衆議院

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第9号 平成24年4月12日(木曜日)

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平成二十四年四月十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      磯谷香代子君    小原  舞君

      大島  敦君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    桑原  功君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      高井 崇志君    永江 孝子君

      長島 一由君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    加藤 紘一君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      中谷  元君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      斎藤やすのり君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   総務副大臣        大島  敦君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   総務大臣政務官      加賀谷 健君

   総務大臣政務官      森田  高君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進室次長)          松村 武人君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            小林 広之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  戸塚  誠君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  椎川  忍君

   政府参考人

   (消防庁次長)      長谷川彰一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           大竹  暁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            小島愛之助君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   参考人

   (日本放送協会技師長・専務理事)         永井 研二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   冷水 仁彦君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          中城 吉郎君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          三輪 享生君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     大島  敦君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  白石 洋一君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     白石 洋一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 この際、大島副大臣及び加賀谷大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。大島総務副大臣。

大島副大臣 おはようございます。総務副大臣を拝命いたしました大島敦です。

 皆様方の格段の御指導をお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。(拍手)

原口委員長 次に、加賀谷総務大臣政務官。

加賀谷大臣政務官 おはようございます。総務大臣政務官を拝命いたしました加賀谷健でございます。

 皆様方の格段の御指導、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

原口委員長 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会技師長・専務理事永井研二君、理事冷水仁彦君及び日本郵政株式会社専務執行役中城吉郎君、常務執行役三輪享生君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進室次長松村武人君、人事院事務総局人材局長小林広之君、内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、総務省行政管理局長戸塚誠君、自治財政局長椎川忍君、消防庁次長長谷川彰一君、文部科学省大臣官房審議官大竹暁君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、国土交通省国土政策局長小島愛之助君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。民主党の湯原俊二でございます。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、まず環境省、あと最後に川端総務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、災害廃棄物の広域処理、いわゆる瓦れきの広域処理について何点か質問させていただきたいと思っております。

 野田総理や細野大臣が全国の自治体に対して広域処理をということで要請をされまして、全国の自治体も呼応して、多くの自治体が瓦れきを受け入れようということで、実際もう既に始めている自治体もありますし、これからということで手を挙げていらっしゃる自治体もあるわけであります。その過程において、まだ明確になっていない、あるいは、環境省さんの情報提供でなかなか自治体と情報が共有できていないところも若干あるんじゃないかなということで、きょうはその点について幾つか質問をさせていただきたいと思っています。

 まず、瓦れきを受け入れた後、焼却処理をして焼却灰が出るわけでありますけれども、その最終処分地についてお伺いしたいと思います。

 この点、やはり政府、環境省と受け入れ自治体で若干の情報が違うところがあるんじゃないかなというふうに思っているわけであります。受け入れに手を挙げている自治体の多くは、焼却灰の最終処分地は政府が責任を持つべきという認識も持っている自治体もあるわけでありますけれども、この辺がネックになってなかなか瓦れき処理が進まないという状況も見え隠れしているわけですけれども、この点について環境省の答弁を求めたいと思います。

高山大臣政務官 湯原委員にお答えいたします。

 今回の震災瓦れきの広域処理に関しましては、先生御地元の鳥取においても前向きに御検討いただけているということで、非常に感謝しております。

 その上で、実際、その最終処分地に関して非常に多くの自治体の方からもお問い合わせをいただいております。それは、手伝いたいんだけれども、焼却炉はあるが最終処分地が別の県であるとか、こういったケースが非常に実際多いのが実情です。

 ただ、今回、我々、この震災瓦れきの処理をあと二年以内に全部完了させたいと。今、仮置き場までは九六%搬入が終わっておりますけれども、実際、最終処分そのものはまだ八・五%にとどまっています。

 それで、二年以内に早くやらなきゃいけないということで、まずは、既存の処分場を何とか利用していただけないかということでお願いをしておりますし、また、それぞれの、被災地以外の県や市での一般廃棄物の焼却そして最終処分の通常のルートでまずはお願いできないだろうかということでお願いをしております。

 といいますのも、新たに最終処分地を切り開いてつくっていくということになりますと、建設だけでもまたプラス二、三年かかってしまうということで、もうあしたにでもあさってにでも早く処分を進めたいということから、既存の処分地で今お願いをしているということで、そこは何とか御理解をいただきたいというふうに思っております。

湯原委員 高山政務官からもありました。二年以内に瓦れきの処分を終わりたいので、通常のルート、既存の処分場ということで一刻でも早くということで、ぜひこの点も、受け入れたいというふうに手を挙げていらっしゃる自治体でもまだまだ認識がその辺が共有できていないところがありますので、引き続き、この辺の情報を広報していただけたらと思っています。

 次に、いろいろ基準値が出てまいります。受け入れする瓦れきの基準値、あるいは、先ほど申し上げたように、焼却した後の焼却灰の基準値、最終処分する、ある意味で凝縮した形のものができるわけですけれども、環境省によりますと、原子炉等規制法に基づくクリアランス基準、つまり、コンクリートとかを建設資材に戻していく、金属をベンチなど、廃棄物を安全に再利用する、ですから、災害廃棄物を再利用する場合の基準値として、これが、放射性セシウムでいうと百ベクレル・パー・キログラム以下という基準値が一つあります。

 もう一方、放射性物質汚染対処法に基づく指定基準、これは、再利用ではなく、先ほど申し上げた、例えば焼却した場合の焼却灰を最終処分するときの基準値でありますけれども、これは廃棄物を安全に処理するための基準で、八千ベクレル・パー・キログラム以下。これは、排水処理や覆土をするということで、住民にとっては安全であるということで定められています。

 一方、環境省は、最終処分する八千ベクレルを超えた場合は特別な処理が必要となりますので、そのようなことがないように、受け入れをする前の段階のもともとの廃棄物の段階のときから一定程度の目安で受け入れようということで、焼却炉によっていろいろ、型式によって違うようでありますけれども、二百四十ベクレル以下あるいは四百八十ベクレル以下という、炉によって違いますけれども、受け入れの段階で一定の目安を設けていって、最終、焼却したときに八千ベクレル以下にしようという考え方であるようであります。

 一方、受け入れの自治体を見ますと、それぞれ独自に国の基準とは異なる基準、あるいはこれよりより厳しい基準を設けている自治体もあります。

 もう受け入れを始めている東京都では、これは環境省のガイドラインの八千ベクレル以下であります。一方、山形県では、これは受け入れを始めておりますけれども、被災地から受け入れる前の段階で二百ベクレル以下、埋め立てする廃棄物、焼却灰は四千ベクレル。これは、国は八千と言っているのが四千ベクレルということであります。青森県では、被災地から受け入れる廃棄物は、受け入れる段階で百ベクレル以下という数字、基準を設けております。また、これから受け入れようということで手を挙げようとしている、例えば関西広域連合では、受け入れは百ベクレル以下、焼却灰の目安は、国が八千なのに比べて二千ベクレル以下というふうにしているわけであります。

 こうした受け入れ自治体や検討している自治体で独自の基準が設けられているということは、それぞれ理由があろうかと思いますけれども、残念ながら、環境省のこうした数値の説明が、これも先ほど申し上げたように、情報の共有がなかなかできていない、あるいは、八千ベクレルでも私も安全だとは思っていますけれども、なかなかその辺の御理解がいただけていない裏返しがこうした独自の基準を設けていらっしゃるんじゃないかなというふうに思いますけれども、改めて、わかりやすくこの場で説明をいただけたらと思います。

伊藤政府参考人 環境省がお示ししています八千ベクレル・パー・キログラム以下、こういう基準につきましては、原子力安全委員会によって示された追加的被曝の線量限度の目安を満足するように設定したものでございます。その際、埋立処分場の周辺住民はもとより、より被曝しやすい、埋立処分を行う作業者についても安全性を確保する、こういうことができるという基準となっているわけでございます。

 本基準につきましては、自治体などの関係者への説明会や地域における住民説明会などに職員や専門家を積極的に派遣して丁寧に説明を行っているほか、パンフレットやホームページ等においても解説しているところでございます。

 ただ、御指摘のとおり、東京都では環境省のガイドラインどおりの基準を使用していただいておりますが、より厳しい受け入れ基準をつくっている自治体もございます。

 これにつきましては、住民の安心を確保するなどといったさまざまな観点から定められているものというふうに承知しておりますけれども、安全な処理という観点からは、環境省がこれまで示してきた基準により、十分安全に処理を行うことが可能でございます。

 したがいまして、今後とも、わかりやすい説明に努めてまいるとともに、説明資料についてもさらなる充実を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。

湯原委員 部長から説明をいただいたわけでありますけれども、部長もお認めになっているように、八千ベクレルでもちろん安全なわけだけれども、各自治体も設けているというのは、これ以上もっとわかりやすくということをしなきゃいけないということを認めていらっしゃると思います。ぜひその点はお願いしたいと思います。

 おっしゃったように、今まで自治体の住民説明会、パンフでやっていらっしゃるのは私も承知しておりますし、それは評価させていただいておりますけれども、結果としてこういうふうに、ダブルスタンダードどころじゃなくていろいろな基準が出ていって、逆にそれが住民の不安感をあおるような結果になりかねないというふうに思っておりますので、ぜひこの点も引き続き努力をしていただきたいなと思っています。

 先ほど申し上げたように、国の基準値でいいますと、最終処分、焼却灰の段階で八千ベクレル・パー・キログラムを超えた段階は最終的にはある方策が必要なので、国が責任を持たなきゃいけないというふうになっているわけでありますけれども、各自治体それぞれ独自の基準を設けているところ、四千ベクレルとか二千ベクレルとか設けているとなったときに、その自治体でこれを万々が一超えた場合には、この自治体の責任においてやるのか、あるいは八千ベクレルを超えたときと同様に政府の責任において対応していくのか、この点について御見解をいただけたらと思います。

伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、放射性物質汚染対処法によりまして、八千ベクレル・パー・キログラムを超える廃棄物は指定廃棄物に指定され、国、すなわち環境省が責任を持って処分するということとされております。

 このため、広域処理によりまして、万が一、八千ベクレル・パー・キログラムを超える廃棄物が発生すれば国が処分することになりますけれども、広域処理を実際お願いしている災害廃棄物の放射能濃度は不検出または非常に微量であるということでございますので、焼却灰となってもこの八千ベクレルという基準を超えることはないというふうに考えている次第でございます。

 一方、八千ベクレル・パー・キログラム以下の焼却灰につきましては、市町村により安全に処理していただくこととなりますが、安全というよりは、安心の観点から受け入れ側が独自の受け入れ基準を設定した場合は、これはあらかじめ搬出側、受け入れ側の自治体間で協定を結び、受け入れた災害廃棄物の焼却灰が独自基準を超えるおそれがある場合の対応を決めておく、こういったことが可能でございまして、現に岩手県と秋田県との協定では、受け入れ基準を満たさない場合には被災地に返却するなどの措置を講ずる、こういうこととされているところでございます。

 環境省といたしましても、広域処理の受け入れが問題なく円滑に進むよう技術的なアドバイスを行うなど、積極的に支援してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

湯原委員 八千ベクレル以上の場合は国が対応するということで先ほど来おっしゃっていたとおりだと思いますし、実際出ているのは非常に微量なので、そこまでいかないということであります。

 ただ、数値が少ないところの基準ですね。より厳しい基準を設けたところは自治体間の協定ということでおっしゃったと思いますけれども、事前に受け入れる段階で逆算していって、例えば百とか二百とかと設けているので、多分それ以上にはならないんだろうということでありますけれども、自治体間での協定で、それに基づくということでありますが、逆に私が危惧するのは、万々が一超えたときには一定程度宙に浮いてしまうものができてしまうという危惧をしておりますので、何らかまた、その間に入ることも御検討いただけたらなというふうに思っているところであります。

 四点目に、今まで、焼却をして最終処分地をどこにつくるかということが一つの大きな課題であろう。二つ目が、先ほどの基準値、安全性の問題だと思います。三つ目が、受け入れをする自治体、あるいは受け入れで手を挙げる自治体の課題というと、やはり財政面があるんじゃないかなというふうに思っているわけであります。

 今日までも環境省においては、いろいろな支援策といいますか、要請するに当たってのこれこれいろいろなところ、お金はこういったものに出していきますということを数々挙げておられますけれども、幾つかの問題で、例えば災害廃棄物を焼却、焼却灰の埋め立てた後の長期的な放射能を測定するための費用とか、自治体内の最終処分場に埋め立てたことによって、その最終処分場の残余年数が減少したことによるこの辺の支援とか、あるいは、まあ数値は低いので私はそれほどではないと思いますけれども、自治体によっては風評被害のことを非常に心配されておりますので、この辺の補償についても、受け入れをお願いする、要請するに当たって、あらかじめ自治体の方々に情報共有する必要があるのではないかと思いますけれども、この辺の財政面についてより一層の御努力をお願いしたいと思いますけれども、お聞かせ願いたいと思います。

高山大臣政務官 湯原委員のおっしゃるとおりでして、災害廃棄物を受け入れてくれたがゆえに何か追加的にマイナスがその自治体に生じてしまうということのないように、環境省といたしましても、今先生がおっしゃいました財政面においても、あるいはまた最終処分場の容量の件、また風評被害、また住民説明会、そしてまた、ほとんど不検出もしくは極めて微量ですけれども、放射能のモニタリングの問題、こういったことに関しては、国が万全の責任を持って対応したいと思っております。

 また、昨年から交付金等の制度はもちろんありましたが、追加的支援策といたしまして、例えば住民説明会の費用、あるいは放射能のモニタリングの費用ですとか、あるいは、処分地が減価償却分をそのまま乗せていただきたいであるとか、この件に関しましては、先月、三月二十九日に都道府県にも通知をさせていただきました。

 さらに、先生御指摘のとおり、最終処分地の容量が減ってしまった場合、今ではないんですけれども、何年後かに最終処分地を新たに取得するときの支援策に関しても今検討しておりますので、この点も、おととい都道府県の議長会、あるいは、昨日は全国市長会でうちの大臣、副大臣から御説明もさせていただいておりますが、なかなかわかりにくいというお声もありますので、これからも市町村との連携に努めさせていただきたいと思います。

湯原委員 ありがとうございました。

 高山政務官からるるお話しありました。自治体との情報の共有ということを財政面においてもより一層図っていただきたいなというふうに要望をさせていただきたいと思います。

 それを踏まえて、今、環境省の高山政務官あるいは伊藤部長ともお話しさせていただいたわけでありますけれども、各自治体、全国の自治体が受け入れ希望するというふうに今手を挙げているわけでありますけれども、総務省においてなかなかこの辺のところと情報共有がということを先ほど来申し上げております。災害廃棄物の広域処理の問題において、総務省も今まで御尽力されているとは思いますけれども、もう一歩、二歩、前に出ていただけたらなというふうに私は個人的に思っているわけであります。

 環境省さんも、当然、出先機関、いろいろ環境事務所はあるわけですけれども、そうはいっても、マンパワー的にも、各自治体、例えば私は鳥取県ですけれども、中国地方にも環境事務所はあるわけです。出先機関はあるわけですけれども、では鳥取県の全部の自治体とそれが全部ネゴができるかというと、なかなかマンパワー的にも難しくて、やはり、その辺は総務省さんがより一層出番をしていただけたらなというふうに思うところであります。

 こうした災害廃棄物の広域処理においての窓口対応とか、あるいは被災地とのマッチングとか、いろいろな問題がこの窓口対応、ネゴの部分で出てくると思いますけれども、これについて総務大臣に、総務省としてのより一層の環境省との連携についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

川端国務大臣 大変熱心に広域処理にいろいろ課題を含めて取り組んでいただいていることにまず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 瓦れき処理を迅速にやることは大変復興にとっても極めて重要な問題であるということは共通の御認識をいただいているというふうに思いますし、それは被災地以外の自治体に本当に協力をしていただかないとできないことであるということであります。

 一方で、具体的に処理をしていただくという自治体においては、現状において住民の理解と納得ということも含めてさまざまな御苦労をいただいているという状況にあることも承知をしております。

 総務省といたしましても、この三月十三日に第一回災害廃棄物の処理の推進に関する関係閣僚会合で総理から各省総力を挙げて取り組むようにという指示が出ましたのを踏まえまして、いろいろな機会にとにかく市町村の皆さんに、自治体の皆さんに、県も含めてですが、理解をしていただかないかぬということで、四月十日には全国都道府県議会議長会の役員会がございました。十一日には全国市長会の理事会がございました。四月二十五日には、予定として全国町村会正副会長会というのが予定されております。こういうオフィシャルな自治体の皆さんの会合には必ず環境省と一緒に総務省が出向いていって説明をさせていただくということでの取り組みを今始めておると同時に、実は、総務省にもいろいろ御相談がございます。その部分は環境省につなぐ。

