衆議院

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第9号 平成22年3月23日(火曜日)

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平成二十二年三月二十三日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      小里 泰弘君    坂本 哲志君

      菅  義偉君    菅原 一秀君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      山口 俊一君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   政府参考人

   (消防庁次長)      株丹 達也君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           三輪 和夫君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     菅原 一秀君

  佐藤  勉君     小里 泰弘君

  森山  裕君     坂本 哲志君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     佐藤  勉君

  坂本 哲志君     森山  裕君

  菅原 一秀君     秋葉 賢也君

    ―――――――――――――

三月二十三日

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長田口尚文君、消防庁次長株丹達也君及び厚生労働省大臣官房審議官三輪和夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。皆吉稲生君。

皆吉委員 民主党・無所属クラブの皆吉稲生でございます。

 本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭に、原口大臣のお書きになったこの本を読ませていただきました。まさに大臣が強力に進めておられる地域主権改革のありようが、続々登場されるキーパーソンの意味ある発言のやりとりによって大変鮮明に、私としてこの新しい社会というものが浮かんでまいります。大臣の言われるパラダイムシフトで、地域再生、日本の再生を図っていかなければならないと強く私も思っているところでございます。

 このような中、大変ネガティブな話題で恐縮ではございますが、これも今の日本の現実であるという観点から質問をさせていただきます。私の選挙区に存在いたしております鹿児島の阿久根市をめぐる問題でございます。阿久根市長の各種の行動、言動に対する法的問題について問いただしながら、地域主権改革への影響について御質問をしたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 阿久根市長をめぐっては、連日、地方紙だけでなく全国紙においても報道されておりますが、総務省として十分この事態の把握をされておられるのか、お伺いしたいと存じます。

小川大臣政務官 事実関係をお答え申し上げます。

 まず、阿久根市政の動向につきましては、私どもも大変心配をして拝見しておりますし、また、先生におかれましては、お地元のことということで、大変心痛のほどもお察しを申し上げたいと思います。

 その上ででございますが、給与明細の公表や、あるいは張り紙をはがしたことを理由にした懲戒処分、さらにその後の訴訟への展開、また庁舎内での撮影禁止あるいは議会への出席の拒否等々、報道を通じてはもちろんでございますが、必要に応じ鹿児島県からの情報提供などを通じて、その事態の把握に努めているところでございます。

皆吉委員 ありがとうございます。

 この三月の阿久根における議会は、法に基づいて、市長みずからが招集をされた議会であります。しかし、市長は、法百二十一条に定める、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたら出席しなければならないとあるにもかかわらず出席を拒み、また、委員会においては担当課長などに答弁するなとの命令を下したと報道されております。まさに執行機関を挙げての法違反を強制させてきた、そのように認識をいたしますが、このようなとらえ方でよろしいんでしょうか、質問いたします。

小川大臣政務官 議会の出席の件でございますね。

 地方自治法の百二十一条でございますが、議会の必要に応じて議長より出席を求められたときには、地方公共団体の長は出席をしなければならないという規定がございます。

 一般論になりますことをお許しいただきたいと思いますが、議長からの求めに応じず議場に出席することを拒否すれば、この法規に違反をするのではないかと拝察をいたします。

皆吉委員 ありがとうございます。

 また、市長は、マスコミがいるからと議会への出席を拒否したと伝えられております。法百十五条では、地方公共団体の議会の会議はこれを公開するとあります。市長の弁明は妥当性を欠くものと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

渡辺副大臣 私もかつて、短い間ですが、地方で記者をやっておりました。全国紙の地方記者で地方を担当していたんですが、議場公開の原則、これは当然、メディアによる監視とチェックというものが必要とされます。ですから、まさに会議公開の原則から考えると、それを理由に出席を拒否するということは、私はやはり妥当性を欠くだろうというふうに認識をしております。

皆吉委員 次に、市の行政財産の差し押さえ命令にかかわる質問をいたします。

 鹿児島地裁川内支部が、三月十二日、職員の給与未払い等の差し押さえ決定を市及び市の指定金融機関に対して行いました。三月三日の判決に基づいて実行されたものでございます。このようなことは前代未聞のことだと思いますけれども、このような事例が今までにあったのでしょうか、お伺いいたします。

小川大臣政務官 懲戒免職処分を受けました職員の効力停止あるいは給与の支払いを命じる裁判所の判決に従いまして差し押さえの命令が下されたものだと理解をしておりますが、このような事例については、総務省としては現在聞き及ぶ範囲においてはございません。

皆吉委員 ありがとうございます。

 法百四十七条によりますと、地方公共団体の長は当該団体の統括をし、これを代表する、さらに百四十八条では、当該団体の長は事務を管理し、これを執行すると、首長の権限そして義務を定めております。これに基づいて、法百三十八条の二、地方公共団体の執行機関は、法令、規程などに基づいて、当該団体の事務をみずからの判断と責任において誠実に管理し、及び執行する義務を負うとございます。

 これに照らしますと、今回の差し押さえ事件についてはこれに違反しているのではないか、そのように考えますが、見解をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

小川大臣政務官 委員の御心配なりは十分お気持ちもお察ししているつもりでございますし、私どもとしても、この阿久根市政の動向を注意を持って拝見していることは事実でございますが、事実の認定あるいは公平委員会や裁判所を初めとした訴訟、争訟機関で係争中の案件もございますので、いずれも一般論としてお答えを申し上げている段はお許しをいただきたいと思います。

 その上ででございますが、地方公共団体の金銭債権に対する差し押さえということでございますが、これを何らか規制をしたり特定をしたりという自治法上の規定はございませんので、一般法理に従ってこれは処理をされるものであろうと思います。

皆吉委員 大変ありがたいやじをいただきましたが、これは地域主権改革を進めるために大変大事な議論であると認識をしながら発言させていただいておりますので、よろしくお願いします。

 このような数々の法違反を犯しても、法の何のとがめも受けない、罰則規定も何もないというのが今の自治法の規定でございます。まさに行政法は、一般的に、公務員等がかかわるということで法令遵守は当然という認識にございます。そして逆に、民は何をするかわからないから、きちっとした罰則規定が設けてあるというのが法ではないかな、そんなふうに思っています。いわば官は性善説、民は性悪説に立っているのではないか、そんなふうに言えなくもないと思っています。

 こうした困難な状況の中で、阿久根市議会の議員の皆さん方は、市民の生活に大変大事な新年度予算を決めるために、執行部予算を一部修正して三月十七日にお決めをされたそうであります。ただ、この阿久根市議会においては、市の総合計画を策定する年次にも当たっています。四月十九日の会期末に向けて、市民の生活や地域経済、まちづくりの総合的かつ計画的な基本構想を策定する、市にとって最も重要とも言える審議が事実上ストップしてしまうのではないか、そういう事態に今陥っているわけであります。

 今、阿久根はこういった状況にある中で御質問をいたします。前回の予算委員会分科会でもお尋ねをしましたが、改めてお聞きをいたします。

 法二百四十五条の六で、市町村の事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、あるいは著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、都道府県を通じて、当該事務の処理について違反の是正または改善のために必要な措置を講ずることを当該市町村に求めることを指示することができるとなっています。

 このことについては極めて抑制的に対応すべきだと考えておりますが、事ここに至っては具体化に向けての検討をすべきではないか、そのように考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

渡辺副大臣 今御指摘がありました地方自治法の第二百四十五条の六、都道府県知事は市町村長に是正の勧告を行うことというふうに書かれております。

 この点について、地域主権の観点から、民意を受けた長と民意を受けた議員、議会を構成する議員の中で、まずは地方公共団体において自主的に是正されるべきものでありますが、その上で、法令の規定に違反していると認める場合、または著しく適正を欠く、あるいは明らかに公益を害している場合については、まずは都道府県知事が是正の勧告を行う。

 しかし、第一義的には、まず当該する自治体の中で是正をしていただく問題であり、その次に、まずは都道府県知事。ですから、その市の存在する自治体の知事が、まずは何らかの形で是正を行うべきであろうというふうに考えております。

皆吉委員 大臣にお伺いいたします。

 大臣のもとで、大変強力なリーダーシップで進めておられる地域主権改革を強く支持する立場から見ますと、今回の一連の事件は、やはり地方はだめだとか、だから中央の官僚に任せるべきだなどの声が起こって、この政策推進のブレーキになりはしないかと危惧をいたしているわけであります。選んだあなたたちが悪いでは済まされない重大な問題であると認識をいたしております。

 このような首長があちこちに出てくるとは思いませんけれども、このような懸念を払拭するために、大臣としての考え方をお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 地域主権改革というのは、地域のことはみずからの責任において、そしてみずからの判断で、そこにお住まいになっていらっしゃる住民が決定していく、これがとても大事だというふうに思います。一方、私たち総務省としては、個別の案件については極めて慎重であるべきだというふうに思います。

 ただ、先ほど渡辺副大臣がお話をしましたように、地方自治法第二百四十五条の六、委員も一部お話をされましたけれども、市町村の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときには、都道府県知事が各大臣の指示を受けて是正の要求を行うことができる、そういうことになっておりますので、地方公共団体の長が仮に違法な事務処理、活動を行った場合に、最終的にどのような適法性を確保するかという議論も大変大事だというふうに考えております。

 ありがとうございます。

皆吉委員 あと一分ありますので、桜島の降灰対策についてお伺いしたいと思います。

 先日、自民党の森山先生の方からも取り上げられましたけれども、昨年一年間で桜島の噴火が五百四十八回、これは観測史上初めてでございます。最高でございます。従来の最高の回数が四百七十四回ということで、今、けた外れにふえています。さらに、ことしに入ってもう既に三百四十二回の噴火をいたしています。

 まさに日常的に降灰に悩まされ、そして農業や健康被害、あるいは降灰除去のための経費、そういったものが今大変に自治体を悩ませている状況にあるわけであります。農業被害も、積算をしましたら、昨年度で六十二億円の被害があるとお聞きをしました。これらの状況について何らかの財政支援措置を講ずることができないか、このことについてお伺いをしたいと思います。

原口国務大臣 この鹿児島の降灰、コウハイと私たちは一般に呼ぶんですけれども、コウカイというのが行政で使う降灰対策については、本当に、御地元の皆様にこの場をかりてお見舞い申し上げたいと思います。そして、過去最大の噴火、そしてずっと続いているということで、委員が御指摘のように、地方の負担というのも大変重くなっております。

 そのために、二十一年度の活動火山対策として、委員の御地元でございます鹿児島市やあるいは垂水市、そういうところに、地方交付税、特別交付税の交付額を大きくそこに算定して伸ばしております。垂水市で八・九、鹿児島市で三・三。また引き続き二十二年度についても、自治体の実情や要望を十分にお聞きし、また委員からもお話を伺って必要な財源措置を講じてまいりたい、このように考えております。

皆吉委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

近藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 十分という時間ですので、簡潔に質問いたしますが、答弁の方も簡潔によろしくお願いいたします。

 まず、自治体減税条例についてお伺いいたします。

 地域主権に向けて、具体的な動きが全国各自治体で始まっている。そこで、本日は地域主権を担う地方自治体の現状についてお尋ねしたいと思います。

 先週、東京都の杉並区で減税基金条例が可決されました。これに関連して総務省の見解をお聞きしたいんですが、まず、予算は国も地方も単年度主義の原則があります。今回の条例では、今後十年間で毎年百五十億円を積み立てる、このようにしておりますが、このことと単年度主義との関係はどうなるのか、この点についてまずお伺いいたします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 個別の自治体というよりか一般論としてお答えさせていただきますが、翌年度以降の支出を義務づける場合には、債務負担行為の設定とされまして、地方自治法第二百十四条に基づく債務負担行為の設定等が必要となっております。

 なお、条例において、その後予算の定めるところによるというような条文も入っている、そういう自治体もあるやに聞いておりますが、杉並区がどうなっているか、個別の案件については差し控えさせていただきたいと思います。

