衆議院

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第5号 平成24年3月6日(火曜日)

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平成二十四年三月六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      磯谷香代子君    小原  舞君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      柿沼 正明君    黄川田 徹君

      桑原  功君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      高井 崇志君    中屋 大介君

      永江 孝子君    長島 一由君

      福田 昭夫君    福田衣里子君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    平井たくや君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君   斎藤やすのり君

      中後  淳君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   復興副大臣        末松 義規君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   国土交通副大臣      吉田おさむ君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  新井 英男君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (消防庁長官)      久保 信保君

   参考人

   (地方公共団体金融機構理事長)          渡邉 雄司君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     柿沼 正明君

  杉本かずみ君     磯谷香代子君

  高井 崇志君     福田衣里子君

  湯原 俊二君     中屋 大介君

  加藤 紘一君     伊東 良孝君

  斎藤やすのり君    中後  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     杉本かずみ君

  柿沼 正明君     後藤 祐一君

  中屋 大介君     湯原 俊二君

  福田衣里子君     高井 崇志君

  伊東 良孝君     赤澤 亮正君

  中後  淳君     斎藤やすのり君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     加藤 紘一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として地方公共団体金融機構理事長渡邉雄司君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長新井英男君、自治税務局長岡崎浩巳君及び消防庁長官久保信保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中後淳君。

中後委員 おはようございます。新党きづなの中後淳でございます。

 質問の機会を与えていただいたこと、心から感謝申し上げます。

 私は、昨年もこの地方税法と地方交付税法の関係で質問をさせていただいております。三月十日のことでした。翌日、東日本大震災が起こって、それから状況がさまざま変わってまいりました。改めてまた、震災で亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げるところです。

 昨年三月十日のときには、私は民主党に所属をしておったので、与党として質問しました。きょうは私はこの対面側の質問席で質問することになるのかなと思ったら、こちら側で質問してくださいという指示がありましたので、こちら側から質問をさせていただくことにします。

 今いろいろなところで都市のあり方について議論がされているところですが、昨年この問題を取り上げたときにも、大阪都構想だったり、中京都、新潟州、新潟都構想なんかが取り上げられている中で、枠組みについてどうしていくのかというお話があったわけですが、その後、大阪府、大阪市の首長の同時選挙があった中で、また大きく流れが変わってきているように思っております。

 私はまず、この枠組みの中で、大都市問題について簡単に触れさせていただきたいと思います。

 言うまでもありませんけれども、日本の中で一番の大都市は東京になると思います。東京といっても東京市ということではなくて、東京は特別区になっているわけで、一九四三年に東京市と東京府が統合して東京都ができて、市が解体されて、一九四七年に現在の二十三区に編成されてきたわけですが、この二十三区で今人口は九百万人いるわけです。

 東京都特別区の現状について、総務省として、今の問題点、課題、また今後の方針だとか方向性、そういうことについて見解を伺いたいと思います。

川端国務大臣 東京都の経過は今お触れになったとおりであります。

 いわゆる大都市、大阪都構想とか特別自治市構想とかいろいろなことが今議論されているのは、基本的には大都市制度がこれからどうあるべきかということが根底にあるんだというふうに思います。

 そういうことを踏まえながらお答えさせていただきたいと思うんですけれども、現行の東京都の都区制度というのは、効率的な行政運営を担保できる仕組みになっているのか、あるいは特別区の区域割りが適切なのかということがやはり問題ではないのかというふうに我々は思っております。

 例えば、人口千人当たり職員が何人いるかという行政サービスの一つのバロメーターとしますと、特別区、千代田区ですと十七・六人、これが一番多い。一番小さいのが江戸川区で、四・五人。指定都市になりますと、一番大きい大阪で六・四人、札幌で三・七人ですから、やはり東京都は職員の数が相当多いということ。

 それから、人口が、最大が世田谷区の八十七万七千人、最小が千代田区の四万七千人。これだけの差がある区を持っております。面積も、大田区が五十九平方キロ、台東区は十平方キロというふうに、面積あるいは人口、職員数含めて非常に幅が大きいということでありまして、そういう課題が東京都においてはあるのではないか。

 財政調整という意味では、財政的には結構みんな裕福という状況になっているというふうに思っています。

中後委員 今大臣から特別区の中の人口だとか面積だとかの差があるというお話がありましたけれども、これは日本全国の市という枠組みで見るともっと差があるわけでして、東京都特別区の問題というふうに矮小化しない方がいいのかなというふうに思います。

 再度お尋ねしますけれども、統治機構上の問題点、問題認識についてはありますか。

川端国務大臣 いわゆる法律含めて役割分担という意味では、俗に大都市問題と言われる二重行政という問題は、東京都においてはそういうふうに言われることではないというふうに思っております。

 むしろ、都道府県と指定都市の場合に、法定事務に関しては区分けしていますから重複することはないんですけれども、独自事業という意味でいいますと、例えば大阪府立と大阪市立の体育館や図書館や、各種のいろいろな箱物と言われるような文化施設がたくさんあるとか、そういう重複の機能はありますけれども、法律的に言えば、東京都においてもそれぞれ整理をされているというふうに思っております。

中後委員 私も、その点同感なところがあって、横浜市、今三百七十万人近くいるような大きな市を一人の首長さんで統治するということと比較をして、九百万人の東京、もとの東京市のエリア二十三区を二十三に分けて、それぞれ首長さんを選出してという統治機構の方が、自治上、基礎自治体をしっかり強くしていくという意味ではそちらの方向の方がすっきりするなというふうに個人的には思っているところです。

 制度の問題等いろいろあるかもしれませんが、この辺が政令市の市長さんたちが主張されている特別自治市の問題と橋下大阪市長が主張されている大阪都構想を議論する上で一番大きな問題なのかな、こういうふうに思っております。今の政令指定都市の自治権限を高めていって、ある意味では都道府県と本当に同格に、独立した都道府県のようにしていくのがよいのか、それとも東京のように市を解体して特別区のような形で、一つの県、都道府県の中で解体してというか細かな基礎自治体の機能を高めていくのかという観点でしっかりと整理しなければいけないタイミングなんだろうと思います。今これは議論が進んでいるところだと思いますので、今、政令市の問題、二重行政の問題等がありましたけれども、その点についてちょっと伺いたいと思います。

 二重行政のお話もありましたし、これは昨年も私質問したんですが、例えば神奈川県の問題でいうと、人口でいっても県議会議員の数でいっても、政令市選出、人口でいえば約六割が政令市が占めている。横浜市、川崎市、相模原市の三市で全体の人口の六割ですね。県議会議員の数を見ても大体同じ比率になっております。

 しかし、神奈川県の事務としては政令市以外の事務の方が多い中で、政令市以外から選出されている人が全体の過半数を割っている、四割ぐらいしかいないということは、本当に大きな空洞化の問題になっているんじゃないかなということなども指摘させていただいたわけですが、片山前総務大臣にこの質問をしたところ、とにかく大都市問題は今言ったような二重行政もあるし、道府県の空洞化の問題もあるので、できるだけ早く検討していかなければならないという答弁をいただいたところなんです。

 川端総務大臣に改めてお聞きしますが、現状の問題点と今後の検討に向けたスケジュール、方向感等をお尋ねいたします。

川端国務大臣 いわゆる大都市にかかわるいろいろな問題、二重行政の問題も無駄だということでよく言われると同時に、今の空洞化の問題ということがよく指摘をされます。そして、大きくなり過ぎて、今、統治機構のお話がありましたけれども、大都市において本当に住民に対して隅々まできめ細かな行政ができるのかというふうなこともよく指摘をされております。

 そういう中で、大阪都構想とかその他いろいろな御提案があることは事実でありますし、我々も、その大都市問題がいろいろな要因として問題を抱えていることは十二分に認識しておりますので、そういう意味で、地方制度調査会で先般、前回の諮問が一段落いたしましたので、答申をいただいたので、今の新しいテーマとして大都市問題にかかわる部分を国の地方制度調査会で御審議をスタートいたしました。

 既に、大阪府市統合本部、それから指定都市市長会からヒアリングをいたしまして、近々、三月の十六日には東京都及び特別区からヒアリングをするということで、それぞれの生の声としての思いや課題をお聞きする中で、できるだけスピーディーに大都市問題に対する国としての、審議会としての御答申をまとめていただきたいというふうに思っておるところでございます。

中後委員 今、大都市問題について地方制度調査会でいろいろ議論をされているところだというふうにお話を伺ったわけですが、今の市町村、政令市以外の町村の、人口の大小だとか自主財源の問題だとか、いろいろな問題を今自治体が抱えている中で、その点についての検討は並行してどのようになっているのかということについて伺います。

川端国務大臣 当然ながら、大都市問題を議論するというときに一番基礎になるのは基礎自治体。そもそも基礎自治体がどうあるべきかというのが前提でないと大都市問題も議論できませんから、当然ながら、同時並行的にというか、議論すると必ずそこは避けては通れないことでありますので、基礎自治体が基本的にどういう権限と財政基盤を持ってやっていくのがいいのか、現状がどうなのかは、同時に、大変重要なテーマとして御議論をいただいていると承知をしております。

中後委員 今大臣の答弁のとおり、基礎自治体の問題というのがやはり一番重要になってくるんだと思いますし、地域主権改革というのを民主党が掲げたときにも、ここをどうするのかということは必ず避けて通れないテーマになるというふうに私は認識しておったわけですが、今そこの問題が大分スローダウンしているというか、ある意味、地方の声の方が大きくなってきて、国の方の推進力というのがそちらに引っ張られているような、そういう雰囲気さえあるように感じているわけです。

 今、市町村と特別区を合わせた基礎自治体というのは千七百四十二あるわけですが、先ほども言ったとおり、一番大きい横浜市と、人口数千人の市もあれば数百人の村もあるというような中で、基礎自治体の適正規模について、大臣の個人的な見解についてで構いませんので、今示せるところがあれば伺いたいと思います。

川端国務大臣 基本的には、今おっしゃったように、横浜市が三百六十九万人、そして、一万人以下の市、町もやはり相当数あります。そういう中で、適正規模というか、基本的には、地方自治体が住民に最も身近な行政を担当するということで、自律的にサービスをよく、そして財政も健全にというのが望ましい姿であろうというふうに思いますが、規模が大きくて比較的財政が豊かであるということが、逆に大き過ぎてサービスが行き届かない、小さければきめ細かいということはできるけれども、財政上ほとんどが厳しい状況にあるというのが実態でありまして、どのあたりにバランスがとれるのかということは一概にはなかなか言えないというふうに思います。

 例えば地域の合併を促進していこうという方向は平成の大合併で示しました、そして助成措置ということで誘導することはやりましたけれども、最終的には、やるかやらないかは地方自治体の自主的な判断でありますので、基本的には、自主性を尊重する中で、それぞれが自立できるようには応援していくというのが基本だと思っております。

中後委員 いずれにしても、その枠組みを決めていかないと、その財源配分、交付税の問題等についてすっきりしたところを、本当は時間があればたくさん聞きたいことがあるわけですが、そういった諸問題についての処方箋みたいなものも、しっかりしたものは書けないんだろうなと思っております。

 私は、大都市間で競争することは全く一向に構わないことだと思いますが、いわゆる地域間競争という言葉には非常に抵抗があります。財政力の少ないところ、人口が少なくなって高齢化が進んで過疎にあるところが、大都市に隣接していて、そこと競争してくださいという話になると、それはもう、ある意味、国土の保全とか安全保障とかそういうところにもかかわってくるような問題になると思っていますので、日本全国が競争にたえ得る地域になるかというと、私はそうは思っておりません。

 いわゆる財源だったり人口だったり、都市化というところの競争ではないところで必ず生き残っていくという都市も自治体もあるわけで、そういうところにもちゃんと気を配りながらの、大都市間で競争をするにしても、いわゆる地方、地域については、そういうところとは少し切り離して、生き残りというか、そこにいる住民の皆さんがしっかりと生活を営めるような基盤というのはつくっていかなきゃいけない。そういう観点から、交付税等についても検討していただきたいなと思っております。

 次に、交付税の特別会計の借入金の償還の問題について伺いたいと思います。

 昨年二十三年から二十五年まで、毎年一千億ずつ償還していく。平成二十二年度末で、交付税特別会計の借入金、三十三兆六千億円あるわけですけれども、二十六年から三十二年までは毎年一千億円ずつ増額で償還していく。三十三年から六十二年までは一兆円ずつ償還していくということになっております。本当にできるのかなと疑問の声も随分上がっているところですが、実現の可能性についてと計画の前提条件。

 あわせて伺いますけれども、今特別会計で借り入れするということは一旦やめたかもしれませんが、臨時財政対策加算だとか、後々交付税措置される臨時財政対策債で財源不足を補っているという状態では、借金をする場所が変わっただけであって、問題の本質的な改善にはなっていないというふうに私は思っております。

 もっと言うと、特別会計で借り入れしている場合には借金の総額がしっかりと見えたわけですが、一般会計からの繰り入れだとかそういう形で借金をしているということになると、地方についての負債がどういう状況になっているのかというのが非常にわかりにくい。切り分けられて、合算をしていかないとわからないというような状況になっていると思います。

 当時の背景については理解しているつもりですが、この点について、しっかりと問題を改善するという方向ではなくて、一般会計からお金を持ってきて、別の、借金の先食いをしているような状況について、大臣の見解を伺いたいと思います。

川端国務大臣 二点お問いでありますけれども、特別会計の借入金については、平成十九年度から償還を繰り延べておりました。しかし、これはエンドレスにやると大変なことになるということでありますので、財政規律の維持や将来の金利上昇リスクへの対処の観点から、二十三年度において新たな償還計画を決定いたしまして、着実な償還、一千億を開始することにいたしました。これは、ことしから始まったということであります。

 当然ながら、繰り延べていて返せない状況を返すということにはっきりと明定をしたということでございますので、平成三十三年度以降において、我が国、地方の公債等残高を安定的に低下させるということになっておりますので、毎年拡大をして、地方債の最長償還年限三十年も勘案した長期の償還年限を設定いたしました。

 毎年一千億、当面でありますが、平成三十三年から六十二年までの三十年間は一兆円、毎年返すということで、これは巨額の特別会計借入金を、三十三・五兆円の解消を第一とすれば、さらに毎年の償還額をふやして、もっと短縮をすべきという御意見もございます。しかし一方で、交付税総額の確保を第一としますと、償還額を減らしてでも償還期間を延長すべきだというお考えもある中で、現実的な償還計画になるということで、今の仕組みを考えたところでございまして、ぜひとも計画的、着実に返還をしてまいりたいと思います。

 そういう中で、もう一点の、制度が、特別会計と一般会計ということで不透明になったのではないかという御指摘でありますけれども、平成十二年度までは、地方財源の不足に対処するために、交付税特別会計借入金による地方交付税の増額を基本として対応して、償還金を国と地方で折半して負担することといたしておりました。

 この方式、特会借り入れ方式では、いわば地方団体が共同で借り入れる、まとめてということになりますので、個々の地方団体にとっては、交付税の総額の設定の過程で整理されるということで、地方団体や住民に借り入れの実態がわかりにくいということが指摘をされておりました。国の予算においても、特会借り入れは、国の財政実態をわかりにくくしている、いわゆる隠れ借金だという指摘もございました。

 そういう議論を踏まえて、平成十三年度から、国負担分は一般会計からの繰り入れ、地方負担分は個々の団体の特例地方債発行という方式で財源不足を補填することということで、国と地方の役割分担の明確化と財政の透明化を図るということにいたしました。

 そういう意味では、特会借り入れ方式と比較すると、国、地方の責任が従来より明確化され、特に、地方においては借入金依存の実態が、特会ではありませんので、個々の地方自治体の借入金依存の実態が議会や住民に明らかになるということで、経費支出の効率化、重点化の必要性について理解を深めることで財政の健全化を促す効果もあるということで、今までとは逆に、我々としては、改善をした方向に取り組んでいるということでやっているところであります。

中後委員 時間が参りましたので質問はいたしませんが、社会保障と税の一体改革についても同じことが言えるんだと思いますけれども、問題を先送りしないという意味ではこちらも非常に重要な問題で、大きな枠組みも示さずに、本当の処方箋が書けずにこのままいけば、大変な状況になるというのは目に見えているわけです。また、そういうところに対して、一括交付金だとか、いろいろな政策を前に出してきたわけですが、一括交付金についても、ことしは八千億円。昨年よりふえてはいますし、政令市に拡大はされましたけれども、当初の予定から比べると大分スローダウンしているし、もっともっと力強く進めていくべきだと思っておったわけです。そこが厳しい状況にあるということだし、また、そこについて私も疑問を持ったから、党を飛び出して外側から圧力をかけるという形をとりたいなと思って今頑張っているわけです。

 今大きな問題です。社会保障と税も地方のあり方も、これは国全体の形を決める話ですので、全体が一体となって国会で審議をしていくことを望むということをお話しさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 きょうは、何か天気予報では、嵐になるというお話があって、そういう歌を用意したんですが、余りひどくならなかったようですけれども、梅の花が嵐に散らないようにという歌を詠んで、始めさせていただきます。

 万葉集巻八、一千四百三十七番。

  霞立つ春日の里の梅の花山のあらしに散りこすなゆめ

 では、よろしくお願いいたします。(拍手)

 幸い、先週に続いて質問させていただけるということでありまして、残念ながら、前回、福田政務官に聞けなかった質問からもう一度始めさせていただきたいと思います。

 国と地方の協議の場でありますけれども、年末、かなり精力的に実施されまして、これまでに通常の協議の場が三回、臨時の協議の場が五回、計八回開催されたわけであります。最初、法案を審議しているときの見通しでは、年四回プラスアルファぐらいかなという話からすると、かなり精力的に進めておられる。

 協議の成果については、一定、当然評価をいたすわけでありますが、やはりああいう年末の押し詰まったときで、割合ほかのことが何もないところで、皆さん、日程をやりくりされて何とかできたんだろう、こんな感じもいたします。

 そして、その後、また議事録も全部国会へも提出いただいているんですけれども、一連の事務処理という意味ではなかなかやはり大変じゃないかな、これは最初から申し上げているところであります。

 こうやって実際動かしてみて、またこれからも社会保障・税の一体改革、いろいろな場面で結構また開催がされるということであれば、やはり簡素、弾力化できるところはそうされた方がいいのではと、これは最初から私なりに問題意識を持っているところでありますが、ここまで八回なさってみての御感想なりこれからの方針について、まずお伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 私から答えるより大臣の方がいいのかもしれませんけれども、この八回をやってみて、非常に地方の皆さんも言うべきことはしっかり発言をしておりますので、そういった意味では、本当に、国と地方が自分たちの考えを述べた上で考えをまとめるということでは、いい場になっているのかなと思っています。

 御案内のとおり、子供に対する手当、名前が適切かどうかは別として、あるいは、今回、消費税を仮に五%引き上げを認めていただいた場合には、国と地方でどういうふうに使わせていただくかということにつきましても、年末、遅くまでかかりましたけれども、国、地方双方が努力した結果、一定の結論が得られたということでありますので、国と地方との協議の場が非常に有効であるというふうに私は思っておりますので、そういった意味では、先生おっしゃるとおり、会議の回数をもっと減らせればこんなにいいことはないんですが、そういったことについても今後努力をしてまいりたい、このように思っております。

橘(慶)委員 私の質問の趣旨としては、もちろん会議ということもあるし、いろいろな事務処理、会議録の作成、あるいは分科会あたりの持ち方とか、そういう部分でより簡素、弾力化することができるんじゃないか、これはずっと意見として申し上げておりますが、またお酌み取りいただいて、議事録を見ていますと、これをつくり上げるのも結構大変で、回数がふえてまいりますと、もちろん道行きも大事なんですが、本当にそこまで必要なのかなという感じもするので、やはり実をとられて、形式的なことについてはより簡素化された方がいいということを、きょうは意見として申し上げておきたいと思います。

 福田政務官、もう一つ残っていまして、前回、定住自立圏の議論を大臣ともさせていただきましたが、あの中で、前回は、若い方々、大学生の方々の話をさせていただいたんですが、今エネルギー危機、いろいろな問題の中で、再生エネルギー、水力であれ小水力であれ太陽光であれ風力であれ、こういったものについては、地域といいますか地方圏の方において、それぞれの特色によって結構豊かな資源が実は残っている。

 今までは原子力に頼る部分もありましたし、大きな火力発電所、いろいろなことで当然コスト的にも合わないということで、ある意味で未利用であったものが、今回こういう事情になってくると、逆にそういうものを活用することによって地域がより豊かになっていくというかまた可能性が開けてくる。その辺がもともと緑の分権改革ということでおっしゃっていたのも、そういうテーマが一つあったんだろうと思います。

 この調査も既に大体結果も出ているころでありましょうし、そういうことを踏まえられながら、この定住自立圏における再生エネルギーの役割について御見解をお伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、それぞれの地域が持っている再生可能エネルギーの地域資源や、そのほかさまざまな資源があるかと思いますけれども、この緑の分権改革によって、そうした資源を、しっかり、新しく見つけたり、また今までの資源に磨きをかけたり、そうしたことに緑の分権改革を使っていただく、活用していただくということが大事なポイントだと私も思っております。

 さらに、今年七月からは、これは我々の所管外でありますけれども、再生可能エネルギーの全量買い取り制度も本格的にスタートするということでありますので、こうしたことを活用して、地域の活性化に努力をしていただきたい、こう思っております。

 また、全国の市町村長さんがお見えになったときに私がお勧めをいたしておりますのは、緑の分権改革を十分活用していただいた上で、内閣府で、ことしからこれも本格的にスタートをする総合特区制度というのがございます。これは、従前の規制緩和に加えて、財政、税制、金融、フルセットで、地方自治体や民間企業が新しい産業や雇用の場をつくる、これを応援する仕組みです。

 自分の地域の資源を見つけた上で、この総合特区制度を使ってぜひ地域の活性化に取り組んでいただきたい、そんなお勧めを実はさせていただいておりますが、ぜひ先生の地元でも御活用いただければ。

 私は、この総合特区制度はすばらしい制度だと思っておりますので、今、日本が悩んでおります内需拡大策の大きな柱となると思っておりますので、この総合特区制度をフルに活用していただいて、内需を拡大してデフレから脱却をしていく、そういう道筋を描くことができるんじゃないかな、こう思っている次第でございます。

橘(慶)委員 各地域の個性というものを生かすという意味では、再生エネルギーはやはり効果があると思っていまして、きょう、この後、交付税、地方税法の審議でありますけれども、そういった国、地方の間の財政の手当てもしていただきながら、地方が自分たちで頑張っていけるような、そういう環境をつくっていただく、そういういろいろな制度もぜひ活用していくということかと思います。

 もう一つ、これは、前回の質問以降、いろいろと今回のことにもつながるわけですが、今回、交付税、地方税の中で一つのテーマは、社会保障・税の一体改革ということが一つ大綱ということでおまとめになって、その中で、地方消費税ということについて一定の手当てがされ、要は、それが、今まで私どものこの委員会で問題にしてきております地方の交付税のギャップ、いわゆる折半ルールで今埋めているギャップというものが本当に埋まっていくのかどうかとか、あるいは地方税の偏在性、法人税で地方税を賄ってまいりますとどうしても大都市と地方でギャップが出てくる。そういった問題はどの程度まで解決していくのか、あるいはどうなっていくのかというのは、現状におけるきょうの私なりの一つのテーマだと思っております。

 そこへ入っていかなきゃいけないんですが、一つ、地方消費税の組み上げをされる際に、今お話のあった国と地方の協議の場等を通じて、地方単独事業をどこまで見るかという議論は、かなり白熱した議論をされたわけであります。

 その中で、総務省として、前回話題にしました子供に対する医療費助成のことについては、乳幼児医療費助成ということで、いわゆる就学時前、つまり六歳までのところを一つ確立したものだ、こういうお話で、そこまで実はこの地方単独事業の中で今回カウントをされたわけであります。

 そこで、しかし現実は今、小学生以上中学生までにわたって、いろいろな自主的な取り組みといいますか、そういうことが実際全国では起こっているわけでありますけれども、それは前回お話をしたとおりなんです。

 まず最初に確認したいのは、ここで小学生以上を抜いた、六歳で切ったというところの理由と、もう一つ、前回、川端大臣は相場的にこの辺という相場観の話をされたんです。私なりにそういうことを全部しんしゃくすると、大臣の相場観という、大体足並みがそろっているねというのが六歳ぐらいのところなのかなと思ったんですが、これは確認をさせてください。

川端国務大臣 地方単独事業で実施している乳幼児医療費助成について、厚労省の調査では、義務教育就学前までを対象としておりますのが、平成二十三年四月現在で、通院で三十七県、それから入院で四十五県ということで、相当、かなりの、ほとんどの部分という表現かもしれません。ということでありますが、一方、義務教育就学後も含めて対象としているところを見ますと、これは、通院で九県、入院で十九県ということでは、やはり表現的には一部が実施しているというふうにとどまっているところであります。

 引き上げ分の消費税収の配分の基礎となる地方単独事業を議論するに当たって、いわゆる四事業の周辺を含めた部分という枠をはめる中で、ほぼ全国的にやられているもの、そして人件費等は抜くという一定の基準の考え方で、四事業にのっとったという範囲をするときには、全国的に行われている水準を対象とするということが適当ということで、一部の団体にとどまる小学生以上を対象とする部分については、総務省が実施した調査結果の公表の対象からは外させていただきました。

 そういう意味で、前回、乳幼児医療費の助成について、財政力にかかわらず一定の水準が形成されつつあるのではないか、相場観というのが適当かどうかと言いながら使いましたけれども、というのは、それは義務教育就学前までを念頭に置いて申し上げさせていただきました。

橘(慶)委員 これは確認させてもらってありがたかったんですが、要は、大臣、御理解いただきたいのは、今の大臣の御答弁を裏から言うと、就学時前は、通院で十県、まだやっていないところがある、入院で二県やっていないところがある。私が申し上げた、この広い日本の中でそういうアンバランスということが、子供に対する医療という側面をとったときに、本当にいいことなのかどうか。例えば今、子どものための手当というお話もありました。このことについては、全国一律ということは誰も疑わずに、みんな一律にするわけですね。だけれども、一面、お医者さんにかかったときの医療費が無料だよというのが全国一律でない、それも、場合によっては三歳のところから十五歳のところまである、そういう日本の姿で本当にいいのかどうか。

 だから、これは、本当に自主的なものなのか、あるいはナショナルミニマムと言われるものなのか。つまり、現物給付か現金給付かという問題も含めて、ここには一つ問題があるんじゃないか、こういう認識を持っているわけです。

 また、就学前がもしそれで定着した制度だとすれば、本来二割負担のものがあまねくゼロ割になっているとすれば、それは医療保険上、変えていかなきゃいけない問題じゃないか。ここは、国と地方の分担の中で何がいいのかということについてはやはりよく考えていかないと、医療保険上、本当にそれでいいのかどうかという議論もあります。

 この部分については、実は厚生労働省さんも結構楽で、地方で自主的にやっていただければいいんです、こうおっしゃるんですが、本当にそうなのか、ここは私なりに非常に問題に思っているところで、きょうは私の思いは十分お伝えできたので。

 しかも大臣、もう一つ御認識いただきたいのは、今大臣の御答弁は、県レベルの数字を出されました。私は市長をやっていましたので、県レベルのものに対して、県の土台に対して、県の中で、富山なら富山に十五の市町村があった、そこがまたばらばらなことをやるわけです。そうすると、この間お話ししたとおり、川一つ渡ったり道路一本挟んだ向こうとこっちでなぜ違うのという質問に対しては、やはり現場では非常に答えづらい、そういう問題があるわけです。

 もちろん、そこは競争だよといえば、そういう考え方もできますが、そうかなという素朴な疑問を持っているということで、これは委員の皆さんにもお聞き届けいただければ幸いだと私は思っています。

 済みません。本題に入ってまいります。

 地方交付税、先ほどちょっと前振りいたしましたが、今回の交付税法の改正を見ながら、一つは、交付税特会と一般会計とのいろいろな複雑なやりとりについては、先ほど御答弁もありましたように、かなり今すっきりしてきている、割とわかりやすいシンプルな形になっているということは評価をするわけであります。

 ただ、先ほどお話ししたとおり、折半ルールになっているギャップがあって、これが十兆を超える、ことし十三兆ぐらいあるんでしょうか、大きなギャップがございます。

 今回、社会保障・税一体改革で地方消費税に一定の措置が一つプランとして出てきたわけでありますけれども、これで本当に地方財源の安定的な展望が開けたというにはまだなんじゃないかな、この辺の認識がどうであるか。

 今回の引き上げで、どの程度このギャップがカバーされていて、どれくらいの問題が残っていると御認識なのかということについて、まずお答えをお願いいたします。

川端国務大臣 答弁させていただく前に、今御指摘の乳幼児医療に関しての問題意識は私も全く同感でありまして、あまねく広まってきたときに、いわゆるナショナルミニマムとしてあるべき部分というのはしっかり念頭に置かなければいけないという部分と地域の自主性とどこで線を引くか。

 これは、当初からいえば、多分、市長さんが、いろいろ住民の部分で市長選挙の公約みたいなところから始まった部分ですが、それが支持されるということ自体は、やはり税の使い道に関して住民の皆さんの理解が進んできたということだというふうに思います。

 段階を踏んでいる過程というときに国の制度としてどうするかというのは、いつも念頭に置きながら考えなければいけない御指摘だというふうに思いますので、重く受けとめさせていただきたいと思います。

 それから、今のギャップの話でありますけれども、今回、消費税五%分をいわゆる四経費にのっとった範囲で配分するということで、結果として地方分は一・五四%です。これを仮定として二十四年度の地方財政計画ベースで換算しますと四・一兆円の増収になります。

 一方で、地方財政は、当然巨額の財源不足が続いておりまして、二十四年度においても十三・七兆円に及ぶ財源不足ということでありますので、今回の増収分、例えば四・一兆円を見ましても、直ちに地方財源不足が解消されるものではなくて、相当額、九兆数千億円がまだ存在する。

 これはどうしていくのか。入るをはかり出るを制するということでいえば、やはりなお一層の地方財政の効率化、圧縮ということと独自の税収を含めた財源の確保ということに、一般論としてはそうなっております。

 しかし、今までの部分でいうと、一番あるべきは、交付税率を引き上げて、本来の部分で入るをはかるということが一番大事だと思いますが、国、地方ともに、国を含めても大変財政が厳しいという部分でありますけれども、意識としてはそういう方向を持っているということでございます。

橘(慶)委員 今のお話でいけば、今回の一体改革といっても、国、地方の財政の分担といいますか、地方の財政対策という意味では、言ってみれば、まだ入り口というか第一段階であって、これで最終段階ではないという御認識、このように一つ受けとめさせていただきます。

 と申しますのも、後でもう一度御質問しますが、今回の一体改革は、地方税の偏在性の問題については結局まだ手つかずとなっておりますので、そんな意味では、大きな社会保障と国税ということではそれは一体かもしれないけれども、私どものこの委員会としてはまだ大きな問題がそこに残っている、こんなことになるんじゃないかなと思っております。

 それで、きょう私は、会派の中で最初の質問でありますので、若干細かいところを、この後多少お時間をいただいて、技術的なことにわたって少し地方交付税法を順次質問させていただきます。福田政務官の手を大分煩わせることになるようでございますが、よろしくお願いいたします。

 まず、地方財政計画におきまして、給与関係経費、これは今回二十兆九千七百六十億円ということで、前年比一・四%の減額であります。毎年ここは着実に減額をされてきているわけでありまして、ここ五年間あるいは十年間というタームでどれくらいこの給与関係経費が減額になっているのか、まず教えていただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 地方財政計画における給与関係経費の計上額につきましては、給与構造改革期間、平成十八年度から二十二年度において、給与水準については地域民間給与を、職員数については五・七%の定員純減目標を反映したこと、給与構造改革後においても、地方における取り組み等を踏まえ、給与水準の見直しや定員純減等を見込んできたことなどから、平成二十年度から二十四年度までの五年間では五・五%減少、平成十五年度から二十四年度までの十年間では一〇・五%減少しているところでございます。

 なお、平成二十一年度から二十二年度にかけて、一般行政経費に計上していた公立保育所分の人件費を給与関係経費に移しかえておりまして、この影響分を除けば、平成二十年度から二十四年度までの五年間では七・三%減少、十五年度から二十四年度までの十年間では一二・二%減少しているところでございます。

橘(慶)委員 地方の場合は、給与の適正化ということもやりましたし、合併ということを含めて、職員数の適正化、減員ということ、純減もかなりやってきているわけであります。これはやはり数字としてお互い重く受けとめざるを得ないんじゃないかな、こんなふうに思っているということであります。

 続きまして、退職手当債ということで、ここはしばらく団塊の世代の退職ということに対して起債で手当てをするということをやってきたわけであります。だけれども、そろそろこういった団塊の世代の退職も峠は越えつつあるものと認識をしております。やはり臨時的な措置だと思うんですが、どのように取り扱われるのか、伺います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 退職手当債でございますけれども、団塊の世代の大量退職に伴う退職手当の急増に対処しつつ、将来の総人件費の削減を進めるため、地方財政法に基づいて、平成十八年度から十年間の特例措置として、当該年度に支給すべき退職手当の合計額のうち団塊の世代の大量退職により著しく多額と認められる部分について、地方公共団体が策定する定員管理・給与適正化計画による人件費の削減によって償還財源が捻出される範囲内で発行が許可されるものでございます。

 退職手当債の今後の取り扱いについては、法律に規定された平成二十七年度までの間において、今までと同様に、法令の要件に沿って適切に対処してまいる所存でございます。先生お見込みのとおり、だんだん少なくなっていくことでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。二十七年度までということで。

 次に、特例加算的に措置いただいている、今までは地方再生対策費と申し上げたり、また雇用関係の費用ということで出しておったわけですけれども、今回、地方再生対策費をやめられまして、今までの費用をまとめて地域経済・雇用対策費という形で、新たに三年間の暫定措置ということで特例加算という形になっているわけであります。

 当然、名は体をあらわすということでありましょうから、今まで地方再生対策とかと言ってきたことが、地域経済、雇用対策というところに、そこは三年間大事だ、こういう御認識だと思いますので、こういった形にした趣旨、こういうことを頑張ってくれという思いをここでお聞かせいただければと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十四年度地方財政計画においては、地方再生対策費及び地域活性化・雇用等対策費について一定の縮減を図った上で整理統合し、歴史的円高など、地域経済を取り巻く環境が激変する中、海外競争力強化等のため、地域が実施する緊急事業に対応するための緊急枠を含め、歳出特別枠として地域経済基盤強化・雇用等対策費を設け、その期間を中期財政フレームの期間である平成二十四年度から二十六年度までの三年間としたところでございます。

 これに対応し、地方交付税法改正案では、附則第六条の二において、従来の地方再生対策費及び雇用対策・地域資源活用推進費を整理統合した上で一本化した臨時費目、地域経済・雇用対策費の基準財政需要額の算入について規定し、その期間を歳出特別枠と同じ三年間とするとともに、地方再生対策費に係る規定を削除しているところでございます。

橘(慶)委員 円高あるいは雇用関係、地域経済へのてこ入れ、こういうことで理解いたしました。

 基準財政費用の単位費用の算定について何問か、さらに細かくなって恐縮ですが、数字が少し違った動きをしているものについてだけ確認をさせていただきたいと思います。

 まず、学校関係で道府県の私立学校だけが単位費用が増額になっております。ここについての理由を伺います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十四年度の道府県の私立学校に係る単位費用は、前年度に比して三千五百円、一・三%増加しております。

 この理由は、都道府県が行う私学助成及び授業料軽減補助について、都道府県が私立高校生への支援を初め地域の実情に応じたさまざまな施策を展開できるよう、最近の国、地方の私学助成の動向等を踏まえ増額を図ったことによるものであります。

 具体的には、私学助成については、私立学校の生徒等一人当たりの単価について、国庫補助の単価の伸び率の状況等を踏まえ、前年度に比し〇・五%増としております。あわせて、高等学校の授業料軽減補助分については、高校の実質無償化についての公立学校の実態も踏まえ、私立高等学校の授業料の負担軽減措置への対処の必要性に鑑み、前年度に比して三〇%の増としているところでございます。

橘(慶)委員 この部分は例の高校授業料無償化の公私間格差の問題にも絡むわけでありまして、ぜひ措置をいただきたいところだと思います。

 続きまして、道府県、市町村において、地域振興費に係る単位費用、これを増額した理由について伺います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十四年度において地域振興費の単位費用を増額した主な理由としては、住民生活に光をそそぐ事業の拡充として、地域消費者行政のさらなる充実を道府県及び市町村分で講じたこと、さらに、道府県分においては、特定非営利活動促進法の一部改正による認定NPO法人制度に関する事務に要する経費について、職員を増員する措置を行ったことの二点であります。

