題点を指摘して、それを記者会見で一時間十分かけて説明した中で、文書になっているかどうかは定かな記憶ではありませんが、ガバナンスの問題として、口頭で知らせておいたというような事柄が多過ぎると。譲渡先選定過程での取締役への説明が口頭によるもののみであり、報告、検討内容が確認できないということがあるということを、これは文書になっている分ですけれども、それ以外にも何か、要するに、決裁文書はありませんとか、稟議というのがあるかどうかわかりませんが、稟議書とかそういうものが、証拠となるような文書が残っていないということが、日本郵政と総務省との間のやりとりの中で非常に多かったように聞いております。

松野(頼)委員 大臣がおっしゃるように、余りにも適当なんですよ。こんないいかげんな話で何十億という金額の物件を、あり得ないと思うんですね。民間会社はもっとぴしっとしていると思いますよ。何十億の物件を売却するのに、それを外す外さないを社長に言ったのか言っていないのか覚えていない、社長も事後で聞いたからわからないというような話が本当にあるんでしょうか。大臣、相当ガバナンスに問題があるというふうに思いますね、この会社は。

 もう一点、ちょっと別の視点で伺いたいと思います。

 今、民間を退職されて日本郵政に入社をされたり、取締役に入られている方がいらっしゃいます。これは、西川社長、以前の答弁で、例えば住友銀行から日本郵政に来られた方は、戻るんですか、戻らないんですか。

西川参考人 退職をして日本郵政の方に参っておりますが、それぞれ若い人たちにつきましては将来有為の人材でございますので、銀行の方としても、民営化作業について一段落つけば戻してほしいという希望は持っております。

松野(頼)委員 いや、希望というか、会社の社長として、経営者として、戻すのか戻さないのか。

    〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕

西川参考人 それは、本人の将来のこともございますので、そういう事態になった際には、やはり本人のために戻ってもらおうというふうに考えております。

松野(頼)委員 日本郵政株式会社が出したペーパーで、一度退職して日本郵政株式会社で勤務している民間からの社員で、将来民間に戻る可能性のある社員の人数、もとの勤務先、給与体系を教えてくださいと言ったら、該当する社員はおりませんと。戻らないというふうにお答えになっているんですね、以前に。これは一体どういうことなんでしょうか。

佐々木参考人 先生が今御指摘された資料というのは、平成十九年の時点の資料ではございませんですか。準備企画会社が発足したときのお問い合わせに関してお答えした部分で、その時点においては、戻るという、該当する者はいなかったということかと思います。

松野(頼)委員 これはもう日本郵政株式会社ですよ。公社のときも同じ紙を出しているんですよ、公社の時代も。

 もう一点伺います。

 今現在、横山さん以外に、住友銀行の社宅に住み続けている社員及び役員の方はいらっしゃいますか。

米澤参考人 お答えいたします。

 三井住友銀行出身でゆうちょ銀行の社員ということで、いまだ銀行の社宅に住んでいるかということでございますと、ゆうちょ銀行に在籍する三井住友銀行出身者について調査をいたしましたところ、三井住友銀行が契約している民間賃貸住宅に居住する社員が一名いることがわかりました。当該社員は、ゆうちょ銀行の市場部門において外国債の売買に関する体制を強化するために実務を担当するマネジャーとして採用したものでございます。

 御指摘の点については、速やかに解消する方向で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

松野(頼)委員 時間が来ましたので、まだ四分あるんですが、最後に。

 こういう状態ですよ、大臣。大きな物件を売る売らないも、うろ覚えである、口頭でやったからよくわからない。民間から来ている人に関しても、戻すのか戻さないのかわからない。身分は日本郵政かゆうちょ銀行に移っているにもかかわらず、いまだに住友銀行の社宅に住み続けている。

 これは本当は課税上も問題があると思うんですよ。住友銀行からの贈与になるんじゃないですか、こういうのは。普通、一般だと、役員なんかでも、社宅扱いにしてくれと税務署と相談しても、多分、五割以下だったら贈与になりますよということを税務署は、社員の住居に関しても、民間には指導しているはずです。それが同じ会社で同じ社宅に住んでいても、実際の家賃の半分以下であれば、それは社員に対する贈与として計上しなさいということを各税務署は指導しているはずですね。まして違う会社の社宅に住んでいるなんというのは、これは課税上も問題があると僕は思いますよ。まあ、細かい話ですから、国税庁に答弁いただくような内容じゃないと思います。

 大臣、やはりちょっとずるずるなところがあるんじゃないですか、ガバナンスが。もう一回お答えいただけないでしょうか。

鳩山国務大臣 国会でいろいろと解明をしていただいておりまして、私としては、ありがたく思う部分が非常に数多くございます。

 いわゆるずぶずぶというのでしょうか、何というのでしょうか、一つの、私は自然保護主義者だから余り動物の例えはしたくないけれども、同じ穴のムジナという表現もありますけれども、何かそういうことで、いいように国民共有の財産がもてあそばれて、もてあそばれるだけならいいけれども、その結果、例えば今松野委員がおっしゃった、アドバイザー契約を結ぶときに大体幾らぐらいかと出してきた、平均は六百四十億ですけれども、メリルリンチは一千億とあのときにはじいているわけですよ。その一千億から百九億は、自分でアドバイザリーをやっていて、十分の一になって、それを認めているのか認めていないのかよくわかりませんが、そんなマジックが、いろいろなマジックが駆使されて、国民共有の財産がむしばまれつつあった、こういう認識。

 そのもととしては、何か、いわゆるずぶずぶのものがありとあらゆるところに見られる、こういうふうに感じます。

松野(頼)委員 質疑がもう終わってしまうんですけれども、委員長、先ほど私が依頼した、町田参考人に対する内容証明に関して、この委員のみに配られる資料をどこから入手したのかという答えがまだ来ていないんですけれども、ちょっとお待ちをさせていただいてもよろしいでしょうか。

赤松委員長 今の松野頼久君の指摘に関しまして、米澤専務執行役から答弁を求めます。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 今現在調査中でございますけれども、申しわけございません、現段階ではまだわかっておりません。

赤松委員長 では、速記をとめて。

    〔速記中止〕

赤松委員長 では、速記を起こして。

 松野頼久君。

松野(頼)委員 まあ、そういうことでありますので、きょうは違う委員会でお時間をいただいていることもありまして、委員長の采配に従わせていただきます。

 ただ、当初、質疑中には出すと言っているんですよ、これは約束の中で。それで僕は質疑を続けていたわけです。まして、二日間待つ間にも、日本郵政が法的手段に訴えますよという二週間の期限は迫ってくるんですよ。そこのところをぜひ重く受けとめていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

赤松委員長 私の方から一言申し上げます。

 西川社長、今の件、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。

 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。

 大臣がいらっしゃらないので非常に残念なんですが、お手洗いでしょうか。

 前回、質疑の中で自治体国際化協会について議論させていただきました。私、一つ心に決めているんですが、これから質疑をやるたびに、自治体国際化協会のような、地方から負担金を求め、運営されて、かつそこに総務省のOBの方が天下られている、そういうようなけしからぬ状態になっている団体を一つ一つ調べていきたいなというふうに思っています。

 今回は、自治体衛星通信機構というところを一つトピックとして挙げたいと思います。

 ここは、都道府県から毎年十二億円負担金を求めております。そして、約二百億前後の基本財産をもって運用されている。そして、常勤の三名の方、理事長は荒木さん、前の官房長だと思いますけれども、吉田専務理事、監事の石川さん、すべて総務省の天下り。御多分に漏れず、このような状態になっております。

 ここまでして、都道府県から毎年十二億もの負担金をもらって、この自治体衛星通信機構はどれほどのことをされているんでしょうか。まずは御説明いただけたらと思います。

椎川政府参考人 お答えをいたします。

 財団法人の自治体衛星通信機構は、全国の地方公共団体等が災害の影響を受けにくく全国に向けて同時多方向に広い帯域の電波を伝送できる通信衛星を共同利用するための設備を設置いたしまして、災害時の情報伝達機能の拡充強化、あるいは行政情報の伝達の効率化、さらには地域からの情報発信の充実を図っているところでございます。

 この設備によりまして、個別の通信といたしまして、電話とかファクスが年間百三十六万件程度、一斉同報の映像送信といたしまして千五百十件程度の実績を上げてございます。

寺田(学)委員 災害時のネットワークというようなお話がありました。

 平時においては、いただいた資料によると、全国知事会議及び全国市長会議のライブ及び収録放映、全国都道府県財政課長及び市町村担当課長合同会議、都道府県指定都市市町村税主管課長会議のライブ及び収録放映、施策の紹介として裁判員制度についての放映、地方公共団体の地域映像情報の放映の二十年度実績は、静岡県、長野県、山口県、札幌市、名古屋市、広島市、北九州市と。