重野委員 こういう動きが出ている、全国でこの杉並と同じような方向の条例制定の動きが幾つぐらいあるのか把握しておられますか。

小川大臣政務官 把握してございません。

重野委員 把握していないということは、今日までの地方自治行政全般について、このような形での提案というものが、あるいは議決というものがされる、そういう前提というのはなかったというふうに言っていいと思うんですが、今回のこの減税構想について一つ懸念があります。それはどういうことかというと、これは新聞報道なんですが、杉並区は、減税しても高額所得層を初め一定程度人口がふえて、結果として税収がふえるんだ、こういうふうに述べているんですね。そういう発言があったというふうに聞いております。

 減税することで高額所得者の住民をふやすという考えはいかがなものか。私の思いの中には浮かんでこないんですが、こういうことがまかり通っていく、もし言うとおりになるとすれば、税率の引き下げ競争が発生する懸念はないのか。それは懸念で終わるのか心配になります。もしそうなると、他の地方自治体の財政にも影響を与えかねない問題が内包されているのではないか、こういう思いを持つんですが、その点についてはいかがでしょうか。

渡辺副大臣 このよしあしにつきましては、いろいろ問題点が新聞紙上等で指摘されていることも知っておりますが、あくまでも民意のもとで選ばれた長と議会で決めたことでございますので、その判断については、私どもとしてどうこうと言うことはできません。

 ただ、高額所得者の囲い込み云々という御指摘がございました。私は、これは税のみならず、私の地元の自治体にもありますけれども、例えば子供の医療費の無償化が、ある自治体では幾つまで、ある自治体では就学前まで、あるいは小学校までということで、子供を育てるにはここの土地の方がいいとかなんとかといって住民の方が選ばれることは、これは税のみならず、いろいろな行政サービスによってあるわけでございまして、その点についてはここにいる委員の皆さん方も、そういうことを地元で見聞きをしている、また御経験されていると思います。

 ただ、さまざまな事情があって住民は自分の住むところを選ぶと私は思います。その推移を見守る必要があると思いますけれども、実際にそれが減税競争によって起こるかどうかということについては、その推移は見守る必要はあろうかと思いますが、見てみないとわからないというのが現状でのお答えになろうかと思います。

重野委員 私どもの選挙区の実態と今杉並で起こっている実態というのは余りにも段差がある。これが同じ日本国における地方自治体の現状なんですね。そこで国がどう関与していくのかという問題、あるいはどういうリーダーシップを発揮するのかという問題は、私は、もしこの流れが今後あちこちで起こってくるとすると、当然そこで物を言わなきゃならぬ時期が来るのではないか、そういう点について指摘をしておきたいと思います。

 阿久根市の問題について先ほど質問がありました。そこで、重複は避けたいと思うんですが、是正の問題について国が関与する、そういう要素があるのではないかという気がするんです。

 地方自治法第二百四十五条の五の是正の要求というものがありますが、地域主権という立場から見れば、この是正要求の使用には慎重の上にも慎重を期すべきだということはわかります。しかし、今の阿久根市の状況は、私は尋常ではないというふうに断定できると思うんですね。異常事態の収拾のめどが立たない場合は何らかのアクションを起こさなければならぬ。

 例えば、こういうことも起こっているんです。県立高校で喫煙をしていた高校生がいた。それに対して校長先生がいわゆる処分というか、登校何日間禁止とか、そういうことをやったんですね。ところが、それに対して、市長がこの処分について撤回を求める市長名による文書が送達をされた。教育長職務代行者が、市長が怒っているんだという発言をする。三回目の電話の際、竹原市長が直接電話に出て、処分を取り消すよう求めた。これなんというのは、ちょっと我々の常識では考えられない事態が起こっている。

 だから、単に市の一般行政という点だけではなしに、そういう部分にそういう事象が起こっているということを考えると、私は、慎重の上にも慎重を期さなければならないけれども、この是正の要求というものを地方自治法に基づいて国はやるべきだ。県がしてその後にということじゃなくて、法律は、県に対して求めることができる、あるいは各大臣は云々という項目が、教育委員会、選挙管理委員会、それぞれに全部丁寧に書かれているんですね。だから、この点について、私はやはり法の趣旨に基づいて何らかの対応を国としてやるべきだというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

原口国務大臣 個別の案件でございますので、事実について私たちも精査をしておるわけではございません。報道によると、喫煙をしている、その隣にいた生徒について処分をするというのはおかしいではないかということを市長がおっしゃったというような話ですけれども、個別の案件について触れることは差し控えたいと思います。

 その上で、今委員がおっしゃるように、地方自治法第二百四十五条の五に基づく是正の要求、事務処理についての適正性を欠くということを判断する場合は大臣としての務めを果たしていきたい、そのように考えております。

重野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 おはようございます。自民党の石田真敏でございます。

 大臣に御質問させていただきますけれども、大臣はいろいろと話題を振りまいていただきまして、我々はそれに一応対応をしないといけないものですから、本当に議論したいことになかなか入っていけない。そういう役割をだれかがやらないといけないということで、きょうは実は大臣の目測力というのをちょっと議論したかったんですが、それは後ほどします。

 まず、そこへ入る前にお聞きしたいのは、大臣の遅刻の問題でございます。これはもうあちこちで議論されていますけれども、衆議院では二回目ですから、きちっと大臣のお考えをお聞きしておかなければいけないと思いますので、質問をさせていただきます。

 三月九日の衆議院の本会議で、我が党の金子恭之議員がこの問題を質問させていただいて、そのときに大臣の答弁は、「二度とこのようなことが起こらないように、三重の対策を講じたところでございます。」ということを答弁されているんですね。具体的にどういう対策を講じられたのか、そして、その対策を講じたにもかかわらず、今回また遅刻になったということですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 まず、結果として大変審議に御迷惑をおかけしたことを改めてこの場をかりておわび申し上げたいと思います。

 三月十日のその措置でございますが、三重の対策、次の三つを指示いたしました。一、官房総務課(国会連絡室を含む)と大臣秘書官室において、国会日程について直接相互確認をすることとする、二、大臣秘書官による日程確認の励行、三、大臣秘書官室との間でこれまで最終段階でのみ情報共有していた翌日の国会日程を、途中段階でも情報共有する。

 この結果、国会連絡室職員が委員会室で大臣を迎えていましたけれども、連絡室から委員会室まで大臣の先導もするということで、こういうトリプルのチェック対策を指示し、それを励行させていたところでございます。

石田(真)委員 それにもかかわらず、今回また参議院の総務委員会へ遅刻をされたわけであります。こういうことは幾ら議論したって、やはり大臣がきちっとそういうことを意識されるということ、あるいは周りのスタッフの皆さんもそういうことにならないようにしていただかないといけないんですね。それ以外ないんですよ。しかし、何遍もこういうことを繰り返すのは、私はいいことではないと思います。

 本当はこのあたりで終わりたかったんですが、実は、きょうは別のことで階政務官に来ていただいているんですが、階政務官の三月二十日付のブログに遅刻の理由についてだらだらと書いていただいて、これはいいんです。ところが、最後にこういうふうな文章があるんですね。大臣は忙しいんだ、「そうした状況で、次の予定を気にするあまりいいかげんな判断を下すようであれば本末転倒であり、遅刻する以上に国民生活に悪影響を及ぼしかねません。」と書いているんですね。これには亀井大臣が出席されていたんですよ。それでは、亀井大臣はいいかげんな判断をして衆議院本会議場を後にされたのかということになるんですよ。これは、それで不問に付します。

 続いて、このように書いているんです。「遅刻は通常あってはなりませんが、いざという時に多少の遅刻は多めに見てもらえるよう、与野党問わず、内閣と国会は日頃からコミニケーションを密にしておかなくてはならないと感じました。」それは、コミュニケーションを密にすることは大事ですけれども、遅刻を大目に見てもらえるようということはあるんですか。答弁は求めていません。まだ言いますから、時間がないから。

 これは、遅刻をしなくてよいように時間設定、事前調整をするというのが本筋でしょう。そのために理事会を開いたり、国会担当が調整をやっているんじゃないですか。それを成り行きで、遅刻があった場合、仕方がないのではないか、そういうような判断で行政をやってはだめですよ、階さん。前にも私は階さんに指摘したでしょう。こんな感覚は受け入れられませんよ、私から申し上げたら。危機管理、そういうものがなっていないじゃないですか。

 もう一つは、他人に迷惑を、五分おくれたら、例えばここだったら四十人ぐらいいるから、四十人掛ける五です、それだけの人の時間を無駄にするというような、これは人として基本的な問題なんですよ。

 それ以上に、政府の大臣としたら、国民全体をいろいろ考えて、やはりきちっとした日程のもとにやらないとだめだということなんですよ。このブログも踏まえて、大臣、ちょっと決意を述べてください。

原口国務大臣 お答えいたします。

 亀井大臣の名前も出ましたが、亀井大臣は、同時刻に行われた財務金融委員会で答弁をし、参議院の総務委員会に行かれたものでございます。

 私は、子ども手当の請議大臣として衆議院における本会議採決に参加をし、それから直ちに伺ったわけでございます。総務大臣は衆議院本会議終了後に委員会に到着するので、本散後ということでおくれる可能性がある旨を委員部に対して国会連絡室から数次にわたってやっていたものでございますが、今委員がおっしゃるように、いかなる事情があるとも国会審議に支障があるようなことをやってはならないというふうに思っておりまして、これは、すべては法案の最高責任者である私が責めを負うべきものであるということで、参議院総務委員会においてもおわびをしたところでございます。

 今、階政務官のブログについてお話がございましたが、私はそういったことで免れるということは認識をしておりませんので、政務官にも強くその旨を言い渡して、以後こういうことがないように注意をしてまいりたい、そのように考えております。

石田(真)委員 今後、本当に二度とこういうことのないようにきちっと事前調整をやっていただきたい、そのように思います。

 それでは、先ほども申し上げましたけれども、本題に入りたいと思うんです、大臣の目測力について。

 目測力というのは、大体目分量ではかるということですね。実は、この言葉は、私が所属する政策研究グループの会長の山崎拓先生がよく言われるんです。政治家にとって目測力が大事だと言われるんです。

 それで、目測力がどうも感じられないというか、ないのが鳩山総理ではないかなと私は思うんですよ。なぜかというと、例えば普天間の問題もそうでしょう。県外、国外と言っていて、今は県内ですよ。政治家としてこれだけの混乱を日本国じゅうに起こしているのは、やはりリーダーとしてはちょっと大きな問題があるんじゃないか。

 それから、子ども手当の問題も、きょうも来年の財源不足が出ていましたけれども、これは野田さんかな、来年できないよと財務省の副大臣が言っているのに、総理大臣が、いや、やるんだと。財源は何にも言わないですね、無駄を削減してだけなんですよ。そうすると、国民は、本当に来年やるのか、いや、やらないんじゃないのと。これは疑心暗鬼ですよ。先日の本会議でも、公明党さんも、二十二年度は賛成するけれども二十三年度はわからぬと言われたでしょう。こういうのはリーダーがとるべき態度じゃないと私は思うんですよ。

 そういう意味でいうと、国民からリーダーシップがないとか、信頼感がないとか、安定感がないといって鳩山さんに対する批判が出ているのは、この問題は大体こういうところへ向かって進めようとかこういうような形になっていくんじゃないかと思いながら発言もし、行動もしていく、そういう目測力が私は非常に大切なのではないかなというふうに思うんです。

 そういう点からいうと、私がきょうお聞きしたい総務省顧問、これは大臣の目測力がちょっと足りないのではないか、そういうような感じがします。

 というのは、これはもう何回も、何人も自民党の議員が取り上げています。その懸念は、こういう形は通常の顧問の任命ではない、今までとは随分違う特異な形だ、そういう中で、どうも選挙に出られる方があるんじゃないですか、そういうことがあった場合にはいろいろな問題が起こるのではないですか、そういう議論がずっとあったわけですよ。それで大臣に、顧問について整理をされた方がいいんじゃないですかということを私はここでも申し上げました。