 このため、地域振興費の単位費用としては、道府県分については七百七十三円、対前年度比一・六%増に、市町村分については二千二百八十円、対前年度比二・二%増に増額しているところでございます。

橘(慶)委員 この部分は前から片山大臣が少し力を入れられた部分であって、そういうものを巻き込んでこういうところに充てておられる、このように理解いたします。

 もう一つだけ聞かせてください。これで単位費用をやめますので。

 高齢者保健福祉費、これは、道府県、市町村、福祉というのは大体逓増していくものでありますから、大体単位費用はみんなふえていくんですが、ここの高齢者に係る部分だけが減額になった。ここだけ何で減額という感じがあったんですか。これだけあとお願いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 高齢者保健福祉費の測定単位である六十五歳以上の人口及び七十五歳以上の人口は、国勢調査人口の置きかえに伴いまして、平成二十四年度の算定においては、平成二十三年度算定に比べまして、六十五歳以上人口において一三・九%、七十五歳以上人口において二一・三%と大幅に増加することとなりました。

 これを踏まえて標準団体の見直しを行った結果、平成二十三年度に比べまして、標準団体における高齢者一人当たりの経費を求める単位費用については、六・六から一一・五%の減となりました。

 なお、平成二十四年度の基準財政需要額については、単位費用に対して大幅に増加した測定単位を乗じることとなるため、平成二十三年度に比べまして、道府県分が千七百四十億円程度、市町村分が千二百七十億円程度増加する見込みでございます。人口は増加しましたが、一人当たりにすると減っておりますが、総額が増加している、こういうことでございます。

橘(慶)委員 平成十七国調から平成二十二国調に置きかえたんでしょうけれども、ちょっと聞いてびっくりしたのは、六十五歳以上人口が一三・九%もふえているとか、物すごく高齢化が進んでいるなということを改めて実感させていただきました。全体としての掛け算した費用がふえているということであれば、地方としては安心かと思います。

 皆様方のところにずっと毎回毎回のようにしつこくつけております借入金残高の、例のワニの口が広がる表であります。全体の地方の借金、交付税特会の借入金も入っていれば、地方の公営企業、病院とか水道の借入金も、一般会計の借入金も臨財債もみんな入っているんですけれども、二百兆ぐらいでとまっている中で、白抜きのこの臨財債の部分がどんどん広がる、ワニの口であります。

 前回、大臣からは、二十四年度になるとこれが四十兆円になって、いわゆる普通会計の起債百四十四兆円の中に占める割合が非常に高くなってくる、やがて三割、こういうことであります。

 そこで、ここは一、二確認したいんですけれども、今回、単位費用をいろいろ見させていただいて、私ども、自分が誤解したようでありますが、前回、臨時財政対策債についてはもう借りかえになっている、それは借りかえで生かしていくしかないような今地方財政対策の状況だという話がありました。

 そのほかの特殊な起債として、減収補填債とか財源対策債とか補正予算債とか、年度の進行に伴っていろいろ特殊な起債をやるわけですが、こういったものは元利ともきちっといわゆる交付税の中で、基準財政需要額の中で手当てされているということの確認をさせていただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 公債費の交付税算入の方式には、先生御承知のとおり、元金千円に対する元利償還額の当該年度分を単位費用として理論的に算入していく理論償還方式と、元利償還金千円のうち基準財政需要額に算入される分を単位費用として償還額の実績を基礎に算入する実額償還方式があるところでございます。

 臨時財政対策債等多くの地方債は理論償還方式となっておりまして、実額償還方式の単位費用に比べて低くなっておりますけれども、償還の全期間を通算すると、元金、利子ともに全て算入されておりますので、どうぞ御安心をいただきたいと思います。

橘(慶)委員 それでは、この臨財債の部分でもう一つだけ、前回よりも一つ問題を前へ進めてお話を聞きたいところがあるんです。それは、今の地方自治体のいわゆる財政健全化の関係の実質公債費率と、例の、どれくらいになると起債が許可になるとか許可団体になる云々ということで、前回そのデータを示していただいたわけであります。臨財債というのは、普通はそういう財政再建の指標を出す場合はカウントしていないんだ、でも、カウントするとかなり厳しくなるという数字は前回御説明をいただいているわけでありますけれども、その際、都道府県の場合はもう半分ぐらいがいわゆる一八%、起債許可団体の水準を超えるということで、どうもこの臨財債の問題は市町村よりも都道府県の方にかなり厳しく出ているんじゃないかなという感想を持ったわけであります。

 この辺の私の感じが正しいのかどうか、これについて総務省さんの見解をお伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 仮に臨時財政対策債の元利償還金を控除しない場合の実質公債費比率を平成二十二年度決算ベースで試算いたしますと、委員御指摘のとおり、許可基準である一八%以上となる都道府県の割合は約四割であり、その一般市区町村の割合約二五%と比較して高くなっております。

 その主な理由でありますが、試算前の都道府県の実質公債費比率の決算値の水準が市区町村のそれより相対的に高いことによるものと考えられます。すなわち、平成二十二年度決算ベースの実質公債費比率は、市町村加重平均が一〇・五%であるのに対しまして、都道府県加重平均は一三・五%となっているところでございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 ですから、都道府県と市町村に分けると、もちろん東京都とか特殊なところは別ですが、都道府県にもやはり問題が、ある意味で集中しているというか、より厳しくなっているという認識を持たなきゃいけないんだと思うんです。

 確かに、考えてみれば、それも今御答弁を聞きながら、はっと思ったんですが、私は市区町村の方だったものですから、こちらは例の合併があったりいろいろなことで、ある意味で強制的にといいますか、スリム化していったという部分もあるわけですが、都道府県についてはそういうことはしていないわけでもありますし、財政というのは、それぞれ別々に見ながら、それこそ政務官は知事をお務めになったわけでありますし、都道府県の財政がおかしくならないようにという手当てについては、全体の中でやはり考えていく必要があるな、そういう認識をちょっと強めたわけであります。

 続きまして、この交付税の中で、例の宝くじ、当せん金付証票法の改正という問題がありますので、二つお伺いしておきたいと思います。

 一つは、今回の証票法の改正によりまして、知事または特定市の市長が、当せん金付証票の発売等の事務について、今までは銀行等、実質一つの金融機関でありますが、そこへ全部委託していたものが、今回は、一部はみずから行うことができるという改正が行われたわけであります。

 この趣旨、そして、では自治体が何か自分でやるということを想定されているのか、ここについて確認をしたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 現行法では、発売団体は、宝くじの発売等の事務を金融機関に委託しなければならないという義務づけがありました。本改正案では、発売団体からの要望を踏まえまして、発売事務の競争性、それから自由度を高める観点から、発売団体がみずから発売等の事務を実施するか、または分割して発注することもできる仕組みを導入したということであります。委員、御指摘のとおりでございます。

 そこで、この仕組みを活用する場合、どのような形で発売団体において検討されるかということでありますけれども、例えば広報宣伝など金融機関が受託する必要性の低い事務を発売団体みずから実施する、または個別に発注するといいますか、そういう形が見込まれるのではないか、こう思っております。

 いずれ、今グリーンジャンボを発売しておりまして、復興財源の一助にもなりますので、橘委員初め委員の皆さんにも御購入をよろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 早速何か広報宣伝の一部を分割して、みずから今行われたようなところもあるなと思いましたけれども、御趣旨はわかりました。

 今回、最近の宝くじの出方がちょっと悪いということも含めて、インターネット販売とか、それから委託の弾力化を進める中で、もう一つ、当せん金、三百円の宝くじを買うと、ジャンボだと三億円という数字が出てくるわけでありますけれども、これを百万倍から二百五十万倍にするわけでありますから、三百円のくじは最高七億五千万円、ロト6だともっと高くなるんでしょうけれども、こういうことになるわけで、一面、非常に魅力的にされるんですけれども、こういう種類の問題においては、当然射幸心をあおるんじゃないかという問題は常にあるんだと思います。

 ですから、もちろん、一つは、売り上げがふえて地方財政を潤したいということもあるし、また一面、そういった国民の、堅実に、健全に、夢はちょっと追いかけてもというその辺でとめる、余りそこにのめり込まないようにという歯どめも必要だと思っております。

 特に若い方々には、今回はインターネット販売もオーケーということでありますから、そういったところで射幸心をあおっちゃってということにならないように、やはり一定のそこの歯どめというか、そういう認識も必要じゃないかと思っております。

 このあたりをどういうふうにお考えなのか、そしてまた、若い方々対策を何か考えておられれば、これも教えていただきたいと思います。

川端国務大臣 宝くじが最近販売が低迷をしている傾向にありました。そして、先般の東日本大震災の復興の宝くじ、今のじゃなくて、発災直後に企画したものが、三百億売り上げの予定が百億を切った売り上げしかなかったということで、私的に研究会をつくりまして、いろいろな人に、国民の各層の人に集まっていただいて、いろいろお知恵を出していただきました。

 そういう中で、やはり夢を買うと同時に社会貢献をするという大変有意義なものであるので、もっと売れるようにしようと。そのときに、若い人にも買いやすいというふうな工夫でインターネットの話もあれば、高額賞金にしてほしいというのと、低くていいからたくさん当たるようにしてほしいというのと両方あります。

 そういうことを含めて、いろいろ議論をいただいたときに、平成十一年に、前後賞合わせて三億円ということからずっとそのまま来ておりまして、ことし、今売っているのが初めて三億円という、百万倍、上限はもうとうに設定してあったんですが、初めて到達いたしました。

 そして、商品設計の自由度という意味では、販売団体、地方団体からも、もっと高額にしてほしいと。

 それから、スポーツ振興くじのいわゆるtotoのBIGなんかは、もう既にもっと高額、二百万倍のくじを売っております。競輪、オートレースでは六百万倍というものが売り出されているということでは、いわゆる額的な倍率でいいますと、必ずしも射幸心をあおるものの水準ではないというふうには思っております。

 ただ、今回のは上限を引き上げるということでありますので、一気に七億五千万にするということではありませんし、現に平成十一年の四月に百万倍に引き上げられて、実際に百万倍の宝くじを発売したのはことしの二月でありますので、十三年間は据え置いているということもあります。

 そういう意味で、実際に七・五億円の宝くじまでいくのにどうあるかというのは、これはやはり社会の状況等々を慎重に見ながら、御指摘のような射幸心をあおるようなことにならないように、そういう世論の動向、周辺の環境状況を慎重に見ながら、実際の販売の最高額は決めていきたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ぜひそこは慎重に、また魅力を高めていくことも大事ですが、また一面、そういう負の側面については慎重に対応をいただいて、若い方々の対策もぜひよろしくお願いしたいな、このように思うわけであります。

 地方税の方に入ってまいります。

 時間のある限り、まず税の中身の方を先に聞きます。ちょっと順番を変えます。

 まず、この租税特別措置に係る政策評価、通告では、この項の二項目めから始めさせていただきます。

 二十四年度税制改正要望に際しまして、各省庁の租税特別措置に係る政策評価の百六十五件中百四十九件が有効性の面で分析、説明が不十分だ、費用対効果の分析、説明が不十分だ、評価局の方でそういう結末になっているわけであります。

 ちなみに、前年度、二十三年度のときは全て不十分という点検結果であったわけであります。十六件は合格したんですが、百四十九件落第というのは何か基準が厳しいのではないかと思ったりもするんですが、見解を伺います。

新井政府参考人 御答弁いたします。

 租税特別措置等については、平成二十二年度税制改正大綱に基づき、抜本的に見直すこととされ、その見直しに当たっては、背景にある政策の今日的な合理性、政策目的に向けた手段としての有効性、補助金等他の政策手段と比した相当性の観点から、政策評価を厳格に行うことが求められております。

 総務省は、各府省において行われた政策評価について、合理性、有効性、相当性に係る説明が評価に求められる一定水準に達しているかどうかの観点から点検を実施しているところでございます。

 また、点検に当たりましては、各府省に補足説明を求め、評価情報の充実を図る等の取り組みを進めており、昨年度と比べ評価の質が、それぞれの項目におきまして、ある程度向上してきていると考えております。

 各府省におきましては、今回の結果を踏まえ、さらに評価の質の向上に取り組んでいることと考えられ、また、本年度から、租特透明化法による適用実態調査が実施されており、評価において重要な情報となる費用対効果に係るデータの収集が進むものと思っております。これらにより評価の質がさらに向上していくものと期待しているところでございます。

橘(慶)委員 私は、行政評価局さんのこの評価、いわゆる行政をチェックする機能については非常に評価するわけですけれども、一面、評価疲れにならないように、そこはぜひ、ペーパーばかりがふえてきて、余りその中身、実が伴わないということにならないようによろしくお願いしたいということで、質問を一つ飛ばします。

 その次に、一つだけ非常に細かいことをまた聞かせていただきます。

 法の第百四十三条の改正というところ、ちょっと理解できませんでした。道府県が自動車取得税を交付する対象というのが、当然ですが、今まで道府県内の市町村と書いてありました。その市町村の後に「(特別区を含む。)」ということで、しかし、道府県には今特別区がないんじゃないかと思うんですが、こういうふうにあえて改正される理由について、一応確認をいたします。

岡崎政府参考人 自動車取得税のお尋ねでございますが、同税につきましては、御承知のように、都道府県に納付された税の約七割が、道路の延長、面積に応じまして当該都道府県内の市町村及び特別区に交付されておりますけれども、御指摘のように、地方税法の第百四十三条では、市町村に対し交付するとのみ規定をされております。

 一方で、地方税法第一条第二項、これは地方税全体に通じます総則でございますが、ここで、道府県に関する規定は都に準用する、市町村に関する規定は特別区に準用するという規定がありますので、現行の百四十三条におきましては市町村に対しとだけ書いてあって、特別支障はないものでございます。

 ただ、今般、自動車取得税におきまして、エコカー減税等に関して大幅な法改正がありましたので、これを契機に規定全般を見直したところ、ほかの地方消費税等、他の道府県税の市町村交付金について、明示的に特別区を含むと書いてある例が多いものですから、今回、確認的に特別区を含む旨を自動車取得税交付金についても規定をしようと考えたものでございます。そういう意味で、一種規定の整備であると考えておりまして、実質的な内容の改正ではございません。

橘(慶)委員 最近、○○都構想というのが多いものですから、何か先取りされたのかなと一瞬思ったんですが、了解いたしました。

 続きまして、eLTAX関係のお話を幾つか聞かせてください。

 今度は、法第三百十七条の六第五項以下の新設というところですが、給与支払い報告書を、会社、民間団体等が、そういうものの提出義務を今度電子的方法によるものとされるわけでありまして、これは対象が絞られていまして、調書の数が、国税を引いていきますと千以上ぐらいの団体、会社について、電子的方法によらなければいけないという形に地方税の方がされるわけであります。

 ここについて、この調書等の数が千以上という具体的基準をもう一度確認させていただきたいと思います。

岡崎政府参考人 御指摘のように、国税の給与所得等に係る源泉徴収票の提出をe―Taxまたは光ディスク等で行うことを義務づけられている者につきまして、地方税についても出していただくということでありますので、国税の規定を見ますと、前々年の源泉徴収票等の提出枚数が、調書の種類ごとに、例えば給与の源泉徴収票であるとか年金の徴収票であるとかということの種類ごとに、一千枚以上の者につきまして提出が義務づけられておりますので、地方税も同様の基準でお願いをしたいと思っております。

橘(慶)委員 そうすると、大体社員が千人ぐらいいる会社については、国税はe―Tax、そして地方税はeLTAXということで、今まで紙で出していたものを電子化していく、そうしなければならないという義務づけをするということであります。

 ただ、私がちょっとひっかかったのは、国税、地方税連携ということでこれは非常に評価しているものですから、この対象となる会社が、税務署さんとそれから自分の社員の居住する市町村、両方にデータを出していかなきゃいけないというのが何かちょっと寂しいかなと。現状は多分そうなんでしょうけれども、改善されるお気持ちがあるのかどうかということを含めて、お伺いいたします。

岡崎政府参考人 御指摘のように、所得税の確定申告書につきましては、それを提出いたしますと、地方税法で住民税の申告とみなすこととされまして、一方で済むわけでございます。

 他方、御指摘の源泉徴収票、税務署に出しますものと市町村に出します給与支払い報告書につきましては、一つは、給与支払い報告書だけに書いてある事項がございます。提出先の市町村コード等でございます。

 そういうものがあるということと、それから、実は提出の範囲が違っております。国税に出す源泉徴収票につきましては、例えば給与ですと五百万円を超える支払いをした方だけの分を出せばいい。ところが、地方税の方につきましては、原則、個人住民税の税額を決定して賦課するためでございますので、原則、給与を支払った全員の方についてのものを求めるというふうな違いがありまして、従来から国税当局と市町村にそれぞれ出していただいているということでございます。

 ただ、事務の軽減、特に事業者の方の事務負担の軽減という観点からは、これから番号制度等の導入もありますので、そうした動きを踏まえまして、より簡素なやり方ができないかということについては検討してまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 やはりいろいろなことを少しずつ簡素にしていく、あるいは前進させていかないと、今のいわゆるナンバー制度ということになっていかないと思いますので、ぜひこれは一カ所で済むようになれば幸いだということで要望させていただきたいと思います。

 そしてまた、一つ飛ばしますが、要するに、従業員千人以上の方、大体その方々が電子的に今度できるというわけですけれども、仮に五百人とか六百人とか、少し少ない事業所であっても、いや、もう電子化したいんだ、これはもううちもそうしますよという方々のために、そういった方々も今回どうやらできるということになるようでありますが、その辺の手続はどういうふうになるのか、一応確認をさせていただきたいと思います。

岡崎政府参考人 地方税法の三百十七条の六第七項という規定が今度入りまして、御指摘のように、電子的提出の義務化の対象とならない比較的小規模な事業者等でありましても、市町村長の承認を受けた場合などには、光ディスク等で提出ができるということになっております。

 市町村長は、提出される光ディスクの規格が、特に読み取りができないとかの問題がないことを確認した上で承認をするということになっておりますので、そうした事業者であっても電子的提出ができるということでございます。

橘(慶)委員 ずっとこうやって情報の出し手の方の話をしてまいりましたが、市町村ですから全国に千七百四十ばかりあって、eLTAXは全てもう導入されたということになっているわけですけれども、今回のこの電子的な形での情報の受け渡し、キャッチャーの方も、例えば、小さな町や村であっても、そこに○○電力さんの事業所なんかがあると、住民がいると、そこへは、二人や三人のものであっても当然電子的に出さなければならない、だから、受け取らなければならない、こうなってくるわけであります。

 役場のそういった体制ということについて本当に問題がないのかどうか、確認だけさせていただきたいと思います。

岡崎政府参考人 御指摘のように、企業等に対しまして電子的提出を義務づけるというためには、当然、受け皿になります市区町村が電子申告の受付サービスを行っているということが大前提でございます。

 平成二十四年一月時点で、ネットワークとしてはつながっているんですが、電子申告受付サービスを導入しているという市区町村は、全体の約七割、千二百四十六市区町村でありますけれども、実は、この数年で相当に導入が進んでおりまして、これから二十四、二十五年度の二カ年間で相当進むのではないかと思っております。

 我々も、この義務づけが施行される二十六年一月までにさらに進むよう、全ての市町村が入るぐらいを目標にしまして、導入に努力していきたいと思っております。

 なお、御指摘がありましたように、仮定の話としまして、小規模な町村などで対応できない団体がその時点で残ってしまった場合どうするかということですが、この場合にも、eLTAXの方のポータルシステムで受け付ける方法、その小規模市町村の分も受けられるような方法を新たに検討いたしまして、事業者等には迷惑がかからないようにする体制をしっかり構築したいと考えております。

橘(慶)委員 マイナンバー法というのは、そのカードというかナンバー、これが大事なんですが、それを処理するプラットホームをしっかりつくっていくということは非常に大事なことで、そこが進めば進むほど、物事は取り組みやすくなると思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと個別の固定資産税の減免の措置について確認をさせていただきます。

 鉄道駅について、今回バリアフリー化施設を減免される、二十四年、二十五年、二カ年間減免されるわけですが、どんなものを想定され、どんな整備水準、どれくらいの駅まで、どういうものをということについてお答えをいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 鉄道駅等のバリアフリー化につきましては、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく移動等円滑化の促進に関する基本方針、国家公安委員会、総務省、国土交通省告示におきまして整備目標が定められているところでございます。

 この基本方針が平成二十三年三月に改正されまして、平成三十二年度までに、一日当たりの利用客数が三千人以上である全ての鉄道駅等にエレベーターやホームドアシステムを設置することが新たな整備目標として設定されたところでございます。

 また、このうち、ホームドアシステムについては、整備に当たり膨大な投資費用がかかることなどを考慮し、事故の発生件数が多い一日当たりの利用客数が十万人以上の鉄道駅等に優先的に設置することとされたところでございます。

 本特例措置は、こうした取り組みを税制でも支援するため、平成二十四年度から新たに講じることとしたものでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 三千人ぐらいの利用というと地方のちょっとした駅ということでありましょうし、十万人ということになるとこの辺でいえば赤坂見附とか溜池山王とか、これからホームドアということなのかなと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 一つ飛ばさせていただいて、ことしは、二十四年度は三年に一回の固定資産税の評価がえの年であります。市町村においては一番大きな、ある意味で基幹的な税目でありまして、地価の下落等による減収に見舞われている、このように伺っているわけであります。

 全国的な今回の評価がえによる影響額、減少率、そしてその要因。また、それをカバーするために総務省さんも非常にいろいろな努力をされて、まあ第一歩ということでしょうけれども、住宅用地に係る据え置き特例というものの廃止ということを実現されたわけであります。これによって減収のどれくらいのものがカバーされるのか、確認をさせていただきたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 平成二十四年度の固定資産税及び都市計画税の税収見込み額は、評価がえの影響や、あるいはまた家屋の新増設の低迷等によりまして、平成二十三年度の税収見込み額対比四千六百七十三億円減の九兆六千四百八十六億円、減少率で申し上げますと約四・六%の減と見込んでおります。

 そしてまた、住宅用地に係る据え置き特例の見直しによりまして、平成二十四年度の増収効果は二百五十七億円、こう見込んでおります。

 以上であります。

橘(慶)委員 市町村では一千四百億円程度の減収ということで、初年度二百五十億円ぐらい、平年度はその倍ぐらいはカバーされるようでありますけれども、こんなことでありまして、その分また何らかの方法での税目といいますか、いろいろな課税ということも考えていかなきゃいけないのかなと思うわけであります。

 でも、第一歩を踏み出していただいているということは、これで、今地価がこれだけ下がっているわけでありますから、急に全てを実現するということはできないでしょうけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 最初に申し上げたように、地方税収の地域的な偏在性、特に法人税が偏在するということで、四千億円規模で都道府県ベースでは再調整をされるというようなシステムも数年前には入れたわけであります。

 どうもそこの部分についてはまだ将来像が見えていないわけですけれども、地方法人課税のあり方の見直し、こういったことを含めて、この後どのようにお取り組みになっていきたいのか。方針あるいは思いということでも結構ですので、ここでお伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 地方自治体、首長の御経験もおありですので、その思いは十二分におわかりだと思いますが、やはり行政サービスは継続的に安定的にやらなければいけない。当然ながら、そのためには、景気にも安定して、地域にも偏在しないという税源、財源がどうしても必要だということは、もう言うまでもありません。

 そういう中で、税制改正大綱あるいは社会保障・税一体改革においては、「地域主権改革の推進及び国と地方を通じた社会保障制度の安定財源の確保の観点から、地方消費税を充実するとともに、地方法人課税のあり方を見直すことなどにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築する。」ことというふうに記載をしておりまして、方向としてはそれをやるということであります。

 地方法人特別税は、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置であり、一体改革にあわせて抜本的に見直すことはかねてから記載されていることでありまして、今、知事会含めていろいろな議論をされているところでございます。

 そういう意味では、基本的には、地方消費税の充実と同時に、地方法人特別税はそういう抜本改革にあわせて見直していくということの方向性は既に出ておりますので、この方向に沿って我々としてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っています。

 ただ、偏在性の小さな地方税体系というものを構築していっても、やはり税源の偏在は当然残りますので、地方交付税を通じた財政調整を行うことは、これはもうどうしても避けられないということは前提にしております。

橘(慶)委員 方向性は今お伺いしたわけですが、これが少し時間がかかるということであれば、いわゆる法人課税の中で事業所割りとか人数割りとか、その辺でのもう少し技術的な調整であっても多少は偏在性を是正する方法があるというふうにも承っておりますので、もし抜本的になかなか進まないのであれば、そういうこともあわせてお考えいただいたらいいと思います。

 あわせて、地球温暖化対策のための税でありますが、これは地方側から要望の強いものであります。今回は初年度ということで見送りというような形になっているようでありますが、今後の取り組み方針についてお伺いいたします。

川端国務大臣 地球温暖化対策のための税については、二十三年度税制改正案として提出させていただきましたけれども、与野党間の協議が調わなかったということで、改めて二十四年度の税制改正案として出させていただいていることでございます。

 地方公共団体は、森林整備、地球温暖化対策に係る諸施策の多くを担っていただいておりますから、これまでの税制改正をめぐる議論の中でも、地球温暖化対策に係る地方の財源を確保、充実する仕組みがどうしても必要だということが背景にございます。

 こういう意味で、平成二十五年度実施に向けた成案を得るべくさらに検討する旨を改めて明記させていただきましたので、引き続きそのことは検討してまいりたいと思います。

 なお、具体的な地方財源の確保、充実の仕組みについては、成案が得られるまでの間の臨時の措置として、二十四年度の地財計画においても、地球温暖化対策暫定事業費百億円を特別枠として計上させていただきました。この地球温暖化対策のための税で想定しておりますのは、初年度が三百九十一億円、平年度は二千六百二十三億ということでありますが、これが成案が得られるまでということで臨時的に百億円計上させていただきました。

橘(慶)委員 臨時財政対策債は小さく産んで大きく育って困るんですけれども、こちらは小さく産んで大きく育てていただきたいと思います。

 最後に、何とか時間がありましたので飛ばした質問を、皆様方にも資料の二枚目、三枚目、環境省で出ているホームページからとってきたものをお配りさせていただいております。これは、例の瓦れき処理の問題であります。

 前々回ですか、一度質問させていただいて、その後も非常に大きな社会問題になっていまして、御案内のとおりであります。こういう形で首長さん方も立ち上がってくるようなお話もあるようでありますし、前もお話ししたとおり、出向者はもちろんですが、地方六団体との緊密な関係も持たれている総務省さんであります。ぜひ、この辺について、科学的に冷静に受けとめられる環境づくり、そしてまた、こうやって声を上げてこられる首長さん方にいい意味で、主体的には環境省さんということはもちろん理解しながらも、何か全員野球のような形でそこをフォローするということについてまたいろいろ工夫をいただきたい。このことを御答弁いただければ、それで終わりたいと思います。

川端国務大臣 配付資料でお示しいただきました心ある首長さんの活動は、本当にありがたいことでございます。

 環境省が窓口でありますが、我々も含めて、こういうありがたいことを含めて、これはぜひともしっかり支えて前進できるようにやってまいりたいと同時に、現に、現場で大変御苦労されながら今頑張っていただいていますので、その情報共有の中で、こういう手だて、ああいう手だてということが出てきております。

 今言われましたように、正しい放射線量への知識とか、技術的な処分の方法というものの周知をするとか、あるいはそういう体制をとるときの費用の発生とか、いろいろな部分のことが出ておりますので、それについては、しっかり財政的措置がとれるように、そして自治体の皆さんとも総務省なりの役割をしっかり果たして前進できるように、頑張ってまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

原口委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 自由民主党の伊東良孝でございます。

 それでは、地方税法等の一部を改正する法律案外二件について質問をさせていただきます。

 まず、通告順序がちょっと違いますが、最初に選挙制度についての御提案及び指摘をさせていただきたいと思います。

 今議会でも一票の格差等々の問題も出ているところでありますが、過疎地、離島、限界集落に限らず、地方都市におきましても独居老人が大変にふえております。また、いわゆる災害弱者と呼ばれる、体の弱い、あるいは障害を持つお年寄り、そういう方々が多数おられるわけであります。特に、要介護度三、四以上の、いわゆる特別養護老人ホームの待機者が私ども北海道だけでも二万五千人を数えているわけでもあります。

 また一方、高齢化もどんどん進んでおりまして、日本全国で百歳以上のお年寄りは四万七千人を超えたという昨年九月の敬老の日の報道もございました。年齢だけで判断するわけではありませんが、やはり年とともに足腰が衰え、あるいはまたひとり暮らし、さらにまた病弱というような人たちが相当ふえているわけであります。

 さて、これは選挙に絡んでのお話でありますけれども、いわゆる小さな集落あるいは田舎においては、投票所が町の学校か役場か、大体そういったところになっているわけでありまして、今度は、そこに行く交通手段もなかなかない方が相当ふえているわけでもあります。隣近所で乗り合わせて、送り迎えをしてくれるうちがあるのはいいんですけれども、そうでない方々がたくさんいらっしゃいます。

 さらに加えて、ことしの冬の大雪などなどを見てみますと、大雪が投票日に重なればもう全く行けないようなうちがたくさん出てまいりますし、雪ほどでないにしても、大雨あるいは台風、さらにはまた寒かったり暑かったりということになりますと、体の弱い方あるいは御高齢の方、また交通手段、足を持たない方々は、投票所まで行くというのが非常に難しいことになってまいります。

 このような過疎地域における選挙の現状認識について、総務大臣にお聞きをしたいと思います。また、進む高齢化、過疎化に、今後、選挙の投票のあり方としてどう対処していこうとされるのか、お聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、逢坂委員長代理着席〕

川端国務大臣 御指摘のように、国政選挙における投票所の数を見ますと、やはり減少傾向にあります。過疎地域の多い都道府県において、特にその傾向が見られております。

 例えば投票所の推移で見ましても、全国的に、平成十二年の衆議院選挙で五万三千四百三十四カ所が平成二十一年では五万九百七十八カ所で、四・六%ぐらい減っておりまして、北海道においては一一%減、島根県で一二%減というふうに、やはり中山間地域における過疎化による選挙人の減少等が影響しているというふうに思っております。

 やはり投票の権利は、今言われたように、悪天候も交通手段も山間地も含めて、ひとしく民主主義の一番の原点でありますので、しっかりやっていただきたい、事実上、権利が奪われることのないようにということで、総務省としては、選挙管理委員会に対しては、投票区の増設、あるいは移動困難者に対する巡回バスの運行など、投票機会の確保について十分配慮するようにという、お願いベースでありますが、要請はずっと続けてまいりました。しかし一方で、こういうふうに減っているということで、具体的に、どういうことができるのか、あるいは、よそがこういうことをやっているという事例の紹介も含めて、もっときめ細かくやる必要があるというふうに認識しております。

伊東委員 私はちょっと指摘をしたことが昔あったんですけれども、自治体が行政改革の一環で選挙費用も若干削ってくるという傾向がありまして、投票所を減らしたり、あるいは公営掲示板の数を減らしたりするような傾向が見られたものでありますから、それはまずいのではないかと戒めたことがかつてあったところであります。やはり私どもは、まさに一票の格差の問題が論じられているときに、いわゆる投票環境の格差が拡大してはいけないというふうに思うところでもございます。

 これは、郵便投票制度などもありますし、出稼ぎに出かけている方々はこの郵便投票制度をよく利用するわけでありますし、また一般の方々では、かつての不在者投票から期日前投票に変わって、相当投票しやすくなったという面もあります。また一方、病院や介護施設におきましては、従前から、不在者投票が病院施設ごと、介護施設ごとに行われているということでもあります。

 とすれば、今の時代、そういった過疎地において、病院も何もないものですから、お医者さんや看護師さんが時々出かけていく、あるいは郵便配達の方々が訪ねる、さらにはまた宅配便もそうでありますし、役場の方もそうでありましょうし、さまざま、そこに出かけていくしかないわけであります。とすれば、期日前投票期間中に、その方々からの要請、リクエスト、予約等々に応じて、それぞれの役場の選挙管理委員が立ち会いのもと、投票箱をライトバンの後ろにでも積んで出かけていく、やはりこうした投票を促進させる運動も必要ではないかという気がしてなりません。

 何十人か固まる病院や介護施設には出かけることはできるけれども、一軒一軒のお宅には出かけることができないというのもなかなか理屈の合わない話でありまして、これからの高齢化時代やあるいは過疎化を考えますと、どうしてもこういうことでもしてきちっとした対応をしないと、投票率の向上も望めないし、あるいは政治への国民参加もだんだん遠ざかるような話になろうかと私は思います。

 本当に何回も言いますけれども、ただ単に一票の格差だけで、人口だけでこの重みを論ずるのではなく、やはり投票環境をきちっと整えて、国民ひとしく、投票の意思のある人には投票をしていただく環境整備をするための努力を、これは総務省も、さらに自治体も必要であるというふうに考えますが、この点、いかがでございましょうか。

川端国務大臣 委員の御指摘は、私は大変大事な御指摘だと思います。

 今までも、御指摘がありましたように、期日前投票ということを柔軟にすることで相当便利になった。あるいは、投票時刻も遅くになりました。そして、病院、介護施設、それから郵便投票、お触れいただきました。在外邦人に関しても一定の手続をとれば投票できるというふうにしてまいりましたけれども、こういう部分でいろいろなアイデアの議論をいたしますと、便利にするという部分と、公正であるのか、正確であるのか、不正がないのかということがやはりよく言われます。

 それで、私も割にインターネット投票を含めていろいろな選挙制度に関してかかわってきた経過があるんですけれども、正直ベースでお話ししますと、伊東委員からこの御議論があるということで、例えば今回の移動式のことなんかどうなんだということにしますと、こういう難しいことがあるということがいっぱい出てくるんです。それは事実なんです。巡回していたら、二重投票が、不正の人が防止できるのかどうかとか、あるいは、予約しておいて、車でトラブって行けなかったらどうするのかとか、俺の投票権は迎えに来なかったから奪われたとかというふうな、心配事はたくさんあります。

 しかし、心配事がいっぱいあるからやらないという話をしてしまうと何も進まないというふうには本当に思います。これは、今までからずっとそういう議論があったと思います。船員さんが船で、マグロ船、カツオ船で遠洋に出るときにどうするのかというふうなこともいろいろありました。みんな知恵を出してクリアしてきているわけですから、一度やはり私なりにもちょっと検討させて、正確と安全性を確保する中でいろいろな知恵を出して、こういう過疎の地域がふえてきて高齢化がふえてきているという実態の中でより投票ができやすくすることは、一度しっかりと私も議論させていただきたいというふうに思っております。

伊東委員 それでは、選挙について、最後にもう一問だけお願いいたします。

 投票率低下等々、これに対する対策を一生懸命練っているところでありますが、田舎だけではなくて、一方都会では、通常、期日前投票所は区役所、市役所等々公的な施設を利用するわけでありますが、若年層の投票率の向上が近年大変な課題となっております。

 この点を考えますと、逆に、集客力のあるショッピングセンター、あるいは駅、デパート等々のたくさん人の集まるところに期日前投票所を設ける、これは無制限にあちこちに設けるということにはもちろんならないとはわかりますけれども、しかし、役所の中だけで待っているというのではなくて、もう少し積極的に若い人たちあるいは勤め人の方々の利便性を考えてあげる、こうしたことが必要ではないかと思います。

 どこか一部でやっているような話も聞いたことがあるんですけれども、繁華街等々に期日前投票所を設けることにつきまして、大臣の御所見があればお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 それぞれの選挙管理委員会でいろいろ工夫をされているところでございますが、今御指摘の部分は、いわゆる駅前とかショッピングセンターにということで見ますと、平成二十二年の参議院選挙では、全国四千六百四十二カ所の期日前投票所の中で、駅前、ショッピングセンターなどに設置されたのは百七十五カ所あります。

 そのときに、数字として、例えば平成十六年の参議院選挙を基準にして十九年参議院、二十二年参議院で見ますと、全国平均でいうと、期日前は一・五倍、一・七倍ぐらいになっているんですが、八王子市で駅前に設置したのをふやしたところ、全国平均よりは伸び率が高かった。秋田市においては、ショッピングセンターに設置したときは、これは相当高かったということで、やはり一定の効果は出ていると思います。