 災害時のネットワークを確保しようという発想自体は私自身はとがめる気はありませんが、十二億円もかけて、莫大な設備を備え、かつ、その運営団体には天下りの方々がおられて、そして、平時においては特段緊急性もなく、そんなものをライブ放映されたところでというような内容が運用されている。これで地方から年間十二億円とっているわけですよ。

 大臣、これ一つとってとやかく言うのも難しいかもしれませんが、いずれにせよ、これは地方からとって総務省の方々が天下られている、そのような団体になっているんです。いかが思われますか。

鳩山国務大臣 自治体衛星通信機構、これは行政情報の伝達をするときに、多分、定額給付金関係のこともこれを使ったように聞いております。それから、先ほどから質疑にありましたJアラートもこの衛星を使うということで、非常に緊急性の高いものからいわゆる行政情報の伝達まで非常に幅広く利用していることは間違いないと思っております。ですから、主に災害緊急時対応だけではないんだなということだと思っております。

 ただ、これが十二億七千二百万円ということが妥当な金額かどうか。これは地方の負担になっているわけでございますから、また、この負担金によって、トラポンと言われている衛星中継器の借り上げ、衛星管制局の運営経費等が支出されているということでございますので、この額の妥当性というのは、私、ちょっと今頭の中では結論が出ません。

寺田(学)委員 その妥当性に関して御検討いただけないでしょうか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 いろいろな要素を私なりに取材して検討してみましょう。

寺田(学)委員 御検討をよろしくお願いします。

 この自治体衛星通信機構に都道府県が負担金を払ってサービスを受けている。そういう場合において、各都道府県に設備があるわけで、その設備に関して保険に入るようにとお勧めを通信機構から各都道府県にされているようです。その保険に入る際、その機器の保険、機器が雷で壊れたりとかそういうことがあった場合の保険に関して、この機構は里創企画というところを代理店に、指名に近い形で、書類上も、機構から都道府県に出されるものにも里創企画という会社名が入った形で各都道府県に周知されています。

 まず、この里創企画と保険契約が随契で行われているわけですけれども、機構と代理店契約ですけれども、これはなぜこのような形になっているのか、参考人の方で結構ですので、いかがですか。

椎川政府参考人 今御指摘のございました損害保険でございますけれども、あくまでも希望する十三の道府県で約一千九百五十六万円の保険料を、自治体衛星通信機構がまとめて契約をすることで団体割引と申しますか、安くしていただいているというふうに聞いているわけでございます。

 この保険につきましては、特殊な保険でございまして、ほかに衛星通信ネットワークに係る保険がない、それから、通常に比べましても五〇%以上の値引きがされるということから、同機構の財務規程に照らしまして随意契約を行っているものと説明を受けております。

寺田(学)委員 この里創企画に関してちょっと調べさせていただきました。創立が平成元年、くしくもこの機構が立ち上がったときとほぼ同時期です。所在地が全国町村議員会館三階にあるそうです。役員が、取締役社長が中里さんという方ですが、参考人の方で結構ですけれども、この中里さんの前職を御存じであれば教えていただきたいんですけれども、いかがですか。

椎川政府参考人 前職というのは、今突然の御質問で私も記憶がございませんけれども、自治省の入省者であるということは存じております。

寺田(学)委員 いわゆる現総務省のOBの方が社長をやられている会社なわけですよ。機構自体が地方からお金を集めて、このような仕組みをつくって、各都道府県に設備を持ってもらって、その設備自体に対する保険に関してはこの里創企画が随契で代理店になるという仕組みになっているわけです。いわゆるファミリー企業みたいなものだと思いますよ。

 さまざまな形でこういうようなファミリー企業があると思うんですが、地方の味方である総務省がこのような形までして、もちろん専門的なことがあるからという随契の理由を述べられましたけれども、このようなファミリー企業が存在していること自体が遺憾だと私は思っています。

 保険業務に関して代理店が必要であるかのようなことを言われましたけれども、私もさまざまな大手の保険会社の方に聞きましたけれども、最近は代理店を抜くような傾向もある。現に、石油公団のような、これこそまた特殊なコンビナートに対する保険等に関しても代理店を抜いて、その分、直接保険料を安くする形で何とかコスト削減に励んでいるということもあるそうです。

 こういうことに関して、代理店をわざわざ挟まなければならない理由。これは参考人の方でも結構ですけれども、今後も挟まなきゃいけないんでしょうか。

椎川政府参考人 損害保険の代理店契約につきまして、私どもも機構を通じまして当該保険会社にお問い合わせをさせたわけでございますけれども、保険会社からは、通常の商慣行として代理店を使っていただくということが一般的であって、そのようにしていただきたいというふうに言われているということでございましたけれども、今石油公団の話も伺いましたので、そのような直接契約ということが可能なものかどうか、それによって保険料が安くなるのかどうか、こういうことは当然自治体衛星通信機構においても今後よく検討をして、効率的な運営に努めるべきではないかというふうに思っているところでございます。

寺田(学)委員 この里創企画に関して、総務省の方に、機構側はこの会社をどのような会社だと踏まえておられるんですかと当初聞いたところ、機構側から、わからない、昔から契約しているからどういうところか今わからないというような御回答がありました。

 ファミリー企業ですので、昔から、ある意味いろいろなものが取り決められて立ち上げられているんだと思いますけれども、総務省に限らず、こういうようなことは是正していかなきゃいけないと思うんですが、まさしく地方の味方である総務省が、地方からこのような形でお金をいただいて、このような運用をしているということはけしからぬことだと思います。

 大臣自身、総括的に是正されること、検討されることを含めて御答弁いただいたら、このことは終わりたいと思います。

鳩山国務大臣 地方の発展を願う総務省として、また、地域の発展に責任を持つ官庁という意味での総務省として、これは都道府県や市町村の発展や安全、安心その他、都道府県や市町村、自治体を思うがゆえにさまざまな施策を実施しているわけでございます。そういう中で、都道府県からいわば拠出金をいただいたり保険料をいただいたりということが行われているようでありますが、それらが一点の曇りもないものであるようにしなければなりませんし、また要らぬ地方の負担になっていないかということは常に検証をしていくべき事柄でございます。

寺田(学)委員 これからも質疑のたびに一個ずつ取り上げていきたいというふうに思っておりますので、しつこくしつこくやらせていただきますので、大臣、よろしくお願いします。

 この機構自体も財団法人なんですが、大きな公益法人改革ということが数年前国会で議論されて、現在、新法の中での移行期間に入っております。この公益法人改革は、非常に大胆な、そして抜本的な改革ですので、改革の趣旨がきっちりと守られるように国会としてもウオッチしていきたいというふうに思っております。

 今回の公益法人制度改革は、目的を改めて聞くのもやぼかもしれませんけれども、これは何が原因でこのような改革が必要になって、どこを、どのような形の方向性、目的を目指されているのか、参考人の方でも結構ですので、御答弁いただけたらと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今回の公益法人制度改革は、民による公益の増進を目指すとともに、従来の主務官庁の裁量によります許可主義を改めようとするものであります。

 この趣旨にかんがみまして、公益認定につきましては、法令で定められた明確な基準に従い、民間の有識者により構成されます合議制の機関、国におきましては公益認定等委員会ですが、その機関の判断に基づき、客観的かつ公正に判断していく方式としたところであります。

寺田(学)委員 内閣府が出されている資料の中に、目的として、主務官庁の裁量権に基づく許可の不明瞭性等の問題を解決するというようなことがありました。まさしく主務官庁制度をやめて、その主務官庁がさまざまなことを判断していくことが不明瞭だという疑念が抱かれたからこそ、主務官庁の裁量をとって第三者に任せるという仕組みになったんだと思います。

 そういうような主務官庁の裁量権をある意味取り上げて、第三者に渡すというのが改革の方向性でよろしいですか。副大臣でも結構ですけれども、イエス・オア・ノー、どちらでも結構です。

増原副大臣 私も、この法律につきましては、自民党の中の行政改革推進本部でいろいろやっておりました。最初は、検査、検定、試験等の方に限ってやったんですが、民法三十四条によります公益法人制度、これがどうも濫用されているのではないか、とても公益とは言えない、これは共益ではないかというようなものから、いろいろありまして、党としましても抜本的にこれを改正すべく政府の方に申し入れて、今日の制度が出てきているものと思っております。

