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第3号 平成23年3月8日(火曜日)

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平成二十三年三月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 大野 功統君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      内山  晃君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      平岡 秀夫君    藤田 憲彦君

      松崎 公昭君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    赤澤 亮正君

      石田 真敏君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府参考人

   (消防庁次長)      株丹 達也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 加藤由起夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消防庁次長株丹達也君、環境省大臣官房審議官加藤由起夫君、総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君及び水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘(慶)委員 おはようございます。

 通例どおり、お許しをいただいて、万葉集で始めさせていただきたいと思います。

 きょうは、予算委員会の分科会で詠むはずだった歌を、総務委員会ということで、こちらへ回させていただきたいと思います。

 巻十七、四千十七番。大伴家持が富山県で歌った歌であります。春の歌。

  あゆの風いたく吹くらし奈呉の海人の釣する小舟(をぶね)漕ぎ隠る見ゆ

 ありがとうございます。(拍手)

 春一番というわけじゃないんですが、強い風が吹く中で、この奈呉ノ浦というのは今の富山湾であります、ここで釣りする漁民の方々の船が行ったり来たり、波の中で頑張っているね、こういう歌なんです。

 この富山湾も、戦後の高度成長の中で、この奈呉ノ浦と言われていました越ノ潟という潟を掘り込み、港湾に変えて富山新港をつくりまして、そして新産都市ということで工業が大いに発展したわけであります。

 しかしまた、そういう高度成長の言ってみれば反面効果としてやはり公害問題というのが大変大きくクローズアップされてまいりまして、富山県を初めとして熊本、新潟あるいは三重と四つの大きな公害の問題があったり、そしてまたそういったことから環境庁が設立され、そしてきょう審議をさせていただきます公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、公害財特法の制定にも至った、こういうことであります。

 それからかれこれ四十年ということであります。そう思いますと、その間、大変な努力をしながら公害防止ということに取り組んできまして、さて、その過去を振り返りながら、今回の改正、さらに将来どうしていくか、こういうことで、四十五分お時間をいただきながら、総合的に振り返らせていただきたい、また将来も見据えていきたい、このように思うわけであります。

 きょうは、これもまた御縁、私は御縁は大好きですけれども、御縁がありまして近藤昭一前総務委員長に違う立場で御出席をいただけたのも、我が委員会としては大変うれしい限りではないかと思っております。後でまた総括的なお答えもいただけると、楽しみにもしておるところでございます。

 なお、時間の途中で、若干、前回の分科会で聞き損ねた部分を、関係のある部分だけちょっと一、二問聞かせていただくということをどうか委員の皆さんにはお許しいただきながら、後からまた各党の御質問もありますので、総括的なちょっと幅広いお話で、順番に聞かせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 最初ですが、この四十年間特別措置を実施してきたわけでありますけれども、今回が四回目の改正、延長ということになるわけですが、公害防止計画の策定地域の数を見ますと、ピークの昭和五十一年には四十八地域までふえたわけですが、施策の効果も上がりまして、現在は三十地域にまで減少してきたわけであります。しかし、いまだやはり対策は必要である、こういうことでありますが、この三十地域、主たる今残っている問題としての公害、どういう問題があるのかということについて、ここでまずお伺いをさせていただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公害の態様ということでございますが、昭和四十年代後半から昭和五十年代前半におきましては、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質といった大気環境基準、それから河川BOD、生物化学的酸素要求量ということでございますが、あと湖沼COD、化学的酸素要求量、それから海域CODといいました水質環境基準の達成率が、その当時はいずれも低い状況にございました。

 その後、公害防止計画、公害財特法等に基づき国と地方公共団体が連携して公害対策を講じましたことによりまして、平成二十一年度におきましては、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質の大気環境基準の達成率が、いずれも九五%以上と大幅に改善するに至ってございます。

 そして、水質環境基準につきましては、河川BODの達成率につきましては九二%と大幅に改善しておりますが、一方で、湖沼等の閉鎖性水域のCODは依然として改善がはかばかしくないというような状況でございます。

橘(慶)委員 昔のような、人体にいろいろな影響を及ぼすような公害、そういうものからだんだん変わってはきているということではありますけれども、やはり大気の問題、水質の問題、そういったところにまだ幾つかの解決しなければならない問題、あるいは生態系、いろいろなことを考えますと、まだまだ取り組まなきゃいけないものがある、このようなことではないかと思うわけです。

 しかし、また一面、今申し上げたように、過去、公害問題ということで、最初に皆さんが本当に鋭い問題意識を持たれたころの大きな問題というのは、対策事業等、いろいろな環境基準の強化、それぞれの方のお取り組みによってだんだんと改善をし続けてきている、そういう歴史ではないかと思います。

 ここで、まず、この法律に基づきます公害防止対策事業ということで、今までどのような事業が進められてきたのか、これまでの事業費及びその主たる事業内容はどうであったかということを、おまとめいただいてお答えいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 公害財特法に基づく公害防止対策事業については、昭和四十六年度から平成二十一年度までの三十九年間に、総額約十九兆円に上る事業が実施されてきております。主な事業内容でございますが、下水道の設置、廃棄物処理施設の設置、河川、港湾等のしゅんせつ、あるいは農用地改良事業でございます。

 以上です。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 そういう水質の問題とか、汚染されたものを除去していくとか、こういったことをいろいろと進めてこられたということであります。これは、国の補助率を上乗せする、地方債の起債を特例的に認める、あるいは地方債の元利償還額を交付税の基準財政需要額に繰り込むといった形で、自治体のそういう取り組みを非常に支援いただいてきたわけであります。

 そして、この法の仕組みといたしましては、公害防止計画を策定している地域においての事業のほかに、策定していない地域であっても、必要が認められる場合、総務大臣が指定をされることによって、いわゆる策定地域外の地域においても事業が行える、こういう仕組みになっております。

 そこで、そういった策定地域外の地域における事業数、そしてまたどのような事業が策定地域外で行われてきたのか、これをお答えいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 公害防止計画策定地域外の地域における総務大臣指定の公害防止対策事業でございますが、昭和四十六年度から平成二十二年度までの四十年間に八十九事業が実施されております。主な事業内容ですが、農用地改良や港湾等のしゅんせつとなってございます。

 以上です。

橘(慶)委員 多分、計画を策定していない地域ということになれば、大気とか水質、そういう基準値という問題ではなくて、今お話のありましたように、やはり土壌汚染であったり、過去のいろいろな堆積物を処理する、そういったものがスポット的にいろいろ出てくるのだろうと思います。ただ、これもまた後でお伺いしますが、なかなかそれは、結構、今日までいろいろな事業が続いている、必要性が出てきては行っている、こんな状況ではないか、このように前提としては思っておるわけであります。

 そういった形で、今ほど逢坂政務官の方からもお答えがありましたような十九兆円に上る事業、あるいはそういう各地域の取り組みということで、当然成果は上がってきているというふうに思うわけですが、ちょっと最初の問題の繰り返しになるかもしれませんが、ここで全体を振り返って、環境基準の達成状況等の面での、達成、到達の現状、あるいは、これから特にこういう部分はあともう一押し頑張りたい、頑張らなければいけないというところについて、環境省の方から現状をお答えいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、公害防止計画、公害財特法等に基づきまして国と地方公共団体が連携して公害対策事業を講じてまいりましたことによりまして、先ほども申し上げましたように、平成二十一年度におきましては、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質のいわゆる大気環境基準の達成率が、いずれも九五%以上と高い状況にございます。それとともに、河川BODの水質環境基準の達成率も、九二%と高い水準となってございます。

 その一方で、湖沼等の閉鎖性水域のCODの水質環境基準につきましては、依然として改善がはかばかしくないという状況でございます。

 そしてまた、ダイオキシン類による大規模な底質汚染の事例が存在するなど、ダイオキシン類による底質、土壌汚染への対策が必要と考えてございます。

 さらに、昨年六月に環境基準が改定されました農用地の土壌汚染についても取り組みが必要である、このように考えてございます。

 公害防止計画制度及び公害財特法を適切に運用すること等を通じて、これらの課題につきまして、着実な改善に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

橘(慶)委員 残された問題についても、特にダイオキシンというようなことについては、四十年前はそういうお話はなかったと思うんですが、新たに出てきているということで、これは後でまた御質問申し上げたいと思いますし、農用地の方も、土壌汚染の基準が変わるということであれば、また客土ということもあるのかなと今お伺いしながら感じておったわけです。

 ちょっと済みません。これはさら問いで恐縮でありますけれども、大気の問題ではよく光化学スモッグ、オキシダントの問題が言われます。それから、今お話がありましたように、河川についてはよくなってきたけれども、閉鎖性水域はまだまだ問題が残っている、こういうお話でありました。

 御専門の環境省さんですから、そういったところについて、これは必ずしもこの法律に限らず、今どういうことを取り組んでいくことが求められているのか、どういう部分の施策が必要なのかということについて、お考えのところをここでお伺いさせていただければ幸いです。

鷺坂政府参考人 済みません。個別分野にわたりますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 まず、大気の方でございますけれども、やはり今はまだ光化学オキシダントについての心配が少しございます。

 光化学オキシダントの原因物質でありますNOxでありますとか、あるいはVOC、揮発性有機化合物等につきましては、これは国内対策はしっかりやっているんですけれども、どうも最近ちょっと、日本海側で注意報が出たりとか非常に心配な面がございまして、国外からの原因物質の流入等々も想定されるところでございまして、こういった取り組みもしていかなきゃいけない、このように考えております。

 それから、水の方につきましても、閉鎖性海域、先ほど審議官の方からお答え申し上げましたけれども、まだ心配な面がございまして、私ども、閉鎖性海域の総量削減計画というものをもって、またそういったものを少し強化していきたい、このように考えているところでございます。

橘(慶)委員 考えてみれば、私どもは、私は日本海側に面しているわけですが、富山には、NOWPAPということで、国連の環境の関係の組織も置いていただいて、日本海自身も広い意味では閉鎖性に近い水域でもあるわけでありまして、これからは、今お話を聞きますと、酸性雨とか黄砂の問題なんかも含めて、外国との協調ということも大事でしょうし、そういう閉鎖性の水域についてはどうしても、いわゆる汚染物質が薄まらないといいますか、そういう問題もある中で、やはりいろいろな対策がまだ必要なのかな、こんなふうに思ったところであります。

 それはちょっと全体に今度は環境委員会にだんだん行ってしまうものですから、余りそっちへ行かないようにしまして、いよいよ今回の改正点のところについて順次お伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、廃棄物処理施設でありますけれども、これは、前回の改正の中でも、十八年度以降の新規事業については対象外にしていくんだ、こういうことになっておりまして、それが今続いていくわけであります。

