衆議院

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第14号 平成23年4月28日(木曜日)

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平成二十三年四月二十八日(木曜日)

    午後一時三十一分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石田 三示君

      石津 政雄君    内山  晃君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      笠原多見子君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    中後  淳君

      永江 孝子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長)            北川 慎介君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木敦朗君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  松崎 公昭君     石田 三示君

  赤澤 亮正君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     松崎 公昭君

  伊東 良孝君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長北川慎介君及び総務省自治行政局公務員部長佐々木敦朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。皆吉稲生君。

皆吉委員 民主党・無所属クラブの皆吉稲生でございます。

 片山総務大臣を初め政府の皆様方、東日本大震災の対策、復興に向けて本当に懸命に努力をいただいておりますことに、心から敬意を表したいと思います。また、同僚議員の皆様方も、地域に入っていただいて、被災地に入っていただき御努力をされておられますことに、本当に心からの敬意を表したいと思います。

 さて、本日は、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。いわゆる地方議員年金廃止の法案でございます。

 この法案は昭和三十六年に議員立法で地方議会議員互助年金法としてスタートし、翌年に地方公務員等共済組合法に規定をされて運営がされてまいりました。しかし、平成十年以降は、議員定数の削減が相次ぐ中、加えて、平成の大合併によって議員数が激減いたしました。平成十年度と二十一年度を比較しますと、四四%の議員が減少し、三万六千三百十四人まで落ち込んでいます。一方、受給者は平成二十一年度末で九万三千五百二十九人となり、いわゆる成熟度が二五八%、つまり、一人で二・五八人を支える制度になっています。さらに、積立金も、平成二十一年度末で三百四十八億円余りと、底をついてくるような状況になっています。およそ、相互扶助の制度でございます年金制度の存続の条件をすべて失ってしまっているのが現状だと認識をさせていただいております。

 この間、財政の立て直しのため、平成十四年、十八年に退職年金給付水準の大幅な引き下げ、現職議員の皆さんの掛金率あるいは特別掛金率の大幅な引き上げ、さらには地方公共団体の負担金率の引き上げなどを行ってまいりましたが、立て直すことはできませんでした。

 このような状況を踏まえて、我が民主党は、本委員会所属の小川淳也議員を座長とする地方議員年金PTを立ち上げて議論を重ねてまいりました。その中で、制度立て直しへの展望を見出すことは困難であるということ、また民主党所属の地方議員へのアンケートでは、七割の議員の皆さん方が廃止やむなしの回答をお寄せいただいたところでございます。

 そうしたことなどから、おおむね本法案に沿った形での方向を打ち出したところでございます。

 しかし、地元の議員の皆さんのお話を聞きますと、平成十四年、十八年の改正の際にも国が責任をとるなどという話を聞いたが、大合併への対策など何も講じてこなかったと、厳しい声も寄せられております。また一方では、国民の皆様の声として、十二年間の在籍で年金を受け取ることへの不公平感というものを訴える声があることも事実でございます。

 そこで、片山総務大臣にお聞きをいたします。

 今回の議員年金廃止法案は、一面では、地方議員の皆さんの将来への期待感を封ずる苦渋の決断だったと思います。また、もう一面で見ますと、国民の不公平感を払拭するような英断であるとも言えなくもありません。このような大きな決断をされるに当たっての決意をお聞かせいただきたいと存じます。

片山国務大臣 議員がおっしゃいますとおり、これは本当に苦渋の決断だと思います。これまで続けてきました制度というものを今回やめようということでありますから、該当する議員の皆さん、OBの方も含めて、いろいろな思いがおありだろうと思います。

 今おっしゃいましたように、一つは、この制度を存続させるための構造といいますか条件といいますか、これがかなり崩れてきているということは事実であります。よしあしは別にしまして、市町村合併が相当の進度で進んだ、それに伴って議員数が大幅に減った。これは、ある意味では予測を上回るスピードで議員の数が削減されたということがあると思いますし、それ以外に、いわゆる行政改革で定数の削減が行われたり、議員報酬の単価の引き下げが行われたりしたということも、この制度の存続に必要な構造的条件を変えることになったと思います。

 もう一つは、やはり国民の皆さんの意識というものもこの間大きく変わってきたと思います。国会議員の皆さんに対する年金もこの間廃止になったわけでありまして、これも国民の皆さんの意識を変えるには大きな要因になったのだろうと思います。

 そういう構造的要因と国民の皆さんの意識の変化というものを背景にして、このたびの一種の苦渋の決断ということになったわけであります。

 この上は、ぜひ、廃止に伴いまして暫定的な措置なども当然必要になりますし、それには相応の財源の確保ということも必要になりますし、各自治体の予算措置も必要となりますので、廃止に伴いますそういう一連の措置が円滑に進みますように総務省としては努力をいたしたいと考えております。

皆吉委員 ありがとうございます。

 今大臣の方からもお触れになりましたけれども、この年金が廃止をされて、今後、掛金収入はなくなる、そして積立金も底をつくという状況の中で、一時金の支給あるいは年金受給者の皆様方への給付については、地方公共団体に対して普通交付税として措置をすることになると思います。総額でどの程度の資金の発動が必要なのか、また、今後、毎年どの程度の予算規模で推移をしていくと予想されておられるのか、そして、そのことで給与関係費が増額をすることになりますけれども、将来の地財計画にどのような影響を及ぼしてくるのか、お伺いをしたいと存じます。

片山国務大臣 今回の法案というものは、今後退職される議員で一定の要件を満たした方については選択の道を残しておりますので、それぞれ該当の方がどちらの選択をするかによって、今後の各年度の所要額というのは変わってまいります。

 例えば、在職期間が十二年以上の年金受給の資格を有する退職者がすべて、これはそうなるかどうかわかりませんけれども、全員が一時金方式を選択した場合には、平成二十三年度におきましては千三百四十三億円が必要となります。これを将来にまで及んだ総額に置き直しますと、一兆一千四百億円ということになります。この二十三年度の千三百四十三億円といいますものは、現行制度を存続させる場合に比べますと短期的には一時的に増加をいたしますけれども、長い目で見ますと全体としては減少することになると思います。

 いずれにしても、今後、暫定期間といいますか、この制度が終息するまでの間は所要の地方財政の措置が必要となってまいりますけれども、各年度の地方財政計画の中に適切に盛り込むことによってそれぞれの自治体の財源の確保、予算の編成に支障がないように、総務省としては目配りをしてまいりたいと考えております。

皆吉委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったように、この給与関係費がふえたことによって地方に対する地方交付税の措置にいろいろ問題を生じてくるということのないように、これは別枠としてしっかり措置をしていただくように要請をさせていただきます。

 あと二つほど質問をさせていただきます。

 与野党協議の中で、地方議員を地方公務員等の共済組合に加入させるべきだという意見が出されているというふうにお聞きをいたしております。私は、傾聴に値する御意見だと思っています。

 地方公共団体には、議員の皆さんにとどまらず、多くの非常勤の皆さんや臨時職員の皆さん方がおられます。私はかつて、自治体職員であったときに、非常勤や臨時の職員の方々を厚生年金に加入させる取り組みを行った経験がございますが、共済組合法では、組合員の資格を、常時勤務に服することを要する職員、いわゆる常勤職員と定めております。共済組合には何かしら高い壁を感じたという記憶をいたしております。

 そこで、お尋ねをいたします。

 議員を初め臨時あるいは非常勤の職員の皆さんの共済組合への加入の検討をされておられるのか、また加入をいただく場合の事業主負担の問題や、あるいは共済組合としての財政運営にどのような影響が考えられるのか、お伺いしたいと存じます。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 今御指摘の、地方議会議員の皆さんや臨時、非常勤職員の地方公務員共済への加入については、まさにさまざまな御意見があるというふうに思っております。

 ただ、地方議員の皆さんがもしこの共済に入るということになると、今大臣からお示しをしましたように、今回の清算に約一兆円近い金が要るわけですね。これは公費として支出をされるわけです。さらに、その公費負担が本当に国民の皆さんの理解が得られるのかどうかということは厳然たる事実としてあるわけであります。それからまた、地方議員の皆さんが、いわゆる勤務形態といいますか、果たして共済加入のこういった条件を満たしておるのか、ここのところもあると思います。それから、国会議員との取り扱いの均衡をどう考えるかというようなことで、非常にさまざまな検討課題がある、このように思っております。

 また、臨時、非常勤職員の皆さんにつきましては、今御指摘のように常勤職員の形態であるという前提ですから、その辺をどうクリアするかというようなこともございます。

 いずれにしましても、冒頭申し上げましたように、御意見がさまざまあることは十分承知しておりますが、その辺をしっかりと検討していく、課題も逆にたくさんあるというふうに思っています。

 ちなみに、地方議員が共済組合に加入した場合に、年金で約百七十億円、医療保険で約百十億円、合わせて二百八十億円ということになります、これは非常に粗い計算でありますけれども。臨時、非常勤職員の方の計算は、ちょっとケースがばらばらでありますので、出せないということです。

 いずれにしても、今までの共済組合の形態について非常に大きな影響が出てまいりますので、その辺を慎重に考えて検討してまいりたいというふうに思っています。

 以上です。

皆吉委員 ぜひ政府として御検討いただきたいと存じます。

 最後の質問でございますが、いわば議員をめぐりましては、地方議会の議員さん方にとどまらず、私たち国会議員も含めて、国民の厳しい目にさらされているというふうに思っています。

 特に地方におきましては、昨今、議員報酬のあり方、報酬の半減とか日当制の議論など、さまざま議論が行われております。これに年金まで廃止ということになりますと、地方において有為な人材が集まるかという不安を禁じ得ません。

 また、議員の身分に関しましても、国会議員と地方議員の格差というものも歴然としています。例えば、国会議員は歳費として国会法で定めてありますが、地方議員は、地方公務員法で特別公務員として定めて、非常勤としての位置づけしかなく、収入も報酬とされています。

 政令市や中核市、県都市を中心として、多くの地方議員は、議会活動にとどまらず、日々の相談活動、町内会やさまざまな多岐にわたる行動を求められておりますし、相当の議員の方々が専業化を余儀なくされております。こうした中で、先週採決が行われました地域主権三法により、地方議会では、さらに新たな条例の策定に向けて議論をいただかなければなりません。このように、議員の役割はさらに大きくなっています。

