衆議院

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第18号 平成23年5月24日(火曜日)

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平成二十三年五月二十四日(火曜日)

    午後三時五十一分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 古賀 敬章君 理事 福田 昭夫君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      石原洋三郎君    内山  晃君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      笠原多見子君    黄川田 徹君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    道休誠一郎君

      永江 孝子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      山岡 達丸君    湯原 俊二君

      赤澤 亮正君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    平井たくや君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   内閣官房副長官      仙谷 由人君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   総務大臣政務官      森田  高君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  樋口 建史君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     山岡 達丸君

  赤澤 亮正君     平井たくや君

同日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     道休誠一郎君

  平井たくや君     赤澤 亮正君

同日

 辞任         補欠選任

  道休誠一郎君     石原洋三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     石津 政雄君

    ―――――――――――――

五月二十三日

 東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案(内閣提出第六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)(参議院送付)

 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)(参議院送付)

 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)(参議院送付)

 東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案(内閣提出第六九号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、電波法の一部を改正する法律案、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案及び電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長樋口建史君及び総務省総合通信基盤局長桜井俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井たくやであります。

 私も、この総務委員会で質問に立つのは本当に七、八年ぶりだと思います。かつてはよく、当時の、もう一人、違う方の片山大臣、虎之助大臣に地デジの問題についていろいろな問題提起もさせていただいたり、私は当時は、地デジは二〇一一年の七月二十四日にできる可能性は低いだろうという論文も幾つか書かせていただいたり、そういう思い入れがあります。きょうは、久々に総務委員会で質問させていただきます。

 私、参議院の方の議事録を読んでおりますと、論点は結構出ているし、すばらしい質疑をされておるようでございますので、法案関連としては軽く触れるだけということで、あとは、地デジの最後の詰めのところにエールを送らせていただくということと、最近は情報通信とエネルギーの分野が別々に今後戦略を考えていったのではまずかろうという状況になっている中で、東日本の復興等々に、この間は自治体クラウドの話をPFIの質疑の中でさせていただいたんですが、そういう大きな絵をこれからかいていけるために、私の方から幾つかの提案をさせていただこう、そういうことで質疑をさせていただきたいと思います。

 法案関連といたしましてまず一番目にお尋ねしますのは、今回、NTT東西の活用業務を認可制から届け出制に改めることにしている、これにより、NTT東西が自由に業務範囲を拡大することになって、電気通信市場における公正競争の確保に大きな支障が生じるのではないかという懸念を表明される方もおられます。法改正に関連して、省令等で定める分野も多いと思うんですね。

 そこで、公正な競争というものを確保しながら、一方で国民の利便性の向上、これを両立させなきゃいかぬと思うんですが、そのことに対して、まずは大臣の御所見を伺いたいと思います。

平岡副大臣 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘になったように、二つの要請というものにしっかりとこたえていかなければいけない、それは私たちも同じ意識に立っているわけでございまして、認可制を届け出制にしたということも、これまでのNTT東西等が行ってきた業務の状況というものを見た上で、届け出制にしても問題は生じないであろう、そういう考え方に立っているわけでございます。

 もう少し具体的に申し上げますれば、これまで認可制をとってきた活用業務等についていえば、ある程度その活用業務の類型というものが出てきておりますし、そしてそれを認める場合の条件がどういうものであるのかということについても類型化が大体できてきているということで、申請する側も事前にある程度判断ができるような状況になってきているということがございます。

 さらに、今回の法案の提案の中では、公正競争を促進するための措置というのを、例えば機能分離であるとか、子会社に対する業務監督をする規制であるとかを強化するというようなことをしておりまして、NTT東西による市場支配力濫用の蓋然性が低下することになるというふうにも思っています。

 さらに言えば、実は従来からあるわけでありますけれども、NTT法の第十六条に監督規定というのがありまして、今回仮に認可制を届け出制に変えたとしても、その届け出られた業務が本来業務の円滑な遂行あるいは電気通信事業の公正な競争の確保に支障を及ぼすと認められるような場合には、この規定に基づきまして、総務大臣が必要な命令をすることができるという形になっております。

 ある程度、届け出の期間といいますか、いつ届け出なければならないかという点については、届け出の内容を見て、問題があれば対応できるぐらいの時間的な余裕を持って事前に届け出をさせるという形をとっておりますので、適切な対応がとっていけるというふうに考えております。

 これを通じて、活用業務等についての開始に要する時間を短縮するというようなことで、利用者の方々に対しても利便がより早く及ぼせるというように考えているところでございます。

平井委員 接続情報を営業に使うというようなことは厳にやはり監督していかなきゃいけないし、さっきお話がありましたとおり、一方で公正な競争ということばかり言っちゃうと、国民の利便性の向上というものがないがしろになる可能性もあるし、このあたりは監督する省庁としてしっかりグリップしていただきたいと思います。

 この質問はこれでとどめておきますが、やはり最近多くの国民が関心を持っているのは、東日本大震災の通信サービスへの影響だと思います。

 固定電話やFTTHサービスなどの固定回線が二百五十万回線以上、携帯電話の基地局が最大一万四千カ所も使用不能となって、基幹伝送網や、海底ケーブルも陸揚げするところで損傷しました。海外との通信にも大きな影響があった。私もあの当時をいろいろ思い出して、いろいろな方々と話をしてみたんですが、震災直後、大手三社の携帯はほとんどつながらなかった。これは要するに接続を制限したということがあると思うんですが、一方で、数少ない公衆電話に長蛇の列ができたりしました。

 しかし一方で、被災地以外からのPHSやイー・モバイル、WiMAXはよくつながったんですね。また、スマートフォンということでいえば、WiFiでスカイプもつながりました。フェースブックやツイッターの安否情報も結構役に立ちました。ある意味では、携帯電話しか持っていない人が孤立をしたというようなことだと思います。

 今回の東日本大震災は、地震に強いインフラはどうあるべきかということを改めて考えるよいチャンスだと私は思っているんです。

 今回、インターネットがなぜつながったかということになると、そもそもインターネットは軍事ネットワークとして発達してきたわけですから、有事を想定してクモの巣のグリッドになっているわけですね。ですから、複数系統が切断されても、迂回して、ネットワークはとまらないという構造になっている。

 しかし、日本の基幹ネットワークは、平時の需要に合わせて設備投資しているわけですよ。ですから、産業の集積している地域同士は容量の大きな通信網が整備されていますが、多くの地方との接続環境は、有事の際は、そのピークに耐えられずにパンクしたり、利用制限をしなきゃいけないということになるんです。

 だから、私たちは多くのことをこの東日本大震災で学ぶべきだと思うんですが、通信を担当する大臣として、反省も踏まえて、どのような御意見をお持ちでしょうか。

片山国務大臣 このたびの震災に際しましては、通信についてさまざまな障害が出まして、私どもにとりましても、先ほどおっしゃったように、いろいろな教訓がやはり得られたと思います。ふくそうという状況によってつながりにくくなったり、当然、通信に制限を加えたことによる制約ももちろんありました。それから、インフラといいますか、通信設備自体が大きな損傷を受けたことに伴って通信が可能でなくなったということもあります。そういうところから、これから、いざというときの、平時ではないときの通信のあり方というのはやはりよく考えなきゃいけないと思います。

 早速に、四月の初旬ですけれども、省内に大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会というのを既に設置いたしまして、もろもろの、今回の教訓を踏まえた上で、今後どうすべきかということを今検討を始めているところであります。

 例えば、ふくそうの問題などでいいますと、技術的により多くの必要な人が通信できるようにするにはどうすればいいのかということなどでありますし、ネットワークの関係でいいますと、今回大きな損傷を受けました固定電話でありますとか携帯電話という単独のネットワークだけではなくて、その他の手段、例えば衛星通信回線でありますとか御指摘のあったインターネットなども含めて、いろいろなさまざまなネットワークを組み合わせて国民の皆さんが必要とする通信手段を確保する、そういう総合的な観点が必要だろうと思っております。

 今申し上げましたように既に検討を始めておりますので、この専門家の皆さんの見識もいただいた上で、今後の通信インフラ整備のあり方に役立てていきたいと考えているところであります。

平井委員 今、いろいろな自治体では、IP電話に投資をしようとか、そういう問い合わせが来ているというふうにIT関連の会社等々がおっしゃっていましたけれども、IP電話も、いいのはいいんですが、電気が落ちちゃうとだめでしょう。ですから、これは非常に悩ましい問題だと思います。

 私は、今回、大規模な地震というものを我々は経験して、いろいろなことを考えなきゃいけないという中で、やはりいろいろなプレーヤーと技術の多様性というものをもっとちゃんと認識した上で政策を進めていかなければならないというふうに思っています。

 七百、九百メガヘルツ帯の割り当てについても、現在は地震の前につくったもので、このままでいいのかというような疑問は恐らく関係者の方々もお持ちだと思います。これは後々省令等で考えるということだと思うんです。

 一方で、東日本大震災によってアナログの停波が三県においては行われないということになると、当然そこは、空き電波もできないということになってくると、七百、九百メガヘルツの割り当てに関しても、では、被災地だけをのけたところに新規参入者を考えるのか。だから、事業者はどう考えていくのかというような問題もあると思います。

 恐らくこの委員会では、この後、三県に係るアナログ停波の問題等々に対する法案を審議するというふうに思っておりましたが、結局それは、その三県だけの問題ではなくて、全体の割り当てにもかかわってくる問題だと私自身は思っていますので、後々総務委員会でそのあたりのところを十分に議論していただきたいというふうに思うのと、一方、時間もできたのかなというふうに思います。ここで一度、いろいろなものを再点検して、考え直すこともあるのではないかなというふうに思っていて、私は、電波の割り当てについても、災害対応という新たな視点を加えた上で、技術の多様性についても配慮をしていくべきだと考えるんですが、いかがですか。

平岡副大臣 お答えいたします。

 まさに委員がおっしゃるとおり、我々も、災害対応ということも考えていったときには、電波の利用の仕方については、いろいろな技術的な革新というものもありますものですから、最大限有効に使っていくためにはどういうふうにしたらいいのかということは常に考えているところであります。

 災害発生時においては、音声通話だけではなくて、高速大容量の通信を可能とする技術、あるいは音声、データの区別のない柔軟なサービス提供を可能とする技術というものも重要になるだろうというふうに思っています。

 この中で、高速大容量の通信を可能とする技術については、WiMAX等の広帯域移動無線アクセスシステムが実用化され、全国においてサービス提供が行われているところでありますけれども、さらに、音声、データの区別のない柔軟なサービス提供を可能とする技術については、三・九世代携帯電話において実用化に向けた検討がされているところでございます。

 周波数の利用については既に制度的には可能になっているけれども、その実用化に向けて今取り組んでいるということで、周波数については有効利用が図られるような仕組みにはなっているということでございます。

 先ほど来お話のありました七百、九百メガヘルツ帯の割り当て等についても、こうした技術動向について配慮していきたいというふうに思っています。さらに、今後の話としていえば、第四世代携帯電話を初めとする次世代移動通信システムというものについて、これが研究開発され、そして通信技術の標準化が進んでくるわけでありますけれども、これについても、周波数をどういうふうに割り当てていくのかというようなことについて、今委員が御指摘になった点をしっかりと踏まえて考えていきたい、このように考えているところでございます。

平井委員 三・九G、結局、新しく割り当てる電波が三社そろってLTEだけというのも寂しいなと私は思うんですよ。四Gというのは影も形もまだ見えていない話ですから、そうなってくると、多様性実現のためにもっと多くの参入者が来られるような政策というのは絶対あると私自身は思っています。