 そういうことで、いろいろあったらどうぞ御相談くださいというのは言っているんですが、実は、いろいろな県や自治体において総務省からの出向をさせていただいている職員がたくさんおります、副市長で行っているとか総務部長で行っている。この者には改めて我々の方から聞き取りをいたしました。実際に進めるのにどこがネックになって、どういうことで悩んでおられるのか。例えば説明が足りないとか基準がばらばらとか、あるいは炉が老朽化しているとか、いろいろな事情がありますので、そういう情報は我々も積極的に今とるようにしておりまして、それは個別具体に環境省に伝えて、少しでも進むようにということでやっておりますので。

 大々的にばっと見える形ではない立場でありますけれども、きめ細かくいろいろなことでは最大限やっていきたい。今までもやっているつもりですし、これからもやっていきたいというふうに思っております。

湯原委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 郵政民営化改正法案成立に米国が懸念を示しております。何かといいますと、今回の改正法案で、金融二社の株式の完全売却義務が努力目標になったということでございます。

 米国の特に保険業界が懸念を示しておりまして、かんぽ生命が政府の信頼をバックに営業を続けることができることに猛反発している。四月六日に米国の生命保険協会が、公正な競争条件の確保を求めてきた業界の懸念を無視したということで非難声明を出しております。ばりばりの市場原理主義の国ですから、米国というのは、こういった業界団体の意見が思い切り政策に反映されるわけでございます。

 野田総理はTPP交渉参加に大変前のめりになっております。このTPPは言うまでもなく非関税障壁の撤廃というものを上げておりますが、今回の改正法案そのものが、米国から見れば非関税障壁になるんじゃないか。いわばアクセルとブレーキを一遍に同時に踏んでいることになるのではないかというふうに私は思います。

 この法案はTPP交渉参加の障壁になるのではないか、ここをまず、政府の見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 我が国のTPP交渉参加に向けた米国との協議における米国政府の立場は、今おっしゃいましたように、米国内の利害関係者との協議等を踏まえて検討されているというふうに思います。政府としてこれからどういう対応をされるかというのは、これからの話だというふうに思っています。

 今回の法案を取りまとめるに当たりましては、民主、自民、公明の三党間において、金融二社と他の金融機関との対等な競争条件の確保についても十分な議論が行われたと聞き及んでおりまして、政府としてはその結果を最大限尊重すべきものと受けとめております。きのう衆議院の委員会で可決されましたが、そういう方向で認識をしております。

 法案は、この中において、対等な競争条件を確保するための措置を講ずる等の現行の郵政民営化法の基本的な考え方を変更するものではなくて、WTO協定を初めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えております。

 政府といたしましては、WTO協定を初めとする国際約束との整合性を確保していくとの従来の我が国の考え方を引き続き表明して、関係国の理解を求めていく考えでございます。

斎藤(や)委員 WTOルールの下で対等な競争条件が確保されるということなんですけれども、今まではそういう説明で十分だったと思うんですが、このTPPというのは、実は、国内法のルールよりもTPPのルールの方がまさることがある。

 これは何かといいますと、資本家と国家の間での紛争条件解決のためのISD条項というものが入っておりまして、仮に資本家が、これは対等な条件になっていないということを訴訟することもできるというルールが入っております。ですから、無理やり突っ走っても、そういったISDの条項が一つの国内法を変えなければいけないことにつながってくるかと思うんですが、米韓FTAのことをお伺いしたいと思います。

 今回のTPPというのは、米韓FTAと同レベルかそれよりも高いレベルだというふうに米国側は説明しております。その米韓FTAの中で、韓国ポスト、つまり韓国郵政ですけれども、韓国市場での対等な競争条件確立という米韓FTAの御旗のもと、郵政の保険業務が民間保険と同じルールを適用せねばならなかった。つまり、政府の信用という後ろ盾がなくなったということです。もう一つ、がん保険などの保険の新商品の販売が、これは米韓FTAのルールの下で禁止になってしまいました。

 二つ聞きます。

 TPPルールをのむことがTPPの加盟の条件であることを考えれば、法案の修正あるいは経営のあり方そのものを変える必要が出てくるのではないか。今後、米国との事前協議でこの法案のことをさんざん言われると私は思います、これをクリアしなければTPPに入れないよと。それからもう一方で、全株の売却というのが今回の法案改正で盛り込まれていることを考えますと、TPP交渉に参加あるいは妥結してから民営化に思い切ってかじを切ることもできる。でも、そのときにユニバーサルサービスは崩壊するリスクがある。この整合性をどうとるか。これをちょっとお伺いしたいと思います。

森田大臣政務官 斎藤委員にお答え申し上げます。

 まず、バイの経済連携協定とマルチの協定を一元的に比較することは、一般論としてはなかなか難しいように思います。

 そしてもう一つなんですが、韓国郵政は、一般業法ではない、特別法で規定されております完全な国営会社であるということ。今まではがん保険も売っていた。これからのことは私は詳細承知しておりませんけれども、既にがん保険を販売した現実があります。

 そういうものと既に一般業法で規制されている民間生命保険会社であるかんぽ生命を単純比較するということは、なかなか困難であるように思います。つまり、バイとマルチの問題と国営企業と民間会社の問題、ここはまずしっかりと峻別する必要があると思うんです。

 そして、その先の話は、今、川端大臣からもお話がありましたし、きのうも郵政特委において再三議論がありましたけれども、今次の議員立法であります法案に関しては、この部分の対等な競争条件に関しては、非常に繊細な議論がされた上に国会に提出されているというふうに聞き及んでおりますので、政府としては、まずその立場を最大限尊重したいというふうに思っております。

 そしてもう一言、これはきのうの郵政特委で私が山内康一委員に説明したんですが、TPPのP4でございますニュージーランドには、政府出資一〇〇%会社のニュージーランド・ポストがあります。その一〇〇%の子会社にキウイバンクとキウイインシュアランスがございます。完全な金融子会社、いわゆる政府出資の銀行、保険会社があるわけですが、限度額もありません。ですから、P4のニュージーランドにおいて、今現実として国営企業に近い形のキウイバンクとインシュアランスがあるわけですから、では、ニュージーランドがそれを放棄するか。だから、マルチの交渉というのはまだまだ余地があるというふうに思います。

 別に私はTPPに参加すべきと積極的に言っているわけではありませんけれども、議論としては、やはりしっかりと整理すべきだということを申し上げたいと思っております。

斎藤(や)委員 ただ、政務官、今年度出された貿易障壁報告、米国のUSTRが出しているものですけれども、ニュージーランドのポストに対してのクレームというのはついていませんけれども、現実的に、日本に対してかなりの量を割いてこの日本郵政に対する障壁というものを言ってきております。恐らくこれは、マルチであるTPPの中でも、二国間交渉というものの中で相当ぎりぎりぎりぎり言われてくるのではないかというふうに私は懸念しておりますので、そこをやはり注視するべきなのではないかなというふうに思います。

 もう一つTPPに関することなんですけれども、日本は今、オブザーバー参加ができません。会議室の外で聞き耳を立てているというような状況です。会議室に入るために米国から条件が出ていて、それが自動車の輸入促進と郵政二社の完全民営化だと思っているんですが、そういう意味で、大変今回交渉参加へのハードルが逆に上がってしまった。そんな中で、交渉に参加したいという意思を恐らく日本は示さなければいけないでしょうし、入るにしても、ルールメーキングに参加するには、一刻も早く会議室に入らなければいけない。米国議会の承認というのは少なくても三カ月の協議期間が必要で、早ければ今年度中、大体年明けには大筋の妥結という中で、入るんだったらそろそろこれはタイムリミットということになるんじゃないかなというふうに私は思います。

 二つ質問です。

 野田総理が五月の上旬に訪米するというふうに言われています。オバマとの首脳会談の席で交渉開始を宣言するのではないでしょうか。するかしないかでお答えください。

 そしてもう一つ、昨年十一月のAPECで事前協議に参加すると表明した後、民主党の中で参加の是非についての議論はほとんどされていないと思います。議論を経ないで内閣の専権事項として交渉参加表明をすることはあり得るのか。

 この二つをお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 一点目に関しても二点目に関しても、基本的には総務大臣としてお答えする立場にはございません。訪米されること自体が決まっているのか決まっていないのか、そしてその中でどうされるのかは、所掌としてはお答えできません。

 加えて、党の議論等々を含めて参加表明はどうなのかという後段のお問いに関しても、TPPへの交渉参加表明に関しては総務大臣としてどうなんだと言われると、ちょっと答えられないという立場であることは御理解いただきたいと思います。

斎藤(や)委員 一つだけ確認なんですが、それでは、交渉参加宣言をする前に内閣で事前承認というのはあるのかないのか、その部分だけちょっとお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 内閣としての意思を決定していく過程はいろいろな手順はあるというふうには思っていますが、個別具体にどういうときにどういうことをやるかというのまでは詳細に今申し上げることはできませんけれども、いろいろな内閣の意思をしていくということは、当然ながら、いろいろな手順はあるというふうに理解をしております。

斎藤(や)委員 これだけ非関税障壁も含めて、そして関税撤廃も含めて国民生活に非常に大きくかかわるTPPですので、とにかくやはり国民への説明も必要ですし、それから、国会の中での議論も必要です。事前承認はあるべきだと思いますので、しっかりとそこは説明をしていただければというふうに思います。

 最後に、全く別の質問なんですけれども、今回の郵政民営化改正法案で一つ心配なことがあります。

 それは消費増税についてなんですけれども、金融二社が代理店業務を行う郵便局会社へ払う手数料には、今、約四百億円の消費税がかかっていまして、経営に大変大きな負担になっています。これから消費税が五から八、それから八から一〇になれば、これは間違いなく郵政の経営を圧迫するということになると思います。

 これを企業内取引ということで非課税とするような税制改正を行う必要があると思うんですが、それは政府の中で検討はされているのでしょうか。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 非課税にするかどうかの判断は一元的に財務省の判断になりますので、総務省として申し上げる立場にはございません。

 その上で一般論として申し上げてまいりたいと思うんですが、御指摘のように日本郵政は、民営化以降、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の委託料に係る消費税の非課税要望は行ってきております。これはもう御承知のとおり、金融二社が支払っている消費税に関しては、従来一社で行っていたサービスを法律により強制分割されたことにより発生しているものであるということ、そして、他の民間金融機関は業務委託をするか否かは経営判断で決定しているものの、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命については法律により委託が義務づけられているということで、民間金融機関との競争上、明らかな不利であるということがその根拠となっているものでございます。

 御指摘のように、現状の消費税五%においても、年間おおむね五百億円消費税が発生しております。経営に大きな負担が出ていることは間違いないと思いますし、これが仮に一〇%ということになれば、一千億円程度の負担というものがまた発生するわけですから、本当にこれは継続した経営に対してどういう影響を及ぼすかということは、よくよく議論をする必要はあるというふうに考えております。

 また、こういう状態が続けば、結局、ネットワークが有名無実になるという御指摘は一理あると思います。つまり、直営店としてのゆうちょ銀行、直営店としてのかんぽ生命をつくらざるを得なくなってくる。今でもそれは直営店はあるわけですが、それが広がっていって、末端店舗における三事業のサービスというものが有名無実化するおそれがあるかもしれません。

 ですから、いろいろな角度からの議論が必要でありますので、総務省としても、日本郵政からの消費税の非課税要望があった場合には、その都度、年末の税制改正要望において議論させてもらうという姿勢はとらせてもらっております。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございました。ユニバーサルサービスの維持のためにも、ぜひ政務官、御尽力よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。

 きょうは、首都圏のバックアップ体制ですとか防災拠点の耐震化、あるいは、きょうはNHKさんにもお越しをいただいて、NHKの各施設の耐震化、建てかえ等々についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず最初に、バックアップ体制の構築の必要性ということで伺ってまいります。

 三月一日の総務委員会で一部このことについて取り上げさせていただきましたけれども、時間がなくて余り議論ができませんでした。そこで、きょう改めてお伺いさせていただきますけれども、大規模災害時に備えた首都機能のバックアップ体制の構築ということでお伺いしてまいります。

 今後高い確率で想定される首都直下型の地震あるいは東海、東南海、南海、こういったいわゆる大災害に対する事前の備えが重要視されている。とりわけ、首都であります東京圏が被災した場合には、東京圏のみならず、我が国全体に、はかり知れない深刻な影響が及ぶのであろう、このように思っております。そこで、東京圏の中枢機能が首都直下型地震等の発生で停止した場合に備えて、他の地域で最低限必要な機能を代替するバックアップの必要性が指摘をされている、このように承知をしております。

 まず、国土交通省さんにきょうはお越しいただきましたのでお伺いしたいんですけれども、国交省では昨年の十二月から、東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会、これを立ち上げております。そして有識者による検討を開始をした。四月五日に二次取りまとめを行ったと認識しておりますが、この取りまとめの概要について御紹介いただければと思います。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 首都直下型地震等大規模地震等の際に東京圏の中枢機能を継続することは極めて重要な課題であり、そのバックアップ体制を構築することは喫緊の課題であると認識しております。

 昨年の東日本大震災を踏まえた幾つかの提言の中でも、広域的な国土政策の観点から、東京圏の機能の分担あるいはバックアップについて検討することが必要であるという指摘がなされております。

 こうした観点に立ち、国土交通省では、先生御指摘のように、昨年十二月に有識者による検討会を立ち上げ、内閣官房や内閣府と連携しつつ、東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討を行い、今般、バックアップ体制を構築するに当たり検討すべき基礎的論点とその考え方を内容とする取りまとめを行ったところでございます。

 取りまとめにおきましては、例えば、バックアップすべき業務には、危機対応業務だけでなく一般継続重要業務も中にはあること、バックアップ業務の実施には、指揮命令系統、要員、施設設備、情報といった資源が必要であること、バックアップすべき業務が平時に備える体制としては、ホットスタンバイ、ウオームスタンバイ、コールドスタンバイの三類型を基本に、業務の性格に応じて検討すべきであること、バックアップ場所が満たすべき条件としては、東京圏との同時被災の可能性が低いこと、東京圏とのアクセスの容易性、確実性があること、活用し得る既存施設が存在することが考えられることといった論点と考え方を示し、首都直下地震の切迫性に鑑み、政府全体として速やかに実現プロセスにつなげていくということが必要であるという指摘がなされているところでございます。

 行政中枢機能のバックアップ体制の構築は広く全府省庁にかかわる課題であり、その具体化に当たりましては、検討会の取りまとめを踏まえつつ、政府全体として鋭意取り組んでいくべきものと考えております。

 国土交通省としても、政府の一員としましてバックアップの構築に関する検討を継続するなど、積極的に取り組んでいく所存でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 これは誰しも考えるところですけれども、このような大災害に対応するために、首都圏に集中する経済や行政の機能、これを国内各地域に分散あるいは多重化していく、こういうネットワークを基本としたシステムの転換を図ることがまさに求められているものであろう、こう思います。

 その上で、今御答弁もいただきましたが、少し重なりますけれども、確認すると、中枢機能、これらとともに、一つは大災害に備えた住民の一時避難ですとか、それから集団移転の場の確保の問題、それから、政府の危機管理機能とか行政データのバックアップ体制の整備、そして、救急医療、人命救助それから消防活動などの諸活動、これらのことを迅速に行うための体制の強化、これを国としてしっかり構築をしていかなければならない、こういうことだと思うんです。

 その上で、今、北海道ですとか、それから大阪、福岡など、これらの地域からバックアップ体制の誘致に名乗りを上げている、こういう報道がありました。

 例として、北海道の提案について一つ紹介をさせていただきたいと思うんですけれども、昨年の九月に、国のバックアップ体制構築に向けた提言等という形で、食料、水の供給、あるいはエネルギー、救援物資、医薬品の関係ですとか、クラウドデータセンターによる行政機能の継続、いわば高い食料供給力ですとか広大で冷涼な土地の活用ということを具体的に提案をされました。

 とりわけ、国の総合行政機関としての国交省の北海道局、このもとに特別の行政体制として予算編成を受けている北海道開発の枠組みというものを生かせる、こういうことで提案をなされているというふうに承知をしております。

 いずれにしても、このバックアップに関する議論というのは、一つは、阪神大震災のときに必要性がうたわれた。しかしその後、どうもこのことについて数年で忘れ去られるような状況になってしまった。そしてその後は、いわゆるアメリカの同時多発テロ、ここで再び浮上したけれども、その後の結論には至っていないということ。

 今回の東日本の大震災という未曽有の災害を受けて、今後の首都直下型地震ということの可能性が高まっているという状況を考えれば、私は、早急にこの議論を具体化して形にしていかなければいけない、こう思います。

 その意味で、スピード感のある取り組み、これを実現させていくために、具体的な方針については今後どのようなスケジュールも含めて考えていらっしゃるのか。きょうは内閣府にお越しいただいているので、見解をお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 首都直下地震などの緊急事態に対しまして、御指摘のように、集中する機能が途絶することなく確保されていくということは極めて重要だというふうに思っております。