 このような状況の中で、大臣として、地方議員の身分、処遇がいかにあるべきか、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。

片山国務大臣 地方議会の役割が非常に高くなる、その中で、議員の皆さんの活動というものが、これまで以上に責任が重くなって、期待される役割もふえてくると思います。

 ただ、だからといって、全国一律に、例えば議員というのはこういう勤務形態でということを決めるのはなじまないと私は思います。公務員制度とか官僚制の場合にはそれはなじむかもしれませんけれども、多様な働き方が期待される議員の皆さんにはなじまないと私は思います。むしろ、それぞれの自治体ごとに、議員の仕事、役割、それから、勤務形態というのは変ですけれども、議会の会期がどうあるべきかとかいうのはそれぞれ決められて、その中で精いっぱい仕事をされて、それを有権者、住民の皆さんから評価していただいて支持を受ける、こういうプロセスが大事なのではないかと思います。

 例えば、自治体によってはもう既にあるのでありますけれども、会期を非常に長くして、ほとんど常勤と変わらないような、そういう仕事ぶりをされているところもありますし、小さな自治体ですと本当に一週間に一遍とか、これからいろいろな議会のあり方というのは出てくると思いますので、それぞれの実態に応じて、また住民の皆さんの期待度と理解度に応じて、議員の皆さんの仕事ぶりとそれに対する処遇というのは決まってくるのが自然ではないかと考えております。

皆吉委員 今大臣のお話がございましたけれども、こういう地域主権の中で、本当に地方議員が生き生きと地域のために働ける環境をつくるために、また政府としても、さまざま具体的な財政の手だてなど、しっかりと支えていかなければならない、そんなふうに思っておりますので、よろしくお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 自由民主党の伊東でございます。

 まず、冒頭でありますが、きょうは大震災からちょうど四十九日というお話でございまして、改めて、冥福を祈り、そしてまたお見舞いを申し上げる次第でございます。

 四十九日をあす明けますといよいよゴールデンウイークでありますので、心機一転、日本の経済活性化のために大いに活動し、そしてまた自粛自粛のムードを何とか払拭したい、このように思う次第でもございます。

 さて、皆吉先生から今、地方議会議員年金の廃止法案についての質問があったところでありますが、私も、若干重複するかと思いますが、できるだけ観点を変えて質問させていただきたいと思います。

 経緯につきましては、ただいまお話がありましたように、昭和三十六年、これは互助年金としてスタートいたしました。発足後十年くらいは黒字基調であったわけでありますが、その後、統一地方選挙施行に伴い、あるいはまた年金受給資格者の増大に伴い、単年度の収支が一挙に赤字基調に転じまして、数年をたたずして、これまでの積立金が枯渇するという厳しい事態が予想されるに至ったわけであります。そこで、共済組合法を改正いたしまして、昭和四十七年四月から、掛金率の引き上げやあるいは地方自治体の負担金制度の導入など、会計維持のための対策が講じられたところであります。

 ここでちょっとお聞きしたいのでありますが、当時は総務省でなくて自治省であったわけでありますが、当時の監督官庁としては、地方議会議員年金財政の運営についてどのような問題意識を持っておられたか、あるいは将来の解決に向けてどのような方策を講じられようとしたのか、お聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 当時のことでありますから、私も直接参画しておりませんでしたので推測も交えてお話を申し上げますが、やはりこの種の制度というのは持続可能性というのが非常に重要でありますから、それに対して意を配ってきたと思います。

 その一環で、平成十四年に所要の改正を行っておりますし、それから平成十八年には、やはり合併というものを念頭に置いて、その合併の影響というものをできるだけ受けとめるといいますか、致命的な影響が生じないようにということで、さらなる改正も行ったと思います。

 ただ、それを上回るスピードで合併が進んで、その結果、全国の地方議員の定数というものが大幅に削減されたということと、それから、先ほどちょっと触れましたけれども、合併とは必ずしも関係はないところで議員定数の自主的な削減というもの、公務員給与などと同様に議員報酬の自主的な削減というものも行われて、したがって、当時、平成十四年、十八年に想定しておりましたような枠組みがかなり崩れてきたというのが、今日までの経緯ではないかと思います。

伊東委員 平成十年以降の合併による影響というのはわからないわけではありませんが、これは、三十六年に発足して、四十六年に、十年間で既に破綻が見えてきて、それで大きな改革あるいは負担率の引き上げ等々をしたわけであります。

 その後、さらに数度にわたる給付水準の引き下げ、掛金もまた引き上げる、あるいは年金の給付開始年齢の引き上げも行われる。その時々でこの年金財政をいわば取り繕ってきたようなイメージに私は見えるわけでありまして、抜本的な解決に向かって進んでいたというふうにはどうしても思えないわけであります。

 全国の町村議会あるいは市議会、都道府県議会、それぞれの段階、レベル、内容も若干違っておったでありましょうし中身も違っていたので、これを一つにまとめるというのは難しかったかもしれませんけれども、私は、当時の自治省としてみれば、もう少し、監督官庁として、将来にわたる指導力をきちっと発揮した年金のあり方というものを主導すべきではなかったかという気がしてなりません。

 この点、総務大臣はどういうふうにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 今から振り返りますと、今議員がおっしゃったような多少強引なやり方というのも選択肢としてはあり得ただろうと思いますけれども、やはりこの種の制度というのは、まずは当事者の皆さんの合意形成が重要だと私は思います。

 もう一つは、この制度を存続させるために公費の投入というのも当然あり得るわけですけれども、公費の投入というのは、当然、納税者、住民の皆さんの理解と納得が得られなければいけないという面もありまして、そういう幾つかの非常に困難な状況の中で、今から考えるとびほう策だという評価があるかもしれませんけれども、そのときそのときに許された環境の中で最善の努力をしてきたものだと考えております。

伊東委員 この間、私も十七、八年地方議会にいたものでありますから、そのたびに、将来これは相当厳しいことになるぞというのは、もちろん議員同士も若干認識はしていたところであります。お話にありますように、これが平成十年以降の平成の大合併の進捗に伴いまして、相当数の町村の合併によって、議員数の減少あるいは年金受給者の増加、行革による議員報酬の削減、定数の削減等々があったわけであります。

 当時、この合併を極めて一生懸命推進されました総務省として、この議員年金のことは余りお考えでなかったのか、それとも、それはちょっと横に置いておいてというような、そんなおつもりであったのか。私は、これは、大変申しわけないことでありますけれども、今となって振り返ってみれば、合併推進に総務省も本当に一生懸命やっておられたわけでありまして、そうしますと、それに問題が生ずるようなことはちょっと横に置いておいてということではなかったのかなという思いがいたしております。

 この地方議員年金制度について、合併を推進してきた当時としてはどのような考え方であったのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 確かに総務省はそのころ合併推進に向けて全力を挙げていたと思いますが、それは総務省だけが単独で合併促進をやっていたわけではなくて、そのときの政権のもとで、政権の方針に基づいてやったものだと思います。

 ちなみに、これは余談でありますけれども、私は当時、県で知事をやっておりまして、そういう非常に強引な合併促進策は実は冷ややかに見ておりました者の一人であります。

 それはさておきまして、そのときに、当然のことながら、やはり合併をすれば議員の数は減るわけでありますから、それが議員年金制度に大きな影響を及ぼすということは、認識はあったと思います。それについての議論も行われていたわけであります。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、その旗を振っていた総務省の考えていたよりもスピードが速かった、合併とそれに伴う議員の削減のスピードが速かったということ、これは一つ予想を上回ることであったのではないかと思います。

伊東委員 私は合併の推進が間違っていたとか急ぎ過ぎたとは思っておりません。当時の国の考え方の中では、やはり一つの国としてのあるべき姿、あるいは地方としてのあるべき姿をあそこで模索したんだろうというふうに思いますし、現実に、私も合併した自治体にいた者として、当時としてみれば、やはり行財政改革で大幅に進んだんだなという思いはあります、その効果が今あったかどうかはまた別の問題といたしまして。

 ちなみに、市町村議会と議員数、議会費、これの資料を見ますと、平成十年に三千二百五十五市町村が、平成二十年には千八百市町村に減っております。千四百五十五市町村、自治体が合併によってなくなっております。平成十年に六万四人いた市町村の議員数が、二万四千九百七十九人減って、三万五千人に実はなっております。

 こうなりますと、議会費の削減効果は幾らあるかというと、平成十年度に五千六十二億円の議会費が、平成二十年度には三千五百四億円に減っているわけでありまして、年に千五百五十八億円が削減をされている、毎年これが減ってきているという、行財政改革の中の議会費の占める割合であります。議員報酬は、平成十年に三千二百九十八億円でありましたけれども、平成二十年では二千百八十九億円と、千百九億円減っております。

 こうなりますと、地方公務員共済のこれからの後始末の金も含めて、この会計だけが破綻した、破綻したといって一方的に本当に責め立てていいのかなという気がしてならないわけであります。

 平成の大合併、そして議会費のこれだけ大幅な、年間千五百億円を超える削減効果があったという事実を踏まえてどう評価するか、こう思うわけでありまして、この点、総務大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 今おっしゃられたことは一つの視点だろうと思います。大切にしなきゃいけないと思います。

 今回の廃止に伴いまして清算のために今後一兆円ほどが必要になる、これはこれで納税者、住民の皆さんの理解を得る必要がありますけれども、その際に、やはり今おっしゃったような合併による財政効果といいますか、こういうものが別途あるということはよく認識をしていただく必要があるだろうと思います。

伊東委員 これはやはり国民の皆さんにぜひ知っていただかなければなりませんし、地方の皆様にも、この合併あるいは議会費の大幅な削減ということの事実をきちっと説明する必要があると私も思っているところであります。

 さて、この制度が廃止されましても、現在受給資格のある人は相当数いらっしゃるわけで、先ほど皆吉先生のお話にありましたように、まだまだ二・数倍の、一人が面倒を見なければならない受給者がいるわけであります。

 さて、現行制度を見てみますと、昭和六十一年度、平成七年度、平成十五年度あるいは十八年度、それ以前に議員になっていた人とそれ以後受給資格を得た人では、支給水準が随分違ってきているわけであります。昔の人ほど高い支給率になっております。

