衆議院

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第4号 平成22年2月24日(水曜日)

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平成二十二年二月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 西  博義君

      稲富 修二君    小川 淳也君

      小原  舞君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      斎藤やすのり君    階   猛君

      田中美絵子君    高井 崇志君

      中後  淳君    寺田  学君

      永江 孝子君    野木  実君

      野田 国義君    藤田 憲彦君

      皆吉 稲生君    湯原 俊二君

      若泉 征三君    渡辺  周君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  岡崎 浩巳君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  湯原 俊二君     稲富 修二君

  若泉 征三君     斎藤やすのり君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     湯原 俊二君

  斎藤やすのり君    田中美絵子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中美絵子君     若泉 征三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長久保信保君及び自治税務局長岡崎浩巳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小原舞君。

小原委員 おはようございます。民主党の小原舞でございます。

 このたびは、質問の御機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は京都北部の出身でございますけれども、人材そして自然、歴史、こういった資源に恵まれたすばらしい地域でございます。けれども、地方は過疎化そして高齢化が急速に進み、私の地元では地場産業の衰退も相まって地域が疲弊して、人口比率に換算すると、全国で自殺率が一番高い地域でもあります。地元を歩いておりましても、涙を流しながら今の地方で暮らすことへの不安を訴えられて、私はそのたびに、地方の再生のために働かせていただきたい、この決意を持ってこの場に立たせていただいております。

 また、私自身も数年前に経験がございますけれども、ハローワークに通って職を探したことがございます。数年前でありますけれども、当時でも手取りが月額十万円以下、これが地方の現状でありました。今、この経済情勢の中、今の若い人たちは、あのとき私が感じた悔しさ、そしてつらさというものを今まで私が感じた以上に、本当につらい思いをしていると思うと、胸が大変痛む次第でございます。

 昔は夢を持って都会に出ることがありましたけれども、今は地方に、ふるさとに仕事がなくて、ふるさとを、そして愛する家族のもとを離れて都会へ出ていかざるを得ない。そして、残された地方では人口流出によって地域が活力を失い、そして高齢化がさらに加速して不安が募る一方であります。私は、全国津々浦々にある地方という足腰がしっかりしてこその日本の再生だ、そして地方の再生こそが日本を立て直す、この志を持って政治の道に入ってまいりました。本日は、この思いを胸に質問をさせていただきます。

 さて、このたびは、税収が三十七兆円にも落ち込んだにもかかわらず、原口大臣の強いリーダーシップのもとで、十一年ぶりに地方交付税一・一兆円の増額、そして地方の実情をかんがみ、公債費負担の軽減を打ち上げられたことにまずは敬意を表します。

 そこで、原口大臣に質問いたします。

 民主党政権となって、マニフェストでお約束した、国から地方へのひもつき補助金から地方が自由に使える一括交付金へ、こういう目標に向かって進んでいる最中だと思っております。住民に一番身近な立場の地方公共団体が、地域の実情に沿った行政運営をみずからの責任で、そして施策を判断し実行することが可能になってまいります。こういった流れの中で、本来、中立的に算出される地方交付税に関しても、地域活性化・雇用等臨時特例費をいわば別枠で創設されたことは大きな一歩であると感じております。

 例えば、原口ビジョンの二つの柱の一つでございます緑の分権改革につながる取り組みというように、交付税にあえて政策的な意味合いを持たせた大臣の意気込みをお伺いいたします。

原口国務大臣 おはようございます。

 小原舞委員におかれましては、まさに植木職人でもいらっしゃいましたし、それから自衛官として国の守りをしっかりと頑張ってこられ、また、今の地域に対するあふれんばかりの愛情、私も学びたいと思います。

 その上で御質問にお答えさせていただくと、地域がなぜ疲弊をしているのか、それは幾つかの原因があると思います。

 小原舞さんの舞、まさに舞鶴、これはとても美しい町で、たくさんの資源があります。しかし、そのたくさんの資源や人材を生かし切れていないのではないか。むしろ人材が流出をしたり、あるいは地域の資源が枯渇をする事態が起きているのではないか。ですから、まずは、今お話しのように一・一兆円、交付税を十一年ぶりに増額させていただいて、その中でも緑の分権改革といったものに力を入れていきたいと考えているわけです。

 緑の分権改革は、何も財政面での下支えだけではありません。財政力が弱ければ弱いほど、東京から離れれば離れるほど厳しいという状況はあってはならないんです。この間、御地元の京都で日本自治学会というものがございまして、私はそこで、だれかが一方向にこういうものをこうやって引っ張り上げれば、後はおこぼれが来るというような、これはトリクルダウンという考え方なんですが、そういう考え方じゃなくて、まさに木々がその命をはぐくむように、泉のように各地からわき上がる、そういう変革を行っていきたい。

 そのためには、まず、地域にある資源を最大限に生かす、地域にある人材を最大限に生かす。そして、大変な財源不足で公共サービス格差も広がっています。これをまずは一息ついていただく。これが、まさに今回の交付税の中にそういうものを入れた目的でありまして、地域が持っている文化を伝承する力、人をはぐくむ力、小原委員、明治時代の初期は、日本で最大の人口があったのは、東京というよりもむしろ新潟なんですね。自然の豊かなところ、恵みの豊かなところ、そこにしっかりとした力を注いでいくこと、これが私たちの使命であるというふうに考えております。

 どうぞよろしくお願いします。

小原委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに、財政力の弱い地方に温かい手を差し伸べていただけるような運営をしていただけると幸いでございます。私も一生懸命、委員として尽力していく所存でございます。

 次に、十九日の委員会にて重野委員も関連の御質問をされておりますけれども、一括交付金に関する質問です。

 これまでのいわゆるひもつき補助金にはもちろん弊害もありましたけれども、一方で、国の政策ビジョン、例えば環境問題、そして森林再生といった政策ビジョンを地方の政策に浸透させる、そういった役割もありました。一括交付金は、地方が自由に使える財源として、そういった点で地方交付税と区別がつきにくいところがあります。

 そこで、お伺いいたします。一括交付金と地方交付税の役割の違いについて、大臣の御見解をよろしくお願いいたします。

渡辺副大臣 お答えを申し上げます。

 民主党のマニフェストでは、地域主権ということを確立することが第一歩だ、地方の自主財源をふやすという中で、地方の税の税収、そして交付税、これが二本柱なわけですけれども、国から出る補助金も整理をしよう。

 社会資本の中でも、地域のインフラの中にも、例えば厚生労働省だったり国土交通省だったり農林水産省だったり、一つの事業に対して幾つかの役所にまたがっている。あるいは同じことなんだけれども、例えば下水道だと、農水省だったり厚労省だったり国土交通省だったり、それぞれにあるわけでございまして、そういうものに一回全部横ぐしを通して、一つにまとめようではないかということが一括交付金の考え方であります。

 そしてまた、今地方の首長さんたちとも連日のように協議をしますけれども、何よりも、やはり地方の財源をふやしてほしい、それには交付税の増額のみならず、使い勝手のいい交付金を創設してほしいという意見もいただいております。ぜひ、地方の意見を聞きながら、一括交付金の議論と相まって、できるものからどんどん導入をしていく。二十二年度中にこれは制度設計をしていくべく、今議論をしているところでございます。

 地方の首長さんたちが頻繁に陳情に来られて、国土交通省に来られて、その後総務省に来られて、また今度は厚労省に行ってと、地方の首長さんたちの仕事は陳情であるみたいな、とにかくこういう昔の、東京へ上ってきてお願いをするような、先ほど大臣も申し上げましたように、地域主権を確立する上ではこういう今までの文化を改めよう。その第一歩になるのではないかという思いで取り組みをしているところでございます。

 以上でございます。

小原委員 ありがとうございます。

 まさに使い勝手のよい交付金ということで、今までの省庁の壁を越えていくような、そして知恵や工夫が生かされるような、そんな一括交付金になることを望んでおります。

 今年度も税収の著しい落ち込みを補うべく、臨時財政対策債七・七兆円分によって支えられて、実質的な地方交付税額としては過去最高の二十四・六兆円となっております。臨時財政対策債によって実質的な地方交付税が維持され、また、後で交付税で担保されていることから、地方公共団体にとっては地方債といいながらも実質的に負担がなく、地方財政安定のために必要とされていることは承知しております。

 その上でではありますけれども、形式的、一時的とはいえ、地方公共団体といたしましては地方債を発行することになり、また制度上、発行しても構わないという扱いですので、最終判断は地方公共団体に任されているところであります。いわば地方交付税のためとはいえ、国の財源不足を補うために地方が一時的に借金をする形になるわけであります。

 地方交付税の財源が不足した場合に、臨時財政対策債以外の形での対応、例えば原口大臣が尽力されております法定率の引き上げなど、そういった部分での対応というのは難しいものでしょうか。大臣の御見解をお伺いいたします。

原口国務大臣 大事な御指摘だと思います。

 今回の臨財債の対応策は、まさに生のお金は財政力の弱いところへ、それから、臨財債ということはある程度余裕のあるところで賄っていただくというような仕組みも中に入れているんですが、やはりこれはある意味では、借金の、未来に対するさまざまな不安を払拭する根本的な解決策とは言えないわけで、ことしの臨時的な措置なわけです。

 その上で、公的歳出全体を見ると、三分の二が地方の歳出なんですね。そして今、環境ということを新政権が言っていますけれども、その環境政策を実際にやっているのもやはり地方なんです。ですから、国税五税の法定率というのは、ずっと求められていたにもかかわらず、上がらなかった。今回は交付税を上げましたから、率は上がっていますが、これは恒久的な措置ではないわけです。来年度以降についてはまた税調で議論をして決めるという形になっています。

 小原委員がおっしゃるように、根本的に、地域を支える財源、中央政府で集めた税収のうちの何を地域がしっかりと安心できる税にするかというのはとても大事なことで、引き続き総務大臣としては法定率の引き上げを目指して、皆さんに御協力をお願いしていきたい、そう考えています。

小原委員 ありがとうございます。

 臨時財政対策債という緊急避難的な制度が常態化することへの懸念の質問でございます。そして国の財政規律の面においても、大臣のおっしゃるとおり、将来にツケを回す国債発行にもつながる制度だと思っております。その重要性は認識しつつも、今後御検討いただければと思っております。

 関連の質問でありますけれども、地域主権を進める上で、安定した地方の財源が必要なことは言をまちません。先ほどの御答弁にもございましたが、どういった財源を国から地方へ移譲すべきかの議論についてはこれからのこととなると思われますけれども、都市部と地方とで偏在性が少なく、そして景気の変動に左右されにくい、そういった税が移譲する財源としては適していると思っております。

 そこで、財源の選択肢として、消費税の地方分、これは今五%中の一%でございますけれども、いろいろな議論があると思いますけれども、この引き上げについて、税調会長代理も兼任されております大臣の意気込みをお伺いさせていただければと思っております。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 税調会長代行ということで、私は、まさに財務大臣とイコールの立場で税を考えているわけです。その上で、消費税の地方に向かう分ということでお話がございました。

 私は、まずは成長戦略の中に国全体を包み込んでいくということが大事だと思っています。この前の委員会でも御答弁をさせていただきましたが、税収の弾性値を一・一に置いたときに、経済成長が一・七五、三・五の場合どうなっていたか。一九九七年、ちょうど私は九六年に国会に送っていただきましたけれども、そのころに試算していたのでは、ことしは九十二兆円税収がなきゃいけないんです。それが三十七兆円というのは、一体何が起きているかというと、経済成長のエンジンを壊しているわけですね。

 その中で、では、どこにどういう分配をするかということが大事で、今委員がおっしゃるように、安定的で、地方のいわゆるサービスをしっかり支えられるような税、これはやはり間接税の方が、予見可能性もありますし偏在性も少ない。地方消費税や、あるいは消費税の中の議論をどうするか。

 ただ、私たちは、この今傷んだ経済の中で消費税の引き上げは選択にないと思います。ちょうどあれは九七年でしたか、当時の橋本内閣は消費税を上げました。税収が大幅に上がらなきゃいけなかったはずが、逆に十兆円以上落ち込んだんですね。国民経済に厳しい負荷を与えて税収も下がるなんというのは、こんなことはあってはならないと思っていますので、経済との対話を考えながら税の議論を進めていきたい、そして地方の安定財源を確保していきたい、こう考えています。

小原委員 ありがとうございます。

 次に、鳩山総理の所信演説で、新しい公共という演説がございました。政権交代という形で国民の皆様に御期待いただいた政権与党として、これからの日本社会の目指す方向性、そしてその実現に向けての制度、政策の設計が急がれるところであります。地域主権によって国の形を変えるという議論の中でぜひとも御検討いただきたく、NPO寄附税制における地方税の取り扱いについて御質問させていただきます。

 私は、地元で、男女共同参画の推進をミッションとするNPOに勤めておりましたけれども、ドメスティック・バイオレンスの相談を多々受けることがありました。行政は、いわゆる平等性や公平性、こういった観点からどうしても機動的に動けない部分があって、さらに税財政が逼迫する中で、今後、行政サービスを今までのように公のみに頼っていけないという現実もあります。その一方で、NPO法人などの市民活動団体は、たった一人のこの人を救いたい、こういった活動ができる、公を補完する存在として期待されております。

 地方行政における公を担う存在としてのNPO法人に求められる役割、及び行政との役割分担について大臣に御質問いたします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 とても大事な御指摘だと思います。公共サービス基本法という法律を前の国会で私たちは出して、ここに座ってくださっている福田さんが先頭になってつくっていただいたんです。その原案には、今小原委員がおっしゃったいわゆる市民公益、公益の担い手は何も官だけではない、NPO、NGOがしっかりとした寄附金控除によって支えられて、そして公益を担う。これを私たちは、公益の市民化あるいは公益の自由化とも言っています。この方々もしっかり支えることが、公共サービスの質を保障する大きな要因なんだということを考えています。

 京都にはたくさんのNPOがありますね。今DVのお話はありましたけれども、この間も、ゆめカフェですか、女性だけでなさっているNPOですけれども、生きづらさ、働きづらさを感じていらっしゃる方にNPOがそっと寄り添う、あるいは一日のうちに二時間でも働くことができれば、その人たちの重荷を少しでも軽くすることができる。これは、官僚機構というか、今までの公益を担っていた枠組みだけではできないことです。

 私たちは、渡辺副大臣を先頭に、市民公益税制の検討会というのを税調でつくって、そしてこの分野を大きく広げていきたい、こう考えていますので、NPOでの御経験も御指導いただければ、このように思っています。

小原委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに一生懸命頑張って、本当に困っておられる方々を救おうとされているNPO、そして、これから自助、共助、公助という社会のあり方の中で、自助だけではなかなか済ませられないところを共助という形、そしてそれを補完する公助という形で進めていけたらと思っております。

 おっしゃっていただきましたように、NPO法人の役割が期待される一方で、新しい公共を担うセクターであるNPO法人の現状は、法人の約七割が財政問題を抱えております。新しい公共をつくり出すためにも、NPO法人などが行政に依存せず自立して活動できる、そんな基盤づくりが必要だと考えております。

 そこで、寄附文化の醸成の足がかりとしてNPO寄附税制が議論されていますけれども、現状は、NPO法人に対して、国税においては認定NPO法人制度によって控除がなされております。現在、認定NPO法人の数は百二十八、そして全国のNPO法人の数が三万八千九百九十七団体という数から見ても、認定NPO法人の数は非常に少ない現状であります。利用しやすい制度への改善が喫緊に求められているところであります。

 一方で、地方住民税に関しては、その寄附控除の対象となる認定NPO法人の指定が条例にゆだねられております。そこで、NPO法人への寄附による地方住民税の税額控除の現状をお伺いいたします。

小川大臣政務官 地方税務を担当しております小川でございます。

 現状でございますが、住民税は所得税と違いまして、地域のいろいろな費用を賄っていただくという会費的な性格がございます。その関係上、所得税よりは限定されているということがございます。

 控除の対象ですが、例えば日赤とか自治体、共同募金、これらは所得税と共通です。それ以外の、今委員御指摘のNPO法人については、自治体が条例で指定したものに限られているというのが現状でございます。

渡辺副大臣 今大臣からお話がありましたけれども、きょうもまた、第四回目の公益法人への税制のPTを私が座長で開きます。四月の最終週までには結論を出そうというふうなことで毎週一回、識者からも今ヒアリングをしています。当然その中には地方の税務の担当者の方も入って、いろいろ現状を伺いたいというふうに思っています。

 ちなみに、地方の寄附金控除された額はどれぐらいかといいますと、二十六億円なんですね。これは、あくまでも控除を申請された方のベースでございます。

 ちなみにですけれども、アメリカと日本の比較がございまして、寄附金に関する日米の状況、これはちょっと年度が違うんですが、日本の場合、個人で、国税、地方税を含めて集まった寄附金が二千六百億円、〇・二六兆円ですね。これは二〇〇四年です。アメリカで二〇〇八年の統計ですと、円換算しまして二十兆四千億円です。つまり、まさに百分の一でしかない。

 いろいろ文化の違い等があるとは思いますけれども、この寄附文化をどう根づかせていくかということについて、やはり私どもとしては、NPOの認定のあり方、それから控除にメリットがあるということを今鋭意検討しているところでございまして、またぜひ機会がありましたらアドバイスいただきたいと思います。

 ありがとうございます。

小原委員 ありがとうございます。

 まだ寄附文化が育っていない中で、これから検討すべきことがたくさんございますけれども、建設的な、そして一歩でも前に進めるような議論が進められればと思っております。よろしくお願いいたします。

 地方住民税に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、寄附控除の対象となる認定NPO法人の指定が条例に任されていることから、寄附をする人の立場に立って考えると、地方公共団体によって団体の指定や、また手続などがまちまちであるということであります。自分の町で寄附をしたいと思っても、果たして認定NPOに指定されているのかどうか、調べてみてどうなっているかわからない、こういった現状があります。非常にわかりづらい制度になっていると思っております。

 でも、自治体側からすると、財源がかなり不足している、本当に厳しい状況の中で税収が減ることになってしまうために、国から押しつけるというような形ではなくて、地方の裁量に任せている。地域主権が一歩こういった分野にも進んでいるというのは大変評価できることでありますけれども、先ほど申し上げましたように、一方で寄附をする側、そしてNPO、寄附を集めたい側にとっては、もう少し何か改善できないものかというような意見が多々上がっているところであります。

 NPO法人が行政とともに公の一端を担う社会をつくり、これからも充実させていくためにも、寄附控除ができる限り受けられるように、地方税についても国税と連動して制度の簡素化を図ることはできないものでしょうか。大臣の御見解をお願いいたします。

原口国務大臣 大変大事な視点だと思います。

 税は、簡素で、だれから見てもわかりやすい、それから使いやすい、そして公益の担い手は、先ほど申し上げましたように、いわゆる官僚機構だけではない、市民公益ということをしっかりつくっていくためには、もともと寄附金文化は日本にはないとよく言われますが、それは本当なのかなと思うんです。明治以降の中央集権体制が、逆に、日本にもともとあったお互いのきずな、お互いでお互いを支え合おうというものを壊しているだけで、もともとの日本の文化の中には寄附という、寄附というよりか、布施であったり、さまざまな違う言葉になっているのかもわかりません、結いであったり、もやいであったり、そういう言葉になっているのかもわかりませんけれども、もともとはあるんだと思います。

 そのあるものを壊してしまったところを変えていく、これが私たちの使命だし、今小原委員がお話しのように、市民公益の部分をふやせば、これは逆に、官による公益の担い手にとっても、自分たち自身をもっとブラッシュアップできますし、ひいては主権者に対して、あるいは地域の住民に対していい公共サービスができることになりますので、今の御指摘を踏まえて税調でもきっちり議論をしていきたいし、国会でも御指導をいただければ、このように考えています。