 そういう意味で、それぞれの選挙管理委員会でいろいろ御努力いただくときに、こういう先進的な、あるいはうまく効果が出ていると思われるような事例はできるだけ皆さんに知っていただくことも大事だと思いますので、まずは、そういう先行的な事例も含めて、情報提供を今までしてきましたけれども、これからもいろいろ調査をする中で、全国的に周知することに努めてまいりたいと思っております。

伊東委員 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 地方公務員の給与削減について、若干でありますけれどもお聞かせをいただきたいと思います。

 これは、政府内で、地方公務員の給与引き下げを促進する観点から、地方交付税を六千億減額することを検討するとの報道がございました。これについては、予算委員会で、我が党の河野太郎議員の質問に対しまして、岡田公務員制度担当大臣は、私が就任して以来そういう議論は承知しておりません、こう答えられたところでもあります。私も新聞でしかわかりませんが、川端大臣も同様の御発言をされたと聞いているところであります。

 この六千億円の減額、本当に政府内においてこれが御検討されなかったのかどうか、所管の大臣として、事の真意を含め、御答弁をお願いしたいと思います。

川端国務大臣 これは、この委員会でも何度か答弁させていただきましたし、所管としては私の担当でありますし、政府内において今のような議論をしたことはございません。

 そして、今回のこの議員立法で附則でつけられた部分は、基本的に、地方自治法とこの法案の趣旨を踏まえながら、自主的に皆さんでお決めくださいということを期待するということでございまして、それを踏まえて、我々として、国でやる減額分に相当する部分を例えば地方交付税を減額するとか、そういう措置をもって強制することは一切考えておりません。

伊東委員 当然のことであろうというふうに思います。地方公共団体、これは、それぞれに行財政改革の成果は異なるものの、全体として、国家公務員の定員純減五・七%を上回る七・五%の純減率をこれまでも達成しているわけでもあります。また、平成十六年度以降、全地方公共団体のラスパイレス指数の平均は連続して九九未満となっており、国家公務員の給与水準を下回っているところでありまして、だから、一方的、一律に地方交付税を削るなどということにはならないというふうに考えているところであります。

 私の知る限り、多くの自治体は、おおよそ国の人事院勧告を参考といたしながら、公営企業の職員については一部労使交渉等々により、また一般職員については人事委員会勧告を踏まえて給与及び勤務条件を決めるというのがこれまでのルールとなっております。

 かつて、三位一体改革で行財政改革をとにかくやらなければならないということで、職員数の削減あるいは人件費の削減に相当な努力をし、自治体は財政再建をしてきているところでもあります。今般の国家公務員給与法の七・八%の削減実施に当たり、地方公務員給与についても削減努力を促しているところでありますが、これまでの人件費削減の取り組みは、今申し上げましたように、自治体によって相当な開きがあります。成果の違いもあることから、ラスパイレス指数等々の、どれだけの行革をこれまで行ってきたかなどを参考に、自治体ごとの目標数値を立てさせる、それによってまた促し方、督促の仕方も変わってくる、こう思うものであります。

 今般、国家公務員給与に係る臨時特例法の附則第十二条では、「地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする。」このような附則がありますが、総務省として、この自主的かつ適切な対応とは具体的にどのような対応を考えているのか、また、そのような地方公共団体の対応が着実に進むようにどのような指導を行っていくのか、大臣にお伺いいたします。

川端国務大臣 まさに、地方自治法では給与は条例に基づいて、先生お触れになりましたように、そのときの民間あるいは地域の実情、国の状況、それから人事委員会の勧告を含めて、条例で決めるということで、市長を御経験でありますので、そういう部分で御苦労の中でやってきていただいている。そして、それぞれの自治体が大変苦しい中を人件費の削減にも取り組んでいただいている。そういう意味での地方自治法の趣旨と、今回国は七・八%削減しますということの状況の中で、自主的かつ適切に対処していただきたいということは、基本的には、やはりそういう国の状況、それから地方の実情、今までの経緯、そして当然ながらそこの人事委員会勧告を含めて総合的に、まさに独自で決めていただきたいということであります。

 地方六団体からも文書をいただきまして、「これまで地方は、地域の実情や厳しい財政状況等を踏まえ、独自の給与削減や定員削減を断行する等、国に先んじて行財政改革を実施してきたところ」であると。それから、「国が地方に対し給与削減を実質的に強制することは、附則第十二条の立法の経緯を踏まえれば、決してあってはならない」といった内容の意見書も出ております。

 そういう意味では、今申し上げた趣旨で、我々、先ほど申し上げましたように、交付税の削減とか何かで強制することは考えておらないと同時に、この趣旨でそれぞれに判断をして対応していただきたいということで、何か目標値を立てさせるとかいうことも今のところ考えておりません。

伊東委員 ただ、法律の附則の「地方公務員の給与については、」というくだりからいきますと、自主的に判断してくださいという話だけでは、これは総務省としては何の指導も何の示唆にもならないのではないかと思います。

 私が言いましたように、これは河野太郎議員もたしか予算委員会の中でお話ししておりましたけれども、地方自治体といっても、千七百幾つあるのがさまざまな取り組みを今日までしてきているわけであります。一生懸命、十数%も人件費を削減している町村もあれば、全くそうでないところも、国家公務員を上回るようなところもないわけではないというふうに承知しているわけでありまして、では、果たして国として、それはそのまま放置して、あなた方の好きに、今までどおりやりなさいという話になるかどうかとなると、私はそう思わないんです。

 ですから、さっき言いましたように、自治体自治体の取り組み状況をしっかり総務省としては把握して、取り組みの弱いところ、あるいは国家公務員を上回るようなところは、少なくとも国家公務員並みにやはり合わせてくれ、あるいは努力をすべきでないかという話ぐらいしなければおかしい話じゃないかと思いますけれども、この附則十二条、そんなことだったら何にも要らぬという話になってしまいますけれども、この点について再度大臣の見解を伺います。

川端国務大臣 議員立法の各党間の協議の経過の中で最終的に合意された、そして追加的に自公で修正された条文だというふうに承知しておりますが、この文章について、こう決まったということは、こういう趣旨が盛り込まれているからということは、技術的指導ということで黄川田副大臣名で各地方自治体には通知をいたしております。

 そういう中で、今それぞれ濃淡がある中、一定の指導をすべきではないかという御指摘でありましたけれども、どういう基準でどうするかということは、まさに地方の自治に対して国がどこまで関与するかということは根幹にかかわる大きな問題であります。地方自治体においては議会において条例で決めるということは、首長の判断と同時に議会の判断として、国の状況、地方の状況、民間の状況、人事委員会勧告を含めて、そこで判断する。その結果は、まさに地方自治の中で、住民の監視とチェックのもとにそれぞれの責任において行われることであろうと思いますし、いろいろな状況で住民が、この首長さんは、この議員さんはこういう態度だったということが、自律的に機能することが地方自治の本旨だと私は思っております。

伊東委員 基本的にはそれでいいと私は思うんですよ。物の考え方としては、制度としても、基本的な考え方は私はこれで何ら異存あるものではありません。しかし、現実に、国家公務員が七・八%の給与削減を行って、さらに地方にもそれを附則第十二条で求めているわけでありますから、通達しましただけで、はいそうですか、そういうことにはならないのではないかという気がしてなりません。

 やはり、努力を全然していないところと一生懸命努力をしてきたところと、紙一枚通達を出せばそれで国としての責任は終わったなどという考え方は、私は違うのではないかという気がします。地方自治を侵さない範疇の中で、総務省としてお話しできること、理解を求めることは、幾らでもできることがあるのではないか、こういう気がいたす次第でもあります。努力をしているところとそうでないところをしっかり総務省は把握すべきだというお話をしているわけでありまして、これは別に、点数にしてどうだ、数字を羅列して順番をつけるなんという話ではない話でありまして、これについて、総務大臣に再度お伺いいたします。

川端国務大臣 地方財政計画の中で、それぞれの自治体に関しての特別交付税含めての部分の議論は、きめ細かく対応しております。そういう中で、その自治体がどういうふうに努力されているかということ等は、我々としても、交付税の部分ではいろいろと議論をし、意見交換をし、情報交換をする中で対応しておりますし、努力していただいていれば一定の評価をすることは当然あってしかるべきだというふうに私は思います。

 ただ、ここはこういうふうにと指導するということまでになりますと、どの水準にするのかということもありますから、そういう部分では、きめ細かく自治体といろいろお話しする中で、その自治体が健全に運営されるようにということにおいて総務省の責任はある、仕事もあると思っておりますけれども、何か一定の水準を決めて、こうということでやると、それは地方自治を侵すことになるという極めてセンシティブな部分もあることは御理解をいただけると思います。

 我々なりにしっかりと、その本旨に基づいてやれるようにという観点では、我々はいつも接触をして意見交換をしておりまして、これからもしていきたいと思っております。

伊東委員 大臣の言われることは私はよくわかって言っているのでありまして、そういう自治体の取り組みを総務省もしっかり把握しながら、今後対応していただきたいと思います。

 先ほどもちょっとありましたように、これに対する六団体あるいは知事会から反発があるというふうに伺っているところであります。知事会その他にはどのような説明をなされたのか、あるいはまた理解を求めたのか、大臣にお伺いいたします。

川端国務大臣 今、全体に対しては書状を発出したということでございますが、今までも、国と地方の協議の場を含めても、地方六団体からは再三にわたって、自分たちは本当に必死の思いで人を減らし、給料を減らしているという努力があると数字も示して御説明もありました。そういう中で、国としてはこういう形で国家公務員をやる、震災復興の財源と厳しい国家財政ということでやるということは、それは当然ながら説明をいたしました。そして、強制的に同じ水準を交付税措置等々ですることはないという説明もしっかりとしております。

 そういう部分では、いろいろな機会を通じて、意見交換と情報交換と同時に、我々の考え方は述べているところでございます。

伊東委員 わかりました。

 それでは次に、震災復興特別交付税についてお伺いいたします。

 個々の被災団体における復旧復興事業に伴う地方負担額や税の減免に伴う減収分を全額措置するよう、この復興事業等々の実施状況に合わせて復興特別交付税が決定、配分されることになっております。

 平成二十三年度分としては、一次補正、二次補正、三次補正予算により、この復旧復興事業に伴う地方負担分一兆三千六百三十五億、これと地方税法の改正に伴う地方税等の減収分三千億円が交付されることとなっておりますが、まだ配分が行われていないというふうに聞いております。昨年十一月三十日に成立した平成二十三年度交付税総額特例法改正法によって、復興事業等の実施状況に応じ柔軟な交付決定を行うために、額と決定時期について特例を設けていたにもかかわらず、まだ交付がなされていないというのはいかなる理由なのか、お伺いします。

川端国務大臣 平成二十三年度の震災復興特別交付税については、国庫補助負担金の交付決定に伴う地方の負担額を初め、今御指摘になりましたように、地方税等の減免措置に伴う減収額等を可能な限り的確に把握して算定を行う必要があるということでありますので、本年度においては、三月下旬の決定、交付を目途に、現在、精力的に算定作業を進めているところでございます。

伊東委員 三月下旬という話も、本当にこれでいいんだかと思いますね。

 震災の復興事業の実施に全力を挙げている被災団体からは、早期の交付を要望する声は上がっていないんでしょうか。また、交付時期がおくれることで、復興事業の執行がおくれたり、被災団体の資金繰りに悪影響が出るようなことがないのか、こういった心配はないのか、大臣、再度お聞かせください。

川端国務大臣 これは、一月初旬に被災団体への説明会と意見交換を行いまして、下旬に第一回の調査を行いました。そして、各府省の地方負担額の照会を行いまして、一月末の交付決定分からという調査を始めたところでありました。それから、二回目を二月の下旬に行いました。そのことを含めて、各府省の地方負担額の回答、それから地方団体に対しての基礎数値の照会、そして三月の間もなく地方団体から基礎数値の回答がやってくるということで、手順を踏み、きめ細かく丁寧にやることで下旬の決定になるということで、各自治体ともにそういう手順で進んでいることは御了解をいただいて、今作業を進めているところでございます。

伊東委員 二十四年度もこれはあるわけでありますが、今後、震災復興事業の円滑な執行に万全を期すために、この特別交付税の交付回数あるいは交付の時期、決定額の見通しを被災団体に明確に示すべきであろうと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

川端国務大臣 二十四年度の震災復興特別交付税の決定、交付時期については、復旧復興事業の実施状況を踏まえる必要があるために、現時点で確たることは申し上げられませんけれども、被災団体の予見可能性を高めるためには、一定のルール化が行われて、団体においても大体めどがつけられるというルールをつくることが望ましいと考えております。また、被災団体の事務負担が膨大になっては、何回もやるとそれだけ事務負担がかかるという部分では、事務負担にも一定の配慮をしなければならない。一方で、個々の団体の実施状況、早いのもあれば遅いのもあるということでありますので、それに対しては柔軟な対応が求められるということもあります。

 ということで、今のところ、年度の半ば、例えば九月と年度末、三月の二回、決定、交付を行うことを基本としつつ、弾力的に対応することを前提としてこれから進めてまいりたいと思います。

伊東委員 ぜひ迅速な対応を求めたいと思います。もう一年が来るわけでありますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、地域自主戦略交付金についてお伺いします。

 民主党政権は、国が使い道を決めるひもつき補助金を段階的に廃止して、地方がみずからの創意と工夫、自由な裁量で使える交付金として地域自主戦略交付金を二十三年度に新規創設し、当初、五千百二十億円の予算を計上しました。現時点において、既にこの交付金の持つ矛盾や限界が聞こえてくるわけであります。

 すなわち、目玉政策として鳴り物入りで創設され、対象となりました七省一庁の九事業の予算を一旦内閣府に集めて、都道府県がその範囲内で事業を自由に選択できるとしたわけであります。それを内閣府が各省庁に予算を移しかえて交付する交付金、補助金であります。予算委員会でも、民主党議員からこの一括交付金に対する評価を質問され、川端大臣は、都道府県からの評価はおおむねよかった旨の発言をされたのを、私は横におりまして聞いておりました。

 しかし、指定された九事業の範囲内、私も、昨年、予算審議のとき、本当に各省庁、この一事業を仕方なしなし出してよこしたのかなと思わざるを得ない。国交省の社会資本整備総合交付金の一部、農水省の農山漁村地域整備交付金の一部、厚生労働省は水道施設の整備費補助であります。警察庁が交通安全施設整備費補助金の一部、文科省は学校施設環境改善交付金の一部、経産省は工業用水道事業補助、環境省は自然環境整備交付金の一部、環境保全施設整備補助金、そして総務省は消防防災施設整備補助金、この七省一庁の九事業だけであります。この中でもちろんやりくりはできるのでありましょうけれども、ふたをあけてみれば、この予算は、事業官庁に移しかえられた後、各府省の関与は全くなくなったわけではなく、また、補助金適正化法の対象から外れなかったことから、地方の自由度は全く高まったとは言えなかったのであります。

 結果的に、この自主戦略一括交付金がもたらしたものは、事業官庁と内閣府の双方と調整しなければならない地方側の二重の手間と、内閣府が予算を束ねて事業官庁につけかえする無駄な行政コストの増だけであった、このように思うわけであります。

 総務大臣、自画自賛はいいんですけれども、厳しい指摘も聞く耳を持たなければだめだ、こう思うわけでありますが、この点、いかがでございましょうか。

川端国務大臣 仕組みとして、今までは各事業、いい言葉かどうかわかりませんが、俗にひもつき補助金と言われますが、各府省の事業に関して、それぞれの自治体が要望をして、箇所づけをそれぞれがされて、予算がつくということでずっと動いておりました。

 これをもっと自由裁量にしてほしいということで、結果的に言えば、内閣府が各府省の分を取りまとめることによって配分額を決定するということで、箇所づけも含めて、内閣府から地方団体はじかに行くことになりますから、あと、交付の手続は、箇所づけを終わったものとして、各府省に戻った部分を事業官庁とやるということで、事務の煩雑化とかいうことは可能な限り起こらないようにする中でいいますと、仕組みとしては、やはり自由度は相当ふえた、国の箇所づけ等がなくなるということで、自由裁量拡大は間違いなく一定の評価はいただいているというふうに思います。

 いろいろな評価があることは承知して、聞く耳を持たないということではなくて、より改善をしていきたいというふうに思います。その中で、もっと幅広く、そしてもっと額を多くということが御要望としてありまして、九事業から十八事業にということで、都道府県分は十六事業を対象としていると同時に、対象範囲の拡大も行いました。額の拡大、それから政令市への拡大も行いました。

 そういう部分では、ことし始めたところでございますけれども、改善をしながら、いろいろな御指摘はしっかり聞きながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。

伊東委員 さらに、平成二十三年度の地方向け国庫補助金は、前年度比九・三%の削減になっております。これは、真に地方が必要とする事業の継続に大きな支障が出たとも言われております。

 二十四年度の予算編成に当たっては、完全にこれは迷走状態ではないかと思うわけであります。すなわち、これまで民主党政権は、平成二十四年度に地域自主戦略一括交付金を市町村にも拡大し、予算規模は二倍の一兆円とする、こう豪語されていたわけであります。しかし、今大臣お話しのとおり、拡大範囲は政令指定都市にとどまりました。予算規模は一兆円ではなく六千七百億、去年からわずかしかふえていないのであります。こうなった理由についてお伺いします。

川端国務大臣 国の厳しい財政状況の中で、予算概算要求時点で基本的には一割削るというところから概算要求するということになりましたので、そういう部分では、トータルとして既存分が減額されたという査定になって、六%強ですか、されたことは事実であります。そういう予算編成上の一割減からスタートするというところからの数字であったことは、こういう財政状況の中でやむを得ない部分であったというふうに思っておりますが、そういう中で、総額的には、沖縄分を除いては四千七百七十二億円が六千七百二十五億円、沖縄分を含めると八千三百二十九億円ということで、精いっぱいの予算編成であろう。

 そして、市町村分は、市町村の御意見として、政令市は自分たちも取り組みたいという御意向でありましたが、中核市においては、やりたい部分もあるけれども、年度間の変動をどういう仕組みにするのか、慎重に見きわめてほしいという市町村からの強い御意見もございましたので、当面は政令市に限るということで、ぎりぎり厳しい環境の中での取り組みだったことは御理解をいただきたいと思っております。

伊東委員 そうなりますと、やはりおかしかったということになるわけであります。自由度を増すとか、ひもつきをやめるとか、そういうお話をあれだけされていて、これは市町村が望まなかったとかそんな話になってきたら、これはひもつきでない、自由度の高い、使い勝手もいい、そういった前宣伝が、非常にいい交付金ではなかったということをみずから大臣がおっしゃっていると同じじゃないでしょうか。

 また一方、今予算の一割削減の話がありましたけれども、これは予算の削減の話ではなくて、予算は削減されても、自由度の増す、ひもつきでなくなる交付金、この事業をふやす、そういう意味でこの一括交付金が設けられたはずであって、予算が一割削られたからこれが伸ばせなかった、六千七百億にしかならなかったなんていう話は、全くそれは理屈に合わない話でないかと思います。

 制度と予算は違うんですよ。これは、自由度の高い、ひもつきでない事業をふやす、あなた方がそう言って設けた一括交付金じゃないでしょうか。ここについて、もう一度お伺いします。

    〔逢坂委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 既存分の枠としての要求としてはそういう仕組みであったということを申し上げたのであって、総額的にはふやしました。そして事業も、九事業から十八事業、都道府県分は十六事業を対象にして、対象範囲も拡大した。

 これは初めての試みでありますから、当然ながら、進めていく中でいろいろ改善する項目もあるでしょうし、当然そういう部分で、地方の自治体の皆さんは、自画自賛とおっしゃいましたけれども、おおむね一定の評価はいただいた。その中でも、事業はもっと拡大してほしい、額もふやしてほしいということは、前に進めてほしいというのが基本的な方向性だということでありますので、私たちは、予算を拡大し、そして事業の数もふやしていっているということでありますので、一歩一歩着実に前進をさせていきたいというふうに思っております。

伊東委員 それでは、市町村がここに全く応募してこないのはどういうことですか。市町村にとっては、自由度の高い交付金があれば、それはありがたいとみんな思うわけじゃないでしょうか。市町村がそれを望まない、政令指定都市にしかこれを拡大できなかった。五千百億から、これが六千七百億に増額した。

 沖縄のお話を先ほどされましたけれども、沖縄の話、聞きますけれども、二十三年度は、他の都道府県予算とは明確に区別されておりまして、三百二十一億五千万が計上されておりました。二十四年度予算においては、より自由度の高い沖縄の一括交付金として、経常経費に充てる沖縄振興特別交付金、仮称でありますけれども、これが八百三億円、投資的経費に充てる沖縄振興公共投資交付金七百七十一億円、合わせて千五百七十五億円の一括交付金が沖縄で計上されているわけであります。

 沖縄にふやしたというのは、別にこの一括交付金の問題でふやしたわけではなくて、普天間対策その他でふやしている話でありまして、これはほかの都道府県とは性格は全然違うわけであります。これは性格も全然違うんですよ、使い道も違いますし。

 それでは、この千五百七十五億円と沖縄県以外の都道府県に計上されている一括交付金との違いについて、政府の見解を求めます。説明してください。

川端国務大臣 沖縄につきましては、沖縄の実情に即した的確かつ効果的な施策を展開するために、沖縄県から強い御要望も受けて、平成二十四年度の沖縄振興一括交付金千五百七十五億円において、投資的経費七百七十一億円についても、全国制度を深掘りして対象事業を拡充するとともに、沖縄独自の制度として、経常的経費についても対象としております。

 なお、市町村分の一括交付金については、年度間の変動、地域間の偏在などで、市長会、町村会から、ことし始まった県分の状況を見ながら制度設計をしてほしい、年度間あるいは地域間変動をどういうふうにして配分されるのかが見えないので、趣旨としては理解するけれども、経過をもう少し慎重に見たいということでありまして、こういうことをやってもらっては困るという趣旨ではございませんでしたので、そういう意味で取り組んでおるという背景は御理解いただきたいと同時に、経常関係費も、これは沖縄は沖縄に行くお金としてもう既に配分が決まっている部分の中身でありますけれども、全国的な部分でいいますと、義務的経費を除きますと、より変動の大きいものになってしまうということもありますので、慎重に検討をやってまいりたいというふうに思っております。

伊東委員 余り言いたくないですけれども、沖縄は今回、内閣府で二千九百億の沖縄関係予算をつけているんですね。それとは全く別に、千五百億の一括交付金をつけているんですよ。そして、その中身も、使い勝手のいい、沖縄が全く自由に使える金として用意しているわけじゃないですか。ほかの都道府県に配分した今回の地域戦略一括交付金とは性格が全く違うわけです。全く違うものを、しかし名前は一括交付金にしているわけでありますけれども、自由度の高い、沖縄のような交付金を一般の都道府県は求めているわけであります。

 こういうふうにもっともっと自由度の高い、そこまで先ほどから言うのであれば、あんながんじがらめの縛りで、それも極めて限定された、各省庁一事業のような、あんな事業に絞らないで、もっと自由度の高い、交付税と同じになってしまえばうまくないわけでありますけれども、しかし、もう少し使い勝手のいい、自由度の高い一括交付金をつくるべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。

川端国務大臣 よりよい制度になるようにという部分では、ことし始まったことでありますが、改善を加える中では、いろいろな御要望の中に今委員おっしゃったような要望もあることは承知をいたしております。そういうことがかなえられるように、各省庁の調整もございますので、前向きに、少しでもよくなるように取り組んでまいりたいと思っております。

伊東委員 それでは、時間も限られておりますので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 二次一括法の全面施行からちょうど一年ということに相なります。まさに昨年、片山大臣時代に、この義務づけ・枠づけの話を随分させていただきました。基礎自治体側の個別の事情を考慮しないで、国が一方的に法的にこの権限移譲を進めたということであっては、現場が混乱するわけであります。当時の片山大臣は、大半は心配ないと思います、ただ、全ての自治体において完璧かと言われると、必ずしもそうと言えない面があるかもしれませんと、その受け入れ体制、能力、財政、職員数等において、こう答弁されたところでもあります。

 この二次一括法の施行期日は三段階にセットされました。直ちに施行できるものは法律公布日、政省令等の整備が必要なものは昨年の十一月三十日、そして地方自治体の条例や体制整備が必要なものは平成二十四年四月一日、もうあと一月もないわけであります。

 いよいよ三段階目の権限移譲が平成二十四年度当初から始まるわけでありますが、現時点において、基礎自治体が本当に国からの権限移譲を受け入れる体制が整ったものと認識されているのか、条例や体制の整備がおくれている基礎自治体はないのか、この実態について大臣の答弁を求めます。

川端国務大臣 第二次一括法で、市町村において都道府県から事務の移譲を受けることとなりますけれども、市町村が十分に対応できるように、関係府省とともに取り組んでまいっております。

 権限移譲に関しては、関係府省から都道府県及び市町村に対して、移譲事務の内容や取り扱い、留意点等について確実な周知、助言を行うこととしておりますと同時に、都道府県において職員の派遣を含む必要な支援を行うように、総務省としても要請をしております。例えば、去年の秋段階において、全ての都道府県において、市町村に対して通知による周知を行うとともに説明会を開催しております。

 今後とも、円滑な施行に向けて、市町村の体制整備に万全を期してまいりたいと思っております。

伊東委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今私は、支障はないのかと聞いたところでありまして、四月一日からの権限移譲には支障はないということでよろしいですか。

川端国務大臣 万全の準備をしておりますので、そのように認識しております。

伊東委員 終わります。

原口委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは五十分の時間を与えられました。何点か御質問をしたいと思います。

 きょうは、大きく、地方交付税をめぐる諸問題、それから、今、伊東先生も御質問されましたが、一括交付金の問題について、三点目に過疎法の期限延長について、四点目に今後の消防団の強化について、この前、日本消防協会から提言があったことを踏まえて質問をしたいと思います。

 まず、交付税であります。

 今度の日曜日、三・一一から一年を迎えます。今委員のお手元にお配りしていますように、自由民主党は、一年を迎えるに当たって、被災地の現状はどうなのか、何が足らないのか、どうしたら復興を加速できるか、そういったことについて、年が明けてから現地に赴き、私も行かせていただき、また、さまざまな方々から、首長、議員だけではなくて、JAから、漁協から、森林組合から、また仮設住宅に入っておられる方から、あるいは商工会から意見を聞き、復興を加速するための十策をまとめ、先日、土曜日夕方、谷垣総裁が、記者発表といいますか、被災地において発表をしたところであります。また昨日、藤村官房長官にこの方策を申し入れました。

 このとおりやっていただければ、相当復興は加速します。それは間違いございません。政府も藤村長官も、各府省にしっかり伝えて、加速するように頑張るというふうにお答えをいただいていますので、ぜひしっかりこれを受けとめて頑張っていただきたいと思います。余りにも遅いんです。遅いことを人のせいにしてはいけないんです、政府は。それが政権政党の宿命なんです。

 いろいろデータを見ても、余りに厳しい数字ですよ。人口はどんどん減っている。鉱工業生産も、それは全国的に景気は悪いですよ、景気は悪いですけれども、はるかにそれを下回る指数なんです。岩手県では、昨年の九八が、鉱工業生産指数ですよ、今八四です。宮城では七四なんです。また、失業手当受給者は、全国的にも減っているにもかかわらず、被災地ではふえる一方だ。米の収穫量も減った。観光地も激減した。漁港の水揚げ量も大きく落ちたままだ。私が大変ショックであったのは、人口も減るんですけれども、昨年十二月の出生数、被災三県は激減しています。福島は二五%減っているんです。宮城は二六%、岩手一六%。若い人が、特に若い女性が多く逃げている、厳しく言えば逃げている。こういうことをしっかり受けとめて復興に取り組んでもらわなければならない。

 私も十七年前に神戸で経験しましたけれども、復旧復興というのは幾ら言葉で言ってもだめなんです。数字が出るんです。被災地の方は、本当に苦しいところは、いいかげんなことを言われても、現実が変わらなければ復興が前進したとは受けとめません。

 そういう意味で、まず、きょうは総務委員会でありますけれども、川端大臣、復旧復興の進捗事業をどう受けとめていますか。当初の想定どおりですか。想定よりもはるかにおくれているんですか。その辺の認識をまずお尋ねしたいと思います。

川端国務大臣 一言で申せば、おくれているのは事実だと思いますし、想定よりもおくれているというふうに私も思っております。

谷委員 そういう基本的な認識で、本当に加速させていただきたいと思います。

 言いわけは幾らでもできるんです。例えば瓦れきの問題。最終処分を行ったのは五%です。一年たって五%、このことを、この責任を重く受けとめてもらわなければなりません。神戸のときは五〇%あったんです。四八%ですよ、正確に言うと。残り五二%も最終処分地のめどはほとんど立っていたんです。それは、そのときに比べて広域的である、埋立処分地がなかなか見つからない、放射能の問題がある、そんなことは一年前からわかっているんです。わかっているから、我々は何度も何度も、これは急ぐべきだ、大変なことになるぞ、国がもっともっと前面に出てやらなければ、この問題は本当に大変なんだということを提言し、法律も二本つくりました、この瓦れき処理だけのためにですね。

 そういう状況でございますので、今までのやり方ではもうだめなんです、基本的に。今までのやり方をさらに抜本的に強化する、こういう基本的な姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 末松復興担当副大臣が来られていますので、改めて現状認識と今後の取り組みについて、簡単でよろしいですから、お答え願いたいと思います。

末松副大臣 先生御指摘のとおり、今復興が想定よりもおくれているという総務大臣のお言葉がありましたけれども、復興庁として二月十日に設立されまして、このおくれを取り戻すべく一生懸命に頑張っていきたい、そういう思いでございます。

谷委員 この復興加速への十の方策、ぜひしっかり受けとめていただいて、今までの単なる延長ではなくて、新たな方策も取り入れて、加速するように頑張っていただきたいということを御要望いたします。

 さて、そのように復興事業は大変おくれている。きのう、震災復興の委員会、私も理事をさせていただいているんですけれども、大臣にお尋ねしました。集団移転の戸数は何戸ですか、まだ固まっていません。仮設住宅は完成しましたけれども、復興住宅、いわゆる災害の公営住宅です、何戸ですか、わかりません。津波防災施設、事業費はどれぐらいかかるんですか、まだ精査中です。要は、何にもわからない、固まっていない。

 そういう中で、さて、地方財政についての問題は交付税があります。先ほど伊東委員も質問をされておりました。二十三年度、二十四年度、震災復興特別交付税ということで、別枠で交付税措置をするという、被災地に大変配慮したかつてない措置を講じられたと思います。このこと自身は私は率直に評価します。神戸のときは違ったんです。全国分の中から回されたんです。今回は別枠で措置されたということは、災害の大きさ、あるいは被災団体の財政力から見れば当然ではありますけれども、そのこと自身は評価させていただきます。

 ただ、それにしても、二十三年度分は最終的に一兆五千二百七十億ですか、アバウトで一兆五千億あります。さて、これは考え方として、復興交付金事業とか、いわゆる国庫補助事業の裏ですね、裏負担、これが一兆五千億だと。しかし、川端大臣、事業は物すごくおくれています。どれだけ執行できるか、時間があれば副大臣に聞いてみたいと思うんですけれども、恐らく副大臣もわからないと思います。想定した以上にはるかにおくれている。高台移転も計画だけで、計画が固まっているところは、まだほんのごく一部しかない。

 そういう中で、この交付税はほとんど繰り越すことになるんですか。

川端国務大臣 この二十三年度分の震災復興特別交付税については、東日本大震災に係る災害復旧事業、復興事業等の実施状況を勘案して総務大臣が定める額について繰り越しを行うということが、平成二十三年度総額特例法第四条の規定でございます。

 これに基づきまして、補助事業が繰り越された場合はもとより、補助事業の不用処理がなされた地方負担相当分についても平成二十四年度に繰り越し、その平成二十四年度以降の扱いについて検討されることとなります。

 なお、このように繰り越しを行った上で、最終的に残額が生じた場合、集中復興期間、二十三年から二十七年における復旧復興事業が終了する際に、精算あるいは後年度の地方財政計画における地方交付税総額の確保に際しての調整により整理することになると考えております。

谷委員 先ほど伊東委員のやりとりがありましたけれども、伊東委員はもっと早く交付すべきだということでありました。

 私は、本来、伊東委員が言うべきだと思いますが、被災地の実態から見れば、ここ二週間ほどで二回私も行きましたけれども、とてもそんな状況じゃない、とてもそんな状況じゃない。

 そうすると、おおむねどれぐらい繰り越すことになりそうですか、大臣。一兆五千億のうち、七割、八割は繰り越しですか。九割ですか、繰り越しは。アバウトで結構です。

川端国務大臣 今まさにそれぞれに問い合わせて精算中でありますので、ちょっとアバウトも含めて申し上げられることは、数字としてはできません。

谷委員 大臣、それはないですよ。一月末、二月末に調査しているでしょう。二月末の調査ではどうなっていますか。アバウトで答えられるはずですよ。いやいや、事務当局も余分なことは言わなくてよろしい。調査をやっているんだから。調査をやるということを表明しているんだから。

 いや、大体、わからないというのはおかしいよ。今の時点で三月ですよ。政務官、おおむねどの程度の執行かというのをつかんでいないんですか。いや、何かおかしいですね。執行管理を全然していないということですか。

川端国務大臣 先ほどスケジュールで申し上げましたように、今最終確認をしている作業中でありますので、その数字に関しては私自身は今承知をしておりません。

谷委員 最終確認は今作業中というのはわかります。ただ、一月末に自治体に求めて各省に聞いて、そしてさらに二月末に自治体に求めて各省に聞いて、アバウトの感覚はぜひ、まあ大臣とは言いませんけれども、それは政務官などはやはりつかんでおくべきですよ、そんな執行ぐらい。どれぐらいおくれているか、感覚でもつかんでいないということですか、総務省は。

 もうこれ以上言っても、知らないと言われるんなら、これ以上聞いてもあれですから、ぜひそういうことに目配りしてほしいですね、お願いは。目配りしてほしいです。

 さて、私の感覚では交付税が恐らく大部分繰り越します、一兆五千億。

 そうなると、そもそも交付税は裏負担ですから、国庫の方ですね、多くは復興交付金かと思いますけれども、きょうは復興庁、副大臣来られていますが。

 さて、そのお金はどうなるんですか、復興交付金。使い勝手がいい、五省庁四十事業で何でも使いますという宣伝文句でしたけれども、今回の交付決定で被災地からの大変厳しい声がありますけれども、その話は今はおいておきます。

 さて、その事業はどうなるんですか。繰り越すんですか。繰り越す場合も、むやみには繰り越しできないですよ、交付税とは違って、事業の繰り越しというのは、副大臣御存じのように。どこどこの場所でどこどこの事業をどの程度するかということが固まらないと、国のお金は繰り越しできません。さて、どうしますか。

末松副大臣 谷先生、繰り越しについて、復興交付金につきましては、今、財政法第十四条三の規定に基づいて繰り越しが可能でございますけれども、さらに事業進捗に応じまして機動的な執行を可能にするため、被災市町村等に基金をつくりまして、そこで基金ということで対応する。事実、市町村の方から基金をつくってくれという御要望がかなり来ておりまして、それを私ども認めて繰り越しということに対応しているところでございます。

谷委員 今基金という話がありました。これはこれで私は結構なことだと思います。ただ、我々は聞いていませんでした、基金の話を。

 基金を設置することができるということを、昨年の法案協議のときでも言明も何もせずに、何か通達で基金をすることができるということを被災自治体にはお伝えしているということですけれども、我々自民党の方には、こういう方式にしたということを、実はきのう、質問のレクのときに初めて知りました。まあ、そのことはそれとして、そういう、何かこう情報を十分与えていただけないという不満は別として、では、今の基金の話です。

 ただ、副大臣、基金というのは、事業が固まって、どこでもいいんですけれども、では財務大臣のところにしましょうか、宮城県石巻市にこれだけの事業と固まった場合にお金を交付するでしょう。それは、石巻市は数年かかるから基金にする、してもいいですよ、そういう意味でしょう。私の言っているのはその前段階を言っているんです。わかりますか、前段階。

 つまり、復興交付金のあれだけの事業が、どこに配分するかということが、被災地のそういう計画づくりが大変おくれているからほとんど固まっていないんじゃないですかと。そのときに、今総務大臣にお聞きしましたように、幸い交付税を全国に配分する前にそのまま繰り越すことができるという規定を今年度、特例で設けたんです。法律の中に書いてあるんです。しかし、国庫補助金はそういうことはできないでしょう。さてどうするんですかとお尋ねしているんです。その交付決定をすることができないものが大部分になるんじゃないですかという問いですよ。