 ここで改めて、この廃棄物処理施設というものが歴史的になぜ対象となっていたのか、そしてそれをなぜ外すということになったのか、これは言ってみれば歴史の流れの中で対策が進んだからだということであろうと思いますが、この辺の経緯について、おさらいの意味でお答えをいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 これまで廃棄物処理施設の設置事業を公害財特法の対象としてきた理由でございますけれども、一つは大気汚染、それからもう一つは水質汚濁、さらに加えて土壌汚染の防止に資するということで、この事業を対象としてきたわけでございます。

 この事業の取り扱いにつきまして、その後、平成十七年の中央環境審議会公害防止計画小委員会におきまして、重要課題であった廃棄物処理施設からのダイオキシン類の削減について相当な成果を上げたことなどから、補助率のかさ上げを講ずるまでの必要はなくなっているとの議論がなされたところでございます。これを受けまして、平成十八年度以降に定められた公害防止計画に基づく新規事業については国の財政上の特別措置の対象とはせずに、継続事業のみに特別措置を講じてきたところでございます。

 今回の改正におきましては、特別措置の対象とされてきた継続事業につきましても、事業の終了により対象となるものがほぼなくなったことから、廃棄物処理施設の設置事業を特別措置の対象事業から除外するということにしているものでございます。

 以上です。

橘(慶)委員 確かに、自分なりの経験で、今から四十年前まで振り返ってみますと、最初はごみの処理というのはなかなか原始的な形になっていて、いろいろなにおいが都市の中では漂っていたり、そういうものを焼却施設に変えてきちっと処理をしていく。そしてまた、それが、ダイオキシン等の問題があったりして、やはり焼却炉の改善とか、施設のより改善を図って、環境により適合した焼却をしていく、あるいは土壌汚染にならないような廃棄物の埋設をしていく、いろいろな形でこの事業が有効に使われてきたんだろう、このように思います。

 そこで、そのまま質問を続けていくのではなくて、ちょっとここで、分科会でお伺いしようと思ったところへ一たんそれるんですけれども、こういった廃棄物処理施設というのは、一つの町だけでやっていくことがなかなか大変だということで、広域圏の事務組合等で取り組んでいるというケースが結構多いわけであります。広域圏の事務組合というのは、そういうごみ処理施設とか、あるいは水道や消防、介護保険、いろいろなことをやっております。また、今、広域連合ということについても、環境問題でいえば、例えば東京湾なら東京湾のことをみんなで考えようとか、いろいろな形で、環境分野というのはいわゆる広域的に取り組む上では結構大事な行政であるような気もいたします。

 そういったところで、ここで、非常に総括的ですけれども、この広域圏事務組合というものにおける事務処理の取り組みの現状、そしてまた、こういったものを言ってみれば広域行政を進めていく観点でどのように考えておられるのかといったことについて、総務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今御指摘になられました広域的な行政を推進する装置といいますか仕掛けとして一部事務組合でありますとか広域連合がありますけれども、私は、自治体の現状からしますと、非常に有益な面が多いと思います。

 本来でありましたら一つの自治体で基礎的自治体が担う事務を全部行うというのが理想ですけれども、業務によっては必ずしも一つの自治体では行い得ないものがあって、近隣の自治体と連携してという事情がありますので、そういうときに、適宜一部事務組合とか広域連合を使うというのは有益だろうと思います。ぜひ、実態に応じて、それぞれの地元の自治体で活用していただければと思います。

 ただ、問題点がないわけではありませんで、例えば、最近の言葉で言いますと、ガバナンスがしっかりきいているかどうかとか、それから、デモクラシーとの関係で、チェックとかそういう民意の反映というものが円滑に行われているかどうか、こういう点でいささか指摘がないわけでもありませんので、この辺をよく注意されながら活用していただければと思っております。

橘(慶)委員 そこはやはり、仕組みという意味では、しっかりチェックするところはチェックしながら、しかしまた広域的に取り組むところは有益に、こういうお答えをいただきました。

 そこで、一つだけ、ちょっときょうの本筋からずれるわけですが、今まで聞きそびれたままになってしまいましたので、一問だけお許しいただきたいと思います。

 この広域的な取り組み、今、もちろんガバナンスとかそういったことはきちっとするということは当然として、消防庁におかれては、市町村消防の広域化ということについて基本指針を出されて取り組んできておられるわけであります。これが二十四年度までということで年限が区切られて、間もなくその時期に差しかかっていくというところでありますが、広域化ということの取り組みの現状、そしてまた今後残された期間における取り組みの方針について、ここで確認をさせていただきたいと思います。

株丹政府参考人 御指摘いただきました消防の広域化についてでございます。

 これは、委員御案内のように、平成十八年に消防組織法を改正いたしまして一章を新たに設けまして、市町村消防の広域化を推進していくという趣旨で、これに基づいて、今御指摘がありました、私ども基本指針というふうに呼んでございますけれども、消防庁長官が市町村の消防の広域化に関する基本指針を定める、この中で具体的に推進する期間を定めてございます。それが平成二十四年度までを目途ということで決まってございますので、あと二年と少しという状況でございます。

 これまでの広域化実現に向けました歩みでございますけれども、今申し上げました基本指針に沿いましてそれぞれ都道府県で消防広域化推進計画を策定いただくというのが、いわばまず第一段階でございます。一部の県を除いて、ほとんどの団体、都道府県で策定をいただいております。

 したがいまして、その次の段階は、それぞれの都道府県の推進計画で、この地域、私どもブロックと呼んでございます、市町村の組み合わせでございますが、そこで広域化をしていただくいわば対象を定めております。全国で百四十が定まってございまして、それぞれのブロックの単位で鋭意広域化に向けて取り組んでいただいているという段階でございます。特にその中でも、職員が常勤の方が置かれているかどうかという区別はございますが、協議会等が設置をされているブロックにおいて特に熱心に具体的な実現、広域消防運営計画というのを定めて、具体的な消防本部をどこに置くのか等、策定に向けた協議が進められているという状況でございます。

 今、我々、これについてどういう形で支援ができるかということにつきましては、基本的には、消防を含めまして、市町村が自主的に広域化に取り組んでいただく、それを促進するというのがポイントになると思ってございまして、例えば具体的な助言を行うために消防広域化のセミナーを開催する、あるいは推進のアドバイザーを派遣する、さらにはソフト、ハード両面からの財政支援をする、こういうきめ細かい対策をとりながら、積極的に支援をさせていただいているという状況でございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 今、協議会をつくって、やはりこういうことはそれぞれの地域地域で、消防力の強化ということもあるし、今までのいろいろな歴史的なこともあるし、いろいろな議論が当然なされていくことだと思うんですね。

 二十四年度ということからすればちょっとまだ少し時間はあるんですけれども、例えば二十四年度、これはよくあることですが、その年限までにすべての意図したところまで進まなかった、あるいは、ではその後このことをどうしていくのかというのは常にあることなんですけれども、今そこまでまだ煮詰まっていないというお答えならそういう答えも含めて、この後、広域化ということについて、二十四年度を過ぎた後もある程度応援していくという考え方なのか、そこはある程度自主性に任せるということなのか、その辺のニュアンスということで、今お考えになっているところがもしあれば、ここでお答えをいただきたいと思います。

株丹政府参考人 ただいまの御指摘でございますけれども、先ほど申し上げました基本指針で言っておる年限二年と少し、これは決して長い期間だというふうに私どもは思ってございません。この期間の中で全力を挙げて、今積極的に行っている地域を支援していきたいというふうに思ってございます。

 ただ、一点、申し上げましたように、消防組織法の中に一章が設けられて、市町村の消防の広域化を規定してございます。これは趣旨として、いつまでに期限を切るというのは法律上はないということがございまして、そういう意味では、二十四年度が過ぎて直ちに何かが終わってしまうということではなくて、広域化を推進していくという趣旨からいたしますと、私どもは、むしろその次に何か考えなければいけないのではないかというふうに思ってございますが、いずれにしても、今の時点ではまだその議論は早いのかなというふうに思ってございます。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 法の趣旨ということももう一度確認をさせていただいて、お取り組みをいただきながら、また機会があったらお伺いするということで、済みませんでした、これで後半戦の方に入ってまいります。

 また公害財特法に戻りまして、今回、幾つか対象事業を絞っていくということで、廃棄物処理施設の方は今お伺いが終わったわけであります。

 続いて、工場団地、企業団地等の緩衝緑地の設置事業、それから義務教育諸学校の移転・施設整備事業、こういったところは今回除外ということになってくるわけであります。

 この辺も、やはり今日的には大体こういうところがいい線にきているのかなという感じはいたしますけれども、提案者の趣旨として、このあたり、除外する理由を一応確認させていただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 御指摘の緩衝緑地の設置、あるいは公立義務教育諸学校の移転・施設整備事業について、現行法のこれまでの十年間の実績を見ても、事業費や国庫補助かさ上げ額が少額にとどまっているというのが実態でございます。また、今後の事業見込み調査においても、ほとんどニーズがないという状況でございます。

 したがいまして、今回の法改正に当たりまして、今後の事業見込みがないことに加えて、当該事業については、公害の原因そのものへの直接的な対策ではないというようなことも踏まえて、今後、財政上の特例措置を講じてまで促進する必要性、優先度合いが低いのではないかという判断をいたしまして、通常の国庫補助事業等による対策に移行すべきというふうに判断をしてございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 この辺は、公害というものの態様が変わってきた一つの成果ではないかなというふうに思います。

 今度は、一面、今回の改正でも、下水道、あるいは港湾等のしゅんせつ、それから農用地の客土、そしてダイオキシンの除去、このあたりが残るわけであります。今の逢坂政務官の御答弁の逆からいけば、こういったところはやはりニーズもあるし、これからも非常に大事だ、こういうことだろうと思います。

 今後の残事業量ということで、現在把握されているところをここでお伺いしたいと思います。

逢坂大臣政務官 ただいま御指摘いただきました事業については、まさに橘委員御指摘のとおりでございまして、総務省において今後の事業見込みを調査いたしましたところ、現時点で判明しているものだけで、平成二十三年度から三十二年度の間に、事業費約四兆円の公害防止対策事業が予定されてございます。その内訳は、下水道整備が約三兆九千億円、河川、港湾等のしゅんせつが約七百億円、農用地改良が約三百億円という内訳になってございます。