 このため、まず内閣官房におきましては、第三次補正予算を活用しまして、政府中枢機能のバックアップについて基礎的な調査を実施しております。

 また、先ほど来御紹介がありましたように、国土交通省の検討会においても、バックアップに関する基礎的論点等の整理が、国土政策という観点から整理をされているというふうに承知いたしております。

 内閣府におきましては、三月二十三日に、関係府省庁局長クラスで構成されます首都直下地震対策局長級会議というものを設置いたしまして、各府省庁の業務継続計画の検証、強化、さらには、政府としての横断的な業務継続のあり方についての検討を行っていくことといたしております。

 さらに、これらを踏まえまして、中央防災会議の防災対策推進検討会議に有識者による首都直下地震対策検討のためのワーキンググループを設置しまして、首都中枢機能確保のための対策等、当面実施すべき首都直下地震対策を取りまとめることといたしております。

 こうした取り組みの中で首都中枢機能の確保策を充実強化していくとともに、政府全体としてバックアップのあり方について議論を深めてまいりたいというふうに考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 いろいろと意見交換をしている中で、どうも、若干ですけれども、縦割りの弊害ではないですけれども、そういうのを感じております。先ほど私が質問の中で意見させていただいたように、まさにこれは喫緊の課題ですので、ぜひ各省連携の上で、速やかな、具体的な取り組みを進めていただきたい、このことを強く申し上げておきます。

 次に、施設の耐震化について、特に公共施設それから放送施設について伺ってまいりますけれども、まず、NHKの施設から先に伺っていきたいと思います。

 一つは、NHK放送センターの耐震状況と今後の建てかえについてでございます。

 災害時には放送が当然重要なライフラインになるという認識に立てば、特に公共放送としてのNHKの施設も、防災拠点としての公共施設同様の耐震性、設備の強化、こういうものが求められると思います。

 NHKにおいては、全国各地域の放送会館もそうですけれども、これは後で御質問させていただきますが、まずは、東京渋谷の放送センターについてお伺いをしたいと思います。放送センターの築年数及び耐震化の状況、今後の建てかえに向けてどのように検討されているのか、見解をお伺いいたします。

永井参考人 お答え申し上げます。

 NHKは、災害対策基本法により指定公共機関に定められた唯一の報道機関であります。平常時はもちろん、災害時においても放送を継続する使命があるというふうに考えております。

 既に、放送センターも含め、耐震診断と補強を行っておりますので、必要な耐震性能は確保しているというふうに考えております。東日本大震災時は、内装の一部に損傷がありましたけれども、構造的には問題はないということであります。

 しかしながら、委員御指摘のとおりに、放送センターは建築から四十七年が経過しております。老朽化、狭隘化ということが進んでいるということから、昨年六月に、新しい放送センターを建てるための建設検討事務局を発足させて、建設予定地及び設備、機能の検討を進めているところでございます。

 予定地については、現在ある東京渋谷の現有地及び協会が持っている保有地も含めて、そういうもの等で選定作業を続けているところであります。

 設備、機能につきましては、大震災時においても放送中枢機能の維持、それから、スーパーハイビジョン等の新しい時代にふさわしいサービスの提供を目指して、今後詳細に検討をしていくということにしております。

稲津委員 実は、先日、この渋谷の放送センターを視察をさせていただいたんですけれども、思ったよりも老朽化が進んでいるんだなと思いました。それから、さきの震災のときには、天井の落下等は一部あったというふうに承知しておりますけれども、大きなことに至らなかった。しかしながら、エネルギー効率も非常に悪くて、先般の震災でもったこと自体が少し不思議なぐらい、狭隘化そして老朽化していると私は思います。スピード感を上げて検討を進めていただきたいことを申し上げておきます。

 NHKの新しい年度の予算では、地域放送会館の整備ということで十七億円程度計上されておりまして、甲府放送会館の整備、京都、それから仙台、これらの放送会館の建設のために準備の経費を充てているということでございますけれども、東日本の大震災を受けて地域放送会館の耐震強化というのは、今後起こるであろう、先ほど来質問させていただいている首都直下型地震等も含めて、喫緊の課題であろうと思います。

 全国の放送会館の多くは、昭和三十年代から四十年代の半ばに一斉に建設されている。築四十年以上経過しているということを考えたら、建てかえについても早急に検討しなきゃいけないだろう。特に、先ほど申し上げました甲府、京都、仙台以外でも、一番古いのは札幌で昭和三十四年、それから金沢、熊本、静岡、高松とこう続いていくわけですね。もちろん、土地の問題など総合的な調整をかけるということでなかなか大変な状況もあるとは承知はしているんですけれども、いつ起きるかわからない地震等の大規模災害を考えたら、私は、古いものから順次建てかえていく、そういう早急な体制が必要だろうと。

 そこで伺いますけれども、現状の地域放送会館の耐震の状況と課題の認識についてお伺いしますとともに、特に札幌、金沢、熊本、静岡、高松、ここはもう早急な整備が必要と考えますが、いかがでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

永井参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりに、多くの地域放送会館はテレビ放送が始まったときに建てられたというのが多うございまして、四十二年以上経過をし老朽化が進んだ会館というのは、三十を超えているという状況であります。耐震については、耐震診断を行いまして必要な補強は実施はしておりますが、これも同じように、老朽化が進んでいるというところから、我々、新しい会館につくりかえていくことが必要であるというふうに認識しております。

 放送会館は、災害時には迅速で的確な報道を継続しなければいけませんから、そういう条件、それから、放送所への伝送ルートをも確保しなきゃいけないというようなこともあります。ある程度の広さも必要だということで、用地の確保が一つの課題になっております。用地が確保できたものから順次建てかえをしていくということで今取り組んでいるところであります。

 受信料の値下げ等で財政的には厳しい状況にありますけれども、コストの削減を図りつつ、総合的に条件が整ったところから年間で二、三局程度は計画的に建てかえていきたいというふうに考えております。

稲津委員 具体的に年間に二、三程度はということをお聞きしましたので、私はこれから順次進んでいくだろうと思います。

 福島の放送会館が平成十七年に改築をしたということで、実は、これは非常に利便性が高いのもあるんですけれども、今回の東日本大震災で、高い耐震性、安全性というのが際立って大きな利点として紹介されたというふうに承知をしております。まさに、今回の大震災でもびくともしないそういう強靱な施設であったということ、こういうことを考えていきますと、繰り返しになりますけれども、順次、地方の放送会館の建てかえをしっかり進めていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 次に、防災拠点となる公共施設の耐震化ということで順次伺ってまいります。

 地震等の災害時における国や地方公共団体の公共施設の多くは、防災拠点としての機能を発揮するということが求められる施設だというふうに思っております。こうした施設が地震等により被害を受けた場合は、多くの犠牲者を出すだけではなくて、災害応急対応の実施にも支障を来して、災害が一層拡大してしまうおそれがある。

 政府は、こうした背景のもとに、平成十三年度に、防災拠点となる公共施設等の耐震化推進検討委員会、これを設置いたしました。それで、地方公共団体が所有するあるいは管理をする公共施設について、耐震診断それから改修実施状況等について調査をして、平成十五年、十七年からは毎年度、その進捗状況を報告書に取りまとめているというふうに承知をしております。

 まずお聞きしたいのは、直近の調査報告書における耐震化率の状況とその傾向について、簡潔に御答弁いただければと思います。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの調査でございますけれども、調査を始めました平成十三年度における耐震化率は四八・九%でございました。平成二十二年度末、昨年の三月ですけれども、における耐震化率は、被災三県を除きまして七五・七%となっておりまして、年々改善がなされてきているものと承知しております。

稲津委員 全体で見ると七五・七%ということですけれども、私もいろいろと調べてみました。今回の震災を受けて平成二十三年度末では相当伸びるんだろうかと思っておりますが、その上で、この二十二年度末の調査の結果を見たとき、自治体によってかなりのばらつきがある。

 耐震化率の最高は東京九一・七%、次いで神奈川九〇・六%、愛知九〇・三%、それから静岡、三重、山梨、計六都県が八〇%を超えています。一方で、低いのは広島県の五八・二%、次いで茨城県、愛媛県、いろいろあるんですけれども、非常にばらつきがあるんですね。

 この首都直下型地震、東海、東南海、南海、この発生が危ぶまれる地域であればあるほどこの耐震化率が高くなくてはいけない、私はこのように思っておりますが、このばらつきを政府はどのように見ているのか、見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 今御紹介いただきましたように、全国七五・七%ですが、東京都が九一・七%から広島が五八・二%ということであります。

 この耐震率の高い団体は、今御紹介いただきました東京、神奈川、愛知、静岡、三重などは、いずれも東海地震などの大地震の切迫性が指摘されている地域でありまして、また、早くから、大規模地震対策特別措置法というのは昭和五十三年六月制定という、この時点から地域指定がされていた団体となっております。

 これらの、大震災の切迫性、あるいは法律に基づく地域指定、財政措置の経緯などの違いがあってこういう差が出てきたのではないかと思っております。

稲津委員 私は、自治体の財政状況が影響しているんじゃないかなというふうに思っております。そのことは後で触れることにしまして、もう少しここの中身を分析したいと思うんですけれども、防災拠点となる公共施設の施設区分を見てみると、耐震化状況にこれも同じようにばらつきがある。

 一番高いのが学校の文教施設七九・一%、これは我々公明党もかねてから早急な耐震化を進めるように提案をして、国も多くの予算を使ってこれを推進してきた結果である、このように思っております。次いで、災害の実動部隊である消防本部、消防署が七七・九%、医療施設七五・一%、警察本部、警察署等が七三・二%。こうした耐震化が進んできている施設についてはその理由をどう考えるのか、これも簡潔にお答えいただければと思います。

長谷川政府参考人 お答えをいたします。

 それぞれの団体の事情があると思いますけれども、各地方公共団体におきましては、災害時に被災者の方が利用される施設、あるいは被災者の救出活動に当たる施設、こういった施設の耐震化に優先的に取り組んでいただいているのではないかと考えております。

稲津委員 まさにそうですよね。ここがいろいろな災害のときの指揮系統になったり、あるいは、救助活動あるいは医療の拠点になっているということで当然だと思いますけれども、しかし、中でも自治体庁舎の耐震化率というのは、最低の六五・三%と、進んでいない状況がぬきんでているわけですね。

 地方自治体の庁舎は、災害発生時に情報を収集して対策を指揮するそういう拠点となってくる。もしこの庁舎自体が大きな影響を受ければ、被災者の救援やインフラ復旧にも大きな影響を与えることは、これは必然です。さきの東日本大震災でも、福島県の県庁舎が耐震強度が震度六以上の地震で倒壊、崩壊の可能性が高い、こう診断されたために、地震発生直後に全職員避難、一時立入禁止、こういうふうになりました。

 このようなことを考えていけば、私は、自治体庁舎の耐震化は喫緊の課題だろうと思います。なぜこの耐震化率がこのような状況になっているのか、その理由をどう考えているのか、ぜひこれは見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 今御指摘のように、庁舎は公共施設の中で一番低い数値で六五・三%でありまして、これは先ほども消防庁の方から御説明いたしましたように、避難所として活用されるような場所ということ、あるいは国庫補助制度も充実しているというので、文教施設、あるいは、災害時の住民の救出活動に当たる拠点である消防、警察の施設、より住民の安全にかかわる部分は優先的にやった結果、結局後回しになった、財政状況もあるということであります。

 そういう意味で、庁舎については、平成十三年度から平成二十二年度までの九年間では耐震率の向上は一八・一%、年平均二%でありますが、財政措置を講じたということで、ここ二年間では年平均二・七五%と若干の改善はされているということで、やはり、財政的な支援の優先順位で手が回っていないというのが現状だというふうに思っております。

稲津委員 私もまさにそのとおりだと思うんです。先ほどの各地域別のお話にもありましたけれども、要するに、ジャンル別でいくとまさにそのことが問題になってくる。私は、そういう意味で、ここのところをしっかり財政的な措置、支援をしていかなければいけないだろうというふうに思うんですけれども、そこで、この耐震化の進んでいない自治体庁舎に対する支援策ということでお伺いしたいと思います。

 北海道でも、北海道の本庁舎は昭和四十三年に建築されて、四十三年経過している。こういう状況の中で、ようやく、いよいよ七十三億円をかけて免震工法による耐震改修を行うことが決まりました。愛知、あるいは鳥取、長野も同じような工法で進めてきているというふうに承知をしておりますが、今後、財政力の弱い自治体は、いまだ耐震基準に満たない庁舎を抱えながらも、補強あるいは建てかえなどにめどが立たない、こういったこともあると思います。

 そう考えていきましたら、やはり財政的な問題をクリアする必要がありまして、国として何らかの財政的支援を強化をすべきと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。

川端国務大臣 地方公共団体の庁舎は、御指摘のように、災害発生時には災害応急対策の実施拠点ということで極めて重要な施設でありますので、耐震化は重要であるという認識のもとに、従来から、地方債と地方交付税による財政措置、起債充当率九〇%、交付税措置率二分の一を講じてきましたけれども、特に地震による倒壊の危険性が高い庁舎、Is値〇・三未満については、平成二十一年度からは、支援措置を拡充、すなわち、交付税措置率を二分の一を三分の二にしてきました。

 さらに、東日本大震災を踏まえまして、昨年十二月に創設した緊急防災・減災事業において、庁舎の耐震化についても対象とすることといたしました。臨時的な地方税制上の措置により確保される財源の範囲内で、支援措置のさらなる拡充、起債充当率一〇〇%、交付税措置率七〇%を行ってきているところでございます。

 今後とも、地方公共団体の取り組みをしっかり支援してまいりたいと思っております。

稲津委員 時間が参りましたのでここで終わりますけれども、今御答弁いただきましたように、新しいものとしての事業債の一〇〇%起債対象、元利償還七〇%交付税算入ということでございますけれども、私は、もう少し一段の拡充をしなければこれらのことについては進んでいかないということを感じておりまして、ぜひそういったことも検討にしていただきながら今後取り進めていただきたいことを強く申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 桜の季節でありますので、桜の万葉集で始めさせていただきたいと思います。

 万葉集巻十、一千八百七十二番。

  見わたせば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも

 では、よろしくお願いいたします。(拍手)

 きょうは国家公務員の制度のところを主眼にはしたいのですが、少し若干先に二、三問、今までの、いろいろ何度か質問させていただいたことの中からお伺いをしていきたいところがあるわけであります。

 今、資料を一枚配っておられるかと思いますけれども、内閣官房さんの「国と地方の協議の場」のホームページ、昨日の状況でコピーをとらせていただきました。

 実は、ここではずっと、議事録あるいは国会報告の状況などを国民の皆さんに情報提供ということでしているわけですけれども、残念ながら、昨年の十一月二十九日からの協議の場の開催の議事録、それから、昨年の十二月十二日と二十六日の社会保障・税一体改革分科会の開催状況における議事録がまだアップされていないという現状にあるわけであります。

 きょう現在もこういう状況なのか確認をしながら、申し上げたいことは、今、議事録問題、三カ月以内にはとかいろいろ出ておりますけれども、そのことというよりも、三、四カ月もたった議事録を今からつくっていくのは、実は、その職員の方にとっては大変な仕事じゃないかと。みんなどうしゃべったかもう忘れているようなことを、あちこちお伺いされながら何とかつくろうという仕事をきょう現在も一生懸命やっておられるとすれば、それは本当に生産性のある仕事なのかなと。いや、大事なことではあるんですけれども。

 となると、やはり、どういう仕事のさせ方をするか、どういう議事録なり国会報告のさせ方をするか。前からお話ししているんですけれども、もう少し事務を簡素化されて楽にされたらどうですかというのを何回か聞いているんですが、もう一度お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 先日、十分な答えでなくて申しわけありませんでした。

 今お話しのあった件につきましては、要するに、発言者の確認をしているという作業がございまして大変手間取っておりますけれども、何とか近日中には議事録もホームページで公開することができるということになっております。

 先生から御指摘の簡素化することについては、これからさらに、どんなふうに簡素化できるか十分に検討してまいりたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 実は去年の十二月、かなり熱心に協議の場を開催されて、考えてみれば、それからまたこれで四、五カ月、されないままに今日になっている。もちろん、たくさんすればまた議事録をつくらなきゃいけない。橘的には余りたくさんやられない方がいいということになるのかもしれませんけれども、ただ、瓦れきの話があったり地方消費税の話があったりいろいろあるわけで、やはり、ある一定の基準の中でこれは開催されたらどうかなということはお勧めをしておきたいと思っておるところであります。