 その公益性の認定が非常に重要でございまして、ここは各主務官庁の裁量権を廃した第三者機関でお願いするというふうになったものと承知しております。

寺田(学)委員 非常にお詳しい増原副大臣に御答弁いただけると非常にわかりやすいんですが、いずれにせよ、お話しされたとおり、主務官庁の裁量権を廃した形に持っていきたいというのが制度趣旨だと思っております。

 そこで、大枠の仕組みを言えば、今ある二万五千の公益法人を大きく分けて二つに分ける。いわば公益認定をした社団及び財団と、それ以外の一般の財団・社団に分けるということでした。

 新たな制度の中での一般の社団・財団、いわゆる一般法人というのは、一般になるわけですから今までの公益法人に比べて公益性が希薄化するとは思いますけれども、事業の内容、監督の有無等はどのようになるんでしょうか。いかがですか。

原政府参考人 一般法人になりますと、行政庁の監督というのはなくなるわけでございます。

 今回の新しい制度のポイントは、今までは主務官庁が法人格の取得と公益性の判断を一体となって行って設立されてきたわけでございますけれども、新しい制度では、法人格の取得については登記のみで簡便にできる、そして公益性の判断は客観的な第三者が行う、こんな仕組みになったところでございます。

寺田(学)委員 一般法人になるということですから、例え話ですけれども、例えば商売もできる、そして、極端な例を言うと風俗店だってできるというような議論もされていたみたいですけれども、そのような認識でよろしいですね。

増原副大臣 一般社団法人、公益法人と申しますのは、民法あるいは会社法で示されておりますいわゆる法人とどこが違うか、こういう御趣旨なんだと思います。

 これは、最大のポイントは、要は内部留保を分配できないというところが非常に大きいわけでございます。したがって、もちろん収益事業、公益事業ともに相行えますが、認定公益法人、いわゆる公益財団法人・社団法人にするには、当該事業のうち全体の五一%、過半を公益事業に費やしていなくてはいけない。それ以外のものは公益性の認定において欠けるものがあるということで一般社団・財団法人に行きますが、これらは従来と違いましてすべて法人税の課税対象になるというところが非常に大きいところだと思っております。

寺田(学)委員 御答弁のとおり、商売もできるというのが一般の法人の今までとは違った拡大のあり方だという御答弁だと思います。もちろん、内部留保を分配できないということはあるということですが、一般の企業と比べてそこぐらいしか違いがないという御答弁だったと思います。

 そういう意味で、二万五千ある公益法人が、この仕組みにのっとっていわゆる公益認定をされた法人になるのか、一般法人になるのか、はたまた解散をするのかというような仕組みに流れていくんだと思いますが、現に、今二万五千の公益法人が運営されているわけです。この二万五千の公益法人が持っている財産というものが今後焦点になると思うんですが、二万五千ある公益法人は、この財産自体、総額幾ら持っているんでしょうか。

原政府参考人 平成二十年度の公益法人に関する年次報告、いわゆる公益法人白書によりますと、平成十九年十月一日現在で、国、地方合わせまして正味財産の合計額は約二十一兆円となっております。

寺田(学)委員 まさしく今二十一兆円の財産があって、新制度の中で五年かけて法人たちが自分たちの行く道を選んでいくことになると思います。

 この二十一兆円の財産は、新制度の中で、公益団体になるのか、一般法人になるのか、解散になるのか、大きく分けて三つだと思いますけれども、その三つの分かれ道に進んでいく過程においては、この財産はどのように取り扱うようにと法律で決められているんでしょうか。

原政府参考人 まず、新しい公益社団・財団法人に移行する場合には、公益認定法の規定に従いまして、公益目的に使用するということになります。また、一般社団・財団法人に移行する場合には、公益目的支出計画に従いまして、移行時点の純資産に相当する金額を公益的な事業に支出するということになっておりますし、解散する場合には、従前の民法の規定に従いまして、残余財産を当該法人の目的に類似する目的のために処分するとされております。

 したがいまして、新しい制度への移行あるいは解散後におきましても、従来の公益法人の財産は、基本的に公益目的のために支出されることになると考えております。

寺田(学)委員 今御説明があったとおり、公益法人に行く場合は、公益的な事業をそのままやるので、そのまま財産を公益に使ってくださいと。ただ、一般法人に行く場合は、先ほど副大臣の御答弁にもあったとおり、事業範囲等も広がるということもあるので、今持っている公益法人としての財産は公益目的で使うために公益目的支出計画を作成するようにと。だから、あくまでも今公益法人が持っている財産は、公益のために、いろいろ優遇された中でためた財産だからこそ一般法人という裁量権が広がるところにおいても公益に使うように支出計画を出しなさいという形にされているんだと思います。

 改めて聞くのもあれですが、この公益目的支出計画を提出するようにということを定めた立法趣旨は何ですか。

原政府参考人 今御指摘ございましたように、従来の公益法人は、これまでは収益事業のみに課税されておりまして、税率も軽減税率が適用されるなど税制上の優遇措置を享受して、公益のための活動に従事してきたところであります。このような法人の財産が、残余財産の分配も可能な一般社団・財団法人に移行することによって、無制限に公益以外の目的のために使用されることになることは適当でないということであります。

 こうした認識のもとに、整備法におきましては、一般法人に移行する法人は公益目的支出計画をつくりまして、移行時点で持っております純資産に相当する金額をその支出計画に基づいて公益の目的のために支出するということにされておりますし、その履行を確実に確保するために、行政庁はその計画の実施報告書の提出を毎年度求めて、必要に応じ立入検査、命令等の監督を行うこととしているところであります。

寺田(学)委員 今大体整理ができたと思うんですが、まさしく、公益法人が今持っている財産を、一般法人に移行する場合にその財産が公益外に無制限に使われるのを阻止するためと。その阻止されていることをきっちりと、まあ、公益的に使われることが履行されているかを担保するためにこのような支出計画を出させるということでした。

 改めて言うまでもないですが、公益法人でためたお金は、一般法人というある意味何でもできるような団体に行くときに、流用するなよというようなためにこういうことをつくられているんだと思います。

 大臣、ここからが大事なんですけれども、そうであるならば、例えばの話、今ある公益法人が解散をする、解散する段階において、定款に同様のことをする団体に寄附をするということを定めて解散をして、偶然というべきか意図的というべきか、何でもできる一般法人を立ち上げて、そこに寄附しちゃう、そういうようなことが一応この法律上は可能ではないかなというふうに読めるんです。こういうことができるとすれば、まさしく、この支出計画という制度、法の網をくぐって、今ある二十一兆円のお金の一部が何でもできる一般法人の財産として寄附される可能性は残っていると思います。

 まず、法律上の話ですが、現行法上、このような仕組みができるかどうか、御答弁いただけたらと思います。

原政府参考人 現在、民法法人は特例民法法人に変わっておりますが、従来の民法法人、現在の特例民法法人が解散した場合の残余財産については従前の例によるという形になっておりまして、旧民法七十二条の規定によりまして、まず、定款等で指定した者に帰属をする。定款等で指定をせず、または帰属する者を指定する方法を定めていなかったときは、理事は主務官庁の許可を得て法人の目的に類似する目的のために処分することができるとされておりまして、これによっても処分されない財産は国庫に帰属するということになっておるわけでございます。

 仮に定款等で残余財産の帰属先を指定している場合であっても、その帰属先を例えば一般法人とする旨の定款変更を行う場合には主務官庁の認可が必要となりまして、その主務官庁の適正な判断を踏まえて帰属先が決定されるという仕組みになっております。

寺田(学)委員 今の御説明によれば、主務官庁の裁量いかんによってはこのことが可能であると。いわゆる解散して寄附をして、一般財団、一般法人に今ある財産を移行することは主務官庁の裁量によって可能だという御答弁でよろしいですか。可能かどうか、お答えください。

原政府参考人 特例民法法人につきましては、従前の例によるということになっております。つまり、旧民法によると。民法典におきましては、それは可能になるということになります。

寺田(学)委員 このようなことをやるのが可能なんですよね、主務官庁の裁量いかんによっては。

 冒頭に述べたじゃないですか、主務官庁の裁量を廃止するためにこういうような制度をつくったと言っておきながら、このような寄附をするということが、できるかどうかを主務官庁に任せるわけですよ。

