衆議院

メインへスキップ



第3号 平成24年11月16日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十四年十一月十六日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 小宮山洋子君

   理事 逢坂 誠二君 理事 奥野総一郎君

   理事 小室 寿明君 理事 松崎 公昭君

   理事 橘 慶一郎君 理事 森山  裕君

   理事 福嶋健一郎君 理事 西  博義君

      石津 政雄君    磯谷香代子君

      稲見 哲男君    小原  舞君

      大島  敦君    大西 孝典君

      勝又恒一郎君    高井 崇志君

      野木  実君    野田 国義君

      福田 昭夫君    皆吉 稲生君

      柳田 和己君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      井上 信治君    石田 真敏君

      加藤 紘一君    川崎 二郎君

      菅  義偉君    谷  公一君

      中谷  元君    長島 忠美君

      平井たくや君    岡島 一正君

      笠原多見子君    金子 健一君

      斎藤やすのり君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    柿澤 未途君

      吉泉 秀男君

    …………………………………

   総務大臣         樽床 伸二君

   総務副大臣        大島  敦君

   総務大臣政務官      石津 政雄君

   総務大臣政務官      稲見 哲男君

   財務大臣政務官      柚木 道義君

   政府参考人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  重野 安正君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  吉泉 秀男君     重野 安正君

同月十六日

 辞任         補欠選任

  永江 孝子君     磯谷香代子君

  加藤 紘一君     長島 忠美君

  岡島 一正君     金子 健一君

  重野 安正君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     永江 孝子君

  長島 忠美君     加藤 紘一君

  金子 健一君     岡島 一正君

  吉泉 秀男君     重野 安正君

    ―――――――――――――

十一月十五日

 国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

同月十六日

 国家公務員退職手当法改正法案の廃案に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九三号)

 同(笠井亮君紹介)(第九四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九六号)

 同(志位和夫君紹介)(第九七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小宮山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取します。樽床総務大臣。

    ―――――――――――――

 国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案

 地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

樽床国務大臣 国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、退職給付の官民均衡を図る観点から、人事院による官民比較調査結果及び見解等を踏まえ、退職手当の額を引き下げるとともに、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律附則第二条の規定等を踏まえ、国家公務員の共済年金の職域加算額の廃止に伴い退職等年金給付を設ける等の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国家公務員退職手当法につきましては、本則の基本額の規定により計算した額に乗じる調整率を百分の百四から百分の八十七に段階的に引き下げることとしております。また、各省各庁の長等は、定年前に退職する意思を有する職員の募集を行うことができることとする等、早期退職者の募集及び認定の制度を設けることとするほか、定年前早期退職者に対する退職手当の基本額に係る特例措置の内容の拡充を行うこととしております。

 第二に、国家公務員共済組合法につきましては、退職等年金給付として退職年金、公務障害年金及び公務遺族年金を設けることとしております。退職年金は、終身退職年金及び有期退職年金とし、保険料の追加拠出リスクを抑制するため、給付設計にキャッシュバランス方式を採用した上で、保険料率に上限を設けることとしております。また、公務員制度の一環として、組合員が懲戒処分を受けたとき等一定の場合に給付の制限を行うこととするほか、公務障害年金及び公務遺族年金の年金額につきましては適切な水準を確保することとしております。さらに、共済年金の職域加算額の廃止に伴い、施行日前の組合員期間を有する未裁定者に対する経過措置を規定することとしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律につきまして必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律附則第二条の規定等を踏まえ、地方公務員等の共済年金の職域加算額の廃止に伴い退職等年金給付を設ける等の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、地方公務員等共済組合法につきましては、退職等年金給付として退職年金、公務障害年金及び公務遺族年金を設けることとしております。退職年金は、終身退職年金及び有期退職年金とし、保険料の追加拠出リスクを抑制するため、給付設計にキャッシュバランス方式を採用した上で、保険料率に上限を設けることとしております。また、公務員制度の一環として、組合員が懲戒処分を受けたとき等一定の場合に給付の制限を行うこととするほか、公務障害年金及び公務遺族年金の年金額につきましては適切な水準を確保することとしております。

 第二に、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律につきましては、共済年金の職域加算額の廃止に伴い、施行日前の組合員期間を有する未裁定者に対する経過措置を規定することとしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

小宮山委員長 これで両案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として人事院総裁原恒雄さん、事務総局給与局長古屋浩明さん及び総務省人事・恩給局長笹島誉行さんの出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小宮山委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎さん。

橘(慶)委員 限られた時間でございますので、急行列車で参ります。よろしくお願いいたします。

 万葉集巻十、二千二百十七番。

  君が家の初もみち葉は早くふるしぐれの雨にぬれにけらしも

 では十分、よろしくお願いします。(拍手)

 簡潔にお伺いしますので、簡潔に御答弁賜れればと思います。

 最初は、今回の退職手当の見直しに係ります、そのベースとなりました人事院の調査結果、四百二万六千円、官が民を上回る。平成十八年、前回調査からの変化について、特徴的な傾向を人事院古屋給与局長に伺います。

古屋政府参考人 平成十八年調査と今回調査を比べましたところ、公務の退職給付額には大きな変化はない一方で、民間の退職給付額につきましては約四百三十三万の減少となっておりまして、このうち、特に退職一時金で約四百四万円減少したところでございます。

 民間の退職給付額が大きく減少したところでございますが、これは、いわゆるリーマン・ショックによる景気悪化の影響等を背景といたしまして、従業員、とりわけ高齢層の給与水準が下がり、その減額が退職一時金の額にも反映されたこと、また、水準を引き下げる方向での退職一時金の制度的な見直しが行われた可能性があることなどがその要因として考えるところではございます。

