衆議院

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第17号 平成22年5月18日(火曜日)

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平成二十二年五月十八日(火曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      石田 三示君    小川 淳也君

      小原  舞君    緒方林太郎君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      金子 健一君    小室 寿明君

      階   猛君    高井 崇志君

      中後  淳君    寺田  学君

      永江 孝子君    野木  実君

      野田 国義君    藤田 憲彦君

      皆吉 稲生君    山岡 達丸君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    佐藤  勉君

      坂本 哲志君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  外山 秀行君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          利根川 一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (国土交通省河川局砂防部長)           牧野 裕至君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     金子 健一君

  奥野総一郎君     石田 三示君

  小室 寿明君     緒方林太郎君

  赤澤 亮正君     坂本 哲志君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     奥野総一郎君

  緒方林太郎君     小室 寿明君

  金子 健一君     山岡 達丸君

  坂本 哲志君     赤澤 亮正君

同日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

五月十八日

 郵政改革法案(内閣提出第六一号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第六二号)

 郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第三部長外山秀行君、総務省情報通信国際戦略局長利根川一君、情報流通行政局長山川鉄郎君、総合通信基盤局長桜井俊君及び国土交通省河川局砂防部長牧野裕至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大谷啓君。

大谷(啓)委員 民主党の大谷啓でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 本日の審議は、放送法、電気通信事業法等の一部を改正する法律案ということでございます。まさに六十年ぶりの法体系の抜本的な見直しが図られるものでありまして、国民の皆さん、そして関係する業界、企業の皆さんにその中身の本質がしっかりと理解いただけるよう質問させていただきたい、そのように思っております。よろしくお願いいたします。

 私も、IT、情報通信の業界で長く仕事をしていたものですから、かつて、通信事業者として免許を取得するのにトラック何台分の書類を提出しなければいけない、そのような時代から存じておりまして、それに比べると、今や、通信や放送への事業参入が多様化して簡便になってきた、そしてブロードバンドの普及、ウエブ技術の発展、コンテンツのデジタル化などによって、実際に放送と通信の融合というものがここ数年で飛躍的に進んできた、そのように実感しているところでございます。

 また、コンテンツも、いわゆるマスメディアとプロが制作するものだけではなくて、CGMと言われるような、普通の人が制作したコンテンツが流通する時代になってまいりました。ユーチューブ、ニコニコ動画、そういった動画配信を含め、大臣も御存じのとおりだというふうに思っております。

 今回の法改正は、こういった通信と放送の融合という時代認識の中で、その時代、そしてこれから予見される世界に法律を適合させていこう、これが今回の法改正の一つの意図だというふうに理解しておりますが、まずは今回の法改正の意図につきまして、原口大臣に改めてその見解を教えていただければというふうに思っております。

原口国務大臣 おはようございます。

 大谷委員は、ICTの分野でも大変な御知見をお持ちで、私たちを先導してくださっています。

 その上で、この背景を申し上げると、情報と通信が融合化している、そして物すごい勢いでICT分野が伸びています。ICTというのは今まではコストだと思われていたのが、今はコストではなくて成長の原点、成長の土台になっています。

 そして、その中で、すべての国民にいわゆる放送、通信、コミュニケーションにおける権利を保障するためには、この六十年間で、今六十年ぶりの改正とおっしゃいましたけれども、さまざまな法体系がやはり時代に合わなくなってきている。これを一本にして、デジタル化の進展に対応した制度の整理合理化を図る、これが大きな意図でございます。この法案により、通信・放送分野を規律する八本の法律が四本に簡素化されるわけでございます。

 また、第二に、事業者における経営の選択肢の拡大を図るということを意図しています。この法案により、次の事項が可能になります。

 すべての放送について、いわゆるハード、ソフトの一致も分離も選択可能になる。多様な時代は、選択が可能だということがやはりとても大事です。

 あるいは、電気通信業務用の無線局を放送に、放送用の無線局を電気通信業務に利用することを可能にしているわけでございます。

 また、マスメディア集中排除原則。言論の自由、報道の自由、表現の自由、今委員がおっしゃいました、すべての人が発信者になっている、そして瞬時に無限大の情報が世界を駆けめぐる。こういう時代に、経営が悪化していますから、基幹放送事業者にとっては他の基幹放送事業者からの出資の余地を残しながらも、マスメディア集中排除原則というのはきっちり書き込む。あるいはクロスオーナーシップについても、五年の間にきっちりと答えを出していく。つまり、言論が一つの資本によって一色になるということは決してあってはならない。

 まさにコミュニケーション、民主主義の基盤となるものを、この改正によってその基礎をつくっていこう、これが大きな意図でございます。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 今回の法改正で、通信・放送の法律の体系が、まさに今の時代に即したシンプルな体系に組みかえられる。私も、そのこと自体は大変評価しております。しかし、依然、放送法、電気通信事業法というものは別建てで今回も法律として残されました。

 確かに、放送においては憲法二十一条第一項の表現の自由が、そして通信においては第二項の通信の秘密の保護が大変重要でありまして、今回の法改正においても、通信と放送の互いに維持すべき法益、目的が異なるため、このような措置になったというふうに理解しております。しかし一方で、視聴者の観点から見ますと、まさに今、通信を使って今までの放送のコンテンツが自由に、オンディマンドで見たいときに見られる、こういう時代になっているわけです。

 さきの委員会での柿澤委員への答弁で、いわゆるユーチューブ、ニコニコ動画に類するものは放送ではなく通信だということを大臣はおっしゃっておりましたけれども、まず、今回の法改正に基づく放送と通信のそれぞれの定義について教えていただきたいと思います。

原口国務大臣 おっしゃるとおり、守るべき法益が違うんですね、通信は秘密、放送は表現の自由、公正性。

 そこで、定義ですけれども、電気通信の定義については現行法から変更はなく、「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること」、こういうふうに定義をしています。一方、放送の定義は、放送関連四法の統合に伴い、各種放送の定義を合わせて、「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」としておるわけでございます。

大谷(啓)委員 その定義はわかりにくいんですが、何となく感覚的には理解はしているつもりでございます。しかし、先ほど申し上げましたとおり、実際、視聴者から見ると、もうほとんどその区別というのがなくなっている。これから、もっともっとそういう区別がなくなっていくんではないかなというふうに私は思っています。

 最近、若者なども、今までと違って、家に帰ってもテレビをつけるんではなくて、パソコンを立ち上げて、そのパソコンの中で見たい動画を見る、ドラマだとかニュースだとかそういったものをオンディマンドで配信されて見る、さらには、家にいないときも携帯を使ってさまざまな動画を見る、こういうふうなライフスタイルに変わる、そういう傾向がございます。また、テレビ自体ももうネットにつながっていくという中で、これから将来、ますます放送のコンテンツが、今までの垂れ流しで流されているものを受動的に見るだけではなくて、まさに通信を使って見たいときに見る、こういうライフスタイルに大きく変わっていくんではないかなというふうに私は考えています。

 私自身も、ユーチューブ、ニコニコ動画、こういったCGMのコンテンツにまで規制を加える、これはあってはならない、そのように思っておりますが、これから、例えば、いわゆるオンディマンドTVのようなサイトが人気を博して、それを使って、そのサイトチャネルが独自にニュース番組などを制作する、そして多くの視聴者が、そういった形でつくられたニュースを見たいときに見る、こういうふうに変わっていくんではないかなということも想定されるわけです。そういう場合に、本当に、このコンテンツは通信だからといって何にも規制をしないというのが正しいのかどうか。これは、これから国として微妙な判断も求められてくるんではないかなというふうに私は思っています。

 今申し上げましたように、いわゆる通信のカテゴリーで配信される、オンディマンドで配信されるコンテンツに対しまして、あるいはそのサイトに対しまして、いわゆる放送の中で適用されておりますような不偏不党の原則、そういったものをこれから求める必要がないのか、そのように私は思うんですが、原口大臣の御見解を教えていただきたいと思います。

原口国務大臣 内藤副大臣からも知見をちょっとお話しさせていただきますが、おっしゃるように、通信と放送が融合してくると、一対n、あるいは一対無限大、こういうものがほぼ今の放送の枠と、通信といってもIPテレビだとかオンディマンドテレビだと、もうほとんど変わらなくなる。そうすると、そこにおける法規制はどうあるべきかというのは次の課題としてあると思います。

 ただ、今委員もおっしゃったように、今流れているニコニコ動画やそういったものを、では、放送法と同じような規制で、そこに何らかの手を突っ込んでいいのか。そこは非常に慎重でなければいけないし、現時点でそこに規制を置くべきではないというふうに私は考えています。

 とはいえ、スピードが速いですから、これは放送なのか、いや、通信なのかというのがわからなくなる時代も必ず来ると思うんです。だから、私たち政治が一刻も早く、時代を先駆けて、そして将来はどういうものになるということを見越した上での議論をしていくことが大事で、今の大谷委員の問題提起は、将来にわたって、私たちの放送・通信行政を所管する上で極めて本質的な御議論をしてくださっていると思います。

 ちょっと内藤副大臣にお答えさせます。

内藤副大臣 私からも短時間でお答えをさせていただきます。

 まず、形式的なことを申し上げさせていただくならば、今回新たに定義された放送は、公衆によって直接受信されるものということではございますが、オンディマンドというのは、こちらが求めるという特定の者に対しての受信でございますから、放送ではない。

 ただ、だからといって、未来永劫そのままでいいのかというと、そうは思っておりません。御案内のように、EUにおいては、放送に相当するノンリニアに関して、コンテンツに対し一定の規律を課しております。ただ、では、日本は今それだけの国民的コンセンサスが成熟しているかというと、そうでもありません。

 そして、もう一つクリアしなきゃいけない問題があります。通信と放送が融合しつつあるとはいうものの、では、実態面、どこまで融合しているのかと考えたときに、例えばNHKを例にとると、もう瞬時に一億二千万の人が同じコンテンツを受信できる。ところが通信はどうかというと、今、技術的な理由ゆえに、実はせいぜい数万人程度というのが限界でございます。

 これが、例えば将来的に数百万あるいは数千万、同時聴取が可能になるかどうかが一つ。そしてもう一つは、国民的コンセンサスがどこまで成熟するかどうか。この二つの問題がクリアされたときに、委員がおっしゃるような議論が再び始まり、そして、しかるべきところに落ちつくのではないかと思っております。

 以上でございます。

大谷(啓)委員 大変よく理解できました。

 本当に、原口大臣がおっしゃっていたとおり、極めてスピードが速い、変化が早い、そういう業界でございますから、総務省としても、しっかりとその辺の業界動向をにらんでいただいて、今回改正されました後でも、適宜、実態に合うような形での法改正というものを随時検討していただきたい。

 今の時代認識の、まあ、感覚の問題だとは思いますが、ただ一部には、今回の法改正においても、放送法、電気通信事業法、本当にこれを別建てにする意味があるのかというような議論もございます。実際、二年前の、通信・放送の総合的な法体系に関する研究会の最終報告書の中では、情報通信法のような形で、いわゆる通信と放送を全く峻別せずに、事業者規制を横断化すべきだ、このような答申も出されたやに伺っております。

 こういった法体系のさらなる一体化に関しまして、大臣の御見解を教えていただきたいと思います。

原口国務大臣 その委員会の報告書を私も拝見しましたけれども、やはり通信と放送が融合して、いずれかの時代には一本化ということも検討されると思います。

 しかし、先ほど申し上げたように、通信の一番守るべき法益、放送の守るべき法益、これは現在のところ、先ほど技術的なお話は内藤副大臣がいたしましたけれども、それもやはり分かれている。そこで、では投網的な規制をやることが本当にいいのか。今、通信がどんどんどんどん広がって拡大をし、成長をしています。その成長しているコンテンツ分野、あるいは表現や報道のそういったさまざまな自由といったところ、やはりそこに堰をつくってはならない。こういうことで、今現在御提案している法律になったわけでございます。

 ただ、そうはいっても、例えば韓国へこの間参りましたけれども、IPTVなんですね。もう録画というものがなくて、オンディマンドで一次利用、二次利用、三次利用していく。地上波で流れたものが、即通信で次にまた流れていく。こういう時代がもう来ていますから、私たちは不断の見直しをして、そして高い理想とそれに裏打ちされたビジョンを持って国民の負託にこたえていく、これが大事だというふうに考えています。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 しっかりと総務省としても、業界の動き、国民、利用者の動き、そういったものをウオッチしていただいて、必要な措置を今後も講ぜられるようお願いいたします。

 いずれにいたしましても、今回の法改正で、放送と通信の融合はますます進んでいくでしょうし、そういう中で、全国でも放送・通信事業の競争というものが激化していくというふうに私は思っています。いずれにしても利用者の選択肢がふえる。私は、そのこと自体は非常に好ましいというふうには思っているんですけれども、例えば今回の地上波のデジタル化に際しましても、その対応として、自分でアンテナを立ててそれにつないでいくのか、あるいはケーブルテレビに加入するのか、あるいは光を引っ張ってきて、そこから提供されるサービスを利用するのか、幾つかの選択肢があるわけでございまして、実は、私の選挙区などを歩いていても、多くの利用者が非常に混乱している、そういう状況だというふうに私は思っています。

 特に有料放送につきましては、放送事業者と受信者との間で契約に関するトラブル、苦情、こういったものが大変ふえているというふうに聞いておりまして、今後、選択肢が多様化する中で、ますますこの傾向は強くなるというふうに理解しております。

 今回の法改正におきまして、こういったトラブル、苦情に対する対策がどのような形で講ぜられているのか、まずお尋ねしたいと思います。

内藤副大臣 大谷委員御指摘のとおり、国民生活センターに寄せられた有料放送に関する苦情件数は、ここ十年間で急増しておりまして、平成二十年度では三千件となっております。十年前と比べても八倍、五年前と比べても倍増という状況でございます。

 そして、国民生活センターに寄せられる苦情を分析してみますと、やはり何といっても、契約者自身が月々の費用や解約に当たっての制限などに関して十分な理解をなされていないということが判明をいたしました。

 そういったことも踏まえて、以下の三点、改正をさせていただいた次第でございます。

 まず一つ目といたしましては、有料放送の役務に関する料金その他の提供条件について受信者にしっかりと説明をすること、そして二つ目といたしまして、受信者から苦情または問い合わせが寄せられた場合に、適切かつ迅速にこれを処理すべきこと、そして三つ目といたしましては、有料放送の業務を休廃止しようとするときは、受信者に対し、その旨をあらかじめ周知をさせること、これらのことを有料放送事業者に対し課すこととした次第でございます。

 なお、役務の提供条件等について説明不足等があった場合には、総務大臣が違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができるということも加えております。

 以上でございます。

大谷(啓)委員 こういう苦情、トラブルがふえている中で、今回の法の中でしっかりとそのことを明記した、これは大変意義があるというふうに思っていますので、ぜひしっかりと運用の方をしていただきたい、そのように思っております。

 ただ、法の中で、受信者に対する説明義務を幾ら放送事業者に課したところで、実は、その前提となる、いわゆる放送に関する知識というものがなければ、今後もなかなかこういった苦情というのは減っていかないのではないかなというふうに私は思っています。

 少なくとも、今まではアンテナにテレビをつければ、ほかの周りの人と同じようにテレビが見られる、こういう時代だったわけで、まだまだこの手の感覚の人が非常に多いわけでございます。一方で、実際には光にもつながる、ケーブルテレビにもつながる、そしていろいろなチャンネルが見られる、そういうオプションがある。さらには有料である。サービスが多様化しているわけですから、その選択の前提となる知識をやはりもう少し国民の皆様に、放送を主管する総務省の立場で啓蒙していく必要がこれからあるのではないかなと私は思っています。

 デジタル化におきましても、最後、デジタル化対策をしっかりとやっていかないといけない部分が残り一年間でまだ多くあるわけですけれども、こういった知識不足というものも非常に大きな要因なのではないかなと私は思っています。例えば、NTT西日本に関するテレビ放送のサービスも、フレッツTVというものがあり、ひかりTVというものがあり、伝送方式も違う、提供されるサービス、料金も違うというんですが、なかなかその名前だけでは伝わらない、そういった状況があるわけでございます。

 こういう時代において、私は、総務省として、ぜひ放送に関して国民の理解のレベルを上げる、こういった具体的な策を、今回のデジタル化を介してやっている部分もあるんですけれども、今後ますますやっていく必要があるのではないかというふうに思っておりまして、ぜひその策を御検討いただきたい、そのように思っておりますが、大臣の御見解をお願いいたします。