 私も昔、市議会、道議会におりましたときに、市議会で同じ年で同期だった者が、三期クリアして、今彼は道議会にいるわけでありますが、もう五十五歳から支給開始になっているわけであります。その一年後に議員になった者は六十歳からの支給開始になる、現在議員の者は六十四歳、六十五歳からの支給開始になるというふうに、さまざまな支給基準が今存在をいたしております。

 私は、今回、地方議員の年金制度そのものがなくなる、破綻する、あるいはこれから掛金を払う人がいない中で受給者だけがふえ続けるということであるならば、支給基準を、やはりもう少し公平性を保ちながら、わかりやすく、不公平感の少ない制度にすべきというふうに思うわけでありますが、この点、大臣はどのような御見解を持たれておりますか、お聞きします。

片山国務大臣 それは非常に難しい問題だと思います。難しいといいますのは、非常に重要な論点であるということが一つありますし、それから、公平であるべきというのは非常に重要な論点であるということですけれども、その公平を実現しようと思いましたら、経緯から見て、これは非常に難しい問題があるという感想を持っております。

 これは年金の他の分野でもあることではありますけれども、順次制度を改正していったときに、既往の制度の適用を受けている人にはやはりそれなりの既得権といいますか期待権というものを尊重し保障するということをやってきておるものですから、今回の議員年金もやはり同じような仕組みをとってきているわけで、ある意味では公平感に反するという面があるかもしれませんけれども、その人その人の置かれた期待権というものを尊重するという面ではやむを得ない面があると思います。

伊東委員 それは十分に私もわかるわけでありますけれども、これは本当に、もう掛金を払う人がいなくなって受給者ばかりがふえ続ける。いわゆる既得権というか、これまで受給してきた人の生活権やそういったものがあるから、遺族年金を含めて守らなければならないというのは理屈としてはわかりますけれども、では、今まで掛けてきて受給資格が生じたにもかかわらず八割で一時金をもらって後はなしになるという、今直近の、現在たくさんおられるそうした方々から見ると、受取総額が自分たちの受取総額の何倍にもなるような既得権益者がたくさんいる制度をそのまま残して、自分たちが八割支給ということで甘んじなければならないのか、こういった点もやはり考慮される必要があるのではないかと思います。

 先ほど大臣は、これからの所要資金は約一兆円というお話でありますけれども、最終的な終息までにその金額というのは本当に一兆円というところなんでしょうか。おおよそのところで結構ですので、その見積もりというか内訳というか、その根拠をちょっとお示しいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 将来の公費負担額の見込みでございます。

 先ほど大臣からお話し申し上げました、年金受給権を有する者の全員が一時金を選択した場合に、将来にわたる総額で約一兆一千四百億円となってございます。逆に、年金受給権を有する者の全員が年金を選択いたしますと、公費の総額としては多くなってまいりまして約一兆三千六百億円、こういう見込みになっているところでございます。

伊東委員 これから膨大なお金が地方負担になっていくということであります。この費用につきましては地方交付税で措置されるということでありましょうか、この点についてお聞かせください。

逢坂大臣政務官 御指摘のとおり、今回の地方負担については、地方財政計画の中に計上いたしまして、地方交付税で対応ということになります。

伊東委員 議員年金制度が廃止されれば、議員の待遇、身分、あるいは老後の生活等々の面で魅力がなくなるのではないか、こう言われているところでありまして、今回の統一地方選挙を見ても、立候補者数が非常に少なくなっている町村、あるいは無競争で決まってしまう市町村が前回に比べて随分多くなった。私の地元でも相当ふえているところでもあります。もちろん議員報酬のアップなどということは近年なかなか見られないことであり、逆に削減が当たり前に何となくなってきているわけであります。

 人材確保という面、あるいは地方の自治、地方議会、地方の民主主義を維持する観点では一定程度のコストというのは必要だ、私はこういうふうに思うわけでありますが、人材確保と地方議会の活性化等々について、本当に、このまま定数を削減し、給与を削減し、年金も何もなくなる、こうした形がこのまま続いていいものかどうか、私は大いに疑問があるわけでありますけれども、大臣、この点はいかがでございましょうか。

片山国務大臣 地方自治の経営にある程度のコストがかかるというのは、私も全くそのとおりだと思います。安上がりであれば安上がりであるほどいいということではないと思います。やはりそれなりの質の高い行政を維持しようと思いましたら、その経営のためのコストというのは容認してもらわなければいけないと思います。

 そういう意味で、議会というものも、定数を削減すればいいというものではないですし、それから報酬にしても、安い方がいいんだということではないと私は思います。

 ただ、年金があるから魅力を感じて議員になるというものでもないと思います。ほかにもいろいろな要素があると思います。

 その一つは、やはり報酬というものは、どの程度の報酬水準でそれなりの人が得られるかというのは、一種の市場原理のようなことが働くと思いますので、それはそれぞれの自治体で決められることでありますから、ぜひ、最近の立候補の状況とか、そういうものをにらんで決められたらいいと思います。

 それからもう一つは、経済的な面だけではなくて、議会自体が魅力を有権者の皆さんにどれほど与えるかということが大きいと思います。議会というものが非常に活気があって、住民の皆さんの意思というものがかなり反映できる、働きによって地域を変えられる、そういう確信が得られれば、多くの皆さんが、特に若い人も含めて、地方議会に参入しようということになると思いますので、経済面だけではなくて、議会の運営のあり方ということもぜひこの際考えていただければと思っております。

伊東委員 この質問はちょっと違うかもしれませんけれども、御見解をお聞きしたいことは、実は、減税日本の河村市長さんが名古屋できのう、議員報酬の半減案を通したというお話でありました。通常、日本全国の地方議会あるいは自治体に設けられております特別職の報酬審議委員会もなくすことにしたというお話でありました。

 私は、これはどちらにもそれぞれの言い分があるんでしょうけれども、いわゆる自治体のチェック機関としての議員あるいは市町村議会の存在があるわけでありますけれども、その行政をチェックする側の議会が、チェックされる側の代表者によって報酬やあるいは定数を、市長の公約にその定数あるいは報酬を並べ立てて選挙されて、その市長が通ったらそういうことになってしまうというのはいささか、本当に民主主義上、これで議会制民主主義としていいのかなという疑問がわき起こるわけであります。

 片山総務大臣も知事をされていたわけでありますから、もちろん応援してくれる与党と言われる県議会の方々がいらっしゃったと思います。どの市町村でも、多かれ少なかれ、そういう自分を理解してくれる会派なりなんなりはあるわけでありますけれども、みずからがその議会全体の定数あるいは議員の給料まで、チェックされる側がする側をまるでコントロールするかのごとくのやり方というのは、私は、いささかちょっといびつであっておかしいというふうに思うものであります。

 片山大臣から見ておられて、名古屋市議会のあり方というのはどのように見えるか、お聞かせください。

片山国務大臣 今回の名古屋の実情を見ましても、おっしゃったような経緯だと私も思いますけれども、でも、最終的には議員の皆さんがみずからの意思で賛否を明らかにして報酬の額を八百万円にしたということでありますから、あくまでも、チェックをされる首長が勝手に決めたというわけではなくて、首長の考え方を一応納得して、議員の皆さんが受け入れた上で決めたということでしょうから、形式上は問題はないと思います。

 ただ、政治的な背景としては、もうそれを受け入れざるを得ないような、そういう雰囲気を首長さん自身が醸し出して、それなりの行動と活動をされてきた結果ということをにらめば、今おっしゃったように、二元代表制が想定してきたことに対する一種のイレギュラーな結果だろうと思います。そういう印象を持っております。

 もう一つは、一般論としまして、私がかねがね思っておりましたのは、首長の報酬とか退職金の額を議会が条例で決めるというのはいいと思うんです、片一方の住民の代表が決めるということでありますから。ところが、議員の皆さんの定数とか処遇とか、そういうものを議員の皆さん自身が議会で決めるというのは、やはり自給自足といいますか、自分のことを自分で決めるわけで、これに必ずしもチェック機能が働かないといううらみがあるわけでありまして、これをどうするのかというのは、これから一つ考えなければいけない課題だろうとかねがね考えております。

伊東委員 ちょっと横道にそれまして、大変申しわけありません。

 しかし、地方議会の議会制度のあり方、本当にチェック機関としての機能というものをしっかり果たす上では、今回の名古屋市議会というのは、私は、全国の市町村議会に一石を投じたと思いますし、それぞれの議会の中で、活性化に向けて、あるいは住民の負託にこたえられる地方議会づくりで、これは目が覚めたところもあるのではないかというふうに思うものでございます。

 さて、戻りますが、地方議会議員の年金は、我が国の年金体系の中でいわゆる二階部分、三階部分としての性格を有するものではないかというふうにも見えるわけでありますけれども、総務省として、これまでの地方議会議員の年金についてどのような見方をとってこられたか、お聞かせください。

佐々木政府参考人 地方議会議員年金制度でございますけれども、これは公的年金ではございませんで、地方議会議員の職務の重要性等を勘案して、政策的に設けられました公的な互助年金制度と位置づけているところでございます。

伊東委員 スタートが互助年金でありますのでそういうことなのでありますが、しかし、この地方議会議員年金は、一般の公務員の共済年金制度あるいは厚生年金制度と比較をいたしまして、給付と本人負担のバランスあるいは公費負担の割合の差が極端にかけ離れたものではないと思いますけれども、この点、総務省としてどのように評価しているのか。この議員年金が特権的なものではないというふうに私どもは思っているわけでありますけれども、これについて総務省の見解をお聞かせください。

佐々木政府参考人 先ほど申し上げましたように、公的な互助年金制度ということでございまして、基本は地方議会議員の方々の掛金で財源措置されているわけですけれども、先ほど先生の方からお話がありましたように、昭和四十年代に公費負担措置が講じられまして、近年におきましては、合併による激変緩和の公費負担を除きますと、大体四割程度が結果として公費で措置されているといったような現状になっているものでございます。