橘(慶)委員 経済が大変厳しいということもありますし、高齢者の方々の給与体系をどうしていくかということは官民共通の大きな問題であろうと思います。

 続きまして、早期退職者募集制度ということで、今回は、おおむね四十五歳まで、言ってみれば繰り下げるということで、早期退職制度を入れていくわけでありますけれども、この制度の想定される活用策につきまして、総務省笹島人事・恩給局長にお伺いいたします。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、官民比較に基づく水準の見直しを行うとともに、新たに早期退職募集制度を設けることとしております。

 その募集目的の類型といたしましては、一つ目、職員の年齢構成の適正化を図ることを目的とするもの、二つ目として、組織の改廃または官署もしくは事務所の移転を円滑に実施することを目的とするもの、この二つを規定しているところでございます。

橘(慶)委員 今まで、公務の世界では退職勧奨というようなこともやってきたわけですが、これがなかなかうまくない。今のような制度を入れることによりまして、これからまた年金支給開始年齢の引き上げに伴う六十一歳以上の方の働き方という問題も出てくる。その中で、若い人材も入れていきたいということであれば、こういう制度もうまく活用して、柔軟にやっていかなければいけないということだと思います。ぜひまた早期に、各機関においてそういったことを御検討されることを望むものであります。

 次に、国、地方を通じまして、この年金一元化という中で、公務員の退職年金、これは今までよく職域部分、加算部分あるいは三階建てと言われてきたわけですけれども、今回、新しい形になるこの退職年金につきまして、企業年金と同種のものという位置づけという趣旨でよろしいのか。そしてまた、今回の退職年金について、終身退職年金と二十年間の有期退職年金の二つに区分されて制度が設定されます。その趣旨につきまして、ここは国、地方を代表いたしまして、国家公務員につきまして、財務省柚木大臣政務官にお伺いいたします。

柚木大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、一点目の国家公務員の退職年金は企業年金と同種のものと言えるのかの部分については、結論から言いますとそのとおりでございまして、企業年金につきましては、世代間の支えを特徴といたします公的年金と異なりまして、積立方式での運営を原則としております。将来の年金給付に必要な原資を在職中に積み立てた保険料で賄う仕組み。今般新たに設ける年金払い退職給付も、公的年金の一部である現行の職域部分とは異なりまして、保険料をゼロから積み立てる仕組みであり、民間の企業年金と同じ性質を持った制度であります。

 もう一点目の終身退職年金と有期退職年金に分けた趣旨でございますが、これは民間の企業年金の約四割が終身年金、約五割が有期年金であることを踏まえまして、年金払い退職年金では、半分を終身、半分を有期とさせていただいております。

橘(慶)委員 全体に、今日的に官民の制度を比較して、なるべく一緒が望ましいものについては同じ考え方で臨んでいくというふうに私としてはお見受けするわけであります。国民の皆さんの理解を得るためには大変大事なことだ。

 そこで、ことしの八月八日の人事院勧告につきましても、そういった意味では、官民の五十五歳以上の方々の給与の較差ということを含めて昇給、昇格制度の見直しが提起されて、勧告されているものであります。

 この勧告の取り扱い、きのうまでは決まっていなかったんですが、どうやらお決めになったようでありまして、お決めになったことについての内容を総務大臣から、そのことについてどうお考えであるかということを人事院総裁からお伺いして、最後に私の思いを述べさせていただきたいと思います。順次お願いします。

樽床国務大臣 御指摘のとおり、本日朝の閣議で決定をさせていただきました。

 内容につきましては、今回の勧告で指摘されております昇給制度の見直しを含めた高齢層職員の給与水準の見直しにつきましては、世代間の給与配分の適正化、雇用と年金の接続の観点から幅広く検討を行いまして、特例減額支給措置期間、これは二年間の平均七・八%削減というのが今行われておりまして、高齢層は一〇%を超えるという現状がございます。そういった期間が終了する平成二十六年四月から実施をする方向で、平成二十五年中に結論を得るということで閣議決定をさせていただいたところであります。

原政府参考人 大臣からもお話がございましたように、本日の閣議決定で、高齢層職員の給与水準の見直しにつきまして、平成二十六年四月から実施する方向で、二十五年中に結論を得るものとされたところと聞いております。

 現行の法体系のもとで、国家公務員の給与改定はこれまで本院の勧告を踏まえて行われてきたところでございまして、今回の決定は、平成二十五年一月一日からの昇給制度を改定するとの本院の勧告を実施せず、改定の実施につきまして結論を翌年に持ち越すということでございまして、人事院といたしましては極めて遺憾と言わざるを得ないところでございます。

 本年の勧告に基づく昇給制度の改定を実施できるよう、必要な措置を講じていただきたいと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 現在の国会の情勢なものですから、なかなかこれ以上このことについて審議する時間がないことになっているわけでありますけれども、二十六年四月から実施するんだ、しかし、そのことについては二十五年、もう一年検討するんだ、こういうお話でありまして、それであれば、二十六年四月実施ということについての立法措置をとるという方法も選択肢としてはあったと思います。

 聞くところによりますと、きょうに向けて、さらに地方公務員の労使関係等の法律も閣議決定して慌てて出しておられるというようなことも考えますと、その辺に非常に恣意的なものを感じざるを得ない。できれば、そういうものについて出さないなら全部出さない、出すならしっかり出してくる、そしてその考え方がどうであるのかということをやはりはっきりしていただきたい。

 そして、もう一言、多分この国会で最後になりますので申し上げたいのは、非常に簡単なことです。法律に基づく行政というものを行政は進めていただかなきゃいけないということであります。今の法律体系の中において人事院勧告を内閣は尊重する、これはしっかり閣議決定して答弁書でいただいております。そういう姿勢の中でどうあるべきか、そこはやはり、いろいろ政治的なお考えはあったにしても、行政は行政として法律に基づく対応をしっかりしていただきたい、そういうことを私も法学部で小宮山委員長のお父様にも教わった、このように思っております。