末松副大臣 確かに、谷先生おっしゃるとおり、交付金、決定をしないとそういったものが確定しないのだと思います。ですから、私どもは三月二日に第一次の査定を行いましたけれども、そういったことをできる限り早くスピーディーにやっていくということを通じて復興を推進していくということに尽きると思います。

谷委員 では、再度副大臣にお尋ねします。

 必ず年度内に交付決定はする、みんな使い切るんですか。配分するんですか。そこは大事なことですよ。せっかくこれだけの大きな補正を、多くは三次ですけれども、一次、二次、三次、四次と積んで、交付決定できなかったということはない、みんな、少なくても各県が、基金をつくってでも被災自治体に行くようにやる、そういう答弁だと受けとめてよろしいですか。不用額は出さないという。

末松副大臣 第三次、それから今年度、復興交付金、額が約一兆八千億ございます。今本当に復興庁、職員も徹夜で頑張ってくれていますけれども、そういった中、例えば高台への防災集団移転事業とか、そういった住まいを確保するものとか、あるいは地盤沈下によるかさ上げとか、本当にいろいろなことが来ております。それを、私ども、緊急性に応じて、あるいは必要度に応じてやっていくということで、三月末にも第二次の査定をやります。(谷委員「質問だけに答えてください」と呼ぶ)はい。年度内にやるのが理想なんですけれども、そこはさらにもっとかかるんじゃないかという見通しを持っております。

谷委員 いやいや、副大臣、もう端的に答えていただければいいんです。一兆八千億を、たとえ交付決定をする熟度に行かなくても、もう極力不用額としてなくさないように、少なくとも各県に行くようなやり方でやるんですということであれば、そういうふうに明快に言ってくださいよ。その方がみんな喜びますよ。せっかく計上しても、いやいや、まだまだ熟度が低い、今回の交付金の配分がまさにそうでした。熟度が低いからといって後回しにされた。そうしたら、結局、計上した予算はこのまま落とされるのではないか、それをみんな心配しているんです。再度お尋ねします。

末松副大臣 今先生御指摘のように、市町村から上がってくる事業で、確かに熟度の低いものとか、あるいは復興と直接関係がないものとか、いろいろなものもございまして、それを今整理しているところでございます。できるだけ、三月の末、もう一度この査定をしたいと思っておりますけれども、そこは急ぐということで、やはり事業ごとに私どもは決めていかなきゃいけないものですから、そこのところは御理解を賜りたい、そういうふうに思っております。

谷委員 もう一つわからない答弁でした。

 でも、これは深刻な問題になると思いますよ。もうこれ以上言いませんけれども、そこをしっかりしないと無駄になりますよ。せっかく計上して、我々野党も全面協力したじゃないですか。これは執行の話ですから、また被災自治体のせいにしちゃいけないんですよ。そのことだけは言っておきます。予算を計上したからには、その執行はあなた方の責任なんですよ。そのことだけを御指摘させていただきます。

 あわせて、副大臣にお尋ねします。

 震災関連死という言葉、御存じかと思います。十七年前、神戸の地震で六千四百人の死亡者と今でもよく言われます。しかし、当日亡くなったのは五千五百人です。たしかあとの九百四十人ですか、それはいわゆる震災関連死ということで、震災が起因していろいろなストレスになって、精神的ストレスで突然死とかあるいは自殺とか、そういう方も、震災関連死ということで六千四百名の死者の中に入っています。

 今回、政府の発表している震災による死者数の中に、この震災関連死、新聞報道によれば、既に阪神・淡路をはるかに上回り、今の時点で千三百人を超えているということですけれども、震災関連死の方は、政府は死者として認めて、その死者の中に含めているんですか、お尋ねします。

末松副大臣 三月五日現在、東日本震災における死者は一万五千八百五十四人でございますけれども、ここは関連死については含まれていないと警察庁の方から聞いております。

谷委員 それは副大臣、問題です。それは復興庁、言わなきゃ。関連で亡くなった人が浮かばれないじゃないですか。では、関連死というのは何ですか。関連死ということは、震災に関連して、震災のときに、そのときに亡くなったと同じだ。だから災害弔慰金も出るでしょう。そういうこともしっかり目配りをしていただかなきゃ。

 私は、その前に、去年何度か質問をして、やっと十一月に、避難者の数を、それまで政府発表は十万とか九万とか七万と言っていたのを、三十数万人、こうしてもらいました。テレビで言ってやっと直していただきました。前の政府の発表は、仮設住宅のあれは人数がつかめない、戸数だけだということで、何と三十数万人も避難しているのに、十万だ、九万だ、七万だ、そういう発表しかしていなかったんです。今は、完全ではないですけれども、直りました。

 震災で亡くなった方を入れるように、入れていただくようにしなきゃだめじゃないですか。副大臣の見解をお尋ねします。

末松副大臣 先生御指摘のように、震災関連死で亡くならないように、我々、医療ケアとかそれから孤独死がないように今全力でやっているところでございますが、ちなみに阪神大震災のケースですけれども、今、兵庫県の調べで、平成十七年、震災十年を機に、死者の氏名、性別、生年月日等を調べて、一応、死者が六千四百人、直接死が五千四百八十三人、そして関連死が九百十九人。

 先生がおっしゃったところでございますけれども、この関連死の定義につきまして、震災と相当な因果関係があるということで、災害弔慰金判定委員会が県、市町村に設置されておりまして、それがお一人お一人認定をしていった、そういった数が十年後に発表されたということでございます。

 これをもって、消防庁の方でも翌年に数字をまたさらに発表したということでございますので、この数字につきましては、災害弔慰金判定委員会が正式にきちんとやるということが今までのならわしになっております。今後も、その数字についてはそういう形になろうかと思います。

谷委員 副大臣の理解は間違っていると思います。

 ここで言う、マスコミで言う関連死は、そういう判定委員会で判定された方の人数なんです。そうでなければ関連死の人数なんかは、報道機関といえども、つかみようがないんです。判定委員会というのは、県なり市町村で設けるんです。(発言する者あり)いや、県じゃなくて市町村なんです、これは。ただ、小さな町村では無理でしょうと前の片山大臣に言って、連合、共同して、あるいは県がやるように変えてもらったんです。当時の細川大臣と私も予算委員会でやって、それでそういう仕組みに変えてもらったんです。

 ですから、認定されている方を震災による死者と認めて発表すべきではないですかと私は言っているんですよ。ですから、そこのところをやはり、ぜひそういう方向で検討していただきたいんです。阪神・淡路によって初めて関連死という概念なりやり方が固まったんですよ。それまでは災害によって亡くなったと認められなかったんです。再度お願いします。

末松副大臣 先生の御趣旨は十分理解いたしましたので、早急にそれをチェックして、また御報告をさせていただきたい、そう思います。

谷委員 やはり災害の、そのときに亡くなった方だけではなくて、関連死ということはそれだけ、第三者の方が、いわば公平な立場で認めて、関連して亡くなった方だ、震災で亡くなった方と同じような扱いにすべきだと認定するわけですから、その点もよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 前の片山大臣が、大変細かいといいますか余り注目されない分野も大事な分野がある、それらに力を入れたいということで、消費者対策とかDV対策とか自殺予防とか知の集積とか、そういうことで、平成二十二年度補正で住民生活に光をそそぐ事業という交付金を新たに創設され、そして二十三年度から交付税措置、そして二十四年も拡張されていると聞いております。

 交付税は余りにも複雑でわかりにくい、もっとシンプルにすべきだということが持論であった片山大臣がこういう細かな制度をつくるのはいかがなものかなというふうに私は今でも思っておりますし、また、わずかと言ってはあれですけれども、全国ベースで三百五十億ですから、そう大きな金額ではありません。

 こういう仕組みをつくって効果があったんですか。交付金なり交付税のこういう仕組みをつくってどういう効果があったのか、私はもう一つよくわかりません。これによって児童福祉司が飛躍的にふえたとか消費者行政が充実するようになったとかいうことは聞いたことがありませんけれども、大臣でなくても結構ですけれども、総務省としてどういうふうに認識されていますか。住民生活に光をそそぐ事業の効果です。二十四年度にも計上しようとされているわけですから。

川端国務大臣 住民生活に光をそそぐ交付金という形では、平成二十二年の補正で一千億つけました。

 この効果に関して地方自治体における取り組み状況に関する調査を行いました。

 全国の自治体における自殺予防担当職員数が三百五十二人、五・一%増、児童相談担当職員数が六百二十一人、四・六%増、DV対策担当職員数が二百四十人、三・七%増加するなど、弱者対策、自立支援、地方消費者行政、図書館等の知の地域づくり等の本交付金の対象分野に従事する職員数が全体では二・三%増加するという体制の強化が図られました。自治体アンケートにおいても、八六・二%が非常に有効であった、または有効であったという回答が得られました。

 また一方、自治体によっては、自治体内で優先順位が低いと判断されて実施に至っていない例、あるいは本交付金で、これは補正でやりましたので、補正で予算化されたということで、当初予算から削減をしたというふうなところもあるということでありますので、メルマガ等において活用事例を紹介するなどして、周知を行ってきたところであります。

 この補正で手当てをしたのを踏まえて、これは呼び水的事業ということで、その後いわゆる交付税措置の計算に入れたという経過でございます。

谷委員 今の答弁だけではもう一つよくわかりませんでした。

 つまり、例えば児童福祉司でも、通常の交付税の中に入っているんです、大臣御存じのように。それで、交付税で標準団体の人数をふやせば自治体の多くが倣う、そういう要素もありますので。わかりました。きょうはこの程度にさせていただきます。

 末松副大臣、ありがとうございました。

 次に、一括交付金の方に移らせていただきます。

 お手元に資料を配付させていただいております。ちょっと順序があれでございますけれども、一番最後から二枚目のページでございます。

 昨年度、鳴り物入りで一括交付金が初めて計上をされました。都道府県分だけであります。各府省から拠出してもらいました。そして、これをそれぞれの府県の判断で配分するというのが、配分した表が右側であります。警察なんかはさすがに、警察という組織の特性なのか、三十七億出せば三十七億しっかり確保している。見事なぐらいであります。

 この表で目立つのは、農山漁村整備一千九十億。農水省は内閣府に一千九十億しか出さなかったけれども、全国の都道府県は一千五百億ほど使った。逆に、国交省の三千七百六十億が三千三百二十五億しか使われなかった、こういう結果であります。国交省は大変残念がっていると思います。これをどう受けとめるかということであります。

 私のさまざまな現場の皆さん方の意見を聞いた受けとめ方はこうです。結局、農林水産省の補助金が戸別所得補償の導入によってめちゃくちゃに減らされたんです。ですから、継続事業もやりたくてもできない。それで、本来道路とか河川などを整備したかったけれども、泣き泣きそれらの金を農山漁村整備に回さざるを得なかったというのが多くの自治体から聞いている話なんです。これをどういうふうに受けとめていますか。まずお尋ねします。

川端国務大臣 資料にありますように、農山漁村整備については、拠出額一千九十億円に比較して配分は一千四百九十六億円で、多くなっております。これはもう完全に自主的にお任せしておりますので、都道府県がそれぞれの判断で選択した結果でございます。

 都道府県のアンケートでも、先ほども御紹介いたしましたが、使い勝手がよくなったという御評価をいただいております。我々としては、それぞれの融通性を含めて一定の効果があったというふうに思っております。

谷委員 結局、物事をどういうふうに受けとめるかということですね。

 先ほど来、伊東委員との質疑の中でも、一括交付金はおおむね好意的であった、いい評判であったというのは、表面的なんです。このことを議論してもあれですけれども、本音を聞いてください、本音を。そのことだけを要望しておきます。

 結局、今では民主党の若い議員の方は御存じないかもわかりませんけれども、政権交代して、とにかく、自公政権の補助金というのは、地方への補助金はみんななくします、一括交付金にするんです。そして、いろいろな、この後話が出る過疎法とか地域立法なんか、そういうものもみんななくするんです。新たな自主性を大幅に拡大した仕組みをつくれば、そういう地域振興の法律なんかは不要なんです。各省の補助金なんかも、もうそういうのは全廃しますと声高らかに言っていた。

 しかし、現実の地方自治の現場あるいは地方の実態をつぶさに見ると、とてもそんなことはできないということで、一年前に、来年は市町村の一括交付金をしますと、この場でもその方向だということを何度も言われていました、五千億、一兆ということも言われていた、でも結局できなかった。やれば市町村から総スカンを食らうからです。そのことだけを指摘させていただいて、次に、過疎法の問題に移りたいと思います。

 この過疎法は議員立法でありますけれども、黄川田副大臣は民主党の代表として、我々自民党も、山口先生なり私がずっと出させていただいて、過疎法を延長いたしました。六年という年限で延長しました。こういうハンディキャップ地域の振興を図る法律は五年か十年が普通です。これを六年にした。六年にしたのはなぜかということを改めて黄川田副大臣にお尋ねしたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 今、延長期限六年までということで議員立法が成立したということで、その六年というのはどういうことなんだということでございます。

 我々も、今お話しのとおり、地域主権あるいはまた一括交付金ということでさまざま議論しておりましたので、法律をつくっても必ず見直しが必要だということで、そういう中での六年なんでありますけれども、ただ一方、市町村が実際に計画を立てて予算を執行するに当たっては、前期三年あるいは後期三年というような一つの区切りがなければならないと思っておりましたので、与野党大いに議論があったわけでありますが、委員長の采配によりまして、中をとりまして六年ということになったというふうに思っております。

谷委員 大変慎重な言い回しでございました。

 実は今、黄川田副大臣の答弁にないことがあります。つまり普通は五年あるいは十年なんです。しかし、この過疎団体の多くが平成の大合併をしている。それで、多くの団体が二十七年度末で合併特例が切れる。そのときに合わせなければ、実際の市町村の段階では不都合が生ずるだろう。つまり、過疎は切れてしまって、それで、しかし、まだ合併特例が一年だけあるというのはいかにも不都合ではないかということで、そのことも含めて、そして今、黄川田副大臣が言われた、やはり五年では余りにも計画は短い、最低前期三年、後期三年ぐらいだろう、そういう意味合いもあったかと思います。

 さて、そうなると、合併特例債が、この前の国会ですか、ずっと継続審議になっておりますけれども、被災自治体以外は一律に五年延ばすというのが政府案であります。過疎の方も、そういった経緯からするならば、黄川田副大臣、やはりそれに合わすというのが一番合理的で、みんなが納得しやすくて、なるほどとすっと落ちるように思うんですけれども、まあ、これは議員立法ですから、直接政府が決めるわけではありませんけれども、前に民主党を代表して議員立法の延長問題に携わった副大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。

黄川田副大臣 今御指摘された点でありますけれども、東日本大震災の影響に関しまして、被災市町村等からも、震災による過疎対策事業におくれが想定されることから、事業を完了できるよう要望が寄せられておるところでありますし、また、その他の自治体からも、現在の六年の期間は自立促進計画を策定して事業を執行していく中ではやや短いのではないか、そういう御意見もいただいておるところであります。

 そこで、議員立法であります、合併特例債の期限と過疎法の期限は、法の趣旨等から必ず一致しなければならないというわけではございませんけれども、各市町村の過疎対策に支障があってはならないものと考えております。

 そこで、この議員立法につきましては、与野党ともこれまでも活発な議論をし、先般の延長のときも、まだまださまざまな措置をしなきゃいけないということでいろいろ考えておるところだと思いますので、各党会派胸襟を開いてしっかりと議論していただいて、過疎法の方向性を決めていただきたいと思います。決めたことに対しては、しっかりと政府として仕事をしてまいります。

谷委員 やや遠慮ぎみの答弁でございましたけれども、思いはわかりました。五年ということを目指して、しっかり頑張ってまいりたいと思います。

 最後に、消防の問題について御質問もしたいと思います。きょうは久保消防庁長官にも来ていただいております。

 委員の先生方のお手元にも資料はあろうかと思います。ちょっと順序があれでございますけれども、後ろから二ページ目です。

 先日、日本消防協会、消防団員の方々でつくっている日本で唯一の組織でありますけれども、十七年前の阪神・淡路大震災は、今災害のたびに大活躍している緊急消防援助隊による全国的な広域応援体制の整備のスタートとなった。東日本大震災は、二百五十名を超える消防団員の方々が亡くなるという大変痛ましい、悲しい、そういう出来事があった。また、これからの消防団を考えると、なかなか団員確保とかいうことも厳しい。そういうことを考えると、阪神・淡路がいわば常備消防の全国的な応援体制のスタートということであれば、東日本大震災は、犠牲者のことを考えるならば、やはり消防団を中心とする地域の防災体制の強化のスタートとすべきではないか。こういう考え方で、消防団を消防組織法上の必置機関、今は、消防団を置くことができる、たしかそういう規定であったかと思うんですが、それを必置機関とするというふうに法的にきちんと位置づける。あるいは、消防団員の増員を確保するとか、装備を充実するとか、処遇を改善するとか、そういうことも提言されているわけであります。

 また最後に、その一番下の方でございますけれども、地域の総合的な防災力を高めるためのそういう法律も制定して、国民の関心を高めて、総合的な政策を強化すべきではないかと提案をされています。

 消防庁長官、私の聞いている限り、独自で日本消防協会の方が、各都道府県の消防協会の意見も何度もお聞きしながら、役員会でこういう方策、提言をまとめたと聞いております。どう受けとめておられますか。

久保政府参考人 昨年の東日本大震災を受けまして、昨年の六月以降、五回にわたって、私ども、消防審議会を開催していただいて、本年一月の末に消防審議会から東日本大震災を踏まえた今後の消防防災体制のあり方に関する答申というのをいただいております。その中で、地域総合防災力の充実強化が必要である、あるいは、消防団につきましても、今御指摘があったような形で、地域コミュニティーの核としての充実強化が必要であるという答申を受けております。また、並行して、昨年の十一月から、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会というものを開催して、この夏をめどに結論を出していただくようにしております。

 ただいま御指摘をいただきました日本消防協会の意見でございますけれども、これは、昨日開催されましたこの検討会におきまして、日本消防協会の理事長から説明があったとお伺いしております。消防団を地域防災のかなめとして、そしてまた地域コミュニティーの核として、自主防災組織でございますとか、あるいは婦人防火クラブといったものとの連携を図って、地域の総合的な防災力を高めていくという考え方、これは私ども認識を同じくしてございます。

 今御指摘があった個々の点、例えば消防団を必置化すべきであるとか、あるいは新たな法制を考えるといったことにつきましては、こうした検討会あるいは消防審議会の場を通じてさらに議論を深めていただきたい、こう思っております。

谷委員 川端大臣にお尋ねします。

 今、久保長官が言われるように、日本消防協会の提言をそのままというのは、行政としていろいろ検討すべき課題はあろうかと思います。しかし大臣、やはり政治家として、私も阪神・淡路を経験しましたけれども、あのときから、緊急消防援助隊とか警察の広域的な応援体制とか、あるいは自衛隊が災害に大規模に、場合によっては依頼を待たずに出るとか、そういういろいろな仕組みができたことは確かなんです。

 それで、消防団の集まりの日本消防協会が、本当に過去に例のない多くの犠牲者を出した、そして、恐らく大変多くの方々が傷ついて、家族を亡くして、あるいは知り合いの方も亡くしている。そういう思いもやはり受けとめて、これはやはり政治家として、何らかの法整備を含めた地域防災を、犠牲者のみたまに応える意味からもやるべきだ、そういう思いというかリーダーシップをぜひ大臣に発揮していただきたいと思いますが、最後に御所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のとおり、多くの殉職者を出す中で大活躍をしていただいて、そして、改めて消防団活動の重要さ、地域のつながりの大切さをみんなが共有したところでありますと同時に、これだけの災害に関して新たな知見というか経験も随分踏みました。これだけの経験を踏まえた中で、消防団の皆さんが全国でいろいろ協議をいただいて、御提言をいただいたことは極めて重いものだと思いますし、私も、この大震災を契機にして、新たな防災体制のスタートにしたいということは全くそのとおりだというふうに思います。

 委員御指摘のように、私もこのことを重く受けとめて、この会議には、理事長以下、現場の消防団長さんも御参加いただいておりますが、そういう議論を大切にしながら、やはり、これだけの災害を踏み越えて、新たなものがここをきっかけに生まれていくということにぜひともしたいというふうに思っております。またいろいろと御経験豊富な先生からも御助言をいただければ幸いでございます。

谷委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 さまざまな課題がございますけれども、総務省の総務大臣以下政務三役の皆様方を初め、また地方のためにさらなる御尽力をお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

原口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

原口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 地方交付税及び地方税に関して質問をさせていただきます。

 平成二十四年度の地方交付税は、出口ベースで十七兆四千四百五十億円、前年より八百十一億円増とされております。しかし、その中身を見てみますと、どうしても前年より少しでも上回りたい、そういうことで無理に無理を重ねてこの増額まで持っていったというような感を否めません。

 私は去年も、今回質問するのと全く同じような質問をさせていただきました。地方交付税がだんだんおかしな形になっている、複雑多岐な形になっている、もっと本来の、地方固有の安定した財源として地方交付税を位置づける、そういうふうにしなければならないというふうに主張をしてまいりました。

 民主党政権になりまして、今回が三回目の予算編成であります。一回目よりも二回目、二回目よりも三回目、地方交付税のあり方というのが私はよくなっていくだろうというふうに思っておりましたけれども、そのことは見事に裏切られたというふうに思います。もっとも、一括交付金とか、あるいは国と地方の協議の場とか、そういった看板は非常にまことしやかに語られていますけれども、やはりこの根幹となるべきものは、地方の安定した固有の財源であるはずです。

 ですから、そういった看板だけではなくて、本当にその根源的なところにどれだけ手をつけて、そして、少しずつでもいいから改革をしていくかということが最も大切だと思いますし、そのためには一定の、地方と話し合った上で、ある面では冷静で、そして冷徹な設計も必要になってくるだろうというふうに思います。

 そういうことを考えますと、この三年間、あるいは三回目の予算づくりの中で、当初の、一回目の予算のつくり方、地方交付税のあり方とほとんど変わっていないということでまず質問をさせていただきます。

 国税五税の法定率分は十一兆五百十七億であります。国税精算分の四千四百五十四億を引きますと十兆六千百億円。前年度が十兆五千百億円でありますので、ちょうど切りのいいところで、一千億円の増であります。

 しかし、そもそも今年度の国税五税の収入が前年度より多く見込まれるということは到底思えません。所得税しかり、法人税しかり、あるいは消費税、また酒税、たばこ税、どれをとっても増収が予測される要素はないというふうに思います。もちろん、この国税五税の数字は財務省が試算して、それを総務省がその数字としてもらって法定率を乗じたものであるのでしょうけれども、私は、かなり無理をした試算だなというふうに思います。

 少なくとも過去二回は、民主党の中でこの国税五税、割かしかたく見積もっておられた。そして、上振れ分が生じた、それを次年度に上乗せしたというような手法であったろうというふうに思いますが、このままでいけば、私は、交付税を途中で減額補正せざるを得ないということになりはしないかと思います。

 もちろん、そうなったにいたしましても、二分の一は折半ルールで財務省が持つわけでありますし、あるいは、地財計画はそのまま維持されるでありましょうけれども、地方にとっては非常に不安定な、そして不安な日々が続く交付税であるというふうに私は思います。減額のおそれも含めて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 国税五税を含む二十四年度の国税収入税収は、二十三年度の補正後税収をもとに、二十四年度政府経済見通しにおける各種経済指標等を踏まえつつ、四十二兆三千四百六十億円と見込んだものと承知をいたしております。二十三年当初予算からいいますと一兆四千百九十億円の増になりますけれども、二十三年補正後の予算から見ますと三千百六十億円の増であります。

 なお、見積もりのベースになった二十三年度補正後税収については、昨年十二月の四次補正予算編成時点において、できる限り適切に計上したものですけれども、現段階においてはまだ、年度末もう少しでありますので、三割強の収納が残されておりまして、補正後税収と決算額との間に結果としてどのような乖離が生じることになるのかは、現時点では確たることは申し上げられません。

 税収については、見積もり時点では想定し切れない経済状況等の変化によって、予算額と決算額との間に乖離が生じるものではありますけれども、税目ごとに、足元の課税実績、企業収益の動向、政府経済見通しなど、その時点で判明している直近の客観的データに基づいて行っているものと承知しておりまして、平成二十四年度予算における国税五税収入についても、現時点においては最善のものとして考えられると思います。

坂本委員 昨年、震災が起きました。一次から四次までの補正を組みました。これは非常に無理をした補正ではありますけれども、震災復興のためには、復旧復興のためには、やはり補正を組んでいかなければならない。

 その上に立っての見積もりだと思いますけれども、やはり自治体にとりましては、どういう形で、交付税、もし減額になるならどのくらいの幅で減額になるのか、非常に不安な日々が続くというふうに思います。そこは、都道府県あるいは自治体関係者にも、今回の国税五税の見積もり、あり方、これまでとはやはり少し状況も違うかもしれないというふうなことは、十分情報的に発信をしておかなければいけない問題であると私は思っております。

 それから、その中身でございますけれども、これも昨年、質問させていただきました。ことしも同じようなものであります。

 別枠加算の一兆五百億円、これは地域経済基盤強化あるいは雇用対策ということで、一般会計からの繰り入れでございます。二十三年度の二次補正の一千億円、あるいは四次補正の三千六百八億円、いわばおまけの上積みであります。執行されなかっただけであります。別枠加算も含めた一般会計からの加算分一兆四千九百五十二億円は、本来は地方の固有の財源ではないと言っても差し支えない、別枠から繰り入れたものである、持ってきたものであるというふうに思います。

 地方交付税という場合は、こういった別枠、あるいはさまざまな上乗せ、こういったものは見せかけの産物としか思われないというふうに私は思います。このような別枠加算や一般会計からの流用、二十三年度の二次、三次補正からの積み残しなど、例年のこととはいえ、余り好ましいことではない、やはりここを是正していかなければいけないというふうに私は思っておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 現在の地方財政は恒常的に巨額の財政不足が続いているという状況であることから、本来でいえば、やはり地方交付税法第六条の三第二項に基づいて交付税率を引き上げるというのが交付税制度の本来の姿だというふうに思っております。

 当然ながら、事項要求ですけれども、税率の引き上げは財政当局には求め続けておりましたけれども、平成二十四年度におきましては、二十三年度において、地方交付税総額の決定に関して、二十五年度までの間、国と地方のいわゆる折半ルールを図ってきたこと、それから、国の財政も、当初予算において三年続けて国債発行が税収を上回る見込みという大変異常ともいうべき事態が続いているということを踏まえて、来年度に関して交付税率の引き上げは見送らざるを得なかったというのが現実でございます。

 そういう中で、二十四年度の地方財政への対応に当たっては、地方団体からはぜひとも二十三年度を上回る交付税総額の確保をという強い要望が再三にわたって出されました。そういう意味で、政府としてはこれを最重要課題として、今御指摘のように、国の別枠加算、前年度からの繰越金、剰余金の活用、機構準備金の活用などさまざまな方策を駆使いたしましてその実現に取り組んできたところであります。

 結果として十七・五兆円、前年度に比べて〇・一兆円増額確保で地方交付税総額を確保いたしました。

 いずれにしても、国、地方ともに巨額の財源不足を抱えている現状で直ちには困難でありますけれども、地方交付税総額は、安定的にという意味では本来の交付税率の変更によりもとに戻していくべきものであるというふうに思っておりまして、これからも引き続きその方向を目指して取り組んでまいりたいと思っております。

坂本委員 再三の各地方自治体からの要望で少しでも上積みせざるを得なかった、その間にやはり根本的な交付税率の引き上げ、そういったものは見送らざるを得なかった。これだったら、いかに財政的に非常に厳しいとはいえ、なぜ地方の問題を一丁目一番地とあれほど声高に主張されるのか、私にはわかりません。

 そして、そのきわめつけは、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用であるというふうに思います。活用といえば聞こえはいいのでありますけれども、私からすれば、これは流用あるいは寸借ではないかというふうに思います。

 この機構は、昭和三十二年に全額国出資の特殊法人として公営企業金融公庫としてスタートをいたしました。各自治体が運営する公営企業、当時は有料道路もありましたでしょうし、あるいは水道もありましたでしょうし、あるいはさまざまな発電も含めて公営企業があったと思います。そういった地方の公営企業に融資をする金融機関でありました。

 それが、平成二十年に全都道府県、市区町村が出資をいたしまして、現在の地方公共団体金融機構というふうになりました。地方自治体から、自治体に対しての一般会計についても貸し付けをしてほしいというような要望に応えたものであるというふうに伺っております。いわば、地方自治体にとっては本当に頼りになる銀行であるわけです。出資はもちろん地方自治体であります。

 機構が、市場で短期の資金を集め、それを低い金利で、しかも最長三十年という長期の期間貸し付けるということで、どうしても金利に逆ざやが起きます。それを解消するといいますか埋め合わせするために、債券借換損失引当金として各自治体が拠出した引当金がございました。これが公庫から機構になって、そして、公庫債権金利変動準備金として三兆一千億円が旧勘定として積み上がっているということであろうと思いますけれども、そこまでの経過については金融機構の理事長がお見えでございますので、間違いありませんね。

渡邉参考人 おっしゃるとおり、間違いがないと思います。

坂本委員 でありますから、本来ならば、この旧勘定として積み上がっている三兆一千億円は、出資した自治体に所有権があるといいますか、それぞれ返さなくてはならないお金ではないかというふうに思います。もちろん、地方公共団体金融機構法附則十四条の中で、機構の経営状況が円滑なときは、その円滑な経営状況を上回る金額については国に帰属させるというふうにあります。

 ですから、自民党時代も、これは二十年のリーマン・ショックの折に、麻生政権の折だったと思いますけれども、二千億円、この金融機構の方から地方の経済対策のために回したというような経緯があります。しかし、これはあくまでも緊急の際に、そして地方のために使うというようなことで使われたものであります。法にのっとった今回の対策とはいえ、これが常態化するということは、私はいかがなものかというふうに思います。

 この機構の三兆一千億円の中から今回三千五百億円、地方交付税に回すということにつきましては、地方の団体、これは代表は鹿児島県の伊藤知事ということだそうでありますけれども、了解があったというふうには言いましても、交付税の不交付団体もやはり拠出をしているわけですね。ですから、私は、不交付団体にとりましては不愉快な話であろうというふうに思います。しかも、これから三年間、三千五百億円ずつ交付税の方に繰り入れられるというふうに聞いております。まさにこれが常態化する前ぶれであるというふうに感じざるを得ません。地方交付税を前年度より一円でも積み上げるという実績をつくりたいがための無理な姿勢がこのような手法を生み出したんだろう、私は、これは禁じ手の一つであるし、本来やるべきことではないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、地方団体からは、二十三年度を上回る交付税総額の確保が強く求められております。

 そういう中で、前年度からの繰越金や剰余金の活用などにあわせて、御指摘の地方公共団体金融機構法附則第十四条に基づきまして、機構の経営状況等を踏まえつつ、公庫債権金利変動準備金三千五百億円を国庫に帰属させた上で、地方財源不足の補填に活用することとさせていただきました。

 なお、地方公共団体からは、六団体から、「地方が強く訴えてきた地方交付税の増額の要請に応え、地方交付税の別枠加算の確保など、財源の確保にできる限りの工夫がされたことを評価する。」との声明をいただいたところであります。

 いろいろな方法の中で、工夫をする中での選択であったという背景だけは御理解をいただければありがたいと思っております。

坂本委員 地方団体、それはそういう評価をしたといえども、やはり自分たちの足を食っているようなもので、タコが足を食っているようなもので、私は、本来はやはり慎重にそのことは進めるべきであるというふうに思います。

 そこで、金融機構の方にお尋ねいたします。

 金融機構は、市場で地方公共団体の金融機構債を発行し、先ほど言いましたように、市場から資金を調達する、それを自治体に貸し付ける。相手が自治体ですので、これは貸し倒れも、それから貸し付けリスクもありません。いわゆる安全で安心な金融機関であるというふうに理解をいたします。

 概要を見ますと、債券発行残高は十八・五兆円、それから貸付残高は二十二兆円というふうに書いてあります。二十三年の貸付計画が、これは一兆三千億円、そして臨財債が五千億円、それで一兆八千億円ということですね。貸付残高は、一番多いのがやはり市や区であります。その次が県でありますし、町村であるというふうに聞いております。なぜ市あるいは区が多いかといいますと、どうしても、下水道事業あるいは水道事業そして交通事業、こういったものが貸し付けとして多い分だけに、町村よりも市や区の方に多くの貸し付けが行われているというふうに思います。運用は非常に健全に行われていると思いますけれども、今、運用問題でいろいろな機構が騒がれているときでもございます。運用状況をまずお伺いいたしたいと思います。

 それから、きょう、理事長がお見えでございますので、この機構の職員の皆さんたちの意識としては、自分たちの機構を民間と思っていらっしゃるのか、あるいは国の機関の一部と思っていらっしゃるのか、あるいは地方公共団体の総意によってでき上がったものというふうに思っていらっしゃるのか、その意識についてもお伺いしたいと思います。

渡邉参考人 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。

 その前に、さっき申し上げました中で、一つだけ、公庫債権金利変動準備金の形成の経緯でございますが、先生、地方の拠出というふうにおっしゃいましたが、これは地方が借り入れている金利が蓄積したものでございます。それだけちょっと訂正させていただきたいと思います。

 それから、今の御質問、機構の資金の運用でございますけれども、これは法令によりまして、絶対に安全確実なもの、例えば国債、銀行預金、そういったものに限定をされておりまして、そういったものにのみ運用しているということが実情でございます。

 それから、機構の職員の意識でございますけれども、私、公庫から機構に変わったときに、機構というのはまさに地方の地方による地方のための機関であるということを何度も何度も申し上げておりまして、今先生がおっしゃった中で、間違いなく、これはもう地方のための機関であるという意識で仕事をしておるということでございます。

 以上でございます。

坂本委員 それでは、機構の方で職員は何人ですか。そのうち、地方から、これは出向といいますか割愛といいますか、地方の各自治体からの職員の数、それから総務省からの出向者、あるいは総務省出身の職員の数、そしてプロパーの皆さんたちの職員の数、これを教えてください。

 それから、地方の地方による地方のための金融機関であるというのであるならば、今回、不交付団体も含めて三千五百億、地方交付税の方に要するに回すといいますか繰り入れるといいますか、このことについてどういうお考えをお持ちなのか、どういう感じをお持ちなのか、そのこともお聞かせください。

渡邉参考人 お答えいたします。

 現在の機構の職員数でございますけれども、トータルで八十八名でございます。

 それで、そのうち、国から、つまり総務省から来ている方、それから地方から来ている方、あるいは機構のプロパー、あるいは民間から来ている人の人数ということでございますが、ちょっと今正確な人数が手元にございませんが、大体の比率で申し上げますと、国から来ている人の人数を私は半分以下にしたいというふうに思っておりまして、公庫時代は七割が国からの出向者だったんですけれども、半分以下にしたいというふうに思っておりまして、約半分。それから、地方からの出向というのが公庫時代に比べて相当ふえておりまして、これが大体三割ぐらい、二十数名でございます。残りの二十名弱が機構のプロパーあるいは民間からの出身者ということでございます。それが一点目でございます。よろしゅうございますか。

 それから二点目でございますが、公庫債権金利変動準備金の国庫への帰属という問題についてどう考えるかということでございます。

 先生るるお話しいただいたとおり、私ども地方公共団体金融機構といいますのは、地方債資金の共同調達を行う地方共同法人ということでございますが、旧公営企業金融公庫から引き継いだ債権の管理という仕事もしておりまして、先ほどおっしゃいました旧勘定ということでございますけれども、その安定的な運営のために、公庫債権金利変動準備金というものを備えているということでございます。

 この準備金につきましては、地方公共団体金融機構法の附則第十四条によりまして、次の二つの要件、つまり、機構の経営状態を踏まえて機構の業務が円滑に遂行されているというふうに認められる場合、それから、公庫債権管理業務を将来にわたって円滑に運営するために必要な額を上回る、こういうときにこの上回る額を国庫に帰属させることというふうに法令がなっておりまして、今回はこの規定に基づいて国庫に帰属をするということでございます。

 当機構といたしましては、これまでこの準備金の国庫帰属につきまして、国に対しまして以下の三点について意見を申し上げてまいりました。すなわち、一として、地方公共団体のためにこれは活用されるということ、二番目に、本機構に対する市場の信認と公庫債権管理業務の将来にわたる円滑な運営にいささかも支障が生じることがないということ、三点目は、国庫納付の時期とか内容について計画的かつ合理的なものにするというこの三点の意見を申し述べてまいりました。