 もう一つ、参議院の議事録を見ていても、オークションだ、オークション的なんだ、これはオークションじゃないんだという議論がありました。その話は余りいたしませんが、結局、今回の改正で、周波数の移行に要する費用負担をオークション的な手法で行う。これは諸外国で実施されている周波数オークションとは違いますね。昨年九月の民主党政権の閣議決定では「電波の有効利用のため、周波数再編に要するコスト負担についてオークション制度の考え方も取り入れる等、迅速かつ円滑に周波数を再編するための措置を平成二十三年度中に講じる。」というふうに、これは原口大臣のころですよね。まあ忘れましたが。結局、オークションするのかしないのかというのは、今から考えるわけですよね、これから。

 オークションというのは、やはりメリットもデメリットもちゃんと踏まえた上で、そして、私は、部分的だけでもやるとか全体でやるとかいろいろな考え方もあるし、地域ごとにやっていくというようなアメリカみたいなやり方もあるだろうし、いろいろなやり方もあると思うんですね。

 今回の引っ越し費用の上限つきの入札みたいなものはオークション的でも何でもないと私は本当は思うんですが、この話はオークションとは違うというところで私は線を引いていただいた上で、今後、オークションを導入するしないという話と同時に、今研究されているであろうオークションのメリット、デメリットについて、現時点で、これは平岡副大臣ですか、お考え、お感じになっていることをお話しいただければと思います。

平岡副大臣 委員の御指摘のありましたように、欧米で行われているようなオークションについて我が国でどのようにしていくのかということについては、現在私が主催をしております周波数オークションに関する懇談会というところで、これは学者の方々もおられますし、そして事業者の方々からもヒアリングをするというような形で精力的に今進めているところでありますけれども、当然、この周波数オークションについてはメリット、デメリットがあるということは多くの方々がやはり指摘されておられます。

 典型的には、メリットとしては、電波の公平かつ能率的な利用が図れるのではないか、あるいは免許手続の透明性が確保されるのではないかといったような点も指摘をされています。逆にデメリットについて言えば、過去の外国の例でも、非常に高額な落札額になってしまいまして、その後の円滑な実施にある意味ではちょっと支障が生じたのではないかというようなケースもございました。さらに、大規模な資金力を持ったところが全部とってしまうというような形になってしまうと公正な競争がゆがめられてしまう、そういうおそれもあるということでございます。

 それ以外にも、先ほどちょっと委員からも御指摘がありましたけれども、どういうものを対象に周波数オークションをやるのかということで、委員の専門家の方の中には、これは携帯電話だけでいいんじゃないか、それ以外の周波数についてはやはり適さないんじゃないかというような意見もございます。さまざまな御意見があるところでございますので、これからしっかりと検討していきたいというふうに思っております。

 昨年の十二月に、この関係のタスクフォースが出した意見に基づきまして我々政務三役で判断した結果としては、年内には一定の方向性が得られるように結論を出していきたい、このように考えているところでございます。

平井委員 ぜひこれは、広くいろいろな情報も集めながら議論をしていただきたいと思います。

 オークションの話はそのぐらいにさせていただいて、私は、スマートグリッドについて少しお話をお聞きしたいと思います。

 スマートグリッドの話というと経済産業委員会が中心になるというふうに一般的には思われるかもわかりませんが、私は、この総務委員会こそ、スマートグリッドに対してもっと関心を持たなきゃいけないし、この議論を深めるべきだというふうに思っています。

 結局、今、震災と原発停止による電力不足ということで、日本はスマートグリッドを世界一必要とする国になってしまったんですよ。しかしながら、今の電力の原発のいろいろなトラブルとかいろいろ考えていると、これは、だれかにスマートグリッドの話をゆだねるのではなくて、オール・ジャパンで議論をしていかなきゃいけないというふうに思います。ですから、スマートグリッドというのは、どこかの業界だけが担うというのではなくて、ありとあらゆる方々が関心を持ってそこの分野に参入すべきではないかと私自身は思っているんです。

 きょう実は、朝、自由民主党は八時から勉強会がありまして、ソフトバンクの孫社長が来られたんですが、ずっとエネルギーの話ですよ。携帯電話の話は全然しませんでした。つまり、結局、関心が要するにエネルギーセクターの方に行っているんだと思います。皆さんが御存じのとおり、NTTさんも、スマイルエナジーというエネルギーマネジメントの新会社を設立するというふうに発表しています。

 結局、私がこの総務委員会なり総務省に不満なのは、総務省が考えている競争政策は相変わらず音声市場とデータ市場という、私から見れば小さなコップの中に見えてしまうんですよ。このような狭い議論ではこれから世界に勝てませんよ。これは参議院で世耕さんも同じようなことを少し言っていたように思いますが、アップルとかグーグルとかサムソンとか中国の追い上げとかを考えると、省庁の垣根を越えた新しい競争政策の枠組みが求められていると思うんです。

 このスマートグリッドの話は、省庁の垣根を越えなきゃいけないという意味でちょっと紹介をさせていただくんですが、後ほど地デジの話も少しはさせていただきますが、ほとんど不可能だと思われたこの地デジが、アナログ停波の時期を延ばすことなく一応終わろうとしているという理由は何かというと、実は、やはり我々の政権が最後にやったエコポイントが大きかったと思います。

 しかし、あのエコポイントという政策は、総務省だけではおよそできるような問題ではありませんでした。あれは、もともとのプラットホームは環境省。そこに経済産業省が要するに雇用対策、環境対策、経済対策という理論を持ち込んで、なおかつ、テレビのポイントを二倍にしましたよね。あれは基本的には地デジ対策だったんですよ。そういう省庁の垣根を越えた政策をやったら、日本はまだまだいろいろなところと闘える面があると思うんです。

 ですから、私は、このエネルギーの分野に関して言ってもスマートグリッドの問題に関しても、これは省庁横断的に取り組まなきゃいかぬと思うし、その意味で、通信というところから一歩総務省が踏み出していく、そして経済産業省も胸を開くというのがこれからの時代だと思うんです。

 そこで、スマートグリッドについて、総務省としての今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 政府全体で既に取り組んでおりまして、その間の経緯は後刻副大臣の方から御説明申し上げたいと思いますが、確かに、私も伺っておりまして、非常にはっとしたことがあります。

 我々もICTのさらなる活用ということを一生懸命言っておりますが、ともすれば、教育の分野とか医療の分野とかということでやっておりますけれども、今おっしゃられたように、電力の問題などについても、これは私も基本的には経済産業省の所管だというふうに認識しておりましたけれども、アプローチの仕方ということを少し視点を変えてみれば、ICTの活用の非常に可能性のある分野で、しかもそれが国民のためとか国策にも合致すると思いますので、総務省としても、これまで以上の関心を持って取り組んでみたいと思います。

平岡副大臣 委員が御指摘になりましたように、今回の大震災を受けまして、電力需給の逼迫というようなことにどう対応していくのか、あるいは、これから太陽光とか風力などの再生可能エネルギーを導入して普及していったときに電力をどう管理していくのか、こういうような観点から考えたときには、ICTを活用したスマートグリッドというのは大変重要な政策であり、これから取り組まなければならない課題であるというふうに私は思っております。

 このスマートグリッドについては、委員が御指摘になっているように、これまではどちらかというと経済産業省が中心になっておりますけれども、経済産業省、環境省はもとより、総務省の特に通信関係、それから国土交通省、これはエコ住宅とか電気自動車等の関係でございますけれども、これら関係省庁が一体となって推進をしてきているというふうにも思っています。

 事務方から聞きますと、現在、課長級の組織として、資源エネルギー庁を中心にして、次世代エネルギー・社会システム実証関係省庁連絡会議というのが平成二十二年の一月に設置されていて、お互いに情報共有をしたり、あるいは実証実験的なことをする場合の調整をしたりというようなことで取り組んでいるようでございます。

 さらに、産学官の連携を図るという意味で、スマートメーターを初めとする国際標準化を推進するために、昨年四月にスマートコミュニティ・アライアンスが設立されておりまして、総務省も経済産業省と連携してその活動に参加しているということでございます。このスマートコミュニティ・アライアンスも、実は事務局はNEDOがやっているというようなことでございまして、どちらかというと経済産業省が主体となって進めてきている面がたくさんあろうかと思いますけれども、やはりICTの重要性というのはスマートグリッドにおいては大いなるものがあるだろうというふうに私は思っておりますので、もっともっと総務省からもこの問題についてはリードしていけるように努めていきたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

平井委員 今、民主党政権も新しいエネルギーのポートフォリオをつくろうというふうにされていますけれども、結局、原子力が減り、水力とか火力が横ばいからちょっと上がるとし、太陽光とか風力、地熱、バイオマスを伸ばしたとしても、もう一つポートフォリオに加えなきゃいけないのは節電なんですよね。ここを、我慢して節電するのではなくて、要するにいろいろなユーザーオリエンテッドなプラットホームをつくることによって、そして節電も発電も価値が同等だという世界を入れ込まないと、恐らく実現できないと思うんですよ。それを考えると、やはり通信の世界の役割が非常に大きいんですよ。

 ちょっと話は横に行っちゃいますけれども、例えばスマートメーターなんというのも、秋葉原でみんなが買えるようにして、自分で取りつけられるような世界にしちゃった方が手っ取り早いと私は思います。電力会社だけがつけているんだったら、十年に一回の更新のときにぼちぼちかえるというようなことでしょう。ここはやはり通信を所管する総務省がスマートメーターなんかにももう一歩踏み込んで、そういう情報を国民が得ることによって前向きな節電ができる。

 最近は、メガワットじゃなくて、ネガワットという概念がいろいろなところで言われています。つまり、発電も節電も同じ価値だと。そのためにいろいろなことを取り組んでいく政策というのは、まさに技術革新に伴ってこれからいろいろあると思うので、ぜひそのあたりも積極的にお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 そこで、私自身が勝手に、今の通信行政に足りないものということでまとめさせていただきます。

 まず一番目は多様性。いろいろな技術やいろいろなプレーヤーが存在することが、災害に強いし、最終的には国民の利便性の向上につながる。大手三社だけがLTEに行っただけで満足するような世界ではないというのが一つ。

 それと省庁の横断性。省庁の垣根を取っ払う。通信だけとか放送だけでなくなったように、これから、通信業界だけ、電力業界だけというような世界ではなくなってくるのではないか、そういう時代に備えた戦略が必要であろうということ。

 もう一つは、柔軟性がこれからの政策は必要だと思います。この柔軟性という意味は何かというと、今までは、放送とか通信とか、目的別割り当てだったんですよ、全部。要するに、管理者側の都合の割り当てです。しかし、考えてみたら、いざとなったら、その電波はそれ以外のものにも使える可能性がある。だから、私、WiFiなんかはその最たるものだと思って、結局何にでも使えちゃうわけでしょう。つまり、目的以外の利用というものもこれから、いざというときに考えていくのが世界のトレンドではないかなというふうに私は思っています。

 そういう意味で、これから皆様方の役割は大きいと思うし、これは、はっきり言って与党だ野党だといって争うような話ではないので、ぜひ、我々がまた政権に戻ったときにちゃんとそういうものが整合性をとって進められるような骨太の政策を今からやはり準備しなきゃいけないし、それには我々は協力もさせていただきたい。ですから、やはり思い切った発想の転換というものが必要だと思います。