 ぜひ、法律に基づく行政ということをきょう最後に申し上げて、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

小宮山委員長 次に、福嶋健一郎さん。

福嶋(健)委員 国民の生活が第一の福嶋健一郎でございます。

 この法案自体は、いわゆる退職金などの官民の較差を是正するという目的はありますけれども、一方で、公務員の皆さんにとっても、この退職金等というのは、生活者として大きな、大事な問題だと私は思っています。これを、幾ら解散が予定されているからといって、各会派十分ずつ、計一時間で審議をして賛否を決めないといけないということであるならば、我々はそれに対して非常に大きな責任があるということをまず冒頭申し上げたいというふうに思っております。

 質疑に入ります。

 大臣にお伺いをいたしますが、そもそもこれは民間と公務員の差が四百二万円あるというふうなことからスタートしておるんですけれども、この民間の数字のとり方というのは本当に妥当性があるのかということについてお伺いをしたいと思います。

 すなわち、民間をとるときに、それは大企業とか中堅企業をベースにとると当然上がりますよね。それでいわゆる官庁の差を是正すればいいんだけれども、地方とか、そういう中小企業とかあるものですから、そうすると、本当に、実は実態はもうちょっとバーが下がるのではないかというふうな見方もあるんですけれども、この辺の民間のデータのとり方、人事院調査をベースにしておられるんですけれども、本当にこれは妥当性があるのか。

 そしてまた、見直しの周期等含めても総務省としてはどのようにお考えかというのを伺いたいと思います。

樽床国務大臣 お答えをいたします。

 今、福嶋委員から御指摘のありました問題意識につきましては、私は、大変貴重な問題意識だという認識は個人的には持っております。さはさりながら、零細企業の数も非常に多いということで、私どもといたしましては、先ほど申された人事院の給与勧告における調査と同じものを使わないと、これはサンプルが違うと比較できないということで、人事院の給与調査と同様のものを採用するということが現時点では最も妥当ではないかというふうに考えております。ただ、問題意識は、貴重な問題意識というふうに私は理解をいたしております。

 また、周期の見直しでありますが、退職手当は、長期の勤続の報償、長い間勤めていたことに対する報償という性格がありますので、余りころころ変わってはよろしくない、このように思っております。しかし時代の変化も早い、こういうこともありますので、そういったことを総合的に判断して、おおむね五年ごとに調査する民間企業の退職給付との均衡を図ってきたということであります。

福嶋(健)委員 ここの足元のところについて本来はもう少し議論をしたかったんですけれども、大臣の御所見は承りました。問題意識をお持ちということですね。

 続けて、この制度のお話なんですけれども、平成二十七年に職域部分がなくなる、制度としてはなくなる。そこからどんどん減っていくわけですから、移行の間、それを事実上埋めるものとして年金払い退職給付制度が本法案で導入をされるというふうに私は理解をしておりますけれども、これは、そもそもこの制度を入れなきゃいかぬのか、すなわち、退職手当で調整すればいいのにという議論もあると僕は思うんですが、なぜこの制度を入れなきゃいかぬのかということについて御答弁をいただきたいと思います。

樽床国務大臣 まず、かた苦しい方の話から申し上げますと、先ほど、法律に基づいてやれ、こういう御指摘もいただきました。ですから、これは被用者年金一元化法附則で共済年金の職域部分の廃止と同時に新たな公務員制度としての年金制度を設けなさいという規定をいただいておりますので、それに基づいてやったというのが一つの答えであります。

 もう一点は、先ほどの御質問もありましたように、民間の企業年金と同種のものである、こういう認識ですから、民間も企業年金と退職金という二本立てでありますので、公務員の皆さん方にも同じ二本立てということで官民バランスを図っていこう、こういうことを考えております。

 なお、公務上の障害・遺族年金の導入がこの年金制度というものを導入することによって可能になるということから、導入をさせていただいたということであります。

福嶋(健)委員 今のお話自体は理解できるんですけれども、だとするならば、民間の企業年金と退職一時金で、比率が企業年金が三に対して退職一時金が二ぐらいの割合ですから、この退職手当と年金払い退職給付のバランスも、それに合わせるんだったら、そういったことも視野に入れる必要があるのかどうかについて今後検討していかなきゃいかぬなというふうに思っております。

 もう時間がありませんので、最後、これは財務省さんかなと思いますが、国家公務員共済組合法、今回のこの年金払い退職給付は、そういう意味では、ある意味、確定拠出型的なものではあるんですけれども、この法案の七十五条に、基準利率は、国債の利回りを基礎としますと。ただ、退職等年金給付積立金の運用の状況及びその見通しその他政令で定める事情を勘案して連合会、これは国家公務員共済組合連合会の定款で定めるとあります。

 国債を基礎としてというふうに書いてあるんだけれども、この法文を読む限りは、まあ、最終的には連合会が決めていいですよというふうにも読めます。きちんとここは、この法文上ではこの程度しか述べられていない。

 何を申し上げたいかというと、では、この国家公務員共済組合連合会というのは本当に運用能力があるというふうに考えていいのかどうかについて御答弁いただきたいと思います。

柚木大臣政務官 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、KKRにつきましては、これまでにも共済年金の積立金の運用実績がございまして、これは先生御承知のとおり、GPIFが十年間で一・二〇に対しまして、二・〇七という利回り実績もございます。そういった意味におきましては、安全かつ効率的な運用を行ってきておりまして、さらに、この積立金の運用につきましては国債などの債券を中心としたコンサーバティブな運用といいますか、そういった形での運用を行うこととしておりまして、連合会は、これまでの経験を生かした適切な対応をなされるというふうに考えております。

福嶋(健)委員 私も民間金融機関におりましたけれども、これまでのコンサーバティブなものとこれからのコンサーバティブはまた違う話でありまして、特に、新しい制度を入れるわけですから、ここはやはりきちっと見ていかないといけないというふうに考えておるところでございます。