 今回、この準備金を地方交付税として活用するということに関しましては、これは幅広く地方財政全体に寄与するものというふうに考えております。また、地方公共団体から交付税総額の確保について非常に強い要請があったということも聞いております。このように、準備金が地方公共団体のために活用されるものであるということ、また、機構の財務基盤の確保等に関しても機構の意見を十分に踏まえたものであるというふうに考えております。

 したがって、当機構としては異議がないというふうに考えておりまして、その旨、総務大臣にもお伝えをしている次第でございます。

 以上でございます。

坂本委員 将来は、総務省出身を中心に、国からの出向あるいは出身を半分以下にしたいということは、半分ぐらいはいらっしゃるわけですね。それでいて、一方で、そういう地方のための地方の金融機関ということでありますので、私は、もっと緊張関係を持っていい、そして、もっと裁量権を持っていい、大臣と総務省と、あるいはそのほかの省庁も含めて、やはりお互いちょうちょうはっしで渡り合うような、そういう気概を持っておくべきであるし、そのための職員の構成の変動やあるいは意識改革、こういったものも進めていくべきであると思いますけれども、理事長のお考えをもう一回お伺いします。

渡邉参考人 お答え申し上げます。

 私、機構を経営するに当たりまして、今おっしゃられたとおり、国との距離感あるいは地方との距離感、こういったものが大変大事だというふうに考えている次第でございます。

 私の実感として申し上げますと、私、公庫時代から公庫の総裁として、機構になった後、機構の理事長として仕事をしておりますので、その変化といいましょうか、これを非常に実感として感じているわけでございますけれども、少なくとも公庫の時代に比べますと、国との距離感というのは明確に違っておりますし、機構自身の裁量の範囲が相当広がっているというふうに実感として感じております。

 また、さっき申し上げたとおり、少なくとも私を初めとして働いている人間の意識としては、地方のためということを非常に強く意識しているつもりでございます。

 ただ、先生おっしゃるとおり、地方の機関として、国との緊張関係と申しましょうか、そういったものが非常に大事だと思いますので、これからもそういったことに心がけて経営をしてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

坂本委員 ぜひ、その裁量性なり自主性なり緊張関係なりを維持し、あるいは、これからもっと強めて運用に当たっていただきたいというふうに思います。

 私、このように今まで言ってきましたのも、一番最初に言いましたように、交付税の中身のあり方がだんだんやはり変わってきている、本来のあり方ではないということであります。これは何も民主党政権になってからではありません。自民党時代からもうこういう形態で進んでまいりました。財源不足からやむにやまれず、別枠加算をしたり一般会計から持ってきたり、さまざまな上積みをしたり、そしてとうとう、先ほど言いましたように、金融機構のお金にまで手をつけると言うとおかしいですけれども、そこを頼りにするようになったというのが実態であるというふうに思います。

 資料の二を見ていただきたいと思います。

 平成十二年から平成二十四年までの交付税の中身を列記してみました。本来ならば、この真ん中あたりにあります国税五税の法定率でその大半をやはり確保する、それが地方のための安定した固有の財源のあり方であるというふうに考えます。

 しかし、現実はなかなかそうではない。その法定率をそのままにした形で、特別加算あるいは一般加算あるいはさまざまな上乗せ、こういったものをやっていく。本来ならば、民主党、一丁目一番地は地方主権あるいは地方のことと言ったわけですので、少なくとも民主党政権の間にこの交付税の形を少しでもよくするぐらいは、あるいは本来の形にするぐらいの努力はすべきであったというふうに私は思います。

 確かに、地方の方からすれば、少しでも交付税の額にこだわるということは、それはもう当然でありますけれども、同時に、交付税の内容というものに対して、いかに将来的にも安定したものにするのか、あるいは将来的にも安心できるものにするのかということからやはりスタートをすべきだったと思います。

 しかも、先ほど言いましたように、今回が三回目の予算編成です。三回目の中で、徐々に徐々にまたこういう姿になっているということは、果たしてそこにどれだけの努力があったんだろうかというふうに思いますけれども、いま一度大臣のお考えを聞かせてください。

川端国務大臣 基本的にこうあるべきという姿は、坂本委員が思っておられることと私、基本的な認識はほぼ共有しているんだというふうに思います。

 そういう中で、このグラフを改めて見させていただいたときに、グラフの形からいえば真ん中辺の、このハッチングしていない部分で占められるのが一番いいというのもそのとおりだと思います。

 そして、そのことでいえば、いわゆる三位一体改革で大変な、地方の自立を求めてということでの御苦労をおかけする中でありますが、やはり総額として結局だんだん減ってきたという部分が、地方にとってもいろいろつらい部分が、先ほど冷徹にという表現をされましたけれども、そういう部分の程度にもよるというふうに思いますが、そういう部分では、やはりまずは、非常に疲弊して、今までの積立金も全部取り崩してももう回らなくなってきたみたいな状況からは一旦、しっかりと地方の財源は確保するということに重きを置き、そして、地方からもどうしてもそれが最重要課題だという中でやむを得ない措置も含めて、折半ルールも含めてこういう形になっているということでありますので、引き続き、総額の確保と同時に、やはり健全な構造のあり方については粘り強く求めてまいりたいというふうには思っております。

坂本委員 地方交付税の話をそのまま続けますけれども、視点をちょっと変えます。先ほどから質問で出ております一括交付金の話であります。

 先ほどの伊東議員あるいは谷議員の質問とも少しダブる面があるかもしれませんけれども、これはマニフェスト以上の約束だったと私は思うんですよね。昨年の委員会でも、菅総理は予算委員会で明確に答えておりますし、最初は都道府県分五千億だ、そして平成二十四年度からは市町村分五千億だ、一兆円を使い勝手のいい地域自主戦略交付金にするんだということを言われております。これほど明確に言われております。私は、そういう意味では、それができなかったということはやはりマニフェスト違反以上の重罪であるというふうにも思います。

 先ほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、なぜ市町村分ができなかったのか、なぜ政令指定都市だけでとまってしまったのか、このことについてまずお聞かせください。

川端国務大臣 民主党としては、要するに、国と地方の財政上のお金のあり方について、自主財源をふやす、あるいは交付税率を上げるという本来の姿と同時に、やはり国から渡るお金が可能な限りひもつきでない、自由度を高めるということが、地域に身近な行政はそこの基礎自治体を中心に行う、あるいは都道府県において行うという姿であろうということの方向性をもって、この一括交付金に今年度から取り組みました。

 スタートで五千億ということでありますが、その中で、一方で、地方の自主性を高めるというときには、できる限り地方の皆さんと率直な意見交換をして、実情を把握する中で丁寧に進めるということでないといけないということも大事な手順でございますので、五千億進める中で、市町村に関して拡大するというときに、ことしやっている分の検証も含め、国と地方の協議の場を含めて何度も意見交換をさせていただきました。

 そういう中で、やっていただいた県からは、おおむね評価をいただくと同時に、もっとメニューを拡大して使い勝手をよくしてほしい、総額もふやしてほしいという御要望でありましたが、市町村のレベルに関しては、政令指定都市は、自分たちもできる部分ではやりたいという意思表示がありましたが、市、町、村に関しては、やはり年度間変動や地域間格差がある中をどういうふうに割り当て配分をされるのかということ、それは県がやっている実績をよく見させてほしいという意見が大変強く、二十四年度に民主党がそう言っているけれども、一気にふやすということにこだわらずに、丁寧によくよく意見を聞き、制度設計の意見交換をして、合意と納得が得られるようにしてやってほしいという意見が大変強うございました。

 そういう意味で、合意が得られた政令市に関して取り組みをすると同時に、市、町、村に関しては、引き続き、今回の、来年度の実績も踏まえながら、丁寧に制度設計について議論をし、合意を得られる中で進めていこうという基本方針で今臨んでいるところでございます。

坂本委員 それだったら、平成二十五年度には、これは市町村分も含めてきちっとした一括交付金に、地域自主戦略交付金になるんですか。そのおつもりですか。

川端国務大臣 来年度は政令市という議論をしているときに、中核市からは、できるならばやりたいという、政府との意見交換のときは余り強く御主張にならなかったんですが、民主党のヒアリングに関しては、そういう意向もお示しをされた向きもありました。

 ただ、政令市と異なりまして、国道、県道の管理権限等が移譲されていませんので、投資的な事業の範囲や規模が限定されるということで、年度間変動がより大きいという状況になりますので、二十四年度は政令指定都市はいたしましたけれども、これ以降に関しては、そういう年度間変動をどういうふうにクリアしていくのかという制度設計を含めて、慎重にこれからも、一年かけて議論していく中で最終的に判断をしてまいりたいと思いますので、来年必ずやるということに決めているわけではございません。

坂本委員 できないんですよ、これは。内閣府にも聞いてみましたけれども、この一年かけて本当に優秀な総務省出身の内閣府にいらっしゃる皆さんがねじり鉢巻きで知恵を絞りながらやったけれども、結果として、せいぜい政令指定都市までが精いっぱいなんですね。ですから、私は、もうこれはやはり姿形を変えなければしようがないというふうに思います。

 それで、一括交付金をもとの省庁に戻しなさいというのではありません。せっかく約七千億円、ことしの平成二十四年度分も含めて、これは一括交付金の形になったわけですから、あと三千億円、町村分、それをどういう形でか確保する。そして、それをそのまま地方交付税の法定率の引き上げの方に向かわせるということはできないんですか。そうすると、一兆円増額することになれば、それぞれの国税五税のその乗率はいろいろありますけれども、平均して三%ぐらいは上昇するというふうに思います。こちらの方が、一括交付金よりもはるかに使いやすい、はるかに市町村も喜ぶと思いますけれども、いかがですか。

川端国務大臣 もともとの制度設計の考え方の違いだというふうに思います。地方交付税の税率を上げるというトライということの部分にこれを回したらどうかという御指摘は、一つの考え方としての整理としてお述べになったことだというふうに思いますけれども、我々は、この地域自主戦略交付金、一括交付金というのは、地方交付税の代替であるような使途の定めのない一般財源ではなくて、国庫補助負担制度を前提として、一定の対象事業について、地方が自由に事業を選択できるという仕組みとしてつくらせていただきました。

 そういう意味では、いわゆるひもつき補助金を改革していこうという試みでありますので、制度を運用しつつ、地方の意見を踏まえながら、より使い勝手のよい制度となるように進化させていくという方向で現在検討しているところでありまして、来年度の地方交付税の法定率に組み入れるということを現在のところ考えているわけではございません。

坂本委員 機構の渡邉理事長、お世話になりました。どうぞ、結構です。

 今言われた選択制、そういったいろいろ勘案するのなら、私はこの前も言いましたけれども、地方の使い勝手のよさということからすれば、地方交付税の方に組み込むべきですよ。そうすると、やはり地方の選択の幅も広がる。そして、交付税そのものの絶対額も上昇する。

 そして、今内閣府の方に総務省から出向して、ねじり鉢巻きでできもしないような市町村分の一括交付金を一生懸命制度設計している、こういった方々も、もう一回総務省の方に帰って、ここで心置きなく働いてもらうことができるというふうに思いますので、私は、この地域自主戦略交付金、民主党の看板ではありますけれども、もうやはり行き詰まった、設計としてできない、平成二十五年度から特にできなくなるというふうに思っておりますので、ここはぜひお考えいただきたいというふうに思います。

 そういう中で、一つ、住民に光をそそぐ事業、先ほど、谷議員だったですか、ありました。このことについてお伺いをいたします。

 これは先ほどありましたように、二十二年度の年末の補正で一千億円つきました。そして、DV対策あるいは学校の図書司書、あるいは、その他生活に関連する、児童養護施設や乳児院に対する支援、こういったものに予算が組まれました。光の当たらないところに光を当てるというような補正予算であったわけですけれども、なぜこれは事業として一回ぽっきりで終わってしまったんでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、二十二年度に補正で一千億措置をいたしました。中身はお触れになったようなことでありますけれども、住民生活に光をそそぐ交付金ということは、ふだんやった方がいいなというふうには思っていても、そこの地方自治体の財政事情等々でなかなかそこまでお金が回らないということがあるという意味で、呼び水的に事業として補正で一千億手当てをした。

 それに対する人の手当てとかいうことも含めて、一定の効果があるということでありますので、これは次年度以降は、呼び水効果は出たということで、いわゆる各地方公共団体の人件費の標準的な経費を普通交付税の単位費用として見ることによって、むしろ恒常的にその手当てをしてやるからやってくださいという形に切りかえたところでございます。

坂本委員 そこなんですよ。事業費としてそうやって予算化されたものを、なぜ交付税の単位費用として見なければいけないのか。予算を組みました前の片山大臣は、地方交付税が補助金化しているということで、今の交付税の制度を非常に批判されていたんですね。それにますます拍車をかけるようなものですよ。

 交付税の補助金化、これは本来の交付税のあり方とは違うし、こういうものは交付税として単位費用にすべきものではないというふうに私は思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 本来的には、地方におけるいろいろな施策は、地方自治体の自主的な判断によって、きめ細かく住民ニーズに応えてやっていただくということが趣旨でありますので、その分を含めて地方交付税で、使途を制限しない財源としてお渡しをするということになっていますが、そういう中で、なかなか結果として光が当たりにくいということで、繰り返しになりますが、事業費として一千億補正を組んで、そういうことをモデル的にやってくださいという呼び水効果をもたらすことによって、そういうこともやり得る、やったら効果があるということを実証、経験していただいた中で、交付税の算定にすることによってそれが常態化するということ。

 それでも、結果として言えば、補正でついたから、次年度、もともとやっていた部分の予算をなくしたり、実際そういうことはやらなかったところもありますけれども、一定のそういう政策誘導の効果を検証する中でやったという意味では、私は、これ以降、地方自治体の自主的な判断でありますが、やったら効果がある、住民のために役に立つということを前提として言えば、こういう補正を経て交付税の算定に入れたということは意味があることだというふうに思っております。

坂本委員 政策誘導の意味があったとすれば、それは各省庁に今度は渡すべきですよ。図書司書の問題はやはり文部科学省へ、そしてDVの問題あるいは児童養護施設の問題も含めてやはり厚生労働省へ。

 そういった、本当に担当する課と自治体が話し合いをしながら、そこで新たな政策をつくり上げる、あるいは補助金としてつくり上げる、交付金としてつくり上げる、それが本来のあり方で、何もかにもこういう交付税で引き受けるということが非常に複雑怪奇な交付税にしている。それが来年度もまた続いているということですので、このことについてはぜひお考え直しいただきたいというふうに私は思います。

 最後に、不動産取得税についてお伺いいたします。

 きょうは、国交省の方からも来ていただいております。

 地方の経済は非常に疲弊しております。土地が動かない、住宅が動かない、いろいろなものが動かない。その中で、新築住宅の着工件数がままならない。そういうときに、やはり中古住宅、既存住宅の動きを活性化する、活発化する、これは地方経済にとって、地域経済にとって非常に効果があると思いますけれども、国交省としてどういう対策をお持ちですか。

奥田副大臣 坂本委員御指摘のとおり、中古住宅流通の活性化、このことは、国民の住生活の質の向上を図るだけではなく、我が国の経済成長にとっても重要な課題であると認識しております。

 中古住宅流通市場の活性化に向けては、まず、消費者が安心して中古住宅を購入できる市場の環境整備が不可欠と認識しており、税制や補助制度による支援を充実させるとともに、中古住宅に関する情報提供、そして瑕疵担保責任保険の推進などに取り組んでいるところであります。

 中古住宅の品質の明確化あるいは取引の透明性、建物土地履歴をしっかりと示す、あるいは流通時のリフォームによる中古住宅の魅力の向上、こういった総合的な取り組みについて、昨年からほぼ一年をかけて、中古住宅・リフォームトータルプラン、これは年度内に取りまとめをして決定したいという動きをしておりますけれども、この提言とともに、不動産流通市場活性化フォーラムの中で多くの関係業界の皆様からの御意見をいただいているところであります。

坂本委員 そういった既存住宅の取引を活性化する。そのためにはやはり税制なんですよ。不動産取得税あるいは登録免許税、こういった地方税、そして国税、これのやはり軽減措置を設けるということであろうと思います。

 宅建業者あるいは不動産あるいはその他工務店の方が、既存住宅を買い取って、そしてそれをリフォームする。リフォームした後、また一般消費者の方にそれを売却する。どうしても不動産取得税がかかりますので、それは消費者に価格を転嫁せざるを得ません。そうすると、どうしてもやはり中古住宅、既存住宅の流通が鈍ってくるということがありますので、こういった中古住宅を買い取り、そしてリフォームし、それを消費者の方に引き渡すというような担保がとれれば、私は、不動産取得税について、地方税でありますけれども、軽減措置を設けるあるいは非課税措置にする、このことは地方経済にとって、地域経済にとって非常に有効な手段であると思いますけれども、いかがでしょうか。大臣、お答えください。

川端国務大臣 御指摘の不動産取得税については、既存住宅の取得者の負担軽減及び良質な既存住宅の流通の促進の観点から、自己の居住の用に供する既存住宅で一定の要件を満たすものについて住宅及び住宅用地の取得に係る特例措置を講じておりまして、新築住宅で一千二百万円の控除が、中古住宅の場合は、住宅の新築時期によりまして段階を分けておりますけれども、最高は一千二百万円までの控除をすることになっております。

 また、社会保障・税一体改革の議論においても、住宅取得に係る必要な措置について財源も含め総合的に検討することとされておりまして、既存住宅の取得について今後どのような税制上の措置が必要かについては、引き続き政府税制調査会等の議論を踏まえて検討していくべきものと考えておりますし、委員御指摘のように、リフォーム市場が経済にとっても住民にとっても大変大きな意味のあることであることは私も十分認識しておりますので、これから取り組んでまいりたいと思います。

坂本委員 地方経済活性化のためにぜひ今後御検討していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 自由民主党の赤澤亮正でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうはちょっと予算委員会の集中審議とかけ持ちですので、前の議論を聞けていないものですから、もし重複した質問等が出た場合、申しわけないですが、この私の質疑からインターネット等でリアルタイムに見ておられる方もおられると思うので、大臣には大変お手数かけますが、また丁寧にお答えをいただけると大変うれしく思う次第でございます。その点は、あらかじめおわびを申し上げておきます。

 まず最初に伺いたいのは、私が、私の地元であります鳥取県に戻って、いろいろな機会に県の関係者の話を聞くと、非常に国のことを信頼しているけれども、一抹の不安があって、県議会でもよく議論になるよというのは、例の臨財債ですね。

 臨時財政対策債ということで、これは最終的には国が責任を持つ。本来、交付税で手当てすべきものであるが、なかなか厳しい財政状況の中であるので、この債券といいますか臨時財政対策債を発行することで自治体に借金をしてもらってしのいでいるという状態があるわけです。

 平成十三年度から始まった制度だと理解をしておりますけれども、その後、結局、利息とかも含めて、平成十四年から借りかえが始まっている。本来、最終的には国が責任を持ってもらえるはずなので、借りかえはないにこしたことはない。それであれば一番不安はないんだけれども、借りかえがどんどん続いている。県議会などの議論でも、これは、借りかえがどんどん続いていくと借金が最終的には雪だるま式に膨らんでいくんじゃないか、本当に国は最後に面倒を見てくれるんだろうか、そういう不安がないではないと。

 この点は、県の関係者が言っていたことを正確に伝えれば、もちろん、国が最終的に責任を持つ、こう言っていただいているので信頼は申し上げているけれども、しかしながら、この償還について、最終的には国が責任を持つという明確な大臣の力強い決意表明というものをやはりきちっといただけると大変ありがたい、安心できるという声がちょっとあったものですから、今回は、それを実は私が受けとめて、大臣にお尋ねをさせていただきたいわけでございます。

 その点についての、国が最終的に責任を持つという大臣のしっかりとした決意といいますか明確な意思をお示しいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

川端国務大臣 この件については、今までも、それからこれからもちゃんとやっていくという意味では、ぜひともに信頼と信用をしていただきたいと思います。

 臨時財政対策債の元利償還金については、毎年度の地方財政計画にその全額を計上することによりまして所要の財源を確保し、また、地方交付税の算定に当たっては、地方交付税法に基づき、その全額を基準財政需要額に算入してきております。

 このように、各地方団体の臨時財政対策債の元利償還金については確実に財源保障をしているものでありまして、今後とも、地方財政計画の策定、地方交付税の算定を通じ、確実に対応してまいります。

赤澤委員 ちょっとしつこいようですが、最終的に国がきちっと責任を持つということで、そのとおりだということでよろしいでしょうか。

川端国務大臣 言葉遣いがいろいろあるかもしれませんが、確実に対応してまいりますので、信用していただきたいということです。

赤澤委員 もともと、鳥取県の関係者も、国のこと、大臣のことを信頼していると言っているわけでありますから、今ので大変ありがたいお答えだったと思います。

 続けて、東日本大震災関連の税制措置についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 前に川端大臣には、東日本大震災の教訓を郵政関係等取りまとめているかというお尋ねを私がしたところ、大変反応よく、あの時点ではやっているとおっしゃったのかやるとおっしゃったのか、結論をその後取りまとめをいただいて、当委員会でも御報告いただいたところです。

 それと同じように、私自身は、これから首都直下地震あるいは東海・東南海・南海地震があり得る、十年以内に頻発する可能性も我が国では否定できないという中で、やはり教訓として生かす、あるいは講じた税制措置がどの程度利用されたのかということのフォローは非常に大事なんだと思います。

 それで、現時点において、税の減免状況、実際、私が官僚の皆さんに伺ったところでは、まだ上がってきているものではないということのようでありました。もしそういうことであるなら、現時点ではまだ、二十三年度に講じたものも含めて、どのような効果を発揮して、そして減収額等はどれぐらいだったか、減収補填はどうなったかということが、ないというのであれば、現時点ではないということで結構ですが、この点はきちっとフォローしていく。やってみたところ、どういう税制が役に立って、足りない税制はこういうものであって、逆に言えば、これは必要だと思って頑張ってやったんだけれども、ほとんど使われなかったとか、その辺のことはきちっと責任を持って国としてもフォローをし、今後に生かしていくということも含めて、大臣、一言お言葉をいただきたいと思います。

川端国務大臣 郵政のときは、きちっと体系的、システム的にはできていない状況で、御指摘も踏まえ、私ども、指示していた、ちょうど指示した直後だったんですけれども、そういう意味では、フォローして検証して後に生かすというのは大変大事なことだというのは御指摘のとおりであります。

 これも、現在、この減収分は補填することになっておりますので、当然ながら、正確に今把握をしている過程にありますので、精査はしっかりやらせていただくと同時に、これは当然補填で、復興交付税で対応いたしますけれども、これからの大変貴重なデータであることは間違いございませんので、いろいろな形でしっかりと検証して生かしていきたいというふうに思っております。

赤澤委員 まだ無理もないところもあって、これは三月十一日に起きた地震なので、大変素早く反応したものについては、平成二十二年度に起きた事象で適用対象になるものもないわけではないんですけれども、現実的には平成二十三年度以降ということなので、今後しっかりと取りまとめて、その検証とか効果とかをしっかり評価していただきたいと思います。

 とりあえず、現時点では、税制について追加的に、こういうものが足りていないとかいう声は大臣のところには届いていないという理解でよろしいですね。

川端国務大臣 いろいろな被災者等に対する税制上の支援措置とか復興支援策については、与野党を超えて御議論いただき、法律もいろいろつくって、御協力いただきました。

 これらの措置の立案に関しては、阪神・淡路を参考にしながら、今回は津波あるいは原子力災害というのも起こりましたので、十分にその特徴を考慮しながら、府省の意見も聞きながら、審議、決定をいたしたところでありますし、総務省としても、被災地に出向いて、関係自治体の皆さんとともに綿密な意見交換をさせていただいたところでございます。

 現時点においてはできる限りの措置を講じておりまして、一定の評価はいただいているというふうに思います。これからも、現実的に対応できるものが出てくれば、最大限配慮をして取り組んでまいりたいと思っております。

赤澤委員 ありがとうございます。その点、ぜひしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 続けまして、震災復興特別交付税についてお伺いをしたいと思います。

 震災復興特別交付税については、これまでのところ交付されていないというふうに承知をしております。総務省は、平成二十三年度の特別交付税の十二月交付額を決定した際に、今月交付する予定であるということを明らかにされたものと承知をしておりますが、既に交付は行ったのか、あるいはいつ行うのか、お答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 震災復興特別交付税はできるだけ早く交付することが望ましいという面と同時に、年度内に見込まれる地方負担額等を正確に的確に措置するためには、ぎりぎり年度末、可能な限りまで数値の把握の必要があるということで、三月下旬の決定、交付を目途に今作業を行っております。

 ただ、被災団体に対しては、予見可能性を持って対応していただくために、今お触れいただきましたけれども、昨年十二月に震災復興特別交付税の具体的な算定方法について法律の公布と同時にお示しをいたしまして、説明をさせていただいて、これを踏まえて財政運営を行っていただいているところでありますし、それ以外にも、二次にわたっていわゆる特別交付税の特例交付、あるいは十二月分の特別交付税においてできる限り財源措置を講じておりますので、被災団体から特段の御指摘をいただいているわけではなく、復旧復興に悪影響が出ているというふうには思っておりません。

 いずれにしても、できるだけ精査をして、三月下旬には交付をしたいと思っております。

赤澤委員 丁寧に質問通告をしておくと、三問ぐらい一度に大臣が効率よくお答えになっている感じがちょっとありますのであれなんですが、既に交付を行ったのか、まだしていない、いつか、三月末を目指している、これまで交付されていない理由は、三月末まで年度いっぱいの需要をできる限り丁寧に読み取るんだ、こういう話をいただきましたし、地方公共団体の復旧復興に悪影響が出ていないのかという質問も用意していたんですが、これは今のところない、こういうお話なんです。

 ただ、工夫の余地としては、必要額が明らかにこれを超えるとわかればそこまでは配分するということも十分あり得るわけで、今後の考え方としては、必ずしも、今まで大丈夫だったから、特別交付税については年度末過ぎてから、あるいは過ぎるぎりぎりになってやるんだというものではないだろうと思いますけれども、そのことについて最初にちょっとお尋ねをしておきますと、今後、今月末以降の交付回数とか交付時期とか交付額の見通しなんかについては、何か工夫をされるということは考えておられますか。

川端国務大臣 二十四年度の交付回数とか時期とか交付額の見直し等は、実情を踏まえてしっかり対応しなければならないので、今の時点でまだ個別具体に申し上げることはできませんけれども、考え方として、被災団体の予見可能性を高めるためには一定のルールというものをお示しすることがまずは大事ではないか、大体予見をしていただくという意味での一定のルール化が望ましい。もう一つは、事務負担はやはり軽減をしなければ、何度も何度もということは、事務負担が大変ふえては申しわけございませんので、それに配慮したい。

 一方で、個々の団体、今おっしゃったように、早く進んだから早くお金が欲しいというような状況も起こり得るということでは柔軟な対応も必要であろうということでありますので、今のところ、一定のルール化をする中で、年度の半ば、例えば九月ごろと、年度末ということで三月ということを、二回を基本としながら弾力的に対応することがいいのではないかということで、被災団体の実情を十分にお伺いしながら的確に判断して対処してまいりたいというふうに思っております。

赤澤委員 ちょっと聞き落としたかもしれないんですが、基本的には、年度末は今回やられるわけですが、九月と三月というおっしゃり方ですか。わかりました。大体半年ごとにいくということを基本に、柔軟に対応していこうということで、事務負担の軽減とか予見可能性というのはおっしゃるとおりですので、要は、不測の事態、財政需要がありながら自治体が手当てをされていないという事態を生じなければいいということだと思いますので、その辺もきちっと対応いただきたいと思います。

 それで、平成二十四年度の措置額、一応財政需要ということなんですけれども、六千八百五十五億円だったかと思いますが、これについては具体的な積算根拠はあるということなんでしょうか。先ほどと全く問題意識は同じで、特別な財政需要を満たすものとして十分なんですかということが本質的な問いかもしれませんけれども、積算根拠、具体的なものはあるんでしょうか。

川端国務大臣 二十四年度の震災復興特別交付税六千八百五十五億円については、一つは、二十四年度予算における直轄・補助事業の地方負担分として三千三百八十四億円。二つ目として、中長期職員派遣や投資単独等の地方単独事業分として二千二百億円。この内訳は、中長期職員派遣、除染、投資単独等に係る経費として一千二百億円、平成二十三年度特別交付税による対応を見込んでいた東日本大震災に係る災害復旧事業費に基づく算定分のうち平成二十四年度に繰り越すこととした分として一千億円。それから三番目として、地方税法等に基づく特例措置や条例減免等の地方税分の減収分として一千二百七十一億円を見込んだものでありまして、平成二十四度予算における直轄・補助事業の地方負担額や平成二十三年度の実績見込み等をもとに積算をいたしました。

赤澤委員 そこで、今の中でいうと、例えば一つ例を挙げれば、細かく議論していこうと思うとかなりいろいろ議論できると思うんですが、職員派遣という話がありました。

 端的に言って、これはもう別途のところで中身の議論をいただければと思いますけれども、マンパワーが足りないという話は当然出ていまして、今考えている職員派遣で十分かということについては、これは実際に要望とかもあるんだろうと私は理解をしています。その辺についての大臣のお考えをまず伺いたいと思います。

川端国務大臣 発災当時の非常な混乱と、役場機能もなくなったようなときからのマンパワーの要請から始まって、最近では、やはり技術的、専門的職種、そして長期間、一年とか二年とかという御要望がたくさん出ております。都道府県、あるいは縁故といいますか、要するにいろいろな姉妹都市等々で直接おやりになる部分、都道府県のあっせんによるものと同時に、総務省がマッチングするということで市町村とマッチングをさせていただいている分がありますが、この分で、御要望の半分強ぐらいが今充足できている。そして、御党の震災の十項目の御提言を谷垣総裁から官邸にいただきましたけれども、その中でも、マンパワーを加速して増強しろと。認識は全く一緒であります。

 この場合に、総務省は、要望の多い市、町に職員を出張させまして、実情も伺ってまいりました。そういう中で、やはり専門的に長期間ということになりますと、受け入れる場所の宿舎がないとか、それから送り出す方も、一年、二年出してくれと言われると、やはり相当それは負担がかかるということ等、結構実情として難しい背景もありますので、いわゆる退職OBの皆さん、あるいは建築であれば建築士会とかいう業界団体とかいろいろな団体、あるいは地方自治体のOB会の皆さんとか、そういうあらゆるチャンネルを通じていろいろな形で応募するという形と同時に、財政的にも、応援した経費を見るだけではなくて、新規に採用していただく、任期つき採用も含めて費用は全部見るという形で応援するという形で、いろいろな知恵を出しながら今取り組んでいるところでございます。

赤澤委員 それで、かなりの見込みはもちろん立てておられるんでしょうけれども、現実的なものとして六千八百五十五億ということなんでしょうから、今申し上げたような例えば職員派遣などについて、やはり要望は強い、いまだに要望の半分ぐらいしか充足できていない、今後体制を整える、ある時点で震災復興特別交付税の増額を行う必要というのも私はあり得ると思うんですが、その点については、必要に応じ増額をするという覚悟をお持ちかどうかを伺いたいと思います。

川端国務大臣 この震災復興特別交付税は、集中復興期間、平成二十三年から二十七年の復旧復興対策として、一応十九兆円程度ということで算定をされたものであります。現在は十九兆円程度とされている復旧復興フレームのあり方について、地方負担が新たにその集中期間中に生じる場合は、被災団体の財政運営に支障を生じさせないことを基本にして、震災復興特別交付税の増額等の措置を講じてまいりたいというふうに思っております。

赤澤委員 今おっしゃったのは非常に大事なポイントを含んでいて、きのう、予算委員会の分科会でも中川防災担当大臣にもお話をしました。

 要は、東日本大震災の被災地の復旧復興にも全国防災にも、だんだん振る袖がなくなってきているということなんですね。集中復興期間の五年間で十九兆円と言ったけれども、私が計算してみたところ、どうもあと四千億ぐらいしか残っていない。最初の二年で予定の対策規模に到達してしまって、あと三年間、金なしでどうするんだという話が当然あって、この辺は、全国防災の方の首都直下地震、東海・東南海・南海地震の備えの点でも、それから何より大事な東日本大震災の復旧復興のためにも、そこの規模の議論をきちっとやはりしていただく必要はあるので、ぜひ大臣にも、内閣として問題意識を持って早い時期に結論を出していただかないと、これはもう被災地、被災者に限らず、国民全般が不安だということだろうと思います。

 ここについてはいろいろ工夫の余地があると思いますけれども、やっていかなきゃいけない仕事であることは間違いがありませんので、いろいろな困難を乗り越えて、きちっと前に進まなければいけないという点を指摘しておきたいと思います。大臣から何かあれば。

川端国務大臣 十九兆円のフレームということで動き出しましたが、しかし、これはまさに動きながら考えていかなければならない大変重要な問題でありますし、その部分では、この全体のフレームのあり方は、引き続き内閣として、今の状況を見ながらしっかり議論していかなければならないことは御指摘のとおりでありまして、我々も、その一員としてしっかり対応してまいりたいと思います。

赤澤委員 端的に言うと、やはりちょっと後手後手に回っているところがあるなと思うんです。

 これは予算委員会でも申し上げたところなんですが、平野大臣が、やはり何だかんだ言いながら、ごく最近中川大臣が防災担当ということで仕事を始められるまでは東日本大震災の復旧復興の、片手間という言い方は彼に失礼、彼は一生懸命やったのかもしらぬけれども、事実上、やはり東日本大震災の復旧復興が本当に忙しくて、全国防災の方なんかは手が回っていなかったはずなんですよ。だけれども、やはり十年以内に新しい、物的被害も下手すれば十倍、人的被害も倍以上みたいな地震がこれから来るかもしれないので、本当にここは大きな問題だということは繰り返し指摘しておきます。

 申しわけないけれども、対応が後手に回っている。国民が安心できる形で予算も体制も十分整えてやるということが、東日本大震災の復旧復興でも足りなかったし、これから来る巨大災害についても足りていないということはぜひかみしめていただいて、しっかりと取り組みを強化していただかないと、本当に国家国民のためにいい政治をしたということにはならないだろうと私は思っています。その点は、繰り返しこれからも指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金についてお伺いをいたしますが、これも繰り返された議論かもしれません。平成二十四年度において、政令市にはこれが交付されるということになったわけですが、一般市町村に対するこの一括交付金の導入の検討経緯と、何で導入を見送ったんだという理由をもう一度御説明いただきたいと思います。

川端国務大臣 地域自主戦略交付金、今年度からスタートいたしまして、まずは県分からスタートするということでありまして、地域の実情に応じて、皆さんと意見交換をしながらきめ細かく進めていくということで、何度もいろいろな形で意見交換をさせていただきました。

 そういう中で、一年やった県からの評価としては、おおむね、趣旨を生かされて、自主的な判断での使い勝手がよくなったという評価をいただくと同時に、対象事業が少な過ぎるからもっとふやしてほしい、その対象事業の中の項目もふやしてほしい、総額もふやしてほしいというふうな御要望がありました。

 ということで、来年度予算では、その分は一定の対応をさせていただきましたが、市町村分については、政令市からは、我々としてはやる用意がある、やらせてほしいということで今回組み入れましたが、それ以外の市町村については、やはり年度間変動と地域間格差が相当あるので、これを踏まえて、どういうふうに交付金を配分するのかということに関しては非常に不安がある。そして、初めからということではなくて、丁寧に、納得する形で進めてほしい、拙速は避けてほしいという御要望がいろいろな機会で出されました。そういう中でも、一方で中核市は、場合によってはやる用意もあるという意見も一部からは出てまいりました。

 そういう中で、今回は政令市に関して取り組むということにいたしましたが、それ以外の市町村分については、地域偏在や年度変動をどういうふうにするかということを、来年度やることの実績も踏まえながら、丁寧に意見交換をしながら、合意が得られる形の中で取り組む方向を進めてまいりたいというふうに思っておりまして、市町村の方からは、拙速にするなというふうなことも大変強くいただいているところでございます。

赤澤委員 まず、ちょっと最後のところがひっかかったので確認をさせていただきたいのは、一般的には地方公共団体は、一括交付金、少しでも裁量の余地をふやしてくれという話なのかと思いますが、一般の市町村に一括交付金を導入するに当たっては、むしろ市町村の側に不安の声が強い。拙速なことをされると、かえって自分たちが望んでいない事態になりかねない、そういう声があったということでよろしいですか。