 時間も余りなくなってきたので、地デジの話は私の方から一方的に。

 要するに、九五%を超えたとしても、やはりデジタル難民は出てきちゃうんですよ。私は、七月二十四日の十二時ですか、その前後は万全の体制で臨まなきゃいけないと思うんですね。万全な体制で臨んでも文句を言う人がたくさん出てくると思うんです。ですから、そこは、画竜点睛を欠かないように、今まで積み上げた努力が無駄にならないような、最後に丁寧な仕事をぜひしていただきたいと思います。

 同時に、被災地に対しても、今後、最大一年ぐらい延期するという法律をここで出すはずですよね。そのときも、これもだらだらやらないように、ちゃんと後ろを区切って、責任ある推進体制を構築してやっていただきたいと思います。デジサポなんというのも、これは非常に有効でしたね。

 ですから、今まで大変うまくやってきておられるので、ここのところはぜひ、これから失敗をしないようにしていただきたいなというふうに思います。

 もう時間が余りないので、ぜひきょうは聞いていただこうというふうに思って、最後に私の方からグローバル回線のこととジャパン・パッシングと言われている状況について、少し、情報提供もさせていただきますし、また今後考えていただきたいというふうに思うので、問題提起をさせていただきたいと思います。

 アメリカ―アジア間の国際海底ケーブルというのは、これまで日米主要通信事業がイニシアチブをとっていました。ところが、近年、成長著しい香港、シンガポールと米国との基幹ルートがどんどんふえているんですね。香港、シンガポール、米国ですから、日本は、陸揚げされないで行っちゃっている。というのは、予想トラフィックに対して投資が生まれるわけですから、トラフィック量が減ればそこに対する投資というのはなくなっていくんですよ。

 私は、今後、次世代の光ファイバーネットワーク整備において、日本が基幹ルートから外れるようなことが起きちゃうとまずいと。要するに、グローバルネットワークのバックボーンを持たないブランチ拠点になっちゃうと、まさにネットワーク上のガラパゴスになってしまうというふうに思うんです。日本経済のこれからの成長、国際競争力の観点からも、ここはぜひ関心を持って政策を考えていただかなければならないと思います。

 現在の光ファイバーの陸揚げなんですけれども、海底ケーブルの陸揚げ地としては、今、千葉県を中心に、神奈川、三重、宮崎、沖縄、そしてロシア、韓国方面に向けて新潟があるわけですね。東日本大震災では、この千葉の陸揚げ地を中心に、KDDIを初め、複数の海底ケーブルが切れちゃったんです。ですから、関西に陸揚げしている方から回って何とか海外からつながったということなんですが、ここはやはり陸揚げ地を、災害ということを含めて、考え直す必要があるんではないかなというふうに思っているんですよ。このことをぜひ御検討いただきたいと思います。そして、現在、海底ケーブルの……

福田(昭)委員長代理 平井君、時間が来ておりますので短くやってください。いい質問ですけれども、時間ですから。

平井委員 はい、済みません。

 海底ケーブルの陸揚げ地が関東に集中している多くの理由は、日本のデータセンターの七二%が関東圏にあるからなんです。将来、このデータセンターも当然、リスクを分散させていくという方向になると、国際回線の陸揚げの問題は、今から本当に検討しなきゃいけないところだと思います。

 そこで、最後に一つだけ。

 東北地方の復興をするんであれば、このあたりのことはぜひ視野に入れていただきたい。この間、逢坂政務官の方に、自治体クラウドをやろう、そしてPFIも早くやろうということですが、回線の問題というのはどこでもネックになってきます。エネルギーの問題と両方ですね。ですから、東北地方でやるには、そのときに、省庁横断で国際的なグローバル戦略を描いてということで、経産省や国交省とか総務省がばらばらに、通信やガスや、また水道や電気だ、そんなものを全部ばらばらにやるんじゃなくて、全体の要するに新しい時代のネットワークをつくるチャンスなんです。そういうときに総務省が中心となって、自分の省に閉じこもらないで、そういうことを進めていただくチャンスではないかと思います。

 質問の時間が過ぎましたので、最後に大臣の御決意だけお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

片山国務大臣 きょうは、非常に貴重な視点をお教えいただきまして、大変私も啓発を受けました。できる限りの努力をしたいと思います。

平井委員 終わります。

福田(昭)委員長代理 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 それでは、平井議員の残った時間を利用いたしまして、電波通信三法の質問をさせていただきます。

 夏の歌ということになりますと、卯の花とかホトトギスとかフジの花、そういうことになりますけれども、フジの花がだんだん咲いてくるとホトトギスの声も聞こえるぞという歌を歌わせていただいて、始めさせていただきたいと思います。

 万葉集巻十八、四千四十二番。

  藤波の咲きゆく見ればほととぎす鳴くべき時に近づきにけり

 では、よろしくお願いいたします。(拍手)

 三つも法律があるものですから、少しさらさらっと幾つか確認をしておくところを順番に確認させていただくということで、お願いしたいと思います。

 まず、電気通信基盤充実臨時措置法ということで、ここでは、言ってみれば整備を進める促進措置の対象といたしまして高度通信施設というものがあります。そこについて、コンテンツサーバーにつきまして、学校、病院その他これらに類する施設で教育や医療に関する業務に使用されるものということで、類する施設については総務省令ということになっております。学校、病院その他はどのようなものがあるとお考えであるのか、確認をしておきます。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、本法律案は、電気通信基盤充実臨時措置法による整備促進措置の対象である高度通信施設に、遠隔教育または遠隔医療に用いられるコンテンツサーバーを追加するというものでございます。

 サーバーの設置場所は、「学校、病院その他これらに類する施設として総務省令で定めるもの」ということとされております。具体的には、総務省令におきまして、学校に類する教育機関であります公民館、図書館、博物館、それから病院に類する医療機関であります診療所を規定することを予定させていただいております。

橘(慶)委員 そうすると、生涯学習の場所などにもこういったものを置いていくというふうに理解させていただくわけであります。

 そこで、電気通信基盤ということになりますと光の道構想というのがございまして、昨年の四月には原口ビジョン2ということで、「二〇一五年頃を目途に、すべての世帯(四千九百万世帯)でブロードバンドサービスの利用を実現」する、そういう目標の達成に向けて頑張るんだ、こういうことになっております。

 そこで、超高速ブロードバンドの未整備地域、そういう地域において、まずはハードの整備方策をどのようにされるのか、お伺いをいたします。

片山国務大臣 いわゆる光の道構想で二〇一五年ごろを目途にすべての世帯におけるブロードバンドのサービスの利用を目標とするというもので、その中の一つの柱が、今おっしゃいましたような、光ファイバー等の超高速ブロードバンドの未整備地域における基盤整備の推進ということであります。

 これについては、民間事業者が基本的には整備していただくと一番いいわけでありますけれども、民間事業者の採算性などもありまして基盤整備が期待しにくい、そういう地域については、補完的に、国の支援を受けた地方公共団体がその整備をするということになりますので、それを支援していきたいと考えておりまして、そのための必要な予算を既に二十三年度の予算にも盛り込んでいるところであります。

橘(慶)委員 いろいろな主体ということになるわけですけれども、こういう未整備になっている地域になってまいりますと、これから、いわゆる光ファイバーといった形だけではなくて、CATVといった有線テレビジョンを利用したり、あるいは無線でそういったブロードバンドの役割を果たさせるというようなこともあわせてやっていかないと、なかなか一〇〇%へ持っていくのは難しいのではないかと思うんですが、どのようにお考えか、お伺いします。

桜井政府参考人 地方公共団体が未整備地域において整備する際の交付金の支援対象となります超高速ブロードバンドにつきましては、遠隔医療あるいは遠隔教育等の動画像を用いたアプリケーションの提供または利用を可能とする、超高速、おおむね下り三十メガbps以上の電気通信基盤としております。

 未整備地域の整備促進に当たりましては、先生御指摘のとおり、光ファイバーに加えまして、そういった条件を満たしますケーブルインターネットですとか、あるいはWiMAXのような無線システムについても活用しつつ整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 いわゆる過疎地域と呼ばれる地域も結構ここに該当するかと思います。そういったところでの医療の問題というものは、これからそこに進んでいくためには大変大事なことでありますし、ぜひ多様な手段でこれをよろしくお願いしたいと思うわけであります。

 続きまして、二つ目の法案、電気通信事業法とNTT法、こちらの方で幾つか確認をさせていただきたいと思います。平井議員によって質問があった部分については若干省いたりしながら、大事な考え方のところを特に最後に聞かせていただきたいと思っております。

 まず、ファイアウオールの問題、いわゆる接続情報。いろいろな事案もあって、今回、そういった接続情報を適正に管理し、また当該接続の業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備その他の必要な措置、こういったものをNTT東西に求めていくということでありますが、「総務省令で定めるところにより、」とありますけれども、具体的にどんなことをそれぞれやっていただこうというふうにお考えなのか、確認したいと思います。

平岡副大臣 委員御指摘の点については、今回の法案では、私たちは機能分離をするという考え方に立っているところでございまして、この機能分離によりまして、NTT東西が設置する第一種指定電気通信設備について、NTT東西がみずから利用する場合と他の電気通信事業者が当該事業者の電気通信設備を接続して利用する場合との間で同等性を確保する、そのことによって事業者間の適正な競争関係を確保するという考え方に基づいて、このような規定をつくらせていただいたわけでございます。

 委員が御質問の具体的中身については、実は、委員が読み上げられたところは改正法の第三十一条第五項のところでございまして、今委員が御指摘になった、必要な体制整備その他必要な措置というものの具体的な中身としてまず書かなければならないというふうに位置づけているものが、三十一条第六項に規定してあります。

 その第六項では、まずは、第一種指定電気通信設備の設置、管理、運営等の業務を行う専任の部門、設備部門を設置すること、さらに、接続の業務に関して知り得た情報の管理責任者の設備部門への配置、第三に、接続の業務の実施状況を監視する部門を設備部門とは別に設置することを求めております。これらの措置に加えまして、これは省令で規定することになりますけれども、社内規程を整備する、役職員の研修をする、あるいは接続に関する情報の取り扱いに係る記録を保存するというような措置を求めていくということを考えているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 そして、今回、今まで認可制になっていたさまざまな業務、目的達成業務とか活用業務とかいろいろあるわけであります。

 そこで、目的達成業務というのがまずありまして、これは、本来業務、附帯業務以外の、しかしNTT各社の目的を達成するために必要な業務ということであります。ちょっと質問をまとめさせていただいて、どんな業務がその目的達成業務であるのかということと、届け出事項に変更するに際して、ここはなかなか文章が読みづらいんですが、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、総務省令で定める事項を届け出なければならない、こういう書きぶりになるということでありますけれども、具体的にどんなふうにその届け出をするのかというところについて、二つあわせてお答えをいただきたいと思います。

桜井政府参考人 目的達成業務として今までに認可制のもとで認められているものについて申し上げますと、例えば社外の不特定多数の受講を目的といたしました通信関係のセミナーの開催でございますとか、あるいは、国内で培ったノウハウを利用した海外における現地の電気通信事業者に対する設備構築のためのコンサルティング、こういったものが目的達成業務として現在行われているところでございます。今後どういったものが出てくるかというのはなかなか難しいわけでございますが、こういったものが現在その対象となっているということでございます。

 総務省令で定めるところにより、あらかじめ、総務省令で定める事項を届けなければならないという規定でございますけれども、前者は届け出の時期について規定する予定でございまして、後者は届け出の内容を定めることとしております。