橘(慶)委員 ちょっと確認ですが、多分、ダイオキシンというのは都度都度のことだからなかなか把握できないという趣旨で今数字が出なかったのかなと思いますが、一応確認でございます。

逢坂大臣政務官 今後十年間の中でダイオキシン関連のものも含まれてございます。事業費ベースで百三十億程度のものが含まれているということでございます。

橘(慶)委員 済みません。どうもありがとうございました。

 下水道というのは、先ほどの閉鎖性水域という話を考えれば、やはり大変大事な、有効な整備種目であろうと思います。ただ、あとのものについては、額的にはかなり限られたものになってきていると思うんです。

 そこで、幾分確認をしたいわけですが、まず、客土ということです。

 これは、私が質問をつくったときは、今日までの法規制のもとでは、今まで、客土しなきゃいけないところを順番に当然土地改良事業として申請がされて、なされてきたということであろうと思うんですけれども、先ほど、環境省さんからのお話によりますと、土壌汚染については、農用地の土壌汚染の基準が変わる云々というお話もありました。

 これからこれは、そういう意味では、基準が変わることによって可能性も出てくるのか、あと、どれくらい客土というものが必要だということが出てくるのか。確かに、事業量の把握としては今三百億円というお話でありましたけれども、この辺、基準が変わるというようなお話もちょっとあったんですけれども、どんなふうに予測されているのか。お願いしたいと思います。

鷺坂政府参考人 農用地の客土についてでございます。

 御案内のように、農用地土壌汚染防止法に基づきまして、汚染が発見された地域について都道府県知事が農用地土壌汚染対策地域として指定して、対策計画を策定した上で客土等の対策を実施している、こういう構造になっております。

 現時点では、これまでの指定地域、要するに汚染が非常に確認され、あるいは著しい汚染があるところというのは累計面積で七千四百八十七ヘクタールでございまして、このうち、県の単独事業も含めまして対策事業等が完了した地域につきましては六千六百二十ヘクタール、したがいまして、八八・四%対策事業が完了しておりまして、今後、残り一一・六%、八百六十七ヘクタールがまだ現在残っているということでございます。

 今御質問の米の基準、要するにカドミウムの基準が変わったことによります農用地汚染防止対策の今後の見込みでございますけれども、現在、各都道府県におきまして精査中でございます。基準が変わったからといって必ずしもすべて客土しなきゃいけないということでもなく、その辺のところは、まだ今のところ精査中ということで、お許しいただきたいと思います。

 以上でございます。

橘(慶)委員 カドミウムが出てまいりまして次の質問にうまくつながっていくわけですが、私も自分の今までの自分史ということを考えても、やはり富山県の場合は、上流の鉱山、製錬所から出てきたカドミウムの汚染ということで、イタイイタイ病という問題が発生したわけであります。それの原因は何であるかということのいろいろな究明の努力もありましたし、萩野昇さんという大変すばらしいお医者さんがいて、努力をされてそういった問題の究明をされ、そして、汚染田の問題があって、客土事業もずっと営々と積み重ねられてきた。

 そして、今では、今の基準の問題の精査は残っていますが、ある程度そこは整理をされ、そしていろいろな対策も施されてまいりまして、上流の鉱山のところは、カミオカンデという、小柴さんがノーベル賞を受賞するような、ああいう施設も置かれるような形に変化をしてきた、そういう四十年の歴史というものがあるわけであります。

 そして、富山県では、今回、これまで団体やその関係の方々で維持されてきたイタイイタイ病記念館、清流会館の特に一般展示資料を引き継ぐ形で、イタイイタイ病資料館というものを、平成二十四年春の開館を目指して整備することとされたわけであります。

 これについて、どうやら国としても今年度予算でいろいろと応援もいただける、こういうことも漏れ伺っているわけでありますが、こういった県としての、公害防止の一つの歴史をしっかりと将来に残していく、そしてまた環境を大事にしていくという取り組みについての環境省としての御支援の内容について、ここでお答えをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今お話にもございましたように、富山県がイタイイタイ病資料館というものを整備する方向で関係者と協議を行い、平成二十四年春の開館を目指しておられるということは承知をしております。

 国としましても、これまで慢性カドミウム中毒とイタイイタイ病との関係などにつきまして調査研究を行いまして、報告書をまとめております。そういう中で、こうした資料提供を行いたいと考えているところです。

 今御質問の中にもありましたように、こうした中で、平成二十三年度の予算におきましては、イタイイタイ病に関する資料の収集や管理を行うとともに、国内外への情報発信を行うための事業ということで計上しているところでございまして、これを富山県に委託しまして、連携をして事業を進めてまいりたいと考えております。

 以上であります。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 もちろんお金ということもありますけれども、今、いろいろ今までのお取り組みのそういう資料等も含めて提供いただいて、総合的な資料館になるように引き続き御支援をよろしくお願いいたします。

 客土関係あるいはそういった特定の金属物質等による汚染の問題というのは、これまでの努力によってかなりの部分解消、先ほどの御答弁にもありましたように、あと一割程度というようなところへだんだん落とし込んできたんだろうと思うんですが、逆に、ダイオキシン類の除去ということについては、比較的新しい問題ではないかと思うわけであります。

 全国的にダイオキシンの土壌汚染地域の把握は、一つの工場から云々というのとまたちょっと違うところがありまして、なかなか難しいところもあるんじゃないか。どの程度把握が進んでいて、そしてまた原因としてどのようなものを特定されているのか、ここでお答えをいただきたいと思います。

鷺坂政府参考人 ダイオキシン類についてでございます。

 ダイオキシン類対策特別措置法におきましては、常時監視といいまして、一般の環境調査において、土壌の汚染が把握でき、そしてその土壌汚染に係る環境基準を超過しているところで、さらに人が立ち入ることができるような土地、こういった土地について都道府県知事が対策地域として指定して、当該地域について対策計画をつくって土壌汚染等の除去を対策する、こういう立て方になっております。

 環境省におきましては、ダイオキシンの土壌汚染ということで、毎年いろいろなところを一般環境調査あるいは発生源周辺調査ということで常時監視をしているわけでございますけれども、昨年度、二十一年度におきましては環境基準を超過した地点はゼロということで、ここ数年余り出ていないというのが状況ではございます。

 ただ、これまで都道府県が対策地域として指定した地域が全国で五カ所ございまして、当該五カ所におきましては土壌中のダイオキシンの汚染の除去等の対策事業が地方自治体により実施されておりまして、現在まで三地域が指定を解除されているということになっております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 今のお話を聞きますと、いろいろ調べていくと、今のところ調べても余り出てこないということではありましたけれども、ただ、これは重金属みたいな昔の公害の態様とはちょっと違った形で、いろいろなところを掘ってみたら突然何か出てきたとかここに発見されたとか、そういうこともないわけでもないと思っております。

 そんな意味で、この後、ダイオキシンの対策というのはどういうふうになっていくのか。現状認識なりこれからの取り組みについて、一応ここでお伺いをしておきたいと思います。

鷺坂政府参考人 御指摘がありましたように、ダイオキシンの汚染、これまであったところを申し上げますと、例えば焼却施設からダイオキシン類を含む有害物質を洗浄するような水が飛散して汚染したりとか、あるいは工場の製造工程の中で非意図的にダイオキシンが出てしまうとか、そういうようなことがございますので、これからも十分注視しなきゃいけない、このように考えているところでございます。

 私どもといたしましては、都道府県を通じてでございますけれども、土壌のダイオキシンにつきましても、先ほども申し上げましたけれども、一般環境調査と発生源調査ということで、都道府県の方で、そういった可能性が高いと思われるようなところにつきまして調査をいたしまして、その調査結果を踏まえて対策を講じていく、このような形になっております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 今お話がありましたように、非常にスポット的に問題が出てくるということが間々あるというふうに認識をしておりますので、ぜひそのあたりはまた都道府県とも連携をされて、問題の生じないようにお願いをしたいな、このように思うわけであります。

 そこで、いよいよまとめの方へ入ってまいりたいと思います。

 こうやっていろいろ対策をとられてきて、残っている残事業に合わせて、必要な事業は残しながら、あと十年ということになってまいります。その中で、まずは、四十八地域から三十地域まで減ってきた公害防止計画策定地域、ある意味で面的に問題があるということで指定されてきたところ、こういったものは、今までの対策あるいは環境基準、いろいろなことから考えて、これからはなかなか生じないであろうと思いたいですし、また当然そうあるべきものではないかと思っております。

 スポット的に出るものの対策は必要だけれども、そういう面的なものはこれから余り考えにくいのではないか、このように思いたいし、またそうあるべきだと思うんですが、ここで、ずっと答弁をお待ちいただいております近藤副大臣から、この辺の決意といいますか、これからこうなるよというところをお答えいただきたいと思います。

近藤副大臣 環境副大臣の近藤でございます。

 きょうは、橘委員に御質問をいただきまして、いろいろと御指導いただきましたこの総務委員会にお呼びいただいたことを大変光栄に存じております。また、久しぶりに橘委員の歌を聞かせていただきまして、大変懐かしいというか元気が出てくる、そんな思いであります。

 今、御質問をいただきました。ここで質問を聞かせていただいておりまして、橘委員も昭和三十六年のお生まれだと思います。私も昭和三十三年の生まれでありますけれども、富山のイタイイタイ病のことをお話しになられました。私も、名古屋の出身でありますが、中学校のころに、四日市の、あるいは水俣病のこととか、さまざまな公害病を新聞あるいは本で見たり読んだりして、本当に痛々しい、こういうことが二度とあってはならない、子供ながらにといいましょうか、学生のころにこう思ったことを記憶しているわけであります。

 そして、今、環境省で仕事をさせていただいておりまして、水俣病の問題、救済法ができ、一定の解決に進んでいるとはいえ、やはり多くの方が今なお苦しんでおられる、そして残念ながらこれからも苦しみを背負っていかれる。そういう意味では、こうした中で公害防止計画が策定されてきた、今、橘委員も御指摘されたように、そうした地域が減ってきたということは、前進ではあると思います。

 しかしながら、二度とこうしたさまざまな課題が起きないように、著しい公害が発生しないように取り組んでいかなくてはならないと思っておりますし、そういう意味では、御指摘いただいたように、こうした公害防止計画を策定しなくてはならないような著しい公害が出ないように、そういうことをすることが国の責務だと思っておりますし、そのためにしっかりと努めてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