 ありがとうございます。次に参ります。

 今度は地デジ移行の問題であります。三月三十一日でこれも無事終わったということだと思います。二週間ほどたったところでありますが、移行の状況、この質問もこれで最後にしたいと思いますが、最終的な確認をさせていただきます。

松崎副大臣 橘委員にお答えいたします。

 岩手、宮城、福島の三県におけますアナログのテレビ放送は、大きな混乱もなく、三月三十一日に終了いたしました。本当に三県の県民の皆さんには感謝をしております。

 四月に入りましても、総務省の地デジコールセンター、デジサポの臨時相談コーナーにおきましては引き続き丁寧に対応しておりまして、三月三十一日、最終日のときには四千七百件ございましたけれども、四月十日になりましたらもう既に二百件ということで、非常に少なくなって落ちついてきました。

 これによりまして、十年以上、長い年月をかけまして、全国で地上デジタル放送への移行という大事業が完了したわけであります。本当に国民の皆さん一人一人に御協力いただきまして、ありがとうございました。感謝を申し上げます。

 なお、今後、テレビをごらんの国民の皆さんが、デジタル化してよかったとそういうふうに感じていただくために、デジタル放送の特徴を生かした質の高いコンテンツを放送事業者に提供をしていただくことを期待するとともに、デジタル化によってあいた周波数を利用した新たなサービスの導入を関係者とともに推進していきたいと思っております。

 また、日本における円滑な地デジ移行の経験、これは世界でも大変な評価を受けておりますけれども、今後、地デジ導入をする予定でありますアジアでありますとか南米、こういったところにも、活用していただくようにこれからPRしていきたい、そう思っております。

橘(慶)委員 これは、十年間いろいろな段取りをされて、この委員会でもいろいろな委員の方々からもいろいろな提言もあって、そういうものを踏まえて最終的に大体落ちついてきている。大変いいことだと思っております。あと、残ったあの暫定措置等の切れていくときにもまたよく手当てをしていただきたいと思いますし、瓦れきの処理も、そういうような段取りで、二年後にはよかったねと言われるようになれば最高だなと思っております。

 今ほど松崎副大臣からもお話しをいただいたわけですが、周波数帯があいてくるということで、この周波数帯をまたいろいろなサービスに割り当てながら、さらに電波を活用していくということであります。

 二月二十九日に九百メガヘルツ帯の電波をソフトバンクモバイル社に割り当てられまして、いわゆる三・九世代移動通信システム、そういう携帯電話の普及のために使用させるということにされたわけでありますが、今後、電波の割り当て計画はどのようになっているのか、お話を伺っておきたいと思います。

松崎副大臣 お答えいたします。

 携帯電話を含めまして移動通信システムの普及のためには、必要な電波周波数を迅速に割り当てるということが重要であります。

 携帯電話を含みますワイヤレスブロードバンド周波数については、現在、合計で約五百メガヘルツ幅の帯域のところを、二〇一五年までには三百メガヘルツ幅を超える帯域、そして、二〇二〇年までには千五百メガヘルツ幅を超える帯域、これを新たに確保することを目標として取り組んでおります。

 委員の御指摘の九百メガヘルツ帯については、昨年の五月に成立しました電波法に基づきまして、おっしゃるとおり、三月一日にソフトバンクモバイル社に割り当てをいたしました。

 七百メガヘルツ帯については、昨日、電波監理審議会から、開設指針、これの答申をいただきまして、近々、開設計画にかかわる認定申請の受け付けを開始いたしまして、本年六月を目途に割り当てができるように取り組んでいるところであります。

 また、本年の一月には、国際電気通信連合、ITUですね、ここで標準化されました第四世代移動通信システムについては、今後、三・四―三・六ギガヘルツ帯を割り当てる予定であります。

 さらに、本年二月に開催されました二〇一二年の世界無線通信会議におきまして、第四世代移動通信システムへの国際的な周波数の追加分配に関しての検討を進めておりまして、これは決定したところであります。

 このように、総務省では、積極的に周波数の再編に取り組みまして、周波数の有効利用、これを図っていくところでありまして、引き続き、諸外国との調和を図りながら、さらなる周波数を確保し、割り当てていきたいと思っております。

 以上です。

橘(慶)委員 今の御答弁のお話の中で、やがて電波法の改正等もまた俎上に上がってくるんだと思います。またそのときにあとは議論をさせていただきたいと思います。

 では、国家公務員制度の方にお話を移しますけれども、最初は、この四月から始まります給与の引き下げの問題であります。

 この国家公務員給与臨時特例法の政府関係機関への波及につきまして、政府は独法及び特殊法人等の給与についても、「必要な措置を講ずるよう要請を行った」と、これは私の質問主意書に既にお答えをいただいているところであります。

 そこで、その結果において現時点においてどのようになっているのか、確認をさせていただきます。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律の成立を受けまして、去る三月六日、関係当局から各独立法人等の所管府省に対しまして、「国家公務員の給与減額支給措置について」、これは昨年の六月三日の閣議決定でございますが、この閣議決定の趣旨に沿いまして、所管の独立行政法人等に対しまして、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、各法人の役職員の給料について必要な措置を講ずるよう要請することを依頼したところでございます。

 その結果でございますが、この要請におきましては、各法人の具体的な対応につきましては、いまだ労使交渉中であるものが少なくないと思われまして、詳細に現状を把握しているわけではございませんけれども、私どもの方で現在把握しているところでは、独立行政法人の統計センター初め十の法人におきまして今般の国家公務員給与の臨時特例措置に準じた役職員の給与改定を行い、その内容を公表しているというところでございます。

 今後とも、引き続きまして、当局に対しましても、その動向について注視し把握してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 独法全体では百くらいありまして、そのほかに特殊法人もあるわけでありまして、また引き続きぜひそこは押さえていただいて、まとまったときにはまたそういうことも情報公開していただきたいな、このように思うところであります。

 事前には、打ち合わせしておりますと内閣官房の方からも何かお答えがあるように聞いておりましたが、よろしいですか。

松村政府参考人 特殊法人等につきましても、ただいまの答弁と同様の要請というものを特殊法人に行っております。

 その結果、各特殊法人等におきましては、役職員の給与の見直しに係る検討を実施しておりまして、現在、九法人が役員の給与の見直しを行っております。また、三法人については職員の給与の見直しも行っておりまして、今後とも、各法人の取り組みについて注視してまいる所存でございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 でも、今気がついたんですけれども、独法と特殊法人を別々にやる必要もないので、本当はまとめてされた方が。何か縦割りだなという感じもしないでもありませんが、大臣、それはまたよくお考えいただいてということにしたいと思います。

 それでは、給与引き下げ措置のこれは現行法制上の妥当性ということについて、ちょっと一、二お伺いをしておきたいと思います。

 これはどうしてこういうことをお伺いするかといえば、過去、昭和五十七年度の人勧凍結の際にも、裁判にまで立ち至ったということがあるわけであります。だから、今から御質問するのは、もし、この引き下げ措置ということについて全ての職員の方が納得をしたとかその職員団体が全て労使交渉で妥結したとか、そういう状態ではないとすれば、やはり裁判ということが絶対にないということにはならない。危機管理ということを含めてお伺いをしておきたいわけであります。

 裁判になれば、残念ながらこれは実は、国会で決めた法案ではありますけれども、いわゆる最高裁に対して受けて立つのは行政になるものですから、あえて内閣ということでお伺いをしておきたいということであります。

 最高裁の判例によれば、五十七年度の事案については、人事院勧告を尊重するという基本方針のもとに、国の財政が未曽有の危機的な状況にあったために、「やむを得ない極めて異例の措置として同年度に限って人事院勧告の不実施を決定した」、今の言葉で直せば、要は人事院勧告以上に引き下げたということになるわけであります。

 幾つかの論点があるわけですが、人事院勧告の尊重ということがあり、やむを得ない極めて異例の措置ということがあり、言ってみれば、限定的な年限を限ったものである、こういう幾つかの要件があるように思いますが、この辺をどのように認識されているのか、まず確認をいたします。

川端国務大臣 ありがとうございます。

 政府としては、労働基本権が制約されているという現行の状況においては、人事院勧告制度を尊重することが基本である、これがもう大前提でございます。

 そういう中で、昨年六月に政府が提出した給与臨時特例法案は、労働基本権の制約に対する代償措置である現行の人事院勧告制度のもとにおける極めて異例の措置ではありますけれども、一つとして、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処するための財政需要が重なって未曽有の危機的な状況となっており、こうした状況に対応するため、二番目に、やむを得ない臨時的な措置として、平成二十五年度末までの間、給与を減額することとしたものであることから、過去の判例、今御紹介いただきましたが、過去の判例において、一、政府が人事院勧告を尊重するという基本的方針を堅持しつつも、二、国の財政事情が未曽有の危機的状況にあったために、三、やむを得ない極めて異例の措置として同年度に限って人事院勧告の不実施を決定したことをもって、「労働基本権の制約に対する代償措置がその本来の機能を果たしていなかったということはできない」としていることに照らして、政府案の給与減額支給措置は憲法第二十八条に違反するものではないと判断して提出させていただいたという経緯がございます。

 今回、国会で成立しました給与改定臨時特例法案は、給与減額支給措置について政府案の考え方を踏襲していただいたものと承知をしております。

橘(慶)委員 正確にありがとうございました。三つの要件を、はっきり数字も入れていただいて言っていただいたわけであります。

 私はここからお願いになるわけですが、よく言われる、それでは二十六年度以降どうするんですかという質問が世の中よくあるわけであります。国会といいますか、政党の方々がいろいろ言われる、それはまあいろいろな政治的な主張は結構なんですけれども、内閣ということでいうと、内閣の方々については、今、総務大臣が御答弁になった線でやはり発言を統一されておかないと、違った発言をして、それが例えば新聞記事で残ったり、そういうことは全て裁判になった場合には、必ず裁判上ではいわゆる証拠ということになっていくんだろうと思います。

 ですから、御担当の大臣はまだほかにもこのことはありますので、二割削減云々ということは、それはいろいろな議論があるんですけれども、この二十六年度以降の措置ということに対する政府としての物の言い方については、ぜひ御慎重にお願いをしたい。このことが私のきょう一番申し上げたいことですが、一応御答弁をいただいておきます。

川端国務大臣 御指摘は、私もそのとおりだというふうに認識をいたしております。

 そして、私自身もこういう場でいろいろ御答弁申し上げてきましたけれども、二年間、この臨時特例法は実施されますので、二年後の平成二十六年度以降の国家公務員の給与につきましては、ケースが二つ考えられます。

 一つは、政府としての立場で申し上げれば、現在、国家公務員制度改革関連法案を提出させていただいております。これが成立、施行されていれば労使交渉により改定が行われることになりますが、政府としては、人件費に関する基本的な方針なども踏まえた交渉を行った上で、二十五年度中に必要な法案を国会に提出することになるというふうに思っております。

 また、二番目のケースとしては、関連法案が施行されていない場合には、直近、二十五年度の人事院勧告を踏まえて、国政全般の観点から検討を行った上で、平成二十五年度中に必要な法案を提出することになると考えられます。

 いずれにいたしましても、平成二十六年度以降の国家公務員の給与の取り扱いについては、平成二十五年度中に国会で御審議をいただくことになるというふうに思っております。

橘(慶)委員 ぜひ、今の基本的トーンというのを大事にしていただきたい。かりそめにも二十六年度が決まったような話をされちゃうと、内閣としてはこれはまた厄介なことになるんだろうと。ぜひよろしくお願いしたいということをきょうは申し上げておきたかったわけであります。

 それでは、今度は採用の問題であります、五六%削減ということが出ているわけですけれども。

 二十四年度から国家公務員採用試験が実は変更されます。実は、今ちょうど募集をやっていまして、四月二十九日に最初の総合職試験があるんですが、今まで1種、2種、3種というふうに区分されていたものが、院卒、大卒の総合職試験、大卒、高卒、社会人の一般職試験の二区分に分かれるわけであります。

 そこで、言ってみれば、1種、2種、3種という三区分から、総合職、一般職、二区分に変わるということで、まずは、総合職というものと今までの1種、2種というものとの違いについてお伺いをいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 本年度から実施することとなっております新たな採用試験でございますが、これは、人材供給構造の変化等を踏まえ、多様な有為の人材を確保できるようにするとともに、能力、実績に基づく人事管理への転換の契機となることを目指しているものでございます。

 このため、従来の採用試験体系の抜本的な見直しを行いまして、1種、2種、3種試験などの従前の各試験を廃止しまして、新たな試験といたしまして、職務の種類、性質に注目をいたしまして、主として政策の企画立案等の高度の知識、技術または経験を必要とする業務に従事することを職務とする官職を対象としました総合職試験、それから、主として事務処理等の定型的な業務に従事することを職務とする官職を対象とします一般職試験とに再編したものでございます。

 従前の各試験と今回の新たな各採用試験との間には特に連続性あるいは対応関係というものはございませんで、新たな試験として制度設計をしたものでございます。

橘(慶)委員 ここで考え方を変えて採用していく、職種も変えて採用していくということでありますけれども、行政職(一)の俸給表ということでいえば、今まで三区分でやっていたものが二区分になる。

 そうした場合に、今までいわゆる霞が関で言われてきたキャリア型人事、昔で言うと上級職、1種、そういうふうに来たわけですけれども、これは変更されるのかどうか。また、総合職の採用者の数というのは、その場合に、今までの1種採用者、これはかなり限定的な採用になっていたわけですが、その数に比べてかなりふえるということなのか、どのように変化するのか。

 この辺についてのお考えをお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げました、本年度から実施することとなりました新たな採用試験体系の導入に当たりましては、今御指摘のございましたキャリアシステムと慣行的に連関をしておりました従来の採用試験体系を抜本的に見直すということが適当と考えまして、従前の1種、2種、3種試験を廃止し、新たに、総合職試験、あるいは一般職試験、専門職試験、経験者採用試験というようなことで実施することとしたものでございます。

 これを契機といたしまして、より一層、能力、実績に基づく人事運用を推進するということが重要であるというふうに考えております。

 各府省におきましても、今申し上げました採用試験の見直しを契機といたしまして、従来の採用試験の種類を過度に重視いたしました人事慣行、これを見直しまして、職務を通じて発揮された能力、実績に基づく人事管理がさらに推進されることを期待しているものでございます。

 採用数についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、各府省におきまして採用試験の今申し上げました見直しの趣旨を踏まえまして、採用試験の種類や年次にとらわれず、能力、実績に基づいた人事管理を推進するということを念頭に置きつつ、一方で、今般決定されました採用抑制の方針もございますので、その方針のもとで、各試験から具体的に採用予定数をどうするかということについてはそれぞれで検討中ということで承知をしております。

橘(慶)委員 ここは大変大事なところでありまして、こういう質問をするのは、それぞれ各省庁の人事慣行、人事院さんのこういう試験を変えるということに対して、特に霞が関の場合、どうしても各省庁、各省庁の人事運用になるものですから、そこがちゃんとその趣旨を理解されるかどうか、採用数五六%の問題は別にしても、今までと同じであればどうなるかというところが見えてこないと、結局今度は、受ける方、要するに今二十二とか二十三、二十四歳の方、今から公務を志す方にとって、総合職というのはどういうもので、一般職というのはどういうもので、自分はどっちの試験を受けようかなというところに最終的に情報が行かないといいますか、ことしの一回目の方はなかなか大変かなという感じもするんですね。

 それで、ぜひ各省庁の足並みをうまくそろえていっていただきたいと思っておりますが、どういう取り組みをされているのか、一応これを確認しておきます。

小林政府参考人 お答えいたします。

 人事院といたしましては、今回の新たな採用試験の実施に当たりまして、各府省に対しましても、さまざまな各種会議等の場におきまして、能力、実績に基づいた人事管理への転換の契機となるようにということで、各試験からの採用のあり方についても御検討いただく必要があるということで、問題意識をお伝えするとともに、検討を要請してきているところでございます。

 現在、各府省におきましては、こうした観点も踏まえながら、総合職試験からの具体的な採用予定数について検討を進めていただいているというふうに承知しております。

橘(慶)委員 もう一つ聞いておきたいのは、一般職の社会人試験というものが今度設けられるわけであります。この一般職の社会人試験で採用を期待しようとしている人物像、どういう人物像を描いてこういう試験の種目があるのか、お答えをいただきたいと思います。

小林政府参考人 一般職の社会人試験でございますが、これは、三十歳代の者を対象といたしまして係員を採用するために従来実施してきておりました中途採用者選考試験、これを競争試験として組みかえまして、各府省に採用予定がある場合に実施するというものでございます。

 この試験は、学歴や職歴のいかんにかかわらず、多様な人材が受験できる試験として設けたものでございまして、受験資格は年齢のみ、これは四十歳未満とさせていただいておりますが、となっております。二十歳代も含めまして、従来より幅広い層の者が受験することが可能となっているものでございます。