 届けの時期といたしましては、現行の認可制での実際の審査期間、これが平均十八日程度でございます。そういうことも参考といたしまして、規制緩和の趣旨等も勘案して、適切な期間、事業開始前、七日前程度を規定したいというふうに思っております。

 また、届け出の内容といたしましては、現行の認可申請時におきまして提出する事項と同様なものを考えておりまして、業務の内容ですとか業務の開始時期、業務の収支の見込み、業務を営む理由とすることを予定しております。

橘(慶)委員 立法府でありまして、一応法案を審議するということで、今、中身については十分理解したわけですが、そういったことであれば、本来は総務省令で定める期間においてとか、このようにしていただければ本当はわかりやすいんじゃないか。

 実は、最近、私、経済産業委員会と両方かけ持ちしているものですから、あちらの法案でもそういうところで、日本語で読んでもちょっと一瞬よくわからない、聞けばわかるんですが、でもそこは、書いておけばよくわかるのにと。あえてこれはさら問いはしませんけれども、「総務省令で定めるところにより、」よりも、「総務省令で定める期間のうちに」、とか書けば、それで法律として読めばわかる。何かその辺はもう少し考えてもいいんじゃないか、あえてこういうことは申し上げておきたい。法制局さんでも来ていただいてその話をすればまたそれで終わっちゃうような気もしますけれども、それはやめておきます。

 ここで、もう少し大きい話を二つ、NTT関係で聞いておきたいんです。

 NTTコミュニケーションズとNTT東西と、会社が三つに分かれているんですが、NTTコミュニケーションズの県間の業務が徐々に何かNTT東西にシフトするような感じも活用業務との関係ではしないわけでもありません。このコミュニケーションズと東西、三社の将来像について、総務省としてどのように今お考えになっているのか、まずお伺いいたします。

平岡副大臣 お答え申し上げます。

 NTT法におきましては、NTT東西は、「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保」等が義務づけられているということでございまして、引き続きその重要な役割を果たしていくことが大事であるというふうに認識しております。

 他方、電気通信サービスの中心というのは、委員も御案内のように、従来の固定電話からインターネットあるいはブロードバンドに移行してきておりまして、そういう状況の中で、NTT東西においては引き続き社会経済活動の基盤となる電気通信サービスの安定的な提供が求められておりまして、総務省としても、こうした環境変化に応じてNTT法について必要な見直しを行ってきたということでございます。

 NTTコミュニケーションズにつきましては、NTT再編時の改正NTT法の附則に基づいて、旧NTTが営んでいた業務のうち地域会社に、NTT東西のことですけれども、引き継がれる業務以外の業務を引き継ぐ株式会社として設立されたという経緯がございます。NTT法による業務の制約のない民間会社としてさまざまな業務をしてきているわけでありますけれども、国際・長距離電話のほか、法人向けにソリューション事業あるいはデータセンター事業等を実施しているということで、IP化やブロードバンド化の進展に応じて新たな取り組みを進めてきているということでございます。

 NTTグループ各社においては引き続きこうした環境変化に対応した取り組みを進められることを期待いたしますとともに、総務省においても、今後も、市場構造の変化等さまざまな環境変化や課題を踏まえまして、必要な制度見直しを行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 NTTという持ち株会社の下に、東西あるいはコミュニケーションズ、そしてまたNTTドコモ、NTTデータ、こういったものがぶら下がる形で一つのグループをつくっているというNTTの今の現状であります。

 考えてみれば、日本電信電話公社からNTTという形に変わったのが、早いものでもう四半世紀たってしまった、二十五年ほどたつなということであります。もちろんその間には、第二電電あるいは携帯電話の会社、いろいろなことがあって通信というものは大きくさま変わりをして、そこでまた公正な競争の促進も図られてきているということであります。

 今、NTTのこういう推移というものを振り返ると、若干、日本郵政というものがどうなっていくかということも、ある意味で肯定的に考えると、二十五年ぐらいするとこうなっていれば大変幸せだな、こう思うわけです。

 それはそれといたしまして、ここで、通信産業における公正な競争の促進ということについて、考え方を御確認させてください。

片山国務大臣 公正な競争というのは一番重要なことだと思います。特に、競争の条件をつくるということになりますと、市場のルールを守る公正な競争者が多数参入するということが非常に重要だろうと思います。

 こういう観点で、振り返ってみますと、いろいろな改革を行ってきたと思います。御指摘の電電公社の民営化というのは、一九八五年ですから、確かに四半世紀をもう既に超えているわけでありますけれども、これ以後も、例えば多様な事業者の市場参入という観点でいいますと、参入許可制を廃止するとか、そういうこともやっておりますし、それから接続ルールの制度化ということもやっております。こういうものは市場環境を整えるということに大きな役割を果たしたと思います。

 現在では、ICTサービスの提供基盤である通信インフラにおいて、メタルから光ファイバーにかわり、ブロードバンドサービスに移行する、こういう局面でありまして、一層この分野において公正な競争を進めていくことが重要だろうと思います。

 今御議論いただいておりますNTT東西の機能分離などもその文脈の中での取り組みだと思いますし、さらに、周波数の再編を円滑にするための新しい仕組みの導入などもそういう面があると思います。

 今後のことを言いますと、次世代ネットワークでありますとか無線ブロードバンドインフラを利用したコンテンツ配信、決済サービス、商品購入などさまざまなサービスの提供が拡大してきておりますので、このような面での市場環境の変化に対応した競争政策というものが今後重要になってくるだろうと思っております。

橘(慶)委員 通信の分野は、先ほどの平井議員のお話もありましたように、まだまだいろいろなビジネスの分野が広がっていくようであります。そういったところへ果敢にチャレンジされながらも、そこでまた各業者さんを公正に競争させていく。そういった意味ではまだまだ変化があるんだと思いますが、ぜひそこは、公正な競争ということで、またよろしくお願いをしたいと思います。

 周波数の再編のお話も出てまいりまして、三つ目の法案、電波法一部改正について幾つか聞いてまいりたいと思います。

 オークションのお話等は先ほどありましたので、この辺はちょっと飛ばしまして、時間の中で、まず一つは、オークションの手前で二つ目にお伺いしようと思っていたことですが、実は、特定基地局の開設計画、今度新しい電波をそこでやりますよというときに、それに応募する際に、終了促進措置に要する費用の支弁方法、そこの費用の金額、これだけ出してやりますよというところが言ってみればオークション的な考え方ということになるんだと思うんですが、この費用の支弁方法ということで、具体的に開設しようとする者からどのようなことを書かせて審査といいますか判断しようとしておるのか、通告では三の片括弧二ですが、お答えをいただきたいと思います。

桜井政府参考人 今回の改正によりまして、開設計画に既存無線局の周波数移行に必要となる費用負担について記載をいただく、これは終了促進措置というふうに法案では言っているわけでございますが、この開設計画の認定に当たりましては、申請者が当該費用負担を確実に実施する能力を有するかどうかということを審査することが重要だということから、終了促進措置に要する費用の支弁方法というものを記載いただくこととしております。

 具体的には、これは費用負担に充てる資金の調達方法などの記載でございまして、自己資金であるのかとか金融機関からの借り入れなのかとか、あるいは株式や社債の発行なのかといったことについて記載をいただくということとしておるところでございます。

橘(慶)委員 確かに、幾らこれだけ払えますと言っても、払える見込みがなければやはりまず最初にはじかなきゃいけないということだと理解いたします。

 周波数再編によりまして新たに携帯電話用に割り当てられる帯域が出てくるわけですが、どの程度容量が確保されるんでしょうか。そしてまた、東日本大震災の経験では、災害優先の携帯電話、こういうものはもう少し多く欲しい、あるいは維持すべきだという感じがするわけですけれども、この辺についての見通しなり見込みをここでお伺いしたいと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 周波数再編を考えているわけでありますけれども、どの程度の容量が確保されるのかという点については、容量で答えるのはちょっと難しい点もありますので、まずは帯域幅がどれぐらい拡大するのかということでお答え申し上げたいというふうに思います。

 現在、携帯電話等の移動通信システム用の周波数としては約五百メガヘルツ幅が割り当てられているということでございますけれども、今回の七百メガ、九百メガヘルツ帯の周波数再編によりまして、新たに最大百メガヘルツ幅を携帯電話用に確保することを見込んでいるところでございます。

 この確保によりましてどれだけの容量が確保されるかということについては、基地局の置局の状況とか、あるいは導入する技術により変動するために、現在のところ一概には言えないという状況を御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、先ほどの、大震災の経験にかんがみて、災害優先の携帯電話を多く確保すべきではないかというお話でございました。

 先ほど来大震災の際のふくそう状態のお話がございまして、確かに大変問題があったといいますか困った状態であったということは事実でありますけれども、これは、一般電話からの発信等を制限して、警察、消防への緊急通報のほかに、国民の生命財産の保護や社会経済活動の維持のために緊急性の高い国や地方公共団体、交通、電力等のインフラ事業者、病院等の通信を優先して確保するという仕組みの中で対応しているわけでございます。

 この仕組みの中には一般の固定電話もあれば携帯電話もあるということでございますけれども、緊急性の高い活動をされる方々の通信を最大限確保していくことは非常に重要なことではあるのですけれども、一方で、そういうことで緊急時優先通信に割り当てる電話回線数を大幅にふやしますと、逆に今度は一般電話に割り当てる回線数が少なくなって、ふくそう時の一般電話の発信等をさらに制限してくるという問題があって、いわばトレードオフの関係にあるというような形になるわけでございます。

 そういう状況の中で、実は、このふくそう状態についてどういうふうに対応すべきなのかということについては、先ほど大臣の方からも紹介いたしました、四月上旬に省内に、有識者の方々あるいは事業者の方々に、事業者の方々が中心ではありますけれども、集まっていただいて、大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会というものを設置して、今鋭意検討しているところでございます。

 比較的長い、少し先の、技術革新も必要なことについても検討しておりますけれども、当面すぐに対応できるようなことについてもできる限り迅速に対応していきたいということでやっておりますので、その中でも検討させていただきたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 そして、もう一つ、電波利用料というのが電波法の中で規定されていまして、これは受益者負担金的な性格があって、使途が限定列挙されている中で、今まで地デジの移行経費で二百四十億円ぐらい、総額では七百億円ぐらいだったわけですが、ずっと取ってきたわけであります。

 これで、これから地デジの最後の最終コーナー、しかもここでこの次から地デジの移行時期を延期する法案も審議するとなれば、本当にここは大丈夫なのかな、経費的にこれで賄えるのかな、補正予算が欲しいなという感じがありましてという質問をしたかったんですけれども、先ほど私も答弁者をやらせていただくと、答弁者を空振らせてはいけないということをつくづく思いました。

 そこで、逢坂政務官の方にしっかり質問して、終わりたいと思っております。

 二つ端的に聞きます。災害時相互応援協定は非常に有効な措置だと今回はつくづく思います。遠いところ同士の災害時相互応援協定が盛んであれば職員の派遣なども非常にスムーズだ。そこで、そういったものを国として支援してはいかがかということとあわせて、原発に係る補償金の仮払いはこれから大変であります。これは東電さんも一生懸命やってもらわなきゃいけないんですが、そこと地元の自治体をなるべくうまくかみ合わせる、そのことについての後押しをぜひ国としてもしていただきたい。二つあわせて簡潔にお願いいたします。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 今回の震災では、もう御案内のとおり、自治体同士の協力がなければいろいろなものが乗り越えられなかったというふうに思っております。しかもそれは、近い自治体だけではなくて、離れた自治体、あるいは、日ごろから余りおつき合いのなかったところも含めて、本当に多様な形があったというふうに思っています。その意味で、相互に応援のお約束をしておくということは非常に大事なことだと思います。