川端国務大臣 表現がちょっと稚拙であったかもしれませんが、いわゆる年度間ですごく変動しています。私も、実際いろいろ調査の数字を見せてもらいました。それから、地域によっての、市町村での格差も、総額として随分差があります。そういう意味で、交付金をどのように配分するのかということが明確になって、納得するということをきちっとしてほしい、それには、県でやっている、来年から政令市でやるという実績も見ながら、よく検証しながら進めてほしいという意見でございました。

赤澤委員 それで、やはり、海南市長であられた石田先生が長らく懸念を持っておられたということもあるんだと思いますし、一言やはり申し上げたいのは、その年度間の変動とか地域間の偏在みたいなものというのは、これはとうからわかっていた話だろうと思うんですね。そこが障害になって、実際導入を待っているはずだった一般市町村から懸念の声も出てくるとなると、これはやはり制度自体にちょっと無理がないかということを強く感じるものでありますけれども、大臣、そこについてどう思われますか。

川端国務大臣 総論で言えば、できるだけ自分たちの裁量で、選択権が広がるということで、予算を使いたいということは市町村の皆さんも思っておられることであります。それが、技術的に簡単にすっと割り振るという配分に関しては、そういう変動や格差があるということで、どういうふうな仕組みにするかということにはいろいろな工夫や知恵が要るということに今直面をしているんだというふうに思っております。

赤澤委員 そこで、工夫、知恵ということなんですが、これを導入するということをいまだに可能であるし望ましいものであると大臣は考えておられる前提でよろしいですよね。

 今うなずいておられますので、その前提でいくと、では、どのようなスケジュールで、どのような工夫をされて導入されるのか。これは本来、制度を始めるときに十分設計をして考えておくべきものであると思いますので、現在のお考えを聞かせていただきたいと思います。

川端国務大臣 経緯に関しては、もう申し上げたように、市長会、町村会からの御意見とか、地域主権戦略会議での御議論を踏まえて、二十四年度は規模も大きい政令指定都市を対象としたところでありますが、二十五年度以降の他の市町村への導入については、先ほどから申し上げている課題を踏まえながら、地方からの御意見も丁寧に伺いながら進めていきたいということでございます。今年度、来年度に進めていく実態も検証しながら、丁寧に進めてまいりたいと思っております。

赤澤委員 そこはちょっと曖昧なところがあったと思うんですが、端的に言って、平成二十五年度からの導入を目指す、そういうことでよろしいんでしょうか。

川端国務大臣 方向としてはそういうことでございます。

赤澤委員 そこはやはり実現可能性の点で若干疑問があることと、あと、私が尊敬しております稲見理事が先ほどから、分母をふやせば問題は減るというような、中身のあるやじを言っておられましたので、ちょっと反応いたします。

 だとすると、結局、分母をふやしていくと、最後は、これは大臣、聞こえてくる声があるんですよ。それは何かというと、それは総務省に対しては、やっていただいている、前より裁量がふえることは間違いないからありがたいけれども、要は、これを交付税にしてくれたらいいじゃないですかという話なんですよ、行き着くところは。それで、その矛盾も減らすという。分母をふやすという稲見理事のおっしゃっている方向に行くと、どんどんその声が大きくなってきて、これだったらもう交付税にしてくださいという話になるんです。そういう声は実際聞こえてきます、なかなか御当局には直接言わないかもしれないけれども。その辺、大臣、どう思われますか。

川端国務大臣 交付税の一般財源化というのは、使い道を一切もちろん制限しないというお金でございます。我々は今、自主戦略交付金として、一括交付金という名前でやっていますのは、国からの補助金の枠の中で、いわゆるひもつきと言われるものを緩めて、選択して自由度を増すということと同時に、選択権があるということは、箇所づけ等々に関しても地方がみずから選べるということでやるという意味でありますので、性格としては、地方交付税をふやすという方向でやっているものとは性格を若干異にしているということは御理解いただけると思います。

赤澤委員 それでは、もう一つ伺いたかったのは、平成二十三年、昨年十二月の地財審の意見で、一括交付金については、地方に税源移譲するまでの間の過渡的な制度であることを明確にすべきであるという意見が述べられています。これについての大臣の受けとめはいかがですか。

川端国務大臣 過渡的、こういう意見が上がったことは承知をしておりますが、事業の選択に係る地方の裁量を大幅に高めるという先ほど申し上げたとおりの制度でございますので、当面は、この制度を円滑に進めていく、そして拡大していくということをやってまいりたいというふうに思っております。

 将来的に、国庫補助金の範囲を超えて税源移譲などを目指すか否かについては、この交付金制度の運用の検証、あるいは国と地方の役割分担の見直し等も含めて十分検討をしていく必要があるというふうに思います。

 いずれにしても、これはことしから始めたということでの新しい試みでありますので、運用しながら改善していくべきものだというふうに思います。今後の制度のあり方については、地方の意見を丁寧に聞きながら進めてまいりたいと思っております。

赤澤委員 繰り返しになりますけれども、これは急がなきゃいけない一方で、年度間の変動だの地域間の偏在だの、とうからわかっていた、かなり克服が困難な問題が現にあるということなので、私は、本当にこれが喜ばれる形で一般市町村まで導入できるのかというところについては少々疑義を持っております。そういう目で今後ともチェックをさせていただきたいと思います。

 それで、吉田副大臣にせっかく来ていただきまして、連日質問して恐縮でありますけれども、鳥取県について、まだまだインフラ整備がおくれています。ミッシングリンクの典型的な県だと思います。海沿いを走っている国道九号線、一桁国道ですらまだ穴だらけ、こういう状態なので、いざというときに、では海岸線に沿って警察や自衛隊が迅速に展開できるかという点も大変気になるところです。拉致の被害者とかも出ているような、そういう土地柄でありますし、何かあれば韓半島から流れ着くというのもこの地域です。そういう意味で、安全保障の観点からも、道路についてはまだまだ全然いい状態ではありません。

 しかしながら、非常に大幅に社会資本整備関係の交付金の配分額が減らされた。県から聞いているところでは、ざっと去年の四分の一減ってしまって七四%ぐらいになっている、こんなことなんです。ちょっと鳥取県のことだけで聞くのも申しわけないんですけれども、なぜこのような大幅な減額となったのか、国としてきちっと説明責任をぜひ果たしていただきたいと思うんですが、そこはどう理解したらよろしいですか。

吉田副大臣 自民党一の論客の赤澤先生にこうして二日連続で答弁をさせていただけるというのは大変光栄なことでございまして、精いっぱい答弁をさせていただきたいと思います。

 今お話がございました鳥取県のインフラの整備のおくれ、実を言いますと、私の母親の里は京都の丹後半島でございまして、私の血の半分も日本海の血が入っております。まさに、この日本海のミッシングリンクというのは、単に鳥取の話だけではなく日本海全体の話であるということ、これは私は大いに認識をしているところでございます。

 そして、今先生御質問の社会資本の整備関係の交付金の件ですが、これは、今議論になっておりますように、二つに分かれております。

 まずは、社会資本整備総合交付金。これは国土交通省が所掌しておりますが、これにつきましては、厳しい財政事情のもと、公共事業予算の削減がなされています。

 また一方では、平成二十三年度より、都道府県分のうち、年度間、地域間の変動、偏在が小さい事業については、いわゆる一括交付金、地域自主戦略交付金というものに、内閣府に移行したため、平成二十三年度予算額が対前年比約八〇%になったところでございます。

 ですから、県の御説明の七四%という部分でいうと、ちょっと数字的に、また県の方でも、この二つがあったということを御理解していただければなと思うところでございます。

 こうした中、平成二十三年度の配分に当たりましては、地方公共団体等が作成しました社会資本総合整備計画に基づき、同計画の目標を実現するための事業に対し、地方公共団体の要望を踏まえ、国として重点的に取り組むべき政策分野、事業の緊急性や進捗状況等に配慮して、所要額を配分したものであります。

 これが国全体のお話でございまして、このため、鳥取県におかれましても、社会資本整備総合交付金全体の配分額についても前年を大きく下回らざるを得なくなったというものでございます。ただし、平成二十三年度、鳥取県において要求があった二十九計画、要求がございます。その中でも、配分額が対前年に比べて大幅に増額されたものもございます。

 今後とも、引き続き、地域の政策課題の解決のため、事業の緊急性、そして進捗状況に配慮した配分に努めてまいります。

赤澤委員 これは、鳥取県の話ばかりしているわけでは決してなくて、非常に大きな話からすると、これから太平洋側が非常に巨大な地震、津波に襲われる、太平洋側の本当に重立った、世界的レベルの港湾が使えなくなるようなことも場合によってはあるかもしれない、経済活動も非常に厳しいものがあるかもしれない。そんなときに、先ほど丹後という副大臣の縁故地のお話をされたので、例えば日本海国土軸をバックアップとして整備しておくという考え方が一つ十分あるだろうと思います。そういう意味で、ぜひ副大臣には、日本海側のミッシングリンクを整備しておくことというのは、国全体として強靱な国土にする、我が党としては国土強靱化と呼んでおりますけれども、そういう観点から非常に必要なことじゃないかと。

 三本柱で、四本と言ってもいいですが、被災地の復旧復興が何よりです、第一優先順位。次に、人的、物的被害を太平洋側で減らす。あわせて、大きな被害に見舞われたときに、国土全体でそれをバックアップする。そのことは真剣に考えて取り組まなきゃいけないと思う中で、そもそも私はコンクリートから人へというのは余り好きではありませんでしたが、今となっては、どうも東日本大震災の後は、人からコンクリートへといっても、意味を説明すれば、おかしくないぐらいのことじゃないかと。

 要するに、今生きている人たちでお金を使っちゃうんじゃなくて、コンクリートに、普代村の堤防などがまさにそうですね、そこにお金を投入しておく。次の世代、その次の世代の子供たちを守るということが現にあったわけで、釜石などの防潮堤でも、津波の高さを四割減らす、遡上高を五割減らす、津波の到達を六分おくらせた、大変な数の人がそれで助かっているということなので、ここはひとつ、あの東日本大震災である意味目が覚めていただいて、ぜひしっかりと、国土交通省としても、強靱な国土をつくって国民の生命財産を守る、そしてまた次の世代の、さらに次の世代の、我々の子孫をしっかりと守るという発想をぜひきちっと持っていただきたいと思います。

 その上で、災害の際に、これも私、地元が一番詳しいのでそこの話になってしまいますが、出動してくれるのは本当に、地元の中小の建設業者の方たちなんですね。豪雪で車が千台立ち往生したときも、掘り出しに来てくれたのは、重機が動かせないからスコップ一つで、これも地元の建設会社の方でした。集中豪雨で堤防が決壊した、川が決壊したというときも、地元の中小の建設業者。そして、東日本大震災でも同じことが起きているはずなんです。

 防災協定を結んで、しっかりと役割分担しているんですね。これのすばらしいところは、各会社が割り振られて、一定の区間については、何かあったら自分が出かける、それも、連絡に当たる人、重機を運ぶ人、作業する人、携帯電話入りで全部つくられているので、地震が起きて一気に、電気が通じていない、電話もつながらなくなっても、自分はどこに行かなきゃいけないのか、関係者がみんなわかっているわけです。だからこそ、あのくしの歯作戦という東北地方整備局がやった道路の啓開作業は物すごく効果が大きかったわけです。道路の啓開がおくれているという話はほとんど聞かなかった。それぐらいのことがあるので、やはりきちっと中小の建設会社の方というのを大事にしなきゃいけない。

 ちょっと前置きが長かったんですが、正直なところ、我が党も三%ずつ公共事業を削ってきた。そして、コンクリートから人へで一気に、二年間で一八%以上削られた。中小の建設業は本当にもたないような状況なんですね。

 その状態の中で、県に配分される公共事業の額というのが大幅に変動すると、これはかなりの致命傷になる可能性があって、そうすると、今までの、公共事業がある程度多かったときは、この道路を最短でつくるために効率よく工事をするにはこういう計画で進めます、その結果、ある年はこの県にはどんとつくけれども、ある年はこの県はほとんどつかないみたいな。よかったと思いますよ、ある程度はね。ところが、これからの本当に限られた公共事業の予算で関係の建設業者にやっていってほしい、加えて、地域の防災のためにはそういった会社が元気でいることが物すごく大事だということになると、その辺の目配りですよ。各県ごとの公共事業の量についてもある程度平準化するということを国交省は考えていかないといけないんじゃないかと私は感じるんです。

 国交省は建設業界の発展にも責任は負っているはずなので、その辺、副大臣はどのように考えられますか。

吉田副大臣 いや、やはり赤澤先生のお話を聞いておりますと、論客だなと。一言申し上げたことで、これだけしっかりとお話をいただけるというのはなかなか、本当にこうして答弁者として座っておっても勉強できるなと思っております。

 今御質問の件でございますけれども、平準化という部分、もちろん前提といたしましては、公共事業の予算は削減がされております。言うまでもなく、これは国全体の財政の厳しい中という中であります。しかしながら、それゆえにこれまで以上に、限られた予算を重点的、効率的に配分するというところが求められておりますが、また一方、社会資本整備というものは、私が言うまでもなく、あるとき突然多くのお金をかける必要がある。例えば、高速道路ができるときには、その前年にはインターをつくる、インターをつくるときにはそこのところにどんとお金を入れる必要もあるという場合で、単年度で見た場合の事業費の変動というのは、ある意味これは避けがたいというものは御理解いただけるのではないかなと思います。

 しかし一方では、委員今御指摘をされましたように、防災という観点、さまざまな観点から、迅速かつ計画的な社会資本整備というものは、地域における社会経済の活性化を早期に実現もしますし、また着実なものとする観点からも、極めて重要でございます。地方公共団体が安定的に事業を実施できるよう配慮することも必要である。これはもう御承知のとおり、今除雪のお話がされましたけれども、除雪単体でお願いをするのでなくて、道路全体の整備等を含めて複数年度でお願いもするという形で、いわゆる発注のあり方も変わりつつあるということも御理解されていることだと思います。

 今後とも、地方における社会資本整備に関する事業が迅速かつ計画的に行われるように、必要な公共事業の予算の確保に努めるとともに、地方のニーズを的確に把握し、その事業進捗に合わせた予算配分を行うなどの配慮をしていかなければならないということでございます。

赤澤委員 福田政務官、質問できずに済みませんでした。

 終わります。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 きょうは七十分という長時間をいただきました。若干細かい点もあり、また重複する部分もあるわけでございますが、それはそれなりに、各党各委員重要だと思われているという意味で、少し重複する部分もお世話になりますが、よろしく御答弁をお願いいたします。

 私は、今回の地方税法それから地方交付税法のそれぞれ一部改正法案、やはりそれぞれの時代に、またそれぞれの政府・与党に、さまざまな意味を持たせて、交付税さらに地方税、組まれているわけでございますので、その趣旨について、少し細かい部分が続くと思いますが一つ一つ質問をしていきたい、このように思っております。

 初めに、附則第四条について。これは地方交付税法のお話ですが、この第四条に平成二十四年度分の交付税の総額の特例という、一番初めに規定がございます。こう書かれております。第四条、平成二十四年度に限り、同年度分として交付すべき交付税の総額は、第一号から第六号までに掲げる額の合算額に一兆九千七百億円を加算する、こういうふうに書かれているわけでございます。

 いきなり一兆九千七百億円、こういうふうに出てくるんですが、一から六というものを眺めましても、なかなかこの数字というのはわかりにくいわけです。

 まず初めに、この中身について簡単に御説明いただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 地方交付税法におきましては、当該年度の総額の特例については、今御指摘のように、附則第四条において規定をしているところでございます。

 附則第四条柱書きの一兆九千七百億円は、地方の財源不足の状況を踏まえた別枠加算としての一兆五百億円、交付税特別会計の剰余金の活用としての五千二百億円、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用としての三千五百億円、過去の決算乖離是正に伴う加算としての五百億円の合計額を規定しているものでございます。

西委員 今、四つの項目について御説明をいただきました。

 まず、別枠加算として一兆五百億円、それから特別会計の剰余金は五千二百億、さらに、公庫債権金利変動準備金、これを活用して三千五百億、最後に乖離是正分の加算で五百億円、こういうふうな四つの数字を足し合わせると一兆九千七百億円になる、こういうふうに説明がありました。

 私どもも、政府から地方交付税に関しての資料をいただいております。例えば、平成二十四年度地方団体の歳入歳出総額の見込額という書類やら、それから平成二十四年度地方財政計画のポイント、概要、こんな資料をいただいておりますけれども、これらの額の中に一兆九千七百億という数字、それから、四つの額のうち、特に乖離是正分の五百億円という数字は掲載されていないんじゃないかと思いますが、この点の確認をしておきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のとおりですけれども、少し詳しい説明をした方がよろしいですか。それだけでよろしいですか、御指摘のとおりというだけで。(西委員「いや、どうぞ」と呼ぶ)はい。

 平成二十四年度地方団体の歳入歳出総額の見込額及び平成二十四年度地方財政計画の概要におきましては、地方交付税の総額の確保の方法や財源不足の補填方法についての具体的な内訳を示しております。

 このため、具体の歳出に関連づけられたもの以外の加算について、合計額を一括して規定している一兆九千七百億円とは区分が異なるため、一兆九千七百億円という数字は掲載されておりません。

 乖離是正分加算額の五百億円については、平成二十四年度地方財政計画の概要においては、一般会計における加算措置、既往法定分等に分類されており、九千七百五十二億円の内数として掲載されているところでございます。これは、地方交付税の増額による補填について、一般会計からの加算を、財源不足の状況を踏まえた別枠の加算一兆五百億円とそれ以外の一般会計における加算措置に区分したため、九千七百五十二億円の内数に整理されているものであります。

 一方で、当該年度の地方交付税の総額について、その加算の内容についても明らかにする必要があるため、平成二十四年度地方団体の歳入歳出総額の見込額においては、策定方針の中で、乖離是正分加算額の五百億円についても明示的に記載を行っているところでございます。

西委員 ちょっと先のところまでお答えいただきましたけれども、まず、地方財政計画と決算額の間に差が出る、これは当然、出ることは事実でございます。これを乖離というんですね、その差。この乖離が大きいと、これを是正するための措置を講じる、こういうことになります。

 平成二十三年の十二月二十二日、川端総務大臣と安住財務大臣の二人の間で覚書が交わされて、そこに、二十四年度における乖離是正分の加算を五百億円とする、こういうふうに、一応私も書類をいただきました。その後にちょっと文章があって、「この旨を法律に定める。」というふうにきちっと書かれているわけですね。

 先ほどからおっしゃっていただきましたが、さまざまな計数整理上の最終の形として、一兆九千七百億円という数字が最終的には出てくる、これを合計額として書いているわけですけれども、まず、これをどうしても一兆九千七百億円の合算で処理しなければいけない理由というのがあるのかどうか。私は、もっと明示的に書いてもいいんじゃないかと。特に、国民から見たら、どことどこの金額があって、別の書類では、年末に両大臣が合意されていたものを引っ張ってきて全部足し合わせるというようなことが、これは非常にわかりにくい。もっと透明性を持った文章にすべきではないか。誰が見ても、ここの部分からこう持ってくるということをきちっと書くべきではないか、いわゆる条文の書き方を改めるべきではないかというふうに思います。

 ただ、こういうのが通例だというふうに言われてしまえばそれまでなんですけれども、私は、これを機会に、誰が見ても、どこからそういう額を支出したのかということがわかるようにすべきではないか、こう思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。

川端国務大臣 今回の部分は、要するに、交付税の総額の加算が具体の歳出に関連づけられているということで、震災対応は震災対応として書く、それ以外はまとめてという形になっております。

 これは、基本的には地方交付税の当該年度の総額を特例で定めているわけですから、当該年度の地方交付税の総額について、地方団体あるいは国民に対してわかりやすい規定であるということも重要な御指摘だというふうに思います。今後、御指摘も踏まえつつ、当該年度の地方交付税の総額の規定ぶりについては検討してまいりたいというふうに思います。

西委員 ありがとうございます。

 そういうふうにして、誰が見ても、これはどういう理由でこうなっているということがわかるようにしていただきたい。なお、昨年は合算ですが、一昨年は少し剰余金が別に出ておりまして、三千七百億円というふうに法文でも明記されているということもありまして、必ず一括でなければいけないということでもないと思いますので、ぜひとも善処をお願いしたいと思います。

 続きまして、平成二十四年度の地方財政計画では、特別枠の地域経済基盤強化・雇用等対策費ということで、今回一兆四千九百五十億円計上されております。昨年度は、地域活性化・雇用等対策費が一兆二千億、それから地方再生対策費三千億。多分、今回はこれを統合されたというふうに思います。金額も、合計すればほぼ同額。これを統合された理由について教えていただきたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 この平成二十三年度地方財政計画におきます地域活性化・雇用等対策費は、地方が地域活性化、雇用、子育て施策等に継続して取り組めるように、単年度限りの措置として創設した平成二十二年度の歳出の特例枠について、子育て施策、住民生活に光をそそぐ事業等を勘案した二千百五十億円を上乗せし、一兆二千億円を計上したものであります。御指摘のとおりであります。

 地方再生対策費は、地方法人特別税の創設に伴う地方税の偏在是正効果を活用した地方財政計画の歳出の特別枠として、平成二十年度に創設したものであります。

 いずれも地域の活性化に着目いたしまして創設した歳出特別枠でありまして、また、提言型の政策仕分けにおきましても歳出特別枠の効率化等の指摘を受けたところから、これらについて、概算要求組み替え基準における取り扱いと基調を合わせまして一定の縮減を図った上で、さらに整理統合して一本化したということでございます。

西委員 この二つを一本化しているわけですが、昨年度とことしの算定方法の違いについて着目をいたしますと、基準財政需要額の費目としては地域経済・雇用対策費というのを設けておりますが、この算定方法を見ると、製造品の出荷額というのが今回新しく入っているわけですね。昨年度ありました地域再生対策費がなくなって、その結果、市町村分の算定方式に入っていた耕地及び林野の面積がなくなっております。

 そんなことを考えると、全体の傾向としては、第一次産業が中心である町村から第二次産業が中心である市の方に配分が、いわゆる田舎といいますか農村部から町の方に少し重点が変わるんじゃないかというふうに思いますが、結果としてこれはどういう状況になるのかということを示していただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 従来、御指摘のとおり、市町村分の地方再生対策費は、地方と都市の共生の考え方のもと、測定単位として、人口のほか、耕地及び林野面積を用いて算定してきたところでございます。

 市町村分の地域経済・雇用対策費の算定に当たっては、測定単位を人口に統一したほか、補正係数として新たに製造品出荷額を反映することとしたところでありますが、あわせて、農業産出額や自主財源比率、人口密度等も反映することとしており、歴史的円高等、現在の地域経済を取り巻く環境のほか、第一次産業が中心となる団体や財政状況の厳しい地域にも配慮することとしております。

 普通交付税の算定は、各地方団体から提供される基礎数値をもとに例年七月から八月をめどに行うことから、現時点で配分状況の見通しについてお示しするのは困難でありますが、算定に当たりましては、従来の地方再生対策費の趣旨、目的も踏まえて、適切に算定してまいりたいと考えております。

西委員 私は、地域経済、特に一次産業における非常に厳しい情勢、高齢化、さらには過疎化、こういうものに対する配慮というのは、依然としてというよりも、ますます厳しくなってきているように思います。一方で、超円高、さらには株価の問題もあり、さまざまな製造業を中心とした厳しさもわからないではないですけれども、今回のこのシフトというのがどの程度の意味を持つのか。それぞれの係数によって傾斜があり、また、項目がなくなっているということもあるんですが、やはりそのことの結果、効果というものを慎重に見きわめていただきたいと思います。一年農村部に行って、二年目から市の方に行って、三年目はどうするのかというような、方針が定まらないということでは地方の財政的にもやはり不安が残ると思いますので、そういう意味では、ぜひともその重点の置き方についての効果をきっちりと今後評価していただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。

 次に、地域経済基盤強化・雇用等対策費の中に、円高に苦しむ地域が海外競争力を強化するために実施する緊急事業を支援するということで、今回、千七百五十億円が計上されていると言われております。今、時期的にも大変大事な内容だと思います。その観点そのものは私も重要だと思いますが、この千七百五十億円というのは、これはどういうふうな根拠で出てきたものか、この額の妥当性について説明をいただきたいと思います。

黄川田副大臣 御指摘をいただきました地域経済基盤強化・雇用等対策費は、平成二十三年度地方財政計画の歳出特別枠である地方再生対策費及び地域活性化・雇用等対策費を概算要求組み替え基準における取り扱いと基調を合わせて一定の縮減を図った上で整理統合するとともに、歴史的円高等を受け、海外競争力強化等のため地域が実施する緊急事業に対応するための緊急特別枠一千七百五十億円を創設することによりまして地方交付税を確保することとし、合計で一兆四千九百五十億円を計上しているものであります。前年度比五十億円減でありますけれども、ほぼ同額であります。

 この緊急枠につきましては、平成二十四年度における地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用三千五百億円によりまして、地方財源不足についての国、地方の折半ルールによる国の臨時財政対策特例加算の縮減、一千七百五十億円の減でありますが、これがされることを踏まえまして、計上することといたしたものでございます。

西委員 今回、このような形で計上されたんですが、この配分の根拠もなかなか難しいのではないかと思っております。海外競争力を持たせるという趣旨からして、多分、製造業なんかが主体になるんだと思うんですが、何をもとにするかというのは非常に悩ましい部分もあるかと思います。きちっとした対応をお願いしたいと思います。

 次に、今回、先ほどちょっとお話がありました公庫債権金利変動準備金、この半分が地域経済基盤強化・雇用等対策費ということでそれに使われまして、残りの半分が臨時財政対策債の減額のために使うという話になっております。

 この公庫債権金利変動準備金が大きくなった場合、これは自民党の委員の方からもお話がありましたけれども、金利を多く支払った地方自治体に払い戻す、こういう意見もありますし、旧公庫債の元利償還金へ充当する、それから、低利借りかえなどで還元すべきものとの考え方、さまざま議論を呼んでおります。

 そういうことをやらずに、この三千五百億の半分、これを臨財債の減額として地方の財源不足の補填に充てるということにしたわけですけれども、この理由について説明をいただきたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 まずもって、平成二十四年度の地方財政への対応に当たりましては、地方公共団体からも強い要請がありました、平成二十三年度を上回る交付税総額の確保が最重要課題でありました。このため、前年度からの繰越金や剰余金の活用などとあわせまして、地方公共団体金融機構法附則第十四条に基づき、機構の経営状況等を踏まえつつ、公庫債権金利変動準備金三千五百億円を国庫に帰属させた上で、地方財源不足額の補填に活用することとしたわけでございます。

 そこで、地方財源不足につきましては、国と地方が折半して補填することとしていることから、準備金の活用により、国の臨時財政対策特例加算及び地方の臨時財政対策債の発行は、それぞれ一千七百五十億円縮減されるところでございます。

 さらに、そもそもこの準備金は地方公共団体の寄与によりまして形成されたことを踏まえまして、臨時財政対策特例加算が一千七百五十億円縮減となる見合いとして、財務大臣との折衝によりまして地域経済基盤強化・雇用等対策費の中に緊急枠として同額の一千七百五十億円を計上いたしまして、地方交付税の総額をしっかりと確保したところでございます。

西委員 次に、先ほどちょっとお話し申し上げました海外競争力の強化支援に使用することについてお尋ねしたいと思います。これは、できれば大臣にお願いを申し上げます。

 それで、残り半分の千七百五十億円、これについては、先ほども申し上げましたように、地域経済基盤強化・雇用等対策費ということで、海外競争力強化の支援ということで今回使用することになりました。

 これは、どちらかといえば、相当角度をつけて重点的に地方に配分するという傾向が大きくなるのではないか、今までの感覚からするとそういうふうに見えるわけでございます。この配分される地域、これが海外に対する競争力をつける、こういうところで配分するということは、これはかなり、先ほど言いましたように、そういうところにのみ重点投下するということに合理的な理由があるのかという感じもします。

 特に、この千七百五十億円の配分の仕方が、今までの感覚からすると私は非常に難しいのではないかというふうに思いますが、この点についての大臣のお考えを聞いておきたいと思います。

川端国務大臣 この千七百五十億円を追加いたしまして、合計で七千四百億円程度を、特別枠、地域経済基盤強化・雇用等対策費に対応しての普通交付税の臨時費目、地域経済・雇用対策費として算定ということにしておりまして、七千四百億円のうち、道府県分が三千三百億円程度、市町村分が四千百億円程度でございました。

 この算定に当たって、新たに製造品出荷額を反映することで、歴史的な円高等現在の地域経済を取り巻く環境に配慮することとしておりますが、全部これに回すという意味ではございません。今までの算定項目にこれを加えるということでありまして、例えば道府県分でいいますと、一人当たり第一次産業産出額、それから自主財源比率、有効求人倍率、人口密度、高齢者人口というのは今までの算定項目でありますが、これに一人当たり製造品出荷額を加えた。市町村分におきましては、一人当たり農業産出額、それから自主財源比率、人口密度、高齢者人口率という従来の計算式に加えて製造品出荷額を入れたということで、それぞれ、この項目に関しては、〇・一ですから一〇%をその分新たにふやしたということであります。

 全体的には、この項目も、円高が大変厳しく、地域経済に重くのしかかっているということを加味したということでありますので、一割分ふやした分では、ほかの部分は全体で九掛けでなるという配分でありますけれども、そういう背景と考え方でやらせていただいていることでございますので、御理解をいただきたいと思いますし、特定の団体に限定して算定されるというふうなことになるものではございません。

西委員 今、海外競争力強化と。海外に輸出するということは限定的に書かれてはいないのかもしれませんけれども、そういう要素は必ずしも入っているわけではないというふうに理解してよろしいんでしょうか。ちょっと確認のために、もう一度お願いします。

川端国務大臣 輸出というよりは、製造業ということでありますので、全国平均分の一人当たり製造品出荷額という形であります。これは、円高で、中小零細企業はじかに部品とかを輸出しているわけではありませんので、そういう部分で、いわゆる製造品出荷額ということでございます。

西委員 わかりました。幅広い分野における、製造という大きな分野の中で間接的には円高の効果を受けている、そういう理解で今回は対応するということだと思います。

 次に、公庫債権金利変動準備金三千五百億円、これは先ほども議論がありました。これは国庫に納付されることになります。これも若干議論がありましたけれども、この三千五百億円、地方公共団体金融機構が政府保証債で調達される、こういうふうにお聞きをいたしました。

 これはどのような政府保証債を発行するということになるんでしょうか。全体として、お金と保証債のめぐりについて、調達方法を簡潔に御説明いただきたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 御案内のとおり、手持ちの現金がないわけでありまして、平成二十四年度におきましては、公庫債権金利変動準備金を三千五百億円、これを国庫納付するための資金調達といたしまして、四年償還の政府保証債を二千二百億円、そして六年償還の政府保証債を一千三百億円発行する予定でございます。

西委員 先ほどちょっと聞いておりましたら、現在、三兆円の準備金が存在するというふうに言われておりました。これだけの額が適切であるというふうに評価されているのか、それとも、今回使うわけですけれども、今後これを最終的にどのように処理されようとしているのかについて、大臣に確認をしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 公庫債権金利変動準備金は、地方公共団体金融機構法の附則第十四条の規定で、この準備金が公庫の債権管理業務を将来にわたり円滑に運営するために必要な額を上回ると認められるときに、その上回る額を国庫に納付するということでありますので、今回は、一旦これを国庫に納付していただくという、法律にのっとった措置をとらせていただいてございます。

 なお、今回の国庫納付とは別途の課題として、地方公共団体金融機構法附則第二十五条の規定により、機構の成立から十年を経過した平成二十九年度末を目途として、機構の業務のあり方全般について検討を加え、必要な見直しを行うこととされておりますから、その時点において、公庫債権金利変動準備金のあり方も含めて機構の業務全般については検討、見直しを行う必要があるというふうに思っております。

西委員 ということは、もともとの経緯からして、全体の流れとしては、国からだんだんと地方のものに移動していくという原則のもとに、要するに、この準備金は国に戻す分を徐々に減らしていく、今後とも少しずつ減らしていくというふうに理解していいんでしょうか。そういうわけではないんですか。ある一定のところでとめるという意味ですか。

川端国務大臣 一応これは、利ざや等の発生を含めてお金がたまっていっているという部分は、基本的に、また逆ざやが発生するときに備えるということも当然ありますから、そういう部分で置いてあることでありますけれども、その変動を見ても、当分の間そこに重大な支障が、影響を与えない範囲においては国に戻すという仕組みとして想定されているということでございます。

西委員 次に、臨時財政対策債の配分方式についてお伺いをしたいと思います。附則第六条の三の関係のことです。

 今までは、人口基礎方式で配分をしておりました。平成二十二年度に、不交付団体に配分しないようにという方向性でもって、財源不足額基礎方式というのが一部導入されております。そういうふうにして、平成二十三年度からは、今後三年間かけて段階的に人口基礎方式を廃止して、財源不足額基礎方式に完全移行するという計画であると言われております。つまり、人口をもとにして臨時財政対策債を配ってきたものを、いわば、簡単に言えば、財源不足のところを中心に臨財債を配っていく方式に徐々に切りかえていく、この移行段階にあるというふうに理解をしております。

 平成二十二年度に比べて、平成二十三年度は、人口基礎方式の配分が四・五兆円から二兆円に減っております。そして、財源不足の基礎方式が約四〇%から七〇%近くに率を上げております。このことによってどんな効果があったのかということを、まず一点、お伺いをしたいと思います。

 また、平成二十四年度は一兆円。先ほどは四・五兆円、それから今回二兆円、それから二十四年度は一兆円、こういうふうに減ってきて、結果的には九〇%が財源不足額基礎方式ということになるというふうに計算をされます。翌年度、二十五年度は完全に財源不足額基礎方式に移行するというふうに聞いているんですが、この効果についてどのように見ているのかについて、あわせてお伺いをしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この臨時財政対策債の配分方式につきましては、地方公共団体からの意見も踏まえまして、財政力の弱い地方公共団体に配慮し、財源調整機能を強化する観点から、不交付団体を含めた全ての地方公共団体に配分される人口基礎方式から財源不足額に応じて配分する財源不足額方式に、平成二十五年度までに段階的に移行することとしております。

 このような配分方式の見直しによりまして、人口基礎方式による配分額は、平成二十二年度は四・五兆円、平成二十三年度は二兆円となっており、平成二十四年度は一兆円程度となる見込みでございます。

 このように、人口基礎方式から財源不足額基礎方式への移行が進んでいくことにより、不交付団体に配分される臨時財政対策債の額は大幅に減少し、財源不足が生じている団体に臨時財政対策債がより配分されることになることから、地方交付税の代替財源としての臨時財政対策債の財源調整機能がより強く発揮されるようになるものと認識をいたしております。

西委員 この方式は、私は非常に有効な切りかえであったというふうに見ております。必要なところに必要な額が行くようになっていくということからして、いい方式だというふうに思っているんですが、不交付団体への配分について、ちょっと確認をしておきたいと思います。

 平成二十三年度の二兆円のうち、不交付団体に配分された額が幾らになっているのか、こういうことでございます。人口基礎方式の部分ですね、ここは不交付団体にどれだけ行ったのか。不交付団体に配分したものの、実際に使われなかった額は一体幾らなのか。これを今確認しておきたいと思います。

 前年度実績のない自治体について、もう最初から配分の対象から外して、その分を財政力の弱い自治体へ配分すれば、より効果的に配分されていくと思います。既にそういう流れはできているわけですから、そういうふうにしていただきたいと思いますが、配分できない理由がもしありましたら、一緒に御説明をいただきたい。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十三年度においては現時点で発行実績が不明のため、平成二十二年度でお答えをいたしますが、平成二十二年度における不交付団体は七十一団体でありまして、臨時財政対策債発行可能額の総額は四千八百八億円程度となっております。発行可能額のうち、発行された額は六百五十五億円程度、発行されなかった額は四千百五十三億円程度となっております。

 また、普通交付税による交付、不交付は、当該年度の財政状況によって決定されるものでありまして、前年度の発行実績がないことにより臨時財政対策債を配分しないということは適当ではないと考えております。

 なお、臨時財政対策債の配分方式については、財源調整機能を強化するため、平成二十五年度までに段階的に財源不足額基礎方式へ移行することとしておりますので、自然とそうなるかなというふうに思っておりますが、御理解をいただければと思います。