 この制度は、結局、全部国債で運用しますよ、あるいは、利がきちっとしているもので運用しますよということが、もうそこまで突っ込んで決められていればあれなんですけれども、そこから出るいわゆる基準利率と実際の運用の利回りが違ったときに、結局は公務員の皆さんというか受給者の皆さんが、保険料が上がるか給付が下がるかということですよね。

 ですから、やはりこういう制度を入れるには、そういった運用も、方針含めて、きちんとモニタリングをしていく必要があるのかというふうに考えているところでございます。

 先ほど申し上げましたけれども、非常にばたばたで進んでおりますけれども、ぜひこの制度を行政の方でさらにいいものに詰めていただきますよう、最後にお願いをいたします。

 以上です。

小宮山委員長 次に、西博義さん。

西委員 公明党の西博義でございます。

 私も、この最終の総務委員会、十分な議論ができないままのばたばた劇になってしまったことを大変残念に感じております。今後、まだまだ、さまざまな課題があると思いますので、このことについては政府また国会でも引き続き十分な議論を続けていただきたいことを、まず要請させていただきます。

 時間がありませんので、早速何点か御質問申し上げます。

 まず、退職金の民間準拠のあり方について。

 これは総務省の方で御答弁いただきたいと思うんですが、退職金については、二十三年度、民間企業の退職給付調査によりますと、約四百万の官民較差が生じている、こういうふうなことが明らかにされました。前回この調査が行われたのが平成十八年、これは五年たっているんですが、この間に退職金について官民較差が大きく広がってきたわけです。

 この調査に基づいて調整する、こういう方法では官民較差解消を適宜図ることが難しい、こういう問題があります。例えば他の統計調査等を利用して改善をするとか、大きく開く前にもう少しきちっとした調整をすべきではないか、こう思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の退職手当の水準設定につきましては、広く国民の理解と納得を得られますよう、民間企業の退職給付の水準との均衡を図っていくことが最も適当であるというふうに考えております。

 一方、退職手当というものはやはり長期勤続報償という性格を有しているものでございまして、制度としての安定性というものが求められていることも事実でございます。

 このため、調査におきましては、おおむね五年ごとに実施する民間企業の退職給付実態調査によって官民比較を行って、民間の退職給付との均衡を図ってきたというところでございます。

 今回におきましても、こういった考えに基づいて、前回同様、人事院に依頼しまして官民比較調査を行ったところでございますけれども、御指摘のような官民比較の調査頻度や調査方法につきましては、今後、制度の安定的な運営を図りつつ、国民の理解を得ながら、職員の処遇を全体として適切なものにするといった観点から、さらなる改善の必要性について検討してまいりたいと考えております。

西委員 経済情勢が大きく変化をし、もちろん、退職金も大きく下がっているということが現実であるわけですね。そのことについて、やはり一刻も早く追随をしていく、上がるも下がるも両方あるんですが、やはりそのことをしていく必要があるというふうな御指摘をさせていただきたいと思います。

 続いて、退職手当と退職一時金の較差についてです。

 公務員の退職手当と民間企業の退職一時金を比較しますと、非常に大きな較差がございます。公務員は約二千七百万円、それに対して民間企業は千四十万円、千六百六十万円の差がございます。今回の退職手当の引き下げの後でも、まだ千二百六十四万円の差が残っております。退職手当と退職一時金との非常に大きな較差についてどう見ておられるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

樽床国務大臣 今、西先生御指摘のとおりでありまして、その二つを比べるとまだ較差が存在いたしております。

 ただ、これは民間と公務の間でそこに至った過去の歴史的な経緯が異なりますので、このようなことになっておりますが、まずは、トータルで官民のバランスをきちっとする。その中で、今御指摘いただいた割合につきましては、民間の場合も企業年金から一時金で前払いがもらえるとか、いろいろ柔軟な制度もありますから、そういったものもいろいろ検討させていただきながら、今後、あらゆる面において均衡して官民の間のバランスがとれていくようにさらなる検討が必要ではないかというふうには思っております。

西委員 まさしく大臣御指摘のとおりだと思うんです。とりあえず今回はこういう形で決着しますが、今後の問題として、この点についてもさらに調査なり研究を進めて、本格的な官民較差の縮小ということにぜひとも取り組んでいただきたいと思います。

 次に、退職手当と年金の比率についてでございます。

 法案では、新たに年金払い退職給付ということを提案されております。この年金払い退職給付を創設するに当たって、現在の退職手当と年金の割合に関してその妥当性について検討したのかどうか。

 政府の資料では、民間企業の退職一時金と企業年金の合計、公務員の退職手当と年金払い退職給付の合計、これが同じである、こういうふうになっております。しかし、財政負担の面から見ると、同じ現在価値であれば、退職手当より年金の方が財政負担が減少します。なぜなら、年金では運用利回り分が負担軽減になる、こういうことになります。

 共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議の報告書では、こう述べられております。「将来的には、民間の退職給付に占める年金と一時金の割合も見ながら、退職手当の分割支給」、つまり年金払いですね、「などにより、官の退職給付における「年金」と「一時金」の比率を見直していくことも検討すべきではないかとの意見もあった。」こういうふうに付記されております。有識者会議のこの意見でも見られるように、今後、この見直しを、先ほどともちょっと関連しますが、検討されるおつもりかどうか、お伺いしておきたいと思います。

樽床国務大臣 先ほどの話とかなり連係しておる話でありますが、要は、年金の部分と退職手当の部分の割合をどうするか。先ほど言いましたように、全体を足しての較差をなくすということをまず最優先の第一ステップにしました。職域の部分がごそっといくので、そこの分を時間をかけてやっていくという第一歩で、これも先ほどと同じように、私は、その比率も含めて今後検討をしていく余地はあるし、官民のバランスというものを考えると、どうやって統一を図っていくのかという大きな課題について、これは与野党を挙げて取り組んでいかなければならない問題ではないかというふうに思っております。