原口国務大臣 おっしゃるとおりで、今も内藤副大臣に、フレッツ・テレビとひかりテレビとどう違うんだと言いましたけれども、私、答えが間違っていました。だから、そうやって専門にやっている人間ですら、やはり片仮名語が出てきたり新しい言葉が出てくると混乱しますね。

 私は、まず、消費者基本法の中に書かせていただいたけれども、事業者やあるいは国、地方公共団体というのは、消費者が多様な中からきっちりと安全な環境で選択できる権利を保障することが大事だというふうに思います。

 今おっしゃった有料放送についても、提供条件の説明や、苦情等の適切かつ迅速な処理、及び業務の休廃止の際の受信者への周知を有料放送事業者に課すことにしておりますけれども、まずは、有料放送をめぐる契約内容について国民の皆様に理解をしていただくということが大事だと思います。

 今までの具体的な相談事例が積み上がっていますから、これを踏まえて、通信事業などの取り組みの先行している他の分野の状況も参考にしつつ、国民の皆様に理解を深めていただく努力を進めたいと思います。

 それからもう一つ、地デジについても、二〇一一年の七月二十四日まで、もうあと四百数日を切って、これもどうすればいいか。やはり通信事業者の方々にもまたお知恵をいただいて、先ほどおっしゃったような方法もございますので、一〇〇%、七月二十四日になったけれども、いざ停波してみたら見られないなんということがないように頑張ってまいりたいと思いますので、またお知恵をおかしいただけると幸いでございます。

大谷(啓)委員 今回のデジタル化を契機に、実は本当にその辺の飲み屋でも、こういうのに加入してこれだけ金を取られているとか、そういうふうな話題が出ておりまして、そういった話題が国民の中で出ているというのは非常に私もいいことだと思うんですけれども、あと一歩理解を深める必要があると思いますので、ぜひ、いろいろと相談しながら、そういった施策についても取り組んでいきたいと私自身も思っているところでございます。

 あと、今後情報通信の競争が激しくなる中で、特に地方のローカル地上局、既に多くの事業者が経営不振に陥っている、こういう現状がございます。デジタル化に伴う設備投資の負担ですとか、あるいは広告収入の激減、さらには、その中でおもしろい独自のコンテンツ、ローカルコンテンツというものがなかなかつくれない、こういった現状があるわけでございます。

 しかし一方で、原口大臣が進めております地域主権改革、こういった中で、ローカル局の持つ、特にローカルコンテンツの重要度はこれからますます高まってくるはずですし、こういったものを活用して、地域の創富力というものを上げていく必要があるのではないかというふうに私自身も考えています。

 民間の話ですから個別具体的な話は結構でございますけれども、一般論として、大臣から見たローカル局の位置づけ、そして今後、彼らの振興のために何か国としてバックアップできるようなことがないのか、御見解をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 今おっしゃるように、地方のローカル局は、この数十年成長しない日本経済の中で、特に地域が疲弊する、その映し鏡のように非常に厳しい経営になっています。

 ローカル局は、放送や報道、そしてさまざまな文化、歴史、その地域の誇りを伝える、地域の皆さんにとって大変大きな、ある意味、公的な表現の場、拠点であるというふうに考えています。単なる民間の営利企業だけだというふうな見方は一面的だというふうに私は考えておりまして、この法案におきましても、マスメディア集中排除原則を明記する一方で、出資規制については、現況を見ながら少し緩めております。そして、それだけではなくて、今おっしゃった地域主権改革のまさに核となるものもこのローカル局だというふうに考えておりまして、私たちは緑の分権改革の中でもローカル局を位置づけて、そして総務省としても支援を行ってまいりたいと思います。

 これは、いろいろなところで国民がコミュニケーションを通して社会に参加する新たな権利、こうやってマイクの前にみずからが、その昔はNHKで、中央で有名なアナウンサーがマイクの前にいるということでしたけれども、もう今は違います。それぞれが発信者になり、それぞれが地域を醸成していくその主役になっていく。その方々が一人一人の創富力を高めていく、地域の創富力を高めていくという支援を、今回、市民公益税制ということでも、税制改革を今議論していますが、税制面でも支えていけるように頑張っていきたいと考えています。

大谷(啓)委員 まさに、ローカル局は本当に大変な状況でございまして、やはり一つの地域の核となれるような策を総務省としても講じていただきたい、そのように考えているところでございます。

 また、ローカルコンテンツ、なかなか地域に根差したおもしろいものができてこないという現状もございまして、これが本当にうまくつくれるような施策についても、ぜひ総務省として今後御検討いただきたい、そのように思っているところでございます。

 時間も残りわずかになってまいりましたが、最後に、来年のアナログ停波に伴いまして、電波の空きスペース、そういったものが出てくるわけでございます。そして、この利活用については、ある意味国策でもあり、国民の大変な関心事でもあるというふうに思っておりますが、空き電波の利用につきまして、その活用の一つとして、総務省が携帯電話を対象にしたマルチメディア放送、こういったものをスタートさせようと検討しているというふうに伺っております。

 まずは、そのマルチメディア放送というものはどのようなものなのか、これについて御説明をお願いいたします。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 御案内のように、アナログの空き地帯のうち、まず、九十から百八メガヘルツ帯並びに二百七から二百二十二メガヘルツ帯を活用して行う放送を、携帯端末向けマルチメディア放送として実現しようと考えております。

 なお、九十から百八は、低いという意味でV―LOWと呼んでおります。他方、二百七から二百二十二は、高い方ということでV―HIGHと呼んでおります。

 具体的にどういう事業を考えているかといいますと、V―HIGHについては、多くは携帯電話事業者が参入を考えているようでございますが、まず放送は放送波で、ばんと全国に流す、そして逆に視聴者からの返信については、それぞれの携帯電話、通信を使って返していただくというものでございます。他方、V―LOWについては、AMだとかFM事業者が主にその参入の希望を示しているところでございます。

 いずれにしましても、V―LOW、V―HIGHともに、携帯電話やカーナビ等の携帯端末、移動端末を主な受信設備とし、デジタルの特性を生かして、これまでのように音声だけではなくて、映像だとかデータ、そういった多種多様な情報をやりとりするということ、あわせて、ストリーミング型の番組や蓄積型の番組、そういったものを柔軟に組み合わせた新たな番組というものをつくり上げていく。

 これが、これから私どもが想定をしておりますマルチメディア型放送と呼んでいるものでございます。

 以上でございます。

大谷(啓)委員 これは実際、事業形態としてはどのような形を考えられているのか教えていただきたいんですけれども、V―HIGHについてはもういろいろな動きがあるやに伺っておりまして、これは、要はこの電波をどこか一社に渡して、その中で幾つかのチャネルを提供してもらう、こういうような事業形態というふうに理解してよろしいのでしょうか。

内藤副大臣 まずV―HIGHについては、そのインフラを提供する事業者については、今、複数希望が寄せられております。そこで、本年、既に五月六日から申請受け付けを開始して、締め切りを六月七日としているところでございます。まだインフラを提供してくれる事業者がどこになるかというのは、今、申請受け付け中ですので、六月七日以降、比較審査をして決定していくということになっております。

大谷(啓)委員 了解いたしました。

 携帯電話での放送といいますと、今までは地上波のワンセグという形で、いわゆる一般の地上波で見られるテレビが携帯電話で見られる、こういう放送があったわけでございます。ただ、ワンセグに関しましても、私も立ち上がりの当初のことは大変よく存じておりますけれども、家でテレビを見る以外のところで放送が見られるということで、例えば事業者にとっても、広告としての価値がいろいろと上がってくるのではないかとか、あるいはワンセグ放送の中で通信を使ってショッピングにつないでいくというようなことができるのではないかと、夢物語ではないですけれども、いろいろなことが言われたんです。

 ただ、結果としては、実はオリンピックだとか野球だとか、そういったイベントごとに対して視聴するという形態はややふえつつあるものの、実際、いわゆる企業としての価値はなかなか上がってきていない実情もあるのではないかなというふうに思っておりまして、このマルチメディア放送についても、いろいろと業界の話を聞いておりますと、前向きな話もあれば、やや懐疑的な見方をする人もいるのが今の現状ではないかなというふうに思っております。

 このマルチメディア放送を携帯電話を使って放送する、そしてさらには通信との融合をうまく図っていく、こういう施策の一環だと思いますが、この効果について、今総務省としてどういうことを考えているのか、その辺、もし考えがあれば教えていただきたいというふうに思っております。

内藤副大臣 これまでのワンセグというのは、どちらかというとテレビを外で見られるというだけのものでした。しかし、これから、まさにV―HIGHについては、より双方向性を生かしたビジネスモデルを構築していただきたいという考えのもと、各事業者、民間ベースで発案をしていっていただきたいというふうに期待をしております。

 また、V―LOWについては、今研究会を立ち上げておりまして、六月に結論を得るべく、今鋭意議論をしていただいているところでございます。V―LOWについても、これまでのように、単にAMだとかFMのように一方通行の放送ではなくて、もっとデジタルというものの特性を生かしたビジネスモデルを構築していただけないのか、そういう観点で積極的な議論を進めていただいているところでございます。

 我々行政の立場から、政府の立場からこういうビジネスモデルというのは言い切れなくて、我々としてはあくまでそういう環境を与える、そこが限度でございまして、あとは自由に民間ベースで議論をしていただきたい、考えていただきたい、こういう立場でございます。

 以上です。

大谷(啓)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、空きスペースというのはある意味、国民の資産でございまして、これを本当に国民の利益に資する形で有効に使っていくということがこれから求められるというふうに思っております。

 電波の利用に関しましては、電波オークションなどいろいろな提案が出されているわけでございますけれども、総務省としてもしっかりと、国民の意見に耳を傾けながら、今後、その利活用の仕方について慎重に御検討いただきたい、そのように思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回、質問の機会を与えていただきました、委員長以下の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 放送法改正案について質問をいたしますが、これだけあるんですね。非常に膨大で、難解で、本当に大変な作業だなと。昭和二十五年以来の改正がまさにここに凝縮されているなというふうに思いました。

 その中で、私は、特に附則の問題についてこれまで過去二回にわたって、クロスメディア所有規制をなぜ附則にまでして法的拘束力が及ぶようにしたのか、そのことが不明であるというようなことをお尋ね申し上げました。附則というのは、簡単な附則かと思ったら、四十三条まである。そして、その十四条の中で、いわゆるクロスメディア所有規制というようなことが唐突に入ってきている。私は、この附則のつけ方というのはやはり不自然であるというふうに思います。

 そこで、きょうは内閣法制局に来ていただいておりますので、内閣法制局に対して、附則のつけ方として何か基準のようなものがあるのか、今回の附則のつけ方は決して特異なものでないのか、四十数条にわたるこの附則については不自然な点もないのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。

外山政府参考人 お答えいたします。

 附則に関するお尋ねでございますけれども、まず附則について一般的に申し上げさせていただきたいと思います。

 法律の附則と申しますのは、御案内のように、当該法律の付随的事項を規定する部分の総括的な名称でございまして、当該法律の本則の後に置かれるものでございます。

 この附則にどういった事項がどういった順番で規定されるかという点についてでございますけれども、附則に規定される事項にはさまざまなものがございます。一般的に申し上げますと、当該法律の施行期日、他法律の廃止、当該法律の施行に伴って必要となる経過措置、今お尋ねのいわゆる検討条項、それから関係法律の改正、こういった順序に従って規定されることになっております。

 そこで、二番目のお尋ねでございますけれども、今回の改正法案の附則のつけ方は特異なものではないのかどうかということでございます。

 お尋ねの改正法附則第十四条、これはまさに一般に検討条項と言われるものでございます。検討条項と申しますのは、通常、法律の附則に置かれる規定でございまして、内容といたしましては、法律の施行後一定の期間内にあるいは一定期間の経過を目途にその法律の施行に関して検討を加え、必要があれば所要の措置を講ずるよう政府に義務づけるものでございます。

 お尋ねの改正法附則第十四条におきましては、まさに、政府は改正法施行後三年以内に改正法の放送法の規定に係る制度のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするという趣旨の規定でございまして、その規定の内容に照らしますと、本条項はまさにいわゆる検討条項に当たるものでございまして、決して特異なものではないというふうに考えております。

 以上でございます。

坂本委員 わかりました。

 ただ、この附則も、本則といろいろな形での整合性というのがなければなりません。今回のこの附則に対して、私は何回も条文を読み返してみましたけれども、やはり不自然な点があるんです。次の点で私は非常に不自然であるというふうに思っております。

 一つは、放送法第九十三条によるマスメディアの集中排除、いわゆるマス排というもの。これは、新聞社なり企業なりが複数の放送局を支配してはならないという、放送法に関する、放送局について、言論の自由なり、言論の統制が行われないようそういうものを定めたのがマス排であります。

 他方、クロスメディアの所有規制というのは、新聞、テレビ、ラジオ、基本的にはこの三つのメディアがお互いに株の持ち合いをして、お互いの持ち合いの中で言論を統制するあるいは言論の自由を奪うということがないように規制する、これが基本的なクロスメディア所有規制というものであります。私はそう思います。実際、そういうふうに書いております。

 そして、その中で、通信及び情報、そして情報の頒布を業とする者、こういったものがただし書きとして入っているわけですね。ですから、本来はクロスメディアの規制条項とマス排の問題は別次元の問題である。そして、本則の中に書かれている条項というのは、新聞、テレビ、ラジオの株の持ち合いを規制するものであり、ただし、その中にニュースあるいは情報の頒布を業とする者が入ってきた場合には改めて検討しますよというようなことが省令で決められるわけです。

 ですから、テレビ、新聞、ラジオと、その他のマスメディア、その他のニュース、情報の頒布を業とする者、これは新聞、テレビ、ラジオが正選手であるとするならば、その他のメディアは控えの選手みたいなもので、ただし書きの中でそれが新聞、テレビの中に入ってきたときはいろいろな検討をしますよ、株の持ち合いを規制する限りではありませんよというようなことを省令の方で定めるわけです。

 マス排の方も、これまでは省令で、新聞などがテレビ局の株を持つときは二〇%以下の株を持つということを省令で決めてありましたけれども、今回は改めて三分の一未満に法定化するということになったわけですね。

 ですから、マス排の原則とクロスメディアの所有規制というのはまさに違うものであり、クロスメディアの所有規制の中においても、本来の新聞、テレビ、ラジオと、通信、ニュース、情報の頒布を業とする者、これはこれまでの省令では差がついているわけです。ただし書きであるわけです。それは省令の中に二カ所にわたって定められております。

 しかし、今回のこの附則を見ますと、「検討」と書かれた項目に、「政府は、」云々云々、「新聞社、通信社その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者」、そして次に「基幹放送事業者」ということが記述されているわけです。いつの間にか、正選手と控えの選手であった者がこの附則の中で同列に並べられているわけです。そして、法案の提案理由説明の中で、原口大臣は、いわゆるこのクロスメディアの所有規制のあり方を含めて検討の必要があるということを言われているわけですね。法律が非常にごっちゃになっているんです。

 本来はメディアというもの、この放送法について言えば電波ですから、テレビというものの言論の自由をしっかり確保することから定められた。そして、その次に、やはりクロスメディアということで新聞が入ってくる。新聞、テレビ、ラジオで株の持ち合いをして言論の自由が奪われるのであれば、それはいけませんよというようなことを定める。そして、なおその次にそれ以外のものが入ってくる。例えばプロバイダーがいろいろな形で、新聞、放送、あるいはニューメディアが入ってくる、そういうその他のニュースや情報の頒布を業とする人たちが新聞やテレビの中に、特にテレビの中に入ってきた場合にはどうするかというときに、それはただし書きとしてこの省令の中に入っているわけですね。

 ところが、今回の附則の中では、それを全く同じレベルにして、いつの間にか、その他のメディア、その他の情報の頒布を業とする者が新聞、テレビと同じようなレベルに記述されている。そして、当然のようにこの条文の中に入り込んでいる。

 私は、これは非常に整理がついていない、おかしいというふうに思います。このような法律の構成というのは本当に乱暴であると思うし、これを内閣法制局がなぜ見逃したのかなというふうに思いますけれども、内閣法制局、違和感はなかったんでしょうか。

外山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の附則十四条、いわゆる検討条項というものは、法制的に特異なものではないと考えている旨を先ほどお答え申し上げたとおりでございますけれども、ただいまのお尋ねは放送行政にかかわるものでございまして、私どもは放送行政を所管する立場にはございませんので、これ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