 どんどんと懸念が現実になっているじゃないですか。先日は、八代英太さんが、新党大地の代表代行でありながら今度は民主党から公認候補に出る。また出ましたよ、三月十五日、保坂展人さん、参議院の比例代表に立候補する旨、三月十七日で顧問辞任。

 私は、このことをとらまえて、これはやはり我々が思ったとおりだなと。そう思って、これは御質問しないといけないなと。

 これは、大臣、就任されたのは去年の何月でしたかね。つまり、半年もたっていないんですよ。半年もたっていない間に、顧問が何人辞職されましたか。そう思っていたら、きのうの新聞ですよ、前横浜市長の中田さん、あるいは杉並区長さんの、よい国つくろう!日本志民会議が、参議院選の新党結成を視野に、参議院選に十人以上の候補者擁立を目指す。トップに出ていますよ。このお二人も顧問じゃないですか。半年もたたない間に、こういうことが次から次から起こってくる。私は、まだ可能性がある人がいると思いますよ。まだこれから立候補される可能性のある方がおられると思いますよ。これはちょっとおかしいんじゃないですか、どう考えても。

 まず、大臣にこのことについての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 目測力というのはとても大事な概念だと思います。

 その上で、委員とはここは認識を一致していないんですけれども、私は、総務省顧問の肩書でもってそのまま選挙に出るというのは問題だと思いますが、しかし、それをやめて、総務省の役所にいた人であってもあるいはほかの役所にいた人であっても、政治の世界に出る、国民の審判を公平公正な公職選挙法にのっとって受けるということは何の問題もない、そう認識をしております。

 今回、保坂顧問については御本人より顧問を辞任する旨の申し出がございましたし、そもそも、選挙に出てはいけないということであれば、首長の人たちは再選をしないという前提で私は顧問に選んでいるのかという、そこまで聞かれる話になります。逆に言うと、民意を問うという中で問われた方々は、委員を含めて高い識見を持ち、そして、国民とのコミュニケーション能力、特に国会議員であられた方々は国のさまざまな行政の改革に携わってこられた、そういう方々を、この総務委員会で総務行政について大変詳しい御知見を蓄えてこられた方々を、そういう観点で顧問にお願いをしておりますので、私は、選挙に立候補する云々ということが顧問の就任に一義的に問題となるというふうには認識をしておらないので、ぜひその辺は御理解をいただきたいというふうに思います。

石田(真)委員 大臣、そこが目測力がないと言うんです。わかりますか。懸念されるんですよ。可能性があるんですよ。だから、自民党の議員はみんな指摘したんですよ、出るんじゃないのと。

 そういう可能性があったり懸念される場合は、それをやめるということですよ。危ないか危なくないかわからないけれども、そのまま突っ込んでいくということじゃだめなんですよ。それが、私が言っている目測力がないんですよ。私がもし原口大臣の立場だったら、絶対そんな方は任命しません。当たり前じゃないですか、それは。そういう誤解を招かないようにするということですよ。

 それから、首長の問題を言われましたけれども、首長の問題は、私は、前回そのことについては指摘をしました。首長の意見を聞きたいんだったら、顧問でなくても意見を聞かせてもらえるじゃないですか。そういうことなんですよ。なぜ顧問に就任してもらう必要があるんですか。首長は、私は選挙に出るなと言っていませんよ。しかし、首長であるならば、例えば相手の対立候補とか地域住民に与える影響があるから、そういうことはやめて、個別に意見を聞けばいいじゃないですかということを申し上げたわけですよ。顧問に就任していただく必要はないということを前回のときに私は申し上げたつもりであります。

 今申し上げましたけれども、懸念される可能性のある人を任命しないというのは一つの大きな目測力だと私は思いますけれども、大臣はどう思われますか。

原口国務大臣 私は、そこは多分委員と……。

 それでは、顧問に就任のとき、あなたは政治活動をしませんね、あるいは選挙に出ませんね、そんなことを言って顧問にするということができるのか。自民党さんが川口順子さんや竹中平蔵さんを閣僚にされて、その方々が選挙で参議院議員になられましたけれども、それはどこか問題があるのか。あるいは審議会の委員の皆さんについても、将来政治活動を、もちろん審議会をやめてでしょうけれども、次の選挙にその人たちが出たら、それを任命した大臣が何か目測力を誤ったというふうに判断されるのか。私は、そこは議論が必要なのではないかと思っております。

石田(真)委員 大臣はそうおっしゃられますけれども、今例に挙げられた方とは全然違うんですよ。衆議院議員をこの間落ちた人なんですよ、あるいは参議院議員か何か落選された。それで、次も恐らく何らかの形で立候補されるんじゃないかと。そのように思っておられた方が、案の定、立候補したということですよ。まあ、この議論はここにおいておきます。

 それで、きょうは選挙部長にお見えいただいているのでお聞きします。

 まず、公選法百三十六条の二は、国家公務員が「その地位を利用して選挙運動をすることができない。」とされていますけれども、総務省顧問が顧問のままで立候補を表明することは公選法違反にはなりませんか。

田口政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案につきましては、具体の事実に即して判断されるべきものでございますので、総務省としては具体の事実関係を承知する立場にないのでお答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、その上で、一般論として申し上げますと、国の各省庁の顧問であることをもって公職選挙法上に特段の制限はないところでございます。

石田(真)委員 そうしましたら、選挙部長さんにもう一つ聞かせてほしいんですが、今回の場合なんかは立候補することが十分想定されるわけですね、可能性としては、先ほどから言いましたけれども。そういう人を顧問に任命することについての大臣の行為、それは法に違反することはないですか。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案につきましては、総務省としてお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 先ほど申し上げましたとおり、一般論として申し上げますと、国の各省庁の顧問であるということをもって公選法上に特段の制限はございません。

石田(真)委員 法的に制限はないということで、よかったですよ。これがあったら大変な問題ですから。しかし……(発言する者あり)いや、これは我々は調べてわかっていて言っているんですから。

 大臣、この人選はやはり極めて不適切ですよ。この顧問は、全部、民間の方は問題はないと思いますけれども、例えば首長の問題にしても、元国会議員さんであってさきの選挙で落選されたばかりとか、そういうことについてもうちょっとやはり慎重にやらないとだめだと思います。目測力という意味で、どういうような批判が出てくるか、どういうような問題が起こるか、そういうことを十分見きわめて人選をいただきたいなと。

 これはしかし、現実問題として、八代さんも保坂さんも、あるいは、これからだと思いますけれども、中田さんも山田さんも、参議院選挙へ向けて動かれるわけです。この結果責任について、大臣はどのように思われますか。

原口国務大臣 私たちは、法と正義に基づいてさまざまな活動をやっています。今まで総務省顧問というのは役所のOBで、私は、顧問を、省の外の方々のお知恵もいただきながらしっかりと生かすということが問題があるとは考えておりません。

 それから、繰り返しになりますが、あなたがどんな政治活動をしますか、選挙活動をしますかということを一人一人に確認しないとさまざまなお知恵をいただけないのか。私は、選挙に出るということは、何も悪いことではない、逆に、最も高い主権者の判断を仰ぐということでございますから……。

 多分、委員が御指摘をされているのは、特定の会派によって特定の行政をゆがめるということを御懸念されているのかもわかりませんが、少なくとも私たちが選んだ顧問はそういう方ではございませんので、御批判は御批判として受けとめますけれども、御理解をいただきたいというふうに思います。

石田(真)委員 議論をすりかえたらだめなんですよ。

 まず、大臣は特異な人事をしたんですよ。というのは、ほかの省庁でこんな人事はないでしょう。だから、特異な人事をされたんです。それで、特異なメンバーを選んだんです。人事自体が特異である、メンバーも特異なんです。そのことについては皆さんが指摘をしたんですよ、今まで。そして、懸念を表明したんです。その懸念どおりになってきているということなんですよ。

 いいですか。立候補するのは自由ですよ。懸念というのは目測ですよ。つまり、目測をちゃんとしていれば、こういう特異な人事もしなければ、特異なメンバーを選ぶこともなかったのではないか、そういうふうに申し上げているということです。

 それで、もう一点質問したいものですから、申し上げます。

 これは大臣だけではなくて、民主党の目測力の問題だと思うんですけれども、天下りにかかわっている問題です、天下りにかかわっている問題。

 ちょっと時間がないので、申し上げにくいんですが、インターネットで総務省所管の法人役員の公募を見ました。そうしたら、今のところ七つの法人の役員を公募されている。そのうちで決定したのが、日本消防検定協会の理事と監事でありました。それで、そこには選考委員の属性とか、あるいは理由なんかがずっと書いておったんです。

 それで、そのことを、せっかく株丹さんに来ていただいているので簡単にお聞きをしたいんですが、委員の選考はどのようにして行ったのかということ。それから、特に、監事さんの応募が二名なんですね。インターネットで出ているのは現任の監事さんと選任の監事さん。見ましたら、現任の監事さんは五十九歳なんですよ。選任の監事さんは五十七歳で、民間の方なんです。現任の監事さんは、前職が総務省のお役人なんですね。応募した二名というのはこのお二人なのかどうなのかということをお聞かせいただきたい、委員の選考も含めて。

株丹政府参考人 お答えいたします。

 日本消防検定協会では、ただいま御指摘ございましたように、公募を実施いたしております。これは昨年でございます。公募いたしましたのは、理事及び監事でございます。

 理事の方につきましては、民間企業の方が二名で、国家公務員のOBの方が一名の三名、監事のポストにつきましては、民間企業の方二名の公募がございまして、しかるべき手続を踏まえまして、理事につきましては国家公務員のOBの方の選任、それから、監事につきましては民間企業の方のうちのお一人の方の選任でございます。

 監事であった方についての御質問でございますけれども、この方は応募されなかったところでございます。(石田(真)委員「委員の選任、選考委員」と呼ぶ)

 委員の選考でございますけれども、これにつきましては、公募の後に、協会に置かれました役員選考委員会におきまして、書類選考と面接、その後……(石田(真)委員「いや、選考委員はどう選んだのか」と呼ぶ)選考委員につきましては、それぞれ大学の教授の方、あるいは会社の役員の方、公認会計士、税理士の方ということで、五名から成ってございまして、国家公務員のOBを含まず、この消防の問題についてよく認識をされている方を協会で選定したところでございます。

石田(真)委員 いや、今の選考委員会の委員さんの属性はインターネットに出ているんですよ。その委員さんをどうやって選んだのかと聞いているんです。そうでしょう、委員さんの選び方によってどんなにでも結果は変わるわけですから。そのことを聞いたんです。本来はそのことでないので、またそのことは教えてください。

 わかりました。現職の方は応募しなかったと。資料を見たら、五十八と五十九歳、どっちかなんですね。五十九歳になったばかりだと思うんですが。こういう人が応募しないというのはおかしいでしょう。今その方はどうしているんですか。

株丹政府参考人 公募開始当時に監事であった方につきまして、応募されなかった理由……(石田(真)委員「いや、今どうしているのか」と呼ぶ)当時、この方につきましては、監事を辞職されるときには再就職先は決まっておらなかったというふうに聞いてございますが、現状につきましては承知をしてございません。

石田(真)委員 通常、五十八歳、九歳で退職されるというのは余り考えられない。何とか職を求めてという行動に移ると思うんですが、これはまた詳しく調べて教えてください。

 問題は、この間から新聞にもずっと出ていますけれども、こういうポストというのは人事管理の手法の一つだったと思うんですね。そういう、急に出口をぱっとふさいだという中で今混乱が起こってきているのではないかなというふうに思います。新聞の見出しを述べますと、こう書いてあるんです。「公務員改革 迷走」「脱天下り、定年勤続→人件費増、人事停滞」、「天下り禁止でも「肩たたき」継続」。さらに、「新規採用圧迫」と書いてあるんですね。このような見出しが躍っているんですよ。