橘(慶)委員 大変ありがとうございます。

 最初の自分史の部分は、私も同感でございまして、ぜひ、そういうことでまた引き続き環境行政にお取り組みいただきたいと思うわけであります。

 そこで、今後の公害防止施策における課題、途中も何度か、るるお答えいただいてきたようなことではありますけれども、あるいは、環境省さんとして、今、公害というものに対して取り組んでいく重点といったところについて、これは環境省さんへの最後の質問になりますので、ここで、こういうことで頑張っていきますというところをお答えいただきたいと思います。

鷺坂政府参考人 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、大気環境につきましては、今、光化学オキシダント、非常に心配な面がございまして、そういった国際的な取り組みというものもしっかりやっていきたいと思います。

 それから、先ほどちょっと触れませんでしたけれども、今、新しい環境汚染問題ということで、微小粒子状物質、PM二・五の対策というものが出てきております。一昨年環境基準を定めておりますが、これにつきまして、各地方公共団体において、常時監視体制を定め、そして、この微小粒子状物質は呼吸器疾患等あるいは循環器疾患にも影響があるということでございますので、科学的知見の集積を進めまして、効果的な対策を図っていきたいと考えております。

 それから、水の方につきましては、近年、全般的には非常に向上しておりますけれども、先ほど申し上げましたが、閉鎖性水域につきましては依然としてまだ環境基準の達成率が低い状況ということでございますので、来年度当初には第七次の閉鎖性海域における水質の総量削減基本方針を定めるなど、しっかり対策をとっていきたいと思っております。

 それから、もう一つ、公害問題につきましては、昨今は環境問題もいろいろ複雑になってきております。企業等からの、いろいろな公害問題についての取り扱いというものが少し手薄になっている面があるのではないかということで、昨年、大気汚染防止法、水質汚濁防止法の一部改正法案で、そういった企業等における効果的な取り組みを進めるための法改正をさせていただいております。

 さらに、ことしも法案の提出を予定させていただいているんですけれども、事業場からの地下水汚染の問題もまだ残っております。地下水につきましては、一度汚染されてしまいますと、なかなか自然の浄化ではきれいにならない、こういうようなことがございますので、その効果的な防止対策というものもとっていかなければいけないということでございます。

 全体的に、国民の安心、安全を守るという観点から、良好な水環境あるいは大気環境の確保に尽くしてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 微小粒子というような、また新たなそういう問題もあるということもお伺いしましたし、また、きょうお話をしてきたような、過去の大変痛ましい、そういう病気に至るというようなものは、大々的なものは見受けられなくなっているような認識ではありますけれども、しかしまた一面、家庭も含めてみんなで取り組まないとなかなか浄化できない閉鎖性水域の問題であったり、あるいは国際的な協力が要る問題であったり、いろいろなことがあると思います。そういったことを、低炭素社会の実現ということも含めて、ぜひまたお取り組みをいただきたいと思っております。

 最後の質問になります。

 総務大臣の方に、今回の延長ということは、またお願いもしていきたいというところもあるわけでありまして、しかしまた、この後十年たつと、先ほどの残事業量からしましても、下水道以外は大分いい線にきているというようなところもございます。この法律というのは今回もある程度縮減されたわけですが、今後の取り扱い方針ということについてお伺いをしたいと思っております。

 質問時間が終わっておりますので、あと一つだけ、答弁の要らない私なりの意見を一言だけ申し上げておきたいと思います。

 きょうは近藤前委員長にも来ていただいていたわけですけれども、この委員会では、幾つかの重大な法案が、まだ審議が終わっていないという状況で、積み残しになってきているわけであります。その後、また新しい法案の提案もいろいろ総務省さんから閣法としてはあるんですけれども、しかし、やはりここは法案の優先順位というのをよくつけていただいて、どれを通さなきゃどういう問題が起こるかということを、実際働いておられる方々、現場ということもございますので、ぜひそこはよくお考えになって、そしてまた、お互いが納得できるような形にするためにはどうするかということについては、やはりぜひ早目に結論を出していかないと、この後、六月二十二日までということであれば非常に窮屈ではないかという心配を個人的に、一人の一委員としてしております。

 ぜひここは、法案の優先度というものをよくお考えになってまた御提案を賜りたい。これは答弁は結構ですので、最初の質問のお答えをどうかよろしくお願いいたします。

原口委員長 片山大臣、質疑時間が尽きておりますので、簡潔にお願いします。

片山国務大臣 先ほど来、やりとりの中で明らかになりましたように、昭和四十六年度からおよそ十九兆円を使って今日まで必要な事業をやってきておりまして、環境基準の達成状況も、一般の地域、他の地域と比較しても、かなり縮小してきていると思います。

 ただ、必要がありますので、今般、十年間の延長をお願いしております。これが延長になりますと、先ほど逢坂政務官からも答弁申し上げましたように、約四兆円の事業費が見込まれておりますので、これが実施されますと、さらに一層達成状況はよくなるだろうと思います。

 ぜひこの際、自治体の皆さんには、今回の特例法が成立しましたら、特別措置を活用して、全力を挙げて課題の解決に努力をしていただきたいと念願しております。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 公害防止事業に係る国の財政特措法一部改正案について質問をさせていただきます。

 初めに環境省の方にお尋ねしたいと思います。

 公害防止計画のことについてお伺いをさせていただきます。

 公害防止計画は、昭和四十五年以来、これまで五十二地域について策定をされておりまして、それが、計画の終了それから地域の統合等によって、今現在は三十地域、二十四都府県で策定されているというふうに聞いております。前回、公害財特法の適用期限が延長された平成十三年度以降に、環境基準の達成状況の改善によって、四つの地域が全体として策定地域から外れた、それ以外の地域についても百四十市区町村が策定指示の対象から外れた、こういうふうにお伺いをしております。

 そこで、本法案の十年延長による効果についてお尋ねしたいんです。

 今後十年で計画が終了すると思われる地域の見通し、それから、計画がどのように進捗するというふうに見ておられるのかということについて説明をいただきたいと思います。逆に、延長しない場合には、計画終了の地域それから進捗状況、こういうものがどういうふうになると思われているのか、その二点について対比をして御説明いただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、二十四都府県の三十地域におきまして公害防止計画が策定されておりまして、これらはすべて平成二十二年度を年限としてございます。

 各自治体におきます平成二十三年度以降の公害防止計画の策定方針につきましてはまだ定まっておりませんが、現時点におきましては、公害財特法が延長された場合につきまして、約二十地域が引き続き計画を策定する方向で検討するというふうに承っております。

 公害財特法が延長されれば、これらの公害防止計画に基づく事業に対し、同法に基づく財政特例が講じられることによりまして、事業の相当程度が終了するというふうに期待してございます。我々も、そうなるように頑張っていきたいというふうに思っておるところでございます。

 逆に、一方、公害財特法が延長されない場合の各自治体の公害防止計画の策定数につきましては、公害財特法が延長される場合よりも相当程度減少するのじゃないかというふうに思っております。また、その場合につきましては、閉鎖性水域の水質汚濁、ダイオキシン類による底質汚染、農用地の土壌汚染といった、公害財特法による財政支援を必要とする公害への対策の進捗におくれが生ずるのじゃないかというふうに懸念してございます。

 以上でございます。

西委員 同じく環境省にお伺いしたいと思います。

 地域主権改革の一環で、この公害防止計画の策定に関する環境大臣の指示を廃止して、今後は、公害防止計画を策定するかどうかについては都道府県知事の自主的な判断による、こういうふうにされております。このことに関しては今国会で法改正を行う予定であるというふうに思いますが、このことについて説明をしていただきたいと思います。

 また、公害防止計画の策定について都道府県知事の自主判断となるのは、いつからこういうふうに切りかわるのか、この適用する時期についてもあわせて御答弁をお願いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公害防止計画制度につきましては、昨年六月の閣議決定の地域主権戦略大綱を踏まえまして、環境大臣による公害防止計画の策定指示を廃止して、策定を都道府県の自主判断とする、このための環境基本法の所要の改正案につきまして、今通常国会に提出予定でございます地域の自主性及び自立性を高めるための一括法案に含めるというふうにいたしたいと考えてございます。

 この一括法案におきましては、環境基本法改正部分につきましては公布日施行という予定でございまして、一括法案が成立し公布されれば、その日から都道府県の自主判断になるというふうなことでございます。

 以上でございます。

西委員 環境大臣との同意の協議については、財政上の特別措置の対象となり得る公害防止事業に限定するとともに、同意を求めるかどうかについては都道府県知事の自主判断である、こういうふうにお伺いをしております。つまり、これは、特別措置を受けたい場合には環境大臣と必ず協議をするように、逆に言えば、そういう意味を含んでいるのかどうかということについて確認をしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。

 昨年六月閣議決定の地域主権戦略大綱を踏まえまして、今通常国会に提出する地域の自主性及び自立性を高めるための一括法案におきましては、公害防止計画の策定を都道府県の自主判断とすることとともに、従来、計画全体について義務づけておりました環境大臣への同意協議を公害財特法の財政上の特別措置対象事業部分に限定するとともに、同意を求めるかどうかを都道府県知事の自主判断とする、こういう所要の環境基本法等の改正を含める予定でございます。

 したがいまして、ただいま御指摘のとおり、公害財特法の財政上の特別措置を受けたいと思われる自治体につきましては、環境大臣に御協議をいただくことが必要であるというふうなことでございます。

 以上でございます。

西委員 続いて、大臣の方にお伺いしたいと思います。

 公害防止計画の策定というのは、先ほどから議論がありましたように、都道府県知事の自主判断に任せられることになります。いわば、地方自治体には逆に計画を策定しないという選択肢も、今回、裁量によってそういう決定もみずからすることができる、こういうふうな形になるわけです。

 しかし、財政上の特別措置、この法律に関する事業については、今話がありましたように環境大臣から同意を得なければいけない、こういう制約が同時にかかってきます。しかも、そうした事業についてどのような補助にするのかということについては、最終的にはそれぞれ関連の省庁、つまり国土交通省だとか農林水産省だとか、こういうところで決めていくという構図は今までどおりということになります。

 私が思うに、こうした構図では、地方の自主性というのは余り発揮されにくいのではないか、こういう考えを持っているわけでございまして、こうした構図の中で、今回の地域主権改革による改正が、現行と比べて大きく自主性を尊重する、また拡大するということになるのかどうか、若干の危惧、もう少し何とかならないのかなという考えを私自身は持っているんですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 議員の御指摘される問題点というのは、私もほぼ共有していると思います。