 今後とも御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。

西委員 最後になりました。積立金の運用について一言だけ確認をしておきたいと思います。

 この運用が失敗した場合どうなるのかということです。給付設計はキャッシュバランス方式を採用する、こういうことですので、給付額を下げるというふうになるのではないかと思っておりますが、このことの確認です。

 法案では、運用がうまくいかなかった場合は想定しているとは思いますが、例えばAIJ問題のような異常な事態が発生して、積立金のかなりの部分が消失してしまうという最悪の場合にはどうなるのか。税で穴埋めすることになるのかどうかの確認を最後にしておきたいと思います。

柚木大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、運用面については、先ほど申し上げましたような保守的な運用の中で、大きな損失が生ずることはないという前提には立っております。

 さらに、先ほどの御指摘のとおり、保険料率上限一・五%ということで設定をしておりますので、仮に年金の給付を積立金で賄えなくなる事態が生じた場合には、年金の給付水準を削減することによって対応するということで、この積み立て不足を税金で穴埋めすることにはならないというふうに承知しております。

西委員 終わりますが、実は私、今回で引退ということになっておりまして、最後の日に最後の質問をさせていただくということに非常に感謝をいたします。

 委員会諸氏の御活躍と、また政府関係者、また院の関係者の皆さんに感謝を申し上げながら、皆さんの御活躍をお祈りして、この話を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

小宮山委員長 次に、塩川鉄也さん。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の法案の審議でありますけれども、大臣は提案理由説明の中で、慎重審議をとおっしゃいましたが、慎重審議をしようにも慎重審議しようがないような、この短時間な質疑の実態であります。国家公務員の将来設計に重大な影響を及ぼすような、また若者からも働きがいを奪うような、こういう内容を伴う法案を短時間で採決する、一日で一気通貫で行うような乱暴な委員会運営に強く抗議をするものであります。

 法案の内容についてお尋ねしますが、最初に確認をいたしますけれども、民主党政権の総人件費二割削減の方針の中には退職手当も含まれているのか、この点を確認いたします。

大島副大臣 お答えさせていただきます。

 今回の退職給付の水準見直しは、官民比較に基づいて較差を解消することを目的としておりますが、国家公務員の人件費二割削減の取り組みの一環としても位置づけられるものと考えております。

塩川委員 では、二割の中に入るということで、総人件費二割削減の中には退職手当も含まれるわけであります。

 岡田副総理も予算委員会の答弁の中で、国家公務員人件費の二割削減目標達成に向けて努力している、公務員給与の七・八%削減を含めて、約五千億円の削減、つまり一割まで来ている、それから、退職金の官民較差四百万円を是正すると五、六百億円の金額になる、このように述べております。

 本来、民間と違う公務の特殊性など、さまざまな角度から国家公務員の退職手当のあり方の検討が必要なのに、人事院の調査で官民較差四百万とあるからというだけでばっさり引き下げる。こんなことになるというのも、総人件費二割削減目標を達成するために、あれも削る、これも削る、こういうことが行われて人件費の削減額を上積みしていく、このことに血眼となっていることが反映をしている。

 お尋ねしますが、結局、総人件費二割削減方針がある限り、退職手当については最大限削減するという結論しか出てこないということじゃありませんか。

樽床国務大臣 そういうことではなくて、結果として二割削減の中には入りますけれども、これは官民較差をなくすということが第一義であって、それをしっかりやる。結果として、その二割の中にも入る。要するに、結果として、それによって人件費が減るわけでありますから、それをその中にカウントさせていただくということだと思っております。ですから、第一義は官民の較差の解消であります。

塩川委員 官民較差解消といいますが、国家公務員の退職手当を決める法律の中で、では、退職手当の決め方について官民較差で行う、こういうことは定めてないわけですよ。

 そういう点でも、この議論の中で有識者会議などが行われてきた、それも尊重するという話などもあったわけですけれども、この有識者会議の経過を見ても、例えば第一回の有識者会議の座長の取りまとめというのが、いろいろな意見が出たことは議事録にも残る、四百万円という数字を前提にして議論を進めていく。結局、有識者会議の仕切りというのも、四百万円削減先にありき、こういう経過だったということは明らかであります。

 労働基本権が制約をされている国家公務員の不利益変更に当たっては、国会の判断が問われているわけですけれども、それなのに、短時間の審議、採決などというまともな議論も行わない乱暴なやり方では、国民や国家公務員労働者の理解は得られないということを申し上げなければなりません。

 次に、早期退職募集制度についてお尋ねをいたしますが、この早期退職募集制度による募集の目的というのは何でしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、退職手当法に新たに八条の二を置きまして、定年前に退職する意思を有する職員の募集等を行う仕組みを規定しているところでございます。

 募集目的の類型としましては、その第一項におきまして二つの類型を示してございます。一つ目は、職員の年齢構成の適正化を図ることを目的とするもの、二つ目は、組織の改廃または官署もしくは事務所の移転を円滑に実施することを目的とするもの、この二つを規定しているところでございます。

塩川委員 お尋ねしますが、このような目的を持つ早期退職募集制度ですけれども、総人件費二割削減方針がある限り、例えば、この早期退職募集制度を使って四十五歳以上の退職勧奨を進めるとか、組織の改廃によるリストラを促進するなど、結局、この制度は人件費削減のツールとして使わざるを得ない。総人件費二割削減、大枠で二割削るといういわば大方針がある中で、こういう早期退職募集制度というのが人減らしの道具として使われる、こういうことになっていくのではありませんか。