伊東委員 私も先ほどの皆吉先生と見解は同じなのでありますが、ここで、地方公務員共済への加入をやはり検討いただくべきではないのかなという気がしてならないのであります。議員の場合、自分で仕事をしている人、あるいは勤めている人もたくさんいらっしゃるわけでありますが、そうでない自営業者の方、あるいは国民年金を掛けているという人もたくさんおられるわけであります。

 地方公務員共済、先ほど健康保険を含めて二百八十億円という予算のあれがありましたけれども、今までの議会費の削減額などなどを勘案すれば、これからの地方議員に、健康保険まで含めるのが妥当かどうかはちょっと論議のあるところでありましょうけれども、これまで一六%の掛金が、地方公務員共済ということになりますと八%で、残り八%は市町村が掛けるということになるわけでありますので、こうしたことの道をやはり開くべきだ。そして、その身分やあるいは将来について一定程度、専業化していく地方議員が将来身の立つような、あるいは安定的な老後を送れるような形をとるべきではないか。

 私も先ほどの皆吉先生と同様の見解を持つものでありますが、この点、もう一度総務省の見解をお聞かせください。

片山国務大臣 共済組合に加入すべきではないかという議論があることは私も承知しておりますが、やはり慎重にならざるを得ないと私は率直に思います。

 といいますのは、共済組合というのはもともと常勤の職員を対象にしておりますけれども、要するに公務員というものを専業にしている者であります。片や議員の皆さんというのは、確かに専業の方も最近ふえておられますけれども、いろいろな多様な職業の中から住民の代表として議員に選ばれるわけでありまして、必ずしもみんながみんな専業ないし専業を目指しているわけではないわけでありまして、多様性というものをやはり尊重する以上は、専業を前提にした制度にすべきではないという意見も根拠があることだと私は思います。

 それからもう一つは、これは本論から外れるかもしれませんけれども、もともと、議員の皆さんに、何らかの議員年金であれ、議員年金でなければそれにかわるべき何らかの上乗せの年金制度が必要だという背景には、国民年金ではちゃんとした生活が成り立たないという前提が恐らくあるのだろうと思います。それはそれで非常に重要な問題でありまして、一般の国民の皆さんは国民年金でしか老後の生活を頼れないという人も多いわけでありまして、であれば、議員の皆さんもそうでない皆さんも国民年金でちゃんとした生計が営めるような、そういう仕組みをつくっていくというのが本来の王道ではないか、それを志すのが政治の役割ではないかと私は常々考えているところであります。(発言する者あり)

伊東委員 例えば今御発言いただいている石田先生も、和歌山の県議を三期十一年、十二年やっていないところが惜しいところでありますが、海南市長を八年であります。地方議会のベテランでありますし、私どもの総務部会、シャドーキャビネットの総務大臣であります岩城光英先生も、市議を六年あるいは県議を四年、市長七年ということであります。私も、どれも十二年やっていないわけでありますが、市議、道議、市長をやっておるのであります。

 しかし、近年は、町村議会の年間の会議日数の少ないところはなかなかそこまではという話も出てきましょうけれども、通常の市議会あるいは都道府県議会に至りましては、今、ほとんどが専業に近い形に現実はなっているわけであります。制度が破綻したからといって、ではあなたは国民年金でやりなさいよということで果たして本当に済むのかなという気がしてなりません。

 私は坂本先生と一緒にこのプロジェクトチームなどで検討させていただいたのでありますけれども、各党各会派問わず、地方議会を経験されてきた方はやはりたくさんいらっしゃるわけであります。そういった全国の、数も相当数減った地方議会の議員に対して国としての何らかのインセンティブを与えるというか、その身分あるいは制度上でも、総務大臣のように一般の国民と同じようにという言い方もできないわけではないわけでありますが、議員みずからが自分たちにこれをしてくれ、あれをしてくれということは今は極めて言いづらい世の中でありますので、私は、国会の方で、これは国会議員が年金なくなったから地方もなくなったってしようがないだろう式の話ではなくて、やはり地方議会をこれから発展させる、守る、議員の意識を高めるという観点からも、そうした一定程度の身分保障あるいは将来に対する保障的な年金というものは必要だというふうに思っているところであります。ぜひ御検討をお願いしたいと思いますし、総務省が全くその気はないということであれば、地方議会の皆さんとさらにその声を高めていく努力をしていかなければ、そんな思いをしているところでもあります。

 最後に、総務大臣、もう一度、地方議員に対する思い、その大切さについてお聞かせをいただきたいと思います。

片山国務大臣 地方議員の皆さん方が安心して住民の皆さんのためにいい仕事ができる環境をつくるというのは、非常に重要なことだと思います。

 先ほどは、皆さんからごらんになると少しネガティブなことを申しましたけれども、決してそれだけが本意ではありません。報酬の問題、議員の皆さんの活動しやすい環境づくりなども含めて、それから将来の安心ということをどうやって担保するのか、しかもそれは国民の皆さんの理解というものがどうしても肝要になりますので、そういうことも含めて、これから検討すべき重要な課題だと私も認識をしております。

伊東委員 どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 きょうは先にお二方が御質問なされまして、このテーマでの議論ですからポイントは絞られていますので、かなり重複すると思いますけれども、確認の意味も含めて、させていただきたいと思います。

 まず、地方議会議員の年金制度、先ほど来お話がありましたけれども、昭和三十七年の地方公務員共済組合法に規定されて以来、すべての地方議会議員を対象とする強制加入の恒久的年金制度として運営されてきた。この間、昭和四十年の退職一時金の導入ですとか、昭和四十七年の公費負担の実施、その後の給付水準の引き下げですとか、構成員、いわゆる議員の掛金率、それから公費負担の引き上げ、こういうことを経て今日に至ってまいりました。

 私は、この制度はいわゆる公的年金を補完する制度として、地方議員あるいはその遺族を含めて、生活の安定に大変寄与してきた、大きな役割を果たしてきた、このように思っております。今般の廃止に至った要因は、ひとえに議員年金財政の悪化が挙げられる。ほかに、制度そのものがいわゆる議員特権ではないかという指摘もありましたけれども、いずれにしても、この間さまざまな議論をしてまいりました。

 ただ、改めて今認識しておかなくてはいけないことは、この地方議会議員年金制度はほかの公的年金との通算が行われていないということ、それから、もちろん公的年金との重複は認められておりますけれども、これはいわゆる国民年金の基礎年金の二階建ての部分ですとか、あるいは厚生年金などの上乗せの部分だ、こういう意味合いも他方持っているということも考えなければいけないと思います。

 私も地方議員を経験してきた上で、個人的なことを申し上げますと、在職十二年以上の受給資格、この特別な措置というのはまだ議論を残すところがいっぱいあると思います。ただ、地方議会議員が今日置かれている環境、先ほど来、お二人の質疑での指摘もありました。この地方議員年金制度の維持ということが、積立金の枯渇など財源不足に陥って廃止となるということはいたし方ないと思う一方、残念であるというのも率直な思いでございます。

 我が党といたしましても、この約二年余り、全国の地方議員の代表者に集まっていただきまして、数度にわたって意見の聴取、それからさまざまな議論を重ねてまいりました。そうしたことを経てきょうこの場に立たせていただいておりますけれども、以下、質問させていただきます。

 まず一点目は、地方議員年金制度の廃止の要因ということです。

 これも、先ほど来ありました、平成の大合併が年金財政を圧迫した要因である、このことも理解をします。ただ、その上で、これは公明党の地方議員からも強い意見がありましたが、平成十四年の改正あるいは十八年の改正のときに、給付水準の引き下げですとか負担率の引き上げも行われてきた。このときも、議員年金制度の維持は図られる、そういった説明等もあったというふうに承知しておりますけれども、そう思い合わせていきますと、わずかこの数年間の間に二度の改正を行ってきたにもかかわらずこうなってしまったということは、先ほど来の御答弁でも十分理解はできるんですけれども、しかし、それを差し引いても、総務省は見込み違いをしていたのではないか、要するに制度設計が間違っていたんじゃないか、こういう厳しい御指摘もあります。

 この点についてまず御答弁いただければと思います。

片山国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、いろいろな事情による議員定数の削減というものが、見込んでいたものよりも早く削減が進んだということは、これは見込み違いだったと思いますが、しからば、制度を持続可能にするにはどうすればよかったかということになりますと、答えは、そんなに選択肢は多くなかったと思うんです。一つは給付水準をさらに切り下げるということ、それから掛金率を上げるということ、それから公費負担の負担率を上げるということ、要素としてはこれぐらいだろうと思うんです。

 前二者、すなわち給付水準と掛金率の問題は、これを余りやり過ぎると、今度は当事者の魅力がなくなってしまいます。ですから、どこかにやはり歯どめがあったはずであります。それから、公費の負担率というのは、これは納税者、住民の理解がどこまで得られるか、得られる範囲内でしかそれは認められませんので、そうすると、おのずからやはり限度もある。

 したがって、そのときそのときに、今から考えるとやり足らなかったという評価はあるかもしれませんけれども、当事者の納得と納税者の理解が得られる範囲という中で組み合わせてきた結果だろうと思います。

稲津委員 この制度廃止の要因について、もう一点伺わせていただきたいと思います。

 いわゆる合併特例法において、地方議会議員共済会の運営を勘案し、健全な運営を図るための措置を講ずる、こうして国の責務を規定しているわけでございます。このことをどのように措置してきたのかということを改めて聞かせていただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 この合併特例法の五十八条の規定をどう読むかということでありますけれども、「必要な措置を講ずる」という文言を見て、これに対して、国がある種の財政支援をすることも含むのではないかというふうに見ている方もいらっしゃるようでありますけれども、先ほど来説明がありましたとおり、地方議会議員年金は法律に定める互助年金であります。今回、存続あるいはその他の方向を見定めるためには、どうしてもこれは法律の見直しが必要な部分も出てくるわけであります。したがいまして、負担金がどうあるべきか、掛金がどうあるべきか、あるいは給付の水準がどうあるべきかといったような見直しをしていく、そういう措置をとるんだということの責務だというふうに理解されるのかなと思っております。

 今回、実は総務省に検討会を設けまして、合併に関する影響ということも議論になりました。もし仮に、合併による影響額というものを勘案した存続案をつくってみたらどうだろうかということも検討会の中ではあったというふうに承知をしております。詳細は申し上げませんけれども、それが、総務省の検討会で出ているいわゆるB案と言われるものでございます。このB案も地方議会の皆さん方にお示しをしていろいろと御議論いただいたところですが、合併による影響額を含めたB案をもってしても、存続は難しいなというような意見集約になったと承知をしております。