 結論からいいますと、結論といいますか私の率直な印象を申し上げますと、一歩前進だろうと思います。

 もちろん、この際、全部国の関与をやめてしまったらどうかという見解もあろうかと思いますけれども、ただ、今回の特例法にありますように、一定の事業については国の補助率が非常に高いとか、それから、起債をして、その元利償還金を交付税に算入するというような財政上の特例措置があるものですから、それらも全く国の関与をなくしてしまって、自由に自治体の方でその特例措置を受ける対象事業を決めてしまうということになりますと、これは恐らく、国全体としての秩序といいますか、保てないのだろうと思います。特に、交付税などをつぎ込むということになりますので、仮にそれが乱れるということになりますと不公平も自治体間に生じますので、やはり何らかの調整といいますか、関与は必要だろうと思います。

 そういう意味で、今回、財政上の特例措置の適用を受ける部分に限って関与を残したというのは、それはそれで合理性はあるのではないかと思います。さらにこれを関与をなくして、自由度を増すということになりますと、むしろ財政上の特例制度自体をどうするか、そういう課題の検討にその場所が移るのではないかと思います。

西委員 わかりました。一歩前進といえば、そういう意味では、自主性を尊重するという部分では前進かもしれませんが、次の課題だというふうに思います。

 そこで、私、懸念されるのは、今回十年延長をいたします。今聞いておりますと、ほぼこの事業、かなり終息していくといいますか、課題が解決していくんだろうなという感じはいたしますが、自主判断になったということで、公害財特法はこれでもうおしまいだよ、つまり廃止ということになるんではないかということを危惧しております。

 もちろん、真の意味での廃止という、その課題が解決されたということで終わりというのは結構なんですけれども、そういうふうにして自主的に判断するということになると、結局、財政的な裏づけもなくなって、財特法が切れてしまいますと地方に権限と仕事だけが残る、こんなことになってしまうのではないか。課題が残る限りは、自主性を保つと同時に、やはりそういう部分についても十分配慮していく必要があるのではないかというふうに、ずっと先のことですが、危惧をしております。

 大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 今の御指摘は、直接御懸念はない問題だろうと思います。

 仮にこれが十年たって、まだ解決すべき課題がいっぱい残っているのに、今回自由度を増したことの延長線上で、国の財政上の関与といいますか、特例措置による支援もやめてしまうということには論理的には結びつかないだろうと思います。議員がおっしゃったように、あくまでも必要性があるかどうか、十年で課題が解決すればもうそれは結構ですけれども、課題が残っていれば、この特例法の存廃についてもその段階で議論をされるということになるだろうと思います。その時点で、例えば本当に課題がほぼ解消されて、残っている課題が少ないということになりましたら、今回も一部ありましたように、高率ではないかもしれないけれども一般事業の方で解決してくださいというのも、それはあるかもしれません。

 というように、課題の存廃状況によって、法律、法案の行方は決まってくると思います。

西委員 そのとおりだと思います。

 そういう意味では、順序を間違えないで、課題がある限りはやはり優先的にこういう財特法という形で存続していくというのが正しい考え方だと思います。

 次に、現在の公害防止計画では、地域の主要課題以外にたくさんの対策が記載されております。大気汚染対策、水質汚濁対策、地下水の汚染対策、土壌汚染対策、騒音・振動対策、地盤沈下対策、悪臭対策、この七つの公害への対策を網羅的に記載をして、廃棄物・リサイクル対策、自然環境、地球環境の保全等についても記載すること、こういう多方面の対策を記載することになっております。

 地方自治体からは、他の法律でも環境に関する計画の策定を求められておって、煩雑だという指摘があります。意見具申でも、行政事務の効率化の観点から、公害すべての網羅や廃棄物・リサイクル対策、地球温暖化対策、生物多様性保全等に係る記載を見直して、地域において重点的に取り組むべき公害防止上の主要課題に特化した公害防止計画とするという考えが示されておりますが、このことについてどのように取り組むのか、環境省の見解をお願いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の公害防止計画におきましては、環境大臣が公害防止計画の策定を指示し、指示を受けた都道府県知事には計画全体の同意協議が義務づけられてございます。

 こうした制度のもと、これまでは公害防止計画におきましてすべての公害を網羅しつつ、また、公害に関係する限度において、廃棄物・リサイクル対策、地球温暖化対策、生物多様性保全等についても記載するように指導し、そうした記載がなされた計画について同意を行ってきたところでございます。

 一方で、今通常国会に提出する地域の自主性及び自立性を高めるための一括法が成立いたしました後は、公害防止計画の同意協議の対象が、公害財特法の対象となり得る公害防止対策事業部分に限定されるということになります。

 したがいまして、今後、公害防止計画におきまして、同意を求める公害防止対策事業に関係するもの以外の公害や、公害以外の環境問題についてどのように記載するかにつきましては、都道府県知事の判断にゆだねることを基本として考えたいというふうに思ってございます。

 以上でございます。

西委員 今答弁がありましたように、だんだんと公害の問題も、今現に議論している財特法の中でも、それぞれの分野において解消しつつある、そういう内容がありますので、それぞれの地域の特性を生かして重点化するということは、私は合理的な選択だと思います。だからといって、必要なことを省くということになってはいけませんけれども、そのバランスをやはりとっていただいて、重点的にまた対応できるようにお願いをしたいと思います。

 では、次に行きます。

 廃棄物処理施設設置事業に関して、既に発行した地方債の元利償還経費に係る地方交付税の基準財政需要額への算入の特例に関する経過措置について簡単に説明をいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 御指摘の経過措置でございますけれども、改正法案の附則第二条にその経過措置を定めてございます。それによりまして、現行の公害財特法の期限である平成二十二年度以前に発行された御指摘の地方債につきましても、二十三年度以降も引き続き、その元利償還に要する経費を地方公共団体の基準財政需要額に算入することとなります。

 以上です。

西委員 公害防止計画については、環境大臣による策定指示というのが廃止されるということになります。

 さきの意見具申では、閉鎖性水域における水質汚濁といった複数都道府県にまたがる公害の場合など、その改善に向けて、環境省が引き続きリーダーシップを発揮することが必要な場合、これは考えられます。河川の上流と下流が続いている限りは、やはり統一的に対策をとるということも含めて、自分のところの都道府県だけではなくて、関連した流域全体として取り組む必要があるんじゃないかというふうに考えております。

 そういう意味では、必要な場合には、環境省は関係都道府県に対して公害防止計画を作成するように要請するということも、これは望まれることではないかというふうに思いますが、国は、今後、どのような手続でこの要請をすることを考えているのか、例えば地方自治法等のルールを適用してやっていくのか。この辺のことについて環境省のお考えを最後にお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、昨年十二月の中央環境審議会の意見具申におきまして、公害防止計画の策定指示の廃止後も、必要な場合には、環境省が関係都道府県知事に対し公害防止計画を作成するよう要請することも望まれるというふうにされてございます。

 閉鎖性水域における水質汚濁といった複数都道府県にまたがる公害の場合などにつきましては、環境省としては、地方公共団体と相協力しつつ、公害を防止し、国民の健康の保護と生活環境の保全を図るため、リーダーシップを発揮することが必要な場合があるんじゃないかというふうに考えておりまして、さらに、必要な場合には、関係都道府県に対しまして公害防止計画策定を要請することがあるというふうに考えてございます。

 実際にこうした要請を行う場合には、先生の御指摘にございました地方自治法ということでございましたら、技術的助言の一環として行うようなこともあるんじゃないかというふうに認識してございます。

 以上でございます。

西委員 予定された質問が終わりましたので、これで終わりますが、長い公害の歴史の中で、この公害財特法を適用して、日本の公害の問題の解消にこの法律が大きな役割を果たしているということからすると、今後、自主的な判断というふうに言いますけれども、国と地方とがやはり連携をして、必要な部分は国からもアドバイスをする、また、地方は地方で、その実情に応じて国の方に相談をするということで、今後十年の間に新たな課題もまた出てくるかもしれません、さまざまな状況を勘案しながら、充実したこの法の適用をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 公害財特法による国の財政支援は、不十分ではあるものの、公害防止計画策定地域の環境改善に役割を果たしてまいりました。環境基本法の趣旨からも、公害対策の推進に国が第一義的責任を負い、地方公共団体の公害対策に必要な財政支援を行うことは当然の責務であります。現在も、大気汚染や水質汚濁、土壌汚染等の公害被害は解決されておらず、十年間の期間延長は必要だと考えます。

 この公害財特法は、環境基本法十七条に基づき、国の財政上の特例措置を講じるものとなっておりますが、今、環境基本法の公害防止計画制度に対する国の責任のあり方が問われる動きがあります。先ほど西委員からの御質問にもありましたが、昨年六月に閣議決定をいたしました地域主権戦略大綱では、「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大の具体的措置(第二次見直し)」において、環境基本法の計画等の策定及びその手続の見直しが掲げられています。「関係都道府県の公害防止計画の作成に係る規定は、廃止、「できる」規定化又は努力義務化する。」と地域主権戦略大綱において書かれております。

 片山大臣にお尋ねします。この見直し規定について、どのような法改正を考えておられるのか、その点についてお答えください。

片山国務大臣 これは、私、地域主権改革担当でありますので、現在法案をまとめておりますけれども、いわゆる義務づけ、枠づけの見直しということで、これは先ほども議論になりましたけれども、昨年六月に閣議決定されました地域主権戦略大綱において、関係都道府県の公害防止計画の作成義務を廃止する、これは全くつくらないということではなくて、作成できるというふうに、自治体の自主性を尊重するという意味での改正であります。

 それから、公害防止計画の策定に当たっての環境大臣への同意を要する協議の対象を限定する。これは、財政上の特例措置の対象となるものに限定する。

 こういう内容が閣議決定されておりまして、その法案の取りまとめを行っているところであります。

塩川委員 この環境大臣による策定指示を改めて、作成することができる旨の規定とする、自治体の自主性を尊重するというお話でした。

 そこで、重ねてお尋ねをしますが、国が公害防止計画の策定を指示しても、都道府県の判断で公害防止計画を作成しなくてもよいということにもなるということでよろしいですか。

片山国務大臣 これは、この法律での指示という仕組みが、現行はありますのがなくなりますので、そもそも指示ではない。国の関与というのはいろいろなことが考えられますけれども、少なくとも指示というのはなくなると思います。その他、一般的な関与として、助言とかそういうものは適宜やることはできると思います。

塩川委員 指示がなくなる。あるのは、いわゆる一般的な技術的助言だというお話であります。

 そこで、環境省、近藤副大臣にお尋ねいたします。

 環境基本法の十七条一項二号の「人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域」のように、新たに公害防止計画の策定を指示しなければならないような状況が生まれたときに、都道府県が作成しなくてもいいというようなことになれば、公害防止の目的を達成できなくなる懸念が生まれるわけで、これは公害対策に対する国の責務を後退させるものになりはしませんか。