小原委員 心強い御答弁ありがとうございます。

 私のスタンスといたしましては、NPO寄附税制に限らず、地方に負担を押しつけることなく、地方公共団体で知恵や工夫ができる制度を考えていきたいという前向きの発想です。

 例えば、現在の制度のように、地方が寄附控除を認めれば税収が減るという制度よりも、地方交付税の算定方法の中で寄附控除額を係数に入れ込むなど、寄附控除を認める地方公共団体側にインセンティブを与えられるような、そんな仕組みがあってもいいんじゃないかという提案をさせていただきたいと思っております。

 最後になりますけれども、国の形を地域主権の形に変えていく中で、特に税財源の移譲に関しましては、内閣府、そして財務省とも連携を深めながら、原口大臣には引き続き地方の立場に立った御提案をしていただければとお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、藤田憲彦君。

藤田(憲)委員 藤田憲彦でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、もともとサラリーマンをして、そして企業を経営した上で、今回議員になったわけでありますが、サラリーマン時代には電子マネーの開発であったり、ベンチャー企業の経営のときにはITの分野でと、本来であれば情報通信の分野が私の本職でありますけれども、きょうは、地方交付税そして地方税という、私にとっても非常に重要な勉強の機会となりましたことをお礼申し上げます。

 そして、冒頭、原口大臣にお礼を申し上げたいと思っております。

 昨年の十一月に、原口大臣より、自治会等地縁による団体功労者総務大臣表彰が贈られました。全国で三十八名いらっしゃったということなんですけれども、私の地元選挙区の東京の大田区から吉澤敬地さんという方が、自治会の活動を四十年以上やっていらっしゃいまして表彰されたということであります。一昨日、その祝賀会がありまして、私も招かれたわけでありますけれども、総務大臣表彰を受けたということで、大変栄誉なことだと喜んでおられました。

 私は、原口大臣が訴えます地域主権、そして鳩山総理が訴えております新しい公共ということを推し進めるためには、地域の方々の積極的な貢献と自発的な参加というものが必要不可欠であると考えておりますので、こうした方々を今後も積極的に表彰して元気づけていただくということは非常に有意義であると考えておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 委員はまさに、電子マネー、それからおサイフケータイ、これも委員が発明されて、日本のICTの最前線、フロンティアを広げていただいて、本当にありがとうございます。

 その上で、御受彰された皆さんに、この場をかりてお礼とお祝いを申し上げたいと思います。

 地域にいかに参加していただくか、これはとても大事なことです。私たちの民主主義そのものは、ほっておいても民主主義は成立しません。民主主義にはたくさんの学びが必要です。とともに、地域も、参加とみずからの地域を支える行動があって初めて地域が生きていきます。

 ちょうど二年前に、チューリヒで世界消防協会の総裁とお会いをしました。そのときに、日本は消防団の数が減って困っているんですよという話をしました。そうしたら、ぽかんとされていました。なぜそんなことが起きるのか、消防に入れる人は選ばれた人だ、小さいころから、ある意味では幼稚園のころからずっと選別をされて、消防に入れば新たな救命のさまざまな知識が、あるいはロープの結わえ方ですとか、いろいろなものが学べる、消防に入れるというのは特権であり、そして誇りなんだと。

 日本も、多くの消防団にかかわる人たち、あるいは今のような自治会にかかわる人たちが一生懸命頑張っておられます。そういうことをしっかりと大事にし、そして顕彰できる、そういう行政をやっていきたいと思いますので、今度お祝いがあったときには私も呼んでください、参りますので。

藤田(憲)委員 大変ありがたいお言葉をありがとうございます。

 さて、それでは、本日の地方財政計画、そして地方交付税及び地方税についてお尋ねしたいと思います。

 先ほど申し上げましたとおり、私の選挙区は東京の大田区でありまして、私は首都圏選出の議員でありますけれども、私自身はもともとは新潟県の上越市の出身でありまして、雪深い豪雪地帯でありますし、そしてまた過疎が進んでいるところでもあります。私自身、一面に田園風景が広がる中で育ってきた思いがありまして、そういう意味におきましては、私はふるさとを大切に思う気持ちというものはしっかりと大切に持っておりますし、東京に住んでおられる方の中でも、地方から私のように東京に移り住んで、地方のことを、ふるさとのことを思いながら頑張っていらっしゃる方は多いと思います。

 先日、東京の新潟県人会の新年会がありました。これは新高輪プリンスホテルの飛天の間、千四百人が埋まるくらいの大変な盛り上がりでありまして、こういった方々が一生懸命地方を応援しているということを私はしっかりと認識をいたしまして、まさに私自身が地方と都市の両方の立場を理解して、そしてかけ橋となれるように使命を全うしたいと思う所存であります。

 その意味で、原口大臣が述べておられます、中央集権体質からの脱却による地域主権改革というところ、そしてその力を裏づける地域の自給力と創富力の重要性については、大いに共感し、賛意を示すものであります。

 そこで、まず初めに、そうしたビジョンのもとで今般提案されました地方財政計画について、特に前政権下において、三位一体改革で地方が大きく疲弊をしてしまったと私は認識しておりますが、この地方財政計画の特色と前政権との違いについて改めてお示し願います。

小川大臣政務官 地方財政計画、八十二兆一千億円余り、国会に提出をさせていただきました。

 特色ということでございますが、まず、税収が四兆円近く落ち込む中で、ほぼ前年並みの地方歳出を支える計画をつくらせていただきました。

 この中には、一・一兆円の交付税の増額、また臨時財政対策債を合わせまして二十四兆円の実質的な交付税、これはほぼ三位一体前の水準に戻した格好になっております。あわせて、補償金を免除した地方債の繰り上げ償還、これも自治体に対する二千億円程度の財源措置ということになっておりまして、前政権との違い、また特色は非常に前面に出たものになっているのではないかと思っております。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 その中で、今政務官の方からもお話がありましたけれども、今回、地方交付税の総額において一・一兆円の積み増しが行われたということでありまして、これが三位一体改革前の水準ということでありますけれども、まさに一・一兆円増額したということは、意図としては三位一体改革前の水準に戻すということでこの一・一兆円の増額につながったのか、その経緯について御質問いたします。

渡辺副大臣 御存じのとおり、今おっしゃるとおりでございまして、いわゆる小泉政権の三位一体改革で、本来、交付税の中に算定されるべき所得税が、税源移譲されたことによって、結果的にはその分のおよそ一・一兆円が、本来入るはずの交付税として入らなかった。

 そのことを地方からも大変強い要望をいただいておりまして、我々はマニフェストどおりに、地方が使える財源をふやしますというお約束のもとに、今回、原口大臣のリーダーシップのもとで、一・一兆円をまさに取り戻したといいましょうか、もとに戻したという形で措置をされたわけでございます。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 まさに、税収の落ち込みが厳しい中での今回の地方交付税の増額というものはかなりの英断であったというふうに私も理解をしております。

 そして、今回の地方財政計画における地方交付税の増額が大変有意義であるというふうに私自身が考えますのは、鳩山政権の中で年末に発表されました新成長戦略の中でも、原口大臣がおっしゃっております地域主権改革の断行、そしてそれに伴う緑の分権改革というものがうたわれておりまして、私の理解としては、今回の地方財政計画というものは、いわゆる景気というものを考えた一時的な対策ではなくて、まさに成長戦略の一つとして位置づけられるものであろうかと私は理解しております。

 そういう意味で考えますと、この地方交付税交付金の今回の増額も、一時的なものではなくて、次年度以降も継続的な政策になるのであるかどうかということについてお聞かせ願います。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、地域にさまざまな自由、そして創意工夫、先ほど創富力というお話をいただきましたけれども、創富力を引き出す、そのための下支えがこの一・一兆円でございます。この一・一兆円は何もゴールでは全くないわけです。これは通過点にすぎない。これからさらに地方の独自財源をふやしてまいりたい、そう考えています。

 その一方で、やはり成長のためには、ICTによるさまざまな産業の高度化、生産性の高度化というものが必要でございます。各国の経済成長を見ておりますと、すべてが、ICTにおける運輸、ICTにおける教育あるいは福祉、企業の生産性の拡大ということでございまして、藤田委員にはこれまで以上に私たちに御指導いただいて、電子政府化して、クラウド化することによって、逆に言うと、中間的なコストは下げたいと思っています。

 先ほど小原委員の御質問にもございましたけれども、全国一律でやれる、そういうサービスも自治体の中にはあると思います。それを抜き出して、それはクラウド化して、そして人に対する投資や、あるいは自然や、さまざまな一次産業、二次産業、三次産業、大田区にはたくさんの知恵と挑戦がありますね、そういう挑戦を支えられるような交付税にしていきたい、あるいは地方財源にしていきたい、こう考えています。

藤田(憲)委員 原口大臣、ありがとうございます。

 まさに地域の活性化、そして緑の分権改革においても、ICTの利活用というところは必要不可欠になってこようかと思います。

 ICTの重要な点は、いわゆる地域と都市との間の物理的な距離、地理的な距離というものを問わないところが大変強い利点であろうかと思っております。そしてまた、さらに、ICT産業においてはプログラミング等々を含めて非常に労働集約型でありまして、雇用を実際は生む産業である。したがって、今回の緑の分権改革、そしてそれに伴う創富力の増強ということでいいますと、やはりICTを担える人材を東京に限らず地方でもふやしていくための、雇用政策と一体化した上での政策の実施を私も期待するものであります。

 ただ、その一方で、地方交付税交付金という議論に関してでありますけれども、御存じのとおり、東京都というところは地方交付税交付金の不交付団体でありまして、今回の地方財政計画に関しても、私もこの重要性については説明をするのでありますけれども、やはり東京都という立場から考えたときには、常々、直接の恩恵を受けるものではないではないかという指摘があるのもまた事実であります。

 それに伴って、東京富裕論という言葉もしばしば耳にするわけでありますけれども、一方で、私の地元の大田区であっても、中小企業の集積地で、今現在の景気の落ち込みの影響をもろに受けている状況でありますし、都市の貧困というものの広がりもかなり深刻であろうかと思います。ホームレスの問題でありますとか、派遣村に象徴されるような雇用の喪失というものは都市でも深刻化しておりますし、また見過ごせないのは、少子高齢化というところにおいても、都市における高齢化というものの速度は逆に地方よりも進んでいる側面があります。

 この大田区の今回の施策においても、特養老人ホームの建設等々、高齢化対策というものが非常に優先順位が高い状況でありまして、その中で、入居待ちの方もたくさんいらっしゃる。また一方で、例えば都営住宅においてはゴーストタウン化が進んでおりまして、都市という中において、一見若者が集まっているように見えても、独居老人の問題、そして高齢者の問題というものが非常に大きく横たわっているという状況があります。そしてまた、少子化が進んでいるのも事実でありまして、東京を一つの地方としてとらえた場合にはこういった少子化や高齢化対策にも、都市にも十分また配慮する必要があろうかと思いますが、こういった点について大臣のお考えをお願いいたします。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 藤田委員の問題意識と全く同じものを持っています。ある意味で、地域主権改革を実現するというのは、東京問題にもこたえることだと思っています。

 例えば、東京都の町を走っていて、皆さん、救急車ではなくて消防車が来ていることに気づかれることがあると思います。あれは救急車が足りなくて、赤白連携といいますけれども、消防車が出ているわけです。今、私は消防庁も所管していますけれども、東京都で平均四十六分もかかるという状況。

 あるいは、今お話しのように少子高齢化が進み、この間、東京都の方が群馬に入所されていて、群馬で火災によって亡くなるということがありました。つまり、土地が比較的よそより高い東京都は、少子高齢化が進めば、まさに何が起きているかというと、みずからの地域でみずからの人生を全うできないということも起きておるわけでして、私は、この東京都が抱えている問題を解決するためにもしっかり地域主権改革を行って、そして今おっしゃるような、クラウド化して、医療もやはりクラウド化しなきゃいけないと思っておりますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

藤田(憲)委員 心強いお言葉、ありがとうございます。

 まさに雇用の問題、それから高齢者、医療の問題等々というところ、それぞれの具体的な政策分野においては、例えば所管が厚生労働省であったり国土交通省であったり、各省庁にまたがるものがあろうかと思いますが、私自身が、大変僣越ながら、原口大臣及び政務官の皆様、そして総務行政の皆様に御期待したいのは、総務行政というところがそういった問題を一体として、横ぐしとして全体で取り扱うんだ、そういったところの情報の分断がなく、そういったところを吸収して総合的な判断を下していただけるところだということを私はぜひとも期待したいところであると思います。

 そこで、地方交付税交付金に関しましては、私はここで、東京選出だからといって、これが東京においていたずらに不利であるとか、あるいは先ほど申し上げましたとおり、都市と地方が対立するということなどは申しません。都市と地方は相互依存の関係でありますし、地方が元気でなくなれば、都市も元気でなくなります、都市も成り立ち得なくなると考えております。私自身、学生のときにふるさとの親から仕送りをもらっていたわけでありますけれども、今度は仕送りをする番になってきているわけであります。

 そういった意味におきまして、これは確認でありますが、お互いが自立しながら、いわゆる地方と都市双方が自立しながらも、その都市と地方がお互い手をとり合って協力し合う関係を築いていくということこそが原口大臣の目指す地域主権改革であると理解しますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 本当に、とても大事な御指摘です。

 よく都市と地域を対立関係に置いて、その分断を図ろうという論があるところではあります。しかし、それは何の生産にもなりません。むしろ今、藤田委員がお話しのように、地域それぞれがみずからの決断をし、そして創富力を深めるということは、これまではやはり、中央に集めて、そして中央で稼いだものが、逆にある意味、地方に分配をされてしまう、都市部の果実を奪っていたとも見方を変えれば言えるわけでございました。

 これからは、逆に言うと、条件の不利になるところは今お話しのように地域だけではない、都市における過疎化であるとか、都市における高齢化であるとか、そういったことにきっちり目配りをした政策をしなきゃいけない。また、そこには、ある意味では中央政府としての財源措置が必要となる場合もあると思います。しかし、今のような野方図な、一回中央にお金を集めて地方に分配するということをやっていると、それをやる資源さえ枯渇をしてしまう。まさに自由と参加ということを地域が行うことによって、都市部、大都市問題についての解も得られる。

 大変大事な御指摘だ、このように考えています。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 大変心強いお言葉でありまして、東京に住む皆さんもこういった大臣の意を酌み取っていただいて、この地域主権改革というものは都市と地方が一体になって頑張っていくんだというところを私も一生懸命広めていきたいと思います。

 そして、大田区でありますともう一つ、私の選挙区に羽田空港がありまして、ことしの十月に羽田空港の国際化と二十四時間化というものが進められます。

 これがまさに、地域の創富力というところでいうと、都市が協力関係に立てる一つの例になるのではないかと思うんです。まさに羽田空港を国際化することによって、例えば新成長戦略の中でうたわれております観光政策ということであれば、羽田空港に海外から観光客を招いていって地方にこれを一生懸命送り出していく、そういった役割分担ができれば、もっともっと地方と都市というものは有機的に結びつくと思います。そういった意味では、観光政策においても、地域の創富力を高めるという意味では非常に重要な政策であろうかと理解しておりますけれども、この点、いかがでしょうか。

原口国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 かつて日本株式会社という話がございました。政府と民間とが一緒になって、まさにOSをつくる。

 今、例えば中国から日本に来られている方は百一万人と言われております。これは私の所管ではなくて、前原大臣が一生懸命やってくださっているところですけれども、これは一気に、すぐに一千万人になります。では、一千万人になったときに、私たちはその方々を受け入れる覚悟があるのか、あるいはインフラを持っているのか。各地にいろいろな空港ができましたけれども、その有機的な連携も必要ですし、それから何といっても、藤田委員、ソニーにいらっしゃいましたから、経営に明確なビジョンが数値化されていますよ。私も松下幸之助さんに育てられましたけれども、ビジョンを明確にして、いわゆる見える化して、そこに向かう戦略をはっきりさせているんです。

 私たちはきのう、再度私たちのビジョンをもっと詳細化するために、総務省内で私を長にする国家戦略ビジョン会議というのを立ち上げました。数値化できないビジョンというのは形容詞にすぎません。数値化できないビジョンは、そこに向かってただ御託を並べているだけになってしまいます。やったふりになってしまうんです。それを絶対に許さないためにも頑張っていきたいと思いますし、まずはやはり教育力ですので、私たちはタブレットPCによって、もうこういう紙をなくそうと総務三役会議ではやっています。

 ぜひ参加をしていただいて、お知恵をいただければ、こう思います。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。ぜひ、そういったチャンスがあれば私も参加をしていきたいというふうに考えております。

 さて、ここまでお伺いしてきまして、地方交付税交付金の増額、そして地方財政計画のビジョンに伴う原口大臣の主権改革の意気込みというところについては大変よく理解をしてまいりました。

 ただ一方で、地域の自由度を高めていくと、また一括交付金化になればなるほど、逆に今度は地方公共団体においての裁量の余地が高まる。そうしますと、これは以前、総務省の政策会議でも質問で出たところではあるんですけれども、一方で、地方公共団体の政治の現状でいいますと、例えば首長であったり地方議会の現状を見ますと、なかなか民主党の理念を酌み取っていただける方々がまだ首長になっていらっしゃらないですし、そして地方議会においても、我々民主党がまだ多数派を占めていないところが大変多くあると思います。

 地方の裁量の幅が広がる一方で、その地方において我々のビジョンを正しく酌み取ってくださらないところが多いというのは、いわゆる緑の分権改革であったり、それに伴うさまざまな政策を実現する上において、どうやったら実現できるのかというところで若干心配になるところがあるのですが、大臣及び副大臣、いかがでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 私は余り心配していないんです。自由と、みずからがみずからを律し、責任を持つ仕組みを入れれば、私は行政ですから一党一派にどうこうというわけじゃないですけれども、私たちが考えるような人たちが地方の政策を担ってくださる。私も、スタッフが四人県会議員になりました。彼らに何を言っているかというと、条例を制定しなさいと。みずからも地方議員として、立法者として、法律は国でつくるわけですけれども、ある意味、地方における条例というのは法律に等しいものでございますので、そういう力を持った人が本気で選ばれてくる。

 税を上げ下げする権利というのも、今は実質地方にないような状況で、名古屋の河村市長が今回それに挑戦しますけれども、一番やらなければいけない、一番議会の権能を発揮しなきゃいけないところが実質中央に奪われていれば、それはあと何が生まれるかというと、中央から来るお金を上手に配分する人たちが議員でありますという、これも大事な機能ですけれども、それだけが、一義的機能とは言えない人たちが今までそこに座っておられたという方さえいるぐらいの状況でございますので、それは一気に変わってくる。まさに、地域主権改革自身が民主主義そのものを強固にしていく、そういう改革であるというふうに思っています。

渡辺副大臣 私も、静岡県の県議会議員を五年半ほどやりました。

 今と大分違っていると思いますけれども、一つには、例えば地方の議会の中でなかなか議員提案条例というのが、ほぼ出すことはなかった。それから、例えば今、補助金の不適正使用のことなんかが会計検査院等から指摘をされることが多いんですけれども、やはり会計制度のあり方とかあるいは監査制度、これも一つ。監査委員も、少々名誉職的な方々がなったりしますと、何となくなでるような監査をして終わってしまったということで、非常にずさんな公金の使い方も振り返ればあったなということもございます。

 そういう中で、来年には各地で統一地方選挙が行われますけれども、ここで今度は議会のあり方というものも私たちはこれから考えていく。また、有権者の方々、投票する方々に地方議会の役割について、権限をゆだねるけれども反面で責任を負うし、また住民も、選ぶ側にも厳しい目で見ていただきたいという意識改革というものもあわせて、ともども行っていかなければいけないのではないのかなというふうに思っております。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 まさに、これから地域主権改革を具体的に推し進めていくためには、地方議会そして地方公共団体とのやりとりというものが非常に重要になってくると思いますので、そういったところも理解した上で、ことしの参議院選挙及び来年の統一地方選挙に我々議員もしっかり臨んでいきたいと思っておるところでございます。