樽床国務大臣 まず、結論から申し上げますと、そういうリストラの手段になるとは考えておりません。

 公務員でも同じでありますし、民間企業でも同じでありますが、それぞれの組織の中の人員の年齢構成のバランスというものがなければ、その組織はうまく回らない。やはりそれぞれの年齢によって果たすべき役割、やるべき職務というものがいろいろ異なるわけでありまして、全体の最適バランスをどう確保するかという観点もあって、無理やりではなくて希望される方にということで考えておるわけでありまして、これを伝家の宝刀のように使ってリストラをばんばんやるというようなことは全く念頭にございません。

塩川委員 総人件費二割削減方針があるという点でいえば、この二割をどう削るかという議論になってくる。その際に、片山大臣は人数掛ける単価だという言い方をしていましたけれども、単価という形では退職手当を削る、人数という形でいえば、こういった早期退職募集制度などをつくって人減らしを進めていく、結果として二割削減方針を達成していく、こういうツール、道具として使われることになる。こういうことが、二割削減方針を民主党政権が堅持する限り、出てこざるを得ないのではないでしょうか。

 改めてお尋ねしますけれども、この国公退職手当四百万円の引き下げと早期退職募集制度導入の大もとには国公人件費二割削減方針があります。法案とともに、この総人件費二割削減方針を撤回すべきではありませんか。

樽床国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、まずは官民較差をなくすという目的のために、そして組織の中の年齢バランスをしっかりと、我々の考えのもとにおけるバランスのとれたものにするためにという目的でやっているわけでありまして、結果として出てきたものがその二割の中に含まれるかもわかりませんが、二割削減ありき、その方針ありきでこういうようなことをやっているわけではないということはぜひとも御理解いただきまして、世の中、人間社会、バランスというものがその時々でいろいろ変化をいたします。一時の適切なバランスがその後の社会の変動で常に適切なバランスであるとは、これは当然ないわけでありますので、その時々の社会全体のバランスというものを考えながら、官民の間のことをしっかり考えていくという視点に立っているわけであります。

塩川委員 総人件費二割削減方針というのが、当初のマニフェストの財源というのがどこかに行ってしまって、財政健全化の話になってくる、あるいは消費税増税の地ならしとしての話になってくる。どんどん理由が変わっていく。

 財政健全化といっても、もともと、膨大な財政赤字というのは、自民党政権からずっと続くような中で、無駄な大型公共事業、あるいは大企業や富裕層への減税の結果生み出されたものであって、公務員に責任はないわけであります。公務員の人件費は生活費であって、無駄ではありません。無駄を削るというのであれば、八ツ場ダムとか外環道などの大型開発の無駄遣いこそ削るべきであります。

 さらには、総人件費二割削減方針というのは、国民生活を脅かすことになる。例えば、ハンセン療養所の職員体制、今職員の確保が大変です。

小宮山委員長 時間が来ておりますので、おまとめください。

塩川委員 しかし、人件費二割削減方針の中で人減らしが進むために、介護の職員を確保できなくなっている。あるいは、賃下げ、七・八%引き下げるために、看護師の確保も困難となっている。ハンセン療養所の入所者の方々の生活を支える職員が確保できない、そういう大もと、国民生活を脅かすものになっているというのがこの二割削減方針だ、これを撤回すべきだ、このことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

小宮山委員長 次に、柿澤未途さん。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 この三年間、おかげさまでといいますか、通算でいうと二百六十回ぐらい国会質問をやらせていただきまして、これがとうとう、いよいよ、ついに最後になります。来期はこういうことのないように、当然、当選して戻ってきたいんですけれども、みんなの党の勢力をぜひ拡大したいな、こんなふうに個人的にも思っているところであります。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案、退職手当の四百万円減額なんて胸を張っているわけですけれども、そもそも官民比較を全く違うベースに基づいてやっていて、全く不十分だというふうに思うんです。

 企業年金一時金を含めた退職手当の官民比較を行っている、このことはこれまでも再三再四指摘をさせていただいてまいりました。今回の調査でも、公務員は、退職手当二千七百七万円、職域加算二百四十三万円、計二千九百五十万円、民間は、退職一時金一千四十二万円、企業年金一千五百六万円ということで、四百万円の差だと言われているんですけれども、しかしこれは、企業年金一時金を除いて、退職手当、退職一時金だけで比較をすると、一千九百万円もの驚くべき官民較差となっているではありませんか。

 官民較差の是正などと言うんだったら、そもそも違うベースで比較をして、そしてどっこいどっこいだとこれまで言い続けてきた、このような比較の方法をこの際改めたらどうかと思いますけれども、御見解をお願いします。

樽床国務大臣 先ほどから、西先生の議論もその話が中心であったというふうに私は認識しておりますが、大きく言うと同じ範疇で、大変貴重な御意見をいただいたというふうに思っております。

 さはさりながら、その千九百万円ものものを短期間で一気にばさっとパラダイム転換をするわけにもなかなかまいりませんので、しっかり目標を定めながらこつこつと努力をしていきたいというふうに思っております。選挙も同じことだと思いますので、ともに頑張りたいと思います。

柿澤委員 目標を定めながらこつこつとということなんですけれども、つまり、私が聞いているのは比較方法の問題なんですよ。減らす額を幾らにするのかという話を聞いているわけではないんです。

 この比較方法をそもそも改めるということを大臣は大臣として今御答弁をされた、こういう御理解をさせていただいてよろしいでしょうか。

樽床国務大臣 いやいや、そういうことを申し上げているわけではなくて、まず、我々はこの問題については初めから、企業年金と退職一時金の足したものと退職手当プラス職域部分、それは今回変更していきますが、その二つを足したものを対象とするという方針には変わりはございません。

柿澤委員 時間もありますので次の質問に行きますけれども、職域加算、これは廃止といいながら、やはり上乗せ年金をやるわけですよね。これはどういうふうに進んでいくつもりなんですか。お尋ね申し上げたいと思います。