近藤副大臣 塩川委員にも御質問いただきまして、ありがとうございます。きょうは環境委員会で一問も答弁がないんですけれども、総務委員会でこうして質問いただき、ありがたいという思いであります。

 今回、御承知のとおり、国が一方的に決めるのではなくて、より身近なところで、地域で防止計画をつくっていく、これは趣旨としましては、きちっとした公害対策をしていくということであるというふうに理解しています。

 ただ、塩川委員の御指摘の懸念、こういうこともあると思いますけれども、国としては、やはり公害防止に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施していく責務は引き続き果たしていく、こういう必要があるというふうに理解し、責務を果たしていかなくてはならない、こういうふうに考えておるわけであります。

 計画の同意を適切に行うこと、また、公害財特法に基づく財政特例が適切に実施されるように図る、こういう中で、基準の達成、維持に向け必要な公害防止施策を積極的に講じていく、こういう中で責務を果たしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 今後、公害被害が著しくなるようなおそれがある、そういう場合について、この地域では公害防止計画を策定する必要があるということについて指示がなくなるということになると、自主的な判断にお任せということでは、私は、やはり国としての公害防止に当たっての責任を果たすことができなくなるんじゃないのかと思うんですが、ちょっと重ねてですけれども、お答えいただけますか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、西先生の御質問にもお答えいたしました。先生御指摘のように、場合によっては、地域主権というのは大事な話で、これはこれでやっていかなきゃならないというふうに思っておりますが、ただ先ほど御答弁申し上げましたように、環境省がやはりリーダーシップを発揮していかなきゃならないようなことも出てくると思います。

 先ほど私がお答えしたような、閉鎖性水域における水質汚染といったような複数都道府県にまたがるような場合、やはり環境省がリーダーシップをとっていかなきゃいけないと思っております。そういう場合につきましては、関係都道府県に対して公害防止計画の策定を要請するというふうな形で適切に対処したいというふうに考えてございます。

塩川委員 要請するという場合でも、それは技術的な助言ですから。本来、国としての財政措置も担保した公害防止計画の策定の指示ということが行われてこそ、公害防止に当たってのしっかりとした担保が行われるということが本来の趣旨だと考えます。そういう点でも、国における責任の後退ということは明らかであります。

 環境基本法の前身である公害対策基本法において、「国は、地方公共団体が公害の防止に関する施策を講ずるために要する費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。」と規定されたことを踏まえて、公害対策の推進に関する国の財政責任を明らかにするため公害財特法が制定されたわけで、今回、この公害防止計画の作成を自治体任せにするということは、公害対策推進に当たっての国の財政措置についての責任も後退させることになる。公害対策の施策推進に当たっての国の責任を後退させるような環境基本法の改正は行うべきではないということを申し上げておくものであります。

 続いて、公害問題や環境汚染に関連して、重大な健康被害問題について取り上げたいと思います。

 二〇〇三年の三月に、茨城県神栖市において、有機砒素化合物に汚染された井戸水を飲んで数百人の方が環境被害を訴えている問題であります。

 井戸水を飲んでいた住民の方、被害者の方は、当時、手足のしびれや震え、歩行困難、頭痛などの症状に見舞われました。今でも神経障害やだるさ、集中力の低下を訴えております。とりわけ、当時、乳幼児、学齢期だった子供たちに深刻な影響を残しておりまして、井戸水を使ったミルクを飲んでいた子供が原因不明の脳性麻痺と診断をされ、発達障害、多動性障害が今でも認められるという重大な健康被害を招いているわけであります。

 環境副大臣はこの問題について以前から取り組んでこられたと承知をしております。民主党の中で、この神栖の毒ガス被害対策のワーキングチームなどについてもかかわってこられたと承知をしております。そこで、近藤副大臣にお尋ねをします。

 この有機砒素化合物、ジフェニルアルシン酸は、旧日本軍が製造していた赤剤という毒ガスを製造する際に利用されるものであり、環境省も「DPAA ジフェニルアルシン酸による健康影響について」というこのパンフレットでも書いておりますけれども、「検出されたヒ素は、通常自然界には存在しない、旧日本軍の化学兵器に使用された物質の原料物質でもあるジフェニルアルシン酸であることが判明しました。」ということであります。

 こういう事実については、そのとおりということでよろしいですね。

近藤副大臣 御指摘をいただきました、発見された物質、ジフェニルアルシン酸でありますけれども、化学兵器の原材料として使われていた、ほかにはつくられていたという事実がない中で、今御指摘をいただいたパンフレットでも指摘をさせていただいておる旧軍由来のものである、こういうふうに考えておるところでございます。

塩川委員 旧軍由来の有害物質ということで、国のいわば製造者責任というのは明らかであります。

 そこで、重ねてお尋ねをしますが、こういった旧日本軍が製造した有害物質による被害回復あるいは被害解明に対して、国がしっかりとした責任を持つことは当然だと考えますが、その点についてお答えいただけますか。

近藤副大臣 この問題につきましては、当初、この事件が起き、調査されてきた経過の中で、地下水汚染のジフェニルアルシン酸については、これを含むコンクリート塊を何者かが不法投棄した、こういうことになっております。そういう意味で、汚染による被害の直接の責任は当該投棄者にあるということだと思います。

 ただ一方で、私は、国というものは、やはり国民の生活を守っていく、健康を守っていくという果たしていくべき責任がある、こういうふうに考えております。そういう観点から、この問題にはしっかり取り組んでいかなくてはならないというふうに考えております。

塩川委員 不法投棄ではないのかという話でありました。

 私も、この二〇〇三年当時から現地にも何度も足を運んで、旧軍の関与の問題について調査を行ったり、実際にコンクリート塊が出てきて、その後、地下水についての浄化の措置などを環境省として行っているというのも承知をしております。

 ただし、旧日本軍が生産して保有をしていた。本来であれば、その背景を含めて、しっかりとした管理責任というのが国にあるのではないのか、この点が問われているわけです。こういったいわゆる赤剤と言われる毒ガス兵器について、この旧日本軍の保有とか廃棄などの管理状況がどうなっていたかということについて、そもそもしっかりと把握をしておられたのか、このことが問われていると思うんですが、その点、いかがでしょうか。

近藤副大臣 塩川委員も御指摘になられました、この事件が発生をし、明らかになった時点で、私も現地に足を運ばせていただきました。そして、コンクリート塊が出てきた。それはどこに由来するものか、こういうことであります。

 当初は、何者かが不法投棄したのか、その辺がはっきりしなかったわけでありますが、ある意味で、何者かが不法投棄をしたということははっきりしてきたということであります。ただ、では本来、それは国とのかかわりということでいうとどうなのかということについては、今も調査というようなものが続いているところだというふうに思っております。

 ただ、先ほども申し上げましたように、ジフェニルアルシン酸というものは、旧日本軍が由来で民間に製造させてきたということがあるということでありますし、そういう意味で、私は、これに対する責任というものは、国としてしっかりとした調査をしていかなくてはならないというふうに思っております。

塩川委員 しっかり調査しなければいけないというお話でありました。

 大量の毒ガスを生産、保有したのに、その廃棄、遺棄の状況がしっかりと把握されていないという現状そのものが問題であるわけです。毒ガス兵器の原料物質に対する国の管理責任も問われているところで、この健康被害については、国は責任逃れをしてはいけないということを重ねて申し上げておくものであります。

 そこで、こういった健康被害について、二〇〇三年六月に閣議了解をされた健康被害に係る緊急措置事業については、五年間の緊急措置だったものをさらに三年間延長して被害者の健康被害に対応してきましたけれども、その期限がことし六月となっています。

 私は、健康被害が続く限り政府の支援を継続する、こういう基本姿勢を明確にすべきだ、つまり、年限を切らない恒久的な支援措置を行うべきだ、このことを強く求めるものですが、その点についての副大臣のお答えをいただきたい。

近藤副大臣 塩川委員の御指摘は、大変に重要な指摘だというふうに私は思っております。

 一部新聞でも報道をされましたが、被害者の方、青塚さん、また馬場さん、関係の方、当事者といいましょうか、お子さんにも、琉時君、また希叶さん、あと馬場紗耶香さん、三人のお子さんにもお目にかかりまして、大変に苦しまれている状況、御家族が大変だというお話を聞かせていただきましたし、先ほどもお話をさせていただきましたように、この事件が公になったときに私も現地に参りまして、当時まだ生まれたばかりだったというふうに記憶をしておりますが、琉時君にも会ったということであります。

 そういう意味で、私は、本当に御家族の方を思うと、これからの将来を思う親の気持ちというものをしっかりと先般受けとめさせていただいたということであります。

 すぐに、そういう恒久的なという言い方は申し上げられませんけれども、私は、いわゆる閣議了解をさせていただいた、被害者の方たちの健康不安の解消をしていく、あるいは、調査事業という言い方は私は必ずしもふさわしいというふうに思いませんけれども、関連で調査事業を続けていく。こういう事業の趣旨を踏まえれば、本当に関係の皆さんの不安を解消していくために、きちっとこの対応は継続していかなくてはならないというふうに思っております。

塩川委員 昨年四月に、近藤昭一議員を含め複数の議員の方が、当時の小沢鋭仁環境大臣に申し入れをされておられる。その要請の第一の項目というのが、今私も取り上げました、年限を切らない恒久的な支援を行うこと。その点では近藤副大臣も同じ思いだと思っておるわけです。それを具体化していくという点で、ぜひ取り組みをお願いしたい。

 あわせて、最後に、この緊急措置事業では小児支援体制整備事業を実施していますけれども、サポートに当たっての関係機関の連携にとどまるような事業であります。当事者の子供さんの健康被害の問題は大変重大でありますし、それを支える御家族の方の負担も大変大きなものがある。ですから、そういった方々に対してしっかりとした、直接給付を含めた支援措置というのが必要だ、こういう事業の強化拡充が必要だ。この点について最後にお答えをいただきたい。

近藤副大臣 ありがとうございます。

 この問題につきましては、私も、今御指摘がありましたように、かつて小沢当時環境大臣に要請をした、こういう立場であります。

 子供たちの支援。先ほど申し上げたように、子供たち、またお父さん、お母さんに改めて会って、直接状況を聞かせていただきました。事業につきましては、まだ具体的にどうということは申し上げられませんけれども、私は、子供たちの支援、またそこにかかわる親たちの支援ということはしっかりとしていかなくてはならない、こういうふうに考えておりますし、そういうふうな方向で進めたいというふうに思っております。