稲津委員 もう一つ、次は、地方議会議員年金制度検討会の検討の経緯についてということでお伺いしたいと思うんです。

 今、逢坂政務官からも一点触れていただきましたが、それはおいておきまして、平成二十一年十二月の第六回検討会の報告、これがいわゆるA案、B案、廃止案併記と。この中で、最終的に、結局廃止に至ったわけですけれども、三議長会の廃止決定に至った経緯をもう一度御説明していただければと思います。

逢坂大臣政務官 いろいろな経過があったというふうには伺っておりますけれども、まず一つ、全国町村議会議長会の考え方としては、B案を基本として制度を存続しつつ、何らかの措置をまた講ずるようにしてほしいというような意見があったというふうに思っております。

 それから全国市議会議長会でございますけれども、検討会において出された案については、基本的にはそれには賛同できない、存続案、A案、B案、それから廃止案、それと並列には取り扱わないで、独自の案を提案したいということでございました。そして、制度存続が望ましいけれども、廃止もやむなしというようなことだったのではないかというふうに記録では残っております。

 それから都道府県議会の場合は、制度を存続すべき、存続する場合はA案でもやむを得ないということでございまして、三議長会それぞれがそれぞれの意見を持っていた中で、最終的に今回のような結論になったというふうに承知をしております。

稲津委員 三議長会それぞれ、少し意見が違う中で進んできて、しかし最終的には廃止やむなしに至ったということなんですけれども、それでは、仮に、今回のこの廃止法が不成立になった場合どうなるのかということ、この点についてお示しいただければと思います。

逢坂大臣政務官 これは、五月の二十日過ぎぐらいには成立をいただかなければ事務的にもいろいろ間に合わないわけでありますけれども、もし仮に法案が成立しなければ、六月の時点で、市・町村議会議員共済会は確実に資金不足に陥るというふうに見込まれております。当然、そうなりますと、年金や一時金の支給に支障が生じるということになるわけでございます。

 その際、いろいろなことが考えられるわけですが、では、資金不足が生じるのなら、例えば共済会が借り入れを行うことができないのかとか、いろいろなことは考えられるかもしれません。物理的には考えられるというふうには思いますが、なかなか、そのどれもが現実的ではないのかなというふうに思っております。

稲津委員 もう少し具体的に御説明いただければよかったかなと思うんですけれども、それは時間も限りがありますので、結構でございます。

 そこで、これも先ほど来、質疑にありましたけれども、財源についてということです。

 廃止に必要な公費負担は累計で一・一四兆円。それから、公費負担を大幅にふやすB案を採択して、二〇七八年までこの制度を存続させた場合も、やはり同じかもう少しかかるだろう。さらに、これも先ほどありました市町村合併、それから独自の議員定数削減、議員報酬に係る手当等も含めて、この地方公共団体の財政負担というのは、先ほど伊東委員の指摘にもありますけれども、年間一千百億円程度軽減されてきたということ。

 このような財源の議論は最も大事なところだと思うんですけれども、改めて伺いますが、各種の検討会あるいは総務省内でどのように議論されてきたのか、この点について明確にお答えいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 財源のことについては随分議論があったと承知をしております。

 ただ、まず前提として言えることは、議員年金制度を継続すれば、その財源というのは永続的にかかっていくということになります。廃止の判断をすれば、それは一時期は負担がふえたりいろいろしますけれども、ある一定の時期で財政負担というのは終息をしていくということになろうかというふうに思います。したがいまして、廃止をする方が将来的には、財政的にはプラスに働くだろうということは容易に想像がつくというふうに思われます。

 ただ、今回廃止をした場合に、正直申し上げましていろいろ議論がありましたのは、受給者の方がいらっしゃる、しかも現職の議員の方が掛金を掛けないわけでございますので、だから、廃止をしたとしても、長い期間にわたって負担が生ずるというようなところについてどう思うかという議論は随分あったというふうに承知をしております。

 それで、そういう議論を踏まえて三議長会とも話し合った結果、それでもやはり廃止はやむなしだなという結論に至ったというふうに理解をしております。

稲津委員 この問題というのは、根本にあるのはやはり財源問題だと思うんですね。結局、存続するか廃止するか、存続するならどのような負担増、あるいは受取額を減らしていかなきゃならないか、こういう本当に狭いところでの議論になってしまうということがあると思うんです。私は、それはそれで現段階ではいたし方ないと、冒頭私の意見としても申し上げさせていただきました。ただ、今後どうしていくのか、こういう考え方は極めて大事な問題だと思いますので、ここを次に聞かせていただきたいと思います。

 この際、議員年金を一たん廃止して、地方公務員年金の共済に加入できるよう改正してはどうか、こういう考えもあります。先ほども質疑がありました。幾つかの課題も見えてきていると思います。例えば、常勤公務員が原則であるということ、それから医療保険をどうするのかということ、また厚生年金等の加入実態との関連もあると思います。

 地方議員はほかに職を持っている、また常勤体制になっていないという御指摘もあります。私もこれはそう思いますけれども、しかし、もう一方では専従の議員が非常にふえてきているということ、それから、議会の開会以外の場合も調査活動、住民との意見交換や会議、実態としては、その議員活動も含めて、どこまでを常勤と見て、どこまでを非常勤と見るかというのはなかなか難しいことで、これは一度大いに議論をすべきだ、このように私も思っております。

 一方で、自治体の首長さんはどうか。これは、地方公務員等の共済組合法による特別職の組合員として年金等の加入ができる。この根拠は何かということをいろいろ聞くと、最終的にそれは、どうも私も十分理解できないところがあります。さらに、首長さんの立場の中で退職金をいただけるということ。これは、何回も当選回数を重ねて、その都度ごとに退職金をいただいている。これこそ特権としか言いようのない制度じゃないか、こういう見方もあります。

 私は、そのことはそれとして、地方議会議員の地方公務員共済年金への加入、このことについて、地方議員の人材確保という視点、もちろん国民の皆様の世論を踏まえてのことになりますけれども、私はぜひ検討すべきことではないかと思いますが、このことに対する所見。それから、首長の年金、退職金制度、ここはある意味では見直すべきことがあれば見直した方がいいのではないかと思いますけれども、この二点、御見解をいただきたいと思います。

片山国務大臣 議員の皆さんの、老後のことも含めた処遇の問題というのは検討すべきことだと思います。

 その場合に、議会というものをどういうふうにとらえるかということ、これが一つ背景にあるんだろうと私は思います。先ほど来申し上げておりますように、議会の議員の皆さんというのは公務員と違って一様ではありませんので、いろいろな職業とか、他に職業を持っている持っていないとかがありまして、それをどういうふうにとらまえるのかということが一つあると思います。

 ヨーロッパなどでは、議員になられた方の態様によって処遇が変わったり、勤務形態が変わったりするというケースもあるようであります。他に職のある方はいわば非常勤、専業の方は本当に専業的に仕事をしていただいて、その報酬なども勤務形態によって違う、そういう多様性を取り入れているような議会もあります、我が国でそれが直ちになじむかどうかというのは問題がありますけれども。

 私は、地方議会というものは都道府県と市町村でもレベルが違いますから、特に基礎的自治体の議会のありようというのはもっと真剣に議論されていいだろうと思います。そういうことの中の一環として、議員の皆さんの、いわゆる年金も含めた処遇のあり方というのも論ぜられるべきだろうと思います。当面、共済組合への加入というのが一つの論点になっておりまして、それについては議員自身がさっきるるお話しになられたような問題点もありますけれども、それも含めて、よく検討してみたいと思います。

 それから、首長の処遇との違いということをおっしゃられまして、確かに、かなり違います。同じ選挙で選ばれている公選職として、首長と議員の間には大きな差があると思いますが、首長の処遇は、退職金も、それから首長の給与も含めて条例で決めることになっておりますから、議会でいかようにもと言うと語弊があるかもしれませんけれども、議会で決めることができるわけでありますから、現行の処遇の水準が高過ぎるということであれば、議会でそれを下げるということをされたらいいと思いますし、現にされているところもあります。

 ちなみに、私も知事をしておりましたときに、公明党の県会議員さんの提案によりまして、知事の報酬、退職金は見直すべきだという提案がありまして、それを受けて、みずから減額の条例の提案などもした経緯もあります。

稲津委員 ありがとうございました。

 この共済年金の加入等については、ぜひ議論をしていかなければならないというふうに思っております。

 それで、ここで一つ私も意見を申し上げたいと思うんですけれども、この地方議会議員年金の制度の廃止によって、老後の生活保障の面で、地方議会議員というのはサラリーマンですとかあるいは公務員の方々に比べると、職業的に言うと、それは職業のあり方そのものもまた別なのかもしれませんけれども、しかし、魅力が果たして低下しないのかどうかということ。それがひいては、地方議会の人材の確保が阻害されるのではないかという御意見もあるというふうに思います。

 実際に、地方議員のなり手が減少してきているという現実があるということ。先ほど伊東議員からも指摘がありましたが、例えば無投票当選がふえてしまっている現実。これは北海道のことを例に挙げますと、今回の統一地方選挙で百二十九市町村が議会の改選期を迎えました。何と、実に三十六市町村が無投票になって、三割です。これをどう見るか。

 これはなかなか一様には言えませんけれども、しかし、その中に、地方議員としての仕事の魅力があるかないかという問題が一つ、それから報酬等の低さ、そして議員年金掛金等の占める負担の大きさ、こういうことが挙げられておるのではないかというふうにも思います。極端な例かもしれませんけれども、結果的に、なかなか若い方が地方議会議員選挙に出てこられない、こない。資産のある方ですとか、年金を受給している方がどんどん議員としてはふえてくるようなことになってしまうと非常に悲しいと思います。

 一つ例を挙げますと、これは私の友人の北海道の地方議員で、しかも一般市です。札幌は政令市ですけれども、北海道の中では歴史のある、そして人口が約十三万を超えるそれなりの大きな市ですけれども、議員報酬四十一万八千九百五十円。これは既に一割カットになっています。