 何でこういうような道を残したんですか。

増原副大臣 このたびの公益法人関係の抜本改正、これは全府省を巻き込んだ非常に大きな改正でございます。したがいまして、各府省におかれましては、このたびの公益法人の抜本改正の趣旨にのっとってそれぞれ運用をされるものと私どもは信じております。

 民法の規定にそれをなお従前の例によるということになっておりますが、その運用につきましても、おのずと新法にのっとった形で厳格な運用がなされる、そのように考えております。

寺田(学)委員 おかしいでしょう。主務官庁を信じていますと言っていますけれども、主務官庁が不明瞭で信じられないからこの制度改正をしたんでしょう。それを何で、主務官庁を信じて適正に運用してもらえるものだと考えると、いきなり問題点の部分に立脚して物事を考えるんでしょうかね。

 事務方でも副大臣でもいいですけれども、主務官庁さえ認めれば可能なんですよね。法律として可能な仕組みになっているかどうか、イエス・オア・ノーで結構ですけれども、可能かどうか、もう一回御答弁いただけますか。

増原副大臣 類似の目的、そこらあたりでもってしっかりと公益性を判断される、そのように我々としましては解しております。

 これまで乱雑なといいましょうか、やや裁量におぼれたような運用をなされてきたことは間違いないと思います。ただし、過去そうであったから将来ともそうであるとは、私どもはそこまで性悪説には立っておりませんで、先ほど申し上げましたように、このたびの抜本改正の趣旨にのっとった運用がこれからはなされていく、そのように考えております。

寺田(学)委員 不明瞭で信用できないから法律という法的規範を使って規制をするときに、今までは信じられなかったけれども、今度は信じられるんだという話を言ったら、法律をつくる意味がないじゃないですか。みんないいようにやってくれるんだと思ったら、法律なんて要らないですよ。

 可能なんですよね、これは主務官庁さえ認めれば。それはよろしいですよね。主務官庁さえ認めれば可能かどうか、まずはっきりお答えください。

増原副大臣 主務官庁の判断にゆだねられております。

寺田(学)委員 主務官庁は、今ある公益法人を解散して、同等のところに寄附をするという仕組み自体、役所として、内閣府として、このようなやり方は適切だと思われますか、不適切だと思われますか。

原政府参考人 一般論として申し上げますと、不適切であると考えております。

 といいますのは、一般法人は、事業内容に特段の制限がなく、法人の任意で定款を変更することができ、また、解散した場合に残余財産を構成員に分配することが禁止されていない。こんなことを考慮いたしますと、一般法人に対して贈与を行った場合、一般論として、当該財産が公益目的に使用されることが担保されているとは言いがたいのではないかと考えます。

寺田(学)委員 だから、公益目的支出計画をつくったのは、公益外に無制限に使われるのを阻止するためで、しっかり公益に使われていることを担保するためにつくったんだということですから、このような解散をして、その解散したときの財産を一般法人に寄附をするということはまさしく不適切なんだと思います。

 ただ、これが不適切であるのであれば、法律をつくって、法律改正時にこのことを禁止すればいいわけですよ、不適切なんですから。原則認めない、ただし、例外的に第三者機関が認めたものはどうこうという仕組みの設計はあったと思うんですが、このような仕組みがあると、まあ、私どもから考えれば抜け道と思いますけれども、このような抜け道があるということを法案作成時に議論されて認識されていたんでしょうか。

原政府参考人 この制度改革三法立案時に、御指摘のような観点からの議論が国会等において行われたという記録は残っておりません。

 結局、経過措置をどのように設けるかということかと思います。法律の一般論で申し上げますと、新制度は新法の施行日以降において適用されるものでありまして、それ以前から存在する事象について、法的安定性の観点から既存の実態に極力配意しつつ、新制度への円滑な移行が図られるような経過措置が設けられるということが通例でございます。

 この点、特例民法法人の残余財産の処分方法は、主務官庁の許可を得て定められた定款等に基づき認められてきたものでありまして、やはり法的には尊重すべきものではないかと考えております。

寺田(学)委員 主務官庁が公益認定をしてきたこと等が不明瞭だと言っておきながら、今御答弁で、今まで省庁が許可してきた定款を信用したいと。むちゃくちゃですよ、そんなの。

 今、このような問題認識が法案作成時にされていたかどうか記録がないと言われましたけれども、議論されたかどうか聞いているんです。増原副大臣が、まさしく冒頭に、自民党内で議論される際に中に入って議論されていたということですが、副大臣としてこのような抜け道があるということを御認識されていたのかどうか、いかがですか。

増原副大臣 御指摘の点につきまして、我々は、解散するときは全部一たん課税をするかと。これまで二二パー、八百万以下であれば一八パーですか、法人税率は。結局、そういう優遇措置でもって蓄積してきた、されてきた面も多々あるわけでありますので、そういうものについて課税をするかという議論もいたしました。ただ一方で、民法三十四条の解散する公益法人に残っておる財産が全部それによるものかどうか、寄附があったり、あるいはいろいろあったりするでしょう、そういったものについて全部それを細かく分けて厳密にやることができるかどうか、こういう議論もいたしました。

 いずれにしましても、これは自民党の中の行革本部の話でありますので、なかなかそこのところは分けがたいところもあるということだと思います。あとは、新たな新法の措置に基づきまして、その公益性について、各主務大臣、なお従前の例によるとされておりますので、それをしっかりやっていただくということなんだろうと思っております。

寺田(学)委員 周辺的な議論、残余財産についての議論はあったという御答弁だったと思いますが、このように解散をして、それを一般法人に寄附をするというやり方があって、抜け道になり得るということは議論されたんでしょうか、どうでしょうか。

増原副大臣 民法の規定によれば、まさに類似の目的の者に寄附をするわけでありまして、だれでもかれでもいいというわけではありませんね、そこのところは。そこで一応制約はかかっているわけですから、同じような形の類似の公益性を持つ者に対してやるというのが大原則でありまして、先ほど御指摘されたように、新たに準則主義による登記ですから、ぽんと登記をした一般社団法人なり財団法人に対して、ぽんとそれを寄附するというようなことはまず想定されていないと思います。

 公益法人であって、新たな公益財団法人・社団法人にならないで一般法人に移行したケースであっても、これは先ほど申し上げましたような公益目的支出計画にのっとってやっているわけですね。そちらの方についてそれを出すということであれば、それはそれで、その一応の論理的な整合性はあるんだろうと思っております。

寺田(学)委員 類似の目的でやっている団体に寄附をするどうこうとありますけれども、先ほど御説明があったとおり、今度の一般法人は省庁の監督も何もないわけですよ。今の公益法人自体、解散すること自体、皆さんも逐次ウオッチしているわけじゃないですよね。どのように解散するかはわからないわけですよ。

 もちろん、定款を変える場合は、今の場合でいくと主務官庁のお伺いが必要でしょうけれども、もともとそういうような定款、寄附行為を持っているところは、もう知らない間に解散をして、法人自体は登記だけでできますから、登記だけされて、そこに移ることは政府として見ていくことはできないわけですよね。だから、抜け道になるわけですよ。

 これをなぜ法律的に……。私は、議論している中で、こういう抜け道はやめさせようと。まさしく抜け道をなくすために公益目的支出計画という一つの制度をつくってまでやっているんですけれども、この解散パターンをなぜ残したんだろうというのが非常に疑問に思うわけです。

 現在、国の所管のものだけでも七千の公益法人があると言いますが、今のところ、二十一年の三月三十一日まででまだ七十件しか移行手続等ができていない。これからなわけですよね。

 大体この改革のほとぼりが冷めた後に、この抜け道を使って、邪推かもしれませんけれども、今ある省庁が抱えている公益法人を、省庁の裁量がまだ残っていますので、定款を変えて、新たな何でもできる一般法人に寄附をしてしまうことが制度上可能だということが私は問題だと思っているんです。

 そこで、大臣、総務省は主務官庁として公益法人を抱えていると思います、今のこのような抜け道をするための定款変更があった場合には大臣としてお認めになられますか。

鳩山国務大臣 私の所管のということでいいんですね。(寺田(学)委員「はい」と呼ぶ)

 総務省所管の特例民法法人から、解散に際し残余財産を先ほどから出ている一般社団、一般財団に寄附したい旨の許可申請があった場合には、この民法七十二条の規定に基づいて、その法人の目的に類似する目的のために処分することとなるものであるか、具体的な申請内容を踏まえて適切に判断してまいります。