塩川委員 被害者の方々には何の落ち度もないわけで、旧日本軍由来の、こういう毒ガスの原料物質についての健康被害については、国がしっかりと責任をとる、このことを強く求めて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 十五分という時間をいただきまして、質問をいたします。簡潔に質問いたしますので、答弁も簡潔によろしくお願いをいたします。

 まず、月並みな話でありますけれども、公害財特法が果たしてきた役割。過去三回にわたってこの法律は延長されてまいりました。それぞれの延長の意味というものがあったんだろうと思うんですが、その点についてひとつ説明を願いたい。

片山国務大臣 振り返ってみますと、昭和四十年代、我が国は、水俣病などもそうでありますけれども、大変深刻な公害被害を生み出しました。それに対して、国もそうでありますが、当時、現場で自治体が大変大きな役割を果たすということで、その財政負担が非常に大きかった、これを国としても全力で支援したいという、これが発端だったと思います。それが、昭和四十六年からこの法律ができた背景だろうと思います。

 その後、新しい、先ほど来の議論の中でも出てきましたけれども、ダイオキシンの問題だとか、その他の公害の要因が出てまいりまして、それに応じて、それぞれ自治体の方も力を入れるところが変わってまいりました。そういう状況を見ながら必要な財政支援措置というものを、多少の改変を加えながら、今日まで来た。

 過去、十九兆円ほど使って事業を行ってきたわけで、それは相当の成果が出ていると私は思います。それは統計上もあらわれておりますが、まだ今日時点においても必要な事業が残っている。そこで、今回、向こう十年間、多少内容は変更いたしますけれども、この法律の延長をお願いしたいというのが、この経過であります。

重野委員 今、大臣も言われましたように、この公害財特法が果たした役割と成果、これは率直に評価をしなければならぬと思います。この法律を制定したときの原点に常に立ち返って将来を見る、こういうふうな心構えが求められていると思うんです。

 そこで、この財特法によるかさ上げの額は、公害対策事業の減少に合わせて、推計でありますが、ピーク時の七%にまで減少しているという現実がございます。この減少の原因を総務省としてどのようにとらえているのかという点が一つ。

 今回、今大臣も言われましたように、着実にその成果を上げてきた。だがしかし、四回目の延長をして、また十年間この法律に基づく事業をやっていこうというふうに決意した理由は那辺にありや、こういう点について聞いておきたいと思うんです。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、この公害財特法、これまでの取り組みによりまして随分と改善されてきた項目はあろうというふうに思っております。現実に、先ほど来も指摘がございましたとおり、昭和五十一年度、公害防止計画の策定地域は四十八地域、四百六十九市区町村でございましたけれども、現在は三十地域、百七十五市区町村に減少してございますし、加えて公害防止対策事業の事業費総額も減少しているところでございます。

 また、先ほども答弁いたしましたとおり、ダイオキシン類の削減については相当な成果を上げておりまして、十八年度以降、新規事業を特別措置の対象外としたことからも、事業費が減少しているところでございます。

 しかし、その反面、閉鎖性水域のCOD等について依然として環境基準の超過が大きいというようなこと、ダイオキシン類による大規模な底質汚染の事例も存在しているというようなこと、あるいは二十二年の六月にはカドミウムに係る農用地の土壌環境基準の強化がなされたことなどを踏まえまして、これらにかかわる公害防止対策事業はさらに進める必要があろうというふうに判断をしているところでございます。

 こんな状況を踏まえまして、今般、公害財特法の適用期限を延長させようというふうに判断をいたしております。

重野委員 今言われたように、この法律が上げた成果というのは非常に大きなものがあったということは、先ほども私申し上げました。

 したがって、今後とも、やはりそういう公害の発生源だとか発生の態様なんというのを、科学の進歩によって我々の想定を覆すあるいは上回るような形で結果として公衆に害をもたらす、そういう現象が出てくるということはだれも予定あるいは予想できないわけですよね。企業の生産活動、それぞれ企業も、企業として利益を上げ、それを株主に配当していかなきゃならぬという企業の立場もあり、それを実現するためにどうするかという研究あるいは活動を日夜やっているわけです。その結論のもたらすものというのは、なかなか想定できないんですね。

 ですから、私は、この問題については、今までの成果は成果として率直に認めながらも、しかし、常にやはり緊張感を持ってそういう事態に備えていく、そういう基本的な心構えが求められている。その点についてはどうですか。

逢坂大臣政務官 重野委員の御指摘のとおりだというふうに考えております。

 さらにまた、公害については、新たなものの発生については極力防止をしなければならないというふうにも思っております。しかしながら、それを一〇〇%万全にできるかどうかというところについても、いろいろな備えをしておかなければいけないものだというふうにも思います。

 したがいまして、環境省などとも協力をしながら、そういったことにはしっかりと備えをしてまいりたいというふうに思います。

重野委員 具体的にお伺いいたしますけれども、廃棄物処理施設整備を今回対象から外す、こういうことになっているんですが、これはなぜ外すという結論に至ったのか。今日までの取り組みの中で、この廃棄物処理施設整備事業に投入したお金はそんな小さな額じゃないんですね。大きい額が投入されてきた。にもかかわらず、この事業を今回除外した。その理由はどういうことなんですか。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 まず、廃棄物処理施設の事業でございますけれども、ダイオキシン対策について相当な成果を上げているということが一つの大きな理由でございますが、平成十七年の中央環境審議会公害防止計画小委員会におきまして、そうした事実も踏まえまして、ダイオキシン類の削減などについて、補助率のかさ上げを講ずるまでの必要はなくなっているという議論を受けまして、平成十八年度以降に定められた公害防止計画に基づく新規事業については国の財政上の特別措置の対象とはせずに、継続事業のみについて特別措置を講じてきているところでございます。

 今回の改正におきましては、特別措置の対象とされてきた継続事業についても、事業の終了によりまして対象となるものがほぼなくなったことから、廃棄物処理施設の設置事業を特別措置の対象事業から削除するということにしているものでございます。

 以上です。

重野委員 例えば、ダイオキシン対策で、新しい焼却場、焼却炉をつくるわけですね。その焼却炉も耐用年数があるわけですね。いつか必ず更新しなければならぬ。そのときに、このダイオキシンの問題というのは、常識として、新たにそういう措置をせずとも、今の現状が常識なんだということで、その炉の更新ができるんだ、こうなると、従前の、ダイオキシン対策を講じない、以前の建設費と、今回対策を講じた、そういう炉をつくるというのは、僕は、コストの面で、単価の面で随分差があるんだろうと思うんですが、そこのところはどういうふうに扱われていくんですか。

逢坂大臣政務官 私自身もかつて廃棄物処理施設の建設に携わったことがございまして、その際、従前はダイオキシンの対応型ではなかった、新たにやるのはダイオキシンの対策を講ずるものにしようということで、事業費ベースで相当な開きがあったのは、事実として認識をいたしております。

 さらに、ある一定程度ごみの量を確保しなければ、なかなかうまいぐあいにダイオキシン対策もできなかったというのは事実でありまして、そういったことも踏まえて、これまでの公害財特法でのさまざまな措置が行われてきたものというふうに承知をいたしております。

 しかしながら、現時点では一定程度それらの目標が達成されているということで、今回の法改正の中では対象からは外していこうということだと認識をいたしておりますが、今後、科学技術の進歩によって、これはどういう動向になっていくかまだわかっておりません。さらに加えて、御指摘のように焼却施設の耐用年数ということもございますので、それは、将来に向かって、その時点で判断がされていくものというふうに認識をいたしております。

重野委員 私が言いたいのは、今、ダイオキシン対策を講じた焼却炉は、更新するときもやはり同じような、その場合、今の炉をつくるときには、それなりの国のこの法律に基づく援助というか、かさ上げとかがあった。今後、同じものを何十年か先に更新するときに、やはり同じように、従前の炉に比較をしますとお金がかかるわけですよね。それは、この法律がなくとも、常識としてつくることが可能なのかどうなのか、地方の自治体の財政負担は、ダイオキシン対策で講じたときと同じような負担の中でできるんだというふうに理解をしていいのかということを聞いているわけです。

片山国務大臣 それは、特例措置が外れましても、通常の補助制度がありますので、それを使っていただければいいということになりますし、その裏負担というのは今の特例がかかっているときよりもふえるわけですけれども、一般的には地方財政措置によって、裏負担については、これは観念的な問題になるかもしれませんけれども、地方交付税の基準財政需要額の方に算入されますので、自治体の方で必要な施設をつくることにおいて、一般的には支障はないことになると思います。

重野委員 今大臣は通常のという言い方をされたんですが、その通常というのは、ダイオキシン対策というものを組み入れた炉をつくるということが通常なんだというふうに受けとめてもいいんですか。

片山国務大臣 私が通常のと特別のと申しましたのは、この特例法の適用対象になっている地域の該当の事業については高率の補助金になりますけれども、この特例措置の対象とならない地域の該当の事業については通常の補助金ということになると思います。

重野委員 では、この指定をされている地域においての更新は、今回のダイオキシン対策の法律の中でいわゆる国がかさ上げをするということは、今後とも、この法律でダイオキシン対策の焼却炉というものが除外されても、それは当然引き続きやれるというふうに受けとめていいか、その点を聞いているんですよ。

片山国務大臣 通常のといいますか、通常の補助制度はありますので、全国どこでも同じ事業を行えば同じ補助金になるということで、今まで受けていた特例措置がこれからも継続するということではございません。

重野委員 合点がいきませんけれども、時間が来ましたから、以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 この法律は、もとをただすと昭和四十六年に制定されて、そして適用期限を三回延長して今に至っている。昭和四十六年というと私が生まれた年でありまして、この四十年間、まさに公害の防止の進展に寄与してきた、そうした法律であることに疑いの余地はないというふうに思います。

 公害財特法五条に基づいて、公害防止対策事業に係る地方債の元利償還金の基準財政需要額への算入が行われています。算入措置額は、平成十三年度から二十一年度の間に五兆五千六百十億円、平成二十一年度は五千七百六十二億円。

 今回、この元利償還金の基準財政需要額への算入については、特段、この改正法案について変化が行われておりません。今回の法案における交付税措置策の継続、これ自体を私は問題視するわけではありませんけれども、しかし、地方債の元利償還金を基準財政需要額に繰り入れて地方交付税で措置するというこのやり方については、さまざまな議論の対象にもなってきましたので、この法案審議の場において、少しこのことについて取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 地方債の発行に伴う元利償還金の地方交付税措置ということを行ってきたことによって、後年度、地方交付税により国から財源保障を受けられる、こうしたことによって財政力の弱い自治体が必要な事業を行える、こういうことにも寄与してきたわけです。一方、どうせ後から地方交付税で措置されるからということで、地方の側が、ある種必要性を度外視して、やや安易に事業に手を挙げる、こうしたことの誘因になってきたのではないか、こういうふうにも批判をされている部分もあります。