坂本委員 私は、内閣法制局は戸惑っているというふうに思います。クロスメディアの定義そのものがはっきりしない中で、大臣が提案理由説明の中でいわゆるクロスメディアの所有規制という文言を入れている。この意味が何であるのかということは、私は非常に不可解であります。

 それで、第二の点でありますけれども、附則の第十四条で、政府はクロスメディアの所有規制については法施行後三年以内の検討条項というふうにしておりますね。他方では、クロスメディア所有規制以外の部分については、法施行後五年後というふうにしてあります。なぜ、クロスメディアという非常に概念の広範囲な問題が三年間ということで短く、それ以外のものは五年というふうにされたのか、原口大臣にお伺いします。

原口国務大臣 大変本質的な御議論をされていますけれども、今回の法改正では、各種の放送形態に対する制度を統合し、無線局の免許及び放送業務の認定の制度を弾力化する等、放送、電波及び電気通信事業に係る制度について、広く所要の措置を講じているものでございます。

 こうした法改正の中で措置した一般的な事項については、個々の事項に応じて適切なタイミングで見直しを行えるよう、この法律の施行後五年以内に検討を加え、必要があれば所要の措置を講ずるとしたものですけれども、他方、今回の法改正で措置した事項の中でも、クロスメディア、クロスオーナーシップ規制、マスメディア集中排除原則については、急激にメディア環境が変化しています、早期に検討を加えることが必要であることから、五年以内ではなく三年以内に検討を加え、必要があれば所要の措置を講ずるとしたものです。

 今先生がおっしゃったように、旧来型の正選手、先生は熊本日日新聞におられた、私も熊本日日新聞で、当時細川知事でしたけれども、熊本の日本一づくり運動に参加させていただいた、そして、新聞社が放送局にさまざまな支配的な、熊本日日新聞がそうだというんじゃないですよ、例えばそういうような新聞社が旧来型のクロスオーナーシップの考え方でした。

 しかし、記者をなさっていればおわかりだと思いますが、今記者さんたちも、もうビジネスモデルが、逆に言うともっと大きな資本が、通信業界というのは巨大な資本です、この間私がインドでお会いをしたエアテルという会社は百万人もの従業員を抱えている企業でした。仮に、先ほど大谷委員がお話しになったように、通信と放送が融合する中で、けた違いの大きな資本がこのさまざまな言論の分野を一色にするということがあるのではないか。

 現に各国で、この総務委員会でも過去さまざまな御議論がされましたけれども、このことについては、今先生がおっしゃる控え選手と正選手というのを旧来型で分けていく必要があるのか。いや、むしろ控え選手の方が逆に言うとドミナントなものになって言論を一色にする可能性もあるんじゃないかと。そういう御議論が近年急激に出てきたところでございまして、私たちは、今その変化に合わせた検討をしっかりとやるべきだということで附則に書かせていただいておりますので、言論の多様性、表現の自由、報道の自由といったものを保障する立場におられます坂本委員に、ぜひ応援をしていただけるとありがたいというふうに考えています。

内藤副大臣 私からも一点補足をさせていただきたいと思います。

 クロスメディア所有のあり方をこのように提起させていただいたのは、ほかでもありません、やはり表現の多様性を何としても守らなきゃいけない、そういう問題意識からでございます。

 先生、部分規制という言葉を御存じでしょうか。例えばテレビ、これは社会的影響力が大きいということで、国民の知る権利を守る観点から、一定の法律に基づく規制があるわけでございます。ところが、すべての報道が政府の規制下にあっては好ましくないということで、政府の規制を一切受けないメディアがあって、そして、その政府を監視すべきだと。つまり、ある程度規制されるメディアと全く規制されないメディアを並置することが、実は表現の多様性を守るためにはふさわしいことだと。

 ところが、先ほど大臣からもありましたように、今、例えば紙メディアといわゆる電波メディアとの間で、資本関係でかなり強固に結ばれているメディアがある。そうなると、あらゆるメディアが直接的あるいは間接的に政府の監督下に置かれてしまう。これが果たして表現の多様性を守るという観点に立ったときに妥当なことなのか、そういう問題意識からこのようにクロスメディア所有のあり方を提起させていただいた次第であります。

 以上です。

坂本委員 だから、私は、附則として三年以内というのはなおさらおかしいと思うんです。急激に環境が変化をしています、さまざまなメディアが出ています。そして、その急激に変化する中で、いろいろなプロバイダーから派生したさまざまなところが放送局の免許を持ちたい、あるいはいろいろなことをしたいというものが出てくるかもしれない。そういうことを論議するには、こういう附則とか三年とかいうことではなくて、もっと本格的な論議、あるいは常時いろいろな形で論議する場が必要だと思うんですね。

 私は、三年というのは、これは何だろうというふうに考えました。前回、直近の放送局の免許更新が平成二十年です。今、二十二年です。そして、三年ということを考えた場合、次の免許更新は平成二十五年です。この二十五年までに、さまざまな情報あるいはニュースの頒布を業とする人たちが、いろいろな形で、放送局あるいはラジオ局も含めて免許を更新したい、あるいは免許を取得したいといった場合に、この三年間で検討するクロスメディア条項というものがあると、この三年間の間に検討を要するということで免許が取れないことになってくる。そうして、結局、平成二十五年の免許更新時までには間に合わなくて、平成三十年まで待たなければならない。これから参入しようとするさまざまなメディア、企業、ニュービジネス、こういったものを規制するという悩みがあるのではないか。もしそうでなかったら、この条項についてはもう少しきちんとした形で、附則として三年という検討条項を加えるのではなくて、もっと論議の場を国民の皆さんに公開する形で提示すべきだというふうに思うんですけれども、私は、その三年、そして放送局の免許更新が非常にひっかかるんですけれども、大臣、いかがですか。

原口国務大臣 私は、それはちょっと深読みのし過ぎではないかと思います。そんなことを考えてここに入れているのではなくて、クロスオーナーシップ規制は、先生がおっしゃっている旧来型であろうとも、この総務委員会でも今のような状況でいいかというのは再三再四議論をされてきたところでございます。

 そして、プロバイダーとおっしゃいますけれども、むしろ今は垂直統合で、逆に言うと、巨大なキャリアと言っていいでしょう、そういったものも放送の方に入ることができます。私たちは、基本的に自由を保障し、参入規制というのはなければない方がいいというふうに考えています。

 しかし、その中でも何が大事かというと、すべての資本で、さっきマス排のお話をされましたけれども、放送局がほかの放送局をどんどん支配する。これも、今回それはまずいですねという原則を書かせていただいているけれども、通信という巨大な資本で、垂直統合で、プラットホームからさまざまなファンダメンタルなところまで持っているものが、それが今度逆に放送局を自由に変えるようになってしまえば、言論が一色になるんじゃないか。

 今、そういうものをつくって公開をして議論していくべきだとおっしゃる、そのとおりでありまして、だから、私は就任後すぐ、ICTにおける言論のとりでをどのように保障するか、あるいは国民のコミュニケーションにおける権利をどう保障するかというタスクフォースをつくって、きょうも夕方ありますけれども、四つの部門で、言論のとりでのところと、もう一つは過去の競争政策のレビューや国際競争力といったところで、すべてをフルオープンにして議論をしていただいているところでございます。その中に憲法学者や、表現の自由、あるいは報道やさまざまな問題について自由を守ってこられた方々に入っていただいて、国民的議論をしていただく中での附則であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

坂本委員 それほどのものがなぜ附則かというのは、まだわかりません。

 メガメディア、あるいは今言われましたインドの例にしても、私たちはそちらの方に目が移りがちです。巨大な企業が、巨大な資本が、日本のメディアを支配してしまう。そのことについての危機感は非常にあります。それを国民にぶつければ、それは国民の皆さんに対しては説得力があります。しかし一方、国内の産業で、いろいろな情報、ニュースの頒布を業とする者が、放送局の中にいろいろな形で参入したいんだ、あるいはいろいろなコンテンツも使いたいんだというようなことを規制することになってはいけないというふうに思うんです。

 ですから、巨大資本がメディアを支配することに目が奪われる余りに、我が国の本当に技術の高いそういった新たなニュービジネスの人たちが、放送局の中にこういった放送法のいろいろな規制がある中で参入をする、そのことを阻んではいけない。それは、やはり私たちの役割であると思います。であるからこそ、附則の形でさらりとこれを述べてしまうことは、私は、やはり非常に危険性があるし、これから参入しようとする、これから努力しようとする人たちの意欲をそぐことになりはしないかと思うので聞いているわけです。

 私は、何も、マス排、あるいはクロスメディア規制について反対するものではありません。新聞社の出身でありますので、しっかりした言論の自由は確保していかなければならないと思いますけれども、こういう中途半端な形でというか、私たちが読んだだけでもいろいろな疑念を抱かざるを得ないような形で附則として盛り込むことが不自然である。国民の皆さんの理解を得られるかどうかというふうに思うんです。本則に対して、附則には関連性、妥当性、合理性がなくてはなりません。もちろん、先ほど法制局から言われました検討条項を加えることは必要なことでありますけれども、本則と整合性がなくてはならない。

 これは、先ほど言われた、既存のメディア、プラス予備軍としてあるいは控えのメディアとしてこれまで位置づけられていたものがこれから非常に技術を革新してその中に参入してくる。この整理をしっかりして、その同じ土俵で考える、同じ土俵で審議する、そういう法体系をつくることの方が大切だと思いますけれども、なぜこういった附則で補おうとしたのであるか、これは一番大事なところでありますので、もう一回、原口大臣にお伺いします。

原口国務大臣 今御議論を伺っていて、委員が目標とされていることと私たちがこの法律で守ろうとしているところは同じだというふうに思いました。委員も、クロスオーナーシップ規制については、自分は支持するものであるというふうにおっしゃっていただきました。

 私たちがなぜこれを附則に入れたか。まさに検討条項であって、これまでクロスオーナーシップという言葉がどこかの法律に出てきたことがあるでしょうか。私たちは、極めて重要で、総務委員会でも何回も何回も御議論をされていたけれども、既存のさまざまなものに配慮をし過ぎて、ここについてネグってきたのではないか。逆に言うと、ここで三年かけてしっかりと公開の中で御議論をいただいて、そして、御議論をいただく中で、今おっしゃるようにこれがあるから新たに通信・放送のビジネスに入る人の意欲をそぐなんて、もうそんな世界じゃないと私は思っています。

 逆に言うと、今、情報通信の世界は第五の戦場と言われています。陸、海、空、宇宙、そして五番目が、この間、ジェナカウスキーさんとFCCで私たちが何を議論してきたか、私は戦争とか戦場という言葉を軽々に使うべきではないと思っているけれども、この世界における、もう本当に生き馬の目を抜くようなこの競争を、そのままにしていて国民の皆さんの権利が保障できるのか、気づかないうちにIPアドレスやみずからの個人情報がだれかに囲い込まれて、あるとき、衣の下のよろいが全部見えてきたときに、しまったということではもうだめなんです。

 私たちは、さまざまな言論や報道や表現の自由、そして民主主義というのは多様でなければいけません、多様な言論を保障する中で初めて選択というものができるわけでございまして、そういうものを入れるための検討ということでぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

坂本委員 これは視点の違いがあると思いますけれども、既存のメディアあるいは既存のものに対するさまざまな配慮が続いたからこそ、ここに附則というあいまいな形で入ったのではないか。本当に論議しようとするならば、やはりもう一つ土俵をつくらなければいけない、いろいろな仕掛けをつくらなければいけないというふうに思います。

 そこで、少し視点を変えて質問いたします。

 タスクフォース、これは原口大臣が就任以来力を入れていらっしゃって、私的諮問機関という形で設置をされたというふうに聞いております。

 NTTの再編問題について、グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォースという組織もつくっておられます。早ければ今月中にもNTT再編の、あるいは今年度中ですかね、基本方針が出されるというふうなことも新聞等で掲載をされておりますが、このタスクフォースは、どういう組織内容で、何のために組織をされたのか、そしてこれまでどういう論議があったのか、原口大臣にお伺いします。

原口国務大臣 お答えする前に、先ほどの御質問ですけれども、本則に入れて本格的にクロスオーナーシップを検討しろということであれば、また私たちはタスクフォースにもいろいろな御議論をいただきますけれども、まだそこまで世論は醸成されていない。さまざまな既存のメディアに配慮してああいう附則に入れたわけではなくて、事言論ということであるから慎重に御議論をいただきたいということで附則に入れたということを再度念を押しておきたいと思います。

 その上で、御指摘のタスクフォースは、グローバルな視点から、競争政策を環境変化に対応したものに見直すとともに、ICTの利活用……。私はICT維新ビジョンというのを出させていただいていますけれども、二〇一五年までに光の道を日本全国に広げて、そしてバイICT、ICTにおける教育、ICT掛ける運輸、ICT掛ける農業ということで国民の生産性を三倍にしたい、教育や医療クラウド、あるいは電子政府といったものの基盤をつくりたいと考えております。その中で、ICTの利活用により、我が国及び諸外国が直面する経済的あるいは社会的課題の解決に貢献するため、あるいは、先ほどからるる申し上げていますけれども、国民の皆さんのコミュニケーションにおけるさまざまな権利を保障する、こういう観点からICT政策について検討することを目的として立ち上げたものでございます。

 このタスクフォースは四つに分かれています。一つは、過去の競争政策のレビュー部会。実際に、二〇〇五年ぐらいは世界最高のブロードバンド環境を持っていました。しかし、一部ガラパゴス化と言われることも御指摘をされていますけれども、なぜ世界の中でさまざまなビジネスモデルが日本のモデルと乖離をしてくるのか。しかし一方で、この間、これは自民党政権、隣にいらっしゃる佐藤前大臣にもお礼を申し上げたいと思うんですけれども、ISDB―T方式を世界に先駆けてブラジルと合意をしていただいたおかげで、今、南米はほとんど日本方式になってきています、そうやって世界の標準化競争にどう打ちかつのか。電気通信市場の環境変化への対応検討部会、今申し上げた国際競争力強化検討部会。それから、ICTを通して国際的な課題、環境問題や貧困や飢餓あるいは紛争といったものに対してどう対応できるのか。この四つの部会と、それら四部会の座長及び座長代理並びに総務省政務三役から成る政策決定プラットフォームから構成されておりまして、これは全部公開でございます。

 そして、過去の競争政策のレビュー部会及び電気通信市場の環境変化への対応検討部会は各八名、国際競争力強化検討部会及び地球的課題検討部会は各十名のメンバーから構成されていまして、これはマスコミフルオープンで、オブザーバーもいらっしゃいますけれども、基幹となる方々は合計三十六名でございます。

 これまでの議論の内容についてはホームページに書かせていただいていますけれども、それぞれの分野から非常に高い知見をいただきまして、これは日本全国の方が、このICTタスクフォースをごらんになっている方は物すごく多いですね。そして、御自身の意見をフリーに私のところにもさまざまな立場から寄せていただいているところでございます。

 以上です。

坂本委員 大臣の肝いりで四部門のタスクフォースができました。その中で一番進めていらっしゃる、先ほど言われました光の道構想は、これからの日本に欠くことのできない本当にいい構想であるし、これは進めていかなければいけないものであると私は思います。

 ただ、どういうふうに進めていくのか、現実的な問題としていろいろな課題が横たわっております。まず、現在の光回線に対してどういう運用をするのか。NTTが七割を所有しております。それに対して、さまざまな意見もあるところであります、開放をするのか、あるいはそれ以外の方法があるのか。この光の道構想を論議していくと、どうしてもそこに光回線の運用の問題というのが出てき、それはそのままNTTの問題にもかかわってくるわけです、経営形態にもかかわってくるわけです。当然、そこはセットでいろいろとこれから考えていかれる、光の道構想をやられる中でそういう問題も当然考えていかれるわけですね。お答えください。

原口国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、例えば、さっきインドのお話をしましたけれども、今、一カ月に携帯の伸びが一千八百万台なんですね。日本国内の携帯の台数を考えてみると、市場一つが一年間の間にできるというような状況です。その間、国内の競争市場はどうだったのか、あるいは、過去の競争政策はどうだったのか、そして、お互いがウイン・ウインの関係を持ちながら世界で商売をしていくためにはどうすればいいのか。