樽床国務大臣 今のは非常に大きな質問でございましたので、もう少し、どこがというふうに言っていただかなければ私も何とも言いようがないんですが、ちょっと今の質問の趣旨をもう一度教えていただけますか。

柿澤委員 要するに、職域加算を廃止するかわりに、有識者会議の報告書に基づいて、新たな上乗せ年金、こういう方向に進んでいく、これが皆さんの考え方ではないかと思うんですけれども、そうではないんですか。

樽床国務大臣 今上乗せ年金という表現を使われましたが、私どもは上乗せ年金という考え方に立っておりません。先ほど橘先生からの御指摘にもありましたように、企業年金と同じ発想で、同じやり方を目指してやらせていただいておりますので、その割合の問題はあるにしても、上乗せだという発想には立っておりません。

柿澤委員 被用者年金一元化の方をちょっとお伺いします。

 今度、厚生年金と共済年金、これは積立金の統合ということになるわけですけれども、これは全面統合ということではなくて、共済年金の積立金の一部を統合する、こういう形になっていると思います。残った部分について、共済年金の中で使っていくということになるわけで、これはどういう理由に基づいてこのようなことをやろうとしてるのか、お尋ね申し上げたいと思います。

柚木大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生のこの間の質疑の問題意識も共有させていただいている上でお答えをさせていただきたいと思いますが、確かに、そのまま全部厚生年金に統合するということであれば、いろいろな見方もあると思っておりまして、今回の具体的な積立金の仕分けにつきましては、厚生年金も共済年金も賦課方式を基本とする財政運営を行っておりまして、各制度が保険料で賄うべき一、二階部分、この給付総額の何年分を保有しているかという点に着目をいたしました。したがって、厚生年金の場合、四・二年分ということで、拠出をしている部分にそろえて行わせていただいたということでございます。

 なお、先生の御視点で、補足をさせていただくとするならば、共済年金に残る積立金、これにつきましては、職域部分の過去分、これまでの納めてきた分、この過去分の給付に充てることにしておりまして、年金払い退職給付、これは上乗せではありません、年金払い退職給付の財源に充てることは考えておりません。

柿澤委員 職域加算のいわば過去の負債の清算にこの積立金を充てていくんだということなんですけれども、これは、世代バランスでいえば、共済年金の年齢構成の方が厚生年金よりもいびつになっている、このようなことが指摘をされています。つまり、必要になる積立金の割合というか額というのは、厚生年金よりも共済年金の方が高くなる、こういうことになるのではないかと思います。

 にもかかわらず、厚生年金と同じ、五年弱の積立金しか統合しないというのは、これは結局、公務員の共済年金の肩がわりを将来民間サラリーマンの厚生年金がさせられる、しかも職域加算の過去分を守りながらそういうことをやっていく、こういうことになってしまうのではないかというふうに思うんですけれども、この点については御答弁いただけますでしょうか。

柚木大臣政務官 御承知のとおり、公務員の年金の場合、労使という部分でいうと、使の部分が国ということであれば、それは税金から賄われているという観点からした場合に、先生の今のような御指摘になろうかと思います。

 しかし、あくまでも労使という観点から考えた場合には、これはやはり、これまで納めてきた部分について、先ほど申し上げましたように、過去分についてはしっかり充てさせていただきますが、新たな年金払い退職給付には充てることにならないという理解でおりますものですから、そこの部分は少し認識のそごがあるかもしれませんが、我々としては、民間の部分のスキームを踏まえた対応に今回させていただいていると認識をしております。

柿澤委員 これは結果的に、共済年金のこれから多くなっていく給付を厚生年金の積立金で賄う部分が出てくる。要するに、そういうふうに食い込んでいく部分が出てくるということになってしまうのではないかと思うんです。官民較差の是正とか優遇措置の廃止、こんなふうに美名をおっしゃいながら、結局はまるで逆のことをやっている、こういうことになってしまうのではないかというふうに思うんです。これが残念ながら現政権の本質なのかな、こういうことを感じさせられる部分もあります。そういう意味では、この三年間の政権の終わりを飾るにふさわしい質問だったかというふうにも思います。

 質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、吉泉秀男さん。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 まず、質問に入る前に、この委員会の開催について一言申し上げたいと存じます。

 この法案は、国家公務員の退職手当を大幅に引き下げる内容のものであり、国家公務員、地方公務員合わせて数百万人の人方の生活設計に重大な影響を与えるものであり、家族も含めて大変深刻なこれからの生活設計のものだ、こういうふうに思っております。本来であれば、さまざまな角度から十分かつ慎重な審議を行うべきであり、そういう重要な法案だ、こういう認識をしております。

 ところが、今回、きょうで解散、こういう状況ではあるわけでございますけれども、その中において、たった一時間、その後、緊急上程をする。話を聞いてみますと、参議院に送付をして、参議院でもたったの一時間、そして上程をする。全て、衆参も通過をされる、乱暴そのものであるというふうに思っているところでございます。立法府の一員として、私は、数百万の公務員とその家族に向かって大変申しわけない、こういう気持ちでいっぱいでございます。賛成にしろ、反対にしろ、しっかりと審議を尽くすべき、こういうふうに思っております。

 そもそも、参議院で問責が可決された内閣が新たに提出した法案を審議する、そういうこと自体もまたおかしいわけでございます。総理はきょうの解散を明言しておるわけでございますけれども、こういう状況の中において、きょうのたった一時間で締めて上げていく、このことに強く抗議をしながら質問をさせていただきたい、こう思います。

 まず一つは、定年延長についてお伺いをいたします。

 今回の退職手当引き下げは、ことし三月の人事院の見解を受けて法案化されたものでもございます。しかし、昨年の九月には人事院から、定年を六十五歳まで引き上げる、この意見が出されているわけでございます。この定年延長についてどういうふうな考え方をしているのか、まずお伺いいたします。