西委員 最後の答弁、まさしくそのとおりだと思います。年月を経れば、そういう実態の不交付、結果的には交付されないということが起こるんですが、私の見方では、その間もったいないなと。もったいないという言い方はちょっとおかしいかもしれませんけれども、不交付団体に配分して、それを使われないのであれば、何かいい工夫はないかなという考えのもとに質問をいたしました。二十二年では、四千八百億もありながら四千百五十億が不交付団体では使われないという結果があるわけですから、その年度年度で、もうすぐ解決はするわけですけれども、何かいい工夫はないかという趣旨でありました。結果的にはもう既にこういう実態が出ているわけですから、徐々にいわゆる財源不足額の基礎方式に変更していくということについては、非常にいい方向ではないかと思っております。

 それでは、続きまして、地域自主戦略交付金についてお伺いをしていきたいと思います。

 このことについては、今回の拡充については、これも何回も出てまいりました。私も、実はこれが民主党のいわば非常に重要な政策の一つであっただけに、また、将来的にこれは、今年度、市町村までおろすことができるのかなというふうに懐疑的であっただけに、やはりそうか、こんな思いでおります。

 今回、最終的には、昨年の都道府県に続いて政令指定都市だけが対象になる。予算規模が結構多くて、その政令指定都市内でかなり変動が吸収できるところということが対象になったんだと思うんですが、当初は中核都市も対象にしてほしいという要望があったように私も聞いております。

 今回、最終的には中核都市は、かなり自主性を高めながらも、私のところの和歌山市なんかも中核都市なんですが、この自主戦略交付金の対象にならなかったということについての御説明をお願いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 中核市市長会が一括交付金に意欲的な方向を示されたことは我々も承知をいたしております。

 平成二十四年度の地域自主戦略交付金の市町村分の導入の検討に当たりましては、年度間の変動や地域間の偏在が大きいなどの課題が指摘されており、全国一律に来年度から導入することが適当かという点もございました。

 中核市についても、政令指定都市と異なり、国道、県道の管理権限等が移譲されておらず、投資的な事業の範囲や規模が限定され、年度間の変動がより大きいという課題がございます。

 このため、二十四年度は、市町村のうち、規模も大きく、都道府県に準じた権限を有する政令指定都市を対象として導入することとしたところであります。

 政令指定都市以外の市町村については、年度間の変動等が大きいという課題等を踏まえつつ、地方の意見も丁寧にお伺いをしながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

西委員 これは、先ほども議論がありました。私も全くそうだと思うんですが、あらかじめ想定されていた課題なんですね。年度別の変動が大きい、それぞれの補助金ごとに、大きく使うところ、平常のところ、少ないところ、そういうことがあるために、このでこぼこをどうするかということは大きな課題であったと思います。

 一括交付金というのは、どちらかというとひもつき交付金を束ねたものですから、ひもか縄かというぐらい、縄のようにひもを幾つか丸めてねじったような、そんな感じだと思うんですが、それを一旦地方に渡して、地方はその縄の中で重要な部分を選択して予算の範囲で戻したところが、ひもの一本一本の太さが違ってくるわけですね、地方が重点的にとるものが太くなってきて。結局、またそれをそれぞれの省庁に渡して、これでまたひもでもって補助金化するという、半分自由がありながら、やはり結果的にはひもの範囲の中で、予算額の範囲で増減させているというにすぎないということなんです。

 私は、このことの限界もありながら、今後、民主党政府が市町村にまでこれをおろしていくということを宣言するのであれば、やはり何らかの工夫があったのではないかな、あるべきじゃないかなと去年から思っておりました。例えば補助金の中でも変動が少ない部分を渡すとか、トータルとしての市町村の額を大きく変動させるということの心配をしているわけですから、大臣、そこは私は、今回の国とそれぞれの市町村との話し合いの中で、民主党といいますか現政権として、県とは違って、例えば補助金の内容をもう少し安定したものだけにするとか、また別の形で何らかの工夫を提案してもよかったのではないかなと。

 また、大臣は来年にもやるかのごとくおっしゃっていますけれども、私は、やるとしたら、今回政令都市までいきましたけれども、やはり県とは違う一工夫をしなければ、何ぼ言ったってそれは通用するものではない。

 でも、少なくとも一本一本の補助金は変動を乗り越えているんですよ、各市町村。ことしは多くくれと言ったら多く、それはもちろん市町村別に違うんですけれども、聞き入れられたり聞き入れられなかったりしながら乗り越えているんです。しかし、大きなひもが縄になった途端に乗り越えられないというのは、もちろんそれぞれの名目が違うからそうもいかない部分もありますけれども、私は、ある意味では市町村はおそれを抱きながらも自由裁量権をやはりこの段階で少しでも多くしてほしい、そういう思いに応えるとするならば、同じものを提示するというんじゃなくて、やはり政府内で十分検討した上で、市町村向け一括交付金みたいなもの、これをとりあえず提案すべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。

川端国務大臣 問題意識と課題認識は委員と大体同じでありまして、中核市からも、ぜひとも方向としてはやりたい、ただ、変動があると。そういう部分では、政令市まで拡大した同じ仕組みでやるということは基本的には難しいというふうに思っておりまして、中核市からは、御提言も含めて、要するに年度間変動が大きいことへの対応ということで、継続事業への配慮と基金の創設というのを考えてほしいというふうな御要望、意見書をいただいております。

 そういうことを含めて、おっしゃるように年度間変動はいつでも起こっているんですね、逆に言えば。だから、それがこういう形の中でどういうふうに将来的に担保されるのか、安心をしっかりする仕組みにしてほしいということで、方向としてはやってほしいということとセットだと思っておりますので、おっしゃるように工夫と、先ほども工夫と知恵と申し上げましたけれども、その部分は一生懸命今いろいろ検討している。そして、丁寧にまた皆さんの御意見も伺いながら、今やっていることの検証も含めながら、前に進めたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、逢坂委員長代理着席〕

西委員 やはり、大臣がおっしゃるように、一つ一つの補助金は変動をもちろんしているんです。しかし、それはそれなりに、その分野に関しては透明化されているわけですね。一括交付金というふうに丸められちゃうと、どこがどうなっているのかということがわからないままに、何かいつもフラットになっていくような印象があって、現場では、それはちょっと違うだろう、俺のところの事情があるんだと。この二つをどう調整していくかという非常に難しい課題だと思いますが、その辺のことをさらに努力されるようにお願いをしたいと思います。

 平成二十三年の十二月十六日、地方財政審議会の意見がございます。「ひも付き補助金の一括交付金化は、地方自治体の裁量を広げるものとして評価できるが、」ここまではいいんです、「国が配分の権限を持ち、使途を制限している限り、地方自治体にとっては、使い勝手のいい補助金の域を出ない。一括交付金については、地方に税源移譲するまでの間の過渡的な制度であることを明確にするべきである。」こういうふうに答申をしているんですね。

 私は、やはり行き着く先はここに行かざるを得ないのではないかと。あくまでも、先ほどひもと縄の違いだと言いましたけれども、やはり太い交付金、補助金というイメージから現実には抜けられないのではないかと思っておりまして、この点についての大臣の御所見を聞いておきたいと思います。

川端国務大臣 地域の自主戦略交付金というのは、いわゆる事業の選択にかかって地方の裁量を広げるということにおいては、その部分は地財審も一定の評価はいただいております。そして、「使い勝手のいい補助金の域を出ない。」ということで、使い勝手はよくなったという御評価もいただいているわけです。

 これをスタートさせたところでありますので、実際にはそういう部分が、地方でやっていったときに実態として、先ほどから、手間がふえただけではないかという御批判もいただきましたが、選択権も含めて自由裁量がふえたという部分を含めて、実態を検証しながら、一歩一歩よりよいものにしていきたいというのが基本方針であります。

 将来にわたって、これを過渡的と位置づけて、税源移譲するものなんだというところまで、税源移譲の方向を全く否定するとかいうものではありませんが、それも選択肢の一つとして、いろいろな検証を踏まえながら、地方の自立性をどれだけ高めていくか、そして財源確保をどうするか。例えば、中核市等々を含めていえば、先ほども、フラット化してしまえば大きい事業ができないと。だから、大きい事業をやったところはしばらくないよという部分をどう担保するかというふうなことを含めると、必ずしも、税源移譲がどれだけその機能を果たすか、同じ問題を抱えてくることもありますので、そういう部分では、国と地方の役割分担の見直し等も含めて、十分に検討を進めなければならない。

 御指摘の課題は非常に重い課題であるというふうに思っております。新しい試みでありますので、改善しながら、地方の意見を聞きながら、丁寧に進めてまいりたいというふうに思っております。

西委員 ありがとうございます。前向きな御答弁だと思います。これからますます地方の自主性が問われる時代になります。そのことに対応した地方の税源というものを確保するために、さらに頑張っていただきたいと思います。

 続いて、特定被災地方公共団体の基準財政需要額、収入額の算定方法について、今回、総務省令で特例を設けるというふうに聞いております。この規定を設けた理由、それから総務省令の概要についてお聞きをしておきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 特定被災地方公共団体については、平成二十四年度の普通交付税の算定において、測定単位や基準税額などの算定上の基礎数値が、根拠となる各種台帳の滅失などにより、例えば道路台帳みたいなものでございますが、そうした場合に報告不能またはゼロとなってしまい、算定が困難となるおそれがあります。

 このような事態を回避するため、法律上、基準財政需要額及び基準財政収入額の算定方法の特例を設けることができる旨を規定した上で、測定単位や基準税額の算定の基礎等について、総務省令で具体的な特例規定を設けることとするものでございます。

 具体的な特例省令の整備については、四月以降に報告される算定上の基礎数値の状況を踏まえつつ、特定被災地方公共団体における実情を十分にお伺いしながら、財政運営に支障が生じないよう、適切に対処してまいりたいと考えております。

西委員 非常に重要なことだと思いますが、これはまたなかなか難しい推定といいますか、政令に落とすことについても非常に、現状がわからないというところから出発しますので、慎重に、十分地方の実情を聞いていただいて、困らないように対応していただきたいと思います。

 次いで、震災の関係で、震災復興特別交付税の決定時期や決定する額について、これも特例を設けているというふうに聞いております。これは、実は現行でも、地方交付税法の第十五条の第三項ですが、激甚災害その他の事由であって、自治体の財政運営に著しい影響を及ぼす場合には、特別交付税の決定時期や決定する額について、既に特例が最近設けられたと思います。今回この規定を設けた理由を説明していただきたい。

 また、震災復興特別交付税の交付の回数、交付の時期、それから額、それぞれの見通しについて教えていただきたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘をいただきましたけれども、現行の地方交付税法第十五条第三項は、毎年度においてその全額を交付することとしている特別交付税を前提といたしまして、定例交付、十二月及び三月によりがたい場合における特別交付税の決定時期等の特例を認めるものでありまして、大規模災害等の発生後の速やかな対応を可能とすることを趣旨としておるわけでございます。

 一方、震災復興特別交付税でございますけれども、これは年度を繰り越して交付するという特例措置を前提といたしておりまして、復旧復興事業の実施状況等を勘案して適時適切に決定することができるようにする必要があるため、第十五条第三項とは別に、新たな規定を設ける必要があったところでございます。

 そこで、震災復興特別交付税の交付額の見通しについてでございますけれども、復旧復興事業の実施状況等を踏まえる必要があるため、現時点で確たることは申し上げられないのでございますけれども、決定、交付時期については、平成二十三年度におきましては、三月下旬を目途に決定、交付を行うことといたしております。

 そしてまた、平成二十四年度におきましては、被災団体の予見可能性を高めるため一定のルール化を行うことが望ましいこと、そしてまた、被災団体の事務負担に配慮する必要があること、また一方で、個々の団体の実施状況に柔軟な対応を求められておることもありますので、年度の半ば、例えば九月ごろ及び年度末、三月の二回、決定、交付を行うことを基本としつつ、なおかつ弾力的に対応したいと考えておるところであります。

 いずれ、被災団体の実情を十分にお伺いいたしまして、きめ細かく、所要額、しっかりと対応していきたいと思っております。

西委員 こういうことは、いずれにしてもめどを立てておかないと、事務的にもなかなか処理しにくいということも多分あるんだと思うんですね、一つは。

 それと同時に、例えば各県、宮城とか岩手とか福島とか、それは時期は同一にする、必要なときに必要な交付をするということではなくて、何月というふうにして一定の時期を決めて、その時期はそれぞれ適宜決められるんだと思うんですが、全体同じ時期に交付をしながらやっていく、こういうふうに基本的には考えていい、そういうことなんでしょうか。

黄川田副大臣 いずれ、いつでも自由に交付できるというわけにもいきませんし、そしてまた、宮城、岩手、特に福島の場合は原発という、これがまた収束しておりません。津波であれば、もうスタートラインに入っておりますので、さまざまな社会資本整備であれ、大体日程の中に、枠の中に入っておりますので、交付も九月とか三月にあるんですが、のっぴきならずに、財政運営が厳しくなるということもありますので、そこもまた弾力的にということでございまして、岩手、宮城、福島、同時期に同じ配分をするところもあるかもしれませんが、また一方、弾力的な配慮で対応するということもあることも考えております。

西委員 被災された各県に限定された今回の特別交付税ですので、そこは柔軟にぜひとも対応していただければというふうに思います。

 次ですが、わがまち特例、これももう既に議論がありました。

 私は、二件しか選ばれなかったというのは非常に残念に思っております。多分、水面下ではさまざまな交渉が行われて、少しでも多く自治体の裁量に属する仕組みをつくろうと努力されたんだろうと思うんですが、各役所の抵抗が強くて、たった二つだけに終わったのではないか。これは私の推測ですが。

 これはなぜ二件だけだったんでしょうか。これで当然というふうに思っているのか、ちょっとその辺について、率直にお聞きをしておきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。答えは難しいんですけれども、本当に。

 実際、二件となってしまいましたのは、やはり、簡単に申し上げますと、条例で制定をする場合の幅が、例えば二分の一から四分の三までとか、そういう幅のとれるもので可能なものがこれだったということなのかなというふうに思っておりますが、そのほか、なかなか、それぞれわがまちで特徴的に税率を定められるものというのが非常に少なかったかなと思っています。

 これと全く直接かかわっておりませんが、地方制度調査会での税、住民投票条例なども、慎重な意見が強くてなかなか決まらなかったという経緯もございますので、そういった意味もあるのかな、こう思っておりますので、御理解をいただければ。

 なお、今後さらに頑張ってまいりたいと思っています。

西委員 方向性はわかりました。今後はさらに頑張るということですが、いかに抵抗が強いかということなんでしょうね。しっかり頑張って、来年は来年でまたたくさんの可能性を見出していただきたいと思います。

 これの拡充について、これは一つの意見なんですが、政府の平成二十四年度の税制改正大綱によると、地方税制度について、自主的な判断それから執行の責任、これを拡大する、そして抜本的に改革をしていくという考え方が示されております。

 それならば、例えば、今見直しをしている税負担の軽減措置、これをわがまち特例の対象に加える、こういうようなこともあるんじゃないか。つまり、地方自治体の裁量に任せる、こういうふうに思い切ってやる。もちろん、これは地方自治体の財政とそれを支える総務省の予算との関係で非常に微妙なバランスの上に成り立っているということは先ほどの答弁でもおよそ推測はつくわけですけれども、やはり地方に自主性、自主的な判断、それから責任ある財政執行ということを考えるならば、こういうことも考えの一つに入るのではないか、こういうふうに思っておりますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

川端国務大臣 税制上の特例措置も、大きく分けますと、その特例措置をやるについて、国が全国一律でそういう特例をやるという性格のものと、一定の幅で、地方の自治体による判断の余地を一定程度残して設けることができるものと、二種類に分けられるんだというふうに思います。そういう部分で、わがまち特例の対象とする特例措置を定めるに当たっては、その特例措置自体が全国一律でやるものなのか、あるいは一定の裁量の幅を地方に渡していいのかというのを判断する、どちらに置くのかということを判断する必要があります。

 この判断自体は、全国一律かどうかという判断ですから、これは国においてせざるを得ないというのが妥当であろうというふうに今は思っております。国の政策要請として、これはどうしてもやりたいということでの特例もあれば、一定の裁量の幅があってもいいなという、この判断自身は地方ではなくて国だというふうに思っておりますので、この状況判断、選択することは国において行われることが適当であろうというふうに考えております。したがいまして、今、どの特例措置をわがまち特例にするかにおいては、これは国が規定する地方税法において定める必要がありますから、地方において自由にしていいというわけにはちょっといかないという状況だというふうには御理解いただきたいと思います。

 しかし、方向というか精神として、できるだけ自主的に、責任を持って、自立性を拡大するという観点から、さらにこのわがまち特例の対象は拡大をしたい。先ほど福田政務官から申し上げましたけれども、一定の幅を持てる部分であると同時に、今回は期限切れが来る特例措置に関して見直しを行ったという部分でも対象は限定をされております。そういう意味でも二件であったということでありますが、これからは、さらに一層、地域の実情に応じたこういう制度が生かされるように、我々としても取り組んでまいりたいと思っております。

西委員 先ほども話をしましたけれども、やはり地方は、自由度が増すと同時に、それぞれの自治体、特に首長さんの責任というものも当然重くなってくるわけです。そういう中で、その地方地方に特徴的な税収のあり方、また予算執行のあり方、これをやはり強めていくということがこれからの時代に必要なことではないかというふうに思います。

 財政がこれから、地方財政も必ずしも甘い状況ではない中で、いかに工夫をしていくかということにお互いが、国も努力する、同時に地方も努力する、このことなくして財政を解決する道はないんじゃないかというふうな気がしますので、やはり大臣に、ぜひとも思い切った、地方の活性化のために頑張っていただきたい、このように思うところです。

 時間がなくなってまいりました。あと一、二問ですが、商業地の措置の特例についてお伺いをしたいと思います。

 商業地の負担調整の進捗状況がおくれているということに関して、平成二十三年度は、負担水準が八〇%に達しておらず、課税標準の引き上げ対象となっている土地はわずか九・六%というところまで来ております。

 この対象となっている土地は、歴史的にちょっとさかのぼってみますと、平成十八年度から二十二年度までずっと見てみますと、一八・五、一二・一、八・一とだんだん下がってきておりまして、それから二十一年度は三五・四と、ぴゅっと上がるんですね。後にまた、一八・三、それから九・六と下がってきております。

 そういう意味で、商業地に関する負担調整の状況について、かなり変動があることは事実ですが、政府としてどういうふうに評価をしているのかをお伺いしたいと思います。

 また、措え置き特例を廃止するとすれば、一体どういう状況になった場合に判断するのかということについて、もし基準というものがあれば教えていただきたい。もしくは、商業地にはほかの特例措置がないので、恒久的な措置として今後とも残していこうとしているのか、このことについてあわせてお答えをいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 商業地等の負担調整措置の進捗状況につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十三年度時点で据え置き特例が適用される負担水準六〇%に満たない商業地等が商業地等全体の約九・六%となっているなど、負担水準が低目の土地が相対的に多い状況にあると認識をいたしております。

 商業地等の据え置き特例については、平成二十四年度税制改正において、固定資産税について、「平成二十七年度の評価替えまでに、公平性、合理性、妥当性等の観点から総合的な検討を行います。」とされていることや、商業地等における負担調整措置の進捗状況を踏まえ、今後、そのあり方を検討してまいりたいと考えております。

西委員 そういうお答えだろうと思います。まだ変動がおさまるかどうかちょっとわかりませんし、総合的な判断が要るんだろうと思います。今後、精力的にまた努力していただきたいと思います。

 最後に、今度は市街化区域の農地です。農地負担の調整の進捗状況について、どのようになっているのかをお伺いしたいと思います。

 現行法の附則第十九条の四の第二項及び第四項に規定される市街化区域農地の据え置き特例を廃止すると今回決めましたね。この決めたことについての判断基準、これをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 今回、見直し対象となっている特定市街化区域農地の負担調整措置の進捗状況については、平成二十三年度時点で据え置き特例が適用される負担水準八〇%に満たない特定市街化区域農地が特定市街化区域農地全体の約四・五%となっているなど、負担調整措置は相当程度進捗しているものと認識をいたしております。

 特定市街化区域農地の据え置き特例については、このような負担調整措置の進捗状況を勘案したほか、特定市街化区域農地については、今後住宅用地等の宅地としての活用が想定されることなどから、その課税の仕組みは一般住宅用地と同様となっており、今般、一般住宅用地の据え置き特例が見直されることとされたことから、見直しを行うこととしたところでございます。

西委員 以上で終わります。ありがとうございました。

逢坂委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に復興交付金についてお尋ねをいたします。末松復興副大臣においでいただきました。

 三月の二日に復興交付金の交付可能額が通知をされました。そういう中でお尋ねしたいのが、基幹事業の一つであります造成宅地滑動崩落対策事業について、まず確認をしたいと思います。

 十二市町村にこの造成宅地滑動崩落対策事業の交付可能額が通知をされたと承知しておりますが、そのうち仙台市といわき市と茨城県東海村の事業費とその内容、対象地域について教えてください。

末松副大臣 今回の震災対応に当たりまして、政府としては、造成宅地の滑動崩落等による被害、これに対応する重要性に鑑みまして、先生御指摘のように、この対策事業を創設いたしました。

 そこで、御質問ですけれども、まず仙台市でございますが、緑ケ丘四丁目地区ほか二百三地区における設計、工事に要する費用として約二百十九億円。そして、いわき市の西郷町忠多地区ほか一地区における設計、工事に要する費用として約三億円。そして、東海村の南台住宅団地地区ほか一地区における設計、工事に要する費用として約五億円について、配分可能額の通知を行ったところでございます。

塩川委員 済みません、数字の確認で恐縮なんですが、私が復興庁からいただいた数字では、造成宅地滑動崩落対策事業について、仙台市が二百八十九・七億円を事業費として聞いておりますし、東海村については六・四億円、いわき市は三・六億円と承知をしているんですが、確認でお聞きします。

末松副大臣 これは、今の先生のおっしゃったのは事業費でございまして、私が今述べたのは国費として幾ら出すかということでございます。

塩川委員 失礼しました。そういう交付可能額を踏まえて、事業費が今私が紹介をした額ということになります。

 それで、先月、東海村に足を運びまして、ここで対象となっているような被災者の方のお話を伺ってまいりました。

 丘陵部を切り土、盛り土をした造成宅地ですけれども、数十戸が宅地の地盤被害を受けておられる。今現在も住んでおられない方もおりますし、まだ、例えばジャッキアップなどの、家を平らにするような工事なども行われていないような世帯も残されているわけであります。

 私が伺ったお宅では、その場所自身が盛り土をしてあるところなんですけれども、すぐ裏側がずっと斜面になっていまして、かなりの急角度で下がっているところで、その方のお話では、かなり家の宅地にひびが入っていて、先日、畳を剥がして床の下を見てみたら、何本もひびが入っていたと。ちょうど裏の崖に向かう方向と平行して何本も入っているということで、また大きな地震などがあった場合にもっと広がるんじゃないか、こういう不安の声を強く訴えておられました。

 そういったときに、このような事業がしっかりと、被災者の宅地の再建にもつながるようなものとしてしっかりと事業化になっていくことを強く求めていくものであります。

 また、仙台市に行って担当者の方のお話を伺ったときに、仙台市の場合には、こういった盛り土などでの造成宅地での宅地地盤被害が四千件を超えるというお話であります。

 仙台市の事業計画では、既に年末に被災者の方にお示しされていますけれども、この復興交付金の造成宅地滑動崩落対策事業を使うのと、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業を使って、いわば補助事業で八割ぐらいをカバーし、こういった国庫補助事業に当たらないような宅地被害については市単独の助成制度をつくって支援を行うということで、三通りの仕組みをつくってこの四千戸の被害宅地に対応しよう、そういう中でも、被災者の方の金銭的負担も軽減しようということで、数十万から百万円程度という取り組みになっていると聞いております。

 もちろん、その額でも大きいという方もいらっしゃいますし、また、こういった負担というのが合意形成の上でも障害となりはしないか、こういう懸念などもあるわけで、こういった取り組みについてもしっかりとした財政措置を行っていくことが必要であります。個人負担の一層の軽減や、沈下した地盤の補強や建物のジャッキアップなども支援の対象にすることなどが求められております。

 その点で指摘をしたいんですが、こういった宅地地盤被害については、もともと、三次補正で復興交付金をつくる際に、国交省が被害状況を全国集計しています。九月の二十七日現在ということでの数字で見ますと、液状化被害を除いた宅地の被害件数というのが、全国で百十一の市町村にわたって五千四百六十七件の被害があるという国交省の資料なんですね。そのうち、十件以上という市町村をとっても六十市町村に及びます。

 これは、国交省の九月二十七日の集計時点では、仙台市の被害件数が二千百四件になっていますから、その後、先ほど紹介しましたように、仙台市では四千件を超える戸数となっているということでは、この九月末現在の集計の五千四百件余りというのも実際にはもっと多いんじゃないのか、こういうことも想定をされるわけであります。

 そこで、お尋ねしたいんですけれども、末松副大臣としても復興交付金についての対応方に御努力されておられると思うんですが、宅地地盤被害についての造成宅地滑動崩落対策事業の対象となっていいような自治体がかなりあるのではないのか。十件以上の被害のある市町村が、先ほど言ったように、六十市町村ある。もちろん、これが全て特定被災地方公共団体に当たるというわけではありません。しかし、十二自治体というのは余りにも少な過ぎるんじゃないかということを率直に受けとめているわけです。

 ですから、そういう点でも、自治体の方から、つまり、特定被災地方公共団体から、宅地地盤被害があるけれども、実際には第一回の事業計画について申請がなかったというところに、復興交付金基幹事業の使い勝手が悪いんじゃないのかということを感じるんですが、この点、末松副大臣としてどのように受けとめておられるか、お尋ねします。

末松副大臣 先生御指摘の造成宅地滑動崩落緊急対策事業ですか、これは今までになかったんですね、そういうのが。みんな困っていました。私も仙台に常駐しているときに、本当に何とかしてくださいと仙台市長からも言われ、そういったことをいろいろと重ねてきて、そこで今回創設をされたということでございます。そういった意味で、仙台市、市長を含め、いろいろな方からここは喜ばれております。

 それで、先生御指摘の、確かに全てを今網羅しているかどうかというのはよくわかりませんけれども、今、リクエストがございました十二市町村についてはほぼすべて、私ども、これを認めたということでございますし、さらに、そこが仕組み上もっと要件緩和できるのではないかということについては、ちょっとそこはまた関係省庁も含めて御協議をさせていただきたいというふうに考えております。

塩川委員 先ほど言いましたように、十戸以上宅地地盤被害が出ているのが六十市町村に及ぶ、そこが全て特定被災地方公共団体とは限らないわけですけれども、それなのに、実際には十二しか出ていないというその差について、何があるのかということをやはりよく見る必要があるんじゃないかなと思うんです。

 同じことは液状化の被害についても言えまして、液状化被害について、先ほど言った国交省の集計では、七十九の市町村に二万六千九百十四件の被害が出ているわけです。これは、浦安などが本当にたくさんの戸数ですから、二万六千を超えるような数になっているわけですよね。

 そういった中で、例えば十件以上あるような市町村を拾うと五十二市町村になります。それなのに、市街地液状化対策事業については、交付可能額の通知というのは六市だけなんです。ですから、十戸以上のところが五十二といっても、実際に復興交付金に手を挙げたというのが六しかない。

 この市街地液状化対策事業というのは、まずは事業化の前に、工事をする前に調査をするわけですよ。つまり、そのためにどういう工法が一番ふさわしいかというのは、それぞれの地域の状況を調べなければわからないということで、技術関係の検討委員会も設置をするし、そこでどういう工法がいいかということを検討した上でこれにしようということを決めて、その後初めて工事に着手するということなんですよね。そういうことであれば、工事まで至らない、まずは調査をする、調査計画費を計上する、それがわずか六自治体なんですよ。

 今言ったように、全体では二万六千件で、十戸以上のところだけでも五十以上の市町村があるにもかかわらず、六自治体しか調査計画費を出していないというのも、実情からいっても非常に不思議だなと思っておりますし、こういう制度というのが十分周知されているのか。特に、被災者の立場に立っていえば、健康被害も受けるような家の傾きの中での生活というのは大変苦痛であるわけで、こういう点についても、私、率直に、こういう液状化の事業であれば、調査計画費であればどこでも手を挙げていいのに六つしかないというのは極めておかしいなと思うんですが、この点について、末松副大臣、どのように受けとめておられますか。

末松副大臣 先生御指摘の液状化につきましては、例えば道路、下水道、学校などの公共施設の液状化被害に対しては、災害復旧事業として、地方の負担なしに対策を講じておりますし、また今回、従来はなかったんですけれども、市街地における液状化被害の対応の重要性に鑑みて、新たに市街地液状化対策事業というのを、またこれも新たに創設いたしました。そういった中で、復興交付金の基幹事業にいたしました。全国から、そういったところで喜ばれているところでございます。

 ただ、これも交付金の事業ということで、やはり交付金ということにかかわるある程度の制限なんかもついてまいります。全くのプライベートのという話になれば、そこはちょっとまずいなという話がございますけれども、先ほどから先生おっしゃっているように、事業化計画をきちんと出していただいて、そして調査して、それで事業化を図るということのプロセスでやっていただいていますので、その事業化計画の調査、これについては、全て私どもそこはゴーサインでやってきた。

 ただ、先生御指摘の、制度そのものに、ほかのところに、そういった調査の申請が出せないような条件が何かいろいろとあるのかどうか、そこはちょっと私どももまた子細に見ていきたいと思っております。

塩川委員 ぜひ、実態もつかんでいただいて、そういった対応について何か不備や瑕疵があるようであれば、そこを是正してもらうという点で対応方を要請するものです。

 きのうの復興特別委員会でも平野大臣が、復興交付金というのは優先度があるという話として、住宅と産業再生と学校、病院の再建、これは最優先でやれということで指示しているという話がありました。

 そういう点でも、この住宅関連について、私のお聞きした被災自治体では、こういった造成宅地の滑動崩落対策事業とか市街地液状化対策事業については、基本は、要望をしたとおり反映してもらっているという話をお聞きしております。

 その上で、先ほど仙台市のところで紹介をしたように、四千戸をカバーするには復興交付金の事業だけでは賄い切れません。地域防災がけ崩れ対策事業だとか市単独の助成制度もつくっているわけですけれども、そこに対する財政措置がしっかりとないことには、仙台市としても、安心してといいますか、被災者に目を向けた取り組みをやっていくことができないのではないかなと思っているわけで、そういった災害関連の地域防災がけ崩れ対策事業の国庫補助事業、またその地方負担分に対して、当然、震災復興特別交付税の措置ですとかあるいは単独事業の助成制度について、何らかの財政措置というのが必要だと思うんです。こういうことについてぜひ具体化を考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

末松副大臣 実は、仙台市長さんとも昨年からずっとこの滑動崩落の住宅についても協議してまいりました。そういったときに、最初は仙台市長さんの方は、今回の緊急対策事業費みたいなものはないということを想定して、自分たちで全部やるためにはどうするんだろう、どのくらい予算がかかるのか、こういうことをやってこられたんですね。それに対して我々が、それはもう国庫からかなり負担をしますという話になって、そこで仙台市長さんの方は、私どもの政策に対して非常に御評価をいただいたという状況でございます。

 ですから、全てが地方の負担全くなしにという話ではなくて、仙台市長さんが今やっておられるように、いろいろなツールを組み合わせながら、そこで住民の方々に一番御満足いただけるような、これをやっていくというのが一番いい形かなと思っております。

塩川委員 そういう意味でも、組み合わせながらしっかりと対応していくということで、ぜひ知恵を出していただきたいと思うわけです。

 その点で、次にお聞きしたいのが、復興交付金の効果促進事業であります。今回の第一次の交付可能額の通知で見た場合に、基幹事業に対して効果促進事業の額が意外と少ないなというのが率直な印象なんですけれども、実際に、この復興交付金事業において効果促進事業がどのぐらいを占め、これは基幹事業費に対して何%ぐらいになるのかについて教えていただけますか。

末松副大臣 今回の配分につきましては、地域の復興、まちづくりに必要となるような基幹事業、これについて要望が大変多かったということでございます。そういった意味でいけば、基幹事業に係る交付対象事業費二千九百九十四億円に対して効果促進事業費というのは六十億円ということで、その割合は二%にとどまっているということでございます。

塩川委員 確認ですけれども、制度上、この効果促進事業というのはどのぐらいの割合で額としては認めることになるのか。

末松副大臣 例えば第三次補正の場合は、目の子で、大体一・五兆円といたしまして、効果促進事業費と言われるのが限度額で大体四千億円程度まで認めているという状況でございます。ですから、基幹事業の大体三五%ぐらいだということでよろしいかと思います。

塩川委員 そういう点では、基幹事業費の三五%の額まで可能なのが効果促進事業ですけれども、先ほどの答弁ですと、二%ということでしょうか。そういう意味でいうと、極めて小さい。何でこんなふうになっているのか。

 本来であれば、事業として動き出しているわけですから、基幹事業に密接に関連した事業として効果促進事業をいろいろやろうじゃないかという知恵が出ていいはずなんだけれども、そうはなっていないようだという事情についてはどのように受けとめておられますか。

末松副大臣 市町村の皆さんがまず基幹事業について大きな関心を持って、そういったリクエストがたくさん来られました。そこで、効果促進事業というのは基幹事業に付随する事業でございますので、ここは多分これからたくさん来ると思っております。そういった意味で、三月末までにもまた我々ジャッジをしますので、そういったところからも結構来る。最初は基幹事業がメーンだったということだと思います。

塩川委員 いや、聞いている話では、そうではなくて、やはり基幹事業で措置するものと、それと対応して効果促進事業で措置してもらおうということは、結構被災自治体では考えているわけですね。その意味で、例えば、基幹事業の四十事業でカバーできるようなところはそちらで措置するけれども、そうはならないような案件について効果促進事業で関連して措置できないかとか、そういうアイデアというのはいろいろあったと思うんだけれども、それが実際に今回のでは採用されていないんじゃないのかという声が出るわけですけれども、その点はどうですか。

末松副大臣 私ども、具体的なリクエストを受ける立場にございますから、どういうリクエストが来ているか、全体を把握しております。そういった中で、基幹事業が極めて多かったというのが実態でございます。その点、特にそこで私どもが事実関係を曲げる必要は全くございませんので、多分そういうことから低かったということであろうと思います。

 また後からきちんと基幹事業との関連性を御説明いただければ、そこは我々としても承認するにやぶさかではございませんので、そこはどんどんやってきていただければと思っております。

塩川委員 どこの被災自治体とは言いませんけれども、今言ったように、基幹事業で措置するものはしっかりと要請もしているわけです。しかし、それに満たないような案件というのはあるわけですね。そこを効果促進事業で考えているということだけれども、今回のにはのらなかったということなんかも話として聞いているわけなんですけれども、どうですか。

末松副大臣 効果促進事業というのは基幹事業の効果を促進するための事業で、ですから、基幹事業に付随するんですね。だから、基幹事業にならないものを、ならないということで、そこで効果促進事業だけを単独に独立して事業としてやるかというと、これはまたちょっと制度的には、私どもとしてはそれは制度の趣旨ではないなということでございます。

    〔逢坂委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 この効果促進事業については、説明紙などでも、使途の自由度の高い資金により、ハード、ソフト事業ニーズに対応とうたっているわけで、本来自由度の高いということで被災自治体は受けとめていたわけですが、今言ったようないろいろな要件がかかってくるということもあります。

 私は、そういう点でもやはりいろいろな制約として感じるのが、交付要綱でも書かれていますネガティブリストの問題があります。

 ネガティブリスト、幾つか項目がありますけれども、その一つとして、個人、法人の負担に直接充当する事業または事務及び専ら個人、法人の資産を形成するための事業または事務は除くというふうになっている。

 そういう意味では、一方で自治体の創意工夫とか公益性をうたっているわけですけれども、こういったネガティブリストというような枠のはめ方というのが、効果促進事業の活用に当たって硬直的な対応となっていはしないのかということを強く感じるんですが、その点、いかがでしょうか。

末松副大臣 我々も、そこがあると一番まずいなということで、できるだけ柔軟に解釈をしてやっていこうということを心がけているつもりなんですが、先ほど先生がおっしゃられた、例えば個人の資産の形成、ある企業の資産の形成に資する、こうなっちゃいけないというのが補助金適正化法できちんと定められているものですから、そこに対しては筋を通さないと、今度は私どもそのものがおかしいという御指摘を受けることになります。そういう中で、できる限り柔軟に対応していこう、これが復興庁の態度でございます。