 そして、二〇一五年までに、私は、アクセスという、つまり、だれでも求めればそこに基幹が来ているという、そこだけを求めているんじゃないんです。むしろ逆に、この間、尾崎高知県知事とお話をさせていただきましたけれども、高知県においては、ブロードバンド環境というのも民間が整備しているところが非常に小さくて、あとは公共でやらないとなかなか進まない。これだったら教育に使えないわけです。すべての子供たちに電子教科書をお配りしてお互いがお互いをはぐくみ合えるようにしたい、明治五年に私たちの先祖がやったように、教育のICT維新を行いたいと思ってみても、ある地域においてはそれが使えないということになれば、それこそ日本全体を底上げすることができない。ですから、二〇一五年までのアダプションの一〇〇%ということを申し上げているわけです。

 そこで、NTTがどういう役割をされるのか、あるいは、ほかの事業者に対してどのような競争条件を確保するのがいいのか。

 旧政権時代は、二〇〇六年の竹中懇というのがありまして、その竹中懇で二〇一〇年までに経営形態も含めて議論を詰めるということでございまして、今はまだそれが動いている。私たちの政権では、ぜひこれは先生にも御指導いただきたいんですけれども、過去にメタルを引いていたからといって、次、光の時代に今度はメタルは何になるかというと、それだけたくさん津々浦々に敷いているから、前は強みでした、これは国民の財産でやっています、だけれども、今となると、これは逆に経営の負担になるんじゃないか。あるいは、先ほど垂直統合というお話をしましたけれども、プラットホームをつくる人たちが先に行って、ファンダメンタルな基盤をつくる人たちは、これはどうやって基盤競争をしていけばいいのか。基盤をつくることよりもプラットホームをつくる方が先に行ったり、あるいはプラットホームをつくった方が、先生のように一件一件取材をして熊本のいろいろな情報を集める、記者さんよりも先に行って記者さんたちが食べられなくなるということは、それはあってはならないのではないか。では、どういうビジネスモデルが一番大事なのか、コンテンツも含めて今御議論をいただいているところでございます。

 その中の一つとしてNTTのドミナント規制、あるいはアクセスのフリー、それから、これからどのような、中には上下の回線分離といったことを言う方もいらっしゃいますけれども、私はそれに、どれということを今申し上げているわけではありません、とにかく二〇一五年までにアダプション一〇〇%、すべての国民に自由にブロードバンド環境が享受できる環境をつくるために最短コースを示してくださいということでタスクフォースに御議論をいただいているところでございます。

坂本委員 将来構想はよくわかるんです。二〇一五年もよくわかるんです。竹中懇、松原懇がいろいろな方針を出していた、そのことも承知しています。将来のことについて大臣が考えられていること、それは私たちは共有します。

 しかし、現実の問題として、現在の光回線をどういうふうに運用していくのか、それもやはり同時にこのタスクフォースの中で論議することになるわけですね。

原口国務大臣 当然、光だけではなくてメタルについても御議論をいただいています。

 例えば、これまで、さっき少しメタルは重荷だと言いましたけれども、メタルというか、コッパー、銅線ですね。だけれども、技術というのはすごいもので、これに三百メガbpsの情報を載せることもこのごろできるという開発がされましたし、それから、WiFiで、私は光の道といっても全部を光ファイバーと言っているわけではなくて、無線もあります、無線で一ギガ出せるという、やはりこれはさすがに日本の技術、研究開発のすごさだと思いますけれども、お荷物だと思っていたものが、ある方々の視点からすると、それが逆に資産になるというような技術のオーバーカムもあって、その辺はきっちりと見きわめていかなければいけないと考えています。

坂本委員 どうも光のことを避けて答弁されていらっしゃるような気がしてなりません。

 最終的には光回線をどういうふうに運用していくのか、開放するのか、あるいは機能を分離するのか、やはりそれはビジネスも絡んだ問題にならざるを得ないと私は思います。

 そういう中で、今後のNTTの経営形態というものも当然そこには入ってくるはずであります。光回線の運用を考える、そして、それによってNTTの経営形態をどうやっていくのかというようなことが最終的には論議されていかなければならない。竹中懇、松原懇のときは、二〇〇六年の懇談会のときは、二〇一〇年にそれに終止符を打つんだというようなことで、二〇一〇年問題というようなことが言われておりました。どうしてもそこにNTTの経営形態が絡んでまいります。

 ところで、この前本会議でも質問させていただきました、平成二十一年八月にNTT労組の政治団体であるアピール21から、原口大臣は三百万円、内藤副大臣は二百万円の献金があっております。このことは、平成二十一年十一月二十七日の参議院の総務委員会でお二人はお認めになっていらっしゃるところであります。原口大臣、内藤副大臣はこの献金を返還されたのかどうか、お伺いをいたします。まず原口大臣に、その後、内藤副大臣の方にお伺いします。

原口国務大臣 その前に、ぜひ御理解いただきたいのは、私は光を避けて答弁していません。逆に、上下の経営分離についてもさっきちゃんと答えています。それと、光の道を光ファイバー抜きに議論なんてできません。

 それで、お答えですけれども、先ほどのアピール21からの寄附、これは何ら違法なものではございません。ただ、当時、野党時代でございましたけれども、現在、総務大臣の職にあり、あらぬ誤解を招くことがないよう、昨年、今委員御指摘の三百万円については、野党時代のものではございますが、既に返還をしておるところでございます。

内藤副大臣 私から一つお答えをいたします。

 もし、坂本委員の御質問が、ただ単に政治活動をバックアップするというお金の提供であるならば、実は、私、そういった献金はいただいておりません。

 ただ、先週も申し上げましたように、政治活動を広く知っていただくためということで広報誌は購入をしていただいております。正直申し上げますと、前回も申し上げたんですが、本当にいただいているもの以上の経費はかかっているんですが、しかし、これは政治活動をしっかりと理解していただくためということで、私は、年に二回機関誌を発行し、購入をしていただいているものでございます。そのやりとりは、これもまた先週申し上げましたとおり、政治資金収支報告書にもしっかり記載をし、合法的に行っているものでございます。

 以上です。

坂本委員 副大臣は、献金としてはお使いになっているわけですね。大臣は返還をされて、副大臣の方はそのままいただいているということなんですね。

内藤副大臣 使っているというか、政治活動の広報誌のコストとして使わせていただいて、もう使わせていただいたものと理解しております。

 以上です。

坂本委員 回り道になりましたけれども、私は、三つの視点から今質問をしてまいりました。

 一つは、この附則。既存のメディア、新聞、テレビ、ラジオ、これの株の持ち合い、あるいはマス排、集中排除、こういったものをする。その中に附則の検討条項として、その他のニュース、情報の頒布を業とする者を同列としていつの間にか扱われている。このことは、附則自体もおかしいことではあるけれども、法の整合性からいっても、これは看過できないことではないかというようなことで、まず第一点お尋ねをいたしました。

 その次に、原口大臣の肝いりでつくられましたタスクフォース。これは、将来の光の道構想、あるいはこれからの日本の情報産業社会にとって大変大事なものでありますけれども、現実に目の前に横たわるものとしてこの光回線をどういうふうに運用していくのか、どういうふうな機能として私たち国民が使っていくのか、そしてそれはそのままNTTの経営形態につながる問題であるというようなことで、原口大臣も先ほどの答弁でNTTの絡みをおっしゃいました。

 そしてもう一つは、平成二十一年に、大臣、副大臣がNTT労組アピール21から三百万円、二百万円、資金的な提供を受けていらっしゃる、献金を受けていらっしゃるという、この三つの点から私は論議をしてまいりました。

 この三つを考えると、やはり不自然なんです。非常にこれが結びついていくんです。資金の提供がある。そして、タスクフォースをつくる。その中で光回線の問題について論議をする。しかも、それはNTTの経営形態につながる。それを、超法規的とまでは言いませんけれども、整合性がない形で附則として、その中にクロスメディア所有規制ということで条文として入れ込む。この三つを考えるとき、非常に不自然で、私は、そこに一つの請託が成り立つというふうに思います。

 大臣、副大臣、特に大臣は職務権限があります。大臣の職務権限、NTT労組からの資金提供、さらにはタスクフォースというNTTの経営形態を論議する私的諮問機関的なものの設置、そして、この附則条項の不自然さ。これは、私は、やはりその中に職務権限としての請託というのが成り立つというふうに思っております。

 刑法百九十七条では、このことについて事前収賄罪ということをとっております。それを戻そうがあるいは自分で使おうが、それが公務員になろうとする者に対して資金提供されたものであるならば、これは事前収賄になるわけです。それを考えたとき、大臣の職務権限、タスクフォース、そして資金提供、さらに附則というこの不自然な形の条項、これは刑法で言うところの構成要件をしっかり満たしているわけです。

 以前、平凡社がさまざまな形で資金提供をして、図書館法というものをその後成立させた。そのときはやはり事前収賄に問われているんです。こういうようなことに必ず結びついてくる。私は、検察庁にしても警察庁にしても、この問題を法的に考えた場合、非常に重要な問題を含んでいるというふうに思っております。

 国民の皆さんから見て、これだけの資金がNTT労組から民主党にあるいは職務権限を持つ大臣に流れていて、そして、大臣になるや否や私的諮問機関というものをつくって法改正の中にクロスメディアの規制条項を盛り込む、NTTの経営形態についても論じる、このことについては重大な疑義がある、重大なる疑惑があるというふうに思っております。これは私自身がそう思っていることで、これから同僚の議員あるいはさまざまな機関がいろいろな形で調べてくる、あるいは書いてくるというふうに思いますけれども、少なくとも国民の目から見れば、そういうふうに見られざるを得ないということは事実であると思います。

 弁明でもいいですから、大臣としてのお考えをお聞かせください。

原口国務大臣 ちょっと無理があり過ぎませんか。野党時代に、しかも、これはNTTの政治団体がみずからの労働やさまざまな権利を保障するために合法的に献金をされた。私は、そのとき大臣でも何でもないわけです。

 今の附則の話もこじつけられますけれども、では、そのためにいいんだったら、情報通信事業者は自由に参入できるようにした方がいいじゃないですか。クロスオーナーシップを禁止するというのは、逆に言うと、NTT本体からすると、一色にしようと思えば、これがあったらできなくなるわけだから不利じゃないですか。

 今回のタスクフォースだって、この間、業務改善命令を西日本に対して出しましたけれども、私は、先生がいろいろな御議論をされるのは勝手ですけれども、刑法の収賄罪とかそういったことを言われるようなゆえんは全くありませんし、今回、NTTのさまざまな回線網についても、どれだけ自由にオープンにするか、それから、すべての人たちに光の道を、二〇一五年までにアダプションを一〇〇%にするなんというのは、今おっしゃったような団体からすると、逆に言うと不利益だ、それは何とかしてくれないかという言葉さえ出ているわけで、よく議事をごらんになってください。

 私は、特定の人たちの利益のために政治をやったり、やるためにここにいるのではありません。そのことはぜひ御理解をいただきたいと思います。

坂本委員 法の性格を、もう一回きちんと刑法百九十七条を読んでください。これには、公務員ではなくても、「公務員になろうとする者が、」であります。ですから、返した、返さない、あるいは大臣になる前の献金、資金提供、それは関係ないんです。その後の、なった者のさまざまな行為によって、そこに請託というのが成り立つんです、そのことによって収賄罪が適用されるんです。

 そして、賄賂罪の構成要件の資金提供と職務権限の問題は、ちゃんと満たしているわけです。こういうのは前例があるわけですよ、先ほど言いましたね。ですから、その法の性格というのを、もう一回……。それは、今からいろいろなところが調べますよ、いろいろなところが書いたりしてきますよ。その推移を私は見守っていきたいと思います。

 それと、一番大事なのは、やはり国民の目です。これだけの、年間七千万円以上、あるいは一億円近くに及ぶ労組からの資金提供を受けて、放送法の改正があって、NTTの経営形態を論じるようなところに大臣がいらっしゃる、そして、労組内の組織候補とでもいうべき内藤副大臣がいらっしゃる。これは、国民の目から見て、正常な形でこれからのメディアの問題、あるいはこれからのクロスメディア所有規制の問題が論議されるんだろうかというようなことをやはり疑わざるを得ません。

 果たして、今、原口大臣が言われたように、これから一番大事な時期に、国民の皆さんにオープンな形で、どういう日本になるのか、どういう光の道になるのか、そして、いかに安く、いかに最速でこれまでの国民の共有財産である光回線というものを使用するか、こういったことを論議していかなければならない時期に、こういう非常に国民の目を曇らせるようなあるいは国民に疑義を持たせるような法の改正、あるいは法の改正に先立ったさまざまな行為、これは避けるべきである、慎むべきであると私は思いますし、少なくともこの附則の問題については、もう一度削除して論議をすべきであるというふうに考えております。

 時間が少しありますので、イギリスの場合、どういうような変遷をたどったのか、このことについて述べて、それに対する大臣の所感をお伺いいたします。

 イギリスは、NTTと同じように、ブリティッシュ・テレコムというものがありました。光回線はほとんど通っておりません。これは光回線を考えた場合、今考えられていることは、機能分離方式、あるいは分社方式、そして別会社方式の三つの方法があるとされておりますが、ブリティッシュ・テレコムの場合、機能分離方式、すなわち、会計を独立させて事業部門方式を公約するという形をみずから政府に提案して採用されたんですね。ブリティッシュ・テレコムみずからの判断で、事実上のインフラ部門を機能分離ではあったが切り離したという点は大きな特徴であります。

 これは、イギリスの場合には、Ofcom、情報通信庁という情報通信に特化した省庁がありますので、このOfcomから二十年以上BTのあり方については監視と規制を受けてきましたけれども、みずから機能分離方式というものを提言いたしました。そして、BT、ブリティッシュ・テレコムというのは、アクセス回線部門をオープンリーチということで分離をして、その他の事業者にも公平なアクセスを約束しているんです。約束し、提供しているんです。この機能分離でイギリスでは何が起こっているかというと、サービスプロバイダーがブリティッシュ・テレコムのネットワークを借りることを可能にし、一般家庭への急速な普及につながっております。

 日本の場合には、確かに、現在でも他社がNTTの光回線を借りてサービス提供をすることは可能でありますが、光回線一回につき四千円を上回る貸出料があります。今のままの形態では、普及、迅速化ができない。集合住宅は可能であっても、戸別の一般家庭には高い負担となります。他社がNTTに光回線の使用料を支払うのが嫌な場合、電力系などで見られる自前で持つか、あるいはあきらめるかの二者択一を迫られるのが実情であります。

 そこで、NTTが所有する光回線網を他社に開放することによって消費者に今まで以上に恩恵があるというのであれば、公正な競争をもっと促して機能分離の検討も余地があるというふうに考えますが、総務大臣は、イギリスのBT、ブリティッシュ・テレコムを参考にして、NTTの光回線の事業形態に新たなメスを入れるというように、NTTの光回線網のことについてどういうふうに考えておられるのか、再度ここでお伺いいたします。

原口国務大臣 その前に、附則のクロスオーナーシップ規制がNTTに有利になるものですか。全く違うと思いますよ。クロスオーナーシップという言論の自由を守るためのものが特定の通信事業者の有利になると、特定の通信事業者も、先生がおっしゃったようにその規制の対象になっているじゃないですか。人を罪に陥れるような御議論はやめてほしいと思います。

 それで、英国のBTですけれども、英国BTは、二〇〇六年一月、アクセス網を保有、管理し、アクセスサービスを提供する部門、いわゆるオープンリーチですね、これをBTの社内で分離しました。これは機能分離です。

 オープンリーチとBT社内の他部門の間に、人事、情報、会計等のファイアウオールを設けることによって、BT社内の他部門と他事業者へのアクセスサービスの提供に同等性を確保したわけです。イコールアクセスです。ニュージーランド等もアクセス網の機能分離を実施しています。

 ですから、光の道構想については、NTTの経営形態を含むアクセス網整備の方法が検討項目となっていて、ICT政策タスクフォースにおいては、英国BTの例を含めて、諸外国におけるアクセス網分離の動向等も参考にしながら幅広い観点から御議論をいただいているわけです。

 アクセス分離をして、そして旧来のメタルを巻き取ったときにどういうコストが発生するのか。メタル回線には、先生も御案内のとおり、加入権というものが入っています。これが、大体、今市場で一定以上の額で取引をされています。では、国民の加入権についてどうするのか、あるいは東西をどうするのか、あるいは移動体をどう考えるのか、こういったことを御議論いただいている、まさにその最中でございまして、きょうの夕方、その一定の方向が出るというふうに理解をしています。