 さて、残り時間が少なくなってまいりましたが、今度は地方税についてお尋ねしたいと思います。

 今回、住民税の改正による扶養控除及び特定扶養控除に係る上乗せ分の廃止が行われて、そしてそれが平成二十四年度からの適用ということでありますけれども、この点、扶養控除そして特定扶養控除の上乗せ分の廃止については、我々自身がしっかり理解をして、そして周知徹底をしなければいけないだろうと考えております。

 といいますのも、やはり扶養控除の廃止という言葉だけが若干先行して、これが増税になるのではというようなことを私も地元から聞かれることが多々あるのですが、今回、子ども手当というものを実施して、かつ公立高校の無償化という両政策を実施することを前提とした場合、これら扶養控除と特定扶養控除の上乗せ分が仮に廃止されたとしても、実質的にお子さんのいる家庭においては負担増につながらないというふうに理解してよろしいのかどうか、教えていただければと思います。

小川大臣政務官 御指摘のとおりでございまして、まず、来年度以降、子ども手当については満額支給に向けて決意を持って取り組んでいくというのは、総理が既に表明されているとおりでございます。

 それを前提にいたしますと、税の控除の見直しによって影響を受ける額が、所得税で最大で十五万二千円、住民税が三万三千円。子ども手当の満額支給を前提にしますと三十一万円ということでございまして、いずれの家庭においても負担増になるということはございません。

 ただ、非常に隘路でございますが、特定扶養控除については、高校に通われていない子供さんを抱えた御家庭については負担増ということが一部あり得るわけでございまして、この点については善処が必要だということが税制改正大綱の中で明記をされております。

藤田(憲)委員 まさにその点につきましては、高校に通っていないお子さんをお持ちの御家庭にも配慮した政策の実現を望むものであります。

 そして、この点、あえて確認のためお伺いするんですけれども、一方で今回の地方税の改正の中には配偶者控除というものは含まれていない、これは今現在、鋭意検討中ということの認識でよろしいかどうか確認をしたいと思います。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりです。

 これは税の基本的な思想にかかわることですけれども、控除というのは高額所得者に有利に働きます。だから、控除から手当へというこの流れを私たちは加速していきたい、これが一つ。

 それからもう一つは、配偶者控除についてですけれども、いわゆる国家が税という形で働き方や、あるいは家族のあり方を規定するということはもうやめよう、むしろそれは自由に、さまざまな可能性を追求できるようにしようということで考えておるわけでございまして、今税調の中で議論を詰めているところでございます。

藤田(憲)委員 まさにそういった意味では、この税調のあり方というものは今後も重要になってくるであろうと私も理解しておりますし、今後も、税制の会議等々がありましたら、私たち新人議員も一生懸命勉強していきたいというふうに思っております。

 また、こういった控除の廃止等々に関しては、やはりアナウンス、周知徹底をしっかりしないと、我々、前政権の中における後期高齢者医療制度のああいった、いわゆる周知徹底不足における感情的な反発を生んだという事例も見ておりますので、同じ轍を踏まないように、ぜひそこは善処のほどをお願いしたいと思っております。

 時間が近づいてまいりました。一つだけ今回の地方税の改正に関して新たにお伺いしたいのですが、地方法人特別税とその譲与税についてでありまして、これも税制改正会議ではいろいろ御議論いただいたところでありますけれども、本来、地方法人事業税として地方公共団体が徴収すべきところ、国が徴収をして再配分という形になっております。この結果、東京都といたしましては、これによる税収不足というものが起きているという実態があります。

 先ほど来お話を伺っておりますと、地方交付税交付金を今後も継続的に増強していくのであれば、ここがやはり税を簡素化して明確にする上でも、できるだけ地方交付税交付金の中でそれを議論して、こういった地方法人特別税・譲与税については廃止した方がシンプルであり、かつ公平という観点からすれば資するのではないかと思いますが、お考えはいかがでしょうか。

原口国務大臣 これは、東京ほか幾つかの都市が払っていらっしゃるものです。できた経緯も今つまびらかにしていますけれども、消費税が創設されるまでというお話ですが、今委員がおっしゃるように、いかにも複雑で、いかにも根拠が、私たちからしてもどこまで説得力があるかということについても今議論をしている最中でございまして、見直しも視野に入れながら税調で議論をしていきたい、こう思っています。

藤田(憲)委員 ありがとうございました。

 こういった形で、地方交付税交付金が継続的な改革であり、まさに地域主権改革が推し進められている、そしてそれに伴って、車の両輪のように地方税の改正に関しても議論され、今後、税制の抜本的な改正の議論が進むことを期待いたしまして、時間になりましたので、私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、稲見哲男君。

稲見委員 民主党の稲見哲男です。

 原口大臣、政務三役の皆さん、本当に御苦労さまでございます。精いっぱい応援する立場で、限られた時間でありますが、質問させていただきたいと思います。

 前回の委員会でも、地域主権改革という言葉と地方分権推進ということが議論になりました。原口大臣の答弁に尽きていると思いますけれども、私の感覚を少し申し上げたいと思っております。

 私は昔から、言葉遣いとして、例えば、地方公共団体の議員を地方議員と言わずに自治体議員、地方選挙は自治体選挙、大阪府下と言わずに大阪府内というふうに言いかえておりました。それはやはり、ピラミッド形の中央集権的な形を前提にするのではなくて、国と地方、あるいは都道府県と基礎自治体の対等、平等な関係を願ってきたからでございます。

 第一次の分権改革では、機関委任事務の廃止という画期的な成果も得ましたけれども、財源あるいは権限の移譲ということでは遅々として進まなかった、そういう経過がありまして、手あかのついた地方分権という言葉は新しい政府ではもう適切でない、こういうふうに思っております。また、分け与えるというニュアンスがありますし、やはりお役人の中には、地方にはどうせできない、信用できない、こういうふうな気持ちと裏腹な気もいたします。

 そして、分権推進というのはそれの進む過程のスローガンであって、地域主権というのが完成したあり姿、国の形を端的にあらわしているのではないか、こういうふうに思っております。

 また、私は、無条件に地方を擁護するのではなくて、居眠り自治体と言われたり、極論すれば寝たきり自治体というふうに言われてきた要素をみずから克服して、首長も行政も、あるいは議会も住民も、自己変革といいますか意識改革をしてほしい、こういう願いを込めて使っていることを申し添えたいと思っております。

 そのことを前提にして、原口プランについては別の機会に譲りたいと思いますけれども、この地域主権改革の言葉、意味するところや位置づけ、あるいは概念、こういうものについて、今後、地域主権推進一括法案が制定をされていきますので、法的にも根拠づけをして明確にする、自治体や国民に強いメッセージを発する、こういうふうにすべきだと考えておりますが、大臣の所信はいかがでしょうか。

原口国務大臣 稲見委員におかれましては、公共サービス基本法のときも、あるいは地域主権改革についても、格段のお力添えをいただきましてありがとうございます。まさにおっしゃるとおり、私たちはこの言葉の持つ意味をしっかりと定義し、この改革を着実に実現してまいりたいと思います。

 今委員がお話しのように、行政の言葉の中にはたくさんの、今までの中央集権、それからお上意識というものがございます。その最たるものが保護法と言われるものでありました。消費者保護法、あるいは障害者保護法、国民が保護の対象であって、保護するのはお上だ、こんなおかしな話はないわけで、稲見委員や多くの同志の皆さんのお力をいただいて、与野党を超えてこれは改正をさせていただきました。

 つまり、主権者の権利をそこに書き込んで、その主権者の権利をどのように中央政府や、あえて申し上げますが、地方政府が保障するか、あるいはさまざまな事業体が保障するかという形にしたわけです。公共サービス基本法についても同じ姿をしています。そこで働く人たちのまさに権利の保障というものも、公共サービスを充実する上ではとても大切なことでございます。

 その上で、今回の地域主権という言葉は、まさに委員がおっしゃるように、日本国憲法が掲げる国民主権の理念のもと、主権を持つ国民がみずからの住む地域をみずからの責任においてつくっていくという改革の取り組みが地域主権改革で、これは何か国権にかわる権限を地方に与えるんだなどという、ためにするような議論をする方もいらっしゃいますが、全く違う。国民主権をさらに豊かにした概念である。

 地域主権改革とは、日本国憲法の理念のもとで、まさに今申し上げたような諸課題に取り組むための改革でございまして、今国会提出予定法案の中で地域主権戦略会議を法制化することとしておりますので、その中で、今委員御指摘の地域主権改革について、今申し上げたような趣旨を法的に位置づける予定でございます。

 また御指導をよろしくお願いいたします。

稲見委員 質問の順番をちょっと変えまして、国、地方協議機関の問題についてお聞きをいたします。

 原口プランのロードマップがあります。一括交付金化、交付税改革、地財計画、子育ち、福祉、社会保障、教育の政策推進など、協議対象は広範囲になってくると思っております。画期的な制度への期待も大きいと考えておりまして、協議対象範囲も整理されつつあるわけですが、協議範囲、そして開催のイメージ、私はこれだけたくさんの課題があれば通年的になるように考えるわけですけれども、この点について大臣のお考えはいかがでしょうか。

原口国務大臣 おっしゃるとおり、国と地方協議の場、これをしっかりと続け、あるいは強固にしていくということはとても大事だと思います。

 現状だけ御報告をしておきますと、地方側との間で実務検討グループを設け、三回の協議を行いました。二月十八日、この間ですけれども、制度案の骨子について合意をしたところでございます。

 この国会に法案を提出するということで、協議の対象としては、制度案の骨子の中にはこんなことを入れています。国と地方公共団体との役割分担に関する事項、あるいは、地方行政、地方財政、地方税制その他の地方自治に関する事項、経済財政政策、社会保障、教育、社会資本整備に関する政策その他の政策に関する事項のうち地方自治に影響を及ぼすと考えられるものでございまして、協議方法についても、今委員の御趣旨を踏まえて、できるだけ頻回にやれるように頑張ってまいりたい、そのように考えています。

稲見委員 次に、地方財政計画についてお聞きをいたします。

 地方の財源保障機能、財源調整機能というようなことになりますと、根幹になるのは地方財政計画だと思います。特に、本年は、政権交代による概算要求のやり直しがありましたし、事業仕分けがあったり、財源不足が顕在化をしたり、また政府予算案の策定まで非常に短い時間だったということで、本当に御苦労だったというふうに思っております。このような中で、原口大臣が強力なリーダーシップを発揮して地方交付税を一・一兆円増額されたことは、高く評価をいたします。

 今後の要諦は、計画の透明性の問題だというふうに考えております。算定の中身がブラックボックスになってはなりません。自治体の側が疑心暗鬼になってもなりません。このような観点で、次のことを原口大臣、政務三役をしっかり支えていただいている実務方に少しお聞きをしたいと思っております。

 まず、翌年度予算は、概算要求から始まって、年末の政府予算確定、地方財政計画の閣議決定、地方交付税法などの法改正があって交付税の確定、そして配付、こういうふうになるわけでありますが、地方財政計画策定の毎年の具体的スケジュールについて教えていただきたいと思います。

 また、歳入歳出について、各項目積み上げのための調査等が各省庁に対しても自治体に対しても行われておりますけれども、どのように行われているのか。

 この二点についてお聞きをしたいと思います。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

久保政府参考人 まず、地方財政計画のスケジュールでございますけれども、毎年の国の予算編成スケジュールを踏まえながら策定をしております。

 具体的には、国の予算案が取りまとめられます十二月に次年度の地方公共団体の歳入歳出の見込み額及び財源不足の補てん内容を決める地方財政対策を決定する。今回の場合は十二月二十三日に行われております。そして、翌年のおおむね二月を目途に次年度の地方公共団体の歳入歳出の見込み額でございます地方財政計画を策定し、閣議決定を経て国会へ提出をする。今回の場合は二月の九日でございました。

 では、どのような積み上げの調査を行っているのかということでございますけれども、地方財政計画は、毎年度のあるべき行政水準や行財政制度の改正に伴う経費の増減などについて標準的な姿として歳出に計上いたしますとともに、税財政制度の改正などを盛り込んで収入見込み額を歳入として計上いたしておりますので、例えば、政府の経済見通しなどにおける経済指標でございますとか税制改正の動向、あるいは各省庁の国庫支出金額及び地方負担額の調査を行ったり、地方公共団体の歳入歳出に関する決算を調べるといったようなことで、各種調査あるいは各種資料をできる限り入手して見込みを行っていくということでございます。

稲見委員 そうしますと、ここに地方財政計画の一覧表もあるわけですが、一般行政経費の地方単独分、投資的経費の地方単独分の算出方法というのはどういうふうにされているのかということであります。

 特に、それぞれの地域で個性豊かな、あるいは住民ニーズに沿った仕事を行うということになりますと、この一般行政経費の地方単独分というのが主要な財源になる、こういうふうに思っております。特に、投資的経費の地方単独については、今おっしゃったように国の補助事業の動向が一定の目安となると考えておりますけれども、一般行政経費の地方単独分についてはどのような推移を経てきているのか、また、どういうふうに積算されているのか。以前ピークであったとお聞きをした平成十三年からちょうど十年間ありますけれども、その経過を少し詳細に教えていただきたいと思います。

久保政府参考人 御指摘のように、地方単独の一般行政経費は、例えば社会福祉、あるいは教育、環境対策、地域活性化といったように、地方公共団体が独自に行う事務という性格でございますので、決算を踏まえて私どもとしてはできるだけ実態をあらわした枠取りをしたいと心がけております。

 ただ、一方で、今御指摘がございましたように、これまで政府としての一定の方針に基づいて一般行政経費の単独ということも積算をして、その方針は決められたということもございまして、簡単に平成十三年度以降を申し上げますと、平成十三年度以降、既定の行政経費の縮減を行うといった方針のもとに、地域において必要な行政課題に対して重点的に配分するといったことで所要の経費を計上いたしました。

 この間、平成十五年六月に閣議決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針二〇〇三におきまして、一般行政経費などの地方単独経費については、平成十八年度までの各年度を通じ、現在の水準以下に抑制するというふうに決定をされました。

 また、その後、平成十八年七月の閣議決定でございます経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六、いわゆる骨太二〇〇六でございますけれども、これにおきまして、地方単独事業のうち、一般行政経費は二〇〇六年度と同程度の水準とするというふうに決定をされました。

 こうした方針に沿って歳出の見直しを行います一方で、当面の重要課題に必要な歳出への対応に財源の重点配分を行ってきたということでございます。

 平成十六年度以降におきましては、三位一体改革に伴って一般財源化されたものにつきまして一般行政経費単独に計上いたしますとともに、平成十七年度から十九年度において投資的経費との一体的乖離是正分を計上いたしました。

 その後でございますが、平成二十年度におきましては、四千億円の地方再生対策費というものを、地方財政計画の歳出に臨時的な費目、当分の間というふうに法律上なっていまして、現在もこれは続いておりますけれども、計上いたしております。これは一般行政経費にも投資的経費にも使えるという性格であろうと思います。

 そしてまた、平成二十一年度、昨年度でございますが、地域雇用創出推進費として五千億円を地方財政計画に計上しているということでございます。

稲見委員 十年間、詳しく御報告をいただいたのですが、特にその中にもありました小泉構造改革、骨太方針、財務省と総務省の間で非常に強い綱引きがあったというふうに思うんですが、地方がどんどん疲弊をしてくるというふうな現状をごらんになられて、にもかかわらず地方への配慮というのをどういうふうにされてきたのか、その点についてもう一度お聞きをしたいと思います。

久保政府参考人 平成十六年度からの三位一体改革におきまして、地方の自主性、自立性を向上させるとしながらも、地方交付税が約五・一兆円減少するといったことで地方を疲弊させたといった課題があったと考えております。

 特に、国と歩調を合わせました地方歳出の改革、あるいは地方交付税等の抑制が進められました結果、地方交付税の急激な減少が起きまして、財政力の弱い地方公共団体を中心に厳しい財政運営を強いられたとの声があるということにつきましては、私ども十分認識をしております。

 そこで、先ほども申し上げましたが、そういったことを踏まえて、地方の再生でありますとか地域の雇用の創出といったことで、平成二十年度には地方再生対策費四千億円を当分の間の臨時的な経費として地方財政計画に計上するということを行いましたし、また、昨年には五千億円の地域雇用創出推進費を創設したということでございまして、このたび原口大臣のリーダーシップのもとに九千八百五十億円の特別の枠をつくったということでございます。

稲見委員 大変な事務作業を積み重ねてこの地方財政計画が策定をされているということは、よく理解をいたしております。

 ただ、地方公共団体への配分が四月を待たなければ確定をしないというようなことがございますし、地方財政計画そのものが、広域的な行政を行う都道府県と基礎自治体で全く行政内容が違う中で一本化をされておりますので、各自治体ではこの地方財政計画が出ただけではなかなかわかりにくいのではないかというふうに思っております。

 例えば、法律で決まっているとしても、一本の地方財政計画の中でこれが都道府県分、これが基礎自治体市町村分というふうに分かれて出れば、人口規模とか従前の経過を含めてある程度の見積もりというものができるんじゃないかなというふうに思っております。

 段階補正とか普通態容補正など補正の問題、地域の現状にさらに財政計画を近づけていくということも課題が多いと思いますけれども、この都道府県と市町村を分けるとかを含めて、総括的に最後に原口大臣の方にお聞きをしたいと思います。

原口国務大臣 委員御指摘のとおり、広域行政を行う都道府県と基礎自治体である市町村との間には、その権能、処理する事務に相違がございます。

 一方、地方財政計画は、全国の地方公共団体の予算を合計するものではなくて、翌年度における地方公共団体の標準的な歳入歳出の総額を見込み、仕事量に見合った地方税財源を適切に確保するために策定するものでございます。

 今るるお話をいただいたように、予見可能性がある、そして、しっかりと地域がみずからを支える基礎となる必要があるというふうに考えておりまして、今までのさまざまな常識の中にも、地方財政が破綻する仕組みもあったのではないか。一つ一つしっかりとチェックしながら、私たち新政権として、地方の安定的な税財源の確保、予見可能性のある計画的な財政ができる、そういう地方行政を支えるべく頑張ってまいりたい、このように考えております。

稲見委員 ありがとうございました。

 また機会があれば、地方財政あるいは地方財政計画について、総務省としての努力を求めていきたいと思います。

 終わります。

黄川田委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社民党の重野安正です。

 きょうは、原口大臣にいろいろな角度から質問をさせていただきます。

 まず最初に、地方交付税についてお伺いいたします。

 今回、大臣の積極的なイニシアチブによって、地方交付税が一・一兆円の増額となりました。非常に厳しい財政事情の中での大臣の踏ん張りに本当に敬意を表します。

 その上で伺いますが、私はこの総務委員会で、交付税法第六条の三の二項に従って交付税率の引き上げを行うべきだとこの間一貫して主張してまいりました。大臣も同じ考えをお持ちで、概算要求の際にも強く主張されたと聞いております。残念ながら、今回は実現には至らなかったということでありますが、折衝の中での感触がどうだったのかということが一つ気になるところであります。

 実現に至らなかった原因として、現下の経済状況、税収の大幅な落ち込みというものが特殊要因として関係していたのだろうと思いますが、そのあたりの大臣の所見を聞いておきたい。

原口国務大臣 お答えいたします。

 重野幹事長におかれましては、この一・一兆円が実現できたのは重野幹事長のおかげだというふうに私は率直にお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 その上で、今お話しのように、地方財政は巨額の財源不足額が続いておりますので、御指摘の地方交付税法第六条の三第二項に長期間該当する状況である、こういう認識を持っています。