寺田(学)委員 では、許可するんでしょう。

 だって、そのこと自体不適切と言っているんですよ、内閣府は。一般論として、だめなんです、不適切なんですと。

 なぜか知らないけれども、法律で規制していないわけですよ。だけれども、不適切だと指導して、今、主務官庁の大臣として、適切に判断したいという余地を残すわけですよ。何でこんな余地を残すんですか、大臣。増原副大臣でもいいですよ。

増原副大臣 先ほど申し上げましたのは、一般社団法人・財団法人を新しく立ち上げた、これは先生が言われるように準則主義ですから登録できます、そこが公益をやっているのかわからないというケースですよね。そういうところにぽっと行くというのは、それはいかがなものかというふうに申し上げたわけです。

 都道府県のも入れますと、約二万五千ありますものについて、既にこれがいわゆる第三者委員会でもって認められて、公益性のある社団法人・財団法人、いわゆる二階建ての方に移っていく。それに移らないで、一般社団法人・財団法人の方に移っていく場合も、さっき申し上げましたように公益関係の支出計画を出させるわけですね。もともとそういうことをやっていたから、民法上の公益法人なわけですから、そういうものに行く場合もあり得るわけでありますね。そういうものについて、果たして一概にすべて適当でないというふうに言うかどうかはまた別問題だと思いますよ。

 新しく立ち上げて、それは悪意のケースがあるかもしれませんが、今大臣が申されたのは、私はそういう趣旨だと思っております。

寺田(学)委員 いや、今の副大臣の御答弁どおりにいくのであれば、今の公益法人が一般法人に移る際は公益支出計画を出して、そのとおりにやっていけばいいわけですよ。ただ、解散をして、なくして、その財産を主務官庁が認めて一般法人に寄附することができるわけですよ。そうしたら、公益支出計画を出さなくていいんです。いわば、今公益法人として蓄えている財産を一般法人に移すことはできるわけですよ。

 今、副大臣が最初に、何でも寄附していいというわけじゃなくて、同じようなことをやっているからこそ認める可能性があるんだと言いましたけれども、一般法人は定款の変更が簡単にできるんじゃないですか。最初のうちは類似の公益法人と同じような目的の定款を定めて、寄附してもらって、その後、監督されているわけじゃないんですから、登記すればできるわけですから、定款を変えて目的を変えることだって、悪意のことはあると副大臣も言われましたから、悪意のことを考えていくと、できるんですよ。

 そもそも、この法律自体は主務官庁が不明瞭だというところから始まっているので、私は性悪説に立ってしゃべっているんです。

 鳩山大臣、内閣府自体が解散をして寄附するというやり方自体が不適切だと言われているわけですから、一般論として不適切で、総務省としては基本的には認めませんぐらいは言うべきだと私は思いますけれども、いかがですか。

鳩山国務大臣 公益法人の抜本的な改革でありまして、私どもも財団法人日本友愛青年協会というのを持っておりまして、これは今は兄が理事長かな、交代でやることになっておるんですが、兄が理事長だと思いますが、この公益法人改革にぶち当たったものですから、どっちの道を選ぶかというので随分迷っているのかもしれません。結論が出ているのかどうか、私はまだ詳しく聞いておりません。そういう改革があった。そういうことで皆さんいろいろ迷っているところがあるということでしょう。

 それから、要するに、昔から公益法人の抜け殻なんかを利用していろいろな悪いことをしたというようなケースも随分ありますよね。ですから、そうやって、いろいろな意味での優遇を受けて集まってきた資産というものが、不当にまた流れていってはいけないという認識は十分持っておりますから、先ほど申し上げましたように、民法七十二条二項の規定を重んじて、その法人の目的に類似する目的のために処分するということは、それは厳重に、審査という言葉がいいのかどうかわかりませんが、よく見詰めて認めていこうと考えております。

寺田(学)委員 今のケース、いわゆる解散をして同等の目的のところに寄附をするというのは、定款変更自体は、総務省としてかなり厳格に、厳しく、認めない方向を基軸としてお考えになられるということで当然よろしいですね、内閣府と足をそろえるのであれば。大臣、そうですよね。

鳩山国務大臣 厳しくやっていくということです。

寺田(学)委員 まだ移行期間中で、ほとんどができていないわけですよ。これからの話で、まさか、すべてが悪意を持った団体だとは思っていません。立派な団体もあると思います。

 ただ、この法律改正の原点は、主務官庁の不明瞭さ、信用できないでしょうというところから始まっていますので、その主務官庁を今さら信じろということは、この法律を議論する上ではできないと思っているんです。だから、副大臣が言われたとおり、悪意のケースがあるであろうという想定のもとでやっているわけですよ。

 私は、法律改正をつけ足しでもいいからするべきだと思うんですよ。それ以外にどういう形で、通達なのか何なのかわかりませんけれども、何かしら一般的なルールというものを、内閣府からこのようなケースは基本的に認められませんよということを通達で、私は法律でしっかりやった方がいいと思いますけれども、副大臣、いかがですか。

増原副大臣 法の欠缺とまでは言えないと思うんですが、整備法でもちまして従来総務省にありました公益法人の監督に関する事務の調整が内閣府に移されております。これは附則第二条でありまして、「特例民法法人の監督に関する関係行政機関の事務の調整」というものが入っておりまして、これは当分の間内閣府に移されるということになっておりまして、移っております。

 確かに、先生がおっしゃいましたように、これまでの民法上の公益法人から一般法人、一般の社団・財団法人に移るケースでは、私は余り問題は生じないんだろうと思うんですが、これは登録制ですから、新たにすぐできちゃうじゃないかと。ごもっともだというふうに思います。

 したがいまして、いろいろなケースがあり得る、しかも数も多いということもありますし、さらに今度は関係府省のみならず四十七都道府県にも及ぶことでありますので、ただいま申し上げました第二条の規定、この監督に関する関係行政機関の事務の調整という権限がございますので、これでもって、今申されましたような御懸念も当然あると思いますので、そこらあたりについてガイドラインのようなものをつくって、関係府省はもとより、都道府県の方にもしっかりと周知徹底をしてまいりたい、その運用も含めましてやろうと思っております。

寺田(学)委員 きょうは問題提起をさせていただきまして、これから実際どのような形、悪意を持った解散のケースというものが起こり得るかどうかはこれからの話だと思います。ただ、どこどこが悪意でもってそれをやったということがわかるかどうかは、定款変更のときの主務官庁の判断のときにそういうのがあったかどうか調べる方法がありません。ですので、主務官庁の方々に対してそのようなことは認めないようにというようなことをして徹底的にこの穴をふさがなきゃいけないと思います。

 今後も十分監視をしていきたいというふうに思っておりますけれども、何とぞ政府としてもそのような認識を持ってやっていただきたいと思います。

 以上で終わります。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、二年余り先に迫りましたアナログ停波に関連する地デジ問題で何点かお伺いいたします。

 最初に、ケーブルテレビに関係してですけれども、ケーブルテレビに関する苦情相談件数というのは増加をしている、このことは国民生活センターにおいても取りまとめられておるところでございます。

 国民生活センターが集約したケーブルテレビに関する相談件数の推移というのが、二〇〇三年度に千十五件、二〇〇四年度が千二百五十四件、それが〇五年度には二千百五十一件、〇六年度二千百八十一件、そして〇七年度は二千五百十七件で、〇八年度につきましても、〇七年度同時期に比べてほぼ同数の数字となっているということで、非常にこの間で増加をしております。

 相談の事例などを見ましても、今のテレビがすぐに見られなくなると思ってしまって契約をしたとか、アンテナ工事費用が高額になると思って契約をしてしまったとか、近所が皆契約したと言われて契約したと。このような例というのはたくさん出ております。

 そこで、総務省に伺いますが、総務省としてもケーブルテレビ等に関する苦情相談件数の取りまとめを行っております。総務省の地デジコールセンター、国民生活センター等に寄せられた苦情相談をもとに総務省が作成をした数字でお聞きしますが、この勧誘に関する苦情相談などで多いものはどういうものになっているのか、お示しください。

山川政府参考人 総務省の地デジコールセンター等に寄せられているケーブルテレビの勧誘に関する苦情相談の内容として多いものでございますけれども、低額なサービスの説明をしない、あるいは、必要のないサービスに加入させようとするといったサービスあるいは料金の説明不足に関するもの、それから、勧誘がしつこいといった勧誘方法に関するもの、それから、違約金の金額、最低利用期間等の説明がなかったといった解約条件に関する不十分な説明に関するものなどが挙げられております。