 ただ、今回通して思いますのは、平時にある一定の決まった形を考えていても必ずしも十分に機能しない。だから、それぞれの場面場面で柔軟にやれることが大事かなというふうにも思っておりますので、国の方では、さまざまな形を情報収集しまして、それを情報提供して、こういったことが促進されるようにしていきたいと思います。

 それから、二点目でございますが、御案内のとおり、行政が住民サービスをする上では住民情報を的確に把握することがまずスタートでございますので、総務省では避難者情報システムを構築して、全国の自治体に御活用いただいているところであります。ここで得られたいろいろな情報につきましては、それぞれの自治体の御判断で適宜使ってまいればいいのではないかなというふうに思います。

 以上です。

橘(慶)委員 これから、避難者に続いてJAさん、JFさん、さらには中小企業と、いろいろなものが出てまいります。どうか、そこはまた自治体の方の声かけ方をぜひよろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

福田(昭)委員長代理 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 あらかじめ御提示申し上げました通告と若干順序が変わることになりましたので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 初めに、電波法の一部改正案の内容についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正で、特定基地局の開設計画の認定の有効期間が五年から十年というふうに長くなっております。その理由をお伺いいたします。そして、なぜ特定基地局の開設計画だけが十年になったのかということもあわせてお伺いをしたいと思います。

 また、別表第六、これは無線局の区分と金額との関係をあらわしたものですが、ここに規定されている特定地域から、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、この関東地方の都県が対象から外れることになっております。その理由について、また、その改正の背景についてもあわせて御説明をお願いしたいと思います。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

平岡副大臣 まず特定基地局関係の、認定の有効期間の問題についてお話し申し上げたいと思います。

 まず、特定基地局というものは、携帯電話の基地局等、同一の者が相当数開設する必要がある無線局ということでございます。その中で、今回十年に有効期間を延ばすものについて言えば、法案に書いてありますように、今回ある意味ではオークション的な考え方を取り入れて行う、そういうものに関連するものということであります。

 なぜそうなるのかといいますと、今回の問題について言えば、七百、九百メガヘルツ帯の携帯電話の割り当てに関しては、既にそこに既存の無線局として利用している人たちがおられまして、その周波数移行を行うことが必要であるということでございます。今までの五年のものについて言えば、認定を行う周波数が既存の無線局に使用されていなくて、直ちに携帯電話基地局の開設が可能であるということを前提にしているために、携帯電話基地局の整備が大体五年間程度で一定程度行われるということを踏まえているということでございます。そこで、改正案の方では、既存無線局の周波数移行を行う必要がある場合に限って、周波数移行に要する期間を考慮に入れまして、認定の有効期間の上限を十年としたということでございます。

 それからもう一つ、電波法別表の第六に規定されている特定地域から、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の関東地方の都県が対象でなくなった背景ということでございます。

 実は、ここには東京メトロポリタンテレビジョンに関する現状と改正後の規定の仕方に若干の技術的な要素がございまして、こういうことになっております。仮に現行の規定のままでいきますと、ローカル局に位置づけられます東京メトロポリタンテレビジョンに対して、中京広域圏とかあるいは近畿広域圏の準キー局と同じ料額が適用されてしまうというような技術的な問題が発生してしまうということなので、東京メトロポリタンテレビジョンに対してもローカル局の料額が適用されるよう規定を整備したということでございます。

 なお、特定地域から関東地域を除いたとしても、東京メトロポリタンテレビジョン以外の放送事業者の電波利用料に影響を及ぼすものではございません。

西委員 わかりました。

 次に、先ほどちょっと申し上げました別表第六の、移動無線局の区分を変更されたことについてお伺いをしたいと思います。

 今回その区分が変更されて、現行の〇・〇一ワット以下と〇・〇一ワット超、こういうふうに二つに区分されていたんですが、今回は、〇・〇五ワット以下、〇・〇五ワット以上で〇・五ワット以下という区分と、〇・五ワット超というふうに三つに区分が分かれました。

 金額も、現行の二つの区分の場合は、六百円、上の方が八十万五千七百円を、今回は三区分で、七百円、八千九百円、それから九十六万六千八百円、こういうことになっております。

 そうしますと、例えば〇・〇一ワット以上で〇・〇五ワット以下の無線局は、今まで八十万円だったのが今回七百円というふうに大幅に下がります。ほかにも、〇・〇五ワット以上で〇・五ワット以下の無線局は、今度は八十万円から八千九百円というふうに大幅に下がってくる。こんな大きな変化がございます。

 新しい区分の設定は、今後新たな利用が見込まれ、それに備えるためであるというふうに説明を受けました。現在新たに見込まれる利用について、どのようなことに利用しようと想定されているのか、具体的に説明をいただきたいと思います。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、別表第六各項の電波利用料の料額は、それぞれ対象となる主な無線システムにつきまして、使用周波数の幅ですとか空中線電力等、あるいは無線局数等に応じてその金額を設定しているというものでございます。

 別表第六第一項の移動する無線局につきまして、現行二区分になっていて、〇・〇一ワット以下となっている。これは劇場等で用いられるラジオマイクを想定しておりますけれども、このラジオマイクにつきましては平成二十一年三月に技術基準を改正いたしまして、最大の空中線電力、パワーでございますが、これを〇・〇五ワットというふうに拡大をしたということがございます。これに合わせて、区分を〇・〇一ワットから〇・〇五ワットに上げたということでございます。

 それからもう一つ、新たに〇・〇五ワット超、〇・五ワット以下という区分を設けております。これは、航空機内で携帯電話ですとかインターネットを行うため、携帯の電話基地局を航空機内に設置するという流れが国際的には出てきておりまして、いずれ日本においてもそういう動きが出てくるだろうということで、そういった航空機内に設置する携帯電話基地局を想定してこの〇・〇五ワット超、〇・五ワット以下という区分を設けたということでございます。

 従前の、〇・〇一ワット超で八十万円という区分は、報道とかスポーツ中継などの放送事業で使用されております可搬型の映像伝送システム、FPU、フィールド・ピックアップ・ユニットと言っておりますが、放送事業者がお使いになるFPUを想定しておりまして、これは電力からして今回の改正でも九十六万六千八百円ということで、八十万五千七百円が九十六万六千八百円と多少上がるわけでございますが、ほぼ同じような程度の金額となっているということでございます。

西委員 わかりました。ということは、将来は飛行機から携帯電話が使えることも想定している、技術革新によってそういうふうになる可能性を想定して、こういうふうにしたと理解してよろしいですね。はい、ありがとうございます。

 次は、電波利用料を使った事業に関する情報公開についてお伺いをしたいと思います。

 これは大臣にお伺いしたいと思うんですが、電波利用料を使った事業の内容に関しては、毎年度、電波利用料の事務の実施状況という資料が公開をされております。これは残念ながら、余り詳しい内容ではないというふうに私も思っております。一方、総務省からは行政事業レビューシートという資料が公表されていて、その中に電波利用料で行われている事業に関してのレビューシートもありまして、もう少し詳しい内容が書かれているというふうに拝見いたしました。

 総合無線局監理システムの構築と運用に関するレビューシートをちょっと拝見していますと、土地の借料という記載があったので、どんな土地を借りて、どんな仕事をしているんだろうと思って総務省の方に尋ねたところ、これは借料ではなくて建物の家賃であるということが判明いたしました。電波利用料については、過去にもレジャー費用に支出したりというような不当な支出が問題になったところがございました。事業に関して不正確な記述が存在するということは信頼を損ねているのではないかということで、ぜひ改善をお願いしたいと思います。

 電波利用料の使途については、これが適正かどうかが検討課題とされておりまして、この検討材料を提供するために、財務諸表、さらに事業別の財務諸表等も作成して、きちっとした公表をしていただくようにお願いしたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

片山国務大臣 非常に重要な視点だと思います。

 とかく特定財源で、言うなれば、財務省の査定のときに、一般財源が不要であるという分野はついつい財政当局の査定も甘くなるということもあります。その中でさっきおっしゃった、過去、レジャーの分野に回していたというようなこともあったんだろうと思います。他の省庁でも、アームチェアを買ったとかいろいろなことがありましたけれども、同じような構造の中から、特定財源の中からそういう不祥事が出ているんだろうと思います。

 御指摘のように、できる限り透明化を高めるということが重要だと思いますので、現在もいろいろな情報の公開に努めておりますけれども、いろいろな角度から少し点検を加えまして、さらなる透明性を高める努力をしてみたいと思います。

西委員 ありがとうございます。

 続きまして、スマートメーターについてお伺いをします。

 二〇一五年/二〇二〇年に向けた周波数確保の基本方針というのがございます。その中で、RFID、これは電波による個体識別という意味だそうですが、このことについて、「電力・ガス分野におけるスマートメーターの導入等に支障を来さないよう早急に九百メガヘルツ帯の再編スケジュールを確定すべき。その際、二〇一二年を目標として五メガヘルツ幅を追加すべきである。」こういうふうに記述があるんですが、今回の福島原子力発電事故で、中長期的に節電が大変重要な課題となっております。そんな意味で、節電に役立つと期待されておりますスマートメーターの導入が促進されるように取り組むべきである、こう思いますが、いかがでしょうか。

 それから、現在予定されているスケジュールをぜひ示していただきたい。とともに、これを前倒しするということができるのかどうかお伺いをしたいと思います。また、スマートメーターに関する電波利用料はどうなるのかということについての見通しも、あわせてお答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 スマートメーターの導入ということは非常に重要だと思います。まさにスマートなシステムを、これからいろいろな分野で構築していくべきだと思います。

 御指摘になりました、そのための新しい周波数帯につきましては、本年二月から情報通信審議会において使用チャンネル数でありますとか出力の上限等の技術的な条件について審議を行っているところでありまして、本年六月に答申の予定であります。これを受けて、本年中には省令改正を行いたいと考えております。

 その際、スマートメーターなどに広く使われております、先ほどお触れになられましたRFIDについては、現状と同様に無線局免許を不要とする考えでありまして、その結果、電波利用料は不要となる予定であります。

西委員 できるだけ早く、実現に向けてスタートを切っていただきたい、このように思います。

 続きまして、監督規制等に関する報告についてお伺いをいたします。

 適正な競争関係を確保するために、支配的事業者は、子会社への監督規制、機能分離に関して講じた措置及びその実施状況を毎年、総務大臣に報告しなければならない、こういうことになっております。

 この報告に関しては「総務省令で定める事項」というふうになっておりますが、この総務省令の内容について御説明をいただきたい。この報告書は公表されるのかどうかについてもあわせてお伺いをしたい。そのときに、子会社全体の数、それから法案の対象となる子会社の数についてもあわせて御報告をお願いしたいと思います。

桜井政府参考人 先生御指摘のとおり、法案第三十一条第七項におきまして、報告すべき内容を総務省令で定めることとされているところでございます。

 この具体的内容につきましては、NTT東西に対しまして、業務を委託した子会社に対して行った監督の具体的な内容でありますとか、接続に関して知り得た情報を適切に管理するために整備した体制、構築したシステム、こういったものの概略、また監視部門における接続業務の実施状況についての監視結果、さらに関係規程の整備ですとか役職員の研修の実施状況、こういったことについて報告を求めるということを想定しております。