 これは財務省と随分やりました、この交付税を、野党のときにも引き上げるということを野党四党で議論し法案まで用意をしていたものを、なぜできないのかというのでぎりぎりぎりぎりやったわけです。藤井大臣がそのとき立ちはだかったわけではないんです。今委員がおっしゃるように、税収の異常な落ち込み、そして国税五税が異常とも言える低い税収であること、これが一番きいてしまった。法定率の引き上げを見送るとともに、財源不足の補てんに関する折半ルールを単年度限りとしましたけれども入れた。

 これは私たちにとってもまだ通過措置だというふうに考えておりますので、この先、この法定率引き上げを目指して頑張ってまいりたい。御支援をよろしくお願い申し上げます。

重野委員 次に、臨時財政対策債についてお伺いいたします。

 今回の財源不足の補てんとして、総額で七兆七千億円もの臨財債が発行されます。確かに、百年に一度と言われる経済危機による未曾有の税収不足という特殊要因がありますけれども、しかし、臨財債への依存は非常に不健全であると考えます。確かに元利償還金相当を交付税措置するとはなっていますが、このまま進みますと上げ底がどんどん進んでしまう、そういう危機感を私は持っている。

 先ほどの質問と関連しますが、臨財債についての大臣の見解を聞いておきたい。

原口国務大臣 全く同じ認識を持っています。

 地方との協議の場におきましても、例えば、自分たちは行政のさまざまな改革で借金を減らしているんだけれども、臨財債が乗ることによって、プラスをすると借金が減ったように見えない、そういう地方自治体からのお声も上田知事を初めいただいておるところでございます。

 今回は、もう本当に逆さにしても出てこぬと。だから、緊急避難的に地域を支えるためにこういう形にしましたが、これをずっとやっていて持続可能性があるかと。私は、ないと思います。

 ですから、一方で緑の分権改革、創富力、成長戦略という形をとって、そして、まさに地方は、今委員がお話しになったように、生活保護の増大を賄うのでさえもうできないというような悲鳴が上がっておりますので、臨時、一時的な措置としてこのような形にしたものでございまして、抜本的な改正に向けてさらに与党三党を中心に御指導をいただきたい、このように考えております。

重野委員 これに関連をして、本年度、いわゆる繰り上げ償還に対する保障という位置づけになると思うんですが、旧資金運用部資金及び旧簡易生命保険の資金を使って繰り上げ償還八千二百億、あるいは旧公営企業金融公庫資金のお金を使って三千二百億、平成二十二年から平成二十四年までの三年間で一・一兆規模の公的資金の補償金免除繰り上げ償還を行うとなっているんですね。それが高金利の地方債の公債負担を二千四百億程度軽減するんだと。

 こういう手法というのは今後ともとり続けていく、あるいは、これは原資があるわけですから、その部分には限界があると思うんですが、そのときにどうするのかという問題が出てくるんですが、大臣、その点についてはどのように考えていますか。

小川大臣政務官 補償金を免除した繰り上げ償還でございますけれども、通常、繰り上げ償還した場合には、貸し手側にも期待値がございますので、これを通常は補償金という形で担保しなければならない。それを今回免除した形で地方財政を応援するわけでありますが、これは相手側との協議なり話を調えることが大前提になりますので軽々に申し上げるわけにはいきませんが、これは引き続き努力をすべき話だろうと思います。

重野委員 次に、臨財債の性格について聞いておきたいんです。

 今回、臨財債発行については、これまでの人口基礎方式に加えて財源不足額基礎方式が導入される、このように聞いております。これによって、財源不足に苦しむ自治体で追加的に臨財債を発行することが可能になります。この新しい方式の追加導入によって臨財債の性格に変化が生じるのかな、こういうふうな気もいたしますが、そうでない気もするんですが、これはどういうことになるんでしょうか。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、これは野党筆頭時代に、重野先生、塩川先生、黄川田先生と御一緒に追及して理事会で提出を求めた資料、あれは三位一体改革で、財源が弱ければ弱いほど厳しい、財政規模が小さかったり町の規模が小さければ小さいほど厳しい、これが三位一体改革でございました。ですから、今回、今委員が御指摘のように、財源不足額及び財政力を考慮して算定する方式を導入しております。

 ただ、臨時財政対策債の性格は地方交付税の代替財源でございまして、その算出方法としては、財源調整機能の強化のために、これまでの方式に加えて、今お話しのように財源不足が生じている地方公共団体が発行可能な新方式を導入するものでございまして、性質そのものとか意義そのものが変わったかというと、そこまでまだ私たちは考えておるわけではございません。

重野委員 次に、地方再生対策費についてお伺いいたします。

 今回の地財計画で地方法人特別譲与税が五九・八%増の一兆三千億になっております。これは二年前に始まったわけですが、平成二十二年度で平年度化したというふうに断じていいのでしょうか。

小川大臣政務官 御指摘のとおりでございます。

 地方法人特別税・譲与税でございますが、平成二十年の十月一日以降に開始する事業年度から始まりました。ということは、二十一年度の下半期に事業年度が終了して申告納税が開始されたということでございまして、二十一年度が半分、二十二年度から平年度化で間違いございません。

重野委員 わかりました。

 次に、譲与税の見込みとの差に伴う偏在是正効果の変化という点について伺います。

 二年前の試算では、もともと見込みは二・六兆円を考えていたと思います。それからすると、約半分となっているわけですね。当時から景気の動向に敏感に影響を受ける法人事業税を使ったやり方には、私は当初から疑問を感じていたし、そういう声もございました。

 今回の地方財政計画でも、前年度と同じ四千億円の地方再生対策費が計上されています。この額は、二年前の総務委員会で、偏在是正による効果額を勘案して計上すると言われました。しかし、一昨年秋以降の経済危機によって事態は大きく変わりました。譲与税が約半分に減少すれば、当然、この偏在是正による効果額も変わってくると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

原口国務大臣 大事な御議論だと思います。ですから、偏在性のない税によって地方の安定的な公共サービスを支えるということが大事だと思います。

 景気の動向により毎年変動があり得る地方税の偏在是正額に合わせて地方再生対策費の計上額が変動する場合には、地方の財政運営の安定性を損なう可能性がございます。このため、平成二十二年度地方財政計画の歳出においても、臨時財政対策債の発行等により、これまでと同様、四千億円を計上したところでございます。

 しかし、歳出はそうなっていますけれども、委員が御指摘のように入りはそうなっていませんから、要するにスプレッドが広がっていくという話になるので、私たちは、税の抜本改革の中でこの問題についての対応を協議してまいりたい、こう考えております。

重野委員 地方再生対策費について聞きます。

 格差是正を目的とした地方再生というのはとても重要な課題であります。しかし、残念ながら、自公政権のもとで行われた地方法人特別税・譲与税、地方再生対策費というスキーム、つまり、地方の財源を国が召し上げて地方に配分するというやり方は、やはりこそくであって、その場しのぎであったのではないか、このように断じなければなりません。それが、図らずも今回の経済危機の中で露呈してしまったというふうに考えるんです。

 あやふやになった算定基礎を、格差是正と、言葉どおりの地方の再生という考え方で整理し直す、恒久的な費目として地方財政計画の中に位置づけるべきだと考えますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

原口国務大臣 これも随分議論をしてまいりまして、まさにおっしゃるように、こそくな措置を中央政府がやるものですから、いや、ここまで言うと言い過ぎかもわかりませんが、今私が直面しているのは、何かいいことを言っても、また地方の財源を召し上げるんじゃないかと、この不信との闘いなんですね。

 おっしゃるように、今後は、地域の創富力を高める緑の分権改革の推進とともに、地方の自主財源を充実強化する一環として、地方再生、地域活性化のための取り組みを支える財源を安定的に確保すべく検討してまいりたい、このように考えておりまして、まさに重野先生に御指導をいただいていたとおりの地方自治をやっていけば、私たちはもっと安心な地方自治を実現することができるんじゃないか、こう考えているところでございます。

重野委員 次に、段階補正についてちょっと聞いておきたいんです。

 小泉改革による地方切り捨ての象徴的なものに、段階補正の大幅な抑制、あるいは簡素化があったと思います。私も二〇〇二年の総務委員会でこの問題を取り上げましたが、段階補正について、当時の片山総務大臣は、小規模町村などは合理化や効率化への意欲を阻害しているとしてその見直しを行った。小さな自治体ほどこの抑制が大きくなる仕組みですね。当時の試算では、千人規模で基準財政需要額が二千四百万円、四千人では五千五百万円、八千人では五千二百万円の減少と片山大臣は答弁しています。

 これが過疎地域の財政を逼迫させ、合併へと駆り立てていく一つの道具ともなったというふうに理解をするんですが、今回、地方の要望もあり、一定程度の復元を行うとも聞いておりますが、どの程度の復元となる見込みなのか、まずお尋ねいたします。

 あわせて、段階補正について、今後の方向性、小泉改革以前のものに戻すのか、あるいはそれと違ったものにしていくのか、そのあたりはどうなるんでしょうか。小規模な自治体への配慮と同時に、合併した周辺部への目配りも必要だと思いますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 おっしゃるように、小規模ゆえに割高となるコストを反映させる段階補正については、平成十四年度から三年間で総額二千億円程度の縮減を行っています。これと、おっしゃる三位一体改革により地方交付税が大幅に削減されたために、財政力が弱ければ弱いほど、小さければ小さいほど厳しい財政運営を強いられている、全く同じ認識を持っています。

 そのために、今回これを是正しようと思って、先生に御支援いただきました、地方が自由に使える財源を、まさに地方交付税を対前年度比一・一兆円増額を確保し、あわせて、厳しい財政運営を強いられている財政力の弱い小規模の町村への目配りをしっかり行いなさいという指示をしています。そして、来年度の交付税の算定に向けて、段階補正の根本的な見直しを指示しているところでございまして、ちょっとまだ額をお示しできる段階にはございませんが、御趣旨を踏まえたしっかりとした検討結果を出していきたい、このように考えています。

重野委員 よろしくお願いをいたします。

 次に、給与費関係についてお伺いいたします。

 今回の計画では、計画上の職員数は二万人余りの減、一般職員に限って見れば二万三千人余りの減となっています。この間、職員数は減少を続けてきましたが、もうこれは再考すべき時期に来ているのではないかと考える。必要な行政サービスを提供する上で、職員の削減は限界に来ているのではないか。

 一つだけ具体的な例を申し上げたいと思うんですが、今国会には、環境省が大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の改正案を提出されると聞いております。その改正の背景として、ここ数年、一部の企業、これはいずれも日本を代表する大企業ばかりが出てくるわけでありますが、その大企業が排出基準超過のデータを改ざんする、そのことが頻発している、こういう現実があるんですね、具体的に企業の名前は申し上げませんが。本当に、名立たる大企業がずらっと並んでいるんです。

 その原因として環境省が挙げているのが、事業者、地方自治体の公害防止業務の構造的な変化がある。企業においては、公害防止管理者などの実働有資格者が高齢化している。資格取得者も激減しているそうであります。一方、自治体では、公害防止法令を所管する職員数が減少している。そういう自治体が半数近くに上る。この間、担当職員をふやしたという自治体は一割という数字も出ている。

 記録改ざんなどに対する罰則の創設や、自治体が改善命令を広く発動できるような見直しが今回の法改正の中に含まれています。こうした法律の制定はいいことだと思います。しかし、一方でそれを実行する人間の確保がなければ、これは絵にかいたもちとなりかねません。そういう意味では、人員削減は限界に来ているのではないかというふうに考えるんですが、今私は具体的に環境部門のお話をいたしましたが、大臣の感想をお聞かせいただければありがたいと思います。

原口国務大臣 良質な公共サービスをしっかり保障するためには、そこで働く人たちの給与も含めた権利を保障する必要があると思います。増大する行政サービス、一方では効率化、クラウド化、電子政府化により、それは中間的なものは減らさなきゃいけませんが、今委員がおっしゃるように、これ以上できるのかという問題意識を持っています。

 きのうも官邸で、日銀や経済企画の方から、デフレの原因を分析する議論をいたしましたけれども、賃金のみが下方に硬直的である。このことが何を日本全体に及ぼしているかというと、長期にわたるデフレを招いているのではないか。みんなが縮小する。官も民も一緒になって、もっと生活がよくなる、給与体系がよくなるといったことよりも、どんどん内向きにお互いをたたき合ってシュリンクしていく。

 デフレが起きれば、それは財政赤字だって今のような状況を続けていると、活力そのものを奪っていくわけでございまして、委員の御指摘を踏まえた、良質な公共サービスが受けられるような、パラダイム、枠組み自体の転換、意識自体の転換も必要である、このように考えています。

重野委員 ともすれば、公務員バッシングなんて言葉は使いたくないのでありますが、公務員の給与は高い、数は多過ぎるという風潮が蔓延している。

 しかし、現実、自分たちが住んでいるこの国の今申し上げましたような部分部分を細かに見ていくと、そういう流れの中で、現場で働くその衝に当たる方々がどんどん減っていくことのもたらす負の部分というのをやはりもっとしっかり見なきゃいかぬ。そういう冷静な議論をしないと、何だかムードで、多い、減らせというふうな感じでいくことについては、私は警鐘を鳴らしておかなきゃならぬと思うんです。その点については、大臣もしっかり見ていただきたいと思うんです。

 そこで、さらに給与関係費について聞きます。

 職員減の基礎となっているのは、骨太二〇〇六や集中改革プランなど、小泉構造改革そのものだと私は断じます。この根っこの部分にきちっとメスを入れる必要がある。公務員の職場では、官製ワーキングプアという不名誉な名前までつけられた非正規雇用の労働者が急増している。その背景には、やはりこの定員の削減があると思うんです。

 人が減っては職場がもたない。正規を非正規に切りかえて正規職員を減らす、それの代替措置としての非正規。公務員の世界においてもそんなことをやっているわけです。これは、民間がやっていることについて公務の方がとやかく言う資格はないと思うんです。これが、結局、民間における非正規労働者の増大ということに私はつながっていくんだろうと。

 先ほど大臣が給与の話をしましたけれども、労働者の給与は、そういう働き方の変化によって、もうほとんど、この十年間ぐらい賃上げというのは実質ないんですよ。ことしの連合の春闘だって、賃上げ要求はやめてしまった。それがいいか悪いかという議論はあるんですよ。私は、やはりやるべきだと思いますけれども。それは、労働組合が大衆的議論の結果、方針を決めるわけですから、とやかく言えませんけれども。

 そういう負の循環が、日本の経済を縮小させていくんだろうと。やはり、消費活動は停滞しているというふうな状況。こういうふうに目を凝らしていくと、公の機関においてそういうふうな非正規雇用の労働者がどんどんふえているということは好ましい状況ではない、私はこのように言わなければなりません。

 福祉関係の行政サービスなどというのは、いわゆる高齢化社会の進展によって、まだまだ求めていますよ。ところが、介護の世界においては人が足らない。それは、働こうと思って行ったんだけれども、働く労働者ですから、働いたらそれに対価を求めるのは当たり前ですね。そこのギャップがあって、介護現場で働く職員の平均雇用年数というのは非常に短いんです。

 この世界というのは、本当に、熟練する技術、これは心の技術も要るし介護の技術も要りますね、そして、介護される者とする側が一体となって、介護される人の立場に立って温かな介護ができるというためには、やはりキャリアを積まなきゃならぬと思うんですよ。それを阻害している、こういうふうに言われているし、私もそう見ているんですね。

 したがって、この職員の問題について、私は、公の場面が率先して方向転換をしていく、そして民間をそういうふうに誘導していく、そのいい循環をぜひ先鞭を切ってやってもらいたいと思うんですが、いかがでしょう。

原口国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 先日、私、インドへ参りました。今回、若い人たちが就職ができないということで、私が会った友人は、百万人の従業員を雇用している会社の三十二歳の社長でしたけれども、五千人ぐらいインドで引き取ろうかという話をするぐらいでした。つまり、物すごいダイナミズムの中で生きています。

 今、小泉改革のお話がありましたけれども、まるで貧乏神に取りつかれたように切り刻んで労働者を分断した、官であるとか民であるとか、正規であるとか非正規であるとか。本来、政治の役割は、国民の働く権利を保障することであるはずです。人間らしく働けることを保障することが政治の役割であったはずですけれども、労働者を分断し、ひいてはデフレのスパイラルの中に落ち込ませている。この認識を持って、明るくダイナミックで外向きな日本にしていかなきゃいけない。少しでも自分と違うとそれをたたくという風土があれば、それは、暗く、内向きで、惨めな未来しかないというふうに思います。

 きょう、今委員が御指摘のところは大変大事な観点だ。私たち政治家は、国民を分断させてはならない、働く人たちの連帯を保障する。これは、与党、野党関係ない、私たちに課せられた責務である。この自覚を持って総務行政に努めてまいりたい、このように考えています。

渡辺副大臣 委員は、昨年の二月二十六日のこの委員会でも、非正規職員の問題を取り上げていらっしゃいました。過去の議事録で読ませていただきました。

 実は、総務省でも、国家公務員の非常勤職員の現状について、先生も御指摘されているとおり、これは物件費で計上されていまして、実態が把握できない。地方においても物件費。何か文房具や物品の購入と同じように扱われているということで、国のみならず、この実態については、まず一回しっかり把握をしなければいけない。

 先生が、緊急雇用対策で市役所が臨時職員を募集したけれども、実は定員すらも集まらなかったという事例を披瀝されながら質問されておりますけれども、まさにこの根底にはやはり不安定な雇用があるんだということです。今地方で一体どういう現状になっているのかも含めまして、私たちは実態把握に努めようと指示を出しているところでございます。

重野委員 ぜひ丁寧な調査をやっていただきたい、よろしくお願いいたします。

 次に、地方税法について数点聞いておきたいんですが、国税と地方税の割合についてです。

 我が党は、さきの総選挙のマニフェストで、住民の共同意思に基づいて自己決定できる自治体財政を確立するために、国税と地方税の割合を当面五対五に、将来的には地方税の配分割合をさらに高めていく、このように主張してまいりました。前政権でも五対五ということを言っておりましたが、この点について大臣の見解を改めて聞いておきたい。

原口国務大臣 お答えいたします。

 これは十一月に、これも前政権の時代につくられた地方分権改革推進委員会の第四次勧告の中でも、国、地方の税を五対五というようなことが書かれております。

 私たちは、今委員がおっしゃったように、社民党さんのマニフェスト、私たち民主党のマニフェストの中にも、しっかりとした地方の財源ということを書かせていただいておりまして、そこに向かった安定的な税財源を確保するということを、税調の中でも、税制改正大綱の中にもしっかりとうたわせていただいておるところでございまして、さらにそれをお題目ではなくて現実にするように頑張ってまいりたい、このように思っています。

重野委員 次に、同じく地方税ですが、地方消費税の割合の引き上げについて。

 国税と地方税の割合の変更とあわせて、税の種類も重要なテーマです。住民の日々の暮らしに直結している自治体が、景気の急激な変動にさらされることはできるだけ避けるべきである。同時に、地域による偏在が少ない税目が移行していくことが重要だと考えている。そういう性格を有するものとして消費税があります。

 私は、現在一%の地方消費税の配分割合を二・五%にまで引き上げるべきだというふうに提案いたしますけれども、この点について大臣はどのようにお考えか、お伺いしたい。

原口国務大臣 お答えいたします。

 私たちは、この任期の四年間に消費税を引き上げないということをお約束しています。と申しますのも、何回も申し上げたように、一九九六年から七年、財政構造改革の中で、目先の税を取りにいって国民に対して大きな負担をかけ、経済の勢いをとめ、しかも、財政赤字を拡大させたということを私たちはしっかりと学んでいるからでございます。

 その上で、今ある税の中でどのようにするかという委員の御質問でございますが、やはりそこは私は委員の御指摘が正しいと考えております。安定的な税、それを予見可能性がある形で地域が手にする。例えば介護職員の方を、地方の税収が減ったからあしたから来ないでくださいなんということは言えないわけです。住民にしっかりとしたサービスを行う、公共サービスの安定性や質を確保する意味でも、地方消費税の割合がしっかりと確保されることは必要ではないかというふうに思っています。