 私は、民主党はどうもやはり木を見て森を見ていない、そういう議論だったんじゃないかと。目先の歓心を買うだけの、あえて申し上げたら選挙目当ての、その場だけの議論をされた結果が、こういう新聞の見出しに躍っているということではないかなというふうに思います。

 もう終了しましたということなのであれですけれども、大臣、この公務員制度改革、例えば中の人事が停滞する、あるいは新規採用を圧迫する、こういうことについて大臣はどのように思われますか。

原口国務大臣 私たちは、あっせんによる天下りを禁止し、高い意識で公務員の皆様に公僕として働いていただく、そのための意識改革、働きやすい環境づくりを目指して、今三大臣で、先日総務大臣としての方針を示しまして議論をしているところでございます。

石田(真)委員 最後になりましたけれども、こういうことのないように前政権では官民人材交流センターというのを置いて、何年間で軟着陸させようということで制度設計をやったんじゃないですか。それを民主党の政策はぱちんと断ち切ったということなんですよ。

 私はきょうは時間がないので聞きませんけれども、この問題は現職の公務員の方々にとって大変な問題ですよ。それと同時に、これから公務員を目指そうという若い人にとっても大変な問題。そして、何よりも我が国の将来にも大変重大な影響を及ぼすということなんですよ。ですから、この公務員制度改革は、目先の問題だけで議論をすべきではないと私は思う。きちっとした公務員制度改革、どのようにやっていったらいいのか、どう軟着陸させていったらいいのか、どのように公務員の方に今大臣が言われたような考え方のもとに働いてもらえるようにしていったらいいのか、もっと落ちついた議論をしていただかないといけない。

 どうもこの問題も民主党が目測力を誤った。だから、今「公務員改革 迷走」という見出しをつけられているんだというふうに思います。この公務員改革、皆さんが御納得いただけるような形での決着がつけられるようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭なんですが、これは原口大臣の直接の御所管に関係あるということではありませんので、答えられる範囲でということでありますが、今、国民がかなり関心が高く話題になっているものとして、これは党の方の話といえば党の方の話でしょうけれども、生方民主党副幹事長が解任をされた問題、それから小林議員が辞職も離党もせずと。これは報道によれば、小沢幹事長への波及を懸念しての執行部の意向を反映している、こういう話であります。

 その二点について、大臣としては不適切に思われないか、これはお答えできる範囲で結構であります。お答えください。

原口国務大臣 党の人事についてお答えする立場にございませんし、小林議員については、所管の政治資金規正法、その大臣としてお答えすることはできません。

赤澤委員 そうおっしゃるだろうと思いました。

 そこで、もう一つだけ聞きたいんです。これは国民の関心がかなり高いんです。原口大臣についても関心が高いという中で、では、まず生方副幹事長の解任について、国民の目線、国民がどういうふうに受けとめるか、この点について大臣はどのように感じておられますか。

原口国務大臣 党の人事について国民がさまざまな御意見をお持ちになる、それは国民の側の御判断だ、そう思っております。

赤澤委員 大変残念な御答弁で、原口大臣ですから国民の目線に沿った率直な意見が聞けるかと思いましたけれども、国民の判断は国民の判断だと。あたかも党とは関係がないと言わんばかりのお答えであったので、大変残念に思います。

 念のためもう一個伺っておきますが、小林議員については、二人の関係者が起訴をされているということです。御本人としては、自分は知らなかったんだ、だから議員活動を続けることも、民主党員として行動を続けることも支障ないという言い方でありますけれども、それはもう、秘書が秘書がということで議員が責任を免れることというのは国民の目線は大変厳しいと思いますが、これについても重ねて伺います。

 この小林議員の行動は、国民目線ではどのように受けとめられると大臣はお考えでしょうか。

原口国務大臣 私が一政治家として答えろというのであれば、それはお答えすることはできます。しかし、所管する総務大臣としての答えはここを踏み越えられないということも御理解をいただきたいと思います。

赤澤委員 せっかくヒントをいただいたので、一政治家としてお答えはいただけますか。

原口国務大臣 この総務委員会、国会の場で、一政治家としての意見ということを私は言える立場にございません。

赤澤委員 かたく口を閉ざしてということで、その辺の反応が本当に、小沢さんを恐れる余り、民主党の議員の皆様が国民目線を失ってしまっているというふうに受けとめる向きが非常に強いんだということについては、ぜひお伝えをしておきたいというふうに思います。

 そういう意味では、原口大臣から率直なお話が聞けずに残念でございましたけれども、先に進めさせていただきたいと思います。三十分という時間でありますので、今後、一時間ぐらい時間がとれたときに一個一個やることにしたいと思いますが、今後の質疑の前提になりそうな話について、特にガバナンスということを非常に大事にされる原口大臣でありますから、その辺について幾つか伺っていきたいと思います。

 まず、私が地方財政ということで非常に気にしていることは、質問通告という形では一括交付金の総額確保ということで御連絡をさせていただいたと思いますけれども、改めて御紹介するまでもなく、民主党のマニフェストにおいては、国のひもつき補助金については、社会保障、義務教育関係は除いて廃止をして、地方の自主財源にする。それだけなら大変結構であって、地方は万々歳で受け入れるということでありますが、問題は、マニフェストによれば、庁費等四・五兆円、委託費〇・八兆円、施設費〇・八兆円、そして補助金四十九・〇兆円の合計五十五・一兆円から、節約する、要するに削減することで六・一兆円の財源を生み出すとうたっております。

 これについて、既に過去御議論があったのかもしれませんが、補助金の削減により生み出される財源というのは六・一兆円のうち幾らかというのは、かなりもう議論が詰まっているんでしょうか。そこについて、お答えができればお願いいたします。

原口国務大臣 委員が前段おっしゃったように、一括交付金の総額を確保するというのはとても大事でございます。

 その上で、今、各省と一次ヒアリングを行いまして、そして各省からどのひもつき補助金を一括交付金化できるのかということで、各省との折衝をしている状況でございます。

赤澤委員 では、六・一兆円のうち、補助金の四十九兆円からどれだけ出すか、まだ額は決まっていないという理解でよろしいですか。

原口国務大臣 現在、各省との交渉中でございます。

赤澤委員 そこで、きょうこのことで長く議論をする気はないんですけれども、要は、四十九兆円の補助金総額のうち、義務教育、社会保障関係は廃止しないということでありますから、残りの公共事業や農業の予算、この辺を削って数を出してくるのかなということで、非常にその辺を恐れるわけでありますけれども、一括交付金化したところで、補助金総額を大幅に削られては地方財政は厳しくなる一方だと思うんです。この六・一兆円の節約について、マニフェストにあるということですから、もちろん努力をするということでしょうけれども、現時点において、原口大臣は賛成の立場でこれに臨んでおられるのかということをちょっと確認させてください。

原口国務大臣 ひもつき補助金を廃止して、地方が自由に使える、このたび五千億、五千億で農水あるいは国交でも一部、交付金化というものをさせていただきましたけれども、まさにこのことがとても大事であるというふうに思いますし、六・一兆円、この予算を組み替えて、地域がしっかりと自由に使える、そして地域の創意工夫で使える、そういうお金に変えていく決意でございます。

赤澤委員 ありがとうございました。

 私どもも自公連立政権のときに、三位一体改革で交付税が五兆円減って、これについては大変な御懸念が生じたということで、大いに反省をしなきゃいかぬところがあるわけでありまして、ただ、これは、額的に言えば六・一兆円ということでありますから、それに匹敵するぐらいの額が節約をやって出てきて、本当に地方財政に深刻な影響がないのかというのは十分に見ていかなきゃいけないと思っているんです。

 そんな中ですので、私としては、むしろ地方財政への配慮として、マニフェストについてはもう既に守ったもの、守らないものとあるわけで、地方財政の今の深刻な状況を考えたら、この一括交付金については、六・一兆円の節約については本当にそのままやっていいのか、総額確保、そっちの方の論陣を張るのがむしろ原口大臣のやるべきことではないかなという気もいたしますけれども、その辺について大臣はどう考えておられますか。

原口国務大臣 一番大事なことは、地域が自由に使える、そして交付税のときも申し上げましたけれども、今委員がお話しのように、三位一体改革で五・一兆円削られて、基礎的な公共サービスもしっかりと提供できないという声も、もう悲鳴のような声が上がっておりますので、委員はそこを反省するということでございますが、交付税についてはできる限り復元する、それから交付税の法定率についても、来年に向けてそれを引き上げるという議論をしてまいりたいと思いますし、一括交付金化に伴い地方が財源を不足する、あるいは過度な行政改革によって地方が厳しくなるということは私たちは避けていきたい、こう考えております。

赤澤委員 それで、無駄を省けば二十兆円すぐ出るとか、今年度については七・一兆円用意しなきゃいけないものを、八兆円、九兆円すぐ出ると総理もおっしゃっていました。一言でざくっと言ってしまえば、口ほどにもない、なかなかそれは出てこない。そんな中で、同じ発想で、この五十五・一兆円の中から六・一兆円削っても、一括交付金にすれば、自由に使えるなら十分無駄は排除できるでしょうという発想はかなり無理があるように私は思っているんです。

 そういう意味で、地方からすれば、自由に使えるお金にしてもらってありがたいけれども、額が減ってはどうにもならぬという声も一方であるわけです。私自身は、交付税を一〇%、国税五税の一定割合ということでそれを引き上げる、大変やるべきことだとは思っておりますけれども、ここで一つだけちょっと確認をしておきたいのは、その総額について、六・一兆円になるのか実際幾ら削るのかわかりませんけれども、その中で、きちっと地方財政が回っていくということについて手だてを講じるのは、ガバナンスを口にされる原口大臣でありますから、そこの責任については大臣が目配りをされているということで、責任を負うということで間違いないんだということを、ちょっときょうの時点では確認させていただきたいと思います。

原口国務大臣 今赤澤委員がおっしゃっているのはとても大事な視点で、今、地方とお話をしますと、何か改革をする、新しい財政の仕組みを入れると、それはいかにも地方の自由をふやすかに見えるけれども、結果、総額は大幅に削られるんじゃないか、こういう御懸念もやはり今まで聞いてきたところでございますので、委員の御指摘を踏まえて努力を重ねていきたいと思いますし、私は、まずは地域が自由に使える財源、それから地域みずからが生み出せる財源、これをふやすことに全力を尽くしてまいりたい、このように考えています。

赤澤委員 ありがとうございました。

 その際、政治主導をうたっておる民主党の皆様でありますから、財務省のやってくることについてよく注意をいただいて、あの三位一体改革のときも、税源移譲をやったところ、自動的に国税五税の一定割合の交付税が一兆円減った。この辺はなかなか、後で大きなインパクトがあって、その辺をよく検証しながら、結論において本当に地方財政が充実しなければ意味がないということは、大臣、肝に銘じて取り組んでいただきたいと思います。きょうは本当にさわりの部分で、詳しい話というのはまた時間がとれたときにさせていただきたいと思います。

 次に、総務省の顧問の問題でありますけれども、これは目測力ということで、今、石田委員が大いに議論をされたところです。

 私の方からは、一つ、前回の三月十六日の総務委員会で、八代英太元議員が、退任後もホームページで引き続き総務省顧問をうたっておるじゃないかという指摘をさせていただきました。その私の指摘を踏まえて、八代元議員は、今はもう総務省顧問の肩書をホームページから削除されておりまして、総務省顧問として議論しているという文言も消えました。本来は顧問離任と同時に行われるべき作業でありましたけれども、そういう意味では、おくればせながらも指摘を受けて改められた態度には敬意を払いたいというふうに思います。一定のガバナンスが働いているということだと思います。

 保坂展人顧問も離任されたと承知しておりまして、これもさっき石田委員からお話が出ました。選挙に専念をするというようなことをいろいろなところでおっしゃっているように承知をしております。裏返せば、先ほど原口大臣がおっしゃったように、総務省顧問の肩書で選挙を戦うのは不公平だ、さすがに選挙が近づけば、総務省顧問の肩書を掲げて戦うのはまずいということは保坂顧問も自覚をされていたのではないかと思います。