樽床国務大臣 今、吉泉先生の御意見につきまして、大変傾聴に値する御意見をいただいたというふうに思いますが、さまざまな観点から今検討をいたしております。

 どういうやり方がいいのかということについて検討はいたしておりますが、現時点では、先ほど申し上げましたように、社会の中の全体像を見ますと、官民のバランスというものを、較差をどう解消するかという前提について、今回の措置、法案を出させていただいたところでありますので、まず第一歩として、さまざまな今回のこの状況の中でのことではあろうかと思いますが、どうか御理解を賜りまして、何とぞよろしくお願い申し上げます。

吉泉委員 だからこそ、この法案の中身が一体のものとして慎重に審議をする、そういう時間をとらなきゃならない、こういうふうに私は思っているわけでございます。

 その中で、八月七日に大島副大臣名義で都道府県さらには指定都市宛てに、「国家公務員の退職手当の支給水準引下げ等について」、この通達が出されているわけでございます。

 今地方では、もう十二月議会に向けて準備が始まっているわけでございますし、多くの自治体では既に、早期退職勧奨、こういった部分も含めて来年度の人員計画もつくられてきておるわけですし、さらには来春の採用の計画もなされているわけでございます。この法案が成立をし、そして地方にも大きく影響する、こういう状況であるならば、地方の段階において、さらには自治体のところにおいて非常に混乱、そういう部分が出てくるんだろう、こういうふうに思っております。

 そういう意味では、この副大臣の通達、さらには自治体が今どさくさ状況の中でこの法案を成立する、そういった部分が地方に与える影響、このことをどういう認識を持っているのか、お伺いいたします。

樽床国務大臣 まず、八月七日の副大臣通知でありますが、これについては、基本的に、退職手当を含めた地方公務員の給与制度については国家公務員の給与制度を基本とすべきものということで地方自治体にお願いをしているものでございまして、いろいろ今御意見賜りましたが、私どもといたしましては、この法案が成立をいたしましたら、地方公共団体に対して、国の退職手当の問題と同じような方向で対応をお願いしたいということを申し上げてまいるところであります。

吉泉委員 八月でございましたから、それ以降の段階で、それぞれ地方のところについては、きょう現在の動きもなっていないという状況の中においては、次年度からになるのかなという考え方もあったんだろうというふうにも思っております。それが、今こういう状況でございますから、混乱、こういう部分が相当出てくる、私はそういうふうにも思っているところでございます。

 そうした中において、全体のこれからの労使の交渉、労使の話し合い、こういった部分がまた大変重要になるんだろうというふうに私は思っております。この点についての、早期退職の問題なんかも含めて、今後の労使交渉の考え方、このことについてはどういうふうに思っているのか、大臣の考え方をお伺いします。

樽床国務大臣 地方自治体におかれましても、健全な労使関係の中で、健全な話し合いの中で、健全な結果をお導きいただきたい、このように思っているところでありまして、そういった観点から、昨日も閣議決定をし、そして国会に提出をさせていただいた法案の趣旨もそういう前提でございます。私は、皆さん方の英知の中で、必ずやすばらしい結果が導き出されるものと確信をいたしております。

吉泉委員 ひとつよろしくお願いしたいわけでございます。やはり国民的にも理解を得る、さらには、労使間の中での協議、このことについてもきちっと十分時間をかけて、こういう労使にかかわる法案等については、その準備も含めて、時間、配慮を含めてよろしくお願いを申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小宮山委員長 これで両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 これより両案について討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也さん。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員退職手当法等の改正案及び地方公務員共済組合法等の改正案について、反対の討論を行います。

 討論に先立ち、国家公務員の退職金を四百万円以上も引き下げるなど、極めて重大な内容を持つ法案について、まともな審議時間も保障せず、わずか一日のうちに提案理由説明から質疑、採決まで強行し、しかも参議院での採決まで押し通そうという暴挙に強く抗議するものであります。

 反対理由の第一は、国家公務員の退職手当削減は、政府が進める公務員総人件費の二割削減の対象となっており、本法案は、退職手当の大幅削減を通じてこれを実行するものであるからです。

 給与とは違い、国家公務員の退職手当については、民間準拠とは定められていません。その見直しを図るというのであれば、官民比較だけでなく、国家公務員の職務の特性などを含め、さまざまな観点からの検討が十分に行われることが必要です。

 ところが、本法案は、人事院の調査結果を唯一の根拠として、この四百二万六千円の全額を極めて短期間のうちに引き下げるものとなっているのであります。

 反対理由の第二は、新たに導入するとしている早期退職募集制度は、総人件費二割削減方針のもとでは、国家公務員に退職を強要する仕組みになるおそれが拭えないからであります。

 反対理由の第三は、本法案は、公務員優遇批判を背景に、公務員、私学教職員も厚生年金に加入させ、年金数理の違いを無視して、共済年金の給付水準を一方的に引き下げる被用者年金一元化に基づく措置であるからです。

 国家公務員の給与を平均七・八%引き下げる給与特例法の強行に続く退職手当の大幅な引き下げは、国家公務員の生活と退職後の保障を大きく脅かし、若者を含めた働きがいを失わせるものであります。

 政府は、八月七日の閣議決定で、独立行政法人や地方公務員の退職手当についても、今般の国家公務員の退職手当制度の改正に応じて必要な措置を講ずるよう要請するとしていることも重大であります。こんなことを行うならば、民間労働者の退職給付の引き下げにもつながり、官民での労働条件悪化の悪循環にさらに拍車をかけることにしかなりません。

 以上申し述べ、反対討論とします。

小宮山委員長 これで討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小宮山委員長 起立多数。本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小宮山委員長 起立多数。本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小宮山委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小宮山委員長 本日は、これで散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.