 しかし、これは税制改正大綱の中で、地域主権の確立に向けた地方税財源のあり方の改革の方向性として、国、地方の税源配分のあり方の見直しについて明記をしたところでございまして、今お話しの観点から、地方が自由に使える財源を拡充するということで議論を前に進めてまいりたいというふうに思っています。

重野委員 地方ということを語るとき、私は大分県ですけれども、私が住んでいるところはいわゆる川上です、上流域、いつも言うんですが、本当に今まで経験したことのないような光景が広がっているんですね。とにかく、地方の高齢化というのは本当に深刻です。その地域の安全すら脅かされていると言っても過言ではない。もし、昼、火事があったら、多分、常設消防が来るまでに家が燃えてしまうというようなことがあるんじゃないか。それから、人口流出によって環境が変わって、けものたちが本当に傍若無人に暴れ回っている。水田という水田が頑丈な鉄条網で囲まれているのが珍しい光景じゃないんですね。つまり、そういう地方の力そのものは非常に衰退をしている。

 しかし、その上流域が放置されたら、下流域はそのツケをかぶるわけです。そういう意味では、総務省、大臣は、そういう視点で地方に目を配って頑張ってもらいたい、そのように思います。私も、そういう視点で一生懸命頑張ろうと考えております。

 以上で終わります。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、地方行革に関連して質問をしたいと思っております。

 先日の本会議の質問の際に、私は、「自公政権は、行政改革推進法などに基づき、地方公務員の定数純減や給与削減、公共サービスの廃止、民営化、民間委託等の実施を地方に押しつけてきました。こうしたことが住民サービスを後退させてきたという認識がありますか。」という問いに対して、枝野大臣が、塩川議員の指摘のとおり、「これまでの行政改革が、そのやり方の一部において地方に行政改革を押しつけるという形になり、あるいはその他のさまざまな政策と相重なって地方の破壊をつくり出してきた」という認識は全く同感だと述べておられました。

 これは原口大臣も同じ認識と考えてよろしいんでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 全く同じ認識を持っております。

塩川委員 この枝野大臣の答弁の中で、「やり方の一部」において地方に行革を押しつけるということをおっしゃっておられるんですけれども、この「やり方の一部」というのは何なのか。枝野大臣ではありませんから、原口大臣なりに何が行革の押しつけと言われるものか、お考えをお聞かせください。

原口国務大臣 おっしゃるように、枝野さんによく昔間違えられていましたけれども、私は枝野さんじゃないから、そこがどういう意味で言われたかというのはそれこそ想像するしかないんですけれども、同じ閣内におる者としたら、二つあるのかなというふうに思って聞いておりました。

 一つは、公共サービスの質、あるいは公共サービスにおける中央政府や地方政府の責務といったことについての思いが至らずに、ただただ効率化あるいは削減というものについての指標を押しつけた、この部分だと思います。

 それからもう一つは、緑の分権改革で私は地域の創富力というものを申し上げていますけれども、その創富力といったことに着目せずに、逆にさまざまな、直轄事業負担金であるとか、あるいは三位一体改革で一方的に地方の財源を削るということをやった、そしてその結果として、健全化法なるものをつくり、いついつまでに何をやらないとあなたのところはこうなりますよというものを、おどしとは言いませんけれども、大変多くの抑圧的な動きを地域に対してかけてきた。このことは否めないのではないか。

 枝野大臣がお話をされているとしたら、この二点ではないかと想像するものでございます。

塩川委員 地方財源を削るですとか、健全化法の話で、抑圧的な動き、枠をはめるような形をやってきたということと、やはり効率化、削減というのが指標を押しつけるという形で行われてきた、そういう点で問題があったのではないかというお話でございました。

 そのあたりについては、私もそのとおりだと思います。それが具体的にどのように行われてきたのかということを今検証する必要があるのではないかと思います。私は、こういった地方行革の押しつけというのが、集中改革プランの地方への押しつけとか、また行革推進法という形で行われたのではないのか、このことを指摘しているところであります。

 総務省が平成十七年、十七年指針と言われますけれども、過去五年間における全国の地方自治体の削減実績である四・六%を上回る総定員数の削減を求め、これに沿って地方が具体化を迫られたのが集中改革プランであります。

 大臣はさきの本会議の答弁で、集中改革プランについて総括が必要だと述べておられましたが、どのような総括が必要なのか、認識を伺わせてください。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 三点の観点から総括が必要だろうというふうに思っています。

 一つは、経済財政の観点。こういうことを地域にやっていただいて、いや、むしろやらせてと言った方がいいでしょう、地域の経済がどれぐらいの影響を受けたかということ、この観点です。

 もう一つは、社会的な観点。地域が持っている、先ほど創富力と申し上げましたけれども、きずなをつくったり、あるいは小原委員にもお答えをしましたけれども、市民公益という形でさまざまな試みがされている、そういうものもどんどんどんどん切り捨てられてきたのではないか、その観点。

 そして三番目は、まさに地域が行っている公共サービス、自治体病院の閉鎖、医療や福祉あるいは教育に関する不安、こういったさまざまなものを地域が抱えていたのではないか。

 幾つかの指標を見ながら、この集中改革プランがどのような形で行われ、そしてそれが何を地域に及ぼしたかということを総務省としても総括してみたい、こう思っています。

塩川委員 大臣の今現在の認識として、この集中改革プランそのものが地方に行革を押しつけた、結果として住民サービスの後退をもたらした、こういう認識はお持ちですか。

原口国務大臣 その面は否めなかったと思います。

 ですから、この間も、ある北海道の厳しい財政の地域に、公立病院に対してしっかり財源手当てができるようにしてくださいと言っても、集中改革プランによっていついつまでに借金を返せというものがあるから、病院を支えるお金は、実は塩川委員、そこは借金返しに回っていたんです。これに象徴されるようなことが現実に起きて、命を守る、一番大事な政治の役割が果たせなくなっているというのは私は否定できないと思います。

塩川委員 重要な認識、御指摘だと思います。

 その上で行革推進法についてですけれども、行政改革推進法は、地方行革について基本理念を示して地方自治体の責務を定めるとともに、地方自治体に関し、五十五条で、目標を示した上での地方公務員の職員数の純減を要請したり、五十六条で給与制度の見直しの義務づけなどを規定しております。

 さきの本会議質問で、枝野大臣は、この間の地方の破壊について、この法律、行革推進法そのものが直接の原因ではないと認識しているという答弁でしたが、私はそれは違うと考えております。原口大臣の行革推進法についての認識はいかがですか。

原口国務大臣 枝野大臣と違う答弁を私ができるわけないですから、そこは御理解をいただきたいと思うんですけれども、では、行革推進法が地域主権的に行われてきているのか。中央で目標値を決めて、先ほど申し上げました、賃金がなぜ下方硬直的になってしまっているのか、どんどんどんどん賃金が下がり、そしてデフレというものをとめることができないのか、そういったことについてはしっかりと総括をする必要があるというふうに思いますし、とりもなおさず、やはり働いている人たちの権利が保障できない。

 私は松下政経塾時代にも幸之助さんからよく聞かされていたのは、ろくでもない経営者に限って最初に賃金を下げる、最初に労働者を切るということを学んできました。私は前政権をろくでもない経営者とここで強弁する気はありませんけれども、しかし、経営者の真髄に立った、国家経営の真髄に立ったことが行われていたかということは私はもう一回検証されるべきだ、このように考えています。

塩川委員 総括が必要だ、地域主権的に見て、中央で目標値を決めるというやり方がどうなのかというお話でございました。

 これは現場で見たらどうなっているのかということがございます。例えば、行革推進法が四・六%の純減を地方に要請していますけれども、基本方針二〇〇六において五・七%の純減を求め、集中改革プランの押しつけと相まって、地方自治体は六・四%純減の計画を策定するというふうに、あおられるようにして純減目標が上積みされるような現状にあったというのがこの間でありました。それは、大臣もおっしゃったように、三位一体改革による地方財政措置の大幅な後退、社会保障費の増大の中で、結果として、地方がそういった職員の純減に拍車をかけざるを得ないような状況を国の地方行革の押しつけが生み出したということが重要だと思っています。

 一つ例として紹介したいのは、学校給食の民間委託の問題があります。私の地元の埼玉の鳩ケ谷市というところがございまして、そこで学校給食の民間委託を通じた職員の削減の話が、保護者の方からも、これは改めてほしいという運動が起こっているところであります。

 今まで、教員、栄養士の方、調理員の方、保護者の方そして子供たちも含めて、学校給食について力を合わせて、食育としての学校給食を育てていくために大きな努力をしてきたところだったわけですね。調理員の方と子供たちが一緒に、食材のトウモロコシですとかソラマメですとか、そういうものの皮むきをするとかいうことをして、食材をしっかり調えるところから学校給食をつくるという努力などが行われてきたところでありますし、自校方式という取り組みも含めて、今まで冷やしうどんのメニューだったのが、その日が寒いというんだったら温かいうどんにしよう。こういう形で、子供たちの目線に立った学校給食の提供ということで努力をしてきた、臨機応変の対応をしてきたのが、民間委託でぼろぼろになったという声を保護者の方々が上げておられます。

 民間委託の後で起こっていることは、例えば、アレルギー対応食が必要な子供たちに対して、アレルギー対応食のない、一般食を提供するようなことが行われたということもあったそうであります。これは命にもかかわるような重大な問題だったわけですね。また、目的とした業務の効率化が改善されるどころか、逆に費用がかかるようになったんじゃないのかという声も上がるような事態で、現場においては、労働局から偽装請負で指導も入るような状況も生まれているという事態にも至っております。

 こういった学校給食の民間委託が全国で大問題となっているわけですが、なぜこういうふうになるのかという仕組みの問題が問われなければならないと思っています。

 そこで、文部科学省の高井大臣政務官においでいただきました。何点かお尋ねしたいんですが、行革推進法の五十五条の三項に教職員についての規定がございます。この行革推進法五十五条三項に基づき、地方自治体はどのような教職員削減を行うことになるのか、その仕組みについて説明いただけますか。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 行革推進法五十五条第三項は、公立学校の教職員及び給食調理員、用務員等を含めたその他職員の総数について、平成十七年四月一日と平成二十二年四月一日とを比較して、児童と生徒の減少に見合う数、つまり、自然減以上の純減をさせるために必要な措置を講ずることを地方公共団体に求めているものでございます。

塩川委員 今お話にございましたように、標準法で定められている教職員の定数は児童生徒の数とリンクをしているわけですから、児童生徒の数が減れば教職員の定数も減る。しかし、行革推進法で純減が求められているわけであります。そうすると、自治体レベルでどう考えるかというと、標準法で動かせない教職員のところは手がつけられないものですから、今お話のあった給食の調理員ですとか用務員さんというその他の職員、標準法のかからないその他職員を大幅に減らすという形で帳じりを合わせなければいけなくなる事態が広がっているということが今問われているわけであります。

 文科省は、この間、国民の声にも押されて教職員の定数改善を行ってまいりました。しかしながら、一方で行革推進法が枠をはめたままであるわけであります。

 そこで、高井大臣政務官に伺いますが、この間、教職員の定数改善の取り組みの中で、二〇〇八年度に向けて、二〇〇七年の十二月十八日に、定数改善に関する文部科学大臣と財務大臣と総務大臣の三大臣合意というのが行われていると承知をしておりますけれども、そこの部分で、この定数の問題についてどのように書かれているのかを御紹介いただけますか。

高井大臣政務官 御指摘のあった二〇〇七年、自公政権下でございますが、十二月十八日の文部科学、財務、総務三大臣協議において、教職員定数については、行革推進法を改正しない範囲内で純増千人を含む千百九十五人の定数措置を行うこと、それから、定数増については、地方の現場を混乱させないよう、行革推進法五十五条第三項におけるその他の職員の削減について通知で徹底するなど、教育部門の地方行革について指導力を発揮することというふうに合意されたと聞いております。

 なお、今の鳩山政権下の文部科学省といたしましては、今御審議いただいております平成二十二年度予算案において四千二百人の教員定数の改善を盛り込むとともに、平成二十三年度以降の学級編制のあり方や教職員定数改善のあり方について本格的に議論をスタートしたところですので、御理解をいただければと思っています。

塩川委員 自公政権下というお話で、今御説明がありましたように、行革推進法の枠がはまっているものですから、定数増については、行革推進法五十五条三項におけるその他の職員の削減について通知で徹底するなど、教育部門の地方行革について指導力を発揮すること、つまり、その他職員、調理員ですとか用務員を減らしてくださいよというのを、枠がはまっているがゆえに、さらにこれを徹底せざるを得なくなる状況というのが自公政権のもとで行われてきた。これが学校給食の現場で大きくサービスを後退させる事態を生んできたんだということが問われるんだと思うんですが、その認識について、高井政務官と原口大臣、一言いただけますか。

原口国務大臣 これは法律の名前も、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律と書いてあるわけです。公共サービスがどうあるべきかとか、あるいは一人一人の、先ほどお話しになった子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという観点よりも、まさに削るための観点でできている部分、これは条文をずっと読んでみても、今さらながらに、今の時代に合わない条文だと思います。

 私も、細君が管理栄養士ですけれども、大豆と小麦が食べられません、大豆と小麦を食べた瞬間にこの辺にじんま疹ができる、その割にはビールは大丈夫なんですけれども。本当に、これは大人だから何とかなりますけれども、小さい子供たちの命を守るという観点からも、やはり私たちはしっかりと議論を前に進めてまいりたい、このように考えております。

高井大臣政務官 私も同じ認識を持っております。

 行革推進法はこの平成二十二年までということになっておりますので、改めて鳩山政権として、同じような認識を持っておりますので、そのために正職員の教員の数をふやしていく努力をスタートしておるところですので、いろいろと御理解をいただければと思っています。

塩川委員 学校給食について言えば、総務省が地方団体から取りまとめた民間委託の実施状況という資料がございます。市区町村レベルで見ますと、平成十六年度末と二十一年四月一日時点を比較しますと、最も民間委託が進んでいるのは学校給食の調理になっております。それだけやはり強い圧力がかかって、学校給食の調理が民間委託という形でアウトソーシングされるということが加速をしてきたというのがこの間だった。こういう中で労働者の労働条件を切り下げられ、子供たち、保護者に対する住民サービスの後退が生まれているということをしっかり受けとめなければなりません。いわば行革推進法が圧力となって、学校給食などの民間委託、アウトソーシングを進め、結果として住民サービスを後退させてきたことは明らかであります。

 この定員管理の問題については、総務省としても研究会で議論を重ねているということを承知しております。そういう中で見ましても、都道府県や政令指定都市からの意見の中に、これ以上の行革でいいのかという声が上がっているということも紹介をされておりました。

 例えば、「教員や警察部門は、国が配置基準を定めており、団体の努力で純減ができない。また、病院部門では、診療報酬基準の改正に沿って、経営改善の観点から、医師、看護師等の確保を進めており、純減が困難である。このため、「定員総数」の純減目標を達成するには、一般行政部門において計画以上に純減を進めなければならない。」つまり、定数がかかっているような、あるいは要員の配置をよりふやさなくちゃいけないような部門があるとしたら、その残りの部分の、特に一般行政部門は大幅に削らなくちゃいけない事態が生まれているという指摘もございますし、あるいは、「行政需要が増大しており、これ以上の定員純減を行うことは、行政サービスの低下に影響を与えかねない。」という声も上がっております。

 大臣、重ねて伺いますけれども、地方に対し、数値目標を示して機械的に定員純減を押しつけたことが、住民サービスを後退させて、職員の配置にも大きなゆがみをもたらすことになったのではないのか、この点についての認識をお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 私は、民主党の行政改革調査会の座長もかつて務めました。不断の行政改革というのはとても大事です。しかし、問題はその手法です。実際に、行政改革の目標なんというのはみずから決定しなければ、それは押しつけられたものにすぎない。また、その地域の実情とも合ってこない、あるいは現場とも合わなくなるのは必定であります。その中にやはりダイナミズムを、あるいは人間の尊厳というものを入れていかなければ、このような間違ったものになるのではないか、そう考えておりまして、今の委員の御指摘を踏まえて、政務三役あるいは総務省の中でも議論を深めてまいりたい、こう考えております。

塩川委員 行革推進法について、原口大臣が、この条文はもう時代に合わない、そういうものになっているんじゃないのかというお話がございました。そういう点では、枝野大臣の本会議での答弁ぶりとは違う認識も示されているという点は重要だと考えております。

 問題は、こういった地方破壊と住民サービスの後退をもたらした集中改革プランと行革推進法についてしっかりとした総括をすると同時に、今後、地方行革の押しつけは行わないということが必要であります。

 そこで、行革推進法の内容について大島内閣府副大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、行革推進法の五十五条一項から五項までが地方公務員の職員数の純減を地方に求める規定になっております。この行革推進法の五十五条というのは、そもそも全体が時限措置ではないかと考えますが、いかがですか。

大島副大臣 お答えいたします。

 行革推進法第五十五条は、地方公務員の職員数の純減について、五年間で実行すべき取り組みを定めた行政改革の重要方針をできる限り忠実に法制化したものであり、平成二十二年度までの五年間の取り組みを念頭に置いた規定であると考えております。

塩川委員 二十二年度までの規定ですから、二十二年度も縛っているということですね。

大島副大臣 二十二年度、四月一日時点での職員数の純減の数値だと考えております。

塩川委員 ですから、二十二年四月一日ということは二十二年度の定員管理ということでよろしいですね。

大島副大臣 と考えております。

塩川委員 ですから、行革推進法は、もちろん自公政権のもとでつくられたものですけれども、来年度までかかっているんですよ。来年度までかかっているからこそ、先ほど高井大臣政務官がおっしゃったように、来年度、教職員をふやすんだけれども、一方で減らすということの見合いで、五年間トータルで減らしているからここまで行きますよという話であって、本当にふやすとしたら二十三年度以降の話ということであるわけですから、行革推進法そのものが来年度いっぱいかかっているということであります。

 ですから、私、そういう点では、来年度も縛るような規定を残している行革推進法そのものを撤廃することが必要なんじゃないのかと思うんですが、法を所管しているのは内閣府ですから、大島副大臣、どうですか。

大島副大臣 理解としては平成二十二年度までの五年間を念頭に置いた規定であるということと、これは、平成二十二年度、二十二年の四月一日の職員数ですから、予算措置としては四月一日以降の予算措置の一年間だと考えております。

塩川委員 そういう点でも、来年度までかかっているわけですから、では、原口大臣、行革推進法が問題がある、時代に合わないものだとおっしゃったわけですから、来年度もかかっているような行革推進法そのものについて、これをきっぱりやめろということこそ言うべき話じゃないか。いかがですか。

原口国務大臣 大臣としたら、所管外のことにどこまで踏み込めるかということは考えながら言わなきゃいけない話でございます。

 ただ、その上で、地域主権担当としても、あるいは地域のさまざまな公共サービスを確保する責務を持つ大臣としても、この法律で本当に大丈夫なんですかということは閣内でもしっかりと議論を進めていきたい、そう思っています。

塩川委員 私たちは、行革推進法は撤廃すべきだと考えます。その上で、先ほどお聞きした集中改革プランについては、今後の話ということで、その後継計画の作成を地方に求めるようなことはしない、このことは約束できますか。

原口国務大臣 ここは国、地方協議の場でもさらに議論を詰めていきたいと思っていますけれども、これは合併もそうですけれども、このような集中改革プランをまず総括し、そして、その上で総務省としての基本的な考え方をまとめていきたい。