塩川委員 必要性の低いサービスに加入させようとするとか勧誘がしつこいなどとあわせて、低額サービス、安い料金設定のサービスの説明をしないということも挙げられております。地上波のみのメニューがなくなってしまったとか、こういった声なども苦情として寄せられているわけですけれども、その点で、地デジの受信方法の選択肢をきちんと視聴者に示すことが必要であります。

 その際に、ケーブルテレビによります地デジの再送信サービスについての情報提供というのは不可欠であります。「デジタル放送推進のための行動計画(第九次)」では、「地上デジタル放送のみの再送信サービスは地上デジタル放送への円滑な移行に資するものであるため、ケーブルテレビ業界として、同サービスの早期導入を推進する。 ケーブルテレビ事業者においては、地上デジタル放送のみの再送信サービスについて、具体的なサービスメニュー、提供条件等を速やかに検討し、視聴者に対して可能な限り早期に提供できるよう取り組む。」とあります。

 首都圏でいえば、いわゆるテレビの一から十二のチャンネルが見られればいい、有料なチャンネルまでは必要ないよという方は少なくありませんので、こういった地デジ放送のみの再送信サービスを安い料金で設定をすることが必要だということは総務省としても呼びかけているところであります。

 そこで伺いますが、地デジ放送のみの再送信サービスを提供している事業者は全体の何割なのか。一般視聴者向けに提供している事業者は全体のうちどのぐらいになるのか、お答えください。

山川政府参考人 先生御指摘のとおり、私ども、昨年の十二月、ケーブルテレビ事業者に対して、視聴者が利用しやすいサービスメニュー、提供条件を検討してほしいというふうに要請いたしましたけれども、その背景といたしましては、やはり先生おっしゃるとおり、地上デジタル放送の進展に伴いまして、地上放送しか視聴しないので安価な料金を設定してほしいといった意見が多く寄せられているということがございます。

 全体の中でこうしたサービスを提供している事業者でございますけれども、全事業者五百三十二社のうち、地デジのみの再送信サービスを提供している事業者が二百十二社、約四割になります。

塩川委員 私、一般視聴者向けに広くサービスを提供しているものと。今お話しのは難視聴とかマンション共聴とかそういうのも含めての事業者数と承知をしておりますけれども、そういう限定のない、広く一般視聴者向けに提供しているのはどのぐらいか、お答えください。

山川政府参考人 この五百三十二社のうち、難視聴地域など地域限定をせずに地上デジタル放送のみの再送信サービスを提供している事業者は百四十五社、二七・三%、三割弱になります。

塩川委員 四分の一しかないわけであります。

 大手事業者はどうかということなんですが、こういったケーブルテレビの契約件数の大手でいえば、例えばJCOMグループですとかJCNグループというのは、こういう一般視聴者向けの限定のないサービスというのは提供しているんでしょうか。

山川政府参考人 私どもが大手のケーブルテレビ事業者に伺いましたところ、地デジのみの再送信サービスを地域の限定をせずに提供しているという事例は、大手ではイッツ・コミュニケーションズ、ケイ・キャット、ZTVでございまして、御指摘のようにJCOMなどは提供していないというふうに承知しております。

塩川委員 ケーブルテレビ事業者の大手では実施がされていないということであります。

 あわせて、料金設定についてですけれども、安い料金というのは当然望ましいわけですが、現状どのようになっていますか、お答えください。

山川政府参考人 こうした再送信サービスの料金、具体的な提供条件につきましては、基本的には各事業者が経営戦略に基づいて独自に判断あるいは決定すべきものというふうに思っております。

 ただ、私どもが行った調査によりますと、平成二十年十二月末で、地デジのみ再送信サービスを提供している事業者のうち、大体、月額五百一円から千円までの料金によりこのサービスを提供している事業者が最も多いものでございます。大体、このサービスを提供している事業者に占める割合は四四・五%となっております。

塩川委員 大手の事業者で先ほど実施をしているというところで挙げられたケイ・キャットなども、実際には二千百円という形で非常に金額も高いんですよね。ですから、大手の中で実施をしていても、五百円から千円ぐらいということにはなっていないわけです。

 大臣に伺いますが、実際、こういった地域限定のない一般視聴者向けの地デジ再送信のサービスが、まだケーブルテレビ事業者のうちの四分の一程度だ。また、大手のところにおいて実施されているのも実際には少ない。ですから、現実に提供される世帯数で見れば、極めて少ないという実情があるわけであります。これは視聴者にとっては極めて不十分な到達ではないかなと率直に思いますが、大臣の御感想をお聞かせください。

鳩山国務大臣 確かに、うちもケーブルテレビで入っておりますが、野球等は見ることがあっても、ほかはまず全く見ることがありませんから、したがいまして、今、野球というのは全球場のほとんどでもありますね、そういった意味で、一般の御家庭でケーブルテレビに入りたいが地上デジタル放送だけでいいんだという方が当然多くおられると思いますから、今の二千百円というのは随分高いなと率直に思いました。

 視聴者からの要望が多く、地上デジタル放送への円滑な移行にも非常に資するものであると考えておりまして、昨年十二月に、各総合通信局長から事業者に対し、その早期導入に向け、視聴者が利用しやすいサービスメニュー等を検討するよう要請をしたということで、その際、地上デジタル放送のみの再送信サービスについて、広く情報提供に取り組むよう要請したところでございまして、総務省としては、今後、情報提供の取り組みについても調査を行って、引き続きそのようなサービスの導入が推進されるように頑張っていきたい、こういうふうに思っております。

 私は電気通信のことはよくわかりませんが、今はアナログ停波から地上デジタルということに切りかえるわけですが、ケーブルテレビが仮に今から何十年か後に全部発達したら、地上デジタル波がほとんど不要な時代だって来る可能性はある、全部が結ばれておりますと。だから、そういうことを考えると、やはり地上デジタル放送のみの再送信というのは大いに普及すべきものと思います。

塩川委員 実際、事業者によると、説明が真っ先に出てこないと。有料なチャンネルの説明から入りますから。その中で、一から十二だけ見られればいいんだというのを聞いて、それは今検討中ですとか言う事業者も実際には多いわけですよね。そういう点でも、十二月におきましてケーブルテレビ事業者に対し要請も行い、情報提供の状況についての実態調査も行うということでございますので、そこも踏まえて事業者の宣伝物にもきちんと選択肢として地デジ放送のみの再送信サービスというのがありますよということが明示をされるようにきちんと指導をお願いしたいと思っております。

 あわせてその点で、総務省の宣伝物がどうなっているのかというのも問われるわけであります。

 総務省の宣伝物において、例えば都市の受信障害対策共聴についてですとか、一般的に地デジを促すような宣伝物、パンフレットなどにおいて、地デジのみの再送信サービスについて紹介しているものはありますか。

山川政府参考人 先生の御指摘は、現在、例えば総務省でやっておりますデジサポで配っておりますパンフレットでございますけれども、こうしたものには、現在のところ、例えば地デジのみのサービスがありますというような記述はございません。

塩川委員 もちろん、これは事業者が実施をするものですから……。しかし、このように普及が望ましいと大臣はおっしゃっておられるわけですし、総務省としても掲げているわけですから、総務省の宣伝物にそもそもないというのは大問題であるわけで、今後出されるような宣伝物にきちんと地デジのみの再送信サービスの提供というのを事業者に呼びかけているという文言を入れるとか、つまり、視聴者がそういう選択肢もあるんだなということが総務省やDpaやデジサポなどの宣伝物できちっと伝わるようにするということが最低限必要なことだと思うんですが、お約束いただけますか。

鳩山国務大臣 今山川局長が御答弁申し上げたとおりでして、「地上デジタルテレビ早わかりガイド」、これは総務省がDpaと一緒につくっているものでございますが、そこでは、デジタルテレビで受信する場合、チューナーで受信する場合、ケーブルテレビで受信する場合というのが確かに書いてあるわけです。どれくらいかかるのかというところは、結局、月額利用料は三千円から五千円程度だろうと。これはいろいろな有料なチャンネル、多チャンネルの場合しか書いていないわけですから、地上デジタル波だけだったら五百円とか千円とか、それが普通だということを書き込むようにします。

塩川委員 安い料金ということが極めて重要ですので、その点の具体化をお願いいたします。

 もう一点、地デジ関連で、受信障害対策共聴施設の改修問題についてお聞きします。

 共聴の場合については、辺地共聴の問題もありますし、集合住宅、マンション共聴の対策もそれぞれ重要であります。あわせて、受信障害対策共聴、ビル陰などの共聴についての対応というのが現状どうなっているのか、まずお聞きします。