 私は、ちょうど長野オリンピックのときに、長野でNHKの記者をやっていたんですが、オリンピック施設の建設に当たって、こんなに巨額の財政負担で施設をどんどんつくって大丈夫なんですか、こういうふうにお尋ねをしたことがあります。その当時、長野県の副知事さんが、これは有利な起債を活用しているから大丈夫なんだとしきりに答えていたことを思い出すんです。今思えば、まさにこの有利な起債というのが、交付税後年度措置を受けて行われる地方債の発行そのものだったんだというふうに新人記者時代を思い返していたところであります。

 地方交付税というのは、簡単に言えば、地方自治体が仕事をするのに必要な金額をはじき出した基準財政需要額と、当該自治体が得ると考えられる税収をあらわす基準財政収入額を比較して、足りない分を国が補てんする、こういう制度です。したがって、基準財政需要額が膨らんでしまえば、それだけ基準財政収入額との差額が大きくなって、交付税総額が膨らむことになるわけです。

 今や交付税の総額は十七兆円ということで、さらに、それでは足りないで臨時財政対策債を、減らしたとはいっても六兆円発行することになっている。そして、財源不足による交付税特会の借入金は三十三兆、こういう水準になっているわけです。先送りに先送りを続けてきた特会借入金の償還として、平成二十三年度、申しわけ程度に一千億円計上されていますけれども、膨らみに膨らんできた特会の借金返済は、今後に向けて、大きな財政への負担となるわけです。

 地方債の残高についても百四十一兆円、交付税特会の借入金の地方負担分を含めた地方の借入金の総額も二百兆円、こういうことになっているわけです。

 こういう状況をもたらしてきた一因が、今回のような、まあ今回が悪いと言っているわけではありませんが、しかし、地方債の元利償還金を交付税で措置するという、この国の手法だったというふうに考えられます。

 二〇〇五年の、慶応大学の土居丈朗教授と財務省の財務総合政策研究所の別所俊一郎さんという方の共同研究によれば、地方交付税交付金を通じた地方債の元利補給について、その規模が何と交付税交付金の三〇%に上っている、こういう結果も示されています。

 そこで、まずお伺いをいたしますけれども、こうした措置が現在、どのような事業を対象に、どのような規模で行われているのかということをお伺いしたいと思います。

逢坂大臣政務官 公害財特法に基づく地方債の元利償還の関係でございますが、これは、公害財特法五条に基づいて、地方公共団体が公害防止計画に基づいて実施する公害防止対策事業等に係る地方債の元利償還金の五〇%を公債費方式により地方交付税措置しているところでございます。

 具体的な事業の内容は、下水道の設置、廃棄物処理施設の設置、河川、港湾等のしゅんせつ、農用地改良事業を対象としているところです。

 現行法の適用期限が延長された平成十三年度から平成二十一年度までの間における基準財政需要額への算入額は、五兆五千六百億円となっているところでございます。

柿澤委員 今、公害財特法の関係については御答弁をいただきましたが、先ほど申し上げたとおり、二〇〇五年の研究ではありますけれども、交付税総額の実に三割という水準をこういう形で、地方が発行した地方債のいわば裏負担という形で計上せざるを得ない状況になっている。

 こうした現状について、片山大臣、どのような御認識を持たれているか、お伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 今柿澤議員がおっしゃったようなことは、実は、私も年来主張してきておりました。

 交付税の中で相当部分が過去の地方債の元利償還に事実上充てざるを得ないようになっているということは事実でありまして、どんなものがあるかといいますと、例えば、一九九〇年代に、我が国は景気の落ち込みを回復させようということで、自治体が景気対策に総動員をされました。そのときに、いわゆる単独事業ということで地方債を発行して、それの元利償還金の相当部分を地方交付税に算入するということをやりました。これは、相当大きな地方財政へのインパクトがあったと思います。

 それから、これもいろいろ理由はあるんですけれども、例えば過疎債なんというのも年来相当発行してきておりまして、これの元利償還もかなりの額に上っておりますし、最近でいいますと、いわゆる合併特例債というもの、これも相当額が発行されますので、今既に元利償還が始まっているとは思いますけれども、これからの地方財政に大きな影響を与えることになるだろうと思います。その他、例えば整備新幹線の地元負担金を地方債で賄っていて、それの元利償還金を交付税に算入するというようなこともあります。

 そんなことをずっと実はやってきたわけでありまして、私はこれを交付税の先食いと言っておりまして、できるだけこれは戒めるべきだと思います。何でも有利な起債ということで、自治体がそれに飛びついていろいろな事業をやりますと、個別のところでは有利であっても、マクロで見ますと、大変大きな地方財政への負の遺産を与えることになるわけで、それを結局は交付税で解消しなけりゃいけないということでありますから、タコの足食いのようなものであります。

 一般論はそういうことなんですが、有利な起債という中にも二つありまして、先ほどいみじくも柿澤議員が、この公害の問題についてはとやかく言わないとおっしゃいましたけれども、有利な起債の中でも、恐らく、公害の特例措置を起債をして交付税で見るというのはどちらかというと良質な方だろうと思います。そうではなくて、単独事業などで大幅に何でもやってもいいというのは、悪質とは言いませんけれども、多分、良質でない分野に属するんだろうと思います。

 今回の公害の方は、環境省とか該当の担当省のところでチェックをして、必要最小限の事業が特例措置の対象になっているということでありますから、そういう意味で良質なんだろうと思います。ただ、これも含めて、地方債を発行して後で交付税で見るという手法は、やはりできる限り私は解消しなければいけないと思っております。今必要な自治体への支援であれば、こういうやり方ではなくて、本当に国費として現ナマで支援をして、年度年度で解消していくというやり方が本筋だろうと思います。

 ですから私は、昨年総務大臣になりまして以来、できるだけこれを廃止しようということで、不良なものから順次これを取っ払っていく作業を今やっております。ただ、どうしても残さなきゃいけないものも現実にはあります。その一つが今回のこの問題でありまして、柿澤議員もこれをとやかく言うことはないとおっしゃっていただいたので、認識は共有していると思います。

 以上申し上げましたのが、御指摘の問題に対する私の見解であります。

柿澤委員 認識は共有しているということが確認できたことはよかったと思います。

 現政権は、地方交付税の例えば事業費補正について、新規についてはやめる、こういう決定を既にしておられます。平成二十二年度以降の新規事業に係る地方債の元利償還金について、事業費補正方式によって基準財政需要に算入する、こういうことについては基本的にこれを廃止する、こういうことになっている。そういう意味では、地方交付税を事実上の補助金として政策誘導する従来のやり方は問題だ、こういうふうに思っていることはうかがえるわけであります。

 私たちは、税財源の移譲を前提として、これは道州制も絡んでくる問題であって、ここはきょうは話題にはしませんけれども、地方債の元利償還を交付税で面倒を見る、こういうやり方は、原則としていかなる場合であってもやめていく方向であるべきというふうに考えております。ここは、片山大臣、基本的にお考えは一致をしているということだと思いますので、答弁は省きます。

 そういう意味で考えると、今回、期限延長を、十年間延長を三回繰り返してきて、今度も十年ということはちょっと疑問があるんじゃないかというふうに思います。

 公害防止対策事業は、平成二十一年度、三千三百五十四億円ということで、ピーク時の十一年度の八千二百三十七億円と比べると大幅に減少しているわけですし、また財特法による補助負担金のかさ上げは、二十一年度、三十億円で、ピーク時の平成十二年度、四百三十四億円と比べると十五分の一、こういう水準まで減少しているわけです。さらに廃棄物処理施設を対象から外すことによって、二十一年度のかさ上げの対象は、三十億円中十九億円までが廃棄物処理施設でありますので、公害財特法に基づくかさ上げというのは極めて限定された対象しか残らなくなる、こういうことになるわけです。

 そういう中で、今まで三回、十年延長してきたということで、十年間延長の法案が提出をされているわけですけれども、今回、なぜやはり十年なのか、そしてこれは本当に十年という期間が必要であるというふうに考えているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 確かに、全体の事業量でありますとか事業費の見込みは縮小することになると思いますけれども、対象地域が減って、でも残った地域はあるわけでありまして、残った地域については、対策事業をやりますとそれなりの大きな財政負担が生じるわけであります。全国では減るにしても、該当の地域ではそれなりに重い財政負担が生じるわけで、やはりそれについては、これからも引き続き財政支援をするのが妥当ではないかという判断であります。

 今、これを急にやめてしまうということになりますと、恐らくはしごを外すことになるだろうと思いますので、いま一度これを延長させていただいて、該当の地域にはその期間内に、特例措置を活用して精いっぱい頑張っていただきたいということであります。

柿澤委員 最後に、先ほどから申し上げている交付税措置の実態ですけれども、二〇〇五年の民間の研究ペーパーの成果を引用させていただきましたけれども、なかなかこれはわかりにくいんですね。元利償還金の交付税による負担というのがどのぐらいの規模で行われているかという正確な数値はオフィシャルには出されていないもののようでありますし、この実態をしっかり把握して、それぞれのものについていわば仕分けを行って、継続する必要性があるもの、それとももはや、例えばこの公害財特法だって、十年後はどうすべきかわからないと思うんです。

 こうしたことを見直ししていく上でも、この実態をまず明らかにして、そして議論を進めていく必要があると思いますけれども、片山大臣、その点、ぜひ前向きにお取り組みをいただきたいという思いを込めて、御答弁をいただいて終わりとしたいと思います。

片山国務大臣 私も同じ問題意識を持っておりまして、こういうやり方、こういうやり方といいますのは、借金をして、後で元利償還で、後年度十年ぐらいかかって返していくというのは非常にわかりにくい。コストとそれによって得られる便益との関係が非常にわかりにくくなります。ですから、基本的には、こういう制度はもうやめるということが基本だろうと思います。どうしても避けられないものはしばらく残るかもしれませんけれども、基本的にはやめていくということだろうと思います。

 現状でどうなっているのか、基準財政需要額に占めるいわゆる起債の先食い、交付税の先食いが基準財政需要額にどれぐらいの割合を占めているのかというようなことについては、できるだけ明らかにするように努めたいと思います。

柿澤委員 終わります。

原口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三分散会


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