坂本委員 規制の対象になる可能性があるから私は質問しているんです。クロスメディアの所有規制条項、例えばOCNやヤフーBB、いろいろな形で既存のメディアに参入したり、放送局に参入したり、そういう場合に三年間の検討条項があるならば、その期間はその検討にゆだねなければならない、しっかりとした論議ができていないというようなことで、そこに新規のものが参入する規制の陰を非常に見ることができる。そのことによってNTTの経営形態を擁護する、そういうものが見られるので、こういう不自然な形の附則になっているのではないかというようなことであるわけであります。

 これから同僚議員も含めてもっともっと論議を進めてまいります。最終的には、国民の疑義を招かないように、そして、いろいろな形で資金提供が行われている、そのことは今政治と金の問題で最も大切なことでありますし、また、それは刑法にもかかるような、適用できるような問題でありますので、そこは慎重に、やはりこの条文をもう一度練り直していただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

近藤委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 おはようございます。

 三十分いただいておりまして、放送法のいろいろな提案をいただいた趣旨、どういうところに考え方があるのかということを順次お伺いするわけですが、私ですから、万葉集でやはり始めさせていただきたいというふうに思うわけです。

 きのう決算行政監視委員会の文部科学分科会の方で質問しておりましたら、原口大臣から、橘は歌を詠んだのか、そういう御下問もあったようであります。きのう詠んだ歌と同じ歌を詠んでは余りにも芸がないので、きのう文部科学省の方から、中学校の教科書にこれは万葉集で出ていますよという、皆さんも御存じの歌を詠んで始めさせていただきたいと思います。

 大分夏も間近というところでありますので、巻の一、二十八から、これは一回詠めばすぐ皆さんわかりますので、繰り返しません。

  春過ぎて夏来るらし白栲(しろたへ)の衣干したり天の香具山

 どうもありがとうございます。(拍手)

 ということで、三十分またおつき合いいただきたいわけですが、最初に、NHKのボード、また会長さんの役割ということについて今回改正を加えられようとしております。この点について幾つか考え方をお伺いしたいわけであります。

 経営委員の欠格事由から、テレビ等製造業者の役員等のうち任命前一年間該当した者、今までそういう規制があったわけですね。一年前までの役員だった方じゃないとなれない、こういうことだったわけですが、今回はこれを外されたわけであります。何か積極的な理由があるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

内藤副大臣 まず、私は歌については全く素養がございませんので、また近いうちに御教示いただければと思います。

 お答えをさせていただきます。

 先生御存じのように、会社法制の変更によって委員会設置会社が増加をしている。委員会設置会社では、大体半数近く社外取締役を設置するということになっております。つまり、有為な人材がどんどんいろいろな会社の社外取締役として迎え入れられている。

 そういった状況の中、経営委員会の委員長御自身がおっしゃっているんですが、経営委員やNHKの会長の候補者人選に当たって、今のNHKの状況の中では、なかなか会長職だとか委員を引き受けてもらえるような状況でもなくなってしまった、これから一体どうしたらいいのかというような、いろいろな嘆きをなされております。

 そういった状況を踏まえて、今回の改正は、できるだけ広い範囲から有為な人材を見つけ出していきたい、そういう思いから欠格条項を改正したものでございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 そういう理由ということで、特段にこの人とか、そういう御事情ではないというふうには受けとめました。

 ただ、一面、今まで何らかの理由でやはりそういうものを担保していたというか欠格条項に入れていた、そういった立法のもともとの趣旨ということから照らしますと、実は、今おっしゃった理由はかなりやわらかい理由だなと。というのは、できるだけ多くの人材の方を取り入れていきたい、それは理解するわけですが、その中で、例えばテレビ等製造業者の役員等で一年間ということになると、非常に限られた人数しかふえないんだと思うんですよね。

 だから、今おっしゃったことは、わかるはわかりますけれども、今までの立法者の趣旨というものもあったとすれば、ただ有為な人材を求めたいからということだけでわずか一年間の部分のものを外すというのもいかがかなと、ちょっと今お伺いしながら思ったんですが、再答弁をいただけますか。

内藤副大臣 委員も御存じのように、テレビ業界を見てみますと、かつてNHKは圧倒的な力を持っていた。そういった中で、そういった製造関係者が委員として、あるいは会長としてそのポジションを占めることは、その製造会社にとってはかなり優位な取引条件を手にすることができるのではないかというふうに周りがうがってしまうということで、こういう欠格事由をかつて設けたわけでございます。

 逆の言い方をすれば、今、民放がかなり力を伸ばしてきて、NHKも民放も対等な中で闘っている。そういった状況の中、逆に言うと、こういった欠格事由が今日までこうして何も手を加えられずに来たということ自体が私にとっては不思議に思うんです。ということで、正すべきは早急に正すという観点で今回の改正をさせていただいたということで御理解をいただきたいと思います。

橘(慶)委員 そこは考え方の違いで、無理してどうしても直さなきゃいけないのかなという感じはしないでもないですが、まず、それはそこまでにしまして、後で総括的に触れさせていただくことにします。

 もう一つは、会長さんを経営委員会のメンバーに、昭和二十五年から昭和三十四年まで入っていたんだけれども、ある事情で、やはり何らかの当時の立法事由によって外された。そしてまた今、今回はそれをもう一度入れ込むという、五十数年ぶりの改正ということになるんでしょうけれども、まずは、当時、なぜ経営委員会から外れたのかというところからお答えをいただきたいと思います。

利根川政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、昭和三十四年の放送法改正におきまして、NHKの会長を経営委員会のメンバーから外したということでございます。

 これにつきましては、NHKの業務執行機関の長である会長が経営委員会の意思決定について議決権を持っているということが、会長に強力な権限を与えていることとなり、経営委員会と会長の権限の均衡を失するおそれがあったということで外したというふうに承知しております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 それでは、それを今回もう一度もとに戻すといいますか、入れ込むということであれば、今御答弁いただいたことが要するに成り立たないというか、それを上回る理由があるということだと思います。今回それを入れていくという、今お話のあった、今日的にそういう実益が成り立たなくなったという部分を御説明いただきたいと思います。

原口国務大臣 歌をありがとうございます。

 先ほど答弁させていただきましたけれども、昭和三十四年の放送法改正では、NHKの会長を経営委員会のメンバーから除きました。現在は当時と異なり、平成十九年の放送法改正によって、経営委員会の執行部に対する監督権限が強化されています。また、会長が経営委員会に入っても権限の均衡は失しない、そのように考えています。

 また、経営委員会における会長の議決権には、会長の任免などNHKの統治の根幹にかかわる事項などについて制約を加えており、会長の権限が不当に強力になり過ぎることはない、このように思料しています。

 この総務委員会でこれは何回も議論があったんです。NHKと経営委員会の関係というのはどうあるべきなのか。NHKの会長というのはCOOであってCEOでないという状況は一体何をもたらしているのか。去年もこの委員会で御議論がありましたけれども、例の受信料の一〇%の部分について激しく対立しましたね。そして、このようなガバナンスで本当にいいのか、これは衆参の総務委員会でも大変真摯な御議論があったところでございまして、そういう御議論を踏まえた改正だということを御理解ください。

橘(慶)委員 言ってみますと、COOからCEOへということであろうと思いますけれども、そこのことも含めて、また後でまとめてお伺いしなきゃいけません。

 一つ、今回、事前にこの法案の御説明をいただいたときに、経営委員会に会長を組み込む理由といたしまして、経営委員会と経営陣とのコミュニケーションが図られていない事案があった、こういう御説明を、口頭ではありますが、伺っておると私は記憶しております。

 この際、こういう審議の中ですから、具体的にどういう事案があってそれが不都合であったかということを、もし差し支えなければここで御答弁いただきたいと思います。

内藤副大臣 お答えをさせていただきます。

 それは経営計画の策定においてでございます。具体的に、衆参の総務委員会の場においてもそれは大きく議論をされたところでございます。

 例えば平成二十年度の参議院の総務委員会においては、このような代表的な議論がありました。経営委員会とNHK執行部との関係がかなり敵対的というか、いびつな形になっているように思う、そんな中で、この経営計画、果たして大丈夫なんだろうかと。また、衆議院の総務委員会においても同様の趣旨の発言が数々出されました。具体的に申し上げれば、経営委員会と執行部の対立とまではいかないが、意見の相違等々、思いの相違というものが露呈をしたというのも事実ではなかろうかと。

 そういった中で、やはり私たちは、経営委員会とNHK執行部の関係がどうにかもっとスムーズな、意思疎通がしっかりいくようなものでなければならない、でなければ、NHK会長もしっかりとした現場の業務運営ができない、可能にならない、そういう問題意識を我々は抱いた次第でございます。

 以上です。

橘(慶)委員 コミュニケーションの問題ということではありますが、もう一度確認的に少しお聞きしておきたいわけですけれども、今おっしゃったことからすると、今のシステムでも会長さんというのは経営委員会に陪席されて、いろいろなことについて説明をされたりされているわけですね。逆に、会長さんがお一人経営委員会に入ったからといって、今おっしゃった、ほかの執行部の方が経営委員になるわけではない。

 だから、会長さんが経営委員会に陪席している状態と、今おっしゃっている経営委員会の一員になることによって、何となく場面を想像すると、今のコミュニケーションの問題というのは、経営委員会という場所は私は行ったことはありませんけれども、その状況を想定すると、余り変わりがないのかなという感じもしないでもないんですが、その辺、それがどうよくなるというふうにお考えなのか、お願いいたします。

内藤副大臣 私は、決して、今の体制のもとで法的措置が本当に必要なのかというと、やはり福地会長並びに小丸経営委員長のもとでは、その辺の関係はしっかりスムーズにいくと思うわけです。ただ、法律というのは、いかなる人がNHK会長、いかなる人が経営委員長になろうとも、しっかりと、コミュニケーションをスムーズなものにしていく仕組みをつくらなきゃいけない、そんなふうに思っております。

 陪席ということをおっしゃいましたが、実は、陪席というのは法的な義務ではありません。経営委員会が、会長以下を外して、経営委員会の委員のみでいろいろな物事を策定して進めることも可能なわけです。しかし、そういったことを許してしまったら、先ほどの経営計画の策定の際もそうだったんですが、果たしてそれで本当にうまくいくんだろうか。いかなる人が会長、いかなる人が委員長になろうとも、やはりその辺は法的に担保したいということで、今回、権限についてはいろいろな制約を加えたとはいうものの、会長を経営委員の一人として加えさせていただいた次第でございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 そのあたり、議案の議決権等の制約は、当然きちっと目配りされたなというふうに読ませていただいているんです。

 今ちょっと気になったのは、陪席はできるんだけれども、会長さんを外して云々というようなお話も今されましたよね。経営委員会の中に入らずに、ちょっと会長さん出ていてくださいということでお話をしたりすると困るというようなお話もされましたが、そういう事実というのはあったんですか。

内藤副大臣 もう皆さんも御理解いただいているとは思うんですが、かつて、席を外してくださいというのではなくて、全く執行部を抜きにして、経営委員会のメンバーのみで物事を進めていったというのは、数年前に事実としてございます。

橘(慶)委員 一応、背景の事情説明をいただいたわけですが、COO、CEOというお話もありましたので、ここで一つ。

 こういう形で、いわゆる経営委員会とか政策委員会、いろいろあります、ボードというものがある。そのボードに会長や理事長さんなど団体の代表者を組み込みながら、かつ、その代表者の任命を、NHKの会長さんのように国会の同意に係らしめない。要するに、経営委員会の方で会長さんを任命している。だけれども、今度は経営委員の中に会長さんは入ってくる。そうすると、論理的に言うと、経営委員の中で、あとの経営委員はみんな国会の同意人事で選ばれているわけですが、会長さんだけは経営委員の方で選んだ人がぽんと、その人は国会の同意人事ではないんだと。

 こういうシステムをとっている事例というのはあるんでしょうか。

利根川政府参考人 お答えいたします。

 NHKと同様に、業務の執行機関とそれを監督する機関というのが分離されている例という意味で申し上げますと、日本銀行と日本中央競馬会が、JRAでございますが、あるというふうに承知をいたしております。

 そのうちJRAにつきましては、業務執行の長である理事長が、これを監督する経営委員会の構成員となっておりますけれども、その任命につきましては国会の同意に係らしめられていないというふうに承知しております。

橘(慶)委員 確認なんですが、JRAの場合は、経営委員といいますか、委員会の委員の方の任免も国会の同意には係らしめられていない、どちらも係っていないという例ではないでしょうか。

利根川政府参考人 御指摘のとおりでございます。

橘(慶)委員 そうなると、言ってみればお初といいますか、ほかには例はない。

 JRAさんの場合は両方とも。それは、それぞれのもののかなえの軽重、それまでの立法者の趣旨でしょう。すべてそちらで自律的にやっていただいていいんですよという事例。

 日銀の政策委員会と総裁さんの関係は別で、それはCEOだから、やはり大事な、国とそれこそ一体的にいろいろ経済財政をやるわけですから、その総裁さんを国会の同意人事に係らしめるんだ。

 今回たまたま、原口大臣がおっしゃったように、COOとCEOでちょっと違ってくるんだと。もちろん放送の自由、そういうこともわかるんですが、果たして、そういうふうにシステムを変えていくときに、では、会長さんを国会の同意人事に係らしめなくていいということになるのか、その辺の御検討はどういうふうにされたのかというところをお願いします。

原口国務大臣 橘委員、まず第一は、NHKは言論機関だということであります。言論機関としての特殊性を有していて、その業務の執行の最高責任者である会長は、放送番組の編集の自由を享受し、何人からも干渉されずに番組編成を行うことができるようにする。ですから、国会の同意に係らしめるのではなくて、経営委員会に任免権を付与している。

 ただ、公共放送という形で、経営委員会の委員そのものは国会同意人事でございますけれども、公共放送としてのやはり公共的な性格と、公権力からの独立性、干渉の排除、こういう中で議論をして決めたところでございます。

橘(慶)委員 それなりにいろいろなことをお考えになったということだと思います。

 このお話を通じて、経営委員の欠格事由のお話、それから会長さんのお話をさせていただいて、先ほど内藤副大臣からの御答弁でも、経営委員の欠格事由については小丸委員長さんのそういうお話もあったんだ、こういう話がありました。会長さんのことについてもやはり、首脳部からこのようにしてほしいというお話があったんでしょうか。

 済みません、ここは通告していません。

原口国務大臣 首脳部というのは、NHKの首脳部という意味ですか。(橘(慶)委員「はい」と呼ぶ)

 NHKの福地会長からは、いろいろな意見交換をさせていただいたり、事業計画とかそういったものを持ってこられるときに、自分はこうやって民間から来たんだけれども、民間の経営からすると、これだけ大きな責任を持っているNHKの会長といったものの位置づけが、権限とその責任があいまいになってはならないということを、ずっと私に、とうとうと、福地会長はNHKのインサイダーの問題があったりして随分つらい時期の立て直しをされてこられた方でございますけれども、その中で、今申し上げたような、やはり本当の会長のガバナンスというものをきかすために何が必要かというお話は、私に直接いただきました。

内藤副大臣 私が答えるべきところを申しわけございません。

 実は、福地会長、そして小丸委員長、両方から今回のことに対して賛同の意をあらわす言葉をいただいております。

 具体的には、福地会長からは、会見の場でこのようにおっしゃっております。経営委員会と執行部との間で、従来以上にコミュニケーションを円滑に図れるようになるのはとてもよい方向だと考える。一方、小丸経営委員長からも同じく会見の場で、会長が経営委員会に加われば、これまで以上に議論の回数も時間もふえ、十分に検討する機会が得られるようになるので、私は非常に好ましいことだと考えている、このようにおっしゃっております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 これだけずっとお伺いした趣旨は、やはりそういうことを審議の中に残しておいた方がいいだろうという思いもあって、こういうことをお聞きしました。

 これで最後の総括になってくるわけですが、そうはいいましても、経営委員の中には、いや、そんなふうに今度なるので、ちょっとびっくりしたというような御意見を述べられた方もあるとも聞いておりますし、また、今までの放送法のいろいろな改正を進めてこられる中においては、割とこの話というのは急浮上したようにも皆さん受けとめておられる部分もあるわけですね。

 先ほど、たまたま坂本議員と原口大臣のやりとりの中で、原口大臣は、タスクフォースをつくったりいろいろな形で公開をして、物事をオープンにして、いろいろな議論を深めながら一つの落下点を見つけていくのが自分のやり方だ、こういうお話がございました。