 受信障害対策共聴施設は、全国でどのぐらいの施設があって、どのくらいの世帯が利用していて、そのうち現時点で地デジ対応がどの程度行われているのかについてお聞かせください。

山川政府参考人 御指摘の受信障害対策共聴施設でございますが、全国で約五万施設あろうというふうに推定をしております。カバーする世帯は約六百二十万世帯でございます。

 その地デジ対応でございますが、デジタル化によりまして受信障害が解消される場合には各世帯が直接受信することが可能となりますが、受信障害が解消されない場合もございますので、その場合には地デジ対応が必要になるということでございます。

 地デジへの対応状況でございますが、現在、実は三月末現在の数字を調査中ではございますけれども、デジタル化対応済みになっているのは、恐らく全体の一割程度ではないかと考えております。

塩川委員 今データベースもつくって、正確なものはそろそろ出るかと思いますけれども、実際、地デジ対応が一割というのは、残り二年余りという時点では極めて深刻な事態ではないかなと率直に思います。

 これは、今後の普及といいますか、地デジ改修のテンポ、敷設目標ですとか、今年度中にどこまで改修を進めるとか、こういった目標というのはお持ちなんでしょうか。

山川政府参考人 この施設は全体で五万施設ございますけれども、この五万施設にもそれぞれ管理者によりまして色分けがございまして、それぞれの施設、例えばこの施設の中には国で管理している施設もありますし、地方公共団体で管理している施設もあります、あるいは公共事業者が管理している施設もありまして、そのほかが一般の民間の施設ということになります。

 それぞれにつきまして、国あるいは地方公共団体、公益事業者、こうしたところにつきましては、私どもも要請をいたしまして、順番に各事業年度ごとに計画をつくって対応をお願いしておりますけれども、民間の施設につきましては、これからいわゆるデジサポを通じまして丁寧な情報提供を行うことにより順番に対応をお願いしていくということになります。

塩川委員 もちろん、空港ですとかJRとか東電だとか、そういった公益事業者や国が対応しているものについては、この間、私もお聞きしてまいりました。しかし、民間のビル陰などの共聴施設については、現時点でも目標、テンポも示されていないというのが現状だということであります。

 あわせて、民間の場合について、マンションの管理組合などが行っているような場合についてどうするのかという場合に、実際には、そもそもマンションの改修の費用の積み立てだけで手いっぱいで、ビル陰の共聴などについてすぐお金も出ないよということで入り口からスタートできないところもありますし、また一つ大きなビルが建って、そのビル陰の共聴をつくったとしても、その後、そこの場所に新たにビルが建ち上がって、実際には二つ、三つが障害をもたらすであろうと言われるような場合が現に生まれている。

 そういった場合に、複数の原因者があるような事態というのが生まれているわけですけれども、そういった数とかというのは把握されているんでしょうか。複数の原因者があるだろうという施設の数とか。

山川政府参考人 先生御指摘のものは、恐らく、最初はこのビルが原因だということが明らかであったにもかかわらず、その後また別なビルが建って、今は原因者はどれかというのがよくわからないというものでございますけれども、その現状につきましては、私ども正確に把握しているわけではございません。

 ただ、現在、二十一年度予算におきまして、必要な、例えば受信調査あるいは改修支援の経費を盛り込んでおるところでございまして、そうした経費を活用いたしまして、全体としてこの受信障害対策共聴施設につきましてデジタル化を推進していきたいというふうに思っております。

塩川委員 最後に一言、大臣に。

 今のように、実際に複数の原因者があるだろうという施設の数も特定されていない。今後の目標、テンポも示されていない。その上、実際に調査費といっても、五万のうちの三千施設分を今年度計上ということ自体、そもそも二〇一一年に間に合うのかと極めて疑問に思うわけですが、大臣としてのお考えをお聞かせいただいて、質問を終わることにします。

鳩山国務大臣 私が聞いている話では、五万といいましても、実質的に、今後調査していって、デジタルに変換することによって何もしないでも大丈夫なところも相当数あるというふうに考えておりまして、今まで局長が答弁してまいりましたようにきめ細かくやってまいりますし、また、総理からの指示で新しい経済対策が検討中で、結論は出ておりませんが、受信障害対策共聴施設のデジタル化対応施策についても、これはぜひ今回の新しい経済対策に入れてもらおう、そして一気に進めていこう、こう考えております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 ことしになってから、かんぽの宿問題、日本郵政の不動産に対する考え方、あるいは感覚ですね、何でこんなに国民共有の財産を安く売ってしまうんだろう、どうしてこんなに割り切りができるんだろうと、大変不思議に思ってまいりました。

 そこで、皆さんに資料を見ていただきたいんですが、これは総務省の報道資料、昨年の五月十四日のものでございます。ここに一、二とございますけれども、郵便局株式会社法の十条に基づいて重要な財産の譲渡の認可を総務省がしたという記録でございます。一つは東池袋の施設で、これは東京簡易保険総合健診センターという、成人病とかドックなどの機能を備えていた、サンシャインの近くにある、約六百坪でしょうか、その施設だそうです。二番目は、以前問題になったメルパルクの建設予定地、オリックス・アルファに売却をされた土地だそうです。

 まず、西川社長、来ていただいていますけれども、この東池袋の土地について、簡単に現況について御説明をいただきたいと思います。どうなっていますでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 この旧東京簡易保険総合健診センターにつきましては、民営化に伴いまして、不動産開発を行う用地として郵便局会社が承継し、開発について検討してきたものでございます。そして、これを、周辺の立地環境あるいは外部環境等から、不動産開発を行った後に最終的に市場にて売却することを予定しているものでございます。

 それに当たりまして、この土地を三菱UFJ信託銀行に信託をいたしまして、信託受益権の持ち分比率の一部、七割を不動産開発の共同事業者として選定した住友不動産に譲渡したところでございます。

 現在は、共同事業者とともに不動産開発案の検討を行っておると聞いております。

 以上でございます。

保坂委員 もう一点西川社長にお尋ねしたいんですが、私たちは、二月に予算審議などで、この法律の附則に盛り込まれた簡易保険関係の施設あるいは郵貯関係の施設については五年以内の譲渡及び廃止となっているんですという説明を聞いてきたんですが、この二つについては民営化当時例外扱いをされた。つまりは、簡易保険の施設、今おっしゃった池袋の施設、これは例外で、郵便局会社につけた。それから、メルパルクの用地の中でも沖縄の土地はやはり郵便局につけた。この二つを例外扱いにした理由について。

西川参考人 これは本件だけではないのでございますが、郵便局会社の事業として不動産事業を行う、そのために郵便局会社の所有にしたということでございます。なぜ不動産事業を行うかと申しますと、郵便局会社として全国の郵便局ネットワークを維持していく、その下支えとなる収益をこれらの不動産事業に期待をしているからでございます。

 以上でございます。

保坂委員 この東池袋の手続は、私もちょっと調べてみましたけれども、昨年の八月八日に、言われるように郵便局会社が郵政民営化の発足当時持っていましたので、これを三菱UFJ信託銀行に対して信託するわけですから、委託者としての郵便局会社が受託者としての三菱UFJ信託銀行に管理をしてもらう。

 問題は、その受益権。つまり、その開発によってビルが建って、利益をもたらしていくという想定ですね。その受益権の七〇%を住友不動産が持っている、三〇%は郵便局会社が持っているということだと思います。これは一般競争入札などのようには情報は開示されません。あるいは、土地の謄本を見れば、これは信託所有ということで三菱UFJ信託銀行しか出てこないので、日本郵政の執行役の方に答弁いただきたいんですが、この手続ですね、特にその受益権を住友不動産に七割、こういうふうに決めていった経過の中で、ホームページで公表したり、あるいは何らかの公開に資する手続を踏んだりということはあったんでしょうか。

清水参考人 お答えいたします。

 当該不動産に関しましては、先生おっしゃるように受益権持ち分七割を、譲渡先と共同事業を進めておるわけでございますけれども、その譲渡先につきましては、国内不動産会社のうち、資本金、連結売上高、賃貸事業売上高のそれぞれ上位の複数の会社、これは七社でございますけれども、この七社の中から受益権評価額の最も高い数字を提示した住友不動産に決定したという次第でございます。