 今、塩川委員とるるこうやって議論をしている、その方向性でもって、私たちは、地方の行革はどうあるべきか、それは努力をしていただきたいこともいっぱいあります。先ほどから電子政府やクラウド化というような話をいたしました。その上で、命の現場やあるいは福祉や教育の現場、こういったものにしわ寄せが行かないようにしっかりと考えてまいりたいと思っています。

塩川委員 大島副大臣、高井政務官、用事もおありだと聞いておりますので、ありがとうございました。

 集中改革プランはしっかり総括すると同時に、もうつくらない、こういう形での地方行革の押しつけをやめるということこそ、今総務省、国が行うべき仕事だということを申し上げたいことと、地方自治体との関係でいいますと、では、地方財政計画でどうなっているのかという話があります。

 「平成二十二年度地方団体の歳入歳出総額の見込額」、地方財政計画で「給与関係経費」を見ると、「地方財政計画上の職員数については、引き続き定員の純減を進める」と書かれております。これは、平成二十二年度においても「引き続き定員の純減を進める」、こういうふうに記している根拠というのは何なんでしょうか。

小川大臣政務官 集中改革プランの期限等につきましては、既に委員が御指摘のとおりでございます。

 そこで、給与の関係経費の積算のために定員の議論をしてきたわけでございますが、引き続き、政府全体でも定員の合理化の議論を進め、それについては、もちろん技術的な助言の範囲でございますけれども、その合理化の取り組みを要請しているわけでございまして、そうしたものを総合的に検討した結果、そのような形になっておると理解をしております。

塩川委員 いや、この間、きょう議論してきたように、定員の純減を押しつけるようなやり方というのはおかしいんだ、時代に合わないんだと言ってきたわけですよ。それにもかかわらず、鳩山政権、民主党中心の政権で初めてつくった地方財政計画の「給与関係経費」のところを見ると、来年度についても「引き続き定員の純減を進める」、地方に純減してください、やってくれ、減らせと言っているんです。総合的というんじゃなくて、根拠をはっきり聞きたいんですけれども。

小川大臣政務官 二十二年度以降におきましても、政府全体で、公共部門を含めて合理化を進めるという大きな方針のもとに、そうした技術的な助言を行い、また、そういう全体の方向感を前提に必要な合理化については引き続き進めていくということでございます。

 大臣も重ねて御答弁申し上げておりますとおり、公共部門、特に地域の公共部門の合理化そのものが目的ではないのだろうと思います。住民生活、また地域の行政サービス、そして地域社会を守る、そういう価値を求めていくために、一方で、手段として、引き続き無駄のない体制を整備することも必要でございまして、そうした全体を見渡してのこうした措置であるということでございます。

塩川委員 いや、答えていないんですけれども。

 今示したのは二十二年度、来年度の地方財政計画ですけれども、では、例えば二十一年度の地方財政計画上にはどういうふうに書いてあるのか。該当部分を読み上げますから、ちょっと確認してもらえばいいんですけれども、「地方財政計画上の職員数については、「基本方針二〇〇六」における五年間で五・七%の定員純減目標を踏まえた定員の純減を進める」とあるわけです。つまり、来年度についても骨太〇六がかかったままということなんでしょう。

小川大臣政務官 詳細は少し確認をしたいと思いますが、いずれにしても、この集中改革プランそのものは四月一日を念頭に置いておりますので、二十二年度全体を見渡した計画ということではなかろうと思います。

 その上で、目標といたしましては六・四%、これは自主的な目標でありますが、それを六・二%まで、ほぼ達成に向けての取り組みが進められているということでございまして、いずれにしても、重ねて大臣も御答弁申し上げておりますとおり、強制的な形で数字を割り当ててということでは、そういう性格のものとしては受けとめていただかないように、私どももよくよく気をつけなければならないと思います。

原口国務大臣 塩川委員、基本はやはり、安全かつ良質な公共サービスが、確実、効率的かつ適正に実施されるということだと思います。その中で、公共サービス基本法の基本理念にのっとった上で、今後も不断の行政改革に取り組む、これは私たちも塩川委員も否定できるものじゃない。

 厳しい財政状況が続く中で住民サービスを守っていく、そのために、では、今までの集中改革プランをどのように総括して、そして、本当の意味での地方行革というものは自主的にどのようにあるべきかということを私たちは定めていくべきだ、こう考えているわけでございます。

塩川委員 集中改革プランの話じゃなくて、骨太〇六なんですよ。骨太〇六で、この地方公務員のところで書いてあるのは、「本年四月末に総務省から公表された速報値を踏まえ、五年間で行政機関の国家公務員の定員純減(▲五・七%)と同程度の定員純減(二〇一〇年度まで)を行う。」と書いてあるんです。年度途中で何とかという話じゃないんですよ、地方財政計画上の話なんだから。来年度まで地方財政計画にかかるように、純減がかかっているんですよ、〇六では。

 その上、〇六では、加えてプライマリーバランスの黒字化の話もございまして、「定員純減を二〇一一年度まで継続する。」とあるんです。来年度で終わらず、二〇一一年度まで純減するという規定が書いてあるんですよ。

 これは閣議決定されているんですけれども、撤回しているんですか。撤回すべきじゃありませんか。

小川大臣政務官 旧政権下の取り組みではございますが、それを明示的に廃止したという事実はなかろうと思います。

塩川委員 であれば、二〇一一年度まで地方に定員の純減を押しつけるようなこういう閣議決定は撤廃していただきたい。それでこそ、初めて前向きの地域主権ということが言えるんじゃありませんか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 今、旧政権下での、私たちがそれをそのまま直せていないものがまだ幾つもあります。政務三役の中で、私たちの政策と合わない閣議決定、私たちの政策と真反対を向いている閣議決定、これをあぶり出して、そして変えていきたい、こう考えています。

塩川委員 今お話にありましたように、来年度の地財計画上はかかったままなんですよ。自公政権を引きずっているんです、構造改革路線を。

 骨太〇六というのは、御案内のとおり、あの小泉・竹中構造改革路線のあしき遺産であって、将来にわたって枠をはめようという中身ですから、それを引きずった、〇六に縛られた、自公政権を引き継ぐような今の鳩山政権では、構造改革路線と決別したと言えないんじゃないのか。このことを強く申し上げて、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、地方税法の改正について、税制改正大綱をひもときながらお話を伺わせていただきたいと思います。

 我が党は、実は財金に議席を持っておりませんので、そういう意味では、税制改正全般にわたってお伺いできるのが、予算委員会かあるいはこの総務委員会ということになってしまいます、内閣委員会でもできるかもしれませんが。いずれにしても、そういうことで、いろいろ制度全般にわたるお尋ねをいたしますが、お許しをいただきたいというふうに思います。

 まず、暫定税率の問題でありますが、地方税法関係では、軽油引取税の暫定税率の水準が維持をされるということに結果としてなりました。

 軽油引取税については、現行の十年間の暫定税率は廃止をする、しかし一方で、「原油価格や石油製品価格が安定的に推移していること、地球温暖化対策との関係に留意する必要があること等から、当分の間、軽油引取税について、現在の税率水準を維持」するということになっております。

 暫定税率は廃止をするが、今まで暫定税率を上乗せしたのと同等の税率をかけるんだというのが、少し仕組みとしてわかりにくい。暫定税率が維持をされたというふうな報道のされ方もしてしまっている部分もあります。

 暫定税率を廃止した上で、当分の間、軽油引取税について現行の税率水準を維持するという、この仕組みのことについてまずお伺いをしたいと思います。

原口国務大臣 まさに、その暫定税率がずっと、暫定と言いながら長く続いてきた。これはまずリセットしましょう。これが一つであります。

 その上で、新たな税制を考える上で、この軽油引取税も含めたさまざまな税については、地方の御要望やあるいは経済の状況を見ながら、本来だったら全部リセットしたい、しかし、それがなかなかできないような状況でございましたので、次なる税に向かう間、現行の厳しい地方財政の現状に配慮する必要があるから、このことを残したものでございます。

 私は税調の会長代行としていろいろな議論をしてきましたけれども、当分の間、現在の税率水準を維持して課税するとしておりますけれども、では、この後これをどのような税にしていくかということは、広く国民の皆さんとの対話の中で議論をしていかなきゃいけない、こういう問題であると思っています。

柿澤委員 本来、全部リセットしたいんだけれども、地方財政の厳しい状況からいうと、当面そうもいかない。これは、厳しい財政事情に対する配慮ということで、このような形をとらざるを得なかったということだと思います。大変御苦心もあっただろうというふうに思います。

 この暫定税率というのは、もともとはいわゆる特定財源として、道路整備等に充てる費用としてリザーブをされてきた、こういう税目であります。しかしながら、この道路に関する費用に充てる財源というものが一般財源化をされているということで、これは、かつては民主党さん自身が、一般財源化によって課税根拠がなくなったじゃないかということを言っていたはずであります。この部分について、今回、まさに課税根拠の失われた状況のまま税率を維持して賦課していくことになると思いますが、この点についてはどのように考えておられますでしょうか。

渡辺副大臣 私も税調のメンバーでこの議論をやりました。一番大きかったのは、やはり税収が落ち込む中で、地方からは、代替財源なき暫定税率の廃止はやめてほしい、八千五十五億円の税収減になる、それに対してはちゃんと穴埋めできるんだろうかと。

 しかし、厳しい財政の中でこれ以上借金を重ねてやるというのは、非常に厳しい状況下で許されないということもございまして、非常にある意味では、マニフェストに書いたことが初年度に実現できなかったということでは責めを負っているわけでございますが、まさに今おっしゃったように、これはまさに本則が、暫定税率が本則に載っている。その暫定はなくなったんだけれども、負担額はユーザーからすると全く一緒。非常にそういう意味では、難しい制度というよりもわかりにくい制度になっていることは否めないと思っております。

 ですから、先ほど委員もおっしゃったような、ガソリンの値段が今は安定しているということも含めて、当面の措置として考えられるわけですけれども、この問題も含めて、抜本的に税制改正の中で今後どうするかということは、今から、もう我々が始めています税制に関する検討会の中で議論を始めたところでございます。

柿澤委員 地方からの声として、代替財源のない廃止はやめてほしいという強い要望があった、わかりにくいということはそうであろうけれどもというお話が、今渡辺副大臣からございました。

 わかりにくいということだけが問題ではなくて、私は、やはりこれは課税の根拠がはっきりしないということが問題なのではないかというふうに思います。今まで道路整備のための特定財源として、これは議論は分かれますけれども、そういう課税の根拠がしっかりあったものを取っ払って、しかしそのまま課し続けるということで、根拠なき課税になってしまっている。これは租税の原則からいうと非常に問題があるというふうに私は思います。

 そういう意味で、ちょっとお伺いいたしたいんですけれども、財政論の基本をひもときますと、租税の原則として、いわゆる応能課税と応益課税の原則というものがあります。今の状況の中での軽油引取税を初めとするいわゆる燃料課税は、租税の原則からいうと、この応益課税、応能課税の一体どっちに該当しているんだということをお尋ねしたいけれども、いかがでしょうか。

小川大臣政務官 柿澤委員の御指摘は、この議論の経過の中で、私どもとしても一番つらい部分であることは率直に認めたいと思います。

 今までの暫定税率は、道路整備のため、道路使用者に特別に負担をいただいていたものでございまして、その意味では非常に、ある意味では応益性が強い。しかし、租税の世界は、もちろん御指摘のとおり応能原則、応益原則、大きく二つございますが、必ずしもどちらかに割り切れるものではないというのも一面の実態であります。

 さまざまな、所得また資産、消費それぞれに担税力を見出し、公共サービスの財源として御負担をお願いしていくという一般的な法則からしても、そういう課税の現実なり実態があるわけでございまして、今回、御指摘の点は厳しく受けとめたいと思いますが、地方財政に八千億に余る大きな穴をあけるわけにはいかないという、歴史的な課税実態に照らして、大変苦渋の選択としてこういう形で御審議をいただいているということでございます。

柿澤委員 大変苦しいところだというお話、率直におっしゃられましたけれども、その後の答弁は何となく、むにゃむにゃむにゃむにゃという感じがちょっとしまして、そういう意味では、結果的に、これは取れるところから取るという形の課税になってしまっているのではないかというふうに思います。しかも、民主党はマニフェストでこの暫定税率を撤廃するということを約束していた上で、結果として、苦しいからということで、取れるところから取る形になっている。そういう意味では非常に問題があるというふうに思わざるを得ません。

 今後、この暫定税率を初めとする燃料課税のあり方についてはいろいろと議論が行われていくことになると思いますけれども、改めて、基本的にどのような方向で考えていこうとしているのかお尋ねをしたいと思います。

原口国務大臣 幾つかの観点があると思います。

 一つは、バッド課税、グッド減税という考え方、つまり、環境に対する負荷がどうなのかという観点が一つ。それから、応能、応益というお話が今ございました。長い間、本当に取りやすいところから取ってきた。暫定税率が特定財源化してきた。そのことについて、ではどのように総括するかという二点目の議論があると思います。そして三点目、その結果として、環境政策を随分地方がやっているわけです。

 バッド課税というような観点に立つとすれば、例えば地方環境税ということについて、その税率も含めてどのように考えるか。こういったところを、今回、国、地方協議の場もできますので、慎重に地域とお話をしながら、あるいは国会でも、今柿澤委員が大変本質的な御議論をいただきました。私たちが一般財源化したときに言っていたこと、そのことが必ずしも、副大臣、政務官が言うように貫徹できてはいないわけです。環境の中で、経済情勢の中で今のような税という選択をしていますけれども、できるだけ、だれから見てもわかりやすい、そして御納得いただけるような税にしていきたい、こう考えています。

柿澤委員 今の御答弁の趣旨を私なりに解釈いたしますと、これから地球温暖化対策税、環境税のようなもの、また地方環境税も含めて、この燃料課税について議論を行っていきたいという趣旨と受けとめました。

 その方向であることは私たちも不賛成では決してございません。しかし、今のような、課税根拠の明らかでない不正常な形での課税が続くということは、やはり早急にそうした状況を脱していかなければならないというふうに思います。

 そこで、当分の間という言葉についてお伺いをしたいと思うんですけれども、租税特別措置法の第一条には、「この法律は、当分の間、所得税、法人税、相続税、贈与税、地価税、登録免許税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税、航空機燃料税、自動車重量税、印紙税その他の内国税を軽減し、若しくは免除し、若しくは還付し、」と書いてあります。

 この租税特別措置法第一条には「この法律は、当分の間、」というふうに書いてあるわけであります。この租税特別措置法の八十九条第一項で、揮発油税に関しては平成五年から平成三十年まで、もともとは二十年まででしたけれども、暫定税率を課すということが決められている。

 要は、この第一条の「当分の間、」イコール暫定税率の十五年、二十五年ということになっているわけでありますので、そういう意味では、暫定税率というのと今回の「当分の間、」とどう違うんだということを思います。しかも、この「当分の間、」は、あたかも暫定税率より短いスパンを指しているかのように見えますけれども、条文上で考えれば、これは十五年、二十五年ということまでできるような仕組みになっている。

 この暫定税率と当分税率、どう違うんですか。お伺いします。

原口国務大臣 ここも税調で随分議論した。だから、当分の間というものを、これは今国会に提出されている所得税法等の一部を改正する法律案附則、国税の改正法案においても、地球温暖化対策のための税について、今回、軽油引取税等について当分の間として措置される税率の見直しを含めて、平成二十三年度実施に向けた成案を得るべく、さらに検討を進める旨を規定しています。

 したがって、軽油引取税について当分の間として措置される税率のあり方については、先ほど私が少し申しましたけれども、地球温暖化対策のための税の平成二十三年度実施に向けた検討の際にあわせて検討していくものでございまして、暫定税率が十年とされていた、そんな長いスパンを想定しているものではございません。

柿澤委員 そうしますと、確認ですが、当分の間というのは、皆さんとしては、環境税、地球温暖化対策税についての議論の成案を得るまでの、平成二十三年までを指しているという解釈でよろしいですか。

原口国務大臣 当分の間というのは、小泉首相的に言うと、当分の間ですと言うしかない。法文としてはそうなんですけれども、先ほど答弁をしたとおり、平成二十三年度実施に向けた成案を得るべく。得るべくと書いてあるわけです。さらに検討を進める旨を規定していて、その検討の際にあわせて検討するという二段階になっているんですね。そこの文章の趣旨をよく御理解いただければと思います。

柿澤委員 今の御答弁だと、当分の間というのは、そんなに長くはないということをにおわせながら、結局、出口が見えないことになってしまうのではないかと思います。これは非常にいただけないというふうに思いますが、御答弁はありますか。

原口国務大臣 いただけないというよりも、これは相手のある話なので、税というのはさまざまな御議論を経て、そして納得と御理解の上でやらなきゃいけないので、こういう……。

 私だって、私の立場からすると、柿澤委員、来年から地方環境税を入れてくれ、これが私の立場です。それは地方が環境をやっているんだからと言うけれども、しかし、自分の立場だけで全部やれない。さまざまな税の基本や、あるいは当事者の皆さんの御理解がなければ税は進まないのでこういう規定になっているということも、あわせて御理解をいただきたいと思います。

柿澤委員 来年度から地方環境税を入れてほしいというのが原口大臣のお考えだということが確認できました。

 この暫定税率に関しては、鳩山総理は、実は就任早々、九月二十四日の国連総会で、政府が掲げる国内政策の一つとして、暫定税率を撤廃しますということを国連総会でお話をされています。年二・五兆円の減税策で日本産業のコスト競争力の改善が期待されるということで意義を強調して、これらの政策を実行することで日本経済は復活ののろしを上げるに違いないというふうに胸を張ったわけであります。

 これを、結果的に、大幅な税収減等々の理由によって断念せざるを得なかった。大変苦渋があったと思いますが、これから財政健全化を行って、歳出削減と同時に歳入の確保ということを、皆さん、多分、政府総がかりで行っていく。それによって、結果として実行が可能な状況になれば、今燃料課税にかかっている暫定税率相当分二・五兆円、これの減税措置を今後やっていくつもりがあるのかどうか。あるいは、結果として、環境税に衣がえして同じ水準にしていくのかということを、未来の姿として、基本的な考えとしてお伺いをしたい。

原口国務大臣 ここは大事な御議論でございまして、委員が、前回の予算委員会でしたか、日本株式会社にすべきだ、ダイナミックな産業政策をやり、成長戦略をやるべきだと。それをやる上でも大変大事な議論であります。

 一方、先ほど申し上げたグッド減税、バッド課税という考え方の中で、ではEUはどうやっているのか、あるいは暫定と言われる税率をどの水準まで下げればいいのか、そういった議論もあわせてやっていきたいと思っています。

柿澤委員 次に、たばこ税についてお伺いをいたします。

 平成二十二年の十月から、たばこ税が一本当たり三・五円ということで引き上げになる。財務省の試算では、一箱三百円から四百円に小売価格が上がるということになりそうでございますが、このたばこ税の課税根拠についても、従来のいわゆる財源確保というところから、今回、国民の健康増進という観点が盛り込まれました。

 税制改正大綱、地方税関係でも、たばこ税の税率について、「国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要」があるということが言われております。

 そういう意味で、たばこ税の課税根拠について改めて御確認をしておきたいと思います。

渡辺副大臣 税調でこの議論を随分しました。先ほど大臣もお話しのあったグッド減税、バッド課税という中で、まさに国民の健康を考える視点から、これは課税をすべきではないかという中で議論をしました。ですので、これは、第一義的には国民の健康増進ということが根底にあるということでございます。

柿澤委員 今回、四百円ということになるわけですけれども、この水準では、実は国民の健康増進を目指したたばこの消費の抑制に余りつながらないんじゃないかというような意見もあります。

 厚生省の研究班のかつての調査では、成人の喫煙者の過半数が禁煙を決断する価格の平均というのは、依存度が低い層では一箱四百六十七円、高い層では七百六円ということで、これが紹介されていた新聞記事によると、研究班としては、禁煙を進める対策としては、価格を上げるなら最低一箱千円程度にしないと効果がない、こんなことが書かれておりました。