 公表でございますが、現在、現行の電気通信事業法第三十一条四項に基づいて、NTT東西から禁止行為規定に係る報告というのをいただいておりますけれども、これ同様に、今回の制度につきましても公表することとしております。

 それから、今回の子会社監督に係る規定でございますけれども、NTT東西が直接あるいは間接、この間接というのは、みずからと子会社による保有比率の合算でございますが、直接または間接に議決権の過半数を保有する子会社であって、電気通信業務等を委託した場合に、その子会社に対して適切な監督を義務づけることとしております。

 現在、NTT東日本は、直接子会社で三十一社、間接子会社で十八社の計四十九社を保有しております。また、NTT西日本は、直接子会社二十二社及び間接子会社十九社、計四十一社。東西合わせますと、計九十社が直接子会社あるいは間接子会社になるということでございます。

 これらの子会社のうち、電気通信業務を委託しているという要件に合致するものにつきましては、NTT東西が営業ですとか保守等の業務の大宗を委託しております、主として県域あるいはブロック別に設置された子会社がございまして、これが東日本で十七社、西日本で八社でございます。これはいずれも、今回の法律に基づきます監督規制の対象となるものと考えております。

 なお、そのほかでも、先ほど申し上げました九十社の中に該当するものがある可能性もございますので、法律が成立した後、NTT東西からの報告を受けることで厳密にしていきたいというふうに考えているところでございます。

西委員 今御報告いただきましたが、持ち株の比率によって今回こういうふうな形で仕分けられるわけですが、今報告がありましたように、全体で九十社というたくさんの会社を抱えているということもあり、この監督規制についてはしっかりと徹底をしていっていただきたい。やはりこのことが前提で今回の法律ができているわけですから、ぜひともお願いをしたいと思います。

 それから次に、最後になると思います、業務規制手続の緩和の届け出についてお願いいたします。

 電気通信事業者間の競争を促進するために、今回、目的達成業務と活用業務の大臣認可を届け出制に緩和をすることになっております。届け出に関しては、同様に「総務省令で定めるところにより」ということで、また「総務省令で定める事項」ということで届けることになっておりますが、この二つの総務省令について、それぞれどのような内容になっているかについて御説明をいただきたいと思います。

桜井政府参考人 先生御指摘の総務省令のうち、「総務省令で定めるところにより」につきましては届け出の時期を規定することとしておりまして、「総務省令で定める事項」につきましては届け出の内容を規定することを想定しております。

 前者の届け出の時期でございますけれども、現行の認可制での実際の審査期間、目的達成業務ですと平均十八日、活用業務ですと平均七十三・四日でございますけれども、こういったことを参考としつつ、認可制を届け出制へ緩和する趣旨でありますとか、あるいは届け出を受理した後、実際にサービスが開始されるまでの間に、公正競争上の問題等がないことを確認するための期間を一定程度確保する必要があるといったことを考慮いたしまして、適切な期間、具体的には、目的達成業務ですと業務開始前七日間、あるいは活用業務ですと三十日前といったことを設定することを想定しているところでございます。

 届け出の内容といたしましては、現行の認可申請時に提出する事項と同様のものを規定することとしたいと考えております。

 具体的には、目的達成業務につきましては、業務の内容、業務の開始時期、業務の収支の見込み、業務を営む理由としたいと思っております。

 また、活用業務につきましては、業務の内容、業務の開始時期、業務の収支の見込み、所要資金の額及びその調達方法、業務を営む理由、活用する設備もしくは技術または職員の概要、電気通信事業の公正な競争を確保するために講ずる具体的な措置とすることを想定しているところでございます。

西委員 ほかにも幾つか準備をしていただきましたが、時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 法案に関連して質問いたします。

 最初に、災害時のライフラインとしての公衆電話について質問をいたします。

 今回の災害では、通信手段としての携帯電話のもろさが指摘をされました。「被災地 無力な携帯」、こんな新聞の見出しも躍ったわけであります。その一方で、公衆電話の役割が見直されたということでありました。

 最初に、大臣に、災害時における公衆電話の役割、値打ちをどのように受けとめておられるのか、この点についてお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 「無力な携帯」という表現がありましたけれども、今回の災害で通信施設が被災をした、そのことによって通信が不能になったということでありますと、固定電話も携帯電話もそれぞれございました。

 そういうことではなくて、一時的なふくそうにより通信を制限したという面がありまして、その点では携帯電話が非常にかかりにくいということだったと思いますが、これは、あのときのような非常時においては一定の制限を課しているわけで、課している割合が高い携帯、それに対して制約を課していない分野との間に差が出たという、これはあると思います。

 公衆電話については制約を課さないということになっております。その点で固定電話が非常に有効であったということで、別に携帯電話が悪いということでは決してないわけでありまして、一般の方には災害のときの非常時においては制限を課させていただいている、こういうことであります。

塩川委員 これは、平成二十年の情報通信審議会の「ユニバーサルサービス制度の在り方について」という答申で、災害時における公衆電話の意義、役割について述べております。

 災害時等における優先電話としての指定が一部にとどまっている携帯電話と比較すると、公衆電話は全数が災害時等における優先電話として扱われており、また、公衆電話は、携帯電話のような個別の加入契約が必要なく、基本料が不要であるため、必要の際には国民全てが利用可能であること等を考慮すると、依然として、社会生活上の安全及び戸外における最低限の通信手段としての公衆電話の意義は失われてはいない。

このように述べております。

 公衆電話は、災害時に無料で優先的に通話が可能となる。今回の東日本大震災に当たっても大きな役割を果たしました。携帯電話が通じない期間が続く中で、公衆電話で家族や知人の安否を確認できたという事例もたくさんあります。首都圏でも、帰宅困難者の方が家族と連絡をとるために公衆電話の前に長蛇の列をなした、こういうことも大きく紹介はされているところであります。

 しかしながら、こういう重要な役割を果たす災害時のライフラインとしての公衆電話について、政府の緊急災害対策本部の百ページ以上に及ぶ資料の中で、ライフライン、通信の項目もありますけれども、公衆電話がどれだけ壊れて、どれだけ復旧したか、こういうことが一行も書かれていないんです。優先電話としての第一種公衆電話の復旧状況がどうなっているのかということについても、緊急災害対策本部のにはどこにも出てこない。この前まとめた「当面の取組方針」の中にも、もちろん公衆電話についての記述はありません。

 これは、総務省自身がこういった公衆電話の役割を低めることになっているんじゃないのかと率直に思うんですが、いかがですか。

片山国務大臣 いや、決してそんなことはありません。被災をしたインフラ、通信も含めたインフラについて調査して情報を提供する場合に、それだけの区分をしていなかったということでありまして、それは一つの視点でありますので、これからよく気をつけたいと思います。

塩川委員 復旧状況についても改めて調べないとわからない。理事の皆さんと一緒に、委員派遣で、岩手県の盛岡市で通信事業者の方のお話を聞いた際にも、NTTの関係者に公衆電話はどうなっていますかと言っても、その場での回答、わからなかったわけですよね。それがやはり通信事業者としての公衆電話の位置づけなのかなということも感じた次第であります。

 それで、こういった公衆電話についても、この間、ユニバーサルサービスとされている第一種公衆電話は増設をされずに、第二種公衆電話は次々減らされて、公共施設からの撤去も相次いでおります。

 私は、改めてこの公衆電話の増設を図るべきだ。特に、少なくとも災害時の避難所となるような施設には公衆電話を設置する、このことこそしっかりとやるべきだ。事業者に義務づけることを初めとして、避難所となるような施設に公衆電話を設置する、こういうことをしっかりと前進させるということが今回の震災の教訓ではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 一つの大事な視点だと思います。

 今回の災害などを見ていますと、やはり避難所における通信手段の確保というのは非常に重要でありまして、その際、避難所に公衆電話があらかじめ設置してあれば非常に有効であると思います。

 一方で、公衆電話というのは、御承知のとおり、採算面でいいますと不採算のところが多いということで、それについての赤字分は利用者全体で負担をしているということになりますので、その面からのバランスということも考えなければいけないと思います。ですから、避難所などに想定されている施設で、そこそこ利用者が見込まれる、そういうことがあれば最適だろうと思います。

 そのことも含めて、これからの公衆電話のあり方についての一つの検討課題だろうと思います。

塩川委員 避難所における公衆電話の設置についてしっかりと進めていくこと、現在、第二種公衆電話がどんどんどんどん減らされているという状況もありますから、こういうのを単純に採算ベースの話ではなくて、やはり地域における最低限の通信の手段を確保する、こういう立場で事業者に対応を求めていくということも今は必要なことだ、このことを申し上げておくものであります。

 次に、被災者の方の携帯電話料金が非常に高額になっているという訴えを聞きました。

 資料を配付いたしましたけれども、福島県の浪江町の住民の方のお話を伺いました。二本松市に避難をしました福島県の浪江町に行きまして、その場で町長さん、議長さんから、携帯電話料金が本当に高いんだ、これを何とかしてくれという訴えがありました。だったら、具体的にどういう状況になっているのか教えていただきたいということで提供いただいたのがこの資料であります。

 役場の職員の方に御協力いただいて、それぞれの方の一月分、二月分、三月分の携帯電話料金、使用料金について書き出したものであります。ごらんいただいてわかりますように、どなたも一月分、二月分の使用料金は大体同じぐらいの金額なんです。それは平均を見ても、一月分が七千七百十八円、二月分が七千九百七十一円ということにもあらわれております。しかしながら、三月十一日の発災を挟む三月分の使用料金は二万四千四百四十六円と、一気に三倍以上に膨らんでおります。中には、ナンバー2の方などは四千円台だったのが四万五千円。

 それぞれの個々の事情はあるでしょう。しかし、身内の方、知人の方、そういう方と連絡をとろう、こういう中でやはり通信がかさむということであります。避難生活の被災者はだれにも共通している。これは福島・浪江町の方だけではないというのも、また皆さんもお聞きになっていることではないでしょうか。

 被災者の方に聞くと、大体、一番連絡がとりたかった直後の一週間に携帯電話は通じなかった、肝心のときには携帯が通じなかったのに、こんな高い料金を払うことになるのは納得いかないという怒りの声が上がっているわけであります。

 大臣に率直に伺いますが、こういった被災者にとって、携帯電話料金が余りにも負担が大き過ぎるんじゃないのか、その点についての率直な受けとめと、こういう実態についてぜひ調査をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 私も、先般、浪江町の町議会の議員の皆さん方が来られたときに、議員の方からお伺いをいたしました。

 それは、そういう実態は恐らくあるだろうと思います。今まで固定電話を使っていたのが、浪江町の役場の職員の皆さんでいいますと固定電話は使えなくて、避難所で、避難した先で通信をしようと思うと勢い携帯電話になる、そういう点もありますし、それから、こういう事態になりましたので、日常よりは数段、携帯電話を使う頻度も時間もふえているだろうと思います。その点についての実情などを直接私も伺ったところであります。

塩川委員 改めて、こういう実情について総務省として調査するお考えはありませんか。

片山国務大臣 福島県の双葉郡のケースでいいますと、明らかに、これは東京電力の福島第一原子力発電所の災害に関連して惹起された事態であります。原発災害に起因する損害の範疇に恐らく入るんだろうと思います。相当因果関係というのは恐らくあるだろうと思いますから、それぞれ、東京電力に対してその追加費用について請求をする、こういうことが想定されるんだろうと思います。

塩川委員 東電の賠償金の対象になるのかどうかという話ですが、原子力損害賠償紛争審査会が一次指針を出しました。その中を見ても、賠償対象として通信費というのは入っていないんですよ。検討対象にもないんです。ですから、この原発事故による被害者にはやはり通信費を賠償するよう定めるということが必要だ。大臣がおっしゃるとおり、しっかりとこういう対応が必要であります。