 以上でございます。

保坂委員 お答えになっていないんですが、つまり、鳩山大臣もよくおっしゃる国民共有の財産ですね、これについて譲渡をする。これは不動産で売るわけではないんですけれども、事実上、この信託が切れると、この受益権の七割を持っている住友不動産を中心に所有されるわけで、三割は郵便局会社が持っていますけれども、その手続は何か公開されたんですかということを聞いているんです。それに答えていただきたいと思います。

清水参考人 この総務省の認可をいただいた以降につきましては、公開はしておりません。

保坂委員 どういう方がその七社の中から選んでいたのか、会社の会議でこの住友不動産に決めようということだったのかわかりませんが……。

 では、もう一つ伺っていきますけれども、こういうふうに、不動産の売却をするよりも、信託をとり、受益権を譲渡するという方が高値だったんでしょうか。ずばり幾らでこの受益権は郵便局株式会社から住友不動産に譲渡されたんでしょうか。

清水参考人 今回の七〇%分の受益権譲渡の契約は、おっしゃるように八月八日に行ったものでございますけれども、価格としては七〇%分に対して五十億円でございました。

保坂委員 鳩山大臣、私は、ちょっと聞いて、あれっと思ったんですね。今までの話と違うんですよ。

 今までの話は、かんぽの宿もある、それから社宅もある、ラフレさいたまもある、まとめて持っていけと。百億円ですよ、百九億円。これは一カ所六百何坪が七割で五十億円というのは結構高いんです。だから、日本郵政はいい商売ができるんだなと。何でこんなテクニックを駆使できる会社なのに、一方においてはどんどんどうぞどうぞとやっていったのか。しかも、もう一つ言えば、国民に明かされていない。

 私も、こういった情報を得て、調べてみて驚きました。大臣、感想はどうですか。

鳩山国務大臣 保坂先生のきょうの御質問の要旨を承って、私説明を受けて、信託をする、受益権を設定する、受益権を住友不動産に七〇%売る、また、建物は共同開発をする、これには金がかかるでしょうけれども、またその建物にも信託受益権を設定して、やはりそれも住友不動産に七割保有させて、最終的には多分すべての信託受益権を売り払うんだろうと思いますが、私はこういう経済行為について得意ではありませんが、いきなり五十億円と出てきました。これはかんぽの宿百九億円の約半分という金額でございますから、逆に言えば、かんぽの宿等がいかにたたき売られようとしていたのかという、その比較の資料と思って眺めておりました。

保坂委員 郵便局会社には、この五十億円は払い込まれたんでしょうか。そして、この開発費用は、共同事業開発ということですから住友不動産と郵便局会社がビルを建てていくという計画でございましょうね、これはいつ建てる予定なのか、今、現状どうなっているのか。

清水参考人 当該事業につきましては、三対七の比率で事業費を負担し、共同で進めてまいります。ただいま現在、その着工のために準備をしておるというところでございます。

 以上でございます。(保坂委員「払い込まれたんですか」と呼ぶ)

 済みません、最初の御質問ですね。五十億円は既に払い込まれております。

保坂委員 西川社長に再びお聞きします。

 実は、簡保関係の総合健診センターというのは全国にあったんですね、また、病院もございました。これはかなり安く売却されています。

 私は、非常に残念だ、こんなに安く売ってしまっていいんだろうかと。中にはバルクに入っていたものもある。この点について、他の委員からも、日本郵政は、バルクは郵政公社時代のことですが、もっとちゃんと評価して売るべきじゃないか、努力していないじゃないかと批判をしたと思います。

 今回のこの信託をして住友不動産に七割譲渡してというやり方、片や、鳩山大臣も言ったように、かんぽの宿百九億まとめて持っていってくださいと。雇用がついているからといっても、実は、最初にその中にあった世田谷レクセンターも、不動産評価額を見たら百三十八億円ですよね。日本郵政の資料です。社宅だって全部まとめて四十六億円でしょう。この前の報告で私ども拝見しましたけれども。

 同じ会社がやっていることなんでしょうか、同じ人がやっているんでしょうか。

西川参考人 これは担当者が違いまして、東池袋の物件はもう健診センターをやめてしまった空き家でございまして、これを、こういう信託方式ということを考えてくれたのはこの清水執行役でございます。彼は三井不動産から来ていただいているわけでありますけれども、三井不動産時代にそういったノウハウについていろいろと経験をしてきたということが違うんだろうと思います。

 かんぽの宿につきましては、宿泊事業というとらまえ方をいたしておりますし、その社宅についても、これは実は簡保事業団時代から簡保事業団の持ち物として持っておった社宅でございまして、簡保事業団の職員がその社宅に入居し続けてきておるということでございます。これを雇用を継続するということでございますので、労働組合の方からも社宅を必ずつけてくれという強い要請がございまして、一緒にしたという経緯がございます。

保坂委員 西川社長に続けてなんですが、二月の予算委員会のやりとりで、世田谷レクセンターというのは最後に外しましたねということを私は指摘しました。その最後に外すというのはルールとしていかがなものだろうかと。当初から参加希望していた会社に全部通達をすべきだろう、どこまでお知らせをされたんですかと言ったところ、西川社長は三社とおっしゃったんですね。議事録に残っています。三社というのは、オリックスとホテルマネージメントインターナショナル社と、もう一つ、住友不動産だというふうに私は受けとめました。

 これは、事実はどうなんですか。第三者不動産委員会の中でもそういったやりとりがありまして、住友不動産には言ったんですかと聞いたら、内々にお話ししました、しかし、世田谷レクセンター、十億、二十億、厳しいですねと言われて引き下がったんです、こういう記録があるんですが、真実はどちらなんですか。

西川参考人 申しわけございません。私は、最終提案を受けることになっていたのが三社でございましたので、その三社にすべて通知をしたというふうに思い込んでおりまして、そういう答え方をさせていただいたわけでございます。実は、二社であったということでございます。申しわけございません。

保坂委員 最後に大臣に伺います。

 なぜこの質問をしているかというと、実は世田谷レクセンターというのは、先ほどちょっと御紹介したように、百三十八億円という鑑定評価がついている。やはり、何だかんだ言っても大変評価の高い土地だったろうと思います。

 これを外すというのは、このかんぽの宿一括譲渡で大変大きな要素だということは大臣も認識を共有されていると思いますが、これを一たん西川社長は、間違えたと言うんですが、住友不動産に話をしたと言って、今それは勘違いでしたと言いましたけれども、同じ八月なんですよ、この信託の手続をし、受益権を譲渡したのは。同じ時期なんですね。こちらの方は高く受益権の評価をしているということですが、本当に表裏の関係で、いわば西川社長のもともとの出身グループでもありますので、住友不動産との癒着等が疑われてはいけないと思いますので、しっかりヒアリングして調べていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 タイミング等の問題があるとすれば、それは疑いを持たれるようなことがあってはいけないわけですから、国民の共有の財産が処分、処理される場合は一点の曇りもあってはならないという信念に基づいてそれなりの調査はいたします。

保坂委員 しかも、現状は古い建物が建っているままで、この地域は都市再生法に基づく緊急整備の指定を待っているというか手続中なんですね。御承知のように、都市再生法の適用がされれば、容積率等、格段に条件は変わります。そうなれば住友不動産の五十億円というのも意味が変わってくるんじゃないか。

 こういうところも着眼をして議論をしていきたいと思いますし、郵政の資産が国民から全く見えないところで五十億円単位の売り買い、これは安くはありません、高いと思います。しかし、なぜ安過ぎるのと幾らか高いのと同じ会社の中から出てくるのかというところを大臣もしっかり見ていただきたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。鳩山総務大臣。

    ―――――――――――――

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山国務大臣 電波法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国のあらゆる社会経済活動の基盤となる電波の有効利用を推進する観点から、地上デジタルテレビジョン放送への円滑な移行を推進するため、電波利用料の使途の範囲を拡大する必要があります。また、この移行によってあくこととなる周波数帯を利用した新しい放送である移動受信用地上放送の早期実現を図るため、所要の措置を講ずる必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、当分の間の電波利用料の使途の特例として、経済的困難その他の事由により地上デジタル放送の受信が困難な者に対して、地上デジタル放送の受信を可能とするための支援を追加することとしております。

 第二に、移動受信用地上放送の早期実現を図るため、現在携帯電話の基地局など電気通信業務用の無線局について導入されている開設計画の認定制度の対象として、移動受信用地上放送をする無線局を追加することとしております。また、現在衛星放送に導入されている、他人の委託により放送を行う受託国内放送の対象として、移動受信用地上放送を追加することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電波利用料の使途の特例に関する改正規定は公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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