 ここから、所得税、共済掛金、道市民税、それから国民年金の月額といった金額等々、これを計算してみますと、所得税、月五千四百八十円、それから議員年金掛金が六万七千二百円、道市民税八千八百円、国民年金、月割りで一万五千百円、国民健康保険、これも月割りで五万九千百六十六円。手取りが最終的に二十六万二千二百五十円になってしまっているという現実。こうなってきますと半分ぐらいですね。そして、これはまだいい方だと思うんですけれども、これがもっと人口の少ない市議会、それから町村議会になりますと、本当に大変なことになってくる。

 昨今の自治体の財政から考えると、議員報酬の引き上げというのは考えにくい。それでは、少なくとも老後の生活保障の年金のところだけはしっかりした制度にしてくださいよ、こういう強い声があるのも事実でございます。

 私は、地方議会議員を地方公務員共済年金に加入させた上で、何が障害になるのか。それから、地方議会議員が地方公務員共済年金に加入が認められるとした場合、現職議員の被用者年金加入の実態があるとの見解に対しては、むしろ、加入の任意制ですとか選択制というものもあってもいいのではないか、このようにも思うわけでございます。したがって、地方議会議員の地方公務員共済年金への加入など、新たな年金制度の検討を行うべきだ、このことを強く意見をさせていただきたいと思います。

 最後の質問です。自治体負担についてということでお伺いしたいと思います。

 地方議員年金制度廃止の財源のことについてですけれども、廃止後は現職議員からの年金掛金がなくなって、地方自治体が不足分を負担するということ、国は交付税でこれを手当てするということになっていますけれども、そうすると、不交付団体は全額自治体負担となって、この制度廃止の負担増に対しては非常に反対意見が強いです。言葉が適切かどうかは別として、これまでの総務省が行ってきた改正で見込みを誤ったんじゃないか、そういう厳しい指摘を繰り返しされる自治体の首長さんもいます。

 その上で、不交付団体に対して負担増を押しつけるのは一体どういうことなのか、こういう御批判に対してどうお答えするのか、最後にこのことをお伺いして、質問を終わります。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

片山国務大臣 結論を申しますと、この種のことはやはり交付税制度の中で処理すべきものだと思います。

 感情論として、不交付団体については実質的には何の手当てもないではないかというのは、そういう気持ちはわからないでもないですけれども、しかし、不交付団体というのは、その負担増をのみ込んでもちゃんと財源に余裕がある、そういう仕組みでありますから、そこはやはり甘受していただかざるを得ないと思います。

 逆に、不交付団体だからということで特例的な交付金などを交付したとすると、それは、他の交付団体と比べると二重に手当てをしたことにもなりかねませんので、そこはやはり割り切って、この種のことは交付税制度の枠の中で処理されるべきものだと私は考えております。

稲津委員 終わります。

福田(昭)委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 地方公務員共済組合法案、地方議員年金廃止法案の質問に当たりまして、それに先んじて、喫緊の課題であります被災者生活支援に関連して何点か質問をいたします。

 四月十五日、内閣委員会で、私が液状化被害の問題について対策を求めたのに対し、松本防災担当大臣は、「現実の基準が今回の地盤の液状化の実態にそぐわないという指摘もありますので、これから、家屋の状況を調査して、基準の見直し等も含めて勉強していきたい」と答弁をいたしました。

 東防災担当副大臣においでいただいております。東副大臣も、千葉県内の液状化被害地域の現地調査もされたとお聞きしております。どのような地域を調査され、現場でどのような感想をお持ちになったのかについてまずお聞かせいただけますか。

東副大臣 お答えさせていただきます。

 このたびの東日本大震災においては、東北地方において、やはり想像を絶する最大規模の津波等に余りにも関心が行ってしまっておりまして、それ以外にも、今御指摘になりました液状化による被害もいろいろなところで起こっている。

 そういうことを踏まえた上で、この地盤の液状化による被害の実態が現実どういうふうになっているのか、また、そこで市町村の職員としてこのことを考えてくださっている市長を初め、さらにまた被災されている方々のお話を伺いに、去る四月二十二日に千葉市、習志野市、浦安市、そして四月二十六日には茨城県の潮来市、神栖市において現地調査を実施させていただいたところであります。

 例えば、液状化による被害を受けた住宅の床が傾いてしまっている。三センチぐらい傾いていても、今の御指摘のような被災者生活再建支援制度で、どれだけきちっとその部分を手当てすることができるのかということを痛感させていただきました。そういう意味で、液状化の被害というのは私どもが想像する以上に大きな被害を与えてしまっている、そういう感想を持ちました。

塩川委員 現場の実態をよくごらんいただいていることと思います。

 きょうのお昼のNHKニュースで松本防災担当大臣が、液状化の被害は、住宅の修復だけの問題でなく健康被害にもつながるので、見直す方向で努力していると述べ、基準の見直しを五月初めに行う方針との報道でございました。昨日は、枝野官房長官も、記者会見で同様の趣旨のことを触れられていると承知をしております。

 被害認定の基準の見直しなど、どのように対応されていくお考えなのか、その点についてお聞かせください。

東副大臣 御指摘のとおり、これまでの液状化による住宅の被害認定の方法につきましては、委員を初め多くの方々から御指摘をいただいてきたところであります。一方で、現在の基準が今回の地盤の液状化による住宅被害の実態にそぐわない、こういう御質問も多くいただいておりまして、もう既に潮来市には担当官を派遣したほか、先ほど申し上げましたとおり、私の方でも現場を視察させていただいて、実態を把握させていただいている。

 したがいまして、現在、こうした液状化の実態を踏まえながら、被害認定の専門家及び学識経験者、さらにまた、塩川委員御指摘のとおり、医療関係といいますか健康関係に対して知見を有されている方々の意見を聞かせていただきまして、できるだけ早くこの基準見直しを決断したいというふうに思っております。

塩川委員 家の傾きについても、二十分の一というのでは、実際には非常に、それより小さくても住めないというのが実際の声でありますし、地盤そのものがそっくり沈下をしている事例などはこの被害認定では拾えませんから、そこへの対策も含めて、しっかりと、早急な基準の見直しをやっていただきたい。

 そういう被害認定の見直しを含め、被災者生活再建支援制度の適用とあわせて、地盤被害そのものについてももう一歩踏み込んだ対応が必要だ、こういうこともあわせて求めておくものでございます。

 東副大臣、ありがとうございました。

 被災地におきましては、地方議員の方も被災者の方の要望を聞き、その要望の実現のために奮闘されているところであります。福島の、地域が四区分されてしまった南相馬市において、我が党の地方議員から聞いた話をお伝えしたいと思います。

 桜井勝延南相馬市長が、四月十二日に、緊急災害対策本部、菅直人内閣総理大臣あてに提出した要望書があります。この要望書では、

  当市は、原発からの距離により、「避難指示」、「屋内退避」、「規制なし」の三地区が併存する極めて特異な状況に置かれております。

これは四月の十二日の時点ということでありますが、

  こうした中で、避難や屋内退避の指示の対象となってない「規制なし」の地域においても、燃料や食料、医薬品などの生活物資の確保をはじめ、産業・経済、雇用、教育、医療などあらゆる面で深刻な影響が出ており、また風評被害も大きく受けております。

  このため、義援金の配分をはじめとする各種支援の対象については、東京電力第一原子力発電所から三十キロメートル圏域にかかわらず、市域全域とすることを強く要望いたします。

こういう内容での要望書であります。

 内閣官房にこの要望書が届いていると承知をしておりますが、国はこの要望書をどのように受けとめ、どう対処しようとしたのかについてお答えいただけますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故につきまして、その距離に応じましてそれぞれの政府指示を行っておるところでございます。

 そういった中で、先ほど委員御指摘のありました市長の御要請もございましたけれども、四月十五日に開催されました原子力発電所事故による原子力被害対応本部におきましては、政府指示のもとに避難された方々、対象区域の住民の方々が、着のみ着のまま、大変な思いで立ち退きをされ、それに続きます避難所での長い滞在、そのような厳しい生活環境ということにかんがみまして、速やかに対応していきたいということで本部決定を策定いたしたところでございます。

 そのような状況でございます。

塩川委員 南相馬市からは、三十キロで線を引いてくれるな、被災されている、被害を受けている方々は同等なんだということを訴えていたにもかかわらず、その直後の四月十五日に、三十キロで線を引きますと言ったのが政府の対応でありました。つまり、国が三十キロ圏内の住民に限定をした、線引きをした。これを踏まえて、東京電力も仮払いについて、百万円を三十キロ圏内、計画的避難区域なども当然そこに入るわけですけれども、基本はそういった国の対応に即した措置になっているわけであります。そういう点でも、三十キロで線引きをした国の責任は重大であります。

 この南相馬市の状況ですけれども、福島第一原発から南北に、かつての三つの自治体が合併をしている。それがそれぞれ、二十キロ圏内のところで小高町、三十キロ圏内のところで原町市、さらに三十キロ圏外で鹿島町、旧自治体の単位でちょうど線が引かれて、それが一つの南相馬市となっているのが現地の状況であります。つまり、合併によって一体感をつくっていこうというところの努力の中に、機械的な線引きが行われたことによって、実際に旧自治体の区分と重なるような形での措置が行われたというのが現実でありました。

 三十キロ圏外の、指示なしとなっている旧鹿島町の区域、鹿島区には約二千世帯があるそうですが、もちろん、地震や沿岸地域で津波の被害を受けた住民も少なくありませんけれども、原発被害も大きなものがあります。放射能を恐れて自主避難した世帯もありますし、自営業で店を閉めざるを得なくなったところも少なくありません。

 この圏域にあった企業が工場を閉めて圏外に移転をするとなった。ついて行ける労働者の人は継続雇用したものの、そうでない方もいらっしゃったし、下請で仕事をしてこられたような材木店や大工、ペンキ屋さんなどは仕事が奪われているという状況で、収入が断たれた住民も少なくありません。

 こうした意味では、物理的にも精神的にも、風評被害も含めて影響を受けているわけです。そういう点では、南相馬の皆さんは、この鹿島区の方も含めて原発事故の被害者だという気持ちがあるわけで、これは市議会でも党派を超えて一致した声だということを聞いております。