 繰り返し申し上げていることですけれども、落選議員も含めて、選挙の合間の期間に、次の選挙を目指す候補を総務省顧問に任命して国民の税金から謝金や交通費を払うということは、やはり国民の税金で失業対策をしているものととられかねない、不適切であるというふうに私は思います。その点、私の考えは変わりがありません。

 さっきの石田委員との関係でいえば、大臣はそんなことはできないとおっしゃったけれども、明確な基準で税金が出るかどうかきちっと決めていくという観点からいえば、一つのアイデアとしては、顧問に就任されるときに、今後一年以内に公職に立候補されるような余地はありますかということを逆に問うたって、別にそのことを発表するわけでも何でもないわけだから、一年以内に選挙に出るような方については自然に除外をしておくような手だてだって講じられないことはないように私は思います。その辺は、選挙に出る自分のお友達を応援しているととられないようにする工夫というのはあり得るんじゃないかというふうに感じます。

 今後、総務省顧問については、数を限定の上、議員関係者以外の有識者から任命をする、あるいは議員関係者の任命については政界を引退された場合に限るなど、明確な基準を宣言の上遵守されるのが、疑いの目で見られず、本当は得策であると私は考えますけれども、この点について大臣のお考えが何かあれば伺いたいと思います。

原口国務大臣 私は、特定の方が政治に出る、例えば中央省庁の役人の方々や公職にある方々も、それは、国民の審判を受ける、あるいは地方自治の選挙において住民の審判を受ける、これはすべての人にひとしく認められた権利であるというふうに思います。

 そのことをもって、では私たちが知恵をいただけないのかというと、そうは思いません。逆に、謝金からすると、中には辞退をしてくださる方もいらっしゃいますけれども、本当に身を尽くして私たちの総務行政に大変なお知恵をいただいている。しかもこの間、委員も御案内のとおり、社会の変動が非常に大きいです、それから法律のでき方についても非常に大きいです。そして、この顧問の皆さんは、今私たちが動かしている法律についてもみずからが起草者であり、みずからが立案者なんですね。

 私は、そういう方は余人をもってかえがたいというふうに思いますので、選挙に出るから知恵をもらっちゃいかぬ、選挙に出るから何かおかしいというのは、ましてや失業対策なんというので顧問をお選びしたのではないということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

赤澤委員 ここもなかなか考えが合わないので、李下に冠を正さずということの具体的な当てはめとして、どういうふうに考えて行動していくかという話かなというふうに思いますけれども、大臣とはちょっと考えが違うという点で、先に進ませていただきたいというふうに思います。

 前回もお話をしている内閣官房専門調査員の問題です。

 民主党職員の皆様が任命をされている内閣官房専門調査員は全部で二十五名いるというふうに承知をしております。とりあえず口頭で聞いたところ、無給の非常勤というふれ込みでありましたけれども、質問主意書を出したところ、実のところ、交通費は国民の税金から支給をしている。それも、中には、これは総務省の関係でないことは確認していますけれども、政務三役の随行でもないのに、意見交換の名目で米国出張した、その旅費まで国民の税金で支給してもらっている民主党の職員がいるということが明らかになっております。

 前回の委員会で、大臣は、国民の税金の使い道は明確な基準で決められるべきであるというふうに明言をされております。その旨繰り返し御答弁されていますので、その流れでちょっと伺いたいのは、内閣官房専門調査員として、今、二人の方が総務省で働いているというふうに承知をしております。大臣のところではなくて、私の理解では副大臣が、それぞれお一人ずつその方と仕事をしているというふうに理解していますが、この方たちも何かしら、大臣に随行したりすれば今後交通費なりが出る、国民の税金がその方たちに支給されるということでありますから、その税金の使い道ということについては明確な基準がなきゃいかぬ。

 この二人の任命の根拠は、あるいは任命の基準になっていると考えられるのは、専門的知見があるかどうかということなんですけれども、ある方をちゃんと選んでいるのかどうかというのは我々はさっぱりわからないんですよ。質問主意書でもお尋ねしたところ、内閣官房に聞いたところ返ってきた答えは、個人情報だから答えられぬと。

 もっとも、専門的知見がある人を雇おうが、ない人を雇おうが、その人は交通費を支給してもらって大臣について歩ける、あるいは副大臣について歩ける、政務官について歩ける、こういうことです。なので、そのお二人の民主党職員は専門的知見がある、明確な基準に基づいてこの方たちは税金を出していいんだと、どういう根拠があってそれを言っておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

渡辺副大臣 今委員から御指摘のとおり、総務省には二名の専門調査員がおります。

 この基準ですけれども、野党時代、民主党の政策調査会の主に総務部門において専任で取り組んでいた者でございます。これまで、政権獲得以前、政策調査会等で総務部門に関するさまざまな点につきましては、今総務省の調査員をやっております者が主にスタッフとして参加をしていた。その経験の蓄積、そして、これまでの議論の中で、政策立案をする上で中心的にかかわっていた人物という意味で私どもは専門的知見があるということで内閣官房から任命をされて、総務省で調査員としているわけでございます。

 ちなみに、この二人については、これは時と場合によっては席を外すこともありますが、官庁との、役所側とのさまざまなヒアリングのときには同席をしております。

赤澤委員 渡辺副大臣、ありがとうございました。一歩前進であります。

 そこで、私が疑問に思うのは、個人情報だから答えられないという質問主意書の答えと今の副大臣の答弁、私は合っていないと思うんですよ。民主党の政策部門で主要な役割を果たしてなんという話は、職歴の中で私が聞いていることで答えてもらえばいいことなのに、そこについては個人情報だから答えられないという質問主意書が内閣法制局審査の上で閣議決定して出てきているんですね。私は、その質問主意書がおかしかったということになるような気がするので、もう一回、ここについてはきちっと質問主意書を出させていただきたいと思います。今のお答えで十分かどうかも含めて、その答えが出そろってから、きちっともう一回話をさせていただきたいなと思います。

 とにもかくにも、私が出した質問主意書には、個人情報だから職歴等は答えられない、民主党の職員として政策部門で活躍してきたなんという話も一切答えてもらっていないんですよ。私はその辺について大変疑問があるなというふうに思うので、そこは改めて質問主意書で出させていただきたいというふうに思います。

 原口大臣にお尋ねをしたいのは、これは内閣のやっていることですから、閣僚の一人としてぜひお答えいただきたいのは、個人情報だから職歴等は答えられないと言いつつ、二十五人の民主党職員が内閣官房専門調査員に任命されて、無給の非常勤といいながら、その実、政務三役の随行ですらない米国出張の旅費を、意見交換という名目で国民の税金から出しています。これについて、閣僚の一人として、大臣は適当なことだと思われますか。

原口国務大臣 私は、今委員がおっしゃっている事実について、事前に通告をして質問をいただいていたわけではございませんので、事実を確認して答えたいと思いますが、私の知っている範囲でお答えをすると、それは、アメリカとのさまざまな折衝、私たちはシンクタンクを民主党の中でつくりたいとずっとやってきまして、その中で意識的に、米シンクタンクあるいはヨーロッパのシンクタンク、そういったところに派遣をし、研修をした者がございます。

 それは、委員も御案内のとおり、他国と交渉する際にはやはり人的なネットワークが非常に重要になります。そういう重要になる人的ネットワークを構築する、そういう目的で民主党の政調の職員を育てる、意識的に私は総務局長のときにそれをやったことがございました。もし当該人物がその同じ人物であれば大事なことだと思いますが、いずれにせよ、その事実を私は今ここで知りませんので、その上でまたお答えをしたいと思います。

赤澤委員 まず二点申し上げたいのは、一応これは閣議決定されている質問主意書ですから、事実を知らないというのであれば改めて調べてもらえばいいですし、私と原口大臣の間で、特に私が事実と合わないことを言って大臣をひっかけようなんという気は全くありませんので、そこについては、調べてからもう一回お答えになるなら、それで構いません。

 シンクタンクについてお話をされました。役所というのは巨大なシンクタンク機能があります。私の理解するところ、イギリスでは、だからこそ政党助成金みたいなものは、与党については役所をシンクタンクとして使えるから出さない、野党についてだけ出すというような取り扱いも行われているように承知しています。その状態で現在の政府・与党を見させていただけば、役所というシンクタンクをフルに使える状態で、何で民主党職員まで引っ張り込んで、その米国出張旅費まで国民の税金から出してシンクタンク機能を強化しなきゃならないのかは、全く理解に苦しむところです。

 なので、そこについては、事実を調べてからということを大臣はおっしゃっていますから、また後日やらせていただきましょう。では、本日のところはそれぐらいで先に行かせてもらいます。

 これも事実関係の確認みたいな質問になりますけれども、ウィルコムの再建問題ですね。これについては、ウィルコムの所管大臣として、企業再生支援機構にウィルコムの救済を大臣が申し入れたことがあるのかという事実関係だけちょっと確認をさせていただきたいと思います。

長谷川大臣政務官 お答えを申し上げます。

 若干詳細にわたりますので、私の方から説明をさせていただきたいと思います。

 ウィルコムの支援につきましては、ウィルコム自身が債権者等と協議をした結果、企業再生支援機構の支援を依頼するということにしたものでございまして、企業再生支援機構自身の自主的な判断により支援を決定したというふうに承知をしております。

 この支援決定に当たりましては、機構の方から事業所管大臣としての意見を求められておりまして、それに対しまして、総務大臣としては支援を決定することに異存はないという回答をしているところでございます。

 何しろ四百万人を超える加入者を持っている事業者でございますので、引き続き安定的なサービスが確保されますように、これからも機構の支援を見守ってまいりたいと思っているところでございます。

赤澤委員 これは他委員会の集中審議との関係でもちょっとかかっているんですけれども、私は国民から見てわかりづらい点があると思っていまして、このウィルコムについて言えば、稲盛さんとの関係が非常に濃い会社ですね。DDIポケットという会社の、出資だったか、非常に関係が濃かったと思います。

 私どもからすれば、あるいは国民目線から見て、本業の通信分野でウィルコムを失敗している稲盛さんが何でJALの経営に乗り出してくるのかというのが、この辺、本当にわからないところで、民主党の限られたお友達である経済人の中から無理くり選んでいるのかな、あるいはお友達だから選んだのかなみたいな疑問を率直に言って持つんです。

 そんな中で、大臣についてちょっと確認だけしたかったのは、今のお話だと、協議を求められたとき異存はないという答えを出した、受動的な意味だけで関与をしているという政務官の今のお話だったように思いますけれども、その点、原口大臣に御確認したいのは、自分の方から能動的に、所管をしているウィルコムについて、企業再生支援機構で救済を頼むと申し入れた事実はないということでよろしいですね。

原口国務大臣 長谷川政務官がお話をしたとおりでございます。

 ございません。

赤澤委員 それでは、あともう一つ、私、実は企業再生支援機構の法案を成立させたときに、かなり中に入り込んで作業をしていたので、正直申し上げれば、JALやウィルコムの救済に当たるようなものとしてこの再生機構をつくった意識が立法者の一部として、片割れとして、なかったんですよね。これは明らかに地方の中小企業の救済をやろうということで、現時点においてもJALやウィルコムは、その他という文言だったですかね、それでようやく読み込めるというような話で、メーンの救済対象ではなかったはずなんです。

 企業再生支援機構の資源がJALやウィルコムなど大企業に振り向けられている現状について、地域経済の再生に重大な関心を持っているはずの総務大臣としては、これはもう異論はないんですか。

原口国務大臣 情報通信について、特に、今長谷川政務官がお話をしましたように、ウィルコムについては四百万人を超える加入者を擁しているわけでございます。この皆さんの権利の保護あるいは加入者の保護といったことを考えてみると、妥当だというふうに考えております。