 同時に、原発事故にとどまらない、津波、地震による被災者の方々はたくさんいらっしゃるわけですから、そういった方々の通信費が大幅にふえているという問題について、何らかの軽減策を考えることが今必要だということを申し上げたい。こういった携帯電話料金についての引き下げの仕組みというのも創設することが求められていると思います。

 この間、事業者がやっていることを聞いても、不通だった期間の基本料金は無料にしますだとか、三カ月間徴収するのは先送りにしますと。そんなことを言ったって、基本料金なんかわずかな額ですし、さらには、三カ月間といっても口座引き落としの人はとまらないんですよね。ですから、実際には払わされているという状況なんかもあって、こういう点でも極めて不十分であるということは明らかです。

 そういう中で、私がお聞きした被災者の方のお話で、その方が通常で月に一万円の携帯電話料金だったのが、三月分が二万三千円にはね上がった、だから携帯事業者にかけ合って話をしたところ、この二万三千円が一万円に減額をされたという話をお聞きしました。

 こういう事例があるのであれば、ぜひこういうものをやっていただきたいと思うんですけれども、こういう通信費を軽減する仕組みがあるというのは、大臣は御存じですか。

片山国務大臣 私も浪江町の議会の方から、携帯電話の通信料がはね上がった、何とかしてもらいたいという要請も受けまして、ちょっと聞いてみましたけれども、今おっしゃったような減額とか減免というのは、制度的にあるということは承知しておりません。具体的に何かどこかであったというお話だと思いますけれども、これが通信事業者の制度として一般的にあるということは承知をしておりません。

塩川委員 いや、こういうものが現にあるのであれば、きちんと周知をすることが必要だと思うんですけれども、そういう点についても事業者にきちんと働きかけするというお考えはありませんか。

片山国務大臣 もし事業者がそういう制度を、事業者として顧客に対してルールをつくっているのであれば、それは当然周知をされるべきだろうと思います。それがルールでなくて行われたということでありますと、公正さの観点からどうかという問題もあります。

 いずれにしても、ルールとしてあるかどうか、私が伺ったところでは、そういうのはルールにないというふうに伺っておりますので、少し問い合わせてみたいと思います。

塩川委員 今、通信事業者は高い収益を上げております。二〇一一年三月期連結決算において、通信大手三社とも営業利益、純利益が増加をしております。収益規模に比べれば、震災の影響は限定的だと言っています。

 NTTドコモの山田社長は四月二十八日の記者会見で、経済が大震災で少し落ちているというのは事実だと考えている。リーマン・ショックのときも同じような状況だったが、通信業界やドコモのお客様はほとんどが個人のお客様であり、携帯電話は生活必需品となっているため、落ち込みは少ないのではないか。ありがたいことだが、だからこそ、震災のようなときには頑張らなきゃいけないと思っていると述べていたわけです。ぜひ頑張っていただきたい。

 政府としても、被災者の電話料金の負担軽減を行うよう通信事業者に要請することを強く求めて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 質問を通告しておりますので、簡単にというか的確に答弁願いたい。質問は六項目要求をしておりますけれども、合わせて質問しますので、答弁はそれぞれ答弁していただきたい。

 まず、今回、政府が、被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチームで、被災地等における安全・安心の確保対策というのをまとめているんですが、これを受けて、総務省は電気通信事業者関係団体に対して、東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語について適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じるよう要請いたしました。もめごとがここで始まるわけであります。

 そこで、まず今回の震災で何件のインターネット上における問題があって、それで何件、削除するあるいは削除をしなさいというふうなことをし、結果的に何件が削除をされたのかということ。

 それからもう一つは、全部が削除をされたとは聞いておりませんで、幾つかの件は残るわけです。それが残ることによって大きな混乱をもたらすだとか、あるいは問題を引き起こした、こういう報告が来ているかどうか。

 三つ目に、そもそも、今回のこの削除依頼、その法的根拠は一体那辺にありや。

 以上、まとめて質問いたしました。よろしくお願いいたします。

樋口政府参考人 三点お尋ねでございます。

 流言飛語につきましては、改めて申し上げるまでもないのでございますけれども、大震災の発災からしばらくの間というのは特別な状況がございまして、人々の不安が一気に高まりまして、私どもにとりましても非常に緊張した状況だったところでございます。その状況下で、不安をあおり立てるような流言飛語が多発をしたところでございます。いろいろな対策を講じまして、冷静な対応を求めるといった呼びかけも当然でございますし、犯罪の正しい発生情報の提供にも随分意を用いたつもりでございます。

 今お尋ねの、特にネット上の書き込みにつきましては、そういった対策に加えまして、ネットといった特殊性もあるものですから、サイト管理者等に対しまして、各社の利用規約等をお持ちなわけでございますが、この利用規約等に基づき、自主的な削除を含む適切な対応をおとりいただくように依頼を申し上げたところでございます。

 この適切な対応の依頼につきましては、三月十五日から四月二十日までの間に合計四十一件、各都道府県警察からサイト管理者等に対して行わせていただきました。結果的には、四十一件依頼を申し上げましたけれども、十三の書き込みが削除されたものと承知をいたしております。

 どのような混乱が生じたか生じなかったのかということでございますけれども、ネット上の書き込みにつきましては、さらにこのネット上のものが口づてで伝わる、広まる、またその逆も少なくなかったものと考えておりますけれども、当時、今もそうでございますけれども、各地の避難所を警察官が巡回をいたしております。一例を申しますと、避難住民の方々から、某国人グループが刃物で武装して入り込んでいる、略奪行為が横行している、あるいは、見回りをしていた人が刺されたということのようだが心配でたまらない、パトロールを強化してほしいといった申し出が多数寄せられたところでございました。

 それから、二十八の書き込みについては削除を確認しておりませんけれども、これらにつきましても、サイト管理者等の御判断で、例えばトップページに注意喚起の文言を掲出するでありますとか、書き込み者本人に善処を求めるでありますとか、そういった適切な対応をおとりいただけたのではないかと考えておるところでもございます。

 それから、法的根拠は何かということでございます。今申し上げましたけれども、この四十一件につきましては、サイト管理者等がその業務管理に当たって利用規約等に基づき本来とることが想定されている対応措置を自主的に御判断の上おとりいただきますようお願いを申し上げたところでございます。

 なぜそういうことを警察が行うのかにつきましては、警察の責務として、個人の生命、身体、財産を保護するということでございますので、その立場から依頼を申し上げたということでございます。

原口委員長 質疑時間が短いので、答弁は簡潔にお願いします。

重野委員 今私がそう言おうと思ったんですが、委員長、言っていただいてありがとうございます。

 それでは、次に、そのほかに政府から独立した機関に対して、情報発信について何らかの要請、依頼などを政府は行っていないのかという点です。

 というのは、三月十八日付で、日本気象学会理事長名で会員にあてた文書があるんです。それはいろいろ抑制的な文書になっているんですが、放射線の影響予想は文科省などが信頼できる予想システムを整備し、適切な情報を提供することになっていると言って、気象学会員に、慎重に、抑制的にという文書が出ているわけです。これは、私は、とりようによっては非常に恐ろしいというか、気になる行為だと思うんです。

 これは気象学会だけのことでありますけれども、聞きますけれども、その他の機関においてもこのような話はなかったのか。あるいは、政府がそれぞれ情報発信についての抑制的な指導というものをなされていなかったのかどうなのか。その点について聞きます。

仙谷内閣官房副長官 手短に申し上げます。

 官邸で調査をいたしましたが、一切なかったということでございます。

重野委員 わかりました。

 なかったことは幸いであります。こういう大きな事件があると、そのどさくさに人権だとかそういうものが結果的に抑制される、侵害されるということは往々にしてあるわけでありまして、今、仙谷さんの答弁で安心いたしました。そのことは今後ともしっかり踏まえていただきたいなということであります。

 最後に、総務大臣に、いわゆる表現の自由との関係です。

 ネットでいろいろな、事故はチェルノブイリ・クラス、放射性物質の拡散が三十キロを超えている、メルトダウンが起こっている、こういう情報が流れていました。政府としては、これに対し、公序良俗というふうな立場においてそういうものを抑制していく、そういう挙に出たのではないかというふうに私は受けとめているわけです。

 私は、誤った情報やデマが広がるのを防ぐ最も有効な手段は、情報を包み隠さず国民に伝えることなんだと。ところが、そうではなかった。その後、政府のこの事故に対する発表の態度は随分変わってきたとは思っていますが、しかし、当初、今冒頭に申し上げましたような、ネットに書かれたそういう内容については極めて抑制的なものがあったというふうに考えています。しかし、それがデマではなかった、真実だった、こういうことも明らかになってくるわけです。

 こういう事態における情報の公開とかあるいは情報の抑制とか、その選択というのは決定的に重要であり、憲法に書かれた表現の自由に係る問題でもある。非常に慎重な対処が求められると思うんですが、総務大臣の見解を聞きます。

片山国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 今言われたように、政府が持っている情報をできる限り国民の皆さんと共有するということを通じて、流言飛語やデマが起こらないようにするということ、これは一つ重要なことだと思います。

 ただ、それとはちょっと違った観点で、さっき警察からも話がありましたけれども、避難所において激しい刑事犯罪が横行しているというような、政府の情報公開とは直接関係ない分野で国民の皆さんに不安を与えるというようなこと、そういうことはやはり避けなければいけないというのも一つの重要なポイントだろうと思います。そういう観点で、今回も、憲法の規定する表現の自由、基本的人権に抵触しない範囲内でということで、総務省としても通信事業者に対して要請をしたわけであります。

 これも、個別の具体例をとらまえて、まるで検閲のようなことをしたわけではなくて、あくまでも、通信事業者の皆さん方が自主的に定めたルールにのっとって判断をしてくださいということで、基本的人権に触れないようにぎりぎりのところで、謙抑的な要請をしたものと考えております。

重野委員 終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社法、NTT法の改正案が提案をされております。

 NTTの組織再編について、これまでさまざまな議論が行われてきたわけですけれども、結局、現段階では機能分離という結論に落ちついた、こういうことです。自公政権下の通信・放送の在り方に関する懇談会、通称竹中懇談会でありますが、「二〇一〇年の時点で検討を行い、その後速やかに結論を得る。」こういう方針を打ち出して、これが方針として閣議決定もされていた。この到達点が今回の法改正に一応はなる、こういうことに流れとしてはなっているんだろう、位置づけられているんだろうというふうに思います。

 この竹中懇談会の結論というのは、政権がかわって、原口大臣になってどうなるのかなと思って質問をさせていただきました。そうしたら、当時の原口大臣からは、二〇一〇年に結論を得ることには変わりがない、こういうふうに御答弁をいただきました。どっちかというと、私は消極的な方針が打ち出されるのかなと思っていたので、そういう意味で、この答弁を非常に意外な感じで受けとめたんですけれども、その後、光の道を目指して、NTTのレイヤー別の再編や分社化が進むのかというふうにも思われました。

 ところが、今度また大臣がかわって、議論の流れが少し変わったような感じもあります。昨年十一月三十日、グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォースで、NTT東西の光回線のインフラ保有部門と他部門をファイアウオールで分離する機能分離が適切だ、こういうふうになり、NTT東西の組織自体はそのままとする結論になったわけです。ただ、この機能分離というのが本当に実効が上がるのかという点では、まだまだ私はこれから見ていかなければならない、こういうふうに思います。人事や情報、会計、設備、そしてブランド、こうした点での機能分離をどういうふうに、そしていつ行っていくのかという具体的な手法がはっきりしていないというふうに思うからであります。