 そんな意味では、きょうこれだけやりとりさせていただきましたけれども、今のような議論も、本当は経営委員会なり、あるいはそういった何らかの公開の場でしてから法律に入れていく、そういう手続でもよかったんじゃないか。これでもうこの質問はやめますが、最後に、その感想なりをいただければと思います。

原口国務大臣 これは逆に言うと、一番公開の場、まあ、どこも公開なんですけれども、国権の最高機関であるこの国会、特に、放送行政を所管するこの総務委員会で御議論がずっとなされてきた、これは大変大きなことだと思います。

 正直、去年、おととしとこの総務委員会でも、NHKの予算を認めるのか認めないのか、与野党問わず、このようなガバナンスでいいのかと、随分苦労をしました。そして、年度を越えたらこれはまた別の予算を仮立てしなきゃいけない、しかしこんなガバナンスで認めていいのかという、もう本当に究極の選択をここにいらっしゃる方々がなさってこられたわけです。

 そして、どのようなガバナンスがいいかというのは、議事録をぜひごらんいただきたいんですけれども、この委員会でも数次にわたって真剣な御議論があって、そうしたら、やはりガバナンスの責任とそして権限を、いびつな形ではなくて整合性がとれた形にすべきだという、まさに公開の議論の中でのお話をもとにここに至っているということをぜひ御理解いただければと思います。

橘(慶)委員 国会との関係、それは理解をいたします、おっしゃったことを理解いたします。

 ただ現実に、きょう現在の中でも何人かの方から、これは突然聞いたんだとか、そういう報道もないわけじゃないというところをまたしんしゃくいただきながら、言ってみれば、そういう不協和音を払拭する形で、最終的にこの法律が成立していくということが望ましいのではないかと思っております。

 きょう私の質問には入れておりませんが、電監審の建議のことについても、大臣の真意は大体皆さんお伺いされたわけですが、それについても、やはり民間からも、私の事務所などにもいろいろな意見が実は届いているという状態でもございます。そういった意味で、そういったところにやはり意を尽くしていただいて成立に向かっていけばいいんじゃないかな、こんな思いがしております。

 時間がある程度限られている中で、しり切れトンボになるかもしれませんが、もうちょっと時間がございますので、少し技術的なお話をお聞かせいただきたいと思います。

 やはり審議でありますので、ちょっとお許しをいただいて、電波法の方で一、二お聞きしたいと思います。

 第七十六条第三項というところで、無線の「登録局の運用が適正を欠くため電波の能率的な利用を阻害するおそれが著しいとき」に、今までの法文上は、総務大臣が「登録の全部又は一部の効力を停止することができる。」そういうふうになっていたわけであります。今回の改正ではその部分をいじられまして、「その登録に係る無線局の運用の停止を命じ、運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限し、又は新たな開設を禁止することができる。」と詳細に書かれたわけであります。

 ここは何か違いがあるのかどうか、そしてまた、どうしてそういう変更をされたのかということを、技術的ではありますが、ここでお伺いしておきたいと思います。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の電波法七十六条につきましては、今回、同法二十七条の二を改正いたしまして、小規模な携帯電話基地局、フェムトセル基地局と言っておりますけれども、これに包括免許制度を導入することに伴いまして、この包括免許を受けた者が電波法等に違反した場合に適切に対応するため改正を行うというものでございます。

 その際、先ほど御指摘ございました改正後の七十六条三項、現在の第二項でございますけれども、これは、現在、無線LAN等の基地局など、個々の免許を必要とせずに包括的な登録によって開設することができる無線局につきまして、総務大臣が「登録の全部又は一部の効力を停止することができる。」という規定に現在なっているところでございます。

 登録の全部の効力の停止と申しますのは、この登録に係るすべての開設済みの無線局の運用を停止させるとともに、新たな無線局の開設を禁止するという中身でございますし、また、登録の一部の効力の停止と申しますのは、登録に係る開設済みの無線局の一部の運用を停止させること、あるいは運用許容時間、周波数、空中線電力等を制限すること、または新たな無線局の一部の開設を禁止することでございますので、その旨を、今回の改正にあわせまして、条文上明確にするということにしたものでございます。

 したがいまして、七十六条三項に係る御指摘の変更というものにつきましては、総務大臣が行うことができる処分の中身を条文上明確にするということでありまして、処分の内容に実質的な変更を加えるものではないということでございます。

橘(慶)委員 これは理解をいたしました。

 何か、十六年の改正で入った条項を、今回二十二年ということで六年後に改正をするということで、中身が変わらないのに非常に詳しくなるねというような話をしていたんですが、確かに、法文が国民の方々にわかりやすいということも大事でしょうから、それは理解をいたします。

 きょうは国土交通省の砂防部長さんに来ていただいております。

 ちょっと関連で、今、国土交通委員会の方で、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律、こういう法律が審議をされております。これは、地震なんかで自然ダムができたときに、非常に限られた地域でありますが、その部分についてのいろいろな被害情報を的確に、その地域の皆さんにお知らせをしていかなきゃいけない、そういう法律の内容であります。

 都道府県知事または国土交通大臣が、土砂災害緊急情報、いわゆるダムが決壊するかもしれない、そういったことを一般に周知するために講ずべき必要な措置ということが書いてあるわけですが、具体的にその中身は法文上は書いてございません。

 そこで、これは私の思いですけれども、そういう限られた地域ということでいえば、CATV事業者あるいはコミュニティーFM事業者が適切ではないかと思います。そういった方々にあらかじめ協力を求めることも一案と考えますが、御所見を承りたいと思います。

牧野政府参考人 お答え申し上げます。

 土砂災害防止法改正案では、天然ダムに伴う土石流等の土砂災害が急迫している場合、住民の避難等の備えを促すため、被害が想定される区域及び時期に関する情報を市町村に通知するとともに、住民にも直接周知することとしております。この住民への周知につきましては、市町村から防災無線等を通じて行うとともに、国や都道府県からも直接、報道機関、インターネット等を通じて行うことを予定しております。

 CATVやコミュニティーFMを通じて行うことが周知に有効な場合もあり得るわけでありますので、国土交通省といたしましては、施行に当たり、土砂災害防止法に基づく基本指針において、これらの放送事業者を通じた周知について定めることを検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 よろしくお願いします。

 最後の質問といたします。原口大臣に、最後に一つだけお伺いしておきたいと思います。

 通告の三項目めの三というところでありますが、ローカル局を含めて、民放百二十七社中六十社が赤字という答弁をせんだって大臣がなさいました。先ほどの質疑の中でも、地方局は、地域の表現の拠点ということで非常に大事だ、こういうお話もございました。出資規制を緩めながら、税制面でも支える、こういう御答弁でありました。

 そこで、私はそれとダブらない形で、やはり今置かれている状況としては、この変化の中で非常に厳しいものがあると思います。コマーシャル収入、あるいはほかのメディアとの競合ということであります。このことについての現状をどう見ておられるか、今後の見通しについての見解をお伺いしたいわけであります。

 私は先ほどから、ちょっとこんなことを思いました。大臣、キー局を国と考えて、CATV事業者を市町村と考えると、ローカル局というのはちょうど真ん中に挟まる、中二階になってきた。もともと下がなかったんですよね。CATVがなかったんですが、CATVさんも、非常にきめ細かく今ローカルのいろいろな情報を流されるようになったものですから、言ってみれば中二階で、ちょっと厳しい立場にある。それから、今度は横から押されていることからいえば、インターネットとかBS、CSと新聞との間でまた狭められてくる。何か、上下左右からサンドイッチになって、いわゆる大臣の言うナローパスというところに入っているような気もするんですが、ちょっと最後にその御見解をお伺いします。

原口国務大臣 委員がおっしゃるように、構造的な問題、特に中二階ということでいうと、今、地方自治に例えられましたけれども、県が置かれた、それと同じような悩みもお持ちだと思います。

 ただ一方で、この間、特定のローカル局を持ち出すのはあれですけれども、いい事例なのであえて申し上げると、北海道テレビですね。ここが、北海道の雪をアジアの方々に経験していただきたいということで、アジア御出身のキャスターに来ていただいて、それを北海道からアジア全体に発信されました。そうすると、旅行客が大変ふえて、そして北海道ならではの観光、北海道ならではの、アジアの地域と同じような旅情に、そこの地域の方々が浸るというようなことが起こりました。

 ですから、私は、コンテンツを持っている人たちというのは、これからある意味では一番有利だというふうに考えています。その有利なものを、光の道やいろいろなものでどうやって保障していくのか、あるいは流していくのか、そこに私たちの国の責任、あるいはミッションというものがあるのではないかというふうに考えています。

 またいろいろと御指導をよろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 これにかかわる再放送同意の問題等は、またの機会にさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。終わります。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 放送法に関しまして、大臣並びに関係閣僚、またその他の方に御質問申し上げます。

 まず初めに、NHK会長を経営委員の一員にするということについてお伺いを申し上げます。

 先日の総務委員会で、答弁としてこのようにお話がありました。ここ数年の衆参の総務委員会において、経営委員会とNHK執行部との関係がかなり敵対的というか、いびつな形になっている、修正動議によって押し切るという形では、放送、報道の自由、表現の自由というものまで影響が及ぶのではないか等の御議論があったことを反映したというふうに理由を述べておられます。きょうも若干、そういう関係の御答弁がございました。

 この発言は、NHK受信料の一〇%引き下げに関する経営委員会の修正動議をめぐって国会でさまざまな議論があって、私も議事録を拝見いたしました。このことを念頭に置いていらっしゃると思うんですが、その議論を反映したということは、大臣も経営委員会が修正動議を出すような事態は問題であるというふうに認識を共有しているのか、この認識をお伺いしたい。

 また、経営委員会の構成を改正するということは、経営委員会のあり方に問題があるという立場になりますが、どういうところが問題なのかということを明確にお述べをいただきたいと思います。

原口国務大臣 今回の改正は、ガバナンス、ここの部分については国会で随分議論がございました。今おっしゃった、具体の現状に大きな問題があるという観点ではなくて、NHKの役割がよりしっかりと発揮されるよう、NHKの経営委員会について、経営方針の決定等が実際的な業務執行の観点から見ても適切かつ迅速に行われ、会長を新たに経営委員会の構成員に加えて、経営方針の決定に参画させるための措置でございます。

 今、西先生がおっしゃった、NHKの経営計画について、経営委員会と執行部との間に修正動議という形がありました。私は、そのことが問題だというふうには考えておりません。経営委員会と執行部において真摯に議論をしていただき、あるいは、NHKの重要な経営問題に関する議論の過程において、経営委員会と執行部とで緊張感を持って議論をいただく、これはとても大事なことだというふうに考えております。ただ、そこで総務委員会で御議論があって、だれとだれが責任を持っているのかという御議論がございましたので、そういう御議論を受けた改正であるということを御説明申し上げたくて言ったところでございますので、御理解を賜ればと思います。

西委員 これまでの答弁をお聞きしておりましても、なぜNHK会長に議決権を与えなければいけないのかということがもう一つ明確ではないように思います。

 先ほど橘委員からも、会長一人が経営委員会のメンバーとして議決権を得て、それでどういうふうな影響があるのかという問題意識をおっしゃられたように思いますが、私も実は同じことを考えておりまして、修正動議の問題にしても、経営方針の決定の問題にしてもそうですが、議決権の付与がこれらの問題の解決につながるという関係性がどうもよくわからないというふうな感じがしております。

 会長初め執行部は、基本的に経営委員会に出席をされております。ざっと最近の例を見ましても、経営委員が十二名、もちろん欠席もありますけれども、会長初め執行部側も、大体同じような数が出席をされているという現実をずっと拝見しますと、もちろん、議決権がありませんから、議決のときにはその場にいらっしゃらないわけですが、お互いの十分な意思疎通は図られているんじゃないか、こんな感じがいたします。議決権を与えなければならないという明確な理由は、しかも一名だけということについては、若干疑問を覚えるところでございます。

 ところで、経営委員は国会の同意人事を必要とする、こういうことでございます。会長が経営委員会に参加して議決権を有するということになるならば、これも、一人だけ同意人事を外れたメンバーということになってしまうわけでございまして、先日の本会議では、大臣は同意人事の対象としないということを明確におっしゃっておられます。同じような権限を有しながら、扱いが異なるというような問題が生じるわけでございますが、法制上問題はないのかどうかということについてお答えを願いたいと思います。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

原口国務大臣 先ほども橘委員にお答えいたしましたけれども、やはりNHKは言論機関でございます、その特殊性。その業務の執行の最高責任者が、ただCOOでいいのかという御議論がずっとございました。それで、CEOにするために議決権というものを、いわゆる経営の決定にさらに責任を持ってもらう。

 昭和三十四年の改正のときには、NHKの会長に強大な権限があってはならないということでこの方式になっていますけれども、過去、これは自公政権時代の改正でございますが、改正が行われております。

 その上で、このため、経営委員会の委員とは異なって、その業務の執行の最高責任者がNHKの会長でございますから、放送番組の編集の自由を享受し、何人からも干渉されずに番組編集を行うことができるようにする必要がある。そこで、経営委員会にはその任免権が付与されていますけれども、公共放送としての公共的な性格と公権力からの干渉の排除、これは何といってもやらなければいけない。ですから国会の同意人事という形にはなっておらないわけでございますので、ぜひ、言論機関としてのたてつけのところを御理解賜ればありがたいと思います。

西委員 総務省からこういうふうなお話がございました。一般の委員会設置会社では、経営委員会に当たる取締役会に執行役員が入っているから、それと同様に、経営委員会に会長が入っても問題ないという説明を受けました。

 もし一般の委員会設置会社と同様というのであれば、将来的には、会長だけではなく他の執行役員も経営委員会に入れるつもりなのかどうか、これをお伺いしたいと思います。また、逆に、他の執行役員は入れないということであれば、それはなぜかということを考えるわけで、御説明に一貫性がないというふうに思います。

 ところで、平成十九年六月二十六日、NHKコンプライアンス委員会は最終答申を出しました。答申の中には「NHKにおけるガバナンスの特殊性」という記述があります。「NHKのガバナンスやコンプライアンスのあり方を議論する際、以下のように、一般企業とは異なるNHKの特殊性を正しく理解しておく必要がある。」ということで、三点にわたって記述がございます。

 1、受信料により安定的収入が確保され、単年度予算主義のため、コスト削減等の効率化など収支改善させようという力が働きにくい。2、理事等は会長により任命され、副会長や理事を会長の機関とする会長の独任機関であり、会長と理事等との間には、一般企業の社長と取締役との間に見られるような相互牽制機能が発揮されにくい。3、報道機関として政治や行政と一定の距離を置き、中立性や多様性を確保する必要があるとして、第一義的な経営監視機能を、視聴者の代表から成る経営委員会が担っている。この三つの点を指摘されております。

 その上で、「このようなNHK固有の特殊事情を鑑みるに、一般の企業に導入された手法や、株主によるガバナンスを模した仕組み、或いは、経営層における相互牽制関係を前提とした施策などを、NHKにそのまま導入しても、それだけでは期待通り機能しない可能性がある。」こういう意見が述べられております。

 このNHKコンプライアンス委員会の最終答申を大臣はどう評価されているのかということでございます。一般の委員会設置会社とNHKを同格に議論することは適切でないというふうに私は思っておりますが、大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。

原口国務大臣 このNHKのコンプライアンス委員会は、経営委員会の諮問機関として設置されたものと承知しています。その最終答申、今委員がおっしゃったように、NHKがこれを活用しつつ、ガバナンスの強化及びコンプライアンスの徹底を図ることが望ましい、このように考えています。

 最終答申は、これも今委員がおっしゃいましたけれども、一般の企業に導入された手法などをNHKにそのまま導入するだけでは期待どおり機能しない。やはり言論機関、先ほどから数次にわたって答弁していますが、言論機関です。今回の改正も、一般の委員会設置会社とNHKの統治構造を全く同位置に置いてはならない、このような考えから、ちょっと複雑にはなっていますけれども、先ほどのような形にしているわけです。

 例えば、委員会設置会社では、代表取締役を株主総会で選出するということになっています。ところが、NHKの会長については、言論機関としての特殊性から経営委員会に任免権を付与するなど、異なる構造としておるわけでございます。