 この試験を通じまして、公務に対する強い意欲を有します多様な人材が採用されるということを期待しているところでございます。

橘(慶)委員 今、今回の新しい採用試験についてのアウトライン、いろいろなところをお伺いしたわけですが、私は、これはこれで実は、公務職場の方から今の若い方々に対して、ある意味でいいメッセージが発信できることじゃないかと思うんですね。今の時代に合わせた新しい採用の仕方をしますよ、新しい能力を持っている方を大いに募集しますということで、非常に何かある意味で明るい話でありまして、こういうことをこの四月の春に大いに政府としてもPRされてもいいと思うんですが、現実は、二十五年度の新規採用につきましていろいろ議論された結果、二十一年度比約六割減、三千七百八十人に絞りますよ、こういう決定をされたわけであります。

 私が申し上げたいのは、それはそれでまた違った今の政策需要から出てくる話でありますが、せっかく試験制度を変えて、さあ頑張ろうと足を踏み出すときにしては、何かこの決定というのは厳しくないですかと。これは局長さん答弁の予定ですが、よろしくお願いします。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度の国家公務員の新規採用につきましては、先生御指摘のとおり、大幅な採用の抑制ということになりましたが、これは、社会保障・税一体改革におきまして国民に御負担をお願いする中、政府といたしましても、総人件費削減など身を切る改革を実施する必要があることから、その一環として大幅な抑制に取り組むこととしたということでございます。

 具体的には、三月六日の行革実行本部におきまして、これまでの抑制を大幅に上回る抑制に取り組むという方針が確認されまして、各省との調整を経まして、先生御指摘のとおり、全体として二十一年度比五六%減、三千七百八十人という採用上限数の範囲内で採用をやっていただくということを閣議決定したというところでございます。

橘(慶)委員 つかさつかさではそのつかさの中でお答えになってしまうものですから、次は大臣にお伺いする、こういう話になるわけであります。

 そこで、川端大臣にこのお答えを、ぜひ、今の御年齢ではなくて、二十二、二十三、二十四ぐらいに戻った、では今から俺は公務を目指してみようか、そういう学生さんになった気持ちというものをちょっと持っていただきながらお答えをいただきたいわけですね。

 確かに今、この公務職場を取り巻いている財源的なものは厳しい。でも、厳しいというとき、民間企業であれば、例えば早期希望退職とか、そういうことも募ってまず身を切る、今いる人を切って、そして、次代を担う、次代を託す人はそれなりの数をある意味できちっと採っていく方がバランスもとれる、こういうふうに考えるのが普通であります。

 しかし残念ながら、今この公務職場においては、勧奨退職ということはあっても、これから考えられるようですが、早期希望退職制度がない。だからまず採用から抑制しちゃうんだ、試験は新しい試験をやっていく、皆さん頑張ってね、だけれども採用は厳しいんです。これ、大きな立場で見たときに、何か一貫性がないんじゃないですかね。

 確かに、今は消費税は大事です、それから税・社会保障一体改革も大事です。でも、私は国会のあの壇上でも申し上げましたが、ねばならない、ねばならない、ねば、ねば、ねば、ねば、ねばならない、そういうことではちょっとおもしろくないのでありまして、やはりこの辺は、若い方々にもっともっと働いてほしいという思いを持ってもう少し政府として何か考える余地はあったんじゃないですかということをお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 総人件費を抑制して、スリムな、効率のよい行政システムをつくらなければならないというのは、国民からの強い要請でもあることは事実だと思います。その中に、いろいろなことをやらなければならない、あらゆることをやろうという中の一つがこの採用抑制であったということであります。中高年齢層、今の自主的な離職、再就職を支援していくということも極めて大事であります。ちょっと順序の部分では、後先になっている嫌いは御指摘のとおりでございます。

 早期退職に対するインセンティブを高めるための給付の措置、いわゆる希望退職の導入、それから、民間の支援会社の活用を含めた再就職支援等の措置等も含めて、今、公務員制度改革推進本部事務局と連携して取り組むことにしております。

 あるべき姿としては、一体で全部パッケージでやるべきだったというふうには思いますが、ちょっとその部分では時期的にずれた部分は申しわけない部分はありますけれども、これだけしかやらないということでなく、ほかも全部やることの覚悟で取り組んでいるということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。

 私も民間におりまして、構造不況業種でございましたので、大変ないろいろな場面に遭遇してまいりました。そういう中で、民間の場合というのは、事業をやめるということでリストラクチャリングをするということがありますが、公務の場合に、これをやめるということがないわけですので、そこの難しさというのは感じております。

 いずれにいたしましても、いろいろな知恵を出しながら取り組んでまいりたい。

 そういう中で、新しい試験制度の初年度に重なって、国家公務員を志望する若者の気持ちになったらどうかと。四十年以上前になるんですけれども、そういう部分では、それでも志していただくという方の志は高く受けとめて、頑張っていただきたいというエールを送りたいと思っております。

橘(慶)委員 後先どうだったかなというお話、そこをぜひ大事にしていただいて、そして、できるだけ早くこういうことは是正していただくというか、大臣も今おっしゃったように、やはり、年齢層を一体として見ていく制度に早く変えていただかなきゃいけないですし、そして、仕事は永続していく、民間みたいに切り離していけないんだ、これはおっしゃるとおりなので、そういうときにおいてどういう人員の構成にしていくかということについては、ぜひまた内閣の中でも御発言をいただいて、岡田大臣はここにいらっしゃいませんけれども、よく皆さんで御協議をいただいて、そして、やはりいい公務職場として先につないでいけるように、これは要望として申し上げておきたいと思います。

 ちょっと質問の順番を変えて、時間があれば最後に川端大臣にもう一度ということで、先に退職管理方針の方から行きます。

 加賀谷政務官にお答えをいただく部分ですけれども、平成二十二年六月二十二日、ですからもう二年前になりましたが、退職管理基本方針というものが出ておりまして、そこで専門スタッフ職というものの新設を予定されておりました。これは、総務省さんと、また人事院さんとキャッチボールしながら決めていかなきゃいけないんですが、この導入に向けて、二年たっておりますが、今後の取り組みをどうするのか、お伺いをしたいと思います。

加賀谷大臣政務官 お答えをいたします。

 専門スタッフ職は、行政の多様化、複雑高度化に対応しつつ、在職期間の長期化に対応するために、従来のライン職中心の人事管理に限定することなく、調査、研究、情報分析等の分野で適材適所で人材を活用していくというものでございまして、退職管理基本方針においては、定年まで勤務できる環境を整備していく、この中で、公務において職員が培ってきた高度の専門的知識や経験を活用していく観点から、御指摘の新たな専門スタッフ職を整備していく方向を打ち出しております。これまで、職務内容、責任や権限、処遇のあり方などについて検討を行ってきているところでございます。

 今後、雇用と年金の接続を図っていく中で、職員が培ってきた専門的知識や経験を活用していくためにも、専門スタッフ職の拡充が一層重要となってくると思っております。

 御指摘の点も含め、専門スタッフ職の拡充について、人事院など関係機関と連携しつつ、引き続き具体的な検討を進めてまいりたい、このように考えております。

橘(慶)委員 時間がありました。最後に川端大臣にお伺いします。

 この霞が関にだけは、とにかくいろいろな職名があるんですね、総括審議官とか政策評価担当審議官とか。今、もちろん大臣も、「新しい公共」担当とか、いろいろな担当があるわけですね。だけれども、たまたま川端大臣は民間御出身で、私も民間の経験をしたんですが、民間というのは、もっとそういう職名についてはさっぱりしていると思うんですよ、例えば課長とかグループリーダーとか。参事官とか、括弧して担当をつけておけばいい話であって、あんなに上に漢字の職名をいっぱいつける必要はないと思うんですが、いかがでしょう。これで最後、お伺いします。

川端国務大臣 ある種の霞が関文化なのかもしれません。

 二つあると思うんですね。この人は何をしているのかということをわかりやすくするという職名ということと、この人はどれぐらいの地位の人かということと、両方あると思うんです。やや、この人はこういう仕事をしているという何とか官というのがたくさんあるという印象はあります。それぞれの経過もあるんだと思いますが、逆に、この人がどういうぐらいのポジションの人かというのがわかりにくいという部分があると思います。

 そういう部分では、きょう御質問いただく部分で改めて私も整理してみましたら、職名が大変多いということは事実であります。きょうの問題提起を受けとめる中で、私も、これはどうしたらいいのかなというのは一つの問題だと思っておりますので、認識させていただきました。

橘(慶)委員 骨までちゃんと切れよという声もあったんですが、肉だけ切ったのは、それはいろいろ思いがあるということは受けとめていただいて、ぜひいい骨にしてください。

 終わります。

原口委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 まず、NHKさんの方にお伺いをいたしたいと思います。

 四月二日、NHK総合で午後九時から放映されましたニュースウオッチ9の中で、決められない日本とアメリカのいら立ちというようなテーマについての報道番組であったかというふうに思います。

 そのことについてお伺いしたいと思いますが、質問に入る前に、私は番組の内容そのものについていろいろとやかく言うつもりはありません。やはり、プロの方がしっかり取材をして、その中で丹念に事実を積み重ねて、そして報道される、その姿勢には敬意を表しますし、そして、報道内容もそのほとんどが正鵠を射ているというふうに私自身は思っております。ですから、政治に携わる人間が安易に、自分の思想や考え方と違うからといって、それに対して番組の内容を論評する、あるいはそれに介入する、このことは非常に危険きわまりないことである、私自身は思っております。

 そう思いながらも、先日の報道につきましては、その取材手法あるいは編成、制作手法、そのことに対して、非常にやはり無理がある、そして乱暴である、あるいは安易である、そして、NHKとしての質、そのレベルがやはり疑われる、そういうふうに私自身感じました。

 そこで、その問題について質問をしたいと思います。

 まず、番組の内容の確認でございますけれども、一昨年の十月に菅総理が、TPPについての意見表明、参加について検討するというようなことを所信表明で発表されました。アメリカの方の期待が大きかったわけです。横浜APECで何らかの返事が得られるというような期待もあったかと思いますけれども、やはり余りにも突然であったということで、これは大変な議論になりました。

 そして、三・一一の大震災が起きました。このTPP論議、一時やはり停滞をいたしました。

 しかし、野田総理がTPPについて、昨年十一月に日米首脳会談において協議に入る方針がアメリカ側に伝えられました。アメリカは、それに対して喜ばしいというコメントを発表いたしました。しかし、日本の方ではそれに対する警戒感が強まって、例外品目を設けるような意見が出てまいりました。

 そういうことでTPP論議が停滞をしている、そこに日本の決められない政治がある、この日本の決まらない、決められない政治に対してアメリカが非常に失望している、失望感が広がっている、そういう内容の政府内の文書がNHKによって入手をされた、そのことを大越健介キャスターがワシントンから生中継をして、「決められない国・日本」という形での報道内容であったというふうに私は理解しますけれども、そのとおりでよろしいでしょうか。

    〔委員長退席、逢坂委員長代理着席〕

冷水参考人 お答えいたします。

 ニュースウオッチ9でありますけれども、その放送につきましては、ちょうど震災から一年を経たこの四月ということで、震災前から日米間に横たわるTPP交渉ですとか普天間基地問題など、日米間の外交上の懸案につきましてアメリカ側が日本の姿勢をどのように見ているのかなどにつきまして、キャスターが現地から二日間にわたってお伝えしたものであります。

坂本委員 私が言った番組内容、おおむねそのとおりということでありますね。

 私がここで、やはり非常に乱暴である、この番組の編成、制作手法はおかしいと思いますのは、決められない政治、決まらない政治、これは、国内の政治構造の問題でいろいろな状況が考えられます。衆参のねじれがあります。あるいは、政権交代した後の民主党内の混乱もやはりあるかもしれません。あるいは、超高齢化社会を日本が迎えて、これからどういう方向に政策を持っていかなければいけないか、非常に難しい局面に達しているということも言えると思います。あるいは外交面でも、今後、中国が肥大化していく中で、日米関係と、あるいはアジアの中の日本というものをどう位置づけていくかというような問題もあると思います。

 ですから、税の問題、あるいは社会保障の問題、外交、防衛の問題、そして選挙制度の問題、あるいは、現在の衆議院あるいは参議院の議員の各政党の構成の問題、いわゆる国内の政治状況、その取り巻く環境の問題として、一つのテーマとなるような大きな課題であるというふうに思うわけです。

 ところが、TPPの方は、これはそれとは全く別次元のテーマであるわけですね。

 おととしの十月一日に菅総理が、先ほど言いましたように、突然TPPを言い出した。国民の多くの方々が理解できなかった。マスコミもそうであったというふうに思います。翌十月二日にTPPのことに関して書いていた新聞は、朝日新聞と日経新聞だけです。それも、書き方は、政府部内の統一さえまだ行われていない、あるいは閣僚への連絡さえ行われていない、こういう中で果たしてTPPが実現するかどうかも疑わしいという、非常に否定的な意見でありました。

 しかし、その後、TPPがどういう影響力をこの日本全体に対して持ってくるかということが非常に大きな議論となり、各業界、団体、あるいは国民を巻き込んでの二分しての論争になっているわけです。そこには、やはり国益の問題、そして、これから日本の国のあり方としてどういう方向でやっていかなければならないかという、非常にこれはまた別の次元の大きな一つのテーマであるというふうに思います。

 その全く次元の違う二つの問題を、素性が余りわからない政府内の文書ということでこういうことが出てきたということで、それを結びつけて、決まらない日本、決められない日本、こういう形の報道をするというのは、やはり余りにも乱暴である、余りにも拙劣であるというふうに私自身は思います。

 この手法をとるならば、一片の文書をどこからか入手をしてきて、あるいは入手してきたようにして、いろいろなことを結びつけていろいろな報道がまたできる。これは危険きわまりないことであるというふうに思いますけれども、報道の責任者としてどのように考えられますか。

冷水参考人 お答えします。

 このニュースについては、御指摘の内部文書の取材も含めまして、アメリカの政府関係者それから外交の専門家らのお話を聞いたりしまして、また、米国のマスメディアの論調も分析しまして、総合的に取材して伝えたものです。事実関係をきちんと取材して、さまざまな意見に留意して公正公平な報道をしていくというのが基本だと思っています。

 それから、文書についてですけれども、これは、一年前の菅政権当時のアメリカ政府内の関係者が行った発言を資料として引用してお伝えしていますし、それだけでなくて、ことしに入ってからの日米間で行われた協議の結果をまとめた文書も紹介しております。

 また、委員御指摘のように、TPPについては、国内産業それから国民生活に多大な影響が予想される問題でありまして、非常に国民の関心も高く、また、さまざまな意見があると認識しています。したがって、できる限り幅広い視点から情報を提供していくことが報道機関として重要だと認識しております。

坂本委員 どうも視点が少し違うようでありますけれども、やはり、事実の積み重ねにおける一つの大きな現象なり事実を報道したものではないというふうに私は思います。幾つかの素材を集めて、そして、その中に内部文書があるというようなことでありますので、私は、その手法が非常に乱暴であるというふうなことを言っているわけであります。

 もし、今後報道する機会があるとするならば、決まらない政治、日本は、決められない政治、日本として別のテーマで、あるいはTPPはTPPとして、双方の国内のいろいろな考え方をもっと丹念に別の報道としてやるべきではないですか。

冷水参考人 御指摘のような点は十分承知しております。一つの番組だけでなくて、NHKの放送全体としてきちんと公平性がとれたものに確保できるように、最善の努力をしていきたいと思っております。

坂本委員 TPPについても、私があの映像を見た限り、決められない日本という中でのTPPを早く決めなさい、いわゆる参加という形で決めなさい、アメリカの意向はそうであるというふうに私自身は受け取りましたし、多くの視聴者はそういうふうに受け取ったと思います。

 民放ならば、広告スポンサーに少し遠慮をしながらさまざまな報道の制約をしていくだろうと思います。NHKの場合には、そのスポンサーというのはやはり受信料を支払っている視聴者の方々でありますので、この受信料を払っている方々に、そういう報道をするならば不払い運動をするというような理由を植えつけたとしても、それは仕方のないことであるというふうに思います。

 私は、今後、こういった大きな課題に対しては、ただ安易にいろいろな形で結びつけて報道するだけではなくて、やはり一つ一つのテーマを丹念に取り上げて、事実をきちんと国民の皆さんたちの前に判断材料として提供する、このことが一番大事と思いますけれども、もう一度、報道の制作担当者としての決意をお願いいたしたいと思います。

冷水参考人 御指摘のように、取材を十分尽くして、また、総合的な観点から国民に判断材料が提供できるよう、最善の努力をしていきたいと思っています。

坂本委員 今後、国益に係る問題であります。両方とも国益に係る問題であります。だから、私たちもより慎重に論議をしている。そして、やはりノーと言うところはノーと言わなければならない。そういうような審議を尽くしているところでありますので、そこは安易な報道姿勢というのは慎んでいただきたいというふうに思います。