 この機能分離の実効を上げるために、そして、この機能分離の実効が上がっているかどうかということについて、どういうふうに皆さんは今後見ていくつもりなのかというふうにお尋ねを申し上げたいと思います。

平岡副大臣 今委員から、機能分離ということでお話がありました。

 機能分離の具体的な中身というのは、今回の法案でまさに規定させていただいているところでございまして、そこのところは、簡単に言えば、法案の第三十一条第六項において、設備部門を専任の部門として設置する、そして接続の業務に関して知り得た情報の管理責任者を設備部門へ配置すること、それから、接続の業務の実施状況を監視する部門を設備部門とは別に設置することということで法律に規定してあります。さらに、それ以外に省令の中で、役職員への研修とかあるいは接続に関する情報の取り扱いに係る記録を保存するというような措置を講じることを求めるということでございます。

 しからば、それについて、どういうふうに効果が上がっているのかをどう確認するのかということでございます。

 これについては従来から、総務省におきまして、競争セーフガード制度、あるいは総務省への御意見メール等を通じて公正競争要件の検証をしておるとともに、競争評価制度を通じた市場の競争状況の定量的な分析、評価ということをしておりまして、これらの制度を活用することで機能分離等の有効性、適正性を確認するということになります。さらに、それに加えて、ことしの三月に片山総務大臣の方から情報通信審議会に対しまして諮問書を出しておりまして、今後の市場環境の変化等を踏まえた公正競争環境の検証、担保のあり方についても意見を求めているところでございます。

 この措置を通じて、機能分離の効果がどのように上がっているのかということについてはしっかりと検証、分析をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

柿澤委員 機能分離の実効が上がっているかどうか、これを検証するということでイの一番に挙がってきたのが御意見メールだというと、何か本当に実効が上がるのかな、こういう気もするわけでありますが。

 NTTについては、東西における規制の遵守状況、また料金の低廉化や市場シェア等の動向、そして光の道構想に関する取り組み状況、こういった点を継続的にチェックし、三年後をめどに包括的な検証を行う、こういうことにもなっているかと思います。ですけれども、光の道や競争状況について、年度ごとに到達点がどこにあって、どのぐらいのことが行われているかというふうな目標が立てられているわけではなくて、どうなれば十分で、どうなれば不十分というふうに認定をされるのかということがわからない、こういうものになっていると思います。

 こういう形で一年、二年と時が流れて二〇一五年になって、それで、結局は、機能分離というのはそこそこよかったんですねということになってこのまま続いていく、こうしたことになってしまえば、今回、二〇〇六年からいろいろと議論をされてきた、この議論は何だったのかということにもなりかねないというふうに思いますし、また、こういったところが、今回、形の上では分割再編を免れたNTTの完全勝利だ、こういうふうにもマスコミから評されるゆえんになっているというふうに思うんです。

 そういう意味で、今後の達成状況、達成といっても、目標をまず設定して、達成状況いかんによってはやはり構造分離、資本分離、こうした方向に進んでいく、そうした可能性をしっかり担保しておかなければいけないというふうに思いますけれども、今後、不十分であると判断すればそうした構造分離、資本分離に移行していく可能性について、今現時点でどういうふうに考えておられるのかお尋ねをします。

平岡副大臣 総務省への御意見メールが最初に出てきたというふうに先ほど委員が言われたので、ちょっと補足だけさせていただきます。

 今回の制度改正によりまして、この機能分離の件については、機能分離のために講じた措置及びその実施状況について、毎年、総務大臣への報告を求めるということにしておりまして、その報告を踏まえてしっかりと検証もしていきたい、このように思っております。それに加えて、現在やっている制度としてそういうものがあって、それも活用したい。さらには審議会の方に、さらに検証、担保するための措置としてどういうものがいいのかということも聞いている。こういう組み合わせになっているということをまず御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、今回の改正についてもいろいろ御指摘がありましたけれども、今回の機能分離というものについて言えば、いろいろな観点を踏まえてこういう形になっていることであって、決してこの機能分離というものが、光の道構想を実現していく上に当たって、他の制度に比べて劣っているということではないというふうに私は思っております。株主への影響、あるいは実現に要する時間やコスト、設備競争への影響という観点を総合的に勘案してこのような仕組みをとったということでございます。

 ただ、委員も御指摘のように、この機能分離が有効に機能したかどうかということについて言えば、外国でも機能分離という仕組みでやっている国もありますけれども、我々としては先ほど申し上げたような仕組みの中で、毎年継続的な検証を行うということであります。既に我々の方針の中でも、昨年の十二月に示させていただきました光の道構想に関する基本方針の中でも、包括的な検証を制度整備の実施後三年を目途に行っていくということで、光の道実現への進展が十分でない場合には、さらなる措置について検討を行う必要があるというふうに考えております。

 今回の法案の中でも、改正法附則第五条におきまして、「法律の施行後三年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」ということにしておりまして、その際の考え方としては、構造分離や資本分離を含めたファイアウオール規制の強化など、さらなる措置が必要かどうかについて検討を行うこととしたいと考えておるところでございます。

柿澤委員 大変長い答弁をいただきましたので、もう一問だけ最後にさせていただいて、終わりにさせていただきたいと思います。

 子会社に対する規制の問題です。

 今回、情報の目的外使用等に関して、一体経営の規制範囲としては、総株主または総社員の議決権の過半数を有する子会社のみが範囲となっております。しかし、これでは持ち分比率を四九%以下に抑えればいいということになってしまうのではないでしょうか。

 昨年、NTT西日本が、相互接続上知り得た他の事業者のDSLの利用情報等三十五万件を、契約している販売代理店に漏えいして業務改善命令を受けた、こういう事例がありますけれども、このNTT西の子会社と販売代理店との関係でいえば、今回、この事例ですら対象にならないということになってしまうようでもあります。

 こうしたことで実際にこの規制の実効が図られるのか、このことについては私も懸念なしとはしないところでありますけれども、こうした過半数以上という持ち分比率にした理由は何でしょうか、お伺いをしたいと思います。

平岡副大臣 まず、電気通信事業者に対する規制ということについて言えば、電気通信事業法三十条、そして三十一条に禁止行為規制というものがございますけれども、これは法第二十九条の業務改善命令の上乗せとして行っているということでありまして、四九%だから電気通信事業法に関する規制が何も行えないということではないということはまず御理解いただきたいというふうに思います。

 その上に立って申し上げれば、やはり厳格な行為規制を私企業に対して適用するということについては、基本的には謙抑的でなければならないということがあろうかというふうに思っております。そういう意味で、先ほど来申し上げていることを要約すれば、他の電気通信事業者に対する規制とのバランスを失することがないようにしなければならない、さらに、資本関係を通じた指揮命令系統が存在しない場合には監督規制の実効性が期待できないといったようなこともあって、そうした点を総合的にかんがみまして、私企業に対する規制を必要最低限のものとし、禁止行為規制の実効性をも担保するという観点から、今回のような提案をさせていただいたところでございます。

柿澤委員 周波数オークションの話とか、いろいろお伺いしたいことはあるんですけれども、もう時間も超過しております。

 本来、今の答弁でしたら、NTT法上、国が株式を三分の一以上持っていること自体が、やはり私企業だというからには、そのうち、最終的には完全民営化をするという方向性が示されなければいけないというふうにも思います。そうした全体像の議論はまた行いたいというふうにも思っております。

 ありがとうございました。

原口委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、電気通信事業法及びNTT法改正案、電気通信基盤充実臨時措置法改正案に対して反対の討論を行います。

 まず、電気通信事業法及びNTT法改正案についてです。

 電気通信事業法改正案は、NTT西日本とその業務委託先子会社による、接続業務の際に入手した他社の利用者情報の目的外不正提供問題を踏まえた規制強化であり、当然の措置です。

 しかし、NTT法改正案は、NTTの業務拡大の手続を認可制から事前届け出制に規制緩和します。NTTの責務を果たしていく上で課せられた規制を緩和することは、国民にとって必要性も利点も明確ではなく、届け出制になれば、NTTの業務拡大に対するチェック機能の低下、審査過程の透明性の低下が懸念されるから反対であります。

 次に、電気通信基盤充実臨時措置法改正案に反対の理由は、支援対象としている事業が、利益の上がる地域で投資を行う特定の通信事業者を支援するものだからです。過去五年間の固定資産税減税額のうち、NTT東西二社に対する減税が四六%を占めています。NTTの光ファイバー施設は、都市部で八五%から九九%の整備率になっていますが、過疎地域などの条件不利地域では積極的な投資は行われておりません。

 支援対象の高度通信施設整備事業等は民間事業者が営利目的で行っている事業であり、優遇税制などの延長はやめるべきです。

 また、法案は、学校や病院などの光ファイバー等の利用促進を図るとしていますが、実質は電気通信事業者の設備投資に対する支援を行うものだからです。

 以上、二法案への反対を表明して、討論を終わります。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました各法律案に対し、古賀敬章君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

坂本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法の一部を改正する法律案、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案及び電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 今後の電波利用料の見直しに際しては、電波の利用状況等の環境の変化に応じ、負担の公平確保を旨として予算規模及び料額の算定に当たること。また、電波利用料の使途については、制度の趣旨に鑑み、電波利用料負担者の理解を十分得られるよう、一層の適正化を図ること。

 二 特定基地局の開設計画の認定に当たっては、審査における終了促進措置の位置付けを明確にするなど、その公平性、透明性を確保すること。また、周波数の移行に当たっては、利用者に混乱を来さないよう適切な措置を講じること。

 三 周波数の競売については、免許手続の透明化や歳入増が期待される一方、落札額の高騰による事業者・利用者の負担増等多くの課題があることから、電波が国民共有の財産であることに鑑み、国民全体の便益を考慮して、幅広く意見を聴取し、慎重に検討を行うこと。

 四 電気通信市場における消費者の利益及び通信産業の発展にとって公正競争の確保が非常に重要であることに鑑み、今後の検討に備えて、今回の法改正によって講じられる機能分離の効果等の推移を注視するとともに、電気通信市場における規制の在り方等について、引続き検討を行うこと。

 五 ブロードバンド・ゼロ地域についてはほぼ解消されたものの、今後も情報通信分野における地域間格差の解消に向け、更に取組むとともに、我が国の経済及び地域の活性化を図るため、情報通信技術の利活用を積極的に推進すること。

 六 情報通信施設は重要なライフラインの一つであることに鑑み、東日本大震災の被災地における情報通信設備の復旧・復興に万全を期すこと。また、東日本大震災の教訓を踏まえ、情報通信設備の信頼性向上のための適切な措置を講じるとともに、災害等に関する情報が地域住民に正確かつ速やかに伝わるよう、自治体等の情報通信設備の整備に適切な支援を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、内閣提出、東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

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 東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災により甚大な被害を受けた地域において地上デジタル放送への円滑な移行が困難となっていることに対処するため、電波法の特例を定める必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 岩手県、宮城県または福島県において、平成二十四年七月二十四日を限度として地上アナログ放送局の周波数の使用の期限を延長することができる等の措置を講ずることとしております。また、延長された期間について、当該地上アナログ放送局の免許人は電波利用料の納付を要しないこととするとともに、その期間の運用に要する費用を電波利用料により助成できることとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時七分散会


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