 大臣にお尋ねしますけれども、桜井市長自身は、もともと国が一つの市を線引きすることがおかしい、市民は地震、津波や原発による恐怖をひとしく受けている、本来なら、補償なども全市民が得て当然だと述べておられるわけです。この要望書にあります「各種支援の対象については、東京電力第一原子力発電所から三十キロメートル圏域にかかわらず、市域全域とする」、こういう要求は当然の要求ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 一概にどうこうということは申し上げられませんけれども、地域を預かっている町長さんのお考え、御意見というのはできる限り酌み取るべきだと私も思います。

塩川委員 この三区分が今は四区分になりまして、警戒区域、避難指示区域等、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、そして指示なしの地域という状況に今なっているわけで、合併後のまちづくりで大変苦労されておられるときにそういう形での線引きを国がされるということについて、やはり強い憤りがあるということに心を寄せるべきであります。

 私は、少なくとも一部が今回の仮払いの支払い対象になっているような自治体については、自治体全員の住民を対象として一次分の仮払いとすべきだ、こういうことを地方行政を所管する総務大臣としてぜひ発信していただきたいと思うんですが、大臣、改めていかがですか。

片山国務大臣 それは、仮払いにしましても、義援金にしましても、それぞれ決定をされる機構、組織がありますので、そこで責任を持って決められるべきことであります。

 それに際して、現場の町長さんの意見などを、できるだけ酌み取るべきところは酌み取ってあげてくださいというのは以前から私も申し上げているところでありますけれども、それはしかし、先ほど言いましたように、決定する組織において責任を持って決められるべきことだと思います。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 同一自治体内に支援策の格差を設けることはやめるべきだ。こうした問題は、賠償金の仮払いとか義援金だけではなくて、被災証明書の発行や医療費の窓口負担の無料化についても同様に三十キロでの線引きが行われているわけですから、これを是正して、原発事故によって生活に困窮している全市民にひとしく対応することを国として措置すべきだということを強く申し上げておくものであります。

 地方議員年金の廃止法案についてですが、今回の措置も踏まえ、過去債務の支払いに必要な財源は地方自治体の負担とされております。共済会の資産を順次取り崩したとしても、二〇一一年度千三百四十三億円、六十年間の累計で、総額約一兆一千四百億円の公費負担となります。国として、どのような地方財政措置を行うのかについて御説明をいただけますか。

片山国務大臣 これは、先ほど来議論がありましたとおり、例えば平成二十三年度の給付に要する経費を含む公費負担額は千三百四十七億円でありますけれども、これは全額地方財政計画に計上いたしまして、普通交付税の基準財政需要額に算入するということで、それぞれの自治体の予算編成、財政運営に支障のないようにしているところでありますし、今後とも、これが必要な限り地方財政計画での措置を続けていくつもりであります。

塩川委員 制度破綻の原因は、国の市町村合併推進による急激な議員数の減少や、地方行革による定数、報酬削減などによるものでありますし、適切に措置すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 それでは、十分という時間でありますので、ひとつ答弁は簡潔によろしくお願いいたします。

 まず第一に、今回の改正に至った要因について、先ほど来それぞれ質問がありましたけれども、改めて問いたいと思います。

 地方議会議員年金制度の廃止を内容とする今回の改正案でありますが、これを提出するに至った要因を総務省としてどのようにとらえているのか、改めてお尋ねいたします。また、平成の大合併による議員の減少数、どれくらい減ったのか、それについても問いたいと思います。

片山国務大臣 今回、議員年金制度の廃止に至りました要因としては、幾つかありますけれども、一つは、議員定数が従来に比べて大幅に削減されたということが一番大きいと思います。これは合併による議員数の激減もありますし、それから、合併によらない自主的な議員定数の削減などによることも大きいと思います。その他、議員報酬自体の水準が以前に比べて引き下げられた自治体が多いということも、この制度の財政運営には大きな影響を及ぼしたと思います。

 そういう構造的な要因に加えまして、この間、住民の皆さんの意識もやはりかなり変わった面があると思います。それには、国会議員の皆さんに対する議員年金が廃止された、そういう要因もありますし、それから、地方議会に対する非常に厳しい目が、この間、住民の皆さんから寄せられているということもあるだろうと思います。

 そういう住民の皆さんの心理的な問題も含めて、この議員年金の制度は、今回こういう措置をとらざるを得なかったということだと思います。

重野委員 平成の大合併と言われるように、急激に合併が進みました。私の県なんというのは、昔ながらの町村というのはもう三町村しかないので、あとは全部市になりました。そうなると必然的に議員は減るんですよね。だから、当然その場合にどうするかという議論が、合併を推進していく過程の中で、では、議員をどうするかという点について検討課題の中に入っていたのかどうなのか、それをちょっと聞きたいと思います。

片山国務大臣 それは、年金をどうするかという問題が入っていたかということですか。(重野委員「議員の定数、数です」と呼ぶ)

 これは、先ほどちょっと答弁が漏れておりましたけれども、この間、議員の数というのは大幅に減っておりまして、合併を推進した平成十一年度から二十一年度までの間に二万六千人減少しております。このうち、合併に起因するものは二万三千人。

 いずれにしても、二万数千人の議員の皆様が減っているわけでありまして、これだけの数をぴたっと予測していたかどうかはともかくといたしまして、相当減るということは当然予想できたわけでありますし、そのことを念頭に置いて、議員年金制度の持続可能性というものも、結果として当たっていたかどうかはともかくといたしまして、当然、その時点では持続可能性について論じられてきております。

重野委員 二万六千人減るということは大きいですよね、掛金を払う人がそれだけ減るわけですから。年金を受給する方は減らないわけですから、どう考えても、今起こっているような事態になるということは当然予測できたわけですね。

 だけれども、どうも議会に対するそこ辺の対応というのは、国も、総務省もそうですけれども、僕は、正直言って、余り重きをなして考えていなかったんじゃないかというふうに言わざるを得ません。国会議員もなったからしようがないじゃないかという理屈は、これはやはり言ってはならぬことだと僕は思いますよ、全然立場が違うんですから。

 だからそういう意味では、今後どうするかということも含めて、これで一丁上がり、終わったというんじゃなくて、これはやはり三権分立の最も基本をなす部分ですから、議会がこういうふうな形で、結果としては非常に不安定なものになっていく。やはり年金というのは、この国にとっては極めて重要ですよ。公務員の場合はもちろん辞職をして選挙に出なきゃなりませんから、その道を選んだんだからしようがないといえばそれまでですけれども、そのときに、ささやかながら、年金はあるというふうなことを念頭に置いて考えた人もたくさんいるんじゃないか、このように僕は思います。

 そうすると、今後、立法府、いわゆる議会に出るときに、公務員は職を辞さなきゃならぬというのはごく当たり前に語られているんですが、そういう部分についてもやはりちょっと検討を要するんじゃないか、こういうふうな感じがいたします。

 そこで、今回、議会の年金はこういうふうにしてなくなっていくんですけれども、その過程の議論の中で、例えば公務員共済への統合であるとか、そういうふうな視点での議論を行った経過があるかどうかということが一つ。結果としてはそうならなかったんですが、そのならなかった理由は那辺にありや。あるいは、それでもなおかつ我々が公務員共済への加入をやるべきだ、こう言ったときに、なぜそれはできないのか、その障害はどこにあるのかというところをひとつ説明していただきたいと思います。

片山国務大臣 これも先ほど来御議論いたしておりますけれども、共済組合への加入というのは一つのこれからの検討課題だろうと思います。今直ちにその方向を見出すことはできません。やはり慎重に検討をしなければいけませんけれども、一つの大きな課題だと思います。

 それはこの間も、それなりの検討はなされてきておりますし、それよりも前に、引き合いに出すのがどうかはともかくとして、国会議員の皆さんの議員年金を廃止するときに、国家公務員共済組合への加入というものも一つの論点として議論された経緯があるわけであります。

 なぜ直ちにそれが実現しないのかといいますのは、これも先ほど来申し上げておりますとおり、今の共済の仕組みというのが、やはり常勤の、公務員に専業している、そういう類型の職員を念頭に置いた仕組みとして成り立っているということで、今の多様な職業などから選出されます議員の皆さんに、必ずしも直ちになじむものではないというようなことがあると思います。

 それから、今回のことでいいますと、既往の、現行の制度を暫定的に継続するということになりますけれども、それの清算のために一兆円を上回る経費が必要なわけでありまして、それを片方で負担をしながら、また新たな自治体の負担というものを財政上行わなければならないということ、これは共済組合に加入するということになりましたら、当然それが必要になってきますけれども、そのことが、やはり大方の住民の皆さんの理解が得られるかどうか、そういう問題もあります。それやこれや、ほかにもございます。

 一つ、先ほど議員もお触れになりましたけれども、私は、そういう議員の皆さんの老後の生活設計の問題ももちろんありますけれども、それ以前の問題として、今の地方議会の議員の皆さんの身分といいますか、勤務形態がいささか中途半端だという認識を持っております。

 といいますのは、当然、非常勤でありまして常勤の職員とは違うわけでありますけれども、しかし、年に最低四回の定例会がありまして、これは会期制をとっているものですから、一週間なら一週間、二週間なら二週間、ずっとそれは毎日出なきゃいけないわけで、その間を見てみますと、いわば期間限定の常勤になっているわけであります。そうすると、当然、どこかに勤務するというサラリーマンとの間の兼職は事実上不可能であります。では、議員だけで食べていけるかというと変ですけれども、ちゃんと生計が成り立つかというと、決してそんなことはない。そういう意味で、非常に中途半端な存在だと思います。

 ですから、この際、会期制をどうするのかというようなことも含めて、地方議会のあり方は大いに見直しの検討がなされるべきだと思いまして、そういう中から、これからの議員の皆さんの処遇のあり方というのは、当面の処遇、それから老後の設計も含めて、おのずから議論が深まってくるのではないかと考えております。

重野委員 重ねて申しますけれども、憲法に言うところの三権分立、そういう大きな枠がある。その一方の立法府、国会であり地方議会、そういうところが、今回のような制度がそういう流れでずっといったときには、私は、非常にその部分は劣化していくんじゃないか。ある意味では偏った人しか出られない、一般の庶民がそこに出ていこうというときに、なかなかそういう決意を促すものにはならないというふうなところは、私は非常に大事な内容を包含していると思うんです。