 以上でNHKに関しては終わります。

 次、国の出先機関の原則廃止についてお伺いをいたしたいと思います。

 この国の出先機関の原則廃止、出先機関の役割という意味で、最終的には地方に任せられる部分は地方に任せる、そして、国の出先がやるべきところはやる、そして、トータルとしては地方の裁量権をできるだけ広くしていく、この方針は私も賛成であります。

 ですから、国の出先機関については、縮小、あるいは地方との役割分担をもう一回きちんと考え直すということは大事なことであると思いますが、しかし、このことは、やはりこの明治百五十年、あるいはその前をたどれば、大げさに言えば幕藩体制から、あるいは戦時体制も含めて、やはり国と地方の問題はずっといろいろな問題が絡み合ってきているわけであります。

 ですから、これを安易に、全てを地方に移譲するんだ、あるいは地域主権だという形でやっていくならば、やはり大変な混乱が生じるし、もしそれをやるならば、本当に綿密な制度設計が必要でありますし、国民に対して、あるいは市町村に対して、あるいは県に対して、あるいはそのほかのさまざまな地域の、地方の機関に対していろいろな説明が必要であると思いますけれども、私は、その説明を飛び越して、今、民主党の言う国の出先の原則廃止というのが行われているような気がいたします。

 それで、まず川端大臣にお伺いしますが、平成二十二年の六月、地域主権戦略大綱の中で二つの大きなことが閣議決定されております。一つは、今後、全国一律、一斉に地方への権限移譲をするということではなくて、それぞれ成立したところから権限移譲していくというような点が一つあります。それからもう一つは、地方の発意に応じて、要するにオーダーメード方式で権限移譲を行うというような、この大きな二つの柱があったというふうに思います。

 私は、これは大綱としてはうなずけるものもあるわけですけれども、では、具体的な地方自治体への権限移譲ということになると、大変な混乱あるいは戸惑い、こういったものが起きてくると思いますけれども、この方針は今も変わらないんですか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 大きな流れとして、できるだけ身近な行政でできることはやるという大きな流れということは基本的には共有、認識をしていただいているということは大変心強いことでございますが、そういう中で、私たちも混乱を起こすのは本意ではございませんので、それは丁寧にやらなければいけないというふうに思っています。

 そういう中で、今お触れいただきました地域主権戦略大綱を二十二年六月二十二日に、改革の理念と同時に、枠組み、進め方の基本等々を決めさせていただきました。そこの基本方針に基づいてアクション・プランを決定し進めているという意味では、今お問いの部分では、変更はなしに進めているということでございます。

坂本委員 その変更がないということが、今さまざまな矛盾や各自治体の戸惑いを引き起こしておりますので、そのことについて具体的に御質問をさせていただきます。

 三月に、国の出先機関の事務・権限のブロック単位での移譲に係る特例制度、この基本構成案というのが示されました。その中でいろいろな課題が改めて浮き彫りになりました。全国一律、一斉ではなくて五月雨的にやるというようなこの大綱に基づいて、二十二年十月には、九州の知事会が九州広域行政機構というのをつくりました。それから十二月には、関西の各府県が関西広域連合というのをつくりました。しかし、これには奈良県が入っておりません。そして、九州広域連合は法に基づくものではありません。関西広域連合は法に基づくものであります。それぞれのブロックがそれぞれの形でこういった広域的なものをつくり始めたということであります。

 こういうそれぞれの、法に基づいた広域連合もある、法に基づかない広域行政もある。こういったものをそのままにして国の出先機関を廃止していかれるおつもりなんでしょうか。

 それから、具体的に関西広域連合の場合ですけれども、仮に奈良県が入らなかった場合に、奈良県に対してはどのような対応策をとられるんでしょうか。

 それから三つ目ですが、これから、九州、関西以外にも、それは、中国も四国も東北も含めていろいろな形でのこういった広域連合的あるいは広域行政的なものがつくられてくると思いますが、これもそのまま各ブロックの自主性に任せたままでの権限移譲ということになるんですか。

 まず、この三点をお伺いします。

川端国務大臣 答弁漏れがあったらまた御指摘ください。

 基本的には、手挙げ方式という、発意に基づくという物の考え方がベースにありますのは、「国と地方が対等なパートナーシップの関係にあることを踏まえ、国が一方的に決めて地方に押し付けるのではなく、地域の自主的判断を尊重しながら、国と地方が協働してつくっていく。」ということが戦略大綱に書いてある。これに基づいて、手挙げ方式というもののバックグラウンドはこういう考え方です。

 その中で、年末に一定の方向を取りまとめをいたしました。その中も含めて、先般来、地方の皆さんそれから役所の皆さんともいろいろ協議をしている途中で、まだ途中の段階でありますが、先生御指摘の部分の一点目の組織のあり方については、受け皿となる組織は、こういう要件を満たしてこういう組織形態を持ち、こういう法に基づいたものであるということは、これは決めないといけないと思っております。

 今、現に意思があるという表示をしていただいているのが、関西広域連合という法に基づいた組織と同時に、法に基づかない九州ブロック協議会という形でありますが、実質、それが意思を示していただいていることで受け皿としてどういう機能を有するかということに関しては、今まさに協議中でありますので、それはしかし一定の法定に基づいて受けていただくことになるということで、いろいろな形でいろいろ言われたら、いろいろな形で全部あるということを想定はしておりません。

 そういう意味で、奈良という個別具体のお話がありましたけれども、どういう形で受けていただくかというときに、一定の構成要件もつけるという方向で今お諮りをしています。したがいまして、出先の機関においてこれだけの分は最低限含まれていることということは条件として要るのではないかという議論をしております。

 両方の賛成、反対論がありますけれども、我々としては、今そういう議論をしている経過の中では、私たちの立場では、奈良は入っていただきたいという方向の仕組みを考えておるということでございます。

 三番目の部分は、包括された部分で、先般、四国は経済産業局を移管してほしいという意思を持っているという意思表示がございました。そういう部分で、関西、九州に続いて四国の皆さんも、これからのあり方の部分の議論の協議の場には御参加いただきながらやっていこうと。

 ただ、オーダーメードといいましても、これは、意思表示をしていただくということは、やりたくないとおっしゃっているときに無理にやれということではないという意味でありまして、やる限りは、一定の条件といいますか、枠組みの中で法定もしながらやるということを考えております。

坂本委員 特定広域連合というのは、もともとこういう権限移譲の受け皿になるということを想定してつくられた法律じゃないんですね。お互いの自治体がそれぞれの効率化のために、複合組合、そういった形式でいろいろな行政を進めようというようなものですので、私は、抜本的な新たな法をつくらなければそういうことはできないというふうに思いますし、その前に、やはり国としてどうあるべきかということを、国の統治体系としてどうあるべきかということをやはりきちんと決めた上でこういうことをやらないと、まさに、自治体にとっては不安が増してくるだけであろうというふうに思います。

 今は受け皿の問題でありましたけれども、では、権限移譲する側の国の問題で、九州と関西は整備局あるいは経済産業局、そして環境事務所、この三つをくれと言う、あるいは四国は経済産業だけでいいですよと言う、それ以外にもっとほかのブロックは、ではあれも下さい、これも下さいということが出てくるかもしれない。その辺の統一性はどうなりますか。

川端国務大臣 二十二年六月に閣議決定をして、意思のあるという表示をいただいた段階では、関西と九州が意思を示されました。それで、どういう形でどういうものを移譲することにしようかという議論をされている途中で震災が起こりました。その部分で、若干中断する中でもう一度議論をやろうというときに、関西と九州が御調整の上、共通として三つ御提示をされました。

 今般、四国からは、そういう意思として正式なあれではないんですが、意欲として一つだけということであります。これは、そういう形を前提としながら、実際にどういう受け皿の部分を受けていけるのかということも含めては、柔軟な対応を今議論としてはしておるところであります。

坂本委員 各地域の実情もあるでしょうけれども、やはり、意思とか意欲あたりで日本の行政の機構が動くものではない。そういうことで動いてしまえば、これは本当にばらばらな国家に、統治形態になってしまうというふうに思います。

 それともう一つは、要するに、今の段階では、仮に権限移譲があったとして、特区的な扱いになるわけですね。四国が今後申請する、あるいは受け皿として申し入れる、またそれも特区になる。結局、特区の集合体が日本の国の形というふうになるわけですか。

川端国務大臣 閣議決定した戦略大綱の第四の「国の出先機関の原則廃止(抜本的な改革)」の一で「改革に取り組む基本姿勢」「改革の理念」というのをうたっております。

  国の出先機関について、住民に身近な行政はできる限り地方自治体にゆだねるという「補完性の原則」の下、1国民・住民にとっての国・地方の役割分担の最適化、2国と地方を通じた政策展開や行政運営の最適化・効率化、3ガバナンスの確保の三つの観点を踏まえ、国と地方の役割分担の見直しを行い、国と地方を通じた事務の集約化等によるスリム化・効率化を図りつつ、事務・権限を地方自治体に移譲することなどにより抜本的な改革を進め、地域における行政を地方自治体が自主的かつより総合的に実施できるようにする。

という理念のもとにやるということでございますので、そういう部分での国と地方のあり方が、我々が求めている地域主権のあり方としての全ての考え方は、ここをベースにしているということでございます。

    〔逢坂委員長代理退席、委員長着席〕

坂本委員 国と地方のあり方になっていないと思うんですね。

 自民党では、やはり全体的にどうするかということで、これまで、地方分権改革推進委員会というのを設けて、一つ一つ丁寧に、国がどこまで所掌するのか、あるいは地方にどれだけ移すのか、そういったものを進めてまいりました。

 また、国全体の形としては、道州制をやはり最終的には実現するということで、二〇一八年に道州制基本法を提出する、あるいは、今国会あるいは来国会にも基本法そのものは提出したいということで今作業を進めているところでありますので、やはり国の形をしっかり考えること、そして、その中で国と地方の役割分担をしていくこと、こういう道筋で入らなければ、このままの形だったら、本当にばらばらになってしまうというふうに思います。

 そこで、あと三点お伺いをいたします。

 一つは職員の身分であります。仮に、さっき言われたように、各ブロック単位で五月雨式に権限の移譲が行われた、受け皿になったとして、そういう方々は国家公務員の人件費からは削除されることになるわけですか。身分としては地方公務員になるわけでしょうか。

 それからもう一つは、知事が、県もやる、広域行政の方もやる、広域連合の方もやる。そして、そういう中で国の出先機関の職員の人たちが、二足のわらじの中で本当に各広域連合の方を向いて仕事をするのかどうか。そういう問題が出てくると思います。

 それから、議会のチェック機能が全くなくなります。実情がわからない、形だけの議会ができるわけですから。そうしたら、やはり非常におかしな方向に進んでしまいます。その辺の議会の役割あたりはどのように考えておられますか。

 それから、やはり国が一定の法解釈から何からして、国と地方の緊張関係というのがこれまであったと思います。それがブロック関係になりますと、各市町村と各府県の緊張関係が欠如してくるというふうに思います。と同時に、やはり職員のモチベーションにもつながってくると思います。

 この三点、まあ四点になったかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

川端国務大臣 身分は、仕組みとしては、そういう新たな地方における組織に所属するわけですから、国家公務員でなくなるということはそのとおりであります。

 身分に関しては、「人材の地方移管等に当たって必要となる枠組み・ルール等の構築」ということで、移管等が必要となる要員の規模の決め方、移管の方法、身分の扱い、給与を含む処遇上の取り扱い、退職金の負担等はちゃんとするようにということを、一応アクション・プランにおいて、「人員の移管等の取扱い」ということでしっかりやるということが明記されておりますが、身分としてはそういうふうになります。

 知事としての兼務ということでございますが、一応、今も広域連合も含めて広域連合では、それぞれの知事の自分の立場と同時に、広域連合としてのそれぞれの役割をしっかり果たしていただいております。兼務という部分をできるという仕組みを今考えておりますけれども、それで十分に役割を果たしていただけるというふうに思っております。

 議会においては、今、各広域連合においては議会がございます。それで、それぞれの所属の、関西においては府県議会から議員が出されております。先般来も、関西においては、政令市が加盟するということにおいての議員の割り振り含めて、多分、私の滋賀県議会でも随分大きな議論になりました。そういう部分では、自分たちがその広域連合において自分たちの議会の代表者を人数をどう確保してどういうふうに送っていくかというのは非常に大きな関心を持っていることでありますので、私は、議会は形骸化するのではなくて、十分に機能するというふうに思っております。

 それから、緊張関係、モチベーションということでありますが、何か出先機関が解体してばらばらになっていくということではなくて、その権限、組織、機能はそのまま丸ごと移管するわけですから、地域のためにより身近な行政と連携しながら自分たちの仕事をしっかりやっていただくということは、十分にその責めを果たしていただけると思っております。

坂本委員 私は、その過程で、三層政治、四層政治、非常に無駄の多い自治体機構になっていくというふうにやはり思います。

 それから、先ほどの採用と一緒で、結果として、国家公務員の人件費二割削減、それに利用するだけ、ツケ回すだけというような気がしてなりません。もっともっといろいろな熟議が必要であると思います。

 そういう中で、これはマスコミからも大変な批判を浴びているところでありますけれども、国の関与のあり方、災害時も含めて大臣の指揮権が復活する、そのことによって機関委任事務がまた出てくるのではないか、そういう危惧の点がいろいろなマスコミからの論調で論じられているところであります。

 これはやはり、それだけ未成熟な論議の中でこういう問題が出てくるので、こういうことを外に出すので、指揮権の問題とかあるいは霞が関の焼け太りとか、そういう批判になってくるのだと思いますけれども、その国の関与のあり方の問題についてはいかがですか。

川端国務大臣 先ほども申し上げましたように、国と地方の役割分担という意味で移管をしていくということが基本的な考え方のもとでありますので、国の関与というのは、当然ながら、法律事項は法律に基づいてやるという意味では、現行の出先機関であっても、移管された後の広域の行政体における機関であっても、法律に基づいて行うという意味では、それは国の関与という表現ではない部分では同じ位置づけだと思うんですが、今おっしゃったように、国の関与というのが地方に移っているけれども、例えば国交大臣は、そこの直接の指揮権が必要ではないかというふうな議論という意味では、私たちは、やはり国と地方の役割という部分は、対等な関係で役割分担するという意味では上下関係ではないという基本的な考えを持っております。

 そういう中でありますので、特に今、後で御質問があるのかもしれませんが、マスコミの論調と同時に、市町村のレベルからも含めて、大災害が起こりました、そういう部分で私も、東北の部分での特に国交省の出先、東北整備局が大活躍をされたことは大変高く評価していますが、その機能が何かなくなるのではないかという御心配があることはたくさん聞きます。

 そういう意味では、災害の対応について住民の生命財産を守る立場でしっかりと機能するようにということは、最大限の仕組みの構築は配慮をして今議論をしているところでありますが、その中においても、国のかかわりは当然ありますけれども、指揮するとか上下関係であるということは想定をしておりません。

坂本委員 最後にお伺いします。

 各町村会あるいは市町村会から反対が出ております。これは、災害に限らず、全体を担保しないでこういう権限移譲だけするということになると、弱小町村にとっては非常に不安になるのは当然だと思います。そのことについてどう思われるかというのが一点。

 それから、この権限移譲に対しては、少なくとも百六十本ほどの法律が必要であるというふうに聞いております。それを考えてもなお野田総理は、所信表明で、今国会にこの原則一部廃止の法律を提案したいというふうなことを明言されております。本当に今国会にその法律を出すおつもりなんですか。

 その二点をお伺いします。

川端国務大臣 市町村からは、今言われましたように、主には災害に関しての部分が多くありましたけれども、いろいろなレベルで今我々も意見を聞かせていただく場を持たせていただいております。

 それ以外も含めて、二重三重になるのではないかというふうなこと、あるいは、小さいところは意見が聞いてもらえないのではないかというふうな御議論があることは事実聞いております。そういう御懸念は払拭できるような仕組みをしっかりつくりたい。

 そういう中で、今、既に市町村から意見聴取の場を設けておりますと同時に、その意見は委員会にも報告するなどして議論の参考にしていただいていると同時に、これからも丁寧にやってもらいたいと思いますと同時に、広域的実施体制が出先機関の事務、権限の移譲を政府に申請する際とか、事業計画を作成する際に関係自治体の意見を聞く仕組みなどについても検討して、市町村の意見が適切に反映されるような制度をつくっていきたいというふうに思っております。

 それから、法律の提案に関しては、総理はみずからの強い意思として、この国会に法律が提出できるよう最大限努めてまいりますということをおっしゃっておりますので、政府の一員として、その横で我々も最大限努力をしてまいりたいと思います。