赤澤委員 私からすれば、少なくとも立法者の一部でありますから、どうも立法意図と違っていたなというのが正直なところでありますけれども、今後、きちっと企業再生支援機構において救済が図られるか、そのときに間違った税金の使い方はないか等のチェックをするしか今の段階としてはないのかもしれませんけれども、今後、また改めて議論をさせていただきたいと思います。

 それで、きょう実は一番聞きたかったのが、津波についての大臣のツイッターの情報の発信であります。

 これについては、一部のマスコミで記者が質問をした。主要な点は、どうも私の関心とはずれていまして、成り済ましがあるんじゃないかというような感じの質問だったので、これはむしろ私の関心とは大いにずれております。

 ただ、今後もちょっと続けてこの話を聞かせていただきたいので、時間が中途半端になりそうですけれども、幾つか、最初の三問ぐらいは前提で、おもしろいところに入れなくて残念ですけれども、まず、これは当然のような質問で恐縮なんですが、我が国の防災担当大臣はどなたですかというのは、時間があれば一問独立して聞こうかと思いましたが、ちょっとまとめます。

 原口大臣は消防庁も所管しておられるということで、防災担当大臣は別におられますね。その関係で、消防庁所管で防災に何も関係ないということはないと思うんですけれども、その切り分けですね。防災担当大臣と消防庁を担当している大臣として、防災に当たっての切り分けについてどんなお考えを持っておられるのか、そこをまず説明をいただきたいと思います。

原口国務大臣 おっしゃるように、内閣府に特命担当の防災大臣がおりまして、そして内閣、つまり鳩山総理の強いリーダーシップのもとで総合的に防災対策をやる。

 私は、今委員がお話しのように、消防庁というものを持っている総務大臣として、いざ危機的な管理フェーズの中で、危機管理センター、それから消防庁という形で、さまざまなつかさつかさに指示をする、そういう立場にございまして、そのような切り分けをしております。

近藤委員長 赤澤亮正君、質問時間が終了しておりますので、御協力をお願いします。

赤澤委員 はい。おもしろいところに入りかけてやめなきゃいけないのは大変残念でありますが、次回に譲ります。

 一言だけ申し上げれば、原口大臣のツイッターですね。三月二十一日朝七時四十分時点で七万二千百三十三人のフォロワーということで、一つだけ問題意識を言えば、私は、ツイッターにかなり熱心に書き込まれることというのは、津波の危険にさらされている国民全体に情報を流すには全く足りない数字だと思う一方で、流言飛語によりパニックを起こさせるには十分な数字であると思うんですね。なので、その辺の問題意識で、今後改めて時間がとれたときにツイッターの話をさせていただきたいというふうに思います。

 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 きょうは、二点質問をさせていただきたいと思います。一つは、社会福祉施設、とりわけ認知症グループホームの防火安全対策について、そしてもう一点は、地域防災向上に向けた消防団の活用というか役割について、大要二点お伺いしたいと思います。

 初めに、この認知症のグループホームについてですけれども、今月の十三日の未明に、札幌市北区でグループホーム「みらい とんでん」という施設が火災となりました。既に報道等にありますけれども、木造二階建て、延べ面積二百五十平米、この内部を全焼して、まことに残念なことでございますけれども、入居している利用者の方々が七名亡くなるという大変悲惨な火災となりました。改めて、亡くなられた七名の皆様、そして御家族の方々に、心から哀悼の意を表させていただく次第でございます。

 さて、私は、この三月十三日の火災の日に、鎮火してから現場に駆けつけまして、この火災の状況について見せていただいて、あわせて関係者の方々から、特に札幌消防署の方から具体的にお話を聞いてきたところでございます。

 この火災なんですけれども、当日は大変な強風でございまして、住宅の密集地の中にこのグループホームがあったわけなんですね。私も現場を見せていただいたんですけれども、屋根も全部めくれ上がっていまして、これは相当な勢いで火が回ったんだろうなと思いました。いろいろな方のお話によりますと、とても入居者が逃げ出せるような状況じゃなかった、それから、炎が屋根を突き破って五メートルほど吹き上がっていたという状況で、大変な住宅密集地にありましたから、周りに火が移らなかったのが不思議なぐらいという火災でございました。

 そこで、順次これに関連してお伺いしたいと思うんです。

 まず初めに、今回のこの認知症グループホーム「みらい とんでん」の火災の原因について、それから、これは認知症グループホーム全般ですけれども、防火体制、通報体制というのはどのようになっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

小川大臣政務官 事実関係をお答え申し上げます。

 まず、火災の原因でございますが、詳細につきましてはさらに精査をさせていただきたい。その前提で申し上げますが、一階食堂のストーブ付近から出火をし、この火が拡大をしたもの、そして、各個室で就寝をされていた入居者の皆様が逃げおくれたのではないかというふうに考えております。引き続き、札幌市消防当局とよく連携をした上で、この要因等については精査をさせていただきたいと思っております。

 グループホームにおけます防火体制なり通報体制でございますが、防火管理につきましては、防火管理者を選任し、消防計画の作成、これに従った消火、通報、避難等の訓練や日常の点検整備等に当たっております。また、その設備につきましても、初期消火、通報、避難誘導等に必要な設備を技術基準に従って設置をいただいておるところでございます。

 四年前になりますけれども、長崎県での火災を踏まえまして、所管の施行令を改正し、すべての施設に消火器等の設備の設置を義務づけるとともに、スプリンクラーについても、従前より小規模な施設に対象を拡大するなどの対応をとっていたところでございます。

稲津委員 そこでお伺いしたいと思うんです。今政務官からお話がありましたように、平成十八年の長崎県のグループホームの火災を受けて、十九年六月に消防法の一部改正があって防火体制が強化された、このように承知をしております。ここから先は認知症グループホームについてということで、少し特化してお伺いしたいと思うんです。

 今お話がありましたように、例えば自動火災報知機の設備についてはすべての施設、それから、火災通報装置についてもすべて、スプリンクラーについては、これは規模の話、床面積の話がありました、消火器ももちろんすべての施設ということで、このように設置の基準、義務が変わってきたわけなんですけれども、特にスプリンクラーについてお伺いしたいと思うんです。

 スプリンクラーは、これは消火という役割ももちろんありますけれども、それと同時に、スプリンクラーが稼働している間に避難をする時間が確保できるという観点からも大変有効であると言われております。ところが、スプリンクラーの設置状況を見ますと、例えば今回火災となった「みらい とんでん」がある札幌市におきましても、対象施設は二百二十以上あるんですけれども、今のところスプリンクラーの設置というのは二十数カ所程度というふうに聞いております。

 こういう状況の中で、スプリンクラーの全国の設置状況と今後の見込みについて御答弁いただきたいと思います。

小川大臣政務官 先般の政令改正におきましては、当時、延べ床面積が一千平米以上の施設についてスプリンクラーの設置を義務づけておりましたものを、二百七十五平米以上のものに基準を強化したわけでございます。

 現在、平成二十一年五月時点でございますので若干時間がさかのぼることになりますが、その時点での調査の結果、全体約三万施設のうち三分の一程度、一万施設程度に設置をされているのではないかというふうに見込んでおるところでございます。

稲津委員 今、三分の一程度というお話がありました。この後の質問につながっていくんですけれども、二十一年五月現在ですから、さらにそれも進んでいる、このように思っております。

 そこで、その二百七十五平米というところで切っているのは一体どういうことなのか、その基準についてもお伺いしたいと思うんです。

 同時に、二百七十五平米以上ということで改正をした、しかし、残念ながら今回のこのとんでんについては二百七十五平米以下の施設であったわけなんですね、したがって、この際、二百七十五平米以下の、ある意味ではすべての施設についても設置をするという方向で考えてみたらどうかなと思うわけなんですけれども、この点についてどうでしょうか。

小川大臣政務官 先ほど御報告申し上げました数字が二十一年五月時点ということでございますので、きょうの御指摘も踏まえ、現在、緊急調査を実施いたしておりますので、来月いっぱいである程度取りまとめが可能ではないかと思っておりますし、そのような実態についてできるだけ早く御報告をいたしたいと思います。

 その上ででございますが、この種の施設につきましては、半分以上が一千平米以上ということで、ある程度の規模を備えた施設が中心になっております。一方、火災の際の安全性等を考えますと、できるだけ小規模な施設にもスプリンクラーを初めとした設備の整備が望ましいわけでございます。

 ただ、この費用につきましては、数百万程度かかることもございますし、義務づけを行う以上、十分な財政支援をという話にも当然つながるわけでございまして、この辺の実行可能性と、一方で施設の大小にかかわらず安全性を備えなければならないということの要請と、この二つをよく勘案し検討をしてまいりたいと考えております。

稲津委員 これは、もちろん、財源の確保という問題がありますから、そこはこれから十分検討していただきたいんです。しかし、実態としては、今回の火災を機にしまして、群馬のこともありましたね、例えばワンユニット九名で利用されている、こういった認知症のグループホーム等について、そこに一定程度高齢者の方がお住まいになられている、こういうことを踏まえて考えていったときに、私は、今回の火災を機に二百七十五平米というこの基準をどうするかということを財源問題とあわせてこの際しっかり検討していただきたい、このことを強く申し上げたいと思います。

 そこで、これに関連して、きょうは、厚生労働省からも審議官に大変お忙しいところお越しいただきまして、この質疑に加わっていただきたいというふうにお願いを申し上げました。この課題解消に向けて、三つの視点に立って順次お聞きをしたいと思います。

 まず一つ目は、消防法の改正に伴って、厚生労働省では平成二十一年度から所要の予算の確保を図っている。特に二十一年度の補正予算、これは介護基盤緊急整備臨時特例交付金として上乗せで二百八十三億円を計上されています。

 ただ、実際現場に行きますと、グループホームの事業者の方からもたくさん聞いていますけれども、まだこの交付金だけでは十分カバーできないんだ、例えば自動火災報知機の設備、火災通報装置、それから、スプリンクラーを簡易型でつける場合に、今度は改めて水回りなんかも整備しなければならない、したがって、まだまだこの交付金だけではカバーできないという声があります。そこで、この交付金を引き上げる必要もこの際あるのではないだろうか。

 それから、先ほどの二百七十五平米のことですけれども、これも、二百七十五平米以下のグループホームに対してもやはり交付金の対象にしてはどうか、このように考えるわけですけれども、現時点でのお考えについてお伺いしたいと思います。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 グループホーム等のスプリンクラー設置につきましては、消防法施行令によりまして、延べ床面積二百七十五平米以上の施設に設置が義務づけられているところでありまして、厚生労働省といたしましては、こういった施設に対しましてスプリンクラーの設置費用を助成しているところでございます。

 今回の火災を受けまして、厚生労働省といたしましては、直ちに各自治体を通じまして、すべてのグループホームにおいて防災体制に怠りがないよう非常災害対策に関する点検を促す通知を行ったところでございます。

 また、関係省庁によるグループホーム火災を踏まえた対応策についての三省庁緊急プロジェクトにおきまして、対応についての協議を行いまして、現在、グループホームなどにおけるスプリンクラーなど消防用設備の設置状況、あるいは非常災害対策の実施状況などにつきまして、関係省庁が連携をしながら調査を実施しているところでございます。

 厚生労働省といたしましても、各施設におけるスプリンクラーの設置義務の有無あるいは設置状況等々につきまして、調査を行っているところであります。

 こういった調査結果を踏まえまして、スプリンクラーなどの消防用設備の設置に関する補助も含めまして、関係省庁間で対応を協議してまいりたい、このように考えております。

稲津委員 ぜひ早急な検討と、補助対象の拡大等について結論を早く出していただいて、お願いしたいと思います。

 二つ目の課題解消です。それは、夜間の人員配置の基準の問題です。

 これは、今回のとんでんの火災においてもそうでしたけれども、一名の介助者が夜間当直をされていたということで、もちろん、認知症高齢者グループホームの人員配置基準については、介護従事者は、日中は利用者三名に対して一名以上、夜間は基本的に一名ということになっているんです。