 その上で、会長を新たに経営委員会の構成員に加えて、経営方針等の決定に参加させることによって、やはりNHKの言論機関としての特殊性を踏まえつつ、経営方針の決定等が、実際的な業務執行の観点から見ても適切かつ迅速に行われる、そしてNHKの公共放送としての役割がしっかりと担保される、これが大事だというふうに考えていまして、委員がおっしゃるとおり、一般の委員会設置会社と同様にやってはならないと私も考えております。

西委員 ありがとうございます。その点については共通の認識を得られたというふうに思います。

 経営委員会の議決事項についてお伺いしたいと思います。

 会長に議決権が認められない事項というのがございます。改正法第十四条第四項に、監査委員会の職務関連事項や経営委員会事務局体制、役員の報酬及び退職金関連等の事項というふうになっておりまして、それ以外の議決事項については逆に会長にも議決の権限が与えられている、こういう仕分けになっております。

 議決権を与えられた事項と与えられていない事項、この両者についての基準はどういうところにあるのかということをお伺いしたいと思います。

 会長が議決権を有することとなっている事項については、例えば、現行法の第十四条第一項のハの(1)「会長、副会長及び理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」、ハの(2)「会長、副会長及び理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制」、ハの(4)「会長、副会長及び理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」、ハの(5)「職員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」など、会長及び役員や職員に直接関連する事項や、経営委員会が持つ執行部への監督に関する事項も会長の権限の中に含まれている、議決権の中に含まれております。

 こうした事項について会長に議決権を認めることで、経営委員会の議決の公正さを果たして保てるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

 二点についてお願いいたします。

利根川政府参考人 お答えいたします。

 経営委員会におきます会長の議決権につきましては、会長の任免といった人事、それから直接利害に関係するようなこと、要するにNHKの統治の根幹にかかわるような事項については、先生御指摘のとおり議決権を制約しているというふうになってございます。

 また、先生御指摘されましたような各種体制等々につきましてですが、コンプライアンスの観点あるいは内部統制といったような観点からの規定が並んでおりますけれども、こういったものにつきましては、NHKの業務の適正の確保といったことをするために必要な体制の整備に関する事項ということでございまして、業務の執行に密接に関連する事項でございます。したがいまして、業務執行に最も通じている会長に議決権を認める方が、実際的な業務執行の観点から見ても、監督権限の実効性が確保されることから認めているものでございまして、経営委員会の議決の公正さを阻害するようなものではないというふうに考えてございます。

西委員 非常に、その辺の微妙な線引きの部分があるのではないかというふうに僕は思っておりまして、会長、副会長、理事の職務の執行等についての議決を会長を含めてやるという、この悩ましいことに対しては、どうかなあという感じがいたしております。

 次に行きます。

 今度は電監審のことですが、電波監理審議会がみずから調査審議し建議できる重要事項、これは三項目、今回規定されております。重要事項の規定が非常にあいまいであり、権限の及ぶ範囲が明確でないというふうに思われます。

 電波監理審議会が、三項目に規定されている事項に関連し、放送行政のあり方以外のことについて調査審議した場合や建議した場合は、法律の条文上は、これは法律の違反とならないというふうに読まざるを得ない。ちょっと嫌みな質問だと思いますが、これが法律違反となるのか、法律違反とならないのかということでございます。

 この建議する内容については非常にあいまいだということを言いたいために、こんな皮肉な質問になっているわけですが、このことについての御答弁をお願いいたします。

原口国務大臣 まず、ぜひ御理解をいただきたいのは、放送法の今回の改正案の第三条ですね、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と明記しているわけです。放送番組に干渉し、規律するような建議をすること自体できませんし、仮にそんなことをやってみたところで、私に建議、今だと私に来るわけですけれども、総務大臣がその建議に沿って何かを行うということは、この第三条で禁止されているわけです。

 その上で、建議の規定に掲げた三つの重要事項は、放送法の目的規定に掲げる三原則をそのまま引用したものでございまして、三原則をすべて引用することで、放送行政のあり方全般について建議することを可能としているものでございまして、放送行政以外について建議そのものを想定しているものでは決してございません。

西委員 電監審の建議の条文についてでございますが、総務省は、他の法律と横並びの規定をしたというふうに説明をされました。

 他の法律と横並びというのは、一つは行政の理屈立てだと思うんですが、みずから調査審議し建議できるという法律、これは、実は調べてみますと消費者庁及び消費者委員会設置法だけであって、調査審議し建議できる重要事項ということで、七項目、この中には列記されております。漠然とした目的規定を重要事項とした放送法の改正案とは明らかに異なる具体的な内容が、建議できる項目として、この中に挙げられているわけでございます。

 さらに、放送法は、表現の自由という憲法上の規定に関係する法律である、これは大臣も再三にわたっておっしゃっておられることでございます。憲法規定との関係を考慮すると、他の法律と横並びという機械的な取り扱いではなく、慎重な取り扱いが必要である、こう思うわけでございます。

 少なくとも、総務委員会で各党からも懸念が表明されているわけですが、こういうことがないようにきっちりと、条文に具体的なものを明記するか、範囲を明確にすることが最低限必要ではないか、こう思いますが、御見解をお願いいたします。

原口国務大臣 今、私は西委員にもずっとお答えをしてきましたけれども、言論のとりでをつくろうと。そして、これは塩川委員でしたか、いわゆる権力を持った機関がそのまま言論、報道を管理監督するというやり方について、それをどうすればいいかということを、日本版FCCという議論の中で、もう今はFCCという言葉は使いませんけれども、やってきたわけです。つまり、みずからこの総務行政をチェックできる。

 それで、諮問を受けることなく調査審議し、関係大臣に建議することができるとされている審議会の例は、今、消費者庁のお話がございましたが、それ以外にも、労政審あるいは国土審議会等に見られるわけでございます。

 消費者委員会も、消費者基本法、公益通報者保護法、個人情報の保護に関する法律の目的の規定からキーワードを引用する形で建議の規定が整備されている。これは西委員も大変お力をいただいたと聞いております。

 さっき横並びと担当者が答えたのは、こうした他の審議会との横並びに加えて、電監審の建議については、放送番組編集の自由について定めた、先ほど条文をお話ししました放送法第三条を踏まえた上で、名あて人は、あくまで放送行政を担当している総務大臣、それから、資料の提出等を求める相手方も関係行政機関の長に限定するという取り扱いにしているものです。

 だから、ベクトルが放送事業者に向いているものではない。逆に言うと、放送事業者を、今までいろいろなものがございました、二十年、三十年前の話をして恐縮ですけれども、しない方がいいかな。当時の担当大臣が、放送事業者に対して非常に強い思いを述べられているという場面にたまたま接しました。

 そういったことがないように、建議の規定については、電監審が諮問を受けずとも総務大臣に対して意見を述べることができるようになるだけのものであること、放送事業者に対する規律を追加するものではない、総務大臣の番組に関する権限がふえるものではない。それでもなおかつ、これは総務大臣の隠れみのになるんじゃないかと言う方がいらっしゃいます。でも、隠れみのにするぐらいだったら直接言えば、建議なんということをやることはないんです。

 しかし、委員がおっしゃるように、事は言論の自由のことですから、今私が申し上げたように、幾重にもファイアウオールを課しているということだけは、第三条が基本になっているということだけは御理解をいただいた上で、また御議論を伺っていきたい、このように考えています。

西委員 ここの部分に関しては、本当にさまざまな意見が各党から寄せられております。このまますっと通るということについては、私は依然として危惧を抱いておりまして、私どもも修正案を出すつもりで準備をしておりますし、各党との本当に慎重な議論をぜひともお願いしたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 最後に、電波監理審議会は、放送に関する事項だけでなく、電波に関する事項についても答申を行っているわけでございます。しかし、今回の電波法改正案には、みずから調査審議し建議できるという規定がございません。放送法と同様に、例えば、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することに関する重要事項について、電波監理審議会に調査審議、建議する権限を付与しなかった理由があれば教えていただきたい。なぜ、放送法だけに限って規定をしたということになるのか、合理的な理由を示されたいと思いますが、いかがでございましょうか。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきたいと思います。

 今回の法改正の主たる目的は、御案内のように、放送法そのものをしっかりと、六十年ぶりに大改正をしようというものでございます。そこで、放送関連、放送行政に着目した大改正ということで御理解をいただきたいと思います。

 具体的には、例えば今回、放送関連四法を一本化した、これによってどのように変わったのか。例えば、電監審はこれまで無線による放送を所管していた。しかし、それが新たに有線による放送をも審議をすることになった。つまり、電監審は、これまで以上に幅広く放送行政に関する知見がそこに集約されることになった。

 そこで、これは先週、塩川委員にもお答えをさせていただいたことではございますが、現行法制度では一つの矛盾があると思っております。それはどういう矛盾かといいますと、今の放送行政に問題があるのかどうかを指摘するのが、何と、放送行政を所管する省庁の長である総務大臣であるということ。果たして、これが、報道の自由を守るという観点に照らし合わせたときに妥当であるのか、こういう問題意識を持っているところでございます。

 そこで、今回、国会同意人事にかかって決められる電監審、すなわち、第三者によって放送行政のあり方を問題指摘をしていただく、そういう仕組みにさせていただいたわけでございます。

 なお、電波法については、そういった観点でいうと、大きな改正はあるわけではございませんので、そういった建議をするというようなものにはしなかった次第でございます。

 以上でございます。

西委員 これも、本当にバランスの問題から考えて、一つの電波監理審議会の建議という内容ですので、私は、やるのであればそういうことも配慮してしかるべきであったのではないかというふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、多くの皆さん方の、放送関係者の関心事の今回の法律改正でございますので、委員長にお願い申し上げますが、参考人を初め、慎重な審議と十分な時間の議論をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 放送法について、先週の質疑に続いて御質問をさせていただきたいと思います。

 この問題については、かねてから、例えば竹中懇のころから、いわゆる情報通信法をめぐる議論として、レイヤーごとの、横ぐしを通した体系的な法体系の整備ということが議論をされてきたわけです。そういう意味では、この議論は、終着駅は情報通信法という名前の法律ができ上がるところにあるというふうに思われてきたと思うんですが、今回、この放送法改正案というものが提出されるに当たって、この問題にかかわってきた方々、あるいは有識者の方々からはいろいろな意見が出ています。要は、情報通信法の制定というのが二〇一一年をめどに行われる予定になっていたんだけれども、これについては先送りになったという言い方をする人がいる一方で、例えば、個人名を出すと、慶応大学の中村伊知哉さん、この情報通信法制定をめぐる議論のまさにコアにいた方ですけれども、中村伊知哉さんなんかは、御自分のブログで、この放送法の改正案こそが放送と通信の融合が一つの決着を見た一つの形なんだ、大変前進をした、私たちが思っていた以上の前進をしたと受けとめられている。

 そういう意味で、この放送法の改正案というのが情報通信法の制定に向けた議論の出発点なのか終着駅なのかというところが、人によって見方がそれぞれになってしまっているというふうに思うんです。

 先週、私は、この法案における放送という言葉の定義についてお尋ねをさせていただきました。電気通信事業法の電気通信という言葉を持ってきたことによって、あたかもいわゆるネットなどを通じたコンテンツ配信等々についても放送ということで位置づけられるかのような誤解が生じて、先週の質疑でこの点は大臣、副大臣ともに明確に否定をされたわけです。

 この法案が通信と放送の融合法制の終着駅だとすれば、またそういう読み方が場合によっては可能になってしまう、あるいは通信と放送の融合ということは当面は行わないという結論が当面の終着駅なのかということにもなってしまうというふうに思うんです。

 そういう意味で、今回の放送法改正案というのが、将来的に情報通信法という法律を整備する一里塚なのか、あるいは、ここまで議論をしてきた、レイヤーごとの体系的な整備の最終的な結論の姿なのかどうか、こういうことについてお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 情報と通信の融合という言葉は、私は、竹中懇のときもそうですけれども、よほど慎重に議論をしなきゃいけないと思っているわけです。それは、融合が実質的になってくるけれども、通信において一番守るべき法益は秘密ですね。前回の御質問で明確に答えさせていただいて、ツイッターにお礼を言われたと書いてありましたが、そのとおりお礼を言ったわけです。何でお礼を申し上げたかというと、それは、情報通信の世界で放送法の規制をそのまま入れてくると何が起きるかというと、表現やさまざまなものについての過剰な規制になってしまうんですね。今度、放送については、公正公平、そして表現の自由といって、しっかりとした守るべき法益が異なっているわけです。その中で六十年ぶりの法改正ということに相なったわけです。

 私は、情報通信法、柿澤委員が何をもっておっしゃっているかわかりませんけれども、前に記者会見で情報通信文化省といったものをつくらなければいけないのではないかと。つまり、レイヤーごとの、横ぐしもそうですけれども、もう一つは、そこで流れるコンテンツをだれがどのように保障し、どのように再生産していくのか、こういったこともしっかりと、これこそ横ぐしで議論をしていくことが必要だというふうに考えています。

 私は、今回の法制が終着点か始発点かということですけれども、先送りしたものは現時点においてはないと思います。もちろん、クロスオーナーシップの規制とか、そういうのはありますよ。だけれども、現時点において考えられるものがここで一つの結論を見た。ただ、この次のステップはここまで歩いてきた方向かというと、先ほど大谷委員にお答えをしましたけれども、もっと大胆な融合というものが生まれてきたときにどうするかというのが次の議論に必ず出てくる、このように考えています。

柿澤委員 ここはいろいろな見方があるので、あえて再度確認をいたします。

 いわゆる名称として情報通信法と言われる法律案を、これから、二〇一一年と言われてきたのを多少先送りして、国会に提出をしていくという方向性ではないということでいいんでしょうか。

原口国務大臣 私は、その情報通信法で、いろいろな方々が、さっきの御議論にもあったようにさまざまな解釈をされてきたと思うんですね。そういう意味では、何をもって一本化と言うのかということも含めて、まずは言論のとりで、そしてICTタスクフォースの中でしっかり議論をしていただくということがまず第一だと思います。

 この放送法の改正についても議論があったのかというようなことを言われます。私にとっては非常に意外なんですよ。だって、この総務委員会で何十時間と御議論をしていただいたものを、ここでそのエッセンスを改正ということにしているんですけれども、専門の皆さんでさえそういう御議論をされるぐらい、やはり言論の問題とか表現の問題とか放送の問題は非常にセンシティブですね。ですから、一歩一歩確認をしながらやっていかなきゃいかぬ、このように考えています。

柿澤委員 私は、二〇一一年の地上デジタルの開始前の段階で、この八本の放送にかかわる法律を一本にまとめた、そして、通信・放送融合型の電波免許、また、放送・通信のサービスとコンテンツ層を一本化する、ハード、ソフト分離の選択肢をそれぞれの放送事業者に与える、こういう形のいわば規制緩和を行ったということは評価をしたいというふうに思います。ただ、その先に、場合によっては放送・通信のさらなる融合を目指した法制度の整備があって、それが先送りされたかのような見方もされているようですので、その点、総務省の、また大臣のお考えをお伺いさせていただいたところであります。

 また、通信・放送の総合的な法体系に関する研究会の検討過程では、これはもともとNTT法を含めた九本の法律を一本にして、これを情報通信法とするという方向性が中間取りまとめの段階では示されていたはずであります。そういう意味で、今回、いわゆるICTタスクフォースで、今NTTの再々編の議論を、まさに最終的なというか現時点での取りまとめが行われる段階になってきているというふうに報道ベースで存じております。

 このNTTの再々編については、かつて、私も総務委員会で原口大臣にお伺いをさせていただいて、当初の予定どおり、二〇一〇年内に成案を得て結論を出すんだということをおっしゃられていたというように思うんです。

 ただ、今、報道で見ますと、このNTTの再々編についてはもう一年議論を続けようじゃないかということで一定の取りまとめがこのICTタスクフォースの中でなされるというようなことが報道されていますけれども、こうだとすると、先日、総務委員会で私に対して原口大臣が御答弁されたのと違うことになってきたのかなというように思いますけれども、質問をした当事者ですので、その点、御真意をお伺いさせていただければと思います。

原口国務大臣 光の道構想というのを出させていただいています。これは先ほどお答えしましたけれども、二〇一五年までに、光の道、WiFiやCATV、あるいは電力がなさっているような伝送網、こういったものも含めてすべての方にアダプション一〇〇%を保証する。そのためには一年先送りしている余裕なんかありません。

 柿澤委員にお答えをしたように、光の道構想では、NTTの経営形態を含むアクセス網の整備の方法や利用促進策などが検討をされていて、きょう夕方、それの報告が出てくるというふうに思っています。