坂本委員 終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、原発事故による自治体の損害、追加費用負担に対する賠償問題について質問をいたします。

 原発事故による賠償問題については、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針が示されております。この中間指針に対しては、厳しい批判の声が寄せられておりました。

 例えば、福島県知事を会長とする福島県原子力損害対策協議会は、原子力損害賠償の完全実施に関する要求書を東電宛てに提出しています。その中では、「我々が第一に望むことは、三月十一日の事故以前の生活に戻ることであり、本件事故によって福島県民が被った様々な損害は、すべて賠償されることが大原則である。」「東京電力は、」「原子力災害の原因者であることを忘れず、「中間指針」に明記されていない損害についても幅広く賠償の対象とすべきである。」と要求しています。被害住民の暮らしを丸ごと回復する賠償の実現が求められております。

 そこで大臣にお尋ねしますが、原発事故被害を受けた自治体にとっても、原発事故に伴う損害は全て加害責任のある東京電力が賠償すべきであり、線引きや足切りをしないで全面的に賠償するということが基本だと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

川端国務大臣 原子力の損害賠償が迅速かつ適切に行われることは大変重要であるというのは、基本的にそのとおりだというふうに思っております。

 その中で、総務大臣の立場で申し上げますと、地方公共団体の損害についても、原発事故に起因して、さまざまな形で財政負担等が生じていることは明らかでございますから、適切に損害賠償がなされることは望ましいことだと思っております。

 原発周辺の地方公共団体が東京電力に対して損害賠償請求を行うかどうかについては、それぞれの団体の判断であり、今も三つの市町がやっておられるというふうに思いますが、今後、各団体と東京電力の間で損害賠償に関して協議が行われることとなりますけれども、総務省としてはその協議の行方を見届けてまいりたいと思います。

 当面の財政運営に支障が生じることがないように、地方税法の改正等による地方税の減収分や復旧復興事業に係る地方負担額については、その全額を震災復興特別交付税で措置することとして、遺漏なきように対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 原発事故に伴う自治体の財政負担については適切に賠償を行われることが望ましいという御答弁であります。自治体が受けた損害についても東電が全面的に賠償するのが必要だ、私はこのように考えております。

 そこで、中間指針では、自治体の損害に係る賠償問題について、第十の二の地方公共団体等の財産的損害等という項目と、第六のその他の政府指示等に係る損害についての部分で賠償の対象を具体的に指摘していると承知しておりますが、この点、文部科学省から、この中間指針で、自治体の損害に係る賠償問題について、どのように内容を示しているのかについて御説明いただけますか。

大竹政府参考人 先生お尋ねの原子力損害賠償紛争審査会の中間指針でございますが、今先生御指摘のとおり、既に明記されております政府による避難指示や農林水産物の出荷制限のほかに、今御指摘のありました、その他の政府指示等に係る損害ということが明記されております。

 中間指針を策定した時点におきまして、その他の政府指示等として、具体的には次のものがございます。

 まず、水に係ります摂取制限の指導がございます。これは、飲食物摂取制限に関する指標を超過した場合の水道水について、厚生労働省から都道府県に対して、水道事業者等に、飲用を控えるように広報等を求めたものです。

 次に、水に係る放射性物質検査の指導がございます。これは、水道水中の放射性物質のモニタリング方針について、厚生労働省から都道府県に対し、水道事業者等への周知、指導を依頼したものでございます。

 また、放射性物質が検出された上下水処理等の副次産物の取り扱いに関する指導がございます。これは、原子力災害対策本部が当面の取り扱い方針を取りまとめたことを踏まえて、関係省庁から関係都道府県、事業者に対して、当該指針の周知及び適切な対応を依頼したものでございます。

 さらに、学校等の校舎、校庭等の利用判断に関する指導がございます。これは、原子力災害対策本部が福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方について示したことを踏まえまして、関係省庁、具体的には文部科学省及び厚生労働省でございますが、こちらから関係地方公共団体に対して、学校等への周知及び必要な指導、支援を依頼したものでございます。

 これらのほか、一般廃棄物の焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取り扱いがございます。これは、都道府県に対して、調査の実施、報告等を依頼するものでございます。

 これらが、具体的にその他の事項ということでこれまであったところでございます。

塩川委員 以上、答弁いただきましたように、中間指針で具体的に賠償請求の対象なども示されております。もちろん、因果関係があれば、これに限られるものではないということも当然のことであります。

 そこで、東京電力は、下水道事業に対する賠償基準を二月十日に示しています。下水処理に関連する放射能測定器の購入費用や放射能検査費用、汚染された汚泥等の処分、運搬、保管費用などが損害賠償対象項目として挙げられております。

 そこで経済産業省・資源エネルギー庁にお尋ねしますが、東電はこれ以外のその他の分野の賠償基準についてどのように対応しようとしているのか、この点についてお答えいただけますか。

糟谷政府参考人 まず、下水道事業につきましては、二月にまとめた賠償基準に基づきまして、三月末から支払いを始めております。実際問題、まだ始まったばかりでありまして、四つの市町に対して約七千万弱のお支払いでございます。

 それから、上水道、工業用水につきましてでありますが、二月一日から請求の受け付けを開始いたしまして、厚生労働省等関係省庁からの指導助言を受けながら、今月中には検査費用等に係る賠償基準を先行してまとめる方向と聞いております。

 それから、それに続きまして、一般廃棄物の焼却灰等につきましても賠償基準をまとめて速やかに賠償に入りたい、そういう考えであるというふうに承知をしております。

塩川委員 続けて、環境省にお尋ねします。

 一般廃棄物の焼却灰に関する賠償基準というのはどのようになるのか、この点についてお答えください。

伊藤政府参考人 平成二十三年八月五日にまとめられました中間指針におきましては、本件事故と相当因果関係のある損害が損害賠償の対象となる、こういうことが示されているわけでございます。

 したがいまして、焼却灰につきましても、例えば八千ベクレル以下の焼却灰の処理でありましても、原発事故が原因で追加的にかかった費用については、相当因果関係が認められる場合、損害賠償の対象となり得る、そういうふうに考えております。

塩川委員 続けて、除染関係ですけれども、汚染土壌の保管などの費用負担なども大きいわけであります。例えば、柏市などは八千ベクレルを超えるような汚染土壌が出ているということについて、環境省の方の特措法に基づいて、八千ベクレルを超えるような汚泥だとか焼却灰と一緒に国の方で処理してくれと言ったら、いや、それは対象外ですと言われて、それは困るという話もあるわけです。

 こういった自治体の追加負担などについても、当然のことながら賠償の対象となると考えますが、この点についてどうでしょうか。

糟谷政府参考人 特定避難勧奨地点、いわゆるホットスポットの区域内において行われる検査費用等については賠償の対象となり得るということが中間指針で明記をされておるわけでありますが、それ以外の、特定避難勧奨地点以外の地域におきましても、一定以上の線量が見込まれるなど、検査について相当因果関係が認められる地域においては賠償の対象に含まれるものと考えております。

 まずは、どのような被害が生じているかを親身にお伺いをし、被害の実態を踏まえて適切な賠償がなされるように東京電力に対して指導してまいりたいと考えております。

塩川委員 汚染土壌の保管の費用とかについての考え方なんですけれども、今、測定の関係のお話だったと思うんですが。

糟谷政府参考人 汚染土壌の保管費用につきましても、相当因果関係が認められる場合については、全く同様と考えております。

塩川委員 少し前後しましたけれども、このように、自治体が支出した除染費用について、現行の特措法では線引きがあるわけですよね。それは国がお金を出すという仕切りになっているものですから、環境省と自治体の間で、どこまで負担するのかしないのか、除染実施計画にどこまで書くのか書かないのか、除染実施計画に載ったものは国が負担をして処理をしますよということになっていますけれども、実際に、自治体は住民の皆さんの安全、安心、そういう要望に応えて、より積極的な除染作業も行っているわけであります。そういう経費というのはかかっている。

 こういった追加の費用負担分については、当然のことながら、このような事態を引き起こした原因者である東電の賠償対象となるということが基本だと考えております。この点、どうでしょうか。

糟谷政府参考人 中間指針の対象とされなかったものでありましても、個別具体的な事情に応じて、相当因果関係のある損害については賠償の対象というふうに考えております。したがって、キログラム当たり八千ベクレル以下のものに係る廃棄物の処理費用、保管費用などにつきましても、相当因果関係が認められれば、賠償の対象となることは当然であると考えております。

 地方自治体と協議の場を設けるなど、具体的な被害を親身にお伺いをして、被害の実態を踏まえた賠償がされるように働きかけてまいりたいと思っております。

塩川委員 先ほどもちょっとありましたけれども、福島だけではなくて、北関東の多くの自治体でもホットスポットなどがありまして、まずは測定をする、住民の皆さんにお知らせをするということが安心の第一歩として行われているわけであります。その点でも、放射能の測定器を購入したり、放射線量の委託の費用を計上したりという経費というのが一定程度かかってきているわけであります。

 そういった点でも、放射能測定器の購入とともに、測定委託を含めた、こういった計測に係る経費というのは、当然のことながら賠償の対象とされると思いますけれども、この点についても改めてお答えください。

糟谷政府参考人 放射能の測定、検査のための費用につきましても、相当因果関係が認められる限りにおいては賠償の対象になるということは、先ほど申し上げたとおり、当然のことだと思っております。

塩川委員 総務省にお尋ねします。

 除染や風評被害対策等の原発事故関係の自治体支出に対する交付税措置というのはどのようになっておるでしょうか。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来議論がありますように、相当因果関係のある損害については東電から賠償されるという前提でございますけれども、その請求とか、あるいは当事者間における交渉、場合によっては訴訟になるものも出てくるかと思っておりまして、結論が出るまでに相当時間がかかるということも想定されます。

 しかも、自治体においては多額の財政負担が現在生じておりますので、そういうものについて、私ども、相当因果関係がある損害であるかどうかということは別に、原発事故に関連して生じたやむを得ない財政需要というふうに考えまして、これらについて、震災復興特交あるいは特別交付税の対象にしているところでございます。

塩川委員 相当因果関係があるかどうかは別にして、多額の費用負担が既に発生をしているという特別な財政需要に着目しての特別交付税措置、復興特別交付税の措置を行われているということなんですが、この震災復興特別交付税で、例えば三月の交付で四十七億円とかとあるんですが、この中身がどんなものかというのを参考までに教えていただけないでしょうか。

 それから、特別交付税でいわゆる特定被災地方公共団体以外について措置されているというんですけれども、これがどのようなものなのかについても、簡単で結構なんですが、お示しいただけないでしょうか。

椎川政府参考人 まず、財政需要の中身でございますけれども、除染対策につきましては、国庫補助の対象にならないようなものを幅広く捉えておりまして、機器の購入から事前調査、それから、補助対象にならない除染の実施の経費。風評被害につきましては、これもかなり幅広く捉えておりまして、観光でありますとか農林水産業の振興、農作物の安全性のPRに要する経費、あるいは全体としてイメージダウンを抑えるような施策、そういうものを幅広く捉えてございます。

 それから、被災団体以外ということでございますけれども、これは多分に時系列的なものがございまして、御承知のとおり、震災復興特交制度というのは三次補正でできた制度でございまして、十二月の特別交付税の算定作業の段階ではまだ制度ができておりませんでしたので、その段階における財政需要につきましては通常の特別交付税で算定を十二月分でいたしております。

 そして三月の段階では、震災復興特別交付税の算定ルールというものがきちんと決まってまいりましたので、その時点で振り分けを行いまして、被災団体につきましては震災復興特別交付税で、その他の団体につきましては特別交付税でというような考え方で整理をさせていただいております。

塩川委員 今御答弁いただきましたように、現に特別な財政需要が発生をしている地方団体に対して、除染関係あるいは風評被害対策ということで、震災復興特別交付税、特別交付税の措置が行われております。

 最後に、大臣にお尋ねいたしますが、こういった自治体の特別な財政需要に着目して特交措置を行うことは重要であります。その上で、ただ、原発事故関連の自治体の持ち出しというのはそもそも何によって生まれたかといえば、原発事故によって発生をした点でいっても、本来、原因者の東電が負担をすべきもの、賠償すべきものだ。

 そういう点でも、こういった特交で措置した分について、本来、東電が賠償すべきものの、形の上では立てかえ払いのような形になっているわけですから、国として、この辺をどのように考えていかれるのか。その点について、お考えをお聞かせいただけないでしょうか。

川端国務大臣 先ほど来、御議論あります中で中間指針の話が出ておりますが、その中間指針と第二次追補の中で、「除染等の必要かつ合理的な範囲の追加的費用が賠償すべき損害と認められる。」あるいは、「住民の放射線被曝の不安や恐怖を緩和するために地方公共団体や教育機関が行う必要かつ合理的な検査等に係る費用は、賠償すべき損害と認められる。」等とされております。

 これは紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針という形でありますので、これに基づいて、それぞれの地方自治体が賠償をどう考えるかということはお取り組みになられるということでありますので、その後、東京電力と協議されるということになるというふうに思います。

 その意味では、それはそちらでおやりになる話なんですが、先ほど局長からも答弁申し上げましたように、これには相当長い期間がかかるという意味で、応急的に必要な部分は、そこの財政運営に支障を来さないようにということで、特別交付税を含めてしっかり対応するというのが政府の基本方針でありますので、このことと、場合によっては裁判もあるのかもしれませんが、協議がどう進んでいくかということが一義的にリンクするようなことで今考えていることではございません。

塩川委員 ぜひその辺を整理していただいて、地方共有の財源であります交付税でありますから、本来東電が払うものを立てかえ払いしているということであれば、そのお金をどうするのかということについては、今後の問題として、ぜひ具体的に御検討、対応方をお願いしたいと思っております。

 以上で質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 私は、きょうは、今回の東日本大震災に当たりまして、地方自治体から相当数の職員が現地に派遣をされているという現実がございますけれども、それにどういう対応がなされておるのかという点について、特に絞って質問いたしますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、東日本大震災からの本格的な復旧復興に向けて、現在多くの自治体職員が被災自治体に派遣されておることは御案内のとおりです。ある被災自治体では、既に全国から四十人が派遣されておりまして、今後百人以上が必要になってくる、こういうふうな話も聞いております。派遣される期間は一年から三年ということのようであります。

 さて、今回被災自治体に派遣をされた職員について、どの時点から地方自治法の二百五十二条の十七に基づく派遣となっていたのでしょうか。私が聞いた話では、ことしの三月までは派遣の根拠が曖昧で、四月以降に二百五十二条の十七に基づく派遣となった、そういう話も聞いております。総務省として、職員の派遣についてどういう助言を行ってきたのか、お聞かせいただきたい。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 職員の派遣については、具体的にどのような形態で行うのかは派遣した団体と派遣を受けた団体との間で決定されるものでありますけれども、基本的に、短期の場合には職務命令による派遣、公務出張、中長期にわたって職員を派遣する場合には地方自治法第二百五十二条の十七の規定による職員の派遣が適当と考えているところでございます。

 総務省といたしましては、発災直後の三月二十二日に全国の地方公共団体に対して、また五月二十六日には被災地の地方公共団体に対して、職員を派遣する場合の取り扱いについて、以上の旨を内容とした通知を発出し、助言を行ったところでございます。

重野委員 地方自治法二百五十二条の十七では、派遣をされる職員は、派遣を受けた普通地方公共団体の職員の身分をあわせ有することとなるものとして、その給料、手当及び旅費は、当該職員の派遣を受けた普通地方公共団体の負担、今説明があったとおりであります。応援業務にかかわる職員の給与は派遣先の自治体が負担することになっている。

 そこで確認をいたしますけれども、この規定は、あくまで派遣をされた職員の給与などをどちらが負担するかの規定であって、給与の水準について規定したものではないというふうに理解をいたしますが、そういうことでいいのかという点の確認が第一。また、派遣受け入れ自治体が負担する給与等については特別交付税で十割措置されるという理解でよろしいか。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 地方自治法に基づく派遣職員の給与の負担については、地方自治法第二百五十二条の十七第二項において、給料、退職手当を除く手当及び旅費は、当該職員の派遣を受けた自治体が負担することとされております。

 派遣職員の給与の取り扱いについては、派遣をした団体と派遣を受けた団体との間で結ばれる協定などにより決定されるものでございます。

 なお、平成二十三年六月十日に、全国市長会、全国町村会から各市町村に示された派遣協定書案においては、給料や地域手当等については派遣をした市町村の関係規定に基づいて支給することとされているところでございます。

 また、地方自治法に基づく派遣職員の受け入れ経費については、被災団体に実質的に負担が生じないよう、震災復興特別交付税により全額を措置することといたしております。

重野委員 はい、わかりました。

 次に、派遣された職員も含めた自治体職員の賃金、労働環境全般について聞きます。

 派遣される職員は、一年以上にわたって仮設住宅に住みながらの応援業務となります。地元に残した家族との二重生活が予想され、金銭的な負担もふえると思うんですね。そうした中で、最低でも現給が保障されるのは常識的に考えて当たり前のことでありまして、今の答弁について、私はそのように受けとめておりますが、基本的な考えについて、大臣としてどのように考えているのかということを一つ聞いておきたい。