 しかし、今回の火災の状況を踏まえて考えてみますと、一名で避難誘導、消火はなかなか難しいということで、例えば今後人員配置をふやすということも検討対象になってくるんでしょうか、この点についても簡潔にお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 グループホームにおきましては、平成十八年一月の長崎県大村市における火災を契機といたしまして、夜間体制について、平成十八年の四月一日から、各ユニットに一名以上の夜勤職員を配置する基準の強化を行ったところでございます。それ以前は、宿直でも可能でありまして、就寝することもできたわけでありますけれども、夜勤として労働するという形で強化を行ったものでございます。

 今回の火災を受けまして、先ほど申し上げましたように、防火安全体制に関する調査をおおむね一カ月をめどに実施しているところでございます。この結果を踏まえまして、グループホームの夜間を含めた防火安全体制のあり方につきまして検討を行ってまいりたい、このように考えております。

稲津委員 そこでもう一つ問題になってくるのは、現実にそうしたグループホームで夜間二名以上の夜勤体制が組めるかどうかという問題です。ここで一番問題になってくるのは、やはり介護報酬の問題ですね。要するに、事業所がそれだけの財政運営ができるかどうかというところが大きな問題なんです。

 私は、この際、今回のこのことを踏まえて夜勤体制の強化を図るのであれば、同時にここの部分だけでも介護報酬の見直しを行って、そのことによって事業所の負担を軽減させてあげるということが極めて大事なことだと思っています。これは現場から相当声をいただいていますので。このことについてはどうですか。これが三つ目です。お答えください。

三輪政府参考人 今回のグループホーム火災を受けまして、厚生労働省といたしましては、まず、グループホームにおける防火安全体制の現状などにつきまして把握をすることが重要と認識をいたしておりますので、現在、防火安全体制に関する調査を実施いたしております。

 その結果を踏まえまして、夜間を含めたグループホームにおける防火安全体制につきまして関係省庁と協議を行い、それを踏まえた上で、必要に応じまして、御指摘のグループホームの介護報酬のあり方につきましても検討を行っていきたい、このように考えております。

稲津委員 それでは、この問題について最後に一言だけ申し上げたいと思うんです。

 住みなれた地域の中で、これまでの暮らしとそう変わらない、しかも、身近なところでお話のできる高齢者のお仲間もいるグループホームについては、非常に有効であるとさまざまな声をいただいております。実際に、たくさんふえてきていますね。札幌市内だけでも、二〇〇〇年には九カ所でした、それが、昨年の状況で二百三十二カ所。全国的にも相当ふえてきております。

 したがいまして、これは、当然必要性があってふえてきているという現実。そして、課題も見えてまいりました。ぜひここは鋭意努力なされて、私が申し上げました三つの視点をぜひ遂行していただけることを強くお願いさせていただく次第でございます。

 時間が大分過ぎてまいりました。二点目についてお話をさせていただきたいと思います。いろいろとお伺いしたいんですけれども、消防団の役割等々につきまして、簡潔に二つほど質問させていただきたいと思います。

 一つ目は、消防団員の構成です。大変高齢化しておりまして、消防団員の確保というのも非常に厳しくなってきているのかな。一方で、女性団員はふえてきているという話も伺っています。現状と、それから、この消防団の役割も踏まえて今後どうなされていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

小川大臣政務官 消防団でございますが、火災時の消火活動はもとより、災害時の対応、あるいは防災教育を初めとした地域活動で大変重要な役割を担っていただいているわけでございます。

 現状につきましては、委員御指摘のとおり、消防団数で申し上げますと、平成に入りましてから、三千六百団体ありましたものが、現在二千三百余り。団員数は、同じく平成二年の九十九・七万人から八十八・五万人と減少傾向にございます。一方、委員御指摘の女性消防団員数でございますが、平成十六年一万三千人余りから、現在一万七千人余りということで、増加傾向。全体として、以上のような傾向にございます。

稲津委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますけれども、最後に一点だけ。

 消防団の団員の確保というのは、地域の中で非常に課題になっていますね。数字は今御答弁いただいたとおりでございます。そして、もう一方で、企業内消防団とか、こういったものも実はいろいろと展開されている。あわせて、これは千葉科学大学でやっていることなんですけれども、学生消防隊とか。もう一つ、これは以前から地域でやっていますけれども、少年消防クラブ。こういった次の時代を担う方々にもいろいろと手当てされている。

 最後の質問になりますけれども、この消防団、これから担い手も含めて確保しながら、消防団の役割を十分発揮していただける、そのことに対して御所見があればお伺いしたいと思います。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 これは大変ありがたい御質問だと思います。

 さっき少年消防団というお話がありましたけれども、小さなころから地域に対する貢献、あるいは消防に対する理解、こういうものを深めまして、そして、分列行進や放水訓練、こういう大変厳しい訓練も大事ですが、一方で、消防団に入るとどういう社会的な、あるいは企業の中での多くの支えがあるのかといったことも含めて総合的に見直すように今指示をしております。

 引き続き総務省としても全力で支えてまいりたい、このように考えています。

稲津委員 終わります。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、地方の公契約条例の制定の動きを歓迎し、また、国としての公契約法の実現を求める立場から大臣に質問をいたします。

 地方行革の一環として、この間、公共サービスを民間事業者が担う事例、いわゆるアウトソーシングが増加をしてまいりました。契約単価の引き下げなどにより、公共サービスの担い手であります民間労働者の労働条件の悪化が生まれて、結果として公共サービスの提供にも支障を来すような事例が生まれています。

 そこで、資料を配付いたしました。この二つのグラフを見て、後で大臣に認識をお伺いしたいんです。

 一つは、ビルメン業務の契約改定率の推移。これは、全国ビルメンテナンス協会、ビルメンの業界団体が取りまとめた資料でございます。

 これは、継続物件の契約額の対前年度比の増減額の割合です。平成二年から九年ぐらいまでがプラスとなっているのは、少なくとも契約改定額が上がっている。それが、平成十年度以降は大きく下がってきています。ですから、マイナスである限りは下がり続けているという状況ですね。ここで見ていただくとわかるように、民間よりも官公庁、公団での下がりぐあいの方が大きいというのがこの間の実態でございます。人件費が大半を占めているのがビルメンの仕事でございますので、この単価が下がれば、ストレートに労働者の労働条件の悪化に直結をすることになります。

 もう一つが、公共工事設計労務単価の推移(全職種平均)を国土交通省の資料をもとにグラフにいたしました。

 公共工事では、工事費の積算に当たって設計労務単価が設定されておりますが、この間、毎年下がり続けております。公共工事受注を目指したダンピング競争の激化で発注価格が下がり、それが労務費にしわ寄せされて、現場では設計労務単価より低い賃金となっています。その実勢を調査して翌年の労務単価費をつくるわけですから、結果として設計労務単価自身が下がり続けることになっております。税金を使った公契約のもとで働く民間労働者の賃金が下がり続けるという、いわば民間労働者においての官製ワーキングプアの再生産が行われています。

 そこで大臣に伺いますが、このように公共サービスを担う民間企業で働く労働者の労働条件が悪化をしているのではないのか、この点での大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 公共サービス基本法に規定する安全で良質な公共サービスを受ける国民の権利は、公共サービスの実施に関する配慮、公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保や権利の保障があって初めて実現されるものというふうに認識をしています。

 公共サービス基本法は、私も立法者の一人ですけれども、一方で国や地方公共団体は、公共サービスを委託した場合であっても、今委員がお話しのような事例ですけれども、委託先との役割分担や責任の所在の明確化や、それに従事する者の労働環境の整備に努め、良質な公共サービスの提供を確保すべきもの、こういうふうに立法者の意思として、そこに皆さんがお話をいただいたということを記憶し、また、そのために公共サービス基本法が適正に守られるように期待をするものでございます。

塩川委員 今、大臣がお触れになった公共サービス基本法、大臣が以前起草者となってまとめられた公共サービス基本法の十一条に、「国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」とあるわけです。

 そういう点で、大臣として、委託先の企業の労働者も当然のことながらこの公共サービス基本法で言う労働者、公共サービスの実施に従事する者に当たるということでお答えいただいたと思うんですが、改めて確認したいと思います。

原口国務大臣 先ほど申し上げましたように、公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保あるいは権利の保障ということには、委託先との役割分担や責任の所在の明確化、そしてそこに従事される方々の労働環境の整備に努める、これが良質な公共サービスを提供する上で極めて重要であると認識をしております。

塩川委員 そういう点で、先ほどのグラフでございますけれども、このビルメン業界や公共工事に従事をする建設労働者の方の労働条件が大きく悪化をしているのではないのか。ですから、公共サービス基本法をつくったその背景、このような国や自治体が発注する業務における委託先の労働者の労働条件が悪化をしている、こういうのを背景として公共サービス基本法は生まれたのではないのか、そのように考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

原口国務大臣 委員も公共サービス基本法の制定に大変大きなお力を尽くしてくださいましたが、まさに委員がおっしゃるように、公共サービスにかかわる皆さんお一人お一人、もちろん、この公共サービス基本法というのは公共サービスを受ける国民の側の権利保障という法律の体系でございますが、この十一条におきまして、そのサービスの提供者の皆さんについてもしっかりとした配慮をすべきということをうたっておるものだと思料しております。

塩川委員 この十一条には「必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」とあります。ですから、公共サービスを担う受託先企業の労働者の労働条件の改善につながる施策であるべきだと思いますけれども、そういうサービスを担う企業の労働者の労働条件の改善につながる施策というのは具体的にどういうものなのか、お考えのところをお聞かせいただけますか。

原口国務大臣 本規定の生かし方、十一条の生かし方については、あのときも随分議論させていただきましたが、公共サービスにおける権利を国民の皆さんが学んでいただいて、それをどのように保障していくかという観点から行動していただくことが重要でございます。

 総務省としては、そのような国民の皆さんの動きをしっかりと支えるとともに、みずからも職員の健康のための対策や処遇のあり方の指針を示し、さらに今おっしゃるような委託先、公共サービスに従事する皆さんの権利の下支えをしてまいりたい、このように考えています。

塩川委員 そういう点でも、現状が労働条件悪化のもとにあるという点でも、こういう公共サービスを担う企業で働く労働者の実態調査というのを国として行うことも考えるときではないのか。そういう民間労働者の労働条件の実態についての調査を考えるというお考えはございませんか。

渡辺副大臣 アウトソーシングにつきましては、厳しい財政状況の中で効率的に事業が行われるということを期待する反面で、そのしわ寄せが安全、安心の劣化にならないか、こういうことも危惧されるわけでございます。

 総務省としては、各地方公共団体の自主的な取り組みに期待をしつつ、必要に応じて助言を行ってまいりたい。国としてというよりも、各自治体が必要に応じて実態について調査をされるだろうというふうに考えております。

原口国務大臣 あのときも議論しましたけれども、地方自治体については、これはそのときの議論を紹介するにとどめますけれども、公共サービス基本条例、そういったものにつないでいただいて、それぞれの取り組みをさらに強化していただきたい、このように願うものでございます。

塩川委員 今、国や自治体が公共工事や委託事業を民間事業者に発注する場合に、この事業に働く労働者の労働条件を適切に確保させる公契約運動が進んでまいりました。御案内のとおり、千葉県野田市の公契約条例がそのスタートでございましたし、日野市や国分寺市、尼崎市などでもそういう条例制定の動きがあると承知をしています。

 大臣として、地方自治体で公契約条例制定の動きが広がっているのは、私は望ましい動きだと思っておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

原口国務大臣 お話しのように、千葉県野田市における取り組みは、働く人たちの権利を保障し、公共サービスの質を高めていこうという動きであると認識をしています。

 公契約における賃金等の労働条件のあり方に関しては、発注者である国の機関や地方自治体も含めて幅広く議論を進めることが必要でございますが、私は、公契約、それから発注制度についてもさらに合理化しなきゃいかぬというふうに思っています。電子政府、あるいは電子調達といったことを考えてみても、その部分を軽くし、働く人たちのさまざまな資源配分に使う、働く人たちの権利保障に使う、これが極めて大事だというふうに思っております。