 私は、年内に一定の結論を得て、それはなぜかというと、来年の今ごろは、今情報通信法とおっしゃいましたけれども、さらなる時代の変化に即応できる法案を、私は光の道三法案というふうに構想をしていますけれども、電波をどのように公正公平に割り当てていくのか。電波だって、高速道路の中に自転車道があるような状況だという批判さえする人もいらっしゃいます。こういう電波のための法律、それから、アクセスの自由、そして、先ほどお話しになった経営形態が入らなければ実際にはできない話でありますので、どのような結論になるかは、多くの皆さんから御議論をいただきながら粛々と進めていきますけれども、一定の結論を年内に得るということは絶対に変えないというふうに考えています。

近藤委員長 柿澤未途君、質問時間が終了しておりますので、御協力をお願いします。

柿澤委員 先日、原口大臣が二〇一〇年中に結論を出すと答弁されたときも、おお、意外だなというふうに私は受けとめさせていただいたんですけれども、きょうも、報道ベースでは、あたかも先送りが既定方針のように報道されていたものですから、こういう御答弁が出るということについては私もいささか意外な思いを持って受けとめさせていただきました。

 そういう意味では、この案件に関する原口大臣の強い決意と思いがこの御答弁にこもっているということなんだろうというふうに思います。その点だけ申し上げさせていただいて、これからの議論、さらにダイナミックに進めていかなければいけないということについては私もまさに大賛成でありますので、これからもこの総務委員会で議論をさせていただくことを楽しみにして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、ハード、ソフト分離に関連して質問をいたします。

 これまで放送の事業形態は、放送番組の編集というソフト部分と放送施設の設置というハード部分を一致させた形で事業者が行うのが基本原則でありました。ハード、ソフトを分離して放送番組の編集だけ行う事業者は、これまで衛星放送による委託放送事業者などに限られ、いわば例外だったわけであります。今回の法改正によって、放送番組の編集を行う基幹放送事業者は原則総務大臣の認定を受けなければならないとされております。基幹放送というのは、国民に広く普及し影響を持つ地上波の放送を含むものとなっているわけです。

 そこでお尋ねしますけれども、これまでハード、ソフト分離がいわば例外だったものが、今回の法改正によってハード、ソフト分離がいわば原則となるということだと思うんですが、その点、確認をさせてください。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 委員が、ハード、ソフト分離が原則だということをおっしゃったんですが、答えを申し上げますと、そうではありません。本当にすべて中立的にしております。つまり、経営者に対してオプションをふやしたということでございます。

 もっと具体的に言えば、従来のソフト、ハード一致の状態で参入している事業者に対しても、別にそのままソフト、ハード一致のままいってもいいし、ソフト、ハードを分離していただいても結構。また、新規参入者に対しては、ソフト、ハード一致のまま参入していただいても構わないし、ソフト、ハード別々に参入していただいても結構。どれを原則とするものでもございません。

 以上、お答えをさせていただきました。

塩川委員 九十三条の規定を見ますと、「基幹放送の業務を行おうとする者(電波法の規定により当該基幹放送の業務に用いられる特定地上基幹放送局の免許を受けようとする者又は受けた者を除く。)」ということで、この者は「総務大臣の認定を受けなければならない。」ということで、この書きぶりからいえば認定を受けることが基本である、そういうことははっきりしていますよね。

内藤副大臣 括弧の中でその除外規定も設けておりますが、確かにそういう印象を受けるかもしれませんが、我々立法者の趣旨としては、すべて対等に扱うという思いを込めております。

 以上です。

塩川委員 条文の規定に基づくわけですから、この書きぶりからいっても、認定を受けることが原則となって、いわばハード、ソフト分離が基本となり、規制方式の大きな転換になるものであります。

 そういうことを踏まえてお尋ねしますが、この放送局への監督権限を持つ総務大臣が放送番組の編集を行う事業者を直接審査、認定することになるのは、行政の恣意的な介入の余地を生むものになるのではないのか、大臣のお考えをお聞かせください。

原口国務大臣 言論の自由を守るということについて、塩川委員と私はずっとこの放送法の修正についても同じ方向を向いて歩んできた、そういう認識を持っています。

 現行の放送法においても、既にハード、ソフト分離の制度が導入されている衛星放送と移動受信用の地上放送では、放送の業務についての認定制度が導入されています。

 今回の改正においては、経営の柔軟化、選択肢なんです、それを図る観点から、地上放送においてもハード、ソフト分離を可能とすることにして、これに伴い放送の業務の認定制度を地上放送にも設けることとなるわけでございまして、認定に当たっては、従前からのハード、ソフト一致の放送について電波法のもとで審査してきた事項のうち、ソフト部分に関する事項を用いることを想定しており、ハードを分離したからといって、そこで恣意的な国の介入を生むなんてことはあり得ないし、あってはならないというふうに考えています。ある余地がありません。

塩川委員 二〇〇七年の民放連の意見書などでも、これまで「電波法に基づく放送局免許は施設免許であり、番組内容に対する行政の直接的な審査・関与を防ぐことで、放送の自由を制度的かつ厳格に保障してきた」、このように述べているわけで、電波法に基づくいわば施設免許という形での間接的な免許の規定の置き方をしているのを、今回変えて、あくまでも一致は括弧書きの中ですから、総務大臣が認定をしなければならないという制度になったという点での規制方式の大きな転換があるということを指摘せざるを得ません。

 そういうことを踏まえて、この百七十四条の業務停止命令の問題が出てくるわけです。この百七十四条の放送事業者に対する業務停止命令の規定を設けた理由は何なのかについて、まず確認の意味でお聞かせいただけないでしょうか。

原口国務大臣 これは委員も御案内のとおり、業務停止命令の制度については、電波法を含む現行の放送法制においてもすべからく整備されているものでございまして、現行法制と比較して放送事業者が放送の自由を侵害される懸念が生じるものではございません。

 また、実際に運用に当たっても、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであることに加え、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められるといった、極めて限定的な、BPOがあるわけですから自主規制なんですよ、しかし、それでも今の放送法の規制があるというのは、このような極めて慎重な配慮のもとに運用するものであって、業務停止命令の制度自体が放送事業者の放送の自由の必要以上の制約につながるものではございません。

 先ほど放送法の三条を言いました。この三条の規定は何も変えていないんです。つまり、総務大臣がやれる範囲というのは、それは拡大をしているどころか、あの電監審によって逆にチェックを受ける対象だということを御理解いただきたいというふうに思います。

塩川委員 先日の質疑でもやりとりしましたように、私は、独任制の行政機関の総務大臣が放送行政を監督する仕組みを存置したままで今回のような業務停止命令が行われることに強い懸念を覚えるわけであります。

 放送番組の編集を行う事業者を、直接審査、認定する立場にある総務大臣が業務停止命令をできる権限を持つということは、やはり放送の自由を侵害する懸念が生じることになる。これはぬぐえないと思うんですけれども、その点、いかがですか。

原口国務大臣 そこは、塩川委員、少し飛躍じゃないでしょうか。

 私たちも、日本版FCCということで、今おっしゃったような、FCCという言葉は使わないけれども、しっかりとした独立の機関にそういったものについて御議論いただいているのは事実です。しかし、今の現状の中で、放送が、行政が行われていることも事実です。どこにもそういう独立委員会はございませんし、私たちが実際に番組の内容、報道の内容といったことに介入する、この業務停止命令をもってさまざまな報道の自由や表現の自由に介入するという、その論理立てが私には理解できないんですけれども、そういうことは絶対にあってはならないし、あるはずもないということを繰り返し御答弁申し上げます。

塩川委員 実際にこれを発動する、行政処分を行うかどうか、それをおいたとしても、威圧的な効果をもたらすという意味でも、私は懸念をぬぐえないと思っています。番組内容を理由にした業務停止命令ができるようになるのではないかという懸念も実際にはぬぐえないところであります。

 そういうことになりますのも、認定の時点において審査事項がどうなるのかということもあるわけですね。ハード、ソフトの手続分離に当たって、ソフト部分の認定に対する放送法による審査事項というのは当然出てくるわけですけれども、この認定に当たっての放送法上の審査事項にはどのようなものがあるのかについて簡単に御説明いただけますか。

内藤副大臣 まず大枠のことを申し上げさせていただくならば、現在、ハード、ソフト一致のもと、どのような審査事項があるかというと、外資規制等八つの審査事項があるわけでございます。ハード、ソフト分離を選んだ事業者に対しては、やはりそれぞれの審査項目がなければいけないということで、その八つを決してふやすこともなく、減らすこともなく、ハードにふさわしいもの、ソフトにふさわしいもの、また両方にあるべきもの、そういう観点で振り分けさせていただいたところでございます。

 そして、御質問のところでございますが、従来のハード、ソフト一致の放送について、電波法のもとで「総務省令で定める放送をする無線局の開設の根本的基準に合致すること。」としていた審査項目の中には、例えば放送番組の調和等を求める規定が定められており、改正放送法の「基幹放送普及計画に適合することその他放送の普及及び健全な発達のために適切であること」といった規定のもとで、基幹放送普及計画に盛り込まれることが想定をされますが、しかし、いろいろな関係者の意見も聞きながら慎重に検討してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

塩川委員 その点をもう少し条文に即してお尋ねしたいんですけれども、九十三条の五号で、「その認定をすることが基幹放送普及計画に適合することその他放送の普及及び健全な発達のために適切であること。」とされているわけですけれども、この認定の審査に当たってどのような要件を指すのかをお答えいただきたいんですが、この基幹放送普及計画ではどのような要件を求めるんでしょうか。

内藤副大臣 お答えをさせていただきます。

 基幹放送普及計画には、一定の放送対象地域における放送系の数の目標等を基幹放送普及計画で規定すべきこととされております。基幹放送の業務の認定に当たっても、こうした基幹放送普及計画に沿ったものとなっているかどうか審査することとしております。このほか、基幹放送の業務に係る事業計画の実施が確実かどうか等、基幹放送の計画的な普及及び健全な発達のために適切であるか否かについて審査することを想定しております。

 具体的には、二点にわたって審査をさせていただくことが考えられますが、例えば基幹放送の業務の認定を申請する際に提出される事業計画や放送事業者みずから番組基準を定めていること、二つ目として、おのおのの放送事業者が放送番組審査機関を設置していること等、放送法上の規律を満たすことを審査することを想定しております。

 委員御懸念の点でございますが、私の答弁からも明らかになっておりますように、決して個別の番組について審査するものではないということを改めて明言させていただきたいと思います。

 以上です。

塩川委員 今お話にありましたように、従来、放送普及基本計画におきましては、放送系の数の目標等を規定するものに限られて、それが中心だったわけですけれども、今回の基幹放送普及計画では、それをさらに追加して、事業計画の実施が確実かどうか等々、新たな審査項目、審査に当たる上での要件をその中に盛り込んでもらうということが御答弁でございました。その事業計画の中身ということでいえば、放送番組の編集の基準ですとか放送番組の審議機関に関する事項、こういったものも入っているわけです。

 そういう点では、今言いました認定に当たっての申請書に何を盛り込むのかということで、事業計画書その他省令で定める書類を添付しなければならないと法文で規定をされていますけれども、どのような中身を盛り込むのかということでいえば、ちょっと確認ですけれども、先ほどお答えいただいた放送番組の編集の基準とか放送番組の審議機関に関する事項以外に、放送番組の編集に関する基本計画とか週間放送番組の編集に関する事項とか放送番組の編集の機構及び考査に関する事項とか、こういったものについても盛り込むことをお考えなのかどうか、お聞かせいただけますか。

内藤副大臣 あくまでも審査の基本的な考え方は、基幹放送の計画的な普及及び健全な発達のためにどうかという観点でございまして、先ほど具体的な例を申し述べさせていただいた次第でございますが、いずれにしましても、この審査基準等については大変多くの方々、関係者が関心を持っていることでもございますので、そういった関係者の意見をしっかりとお聞かせいただきながら、適切にその基準づくりを進めてまいりたいと考えております。

塩川委員 基幹放送普及計画についての御答弁をいただいたわけですが、九十三条の五号の後段の部分、「その他放送の普及及び健全な発達のために適切であること。」という、この規定ではどのような要件を求めることを想定されておられるんでしょうか。

内藤副大臣 済みません、先ほどの私の答弁がちょっと間違っておりましたので、訂正をさせていただきたいと思います。

 私、最初の先生の御質問、二点お答えをさせていただきました。基幹放送普及計画には、一定の放送対象地域における放送系の数の目標等を基幹放送普及計画で規定すべきこととされており、基幹放送の業務の認定に当たっても、こうした基幹放送普及計画に沿ったものとなっているかどうか審査をする。これを基本としつつ、多くの関係者が関心を持っている事項でもありますので、関係方面の意見を聞きながら審査基準等の決定をさせていただきたいというふうに答弁を訂正させていただきたいと思います。

塩川委員 そうしますと、先ほど言ったような放送番組の基準、番組基準とか放送番組の審議機関に関する事項とか、これは基幹放送普及計画で求める要件には入っていないということですか。その他と言われる後段の規定……(内藤副大臣「その他の部分に入ります」と呼ぶ)その辺、整理してお答えできますか。

内藤副大臣 失礼いたしました。

 委員御指摘の具体的な事案については、このほか、基幹放送の業務に係る事業計画の実施が確実かどうか等、基幹放送の計画的な普及及び健全な発達のために適切であるかどうかについて審査をすることを想定している、その枠の中で先ほど具体的なことを申し述べさせていただいた次第でございます。

塩川委員 そうしますと、基幹放送普及計画に具体的な番組基準などを盛り込むのではなくて、九十三条五号の後段の「その他放送の普及及び健全な発達のために適切であること。」というところで読んでいるということでいいんですか。

内藤副大臣 現時点では、あくまで想定ではございますが、そのように考えております。

 繰り返しになりますが、これは本当に多くの方々の、有識者、関係者の意見を聞きながら、慎重にその審査基準の策定を進めてまいりたいと考えております。

塩川委員 そうしますと、今お話しされたような番組基準などを初めとして、これは番組準則とか番組調和原則というものについて、要は放送番組の編集に関する事項が認定に当たっての審査項目に盛り込まれることにはなるわけですね。もう一回。

内藤副大臣 委員の御指摘は、現行のハード、ソフト一致の法体系のもとでも入っております。

塩川委員 ですから、私は、現行そのものもどうなのかという問題意識でお聞きしているわけです。

 そういう意味でも、放送番組の編集に関する事項というのが認定に当たっての審査項目に盛り込まれるという御答弁でありました。

 その上で、先ほど内藤副大臣がお答えになりましたように、個別具体的な番組内容を判断するものじゃないというお話がありましたけれども、しかし、周波数の割り当てが決まっていて、その割り当て数を上回る事業者が認定の申請をしたような場合に、事業者を選別しなければならない。そのときに、放送番組の内容にかかわって事業者を審査することはないと言えるのかということであります。

 放送内容への介入があったり、割り当て数を上回るような事業者が出た場合に、認定の審査をする際に、要は、放送内容にかかわって選ぶ状況が生まれるんじゃありませんか。

内藤副大臣 先ほど八つの審査基準をソフト、ハードそれぞれに振り分けるということを申し上げましたが、すべてを言っていると時間がかかってしまいますが、例えば表現の自由享有基準の合致だとか、基幹放送普及計画への適合その他放送の普及及び健全な発達のための適切さ、あるいは法律違反の有無といったように、そういった審査基準だけにとどめております。現行の審査基準をそのまま割り振っただけでございますので、個別番組への審査とか、介入と疑われるような審査は何一つございません。

塩川委員 では、放送番組の審議機関に関する事項とか放送番組の編集の機構及び考査に関する事項などは現行でもあるわけですけれども、もしそれを当てはめた場合に、個別の番組内容についても、例えば番審で議論しているとして、どんなことを議論しているんですかという報告を求めることはないということが言えるんですか。

内藤副大臣 我々が言うのは、番組審議会をつくるということのみでございます。

 以上でございます。

塩川委員 その答弁は改めて精査して受けとめさせていただきたいと思っておりますが、過去の番組内容が審査に影響を与えることになりかねないという懸念が、私、率直に思っております。

 最後に、政府から独立した行政委員会が放送行政を所管するのではなくて、総務大臣が直接放送局を監督する日本の放送行政において、番組内容への介入や規制強化につながる措置を行うべきではないということを重ねて申し上げて、きょうの質問は終わります。

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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