 また、被災した自治体の職員も、長時間労働による過労とストレス等によって病気休暇が増加しているとも聞いております。そこいらについての実態をどのように把握しているのかということについても、この際、聞いておきたいと思います。

 加えて、一部自治体においては、残業代すら支払われていないということもまかり通っている、このようにも聞いております。

 復旧復興に向けて自治体が果たす役割は極めて大きいわけで、その自治体の任務を支える職員の健康や処遇については、総務省としてもしっかり目配りをするべきだと考えるんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

川端国務大臣 派遣職員の給与を含む身分の取り扱いは、先ほども福田政務官から御答弁申し上げましたけれども、派遣をした団体と派遣を受けた団体との間で結ばれる協定で決定していただくことになりますので、各団体間において適切に対応されるべきものでありますし、十分に協議して、職員派遣が円滑に行われるように、逆に言えば、きちっと処遇して対応するということが前提でないと、送り出す方としても責任を持てないということになりますから、適切にやっていただいているというふうに思います。その全額は交付税で措置するということでありますので、しっかりとした仕事をやっていただける環境をつくることは両者の間でも極めて大事なことでありますので、円滑に行っていただきたいと思っております。

 その部分で、特に健康管理についての御質問でございました。

 昨年の四月十四日と七月十二日に通知を出しましたほか、さまざまな機会を捉えて職員の健康管理、安全衛生対策についてお願いをしております。

 加えて、被災自治体職員等に対するメンタルヘルス対策としては、地方公務員災害補償基金において、公務災害の予防という観点から、心の健康ケア対策事業を行ってきたところでありまして、総務省としても現地に職員を派遣するなどして状況の把握に努めて、当該事業の実施を要請しております。

 今後とも、被災自治体の意向を十分に踏まえながら、委員御指摘のように、職員の健康管理あるいは処遇というのは極めて重要な問題でありますので、必要に応じて助言を行うなど、きめ細やかな対応を行ってまいりたいと思っております。

重野委員 今大臣の答弁にありましたように、本当にきめ細かに目を凝らして、現状をしっかり受けとめて、落ちのないような対応を各自治体あるいは関係者に指示していただきたい、このことをあわせてお願いしておきたいと思います。

 次に、給与水準等については、今説明がありましたように、自治体間の協定となりますけれども、総務省としては、そうした協定の内容等についてきちんと把握をし、必要があれば適切な対応がとられるように助言などを行うべきだと考えるんですが、この点について大臣の認識を聞いておきたい。

川端国務大臣 先ほども申し上げましたように、この取り扱いに関する協定は、派遣した団体と受け入れる団体とで協議をした上で取り決めていただいております。そういう意味では、各団体間の個別の内容についてまで現在のところ把握しているところではございません。一定のひな形みたいなものはあるんですけれども、基本的にはほとんどそれでやっていただいていると思うんですが、個々の部分を把握はしておりません。

 ただ、実際には、総務省は、このことだけではなくて、被災団体の御意向をいろいろ伺うということで、直接職員をいろいろな自治体に出張、派遣して、ヒアリングをさせていただいております。そういう中で、先ほど申し上げましたように、いろいろな御要望や御提案等々はきめ細かく対応するということをやっておりますので、随時、職員の確保状況を把握しながら、助言も行っております。

 今後とも、こういう部分では、一番メーンに調整していただいた県に仲立ちしていただいているケースが多いのでございますので、県とも十分に連携しながら、被災市町村に対して、職員派遣に係る適切な助言等を行ってまいりたいと思っております。

重野委員 いずれにしても、被災地の現状というのは、それはかつて経験したことのない大変な状態の中にあるわけで、復興あるいは立ち上がるために、そこの自治体職員が率先して頑張るということは言うまでもないことでありますけれども、私がお願いしたいのは、それを支える体制、総務省が中心となると思うのでありますが、そういう体制をしっかり継続、発展させていくことを心がけていただきたいということと同時に、応援として派遣をされる関係職員並びに関係自治体等々に対するメンテナンスも十分にやってもらいたい、そういうことを強く強く要請しまして、私の質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、NHKの方に来ていただいております。

 NHKについては、先日、一般サラリーマンの雇用者報酬に合わせた一人当たり人件費ベースで計算をすると、一般サラリーマンが四百四十万円に対して、千七百八十万円になる。単純な給与水準でも、一千百八十五万円。四百四十万円の人から受信料を取って、一千七百八十万円の人件費を払うのは、皆様のNHKと言うけれども、国民の感覚からは遊離しているのではないか、こういうふうに申し上げました。

 NHKの公共放送としての存在意義は突き詰めると何か。記者だった私は、災害と選挙だ、こういうふうに教わりました。その二つについてきちんと迅速かつ信頼される報道を出していくこと、これが報道機関のNHKとしての使命だと私は思います。

 ところが、今資料をお配りしておりますけれども、ごらんをいただきたいんです。

 マグニチュード九、近来まれに見る未曽有の大災害である東日本大震災の発生直後、三月十一日午後三時台、NHKがどのぐらい見られたか。三月十一日の午後三時台、二時四十六分に地震が発生したわけですから、直後ですね、この時間帯のNHKの視聴率はどのぐらいだったか。これは、周りの人にどのぐらいだったと思いますかと聞いてみると、五〇%ぐらいかあるいは三〇%ぐらいか、大体の方はそうおっしゃるんです。

 しかし、実際には一四・一%だった。ごらんのとおり、グラフを見ますと、フジテレビとそんなに変わらない、どっこいぐらいの数字でしかないんですよ。いわば未曽有の災害のときに、災害のNHKに圧倒的にチャンネルを合わせたわけではなかったんです、視聴者は。これはNHKの根本的な存在意義にかかわる重大な話だというふうに私は思います。

 それを踏まえてお伺いをしたいと思うんですけれども、NHKの災害報道は国民の高い支持を得ている、受けている、こういうふうに認識をしているかどうか、お伺いをしたいと思います。

冷水参考人 お答え申し上げます。

 視聴率のことが言及されましたので、そもそも昼間の時間帯は在宅率等がございますので、そういうことですとか、それから停電による影響とか、さまざまなものが総合的に視聴率というデータに出てくるものでありまして、全体としては、私どもの放送は大変よく見られたというふうに認識しています。

 それから、御質問の評価の件でありますけれども、私どもが行っている放送評価調査というのがあります。これは視聴者の方にNHKの放送を評価していただいてもらっているという調査でありますけれども、調査項目十項目ぐらいのうち、「生命・財産を守る」という項目が最も高くなっております。この五年間の時系列的な変化を見ましても、それが年々高くなりまして、特に震災以降、際立って高くなっているということがあります。

 もう一つ、外部の調査によりましても、野村総合研究所の震災に伴うメディア接触動向に関する調査の中で、重視する情報源としてNHKのテレビ放送を挙げた人が八〇・五%とトップでありまして、震災発生後の信頼度の変化でも、二八・八%の人が信頼度が増したと答えています。

 さらにつけ加えますと、海外のメディア、特に震災当日、世界じゅうのあらゆるメディアが私どもの中継映像等を使って世界にその情報を発信しました。海外のメディアからは高い評価をいただいているということを申し添えておきたいと思います。

 以上です。

柿澤委員 このグラフを見ていただければわかりますけれども、昼間は不在の人が多いとか、また、見られない人がいるとか、こういう話ではなくて、他社との関係における占有率といいましょうか、そういう点においてもNHKは、皆さん、ほかの民放と比べても、もちろん低いわけではないですよ、しかし、突出して高いわけではない。これで、災害のNHKを名乗れるのかということを私は非常に問題に感じているわけです。

 私は、これは数字があらわしていることですから、やはりある程度の問題意識をここで披瀝される答弁をされるのではないかというふうに思っていました。しかし、残念ながら、NHKは大変支持をされている、アンケートでこうだ、野村総研でこうだ、こういう話でありました。

 本当にこのままで、仮に首都直下型地震が東京を襲って、本当に日本全国が大変な状況に陥ったときに、NHKが公共放送としての使命を果たせるのか。それだけの国民の信頼を受けているのか。この数字からは大変危惧を覚えてならない。だからこそ、これを取り上げさせていただいたわけであります。

 もう一つ申し上げたいと思います。

 先ほど公明党の稲津先生からも、渋谷の放送センターの耐震性の問題が取り上げられました。経営計画では、地震で渋谷の放送センターが使えなくなったときのバックアップとして大阪から電波を出す、こういうことが書いてあります。そして、新放送センター建設に向けた積み立て四百億円を積む。つまりは、渋谷の放送センターから放送を出せなくなる、こうしたことに対する備えをしていこうというわけであります。

 この点は、私は一般論としてはもちろんやるべきだというふうに思います。しかし、仮に首都直下型地震が来た際に、ほかの民放は東京から電波を出しているのに、NHKだけ機能停止に陥って、大阪に放送中枢を退避させる、こんなことになってしまったら、これはゆゆしき事態だというふうに思うんです。

 そうしてみると、NHKは築四十七年の老朽化した局舎を使っている間に、日テレ、TBS、フジテレビ、テレ朝、全てが放送局をこの十年かそこらのところに新築しているではありませんか。今まで何をしていたのかということにもなるんではないかというふうに思います。

 渋谷の放送センターについて、現時点で、こうした民放と比べてもどのレベルの耐震性が確保されているのか、こういった点についてぜひ御答弁をいただきたいと思います。

永井参考人 お答え申し上げます。

 渋谷の放送センターは、建物の耐震診断に伴う補強を行っております。したがって、阪神・淡路大震災級の震度七の地震でも機能は損なわれないということになっておりますので、その面では、耐震安全性は有しているというふうに考えております。

柿澤委員 もう一度イメージしていただきたいんですが、首都直下型地震が起きた、ほかの民放は東京から電波を出している、NHKだけ大阪から出している、こんなことが起きたら、これは公共放送NHKとしての本当に存在意義にかかわる事態になってしまう、こういうふうに思います。

 先ほどの、災害時の視聴率の問題、もう一つ、今の会館の耐震性の問題、これは本当にNHKの根本的な存立基盤にかかわる問題だと思いますので、私はよほどの危機感を持って取り組んでいただかなければいけない、私の質問をやり過ごすために正当化する答弁を繰り返していて、それで済む問題ではない、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 さて、NHK関連の質問はこれぐらいにしまして、郵政の問題をちょっとお伺いしたいと思います。

 きのう、郵政民営化法改正案が郵政特で可決をされたわけです。法案の中身もさることながら、現政権による逆戻しによって、この間、どういう経営が行われてきたかをお尋ねしたいと思うんです。

 先日、郵政事業の関連法人の整理・見直し等に関する質問主意書というのを出しました。政府の答弁書によれば、郵政ファミリー法人百五十六のうち百三十九が存続をし、そして官僚や郵政OBの再就職四百十四人、天下り四百十四人。平成二十二年度における日本郵政グループとの取引額一千七百億円。取引額は、実は二年前に同じ質問主意書を出したときよりも、むしろ増加をしております。実態は余り変わっていないんですね。聖域なく見直すと言った、平成二十二年当時の亀井担当大臣の国会答弁の方針が履行されていないようにも見えます。

 さらに、政府答弁書では、日本郵政グループの物品調達コストを含む物件費が、平成二十年度から二十一年度までは減少していたにもかかわらず、二十二年度、逆に八百億円もどんと増加をしてしまっている。これは、調達コスト委員会のかつての方針を覆して、亀井担当大臣が、本社一括の物品調達を改めさせる、こういうふうな指示をしたことが影響しているのではないかと思いますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。

三輪参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政グループ各社におけます事務用品等の本社一括での調達実績でございますが、平成二十一年度は約五十八億円でございましたものが、平成二十二年度は約三十四億円というふうになっております。物件費全体に占めます割合は一%未満でございまして、本社一括の物品調達を改めたことが大きく影響しているということではないというふうに考えております。

 なお、日本郵政グループの平成二十二年度の物件費が前年度に比べて約八百億円増加しておりますが、これは主として郵便事業会社におけるものでございます。

柿澤委員 しかし、例えば、民間の金融機関なら普通についている郵便局の監視カメラを、職員の士気が下がるからといって三十二億もかけて撤去をしたりして、こういう不必要なコストをかけてきた、こう言わざるを得ないと私は思いますよ。

 そして、郵便事業会社で今回物件費がふえた理由というのは、恐らくJPエクスプレスを吸収合併したことにかかわっているだろうと思います。このJPエクスプレスを吸収合併したことによって、郵便事業会社の経営はがたがたの状況になってしまったではありませんか。一千億円もの累積損失を出したJPエクスプレスを取り込んで、一体どうなってしまったか。

 ゆうパックを担当する郵政職員を出向させたのを引き上げて、さらに旧日通の社員七百人を日通時代よりも手厚い日本郵便の待遇で引き受けた。大赤字の事業を吸収合併するのに、給与をアップして引き受けているんですから、郵便事業会社の経営を圧迫するのは当たり前のことだというふうに思います。

 これにより人件費増が生じているはずでありますけれども、これがどのぐらいであるか、お伺いをしたいと思います。

中城参考人 お答え申し上げます。

 統合に当たりまして、日本通運から承継しました正社員の給与は、原則、郵便事業会社の正社員登用時の初任給の給与水準で決定したものでございます。承継した正社員の採用時の平均年収は、約四百九十万円でございます。

 先生お尋ねの旧日本通運時代の給与水準というものにつきましては、勤務実績等によって月額あるいは年額が大幅に変動することでございますので、承継前の給与水準を特定することは難しく、人件費をそういう面で比較することは困難でございます。

柿澤委員 答えないんですか。こういう御答弁をされるというのは、いささか私は残念なことだと思います。これは経営の基本にかかわる人件費の数字ですから、皆さん把握をしておられるはずだと私は思うんです。

 いずれにしても、私は、本来やるべきであった、郵便事業におけるゆうパック担当職員をそこから切り出して、ペリカン便との統合により、JPエクスプレスとして、民間企業として、佐川やヤマトやこうした競合他社との競争を行っていく、こうした方向性でなければならなかったのに、逆にその事業を取り込んでしまったという、大変大きないわば経営判断のミスによって、こうした形で郵便事業会社の経営状況が大変厳しい状況に陥っている、こうしたことだというふうに思っております。

 これについて、郵政民営化委員会の野村修也弁護士は、考えられない経営判断のミスだ、通常なら、株主代表訴訟をやって容易に勝訴ができるようなケースだ、こんなふうにもコメントされておられます。

 こうした経営陣のこれまでの三年間のハンドリングについて、総務大臣、まさに株主である国としてどういうふうに認識をしておられるのか。そこに、やはり官業から官僚OBとして天下りをして経営をしているそうした方々が、結局こうした判断ミスを行って経営の失敗をした責任はないのか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 郵便事業株式会社と日本通運株式会社の宅配便統合計画については、前経営陣によって、事業収支見通しも策定されないまま、郵便事業株式会社と日本通運株式会社から宅配便事業をそれぞれ切り出し、郵便事業の子会社、JPエクスプレスに集約する形で進められてきたものでございます。

 その後、経営陣の交代、二十一年の十月二十八日に伴い、現経営陣が統合計画の見直しを行ったが、その段階では、既に日通からペリカン便が切り出された状況にあったことから、複数の選択肢を比較検討し、最も早く黒字化を達成できる案として、必要な要員及び資産のみを郵便事業に承継する案を採用したものと承知をしております。

 しかしながら、その後、事業承継に当たって、遅配事故の発生に伴う業務運行費用の増加等から、郵便事業は、平成二十二年度中間決算において九百二十八億円の営業赤字を計上しております。

 これを受けて、総務省としては、報告徴求や事業計画の認可等を通じ、同社の経営改善について指導監督をしております。

 郵便事業株式会社からは、収支改善について、現時点までは、目標としている今年度の営業黒字化に向け、計画に沿って進められているとの報告を受けているところでございますが、経営判断の妥当性、経営責任については、こうした経営改善の取り組みの最終的な成果を踏まえて評価されるべきものと考えており、現経営陣においては、目標達成に向け、引き続き取り組んでいただきたいと思っております。

 以上です。

柿澤委員 時間も参りましたのでもうやめますけれども、しかし、じり貧の郵便そのもの、それに大赤字の宅配事業を取り込んで郵便事業会社はこういう状況になった、それに対して金融二社のグループのもうけでカバーをする、こういう形で、今回、郵政事業は法改正によって進んでいくことになってしまいました。これこそまさに機関銀行化であって、こうした方向性は極めて問題が多い、このことを指摘させていただいて、質問は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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