塩川委員 野田市の公契約条例の前文には、ぜひ国で公契約法をつくってほしいという趣旨がうたわれておるわけですね。

 「地方公共団体の入札は、一般競争入札の拡大や総合評価方式の採用などの改革が進められてきたが、一方で低入札価格の問題によって下請の事業者や業務に従事する労働者にしわ寄せがされ、労働者の賃金の低下を招く状況になってきている。」こういう状況を改善するためには、一つの自治体の取り組みで解決できるものじゃない、「国が公契約に関する法律の整備の重要性を認識し、速やかに必要な措置を講ずることが不可欠である。」と述べているわけです。

 ですから、こういった動きに対応して、ぜひ国として、公共工事はもちろんのこと、役務の提供も含めた公契約全般にわたる公契約法そのものを、地方で条例をつくるのを大いに頑張ってもらうのと同時に、公契約法をつくるということについて、今、一歩前に進めるときだと思っていますが、その点についてお聞きいたします。

渡辺副大臣 御指摘の趣旨につきましては、野田市や江戸川区等の自治体を初め、全国市長会からも要望をいただいておりますし、また、そういう点につきましては、これまで累次大臣も幅広く検討していくべきであるというふうに分科会等でも答弁をしております。

 今後、幅広く検討をし、また、地方のさまざまな実情というものを当委員会を含めて各委員から伺いながらぜひ検討してまいりたい、そのように考えております。

塩川委員 今、原口大臣も渡辺副大臣も、幅広く議論、検討したいという話でございました。閣僚の中では、仙谷大臣などが、これはある集会のあいさつの中で中央でも公契約法の実現に向け私も努力したいという積極的な発言もしておられます。

 昨年、我が党も含めて、民主党など野党で公共工事報酬確保法案の準備を行ってきた、国の公共工事で労働者に支払われる報酬に最低基準を設ける公共工事報酬確保法案の提出を準備してきたわけですけれども、先ほども言いましたように、大臣に改めて伺いますが、国として、公共工事に限定せず、特にごらんいただきましたようにビルメンの業務のような役務で大幅な労働条件の悪化につながるような事態が生まれている、だからこそ役務などを含めた公契約法を制定する時期にあるのではないのか、その点についての大臣の御決意をお聞かせください。

原口国務大臣 現状認識については塩川委員と同じ認識を持っております。

 仙谷大臣がお話をしましたように、これは政府全体として検討を重ねてまいりたい、そのように考えています。

塩川委員 この間、行革推進法などによって自治体の業務などがアウトソーシングされるという事態が行われてきました。その結果として、労働者の労働条件の悪化につながっている。こういう意味でも、公契約条例の動きを大きく進めると同時に、公契約法をしっかりと制定するときである、このことを強く求めて、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 先ほど赤澤委員からも話が出たようでございますけれども、ウィルコムの経営破綻をめぐり、幾つかお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 経営再建中のPHS最大手ウィルコムは、二月十八日、会社更生法の適用を東京地裁に申請しました。ウィルコムは総務省から二・五ギガヘルツの周波数割り当てを受けて、次世代PHS、XGPのサービス開始を目指すということであったわけであります。ところが今回、経営危機に陥って、企業再生支援機構の支援を受けることとなりました。

 この間、ライバルの攻勢にさらされて、ウィルコムはユーザーをどんどん奪われてきた状況でありました。ウィルコムのPHS加入契約は、昨年十二月末の段階で四百二十九万九千四百件。二年前の四百六十五万九千件と比べると、実に三十五万人も加入者を減らしてきた。こうした加入者減に悩むウィルコムに対して、将来性を不安視した取引銀行団が借りかえに対して難色を示す。九月になって私的整理の一つである事業再生ADRを活用するということになりましたけれども、しかし、その後も、有利子負債一千三百億円の扱いや出資金額をめぐって金融機関などの交渉が進まない、こういう状況に陥った。こうした事態を受けて、ことし二月、企業再生支援機構の活用に活路を見出すという形になったわけであります。

 電波監理審議会は、二〇〇七年の十二月に、この二・五ギガの割り当てについて、ウィルコムとKDDI陣営のワイヤレスブロードバンド企画の二社が適当という答申を出しました。ソフトバンクグループのオープンワイヤレスネットワークと、NTTドコモとアッカ・ネットワークスの合弁会社のアッカ・ワイヤレスが、四社のうち落選をしたわけであります。

 そのときの電波監理審議会の比較審査の結果を、きょう皆さんのお手元に資料としてお配りをさせていただいています。

 特に、一の四番というのをごらんいただきたいんですけれども、「特定基地局の運用による電気通信事業を確実に開始し、かつ、継続的に運営するために必要な財務的基礎がより充実していること」、これについてウィルコムがA評価というものを受けている。ソフトバンクやNTTの系列の会社はB評価ということで、低い評価になっているわけであります。

 この決定に先立ち、総務省は二〇〇七年の十一月二十二日、二・五ギガヘルツの免許申請をした四社を集めた公開カンファレンスというのを開催しております。四社で公開討論をやって、自分たちの事業のすぐれたところをアピールしてもらおう、こういうことであったと思いますが、そのときに、ソフトバンクグループのオープンワイヤレスの孫正義代表取締役は、事前報道で有力と言われていた、特にウィルコムについて次のように述べておりました。

 ウィルコムの筆頭株主はカーライル・グループだが、ウィルコムは加入者純減を繰り返している。そのような状況で、財務的なリターンを得ることが使命である外資系投資ファンドがウィルコム株を売らない保証があるのか。ソフトバンクがプロ野球球団を買ったときさえ、二十年は売却しないと一筆入れるように言われた、こういうお話をされております。

 二〇〇七年に、結局ウィルコムは二・五ギガの免許を取得するわけですけれども、翌年の秋には日経新聞で、カーライルがNTTにこのウィルコムの保有株式の売却を持ちかけて破談になった、こんな報道が掲載をされるなどしております。その後、カーライル・グループは昨年、ウィルコムへの五十億の追加出資に踏み切ったわけでありますけれども、結局は孫さん御指摘のとおり、加入者純減による経営の行き詰まりということになってしまったわけです。

 この時点でこのような指摘を受けていたにもかかわらず、比較審査の結果はごらんのとおり、「電気通信事業を確実に開始し、かつ、継続的に運営するために必要な財務的基礎がより充実している」、こういう評価を、ドコモよりもソフトバンクよりも上回っているという評価をされているわけであります。

 この時点での評価の根拠と審査の基準についてお尋ねを申し上げたいと思います。

内藤副大臣 お答えをさせていただきます。

 この審査については、平成十九年ということですから、前政権において行われたことでございます。それで、事務的に確認をさせていただきましたところをお答えさせていただきます。

 比較審査項目のうち、財務的基礎については、まず株式会社ウィルコムは、設備投資資金の半分程度を現行のPHSサービスに計上される減価償却費からの繰り入れで賄うということが一つ。そして、現行サービスに万が一の不振などがあった場合、不測の事態があった場合は、金融機関からの借り入れや社債の発行の検討を行うことを計画していた。他方、他三社についてはどういうことかといいますと、増資や借入金によって調達することを計画していた。こういったことを比較審査した結果、株式会社ウィルコムの財務的基礎が相対的に高く評価されたものと承知しております。

 しかし、その後、リーマン・ショック等、予想し得ないようなことが起こったがために、銀行自体、金融機関自体も大変な状況になり、ウィルコムの借り入れが困難になったものと承知しております。

柿澤委員 結局はこういうことに立ち至ってしまったわけであります。

 これに先立つ二〇〇五年の十一月には、電波監理審議会が携帯電話の新規参入に関する方針案について答申をして、新方式の二・〇ギガでアイピーモバイルに周波数を割り当てることになりました。ところが、このアイピーモバイルについても、二〇〇六年十月にデータ通信サービスを開始する予定だったのが、迷走に迷走を重ねて、最終的にスポンサーから手を引かれてしまって、あえなく自己破産、免許返上に至っております。

 こういう形で、官僚や一握りの専門家が美人投票を行って周波数割り当ての事業者を決める比較審査方式というものを行っていても、結局はこうしたことに立ち至ってしまうということなんだろうというふうに思います。結局、官僚や専門家が正しい業者を選定する、こういうことは、行政の裁量でこういう事業者選定を行っていくことは不可能ということだと私は思っておりますけれども、そうであるとすれば、周波数オークションのような形で、公明正大にこうした周波数、電波の割り当てというものを今後は行っていくということが考えられるのではないかと思います。

 これは、部分的には民主党の政策インデックスにも採用されている考え方でありまして、「電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進」、また「適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し」、こんなことを言われております。

 アメリカを初めとして、OECD三十カ国のうち二十三カ国で、もう既に周波数オークションは行われているわけでありますので、この周波数オークションというのを考えるつもりが今後ないでしょうか、お尋ねを申し上げます。

原口国務大臣 先ほどのウィルコムのことについては前政権時代でございますが、少し私たちもまた、そのときの認可に至るものを検証してみたいと思います。

 そしてその上で、周波数オークション導入、私たちはインデックスの中でそれを明示しているわけですが、貴重な電波をだれが何に利用するかということは非常に重要でございます。そこで、公共性、公平性、そして公正性、透明性、将来を見越した先見性に配慮しつつ、議論を深めていきたいというふうに思っています。

 あるときにドミナントであったものが次にドミナントであるとは限りません。だから、加速的な将来性を見越しながらも、公平、公正な制度、つまりオークション制度について検討を進めてまいりたい、このように考えています。

近藤委員長 柿澤未途君、質問時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

柿澤委員 きょう内閣府の古川副大臣にお見えをいただいていますので、最後に一つだけ。

 先ほど赤澤委員からも御指摘があった論点でありますけれども、ウィルコムは三月十二日に企業再生支援機構が支援決定をして、東京地裁で会社更生手続も同日に始まったわけであります。JALに続く企業再生支援機構の再生案件の第二弾ということになるわけですけれども、設立当初の、地域にある中小企業の再生支援という目的はどこに行ってしまったんだと思うんですよね。

 機構のホームページを見ると、地域経済の再建を図り、あわせて、これにより地域の信用秩序の基盤強化にも資するようにするため、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている中堅事業者、中小企業者とその他の事業者の事業の再生を支援することを目的として、こういうことを書いてあります。もちろん大企業も、その他の事業者ということで支援対象になるとは書いてありますけれども、わざわざこの機構のホームページでは、過去の産業再生機構との違いは何かということでQアンドAを設けて、産業再生機構は、産業の再生と不良債権処理の促進による信用秩序の維持が目的だったが、企業再生支援機構の目的は、主として地域経済の再建にあるということを明記しているわけです。それがなぜウィルコムなのかということなんですね。

近藤委員長 簡潔にお願いします。

柿澤委員 機構の事業が設立目的とかけ離れてしまっているのではないかと思いますけれども、機構担当大臣の古川副大臣にお尋ねを申し上げたいというふうに思います。

古川副大臣 時間も過ぎておりますので、簡潔に申し上げたいと思います。

 本件につきましては、本体企業のみならず、取引先等の関連企業が中堅、中小企業を含め多数に及び、その破綻というのが地域の雇用、経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあることなどから、再生を支援する重要性は極めて大きいと判断をされたものというふうに理解をいたしております。

柿澤委員 時間が足りないものですから、大変中途半端な質疑になってしまいましたけれども、この件については、これから企業再生支援機構の今後の活用のされ方というのを見ていかなければならないというふうに思います。

近藤委員長 柿澤君、質問時間が終了いたしておりますので、御協力をお願いします。

柿澤委員 大企業の企業再生に今後も利用されていくということであれば、場合によっては、これは目的の変更ということも必要になってくるんではないかなというふうに思います。そうしたことを最後に申し上げさせていただいて、時間超過のおわびを申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 次回は、来る二十五日木曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十九分散会


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