塩川委員 いや、そんな話をしていると被災者の住宅再建というのはできないわけで、そういう意味でも、実態は、住宅再建なしに被災者の生活再建なし、被災者の生活再建なしに地域の復興なしということでこの間多くの方々が努力してきているわけですから、そういう方向での取り組みということをぜひとも踏まえていただきたい。

 済みません、ちょっと時間との関係があるので。

 大臣からも一言いただきたいんですが、要するに、今言ったように、事業としては動き始めているわけです。そういう点でも、被災自治体への財政措置について、やはりしっかりとした創意工夫や対応が必要でもありますし、何よりも被災者の方の生活再建につながるような取り組みにすべきなわけで、被災者の生活再建、住宅再建、地域のインフラ、産業の再生、こういったものに対して、しっかりとした、使い勝手のいい制度にする必要がある。

 この点について、総務大臣としてのお答えをいただきます。

川端国務大臣 御指摘のとおり、一日も早い復旧復興をするというのは国の責任でありますし、その原点は、被災者の皆さんが希望を持って安心して暮らせるという状態に一日も早くするというのが原点でありますので、いろいろな法律の制度の中で、その原点を忘れないでしっかりと対応することが一番大事だということは御指摘のとおりだと私も思っております。

塩川委員 しっかりとした対応を求めます。

 末松副大臣、ありがとうございました。

 次に、震災復興特別交付税についてお尋ねをします。

 震災復興特別交付税では、災害復旧で国費が入らない、いわば国庫補助の対象外の地方単独事業にも充てることになっていると承知をしております。

 公営企業の災害復旧の場合は、これは後で料金収入などで返すという理屈になりますから復興特交の直接の対象ではありませんけれども、大きな被害が出た場合に一般会計から繰り入れて復旧するということは現に行われているわけですから、こういう一般会計から繰り入れた部分については震災復興特別交付税で見るというふうに承知をしているわけです。

 そこで、大臣にお尋ねしたいのは、液状化被害では下水道設備に大きな被害が出ました。浦安ですとか習志野ですとか、湾岸のところもそうですし、利根川の中下流域のところでも大きな被害が出たわけであります。予算委員会での参考人質疑で、浦安市長や香取市長からもそういう訴えもございました。

 こういった災害復旧の国庫補助の対象とならない地方単独の下水道災害復旧事業経費も大きな額となっています。こういった経費を一般会計から繰り入れた場合には、震災復興特別交付税で全額措置されるということでよろしいんでしょうか。

川端国務大臣 東日本大震災財特法に定める特定被災地方公共団体における公営企業施設の災害復旧については、当該施設の早期復旧を図るとともに、企業経営の安定を図るため、東日本大震災に係る一般会計からの繰り出し基準の特例を設けているところでございます。

 この繰り出し基準の特例に基づく一般会計からの繰り出し金については、御指摘の液状化被害に係るものも含め、国庫補助事業だけでなく、単独の災害復旧事業に係る繰り出し金についても震災復興特別交付税の対象としているところでございます。

塩川委員 被災自治体のお話を伺っても、要するに、災害復旧の査定でいいますと、一つの、ワンスパンのところが壊れていないと対象にならない。そのうちの一部だけが壊れた場合には、そこの部分のみ災害復旧の査定の対象であって、それ以外のところも結局全部取りかえなくちゃいけないことになるのに、一部しか見られない。残りは全部市単独でということがありますから、そういったことも含めてしっかりとした震災復興での対応ということを、実際、それぞれ調査などもされるわけですから、きちんと措置するということを求めておくものであります。

 それと、この震災復興特別交付税に係る省令の中では、災害復旧事業への限定というのがあるわけです。もちろん、これそのものはしっかりと対応を求めるわけですけれども、復興事業というのも、当然いろいろな単独事業というのは考えられるわけですね。大きく復旧だけではなくて復興に臨むということが、本来の復興基本方針が示す方向でもありますし、震災復興特別交付税においてもそうあるべきだと考えております。

 そういう意味でも、復興事業の単独についてもこの震災復興特別交付税の対象に加えるべきではないかと考えますが、この点についての川端大臣のお考えをお聞かせください。

川端国務大臣 今回のスキームは、被災団体が実施する復旧復興事業に対して、国費による措置を大幅に増大するということで、震災復興の特別の交付金で措置して、なお震災復興特別交付税で地方交付税を別枠で増額して全額を負担するという仕組みであります。

 その中で、そういう仕組みであるということは、被災団体の復旧復興事業は国費による措置が主というか中心としてやる、それの地方負担分はまた特別交付税で見るという仕組みであります中で、どのような単独の復興事業を今想定して言っておられるのかということなんですけれども、どういうものがあるのかということは、被災団体の実情もお伺いして、全体の復旧復興フレームにおける震災復興特別交付税総額についての今後の対応のあり方も含めて、その措置については検討してまいりたいというふうに思っております。

 いずれにしても、実情をよくお伺いして、財政運営に支障がないように対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 そういう点では、ぜひ、復興事業は今後大きく進んでいくということで、そういう中でいろいろ単独でやろうという知恵なんかも被災自治体から出てくることだと思いますから、今お話しのように、そういう事業の中身などもよく見ていただいて、しかるべきものについてはしっかりと措置をしていく。省令事項ですから、そういう見直しというのを総務省としてもしっかり行っていく。その検討については、ぜひ求めておくものであります。

 次に、昨年、片山大臣のときにつくりました法律で、事務処理特例の法律があります。福島からの避難者へのしっかりとした行政サービスを提供する、こういう事業ですけれども、この点で、一月に、福島から県境を越えて避難する方々が多く行かれている新潟市、山形市、それから米沢市の三市の市長さんの連名で国に要望書が出されております。東日本大震災に伴う避難者への配慮に関する要望ということであります。

 この要望書の中では、県境を越えた避難者においては、放射性物質による健康への影響を危惧する母子避難世帯を初めとした自主避難者が多数を占めているが、福島県内の除染が進まない現状などを見ると、その避難生活の長期化も想定されるとしています。避難者の数がその中にも出ておりまして、一月十八日現在ということですが、山形市に五千七百五十八人の方がいらっしゃる。そのうち、小学校に上がる前の未就学児数が千四百三十一人を占める。米沢市では三千八百四十五人で、うち未就学児数は七百九十六人、新潟市が二千四百二十八人で、うち未就学児数が六百三十五人となっています。小さな子供さんを連れた避難者の方が多いことが、ここにもうかがわれます。

 今、福島県の浜通りだけじゃなくて、中通り、福島市や郡山市からたくさんの方が避難しておられるというのが実情であります。ですから、その数も、いわば事務処理特例の対象となっているような十三市町村の避難者の数よりも中通りなどからの自主避難者の方の数の方が上回る、こういう状況というのが新潟市とか米沢市、山形市などでは生まれようとしているということであります。

 こういった現状に対して、お尋ねしたいんですが、事務処理特例の対象となっている十三市町村の避難者と比べて、このような原発事故に伴う自主避難者に対する受け入れ先の自治体の行政サービスに違いがあってはならないと考えますが、差が出ることがないようにしっかりと措置されることになるのか、この点について確認をさせてください。

川端国務大臣 御指摘の、この法律の対象となる十三市町村以外からの市町村の区域外への避難を余儀なくされている住民の方々、たくさんおられます。こういう方に対しても、行政サービスを適切に受けられるように、この法律の附則第三条において、避難住民に係る措置に準じて、必要な措置を講ずるものとするというふうにしておるところでございます。

 総務省では、この十三市町村以外からの区域外避難者への行政サービスの提供についても、必要に応じて地方自治法上の事務の委託を行うなど、避難元または避難先の団体が適切に処理するよう助言するとともに、御指摘の要望書もいただきましたけれども、ここでもやはり周知徹底をしないといけないということもありますので、適切な助言をさせていただくと同時に、その事務処理に関して新たに生じる負担を含めて、避難者の受け入れに要する経費に対する特別交付税措置を行うこととしておりますので、同じように取り扱っていただいて、費用の発生は特別交付税で見るということであります。

 今後とも、十三市町村以外からの避難者を含め、適切に行政サービスを受けることができるように、福島県、関係府省とも連携しながら、必要に応じてアドバイスしていきたいというふうに思います。

 新潟市、山形市、米沢市からいただいた要望の中でも、「この法律による行政サービスが受けられない」などと書いてあるんですけれども、これは受けられますので、いろいろ意見交換したら、受けにくいというニュアンスでありましたので、やはりこれはちゃんと徹底しないといけないということだと思いまして、その部分はちゃんとやってまいりたいと思っております。

塩川委員 そういう点でも、適切な助言ということで対応方をお願いしたいと思いますし、先ほど御答弁にもありましたが、十三市町村の事務処理特例に係る行政サービスの経費、また事務処理特例以外の行政サービスに係る経費、もちろん十三市町村以外の自主避難の方々に対する行政サービスの経費も、いずれも特別交付税で措置するということでよろしいんですよね。

川端国務大臣 そのように御理解いただいて結構です。

塩川委員 それで、今言ったように、原発事故による避難者に対する受け入れ先自治体の行政サービスに係る経費については特別交付税で措置されているわけですが、私は、これは筋からいって、震災復興特別交付税で措置するべきではないのかと考えるわけであります。もともと、大震災そして原発事故によって避難をされている方々に係る経費ですから、であれば、本来の特別交付税というよりは、震災復興特別交付税で措置するということがあるべきだと考えますが、この点についてはいかがですか。

川端国務大臣 考え方の整理整頓の世界かもしれませんが、震災復興特別交付税というのは、集中復興期間中に復旧復興対策として必要と見込まれる支出について、特別に財源を確保して対処することにあわせて、これまでにない対応として、地方交付税の別枠での増額で地方負担分の全額を措置して、被災団体の財政負担をゼロとするということで創設いたしましたので、基本的には被災団体に対して交付するということになっております。

 避難者の受け入れに要する経費については、被災団体においてよりも、受け入れを行った全国の被災団体以外の地方団体において主に生じるものであるということでありますので、整理整頓の意味で、通常の特別交付税において措置することとしているところでございます。

塩川委員 一言言って終わりますが、受け入れ先自治体の方にすれば、しっかり受けとめて頑張ろうと思っているわけですね。ただ、特交というのは丸めて来るものですから、本当にその行政サービスでかかった経費が来るのかなという懸念というのはあるわけで、そういったときに、本来、被災自治体に居住していた方々に対する行政サービスの経費ですから、そういう観点からいっても、私は、震災復興特別交付税できちっと措置するということが避難元の自治体にとっても避難先の受け入れ自治体にとっても一番ふさわしいということを申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、地方税法改正案、また地方交付税法改正案等、予算関連法案に関する審議でありますが、今回の地方交付税法改正案には、なぜか当せん金付証票法の改正案がセットでつけ加えられているわけです。

 その理由は後でお聞きをしたいと思いますけれども、まず初めに、今回の改正案の立法趣旨についてお伺いをしたいというふうに思うんです。

 当せん金付証票、宝くじの最高金額の倍率制限の緩和措置、最高五百万倍ということですから、つまり、一枚三百円なら最高賞金十五億円に引き上げられるわけですね。そういう計算になりますよね。その理由として、近年の売り上げが低迷をしている、世論調査で高額当せん金を求める消費者の声がふえている、こうした点が挙げられているわけであります。しかし、このような形で、売れないから一獲千金性を高めますというのが許されるのであれば、これは賭博一般を規制している意味が失われてしまう、こういうふうに思うんです。

 刑法における賭博に関する罪の立法趣旨というのは、判例、通説としては、昭和二十五年十一月二十二日の最高裁大法廷判決、国民の射幸心をあおるのは勤労によって財産を得ようとするという健全な経済的風俗を害するというふうにされているからであります。富くじに関する罪も同様であるというふうに考えていいと思います。

 今回、売れないから倍率を上げますというのは、まさに射幸心をあおって売り上げを確保しよう、こういう行為そのものではありませんか。この点について御見解を御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 宝くじというのは、刑法第百八十七条で販売が禁止されている富くじの特例として、地方財政法及び当せん金付証票法に基づいて、地方財政資金の調達を目的として、総務大臣の許可を得て、都道府県及び政令指定都市が発売しているものであります。

 今回の当せん金の最高金額に係る倍率制限については、総務大臣指定宝くじの倍率が既に今の上限であります百万倍に達していること、それから、地方公共団体から、商品設計の自由度を高める観点から倍率の引き上げの要望があること、高額商品を発売しているスポーツ振興くじ、totoの売り上げが良好であること等を踏まえて引き上げようとするものであります。

 射幸心との関係におきましては、スポーツ振興くじのtotoBIGは倍率が二百万倍のくじが既に定着していること、また、競輪及びオートレースでは既に倍率が六百万倍のものも存在していること等を踏まえると、今回の改正自体が必ずしも国民の射幸心をあおるものではないというふうに認識をしておりまして、今回の改正は賭博一般を禁止している刑法の趣旨と矛盾するものではないと考えております。

 なお、発売団体においても、個々の宝くじの倍率設定に当たっては、世論の動向等を十分に勘案して検討すると伺っておりまして、今回の法改正を受けて直ちに、当せん金が普通の宝くじにすると七・五億円の宝くじを発売する意向は持っていないと聞いておりまして、例えば現行法では、平成十一年四月施行で法定の最高倍率が百万倍に引き上げられましたけれども、実際に倍率が百万倍の宝くじを発売したのは、現在であります平成二十四年二月でありまして、十三年を経過しているところでありますので、世論の動向を慎重に判断しながら、適正に運営してまいる所存でございます。

柿澤委員 ほかのものでも同じような高倍率のものをやっている、これが理由なんですか。そして、法的根拠があるからこれはいいんだということなんでしょうか。

 私は、誤解を恐れずに言えば、これをやったからだめだというふうに言っているつもりはないんです。宝くじ、あるいは競馬、競輪、toto、そういった立法によって違法性を阻却することで許されている既存の公営競技の類いだけが、このようにみずからの売り上げ確保のために一獲千金性を高める見直しが普通に許されていくというのはおかしい、こういうふうに思うんです。これなら、僕は、例えば私自身は解禁をすべきだと思っているカジノだって何だって、何でもありになってしまうんじゃないかと思うんですよ。もはや、国民の射幸心をあおるのは勤労によって財産を得ようとする健全な経済的風俗を害するという賭博に関する罪の立法趣旨と現実の宝くじの運用のあり方が完全に乖離してしまっていて、賭博に関する罪そのものが単なる建前、形骸化してしまっていることが、今回の法改正の提案ではしなくも明らかになっているのではないかというふうに思うんです。

 ところで、なぜこれが地方交付税法改正案に一体のものとして盛り込まれたんでしょうか。結局、これを当せん金付証票法の改正案として単体で提案するとまあ人聞きが悪いので、予算関連法案であり現行の地方財政の安定的運営に不可欠の地方交付税改正案と一緒にして、いわばこれと一体にして、どさくさで通してしまおう、こういう意図が感じられなくもないんですけれども、これを一体として提案をした理由を教えてください。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 複数の法律の改正を一つの法律案として一括して取り扱う一般的な基準としては、原則として、法案の趣旨、目的が一つであること、法案の条項が相互に関連して一つの体系をなしていること、原則として一つの委員会の所管に属する範囲内のものであることの三つの要件への該当性を勘案することとされているところでございます。

 今回の改正内容につきましては、地方財源の確保を目的とする地方交付税法の改正と、宝くじ収益金の充実確保を目的とする当せん金付証票法の改正は、ともに地方公共団体の財源確保という共通の趣旨、目的を有していること、宝くじ収益金は地方財政計画の歳入に計上され、財源不足額に影響し、さらに地方交付税の必要総額ひいては地方交付税の増額特例額に影響を及ぼすものであることから、相互に関連しており、一つの体系をなしていること、いずれも総務委員会の所管に属することから、この三つの要件を満たしており、一括して改正することとしたものでございます。

 なお、昭和六十年の地方交付税法等の一部を改正する法律においても、地方交付税法と当せん金付証票法を一括して改正しているところでございます。

柿澤委員 こういう御説明をいただいても、今回の地方交付税法改正案とこの宝くじの倍率を上げるという法案とが一体のものとして処理されるべきものだというふうには私は理解できません。

 さらに、宝くじについては、二〇一〇年五月の行政刷新会議の事業仕分け第二弾で相当やり玉に上げられています。天下りの問題、また財団法人日本宝くじ協会等の普及宣伝事業費が効果不明ということで問題視をされて、問題が解決されるまで宝くじの発行を認めない、こういう厳しい判定も受けたところであります。しかし、今や、このような厳しい判定もどこ吹く風というか、そんなことあったかしらという印象であります、国民からすれば。そして、復興を名目に、過去最高の一等賞金五億円、先ほどおっしゃられましたけれども、グリーンジャンボが二月から発売されている、こうした状況になっている。

 事業仕分けの結果を受けて、同年十一月の宝くじ問題検討会というのが報告書を出していますが、厳しい見直しを行った、こういうふうにおっしゃるんでしょうけれども、例えば、やり玉に上がった普及宣伝費をゼロベースで見直して大胆な縮減をする。しかし、かわりに社会貢献広報事業、こういうものを立ち上げて出直しをするというふうにもされているわけであります。

 これはどのように違うんですか。単なる看板のかけかえじゃないですか。お伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 従来の普及宣伝事業は、当せん金付証票法第十三条の二に基づき、刑法の特例として発売される宝くじが地域社会を支える重要な財源であるとの理解を促進するため、発売団体が共同で広報を行ってきたものでございます。

 この普及宣伝事業については、事業仕分け第二弾において、複雑な交付形態、無駄な宣伝広報事業が問題であると指摘され、社会貢献広報事業として再構築されたところでございます。

 普及宣伝事業と社会貢献広報事業の主な違いは、三点ございますが、従来の普及宣伝事業が発売団体間の収益金の格差を均てん化する役割を担っていたのに対し、社会貢献広報事業は、発売団体向け助成を廃止し、宝くじの公共性の広報の役割に純化していること。二つとして、発売団体のガバナンスを強化するため、発売団体内に社会貢献広報監督PTを設置し、事前に基準、方針を策定、事後に検証する仕組みを導入していること。三つとして、受託銀行が直接行う広告宣伝事業、発売に関する告知等と混同しないように、民間企業のCSR、企業の社会的責任を果たすための活動類似の事業であることを明示する名称としていることであります。

 以上のような見直しとあわせて、事業費の大幅な削減も行われ、平成二十一年度決算の二百六十七億円に対して、平成二十三年度予算は百二十八億円とされたところでございます。

柿澤委員 三つ改善点を挙げられましたが、私が今答弁を聞いていると、三つ目は名前を変えたということだったですよね、企業のCSRに従って。これがどう見直しに当たるのかというふうに思いますし、単なる看板のかけかえではないかという私の言ったことが当たってしまっているのではないかというふうにも思います。

 こうした形で、過去の総括も十分に行われないまま、結果的に売り上げが低迷しているからといって、私から言わせれば、射幸心をあおるような形で倍率を引き上げる。こういうやり方で、法律によって特別に認められた宝くじがある意味で存続をしていく、そうしたことで果たしていいのか。私は、賭博に関する罪の規制のあり方、それがどういう法益を確保するために規定をされているのかというところの根本的な部分も含めて見直していく必要がある、こういう立場でありますけれども、ある意味では、政府の側が行ってきた説明がもう既に矛盾を来し始めてしまっている、こうしたことがあらわになっているのではないかというふうに思います。

 さて、税と社会保障の一体改革と称する消費税の増税が今回、国会の最大のテーマとなっているわけですけれども、そもそも総務省は、この税と社会保障の一体改革に関して本当に賛成なのか。内閣で閣議決定した方針ですから、賛成ですということでしょうけれども、しかし、これまでの総務省の消費税に関する基本的な考え方と、今回の一体改革において描かれた今後の消費税の取り扱いの全体像には、私は大きな食い違いがあるというふうに思うんです。

 私たちは、偏在性の低い消費税は全額地方財源にして、道州制を前提にして、消費税率も地方が自由に定める、こういう立場です。現在の地方の税財政は、偏在性の強い、また、景気動向に大きく左右される不安定な財源である法人二税に依存している。この税源スワップが私は必要だと思っています。

 そう思っていましたら、地方消費税と地方法人二税を税源交換する、こういう内容の提言を二〇〇七年に増田当時の総務大臣が経済財政諮問会議で提言しているのを見つけました。総務省、総務大臣としての提案でありますから、総務省は現在もこのような形が望ましいというふうに考えているのか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 平成二十年度の税制改正の地方法人特別税の創設の際には、御指摘のように、地方税改革の方向性として、消費税の地方交付税分を地方消費税に、地方法人課税を国の法人税の地方交付税分へそれぞれ移管する税源交換を提案したところでございまして、税源交換により、都市部に税源が偏在する地方法人課税が国税となる一方、偏在性の低い地方消費税が実施され、地域間の税源偏在の是正が図られることとなるものであります。

 税源交換は、安定的な地方税の充実や地域間の税収の偏在是正を行う観点から、一つの有力な選択肢であると考えられ、昨年十二月の地方財政審議会の意見においても提言されているものでございます。今のは地方財政審議会の意見でございますが、一方で、同じく昨年十二月の、財政制度等審議会の建議においては、むしろ、「地方税の仕組みの中で不交付団体を含めた財政調整を行うことを検討する必要がある。」と意見が述べられているところであります。

 今後、これらの課題は、偏在是正の方策でございますが、これに関する提言等も踏まえて、地方法人課税のあり方の見直しについて、国、地方の税制全体を通じた幅広い検討を行ってまいりたいと思っております。

柿澤委員 今のは、増田当時の大臣が経済財政諮問会議で御提言をされた地方消費税と地方法人二税の税源交換という考え方については総務省は有力な提案として今も引き続き掲げていらっしゃる、こういう理解でよろしいですね。

川端国務大臣 これからの安定した地方税のあり方としての議論としては、そういう議論は十分にあるというふうに思っております。

柿澤委員 さて一方で、政府は、今回の一体改革で、消費税を事実上の社会保障目的税とする方針を打ち出しています。しかし、これをやれば、今後の社会保障費の増加に伴い、消費税率は自動的にどんどん上がっていく、こういうことになりかねません。現に、税率一〇%では足りない、こういう話も既に出てきているわけであります。それに地方消費税の拡充を上乗せすれば、消費税率は途方もない高いものになりかねない、結果として、地方消費税の充実といういわば総務省の悲願は、事実上の社会保障目的税化によってついえてしまうことになるのではないですか。

 総務省は、消費税を事実上の社会保障目的税とするこの政府全体の方針に本当に賛成なんですか、お伺いをいたします。

川端国務大臣 今回の社会保障と税の一体改革で、五%、追加的に消費税を上げるという議論の中で、地方消費税に関しては現行どおりということでありますので、この分に関して影響を与えるものではありませんというのがまず前提であります。

 今回の改革によっては、社会保障の持続的、安定的運営と同時に、拡充をするというために、国と地方の社会保障に係る財源をそれぞれの役割分担に応じた部分で確認し、配分することで消費税を段階的に引き上げるということにしていることでありますので、総務省としては、この分に関しての国分の消費税収は、法律上、全額社会保障四経費に充てることを明確にして社会保障目的税化するとともに、地方分の消費税収については、現行分の地方消費税を除いて、現行の基本的枠組みを変更しないことを前提にして社会保障財源化することとしておりますので、政府の一員として大綱の閣議決定に参加したものでございまして、今後、大綱に示された方針について具体的に進めていく所存でございます。

 今言いました、要するに、今の地方法人税等々のあり方の議論においては、基本的に、将来ともに、地方が偏在性なく安定した税財源を持って運営するということにはさまざまなアプローチの方法があるということで、これには幅広く、議論はこれからも重ねてまいりたいと思っております。

柿澤委員 一般論のレベルでいうと、私が申し上げていることと川端大臣が御答弁されていることは全く変わらないんです。しかし、実態論で見ると、事実上、地方消費税の拡充強化という方向性とはかなり違う方向での議論が進められていこうとしている。そのことについてどうなのかということをお伺いしたかったんですけれども、残念ながら、十分な答弁をいただけなかったようにも思います。

 時間も参りましたので、少し質問を残してしまいましたが、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 最後のバッターで質問いたしますが、まず、地方交付税の改正に関連して、法定率の引き上げ問題について尋ねます。

 交付税法の六条三の第二項に基づく法定率の引き上げについて、当委員会でも何度か質問したことがございます。昨年秋の臨時国会では、川端大臣から、地方財政における財源不足の状況を踏まえて、二十四年度の概算要求についても交付税率の引き上げを要求しているところとの答弁がございました。結果的には、今回も法定率の引き上げは行われなかった。

 そこで、今回の予算折衝において、財政当局とどういった交渉が行われたのか、明らかに願いたい。

川端国務大臣 お答えいたします。

 二十四年度の概算要求においては、二十三年度から二十五年度までは、地方財源不足の補填についてのいわゆる折半ルールを法定化したところでございますので、これを前提としながらも、税制の抜本改革まで継続することとされている地方の財源不足を踏まえた別枠加算分については、三位一体改革における所得税の税源移譲において失われた法定率分、二十四年度は一・一兆円に相当するものであるということの考えに基づきまして、これは本来所得税に係る交付税率の引き上げでもって補填すべきであるということでありますので、三二%から四〇%へ引き上げるということを財政当局に対しては事項要求いたしたところであります。

 折衝においては繰り返し何度も粘り強く主張をしてまいりましたけれども、国の財政も一方では三年続けて国債発行額が税収を上回る見込みという異常ともいうべき厳しい状況にあるということで、最終的には交付税率の引き上げは見送らざるを得ないと判断をいたしましたが、この別枠加算については、地方の財源不足の状況を踏まえて、二十三年度と同様の一兆五百億を確保することといたしたところでございます。

 今後とも、国の財政状況、地方財政における財源不足の状況を踏まえつつでありますが、交付税率の引き上げは粘り強く主張し続けてまいりたいと思っております。

重野委員 今、最後の交付税率の引き上げについては、粘り強く頑張っていくという決意の披瀝がございました。そういう方向で頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、特別枠についてお伺いいたします。

 今回、地方交付税総額は十七兆四千五百億円余りで、前年度比〇・五%増という形になりました。旧政権時代に十五兆円そこそこにまで落ち込んだことを考えますと、今回の総額の確保については一定評価できるというふうに思います。ただ、その手法が持続可能なやり方なのかどうなのかという点については、疑問を持たざるを得ない。

 今回、特別枠として一・五兆円の地域経済基盤強化・雇用等対策費が創設されました。この特別枠は、毎年のように名称変更が行われております。もちろん、その時々に集中すべき課題はあると思いますが、より長期的な視野に立っての経費の算定も必要ではないかと考えるのでありますが、この点についてどのように考えておられるか、伺います。

川端国務大臣 歳出の特別枠については、平成二十年度に始まったというふうに思っております。地方法人特別税に伴う地方税の偏在是正効果を活用した地方再生対策費を創設して以降、各年度において、地方交付税総額の確保の観点も踏まえて、特定の目的を持って計上してきているところであります。

 御指摘のように、そのときそのときの経済状況、社会状況を踏まえて項目立てをしてきたところでございますが、地方財政計画の歳出の計上のあり方としては、本来的には、先ほどからも議論がありますように、安定的な交付税総額の確保にあわせて、特別枠ではなくて恒常的な経費として整理されることが望ましいところであるというのは基本的に思っております。御指摘も踏まえて、引き続き、より長期的視点に立った歳出枠の計上ができるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

重野委員 そういう方向でひとつ頑張ってもらいたい、このことを申し添えておきます。

 次に、人員について聞いておきたいんですが、地方財政計画を見ますと、給与関係費や投資的経費など、歳出の大部分の費目がマイナスなんですね。特に給与費に係る職員数は、計画上、前年比でマイナス一万一千人となっている。この間、地方では国の指導によって大幅な人員削減が行われてきました。九四年と二〇一〇年を比較しますと、総数で四十六万人強、一四%減、一般行政職では二十三万人、二〇%の減少となっている。

 高齢化の進展で公共サービスに対するニーズは高まることはあっても減ることはありません。したがって、現場ではマンパワーの不足が深刻化している。自治体が提供している住民サービスの多くは、簡単に機械化、省力化ができないものなんですね。住民が求めている行政サービスをきちんと提供していく上で、人員減は既に限界を超えている、このように言わなければなりません。そのことは、東日本大震災とその後の復旧復興事業でも顕著になっていることは御案内のとおり。

 大臣は、地方自治体におけるマンパワーの問題についてどのような認識を持っているのか、そのことを明らかに願いたい。

川端国務大臣 地方公務員の定員につきましては、委員御指摘のとおり、平成六年から二十二年という間で見ますと、総数では一四・三%減、一般行政部門で二〇・二%減という大幅な減少傾向が続いております。十六年間連続減少、特に、集中改革プランで、平成十七年から二十二年までの五年間で七・五%の削減というふうになっております。

 一方、このプランに基づく取り組みによって、行政サービスの水準とか職員の士気への影響が出ているのではないかという指摘も聞いておりますし、報道を含めて、一人で、いわゆる行政サービス、例えば生活保護の世帯を見る数が基準の倍ぐらいあるとか、大変な労がかかっているとかいう声も実際に聞いているところもございます。

 基本的には、地方公共団体がまさに自主的、自律的に行政サービスの責めを負っているわけでございますけれども、質の確保も十分配慮をしていただく中で、一方で合理化、能率化は求められているわけですから、そういう大変難しいバランスの中でありますけれども、自主的に適切な定員管理にしっかり取り組んでいただくことが大事であろうというふうに思っております。

重野委員 必ず最後に適切な定員管理というふうに、さらっと流すんですよね。それをずっと地方自治体は聞き続けているわけです。もはや地方自治体の与えられた制約条件の中でやりくりすることというのはできないんですよね。できないんです。役所の状況を見ながら高齢化というのがダウンしたりアップしたりするならそのことはできるのですが、間違いなくずっとこれは上昇ばかりしているわけですから。したがって、そのひずみは年を追って多くなっている。

 だから、大臣、やりくりをと言うんじゃなくて、地方自治体の定員管理について責任を持つ総務省として、その殻を破る努力あるいは推進力を持たないともう地方自治体は現実に対応できない、こういうことになってきますので、そこのところはやはりひとつ殻を破る決意を示していただかないと困るんですけれども、どうですか。

川端国務大臣 現実として、大変御苦労の中で御努力いただいている実情は重々承知をしております。

 これはなかなか難しい問題でありまして、例えば、定員はこれぐらいでやりなさいと適宜指導するということになると、今度は給料も指導するのかということでして、これはもろ刃のやいばみたいな部分で、地方自治体の自主性ということと責任を持ってきちっとやっていただくというのは、まさに知恵と努力でやっていただくというのは大原則でありますので、その中でいろいろな、財政運営上支障が出ないようにという部分では、地方交付税の問題含めて、あるいは特別交付税含めていろいろな手当てはさせていただきますが、お叱りを受けるかもしれませんが、基本的にはその中で適正にやっていただくという言葉以上になかなか申せないのは事実でありますが、実情においては、いろいろな御相談に関しては我々としてもきめ細かく対応はしてまいってきているし、これからもやってまいりたいと思います。

重野委員 答弁はそういう答弁なんでしょうけれども、私が言わんとすることについては大臣もよくよくわかっている上での話だろうと思うんですが、これはやはり地方自治体からしてみれば、こうキャップをかぶせられて、それを超えるということはできないんですよね。そこのところはやはり総務省が受けとめて、頑張ってもらわなきゃ困る。そのことを申し上げておきたいと思います。

 次に、一般行政経費について聞きますが、今回の地財計画の歳出項目の一般行政経費を見ると、全体ではプラスとなっております。しかし、中身を見ると、補助はプラス、単独はマイナス、こういうふうになっているんですね。なぜ補助がプラスで単独はマイナスなのか、その点を一つ聞きたい。

 それからもう一つは、特別枠などによって加算されているんですが、基礎となる標準的行政規模は年々縮小している。この点についても認識を尋ねておきたい。

川端国務大臣 御指摘のように、平成二十四年度の一般行政経費については、総額三十一兆一千四百六億円で、前年度に対して三千百八十億円の増額。

 このうち、一般行政経費補助については、国の予算に計上された普通補助負担金等を基礎として算定しておりまして、社会保障関係費の増加等によりまして、十五兆八千八百二十億円で、前年度に対して千三百三十九億円の増加となっております。

 一般行政経費単独については、社会保障関係費の自然増を増額計上する一方で、社会保障関係経費以外の経費については、財政運営戦略を踏まえて国の歳出と基調を合わせて取り組む観点から、概算要求組み替え基準を踏まえて減額計上することで、十三兆八千九十五億円で、前年度に対して五百六億円の減少となっております。

 なお、震災復興特別交付税により別枠で措置される震災関連の地方税等の減収分見合いの歳出一千二百七十一億円を減額計上しているものでありまして、これを除いた場合は、前年度に対して七百六十五億円の増額となっております。

 また、地方財政計画全体としては、経費全般について徹底した節減合理化に努める一方で、社会保障関係費の増加を適切に反映しているところでありまして、人件費や投資的経費は減少基調にあるものの、一般行政経費は増加基調でございます。

 なお、平成二十四年度の地方財政計画においては、住民福祉の向上を初め、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額については、実質的に同水準を確保しているところでございます。

重野委員 もう時間があと五分しかありませんから、通告をちょっと飛ばしまして、地方税について、二十四年度大綱と課税自主権についての認識について伺います。

 二十四年度税制改正大綱では、税制を通じて住民自治を確立し、地域主権改革を推進するため、現行の地方税制度を、自主的な判断と執行の責任を拡大する方向で抜本改革とあります。これはどういうことを想定されているのだろうかということ、いわゆる課税自主権の拡充というふうに捉えていいのかどうか、それを聞きたい。

川端国務大臣 地方税制度を、自主的な判断と執行の責任、これを拡大するという方向で抜本的に改革していくということが示されております。具体的には、税制上の特例措置について、各地方自治体が自主的判断に基づき条例において決定できる仕組みの創設、わがまち特例ということでございます。及び法定外税の新設、変更への関与の見直しなどの取り組みを進めてきておりまして、税制を通じて地方の自主性、自立性を拡大していくということを考えております。

 そういう意味で、二十三年秋には、総務省の自主・自立税制研究会でいわゆるわがまち特例を導入すべきというのが提言されて、二十四年度において導入することにいたしました。

 引き続き、自主・自立税制研究会において、法定外税の新設、変更への関与の見直しなどの検討を進めてまいりたいと考えておりまして、これらの取り組みは、地方自治体の自主性、自立性を一層高めるものであり、課税自主権の拡充につながるものであるというふうに認識をしております。

重野委員 今大臣も課税自主権ということを口にされました。この課税自主権というのは、まことに耳当たりがいいんですね。しかし、実はさまざまな問題点があるのではないかと思うんです。

 一つには、各自治体が個別ばらばらに課税を行い住民が混乱する、あるいは、一部自治体で過去にあったことではありますが、住民を呼び込むために住民税を引き下げるなどということが発生するのではないかという点がある。それ以上に危惧するのは、自主という言葉によって、国が本来果たすべき財源保障の責任が放棄されるのではないかという点です。

 大臣含め、予算編成では、地方財政対策を行い、必要な財源の確保をマクロで行っておりますが、課税自主権によって、財政赤字が一方的に地方に責任転嫁されるおそれはないのか、この点について、大臣の考えを尋ねます。

川端国務大臣 先ほどからの税制改正大綱にもあります、まさに、自主的な判断と同時に、執行の責任ということの前提でいろいろ取り組んでいただきたいということが基本でありますけれども、地方の財政運営のあるべき姿ということでいえば、みずからの財源である地方税をできる限り潤沢に持って行っていくというのが理想ではあるというふうに思います。

 しかし、そういう意味では、地方の方向性としては、地方税の自主権を拡大していくということは大事なことだというのは基本認識として持っておりますけれども、一方で、主要な税財源が国税と地方の法定税になっておるのが現実でございますので、地方に必要な財源を課税自主権の活用により確保することは、おのずと限界があるというふうに思っております。課税自主権を拡充するかわりに国の財政負担が一方的に地方に転嫁されるということはあってはならないというふうに考えております。

 地域主権改革を推進していくためにも、地方消費税の充実など、税源の偏在性が小さくて税収が安定的な地方税体系を構築していくことが必要であると思います。今後ともそういう方向で努力してまいりますが、御懸念のような、一方的に地方に転嫁されるようなものとして使われることはあってはならないということを改めて申し上げておきたいと思います。

重野委員 ありがとうございました。以上で終わります。

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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