 かつてというか選挙前ですけれども、たしか、たばこを一箱千円にしようという議員連盟も結成されて、そんな議論が行われていたと思いますけれども、たばこ税の税率について、「国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要」があるということが書かれております。「将来に向かって、税率を引き上げていく必要」というのをどのように解釈したらいいのかお伺いします。

原口国務大臣 まさに渡辺副大臣が申し上げましたグッド減税、バッド課税、たばこを吸う方だけではなくて、横で副流煙というんですか、それを吸う方、私ごとで恐縮ですが、私の父もそれで腺がん、肺の表にできるがんですね、物すごく苦しいがん、そういったものも含めて、やはり消費の抑制を健康の観点からやっていくということが大事だと考えています。

 ただ、その判断に当たっては、たばこの消費や税収、これは税収だけ考えると一円以内にしておいた方が税収は上がるということでございますが、葉たばこ農家、あるいは小売店、それから製造者等に及ぼす影響等もやはりしっかり見きわめていかなきゃいけない。その中で国民の御理解をいただきながら、一部の愛煙家には、何ということをするんだというふうに、奥田委員がにらむように見ておりますけれども、そういう方々のやはり御理解もいただきながら考えていかなきゃいけない、そういう問題だと思っています。

柿澤委員 先ほどひもといたデータをベースにすると、一箱四百円という水準は、申しわけありません、非常に中途半端ではないかというふうに私は考えております。残念ながら私はたばこを吸いませんので、すいません、そういう意味では愛煙家の皆さんには大変申しわけないというところもありますが、しかし、そういう方々の健康を増進するという観点からもこの議論が行われているというふうに理解をしておりますので、ぜひ、今後に向けたさらなる御検討をお願いしたいと思います。

 さらに、地方交付税についてお尋ねを申し上げたいと思います。

 前にも、一月、補正予算にかかわる審議で、総務委員会でお尋ねをしましたけれども、そもそも地方交付税、今回、財源不足が十八兆二千百六十八億円ということで、平成二十一年度の十兆四千六百六十四億円からはね上がっているわけです。そして、交付税特会の借入金は三十三兆六千百七十三億円。そして、そもそも平成二十二年度から償還計画が初年度として始まる予定だったにもかかわらず、初年度の償還の七千八百十二億円はいきなり初年度から繰り延べになってしまった。最終償還年度は維持をしておりますけれども、平成二十三年度以降の各年度償還額を見直して、平成三十八年度までに償還をするんだということが言われております。

 しかし、私の目から見ると、この交付税特会の借入金の償還計画、また交付税制度全体が非常に持続可能性のないものになってしまっている。もはや制度の全体の枠組みが、ある種フィクショナルな前提に基づいて組み立てられているように思えてなりません。そういう意味で、この点についてお尋ねを申し上げたいと思います。

原口国務大臣 十何年も経済成長をしていませんから、財政が発散するということを私たちは野党時代にずっと追及をしてきたわけです。その意味において、柿澤委員が御指摘をされている地方財政の、あるいは特別会計も含めた持続可能性、これが継ぎはぎだらけでやられてきたということは、私たちが批判してきたところでございます。

 ただ、今のような経済情勢、それから社会の情勢の中でこれ以外の選択肢があったかというと、私はないと思います。ですから、何回も繰り返すようですけれども、きっちり成長戦略をつくって、これほど多くの富を持ち、それから潜在力を持つ国が、内側に閉じたり、収縮したり、あるいは下を向いたりすることがないように頑張ってまいりたい。決して持続可能性がないというふうに思わせないような計画を立てていきたいと思っています。

柿澤委員 すべてはこれからの、地域主権戦略会議等々での議論の推移を見ていかなければならないというふうに思いますが、地方交付税と一括交付金の関係の問題やあるいは税財源の移譲、特に税源移譲をどうやっていくのか、こういうところについては必ずしも明確な方向性が明らかでない。これから制度設計していくんだという御答弁を何度も何度もお聞きしているような気がいたします。

 そういう意味では、来年夏、またそれ以降のさまざまな議論の成果というものを見守っていきたいというふうに思いますが、ぜひ、原口大臣が何度もおっしゃられたように、ここはやはりダイナミックに日本の国の形を変えていく、そうした改革に取り組まれるよう御期待を申し上げまして、時間も来ましたので、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 きょうは、地方財政計画及び地方税法等一部改正案及び地方交付税法等一部改正案、二法案ですが、地方財政計画も含めて三つ、若干の質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、地方財政計画を歳出面から見たことについて大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。

 平成二十二年度の地方財政計画を総括的に拝見いたしますと、義務的経費である給与関係費、一般行政経費、それから公債費、これの歳出合計に占める割合が七五・九%から七八・六%に昨年度から考えるとふえております。結果的に、歳出という面から見ますと、いわば財政上の硬直化が進んでいるということになると思います。一方、投資的経費は一七・〇%から一四・五%へと相当減少いたしました。

 この財政上の自由度について、総務大臣の客観的な評価をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 西委員におかれましては、先日も大変いい御議論をいただきまして、ありがとうございます。

 その上で、平成二十二年度地方財政計画においては、義務的経費である給与関係経費及び公債費については、前年度に比べ三千三百三十七億円の減となっており、全体に占める割合は前年度に比べて〇・二%の減となっております。御指摘のとおり、投資的経費については前年度に比べて減となっておりますが、当面の地方単独事業等の実施に必要な歳出として、地方財政計画に約一兆円の特別枠、これは地域活性化・雇用等臨時特例費を創設したところでございます。

 その結果、平成二十二年度地方財政計画においては、地方一般歳出が前年度に比べプラス〇・一兆円となっており、さらに、地方一般歳出から給与関係費を除いてみると、大きな伸び、プラス〇・六兆円となってございます。

 ただ、委員が御指摘のように、財政の自由度を確保することは極めて重要でございます。今後、地域のことはその地域に住む住民の方が責任を持って決めていただくように、あるいは、不必要な義務づけ等を撤廃いたしまして権限を地方に移譲させるとともに、ひもつき補助金の一括交付金化や、地方税財源の、本当に地方そのものの税財源の創出、確保に努めてまいりたい、地域主権を支える財源が硬直化することは絶対あってはならない、こう考えておるところでございます。

西委員 またこのことについては徐々に議論させていただきたいと思いますが、たまたま、これはきょうの朝の読売新聞ですが、二十七都府県の単独事業増加という記事が載っておりました。来年度の各都道府県の一般会計当初予算がほぼ出そろったという上で、公共事業費が一八%大幅に減らす中で、地域経済への影響に配慮して自治体が独自に事業費を積み増す姿が浮き彫りになっている。結果的には、財源を確保するため、基金取り崩しや借金に当たる地方債の増発などで対応した。こういうことになっておりまして、自治体の方も、そういう意味では、出口レベル、歳出レベルでの硬直化が今回かなり進んだということが言えるのではないか、こういう私の指摘でございます。

 次に、大臣はいつもおっしゃいますが、給付は国の方で、それからサービスは地方で、私も基本的にはそうだというふうに思っております。ところで、国が行うべき給付に生活保護というのが入っているというふうにお考えだと思うんですが、そのことについての確認と、それから、そのほかに支出面でどういう支出が考えられるのかということをあらかじめお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、いわゆる現金給付は国、サービス給付はより住民に近い、実態がわかっておられる地方自治体という考え方を申し上げております。

 生活保護については、保護申請者に対する認定や給付といった事務を行う必要がございまして、地方の事務となっております。生活保護の給付としては、生活扶助などの現金給付と、それから、これは約半分を占めていますが、医療扶助などの現物給付がございます。これが生活保護の中身でございます。ほかに国の現金給付としては、年金給付、あるいは失業等給付がございます。

 いずれにしても、地域主権を進める観点から、地域主権戦略会議の場において、地方が実施するサービス給付等に係る国と地方との役割分担について、あるいは経費の負担のあり方についても、しっかりと議論を行ってまいりたいと考えております。

西委員 先日、七十三の自治体調査ということで、これは二月十二日付朝日新聞でしょうか、「生活保護予算切迫」という記事がございました。自治体が地方税減収による財政難と生活保護費の増加の二重苦にあえいでいる、こういう趣旨の報道でございます。

 そういう意味で、給付は国という原則からすると、生活保護について、地方負担はやめて全額国庫負担というふうに今回の予算でもならなかった理由をお伺いしたい。それから、今後、国が全額負担ということを検討されるのかどうか、かなり地方自治体の財政が厳しいということを踏まえまして、お聞きしたいと思います。

 例えば大阪市は、記事としてはこういうふうに書かれております。「当初予算分を合わせた今年度の生活保護費の総額は過去最多の約二千七百億円。新年度は一般会計予算の二割近くをあてる考えで、担当者は「生活保護で市の財政が破綻すると言っても過言ではない状況」」と。非常に厳しい状況が、これは四分の一ですね、四分の一の市の部分で窮状が訴えられております。

 最低限の生活を守るこの全国一律の制度は国が守るべきものだと今大臣が基本的なことをおっしゃられたというふうに思いますが、この点についてお伺いをしたいと思います。

小川大臣政務官 重要な御指摘をいただいております。

 生活保護費でございますが、四分の三は国が負担をし、四分の一は地方が負担をしている。しかし、その四分の一の地方負担に関しても、地方財政措置で万全の体制をとっているということでございます。

 そこで、基本的に国の責任なり国の財政措置で後押しするわけでございますが、実際の実務を自治体にお願いしている関係からいいますと、これは最後のとりででございますので、前段階の社会保障政策あるいは労働政策を含めて、こうした生活保護の最後のところへどうしても落ち込まざるを得ない方々を少しでも抑制していただきたいという思いのこもった制度だというふうに理解をしております。

原口国務大臣 その上で、一定の抑制効果と申しますが、私たちは一方で貧困率というのを出させていただきました。去年の年越し派遣村でも、それから貧困の拡大というところから考えてみても、今の数字だけでも生活保護を本来受給できる方々が受給の抑制というのはないんだろうか、こういう観点からも見ていく必要があるんだろう、こう考えております。

 その上で、委員の御指摘でございますが、私たちは、経済全体を外に開いていく、そして活発にしていくことなくこれだけやると、自治体財政は破綻してしまいます。ですから、国、地方協議の場で、今委員が御指摘の趣旨を踏まえて、地方側とも議論を重ねて一定の結論を得ていきたい、こう考えております。

西委員 期せずして抑制という言葉が出たのは、これは非常に悩ましい言葉だと思うんです。私が四分の一を地方に負わせていると言うのは、そういういわゆる抑制の効果、効果と言うとさらに悩ましいんですが、こういう現実があるんだろうと思います。

 当然、給付だけではなくて、周辺のいろいろなお仕事が地方の自治体にお世話になっているわけですから、そこの部分はよくわかるんですが、そのことによって、今大阪の例を出しましたけれども、大阪だけではなくて、各地に、以前にも無理な抑制をした自治体について報道されたりということがありますので、ここはやはり国がリーダーシップをとってこの問題についてきちっと解決していく努力をぜひ大臣にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 大事な御指摘だと思います。

 あれは北九州でしたか、結局命が奪われてしまって、多くの不安をさらに広げるというような事態も幾つか報告をされています。ですから、先ほど申し上げたように、私は、単なる生活保護費の、抑制という言葉は極めて適切でない言葉なのかな、注意しながら使わなきゃいけない言葉だと思っております。その上で、適切な措置を、今委員のおっしゃるような形で考えていきたい、こう思っています。

西委員 歳入面で一括交付金化とかいろいろ自由度の議論があります。それで自由度を高めましても、歳出面での自由度が奪われてくれば、実質的には自主的な財政運営ができないということになります。

 一括交付金の導入は、歳入面での大きな改革だというふうに思いますが、あわせて、先ほどからちょっと指摘いたしましたように、歳出面での改革も同時に行っていかなければ、歳出する側の自治体としての自主的な財政運営というのはなかなか難しいということでございます。市町村の負担軽減及び自主的な財政運営を確保するためには、自治体の事務負担を見直す等、歳出面における改革についてぜひ大臣に御答弁をいただきたいと思います。

原口国務大臣 全く同じ認識を持っております。

 昨年十二月に、総理を議長とする地域主権戦略会議において、一括交付金化や義務づけ、枠づけの見直しを含む改革の工程を示す原口プランというものを提示させていただきました。

 その中で、委員がおっしゃるように、歳入と歳出を一体的に、まさに柔軟に使える、地域の自由を獲得するということが大事だと考えておりまして、地方の事務や歳出に対する国の縛りの見直しに取り組むことが極めて重要だと思いますし、ひもつき補助金の一括交付金化や地方税財源の充実確保とともに、地方の義務づけ、枠づけ、こういうものも一気になくしていきたいと思いますし、また、直轄事業負担金、こういったものも廃止、今回は一部でございますが、全面的に廃止に向けたプランを進めてまいりたい、こう考えております。

西委員 地方分権が進むにつれて、地方自治体の能力が大変求められます。同時に、今、ずっと見ていますと、平成の大合併によって相当充実した自治体と、以前と全く変わらないサイズの自治体がそのまま残っていて、そういう意味では自治体としての、能力と言っては失礼ですが、陣容に随分差が出てきているような気がしてなりません。

 そんな意味でも、今大臣がおっしゃられたように、結局、自治体の事務の負担といいますか、そういうものの見直しが今こそ必要なんだろう。一方では、そういう自治体の能力を向上させるための努力は必要ですけれども、現実問題として、そこは取りかかっていかなければ、全国あまねく、住民の皆さんにとって満足できる行政というものが行き届かないのではないかという感覚を持っておりますが、その点についてあわせてお願いいたします。

原口国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 自治体事務については、この平成の大合併で随分差というか、開きが出てきました。

 その一方で、先ほどの行革の御議論の中でもございましたけれども、共通部分はやはりクラウド化できる、もうICTを使った新たな情報システムの時代に入っております。それが、逆に言うと、ベンダーごとにそれぞれシステムをつくって、使いにくいということも自治体の方から伺っております。そういったものは中央政府で一気にクラウド化し、そして電子化して、自治体事務の負担を減らしていく、こういったことも大事だと考えておりますので、またいろいろと御意見を承って改革プランを政治主導で迅速に進めてまいりたい、こう考えています。

西委員 地方の財政状況が大変厳しいと認識しているにもかかわらず、今回、新たに子ども手当、高校の授業料無償化という大きな支出がこの中に入ってまいります。財政状況から見れば、これらの施策を実施することは非常に厳しいタイミングと言わなければならないというふうに私は思います。

 ところで、臨時財政対策債の大幅な発行については、借入金を増大させるとの理由で民主党は以前は反対をしてこられました。財政状況の最悪のときに、反対していた臨時財政対策債を大幅に発行して大きな支出を行うというのは決して適切ではない、大きな枠組みの中ではそういうふうに思いますが、この点についての御見解をお願いいたします。

原口国務大臣 ここの部分は大変慎重に私たちも議論をしたつもりでございます。

 と申しますのも、先ほど申し上げましたように、生活保護費の増大、それから地域経済の低迷、地方財政の悪化ということで、本来であれば、借金を先送りして特別会計に大きな不安定要素を残すというのは、それはおっしゃるとおり選択すべきでないんです。ところが、逆さにしても出てこない。

 そういう中で、今回、臨時特例の措置として、特例的な地方債であるこの臨時特例債を一時的に設けた。その一方、来年度の交付税の原資となる国税五税が異常とも言える低い税収であることを踏まえて、法定率の上げという私の持論でさえ見送ったわけでございます。本当に窮余の策でございます。

 また、臨時財政対策債の増加により地方債の発行が制約されることがないように、平成二十二年度においても必要な公的資金を確保したところでもございます。約三兆円という公的資金を後ろに置いて地方財政を支える姿勢を示したことも、あわせて御理解をいただければと思います。

西委員 一つ一つ分析してみますと、地財計画の中で、子ども手当の額というのは圧倒的に多いわけですね。そこが義務的経費を押し上げる最大の原因にもなっている。こういう構図が見えてくるものですから、本当にこの時期にこれだけの大幅な歳出増、こちらからいえば歳出ですね、増をするということはいかがなものか、こういう感じを申し上げたところです。

 次に、歳入改革についてちょっと議論させていただきたいと思います。

 消費税率の引き上げについては、先日来、総理が、政権担当期間である四年間は引き上げをしない、こういうふうに明言されております。一方、平成二十二年度の税制改正大綱では「社会保障など地方行政を安定的に運営するための地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築します。」と記載されております。

 消費税率を上げないということは明確になりましたが、地方消費税の充実については、先ほどからもちょっと議論が出ておりますけれども、この四年間の間に行うのか行わないのか、このことをお伺いしたいと思います。行うとすれば、いつごろこの充実を図られるのかということを大臣にお伺いをしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 その前に、先ほどの子ども手当でございますが、少子高齢化を何とかとめたい。それから、高校の無償化についても、私たちの県でも、親の経済的な理由で高校の進学をあきらめなきゃいけなかった、あるいは中途で学校に行くことをあきらめなきゃいけなかった、子供にとって高校一年の四月の春というのはある意味一回しかないわけで、そこにこういう選択をしたという背景もございます。

 その上で、消費税でございますが、西委員がおっしゃるように、私たちは、この任期の四年間、消費税率を上げるということを国民に言って当選してきているわけではございません。ですから、この四年間、消費税率は上げません。

 その上で、二十二年度の税制改正大綱においては、地域主権の確立に向けた地方税財源のあり方の改革の方向性として、国と地方の税源配分のあり方について明記をいたしました。これは何を意味するかというと、今おっしゃるような地方消費税の充実も視野に入っています。税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築したい。

 これのタイミングについては、経済との関係、あるいは中央政府の今の財政需要、そういったことも踏まえながら、しかし、地域の安定的な財源というものをできるだけ早い時期に確保をしてまいりたい、こう考えています。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

西委員 ちょっと話が戻るんですけれども、実はきのうメールが入ってきて、アメリカのハーバード大学の先生でしたか、個人的なメールじゃないんですが、おっしゃっていたのは、今の時期に子ども手当かね、やはり日本の財政というのはもう本当に破綻しているというふうに見ているんですね。ほとんどもう破綻状態に近いというふうな危機感を持っていらして、効果からすると、本当に子ども手当かね、もっと初めに経済を回復するための予算措置があるんじゃないかな、こういう問題提起をされていたんですね。

 もちろん、子ども手当をそのまま支給するということは経済に全く影響がないというわけではないんだけれども、もっと効果のある手法があるんじゃないかというその学者のお考えだと思って、なるほどなと。今すぐに景気回復するという考え方と、その人が成長して優秀な国民として育つために例えば五年、十年かかる、これも僕は大事なことだと思うし、私は何も否定するわけではないんだけれども、物事の考え方というのは、ある意味ではその人はそれほど日本の財政状況というのは切迫しているということを言ったんだろうと思うんですが、そういう御意見もございました。ちょっと紹介したいと思います。

 もし御意見があればお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 西委員と同じ政党でずっと議論をさせていただいていたときに、一九九六年でしたか、グロスの債務とネットの債務という議論を、当時、私は橋本総理ともいたしました。

 つまり、グロスの債務を見ると、日本というのは物すごい財政的には厳しい。ところが、ネットの債務、年金基金であるとかそういったものを入れてくると、それほどでもない。しかも、この国債というのは国の中でのやりとりでございますから、経常収支が今また黒字の方に幅が振れておりますので、これを考えたときに、グロスの債務とネットの債務の差をどのように考えるか。財政の持続可能性というのは、まだ日本はあるんだという考え方と、いや、そうではない、こちら側のバランスシートにある資産も将来の年金資金に対する債務を負っている、その債務を相殺すると財政の硬直性をいち早く脱却しなきゃいけないんじゃないか、この二論を私は当時の橋本総理と、ちょうど私一期生のときだったですけれども、闘わせていただきました。