 したがって、この問題については、この法律が決まったにしても、今後とも真剣に政府においても検討をするべき、もちろん立法府もしなきゃならぬのですが、やはり行政府の方もこの点については、この国の憲法にかかわる問題だという点において、しっかりテーマとして引き続き検討していただきたい。そんなことを要望しまして、質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 地方公務員共済組合法の一部を改正する法律案ということで、地方議員年金が廃止ということになるわけでありますが、私、この問題には実は非常に深い思い入れがありまして、去年の三月にもこの総務委員会で、原口総務大臣に御質問をさせていただいたことがございます。

 さかのぼるともう五年前なんですが、二〇〇六年に都議会の選挙がありまして、私は民主党公認で二期目の当選をさせていただきました。民主党の都議会の政調会長をやらせていただいて、まず最初に、この地方議員年金を廃止せよという意見書を都議会に提出させていただきました。

 民主党と生活者ネットだけの賛成で、残念ながら採択はされなかったんですけれども、そのときに、国会議員年金の廃止の大変強硬な論者であった、今名古屋市長になっている河村たかし議員に来ていただいて勉強会をやったり、また、議院運営委員会で、平成十八年の一月二十七日に、民主党が国会議員互助年金法の廃止の法案を出しているんですけれども、その提案理由説明でも私が行った都議会での動きを紹介していただいたり、ある意味では、地方議員の側から、地方議員年金はもうもたないから廃止した方がいい、こういうことを言い始めた言い出しっぺの一人だというふうに私は思っております。

 そんな観点から、昨年の三月にこの総務委員会で、当時、原口総務大臣に対して、この地方議員年金の問題について質問させていただきました。積立金も枯渇をしていて、もう既に検討も進められている状況の中で、やはりここは廃止という結論を出した方がいいんじゃないか、こういうことを申し上げて、原口総務大臣が御答弁をされるのは、恐らく、廃止が望ましい、こんな御答弁かなというふうに思っていたら、そうではなくて、「総務省としたら、私の今の意見は、できるだけ存続をし、地方議会の権能やさまざまな役割をもっともっと強化できる方向に進めばなというふうに考えているところでございます。」こういう答弁をいただいたんです。

 当時の総務省、そして総務大臣のお考えとしては、できるだけ存続するのが望ましい、こういう御答弁をいただいているわけですけれども、今回こういった形で廃止の法案を提出するに至った。考え方が変わったのか、大臣がかわったからなのか、どういうことなのかわかりませんが、この一年間の変化というのが何によるものなのか、お尋ねを申し上げたいというふうに思います。

片山国務大臣 当時、総務大臣が、できるだけ存続しという基本的な考え方を述べられたということは、それはそのとおりだろうと思うんです。

 といいますのは、それまでつつがなく運営されていた制度でありまして、その中で、一定の要件を備えられた方には当然期待権というものがあるわけでありますから、存続への期待権、存続することによって得られる経済的価値への期待権というのがあるわけでありまして、それをできる限り尊重するというのは、これは所管大臣として当然だろうと思います。

 その後も、できるだけ存続しという考え方が具体化できないかということで関係方面と協議をしてきたということも事実でありまして、総務省の中で地方議会議員年金制度検討会というものが開催されて、その報告書においては、A案、B案ありますけれども、存続案と、それからもちろん廃止案もあるんですけれども、存続案も当然議論の対象として、両論併記として、選択肢として示されているわけであります。

 したがって、その時点から存続ということも念頭に置きながら検討してきたわけでありますけれども、先ほど来るる申し上げたとおり、構造的な要因の変化によって持続可能性が担保できなくなったということ、それから、それを持続させようと思いましたら、この存続案というものを具体化しようと思いましたら相当の公費負担というものが生じることになって、それはこの間の住民の皆さんの意識、認識とかなり違ったものにならざるを得ないということがあって、それは国民の皆さんの理解が得られないだろうということで、結果として、今回のような廃止案ということに収れんしたということであります。

柿澤委員 今回の地方議員年金の廃止に係る法案の内容を見ますと、現に議員を退職し年金を受給している方に対して、支給水準の引き下げにかかわる部分があります。これは、この間の議論の中でもさまざまに、この妥当性というか、憲法上の財産権に照らして疑義はないのか、こういうことが言われてきたところでありますが、今回こういう形で法案に盛り込まれることになりました。

 こうした形で、現にこの議員年金を受給している方に対して減額を求めるということが憲法的に認められる根拠をお示しいただきたいというふうに思います。

片山国務大臣 憲法に書いてあります財産権の保障というのが、どういうことを念頭に置いているかということとも関係すると思います。憲法の規定が、直ちにこの種の互助的な年金制度までも、その期待権をすべて財産権として保障しているかどうかというのは、これは私は議論があるところだと思います。

 先例でいいますと、国会議員の皆さんの議員年金を廃止したときにもやはり似たようなことはあったわけでありまして、それは、その時点で憲法上容認される、そういう認識のもとに国会で議決されたことだろうと思いますので、それと変わるものではないと思います。

柿澤委員 今伺いたかったのは、今回そういうことで判断するに至った法的な根拠というか、こういうことで正当化される、この具体的な根拠をお伺いしたかったので、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

片山国務大臣 いや、むしろ逆に、憲法によって具体的に制約を受ける要素がないということを申し上げたかったわけであります。

柿澤委員 先日、総務省さんからいろいろとお伺いをさせていただいた際には、やはり財政が厳しいという状況が前提としてあって、また、今回いろいろ、受給額が多い方々やあるいは所得水準の高い方に対して負担を求める内容になっているわけですけれども、所得が多い人に対しては、この財政事情の厳しい折に協力を求めることは憲法上疑義がないということで判断をされた、法制局もそれをまたよしとした、こういうふうなことを聞いているんです。

 こういう形で、財政的に厳しいということと、例えば所得水準あるいは受給の水準が高いということを理由に減額が認められるということになるとすれば、これは、例えば地方公務員に関して、年金の減額を財政事情の厳しき折に求めるということがあった場合に、それもまた正当化し得るということになるのかなというふうにも思うんです。

 こうした形で、地方議員のみならず地方公務員に関しても、さまざまな厳しい意見や、あるいは年金の水準やそうしたことに関して議論がある中でありますので、この根拠に基づいて、地方公務員についても年金の減額が認められるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 似たような文脈で議論されることは当然あると思いますが、先ほど来議論がありますように、互助的な年金の仕組み、議員年金というのはその一つでありますけれども、そういう互助的な、相互扶助的な色彩の強い制度と、それから公的年金、地方公務員共済組合の年金制度も公的年金でありますけれども、それとはやはり、全く同列には論じられないという面はあると思います。

柿澤委員 この法案、ごらんをいただければわかるとおり、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案ですから、性格上、互助年金だというのは感覚的にはそうなんでしょうけれども、今の片山大臣のロジックというのは、いささか私は論理的明晰さに欠ける部分があるのではないかな、この二つを截然と、これはこれ、それはそれというふうに分けて考えることができるんだろうかなというふうにも思います。

 私たちは、やはりこうした根拠に基づいて、地方議員の年金の減額はあり得べしと思っていますが、一方で、それは地方公務員も聖域ではないんだということを示しているというふうに考えております。

 最後に、今回の一時金の水準についてお伺いをさせていただきます。

 私は、都議会議員として、この地方議員年金の廃止を訴えた言い出しっぺの一人だというお話もさせていただきましたが、ここで余り公に語るような話ではないんですけれども、実は、地方議員を途中で辞職している人間でもございまして、この一時金というのをいただきました。そのときの水準はたしか五四%ぐらいだったのではないかというふうに思うんですけれども、地方議員年金の退職による一時金の返還というのは、大体、四九%から六四%という水準で今返ってくるということになっているわけです。

 財政が厳しい、持続可能性が低い、こういうことで地方議員年金制度が廃止されるに当たって、今現在、存続した制度の中で四九%から六四%しか戻ってこないのに、今回、制度を廃止するに当たって、八割戻ってくる。国会議員もそうだったといえばそうなのかもしれませんけれども、しかし、今までより一時金の支給額が大きくなるというのは、なかなか理解がしがたいところもあるのではないかというふうに思いますが、この点について、八割、こういう水準に設定をしたということで果たしてよかったのかどうか、お伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 いろいろな考え方があろうかと思います。制度を大きく変えるといいますか、今回は廃止するわけでありますから、そういう激変のときにどういう割り切り方をするかということ、その一つの選択の結果でありますけれども、参考になりましたのは、旧国会議員互助年金制度の廃止時、この場合も八割ということになっておりまして、一つの先例として、これは参考になるのではないかと考えております。

柿澤委員 そういう御答弁であることは承知の上でもございますけれども、私たちも、この後採決が行われて、この制度の廃止の仕方についてはいろいろ議論したいところもありますけれども、しかし、やはりこういったことは全体として合意を見て進めていくことが望ましい。だれかが反対をする、こういう中で押し切ってやるべきものではないというふうにも思っておりますので、最終的にはこの案を了として、私自身も廃止という方向性を目指してきた一員として受けとめたいというふうに思っております。

 時間も参りましたので、質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。

 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、古賀敬章君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。古賀敬章君。

古賀(敬)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 本法の施行に当たっては、年金受給権者及び現職の地方議会議員に対し十分な説明を行う等制度の円滑な廃止に向け最大限の配慮を行うこと。

 二 地方議会議員年金制度の廃止後、概ね一年程度を目途として、地方公共団体の長の取扱い等を参考として、国民の政治参加や地方議会における人材確保の観点を踏まえた新たな年金制度について検討を行うこと。また、検討に当たっては、地方議会議員の取扱いについての国民世論に留意するとともに、公務員共済制度や厚生年金制度の対象者との制度面あるいは負担と給付の面における均衡に十分配慮すること。

 三 旧退職年金をはじめとする年金給付については、公的年金制度全体を通ずる変更が行われるような場合を除き、安定的な給付が行われるよう最大限の配慮を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 東日本大震災被災地における地方行政、情報通信等の実情調査のため、岩手県に委員を派遣することとし、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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