 それでいうと、これはどっちか片っ方にドライブをかけた議論というのは、割と偏った議論であろうなと。財政の硬直性を心配しながらも、ある一定以上の投資をしないと、しかも、子供たち、私たちはチルドレンファーストと言っていますが、未来に対する投資をする余裕は私はあると思っておりまして、財政の持続可能性についても、この間、菅財務大臣ともお話をしましたけれども、先ほど申し上げたような経済成長とのワンパッケージで、今私たちの国債がどれぐらいの信認があるのか、そしてこれをさらに強化するためにはどうすればいいかという議論を前向きに行ってまいりたいと思います。

西委員 先ほど大臣からお話がありましたように、まさしく経済成長戦略というものが一方にあって、そして、現実に子ども手当という、要するに子供の育成のための将来の投資、このバランスが一つは大事だろうというふうに思います。

 ちょっと話は戻ります。

 地方消費税については、具体的には国と地方の比率を変更するという、これが基本的な考え方だろうと思うんですが、大臣は、平成十九年十月の総務委員会で地方の法人二税のことについて触れておられて、法人住民税、法人事業税と国の消費税との間で税源を交換するという考え方についてお述べになっておりますが、このことについてどうされるつもりなのか、お答えを願いたいと思います。

原口国務大臣 二十二年度の税制改正大綱においては、先ほど申し上げましたように、地域主権の確立に向けた地方税財源のあり方の改革の方向性として、税源配分のあり方の見直しについて明記をさせていただきました。その中で、税源の偏在性、あるいは税収が安定的な税体系、これを行うためにはどうすればいいのかと。

 今、御指摘の地方法人二税は、好況時には税収増が期待できるものの、不況時には税収の落ち込みが懸念され、また、地域間の税源の偏在性も大きゅうございます。一方、地方消費税は、経済の状況にかかわらず税収は安定的でございまして、税源の偏在性も少ないことから、地方の行政サービス、まさに住民に一番近いところでサービスを行っていただく、そのサービスを安定的に支えていく税としては極めて大事なのではないか。

 以上のような両税目の特性を踏まえつつ、税制改正大綱で示された改革の方向性に沿って、望ましい地方税体系のあり方というのは一体どうなのかということを検討を進めてまいりたい。

 これは正直ジレンマがあることも事実なんですね、そこははっきり申し上げておきたいと思います。

西委員 そういう意味では、地方の税は偏在性がなくて安定性もそろっているというのが基本。やはり主が国ですから、従たる地方はそういうものがベースにないとなかなか運営が難しいという大臣のお考えは、私もよく理解できるんです。かといって、すぐにそういうことがうまくいくかというのはなかなか難しいと思いますが、ぜひとも、また安定した地方税財源の確保のための御努力を引き続きお願いしたいと思います。

 それから、成長なくして税収はない、政府の歳出に頼る構造を変えるという大臣の発言がございまして、緑の分権改革というものを打ち出しておられます。私も拝見いたしました。

 それぞれの地域でもって、森だとか海だとか、そういう豊かな資源、それによって生み出されるエネルギーが主なことなんだろうと思うんですが、歴史、文化まで入れたそれぞれの持っている特徴的な地方の価値を最大限生かしていく、そういう価値を地方として最大限生かしていくということをおっしゃっておられ、地域の自給力と創富力、これは新しい言葉だと思うんですが、これを高める地域主権型社会への転換を目指す、これによって地方の活性化と同時に税収もそこから生まれてくるんだ、こういう理屈ではないかというふうに思うんです。

 これが、正直言って、ずっと私も田舎に住んでいて、田舎の活性化というのはどうしたらいいのかと悩みながら、中央の一つの流れの中になかなか波及していかないもどかしさを感じているんですが、このことによって税収増を望むというのはなかなか急にはいかないだろう、今までの経験からそういうふうに私は考えているんですが、大臣の率直な御感想をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 委員は、緑豊かな、自然豊かな和歌山で子供たちをはぐくんでおられましたけれども、すべての地域づくりはやはり教育が基本だと私は考えております。

 それで、例えばエネルギーですと、日本は一年間に二十一兆円外に対して払っています。これを全部内側で賄おうなんというのは、それは無理です。化石エネルギーも一定以上輸入をしなきゃいけません。例えば、半分それを地域で賄ったと仮定すると、宮崎県も和歌山県も大変太陽のいっぱいある町ですけれども、そこを一人当たり二キロワットの自然エネルギーの生産を一人一人が保障されたと考えると、お金の流れが変わります。

 また、これはエネルギーだけではなくて、今、委員長席にお座りの黄川田先生のところ、二週間前に遠野というところへ行ってきましたけれども、九十九にわたる口承、口で伝える文化を、遠野物語を地域の皆さんがみずからで残すということをなさっていました。すばらしい試みだと思いました。あの遠野に行けばこんなものがある、日本人の原風景というか、まさに伝統や歴史や文化そのものがある、これこそが一番の強みだと思っています。

 実は、私は、今までは数値化できませんでしたけれども、このビジョンを数値化しなさいと、そしてこれが実現したらどうなるんですかというお話をしています。この間、三宅一生先生と安藤忠雄先生と御一緒しましたけれども、クリストさんという方が文化をつくって、こういう地域を幾つかモデルにして、こんなに上がりますよというものを国民の皆さんにお示しをしたいと思いますので、ぜひまた和歌山でも御紹介をいただければと思っております。

西委員 私の親戚のおじいちゃんは、もう亡くなりましたけれども、ずっと昔から小規模の水力発電をやるんだと言って、結局やれないまま亡くなったんですが、今、私の田舎で、大型の風力発電が山脈をずっと貫いて、見るだけでもすばらしい景色なんですが、そういうことは一挙に広まってきつつあります。

 自然エネルギーを多用する、また、そういう大きなもの、大企業が設置するものだけじゃなくて、小さな規模のものも含めてやることは大事だと思うんですが、これが一つの産業という形で税収増まで及ぼしていくというのは、なかなか……。私は、現実はそれよりも少子化のスピードの方が大きくて、いかに守っていくかというのは、若い力がもっともっと田舎の方に参入しなければこういうのは思うようにいかないだろう、悲観ばかりしているのも困るんですが、そういう気がしております。

 大臣が本当にこのことをおっしゃっていただくのは、私はこの言葉を読むと、ああ、あそこにはこのようにしたらいいな、ここの山にはこのようにしたらいいなと、すごく景色は浮かぶので非常にうれしいことなんですが、もう少し具体化と同時に、先ほどおっしゃった、こういうモデルがあるんだよと、遠野モデルも私は一つの貴重な話だと思うんですが、そういうものを各地で、できれば、私たちのところでいいますと和歌山の身近なところで、ああ、あそこでこんなことをやっているというようなことがどんどんと広まっていけば、いわゆる地方の活性化のスタートになるんじゃないかなというふうな気持ちでお伺いをしております。

 ここで、先ほどのお話の続きなんですが、国の消費税と地方の法人二税、先ほど交換という話がありました。消費税は安定している、しかし、法人二税ほど大きな税収増というのは、なかなか普通はいかない。この二つのジレンマの中で、いいところと悪いところをうまく組み合わせてこれからの地方の安定的な財源を図る、先ほど大臣が、なかなか難しい、長所と短所があるというお話がございましたけれども、そこのところをまとめてもう一度御答弁をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 これは、多分、三つの視点があると思います。

 先ほど申し上げたようなスワップするときのジレンマ。それからもう一つは、創富力と申しましたが、その亡くなられたおじい様が考えておられたような、まさにみずからの地域をみずからはぐくむ力がないと、どんな税を持っていっても、それは上がってきません。例えば今ヨーロッパで栄えている町はどんな町があるのかなと思うと、三百人、四百人規模の山間部の町でも、そこで何が起きているかというと、地域を回る価値に対してより高い重みづけをしているんですね。これを税制とか金融という形でやっていく、これが二番目の視点だと思っています。それから三番目の視点は、委員がおっしゃった少子高齢化。これをどうとらえるかという視点でございます。

 私のところに、きびっとの杜というのがございます。これは里山を、そこは限界集落でございまして、六十歳以上の方しかおられなかった。ところが、企業をリタイアした六十歳以上の方々がみずからの里山を整備して、まあ、福岡と佐賀という、これは割と大きな町ですけれども、その間の限界集落なんてあり得ないものがあったわけですけれども、今では若い人たちが帰ってきている。

 つまり、ある資源をどう生かすかということと、税全体の体系、下支えをどうするか、このコンビネーションだと思います。

 いずれにせよ、地方消費税については、どこかの段階で国から地方に渡す部分も含めて決断をしていこう、こう考えておりますので、御指導をよろしくお願いいたします。

西委員 次に、交付税特別会計の償還計画について。

 これも先ほど議論が出ておりましたが、この償還計画について、平成三十八年度までの約三十三兆六千億円、この借入金の償還計画ということになっております。この償還をどのように行うのかということについては、余り詳細を本会議の場では明言されていなかったように思います。そのお考えをお伺いしたいと思います。

 また、一つ目、平成二十三年度から三十七年度までに決められている後年度加算額、二番目に、平成二十三年度から二十七年度精算減額の繰り延べに伴う後年度減額、三つ目は、臨時財政対策振替加算額の後年度減額、それぞれについて、今後、本当にこれは全体として計画どおり行っていけるのか。それぞれの数字は出ておるんですが、そのことについての大臣の見解をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 これは、こういう負担を後ろに延ばすというのは、私たちにとってはじくじたることでございます。ただ、それを一年、一年に返す額を多くすれば、それだけ地方財政の破綻は火を見るより明らかになってしまう。そういう状況の中に、極めて狭い道を通ったということでございまして、具体的な額については政務官の方からお話をさせていただきますが、年度間の負担の平準化を図りつつ後年度に繰り延べる措置を講じたところでございます。

 いずれにせよ、これは経済全体が縮小して地域経済が落ちている状況では、このサステーナビリティー、持続可能性はないわけです。ですから、その認識に立った政策運営をしっかりとしていきたい、これが私のお答えでございます。

渡辺副大臣 今御指摘のありました交付税特会の借入金の償還計画ですけれども、本来二十二年度に七千八百十二億円返さなければいけないというのを後年度に回しまして、結果として、平成二十八年から分割でこの七千八百十二億円を、本来ならば現行償還計画で一兆五千三百十億円ですが、ここに二十八年度から本年度分の四百九十億円上乗せして平成三十八年まで返し続ける。平成三十八年になりますと、これは約三兆六千億円も返さなきゃいけないということでございまして、大臣がおっしゃったように、これはまさに先送りして根本的な問題解決にはなっていない。ただ、今のこの厳しい財政下で苦肉の策でこうせざるを得なかったんだろうということでございます。

 平成五年ですか、いわゆる国税五税の法定率で交付税の原資を賄えた時期からもう十六年もたっております。その間、先ほどお話ありましたような臨財債を出す等のさまざまな措置を繰り返しながら今日までやりくりをしているわけですが、これは本当に抜本的に考えていかないと、正直、交付税制度も含めて、先ほど柿澤委員からも御指摘ありましたけれども、かなり厳しい、もう限界に来ていると私自身思っております。

 先生と認識は一緒だと思っております。

西委員 振り返れば、私どもが与党になった時期が長いものですから、その時期は同じ気持ちを共有しているんですけれども、これで一年スキップしたという、このことだけでも、いかに来年度の予算、地方財政の運営が厳しかったかということは推測できますよね。延ばしたからといって何かができるというものではないんですが、とりあえず来年度予算を支障なく回していくためにはそうせざるを得なかったというふうに今聞こえました。全体を見てそうだと思います。これからまた、景気回復を初めとしたさまざまな手を、成長戦略を打っていかなければこの事態は解消されない。またこういう事態が来年の今ごろあるとしたら、これはそれこそ大変なことだということを指摘しておきたいと思います。

 次に、地方と国の協議についてお伺いをいたします。

 全国知事会は、子ども手当の地方負担に反対する声明を発表いたしました。同時に、群馬県の町村会は、子ども手当の地方負担を拒否するという決定を最近行っております。このように地方からの反発を招きながらも子ども手当を実施することについて、率直に大臣の御見解をお願いします。

原口国務大臣 今回、連立政権ですから、民主党のマニフェストだけをすべて優先したわけではございませんし、地方等の声を聞きながら幾つかやったわけですけれども、それにしても厳しい財政運営の中で、暫定税率も含めて幾つかはあきらめなきゃいけなかったものがございます。しかし、それでもなおかつやるんだと考えたものが四つございます。一つが地方の交付税、それから、子ども手当、高校無償化、農業の戸別所得補償でございます。

 なぜそうかというと、ともすれば民主党政権、あるいはこの連立政権は社会主義的な政策をやり過ぎているんじゃないかという批判もあります。しかし、それは当たっていない。それほど傷んでいる、それほど苦しんでいらっしゃる、そこに対するさまざまな緊急の措置であるということで、今回、子ども手当をこういう形にしたわけでございます。

 実は、私の案とすると、給付のところは、先ほど委員がおっしゃったように、今児童手当でなさっている部分をすべて地方にお任せし、中央政府は現金給付という案がいいのではないかということを申し上げましたけれども、この間も本会議で御質問がございましたけれども、保育園の設置基準をとるのか、あるいは補助金をなくすのか、それで地方に任せていいのかという現場のお声がこれあり、それで今回のような暫定的な措置になったということでございますので、地方に対してもその辺の御理解をいただきながら、あるべき改革の方向を進めてまいりたい、こう考えています。

西委員 所得税の扶養控除の廃止に伴って、住民税の扶養控除も廃止ということになりました。所得税の方には子ども手当の財源を措置する名目がございますが、子ども手当の財源でもない地方税の扶養控除が一方的に廃止されて、これは仕組み上こうなったんだと言われればそうなんですが、ここについては説得力は私はないように思います。子ども手当は国ですから、国の財源を手当てするという意味はありますが、それと同時に、地方の意思にかかわりなく改正になったということについては、これは大きな問題があるのではないかというふうに思っております。

 今回はこういうふうな措置をしてしまったわけですが、今後このようなことがないように地方に対して財源配分や課税に対する対等の権利を与えていくことを政府の方でお考えになっているのか。地方分権改革の一環としても大きな議論になるというふうに思いますが、この点についての見解をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 私がお示しをし、地方六団体とも協議をしてつくりました改革工程表の中にも、今委員の御趣旨のことを入れさせていただいています。

 国、地方の協議の場を法制化して、税についても、先ほど申し上げましたけれども、私が税調会長代行という形で、まさにイコールの形でやっていきたい。国、地方が対等に協議する場の法制化の議論との関連を整理しつつ、地方の声を十分に税の世界においても反映できる仕組みをつくってまいりたいと思います。

 住民税の扶養控除を倒した、これは結果として地方の財源にはなるわけでございますが、こういったものについても、今後、しっかりと協議をしながら進めてまいりたいと思っております。

西委員 最後の項目、地方税負担軽減措置の適用状況の透明化について何点かお伺いをしたいと思います。この点については役所の方でも結構でございます。

 地方税の税負担軽減措置の適用状況に関する報告に関して、作成の方法、プロセスを簡単にまず説明いただきたいと思います。

岡崎政府参考人 地方税の税負担軽減措置の適用状況に関する報告書につきましてお答え申し上げます。

 地方税におけます税負担軽減措置等の適用実態の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進するため、総務大臣は、毎年度、地方税の税負担軽減措置等の適用状況に関する報告書を作成して国会に提出及び公表するということにしたいと考えておるところであります。

 具体的にどういう軽減措置が対象になるかということでありますが、まず第一には、地方税法に規定する税負担軽減措置等のうちで、特定の行政目的の実現のために設けられたものというのが一つ目です。第二には、住民税及び事業税の税負担軽減措置等のうちで、法人税等、国税の租税特別措置の直接の影響を受けるものという、この二種類でございます。

 その作成の方法でございますが、前者の地方税法に規定する措置につきましては、従来から私どもが作成しております固定資産の価格等の概要調書など、地方税に関する既存の統計資料等を活用しまして、適用件数、適用金額等の実態を把握するということにいたしております。

 また、後者の方でございますが、法人税等の租税特別措置の影響を受ける措置につきましては、財務大臣が行うことになります法人税の適用実態調査の結果の提供を受けまして地方税への影響額を推計する、こういう方法によろうというふうに考えております。

西委員 今お話しいただきましたが、基本的には、既にそれぞれの自治体から提供されてくる税務情報と財務省から提供される予定の適用実態調査情報をもとにそれぞれの税の負担軽減を推計して総務省が報告をするというように私もお伺いしたんですが、そういうことでいいのかどうか。

 その際に、個人の情報や企業の情報はそれぞれの自治体から総務省に提供されてくるわけではないんだという理解でよろしいんでしょうか。そのことについてもう少し詳しくお願いをしたいと思います。

岡崎政府参考人 まず制度内容の御確認でございますが、御指摘のとおりでございます。

 それから、個人、企業の情報に関してでございますが、まず、総務省が従来からとっている統計資料を活用すると申し上げましたが、地方税に関する統計資料を作成するために地方団体に調査を行うに当たりましては、個々の個人あるいは企業が特定されるような情報は収集をしておりません。それから、今後も、個別の個人や企業が特定されるような情報を収集することは想定いたしておらないところでございます。

西委員 そういたしますと、それぞれ個人や企業は、今まで以上の特定の情報をこのことによってそれぞれの自治体に出す必要もない。今までの情報をそのまま自治体がまとめて総務省に情報を上げる、こういう理解でよろしいでしょうか。

岡崎政府参考人 地方税の調査に関しては、御指摘のとおりでございます。

西委員 罰則についてお伺いをします。

 財務省の租税特別措置法適用状況透明化法案には、適用実態調査情報を取り扱う者に対して守秘義務が課され、違反者には罰則ということになっております。一方、こちらの地方税法一部改正案では、罰則については直接規定されておりませんが、地方税関係でも租税特別措置法適用状況透明化法案の罰則の適用があるというふうに聞いておりますが、この点についても簡単に説明をお願いいたします。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

岡崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたけれども、総務省は、地方税の税負担軽減措置等の適用状況等に関する報告書を作成するに当たりまして、法人税等の租税特別措置の直接の影響を受ける措置については、その影響額を推計するために財務省から適用実態調査情報の提供を受けるとなっております。

 地方税の税負担軽減措置に関する報告書を作成するために財務省から提供を受けた適用実態調査を利用する場合でありましても、御指摘の租特透明化法の第九条に規定いたします適用実態調査情報の取り扱いに従事する者というものに該当いたします。したがいまして、同条によりまして直接守秘義務がかかってまいります。それに違反した場合には、同法第十二条による罰則も科されるということでございます。

 こうした規定を踏まえまして、総務省において、財務省から提供される情報を取り扱う際には、その適正な管理に努めてまいる所存でございます。

西委員 ことしの地方財政は、大変厳しい中での予算編成になりました。先ほどから種々指摘させていただきましたように、それゆえの今までと違う部分、例えば子ども手当等の突出した支出等についても目立っております。地方にとりましては、自由な支出の項目が、特に今まで通例やってまいりました建設関係の費用なんかもぐっと絞っておりますし、そこがまた地方債としてはみ出してきそうな感じが先ほどの報道でも見受けられるような状況も出てまいりました。そんな非常に厳しい財政の折ですけれども、これからも最大限の努力、工夫をしていただいて、特に先ほどから総務大臣の緑の分権改革等についても、私は決して楽観はしておりませんけれども、やはり総力を挙げて、地方の皆さんのこれからの頑張りに期待するところは確かに多いのではないかというふうに思っておりますし、また大臣の御活躍を期待しております。

 ちょっと早いですけれども、これで終わらせていただきます。

近藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後二時休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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